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特表2025-503177びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体
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  • 特表-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体 図1
  • 特表-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療するための併用療法におけるCD3及びCD20に対する二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20250123BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250123BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20250123BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20250123BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20250123BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20250123BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20250123BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K31/675
A61K31/704
A61K31/573
C07K16/46 ZNA
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544414
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2023052005
(87)【国際公開番号】W WO2023144306
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/304,422
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ジェンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,クリストファー・ダブリュー・エル
(72)【発明者】
【氏名】シュティルナー,マリアナ・シー
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ミン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ザファー-グルスマン,イリアナ・イー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085AA27
4C085BB36
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086DA38
4C086EA10
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
Pola-R-CHP(ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びプレドニゾン)と組み合わせてCD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を使用する、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、以前に未治療のDLBCL)の臨床治療方法が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、前記方法は、二重特異性抗体と、有効量の(a)ポラツズマブベドチン、(b)リツキシマブ、(c)シクロホスファミド、(d)ドキソルビシン及び(e)プレドニゾン又はその等価物とを前記対象に投与することを含み、ここで、前記二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、前記VH領域は、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記VL領域は、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
ここで、前記二重特異性抗体は、24mg又は48mgの用量で投与され、そしてここで、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はその等価物、及び前記二重特異性抗体が、21日サイクルで投与される、前記方法。
【請求項2】
前記二重特異性抗体が、24mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二重特異性抗体が、48mgの用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二重特異性抗体が、週に1回投与される(毎週投与される)、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
24mg又は48mgの毎週の投与が、3及び1/3回の21日サイクルにわたって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記週1回投与の後、前記二重特異性抗体が、3週間ごとに1回、例えば21日サイクルで、各21日サイクルの1日目に投与される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
3週間ごとに1回の前記投与が、少なくとも4回の21日サイクルにわたって行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
3週間ごとに1回の前記投与が、4回の21日サイクルにわたって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
24mg又は48mgの毎週の投与の前に、前記二重特異性抗体のプライミング用量が、21日サイクルのサイクル1で投与される、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プライミング用量が、24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プライミング用量が0.16mgである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する前に、前記二重特異性抗体の中間用量が投与される、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記プライミング用量が1日目に投与され、前記中間用量が8日目に投与され、その後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの最初の週の用量が投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記中間用量が0.8mgである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記二重特異性抗体が皮下投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポラツズマブベドチンが3週間ごとに1回投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
3週間ごとに1回のポラツズマブベドチンの投与が、6回の21日サイクルで行われる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ポラツズマブベドチンが1.8mg/kgの用量で投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ポラツズマブベドチンが、各21日サイクルの1日目に投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
リツキシマブが3週間ごとに1回投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
3週間ごとに1回のリツキシマブの投与が、6回の21日サイクルにわたって行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
リツキシマブが375mg/mの用量で投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
リツキシマブが、各21日サイクルの1日目に投与される、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
シクロホスファミドが3週間ごとに1回投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
3週間ごとに1回のシクロホスファミドの投与が、6回の21日サイクルにわたって行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
シクロホスファミドが750mg/mの用量で投与される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
シクロホスファミドが、各21日サイクルの1日目に投与される、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ドキソルビシンが3週間ごとに1回投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
3週間ごとに1回のドキソルビシンの投与が、6回の21日サイクルにわたって行われる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ドキソルビシンが50mg/mの用量で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ドキソルビシンが、各21日サイクルの1日目に投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
プレドニゾンの当量がプレドニゾロンである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
プレドニゾン又はプレドニゾロンが、21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
プレドニゾン又はプレドニゾロンが、6回の21日サイクルで投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
プレドニゾン又はプレドニゾロンが、100mg/日の用量で投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
プレドニゾン又はプレドニゾロンが、各21日サイクルの1~5日目に投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はそれらの等価物、及び二重特異性抗体が、同日(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1日目)に投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下のように投与され:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が、1日目に投与される;
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして、
(c)プレドニゾン又はその等価物が、サイクル1~6の1~5日目に投与される、
請求項1、2、及び4~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
投与が21日サイクルで行われ、
(a)前記二重特異性抗体が、以下のように投与され:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が、1日目に投与される;
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして
(c)プレドニゾン又はその等価物が、サイクル1~6の1~5日目に投与される、
請求項1及び3~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記二重特異性抗体が皮下投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
リツキシマブが静脈内投与される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
シクロホスファミドが静脈内投与される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
ドキソルビシンが静脈内投与される、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
プレドニゾン又はプレドニゾロンが静脈内又は経口投与される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン及び前記二重特異性抗体が、連続的に投与される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記DLBCLが、組織学的に確認されたCD20+疾患を有する、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記DLBCLが、MYC並びにBcl-2及び/又はBcl-6転座(ダブルヒット又はトリプルヒット)を有する高悪性度B細胞リンパ腫である、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記DLBCLが濾胞性リンパ腫グレード3Bである、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象が2~5の国際予後指標(IPI)スコアを有する、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの以前の治療を受けていない、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN、及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3とを含み、そして、
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9、及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3と、を含む、
請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
(i)前記二重特異性抗体の前記第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含み、そして
(ii)前記二重特異性抗体の前記第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、
請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記二重特異性抗体の前記第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記二重特異性抗体の前記第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、ここで、前記第1の重鎖及び前記第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、ここで、前記第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、そしてここで、前記第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであり、又はそれらの逆も同様である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)前記第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235、及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E、及びAである、そして、
(ii)前記第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、そしてここで、前記第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はそれらの逆も同様である、
請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、を含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、を含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記二重特異性抗体が、エプコリタマブ又はそのバイオシミラーである、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD3及びCD20の両方を標的とする二重特異性抗体、並びにポラツズマブベドチン及びR-CHPリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はそれらの等価物と組み合わせたそのような抗体の使用、例えば、2~5の国際予後指標(IPI)スコアを有する対象において、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、例えば、以前に治療されていないDLBCLを治療するためのプレドニゾロンレジメンに関する。有利な治療レジメンも提供される。
【背景技術】
【0002】
DLBCLは、最も一般的な非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、標準的な第1選択療法はR-CHOPである。新たに診断されたDLBCLの全集団に対するこの組合せの治癒率は、60%~70%である(Sehn et al.,Blood 2007;109:1867-61)。用量の増強及びレジメンを増強するための他の薬剤の添加を含む第1選択療法の転帰を改善する試みは、標準治療を変更するのに十分な証拠を提供することができなかった。
【0003】
第1選択治療に対するCRの割合、疾患再発、及びOSに影響を及ぼすリスク因子は、国際予後指標(IPI)又は改訂IPI(R-IPI)に含まれ、以下の通りである。年齢>60歳、ECOG>1又はKPS<60、LDH>ULN;節外疾患>1(2以上)、及び疾患ステージ3又は4(Project et al.,N Engl J Med 1993;329:987-994;Sehn et al.、前出)。良好なリスク群(1~2のIPI因子)の患者は、標準的な第1選択R-CHOP後に80%の4年PFSを有するが、危険性の高い(高リスク)群(3~5のIPI因子)の患者の45%は、55%の4年PFS及びOSを達成するだけである(Sehn et al.、前出)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Sehn et al.,Blood 2007;109:1867-61
【非特許文献2】Project et al.,N Engl J Med 1993;329:987-994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在利用可能な治療に対する危険性の高い対象の限られた有効性及び長期応答を考えると、新規且つ有効な治療が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
DLBCL、例えば、以前に治療されていないDLBCL(例えば、2~5の国際予後指標(IPI)スコアを有するDLBCL))を有するヒト対象を、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ及びシクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えば、プレドニゾロン(R-CHP)、特に、有利な臨床治療レジメンと組み合わせて投与することによって治療する方法が本明細書で提供される。
【0007】
一態様では、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、エプコリタマブとポラツズマブベドチン及びリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン(R-CHP)との組合せを対象に投与することを含む方法、例えば有効量のポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びグルココルチコイド、例えば有効量のポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンを対象に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0008】
一態様では、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、前記方法が、二重特異性抗体と、有効量のポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンと、を対象に投与することを含み、二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
ここで、二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン、並びに二重特異性抗体が21日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0009】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又は約24mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又は約48mgの用量)で投与される。
【0010】
一実施形態では、二重特異性抗体は、24mg又は48mgの用量(毎週の投与/用量)で、例えば、3及び1/3回の21日サイクル(すなわち、サイクル1の15日目並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)にわたって、毎週1回投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、毎週の投与後、3週間ごとに1回、例えば、少なくとも2回又は4回の21日サイクルの間、例えば、4回の21日サイクルの間投与される。更なる実施形態では、二重特異性抗体のプライミング用量(例えば、0.16mg又は約0.16mg)が、24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される。いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの週の用量を投与する前に、中間用量(例えば、0.8mg又は約0.8mg)の二重特異性抗体が投与される。いくつかの実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に投与され、中間用量は、24mg又は48mgの最初の週の用量の1週間前に投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは、21日サイクルで3週間ごとに1回、例えば少なくとも6回の21日サイクル、例えば6回の21日サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは、1.8mg/kgの用量で投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで、3週間ごとに1回、例えば、6回又は8回の21日サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、375mg/mの用量で投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、3週間ごとに1回の21日サイクル、例えば6回又は8回の21日サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは750mg/mの用量で投与される。
【0014】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、3週間ごとに1回の21日サイクル、例えば6回又は8回の21日サイクルで投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/mの用量で投与される。
【0015】
いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物は、21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回、例えば6回又は8回の21日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物;例えば、プレドニゾロンは、100mg/日の用量で投与される。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン、及び二重特異性抗体は、同じ日に(例えば、サイクル1~6の1日目に)投与される。
【0017】
いくつかの実施形態では、投与が21日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0018】
いくつかの実施形態では、投与が21日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして、
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0019】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は皮下投与される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。更なる実施形態では、ドキソルビシンは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンを静脈内又は経口投与する。
【0020】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが逐次投与される。
【0021】
いくつかの実施形態では、DLBCLは、組織学的に確認されたCD20+疾患を有する。いくつかの実施形態では、DLBCLは、MYC並びにBcl-2及び/又はBcl-6転座を有するB細胞リンパ腫(ダブルヒット又はトリプルヒットDLBCL)である。いくつかの実施形態では、DLBCLは濾胞性リンパ腫グレード3Bである。いくつかの実施形態では、対象は、2~5の国際予後指標(IPI)スコア又は改訂IPIスコア、例えば2、3、4又は5のスコアを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で治療される対象は、例えば、Lugano基準又はLYRICによって定義されるような完全奏効(CR)、部分奏効(PR)又は安定疾患(SD)を達成する。
【0023】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN、及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3と、を含み、第2の抗原結合領域は、それぞれ配列番号8、9、及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3と、を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の抗原結合領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含み、第2の抗原結合領域は、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体(例えば、配列番号22)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームは、ヒト抗体、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体(例えば、配列番号23)に由来する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。
【0026】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域、例えば、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235、及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E、及びAであるFc領域を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、二重特異性抗体の形成を促進する置換を含み、例えば、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はその逆も同様である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域(例えば、L234、L235、及びD265における置換(例えば、L234F、L235E、及びD265A))及び二重特異性抗体形成を促進する置換(例えば、F405L及びK409R)の両方を有する。更なる実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第1の重鎖及び第1軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む(又はそれらからなる)第2の重鎖及び第2軽鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、エプコリタマブ、又はそのバイオシミラーである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】Aは、DuoBody(登録商標)CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHP成分の最小効果を示すグラフである。 Bは、DuoBody(登録商標)CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHP成分の最小効果を示すグラフである。 Cは、DuoBody(登録商標)CD3xCD20誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対するCHP成分の最小効果を示すグラフである。図1A:DuoBody(登録商標)CD3xCD20+シクロホスファミド;図1B:DuoBody(登録商標)CD3xCD20+ドキソルビシン;図1C:DuoBody(登録商標)CD3xCD20+プレドニゾン。左パネルは、1名の代表的なドナーについてのDuoBody(登録商標)CD3xCD20用量応答曲線を示す。右パネルは、333ng/mLのDuoBody(登録商標)CD3xCD20での4名のドナーについての結果を示す。
図2】全体的な臨床試験設計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される「免疫グロブリン」という用語は、2対のポリペプチド鎖、1対の軽(L)低分子量鎖及び1対の重(H)鎖からなる構造的に関連する糖タンパク質のクラスを指し、4つ全てがジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている(例えば、Fundamental Immunology Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照されたい)。簡潔には、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(本明細書ではVH又はVと略す)及び重鎖定常領域(本明細書ではCH又はCと略す)から構成される。重鎖定常領域は、典型的には、3つのドメイン、CH1、CH2、及びCH3から構成される。ヒンジ領域は、重鎖のCH1ドメインとCH2ドメインとの間の領域であり、非常に柔軟である。ヒンジ領域内のジスルフィド結合は、IgG分子内の2つの重鎖間の相互作用の一部である。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(本明細書ではVL又はVと略される)及び軽鎖定常領域(本明細書ではCL又はCと略される)から構成される。軽鎖定常領域は、典型的には、1つのドメインCLから構成される。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる超可変領域(又は配列及び/又は構造的に定義されたループの形態で超可変であり得る超可変領域)の領域に更に細分することができる。各VH及びVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4(Chothia and Lesk J Mol Biol 1987;196:90117も参照されたい)。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、本明細書のCDR配列は、IMGT規則(Brochet X.,Nucl Acids Res 2008;36:W503-508;Lefranc MP.,Nucl Acids Res 1999;27:209-12;www.imgt.org/)に従って同定される。特に明記しない限り、又は文脈と矛盾しない限り、定常領域内のアミノ酸位置への言及は、EUナンバリング(Edelman et al.,PNAS.1969;63:78-85;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.1991 NIH Publication No.91-3242)に従う。例えば、配列番号15は、IgG1重鎖定常領域の、EUナンバリングで118~447位のアミノ酸を示す。
【0030】
本明細書で使用される「位置...に対応するアミノ酸」という用語は、ヒトIgG1重鎖のアミノ酸位置番号を指す。他の免疫グロブリン中の対応するアミノ酸位置は、ヒトIgG1とのアラインメントによって見出され得る。したがって、別の配列中のアミノ酸又はセグメント「に対応する」1つの配列中のアミノ酸又はセグメントは、典型的にはデフォルト設定で、ALIGN、ClustalW又は同様のもの等の標準的な配列アラインメントプログラムを使用して他のアミノ酸又はセグメントと整列するものであり、ヒトIgG1重鎖に対して少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の同一性を有する。配列中の配列又はセグメントを整列させ、それによって本発明によるアミノ酸位置に対する配列中の対応する位置を決定することは、当業者の能力の範囲内である。
【0031】
本発明に関連して本明細書で使用される「抗体」(Ab)という用語は、典型的な生理学的条件下で、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間以上、約48時間以上、約3、4、5、6、7日以上等、又は任意の他の関連する機能的に定義された期間(例えば、抗原への抗体結合に関連する生理学的応答を誘導、促進、増強、及び/又は調節するのに十分な時間並びに/あるいは抗体がエフェクター活性を動員するのに十分な時間)等、十分な期間の半減期で抗原に特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子を指す。免疫グロブリン分子の重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体という用語は、特に明記しない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、抗体様ポリペプチド、キメラ抗体及びヒト化抗体も包含する。生成された抗体は、任意のアイソタイプを有することができる。
【0032】
本明細書で使用される「抗体断片」又は「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持し、酵素切断、ペプチド合成、及び組換え技術等の任意の公知の技術によって生成することができる免疫グロブリン分子の断片を指す。抗体断片の例としては、(i)Fab’若しくはFab断片、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片、又は国際公開第2007059782号に記載されている一価抗体(Genmab);(ii)F(ab’)断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片;(iii)VHドメイン及びCH1ドメインから本質的になるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLドメイン及びVHドメインから本質的になるFv断片;(v)VHドメインから本質的になり、ドメイン抗体とも呼ばれるdAb断片(Ward et al.,Nature 1989;341:54446)(Holt et al;Trends Biotechnol 2003;21:484-90);(vi)ラクダ科動物又はナノボディ(Revets et al;Expert Opin Biol Ther 2005;5:111-24)及び(vii)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。更に、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは別個の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え法を使用して、VL及びVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらを作製することを可能にする合成リンカーによって連結され得る(一本鎖抗体又は一本鎖Fv(scFv)として知られており、例えばBird et al.,Science 1988;242:42326及びHuston et al.,PNAS 1988;85:587983を参照されたい)。そのような一本鎖抗体は、特に明記されない限り、又は文脈によって明確に示されない限り、抗体断片という用語に包含される。
【0033】
本明細書で使用される「抗体結合領域」又は「抗原結合領域」という用語は、抗原と相互作用し、VH領域とVL領域の両方を含む領域を指す。抗体という用語は、本明細書で使用される場合、単一特異性抗体だけでなく、複数、例えば2つ以上、例えば3つ以上の異なる抗原結合領域を含む多重特異性抗体も指す。抗原結合領域という用語は、特に明記しない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り、抗原結合断片であり、すなわち抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の断片を含む。
【0034】
本明細書で使用されるとき、用語「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる免疫グロブリンクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、又はIgM)を指す。特定のアイソタイプ、例えばIgG1が言及される場合、この用語は、特定のアイソタイプ配列、例えば特定のIgG1配列に限定されないが、抗体が他のアイソタイプよりもそのアイソタイプ、例えばIgG1に配列がより近いことを示すために使用される。したがって、例えば、IgG1抗体は、定常領域の変異を含み得る天然に存在するIgG1抗体の配列バリアントであり得る。
【0035】
本明細書で使用される「二重特異性抗体」又は「bs」又は「bsAb」という用語は、異なる抗体配列によって定義される2つの異なる抗原結合領域を有する抗体を指す。二重特異性抗体は、任意の形式のものであり得る。
【0036】
本明細書で使用される「半分子」、「Fabアーム」、及び「アーム」という用語は、1つの重鎖-軽鎖対を指す。
【0037】
二重特異性抗体が、第1の親抗体「に由来する」半分子抗体、及び第2の親抗体「に由来する」半分子抗体を含むと記載される場合、「に由来する」という用語は、任意の公知の方法によって、第1及び第2の親抗体のそれぞれからの当該半分子を、得られた二重特異性抗体に再結合することによって、二重特異性抗体が生成されたことを示す。これに関連して、「組換え」は、どのような特定の組換え方法によっても限定されることが意図されておらず、したがって、例えば、半分子交換(「制御されたFabアーム交換」としても知られる)による組換え、同様にまた、核酸レベルでの及び/又は同じ細胞における2つの半分子の共発現による組換えを含めて、本明細書に記載される二重特異性抗体を作製するための方法の全てが含まれる。
【0038】
抗体に関連して本明細書で使用される「完全長」という用語は、抗体が断片ではないが、天然のそのアイソタイプに通常見られる特定のアイソタイプのドメイン、例えばIgG1抗体のVH、CH1、CH2、CH3、ヒンジ、VL及びCLドメインの全てを含むことを示す。完全長抗体を操作することができる。「完全長」抗体の例は、エプコリタマブである。
【0039】
本明細書で使用される「Fc領域」という用語は、免疫グロブリンの2つの重鎖のFc配列からなる抗体領域を指し、当該Fc配列は、少なくともヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。
【0040】
本明細書で使用される「第1のCH3領域と第2のCH3領域との間のヘテロ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第2のCH3ヘテロ二量体タンパク質における第1のCH3領域と第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0041】
本明細書で使用される「第1のCH3領域及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用」という用語は、第1のCH3/第1のCH3ホモ二量体タンパク質中の第1のCH3領域と別の第1のCH3領域との間の相互作用、及び第2のCH3/第2のCH3ホモ二量体タンパク質中の第2のCH3領域と別の第2のCH3領域との間の相互作用を指す。
【0042】
本明細書で使用される「単離抗体」という用語は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。好ましい実施形態では、CD20及びCD3に特異的に結合する単離された二重特異性抗体は更に、CD20又はCD3に特異的に結合する単一特異性抗体を実質的に含まない。
【0043】
本明細書で使用される「CD3」という用語は、T細胞共受容体タンパク質複合体の一部であり、4つの異なる鎖で構成されるヒト表面抗原分類3タンパク質を指す。CD3は他の種にも見られるため、「CD3」という用語は、文脈と矛盾しない限り、ヒトCD3に限定されない。哺乳動物では、複合体は、CD3γ(ガンマ)鎖(ヒトCD3γ鎖UniProtKB/Swiss-Prot No P09693、又はカニクイザルCD3γ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI7)、CD3δ(デルタ)鎖(ヒトCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No P04234、又はカニクイザルCD3δ UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI8)、2つのCD3ε(イプシロン)鎖(ヒトCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No P07766、配列番号28);カニクイザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No Q95LI5;又はアカゲザルCD3ε UniProtKB/Swiss-Prot No G7NCB9)、及びCD3ζ鎖(ゼータ)鎖(ヒトCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No P20963、カニクイザルCD3ζ UniProtKB/Swiss-Prot No Q09TK0)を含む。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)として知られる分子と会合し、Tリンパ球において活性化シグナルを生成する。TCR及びCD3分子は共にTCR複合体を含む。
【0044】
本明細書で使用される「CD3抗体」又は「抗CD3抗体」という用語は、抗原CD3、特にヒトCD3ε(イプシロン)に特異的に結合する抗体を指す。
【0045】
「ヒトCD20」又は「CD20」という用語は、ヒトCD20(UniProtKB/Swiss-Prot No P11836、配列番号29)を指し、腫瘍細胞を含む細胞によって天然に発現される、又はCD20遺伝子若しくはcDNAでトランスフェクトされた細胞上で発現されるCD20の任意のバリアント、アイソフォーム、及び種ホモログを含む。種ホモログには、アカゲザルCD20(macaca mulatta;UniProtKB/Swiss-Prot No H9YXP1)及びカニクイザルCD20(macaca fascicularis;UniProtKB No G7PQ03)が含まれる。
【0046】
本明細書で使用される「CD20抗体」又は「抗CD20抗体」という用語は、抗原CD20、特にヒトCD20に特異的に結合する抗体を指す。
【0047】
本明細書で使用される「CD3xCD20抗体」、「抗CD3xCD20抗体」、「CD20xCD3抗体」又は「抗CD20xCD3抗体」という用語は、2つの異なる抗原結合領域を含む二重特異性抗体を指し、その1つは抗原CD20に特異的に結合し、その1つはCD3に特異的に結合する。
【0048】
本明細書で使用される「DuoBody(登録商標)-CD3xCD20」という用語は、それぞれ配列番号24及び配列番号25で定義される第1の重鎖及び軽鎖対を含み、配列番号26及び配列番号27で定義される第2の重鎖及び軽鎖対を含む、IgG1二重特異性CD3xCD20抗体を指す。第1の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD3ε(イプシロン)に結合する領域を含み、第2の重鎖及び軽鎖の対は、ヒトCD20に結合する領域を含む。第1の結合領域は、配列番号6及び7によって定義されるVH及びVL配列を含み、第2の結合領域は、配列番号13及び14によって定義されるVH及びVL配列を含む。この二重特異性抗体は、国際公開第2016/110576号に記載されているように調製することができる。
【0049】
実施例の抗体の重鎖、軽鎖、VL領域、VH領域、又は1又は複数のCDRの機能的バリアントを含む抗体も本明細書で提供される。抗体との関連で使用される重鎖、軽鎖、VL、VH、又はCDRの機能的バリアントは、依然として、抗体が、CD20及び/又はCD3の特定のエピトープに対する親和性及び/又は特異性/選択性、Fc不活性、並びに半減期、Tmax、Cmax等のPKパラメータを含む、「参照」及び/又は「親」抗体の機能的特徴の少なくともかなりの割合(少なくとも約90%、95%以上)を保持することを可能にする。そのような機能的バリアントは、典型的には、親抗体と有意な配列同一性を保持し、及び/又は実質的に同様の長さの重鎖及び軽鎖を有する。2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有される同一の位置の数(すなわち、相同性%=同一位置の数/位置の総数x100)の関数である。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の同一性パーセントは、例えば、PAM120重み残差表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれた、E.Meyers and W.Miller,Comput.Appl.Biosci 4,11-17(1988)のアルゴリズムを使用して決定され得る。更に、Needleman and Wunsch,J Mol Biol 1970;48:444-453アルゴリズムを使用して、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定することができる。例示的なバリアントには、主に保存的置換によって親抗体配列の重鎖及び/又は軽鎖、VH及び/又はVL、及び/又はCDR領域とは異なるものが含まれ、例えば、バリアントにおける置換のうちの10個、例えば9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個又は1個は、保存的アミノ酸残基置換であり得る。
【0050】
保存的置換は、以下の表に反映されるアミノ酸のクラス内の置換によって定義され得る。
【表1】
【0051】
別段示されない限り、以下の命名法が変異を記載するために使用される:i)所与の位置におけるアミノ酸の置換は、例えば、K409Rと書かれ、これは、アルギニンによる409位におけるリジンの置換を意味する。ii)特定のバリアントについては、任意のアミノ酸残基を示すためのコードXaa及びXを含む、特定の3文字又は1文字コードが使用される。したがって、409位のアルギニンによるリジンの置換は、K409Rと命名され、409位の任意のアミノ酸残基によるリジンの置換は、K409Xと命名される。409位におけるリジンの欠失の場合、それはK409*によって示される。
【0052】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、ヒト抗体定常ドメインと、ヒト可変ドメインに対して高レベルの配列相同性を含むように修飾された非ヒト可変ドメインと、を含む、遺伝子操作された非ヒト抗体を指す。これは、一緒になって抗原結合部位を形成する6つの非ヒト抗体CDRを、相同ヒトアクセプターフレームワーク領域(FR)にグラフトすることによって達成することができる(国際公開第92/22653号及び欧州特許第0629240号明細書参照)。親抗体の結合親和性及び結合特異性を完全に再構成するために、親抗体(すなわち、非ヒト抗体)からヒトフレームワーク領域へのフレームワーク残基の置換(復帰変異)が必要とされ得る。構造相同性モデリングは、抗体の結合特性に重要なフレームワーク領域内のアミノ酸残基を同定するのに役立ち得る。したがって、ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列、主に、非ヒトアミノ酸配列に対する1又は複数のアミノ酸復帰変異を場合により含むヒトフレームワーク領域、及び完全ヒト定常領域を含み得る。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20において本明細書で使用されるCD3アームのVH及びVLは、ヒト化抗原結合領域を表す。場合により、必ずしも復帰変異ではない更なるアミノ酸修飾を適用して、親和性及び生化学的特性等の好ましい特徴を有するヒト化抗体を得ることができる。
【0053】
本明細書で使用される「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的変異誘発又はインビボでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVLは、ヒト抗原結合領域を表す。本発明のヒトモノクローナル抗体は、従来のモノクローナル抗体方法論、例えばKohler and Milstein,Nature 256:495(1975)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む様々な技術によって産生され得る。体細胞ハイブリダイゼーション手順が原則として好ましいが、モノクローナル抗体を産生するための他の技術、例えば、Bリンパ球のウイルス若しくは発癌性形質転換又はヒト抗体遺伝子のライブラリーを使用するファージディスプレイ技術を使用することができる。ヒトモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製するための適切な動物系は、マウス系である。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、非常によく確立された手順である。融合のために免疫化脾細胞を単離するための免疫化プロトコル及び技術は、当技術分野で公知である。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)及び融合手順も公知である。したがって、ヒトモノクローナル抗体は、例えば、マウス系又はラット系ではなくヒト免疫系の一部を保有するトランスジェニック若しくはトランスクロモソーマルのマウス又はラットを用いて作製することができる。したがって、一実施形態では、ヒト抗体は、動物免疫グロブリン配列の代わりにヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物(例えば、マウス又はラット)から得られる。そのような実施形態では、抗体は、動物に導入されたヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来するが、最終抗体配列は、内因性動物抗体機構による体細胞高頻度変異及び親和性成熟によって当該ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列が更に修飾された結果である(例えば、Mendez et al.Nat Genet 1997;15:146-56を参照されたい)。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20で使用されるCD20アームのVH及びVL領域は、ヒト抗原結合領域を表す。
【0054】
本明細書で使用される「バイオシミラー」(例えば、承認された参照製品/生物学的薬物)という用語は、(a)臨床的に不活性な成分のわずかな違いにもかかわらず、生物学的製品が参照製品と非常に類似していることを示す分析研究;(b)動物試験(毒性の評価を含む);及び/又は(c)参照製品が承認され、使用が意図され、承認が求められている1又は複数の適切な使用条件における安全性、純度、及び効力を実証するのに十分な(例えば、生物学的製品と参照製品との間に、製品の安全性、純度及び、効力の点で臨床的に有意な差がないこと)1又は複数の臨床試験(免疫原性及び薬物動態又は薬力学の評価を含む)からのデータに基づいて、参照製品と類似している生物学的製品を指す。いくつかの実施形態では、バイオシミラー生物学的製品及び参照製品は、提案されたラベル化において処方され、推奨され、又は示唆される1又は複数の使用条件について同じ1又は複数の作用機序を利用するが、1又は複数の作用機序が参照製品について知られている程度にすぎない。いくつかの実施形態では、生物学的製品について提案されたラベル化において処方され、推奨され、又は示唆された1又は複数の使用条件は、参照製品について以前に承認されている。いくつかの実施形態では、生物学的製品の投与経路、剤形、及び/又は強度は、参照製品のものと同じである。バイオシミラーは、例えば、市販の抗体と同じ一次アミノ酸配列を有する現在知られている抗体であり得るが、異なる細胞型で、又は異なる産生、精製、若しくは製剤化方法によって作製され得る。
【0055】
本明細書で使用される「還元条件」又は「還元環境」という用語は、基質、ここでは抗体のヒンジ領域中のシステイン残基が酸化されるよりも還元される可能性が高い状態又は環境を指す。
【0056】
本明細書で使用される「組換え宿主細胞」(又は単に「宿主細胞」)という用語は、発現ベクター、例えば本明細書に記載の抗体をコードする発現ベクターが導入された細胞を指すことを意図している。組換え宿主細胞としては、例えば、トランスフェクトーマ、例えばCHO、CHO-S、HEK、HEK293、HEK-293F、Expi293F、PER.C6又はNS0細胞、及びリンパ球性細胞が挙げられる。
【0057】
本明細書で使用される「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」又は「DLBCL」という用語は、びまん性増殖パターン及び高中間増殖指数を有する胚中心Bリンパ球の新生物を指す。DLBCLは、全てのリンパ腫の約30%に相当する。DLBCLのサブタイプは、異なる見通し(予後)及び治療に対する応答を有するようである。DLBCLは、任意の年齢層に影響を及ぼし得るが、主に高齢者に発生する(平均年齢は60代半ばである)。「ダブルヒット」及び「トリプルヒット」DLBCLは、WHO2016分類(内容が参照により本明細書に組み込まれる、Swerdlow SH,Campo E,Harris NL,et al.WHO Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues(Revised ed.4th).Lyon,France:IARC Press(2017))による、MYC及びBCL2及び/又はBCL6転座を有する高悪性度B細胞リンパ腫(HGBCL)のカテゴリに属する、MYC及びBCL2及び/又はBCL6転座を有するDLBCLを指す。濾胞性リンパ腫グレード3Bもまた、DLBCLと同等であるとみなされることが多く、したがって、上記のように治療される。
【0058】
本明細書で使用される「R-CHP」という用語は、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びプレドニゾンを含む薬物組合せを指す。「R-CHP」という用語はまた、リツキシマブ成分がそのバイオシミラーで置き換えられ、並びに/又はシクロホスファミド、ドキソルビシン及び/若しくはプレドニゾンのブランドバージョン若しくはジェネリックバージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容される塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、その無水物形態、並びにその任意の多形若しくは非晶質形態又はそれらの組合せが本明細書に記載される方法で使用されるレジメンを包含することを意図する。
【0059】
本明細書で使用される「ポラツズマブベドチン」(CAS番号:1313206-42-6;DrugBank受託番号DB12240;Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)entry:D10761)という用語は、ヒト-Mus musculusモノクローナルMCDS4409A重鎖、ヒト-Mus musculusモノクローナルMCDS4409A κ鎖を有するジスルフィド、二量体、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニルモノメチルラウリスタチンEを有するチオエーテルを指す。ポラツズマブベドチンは、Polivy(登録商標)として市販されている。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、ポラツズマブベドチンをそのバイオシミラーで置き換えることができる。したがって、「ポラツズマブベドチン」という用語は、リツキシマブのバイオシミラーを包含することが意図されていることが理解されよう。「ポラツズマブベドチン」という用語には、CDR、可変領域、、又はポラツズマブベドチンの重鎖及び軽鎖を有する抗体も包含される。バイオシミラーは標準治療投与量に従って、又はポラツズマブベドチンについて指定された標準治療投与量と同等の用量で投与され得る。
【0060】
本明細書で使用される「リツキシマブ」(CAS番号:174722-31-7;DrugBank-DB00073;Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)entry D02994)という用語は、ヒトCD20に対するモノクローナル抗体を含有する遺伝子操作されたキメラヒトガンマ1マウス定常ドメインを指す。キメラ抗体は、ヒトガンマ1定常ドメインを含有し、米国特許第5,736,137号(その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)において「C2B8」と称される。リツキシマブは、例えば、Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標)、又はZytux(登録商標)として市販されている。本明細書に記載される方法の特定の実施形態では、リツキシマブは、そのバイオシミラーと置き換えられ得る。したがって、「リツキシマブ」という用語は、リツキシマブのバイオシミラーを包含することが意図されていることが理解されよう。CDR、可変領域、又はリツキシマブの重鎖及び軽鎖を有する抗体も「リツキシマブ」という用語に包含される。リツキシマブのバイオシミラーの非限定的な例としては、Truxima(登録商標)(リツキシマブ-abbs)、Ruxience(登録商標)(リツキシマブ-pvvr)及びRixathon(登録商標)が挙げられる。バイオシミラーは、標準治療投与量に従って、又はリツキシマブについて指定された標準治療投与量と同等の用量で投与され得る。
【0061】
本明細書で使用される「シクロホスファミド」という用語は、化学名2H-1,3,2-オキサザホスホリン-2-アミン、N,N-ビス(2-クロロエチル)テトラヒドロ-、2-オキシド(CAS番号50-18-0)を有し、化学式C15ClPを有するナイトロジェンマスタード系アルキル化剤を指す。これは、Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、及びRevimmune(登録商標)等の商品名で市販されている。用語「シクロホスファミド」はまた、シクロホスファミドのブランドバージョン及びジェネリックバージョン(ジェネリック等価物)、並びに薬学的に許容される塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、それらの無水物形態、並びにそれらの任意の多形若しくは非晶質形態又はそれらの組合せを包含することが意図される。
【0062】
本明細書で使用される「ドキソルビシン」という用語は、天然生成物ダウノマイシンに密接に関連し、全てのアントラサイクリンと同様に、DNAをインターカレートすることによって作用するアントラサイクリン抗生物質を指す。ドキソルビシンは、Adriamycin PFS(登録商標)、Adriamycin RDF(登録商標)、又はRubex(登録商標)等の商品名で市販されている。典型的には、薬物は、塩酸塩の形態(例えば、ドキソルビシン塩酸塩として)で静脈内投与される。ドキソルビシン塩酸塩は、化学名5,12-ナフタセンジオン、10-[(3-アミノ-2,3,6-トリデオキシ-α-L-リキソ-ヘキソピラノシル)オキシ]-7,8,9,10-テトラヒドロ-6,8,11-トリヒドロキシ-8-(ヒドロキシアセチル)-1-メトキシ-、塩酸塩、(8S,10S)-(CAS番号25316-40-9)を有し、化学式C2729NO11・HClを有する。「ドキソルビシン」という用語はまた、ドキソルビシンのブランドバージョン及びジェネリックバージョン(ジェネリック等価物)、並びにその薬学的に許容される塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、無水物形態、並びに任意の多形若しくは非晶質形態又はそれらの組合せを包含することが意図される。
【0063】
「プレドニゾン」は、抗炎症特性及び免疫抑制特性を有する合成グルココルチコイドである。それは、肝臓で薬物の活性形態であるプレドニゾロンに代謝されるプロドラッグである。プレドニゾンは、とりわけ、Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Rayos(登録商標)、及びOrasone(登録商標)等の商品名で市販されている。プレドニゾンは、化学名17,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエン-3,11,20-トリオン(CAS番号53-03-2)を有する。「プレドニゾン」という用語はまた、プレドニゾンのブランドバージョン及びジェネリックバージョン(ジェネリック等価物)、並びにその薬学的に許容される塩、異性体、ラセミ体、溶媒和物、複合体及び水和物、無水物形態、並びにその任意の多形形態若しくは非晶質形態又はそれらの組合せを包含することが意図される。
【0064】
「治療」という用語は、DLBCL等の症状又は病状を緩和、改善、停止又は根絶(治癒)する目的での有効量の本明細書に記載の治療活性抗体の投与を指す。治療は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるように、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、又は安定疾患(SD)をもたらし得る。
【0065】
本明細書で使用される「投与すること」又は「投与」という用語は、当業者に公知の様々な方法及び送達系のいずれかを使用した、治療剤を含む組成物(又は製剤)の対象への物理的導入を指す。本明細書に記載される抗体のための好ましい投与経路には、例えば注射又は注入による静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄又は他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用される場合、通常は注射による経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内の注射及び注入、並びにインビボ電気穿孔を含むが、これらに限定されない。あるいは、本明細書に記載の治療剤は、非経口経路、例えば局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下又は局所的に投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1又は複数の長期間にわたって行うこともできる。本明細書に記載の方法では、二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)が皮下投与される。
【0066】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するために、必要な投与量及び期間で有効な量を指す。例えば、皮下投与される二重特異性抗体(例えば、エプコリタマブ)について本明細書で定義される投与量、すなわち24mg又は48mgは、そのような「有効量」又は「治療有効量」として定義することができる。抗体の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する抗体の能力等の因子に応じて変動し得る。治療有効量はまた、抗体又は抗体部分のあらゆる毒性又は有害作用よりも、治療的に有益な作用が上回る量である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で治療された患者は、ECOGパフォーマンスステータスの改善を示す。薬物の治療有効量又は投与量は、「予防有効量」又は「予防有効投与量」を含み、これは、疾患若しくは障害(例えば、サイトカイン放出症候群)を発症するリスクがあるか、又は疾患の再発に罹患するリスクがある対象に単独で又は別の治療剤と組み合わせて投与された場合に、疾患の発症又は再発を阻害する薬物の任意の量である。
【0067】
本明細書で使用される腫瘍の「成長を阻害する」という用語は、腫瘍の成長のあらゆる測定可能な減少、例えば少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約99%、又は100%の腫瘍の成長の阻害を含む。
【0068】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒト患者、例えばDLBCLを有するヒト患者を指す。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0069】
本明細書で使用される「緩衝剤」という用語は、薬学的に許容される緩衝剤を表す。「緩衝剤」という用語は、溶液のpH値を例えば許容範囲内に維持する薬剤を包含し、限定するものではないが、アセタート、ヒスチジン、TRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、シトラート、スクシナート、グリコラート等を含む。一般に、本明細書で使用される「緩衝剤」は、約5~約6、好ましくは約5.5のpH範囲に適したpKa及び緩衝能力を有する。
【0070】
本明細書で使用される「疾患進行」又は「PD」は、DLBCLの1又は複数の指数が、治療にもかかわらず疾患が進行していることを示す状況を指す。一実施形態では、疾患進行は、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(「Lugano基準」)及び/又は免疫調節療法基準(LYRIC)に対するリンパ腫応答に基づいて定義される。完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、無奏効/安定(NR/SD)及び進行性疾患(PD)の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、内容が参照により本明細書に組み込まれる、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68に提供される(特にCheson et al.,2014の表3を参照されたい)。
【0071】
本明細書で使用される「界面活性剤」は、表面への薬物吸着及び/又は凝集を防ぐために医薬製剤に典型的に使用される化合物である。更に、界面活性剤は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる。例えば、例示的な界面活性剤は、非常に低い濃度(例えば、5%w/v以下、例えば3%w/v以下、例えば1%w/v以下、例えば0.4%w/v以下、例えば0.1%w/v未満、例えば0.04%w/v)で存在する場合、表面張力を著しく低下させることができる。界面活性剤は両親媒性であり、これは、界面活性剤が通常、親水性基と疎水性基又は親油性基の両方から構成され、したがって水溶液中でミセル又は同様の自己集合構造を形成することができることを意味する。薬学的使用のための公知の界面活性剤としては、グリセロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ドキュサートナトリウム、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム及びトリカプリリン(アニオン性界面活性剤);塩化ベンザルコニウム、シトリミド、塩化セチルピリジニウム及びリン脂質(カチオン性界面活性剤);並びにαトコフェロール、グリセロールモノオレアート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビンタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステララート、ポリオキシルヒドロキシステアラート、ポリオキシルグリセリド、ポリソルベート、例えばポリソルベート20又はポリソルベート80、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンエステルスクロースパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン及びTPGS(非イオン性及び両性イオン性界面活性剤)が挙げられる。
【0072】
本明細書で使用される「希釈剤」は、薬学的に許容され(ヒトへの投与に安全且つ非毒性)、医薬組成物又は医薬製剤の希釈物の調製に有用なものである(「組成物」及び「製剤」という用語は本明細書では互換的に使用される)。好ましくは、組成物のこのような希釈は、抗体濃度のみを希釈し、緩衝剤及び安定剤を希釈しない。したがって、一実施形態では、希釈剤は、本発明の医薬組成物中に存在するのと同じ濃度の緩衝剤及び安定剤を含有する。更なる例示的な希釈剤としては、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI)、好ましくは酢酸緩衝剤であるpH緩衝剤、滅菌生理食塩水、例えば注射用水、リンゲル液又はデキストロース溶液が挙げられる。一実施形態では、希釈剤は、酢酸緩衝剤及びソルビトールを含むか、又はそれらから本質的になる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値の10%以上10%以下である値を指す。
【0074】
DLBCL治療レジメン
CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体(「抗CD3xCD20抗体」)、例えば、ヒトCD3及びヒトCD20に結合するエプコリタマブ等の単離された抗CD3xCD20抗体を、ポラツズマブベドチン及びR-CHP(すなわち、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン)と組み合わせて使用して、ヒト対象においてDLBCLを治療する方法が本明細書で提供される。この方法は、例えば、組織学的に確認されたCD20+疾患(例えば、以前に未治療のDLBCL等)を伴うDLBCL(例えば、対象が2~5の国際予後指標(IPI)スコア、例えば2、3、4又は5のスコアを有するDLBCL)を治療するために有用である。本明細書に記載のCD3及びCD20の両方に結合する二重特異性抗体でDLBCL(例えば、新たに診断された、以前に治療されていない(IPI2~5)DLBCL)を治療する方法はまた、ヒト対象においてDLBCL(例えば、新たに診断された、以前に治療されていない(IPI2~5)DLBCL)を治療するための二重特異性抗体の対応する使用も包含することが理解される。いくつかの実施形態では、本発明による療法を受けている対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの以前の療法を受けていない。
【0075】
したがって、一態様では、ヒト対象におけるDLBCLを治療する方法であって、前記方法は、二重特異性抗体と、有効量のポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンとを投与することを含み、二重特異性抗体が、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
ここで、二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン、及び二重特異性抗体が、21日サイクルで投与される、方法が本明細書で提供される。
【0076】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、不活性Fc領域を有する完全長抗体である。
【0077】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、24mgの用量(又は約24mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、48mgの用量(又は約48mgの用量)で投与される。
【0078】
投与される二重特異性抗体の24mg若しくは48mgの用量(又は約24mg若しくは約48mgの用量)、又は任意の他の特定の用量に関して、この量は、完全長抗体を提示する二重特異性抗体、例えば実施例の節で定義されるようなエプコリタマブの量を指すと理解される。したがって、24mgの用量の二重特異性抗体を、本明細書に記載される二重特異性抗体の用量の投与として投与することを指し得、ここで、その用量は、24mgの用量のエプコリタマブに対応する。当業者は、例えば、使用される抗体の分子量がエプコリタマブ等の完全長抗体の分子量と実質的に異なる場合、投与される抗体の量を容易に決定することができる。例えば、抗体の量は、抗体の分子量をエプコリタマブ等の完全長抗体の重量で除し、その結果に本明細書に記載の特定の用量を乗じることによって計算することができる。二重特異性抗体(例えば、DuoBody(登録商標)CD3xCD20の機能的バリアント)が、血漿中半減期、Fc不活性、並びに/あるいはCD3及びCD20に対する結合特性に関して、すなわちCDR及びエピトープ結合特徴に関して、DuoBody(登録商標)CD3xCD20と非常に類似した特徴を有する限り、そのような抗体は、エプコリタマブ等の完全長抗体について記載される用量で本明細書に提供される方法における使用に適している。
【0079】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体の用量は、21日サイクルで週に1回投与される(毎週投与)。一実施形態では、24mg又は48mgの毎週の用量が、3及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)で投与される。一実施形態では、24mgの毎週の用量が、3及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2~4の1、8、及び15日目)で投与される。一実施形態では、48mgの毎週の用量が、3及び1/3回の21日サイクル(すなわち、10回;サイクル1の15日目、並びにサイクル2の1、8、及び15日目)で投与される。いくつかの実施形態では、毎週の投与後、投与間隔を3週間ごとに1回に減少させることができる。一実施形態では、3週間ごとに1回の投与が、少なくとも4回の21日サイクル、例えば4回の21日サイクル(すなわち、少なくとも4回、例えば4回)にわたって行われる。一実施形態では、3週間ごとに1回の投与が、4回の21日サイクル(すなわち、4回)で行われる。
【0080】
一実施形態では、二重特異性抗体の毎週の用量は、サイクル5~8で21日サイクルで投与され(これは、以下に記載されるように、プライミング及び中間用量を含み得る)、二重特異性抗体の3週間ごとに1回の用量は、サイクル5~8で21日サイクルで投与される。
【0081】
本明細書で言及される用量は、例えば、3週間ごとに1回の毎週の用量及び/又は用量が同じレベルで投与される上記のシナリオでは、全用量又はフラット用量とも呼ばれ得ることが理解される。したがって、48mgの用量が選択される場合、好ましくは、毎週の投与ごと及び3週間ごとに1回の投与ごとに、48mgの同じ用量が投与される。用量を投与する前に、プライミング又はプライミング及びその後の中間(第2のプライミング)用量を投与することができる。これは、本明細書に記載の二重特異性抗CD3xCD20抗体による治療中に起こり得る副作用であるサイトカイン放出症候群(CRS)のリスク及び重症度を軽減するのに役立ち得るので有利であり得る。そのようなプライミング、又はプライミング及び中間用量は、フラット又はフル用量と比較してより低い用量である。
【0082】
したがって、いくつかの実施形態では、24mg又は48mgの毎週の用量を投与する前に、その二重特異性抗体のプライミング用量を投与することができる。一実施形態では、プライミング用量は、サイクル1で24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される。一実施形態では、プライミング用量は完全長二重特異性抗体0.16mg(又は約0.16mg)である。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、サイクル1で24mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、サイクル1で48mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される。
【0083】
いくつかの実施形態では、プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの週の用量を投与する前に、当該二重特異性抗体の中間用量が投与される。一実施形態では、プライミング用量は、中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、24mg又は48mgの毎週の用量の最初の用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。プライミング用量が1日目に投与され、中間用量が8日目に投与され、その後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの最初の週の用量が投与される。一実施形態では、中間用量は、800μg(0.8mg)又は約800μg(0.8mg)の完全長二重特異性抗体である。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、0.8mgの中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、24mgの最初の週の用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。一実施形態では、0.16mgのプライミング用量は、0.8mgの中間用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の1日目に)投与され、中間用量は、48mgの最初の週の用量の1週間前に(すなわち、サイクル1の8日目に)投与される。
【0084】
本明細書に記載の方法は、CD3及びCD20に結合する二重特異性抗体を、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンと組み合わせて用いて、DLBCLを有するヒト対象を治療することを伴う。
【0085】
いくつかの実施形態では、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは、例えば臨床試験によって支持されるように、現地のガイドラインに従って、及び/又は関連する現地のラベルに従って、R-CHPの標準治療用量で投与される。
【0086】
例えば、いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは、関連する現地の製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2019/761121s000lbl.pdfで入手可能なPOLIVY(登録商標)(polatuzumab vedotin-piiq)処方情報を参照)に従って投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法において、ポラツズマブベドチンのバイオシミラーが、ポラツズマブベドチンの代わりに使用される。
【0087】
いくつかの実施形態では、リツキシマブは、関連する現地の製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/103705s5414lbl.pdfで入手可能なRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ)処方情報を参照されたい)に従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブのバイオシミラーが、本明細書に記載される方法においてリツキシマブの代わりに使用される。
【0088】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、関連する現地の製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2013/012141s090,012142s112lbl.pdfで入手可能なCYCLOPHOSPHAMIDE注射処方情報を参照のこと)に従って投与される。
【0089】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、関連する現地の製品ラベル又は製品特性の要約(例えば、www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/062921s022lbl.pdfで入手可能な注射用ADRIAMYCIN(ドキソルビシンHCl)(凍結乾燥)及びADRIAMYCIN(ドキソルビシンHCL)注射(0.9%塩化ナトリウム及び水)処方情報;及びwww.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2010/050467s070lbl.pdfで入手可能な注射用ドキソルビシン塩酸塩及びドキソルビシン塩酸塩注射処方情報を参照されたい)に従って投与される。
【0090】
いくつかの実施形態では、プレドニゾロンは、R-CHPレジメンにおいてプレドニゾンの代わりに投与される。
【0091】
一実施形態では、ポラツズマブベドチンは、現地のガイドライン及び現地のラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは、1.8mg/kgの用量(又は約1.8mg/kgの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは静脈内投与される。
【0092】
一実施形態では、ポラツズマブベドチンは、3週間ごとに1回投与される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチンは、21日サイクルで3週間ごとに1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間ごとに1回のポラツズマブベドチンの投与が、6回の21日サイクル(すなわち、6回)実施される。好ましい実施形態では、ポラツズマブベドチンは、1.8mg/kgの用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間ごとに1回静脈内投与される。
【0093】
一実施形態では、リツキシマブは、現地のガイドライン及び現地のラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、375mg/mの用量(又は約375mg/mの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与される。
【0094】
一実施形態では、リツキシマブは、3週間ごとに1回投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで3週間ごとに1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間ごとに1回のリツキシマブの投与が、6回の21日サイクル(すなわち、6回)にわたって行われる。好ましい実施形態では、リツキシマブは、375mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間ごとに1回静脈内投与される。
【0095】
いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは現地のガイドライン及び現地のラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは750mg/mの用量(又は約750mg/mの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが3週間ごとに1回投与される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、21日サイクルで3週間ごとに1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間ごとに1回のシクロホスファミドの投与が、6回の21日サイクル(すなわち、6回)にわたって行われる。好ましい実施形態では、シクロホスファミドは、750mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)にわたって3週間ごとに1回静脈内投与される。
【0096】
いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、現地のガイドライン及び現地のラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/mの用量(又は約50mg/mの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは静脈内投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは3週間ごとに1回投与される。いくつかの実施形態では、ドキソルビシンは、21日サイクルで3週間ごとに1回(Q3W)投与される。いくつかの実施形態では、3週間ごとに1回のドキソルビシンの投与が、6回の21日サイクル(すなわち、6回)にわたって行われる。好ましい実施形態では、ドキソルビシンは、50mg/m2の用量で6回の21日サイクル(すなわち、6回)で3週間ごとに1回静脈内投与される。
【0097】
好ましい実施形態では、ポラツズマブベドチンは好ましくは1.8mg/kgの用量で静脈内投与され、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンは好ましくは3週間ごとに1回、6回の21日サイクルで静脈内投与される。
【0098】
いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは、現地のガイドライン及び現地のラベルに従って投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは、100mgの用量(又は約100mgの用量)で投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、静脈内及び/又は経口投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、静脈内投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、経口投与される。
【0099】
一実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、21日サイクルで5日間連続して1日1回(すなわち、1~5日目)投与される。一実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で投与される。一実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、21日サイクルで1~5日目に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは、6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で5日間連続して1日1回(すなわち、1~5日目)投与される。好ましい実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって1日1回静脈内投与される。別の好ましい実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって1日1回経口投与される。別の好ましい実施形態では、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、100mg/日の用量で6回の21日サイクル(例えば、21日サイクルのサイクル1~6の1~5日目)で、5連続日(すなわち、1~5日目)にわたって1日1回静脈内及び/又は経口投与される。
【0100】
一実施形態では、ポラツズマブベドチン(例えば静脈内)、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン(例えば、静脈内又は経口)、並びに二重特異性抗体(例えば、皮下)が、21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして、
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0101】
一実施形態では、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン(例えば、静脈内又は経口)、並びに二重特異性抗体(例えば、皮下)が、21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0102】
上記の2つの実施形態では、ポラツズマブベドチンは好ましくは1.8mg/kgの用量で投与され、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0103】
一実施形態では、ポラツズマブベドチン(例えば、静脈内)、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン(例えば、静脈内又は経口)、並びに二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が、21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして、
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0104】
一実施形態では、ポラツズマブベドチン(例えば、静脈内)、リツキシマブ(例えば、静脈内)、シクロホスファミド(例えば、静脈内)、ドキソルビシン(例えば、静脈内)、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロン(例えば、静脈内又は経口)、並びに二重特異性抗体エプコリタマブ(例えば、皮下)が、21日サイクルで投与され、
(a)二重特異性抗体エプコリタマブが、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして、
(c)プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンが、サイクル1~6の1~5日目に投与される。
【0105】
上記の2つの実施形態では、ポラツズマブベドチンは好ましくは1.8mg/kgの用量で投与され、リツキシマブは好ましくは375mg/m2の用量で投与され、シクロホスファミドは好ましくは750mg/m2の用量で投与され、ドキソルビシンは好ましくは50mg/m2の用量で投与され、プレドニゾン又はその等価物、例えばプレドニゾロンは好ましくは100mg/日の用量で投与される。
【0106】
一実施形態では、二重特異性抗体、ポラツズマブ及びR-CHPの21日サイクルでの投薬は以下の通りである。
【0107】
二重特異性抗体(皮下):
サイクル1、1日目:プライミング用量(0.16mg)
サイクル1、8日目:中間用量(0.8mg)
サイクル1、15日目:全用量(24又は48mg)
サイクル2~4、1、8及び15日目:全用量(24又は48mg)
5~8サイクル、1日目:3週間ごとの全用量(24又は48mg)
ポラツズマブ(静脈内):
サイクル1~6、1日目:1.8mg/kg
R-CHP:
リツキシマブ:サイクル1~6、1日目:375mg/m(静脈内)
シクロホスファミド:サイクル1~6、1日目:750mg/m(静脈内)
ドキソルビシン:サイクル1~6、1日目:50mg/m(静脈内)
プレドニゾン又はその等価物:サイクル1~6、1~6日目:100mg(経口)
【0108】
一実施形態では、本明細書に記載の方法による治療を受ける対象は、少なくとも18歳の成人男性又は女性である。
【0109】
一実施形態では、本明細書に記載の方法による治療を受けている対象は、組織学的に確認されたCD20+疾患を有するDLBCL(デノボ又は濾胞性リンパ腫若しくは結節性辺縁帯リンパ腫から組織学的に形質転換されたもの)を実証しており、これには、WHO2016分類による以下のものが含まれる。したがって、一実施形態では、対象は、DLBCL、NOS(他に特定されない)を有する。いくつかの実施形態では、対象は、WHO2016において、MYC並びにBCL2及び/又はBCL6転座を伴うHGBCLとして分類される「ダブルヒット」又は「トリプルヒット」DLBCLを有する。いくつかの実施形態では、対象は、濾胞性リンパ腫グレード3Bを有する。
【0110】
一実施形態では、DLBCLを有する対象は、2、3、4又は5の国際予後指標(IPI)スコア等のIPIスコア2~5を有する。IPIリスク因子には、(1)Ann ArborステージIII又はIV、(2)年齢>60歳、(3)乳酸デヒドロゲナーゼのレベル上昇、(4)ECOGパフォーマンススコア≧2、及び(5)1つを超える節外部位が含まれる。
【0111】
一実施形態では、DLBCLを有する対象は、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの以前の治療を受けていない。
【0112】
更なる実施形態では、対象は、CD3及びCD20を標的とする二重特異性抗体による以前の治療を受けていない。
【0113】
一実施形態では、対象は、0、1又は2等の0~2のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス(ECOG PS)を有する。ECOG PSスコアに関する情報は、例えば、Oken et al,Am J Clin Oncol 1982 Dec;5(6):649-55)に見出され得る。
【0114】
一実施形態では、対象は、(1又は複数の)PET陽性病変を示す陽電子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャン及びCTスキャン又はMRI上の少なくとも1つの測定可能な結節病変(長軸≧1.5cm及び短軸>1.0cm)又は≧1の測定可能な節外病変(長軸≧1.0cm)として定義される1又は複数の測定可能な疾患部位を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、対象は、最初の用量の二重特異性抗体を受ける前に、以下の基準を満たす実験値を有する。
【0116】
- 絶対好中球数(ANC)≧1.0×109/L(成長因子の使用は、骨髄の関与の証拠が認められる場合に許可されるが、対象は、スクリーニング検査の前の14日以内に成長因子を投与されていてはならない)
- ヘモグロビン≧8.0g/dL(RBC輸血は可能であるが、対象はスクリーニング検査の前の7日以内に輸血を受けていてはならない)
- 血小板数≧75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫がある場合は≧50×109/L(血小板輸血は可能であるが、対象はスクリーニング検査の前の7日以内に輸血を受けていてはならない)
- 血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT)レベル≦3×ULN
-総ビリルビン値≦1.5×ULN又は≦5xULN(疾患又は非肝臓起源の肝臓関与を有する対象の場合)。ジルベール症候群を有する対象は、1.5xULN超の総ビリルビン値を有し得るが、直接ビリルビンは2xULN未満でなければならない。
- 推定クレアチニンクリアランス(CrCl)≧50mL/分(Cockcroft-Gault式によって計算され、体重等の要因のために必要に応じて修正される)
- プロトロンビン時間(PT)/国際標準化比(INR)/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦1.5×ULN(ただし、抗凝固療法を受けている場合を除く)
【0117】
更なる実施形態では、対象は、以下の通りである。
- 組織学的に確認されたCD20+疾患を伴うDLBCL(濾胞性リンパ腫又は結節性辺縁帯リンパ腫から新たに又は組織学的に形質転換された)の診断を有していなければならず、WHO2016分類による以下のものを含み、病理報告に記録されている。
- DLBCLを有していなければならず、別段の指定はない(NOS)
- WHO2016についてMYC及びBCL-2及び/又はBCL-6転座を有する高悪性度B細胞リンパ腫を有していなければならない(「ダブルヒット」又は「トリプルヒット」)
注:高悪性度B細胞リンパ腫NOS又は他のダブル/トリプルヒットリンパ腫(DLBCLと一致しない組織型を有する)は適格ではない
- 濾胞性リンパ腫グレード3Bを有していなければならない
- CD3及びCD20を標的とする二重特異性抗体による以前の治療を受けていてはならない
- 1又は複数の測定可能な疾患部位を有さなければならない:
- (1又は複数の)PET陽性病変を実証する陽電子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャン及びCTスキャン又はMRI上の少なくとも1つの測定可能な結節病変(長軸≧1.5cm及び短軸>1.0cm)又は≧1の測定可能な節外病変(長軸≧1.0cm)を有していなければならない
- 治験責任医師の評価に従って症状及び/又は疾患負荷に基づいて治療開始を受ける資格があり、治療開始の必要性を有さなければならない。
- Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0-2でなければならない。
- 脱毛症を除いて、有害事象の共通用語基準(CTCAE,v5.0)、グレード1に解決されていないと定義される、以前の抗癌療法からの未解決の毒性がない。
- スクリーニング時に原発性中枢神経系(CNS)腫瘍又は既知のCNS関与(軟髄膜疾患が含まれる)の証拠が現在ない。
- 抗CD20 mAb療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴がないか、又はエプコリタマブのあらゆる成分若しくは賦形剤又は試験薬併用剤(例えば、レナリドミド、リツキシマブ等)の成分に対する既知の有意なアレルギー若しくは不耐性の病歴がない
-スクリーニング前3ヶ月以内に自家幹細胞移植を受けていてはならない。
- エプコリタマブの初回投与前の4週間以内又は5半減期(いずれか短い方)以内に化学療法薬、非治験薬、又は治験薬の抗新生物剤(CD20 mAbを除く)を受けていてはならない。
- 以下を含む臨床的に有意な心血管疾患がない:
登録前6ヶ月以内の心筋梗塞又は脳卒中、
又は
登録前3ヶ月以内の以下の状態:不安定又は制御不能の心機能(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、ニューヨーク心臓病学会クラスIII~IV)に関連するか又は影響を及ぼす疾患/状態、制御されない心不整脈
又は
安定で適切に治療されているとみなされない限り、登録前6ヶ月以内の他の臨床的に有意な心電図(ECG)異常。
【0118】
- 肝炎、現在のアルコール乱用、又は肝硬変を含む臨床的に重要な肝疾患を有さないこと。
- 活動性B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)感染を有さない。
【0119】
B型肝炎コア抗体(HBcAb)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、又はC型肝炎抗体に対して陽性である対象は、登録前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)結果が陰性でなければならない。PCR陽性の者は除外される。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の病歴がないこと。注:HIV検査は、現地のガイドライン又は施設の基準に従って必要とされない限り、スクリーニング時に行う必要はない。
- 登録前2週間以内に静脈内(IV)療法又はIV抗生物質を必要とする、既知の活性細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫、又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)がないこと。
- プロトコルの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る有意な制御されていない合併症の証拠がないこと。
- 以下を除いて、他の以前の悪性腫瘍の病歴がないこと:
治癒目的で治療され、試験薬の初回投与の前の3年以上の間の既知の活動性疾患が存在せず、治療医師によって再発のリスクが低いと見られている悪性腫瘍
疾患の証拠なしに適切に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子
疾患の証拠のないインサイチュで適切に治療された癌腫
限局性前立腺癌、前立腺特異抗原(PSA)レベル<0.1ng/mLの上昇を伴わない根治的前立腺切除術後
- 登録から4週間以内に、病変を標的とする放射線療法又は大手術を受けていないこと。
- グレード1を超える神経障害がないこと。
- 過去12ヶ月以内に活動性結核(TB)又は活動性TBの治療完了の病歴を有していてはならない。
【0120】
注:インターフェロンガンマ放出アッセイ(IGRA)試験は、活動性又は潜在性結核が疑われない限り、スクリーニングで行われる必要はない。IGRA陽性、活動性肺結核の対象については、臨床評価及び放射線画像検査で除外しなければならない。陽性IGRAを有し、活動性疾患の証拠がない対象は、潜在性結核感染の治療(合計6ヶ月間のイソニアジド単剤療法の推奨)が開始された後に登録され得る。
【0121】
- スクリーニング時にCMVウイルス血症の証拠がないこと(検出下限を超える陽性レベルとして定義される)。
- 毎日20mgまでのプレドニゾン(又は同等物)を除いて、免疫抑制療法を必要とする現在の自己免疫疾患を有さないこと。
- 治験責任医師の意見では、対象の安全性を損なう可能性がある、又は研究結果を過度のリスクにさらす可能性がある、生命を脅かす病気、医学的状態、又は器官系機能不全がないこと。
- 治療を必要とする現在の発作性障害がないこと。
- 既知の活動性SARS-CoV-2感染がないこと。対象がSARS-CoV-2感染を示唆する徴候/症状を有するか、又はSARS-CoV感染者に最近さらされたことが知られている場合、SARS-CoV-2感染症を除外するために、少なくとも24時間空けて分子(例えば、PCR)試験又は2つの陰性抗原試験結果を受けるべきである。
【0122】
SARS-CoV-2感染適格基準を満たさない対象はスクリーニングに不合格でなければならず、以下のSARS-CoV-2感染ウイルスクリアランス基準を満たした後にのみ再スクリーニングすることができる:
最初の陽性試験結果から少なくとも10日間が無症候性患者において、又は少なくとも10日間が回復(解熱薬の使用を伴わない発熱の解消及び症状の改善として定義される)から経過した
- 試験薬の最初の投与から4週間以内に大きな手術を受けていてはならない。
【0123】
一実施形態では、対象は、スクリーニング時に、原発性中枢神経系(CNS)腫瘍又は既知のCNS関与(軟髄膜疾患が含まれる)の証拠を現在有していない。
【0124】
対象は、抗CD20モノクローナル抗体療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴を有していないか、又はエプコリタマブのあらゆる成分若しくは賦形剤又は試験薬併用剤の成分(例えば、レナリドミド、リツキシマブ等)に対する既知の有意なアレルギー若しくは不耐性を有していない可能性がある。
【0125】
一実施形態では、対象は、スクリーニング前の3ヶ月以内に自己幹細胞移植を受けていてはならない。
【0126】
一実施形態では、対象は、エプコリタマブの初回投与前の4週間以内又は5半減期(いずれか短い方)以内に、化学療法薬、非治験薬、又は治験薬の抗新生物薬(CD20モノクローナル抗体を除く)を受けていてはならない。
【0127】
一実施形態では、対象は、以下を含む臨床的に有意な心血管疾患がない:
- 登録前6ヶ月以内の心筋梗塞又は脳卒中、
又は
- 登録前3ヶ月以内の以下の状態:不安定又は制御不能の心機能(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、ニューヨーク心臓病学会クラスIII~IV)に関連するか又は影響を及ぼす疾患/状態、制御されない心不整脈
又は
- 安定で適切に治療されているとみなされない限り、登録前6ヶ月以内の他の臨床的に有意な心電図(ECG)異常。
【0128】
左室駆出率(LVEF)は、スクリーニング時にマルチゲート収集(MUGA)又は経胸壁心エコー検査によって施設の正常範囲内にしなければならない。
【0129】
一実施形態では、対象は、以下を除いて、他の以前の悪性腫瘍の病歴を有さない:
- 治癒目的で治療され、試験薬の初回用量の前の3年以上の間に既知の活動性疾患が存在せず、医師の治療によって再発のリスクが低いと感じられた悪性腫瘍
- 疾患の証拠なしに適切に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子
- 疾患の証拠なしに適切に治療された癌腫
- 限局性前立腺癌、前立腺特異抗原(PSA)レベル<0.1ng/mLの上昇を伴わない根治的前立腺切除術後
【0130】
一実施形態では、対象は、登録の4週間以内に病変を標的とする放射線療法又は大手術を受けていない。
【0131】
一実施形態では、対象は、グレード>1の神経障害を有さない。
【0132】
本明細書に記載される治療を受けるヒト対象は、実施例3に記載される1又は複数の組み入れ基準を有するか、又は実施例3に記載される1又は複数の除外基準を有さない患者であり得る。
【0133】
本明細書に記載の方法は、例えば、2、3、4又は5等の2~5の国際予後指標(IPI)スコアを有するDLBCLを治療するのに有利である。治療は、例えば、本明細書に記載の治療レジメンを使用して継続的に維持される。しかしながら、進行性疾患が発症するか又は許容できない毒性が生じると、治療を終了することができる。
【0134】
一実施形態では、本発明の方法は、DLBCLの第1選択治療のためのものである。
【0135】
本明細書に記載の方法を使用する治療に対するDLBCLを有する対象の応答は、実施例3に記載されるように、悪性リンパ腫に対するLugano応答基準(本明細書では「Lugano基準」とも呼ばれる)及び/又は免疫調節療法基準に対するリンパ腫応答(本明細書では「LYRIC」とも呼ばれる)に従って評価され得る。一実施形態では、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、及び安定疾患(SD)が、Lugano基準を使用して評価される。いくつかの実施形態では、Lugano基準に従って、進行性疾患(PD)とも呼ばれる疾患進行を示す患者を、LYRICに従って更に評価する。完全奏効、部分奏効、無奏効/安定疾患、及び進行性疾患の定義を含むLugano基準/分類系に関する詳細は、Cheson et al.J Clin Oncol 2014;32:3059-68に提供される(特にCheson et al.,2014の表3を参照されたい)。LYRICに関する詳細は、本明細書の実施例3に提供される。
【0136】
いくつかの実施形態では、対象は、例えば、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるような疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載される方法で治療される。一実施形態では、対象は、Lugano基準とLYRICの両方によって定義される疾患進行(PD)を示すまで、本明細書に記載の方法で治療される。
【0137】
本明細書に記載される方法に従って治療される対象は、好ましくは、DLBCLの少なくとも1つの徴候の改善を経験する。一実施形態では、改善は、測定可能な腫瘍病変の量及び/又はサイズの減少によって測定される。いくつかの実施形態では、病変は、CT(コンピュータ断層撮影)、PET-CT(陽電子放出断層撮影-コンピュータ断層撮影)、又はMRI(磁気共鳴画像法)フィルムで測定することができる。いくつかの実施形態では、細胞学又は組織学を使用して、治療に対する応答性を評価することができる。いくつかの実施形態では、骨髄穿刺液、骨髄生検、腫瘍生検、理学的検査及び/又は臨床検査(例えば、腹水又は胸水中の腫瘍細胞)を使用して、治療に対する応答を評価することができる。
【0138】
一実施形態では、治療される対象は、Lugano基準及び/又はLYRICによって定義されるような完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、又は安定疾患(SD)を示す(例えば、本明細書の実施例3を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、場合によりR-CHP単独による治療等の別の治療と比較して、長期生存(例えば、無増悪生存又は全生存等)から選択される少なくとも1つの治療効果をもたらす。
【0139】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は皮下投与され、したがって、皮下(s.c.)投与、すなわち、本明細書に記載される用量での薬学的に許容されるs.c.投与を可能にする製剤及び/又は濃度を有する。いくつかの実施形態では、皮下投与は、注射によって行われる。例えば、皮下製剤と適合性であり、本明細書に記載される方法において使用され得るDuoBody(登録商標)CD3xCD20のための製剤は、以前に記載されている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019155008号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸、水酸化ナトリウム、ソルビトール、ポリソルベート80、及び注射用水を用いて製剤化され得、5.5又は約5.5のpHを有し得る。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、5mg/mL又は60mg/mLの濃縮物として提供される。他の実施形態では、二重特異性抗体の所望の用量は、皮下注射のために約1mLの体積に再構成される。
【0140】
一実施形態では、二重特異性抗体に適した医薬組成物は、二重特異性抗体、20~40mMのアセタート、140~160mMのソルビトール、及び界面活性剤、例えばポリソルベート80を含み得、pHは5.3~5.6である。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、5~100mg/mLの範囲、例えば48又は60mg/mLの二重特異性抗体、30mMのアセタート、150mMのソルビトール、0.04%w/vポリソルベート80の範囲の抗体濃度を含み得、5.5のpHを有し得る。そのような製剤は、適切な投与及び皮下投与を可能にするために、例えば製剤緩衝剤で希釈され得る。
【0141】
医薬組成物の体積は、抗体の皮下投与を可能にするように適切に選択される。例えば、投与される体積は、約0.3mL~約3mL、例えば0.3mL~3mLの範囲である。投与される体積は、0.5mL、0.8mL、1mL、1.2mL、1.5ml、1.7mL、2mL、若しくは2.5mL、又は約0.5mL、約0.8mL、約1mL、約1.2mL、約1.5ml、約1.7mL、約2mL、若しくは約2.5mLであり得る。したがって、一実施形態では、投与される体積は、0.5mL又は約0.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、0.8mL又は約0.8mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、1mL又は約1mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、1.2mL又は約1.2mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、1.5mL又は約1.5mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、1.7mL又は約1.7mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、2mL又は約2mLである。いくつかの実施形態では、投与される体積は、2.5mL又は約2.5mLである。
【0142】
一実施形態では、リツキシマブは、例えば、現地のガイドライン又は現地の製品ラベルによって指定されるように、現地の標準治療の慣例に従って投与(例えば、静脈内投与)するための薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物において製剤化される。例えば、いくつかの実施形態では、リツキシマブは、静脈内投与のための滅菌された無色透明の保存剤を含まない液体濃縮物として提供される。一実施形態では、リツキシマブは、100mg/10mL又は500mg/50mLのいずれかの単回使用バイアルにおいて10mg/mLの濃度で供給される。いくつかの実施形態では、リツキシマブは、注射用に、ポリソルベート80(0.7mg/mL)、クエン酸ナトリウム二水和物(7.35mg/mL)、塩化ナトリウム(9mg/mL)及び水に、pH6.5で製剤化される。
【0143】
一実施形態では、ポラツズマブベドチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾンは、例えば、現地のガイドライン若しくは現地の製品ラベルによって指定されるように、又は製造業者によって指示されるように、現地の標準治療実務に従って投与(例えば、静脈内投与)するための薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、ポラツズマブベドチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾンは、例えば製品ラベル(例えば、0.9%生理食塩水)の説明書に従って、ストック溶液から希釈されるか、又は凍結乾燥形態であれば再構成される。いくつかの実施形態では、プレドニゾンは、経口投与のための医薬組成物に製剤化される。
【0144】
一実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域が、配列番号13のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域が、配列番号14のアミノ酸配列内のCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含む。
【0145】
CDR1、CDR2及びCDR3領域は、当技術分野で公知の方法を使用して可変重鎖及び軽鎖領域から同定することができる。当該可変重鎖領域及び可変軽鎖領域からのCDR領域は、IMGT(Lefranc et al.,Nucleic Acids Research 1999;27:209-12,1999]及びBrochet.Nucl Acids Res 2008;36:W503-8を参照されたい)に従って注釈を付けることができる。
【0146】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN、及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3とを含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、それぞれ配列番号8、9、及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3とを含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0147】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0148】
一実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は完全長抗体であり、不活性Fc領域を有する。いくつかの実施形態では、CD3に対する第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015001085号に記載されているH1L1等の完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、及び/又はCD20に対する第2の結合アームは、ヒト抗体、例えば参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004035607号に記載されているクローン7D8等の完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。二重特異性抗体は、例えば、配列番号24及び25、並びに配列番号26及び27に示されるそれぞれの第1及び第2の結合アームを含む2つの半分子抗体から産生され得る。半抗体は、CHO細胞において産生され得、二重特異性抗体は、例えばFabアーム交換によって生成され得る。一実施形態では、二重特異性抗体は、DuoBody(登録商標)CD3xCD20の機能的バリアントである。
【0149】
したがって、いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号6と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号6のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域、及び配列番号7と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号7のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号13と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVH領域、又は配列番号13のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVH領域、及び配列番号14と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含むVL領域、又は配列番号14のアミノ酸配列を含むが1、2、若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有するVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0150】
一実施形態では、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH領域及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、配列番号24と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号24のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖、及び配列番号25と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号25のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖領域を含む、第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、配列番号26と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖、又は配列番号26のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する重鎖、及び配列番号27と少なくとも85%、90%、95%、98%、若しくは99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖、又は配列番号27のアミノ酸配列を含むが1、2若しくは3個の変異(例えば、アミノ酸置換)を有する軽鎖領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームと、を含む。
【0152】
二重特異性抗体には、様々な定常領域又はそのバリアントが使用され得る。一実施形態では、抗体は、IgG定常領域、例えばヒトIgG1定常領域、例えば配列番号15で定義されるヒトIgG1定常領域、又は任意の他の適切なIgG1アロタイプを含む。一実施形態では、二重特異性抗体は、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である。一実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する。一実施形態では、二重特異性抗体の第1の結合アームは、ヒト化抗体、例えば完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来し、したがってλ軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含む。一実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームは、ヒト抗体、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する。一実施形態では、二重特異性抗体の第2の結合アームは、ヒト抗体、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来し、したがってκ軽鎖定常領域を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。好ましい実施形態では、第1の結合アームは、配列番号22に定義されるλ軽鎖定常領域を含み、第2の結合アームは、配列番号23に定義されるκ軽鎖定常領域を含む。
【0153】
二重特異性抗体の定常領域部分は、二重特異性抗体の効率的な形成/産生を可能にする及び/又は不活性Fc領域を提供する修飾を含み得ることが理解される。そのような修飾は当技術分野で周知である。
【0154】
二重特異性抗体の異なるフォーマットが当技術分野で公知である(Kontermann,Drug Discov Today 2015;20:838-47;MAbs,2012;4:182-97で概説される)。したがって、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、いかなる特定の二重特異性フォーマット又はその作製方法にも限定されない。例えば、二重特異性抗体には、ヘテロ二量体化を強制する相補的CH3ドメインを有する二重特異性抗体、ノブ-イントゥ・ホール分子(Genentech、国際公開第9850431号)、CrossMAb(Roche、国際公開第2011117329号)、又は静電的にマッチさせた分子(Amgen、欧州特許第1870459号及び国際公開第2009089004号;Chugai、米国特許出願公開第201000155133号明細書;Oncomed、国際公開第2010129304号)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0155】
好ましくは、二重特異性抗体は、第1のCH3領域を含む第1のFc配列を有する第1の重鎖と、第2のCH3領域を含む第2のFc配列を有する第2の重鎖と、を含むFc領域を含み、第1及び第2のCH3領域の配列は異なり、当該第1及び第2のCH3領域間のヘテロ二量体相互作用が当該第1及び第2のCH3領域のホモ二量体相互作用のそれぞれよりも強いようなものである。これらの相互作用及びそれらがどのようにして達成され得るかに関する更なる詳細は、例えば、国際公開第2011131746号及び国際公開第2013060867号(Genmab)に提供されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖に(i)配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸Lを含み、第2の重鎖に配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸Rを含み、又はその逆も同様である。
【0156】
二重特異性抗体は、Fc領域を不活性又は非活性化にするためのFc領域中の修飾を含み得る。したがって、本明細書に開示される二重特異性抗体において、一方又は両方の重鎖は、抗体がFc媒介エフェクター機能を、修飾を有さない二重特異性抗体と比較してより少ない程度で誘導するように修飾され得る。Fc媒介エフェクター機能は、T細胞(すなわち、CD3抗体媒介Fcγ受容体依存性CD3架橋の結果としてのCD69発現)上のFc媒介性CD69発現を決定することによって、Fcγ受容体に結合することによって、C1qに結合することによって、又はFcγRのFc媒介性架橋の誘導によって測定することができる。特に、重鎖定常領域配列は、Fc媒介CD69発現が、野生型(非修飾)抗体と比較した場合、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下するように修飾されていてもよく、当該Fc媒介CD69発現は、例えば国際公開第2015001085号の実施例3に記載されているようなPBMCベースの機能アッセイで決定される。重鎖定常領域配列及び軽鎖定常領域配列の修飾はまた、当該抗体へのC1qの結合の減少をもたらし得る。未修飾抗体と比較して、減少は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は100%であり得、C1q結合は、例えばELISAによって決定され得る。更に、Fc領域は、抗体が未修飾抗体と比較して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%又は100%低下したFc媒介性T細胞増殖を媒介するように修飾され得、当該T細胞増殖がPBMCベースの機能アッセイで測定される。例えばIgG1アイソタイプ抗体において修飾され得るアミノ酸位置の例としては、位置L234及びL235が挙げられる。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置L234及びL235に対応する位置のアミノ酸残基は、それぞれF及びEである。更に、D265Aアミノ酸置換は、全てのFcγ受容体への結合を減少させ、ADCCを防止することができる(Shields et al.,JBC 2001;276:6591-604)。したがって、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み得、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、EuナンバリングによるヒトIgG1重鎖の位置D265に対応する位置のアミノ酸残基はAである。
【0157】
一実施形態では、二重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖の位置L234、L235、及びD265に相当する位置のアミノ酸は、それぞれF、E及びAである。これらのアミノ酸をこれらの位置に有する抗体は、不活性Fc領域又は非活性Fc領域を有する抗体の一例である。一実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235、及びD265の位置に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E、及びAである。一実施形態では、二重特異性抗体は第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖では、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖では、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はその逆も同様である。好ましい実施形態では、二重特異性抗体は、第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域の位置L234、L235、及びD265に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E、及びAであり、
(ii)第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はそれらの逆も同様である。
【0158】
本明細書に記載される二重特異性抗体に関して、3つのアミノ酸置換L234F、L235E及びD265Aの組合せを有し、加えて、上で記載されるようなK409R又はF405L変異を有するものは、それぞれ接尾辞「FEAR」又は「FEAL」で示され得る。
【0159】
野生型IgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列は、本明細書では配列番号15として同定され得る。上記で開示される実施形態と一致して、二重特異性抗体は、F405L置換を担持するIgG1重鎖定常領域を含み得、配列番号17に示されるアミノ酸配列及び/又はK409R置換を担持するIgG1重鎖定常領域を有し得、配列番号18に示されるアミノ酸配列を有し得、Fc領域を不活性又は非活性にする更なる置換を有し得る。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、IgG1重鎖定常領域と、L234F、L235E、D265A及びF405L置換を有するIgG1重鎖定常領域の一方のアミノ酸配列(例えば、配列番号19に示すように)と、L234F、L235E、D265A及びK409R置換を有する他方のIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列(例えば、配列番号20に示すように)との組合せを含む。したがって、一実施形態では、二重特異性抗体は、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0160】
好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法及び使用において使用される二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25で定義される重鎖及び軽鎖を含む第1の結合アームと、それぞれ配列番号26及び27で定義される重鎖及び軽鎖を含む第2の結合アームとを含む。そのような抗体は、本明細書ではDuoBody(登録商標)CD3xCD20と呼ばれる。また、そのような抗体のバリアントは、本明細書に記載の方法及び使用における使用が企図される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、エプコリタマブ(CAS 2134641-34-0)又はそのバイオシミラーである。
【0161】
医療用途
上に開示される方法において使用するための二重特異性抗体を、本明細書に更に提供する。
【0162】
特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法において使用するためのものであり、ここで、二重特異性抗体は、有効量の(a)ポラツズマブベドチン、(b)リツキシマブ、(c)シクロホスファミド、(d)ドキソルビシン及び(e)プレドニゾン又はその等価物と組み合わせて対象に投与され、ここで、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域は、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、
を含み、
二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はその等価物、及び二重特異性抗体が、21日サイクルで投与される。
【0163】
上に開示される方法において使用するための医薬品を製造するための二重特異性抗体も本明細書に提供される。
【0164】
特定の実施形態では、二重特異性抗体は、ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療するのに使用するための医薬品を製造するためのものであり、ここで、二重特異性抗体は、有効量の(a)ポラツズマブベドチン、(b)リツキシマブ、(c)シクロホスファミド、(d)ドキソルビシン及び(e)プレドニゾン又はその等価物と組み合わせて対象に投与され、ここで、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域は、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
二重特異性抗体が、24mg又は48mgの用量で投与され、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はその等価物、及び二重特異性抗体が、21日サイクルで投与される。
【0165】
キット
DuoBody(登録商標)CD3xCD20又はエプコリタマブ等の本発明によるCD3及びCD20に結合する二重特異性抗体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を、本明細書に記載の方法での使用に適合した治療有効量で含むキットも本明細書で提供される。キットはまた、ポラツズマブベドチン(例えば静脈内投与用)、リツキシマブ(例えば、静脈内投与用)、シクロホスファミド(例えば、静脈内投与用)、ドキソルビシン(例えば、静脈内投与用)及び/又はプレドニゾン又はその等価物(例えば、静脈内又は経口投与用)を含有する医薬組成物を含み得る。キットはまた、必要に応じて、医師(例えば、医師、看護師、又は患者)がDLBCLを有する患者にその中に含有される1又は複数の組成物を投与することを可能にするための、例えば、投与スケジュールを含む説明書を含み得る。キットはまた、1又は複数のシリンジを含むことができる。
【0166】
場合により、キットは、本明細書に記載される方法に従って単回投与のための有効量の二重特異性抗体をそれぞれ含む単回投与医薬組成物の複数のパッケージを含む。それらはまた、標準治療レジメンに従って、用量のポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、及び/又はプレドニゾン又はその等価物を含有する単回用量医薬組成物の複数のパッケージを含み得る。(1又は複数の)医薬組成物を投与するために必要な器具又は装置もキットに含まれ得る。
【0167】
更なる実施形態
1.ヒト対象におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を治療する方法であって、前記方法は、二重特異性抗体と、有効量の(a)ポラツズマブベドチン、(b)リツキシマブ、(c)シクロホスファミド、(d)ドキソルビシン及び(e)プレドニゾン又はその等価物とを対象に投与することを含み、二重特異性抗体は、
(i)ヒトCD3ε(イプシロン)に結合し、可変重鎖(VH)領域及び可変軽鎖(VL)領域を含む第1の抗原結合領域を含む第1の結合アームであって、VH領域は、配列番号6のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号7のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第1の結合アームと、
(ii)ヒトCD20に結合し、VH領域及びVL領域を含む第2の抗原結合領域を含む第2の結合アームであって、VH領域は、配列番号13のVH領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、VL領域は、配列番号14のVL領域配列中にあるCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む、第2の結合アームと、を含み、
二重特異性抗体は、24mg又は48mgの用量で投与され、ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はその等価物、及び二重特異性抗体が、21日サイクルで投与される、前記方法。
【0168】
2.二重特異性抗体が、24mgの用量で投与される、実施形態1に記載の方法。
【0169】
3.二重特異性抗体が、48mgの用量で投与される、実施形態1に記載の方法。
【0170】
4.二重特異性抗体が、週に1回投与される(毎週投与される)、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
5.24mg又は48mgの毎週の投与が、3及び1/3回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態4に記載の方法。
【0172】
6.週1回投与の後、二重特異性抗体が、3週間ごとに1回、例えば21日サイクルで、各21日サイクルの1日目に投与される、実施形態4又は5に記載の方法。
【0173】
7.3週間ごとに1回の投与が、少なくとも4回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態6に記載の方法。
【0174】
8.3週間ごとに1回の投与が、4回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態7に記載の方法。
【0175】
9.24mg又は48mgの毎週の投与の前に、二重特異性抗体のプライミング用量が、21日サイクルのサイクル1で投与される、実施形態4~8のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
10.プライミング用量が、24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する2週間前に投与される、実施形態9に記載の方法。
【0177】
11.プライミング用量が0.16mgである、実施形態9又は10に記載の方法。
【0178】
12.プライミング用量を投与した後で、24mg又は48mgの最初の週の用量を投与する前に、二重特異性抗体の中間用量が投与される、実施形態9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
13.プライミング用量が1日目に投与され、中間用量が8日目に投与され、その後、サイクル1の15日目に24mg又は48mgの最初の週の用量が投与される、実施形態12に記載の方法。
【0180】
14.中間用量が0.8mgである、実施形態12又は13に記載の方法。
【0181】
15.二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
16.ポラツズマブベドチンが3週間ごとに1回投与される、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
17.3週間ごとに1回のポラツズマブベドチンの投与が、6回の21日サイクルで行われる、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
18.ポラツズマブベドチンが1.8mg/kgの用量で投与される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
19.ポラツズマブベドチンが、各21日サイクルの1日目に投与される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
20.リツキシマブが3週間ごとに1回投与される、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
21.3週間ごとに1回のリツキシマブの投与が、6回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態20に記載の方法。
【0188】
22.リツキシマブが375mg/mの用量で投与される、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
23.リツキシマブが、各21日サイクルの1日目に投与される、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
24.シクロホスファミドが3週間ごとに1回投与される、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
25.3週間ごとに1回のシクロホスファミドの投与が6回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態24に記載の方法。
【0192】
26.シクロホスファミドが750mg/mの用量で投与される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
27.シクロホスファミドが、各21日サイクルの1日目に投与される、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
28.ドキソルビシンが3週間ごとに1回投与される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
29.3週間ごとに1回のドキソルビシンの投与が6回の21日サイクルにわたって行われる、実施形態28に記載の方法。
【0196】
30.ドキソルビシンが50mg/mの用量で投与される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
31.ドキソルビシンが、各21日サイクルの1日目に投与される、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
32.プレドニゾンの当量がプレドニゾロンである、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
33.プレドニゾン又はプレドニゾロンが、21日サイクルの1日目から5日目まで1日1回投与される、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
34.プレドニゾン又はプレドニゾロンが、6回の21日サイクルで投与される、実施形態33に記載の方法。
【0201】
35.プレドニゾン又はプレドニゾロンが、100mg/日の用量で投与される、実施形態1~34のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
36.プレドニゾン又はプレドニゾロンが、各21日サイクルの1~5日目に投与される、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
37.ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン又はそれらの等価物、及び二重特異性抗体が、同日(例えば、21日サイクルのサイクル1~6又はサイクル1~8の1日目)に投与される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0204】
38.投与が21日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、24mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、24mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、24mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして
(c)プレドニゾン又はその等価物が、サイクル1~6の1~5日目に投与される、
実施形態1、2、及び4~37のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
39.投与が21日サイクルで行われ、
(a)二重特異性抗体が、以下:
(i)サイクル1では、0.16mgのプライミング用量が1日目に投与され、0.8mgの中間用量が8日目に投与され、48mgの用量が15日目に投与される、
(ii)サイクル2~4では、48mgの用量が、1、8、及び15日目に投与される、
(iii)サイクル5~8では、48mgの用量が、1日目に投与される、のように投与され、
(b)ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド及びドキソルビシンが、サイクル1~6の1日目に投与され、そして
(c)プレドニゾン又はその等価物が、サイクル1~6の1~5日目に投与される、
実施形態1及び3~37のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
40.二重特異性抗体が皮下投与される、実施形態1~39のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
41.リツキシマブが静脈内投与される、実施形態1~40のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
42.シクロホスファミドが静脈内投与される、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
43.ドキソルビシンが静脈内投与される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
44.プレドニゾン又はプレドニゾロンが静脈内又は経口投与される、実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
45.ポラツズマブベドチン、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン及び二重特異性抗体が、連続的に投与される、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
46.DLBCLが、組織学的に確認されたCD20+疾患を有する、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
47.DLBCLが、MYC並びにBcl-2及び/又はBcl-6転座(ダブルヒット又はトリプルヒット)を有する高悪性度B細胞リンパ腫である、実施形態1~46のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
48.DLBCLが濾胞性リンパ腫グレード3Bである、実施形態1~47のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
49.対象が2~5の国際予後指標(IPI)スコアを有する、実施形態1~48のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
50.対象が、DLBCL又は濾胞性リンパ腫グレード3Bの以前の治療を受けていない、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
51.(i)二重特異性抗体の第1の抗原結合領域が、それぞれ配列番号1、2、及び3に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号4、配列GTN、及び配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3とを含み、
(ii)二重特異性抗体の第2の抗原結合領域が、それぞれ配列番号8、9、及び10に示されるアミノ酸配列を含むVHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3と、それぞれ配列番号11、配列DAS、及び配列番号12に示されるアミノ酸配列を含むVLCDR1、VLCDR2及びVLCDR3と、を含む、
実施形態1~50のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
52.(i)二重特異性抗体の第1の抗原結合領域が、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含み、
(ii)二重特異性抗体の第2の抗原結合領域が、配列番号13のアミノ酸配列を含むVH領域と、配列番号14のアミノ酸配列を含むVL領域と、を含む、
実施形態1~51のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
53.二重特異性抗体の第1の結合アームがヒト化抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、λ(ラムダ)抗体に由来する、実施形態1~52のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
54.二重特異性抗体の第1の結合アームが、配列番号22に示されるアミノ酸配列を含むλ軽鎖定常領域を含む、実施形態53に記載の方法。
【0221】
55.二重特異性抗体の第2の結合アームがヒト抗体に由来し、好ましくは完全長IgG1、κ(カッパ)抗体に由来する、実施形態1~54のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
56.第2の結合アームが、配列番号23に示されるアミノ酸配列を含むκ軽鎖定常領域を含む、実施形態55に記載の方法。
【0223】
57.二重特異性抗体が、ヒトIgG1定常領域を有する完全長抗体である、実施形態1~56のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
58.二重特異性抗体が不活性Fc領域を含む、実施形態1~57のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
59.二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235、及びD265位に対応する位置のアミノ酸がそれぞれF、E及びAである、実施形態1~58のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
60.二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸がLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸がRであり、又はそれらの逆も同様である、実施形態1~59のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
61.二重特異性抗体が第1の重鎖及び第2の重鎖を含み、
(i)第1及び第2の重鎖の両方において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のL234、L235、及びD265位に対応する位置のアミノ酸はそれぞれF、E、及びAである、
(ii)第1の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のF405に対応する位置のアミノ酸はLであり、第2の重鎖において、配列番号15のヒトIgG1重鎖定常領域のK409に対応する位置のアミノ酸はRであり、又はそれらの逆も同様である、実施形態1~60のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
62.二重特異性抗体が、配列番号19及び20のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む、実施形態61に記載の方法。
【0229】
63.二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖と、を含む、実施形態1~62のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
64.二重特異性抗体が、それぞれ配列番号24及び25のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、それぞれ配列番号26及び27のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖と、を含む、実施形態1~63のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
65.二重特異性抗体がエプコリタマブ、又はそのバイオシミラーである、実施形態1~64のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
[実施例]
DuoBody(登録商標)-CD3xCD20
DuoBody(登録商標)-CD3xCD20は、T細胞抗原CD3及びB細胞抗原CD20を認識するbsAbである。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20は、CD20発現細胞の強力なT細胞媒介殺傷を引き起こす。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20は、規則的なIgG1構造を有する。
【0233】
2つの親抗体、IgG1-CD3-FEAL、それぞれ配列番号24及び25に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒト化IgG1λ、CD3ε特異的抗体、並びにそれぞれ配列番号26及び27に記載の重鎖及び軽鎖配列を有するヒトIgG1 κCD20特異的抗体7D8に由来するIgG1-CD20-FEARを、別々の生物学的中間体として製造した。各親抗体は、DuoBody(登録商標)分子の生成に必要なCH3ドメイン中の相補的変異の1つを含有する(それぞれF405L及びK409R)。親抗体は、Fc領域に3つの更なる変異を含んでいた(L234F、L235E及びD265A;FEA)。標準的な懸濁細胞培養及び精製技術を使用して、哺乳動物チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株において親抗体を産生した。その後、DuoBody(登録商標)-CD3xCD20を、制御されたFabアーム交換(cFAE)プロセスによって製造した(Labrijn et al.2013,Labrijn et al.2014,Gramer et al.2013)。親抗体を混合し、制御された還元条件に供する。これは、再酸化下で再集合する親抗体の分離をもたらす。このようにして、DuoBody(登録商標)-CD3xCD20(約93~95%)の高純度調製物を得た。更に研磨/精製した後、純度100%に近い最終生成物を得た。DuoBody(登録商標)-CD3xCD20濃度を、理論的吸光係数ε=1.597mL・mg-1cm-1を用いて、280nmでの吸光度によって測定した。最終生成物を4℃で保存した。生成物は、エプコリタマブの国際商標名を有する。
【0234】
エプコリタマブは、皮下(SC)注射用溶液の濃縮物として供給される、無色~わずかに黄色の滅菌透明溶液として調製される(5mg/mL又は60mg/mL)。エプコリタマブは、緩衝剤及び等張化剤を含有する。製剤化された製品中の全ての賦形剤及びその量は、皮下注射製品について薬学的に許容される。適切な用量は、皮下注射のために約1mLの体積に再構成される。
【0235】
[実施例1]
インビボでの抗CD20抗体の存在下及び抗CD20治療後のNHL患者由来試料におけるエプコリタマブの抗腫瘍活性
ヒト化マウス異種移植モデルにおけるエプコリタマブの抗腫瘍活性に対する抗CD20抗体の存在の影響は、以下に要約するように、Engelberts et al.,EBioMedicine 2020;52:10265に記載される。
【0236】
エプコリタマブは、不活性Fcドメインを有する過剰のリツキシマブバリアントの存在下でさえ、異種移植モデル(CD20発現Raji-luc腫瘍細胞及びPBMCを注射したNOD-SCIDマウス)において腫瘍増殖を効果的に低下させることが見出された(L234F、L235E、D265A、及びK409R変異を含むIgG1-RTX-FEAR)。エプコリタマブのCD20アームが由来するリツキシマブ及びIgG1-CD20は、異なるエピトープに結合するにもかかわらず、CD20結合について競合し、これは、エプコリタマブが、標的結合について競合し得る循環抗CD20抗体の存在下で有効な抗腫瘍活性を誘導することができることを示している。
【0237】
更に、エプコリタマブは、抗CD20抗体の投与後に一定の時間をかけて、原発性DLBCL及び濾胞性リンパ腫患者の生検においてT細胞媒介性細胞傷害を誘導した(Van der Horst et al.,Blood(2019)134(Supplement_1):4066)。抗CD20抗体を投与した2週間後に採取した生検でさえ、エプコリタマブは最大40%の腫瘍細胞死滅を誘導することができた。
【0238】
[実施例2]
エプコリタマブによって誘導されるインビトロT細胞媒介性細胞傷害に対するCHPの影響
この実験は、CHP成分の影響を別々に試験して、エプコリタマブ誘導性T細胞媒介性細胞傷害に対する各成分の効果を評価するために行った。
【0239】
簡潔には、T細胞をシクロホスファミド、ドキソルビシン又はプレドニゾンと共に16時間プレインキュベートし、その後、エプコリタマブ及びCD20発現Daudi細胞を標的細胞(E:T比2:1)として細胞傷害性アッセイに使用し、シクロホスファミド、ドキソルビシン又はプレドニゾンをそれぞれプレインキュベーション中と同じ濃度で添加した。データは、培地対照(Abなし、CHP成分なし)に対して正規化されたパーセント生存標的細胞(CD4-CD8-CD22+)として提示される。ドキソルビシン前処理はT細胞の生存率に影響を及ぼしたので、全ての濃度のエプコリタマブを試験することはできなかった。
【0240】
図1A図1Cは、代表的なドナーについてのDuoBody(登録商標)-CD3xCD20の用量反応曲線を左のパネルに示し、右のパネルは、様々な濃度のCHP成分を含む又は含まない、4名の異なるドナーについての333ng/mlのDuoBody(登録商標)-CD3xCD20の用量に対する応答を示す。T細胞のシクロホスファミド又はプレドニゾンによる前処理はそれぞれ、T細胞生存率に影響を及ぼさなかった(データは示さず)。上記のように、ドキソルビシンによる前処理はT細胞生存率の低下をもたらしたが(図示せず)、インビトロで観察された程度は、R-CHOPで治療された患者で観察された程度と比較して誇張されているように見えた(Oncology 2016;91:302-10 and Hematol Oncol 2011;29:5-9)。図1A図1Cに示されるように、シクロホスファミド(A)又はプレドニゾン(C)で前処理されたT細胞は、用量依存性細胞傷害性(左のパネル)及びインキュベーション後に残った生存B細胞の非常に低いパーセンテージ(右のパネル)によって示されるように、CD20発現標的細胞に対するエプコリタマブ誘導性細胞傷害応答を媒介することができた。図1Bに示されるように、ドキソルビシンで前処理された残りのT細胞はまた、標的細胞に対するエプコリタマブ誘導性細胞傷害を媒介することができ、残りのT細胞が機能的であることを示した。
【0241】
まとめると、上記のデータ及び観察は、リツキシマブがCD20発現標的細胞に対して非常に有効な抗腫瘍活性を誘導するために、エプコリタマブ活性を妨害しないので、エプコリタマブをCHP及びR-CHPと組み合わせることができることを示している。
【0242】
[実施例3]
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する対象における抗新生物剤と組み合わせたエプコリタマブの安全性及び耐容性を評価するための第1b/2相非盲検試験
DLBCLと診断された対象における、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン(pola-R-CHP)とのポラツズマブベドチンと組み合わせたエプコリタマブの安全性、耐容性及び予備有効性を評価する第1b/2相非盲検多施設介入試験。この試験には、用量漸増期とそれに続く拡大期が含まれる。
【0243】
エプコリタマブを用いた進行中の臨床試験の概要
単剤療法としてのエプコリタマブは、現在、R/R B-NHLの治療のための臨床試験中である(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03625037)。
【0244】
SCエプコリタマブ単独療法を評価する第1相試験は、DLBCLを含むR/R NHLを有する対象を含んでいた。試験の用量漸増部は、用量範囲(12~60mg)を評価した。0.16mgの週1回のプライミング用量及び0.8mgの週1回の中間用量の後、48mgの全用量をRP2Dとして選択した。
【0245】
第2相試験には、DLBCLを含むR/R NHL、並びに拡大段階に24mg及び48mgの用量で評価された治療未経験DLBCLを有する対象が含まれた。エプコリタマブによる臨床的に有意で説得力のある有効性が、第1/2相試験(NCT03625037)試験において再発性又は難治性(R/R)B-NHLを有する患者の間で認められ、これには、管理可能な安全性プロファイルを有する高難治性大細胞型B細胞リンパ腫を有する集団(n=157)における、深く永続的な応答(全奏効率(ORR)、63%;完全奏効(CR]率、39%;奏効期間中央値(DOR)、12ヶ月)が含まれる(J.Clin.Oncol.December 22,2022:DOI https://doi.org/10.1200/JCO.22.01725)。
【0246】
DLBCLと新たに診断された高リスク患者における進行中の第1/2相試験(NCT04663347)は、エプコリタマブ+R-CHOPが、国際予後指標(IPI)スコア3~5の患者において有望な有効性及び管理可能な安全性プロファイルを有することを示した。有効性評価可能な患者(n=31)のうち、ORRは100%であり、完全代謝応答は77%であった;サイトカイン放出症候群(CRS)事象(n/N=17/33;52%)はほとんどが低悪性度であり、治療中止には至らなかった(Falchi et al,ASCO 2022,abstract 7523)。
【0247】
目的及びエンドポイント
主要目的
・ DLBCLを有する対象において、ポラツズマブベドチンとリツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾン(pola-R-CHP)とを同時投与した場合のエプコリタマブの安全性及び毒性プロファイルを特徴付けること。
・ DLBCLを有する対象においてpola-R-CHPと同時投与した場合のエプコリタマブの更なる調査のための推奨用量を決定すること。
【0248】
副次目的
・ DLBCLを有する対象において、pola-R-CHPと組み合わせて投与した場合のエプコリタマブの抗NHL活性を評価すること。
・ DLBCLを有する対象において、pola-R-CHPと組み合わせて投与した場合のエプコリタマブの薬物動態を特性評価すること。
【0249】
探索的目的
・ 治療に対する応答又は耐性の潜在的な機構を評価すること
・ エプコリタマブの免疫原性の評価
・ 患者報告アウトカム手段(PRO)、癌治療の機能評価-リンパ腫(FACT-Lym)及びEuroQol 5 Dimensions 5 Levels(EQ-5D-5L)を介した患者の生活の質(QOL)への影響を評価すること。
【0250】
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、pola-R-CHPと組み合わせたエプコリタマブの用量制限毒性(DLT)である。
【0251】
副次エンドポイント
・ pola-R-CHPと組み合わせたエプコリタマブについて治験責任医師によって評価されたLugano2014基準による全奏効率(ORR)。
・ pola-R-CHPと組み合わせたエプコリタマブの抗リンパ腫活性:
・ 治験責任医師によって評価されたLugano2014基準に従って決定された奏効期間(DOR)
・ 治験責任医師によって評価されたLugano2014基準に従って決定された無増悪生存期間(PFS)
・ 治験責任医師によって評価されたLugano2014基準に従って決定された完全奏効(CR)率
・ 治験責任医師によって評価されたLugano2014基準に従って決定された奏効時間(TTR)
・ 次の抗リンパ腫治療(TTNT)までの時間
・ 最小残存病変(MRD)陰性の割合及び持続期間
・ 全生存期間(OS)
【0252】
安全性エンドポイント
試験期間中の安全性及び忍容性の評価には、それだけに限らないが、以下が含まれる。
【0253】
・ 特別な関心対象の有害事象(AESI)を含む有害事象(AE)の重症度及び発生率の監視
・ CRS、ICANS、及びCTLS
・ 臨床検査試験(血液学、化学、及び尿検査)
・ 実験値の変化の発生率及び重症度の監視
・ 身体検査
・ バイタルサインの測定
・ 心電図(ECG)変数
【0254】
薬物動態学的エンドポイント
・ 観察された最大血漿中濃度(Cmax)、Cmaxまでの時間(Tmax)、及び血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC)を含む薬物動態(PK)パラメータの値を、pola-R-CHPと組み合わせたエプコリタマブの非コンパートメント法を用いて決定することになる。
【0255】
・ エプコリタマブ抗薬物抗体(ADA)及びpola-R-CHPと組み合わせた中和ADA。
【0256】
研究設計の概要
全体的な試験設計の概略図を図2に示す。
【0257】
以下のレジメンを対応する集団で最初に評価する:DLBCLを有する対象におけるpola-R-CHPと組み合わせたエプコリタマブ
【0258】
試験治療
エプコリタマブをpola-R-CHPと組み合わせて、ステップアップ投与方法を用いて投与する:プライミング用量0.16mg(サイクル1、1日目)、引き続いて中間用量0.8mg(サイクル1、8日目)、及び割り当てられた用量レベルの全用量24又は48mg(サイクル1、15日目以降)。エプコリタマブは、サイクル2~4で1週間に1回(QW)のSC注射として投与され、その後、サイクル5~サイクル8で3週間ごとに1回(Q3W)投与される。対象が(1又は複数の)他の試験薬と組み合わせてエプコリタマブを投与される日に、他の試験薬はエプコリタマブの前に投与されるべきである。更に、リツキシマブに起因する注入反応はポラツズマブの場合よりも一般的であるので、ポラツズマブはプレドニゾン及びリツキシマブの後に投与されるべきである。
【0259】
・ ポラツズマブ1.8mg/kgが、サイクル1~6の1日目に投与される
・ リツキシマブ375mg/mがサイクル1~6の1日目に投与される
・ シクロホスファミド750mg/mがサイクル1~6の1日目に投与される
・ ドキソルビシン50mg/mがサイクル1~6の1日目に投与される
・ プレドニゾン100mgがサイクル1~6の1~5日目に投与される
・ エプコリタマブが上記のように合計8サイクルで投与される
【0260】
各アームは、用量漸増(各用量レベルに対してn~12名までの対象)及び拡大(n=20名までの対象)の2つの段階からなる。各アーム内で、対象は1つの段階にのみ参加することができる。各アームの用量漸増段階及び用量拡大段階は、スクリーニング期間、治療期間、治療後追跡期間、安全性追跡期間、及び生存追跡期間からなる。
【0261】
用量漸増段階
用量漸増段階は、他の抗新生物薬と組み合わせたエプコリタマブの初期安全性及び忍容性を評価するように設計される。
【0262】
用量漸増は、ベイズ最適区間(BOIN)設計によって導かれる。用量漸増コホートへの初期登録は、少なくとも3名のDLT評価可能な対象からなる。エプコリタマブは、対応する抗新生物剤と組み合わせて最初に投与される。許容される安全性及び耐容性がDLT期間中に認められるならば、エプコリタマブの用量が次の用量レベルである48mgに増大されるであろう。段階的縮小又はより高用量のエプコリタマブへの段階的拡大の決定は、BOIN設計に従って、且つ用量制限毒性(DLT)を経験した対象の累積数に基づいて行われるであろう。
【0263】
以下の表2は、0.25の標的毒性率及びの最適区間(0.204,0.304)を有するBOIN設計のための漸増決定規則を提供する。
【0264】
【表2】
【0265】
推奨される第2相用量(RP2D)を定義するために、用量漸増中に用量制限毒性(DLT)を評価する。この試験では、DLT評価期間を最初の4週間、すなわちエプコリタマブの最初の投与後28日間と定義する。
【0266】
ある用量レベルの全ての対象がDLT評価期間を完了した後、全ての利用可能なデータを評価して、次の用量レベルを推奨する。
【0267】
用量漸増段階の完了後、主催者は、累積研究データを検討し、用量拡大段階で使用されるエプコリタマブの用量として宣言すべき用量を推奨する。安全性(すなわち、AE及び安全性検査値、並びにDLT評価期間の終了後に行われた観察)、薬物動態、薬力学、及び予備的有効性を含むデータ全体を評価して、拡大段階の更なる開発を導く。
【0268】
拡大段階
拡大段階の目的は、pola-R-CHPと組み合わせた推奨用量のエプコリタマブの安全性、忍容性及び予備臨床活性を評価することである。
【0269】
試験の拡大段階では、合計約20名の対象が登録される。エプコリタマブは、用量漸増で行われたのと同じ方法で、pola-R-CHPと組み合わせて、決定された推奨された第2相用量(RP2D)で投与される。
【0270】
毒性モニタリング規則は、6名の対象が登録された後に実施される。規則は、DLTの発生を監視し、DLT率が0.25を超える事後確率が80%より大きい場合、登録を一時停止する。DLT率の以前の分布は、0.25の以前の平均DLT率及び6の有効試料サイズを反映して、ベータ(1.5,4.5)分布に従うと仮定される。これは、用量漸増部分で定義された標的毒性率(0.25)及び予備推奨用量及び用量漸増中の更なる調査のために特定されたスケジュールに登録される対象の最小数(6)に対応する。
【0271】
DLTを経験している対象の数が、6名の対象が登録された後のいずれかの時点で毒性境界を超える場合、その後の登録は一時停止され、全ての利用可能なデータの総合安全性レビューが行われる。毒性監視規則に基づいて、DLTを経験している対象の数が以下の境界のいずれかを満たす場合、登録が一時停止される。
【0272】
・ 登録された6名の対象のうち3名以上の対象
・ 登録された7~9名の対象のうち4名以上の対象
・ 登録された10~12名の対象のうち5名以上の対象
・ 登録された13~16名の対象のうち6名以上の対象
・ 登録された17~19名の対象のうち7名以上の対象
・ 登録された20名の対象のうち8名以上の対象
【0273】
組み入れ基準
対象は、試験に含めるために以下の基準の全てを満たさなければならない:
・ 成人男性又は成人女性、少なくとも18歳。
・ 試験薬の初回投与前のスクリーニング期間内に以下の基準を満たす臨床検査値:
・ 絶対好中球数(ANC)≧1.0×109/L(成長因子の使用は、骨髄の関与の証拠が認められる場合に許可されるが、対象は、スクリーニング検査の前の14日以内に成長因子を投与されていてはならない)
・ ヘモグロビン≧8.0g/dL(RBC輸血は可能であるが、対象はスクリーニング検査の前の7日以内に輸血を受けていてはならない)
・ 血小板数≧75×109/L、又は骨髄浸潤若しくは脾腫がある場合は≧50×109/L(血小板輸血は可能であるが、対象はスクリーニング検査の前の7日以内に輸血を受けていてはならない)
・ 血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)又はアラニントランスアミナーゼ(ALT)レベル≦3×ULN
・ 総ビリルビン値≦1.5×ULN又は≦5xULN(疾患又は非肝臓起源の肝臓関与を有する対象の場合)。ジルベール症候群を有する対象は、1.5xULN超の総ビリルビン値を有し得るが、直接ビリルビンは2xULN未満でなければならない。
・ 推定クレアチニンクリアランス(CrCl)≧50mL/分(Cockcroft-Gault式によって計算され、体重等の要因のために必要に応じて修正される)
・ プロトロンビン時間(PT)/国際標準化比(INR)/活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)≦1.5×ULN(ただし、抗凝固療法を受けている場合を除く)
・ 対象は皮下注射に耐えられなければならない
・ 対象は、スクリーニング時に利用可能な十分な新鮮組織又はパラフィン包埋組織を有していなければならない
【0274】
疾患/状態活動性
・ 組織学的に確認されたCD20+疾患を伴うDLBCL(濾胞性リンパ腫又は結節性辺縁帯リンパ腫から新たに又は組織学的に形質転換されたもの)の診断(WHO2016分類による以下を含み、病理報告に記録される):
・ DLBCL、別途指定なし(NOS)
・ WHO2016によるMYC及びBCL-2及び/又はBCL-6転座を有する高悪性度B細胞リンパ腫(「ダブルヒット」又は「トリプルヒット」)
注:高悪性度B細胞リンパ腫NOS又は他のダブル/トリプルヒットリンパ腫(DLBCLと一致しない組織型を有する)は適格ではない
・ 濾胞性リンパ腫グレード3B
・ 対象は、CD3及びCD20を標的とする二重特異性抗体による以前の治療を受けていてはならない。
・ 対象は、1又は複数の測定可能な疾患部位を有していなければならない:
【0275】
(1又は複数の)PET陽性病変を実証する陽電子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)スキャン
及び
CT又はMRIで少なくとも1つの測定可能な結節病変(長軸≧1.5cm及び短軸>1.0cm)又は1又は複数の測定可能な節外病変(長軸≧1.0cm)
・ 対象は、治験責任医師の評価に従って症状及び/又は疾患負荷に基づいて治療開始を受ける資格があり、治療開始を必要としなければならない。
・ 対象は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス0~2でなければならない。
・ 対象は、脱毛症を除いて、有害事象の共通用語基準(CTCAE,v5.0)、グレード1に解決されていないと定義される、以前の抗癌療法からの未解決の毒性を有さない。他の適格基準(例えば、検査、心臓基準)も満たされなければならない。
・ 対象は、スクリーニング時に原発性中枢神経系(CNS)腫瘍又は既知のCNS関与(軟髄膜疾患が含まれる)の証拠が現在ない。
・ 対象は、抗CD20 mAb療法に対する重度のアレルギー反応若しくはアナフィラキシー反応の病歴がないか、又はエプコリタマブのあらゆる成分若しくは賦形剤又は試験薬併用剤(例えば、レナリドミド、リツキシマブ等)の成分に対する既知の有意なアレルギー若しくは不耐性の病歴がない
・ 対象は、スクリーニング前3ヶ月以内に自己幹細胞移植を受けていてはならない。
・ 対象は、エプコリタマブの初回用量の4週間以内又は5半減期(いずれか短い方)以内に化学療法薬、非治験薬又は治験薬の抗新生物剤(CD20 mAbを除く)を受けていてはならない。
対象は、以下を含む臨床的に有意な心血管疾患がない:
登録前6ヶ月以内の心筋梗塞又は脳卒中、
又は
登録前3ヶ月以内の以下の状態:不安定又は制御不能の心機能(例えば、不安定狭心症、うっ血性心不全、ニューヨーク心臓病学会クラスIII~IV)に関連するか又は影響を及ぼす疾患/状態、制御されない心不整脈
又は
安定で適切に治療されているとみなされない限り、登録前6ヶ月以内の他の臨床的に有意な心電図(ECG)異常
又は
左室駆出率<45%。
【0276】
・ 対象は、肝炎、現在のアルコール乱用、又は肝硬変を含む臨床的に重要な肝疾患を有さない。
・ 対象は、活動性B型肝炎ウイルス(HBV)又はC型肝炎ウイルス(HCV)感染を有さない。
【0277】
B型肝炎コア抗体(HBcAb)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、又はC型肝炎抗体に対して陽性である対象は、登録前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)結果が陰性でなければならない。PCR陽性の者は除外される。
【0278】
・ 対象は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の既知の病歴を有さない。注:HIV検査は、現地のガイドライン又は施設の基準に従って必要とされない限り、スクリーニング時に行う必要はない。
・ 対象は、登録前2週間以内に静脈内(IV)療法又はIV抗生物質を必要とする既知の活性細菌、ウイルス、真菌、マイコバクテリア、寄生虫、又は他の感染症(爪床の真菌感染症を除く)を有していない。
・ 対象は、プロトコルの遵守又は結果の解釈に影響を及ぼし得る有意な制御されていない合併症の証拠がない。
・ 対象は、以下を除いて、他の以前の悪性腫瘍の病歴がないこと:
治癒目的で治療され、試験薬の初回投与の前の3年以上の間の既知の活動性疾患が存在せず、治療医師によって再発のリスクが低いと見られている悪性腫瘍
疾患の証拠なしに適切に治療された非黒色腫皮膚癌又は悪性黒子
疾患の証拠のないインサイチュで適切に治療された癌腫
限局性前立腺癌、前立腺特異抗原(PSA)レベル<0.1ng/mLの上昇を伴わない根治的前立腺切除術後
・ 1つの標的病変のみが関与し、放射線療法を受けていない他の標的病変を追跡することができない場合、又は登録から4週間以内に大手術を受けた場合、対象は病変を標的とする放射線療法を受けていない。
・ 対象はグレード>1の神経障害を有さない。
・ 対象は、過去12ヶ月以内に活動性結核(TB)又は活動性TBの治療完了の病歴を有していてはならない。
【0279】
注:インターフェロンガンマ放出アッセイ(IGRA)試験は、活動性又は潜在性結核が疑われない限り、スクリーニングで行われる必要はない。IGRA陽性、活動性肺結核の対象については、臨床評価及び放射線画像検査で除外しなければならない。陽性IGRAを有し、活動性疾患の証拠がない対象は、潜在性結核感染の治療(合計6ヶ月間のイソニアジド単剤療法の推奨)が開始された後に登録され得る。
・ 対象は、スクリーニング時にサイトメガロウイルス(CMV)ウイルス血症(検出下限を超える陽性レベルとして定義される)の証拠を有さない。
・ 対象は、毎日20mgまでのプレドニゾン(又は同等物)を除いて、免疫抑制療法を必要とする現在の自己免疫疾患を有さない。
・ 対象は、治験責任医師の意見では、対象の安全性を損なう可能性がある、又は研究結果を過度のリスクにさらす可能性がある、生命を脅かす病気、医学的状態、又は器官系機能不全がない。
・ 対象は、治療を必要とする現在の発作性障害がない。
・ 対象は、既知の活動性SARS-CoV-2感染はない。対象がSARS-CoV-2感染を示唆する徴候/症状を有するか、又はSARS-CoV感染者に最近さらされたことが知られている場合、SARS-CoV-2感染症を除外するために、少なくとも24時間空けて分子(例えば、PCR)試験又は2つの陰性抗原試験結果を受けるべきである。
【0280】
SARS-CoV-2感染適格基準を満たさない対象はスクリーニングに不合格でなければならず、以下のSARS-CoV-2感染ウイルスクリアランス基準を満たした後にのみ再スクリーニングすることができる。
【0281】
最初の陽性試験結果から少なくとも10日間が無症候性患者において、又は少なくとも10日間が回復(解熱薬の使用を伴わない発熱の解消及び症状の改善として定義される)から経過した。
・ 対象は、試験薬の最初の投与から4週間以内に大きな手術を受けていてはならない。
【0282】
追加の適格基準:
・ 対象は、新たに診断された未治療の(形質転換した低悪性度リンパ腫に対する以前の治療を含まない)DLBCLを有していなければならない。
・ 対象は、治験責任医師の意見で、ポラツズマブ、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン及びプレドニゾンによる治療に適していなければならない。
【0283】
用量制限毒性
用量制限毒性
用量漸増段階のDLT評価可能な対象は、最初のサイクルで割り当てられた用量レベルで少なくとも3回のエプコリタマブの投与を受けたか、又はエプコリタマブの最初の投与後28日間の期間中にDLTを経験した対象として定義される。
【0284】
DLT評価期間は、対象がこの期間中に少なくとも3回のエプコリタマブ投与を受けているならば、最初の4週間、すなわち、エプコリタマブの初回投与後28日として定義される。
【0285】
治験責任医師が、その事象を、明らかに特定可能な原因、例えば、基礎疾患、疾患の進行/再発、他の合併症、又は併用療法に起因するものとすることができない限り、以下はDLTに適格である。
【0286】
・ グレード5毒性
・ 米国移植細胞療法学会(ASTCT)基準及びCRSのDLT基準によるCRS分類
o ASTCT基準によるグレード4のCRS又はICANS
o グレード2以下に改善していない、又は48時間以内に消散していない(グレード0)、ASTCT基準によるグレード3のCRS又はICANS
・ CTCAEによるグレードの7日超持続する好中球減少症グレード4。
・ CTCAEグレードの7日超持続の血小板減少グレード4。
・ 以下を除く、CTCAEによるグレードとしてグレード3以上の非血液学的毒性:
o グレード3の発熱(>40.0℃、≦24時間)
o グレード3低血圧(24時間以内に回復)
o 臨床的結果を有さず、臨床的に一過性であり、本質的に単離され、7日以内に回復する正常範囲外の検査値(これには、医学的介入に応答する電解質異常が含まれる)
o 7日以内にグレード1又はベースラインに戻ったAST及び/又はALTグレード3。
o 3日以内に最適な制吐薬治療に応答するグレード3の悪心。
o 3日以内に最適な制吐薬治療に応答するグレード3の嘔吐。
o 3日以内に最適な下痢止め治療に応答するグレード3の下痢。
o ベースライン時に疲労/無力症が存在した場合、又はエプコリタマブの最後の投与後14日未満継続した場合のグレード3の疲労/無力症。
o ベースライン(グレード1又は2)で存在し、7日以内にベースラインに戻った以前の化学療法に関連する他のグレード3の毒性。
【0287】
脱毛症(悪性度分類なし)
血液学的AEの開始及び回復を実証するために、分画を含む全血球数の頻繁な臨床検査監視を開始すべきである。定義されたDLT評価期間中に発生する全てのAEは、上記の基準に従って評価される。事象がエプコリタマブと無関係であると明確に決定されない限り、DLTに適格でないものを含む全てのAEが監視され、エプコリタマブの毒性プロファイルの評価に含まれる。
【0288】
特別な関心のある有害事象
特に関心のある以下の有害事象を試験中に監視する。
・ サイトカイン放出症候群(CRS)
・ 臨床的腫瘍溶解症候群(CTLS)
・ 免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)
【0289】
CRSの予防及び前投薬
コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、及び解熱薬の前投薬は、運用マニュアルのセクション3.4に記載されているように必須である。エプコリタマブの最初の4つの用量では、抗ヒスタミン剤、解熱剤、及びコルチコステロイドによる前投薬が必須であり、潜在的なCRSからの症状の重症度を予防/軽減するために、これらの最初の4回の投与の各々の後に更に3日間のコルチコステロイドが必要である。エプコリタマブの最初の4回の投与について、対象は、エプコリタマブ投与後の最初の4日間、1日3回(覚醒時間中、およそ6~8時間ごと)、自己投与式経口温度監視を行わなければならない。これらの温度チェックは、CRSの初期徴候である発熱が発生していないことを確実にするためのものである。エプコリタマブを第4の用量(すなわち、第2の全用量)を超えて投与する場合、CRSグレード2以上が生じない限り、コルチコステロイドによるCRS予防は任意であり、この場合、CRS予防は、エプコリタマブの用量がその後のCRSを伴わずに与えられるまで継続すべきである。投薬前のコルチコステロイド投与は、推奨される用量又は同等の用量でIV又はPOのいずれかであり得る。
【0290】
試験評価
疾患応答及び進行性疾患の評価
治療中評価:治療中の時点での応答は、CR、PR、及びSDを示す患者のLugano分類に従って読むべきである。Lugano分類によるPDを示す患者については、対象がIR(LYRICによる)を有するとみなすことができるかどうかを調べるために更なる評価を行うべきである。
【0291】
悪性リンパ腫のLugano応答基準
標的病変及び非標的病変
標的病変は、最大6つの最大の優性結節、結節塊、又は2つの直径で測定可能な他のリンパ腫性病変からなり、好ましくは、該当する場合、縦隔及び後腹膜疾患を含む対象の全体的な疾患負荷を表す異なる身体領域からのものでなければならない。ベースラインにおいて、測定可能な結節は、最長直径(病変の最長横径;LDi)が15mmより大きくなければならない。測定可能な節外疾患は、6つの代表的な標的病変に含まれ得る。ベースラインにおいて、測定可能な節外病変は、LDiで10mmを超えるべきである。
【0292】
他の全ての病変(結節、節外、及び評価可能な疾患を含む)は、非標的病変(例えば、皮膚、GI、骨、脾臓、肝臓、腎臓、胸水又は心膜浸出液、腹水、骨、骨髄)として追跡されるべきである。
【0293】
分裂病変及びコンフルエント病変
病変は経時的に、分裂することがあり、又はコンフルエントになることがある。分裂病変の場合、結節の垂直直径(PPD)の個々の積は、分裂病変のPPDを表すために一緒に合計されるべきであり、このPPDを残りの病変のPPDの合計に加えて、応答を測定する。これらの個別の結節のいずれか又は全てのその後の成長が起こる場合、各個別の結節の最下点を使用して進行を決定する。コンフルエントな病変の場合、コンフルエントな塊のPPDを個々の結節のPPDの合計と比較すべきであり、PDを示すために必要な個々の結節の合計と比較してコンフルエントな塊のPPDが50%を超えて増加する。LDi及び最小直径(LDiに垂直な最短軸;SDi)は、進行を決定するためにもはや必要ではない。
【0294】
【表3】
【0295】
1.多くの対象における3のスコアは、特に中間スキャン時の場合、標準的な治療で良好な予後を示す。しかし、脱漸増が調査されるPETを含む試験では、3のスコアを不適切な応答とみなすことが好ましい場合がある(過少治療を回避するため)。
【0296】
・ 測定された優性(標的)病変:2つの直径で明確に測定可能であるように選択された最大6つの最大の優性結節、結節塊、及び節外病変。
o 結節は、好ましくは身体の異なる領域からのものであるべきであり、該当する場合、縦隔及び後腹膜領域を含むべきである。
o 非結節病変には、実質臓器(例えば、肝臓、脾臓、腎臓、肺)、胃腸病変、皮膚病変、又は触診で認められるものが含まれる。
・ 非測定病変:測定されたものとして選択されていない任意の疾患、優性疾患及び真に評価可能な疾患は、測定されていないとみなされるべきである。
o これらの部位には、任意の結節、結節塊、及び優性若しくは測定可能として選択されていないか、又は測定可能性の要件を満たしていないが依然として異常であると考えられる節外部位、並びに真に評価可能な疾患(これは、胸水、腹水、骨病変、軟膜疾患、腹部腫瘤、及び確認及びその後の画像化が不可能な他の病変を含む、測定を定量的に追跡することが困難であろう疾患の疑いのある任意の部位である)が含まれる。
・ ワルダイエル輪又は節外部位(例えば、GI管、肝臓、骨髄)では、FDG取込みは、完全な代謝応答を伴って縦隔よりも大きくなり得るが、周囲の正常な生理学的取込み(例えば、化学療法又は骨髄系成長因子の結果としての骨髄活性化を伴う)よりも高くなるべきではない。
【0297】
2.PET 5PS:1=バックグラウンドを超える取込みなし;2=取込み≦縦隔;3=取込み>縦隔であるが、≦肝臓;4=中程度の取込み>肝臓;5=肝臓及び/又は新しい病変よりも著しく高い取込み;×=リンパ腫と関連している可能性が低い新しい取込み領域。
【0298】
出典:Cheson BD,Fisher R,Barrington SF,et al.Recommendations for initial evaluation,staging,and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma:the Lugano classification.J Clin Oncol.2014;32:3059-68.
【0299】
免疫調節療法基準に対するリンパ腫応答(LYRIC)
臨床試験は、癌免疫療法が早期の見かけの放射線学的進行(新たな病変の出現を含む)とそれに続く遅延応答をもたらし得ることを示している。腫瘍サイズのこの最初の増加は、T細胞応答の状況における免疫細胞浸潤によって引き起こされ得るので、この進行は真の疾患進行を示さない可能性があり、したがって「偽進行」と呼ばれる。
【0300】
エプコリタマブ(GEN3013;DuoBody(登録商標)-CD3xCD20)と偽進行との関連は現在のところ不明であるが、その作用機序は、偽進行が予想されることを意味する。
【0301】
現在のLugano応答評価基準は偽進行を考慮しておらず、非定型応答の観察後に潜在的に有効な免疫調節薬の早期中止の有意なリスクがある。非典型的応答は、既存の病変の早期進行、その後の応答、又は他の場所での腫瘍縮小の有無にかかわらず、新しい病変の発生のいずれかを特徴とする。
【0302】
LYRICは、Lugano応答評価基準を改変したものであり、免疫ベースの治療に適合しており、「不確定応答」(IR)指定という新たな緩和応答カテゴリを実施する。このIR指定は、生検又はその後の撮像のいずれかによってフレア/偽進行又は真のPDとして確認されるまで、潜在的に「非定型応答」症例を識別するために導入された。LYRIC及びLugano基準をこの試験で評価することになる。
【0303】
不確定応答(IR)カテゴリ
Lugano分類によるPDを示す対象は、以下の3つの状況のうちの1又は複数においてIRを有すると考えられる。
【0304】
IR(1):臨床的悪化を伴わずに、治療の最初の12週間で6つまでの標的病変の50%以上の全腫瘍負荷量(直径の積の和[SPD]によって評価される)の増加。
【0305】
IR(2):治療中の任意の時点での新しい病変の出現又は1又は複数の既存の病変の成長≧50%;治療中の任意の時点で最大6個の病変のSPDによって測定した場合に、全体的な腫瘍負荷量の全体的な進行(SPD<50%の増加)がないという状況で生じる。
【0306】
IR(3):病変サイズ又は数の付随する増加を伴わない、1又は複数の病変のFDG取込みの増加。
【0307】
スクリーニング評価:スクリーニング時に、上記のように、FDG-PET/CT及び診断用CT又はMRIスキャンをLugano分類に従って読むべきである。
【0308】
治療中評価:治療中の時点での応答は、CR、PR、及びSDを示す患者のLugano分類に従って読むべきである。Lugano分類によるPDを示す患者については、対象がIR(LYRICによる)を有するとみなすことができるかどうかを調べるために更なる評価を行うべきである。
【0309】
有効性の統計分析
記述統計及び対象リストを使用して、各エプコリタマブ用量レベル(24mg及び48mg)のデータを要約する。連続変数については、観測値の数、平均、標準偏差、中央値、及び範囲が使用される。カテゴリ変数について、頻度及びパーセンテージを要約する。事象までの時間エンドポイントについては、カプランマイヤー推定値が提供される。
【0310】
主要な副次的有効性エンドポイントの概要及び分析
全奏効率(ORR)は、治験責任医師によって評価されるようなLugano2014基準によって求められるCR又はPRの最良全奏効を達成した対象の割合として定義される。各アームについて、95%の正確な信頼区間(CI)と共にポイント推定値が提供される。
【0311】
奏効期間(DOR)が、CR又はPRの最良総合効果を達成した対象(「応答者」)については、初期CR/PRから、治験責任医師によって評価されるLugano2014基準によって決定される疾患進行又は何らかの原因による死亡のうちの最も早いものの発生までの月数での時間として定義される。放射線学的疾患進行のない生存応答者は、最後の適切な疾患評価時に打ち切りされる。
【0312】
応答者の数、DOR事象の数及び最も早い寄与事象(疾患進行又は死亡)をアームによって要約する。カプランマイヤー法を使用して、各アームのDoRの分布を推定する。
【0313】
無増悪生存期間(PFS)は、全てのアームの対象について、試験薬物の初回投与から、治験責任医師によって評価されたLugano2014基準によって決定された疾患進行又は任意の原因による死亡のうちの最も早いものの発生までの月数での時間として定義される。疾患が進行していない生存対象は、最後の適切な疾患評価時に打ち切りされる。ベースライン後の疾患評価を行わずに生存している対象は、試験薬の初回投与の日付で打ち切りされる。
【0314】
PFS事象の数及び最も早い寄与事象(疾患進行又は死亡)がアームによって提示される。カプランマイヤー法を使用してPFSの分布を推定する。
【0315】
完全奏効率は、治験責任医師によって評価されるLugano2014基準によって決定されるCRの最良総合効果を達成した対象の割合として定義される。各アームについて、95%の正確な信頼区間(CI)と共にポイント推定値が提供される。
【0316】
奏効時間(TTR)を、治験責任医師によって評価されたときのLugano2014基準によって決定されるCR又はPRの最良総合効果を達成した対象(「応答者」)について、試験薬物の初回用量から最初のCR/PRまでの月数での時間として定義する。
【0317】
TTRの記述的要約とともに応答者の数が各アームについて提供されるであろう。
【0318】
全生存期間(OS)は、エプコリタマブの初回投与から任意の原因による死亡までの月数での時間として、全アームの対象について定義される。研究の終了時又は分析時にまだ生存している対象は、最後に既知の生存日に打ち切りされる。
【0319】
死亡数及びOSの分布のカプランマイヤー推定値を提供する。
【0320】
安全性の統計分析
他の薬剤と組み合わせたエプコリタマブの安全性及び忍容性は、試験薬物曝露、用量中断の発生率、減少、遅延及び中断、AESIを含むAE、SAE、死亡並びに有害事象及びバイタルサインパラメータの変化の評価によって評価される。
【0321】
治療下で発生したAEは、Medical Dictionary for Regulatory ActivitiesのSystem Organ Class内のPreferred Termsによって要約される。DLTを経験している対象の数及び割合を要約する。更なる詳細は、SAPに提供される。
【0322】
適用可能な場合、血液化学及び血液学検査室の決定をNCI CTCAEに従って分類し、要約する。更なる詳細は、SAPに提供される。
【0323】
薬物動態の統計分析
各コホート内の薬物について、エプコリタマブの血漿濃度をPKパラメータ値と共に集計する。PK濃度についてのサンプリング時間によって、並びにPKパラメータについてのサイクル及び/又は来院によって、要約統計を計算するであろう。エプコリタマブADA(及び該当する場合はnAb)の結果を要約する。適切であると考えられる場合、追加の探索的分析を行うことができる。
【0324】
予備結果
用量漸増(エプコリタマブ24mg+Pola-R-CHP)
登録された対象の数:8名
少なくとも1つのベースライン後の有効性評価で予測された対象の数:8名
利用可能なベースライン後の有効性評価を有する対象の数:4名
・ORR=100%(4/4)
・CRR=75%(3/4)
用量漸増(エプコリタマブ48mg+Pola-R-CHP)
登録された対象の数:4名
少なくとも1つのベースライン後の有効性評価で予測された対象の数:0名
利用可能なベースライン後の有効性評価を有する対象の数:0名
【0325】
【表4】
【0326】
太字及び下線はF;E;A;L及びRであり、それぞれ位置234及び235;265;405及び409に対応し、当該位置はEUナンバリングに従う。可変領域では、IMGT定義に従って注釈付けされた当該CDR領域に下線が引かれている。
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】