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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電池及び電気装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/367 20210101AFI20250123BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20250123BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20250123BHJP
【FI】
H01M50/367
H01M50/342 101
H01M50/289
H01M50/342 201
H01M50/291
H01M50/204 401E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544427
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 CN2022110329
(87)【国際公開番号】W WO2024026778
(87)【国際公開日】2024-02-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李耀
(72)【発明者】
【氏名】陳小波
【テーマコード(参考)】
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC09
5H012CC10
5H012FF01
5H012JJ10
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040NN00
(57)【要約】
本願実施例は、電池と電気装置を提供する。当該電池は、電気キャビティを含む筐体、当該電気キャビティに収容される電池セルであって、当該電池セルの第1の壁には圧力開放手段が設けられている電池セル、及び、当該圧力開放手段が動作する時に当該圧力開放手段を通じて当該電池セルの内部と連通するように配置される排出通路を含み、ここで、当該電池は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(aは当該電池セルの重量エネルギー密度であり、bは、当該排出通路を形成するための標的構造の融点である。)を満たす。本願実施例の電池と電気装置は、電池の安全性能を向上させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気キャビティ(11a)を含む筐体(11)、
前記電気キャビティ(11a)に収容される電池セル(20)であって、前記電池セル(20)の第1の壁(21)には圧力開放手段(211)が設けられている電池セル(20)、及び、
前記圧力開放手段(211)が動作する時に前記圧力開放手段(211)を通じて前記電池セル(20)の内部と連通するように配置される排出通路(13)、
を含み、
ここで、前記電池は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(aは、前記電池セル(20)の重量エネルギー密度であり、bは前記排出通路(13)を形成するための標的構造の融点である)を満たすことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電池は、0.06wh/(kg・℃)≦a/b≦15wh/(kg・℃)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池セル(20)の重量エネルギー密度a値の範囲は、100wh/kg~3505wh/kgであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記標的構造の融点b値の範囲は、100℃~2000℃であることを特徴とする請求項1~3のいずれの1項に記載の電池。
【請求項5】
前記電気キャビティ(11a)は、第2の壁(12)を含み、前記第1の壁(21)は、前記第2の壁(12)に面することを特徴とする請求項1至4のいずれの1項に記載の電池。
【請求項6】
前記標的構造は、前記第2の壁(12)を含むことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記排出通路(13)は、第1の通路(131)を含み、前記第1の通路(131)は、前記圧力開放手段(211)から排出した排出物を前記電気キャビティ(11a)に排出するために用いられることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電池。
【請求項8】
前記電池は、接続構造(14)をさらに含み、前記接続構造(14)は、前記第1の壁(21)と前記第2の壁(12)との間に設けられ、前記接続構造(14)は、前記第1の通路(131)の少なくとも一部を形成するために用いられ、前記標的構造は、前記接続構造(14)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記接続構造(14)には流路(141)が設けられており、前記第1の通路(131)は、前記流路(141)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記接続構造(14)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記第1の壁(21)と前記第2の壁(12)との間に隙間を形成させるために用いられ、前記第1の通路(131)は、前記隙間を含むことを特徴とする、請求項8又は9に記載の電池。
【請求項11】
前記接続構造(14)には前記圧力開放手段(211)に対応する逃がし開口(142)が設けられており、前記逃がし開口(142)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に変形空間を提供するために用いられることを特徴とする、請求項8~10のいずれの1項に記載の電池。
【請求項12】
前記排出通路(13)は、第2の通路(132)を含み、前記第2の通路(132)は、前記圧力開放手段(211)から排出された排出物を前記電気キャビティ(11a)から排出するために用いられることを特徴とする、請求項5~11のいずれの1項に記載の電池。
【請求項13】
前記第2の壁(12)には前記圧力開放手段(211)に対応する圧力開放領域(121)が設けられており、前記圧力開放領域(121)は、前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記圧力開放領域(121)は、前記第2の壁(12)を貫通する貫通孔であり、その貫通方向は、前記第2の壁(12)の厚さ方向であり、前記第2の通路(132)は、前記貫通孔を含むことを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記電池は、封止構造(15)をさらに含み、前記封止構造(15)は、前記貫通孔を封止するために用いられ、前記封止構造(15)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記貫通孔が前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられ、前記標的構造は、前記封止構造(15)を含むことを特徴とする請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記封止構造(15)は、前記第2の壁(12)の前記第1の壁(21)に向いている面に設けられており、及び/又は、
前記封止構造(15)は、前記第2の壁(12)の前記第1の壁(21)から離れた面に設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記圧力開放領域(121)は、前記第2の壁(12)の脆弱領域であり、前記脆弱領域は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項18】
前記標的構造は、前記脆弱領域を含むことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記脆弱領域の厚さは、前記第2の壁(12)の前記脆弱領域の周囲に位置する領域の厚さより小さいことを特徴とする、請求項17又は18に記載の電池。
【請求項20】
前記第2の壁(12)には、前記圧力開放手段(211)に対応し、かつ開口が前記圧力開放手段(211)に向いている凹溝が設けられており、前記脆弱領域は、前記凹溝の底壁であることを特徴とする、請求項17~19のいずれの1項に記載の電池。
【請求項21】
前記筐体(11)は、
前記圧力開放手段(211)が動作する時に前記第2の通路(132)を通じて排出された排出物を収集するための収集キャビティ(11b)をさらに含むことを特徴とする、請求項12~20のいずれの1項に記載の電池。
【請求項22】
前記電池は、前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とを隔離するための隔離部品(114)をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の電池。
【請求項23】
前記隔離部品(114)は、前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項22に記載の電池。
【請求項24】
請求項1~23のいずれの1項に記載の電池を含む電気装置であって、前記電池が前記電気装置に電気エネルギーを提供するために用いられることを特徴とする電気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池技術分野に関し、特に電池と電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池技術の継続的な進歩に伴い、電池をエネルギー貯蔵装置とするさまざまな新エネルギー産業は、急速に発展している。電池技術の発展には、電池の性能を向上させることに加えて、安全上の問題も無視できない問題である。電池の安全上の問題を確保できないと、該電池は使用できない。従って、どのように電池の安全性を向上させるかは、電池技術における早急に解決しなければならない技術課題である。
【発明の概要】
【0003】
本願実施例は、電池の安全性能を向上させることができる電池と電気装置を提供する。
【0004】
第1の局面では、電気キャビティを含む筐体、当該電気キャビティに収容される電池セルであって、当該電池セルの第1の壁には圧力開放手段が設けられている電池セル、及び、当該圧力開放手段が動作する時に当該圧力開放手段を通じて当該電池セルの内部と連通するように配置される排出通路を含む電池であって、当該電池が0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(aが当該電池セルの重量エネルギー密度であり、bが当該排出通路を形成するための標的構造の融点である。)を満たす電池を提供する。
【0005】
したがって、本願実施例の電池は、a/b値を合理的に設定することにより、電池セル内部の排出物は、タイムリーに排出でき、電池の安全性を向上させる。
【0006】
a/b値が小さすぎると、標的構造の融点は、比較的高く設定され、かつ電池セルの重量エネルギー密度aは、比較的小さく、これに対応して、当該電池セルで熱暴走が発生した時に排出された排出物は、温度が低くなり、標的構造の耐温性が排出物の温度を超え、排出物が圧力開放手段の周囲に制限され、排出通路を通過して排出されない恐れがあり、排出物は圧力開放手段が位置する領域から離れるようにタイムリーに排出することができないと、電池セル同士の熱拡散を引き起こし、電池が爆発するリスクが存在するため、a/b値を小さくすることが好ましくない。
【0007】
逆に、a/b値を大きくすることも好ましくない。電池セルの自体の構造上の制限により、当該電池セルの重量エネルギー密度aには上限値があり、類似に、排出通路を形成するための標的構造の融点bにも下限値がある。したがって、a/b値が大きすぎると、a値が一定である場合、b値は小さくなりすぎ、つまり、排出通路を形成する標的構造の融点bは、低くなりすぎ、さらに標的構造の強度不足につながる。例えば、標的構造の融点bが低過ぎるため、電池温度が僅かに変化しただけでも標的構造の溶融を引き起こし、さらに排出通路の封止性を低下させ、排出通路が破壊されて電池セルが熱暴走した場合排出物の排出経路に影響を与え、電池の安全性を低下させる恐れがある。
【0008】
いくつかの実施例において、当該電池が0.06wh/(kg・℃)≦a/b≦15wh/(kg・℃)を満たすことにより、電池セルの重量エネルギー密度aは、より適切であり、かつ標的構造の融点bも大きすぎたり小さすぎたりすることはなく、電池セルの性能を向上させると共に、電池セルが熱暴走した時に内部排出物をタイムリーにかつ迅速に排出させることができ、電池の安全性を向上させる。
【0009】
いくつかの実施例において、当該電池セルの重量エネルギー密度a値の範囲は、100wh/kg~3505wh/kgである。当該電池セルの重量エネルギー密度aの値が小さすぎると、電池のエネルギーニーズを満たせず、当該電池セルの重量エネルギー密度aの値が大きすぎると、電池セルの加工の困難性が増し、実現が困難となる。
【0010】
いくつかの実施例において、当該標的構造の融点b値の範囲は、100℃~2000℃である。標的構造の融点b値が小さすぎる場合、選択可能な材料が限られている一方、標的構造の強度が不十分となり、さらに排出通路の強度が低くなり、ひいては封止性不良につながる恐れがある。逆に、標的構造の融点bが高すぎると、電池セルの排出物を、排出通路を通過させてタイムリーに排出できず、さらに電池セル同士の熱拡散に引き起こし、電池の安全性に影響を与える恐れがある。
【0011】
いくつかの実施例において、当該電気キャビティは、第2の壁を含み、当該第1の壁は、当該第2の壁に面する。即ち、電池セルの圧力開放手段は、他の電池セルではなく、電気キャビティの壁に向いており、これにより、電気キャビティの壁に圧力開放手段の変形の逃がし空間を提供するための逃がし構造を設けることが容易になり、電池の空間利用率を向上させ、熱暴走を発生した電池セルにより他の電池セルの熱暴走を引き起こすリスクを低減させることもでき、電池の安全性を向上させる。
【0012】
いくつかの実施例において、当該標的構造は、当該第2の壁を含み、つまり、圧力開放手段から排出された排出物は、当該第2の壁を通過して電池セルから排出することができる。このように、当該第2の壁の融点を合理的に設定することにより、圧力開放手段から排出された排出物は、迅速に第2の壁を破壊して電池セルから排出することができ、電池の安全性をさらに向上させる。
【0013】
いくつかの実施例において、当該排出通路は、第1の通路を含み、当該第1の通路は、当該圧力開放手段から排出された排出物を当該電気キャビティに排出するために用いられる。電池が第1の通路を含むと、電池セルの圧力開放手段を通じて排出された排出物の少なくとも一部は、当該第1の通路を通過して電池セルが位置する電気キャビティに排出し、構造が簡単で、実現しやすい。
【0014】
いくつかの実施例において、当該電池は、接続構造をさらに含み、当該接続構造は、当該第1の壁と当該第2の壁との間に設けられ、当該接続構造は、当該第1の通路の少なくとも一部を形成するために用いられ、当該標的構造は、当該接続構造を含む。接続構造により第1の通路の少なくとも一部を実現し、電池セルで熱暴走が発生していないとき、当該接続構造により第1の壁と第2の壁との間の相対的な固定及び第1の壁と第2の壁との間の封止性を実現する一方、接続構造の具体的な形態及び位置を合理的に設定することにより、第1の通路の位置を調整でき、さらに第1の通路を通過した排出物の指向的な排出を実現でき、電池の安全性を向上させる。また、標的構造が接続構造を含む場合、当該接続構造の融点を合理的に設定することにより、圧力開放手段を通過した排出物は、接続構造によって形成された第1の通路の少なくとも一部を通過して順調に排出でき、電池の安全性を向上させる。
【0015】
いくつかの実施例において、当該接続構造には流路が設けられており、当該第1の通路は、当該流路を含む。圧力開放手段を通じて排出された排出物は、流路を通過して電気キャビティ内に排出することができ、このように、当該流路の位置を合理的に設定することにより、排出物の指向的な排出を実現でき、電気キャビティ内の個々の部品に対する排出物の影響を低減させ、電池の安全性をさらに向上させる。
【0016】
いくつかの実施例において、当該接続構造は、当該圧力開放手段が動作する時に破壊されて当該第1の壁と当該第2の壁との間に隙間を形成するために用いられ、当該第1の通路は、当該隙間を含む。このように、第1の通路を形成するための標的構造は、当該接続構造を含み得て、接続構造の材料を合理的に選択することにより、適切な接続構造の融点を得て、接続構造は、圧力開放手段が動作する時に破壊され、さらに隙間を形成して第1の通路を形成し、当該接続構造には追加の構造を設ける必要がなく、より簡潔で、電池セルの通常の使用時の封止性も確保できる。
【0017】
いくつかの実施例において、当該接続構造には当該圧力開放手段に対応する逃がし開口が設けられており、当該逃がし開口は、当該圧力開放手段が動作する時に変形空間(圧力開放手段の変形のための空間)を提供して、接続構造が当該圧力開放手段を遮って圧力開放手段が適時に作動しないことを防止し、かつ当該逃がし開口により圧力開放手段を通過した排出物を迅速に排出することができる。
【0018】
いくつかの実施例において、当該排出通路は、第2の通路を含み、当該第2の通路は、当該圧力開放手段から排出された排出物を当該電気キャビティから排出するために用いられる。
【0019】
いくつかの実施例において、当該第2の壁には当該圧力開放手段に対応する圧力開放領域が設けられており、当該圧力開放領域は、当該第2の通路の少なくとも一部を形成するために用いられる。第2の壁は電気キャビティの壁であり、圧力開放手段を通じて排出された排出物は、当該第2の壁の圧力開放領域を通過して電気キャビティから排出でき、つまり、当該圧力開放領域は、排出物を排出するための第2の通路の少なくとも一部であり、例えば、排出物が大量に電気キャビティに入って電池セル同士の短絡や熱拡散につながり、さらに電池の安全性に影響を与えることを避けるために、収集キャビティに排出してもよい。
【0020】
いくつかの実施例において、当該圧力開放領域が当該第2の壁を貫通する貫通孔であり、貫通方向は当該第2の壁の厚さ方向であり、当該第2の通路は当該貫通孔を含む。圧力開放領域が貫通孔である場合、加工が容易になる一方で、圧力開放手段を通じて排出された排出物を迅速に排出することができる。しかし、当該圧力開放領域が貫通孔である場合、圧力開放手段が露出することになり、電池の使用過程中、圧力開放手段が外部環境による影響を受けやすく、さらに圧力開放手段の故障に至る恐れがある。
【0021】
いくつかの実施例において、当該電池は、封止構造をさらに含み、当該封止構造は、当該貫通孔を封止するために用いられ、当該封止構造は、当該圧力開放手段が動作する時に破壊されて当該貫通孔により当該第2の通路の少なくとも一部を形成することに用いられ、当該標的構造は、当該封止構造を含む。圧力開放領域が貫通孔であるとき、当該封止構造の融点を合理的に設定することにより、電池セルの通常の使用過程中、電気キャビティの封止性を維持し、外部環境による影響から圧力開放手段を保護できる一方、電池セルで熱暴走が発生した時、当該封止構造は、タイムリーに破壊されて貫通孔を露出させ、かつ第2の通路を形成すると、電池セルの排出物は、当該貫通孔を通過して電気キャビティから排出し、熱暴走を避けることができ、電池の安全性を向上させることができる。
【0022】
いくつかの実施例において、当該封止構造は、当該第2の壁の当該第1の壁に向いている面に設けられており、及び/又は、当該封止構造は、当該第2の壁の当該第1の壁から離れた面に設けられている。封止構造が第2の壁の第1の壁に向いている面に設けられているとき、封止構造は、圧力開放手段に近く、圧力開放手段からの排出物によって迅速に破壊されることができ、圧力開放手段の動作への影響を避け、かつ排出物をタイムリーに収集キャビティに排出することができる。封止構造が第2の壁の第1の壁から離れた面に設けられているとき、圧力開放手段と封止構造との間の距離は、圧力開放手段の動作に変形空間を提供し、圧力開放手段への影響を避けることができる。
【0023】
いくつかの実施例において、当該圧力開放領域は、当該第2の壁の脆弱領域であり、当該脆弱領域は、当該圧力開放手段が動作する時に破壊されて当該第2の通路の少なくとも一部を形成するために用いられる。圧力開放手段が動作する時、脆弱領域は破壊されて、圧力開放手段を設けている電池セルからの排出物が脆弱領域を通過して電気キャビティから排出することができ、例えば、脆弱領域を通過して収集キャビティに入ることができる。圧力開放領域を脆弱領域として設けることにより、圧力開放手段が動作していないとき、例えば、電池の通常の使用過程中、当該第2の壁を封止状態にして外力により破壊されて故障することから圧力開放手段を効果的に保護し、また、電池セルで熱暴走が発生した時、タイムリーに破壊されて排出物を電気キャビティから排出し、熱暴走を避け、電池の安全性を向上させることができる。
【0024】
いくつかの実施例において、当該標的構造には当該脆弱領域が含まれると、当該脆弱領域の融点を合理的に設定することにより、当該脆弱領域は、電池セルの通常の使用過程中に十分な強度を有し、電気キャビティの封止性を維持し、外部環境による影響から圧力開放手段を保護することができる一方、電池セルで熱暴走が発生した時、当該脆弱領域はタイムリーに破壊され、例えば、タイムリーに溶融されて第2の通路を形成すると、電池セルの排出物は、当該破壊された圧力開放領域を通過して電気キャビティから排出し、熱暴走を避け、電池の安全性を向上させることができる。
【0025】
いくつかの実施例において、当該脆弱領域の厚さは、当該第2の壁の当該脆弱領域の周囲に位置する領域の厚さより小さい。脆弱領域の厚さを薄くすることにより、その強度が低下し、排出物は、溶融及び破壊によって脆弱領域を迅速に破壊し、かつ排出物をタイムリーに排出することができる。
【0026】
いくつかの実施例において、当該第2の壁には当該圧力開放手段に対応し、かつ開口が当該圧力開放手段に向いている凹溝が設けられており、当該脆弱領域は、当該凹溝の底壁である。このように、当該凹溝の開口は、圧力開放手段に対応しており、凹溝内部は、当該圧力開放手段に変形空間を提供し、かつ底壁を脆弱領域として設けることにより、加工が容易になる。
【0027】
いくつかの実施例において、当該筐体は、当該圧力開放手段が動作する時に当該第2の通路を通過して排出された排出物を収集するための収集キャビティをさらに含む。当該収集キャビティは、当該排出物を集中的に収集及び/又は処理し、そして排出物を電池外部に排出することができる。例えば、当該収集キャビティ内には収集キャビティに入れた排出物をさらに降温するための液体、例えば、冷却媒体を含んでもよく、或いは、当該液体を収容するための部品が設けられていてもよい。
【0028】
いくつかの実施例において、当該電池は、当該電気キャビティと当該収集キャビティとを隔離するための隔離部品をさらに含む。隔離部品を採用して電気キャビティと収集キャビティとを隔離し、つまり、電池セルとバス部品を収容する電気キャビティと排出物を収集する収集キャビティとは、両者間で相互に影響するのを回避するために分離している。
【0029】
いくつかの実施例において、当該隔離部品は、当該第2の通路の少なくとも一部を形成するために用いられる。このように、圧力開放手段を通過した排出物は、隔離部品を通過して電気キャビティから排出し、例えば、直接収集キャビティに排出することができる。
【0030】
第2の局面では、第1の局面に係る電池を含む電気装置であって、当該電池が当該電気装置に電気エネルギーを提供するために用いられる電気装置を提供する。
【0031】
いくつかの実施例において、前記電気装置は、車両、船舶または宇宙機である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願一実施例に開示される1種の車両の構造模式図である。
図2】本願一実施例に開示される1種の電池の構造模式図である。
図3】本願一実施例に開示されるもう1種の電池の構造模式図である。
図4】本願一実施例に開示される1種の電池の分解構造模式図である。
図5】本願一実施例に開示される1種の電池の局所構造模式図である。
図6】本願一実施例に開示されるもう1種の電池の構造模式図である。
図7】本願一実施例に開示されるもう1種の電池の構造模式図である。
図8】本願一実施例に開示されるもう1種の電池の構造模式図である。
【0033】
図面において、図は、実際の縮尺で描かれているとは限らない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下は図面および実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳細な説明および図面は、本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するために用いられることはできず、つまり、本願は説明された実施例に限定されることはない。
【0035】
本願の説明において、特に明記しない限り、「複数の」は、2つ以上(2つを含む)を意味し、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語が指す方向または位置関係は、本願の説明を容易にし簡略化することのみを意図しており、示された装置または素子が特定の方向を有し、特定の方向で構成され、動作しなければならないことを表示または暗示するわけではないため、本願を限定するものとして理解してはならない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、目的を説明するものに過ぎず、相対的な重要性を示したり暗示したりするものとして理解してはならない。「垂直」は厳密意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は厳密意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。
【0036】
以下の説明に現れる方向の用語はいずれも、図面に示された方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。なお、本願の説明において、特に明記・限定しない限り、技術用語の「装着」、「つながる」、「接続」などは、広義に理解されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体化でもよく、直接つながっても中間媒体を介した間接つながってもよい。当業者からすれば、具体的な状況に応じて本願におけるこれらの用語の具体的な意味を理解できる。
【0037】
本願の実施例では、同じ図面符号は同じ部品を示し、かつ簡略化するために、異なる実施例では、同じ部品に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示す本願の実施例における各種部品の厚さ、縦横などの寸法、および、一体型装置の全体の厚さ、縦横などの寸法は、例示的なものであり、本願を何ら限定するものではないと理解すべきである。
【0038】
本願では、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池またはマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本願の実施例ではそれに対する限定がない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体または他の形状などであってもよく、本願の実施例ではそれに対する限定もない。電池セルは、パッケージの仕方によって、一般的に柱型電池セル、角型電池セル、ソフトパウチ型電池セルの3種類に大別されるが、本願の実施例ではそれに対する限定もない。
【0039】
本願の実施例で言及される電池は、より高い電圧および/または容量を提供するための1つまたは複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを意味する。例えば、本願で言及される電池は、電池モジュールまたは電池パックなどを含んでもよい。電池は通常、1つまたは複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体やその他の異物による電池セルの充放電への影響を防止できる。
【0040】
電池セルは、正極シート、負極シートおよびセパレータからなる電極アセンブリと電解液とを含む。電池セルは、主に正極シートと負極シートの間での金属イオンの移動によって作動する。正極シートは、正極集電体と正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極活物質層が塗布されている集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない集電体は、正極タブとしている。リチウムイオン電池を例にすると、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活性材料はコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元系リチウム、マンガン酸リチウムなどであってもよい。負極シートは、負極集電体と負極活物質層を含み、負極活物質層は負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極活物質層が塗布されている集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない集電体は負極タブとしている。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活性材料はカーボンやシリコンなどであってもよい。溶断することなく大電流が通れるように、正極タブは複数個で積層してなり、負極タブは複数個で積層してなる。セパレータの材質は、ポリプロピレン(PP)またはポリエチレン(PE)などであってもよい。また、電極アセンブリは巻回型構造でも積層型構造でもよく、本願の実施例はこれに限定されない。
【0041】
電池技術の発展は、さまざまな設計要素、例えばエネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電レートなどの性能パラメータを同時に考慮する必要があり、さらに電池の安全性を考慮する必要がある。電池にとって、安全上の危険は、主に充電及び放電過程に起因し、電池の安全性能を向上させるために、電池セルに対して圧力開放手段を設けることが通常である。圧力開放手段とは、電池セルの内圧や温度が所定の閾値に達した時に動作して内圧や温度を開放する素子又は部品である。当該所定の閾値は、異なる設計ニーズに応じて調整できる。例えば、当該所定の閾値は、電池セルにおける正極シート、負極シート、電解液およびセパレータのうちの1種または複数の材料によって決められる場合がある。圧力開放手段は、感圧性又は感温性の素子又は構造であってもよく、即ち、電池セルの内圧や温度が所定の閾値に達した時、圧力開放手段は、動作して内圧や温度を放出するための通路を形成する。
【0042】
従来の圧力開放手段の設計案において、主に電池セル内部の高圧および高熱を開放し、つまり電池セルの排出物を圧力開放手段によって電池セルの外部へ排出することが注目されている。しがし、どのように高温高圧の排出物が電池セルから排出した後の排出経路を設計して、当該排出物がタイムリーかつ順調に排出して、電池に更なる安全性問題を引き起こすことを回避するかは、早急に解決しなければならない課題の1つである。
【0043】
したがって、本願実施例は、前述した課題を解決できる電池と電気装置を提供する。本願実施例の電池は、筐体、電池セル及び排出通路を含み、電池セルは、筐体の電気キャビティに収容され、当該電池セルの第1の壁には圧力開放手段が設けられており、排出通路は、圧力開放手段が動作する時に当該圧力開放手段を通じて電池セルの内部に接続されて、電池セル内部の排出物が圧力開放手段と排出通路を通じて排出することができる。当該電池は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(ここで、aは当該電池セルの重量エネルギー密度であり、bは、当該排出通路を形成するための標的構造の融点である。)を満たす。a/b値が小さすぎると、標的構造の融点は、比較的高く設定され、かつ電池セルの重量エネルギー密度は、比較的小さく、これに対応して、当該電池セルで熱暴走が発生した時に排出される排出物は、温度が低くなり、標的構造の耐温性が排出物の温度を超え、排出物が圧力開放手段の周囲に制限され、排出通路を通過して排出できない恐れがあり、排出物は圧力開放手段が位置する領域から離れるようにタイムリーに排出できないと、電池セル同士の熱拡散を引き起こし、電池が爆発するリスクが存在するため、a/b値を小さくすることは好ましくない。
【0044】
逆に、a/b値を大きくすることも好ましくない。電池セルの自体の構造上の制限により、当該電池セルの重量エネルギー密度には上限値があり、類似に、排出通路を形成する標的構造の融点にも下限値がある。したがって、a/b値が大きすぎると、a値が一定である場合、b値は小さくなりすぎ、つまり、排出通路を形成する標的構造の融点bは、低くなりすぎ、さらに標的構造の強度不足につながる。例えば、標的構造の融点bが低過ぎるため、電池温度が僅かに変化しただけでも標的構造の溶融を引き起こし、さらに排出通路の封止性を低下させ、排出通路が破壊されて電池セルが熱暴走した場合排出物の排出経路に影響を与え、電池の安全性を低下させるおそれがある。したがって、本願実施例におけるa/b値を大きすぎたり、小さすぎたりすることは好ましくない。
【0045】
本願の実施例に記載の技術案は、電池を用いた様々な電気設備に適用可能である。
【0046】
電気装置は、車両、携帯電話、携帯式装置、ノートパソコン、船舶、宇宙機、電動玩具、電動工具であってもよい。車両は、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよい。新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル、宇宙船などを含む。電動玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具、電動飛行機玩具などの据置型または移動型電動玩具を含む。電動工具は、例えば、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバー、電動ハンマ、インパクトドリル、コンクリートバイブレーター、電気カンナなどの金属切削用電動工具、研削用電動工具、組立用電動工具、鉄道用電動工具を含む。本願の実施例には、前記電気設備に対して特別な制限がない。
【0047】
以下の実施例では、説明上の便宜から、車両を例として電気装置を説明する。
【0048】
例えば、図1に示すように、本願の一実施例に係る車両1の構造模式図であり、車両1は、ガソリン自動車、天然ガス自動車または新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車またはレンジエクステンダー電気自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40、コントローラ30および電池10が設けられてもよい。コントローラ30は、電池10を制御してモータ40に給電させることに用いられる。例えば、電池10は、車両1の底部または頭部または後部に設けられてもよい。電池10は、車両1の給電に適用し、例えば、車両1の動作電源として電池10を使用し、車両1の電気システムに適用することができ、例えば、車両1の始動時、ナビゲーション時、走行時の作業用電力を制御することに用いられる。本願の別の実施例では、電池10は、車両1の動作電源として機能するだけではなく、車両1の駆動用電源としても機能し、ガソリンや天然ガスの代替又は部分的な代替として、車両1に駆動力を提供することが可能である。
【0049】
さまざまな電力使用ニーズを満たすために、電池は、複数の電池セルを含んでもよく、そのうち、複数の電池セル同士は、直列接続または並列接続または直並列接続されてもよく、直並列接続とは、直列接続と並列接続の混合を意味する。電池は、電池パックとも称される。例えば、まず複数の電池セルは、直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成し、そして複数の電池モジュールは、直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成してもよい。つまり、複数の電池セルは、直接電池を構成してもよく、あるいは、まず電池モジュールを構成し、そして電池モジュールから電池を構成してもよい。
【0050】
図2は本願実施例における電池10の構造模式図を示す。図2に示すように、電池10は、電気キャビティ11aを含む筐体11、当該電気キャビティ11aに収容される電池セル20であって当該電池セル20の第1の壁21には圧力開放手段211が設けられている電池セル20、及び、当該圧力開放手段211が動作する時に当該圧力開放手段211を通じて当該電池セル20の内部と連通するように配置される排出通路13を含んでもよく、そのうち、当該電池が0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(aは当該電池セル20の重量エネルギー密度であり、bは当該排出通路13を形成するための標的構造の融点である。)を満たす。
【0051】
理解されるように、図2に示すように、本願実施例の筐体11の電気キャビティ11aは、少なくとも1つの電池セル20を収容するために用いられ、つまり、電気キャビティ11aは、電池セル20の装着空間を提供する。電気キャビティ11aは、密閉されていても密閉されていなくてもよい。電気キャビティ11aの形状は、収容される1つ又は複数の電池セル20に応じて決定されてもよい。例えば、図2は、電気キャビティ11aを直方体として示しているが、本願の実施例はこれに限定されない。
【0052】
理解されるように、本願実施例の圧力開放手段211は、電池セル20の内圧や温度が所定の閾値に達したときに作動して内圧や温度を開放するために用いられる。当該閾値の値は、設計ニーズに応じて異なる場合がある。当該閾値は、電池セル20における正極シート、負極シート、電解液及びセパレータのうちの1種又は複数種の材料に依存する場合がある。
【0053】
本願に言及される「作動」とは、圧力開放手段211が動作しまたは一定の状態まで活性化され、これにより電池セル20の内圧及び温度が開放されることを意味する。圧力開放手段211による動作は、圧力開放手段211の少なくとも一部が破損、粉砕、破断又は開かれたなどの場合を含み得るが、これらに限定されない。圧力開放手段211が作動する時、電池セル20の内部の高温高圧物質は、排出物として作動した箇所から外部に排出する。このように、圧力または温度が制御可能な状況で、電池セル20の圧力や温度を開放することにより、潜在しているより深刻な事故を回避することができる。
【0054】
本願に言及される電池セル20からの排出物は、電解液、溶解または分解された正極・負極シート、セパレータの破片、反応による高温高圧ガス、火炎などを含むが、これらに限定されない。
【0055】
本願実施例に係る当該圧力開放手段211は、電池セル20の第1の壁21に設けられ、当該圧力開放手段211は、第1の壁21の一部であってもよいが、第1の壁21とは別構造で、例えば、溶接によって第1の壁21に固定されてもよい。例えば、圧力開放手段211が第1の壁21の一部である場合、例えば、圧力開放手段211は、第1の壁21に切り込みを設けることによって形成することができ、当該切り込みに対応する第1の壁21の厚さは、圧力開放手段211の切り込みを除く他の領域の厚さよりも小さい。切り込みは、圧力開放手段211の最も薄い部位である。電池セル20によって生成されたガスが多すぎて内圧が上昇し、かつ閾値に達し、又は電池セル20内部反応による熱によって電池セル20内部温度が上昇し、かつ閾値に達した場合、圧力開放手段211は、切り込み箇所で破裂して電池セル20の内外を連通させることができ、ガス圧及び温度は、圧力開放手段211の破れによって外部に放出され、さらに電池セル20の爆発を回避する。
【0056】
また、例えば、圧力開放手段211は、第1の壁21とは別構造であってもよく、圧力開放手段211は、例えば、防爆弁、ガス弁、圧力開放弁または安全弁等の形態、具体的に、感圧性又は感温性の素子又は構造を採用してもよく、即ち、電池セル20の内圧や温度が所定の閾値に達した時、圧力開放手段211が動作するか、或いは、圧力開放手段211に設けられている弱い構造が破壊されて内圧や温度を放出するための開口又は通路を形成する。
【0057】
本願実施例では、当該電池10は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(ここで、aは当該電池セルの重量エネルギー密度であり、bは、当該排出通路を形成するための標的構造の融点である。)を満たす。a/b値を合理的に設定することにより、電池セル20内部からの排出物は、タイムリーに排出して電池10の安全性を向上させることができる。
【0058】
a/b値が小さすぎると、標的構造の融点bは、比較的高く設定され、かつ電池セル20の重量エネルギー密度aは、比較的小さく、これに対応して、当該電池セル20が熱暴走を発生した時に排出された排出物は、温度が低くなり、標的構造の耐温性が排出物の温度を超え、排出物が圧力開放手段の周囲に制限され、排出通路13を通過して排出できない恐れがあり、排出物は圧力開放手段211が位置する領域から離れるようにタイムリーに排出できないと、電池セル20同士の熱拡散を引き起こし、電池10が爆発するリスクが存在するため、a/b値を小さくすることは好ましくない。
【0059】
逆に、a/b値を大きくすることも好ましくない。電池セル20の自体の構造上の制限により、当該電池セル20の重量エネルギー密度aには上限値があり、類似に、排出通路を形成する標的構造の融点bにも下限値がある。したがって、a/b値が大きすぎると、a値が一定である場合、b値は小さくなりすぎ、つまり、排出通路13を形成する標的構造の融点bは、低くなりすぎ、さらに標的構造の強度不足につながる。例えば、標的構造の融点bが低過ぎるため、電池温度が僅かに変化しただけでも標的構造の溶融を引き起こし、排出通路13の封止安定性を低下させ、さらに排出通路13が破壊されて電池セル20が熱暴走した場合排出物の排出経路に影響を与え、電池10の安全性を低下させるおそれがある。
【0060】
したがって、本願実施例におけるa/bの値を大きすぎたり小さすぎたりすることは好ましくない。例えば、a/bの値は、0.05wh/(kg・℃)、0.06wh/(kg・℃)、0.08wh/(kg・℃)、0.1wh/(kg・℃)、0.18wh/(kg・℃)、0.4wh/(kg・℃)、0.5wh/(kg・℃)、0.64wh/(kg・℃)、1wh/(kg・℃)、1.4wh/(kg・℃)、3wh/(kg・℃)、5wh/(kg・℃)、7wh/(kg・℃)、9wh/(kg・℃)、11wh/(kg・℃)、13wh/(kg・℃)、15wh/(kg・℃)、17wh/(kg・℃)、19wh/(kg・℃)、21wh/(kg・℃)、23wh/(kg・℃)又は25wh/(kg・℃)に設定してもよい。
【0061】
例えば、電池10は、0.06wh/(kg・℃)≦a/b≦15wh/(kg・℃)を満たすことにより、電池セル20の重量エネルギー密度aは、適切であり、かつ標的構造の融点bも大きすぎたり小さすぎたりすることはなく、電池セル20の性能を向上させると共に、電池セル20が熱暴走した時に内部排出物をタイムリーかつ迅速に排出することができ、電池10の安全性を向上させる。
【0062】
本願実施例では、電池セル20の重量エネルギー密度aの値は、実際の応用に応じて設定すればよい。例えば、電池セル20の重量エネルギー密度a値の範囲は、100wh/kg~3505wh/kgである。当該電池セル20の重量エネルギー密度aが小さすぎると、電池10のエネルギーニーズを満たせず、当該電池セル20の重量エネルギー密度aの値が大きすぎると、電池セル20の加工の困難性が増し、実現が困難になる。したがって、当該電池セル20の重量エネルギー密度aは、通常、100wh/kg、120wh/kg、150wh/kg、200wh/kg、250wh/kg、300wh/kg、350wh/kg、400wh/kg、420wh/kg、450wh/kg、500wh/kg、800wh/kg、1000wh/kg、1500wh/kg、2000wh/kg、2500wh/kg又は3505wh/kgに設定してもよい。例えば、電池10の性能及び加工の難しさから、当該電池セル20の重量エネルギー密度a値の範囲を、100wh/kg~1500wh/kgに設定してもよい。
【0063】
本願実施例では、電池10の標的構造の融点bの値は、実際の応用に応じて設定すればよい。例えば、標的構造の融点b値の範囲は、100℃~2000℃である。標的構造の融点bの値が低すぎると、選択可能な材料は限られている一方、標的構造の強度は不十分になり、さらに排出通路の強度の低下、封止性不良につながる恐れがある。逆に、標的構造の融点bが高すぎると、排出通路13を通過して電池セル20の排出物をタイムリーに排出できず、さらに電池セル20同士の熱拡散を引き起こし、電池10の安全性に影響を与える恐れがある。したがって、当該標的構造の融点bは、通常、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、660℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1200℃、1400℃、1500℃、1600℃、1700℃、1800℃又は2000℃に設定すればよい。また、例えば、電池セル20が熱暴走した時に排出された排出物の温度を考慮して、標的構造の融点b値の範囲は、100℃~1700℃に設定してもよい。
【0064】
以下は図面を参照しながら例を挙げて本願の実施例に係る排出通路13及び標的構造を説明する。
【0065】
本願実施例では、図2に示すように、本願実施例に係る電気キャビティ11aは、さらに他の部品を収容するために用いられ、例えば、バス部品30を収容するために用いられ、つまり、電気キャビティ11aは、電池セル20とバス部品30の装着空間を提供する。当該バス部品30は、複数の電池セル20同士の、例えば直列接続または並列接続または直並列接続による電気的接続を実現するために用いられる。バス部品30は、電池セル20の電極端子212に接続することにより電池セル20同士の電気的接続を実現できる。いくつかの実施例において、バス部品30は、溶接によって電池セル20の電極端子212に固定することができる。
【0066】
本願実施例の各電池セル20は、少なくとも2つの電極端子212を含んでもよく、当該少なくとも2つの電極端子212は、それぞれ少なくとも1つの正電極端子212aと少なくとも1つの負電極端子212bを含む。本願実施例に係る電極端子212は、電池セル20内部の電極アセンブリのタブに電気的に接続して電気エネルギーを輸出することに用いられる。
【0067】
理解されるように、本願実施例の各電極端子212は、いずれの1つの壁に設けられてもよく、かつ、複数の電極端子212は、電池セル20の同じ壁又は異なる壁に設けられてもよい。例えば、図2に示すように、各電池セル20が2つの電極端子212を含む場合を例にすると、当該2つの電極端子212は、同じ壁に位置してもよい。具体的に、図2に示すように、当該2つの電極端子212は、第1の壁21に対向する壁に位置してもよく、これにより、第1の壁21の圧力開放手段211が動作する時、2つの電極端子212に影響を与えず、或いは、2つの電極端子212への影響が小さく、電池セル20同士の短絡を避けることができる。あるいは、当該2つの電極端子212は、他の壁に位置してもよく、本願実施例では、これに限られない。
【0068】
また、例えば、同様に、各電池セル20が2つの電極端子212を含む場合を例として、図2に示す状況と異なり、当該2つの電極端子212は、異なる壁に位置してもよい。図3は、本願実施例の電池10のもう1つの構造模式図を示す。図3に示すように、電池セル20の2つの電極端子212は、それぞれ当該電池セル20の対向するように設けられた2つの壁に位置してもよい。或いは、当該電池セル20の2つの電極端子212は、交差する2つの壁に位置してもよく、本願実施例では、これに限られない。
【0069】
理解されるように、図2図3に示すように、本願実施例に係る排出通路13は、第1の通路131及び/又は第2の通路132を含んでもよく、そのうち、第1の通路131は、圧力開放手段211から排出された排出物を電気キャビティ11aに排出するために用いられ、第2の通路132は、圧力開放手段211から排出された排出物を電気キャビティ11aから排出するために用いられる。
【0070】
電池10が第1の通路131を含み、かつ第2の通路132を含まない場合、電池セル20の圧力開放手段211を通じて排出された排出物は、当該第1の通路131を通過して電池セル20が位置する電気キャビティ11aに排出し、排出物を電気キャビティ11aから排出するための他の通路を別に設ける必要がなく、筐体11の構造が簡潔で実現しやすくなる。しかし、電池セル20から排出された排出物は、高温高圧の特性を備え、かつ大量の金属粒子を含有する恐れがあるため、排出物全体を直接電気キャビティ11aに排出すると、電池セル20同士の短絡を引き起こしやすく、熱拡散も引き起こしやすく、さらに電池10の爆発に至り、電池10の安全性に不利である。
【0071】
したがって、電池10には第2の通路132が設けられてもよい。具体的に、電池10が第2の通路132を含み、かつ第1の通路131を含まない場合、電池セル20の圧力開放手段211を通じて排出された排出物の全体を電気キャビティ11bから排出するために第2の通路132を通過する必要があり、当該排出物は、電気キャビティ11b内の電池セル20に全然影響を与えず、熱拡散及び排出物による電池セル20の短絡を効果的に回避することができ、さらに電池10の安全性を向上させる。かつ、当該第2の通路132により、電池セル20の排出物を集中的に収集でき、他の部品に対する排出物の影響を避けることができる。
【0072】
あるいは、当該電池10は、第1の通路131を含み、かつ第2の通路132も含んでもよい。電池セル20が熱暴走又は他の異常を発生した時、電池セル20内部で生成した高温高圧の排出物は、電池セル20の圧力開放手段211の配置方向に向けて排出し、このような排出物は、通常威力と破壊力が非常に高く、通路を1つだけ配置する場合、当該通路の構造又は当該通路の周囲にある1つ又は複数の構造を突き破り、さらなる安全上の問題を引き起こす恐れがある。したがって、圧力開放手段211を通じて排出された排出物を2つの通路に分割して共同で排出することが考えられ、これにより、排出速度を高めて電池10の爆発リスクを低減させるだけではなく、指向的かつ分散的な排出を達成して他の部品に対する排出物の影響を回避でき、電池10の安全性および安定性を向上させる。
【0073】
説明上の便宜のため、主に電池10の排出通路13が第1の通路131と第2の通路132を含む例を挙げて本願実施例を説明するが、本願実施例は、これに限られない。
【0074】
具体的に、図2図3に示すように、本願実施例の筐体11は、圧力開放手段211が動作する時に圧力開放手段211を通じて排出された排出物を収集及び/又は処理し、例えば、圧力開放手段211が動作する時に第2の通路132を通過して排出された排出物を収集し、そして排出物を電池10外部へ排出するために用いられる収集キャビティ11bをさらに含んでもよい。収集キャビティ11bは、排出物を收集するために用いられ、かつ密閉されていても密閉されていなくてもよい。いくつかの実施例において、当該収集キャビティ11b内には空気又は他のガスが含まれてもよい。任意に、当該収集キャビティ11b内には収集キャビティ11bに入る排出物をさらに降温するための液体、例えば、冷却媒体が含み、或いは、当該液体を収容する部品が設けられてもよい。さらに、任意に、収集キャビティ11b内のガス又は液体は、循環的に流れている。
【0075】
任意に、図2図3に示すように、本願実施例の電池10は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとを隔離するための隔離部品114をさらに含む。ここで、ここで言う「隔離」は分離するという意味であり、密閉されていなくてもよい。具体的に、隔離部品114を採用して電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとを隔離し、つまり、電池セル20を収容するための電気キャビティ11aと、排出物を収集するための収集キャビティ11bとは、互いに分離している。
【0076】
本願実施例では、隔離部品114は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bが共有する壁を含んでもよい。図2図3に示すように、隔離部品114(又はその一部)は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとが共有する壁として直接機能することができ、このように、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとの間の距離をできるだけ短くすることができ、空間を節約し、筐体11の空間利用率を高める。
【0077】
任意に、本願実施例の隔離部品114は、熱管理部品であってもよく、当該熱管理部品は、電池セル20の温度を調節するために用いられる。具体的に、当該隔離部品114は、電池セル20の温度を調節するための流体を収容することに用いられる。電池セル20を降温する場合、当該隔離部品114は、冷却媒体を収容して電池セル20の温度を調節することができ、この場合、隔離部品114は、冷却部品、冷却システム又は冷却板等も呼ばれる。また、隔離部品114は、加熱に用いられることができ、本願実施例では、これに対する限定がない。任意に、より良い温度調節効果を得るために、隔離部品114における流体は、循環的に流れていてもよい。
【0078】
理解されるように、本願実施例の筐体11は、様々な方式で実現でき、本願実施例は、これに対する限定がない。例えば、図2図3を例とし、電気キャビティ11aについて、筐体11は、開口を有する第1のカバー110を含み、隔離部品114は、当該第1のカバー110の開口に蓋合してもよく、このように、電気キャビティ11aを形成するための壁は、当該第1のカバー110と当該隔離部品114を含む。そのうち、当該第1のカバー110も様々な方式で実現できる。例えば、当該第1のカバー110は、一端が開口した中空一体式構造であってもよく、或いは、当該第1のカバー110は、第1の部分及び対向している2側がそれぞれ開口を有する第2の部分を含み、第1の部分が第2の部分の1側の開口に蓋合して一端が開口した第1のカバー110を形成し、隔離部品114は、第2の部分のもう1側の開口に蓋合して電気キャビティ11aを形成する。対応する収集キャビティ11b、筐体11は、保護部材115をさらに含んでもよく、保護部材115は、隔離部品114を保護するために用いられ、当該保護部材115は、隔離部品114と共に収集キャビティ11bを形成してもよく、即ち、当該収集キャビティ11bの壁は、保護部材115と隔離部品114を含む。
【0079】
また、例えば、前記の図2図3に示す方式と異なり、筐体11は、密閉されている第2のカバーを含んでもよく、当該第2のカバーは、電気キャビティ11aを形成するために用いられ、或いは、隔離部品114を当該カバーの内部に設けることにより、カバー内部から電気キャビティ11aを隔離し、さらに収集キャビティ11bを隔離してもよい。そのうち、当該第2のカバーは、様々な方式で実現されることができ、例えば、当該第2のカバーは、第3の部分と第4の部分を含んでもよく、第4の部分の1側に開口を有して半密閉型構造を形成し、隔離部品114は、第4の部分の内部に設けられ、第3の部分は、第4の部分の開口に蓋合してさらに密閉な第2のカバーを形成する。
【0080】
説明上の便宜のため、主に図2図3に示す筐体11を例として本願を説明するが、本願実施例は、これに限定されない。
【0081】
図4は、本願実施例の1種の電池10の分解構造模式図を示し、例えば、図4は、図2に示す電池10に対応してもよい。図4に示すように、本願実施例の電池10は、筐体11を含み得て、当該筐体11は、第1のカバー110、隔離部品114及び保護部材115を含み、そのうち、第1のカバー110と隔離部品114は、電気キャビティ11aを形成するために用いられ、隔離部品114と保護部材115は、収集キャビティ11bを形成するために用いられる。具体的に、図4に示すように、当該第1のカバー110は、第1の部分111と、対向している両側がそれぞれ開口を有する第2の部分112とをさらに含み、そのうち、第1の部分111は、第2の部分112の一側の開口に蓋合して一端が開口した第1のカバー110を形成するために用いられ、隔離部品114は、第2の部分112の反対側の開口を蓋合して電気キャビティ11aを形成するために用いられる。
【0082】
本願実施例では、電気キャビティ11aは、複数の壁を有し、圧力開放手段211は、電池セル20の第1の壁21に設けられており、当該第1の壁21は、電池セル20の電気キャビティ11aに向いているいずれの1つの壁であってもよい。理解されるように、本願実施例の電池セル20の形状は、実際の応用に応じて設定してもよい。例えば、本願は、主に直方体電池セル20を例として説明するが、本願実施例は、これに限られず、例えば、電池セル20は、円柱体又は他の形状であってもよい。当該第1の壁21は、電池セル20のいずれの1つの壁である。
【0083】
本願実施例では、図4に示すように、電気キャビティ11aは、第2の壁12を含み、第1の壁21は、第2の壁12に向いており、即ち、電池セル20の圧力開放手段211は、他の電池セル20ではなく、電気キャビティ11aの壁に向いているため、電気キャビティ11aの壁に逃がし構造を設けることが容易になり、圧力開放手段211に変更のための逃がし空間を提供することに用いられ、電池10の空間利用率を高め、熱暴走を発生した電池セル20により他の電池セル20の熱暴走を引き起こるリスクも低減させ、電池10の安全性を向上させる。
【0084】
例えば、図4は、圧力開放手段211が位置する電池セル20の第1の壁21が隔離部品114に向いている場合を例とし、即ち、隔離部品114は、第2の壁12の少なくとも一部を形成するために用いられる。具体的に、図4に示すように、圧力開放手段211は、電池セル20の第1の壁21に設けられており、当該第1の壁21は、電池セル20の底壁であり、隔離部品114は、当該電気キャビティ11aの第2の壁12の少なくとも一部に用いられ、当該第1の壁21は、隔離部品114に面する。かつ、当該隔離部品114は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとを隔離するために用いられ、当該隔離部品114は、第2の通路132の少なくとも一部を形成するためにも用いられ、このように、圧力開放手段211を通過した排出物は、隔離部品114を通過して電気キャビティ11aから排出する。説明上の便宜のため、本願実施例は、主に当該第2の壁12が隔離部品114である場合を例とするが、本願実施例は、これに限られない。
【0085】
例えば、当該第2の壁12は、筐体11の電気キャビティ11aの他の壁であってもよい。例えば、当該第2の壁12は、第2の部分112のいずれの1つの壁であってもよい。
【0086】
また、例えば、図4に示すように、筐体11は、少なくとも1つのビーム113をさらに含み、ビーム113は、複数の電池セル20の間に位置し、ビーム113は、筐体11の構造強度を増加するために用いられる。また、ビーム113は、電気キャビティ11aを少なくとも2つのサブ電気キャビティに分割するために用いられる。例えば、図4の筐体11には1つのビーム113が設けられている場合、当該ビーム113は、電気キャビティ11aを左右の2つのサブ電気キャビティに分割することができ、当該ビーム113は、当該電気キャビティ11aの1つの壁と見なされる。
【0087】
したがって、当該第2の壁12は、ビーム113であってもよく、本願実施例は、これに限られない。具体的に、ビーム113は、中空構造であってもよく、当該中空構造は、収集キャビティ11bを形成するために用いられ、即ち、ビーム113は、電気キャビティ11aと収集キャビティ11bとが共有する壁である。具体的に、隔離部品114と保護部材115は、収集キャビティ11bの一部を形成するために使用され得て、当該ビーム113の中空構造も収集キャビティ11bの一部を形成するために使用され得る場合、即ち、隔離部品114と保護部材115により形成される収集キャビティ11bの一部とビーム113の中空構造が連通している場合、圧力開放手段211が当該ビーム113に向いて設けられている場合、つまり、第2の壁12としてのビーム113は圧力開放手段211が位置する第1の壁21に向いている時、圧力開放手段211を通じて排出された排出物は、ビーム113を通過して収集キャビティ11bに入れることができる。
【0088】
理解されるように、説明上の便宜から、本願実施例は、主に隔離部品114を第2の壁12とする例を挙げて説明するが、本願実施例は、これに限られず、関連する説明は、同様にビーム113を第2の壁12とする場合又は他の電気キャビティ11aの壁を第2の壁12とする場合にも適用されることができ、簡潔にするために、ここでは繰り返しない。
【0089】
本願実施例では、図4に示すように、標的構造は、第2の壁12を含み、つまり、圧力開放手段211から排出された排出物は、当該第2の壁12を通過して電池セル20から排出することができる。このように、当該第2の壁12の融点を合理的に設定することにより、圧力開放手段211から排出された排出物は、第2の壁12を迅速に破壊して電池セル20から排出し、電池10の安全性をさらに向上させる。
【0090】
任意に、本願実施例の第1の通路131の少なくとも一部は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられてもよく、そのうち、当該第1の通路131は、様々な方式で実現される。例えば、如図2図4に示すように、電池10は接続構造14をさらに含み、接続構造14は第1の壁21と第2の壁12との間に設けられ、接続構造14は、第1の通路131の少なくとも一部を形成するために用いられ、標的構造は、接続構造14を含む。接続構造14によって第1の通路131の少なくとも一部を実現すると、電池セル20が熱暴走を発生していないとき、当該接続構造14によって第1の壁21と第2の壁12との間の相対的な固定及び第1の壁21と第2の壁12との間の封止性を実現する一方、接続構造14の具体的な形態と位置を合理的に設定することにより、第1の通路131の位置を調整でき、さらに第1の通路131を通過した排出物の指向的な排出を実現でき、電池10の安全性を高める。また、標的構造が接続構造14を含む場合、当該接続構造14の融点を合理的に設定することにより、圧力開放手段211を通過した排出物は、接続構造14により形成された第1の通路131の少なくとも一部を通過して順調に排出することができ、電池10の安全性を高める。
【0091】
本願実施例では、接続構造14は、様々な方式で第1の通路131の少なくとも一部を実現できる。図5は、本願実施例の1種の電池10の局所構造模式図を示し、例えば、図5は、図4に示す電池10の局所構造模式図であり、かつ図5は、電池10の構造模式の上面図である。例えば、図4図5に示すように、接続構造14には流路141が設けられており、第1の通路131は、流路141を含む。圧力開放手段211を通じて排出された排出物は、流路141を通過して電気キャビティ11a内に排出することができ、このように、当該流路141の位置を合理的に設定することにより、排出物の指向的な排出を実現でき、電気キャビティ11a内の個々の部品に対する排出物の影響を低減され、さらに電池10の安全性をさらに向上させる。
【0092】
具体的に、図4図5に示すように、本願実施例の流路141は、接続構造14を貫通する貫通孔及び/又は凹溝を含み、加工が容易になり、かつ排出物を迅速に通過させることができる。
【0093】
理解されるように、本願実施例の流路141の寸法は、実際の応用に応じて設定してもよい。例えば、流路141の径方向寸法は、2mm未満又は2mmであり、当該流路141の径方向は、流路141内の排出物の流れ方向に垂直し、これにより、流路141の寸法が大きすぎることを回避して当該流路141を流れた過剰な排出物を回避し、当該流路141を流れた排出物の粒子の寸法が大きすぎることも回避でき、排出物に対してろ過作用を有し、さらに他の電池セル20に対する熱暴走した電池セル10の排出物の影響を低減させ、電池10の熱拡散をできるだけ回避する。具体的に、当該流路141が貫通孔である場合、当該流路141の径方向の寸法は、当該流路141の孔径の最大値であり得るし、当該流路141が凹溝である場合、当該流路141の径方向の寸法は、当該凹溝の深さ又は凹溝の幅の最大値であり得て、本願実施例は、これに限られない。
【0094】
理解されるように、流路141内には充填物が設けられてもよく、当該接続構造14は、当該充填物を含み、標的構造は、当該充填物を含む。当該充填物の融点を合理的に設定することにより、当該充填物は、圧力開放手段211が動作していない時に流路141を封止するために使用され得て、圧力開放手段211が動作する時に破壊され、例えば、溶融されることができ、これにより、流路141の流れが導通され、電池セル20が熱暴走を発生していないとき電気キャビティ11aの封止性を高めて電池セル20への影響又は破壊を回避することができる。そのうち、当該充填物の材料は、実際の応用に応じて選択でき、例えば、当該充填物の材料は、発泡スチロール及び/又はプラスチックを含み得るが、本願実施例は、これに限られない。
【0095】
本願実施例では、流路141が接続構造14に設けられる凹溝である場合を例とする。図4図5に示すように、接続構造14は、複数の流路141を含んでもよく、当該複数の流路141は、接続構造14に設けられる第1の壁21の面に向いている凹溝であり得て、つまり、凹溝の開口は、第1の壁21の面に向いており、及び/又は、接続構造14に設けられる第2の壁12の面に向いている凹溝であり得て、つまり、凹溝の開口は、第2の壁12に向いている。例えば、図4図5において、流路141が接続構造14に設けられる第2の壁12の面に向いている凹溝である場合を例とし、つまり、凹溝の開口は、第2の壁12に向いている。
【0096】
いくつかの実施例において、接続構造14には少なくとも1つの方向に沿って延びる複数の流路141が設けられており、少なくとも1つの方向は、第1の壁21に平行し、つまり、接続構造14の面積がより広い面に1つ又は複数の方向に沿って延びる複数の流路141が設けられている。複数の流路141を設けることにより、排出物の排出方向を分散させることができ、高温排出物が単一な方向に排出する時に当該方向の部品への破壊を回避する。
【0097】
理解されるように、本願実施例の流路141の延在方向は、実際の応用に応じて設定してもよい。例えば、電池セル20の電極端子212と圧力開放手段211の位置関係に応じて流路141の延在方向を合理的に設定することにより、電極端子212及び電極端子212に接続されているバス部品30に対する排出物の影響を避けることができる。
【0098】
例えば、図4図5に示すように、電極端子212と圧力開放手段211が同じ壁に位置しておらず、かつ電極端子212が位置する壁と第1の壁21とが交差していない場合、例えば、当該電極端子212が位置する壁が第1の壁21に対向するように設けられている場合、当該流路141の延在方向は、制限がない。例えば、流路141は、接続構造14に設けられる1つ又は複数の第1の方向Xに沿って延びるX向第1の流路141a、及び/又は、当該接続構造14に設けられる1つ又は複数の第2の方向Yに沿って延びるY向第2の流路141bを含み得て、或いは、流路141は、当該接続構造14に設けられる他の方向の流路をさらに含み得て、本願実施例は、これに限られない。そのうち、第1の方向Xと第2の方向Yは、互いに垂直し、例えば、図4図5に示すように、当該第1の方向Xは、電池セル20の厚さ方向であり得る。また、本願実施例の電池セル20の高度方向Zは、第1の方向Xと第2の方向Yに垂直する。
【0099】
また、例えば、図4図5に示すものと異なり、電極端子212が他の壁に位置し、例えば、電極端子212が第1の壁21と交差する壁に位置し、或いは、電極端子212が第1の壁21に位置する場合、流路141の方向を合理的に設定することにより、電極端子212に対する排出物の影響を回避でき、例えば、排出物における金属スクラップによる電極端子212に接続されている異なるバス部品30同士の短絡を回避でき、さらに電池10の安全性を向上させることができる。
【0100】
本願実施例では、接続構造14は、他の方式で第1の通路131の少なくとも一部を形成してもよい。例えば、接続構造14は、圧力開放手段211が動作する時に破壊されて第1の壁21と第2の壁12との間に隙間を形成するために用いられ、第1の通路131は、当該隙間を含む。このように、第1の通路131を形成するための標的構造は、当該接続構造14を含み得て、接続構造14の材料を合理的に選択することにより、適切な接続構造14の融点を得て、圧力開放手段211が動作する時に接続構造14が破壊され、隙間を形成して第1の通路を形成し、当該接続構造14には追加の構造を設ける必要がなく、より簡潔で、電池セル20の通常の使用時の封止性を確保できる。
【0101】
具体的に、本願実施例では、接続構造14が破壊されることは、当該接続構造14の少なくとも一部が破壊されることを含む。例えば、圧力開放手段211が動作する時、当該接続構造14の外部だけは破壊されて、露出する接続構造14の部分の内部部品が破壊されず、或いは、当該接続構造14の内部構造が破壊され、例えば、当該接続構造14は複数層構造であり得て、複数層構造の一部の構造層が破壊され、或いは、当該接続構造14全体が破壊されてもよく、本願実施例は、これに限定されない。
【0102】
本願実施例では、図4図5に示すように、接続構造14には圧力開放手段211に対応する逃がし開口142が設けられており、逃がし開口142は、圧力開放手段211が動作する時に変形空間を提供するために用いられ、接続構造14が当該圧力開放手段211を遮って圧力開放手段211が適時に作動しないことを防止し、かつ当該逃がし開口142により圧力開放手段211を通過した排出物を迅速に排出することができる。
【0103】
理解されるように、接続構造14にある逃がし開口142は、圧力開放手段211に変形空間を提供するために使用され得るため、圧力開放手段211を通じた排出物は、電池セル20から排出した後、当該逃がし開口142を通過して流出される。当該逃がし開口142は、第1の通路131の少なくとも一部と見なされ、排出物は、当該逃がし開口142を通じて電気キャビティ11aに排出することができる。また、当該逃がし開口142は、第2の通路132の少なくとも一部とも見なされ、排出物は、当該逃がし開口142を通じて電気キャビティ11aから再び排出し、本願実施例は、これに限られない。
【0104】
図4図5に示すように、当該逃がし開口142は、少なくとも1つの圧力開放手段211に対応している。任意に、電池10内に複数の電池セル20が通常特定の順序で配置されていることを考慮すると、加工上の便宜から、当該逃がし開口142は、同時に複数の圧力開放手段211に対応してもよい。例えば、当該接続構造14に設けられている逃がし開口142は、1列の電池セル20に対応してもよいが、本願実施例は、これに限られない。
【0105】
理解されるように、本願実施例の接続構造14は、実際の応用に応じて設けてもよく、例えば、当該接続構造14は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられるブラケット、熱伝導パッド、封止パッド及びバインダーのうちの少なくとも1つを含んでもよい。具体的に、接続構造14は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられている電池セル20を支持、固定するためのブラケットを含んでもよい。
【0106】
任意に、接続構造14は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられる熱伝導パッドを含んでもよく、これにより、電池10使用過程中、当該熱伝導パッドによって電池セル20の熱を放散できる。例えば、当該第2の壁12が熱管理部品である場合、熱伝導パッドによって電池セル20の熱を熱管理部品に伝導して当該電池セル20の温度をタイムリーに調整し、電池セル20の正常使用を確保することができる。例えば、図4図5に示すように、接続構造14は、熱伝導パッドを含み得て、当該熱伝導パッドは、図において複数の第2の方向Yに沿って延びているY向第2の流路141bを設けている部分である。
【0107】
任意に、接続構造14は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられている封止パッドを含み得て、第1の壁21と第2の壁12との間の封止性を高める。例えば、図4図5に示すように、接続構造14は、封止パッドを含み得、当該封止パッドは、図において第1の方向Xに沿って延びている複数のX向第1の流路141aを有する部分である。
【0108】
任意に、接続構造14は、第1の壁21と第2の壁12との間に設けられているバインダーを含んでもよく、これにより、固定のために使用され得て、電池セル20を第2の壁12に貼り付けて固定する。例えば、接続構造14に含まれているバインダーは、電池セル20を第2の壁12に固定するために使用され得る。
【0109】
理解されるように、熱伝導パッド、封止パッド及びバインダーは、それぞれ単独で使用してもよいし、或いは、組み合わせて使用してもよい。例えば、図4図5に示すように、封止パッドは熱伝導パッドの少なくとも1側のエージに設けられてもよく、例えば、封止パッドは、それぞれ熱伝導パッドの対向する2側のエージに設けられてもよく、これにより、熱を放散させ、そして第1の壁21と第2の壁12との間の封止性を高める。かつ、バインダーは、封止パッドと熱伝導パッドを電池セル20に固定すること或いは第2の壁12に固定することに使用され得て、電池10の安定性を高めることができる。
【0110】
理解されるように、本願実施例の熱伝導パッドの材料、封止パッドの材料及びバインダーの材料は、いずれも実際の応用に応じて選択できる。例えば、熱伝導パッドの材料として、熱伝導性シリカゲルを含み得る。また、例えば、封止パッドの材料として、シリコーンゴム、ポリプロピレン(polypropylene,PP)、可溶性ポリテトラフルオロエチレン(Polyfluoroalkoxy,PFA)及びポリイミド(Polyimide,PI)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、バインダーの材料として、エポキシ系構造接着剤、アクリレート構造接着剤、ポリイミド構造接着剤、マレイミド構造接着剤、ウレタン構造接着剤、アクリル構造接着剤のうちの少なくとも1種を含む。また、例えば、バインダー層の材料として、ポリマー接着剤と熱伝導材料を含み、ポリマー接着剤の材料として、エポキシ樹脂、有機シリカゲル、ポリイミドのうちの少なくとも1種を含み、熱伝導材料は、Al23、ZnO、BeO、AlN、Si3N4、BN、SiC、B4C、カーボンナノチューブ及びグラファイトナノシートのうちの少なくとも1種を含み、本願実施例は、これに限られない。
【0111】
任意に、本願実施例の第1の通路131は、他の方式でも実現できる。例えば、本願実施例の第1の壁21と第2の壁12との間には隙間が設けられてもよく、当該隙間は、第1の通路131の少なくとも一部を形成するために用いられ、このように、電気キャビティ11aの封止性要求を低減させ、特に、第2の壁12の封止性要求を低減させるため、電池10の加工の困難性を低減させ、電池10の加工効率を高める。
【0112】
理解されるように、接続構造14によって第1の通路131の少なくとも一部を実現する方式と第1の壁21と第2の壁12との間の隙間によって第1の通路131の少なくとも一部を実現する方式は、単独で使用してもよいし、互いに組み合わせて使用してもよく、例えば、接続構造14及び第1の壁21と第2の壁12との間の隙間によって共同で当該第1の通路131の少なくとも一部を実現することができ、本願実施例は、これに限られない。
【0113】
以下、図面を参照しながら例を挙げて本願実施例の第2の通路132を説明する。
【0114】
本願実施例では、図4図5に示すように、第2の壁12には圧力開放手段211に対応する圧力開放領域121が設けられており、圧力開放領域121は、第2の通路132の少なくとも一部を形成するために用いられる。第2の壁12は、電気キャビティ11aの壁であり、圧力開放手段211を通じて排出された排出物は、当該第2の壁12の圧力開放領域121を通過して電気キャビティ11aから排出し、即ち、当該圧力開放領域121は、第2の通路132の少なくとも一部であり、これにより、排出物を排出し、例えば、収集キャビティ11bに排出し、排出物が大量に電気キャビティ11aに入れて電池セル20同士の短絡や熱拡散を引き起こして電池10の安全性に影響を与えることを回避する。
【0115】
理解されるように、第2の壁12に設けられる各圧力開放領域121は、1つ又は複数の圧力開放手段211に対応してもよい。例えば、図4に示すように、第2の壁12には複数の圧力開放領域121が設けられており、複数の圧力開放領域121は、複数の電池セル20の圧力開放手段211に一対一に対応している。また、例えば、第2の壁12には1つ又は複数の圧力開放領域121が設けられており、各圧力開放領域121は、複数の圧力開放手段211に対応してもよく、本願実施例は、これに限られない。
【0116】
理解されるように、本願実施例の圧力開放領域121は、様々な方式で実現される。図6図7は、それぞれ本願実施例の電池10の可能な構造模式図を示す。図6図7に示すように、圧力開放領域121は、第2の壁12を貫通する貫通孔であり、貫通方向は、第2の壁12の厚さ方向であり、第2の通路132は、貫通孔を含む。圧力開放領域121が貫通孔である場合、加工上の便宜を図り、一方、圧力開放手段211を通じて排出された排出物を迅速に放出することができる。ただし、当該圧力開放領域121が貫通孔である場合、圧力開放手段211が露出することになり、電池10の使用過程中、圧力開放手段211は、外部環境への影響を受けやすく、さらに圧力開放手段211の故障に至る恐れがある。
【0117】
したがって、任意に、図6及び図7に示すように、当該電池10は、封止構造15をさらに含み、封止構造15は、貫通孔を封止するために用いられ、封止構造15は、圧力開放手段211が動作する時に貫通孔が第2の通路132の少なくとも一部を形成するように破壊されることに用いられ、標的構造は、封止構造15を含む。圧力開放領域121が貫通孔である場合、当該封止構造15の融点を合理的に設定することにより、電池セル20の通常の使用過程中、電気キャビティ11aの封止性を維持し、外部環境から圧力開放手段211を保護することができる一方、電池セル20が熱暴走を発生した時、当該封止構造15は、タイムリーに破壊されて貫通孔を露出させ、かつ第2の通路132を形成すると、電池セル20の排出物は、当該貫通孔を通過して電気キャビティ11aから排出し、熱暴走を避け、電池10の安全性を向上させる。
【0118】
任意に、本願実施例の封止構造15の位置は、実際の応用に応じて設定してもよい。例えば、図6に示すように、封止構造15は、第2の壁12の第1の壁21に対向する面に設けられ、及び/又は、例えば、加工上の便利さから、図7に示すように、封止構造15は、第2の壁12の第1の壁21から離れた面に設けられている。また、図6に示すように、封止構造15が第2の壁12の第1の壁21に対向する面に設けられている場合、封止構造15は、圧力開放手段211からの距離が小さく、圧力開放手段211の排出物に迅速に破壊され、圧力開放手段211の動作への影響を避けでき、かつ排出物を収集キャビティ11bにタイムリーに排出することができる。図7に示すように、封止構造15が第2の壁12の第1の壁21から離れた面に設けられている時、圧力開放手段211と封止構造15との間の距離は、圧力開放手段211の動作に変形空間を提供し、圧力開放手段211への影響を避けることができる。
【0119】
図8は、本願実施例の電池10のもう1つの可能な構造模式図を示す。図8に示すように、圧力開放領域121は、第2の壁12の脆弱領域であり、脆弱領域は、圧力開放手段211が動作する時に破壊されて第2の通路132の少なくとも一部を形成する。圧力開放手段211が動作する時、脆弱領域は破壊されて、圧力開放手段211を設けた電池セル20からの排出物は、脆弱領域を通過して電気キャビティ11aから排出し、例えば、脆弱領域を通過して収集キャビティ11bに入る。圧力開放領域121を脆弱領域とすることにより、圧力開放手段211が動作していない時、例えば、電池10の通常の使用過程中、当該第2の壁12を封止状態にし、外力破壊による故障から圧力開放手段211の効果的に保護し、電池セル20が熱暴走した時、タイムリーに破壊されて、排出物を電気キャビティ11aから排出し、熱暴走を回避し、電池10の安全性を向上させる。
【0120】
理解されるように、標的構造は脆弱領域を含むと、当該脆弱領域の融点を合理的に設定することにより、当該脆弱領域は、電池セル20の通常の使用過程中に十分な強度を有し、電気キャビティ11aの封止性を維持し、外部環境による影響から圧力開放手段211を保護する一方、電池セル20が熱暴走を発生した時、当該脆弱領域がタイムリーに破壊され、例えば、タイムリーに溶融されて第2の通路132を形成すると、電池セル20の排出物は、当該破壊された圧力開放領域121を通過して電気キャビティ11aから排出さら、熱暴走を回避し、電池10の安全性を向上させる。
【0121】
本願実施例の脆弱領域は、排出物によって破壊されやすい形態を採用して設けてもよく、本願実施例は、これに対する限定がない。例えば、脆弱領域の厚さは、第2の壁12の脆弱領域の周囲に位置する領域の厚さより薄い。脆弱領域の厚さを薄くすることにより、その強度が低下し、排出物は、溶融及び破壊によって脆弱領域を迅速に破壊し、かつ排出物をタイムリーに排出することができる。
【0122】
本願実施例では、図2に示すように、第2の壁12には圧力開放手段211に対応し、かつ開口が圧力開放手段211に向いている凹溝が設けられており、脆弱領域は、凹溝の底壁である。このように、当該凹溝の開口は、圧力開放手段211に対応し、凹溝内部は、当該圧力開放手段211の変形空間を提供でき、かつ、加工上の利便性から、底壁を脆弱領域とする。
【0123】
理解されるように、本願実施例の第1の通路131は、圧力開放手段211を通じて排出された排出物を電気キャビティ11aに排出でき、さらに、電池10の筐体11の壁には第1の通路131を通過した排出物を筐体11から排出するために用いられる第1の平衡弁が設けられており、これにより筐体11内の排出物の堆積による熱拡散を回避し、電池10の安全性を向上させる。具体的に、電気キャビティ11aから排出物をタイムリーに排出するために、当該第1の平衡弁は、電気キャビティ11aを形成するための壁に設けられてもよい。
【0124】
これと類似して、第2の通路132は、圧力開放手段211を通じて排出された排出物を電気キャビティ11aから排出することができる。例えば、収集キャビティ11bを設けない場合、排出物を筐体11から直接排出してもよい。又は、例えば、収集キャビティ11bを設けることにより、排出物を収集キャビティ11bに排出するが、収集キャビティ11bの空間は限られているため、当該筐体11の壁には第2の通路132から排出された排出物を筐体11から排出するための第2の平衡弁が設けられてもよく、これにより、例えば、収集キャビティ11bを介して電池10から排出物を排出し、筐体11の収集キャビティ11b内の排出物の堆積による熱拡散又は爆発を回避し、電池10の安全性を向上させる。具体的に、収集キャビティ11bから排出物をタイムリーに排出するために、第2の平衡弁は、収集キャビティ11bを形成する壁に設けられてもよい。
【0125】
本願実施例の電池10は、筐体11、電池セル20及び排出通路13を含み、電池セル20が筐体11の電気キャビティ11aに収容され、当該電池セル20の第1の壁21には圧力開放手段211が設けられており、排出通路13は、圧力開放手段211が動作する時に当該圧力開放手段211を介して電池セル20の内部に接続し、これにより電池セル20内部の排出物は、圧力開放手段211と排出通路13を経由して排出することができる。さらに、当該電池10は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)を満たし、ここで、aは当該電池セル20の重量エネルギー密度であり、bは、当該排出通路13を形成するための標的構造の融点である。a/b値を合理的に設定することにより、電池セル20内部の排出物をタイムリーに排出でき、電池10の安全性を向上させる。
【0126】
好ましい実施例を参照して本願を説明してきたが、本願の範囲から逸脱しない場合、様々な改良を行い、かつその構成要素を同等品と置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で述べた様々な技術的特徴はいずれも、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本文中に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内にある全ての技術案を含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気キャビティ(11a)を含む筐体(11)、
前記電気キャビティ(11a)に収容される電池セル(20)であって、前記電池セル(20)の第1の壁(21)には圧力開放手段(211)が設けられている電池セル(20)、及び、
前記圧力開放手段(211)が動作する時に前記圧力開放手段(211)を通じて前記電池セル(20)の内部と連通するように配置される排出通路(13)、
を含み、
ここで、前記電池は、0.05wh/(kg・℃)≦a/b≦25wh/(kg・℃)(aは、前記電池セル(20)の重量エネルギー密度であり、bは前記排出通路(13)を形成するための標的構造の融点である)を満たすことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記電池は、0.06wh/(kg・℃)≦a/b≦15wh/(kg・℃)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電池セル(20)の重量エネルギー密度a値の範囲は、100wh/kg~3505wh/kgであることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記標的構造の融点b値の範囲は、100℃~2000℃であることを特徴とする請求項1~3のいずれの1項に記載の電池。
【請求項5】
前記電気キャビティ(11a)は、第2の壁(12)を含み、前記第1の壁(21)は、前記第2の壁(12)に面することを特徴とする請求項1~3のいずれの1項に記載の電池。
【請求項6】
前記標的構造は、前記第2の壁(12)を含むことを特徴とする請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記排出通路(13)は、第1の通路(131)を含み、前記第1の通路(131)は、前記圧力開放手段(211)から排出した排出物を前記電気キャビティ(11a)に排出するために用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電池。
【請求項8】
前記電池は、接続構造(14)をさらに含み、前記接続構造(14)は、前記第1の壁(21)と前記第2の壁(12)との間に設けられ、前記接続構造(14)は、前記第1の通路(131)の少なくとも一部を形成するために用いられ、前記標的構造は、前記接続構造(14)を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記接続構造(14)には流路(141)が設けられており、前記第1の通路(131)は、前記流路(141)を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
前記接続構造(14)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記第1の壁(21)と前記第2の壁(12)との間に隙間を形成させるために用いられ、前記第1の通路(131)は、前記隙間を含むことを特徴とする、請求項8に記載の電池。
【請求項11】
前記接続構造(14)には前記圧力開放手段(211)に対応する逃がし開口(142)が設けられており、前記逃がし開口(142)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に変形空間を提供するために用いられることを特徴とする、請求項8に記載の電池。
【請求項12】
前記排出通路(13)は、第2の通路(132)を含み、前記第2の通路(132)は、前記圧力開放手段(211)から排出された排出物を前記電気キャビティ(11a)から排出するために用いられることを特徴とする、請求項5に記載の電池。
【請求項13】
前記第2の壁(12)には前記圧力開放手段(211)に対応する圧力開放領域(121)が設けられており、前記圧力開放領域(121)は、前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項12に記載の電池。
【請求項14】
前記圧力開放領域(121)は、前記第2の壁(12)を貫通する貫通孔であり、その貫通方向は、前記第2の壁(12)の厚さ方向であり、前記第2の通路(132)は、前記貫通孔を含むことを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記電池は、封止構造(15)をさらに含み、前記封止構造(15)は、前記貫通孔を封止するために用いられ、前記封止構造(15)は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記貫通孔が前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられ、前記標的構造は、前記封止構造(15)を含むことを特徴とする請求項14に記載の電池。
【請求項16】
前記封止構造(15)は、前記第2の壁(12)の前記第1の壁(21)に向いている面に設けられており、及び/又は、
前記封止構造(15)は、前記第2の壁(12)の前記第1の壁(21)から離れた面に設けられていることを特徴とする、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記圧力開放領域(121)は、前記第2の壁(12)の脆弱領域であり、前記脆弱領域は、前記圧力開放手段(211)が動作する時に破壊されて前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項13に記載の電池。
【請求項18】
前記標的構造は、前記脆弱領域を含むことを特徴とする請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記脆弱領域の厚さは、前記第2の壁(12)の前記脆弱領域の周囲に位置する領域の厚さより小さいことを特徴とする、請求項17に記載の電池。
【請求項20】
前記第2の壁(12)には、前記圧力開放手段(211)に対応し、かつ開口が前記圧力開放手段(211)に向いている凹溝が設けられており、前記脆弱領域は、前記凹溝の底壁であることを特徴とする、請求項17に記載の電池。
【請求項21】
前記筐体(11)は、
前記圧力開放手段(211)が動作する時に前記第2の通路(132)を通じて排出された排出物を収集するための収集キャビティ(11b)をさらに含むことを特徴とする、請求項12に記載の電池。
【請求項22】
前記電池は、前記電気キャビティ(11a)と前記収集キャビティ(11b)とを隔離するための隔離部品(114)をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の電池。
【請求項23】
前記隔離部品(114)は、前記第2の通路(132)の少なくとも一部を形成するために用いられることを特徴とする請求項22に記載の電池。
【請求項24】
請求項1~3のいずれの1項に記載の電池を含む電気装置であって、前記電池が前記電気装置に電気エネルギーを提供するために用いられることを特徴とする電気装置。
【国際調査報告】