(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】回転式電気シェーバの毛髪切断ユニットにおける露出距離の調整
(51)【国際特許分類】
B26B 19/14 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
B26B19/14 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544653
(86)(22)【出願日】2023-03-13
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2023056262
(87)【国際公開番号】W WO2023180106
(87)【国際公開日】2023-09-28
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ペトレリ マルクス コルネリス
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056ED03
(57)【要約】
外部切断部材10、内部切断部材及び支持部材30を有するタイプの回転式電気シェーバ用毛髪切断ユニット4において、外部切断部材10のシェービング軌道の皮膚接触面12が支持部材30の上面31に対して突出する露出距離deが調整可能である。この目的のため、互いに間隔をあけた第1の複数のランプ要素41と、ランプ要素41と相互作用するよう互いに間隔をあけた第2の複数の可撓性要素42とを持つ変換機構40が提供される。毛髪切断ユニット4の中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の相対的な回転の回転方向に基づき、可撓性要素42は、軸方向Aの上方又は下方に撓むようにされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式電気シェーバ用の毛髪切断ユニットであって、
毛髪進入開口部を持つシェービング軌道を備える外部切断部材と、
前記外部切断部材により覆われ、前記毛髪切断ユニットの中心軸の周りで前記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材と、
前記外部切断部材を取り囲んで支持する支持部材と、
前記シェービング軌道の皮膚接触面が前記支持部材の上面に対して突出する露出距離を調整する調整システムであって、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転を実現する駆動システムと、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転を、前記中心軸と平行な軸方向における前記外部切断部材及び前記支持部材の相対移動に変換する変換機構とを含む、調整システムとを有し、
前記変換機構が、
前記外部切断部材を取り囲む前記支持部材の内面及び前記外部切断部材の周方向外面の一方に、互いに間隔をあけて配置された第1の複数のランプ要素であって、
前記ランプ要素がそれぞれ、前記中心軸に垂直な仮想平面に対して傾斜し、それぞれ前記軸方向に延在する軸方向延在部を持つ、第1の複数のランプ要素と、
前記ランプ要素と相互作用するよう、前記支持部材の内面及び前記外部切断部材の外面の他方に、互いに間隔をおいて配置された第2の複数の可撓性要素であって、前記可撓性要素がそれぞれ、前記軸方向において可撓性を有し、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転が第1の回転方向である場合、前記可撓性要素が、前記シェービング軌道に面する前記ランプ要素の上側で前記ランプ要素に接触し、前記ランプ要素上を摺動しながら上方に撓むようにされ、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転が前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向である場合、前記可撓性要素は、前記シェービング軌道から離れる方向を向いた前記ランプ要素の下側で前記ランプ要素に接触し、前記ランプ要素にわたり摺動しながら下方に撓むようにされるよう、前記可撓性要素が前記ランプ要素に対して配置される、第2の複数の可撓性要素とを含む、毛髪切断ユニット。
【請求項2】
前記調整システムの変換機構が、
前記外部切断部材及び前記支持部材の前記軸方向における相対移動を制限する第1アバットメント部材及び第2アバットメント部材であって、前記第1アバットメント部材及び第2アバットメント部材が、それぞれ前記露出距離の最大値及び最小値を規定する、第1アバットメント部材及び第2アバットメント部材を更に有し、
前記ランプ要素の軸方向延在部が、前記露出距離の最大値と最小値との差より大きい、請求項1に記載の毛髪切断ユニット。
【請求項3】
前記軸方向において、前記ランプ要素に接触していない任意の可撓性要素の位置が、前記露出距離が最大値と最小値との間の中心値を持つとき、前記ランプ要素の上側及び下側に対する中心位置である、請求項2に記載の毛髪切断ユニット。
【請求項4】
前記外部切断部材が、前記軸方向における前記第1アバットメント部材と前記第2アバットメント部材との間の位置にフランジを有し、
前記第1アバットメント部材に接触する前記フランジの上面が、前記露出距離の最大値をもたらし、
前記第2アバットメント部材に接触する前記フランジの下面が、前記露出距離の最小値をもたらす、請求項2又は3に記載の毛髪切断ユニット。
【請求項5】
前記外部切断部材が、前記中心軸の周りで回転可能であり、前記調整システムの駆動システムは、前記フランジとの係合により前記外部切断部材の回転を実現する、請求項4に記載の毛髪切断ユニット。
【請求項6】
前記アバットメント部材の少なくとも1つが、前記支持部材に含まれる、請求項2乃至5のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項7】
前記調整システムの駆動システムが、前記外部切断部材及び前記支持部材の、前記中心軸の周りでの限られた角度にわたる相対回転を実現し、
前記外部切断部材及び前記支持部材の、前記第1の回転方向における前記中心軸の周りでの前記限られた角度にわたる相対回転が、前記露出距離の最小から最大への変化をもたらし、
前記外部切断部材及び前記支持部材の、前記第2の回転方向における前記中心軸の周りでの前記限られた角度にわたる相対回転が、前記露出距離の最大から最小への変化をもたらす、請求項2乃至6のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項8】
前記限られた角度が90度より小さい、請求項7に記載の毛髪切断ユニット。
【請求項9】
前記調整システムの駆動システムが、前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の連続的な相対回転を実現し、
前記外部切断部材及び前記支持部材の中心軸の周りでの前記第1の回転方向における連続的な相対回転が、前記露出距離の最大値をもたらし、
前記外部切断部材及び前記支持部材の前記中心軸の周りでの前記第2の回転方向における連続的な相対回転が、前記露出距離の最小値をもたらし、
前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の連続的な相対回転の回転方向の、前記第1の回転方向から前記第2の回転方向への変化が、前記露出距離の最大から最小への変化をもたらし、
前記中心軸の周りでの前記外部切断部材及び前記支持部材の連続的な相対回転の回転方向の、前記第2の回転方向から前記第1の回転方向への変化が、前記露出距離の最小から最大への変化をもたらす、請求項2乃至6のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項10】
前記可撓性要素が、環状キャリアに配置された可撓性レバーのエンドタブとして提供される、請求項1乃至9のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項11】
前記ランプ要素及び前記可撓性要素が、前記中心軸の周りで規則的に分布される、請求項1乃至10のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項12】
前記中心軸の周りでの接線方向における前記可撓性要素の寸法が、前記接線方向における隣接するランプ要素間の空間の寸法よりも小さく、
前記第1の複数は、前記第2の複数より大きく、前記外部切断部材及び前記支持部材の前記中心軸の周りでの任意の相対的な回転位置において、前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転が前記第1の回転方向である場合、前記可撓性要素の少なくとも3つが、前記ランプ要素の少なくとも3つの上側に接触し、前記外部切断部材及び前記支持部材の相対回転が前記第2の回転方向である場合、前記可撓性要素の少なくとも3つが前記ランプ要素の少なくとも3つの下側に接触する、請求項1乃至11のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項13】
前記第1の複数が、15であり、前記第2の複数は、12である、請求項1乃至12のいずれかに記載の毛髪切断ユニット。
【請求項14】
シェービングアセンブリであって、請求項1乃至13のいずれかに記載の少なくとも1つの毛髪切断ユニットと、前記少なくとも1つの毛髪切断ユニットを支持するベースユニットとを有する、シェービングアセンブリ。
【請求項15】
本体と請求項14記載のシェービングアセンブリとを有する回転式電気シェーバであって、前記シェービングアセンブリの前記ベースユニットが前記本体に接続される、回転式電気シェーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式電気シェーバ用の毛髪切断ユニットに関し、これは、
毛髪進入開口部を持つシェービング軌道を備える外部切断部材と、
上記外部切断部材により覆われ、上記毛髪切断ユニットの中心軸の周りで上記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材と、
上記外部切断部材を取り囲んで支持する支持部材と、
シェービング軌道の皮膚接触面が支持部材の上面に対して突出する露出距離を調整する調整システムとを有し、上記調整システムが、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転を実現する駆動システムと、上記中心軸の周りでの上記外部切断部材及び上記支持部材の相対回転を、上記中心軸と平行な軸方向における上記外部切断部材及び上記支持部材の相対移動に変換する変換機構とを含む。
【0002】
更に、本発明は、前述した少なくとも1つの毛髪切断ユニットと、少なくとも1つの毛髪切断ユニットを支持するベースユニットとを有するシェービングアセンブリに関し、本体と、斯かるシェービングアセンブリとを有し、シェービングアセンブリのベースユニットが本体に接続される、回転式電気シェーバにも関する。
【背景技術】
【0003】
回転式電気シェーバ及び回転式電気シェーバ用シェービングアセンブリはよく知られる。電気シェーバは一般に、顔の毛とすることができる体毛を剃るために使用され、主電源及び/又はバッテリのような電気エネルギー貯蔵装置から電力を供給される。
【0004】
一般的に既知のセットアップでは、シェービングアセンブリは、ベースユニットと、ベースユニットにより支持される少なくとも1つの毛髪切断ユニットとのアセンブリを有する。従来、毛髪切断ユニットは、非駆動要素としての毛髪進入開口部を備えたシェービング軌道を持つ外部切断部材と、駆動要素としての内部切断部材との組合せを有する。ここで、少なくとも内部切断部材は、1つ又は複数の切断エッジを持つ。斯かる場合、回転式電気シェーバに組み込まれたシェービングアセンブリの使用は、毛髪切断ユニットの内部切断部材が実際に動かされる動作モードにシェービングアセンブリを置くことと、毛髪切断ユニットの外部切断部材のシェービング軌道が皮膚に面し、これに接触するよう、シェービングアセンブリを皮膚上で移動させることとを含む。このプロセスにおいて、皮膚から突出する毛は、毛髪切断ユニットの内部空間で捕捉され、そこでは、毛は、毛髪進入開口部の位置で外部切断部材に当接し、回転する内部切断部材の切断エッジに遭遇するとき切断される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転式電気シェーバの分野で現在進行中の課題は、高い快適さと高いシェービング性能、特に高いシェービング密着性とを組み合わせる実用的な方法の探求である。例えば、外部切断部材を周囲の固定支持部材に対して回転させるオプションが検討される。これは、毛髪切断ユニットの毛髪捕捉能力を向上させることができる。なぜなら、皮膚は、外部切断部材のより多くの開放領域、即ち、より多くの毛髪進入開口部に遭遇することが可能にされるからである。快適性の向上も得られることができる。なぜなら、皮膚がシェービング軌道にドーム状に入り込む時間/機会を持たず、シェービング軌道が皮膚に接触する摩擦ベクトルが連続的に動き回るため、低摩擦がもたらされるからである。
【0006】
有利には、毛髪切断ユニットは、ユーザが、個人的な要望に基づき、シェービング軌道の皮膚接触面が支持部材の上面に対して突出する露出距離を調整する可能性を提供されるよう設計される。一般的に言って、露出距離が大きいことは、快適さを犠牲にして、高いシェービング密着度をもたらし、一方露出距離が小さいことは、シェービング密着度を犠牲にして高い快適さをもたらす。本発明の目的は、露出距離を調整する調整システムを有するタイプの毛髪切断ユニットを提供することであり、ここで、調整システムは、効果的で、信頼性が高く、堅牢でありながら、毛髪切断ユニットにおいて大きなスペースを取らず、清掃目的のためなど、毛髪切断ユニットを分解し及び組み立てるプロセスの複雑さを増加させない。本発明による毛髪切断ユニットは、動作中に外部切断部材を回転させる上述のオプションを実現するよう構成され得るが、これは必須ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回転式電気シェーバ用の毛髪切断ユニットを提供し、これは、
毛髪進入開口部を持つシェービング軌道を備える外部切断部材と、
上記外部切断部材により覆われ、上記毛髪切断ユニットの中心軸の周りで上記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材と、
上記外部切断部材を取り囲んで支持する支持部材と、
シェービング軌道の皮膚接触面が支持部材の上面に対して突出する露出距離を調整する調整システムとを有し、上記調整システムが、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転を実現する駆動システムと、上記中心軸の周りでの上記外部切断部材及び上記支持部材の相対回転を、上記中心軸と平行な軸方向における上記外部切断部材及び上記支持部材の相対移動に変換する変換機構とを有し、
ここで、変換機構は、
上記外部切断部材を取り囲む上記支持部材の内面及び上記外部切断部材の周方向外面の一方に配置され、互いに間隔をあけて配置される第1の複数N1のランプ要素であって、
上記ランプ要素がそれぞれ、中心軸に垂直な仮想平面に対して傾斜しており、それぞれ、軸方向における軸方向延在部を持つ、ランプ要素と、
上記支持部材の内面及び上記外部切断部材の外面の他方に、上記ランプ要素と相互作用するよう構成され、互いに間隔をおいて配置される第2の複数N2の可撓性要素とを有し、上記可撓性要素がそれぞれ、軸方向に可撓性を持ち、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転が第1の回転方向である場合、可撓性要素は、シェービング軌道に面するランプ要素の上側でランプ要素に接触し、ランプ要素上を摺動しながら上方に撓むようにされ、及び、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転が第1の回転方向とは反対の第2の回転方向である場合、可撓性要素は、シェービング軌道から離れる方向を向いたランプ要素の下側でランプ要素に接触し、ランプ要素にわたり摺動しながら下方に撓むようにされるよう、上記可撓性要素は、上記ランプ要素に対して配置される。
【0008】
本発明による毛髪切断ユニットの上記の定義から、上記毛髪切断ユニットに含まれ、上記露出距離を調整する調整システムは、上記中心軸の周りでの上記外部切断部材及び上記支持部材の相対回転を、上記外部切断部材及び上記支持部材の軸方向における相対移動に変換する変換機構を有し、この変換機構は、第1の複数N1の互いに間隔をあけたランプ要素と、第2の複数N2の互いに間隔をあけた可撓性要素との組み合わせを有し、上記要素の一のタイプが、上記外部切断部材を取り囲む上記支持部材の内面に配置され、上記要素の他のタイプが、上記外部切断部材の周方向外面に配置されることが導かれる。各ランプ要素は、中心軸に垂直な仮想平面に対して傾斜しており、各ランプ要素は、軸方向において軸方向延在部を持つ。可撓性要素はランプ要素との相互作用のために機能し、可撓性要素の各々は軸方向において可撓性を有する。変換機構の構成は、可撓性要素が、シェービング軌道に面するランプ要素の上側でランプ要素に接触し、ランプ要素の上側を摺動しながら上方に撓むようにされるかどうか、又は可撓性要素が、シェービング軌道から離れる方向を向いたランプ要素の下側でランプ要素に接触し、ランプ要素の下側を摺動しながら下方に撓むようにされるかどうかを、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転の回転方向が決定するようにされる。こうして、第1の場合において、外部切断部材及び支持部材の相対的な軸方向位置が得られ、この場合、可撓性要素が存在する外部切断部材及び支持部材の一方が、外部切断部材及び支持部材の他方に対して軸方向において持ち上げられ、第2の場合において、外部切断部材及び支持部材の相対的な軸方向位置が得られ、この場合、可撓性要素が存在する外部切断部材及び支持部材の一方が、外部切断部材及び支持部材の他方に対して軸方向において下げられることが実現される。こうして、ランプ要素の傾斜方向及び可撓性要素の上下に撓む能力に基づき、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転の回転方向を変化させることが、露出距離を変化させることをもたらすことが達成される。完全を期すために、本書で使用される「上」、「持ち上げられた」、「下げられた」、「上方」及び「下方」といった用語は、内部切断部材の位置に対するシェービング軌道の位置が軸方向においてより高い位置であるという仮定に関連して理解されることに留意されたい。
【0009】
ランプ要素及び可撓性要素は、任意の適切な設計であってよい。ランプ要素は、環状キャリア上のリブとして、又は個別の表面に直接に設けられることができ、可撓性要素は、環状キャリア上に、又は個別の表面に直接に配置される可撓性レバーのエンドタブとして設けられることができる。ランプ要素と可撓性要素とを備えた調整システムの変換機構の設計の利点は、ユーザが、要素の清掃又は交換の目的で毛髪切断ユニットを分解し、その後、毛髪切断ユニットを再び組み立てる状況に関連する。事実は、個別の回転方向において中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の相対回転なしに、露出距離が最大となる設定が得られないことである。その結果、最低レベルの快適さと最高レベルの皮膚損傷の危険性を伴うこの設定が、誤って得られるリスクがない。
【0010】
有利なことに、ランプ要素及び可撓性要素は、中心軸の周りに規則的に分布している。中心軸の周りでの接線方向における可撓性要素の寸法は、全ての可撓性要素が上記接線方向におけるランプ要素間の位置にある状況を回避するために、上記接線方向において隣接するランプ要素間の空間の寸法よりも必ずしも大きい必要はない。事実は、本発明による毛髪切断ユニットは、第1の複数N1及び第2の複数N2に関して異なる値で設計されることができることである。特に、第1の複数N1を第2の複数N2よりも大きくなるように選択することが可能である。これは好ましくは、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の任意の相対的な回転位置において、上記外部切断部材及び上記支持部材の相対回転が上記第1の回転方向である場合、上記可撓性要素の少なくとも3つが、上記ランプ要素の少なくとも3つの上側側面に接触し、及び上記外部切断部材及び上記支持部材の相対回転が上記第2の回転方向である場合、上記可撓性要素の少なくとも3つが、上記ランプ要素の少なくとも3つの下側側面に接触することが達成される態様で行われる。これは、すべての状況下における毛髪切断ユニットの高い安定性をもたらす。第1の複数N1及び第2の複数N2の値はそれぞれ、実用的な例を挙げると、15及び12とすることができる。
【0011】
本発明による毛髪切断ユニットの実際的な実施形態において、調整システムの変換機構は更に、上記外部切断部材及び上記支持部材の軸方向における相対移動を制限するための第1アバットメント部材及び第2アバットメント部材であって、上記第1アバットメント部材及び上記第2アバットメント部材がそれぞれ、露出距離の最大値及び最小値を規定する、第1アバットメント部材及び第2アバットメント部材とを有し、
ランプ要素の軸方向延在部は、露出距離の最大値と最小値との差よりも大きい。
【0012】
個別のアバットメント部材は、任意の適切な態様で設けられることができ、例えば、互いに距離をおいて対向する平面を有することができる。アバットメント部材の少なくとも1つが支持部材に含まれる場合、それは実用的であろう。任意の場合において、毛髪切断ユニットに個別のアバットメント部材を設けることは、露出距離の最大値及び最小値を規定する実用的な方法である。ランプ要素の軸方向延在部を、露出距離の最大値及び最小値の差よりも大きくなるように選択することにより、可撓性要素が、それぞれ露出距離の最大値及び最小値に対応する外部切断部材及び支持部材の相対的な軸方向位置において、ランプ要素の上側又は下側に一定の接触力で接触することが可能にされることが達成される。これに関して、軸方向において、露出距離が最大値と最小値との間の中心値を持つとき、ランプ要素に接触していない任意の可撓性要素の位置が、ランプ要素の上側及び下側に対する中心位置である場合、それは実用的である。結果として、可撓性要素とランプ要素との間の上記接触力は、露出距離の最大時と最小時とで実質的に等しくなる。
【0013】
本発明による毛髪切断ユニットの実際的な実施形態において、外部切断部材は、軸方向において第1アバットメント部材と第2アバットメント部材との間の位置にフランジを有し、第1アバットメント部材に接触するフランジの上面が、露出距離の最大値をもたらし、第2アバットメント部材に接触するフランジの下面が、露出距離の最小値をもたらす。外部切断部材が中心軸の周りで回転可能である場合、調整システムの駆動システムが、フランジとの係合により外部切断部材の回転を実現するよう構成されることが更に考えられる。例えば、駆動システムは、駆動歯車を有し、フランジは、駆動歯車がフランジと相互作用し、これにより外部切断部材を回転運動させることを可能にするための周辺歯(toothing)を備える。
【0014】
本発明は、従来の状況に適用されるのに適している。従来の状況では、外部切断部材及び支持部材の両方の中心軸の周りでの静止位置を維持しつつ、シェービング動作中、内部切断部材を中心軸の周りで連続的に回転させることのみが意図される。本発明は、他の状況にも適用される。他の状況は、中心軸の周りでの支持部材の静止位置を維持しつつ、シェービング動作中、中心軸の周りで内部切断部材を連続的に回転させるだけでなく、中心軸の周りで外部切断部材を連続的に回転させることが意図される状況を含む。斯かる観点から、調整システムの駆動システムに関して、以下の2つのオプションが本発明によりカバーされる。このオプションは、i)調整システムの駆動システムは、外部切断部材及び支持部材の、中心軸の周りでの限られた角度にわたる相対回転を実現するよう構成されること、及びii)調整システムの駆動システムは、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の連続的な相対回転を実現するよう構成されることである。
【0015】
i)調整システムの駆動システムが、外部切断部材及び支持部材の、中心軸の周りでの限られた角度にわたる相対回転を実現するよう構成される場合、露出距離を変化させることは、以下の特徴に基づかれることができる。
外部切断部材及び支持部材の、第1の回転方向における中心軸の周りでの限られた角度にわたる相対的な回転が、露出距離の最小から最大への変化をもたらす。及び
外部切断部材及び支持部材の、第2の回転方向における中心軸の周りでの限られた角度にわたる相対的な回転が、露出距離の最大から最小への変化をもたらす。
【0016】
有利なことに、限られた角度が90度より大きい必要がないよう毛髪切断ユニットは構成される。その結果、露出距離を変化させることは、非常に迅速に行われることができる。これは、少なくとも2つの毛髪切断ユニットがシェービングアセンブリに使用されるとき、各毛髪切断ユニットにおける露出距離の設定に関する限り、毛髪切断ユニットの同期を実現するための追加的な手段を必要としないことを意味する。
【0017】
ii)調整システムの駆動システムが、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の連続的な相対回転を実現するよう構成される場合、露出距離を変化させることは、以下の特徴に基づかれることができる。
外部切断部材及び支持部材の中心軸の周りでの第1の回転方向における連続的な相対回転が、露出距離の最大値をもたらす。
外部切断部材及び支持部材の中心軸の周りでの第2の回転方向における連続的な相対回転が、露出距離の最小値をもたらす。
中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の連続的な相対回転の回転方向が第1の回転方向から第2の回転方向に変化することが、露出距離が最大から最小に変化することをもたらす。及び
中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材の連続的な相対回転の回転方向が、第2の回転方向から第1の回転方向に変化することが、露出距離が最小から最大に変化することをもたらす。
【0018】
完全を期すため、最初のケースと後者のケースとの違いは、露出距離の所望の値が得られる態様にはなく、しかし、むしろ、最初のケースでは、中心軸の周りでの外部切断部材及び支持部材のいずれかの回転方向における相対回転が、露出距離の所望の値が得られた(直)後に停止され、一方、後者のケースでは、上記相対回転は、露出距離設定以外の理由で継続されるという事実にある点に留意されたい。
【0019】
本発明の上述した態様及び他の態様は、外部切断部材、内部切断部材、支持部材及び調整システムを有する毛髪切断ユニットの実施形態の以下の詳細な説明を参照することにより明らかになり、及びこれを参照して説明されるであろう。ここで、調整システムは、外部切断部材のシェービング軌道の皮膚接触面が支持部材の上面に対して突出する露出距離を調整するものとして機能し、調整システムが、外部切断部材を取り囲む支持部材の内面に配置されたランプ要素と、外部切断部材の周方向外面に配置された可撓性要素との間の相互作用に基づき機能するよう構成される変換機構を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による回転式電気シェーバの透視表示を図式的に示す図であり、この回転式電気シェーバが、シェービングアセンブリと本体とを有する、図である。
【
図2】シェービングアセンブリの毛髪切断ユニットの外部切断部材、装飾キャップ及び内部切断部材の透視表示を図式的に示す図であり、外部切断部材及びキャップが共に、一部が切り取られた状態で示される、図である。
【
図3】毛髪切断ユニットの支持部材及びその上に配置されたランプ要素の透視表示を図式的に示す図である。
【
図4】外部切断部材及びその上に配置された可撓性要素の透視表示を図式的に示す図である。
【
図5】可撓性要素及び可撓性要素のキャリアが一体化された要素の透視表示を図式的に示す図である。
【
図6】可撓性要素及び可撓性要素のキャリアが一体化された要素の底面表示を図式的に示す図である。
【
図7】ランプ要素を備える支持部材と可撓性要素を備える外部切断部材とのアセンブリの底面表示を図式的に示す図である。
【
図8】可撓性要素がランプ要素とどのように相互作用するかを示す図である。
【
図9】外部切断部材、支持部材、及び毛髪切断ユニットに関連する毛髪チャンバの断面表示を図式的に示す図である。
【
図11】可撓性要素を備え、更に周辺歯を持つフランジを備えた外部切断部材の上面表示を図式的に示す図である。
【
図12】シェービングアセンブリの3つの毛髪切断ユニットの個別の外部切断部材が、毛髪切断ユニット間の中央位置に配置された駆動歯車によりどのように駆動されるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明が以下、図を参照してより詳細に説明される。図では、同等又は類似の部分は同じ参照符号で示される。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による回転式電気シェーバ1の実用例として、髭剃りに使用されるのに適した回転式の電気シェーバを示す。回転式電気シェーバ1は、本体2とシェービングアセンブリ3とを有し、ここで、本体2は、シェーバ1のユーザがシェーバ1を持ち、シェーバ1を取り扱うことを可能にするよう設計され、シェービングアセンブリ3は、脱毛のために皮膚上に配置され、皮膚上を移動されるシェーバ1の部分である。本実施例では、シェービングアセンブリ3は、シェービングアセンブリ3のベースユニット5上に支持された3つの毛髪切断ユニット4を有する。回転式電気シェーバ1がシェービング動作を実行するために実際に適用されるとき、皮膚から突出する毛の実際の切断処理は、毛髪切断ユニット4の位置で行われる。本発明の文脈において、毛髪切断ユニット4の数は自由に選択されることができ、必ずしも3つである必要はなく、その数は少なくとも1つである。本体2は、個別の毛髪切断ユニット4の要素を駆動するための少なくとも1つの電動モータを収容する機能を持つことができる。本体2は、少なくとも1つの電動モータに電力を供給するための充電式バッテリなどの手段を更に含むことができる。回転式電気シェーバの分野でそれ自体知られるように、シェービングアセンブリ3及び本体2が互いに解放可能に接続可能である場合、それは実用的である。
【0023】
各毛髪切断ユニット4は、以下
図2を参照してより詳細に説明されるように、外部切断部材10及び内部切断部材20の組み合わせを有する。外部切断部材10は、概してカップ状の設計であり、これにより内部切断部材20をその内部に少なくとも部分的に収容するのに適している。外部切断部材10は、環状のシェービング軌道11を持ち、シェービング軌道11の上面は、シェービング作用を受ける皮膚に面して接触するように意図される皮膚接触面12である。シェービング軌道11は、毛髪切断ユニット4の中心軸14に対して実質的に半径方向において、シェービング軌道11の幅に沿って延びるラメラ13を有し、この軸は、回転軸21と一致し、この軸の周りで、内部切断部材20が外部切断部材10に対して回転可能である。ラメラ13の間に存在する開口は、シェービング軌道11の毛髪進入開口15を構成する。ラメラ13の側面は、内部切断部材20の毛切断要素23の毛切断エッジ22と協働して毛を切断するのに適した毛髪切断面16を構成する。本発明は、シェービング軌道11がラメラ13を有さない、又はラメラ13のみを有するのではない場合、例えば、シェービング軌道11全体が、ラメラ13の代わりに、又はラメラ13に加えて、歯のような要素及び/又は(円形の)穴のパターンを備えている場合にも関する。本発明は、外部切断部材10に複数のシェービング軌道11が存在する場合にも関する。
【0024】
シェービング動作は、内部切断部材20が回転するように作動され、皮膚接触面12の位置で皮膚の一部が外部切断部材10により実際に接触されるときに実行され得る。内部切断部材20の作動は、回転式電気シェーバ1の駆動機構により既知の態様で行われることができる。内部切断部材20が回転駆動されながら、外部切断部材10と内部切断部材20との組み合わせが、皮膚の部分上を移動されるとき、外部切断部材10のシェービング軌道11の毛髪切断面16と回転する内部切断部材20の毛切断要素23の毛切断エッジ22との間の協働の結果として、皮膚の部分から突出した毛が、外部切断部材10の毛切断軌道12の毛進入開口15において捕捉され、その位置で切断されることが実現される。
【0025】
シェービング軌道11の他に、外部切断部材10は、毛髪切断ユニット4における内部切断部材20を回転可能に支持するのに用いられるよう設計された中央軸受部を含む中央部17を有する。外部切断部材10の中央部17は、外部切断部材10の外面の一部を覆うよう構成された装飾キャップ25を支持する役割も果たす。図示の例では、中央部17は、中央に位置する凹部を有し、キャップ25は、凹部に収容される突起を有する。
【0026】
各毛髪切断ユニット4は、支持部材30を更に有する。支持部材30は、外部切断部材10を取り囲む上面31を持つ。本発明によれば、各毛髪切断ユニット4は、以下
図3~
図12を参照して説明するように、シェービング軌道11の皮膚接触面12が支持部材30の上面31に対して突出する露出距離deを調整する調整システムを有する。毛髪切断ユニット4における調整システムの存在に基づき、ユーザは個人の好みに応じて露出距離deを設定することが可能にされ、これらの個人の好みは、シェービング動作を受ける異なる皮膚領域に対して異なっていてよいことに留意されたい。一般的に言えば、調整システムは、i)中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の相対回転を実現し、ii)中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の相対回転を、中心軸14に平行な軸方向Aにおける外部切断部材10及び支持部材30の相対移動に変換するよう構成される。本実施例では、外部切断部材10は、少なくとも限られた角度にわたって回転可能であり、及び限られた範囲で軸方向Aにおいて変位可能でもある。一方、支持部材30は、毛髪切断ユニット4の固定要素である。従って、本実施例では、中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の相対回転の実現は、中心軸14の周りでの外部切断部材10の回転の実現により行われ、軸方向Aにおける外部切断部材10及び支持部材30の相対移動の実現は、軸方向Aにおける外部切断部材10の移動の実現により行われる。
【0027】
中心軸14の周りでの外部切断部材10の回転を、軸方向Aにおける外部切断部材10の移動に変換するため、調整システムは変換機構40を有し、この要素41、42が
図3~10に示される。事実は、変換機構40は、互いに間隔をあけたランプ要素41と、ランプ要素41と相互作用するよう互いに間隔をあけた可撓性要素42とを有することである。本実施例では、ランプ要素41は、外部切断部材10を取り囲む支持部材30の内面32に配置され、一方、可撓性要素42は、外部切断部材10の周方向外面18に配置される。各ランプ要素41は、中心軸14に垂直な仮想平面に対して傾斜するように配向され、ここで、各ランプ要素は、軸方向Aにおける軸方向延在部を持つ。
【0028】
ランプ要素41は、支持部材30の内面32にリブとして設けられ、一方、可撓性要素42は、外部切断部材10に配置された環状キャリア44に配置された可撓性レバー43のエンドタブとして提供される。レバー43及びキャリア44は、例えば
図5及び
図6に示されるように、金属製とすることができる単一の要素に一体化される。更に、
図7に見られるように、本実施例では、ランプ要素41及び可撓性要素42は、中心軸14の周りに規則的に分布され、ここで、ランプ要素41は、第1の複数N1である15個で構成され、一方、可撓性要素42は、第2の複数N2である12個で構成される。互いに間隔をあけたランプ要素41の周辺行と、互いに間隔をあけた可撓性要素42の周辺行の個別の設計は、中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の任意の相対的な回転位置において、可撓性要素42の少なくとも3つが、ランプ要素41の少なくとも3つと接触することが保証されるよう、選択される。
【0029】
前述したように、可撓性要素42は、ランプ要素41と相互作用するためのものである。事実は、支持部材30におけるランプ要素41の位置決めと可撓性要素42の位置決めとは、ランプ要素41及び可撓性要素42が毛髪切断ユニット4内で軸方向に重なる位置にあるように、互いに適合される。可撓要素42は、板バネに匹敵する。特に、可撓性要素42は、軸方向Aにおいて可撓性がある。
図8を参照すると、これは、外部切断部材10が中心軸14の周りで反時計回りの回転方向に回転されるとき、可撓性要素42は、シェービング軌道11に面するランプ要素41の上側41aでランプ要素41に接触し、ランプ要素41により上方に押され、その結果、外部切断部材10に対する持ち上げ力が生成され、一方、外部切断部材10が中心軸14の周りで時計回りの回転方向に回転されるとき、可撓性要素42は、シェービング軌道11から離れる方向を向いたランプ要素41の下側41bでランプ要素41に接触し、ランプ要素41により下方に押され、その結果、外部切断部材10に対する下降力が生成されることを意味することに留意されたい。露出距離deを変化させるのに有効なのは、変換機構40のこの機能である。単一の可撓性要素42のレベルで見られるように、外部切断部材10が中心軸14の周りで回転されるとき、可撓性要素42は、外部切断部材10の回転運動の回転方向に基づき、ランプ要素41の上部側面41a又は下部側面41bのいずれかにおいて、連続するランプ要素41に沿って連続的に摺動し、及びランプ要素41の間のスペースにおいて中立の非撓み状態をとるようにされる。なぜなら、可撓性要素42の寸法が、可撓性要素42の全体が上記スペースにフィットするよう十分小さいからである。
【0030】
図9及び
図10を参照すると、露出距離deの最大値及び最小値をそれぞれ規定する目的で、変換機構40は、第1アバットメント部材45及び第2アバットメント部材46を更に有する点に留意されたい。本実施例では、第1アバットメント部材45は、支持部材30の環状表面領域を有し、第2アバットメント部材46は、毛髪切断ユニット4に関連する毛髪チャンバ35を区画する環状壁36の上面を有する。更に、外部切断部材10は、軸方向Aにおける第1アバットメント部材45と第2アバットメント部材46との間の位置にフランジ47を有する。外部切断部材10が中心軸14の周りで反時計回りの回転方向に回転されるとき、こうして得られる外部切断部材10に関する持ち上げ力が、フランジ47の上面47aが第1アバットメント部材45に当接することをもたらし、これにより、露出距離deの最大値が得られ、一方、外部切断部材10が中心軸14の周りで時計回りの回転方向に回転されるとき、こうして得られる外部切断部材10に関する下降力が、フランジ47の下面47bが第2アバットメント部材46に当接することをもたらす。従って、露出距離deの最大値は、第1アバットメント部材45により規定され、一方、露出距離deの最小値は、第2アバットメント部材46により規定される。露出距離deを一方の値から他方の値に変更することは、第1アバットメント部材45及び第2アバットメント部材46の適切な1つに対して新しい軸方向の当接位置にフランジ47が到達するのに十分な角度距離にわたって、適切な回転方向で中心軸14の周りで外部切断部材10を回転させることにより、行われる。ランプ要素41の軸方向延在部は、露出距離deの最大値と最小値との差よりも大きく、これにより、露出距離deの任意の可能な設定において、ランプ要素41が可撓性要素42に接触することが保証される。
【0031】
中心軸14の周りでの外部切断部材10の回転を実現するために、調整システムは駆動システム50を有する。本実施例では、フランジ47は、
図11及び
図12に見られるように、周辺歯48を備えている。その結果、外部切断部材10が歯48に係合する歯車により駆動されることができる。
図12を参照すると、毛髪切断ユニット4の個別の外部切断部材10を同時に駆動するために、1つの中央歯車51が使用される場合有利であることに留意されたい。適切なボタンを押すか、本体2上又は回転電気シェーバ1を保持するためのクレードル上に存在し得るタッチスクリーンに触れるか、又はシェーバ1の動作を制御するよう構成されるモバイルデバイス上のアプリを使用するなどして、ユーザが露出距離deの値を変更する希望を示した後、中央歯車51が回転運動され、ここで、回転運動の回転方向は、露出距離deの所望の新しい値が得られることができるように設定される。中央歯車51の回転運動の回転方向のこの設定は、任意の適切な態様で、任意の適切な制御機構を使用して行われることができる。例えば、中央歯車51は、その目的のためだけに設けられた電気モータにより駆動されることができ、露出距離deの値の変化が実現されるとき、その出力シャフトの回転方向を反転させるように電動モータが制御されるか、又は、電動モータの出力シャフトと中央歯車51との間にカップリング装置が設けられ、この装置は、電動モータの出力シャフトの回転が中央歯車51に伝達される態様を逆にするように調整可能である。専用の電動モータを持つことは、内部切断部材20から独立して調整システムを作動させ、所望される場合シェービング動作中に露出距離deの値を変更する可能性を提供する。従って、露出設定deは適応的なシェービング機能となりうる。
【0032】
本実施形態の毛髪切断ユニット4では、一つの可能性は、露出距離deの値の変更が望まれる場合にのみ駆動システム50を作動させ、新しい値に達するとすぐに、又は達した直後に、中央歯車51の回転を終了させることである。図示の構成では、露出距離deの値を変更することは、中央歯車51及び中央歯車51により係合される各外部切断部材10を1/4回転させるだけでよい。別の可能性は、個別の外部切断部材10が、個別の中心軸14の周りで連続的に回転されるよう、駆動システム50を連続的に作動させることである。これは、例えば剃り心地を向上させることを目的とした手段として行われることができる。その場合、露出距離deの値を変更することが望まれるとき、これは、適切な方向における中央歯車51の回転を実現することにより行われ、この回転は、個別の外部切断部材10の回転が望まれる限り続けられる。いずれの場合も、外部切断部材10が露出距離deの他の値に関連する回転方向において中心軸14の周りで回転されない限り、新たに設定された露出距離deの値は維持される。
【0033】
本発明の範囲は、前述した例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の範囲から逸脱することなく、そのいくつかの修正及び変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。本発明は、特許請求の範囲又はその均等物の範囲内にある限り、斯かる修正及び変更をすべて含むものとして解釈されることが意図される。本発明が図及び説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図示及び説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本発明は、開示される実施形態に限定されるものではない。図面は概略的であり、そこでは、本発明を理解するために必要でない詳細は省略される場合があり、必ずしも縮尺通りではない。
【0034】
開示される実施形態への変形は、図、説明、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載される発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他のステップ又は要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数性を除外するものではない。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
特定の実施形態のために、又はこれに関連して議論される要素及び側面は、他の態様が明示されていない限り、他の実施形態の要素及び側面と適切に組み合わせられることができる。従って、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。
【0036】
本書で使用される「有する」及び「含む」という用語は、当業者であれば「からなる」という用語をカバーするものとして理解されるだろう。従って、「有する」又は「含む」という用語は、ある実施形態では「からなる」を意味するが、別の実施形態では「少なくとも規定された種と、オプションの1つ又は複数の他の種とを含む/持つ/備える」を意味する場合がある。
【0037】
前述では、毛髪切断ユニット4に関連する毛髪チャンバ35が参照された。本発明の文脈では、シェービングアセンブリ3が個々の毛髪チャンバ、即ち1つの毛髪切断ユニット4につき1つの毛髪チャンバを有する場合に実用的であり得るが、1つの毛髪チャンバが2つ以上の毛髪切断ユニット4間で共有される状況においても本発明が適用可能であるという事実を変更するものではない。
【0038】
本発明の注目すべき側面は以下に要約されることができる。外部切断部材10、内部切断部材20及び支持部材30を有するタイプの回転式電気シェーバ1用の毛髪切断ユニット4において、外部切断部材10のシェービング軌道11の皮膚接触面12が支持部材30の上面31に対して突出する露出距離deが調整可能である。この目的のために、調整システムが提供され、これは、駆動システム50と、互いに間隔をあけた第1の複数のランプ要素41、及びランプ要素41と相互作用するよう互いに間隔をあけた第2の複数の可撓性要素42を持つ変換機構40とを有する。毛髪切断ユニット4の中心軸14の周りでの外部切断部材10及び支持部材30の相対的な回転の回転方向に基づき、可撓性要素42は、軸方向Aの上方又は下方に撓むようにされ、これは、外部切断部材10及び支持部材30を軸方向Aにおいて互いに対して移動させるため、又は、露出距離deの最大値又は最小値のいずれかに関連する外部切断部材10及び支持部材30の相対的な軸方向位置を維持するために有用である。毛髪切断ユニット4において適切な位置にある個別のアバットメント部材45、46は、露出距離deの最大及び最小を規定するために使用され得る。
【国際調査報告】