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特表2025-503211接続配置装置及び流体ラインのための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】接続配置装置及び流体ラインのための方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/02 20060101AFI20250123BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20250123BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20250123BHJP
   F16L 23/032 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
F16L3/02 Z
F16K27/00 C
F16L3/08 E
F16L23/032
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544696
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 IB2022050775
(87)【国際公開番号】W WO2023144587
(87)【国際公開日】2023-08-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517289000
【氏名又は名称】ティーアイ グループ オートモーティブ システムズ,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプライガーダ アレン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ブロック ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】スティーバー マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ティーレン ジェイ.クレタス
(72)【発明者】
【氏名】ランデュート アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン ハンス
【テーマコード(参考)】
3H016
3H023
3H051
【Fターム(参考)】
3H016AA03
3H016AB08
3H016AD08
3H023AA02
3H023AB01
3H023AC21
3H023AD04
3H023AD15
3H023AD54
3H023AD55
3H023AE06
3H051BB10
3H051CC15
3H051EE06
3H051FF08
3H051FF15
(57)【要約】
流体ラインにおける少なくとも1本のチューブと強固な接続を行うための接続配置装置は、少なくとも2つの出口を有する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体と、少なくとも1つの構成要素を備えてなり、アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルを有する嵌合ブロックと、を有する。アダプタ本体は、アダプタ本体の外側に形成された保持特徴部を有する。嵌合ブロックは、チャネルの内側に形成された嵌合特徴部を有する。さらに、アダプタ本体の保持特徴部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに強固に保持されるように、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに結合されたときに、嵌合ブロックの嵌合特徴部と相互に作用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインにおいて少なくとも1つのチューブと強固な接続を行うための接続配置装置であって、
少なくとも2つの出口を有する流体チャネルを形成する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体であって、当該アダプタ本体の外側に形成された保持特徴部を有するアダプタ本体と、
少なくとも1つの構成要素を備えてなる嵌合ブロックであって、前記アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルと、当該チャネルに形成された嵌合特徴部と、を有する嵌合ブロックと、
を備え、
前記アダプタ本体の前記保持特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに結合されたときに、前記嵌合ブロックの嵌合特徴部と相互に作用するように構成されている、ことを特徴とする接続配置装置。
【請求項2】
前記アダプタ本体の保持特徴部は、梁状をなし、
前記アダプタ本体に取り付けられた固定端と、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されたときに梁状の前記保持特徴部が前記嵌合特徴部と係合するように、第2の出口の流れ方向に対して角度をなして前記固定端から延びている自由端と、
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項3】
前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体の前記梁状の保持特徴部を受けるため、前記チャネルの内側面に溝として形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の接続配置装置。
【請求項4】
前記アダプタ本体の前記保持特徴部は、前記アダプタ本体の外側面に形成された少なくとも一つの突出部を有し、当該少なくとも一つの突出部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されるときに、前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部と係合する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項5】
前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体の前記突出部と係合する大きさを有する少なくとも一つの孔を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の接続配置装置。
【請求項6】
前記嵌合ブロックは、インサートと外側本体との2つの構成要素を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項7】
前記インサートは、金属材料から形成され、
前記外側本体は、前記嵌合ブロックを形成するように、前記インサートにオーバーモールドされるポリマー材料から形成される、ことを特徴とする請求項6に記載の接続配置装置。
【請求項8】
前記嵌合ブロックの前記外側本体は、前記アダプタ本体の前記保持特徴部を受ける嵌合特徴部を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の接続配置装置。
【請求項9】
前記アダプタ本体は、第1の出口及び第2の出口を有し、前記第1の出口及び前記第2の出口は、前記流体ラインにおいて直線的な流れ方向に沿って延びるか又は前記流体ラインの流れ方向を変えるように互いに対して角度をなして設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項10】
前記アダプタ本体の前記第2の出口は、第1の端部と、前記第2の出口の第2の流れ方向に沿って前記第1の端部から延びる第2の端部と、を有し、
前記アダプタ本体の前記第2の出口は、前記第2の出口の前記第1の端部の周囲に形成されたアダプタビードをさらに有する、ことを特徴とする請求項9に記載の接続配置装置。
【請求項11】
前記嵌合ブロックの前記チャネルは、段付きの環状面を有し、当該段付きの環状面は、前記チャネルの長手方向の軸に対して直角に面し、前記チャネルより大きい直径を有し、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに結合されたときに、前記アダプタ本体の前記アダプタビードを受け、前記アダプタビードを支持する、ことを特徴とする請求項10に記載の接続配置装置。
【請求項12】
前記アダプタ本体は、前記アダプタ本体の周囲に沿って形成され、半径方向に延在する少なくとも1つの円形ビードをさらに有し、
前記少なくとも1つの円形ビードは、前記第2の出口の前記第2の流れ方向に沿って前記アダプタビードから離間して配設されている、ことを特徴とする請求項10に記載の接続配置装置。
【請求項13】
前記アダプタ本体は、前記アダプタ本体のクリープを防止するため、前記アダプタビードと前記円形ビードとの間に形成され、連結された少なくとも一つのリブをさらに有する、ことを特徴とする請求項12に記載の接続配置装置。
【請求項14】
前記嵌合ブロックの前記チャネルは、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに結合されたときに前記アダプタ本体の第1の出口を受けるように前記チャネルの側壁に形成された側部開口をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項15】
前記アダプタ本体の第2の出口の周りにシールリングが配置され、
前記シールリングは、前記第2の出口が前記チューブと接続されるか、又は流体ラインシステムの構成要素に取り付けられるときに、前記流体ラインにおいてシールを行うように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の接続配置装置。
【請求項16】
前記アダプタ本体の前記第2の出口に位置する前記シールリングの一部が、前記嵌合ブロックにおける段付きの環状面に配置され、前記シールリングの前記一部及びアダプタビードが前記嵌合ブロックの前記チャネル内に位置する、ことを特徴とする請求項15に記載の接続配置装置。
【請求項17】
前記嵌合ブロックは、前記嵌合ブロックを流体ラインシステムの構成要素に取り付けるための締結要素を受ける少なくとも1つの貫通孔をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項18】
前記チューブの一方が前記アダプタ本体の第1の出口に挿入され、溶接などの強固な結合方法により前記アダプタ本体に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項19】
前記アダプタ本体はプラスチック材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項20】
前記嵌合ブロックは金属又はポリマー材料から形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項21】
流体ラインにおいて少なくとも1つのチューブと強固な接続を行うための接続配置装置であって、
少なくとも2つの出口を有する流体チャネルを形成する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体であって、当該アダプタ本体は保持特徴部を有する、アダプタ本体と、
インサート及び外側本体を備えてなる嵌合ブロックであって、前記アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルと、当該チャネルに形成された嵌合特徴部と、を有する嵌合ブロックと、
を備え、
前記アダプタ本体の前記保持特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部に係合する、ことを特徴とする接続配置装置。
【請求項22】
前記アダプタ本体は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに前記嵌合ブロックの上面に配置されるアダプタビードを有する、ことを特徴とする請求項21に記載の接続配置装置。
【請求項23】
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに、前記保持特徴部が前記嵌合特徴部に形成された溝と強固に係合するように、前記保持特徴部は、前記アダプタビードの第2の側面から延びている、ことを特徴とする請求項22に記載の接続配置装置。
【請求項24】
前記インサートは金属材料から形成され、前記外側本体はポリマー材料から形成され、前記インサートにオーバーモールドされる、ことを特徴とする請求項21に記載の接続配置装置。
【請求項25】
少なくとも1つのチューブを用いた、流体ラインにおける強固な接続のための接続配置方法であって、
少なくとも2つの出口を有する少なくとも1つのアダプタ本体を提供するステップと、
少なくとも1つのチャネル及び少なくとも1つの貫通孔を有する嵌合ブロックを提供するステップと、
前記チューブの端部を第1の出口に挿入し、強固に結合されるように、挿入された前記チューブを前記アダプタ本体に接続するステップと、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルと係合するように、前記チューブが接続された前記アダプタ本体を前記嵌合ブロックの前記少なくとも1つのチャネルに結合するステップと、
を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記嵌合ブロックを提供するステップは、インサートと、当該インサートにオーバーモールドされた外側本体と、を提供するステップを含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
他のチューブと接続するため、前記アダプタ本体の第2の出口の周囲に配置することにより、前記アダプタ本体の前記第2の出口にシールワッシャを設置するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記嵌合ブロックの貫通孔を介して締結要素により、前記アダプタ本体と係合した前記嵌合ブロックを前記流体ラインに取り付けるステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記アダプタ本体は、保持特徴部を有し、
前記嵌合ブロックは、嵌合特徴部を有し、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックに結合されたときに、前記アダプタ本体の前記保持特徴部が前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部と係合する、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記アダプタ本体は、アダプタビードをさらに有し、
前記嵌合ブロックは、段付きの環状面をさらに有し、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されるとき、前記嵌合ブロックの前記段付きの環状面が前記アダプタ本体の前記アダプタビードを受けて、前記アダプタビードを支持する、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記嵌合ブロックは、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに、前記チューブと強固に接続された前記第1の出口を受けるように、前記チャネルの側壁に形成された側部開口をさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体ラインアセンブリにおける接続配置に関する。特に、本開示は、自動車において強固な接続を行うための嵌合ブロックを有するアダプタを備える接続配置に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、単に本開示に関連する背景技術の情報を記載したものであり、先行技術を構成するものではない。
【0003】
接続配置は、一般に自動車の流体ラインアセンブリに使用される。特に、接続配置は、空調システム、冷却システム(例えば、冷却水回路)、バルブユニット、ポンプユニットにおいて使用される。限定されたスペースでは、特にコンパクトかつ軽量な設計が必要となる。また、空調システムのパイプ又はチューブの接続部は、金属、ゴム及びプラスチック材料から構成されることがある。さらに、パイプ又はチューブは、シール要素を備えたアダプタを介して取り付けられる。従って、アダプタをパイプにしっかりと、かつ耐久性のあるシーリングで接続し、さらにパイプ又は空調システムにおける他の部品に着脱可能に接続する必要がある。しかし、高圧及び高温に加えて、振動が発生し、これらが空調システムの構成部品に伝達される。従って、空調システムに使用される接続配置は、振動及び高圧に対して耐久性のある接続を実現し、流体が漏れない構造でなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、自動車の空調システムなどの流体ラインシステムは、軽量であり、かつ限られたスペースにおいて耐久性を有するように構成されることが重要である。しかし、流体ラインシステムの構成部品同士を固定する締結手段の数は限られており、また、流体ラインシステムにおいて強固な接続を行うように、接続配置に耐久性のある密閉性を提供するアダプタを構成することは困難であることが分かった。密封され固定された流体ラインを車両に効果的に配置するために、接続配置のための多くの装置及び方法が継続的に開発され、様々な流体ラインシステムで使用されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、流体ラインにおいて少なくとも1つのチューブとの強固な接続を行うための接続配置装置に関する。本開示の接続配置装置により、車両の空調システムなどの流体ラインシステムにおいて、軽量で安定した耐久性のある接続を行うことができる。本開示の一態様によれば、接続配置装置は、少なくとも2つの出口を有する流体チャネルを形成する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体と、少なくとも1つの構成要素を備えてなる嵌合ブロックと、を有する。さらに、嵌合ブロックは、アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルを有する。アダプタ本体は、アダプタ本体の外側に形成された保持特徴部を有する。嵌合ブロックは、チャネル内に形成された嵌合特徴部を有する。さらに、アダプタ本体の保持特徴部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに強固に保持されるように、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに結合されたときに、嵌合ブロックの嵌合特徴部と相互作用するように構成されている。
【0006】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体の保持特徴部は、梁状をなし、アダプタ本体に取り付けられた固定端と、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに保持されたときに梁状の保持特徴部が嵌合特徴部と係合するように、第2の出口の流れ方向に対して角度をなして固定端から延びている自由端と、を有する。嵌合ブロックの嵌合特徴部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに強固に保持されるように、アダプタ本体の梁状の保持特徴部を受けるため、チャネルの内側面に溝として形成されている。
【0007】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体の保持特徴部は、アダプタ本体の外側面に形成された少なくとも一つの突出部を有する。少なくとも一つの突出部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに保持されるときに、嵌合ブロックの嵌合特徴部と係合する。嵌合ブロックの嵌合特徴部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに強固に保持されるように、アダプタ本体の突出部と係合する大きさを有する少なくとも一つの孔を備える。
【0008】
本開示のさらなる態様によれば、嵌合ブロックは、インサート及び外側本体などの2つの構成要素を備えてなる。インサートはアルミニウムなどの金属材料から形成され、外側本体はポリマー材料から形成される。外側本体はインサートにオーバーモールドされて嵌合ブロックが形成される。嵌合ブロックの外側本体は、アダプタ本体の保持特徴部を受ける嵌合特徴部を有する。
【0009】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体は、第1の出口及び第2の出口を有し、第1の出口及び第2の出口は、流体ラインにおいて直線的な流れ方向に沿って延びるか又は流体ラインの流れ方向を変えるように互いに対して角度が付けられている。アダプタ本体の第2の出口は、第1の端部と、第2の出口の第2の流れ方向に沿って第1の端部から延びる第2の端部と、を有する。アダプタ本体の第2の出口は、第2の出口の第1の端部の周囲に形成されたアダプタビードをさらに有する。嵌合ブロックのチャネルは、段付きの環状面を有し、当該段付きの環状面は、チャネルの長手方向の軸に直角に面し、チャネルより大きい直径を有し、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに結合されたときに、アダプタ本体のアダプタビードを受け、アダプタビードを支持する。
【0010】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体は、アダプタ本体の周囲に沿って形成され、半径方向に延在する少なくとも1つの円形ビードをさらに有する。少なくとも1つの円形ビードは、第2の出口の第2の流れ方向に沿ってアダプタビードから離間して配置されている。アダプタ本体は、アダプタ本体のクリープを防止するため、アダプタビードと円形ビードとの間に形成され、連結された少なくとも一つのリブをさらに有する。
【0011】
本開示のさらなる態様によれば、嵌合ブロックのチャネルは、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに結合されたときにアダプタ本体の第1の出口を受けるようチャネルの側壁に形成された側部開口をさらに有する。アダプタ本体の第2の出口の周りにシールワッシャ(又はシールリング)が配置されている。シールワッシャ(又はシールリング)は、第2の出口が1つのチューブと接続されるか、流体ラインシステムの構成要素の1つに取り付けられるときに、流体ラインにおいてシールを行うように構成されている。さらに、別のチューブがアダプタ本体の第1の出口に挿入され、溶接などの強固な結合方法でアダプタ本体に接続される。
【0012】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体の第2の出口に保持されたシールリングの一部が、嵌合ブロックにおける段付きの環状面に配置され、シールリングの一部及びアダプタビードが嵌合ブロックのチャネル内に位置する。
【0013】
本開示のさらなる態様によれば、嵌合ブロックは、嵌合ブロックを流体ラインシステムの構成部品に取り付けるための締結要素を受ける少なくとも1つの貫通孔をさらに有する。アダプタ本体はプラスチック材料から形成されている。嵌合ブロックは金属又はポリマー材料から形成されている。
【0014】
本開示の別の態様によれば、流体ラインにおいて少なくとも1つのチューブと強固な接続を行うための接続配置装置は、少なくとも2つの出口を有する流体チャネルを形成する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体を備える。アダプタ本体は保持特徴部を有する。嵌合ブロックは、インサート及び外側本体を有するとともに、アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルと、当該チャネルに形成された嵌合特徴部と、を有する。アダプタ本体の保持特徴部は、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルに強固に保持されるように、嵌合ブロックの嵌合特徴部に係合する。
【0015】
本開示のさらなる態様によれば、アダプタ本体は、アダプタ本体が嵌合ブロックと結合されたときに嵌合ブロックの上面に配置されるアダプタビードを有する。アダプタ本体が嵌合ブロックと結合されたときに、保持特徴部が嵌合特徴部に形成された溝と強固に係合するように、保持特徴部は、アダプタビードの第2の側面から延びている。
【0016】
本開示の別の態様によれば、少なくとも1つのチューブを用いた、流体ラインにおける強固な接続のための接続配置方法は、第1の出口及び第2の出口を有する少なくとも1つのアダプタ本体を提供するステップと、少なくとも1つのチャネル及び少なくとも1つの貫通孔を有する嵌合ブロックを提供するステップと、チューブの端部を第1の出口に挿入し、強固に結合されるように、挿入されたチューブをアダプタ本体に接続するステップと、アダプタ本体が嵌合ブロックのチャネルと係合するように、チューブが接続されたアダプタ本体を嵌合ブロックの少なくとも1つのチャネルに結合するステップと、を含む。嵌合ブロックを提供するステップは、インサートと、インサートにオーバーモールドされた外側本体と、を提供するステップを含む。
【0017】
本開示のさらなる態様によれば、接続配置方法は、他のチューブと接続するため、締まりばめ(圧入接合)又はアダプタ本体の第2の出口の周囲に配置することにより、アダプタ本体の第2の出口にシールワッシャを設置するステップと、嵌合ブロックの貫通孔を介して締結要素により、アダプタ本体と係合した嵌合ブロックを流体ラインに取り付けるステップと、をさらに含む。
【0018】
本開示のさらなる説明及び利点は、添付の図面の詳細な説明から明らかになるであろう。図面は、本明細書において単に例示を目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0019】
次に、本開示の詳細な理解のため、添付の図面を参照しながら、例示として種々の形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A図1Aは、本開示の例示的な形態に係る、アダプタ本体及び1つのチャネルを有する嵌合ブロックを備えた接続配置装置の斜視図である。
図1B図1Bは、本開示の別の例示的な形態に係る、アダプタ本体及び2つのチャネルを有する嵌合ブロックを備えた接続配置装置の斜視図である。
図2A図2Aは、図1Aの接続配置装置におけるアダプタ本体の側面図である。
図2B図2Bは、本開示の別の例示的な形態に係るアダプタ本体の側面図である。
図2C図2Cは、図2A及び図2Bの1つの嵌合ブロック及び2つのアダプタ本体を有する接続配置装置の上面図である。
図3A図3Aは、図1Aの嵌合ブロックの斜視図である。
図3B図3Bは、図1Bの嵌合ブロックの斜視図である。
図4A図4Aは、図1Bの線A-Aに沿った接続配置装置の側方断面図である。
図4B図4Bは、本開示の別の例示的形態に係る接続配置装置の側方断面図である。
図5A図5Aは、図2Aのアダプタ本体に形成された他の保持特徴部の側面図である。
図5B図5Bは、図2Bのアダプタ本体に形成された他の保持特徴部の側面図である。
図5C図5Cは、図1Aの嵌合ブロックの別の嵌合特徴部の斜視図である。
図6A図6Aは、図1Aの接続配置装置の組立工程を示す。
図6B図6Bは、図1Aの接続配置装置の組立工程を示す。
図6C図6Cは、図1Aの接続配置装置の組立工程を示す。
図6D図6Dは、図1Aの接続配置装置の組立工程を示す。
図7A図7Aは、本開示の別の例示的な態様に係る、1つのチャネルを有する嵌合ブロック及びアダプタ本体を備える接続配置装置の斜視図である。
図7B図7Bは、流体ラインシステムに取り付けられた図7Aの接続配置装置の平面図である。
図7C図7Cは、図7Bの線7C-7Cに沿った、流体ラインシステムに取り付けられた接続配置装置の側方断面図である。
図8A図8Aは、本開示の別の例示的な形態に係る嵌合ブロックの斜視図である。
図8B図8Bは、図8Aの嵌合ブロックの平面図である。
図8C図8Cは、図8Aの嵌合ブロックのインサートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に添付した図面は、説明のためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0022】
以下の説明は、単なる例示であり、本開示又はその適用もしくは用途を限定することを意図するものではない。図面全体において、対応する参照符号は、同様又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0023】
本開示の接続配置装置は、自動車の空調システム又は冷却システムなどの流体ラインシステムに関連して例示される。一例として、本開示の接続配置装置は、コンプレッサ、コンデンサ、熱交換器、エバポレータ、さらに中間接続部を有する空調システムに使用される。特に、接続配置装置は、軽量であり、自動車における空調システムの構成要素が耐久性のある強固な接続を有する空調システムに提供される。しかし、本開示の接続配置装置は、これに限定されず、冷却システム(例えば、冷却水回路)、バルブユニット、ポンプユニットなどの他の流体ラインシステムにも使用可能である。
【0024】
図1A及び図1Bは、少なくとも1つのアダプタ本体100と、アダプタ本体100と結合された嵌合ブロック200と、を有する接続配置装置10を示している。一般に、接続配置装置10は、自動車の冷媒などの流体ラインの締結要素によって、空調システムなどの流体ラインシステム(図示せず)に固定される。図1A及び図1Bに示すように、アダプタ本体100は、流体チャネルとして形成された通路ボア102を有し(図4A参照)、アダプタ本体100の各端部に形成された第1の出口104及び第2の出口106などの少なくとも2つの出口を含む(図2A及び図2B参照)。第1の出口104は流体チャネル102を介して第2の出口106と連通する。第1の出口104及び第2の出口106は、一般に、流体ラインシステムにおいて強固な接続を行うためのチューブ又はホースにそれぞれ接続される。別の態様では、アダプタ本体100は、2つの出口に限定されず、3つ以上の出口を有する。図4Aに示すように、アダプタ本体100の第1の出口104は、チューブ12を受けるように中空の円筒形状を有する受容体の形態をなしている。チューブ12は、第1の出口104に挿入され、強固に接続されるように、溶接、特にレーザ溶接によってアダプタ本体100に接続される。さらに、図1A及び図1Bにおいて、嵌合ブロック200は、アダプタ本体100が嵌合ブロック200と結合されるように、アダプタ本体100を受ける少なくとも1つのチャネル202を有する。
【0025】
図2Aに示すように、アダプタ本体100は、第1の出口104及び第2の出口106を有する。第1の出口104及び第2の出口106は、流れ方向を変えるように、90度の角度をなして設けられている。本開示の他の態様によれば、所望の流れ方向を形成するため、第1の出口104と第2の出口106がなす角度を45度、90度又は180度(つまり水平の流れ方向)に変更してもよい。図2Aの例では、第1の出口104に沿って第1の流れ方向105が画定され、第2の出口106に沿って第2の流れ方向107が画定され、第1の出口104と第2の出口106とが90度の角度をなしている。そのため、第1の流れ方向105と第2の流れ方向107とが直角をなしている。
【0026】
図2Aにおいて、第2の出口106は、第1の端部108と、第2の流れ方向107に沿って第1の端部108から延びる第2の端部110と、を有する。さらに、アダプタ本体100は、アダプタビード112と、アダプタ本体100の周囲に沿って径方向に延在する少なくとも一つの円形ビード114と、を有する。アダプタビード112は、第2の出口106の第1の端部108の周囲に形成され、少なくとも1つの円形ビード114は、第2の流れ方向107に沿ってアダプタビード112から離間して形成されている。さらに、図2Aに示すように、アダプタ本体100は、少なくとも1つのリブ116を有する。リブ116は、アダプタビード112と1つの円形ビード114との間に形成され、車両内で作動する空調システムに接続配置装置10が取り付けられたときに、アダプタ本体100のクリープを防止する。
【0027】
図2Bは、アダプタ本体300の第2の実施例を示している。アダプタ本体300は、第2の出口306を有する。第2の出口306は、アダプタ本体300が直径のより大きなチューブと接続されるように、アダプタ本体100の第2の出口106よりも大きな直径を有する。さらに、第2の実施例に係るアダプタ本体300は、第1の実施例に係るアダプタ本体100に形成された円形ビード114及びリブ115を備えていない。図2A及び図2Bに示すように、アダプタ本体300は、第1のチャネル202より大きな第2のチャネル203に適合するのに十分な大きさ有している。このため、第2の実施例に係るアダプタ本体300の嵌合ブロック200の第2のチャネル203(図3B参照)との結合には、第1の実施例に係るアダプタ本体100に形成された円形ビード114が必要とされない。図2Bのアダプタ本体300と比較して、図2Aのアダプタ本体100の壁部の厚さなどの構造上のサイズを小さくしてもよい。これは、アダプタ本体100の大きさが小さい場合、射出成形プロセスにおけるアダプタ本体100の寸法安定性が増し、より良好な射出成形が実現するためである。従って、図1Aのアダプタ本体100において、リブ116を有する円形ビード114は、嵌合ブロック200のチャネル202と嵌合するために外径を十分な大きさに拡大するために必要であり、かつアダプタ本体100の壁部の厚さの減少に対処するようにアダプタ本体100の構造強度の増加のために必要である。
【0028】
図2Cは、2つのアダプタ本体100,300と、2つのチャネル202,203を有する嵌合ブロック200と、を有する接続配置装置10の例を示している。第1のチャネル202は第2のチャネル203より小さい。第1のチャネル202は第1のアダプタ本体100を受容し、第2のチャネル203は第2のアダプタ本体300を受容する。従って、アダプタ本体100,300の大きさが異なることにより、接続配置装置10は、大きさが異なるチューブ12を流体ラインシステムに使用することが可能となる。
【0029】
図2A及び図2Bを参照すると、アダプタ本体100,300は、梁(ビーム)状をなす保持特徴部118を有する。保持特徴部118は、アダプタ本体100,300にそれぞれに取り付けられた固定端122と、固定端122から延びる自由端124と、を有する。アダプタ本体100,300は同一の保持特徴部118を有するため、以下、アダプタ本体100に形成された保持特徴部118について説明する。図2A及び図2Bにおいて、梁(ビーム)状の保持特徴部118の自由端124は、固定端122から第2の流れ方向107に対して所定の角度126をなして延びており、角度をなした保持特徴部118により、アダプタ本体100は嵌合ブロック200と相互に作用し、かつ嵌合ブロック200と係合する(図4A参照)。
【0030】
アダプタ本体100,300の各々は、好ましくはプラスチック材料から形成される。特に、アダプタ本体100,300は、ポリアミド(PA)、例えば、ポリアミド612(PA612)などのポリマー材料から形成される。また、強度及び/又は機械的安定性を高めるため、アダプタ本体100,300が耐圧性のプラスチック材料から形成されるように、プラスチック材料にガラス繊維などの繊維強化材を含んでもよい。さらに、樹脂ベースのプラスチック材料を使用してもよい。樹脂ベースのプラスチック材料は、化学結合を介して強固に三次元架橋された硬質のガラス状部材となる。この種の材料は、低密度と同時に高い熱機械的強度を有する。さらに、接続配置装置10においてアダプタ本体100と組み合わされるチューブ12も、アダプタ本体100と類似の材料、例えば、ポリアミド(PA)から選択されるプラスチック材料から形成される。しかし、ポリアミド(PA)がアダプタ本体100,300及びチューブ12の両方に使用される場合であっても、両方の部品に使用されるポリアミド(PA)材料が異なっていてもよい。流体ラインシステムにおいて、チューブ12は、単層又は多層チューブであり、通常、ポリアミド(PA6、PA12、PA612、半芳香族ポリアミド(PA9T)、HDPE、PPなど)から形成され、アダプタ本体と溶接可能である。しかし、アダプタ本体は、通常、PA12(最大30%のガラス繊維強化剤)、PPA(ポリフタルアミド)又はPP(ポリプロピレン)から形成される。その結果、機械的及び化学的特性が同等となる。
【0031】
図3A及び図3Bは、アダプタ本体100を受け、アダプタ本体100と結合するために、長手方向の軸204に沿って形成された少なくとも1つのチャネル202を有する嵌合ブロック200を示す。例えば、図3Aは、1つのチャネル202を有する嵌合ブロック200を示している。図2Bは、2つのチャネル202,203を有する嵌合ブロック200を示している。図3A及び図3Bに示すように、各チャネル202,203は、段付きの環状面206を有する。段付きの環状面206は、アダプタ本体100が嵌合ブロック200と結合されたときにアダプタ本体100のアダプタビード112を受けて支持する。段付きの環状面206の直径は、チャネル202よりも大きい。さらに、図3Bに示すように、嵌合ブロック200は、アダプタ本体100の保持特徴部118と相互に作用するように構成された嵌合特徴部208を有する。嵌合ブロック200の嵌合特徴部208は、アダプタ本体100の保持特徴部118が嵌合ブロック200のチャネル202と係合するように、長手方向の軸204に沿ってチャネル202の内側面212に溝210として形成されている(図4A及び図4B参照)。
【0032】
図4A及び図4Bに示すように、アダプタ本体100の保持特徴部118は、アダプタ本体100が嵌合ブロック200のチャネル202内に保持されるように、嵌合ブロック200の嵌合特徴部208と相互に作用する。さらに、段付きの環状面206は、アダプタ本体100のアダプタビード112を受ける深さHを有する。図4Aに示すように、一例では、段付きの環状面206の深さHは、アダプタビード112の厚さtと同じであり、これにより、嵌合ブロック200の上面220と、アダプタ本体100に形成されたアダプタビード112の第1の面111とが面一となる。従って、アダプタビード112の第1の面111上に、第2の出口106の周囲に保持されたシールワッシャ(又はシールリング)128が配置され、嵌合ブロック200の上縁に亘ってシールワッシャ(又はシールリング)128が位置する。図4Bに示すように、別の例では、段付きの環状面206の深さHは、アダプタビード112の厚さtより大きい。これにより、嵌合ブロック200の段付きの環状面206は、アダプタビード112と、アダプタ本体100に形成された第2の出口106に保持されたシールワッシャ128の一部とを受ける。従って、嵌合ブロック200の内側に位置するシールワッシャ(又はシールリング)128の少なくとも一部と、シールワッシャ(又はシールリング)128の他の一部とは、嵌合ブロック200の上面220より僅かに突出している。図4Bの実施例に示すように、シールワッシャ128の一部は嵌合ブロック200の内側に位置するため、接続配置装置10が流体ラインシステムの構成要素22にしっかりと取り付けられると(図7C参照)、シールワッシャ128は僅かに圧縮されて、接続部の漏れをシールする。従って、シールワッシャ128にかかる圧力は、嵌合ブロック200が流体ラインシステムの構成要素22と強固に螺合されたときのシールに十分な圧力である。すなわち、シールワッシャ128に軸方向(例えば、図4Bの下向き)の力が加わると、シールワッシャは垂直方向に圧縮され、(シールワッシャの材料の弾性的性質により)半径方向に広がり、それにより、シールワッシャ128及び出口106に押し付けられるチューブ又は構成要素に対してシールを形成する。しかし、図4Bに示すように、シールワッシャ128が変形及び/又は歪みによる漏れのリスクをさらに低減するように、半径方向に広がったシールワッシャ128は、段付きの環状面206の内側面に接触しない。
【0033】
図3A及び図3Bに戻って参照すると、嵌合ブロック200のチャネル202,203は、長手方向の軸204に沿ってチャネル202,203の側面に形成された側部開口214をそれぞれ有する。嵌合ブロック200の側部開口214は、アダプタ本体100が嵌合ブロック200と結合されたときにアダプタ本体100の第1の出口104を受けるように構成されている。図1A及び図1Bの実施例に示すように、長手方向の軸204に沿った嵌合ブロック200の側部開口214により、角度のついた出口104,106を有するアダプタ本体100,300の各々は、所望の流れ方向が90度などに変化するように嵌合ブロック200と結合される。嵌合ブロック200は、ねじなどの締結要素によって流体ラインシステムに取り付け、固定するための少なくとも1つの貫通孔216をさらに含む。さらに、嵌合ブロック200は、アルミニウムなどの金属材料又はポリマー材料から形成される。特に、嵌合ブロック200の材料は剛性が高く、高い応力耐性を有する。
【0034】
図5A及び図5Bは、アダプタ本体100,300にそれぞれ形成された保持特徴部118の別の例を示している。アダプタ本体100,300の保持特徴部118は同一であるため、以下、アダプタ本体100の保持特徴部118について説明する。アダプタ本体100,300の各々において、保持特徴部118は、少なくとも一つの突出部130として形成される。突出部130は、アダプタ本体100の外側面から概ね突出し、環状などの形状を有する。例えば、図5Aでは、環状の突出部130は、アダプタ本体100の周囲に形成された円形ビード114の一つから突出している。図5Bでは、環状の突出部330は、アダプタ本体300の外側面332から突出している。本開示の他の実施例によれば、アダプタ本体100の保持特徴部118は、アダプタ本体100の外側面から突出する半環状の突出部又は周辺突出部(例えば、矩形形状又は六角形形状)などの他の形状を有するように形成されてもよい。
【0035】
図5Cは、嵌合ブロック200に形成された嵌合特徴部208の別の例を示す。嵌合特徴部208は、チャネル202の側壁における少なくとも一つの孔218として形成されている。孔218は、アダプタ本体100が嵌合ブロック200に結合されたときに、アダプタ本体100が嵌合ブロック200のチャネル202に保持されるように、アダプタ本体100の環状の突出部130と相互に作用して係合する。
【0036】
図6A~6Dは、アダプタ本体100と、少なくとも1本のホース又はチューブ12と接続される嵌合ブロック200と、を有する接続配置装置10の組立工程を示している。図6Aでは、プラスチック又は金属製のチューブ12がアダプタ本体100に挿入され、強固に接着された状態で接続されている。アダプタ本体100の第1の出口104は、アダプタ本体100の通路ボア(流体チャネル)102と連通するチューブ12を受ける。挿入されたチューブ12は、接着剤によってアダプタ本体100にしっかりと接着される。接着接続は、例えば、スピン溶接、超音波溶接、誘導溶接、溶剤溶接、レーザ溶接などの溶接方法によって行われる。特に、レーザ溶接の場合、アダプタ本体100はレーザ透過性の材料から形成されてもよく、また、アダプタ本体100及びチューブ12の材料は溶接性を考慮して選択される。さらに、接着接続は、接着などの他の接着方法により行われてもよい。
【0037】
図6Bでは、アダプタ本体100の保持特徴部118が嵌合ブロック200の嵌合特徴部208と相互に作用するように、チューブ12が挿入されたアダプタ本体100が嵌合ブロック200に結合される。従って、図6Cに示すように、アダプタ本体100のアダプタビード112は、嵌合ブロック200の段付きの環状面206によって支持され、アダプタ本体100の保持特徴部118は、嵌合ブロック200の嵌合特徴部208と係合して、アダプタ本体100が嵌合ブロック200のチャネル202内に保持される。
【0038】
図6Dにおいて、シールワッシャ128は、アダプタ本体100の第2の出口106に押し付けられ、シールワッシャ128が第2の出口106の周囲に配置されるか、締まりばめ(圧入接合)により第2の出口106の周囲に保持される(図1Aも参照)。従って、シールワッシャ128は、第2の出口106が別のチューブ又はホースと接続されるとき、又は嵌合ブロック200の貫通孔216を介して流体ラインシステム(図示せず)に固定されるとき、流体ラインにおいてシールするように構成される。シールワッシャ128は、エラストマー材料から形成されたシールリングであるか、又はエラストマー金属複合材料から形成されたシールワッシャ(スリムラインシールワッシャ)であってもよい。別の例では、シールワッシャ128は、金属材料の支持リングに取り付けられる環状のエラストマー部品からなる。支持リングは、軸方向に作用する接触力を受け、エラストマー部品が過度の変形の結果として早期に摩耗するのを防止する。エラストマー部品は、アダプタビード112の面と別のチューブ又は流体ラインシステムの端面との間における隙間に対するシールを提供する。しかし、本開示の他の実施例によれば、この特徴は、シールワッシャの代わりに、Oリングを利用するラジアル接続にも使用される。さらに、本開示の接続配置装置10は、ねじ(図7B参照)などの締結手段によって流体ラインシステムの構成要素22の1つにしっかりと取り付けるか又は固定され、前述したように、流体ラインシステムにおいて強固な接続を行うために、別のチューブがアダプタ本体100の第2の出口106に接続される。
【0039】
図7Aは、本開示のアダプタ本体400及び嵌合ブロック500を有する接続配置装置20の他の例示的な実施例を示す。図7Bは、一例として、締結要素24によって流体ラインシステムのポート又は構成要素22にしっかりと取り付けられた接続配置装置20を示している。図7Cは、流体ラインシステムの構成要素22に固定された接続配置装置20の断面図を示している。図7A~7Cにおいて、接続配置装置20は、アダプタ本体400及び嵌合ブロック500を含む。しかし、前述の図2Cに示した別の例示的な実施例を本実施例に適用してもよく、2つ以上のアダプタ本体を、2つ以上のチャネルを有する嵌合ブロックに結合してもよい。
【0040】
図7Cに示すように、アダプタ本体400は、流体チャネルとして形成された通路ボア402を有する。アダプタ本体400は、第1の出口404及び第2の出口406などの少なくとも2つの出口を有し、第1の出口404が流体チャネル402を介して第2の出口406と連通している。別の例では、アダプタ本体400は、2つの出口に限定されずに、3つ以上の出口を有する。第1の出口404及び第2の出口406の各々は、一般に、流体ラインシステムの構成要素22における強固な接続のためのホース又はチューブ12と接続される。図7Cに示すように、アダプタ本体400の第1の出口404は、中空で円筒形をなす受容体の形態をなしており、チューブ12が第1の出口404に挿入されてアダプタ本体100に強固に接続されるように、溶接、特にレーザ溶接によって接続されるチューブ12を受ける。
【0041】
図7Cでは、アダプタ本体400は、長手方向Lとして定義される直線的な流れ方向に配置された第1の出口404及び第2の出口406を有する。しかし、図4Aに示すように、第1の出口及び第2の出口は、90度又は45度などの所望の流れ方向を形成するために所定の角度をなすように配設されてもよい。第2の出口406は、第1の端部408と、第1の端部408から長手方向Lに沿って延びる第2の端部410と、を有する。さらに、アダプタ本体400は、第2の出口406の第1の端部408の周囲において半径方向に延在するアダプタビード412を有する。アダプタビード412は図2A及び図2Bの例示的な実施例と同様である。また、アダプタ本体400は、前述したアダプタ本体100,300と同じプラスチック材料から形成されている。第3の実施例に係るアダプタ本体400は、第1の出口404及び第2の出口406の流れ方向と、異なる位置に配置された保持特徴部418(図7Cも参照)とを除いて、前述したアダプタ本体100,300(図2A及び図2B参照)と実質的に同じである。
【0042】
特に、図7Cに示すように、アダプタ本体400は、保持特徴部418を有し、保持特徴部418は、固定端422と、固定端422から延びる自由端424と、を有する。保持特徴部418は、梁(ビーム)状に形成され、前述したアダプタ本体100,300の保持特徴部118と概ね同一であるが、本開示の図7Cの例では、保持特徴部418の固定端422は、前述したアダプタ本体100,300と異なり、アダプタビード412の第2の側413に取り付けられている。さらに、保持特徴部418の自由端424は、長手方向Lに対して角度426をなして固定端422から延びている。角度をなす保持特徴部418により、図7Cに示すように、アダプタ本体400は嵌合ブロック500と相互に作用し、嵌合ブロック500と係合する。
【0043】
図8A~8Cは、本開示の別の例示的な実施例に係る嵌合ブロック500を示している。図8Aにおいて、嵌合ブロック500は、インサート502及び外側本体504を有する2つの部品で形成されている。さらに、嵌合ブロック500は、アダプタ本体400を受けて結合するため、長手方向の軸Lに沿って形成された少なくとも1つのチャネル506を有する。図8Bは、押し出し加工により、アルミニウム又は鋼などの金属材料から形成されたインサート502を示している。しかし、本開示の他の態様では、インサート502は、切削、機械加工などの他の方法によって形成されてもよい。図8Cは、ポリマー材料から形成された外側本体504を有する嵌合ブロック500を示す。さらに、外側本体504は、プラスチック射出成形によってインサート502にオーバーモールドされてもよい。図8Aに示すように、嵌合ブロック500は射出成形により形成されるため、外側本体504は、材料コスト及び接続配置装置20の重量を低減するために、外側本体504の外側半径方向面516に複数のリブ503が形成されている。さらに、図7Cに示すように、接続配置装置20を流体ラインシステムの構成要素22に強固に取り付けるためにねじなどの締結要素24を使用する場合、嵌合ブロック500の金属製のインサート502は、接続配置装置20と流体ラインシステムの構成要素22との間のシールのために、長手方向Lに沿った圧縮力を支持するのに必要な強度を提供する。
【0044】
図7Cに戻ると、嵌合ブロック500は、アダプタ本体400の保持特徴部418と相互に作用するように構成された嵌合特徴部508を有する。嵌合ブロック500の嵌合特徴部508は、溝510として形成されている。溝510は、アダプタ本体400の保持特徴部418が嵌合ブロック500のチャネル506と係合するように、長手方向の軸Lに沿ってチャネル506の内側面512に形成されている。本開示の嵌合ブロック500は、段付きの環状面206、インサート502及び外側本体504を有する嵌合ブロック500並びに異なる位置に配置された嵌合特徴部508を除いて、前述した嵌合ブロック200(図3A及び図3B参照)と実質的に同じである(図7Cも参照)。この実施例では、シールワッシャ128を受けるための凹部28がシステム構成要素22に形成されているが、アダプタ本体400の下面に凹部を形成してもよい。
【0045】
図7Cにおいて、アダプタ本体400が嵌合ブロック500にしっかりと結合されたときに、アダプタ本体400のアダプタビード412が嵌合ブロック500の上面514上に位置するように、アダプタビード412の直径Dは、嵌合ブロック500に形成されたチャネル506の直径dよりも大きい。さらに、図7Cに示すように、シールワッシャ128が第2の出口406の周囲に配置されるように、シールワッシャ128がアダプタ本体400の第2の出口406に押し付けられる。従って、シールワッシャ128は、アダプタ本体400の第2の出口406が別のチューブ又はホースと接続されるか、あるいは流体ラインシステムの構成要素22に形成された開口部26に挿入されるときに、アダプタ本体400と流体ラインシステムの構成要素22との間に位置することによって流体ラインにおいてシールを行う。先の実施例と同様に、シールワッシャ128は、ワッシャにかかる軸方向の力が、アダプタ本体400の下面、凹部28の軸方向に延びる面及び半径方向に延びる面とシールを形成するように構成され、かつ大きさが決定される。
【0046】
本開示による接続配置装置10,20は、自動車の空調システム又は冷却システムなどの様々な流体ラインシステムに適している。例えば、接続配置装置10,20は、バッテリなどの電子部品を冷却又は温度調節するハイブリッド自動車又は電気自動車の冷却システムに適している。さらに、自動車に使用される流体ラインシステムは、可能な限り軽量であることが望ましい。流体ラインシステムは、自動車の運転時の振動又は衝撃に対応した部品間の安定した接続も実現する。従って、本開示の接続配置装置10,20は、軽量でありながら安定した耐久性のある接続を実現することができる。
【0047】
本発明の様々な形態に関する説明は、例示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的であること又は本発明を開示した形態に限定することを意図していない。前述の説明に照らして、種々の修正又は変形が可能である。上述した形態は、本発明の原理及びその実際的な応用の最良の説明を提供し、それによって当業者が、意図された特定の用途に適した様々な形態で、様々な変更を加えて本発明を利用できるように選択し、説明したものである。このような修正及び変形は、全て以下の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内であり、公正、法的及び公平に権利を与えられる従って広義に解釈されるものである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
【手続補正書】
【提出日】2024-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ラインにおいて少なくとも1つのチューブと強固な接続を行うための接続配置装置であって、
少なくとも2つの出口を有する流体チャネルを形成する通路ボアを有する少なくとも1つのアダプタ本体であって、当該アダプタ本体の外側に形成された保持特徴部を有するアダプタ本体と、
少なくとも1つの構成要素を備えてなる嵌合ブロックであって、前記アダプタ本体を受ける少なくとも1つのチャネルと、当該チャネルに形成された嵌合特徴部と、を有する嵌合ブロックと、
を備え、
前記嵌合ブロックは、2つの構成要素を備えてなり、当該2つの構成要素は、インサート及び外側本体であり、
前記インサートは、金属材料から形成され、前記外側本体は、前記嵌合ブロックを形成するように、前記インサートにオーバモールドされるポリマー材料から形成され、
前記アダプタ本体の前記保持特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに結合されたときに、前記嵌合ブロックの嵌合特徴部と相互に作用するように構成されている、ことを特徴とする接続配置装置。
【請求項2】
前記アダプタ本体の保持特徴部は、梁を有し、
前記アダプタ本体に取り付けられた固定端と、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されたときに前記梁が前記嵌合特徴部と係合するように、第2の出口の流れ方向に対して角度をなして前記固定端から延びている自由端と、
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項3】
前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体の前記梁を受けるため、前記チャネルの内側面に溝として形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載の接続配置装置。
【請求項4】
前記アダプタ本体の前記保持特徴部は、前記アダプタ本体の外側面に形成された少なくとも一つの突出部を有し、当該少なくとも一つの突出部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されるときに、前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部と係合する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項5】
前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに強固に保持されるように、前記アダプタ本体の前記突出部と係合する大きさを有する少なくとも一つの孔を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の接続配置装置。
【請求項6】
前記嵌合ブロックの前記外側本体は、前記アダプタ本体の前記保持特徴部を受ける嵌合特徴部を備えてなる、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項7】
前記嵌合ブロックの前記チャネルは、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに結合されたときに前記アダプタ本体の第1の出口を受けるように前記チャネルの側壁に形成された側部開口をさらに有する、ことを特徴とする請求項に記載の接続配置装置。
【請求項8】
前記アダプタ本体はプラスチック材料から形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の接続配置装置。
【請求項9】
前記アダプタ本体は、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに前記嵌合ブロックの上面に配置されるアダプタビードを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続配置装置。
【請求項10】
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに、前記保持特徴部が前記嵌合特徴部に形成された溝と強固に係合するように、前記保持特徴部は、前記アダプタビードの第2の側面から延びている、ことを特徴とする請求項に記載の接続配置装置。
【請求項11】
前記アダプタ本体の第2の出口の周りにシールリングが配置され、
前記シールリングは、前記第2の出口が前記チューブと接続されるか、又は流体ラインシステムの構成要素に取り付けられたときに、前記流体ラインにおいてシールを行うように構成されている、ことを特徴とする請求項記載の接続配置装置。
【請求項12】
前記アダプタ本体の前記第2の出口に位置する前記シールリングの一部が、前記嵌合ブロックにおける段付きの環状面に配置され、前記シールリングの前記一部及び前記アダプタビードが前記嵌合ブロックの前記チャネル内に位置する、ことを特徴とする請求項11に記載の接続配置装置。
【請求項13】
少なくとも1つのチューブを用いた、流体ラインにおける強固な接続のための接続配置方法であって、
少なくとも2つの出口を有する少なくとも1つのアダプタ本体を提供するステップと、
少なくとも1つのチャネル及び少なくとも1つの貫通孔を有する嵌合ブロックを提供するステップであって、前記嵌合ブロックは、インサートと、当該インサートにオーバモールドされた外側本体と、を有する、ステップと、
前記チューブの端部を第1の出口に挿入し、強固に結合されるように、挿入された前記チューブを前記アダプタ本体に接続するステップと、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルと係合するように、前記チューブが接続された前記アダプタ本体を前記嵌合ブロックの前記少なくとも1つのチャネルに結合するステップと、
を含み、
前記アダプタ本体は、保持特徴部を有し、
前記嵌合ブロックは、嵌合特徴部を有し、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックに結合されたときに、前記アダプタ本体の前記保持特徴部が前記嵌合ブロックの前記嵌合特徴部と係合する、
ことを特徴とする方法
【請求項14】
前記アダプタ本体は、アダプタビードをさらに有し、
前記嵌合ブロックは、段付きの環状面をさらに有し、
前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックの前記チャネルに保持されたとき、前記嵌合ブロックの前記段付きの環状面が前記アダプタ本体の前記アダプタビードを受けて、前記アダプタビードを支持する、ことを特徴とする請求項13に記載の方法
【請求項15】
前記嵌合ブロックは、前記アダプタ本体が前記嵌合ブロックと結合されたときに、前記チューブと強固に接続された前記第1の出口を受けるように、前記チャネルの側壁に形成された側部開口をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載の方法
【国際調査報告】