(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】水分排除特性を有する収着性物品及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/28 20060101AFI20250123BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B01J20/28 Z
B01D53/14 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544705
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-03
(86)【国際出願番号】 US2023011599
(87)【国際公開番号】W WO2023146949
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーン エム.スコッティ
【テーマコード(参考)】
4D020
4G066
【Fターム(参考)】
4D020AA03
4D020BA01
4D020BA08
4D020BA16
4D020BA21
4D020BA30
4D020BB01
4D020CA01
4G066AC13D
4G066AC15D
4G066AE04D
4G066BA16
4G066CA35
4G066DA01
(57)【要約】
CO2を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素、並びに、該複数の収着性要素と混合され、かつ、疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成された複数の疎水性要素、を含む収着性物品を記載する。また、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)を含む、スイング吸着の目的のこのような収着性物品を形成する方法を本明細書に記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素、並びに
該複数の収着性要素と混合され、かつ、疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成された複数の疎水性要素
を含んでなる収着性物品。
【請求項2】
前記複数の収着性要素と前記複数の疎水性要素とが混合分布で維持される容器をさらに含む、請求項1記載の収着性物品。
【請求項3】
前記容器は、前記液体水が前記収着性物品から排出されるドレインを含む、請求項2記載の収着性物品。
【請求項4】
前記収着性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められている、請求項2又は3記載の収着性物品。
【請求項5】
前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークを形成している、請求項1~4のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項6】
前記疎水性要素のネットワークは前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定し、前記収着性要素の少なくとも一部が前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている、請求項5記載の収着性物品。
【請求項7】
前記疎水性要素のネットワークは、複数の疎水性ノード及びフィブリルを有する構造に取り込まれている、請求項5又は6記載の収着性物品。
【請求項8】
前記構造は少なくとも部分的に前記容器内に収容されており、前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素の混合分布を維持するために、前記収着性要素に対する前記疎水性要素の動きを制限するのを容易にするように構成されている、請求項2に従属する請求項7記載の収着性物品。
【請求項9】
前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して配置された少なくとも1つの疎水性層をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項10】
2つの多孔質疎水性層を含み、前記収着性要素及び前記疎水性要素は前記2つの多孔質疎水性層の間に配置されている、請求項9記載の収着性物品。
【請求項11】
前記疎水性層は、液体水に対する第二の透過度よりも大きい、水蒸気に対する第一の透過度を有し、ここで、液体水は前記収着性物品内で水蒸気が凝縮した結果として形成される、請求項8~9のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項12】
前記第二の透過度は、前記疎水性層が大気圧下で液体水に対して不透過性であるように規定される、請求項11記載の収着性物品。
【請求項13】
前記疎水性要素は、前記疎水性層を通して液体水を排出するのに十分な疎水力を発揮するように構成されている、請求項9~12のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項14】
前記疎水性要素は、前記収着性物品の表面にある液体水に対して疎水力を発揮し、前記収着性物品に入る液体水の量を減らすのを促進するように構成されている、請求項1~13のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項15】
前記疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素であり、前記収着性物品は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料の第二の複数の疎水性要素をさらに含み、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする、請求項1~14のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項16】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とはサイズ又は形状が異なる、請求項15記載の収着性物品。
【請求項17】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている、請求項6に従属する請求項15又は16記載の収着性物品。
【請求項18】
前記複数の疎水性要素は、前記収着性物品の密度の約30%~70%に寄与する、請求項1~17のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項19】
物質を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素を提供すること、
複数の疎水性要素を提供すること、及び、
前記疎水性要素が疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて収着性物品を形成すること、
を含む、収着性物品を形成する方法。
【請求項20】
前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素を、前記収着性要素と前記疎水性要素が混合分布で維持されるように容器内に封入することをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記容器は、前記疎水性要素が前記収着性要素に対して移動することを制限して、それらの混合分布を維持するのを容易にするように構成されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークを形成する、請求項19~21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記疎水性要素のネットワークは、前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定し、前記方法は、
前記収着性要素が前記疎水性要素のネットワークによって画定された隙間空間内に配置されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素とを組み合わせることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して少なくとも1つの多孔質疎水性層を配置することをさらに含む、請求項19~23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記複数の疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素であり、前記方法は、
前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素を、第二の複数の疎水性要素と組み合わせることをさらに含み、前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料を有し、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする、請求項19~24のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素と組み合わされ、前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークによって画定された空間内に配置される、請求項23に従属する請求項25記載の方法。
【請求項27】
液体水が前記容器から排出されるドレインを形成することをさらに含む、請求項19~20のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて前記収着性物品を形成することは、3D印刷によって前記収着性要素及び前記疎水性要素を互いに対して所定の位置付けで配置することを含む、請求項19~27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
大気から二酸化炭素ガスを除去するための収着性物品であって、前記収着性物品は、
疎水性要素と混合された収着性要素の分布を支持するエンクロージャを含み、前記エンクロージャは、前記エンクロージャの外面と、前記分布に面する反対側の内面とを画定し、前記エンクロージャの第一の部分は、大気と前記分布との間の二酸化炭素ガスの通過を可能にし、前記エンクロージャの第二の部分は、前記分布と前記エンクロージャの外面との間の水の集合体の通過を可能にし、
前記収着性要素は、前記分布に温度変化を適用することにより、前記エンクロージャの外面を介して二酸化炭素ガスを吸着及び脱着することができ、
前記疎水性要素は、疎水性要素の第一の疎水度を規定し、前記収着性要素は、収着性要素の第二の疎水度を規定し、前記第二の疎水度は前記第一の疎水度よりも小さく、
前記分布内の疎水性要素は、水の集合体が液体水に遷移するときに、前記分布内の水の集合体に疎水力を発揮するように分布され、前記疎水力は液体水を前記エンクロージャの外面に向け、液体水を前記分布から排出する、収着性物品。
【請求項30】
前記疎水性要素は複数の疎水性フィラメントを有する構造を画定し、前記複数の疎水性フィラメントは前記複数の疎水性フィラメント間の複数の隙間空間を画定するネットワークを形成する、請求項29記載の収着性物品。
【請求項31】
前記収着性要素は前記隙間空間内に配置されている、請求項30記載の収着性物品。
【請求項32】
前記エンクロージャは前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項33】
前記エンクロージャの第一の部分は前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項34】
前記エンクロージャの第二の部分は前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項35】
前記エンクロージャは、液体水が前記分布から排出されるドレインを画定する、請求項29記載の収着性物品。
【請求項36】
前記収着性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められている、請求項29~35のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項37】
前記疎水性要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は延伸ポリエチレン(ePE)の少なくとも1つから構成されている、請求項29~36のいずれか1項記載の収着性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月27日に出願された米国仮出願番号第63/303,688号の利益を主張するものであり、あらゆる目的のために該出願の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、一般的に、収着性物品に関連する装置、システム及び方法に関する。より具体的には、本開示は、収着性物品及びスイング吸着の目的で収着性物品を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
温室効果ガスの排出に関連する二酸化炭素(CO2)レベルの上昇は、環境に有害であることが示されている。Climate.gov の記事「気候変動: 大気中の二酸化炭素」で報告されているように、2019年の大気中の二酸化炭素濃度の平均は409.8ppmで、過去80万年間で記録された最高レベルであった。大気中のCO2の増加率も、過去数十年の増加率よりもはるかに高くなっている。
【0004】
気候変動の影響を抑えるためには、近い将来にCO2排出量をゼロに削減するだけでなく、CO2排出量をマイナスにすることも必要である。排出量をマイナスにするには、生体材料の燃焼による発電と、排ガスの燃焼によるCO2回収及びそれに続くCO2隔離 (「BECCS」)又はCO2の直接空気回収(「DAC」)の組み合わせなど、幾つかの可能性がある。
【0005】
吸着によるガス分離は、産業界で様々な用途に使用されている。例えば、ガス流から特定の成分を除去する場合に、所望の製品は、流れから取り出された成分、残りの枯渇した流れ、又はその両方のいずれかになる。これにより、ガス流の微量成分と主要成分の両方を吸着プロセスの対象にすることができる。重要なガス分離用途の1つは、ガス流、例えば、煙道ガス、排気ガス、産業廃棄物ガス、バイオガス、又は大気からのCO2の回収である。大気は、CO2の希薄な供給流と考えられる。
【0006】
大気から直接CO2を回収すること(DACと呼ばれる)は、人為的な温室効果ガス排出を軽減する幾つかの手段の1つであり、商品市場及び合成燃料の生産のための非化石で場所に依存しないCO2源として魅力的な経済見通しがある。大気からのCO2回収の具体的な利点は:a)DACは、世界中の温室効果ガス排出量の大部分を占め、現在経済的に実現可能な方法で排出現場で回収できない分散型排出源(乗物、陸、海、空など)の排出に対処でき、b)DACは、従来の排出物に対処できるため、真にマイナスの排出物を作り出すことができ、そしてc)DACシステムは、排出源に取り付ける必要はなく、場所に依存しないため、CO2をさらに処理又は使用する場所に配置できることを含む。
【発明の概要】
【0007】
CO2を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素、並びに、該複数の収着性要素と混合され、かつ、疎水力を発揮して収着性物品から液体の水を排出するように構成された複数の疎水性要素、を含む収着性物品について説明する。また、二酸化炭素の直接空気回収(DAC)など、スイング吸着の目的など、このような収着性物品を形成する方法についても説明する。
【0008】
1つの例(「例1」)によれば、収着性物品は、CO2を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素、並びに、該複数の収着性要素と混合され、かつ、疎水力を発揮して該収着性物品から液体水を排出するように構成された複数の疎水性要素を含む。
【0009】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記収着性物品は、前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素が混合分布で維持される容器をさらに含む。
【0010】
例2に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記容器は、液体水が前記収着性物品から排出されるドレインを含む。
【0011】
例2又は3に加えて、別の例(「例4」)によれば、前記収着性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められている。
【0012】
前述の例のいずれかに加えて、別の例(「例5」)によれば、前記疎水性要素は疎水性要素の三次元ネットワークを形成している。
【0013】
例5に加えて、別の例(「例6」)によれば、前記疎水性要素のネットワークは前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定し、前記収着性要素の少なくとも一部は前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている。
【0014】
例5又は6に加えて、別の例(「例7」)によれば、前記疎水性要素のネットワークは、複数の疎水性ノード及びフィブリルを有する構造に取り込まれている。
【0015】
例7及び例2に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記構造は少なくとも部分的に前記容器内に収容されており、前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素の混合分布を維持するために、前記収着性要素に対する前記疎水性要素の動きを制限するのを容易にするように構成されている。
【0016】
前述のいずれかの例に加えて、別の例(「例9」)によれば、前記収着性物品は、前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して配置された少なくとも1つの疎水性層を含む。
【0017】
例9に加えて、別の例(「例10」)によれば、前記収着性物品は2つの多孔質疎水性層を含み、前記収着性要素及び前記疎水性要素は2つの多孔質疎水性層の間に配置されている。
【0018】
例8又は9に加えて、別の例(「例11」)によれば、前記疎水性層は、液体水に対する第二の透過度よりも大きい、水蒸気に対する第一の透過度を有し、ここで、液体水は前記収着性物品内で水蒸気が凝縮した結果として形成される。
【0019】
例11に加えて、別の例(「例12」)によれば、前記第二の透過度は、前記疎水性層が大気圧下で液体水に対して不透過性であるように規定される。
【0020】
例9~12のいずれかに加えて、別の例 (「例13」)によれば、前記疎水性要素は、前記疎水性層を通して液体水を排出するのに十分な疎水力を発揮するように構成されている。
【0021】
前述のいずれかの例に加えて、別の例 (「例14」)によれば、前記疎水性要素は、前記収着性物品の表面にある液体水に対して疎水力を発揮し、前記収着性物品に入る液体水の量を減らすのを促進するように構成されている。
【0022】
前述のいずれかの例に加えて、別の例 (「例15」)によれば、前記疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素であり、前記収着性物品は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料の第二の複数の疎水性要素をさらに含み、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする。
【0023】
例15に加えて、別の例(「例16」)によれば、前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とはサイズ又は形状が異なる。
【0024】
例15又は16及び例6に加えて、別の例(「例17」)によれば、前記第二の複数の疎水性要素は、前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている。
【0025】
前述のいずれかの例に加えて、別の例(「例18」)によれば、前記複数の疎水性要素は、前記収着性物品の密度の約30%~70%に寄与する。
【0026】
別の例(「例19」)によれば、収着性物品を形成する方法は、物質を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素を提供すること、複数の疎水性要素を提供すること、及び、前記疎水性要素が疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて収着性物品を形成することを含む。
【0027】
例19に加えて、別の例(「例20」)によれば、方法はさらに、前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素を、前記収着性要素と前記疎水性要素が混合分布で維持されるように容器内に封入することを含む。
【0028】
例20に加えて、別の例 (「例21」)によれば、前記容器は、前記疎水性要素が前記収着性要素に対して移動することを制限して、それらの混合分布を維持するのを容易にするように構成されている。
【0029】
例19~21のいずれかに加えて、別の例(「例22」)によれば、前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークを形成する。
【0030】
例22に加えて、別の例(「例23」)によれば、前記疎水性要素のネットワークは、前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定する。この方法は、前記収着性要素が前記疎水性要素のネットワークによって画定された隙間空間内に配置されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素とを組み合わせることをさらに含む。
【0031】
例19~23のいずれかに加えて、別の例 (「例24」) によれば、この方法は、前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して少なくとも1つの多孔質疎水性層を配置することをさらに含む。
【0032】
例19~24のいずれかに加えて、別の例(「例25」)によれば、前記複数の疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素である。この方法は、さらに、前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素を、第二の複数の疎水性要素と組み合わせることを含み、前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料を有し、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする。
【0033】
例23に加えて、別の例(「例26」)によれば、前記第二の複数の疎水性要素は、前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素と組み合わされ、前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークによって画定された空間内に配置される。
【0034】
例19又は20に加えて、別の例(「例27」)によれば、方法は、液体水が前記容器から排出されるドレインを形成することをさらに含む。
【0035】
例19~27のいずれかに加えて、別の例(「例28」)によれば、前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて前記収着性物品を形成することは、3D印刷によって前記収着性要素及び前記疎水性要素を互いに対して所定の位置付けで配置することを含む。
【0036】
例29によれば、大気から二酸化炭素ガスを除去するための収着性物品が開示される。収着性物品は、疎水性要素と混合された収着性要素の分布を支持するエンクロージャを含むことができる。エンクロージャは、エンクロージャの外面と、分布に面する反対側の内面とを画定する。エンクロージャの第一の部分は、大気と分布との間の二酸化炭素ガスの通過を可能にし、エンクロージャの第二の部分は、分布とエンクロージャの外面との間の水の集合体の通過を可能にする。さらに、収着性要素は、分布に温度変化を適用することにより、エンクロージャの外面を介して二酸化炭素ガスを吸着及び脱着することができる。疎水性要素は、疎水性要素の第一の疎水度を規定し、収着性要素は、収着性要素の第二の疎水度を規定し、第二の疎水度は第一の疎水度よりも小さい。また、分布内の疎水性要素は、水の集合体が液体水に遷移するときに、分布内の水の集合体に疎水力を発揮するように分布される。疎水力は液体水をエンクロージャの外面に向け、液体水を分布から排出する。
【0037】
例29に加えて、別の例(「例30」)によれば、前記疎水性要素は複数の疎水性フィブリルを有する構造を画定し、前記複数の疎水性フィブリルは前記複数の疎水性フィブリル又はフィラメント間の複数の隙間空間を画定するネットワークを形成する。
【0038】
例30に加えて、別の例 (「例31」)によれば、前記収着性要素は前記隙間空間内に配置されている。
【0039】
例29に加えて、別の例(「例32」)によれば、前記エンクロージャは前記分布の外面によって形成される。
【0040】
例29に加えて、別の例(「例33」)によれば、前記エンクロージャの第一の部分は前記分布の外面によって形成される。
【0041】
例29に加えて、別の例(「例34」)によれば、前記エンクロージャの第二の部分は、前記分布の外面によって形成される。
【0042】
例29に加えて、別の例(「例35」)によれば、前記エンクロージャは、液体水が分布から排出されるドレインを画定する。
【0043】
例29~35のいずれかに加えて、別の例(「例36」)によれば、前記収着性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められている。
【0044】
例29~36のいずれかに加えて、別の例(「例37」)によれば、前記疎水性要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は延伸ポリエチレン(ePE)の少なくとも1つから構成されている。
【0045】
上記の例は、あくまでも実施例であり、本開示によって別途提供される発明概念のいずれかの範囲を限定又は狭めるものとして解釈されるべきではない。複数の例が開示されているが、例示的な例を示して説明する以下の詳細な説明から、当業者にさらに他の実施形態が明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的ではなく例示的なものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
添付の図面は、開示のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、実施形態を例示し、記載とともに開示の原理を説明するのに役立つ。
【0047】
【0048】
【
図2A】
図2Aは、本明細書に開示されているとおりの粒子状疎水性材料の立面図である。
【0049】
【
図2B】
図2Bは、本明細書に開示されているとおりの糸状疎水性材料の立面図である。
【0050】
【
図3】
図3は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った疎水性粒子及びフィラメントを有する吸着材の立面図である。
【0051】
【
図4】
図4は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った疎水性粒子及びフィラメントを有する吸着材システムの立面図である。
【0052】
【
図5】
図5A~5Cは、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った水排除プロセス中の吸着材の立面図である。
【0053】
【
図6】
図6は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った吸着材の製造方法を示すフローチャートである。
【0054】
【
図7】
図7は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った収着性物品の粒子の概略図である。
【0055】
【
図8】
図8は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った収着性物品のフィラメントの概略図である。
【0056】
【
図9】
図9は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従った、ドレインを備えた吸着材システムの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
定義及び用語
本開示は、限定的に解釈されるべきものではない。例えば、本出願で使用されている用語は、当業者がそのような用語に与える意味の関係で広く解釈されるべきである。
【0058】
不正確な用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、記載された測定値を含む測定値、及び記載された測定値に合理的に近い測定値も含む測定値を指すために互換的に使用できる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、記載された測定値から合理的に小さな量だけ逸脱する。このような逸脱は、例えば、測定誤差、測定及び/又は製造装置の較正における差異、測定値の読み取り及び/又は設定における人為的エラー、他の構成要素に関連する測定値の差異を考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われた小さな調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象物の不正確な調整及び/又は操作、及び/又は同様のものに起因する可能性がある。関連技術の当業者が、このような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合に、「約」及び「およそ」という用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解することができる。
【0059】
本明細書で使用されるときに、「ネットワーク」という用語は、個々の要素が1つ以上の個々の要素に接続されている場合とそうでない場合がある群又はシステムを記載する。また、本明細書で使用されるときに、「接続」という用語は、物理的な接続、例えば、2つ以上の構成要素を互いに対して接線方向に配置すること、1つの構成要素の一部を別の構成要素の一部に一時的に取り付けること、又は複数の構成要素を空間的に配置して、力(本明細書で記載されるとおりの疎水力など)を介して互いに影響を及ぼしたり、少なくとも1つの他の要素に影響を与えたりすること、又は1つの構成要素を別の構成要素に一時的又は恒久的に固定することなどを表す。
【0060】
本明細書で使用されるときに、「フィブリル」という用語は、長さと幅が互いに実質的に異なるポリマーなどの長尺材料片を表す。例えば、フィブリルは、幅(又は厚さ)が長さよりもはるかに短いか小さい、紐又は繊維片に似ていることができる。
【0061】
本明細書で使用されるときに、「ノード」という用語は、少なくとも2つのフィブリルの接続点を表し、接続は、2つのフィブリルが恒久的又は一時的に互いに接触する場所として規定できる。幾つかの例において、ノードはまた、フィブリルよりも大きな体積のポリマーを記載するために使用されることができ、フィブリルはノードを介して同じフィブリルの明確な継続なしに開始又は終了する。幾つかの例において、ノードはフィブリルよりも幅が大きいが長さが短い。
【0062】
本明細書で使用されるときに、「ノード」及び「フィブリル」は、通常は接続又は相互接続されるが、必ずしもそうではなく、例えば微視的サイズである物体を記載するために使用されうる。「微視的」物体は、少なくとも1つの寸法(幅、長さ、又は高さ)が実質的に小さく、物体又は物体細部が肉眼では見えないか、顕微鏡又は何らかのタイプの拡大装置の助けがなければ観察が不可能でなくとも困難である物体として定義されうる。幾つかの例において、ノード及びフィブリルは、隙間空間を提供するミクロネットワークを形成することができる。
【0063】
本明細書で使用されるときに、「粒子」及び「フィラメント」は、例えば、接続又は相互接続されていてもいなくてもよく、巨視的サイズを有する物体を表すために使用されうる。「巨視的」物体は、物体又はその物体細部が肉眼で見えるほど、最小寸法が実質的に大きい物体として定義されうる。フィラメントは、フィブリルと同様に、長さ対幅の比が大きいという点で粒子と異なる。フィラメント及び粒子は、両方とも複数のノード及びフィブリルを含むか、又は複数のノード及びフィブリルから構成されうる。幾つかの例において、粒子及びフィラメントは、間隙空間を提供するマクロネットワークを形成しうる。
【0064】
ノードと粒子との間、又はフィブリルとフィラメントとの間のサイズの差は、物体のサイズが上記の規定から逸脱しない限り(すなわち、物体が肉眼で見えるかどうかに関係なく)、2つの物体のうちの小さい方に対して任意の適切な大きさであってよいことが理解される。例えば、粒子又はフィラメントのサイズは、それぞれノード又はフィブリルのサイズに対して、少なくとも約100倍、約500倍、約1000倍、約5000倍、約10,000倍、又はそれらの間の任意の適切な値又は範囲であってよい。幾つかの例において、ノード又はフィブリルの幅は、約500nm (又は0.5ミクロン)未満、約250nm未満、約150nm未満、約100nm未満、又はそれらの間の任意の適切な値又は範囲であってよい。
【0065】
様々な実施形態の説明
当業者であれば、本開示の様々な態様は、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解できるであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されている場合があり、その点において、図面は限定的なものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0066】
本開示は、収着性物品、収着性物品を形成する方法及び収着性物品を使用してインプットから1つ以上の所望の物質を吸着及び分離する方法に関する。以下では、収着性物品を空気供給流からCO2を捕捉するために使用するものとして説明するが、他の吸着方法及び用途にも使用できる。これらの方法としては、限定するわけではないが、他のガス供給流 (例えば、燃焼排気ガス)及び液体供給流 (例えば、海水)を含む様々なインプットからの物質の吸着が挙げられる。吸着される物質はCO2に限定されない。他の吸着される物質としては、限定するわけではないが、他のガス分子(例えば、N2、CH4及びCO)、液体分子及び溶質を挙げることができる。特定の実施形態において、インプットは希薄であり、所望の物質を百万分の一(ppm)のオーダーで含むことができる。
【0067】
図1は、従来技術の収着性物品100を示す。幾つかの例において、収着性物品100は、ケーシング又は他のタイプの容器などのエンクロージャ102内に保管されるか、又は少なくとも部分的に閉じ込められることができる。収着性物品100は、複数の収着性要素104を含む。
【0068】
図2Aは、幾つかの実施形態による、粒子201の形態の例示的な疎水性要素200を示しており、各粒子はまた、他の粒子から分離され、バラバラになっていてよい。
【0069】
図2Bは、幾つかの実施形態による、フィラメント202の形態である例示的な疎水性要素200を示しており、各フィラメントは、他のフィラメントから分離され、バラバラにされていてよい。
【0070】
図3は、幾つかの実施形態による、疎水性粒子201及び疎水性フィラメント202の両方の形態の疎水性要素200を使用する例示的な収着性物品300を示す。疎水性要素200及び収着性要素104を、一緒に混合し、収着性物品300から液体水を排出するための疎水力を発揮するように構成させる。例えば、疎水性粒子201及び疎水性フィラメント202は、そのような粒子及びフィラメントの形状及び位置によって画定されるネットワークを集合的に形成する。そのようなネットワークの疎水性要素は、互いに接続されていても又は接続されていなくてもよい。
図3において、粒子及びフィラメントは、エンクロージャ102の三次元空間内で互いに接続されているか又は単に重なり合っていることができる。粒子及びフィラメントの三次元ネットワークは、幾つかの例において、収着性要素104を配置できる複数の隙間空間302を画定することができる。
【0071】
本明細書で使用されているように、収着性要素は、直接空気捕捉(DAC)などを介してCO2などの分子を吸着及び脱着(又は捕捉及び放出)するように構成されており、幾つかの例において、また、収着性物品から液体水を排出するために収着性物品内から疎水力を発揮する。収着性要素は、限定するわけではないが、収着性要素が製造されうる方法に応じて、球形、多面体又は不規則な形状を含む、任意の適切な形状であることができる。幾つかの例において、収着性要素は、分子の吸着及び脱着(又は捕捉及び放出)を容易にするために、ケーシング内での要素又は粒子の移動を容易にするのに十分な柔らかさ及び可撓性を備えている。
【0072】
疎水性要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリエチレン(ePE)、他の適切な多孔質ポリマー、又は適切な構造を有する他の材料のうちの1つ以上を使用して作製することができる。様々な実施形態において、疎水性要素は可撓性多孔質ポリマーから作られる。ナノスパン、メルトブローン、スパンボンド及び多孔質キャストフィルムなどの不織材料は、様々な他の適切な多孔質ポリマーの1つになりうることが理解されるであろう。疎水性要素は、制御された温度及び制御された延伸速度でポリマーを伸張することにより延伸され、ポリマーをフィブリル化させることができる。延伸後に、疎水性要素は、複数のノードと、隣接するノードを接続する複数のフィブリルの構造を含むことができる。これらの例において、疎水性要素は細孔を含むことができる。本出願で規定されるノード及びフィブリルの構造の適切な例の幾つかは、W. L. Gore & Associates, Inc.に譲渡された米国特許第3,953,566号明細書に記載されている説明によって支持されうる。疎水性要素の細孔は、ミクロ細孔と考えることができる。このようなミクロ細孔は、単一の細孔サイズ又は細孔サイズの分布を有することができる。特定の実施形態において、平均細孔サイズは約0.1ミクロン~100ミクロンの範囲であることができる。
【0073】
収着性要素の収着性材料は、インプットからの所望の物質(例えば、CO2)を吸着によって表面に保持するように構成された表面を有する基材であることができる。収着性要素は、どの物質が吸着の対象となるかに基づいて変更されうる。様々な実施形態において、収着性要素の材料としては、限定するわけではないが、イオン交換樹脂(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能な樹脂である Dowex(商標) Marathon(商標)などの強塩基性アニオン交換樹脂)、ゼオライト、活性炭、アルミナ、金属有機フレームワーク、ポリエチレンイミン(PEI)を含むことができるCO2吸着性材料、又は、デシカント、炭素分子ふるい、炭素収着剤、グラファイト、活性アルミナ、分子ふるい、アルミノリン酸塩、シリコアルミノリン酸塩、ゼオライト吸着剤、イオン交換ゼオライト、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト、改質ゼオライト、天然ゼオライト、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、金属交換シリコアルミノリン酸塩、単極性樹脂、双極性樹脂、芳香族架橋ポリスチレンマトリックス、臭素化芳香族マトリックス、メタクリル酸エステルコポリマー、グラファイト吸着剤、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ナノ材料、金属塩吸着剤、過塩素酸塩、シュウ酸塩、アルカリ土類金属粒子、ETS、CTS、金属酸化物、化学収着剤、アミン、有機金属反応体、ハイドロタルサイト、シリカライト、ゼオライトイミダゾレートフレームワーク及び金属有機フレームワーク(MOF)吸着性化合物などの他の適切な二酸化炭素吸着性材料及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
収着性要素の形成に使用される収着性材料は、コーティング、充填物、混入粒子及び/又は他の適切な形態で存在することができ、これについては以下でさらに説明する。幾つかの例において、収着性材料が構造のネットワーク内のノード及び/又はフィブリルなどの疎水性要素上に実質的に連続したコーティングを形成するように、疎水性要素の一部を収着性材料でコーティングすることによって収着性要素が形成される。少なくとも一部の疎水性要素に収着性材料を充填し、収着性材料が構造のノード及び/又はフィブリルに組み込まれるようにすることも、本開示の範囲内である。幾つかの例において、各要素のサイズが小さいため、疎水性要素を「粉末」と呼ぶことがある。
【0075】
疎水性要素及び収着剤の配置は、様々な成分の重量に基づいた均質な混合物のようにランダムであってよい。幾つかの例において、
図9に示すように、疎水力が幾つかの領域で大きくなるように、配置が正確に設計される(又は、収着性要素及び疎水性要素が互いに対して所定の配置になっている)ことができる。これにより、疎水力によって液体水が所定の方向(排水点に向かう方向など)に移動できるようになる。正確で繰り返し可能な配置は、3D印刷で使用されるような方法によって実現できる。ここで、ノズルは特定の量の粒子を体積内で特定の領域に堆積する。
【0076】
フィブリル及びノードは、その長さ対幅の比で定義することができる。長さは、測定対象物の最長寸法として定義することができ、幅は、測定対象物の最短寸法として定義することができる。例えば、フィブリルは長さ対幅の比が、ノードの長さ対幅の比よりも大きいことがある。幾つかの例において、ノードは、比較的丸い形状、又は比が1に近い形状、例えば、約1.0~1.5、1.5~2.0、2.0~2.5、2.5~3.0、又はそれらの間の任意の値、又はそれらの組み合わせである。対照的に、幾つかの例において、フィブリルは比が、約10、20、30、40、50又はそれらの間の任意の値又は範囲よりも大きいことがあり、ノードよりもはるかに長尺の構成を示していることがある。
【0077】
収着性要素104及び疎水性要素200は、疎水性のレベルが異なるという点で互いに異なっており、疎水性要素200は第一の疎水度を有し、収着性要素104は第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を有する。例えば、収着性要素104は、疎水性要素200と比較して疎水性が低いという特徴を有していることができる。幾つかの例において、収着性要素104は親水性(つまり、非疎水性)であるか、部分的に/一時的に疎水性(一部が疎水性)である。収着性要素104及び疎水性要素200は、収着性物品300を形成するために互いに分離され、バラバラにされているものとして示されている。幾つかの例において、収着性物品300の要素は、物品の他の要素に対して自由に浮遊するか、又は移動可能であると説明されうる。幾つかの例において、収着性要素104及び疎水性要素200は互いに重量が異なり、各疎水性要素200は各収着性要素104よりも重いか、又は軽いことがある。幾つかの例において、疎水性要素は、収着性物品300の重量の少なくとも約20%~30%、30%、40%、50%、60%、又は70%、あるいはその間の任意の値又は増分に寄与することができる。幾つかの例において、疎水性要素は、収着性物品の密度の約20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、又はその他の値、増分、又はそれらの範囲の組み合わせに寄与することができる。密度は、材料(疎水性要素など)の質量を、材料を含む構造体(収着性物品など) が占める体積で割ったものとして定義される。
【0078】
幾つかの例において、構造(例えば、ノード及びフィブリル構造)は、少なくとも部分的にエンクロージャ102内に収容され、疎水性要素(すなわち、疎水性要素200)の収着性要素104に対する移動を制限しやすくするように構造化され、収着性要素104及び疎水性要素(例えば、200)の分布(例えば、混合物又は混合分布)を維持する。エンクロージャ102は、さらに、収着性要素104及び疎水性要素200を混合分布に維持するように構成されうる。幾つかの例において、収着性要素104は、エンクロージャ102内に別個に(離散して)かつ緩く詰められている。幾つかの例において、疎水性要素200も、エンクロージャ102内に別個に(離散して)かつ緩く詰められている。
【0079】
図4は収着性材料システム400を示しており、それは、収着性物品300、第一のバリア層402及び収着性物品300の反対側を少なくとも部分的に囲む第二のバリア層 404、ならびにタンク又はチューブなどの水収集ツール406を含む。収着性要素104は、粒子201及びフィラメント202のネットワーク内の間隙空間302の少なくとも一部に配置されている。さらに、バリア層402及び404の両方が示されているが、幾つかの実施形態は、第一のバリア層402又は第二のバリア層404のいずれかの層のみを含むことができることにも留意されたい。幾つかの例において、第一のバリア層402及び/又は第二のバリア層404の一方の表面に取り付けられるか又は接着された追加の層が存在しうる。
【0080】
第一のバリア層及び第二のバリア層402及び404は、水滴などのより大きな粒子が収着性物品300に入るのを防ぎながら、水蒸気が収着性物品に入り(矢印408を参照されたい)、そして出て行く(矢印410を参照されたい)のを容易にするように構成されている。すなわち、バリア層402、404は、水蒸気を選択的に透過させることができるが、液体水に対して選択的に不透過性であることができる。これは、バリア層402、404の疎水性によって促進されうる。バリア層402、404は、疎水性要素を形成するために使用される前述の材料のいずれか1つ以上から作製されうる。
【0081】
バリア層402、404は、さらに、形状が変更されうる。幾つかの実施形態において、収着性物品300を包囲するバリア層402、404は、複数の壁又は層(又はサブ層)を含むことができる。さらに、バリア層402、404は、崩潰及び拡張できるように可撓性及び/又は崩潰可能であることができ、それによって、収着性物品300も崩潰及び拡張することができる。他の実施形態において、バリア層402、404は、収着性物品300の長さにまたがる単壁構造であることができる。要約すると、収着性物品300は、バリア層402、404の間に、吸着及び脱着が起こりうる領域を含む。幾つかの実施形態において、収着性物品300は、少なくとも一方向に可撓性であることができる。特に、バリア層402、404は、少なくとも一方向に可撓性であることができる。この可撓性により、収着性物品300は、吸着構成に崩潰し、脱着構成に拡張することができる。
【0082】
水収集ツール406は、収着性物品300の近くに配置されたタンクであることができ、幾つかの例において、バリア層402、404を少なくとも部分的に囲むことができる。水収集ツール406は、バリア層402、404の表面に集められた水滴を集め、例えば、集められた水412を再利用及び/又は廃棄する。
【0083】
図5A~5Cは、幾つかの実施形態による収着性物品300によって促進される水排除プロセスを示す。収着性要素104は、疎水性粒子201及び疎水性フィラメント202を使用して形成されたネットワーク内の少なくとも一部の間隙空間302に配置されている。
【0084】
図5Aにおいて、収着性物品300に入る水蒸気が凝縮して、収着性物品300の内部で、例えば水滴又は凝縮物などの液体水500を形成する。液体水500は、疎水性粒子201及び疎水性フィラメント202の少なくとも一部によって画定される隙間空間302内に形成される。
【0085】
図5Bにおいて、疎水性粒子201及び疎水性フィラメント202によって及ぼされる疎水力502により、液体水500が収着性物品300の中心線C-Cから外側に変位又は移動される。液体水500の移動は、収着性物品300に空気圧を加えるなどの追加の外力を加えることによってさらに促進されうる。幾つかの例において、液体水500の移動は、収着性物品300を物理的に移動又は収着性物品300の形状を変更することによっても促進されうる。
【0086】
図5Cにおいて、液体水500が疎水力によって収着性物品300から排出され、収着性物品300の外面504及び506(外側面とも呼ばれる)上に集まる。また、外面504及び506のそれぞれ反対側にあり、収着性物品300に面している内面510及び512(内側面とも呼ばれる)も示されている。幾つかの例において、外面504、506は、収着性物品300を所定の位置に保持するエンクロージャ102によって画定される。幾つかの例において、外面504、506は、バリア層402及び404の外面であり、内面510及び512は、バリア層402及び404の内面である。エンクロージャ102はまた、外部大気と収着性物品300との間でCO
2ガスが通過できるようにする部分と、収着性物品300と外面504及び506との間で水(例えば、水蒸気)が通過できるようにする別の部分も含む。収着性物品300は、例えば収着性物品300に温度変化を適用することにより、外面504及び506を介してCO
2ガスを吸着及び脱着することができる。
【0087】
表面504、506は、液体水500が収着性物品300の外に出ると、より大きな水滴に集まるのを促進するのに十分な透過性及び疎水性を有することができる。例えば、収着性物品300内部からの疎水力は、液体水500が収着性物品300に入るか、又は再び入る傾向を防止又は低減することができる。幾つかの例において、疎水性要素200は、少なくとも部分的に疎水性であることができるバリア層402、404を通して液体水500を排出するのに十分な疎水力を発揮する。幾つかの実施形態において、例えば、図 9 の実施形態に示すように、内部ドレインを設けることができる。このドレインについては、本明細書でさらに説明する。疎水力により、余分な液体水が疎水性ネットワークから離れて、抵抗が最も少ない経路、すなわち、ドレインに向かって移動することができる。
【0088】
幾つかの例において、疎水性要素200は収着性要素104よりも高い疎水性を有し、収着性物品300内の疎水性要素200は、水が水蒸気から液体水に遷移するときに、収着性物品300内に位置する水に(個別に又は集合的に)疎水力を発揮するように分布している。このように、疎水力は液体水を外面504及び506に向け、収着性物品300から液体水を排出する。
【0089】
より多くの液体水500が集まると、凝集によって示されるように、一部の液滴はより大きく重い水滴に融合することができる。水滴のサイズ及び重量が増加すると、重力508が表面の付着力を超えるときに、液滴は下方に落下する。落下した液滴は、次いで、前述のように、水収集ツール406に集められることができる。
【0090】
図6は、本明細書に開示されるとおりの実施形態に従って収着性物品を製造する方法600のフローチャートを示す。工程602において、物質を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素が提供される。工程604において、複数の疎水性要素が提供される。工程606において、収着性要素と疎水性要素が組み合わされて収着性物品が形成される。組み合わせは、混合、ブレンド、撹拌などの任意の適切な方法を使用して実行することができる。組み合わせは、収着性物品全体にわたって均一なレベルの混合又は相互混合分布を達成するように実行されてもよいし、又は、収着性物品の一部のみで実行されてもよい。前述のように、疎水性ネットワーク及び収着剤は、互いに特定の関係で配置されうる。幾つかの例において、混合分布は、収着性物品内の収着性要素及び疎水性要素の内部分布に関する無秩序又はランダムな状態(すなわち、不均一な分布)によって規定される。
【0091】
幾つかの実施形態において、収着性要素及び疎水性要素が、収着性要素及び疎水性要素の互いに対する混合分布を維持する容器内に封入されるさらなる工程608がある。幾つかの実施形態において、容器の代わりに、収着性要素及び疎水性要素は、少なくとも部分的に疎水性である2つのバリア層の間に配置されうる。疎水性バリア層は、液体水に対する第二の透過度よりも大きい、水蒸気に対する第一の透過度を有することができる。液体水は、収着性物品内の水蒸気の凝縮の結果として形成されうる。幾つかの例において、第二の透過度は、疎水性層が大気圧下で液体水に対して不透過性であるように規定される。
【0092】
幾つかの実施形態において、複数の疎水性要素が第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素である場合に、第二の複数の疎水性要素を収着性要素及び第一の複数の疎水性要素と組み合わせる追加の工程が存在することができる。第二の複数の疎水性要素は、第一の複数の疎水性要素とは異なる材料を有することができ、第二の複数の疎水性要素の材料は、第一の複数の疎水性要素の第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とすることができる。さらに、第二の複数の疎水性要素は、疎水性要素のネットワークによって画定された空間内に疎水性要素が配置されるように、収着性要素及び第一の複数の疎水性要素と組み合わせることができる。幾つかの例において、第二の複数の疎水性要素は、疎水性要素のネットワークによって画定された隙間空間内に配置されうる。幾つかの例において、ために、第二の複数の疎水性要素を追加して、第一の複数の疎水性要素及び第二の複数の疎水性要素の組み合わせから及ぼされる疎水力を高めることができる。幾つかの例において、容器を画定する材料内又は材料を通してドレインを形成し、液体水をドレインを通して容器から排出することができる。また、排出された液体水を収集するために、水収集ツールを容器に取り付けるか、又は容器の近くに配置することもできる。
【0093】
図7は、本明細書に開示される例による疎水性粒子201の実施形態を示す。幾つかの例において、疎水性粒子201は、疎水性粒子201の形状及び構成を形成する1つ以上のノード700及び1つ以上のフィブリル702を含むことができる。ノード700は、フィブリル702(すなわち、例えば
図2及び
図3のフィラメント202よりも小さいフィブリル702)を介して相互接続されて、相互接続されたノード及びフィブリルのネットワークを形成し、ノード及びフィブリルは、互いに付着又は固定されて粒子201を形成することができる。ネットワークは、形成されたままの粒子201が球、多面体又は任意の他の適切な形状又は構成などの三次元形状をとることができるような三次元ネットワークであることができる。したがって、粒子201は、ノード700及びフィブリル702を含むことができる。
【0094】
図8は、本明細書に開示される例によるフィラメント202の実施形態を示す。幾つかの例において、フィラメント202は、フィラメント202の形状及び構成を形成する1つ以上のノード700及び1つ以上のフィブリル702を含むことができる。フィブリル702は、ノード700を互いに接続してフィラメント202を形成することができる。したがって、フィラメント202は、ノード700及びフィブリル702を含むことができる。
【0095】
さらに明確にするために、疎水性フィラメント202及び疎水性粒子201は、ノード700及びフィブリル702の三次元ネットワークから形成されうる。粒子201及びフィラメント202がフィブリル702及びノード700よりも大きい階層的配置が存在する。ノード700及びフィブリル702は接続されていることができ、収着性要素104を収容できる間隙空間を提供することができる。次に、より大きなオーダーの粒子201及びフィラメント202は、次のオーダーの(より大きな)三次元ネットワークも形成し、これにより、より多くの収着性要素104を配置できる隙間空間も提供する。
【0096】
図9は、本開示の例による収着性物品300の実施形態を示す。収着性物品300は、幾つかの例において、ケーシング又は他のタイプの容器などのエンクロージャ102内に保管されるか、又は少なくとも部分的に閉じ込められることができる。エンクロージャ102は、エンクロージャ102を貫通して延在して、エンクロージャの内部と外部とを接続する導管であるドレイン900も含むことができる。幾つかの例において、エンクロージャ102は、それ自体の別個の構成要素ではなく、収着性物品300の外面906によって画定又は形成され、その場合に、ドレイン900は、収着性物品300の外面906を貫通して延在して、収着性物品300を画定する内部混合物に到達することができる。内部混合物は、本明細書で開示されているように、別個にかつ緩く詰められた収着性要素、ならびに別個にかつ緩く詰められた疎水性要素を含むことができる。
【0097】
幾つかの例において、外部大気と収着性物品300との間のCO2ガスの通過を可能にするエンクロージャ102の部分は、収着性物品300の外面906によって形成される。幾つかの例において、収着性物品300と外面504及び506との間の水の通過を可能にするエンクロージャ102の部分は、収着性物品300の外面906によって形成される。収着性物品300は、疎水性の低い領域902が疎水性の高い領域904に囲まれるように配置される。
【0098】
中央を向いた矢印で示すように、疎水性がより高い領域904からの疎水力は、収着性物品300内に形成されうる水滴(すなわち、収着性物品300内に残留した水蒸気の凝縮の結果として形成される液体水)を、疎水性が低い領域902(幾つかの例において、親水性でさえありうる)に向かって押す。領域902内に集められた水滴は、下向きの矢印で示すように、重力によって下方に引っ張られ、次いで、ドレイン900を通ってエンクロージャ102の内部からパージ又は排出される。排出された水908は、幾つかの例において、前述のように水収集ツール406を使用して収集できる。
【0099】
本明細書に開示される収着性物品の特徴及び特性は、収着性物品内からの効率的かつ有効な水分排除を促進する。このような水分排除を促進する利点は、収着性物品を乾燥状態又は比較的に乾燥状態に維持できることを含む。CO2を捕捉する方法において、収着性物品は、スチームの形で収着性物品の内部に水分を受け取ることができる。スチームからの水蒸気の蒸発は、収着性物品の内部温度を下げ、CO2捕捉プロセスを促進することができる。しかしながら、水蒸気のすべてが完全に蒸発するわけではないため、水蒸気の一部は収着性物品内に残る可能性がある(例えば、水滴又は凝縮物として)。幾つかのシナリオでは、収着性物品内に凝縮物が存在すると、収着性物品のCO2捕捉能力の効率が低下する可能性がある。すなわち、収着性物品内の水分が増加すると、CO2捕捉能力が低下する可能性がある。幾つかのシナリオにおいて、水の存在により収着剤(例えば、炭酸カリウム)が溶解したり、乾燥サイクルが長くなってシステムの反応速度が低下したりする可能性がある。さらに、幾つかのシナリオにおいて、液体水は幾つかのポリマーの酸化速度を上昇させる可能性がある。そのため、CO2放出(脱着)段階と比較してCO2捕捉(吸着)段階中に収着性物品を比較的乾燥した状態に保つために、収着性物品から凝縮又はその他の水分を可能な限り除去することが望ましいことがある。
【0100】
図3、4及び5に示す収着性物品300は、収着性物品の様々な特徴の例を示しており、これらの図示された特徴の組み合わせは明らかに開示の範囲内であるが、これらの例及びそれらの図解は、本明細書で提供される発明概念が、より少ない特徴、追加の特徴、又は代替の特徴から、これらの図又は他の図に示される特徴の1つ以上に限定されることを示唆することが意図されない。例えば、様々な実施形態において、
図3に示される収着性物品は、
図4を参照して説明したバリア層402、404を含むことができる。また、逆もまた真であることも理解されたい。
図4に示される1つ以上の構成要素は、
図3に示される構成要素に加えて、又は
図3に示される構成要素の代わりとして用いることができ、その逆も同様である。
【0101】
本出願の開示は、上記で、一般的に及び特定の実施形態に関しての両方で説明されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることは当業者に明らかである。したがって、実施形態は、添付の請求項及びその均等の範囲内にある限り、本開示の修正及び変更を網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO
2を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素、並びに
該複数の収着性要素と混合され、かつ、疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成された複数の疎水性要素
を含んでなる収着性物品。
【請求項2】
前記複数の収着性要素と前記複数の疎水性要素とが混合分布で維持される容器をさらに含む、請求項1記載の収着性物品。
【請求項3】
前記容器は、前記液体水が前記収着性物品から排出されるドレインを含む、請求項2記載の収着性物品。
【請求項4】
前記収着性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記容器内に別個にかつ緩く詰められている、請求項2又は3記載の収着性物品。
【請求項5】
前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークを形成している、請求項1~
3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項6】
前記疎水性要素のネットワークは前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定し、前記収着性要素の少なくとも一部が前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている、請求項5記載の収着性物品。
【請求項7】
前記疎水性要素のネットワークは、複数の疎水性ノード及びフィブリルを有する構造に取り込まれている、請求項
5記載の収着性物品。
【請求項8】
前記構造は少なくとも部分的に前記容器内に収容されており、前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素の混合分布を維持するために、前記収着性要素に対する前記疎水性要素の動きを制限するのを容易にするように構成されている
、請求項7記載の収着性物品。
【請求項9】
前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して配置された少なくとも1つの疎水性層をさらに含む、請求項1~
3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項10】
2つの多孔質疎水性層を含み、前記収着性要素及び前記疎水性要素は前記2つの多孔質疎水性層の間に配置されている、請求項9記載の収着性物品。
【請求項11】
前記疎水性層は、液体水に対する第二の透過度よりも大きい、水蒸気に対する第一の透過度を有し、ここで、液体水は前記収着性物品内で水蒸気が凝縮した結果として形成される、請求項
8記載の収着性物品。
【請求項12】
前記第二の透過度は、前記疎水性層が大気圧下で液体水に対して不透過性であるように規定される、請求項11記載の収着性物品。
【請求項13】
前記疎水性要素は、前記疎水性層を通して液体水を排出するのに十分な疎水力を発揮するように構成されている、請求項
9記載の収着性物品。
【請求項14】
前記疎水性要素は、前記収着性物品の表面にある液体水に対して疎水力を発揮し、前記収着性物品に入る液体水の量を減らすのを促進するように構成されている、請求項1~
3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項15】
前記疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素であり、前記収着性物品は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料の第二の複数の疎水性要素をさらに含み、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項16】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とはサイズ又は形状が異なる、請求項15記載の収着性物品。
【請求項17】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記疎水性要素のネットワークによって画定された前記隙間空間内に配置されている
、請求項1
5記載の収着性物品。
【請求項18】
前記複数の疎水性要素は、前記収着性物品の密度の約30%~70%に寄与する、請求項1~
3のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項19】
物質を吸着及び脱着するように構成された複数の収着性要素を提供すること、
複数の疎水性要素を提供すること、及び、
前記疎水性要素が疎水力を発揮して収着性物品から液体水を排出するように構成されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて収着性物品を形成すること、
を含む、収着性物品を形成する方法。
【請求項20】
前記複数の収着性要素及び前記複数の疎水性要素を、前記収着性要素と前記疎水性要素が混合分布で維持されるように容器内に封入することをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記容器は、前記疎水性要素が前記収着性要素に対して移動することを制限して、それらの混合分布を維持するのを容易にするように構成されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークを形成する、請求項19~21のいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記疎水性要素のネットワークは、前記疎水性要素のネットワーク内に複数の隙間空間を画定し、前記方法は、
前記収着性要素が前記疎水性要素のネットワークによって画定された隙間空間内に配置されるように、前記収着性要素と前記疎水性要素とを組み合わせることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記収着性要素及び前記疎水性要素に隣接して少なくとも1つの多孔質疎水性層を配置することをさらに含む、請求項19~
21のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記複数の疎水性要素は、第一の疎水度を有する第一の複数の疎水性要素であり、前記方法は、
前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素を、第二の複数の疎水性要素と組み合わせることをさらに含み、前記第二の複数の疎水性要素は、前記第一の複数の疎水性要素とは異なる材料を有し、前記第一の疎水度とは異なる第二の疎水度を特徴とする、請求項19~
21のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記第二の複数の疎水性要素は、前記収着性要素及び前記第一の複数の疎水性要素と組み合わされ、前記疎水性要素は疎水性要素のネットワークによって画定された空間内に配置される
、請求項25記載の方法。
【請求項27】
液体水が前記容器から排出されるドレインを形成することをさらに含む、請求項19~20のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
前記収着性要素と前記疎水性要素を組み合わせて前記収着性物品を形成することは、3D印刷によって前記収着性要素及び前記疎水性要素を互いに対して所定の位置付けで配置することを含む、請求項19~
21のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
大気から二酸化炭素ガスを除去するための収着性物品であって、前記収着性物品は、
疎水性要素と混合された収着性要素の分布を支持するエンクロージャを含み、前記エンクロージャは、前記エンクロージャの外面と、前記分布に面する反対側の内面とを画定し、前記エンクロージャの第一の部分は、大気と前記分布との間の二酸化炭素ガスの通過を可能にし、前記エンクロージャの第二の部分は、前記分布と前記エンクロージャの外面との間の水の集合体の通過を可能にし、
前記収着性要素は、前記分布に温度変化を適用することにより、前記エンクロージャの外面を介して二酸化炭素ガスを吸着及び脱着することができ、
前記疎水性要素は、疎水性要素の第一の疎水度を規定し、前記収着性要素は、収着性要素の第二の疎水度を規定し、前記第二の疎水度は前記第一の疎水度よりも小さく、
前記分布内の疎水性要素は、水の集合体が液体水に遷移するときに、前記分布内の水の集合体に疎水力を発揮するように分布され、前記疎水力は液体水を前記エンクロージャの外面に向け、液体水を前記分布から排出する、収着性物品。
【請求項30】
前記疎水性要素は複数の疎水性フィラメントを有する構造を画定し、前記複数の疎水性フィラメントは前記複数の疎水性フィラメント間の複数の隙間空間を画定するネットワークを形成する、請求項29記載の収着性物品。
【請求項31】
前記収着性要素は前記隙間空間内に配置されている、請求項30記載の収着性物品。
【請求項32】
前記エンクロージャは前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項33】
前記エンクロージャの第一の部分は前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項34】
前記エンクロージャの第二の部分は前記分布の外面によって形成される、請求項29記載の収着性物品。
【請求項35】
前記エンクロージャは、液体水が前記分布から排出されるドレインを画定する、請求項29記載の収着性物品。
【請求項36】
前記収着性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められており、前記疎水性要素は前記エンクロージャ内に別個にかつ緩く詰められている、請求項29~35のいずれか1項記載の収着性物品。
【請求項37】
前記疎水性要素は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又は延伸ポリエチレン(ePE)の少なくとも1つから構成されている、請求項29~
35のいずれか1項記載の収着性物品。
【国際調査報告】