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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】電源回路及びその応用
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20250123BHJP
   H02M 5/14 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H02M7/06 G
H02M5/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544726
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2022125428
(87)【国際公開番号】W WO2023142537
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210095101.6
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211242958.2
(32)【優先日】2022-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517003923
【氏名又は名称】ヂャン イーシン
【氏名又は名称原語表記】ZHANG, Yixing
【住所又は居所原語表記】the New 2 Building No.1406, Normal University North Road No.21, Haidian District Beijing 100088 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン イーシン
【テーマコード(参考)】
5H006
5H750
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006BB02
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC05
5H750AA04
5H750BA05
5H750CC11
5H750DD13
5H750DD14
5H750DD19
(57)【要約】
本発明では、電源回路及びその応用を開示し、導磁性の鉄心における導電巻線コイル間の電磁誘導関係を利用して、所定の交流電源から多相交流電源が生成され、多相ブリッジ整流回路を経て、コンデンサフィルタリングを行うことなく、脈動率が低い直流電圧源として直流電圧及び電流を直接出力する。これによって、コンデンサフィルタリングによる高次高調波を根本的に解消する。また、電力網から入力された多相ブリッジ整流回路の電流は、正弦波又は正弦波に非常に近いステップ波であることによって、パワーファクタ校正を行うことなく、交流側で生成される高次高調波を最小程度に減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路であって、導磁性の鉄心における導電巻線コイル間の電磁誘導関係を利用して、所定の交流電源からn相交流電源を生成し、さらにn相ブリッジ整流回路を経た後、脈動率が低い直流電圧源として直流電圧及び電流を直接出力し、ここで、nは、5以上の奇数であり、
前記n相交流電源は、振幅が等しく、初期位相が順に360°/nの間隔で、均等に分布するn個の正弦波電圧源であり、
前記n相ブリッジ整流回路は、n組の直列接続された2つの整流ダイオードからなり、前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードは、いずれも、1つのダイオードの陰極がもう1つのダイオードの陽極に接続されており、各接続点は、それぞれ前記n相交流電源のn相の出力端に接続されており、すべての前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードのもう1つの陰極は、n相ブリッジ整流回路の出力正極として接続されており、すべての前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードのもう1つの陽極は、n相ブリッジ整流回路の出力負極として接続されている電源回路。
【請求項2】
nは、7以上の奇数である、請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
3相交流モータの固定子巻線によって発生させた回転磁界が固定子巻線において誘導してできた3m相交流電源を利用して、3m相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力し、ここで、mは、3以上の奇数であり、3m=nである、ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
mは、5以上の奇数である請求項3に記載の電源回路。
【請求項5】
単相交流非同期電動機の動作時に、回転磁界が固定子巻線において誘導してできたn相交流電源を利用して、n相ブリッジ整流回路を通過して直流電圧及び電流を出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項6】
nは、7以上の奇数である、請求項5に記載の電源回路。
【請求項7】
前記n相交流電源は3h相交流電源であり、3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線の組み合わせからなり、それによって出力された3h個の交流電圧源は3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力し、ここで、hは3以上の奇数である、ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項8】
前記3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線の組み合わせは、星型接続方式が採用され、具体的に、3h個の巻線の組み合わせの一端は、共に一箇所に接続されており、他端は3h相交流電源の出力端とされており、3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力する、ことを特徴とする請求項7に記載の電源回路。
【請求項9】
前記3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線の組み合わせは、多辺形接続方式が採用され、具体的に、3h個の巻線の組み合わせは、順に始端と終端が接続され、最後の組の終端が最初の組の始端に接続されて閉ループが形成され、3h個の接続点が得られ、3h個の接続点は、3h相交流電源の出力端とされており、3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力する、ことを特徴とする請求項7に記載の電源回路。
【請求項10】
前記電源回路は製品端に応用され、製品電源の全部又は一部として交流電気入力端に接続される、ことを特徴とする請求項1-9のいずれか1項に記載の電源回路の応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源技術分野に関し、特に電源回路及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の電力網が何千もの家庭に提供しているのはいずれも交流電気であるが、我々が一般的に使用する照明、テレビ、電気音響、コンピュータ等の電気設備は、いずれも直流電気を必要としている。なお、速度調整が必要な電力駆動装置(例えばエレベータ、電気自動車、高速鉄道、精密工作機械等)、及び精密制御が必要な装置は、いずれも直流電気を必要とし、いずれも装置側で交流電気をまず直流電気に変換してから使用できるようになる。
【0003】
装置側で、交流電気を直流電気に変換するために、整流とコンデンサフィルタリングを行う必要がある。整流後に得られた脈動的な直流電圧は、フィルタリングを経てから、安定した直流電圧になりうる。コンデンサフィルタリングを用いると、交流側電流がパルス電流になり、多くの高次高調波が出現し、関連基準における高次高調波の規定(中華人民共和国国家標準GB 17625.1-2012/IEC 61000-3-2:2009:電磁両立性制限値高調波電流送信制限値(装置の各相入力電流≦16A))を満たすように、さらにパワーファクタ校正による除去が必要となる。この国家標準は強制標準であり、強制標準を満たさない製品は、いずれも、生産、販売及び輸入が禁止されている。したがって、電気設備であれば、パワーファクタ校正による高次高調波の除去が必要かどうかを考慮しなければいけない。
【0004】
しかし、パワーファクタ校正は非常に複雑で、パワーファクタ校正により、直流電源のコストがかなり増えることになり、特に、ハイパワーのパワーファクタ校正はさらにコストが増える。
【発明の概要】
【0005】
以上を踏まえて、本発明では、電源回路及びその応用が提供される。導磁性の鉄心における導電巻線コイル間の電磁誘導関係を利用して、所定の交流電源から多相交流電源を生成し、さらに多相ブリッジ整流回路を経て、コンデンサフィルタリングを行うことなく、脈動率が低い直流電圧源として直流電圧及び電流を直接出力する。これによって、コンデンサフィルタリングによる高次高調波を根本的に解消する。また、電力網から入力された多相ブリッジ整流回路の電流は、正弦波又は正弦波に非常に近いステップ波であることによって、パワーファクタ校正を行うことなく、交流側で生成される高次高調波を最小程度に減少させる。
【0006】
1つの観点では、本発明において電源回路が提供され、導磁性の鉄心における導電巻線コイル間の電磁誘導関係を利用して、所定の交流電源からn相交流電源を生成し、さらにn相ブリッジ整流回路を経て、コンデンサフィルタリングを行うことなく、脈動率が低い直流電圧源として直流電圧及び電流を直接出力する。ここで、nは5以上の奇数である。
【0007】
前記n相交流電源は、振幅が等しく、初期位相が順に360°/nの間隔で、均等に分布するn個の正弦波電圧源である。
【0008】
前記n相ブリッジ整流回路は、n組の直列接続された2つの整流ダイオードからなり、前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードは、いずれも、1つのダイオードの陰極がもう1つのダイオードの陽極に接続される。各前記接続点は、それぞれ前記n相交流電源のn相の出力端に接続される。すべての前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードのもう1つの陰極は接続され、n相ブリッジ整流回路の出力正極とされる。すべての前記n組の直列接続された2つの整流ダイオードのもう1つの陽極は接続され、n相ブリッジ整流回路の出力負極とされる。
【0009】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。ここで、nは、7以上の奇数であってもよい。
【0010】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。3相交流モータの固定子巻線によって発生させた回転磁界が固定子巻線において誘導してできた3m相交流電源を利用して、3m相ブリッジ整流回路を経て、直流電圧及び電流を出力してもよい。ここで、mは3以上の奇数であり、3m=nである。
【0011】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。ここで、mは5以上の奇数であってもよい。
【0012】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。単相交流非同期電動機の動作時に、回転磁界が固定子巻線において誘導してできたn相交流電源を利用して、n相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力してもよい。
【0013】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。ここで、nは、7以上の奇数であってもよい。
【0014】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。前記n相交流電源は3h相交流電源であり、3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線組み合わせからなり、それによって出力された3h個の交流電圧源は3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧と電流を出力してもよい。ここで、hは3以上の奇数である。
【0015】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供し、hは5以上の奇数であってもよい。
【0016】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。前記3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線の組み合わせは、星型接続方式が採用され、具体的に、3h個の巻線組み合わせの一端は共に一箇所に接続され、他端は3h相交流電源の出力端とされており、3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力してもよい。
【0017】
以上述べてきた観点と任意1つの可能な実現形態のように、さらに実現形態を提供する。前記3相交流変圧器の二次巻線の3h組の異なる巻線の組み合わせは、多辺形接続方式が採用され、具体的に、3h個の巻線の組み合わせは、順に始端と終端が接続され、最後の組の終端が最初の組の始端に接続されて閉ループを形成し、3h個の接続点が得られ、3h個の接続点は、3h相交流電源の出力端とされており、さらに3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力してもよい。
【0018】
もう1つの観点では、本発明は、以上のいずれか1つの電源回路の応用を提供する。前記電源回路は製品端に応用され、製品電源の全部又は一部として交流電気入力端に接続される。
【0019】
従来の技術に比べ、以上の技術的解決手段における1つの手段のメリット又は有益な効果は以下の通りである。本発明の整流回路は、多相交流電気に対し整流でき、フィルタリングを行うことなく、安定した直流電圧を得ることができる。
【0020】
以上の技術的解決手段におけるもう1つの手段のメリット又は有益な効果は、以下の通りである。本発明の整流回路は、フィルタリングのステップを省き、フィルタリングによってもたらされる多くの高次高調波を根本的に解消する。電気設備における高次高調波の除去を考慮する必要がなくなり、パワーファクタ校正のステップを省き、電気設備の設計と生産のコストを簡略化できる。
【0021】
以上の技術的解決手段におけるもう1つの手段のメリット又は有益な効果は、以下の通りである。本発明の整流回路は、給電端又は給電経路の中間端に応用でき、電力網が直流の形式で各家庭に給電することが可能となり、ユーザーの直流設備と電源との接続が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の技術的な解決手段をより明確にするために、以下において、使用される図面について簡単に紹介する。以下の図面は、本発明の実施例の一部であり、当業者にとって、創造的な労力がない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得られることは明らかである。
図1】本発明の1つの実施例による多相ブリッジ整流回路のブロック図であり、n個の3相交流変圧器の二次巻線の組み合わせの間では、星型接続法が採用されている。
図2】本発明の1つの実施例による9相交流電源の電圧波形図である。
図3】本発明の1つの実施例による9相ブリッジ整流回路の整流後の出力直流電圧波形図である。
図4】本発明の1つの実施例による3相変圧器二次巻線の組み合わせからなる9相交流電源が9相ブリッジ整流回路に接続されるとき、3相変圧器の鉄心における一次側と二次側のステップ波起磁力W・Iの対応関係図である。
図5】本発明の1つの実施例による3相交流変圧器の二次巻線組み合わせの間で、多辺形接続法を採用して得られた、9相交流電源の多相ブリッジ整流回路の図である。
図6】本発明の1つの実施例による正多辺形(正九角形)の外角と外接円の中心角との関係を示す図である。同じ3相交流変圧器の二次巻線の組み合わせを多辺形接続法で接続しても星型接続法で接続しても、それぞれ9相交流電源を得られることに対応している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、3相変圧器の二次巻線を利用して得られる、9相交流電源の9相ブリッジ整流回路を実施例として、具体的な実施形態を説明する。
【0024】
9相ブリッジ整流回路のブロック図は、図1に示す。ここで、n=9である。
【0025】
ここで、3相交流変圧器の全ての二次巻線の巻き数は5種類あり、互いの巻き数の比は、以下の通りである。 N1:N2:N3:N4:N5=Sin90°:Sin50°:Sin10°:Sin30°:Sin70°。
【0026】
この5種類の巻き数に正負の極性を加え、3つを1組にして、直列接続して、必要とする9種類の変圧器の二次巻線の組み合わせを構成する。それらは以下の通りである。
変圧器の二次巻線の組み合わせ1:A相N1回、B相-N4回、C相-N4回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ2:A相N2回、B相N3回、C相-N5回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ3:A相N3回、B相N2回、C相-N5回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ4:A相-N4回、B相N1回、C相-N4回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ5:A相-N5回、B相N2回、C相N3回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ6:A相-N5回、B相N3回、C相N2回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ7:A相-N4回、B相-N4回、C相N1回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ8:A相N3回、B相-N5回、C相N2回、
変圧器の二次巻線の組み合わせ9:A相N2回、B相-N5回、C相N3回。
【0027】
図1は、n個の巻線の組み合わせが星型接続法によって接続されている様子である。当該N相交流電源を本発明の2N個の整流ダイオードからなるN相整流ブリッジに入力すると、フィルタコンデンサがない状況下において、脈動率が低い脈動直流電圧を得ることができる。図3からわかるように、図4の脈動率は、従来の3相整流の脈動率と比べて明らかな減少がみられる。
【0028】
周知のように、1つの連続的微分可能関数の極値の変化率は0である。具体的には、正弦関数の最大値と最小値の所の値の変化はとても小さく、絶対値は1に近い。例えば、
Sin80°=Sin100°=0.98481である。
【0029】
9相ブリッジ整流回路を例にすると、Sin80°=Sin100°=0.984819であるため、このときの出力直流脈動電圧は極値と極値の0.984819の間で変化し、その脈動率は1%未満になる。このような低い脈動率なら、フィルタリングを行う必要がなくなる。また、n=15のときは、Sin84°=0.99452であるため、脈動率は0.3%未満になり、フィルタリングを行う必要がない。
【0030】
この9相交流電源は、3相交流変圧器の二次巻線の組み合わせから得ることができる。
によって、
であるため、
したがって、
【0031】
さらに、
が示しているように、3相変圧器の二次巻線の3つをそれぞれ3相に属させ、巻き数を所定の比となる巻線における電圧を加算することにより、任意の初期位相
の正弦量を得ることができる。
【0032】
(ここで、Nは5を超える整数であり、n=0,1,2,……N-1)にして、N個の正弦量を得る
【0033】
(ここで、n=0,1,2,…N-1)。
【0034】
これは、いわゆるn相交流電源であり、振幅が等しく、初期位相が順に360°/nの間隔を有し、均等に分布するn個の正弦波電圧源である。
【0035】
以上から、3相交流変圧器の二次巻線を利用して、多相ブリッジ整流に必要なN相交流電源を得ることができるという結論が得られる。
【0036】
特に、N=3・3=9のとき、3相変圧器の二次巻線は、9組の巻線(各組に3つの巻線)によって9相交流電源を構成できる。
【0037】
ここの3相交流変圧器の全ての二次巻線の巻き数は5種類あり、互いの巻き数の比は、N1:N2:N3:N4:N5=Sin90°:Sin50°:Sin10°:Sin30°:Sin70°である。
【0038】
この巻き数の比と巻線極性の正負に基づいて、9組の巻線(各組に3つの巻線)によって9相交流電源が構成されることを確保できると同時に、直流電流を出力するとき、変圧器の3つの一次巻線において位相差が120°の正弦波に近似する3つのステップ波電流が誘導されることを確保する。
【0039】
整流ブリッジ側から多相交流電源を見ると、以下のことがわかる。
【0040】
直流正極から流出する電流は、交流電源の電圧が最も高い一相から流出し、その三つの巻線において、この時の二次側の3相電圧の瞬時値が比例して誘導され、且つこの三つの電圧の和は、ちょうど最高値にある当該相の交流電源の電圧値である。直流負極出力端の状況も完全に類似し、直流負極から流れる電流は、交流電源の電圧の最も負となる相に流れる。その3つの巻線においても、この時の二次側の3相電圧の瞬時値が比例して誘導され、且つこの三つの電圧の和は、ちょうど最も負の当該相の交流電源の電圧値である。このとき、この2組(各組3つ)の巻線の組み合わせには、いずれも同じ電流が流れているが、3つの巻線の巻き数(極性正負を含む)が異なり、さらに、9つの巻線の組み合わせが順に導通することに対応し、電流が流れる3つの巻線の巻き数及び極性も順に変換し、これにより、導通する巻線の巻き数と直流電流との積は、変圧器の3つの鉄心において、3つの正弦波に近似するステップ起磁力を生成する。
【0041】
図4は、3相変圧器の鉄心における一次側及び二次側のステップ波起磁力W・Iの対応関係(初期位相が0である一相を例とする)をだいたい示している。図において、交流電源の電圧がもっとも高い一相から流出する電流が変圧器二次巻線において生成する起磁力をW二次・、交流電源の電圧がもっとも負である一相から流入する電流が変圧器二次巻線において生成する起磁力をW二次・、及び変圧器一次巻線において誘導されて生成する電流の起磁力をW一次・一次と示す。
【0042】
三者の関係は、W一次・一次=W二次・+W二次・である。
【0043】
前記3相交流変圧器の二次巻線の9組の異なる組み合わせは、星型接続方式を採用してもよく、多辺形接続方式を採用してもよい。正多辺形の外角は、各辺が対応する内接円の中心角に等しいため、星型接続方式を採用しても、多辺形接続方式を採用しても、同じ3相交流変圧器の二次巻線の9組の異なる組み合わせからそれぞれの9相交流電圧電源を得ることができる。ただ、両者の電圧の振幅が異なり、2つの方式の電圧振幅の比は、以下の通りである。
【0044】
多辺形接続方式の電圧振幅:星型接続方式の電圧振幅=1:2・Sin20°。
【0045】
また、3相交流電動機の固定子巻線によって生成された回転磁界を利用して、固定子巻線において3h相(ここで、hは3以上の奇数である)交流電源を誘導し、さらに3h相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力する。
【0046】
3相交流電動機が3相交流電源に接続されるとき、その固定子巻線が鉄心において回転磁界を発生させる。この回転磁界が固定子鉄心溝に均一に分布するコイルを順に切断すると、我々に必要な3h相(ここで、hは3以上の奇数である)交流電源を得ることができる。
【0047】
また、単相交流非同期電動機の動作時に、回転磁界が固定子巻線において誘導してできたn相交流電源(ここで、nは5以上の奇数である)を利用して、n相ブリッジ整流回路を経て直流電圧及び電流を出力する。これは、単相交流電源のみが存在し、三相交流電源が存在せず、単相交流電源からn相交流電源を生成する必要がある場合である。
【0048】
単相交流非同期電動機の固定子コイルによって発生させた、方向が一定している交番磁界は、大きさが等しく、方向が相反する2つの回転磁界に分解することができる。単相交流非同期電動機の動作時に、回転子コイルの誘導電流によって生成される磁界は、反対方向に回転する磁界を打ち消すことができ、最終的に固定子コイルと組み合わされて回転磁界を形成する。この回転磁界が固定子の鉄心溝に均一に分布するコイルを順に切断すると、我々に必要なn相(ここで、nは5以上の奇数である)交流電源を得ることができる。
【0049】
図5は、9つの巻線組み合わせを多辺形接続法で接続した様子を示している。9つの巻線組み合わせの内部の3つの巻線の巻き数の比は星型接続法と同じであるが、巻き数は、(2・Sin20°:1)のように圧縮されるべきである。
【0050】
以上で述べられた実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、すべての実施形態ではないことが明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的労働を行わない前提で得たその他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】