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特表2025-503253フィルムを巻管に巻き取るための方法およびコイル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】フィルムを巻管に巻き取るための方法およびコイル
(51)【国際特許分類】
   B65H 19/22 20060101AFI20250123BHJP
   B65H 18/28 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
B65H19/22
B65H18/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544920
(86)(22)【出願日】2023-01-26
(85)【翻訳文提出日】2024-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2023051852
(87)【国際公開番号】W WO2023144236
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022101890.3
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
【住所又は居所原語表記】Berliner Ring 2, 38440 Wolfsburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン リプキー
【テーマコード(参考)】
3F055
3F064
【Fターム(参考)】
3F055AA00
3F055CA01
3F055DA13
3F055FA11
3F055FA13
3F055FA17
3F064AA00
3F064BB18
3F064CB01
(57)【要約】
フィルム(1)を巻管(2,3)に巻き取って、コイル(4)を形成し、フィルム(1)を巻管(2,3)から繰り出すための方法であって、フィルム(1)は、電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含み、巻管(2,3)は、少なくとも1つの開口(8)を有する孔あけ加工された周面(7)を有する、方法。コイル(4)であって、巻管(2,3)と、この巻管(2,3)に巻き取られたフィルム(1)とを少なくとも備える、コイル(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(1)を巻管(2,3)に巻き取って、コイル(4)を形成し、前記フィルム(1)を前記巻管(2,3)から繰り出すための方法であって、前記フィルム(1)は、電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含み、巻取りの際、
a)前記巻管(2,3)を準備して、該巻管(2,3)を軸(5)に配置するステップと、
b)エンドレス材料としての、第1の端部(6)を有する前記フィルム(1)を準備するステップと、
c)前記第1の端部(6)を前記巻管(2,3)に配置するステップと、
d)前記フィルム(1)を前記巻管(2,3)に巻き取って、前記コイル(4)を形成するステップと
を少なくとも含む、方法において、
前記巻管(2,3)は、前記ステップc)およびd)において前記フィルム(1)が配置される、少なくとも1つの開口(8)を有する孔あけ加工された周面(7)を有し、前記巻管(2,3)は負圧源(9)に接続されており、該負圧源(9)を介して前記少なくとも1つの開口(8)に負圧が発生させられ、これによって、該負圧により少なくともステップc)中に前記フィルム(1)が前記周面(7)に位置固定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記周面(7)は複数の開口(8)を有し、該開口(8)は、少なくとも周方向(10)に沿って分配されて配置されているか、または前記巻管(2,3)は、軸線方向(11)に沿って延在する回転軸線(12)を有し、前記開口(8)は、前記軸線方向(11)に沿って分配されて配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記開口(8)は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口(8)のサイズ(13)と、前記少なくとも1つの開口(8)に加えられる前記負圧とは、前記フィルム(1)の変形強度に合わせて調整され、これによって、前記少なくとも1つの開口(8)を介した前記フィルム(1)の吸着による前記フィルム(1)の少なくとも塑性変形が回避される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記巻取りの際、前記周面(7)への前記フィルム(1)の位置固定は接着手段なしに実施される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
繰出しの際、前記フィルム(1)は、前記巻管(2,3)から1回の連続的なプロセスで完全に繰り出され、前記巻管(2,3)は前記繰出し直後に接着手段なしである、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記フィルム(1)を第1の巻管(2)から繰り出して、前記フィルム(1)を第2の巻管(3)に巻き取ることが行われ、その間に前記フィルム(1)は加工され、該フィルム(1)は前記第1の端部(6)で前記第1の巻管(2)から繰り出され、前記第1の端部(6)で前記第2の巻管(3)に巻き取られる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
コイル(4)であって、巻管(2,3)と、該巻管(2,3)に巻き取られたフィルム(1)とを少なくとも備え、該フィルム(1)は、電池セルの構成要素として使用可能である、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含み、前記巻管(2,3)は、少なくとも1つの開口(8)を有する、巻き取られた前記フィルム(1)に接触している孔あけ加工された周面(7)を有する、コイル(4)。
【請求項9】
前記周面(7)は複数の開口(8)を有し、該開口(8)は、少なくとも周方向(10)に沿って分配されて配置されているか、または前記巻管(2,3)は、軸線方向(11)に沿って延在する回転軸線(12)を有し、前記開口(8)は、前記軸線方向(11)に沿って分配されて配置されている、請求項8記載のコイル(4)。
【請求項10】
前記開口(8)は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている、請求項9記載のコイル(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを巻管に巻き取るための方法およびコイルであって、巻管と、この巻管に巻き取られたフィルムとを備える、コイルに関する。方法およびコイルもしくは巻管は、特に、電極フィルム、特にコーティングされたかつ/またはコーティングされていない電極フィルムを繰り出し、また、巻き取るために用いられる。
【0002】
自動車の駆動装置に電池、特にリチウムイオン電池を使用することが増えてきている。この電池は、通常、複数の電池セルから形成されている。各々の電池セルは、場合により層または材料層の形態で存在するアノードフィルム、カソードフィルムおよびセパレータフィルムのスタックを有している。アノードフィルムおよびカソードフィルムの少なくとも一部は、電池セルから提供された電流を、電池セルの外部に配置された消費器に向かって導出するための集電体として形成されている。以下では、スタックの個々の要素を電極またはフィルムとも呼ぶ。
【0003】
個々のフィルムは、特にエンドレス材料として提供され、場合により、例えば活物質でコーティングされ、再び巻き取られる。こうして製造されたフィルムは、その後、巻き取られたコイルとして、電池セルを製造するためのプロセスに供給される。このプロセスでは、場合によりコーティングされた電極フィルムを備えるコイルが繰り出され、例えば切断されるかもしくは個々の層に分離もしくは分割され、これによって、個々の層を互いに積み重ねて配置することができる。コーティングされたフィルムのうちのコーティングされていない領域は、集電体として使用されてよい。
【0004】
コイルは、特にいわゆる巻管を備えている。この巻管には、フィルムが巻き取られ、また、巻管から、フィルムはのちに再び繰り出される。
【0005】
(リチウムイオン)電池セルを製造するための工場における生産チェーンの自動化が進んでいることを考慮して、個々の機械の間の連係を改善することが必然的に必要となっている。このような生産チェーンには、特に、コーティングプロセス(つまり、特に、活物質での担体材料のコーティング)と、スタッキング(フィルムの個別化された層の積層)とが含まれている。これらのプロセスには、特に複数回のスプライシング操作(つまり、電極フィルム同士を結合してエンドレス材料を形成するための結合過程)および(電極フィルムの個々の層をエンドレス材料から切断または分離するための)カッティング操作が含まれている。特に、これらのプロセスもしくは過程によって、連続的な製造プロセスが可能となることが求められている。
【0006】
スプライス結合過程は、特に、エンドレス材料をコイルから繰り出す際に使用される。第1のフィルムがコイルから十分に繰り出されていると、第1のフィルムの端部に、すでに機械内に提供されている新たなコイルの新たな第2のフィルムが自動化されて接合される。第1のフィルムと第2のフィルムとの間のこの結合部は、スプライス箇所もしくは接合箇所と呼ばれる。続いてまたは前もって、第1のフィルムの端部はコイルもしくは巻管から分離されなければならず、これによって、空の巻管がプロセスから切り離されて、機械から遠ざけられる。その後、空の巻管を新たなコイルに置き換えることができる。
【0007】
特に、第1のフィルムのエンドレス材料は、プロセスの実施後、例えば第1のフィルムのコーティング後、(別の)巻管に再び巻き取られる。スプライス箇所がプロセスを通過した後(つまり、例えばフィルムをコーティングした後)、第1のフィルムが第2のフィルムから、特にスプライス箇所の下流側で(分離箇所で)再び分離されなければならず、これによって、第1のフィルムを備えたコイルが機械から取出し可能となる。こういった分離箇所に続いて、第2のフィルムの端部が再び新たなもしくは空の巻管に接合され、これによって、欠陥のない巻取りを保証することができる。
【0008】
エンドレス材料の分離、つまり、分離箇所の形成は、工業的に特にカッタ切断またはロールカッタ切断によって実施され、複雑な自動化技術の点で際立っている。
【0009】
巻管へのフィルム材料の結合は、工業的に特に接着プロセスとして実施され、手間のかかる自動化の点で同じく際立っている。この場合、課題は、特にフィルムもしくは巻管への接着テープの適用にある。
【0010】
これらのプロセス、つまり、分離箇所の発生および巻管へのフィルムの結合における顕著な欠点は、これら両方の複雑なプロセスが、基本的に全自動化されたコイルの交換時に行われ、したがって、原理的に、機械の可用性を著しく低下させてしまう欠陥源を成していることである。さらに、分離プロセスもしくは切断プロセスによって、アブレーション生成物が付加的に形成される。このアブレーション生成物は、電極表面の汚染ひいては電極フィルムとセパレータ材料とを含む複合体の損傷を招いてしまう。
【0011】
フィルムを巻管に位置固定するかもしくは結合するために供給された接着ストリップは、フィルムに不均一な負荷をかけてしまう。さらに、巻管を再度使用したい場合には、こういった接着箇所が清浄化されなければならない。
【0012】
中国特許出願公開第108461825号明細書に基づき、接着剤を電極フィルムに塗布するための装置が公知である。
【0013】
中国特許出願公開第109411831号明細書に基づき、接着ストリップを電極フィルムに被着するための装置が公知である。同明細書には、接着ストリップを位置固定するための真空スリーブが記載されている。
【0014】
中国実用新案第212434693号明細書に基づき、電極フィルムを製造するために使用される接着フィルムを提供するための装置が公知である。
【0015】
本発明の課題は、先行技術に関して記載した問題を少なくとも部分的に解決することである。特に、エンドレス材料の分離プロセスと、巻管へのエンドレス材料の結合プロセスとが改善される、つまり、特によりリーンであると共により簡単であり、加えて、よりロバストなテクノロジーによって置き換えられ、これによって、生産チェーンの高度な自動化を保証することができるようにすることが求められている。
【0016】
この課題の解決には、独立請求項1の特徴による方法および独立請求項8の特徴によるコイルが役立つ。有利な改良形態は従属請求項の対象である。特許請求の範囲に個々に記載した特徴は、技術的に有意に互いに組合せ可能であり、明細書に基づき説明した実情および/または図面に基づく詳細によって補填されてよい。その際には、本発明の別の実施形態が示される。
【0017】
フィルムを巻管に巻き取って、コイルを形成し、かつ/またはフィルムを巻管から繰り出すための方法が提案される。フィルムは、特に、それぞれ電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含んでいる。方法は、巻取りの際、
a)巻管を準備して、この巻管を軸に配置するステップと、
b)エンドレス材料としての、第1の端部を有するフィルムを準備するステップと、
c)第1の端部を巻管に配置するステップと、
d)フィルムを巻管に巻き取って、コイルを形成するステップと
を少なくとも含んでいる。巻管は、少なくとも1つの開口を有する孔あけ加工された周面を有している。この孔あけ加工された周面には、ステップc)およびd)においてフィルムが配置される。巻管は負圧源に接続されており、この負圧源を介して少なくとも1つの開口に負圧が発生させられ、これによって、この負圧により少なくともステップc)中に、特にステップd)中にもフィルムが周面に位置固定される。
【0018】
a)~d)への方法ステップの(確定ではない)上記分類は、優先的に区別のために用いているにすぎず、順序および/または関係性を強要するものではない。また、方法ステップの頻度も変化してよい。また、方法ステップを互いに少なくとも部分的に時間的に重畳させることも可能である。全く特に好適には、ステップa)およびb)は、ステップc)およびd)よりも前に行われる。特に、ステップa)およびb)は、互いに時間的に並行して行われる。特に、ステップc)は、ステップd)よりも前に行われる。特に、ステップa)~d)は、記載した順序で実施される。
【0019】
電池セルは、特に、容積を取り囲むハウジングと、容積内に配置された、第1の種類の電極(例えばアノード)の少なくとも1つの電極フィルム、第2の種類の電極(例えばカソード)の電極フィルム、相互間に配置されたセパレータ材料と、電解質、例えば液状または固形の電解質とを備えている。
【0020】
電池セルは、特に(パウチフィルムから成る変形可能なハウジングを備えた)パウチ型セルまたは(形状不変のハウジングを備えた)角型セルである。パウチフィルムは、いわゆるパウチ型セル用のハウジングとして使用される既知の変形可能なハウジング部材である。パウチフィルムは、例えばプラスチックとアルミニウムとを含む複合材料である。
【0021】
電池セルは、特にリチウムイオン電池セルまたは別の種類の電池セルである。
【0022】
複数の電極フィルムの個々のフィルムは互いに重なり合って配置されていて、特にスタックを形成している。電極フィルムは、それぞれ異なる種類の電極に割り当てられていて、つまり、アノードまたはカソードとして形成されている。このアノードとカソードとは、それぞれセパレータ材料により互いに分離されて交互に配置されている。
【0023】
電池セルは、例えば自動車において電気的なエネルギーを蓄えるために使用される蓄電器である。特に、例えば自動車は、この自動車を駆動するための電気機械(トラクション駆動装置)を有している。この電気機械は、電池セルに蓄えられた電気的なエネルギーによって駆動可能である。
【0024】
方法は、特に、フィルムの巻取りおよび繰出しを対象としている。この場合、巻管に巻き取られたフィルムは巻管と一緒にコイルと呼ばれる。
【0025】
巻管は、少なくとも1つの開口を有する孔あけ加工された周面を有している。この周面は、特に円筒形もしくは中空円筒形に形成されている。巻管は、特に、軸への配置に適しているように形成されており、つまり、軸との接続に適した接続寸法もしくは接続ジオメトリを有している。軸は、特に、配置および/または(場合により付加的に)駆動、つまり、巻管の回転のために用いられ、これによって、例えば、軸の回転により巻管が回転させられる。軸への配置の結果、フィルムを巻管に巻き取ることができるかまたは巻管から繰り出すことができる。
【0026】
軸は、特に、少なくとも負圧源を有する装置の構成要素である。負圧源は、例えば適切な接続路を介して軸および/または巻管に接続されてよく、これによって、少なくとも1つの開口に、負圧源により発生させられたかもしくは提供される負圧(装置の周辺に対する負圧)が存在することになる。接続は、例えばロータリカップリングを介して行われてよく、これによって、固定の負圧源を、回転している軸および/または回転している巻管に接続することができる。
【0027】
軸は、例えば、同じく孔あけ加工された表面を備えたスリーブとして形成されていてもよい。こういった孔は、特に、負圧を負圧源から周面に伝達するために役立つにすぎない。代替的には、軸は、閉じられた周面を備えて形成されていてよい。巻管は、例えば、負圧源用の端面側の接続片を有していてよい。周面は軸から離間させられて配置されており、これによって、負圧源の負圧を周面と軸との間の(円筒形の)間隙を介して少なくとも1つの開口に提供することができる。
【0028】
負圧は、特に、フィルムを周面に位置固定するために用いられる。「位置固定する」とは、特に、フィルムを周面に押し付ける押付け力もしくは吸着させる吸着力が提供されることを意味している。
【0029】
フィルムは、特に、それぞれ電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含んでいる。担体材料は、特に金属材料、例えば銅またはアルミニウムを含む材料もしくは合金を含んでいる。
【0030】
フィルムは、特に、このフィルムを巻管の周面に付着させる接着性の構成要素を備えていない。
【0031】
ステップa)によれば、特に、巻管を準備して、この巻管を軸に配置することが行われる。巻管は、例えば、軸に外嵌されてよい。
【0032】
ステップb)によれば、特に、エンドレス材料としてのフィルムを準備することが行われる。このフィルムは第1の端部を有している。この第1の端部は周面に配置され、そこに負圧を介して位置固定され、その後、フィルムは巻き取られる。特に、このフィルムは、巻管の少なくとも1回転を介して、特にフィルムの複数の層を介してフィルムの第2の端部にまで延在している。この第2の端部は、例えば分離箇所によって形成されてよい。
【0033】
ステップc)によれば、特に、第1の端部を巻管に配置することが行われる。この配置は、例えば、フィルムを巻管に向かって案内する供給路によって行われてよい。この場合、フィルムは、第1の端部を介して周面に当て付けられ、少なくとも1つの開口を介して周面に吸着される。配置中、巻管は静止していてもよいし、回転させられていてもよい。フィルムは、周面に当て付けられてもよいし、巻管に向かって連続的に供給されてもよい。配置には、特に、少なくともフィルムが周方向に沿って0°~360°、特に少なくとも15°および多くとも345°の角度範囲にわたって周面に接触している場合のフィルムの巻取りも含まれている。
【0034】
特に、ステップc)中には、このステップc)中に少なくとも部分的に/場合により常時負圧が開口に加えられ、これによって、フィルムが負圧を介して周面に接触させられ、特に、そこに位置固定される。
【0035】
ステップd)によれば、特に、フィルムを巻管に巻き取って、コイルを形成することが行われる。巻取りには、特に、フィルムが周方向に沿って0°超、特に15°超、好適には345°超の角度範囲または360゜でさえある角度範囲にわたって周面に接触している場合のフィルムの巻取りが含まれている。
【0036】
特に、少なくともフィルムが少なくとも1つの層で巻管に配置されていて、したがって、周方向に沿って互いに重畳している層自体を介して周面に位置固定される場合には、負圧がステップd)中にも再び遮断されてよい。
【0037】
特に、ステップc)およびd)中の巻管の周面には、接着性の材料は配置されておらず、これによって、フィルムが単に負圧に基づいてのみ周面に付着している。
【0038】
方法によって、フィルムを巻管に位置固定するために従来使用された接着材料、例えば接着テープの使用を回避することができる。相応して、フィルムの分離も不要となり、これによって、この方法ステップと、これに結びつけられる、例えばアブレーションによる使用される装置もしくはワークピースの汚染のリスクとを回避することができる。これによって、特に、フィルムの全自動化された巻取りを実現することができる。この場合、さもなければ必要と考えられる方法ステップ、例えばフィルムの分離もしくは切断ならびに巻管へのフィルムの固着を省くことができる。
【0039】
つまり、さもなければ必要となるフィルムの切断、つまり、周面に配置された第1の端部からのフィルムの分離が省かれ、これによって、材料損失を回避することができる。
【0040】
さらに、接着材料による巻管の汚染を回避することができる。さもなければ必要となる巻管の清浄化ステップはもはや不要である。
【0041】
負圧の提供によって、特に、使用されるフィルムの材料に場合により適合させられる再現可能な吸着力を発生させることができる。従来使用された接着材料では、フィルムへの付着を困難にしか再現することができなかった。
【0042】
さらに、巻管を交換して、全体的にフィルムを巻き取ると共に繰り出すことが簡単になる。なぜならば、
・ シートの切断を行う必要がなく、
・ 巻取りプロセスの開始時の接着が行われず、
・ 巻管に接着剤残渣が存在しないかもしくは巻管から接着剤残渣を除去する必要がなくなり、
・ 巻管に配置された接着テープの領域での肉厚化による第1の巻成体(つまり、形成されたコイルのフィルムの内側の層)の影響が生じず、
・ 巻管の清浄化プロセスが省かれ、
・ 特に活物質が高価な場合に材料節約を実現することができ、
・ 切断および接着プロセスを省くことによって、裁ち屑が減じられるため、材料を十分に節約することができ、かつ/または
・ フィルムを分離するための切断システムを使用する必要がなくなり、これによって、この切断システムの摩耗も回避することができ、消耗材料の節約が行われる
からである。
【0043】
巻管は、特に、軸線方向に沿って延在する回転軸線を有している。
【0044】
特に、周面は複数の開口を有している。これらの開口は、少なくとも周方向に沿って分配されて配置されていて、特に周面全体にわたって周方向に沿って分配されて配置されている。
【0045】
代替的または付加的には、開口は、軸線方向に沿って分配されて配置されている。
【0046】
特に、開口は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている。開口は、例えばスリットまたは円もしくは楕円として形成されていてよい。
【0047】
特に、少なくとも1つの開口は、周面の、周方向に沿って270°未満、特に180°未満の角度範囲にわたって延在する一部領域に専ら配置されている。これによって、フィルムを、例えばステップc)において周面に配置することができる。この場合、フィルムは少なくとも1つの開口に重なっている。これによって、フィルムの吸着を改善することができる。なぜならば、開口の全てまたは少なくとも大部分がフィルムによって覆われているからである。例えば、周面全体が周方向に沿って孔あけ加工されていると、負圧が、フィルムにより覆われていない開口を介して減じられてしまう場合があり、これによって、十分な吸着が保証されていない場合がある。
【0048】
特に、巻管は周面に複数の開口を有している。これらの開口は、軸線方向に沿って延在する少なくとも1つの列を成して配置されている。特に、1つの列の開口は、軸線方向に沿って互いに整列して配置されている。特に、1つの列の開口は、軸線方向に沿って(整列してではなく、周方向に沿って)互いにずらされて配置されている。
【0049】
特に、少なくとも1つの開口のサイズと、少なくとも1つの開口に加えられる負圧とは、フィルムの変形強度に合わせて調整され、これによって、少なくとも1つの開口を介したフィルムの吸着によるフィルムの少なくとも塑性変形が回避される。
【0050】
特に、巻管へのフィルムの巻取りの際、周面へのフィルムの位置固定は接着手段なしに、つまり、接着手段を用いずに実施される。
【0051】
特に、フィルムの繰出しの際、このフィルムは、巻管から1回の連続的なプロセスで完全に繰り出され、巻管は繰出し直後に接着手段なしである。つまり、特に、周面に直接配置された第1の端部をフィルムの残りの部分から切り離す分離ステップは行われない。つまり、特に、フィルムが第1の端部と第2の端部との間で一貫して分離されずに、フィルム全体が第2の端部に至るまで巻管から繰り出される。
【0052】
特に、フィルムを第1の巻管から繰り出して、フィルムを第2の巻管に巻き取ることが行われ、その間にフィルムは加工、例えばトリミングまたはコーティングまたはドライングまたはカレンダリングされる。特に、フィルムは、第1の巻管の周面に直接接触している第1の端部を含めて第1の巻管から繰り出され、第1の端部を含めて第2の巻管に巻き取られる。つまり、特に、第1の巻管の周面に直接配置された第1の端部をフィルムの残りの部分から切り離す分離ステップは行われない。つまり、特に、フィルム全体が第1の端部に至るまで第1の巻管から繰り出され、好適には第2の巻管にも巻き取られる。つまり、フィルムは、第1の端部と第2の端部との間で分離されない。
【0053】
さらに、コイルであって、巻管と、この巻管に巻き取られたフィルムとを少なくとも備える、コイルが提案される。フィルムは、それぞれ電池セルの構成要素として使用可能であるかもしくは使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含んでいる。巻管は、少なくとも1つの開口を有する、巻き取られたフィルムに接触している孔あけ加工された周面を有している。
【0054】
コイルもしくは巻管および/またはフィルムは、特に、説明した方法に使用される。巻管は、フィルムを巻管に巻き取って、コイルを形成し、フィルムを巻管もしくはコイルから繰り出すために用いられる。
【0055】
巻管は、特に、軸線方向に沿って延在する回転軸線を有している。
【0056】
特に、周面は複数の開口を有している。これらの開口は、少なくとも周方向に沿って分配されて配置されていて、特に周面全体にわたって周方向に沿って分配されて配置されている。
【0057】
代替的または付加的には、開口は、軸線方向に沿って分配されて配置されている。
【0058】
特に、開口は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている。開口は、例えばスリットまたは円もしくは楕円として形成されていてよい。
【0059】
特に、少なくとも1つの開口は、周面の、周方向に沿って270°未満、特に180°未満の角度範囲にわたって延在する一部領域に専ら配置されている。これによって、フィルムを、例えばステップc)において周面に配置することができる。この場合、フィルムは少なくとも1つの開口に重なっている。これによって、フィルムの吸着を改善することができる。なぜならば、開口の全てまたは少なくとも大部分がフィルムによって覆われているからである。例えば、周面全体が周方向に沿って孔あけ加工されていると、負圧が、フィルムにより覆われていない開口を介して減じられてしまう場合があり、これによって、十分な吸着が保証されていない場合がある。
【0060】
特に、巻管は周面に複数の開口を有している。これらの開口は、軸線方向に沿って延在する少なくとも1つの列を成して配置されている。特に、1つの列の開口は、軸線方向に沿って互いに整列して配置されている。
【0061】
特に、少なくとも1つの開口のサイズと、少なくとも1つの開口に加えられる負圧とは、フィルムの変形強度に合わせて調整され、これによって、少なくとも1つの開口を介したフィルムの吸着によるフィルムの少なくとも塑性変形が回避される。
【0062】
さらに、装置であって、軸と、この軸に配置可能な巻管と、負圧源とを少なくとも備える、装置が提案される。負圧源は、例えば、適切な接続路もしくはカップリングを介して軸および/または巻管に接続されてよい。装置は、特に、方法を実施するために適しているように形成されている。
【0063】
方法は、特に、データ処理用のシステム、例えば制御装置によって実施可能である。このシステムは、方法のステップを実施するために適切に装備、構成またはプログラミングされた手段もしくは方法を実施する手段を有している。システムによって、
・ フィルムを巻管に供給すること、
・ フィルムを巻管に当て付けること、
・ 負圧を調整すること、
・ 軸もしくは巻管の回転を調整すること、
・ フィルムを送ること
が少なくとも行われてよい。
【0064】
装置は、特に、データ処理用のシステムを備えている。
【0065】
システムの手段は、例えば、プロセッサと、このプロセッサにより実行すべき命令が格納されたメモリと、記載した要素同士の間での命令、測定値、データまたはこれに類するものの伝送を可能にするデータ線路または伝送装置とを備えている。
【0066】
さらに、コンピュータプログラムであって、コンピュータによるプログラムの実行時にコンピュータに、前述した方法もしくは前述した方法のステップを実施させる命令を含む、コンピュータプログラムが提案される。
【0067】
さらに、コンピュータ可読の記憶媒体であって、コンピュータによる実行時にこのコンピュータに、前述した方法もしくは前述した方法のステップを実施させる命令を含む、コンピュータ可読の記憶媒体が提案される。
【0068】
さらに、電池セルであって、ハウジングと、このハウジング内に配置されて、特に説明した方法および/または説明した巻管によって製造された電極フィルムのスタックとを少なくとも備える、電池セルが提案される。
【0069】
さらに、自動車であって、トラクション駆動装置と、少なくとも1つの説明した電池セルを備えた電池とを少なくとも備え、トラクション駆動装置に少なくとも1つの電池セルによってエネルギーが供給可能である、自動車が提案される。
【0070】
方法に対する記載は、特に、コイル、装置、電池セル、自動車、データ処理用のシステムならびにコンピュータ実装法(つまり、コンピュータもしくはプロセッサ、コンピュータ可読の記憶媒体)に転用可能であり、また、その逆も然りである。
【0071】
特に特許請求の範囲中および特許請求の範囲を再現している明細書中での不定冠詞(「ein」、「eine」、「einer」および「eines」)の使用は、自体数詞を意味するものではない。したがって、これにより相応に導入した概念もしくは構成要素は、この概念もしくは構成要素が少なくとも1回存在していて、しかしながら、特に複数回存在していてもよいことを意味している。
【0072】
念のために付言しておくと、本明細書に使用した数詞(「第1の」、「第2の」、・・・)は、優先的に複数の同様の対象物、大きさまたはプロセスを区別するため(だけ)に用いており、つまるところ、特にこれらの対象物、大きさまたはプロセス相互の関係性および/または順序を必然的に設定するものではない。仮に関係性および/または順序が必要となれば、このことを本明細書に明示的に記載するかまたは具体的に説明した構成の調査時に当業者に自明となる。構成部材が何度も現れることがある限り(「少なくとも1つ」)、これらの構成部材のうちの1つに対する説明が、これらの構成部材の全てまたは複数のうちの一部に同様に当てはまるものの、このことは必須ではない。
【0073】
以下に、本発明ならびに周辺技術を添付の図面に基づき詳しく説明する。付言しておくと、本発明は、記載した実施例によって限定されるものではない。特に、特段明示しない限り、図面に示した実態の一部態様を抜き出して、本明細書に基づく別の要素および知見に組み合わせることも可能である。特に付言しておくと、図面および特に図示の縮尺は概略的なものでしかない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】第1の巻管と第2の巻管とを備えた装置を示す図である。
図2】巻管の斜視図である。
図3図1に示した装置の一部を示す図である。
【0075】
図1には、第1の巻管2と第2の巻管3とを備えた装置16が示してある。図2には、巻管2,3が斜視図で示してある。図3には、図1に示した装置16の一部が示してある。以下に図1図3を一緒に説明する。
【0076】
装置16は、それぞれ軸5に配置された2つの巻管2,3と、各々の巻管2,3用に負圧源9とを備えている。この負圧源9は、適切な接続路もしくはカップリングを介して巻管2,3に接続されている(図3参照)。さらに、装置16を調整するための制御装置21が設けられている。
【0077】
第2の巻管3は、フィルム1を巻き取って、第2の巻管3と一緒にコイル4を形成するために用いられる。第1の巻管2は、この第1の巻管2からフィルム1を繰り出すために用いられる。このフィルム1は、電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含んでいる。巻管2,3は、それぞれ複数の開口8を有する、巻き取られるフィルム1に接触する孔あけ加工されたそれぞれ1つの周面7を有している。
【0078】
各々の巻管2,3は、軸線方向11に沿って延在する回転軸線12を有している。周面7は複数の開口8を有している。これらの開口8は、周方向10に沿って分配されて配置されていてよく、特に周面7全体にわたって周方向10に沿って分配されて配置されていてよい(図示せず)。
【0079】
開口8は、図2および図3では、軸線方向11に沿って分配されて配置されている。
【0080】
開口8は、図2および図3では、それぞれスリットとして形成されている。
【0081】
図2には、開口8が、周面7の、周方向10に沿って約10°の角度範囲にわたって延在する一部領域17に専ら配置されていることが示してある。これによって、フィルム1を、例えばステップc)において周面7に配置することができる。この場合、フィルム1は開口8に重なっている。これによって、フィルム1の吸着を改善することができる。なぜならば、開口8の全てまたは少なくとも大部分がフィルム1によって覆われているからである。例えば、周面7全体が周方向10に沿って孔あけ加工されていると、負圧が、フィルム1により覆われていない開口8を介して減じられてしまう場合があり、これによって、十分な吸着が保証されていない場合がある。
【0082】
図2によれば、巻管2,3は周面7に複数の開口8を有している。これらの開口8は、軸線方向11に沿って延在する1つの列14を成して配置されている。この列14の開口8は、軸線方向11に沿って互いに整列して配置されている。
【0083】
各々の開口8のサイズ13と、各々の開口8に加えられる負圧とは、フィルム1の変形強度に合わせて調整されており、これによって、各々の開口8を介したフィルム1の吸着によるフィルム1の少なくとも塑性変形が回避される。
【0084】
説明する方法は、フィルムの(図1に示した第2の巻管3への)巻取りおよび(図1に示した第1の巻管2からの)繰出しを対象としている。この場合、巻管2,3に巻き取られたフィルム1は巻管2,3と一緒にコイル4と呼ばれる。
【0085】
巻管2,3は、開口8を有する孔あけ加工された周面7を有している。この周面7は中空円筒形に形成されている。巻管2,3は、軸5への配置に適しているように形成されており、つまり、軸5との接続に適した接続寸法もしくは接続ジオメトリを有している。軸5は、配置(第1の巻管2)または付加的に駆動(第2の巻管3)、つまり、巻管の回転のために用いられる。軸5への配置の結果、フィルム1を第2の巻管3に巻き取ることができ、第1の巻管2から繰り出すことができる。
【0086】
軸は、閉じられた周面7を備えて形成されている。巻管2,3は、負圧源9用の端面側の接続片18を有している。周面7は軸5から離間させられて配置されており、これによって、負圧源9の負圧を周面7と軸5との間の(円筒形の)間隙19を介して開口8に提供することができる(図3参照)。図3では、間隙19が巻管2,3の材料の内部に形成されている。
【0087】
負圧は、フィルム1を周面7に位置固定するために用いられる。「位置固定する」とは、フィルム1を周面7に吸着させる吸着力が提供されることを意味している。
【0088】
フィルム1は、このフィルム1を巻管2,3の周面7に付着させる接着性の構成要素を備えていない。
【0089】
ステップa)によれば、巻管2,3を準備して、この巻管2,3を軸5に配置することが行われる。
【0090】
ステップb)によれば、エンドレス材料としてのフィルム1を準備することが行われる。このフィルム1は第1の端部6を有している。この第1の端部6は周面7に配置され、そこに負圧を介して位置固定され、その後、フィルム1は巻き取られる(第2の巻管3における第1の端部6を含む図1参照)。フィルム1は、このフィルム1の少なくとも1つ以上の層を介してフィルム1の第2の端部15にまで延在している。この第2の端部15は、図1では、第1の巻管2の周面7に接触している。
【0091】
ステップc)によれば、第1の端部6を第2の巻管3に配置することが行われる。この配置は、例えば、フィルム1を第2の巻管3に向かって案内する供給路20によって行われてよい。この場合、フィルム1は、第1の端部6を介して周面7に当て付けられ、開口8を介して周面7に吸着される。配置中、巻管2,3は静止していてもよいし、回転させられていてもよい。フィルム1は、周面7に当て付けられてもよいし、巻管2,3に向かって連続的に供給されてもよい。配置には、特に、少なくともフィルム1が周方向10に沿って0°~360°、特に少なくとも15°および多くとも345°の角度範囲にわたって周面7に接触している場合のフィルム1の巻取りも含まれている。
【0092】
特に、ステップc)中には、このステップc)中に少なくとも部分的に/常時負圧が開口8に加えられ、これによって、フィルム1が負圧を介して周面7に接触させられ、そこに位置固定される。
【0093】
ステップd)によれば、特に、フィルム1を第2の巻管3に巻き取って、コイル4を形成することが行われる。
【0094】
フィルム1の繰出し時には、このフィルム1が、第1の巻管2から1回の連続的なプロセスで完全に繰り出される。この場合、第1の巻管2は繰出し直後に接着手段なしである。つまり、第1の巻管2の周面7に直接配置された第2の端部15をフィルム1の残りの部分から切り離す分離ステップは行われない。つまり、フィルム1が第1の端部6と第2の端部15との間で一貫して分離されずに、フィルム1全体が第2の端部15に至るまで第1の巻管2から繰り出される。
【0095】
図1によれば、フィルム1を第1の巻管2から繰り出して、フィルム1を第2の巻管3に巻き取ることが行われ、その間にフィルム1は加工、例えばトリミングまたはコーティングまたはドライングまたはカレンダリングされる(略示したにすぎない)。フィルム1は一方の第1の端部6を有している。この第1の端部6は第2の巻管3の周面7に直接接触している。フィルム1の他方の第2の端部15は第1の巻管2の周面7に直接接触している。フィルム1は、第1の巻管2の周面7に直接接触している第2の端部15を含めて第1の巻管2から繰り出され、第2の端部15を含めて第2の巻管3に巻き取られる。つまり、第1の巻管2の周面7に直接配置された第2の端部15をフィルム1の残りの部分から切り離す分離ステップは行われない。つまり、図1において第2の巻管3にすでに直接接触している第1の端部6から出発して、フィルム1全体が第2の端部15に至るまで第1の巻管2から繰り出され、第2の巻管3に巻き取られる。つまり、フィルム1は、第1の端部6と第2の端部15との間で分離されない。
【符号の説明】
【0096】
1 フィルム
2 第1の巻管
3 第2の巻管
4 コイル
5 軸
6 第1の端部
7 周面
8 開口
9 負圧源
10 周方向
11 軸線方向
12 回転軸線
13 サイズ
14 列
15 第2の端部
16 装置
17 一部領域
18 接続片
19 間隙
20 供給路
21 制御装置
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(1)を巻管(2,3)に巻き取って、コイル(4)を形成し、前記フィルム(1)を前記巻管(2,3)から繰り出すための方法であって、前記フィルム(1)は、電池セルの構成要素として使用される、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含み、巻取りの際、
a)前記巻管(2,3)を準備して、該巻管(2,3)を軸(5)に配置するステップと、
b)エンドレス材料としての、第1の端部(6)を有する前記フィルム(1)を準備するステップと、
c)前記第1の端部(6)を前記巻管(2,3)に配置するステップと、
d)前記フィルム(1)を前記巻管(2,3)に巻き取って、前記コイル(4)を形成するステップと
を少なくとも含む、方法において、
前記巻管(2,3)は、前記ステップc)およびd)において前記フィルム(1)が配置される、少なくとも1つの開口(8)を有する孔あけ加工された周面(7)を有し、前記巻管(2,3)は負圧源(9)に接続されており、該負圧源(9)を介して前記少なくとも1つの開口(8)に負圧が発生させられ、これによって、該負圧により少なくともステップc)中に前記フィルム(1)が前記周面(7)に位置固定されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記周面(7)は複数の開口(8)を有し、該開口(8)は、少なくとも周方向(10)に沿って分配されて配置されているか、または前記巻管(2,3)は、軸線方向(11)に沿って延在する回転軸線(12)を有し、前記開口(8)は、前記軸線方向(11)に沿って分配されて配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記開口(8)は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口(8)のサイズ(13)と、前記少なくとも1つの開口(8)に加えられる前記負圧とは、前記フィルム(1)の変形強度に合わせて調整され、これによって、前記少なくとも1つの開口(8)を介した前記フィルム(1)の吸着による前記フィルム(1)の少なくとも塑性変形が回避される、請求項1または2項記載の方法。
【請求項5】
前記巻取りの際、前記周面(7)への前記フィルム(1)の位置固定は接着手段なしに実施される、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
繰出しの際、前記フィルム(1)は、前記巻管(2,3)から1回の連続的なプロセスで完全に繰り出され、前記巻管(2,3)は前記繰出し直後に接着手段なしである、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
前記フィルム(1)を第1の巻管(2)から繰り出して、前記フィルム(1)を第2の巻管(3)に巻き取ることが行われ、その間に前記フィルム(1)は加工され、該フィルム(1)は前記第1の端部(6)で前記第1の巻管(2)から繰り出され、前記第1の端部(6)で前記第2の巻管(3)に巻き取られる、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
コイル(4)であって、巻管(2,3)と、該巻管(2,3)に巻き取られたフィルム(1)とを少なくとも備え、該フィルム(1)は、電池セルの構成要素として使用可能である、電極フィルムの担体材料、少なくとも1つの活物質を有する電極フィルムまたはセパレータフィルムを含み、前記巻管(2,3)は、少なくとも1つの開口(8)を有する、巻き取られた前記フィルム(1)に接触している孔あけ加工された周面(7)を有する、コイル(4)。
【請求項9】
前記周面(7)は複数の開口(8)を有し、該開口(8)は、少なくとも周方向(10)に沿って分配されて配置されているか、または前記巻管(2,3)は、軸線方向(11)に沿って延在する回転軸線(12)を有し、前記開口(8)は、前記軸線方向(11)に沿って分配されて配置されている、請求項8記載のコイル(4)。
【請求項10】
前記開口(8)は、少なくとも部分的に互いに異なって形成されている、請求項9記載のコイル(4)。
【国際調査報告】