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特表2025-503255マルチチャネルデジタル/アナログ変換器のための過電流制限の装置及び方法
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  • 特表-マルチチャネルデジタル/アナログ変換器のための過電流制限の装置及び方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】マルチチャネルデジタル/アナログ変換器のための過電流制限の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20250123BHJP
   H03M 1/66 20060101ALI20250123BHJP
   G06F 1/28 20060101ALI20250123BHJP
   G06F 1/30 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H02M1/00 H
H02M1/00 L
H03M1/66 C
G06F1/28
G06F1/30 305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544933
(86)(22)【出願日】2023-01-30
(85)【翻訳文提出日】2024-09-26
(86)【国際出願番号】 US2023011814
(87)【国際公開番号】W WO2023147100
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】17/587,972
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ポール トーマス フロスト
(72)【発明者】
【氏名】アディトゥヤ ヴィグネシュ ラマカンス ボミレッディパッリ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ チェウン
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥラ イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン アントニオ ヴァスケズ
【テーマコード(参考)】
5B011
5H740
5J022
【Fターム(参考)】
5B011DB01
5B011EA10
5B011GG06
5B011JA12
5H740BB07
5H740MM12
5J022AB01
5J022BA06
5J022CA07
(57)【要約】
システム(100)が、複数のデジタル/アナログ変換器(DAC)チャネル(C1~CN)を含む。各DACチャネルは、制限開始信号又は制限終了信号を受信する電流制御回路(150-1)を含む。電流制御回路(150-1)は、制限開始信号に応答してチャネルの出力電流制限値を低減させ、制限終了信号に応答して出力電流制限値を増加させる。各チャネルは、チャネルの出力電流を測定し、出力電流が高電流制限値を超える場合にチャネル過電流アラート信号を提供するように適合された電流センサ回路(120-1)を含む。システム(100)は、高電流制限値を超えるチャネルの数が最大許容数よりも大きい場合に、制限開始信号をアサートし、高電流制限値を超えるチャネルの数が最大許容数からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、制限終了信号をアサートするコントローラ(140)を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャネルデジタル/アナログ変換器(DAC)であって、
複数のDACチャネルであって、各々が、デジタル入力信号を受信するように適合された入力を有し、前記デジタル入力信号をアナログ出力信号に変換するように動作可能である、前記複数のDACチャネルと、
各DACチャネルに結合される加算器回路と、
前記加算器回路に結合されるコントローラと、
を含み、
各DACチャネルが、出力電流を有し、前記各DACチャネルが、
制限開始信号又は制限終了信号を受信するように適合された第1の入力を有する電流制御回路であって、前記制限開始信号に応答して前記出力電流の出力電流制限値を高電流制限値から低電流制限値に低減させ、前記制限終了信号に応答して前記出力電流制限値を前記高電流制限値に増加させるように動作可能である、前記電流制御回路と、
前記電流制御回路に結合される電流センサ回路であって、前記出力電流を測定し、前記出力電流が前記高電流制限値を超える場合にチャネル過電流アラート信号を提供するように適合された、前記電流センサ回路と、
前記電流センサ回路に結合されるアナログフィルタであって、前記チャネル過電流アラート信号に応答して、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供するように動作可能である前記アナログフィルタと、
を含み、
前記加算器回路が、前記高電流制限値を超えるDACチャネルの数を示す和信号を提供するように動作可能であり、
前記コントローラが、前記高電流制限値を超えるDACチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号よりも大きい場合に、前記制限開始信号をアサートし、前記高電流制限値を超えるチャネルの数が前記最大チャネル過電流制限信号からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、前記制限終了信号をアサートするように動作可能である、
DAC。
【請求項2】
請求項1に記載のDACであって、前記コントローラに結合されるデジタルフィルタであって、前記制限終了信号に時間遅延を適用するように動作可能である前記デジタルフィルタをさらに含む、DAC。
【請求項3】
請求項1に記載のDACであって、前記コントローラに結合されるデジタルフィルタであって、時間遅延を適用することなく前記制限開始信号を通過させるように動作可能である前記デジタルフィルタをさらに含む、DAC。
【請求項4】
請求項1に記載のDACであって、前記アナログフィルタが、前記チャネル過電流アラート信号から高周波成分を除去するように、及び、前記フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供するように動作可能であるローパスフィルタである、DAC。
【請求項5】
請求項1に記載のDACであって、前記コントローラが、前記チャネル過電流制限値を超えるチャネルの数を、前記最大チャネル過電流制限信号と、前記最大チャネル過電流制限信号から前記ヒステリシス値を引いた値と、比較することにより、前記制限開始信号又は前記制限終了信号をアサートするように動作可能である比較回路を含む、DAC。
【請求項6】
請求項1に記載のDACであって、前記クロック信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに応答して、前記コントローラが、前記チャネル過電流制限値を超えるチャネルの数を、前記最大チャネル過電流制限信号と、前記最大チャネル過電流制限信号から前記ヒステリシス値を引いた値と、比較するように動作可能である、DAC。
【請求項7】
マルチチャネルデジタル/アナログ変換器(DAC)であって、
各々が、デジタル信号入力及びアナログ信号出力を有する、複数のDACチャネルと、
各DACチャネルに結合される加算器回路と、
前記加算器回路に結合されるコントローラと、
前記コントローラに結合されるデジタルフィルタと、
を含み、
各DACチャネルが、出力電流を有し、前記各DACチャネルが、
制限開始信号又は遅延された制限終了信号を受信するように適合された第1の入力を有する電流制御回路であって、前記制限開始信号に応答して前記出力電流制限値を高電流制限値から低電流制限値に低減させることによって前記DACチャネルの出力電流制限値を低減させ、前記遅延された制限終了信号に応答して前記出力電流制限値を前記高電流制限値に増加させるように動作可能である、前記電流制御回路と、
前記電流制御回路に結合される電流センサ回路であって、前記出力電流を測定し、前記出力電流が前記高電流制限値を超える場合にチャネル過電流アラート信号を提供するように適合される、前記電流センサ回路と、
前記電流センサ回路に結合されるローパスフィルタであって、前記チャネル過電流アラート信号に応答して、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供するように動作可能である、前記ローパスフィルタと、
を含み、
前記加算器回路が、前記高電流制限値を超えるDACチャネルの数を示す和信号を提供するように動作可能であり、
前記コントローラが、前記高電流制限値を超えるDACチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号よりも大きい場合に、前記制限開始信号をアサートし、前記高電流制限値を超えるチャネルの数が前記最大チャネル過電流制限信号からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、前記制限終了信号をアサートするように動作可能であり、
前記デジタルフィルタが、前記制限終了信号に時間遅延を適用することによって前記遅延された制限終了信号を提供し、前記制限開始信号を通過させるように動作可能である、
DAC。
【請求項8】
請求項7に記載のDACであって、前記コントローラが、前記高電流制限値を超えるチャネルの数を、前記最大チャネル過電流制限信号と、前記最大チャネル過電流制限信号から前記ヒステリシス値を引いた値と、比較することにより、前記制限開始信号又は前記制限終了信号をアサートするように動作可能である比較回路を含む、DAC。
【請求項9】
請求項7に記載のDACであって、前記クロック信号の立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジに応答して、前記コントローラが、前記高電流制限値を超えるチャネルの数を、前記最大チャネル過電流制限信号と、前記最大チャネル過電流制限信号から前記ヒステリシス値を引いた値と、比較するように動作可能である、DAC。
【請求項10】
請求項7に記載のDACであって、前記デジタルフィルタが、時間遅延を適用することなく前記制限開始信号を通過させるように動作可能である、DAC。
【請求項11】
マルチチャネルデジタル/アナログ変換器(DAC)のための過電流保護の方法であって、
各DACチャネルの出力電流を測定し、高電流制限値よりも大きい出力電流を有する各DACチャネルに対してチャネル過電流アラート信号をアサートすることと、
アサートされたチャネル過電流アラート信号の合計を判定することと、
アサートされたチャネル過電流アラート信号の前記合計が最大チャネル過電流制限を超えることに応答して、制限開始信号をアサートすることと、
アサートされたチャネル過電流アラート信号の前記合計が前記最大チャネル過電流制限からヒステリシス値を引いた値よりも小さいことに応答して、制限終了信号をアサートすることと、
前記制限開始信号をアサートすることに応答して、前記DACチャネルの出力電流制限値を前記高電流制限値からより低い電流制限値に低減させることと、
前記制限終了信号をアサートすることに応答して、前記DACチャネルの前記出力電流制限値を前記より低い電流制限値から前記高電流制限値に増加させることと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記制限終了信号に時間遅延を適用することにより、前記出力電流制限値が、前記より低い電流制限値から前記高電流制限値に増加するのを遅延させることをさらに含む、方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記制限開始信号に時間遅延を適用しないことにより、前記出力電流制限値を前記高電流制限値からより低い電流制限値に低減することを遅延させないことをさらに含む、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、クロック信号の立ち上がりエッジに応答して、前記制限開始信号又は前記制限終了信号をアサートすることをさらに含む、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、クロック信号の立ち下がりエッジに応答して、前記制限開始信号又は前記制限終了信号をアサートすることをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本説明は、概して、デジタル/アナログ変換器(DAC)に関し、より具体的には、マルチチャネルDACのための過電流制限に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチチャネルDACは、無線基地局、レーダシステム、及び、例えば、(無線で又は別の媒体によって)信号を送信するために、高周波(RF)電力増幅器を利用する他のシステムに用いられる。多くの用途において、マルチチャネルDACに電力供給するために電源が利用され、マルチチャネルDACの出力が、それぞれの動的負荷(例えば、アンテナ)に結合され得る。動的負荷によって電流需要が変動し得るため、DACチャネルは一般に、負荷のピーク電流需要を供給するように設計される。このために、すべてのDACチャネルに結合された負荷の総ピーク電流需要を満たせるように電源を設計する必要がある。1つ又はそれ以上の動的負荷のピーク電流需要が瞬間的にしか持続し得ない可能性があるので、すべての負荷のピーク電流需要を満たせる電源の利用は、非効率的で高価なシステムにつながる。
【0003】
例えば、16チャネルのDACが、各DACチャネルが50mAのピーク電流を供給できるように構成され得る。したがって、DACチャネルに電力を提供するために、800mAを供給できる電源が利用され得る。任意の時間に、DACチャネルの小さなサブセット(例えば、3つ)のみが、50mAを超える出力電流(例えば、60mA)の供給を必要とされ得る一方で、他の13個のDACチャネルが10mAのみを供給し得る。既存のマルチチャネルDACは、任意の個々のDACチャネルの出力電流がピーク電流制限値を超える場合、そのDACチャネルの出力が電圧源(例えば、供給レール)にプルされるように構成される。この結果、DACチャネルはもはや、出力電圧の低下を防止するために高出力電流の供給を必要とされない。結果として、DACチャネルのトランジスタの損傷が防止される。例えば、DACチャネルの出力電流が、50mAのピーク出力制限値を有するが、60mAを供給している場合、DACチャネルの出力は、電圧源(供給レール)にプルされる。多くの場合、いくつかのDACチャネルがより少ない電流を引き出し得るため、電源がすべてのDACチャネルの総電流需要を満たし得るとしても、1つ又はそれ以上のDACチャネルは、それらの出力電流がピーク電流制限値を超えるため、動作不能となり得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、マルチチャネルデジタル/アナログ変換器(DAC)システムが、複数のDACチャネルを含み、複数のDACチャネルの各々が、デジタル入力信号を受信しデジタル入力信号をアナログ出力信号に変換するように適合された入力を含む。各DACチャネルは、制限開始信号又は制限終了信号を受信するように適合された第1の入力を含む電流制御回路を含む。電流制御回路は、制限開始信号に応答してDACチャネルの出力電流の出力電流制限値を高電流制限値から低電流制限値に低減させ、また、制限終了信号に応答して出力電流制限値を高電流制限値に増加させる。各DACチャネルは、電流制御回路に結合された電流センサ回路を含む。電流センサ回路は、出力電流を測定し、出力電流が高電流制限値を超える場合にチャネル過電流アラート信号を提供する。各DACチャネルは、電流センサ回路に結合されたアナログフィルタを含む。アナログフィルタは、チャネル過電流アラート信号に応答して、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供する。マルチチャネルDACシステムは、各DACチャネルに結合された加算器回路を含む。加算器回路は、高電流制限値を超えるDACチャネルの数を示す和信号を提供する。マルチチャネルDACシステムは、加算器回路に結合されたコントローラを含む。コントローラは、高電流制限値を超えるDACチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号よりも大きい場合に、制限開始信号をアサートし、高電流制限値を超えるチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、制限終了信号をアサートする。
【0005】
付加的な態様において、マルチチャネルDACシステムは、制限終了信号を受信するように適合された入力を有するデジタルフィルタを含む。デジタルフィルタは、制限終了信号に時間遅延を適用する。デジタルフィルタは、時間遅延を適用することなく制限開始信号を通過させる。
【0006】
付加的な態様において、アナログフィルタは、チャネル過電流信号から高周波成分を除去し、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供する、ローパスフィルタである。
【0007】
付加的な態様において、マルチチャネルDACシステムが、複数のDACチャネルを含む。DACチャネルは、デジタル入力信号を受信し、デジタル入力信号をアナログ出力信号に変換するように適合された、それぞれの入力を含む。DACチャネルは各々、制限開始信号又は遅延された制限終了信号を受信するように適合された第1の入力を含む電流制御回路を含む。電流制御回路は、制限開始信号に応答して出力電流制限値を高電流制限値から低電流制限値に低減させ、遅延された制限終了信号に応答して出力電流制限値を高電流制限値に増加させることによって、DACチャネルの出力電流制限値を動的に調整する。DACチャネルは各々電流センサ回路を含み、電流センサ回路は、DACチャネルの出力電流を測定し、出力電流が高電流制限値を超える場合にチャネル過電流アラート信号を提供するように適合される。DACチャネルは各々、チャネル過電流アラート信号を受信するように適合された入力を含む、ローパスフィルタを含む。ローパスフィルタは、チャネル過電流アラート信号から高周波成分を除去し、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を提供する。マルチチャネルDACシステムは、加算器回路を含み、加算器回路は、DACチャネルからそれぞれのフィルタリングされたチャネル過電流アラート信号を受信し、高電流制限値を超えるDACチャネルの数を示す和信号を提供するように適合された入力を含む。マルチチャネルDACシステムはコントローラを含み、コントローラは、クロック信号を受信するように適合された第1の入力と、ヒステリシス値を有するヒステリシス信号を受信するように適合された第2の入力と、高電流制限値を超えることが許容されるDACチャネルの最大数を示す最大チャネル過電流制限信号を受信するように適合された第3の入力と、和信号を受信するように適合された第4の入力とを含む。コントローラは、高電流制限値を超えるDACチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号よりも大きい場合に、制限開始信号をアサートし、また、高電流制限値を超えるチャネルの数が最大チャネル過電流制限信号からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、制限終了信号をアサートする。マルチチャネルDACシステムは、制限開始信号又は制限終了信号を受信するように適合された入力を含むデジタルフィルタを含む。デジタルフィルタは、制限終了信号に時間遅延を適用することにより、遅延された制限終了信号を提供するが、制限開始信号は通過させる。
【0008】
付加的な態様において、マルチチャネルデジタル/アナログ変換器(DAC)のための過電流保護の方法が、DACチャネルの出力電流を測定することと、出力電流が高電流制限値を超えて上昇する場合にチャネル過電流アラート信号を提供することとを含む。この方法は、チャネル過電流アラート信号をフィルタリングすることによって高周波成分を除去することと、フィルタリングされた過電流アラート信号に基づいて、高電流制限値を超えるDACチャネルの総数を判定することとを含む。この方法は、高電流制限値を超えるDACチャネルの総数を、最大チャネル過電流制限、及び最大チャネル過電流制限からヒステリシス値を引いた値と比較することを含む。この方法は、高電流制限値を超えるDACチャネルの総数が最大チャネル過電流制限よりも大きい場合に、制限開始信号をアサートすることと、高電流制限値を超えるDACチャネルの総数が最大チャネル過電流制限からヒステリシス値を引いた値よりも小さい場合に、制限終了信号をアサートすることとを含む。この方法は、制限開始信号に応答して、DACチャネルの出力電流制限値を高電流制限値からより低い電流制限値に低減させ、制限終了信号に応答して、DACチャネルの出力電流制限値をより低い電流制限値から高電流制限値に増加させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】一例のマルチチャネルDACシステムのブロック図である。
【0010】
図1B】過電流アラート波形である。
図1C】フィルタリングされた過電流アラート波形である。
【0011】
図2】一例のDACチャネルの出力電流制限値の増加及び減少を図示する。
【0012】
図3】一例の方法のフローチャートである。
【0013】
図面において、同じ参照数字又は他の特徴符号は、(機能的及び/又は構造的に)同じ又は同様の特徴を示すために用いられている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
いくつかの例において、高チャネル数DACの累積電流制限が実装され、個々のチャネル又は定義されたチャネルサブセットがそれらの最大電流状態になることを許容するが、高電流状態にあるチャネルの総数が定義された最大制限を超えると、全般的な電流制限値をすべてのDACチャネルに強制する。これらの例は、個々のチャネルが、DACが瞬間的に提供できる最大電流を供給することを許容し得るが、電源が公称負荷により近い値に定格されることを依然として許容する。いくつかの例は、独立した電力領域の累積電流制限制御を容易にする。いくつかの例には以下が含まれ得る。(1)各DACチャネルのための高電流(これは、デバイスの製造中に定義され得る、エンドユーザーによって定義され得る、若しくは動作中に定義され得る)検出及び出力フラグ、(2)最大電流を予め定められた値(これは、デバイスの製造中に定義され得る、エンドユーザーによって定義され得る、若しくは動作中に定義され得る)に(チャネルごとに、若しくは累積値としてのいずれかで)制限することを容易にし得るチャネルごとの電流制限、並びに/又は、(3)高電流状態にあるチャネルの数を維持/制限し、電流制限を設定し、及び/若しくは電流制限を有効にし、無効にするためのヒステリシスを実装するための状態機械若しくは他のプロセッサ若しくはコントローラ。
【0015】
図1Aは、一例のマルチチャネルDACシステム100のブロック図である。システム100は、デジタル入力信号(それぞれ、D1、D2、...DN)を受信するように適合された、複数のDACチャネル(C1、C2、CN)を含む。DACチャネルC1は、入力106-1においてデジタル入力信号D1を受信し、DACチャネルC2は、入力106-2においてデジタル入力信号D2を受信し、DACチャネルCNは、入力106-Nにおいてデジタル入力信号DNを受信する。デジタル入力信号D1~DNは、デジタル入力ワードとも呼ばれる。DACチャネルC1~CNは、デジタル入力信号D1~DNを、それぞれの出力(それぞれ、108-1、108-2、...108-N)において提供されるそれぞれのアナログ出力信号(それぞれ、VOUT-1、VOUT-2、...VOUT-N)に変換する。簡単にするために、出力108-1及びアナログ出力信号VOUT-1のみを図1に示す。出力信号VOUT-1、VOUT-2、...VOUT-Nは、それぞれのデジタル入力信号D1~DNのアナログ表現である。
【0016】
DACチャネルC1~CNは各々、それらの出力に結合されたそれぞれの負荷を有するが、図1は、簡単にするために単一の負荷110-1のみを示す。負荷110-1は、出力108-1と共通電位(例えば、接地)との間に結合される。いくつかの例において、負荷は、電力増幅器又はRFトランシーバなどの動的負荷であり得る。動的負荷の動作状態に応じて、DACチャネルC1~CNからの出力電流需要が変化し得る。例えば、C1~CNは、それぞれの電力増幅器(図1には図示せず)に結合され得、各電力増幅器は、関連するアンテナ又は他の送信媒体に結合され得る。任意の時間に、アンテナ/送信チャネルのサブセットのみがアクティブであり得、一方、他のアンテナ/送信チャネルは非アクティブであり得る。結果として、アクティブなアンテナ/送信チャネルに結合された電力増幅器のサブセットのみが、それらの関連するDACチャネルから高電流(例えば、約60mA~80mA)を引き込み得、一方、非アクティブなアンテナ/送信チャネルに結合された電力増幅器が、それらの関連するDACチャネルから低電流/より低い電流(例えば、約5mA~10mA)を引き込み得る。
【0017】
いくつかの例において、DACチャネルC1~CNは、ストリングDACセクション及び補間器セクション(図1に図示せず)を含み得る。ストリングDACセクション及び1つ又はそれ以上の補間器セクションを含むDACチャネルについては、本譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組み込まれる2022年1月21日出願の米国特許出願番号17/581,516、発明の名称「カスケードされた最下位ビット(LSB)補間器回路を備えたデジタル/アナログ変換器」に記載されている。ストリングDACセクションは、デジタル入力ワードの粗い表現である出力を生成し、補間器セクションは、粗い表現電圧と、粗い表現電圧に非常に近い電圧であり得る第2の電圧と、の間の電圧の微細な補間である出力を生成する。他の例において、DACチャネルは、デルタ-シグマアーキテクチャ又は任意の他の適切なアーキテクチャを有し得る。
【特許文献1】米国特許出願17/581,516
【0018】
DACチャネルC1~CNは各々、それぞれのDACチャネルによって供給される出力電流を測定する電流センサ(例えば、チャネルC1の電流センサ120-1)を含み得る。図1は、簡単にするためにチャネルC1の電流センサのみを図示している。電流センサは、DACチャネルの出力電流がチャネル過電流制限値(HIGH-CURRENT-LIMIT)を超える場合に、チャネル過電流アラート信号(例えば、C1のOVER-CURRENT-1)を提供する。例えば、チャネルC1は電流センサ120-1を含み、電流センサ120-1は、出力電流IOUT-1を測定し、IOUT-1がHIGH-CURRENT-LIMITを超える場合、過電流アラート信号OVER-CURRENT-1を提供する。チャネル過電流制限値HIGH-CURRENT-LIMITは、以下で説明するようにユーザー定義入力であり得、デバイスの製造中に設定され、及び/又は、動作中に(例えば、状態機械、プロセッサ、又は他のデジタル回路要素、及び/又はソフトウェアによって)設定される。例えば、合計16個のDACチャネルがあり、各DACチャネルが約50mAの出力電流を供給できる場合、電源がすべてのDACチャネルからの累積電流需要を満たせるならば、HIGH-CURRENT-LIMITは、50mAよりもさらに高く(例えば、50mAよりも10%又は20%高く)設定され得る。それゆえ、電源が800mAを供給できる場合、電源が累積電流需要を満たせる限り、HIGH-CURRENT LIMITは、例えば60mAに等しく設定され得る。これによる効果は、電源がすべてのDACチャネルからの累積電流需要を満たせる場合、1つ又はそれ以上のチャネルが、限られた時間期間の間60mAの供給を許容され得ることである。他の例において、HIGH-CURRENT-LIMITは、特定のチャネルが他のチャネルよりも高い又は低い制限値を有するように、チャネル固有とし得る。
【0019】
いくつかの例において、電流センサ120-1は、出力電流IOUT-1が負荷110-1を流れるときに生成される磁場(又は、チャネル電流の他の電気的、磁気的、若しくは機械的な指標)を測定し、それに応答して、負荷110-1を流れる電流の量に変換される電圧を生成する。
【0020】
DACチャネルC1~CNは各々、過電流アラート信号をフィルタリングするそれぞれのアナログ(又はデジタル)フィルタ(簡単にするためにC1のフィルタのみを示す)を含む。例えば、C1は、過電流アラート信号OVER-CURRENT-1を受信するように結合された入力126-1を含むアナログ(又はデジタル)フィルタ124-1(例えば、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、又はノッチフィルタ)を含む。アナログフィルタ124-1は、OVER-CURRENT-1から特定の周波数成分(フィルタがローパスフィルタである場合には高周波成分など)を除去し、フィルタリングされたチャネル過電流アラート信号FILTERED-OVER-CURRENT-1を出力126-2において提供する。出力電流IOUT-1が瞬間的にHIGH-CURRENT-LIMITを超え、その後HIGH-CURRENT-LIMIT未満に戻る場合、アナログフィルタ124-1は、OVER-CURRENT-1を阻止する。これによる効果は、瞬間的な過電流状態により生成された瞬間的なグリッチがフィルタリングされることである。図1B及び図1Cは、それぞれ、アナログフィルタ124-1の例示の入力波形及び出力波形である。x軸は時間を表し、y軸は、過電流アラート信号及びフィルタリングされた過電流アラート信号を表す。図1Bは、アナログフィルタ124-1への入力である波形OVER-CURRENT-1を示す。波形OVER-CURRENT-1は、DACチャネルC1の瞬間的な過電流状態により生成されたグリッチ127を含む。したがって、OVER-CURRENT-1は、フィルタリングされる前の過電流の状態である。図1Cは、アナログフィルタ124-1の出力である波形FILTERED-OVER-CURRENT-1を示す。グリッチ127は、アナログフィルタ124-1によってフィルタリングされる(例えば、除去される)。したがって、FILTERED-OVER-CURRENT-1は、フィルタリングされた後の過電流の状態である。
【0021】
システム100は、それぞれのDACチャネルC1~CNの各々についてアナログフィルタの出力に結合された入力(132-1、...132-N)を含む加算器回路130を含む。加算器回路130は、出力134で、チャネル過電流制限値を超えたチャネルの数(「N」)を示す和信号(SUMMATION)を提供する。例えば、システム100は、合計32個のチャネルを含み得、そのうちの10個のチャネルが過電流状態であり得る。したがって、和信号SUMMATIONは、10個のチャネル(例えば、Nは10である)がチャネル過電流制限値を超えたことを示す。
【0022】
システム100は、信号生成器144によって生成され得るクロック信号CLKを受信するように結合された第1の入力142-1を有するコントローラ140を含む。いくつかの例において、ユーザーは、所望の周波数(例えば、100MHz、200MHz、500MHz)のクロック信号CLKを提供するように信号生成器144を構成し得る。コントローラ140は、ヒステリシス構成モジュール141からヒステリシス信号(HYSTERIS)を受信するように結合された第2の入力142-2を有する。ヒステリシス信号HYSTERESISは、ヒステリシス値(「H」)を示す。以下で説明するように、出力電流制限値をより低い電流レベルからチャネル過電流制限値HIGH-CHANNEL-LIMITまで増加させるために、和数N(和信号SUMMATIONで示す)は、最大数「M」からHを引いた値よりも小さい(すなわち、Nは(M-H)よりも小さい)必要がある。コントローラ140は、閾値構成モジュール145から最大チャネル制限信号(MAX-CHANNEL-LIMIT)を受信するように結合された第3の入力142-3を有する。最大チャネル制限信号、MAX-CHANNEL-LIMITは、出力電流制限値をHIGH-CHANNEL-LIMITからより低い電流制限値LOW-LIMITまで低減させるために、過電流状態にある必要があるチャネルの最大数(「M」)を示す。いくつかの例において、MAX-CHANNEL-LIMIT及びHYSTERESISは、ユーザー構成可能である。例えば、MAX-CHANNEL-LIMITを超えることが許容されるチャネルの最大数(「M」)は、システム100に結合された電源によって供給され得る最大電流に基づき得る。
【0023】
コントローラ140は、過電流状態にあるDACチャネルの数(「N」)を示す和信号SUMMATIONを受信するように結合された第4の入力142-4を含む。
【0024】
コントローラ140は、和数N(SUMMATIONで示す)が最大チャネル制限M(MAX-CHANNEL-LIMITで示す)よりも大きい場合、出力146において制限開始信号(START-LIMIT)をアサートし、和数NがMからHを引いた値(M-H)以下である場合、出力146において制限終了信号(END-LIMIT)をアサートする。したがって、過電流状態にあるチャネルの総数が最大許容数Mを超える場合、コントローラは、出力146においてSTART-LIMITをアサートする。しかし、コントローラ140は、過電流状態にあるチャネルの総数がMを下回る場合、END-LIMITを直ちにアサートしない。代わりに、コントローラ140は、END_LIMITをアサートする前に、過電流状態にあるチャネルの総数がM-H未満になるまで待機する。
【0025】
動作において、高いチャネル電流需要により、1つ又はそれ以上のチャネルが、チャネル過電流制限値HIGH-CURRENT-LIMITをわずかに上回って動作し得る。チャネル電流需要がわずかに減少する場合、それらのチャネルは、HIGH-CURRENT-LIMITをわずかに下回って動作し得、このことは、コントローラ140にEND-LIMITをアサートするように促し得る。チャネル電流需要が増加する場合、これらのチャネルは、HIGH-CURRENT-LIMITをわずかに上回って動作し得、コントローラ140にSTART-LIMITをアサートするように促す。結果として、DAC 100は、必要でないかもしれない過電流保護をアクティブにし、また非アクティブにするように強制される。ヒステリシスを実装することにより、コントローラ140は、END-LIMITをアサートすること、及び、その直後にSTART-LIMITをアサートすることを防止され、したがって、システムが周期変動することを防止する。ヒステリシス値Hは、数(例えば、DACチャネルの数)を示し得る。コントローラ140又はその一部は、ハードウェア(例えば、論理回路要素、状態機械、マイクロプロセッサ、メモリ、及び/若しくは、特定用途向け集積回路)、ファームウェア、並びに/又はソフトウェアで実装されてもよい。
【0026】
DACチャネルC1~CNはそれぞれ、それぞれの電流制御回路を含み、電流制御回路は、制限開始信号START-LIMITに応答してDACチャネルの出力電流制限値を低減させ、制限終了信号END-LIMITに応答して出力電流制限値を増加させる。例えば、チャネルC1は、コントローラ140の出力146に(直接又はデジタルフィルタ160を介して間接的に)結合された第1の入力152-1を有する電流制御回路150-1を含む。電流制御回路150-1は、制限開始信号START-LIMITに応答して、DACチャネルC1の出力電流制限値をHIGH-CURRENT-LIMITからより低い電流レベルLOWER-LIMITまで低減させ、END-LIMITに応答して、出力電流制限値を増加させてHIGH-CURRENT-LIMITに戻す。個々のDACチャネルを、それらの出力電流がピーク電流制限値を超える場合にシャットダウンする既存のマルチチャネルDACとは異なり、説明される例は、過電流状態にあるチャネルの総数が過電流状態にあるチャネルの最大許容数(例えば、M)未満であり、電源がすべてのチャネルによる累積電流需要を供給できる場合に、個々のDACチャネルが短い期間にわたってピーク電流制限値を超え得る出力電流を供給することを可能にする。例えば、HIGH-CURRENT-LIMITは、60mAに等しく設定され得、過電流状態にあることが許容されるチャネルの最大数Mは、5に等しく設定され得る。4つのチャネルがHIGH-CURRENT-LIMITを超える(例えば、4つのチャネルが各々65mAを供給する)場合、それらの4つのチャネルは、電源がすべてのDACチャネルからの総累積電流需要を満たせる場合、HIGH-CURRENT-LIMITを超えても動作し続けることが許容され得る。いくつかの例において、DACチャネルについてのHIGH-CURRENT-LIMITは、製造中に設定され得る。いくつかの他の例は、システムの最大電流の設定を許容するが、システムの総電流がそれらの供給能力内にあることを確実にするためにすべてのチャネルの最大電流を低減させるのではなく、(最大システム電流を超えない限り)個々のチャネルごとにより高い最大電流を許容する。
【0027】
図2は、END-LIMIT信号のアサートに応答してDACチャネルの出力電流制限値をHIGH-CURRENT-LIMITに増加させ、START-LIMIT信号のアサートに応答してDACチャネルの出力電流制限値をより低い電流レベルLOWER_LIMITに低減させることを示す。x軸は、過電流状態にあるチャネルの総数を表し、y軸は出力電流を表す。
【0028】
過電流状態にあるチャネルの総数Nが、過電流状態にあることが許容されるチャネルの最大数Mよりも大きい場合、DAC 100は、START-LIMITをアサートし、これにより、すべてのチャネル内の電流制御回路(例えば、それぞれ、DACチャネルC1~CNについて電流制御回路150-1~150-N)に、出力電流制限値をより低いレベルLOWER-LIMITに低減させる。したがって、START-LIMITのアサートに応答して、すべてのDACチャネル(例えば、C1~CN)の出力電流は、より低いレベルLOWER-LIMITに低減される。これは、図2に破線で示されている。その後、NがMを下回った場合、各DACチャネルの電流制御回路(例えば、DACチャネルC1についての電流制御回路150-1)は、出力電流制限値を直ちに増加させない。これは、図2において、「M」と「M-H」との間の下側の実線によって示されている。代わりに、各DACチャネルの電流制御回路は、出力電流制限値を増加させる前に、Nが(M-H)よりも小さくなるまで待機する。出力電流制限値が増加すると、DACチャネルの出力電流(例えば、C1のIOUT-1)の上昇が許容される。ヒステリシスHを実装することにより、コントローラ140は、END-LIMITをアサートしてその直後にSTART-LIMITをアサートすることを防止され、それゆえ、システム100が周期変動することが防止される。
【0029】
いくつかの例において、システム100は、コントローラ140の出力146と各DACチャネルへの入力(例えば、電流制限値回路150-1、...150-Nの入力152-1、...152-N)との間に組み込まれるデジタルフィルタ160を含む。デジタルフィルタ160は、コントローラ140の出力146に結合された入力162を有する。コントローラ140がEND-LIMITをアサートする場合、デジタルフィルタ160は、信号END-LIMITに時間遅延(例えば、1m秒、10m秒)を適用し、遅延されたEND-LIMITを出力164において提供する。しかし、コントローラがSTART-LIMITをアサートする場合、デジタルフィルタ160は、START-LIMITに時間遅延を適用せず、単にそれを出力164に転送する。それゆえ、過電流状態に応答して、コントローラ140がSTART-LIMITをアサートする場合、デジタルフィルタ160は、時間遅延を適用することなく信号を転送し、これにより、各DACチャネルにおける電流制御回路が、遅延なく直ちに電流制限を適用し、それゆえ、DACチャネルへの損傷を防止することができる。しかし、(過電流状態にあるチャネルの総数がM-Hを下回ったために)コントローラ140がEND-LIMITをアサートする場合、デジタルフィルタ160は、1つ又はそれ以上のDACチャネルが最大許容数を超える前に瞬間的に最大許容数を下回ることによって引き起こされる潜在的な周期変動を防止する時間遅延を追加する。
【0030】
いくつかの例において、システム100は、DACチャネルの総数のサブセットのみが過電流状態にある場合でも、すべてのDACチャネル(例えば、C1~CN)の出力電流制限値を低減させる。例えば、システム100は、合計16個のDACチャネル(例えば、C1~C16)を有し得、チャネル過電流制限値HIGH-CHANNEL-LIMITを上回って動作し得るチャネルの最大数は、5に等しく設定され得る。6つのチャネルがHIGH-CURRENT-LIMITを超える場合(すなわち、過電流状態)、コントローラ140は、START-LIMITをアサートし、これにより、電流制御回路150に、すべてのチャネル(C1~C16)の出力電流をHIGH-CURRENT-LIMIT(例えば、50mA)からLOWER-LIMIT(例えば、10mA)に下げさせる。他の例において、コントローラ140は、特定のDACチャネル(例えば、制限値を超える6つのチャネル、及び/又は電流制限値を超えた履歴を有するチャネル)の電流のみを低減させる。
【0031】
図3は、一例の方法300のフローチャートである。ブロック304において、DACチャネルの出力電流が測定され、DACチャネルの出力電流がチャネル過電流制限値HIGH-CURRENT-LIMITを超える場合、過電流アラート信号が生成される。一例において、各DACチャネル(例えば、120-1...120-N)の電流センサは、関連するDACチャネルの出力電流を測定し、DACチャネルの出力電流がHIGH-CURRENT-LIMITを超える場合、過電流アラート信号を提供する。
【0032】
ブロック308において、1つ又はそれ以上の過電流アラート信号が、スプリアス成分及び/又は過渡成分を除去する(例えば、高周波成分を除去する)ためにフィルタリングされる。
【0033】
ブロック312において、過電流状態にあるDACチャネルの総数が判定される。一例において、加算器回路130は、過電流アラート信号の数に基づいて、過電流状態にあるDACチャネルの数N(和数Nとも呼ばれる)を判定する。ブロック316において、総和数Nは、過電流状態で動作することが許容されるチャネルの最大数Mと比較され、また、MからHを引いた値(M-H)と比較され、ここで、Hはヒステリシス値である。一例において、コントローラ140は、NをMと比較し、またNを(M-H)と比較する。NがMよりも大きい(N>M)場合、制限開始信号START-LIMITがアサートされる(ブロック320)。NがMからHを引いた値よりも小さい場合(N<(M-H))、制限終了信号END-LIMITがアサートされる(ブロック324)。START-LIMITがアサートされる場合、DACチャネルC1~CNの出力電流制限値は、より低い電流レベルLOWER-LIMITに低減される(ブロック328)。一例において、各DACチャネルの電流制御回路(例えば、150-1...150-N)は、DACチャネルを保護するために、それぞれのDACチャネルの出力電流制限値をより低い電流レベルに低減させる。END-LIMITがアサートされる場合、時間遅延がEND-LIMITに適用され(ブロック332)、その後(ブロック336において)、出力電流制限値がより高いレベル(例えば、HIGH-CURRENT-LIMIT)に増加される。一例において、デジタルフィルタ160は、時間遅延をEND-LIMITに適用し、遅延されたEND-LIMITをDACチャネルのそれぞれの電流制御回路に提供する。これに応答して、DACチャネルそれぞれの電流制御回路は、出力電流制限値をHIGH-CURRENT-LIMITに増加させる。
【0034】
本明細書で説明されるシステムは、1つ又はそれ以上の半導体要素(トランジスタなど)、1つ又はそれ以上の受動要素(抵抗器、コンデンサ、及び/又はインダクタなど)、及び/又は、1つ又はそれ以上の供給源(電圧源及び/又は電流源など)を含み得る。システム100は、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含んでいてもよく、製造時又は製造後のいずれかにおいて、エンドユーザー及び/又は第三者などによって、受動要素及び/又は供給源のうちの少なくともいくつかに結合されて、説明される構造を形成するように適合されてもよい。いくつかの例は、集積回路内に実装された特定の要素を含み得、他の要素が集積回路の外部にあるが、他の例において、付加的な特徴又はより少ない特徴が、集積回路内に組み込まれていてもよい。また、集積回路の外部にあるものとして図示される特徴のうちの一部若しくはすべてが、集積回路内に含まれてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるものとして示されるいくつかの特徴が、集積回路の外部に組み込まれてもよい。本明細書で用いられる場合、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板の中/上に組み込まれている、(2)単一の半導体パッケージ内に組み込まれている、(3)同じモジュール内に組み込まれている、及び/又は、(4)同じプリント回路基板の中/上に組み込まれている、1つ若しくは複数の回路を意味する。
【0035】
本説明において、「結合する」という用語は、本説明と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが、デバイスBを制御して或る行為を実施させる信号を提供する場合、(a)第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合され、又は(b)第2の例において、介在する構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変化させない場合にデバイスAは介在構成要素Cを介してデバイスBに結合されて、デバイスBがデバイスAによって提供された制御信号を介してデバイスAによって制御されるようにされる。また、本記載において、或るタスク又は機能を実施するように「構成された」デバイスは、その機能を実施するように製造業者によって製造時に構成(例えば、プログラミング及び/又は配線)され得、及び/又は、その機能及び/若しくは他の付加的な若しくは代替の機能を実施するように製造後にユーザーによって構成可能(若しくは再構成可能)であってもよい。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介したもの、デバイスのハードウェア構成要素及び相互接続の構築及び/又はレイアウトを介したもの、あるいは、それらの組み合わせであり得る。また、本記載では、特定の構成要素を含む回路又はデバイスが、代わりに、それらの構成要素に結合されて、説明される回路要素又はデバイスを形成するように適合されてもよい。例えば、1つ又はそれ以上の半導体要素(トランジスタなど)、1つ又はそれ以上の受動要素(抵抗器、コンデンサ、及び/若しくはインダクタなど)、並びに/又は1つ又はそれ以上の供給源(電圧源及び/若しくは電流源など)を含むものとして説明される構造が、代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内の半導体要素のみを含んでいてもよく、製造時又は製造後のいずれかにおいて、エンドユーザー及び/又は第三者などによって、受動要素及び/又は供給源のうちの少なくともいくつかに結合されて、説明される構造を形成するように適合されていてもよい。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「端子」、「ノード」、「相互接続」、及び「ピン」という用語は、互換的に用いられる。特に反対の記載がない限り、こうした用語は、概して、デバイス要素、回路要素、集積回路、デバイス、又はその他の電子機器若しくは半導体構成要素の間の相互接続、あるいは、それらの終端を意味するために用いられる。
【0037】
いくつかの例は、特定の要素が集積回路内に含まれる一方で、他の要素が集積回路の外部にあることを示唆する一方、他の例において、付加的な特徴又はより少ない特徴が、集積回路内に組み込まれてもよい。また、集積回路の外部にあるものとして示される特徴のうちの一部若しくはすべてが、集積回路内に含まれてもよく、及び/又は、集積回路の内部にあるものとして示されるいくつかの特徴が、集積の外部に組み込まれてもよい。本明細書で用いられる場合、「集積回路」という用語は、(1)半導体基板の中/上に組み込まれている、(2)単一の半導体パッケージ内に組み込まれている、(3)同じモジュール内に組み込まれている、及び/又は、(4)同じプリント回路基板の中/上に組み込まれている、一つ又は複数の回路を意味する。
【0038】
特定の構成要素が特定のプロセス技術のものとして本明細書で説明され得るが、これらの構成要素は、他のプロセス技術の構成要素と交換されてもよい。本明細書で説明される回路は、構成要素を置換する前に利用可能であった機能と少なくとも部分的に同様の機能を提供するために置換される構成要素を含むように再構成可能である。抵抗器として示されている構成要素は、別段の記載がない限り、概して、示されている抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するように直列及び/又は並列に結合されている、任意の一つ又はそれ以上の要素を表す。例えば、本明細書で単一の構成要素として図示及び説明されている抵抗器又はコンデンサを、代わりに、それぞれ、その単一の抵抗器又はコンデンサと同じ2つのノード間に直列又は並列に結合される、複数の抵抗器又はコンデンサとしてもよい。また、本記載における「接地端子」という語句の使用には、シャーシ接地、アース接地、浮動接地、仮想接地、デジタル接地、共通接地、及び/又は、本説明の教示に適用可能であるか若しくは好適な、任意の他の形態の接地接続が含まれる。別段の記載がない限り、或る値に先行する「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10パーセント、又は値が0である場合、0前後の妥当な範囲の値を意味する。
【0039】
特許請求の範囲内で、説明された実施例における改変が可能であり、他の実施例も可能である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
【国際調査報告】