(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】医療機器を運ぶための装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61J 1/14 20230101AFI20250123BHJP
【FI】
A61J1/14 390
A61J1/14 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024544976
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2023051966
(87)【国際公開番号】W WO2023144285
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガエル プジェ
(72)【発明者】
【氏名】リリアーヌ シャシン ド ケルゴモー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ヴァズ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA27
4C047EE02
4C047EE10
(57)【要約】
複数の医療用容器を支持するための装置は、上面、下面を有するプレートと、プレートの周囲を画定し、上面と下面との間に延びる側壁とを備える。側壁は、角で交差する4つの縁部を備える。プレートの縦軸は上面に対して垂直に延在する。プレートは、上面から下面までプレートを通って延在する複数の開口部を画定する。各開口部は、その中に医療用容器を保持するように構成されている。プレートは、複数の医療用容器を輸送するためのパッケージ内に配置されるように寸法が設定され、それにより、側壁の対向する縁部間で測定される距離は、パッケージの内側面の対向する側壁間で測定される距離よりも小さい。装置は、その第1の端部でプレートに結合された少なくとも2つの位置決め要素をさらに備える。各位置決め要素は、プレートから切り離された第2の端部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用容器を支持するための装置(100、200)であって、
上面(104)と、下面(106)と、プレート(102)の周囲を画定し上面(104)と下面(106)との間に延在する側壁(108)と、を有するプレート(102)であって、前記側壁(108)は角(109)で交差する4つの縁部(107)を含み、前記プレート(102)の縦軸(101)は上面(104)に垂直に延在し、前記プレート(102)は、当該プレート(102)を通って前記上面(104)から前記下面(106)まで延在する複数の開口部(110)を画定し、それぞれの前記開口部(110)は、その中に医療用容器を保持するように構成され、前記プレート(102)は、前記側壁(108)の対向する前記縁部(107)の間で測定される距離が、パッケージ(302)の内側面(308)の対向する側壁(304)の間で測定される距離よりも小さくなるように、複数の医療用容器を輸送するためのパッケージ(302)に配置されるように寸法設定される、プレート(102)と、
前記プレート(102)に第1の端部(122、222)で結合された少なくとも2つの位置決め要素(120、220)であって、前記位置決め要素(120、220)のそれぞれは、前記プレート(102)から切り離された、前記第1の端部(122、222)と反対側の第2の端部(124、224)を有し、前記少なくとも2つの位置決め要素(120、220)のうちの第1の位置決め要素は、前記4つの縁部(107)の第1の縁部に少なくとも部分的に配置され、前記少なくとも2つの位置決め要素(120、220)のうちの第2の位置決め要素は、前記4つの縁部(107)の第2の縁部に少なくとも部分的に配置され、前記第1の縁部と前記第2の縁部は互いに隣接する、少なくとも2つの位置決め要素(120、220)と、
を備え、
前記プレート(102)がパッケージ(302)に配置されるとき、それぞれの前記位置決め要素(120、220)は、前記プレート(102)の前記側壁(108)を超えて横方向に延在し、および前記プレート(102)の前記上面(104)を超えて軸方向に延在し、それによって、それぞれの前記位置決め要素(120、220)は前記プレート(102)の前記縦軸(101)に対して鋭角を形成し、かつ前記位置決め要素(120、220)のそれぞれが前記パッケージ(302)の前記側壁(304)の前記内側面(308)に接触する、装置(100、200)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの位置決め要素の前記第1の位置決め要素は、第1の角部(109)に配置され、前記少なくとも2つの位置決め要素の前記第2の位置決め要素は、第2の角部(109)に配置され、前記第1の角部と前記第2の角部(109)は互いに斜め方向で対向する、請求項1に記載の装置(200)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの位置決め要素(220)のそれぞれは、前記位置決め要素(220)の鋭角(β)が、前記位置決め要素(220)を有する前記プレート(102)が前記パッケージ(302)内に配置されるときと、前記プレート(102)が前記パッケージ(302)の外側にあるときとの間で、約1度可変であるように変位されるよう構成された剛性要素である、請求項2に記載の装置(200)。
【請求項4】
前記装置は4つの位置決め要素を備え、1つの位置決め要素(220)は、前記側壁(108)の各角(109)に結合される、請求項2または3に記載の装置(200)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの位置決め要素の前記第1の位置決め要素は前記4つの縁部(107)の第1の縁部にのみ配置され、前記少なくとも2つの位置決め要素の前記第2の位置決め要素は前記4つの縁部の第2の縁部に配置され、前記第1の縁部と前記第2の縁部は互いに隣接し、前記第1の位置決め要素は、前記第2の位置決め要素から離れている、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記位置決め要素(120)は、前記位置決め要素(120)を有する前記プレート(102)が前記パッケージ(302)内に配置されるときと、前記プレート(102)が前記パッケージング(302)の外側にあるときとの間で、前記位置決め要素(120)の前記鋭角(α)が65度~80度可変であるように変位されるように構成された可撓性要素である、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの位置決め要素(120)は、前記側壁(108)のそれぞれの縁部(107)に結合される、請求項5または6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記位置決め要素(120、220)は、前記プレート(102)と一体的に形成される、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の装置(100、200)。
【請求項9】
複数の医療用容器を受け入れるためのパッケージシステム(300)であって、
底壁(306)から延在する側壁(304)を含むパッケージ(302)であって、前記側壁(304)の内側面(308)は棚(310)を画定するように段差状になっている、パッケージ(302)と、
前記パッケージ(302)に配置された前記少なくとも2つの位置決め要素(120、220)を有する前記プレート(102)を備えた請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置(100、200)であって、前記プレート(102)の前記下面(106)は前記棚(310)上に配置され、前記位置決め要素(120、220)は、前記側壁(304)の前記内側面(308)に配置される、前記装置(100、200)と、
を備えるパッケージシステム(300)。
【請求項10】
前記側壁(304)の前記内側面(308)に配置された前記少なくとも2つの位置決め要素(220)のそれぞれの面(226)は、複数の前記側壁(304)の前記内側面(308)の曲率に対応する、角部(316)の曲率を有する、請求項9に記載のパッケージシステム(300)。
【請求項11】
前記位置決め要素(120、220)の前記面(126、226)の表面積のより少ない部分が、前記側壁(304)の前記内側面(308)に対して配置される、請求項9または10に記載のパッケージシステム(300)。
【請求項12】
それぞれの位置決め要素(220)の軸方向寸法は、前記棚(310)と前記パッケージ(302)の最上面(312)との間で測定された軸方向寸法以下である、請求項9乃至11のいずれか1項に記載のパッケージ(300)。
【請求項13】
前記位置決め要素(120、220)を含む前記プレート(102)は、締り嵌めによって前記パッケージ(302)の前記側壁(304)の前記内側面(308)と係合する、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のパッケージシステム(300)。
【請求項14】
前記装置(100、200)は、複数のチムニー(130)をさらに備え、それぞれのチムニー(130)は、複数の前記開口部(110)の開口の周りに円周方向に延在し、前記プレート(102)の前記上面(104)の上方に軸方向に延在し、それぞれのチムニー(130)は、その中に医療用容器を保持するように構成される、請求項9乃至13のいずれか1項に記載のパッケージシステム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、注射器などの医療用容器を運ぶための、当技術分野で一般的にネストと言われる装置、およびそのような装置を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
事前充填可能なまたは事前充填された注射器などの医療用容器は、ある場所から別の場所に運ばれることがある。例えば、医療用容器は、それが製造される場所から、医療用容器を薬用流体で満たす場所に運ばれることがある。さらなる例として、医療用容器は、同じ場所で製造および充填され、その後、無菌包装で保管場所に輸送されることがある。輸送中、医療用容器は、ネストと呼ばれ得る保持装置によって支持される。保持装置は、その中に保持装置を配置することを可能にする開口部を有したパッケージ内に配置され、その後、シールカバーによって密封され得る。容器はタブと呼ばれることがある。
【0003】
組み立てを容易にするために、保持装置の外部寸法はパッケージの内部寸法よりわずかに小さく、保持装置は輸送中にパッケージに対して移動し易い。長距離輸送中のそのような移動の結果として、保持装置はパッケージの内面と擦り合い、パッケージ材料および/または保持装置材料を摩減させてパッケージまたは保持装置の材料の粒子を生成することがある。パッケージは密封カバーによって密封されるため、粒子は輸送および保管の残りの期間を通してパッケージ内に残る。そのような粒子は、パッケージ内に分散され、従って、パッケージ内に格納された医療用容器の内側または上に至ることがある。医療用容器が目的地に到着すると、医療用容器はすぐに使用できる状態になることが意図されている。非限定的な例として、医療用容器が事前充填可能な注射器である場合、注射器は、注射器が薬液で充填されるように、充填する場所に到着したとき清潔で無菌の状態にあることが意図されている。パッケージ材料および/または保持装置材料の粒子が注射器内または注射器上に分散している場合、注射器は直ぐに使用できる状態ではなく、医療用容器が充填される薬液の汚染を避けるために、充填前に洗浄する必要がある。従って、パッケージ内の粒子の生成を阻害または完全に防止するパッケージの解決策が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の目的は、上記の問題点を解決する、複数の医療用容器を支持するための装置を提供することである。装置は、上面、下面、および側壁を有したプレートを備え、側壁はプレートの周囲を画定して上面と下面との間に延在する。側壁は、角で接続された4つの縁部を含む。プレートの縦軸は上面に対して垂直に延在する。プレートは、上面から下面に延在する複数の開口部を画定する。各開口部は、その中に医療用容器を保持するように構成されている。プレートは、複数の医療用容器を輸送するためのパッケージ内に配置されるように寸法が設定され、それにより、側壁の対向する縁部間で測定される距離は、パッケージの内面の対向する側壁間で測定される距離よりも小さい。装置は、その第1の端部がプレートに結合された少なくとも2つの位置決め要素をさらに備える。位置決め要素のそれぞれは、第1の端部の反対側の、プレートから切り離された第2の端部を有する。
【0005】
プレートがパッケージに配置されるとき、各位置決め要素は、プレートの縦軸に対して鋭角を形成し、プレートがその中に配置されるときに位置決め要素のそれぞれがパッケージの側壁の内側面に接触するように、プレートの側壁を超える、横方向の距離だけ延在する。
【0006】
典型的には、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第1の位置決め要素は、4つの縁部の第1の縁部に少なくとも部分的に配置され、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第2の位置決め要素は、4つの縁部の第2の縁部に少なくとも部分的に配置され、第1の縁部と第2の縁部は互いに隣接している。
【0007】
一実施形態では、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第1の位置決め要素は、4つの縁部のうちの第1の縁部だけに配置され、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第2の位置決め要素は、4つの縁部のうち第2の縁部だけに配置され、第1の縁部と第2の縁部は互いに隣接している。
【0008】
別の実施形態では、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第1の位置決め要素は第1の角に配置され、少なくとも2つの位置決め要素のうちの第2の位置決め要素は第2の角に配置され、第1の角と第2の角は互いに斜めに対向している。この実施形態では、位置決め要素が角に配置される場合、それは、2つの隣接する縁部の交差点に配置され、従って、それは、部分的に第1の縁部に配置され、部分的に第1の縁部に隣接する第2の縁部に配置されることになる。
【0009】
上述の装置の特定の好ましいが非限定的な特徴は、個別にまたは組み合わせて、以下のものである。
【0010】
位置決め要素は、それに位置決め要素を有するプレートがパッケージ内に配置されるときと、プレートがパッケージの外にあるときとの間で、位置決め要素の鋭角が1度可変であるように変位されるように構成された剛性要素であり;
記位置決め要素は、それに位置決め要素を有するプレートがパッケージ内に配置されるときと、プレートがパッケージの外にあるときとの間で、位置決め要素の鋭角が65度~80度可変になるように変位されるように構成された可撓性要素であり;
位置決め要素は、プレートと一体的に形成され;
少なくとも1つの位置決め要素は、側壁の各縁部に結合され、および/または
装置は、4つの位置決め要素を含み、1つの位置決め要素は、側壁の各角に結合される。
【0011】
本開示の別の目的は、底壁から延在する側壁を備えたパッケージを含む、複数の医療用容器を受け入れるためのパッケージシステムを提供することであり、側壁の内側面は、棚を画定するように段差付けされている。パッケージシステムはまた、パッケージ内に配置された前述のような少なくとも2つの位置決め要素を有するプレートを備えた装置を備える。プレートの下面は棚の上に配置され、位置決め要素は側壁の内側面に配置される。
【0012】
上述の装置の特定の好ましいが非限定的な特徴は、個別にまたは組み合わせて、以下のものである。
【0013】
側壁の内側面に配置された位置決め要素の面は、複数の側壁の内側面の屈曲部に対応する角部で屈曲部を有し;
位置決め要素の面の表面積のより少ない部分が側壁の内側面に対して配置され;
各位置決め要素の軸方向寸法は、棚とパッケージの最上部面との間で測定された縦軸寸法以下であり;
記位置決め要素を含むプレートは、締り嵌めによってパッケージの側壁の内側面と係合し;および/または
装置は、複数のチムニーをさらに備え、各チムニーは、複数の開口部の開口周りに円周方向に延在し、プレートの上面上に軸方向に延在し、各チムニーは、その中に医療用容器を保持するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に提示される図は、任意の特定の構成要素、デバイス、またはシステムの実際の図であることを意図するものではなく、本発明の実施形態を説明するために使用される単なる理想化された表現である。本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明を読み、非限定的な例として提供される図面を参照して、より明確に現れるであろう。
【
図1A】
図1Aは、複数の医療用容器を支持するための装置の上面概略図である。
【
図1B】
図1Bは、複数の医療用容器を支持するための装置の上面概略図である。
【
図1C】
図1Cは、複数の医療用容器を支持するための装置の上面概略図である。
【
図5A】
図5Aは、複数の医療用容器を支持するための別の装置の上面概略図である。
【
図5B】
図5Bは、複数の医療用容器を支持するための別の装置の上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される場合、“第1の”、“第2の”、“上端部”、“底部”、“上部”、“下部”、“上側”、“下側”、“上に”、“内部”、“外部”などの関係用語は、開示および添付図面を理解する際の明確さと利便性のために使用され、文脈で明確に示さない限り、任意の特定の好み、向き、または順序を暗示またはこれらに依存しない。
【0016】
本明細書で使用される場合、“軸方向”、“軸方向に”、“縦軸方向”、および“縦軸方向に”という用語は、一般に、本明細書で説明されるプレートおよびパッケージの要素の縦軸方向の軸に沿った、またはそれに平行な方向を意味し、指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、“横方向”および“横方向に”という用語は、概して、本明細書に記載のプレートおよびパッケージの要素(複数可)の中心の縦軸方向の軸に垂直な方向を意味し、指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータに関連した“約”という用語は、記載された値を含み、文脈によって指示される意味を有する(例えば、所与のパラメータの測定に関連付けられた誤差の程度を含む)。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語“および/または”には、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0020】
本明細書で使用される場合、“構成された”という用語は、少なくとも1つの構造および少なくとも1つの装置のうちの1つまたは複数のサイズ、形状、材料組成、材料分布、配向、及び配置を指し、所定の方法で構造および装置のうちの1つまたは複数の動作を容易にする。
【0021】
図1A~
図1Cは、その中に複数の医療用容器を支持するように構成された装置100を示している。装置100は、当技術分野では、概してネストと称され得る。医療用容器は、バイアル、事前充填可能または事前充填された注射器などのシリンジ、またはストッパまたはシリンジガスケットなどのネスト内で輸送され得る任意の医療要素であり得る。医療用容器は、充填後、その中に医療用流体を含むように構成されている。
【0022】
装置100は、上面104、下面106(
図2に見られる)、および上面104と下面106との間に延在する側壁108を有するプレート102を含み得る。
【0023】
側壁108は、プレート102の周囲部分を画定する。側壁は、角109で接続された4つの縁部107を含む。角109は丸みを帯びていても尖っていてもよい。縁部107は平面を含み得る。対向する縁部107のそのような面は、互いに平行に延在し得る。
【0024】
プレート102の縦軸101は、上面104に対して直角(例えば、垂直)に延在する。
【0025】
プレート102は、それを通って上面104から下面106へ延在する複数の開口部110を画定する。各開口部110は、医療用容器がそこを通るように構成されている。
【0026】
プレート102はまた、上面104から軸方向に突出する複数のチムニー130を含むことができる。各チムニー130は、対応する開口部110の周りに少なくとも部分的に円周方向において延在する。各チムニー130は、概して円筒形の構造とすることができる。各チムニー130は、医療用容器がその中に保持され得る開口部を画定する。各チムニー130は、プレート102の縦軸101と平行な、中央に延在する縦軸を有することができる。各チムニー130は、プレート102と一体的に形成され得る。
【0027】
装置100は、少なくとも2つの位置決め要素120を備える。各位置決め要素120は、第1の端部122と、第1の端部122と反対側の第2の端部124との間に延在する。第1の端部122はプレート102に結合される。第2の端部124はプレート102から切り離されている。
【0028】
第1の位置決め要素120aは、第1の縁部107に少なくとも部分的に位置する(例えば、配置される)。第2の位置決め要素120bは、第2の縁部107に少なくとも部分的に位置する。
【0029】
典型的には、第1の実施形態では、第1の位置決め要素120aは、それだけが(例えば、完全に)第1の縁部107に配置され得る。第2の位置要素120bは、第1の縁107に隣接する第2の縁107に、それだけが配置され得る。
図1Aは、そのような構成にある2つの位置決め要素120を含む実施形態を示している。
【0030】
さらなる実施形態では、装置100は、
図1Bに示されるように、4つの位置決め要素120を含むことができる。1つの位置決め要素120は、それぞれの縁部107に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、位置決め要素120は、対向する縁部107の位置決め要素120が互いに真向いに対向して配置されるように分配され得る。換言すれば、装置100が4つの位置決め要素120を含むとき、位置決め要素はそれぞれ、装置100の4つの縁部107のそれぞれの中央の周りに(例えば、角109間の中間に)配置され得る。
【0031】
さらなる実施形態では、装置100は、
図1Cに示されるように、8つの位置決め要素120を含むことができる。2つの位置決め要素120がそれぞれの縁部107に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、位置決め要素120は、所定の縁部107の1つの位置決め要素120が、正反対の縁部107の別の位置決め要素120と正反対に位置するように分配されてもよい。
【0032】
前述の実施形態のそれぞれでは、位置決め要素120が、位置決め要素120が角109に沿って延在しないように、プレート102の縁部107のみに排他的に位置決めされ得る。
【0033】
図1A~
図1Cを参照して説明されるように、少なくとも2つの隣接する縁部107の位置決め要素120は、装置100がパッケージないしタブ内に配置され、長距離輸送に供されるとき、
図1Bの座標系によって示されるように、x方向およびy方向を含む、縦軸101に垂直な2つの方向における装置100の移動を制限する。
【0034】
装置100は、複数の医療用容器を輸送するように構成されたパッケージに配置されるようにその寸法が決定される。
図2は、装置100が配置され得るパッケージ302の部分図を示す。装置100およびパッケージ302は、複数の医療用容器を輸送するためのパッケージアセンブリを集合的に形成する。
【0035】
パッケージ302は、その周囲を画定し、底壁306から延在する側壁304を備える。パッケージ302の内部は、中空であって、底壁306の内側面および側壁304の内側面308によって画定される。
【0036】
側壁304は、棚310を画定するように段差付けることができる。棚310は、装置100を支持するように構成された水平面を提供する。装置100がパッケージ302内に配置されるとき、装置100の下面106は棚310上に配置される。棚310は、内側面308の周囲に沿って連続してまたは不連続で延在してもよい。
【0037】
フランジは、側壁304において底壁306が位置する箇所と反対側の端部に設けることができる。フランジは側壁304の最上面312を画定する。フランジは、側壁304の周囲に連続的に延在してもよい。
【0038】
フランジはさらに、装置100がパッケージ302内に配置され得る開口部314の周囲を画定する。
【0039】
側壁304の内側面308の少なくとも一部は、傾斜していてもよい。より具体的には、棚310と最上面312との間に延在する側壁304の内側面308は傾斜したものとすることができる。側壁304の傾斜は、
図2および
図7に最もよく示されている。
【0040】
前述したように、装置100は、開口部314を介してパッケージ302内に配置されるようにその寸法が決定される。より具体的には、プレート102は、側壁108の対向する縁部107間で測定される距離(すなわち、位置決め要素120を除くプレート102の幅または長さのいずれかである横方向の寸法)が、側壁304の対応する対向する内側面308間で測定される距離よりも小さくなるようにその寸法が決定される。
【0041】
位置決め要素120は、第1の端部122と第2の端部124との間に延在する軸121を有する。位置決め要素120の軸121は、プレート102の縦軸101に対して角度αを形成する。
【0042】
位置決め要素120は可撓性要素とすることができる。本明細書で使用される場合、“可撓性要素”という用語は、装置100がパッケージ302の外側にあるとき角度αが第1の位置に対して最大90度まで移動可能であり、装置100がパッケージ302の内部にあるときに第2の位置まで移動可能である位置決め要素120を指す。より具体的には、位置決め要素120は、装置100がパッケージ302の外側にあるときの第1の位置から、装置がパッケージ302の内部にあるときの第2の位置まで65度~80度だけ移動可能である。
【0043】
図2に示されるように、パッケージ302内に装置100を配置する前に、位置決め要素120の角度αは、縦軸101に対して90度で延在している。装置100が、棚310に向かって開口部314を介して挿入されると、角度αは、位置決め要素120の外面126が側壁304の内側面308と係合するにつれて減少する。
【0044】
装置100が、
図3および
図4に示されるように、プレート102の下面106が棚310の水平面上に配置されるようにパッケージ302内に配置されるとき、位置決め要素120の角度αは、縦軸101に対して鋭角を形成する。鋭角αは、包括的に10~25度の範囲、より好ましくは、包括的に15度~20度の範囲になり得る。
【0045】
位置決め要素120の柔軟性によって、装置100がパッケージ302内に配置されるにつれて、装置100の横方向の寸法が減少することが可能になる。位置決め要素120の柔軟性はまた、装置100をパッケージ302から取り外すことを可能にする。
【0046】
所定の位置決め要素120は、上面104を超えて軸方向に(すなわち、縦軸101に平行に)突出し、側壁108を超えて横方向に(すなわち、縦軸101に垂直に)突出する。従って、各位置決め要素120は、位置決め要素120が下面106から位置決め要素120の第2の端部124に突出するように測定される軸方向寸法D122Aと、位置決め要素120が、位置決め要素120の第1の端部122が位置決め要素120の第2の端部124に結合される、側壁108の縁部107から突出するように測定される横方向寸法D122Lとを有する。
【0047】
パッケージ302内に装置100を配置する前に、少なくとも1つの位置決め要素120の横方向寸法D122Lおよびプレート102の横方向寸法は、組み合わされると、パッケージ302の横方向寸法(すなわち、位置決め要素120を除く側壁304の2つの対向する内側面308間で測定される距離)よりも大きい。
【0048】
装置100がパッケージ302内にかつ棚310上に配置されるとき、装置100とパッケージ302は締り嵌めによって係合される。
【0049】
図1Aの実施形態などのいくつかの実施形態では、装置100がパッケージ302内に配置されるとき、側壁304の内側面308と、プレート102の側壁108の少なくとも2つの縁部107および少なくとも1つの角109との間に、空間が位置し得る。
図1Bおよび
図1Cの実施形態などの他の実施形態では、装置100がパッケージ302内に配置されるとき、空間は、側壁304の内側面308と、プレート102の側壁108の各縁部107および角部109との間に位置し得る。そのような実施形態では、側壁304と側壁108との間の接触はない。
【0050】
装置100がパッケージ302内に配置されるとき、位置決め要素120の外面126の表面積のより少ない部分が、側壁304の内側面308に接触する。
【0051】
外面126は、位置決め要素120が縁部107に沿って延在する場合平面とすることができる。平面の外面126は、位置決め要素120が接触するパッケージ302の側壁304の平面に対応する。
【0052】
位置決め要素120とパッケージング302の内面308との係合、また、任意選択で各縁部107の位置決め要素120が無い実施形態におけるプレート102の側壁108とパッケージング302の内面308との係合は、装置100がプレート102の縦軸101に垂直な方向に移動するのを防ぐ。装置100とパッケージ302との間の横方向の移動が回避されることによって、装置100とパッケージ302は、互いに擦れ合わずパッケージ材料および/または装置材料の粒子を生成することはない。
【0053】
装置100とパッケージ302との間の締まり嵌めはまた、パッケージ302との摩擦を介したZ方向に沿った装置100の移動を防止または制限する。好ましくは、装置100とパッケージ302との間の横方向および縦方向の移動の両方が回避される。
【0054】
図5Aおよび
図5Bは、その中に複数の医療用容器を支持するように構成された装置200を示す。
【0055】
装置200は、本明細書で前述したように、上面104、下面106、および上面104と下面106との間に延在する側壁108を有するプレート102を備える。
【0056】
装置200は、少なくとも2つの位置決め要素220を備える。
図6に示されるように、各位置決め要素220は、第1の端部222と第1の端部222の反対側の第2の端部224との間に延在することができる。第1の端部222は、プレート102に結合される。第2の端部224は、プレート102から切り離されている。
【0057】
第1の位置決め要素220aは、第1の角109に配置され得る。第2の位置要素220bは、第1の角109と斜め方向の反対側にある第2の角109に配置され得る。
図5Aは、2つの位置決め要素220を含む実施形態を示している。位置決め要素220が装置200の角109に配置される場合、位置決め要素は、2つの隣接する縁部107に部分的に配置される。
【0058】
さらなる実施形態では、装置200は、
図5Bに示されるように、4つの位置決め要素220を含むことができる。1つの位置決め要素220が各角109に位置決めされ得る。
【0059】
対角線的に対向する角109の少なくとも2つの位置決め要素220の位置は、装置200がパッケージ302内に配置されるとき、
図5Aの座標系によって示されるように、x方向およびy方向を含む、縦軸101に垂直な方向における装置200の移動を制限する。
【0060】
各位置決め要素220は、第1の端部222と第2の端部224との間に延在する軸221を有する。位置決め要素220の軸2211は、プレート102の縦軸101に関して角度αを形成する。
【0061】
位置決め要素220は、剛性要素とすることができる。本明細書で使用される場合、“剛性要素”という用語は、角度βが最大5度、より具体的には、装置200がパッケージ302の外側にあるときの第1の位置と、装置200がパッケージ302の内部にあるときの第2の位置との間で1度移動可能な位置決め要素220を指す。
【0062】
装置200をパッケージ302内に配置する前に、位置決め要素220の角度βは、パッケージ302の内面308の傾斜側壁304の角度(例えば、側壁304の内側面308に接する線と縦軸101との間で測定される角度)よりも約5度大きい。いくつかの実施形態では、位置決め要素220の角度βは、縦軸101に対して、31度~46度の範囲にあり、より好ましくは、36度~41度の範囲にある。装置200が、棚310に向かって開口部314を通って挿入されるとき、角度βは、位置決め要素220の外面226が側壁304の内側面308と係合するにつれて減少する。
【0063】
プレート102の下面106が棚310の水平面上に配置されるように、装置200がパッケージ302内に配置されるとき、位置決め要素220の角度βは、縦軸101に対して鋭角を形成する。この鋭角βは、側壁304の内側面308と縦軸101との間の角度よりも約4度大きい。従って、鋭角βは、
図7に示されるように、縦軸101に対して、30度から45度までの範囲にあり得、より好ましくは、35度から40度までの範囲にあり得る。従って、鋭角βは、
図7に示されるように、縦軸101に対して、30度から45度までの範囲にあり得、より好ましくは、35度から40度までの範囲にあり得る。
【0064】
位置決め要素220の柔軟性によって、装置200がパッケージ302内に配置されるにつれて、装置200の横方向の寸法が減少することが可能になる。位置決め要素220の柔軟性はまた、装置200をパッケージ302から取り外すことを可能にする。
【0065】
装置100について説明したように、プレート102は、側壁108の対向する縁部107間で測定される距離(すなわち、位置決め要素120を除くプレート102の幅または長さのいずれかである横方向の寸法)が、側壁304の対応する対向する内側面308間で測定される距離よりも小さいように寸法決定される。プレート102はまた、側壁108の対向する角109の間で測定された距離(すなわち、プレート102の対角線である横方向の寸法)が、パッケージ302の対角線状に対向する角316の間で測定された距離よりも小さい寸法である。
【0066】
所与の位置決め要素220は、上面104を超えて軸方向に突出する。位置決め要素220は、側壁108を超えて、より具体的には、角109を超えて横方向に突出する。位置決め要素220は、位置決め要素220が位置決め要素220の下面106と第2の端部224との間に突出するように測定される軸方向寸法D222Aと、位置決め要素220の第1の端部222が結合される側壁108の角109と位置決め要素220の第2の端部224との間に突出するように測定される横方向寸法D222Lとを有する。
【0067】
軸方向寸法D222Aは、棚310の水平面と側壁304の最上部面312との間で測定された縦方向寸法D304以下である。縦方向寸法D304は、底壁306の内側面に垂直な方向で測定される。
【0068】
軸方向寸法D222Aが軸方向寸法D304に等しいとき、位置決め要素220の第2の端部224は、以下でさらに詳細に説明されるように、シール要素330に対して(例えば、シール要素330と接触して)配置される。位置決め要素220とシール要素330との係合は、装置200がプレート102の縦軸101と平行な方向に移動するのを防ぐ。装置200とパッケージ302との間の軸方向の移動が回避されるので、装置200とパッケージ302は、パッケージ材料および/または装置材料の粒子を生成するように互いに擦り合うことがない。
【0069】
位置決め要素220の横方向寸法D222Lおよびプレート102の対角線寸法は、これらが足されると、パッケージ302の横方向寸法(すなわち、側壁304の内側面308の2つの対向する角316の間で測定される距離)よりも大きい。
【0070】
装置200がパッケージ302内および棚310上に配置されるとき、装置200とパッケージ302は、締り嵌めで係合する。
【0071】
装置200とパッケージ302は、
図8に示されるように、複数の医療用容器を輸送するためのパッケージアセンブリ300を集合的に形成する。
【0072】
本発明による位置決め要素が無い装置200がパッケージ302内に配置される場合、側壁304の内側面308とプレート102の側壁108の各縁部107および角部109との間に、空間が位置し得る。そのような実施形態では、側壁304と側壁108との接触が不十分となり、装置200はパッケージ302内で動く。
【0073】
位置決め要素220を備える装置200がパッケージ302内に配置される場合、位置決め要素220は、側壁304の内側面308に当接し得る。より具体的には、各位置決め要素220の外面226は、側壁304の内側面308に当接し得る。
【0074】
外面226の表面積のより少ない部分が、側壁304の内側面308に対して配置される。
【0075】
外面226は、位置決め要素220が角109の周りに延在するとき湾曲することができる。位置決め要素220の外面226の曲率半径は、パッケージ302の側壁304の角316の曲率半径に実質的に等しくてもよい。位置決め要素220の曲率は、
図5Aおよび
図5Bの上面図に見ることができる。
【0076】
位置決め要素220とパッケージ302との係合によって、装置200がプレート102の縦軸101に垂直な方向に移動するのを防ぐことができる。装置200とパッケージ302との間の横方向の移動が回避されることによって、装置200とパッケージ302は互いに擦れ合わず、パッケージ材料および/または装置材料の粒子を生成しないようにできる。
【0077】
シール要素330(
図3および
図7)は、最上部面312に結合することができる。シール要素330は、装置100、200がその中に配置された後にパッケージ302の開口部314を閉じ、パッケージ302の滅菌を可能にするように構成される。シール要素330は微生物に対するバリアである。シール要素330は、多孔質の微生物バリアとすることができる。シール要素330はまた、シール要素330が最上部面3126上に配置された後に、パッケージ302の内部を滅菌することができるように、滅菌ガスに対して透過性としてもよい。滅菌ガスは、例えば、エチレンオキシドとすることができる。例示的な実施形態では、シール要素330は、Tyvek(登録商標)シートで形成することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、位置決め要素220の第2の端部224は、丸みを帯びた面228を有する。丸みを帯びた面228は、アセンブリ300の輸送中にシール要素330を貫通することなく、シール要素330に接触するように構成されている。
【0079】
上述の実施形態のいずれにおいても、位置決め要素120、220は、プレート102と一体的に形成することができ。そのような実施形態では、位置決め要素120、220とプレート102は、1ショットまたは2ショットの射出成形プロセスで共に形成される。あるいは、位置決め要素120は、プレート102と別個に形成され、接着剤または他の結合手段によってプレート102に結合することもできる。位置決め要素120、220は、プレート102と同じまたは異なるポリマー材料で形成することができる。
【0080】
本開示は、特定の例示される実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、それが限定されるものでないことを認識し、理解する。むしろ、示されている実施形態への多くの追加、削除、および修正は、法的等価物を含む本開示の範囲から逸脱することなく実施され得る。加えて、一実施形態の特徴は、なお本発明の範囲内に包含されている間に、発明者によって企図されるように、別の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。
【国際調査報告】