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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545017
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2023072841
(87)【国際公開番号】W WO2023143296
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210088344.7
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524281275
【氏名又は名称】天津瑞奇外科器械股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ ▲栄▼▲軒▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】蒋 ▲亜▼▲飛▼
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC09
4C160CC22
(57)【要約】
本願は外科用器具を提供する。この外科用器具は、ハンドル部分と、ハンドル部分から遠位側部まで延在する長尺シャフトと、エンドエフェクタと、ジョイントアセンブリと、関節動作機構と、ロックアウトアセンブリとを備える。ロックアウトアセンブリは、第1のロック部材および第2のロック部材を備える。第1のロック部材は、関節動作機構の屈曲動作を選択的にロックするように動作され、第1のロック部材は、関節動作機構の動作下において関節動作機構の屈曲動作を選択的にロックするように構成される。第2のロック部材は、ハンドル部分の動作下においてジョイントアセンブリの位置を選択的にロックするように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
組織の処置を行うために構成され、前記組織を受けるための開状態と前記組織をステープル留めするための閉状態とを有する、エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを開くための開放駆動力または前記エンドエフェクタを閉じるための閉鎖駆動力を動作可能に供給するように構成されたハンドル部分と、
前記ハンドル部分から遠位方向に延在し、長手方向軸を有する長尺シャフトであって、前記ハンドル部分から前記エンドエフェクタまで前記駆動力を伝達するように構成された長尺シャフトと、
前記エンドエフェクタおよび前記長尺シャフトにそれぞれ連結されたジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリに対して関節動作駆動力を動作可能に供給することにより前記長尺シャフトの前記長手方向軸に対して前記エンドエフェクタを関節動作させるように構成された関節動作機構と、
ロックアウトアセンブリであって、
関節動作を行わせないように前記関節動作機構を選択的にロックするように構成された第1のロック部材、および
前記ハンドル部分の操作下において前記ジョイントアセンブリの位置を選択的にロックするように構成された第2のロック部材
を備える、ロックアウトアセンブリと
を備える、外科用器具。
【請求項2】
前記第2のロック部材は、前記ハンドル部分が前記エンドエフェクタに対して前記閉鎖駆動力を供給するように動作されると前記ジョイントアセンブリをロックし、前記ハンドル部分が前記エンドエフェクタに対して前記開放駆動力を供給するように動作されると前記ジョイントアセンブリを解除するように構成される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記長尺シャフトは外方チューブを備え、前記第2のロック部材は前記外方チューブに係合され、それにより前記第2のロック部材は、前記外方チューブと同期的にまたは実質的に同期的に移動する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
サポートが前記外方チューブの遠位部分の内部に配置され、スライダが前記サポートに対して摺動可能に連結され、前記スライダは挿入嵌合部分を介して前記外方チューブに対して連結され、前記第2のロック部材は前記スライダに直接的にまたは第1の付勢部材を介して連結される、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記挿入嵌合部分は、前記外方チューブの内方壁部上に配置された凹部または突出部と、前記スライダ上に対応するように配置された突出部または凹部とを備える、請求項4に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記ジョイントアセンブリはジョイント部材を備え、ロック溝が前記ジョイント部材の上に配置され、前記ロック溝は、前記ジョイントアセンブリの位置をロックするように前記第2のロック部材に係合されるように動作される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項7】
前記外方チューブは、閉鎖機構の作用下において前記長手方向軸に沿って遠位方向に移動するように、および開放機構の作用下において前記長手方向軸に沿って近位方向に移動するように動作される、請求項3に記載の外科用器具。
【請求項8】
前記閉鎖機構は、
ピボットピンを中心として動作可能に回転されるように配置され、閉位置とロック解除位置とを有する閉鎖トリガーであって、前記閉鎖トリガーの上に複数の第1のトランスミッション歯が配置された、閉鎖トリガーと、
前記第1のトランスミッション歯に係合される複数の第2のトランスミッション歯を備える閉鎖トランスミッション部材であって、前記長手方向軸に沿って延在するフレーム内に摺動可能に受けられる、閉鎖トランスミッション部材と、
前記外方チューブに前記閉鎖トランスミッション部材を結合するように構成された結合部材と
を備え、
前記閉鎖トリガーが動作されると、前記閉鎖トランスミッション部材は、前記フレームに沿って遠位方向に移動するように作動されて、前記外方チューブを遠位方向に移動させるように作動する、請求項7に記載の外科用器具。
【請求項9】
前記開放機構は、
ピボットピンを中心として動作可能に回転するように構成された開放ボタンであって、前記閉鎖トリガーに係合されるように構成された開放ロック部分を備える、開放ボタンと、
前記閉鎖トランスミッション部材をその近位端部にて付勢するように構成された、前記閉鎖トランスミッション部材と前記フレームとの間に配置された第2の付勢部材と
を備え、
前記開放ボタンがトリガーされると、前記開放ロック部分は、前記閉鎖トリガーを前記閉位置から解除し、前記第2の付勢部材により近位方向に移動するように付勢され、それにより前記外方チューブは近位方向に移動するように作動される、請求項8に記載の外科用器具。
【請求項10】
前記第1のロック部材は、前記関節動作機構にそれぞれ係合された第1のバー部分および第2のロック歯を備え、前記第1のバー部分は、前記関節動作機構が前記第2のロック歯によりロックされた状態から解除するために前記関節動作機構に動作可能に係合される、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項11】
前記関節動作機構は、第1のカムディスクと、第2のカムディスクと、前記第1のカムディスクおよび前記第2のカムディスクを作動させて回転させるための関節動作ノブとを備え、前記第1のカムディスクは、前記第1のロック部材の前記第1のバー部分に動作可能に係合され、前記第2のカムディスクは、前記第1のロック部材の前記第2のロック歯に動作可能に係合され、前記第1のカムディスクは、前記第1のロック部材の前記第1のバー部分を作動させて前記第1のロック部材の前記第2のロック歯を前記第2のカムディスクから係合解除するように、前記関節動作ノブによって動作される、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記第1のカムディスクは、前記第1のロック部材の第1のバー部分に係合されるように構成された複数の第1のロック切欠部を備え、前記第2のカムディスクは、前記第1のロック部材の前記第2のロック歯に係合されるように構成された複数の第2のロック切欠部を備える、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記第1のカムディスクは、前記第2のカムディスクの上に積み重ねられ、前記第2のカムディスクに対してある一定の角度にわたり回転されることが可能であり、前記第1のバー部分および前記第2のロック歯は、前記第1のカムディスクおよび前記第2のカムディスクにそれぞれ整列されるように前記第1のロック部材の上に配置される、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項14】
前記関節動作機構は、前記第1のカムディスクを動作可能に駆動して回転させるために、前記関節動作ノブおよび前記第1のカムディスクにそれぞれ係合された第1の部材をさらに備える、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項15】
前記関節動作機構は、前記第2のカムディスクに同軸状かつ固定的に係合された伝動装置をさらに備え、前記伝動装置は、前記ジョイントアセンブリを関節動作させるために関節動作トランスミッションアセンブリに動作可能に係合される、請求項11に記載の外科用器具。
【請求項16】
前記関節動作トランスミッションアセンブリは、前記関節動作機構に係合されたラックと関節動作バンドとを備え、前記関節動作バンドの近位端部が、前記ラックに係合され、前記関節動作バンドの遠位端部が、前記ジョイントアセンブリのジョイント部材に対してヒンジ連結される、請求項15に記載の外科用器具。
【請求項17】
前記ジョイントアセンブリのジョイント部材は、アパーチャおよびトランスミッションホールを備え、前記アパーチャは、ピボットを受けることにより、前記ジョイント部材を前記長尺シャフトに枢動係合させ得るように構成され、前記トランスミッションホールは、前記ジョイントアセンブリを関節動作させるように作動されるように前記関節動作トランスミッションアセンブリに係合され、前記トランスミッションホールの軸が、前記アパーチャの軸から遠位側に配置される、請求項15に記載の外科用器具。
【請求項18】
前記長手方向軸に沿った前記トランスミッションホールの前記軸と前記アパーチャの前記軸との間の距離が、0~1mmの範囲である、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項19】
前記長尺シャフトの遠位端部が、サポートを備え、前記サポートの遠位端部が、前記ピボットを介して前記ジョイント部材の前記アパーチャに係合される、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項20】
前記関節動作トランスミッションアセンブリの前記関節動作バンドは、前記トランスミッションホール内に枢動的に受けられる、請求項17に記載の外科用器具。
【請求項21】
外科用器具であって、
ハンドル部分と、
前記ハンドル部分から遠位方向に延在する長尺シャフトであって、長手方向軸を有する長尺シャフトと、
前記長尺シャフトの遠位端部と、前記長尺シャフトの前記長手方向軸から離れるように枢動するように関節動作機構によって動作可能に作動されるエンドエフェクタの近位端部とにそれぞれ係合されるジョイントアセンブリと、
前記ジョイントアセンブリの位置を動作可能にロックするように前記ハンドル部分によって作動されるように構成された第2のロック部材であって、前記長尺シャフトの外方チューブと同期的にまたは実質的に同期的に移動するように作動される、第2のロック部材と
を備える、外科用器具。
【請求項22】
前記第2のロック部材は、動作可能に往復移動するように構成され、それにより、閉鎖駆動力が前記ハンドル部分から前記エンドエフェクタに対して供給されると、前記第2のロック部材は、前記ジョイントアセンブリの前記位置をロックするように作動され、開放駆動力が前記ハンドル部分から前記エンドエフェクタに対して供給されると、前記第2のロック部材は、前記ジョイントアセンブリを解除するように作動される、請求項21に記載の外科用器具。
【請求項23】
前記長尺シャフトの前記長手方向軸に対して前記エンドエフェクタを関節動作させるように、前記ジョイントアセンブリに対して関節動作駆動力を動作可能に供給するように構成された関節動作機構と、
第1のロック部材を備えるロックアウトアセンブリであって、前記第1のロック部材が、前記関節動作機構が関節動作されないように動作可能にロックするように構成された、ロックアウトアセンブリと
をさらに備える、請求項21に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年1月25日に中国国家知識産権局特許庁に出願された中国特許出願第202210088344.7号の優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、医療器具の技術分野に関し、詳細には外科用器具に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、例えば外科用ステープラーなどの外科用器具は、軟組織にて通常使用され、組織切断プロセスで軟組織からの出血を軽減または解消する。外科用ステープラーは、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを関節動作させるための関節動作操縦機構とを備える。エンドエフェクタは、ステープルカートリッジアセンブリおよびステープルアンビルを備え、ステープルが、ステープルカートリッジアセンブリ内に配置され、ステープルアンビルおよびステープルカートリッジアセンブリは、閉じられることにより軟組織をクランプ固定して、軟組織同士を共にステープル留めする。
【0004】
関節動作操縦機構は、ジョイントアセンブリと、関節動作機構と、関節動作機構(関節動作ノブ)によりもたらされる動作をジョイントアセンブリに対して伝達するための2つの関節動作バンドとを備える。各関節動作バンドの一方の端部が関節動作機構にヒンジ連結され、各関節動作バンドの他方の端部がジョイント部材にヒンジ連結されることによって、リンク機構が形成される。また、関節動作機構は、2つの関節動作バンドの一方を駆動して前進移動させ、関節動作バンドの他方を駆動して後退移動させ、そうすることによりジョイント部材を関節動作させるように構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により提供される外科用器具は、エンドエフェクタが閉状態において自由に揺れ動く問題を回避するために、閉状態のジョイントアセンブリをロックすることを実現し得る。
【0006】
本発明は、外科用器具を提供する。この外科用器具は、
組織の処置を行うために構成され、組織を受けるための開状態と組織をステープル留めするための閉状態とを有する、エンドエフェクタと、
エンドエフェクタを開くための開放駆動力またはエンドエフェクタを閉じるための閉鎖駆動力を動作可能に供給するように構成されたハンドル部分と、
ハンドル部分から遠位方向に延在し、長手方向軸を有する長尺シャフトであって、ハンドル部分からエンドエフェクタまで駆動力を伝達するように構成された長尺シャフトと、
エンドエフェクタおよび長尺シャフトにそれぞれ連結されたジョイントアセンブリと、
ジョイントアセンブリに対して関節動作駆動力を動作可能に供給することにより長尺シャフトの長手方向軸に対してエンドエフェクタを関節動作させるように構成された関節動作機構と、
ロックアウトアセンブリであって、
関節動作を行わせないように関節動作機構を選択的にロックするように構成された第1のロック部材、および
ハンドル部分の操作下においてジョイントアセンブリの位置を選択的にロックするように構成された第2のロック部材
を備える、ロックアウトアセンブリと
を備える。
【0007】
本願のいくつかの実施形態では、第2のロック部材は、ハンドル部分がエンドエフェクタに対して閉鎖駆動力を供給するように動作されるとジョイントアセンブリをロックし、ハンドル部分がエンドエフェクタに対して開放駆動力を供給するように動作されるとジョイントアセンブリを解除するように構成される。
【0008】
本願のいくつかの実施形態では、長尺シャフトは外方チューブを備え、第2のロック部材は外方チューブに係合され、それにより第2のロック部材は、外方チューブと同期的にまたは実質的に同期的に移動する。
【0009】
本願のいくつかの実施形態では、サポートが外方チューブの遠位部分の内部に配置され、スライダがサポートに対して摺動可能に連結され、スライダは挿入嵌合部分を介して外方チューブに対して連結され、第2のロック部材はスライダに直接的にまたは第1の付勢部材を介して連結される。
【0010】
本願のいくつかの実施形態では、挿入嵌合部分は、外方チューブの内方壁部上に配置された凹部または突出部と、スライダ上に対応するように配置された突出部または凹部とを備える。
【0011】
本願のいくつかの実施形態では、ジョイントアセンブリはジョイント部材を備え、ロック溝がジョイント部材の上に配置され、ロック溝は、ジョイントアセンブリの位置をロックするように第2のロック部材に係合されるように動作される。
【0012】
本願のいくつかの実施形態では、外方チューブは、閉鎖機構の作用下において長手方向軸に沿って遠位方向に移動するように、かつ、開放機構の作用下において長手方向軸に沿って近位方向に移動するように動作される。
【0013】
本願のいくつかの実施形態では、閉鎖機構は、
ピボットピンを中心として動作可能に回転されるように配置され、閉位置とロック解除位置とを有する閉鎖トリガーであって、閉鎖トリガーの上に複数の第1のトランスミッション歯が配置された、閉鎖トリガーと、
第1のトランスミッション歯に係合される複数の第2のトランスミッション歯を備える閉鎖トランスミッション部材であって、長手方向軸に沿って延在するフレーム内に摺動可能に受けられる、閉鎖トランスミッション部材と、
外方チューブに閉鎖トランスミッション部材を結合するように構成された結合部材と
を備え、
閉鎖トリガーが動作されると、閉鎖トランスミッション部材は、フレームに沿って遠位方向に移動するように作動されて、外方チューブを遠位方向に移動させるように作動する。
【0014】
本願のいくつかの実施形態では、開放機構は、
ピボットピンを中心として動作可能に回転するように構成された開放ボタンであって、閉鎖トリガーに係合されるように構成された開放ロック部分を備える、開放ボタンと、
閉鎖トランスミッション部材をその近位端部にて付勢するように構成された、閉鎖トランスミッション部材とフレームとの間に配置された第2の付勢部材と
を備え、
開放ボタンがトリガーされると、開放ロック部分は、閉鎖トリガーを閉位置から解除し、第2の付勢部材により近位方向に移動するように付勢され、それにより外方チューブは近位方向に移動するように作動される。
【0015】
本願のいくつかの実施形態では、第1のロック部材は、関節動作機構にそれぞれ係合された第1のバー部分および第2のロック歯を備え、第1のバー部分は、関節動作機構が第2のロック歯によりロックされた状態から解除するために関節動作機構に動作可能に係合される。
【0016】
本願のいくつかの実施形態では、関節動作機構は、第1のカムディスクと、第2のカムディスクと、第1のカムディスクおよび第2のカムディスクを作動させて回転させるための関節動作ノブとを備え、第1のカムディスクは、第1のロック部材の第1のバー部分に動作可能に係合され、第2のカムディスクは、第1のロック部材の第2のロック歯に動作可能に係合され、第1のカムディスクは、第1のロック部材の第1のバー部分を作動させて第1のロック部材の第2のロック歯を第2のカムディスクから係合解除するように、関節動作ノブによって動作される。
【0017】
本願のいくつかの実施形態では、第1のカムディスクは、第1のロック部材の第1のバー部分に係合されるように構成された複数の第1のロック切欠部を備え、第2のカムディスクは、第1のロック部材の第2のロック歯に係合されるように構成された複数の第2のロック切欠部を備える。
【0018】
本願のいくつかの実施形態では、第1のカムディスクは、第2のカムディスクの上に積み重ねられ、第2のカムディスクに対してある一定の角度にわたり回転されることが可能であり、第1のバー部分および第2のロック歯は、第1のカムディスクおよび第2のカムディスクにそれぞれ整列されるように第1のロック部材の上に配置される。
【0019】
本願のいくつかの実施形態では、関節動作機構は、第1のカムディスクを動作可能に駆動して回転させるために、関節動作ノブおよび第1のカムディスクにそれぞれ係合された第1の部材をさらに備える。
【0020】
本願のいくつかの実施形態では、関節動作機構は、第2のカムディスクに同軸状かつ固定的に係合された伝動装置をさらに備え、伝動装置は、ジョイントアセンブリを関節動作させるために関節動作トランスミッションアセンブリに動作可能に係合される。
【0021】
本願のいくつかの実施形態では、関節動作トランスミッションアセンブリは、関節動作機構に係合されたラックと関節動作バンドとを備え、関節動作バンドの近位端部が、ラックに係合され、関節動作バンドの遠位端部が、ジョイントアセンブリのジョイント部材に対してヒンジ連結される。
【0022】
本願のいくつかの実施形態では、ジョイント部材は、アパーチャおよびトランスミッションホールを備え、アパーチャは、ピボットを受けることにより、ジョイント部材を長尺シャフトに枢動係合させ得るように構成され、トランスミッションホールは、ジョイントアセンブリを関節動作させるように作動されるように関節動作トランスミッションアセンブリに係合され、トランスミッションホールの軸が、アパーチャの軸から遠位側に配置される。
【0023】
本願のいくつかの実施形態では、長手方向軸に沿ったトランスミッションホールの軸とアパーチャの軸との間の距離が、0~1mmの範囲である。
【0024】
本願のいくつかの実施形態では、長尺シャフトの遠位端部が、サポートを備え、サポートの遠位端部が、ピボットを介してジョイント部材のアパーチャに係合される。
【0025】
本願のいくつかの実施形態では、関節動作トランスミッションアセンブリの関節動作バンドは、トランスミッションホール内に枢動的に受けられる。
【0026】
本願は、外科用器具を提供する。この外科用器具は、
ハンドル部分と、
ハンドル部分から遠位方向に延在する長尺シャフトであって、長手方向軸を有する長尺シャフトと、
長尺シャフトの遠位端部と、長尺シャフトの長手方向軸から離れるように枢動するように関節動作機構によって動作可能に作動されるエンドエフェクタの近位端部とにそれぞれ係合されるジョイントアセンブリと、
ジョイントアセンブリの位置を動作可能にロックするようにハンドル部分によって作動されるように構成された第2のロック部材であって、長尺シャフトの外方チューブと同期的にまたは実質的に同期的に移動するように作動される、第2のロック部材と
を備える。
【0027】
本願のいくつかの実施形態では、第2のロック部材は、動作可能に往復移動するように構成され、それにより、閉鎖駆動力がハンドル部分からエンドエフェクタに対して供給されると、第2のロック部材は、ジョイントアセンブリの位置をロックするように作動され、開放駆動力がハンドル部分からエンドエフェクタに対して供給されると、第2のロック部材は、ジョイントアセンブリを解除するように作動される。
【0028】
本願のいくつかの実施形態では、この外科用器具は、
長尺シャフトの長手方向軸に対してエンドエフェクタを関節動作させるように、ジョイントアセンブリに対して関節動作駆動力を動作可能に供給するように構成された関節動作機構と、
第1のロック部材を備えるロックアウトアセンブリであって、関節動作機構が関節動作されないように動作可能にロックするように構成された、ロックアウトアセンブリと
をさらに備える。
【0029】
以下、本願の理解を助ける図面を参照として、本願における好ましい実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本願による外科用器具の一実施形態の概略構造図である。
図2】本願による外科用器具のハンドル部の一部の分解図である。
図3A】本願による外科用器具において閉位置に移動された閉鎖トリガーの概略構造図である。
図3B】本願による外科用器具において開放ボタンによりロック解除された閉鎖トリガーの概略構造図である。
図4A】本願による外科用器具において閉位置に移動された閉鎖トリガーの別の概略構造図である。
図4B】本願による外科用器具において開放ボタンによりロック解除された閉鎖トリガーの別の概略構造図である。
図5】本願による外科用器具の部分構造の分解図である。
図6】本願による外科用器具の回転可能ノブにおける概略長手方向断面図である。
図7】本願による外科用器具の関節動作ノブの概略構造図である。
図8A】関節動作機構の第1のカムディスクの概略構造図である。
図8B】関節動作機構の第1のカムディスクの概略構造図である。
図9A】関節動作機構の第2のカムディスクおよび伝動装置の概略構造図である。
図9B】関節動作機構の第2のカムディスクおよび伝動装置の概略構造図である。
図10】本願による屈曲トランスミッション機構におけるラックの概略構造図である。
図11】本願による屈曲トランスミッション機構における関節動作バンドの概略構造図である。
図12】長尺シャフトの遠位端部とジョイント部材とのマッチングの概略構造図である。
図13】本願による第1のロック部材の概略構造図である。
図14A】関節動作機構の概略構造図である。
図14B】関節動作機構の概略構造図である。
図14C】関節動作機構の概略構造図である。
図15A】屈曲動作の最中における一状態にある屈曲動作システムの概略構造図である。
図15B】屈曲動作の最中における一状態にある屈曲動作システムの概略構造図である。
図15C】屈曲動作の最中における一状態にある屈曲動作システムの概略構造図である。
図15D】屈曲動作の最中における一状態にある屈曲動作システムの概略構造図である。
図15E】屈曲動作の最中における一状態にある屈曲動作システムの概略構造図である。
図16】本願による長尺シャフトの外方チューブの遠位端部の部分構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、これらの図面を参照として本発明を明確かつ十全に説明する。明らかに、説明される実施形態は本願の実施形態の一部にすぎず、全てではない。本願のこれらの実施形態に基づき当業者が創造的作業を経ることなく実現し得るあらゆる他の実施形態は、本願の保護範囲内に含まれるものとする。
【0032】
本願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内部」、および「外部」などの用語によって示される配向または位置関係は、図面に示した方向または位置関係に基づくものであり、本願の説明の便宜およびその説明の簡略化を目的とするものにすぎず、示されるデバイスまたは要素がある特定の方向を有しある特定の配向で構成および動作されなければならないことを示唆または暗示するものではない点に留意されたい。さらに、「第1の」、「第2の」および「第3の」という用語は、説明を目的として使用されるにすぎず、相対的な重要度を示唆または暗示するものとして理解されるべきではない。
【0033】
本願の説明において、「設置」、「連結される」、および「連結」という用語がある場合には、これらは特段の指定がない限り広い意味において理解されるべきである点に留意されたい。例えば、「設置」、「連結される」、および「連結」は、固定連結、取外し可能な連結、または一体連結であってもよく、直接連結または中間媒体を介した間接連結、および2つの要素の内部における連結であってもよい。本願における上記の用語の具体的な意味は、当業者によりある特定の例において理解されてもよい。
【0034】
さらに、以降において説明される本願の様々な実施形態に含まれる技術的特徴は、相互に矛盾しない限り相互に組み合わされてもよい。
【0035】
本願の実施形態において、「遠位端部/遠位側」は、術中においてオペレータから遠く位置する外科用器具の一端部を指し、「近位端部」は、術中においてオペレータの近くに位置する外科用器具の一端部/側を指す。
【0036】
図1は、外科用器具100の一特定の実施形態の概略構造図である。図示するこの実施形態は、内視鏡器具であり、概して言えば、本明細書において説明される外科用器具100のこの実施形態は、切断およびステープル留め用の内視鏡外科用器具である。しかし、外科用器具は、例えば開胸術用の開胸術器具などの、切断およびステープル留めを行うための非内視鏡手術器具であってもよい点に留意されたい。
【0037】
代替的には、図1に示す外科用器具100は、ハンドル部分80、長尺シャフト101、およびエンドエフェクタ70を備える。長手方向軸Cを規定する長尺シャフト101は、ハンドル部分80の遠位部分から遠位方向に延在する。エンドエフェクタ70は、アンビルアセンブリ71と、カートリッジチャネル72内に着脱可能に収容されるステープルカートリッジアセンブリとを備え、特定の外科手術を実行するために、ならびに例えば組織のクランプ固定、縫合/ステープル留め、および切断など、組織の操作を行うために適合化される。特定の外科手術を実行するための可動発射部材が、エンドエフェクタ70内に配置される。本明細書において説明される外科用器具100のこの実施形態では、組織の切断およびステープル留めを行うためのエンドエフェクタ70が設けられるが、代替的な一実施形態では、組織の切断およびステープル留めを行うための他の技術のエンドエフェクタが使用されてもよい点を理解されたい。例えば、高周波(RF)エネルギーまたは接着剤を使用することにより組織をステープル留めするためのエンドエフェクタが使用されてもよい。一実施形態では、ハンドル部分80は、エンドエフェクタ70を開くための開放駆動力を、またはエンドエフェクタ70を閉じるための閉鎖駆動力を動作可能に供給するように構成され、長尺シャフト101は、ハンドル部分80から遠位に延在して長手方向軸を規定し、長尺シャフト101は、ハンドル部分80の駆動力をエンドエフェクタ70に対して伝達するように構成される。
【0038】
図2および図4A図4Bに示すように、ハンドル部分80は、ハンドルハウジング83と、ハンドルハウジング83内に取り付けられた閉鎖機構および開放機構とを備える。この閉鎖機構は、エンドエフェクタ70が閉じられるまで、エンドエフェクタ70のアンビルアセンブリ71をカートリッジチャネル72に向かって枢動させるように制御するように構成される。開放機構は、エンドエフェクタ70が開かれる設定位置に到達するまで、エンドエフェクタ70のアンビルアセンブリ71をカートリッジチャネル72から離れるように枢動させるように制御するように構成される。
【0039】
図1および図2に示すように、ハンドルハウジング83は、第1の半部83aおよび第2の半部83bからなり、第1の半部83aおよび第2の半部83bは、バックルおよび固定具などにより着脱自在に連結されてもよく、全体としてT字形状を成し得る。長手方向軸Cに沿って延在するハンドルハウジング83の部分が、閉鎖機構および開放機構の収容部を形成し、長手方向軸Cに対して垂直方向に延在するハンドルハウジング83の部分または長手方向軸Cに対してある角度で傾斜したハンドルハウジング83の部分が、グリップ部分82を形成する。
【0040】
図2を参照すると、閉鎖機構は、閉鎖トリガー81と、閉鎖トランスミッション部材84と、長尺シャフト101の外方チューブ101aに閉鎖トランスミッション部材84を結合するように構成された結合部材85とを備える。閉鎖トリガー81は、ピボットピンを中心として動作可能に枢動され、閉位置およびロック解除位置を有する。閉鎖トリガー81は、複数の第1のトランスミッション歯811を備え、これらの複数の第1のトランスミッション歯811は、閉鎖トランスミッション部材84(図3A図3Bに示すような)の上に配置された第2のトランスミッション歯841と係合するように構成される。この閉鎖トランスミッション部材84は、長手方向軸Cに沿って延在するフレーム86内に摺動可能に受けられる。動作の最中に、閉鎖トリガー81が図4Aに示すようにグリップ部分82に向かって移動されると、閉鎖トランスミッション部材84は、閉鎖トリガー81により作動されてフレーム86に沿って遠位方向に移動され、さらに外方チューブ101aを駆動して遠位方向に移動させ、それによって、エンドエフェクタ70のジョーが閉じられるまで、アンビルアセンブリ71を作動させてカートリッジチャネル72に向かって枢動させる。
【0041】
図2および図3A図3Bに示すように、開放機構は、ピボットピンを中心として動作可能に回転される開放ボタン87と、閉鎖トランスミッション部材84とフレーム86との間に位置する第2の付勢部材88とを備え、第2の付勢部材88は、閉鎖トランスミッション部材84の近位端部にて付勢力を印加する。開放ボタン87は、閉鎖トリガー81に対して動作可能に係合される開放ロック部分871を備え、図3Aに示すように閉鎖トリガー81がグリップ部分82に向かって移動されることにより設定位置に到達すると、開放ロック部分871は閉鎖トリガー81をロックする。図3Aおよび図4Bに示すように開放ボタン87がトリガーされると、開放ロック部分871は閉鎖トリガー81をその閉位置から解除し、閉鎖トランスミッション部材84は第2の付勢部材88の作動下において近位方向に移動するように作動され、外方チューブ101aを近位方向に移動させるように作動する。したがって、アンビルアセンブリ71は、エンドエフェクタ70が開かれるまで、付勢部材の作用下においてカートリッジチャネル72から離れるように枢動移動される。
【0042】
図1図5に示すように、長尺シャフト101は、ハンドル部分80により供給される様々な駆動力(例えばエンドエフェクタ70を開閉するための駆動力、および発射部材を駆動して移動させるための駆動力など)をエンドエフェクタ70に対して伝達するように配置される。長尺シャフト101は、外方チューブ101aを備え、外方チューブ101aの近位端部は、ハンドル部分80の閉鎖トランスミッション部材84に係合され、外方チューブ101aの遠位端部は、エンドエフェクタ70の近位端部にてピボット部材31を介して外方チューブ部73の近位端部に回転可能に係合される。
【0043】
本願のこの実施形態において提供される外科用器具100は、ハンドル部分80の遠位側に配置され長尺シャフト101の近位端部に固定係合された回転可能ノブ1をさらに備える。回転可能ノブ1が外科用器具100の長手方向軸(図1の長手方向軸Cを参照)に対して回転するように動作されると、長尺シャフト101およびエンドエフェクタ70は共に回転するように駆動され得る。
【0044】
図5に示すように、長尺シャフト101の長手方向軸Cに対して目標角度までエンドエフェクタ70を関節動作させるためには、長尺シャフト101およびエンドエフェクタ70は、ジョイント部材32を備えるジョイントアセンブリ30を介して係合される。ジョイント部材32の遠位端部は、エンドエフェクタ70に固定係合され、ジョイント部材32の近位端部は、ピボット33を介して長尺シャフト101に枢動係合される。代替的には、長尺シャフト101のフレーム101bの遠位端部が、サポート101cを備え、サポート101cの遠位端部が、ピボット33を介してジョイント部材32に枢動係合される。アパーチャ324(図12に図示するような)が、ジョイント部材32中に設けられ、このアパーチャ324は、ジョイント部材32が長尺シャフト101のフレーム101bに枢動係合されるように、ピボット33を受けるように構成される。さらに、ジョイントアセンブリ30は保護カバー34で囲まれる。
【0045】
本願のこの実施形態において提供される外科用器具100は、ジョイントアセンブリ30を関節動作させるための関節動作機構20と、関節動作トランスミッションアセンブリ40とをさらに備える。関節動作機構20は、ジョイントアセンブリ30に対して関節動作駆動力を供給することにより、長尺シャフト101の長手方向軸に対してエンドエフェクタ70を関節動作させるように構成される。図5に示すように、関節動作機構20は、回転可能ノブ1上に回転可能に取り付けられた関節動作ノブ2を備え、この関節動作ノブ2が回転するように動作されると、エンドエフェクタ70はそれに対応するように関節動作される。関節動作トランスミッションアセンブリ40は、関節動作機構20により供給される関節動作駆動力をジョイントアセンブリ30に対して伝達することによって、長尺シャフト101の長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタ70を関節動作させ、それによりエンドエフェクタ70の関節動作を実行する。
【0046】
図6を参照すると、本願のこの実施形態における関節動作機構20は、関節動作ノブ2の底部部分に軸方向に固定された第1のカムディスク22を備える。この実施形態では、第1のカムディスク22は、第1の部材21を介して関節動作ノブ2の底部部分に対して軸方向に固定される。例えば図7に示すように、バー211が第1の部材21の内方壁部上に配置される。したがって、図8に示すように、リッジ221が、第1のカムディスク22の上部表面上において上方に延在するように設けられ、リッジ221中に対称的に設けられた一対の穴222を介して第1の部材21に係合されるように構成される。第1の部材21のバー211は、第1のカムディスク22の穴222内に受けられることによりこの第1のカムディスク22にクランプ固定されて、関節動作ノブ2と第1のカムディスク22との間の周方向固定連結を実現する。関節動作ノブ2が回転するように動作されると、第1の部材21および第1のカムディスク22がこれに対応して回転する。代替的な一実施形態では、関節動作ノブ2および第1のカムディスク22は、例えば固定具によりロックおよび係合されるなどの他の方法で係合および固定されてもよく、この固定具は、ネジまたはボルトであってもよい。または、関節動作ノブ2の底部部分が、第1のカムディスク22の上部表面上に溶接および固定される。
【0047】
図8Aおよび図8Bを参照すると、一実施形態では、少なくとも2つの第1の切欠部224が、第1のカムディスク22の周方向外方壁部中に配置されて、それぞれの隣接し合う2つの第1の切欠部224によって第1の突出部223を画定する。代替的には、7個の、または2個、3個、4個、5個、6個、8個、もしくはそれ以上の第1の切欠部224が、第1のカムディスク22上に設けられてもよい。例えば、第1の切欠部224の個数は奇数に設定されることが可能であり、中間部に位置する第1の切欠部224が、初期位置(関節動作されない位置)切欠部として規定される。
【0048】
図6を参照すると、関節動作機構20は、第1のカムディスク22の上に同軸に積層された第2のカムディスク23をさらに備える。例えば、第1のカムディスク22は、第2のカムディスク23に対してある特定の角度だけ回転されることにより第1のカムディスク22上に積層されてもよい。例えば、図8Bに示すように、突出部分225が、第1のカムディスク22の下部表面から軸方向下方に延在し、一対の凹部226が、突出部分225の外方周方向壁部上に対称的に配置される。したがって、図9Aに示すように、第2のカムディスク23は内方開口233を備え、この内方開口233は、径方向内方に延在する突出部234を有する。一実施形態では、一対の突出部234が、第1のカムディスク22の突出部分225上のそれぞれの凹部226に係合されるように、例えば内方開口233内に対称的に配置されるなどして設けられてもよい。第1のカムディスク22の突出部分225は、第2のカムディスク23の内方開口233内に嵌め込まれ、この突出部234は、第1のカムディスク22の突出部分225上の凹部226に係合されることにより、第1のカムディスク22が回転するように動作された場合に、第2のカムディスク23は共に回転するように作動され得る。
【0049】
図9Aを参照すると、一実施形態では、第1のカムディスク22と同様に、少なくとも2つの第2の切欠部232が第2のカムディスク23の周方向外方壁部に配置されて、それぞれの隣接し合う2つの第2の切欠部232によって第2の歯231が画定される。第2のカムディスク23の第2の切欠部232の個数は、第1のカムディスク22の第1の切欠部224の個数に対応して設定されるものとする。例えば、第2のカムディスク23の第2の切欠部232の個数は、7個として設定することが可能であり、または代替的には2個、3個、4個、5個、6個、8個、もしくはそれ以上として設定することも可能である。例えば、第2の切欠部232の個数は、奇数として設定することが可能であり、中間に位置する第2の切欠部232は、初期位置(非関節動作時位置)切欠部として規定される。
【0050】
図9Bを参照すると、一実施形態では、伝動装置24が第2のカムディスク23の上に同軸状にかつ固定的に取り付けられるため、第2のカムディスク23が回転することによって伝動装置24が同期的にまたは実質的に同期的に駆動されて回転する。
【0051】
図5を参照すると、関節動作トランスミッションアセンブリ40は、関節動作機構20により供給される関節動作駆動力をジョイントアセンブリ30に対して伝達するように構成される。例えば、関節動作トランスミッションアセンブリ40は、ラック41および関節動作バンド42を備える。図5図9B、および図9Aを参照すると、歯411を備えるラック41の一部が、関節動作機構20の伝動装置24に係合し、ラック41の他の部分が、関節動作バンド42の近位端部に固定連結される。関節動作バンド42の遠位端部は、ジョイントアセンブリ30に対して関節動作駆動力を伝達するようにジョイントアセンブリ30に係合する。例えば、図12に示すように、トランスミッションホール322が、ジョイント部材32中のアパーチャ324の2つの側部のそれぞれに配置され、トランスミッションホール322は、関節動作バンド42の遠位端部にヒンジ連結されるように構成される。代替的には、図11に示すように、第2のフック部分422が、関節動作バンド42の遠位端部に配置され、トランスミッションホール322に対してヒンジ連結される。関節動作機構20の伝動装置24が動作されて回転すると、関節動作トランスミッションアセンブリ40の2つのラック41が、長手方向(長手方向軸Cに沿って)に往復移動するように駆動され、関節動作バンド42がさらに往復移動するように駆動される。ここで、一方の関節動作バンド42が遠位方向に移動し、他方の関節動作バンド42が近位方向に移動する。それにより、ジョイント部材32は、ピボット33を中心として枢動的に回転して、エンドエフェクタ70に対する関節動作を最終的に実現する。代替的な一実施形態では、関節動作バンド42およびジョイント部材32は、他の方法でヒンジ連結されてもよい。さらに、代替的な一実施形態としては、関節動作バンド42がチューブ状またはロッド形状の構造体として設定されてもよい。
【0052】
図10は、ラック41の構造を示す。この実施形態では、取付ベース412がラック41の底部部分上に配置され、さらにこの取付ベース412は上に配置された溝413を備える。したがって、図11に示すように、第1のフック部分421が関節動作バンド42の近位端部に配置される。この第1のフック部分421は、ラック41の溝413に受けられることにより、関節動作バンドとラックとの間に固定係合される。代替的には、関節動作バンド42の第1のフック部分421が、ラック41の溝413に対して直接的に溶接されて固定連結を実現してもよい。代替的には、代替的な一実施形態として、ラック41および関節動作バンド42は、例えばネジもしくはボルトなどの固定具により固定連結されてもよく、または溶接により固定連結されてもよい。
【0053】
代替的には、図10に示すように、ラック41の取付ベース412は、逆L字形状として設計され、L字形状の水平部分の端部部分が、ラック41の底部部分上に固定され、溝413が、L字形状の垂直部分の内方壁部表面中に配置される。それにより、関節動作バンド42は、溝413の背後に取り付けられラック41の内方側部上に配置されるため、関節動作トランスミッションアセンブリ40の構造がよりコンパクトになる。
【0054】
一部の手術では、外科医の操作スペースが極めて限られるため(例えば低位直腸切除/吻合、または胸腔鏡下肺および気管支切除/吻合など)、この器具は、多くの場合においてより大きな関節動作角度を実現可能にすることが期待され、この器具の関節動作半径は、可能な限り小さくするべきである。ジョイント部材32は、関節動作バンド42により作動されることによって目標角度まで器具のエンドエフェクタ70を関節動作させ、多くの場合においては、サポート101cがジョイント部材32に係合される部分領域が、関節動作バンド42の移動軌道への干渉を限定する。
【0055】
したがって、図12を参照すると、代替的な一実施形態では、トランスミッションホール322の軸は、アパーチャ324の軸から遠位方向に配置される。例えば、トランスミッションホール322の軸とアパーチャ324の軸との間の長手方向軸に沿った距離が、「a」として表され、これは0~1mmの範囲である。または、「a」は0~0.2mmの範囲であってもよい。この実施形態では、エンドエフェクタ70が、最大角度位置と呼ぶことも可能な限界関節動作位置まで関節動作された場合に、一方の側の関節動作バンド42が、サポート101cの遠位側の部分エッジに当接し、その一方で他方の側の関節動作バンド42およびサポート101cの遠位側の部分エッジにより形成される間隙が、縮小または解消される。さらに、その逆も同様となる。このようにすることで、器具が限界位置へと関節動作された場合における、関節動作バンド42とサポート101cの遠位側の一部との間の間隙の分布が最適化され、そのためエンドエフェクタ70はより大きな関節動作角度を達成することが可能となる。エンドエフェクタ70が長尺シャフトの長手方向軸Cに対して成す角度αが、関節動作角度として定義され、この関節動作角度αは、この実施形態では0°~70°に達し得る。代替的には、関節動作角度αは、0°~65°の範囲であることが可能である。上記の実施形態に基づき、本願の実施形態による外科用器具100は、関節動作機構20が関節動作しないように動作可能にロックするための第1のロック部材51を有するロックアウトアセンブリ50をさらに備える。例えば、外科用器具100が関節動作するように動作された場合に、関節動作機構20は、最初に第1のロック部材51によるロック状態から解除され、エンドエフェクタ70がある特定の位置まで関節動作された後に、関節動作機構20は、第1のロック部材51によってさらにロックされる。エンドエフェクタ70は、エンドエフェクタ70が長手方向軸に対してある特定の角度だけ関節動作される特定の位置へと関節動作される。
【0056】
図5および図6に示すように、第1のロック部材51は、具体的には圧縮ばねまたは弾性シートとして設定され得る第3の付勢部材53を介して回転可能ノブ1内に配置される。図13を参照すると、第1のロック部材51は、第1のバー部分511と、第1のバー部分511の上に積層された第2のロック歯512とを備え、第1のバー部分511は、第1のカムディスク22の第1のロック切欠部224に係合されるように構成され、第2のロック歯512は、第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232に係合されるように構成され、第2のロック歯512の遠位端部が、第1のバー部分511の遠位端部から突出する。
【0057】
一実施形態では、第1のカムディスク22は、ロック解除のために第2のカムディスク23に対してある一定のストロークだけ回転され得るものであり、このストロークは以降においては「ロック解除ストローク」と呼ぶ。このストロークは、第1のカムディスク22が第2のカムディスク23に対して回転可能な角度「a2」である(図14Bを参照すると、内部構造が点線で図示される)。例えば、第2のカムディスク23の各突出部234の側壁部と第1のカムディスク22の各凹部226の側壁部との間に、間隙「a1」が存在し(図14Aを参照すると、内部構造が点線で図示される)、このことにより、第1のカムディスク22は、回転されることによって角度「a2」を実現することが可能となる。
【0058】
図14Cに示すように、一実施形態では、関節動作機構20において、第1のカムディスク22および第2のカムディスク23が初期位置にある場合に、初期状態にある第1のカムディスク22/第2のカムディスク23の第1のロック切欠部224/第2のロック切欠部232と、隣接する第1のロック切欠部224/第2のロック切欠部232とによって形成される角度「b1」は、他の隣接する第1のロック切欠部224/第2のロック切欠部232とによって形成される角度「b2」よりも大きい。
【0059】
伝動装置24はラック41に係合され、関節動作バンド42はジョイントアセンブリ30に枢動結合され、関節動作ノブ2のバー211は第1のカムディスク22に結合され、関節動作バンド42はラック41に係合されることにより、隣接し合う構成要素間のトランスミッションマッチングにおいて回避できない組立クリアランスが存在する。ロック解除状態では、初期位置から第1の関節動作位置へと変位される際に、第1のカムディスク22は、第1の関節動作ギアから第2の関節動作位置まで回転される角度であると共に、さらに第1のカムディスクが次の位置へと変位するように回転される角度でもある角度「b2」よりも大きい、角度「b1」にわたって回転されるように動作され、これにより、上述の構成要素同士の係合の組立クリアランスが相殺されて、上述の構成要素が引き締まった状態に維持されることによって、関節動作機構20の第1の関節動作位置およびジョイントアセンブリ30の第1の関節動作位置が、所定の角度を同期的にまたは実質的に同期的に実現することが確保される。
【0060】
本願のこの実施形態の外科用器具100の関節動作機構においては、関節動作機構20の第2のカムディスク23は、ロックアウトアセンブリ50の第1のロック部材51の往復移動によってロック状態とロック解除状態との間で切り替えられる。
【0061】
続いて、図15A図15Eを参照として、関節動作機構の関節動作の複数の状態に関して詳細に説明する。
【0062】
最初に、図15Aは、初期位置(非関節動作位置)にある場合にロック状態にある、本願のこの実施形態の外科用器具100を示す。第1のロック部材51は、関節動作機構20の第1のカムディスク22および第2のカムディスク23に係合されるように、第3の付勢部材53によって付勢される。具体的には、第1のロック部材51の第1のバー部分511は、初期位置(非関節動作位置)に対応して第1のカムディスク22の第1のロック切欠部224に係合され、第1のロック部材51の第2のロック歯512は、初期位置(非関節動作位置)に対応して第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232に係合される。外科用器具100は、初期ロック状態にある。
【0063】
さらに、図15Bを参照すると、関節動作ノブ2は、矢印Aにより示される方向へと回転するように動作され、それにより対応するように第1のカムディスク22が作動されて回転する。第1のカムディスク22は、第1のロック部材51の上に設けられた第3の付勢部材53の付勢力を克服し、第1のロック部材51の第1のバー部分511は、第1のカムディスク22の第1のロック切欠部224の側壁部により近位方向(矢印Pにより示される方向)に移動するように付勢される。第1のロック部材51の第2のロック歯512は、第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232から完全には係合解除されておらず、第2のカムディスク23は、第2のロック歯512により依然としてロックされた状態にある。第2のロック部材52および第1のロック部材51が同期的にまたは実質的に同期的に移動するように構成されるため、第1のロック部材51が近位方向に移動するように動作されると、第2のロック部材52もまたそれに対応して近位方向に移動し、第1のカムディスク22が矢印Aの方向へと回転するように動作されると、第1のカムディスク22と第2のカムディスク23との間のオフセット角度が徐々に大きくなり「a2」に到達する。
【0064】
図15Cを参照すると、関節動作ノブ2は、矢印Aの方向へと回転するようにさらに動作され、第1のロック部材51は、第1のカムディスク22により近位方向(矢印P)へと移動するように作動され、それにより、第1のロック部材51の第2のロック歯512は、第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232から外される。ここで、関節動作機構がロック解除状態へと切り替えられ、第1のカムディスク22が第2のカムディスク23に対して角度「a2」にわたって回転され、第2のカムディスク23が解除され、第2のカムディスク23が第1のカムディスク22と共にさらに回転されることが可能となり、第2のカムディスク23の上に取り付けられた伝動装置24もまたこれに対応して回転されると、これによって、ジョイント部材32は、関節動作トランスミッションアセンブリ40のラック41および関節動作バンド42を介してピボット33を中心として関節動作するように駆動される。例えば、関節動作ノブ2は、第1のカムディスク22を回転させるように駆動し、第1のカムディスク22および第2のカムディスク23は、一体的に移動し、したがってピボット33を中心としてジョイント部材32を関節動作させるように駆動する。
【0065】
図15Dを参照すると、関節動作ノブ2は、矢印Aの方向へと回転するようにさらに動作され、それによりさらに第1のカムディスク22および第2のカムディスク23が、矢印Aの方向へと回転するように作動される。次いで、第1のロック部材51の第2のロック歯512は、第2のカムディスク23の第2の歯231の端部表面を越えて移動する。ここで、第2の歯231は、初期位置(非関節動作位置)に対応する。第1のロック部材51は、第3の付勢部材53により遠位方向(矢印Dの方向)へと移動されるように付勢され、第1の関節動作位置に対応する第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232a内に徐々に受けられる。第1のロック部材51は、第3の付勢部材53により遠位方向(矢印D方向)へと移動されるように付勢され、それにより、図15Eに示すように、第1のロック部材51の第1のバー部分511は、第1の関節動作位置に対応する第1のカムディスク22の第1のロック切欠部224a内に受けられ、これに対応して第1のロック部材51の第2のロック歯512は、第1の関節動作位置に対応する第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232a内に受けられる。結果として、関節動作機構は、第1の関節動作位置へと変位するように、およびジョイントアセンブリ30の動きをロックするように動作される。
【0066】
関節動作ノブ2をさらに操作して矢印Aの方向に回転させることにより、上述のプロセスが反復されることになり、したがって関節動作機構がさらなる関節動作位置へと動作される。さらに、関節動作ノブ2を操作して矢印Aとは逆方向に回転させることにより、同一原理に基づいて、関節動作機構は、反対側へと関節動作するように動作されることになる。本明細書においては、これについては繰り返し説明しない。
【0067】
図12に示すように、ロックアウトアセンブリ50は、ジョイントアセンブリ30の位置を動作可能にロックするための第2のロック部材52をさらに備える。ハンドル部分80を操作することによって、第2のロック部材52は、ジョイントアセンブリ30の位置をロックするように作動され、これによりエンドエフェクタの安定性が改善される。例えば、第2のロック部材52は、ハンドル部分80によりエンドエフェクタ70に対して閉鎖駆動力が供給されると、ジョイントアセンブリ30の位置をロックするように作動される。第2のロック部材52は、ハンドル部分80によりエンドエフェクタ70に対して開放駆動力が供給されると、ジョイントアセンブリ30を解除するように作動される。ジョイントアセンブリ30の位置は、エンドエフェクタ70が閉状態にある場合にロックされ、これによりエンドエフェクタ70の安定性が改善される。外科用器具が例えば衝撃および衝突などの外力を受けたとしても、エンドエフェクタ70は揺れ動かず、ジョイントアセンブリ30のジョイント部材32もまた長尺シャフトに対して回転しない。
【0068】
図12を参照すると、ロック溝321は、ジョイント部材32の近位側の周方向外方壁部中に配置され、ジョイントアセンブリ30の位置をロックまたはロック解除するために第2のロック部材52に係合されるように構成される。ロック溝321の個数は、関節動作機構の関節動作位置にしたがって設定されてもよく、ロック溝321の個数が奇数に設定される場合には、中間に位置する(長手方向軸と整列する)ロック溝321が、初期位置に対応する。
【0069】
サポート101cは、外方チューブ101aの遠位部分の内部に配置され、摺動可能に連結されたスライダ521を備える。さらに、スライダ521は、挿入嵌合部分を介して外方チューブ101aに連結され、第2のロック部材52は、第1の付勢部材522を介してスライダ521に連結される。外方チューブ101aが閉駆動機構により遠位方向に移動するように駆動されると、スライダ521は、遠位方向に移動するように駆動され、第2のロック部材52は、スライダ521と共に同時に遠位方向へと移動し、最終的には第2のロック部材52の遠位端部の端部部分が、ジョイント部材32のロック溝321に挿入されて、ジョイント部材32がロックされる。外方チューブ101aが開放駆動機構により駆動されて近位端部まで移動すると、スライダ521は、駆動されて近位端部まで移動し、第2のロック部材52は、第1の付勢部材522の作用下でスライダ521と共に同時に近位端部まで移動する。その結果、第2のロック部材52の遠位端部の端部部分は、ジョイント部材32のロック溝321から分離され、ジョイント部材32は、ロック解除され、ジョイント部材32は、エンドエフェクタ70を駆動して長手方向軸に対して屈曲させ得る。いくつかの任意の実施形態では、第2のロック部材52およびスライダ521は、直接的に連結されてもよい。
【0070】
一実施形態では、挿入嵌合部分は、外方チューブ101aの内方壁部上に配置された凹部または突出部と、スライダ521上に対応するように配置された突出部または凹部とを備える。
【0071】
代替的には、図16を参照すると、開口523が、外方チューブ101aのスリーブ壁部中に配置され、突出部523aが、開口523に形成され、凹部521aは、外方チューブ101aとスライダ521との間の挿入嵌合を実現するために、スライダ521上に対応するように配置された開口523において突出部523aに係合されるように構成される。すなわち、この挿入嵌合部分は、突出部523aおよび凹部521aからなる。
【0072】
代替的な一実施形態としては、関節動作機構20の第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232、およびジョイントアセンブリ30のジョイント部材32のロック溝321は、溝開口の2つの側壁部に傾斜表面を共に備え、そのためこの溝開口は、徐々に大きくなっている。図15Bを参照すると、第1のロック部材51の第1のバー部分511が、第1のカムディスク22の第1の突出部223に当接すると、第1のロック部材51の第2のロック歯512は、第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232の傾斜表面に当接し、次いで第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232の傾斜表面は、第1のバー部分511を押して近位端部まで(矢印P)移動させ、それにより第1のバー部分511は、第1のカムディスク22の第1の突出部223から遠ざかる。図15Dに示すように、第2のロック歯512が、第2のカムディスク23の初期ギアに対応する第2のロック切欠部232sから離れ、第1の屈曲ギアに対応する第2のロック切欠部232aの溝開口内に位置すると、これと同時に第1のロック部材51の第1のバー部分511は、第1のカムディスク22の第1の突出部223に衝突および接触し、ギアが切り替えられたことをオペレータに対して知らせるための音が発せられる。
【0073】
代替的には、屈曲動作の使用感を最適化するために、図6に示すように、関節動作機構20の第2のカムディスク23の第2のロック切欠部232は、溝底部に近い直線状セクションと、直線状セクション上に形成され溝開口中に位置する傾斜セクションとを備え、傾斜セクションの構成は、第1のロック部材51の第2のロック歯512が第2のカムディスク23の第2の歯231を通過するように案内する役割を果たす。
【0074】
同様に、ジョイントアセンブリ30のジョイント部材32のロック溝321もまた、直線状セクションと、溝開口中に位置する傾斜セクションとを備える。
【0075】
修正された一実施形態としては、上記の関節動作バンド42およびラック41はギアセットに置き換えられてもよく、ギアがジョイント部材32上にさらに配置され、これによって、伝動装置24はギアの段階的な噛合トランスミッションによりジョイント部材32に連結される。
【0076】
本願の上記の実施形態における外科用器具100は、関節動作機構20の動作下において関節動作機構20の屈曲動作を選択的にロックするための第1のロック部材51と、ハンドル部分80の動作下においてジョイントアセンブリ30の位置を選択的にロックするための第2のロック部材52とを備え、これにより、この外科用器具は、ジョーが閉じられるとジョイントアセンブリ30の位置をロックし、したがって外科用器具100が発射動作またはリセット動作を実行するときにおけるジョイントの揺れ動きを回避する。一方において、この屈曲動作の最中に、エンドエフェクタ70は、関節動作機構20を動作させることにより設定角度にてロックされ得る。
【0077】
本願の上記の実施形態における外科用器具100では、ジョイント部材32のトランスミッションホール322がアパーチャ324よりも遠位方向に配置されるため、エンドエフェクタ70は、0°~70°の関節動作角度を実現するように関節動作されることが可能であり、これは、関連技術における一般的な外科用器具の関節動作角度よりもはるかに大きい。
【0078】
本願において提供される外科用器具は、関節動作機構およびジョイントアセンブリがロックアウトアセンブリを介して関節動作されないように、それぞれをロックするように構成される。ジョイントアセンブリは、ハンドル部分を操作することによってロックまたは解除されることが可能であり、これによりジョイントアセンブリは、閉じられた場合に関節動作されないようにロックされることが可能となり、これによって閉状態におけるエンドエフェクタの安定性が改善される。関節動作機構を操縦して関節動作機構の屈曲動作をロックすることにより、様々なギアの選択後における角度ロックが実現される。
【0079】
本願により提供される外科用器具は、ハンドル部分の操作下においてジョイントアセンブリの位置を動作可能にロックするための第2のロック部材を有する。この第2のロック部材は、長尺シャフトの外方チューブと同期的にまたは実質的に同期的に移動する。したがって、ジョイントアセンブリは、エンドエフェクタが閉動作を完了した後に同期的にロックされ、それにより外力の干渉下におけるエンドエフェクタの揺れ動きが回避される。
【符号の説明】
【0080】
1 回転可能ノブ
2 関節動作ノブ
20 関節動作機構
21 第1の部材
22 第1のカムディスク
23 第2のカムディスク
24 伝動装置
30 ジョイントアセンブリ
31 ピボット部材
32 ジョイント部材
33 ピボット
34 保護カバー
40 関節動作トランスミッションアセンブリ
41 ラック
42 関節動作バンド
50 ロックアウトアセンブリ
51 第1のロック部材
52 第2のロック部材
53 第3の付勢部材
70 エンドエフェクタ
71 アンビルアセンブリ
72 カートリッジチャネル
73 外方チューブ部
80 ハンドル部分
81 閉鎖トリガー
82 グリップ部分
83 ハンドルハウジング
83a 第1の半部
83b 第2の半部
84 閉鎖トランスミッション部材
85 結合部材
86 フレーム
87 開放ボタン
88 第2の付勢部材
100 外科用器具
101 長尺シャフト
211 バー
221 リッジ
222 穴
223 第1の突出部
224 第1のロック切欠部、第1の切欠部
225 突出部分
226 凹部
231 第2の歯
232 第2のロック切欠部、第2の切欠部
233 内方開口
234 突出部
321 ロック溝
322 トランスミッションホール
324 アパーチャ
411 歯
412 取付ベース
413 溝
421 第1のフック部分
422 第2のフック部分
511 第1のバー部分
512 第2のロック歯
521 スライダ
522 第1の付勢部材
523 開口
811 第1のトランスミッション歯
841 第2のトランスミッション歯
871 開放ロック部分
101a 外方チューブ
101b フレーム
101c サポート
224a 第1のロック切欠部
232a 第2のロック切欠部
232s 第2のロック切欠部
521a 凹部
523a 突出部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
【国際調査報告】