(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】高性能オーディオ増幅器
(51)【国際特許分類】
H03F 1/32 20060101AFI20250123BHJP
H03F 3/181 20060101ALI20250123BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20250123BHJP
H03F 3/21 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H03F1/32
H03F3/181
H03F1/02 144
H03F3/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545191
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2023051797
(87)【国際公開番号】W WO2023144200
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524140145
【氏名又は名称】フォーカル・ジエムラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】リュドヴィック・ウーラング-カダール
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・マランドン
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA02
5J500AA12
5J500AA15
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5J500AK06
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5J500PG05
5J500RG02
5J500WU07
5J500WU09
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのラウドスピーカー(R44)を制御することを意図された高性能オーディオ増幅器(102)に関し、増幅器は、入力信号(S1)を受信する前置増幅ステージ(301)と、前置増幅ステージ(301)に接続されているパワー増幅ステージ(302)と、出力信号(3)のイメージを前置増幅ステージ(301)に送達するフィードバックとを含み、パワー増幅ステージ(302)は、MOSFETトランジスター(M1、M2)を含む2つのパワー供給回路(155a、155b)を含む。本発明は、それが、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)を充電することを支援するためのサブ回路と、放電することを支援するためのサブ回路と、電圧シフトサブ回路とを含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのラウドスピーカー(R44)を制御することを意図された高出力オーディオ増幅器(102)であって、前記増幅器は、
- 入力信号(S1)を受信する前置増幅ステージ(201、301)と、
- パワー増幅ステージ(202~203、302)であって、前記パワー増幅ステージ(202~203、302)は、前記前置増幅ステージ(201、301)に接続されており、前記少なくとも1つのラウドスピーカー(R44)に給電することを意図された出力信号(3)を供給し、前記前置増幅ステージ(201、301)およびパワー増幅ステージ(202~203、302)は、互いにミラーリングして装着されている上側パーツおよび下側パーツを含む、パワー増幅ステージ(202~203、302)と、
- 前記出力信号(3)のイメージを前記前置増幅ステージ(201、301)に供給するフィードバックと、
- 上側パワー供給回路(151~155、155a)であって、前記上側パワー供給回路(151~155、155a)は、前記パワー増幅ステージ(202~203、302)の前記上側パーツに接続されており、それが第1または第2のパワーバス(V++、V+)によって給電されることを可能にする、上側パワー供給回路(151~155、155a)と、
- 下側パワー供給回路(155b)であって、前記下側パワー供給回路(155b)は、前記パワー増幅ステージ(202~203、302)の前記下側パーツに接続されており、それが第1または第2のパワーバスによって給電されることを可能にする、下側パワー供給回路(155b)と
を含み、
- それぞれのパワー供給回路(151~155、155a、155b)は、MOSFETトランジスター(M1、M2)およびモニタリング手段を含み、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)は、監視手段によって制御され、2つの前記パワーバス(V++、V+)のうちの一方または他方の間でスイッチングを実施するようになっており、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)は、第4のダイオード(D3、D11)を介して前記第2のパワーバス(V+)に接続されており、第4のダイオード(D3、D11)の第1の端子は、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)のソースに接続されており、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)のドレインは、前記第1のパワーバス(V++)に接続されている、高出力オーディオ増幅器(102)において、
それぞれのパワー供給回路(151~155、155a、155b)は、
- 前記MOSFETトランジスター(M1、M2)を充電することを支援するためのサブ回路(131~133)であって、前記充電することを支援するためのサブ回路(131~133)は、少なくとも第1の抵抗器(R24、R31)を含み、前記第1の抵抗器(R24、R31)の第1の端子は、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)のゲートに接続されており、前記第1の抵抗器(R24、R31)の第2の端子は、相互接続ポイント(A1)に接続されている、充電することを支援するためのサブ回路(131~133)と、
- 前記MOSFETトランジスター(M1、M2)を放電することを支援するためのサブ回路(141)であって、前記放電することを支援するためのサブ回路(141)は、少なくとも第2および第3の抵抗器(R8、R27、R21、R39)ならびにバイポーラートランジスター(Q12、Q13)を含み、前記バイポーラートランジスター(Q12、Q13)のベースは、前記第3の抵抗器(R21、R39)の第1の端子に接続されており、そのエミッターは、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)の前記ゲートに接続されており、そのコレクターは、前記第2の抵抗器(R8)を介して前記MOSFETトランジスター(M1、M2)の前記ソースに接続されており、前記第3の抵抗器(R21、R39)の第2の端子は、前記相互接続ポイント(A1、A2)に接続されている、放電することを支援するためのサブ回路(141)と、
- 電圧シフトサブ回路(161~163)であって、前記電圧シフトサブ回路(161~163)は、第1のキャパシター(C18、C23)と並列に装着されている第1のダイオード(D8、D10)を含み、前記第1のダイオード(D8、D10)の第1の端子および前記第1のキャパシター(C18、C23)の第1の端子は、第1の相互接続ノード(N1、N4)に接続されており、第1の相互接続ノード(N1、N4)自身は、前記放電することを支援するための前記サブ回路(141)の前記相互接続ポイント(A1、A2)に接続されており、前記第1のダイオード(D8、D10)の第2の端子および前記第1のキャパシター(C18、C23)の第2の端子は、第2の相互接続ノード(N2、N3)に接続されており、前記第2の相互接続ノード(N2、N3)自身は、前記出力信号(3)に接続されている、電圧シフトサブ回路(161~163)と
をさらに含むことを特徴とする、高出力オーディオ増幅器(102)。
【請求項2】
前記電圧シフトサブ回路(161~163)は、少なくとも第4の抵抗器(R22、R26)および第2のダイオード(D6、D29)をさらに含み、前記第4の抵抗器(R22、R26)および前記第2のダイオード(D6、D29)は、並列に装着されており、前記第2のダイオード(D6、D29)の第1の端子および前記第4の抵抗器(R22、R26)の端子は、前記相互接続ポイント(A1、A2)に接続されており、前記第4の抵抗器(R22、R26)の第2の端子および前記第2のダイオード(D6、D29)の第2の端子は、第3の相互接続ノード(N10)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記充電することを支援するためのサブ回路(131~133)は、第5の抵抗器(R29、R30)をさらに含み、前記第5の抵抗器(R29、R30)は、第3のダイオード(D9、D14)と直列に装着されており、前記第5の抵抗器(R29、R30)および前記第3のダイオード(D9、D14)は、前記第1の抵抗器(R24、R31)を含む前記充電することを支援するためのサブ回路(131~133)の分岐と並列に装着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の増幅器。
【請求項4】
前記電圧シフトサブ回路(161~163)は、第2のキャパシター(C17、C22)および第3のキャパシター(C21、C24)をさらに含み、前記第2のキャパシター(C17、C22)は、前記第1のキャパシター(C18、C23)および前記第1のダイオード(D8、D10)と並列に装着されており、前記第3のキャパシター(C21、C24)は、前記第2のダイオード(D6、D29)および前記第5の抵抗器(R22、R26)と並列に装着されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項5】
それぞれのパワー供給回路(151~155、155a、155b)は、第1の保護ダイオード(D5、D13)を含み、前記第1の保護ダイオード(D5、D13)の第1の端子は、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)の前記ソースに接続されており、前記第1の保護ダイオード(D5、D13)の第2の端子は、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)の前記ゲートに接続されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項6】
それぞれのパワー供給回路(151~155、155a、155b)は、前記MOSFETトランジスター(M1、M2)の前記ソースと前記ドレインとの間に接続されている第2の保護ダイオード(D4、D12)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項7】
それぞれのパワー供給回路(151~155、155a、155b)は、前記第4のダイオード(D3、D11)と並列に装着されている第4のキャパシター(C14、C25)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項8】
前記前置増幅ステージ(201、301)は、前記第1のパワーバス(V++)のパワー変動ダンピング回路(304、305)によって、それぞれのパワー回路(151~155、155a、155b)の前記第1のパワーバス(V++)に接続されており、前記パワー変動ダンピング回路(304、305)は、ローパスフィルターとして装着されている少なくとも1つのキャパシター(C15、C19)および少なくとも1つの抵抗器(R52、R55)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の増幅器。
【請求項9】
前記パワー変動ダンピング回路(304、305)は、前記少なくとも1つのキャパシター(C16、C20)と並列に装着されている追加的なキャパシターをさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の増幅器。
【請求項10】
前記前置増幅ステージに適用される前記フィードバックは、前記ラウドスピーカーを通過する電流に比例する信号を供給することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅器の分野に関する。本発明は、少なくとも1つのラウドスピーカーを制御することを意図された高出力オーディオ増幅器に特に関する。
【0002】
高出力増幅器は、レコーディングスタジオまたはコンサートホールにおいて音響を提供する際に特定の用途を有している。それらは、エレクトロダイナミック型ラウドスピーカーに給電するために特に使用される。
【0003】
本発明は、有利には、低い歪みを保証しながら、先行技術の増幅器よりも良好な効率を有する高出力オーディオ増幅器を取得することを可能にする。
【背景技術】
【0004】
従来、高出力増幅器は、入力信号の形状を保ちながら、入力として受信された信号のパワーを増幅させることを可能にする、トランジスターまたはチューブなどのような、少なくとも1つのアクティブコンポーネントを含む。
【0005】
高出力増幅器の回路は、一般的に、前置増幅ステージを含み、パワー増幅ステージがそれに続く。より正確には、パワー増幅ステージの出力は、前置増幅ステージにフィードバックされ、前置増幅ステージは、たとえば差動ペアによって、出力信号と入力信号との間の差を経時的に検出する。次いで、前置増幅ステージにおいて検出されたこの差は、パワー増幅ステージにおいて増幅され、出力信号を形成し、出力信号は、従来では少なくとも1つのラウドスピーカーに伝送される。
【0006】
したがって、例として、
図1は、高出力増幅器100を図示しており、高出力増幅器100の入力信号は、ポイントS1において印加される。高出力増幅器100の出力は、ラウドスピーカーに給電し、ラウドスピーカーは、ポイント3とグランドとの間に接続される抵抗器R44によって表される。
【0007】
高出力増幅器100のダイアグラムは、対称的である。それは、同様に、上側パーツ140aと、下側パーツ140bとを含み、上側パーツ140aは、入力信号S1のプラスの半波を増幅し、下側パーツ140bは、入力信号S1のマイナスの半波を増幅する。
【0008】
図1の例では、高出力増幅器100は、+/-65Vの単一の電圧レベルによって給電される。
【0009】
前置増幅ステージ201は、2つの差動ペア110a、110bを含み、2つの差動ペア110a、110bは、互いにミラーリングして組み立てられた2つのトランジスターQ1、Q2およびQ3、Q4をそれぞれ含む。したがって、トランジスターQ1、Q2のエミッターは、抵抗器R2、R3および第1の定電流源Iを介して-65Vパワーバスに接続されており、一方では、トランジスターQ3、Q4のエミッターは、抵抗器R4、R5および同じ値の第2の電流源Iを介して+65Vパワーバスに接続される。
【0010】
トランジスターQ2、Q4のコレクターは、+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続されており、一方では、トランジスターQ1、Q3のコレクターは、抵抗器R1、R11を介して+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続される。フィードバックがない場合、前置増幅ステージ201のゲインは、抵抗器の比率R1/R2およびR11/R4に依存する。
【0011】
トランジスターQ1およびQ3のベース、ならびに、トランジスターQ2およびQ4のベースは、互いに接続される。また、トランジスターQ1およびQ3のベースは、入力信号S1によって給電される。トランジスターQ2およびQ4のベースは、抵抗器R18を介してラウドスピーカーR44に接続されており、前置増幅ステージに適用されるフィードバックを形成するようになっている。トランジスターQ1およびQ3のコレクターは、前置増幅ステージ201とパワー増幅ステージ202との連結を確実にする。
【0012】
パワー増幅ステージ202は、2つのトランジスターQ8、Q9を含み、2つのトランジスターQ8、Q9は、それらのそれぞれのベースによって抵抗器R23、R57を介して前置増幅ステージ201に接続される。また、電圧源T1が、抵抗器R23と抵抗器R57との間に設置されており、クラスABにおいてトランジスターQ8、Q9をバイアスするようになっている。この電圧源T1は、トランジスターQ8およびQ9をターンオンするために必要な電圧の総和に等しい電圧を供給することを可能にする。
【0013】
また、トランジスターQ8、Q9は、それらのコレクターによって+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続される。トランジスターQ8、Q9のエミッターは、抵抗器R16、R17を介してラウドスピーカーR44に接続される。これらの抵抗器R16およびR17は、静止電流(すなわち、それが入力信号を受信しないときに増幅器によって導通される電流の値)を制御するために追加される。これらの抵抗器R16、R17がない場合には、静止電流は、トランジスターQ8およびQ9の特性ならびに温度に依存することとなり、それは禁止されている。
【0014】
加えて、
図1における回路は、トランジスターQ2およびQ4のベースにおいて特殊性を有している。実際に、後者は、保護ライン403に接続されており、保護ライン403は、グランドに接続されるキャパシターC4と直列に組み立てられた抵抗器R28を含む。このアッセンブリは、電圧分配器であり、ポイントS2における電圧が、R28/(R18+R28)にACでの出力信号3の電圧を掛けたものに等しくなるようになっている。実際には、キャパシターC4は、回路を流れる電圧が交流であるときに、短絡のように振る舞う。他方では、回路を流れる電圧がDCであるときに、キャパシターC4は、開回路のように振る舞う。このケースでは、高出力増幅器100の出力信号3は、ポイントS2に直接的に接続される。高出力増幅器100の電圧ゲインは、次いで、1に等しくなり、それは、ラウドスピーカーR44の端子に印加される電圧の上の起こり得る望ましくないDC成分を制限することを可能にする。
【0015】
このタイプの増幅器では、ポイントS1においてグランドに対して測定される電圧、および、ポイントS2においてグランドに対して測定される電圧は等しい。換言すれば、高出力増幅器100のゲインは、抵抗器の値の比率(R18+R28)/R28に等しい。
【0016】
したがって、
図1は、高出力電圧増幅器を図示している。また、
図2に示されているように、別のカテゴリー(高出力電流増幅器)が存在している。
【0017】
このカテゴリーの高出力電流増幅器101は、高出力電圧増幅器100に関するものと同じトポロジー、すなわち、増幅ステージ203に連結されている前置増幅ステージ201を有している。
【0018】
図1の高電圧増幅器100とは異なり、電流測定抵抗器R6が、ラウドスピーカーR44とグランドとの間に挿入される。さらに、電流増幅器101は、保護ライン403を有さない。トランジスターQ2およびQ4のベースは、抵抗器R6とラウドスピーカーR44との間に位置付けされている相互接続ポイントP1に接続されている。
【0019】
この構成では、
図3におけるポイントS2において印加される電流のイメージは、したがって、ラウドスピーカーR44と交差する。その結果として、トランスコンダクタンス(すなわち、ラウドスピーカーR44を通過する出力電流と増幅器101のポイントS1において印加される入力電圧との間の比率)が、1/R6 A/Vに等しいということになる。インピーダンスZを有するラウドスピーカーに関して、電圧ゲインは、Z/R6である。
【0020】
したがって、電圧または電流増幅アッセンブリは、同様であり、特に前置増幅ステージおよびパワー増幅ステージに関して同様である。それらは、ラウドスピーカー接続およびフィードバックに関してのみ異なっている。
【0021】
以下の先行技術において、他のクラスの増幅器が、電圧増幅器を参照して説明されることとなるが、本発明は、このタイプの増幅器に限定されない。
【0022】
クラスシステムは、異なる高出力増幅器トポロジーと特徴付けるために使用されることが可能である。クラスシステムは、入力信号の形状と出力信号の形状との間の関係に基づいて、および、アクティブコンポーネントが入力信号の増幅の間に使用される持続期間に基づいて、文字を割り当てる。
【0023】
既存の増幅器クラスのうち、クラスA増幅器は、入力信号がない状態でアクティブコンポーネントが最大出力電流のおおよそ50%の高い電流を導通するようなトポロジーを有している。これは、静止電流と呼ばれる。変調において、静止電流は、出力電流の上に重畳される。このタイプの増幅器は、優れた音質を提供することが可能であるが、それは、かなりの熱放散を発生させるという不利益を有している。したがってこのクラスの増幅器の、エネルギー効率(有効出力パワーと吸収されるパワーとの間の比率によって定義される)は、おおよそ10%である。
【0024】
クラスB増幅器は、正弦曲線入力信号が入力として適用されるときに、アクティブコンポーネントが入力信号周期の50%以上を導通するようなトポロジーを特徴とする。このクラスの増幅器に関して、静止電流は、ゼロである。このタイプの増幅器の効率は、クラスA増幅器よりも高いが、出力信号の歪み特性は、クラスA増幅器と比較して著しく劣化する。したがって、クラスB増幅器は、より不十分な品質の音響を作り出す。今では、製造業者がこのクラスの増幅器を使用するのは極めて稀である。
【0025】
クラスAB増幅器は、アクティブコンポーネントが入力信号周期の100%以上を導通するが最大出力電流のおおよそ1%の低い静止電流を伴うトポロジーを特徴とする。このタイプの増幅器は、クラスA増幅器よりも高いエネルギー効率を有しており、典型的に、30%から50%の間にあるが、より低い音質を有している。したがって、クラスAB増幅器は、性能とエネルギー効率との間の良好な妥協点である。
【0026】
クラスD増幅器に関して、アクティブコンポーネントがスイッチのように動作される技術が使用される。次いで、信号は、パルス幅変調によって変換される。このシステムは、エネルギー効率をおおよそ70%まで増加させる。他方では、出力信号は、より多くのノイズおよび歪みを含有しており、このクラスの増幅器によって高周波数を再生することは困難である。
【0027】
クラスG増幅器は、いくつかのパワーバスを有しており、パワー出力要求に応じて、一方から別のものへスイッチすることが可能である。これは、アクティブコンポーネントにおいて消散されるパワーを低減させることによって、エネルギー効率を増加させることを可能にする。
【0028】
クラスH増幅器は、パワーバスを使用し、そのパワーバスの供給電圧は、入力信号に「追従」するかまたは入力信号によって変調される。典型的に、それらは、クラスGのものと同様に、2つのパワーバスを有しているが、最も高い供給電圧のみが変調される。変調されたパワー供給は、一般的に、クラスD増幅器を使用して実現される。
【0029】
本発明の主題は、特にこれらの最後の2つのカテゴリーの増幅器に関する。
【0030】
図3は、パワー増幅ステージ204の上側パーツを図示している。後者は、パワー供給回路150に接続されている。当然のことながら、このパワー増幅ステージも、同等のパワー供給回路を備えた上側パーツをミラーリングする下側パーツ(図示せず)を含む。同様に、回路は、また、前置増幅ステージを含み、前置増幅ステージは、たとえば、独立したパワー供給部または強力なパワーバスに接続されており、それは、また、パワー供給回路150に接続されている。
【0031】
パワー供給回路150は、増幅パワー要求に適合されているパワー増幅ステージ204のパワーレベルを選択することを可能にする。したがって、増幅電圧が閾値よりも大きいときには、第1の強力なパワーバスが使用されなければならず、一方では、増幅電圧がこの閾値よりも低いときには、第2のより弱いパワーバスが使用されることが可能である。より低いパワーバスの使用局面は、クラスA、B、およびAB増幅器と比較して増幅器の全体的な効率を改善する。
【0032】
さらに、パワー供給回路150は、前置増幅ステージ201およびパワー増幅ステージ204とは独立した構造体を有している。
図3の例では、パワー増幅ステージ204は、トランジスターQ10を含み、トランジスターQ10のベースは、トランジスターQ8のエミッターに接続されている。このいわゆる「ダーリントン」構成は、電流ゲインを増加させることを可能にする。トランジスターQ8およびQ10のエミッターは、それらのそれぞれの抵抗器R16およびR19によってラウドスピーカーR44に連結されている。それらは、たとえば、それぞれの静止電流を有しており、静止電流は、トランジスターQ8に関しては6mAに等しく、トランジスターQ10に関しては75mAに等しい。
【0033】
パワー増幅ステージ204は、トランジスターQ8およびQ10のコレクターにおいてパワー供給回路150に接続されている。このパワー供給回路150は、個別のレベルV+、V++を有する2つの電圧バスに接続されている。したがって、パワー供給回路150は、増幅要求に応じて、これらの電圧レベルのうちの一方または他方を選択することを可能にする。典型的に、第1のパワーバスは、65Vを送達し、第2のパワーバスは、35Vを送達する。第2のパワーバスは、発生させられることとなる出力信号がそれほど高い電圧を有していないときに(典型的に、32V未満)、パワー増幅ステージ204に給電するために使用されることを意図されている。
【0034】
トランジスターQ8を通過する比較的に低い電流に起因して(典型的に、トランジスターQ10を通過する電流の10%未満)、トランジスターQ8のコレクターは、第1のパワーバスV++に直接的に接続されることが可能であり、これが著しい追加的なパワー消散を引き起こすことはない。この実施形態は、増幅器の安定性を改善することが可能であり、電流増幅器としての動作は弱体化する傾向がある。
【0035】
適当な電圧レベルを選択するために、MOSFETトランジスターM1は、そのドレインによって第1のパワーバスV++に直接的に接続されており、そのソースによって第4のダイオードD3を介して第2のパワーバスV+に接続されている。MOSFETトランジスターM1は、典型的に、27Vの閾値に関してスイッチし、次いで、それは、この閾値を超えて線形に動作する。それは、それにおいて閾値よりも大きい制御電圧が印加されるときに、第1のパワーバスV++を通過させる。この電圧は、第1のダイオードD8、D10(それは、MOSFETトランジスターM1のゲートとラウドスピーカーR44との間に接続されている)および第2の抵抗器R8、R27(それは、MOSFETトランジスターM1のドレインとゲートとの間に接続されている)の関連付けによって制御される。
【0036】
ダイオードD15は、トランジスターQ10のコレクターとラウドスピーカーR44との間に接続されており、ダイオードのカソードは、トランジスターQ10のコレクターに接続されている。
【0037】
このアッセンブリによって取得される異なる信号が、
図4に図示されている。
【0038】
したがって、
図3および
図4において1で付番されている信号は、MOSFETトランジスターM1のゲート信号を表している。
図3および
図4において3で付番されている出力信号は、増幅器の出力信号、すなわち、ラウドスピーカーR44の端子における信号を表している。
図3および
図4において2で付番されている出力信号は、パワー供給回路150の出力信号を表している。したがって、出力信号3が歪んでいるということに我々は気付く。実際に、正弦曲線の頂上は平坦化されており、シフトが27μsの付近で起こっている。出力信号3のこの飽和は、増幅器が出力電圧を正しく送達することができるのにはMOSFETトランジスターM1の供給電圧が不十分であるという事実によって説明される。
【0039】
同様に、信号2は、40μsから47μsの間において、MOSFETトランジスターM1のゲートにおける過電圧に対応する異常な電圧ピークを有している。これは、パワーの損失および増幅器の効率の劣化につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
したがって、本発明が解決することを提案する技術的課題は、信号の上で識別される歪みを制限することを可能にする高出力オーディオ増幅器を取得することであり、したがって、増幅器の効率を改善し、飽和を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0041】
この課題を解決するために、本発明は、増幅器出力信号の飽和および歪みを制限しながら増幅器のより良好な効率を取得することを可能にする、充電することを支援するためのサブ回路、放電することを支援するためのサブ回路、および電圧シフトサブ回路によって制御されるMOSFETトランジスターを含むパワー供給回路を提案する。
【0042】
換言すれば、本発明は、少なくとも1つのラウドスピーカーを制御することを意図された高出力オーディオ増幅器であって、
- 入力信号を受信する前置増幅ステージと、
- パワー増幅ステージであって、パワー増幅ステージは、前置増幅ステージに接続されており、前記少なくとも1つのラウドスピーカーに給電することを意図された出力信号を提供し、前置増幅ステージおよびパワー増幅ステージは、ミラー装着された(mirror-mounted)上側パーツおよび下側パーツを有している、パワー増幅ステージと、
- 出力信号のイメージを前置増幅ステージに提供するフィードバックと、
- 上側パワー供給回路であって、上側パワー供給回路は、パワー増幅ステージの上側パーツに接続されており、それが第1または第2のパワーバスによって給電されることを可能にする、上側パワー供給回路と、
- 下側パワー供給回路であって、下側パワー供給回路は、パワー増幅ステージの下側パーツに接続されており、それが第1または第2のパワーバスによって給電されることを可能にする、下側パワー供給回路と
を含み、
- それぞれのパワー供給回路は、MOSFETトランジスターおよびモニタリング手段を含み、MOSFETトランジスターは、モニタリング手段によって制御され、2つのパワーバスのうちの一方または他方の間でスイッチングを実施するようになっており、MOSFETトランジスターは、第4のダイオードを介して第2のパワーバスに接続されており、第4のダイオードの第1の端子は、MOSFETトランジスターのソースに接続されており、MOSFETトランジスターのドレインは、第1のパワーバスに接続されている、高出力オーディオ増幅器に関する。
【0043】
本発明は、それぞれのパワー供給回路が、
- 前記MOSFETトランジスターを充電することを支援するためのサブ回路であって、充電することを支援するためのサブ回路は、少なくとも第1の抵抗器を含み、第1の抵抗器の第1の端子は、MOSFETトランジスターのゲートに接続されており、第1の抵抗器の第2の端子は、相互接続ポイントに接続されている、充電することを支援するためのサブ回路と、
- 前記MOSFETトランジスターを放電することを支援するためのサブ回路であって、放電することを支援するためのサブ回路は、少なくとも第2および第3の抵抗器ならびにバイポーラートランジスターを含み、バイポーラートランジスターのベースは、第3の抵抗器の第1の端子に接続されており、そのエミッターは、MOSFETトランジスターのゲートに接続されており、そのコレクターは、第2の抵抗器を介してMOSFETトランジスターのソースに接続されており、第3の抵抗器の第2の端子は、相互接続ポイントに接続されている、放電することを支援するためのサブ回路と、
- 電圧シフトサブ回路であって、電圧シフトサブ回路は、第1のキャパシターと並列に装着されている第1のダイオードを含み、第1のダイオードの第1の端子および第1のキャパシターの第1の端子は、第1の相互接続ノードに接続されており、第1のダイオードの第2の端子および第1のキャパシターの第2の端子は、第2の相互接続ノードに接続されている、電圧シフトサブ回路と
をさらに含むことを特徴とする。
【0044】
特に、充電することを支援するためのサブ回路は、MOSFETトランジスターがより高速に充電することを可能にする。実際に、それは、まず第一に、第1の抵抗器を含み、第1の抵抗器は、好ましくは、あまりに多過ぎるエネルギーを増幅器の出力と交換しないように、および、より多くの歪みを発生させないように、高い値の抵抗を有している(すなわち、おおよそ15kΩ)。この第1の抵抗器は、MOSFETトランジスターのゲートを充電または放電するために低い電流のみが流れることを可能にする。ゲートは、キャパシターのように振る舞うが、しかし、MOSFETトランジスターと第1の抵抗器との組み合わせは、充電時間および放電時間の持続期間を増加させる。
【0045】
放電することを支援するためのサブ回路は、MOSFETトランジスターがより高速に放電することを可能にする。バイポーラートランジスターは、特に、正弦曲線入力信号がその減少局面にあるときに、MOSFETトランジスターのゲートを放電することを可能にする。
【0046】
電圧シフトサブ回路は、MOSFETトランジスターのゲート電位が常に増幅器出力よりも高くなることを確実にする。典型的に、MOSFETトランジスターのゲート電位は、増幅器出力のものよりも15V高くなっていることが可能である。また、電圧シフトサブ回路は、MOSFETトランジスターにおける電圧降下も補償する。
【0047】
第2の実施形態によれば、電圧シフトサブ回路は、並列に装着されている少なくとも第4の抵抗器および第2のダイオードをさらに含む。第2のダイオードの第1の端子および第4の抵抗器の端子は、第1の相互接続ノードに接続されており、第4の抵抗器の第2の端子および第2のダイオードの第2の端子は、第3の相互接続ノードに接続されている。
【0048】
これらのコンポーネントの追加は、増幅器出力信号の上で観察される歪みを低減させることを可能にする。歪みのこの改善は、正弦曲線入力信号に関して、それが比較的に低い周波数(すなわち、おおよそ1kHz)のものである場合には効果的である。
【0049】
有利には、第3の実施形態によれば、充電することを支援するためのサブ回路は、第5の抵抗器をさらに含み、第5の抵抗器は、第3のダイオードと直列に装着されており、第5の抵抗器および第3のダイオードは、第1の抵抗器を含む充電することを支援するためのサブ回路の分岐と並列に装着されている。
【0050】
第3のダイオード(それは、第1の抵抗器と並列に装着されている)は、MOSFETトランジスターのゲートを充電することを意図された電流が流れることを可能にし、MOSFETトランジスターのゲートを放電することを意図された電流を遮断することを可能にする。第5の抵抗器は、好ましくは、低い値(すなわち、おおよそ300Ω)のものである。この第5の抵抗器は、MOSFETトランジスターのゲートをより高速に充電することを可能にする。その理由は、充電時定数が抵抗と静電容量の積に等しいからである。
【0051】
ここでのこれらのコンポーネントの追加は、繰り返しになるが、20kHzの周波数までの正弦曲線入力信号に対する歪みを改善することを可能にする。したがって、歪みは、周波数スペクトル全体にわたって改善される。したがって、本発明の増幅器に接続されているラウドスピーカーの音響再生が改善される。リスナーは、先行技術の増幅器と比較して、より少ない歪みを知覚する。
【0052】
第4の実施形態によれば、電圧シフトサブ回路は、第2のキャパシターおよび第3のキャパシターをさらに含み、第2のキャパシターは、第1のキャパシターおよび第1のダイオードと並列に装着されており、第3のキャパシターは、第3のダイオードおよび第5の抵抗器と並列に装着されている。これらの追加的なコンポーネントは、乱れ(すなわち、予期される出力信号の上に重畳される干渉信号)を制限することを可能にする。
【0053】
実際には、それぞれのパワー供給回路は、第1の保護ダイオードを含み、第1の保護ダイオードの第1の端子は、MOSFETトランジスターのソースに接続されており、第1の保護ダイオードの第2の端子は、MOSFETトランジスターのゲートに接続されている。同様に、それぞれのパワー供給回路は、MOSFETトランジスターのソースとドレインとの間に接続されている第2の保護ダイオードをさらに含む。
【0054】
第1の保護ダイオードは、連続的には+/-20Vおよび過渡的には+/-30Vにしか耐えることができないゲートとチャネルとの間の絶縁を破壊することによって、MOSFETトランジスターをそのゲートの上の過電圧(それは、それを損傷させる可能性があり、または、それを使用不可能にする可能性さえもある)から保護するために追加されている。
【0055】
第2の保護ダイオードの役割は、第1のパワーバスの電圧が第2のパワーバスの電圧の後にのみ出現する場合に起こり得る逆ドレイン-ソース電圧から、MOSFETトランジスターを保護することである。異なるパワーバスは、それら自身の変圧器巻線および平滑キャパシターをそれぞれ有しており、したがって、異なる時定数を有している。
【0056】
第5の実施形態によれば、それぞれのパワー供給回路は、第4のダイオードと並列に装着されているキャパシターをさらに含む。このキャパシターは、MOSFETトランジスターがスイッチするときに、ダイオードによって発生させられる干渉ピークを排除することを可能にし、ダイオードの第1の端子は、MOSFETトランジスターのソースに接続されている。高調波歪み(THD)も改善される。この高調波歪みは、実施される処理の線形性の尺度である。それは、デバイスの出力信号を完全に正弦曲線の入力信号と比較することによって計算される。
【0057】
実際には、前置増幅ステージは、前記第1のパワーバスのパワー変動をダンピングするための回路を介して、それぞれのパワー供給回路の第1のパワーバスに接続されており、前記パワー変動ダンピング回路は、ローパスフィルターとして装着されている少なくとも1つのキャパシターおよび少なくとも1つの抵抗器を含む。換言すれば、抵抗器は、キャパシターと直列に接続されており、キャパシターは、グランドに接続されている。
【0058】
このアッセンブリは、ノイズおよび電圧ディップを隔離することを可能にする。この現象は、特に高電圧増幅器が高い電流を送達するときに起こる。次いで、キャパシターは、エネルギー貯蔵部の役割を果たす。
【0059】
有利には、前記パワー変動ダンピング回路は、少なくとも1つのキャパシターと並列に装着されている追加的なキャパシターをさらに含む。並列に装着されているキャパシターは、より控えめな値(典型的に、103倍低い)を有している。それは、高周波数干渉を抑制することを可能にする。
【0060】
本発明の特定の実施形態によれば、前置増幅ステージに適用されるフィードバックは、ラウドスピーカーを通過する電流に比例する信号を供給する。この実施形態は、高出力電流増幅器を取得することを可能にする。先行技術の
図2を参照して説明されているように、このカテゴリーの高出力電流増幅器は、高出力電圧増幅器に関するものと同じトポロジー(すなわち、増幅ステージに連結されている前置増幅ステージ)を有している。しかし、前置増幅ステージに適用されるフィードバックは異なる。
【0061】
高出力電流増幅器のために本発明のパワー供給回路を使用することによって、高出力電流増幅器は、非常に制限された消費を有する。
【0062】
実際に、増幅器が低い電圧を送達するときに、本発明のパワー供給回路は、アクティブにならないこととなる。したがって、パワー供給部によって供給されるパワーは、標準的なクラスAB増幅器のための単一のパワーバスによって送達される最大電圧の代わりに、より低いパワーのパワーバスによって送達される電圧を、出力電流に掛けた積に等しくなることとなる。等しいパワーにおいて、および、たとえば、より低いパワーパワーバスによって送達される電圧が、より高いパワーパワーバスのものの半分に等しいと仮定すると、パワーの半分が、パワー供給部によって供給されることとなる。トランジスター(それは、パワー供給部によって供給されるパワーとラウドスピーカーに供給されるパワーとの間の差を消散する)は、著しく小さく発熱することとなる。
【0063】
本発明を具現化する様式、および、そこから結果として生じる利点は、添付の図に支持されて、以下の実施形態の説明から明確に明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】先行技術の高出力電圧増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図2】先行技術の高出力電流増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図3】パワー供給ステージを含む先行技術の高出力電圧増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図4】
図3の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図5a】本発明の1つの実施形態による高出力電圧増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図5b】本発明の1つの実施形態による高出力電圧増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図6】第2の実施形態による高出力増幅器のパワー供給回路の電気的なダイアグラムである。
【
図7】入力における周波数20kHzの正弦曲線による、
図6の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図8】入力における周波数1kHzの正弦曲線による、
図6の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図9】第3の実施形態による高出力増幅器のパワー供給回路の電気的なダイアグラムである。
【
図10】入力における周波数20kHzの正弦曲線による、
図9の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図11】入力における周波数1kHzの正弦曲線による、
図9の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図12】第4の実施形態による高出力増幅器のパワー供給回路の電気的なダイアグラムである。
【
図13】入力における周波数20kHzの正弦曲線による、
図12の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図14】第5の実施形態による高出力増幅器のパワー供給回路の電気的なダイアグラムである。
【
図15】入力における周波数20kHzの正弦曲線による、
図14の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図16】
図5の第1の実施形態による高出力増幅器のパワー供給回路の電気的なダイアグラムである。
【
図17】入力における周波数20kHzの正弦曲線による、
図16の回路に関するMOSFETトランジスターのゲート電圧、増幅器の出力電圧、および、パワー供給回路の出力信号の進展を表すグラフである。
【
図18a】本発明の実施形態による高出力電流増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図18b】本発明の実施形態による高出力電流増幅器の電気的なダイアグラムである。
【
図19】本発明の実施形態による高出力電流増幅器の保護構造体の電気的なダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図5a~
図5bに図示されているように、本発明の高出力増幅器102は対称的であり、それは、上側パーツと、下側パーツとを含み、上側パーツは、入力信号S1のプラスの半波を増幅させ、下側パーツは、入力信号S1のマイナスの半波を増幅させる。
【0066】
高出力増幅器102は、前置増幅ステージを含み、前置増幅ステージは、入力信号S1を受信し、また、抵抗器R23、R57(キャパシターC7、C8と並列に装着されている)から構成されるネットワークを介して、トランジスターQ5、Q6のコレクターから来る信号を供給する。これらの信号は、トランジスターQ8、Q9に基づいてパワー増幅ステージ302に供給される。後者は、ラウドスピーカーR44に給電することを意図された出力信号3を供給する。フィードバックは、出力信号3のイメージを前置増幅ステージ201に供給する。
【0067】
また、高出力増幅器102は、上側パワー供給回路155aと、下側パワー供給回路155bとを含み、上側パワー供給回路155aは、パワー増幅ステージ302の上側パーツに接続されており、下側パワー供給回路155bは、パワー増幅ステージ302の下側パーツに接続されている。
【0068】
前置増幅ステージ301は、2つの差動ペア110a、110bを含み、2つの差動ペア110a、110bは、互いにミラーリングして装着されている2つのトランジスターQ1、Q2およびQ3、Q4をそれぞれ含む。したがって、トランジスターQ1、Q2のエミッターは、抵抗器R2、R3および第1の定電流源I1を介して-65Vパワーバスに接続されており、一方では、トランジスターQ3、Q4のエミッターは、抵抗器R4、R5および同じ値の第2の電流源I2を介して+65Vパワーバスに接続されている。
【0069】
電流源I1およびI2は、トランジスターQ23、Q24をそれぞれ含み、トランジスターQ23、Q24のコレクターは、抵抗器R2、R3およびR4、R5にそれぞれ接続されている。トランジスターQ23、Q24のエミッターは、抵抗器R6、R10に接続されている。抵抗器R6の第2の端子は、一方では、-65Vパワーバスに接続されており、他方では、抵抗器R46と直列に装着されているキャパシターC11を介してグランドに接続されている。抵抗器R10の第2の端子は、一方では、+65Vパワーバスに接続されており、他方では、抵抗器R48と直列に装着されているキャパシターC12を介してグランドに接続されている。
【0070】
ダイオードD1、D2は、トランジスターQ23、Q24のベースと抵抗器R6、R10の第2の端子との間に装着されており、一方では、抵抗器R45、R47は、トランジスターQ23、Q24のベースと、キャパシターC11、C12と抵抗器R46、R48との間の相互接続ポイントとの間に装着されている。
【0071】
トランジスターQ2、Q4のコレクターは、それぞれ+65Vおよび-65Vパワーバスに直接的に接続されることが可能である。代替的に、トランジスターQ2、Q4のコレクターは、パワー変動ダンピング回路304、305を介して、+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続されることが可能である。
【0072】
パワー変動ダンピング回路304、305は、抵抗器R52、R55を含み、抵抗器R52、R55は、グランドに接続されているキャパシターC15、C19と直列に装着されている。抵抗器R52、R55の第2の端子は、+/-65Vパワーバスに接続されている。有利には、別のキャパシターC16、C20が、キャパシターC15、C19と並列に装着されることが可能である。実際には、キャパシターC15、C19は、150μFから300μFの間の値を有しており、一方では、キャパシターC16、C20は、150nFから300nFの間の値を有している。
【0073】
トランジスターQ1、Q3のコレクターは、抵抗器R1、R11を介して、および、有利には、パワー変動ダンピング回路304、305を介して、+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続されている。フィードバックがない場合、第1の前置増幅ステージ102のゲインは、抵抗器の比率R1/R2およびR11/R4に依存する。
【0074】
トランジスターQ1およびQ3のベースは、互いに接続されており、抵抗器R7を介してグランドに接続されている。また、トランジスターQ2およびQ4のベースも、互いに接続されている。トランジスターQ1およびQ3のベースは、入力信号S1を供給される。電圧源V1(ポイントS1とグランドとの間に接続されている)は、入力信号S1の発生器を表している。中間フィルター回路が、入力信号S1とトランジスターQ1およびQ3のベースとの間に挿入されることが可能である。この回路は、たとえば、バンドパスフィルターを含み、バンドパスフィルターは、抵抗器R9およびキャパシターC10(それは、グランドに接続されている)、ならびに、並列に装着されている2つのキャパシターC1、C6を含む。
【0075】
トランジスターQ2およびQ4のベースは、抵抗器R18を介してラウドスピーカーR44に接続されており、前置増幅ステージ301に適用されるフィードバックを形成するようになっている。トランジスターQ1およびQ3のコレクターは、前置増幅ステージ301と回路306、303、307および抵抗器R12、R13との連結を確実にする。
【0076】
パワー増幅ステージ302は、2つのトランジスターQ8、Q9を含み、2つのトランジスターQ8、Q9は、それらのそれぞれのベースによって回路306、307を介して前置増幅ステージ301に接続されている。
【0077】
回路306、307は、トランジスターQ5、Q6を含み、トランジスターQ5、Q6のエミッターは、抵抗器R12、R13を介して+/-65V電圧バスに接続されており、トランジスターQ5、Q6のベースは、トランジスターQ1、Q3のコレクターに接続されている。キャパシターC2、C3は、増幅器の安定性を改善するために、トランジスターQ5、Q6のベースとコレクターとの間に接続されている。トランジスターQ5、Q6のコレクターは、一方では、キャパシターC8、C7と並列に装着されている抵抗器R57、R23に接続されており、他方では、バイアス回路303に接続されている。バイアス回路303は、トランジスターQ7を含み、トランジスターQ7のエミッターは、トランジスターQ5のコレクターに接続されており、トランジスターQ7のコレクターは、トランジスターQ6のコレクターに接続されている。抵抗器R14は、トランジスターQ7のコレクターとベースとの間に装着されており、別の抵抗器R15は、トランジスターQ7のエミッターとベースとの間に装着されている。最後に、キャパシターC5(たとえば、1μFの値を有する)は、トランジスターQ7のエミッターとコレクターとの間に接続されている。このキャパシターC5は、増幅器の安定性を改善する。代替的に、抵抗器R13、R12は、パワー変動ダンピング回路304、305を介して+65Vおよび-65Vパワーバスにそれぞれ接続されることが可能である。
【0078】
回路306、307は、第2の電圧増幅を実施する。この増幅のゲインは、Q5、Q6のエミッターの上に存在する抵抗に対する「コレクターによって見られる」抵抗の比率に比例する。トランジスターQ5、Q6のうちの一方が導通するときに、そのデュアル(dual)が遮断される。したがって、導通しているトランジスターは、非常に高い抵抗を認めるので、非常に大きな電圧ゲインを認める。
【0079】
パワー増幅ステージ302は、2つのトランジスターQ10、Q11をさらに含み、2つのトランジスターQ10、Q11のベースは、トランジスターQ8およびQ9のエミッターにそれぞれ接続されている。このいわゆる「ダーリントン」構成は、電流ゲインを増加させることを可能にする。トランジスターQ8およびQ10のエミッターは、それらのそれぞれの抵抗器R16およびR19によってラウドスピーカーR44に連結されており、一方では、トランジスターQ9およびQ11のエミッターは、それらのそれぞれの抵抗器R17およびR20によってラウドスピーカーR44に連結されている。たとえば、それらは、それぞれの静止電流を有しており、静止電流は、トランジスターQ8、Q9に関しては6mAに等しく、トランジスターQ10、Q11に関しては75mAに等しい。
【0080】
パワー増幅ステージ302は、トランジスターQ8~Q11のコレクターの部位において2つのパワー供給回路155a、155bに接続されている。これらのパワー供給回路155a、155bは、個別のレベルV+、V++を有する2つの電圧バスに接続されている。したがって、パワー供給回路155a、155bは、増幅要求に応じて、これらの電圧レベルのうちの一方または他方を選択することを可能にする。典型的に、第1のパワーバスは、+/-65Vを送達し、第2のパワーバスは、+/-35Vを送達する。第2のパワーバスは、発生させられることとなる出力信号がそれほど高い電圧を有していないときに(典型的に、27V未満)、パワー増幅ステージ302に給電するために使用されることを意図されている。
【0081】
トランジスターQ8およびQ9を通過する比較的に低い電流に起因して(典型的に、トランジスターQ10およびQ11を通過する電流の10%未満)、Q8およびQ9のコレクターは、第1のパワーバスV++に直接的に接続されることが可能であり、これが著しい追加的なパワー消散を引き起こすことはない。この実施形態は、その位相マージンおよびそのゲインマージンの観点から増幅器の安定性を改善する。
【0082】
加えて、トランジスターQ2およびQ4のベースは、保護ラインに接続されており、保護ラインは、グランドに接続されているキャパシターC4と直列に装着されている抵抗器R28を含む。このアッセンブリは、電圧分配器である。実際には、キャパシターC4は、回路を流れる電圧が交流であるときに、短絡のように振る舞う。他方では、回路を流れる電圧がDCであるときに、キャパシターC4は、開回路のように振る舞う。このケースでは、高出力増幅器100の出力は、ポイントS2に直接的に接続されている。高出力増幅器100の電圧ゲインは、次いで、1に等しくなり、それは、ラウドスピーカーR44の端子に印加される電圧の上の起こり得る望ましくないDC成分を制限することを可能にする。
【0083】
パワー供給回路151~155、155a、155bに関して、いくつかの実施形態が可能である。
【0084】
すべての以下の実施形態に関して、1で付番されている信号は、MOSFETトランジスターM1、M2のゲート信号を表している。3で付番されている出力信号は、増幅器の出力信号、すなわち、ラウドスピーカーR44の端子における信号を表している。2で付番されている出力信号は、パワー供給回路151~155、155a、155bの出力信号、すなわち、トランジスターQ8およびQ10のコレクターの上に存在する信号を表している。
【0085】
説明の残りの部分において、上側パワー供給回路のみが図示されているが、
図5a~
図5bは、下側パワー供給回路のための対応するコンポーネントの位置決めを理解することを可能にする。
【0086】
図6に図示されているように、第1の実施形態において、パワー供給回路151は、MOSFETトランジスターM1、M2を含み、MOSFETトランジスターM1、M2は、そのドレインによって第1のパワーバスV++に直接的に接続されており、そのソースによって第4のダイオードD3、D11を介して第2のパワーバスV+に接続されており、第4のダイオードD3、D11は、従来のダイオードまたはショットキーダイオードであることが可能である。実際には、第4のダイオードD3のアノードは、第2のパワーバスV+に接続されており、そのカソードは、パワー供給回路151~155、155a、155bの出力信号を表す2で付番されている出力信号に接続されている。第4のダイオードD11のカソードは、第2のパワーバスV+に接続されている。MOSFETトランジスターM1、M2は、閾値(典型的に35V)の下方の電圧に関して遮断され、次いで、この閾値を超えるとスイッチして線形に動作する。MOSFETトランジスターM1、M2は、閾値よりも大きい制御電圧がそれに印加されるときに、第1のパワーバスV++が通過することを可能にする。この電圧は、充電することを支援するためのサブ回路131、放電することを支援するためのサブ回路141、および、電圧シフトサブ回路161の関連付けによって制御される。
【0087】
充電することを支援するためのサブ回路131は、第1の抵抗器R24、R31を含み、第1の抵抗器R24、R31は、MOSFETトランジスターM1、M2のゲートと相互接続ポイントA1、A2との間に接続されている。
【0088】
放電することを支援するためのサブ回路141は、トランジスターQ12、Q13を含み、トランジスターQ12、Q13のエミッターは、一方では、MOSFETトランジスターM1、M2のゲートに接続されており、他方では、充電することを支援するためのサブ回路131に接続されている。トランジスターQ12、Q13のコレクターは、第2の抵抗器R8、R27を介してパワー供給回路151の出力信号2に接続されている。トランジスターQ12、Q13のベースは、第3の抵抗器R21、R39を介して相互接続ポイントA1、A2に接続されている。
【0089】
電圧シフトサブ回路161は、第1のダイオードD8、D10と並列に装着されている第1のキャパシターC18、C23を含む。第1のダイオードD8のカソードは、第1の相互接続ノードN1に接続されており、第1のダイオードD8のアノードは、第2の相互接続ノードN2に接続されている。ダイオードD10は、
図5a~
図5bに示されているように、逆に接続されており、すなわち、そのカソードは、相互接続ノードN3に接続されており、そのアノードは、相互接続ノードN4に接続されている。第1の相互接続ノードは、相互接続ポイントA1に接続されており、第2の相互接続ノードは、ラウドスピーカーR44に接続されている。
【0090】
電圧シフトサブ回路は、MOSFETトランジスターM1のゲート電位が常に増幅器出力のものよりも15V高いということを確実にする。
【0091】
加えて、トランジスターQ8およびQ10から構成されるダーリントン回路は、5Vのドロップアウト電圧(すなわち、トランジスターQ8のコレクターの上の入力電圧とトランジスターQ10のエミッターの出力電圧との間の差に等しい電圧)を必要とする。他方では、MOSFET M1は、10Vのドロップアウト電圧(すなわち、電流が最大になり飽和されているケースでは、そのゲートの上の入力電圧とそのソースの上の出力電圧との間の差に等しい電圧)を必要とする。したがって、電圧シフトサブ回路は、2つのバイポーラートランジスターQ8およびQ10の電圧降下、ならびに、MOSFET M1の電圧降下(すなわち、5+10=15V)を補償しなければならない。
【0092】
パワー供給回路151は、有利には、第1の保護ダイオードD5、D13を含む。ダイオードD5のアノードは、パワー供給回路151の出力信号2に接続されており、そのカソードは、MOSFETトランジスターM1のゲートに接続されている。ダイオードD13のカソードは、パワー供給回路155bの出力に接続されており、そのアノードは、MOSFETトランジスターM2のゲートに接続されている。同様に、パワー供給回路151は、第2の保護ダイオードD4、D12を含む。ダイオードD4のカソードは、MOSFETトランジスターM1のソースに接続されており、そのアノードは、MOSFETトランジスターM1のソースに接続されている。ダイオードD12のカソードは、MOSFETトランジスターM2のソースに接続されており、そのアノードは、MOSFETトランジスターM2のドレインに接続されている。
【0093】
そのようなアッセンブリによって、取得される異なる信号が、
図7および
図8に図示されている。
【0094】
図7に図示されている信号は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数20kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0095】
したがって、三角形の外観を呈する正弦曲線の頂点の部位において出力信号3が歪んでいるということに我々は気付く。したがって、20kHz正弦曲線を正しく再生することは可能でない。他方では、異常な電圧ピークを我々は観察しない。したがって、パワー損失は制限されている。
【0096】
図8に図示されている信号は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数1kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0097】
したがって、出力信号3が20kHzのときよりも歪んでいないということに我々は気付く。肉眼では、出力信号3の正弦曲線は、完全に再生されているようにさえ見える。しかし、高調波歪み(THD)が0.1%よりも大きいということが判明している。
【0098】
図9に図示されているように、第2の実施形態において、パワー供給ステージ152の電圧シフトサブ回路162は、第4の抵抗器R22、R26と並列に装着されている第2のダイオードD6、D29をさらに含む。第2のダイオードD6のカソードは、相互接続ポイントN1に接続されており、第2のダイオードD6のアノードは、第3の相互接続ノードN10に接続されている。ダイオードD29は、
図5a~
図5bに図示されているように、逆に接続されており、すなわち、そのカソードは、相互接続ノードN20に接続されており、そのアノードは、相互接続ノードN4に接続されている。
【0099】
そのようなアッセンブリによって、取得される異なる信号が、
図10および
図11に図示されている。
図10に図示されている信号は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数20kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0100】
したがって、三角形の外観を呈する正弦曲線の頂点の部位において出力信号3が歪んでいるということに我々は気付く。したがって、20kHz正弦曲線を正しく再生することは可能でない。
【0101】
図11に図示されている信号は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数1kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0102】
肉眼では、出力信号3の正弦曲線は、プラスの半波の上で完全に再生されており、マイナスの半波の上でわずかに歪んでいるように見える。高調波歪みTHDは、0.45%に等しい。その理由は、観察された歪みが高調波の発生に対応しているからである。
【0103】
したがって、これらのコンポーネントの追加は、増幅器出力信号の上に観察される歪みを低減させることを助けない。第2のダイオードD6、D29および第4の抵抗器R22、R26の追加は、回路の動的性能を劣化させる。これらのコンポーネントが有益であるためには、すなわち、それらが低周波数および高周波数の劣化を改善するためには、より複雑な回路が必要とされる。性能ゲインを取得するために、トランジスターQ12、Q13の周りに他のエレメントを追加することが可能である。
【0104】
図12に図示されているように、第3の実施形態において、パワー供給ステージ153の充電することを支援するためのサブ回路132は、回路分岐をさらに含み、回路分岐は、第5の抵抗器R29、R30と直列の第3のダイオードD9、D14を含み、第5の抵抗器R29、R30は、第1の抵抗器R24、R31と並列に装着されている。第3のダイオードD9のカソードは、たとえば、MOSFETトランジスターM1のゲートに接続されている。第3のダイオードD14のアノードは、MOSFETトランジスターM2のゲートに接続されている。代替的に、コンポーネントD9、R29およびD14、R30は、逆にされることが可能であり、第3のダイオードD9、D14が抵抗器R29、R30を介してMOSFETトランジスターM1、M2のゲートに接続されるようになっている。
【0105】
そのようなアッセンブリによって、取得される異なる信号が、
図13に図示されている。後者は、高出力増幅器102の入力において提供される周波数20kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0106】
3で付番されている出力信号に対応する出力正弦曲線は良好に復元されているということを我々は観察する。他方では、出力信号2(パワー供給回路153の出力電圧を表す)は、0μsから5μsの間に、および、18μsから20μsの間に、歪みを有している。THDは、0.26%に等しい。ここでのこれらのコンポーネントの追加は、20kHzの周波数までの正弦曲線入力信号に対する歪みを改善することを可能にする。
【0107】
図14に図示されているように、第4の実施形態において、パワー供給ステージ154の電圧シフトサブ回路は、第3のキャパシターC21、C24および第2のキャパシターC17、C22をさらに含み、第3のキャパシターC21、C24は、第4の抵抗器R22、R26および第2のダイオードD6、D29と並列に装着されており、第2のキャパシターC17、C22は、第1のダイオードD8、D10および第1のキャパシターC18、C23と並列に装着されている。
【0108】
そのようなアッセンブリによって取得される異なる信号が、
図15に図示されている。後者は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数20kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0109】
したがって、信号2は、乱れがより少ないが、第4のダイオードD3のスイッチングは、特に45μsから50μsの間で、依然として干渉を発生させるということを我々は観察する。
【0110】
実際に、第2のキャパシターC17、C22(たとえば、電気化学的な技術を使用する)は、かなりの値(典型的に、5μFから15μFの間)を有しており、エネルギー貯蔵部を構成しており、一方では、第1のキャパシターC18、C23(たとえば、電気化学的なプラスチックフィルム技術を使用する)は、より低い値(典型的に、50nFから150nFの間)を有しており、高周波数干渉を平滑化することを可能にする。THDは、0.21%まで低減される。
【0111】
この関連付けは、信号の成長および減衰の過渡的な局面において、回路をより効率的にすることを可能にする。
【0112】
図5a~
図5bおよび
図16に図示されているように、第5の実施形態において、パワー供給ステージ155、155a、155bは、第4のダイオードD3、D11と並列に装着されている第4のキャパシターC14、C25をさらに含む。
【0113】
そのようなアッセンブリによって取得される異なる信号が、
図17に図示されている。後者は、高出力増幅器102の入力において供給される周波数20kHzの正弦曲線によって取得される信号に対応している。
【0114】
第4のダイオードD3、D11によって発生させられる干渉は、45μsから50μsの間で消失したということを我々は観察する。これは、0.21%から0.2%へのTHDのわずかな降下を結果として生じさせる。
【0115】
上記では、ラウドスピーカーR44に電圧を供給することを可能にする高出力オーディオ増幅器102に関して、
図5a~
図5bから
図17を参照して、本発明が説明されてきたが、高出力電流オーディオ増幅器のために、すなわち、ラウドスピーカーに電流を供給するために、本発明のパワー供給回路を使用することも可能である。
【0116】
これを行うために、
図18a~
図18bに図示されているように、電流測定抵抗器R61がラウドスピーカーR44とグランドとの間に挿入される。さらに、電流増幅器103は、保護ライン403を有していない。トランジスターQ2およびQ4のベースは、キャパシターC40を介して、抵抗器R61とラウドスピーカーR44との間に位置付けされている相互接続ポイントに接続されている。したがって、このキャパシターC40は、信号の交流成分のみが通過することを可能にする。
【0117】
したがって、この構成では、ラウドスピーカーR44は、交流電流によって横断され、そのイメージは、ポイントS2に適用される。その結果として、増幅器のトランスコンダクタンスが交流信号に関して1/R61に等しいということになる。
【0118】
代替的に、ラウドスピーカーR44および増幅器自身を保護するために、抵抗器が、ポイントS2と増幅器3の出力との間において、フィードバックに追加されることが可能である。ラウドスピーカーR44の端子にDC成分があるケースでは、DC成分は、抵抗器R18を介してトランジスターQ2およびQ4のベースにおいて適用される。フィードバックは、このDC成分をキャンセルする傾向があることとなる。加えて、抵抗器R18は、ラウドスピーカーR44がない場合に増幅器のゲインを制限することを助け、また、それが振動することを防止する。
【0119】
電流が交流であるときに、キャパシターC40は、抵抗器R18の値と比較して無視できるほどのインピーダンスを有している。通常の動作時に、すなわち、DC成分がないとき、および、ラウドスピーカーR44が実際に増幅器出力に存在しているときに、抵抗器R18は、ほとんど影響を有さない。他方では、増幅器出力においてラウドスピーカーR44がない場合、ポイントS2が、一方では、抵抗器R18を介して増幅器出力に接続されており、他方では、抵抗器R61を介してグランドに接続されているということを我々は考えることが可能である。その理由は、キャパシターC40が交流電流短絡のように振る舞うからである。したがって、電圧増幅は、(R18+R61)/R61に制限されることとなる。その理由は、増幅器の出力電圧にR61/(R18+R61)を掛けたものが、トランジスターQ1/Q2およびQ3/Q4によって形成される差動ペアによって、ポイントS1において印加される入力電圧と比較されるからである。次いで、増幅器は、その最大出力電圧を供給しないこととなり、それは、危険になる可能性がある。同様に、DC成分が存在するときに、および、増幅器の出力においてラウドスピーカーR44が存在するかまたは存在しないときに、キャパシターは、開回路のように振る舞い、したがって、DC成分は、抵抗器R18を介してポイントS2において再注入される。したがって、電圧ゲインは、DC電圧に関して1に制限され、それは、ラウドスピーカーR44を損傷させるリスクがない。
【0120】
別の変形例では、電流増幅器保護回路が追加されることが可能である。これを行うために、
図19に図示されているように、抵抗器R61とラウドスピーカーR44との間に位置付けされている相互接続ポイントP1は、抵抗器R70の第1の端子に接続されている。この実施形態では、抵抗器R70の第2の端子は、トランジスターQ16のコレクターに接続されている。また、トランジスターQ16のコレクターは、第2のトランジスターQ15のベースにも接続されている。電圧分配器は、抵抗器R71およびR72から構成されており、電流閾値(保護回路がそれから開始して作用する)を適合させることを可能にする。抵抗器R71の第1の端子は、32Vの値を有する第2のパワーバスV+に接続されている。抵抗器R71の第2の端子は、トランジスターQ15のベースおよびトランジスターQ16のコレクターに接続されている。抵抗器R72の第1の端子は、抵抗器R70の第2の端子に接続されており、抵抗器R72の第2の端子は、グランドに接続されている。したがって、トランジスターQ15の導通閾値電圧は、V+*R72/(R71+R72)によってシフトされる。これは、感度を増加させることを可能にし、すなわち、保護が作用する電流閾値が低下されることを可能にする。
【0121】
好ましくは、トランジスターQ15は、ダーリントントランジスターである。これは、ディバイダーネットワークR71/R72に起因する十分な感度を維持しながら、測定抵抗器R61の端子においてより低い電流を引き込むことによって、回路に起因する歪みを制限することを可能にする。抵抗器R73およびR74から構成された別のディバイダーブリッジが、ポイント3とグランドとの間に挿入されている。抵抗器R73の第1の端子は、ポイント3に接続されている。抵抗器R73の第2の端子は、トランジスターQ16のベースに、および、抵抗器R74の第1の端子に接続されている。抵抗器R74の第2の端子は、グランドに接続されている。したがって、電圧閾値(電流保護がそれから開始して中和される)が適合される。トランジスターQ16およびQ15のエミッターは、一緒に接続されており、また、グランドに接続されており、トランジスターQ15のコレクターは、ダイオードD21を介してトランジスターQ8のベースに接続されており、ダイオードD21のカソードは、トランジスターQ15のコレクターに接続されている。
【0122】
この回路は、マイナスの半波の間に電流保護を管理するためにミラー複製されなければならず、次いで、NPNトランジスターは、PNPトランジスターによって交換される。
【0123】
この回路は、特に、それが過負荷をかけられるときに、または、その出力が短絡されるときに、電流増幅器のパワー故障のリスクを制限することを可能にする。実際に、これらのケースにおいて、出力電流とパワーバスの電圧の積は、トランジスターによって完全に消散されることとなり、それらは、損傷される可能性がある。
【0124】
図19の回路によって、電流測定抵抗器R61の中の電流がトランジスターQ15をターンオンするのに十分である場合には、トランジスターQ15は、ダイオードD21を介して、トランジスターQ8のベースから来る信号をグランドに向けて退避させることが可能であり、それを遮断するようになっている。他方では、ラウドスピーカーR44の端子における電圧がトランジスターQ16をターンオンするのに十分である場合には、トランジスターQ15のベースから来る信号は、グランドに迂回されることとなり、遮断されることとなるのは、後者のトランジスターである。したがって、保護回路は、増幅器出力において十分な電圧が存在するときに中和される。
【0125】
結論として、本発明は、信号の上に識別される歪みを制限することを可能にする高出力オーディオ増幅器を取得することを可能にし、したがって、増幅器の効率を改善し、飽和を低減させる。
【符号の説明】
【0126】
1 MOSFETトランジスターM1のゲート信号
2 パワー供給回路150の出力信号
3 増幅器の出力信号、ラウドスピーカーR44の端子における信号
100 高出力増幅器
101 電流増幅器
102 高出力増幅器
103 電流増幅器
110a、110b 差動ペア
131 充電することを支援するためのサブ回路
132 充電することを支援するためのサブ回路
140a 上側パーツ
140b 下側パーツ
141 放電することを支援するためのサブ回路
150 パワー供給回路
151 パワー供給回路
152 パワー供給ステージ
153 パワー供給ステージ
154 パワー供給ステージ
155 パワー供給ステージ
155a パワー供給回路
155b パワー供給回路
161 電圧シフトサブ回路
162 電圧シフトサブ回路
163 電圧シフトサブ回路
201 前置増幅ステージ
202 パワー増幅ステージ
203 増幅ステージ
204 パワー増幅ステージ
301 前置増幅ステージ
302 パワー増幅ステージ
303 バイアス回路
304 パワー変動ダンピング回路
305 パワー変動ダンピング回路
306 回路
307 回路
403 保護ライン
A1 相互接続ポイント
A2 相互接続ポイント
C1 キャパシター
C2 キャパシター
C3 キャパシター
C4 キャパシター
C6 キャパシター
C7 キャパシター
C8 キャパシター
C10 キャパシター
C11 キャパシター
C12 キャパシター
C14 第4のキャパシター
C15 キャパシター
C16 キャパシター
C17 第2のキャパシター
C18 第1のキャパシター
C19 キャパシター
C20 キャパシター
C21 第3のキャパシター
C22 第2のキャパシター
C23 第1のキャパシター
C24 第3のキャパシター
C25 第4のキャパシター
D1 ダイオード
D2 ダイオード
D3 第4のダイオード
D4 第2の保護ダイオード
D5 第1の保護ダイオード
D6 第2のダイオード
D8 第1のダイオード
D9 第3のダイオード
D10 第1のダイオード
D11 第4のダイオード
D12 第2の保護ダイオード
D13 第1の保護ダイオード
D14 第3のダイオード
D15 ダイオード
D29 第2のダイオード
I 第1の定電流源、第2の電流源
I1 第1の定電流源
I2 第2の電流源
M1 MOSFETトランジスター
M2 MOSFETトランジスター
N1 第1の相互接続ノード
N2 第2の相互接続ノード
N3 相互接続ノード
N4 相互接続ノード
N10 第3の相互接続ノード
N20 相互接続ノード
P1 相互接続ポイント
Q1 トランジスター
Q2 トランジスター
Q3 トランジスター
Q4 トランジスター
Q5 トランジスター
Q6 トランジスター
Q7 トランジスター
Q8 トランジスター
Q9 トランジスター
Q10 トランジスター
Q11 トランジスター
Q12 トランジスター
Q13 トランジスター
Q15 トランジスター
Q16 トランジスター
Q23 トランジスター
Q24 トランジスター
R1 抵抗器
R2 抵抗器
R3 抵抗器
R4 抵抗器
R5 抵抗器
R6 抵抗器
R7 抵抗器
R8 第2の抵抗器
R9 抵抗器
R10 抵抗器
R11 抵抗器
R12 抵抗器
R13 抵抗器
R14 抵抗器
R15 抵抗器
R16 抵抗器
R17 抵抗器
R18 抵抗器
R19 抵抗器
R20 抵抗器
R21 抵抗器
R22 第4の抵抗器
R23 抵抗器
R24 第1の抵抗器
R26 第4の抵抗器
R27 第2の抵抗器
R28 抵抗器
R29 第5の抵抗器
R30 第5の抵抗器
R31 第1の抵抗器
R39 抵抗器
R44 ラウドスピーカー
R45 抵抗器
R46 抵抗器
R47 抵抗器
R48 抵抗器
R52 抵抗器
R55 抵抗器
R57 抵抗器
R61 抵抗器
S1 ポイント、入力信号
S2 ポイント
T1 電圧源
V1 電圧源
【国際調査報告】