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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】再生コンクリート骨材炭酸化処理
(51)【国際特許分類】
   C04B 18/167 20230101AFI20250123BHJP
   C04B 20/02 20060101ALI20250123BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
C04B18/167 ZAB
C04B20/02 Z
C04B40/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024545208
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-09-25
(86)【国際出願番号】 US2023061466
(87)【国際公開番号】W WO2023147481
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】63/304,184
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524280669
【氏名又は名称】ヌテク・ベンチャーズ
(71)【出願人】
【識別番号】524283202
【氏名又は名称】ホーキンス・コンストラクション・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンヒ
(72)【発明者】
【氏名】フー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ボール、ジム
(72)【発明者】
【氏名】ザデー、アミン・ホッセイニ
(72)【発明者】
【氏名】マミロフ、ミラス
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー、ネイト
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112RA02
(57)【要約】
再生コンクリート骨材(RCA)の処理方法であって、気密密閉を形成するように構成されたチャンバーを構築すること、RCAをチャンバーに積み込むこと、チャンバーを気密密閉すること、チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること、チャンバー内の圧力及び湿度をモニターすること、並びに、圧力及び湿度を所定の条件が満たされるまで制御することを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生コンクリート骨材(RCA)の処理方法であって、
気密密閉を形成するように構成されたチャンバーを構築すること;
前記RCAを前記チャンバーに積み込むこと;
前記チャンバーを気密密閉すること;
前記チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること;
前記チャンバー内の圧力及び湿度をモニターすること;並びに、
前記圧力及び湿度を所定の条件が満たされるまで制御すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記圧力及び湿度を制御することが、前記圧力及び湿度の少なくとも一方を固定値又は初期値に設定し、他方を所定の条件が満たされるまで制御することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加圧することが、前記チャンバー内の圧力を所定のレベルに上昇させるのに十分な体積の二酸化炭素ガスを注入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
追加の二酸化炭素ガスを注入して前記チャンバー内の圧力を前記所定のレベルに維持する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素の純度が99%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二酸化炭素ガスの純度が少なくとも99%である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記所定の条件が、処理時間又は前記チャンバー内の圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンバー内の圧力を20~80ポンド/平方インチのゲージ圧に維持し、
処理時間が1~12時間であり、
RCAを前記チャンバーに積み込むことが、前記RCAの周囲に気流を提供することを含み、
前記チャンバー内の前記湿度を40%~60%に維持し、
前記チャンバー内の温度を20℃~30℃に維持する、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記チャンバー内に:
少なくとも1つの圧力センサー;及び
少なくとも1つの湿度/温度センサー;
少なくとも1つの除湿機;
少なくとも1つの除湿機から水を収集するように構成された少なくとも1つのシステム;
少なくとも1つの送風機
を用意すること;
前記チャンバーと動作可能に接続された少なくとも1つのガス注入弁及び少なくとも1つのガス噴出弁を用意すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
処理された再生コンクリート骨材(RCA)であって、
チャンバー内に積み込まれ、気密密閉されたRCA;並びに
前記チャンバー内で昇圧下の二酸化炭素が富化された雰囲気に曝露することによって、前記RCAを処理すること、ここで、前記雰囲気の温度及び湿度が所定の条件は満たされるまでモニター及び制御されている、
ここで、前記RCAを処理することは、前記RCAにおける構成ミネラルの割合を変化させ、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム水和物及び二酸化炭素の反応の結果として、炭酸カルシウム及びシリカの割合を増加する、
を含む、処理された再生コンクリート骨材(RCA)。
【請求項11】
前記チャンバー内の圧力が20~80ポンド/平方インチのゲージ圧に維持され、
処理時間が1~12時間であり、
RCAを前記チャンバーに積み込むことが、前記RCAの周囲に気流を提供することを含み、
前記チャンバー内の前記湿度が40%~60%に維持され、
前記チャンバー内の前記温度が20℃~30℃に維持される、
請求項10に記載の処理された再生コンクリート骨材(RCA)。
【請求項12】
再生コンクリート骨材(RCA)を炭酸化する方法であって、
気密密閉を形成するように構成されたチャンバーを構築すること;
前記RCAを前記チャンバーに積み込むこと;
前記チャンバーを気密密閉すること;
前記チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること;
前記チャンバー内の圧力、温度及び湿度をモニターすること;並びに、
前記圧力、温度及び湿度を、所定の条件が満たされるまで制御すること
を含む、方法。
【請求項13】
前記RCAを洗浄する及び/又は乾燥させることによって、前記RCAを前記チャンバーに入れる前に前記RCAを予備調整することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記チャンバー内の圧力をモニターすること及び追加の二酸化炭素ガスを前記チャンバーに注入することによって前記チャンバー内の圧力を維持することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
真空を印加することによって又は二酸化炭素ガスによる加圧、続いて減圧の少なくとも1サイクルによって、前記チャンバーをパージすることを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ポルトランドセメントコンクリート(PCC)の機械的及び耐久特性を改良する方法であって、前記PCCに含まれる再生コンクリート骨材(RCA)を、請求項12に記載の方法で処理することを含む、方法。
【請求項17】
アスファルトセメントコンクリート(ACC)の機械的及び耐久特性を改良する方法であって、前記ACCに含まれる再生コンクリート骨材(RCA)を、請求項12に記載の方法で処理することを含む、方法。
【請求項18】
再生コンクリート骨材(RCA)を処理するシステムであって、
気密密閉を形成するように構成されたチャンバーであって、容積が10L~3×10Lで気密密閉を形成するように構成されたドアを含むチャンバー;
前記チャンバー内に設置され、前記チャンバー内の湿度を維持するように構成された少なくとも1つの除湿機;
前記チャンバー内に設置され、前記少なくとも1つの除湿機から水を収集するように構成された少なくとも1つのシステム;
前記チャンバー内に設置され、前記チャンバー内のCOガス及び水分を循環させるように構成された少なくとも1つの送風機;
少なくとも1つの加熱体;
設置され、前記チャンバー内の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサー;
設置され、前記チャンバー内の湿度及び温度を測定するように構成された少なくとも1つの湿度/温度センサー;
注入弁を介して前記チャンバーと動作可能に接続された二酸化炭素ガスの供給;
前記チャンバー上に設置され、ガスを前記チャンバーから排出させるように構成された噴出弁
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる、2022年1月28日に出願された米国仮特許出願第63/304,184号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
基幹設備の建設と改修が続く中、砂、砂利、岩石及びコンクリートの需要は大幅に増加しており、毎年途方もなく多くの天然資源が消費されている。例えば、骨材の年間需要は、米国では18億トン(1.6×1012kg)を超えると推定されている。その上、毎年、膨大な量の建設・解体(C&D)廃棄物、特に廃コンクリートが発生している。コンクリートは、解体廃棄物全体のおよそ70%を占めている。一方で、埋め立て費用は増加し続けている。この観点から、廃コンクリートのリサイクルと再使用は、これらの課題への対処に大幅に役に立つ可能性がある。
【0003】
そのような廃コンクリートを再利用する最も有望な手法の1つは、破砕と篩過により再生コンクリート骨材(RCA)を製造することであるかもしれない。RCAは、駐車場、埋め戻し、家の景観等に使用される天然石の骨材の一般的な代替品である。しかし、RCAの機械的特性は、大量の残留するペーストと耐候化を含む以前の酷使により、天然骨材よりも劣っている可能性がある。さらに、重金属の浸出液による汚染の可能性と高いpHのため、RCAの使用に対する環境上の懸念の可能性がある。例えば、ある研究グループは、実験室と実地での試験により、RCA浸出液の高いアルカリ度と高い重金属濃度を示した。この問題は、州又は地方機関におけるRCAの有効利用を大きく限定した。さらに、RCAは地下水の品質を損なう可能性がある。したがって、RCAの使用に対する環境への懸念に対処しながら、RCAの機械的特性を改良する手段を開発することに対する重大なニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本開示の1以上の側面は、再生コンクリート骨材(RCA)の処理方法であって、気密密閉を形成するように構成されたチャンバーを構築すること;RCAをチャンバーに積み込むこと;チャンバーを気密密閉すること;チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること;チャンバー内の圧力及び湿度をモニターすること;並びに、圧力及び湿度を所定の条件が満たされるまで制御することを含む、方法を提供する。
【0005】
本開示の1以上の側面は、処理された再生コンクリート骨材(RCA)であって、チャンバー内に積み込まれ、気密密閉されたRCA;並びに、チャンバー内で昇圧下の二酸化炭素が富化された雰囲気に曝露することによってRCAが処理すること、ここで、前記雰囲気の温度及び湿度は所定の条件が満たされるまでモニター及び制御されている、ここで、前記RCAを処理することは、RCAにおける構成ミネラルの割合を変化させ、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム水和物及び二酸化炭素の反応の結果として、炭酸カルシウム及びシリカの割合が増加する、を含む、処理された再生コンクリート骨材(RCA)を提供する。
【0006】
本開示の1以上の側面は、再生コンクリート骨材(RCA)を炭酸化する方法を提供する。この方法は、気密密閉を形成するように構成されたチャンバーを構築すること;RCAをチャンバーに積み込むこと;チャンバーを気密密閉すること;チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること;チャンバー内の圧力、温度及び湿度をモニターすること;並びに、圧力、温度及び湿度を、所定の条件が満たされるまで制御することを含む。
【0007】
本開示の1以上の側面は、再生コンクリート骨材(RCA)を処理するシステムを提供する。システムは、気密密閉を形成するように構成されたチャンバーであって、容積が10L~3×10Lで気密密閉を形成するように構成されたドアを含むチャンバー;チャンバー内に設置され、チャンバー内の湿度を維持するように構成された少なくとも1つの除湿機;チャンバー内に設置され、少なくとも1つの除湿機から水を収集するように構成された少なくとも1つのシステム;チャンバー内に設置され、チャンバー内のCOガス及び水分を循環させるように構成された少なくとも1つの送風機;少なくとも1つの加熱体;設置され、チャンバー内の圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサー;設置され、チャンバー内の湿度及び温度を測定するように構成された少なくとも1つの湿度/温度センサー;注入弁を介してチャンバーと動作可能に接続された二酸化炭素ガスの供給;チャンバー上に設置され、ガスをチャンバーから排出させるように構成された噴出弁を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、1以上の態様におけるRCAの炭酸化のためのチャンバーを示す。
図2A-2B】図2A及び2Bは、1以上の態様におけるRCAの炭酸化のための2つの実験室チャンバーを示す。
図3図3は、1以上の態様における浸出試験のための密閉されたバケツを示す。
図4図4は、1以上の態様における試料同定システムを示す。
図5図5は、1以上の態様における全ての実測骨材破砕値の棒グラフを示す。
図6A-6B】図6A及び6Bは、1以上の態様におけるLA摩耗質量損失の棒グラフを示す。
図7図7は、1以上の態様におけるLA摩耗質量損失の棒グラフを示す。
図8A-8B】図8A及び8Bは、1以上の態様における凍結融解質量損失の棒グラフを示す。
図9図9は、1以上の態様における凍結融解質量損失の棒グラフを示す。
図10図10は、1以上の態様におけるコンクリート試料の圧縮強度の棒グラフを示す。
図11図11は、1以上の態様におけるコンクリート試料の破断モジュールの棒グラフを示す。
図12図12は、1以上の態様におけるコンクリート試料の塑性モジュール及びポアソン比の棒グラフを示す。
図13図13は、1以上の態様におけるコンクリート試料の表面抵抗率及びバルク抵抗率の棒グラフを示す。
図14A-14B】図14A及び14Bは、1以上の態様での、さまざまな圧力における時間の関数としてのRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図15図15は、1以上の態様での、さまざまな圧力における時間の関数としてのRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図16A-16B】図16A及び16Bは、1以上の態様での、さまざまな圧力における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図17A-17B】図17A及び17Bは、1以上の態様での、さまざまな圧力における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図18A-18B】図18A及び18Bは、1以上の態様での、さまざまな湿度における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図19A-19B】図19A及び19Bは、1以上の態様での、さまざまな温度における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図20A-20B】図20A及び20Bは、1以上の態様での、さまざまな湿度における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図21A-21B】図21A及び21Bは、1以上の態様での、さまざまな試料予備調整における時間の関数としての二酸化炭素質量消費及びRCA質量当たりの二酸化炭素質量のプロットを示す。
図22図22は、1以上の態様での、再生コンクリート骨材の処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
出願人らは、二酸化炭素(CO)の導入を介して古いコンクリート骨材の機械的及び化学的特性を改良することを調査した。実験は、実験室の設定で、実験のために開発されそれに対する適合性について試験された、中規模の試作品チャンバーを用いて実施した。チャンバーは、およそ1トン(910kg)の緩み体積の資源管理されたRCAを処理するように構築されるが、この明細書で開示するチャンバー、システム、方法及び生成された生成物は、資源管理されたRCAを要求することを意図するものではない。試作品チャンバーを使用するおよそ40の試験及び実験室におけるおよそ30の試験の後に、出願人は、二酸化炭素処理による骨材改良の効果を示した。
【0010】
二酸化炭素(CO)によるRCAの処理ことは、RCAにおける構成ミネラルの割合を変化させ、水酸化カルシウム(Ca(OH))、ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)及び二酸化炭素(CO)の反応の結果として、炭酸カルシウム(CaCO)及びシリカ(SiO)の割合が増加する。
【0011】
この研究の長期的影響は、潜在的に計り知れない。本開示は、190億ドルの石骨材産業を環境的に肯定的な影響を与える可能性がある。RCAを高価値の用途に改良することで、明細書で説明する処理されたRCAは、埋め立て処理から転用される可能性がある(寿命を終えたコンクリートは、その体積で、米国での最大の埋め立て品である)。処理されたRCAは持続可能であり、開示した方法は実質的な炭素隔離を提供する可能性がある。未使用材料の代替物としてのRCAの使用は、採石場の寿命を延長し、自然生息地への負担を軽減する可能性がある。さらに、RCAの浸出液におけるpH及び重金属の低減は、地下水を保護する可能性がある。
【0012】
そのような廃コンクリートを再利用する最も有望な手法の1つは、破砕と篩過により再生コンクリート骨材(RCA)を製造することであるかもしれない。RCAは、駐車場、埋め戻し、家の景観等のための天然石の骨材の一般的な代替品である。しかし、RCAの機械的特性は、大量の残留するペースト及び耐候化を含む以前の酷使により、天然骨材よりも劣っている可能性がある。さらに、重金属の浸出液による汚染の可能性と高い水素イオン指数(pH)のため、RCAの使用に対する環境上の懸念の可能性がある。例えば、ある研究グループは、実験室と実地での試験により、RCA浸出液の高いアルカリ度と高い重金属濃度を示した。この問題は、州又は地方機関におけるRCAの有効利用を大きく限定した。さらに、RCAは地下水の品質を損なう可能性がある。したがって、RCAの使用に対する環境への懸念に対処しながら、RCAの機械的特性を改良する手段を開発することに対する重大なニーズがある。
【0013】
実験室での調査
容量が10L及び30Lの2つの処理チャンバーを使用して、合計27の別個の実験室規模の二酸化炭素処理を行った。特に、二酸化炭素供給圧力、湿度(RH)、処理温度、初期ガス調整(CO真空対COパージ)及び試料予備調整方法を含む主な可変要素の、RCAの処理のための二酸化炭素消費に対する効果を、綿密に調査した。機械的及びpH試験結果は、RCA試料が二酸化炭素によって適正に炭酸化されることを確認した。算出した二酸化炭素質量消費は、消費が、初期二酸化炭素供給圧力、曝露時間及び温度とともに増加することを明らかにする。その上、試験結果は、最大二酸化炭素消費を実現する最適RHが、50±10%、特に50±5%の可能性があるよいことを示唆する。RCAの機械的改良は、多くの二酸化炭素が供給されるため、容量が大きい(30L)処理チャンバーでより顕著であることが観察された。
【0014】
商業規模の試作品の製作
容量が500ガロン(1.9m)の中規模の二酸化炭素処理チャンバー100を、商業規模の試作品として製作した。試作品チャンバー100は、長さ(L)が116インチで、高さ(H)が38.5インチであった。商業用チャンバーは、容積が1000立方フィート(28,000L)以上であってもよい。一例として、商業用チャンバーは、直径(又は高さ)8フィート及び長さ20フィートであってもよい。チャンバー100には、圧力センサー116及び湿度/温度(RH/T)118センサー、ガス注入124及び噴出126弁、RCAバスケットを収容するためのレール、水収集容器114、送風機122並びに除湿システム112が装備されている。除湿システムは、従来の除湿機、デシカント型除湿機又は他の好適なシステムであることができる。チャンバードア102は、RCAの積込及び積出を容易にし、RCA処理中の二酸化炭素漏出も防止するために気密に設計されている。
【0015】
試作品を使用するRCAの二酸化炭素処理
RCAの合計35の別個の二酸化炭素処理を、試作品を使用して種々の条件で行った。試験した条件は、二酸化炭素で処理されたRCAの二酸化炭素消費及び結果として生じる機械的及び環境的改良に対する各可変要素の効果を解明するために、二酸化炭素圧、二酸化炭素供給条件、RCA積込配置(単純な緩い積込対COとの良好な接触を確実にするバスケットへの分離積込)、RCA体積、処理時間、温度並びにRCAの初期含水量を含んだ。
【0016】
試験した条件は、二酸化炭素圧:1、5、10、20、40及び60ポンド/平方インチゲージ(psig、それぞれ6.9、34.5、68.9、138、276及び414kPa);二酸化炭素供給:初期設定圧力対継続的な二酸化炭素供給;積込配置:バスケット内対単純な緩い積込;RCA体積:内部チャンバー容積の10%対20%;処理時間:1時間~24時間;並びにRCAの初期含水量:通常の乾燥対追加の乾燥によるものを含んだ。より高い圧力(例.80psig以上)が望ましい。追加の試験を、チャンバー密閉ができなくなるまでの、80psig(552kPa)で行った。さまざまな可変要素を使用して、広範囲の二酸化炭素質量消費及び機械的-環境的試験結果が得られた。試験結果の分析は、最も有効で最適なパラメーターの範囲を明らかにする。
【0017】
試作品を使用する二酸化炭素で処理されたRCAの機械的及び環境的試験
5つの異なる機械的及び2つの環境的関連試験が、原型及び二酸化炭素で処理されたRCAを使用して行われた。詳細には、比重及び吸収能の22の別個の試験、骨材破砕値(ACV)指数の117の個々の試験、ロサンゼルス(LA)摩耗耐性の23の試験並びに凍結融解(F-T)耐性の23の試験が、二酸化炭素で処理されたRCAに対して、製作された試作品を使用して行われた。さらに、36の個々のフェノールフタレイン試験及び150を超える浸出水試験を行って、二酸化炭素で処理されたRCAの浸出液におけるpH及び重金属の濃度を調査した。
【0018】
機械的特性は、広範囲の改良:最大およそ20%のACV改良、最大およそ16%のLA摩耗質量損失改良及び最大およそ59%のF-T質量損失改良を示す。全ての二酸化炭素で処理されたRCAは、天然骨材を置きかえるための要件を満足させることが観察された(すなわち、コンクリート及び路盤の摩耗による、AASHTO T96及びNDOT仕様1033.02につきそれぞれ40%及び45%未満の質量損失)。路盤は、水を流れ出させるための、おそらく4~6インチ(10~15cm)の岩石の下地を指す。その上、二酸化炭素で処理されたRCAと混合されたコンクリート供試体は、3,500ポンド/平方インチの最小強度(psi、24メガパスカル(MPa)、600psiの最小破断係数(4MPa)及びF-T耐性の観点から、天然骨材を置きかえるための要件を満たす。
【0019】
環境的側面については、種々の二酸化炭素処理条件に24時間置いた後に、原型RCAのものと比較して、浸出水のpHが最大2pH単位減少した一方で、重金属の濃度は50%超低下した。注目に値するのは、収集された浸出水中における重金属濃度レベルのほとんどが飲料水についてのEPAの最大汚染レベル(MCL)をはるかに下回ったことである。
【0020】
全ての小規模及び中規模の二酸化炭素処理データ並びに機械的及び環境的試験結果をまとめ、詳細に分析した。以下、各可変要素の結果を最初に、続いて、組み合わせた可変要素の範囲を記載する。
【0021】
二酸化炭素圧: 1psig~60psig(6.9kPa~410kPa)のゲージ圧の広範囲の二酸化炭素圧を研究した。試験結果は、二酸化炭素消費が、より高い二酸化炭素圧でより速くなることを指し示した。ACV試験結果は、強度増加とCO圧との間の強い相関関係を示さなかった。ACV指数はRCAのバルク特性に、より関係する可能性がある。LA摩耗後の質量損失及びF-T耐性試験は、二酸化炭素圧、ひいては、二酸化炭素消費との非常に良好な相関関係を示した。浸出水のpHも、RCA処理のためにより高い二酸化炭素圧で更に低減された。最後に、重金属の濃度は、二酸化炭素圧との強い相関関係を示さなかった。しかし、重金属濃度は全て、飲料水についてのEPAの最大汚染レベル(MCL)をはるかに下回ったままであった。試験結果の中でも、F-T質量損失は、CO消費との最も強い相関関係を示し、回帰分析から、P値は約0.035であった。F-T質量損失が骨材耐久性の最も重要な指標の1つであることから、これは注目すべき結果である。より高いCO圧は、骨材内部へのより高い浸透度でRCAのより速い炭酸化を誘発できる可能性がある。さらに、試験結果は、提案された処理方法がRCAの表面レベルの機械的特性改良に対して最も有効であることを示唆する。
【0022】
処理時間: 1時間~24時間のさまざまな処理時間で検査した。中規模と実験室規模の試験による二酸化炭素消費の結果から、処理時間は、次の3つのゾーン:0~6時間:RCAの二酸化炭素処理の最も速い速度、6~12時間:中程度の速度、12~24時間:緩徐な処理速度、に分けられることが観察された。したがって、処理の最も有効な時間は、12時間以内、特に最初の6時間の可能性がある。LA摩耗の質量損失及びF-T耐性試験は、処理時間との良好な関係を示した。回帰分析は、全ての機械的試験-ACV、LA摩耗及びF-T耐性-が処理時間に高度に依存することを統計的に示す(それぞれ、P値は、およそ0.003、0.040及び0.0001)。全体として、処理時間は、二酸化炭素処理に大きく影響を及ぼすことができる別の重要な要因の可能性がある。
【0023】
RCA質量: 処理チャンバーの全容積の10%及び20%(すなわち、それぞれ約260kg(570ポンド(lb))及び730kg(1610lb))の2つの異なるRCA質量を、中規模の試作品を使用して評価した。1.2kg及び5kgの量の2つの異なるRCA質量も、実験室規模の処理チャンバーで試験した。理論上は、より高い質量(体積)のRCAは、二酸化炭素が占有できる容積を低減させることができ、RCAとチャンバー内部の二酸化炭素との間の接触を減少させることができる。本明細書での主要知見は、骨材間の二酸化炭素の気流が重要であることである。
【0024】
湿度: 二酸化炭素消費、RCAの質量増大及びACVに対するRHの効果を、実験室規模の処理チャンバー(30L)を使用して綿密に検査した。広範囲のRHレベル(およそ2%~およそ80%)を試験した。データ分析は、最大二酸化炭素消費が50%~55%のRHで実現されてもよいことを示唆する。二酸化炭素処理後のRCAの質量増大は50±5%のRHについてより高い増大も示した。ACV指数は、強い相関関係を示さなかったが、概して、ACV指数は、50%~55%のRHで最高の改良を示した。この点で、最適RHは50±5%の可能性がある。
【0025】
処理温度: 限定された範囲内の処理温度の効果を実験室において主に研究した。試験結果は、より高い温度で二酸化炭素消費における改良を指し示した。二酸化炭素処理後のRCAの質量増大は、より高い処理温度でより高い割合の増大も示したのに対し、ACV指数は処理温度への強い依存性を示さなかった。地球化学的観点からすると、処理温度は、化学反応を加速させる/減速させることによって重要な役割を果たしてもよい。
【0026】
予備調整(質量に対する割合としての初期水分含量): 中規模の処理のための予備調整を、全ての試験について同様(3~5%)に保った。初期水分含量(すなわち、チャンバーに入る前の水分含量)の範囲が、このように狭いにもかかわらず、F-T耐性は、回帰分析からそれとの良好な相関関係(P値=0.0016)を示した。すなわち、F-T耐性試験は、低い初期水分含量で少ない質量損失をもたらした。理論的には、初期含水量は、炭酸化工程において重要な役割を果たす可能性がある。すなわち、化学反応を開始するためには水分が必要となるかもしれないが、水分量が多いと二酸化炭素のRCAへの浸透、ひいては、炭酸化が妨げられる可能性がある。この点で、最適水分レベルでの予備調整RCAは、別の重要な要因となる可能性がある。
【0027】
全ての試験可変要素の観察に基づき、試験可変要素の最適な範囲を表1にまとめることができる。
【0028】
【表1】
【0029】
二酸化炭素処理チャンバーの製作
試作品チャンバー100は、500ガロン(1900L)のプロパンタンクを使用して製作した(図1を参照)。処理中に外開きドア102を閉めたまま保持する6つのネジ式テールゲートラッチを持つドア102を有するように、タンクを改造した。気密な密閉を取得するために、平坦な2×0.25インチ(5.0×0.64cm)の鋼リップをタンクの本体に溶接し、追加のリップ及びラッチ支持体をドアに溶接した。天然ゴムシールを2インチのリップの頂面に載置し、所定の位置に接着し、次いで、ゴムガスケット封止剤で密閉した。処理中の更なる安定性のために及び新たなドアの追加重量を支持するために、タンクの底部を広げた。4×2インチ(10×5cm)の角形鋼管を使用して、より広い底部スタンド104を製作した。処理バスケット106は、エキスパンドメタル、山形鋼及び平鋼棒から製作した。1以上の態様では、処理バスケットは、長さが26インチであってもよい。処理中にロックを保持するために、合計6つの車輪付きバスケット106を製作した。ホイール108をバスケットに追加して、バスケットを転がして処理チャンバー100内の溶接したレール110に載置させた。バスケット106及び一般的なタンクの改造に加えて、除湿機112のためのスタンドをチャンバードア102に設置し、処理中に除湿機112によって収集された水を含有するように金属ボックス(水収集容器114)を製作した。二酸化炭素吸気ポート、センサーポート、圧力安全弁(又は噴出弁)及び電気部品のための開口部を製作して、チャンバー100を完成させた。新たな処理チャンバー設計の改造を完了させた後、チャンバー100を試験して、65psig(450kPa)の最大ゲージ圧を保持した(別段の指示がない限り、本開示における圧力はゲージ圧であることに留意されたい)。後の試験において、ゴムチャンバーは70psig(480kPa)で密閉できなくなった。
【0030】
再生コンクリート骨材:起源及び調製
実験において使用した材料は、飛行場及び高速道路からの混合ブレンドであった。2つのクラッシャー(McCloskey J50ジョークラッシャー及びMcCloskey I44インパクトクラッシャー)を使用して材料を破砕し、次いで、McCloskey S190スクリーナーステーションを使用して、骨材(NMSA)RCA試料の公称最大サイズである1インチ(2.5cm)を有するように選別した。
【0031】
中規模の二酸化炭素処理
中規模の試作品チャンバー100の製作及び異なる部分についてはこれまでに説明した。モニタリング及び制御システムは、除湿機112(処理中にチャンバーの湿度を制御)、圧力変換器センサー116(Omega、0~100psig、すなわち0~690kPa)、温度/湿度センサー118(Vaisala, HMP110)、二酸化炭素高純度シリンダー120(純度99.9%グレード、Matheson)、及び処理中に圧力と温度/RHを記録するデータ獲得システム(Keysight 34972A)を含む。実験は高純度の二酸化炭素を用いたが、低純度の二酸化炭素、例えば工業的に製造された二酸化炭素も使用できる。試作品チャンバー100を図1に示す。
【0032】
中規模の二酸化炭素処理
試験手順
温度と湿度を一定に保ち、季節や時間による急激な温度/湿度の変化の影響を減らすために、処理チャンバーを工場内に載置した。RCA試料を工場内に置き、床に広げ、首振り扇風機を使用して処理開始の24時間前に乾燥させた。この方法は、全ての処理について、二酸化炭素処理を開始する前に、RCA試料の含水量及び温度を一定にするのに役立った可能性がある。シャベルを使用してRCA試料を定期的に掘り返し、乾燥を容易にした。
【0033】
2つの異なる積込配置(バスケット及び単純な緩い積込)を使用して、RCA処理の積込配置の効果を研究した。このように、バスケット積込配置では、6つの車輪付きバスケット106に、シャベルを使用して予備乾燥させたRCA試料を等しく積込み、次いで、図1に示すようにチャンバー100内に2層に分けて1層ずつ載置した。単純な緩い積込配置法では、同様の体積の試料を6つのバスケットに積み込むことによって最初に測定し、次いで、処理チャンバーに投入し、チャンバー100の底面に均一に広げた。この場合、水収集容器114を試料の頂面に載置した。
【0034】
RCA試料を処理チャンバー100内に積み込んだ後に、除湿機112を湿度40%に設定して、二酸化炭素処理中のチャンバーの平均湿度が50~60%であることを確実にした。次いで、チャンバードア102をしっかりと閉じ、二酸化炭素をチャンバー100内に最大1~2psig(6.9kPa~13.8kPa)で加圧し、次いで、処理中にチャンバー100内の空気を一掃して純粋な二酸化炭素とするために、圧力安全弁126から圧力を解放した。次いで、所望の二酸化炭素圧に到達するまでチャンバー100を加圧し、その時点で二酸化炭素吸気弁124を閉じた(すなわち、CO設定圧力)。第2の二酸化炭素供給モードとして、吸気弁124をある特定のレベルで開いたままとして、チャンバー100への二酸化炭素ガスの連続供給を確保し、チャンバー圧を一定のレベルに保った(すなわち、COの継続的な供給)。処理中、処理チャンバーに接続したセンサー116、118、及びデータ獲得システムとコンピューターを使用して、チャンバー100内の二酸化炭素圧、温度及び湿度を記録した。全ての二酸化炭素ガスが消費された後(チャンバー内の二酸化炭素圧がゼロに到達する)、又は、24時間の処理後に二酸化炭素圧がゼロに到達しなかった場合には24時間後のいずれかに、二酸化炭素処理を停止した。
【0035】
実験室での機械的及び環境的試験のためのRCA試料採取
二酸化炭素処理が完了した後に、圧力安全弁126を使用して残る二酸化炭素圧を解放し、チャンバードア102を開いた。各処理ごとに、3つのバケツ(容量5ガロン(19L))を収集し、更なる機械的及び環境的試験のために実験室に移した。試料採取及び代表的な試料を有することの重要性により、試料採取は全ての処理について同様に行った。これに関して、バスケット配置方法では、各バスケットからシャベル2杯分で各試料バケツを満たした。単純な緩い積込法では、チャンバー内のRCAパイルの頂部、中央部及び底部からシャベル2杯分でバケツを満たした。合計で35の別個の処理を、表2に示すさまざまな条件で行った。簡単にするために、各処理条件を以下のように略語で示す:
SPB10:初期設定圧力、バスケット、10%体積;
SPB20:初期設定圧力、バスケット、20%体積;
SPD20:初期設定圧力、単純な緩い積込、20%体積;
CPB20:継続的な圧力、バスケット、20%体積。
【0036】
【表2】
【0037】
実験室規模の二酸化炭素処理
試験設定
実験室の処理設定200は、密閉された処理チャンバー204(容量10L又は30L)、圧力変換器208(Omega、0~200psig(0~1.4MPa))及びチャンバーに接続した温度/湿度センサー212(Vaisala, HMP110)を含む。センサー208、212をデータ獲得システム216(Keysight; 34972A)と接続して、処理中に処理チャンバー204内の圧力、温度及びRHを記録した。圧力調節器224を介して高純度(99.9%、Matheson)二酸化炭素シリンダー220も処理チャンバー204に接続して、処理チャンバー204への二酸化炭素供給の速度を制御した。各処理チャンバー204は、真空/圧力逃し目的で、頂面に2つの弁を有し、図2A及び2Bに示すように、一方は二酸化炭素吸気用228で、もう一方は安全弁232である。二酸化炭素吸気弁228は、ニードル弁とすることができる。チャンバーは、RCA試料240を保持し、RCAと二酸化炭素との間の十分な面接触を確実にするためのラック236を含む(例.10Lのチャンバーでは2つ、30Lのチャンバーでは4つ)。
【0038】
試験手順
実験室での二酸化炭素処理では、特異的なサイズのRCA試料を使用して、サイズ効果を最小化し、二酸化炭素処理及び分析を良好に制御した。これに関して、中規模の処理からの同じRCAを追加で篩過した。0.5インチ(1.3cm)の篩を通過したが3/8インチ(1.0cm)の篩上に留まった試料を、実験室での二酸化炭素処理のために集めた。篩過したRCA試料を初めに予備調整して、制御室(T=73.4~77°F(24±1℃)及びRH=50%±1を持つ)内部における試料の一貫した初期RH及び温度(T)を、処理を開始する前24時間にわたって確実にした。次いで、ある特定の量のシリカゲル244(s.g.;Interra Global)をチャンバーの底面に(又は、30Lのチャンバーの場合にはチャンバー中央の追加の層として)載置して、処理中、チャンバー内のRHを制御した。その後で、ある特定の量の予備調整したRCA試料(10Lのチャンバー内に2.6ポンド(1.2kg)、30Lのチャンバー内に11ポンド(5kg))を等しくラック上に置き、次いで、処理チャンバー204に移動させた。次いで、チャンバーの蓋をしっかりと閉じ、二酸化炭素注入チューブもチャンバーと接続させた。チャンバー内の純粋な二酸化炭素ガスを確保するために、低い二酸化炭素圧(2~3psig(13.8~20.7kPa))を印加し、続いて、注入したCOを圧力安全弁232を介して排出させた(すなわち、COパージ)。また、3回の二酸化炭素注入/真空(最大13psig(90kPa))サイクルを、容量が10Lのチャンバーによる処理に適用した(すなわち、CO真空)。真空ポンプ248を使用して排気した。次いで、二酸化炭素をチャンバーに最大ある特定の圧力レベルまで注入し、弁を閉じた。
【0039】
24時間後、圧力安全弁232を開いてチャンバー内の二酸化炭素ガスを解放し、チャンバーの蓋を開いた。処理されたRCAをチャンバーから収集し、処理後に試料の重量も測定した。処理した試料の表面及び断面におけるフェノールフタレイン試験のために6つの個々のRCA試料を無作為に選択した。残った試料をACV試験及び含水量測定のために調製した。表3は、2つの処理チャンバーについての実験室規模の二酸化炭素処理条件を要約したものである。
【0040】
【表3】
【0041】
物理的及び機械的試験
二酸化炭素処理後のRCA試料の物理的及び機械的特性を評価するために、未処理(原型)及び二酸化炭素で処理されたRCA試料に対して、表4に示すように、適正な規格の物理的及び機械的試験を行った。各実験室での試験に関係する詳細な試験手順は、以下のとおりである。
【0042】
【表4】
【0043】
比重及び吸収能
比重及び吸収能試験は、ASTM C127規格に基づいて行った。RCAの高い変動性という潜在的な不確実性により、より高い精度のために、全ての試料を再度篩過して同一の粒度とした(ASTM C33により57番)。さらに、RCAの高い吸収能により、RCA試料の完全飽和を確実にするために、RCA供試体を、(規格が提案するように)24時間にわたって浸す代わりに、72時間にわたって浸した。手順は、RCA試料(少なくとも6.6ポンド(3kg))を水に浸すこと、続いて試料を水から取り出すこと及びそれを大きい吸水タオルで巻いて表面水を除去することからなる。次いで、空気中の表面乾燥飽水(SSD)試料の質量を取得し、続いて水中の試料の質量を測定して、試料の正確な体積を同定する。その後で、試料を230±9°F(110±5℃)で24時間にわたってオーブンで乾燥させる。次いで、以下の方程式を使用して吸収能及び比重を算出した。
【0044】
【数1】
【0045】
【数2】
【0046】
【数3】
【0047】
式中、Aは空気中のオーブンで乾燥させた試験試料の質量であり、Bは空気中のSSD試料の質量であり、Cは水中のSSD試料の質量である。
【0048】
骨材破砕値(ACV)
ACV試験は、修正したBS 110-812規格に基づいて実施した。単一サイズのRCA試料(1/2~3/8インチ(1.3~1.0cm))を、高さ最大2インチ(5cm)の6インチ(154mm)内径鋼リングの内部に置き、5/8インチ(15.9mm)直径突き棒で25回突き固めて、ぎっしり詰める。3万重量ポンド(kips)(133kN)の荷重に到達するまで、0.35±0.05インチ/分、(0.15±0.02mm/s)の速度で荷重を印加し、続いて即時荷重解放をする。破砕されたRCAを伴う鋼リングを振動台に載置し、圧縮されたRCA試料を振動させてほぐした。破砕されたRCA試料を、8番篩を使用して篩過させた。骨材破砕値(ACV)は、8番篩を通過した粒子の割合として以下の方程式で算出した。
【0049】
【数4】
【0050】
ロサンゼルス(LA)摩耗
LA摩耗試験は、ASTM C131規格に従って行った。具体的に等級付けされた試料は、5lb(2.5kg)の0.5インチ(1.3cm)サイズのRCA及び5lb(2.5kg)の3/8インチ(1.0cm)サイズのRCAを組み合わせることによって調製した。次いで、試料をLA試験機に、各440gの11個の鋼球からなる装填物と一緒に入れる。次いで、機械を1分当たり30~33回転運動(rpm)のスピードで500回転運動にわたって回転させる。500回転運動が完了した後に、材料を放出し、12番篩で篩過させる。12番篩を通過した質量を記録し、以下の方程式を使用してLA摩耗質量損失を算出した。
【0051】
【数5】
【0052】
凍結及び融解(F-T)耐性
骨材の凍結融解(F-T)耐性を、CSA A23.2-24A規格に基づいて評価した。規格は全てのサイズの画分の試験を要求しているが、この研究では0.5インチ(1.3cm)サイズのRCAのみに焦点を当てた。第1の工程は、アスファルトレンガ、木材及び金属のような汚染物質を除去することによる、オーブンで乾燥させた試料(2.75lb(1.25kg))の慎重な調製である。次いで、RCA試料を適切なサイズの(この場合は1L)容器に入れ、続いてそれらに調製した3%塩化ナトリウム(NaCl)溶液を充填して、全ての骨材粒子を浸漬する。次いで、容器を密閉し、室温で24時間にわたって保つ。その後で、5mmメッシュよりも小さいスクリーン上で容器を反転させることによって溶液を除去する。次いで、容器を密閉し、0°F(-18℃)の冷凍庫に16時間にわたって入れ、これは凍結サイクル段階である。解凍サイクルは、冷凍庫から容器を取り出し、それらを室温で8時間にわたって放置することによって開始される。これらのサイクルを5回繰り返す。5サイクルの凍結解凍の後に、容器に水道水を充填し、それを4番メッシュ上で5秒間にわたって反転させることによって容器を排水させることにより、骨材を洗浄する。この工程を5回繰り返して、RCA粒子が徹底的に洗浄されることを確実にする。次いで、試料を24時間にわたって110℃のオーブンで乾燥させる。最後に、オーブンで乾燥させたRCA試料を、適切な篩(この場合は0.5インチ(1.3cm))を使用して篩過させ、質量損失を記録する。
【0053】
環境的試験
実験室でのバッチ浸出試験
実験室でのバッチ浸出試験を未処理(原型)及び二酸化炭素で処理した試料に対して行って、RCA試料240の環境的側面に対する二酸化炭素処理の効果を評価した。この目的のために、10lb.(4.54kg)RCA試料240(実地規模の処理と同様に等級付けして選別された1インチ(2.5cm))を、図3に示すように、密閉されたドア308付きのプラスチックバケツ300(5ガロン(18.9L)容量)中の1ガロン(3.79L)の蒸留水304に沈漬した。次いで、浸出水試料を、1、2、4、7、14及び21日間の時間経過後にバケツ300から収集した。浸出水試料のpH値及び総元素濃度を、それぞれpHメーター(Accumet AB15)及びICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析法)デバイスを使用して測定した。この試験手順は、オハイオDOT2002報告書から修正された。
【0054】
二酸化炭素で処理されたRCAを加えたコンクリート配合
コンクリート混合
容量3立方フィート(ft、0.0849m)のドラムミキサーを使用して、ASTM C192(実験室において試験供試体を作製及び養生する標準的な実務)に記載されている手順に準拠してコンクリートを混合した。最初に、粗骨材を、AEA(空気連行剤)を含有する混合水のおよそ半分と、30秒間にわたって混合した。次いで、砂及び砂利、セメント並びに残りの水を添加し、3分間にわたって混合し、続いて3分間休ませ、追加で2分間混合した。作業性を調整する必要があった場合には、WR(減水剤)を添加し、コンクリートを追加で3分間にわたって混合した。性能評価フェーズにおいて、WR添加量が特定の混合物について既知であった場合、2回目の半分の水とともに添加した。混合する前に、骨材を飽和状態にし、1.3ft(0.0368m)のサイズであった各配合の計量前の骨材の水分状態に従って水の量を調整した。
【0055】
表5及び6は、研究における混合物についての配合設計及び配合割合を示し、ここで、pcyはポンド/立方ヤードであり、cwtはハンドレッドウェイト又は100ポンド(45kg)である。したがって、100ポンド当たりの液量オンスはfl oz/cwtと省略される。混合物の識別は、処理圧力404(処理済みはT、未処理はU)、RCA又はNA(天然骨材)408と川砂(RS)412のフラクション、という3つのパラメーターに基づく。例えば、T5_RCA30-RS70は、5psig(34.5kPa)で処理したRCA、RCAが30でRSが70のフラクションの混合物を表す(図4)。二酸化炭素処理の前及び後のRCAの比重がほぼ同一であるため、全てのRCA混合物についての混合物設計は同じであることに留意されたい。(NAと比較して)より低いRCAの比重により、より低い量の粗骨材をRCA混合物において使用した。
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
結果:中規模の二酸化炭素処理
種々の二酸化炭素処理条件を適用して、二酸化炭素処理手順並びにRCA機械的及び環境的特性に対する各可変要素の効果を評価し、結果の機械的、環境的及び費用分析に基づいて最適な可変要素の範囲を最終的に見いだした。種々の条件における35全ての個々の中規模の二酸化炭素処理の記録されたパラメーターを表7に記載した。
【0059】
【表7】
【0060】
物理的及び機械的試験
比重及び吸収
ASTM C127規格に準拠する全ての処理条件における未処理及び二酸化炭素で処理されたRCA試料の比重及び吸収能を表8に記載する。圧力は、ポンド/平方インチゲージ(psig)の単位で表現される。結果は、RCA試料の比重及び吸収能が、種々の処理条件における二酸化炭素処理後、意味があるほどには変化しなかったことを指し示した。
【0061】
【表8】
【0062】
骨材破砕値(ACV)
異なる処理条件における未処理及び二酸化炭素で処理されたRCA試料のACV指数を、修正されたBS 110-812規格に基づいて測定した。図5は、全ての処理条件についての全ての実測ACV指数を合わせたものである。結果は、全ての処理条件でCOで処理されたRCA試料においてACV指数が減少することを示唆する。全ての結果の中でも、SPB10及びSPB20についてのACV値は、バスケット内のRCA試料と二酸化炭素との間のより高い接触面に主に関係する比較的低い値及びより長い処理時間も示す。
【0063】
LA摩耗
LA摩耗試験後の未処理及び二酸化炭素で処理されたRCA試料の質量損失を、ASTM C131規格を使用して測定した。図6A、6B及び7は、それぞれSPB10及び20並びにCPB20条件について処理されたRCA試料のそのような質量損失を示す。石灰石骨材のLA摩耗質量損失は約26.8%であることに留意されたい。結果は、質量損失に対するRCAの炭酸化処理の効果が減少することを明らかに指し示す。
【0064】
凍結及び融解(F-T)耐性
凍結融解(F-T)耐性試験の後の未処理及び二酸化炭素で処理されたRCA試料の質量損失を、CSA A23.2-24A規格に基づいて測定した。図8A、8B及び9は、種々のCO圧についてSPB10及び20並びにCPB20処理条件でそれぞれ処理されたRCA試料のそのような質量損失を示す。破線は、石灰石骨材のF-T質量損失(2.63%)を描写する。質量損失減少の明らかな傾向が、より高い処理圧力が印加された際の結果において示されている。
【0065】
化学的及び環境的試験
環境的試験として、フェノールフタレインpH指標試験及びバッチ浸出試験を未処理及び二酸化炭素で処理されたRCA試料に対して行った。これらの試験は、種々の条件におけるRCA供試体に対するCO処理の環境的改良効果を評価することを狙いとしていた。以下の項では、フェノールフタレイン試験、浸出液pH及び浸出液イオン濃度結果をそれぞれ提示する。
【0066】
二酸化炭素で処理されたRCA(フェノールフタレイン試験)のpH
フェノールフタレイン試験は、RCA試料の表面及び断面の酸性度又は塩基性条件を大まかに評価する手早く簡単な方法である。この手法では、6つのRCA試料を無作為に選択し、次いで、フェノールフタレイン溶液を3つの試料の表面に滴下させ、ハンマーを使用して他の3つの試料を壊し、切断したばかりの表面にフェノールフタレインを滴下させて、二酸化炭素処理の浸透深さを評定した。
【0067】
浸出水:pH
6つのRCA浸出水試料を、各処理条件について、1、2、4、7、14及び21日間の時間経過後に収集した。水試料は全てアルカリ性(塩基性)であり、時間の経過とともにpHが増加する傾向を示したが、原型(未処理)試料は所与の時間及び処理圧力について最も高いpHを有していた。第二種飲料水規則(NSDWR)に基づき、飲料水のための標準的なpH値は、6.5~8.5である。
【0068】
浸出水:重金属
1日目~21日目のRCA浸出水試料の総元素濃度を、ICP-MS分析技術を使用して測定した。1日目~21日目の種々の条件における未処理及び二酸化炭素で処理した試料からの浸出水中の重金属の濃度は、いずれも飲料水のためのEPA最大汚染レベル(MCL)をはるかに下回っていた。
【0069】
CO で処理されたRCAを加えたコンクリートの性能
生コンクリート試験
(1)スランプ試験
コンクリートスランプをASTM C143(油圧セメントコンクリートのスランプのための標準試験方法)に従って測定して、コンクリートの粘度を測定した。試験は、コンクリート混合が完了した直後に実施した。
【0070】
(2)空気含量試験
混合物の空気含量を、ASTM C138(コンクリートの密度(単位重量)、降伏量及び空気含量(重量測定)のための標準試験方法)に従って測定及び決定した。
【0071】
表9は、異なるコンクリート混合物の生コンクリート特性を要約したものである。結果は、天然骨材又は処理された/未処理RCAの使用にかかわらず、全ての混合物が同等の特性を呈することを明らかにした。混合物は、ネブラスカ州運輸局の仕様を満たす合理的な作業性及び空気含量も呈する。単位重量は、表9においてポンド/立方フィート(pcf)として表現される。
【0072】
【表9】
【0073】
硬化コンクリート試験
1)圧縮強度
各混合物につき3本の4インチ×8インチ(10cm×20cm)の円柱を、28日熟成時点でASTM C39(円柱形コンクリート供試体の圧力強度のための標準試験方法)に基づき圧縮強度について試験した。全ての供試体を、各試験前に機械的に端を研削した。能力が400kips(1,779kN)の圧縮機を使用した。
【0074】
図10は、異なる混合物の圧縮強度を実証する。結果は、全ての混合物が28日時点で3500psi(24MPa)という舗装コンクリート適用のための最小圧縮強度を有することを示した。RCAの使用は、圧縮強度のわずかな低減をもたらす。しかし、CO処理圧力の増加に伴う圧縮強度の増加の明らかな傾向が観察され、本研究において使用した20psig、40psig及び60psig(それぞれ138kPa、276kPa及び414kPa)の処理圧力は、天然骨材を加えた基準混合物と同等の圧縮強度をもたらした。
【0075】
2)曲げ強度(破断係数)
混合物当たり1つの6インチ×6インチ×20インチ(15cm×15cm×51cm)の梁を、28日時点でASTM C78(コンクリートの曲げ強度のための標準試験方法(三点荷重のある単純な梁を使用))に従い破断係数について試験した。能力が30kips(133kN)の曲げ試験機を使用した。
【0076】
図11は、異なる混合物の曲げ強度(破断係数)を実証する。結果は、未処理RCAを加えた混合物を除く全ての混合物が、28日時点で600psi(4MPa)という舗装コンクリート適用のための最小破断係数を有することを示した。圧縮強度試験からの結果と同様に、RCAの使用は圧縮強度のわずかな低減をもたらす。しかし、CO処理圧力の増加に伴う曲げ強度の増加の明らかな傾向が観察され、本研究において使用した40psig(276kPa)及び60psig(414kPa)の処理圧力は、天然骨材を加えた基準混合物と同等の曲げ強度をもたらした。
【0077】
3)静弾性係数及びポアソン比試験
弾性係数試験は、28日時点でASTM C469(圧縮中のコンクリートの静弾性係数及びポアソン比のための標準試験方法)に従って実施した。軸方向及び半径方向の変形をモニターする2つのダイヤルゲージ付きフレームを使用した。各試験を記録し、後にグラフを構築するために使用し、それに従った特性を算出した。
【0078】
図12は、異なる混合物の弾性係数及びポアソン比を実証する。結果は、RCAの使用が弾性係数及びポアソン比のわずかな低減をもたらすことを示した。注目に値するのは、特性がコンクリートの設計に対して大きな影響がないことである。圧縮強度及び曲げ強度とは異なり、CO処理の影響の明らかな傾向は観察されなかった。
【0079】
4)表面及びバルク抵抗率
1本の4インチ×8インチ(10cm×20cm)の円柱供試体を、28日時点でAASHTO TP95(塩化物イオンの浸透に抵抗するコンクリートの能力の表面抵抗率の表示のための標準試験方法)に基づき、Proceq Resipod試験デバイスを使用して表面及びバルク抵抗率について試験される各混合物から無作為に選択した。ResipodはWennerプローブの原則に基づいて作業し、コンクリートの電気抵抗率を測定する。供試体は試験の前に完全飽和状態であった。外側プローブを通して電流を印加し、一方で、内側プローブが電圧を測定する。
【0080】
図13は、全ての混合物の表面及びバルク抵抗率を実証する。RCAの使用は表面及びバルク抵抗率のわずかな低減をもたらし、未処理RCA混合物は最も低い抵抗率を呈する。しかし、CO処理圧力の増加に伴う表面及びバルク抵抗率の増加の明らかな傾向が観察され、本研究において使用した20psig、40psig及び60psig(それぞれ138kPa、276kPa及び414kPa)の処理圧力は、天然骨材を加えた基準混合物と同等の表面及びバルク抵抗率をもたらした。
【0081】
分析及び考察
二酸化炭素処理中の実験データ並びに二酸化炭素で処理した試料に対するその後の機械的及び環境的に関連する実験室での試験に基づく詳細な分析を、この明細書で提示する。以下の項では、処理及び実験室での結果を、二酸化炭素質量消費計算、実行中の統計分析、費用分析及び二酸化炭素フットプリントに基づいて分析した。
【0082】
二酸化炭素質量消費
二酸化炭素圧低下データは、個別には、二酸化炭素ガス消費の包括的な指標とならない可能性がある。温度及びRCA体積は、ガス消費について考える場合に考慮に入れられなくてはならない主要な要因の可能性がある。したがって、二酸化炭素質量消費を算出して、異なる処理条件における処理中の二酸化炭素ガス消費の量及び速度を評価し、次いで、各処理条件における初期RCA質量によって正規化した。二酸化炭素質量消費は、二酸化炭素処理の強度及び規模を定量化する主な指標の1つとなる可能性がある。これに関して、試験の始めにおける二酸化炭素の密度は、処置内部での初期二酸化炭素圧及び温度に基づきペンとロビンソンの状態方程式を使用して算出した(方程式6~12)。次いで、チャンバー内の二酸化炭素の初期質量を、二酸化炭素密度をその体積に乗じることによって算出し、そのためにチャンバー内の容積及びRCA体積を使用して初期CO体積を取得した。同様に、処理を開始した後のいかなる時間の二酸化炭素の質量も、同じ手順を使用して算出した。初期(t_0)と試験を開始した後の時間(t_1~t_n)との間の二酸化炭素質量差は、RCA処理中の二酸化炭素質量消費を表す可能性がある。チャンバー内のRCA試料の初期体積は、全ての中規模及び実験室規模の処理試験において同じでなくてもよい。したがって、二酸化炭素ガス消費量は、チャンバー内のRCAの初期質量によって正規化される。このように、全ての処理条件における二酸化炭素ガス消費の量及び速度を簡単に比較できる。この項では、種々の中規模及び実験室規模の処理条件に関係する二酸化炭素消費グラフを提示する。
【0083】
【数6】
【0084】
【数7】
【0085】
【数8】
【0086】
【数9】
【0087】
【数10】
【0088】
【数11】
【0089】
【数12】
【0090】
式中、Pはチャンバー圧[Pa]であり、Rは一般ガス定数=8.3145[J.mol-1.k-1]であり、Tはチャンバー温度[K]であり、Tは温度(=T/Tcrit)であり、αは引力パラメーターであり、Zは圧縮率因子[-]である。純粋な二酸化炭素ガスでは、pcrit=73.8[bar]、Tcrit=304.2[K]、m=0.6877、n=0.3813、ρはCO密度[kg/m]であり、MはCOモル質量=0.04401[kg/mol]である。
【0091】
中規模の二酸化炭素処理
試作品を使用して種々の処理条件を適用して、RCA試料の物理的/機械的特性及び二酸化炭素消費に対する各パラメーターの効果を評価した。図14A、14B及び15は、それぞれSPB10、SPB20及びSPD20処理条件における正規化された二酸化炭素ガス消費を示す。継続的な二酸化炭素圧供給を伴う処理条件(CPB20)についての二酸化炭素質量消費の正確な量は、チャンバーへの二酸化炭素の継続的な供給により厳密に算出できない。しかし、SPB条件についての算出された結果に基づき、CPB20条件についての二酸化炭素消費を大まかに推定した。
【0092】
異なる処理条件についての二酸化炭素質量消費結果は、SPB10、SPB20及びSPD20の順に、より大きいガス消費量を示す。チャンバー内の二酸化炭素の初期体積及びRCA試料と二酸化炭素との間の接触面積は、処理中のガス消費量において重要な役割を果たすと解釈してもよい。より低い体積のRCA及びより高い量の二酸化炭素ガスを伴う条件SPB10において、二酸化炭素は、RCAにより簡単に吸収されることができるため、より速い炭酸化が起こることができる(図14A及び14B)。他方では、二酸化炭素/RCA体積の他に、チャンバー内のRCA試料の配置が、二酸化炭素処理及び二酸化炭素質量消費中に重要な役割を果たしてもよい。ガス消費量は、単純な緩い積込配置を伴う条件でより低く(図15)、おそらく、チャンバー内のRCA試料と二酸化炭素との間の限定された接触面積による。
【0093】
条件SPB20及びCPB20についての二酸化炭素/RCA体積比は同様であることから、CPB20における二酸化炭素消費の量を、表10に示すように、SPB20データに基づいて大まかに算出した。
【0094】
【表10】
【0095】
実験室規模の二酸化炭素処理
2つのサイズのチャンバーを使用する種々の処理条件についての二酸化炭素質量消費も、ペンとロビンソンの状態方程式(EOS)を使用して評価した。
【0096】
容量が10Lのチャンバー
より小さい実験室規模のチャンバーについての二酸化炭素質量消費を、同様の計算を使用して算出した。初期化方法は、より小さいチャンバーを使用して検査された可変要素のみであった。図16A、16B、17A及び17Bは、初期CO真空及びCOパージを伴う異なる初期設定圧力について、RCAの二酸化炭素処理中の二酸化炭素質量消費をそれぞれ示す。図16A及び16Bは、CO真空初期化方法を使用する全ての処理圧力について、二酸化炭素質量消費及びRCA質量により正規化されたものを示す。図17A及び17Bは、COパージ初期化方法を使用する全ての処理圧力について、二酸化炭素質量消費及びRCA質量により正規化されたものを示す。
【0097】
二酸化炭素消費結果は、CO真空及びCOパージのいずれの初期化方法でも、比較的似ている。したがって、COパージ方法を、容量が30Lのチャンバーの初期化方法チとして選択された。
【0098】
容量が30Lのチャンバー
種々の処理条件を、実験室規模で容量30Lのチャンバーを使用して評価した(表3を参照)。各処理可変要素についての二酸化炭素質量消費グラフを本明細書で提示して、二酸化炭素質量消費に対する各処理条件の有効性を簡単に評定する。
【0099】
図18A及び18Bは、処理中の異なる平均RHを伴う全ての処理条件についての二酸化炭素質量消費及びRCA質量により正規化されたものを示す。実線は、RHを1.88%から最大55.1%に増加させることによる二酸化炭素質量消費の増加を示し、次いで、白抜きの長い破線は、RHを55.1%よりも高く76.7%の最大値まで増加させることによる二酸化炭素質量消費の低下を示す。チャンバーは、通常の実験室温度で平均RHを76.7%よりも高く増大させず、これが実現された最大RHである。
【0100】
結果は、50±5℃の湿度で最大の二酸化炭素消費となる可能性があることを示してもよい。これらの結果は、二酸化炭素を使用するRCAの炭酸化処理についての最適なRHの範囲を確認するものである。
【0101】
図19A及び19Bは、異なる処理温度における同様の処理条件(すなわち、シリカゲルなし及び初期設定圧力が40psig(276kPa))についての二酸化炭素質量消費及びRCA質量により正規化されたものを示す。実線は、一般的な実験室温度(21℃~25℃)における二酸化炭素質量消費を示し、白抜きの破線及び白抜きの長い破線は、約3℃のより冷たい温度における二酸化炭素質量消費を表す。
【0102】
温度は、化学反応、ひいては炭酸化に影響を与えるもう1つの主要な要因の可能性がある。一般的な地球化学で気温が高くなるにつれて、化学反応は速くなる。結果は、炭酸化と二酸化炭素の消費が低温(例.3℃)では制限される可能性があることを示してもよい。
【0103】
図19A及び19Bにおいて提示されている全ての処理のための同様の試験条件(すなわち、シリカゲルなし)にもかかわらず、異なる温度における異なる露点により、平均RHは制御室の内部での処理(3±0.5℃で)中に異なっている。図20A及び20Bにおいて、連続する実線は、実験室温度での及び中央の層において150gのS.G.を使用する処理についての二酸化炭素質量消費を示し、点線及び破線は、3±0.5℃の一定の温度及びシリカゲルなし(No S.G.)での制御室における処理についての二酸化炭素質量消費を表す。したがって、同様の平均RHを伴う処理の二酸化炭素消費の結果を、図20A及び20Bに提示する。この比較は、二酸化炭素消費の速度が依然として妥当であり;ひいては、RCAの炭酸化が低温度では遅くなることを裏付けている。
【0104】
異なる試料予備調整を伴う処理の二酸化炭素消費を、図21A及び21Bに提示する(W:RCAの洗浄及びN:無洗浄。C:RCAをRH=50±2%及び=22±1℃の制御室に処理前24時間にわたって入れる、L:RCAをRH=58±2%及びT=22±1℃の実験室に入れる、O:RCAを処理前24時間にわたって105℃のオーブンで乾燥させる)。最も低い二酸化炭素消費は、オーブンで乾燥させたRCA試料で取得された。炭酸化反応は、COが溶解できる水分の存在を必要とすることが公知であるため、RCAの炭酸化、ひいては二酸化炭素消費は、RCAがオーブンで乾燥させたものである場合には限定される。制御室における洗浄及び乾燥(W.C)並びに研究室における(W.L)洗浄及び乾燥を伴う条件を比較すると、W.L条件では二酸化炭素消費が低く、これは、初期含水量及び平均RHが高いによるものの可能性がある。制御室における洗浄及び乾燥(W.C)並びに実験室における洗浄及び乾燥なし(N.L)は、同様の二酸化炭素消費を示し、おそらく、処理中の同様の平均RH及び清浄化された試料による。したがって、洗浄は二酸化炭素浸透及び消費速度に影響を及ぼさないと思われる。
【0105】
図22を参照すると、本開示の1以上の態様は、再生コンクリート骨材(RCA)の処理方法を提供できる。この方法は、気密密閉を形成するように構成されたチャンバーにRCAを積み込むこと;チャンバーを気密密閉すること;非二酸化炭素ガスのチャンバー内をパージすること;チャンバー内を二酸化炭素ガスで加圧すること;並びに、チャンバー内の温度及び湿度を、所定の条件が満たされるまでモニター及び維持することを含んでいてもよい。
【0106】
1以上の態様では、この方法は、RCAを積み込む前に少なくとも1回RCAを水に浸漬することによってRCAを洗浄すること;RCAを積み込む前にRCAを乾燥させること及びRCAを積み込む前にRCAの温度を安定化させることからなる群の少なくとも1つを更に含んでいてもよい。RCAの乾燥は、RCAに空気を吹きかけることを含んでいてもよい。
【0107】
1以上の態様では、パージすることは、チャンバーを二酸化炭素により(2~3psig(13.8~20.7kPa)の低圧で1回以上加圧すること、続いて、逃し弁をベッセルの外部に開くことにより圧力を解放すること又はチャンバーを排気させることを含んでいてもよい。加圧することは、チャンバー内の圧力を所定のレベルに上昇させるのに十分な初期体積の二酸化炭素ガスを注入することを含んでいてもよい。さらに、追加の二酸化炭素ガスをチャンバーに注入して、チャンバー内の圧力を所定のレベルに維持してもよい。1以上の態様では、二酸化炭素ガスの純度は、少なくとも99%であってもよい。
【0108】
1以上の態様では、所定の条件は、処理時間又はチャンバー内の圧力であってもよい。
【0109】
1以上の態様では、チャンバー内の圧力を20~60psig(138~414kPa)のゲージ圧に維持してもよく、処理時間は4~12時間であってもよく、RCAを積み込むことはチャンバーの容積の10%~20%にRCAを充填することを含んでいてもよく、チャンバー内の湿度は40%~60%に維持されてもよく、チャンバー内の温度は20℃~30℃に維持されてもよい。
【0110】
1以上の態様では、処理された再生コンクリート骨材(RCA)は、上記の方法の全て又は一部に従って処理された可能性がある。
【0111】
上記の方法の1以上は、この明細書で開示するチャンバーを使用して実施してもよい。
【0112】
本発明の1以上の態様は、再生コンクリート骨材(RCA)の炭酸化を最適化する方法を提供してもよい。この方法は、連続的な実験間の入力パラメーターを変化させながら、RCAの炭酸化に対して複数の実験を行うことを含んでいてもよい。入力パラメーターを変化させることは、試料予備調整を変動させて、RCAを炭酸化チャンバーに入れる前に、RCAを洗浄する及び乾燥させることを含む又は除くのいずれかとすること;炭酸化チャンバーの容積を10L~2×10Lで変動させること;RCAによって占有される炭酸化チャンバーの容積の割合を1%~50%で変動させること;炭酸化チャンバーの温度を0℃~80℃で変動させること;炭酸化チャンバーの湿度を10%~75%で変動させること;炭酸化チャンバー内の二酸化炭素ガスのゲージ圧を1psig~100psig(6.9kPa~690kPa)で変動させること;初期二酸化炭素加圧又は継続的な二酸化炭素加圧を変動させること;真空を印加することによって又は二酸化炭素ガスによる加圧、続いて減圧の少なくとも1サイクルによって、炭酸化チャンバーをパージすることを変動させること;単純な緩い積込を含む炭酸化チャンバー内及び複数のバスケット内のRCAの分布を変動させること;炭酸化の持続時間を1時間~72時間で変動させること;処理中のRCAに対する各実験中の時間の関数としての複数のパラメーターであって、炭酸化チャンバーの温度、炭酸化チャンバーの湿度、炭酸化チャンバー内の二酸化炭素ガスのゲージ圧;二酸化炭素質量とRCA質量との比及び二酸化炭素質量消費からなる群から選択される少なくとも1つを含むパラメーターをモニタリングすることを含んでいてもよい。
【0113】
この方法は、炭酸化処理後に、複数の実験及び測定を(RCAに対して)実施することを更に含んでいてもよい。これらの実験及び測定は、比重;吸収能;骨材破砕値;ロサンゼルス摩耗;凍結融解耐性;フェノールフタレイン試験及び実験室でのバッチ浸出試験を含んでいてもよい。実験室でのバッチ浸出試験は、Pb-208、Se-78;Cd-112;Cr-52及びAs-75からなる群の少なくとも1つを含む、pH及び重金属の濃度の測定を含んでいてもよい。
【0114】
この方法は、複数の炭酸化されたRCAブレンドを含む複数のコンクリートの特性を測定することを更に含んでいてもよい。特性は、圧縮強度、破断係数、弾性係数、表面抵抗率及びバルク抵抗率を含んでいてもよい。
【0115】
この方法は、各炭酸化処理の前、処理中及び/又は処理後にデータを獲得すること;一変量回帰、多変量回帰、主成分分析及び特異値分解からなる群の少なくとも1つを使用して、獲得したデータを分析し、炭酸化後のRCAの少なくとも1つの特性についてRCAを炭酸化する複数の入力パラメーターの最適な範囲及び/又は最適な値を決定することを更に含んでいてもよい。
【0116】
本明細書において引用される、公報、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれることが個々に、かつ具体的に指示されており、その全体が本明細書に明記されているかのような程度まで、参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
この明細書では(とりわけ請求項では)、用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つ」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両者を網羅すると解釈されるべきである。用語「少なくとも1つ」、続いて1以上の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、示した項目から選択される1つの項目(A又はB)又は示した項目の2以上のいずれかの組合せ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「を含む」、「を有する」及び「を含有する」は、別段の注記がない限り、オープンエンド型の用語(すなわち、「を含むがこれらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列記は、本明細書において別段の指示がない限り、範囲内に収まる各別個の値を個々に参照する簡便な方法として役立つことが意図されているにすぎず、各別個の値は、それが個々に本明細書で列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。明細書で説明する全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、いずれかの好適な順序で実施できる。本明細書で提供されるありとあらゆる例又は例示的な言語(例.「のような」)の使用は、本発明をよりよく解明することが意図されているにすぎず、別様に特許請求されているのでない限り、本発明の範囲に限定を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、いずれかの特許請求されていない要素を本発明の実践に必須であると指し示すものとして解釈されるべきではない。
【0118】
本発明を行うための本発明者らに公知である最良のモードを含む本発明の好ましい態様を明細書で説明する。それらの好ましい態様の変形は、前述の記載を読むことで当業者に明白となってもよい。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜用いることを期待し、本発明者らは、本発明が本明細書において具体的に記載されているのとは別様に実践されることを意図している。したがって、本発明は、適用可能な法律によって許される場合、請求項に列挙する主題の全ての修正形態及び均等物を含む。その上、全ての考えられるその変形における上述した要素のいかなる組合せも、本明細書において別段の指示がない限り又は別様に文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記チャンバー内に:
少なくとも1つの圧力センサー;及び
少なくとも1つの湿度/温度センサー;
少なくとも1つの除湿機;
少なくとも1つの除湿機から水を収集するように構成された少なくとも1つのシステム、ここで前記少なくとも1つのシステムは水収集容器を含む
少なくとも1つの送風機
を用意すること;
前記チャンバーと動作可能に接続された少なくとも1つのガス注入弁及び少なくとも1つのガス噴出弁を用意すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】