(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】無電弧負荷時タップ切換器、切換制御方法及び電気機器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20250123BHJP
H01F 29/02 20060101ALI20250123BHJP
【FI】
H01F29/04
H01F29/02 C
H01F29/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545209
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2023076537
(87)【国際公開番号】W WO2023169174
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】202210232941.2
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524283187
【氏名又は名称】李 暁明
【氏名又は名称原語表記】LI XIAOMING
【住所又は居所原語表記】Room 202,Unit 3,Building 16,South area,Shunyu village,Shunyu Road,Shizhong District,Jinan,Shandong 250002,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 暁明
(57)【要約】
本発明は電力システムの送変電の技術分野に属し、無電弧負荷時タップ切換器、切換制御方法及び電気機器を提供する。無電弧負荷時タップ切換器は、少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含む。2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続される。前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの可動接点はいずれも回転軸に設けられ、マスタスイッチ及び切替スイッチの対応する固定接点は対応する変圧器タップに接続され、可動接点は回転軸と共に回転する過程において同軸の固定接点と接続される。対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの可動接点はいずれも回転軸に設けられ、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの対応する固定接点は対応する変圧器タップに接続され、可動接点は回転軸と共に回転する過程において同軸の固定接点と接続され、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項2】
2つの前記サイリスタ補助モジュールの一端は、いずれもマスタスイッチの切り換え前にフローティングするか、又は元々オンになったマスタスイッチに並列接続され、且つ2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧はいずれもゼロであることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項3】
前記制御スイッチもロータリスイッチであり、前記制御スイッチの可動接点も回転軸に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項4】
マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点は合計で少なくとも2組に分けられ、各組の固定接点は対応するレールに取り付けられ、前記レールは、いずれも回転軸を中心とし、動かないように固定されることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項5】
1組あたりの固定接点の固定接点数は同じであることを特徴とする、請求項4に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項6】
各組の固定接点は、等弧度で対応するレールに取り付けられることを特徴とする、請求項4に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項7】
マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点が合計で2組に分けられた場合、対応する2つのレールにおける固定接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W1<0.5W<W2
ΔW=(W-W2)
であり、ここで、W及びW1は、それぞれ第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度及び各固定接点の弧度であり、W2及びΔWは、それぞれ第2レールにおける各固定接点の弧度及び固定接点の隙間の弧度であることを特徴とする、請求項4に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項8】
マスタスイッチの切り換え前に、前記無電弧負荷時タップ切換器の通常の動作状態は、
回転軸上の1つの可動接点が1つの固定接点の中心線にあり、残りの可動接点がそれぞれ固定接点間の隙間の中心線にあることであることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項9】
回転軸上に合計で3つの可動接点がある場合、第1可動接点と第2可動接点は第3可動接点の両側に配置され、3つの可動接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W
1可動<0.5W<W
2可動
ΔW
可動=(W-W
2可動)
であり、ここで、Wは第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度であり、W
1可動、W
2可動は第1可動接点及び第2可動接点の弧度であり、ΔW
可動は第2可動接点間の隙間の弧度であることを特徴とする、請求項8に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項10】
固定接点の弧度は可動接点の弧度よりも大きいことを特徴とする、請求項4又は9に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項11】
固定接点の弧度は可動接点の弧度以下であることを特徴とする、請求項4又は9に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項12】
前記制御スイッチの開閉は制御機構により制御されることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項13】
前記制御機構は機械的連動機構であることを特徴とする、請求項12に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項14】
前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させることを特徴とする、請求項13に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項15】
前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現されることを特徴とする、請求項12に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項16】
2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じであることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項17】
各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間と別の制御スイッチの間には、さらに2つのツェナー・ダイオード及び1つの抵抗が直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応することを特徴とする、請求項16に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法であって、
回転軸を回転させるように制御して、対応する固定接点に対して接続又は離脱するように可動接点を駆動するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含むことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項19】
前記回転軸の回転方式は、時計回り回転及び反時計回り回転を含むことを特徴とする、請求項18に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項20】
マスタスイッチを1回切り換えるプロセスは、
対応する切替スイッチの可動接点を、対応する固定接点に接触させ、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチをオフにすることと、
オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第2制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオフにすることと、
設定された時間間隔が経過すると、オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、オンにすべきマスタスイッチをオンにすることと、
全ての制御スイッチをオフにし、対応する切替スイッチの可動接点が対応する固定接点に接触しなくなり、1回のマスタスイッチの切り換えが完了することと、を含むことを特徴とする、請求項18に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項21】
マスタスイッチの切り換え前に、2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧をいずれもゼロにすることを特徴とする、請求項18に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項22】
少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、マスタスイッチと、対応する切替スイッチとは連動するとともに同期して回転し、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項23】
前記制御機構は機械的連動機構であることを特徴とする、請求項22に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項24】
前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させることを特徴とする、請求項23に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項25】
前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現されることを特徴とする、請求項22に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項26】
2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じであることを特徴とする、請求項22に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項27】
各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間と別の制御スイッチの間には、さらに2つのツェナー・ダイオード及び1つの抵抗が直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応することを特徴とする、請求項26に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項28】
請求項22から27のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法であって、
連動するとともに同期して回転するように対応するマスタスイッチ及び切替スイッチの開閉を制御するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含むことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項29】
複数の変圧器タップを含む電圧調整コイルと、
前記電圧調整コイルに接続された無電弧負荷時タップ切換器と、を備え、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、請求項1から17のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器であり、又は、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、請求項22から27のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器であることを特徴とする、電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2022年3月9日に中国特許局に出願された、出願番号が202210232941.2であり、発明の名称が「無電弧負荷時タップ切換器、切換制御方法及び電気機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は電力システムの送変電の技術分野に属し、特に無電弧負荷時タップ切換器、切換制御方法及び電気機器に関する。
【背景技術】
【0003】
この部分の記述は、本発明に関連する背景技術の情報を提供するものに過ぎず、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0004】
変圧器に負荷電流がある(負荷時)条件下で、変圧器における特定の電圧のタップを他の電圧のタップに切り換えるとともに、切り換え中に電力利用者への送電が停止しないように保証するには、負荷時タップ切換器(on-load tap changer)の使用を必要とする。ここで、負荷時タップ切換器とは、変圧器の励磁又は負荷下での作動に適する、変圧器の巻線タップの接続位置を変更するための電圧調整装置を指す。その基本原理は、負荷電流が中断しないように保証した上で、変圧器の巻線におけるタップ間の切り換えを可能にし、これによって巻線の巻数、即ち、変圧器の電圧比を変化させ、最終的に電圧調整の目的を実現することである。
【0005】
従来の負荷時タップ切換器は、通常、抵抗遷移方式により電圧の異なる2つのタップの切り換えプロセスを実現する。しかしながら、抵抗遷移方式では、切換器の切り換え過程において電弧が発生するという欠点がある。
【0006】
出願番号がCN2012105791965、CN2013105976862及びCN2014102602640である特許文献の各々には、異なる無電弧負荷時タップ切換器が提供されている。しかし、油入負荷時タップ切換器は回転軸による駆動に適しており、発明者は、上記出願書類に提案された装置が主に接触器又はリレー接点から回路を構成する場合に用いられることを見出したので、接触器又はリレーから構成された無電弧負荷時タップ切換器が油入変圧器への使用に適していない。
【0007】
出願番号がCN2018102904704である特許文献に提供された負荷時タップ切換器の解決手段には、回転軸により駆動される構造を備えるが、発明者は、該特許文献では、各種のスイッチがそれぞれ同期しない2つ又は3つの回転軸に分布し、一部の回転軸を回転させる必要がある時に、他の回転軸を静止させる必要があるため、動作構造がまだ複雑となり、そして、回転軸間の協調制御機構、回転軸の可動接点と固定接点との協働手段、及び制御スイッチの駆動手段に欠けていることを見出した。
【発明の概要】
【0008】
上記背景技術に存在する技術的課題を解決するために、本発明は、回転軸により駆動される油入変圧器に適用されており、動作構造が簡単であり、完全な切換プロセスを1回行う時間が短いという利点を有する無電弧負荷時タップ切換器、切換制御方法及び電気機器を提供する。
【0009】
上記目的を実現するために、本発明は下記技術的解決手段を採用している。
【0010】
本発明の第1態様は、無電弧負荷時タップ切換器を提供する。
【0011】
1つ又は複数の実施例において、少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの可動接点はいずれも回転軸に設けられ、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの対応する固定接点は対応する変圧器タップに接続され、可動接点は回転軸と共に回転する過程において同軸の固定接点と接続され、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しない、第1の無電弧負荷時タップ切換器の構造を提供する。
【0012】
一実施形態として、2つの前記サイリスタ補助モジュールの一端は、いずれもマスタスイッチの切り換え前にフローティングするか、又は元々オンになったマスタスイッチに並列接続され、且つ2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧はいずれもゼロである。
【0013】
一実施形態として、前記制御スイッチもロータリスイッチであり、前記制御スイッチの可動接点も回転軸に設けられる。
【0014】
一実施形態として、マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点は合計で少なくとも2組に分けられ、各組の固定接点は対応するレールに取り付けられ、前記レールは、いずれも回転軸を中心とし、動かないように固定される。
【0015】
一実施形態として、1組あたりの固定接点の固定接点数は同じである。
【0016】
一実施形態として、各組の固定接点は、等弧度で対応するレールに取り付けられる。
【0017】
一実施形態として、マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点が合計で2組に分けられた場合、対応する2つのレールにおける固定接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W1<0.5W<W2
ΔW=(W-W2)
であり、ここで、W及びW1は、それぞれ第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度及び各固定接点の弧度であり、W2及びΔWは、それぞれ第2レールにおける各固定接点の弧度及び固定接点の隙間の弧度である。
【0018】
一実施形態として、マスタスイッチの切り換え前に、前記無電弧負荷時タップ切換器の通常の動作状態は、
回転軸上の1つの可動接点が1つの固定接点の中心線にあり、残りの可動接点がそれぞれ固定接点間の隙間の中心線にあることである。
【0019】
一実施形態として、回転軸上に合計で3つの可動接点がある場合、第1可動接点と第2可動接点は第3可動接点の両側に配置され、3つの可動接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W1可動<0.5W<W2可動
ΔW可動=(W-W2可動)
であり、ここで、Wは第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度であり、W1可動、W2可動は第1可動接点及び第2可動接点の弧度であり、ΔW可動は第2可動接点間の隙間の弧度である。
【0020】
一実施形態として、固定接点の弧度は可動接点の弧度よりも大きい。
【0021】
一実施形態として、固定接点の弧度は可動接点の弧度以下である。
【0022】
一実施形態として、前記制御スイッチの開閉は制御機構により制御される。
【0023】
一実施形態として、前記制御機構は機械的連動機構である。
【0024】
一実施形態として、前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させる。
【0025】
一実施形態として、前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現される。
【0026】
一実施形態として、2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じである。
【0027】
一実施形態として、各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲートの間には、さらに逆方向に直列接続された2つのツェナー・ダイオード、1つの抵抗及び別の制御スイッチが順に直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応する。
【0028】
本発明は、少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、マスタスイッチと、対応する切替スイッチとは連動するとともに同期して回転し、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことを特徴とする、第2の無電弧負荷時タップ切換器を提供する。
【0029】
一実施形態として、前記制御機構は機械的連動機構である。
【0030】
一実施形態として、前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させる。
【0031】
一実施形態として、前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現される。
【0032】
一実施形態として、2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じである。
【0033】
一実施形態として、各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲートの間には、さらに逆方向に直列接続された2つのツェナー・ダイオード、1つの抵抗及び別の制御スイッチが順に直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応する。
【0034】
本発明の第2態様は、無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法を提供する。
【0035】
1つ又は複数の実施例において、本発明により提供される第1の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法は、
回転軸を回転させるように制御して、対応する固定接点に対して接続又は離脱するように可動接点を駆動するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含む。
【0036】
一実施形態として、前記回転軸の回転方式は、時計回り回転及び反時計回り回転を含む。
【0037】
一実施形態として、マスタスイッチを1回切り換えるプロセスは、
対応する切替スイッチの可動接点を、対応する固定接点に接触させ、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチをオフにすることと、
オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第2制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオフにすることと、
設定された時間間隔が経過すると、オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、オンにすべきマスタスイッチをオンにすることと、
全ての制御スイッチをオフにし、対応する切替スイッチの可動接点が対応する固定接点に接触しなくなり、1回のマスタスイッチの切り換えが完了することと、を含む。
【0038】
一実施形態として、マスタスイッチの切り換え前に、2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧をいずれもゼロにする。
【0039】
本発明により提供される第2の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法は、
連動するとともに同期して回転するように対応するマスタスイッチ及び切替スイッチの開閉を制御するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含む。
【0040】
本発明の第3態様は、電気機器を提供する。
【0041】
1つ又は複数の実施例において、電気機器は、
複数の変圧器タップを含む電圧調整コイルと、
前記電圧調整コイルに接続された無電弧負荷時タップ切換器と、を備え、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、上記のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器である。
【0042】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0043】
(1)本発明により提供される無電弧負荷時タップ切換器では、可動接点を回転軸に取り付け、回転軸と共に回転させて対応する固定接点と接続させることにより、従来の無電弧負荷時タップ切換器が油入変圧器への使用に適さないという問題が解決される。本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器は、回転軸を駆動動力として採用し、最後に所定のタイミングに従って元々オンになったマスタスイッチ、切替スイッチ、制御スイッチ及びオンにすべきマスタスイッチを互いに対応して開閉するように制御することにより、開閉過程において電弧が発生しないこと、及びマスタスイッチ間を切り換えることを実現し、油入変圧器の油タンク内で各種のスイッチと接点を動作させることができる。
【0044】
(2)本発明により提供される無電弧負荷時タップ切換器については、従来の油入負荷時タップ切換器の基本構造をベースとし、本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器を実現することができ、従来の油入非励磁タップ切換器の基本構造をベースとし、本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器を実現することもできる。
【0045】
(3)本発明により提供される無電弧負荷時タップ切換器では、切替スイッチが複数の固定接点を含み、切替スイッチの対応する固定接点が変圧器タップに接続され、少なくとも1つの制御スイッチが回転軸に取り付けられ、且つ回転軸によって駆動されて開閉が制御され、こうして従来の油入真空負荷時タップ切換器の基本構造をベースとし、油入真空負荷時タップ切換器をアップグレードし、開閉過程において電弧が発生しないこと、及びマスタスイッチ間を切り換えることを実現することができる。
【0046】
(4)本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器では、従来培った経験が保持され、構造が簡略化され、体積が小さくなり、軽量化され、コストが削減され、動作振動が小さく、故障率が低く、完全な切り換えプロセスを1回行う時間が短い。
【0047】
本発明の追加的な利点は、一部が以下の記述に示され、一部が以下の記述から自明になるか、又は本発明の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の一部を構成する明細書の図面は、本発明を更に理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するためのものであり、本発明を不適当に限定する意図がない。
【
図1】本発明の実施例のサイリスタ補助モジュールの回路図である。
【
図2】本発明の実施例の第1の無電弧負荷時タップ切換器の回転軸の構造図である。
【
図3】本発明の実施例の第1の無電弧負荷時タップ切換器の水平展開構造図である。
【
図4】本発明の実施例の固定接点の弧度関係図である。
【
図5】本発明の実施例のスイッチKB1、KB2の構造図である。
【
図6】本発明の実施例の第2の無電弧負荷時タップ切換器の回転軸の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下に、図面と実施例を関連付けて本発明をさらに説明する。
【0050】
指摘すべきことは、以下に詳しく説明したものは、例示的なものであり、本発明をさらに説明することを目的とする点である。特に断らない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0051】
本明細書で使用される用語は具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明による例示的な実施形態を限定する意図がないことに注意されたい。例えば、文脈に別に明記しない限り、本明細書で使用される単数形態に複数の形態をも含む意図があり、なお、本説明書で用語「含有する」及び/又は「含む」を使用する時に、特徴、工程、操作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組合せが存在するのを示すことも理解されたい。
<無電弧負荷時タップ切換器及び切換制御方法>
【0052】
背景技術における、従来の無電弧負荷時タップ切換器が油入変圧器への使用に適さず、また、油入変圧器に適したとしても、各種のスイッチがそれぞれ同期しない2つ又は3つの回転軸に分布し、一部の回転軸を回転させる必要がある時に、他の回転軸を静止させる必要があるため、動作構造がまだ複雑となり、そして、回転軸の協調制御機構、回転軸の可動接点と固定接点との協働手段、及び制御スイッチの駆動手段に欠けているという問題を解決するために、本発明は、無電弧負荷時タップ切換器及び対応する切換制御方法を提供する。
【実施例1】
【0053】
本実施例は、少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの可動接点はいずれも回転軸に設けられ、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの対応する固定接点は対応する変圧器タップに接続され、可動接点は回転軸と共に回転する過程において同軸の固定接点と接続され、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しない、無電弧負荷時タップ切換器を提供する。
【0054】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器は、回転軸を動力とし、油入変圧器に適し、接点が回転摺動するように構成される無電弧負荷時タップ切換器であり、その構造が
図2に示すとおりである。油入負荷時タップ切換器は、一般に、絶縁した同一の回転軸に取り付けられる、同じ構造を備える、回転軸により同期して駆動される三相負荷時タップ切換器であるため、説明の便利上、
図2では、3タップの単一相油入負荷時タップ切換器を例とする。
【0055】
本実施例において、前記制御スイッチもロータリスイッチであり、前記制御スイッチの可動接点も回転軸に設けられる。
【0056】
マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点は合計で少なくとも2組に分けられ、各組の固定接点は対応するレールに取り付けられ、前記レールは、いずれも回転軸を中心とし、動かないように固定される。ここで、レールは円形状の絶縁性フレームであり、絶縁性フレームは回転軸と共に運動するものではない。可動接点は回転軸に取り付けられ、回転軸と共に回転する。
【0057】
ここで、前記無電弧負荷時タップ切換器の切り換え前に、サイリスタ補助モジュールの一端は、いずれもフローティングするか、又は元々オンになったマスタスイッチに並列接続される。前記無電弧負荷時タップ切換器が切り換える前に、サイリスタ補助モジュールの両端の電圧はいずれもゼロである。
【0058】
前記無電弧負荷時タップ切換器の切り換え過程において、サイリスタ補助モジュールは、必要なタイミングに応じて、元々オンになったマスタスイッチに並列接続されたり、オンにすべきマスタスイッチに並列接続されたりする。
【0059】
本実施例では、固定接点の組数が2つであり、つまり、2つのレールを有し、1組あたりの固定接点が3つの固定接点を有し、可動接点の数が3つであることを例として説明する。
【0060】
ここでは理解できるように、別の実施例において、当業者であれば、実際の状況に応じて可動接点の数及び固定接点の組数を具体的に設定してもよい。
【0061】
本実施例において、第1レールには順次配列された3つの固定接点があり、第1レールにおける1番目と2番目の固定接点の中心位置の間の間隔の弧度はWに等しく、第1レールにおける2番目と3番目の固定接点の中心位置の間の間隔の弧度もWに等しい。第2レールにも固定接点があり、第2レールにおける固定接点の数は第1レールにおける固定接点の数に等しい。第1レールにおける各固定接点の中心線は、それぞれ第2レールにおける1つの固定接点の中心線と重なり、中心線が重なる第1レールにおける固定接点と第2レールにおける固定接点とは接続されるとともに、それぞれ変圧器コイルL1のタップI、タップII、タップIIIに順次接続される。
【0062】
第1レールにおける3つの固定接点の弧度は同じであり、W1に等しく、第2レールにおける3つの固定接点の弧度は同じであり、W2に等しく、第2レールにおける固定接点間の隙間の弧度は同じであり、
ΔW=(W-W2)に等しい。説明の便利上、
図2の無電弧負荷時タップ切換器の回転軸の構造図を、
図3及び
図4に示すように水平に展開する。
0<ΔW<W1<0.5W<W2であることが要求される。
【0063】
本実施例において、回転軸には、可動接点J3、可動接点Q1、可動接点Q2という3つの可動接点があり、可動接点は回転軸に取り付けられて回転軸と共に回転し、ここで、可動接点Q1、可動接点Q2はそれぞれ可動接点J3の両側に設けられる。
【0064】
可動接点J3は回転軸と共に回転しているうちに、それぞれ順次第1レールにおける3つの固定接点に対して接続又は離脱して、マスタスイッチのオンとオフを実現する。可動接点Q1、可動接点Q2は回転軸と共に回転しているうちに、それぞれ順次第2レールにおける3つの固定接点に対して接続又は離脱して、切替スイッチの変換を実現する。可動接点Q1の中心位置は可動接点J3の中心の左側の第2レールにあり、両者の夾角が0.5Wであり、可動接点Q2の中心位置は可動接点J3の中心の右側の第2レールにあり、両者の夾角が0.5Wである。
【0065】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切り換え前の通常の動作状態は、回転軸上の可動接点J3が固定接点W1の中心線にあり、可動接点Q1、可動接点Q2がそれぞれ隙間の中心線にあることである。
【0066】
本実施例において、サイリスタ補助モジュールM1とサイリスタ補助モジュールM2とは回路が同じであり、各サイリスタ補助モジュールの主回路は逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、RC直列回路は、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端に並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが接続されており、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらに逆方向に直列接続された2つのツェナー・ダイオード、1つの抵抗及び別の制御スイッチが順次直列接続されており、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応する。
【0067】
具体的には、
図1に示すように、各サイリスタ補助モジュールの主回路は、逆方向に並列接続された1対のサイリスタD1、D2を含み、抵抗R1とキャパシタC1とは直列接続された後、逆方向に並列接続されたサイリスタD1、D2の両端に並列接続され、2つのサイリスタD1、D2のゲート及びカソードには、それぞれキャパシタC3、C4、抵抗R3、R4、ダイオードD3、D4が並列接続されており、ダイオードD3、D4の正極はそれぞれサイリスタD1、D2のカソードに接続され、ダイオードD3、D4の負極はそれぞれサイリスタD1、D2のゲートに接続され、ツェナー・ダイオードD10、D11は逆方向に直列接続された後、抵抗R5に直列接続され、さらに制御スイッチKAに直列接続され、続いて2つのサイリスタD1、D2のゲートの間に接続される。ダイオードD5、D6、D7、D8からなるフルブリッジ整流回路の入力端子と制御スイッチKBとは直列接続された後、2つのサイリスタD1、D2のゲートの間に接続され、ツェナー・ダイオードD9と抵抗R6とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードD9の負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードD9の正極は、フルブリッジ整流回路の負極出力端に対応する。ツェナー・ダイオードD9の安定電圧U1=k1U2であり、k1は信頼係数であり、値が1.2~2であり、U2は電圧調整変圧器の調整間隔電圧のピークである。ツェナー・ダイオードD10、D11の安定電圧を1~3ボルトにすることを推薦する。
【0068】
説明すべきこととして、サイリスタ補助モジュールの具体的な動作プロセスは出願番号がCN201810290470.4である特許文献に開示されており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0069】
本実施例において、サイリスタ補助モジュールM1は制御スイッチKA1、KB1に接続され、サイリスタ補助モジュールM2は制御スイッチKA2、KB2に接続される。
【0070】
可動接点J3は共通端子に接続され、サイリスタ補助モジュールM1の主回路の両端は可動接点Q1と共通端子に接続され、サイリスタ補助モジュールM2の主回路の両端は可動接点Q2と共通端子に接続される。
【0071】
具体的な実施過程において、制御スイッチKA1、KA2は回転軸に取り付けられ、制御スイッチKA1、KA2の各々は、回転軸と共に回転する時に、それぞれ第3レール、第4レールと呼ばれる2つの同心円レールを形成することができる。第1レールにおける第1固定接点の中心線と第1レールにおける第2固定接点の中心線との間の第3レールにおいて、固定接点W3があり、第4レールにおいて、固定接点W4がある。同様に、第1レールにおける第2固定接点の中心線と第1レールにおける第3固定接点の中心線との間の第3レール、第4レールにも、
図4に示すように、繰り返して現れる固定接点W3、W4がある。
【0072】
制御スイッチKA1は、回転軸と共に回転し、固定接点W3に出合うと、オンになり、固定接点W3から離れると、オフになり、制御スイッチKA2は、回転軸と共に回転し、固定接点W4に出合うと、オンになり、固定接点W4から離れると、オフになる。このことから、固定接点W3及び固定接点W4は、制御スイッチKA1のオン又は制御スイッチKA2のオンをトリガーできる限り、必ずしも金属材料ではないことが分かる。
【0073】
回転軸が時計回りに回転している場合、可動接点J3が固定接点W1から離れる前に、制御スイッチKA1は固定接点W3に接触しなければならず、可動接点J3が固定接点W1から離れた後、初めて制御スイッチKA1は固定接点W3から離れることが可能となり、可動接点J3が別の固定接点W1に接触する前に、制御スイッチKA2は固定接点W4に接触しなければならず、可動接点J3が別の固定接点W1に接触した後、初めて制御スイッチKA2は固定接点W4から離れることが可能となり、また、制御スイッチKA1が固定接点W3から離れた後、制御スイッチKA2は、少なくとも時間間隔t1が経過してから、初めて固定接点W4に接触することが可能となる。
【0074】
回転軸が反時計回りに回転している場合、可動接点J3が固定接点W1から離れる前に、制御スイッチKA2は固定接点W4に接触しなければならず、可動接点J3が固定接点W1から離れた後、初めて制御スイッチKA2は固定接点W4から離れることが可能となり、可動接点J3が別の固定接点W1に接触する前に、制御スイッチKA1は固定接点W3に接触しなければならず、可動接点J3が別の固定接点W1に接触した後、初めて制御スイッチKA1は固定接点W3から離れることが可能となり、また、制御スイッチKA2が固定接点W4から離れた後、制御スイッチKA1は、少なくとも時間間隔t1が経過してから、初めて固定接点W3に接触することが可能となる。
【0075】
時間間隔t1が設定時間(例えば、0.015秒)よりも大きいことを保証するために、回転軸の回転は速くなりすぎないほうがよい。回転軸が1回転する時間をT秒にする場合、
T>((0.015×2π)/(W2-W3-W4))となる。
【0076】
ここで、W2は2番目のレールにおける各固定接点の弧度であり、W3とW4はそれぞれ3番目のレールと4番目のレールにおける各固定接点の弧度である。
【0077】
本実施例において、回転軸は、さらに制御機構を備える。回転軸が時計回りに回転している時、KA1が固定接点W3から離れる前に、制御機構は、制御スイッチKB1がオフとなり、制御スイッチKB2がオンとなるようにしなければならない。回転軸が反時計回りに回転している時、KA2が固定接点W3から離れる前に、制御機構は、制御スイッチKB1がオンとなり、制御スイッチKB2がオフとなるようにしなければならない。
【0078】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御原理は、
回転軸を回転させるように制御して、対応する固定接点に対して接続又は離脱するように可動接点を駆動することと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことである。
【0079】
ここで、前記回転軸の回転方式は、時計回り回転及び反時計回り回転を含む。
【0080】
本実施例では、マスタスイッチを1回切り換えるプロセスは、
2つの切替スイッチの可動接点を固定接点に接触させ、2つのサイリスタ補助モジュールをそれぞれ元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続し、元々オンになったマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールに接続された第1制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチをオフにすることと、
オンにすべきマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールに接続された第2制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールに接続された第1制御スイッチをオフにすることと、
設定された時間間隔が経過すると、オンにすべきマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールに接続された第1制御スイッチをオンにし、オンにすべきマスタスイッチをオンにすることと、
全ての制御スイッチをオフにし、2つの切替スイッチの可動接点が固定接点に接触しなくなり、1回のマスタスイッチの切り換えが完了することと、を含む。
【0081】
図2を参照すると、本実施例では、マスタスイッチを1回切り換えるプロセスは以下のとおりである。
【0082】
(1)可動接点Q1、Q2をそれぞれ2つの固定接点W2に接触させ、元々オンになったマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールの制御スイッチKAをオンにし、
(2)元々オンになったマスタスイッチをオフにし、
(3)オンにすべきマスタスイッチに並列接続された別のサイリスタ補助モジュールの制御スイッチKBをオンにし、
(4)元々オンになったマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助モジュールの制御スイッチKAをオフにし、
(5)時間間隔t1(ここで、時間間隔t1は0.015秒よりも大きい)が経過すると、オンにすべきマスタスイッチに並列接続されたサイリスタ補助回路の制御スイッチKAをオンにし、
(6)オンにすべきマスタスイッチをオンにし、
(7)サイリスタ補助モジュールの全ての制御スイッチをオフにし、
(8)可動接点Q1、Q2が固定接点W2に接触しなくなり、
(9)1回のマスタスイッチの切り換えが完了する。
【0083】
以下に、
図2を参照しながら、本実施例のマスタスイッチを1回切り換えるプロセスについて、回転軸の時計回り回転及び反時計回り回転によりそれぞれ説明する。
【0084】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の時計回り回転時の切換制御プロセスは以下のとおりである。
【0085】
(1)可動接点J3は、接触している固定接点W1の中心線位置から時計回りに回転し始め、可動接点Q1は、可動接点J3が接触している固定接点W1に接続された固定接点W2に接触し、可動接点Q2は、可動接点J3が接触すべき固定接点W1に接続された固定接点W2に接触し、サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKA1は固定接点W3に接触し、制御スイッチKA1がオンになり、負荷電流は、流通経路が変化せず、依然として可動接点J3が接触している固定接点W1から可動接点J3を通して共通端点に流入し、
(2)可動接点J3は、元々接触している固定接点W1から離れ、負荷電流は、元々接触している固定接点W1に接続された固定接点W2から、可動接点Q1、サイリスタ補助モジュールM1を通して共通端点に流入し、
(3)サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKB2はオンになり、負荷電流の流通経路は変化せず、
(4)サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKA1は固定接点W3から離れ、制御スイッチKA1がオフになり、負荷電流の各ゼロクロスポイントは、いずれもサイリスタ補助モジュールM2を1回トリガーし、負荷電流を、接触すべき固定接点W1に接続された固定接点W2から、可動接点Q2、サイリスタ補助モジュールM2を通して共通端点に流入させ、
(5)時間間隔t1が経過すると、サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKA2は固定接点W4に接触し、制御スイッチKA2がオンになり、負荷電流の流通経路は変化せず、
(6)可動接点J3は、接触すべき固定接点W1に接触し、負荷電流は、可動接点J3が接触する固定接点W1から、可動接点J3を通して共通端点に流入し、
(7)可動接点Q1、Q2が固定接点W2に接触しなくなり、サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKA2は固定接点W4から離れ、制御スイッチKA2がオフになり、サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKB2がオフになり、
(8)可動接点J3は、新しく接触する固定接点W1の中心線位置までに回転すると、回転が停止し、1回のマスタスイッチの切り換えが完了する。時間間隔t1は0.015秒よりも大きい。
【0086】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の反時計回り回転時の切換制御プロセスは以下のとおりである。
【0087】
(1)可動接点J3は、接触している固定接点W1の中心線位置から反時計回りに回転し始め、可動接点Q2は、可動接点J3が接触している固定接点W1に接続された固定接点W2に接触し、可動接点Q1は、可動接点J3が接触すべき固定接点W1に接続された固定接点W2に接触し、サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKA2は固定接点W4に接触し、制御スイッチKA2がオンになり、負荷電流は、流通経路が変化せず、依然として可動接点J3が接触している固定接点W1から、可動接点J3を通して共通端点に流入し、
(2)可動接点J3は、元々接触している固定接点W1から離れ、負荷電流は、元々接触している固定接点W1に接続された固定接点W2から、可動接点Q2、サイリスタ補助モジュールM2を通して共通端点に流入し、
(3)サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKB2はオンになり、負荷電流の流通経路は変化せず、
(4)サイリスタ補助モジュールM2の制御スイッチKA2は固定接点W4から離れ、制御スイッチKA2がオフになり、負荷電流の各ゼロクロスポイントは、いずれもサイリスタ補助モジュールM1を1回トリガーし、負荷電流を、接触すべき固定接点W1に接続された固定接点W2から、可動接点Q1、サイリスタ補助モジュールM1を通して共通端点に流入させ、
(5)時間間隔t1が経過すると、サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKA1は固定接点W3に接触し、制御スイッチKA1がオンになり、負荷電流の流通経路は変化せず、
(6)可動接点J3は、接触すべき固定接点W1に接触し、負荷電流は、可動接点J3が接触する固定接点W1から可動接点J3を通して共通端点に流入し、
(7)可動接点Q1、Q2が固定接点W2に接触しなくなり、サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKA1は固定接点W3から離れ、制御スイッチKA1がオフになり、サイリスタ補助モジュールM1の制御スイッチKB1がオフになり、
(8)可動接点J3は、新しく接触する固定接点W1の中心線位置までに回転すると、回転が停止し、1回のマスタスイッチの切り換えが完了する。
【0088】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器は、従来の油入負荷時タップ切換器と同様に回転軸を駆動動力とし、油入変圧器の油タンク内で各種のスイッチ及び接点を動作させることができる。したがって、本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器は、従来の油入負荷時タップ切換器の基本構造をベースとして改造することができる。
【0089】
従来の油入負荷時タップ切換器の駆動力は交流電動機から由来する。スイッチ切り換えプロセスが、電源喪失により中断されることを防止するために、従来の負荷時タップ切換器はいずれもバネエネルギー放出機構を備え、スイッチ切り換えプロセスにおいて電源がなくなった場合、バネエネルギー放出機構は、負荷時タップ切換器の1つの完全な切り換えプロセスを保証することができる。しかし、バネエネルギー蓄積の時間が長く、且つ切り換え命令を受信してから初めてバネエネルギー蓄積を行うため、従来の負荷時タップ切換器の1回の完全な切り換えプロセスが長い。負荷時タップ切換器のバネエネルギー蓄積機構とバネエネルギー放出機構は、構造が複雑であり、動作振動が大きく、故障率が高い。
【0090】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器は、直流モータ駆動及び電気エネルギー蓄積を採用することができるため、バネエネルギー蓄積機構及びバネエネルギー放出機構を省略してもよい。
【0091】
ここで説明すべきことは、本実施例の油入負荷時タップ切換器の駆動モータは直流電動機を採用してもよい点である。本来は交流電動機に給電する交流電源は、ブリッジ整流回路と電圧安定化回路を通して直流電動機に給電するようになり、ブリッジ整流回路の出力にキャパシタエネルギー蓄積回路が並列接続されており、キャパシタエネルギー蓄積回路に蓄積されている電気エネルギーは、少なくとも負荷時タップ切換器が1回の完全な動作を完了するのに十分である。電気エネルギー蓄積は切り換え命令を受信する前に行うことができるため、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器が1回の完全な切り換えプロセスを完了する時間は、かえって短くなる。このように、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器はバネエネルギー蓄積機構とバネエネルギー放出機構が省略されてもよい。
【0092】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器では、遷移抵抗がなくなり、スイッチ切り換えプロセスには発熱部品が関与しない。このように、切り換えプロセスは、従来の負荷時タップ切換器では必須の(遷移抵抗の通電時間が40ミリ秒を超えないことを保証する)高速機構を必要としなくてもよい。本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切り換えプロセスは、数十秒で完了してもよい。したがって、本発明に係る無電弧負荷時タップ切換器は、従来の油入非励磁タップ切換器の基本構造をベースとして改造することができる。
【0093】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器は、構造が簡単であり、動作振動が小さく、故障率が低い。
図2の構造の無電弧負荷時タップ切換器は、複合式無電弧負荷時タップ切換器である。複合式無電弧負荷時タップ切換器は、選択器と切換装置が一体にされ、負荷時タップ切換器の構造が簡略化され、コストが低く、ただし、選択器が簡単な場合にしか応用できない。負荷時タップ切換器の選択器が複雑であり、複合式負荷時タップ切換器とすることに適さない場合、選択器と切換装置が直列接続された組み合わせ式構造を採用してもよい。
図2の構造における第1レールの固定接点を2つに低減すれば、実際には切換装置の構造となる。このような構造の切換装置を従来の選択器に直列接続すると、組み合わせ式の無電弧負荷時タップ切換器を構成することができる。
【実施例2】
【0094】
本実施例は構造が実施例1と同じである無電弧負荷時タップ切換器を提供する。本実施例は機械的連動機構により制御スイッチKB1、KB2を制御する点で実施例1と異なる。
【0095】
図5に示すように、本実施例の機械的連動機構は偏向軸6を含み、前記偏向軸6は、回転軸4に固定され且つ回転軸4と共に回転し、前記偏向軸6には、偏向軸6の周りに回転可能なレバーアーム7及びバネアーム8が取り付けられ、バネアーム8の一端には接点があり、前記接点は、回転軸4と共に回転し、対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させる。
【0096】
ここで、本実施例の機械的連動機構の作動プロセスは以下のとおりである。
【0097】
回転軸4は、固定板5を駆動して回転させることができ、固定板5は、さらに偏向軸6を備え、偏向軸には、レバーアーム7及びバネアーム8が取り付けられる。レバーアーム7及びバネアーム8は偏向軸6の周りに回転可能であり、バネアーム8の一端には接点がある。静止する絶縁性フレームには、回転軸4を円心とするフープがあり、フープは固定接点W1の中心線における位置に隙間があり、フープが複数のセグメントに分けられ、フープの隙間数が固定接点W1の数と同じであり、例えば、固定接点W1が3つある場合、フープ隙間は3つあり、3つのフープ隙間はフープを第1フープ9と第2フープ10に分ける。第1の無電弧負荷時タップ切換器の切り換え前の通常の動作状態は、レバーアーム7がフープ隙間の中心線にあることである。
【0098】
回転軸4が時計回りに回転している場合、レバーアーム7は第2フープ10に出合い、第2フープ10は、レバーアーム7を偏向軸6の周りに反時計回りに回転するように推動し、レバーアーム7は、バネアーム8を駆動して反時計回りに回転させ、バネアーム8の接点がスイッチKB2の接点に接触し、スイッチKB2がオンになる。レバーアーム7が第2フープ10から離れ、次のフープ隙間に出会うと、レバーアーム7はフープ隙間の中心線に戻り、バネアーム8もフープ隙間の中心線に戻り、バネアーム8の接点がスイッチKB2の接点から離れ、スイッチKB2がオフになる。
【0099】
回転軸4が反時計回りに回転している場合、レバーアーム7は第1フープ9に出合い、第1フープ9は、レバーアーム7を偏向軸6の周りに時計回りに回転するように推動し、レバーアーム7は、バネアーム8を駆動して時計回りに回転させ、バネアーム8の接点がスイッチKB1の接点に接触し、スイッチKB1がオンになる。レバーアーム7が第1フープ9から離れ、次のフープ隙間に出会うと、レバーアーム7はフープ隙間の中心線に戻り、バネアーム8もフープ隙間の中心線に戻り、バネアーム8の接点がスイッチKB1の接点から離れ、スイッチKB1がオフになる。
【0100】
当業者であれば、実際の状況に応じて機械的連動機構の構造を具体的に設計できることが理解可能であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0101】
説明すべきことは、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御プロセスが実施例1の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御プロセスと同じである点であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【実施例3】
【0102】
本実施例は、構造が実施例1と同じである無電弧負荷時タップ切換器を提供する。本実施例は、制御スイッチKB1、KB2を制御する制御機構が、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現される点で実施例1と異なる。
【0103】
朱英浩らが編著した、中国電力出版社により2012年に発行された『負荷時タップ切換器の電気仕組み』のP63~66の記載によると、回転軸により駆動される切替スイッチMTFは制御スイッチKB1、KB2を構成することができる。本書では、切替スイッチMTFの4つの固定接点はそれぞれMTF1、MTF2、MTF3、MTF4であり、切替スイッチは、(1)第1接点と第3接点が導通し、第2接点と第4接点が遮断される状態、(2)第1接点と第3接点が遮断され、第2接点と第4接点が導通する状態という2つの状態間を切り換えることができる。接点MTF1、MTF3は制御スイッチKB1の両端とすることができ、接点MTF2、MTF4は制御スイッチKB2の両端とすることができる。
【0104】
指摘すべきこととして、『負荷時タップ切換器の電気仕組み』に記載の切替スイッチMTFが大電流スイッチであるが、制御スイッチKB1、KB2が小電流スイッチであるため、切替スイッチMTFの作動原理に応じて、サイズを小さくし、制御スイッチKB1、KB2の機能を実現する必要がある。詳細な分析については省略する。
【0105】
説明すべきことは、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御プロセスが実施例1の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御プロセスと同じである点であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【実施例4】
【0106】
図2に示す無電弧負荷時タップ切換器では、固定接点の弧度が大きく、可動接点の弧度が小さい。このことから分かるように、接点の弧度の大きさは、固定接点と可動接点との接触時間の長さ、及び接触順序を制御するためのものである。
【0107】
本実施例は、
図6に示すように、固定接点の弧度が小さくなり、可動接点の弧度が大きくなる点で実施例1と異なる。
【0108】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の回転軸の構造は
図6に示すとおりである。本実施例において、第1レールには順次配列される3つの固定接点があり、第1レールにおける1番目と2番目の固定接点の中心位置の間の間隔の弧度はWに等しく、第1レールにおける2番目と3番目の固定接点の中心位置の間の間隔の弧度もWに等しい。第2レールにも固定接点があり、第2レールにおける固定接点の数は第1レールにおける固定接点の数に等しい。第1レールにおける各固定接点の中心線は、それぞれ第2レールにおける1つの固定接点の中心線と重なり、中心線が重なる第1レールにおける固定接点と第2レールにおける固定接点とは接続されるとともに、それぞれ変圧器コイルL1の3つのタップに順次接続される。
【0109】
本実施例の回転軸には、少なくとも可動接点J3、可動接点Q1、可動接点Q2という3つの可動接点があり、可動接点は回転軸に取り付けられて回転軸と共に回転し、可動接点J3は回転軸と共に回転しているうちに、それぞれ第1レールにおける3つの固定接点と順次接続され、可動接点Q1、可動接点Q2は、回転軸と共に回転しているうちに、それぞれ第2レールにおける3つの固定接点と順次接続され、可動接点Q1の中心位置は可動接点J3の中心位置の左側の第2レールにあり、両者の夾角が0.5Wであり、可動接点Q2の中心位置は、可動接点J3の中心位置の右側の第2レールにあり、両者の夾角が0.5Wである。
【0110】
可動接点J3の接点の弧度がW
1可動であり、可動接点Q1、可動接点Q2の接点の弧度がW
2可動であり、可動接点Q1と可動接点Q2の間の隙間の弧度がΔW
可動=(W-W
2可動)である。
図6に示すように、0<ΔW<W
1可動<0.5W<W
2可動であることが要求される。ここで、Wは第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度である。
【0111】
ここでさらに説明すべきことは、本実施例における制御スイッチの開閉は制御機構により制御される点である。ここで、制御機構は実施例2又は実施例3又は従来の他の制御機構により実現されてもよく、当業者であれば、実際の状況に応じて具体的に選択可能であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0112】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法は、実施例1の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法と同じであり、ここでは詳細な説明を省略する。本実施例の無電弧負荷時タップ切換器についての内容は、実施例1の無電弧負荷時タップ切換器と同じであり、詳細な説明を省略する。
【0113】
図2と
図6を比較すると、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の第1レールと第2レールの各固定接点の弧度がいずれも小さく、可動接点の弧度が大きく、可動接点が3つのみあり、固定接点の数が多い可能性があるため、本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の製造コストは実施例1の無電弧負荷時タップ切換器よりも少ない。
【実施例5】
【0114】
本実施例は、少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、マスタスイッチと、対応する切替スイッチとは連動するとともに同期して回転し、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しない、無電弧負荷時タップ切換器を提供する。
【0115】
ここで説明すべきことは、前記制御機構は機械的連動機構であり、その構造が実施例2に記載の機械的連動機構の具体的な構造を採用してもよく、実施例3に記載の制御機構を採用してもよく、当業者であれば、実際の状況に応じて具体的に設定可能である点である。ここでは詳細な説明を省略する。
【0116】
本実施例において、2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じであり、その具体的な構造は、
図1に示すとおりであり、具体的な説明は実施例1と同じであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0117】
本実施例の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法は、
連動するとともに同期して回転するように対応するマスタスイッチ及び切替スイッチの開閉を制御するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含む。
【0118】
<電気機器>
1つ又は複数の実施例において、
複数の変圧器タップを含む電圧調整コイルと、
前記電圧調整コイルに接続された無電弧負荷時タップ切換器と、を備え、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、上記実施例1~実施例5のいずれかに記載の無電弧負荷時タップ切換器である、電気機器を提供する。
【0119】
本実施例における変圧器は、油入変圧器又は油入真空負荷時タップ切換器を備える変圧器である。
【0120】
前記電気機器は、ニーズに応じて任意の方法と方式で構成可能であり、例えば、交番送電網における無効電力に影響を与えるための補償チョークコイルとして構成されるか、又はローカル送電網変圧器もしくは電力変圧器もしくは可変変圧器もしくは移相変圧器もしくは整流変圧器もしくは無効電力補償装置として構成され、及び/又は、前記機器が、追加的な調整巻線を少なくとも1つ含み又は含まないか、及び/又は、追加的な無電弧負荷時タップ切換器を少なくとも1つ含み又は含まないか、及び/又は少なくとも1つの幹線巻線を含むように構成される。
【0121】
提案した負荷時タップ切換器のうちのそれぞれ、及び提案した機器のうちのそれぞれを利用すれば、例えば、提案した方法の1つを実施することができる。
【0122】
好ましくは、提案した無電弧負荷時タップ切換器における各負荷時タップ切換器は、提案した無電弧負荷時タップ切換器のうちのそれぞれが、提案した方法の1つを実施し及び/又は実施できるように構成され及び/又は使用され及び/又は適用される。好ましくは、提案した機器のうちのそれぞれは、提案した機器のうちのそれぞれが、提案した方法の1つを実施し及び/又は実施できるように構成され及び/又は使用され及び/又は適用される。
【0123】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、当業者であれば、本発明は、様々な変更及び変化を行うことができる。本発明の精神と原則から逸脱しない限り行った修正、同等な取替、改良等は、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0124】
1 タップI
2 タップII
3 タップIII
4 回転軸
5 固定板
6 偏向軸
7 レバーアーム
8 バネアーム
9 第1フープ
10 第2フープ
11 スイッチKB1
12 スイッチKB2
【手続補正書】
【提出日】2024-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに並列接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの可動接点はいずれも回転軸に設けられ、前記マスタスイッチ及び切替スイッチの対応する固定接点は対応する変圧器タップに接続され、可動接点は回転軸と共に回転する過程において同軸の固定接点と接続され、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項2】
2つの前記サイリスタ補助モジュールの一端は、いずれもマスタスイッチの切り換え前にフローティングするか、又は元々オンになったマスタスイッチに並列接続され、且つ2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧はいずれもゼロであ
り、
前記制御スイッチもロータリスイッチであり、前記制御スイッチの可動接点も回転軸に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項3】
マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点は合計で少なくとも2組に分けられ、各組の固定接点は対応するレールに取り付けられ、前記レールは、いずれも回転軸を中心とし、動かないように固定されることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項4】
1組あたりの固定接点の固定接点数は同じであ
り、
各組の固定接点は、等弧度で対応するレールに取り付けられ、
マスタスイッチと切替スイッチの両者の全ての固定接点が合計で2組に分けられた場合、対応する2つのレールにおける固定接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W1<0.5W<W2
ΔW=(W-W2)
であり、ここで、W及びW1は、それぞれ第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度及び各固定接点の弧度であり、W2及びΔWは、それぞれ第2レールにおける各固定接点の弧度及び固定接点の隙間の弧度であることを特徴とする、請求項
3に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項5】
マスタスイッチの切り換え前に、前記無電弧負荷時タップ切換器の通常の動作状態は、
回転軸上の1つの可動接点が1つの固定接点の中心線にあり、残りの可動接点がそれぞれ固定接点間の隙間の中心線にあることであることを特徴とする、請求項1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項6】
回転軸上に合計で3つの可動接点がある場合、第1可動接点と第2可動接点は第3可動接点の両側に配置され、3つの可動接点の弧度の関係は、
0<ΔW<W
1可動<0.5W<W
2可動
ΔW
可動=(W-W
2可動)
であり、ここで、Wは第1レールにおける各固定接点の中心位置の間の弧度であり、W
1可動、W
2可動は第1可動接点及び第2可動接点の弧度であり、ΔW
可動は第2可動接点間の隙間の弧度であることを特徴とする、請求項
5に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項7】
前記制御スイッチの開閉は制御機構により制御され
、
前記制御機構は機械的連動機構であり、
前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させ、
前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現されることを特徴とする、請求項
1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項8】
2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じであ
り、
各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間と別の制御スイッチの間には、さらに2つのツェナー・ダイオード及び1つの抵抗が直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応することを特徴とする、請求項
1に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法であって、
回転軸を回転させるように制御して、対応する固定接点に対して接続又は離脱するように可動接点を駆動するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含むことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項10】
前記回転軸の回転方式は、時計回り回転及び反時計回り回転を含
み、
或いは、マスタスイッチを1回切り換えるプロセスは、
対応する切替スイッチの可動接点を、対応する固定接点に接触させ、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチをオフにすることと、
オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第2制御スイッチをオンにし、元々オンになったマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオフにすることと、
設定された時間間隔が経過すると、オンにすべきマスタスイッチに接続されたサイリスタ補助モジュールの第1制御スイッチをオンにし、オンにすべきマスタスイッチをオンにすることと、
全ての制御スイッチをオフにし、対応する切替スイッチの可動接点が対応する固定接点に接触しなくなり、1回のマスタスイッチの切り換えが完了することと、を含み、
或いは、マスタスイッチの切り換え前に、2つのサイリスタ補助モジュールの両端の電圧をいずれもゼロにすることを特徴とする、請求項
9に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項11】
少なくとも2つのマスタスイッチと、2つの切替スイッチと、2つのサイリスタ補助モジュールとを含み、各サイリスタ補助モジュールは2つの制御スイッチを含み、2つのマスタスイッチは、1つの元々オンになったマスタスイッチ及び1つのオンにすべきマスタスイッチを含み、前記マスタスイッチは、対応する変圧器タップを介して電圧調整コイルの対応する回路に接続され、2つのサイリスタ補助モジュールは、マスタスイッチの切り換え過程において、必要なタイミングに応じて元々オンになったマスタスイッチ又はオンにすべきマスタスイッチに接続され、
前記マスタスイッチ及び切替スイッチはいずれもロータリスイッチであり、マスタスイッチと、対応する切替スイッチとは連動するとともに同期して回転し、対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項12】
前記制御スイッチの開閉は制御機構により制御され、
前記制御機構は機械的連動機構であ
り、
前記機械的連動機構は偏向軸を含み、前記偏向軸は、回転軸に固定され且つ回転軸と共に回転し、前記偏向軸には、偏向軸の周りに回転可能なレバーアーム及びバネアームが取り付けられ、バネアームの一端には接点があり、前記接点は回転軸と共に回転して対応する制御スイッチに対して接触又は離脱して、対応する制御スイッチを開閉させ、
前記制御機構は、回転軸により駆動される切替スイッチによって実現されることを特徴とする、請求項
11に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項13】
2つのサイリスタ補助モジュールの構造は同じであ
り、
各サイリスタ補助モジュールは、逆方向に並列接続された1対のサイリスタを含み、逆方向に並列接続されたサイリスタの両端には、RC直列回路が並列接続され、各サイリスタのゲートとカソードとの間には、いずれもキャパシタ、抵抗及びダイオードが順次接続され、ダイオードの正極は対応するサイリスタのカソードに接続され、ダイオードの負極は対応するサイリスタのゲートに接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間には、さらにフルブリッジ整流回路を介して1つの制御スイッチが直列接続され、逆方向に並列接続された2つのサイリスタのゲート間と別の制御スイッチの間には、さらに2つのツェナー・ダイオード及び1つの抵抗が直列接続され、2つのツェナー・ダイオードは逆方向に直列接続され、ツェナー・ダイオードと抵抗とは直列接続された後、フルブリッジ整流回路の出力端に接続され、ツェナー・ダイオードの負極はフルブリッジ整流回路の正極出力端に対応し、ツェナー・ダイオードの正極はフルブリッジ整流回路の負極出力端に対応することを特徴とする、請求項
11に記載の無電弧負荷時タップ切換器。
【請求項14】
請求項
11から
13のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法であって、
連動するとともに同期して回転するように対応するマスタスイッチ及び切替スイッチの開閉を制御するステップと、
対応するマスタスイッチ、切替スイッチ及び制御スイッチの開閉を所定のタイミングに従って制御することで、元々オンになったマスタスイッチからオンにすべきマスタスイッチへの負荷電流の中断のない転移を実現し、且つ各スイッチの開閉過程において電弧が発生しないステップと、を含むことを特徴とする、無電弧負荷時タップ切換器の切換制御方法。
【請求項15】
複数の変圧器タップを含む電圧調整コイルと、
前記電圧調整コイルに接続された無電弧負荷時タップ切換器と、を備え、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、請求項1から
8のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器であり、又は、
前記無電弧負荷時タップ切換器は、請求項
11から
13のいずれか1項に記載の無電弧負荷時タップ切換器であることを特徴とする、電気機器。
【国際調査報告】