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特表2025-503296細胞修復タンパク質抽出物及びその製造方法とその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】細胞修復タンパク質抽出物及びその製造方法とその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/47 20060101AFI20250123BHJP
   C07K 4/12 20060101ALI20250123BHJP
   C07K 2/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20250123BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20250123BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20250123BHJP
   C12N 5/077 20100101ALN20250123BHJP
【FI】
C07K14/47
C07K4/12
C07K2/00
A61P1/16
A61P11/00
A61P13/12
A61P15/00
A61P17/02
A61P19/02
A61P19/08
A61P1/04
A61K38/02
A61P25/00
C12N5/077
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545248
(86)(22)【出願日】2023-01-28
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2023073566
(87)【国際公開番号】W WO2023143519
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210105729.X
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210351455.2
(32)【優先日】2022-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210793711.3
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524283512
【氏名又は名称】ペキン ダーウィン バイオテック カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BEIJING DARWIN BIOTECH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユー
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ウエンヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジエンジュン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BB19
4B065BB22
4B065BB23
4B065BD50
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA06
4C084BA03
4C084CA18
4C084CA56
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA961
4C084ZA962
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
4H045GA15
(57)【要約】
本発明は、細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物に関し、その製造は、下記のステップを含む。ステップ(1):密度が1.0×10個/mL~5.0×10個/mLの間葉系継代細胞を、40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/Lストレス物質を含有する培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10min~14h培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集し、ここで、前記ストレス物質は、化合物1~16から選択あれるいずれか1つ又はその組合せである。ステップ(2):収集された細胞を、2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を製造し、ろ過して、得る。本発明の得られた細胞タンパク質抽出物又はその組成物は、組織内因性修復を促進することができ、神経損傷の修復、関節損傷の修復、損傷した毛包細胞の修復、皮膚損傷の修復に使用でき、且つ、純度が高く、安定性が良く、安全で効果的であり、生存細胞が冷蔵を必要とし且つその活性が細胞生存可能時間に制限されるということを効果的に解決する等の利点を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物であって、その製造は、
密度が1.0×10個/mL~5.0×10個/mLの間葉系継代細胞を、40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/Lストレス物質を含有する培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10min~14h培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集し、ここで、前記ストレス物質は、化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せである、ステップ(1)と、
【表1-1】
【表1-2】
収集された細胞を、5.0×10個/mL~1.0×10個/mLの密度で、溶媒に分散させ、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を製造し、ここで、前記溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つであるか、又はその組合せである、ステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む、
細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物。
【請求項2】
ステップ(1)の培地に、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する、
請求項1に記載のタンパク質抽出物。
【請求項3】
ステップ(1)の間葉系継代細胞密度は、2.0×10~2.0×10個/mLであり、好ましくは、5.0×10~1.0×10個/mLである、
請求項1~2のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項4】
ステップ(1)に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは、1200rpm~1500rpm*5~10minである、
請求項1~3のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項5】
ステップ(2)の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で3s動作し、1sの間隔をあけて、1~5min超音波処理することである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項6】
ステップ(3)で収集したろ液に凍結乾燥保護剤を加えて、凍結乾燥製剤を製造し、ここで、前記凍結乾燥保護剤は、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンエタジエン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである、
請求項1~5のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項7】
質量%で、前記凍結乾燥製剤に、凍結乾燥保護剤を0.7~7%、好ましくは、1~5%含有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項8】
前記凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくは、pH7~7.5である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のタンパク質抽出物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物及び薬学的に許容可能なキャリアからなる細胞修復組成物。
【請求項10】
細胞修復、関節修復、軟骨修復、皮膚損傷細胞修復、神経損傷細胞修復、臓器損傷の修復、肺線維症の修復、肝臓損傷の修復、腎臓損傷の修復、卵巣修復、抗クローン病、抗亜健康、アンチエイジングのためのいずれか1種の薬物又は製品の製造における、請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物又は請求項9に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学技術の分野に属し、具体的には、細胞修復タンパク質抽出物及びその製造方法とその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞は、生命活動の基本単位であり、且つ、生命体の健康の基礎である。生命体の酸化還元平衡が破壊されると、酸化還元信号及び制御の中断が引き起こされ、酸化ストレス障害が誘発され、種々の疾患が誘発される。損傷した細胞をタイムリーに修復することにより、関連の病変を顕著に改善、治療することができる。
【0003】
細胞及び微生物は、外部刺激及び外因性ストレス物質(冷、熱、酸、アルカリ、電流、放射線、化学物質等を含む)のストレス誘導を受けると、ストレス反応によって、ストレスタンパク質を生成するように細胞及び微生物を誘導する。文献1(New limonophyllines A-C from the stem of Atalantia monophylla and cytotoxicity against cholangiocarcinoma and HepG2cell lines,Arch.Pharm.Res.(2018)41:431-437)には、ミカン科植物(Atalantia monophylla)から抽出して製造された化合物1~16は、腫瘍細胞の増殖等を阻害する活性を有するということが開示されている。
【0004】
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells、MSCs)は、自己複製能及び多方向分化能を有し、骨髄、脂肪、滑膜、歯髄、羊水、胎盤、臍帯、胚、臍帯血、羊膜、末梢血、筋肉、尿等の組織に広く存在し、供給源が広く、マッチングする必要がなく、感染率が低く、分化能が強力で、増殖能力が強く、採集が容易である等の特性を有し、幹細胞増殖因子(SCF)、神経増殖因子(NGF)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロン(IFN)等の活性因子を生成することが可能で、細胞の増殖、アポトーシス、細胞分化、抗ウイルス、免疫成熟等のプロセスの調節に関与し、急性肺損傷、重症肺炎、急性呼吸窮迫症候群等の疾患の免疫調節、組織修復及び治療に使用できる。しかし、MSCs製品は、その生産、保管、輸送及び使用等の段階で冷蔵方式を用い、且つ、その細胞生存性維持≦12hである必要があるため、その治療的使用が制限される。このため、臨床的なニーズを満たすために、安全で効果的な皮膚修復薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物を提供することであり、その製造は、
密度が1.0×10個/mL~5.0×10個/mLの間葉系継代細胞を、40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/Lストレス物質を含有する培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10min~14h培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集し、ここで、前記ストレス物質は、化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せである、ステップ(1)と、

【表1-1】
【表1-2】
収集された細胞を、5.0×10個/mL~1.0×10個/mLの密度で、溶媒に分散させ、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を製造し、ここで、前記溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つであるか、又はその組合せである、ステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0006】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の培地に、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0007】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の培地に、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び4~6μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0008】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の間葉系継代細胞密度は、2.0×10~2.0×10個/mLであり、好ましくは、5.0×10~1.0×10個/mLである。
【0009】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の間葉系継代細胞を培地中で30min~13h、好ましくは45min~12h培養する。
【0010】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)で細胞を洗浄する溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、細胞の洗浄回数は、2~5回であり、好ましくは、3~4回である。
【0011】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは1200rpm~1500rpm*5~10minである。
【0012】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(2)の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で3s動作し、1sの間隔をあけて、1~5min超音波処理することである。
【0013】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)に記載の分離は、2000~8000rpm*10~30min遠心分離、多段遠心分離、多段ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、好ましくは、3000~7000rpm*15~25minである。
【0014】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)の多段遠心分離は、順番に、3000~4000rpm*3~5min、5000~6000rpm*3~5min及び7000rpm*5~8minである。
【0015】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記多段ろ過のろ過膜の孔径は、80um、50um、30um、10um、5umから選択されるいずれか1つである。
【0016】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で製造したンパク質抽出物を冷凍保存し、好ましくは、-40℃~-20℃で冷凍保存する。
【0017】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で収集したろ液に凍結乾燥保護剤を加えて凍結乾燥すると、得られ、ここで、前記凍結乾燥保護剤は、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンエタジエン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0018】
本発明の好ましい技術的解決手段では、質量%で、前記凍結乾燥製剤に、凍結乾燥保護剤を0.7~7%、好ましくは、1~5%含有する。
【0019】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で収集したろ液にタンパク質安定剤を任意に加え、ここで、前記タンパク質安定剤は、アルブミン、亜鉛塩、アルミニウム塩から選択されるいずれか1つである。
【0020】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくは、pH7~7.5である。
【0021】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記凍結乾燥製剤を使用直前に等張液で再溶解した後、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージ、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、穴位注射、腰椎穿刺のいずれか1つ又はその組合せの方式で使用し、ここで、前記等張液は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0022】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記間葉系継代幹細胞の培養又は初代間葉系幹細胞の培養は、当分野の培養方法を採用する。
【0023】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記間葉系継代幹細胞の培養は、初代間葉系幹細胞を5.0×10~5.0×10個/mlの初期密度で継代培地に加え、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0CO条件で10~15日培養し、2~3日おきで、継代培地の黄変を観察した後、継代培地を半分交換するステップを含み、ここで、前記継代培地は、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地である。
【0024】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mmの小片に切り取り、遠心分離し、洗浄し、組織片を収集し、それを10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で培養し、2~3日おきで、培地を半分交換し、組織片から細胞が出て来るまで培養するステップ1)と、
振って、低層細胞を収集してPBSで洗浄した後、0.25%のトリプシンを加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットで軽く吹き叩き、1200~1500rpm/min*5~8min遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップ2)と、を含む。
【0025】
本発明の目的は、細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物の製造方法を提供することであり、当該方法は、
密度が1.0×10個/mL~5.0×10個/mLの間葉系継代細胞を、40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/Lストレス物質を含有する培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10min~14h培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集するステップであって、ここで、前記ストレス物質は、化合物1~16から選択あれるいずれか1つ又はその組合せである、ステップ(1)と、
収集された細胞を、密度5.0×10個/mL~1.0×10個/mLで溶媒に分散させ、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を製造するステップであって、ここで、前記溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つであるか、又はその組合せである、ステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0026】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の培地は、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0027】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の培地は、DMEM/F1245%、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び4~6μmol/Lのストレス物質を含有する。
【0028】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の間葉系継代細胞密度は、2.0×10~2.0×10個/mLであり、好ましくは、5.0×10~1.0×10個/mLである。
【0029】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)の間葉系継代細胞を培地中で30min~13h、好ましくは45min~12h培養する。
【0030】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)で細胞を洗浄する溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、細胞の洗浄回数は、2~5回であり、好ましくは、3~4回である。
【0031】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(1)に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは、1200rpm~1500rpm*5~10minである。
【0032】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記間葉系継代幹細胞の培養又は初代間葉系幹細胞の培養は、当分野の培養方法を採用する。
【0033】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記間葉系継代幹細胞の培養は、初代間葉系幹細胞を初期密度5.0×10~5.0×10個/mlで継代培地に加え、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10~15日培養し、2~3日おきで、継代培地の黄変を観察した後、継代培地を半分交換するステップを含み、ここで、前記継代培地は、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地である。
【0034】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mmの小片に切り取り、遠心分離し、洗浄し、組織片を収集し、それを10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で培養し、2~3日おきで、培地を半分交換し、組織片から細胞が出て来るまで培養するステップ1)と、
振って、低層細胞を収集してPBSで洗浄した後、0.25%のトリプシンを加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットで軽く吹き叩き、1200~1500rpm/min*5~8min遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップ2)と、を含む。
【0035】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(2)の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で3s動作し、1sの間隔をあけて、1~5min超音波処理することである。
【0036】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)の前記分離は、2000~8000rpm*10~30min遠心分離、多段遠心分離、多段ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、好ましくは、3000~7000rpm*15~25minである。
【0037】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)の多段遠心分離は、順番に、3000~4000rpm*3~5min、5000~6000rpm*3~5min及び7000rpm*5~8minである。
【0038】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記多段ろ過のろ過膜の孔径は、80um、50um、30um、10um、5umから選択されるいずれか1つである。
【0039】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で得たンパク質抽出物を冷凍保存し、好ましくは、-40℃~-20℃で冷凍保存する。
【0040】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で収集したろ液に凍結乾燥保護剤を加えて凍結乾燥すると、得られ、ここで、前記凍結乾燥保護剤は、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンエタジエン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0041】
本発明の好ましい技術的解決手段では、質量%で、前記凍結乾燥製剤に、凍結乾燥保護剤を0.7~7%、好ましくは、1~5%含有する。
【0042】
本発明の好ましい技術的解決手段では、ステップ(3)で収集したろ液にタンパク質安定剤を任意に加え、ここで、前記タンパク質安定剤は、アルブミン、亜鉛塩、アルミニウム塩から選択されるいずれか1つである。
【0043】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくは、pH7~7.5である。
【0044】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記凍結乾燥製剤を使用直前に等張液で再溶解した後、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージ、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、穴位注射、腰椎穿刺のいずれか1つ又はその組合せ方式で使用し、ここで、前記等張液は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0045】
本発明の別の目的は、本発明の細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物及び薬学的に許容可能なキャリアからなる細胞修復組成物を提供することである。
【0046】
本発明の薬学的に許容可能なキャリアの用量又はその種類は、組成物中の有効成分の物理化学的性質及び含有量、製剤のタイプ、製剤の溶解及び生物学的利用能等の要因によって決定される。
【0047】
本発明の組成物は、当分野の様々な剤形であり得、当分野の製剤技術を用いて製造することができる。
【0048】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記組成物は、凍結乾燥剤、ゲル化剤、鼻スプレー剤、軟膏、クリーム剤、乳剤、液体ドレッシング剤、注射剤、坐剤から選択されるいずれか1つである。
【0049】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記組成物の投与方法は、塗抹、ローリングニードル、マイクロニードル、マッサージ、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、穴位注射、腰椎穿刺から選択されるいずれか1つ又はその組合せである。
【0050】
本発明の別の目的は、本発明の細胞修復効果を有する前記細胞タンパク質抽出物又はその組成物の、細胞修復、関節修復、軟骨修復、皮膚損傷細胞修復、神経損傷細胞修復、臓器損傷の修復、肺線維症の修復、肝臓損傷の修復、腎臓損傷の修復、卵巣修復、抗クローン病、抗亜健康、アンチエイジング的いずれか1種の薬物又は製品の製造における使用を提供することである。
【0051】
本発明の別の目的は、幹細胞が修復効果を有する機能性タンパク質を生成するようにストレス誘導することにおける化合物1~16の使用を提供する。
【0052】
本発明の好ましい技術的解決手段では、前記修復は、細胞修復、毛包修復、関節修復、神経修復のうちのいずれかである。
【0053】
特に明記しない限り、本発明が液体と液体との間の百分率に関する場合、前記百分率は体積/体積百分率であり、本発明が液体と固体との間の百分率に関する場合、前記百分率は体積/重量百分率であり、本発明が固体と液体との間の百分率に関する場合、前記百分率は重量/体積百分率であり、残りは、重量/重量百分率である。
【0054】
特に明記しない限り、本発明では、下記の方法を用いて検出する。
【0055】
1.間葉系幹細胞MSCsの同定:『Standards for the culture and quality control of umbilical cord mesenchymal stromal cells for neurorestorative clinical application』
2.活性酸素(IOD)、スーパーオキシドジスムターゼSOD、マロンジアルデヒドMDAのレベルを、市販のキットを用いて検出する。
【発明の効果】
【0056】
本発明は、従来の技術と比較して、下記の有益な効果を有する。
【0057】
1、本発明では、細胞修復効果を有する細胞タンパク質を生成するように間葉系幹細胞をストレス誘導するストレス物質を含有する培地を科学的にスクリーニングし、得られた細胞タンパク質抽出物は、神経損傷の修復、関節損傷の修復、損傷した毛包細胞の修復、皮膚損傷の修復、肺線維症の修復、肝臓損傷の修復、腎臓損傷の修復、亜健康の修復、早期卵巣不全の修復、クローン病の予防と治療、アンチエイジング等を有し、且つ、純度が高く、安定性が良く、安全で効果的であり、生存細胞が冷蔵を必要とし且つその活性が細胞生存可能時間に制限されるということを効果的に解決する等の利点を有する。
【0058】
2、本発明の製造方法は、操作が簡便で、環境に優しく、コストがよりよく、工業化生産に適する等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の細胞タンパク質抽出物の、酸化的に損傷された皮膚に対する修復作用の研究である。
図2】本発明の細胞タンパク質抽出物の、UVB照射による皮膚損傷に対する修復作用の研究である。
図3】本発明の細胞タンパク質抽出物の、UVB照射による皮膚損傷における酸化物(IOD)生成に対する影響である。平均値±SD(n=3)である。##は、ブランク対照(BC)群と比較して、p<0.01であることを示し、*は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.05であることを示し、**は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.01であることを示す。
図4】本発明の細胞タンパク質抽出物の、UVB照射による皮膚損傷におけるスーパーオキシドジスムターゼSOD生成に対する影響である。平均値±SD(n=3)である。##は、ブランク対照(BC)群と比較して、p<0.01であることを示し、*は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.05であることを示し、**は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.01であることを示す。
図5】本発明の細胞タンパク質抽出物の、UVB照射による皮膚損傷におけるMDAレベルに対する影響である。平均値±SD(n=3)である。##は、ブランク対照(BC)群と比較して、p<0.01であることを示し、*は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.05であることを示し、**は、NC(陰性対照)群と比較して、p<0.01であることを示す。
図6】本発明のタンパク質抽出物の、内側顆関節損傷における修復作用の研究である。
図7】本発明のタンパク質抽出物の、プラトー関節損傷における修復作用の研究である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明の詳細な内容についてさらに解釈、説明するが、本発明の保護範囲は、これに限定されない。
【0061】
1、初代間葉系幹細胞の培養
初代間葉系幹細胞の培養は、
臍帯を洗浄消毒した後、組織を解剖し、ワルトンジェリー層組織を取って、3mmの小片に切り取り、遠心分離し、洗浄し、組織片を収集し、それを培養フラスコに置き、10%ウシ胎児血清FBS、100ug/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地を加え、それを37℃、5%CO条件で培養し、付着を促進し、2~3日おきで、培地の黄変を観察した後、培地を半分交換し、組織片の辺縁で細胞が出て来るのが見えるまで、10~12日培養するステップ1)と、
軽く振って、組織片を落とし、組織片及び低層細胞をそれぞれ収集し、ここで、収集した組織片を再付着して培養するステップ2)と、
収集した低層細胞をPBSで洗浄した後、0.25%トリプシンを適量加えて2min~3min消化し、同容量のトリプシン停止液を加えて消化を停止し、ピペットでフラスコの底を軽く吹き叩き、1500rpm/min*5min遠心分離した後、細胞を収集して、得るステップ3)と、を含む。
【0062】
2、初代間葉系幹細胞の継代培養
初代間葉系幹細胞の継代培養:初代間葉系幹細胞を1.0×10-6.0×10個/mlの初期密度で、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100ug/mlストレプトマイシンを含有するDMEM/F12培地に加え、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10~15日培養し、2~3日おきで、培地の黄変を観察した後、培地を半分交換する。
【0063】
3、化合物1~16の製造は、文献1(New limonophyllines A-C from the stem of Atalantia monophylla and cytotoxicity against cholangiocarcinoma and HepG2 cell lines,Arch.Pharm.Res.(2018)41:431-437)を参照できる。
【0064】
(実施例1)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を5.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物16を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を8.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波作業を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0065】
(実施例2)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例1で製造した細胞タンパク質抽出物に、必要な量のマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に2%のマンニトール(m/m)を含有した。
【0066】
(実施例3)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を8.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物16を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で4h培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を1.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0067】
(実施例4)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例3で製造した細胞タンパク質抽出物に、必要な量のマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に5%のマンニトール(m/m)を含有した。
【0068】
(実施例5)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を5.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物16を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で12h培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を1.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0069】
(実施例6)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例5で製造した細胞タンパク質抽出物に、必要な量のマンニトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に2%のマンニトール(m/m)を含有した。
【0070】
(実施例7)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を5.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び5μmol/Lの化合物13を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で30min培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を7.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波作業を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得る(3)ステップと、を含む。製造した細胞タンパク質抽出物を、必要に応じて凍結乾燥することができる。
【0071】
(実施例8)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例7で製造した細胞タンパク質抽出物にソルビトールを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に3%のソルビトール(m/m)を含有した。
【0072】
(実施例9)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を1.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び8μmol/Lの化合物14を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で4h培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を5.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0073】
(実施例10)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例9で製造した細胞タンパク質抽出物にデキストランを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥し、得られた凍結乾燥製剤に1%のデキストラン(m/m)を含有した。
【0074】
(実施例11)本発明の細胞タンパク質抽出物の製造
本発明の細胞タンパク質抽出物の製造方法は、
間葉系継代細胞を1.0×10個/mLの密度で、45%のDMEM/F12、45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5%、上皮細胞成長因子(EGF)10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)10ug/mL、インスリントランスフェリン10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.05%及び8μmol/Lの化合物15を含有する培地に加え、それを37℃、5%CO条件で12h培養した後、それを1200rpm*5minで遠心分離し、PBSで3回洗浄した後、細胞を収集するステップ(1)と、
ステップ(1)で収集した細胞を5.0×10個/mLの密度で、生理食塩水に分散させ、2~8℃、25kHz、360W条件で超音波を1s間隔で3s行い、2min超音波処理し、細胞溶解液を製造するステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を7000rpm*20minで遠心分離し、得られた遠心分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む。
【0075】
(実施例12)本発明の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤の製造
実施例11で製造した細胞タンパク質抽出物にデキストランを加え、撹拌し、均一に混合した後、凍結乾燥すると、得られ、得られた凍結乾燥製剤に2%のデキストラン(m/m)を含有した。
【0076】
(試験例1)本発明の細胞タンパク質抽出物の、酸化的に損傷された皮膚に対する修復作用の研究
3D皮膚モデル:
、市販のEpiKutisを購入した。
【0077】
SLSワーキングソリューション:0.0080gのSLSを秤量して、2mLのPBS溶液に溶解させ、0.22μmでろ過した後、0.4%SLS母液を調合した。0.5mLの0.4%SLS母液を吸い取って、0.5mLのPBSを加え、0.2%SLSワーキングソリューションを調合した。
【0078】
WY14643ワーキングソリューション:10mgのWY14643(PPARα興奮剤)を秤量して、1mLのDMSOに溶解させ、30mMのWY14643母液を調合した。続いて、10μLのWY14643母液(30mM)を6mLのモデル培養液に加えて、50μMのWY14643ワーキングソリューションを調合した。
【0079】
モデル培養液:DMEM基礎培地。
【0080】
6ウェルプレートに0.9mLモデル培養液を加え、3D皮膚モデルを6ウェルプレートに移し、試験番号を標識した。
【0081】
ブランク対照(BC):皮膚モデルに対して何の処理もせず、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて48hインキュベートした。
【0082】
陰性対照(NC):皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした。
【0083】
陽性対照(PC):皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした後、50μMのWY14643ワーキングソリューションを25μL追加し、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした。
【0084】
試験群:皮膚モデルの表面に0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした後、1%の細胞タンパク質抽出物溶液(実施例2の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥粉を生理食塩水で1%の溶液を製造した)を25μL加え、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて、24hインキュベートした。
【0085】
48hインキュベートした後、PBS溶液で洗浄して、皮膚モデルの内外に残存している液体を除去した。4%のパラホルムアルデヒドで24h固定処理をした後、円形切除によりモデルを取り外し、H&E染色処理をした後に観察した。結果は、図1を参照できる。本発明のタンパク質抽出物は、酸化的に損傷された皮膚に対して、明らかな修復作用を有した。
【0086】
(試験例2)本発明の細胞タンパク質抽出物の、UVB放射線によって損傷された皮膚に対する修復作用の研究
3D皮膚モデル:
、市販のEpiKutisを購入した。
【0087】
モデル培養液:DMEM基礎培地。
【0088】
VEワーキングソリューション:0.5gのVE原液を吸い取って、10mLの無水エタノールに溶解させて、5%の母液を調合し、5%母液を100μL吸い取って、10mLのモデル培養液に溶解させ、0.05%のVEワーキングソリューションを調合した。
【0089】
6ウェルプレートに0.9mLのモデル培養液を加え、3D皮膚モデルを6ウェルプレートに移し、試験番号を標識した。
【0090】
ブランク対照(BC):皮膚モデルに対して何の処理もせず、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて48hインキュベートした。
【0091】
陰性対照(NC):皮膚モデルの表面に用量が600mJ/cmのUVB照射した後、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートし、0.2%のSLSワーキングソリューションを25μL加え、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした。
【0092】
陽性対照(PC):皮膚モデルの表面に用量が600mJ/cmのUVBを照射した後、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートし、0.05%のVEワーキングソリューションを25ul追加し、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした。
【0093】
試験群:皮膚モデルの表面に用量が600mJ/cmのUVBを照射した後、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートし、1%の細胞タンパク質抽出物溶液(本発明の実施例4で製造した細胞タンパク質抽出物凍結乾燥粉を生理食塩水で1%の溶液に製造した)を25ul追加し、それをCOインキュベーター(37℃、5%CO)に入れて24hインキュベートした。
【0094】
48hインキュベートした後、PBS溶液で洗浄して、皮膚モデルの内外に残存している液体を除去した。4%のパラホルムアルデヒドで24h固定処理をした後、円形切除によりモデルを取り外し、H&E染色処理をした後に観察し、結果は、図2を参照できる。UVB放射線によって損傷された皮膚の活性酸素(IOD)、スーパーオキシドジスムターゼ、マロンジアルデヒド(MDA)レベルを検出し、結果は、図3図5を参照できる。本発明の細胞タンパク質抽出物は、UVB放射線によって損傷された皮膚に対して、明らかな修復作用を有した。
【0095】
(試験例3)本発明の細胞タンパク質抽出物の、関節損傷及び軟骨損傷に対する修復作用の研究
一般的に飼育した、体重が47kgで月齢が12ヶ月の雄ヤギを全身麻酔した後、その左内側顆を8cm正中切開し、膝蓋腱の内側縁を関節まで分離切開し、大腿骨内側顆及び内側脛骨プラトーを露出させ、関節軟骨の表面が滑らかであり、3mmボールドリルで大腿骨内側顆に0.3×0.3×0.6cm(長さ×幅×深さ)の大きさの軟骨損傷創傷を作った後、切開部を縫合した(図6参照)。その右外側プラトーを8cm正中切開し、1層ずつ分離し、膝蓋腱の外側で関節包に入り、大腿骨外側顆及び脛骨外側プラトーを露出させ、軟骨が完全でかつ滑らかであることを見かけ、3mmボールドリルでプラトーの外側に0.6×0.3×0.3cm(長さ×幅×深さ)の大きさの軟骨損傷創傷を作った後、切開部を縫合した(図7参照)。
【0096】
ヤギの片側の膝関節腔内に、実施例6の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤溶液(実施例6の細胞タンパク質抽出物凍結乾燥製剤を生理食塩水で2.4%の溶液に製造した)を毎週2.5ml注射し、3週間連続して注射した。毎日朝晩一回ずつ観察し、結果は、表1を参照できる。
【0097】
【表2】
49日間観察した後、実験ヤギを麻酔して殺し、材料を取って軟骨スライスを作った(図6~7参照)。
【0098】
本発明の細胞タンパク質抽出物は、優れた関節損傷の修復作用を有し、且つ安全で効果的である。
【0099】
上述した本発明の具体的な実施形態に対する説明は本発明を限定するものではなく、当業者は本発明に基づいて様々な変更又は変形を行うことができ、本発明の精神から逸脱しない限り、いずれも本発明の特許請求の保護範囲に属するべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物であって、その製造は、
密度が1.0×10個/mL~5.0×10個/mLの間葉系継代細胞を、40~50%のDMEM/F12、40~50%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.1~2%、上皮細胞成長因子(EGF)1~15ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)1~15ug/mL、インスリントランスフェリン1~15ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.01~0.1%及び2~10μmol/Lストレス物質を含有する培地に入れ、それを37.0℃±0.5℃、5%±1.0%CO条件で10min~14h培養した後、分離し、洗浄し、細胞を収集し、ここで、前記ストレス物質は、化合物1~16から選択されるいずれか1つ又はその組合せである、ステップ(1)と、
【表1-1】
【表1-2】
収集された細胞を、5.0×10個/mL~1.0×10個/mLの密度で、溶媒に分散させ、それを2℃~8℃条件で超音波処理して、細胞溶解液を製造し、ここで、前記溶媒は、生理食塩水、5%グルコース溶液、リン酸塩緩衝液(PBS)、TBPS緩衝液、TBST緩衝液、Tris緩衝液から選択されるいずれか1つであるか、又はその組合せである、ステップ(2)と、
ステップ(2)で製造した細胞溶解液を分離した後、得られた分離液を0.45um、0.22umろ過膜で順次ろ過して、得るステップ(3)と、を含む、
細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物。
【請求項2】
ステップ(1)の培地に、42~45%のDMEM/F12、42~45%のRPMI1640、ウシ血清タンパク質(BSA)0.5~1.5%、上皮細胞成長因子(EGF)5~10ug/mL、線維芽細胞増殖因子(FGF)5~10ug/mL、インスリントランスフェリン5~10ug/mL、複合アミノ酸(18AA)0.02~0.05%及び3~8μmol/Lのストレス物質を含有する、
請求項1に記載のタンパク質抽出物。
【請求項3】
ステップ(1)の間葉系継代細胞密度は、2.0×10~2.0×10個/mLであり、好ましくは、5.0×10~1.0×10個/mLである、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項4】
ステップ(1)に記載の分離は、遠心分離、ろ過から選択されるいずれか1つ又はその組合せであり、ここで、前記遠心分離条件は、1000~2000rpm*3~15minであり、好ましくは、1200rpm~1500rpm*5~10minである、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項5】
ステップ(2)の超音波条件は、2℃~8℃、25kHZ、360W条件で3s動作し、1sの間隔をあけて、1~5min超音波処理することである、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項6】
ステップ(3)で収集したろ液に凍結乾燥保護剤を加えて、凍結乾燥製剤を製造し、ここで、前記凍結乾燥保護剤は、マンニトール、ソルビトール、デキストラン、グリセロール、スクロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マルトース、グルカン、トリカプリリン(HES)、ポリエチレングリコール、エチレンエタジエン、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ソルビトール、デンプンから選択されるいずれか1つ又はその組合せである、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項7】
質量%で、前記凍結乾燥製剤に、凍結乾燥保護剤を0.7~7%、好ましくは、1~5%含有する、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項8】
前記凍結乾燥製剤は、pH6~8であり、好ましくは、pH7~7.5である、
請求項1記載のタンパク質抽出物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物及び薬学的に許容可能なキャリアからなる細胞修復組成物。
【請求項10】
細胞修復、関節修復、軟骨修復、皮膚損傷細胞修復、神経損傷細胞修復、臓器損傷の修復、肺線維症の修復、肝臓損傷の修復、腎臓損傷の修復、卵巣修復、抗クローン病、抗亜健康、アンチエイジングのためのいずれか1種の薬物又は製品の製造における、請求項1記載の細胞修復効果を有する細胞タンパク質抽出物又は請求項9に記載の組成物の使用。
【国際調査報告】