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特表2025-503298基板の化学及び/又は電解表面処理において前記基板を保持する基板ホルダ
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  • 特表-基板の化学及び/又は電解表面処理において前記基板を保持する基板ホルダ 図1
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  • 特表-基板の化学及び/又は電解表面処理において前記基板を保持する基板ホルダ 図9b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】基板の化学及び/又は電解表面処理において前記基板を保持する基板ホルダ
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20250123BHJP
【FI】
C25D17/08 R
C25D17/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545255
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2022087732
(87)【国際公開番号】W WO2023143842
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】22154314.3
(32)【優先日】2022-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518264310
【氏名又は名称】セムシスコ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】SEMSYSCO GmbH
【住所又は居所原語表記】Karolingerstrasse 7C 5020 Salzburg Republic of Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス グライスナー
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ホファー
(57)【要約】
本開示は、基板(1)の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板(1)を保持する基板ホルダ(S1)と、基板ホルダ(S1)と浸漬スキャナユニット(S2)を備える基板操作システムと、1000~3500mm範囲の幅及び1000~4000mmの長さの基板を保持する基板ホルダの使用に関する。
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する当該基板ホルダ(S1)は、基板キャリア(2)と電気接触ユニット(3)を備える。前記基板キャリア(2)は、前記基板(1)を担持するフレーム(2a)を有する。前記電気接触ユニット(3)は、本体(3a)と、該本体(3a)から少なくとも一部が前記基板キャリア(2)の縁部に沿って延在する複数の主脚部(3b)と、各々が該複数の主脚部(3b)のうちの一で本質的に垂直に配置されることで前記基板(1)と接触する複数の側脚部(3c)を有する。前記電気接触ユニット(3)は、前記電気接触ユニット(3)の前記本体(3a)と前記基板キャリア(2)の前記フレーム(2a)との間に供されて、前記基板(2)が前記基板キャリア(2)に設けられるときに前記基板(2)を前記電気接触ユニット(3)に接触した状態に保つ複数の保持部(3d)をさらに有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダであって、
基板キャリアと、
電気接触ユニット、
を備え、
前記基板キャリアは、前記基板を担持するフレームを有し、
前記電気接触ユニットは、本体と、該本体から少なくとも一部が前記基板キャリアの縁部に沿って延在する複数の主脚部と、各々が該複数の主脚部のうちの一で本質的に垂直に配置されることで前記基板と接触する複数の側脚部を有し、
前記電気接触ユニットは、該電気接触ユニットの前記本体と前記基板キャリアの前記フレームとの間に供されて、前記基板が前記基板キャリア上に設けられるときに前記基板を前記電気接触ユニットに接触した状態に保つ複数の保持部をさらに有する、
基板ホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板ホルダであって、前記基板の対向する面上の前記保持部は、前記フレーム上に各異なる圧力を印加するように構成される、基板ホルダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板ホルダであって、前記保持部は、ばね部材、空圧部材、電気部材、磁気部材、及び/又は吸引部材を含む、基板ホルダ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記基板に電流を供給するように前記側脚部に配置される複数の電気接触部分をさらに備える、基板ホルダ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って前記側脚部内の前記電気接触部分まで延在する電気伝導線をさらに有する、基板ホルダ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記主脚部、前記側脚部、前記電気接触部分、及び/又は前記保持部は、前記基板キャリアの2つの対向する縁部又は全4つの縁部に沿って配置される、基板ホルダ。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記電気接触部分は、乾式電気接触、湿式電気接触、及び/又は接触アームである、基板ホルダ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記基板キャリアは、前記基板キャリアの前記フレームと前記基板との間で吸引を行うように構成される真空ユニットを有する、基板ホルダ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って、前記基板を保持するように前記側脚部に配置される吸引領域まで延在する真空ラインをさらに有する、基板ホルダ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記基板キャリアは、前記基板の2つの面の二面化学及び/又は電解表面処理を行うため、縁部及び/又は隅部のみで前記基板を保持するように構成される、基板ホルダ。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記基板キャリアは、該基板キャリアの対向する面上に2つの基板を担持するように構成される、基板ホルダ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の基板ホルダであって、前記基板キャリアはグリッド形状である、基板ホルダ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の基板ホルダと浸漬スキャナユニットを備える基板操作システムであって、前記基板ホルダは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を保持するように構成される、基板操作システム。
【請求項14】
請求項13に記載の基板操作システムであって、前記基板又は前記浸漬スキャナユニットを、相互に対して好適には最大3次元で動かすように構成される振動ユニットをさらに備える、基板操作システム。
【請求項15】
1000~3500mm範囲の幅及び1000~4000mmの長さで、好適には1500~3000mm範囲の幅及び1500~3500mmの長さの基板を保持する、請求項1~12のいずれか一項に記載の基板ホルダの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダと浸漬スキャナユニットを備える基板操作システムと、並びに基板を保持するための基板ホルダの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
基板は、半導体技術分野において様々なシステムによって処理されている。そのようなシステムの一つは所謂高速メッキシステム(HSP)である。そのようなシステムでは、1つ又は2つの基板と共に1つ又は2つのHSPが、電解液と1つ以上の陽極を含むタンク内に浸漬される。電解液で満たされたこのタンク内部では、電解液(及びこれにより電流分布)は、HSPプレートを介して基板表面(複数可)へ向かって導かれる。
【0003】
被処理基板は、そのようなHSPシステム内において基板ホルダ(チャックとも呼ばれる)によって支持されなければならない。基板ホルダによって保持される基板は、様々な処理ステーションを介して移送され、プロセスが満足行くように実行されるために所定の場所に保持される。特にHSPシステムが走査システムと結合されるとき、被処理基板の操作、保持、及び移送は、安定的かつ信頼できる保持システムの使用を必要とする。
【0004】
従来技術は、大きな基板で用いられるのに特に適する確実な操作及び移送システムを提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持することで、基板-特に様々なプロセスを受ける大きな基板-を正確かつ効率的に操作する、改良版基板ホルダを供する必要があると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって解決されるこの課題は、独立請求項の対象によって解決される。他の実施形態は従属請求項に含まれる。
【0007】
以降で説明される本開示の態様は、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダと浸漬スキャナユニットを備える基板操作システムと、並びに基板を保持するための基板ホルダの使用にも適用され得ることに留意して欲しい。
【0008】
本開示の態様によると、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダが供される。
【0009】
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する当該基板ホルダは、基板キャリアと電気接触ユニットを備える。前記基板キャリアは、前記基板を担持するフレームを有する。前記電気接触ユニットは、本体と、該本体から少なくとも一部が前記基板キャリアの縁部に沿って延在する複数の主脚部と、各々が該複数の主脚部のうちの一で本質的に垂直に配置されることで前記基板と接触する複数の側脚部を有する。前記電気接触ユニットは、該電気接触ユニットの前記本体と前記基板キャリアの前記フレームとの間に供されて、前記基板が前記基板キャリアに設けられるときに前記基板を前記電気接触ユニットに接触した状態に保つ複数の保持部をさらに有する。
【0010】
前記被処理基板は、プロセスステーションへ運搬される前記基板用の前記基板キャリアの前記フレーム上に設けられてよい。前記基板キャリアは、該基板キャリア上で前記フレームを保持する真空手段を有し得る。前記基板は、陰極として、陽極として、又は、たとえば処理時間に応じて交互に陰極及び陽極として機能し得る。前記基板が前記プロセスの特定の期間陽極として機能する場合、特定された陽極は、陰極のように分極する。
【0011】
前記電気接触ユニットの前記本体の前記主脚部及び該主脚部のうちの一で本質的な垂直に延在する前記側脚部は部分的に、前記基板キャリア上に設けられる前記基板を取り囲み得る。本質的に垂直とは、90°付近だが、45°~90°であることを意味し得る。前記電気接触ユニットの前記主脚部と前記側脚部とがなす角は、当該基板ホルダによって保持される前記基板に従って定義され得る。前記電気接触ユニットの前記主脚部と前記側脚部モノリシックであり、単一部材として製造され得ることを意味する。前記電気接触ユニットの前記本体は、すべて又は複数の主脚部用の一の部材であってよい。前記電気接触ユニットの前記本体はまた、複数の本体部をも有し得る。前記主脚部の各々は一の本体部から延在し得る。
【0012】
対向する面上の保持部は、前記基板が該基板の中心に対して傾斜しているとき-これは搬送中又は表面処理(たとえばプレウエッティング、走査、メッキ、洗浄、乾燥、無電解堆積又は電気化学処理)中に起こり得る-、前記フレーム上に設けられる基板を前記電気接触ユニットと接触した状態を保つことができる。そのように傾斜することで通常、前記の運搬された基板と前記電気接触ユニットとの間での電気接触が失われる恐れがある(たとえば前記基板キャリアが前記電気接触ユニットに対して傾斜する、換言すると前記基板キャリアの本来の位置に対する角度位置が変化するからである)。前記中心の対向する面上の前記保持部は、前記基板キャリア及び/又は前記電気接触ユニットに対して前記基板が傾斜する間に接触が失われることを防ぐことができる。
【0013】
前記基板の対向する面上の保持部は、前記フレーム上に各異なる圧力を印加するように構成され得る。従って前記基板と前記フレームとの間の角度はさらに、該前記基板キャリアの中心に対して前記基板キャリアの対向する面上に様々な保持部を選択することによって調節され得る。本願では前記基板は、前記フレームに対して平行となる(つまり両者の間の角は0°である。)ように保たれ、かつ、前記フレームに対して完全に平行ではないが本質的に平行な姿勢に保たれてよい。前記基板は、前記電気接触ユニットの前記本体(より詳細には前記側脚部)と前記フレームとの間で圧縮され得る。従って前記電気接触ユニットの前記本体と前記フレームとの間の保持部は、力を印加することで、接触圧力を発生させ、さらに前記基板の表面処理プロセス中に安全な電気接触が維持されることを保証する。
【0014】
前記基板を安定して担持し、かつ、操作することによって、前記表面処理プロセスは、前記基板のすべての部分(換言すると前記基板表面の全領域)に均等になされ得る。従って同一の基板ホルダが、前記基板の解放及び再搬送しなくても、あるいは、前記プロセス間で前記基板の位置を調節しなくてもすべての異なる化学又は電解表面処理にわたって用いられ得る。
【0015】
ある実施形態では、前記保持部は、ばね部材、空圧部材、電気部材、磁気器部材、及び/又は吸引部材を含む。前記保持部は、前記プロセス及びプロセス流体に依存して表面処理中に用いられる列挙された候補のうちの一と定義され得る。たとえば使用される電解質に依存して、電気部材又は磁気部材は保持部としての使用は不適切となる恐れがあり、むしろばね部材がより好適となると思われる。それに加えて印加が必要な力又は保持される基板のサイズもまた、前記保持部にとって適切な手段を定め得る。たとえば様々な接触部での前記基板材料の感度に依存して、対応する保持部が選択されてよい。保持部として用いられる手段に依存して、前記電気接触ユニットの前記本体と前記基板キャリアの前記フレームとの間に印加される圧縮力が調節されてよい。たとえば前記保持部がばね部材であるとき、様々な弾性係数を有するばね部材が用いられてよい。
【0016】
ある実施形態では、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダは、複数の接触部をさらに備える。前記電気接触部は、前記電気接触部に存在する。より詳細には前記電気接触部は、前記基板に電流を供給するように前記側脚部に配置され得る。前記電気接触部は、信頼性のある電解表面処理のために十分な電流を供するだけではなく、前記基板の優れた操作を支援するように前記基板と接触し得る。前記基板キャリアのフレームに対する前記基板の位置合わせが制御可能であるため、前記基板へ電流を連続的に供給することができる。従って中断されない安定な表面処理プロセスが実行され得る。
【0017】
他の実施形態では、前記電気接触部は交換可能である。従って電気接触部のうち欠陥のあるものは取り換え可能である。さらに前記電気接触部を変えることによって、特定の表面処理用により大きな電圧を必要とする接触領域は処理され得る。
【0018】
さらに他の実施形態では、前記電気接触部は、きゃしゃな設計及び細い形状を有することができる。前記電気接触部を減らした構成にすることで、狭ギャップ処理-つまり前記基板と前記HSPとの間の距離を狭くした処理-が可能となる。
【0019】
ある実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って前記側脚部内の前記電気接触部まで延在する電気伝導線をさらに有する。従って単一電源によって、電流は、すべての電気接触部を別個に始動させる必要なくすべての電気接触部を介して供給可能である。これにより、均一な電流が前記電気接触部の各々を介して供給可能で、かつ、等しい電流密度が前記基板上で得られ得る。
【0020】
ある実施形態では、前記主脚部、前記側脚部、前記電気接触部、及び/又は前記保持部は、前記基板キャリアの2つの対向する端部に沿ってのみ配置される。換言すると、前記基板ホルダは前記基板の2つの対向する面に沿って保持され、かつ、前記電気接触部は、対向する端部から前記の保持された基板へ電流を供給することができる。
【0021】
他の実施形態では、前記主脚部、前記側脚部、前記電気接触部、及び/又は前記保持部は、前記基板キャリアの全4つの端部に沿って配置される。換言すれば、前記基板ホルダは、前記基板上で均等化された電流及び電流密度を供するように前記基板の全側部に沿って保持されてよい。ただし印加された電流は、前記基板の各異なる側部で各異なる電流分布を供するために独立制御されても良い。
【0022】
ある実施形態では、前記電気接触部は、乾式電気接触、湿式電気接触、及び/又は接触アームである。
【0023】
乾式電気接触では、前記電気接触ユニットは、前記電気接触部の周りに封止部を有してよい。前記電気接触部が封止部によって取り囲まれるとき、真空が、前記電気接触部を含む前記の封止された領域内部に生成され得る。乾式電気接触は、前記の供給された電気を非常に正確に定めることを可能にする。乾式電気接触は、単一の電気接触であると共に前記電気レベル及び/又は電流密度分布を独立に制御することを可能にする。最後だが少なくともではなく、前記乾式電気接触は、前記基板との接触地点上及び該接触地点周辺での表面処理を防止し得る。
【0024】
一の実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記基板に吸引力を印加するため、中心において接触部と共に真空排気封止部を有してよい。前記封止部はベローであってよい。従って前記封止部は、外部の制御されない中断から前記電気接触部を保護し得る。この種の前記の印加された真空の点接触は、前記基板上での接触面積が最小化される点で有利となり得る。
【0025】
他方湿式電気接触では、前記電気接触部は、少なくとも前記被処理基板の端部に沿って延在し得る。湿式電気接触は、すべての電気接触部へ同一の電気レベル及び/又は同一の電流密度を供することができる。湿式電気接触では、前記電気接触部は(たとえば前記電気接触部周辺の封止部を介することで)周囲とは隔離されないので、プロセス流体と接触することができる。従って湿式接触では、接触部は化学及び/又は電解表面処理に曝され得る。前記基板と接触する前記電気接触地点上及び該電気接触地点周辺で表面処理が回避できないので、乾式電気接触とは異なり、前記電気接触部の再条件設定のため、電解エッチングプロセスがさらに必要となると思われる。湿式接触と乾式接触のいずれも、前記電気接触部は容易に変更可能である。
【0026】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、前記基板キャリアの前記フレームと前記基板との間で吸引を行うように構成される真空ユニットを有する。真空は、周辺よりも圧力の低い状態はすべて該当すると解される。前記真空ユニットによってなされる真空は、前記真空ユニットによって保持される前記基板に印加される力を調節するように微調整され得る。本発明の目的に沿って、前記真空ユニットは、前記の保持された基板を安全に操作し、かつ、前記基板ホルダでの前記基板の位置設定を正確に行う。前記基板キャリアのフレームに対する前記基板の位置合わせが厳密に制御可能であるため、前記基板への電気(電流)の供給を連続的に行うことができる。従って制御されない中断は回避され、かつ、安定した表面処理プロセスが行われ得る。
【0027】
前記真空ユニットは、真空ヘッド及び任意で前記真空ヘッドを取り囲む封止部を有し得る。真空ユニットはまた、前記基板の接触領域上での印加された吸引力を供給するため、ある領域内で集められる多くの真空ヘッドで構成されるものとも定義され得る。たとえば前記真空ヘッドは、たとえば前記フレームの端部に沿って位置合わせされてよい。点接触とは異なり、真空ヘッドを用いることは、前記基板上の接触領域に印加される圧力を減少させる点で有利となり得る。前記真空ユニットは、前記電気接触ユニット(より詳細には電気接触部)と前記基板との間での安定した接続を保証する。
【0028】
ある実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って吸引領域まで(たとえば真空ユニット又は真空ヘッドを介して)延在する真空ラインをさらに有する。真空ラインは、前記基板を保持するように前記側脚部に配置されてよい。この実施形態では、前記真空ラインは、封止部によって取り囲まれてよい。前記主脚部及び前記側脚部に沿って延在する前記真空ラインは、環境に起因し得る外乱から保護されるような前記電気接触ユニットと前記基板との間での安全な接触を保証することができる。さらに前記真空ラインは、前記基板上への均等な吸引力の印加及び前記基板の安全な保持を実現することができる。
【0029】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、1つの基板だけ担持するように構成される。この例では、前記基板の一面のみが処理されることが意図され得る。前記基板は、該基板のどの部分-たとえば中央領域-から保持されてもよい。
【0030】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、前記基板の2つの面の二面化学及び/又は電解表面処理を行うため、側部及び/又は隅部のみで前記基板を保持するように構成される。
【0031】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、2つの基板を担持するように構成される。2つの基板を各々は前記基板キャリアの一面で担持される。このことは、前記基板キャリアが、設けられる前記基板の両面に必要な構造-たとえば電気接触部-を有し得ることを意味する。
【0032】
ある実施形態では、前記基板キャリアはグリッド形状である。グリッド形状という用語は、相互に交差することで正方形又は長方形を形成する水平線と垂直線で作られるパターン又は構造を定義する。前記基板キャリアはまた、フレーム形状であってよく、あるいは他の形状を有しても良い。従って前記基板キャリアの接触は、前記表面上に応力地点を生成することなく前記基板表面に沿って均等に供給され得る。この実施形態では、真空は、前記基板キャリア上の流出口を介して被処理基板に対して生じさせ得る。よって真空は、前記基板の前記表面全体にわたって均等に実現され得る。
【0033】
本開示によると、基板操作システムも供される。当該基板操作システムは、基板ホルダ及び浸漬スキャナユニットを備える。前記基板ホルダは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を保持するように構成される。前記浸漬スキャナユニットは、前記基板ホルダによって保持される前記基板を処理することができる。前記基板ホルダは、前記スキャナユニットに対して並進運動することができる。場合によっては、前記浸漬スキャナユニットは、前記基板を動かさなくても前記基板ホルダに対して並進運動することもできる。
【0034】
前記基板キャリアは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を真っすぐにすることができる。本願で真っすぐにするとは、本質的に平面状基板を得るように前記基板表面上の生じ得る障害物(凹み、ゆがみ)を平らにすることを意味すると考えられる。
【0035】
前記基板キャリアは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板をさらに水平にすることができる。本願において水平化とは、前記スキャナユニットに対して前記基板の姿勢を調節することを意味する。前記姿勢は、前記浸漬スキャナまでの前記基板の距離、及び、前記スキャナユニットに対する前記基板の方向を含み得る。前記基板キャリアは、前記基板を、前記浸漬スキャナユニットに対して平行な方向に保ち、かつ、前記浸漬スキャナユニットに対して完全に平行ではないが本質的に平行な姿勢、又は、前記浸漬スキャナユニットに対して角度をなす方向に保つことができる。たとえばこの例では、水平化とは、前記浸漬スキャナに対して前記基板の姿勢を1~89°の角度をなすように、好適には1~45°の角度をなすように、より好適には1~30°の角度をなすように調節することを意味する。前記基板と前記スキャナユニットとの間の距離は、1~20mmの範囲、好適には2~15mmの範囲、より好適には3~10mmの範囲となるように水平化され得る。さらに前記基板の水平化-つまり前記浸漬スキャナユニットに対する前記基板の姿勢及び/又は角度-は、前記表面処理プロセス中に変更され得る。
【0036】
ある実施形態では、当該基板操作システムは、直列に配置される複数の浸漬スキャナユニットを有する。
【0037】
少なくとも陽極は、前記基板ホルダとは反対側の前記浸漬スキャナユニットの面に存在し得る。前記陽極は、前記浸漬スキャナの一体化された部品であってよい。前記陽極は、別個の部品であると共に前記浸漬スキャナに隣接して設けられてもよい。この実施形態では、当該基板操作システムは、予備浸漬スキャナユニットをも有してよい。前記予備ユニットは、前記浸漬スキャナユニットと同一面だが前記基板ホルダから離れた位置に存在してよい。
【0038】
ある実施形態では、化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持する基板ホルダは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を動かすように構成される振動ユニットをさらに備える。従ってこの実施形態では、前記基板は、-Z軸(第3)方向に前記浸漬スキャナへ近づけられるか、あるいは、+Z軸方向に前記浸漬スキャナから離されてよい。
【0039】
前記振動ユニットは、1Hzから最大で数百Hzの周波数で振動し得る。たとえば前記振動ユニットは、非常にゆっくり振動することもできるし、それだけではなく超音波範囲以上のような非常に高い周波数で振動することもできる。前記振動ユニットは、機械運動システムに限らず様々な方法で実装されてよい。前記振動ユニットは、少なくとも1つの超音波トランスデューサの実装によって実現されても良い。
【0040】
本開示によると、1000~3500mm範囲の幅及び1000~4000mmの長さの基板を保持する基板ホルダの使用が供される。当該基板ホルダは、四辺形基板を担持する形状であってよい。従って当該基板ホルダは、正方形又は長方形形状であってよい。当該基板ホルダは、上述の範囲で定義される相対的に大きな基板で用いられてよい。
【0041】
独立請求項によるシステム、装置、および使用は、特に従属請求項に定義されるように、同様のおよび/または同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。さらに、本開示の好ましい実施形態は、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであってもよいことを理解されたい。
【0042】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の例示的な実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。
図1】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの実施形態を概略的および例示的に示す。
図2a】本開示による基板操作システムSの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図2b】別の観点から、図2aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図3a】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの別の実施形態を概略的および例示的に示す。
図3b】別の観点から、図3aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図4】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの一実施形態の断面図を概略的および例示的に示す。
図4a図4による基板ホルダS1の実施形態の断面詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図5】本開示による基板ホルダS1の一実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。
図5a図5による基板ホルダS1の実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図6】本開示による基板ホルダS1の別の実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。
図6a図6による基板ホルダS1の実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図7】本開示による電気接触部5aを備える基板操作システムSの実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を概略的に示す。
図8】本開示による電気接触部分5aを備える基板操作システムSの別の実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を概略的に示す。
図9a】本発明に係る図7及び図8に係る電気接触部5aの一実施形態を模式的かつ例示的に示す詳細図である。
図9b】本発明に係る図7及び図8に係る電気接触部5aの他の実施形態を概略的且つ例示的に詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、基板ホルダS1と浸漬スキャナユニットS2とを備える基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示し、基板ホルダS1は、浸漬スキャナユニットS2に対して基板1を保持するように構成される。基板1は、図1には示されていない。
【0045】
図2aは、基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。ここで基板操作システムSは、直列に配置されたいくつかの浸漬スキャナユニットS2を備える。基板操作システムSの基板ホルダS1は、基板キャリア2と、電気接点ユニット3とを備える。基板キャリア2は、基板1を保持するフレーム2aを備える。図4および図4aにより詳細に示されるように、電気接触ユニット3は、本体3aと、基板キャリア2の縁部に少なくとも部分的に沿って本体3aから延びる複数の主脚部3bと、基板1に接触するように主脚部3bの1つにおいて実質的に垂直にそれぞれ配置された複数の側脚部3cとを備える。電気接触ユニット3は、さらに、電気接触ユニット3の本体3aと基板キャリア2のフレーム2aとの間に設けられ、フレーム2aに保持された基板1と電気接触ユニット3との間の接続を保持する複数の保持部3dを備える。
【0046】
基板1を保持する基板ホルダS1は、図4a図5a図6aにも示されるように、電気接点ユニット3の側脚部3cに配置されて基板1に電流を供給する複数の電気接触部分5aをさらに備える。
【0047】
図2aに戻って参照すると、少なくとも主脚部3b、側脚部3c、電気接触部分5aおよび/または保持部3d、言い換えれば、電気接触ユニット3全体は、基板キャリア2の2つの対向する縁部に沿ってのみ配置される。ここで、基板キャリア2はグリッド形状である。
【0048】
図2bは、別の視点から、図2aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。浸漬スキャナユニットS2の側部には、少なくとも陽極が存在してもよい。ここで陽極は、浸漬スキャナユニットS2と一体である。図3aは、本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの別の実施形態を概略的かつ例示的に示す。電気接触ユニット3(少なくとも主脚部3b、側脚部3c、電気接触部分5a、および/または保持部3d)は、基板キャリア2の4つ全ての縁部に沿って配置される。
【0049】
図3bは、別の視点から、図3aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【0050】
図4は、本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。保持部3dは、ばね部材を備える。この実施形態では、基板キャリア2は、1つの基板1のみを担持するように構成される。
【0051】
図4aは、図4による基板ホルダS1の実施形態の断面詳細図を概略的かつ例示的に示す。バネ部材である保持部3dは、本体3aと基板キャリア2のフレーム2aとの間に存在する。図4aでは、基板キャリア2の一方の側から電気接触部分5aに接触し、他方の側からフレーム2aに接触して単一の基板1が保持されている。
【0052】
図5、5a、6、および6aは、本開示による基板ホルダS1の実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。電源接点部3は、基板1に接触して、基板1の表面処理のための電流を供給する。電気接触ユニット3は、電気接触部分5aと、電気接触部分5aの周囲の封止部5bとを備える。ここで、電気接触部5aは、基板1と単一の接点として接触する。
【0053】
図6aには、図6の基板ホルダS1の詳細が示されている。電気接触ユニット3を備えた基板キャリア2aは、少なくとも部分的にプロセス流体の内部にあり、図6を横切る波線で示されており、電気接触ユニット3は、基板1に電流を伝達するための電気接触部5aと、電気接触部5aの周辺に位置するベローズの形態である封止部5bとを備える。封止部5bがベローズの形態をとることで、密封に加えて、接触された基板1に真空効果が生じ、それによって、電気接触部分5aと基板1との間の接続を固定する。
【0054】
図7および図8は、少なくとも真空ヘッド4および電気接触部分5aを備える基板操作システムSの実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を示す。真空ヘッド4は、基板キャリア2のフレーム2aと基板1との間を吸引する。例えばフレーム2aの縁部に沿って複数の真空ヘッド4を整列させることによって、分配された吸引力が基板1に印加され、応力点の集中を防止する。真空ヘッド4は、電気接触ユニット3(より具体的には、電気接触部分5a)と基板1との安定した接続を保証する。図7及び図8の電気接触部5aは、乾式電気接点である。電気接触部分5a(図7及び図8には図示せず)の周囲に封止部5bを設けることによって、電気接触ユニット3と基板キャリア2との間に乾式電気接点が存在する。
【0055】
図7および図8に示される実施形態では、基板ホルダS1は、好ましくは最大3次元で、基板1に対して浸漬スキャナユニットS2を移動させ、または浸漬スキャナユニットS2に対して基板1を移動させるように構成された振動ユニット(図示せず)をさらに備える。
【0056】
図9aおよび図9bは、本開示による図7および図8による電気接触部5aの実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。電気接触部5aは、封止部5bで囲まれた乾式電気接点である。
【0057】
当業者は、別段の通知がない限り、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されると見なされる上記および以下の説明から得る。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計以上の相乗効果を提供することができる。
【0058】
本開示は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されているが、そのような図示および説明は、例示的または例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本開示は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および従属請求項の検討から、請求された開示を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。
【0059】
請求項において、単語「有する、備える(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「ある」(”a”, ”an”)は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図4a
図5
図5a
図6
図6a
図7
図8
図9a
図9b
【手続補正書】
【提出日】2024-10-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダと浸漬スキャナユニットを備える基板操作システムと、並びに基板を保持するための基板ホルダの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
基板は、半導体技術分野において様々なシステムによって処理されている。そのようなシステムの一つは所謂高速メッキシステム(HSP)である。そのようなシステムでは、1つ又は2つの基板と共に1つ又は2つのHSPが、電解液と1つ以上の陽極を含むタンク内に浸漬される。電解液で満たされたこのタンク内部では、電解液(及びこれにより電流分布)は、HSPプレートを介して基板表面(複数可)へ向かって導かれる。
【0003】
被処理基板は、そのようなHSPシステム内において基板ホルダ(チャックとも呼ばれる)によって支持されなければならない。基板ホルダによって保持される基板は、様々な処理ステーションを介して移送され、プロセスが満足行くように実行されるために所定の場所に保持される。特にHSPシステムが走査システムと結合されるとき、被処理基板の操作、保持、及び移送は、安定的かつ信頼できる保持システムの使用を必要とする。
【0004】
従来技術は、大きな基板で用いられるのに特に適する確実な操作及び移送システムを提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持することで、基板-特に様々なプロセスを受ける大きな基板-を正確かつ効率的に操作する、改良版基板ホルダを供する必要があると思われる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって解決されるこの課題は、独立請求項の対象によって解決される。他の実施形態は従属請求項に含まれる。
【0007】
以降で説明される本開示の態様は、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダと、基板ホルダと浸漬スキャナユニットを備える基板操作システムと、並びに基板を保持するための基板ホルダの使用にも適用され得ることに留意して欲しい。
【0008】
本開示の態様によると、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダが供される。
【0009】
基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する当該基板ホルダは、基板キャリアと電気接触ユニットを備える。前記基板キャリアは、前記基板を担持するフレームを有する。前記電気接触ユニットは、本体と、該本体から少なくとも一部が前記基板キャリアの縁部に沿って延在する複数の主脚部と、各々が該複数の主脚部のうちの一で本質的に垂直に配置されることで前記基板と接触する複数の側脚部を有する。前記電気接触ユニットは、該電気接触ユニットの前記本体と前記基板キャリアの前記フレームとの間に供されて、前記基板が前記基板キャリアに設けられるときに前記基板を前記電気接触ユニットに接触した状態に保つ複数の保持部をさらに有する。
【0010】
前記被処理基板は、プロセスステーションへ運搬される前記基板用の前記基板キャリアの前記フレーム上に設けられてよい。前記基板キャリアは、該基板キャリア上で前記フレームを保持する真空手段を有し得る。前記基板は、陰極として、陽極として、又は、たとえば処理時間に応じて交互に陰極及び陽極として機能し得る。前記基板が前記プロセスの特定の期間陽極として機能する場合、特定された陽極は、陰極のように分極する。
【0011】
前記電気接触ユニットの前記本体の前記主脚部及び該主脚部のうちの一で本質的な垂直に延在する前記側脚部は部分的に、前記基板キャリア上に設けられる前記基板を取り囲み得る。本質的に垂直とは、90°付近だが、45°~90°であることを意味し得る。前記電気接触ユニットの前記主脚部と前記側脚部とがなす角は、当該基板ホルダによって保持される前記基板に従って定義され得る。前記電気接触ユニットの前記主脚部と前記側脚部モノリシックであり、単一部材として製造され得ることを意味する。前記電気接触ユニットの前記本体は、すべて又は複数の主脚部用の一の部材であってよい。前記電気接触ユニットの前記本体はまた、複数の本体部をも有し得る。前記主脚部の各々は一の本体部から延在し得る。
【0012】
保持部は、該保持部の対向する端部で前記本体及び前記フレームに取り付けられてよい。
【0013】
対向する面上の保持部は、前記基板が該基板の中心に対して傾斜しているとき-これは搬送中又は表面処理(たとえばプレウエッティング、走査、メッキ、洗浄、乾燥、無電解堆積又は電気化学処理)中に起こり得る-、前記フレーム上に設けられる基板を前記電気接触ユニットと接触した状態を保つことができる。そのように傾斜することで通常、前記の運搬された基板と前記電気接触ユニットとの間での電気接触が失われる恐れがある(たとえば前記基板キャリアが前記電気接触ユニットに対して傾斜する、換言すると前記基板キャリアの本来の位置に対する角度位置が変化するからである)。前記中心の対向する面上の前記保持部は、前記基板キャリア及び/又は前記電気接触ユニットに対して前記基板が傾斜する間に接触が失われることを防ぐことができる。
【0014】
前記基板の対向する面上の保持部は、前記フレーム上に各異なる圧力を印加するように構成され得る。従って前記基板と前記フレームとの間の角度はさらに、該前記基板キャリアの中心に対して前記基板キャリアの対向する面上に様々な保持部を選択することによって調節され得る。本願では前記基板は、前記フレームに対して平行となる(つまり両者の間の角は0°である。)ように保たれ、かつ、前記フレームに対して完全に平行ではないが本質的に平行な姿勢に保たれてよい。前記基板は、前記電気接触ユニットの前記本体(より詳細には前記側脚部)と前記フレームとの間で圧縮され得る。従って前記電気接触ユニットの前記本体と前記フレームとの間の保持部は、力を印加することで、接触圧力を発生させ、さらに前記基板の表面処理プロセス中に安全な電気接触が維持されることを保証する。
【0015】
前記基板を安定して担持し、かつ、操作することによって、前記表面処理プロセスは、前記基板のすべての部分(換言すると前記基板表面の全領域)に均等になされ得る。従って同一の基板ホルダが、前記基板の解放及び再搬送しなくても、あるいは、前記プロセス間で前記基板の位置を調節しなくてもすべての異なる化学又は電解表面処理にわたって用いられ得る。
【0016】
ある実施形態では、前記保持部は、ばね部材、空圧部材、電気部材、磁気器部材、及び/又は吸引部材を含む。前記保持部は、前記プロセス及びプロセス流体に依存して表面処理中に用いられる列挙された候補のうちの一と定義され得る。たとえば使用される電解質に依存して、電気部材又は磁気部材は保持部としての使用は不適切となる恐れがあり、むしろばね部材がより好適となると思われる。それに加えて印加が必要な力又は保持される基板のサイズもまた、前記保持部にとって適切な手段を定め得る。たとえば様々な接触部での前記基板材料の感度に依存して、対応する保持部が選択されてよい。保持部として用いられる手段に依存して、前記電気接触ユニットの前記本体と前記基板キャリアの前記フレームとの間に印加される圧縮力が調節されてよい。たとえば前記保持部がばね部材であるとき、様々な弾性係数を有するばね部材が用いられてよい。
【0017】
ある実施形態では、基板の化学及び/又は電解表面処理中に前記基板を保持する基板ホルダは、複数の接触部をさらに備える。前記電気接触部は、前記電気接触部に存在する。より詳細には前記電気接触部は、前記基板に電流を供給するように前記側脚部に配置され得る。前記電気接触部は、信頼性のある電解表面処理のために十分な電流を供するだけではなく、前記基板の優れた操作を支援するように前記基板と接触し得る。前記基板キャリアのフレームに対する前記基板の位置合わせが制御可能であるため、前記基板へ電流を連続的に供給することができる。従って中断されない安定な表面処理プロセスが実行され得る。
【0018】
他の実施形態では、前記電気接触部は交換可能である。従って電気接触部のうち欠陥のあるものは取り換え可能である。さらに前記電気接触部を変えることによって、特定の表面処理用により大きな電圧を必要とする接触領域は処理され得る。
【0019】
さらに他の実施形態では、前記電気接触部は、きゃしゃな設計及び細い形状を有することができる。前記電気接触部を減らした構成にすることで、狭ギャップ処理-つまり前記基板と前記HSPとの間の距離を狭くした処理-が可能となる。
【0020】
ある実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って前記側脚部内の前記電気接触部まで延在する電気伝導線をさらに有する。従って単一電源によって、電流は、すべての電気接触部を別個に始動させる必要なくすべての電気接触部を介して供給可能である。これにより、均一な電流が前記電気接触部の各々を介して供給可能で、かつ、等しい電流密度が前記基板上で得られ得る。
【0021】
ある実施形態では、前記主脚部、前記側脚部、前記電気接触部、及び/又は前記保持部は、前記基板キャリアの2つの対向する端部に沿ってのみ配置される。換言すると、前記基板ホルダは前記基板の2つの対向する面に沿って保持され、かつ、前記電気接触部は、対向する端部から前記の保持された基板へ電流を供給することができる。
【0022】
他の実施形態では、前記主脚部、前記側脚部、前記電気接触部、及び/又は前記保持部は、前記基板キャリアの全4つの端部に沿って配置される。換言すれば、前記基板ホルダは、前記基板上で均等化された電流及び電流密度を供するように前記基板の全側部に沿って保持されてよい。ただし印加された電流は、前記基板の各異なる側部で各異なる電流分布を供するために独立制御されても良い。
【0023】
ある実施形態では、前記電気接触部は、乾式電気接触、湿式電気接触、及び/又は接触アームである。
【0024】
乾式電気接触では、前記電気接触ユニットは、前記電気接触部の周りに封止部を有してよい。前記電気接触部が封止部によって取り囲まれるとき、真空が、前記電気接触部を含む前記の封止された領域内部に生成され得る。乾式電気接触は、前記の供給された電気を非常に正確に定めることを可能にする。乾式電気接触は、単一の電気接触であると共に前記電気レベル及び/又は電流密度分布を独立に制御することを可能にする。最後だが少なくともではなく、前記乾式電気接触は、前記基板との接触地点上及び該接触地点周辺での表面処理を防止し得る。
【0025】
一の実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記基板に吸引力を印加するため、中心において接触部と共に真空排気封止部を有してよい。前記封止部はベローであってよい。従って前記封止部は、外部の制御されない中断から前記電気接触部を保護し得る。この種の前記の印加された真空の点接触は、前記基板上での接触面積が最小化される点で有利となり得る。
【0026】
他方湿式電気接触では、前記電気接触部は、少なくとも前記被処理基板の端部に沿って延在し得る。湿式電気接触は、すべての電気接触部へ同一の電気レベル及び/又は同一の電流密度を供することができる。湿式電気接触では、前記電気接触部は(たとえば前記電気接触部周辺の封止部を介することで)周囲とは隔離されないので、プロセス流体と接触することができる。従って湿式接触では、接触部は化学及び/又は電解表面処理に曝され得る。前記基板と接触する前記電気接触地点上及び該電気接触地点周辺で表面処理が回避できないので、乾式電気接触とは異なり、前記電気接触部の再条件設定のため、電解エッチングプロセスがさらに必要となると思われる。湿式接触と乾式接触のいずれも、前記電気接触部は容易に変更可能である。
【0027】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、前記基板キャリアの前記フレームと前記基板との間で吸引を行うように構成される真空ユニットを有する。真空は、周辺よりも圧力の低い状態はすべて該当すると解される。前記真空ユニットによってなされる真空は、前記真空ユニットによって保持される前記基板に印加される力を調節するように微調整され得る。本発明の目的に沿って、前記真空ユニットは、前記の保持された基板を安全に操作し、かつ、前記基板ホルダでの前記基板の位置設定を正確に行う。前記基板キャリアのフレームに対する前記基板の位置合わせが厳密に制御可能であるため、前記基板への電気(電流)の供給を連続的に行うことができる。従って制御されない中断は回避され、かつ、安定した表面処理プロセスが行われ得る。
【0028】
前記真空ユニットは、真空ヘッド及び任意で前記真空ヘッドを取り囲む封止部を有し得る。真空ユニットはまた、前記基板の接触領域上での印加された吸引力を供給するため、ある領域内で集められる多くの真空ヘッドで構成されるものとも定義され得る。たとえば前記真空ヘッドは、たとえば前記フレームの端部に沿って位置合わせされてよい。点接触とは異なり、真空ヘッドを用いることは、前記基板上の接触領域に印加される圧力を減少させる点で有利となり得る。前記真空ユニットは、前記電気接触ユニット(より詳細には電気接触部)と前記基板との間での安定した接続を保証する。
【0029】
ある実施形態では、前記電気接触ユニットは、前記主脚部に沿って吸引領域まで(たとえば真空ユニット又は真空ヘッドを介して)延在する真空ラインをさらに有する。真空ラインは、前記基板を保持するように前記側脚部に配置されてよい。この実施形態では、前記真空ラインは、封止部によって取り囲まれてよい。前記主脚部及び前記側脚部に沿って延在する前記真空ラインは、環境に起因し得る外乱から保護されるような前記電気接触ユニットと前記基板との間での安全な接触を保証することができる。さらに前記真空ラインは、前記基板上への均等な吸引力の印加及び前記基板の安全な保持を実現することができる。
【0030】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、1つの基板だけ担持するように構成される。この例では、前記基板の一面のみが処理されることが意図され得る。前記基板は、該基板のどの部分-たとえば中央領域-から保持されてもよい。
【0031】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、前記基板の2つの面の二面化学及び/又は電解表面処理を行うため、側部及び/又は隅部のみで前記基板を保持するように構成される。
【0032】
ある実施形態では、前記基板キャリアは、2つの基板を担持するように構成される。2つの基板を各々は前記基板キャリアの一面で担持される。このことは、前記基板キャリアが、設けられる前記基板の両面に必要な構造-たとえば電気接触部-を有し得ることを意味する。
【0033】
ある実施形態では、前記基板キャリアはグリッド形状である。グリッド形状という用語は、相互に交差することで正方形又は長方形を形成する水平線と垂直線で作られるパターン又は構造を定義する。前記基板キャリアはまた、フレーム形状であってよく、あるいは他の形状を有しても良い。従って前記基板キャリアの接触は、前記表面上に応力地点を生成することなく前記基板表面に沿って均等に供給され得る。この実施形態では、真空は、前記基板キャリア上の流出口を介して被処理基板に対して生じさせ得る。よって真空は、前記基板の前記表面全体にわたって均等に実現され得る。
【0034】
本開示によると、基板操作システムも供される。当該基板操作システムは、基板ホルダ及び浸漬スキャナユニットを備える。前記基板ホルダは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を保持するように構成される。前記浸漬スキャナユニットは、前記基板ホルダによって保持される前記基板を処理することができる。前記基板ホルダは、前記スキャナユニットに対して並進運動することができる。場合によっては、前記浸漬スキャナユニットは、前記基板を動かさなくても前記基板ホルダに対して並進運動することもできる。
【0035】
前記基板キャリアは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を真っすぐにすることができる。本願で真っすぐにするとは、本質的に平面状基板を得るように前記基板表面上の生じ得る障害物(凹み、ゆがみ)を平らにすることを意味すると考えられる。
【0036】
前記基板キャリアは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板をさらに水平にすることができる。本願において水平化とは、前記スキャナユニットに対して前記基板の姿勢を調節することを意味する。前記姿勢は、前記浸漬スキャナまでの前記基板の距離、及び、前記スキャナユニットに対する前記基板の方向を含み得る。前記基板キャリアは、前記基板を、前記浸漬スキャナユニットに対して平行な方向に保ち、かつ、前記浸漬スキャナユニットに対して完全に平行ではないが本質的に平行な姿勢、又は、前記浸漬スキャナユニットに対して角度をなす方向に保つことができる。たとえばこの例では、水平化とは、前記浸漬スキャナに対して前記基板の姿勢を1~89°の角度をなすように、好適には1~45°の角度をなすように、より好適には1~30°の角度をなすように調節することを意味する。前記基板と前記スキャナユニットとの間の距離は、1~20mmの範囲、好適には2~15mmの範囲、より好適には3~10mmの範囲となるように水平化され得る。さらに前記基板の水平化-つまり前記浸漬スキャナユニットに対する前記基板の姿勢及び/又は角度-は、前記表面処理プロセス中に変更され得る。
【0037】
ある実施形態では、当該基板操作システムは、直列に配置される複数の浸漬スキャナユニットを有する。
【0038】
少なくとも陽極は、前記基板ホルダとは反対側の前記浸漬スキャナユニットの面に存在し得る。前記陽極は、前記浸漬スキャナの一体化された部品であってよい。前記陽極は、別個の部品であると共に前記浸漬スキャナに隣接して設けられてもよい。この実施形態では、当該基板操作システムは、予備浸漬スキャナユニットをも有してよい。前記予備ユニットは、前記浸漬スキャナユニットと同一面だが前記基板ホルダから離れた位置に存在してよい。
【0039】
ある実施形態では、化学及び/又は電解表面処理中に基板を保持する基板ホルダは、前記浸漬スキャナユニットに対して前記基板を動かすように構成される振動ユニットをさらに備える。従ってこの実施形態では、前記基板は、-Z軸(第3)方向に前記浸漬スキャナへ近づけられるか、あるいは、+Z軸方向に前記浸漬スキャナから離されてよい。
【0040】
前記振動ユニットは、1Hzから最大で数百Hzの周波数で振動し得る。たとえば前記振動ユニットは、非常にゆっくり振動することもできるし、それだけではなく超音波範囲以上のような非常に高い周波数で振動することもできる。前記振動ユニットは、機械運動システムに限らず様々な方法で実装されてよい。前記振動ユニットは、少なくとも1つの超音波トランスデューサの実装によって実現されても良い。
【0041】
本開示によると、1000~3500mm範囲の幅及び1000~4000mmの長さの基板を保持する基板ホルダの使用が供される。当該基板ホルダは、四辺形基板を担持する形状であってよい。従って当該基板ホルダは、正方形又は長方形形状であってよい。当該基板ホルダは、上述の範囲で定義される相対的に大きな基板で用いられてよい。
【0042】
独立請求項によるシステム、装置、および使用は、特に従属請求項に定義されるように、同様のおよび/または同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。さらに、本開示の好ましい実施形態は、従属請求項とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであってもよいことを理解されたい。
【0043】
本開示のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本開示の例示的な実施形態を、添付図面を参照して以下に説明する。
図1】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの実施形態を概略的および例示的に示す。
図2a】本開示による基板操作システムSの一実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図2b】別の観点から、図2aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図3a】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの別の実施形態を概略的および例示的に示す。
図3b】別の観点から、図3aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
図4】本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの一実施形態の断面図を概略的および例示的に示す。
図4a図4による基板ホルダS1の実施形態の断面詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図5】本開示による基板ホルダS1の一実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。
図5a図5による基板ホルダS1の実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図6】本開示による基板ホルダS1の別の実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。
図6a図6による基板ホルダS1の実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。
図7】本開示による電気接触部5aを備える基板操作システムSの実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を概略的に示す。
図8】本開示による電気接触部分5aを備える基板操作システムSの別の実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を概略的に示す。
図9a】本発明に係る図7及び図8に係る電気接触部5aの一実施形態を模式的かつ例示的に示す詳細図である。
図9b】本発明に係る図7及び図8に係る電気接触部5aの他の実施形態を概略的且つ例示的に詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、基板ホルダS1と浸漬スキャナユニットS2とを備える基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示し、基板ホルダS1は、浸漬スキャナユニットS2に対して基板1を保持するように構成される。基板1は、図1には示されていない。
【0046】
図2aは、基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。ここで基板操作システムSは、直列に配置されたいくつかの浸漬スキャナユニットS2を備える。基板操作システムSの基板ホルダS1は、基板キャリア2と、電気接点ユニット3とを備える。基板キャリア2は、基板1を保持するフレーム2aを備える。図4および図4aにより詳細に示されるように、電気接触ユニット3は、本体3aと、基板キャリア2の縁部に少なくとも部分的に沿って本体3aから延びる複数の主脚部3bと、基板1に接触するように主脚部3bの1つにおいて実質的に垂直にそれぞれ配置された複数の側脚部3cとを備える。電気接触ユニット3は、さらに、電気接触ユニット3の本体3aと基板キャリア2のフレーム2aとの間に設けられ、フレーム2aに保持された基板1と電気接触ユニット3との間の接続を保持する複数の保持部3dを備える。保持部3dは、該保持部3dの対向する端部で電気接触ユニット3の本体及び基板キャリア2のフレーム2aに取り付けられる。従ってフレーム2aによって保持される基板1と電気接触ユニット3との間の接続が保持される。
【0047】
基板1を保持する基板ホルダS1は、図4a図5a図6aにも示されるように、電気接点ユニット3の側脚部3cに配置されて基板1に電流を供給する複数の電気接触部分5aをさらに備える。
【0048】
図2aに戻って参照すると、少なくとも主脚部3b、側脚部3c、電気接触部分5aおよび/または保持部3d、言い換えれば、電気接触ユニット3全体は、基板キャリア2の2つの対向する縁部に沿ってのみ配置される。ここで、基板キャリア2はグリッド形状である。
【0049】
図2bは、別の視点から、図2aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。浸漬スキャナユニットS2の側部には、少なくとも陽極が存在してもよい。ここで陽極は、浸漬スキャナユニットS2と一体である。図3aは、本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの別の実施形態を概略的かつ例示的に示す。電気接触ユニット3(少なくとも主脚部3b、側脚部3c、電気接触部分5a、および/または保持部3d)は、基板キャリア2の4つ全ての縁部に沿って配置される。
【0050】
図3bは、別の視点から、図3aによる基板操作システムSの実施形態を概略的かつ例示的に示す。
【0051】
図4は、本開示による基板ホルダS1および浸漬スキャナユニットS2を備える基板操作システムSの実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。保持部3dは、ばね部材を備える。この実施形態では、基板キャリア2は、1つの基板1のみを担持するように構成される。
【0052】
図4aは、図4による基板ホルダS1の実施形態の断面詳細図を概略的かつ例示的に示す。バネ部材である保持部3dは、本体3aと基板キャリア2のフレーム2aとの間に存在するより詳細には該保持部3dの対向する端部で電気本体3a及びフレーム2aに取り付けられる。図4aでは、基板キャリア2の一方の側から電気接触部分5aに接触し、他方の側からフレーム2aに接触して単一の基板1が保持されている。
【0053】
図5、5a、6、および6aは、本開示による基板ホルダS1の実施形態の断面図を概略的かつ例示的に示す。電源接点部3は、基板1に接触して、基板1の表面処理のための電流を供給する。電気接触ユニット3は、電気接触部分5aと、電気接触部分5aの周囲の封止部5bとを備える。ここで、電気接触部5aは、基板1と単一の接点として接触する。
【0054】
図6aには、図6の基板ホルダS1の詳細が示されている。電気接触ユニット3を備えた基板キャリア2aは、少なくとも部分的にプロセス流体の内部にあり、図6を横切る波線で示されており、電気接触ユニット3は、基板1に電流を伝達するための電気接触部5aと、電気接触部5aの周辺に位置するベローズの形態である封止部5bとを備える。封止部5bがベローズの形態をとることで、密封に加えて、接触された基板1に真空効果が生じ、それによって、電気接触部分5aと基板1との間の接続を固定する。
【0055】
図7および図8は、少なくとも真空ヘッド4および電気接触部分5aを備える基板操作システムSの実施形態の概略的かつ例示的な詳細図を示す。真空ヘッド4は、基板キャリア2のフレーム2aと基板1との間を吸引する。例えばフレーム2aの縁部に沿って複数の真空ヘッド4を整列させることによって、分配された吸引力が基板1に印加され、応力点の集中を防止する。真空ヘッド4は、電気接触ユニット3(より具体的には、電気接触部分5a)と基板1との安定した接続を保証する。図7及び図8の電気接触部5aは、乾式電気接点である。電気接触部分5a(図7及び図8には図示せず)の周囲に封止部5bを設けることによって、電気接触ユニット3と基板キャリア2との間に乾式電気接点が存在する。
【0056】
図7および図8に示される実施形態では、基板ホルダS1は、好ましくは最大3次元で、基板1に対して浸漬スキャナユニットS2を移動させ、または浸漬スキャナユニットS2に対して基板1を移動させるように構成された振動ユニット(図示せず)をさらに備える。
【0057】
図9aおよび図9bは、本開示による図7および図8による電気接触部5aの実施形態の詳細図を概略的かつ例示的に示す。電気接触部5aは、封止部5bで囲まれた乾式電気接点である。
【0058】
当業者は、別段の通知がない限り、1つのタイプの対象に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる対象に関連する特徴間の任意の組み合わせも、本出願で開示されると見なされる上記および以下の説明から得る。しかしながら、全ての特徴を組み合わせて、特徴の単純な合計以上の相乗効果を提供することができる。
【0059】
本開示は、図面および前述の説明において詳細に図示および説明されているが、そのような図示および説明は、例示的または例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本開示は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および従属請求項の検討から、請求された開示を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。
【0060】
請求項において、単語「有する、備える(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「ある」(”a”, ”an”)は、複数を除外しない。単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に記載されるいくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】