(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-30
(54)【発明の名称】化合物の結晶形およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 498/22 20060101AFI20250123BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20250123BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20250123BHJP
A61P 43/00 20060101ALN20250123BHJP
【FI】
C07D498/22
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024545784
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2023071722
(87)【国際公開番号】W WO2023143079
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】202210111070.9
(32)【優先日】2022-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524285929
【氏名又は名称】南京天印健華医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孔祥龍
(72)【発明者】
【氏名】馮晶
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB06
4C086CB22
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの結晶形およびその調製方法に関する。本発明により提供された結晶形は、安定性および吸湿性の点で有利な性質を有し、医薬研究および工業生産に適している。これは、その薬剤の将来の最適化および開発にとって貴重なものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形態の式(I)の化合物(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの結晶形Aであって、
【化1】
CuKα線源から得られた粉末X線回折図において、2θ値が19.9°±0.2°、20.9°±0.2°、22.2°±0.2°に特徴的なピークを有することを特徴とする化合物。
【請求項2】
粉末X線回折図において、2θ値が21.4°±0.2°、9.8°±0.2°、12.1°±0.2°のうち1つ以上に特徴的なピークをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の結晶形A。
【請求項3】
粉末X線回折図において、2θ値が18.0°±0.2°、24.6°±0.2°、11.2°±0.2°のうち1つ以上に特徴的なピークをさらに有することを特徴とする請求項2に記載の結晶形A。
【請求項4】
粉末X線回折図が実質的に
図1に示す通りであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶形A。
【請求項5】
遊離塩基形態の(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンを、常温から50℃の範囲の温度で、その溶解度が2mg/mLを超える溶媒に溶解し、清澄溶液を得、冷却して静置するか、または揮発により結晶を析出させて、結晶形Aを得るステップを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶形Aを調製する方法。
【請求項6】
前記溶媒および混合溶媒が、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシドまたはそれらの任意の混合物から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
遊離塩基形態の(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンを溶媒に溶解して清澄溶液を得、次いで貧溶媒を添加して結晶を析出させるステップを含み、
前記溶媒は、(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの溶解度が2mg/mLを超える溶媒であり、前記貧溶媒は、(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの溶解度が2mg/mL未満である溶媒である、請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶形態Aを調製する方法。
【請求項8】
前記溶媒が、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、またはそれらの任意の混合物から選択され、前記貧溶媒が、イソプロパノール、n-ヘプタン、水、またはそれらの任意の混合物から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒と(2
2R,2
4S,5S)-2
4,3
5-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンとの用量比が0.2~10mL:25mg、好ましくは0.8mL:25mgである、請求項5または7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶形態のTRK阻害剤(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンおよびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TRK阻害剤として使用される複素環化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オン(以下、式(I)の化合物と称する)は、下記式(I)で示される構造を有する。式(I)の化合物の調製およびTRKが媒介する関連疾患(例えば、腫瘍)の治療または予防のためのこの化合物の使用は、中国特許出願CN110627812に開示されている。
【発明の概要】
【0003】
本出願人は、試験、保存および使用される条件に対して特に敏感でなく、したがって医薬製剤の製剤化においてより好適に使用される形態を見出すために、絶ゆまぬ努力を重ねてきて、安定性、特に熱安定性および/または吸湿性に関して優れた特性を有する式(I)の化合物の結晶形態を見出した。
【0004】
具体的には、本発明は、式(I)の化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの結晶形A、およびその調製方法を提供する。
【0005】
【0006】
本発明は、安定性および吸湿性の点で少なくとも1つの有利な特性を有し、したがって医薬研究および工業生産に適した式(I)の化合物の新規結晶形Aを提供する。
【0007】
一方、本発明は、CuKα線源から得られた粉末X線回折図において、2θ値が22.2°±0.2°、19.9°±0.2°、20.9°±0.2°に特徴的なピークを有することを特徴とする、(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジニルシクロノナン-8-オン(式(I)の化合物)の結晶形Aを提供する。
【0008】
一方、本発明は、粉末X線回折図において、2θ値が21.4°±0.2°、9.8°±0.2°、12.1°±0.2°のうちの1つ以上に特徴的なピークをさらに有することを特徴とする、前記式(I)の化合物の結晶形Aを提供する。
【0009】
一方、本発明は、粉末X線回折図において、2θ値が18.0°±0.2°、24.6°±0.2°、11.2°±0.2°のうちの1つ以上に特徴的なピークをさらに有することを特徴とする、前記式(I)の化合物の結晶形Aを提供する。
【0010】
一方、本発明は、粉末X線回折図が実質的に
図1に示す通りであることを特徴とする、前記式(I)の化合物の結晶形Aを提供する。
【0011】
一方、本発明は、式(I)の化合物の結晶形Aを調製する方法に関し、この方法は、
遊離塩基形態の(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンを、常温から50℃の範囲の温度で、その溶解度が2mg/mLを超える溶媒に溶解し、清澄溶液を得、冷却して静置するか、または揮発により結晶を析出させて、結晶形Aを得るステップを含むステップを含む。ここで、前記溶媒は、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド等またはそれらの任意の混合物から選択される。
【0012】
一方、本発明は、式(I)の化合物の結晶形Aを調製する方法に関し、この方法は、
遊離塩基形態の(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンを溶媒に溶解して清澄溶液を得、次いで貧溶媒(Antisolvent)を添加して結晶を析出させるステップを含む。ここで、前記溶媒は、(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの溶解度が2mg/mLを超える溶媒であり、前記貧溶媒は、(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの溶解度が2mg/mL未満である溶媒であり、前記溶媒は、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド等、またはそれらの任意の混合物から選択され、前記貧溶媒は、イソプロパノール、n-ヘプタン、水、またはそれらの任意の混合物から選択される。
【0013】
本発明に記載の式(I)の化合物の結晶形Aを調製する方法において、前記溶媒と(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンとの用量比が、0.2~10ml:25mg、好ましくは0.8ml:25mgである。
【0014】
一方、本発明により提供される式(I)の化合物の結晶形Aは無水物である。
【0015】
一方、本発明により提供される式(I)の化合物の結晶形Aは、示差走査熱量分析が実施される場合、304℃(開始温度)まで加熱されると熱吸収ピークが生じ、その示差走査熱量分析図が本質的に
図2に示されるようになることを特徴とする。
【0016】
一方、本発明により提供される式(I)の化合物の結晶形Aは、熱重量分析が実施される場合、200℃まで加熱されると約0.69%の重量減少勾配があり、その熱重量分析図が本質的に
図3に示されるようになることを特徴とする。
【0017】
さらに、遊離塩基形態の(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンを溶媒中で懸濁し撹拌して、前記TRK阻害剤(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの結晶形を得た。
【0018】
さらに、前記溶媒は、溶解度が20mg/mL>S>0.1mg/mLの溶媒または混合溶媒である。
【0019】
さらに、上記調製方法において、前記溶媒と前記TRK阻害剤(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンとの用量比が、0.2~10mL:25mg、好ましくは0.8mL:25mgである。
【0020】
さらに、前記方法を実施する温度は-20~100℃である。
【0021】
本発明の式(I)の化合物の結晶形Aは、高温60℃(1ヶ月)、高湿25℃/90%±5%RH(1ヶ月)、および光(13日)の条件下に置いたときに安定な状態を示し、30℃/65%RHの条件下に12ヶ月置いたときにも安定な状態を示した。本発明の式(I)の化合物の結晶形Aは、80%RHで平衡化した後、0.46%の重量増加をしており、わずかに吸湿性があることを示し、前記結晶形Aは、異なる湿度条件下で結晶形をそのまま維持した。さらに、溶液中での懸濁競争の実験研究から、本発明の式(I)の化合物の結晶形Bは室温で結晶形Aに変換することができ、式(I)の化合物の結晶形Aがより優れた熱力学的安定性を有することがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図6】DVS試験前後の結晶形AのXRPD比較図である
【
図7】結晶形の懸濁競争におけるXRPDスペクトラムである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体的な実施例によりさらに詳しく説明するが、これらは本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者は、特許請求の範囲内で使用される調製方法および装置に改良を加えることができ、これらの改良も本発明の保護範囲とみなされるものとする。したがって、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【0024】
本発明の式(I)の化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンは、従来技術で公知の方法により調製することができ、結晶化を行うために使用される溶媒および試薬は、市販されているような従来の手段で入手することができる。
【0025】
特に断らない限り、本明細書で言及される全ての用語は、当業者に認識される意味または当該技術分野で一般的に使用される意味を有する。
【0026】
本発明に記載される「安定性」とは、液相、XRPDなどの分析手段によって結晶形を測定した結果、前記結晶形の分解、また他の結晶形への変換が検出されないことを指す。
【0027】
本発明に記載される「吸湿性」とは、ある温度および湿度の条件下で物質が水分を吸収する能力またはその程度の特性を指す。吸湿性の特徴の説明および吸湿性による重量増加の規定に関して(中国薬局方2015年版四部ガイドライン9103方法による実験、実験条件:25℃±1℃、相対湿度80%±2%):
潮解:水を十分吸収して液体を形成する。
非常に吸湿性がある:吸湿による重量増加が15%以上。
吸湿性がある:吸湿による重量増加が15%未満2%以上。
わずかに吸湿性がある:吸湿による重量増加が2%未満0.2%以上。
吸湿性がない、またはほとんどない:吸湿による重量増加が0.2%未満。
【0028】
本発明で使用する略語について以下に説明する。
XRPD:粉末X線回折
DSC:示差走査熱量測定
TGA:熱重量分析
DVS:動的水分吸着
【0029】
本発明に記載される粉末X線回折図は、Bruker D8 ADVANCE射線粉末回折装置で取得した。本発明に記載される粉末X線回折方法のパラメータは以下の通りである。
X線反射パラメータ:Cu、Kα
Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426
Kα2/Kα1強度比:0.50
電圧:40キロボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
走査範囲:3.0~40.0度
【0030】
本発明に記載される示差走査熱量測定(DSC)図は、TA DSC250で取得した。本発明に記載される示差走査熱量分析(DSC)方法のパラメータは以下の通りである。
走査速度:10℃/min
保護ガス:窒素
【0031】
本発明に記載される熱重量分析(TGA)図は、TA TGA550で取得した。本発明に記載される熱重量分析(TGA)方法のパラメータは以下の通りである。
走査速度:10℃/min
保護ガス:窒素
【0032】
本発明に記載される動的水分吸着(DVS)図は、SMS(Surface Measurement Systems Ltd.)社製のIntrinsic動的水分吸着装置で取得した。前記動的水分吸着装置の方法パラメータは以下の通りである。
温度:25°C
キャリアガス、流速:N2、200ミリリットル/分。
単位時間当たりの質量変化:0.002%/分
相対湿度範囲:0%RH~95%RH
【0033】
以下の実施例で使用する式(I)の化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンは、特許出願WO2020/001415に記載の調製方法に従って調製した。
【0034】
実施例1
(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オン(式(I)の化合物)の結晶形Aの調製
【0035】
遊離塩基形態の式(I)の化合物25.1mgを秤量し、0.8mLのメタノール中、50℃で2時間撹拌し、濾過して飽和溶液を得、0.1℃/minで5℃まで降温後、固体を析出させ、これを式(I)の化合物の結晶形Aとした。
【0036】
こうして得られた結晶形Aの粉末X線回折データを表1に、XRPD図を
図1に、DSC図を
図2に、TGA図を
図3に示した。
【0037】
【0038】
実施例2
式(I)の化合物の結晶形Bの調製
【0039】
遊離塩基形態の式(I)の化合物24.9mgを秤量り、0.8mLの1,4-ジオキサン/アセトン(1:1)中、50℃で2時間攪拌し、濾過して飽和溶液を得、0.1℃/minで5℃まで降温後、室温環境に移し、開放揮発させて固体を得、これを式(I)の化合物の結晶形Bとした。
【0040】
得られた結晶形Bの粉末X線回折データを表2に、そのXRPD図を
図4に示した。
【0041】
【0042】
実施例3
結晶形Aの安定性評価
【0043】
結晶形A固体を高温、高湿、光条件下(開放)で1ヶ月間加速安定性試験を行い、試料の純度及び結晶形の安定性を観察した。
【0044】
結晶形A固体試料を30℃/65%RH条件下(気密)で12ヶ月間安定性試験を行い、試料の純度と結晶形の安定性を観察した(XRPD図)。
【0045】
結果を表3に示す。
【0046】
【0047】
表3の試験結果から、加速条件および12ヶ月の条件下で、試料の結晶形態は変化せず、純度も大きく変化しなかったことがわかる。結晶形Aは上記の条件下でも安定的に保持でき、良好な安定性を有していることがわかる。
【0048】
実施例4
結晶形Aの吸湿性評価
【0049】
本発明の結晶形Aを約30mg採取し、動的水分吸着(DVS)装置を用いて動的水分吸着試験を行った。具体的には、動的水分吸着(DVS)図は、SMS(Surface Measurement Systems Ltd.)社製のIntrinsic動的水分吸着装置で取得した。前記動的水分吸着装置の方法パラメータは以下の通りである。温度:25℃、キャリアガス及び流速:N
2、200ミリリットル/分、単位時間当たりの質量変化:0.002%/分、相対湿度範囲:0%RH~95%RH。試験の前後にXRPDを測定し、その結果、本発明の結晶形Aは80%相対湿度において0.46%の重量増加を示し、わずかに吸湿性があるものであり、そのDVS図を
図5に示した。動的水分吸着試験の前後で結晶形に変化はなく、そのXRPD比較図を
図6に示した。
【0050】
実施例5
結晶形安定性変換の関係の研究
【0051】
溶液中での懸濁競争実験により、結晶形間の変換の関係を調べた。室温で結晶形Aと結晶形Bの懸濁競合実験を行い、イソプロパノールと水の飽和溶液に等量の結晶形A/Bを加えて2日間懸濁して撹拌することにより、結晶形Aを得た。このことから、室温では結晶形Aの方は熱力学的安定性が高いことがわかった。結晶形間の懸濁競争実験のXRPDスペクトラムを
図7に示した。
【0052】
上記の吸湿性および安定性の研究の結果から、本発明の式(I)の化合物(22R,24S,5S)-24,35-ジフルオロ-5-メチル-4-オキサ-7,9-ジアザ-1(5,3)-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3(3,2)-ピリジン-2(1,2)-ピロリジンシクロノナン-8-オンの結晶形Aは、優れた安定性および吸湿性を有し、よりドラガビリティを有する。
【0053】
上記の実施例は、本発明の技術的構想および特徴を説明するためのものに過ぎず、当業者が本発明の内容を理解し、適宜実施できるようにするためのものであり、それによって本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神に従ってなされた同等の変更または修正は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】