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特表2025-503348ハマスゲ抽出物を含有する抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】ハマスゲ抽出物を含有する抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20250128BHJP
   A61K 36/8905 20060101ALI20250128BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/8905
A61Q19/00
A61P17/00
A61P17/04
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557021
(86)(22)【出願日】2023-07-04
(85)【翻訳文提出日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 KR2023009358
(87)【国際公開番号】W WO2024122779
(87)【国際公開日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0170937
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523350969
【氏名又は名称】ジェイツーケイバイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】J2KBIO CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェソプ
(72)【発明者】
【氏名】ペ ジュンテ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジュンファン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン アルム
(72)【発明者】
【氏名】キム ナリ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】ムン ソヒョン
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC082
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC682
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083BB51
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE12
4C083EE13
4C088AB79
4C088AC01
4C088BA08
4C088BA32
4C088CA03
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB11
4C088ZB21
(57)【要約】
本発明は、加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ(Cyperus rotundus)抽出物を含有する化粧料組成物に関する。前記抽出物は、一酸化窒素(Nitric Oxide:NO)生成を抑制し、炎症発現因子であるIL-6(interleukin 6)、COX-2(cyclooxygenase-2)、IL-1β(interleukin-1β)、TNF-α(tumor necrosis factor-α)の発現を抑制して抗炎症効能に優れるうえ、皮膚衝撃及び保湿遺伝子としてのAQP-3(Aquaporin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)、IVL(involucrin)の発現を増強させて化粧品として使用するとき、皮膚鎮静、保湿、皮膚バリア改善、皮膚紅斑などの刺激緩和、かゆみ緩和などにおいて優れた効果があるため、皮膚の状態を改善するマルチケア製品として有用に活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ(Cyperus rotundus)抽出物を含有することを特徴とする、抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項2】
α-シペロンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項3】
前記抽出物が一酸化窒素(Nitric Oxide:NO)生成を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項4】
前記抽出物が、炎症発現因子であるIL-6(interleukin 6)、COX-2(cyclooxygenase-2)、IL-1β(interleukin-1β)、及びTNF-α(tumor necrosis factor-α)からなる群から選択される遺伝子の発現を阻害することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項5】
前記抽出物が皮膚バリア改善効能を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項6】
前記抽出物が、AQP-3(Aquaporin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)及びIVL(involucrin)からなる群から選択される遺伝子の発現を増強させることを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項7】
前記抽出物が皮膚刺激緩和効能を有することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【請求項8】
前記皮膚刺激が紅斑又はかゆみであることを特徴とする、請求項7に記載の抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロバブル抽出工法で製造されたハマスゲ抽出物を含有する抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ハマスゲ(Cyperus rotundus)は、カヤツリグサ科(Cyperaceae)に属する多年生草本であって、韓国南部及び済州島に自生し、ピネン(pinene)、カンフェン(camphene)、1,8-シネオール(cineol)、リモネン(limonene)などの精油成分を含有したもので、鎮痛作用や抗菌作用が知られている。ただし、既存の溶媒を用いた静置抽出法によって抽出するので、ハマスゲの有効成分を活用する上で一部制限がありうる。
【0003】
マイクロバブルは、気体溶解効果、自己加圧効果、帯電効果などの物理化学的な特性と、超極細バブルの酸化還元作用、バブル消滅時に発生する多量のエネルギーを利用して殺菌、洗浄機能などを応用して様々な分野に用いられている。
【0004】
近年、マイクロバブルのみの機能性を利用した製品とサービスを開発し、その活用分野を益々増やしており、食品、医療、農業、水産、染色などの産業全分野で広く適用されており、韓国登録特許第10-2222661号でのように天然原料の抽出にマイクロバブルを利用したりもする。
【0005】
そこで、本発明者らは、ハマスゲの多様な生理活性を研究している中で、マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物が既存の静置抽出物に比べて抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善効能が高いことを確認し、これを新しい化粧料組成物として利用可能であることを見出し、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2013-0062112号(発明の名称:ハマスゲ抽出物を有効成分として含有する炎症性疾患の予防及び治療用皮膚外用組成物、出願人:財団法人韓国漢方産業振興院、公開日:2013年6年12月)
【特許文献2】韓国登録特許第10-2222661号(発明の名称:加温マイクロバブルを用いた天然化粧品原料の抽出物の製造方法及びこれを含有する化粧料組成物、出願人:株式会社J2Kバイオ、登録日:2020年8月24日)
【特許文献3】米国録特許第11110117号(発明の名称:Skin preparation composition for external use containing complex hyaluronic acid、出願人:株式会社J2Kバイオ、登録日:2021年9月7日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、マイクロバブル抽出工法で製造されたハマスゲ(Cyperus rotundus)抽出物を含有する抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用化粧料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ(Cyperus rotundus)抽出物を含有する抗炎症及び皮膚鎮静用化粧料組成物に関する。
前記抽出物には、α-シペロンが50000~60000ppm含まれ得る。
【0009】
好ましくは、前記抽出物は、一酸化窒素(Nitric Oxide:NO)生成を抑制することを特徴とする。また、炎症発現因子であるIL-6(interleukin 6)、COX-2(cyclooxygenase-2)、IL-1β(interleukin-1β)、及びTNF-α(tumor necrosis factor-α)からなる群から選択される遺伝子の発現を阻害する効能がある。
【0010】
前記抽出物は、皮膚バリア改善効能を有するものであり得る。また、前記抽出物は、経皮水分損失を抑制し、皮膚水分含有量を増加させて保湿効能を有するものであり得る。好ましくは、前記抽出物は、AQP-3(Aquaporin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)及びIVL(involucrin)からなる群から選択される遺伝子の発現を増強させることを特徴とする。
【0011】
また、前記抽出物は、皮膚刺激緩和効能を有するものであり得る。好ましくは、前記抽出物は、皮膚紅斑を緩和するか、或いはかゆみを改善して皮膚の刺激を緩和し、皮膚を鎮静させる。
【0012】
前記加温マイクロバブル抽出は、5~50μmの気孔サイズ、1.0~1.2Ton/hrの吐出量(又は液体流量;liquid flow rate)を有するマイクロバブル発生器を使用し、40~60℃で3~5時間有機溶媒を用いて抽出することができる。このとき、マイクロバブルの発生条件は、3~4barの圧力にて3~4L/minの気体流量(gas flow rate)で発生する条件である場合に抽出効率が最も良い。
【0013】
前記有機溶媒は、C1~C4アルコールまたはこれらの水溶液であり得る。前記C1~C4アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びイソブタノールであり、C1~C4アルコールの水溶液は、40~60%(v/v)のC1~C4アルコール水溶液であり得る。
前記有機溶媒は、ハマスゲ使用重量を基準に1~40倍の体積(1kg基準1~40L)を使用することができる。
【0014】
本発明の抽出物は、その画分を含むものであり得る。本発明で使用された「画分」という用語は、いろいろの様々な構成成分を含む混合物から特定の成分または特定の成分群を分離するために分画を行って得られた結果物を意味する。
【0015】
本発明の画分を得る分画方法は、特に限定されず、当技術分野で通常使用する方法に従って行われることができる。様々な溶媒を処理して行う溶媒分画法、一定の分子量カット-オフ値を有する限外濾過膜を通過させて行う限外濾過分画法、様々なクロマトグラフィー(サイズ、電荷、疎水性または親和性による分離のために製作されたもの)を行うクロマトグラフィー分画法、及びその組み合わせなどが採用できる。本出願の分画物を得るために使用される分画溶媒の種類は、特に限定されず、当技術分野における公知の任意の溶媒を使用することができる。本出願の分画溶媒の非制限的な例としては、水、炭素数1~4のアルコールなどの極性溶媒;ヘキサン(hexane)、酢酸エチル(ethyl acetate)、クロロホルム(chloroform)、ジクロロメタン(ddichloromethane)などの非極性溶媒などが挙げられる。これらは、単独で使用されるか、或いは1種以上混合して使用されてもよい。
【0016】
前記クロマトグラフィーは、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)、LH-20カラムクロマトグラフィー(LH-20 column chromatography)、イオン交換樹脂クロマトグラフィー(ion exchange resin chromatography)、中圧液体クロマトグラフィー(medium pressure liquid chromatography)、薄層クロマトグラフィー(TLC、thin layer chromatography)、シリカゲル真空液体クロマトグラフィー(silica gel vacuum liquid chromatography)及び高性能液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography)の中から選択できる。
【0017】
また、本発明は、加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物を含有する抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用薬学組成物を提供する。前記ハマスゲ抽出物は、本発明の薬学組成物に0.001~100重量%で添加できる。
【0018】
前記薬学組成物は、それぞれ通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾル等の経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射用溶液の形態で剤形化して使用できる。前記薬学組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油を挙げることができる。製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を用いて調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、本発明のハマスゲ抽出物に少なくとも1種の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤に加えて、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの潤滑剤も使用される。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内容液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、一般に用いられる単純希釈剤である水、流動パラフィン以外にも種々の賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれ得る。非経口投与のための製剤には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能なエステルなどが使用できる。坐剤の基剤としては、ウィテプソール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0019】
本発明の薬学組成物の投与量は、治療を受ける対象の年齢、性別及び体重、治療すべき特定の疾患または病理状態、疾患または病理状態の重症度、投与経路及び処方者の判断によって異なるであろう。このような因子に基づく投与量の決定は、当業者のレベル内にあり、一般に、投与量は0.01mg/kg/日~約2000mg/kg/日の範囲である。より好ましい投与量は、1mg/kg/日~500mg/kg/日である。投与は、1日に1回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。前記投与量は、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
本発明の薬学組成物は、ラット、家畜、ヒトなどの哺乳動物に様々な経路で投与できる。投与の全ての方式は予想できるが、例えば、経口、直腸または静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜または脳血管内注射によって投与できる。本発明のハマスゲ抽出物は、毒性及び副作用がほとんどないため、予防目的で長期間服用時にも安心して使用することができる薬剤である。
【0021】
また、本発明は、加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物及び食品学的に許容される食品補助添加剤を含む抗炎症、皮膚鎮静、刺激緩和及び皮膚バリア改善用健康機能食品を提供する。前記ハマスゲ抽出物は、本発明の健康機能食品に0.001~100重量%で添加できる。本発明の健康機能食品は、錠剤、カプセル剤、丸剤又は液剤などの形態を含み、本発明の抽出物を添加することが可能な食品としては、例えば、各種のドリンク剤、肉類、ソーセージ、パン、キャンディ類、スナック類、麺類、アイスリーム、乳製品、スープ、イオン飲料、飲料水、アルコール飲料、ガム、茶及びビタミン複合剤などがある。
【0022】
本発明の加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物を含有する化粧料組成物の剤形としては、当技術分野で通常製造される如何なる剤形にも製造でき、美容液、乳液、エマルジョン、フェイスパック、ハンドクリーム、フットクリーム、リップバーム、リップスティック、アイシャドウ、アイライナー、アイブロウペンスル、頬紅、ハイライト、一般化粧水、化粧水、クリーム、セラム、美容石鹸、柔軟化粧水、薬用化粧水、全身洗浄剤、クレンジングフォーム、クレンジングローション、ゲル、クレンジングオイル、クレンジングクリーム、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアローション、クレンジングティッシュ、及びクレンジングウォーターから選択されるものを提供することができる。
【0023】
より詳細には、本発明の化粧料組成物の剤形がペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物油、植物油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクまたは酸化亜鉛などが使用できる。本発明の化粧料組成物の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムまたはポリアミドパウダーが使用でき、特にスプレーの場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン-ブタンまたはジメチルエーテルなどの推進体を含むことができる。本発明の化粧料組成物の剤形が溶液又は乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、溶媒和剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルがある。本発明の化粧料組成物の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノール又はプロピレングリコールなどの液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天又はトラカントなどが使用できる。本発明の化粧料組成物の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、アセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物油、ラノリン誘導体またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが使用できる。本発明の化粧料組成物は、蛍光物質、殺真菌剤、屈水性誘発物質、保湿剤、芳香剤、芳香剤担体、タンパク質、溶解化剤、糖誘導体、UVカット剤、ビタミン、植物抽出物などを含む賦形剤をさらに含有することができる。これらの成分は、剤形または使用目的に応じて、その添加量を、化粧料組成物固有の効果を損なわない範囲内で選択することができる。前記成分の添加量は、例えば、組成物の総重量に対して0.1~10重量%、好ましくは0.1~6重量%であり得るが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ(Cyperus rotundus)抽出物を含有する化粧料組成物に関する。前記抽出物は、一酸化窒素(Nitric Oxide:NO)生成を抑制し、炎症発現因子であるIL-6(interleukin 6)、COX-2(cyclooxygenase-2)、IL-1β(interleukin-1β)、TNF-α(tumor necrosis factor-α)の発現を抑制して抗炎症効能に優れるうえ、皮膚衝撃及び保湿遺伝子としてのAQP-3(Aquaporin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)、IVL(involucrin)の発現を増強させて化粧品として使用するとき、皮膚鎮静、保湿、皮膚バリア改善、皮膚紅斑などの刺激緩和、かゆみ緩和などにおいて優れた効果があるため、皮膚の状態を改善するマルチケア製品として有用に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物を含有するクリームがかゆみ緩和効果を有することを示す結果グラフである。
図2】本発明の加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物を含有するクリームが経皮水分損失抑制効果を有することを示す結果グラフである。
図3】本発明の加温マイクロバブル抽出されたハマスゲ抽出物を含有するクリームが皮膚水分含有量増加効果を有することを示す結果グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される内容が徹底かつ完全となるように、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供するものである。
【実施例
【0027】
<実施例1~3.ハマスゲマイクロバブル抽出物の製造>
ハマスゲ(Cyperus Rotundus Root)は、サムホン乾材薬業社(韓国産)から購入した。ハマスゲ100gを5~50μmの気孔サイズ、1.0~1.2Ton/hrの吐出量(液体流量)を有するマイクロバブル発生器(製造社:O2BUBBLE)に溶媒としての50(v/v)%エタノール水溶液2000g(1:20の重量比)と共に注入してマイクロバブル抽出し、しかる後に、気孔サイズ5μmのフィルターで濾過(NO.2、HYUNDAI MICRO)した後、濃縮乾固して真空乾燥し、これを試料として用いた。
【0028】
また、このとき、マイクロバブル発生器で大気(Air)中の空気を用いてバブルを発生するときの圧力は3~4bar、Air気体流量は3~4L/minとなるようにした。
【表1】
【0029】
<比較例1~13.比較条件抽出物の製造>
ハマスゲ抽出物を製造するが、抽出方法は、次のとおりに条件を異ならせた。
【表2】
【0030】
<実験例1.各抽出物内の有効成分の確認>
抽出物中の指標成分であるα-シペロン(α-cyperone)の標準品は、Sigma Aldrich社から購入した。標準品10mgを99%メタノール100mlに、試料サンプルを50mgずつ99%メタノール50mlに溶解させた。
【0031】
分析システムとしてはWaters e2695/2998 UVDを使用し、カラムはCapcellpak C18 UG 120(5μm、4.6×250mm)を適用した。溶出用濃度勾配溶媒は、A溶媒として0.1%ギ酸水溶液、B溶媒としてはACNを使用し、80分間A溶媒からB溶媒へ13段階にわたって100:0(v:v)→0:100(v:v)で溶出させた。
【0032】
最終的に得た各試料中の有効成分の含有量は、下記表3に示す。
【表3】
上記表3の結果から、本発明の実施例1~3の抽出物に、有効化合物であるα-シペロンが最も高含有量で含まれていることを確認することができる。
【0033】
<実験例2.試料の細胞毒性確認>
実施例1~3、比較例1~13で製造した各抽出物の細胞毒性を確認するために、MTTアッセイを行った。まず、96ウェルプレートにRAW264.7細胞を5×10cell/wellとなるように分注した後、24時間後に各濃度に合うようにDMSOに溶かしたサンプルを添加した。24時間後に培地を除去した後、MTT試薬(in PBS 2.5mg/mL)ウェルに40μLずつ加え、インキュベーターで4時間反応させた後、さらに上清液を除去する。DMSOを100μLずつ分注して完全に溶かす。分光光度計を用いて吸光度540nmで測定した。
【0034】
【表4】
【0035】
その結果、表4のように、各抽出物は、対照群の値を100%とするとき、最大濃度250μg/mlまでいずれも細胞生存率が97.0%以上と確認されて細胞毒性がないことが確認された。以降の実験は250μg/ml以下の濃度で行った。
【0036】
<実験例3.一酸化窒素生成量の測定>
実施例1~3、比較例1~13で製造した各抽出物の一酸化窒素(Nitric Oxide:NO)生成抑制活性を確認するために、マウスマクロファージ細胞であるRAW264.7細胞株を用いて実験を行った。RAW264.7細胞を96ウェルプレートに1.0×10cells/wellで分注し、5%COが供給される37℃のインキュベーターで24時間培養した。
【0037】
その後、96ウェルプレートに系列希釈したサンプル及び刺激剤をそれぞれ処理した。このとき、刺激剤であるLPSの最終濃度は、1μg/mLとなるようにした。24時間培養完了した細胞の上清液を100μL取って新たな96ウェルプレートに入れ、Griess AとGriess B試薬を1:1の比率で混ぜて各ウェルに100μL添加することにより、常温で10分間反応させて540nmで吸光度を測定した。
【0038】
一酸化窒素産生は、下記の式を用いて計算した。
NO生成率(%)=(Sample absorbance/Control absorbance)×100
測定結果を示すために、LPS1μg/mLを処理した細胞のO.D値を100%に換算し、この値を対照群(control)として記載した。
【0039】
【表5】
【0040】
その結果、表5に示すように、本発明の実施例1~3の抽出物が濃度依存的に一酸化窒素生成抑制効果を示すことを確認したが、この基準に及ばない抽出物は、一酸化窒素生成が大きく抑制されないため、抗炎症効能が低いと把握される。
【0041】
<実験例4.抗炎症関連遺伝子発現量の調査>
RAW264.7細胞を6ウェルプレートに4.0×10cells/wellで分注し、5%COが供給される37℃のインキュベーターで24時間培養する。各抽出物試料は、最終濃度が100ppmとなるように処理し、刺激剤としてLPSを1μg/mLとなるように4時間反応させた。培地上清液を除去し、PBSで洗浄してNucleoZOL(Macherey-nagel、ドイツ)500μLに溶解させた。その後、滅菌蒸留水200μLを加えて15分間遠心分離した後、上清液500μLを新しいチューブに移した。次に、イソプロパノール500μLを入れて10分間遠心分離し、上清液を除去した後、75%(v/v)エタノール水溶液を添加して5分間再び遠心分離した。上清液を除去して常温で乾燥させた後、ジエチルピロカーボネート-蒸留水(DEPC-DW)を50μLずつ分注して溶解させ、分光光度計を用いてRNAを定量した。
【0042】
以後には、HiSenScriptTM RH(-) RT PreMix Kitを用いて定量されたRNA1μgとDEPC-DWを入れて混合し、総量が20μLとなるようにした。42℃30分、85℃10分、4℃∞条件でcDNA合成した。合成された相補的DNA(cDNA)は、2x Real-Time PCR Master Mix(BioFACT)10μL、cDNA1μL、Forward primer(10pmole/μL)1μL、Reverse primer(10pmole/μL)1μL及びDEPC-DWを入れて混合し、総量が20μLとなるようにした。確認対象遺伝子プライマーは、下記表6に開示されているものを使用した。
【0043】
【表6】
【0044】
その後、95℃15分、95℃20秒、60℃40秒の50サイクル条件でリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Real-Time PCR)装備を用いてPCRを行った。実験結果は、相対定量分析(△Ct値)によって各因子のmRNA発現を分析した。
【0045】
各遺伝子別発現量の分析結果値は、下記表7に示す。
【表7】
【0046】
確認結果、表7に示すように、炎症発現因子であるIL-6(interleukin 6)、COX-2(cyclooxygenase-2)、IL-1β(interleukin-1β)、TNF-α(tumor necrosis factor-α)に対する各遺伝子発現が実施例1~3の抽出物処理群で著しく抑制されたことが分かる。
【0047】
<実験例5:皮膚バリア及び保湿関連遺伝子発現量の確認>
次に、皮膚衝撃強化効果を確認するために、HaCaT細胞を6ウェルプレートに2.0×10cells/wellで分注し、5%COが供給される37℃のインキュベーターで24時間培養する。PBSで洗浄し、FBSが添加されていないDMEM培地と交換した後、各抽出物試料を、最終濃度が100ppmとなるように処理した。抗炎症遺伝子測定条件と同様に、RNA抽出及びcDNAを合成し、AQP-3(Aquaporin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)、IVL(involucrin)の遺伝子発現を同様に実験して確認した。このとき、使用されたプライマーは下記表8の通りであり、遺伝子発現は比較群(無処理群)を100%にして表9に示す。
【0048】
【表8】
【0049】
【表9】
【0050】
表9に示すところによれば、皮膚バリア強化及び水分/保湿に関連するAQP-3(Aquaorin-3)、HAS-2(Hyaluronan Synthase 2)、CLDN-1(claudin-1)、CDH1(Cadherin 1)、FLG(Filaggrin)及びIVL(involucrin)の遺伝子発現様相を分析した結果、本発明の実施例1~3の抽出物が皮膚保湿機能を高めて皮膚バリアを堅固にする化粧料組成物として用いるのに最も適していることが分かる。
【0051】
<化粧料組成物剤形例1.化粧水の製造>
実施例1の抽出物5.0重量%、プロピレングリコール5.2重量%、オレイルアルコール1.5重量%、エタノール3.2重量%、3.2重量%のポリソルベート20、2.0重量%のベンゾフェノン-9、カルボキシルビニルポリマー1.0重量%、グリセリン3.5重量%、微量の香り、微量の防腐剤、残量の精製水の含有量で通常の方法を用いて化粧水を製造した。
【0052】
<化粧料組成物剤形例2.乳液の製造>
実施例1の抽出物5.0重量%、セトステアリルアルコール1.0重量%、グリセリルモノステアレート0.8重量%、ソルビタンモノステアレート0.3重量%、1.0重量%のポリソルベート60、ミネラルオイル5.0重量%、シクロメチコン3.0重量%、ジメチコン0.5重量%、アラントイン0.1重量%、グリセリン5.0重量%、アルコール2重量%、プロピレングリコール3.0重量%、微量の香り、微量の防腐剤、残量の精製水の含有量で通常の方法を用いて乳液を製造した。
【0053】
<化粧料組成物剤形例3.トナーの製造>
実施例1の抽出物5.0重量%、プロピレングリコール4.0重量%、グリセリン3.0重量%、アラントイン0.5重量%、EDTA-2Na0.01重量%、エタノール5.0重量%、トリエタノールアミン1.5重量%、スクアラン2.0重量%、蜜蝋2.5重量%、1.0重量%のポリソルベート60、カルボキシルビニルポリマー1.0重量%、ソルビタンセスキオレート2.5重量%、微量の香り、微量の防腐剤、残量の精製水の含有量で通常の方法を用いてトナーを製造した。
【0054】
<化粧料組成物剤形例4.クリームの製造>
実施例1の抽出物5.0重量%、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.7重量%、ソルビタンセスキオレート0.5重量%、セチルアルコール0.6重量%、ステアリン酸0.75重量%、グリセリルモノステアレート0.6重量%、流動パラフィン15.0重量%、カルボキシビニルポリマー10.0重量%、トリエタノールアミン0.2重量%、微量の香り、微量の防腐剤、残量の精製水の含有量で通常の方法を用いてクリームを製造した。
【0055】
<実験例6:皮膚刺激緩和効果の確認>
化粧料組成物剤形例3で製造したトナーを用いて人体貼布試験を行うことにより、皮膚刺激緩和効果を評価した。
【0056】
このために、20~55歳の成人女性20名の試験対象者を対象に(-1日、試験開始日)、試験部位を洗浄し、30分間皮膚安定を取った後、色差計(Spectrophotometer)を用いて評価を行った。
【0057】
この時、SLS(sodium lauryl sulfate)1.0%水溶液を含浸したチャンバーを試験部位に24時間付着させて皮膚紅斑を起こすようにした。試験部位に付着したチャンバーを除去した後、試験部位の状態を確認した(製品使用前、0日)。
【0058】
このように紅斑誘導後、状態測定を行った試験対象者にトナーの使用法について説明し、試験製品を塗布した。製品使用24時間、48時間、72時間後、試験対象者を対象に安全性評価及び機器評価を行って効能を評価した。結果は、色差計(Spectrophotometer)を用いて*a valueを測定し、製品使用72時間後に*a valueが有意に減少することを確認することができた。
【0059】
【表10】
【0060】
表10の結果のように、試験結果、SLSを単独で貼布した部分は、24時間後に皮膚の赤い刺激が最大値で示されたが、実施例1で得たハマスゲ抽出物を含有する製品を貼布した場合、速やかに皮膚状態が回復した。しかし、抽出物が含まれていないトナーの場合、72時間後も赤みが残っていた。
【0061】
<実験例7:専門家による肉眼評価>
製剤例4のクリーム(実施例1のハマスゲ抽出物が5重量%で含有されたもの)を、他の成分は同一であるが、抽出物のみ含有されていないクリームと比較して臨床的症状効能をテストするようにした。この実験は、ユーザー評価まで同じ対象者を対象として観察された。
【0062】
このために、各クリームを試験期間8週間1日2回朝・夕方に洗浄した後、適量ずつかゆみを訴える対象者のひかがみ下方5cm以内の部位に塗らせた。試験対象者は、計32名であった。
【0063】
一番目は、肉眼でクリームの使用程度による専門家(皮膚科専門医/専攻医)が紅斑、角質、硬結、亀裂の程度を下記表11のESIF(ESIFスケール(erythema、scaling、induration、fissuring)によって評価した。
【0064】
【表11】
【0065】
専門家の評価によって、このとき、4つの変数を加えて、各実験対象者は合計0~12点を示すことができるが、6点を超える場合には、皮膚科的治療を要する者と判断して実験から除外することができる。
【0066】
確認結果、計8週間、試験対象者32名の紅斑、角質、硬結、亀裂の変数を合わせた結果、6点を超える者が0名であり、実験に適さない或いは副作用がある者は確認されなかったので、実験を持続的に行った。関連結果は、別添しなかった。
【0067】
<実験例8:かゆみ改善の確認>
8週間実験を行った対象者に対するかゆみの評価は、visual analogue scale(VAS)で行ったが、10cmの線分位に試験対象者が直接表示した後、その長さを測定した。かゆみ尺度変化率は、下記式によって反映した。
*製品使用前:0週かゆみ尺度変化率(%)
={(製品使用後のかゆみ尺度-製品使用前のかゆみ尺度)/製品使用前のかゆみ尺度}×100
これに対する結果は、図1に示す。
【0068】
図1を確認すると、ハマスゲ抽出物を含むTESTクリームが、抽出物無処理群であるCONTROLクリームと比較して、4週目と8週目に顕著なかゆみ緩和効果を示すことを確認することができる。
【0069】
<実験例9:経皮水分損失量の確認>
クリームの使用程度による経皮水分損失量(TEWL)は、皮膚バリアの機能を回復してかゆみなどの改善に役立つ化粧品の人体適用試験ガイドライン[苦情人ガイド]に準用して試験を行った。経皮水分損失量の測定時に使用された装備は、Vapometer(Delfin、フィンランド)で測定した。Vapometerには、皮膚表面の相対湿度を測定することが可能なチャンバーがあるため、皮膚表面の水分損失量を測定することができる。経皮水分損失量(TEWL)が減少するほど測定数値が低くなり、測定単位はg/m/hであり、その結果は下記式によって図2に示す。
*製品使用前:0週
皮膚水分含有量変化率(%)
={(製品使用後の測定値-製品使用前の測定値)/製品使用前の測定値}×100
【0070】
図2を確認すると、ハマスゲ抽出物の含まれているTESTクリームが抽出物無処理群であるCONTROLクリームと比較して、4週目と8週目に経皮水分損失率が著しく減少することを把握することができる。
【0071】
<実験例10:皮膚水分含有量の確認>
クリームの使用程度による皮膚水分含有量の測定は、Corneometer CM825(Courage-Khazaka electronic GmbH、ドイツ)を用いて測定した。Corneometerは、皮膚に接触するプローブを介して伝達される電流の静電負荷容量(capacitance)の計測で行われる。水分の含有量と静電負荷容量は、互いに比例する性質があるので、水分が高いほど測定値が高くなり、測定係数はArbitrary unit(A.U.)である。各結果は、下記式によって換算して図3に示す。
*製品使用前:0週
皮膚水分含有量変化率(%)
={(製品使用後の測定値-製品使用前の測定値)/製品使用前の測定値}×100
図3を参照すると、本発明のハマスゲ抽出物が含有されたクリームを塗った群において、皮膚水分含有量がやはり大きく増加することが確認される。
【0072】
<実験例11:試験対象者の満足度>
本発明のハマスゲ抽出物が含有されたクリームと対照群クリームを使用4週間後、ユーザーの製品満足度を下記表12の基準で測定して表13に示す。
【0073】
【表12】
【0074】
【表13】
表13の結果から分かるように、本発明の抽出物が含有されたクリームは、かゆみ改善効果だけでなく、化粧料剤形自体に対する嗜好度にも優れている。
この結果から、本発明のハマスゲ抽出物が含有されたクリームの有用性を確認することができた。
図1
図2
図3
【国際調査報告】