(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20250128BHJP
G06K 19/02 20060101ALI20250128BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
G06K19/077 144
G06K19/077 196
G06K19/077 244
G06K19/077 212
G06K19/02
B32B15/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500617
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 IB2022056762
(87)【国際公開番号】W WO2023131825
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202241000462
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524008362
【氏名又は名称】エムシーティー カーズ アンド テクノロジー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】デヴァディガ,シュリカンス エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,スシル
(72)【発明者】
【氏名】シェト,ニシャント エヌ
(72)【発明者】
【氏名】バート,ナガブシャン エス
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,スディッシュ エス
(72)【発明者】
【氏名】グプテ,アバイ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB01A
4F100AB04A
4F100AB10A
4F100AB21E
4F100AB23E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA23E
4F100CB00D
4F100CB05B
4F100EC182
4F100GB90
4F100HB21E
4F100HB31E
4F100JB16E
4F100JG06C
4F100JL13B
(57)【要約】
本発明は、金属層(101)、粘着層(102)、磁気層(103)、二重接着剤層(104)、アンテナ(105)、アンテナインレイ層(106)、磁気ストリップを持つオーバーレイ層(108)、充填材料(110)、集積回路チップモジュール(113)を含む、デュアルインタフェーススマートカード(100)に関し、前記金属層(101)は表面層として機能し、前記粘着層(102)は結合を作り出し、前記二重接着剤層(104)は、前記磁気層(103)を前記アンテナインレイ層(106)と結合し、磁気ストライプを持つ前記オーバーレイ層(108)は、前記印刷層(107)層のための保護層であり、前記磁気ストライプは、前記デュアルインタフェーススマートカード(100)をスワイプするためである。集積回路チップモジュール(113)は、アンテナ(105)とモジュール導体パッドを接続するためのはんだペーストから成るTeコネクトプロセスを使用することによって埋め込まれる。
【選択図】
図1(a)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層(101)と、
粘着層(102)と、
磁気層(103)と、
二重接着剤層(104)と、
アンテナ(105)と、
アンテナインレイ層(106)と、
印刷層(107)と、
磁気ストリップを持つオーバーレイ層(108)と、
充填材料(110)と、
はんだペースト(111)と、
熱活性化接着テープ(112)と、
集積回路チップモジュール(113)と
を含む、デュアルインタフェーススマートカード(100)であって、
前記金属層(101)は、前記デュアルインタフェーススマートカード(100)の表面層として機能し、前記粘着層(102)は、前記金属層(101)と前記磁気層(103)との間の結合を作り出し、
前記磁気層(103)は、前記金属層(101)が、前記アンテナ(105)から生じる電磁場と干渉するのを防ぎ、前記磁気層(103)は、高抵抗を備えた高透磁率を有して、前記電磁場の複数の磁力線を調整するために前記金属層(101)と前記アンテナインレイ層(106)との間に配置され、
前記二重接着剤層(104)は、前記磁気層(103)を前記アンテナインレイ層(106)と結合し、前記アンテナインレイ層(106)は、インレイを形成するために前記アンテナ(105)を保持するための基材であり、
前記印刷層(107)は視覚的表示のために情報を印刷するためであり、
前記磁気ストリップを持つ前記オーバーレイ層(108)は、前記印刷層(107)のための保護層であり、前記デュアルインタフェーススマートカード(100)をスワイプするための前記磁気ストライプを置くための基材の役割を果たし、かつ
前記充填材料(110)は前記金属層(101)に広がって前記集積回路チップモジュール(113)を保持して、前記デュアルインタフェーススマートカード(100)における絶縁層として機能し、充填材料(110)は、前記充填材料(110)の下にいかなる接着剤も使用することなく、裏板と結合する、
デュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項2】
前記金属層(101)は、ステンレス鋼板、アルミニウム板を含むが、それらに制限されない材料から作られている、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項3】
前記粘着層(102)および前記二重接着剤層(104)は、熱可塑性物質などの熱活性化材料から作られている、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項4】
前記磁気層(103)は、45~55ミクロン磁気層(103)の範囲の厚さを有して、15~17MQの範囲の抵抗、45~65μ´の範囲の透磁率を示す、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項5】
前記アンテナ(105)は、銅コイルを含むが、それに制限されない材料から作られている、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項6】
前記熱活性化接着テープ(112)は、前記集積回路チップモジュール(113)の裏面上に移される接着フィルムである、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項7】
前記集積回路チップモジュール(113)は、アンテナパッドを含み、前記集積回路チップモジュール(113)は支払方法標準のとおりにデータを格納する、請求項1に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)。
【請求項8】
デュアルインタフェーススマートカード(100)を製造するための方法であって、
a)金属層(101)を準備するステップと、
b)二重接着剤層(104)および磁気層(103)を選択するステップと、
c)アンテナインレイ層(106)を準備するステップと、
d)プラスチック製裏板を準備するステップと、
e)前記磁気層(103)および接着剤層を準備するステップと、
f)前記デュアルインタフェーススマートカード(100)の組立体を形成するために前記層と層を順に並べるステップと、
g)前記組立体を貼り合わせて、集積回路チップモジュール(113)を埋め込みのために準備するステップと、
h)金属面層を持つ前記デュアルインタフェーススマートカード(100)を製造する前記集積回路チップモジュール(113)を埋め込むために前記金属カードをフライス加工するステップと
を含み、
前記金属層(101)は、自動化ツールを通してピン孔を作るために処理され、
前記二重接着剤層(104)および磁気層(103)が一緒に順に並べられて、前記順に並べられた二重接着剤層(104)および磁気層(103)上に孔が作られ、
前記アンテナインレイ層(106)は、アンテナ層をプラスチック層上に埋め込むことによって準備されて、前記アンテナインレイ層(106)は、アンテナインレイ層(106)を形成するラミネーションプロセスによって平板化され、
前記プラスチック製裏板は、印刷層(107)を形成する任意の情報で印刷されて、複数の磁気ストリップがオーバーレイ層(108)上に移され、
前記アンテナインレイ層(106)、プラスチック製裏板および前記オーバーレイ層(108)が一緒にスポット溶接されて貼り合わされて前記層の収縮および膨張を回避するための積層裏板を作製し、ピン孔が前記積層裏板上に作られ、
前記金属層(101)、二重接着剤層(104)、前記積層裏板が順に並べられて、充填材料(110)が前記金属層(101)内に作られた前記孔を通して塗布されて前記組立体を形成し、
前記組立体が貼り合わされて積層金属カードを形成し、
前記集積回路チップモジュール(113)を埋め込むための前記金属カードの前記フライス加工が、熱はんだプロセスと比較してより高いスループットを獲得するのに役立つTeコネクトプロセスを通して行われる、
デュアルインタフェーススマートカード(100)を製造するための方法。
【請求項9】
前記ラミネーションプロセスは、150~152℃の範囲の高温で約10~12分間、700~800psiの範囲の圧力を掛けることにより、次いで20~25℃で冷却することにより、そして1200~1500psiの圧力を、再度12~14分間、掛けることによって実行されて、前記アンテナインレイ層(106)を形成する、請求項8に記載のデュアルインタフェーススマートカード(100)を製造するための方法。
【請求項10】
デュアルインタフェーススマートカード(100)において集積回路チップモジュール(113)をフライス加工して、空洞を埋め込むための方法であって、
a)前記集積回路チップモジュール(113)の表面を収容するための充填剤層を持つカードを、複数のアンテナ端子が露出するまでフライス加工を行うステップと、
b)前記集積回路チップモジュール(113)を選択して、前記集積回路チップモジュール(113)の複数のコネクタを露出させるために、前記集積回路チップモジュール(113)上に熱活性化接着テープ(112)を貼り付けるステップと、
c)ステップ(b)から取得される前記集積回路チップモジュール(113)を、ステップ(a)を通して取得されたフライス加工済み製品上に配置するステップと、
d)前記集積回路チップモジュール(113)を前記デュアルインタフェーススマートカード(100)上に埋め込むために、はんだペースト(111)を前記アンテナ端子上に塗布するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層を持つスマートカードに関する。より詳細には、本発明は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードならびに、より高出力を達成して、ステップ数を削減することにより製造方法の複雑さを低減するためのデュアルインタフェースチップモジュールおよびアンテナを用いた、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、スマートカードの使用は増大しており、それは、企業界において、全従業員IDバッジ、市民の身分証明書、電子パスポート、運転免許証およびオンライン認証デバイスでの安全な身分証明用途の形で、ヘルスケア業界において、全市民健康IDカード、医師IDカード、ポータブル医療記録カードでのヘルスケア用途の形で、スーパーマーケット、ショッピングストアおよび様々な飲食店において、接触または非接触クレジットもしくはデビットカードおよびトランジット支払いカードのいずれかを通した支払い用途の形で等、ほとんど全ての産業で使用されている。スマートカードは、様々な遠隔通信用途において、典型的にはオンライン使用のために静的情報を使用する、GSM加入者識別モジュール、電話支払いカードの形でも、極めて重要な役割を果たす。しかし、かかる静的情報は一般に、ハッキングおよびインターセプトするのが容易である。
【0003】
一般に、安全なマイクロコントローラまたは同様にインテリジェントなマイクロコントローラは、内部メモリ記憶もしくは外部メモリ記憶をメモリチップだけの形で有しており、その結果、かかるマイクロコントローラは、集積回路チップの形で埋め込まれる場合、スマートカードとして知られている。それ故に、スマートカードは一般に、埋込み集積回路チップの形で利用可能である。スマートカードは、スマートカードリーダーを使用して読み取られる必要があり、従って、スマートカードは、スマートカードリーダーに物理的および仮想的の両方で接続できる。従って、スマートカードは、スマートカードリーダーに対して、直接物理的接触によって物理的に、または遠隔非接触無線周波数インタフェースを通して仮想的に、接続できる。
【0004】
スマートカードは、豊富なデータを格納する能力などの顕著な特徴を持ち、それらには、マイクロコントローラが埋め込まれており、それ故に、スマートカードリーダーはインテリジェントにやり取りできるので、それらは暗号化および相互認証に関連した様々な機能を単独で実行できる。スマートカードで使用される技術は、国際標準、ISO/IEC 7816およびISO/IEC 14443で確認される。最近では、それは、メトロカードとして、またはオフィスにおいてオフィスビルに入るために、加入者識別モジュールである、SIMの形で、使用されているのが一般に見られる、プラスチックカードを含む様々な異なる形で利用可能なので、スマートカードを見分ける(spot)のはさらに容易であり、それは、GSM携帯電話を使用している間、および銀行などの様々な金融機関においてUSBベースのトークンの形で、容易に見分けることができる。
【0005】
しかし、高複雑度、ラミネーションフェーズ中のスマートカードにおける層の収縮および膨張などの、これらの金属スマートカードの製造中に、多数の問題に直面し、それに起因して、スマートカードの寿命が縮まる。その上、現在のところ、金属スマートカードは、熱はんだプロセスを通して製造され、熱はんだプロセスは、カード入力マガジン、フライス加工、カード洗浄、ワイヤー位置検査用視覚システム、左および右側のワイヤー引っ張り、ワイヤー位置用視覚、モジュールカプセル化用空洞のフライス加工、ワイヤー引っ張りおよび洗浄、ワイヤーゆがみ矯正、ワイヤートリミング/ドレッシング、モジュールパンチ、ピックアンドプレース、はんだ付け(鉛、スズ)および同様のもの、などの略19~20のステップを含む。より多くの製造ステップ数に起因してそれだけ、より多くの時間および資源が、金属、PVC、接着剤層などの異なる材料タイプのラミネーションにさらに起因して消費されて、層は収縮または膨張し、それは、金属スマートカード製造中に廃棄物および生産性の損失を生じる。
【0006】
US20040206799A1は、プラスチックスマートカード上に配置されたICモジュールの端子に接触させるためにカード上に埋め込まれたアンテナの端子端をはんだ付けするための方法および装置について開示する。エナメル塗装されたアンテナ端子端は、溶けたはんだがその中に保持されている水平開口部を有する加熱器を用いて、はんだで予めコーティングされる。はんだで予めコーティングされた端子端は、2つの枢動細長片持梁の自由前端に取り付けられたコイルを加熱することにより、ICモジュールの端子接点と確実に接触して維持される。予め定められた量のはんだが、各加熱コイルの空洞内に垂らされ、加熱コイルが低電流で作動されて、はんだを溶かすために集中した高温を生成して、アンテナの端子端のICモジュールの接触端子に対する確実で永続的なはんだ接合を形成する。しかし、この発明は、より多くのステップを含む熱はんだプロセスを使用し、その上、この発明は、より高いスループットを達成するのを制限する。
【0007】
US6881605B2は、集積回路(IC)およびアンテナコイルが埋め込まれたカードを形成する方法について開示し、その方法は、(a)アンテナコイルをコアシート上に埋め込むステップ、(b)コアシートをいくつかの外層シートと共に貼り合わせて積層パネルを形成するステップ、(c)積層パネル内に第1の空洞を形成してアンテナコイルの部分を露出させるステップ、(d)アンテナコイルの2つの端部をコアシートから引き出すステップ、および(e)アンテナコイルをもつ集積回路を、例えば、はんだ付けまたは熱圧着によって、固定するステップ、を含む。しかし、この発明は、より多くのステップを含む熱はんだプロセスを使用し、さらにラミネーションプロセスに起因して、層が収縮または膨張し、それは、より高いスループットを達成するのを制限する。
【0008】
US20150028106A1は、集積回路モジュールおよびアンテナコイルが埋め込まれたスマートカードを製造する方法について開示し、(a)アンテナコイルをコアシート上に埋め込むこと、(b)コアシートをいくつかの外層シートと共に貼り合わせて積層パネルを形成すること、(c)積層パネル内に空洞を形成してアンテナコイルの2つの端子を露出させること、および(d)集積回路モジュールの2つの電気接触領域を接続すること、を行うステップを含む。アンテナコイルの露出された端子は、メザニン電極拡散溶接法によって接続されて、トランス出力操作エネルギー出力制御方法(transformer output manipulation energy output control method)によって制御される。しかし、この発明は、より高いスループットを達成するのを制限する、より多くのステップを含む製造方法について開示する。
【0009】
デュアルイタフェーススマートカード製造方法は、パブリックドメインにおいて広く知られているが、全ての現在利用可能な製造方法は、より多くのステップを含み、それに起因してより多くの装置および時間が必要とされる。その上、ラミネーションステップで層が収縮または膨張し、それは、低品質のスマートカードの製造に繋がり、層の特性における差異に起因して層のラミネーション中にいくつかの問題が生じる。
【0010】
それ故に、前述の欠点に起因して、より高出力の達成に向けて著しく貢献する、金属スマートカードおよび、充填材料の下で接着剤の使用を回避することにより製造中のプロセスを削減する、金属スマートカードを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよび、スマートカード内部の層の不必要な収縮および膨張を回避するための2段階ラミネーションプロセスを含むその製造方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよび、ラミネーションプロセス中に圧力を維持するのに役立つエンボス加工を有する積層板を用いたその製造方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよび、熱はんだプロセスのような従来型のプロセスと比較して高スループットをもたらすTeコネクトプロセスを含む、その製造方法を提供することである。
【0014】
本発明のさらに別の目的は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードならびに、費用および複雑さにおける削減となる製造中のステップ数を削減することを目標とする、その製造方法を提供することである。
【0015】
本発明のなお別の目的は、1つ以上の金属層との接触および非接触としてインタフェースを取る能力を持つ、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードならびに、スマートカード内部の層の不必要な収縮および膨張を回避するための2段階ラミネーションプロセスを含み、熱はんだプロセスのような従来型のプロセスと比較して高スループットをもたらすTeコネクトプロセスを含む、その製造方法に関する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、金属層、粘着層、磁気層、二重接着剤層、アンテナ、アンテナインレイ層、印刷層、磁気ストリップを持つオーバーレイ層、充填材料、はんだペースト、熱活性化接着テープ、集積回路チップモジュールから成る、デュアルインタフェーススマートカードを提供し、金属層は、デュアルインタフェーススマートカードの表面層として機能し、粘着層は、金属層と磁気層との間の結合を作り出し、磁気層は、金属層が、アンテナから生じる電磁場と干渉するのを防ぎ、磁気層は、高抵抗を備えた高透磁率を有して、電磁場の複数の磁力線を調整するために金属層とアンテナインレイ層との間に配置され、二重接着剤層は、磁気層をアンテナインレイ層と結合し、アンテナインレイ層は、インレイを形成するためにアンテナを保持するための基材であり、印刷層は視覚的表示のために情報を印刷するためであり、磁気ストライプを持つオーバーレイは、印刷層のための保護層であり、デュアルインタフェーススマートカードをスワイプするための磁気ストライプを置くための基材の役割を果たし、充填材料は金属層に広がって集積回路チップモジュールを保持して、デュアルインタフェーススマートカードにおける絶縁層として機能し、充填材料は、前記充填材料の下にいかなる接着剤も使用することなく、裏板と結合する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、デュアルインタフェーススマートカードを製造するための方法を提供し、a)金属層を準備するステップ、b)二重接着剤層および磁気層を選択するステップ、c)アンテナ層を準備するステップ、d)プラスチック製裏板を準備するステップ、e)磁気層および接着剤層を準備するステップ、f)前記層と層を順に並べて前記デュアルインタフェーススマートカードの組立体を形成するステップ、g)前記組立体を貼り合わせて集積回路チップモジュールを埋め込みのために準備するステップ、ならびにh)金属面層を持つ前記デュアルインタフェーススマートカードを製造する前記集積回路チップモジュールを埋め込むために前記金属カードをフライス加工するステップ、を含み、前記金属層は、自動化ツールを通してピン孔を作るために処理され、前記二重接着剤層および磁気層は一緒に順に並べられて、前記一緒に順に並べられた二重接着剤層および磁気層上に孔が作られ、前記アンテナ層は、アンテナをプラスチック層上に埋め込むことによって準備されて、前記アンテナ層は、アンテナインレイ層を形成するラミネーションプロセスによって平板化され、前記プラスチック製裏板は、任意の情報で印刷されて、複数の磁気ストリップがオーバーレイ層上に移され、前記アンテナインレイ層、プラスチック製裏板および前記オーバーレイ層が一緒にスポット溶接されて貼り合わされて前記層の収縮および膨張を回避するための積層裏板を作製し、ピン孔が前記積層裏板上に作られ、前記金属層、二重接着剤層、前記積層裏板が順に並べられて、充填材料が前記金属層内に作られた前記孔を通して塗布されて前記組立体を形成し、前記組立体は貼り合わされて積層金属カードを形成し、前記集積回路チップモジュールを埋め込むための前記金属カードの前記フライス加工が、熱はんだプロセスと比較してより高いスループットを獲得するのに役立つTeコネクトプロセスを通して行われる。
【0019】
さらに別の実施形態では、本発明は、集積回路チップモジュールをフライス加工するため、およびデュアルインタフェーススマートカード内に空洞を埋め込むための方法を提供し、a)集積回路チップモジュールの表面を収容するために、充填剤層を持つカードを、複数のアンテナ端子が露出するまでフライス加工を行うステップ、b)集積回路チップモジュールを選択して、集積回路チップモジュールの複数のコネクタを露出させるために、集積回路チップモジュール上に熱活性化接着テープを貼り付けるステップ、c)ステップ(b)から取得される集積回路チップモジュールを、ステップ(a)を通して取得されたフライス加工済み製品上に配置するステップ、およびd)集積回路チップモジュールをカード上に埋め込むために、はんだペーストをアンテナ端子上に塗布するステップ、を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の前述の目的および利点は、以下に記載される図面の簡潔な説明、本発明の詳細な説明、および本明細書に添付のクレームから明らかになるであろう。
【0021】
本発明の金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードおよび製造方法の理解は、以下の図面を参照して獲得され得る:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの分解図である。
【
図1b】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの製造方法のフローチャートである。
【
図3】
図3(a)および
図3(b)。本発明の一実施形態に従った金属層内の孔の斜視図および側面図である。
【
図4】
図4(a)および
図4(b)本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカード内のアンテナの上面図および側面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態に従った裏板を形成するために印刷シートおよびオーバーレイなどの層と共に順に並べられた金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカード内のアンテナインレイ層の上面図である。
【
図5b】本発明の一実施形態に従った第1のラミネーション後のカードの上面図である。
【
図5c】本発明の一実施形態に従った第1のラミネーション後のカードの側面図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカード内の接着剤層のための領域内にパンチで開けられた貫通孔の上面図および側面図である。
【
図7】
図7(a)および
図7(b)。本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおける積層裏板の上面図である。
【
図7c】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおいて、金属層がその上に置かれる接着剤層の上面図である。
【
図7d】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおいて、順に並べられた金属層、接着剤層および積層裏板の斜視図である。
【
図7e】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおける全ての層のスポット溶接の線図である。
【
図7f】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおける全ての層の分解図である。
【
図8a】本発明の一実施形態に従った金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードにおける充填材料の金属層上への孔を通した配置の線図である。
【
図8b】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカード層内の充填剤層の別の分解図である。
【
図9a】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカード層においてエンボス層を持つ積層板の等角図である。
【
図9b】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカード層において金属上面およびプラスチック裏面を持つ積層板の斜視図である。
【
図9c】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカード層における全ての層の分解図である。
【
図10】
図10(a)および
図10(b)。本発明の一実施形態に従った、デュアルインタフェーススマートカード層を形成するためにCNCフライス加工される積層板の上面図およびデュアルインタフェーススマートカード層の寸法である。
【
図11】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカードにおいて集積回路チップモジュールをフライス加工して空洞を埋め込むための方法のフローチャートである。
【
図12a】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカードの集積回路チップモジュールの正面図および上面図である。
【
図12b】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカードの集積回路チップモジュール上に貼られる熱活性化接着テープの線図である。
【
図12c】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェーススマートカードの集積回路チップモジュールの概略図である。
【
図13a】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェースカードにおける第1および第2の空洞フライス加工の側面図である。
【
図13b】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェースカードにおける第3および第4の空洞フライス加工の側面図である。
【
図13c】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェースカードにおける集積回路チップモジュール通りの充填材料に関するフライス加工形状および寸法の線図である。
【
図13d】本発明の一実施形態に従ったデュアルインタフェースカードにおいて、はんだペーストの空洞内への分注を示すデュアルインタフェースカードの側面図である。
【
図13e】本発明の一実施形態に従った、集積回路チップモジュールのカード表面上への埋め込みの線図である。
【
図14】本発明の一実施形態に従った最終製品としてのデュアルインタフェーススマートカードの斜視図である。
【
図15】デュアルインタフェーススマートカード内で使用される磁気層の比透磁率のグラフィカル表現である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明はここで、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照して以下で説明される。しかし、本発明は、多くの異なる形で具現化され得、本明細書に記載される実施形態に制限されると解釈すべきではない。むしろ、実施形態は、本開示が完全になって、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0024】
本発明の多くの態様は、以下で図面を参照してより良く理解できる。図面内の構成要素は、必ずしも原寸に比例して描かれていない。代わりに、本発明の構成要素を明瞭に例示して強調される。その上、同様の参照番号は、図面内のいくつかの表示を通して対応する部分を指定する。本発明の少なくとも1つの実施形態を説明する前に、本発明の実施形態はそれらの用途において、以下の説明に記載されているか、または図面内に例示されている構成の詳細および構成要素の配置に制限されないことが理解されるべきである。本発明の実施形態は、様々な方法で実施および実行可能である。加えて、本明細書で採用される言葉遣いおよび用語は、説明目的であり、制限として考えられるべきではない。
【0025】
本発明は、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードならびに、費用および複雑さにおける削減となる製造中のステップ数を削減することを目標とする、その製造方法を提供する。
【0026】
一実施形態では、本発明は、金属層、粘着層、磁気層、二重接着剤層、アンテナ、アンテナインレイ層、印刷層、磁気ストリップを持つオーバーレイ層、充填材料、はんだペースト、熱活性化接着テープ、集積回路チップモジュールから成る、デュアルインタフェーススマートカードを提供し、金属層は、デュアルインタフェーススマートカードの表面層として機能し、粘着層は、金属層と磁気層との間の結合を作り出し、磁気層は、金属層が、アンテナから生じる電磁場と干渉するのを防ぎ、磁気層は、高抵抗を備えた高透磁率を有して、電磁場の複数の磁力線を調整するために金属層とアンテナインレイ層との間に配置され、二重接着剤層は、磁気層をアンテナインレイ層と結合し、アンテナインレイ層は、インレイを形成するためにアンテナを保持するための基材であり、印刷層は視覚的表示のための情報の印刷用であり、磁気ストライプを持つオーバーレイは、印刷層のための保護層であり、デュアルインタフェーススマートカードをスワイプするための磁気ストライプを置くための基材の役割を果たし、充填材料は金属層に広がって集積回路チップモジュールを保持して、デュアルインタフェーススマートカードにおける絶縁層として機能する。
【0027】
図1(a)を参照すると、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの分解図が示されている。デュアルインタフェーススマートカード(100)は、金属層(101)、粘着層(102)、磁気層、二重接着剤層(104)、アンテナ(105)、アンテナインレイ層(106)、印刷層、磁気ストリップを持つオーバーレイ層、充填材料(110)、はんだペースト(111)、熱活性化接着テープ(112)、集積回路チップモジュール(113)から成る。
【0028】
図1(b)を参照すると、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの側面図が示されている。デュアルインタフェーススマートカード(100)は、800~810ミクロンの範囲の厚さを有して、金属層(101)上に埋め込まれる集積回路チップモジュールを持つ。
【0029】
図2を参照すると、金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカードの製造方法のフローチャートが示されている。金属面層を持つデュアルインタフェーススマートカード(100)を製造するための方法は、a)金属層(101)を準備するステップ、b)二重接着剤層(104)および磁気層を選択するステップ、c)アンテナ層を準備するステップ、d)プラスチック製裏板を準備するステップ、e)磁気層および接着剤層を準備するステップ、f)前記デュアルインタフェーススマートカード(100)の組立体を形成するために前記層と層を順に並べるステップ、g)前記組立体を貼り合わせて、集積回路チップモジュールを埋め込みのために準備するステップ、ならびにh)金属面層を持つ前記デュアルインタフェーススマートカード(100)を製造する前記集積回路チップモジュールを埋め込むために前記金属カードをフライス加工するステップ、を含み、前記金属層(101)は、自動化ツールを通してピン孔を作るために処理され、前記二重接着剤層(104)および磁気層は一緒に順に並べられて、前記一緒に順に並べられた二重接着剤層(104)および磁気層上に孔が作られ、前記アンテナ層は、アンテナ(105)をプラスチック層上に埋め込むことによって準備されて、前記アンテナ層は、アンテナインレイ層(106)を形成するラミネーションプロセスによって平板化され、前記プラスチック製裏板は、任意の情報で印刷されて、複数の磁気ストリップがオーバーレイ層(108)上に移され、前記アンテナインレイ層(106)、プラスチック製裏板および前記オーバーレイ層(108)が一緒にスポット溶接されて貼り合わされて前記層の収縮および膨張を回避するための積層裏板を作製し、ピン孔が前記積層裏板上に作られ、前記金属層(101)、二重接着剤層(104)、前記積層裏板が順に並べられて、充填材料(110)が前記金属層(101)内に作られた前記孔を通して塗布されて前記組立体を形成し、前記組立体は貼り合わされて積層金属カードを形成し、前記集積回路チップモジュールを埋め込むための前記金属カードの前記フライス加工が、熱はんだプロセスと比較してより高いスループットを獲得するのに役立つTeコネクトプロセスを通して行われる。
【0030】
図3(a)および
図3(b)を参照すると、本発明の金属層内の孔の斜視図および側面図が示されている。金属層(101)が、強度および張力を改善するために熱処理されて、380~400ミクロンの範囲の厚さをもつ他の合金と組み合わされた300シリーズグレード(具体的には304/316)のステンレス鋼であるカードの最上層として機能することが意図される、シートフォーマットで選択される。金属層(101)は次いで、貫通孔を、フライス加工、レーザー切断などを含むが、それらに制限されない、既知の方法で形成するために加工される。貫通孔の寸法は、カードを形成するために使用される集積回路チップモジュールの寸法よりも高い値に設定される。集積回路チップモジュールの寸法よりも大きな貫通孔を作る利点は、金属層(101)と集積回路チップモジュールとの間により大きな分離を提供すること、従って、伝送(transmission)を強化することである。貫通孔は、選択された集積回路チップモジュールに基づき、形において正方形、長方形または円形であり得る。
【0031】
金属層(101)は、450~485mmの範囲の幅(SH)および250~300mmの範囲の高さ(SW)を有する。シートの厚さ(D1)は、
図3(b)に示されるように、390~400ミクロンの範囲内である。この金属層(101)は、層の上端および底縁から68~71.56mm離れて配置される、直径が2~3mmの範囲内のサイズの2つのピン孔を取得するために第1フライス加工される。これらのピンは、フライス加工プロセス中に材料をしっかりと保持するのに役立つ。金属層(101)は次いで、集積回路チップモジュール寸法よりも少なくとも0.8mm高い幅(W1)および長さ(L1)で貫通孔(201)を金属層(101)上に作成するために、CNC(コンピューター数値制御)フライス盤上に置かれる。
図3(a)に示されるように、約20~24の貫通孔(201)が金属層(101)内に、これらの貫通孔間の垂直距離(TH)が50~56.98の範囲で、水平距離(TW)が85~91mmの範囲で、作成される。
【0032】
図4(a)および
図4(b)を参照すると、本発明におけるアンテナの上面図および側面図が示されている。アンテナ(105)は、銅線アンテナ埋め込み機を使用することにより、アンテナインレイ層(106)内に埋め込まれる。アンテナインレイ層材料は、アンテナシートがアンテナ埋め込みプロセスを使用してしっかりと留まるのを確実にするために、真空および磁気ガイドを使用してワイヤー埋め込み機上に保持される。アンテナ(105)は、13.56mhzで共振するように設計される。アンテナ設計は、
図4(a)に示されるような集積回路チップモジュールによって推奨される。
【0033】
アンテナインレイ層(106)は、標準的な積層機を使用して、熱、冷熱および圧力を掛けることによりアンテナ平坦化プロセスに対して処理される。ラミネーションプロセスは、複数のステップにおいて152℃の高温で約10~12分間、700~800psiの範囲で圧力を掛けることにより、次いで20~25℃でシートを冷却することにより、そして1200~1500psiの圧力を、再度複数のステップにおいて12~14分間の間、掛けることによって実行されて、
図4(b)に示されているような150ミクロンの厚さ(AT)を有する積層アンテナインレイ層(106)を形成する。
【0034】
図5(a)を参照すると、アンテナインレイ層の上面図が示されている。アンテナインレイ層(106)は印刷層(107)および磁気ストライプを持つオーバーレイ(108)と一緒に順に並べられて、全てのプラスチック材料が無傷で保持されることを確実にするためにスポット溶接される。スポット溶接されたシートは次いで、直径2~3mmのピン孔が作られて、標準的なラミネーションプロセスを使用してラミネーションのために処理されて第1の組立体を形成する。ピン孔の位置は金属層(101)内に作られたピン孔に合致する。
【0035】
図5(b)を参照すると、溶接されて貼り付けられた後のアンテナインレイ層の別の上面図が示されている。第1のステップのラミネーションプロセスは、150~152℃の範囲にある高温で約12~16分間、700~800psiの範囲の圧力を印加することにより、次いで、その層を20~25℃の範囲の温度で冷却することにより、そして1200~1500psiの圧力を12~16分間、印加することによって実行される。第1のラミネーション後のカードの側面図が
図5(c)に示されている。
【0036】
図6(a)を参照すると、本発明における接着剤層のための領域内にパンチで開けられた貫通孔の上面図が示されている。層(104)が、金属層(101)を磁気層(103)およびアンテナインレイ層(106)と結合するために使用される。磁気層(103)は、金属層(101)を、アンテナ(105)が外部アンテナリーダーとの通信を通して動作する際に生じる電磁場との干渉から、遮蔽/保護/低減するのに役立つ。アンテナ(105)から生じた磁場は、金属層(101)と相互作用して、アンテナの自己共振周波数が変わり、そのためアンテナ(105)のインダクタンスが低下して通信トラブルを引き起こし、それは、磁場によって金属層(101)から生じた渦電流のせいである。これを除外するために、高透磁率および高抵抗を有する磁気層(103)が、金属層(101)とインレイ層との間に配置されて磁力線を調整する。
【0037】
図6(b)を参照すると、接着剤層で挟まれている磁気シートの側面図が示されている。磁気層(103)は、フィルムの形の接着剤層(102および104)で挟まれて、全て順に並べられて1つの層(AL)を形成する。この層のサイズは、金属シート層のサイズと同じである。この層は次いで、シート穴開け機を使用して、金属層(101)貫通孔と合致する貫通孔を作るように孔が開けられる。
【0038】
図7(a)を参照すると、デュアルインタフェーススマートカードにおける積層裏板の上面図が示されている。ここで使用される積層裏板は、一緒に順に並べられた、アンテナ(105)、アンテナインレイ層(106)、印刷層(107)および磁気ストライプを持つオーバーレイ層(108)から成る。
図7(b)を参照すると、積層裏板の別の上面図が磁気層および接着剤層の配置と共に示されている。接着剤層は磁気層(103)と共に順に並べられて、積層裏板上に置かれる。
【0039】
図7(c)を参照すると、接着剤層の上面図が示されており、その上に金属層が配置される。貫通孔を有する金属層(101)が接着剤層上に置かれて、順に並べられる。
図7(d)を参照すると、順に並べられた金属層(101)、接着剤層および積層裏板の斜視図が示されている。金属層(101)、接着剤層(AL)および裏板(BL)で挟まれた磁気層(103)が順に並べられて、スポット溶接テーブルを使用してスポット溶接される。全ての層のスポット溶接の線図である、
図7(e)および、全ての層の分解図である、
図7(f)を参照する。テーブルは、特定のスポットに圧力および熱を印加するのに役立つ、加熱ロッドおよびnumaticsシリンダーを含み、それは、全ての層を一時的に溶かして保持して、820ミクロンの厚さを有して次のプロセスのために処理される、単一のシートを形成する。
【0040】
図8(a)を参照すると、充填材料の金属層上への孔を通した配置の線図が示されている。貫通孔を持つ金属層(101)を含む、順に並べられてスポット溶接された組立体は次いで、伝送に干渉しない充填材料で挿入される。充填材料(110)が配置されて、貫通孔(201)の内壁およびまたは充填材料(110)の外壁が、貫通孔(201)の壁にしっかりと付着することを確実にする。
図8(b)を参照すると、デュアルインタフェーススマートカード(100)における充填剤層の別の分解図が示されている。充填材料(110)は、金属層(101)よりも20ミクロン少ない、厚さ(F1)で挿入される。充填材料(110)の幅および高さは、金属層(101)上の貫通孔(201)寸法のそれと同じであり、第2のラミネーションプロセスのために処理される。充填材料(110)は、前記充填材料(110)の下にいかなる接着剤も使用することなく裏板と結合する。
【0041】
図9(a)を参照すると、エンボス層を持つ積層板の等角図が示されている。第2のステップのラミネーションプロセスは、ラミネーションプロセス中に圧力が充填材料(110)上に均等に印加されるのを確実にするために板上にエンボス/隆起層を有する積層板を使用して実行される。エンボス層の厚さは好ましくは、20ミクロン以下である。
図9(b)を参照すると、金属上面およびプラスチック裏面を持つ積層板の斜視図が示されている。第2のステップのラミネーションプロセスは、175℃の高温で約18分間、500~700psiの圧力を印加し、次いで、その層を25℃で冷却し、900~1000psiの圧力を18分間、印加することによって実行される。ラミネーション後の総厚さ(CT)は略800~810ミクロンである。カードにおける全ての層の分解図が
図9(c)に示されている。
【0042】
図10(a)を参照すると、カードを形成するためにCNCフライス加工される積層板の上面図が示されている。800~810ミクロンの厚さを有する積層板は次いで、金属表面(101)層上に貫通孔を含む個々のカード(CU)を作成するためにCNCフライス加工を通して処理される。カード間の垂直距離(CH)55.48mmおよびカード間の水平距離(CW)は91mmであり、(SH)48mmおよび(SW)300mmの板サイズを有する。
図10(b)を参照すると、CNCフライス加工ステップ後のデュアルインタフェースカードの正面図が示されている。個々のカードの寸法は、85.6mmのカード幅(W)および53.98mmのカード高さ(H)のサイズで
図10(b)に例示されているとおりである。貫通孔の位置は、カードの上端から(MH)18.5mmかつカードの側端から(MW)9.5mmに配置される。
【0043】
図11を参照すると、デュアルインタフェーススマートカードにおいて集積回路チップモジュールをフライス加工して空洞を埋め込むための方法のフローチャートが示されている。デュアルインタフェーススマートカード(100)において集積回路チップモジュール(113)をフライス加工して空洞を埋め込むための方法は、a)集積回路チップモジュール(113)の表面を収容するための充填剤層を持つカードを、複数のアンテナ(105)端子が露出するまでフライス加工を行うステップ、b)集積回路チップモジュール(113)を選択して、集積回路チップモジュール(113)の複数のコネクタを露出させるために、集積回路チップモジュール(113)上に熱活性化接着テープ(112)を貼り付けるステップ、c)ステップ(b)から取得される集積回路チップモジュール(113)を、ステップ(a)を通して取得されたフライス加工済み製品上に配置するステップ、およびd)集積回路チップモジュールをカード上に埋め込むために、はんだペーストをアンテナ(105)端子上に塗布するステップ、を含む。
【0044】
図12(a)を参照すると、集積回路チップモジュールの正面図および上面図が示されている。アンテナ層(105)に接続してデュアルインタフェース機能を可能にするために集積回路チップモジュールの裏面上にデュアルインタフェースコネクタ(115および116)オプションを有する集積回路チップモジュール(113)が選択される。ここで使用される集積回路チップモジュールは、異なる形状、サイズ、PIN構成である。しかし、集積回路チップモジュール(IW)の好ましい寸法は11mmで高さ(IH)は8.5mmである。
【0045】
図12(b)を参照すると、集積回路チップモジュール上に貼られる熱活性化接着テープの線図が示されている。集積回路チップモジュール(113)は、接着テープ積層機を通して処理されて、接着テープ積層機では、熱活性化テープ(112)がダイカットされて、集積回路チップモジュールの裏面上に移される。接着テープ(112)の形状は、集積回路チップモジュール寸法のとおりに形成される。接着テープ(112)は、接着テープがコネクタ(115および116)上に移されず、高さ(GIH)6.6mmおよび幅(GIW)8.2mmのおおよその寸法で開いたままにされるのを確実にするための形状にダイカットされる。幅(GIW)11mmおよび高さ(GIH)8.5mmを有する貼られた接着テープの寸法は、選択された集積回路チップモジュール(113)サイズのとおりである。
【0046】
図12(c)を参照すると、集積回路チップモジュールの概略図が示されている。集積回路チップモジュール(113)の全体的な厚さ(I3)は、略580ミクロンであり、集積回路チップモジュールテープの厚さ(I1)は略220ミクロンであり、接着テープ(112)の厚さ(I2)は略45~50ミクロンである。集積回路チップモジュールの底幅(I4)は(GIW)の幅よりも小さい。
【0047】
図13(a)を参照すると、デュアルインタフェースカードにおける第1および第2の空洞フライス加工の側面図が示されている。集積回路チップモジュール(113)フライス加工および埋め込みプロセスは、Teコネクトという名前の技術を使用する自動フライス加工および埋め込み機を使用して実行される。このプロセスでは、カード本体が、集積回路チップモジュール(113)形状、サイズを収容するようにフライス加工されて、コネクタパッドがはんだペーストを使用してアンテナ端子に接続される。集積回路チップモジュール(113)の裏側上に移された接着テープおよび(C3)フライス加工された空洞上に分注されたはんだペーストが熱および圧力を印加することにより、その後、冷却、および集積回路チップモジュール上の圧力によって活性化される。充填材料(110)を含む金属カードが、デュアルインタフェースカードの本体上に集積回路チップモジュールを収容するためのフライス加工のために処理される。空洞は、充填材料(110)を通して上面から240~260ミクロンの深さ(C1)まで形成されて、集積回路チップモジュールおよび接着テープの厚さ(I1およびI2)を収容する。(C1)の幅は貫通孔(201)よりも少ないので、これは、金属エッジ面と集積回路チップモジュールエッジとの間に絶縁層(IL)を作るのに役立つ。第2の空洞(C2)が、集積回路チップモジュールの厚さ(I3)よりも少なくとも20ミクロン高くフライス加工され、空洞(C2)の幅は、集積回路チップモジュールの底幅(I4)よりも少なくとも1mm高く作られる。
【0048】
図13(b)を参照すると、デュアルインタフェースカードにおける第3および第4の空洞フライス加工の側面図が示されている。デュアルインタフェースカードの本体が次いで、アンテナ端子が略580~590ミクロン露出されるまでの深さまでフライス加工される(C3)。(C3)は、1.5mmの直径を有する円形形状(C3D)でフライス加工される。
【0049】
図13(c)を参照すると、集積回路チップモジュール(113)のとおりの充填材料(110)上のフライス加工形状および寸法の線図が示されている。フライス加工されたC3は、本来は導電性があり、固めて結合するために熱処理される、はんだペースト(111)で充填される。はんだペースト(111)は、集積回路チップモジュール(113)を埋め込む直前に塗布され、それは、アンテナ(105)端子を集積回路チップモジュールコネクタ(115および116)と接続するのに役立つ。
【0050】
図13(d)を参照すると、はんだペースト(111)の空洞内への分注を示すデュアルインタフェースカードの側面図が示されている。集積回路チップモジュール(113)は、カード本体のフライス加工された部分に埋め込まれて、集積回路チップモジュールがカード本体の上面と同じレベルにされていることが確認される。
図13(e)を参照すると、集積回路チップモジュールのカード表面内への埋め込みを示す、デュアルインタフェースカードの別の側面図が示されている。埋め込みプロセスは、集積回路チップモジュールの上面上への十分な圧力および熱を用いて実行される。集積回路チップモジュール上の接着テープ(112)および(C3)上に充填されたはんだペースト(111)は、熱および圧力によって活性化される。集積回路チップモジュールは次いで、低温および圧力で徐々に冷却される。
図13(e)を参照すると、集積回路チップモジュールのカード表面上への埋め込みの線図が示されている。集積回路チップモジュールは、集積回路チップモジュールの上面が接触型リーダー(例えば、POS、ATM)と接触するのを可能にするように、カード表面の10ミクロン上にあることが確実にされる。集積回路チップモジュールは、現在、非接触読取り対応なので、非接触読取り(POS、ATM上)も可能にする。
【0051】
図14を参照すると、デュアルインタフェーススマートカードの斜視図が示されており、その場合、2段階のラミネーションプロセスが、他のタイプの基材と貼り合わせる際に層の収縮および膨張を回避するのに役立つ。第1のラミネーションは、アンテナインレイ層(106)、印刷シートおよび磁気ストライプを持つオーバーレイ層(108)などの全てのプラスチック層を貼り合わせることによって処理され、第2のラミネーションプロセスでは、接着剤および磁気シートを持つ金属層(101)が充填材料と共に一緒に貼り合わされて単一の組立体を形成する。その上、貫通孔領域上にエンボス/隆起効果を有する積層板は、ラミネーションプロセス中に均一な圧力を保持するのに役立つ。充填材料は、充填材料の下にいかなる接着剤も使用することなく裏板と強力に結合する。貫通孔が金属表面上に作られて充填材料が置かれ、それは、支持を提供して、集積回路チップモジュールと金属層(101)との間に絶縁を作り出し、空洞が充填材料上に作られてTeコネクト対応機を使用して集積回路チップモジュールを埋め込む。Teコネクトプロセスは、熱はんだプロセスと比較してより高いスループットを獲得するのに役立つ。本発明の主な利点は、金属表面カードの製造プロセスにおけるステップ数を削減することである。
【0052】
例1
実験データ分析
本発明は、より高い出力の獲得に向けて著しく貢献する、デュアルインタフェーススマートカードおよび、充填材料の下で接着剤の使用を回避することにより製造中のプロセスを削減する、スマートカードを提供する。従来型に従ったチップ埋め込み機および本発明のスループット詳細が表1に示されている。
【0053】
【0054】
磁気層は、金属層が、アンテナから生じる電磁場と干渉するのを防ぎ、磁気層は、高抵抗を備えた高透磁率を有して、電磁場の複数の磁力線を調整するために金属層とアンテナインレイ層との間に配置される。表2および
図15は、デュアルインタフェーススマートカードにおいて金属の高抵抗を備えた高透磁率に関連したデータを示す。
【表2】
【0055】
デュアルインタフェーススマートカードにおける金属領域に対する抵抗を計算するために、式(1)が使用され、式中「R」は抵抗を指す。
R=p*L/W ・・・・・・・・・ (1)、
L/w=86/54-1.59(約)、p=10MQ、
よって、R=15.9MQ
【0056】
それ故に、本発明は、より高い出力の達成に著しく貢献する、金属スマートカードおよび、充填材料の下での接着剤の使用を回避することにより製造中のプロセスを削減する、金属スマートカードを提供する。
【0057】
本明細書に記載される本発明の多くの修正および他の実施形態が、前述の説明および関連した図面に提示された教示の利益を有する、本発明が関連する技術分野における当業者には容易に思い付くであろう。従って、本発明は開示される特定の実施形態に制限されるのではないこと、ならびに修正および他の実施形態は、添付のクレームの範囲内に含まれることを意図することが理解されるべきである。特定の用語が本明細書で採用されているが、それらは一般的および説明的な意味で使用されており、制限を目的としていない。
【国際調査報告】