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特表2025-503370マルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム
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  • 特表-マルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】マルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/18 20090101AFI20250128BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20250128BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20250128BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20250128BHJP
   A01G 7/00 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
H04W84/18
H04W4/38
H04W84/06
H04W92/12
A01G7/00 601Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525967
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 KR2022019553
(87)【国際公開番号】W WO2024117336
(87)【国際公開日】2024-06-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0162475
(32)【優先日】2022-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524162169
【氏名又は名称】ミドバル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MIDBAR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 403,Business Incubation Center,558 Handong-ro,Heunghae-eup,Buk-gu,Pohang-si,Gyeongsangbuk-do 37554,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヘ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ギュ スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ヒ
【テーマコード(参考)】
2B022
5K067
【Fターム(参考)】
2B022DA03
2B022DA15
2B022DA17
2B022DA19
2B022DA20
5K067AA44
5K067BB06
5K067BB27
5K067DD11
5K067EE06
5K067EE10
(57)【要約】
本発明は、マルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システムに関するものであって、より詳細に説明すると、スマートファームのハウス内部に栽培作物の生育環境に対するセンサノードと制御ノードとを設け、互いに隣接した種々のハウスのセンサノードと制御ノードとをドローンノードとともに1つのゲートウェイ(gate way)で連結するマルチホップネットワーク(multi-hop network)を構成し、前記ゲートウェイに連結された管理サーバが栽培作物等の発育状態を評価して、最適の生育環境を提供するように構成されたスマートファームの統合管理システムに関するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートファームのハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを生成するセンサノード10と、前記生育環境を制御する制御ノード20と、前記作物等の発育状態を撮影して発育イメージを生成するドローンノード30と、前記センサノード10と制御ノード20とドローンノード30とをインターネット通信網で連結するゲートウェイ40と、前記ゲートウェイ40を介して各ハウスHの環境データと発育イメージとが各々伝送されて分類及び格納され、前記制御ノード20に対して制御命令を下す管理サーバ50と、前記管理サーバ50から前記環境データと発育イメージとを閲覧し、前記制御命令を入力できるユーザ端末60とを備え、
前記センサノード10と制御ノード20とは、互いに隣接した種々のハウスHに配置されているセンサノード10と制御ノード20とが1つのゲートウェイ40を目的ノードとして互いにルータ(router)の役割をするマルチホップ(multi-hop)ネットワークを構成し、
前記ドローンノード30は、ハウスH内部またはハウスH間を飛行しながらセンサノード10と制御ノード20とを互いに連結するか、これらをゲートウェイ40と連結する移動中継ノードの役割を果たし、
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを比較分析して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、前記制御ノード20が栽培作物に対して最適の生育環境を提供するようにゲートウェイ40を介して制御命令を下すことを特徴とするマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項2】
前記センサノード10は、自分に連結されている環境センサから環境データを収集するデータ収集部と、前記環境データをデジタル信号に変換してパケットを生成するパケット生成部と、前記パケットの目的ノードをゲートウェイ40として設定する目的ノード設定部と、周辺の他のノードからパケットが受信されるパケット受信部と、前記パケットを伝達するルータを決定するルータ選択部と、前記ルータにパケットを送信するパケット送信部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項3】
前記ドローンノード30には、ハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを算出する環境センサが装着されていることを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項4】
前記ドローンノード30は、センサノード10で生成される環境データが無線でダウンロードされるか、自分が生成した発育イメージを格納した状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信し、かつ、管理サーバ50から制御命令が無線でダウンロードされた状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信することを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバ50は、センサノード10から提供される環境データとドローンノード30から提供される発育イメージとを、各々ハウス別、作物別、日付別に分類して格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された発育イメージを比較して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価する発育状態評価部と、前記データ格納部に格納された環境データと発育イメージとを比較して、栽培作物別に最適の生育環境を導出する生育環境導出部と、前記発育状態評価部の評価結果に応じて、発育状態が振るわないハウスHに対して前記生育環境導出部が導出した結果に応じて制御ノード20が最適の生育環境を提供するように制御命令を下す制御命令発送部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項6】
前記管理サーバ50は、人工知能(AI)を利用して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、かつ、人工知能(AI)を利用して前記作物に対する最適の生育環境を導出することを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項7】
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを互いに比較して作物の発育状態が最も優れた優等ハウスを選定し、相対的に作物の発育状態が振るわないハウスHに対して前記優等ハウスと同じ生育環境を維持するように制御命令を下すことを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システムに関し、より詳細に説明すると、スマートファームのハウス内部に栽培作物の生育環境に対するセンサノードと制御ノードとを設け、互いに隣接した種々のハウスのセンサノードと制御ノードとをドローンノードとともに1つのゲートウェイ(gate way)で連結するマルチホップネットワーク(multi-hop network)を構成し、前記ゲートウェイに連結された管理サーバが栽培作物等の発育状態を評価して、最適の生育環境を提供するように構成されたスマートファームの統合管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人類生存に必須な食糧を生産する農業は、土壌と気候など、自然環境に支配的な影響を受けるため、他の産業分野に比べて技術革新を図ることが容易ではない。このような限界にもかかわらず、各種農産物の生産及び消費過程に最新のモノのインターネット(IoT)やビッグデータ、またはドローンなどのような先端技術を融合することで、生産及び管理効率性を向上する、いわゆる、スマートファーム(smart farm)技術が注目を浴びている。
【0003】
例えば、国内登録特許第10-1726257号(2017年04月06日)には、管理対象作物の生育情報に応じて変化する商品販売情報を提供するスマートファーム情報管理システムが開示されており、登録特許第10-2331141号(2021年11月22日)には、マシンラーニング技術を利用して、栽培農作物の特性、設置場所、気候などによって最適の運用方法を提供する改良型スマートファーム管理システムが開示されている。
【0004】
また、登録特許第10-2334681号(2021年11月30日)には、同じ作物が播種された遠隔のレファレンスファーム(reference farm)を参照して最適の生育環境を提供するスマートファーム制御装置が開示されており、登録特許第10-2371909号(2022年03月03日)には、ドローンを用いて作物の生長及び病害虫状態をモニタリングするスマートファーム作物監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10-1726257号
【特許文献2】韓国特許第10-2331141号
【特許文献3】韓国特許第10-2334681号
【特許文献4】韓国特許第10-2371909号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、スマートファームは、作物が裁培されるハウス内部にセンサ部と制御部とが設けられ、前記センサ部と制御部とがゲートウェイを介して管理サーバに連結される構造を有する。ところが、従来のスマートファームでは、各ハウス毎にセンサ部と制御部とを管理サーバに連結するゲートウェイが別に備えられなければならない。
【0007】
したがって、複数個のハウスで構成されるスマートファームの場合、各ハウスの生育環境を統合管理できるシステムを構築し難く、特に、既存に運営中であるスマートファームハウスに新しいハウスをさらに追加で設けるか、既存に設けられたゲートウェイから地理的に数キロメートル以上遠く離れている遠隔のハウスを経営する場合、これを統合管理できる通信網の拡張が困るという問題があった。
【0008】
これにより、本発明の目的は、複数個のハウスで構成されるスマートファームにおいて、各ハウスの生育環境を効率的に統合管理でき、特に、追加的に設けられるハウスや、地理的に遠く離れている遠隔のハウスに対しても通信網の拡張が極めて容易なスマートファームの統合管理システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、人工知能(AI)を利用して、各栽培作物に対して最適の生育環境を提供するか、または栽培作物の発育水準を上向き平準化することで、結果的に、作物の生産性を向上できるスマートファームの統合管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るスマートファームの統合管理システムは、スマートファームのハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを生成するセンサノード10と、前記生育環境を制御する制御ノード20と、前記作物等の発育状態を撮影して発育イメージを生成するドローンノード30と、前記センサノード10と制御ノード20とドローンノード30とをインターネット通信網で連結するゲートウェイ40と、前記ゲートウェイ40を介して各ハウスHの環境データと発育イメージとが各々伝送されて分類及び格納され、前記制御ノード20に対して制御命令を下す管理サーバ50と、前記管理サーバ50から前記環境データと発育イメージとを閲覧し、前記制御命令を入力できるユーザ端末60とを備えて構成されることを特徴とする。
【0011】
前記センサノード10と制御ノード20とは、互いに隣接した種々のハウスHに配置されているセンサノード10と制御ノード20とが1つのゲートウェイ40を目的ノードとして互いにルータ(router)の役割をするマルチホップ(multi-hop)ネットワークを構成することを特徴とする。
【0012】
また、前記ドローンノード30は、ハウスH内部またはハウスH間を飛行しながらセンサノード10と制御ノード20との間を互いに連結するか、これらをゲートウェイ40と連結する移動中継ノードの役割を果たすことを特徴とする。
【0013】
また、前記ドローンノード30には、さらに、ハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを算出する環境センサが装着されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記ドローンノード30は、センサノード10で生成される環境データが無線でダウンロードされるか、自分が生成した環境データまたは発育イメージを格納した状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信し、かつ、管理サーバ50から制御命令が無線でダウンロードされた状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信することを特徴とする。
【0015】
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを比較分析して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、前記制御ノード20が栽培作物に対して最適の生育環境を提供するようにゲートウェイ40を介して制御命令を下すことを特徴とする。
【0016】
また、前記管理サーバ50は、人工知能(AI)を利用して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、かつ、人工知能(AI)を利用して前記作物に対する最適の生育環境を導出することを特徴とする。
【0017】
また、前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを互いに比較して作物の発育状態が最も優れた優等ハウスを選定し、相対的に作物の発育状態が振るわないハウスHに対して前記優等ハウスと同じ生育環境を維持するように制御命令を下すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るスマートファームの統合管理システムは、複数個のハウスが1つのマルチホップネットワークで連結されており、スマートファームの統合管理が容易であり、新しいハウスを追加する場合、前記マルチホップネットワークに新しいハウスのセンサノードと制御ノードとを容易に連結することができ、さらに、ドローンノードを用いて地理的に遠く離れている遠隔のハウスやインターネットが連結されない地域のハウスまで通信を拡張できるという効果がある。
【0019】
また、本発明に係るスマートファームの統合管理システムは、管理サーバが人工知能(AI)を利用して、各ハウスの栽培作物に対して最適の生育環境を導出するか、または優等ハウスを利用して、複数個のハウスで裁培される作物の発育水準を上向き平準化することで、結果的に、作物の生産性を向上できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係るスマートファーム統合管理システムの構成概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付した図面を利用して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明を実施するのに必ず必要な構成であっても、従来技術に紹介されているか、通常の技術者が公知技術から容易に実施できる構成については、具体的な説明を省略する。本発明に属する構成要素のうち、「~部」または「~手段」という名称は、少なくとも1つの共通的な機能や動作を処理する単位であって、ハードウェアやソフトウェアの結合によって実現されることができる。
【0022】
また、本発明を説明するのに使用される主な用語等は、本発明の目的によって特に定義された意味を有する。本発明においてハウスHとは、自然的な状態から分離された条件で制御可能な生育環境を提供するように独立的な栽培空間を有する施設であって、例えば、ガラス温室やビニールハウス、コンテナファームなどを含む。また、スマートファームは、互いに分離されている複数個のハウスHが1つのゲートウェイを介してサーバで連結されており、1つの通信網によって管理及び運営される農場を意味する。
【0023】
本発明に係るスマートファーム管理システムは、添付の図1に示すように、スマートファームのハウスH内部に設けられるセンサノード10及び制御ノード20と、前記ハウスHの内部または外部を飛行するドローンノード30と、前記ノード10、20、30などをインターネット通信網で連結するゲートウェイ40と、前記ゲートウェイ40に有線または無線で連結されている管理サブ50と、ユーザ端末60とを備えて構成される。添付の図1では、都合上、ハウスHが3個である場合を例示したが、前記ハウスHの個数は、必要に応じて拡張され続けることができる。
【0024】
前記センサノード10は、スマートファームのハウスH内部で栽培作物等の生育環境を測定し、その結果に応じて種々の環境データを生成する機能をする。前記環境データは、栽培作物の生育に影響を及ぼす全ての要素、例えば、ハウスH内部の温度、湿度、日照量、培養土の湿度、COの濃度、培養液の濃度、培養液の噴霧周期、作物根圏部の温度などを含むことができる。このために、センサノード10には、前記環境データを測定できる複数個の環境センサが各々有線または無線で連結されることができる。前記センサノード10は、各ハウスH毎に1個ずつ設けられることができ、複数個設けられることもできる。
【0025】
前記制御ノード20は、各ハウスH内部の生育環境を制御する機能をする。このために、制御ノード20には、前記生育環境を制御する制御手段が各々有線または無線で連結されることができる。前記制御手段は、ヒータ、エアコン、LED照明、湿度調節器、培養液噴射器、CO発生器などを備えることができる。前記制御ノード20は、各ハウスH毎に1個ずつ設けられることができ、必要に応じて複数個設けられることもできる。
【0026】
前記ドローンノード30は、まず、ハウスH内部で裁培される作物等の発育状態を撮影して発育イメージを生成する。前記発育イメージは、単位面積当たり作物やその実の密度、作物やその実の大きさ、作物やその実の色彩などを把握できるイメージを意味する。前記ドローンノード30は、本発明のために特別に製作されたドローンを使用することができ、通常的な農業用ドローンに本発明の目的を達成できるカメラと通信手段とを設けたドローンを使用することもできる。前記ドローンノード30は、1台のドローンを複数個のハウスHに共同で使用することができる。
【0027】
前記ゲートウェイ40は、前記センサノード10と制御ノード20とドローンノード30とをインターネット通信網で連結する機能をする。前記ゲートウェイ40は、スマートファーム内部で複数個のハウスHと交信できるように適当な場所に設けられることができ、通常的なゲートウェイを使用することもできる。
【0028】
前記管理サーバ50は、ゲートウェイ40を介して各ハウスHの環境データと発育イメージとが伝送されて、各ハウス別、作物別、そして日付別に分類して格納する。そして、前記制御ノード20に連結されている制御手段がハウスH内部の生育環境を調節するように制御命令を下す。前記管理サーバ50は、通常的なインターネットを介してゲートウェイ40と連結されることができる。
【0029】
前記ユーザ端末60は、管理サーバ50に格納されている環境データと発育イメージとを閲覧して、ハウス別、作物別、及び日付別にユーザに表示することができる。ユーザは、自分のユーザ端末60を介して各ハウスHで裁培される作物等の発育状態と生育環境をリアルタイムに確認することができる。また、ユーザは、ユーザ端末60を利用して管理サーバ50に制御ノード20に対する制御命令を入力できる。前記ユーザ端末60では、スマートフォンやPCなどを使用することができる。
【0030】
本発明によれば、前記センサノード10と制御ノード20とは、1つのゲートウェイ40を目的ノードとして、互いにマルチホップ(multi-hop)ルーティングで連結される統合ネットワークを構成する。すなわち、同じハウスH内に設けられたセンサノード10及び制御ノード20同士はもちろん、互いに隣接した種々のハウスHに配置されているノード10、20同士も互いにルータ(router)の役割をしながら、出発ノードから提供されるパケット(packet)を目的ノードに伝達するものである。このようなマルチホップネットワークは、マッシュ型トポロジー(topology)を有することが好ましい。
【0031】
具体的に、センサノード10のうち、いずれか1つが自分の生成した環境データをゲートウェイ40に直接送信できなかった場合、前記環境データを含むパケットの目的ノードをゲートウェイ40として指定し、周辺に送信可能な他のセンサノード10や制御ノード20のうち、通信状態が最も良好なノードに送信する。このとき、前記環境データを生成したセンサノード10は、出発ノードになり、前記出発ノードのパケットが伝達されたノードは、1次中継ノードになる。
【0032】
前記1次中継ノードは、当該パケットの目的ノードが自分でないことを確認し、前記パケットを送信可能なセンサノード10や制御ノード20のうち、通信状態が最も良好なノードに再度伝達する。このようにして、1次中継ノードのパケットが伝達されたノードは、2次中継ノードになる。前記出発ノードのパケットが目的ノードであるゲートウェイ40に伝達されるまでにこのようなルーティングリレイが繰り返し続けられる。
【0033】
前記管理サーバ50から制御ノード20に下される制御命令もこのようなマルチホップルーティング方式にて伝達される。ただし、この場合には、ゲートウェイ40は、出発ノードになり、制御命令を受信する制御ノード20は、目的ノードになる。このようなマルチホップネットワークでセンサノード10や制御ノード20のうち一部が故障や電源消尽などのために交信が不可な場合、前記パケットは、このような不能ノードを迂回して交信可能な他の中継ノードをルータとして選択するようになる。したがって、出発ノードから目的ノードまで最も効率的なルーティング経路に沿ってパケットが伝達される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記センサノード10は、自分に連結されている環境センサを管理し、それから環境データを収集するデータ収集部と、前記環境データをデジタル信号に変換してパケットを生成するパケット生成部と、前記パケットに対する目的ノードをゲートウェイ40として設定する目的ノード設定部と、周辺の他のノードからパケットが受信されるパケット受信部と、前記パケットを伝達するルータを決定するルータ選択部と、前記ルータにパケットを送信するパケット送信部などを備えて構成されることができる。
【0035】
また、前記制御ノード20は、管理サーバ50から下される制御命令を受け付ける制御命令受付部と、前記制御命令にしたがって自分に連結されている制御手段を制御する制御手段管理部と、周辺の他のノードからパケットが受信されるパケット受信部と、前記パケットを伝達するルータを決定するルータ選択部と、前記ルータにパケットを送信するパケット送信部などを備えて構成されることができる。
【0036】
一方、前記ドローンノード30は、ハウスH内部またはハウスH間を飛行しながらセンサノード10と制御ノード20とを互いに連結するか、これらをゲートウェイ40に連結する移動中継ノードの役割を果たす。すなわち、前記ドローンノード30は、自分が生成した発育イメージを送信する出発ノードになることができ、または、他の出発ノードや中継ノードからパケットを受信して他のノードやゲートウェイに伝達する中継ノードの機能をすることもできる。このように、ドローンノード30を移動中継ノードとして用いると、センサノード10や制御ノード20の故障または電源消尽のために通信障害が発生した地域や、またはハウスHとハウスHとの間の間隔が遠すぎて通信障害がある地域でも、ドローンノード30をルータとして円滑なマルチホップネットワークを構築できる。
【0037】
前記ドローンノード30は、ドローン羽根が設けられたフレーム部と、飛行途中に作物との距離を感知し、前方物体との衝突を回避する距離感知センサと、栽培作物等の発育状態を撮影するカメラ部と、前記カメラ部が撮影した映像をデジタル信号に変換して発育イメージが含まれたパケットを生成するパケット生成部と、前記パケットに対する目的ノードをゲートウェイ40として設定する目的ノード設定部と、周辺の他のノードからパケットが受信されるパケット受信部と、前記パケットを伝達するルータを決定するルータ選択部と、前記ルータにパケットを送信するパケット送信部などを備えて構成されることができる。
【0038】
また、ドローンノード30には、さらに、ハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを算出できる環境センサが装着され得る。前記ドローンノード30に装着される環境センサは、温度センサ、照度センサ、COセンサのうち、いずれか1つ以上であることができる。このように、ドローンノード30に環境センサを装着すれば、センサノード10が設けられていない地域や、センサノード10の故障または電源消尽などのために機能異常が発生した地域でも、前記ドローンノード30に装着された環境センサを用いて生育環境を測定できる。
【0039】
また、前記ドローンノード30は、センサノード10で生成される環境データが無線でダウンロードされるか、自分が生成した環境データまたは発育イメージを格納して、一定距離だけ移動飛行した後にゲートウェイ40に送信することができる。そして、管理サーバ50から制御ノード20に対する制御命令が無線でダウンロードされて、一定距離だけ移動飛行した後にゲートウェイ40に送信することができる。このようなドローンノード30の機能を使用すれば、本発明のゲートウェイ40から数キロメートル以上遠く離れている遠隔のハウスHや、特にインターネットが連結されていない地域にあるハウスHまで本発明の統合管理システムを拡張させることができる。
【0040】
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを比較分析して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、特に、作物の発育状態が振るわないハウスHに対しては、制御ノード20が最適の生育環境を提供するようにゲートウェイ40を介して制御命令を下す。
【0041】
具体的に、前記管理サーバ50は、センサノード10から提供される環境データとドローンノード30から提供される発育イメージとを各々ハウス別、作物別、日付別に分類して格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された発育イメージを比較して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価する発育状態評価部と、前記データ格納部に格納された環境データと発育イメージとを比較して、栽培作物別に最適の生育環境を導出する生育環境導出部と、前記発育状態評価部の評価結果に応じて発育状態が振るわないハウスHに対して、前記生育環境導出部が導出した結果に応じて制御ノード20が最適の生育環境を提供するように制御命令を下す制御命令発信部などを備えて構成されることができる。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記管理サーバ50は、人工知能(AI)を利用して各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、また、人工知能(AI)を利用して前記作物に対する最適の生育環境を導出できる。すなわち、管理サーバ50に人工知能(AI)を搭載し、前記人工知能(AI)が管理サーバ50に格納されている環境データと発育イメージとを互いに比較分析することにより、マシンラーニングやデープラーニング技法によって各栽培作物別に播種時期による平均的発育状態と生育環境との相関関係を学習できる。そして、このような学習結果に基づいて各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、かつ、当該栽培作物に対する最適の生育環境を導出できる。
【0043】
また、本発明の他の実施形態によれば、前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを互いに比較して作物の発育状態が最も優れた優等ハウスを選定し、相対的に発育状態が振るわないハウスHに対して前記優等ハウスと同じ生育環境を維持するように制御命令を下すことができる。ただし、このような実施形態は、栽培作物の種類が同じハウスHに対して適用することが好ましく、複数ハウスHで裁培される作物の発育状態を上向き平準化することができる。
【0044】
本発明のさらに他の実施形態によれば、ユーザが自分の知識と経験を基にドローンノード30から提供される発育イメージを比較分析して栽培作物の発育状態を評価し、作物の発育状態が振るわないハウスHに対しては、制御ノード20が最適の生育環境を提供するようにユーザ端末60を介して制御命令を入力することもできる。
【0045】
以上で説明したように、本発明に係るスマートファームの統合管理システムは、1つのスマートファームが1つのゲートウェイ40を使用する場合を例示した。しかし、インターネット通信網及びクラウドサーバを用いて互いに分離されている種々のスマートファームのゲートウェイ40を1つのサーバで連結すれば、地域的、国家的、さらに、国際的に拡大されたスマートファームネットワークを構築できる。そして、このようなスマートファームネットワークを活用すれば、互いに異なる地域で互いに異なる農夫により運営される複数のスマートファームから様々な作物等に対して膨大なデータを蓄積でき、このようなデータは、農業技術を革新的に発展させる人類共同の資産になることができることと期待される。
【符号の説明】
【0046】
10:センサノード 20:制御ノード
30:ドローンノード 40:ゲートウェイ
50:管理サーバ 60:ユーザ端末
H スマートファームのハウス
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートファームのハウスH内部で裁培される作物等の生育環境を測定して環境データを生成するセンサノード10と、前記生育環境を制御する制御ノード20と、前記作物等の発育状態を撮影して発育イメージを生成するカメラと、前記作物等の生育環境を測定して環境データを算出する環境センサが装着されているドローンノード30と、前記センサノード10と制御ノード20とドローンノード30とをインターネット通信網で連結するゲートウェイ40と、前記ゲートウェイ40を介して各ハウスHの環境データと発育イメージとが各々伝送されて分類及び格納され、前記制御ノード20に対して制御命令を下す管理サーバ50と、前記管理サーバ50から前記環境データと発育イメージとを閲覧し、前記制御命令を入力できるユーザ端末60とを備え、
前記センサノード10と制御ノード20とは、互いに隣接した種々のハウスHに配置されているセンサノード10と制御ノード20とが1つのゲートウェイ40を目的ノードとして互いにルータ(router)の役割をするマルチホップ(multi-hop)ネットワークを構成し、
前記ドローンノード30は、ハウスH内部またはハウスH間を飛行しながらセンサノード10と制御ノード20とを互いに連結するか、これらをゲートウェイ40と連結し、センサノード10で生成される環境データが無線でダウンロードされるか、自分が生成した発育イメージを格納した状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信し、かつ、管理サーバ50から制御命令が無線でダウンロードされた状態で一定距離だけ移動飛行してゲートウェイ40に送信する移動中継ノードの役割を果たし、
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを比較分析して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、前記制御ノード20が栽培作物に対して最適の生育環境を提供するようにゲートウェイ40を介して制御命令を下すことを特徴とするマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項2】
前記センサノード10は、自分に連結されている環境センサから環境データを収集するデータ収集部と、前記環境データをデジタル信号に変換してパケットを生成するパケット生成部と、前記パケットの目的ノードをゲートウェイ40として設定する目的ノード設定部と、周辺の他のノードからパケットが受信されるパケット受信部と、前記パケットを伝達するルータを決定するルータ選択部と、前記ルータにパケットを送信するパケット送信部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバ50は、センサノード10から提供される環境データとドローンノード30から提供される発育イメージとを、各々ハウス別、作物別、日付別に分類して格納するデータ格納部と、前記データ格納部に格納された発育イメージを比較して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価する発育状態評価部と、前記データ格納部に格納された環境データと発育イメージとを比較して、栽培作物別に最適の生育環境を導出する生育環境導出部と、前記発育状態評価部の評価結果に応じて、発育状態が振るわないハウスHに対して前記生育環境導出部が導出した結果に応じて制御ノード20が最適の生育環境を提供するように制御命令を下す制御命令発送部とを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバ50は、人工知能(AI)を利用して、各ハウスHで裁培される作物の発育状態を評価し、かつ、人工知能(AI)を利用して前記作物に対する最適の生育環境を導出することを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバ50は、ドローンノード30から提供される発育イメージを互いに比較して作物の発育状態が最も優れた優等ハウスを選定し、相対的に作物の発育状態が振るわないハウスHに対して前記優等ハウスと同じ生育環境を維持するように制御命令を下すことを特徴とする請求項1に記載のマルチホップネットワークを利用したスマートファームの統合管理システム。
【国際調査報告】