(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】乳がんサブタイプにおける相同組換え欠損を評価するための方法及び材料
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20250128BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20250128BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20250128BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20250128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/06
C12Q1/6874 Z
A61K33/24
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533857
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 US2022052040
(87)【国際公開番号】W WO2023107509
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522411223
【氏名又は名称】ミリアド ジェネティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グチン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ティムズ,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ランチベリー,ジェリー
【テーマコード(参考)】
4B063
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA12
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
(57)【要約】
本明細書では、相同組換え欠損(HRD)又はHRDシグネチャの存在について試料(例えば、がん細胞)を評価することに関与する方法及び材料が提供される。例えば、細胞(例えば、がん細胞)がHRDシグネチャを含むかどうかを決定するための方法及び材料が提供される。相同性指向性修復(HDR)の欠損を有する細胞(例えば、がん細胞)を特定するための材料及び方法、並びに特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いがん患者を特定するための材料及び方法もまた提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん(BC)細胞の相同組換え(HR)欠損状態を決定するための方法であって:
(1)前記患者の前記ER+BC細胞を含む試料において、少なくとも1対のヒト染色体におけるヘテロ接合性の喪失(LOH)、テロメア対立遺伝子不均衡(TAI)、及び大規模な状態遷移(LST)領域の組み合わせた数を決定すること、
(2)LOH、TAI、及びLST領域の前記組み合わせた数が20超である場合、前記ER+BCがん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定すること、を含む、方法。
【請求項2】
インジケータLOH領域が、1.5メガ塩基の長さよりも長いが、前記LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも15メガ塩基の長さである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
インジケータTAI領域が、(i)サブテロメアのうちの1つまで延び、(ii)セントロメアを横断せず、かつ(iii)1.5メガ塩基の長さよりも長い対立遺伝子不均衡を有する領域である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インジケータTAI領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
インジケータLST領域が、3メガ塩基の長さよりも短い領域をフィルタリングした後、少なくとも10メガ塩基の長さの2つの領域の間にある染色体の前記長さに沿った体細胞コピー数ブレークポイントを含む領域である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が22以上である場合、HR欠損と特定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が24以上である場合、HR欠損と特定される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1対のヒト染色体が、常染色体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数が、少なくとも10対の前記常染色体において決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも15対の常染色体において決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各常染色体対における少なくとも150個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも20個のヒト染色体における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含み、前記染色体が、常染色体である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数から導出された試験値を計算することと、前記試験値が参照値を超える場合、前記がん細胞をHR欠損と特定することと、を更に含み、前記参照値が、24以上の参照数から導出される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記試験値が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の前記数の算術平均であり、前記参照値が、8以上である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試験値が、前記試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数の前記算術平均を以下のとおりに計算することによって導出される、請求項15又は16に記載の方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)÷3。
【請求項18】
前記がん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン(oxalaplatin)、若しくはピコプラチンであるか、前記アントラサイクリンが、エピルビンシン(epirubincin )若しくはドキソルビシンであるか、前記トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン(campothecin)、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は前記PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブ(velapirib)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記治療レジメンを施すか、推奨するか、又は処方することを更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記乳がん細胞が、BRAC1/2欠損である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記組み合わせた数が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数からなる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
エストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん(BC)細胞におけるHR欠損シグネチャの存在について患者を評価する方法であって、前記方法が:
(1)前記患者の前記ER+BC細胞を含む試料において、前記がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせた数を決定することと、
(2)インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数が20超である場合、前記ER+BC細胞を、(a)前記HR欠損シグネチャを含むと特定するか、又はインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数が20以下である場合、前記ER+BCがん細胞を、(b)前記HR欠損シグネチャを含まないと特定することと、を含む、方法。
【請求項24】
前記インジケータLOH領域が、1.5メガ塩基の長さよりも長いが、前記LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも15メガ塩基の長さである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記インジケータTAI領域が、(i)サブテロメアのうちの1つまで延び、(ii)セントロメアを横断せず、かつ(iii)1.5メガ塩基の長さよりも長い対立遺伝子不均衡を有する領域である、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記インジケータTAI領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記インジケータLST領域が、3メガ塩基の長さよりも短い領域をフィルタリングした後、少なくとも10メガ塩基の長さの2つの領域の間にある染色体の前記長さに沿った体細胞コピー数ブレークポイントを含む領域である、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1対のヒト染色体が、常染色体である、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも10対の前記常染色体において決定される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも15対の常染色体において決定される、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
各常染色体対における少なくとも150個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも20個のヒト染色体における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含み、前記染色体が、常染色体である、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が22以上である場合、HR欠損と特定される、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が24以上である場合、HR欠損と特定される、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数から導出された試験値を計算することと、前記試験値が参照値を超える場合、前記がん細胞をHR欠損と特定することと、を更に含み、前記参照値が、24以上である参照数から導出される、請求項23~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記試験値が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の前記数の算術平均であり、前記参照値が、8以上である参照値である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記試験値が、前記試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数の前記算術平均を以下のとおりに計算することによって導出される、請求項37又は38に記載の方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)÷3。
【請求項40】
前記がん細胞を、前記HR欠損シグネチャを含むと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、前記アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、前記トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は前記PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記がん細胞を、前記HR欠損シグネチャを含まないと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含まないがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項23~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記がん細胞を、前記HR欠損シグネチャを含まないと特定することに基づいて、前記患者を、1つ以上のタキサン剤、成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤、又は抗代謝剤を含む治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記タキサン剤が、ドキセタキセル(doxetaxel)、パクリタキセル、アブラキサンであるか、前記成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツムマブであるか、又は前記抗代謝剤が、5-フロウロウラシル(5-flourouracil)若しくはメトトトレキサートである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記治療レジメンを施すか、推奨するか、又は処方することを更に含む、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記がん細胞が、BRACA1又はBRCA2欠損である、請求項23~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記組み合わせた数が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数からなる、請求項23~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
患者のエストロゲン受容体陽性(ER+)乳がん(BC)細胞の相同組換え(HR)欠損状態を決定するための方法であって、
(1)前記患者の前記ER+BCがん細胞を含む試料において、前記がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせた数を決定することと、
(2)インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の前記組み合わせた数を参照数と比較することであって、前記参照数が、20超である、比較することと、
(3)前記組み合わせた数が参照数よりも大きい場合、前記ER+BC細胞を、(a)HR欠損の可能性が高いと特定するか、又は前記組み合わせた数が前記参照数以下である場合、前記がん細胞を、(b)HR欠損ではない可能性が高いと特定することと、を含む、方法。
【請求項49】
前記インジケータLOH領域が、1.5メガ塩基の長さよりも長いが、前記LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも15メガ塩基の長さである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記インジケータTAI領域が、(i)サブテロメアのうちの1つまで延び、(ii)セントロメアを横断せず、かつ(iii)1.5メガ塩基の長さよりも長い対立遺伝子不均衡を有する領域である、請求項48~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記インジケータTAI領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記ンジケータLST領域が、3メガ塩基の長さよりも短い領域をフィルタリングした後、少なくとも10メガ塩基の長さの2つの領域の間にある染色体の前記長さに沿った体細胞コピー数ブレークポイントを含む領域である、請求項48~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記少なくとも1対のヒト染色体が、常染色体である、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも10対の前記常染色体において決定される、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも15対の常染色体において決定される、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
各常染色体対における少なくとも150個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含む、請求項55~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも20個のヒト染色体における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含み、前記染色体が、常染色体である、請求項48~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記参照数が、21以上である、請求項48~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記参照数が、24以上である、請求項48~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数から導出された試験値を計算することと、前記試験値が参照値を超える場合、前記がん細胞をHR欠損と特定することと、を更に含み、前記参照値が、前記参照数24以上から導出される、請求項48~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記試験値が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の前記数の算術平均であり、前記参照値が、8以上である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記試験値が、前記試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数の前記算術平均を以下のとおりに計算することによって導出される、請求項62又は63に記載の方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)÷3。
【請求項65】
前記がん細胞をHR欠損である可能性が高いと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項48~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、前記アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、前記トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は前記PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記がん細胞をHR欠損でない可能性が高いと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含まないがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項48~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記がん細胞をHR欠損でない可能性が高いと特定することに基づいて、前記患者を、1つ以上のタキサン剤、成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤、又は抗代謝物質を含む治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記タキサン剤が、ドキセタキセル、パクリタキセル、アブラキサンであるか、前記成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤が、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツムマブであるか、又は前記抗代謝剤が、5-フロウロウラシル(5-flourouracil)若しくはメトトトレキサートである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記治療レジメンを施すか、推奨するか、又は処方することを更に含む、請求項65~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記がん細胞が、BRCA1又はBRCA2欠損である、請求項48~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記組み合わせた数が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数からなる、請求項48~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記患者を治療することを更に含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
患者の三重陰性乳がん(TNBC)細胞の相同組換え(HR)欠損状態を決定するための方法であって:
(1)前記患者の前記TNBC細胞を含む試料において、少なくとも1対のヒト染色体におけるヘテロ接合性の喪失(LOH)、テロメア対立遺伝子不均衡(TAI)、及び大規模な状態遷移(LST)領域の組み合わせた数を決定すること、
(2)LOH、TAI、及びLST領域の前記組み合わせた数が32超である場合、ER+BCがん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定すること、を含む、方法。
【請求項75】
インジケータLOH領域が、1.5メガ塩基の長さよりも長いが、前記LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記インジケータLOH領域が、少なくとも15メガ塩基の長さである、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
インジケータTAI領域が、(i)サブテロメアのうちの1つまで延び、(ii)セントロメアを横断せず、かつ(iii)1.5メガ塩基の長さよりも長い対立遺伝子不均衡を有する領域である、請求項74~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記インジケータTAI領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
インジケータLST領域が、3メガ塩基の長さよりも短い領域をフィルタリングした後、少なくとも10メガ塩基の長さの2つの領域の間にある染色体の前記長さに沿った体細胞コピー数ブレークポイントを含む領域である、請求項74~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が38以上である場合、HR欠損と特定される、請求項74~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記がん細胞は、前記組み合わせた数が42以上である場合、HR欠損と特定される、請求項74~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記少なくとも1対のヒト染色体が、常染色体である、請求項74~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数が、少なくとも10対の前記常染色体において決定される、請求項74~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数が、少なくとも15対の常染色体において決定される、請求項74~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
各常染色体対における少なくとも150個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含む、請求項83~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
少なくとも20個のヒト染色体における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含み、前記染色体が、常染色体である、請求項74~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記組み合わせた数から導出された試験値を計算することと、前記試験値が参照値を超える場合、前記がん細胞をHR欠損と特定することと、を更に含み、前記参照値が、33以上の参照数から導出される、請求項74~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記試験値が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の前記数の算術平均であり、前記参照値が、8以上である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記試験値が、前記試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数の前記算術平均を以下のとおりに計算することによって導出される、請求項88又は89に記載の方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)÷3。
【請求項91】
前記がん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定することに基づいて、前記患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、請求項74~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
前記DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、前記アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、前記トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は前記PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記治療レジメンを施すか、推奨するか、又は処方することを更に含む、請求項91又は92に記載の方法。
【請求項94】
前記乳がん細胞が、BRAC1/2欠損である、請求項74~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記組み合わせた数が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の前記数からなる、請求項74~94のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/287,374号の米国特許法第119条(e)の下の利益を主張し、その内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
がんは深刻な公衆衛生上の問題であり、2009年だけでアメリカ合衆国で562,340人ががんで死亡している。American Cancer Society,Cancer Facts & Figures 2009(American Cancer Societyウェブサイトで入手可能)。がん治療における主な課題のうちの1つは、患者自身のがんの関連する臨床的に有用な特性を発見し、これらの特性に基づいて、患者のがんに最適な治療計画を施すことである。個別化医療のこの分野では進歩が見られるが、患者のがんを特徴付けるためのより良い分子診断ツールに対する著しい必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書は、特定の染色体異常(「CA」)の検出に基づく相同組換え欠損(HRD)(例えば、HRDシグネチャ)についての試料(例えば、がん細胞又はそれに由来する核酸)の評価に関与する方法及び材料に関する。例えば、本明細書は、細胞(例えば、がん細胞)がHRDを有する(例えば、HRDシグネチャを示す)かどうかを決定するためにCA領域を検出するための方法及び材料を提供する。本明細書はまた、HRDの存在、不在、又は重症度に基づいて特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いがん患者を特定するための材料及び方法を提供する。本明細書全体を通して、別途示されない限り、HRD及び相同性依存修復(HDR)欠損は、同義的に使用される。
【0004】
概して、本発明の一態様は、がん細胞又はそれに由来するDNA(例えば、ゲノムDNA)におけるHRDを評価するための方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)試料又はそれに由来するDNAにおいて、試料若しくはそれに由来するDNAの少なくとも1対のヒト染色体(例えば、ヒトX/Y性染色体対以外の任意の対のヒト染色体)におけるCA領域(本明細書で定義される)を検出することと、(b)当該CA領域の数、サイズ(例えば、長さ)、及び/若しくは特性を決定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。いくつかの実施形態では、CA領域は、ゲノム全体を代表するいくつかの染色体対において分析される(例えば、CA領域の数及びサイズがゲノムにわたるCA領域の数及びサイズを表すと予想されるような十分な染色体が分析される)。
【0005】
本発明の様々な態様は、試料におけるHRDを評価(例えば、検出)するために、2種類以上のCA領域の組み合わせた分析を使用することを含む。そのような方法において有用な3種類のCA領域には、(1)ヘテロ接合性の喪失を示す染色体領域(本明細書で定義される「LOH領域」)、(2)テロメア対立遺伝子不均衡を示す染色体領域(本明細書で定義される「TAI領域」)、及び(3)大規模な遷移を示す染色体領域(本明細書で定義される「LST領域」)が含まれる。ある特定のサイズ、染色体位置、又は特性のCA領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータCA領域」)は、本明細書に記載の本発明の様々な態様において特に有用であり得る。
【0006】
したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)ことと、を含む、方法を提供する。
【0007】
一態様では、本発明は、患者試料におけるHRDの存在又は不在を診断する方法であって、方法が、(1)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(2)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(3)(a)(1)からの数及び/若しくは(2)からの数がいくつかの参照を超える場合、患者試料におけるHRDの存在を診断するか、又は(3)(b)(1)からの数若しくは(2)からの数のいずれもいくつかの参照を超えない場合、患者試料におけるHRDの不在を診断することのいずれかと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、患者試料におけるHRDの存在又は不在を診断する方法であって、方法が、(1)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(2)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(3)(a)(1)からの数及び/若しくは(2)からの数がいくつかの参照を超える場合、患者試料におけるHRDの存在を診断するか、又は(3)(b)(1)からの数若しくは(2)からの数のいずれもいくつかの参照を超えない場合、患者試料におけるHRDの不在を診断することのいずれかと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、患者試料におけるHRDの存在又は不在を診断する方法であって、方法が、(1)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(2)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(3)(a)(1)からの数及び/若しくは(2)からの数がいくつかの参照を超える場合、患者試料におけるHRDの存在を診断するか、又は(3)(b)(1)からの数若しくは(2)からの数のいずれもいくつかの参照を超えない場合、患者試料におけるHRDの不在を診断することのいずれかと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、患者試料におけるHRDの存在又は不在を診断する方法であって、方法が、(1)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(2)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(3)1つ以上の患者試料を分析して(例えば、アッセイして)、試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定する(例えば、検出する)ことと、(3)(a)(1)からの数、(2)からの数、及び/若しくは(3)からの数がいくつかの参照を超える場合、患者試料におけるHRDの存在を診断するか、又は(3)(b)(1)、(2)、若しくは(3)からの数のいずれもいくつかの参照を超えない場合、患者試料におけるHRDの不在を診断することのいずれかと、を含む、方法を提供する。
【0008】
本発明の様々な態様は、試料におけるHRDを評価(例えば、検出)するために、3種類のCA領域の平均(例えば、算術平均)を使用することを含む。そのような方法において有用な3種類のCA領域には、(1)ヘテロ接合性の喪失を示す染色体領域(本明細書で定義される「LOH領域」)、(2)テロメア対立遺伝子不均衡を示す染色体領域(本明細書で定義される「TAI領域」)、及び(3)大規模な遷移を示す染色体領域(本明細書で定義される「LST領域」)が含まれる。ある特定のサイズ又は特性のCA領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータCA領域」)は、本明細書に記載の本発明の様々な態様において特に有用であり得る。したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定の平均(例えば、算術平均)を計算することと、(5)(4)で行われた計算された平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、HRDを評価する(例えば、検出する)ことは、検出されたCA領域から導出された、又は計算された(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)スコア(本明細書で定義される「CA領域スコア」)に基づく。スコアは、本明細書でより詳細に記載される。いくつかの実施形態では、試料のCA領域スコアがいくつかの閾値(例えば、参照又はインデックスCA領域スコア)を超える場合、HRDが検出され、任意選択で、試料のCA領域スコアがいくつかの閾値(例えば、参照又は指標CA領域スコア、いくつかの実施形態では、陽性検出について同じ閾値であり得る)を超えない場合、HRDは検出されない。当業者は、スコアが本開示内で反対方向で考案され得ることを容易に理解するであろう(例えば、HRDは、CA領域スコアが特定の閾値を下回っている場合に検出され、スコアが特定の閾値を上回っている場合に検出されない)。
【0010】
いくつかの実施形態では、CA領域スコアは、(1)検出されたLOH領域(本明細書で定義される「LOH領域スコア」)、(2)検出されたTAI領域(本明細書で定義される「TAI領域スコア」)、及び/又は(3)検出されたLST領域(本明細書で定義される「LST領域スコア」)のうちの2つ以上から導出又は計算される(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)スコアの組み合わせである。いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びTAI領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(TAI領域スコア)
【0011】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びTAI領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=0.32*(LOH領域スコア)+0.68*(TAI領域スコア)
【0012】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(LST領域スコア)
【0013】
いくつかの実施形態では、TAI領域スコア及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(TAI領域スコア)+B*(LST領域スコア)
【0014】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(TAI領域スコア)+C*(LST領域スコア)
【0015】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=0.21*(LOH領域スコア)+0.67*(TAI領域スコア)+0.12*(LST領域スコア)
【0016】
いくつかの実施形態では、CA領域スコアは、CA領域スコアを得るために、(1)検出されたLOH領域(本明細書で定義される「LOH領域スコア」)、(2)検出されたTAI領域(本明細書で定義される「TAI領域スコア」)、及び/又は(3)検出されたLST領域(本明細書で定義される「LST領域スコア」)の平均(例えば、算術平均)から導出又は計算される(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)スコアの組み合わせである。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(TAI領域スコア)+C*(LST領域スコア)
3
【0017】
別の態様では、本発明は、試料におけるBRCA1及びBRCA2遺伝子の状態を予測する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、試料におけるBRCA1及び/又はBRCA2欠損を評価(例えば、検出)するために使用されるという点で異なる。別の態様では、本発明は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、がん患者ががん治療レジメンに応答するであろう可能性を予測するために使用されるという点で異なる。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。別の態様では、本発明は、がんを治療する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、特定の治療レジメンが、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定に少なくとも部分的に基づいて施される(推奨される、処方されるなど)という点で異なる。別の態様では、本発明は、本明細書に記載のHRD(例えば、HRDシグネチャ)を有すると決定されたがん細胞を有する(又は有していた)と特定された患者におけるがんを治療するのに有用な医薬品の製造における、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬物の使用を特徴とする。別の態様では、本明細書は、HDR経路からの遺伝子内の変異の存在について試料を評価するための方法を特徴とする。そのような方法は、上記の方法に類似しており、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、HDR経路からの遺伝子内の変異の存在を検出する(又は検出しない)ために使用されるという点で異なる。
【0018】
別の態様では、本発明は、患者を評価するための方法を提供する。方法は、(a)患者が、参照数を超えるCA領域(又は、例えば、参照CA領域スコアを超えるCA領域スコア)を有するがん細胞を有する(又は有していた)かどうかを決定することと、(b)(1)患者が、参照数を超えるCA領域(若しくは、例えば、参照CA領域スコアを超えるCA領域スコア)を有するがん細胞を有する(若しくは有していた)と決定された場合、患者を、HRDを有するがん細胞を有すると診断するか、又は(b)(2)患者が、参照数を超えるCA領域を有するがん細胞を有しない(若しくは有したことがない)(例えば、患者が参照CA領域スコアを超えるCA領域スコアを有するがん細胞を有しない(若しくは有したことがない))と決定された場合、患者を、HRDを有するがん細胞を有しないと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0019】
別の態様では、本発明は、がん患者から得られた試料における少なくともある染色体対(又はそれに由来するDNA)におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、及び(a)試料におけるHRD若しくはHRDの可能性(例えば、HRDシグネチャ)、(b)試料におけるBRCA1若しくはBRCA2遺伝子の欠損(若しくは欠損の可能性)、又は(c)がん患者がDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答するであろう可能性の増加を検出するために、有用な診断キットの製造における、ヒトゲノムDNAの複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる複数のオリゴヌクレオチドの使用を特徴とする。
【0020】
別の態様では、本発明は、試料におけるHRD(例えば、HRDシグネチャ)を検出するためのシステムを特徴とする。本システムは、(a)試料における少なくとも1対のヒト染色体のゲノムDNA(又はそれに由来するDNA)についての複数のシグナルを産生するように構成された試料分析器と、(b)複数のシグナルに基づいて、少なくとも1対のヒト染色体におけるCA領域の数又は組み合わせた長さを計算するようにプログラムされたコンピュータサブシステムと、を備えるか、又はそれらから本質的になる。コンピュータサブシステムは、CA領域の数又は組み合わせた長さを参照数と比較して、(a)試料におけるHRD又はHRDの可能性(例えば、HRDシグネチャ)、(b)試料におけるBRCA1又はBRCA2遺伝子の欠損(若しくは欠損の可能性)、又は(c)がん患者が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答するであろう可能性の増加を検出するようにプログラムされ得る。本システムは、(a)、(b)、又は(c)を表示するように構成された出力モジュールを備え得る。本システムは、がん治療レジメンの使用のための推奨を表示するように構成された出力モジュールを備え得る。
【0021】
別の態様では、本発明は、コンピュータ上で実行するとき、ヒトX及びY性染色体以外のヒト染色体のうちの1つ以上に沿った任意のCA領域(CA領域は、任意選択でインジケータCA領域である)の存在又は不在を検出するため、並びに1つ以上の染色体対におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、の命令を提供する、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品を提供する。本コンピュータプログラム製品は、他の命令を含み得る。
【0022】
別の態様では、本発明は、診断キットを提供する。キットは、ヒトゲノムDNA(又はそれに由来するDNA)の複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる少なくとも500個のオリゴヌクレオチドと、本明細書に提供されるコンピュータプログラム製品と、を含むか、又はそれらから本質的になる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行するとき、ヒトX及びY性染色体以外のヒト染色体のうちの1つ以上に沿った任意のCA領域(CA領域は、任意選択でインジケータCA領域である)の存在又は不在を検出するため、並びに1つ以上の染色体対におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、の命令を提供する、コンピュータ可読媒体に具現化され得る。本コンピュータプログラム製品は、他の命令を含み得る。
【0023】
先の段落に記載の本発明の態様のうちのいずれか1つ以上のいくつかの実施形態では、以下のうちのいずれか1つ以上が適切に適用され得る。CA領域は、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定され得る。がん細胞は、卵巣がん細胞、乳がん細胞、肺がん細胞、又は食道がん細胞であり得る。参照は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、又は20個以上であり得る。少なくとも1対のヒト染色体は、ヒト染色体17を除外し得る。DNA損傷剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン(oxalaplatin)、若しくはピコプラチンであり得るか、アントラサイクリンは、エピルビンシン(epirubincin)若しくはドキソルビシンであり得るか、トポイソメラーゼI阻害剤は、カンポテシン(campothecin)、トポテカン、若しくはイリノテカンであり得るか、又はPARP阻害剤は、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブ(velapirib)であり得る。患者は、治療未経験の患者であり得る。
【0024】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が関連する当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を使用して本発明を実施することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が、優先される。加えて、材料、方法、及び実施例は、単に例解的であり、限定することを意図するものではない。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明及び添付の図面に示される。材料、方法、及び実施例は、単に例解的であり、限定することを意図するものではない。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】SNPアレイ(上)及び高スループット配列決定(下)を使用して決定される、染色体に沿った乳がん患者由来の新鮮な凍結試料由来の乳がん細胞の対立遺伝子量(allele dosage)をプロットするグラフを示す。
【
図2】SNPアレイ(上)及び高スループット配列決定(下)を使用して決定される、染色体に沿った乳がん患者由来のFFPE試料由来の乳がん細胞の対立遺伝子量をプロットするグラフを示す。
【
図3】HRDシグネチャについて細胞(例えば、がん細胞)のゲノムを評価するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【
図4】本明細書に記載の技術を実装するために使用され得るコンピュータデバイス及びモバイルコンピュータデバイスの例の図である。
【
図5A】乳がんIHCサブタイプにわたるLOH領域スコアを示す。上部の3つのパネルは、BRCA1/2欠損の試料である。下部パネルは、BRCA1/2無傷の試料である。
【
図5B】乳がんIHCサブタイプにわたるTAI領域スコアを示す。上部の3つのパネルは、BRCA1/2欠損の試料である。下部パネルは、BRCA1/2無傷の試料である。
【
図6】LOH領域スコアとTAI領域スコアとの間の相関を示す。相関係数=0.69。X軸:LOHスコア、Y軸:TAIスコア、赤色のドット:無傷の試料、青色のドット(重ねた「X」を伴う):BRCA1/2欠損の試料。ドット下の面積は、LOHスコア及びTAIスコアの組み合わせを有する試料の数に比例する。p=10
-39。
【
図7A】本明細書の実施例2で分析された患者のLOH領域スコアを示す。上部の3つのパネルは、BRCA1/2欠損の試料である。下部パネルは、BRCA1/2無傷の試料である。
【
図7B】本明細書の実施例2で分析された患者のTAI領域スコアを示す。上部の3つのパネルは、BRCA1/2欠損の試料である。下部パネルは、BRCA1/2無傷の試料である。
【
図7C】本明細書の実施例2で分析された患者のLST領域スコアを示す。上部の3つのパネルは、BRCA1/2欠損の試料である。下部パネルは、BRCA1/2無傷の試料である。
【
図7D】本明細書の実施例2で分析された患者のLOH対TAIを示す。X軸:LOHスコア、Y軸:TAIスコア、赤色のドット:無傷の試料、青色のドット(重ねた「X」を伴う):BRCA1/2欠損の試料。ドット下の面積は、LOHスコア及びTAIスコアの組み合わせを有する試料の数に比例する。
【
図7E】本明細書の実施例2で分析された患者のLOH対LSTを示す。X軸:LOHスコア、Y軸:LSTスコア、赤色のドット:無傷の試料、青色のドット(重ねた「X」を伴う):BRCA1/2欠損の試料。ドット下の面積は、LOHスコア及びLSTスコアの組み合わせを有する試料の数に比例する。
【
図7F】本明細書の実施例2で分析された患者のTAI対LSTを示す。X軸:TAIスコア、Y軸:LSTスコア、赤色のドット:無傷の試料、青色のドット(重ねた「X」を伴う):BRCA1/2欠損の試料。ドット下の面積は、TAIスコア及びLSTスコアの組み合わせを有する試料の数に比例する。
【
図8】体細胞BRCA変異、生殖細胞系列BRCA変異、低BRCA1発現、又は無傷のBRCA(BRCA正常)を有する卵巣がん細胞試料について、15Mbより長く、かつ染色体全体よりも短いLOH領域の数をプロットするグラフである。円のサイズは、そのような数のLOH領域を有する試料の数に比例する。
【
図9A】参加希望者全員の乳房コホートにおけるBRCA1/2欠損(変異又はメチル化)の試料(上部パネル)及び無傷の試料(下部パネル)におけるHRD-LOHスコアを例解する。
【
図9B】参加希望者全員の乳房コホートにおけるBRCA1/2欠損(変異又はメチル化)の試料(上部パネル)及び無傷の試料(下部パネル)におけるHRD-TAIスコアを例解する。
【
図9C】参加希望者全員の乳房コホートにおけるBRCA1/2欠損(変異又はメチル化)の試料(上部パネル)及び無傷の試料(下部パネル)におけるHRD-LSTスコアを例解する。
【
図10】組み合わせたシスプラチン-1及びシスプラチン-2コホートにおける、Miller-Payneスコア(水平軸)によって階層化された平均(例えば、算術平均)のHRD組み合わせされたスコア(Y軸)を例解する。
【
図11】HR欠損の3つの異なる尺度のスピアマン相関を例解する。対角線の上のパネルは、相関関係を示す。対角線パネルは、密度プロットを示す。
【
図12】HRD組み合わせされたスコアとの臨床変数の関連性を例解する。
【
図13】BRCA1/2欠損との臨床変数の関連を例解する。上部のパネル、及び下部左のパネルは、グレード、ステージ、及び乳がんのタイプの各カテゴリ内のBRCA1/2欠損患者の割合を示している。各バーの幅は、各カテゴリの患者の数に比例する。下部右のパネルは、年齢に応じたBRCA1/2欠損の条件付き密度推定を示す。
【
図14】42以上の参照スコアを有する高HRDの決定を例解する。
【
図15】シスプラチンコホートにおけるHRDスコアの分布を示すヒストグラムを例解する。左側の4つの列は低いHRDを表し、右側の5つの列は、42超の参照スコアを有し、高いHRDを表している。
【
図16】pCR、RCB-I、RCB-II、及びRCB-IIIの応答クラス内のHRDスコアの分布を例解する。ボックスは、中央値に水平線を有するスコアの四分位範囲(IQR)を表す。42での点線は、低スコアと高スコアとの間のHRD閾値を表す。
【
図17】定量的HRDスコアの応答曲線を例解する。曲線は、一般化されたロジスティック回帰によってモデル化されている。影付きのボックスは、HR欠損の試料対非欠損の試料における応答の確率を示す。
【
図18】個々のHRD構成要素(LOH、TAI、及びLST)のHRDスコアを例解する。
【
図19】ある特定の例示的な実施形態による、BRCA1欠損の試料の分布の比較を示すグラフである。
【
図20】ある特定の例示的な実施形態による、ER+BC閾値を示すグラフである。
【
図21A】
図21A~Bは、ある特定の例示的な実施形態による、TNBC及びER+BCに適用される閾値を示すグラフである。
【
図22】A~Bは、がんのタイプ及びBRCA状態によるゲノム不安定性スコア(GIS)の分布を示す。(A)卵巣がん、TNBC、及びER+乳がんにおけるBRCA欠損腫瘍及びBRCAwt腫瘍についてのGISの分布。(B)卵巣がん、TNBC、及びER+乳がんについての正規分布に適合させたBRCA欠損腫瘍についてのGISの分布。
【
図23】A~Bは、三重陰性乳がん(TNBC)の病理学的完全応答(pCR)状態によるゲノム不安定性スコア(GIS)の分布を示す。(A)完全な臨床検証コホート、及び(B)BRCAwt臨床検証コホートのGISの分布。試料は、pCRが達成されたかどうかに基づいて階層化される(「pCR」対「pCRなし」)。
【
図24】三重陰性乳がん(TNBC)のゲノム不安定性スコア(GIS)による病理学的完全応答(pCR)の確率を示す。完全な臨床検証コホート(N=211、実線)及びBRCAwt臨床検証コホート(N=171、破線)に適合させた3パラメータロジスティック回帰モデルからのGISの範囲に対するpCRの可能性。垂直の灰色の破線は、33以上及び42以上の潜在的閾値を表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
概して、本発明の一態様は、がん細胞又はそれに由来するDNA(例えば、ゲノムDNA)におけるHRDを評価するための方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本方法は、(a)試料又はそれに由来するDNAにおいて、少なくとも1対のヒト染色体又はそれに由来するDNAにおけるCA領域を検出することと、(b)当該CA領域の数、サイズ(例えば、長さ)、及び/又は特性を決定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「染色体異常」又は「CA」は、細胞の染色体DNAにおける体細胞変化を意味し、それは、3つの重複するカテゴリ:LOH、TAI、又はLSTのうちの少なくとも1つに分類される。ヒトゲノム内の多型遺伝子座(例えば、一塩基多型(SNP))は、個体が、典型的には、生物学的父親から1つのコピー及び生物学的母親から1つのコピーを受け取るため、個体の生殖細胞系列内で概してヘテロ接合性である。しかしながら、体細胞的に、このヘテロ接合性は、(変異を介して)ホモ接合性に変化する可能性がある。ヘテロ接合性からホモ接合性へのこの変化は、ヘテロ接合性の喪失(LOH)と呼ばれる。LOHはいくつかの機序から生じる場合がある。例えば、いくつかの場合では、一方の染色体の遺伝子座は、体細胞において欠失される可能性がある。他方の染色体(雄の場合、他方の非性染色体)上に存在したままである遺伝子座は、罹患細胞のゲノム内に存在するその遺伝子座の(2つのコピーではなく)1つのコピーのみが存在するため、LOH遺伝子座である。この種類のLOH事象は、コピー数の低減をもたらす。他の場合では、体細胞内の一方の染色体の遺伝子座(例えば、雄の場合、一方の非性染色体)は、他方の染色体からのその遺伝子座のコピーで置換される可能性があり、それによって置換された遺伝子座内に存在し得る任意のヘテロ接合性を排除する。そのような場合、各染色体上に存在したままの遺伝子座は、LOH遺伝子座であり、コピーニュートラルLOH遺伝子座と称され得る。LOH、及びHRDの決定におけるその使用は、国際特許出願第PCT/US2011/040953号(WO/2011/160063として公開されている)に詳細に記載されており、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
LOHを包含する染色体異常のより広範なクラスは、対立遺伝子不均衡である。対立遺伝子不均衡は、体細胞における特定の遺伝子座における相対コピー数(すなわち、コピー比)が生殖細胞系列と異なる場合に生じる。例えば、生殖細胞系列が、特定の遺伝子座に1コピーの対立遺伝子A及び1コピーの対立遺伝子Bを有し、体細胞が、2コピーのA及び1コピーのBを有する場合、体細胞のコピー割合(2:1)が、生殖細胞系列(1:1)と異なるため、遺伝子座に対立遺伝子不均衡が存在する。LOHは、体細胞が生殖細胞系列(1:1)とは異なるコピー比(1:0又は2:0)を有するため、対立遺伝子不均衡の例である。しかし、対立遺伝子不均衡は、より多くの種類の染色体異常、例えば、2:1の生殖細胞系列が1:1の体細胞になる、1:0の生殖細胞系列が1:1の体細胞になる、1:1の生殖細胞系列が2:1の体細胞になるなどを包含する。染色体のテロメアを包含する対立遺伝子不均衡の領域の分析は、本発明において特に有用である。したがって、「テロメア対立遺伝子不均衡領域」又は「TAI領域」は、(a)サブテロメアのうちの1つまで延び、(b)セントロメアを横断しない対立遺伝子不均衡を有する領域と定義される。TAI、及びHRDの決定におけるその使用は、米国特許出願第13/818,425号(US2013/0281312A1として公開されている)及び同第14/466,208号(US2015/0038340A1として公開されている)に詳細に記載されており、それらの各々の全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
LOH及びTAIを包含する、更により広い染色体異常のクラスは、本明細書では大規模な遷移(「LST」)と称される。LSTは、いくつかの最大長(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4メガ塩基以上)よりも短い領域をフィルタリングした後、少なくともいくつかの最小長(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20メガ塩基以上)の2つの領域間にある染色体の長さに沿った任意の体細胞コピー数遷移(すなわち、ブレークポイント)を指す。例えば、3メガ塩基よりも短い領域をフィルタリングした後、体細胞が、例えば、少なくとも10メガ塩基について1:1のコピー数を有し、次いで、例えば、コピー数2:2を有する少なくとも10メガ塩基の領域に対してブレークポイント遷移を有する場合、これは、LSTである。LST領域として、同じ現象を定義する対替的の方式は、ブレークポイント(すなわち、遷移)によって境界される少なくともいくつかの最小長(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20メガ塩基)にわたって安定したコピー数を有するゲノム領域であり、少なくともこの最小長の別の領域についてもコピー数が変化する領域である。例えば、3メガ塩基よりも短い領域をフィルタリングした後、体細胞が、一方の側で、例えば、コピー数2:2を有する少なくとも10メガ塩基の領域に対するブレークポイント遷移によって境界され、他方の側で、例えば、コピー数1:2を有する少なくとも10メガ塩基の領域に対するブレークポイント遷移によって境界される、1:1のコピー数を有する少なくとも10メガ塩基の領域を有する場合、これは、2つのLSTである。そのようなコピー数の変化は、対立遺伝子不均衡とはみなされないため(コピー比率1:1及び2:2は同じである、すなわち、コピー比率に変化はないため)、これは、対立遺伝子不均衡よりも広範であることに留意されたい。LST、及びHRDの決定におけるその使用は、米国特許出願第14/402,254号(US2015/0140122A1として公開されている)に詳細に記載されており、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
LSTスコアの異なるカットオフを、「ほぼ二倍体」及び「ほぼ四倍体」腫瘍に使用して、BRCA1/2無傷の試料と欠損の試料とを分離し得る。LSTスコアは、無傷の試料及び欠損の試料の両方内の倍数性とともに増加することがある。倍数性特異的カットオフを使用する代替として、いくつかの実施形態は、倍数性によってそれを調整する修正されたLSTスコアを用いてもよい。LSTm=LST-kP、式中、Pは、倍数性であり、kは、定数である。結果として欠損を有し、予測因子としてLST及びPを有する多変量ロジスティック回帰分析に基づいて、k=15.5により、無傷の試料と欠損の試料との間の最良の分離を得る(ただし、当業者はkの他の値を想定することができる)。
【0032】
染色体異常は、本明細書では「CA領域」と称される染色体異常領域を画定するために、多数の遺伝子座にわたって広がる可能性がある。そのようなCA領域は、任意の長さ(例えば、約1.5Mb未満の長さから、最大染色体の全長に等しい長さ)であり得る。大きいCA領域(「インジケータCA領域」)の存在量は、細胞の相同性依存性修復(HDR)機序の欠損を示す。CA領域の定義、したがってCAの各種類(例えば、LOH、TAI、LST)の「インジケータ」領域を構成するものは、CAの特定の特性に依存する。例えば、「LOH領域」は、LOHを示す連続した遺伝子座のうちの少なくともいくつかの最小数、又はLOHを示す連続した遺伝子座を有するゲノムDNAのうちのいくつかの最小のストレッチを意味する。一方、「TAI領域」は、テロメアから染色体の残りの部分に延びる対立遺伝子不均衡を示す連続した遺伝子座のうちの少なくともいくつかの最小数(又は、対立遺伝子不均衡を示す連続した遺伝子座を有する、テロメアから染色体の残りの部分に延びるゲノムDNAのうちのいくつかの最小のストレッチ)を意味する。LSTは、少なくともいくつかの最小サイズのゲノムDNAの領域に関して既に定義されているため、「LST」及び「LST領域」は、ブレークポイントによって境界付けられた同じコピー番号又はそのコピー数から異なるコピー数への遷移を有する最小数の連続した遺伝子座(又はゲノムDNAのいくつかの最小ストレッチ)を指すために本明細書で互換的に使用される。
【0033】
いくつかの実施形態では、CA領域(LOH領域、TAI領域、又はLST領域のいずれか)は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、又は100メガ塩基以上の長さである場合、インジケータCA領域(インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域のいずれか)である。いくつかの実施形態では、インジケータLOH領域は、約1.5、5、12、13、14、15、16、17メガ塩基以上(好ましくは14、15、16メガ塩基以上、より好ましくは15メガ塩基以上)よりも長いが、LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、LOH領域である。代替的又は追加的に、そのようなインジケータLOH領域の合計の組み合わせた長さが決定され得る。いくつかの実施形態では、インジケータTAI領域は、(a)サブテロメアのうちの1つまで延び、(b)セントロメアを横断せず、(c)1.5、5、12、13、14、15、16、17メガ塩基以上(好ましくは10、11、12メガ塩基以上、より好ましくは11メガ塩基以上)よりも長い、対立遺伝子不均衡を有するTAI領域である。代替的又は追加的に、そのようなインジケータTAI領域の合計の組み合わせた長さが決定され得る。LSTの概念は、既にいくつかの最小サイズの領域を含むため(そのような最小サイズは、HDR無傷の試料からHRDを区別するその能力に基づいて決定される)、本明細書で使用されるインジケータLST領域は、LST領域と同じである。更に、LST領域スコアは、上記のLSTを示す領域の数又はLSTブレークポイントの数のいずれかから導出され得る。いくつかの実施形態では、LSTブレークポイントを境界とする安定コピー数の領域の最小長は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11 12、13、14、15、16、17、18、19、又は20メガ塩基(好ましくは8、9、10、11メガ塩基以上、より好ましくは10メガ塩基)であり、フィルタリングされないままの最大領域は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4メガ塩基以下より少ない(好ましくは2、2.5、3、3.5、又は4メガ塩基以下、より好ましくは3メガ塩基未満)。
【0034】
本明細書で使用する場合、そのような試料が、(本明細書に記載の)インジケータCA領域の数を有するか、(本明細書に記載の)CA領域スコアが、本明細書に記載の参照を超える場合、試料は、「HRDシグネチャ」を有し、そのような参照を超える数又はスコアは、相同組換え欠損を示す。
【0035】
したがって、本発明は、概して、試料におけるインジケータCA領域を検出及び定量化して、試料における細胞(又は試料におけるDNAが由来する細胞)がHRDシグネチャを有するかどうかを決定することを含む。多くの場合、これは、インジケータCA領域の数(又はそれから導出若しくは計算され、そのような数に対応する試験値又はスコア)を参照数又は指標数(又はスコア)と比較することを含む。
【0036】
本発明の様々な態様は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)ために、2種類以上のCA領域(2種類以上のインジケータCA領域を含む)の組み合わせた分析を使用することを含む。したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるインジケータLOH領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(2)試料におけるインジケータTAI領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの存在又は不在を決定すること(例えば、検出すること、診断すること)と、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるインジケータLOH領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(2)試料におけるインジケータLST領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの存在又は不在を決定すること(例えば、検出すること、診断すること)と、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるインジケータTAI領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(2)試料におけるインジケータLST領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(3)(1)及び(2)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの存在又は不在を決定すること(例えば、検出すること、診断すること)と、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるインジケータLOH領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(2)試料におけるインジケータTAI領域の総数を決定することと、(3)試料におけるインジケータLST領域の総数(又は組み合わせた長さ)を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの存在又は不在を決定すること(例えば、検出すること、診断すること)と、を含む、方法を提供する。
【0037】
本発明の様々な態様は、3つの異なるCA領域の平均の組み合わせ分析を使用して、試料におけるHRDを評価(例えば、検出、診断)することを含む。したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定の平均(例えば、算術平均)を計算することと、(5)(4)で行われた計算された平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「CA領域スコア」は、試料において検出されたインジケータCA領域から導出又は計算された(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)試験値又はスコア(例えば、試料において検出されたインジケータCA領域の数から導出又は計算されたスコア又は試験値)を意味する。同様に、本明細書で使用される場合、「LOH領域スコア」は、CA領域スコアのサブセットであり、試料において検出されたインジケータLOH領域から導出又は計算された(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)試験値又はスコア(例えば、試料において検出されたインジケータLOH領域の数から導出又は計算されたスコア又は試験値)を意味し、TAI領域スコア及びLST領域スコアについても同様である。そのようなスコアは、いくつかの実施形態では、単に試料において検出されたインジケータCA領域の数であり得る。いくつかの実施形態では、スコアはより複雑であり、検出された各インジケータCA領域又はインジケータCA領域のサブセットの長さを考慮に入れている。
【0039】
上で考察されたように、本発明は、概して、2種類以上のCA領域スコア(そのような領域の数を含み得る)の分析を組み合わせることを含む。したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のTAI領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるLOH領域スコア若しくは参照を超えるTAI領域スコアのいずれかに少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないLOH領域スコア及び参照を超えないTAI領域スコアの両方に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のLST領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるLOH領域若しくは参照を超えるLST領域スコアのいずれかに少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないLOH領域スコア及び参照を超えないLST領域スコアの両方に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のTAI領域スコアを決定することと、(2)試料のLST領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるTAI領域スコア若しくは参照を超えるLST領域スコアのいずれかに少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないTAI領域スコア及び参照を超えないLST領域スコアの両方に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のTAI領域スコアを決定することと、(3)試料のLST領域スコアを決定することと、(4)(a)参照を超えるLOH領域スコア、参照を超えるTAI領域スコア、若しくは参照を超えるLST領域スコアのいずれかに少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(4)(b)参照を超えないLOH領域スコア、参照を超えないTAI領域スコア及び参照を超えないLST領域スコアに少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、CA領域スコアは、(1)検出されたLOH領域(本明細書で定義される「LOH領域スコア」)、(2)検出されたTAI領域(本明細書で定義される「TAI領域スコア」)、及び/又は(3)検出されたLST領域(本明細書で定義される「LST領域スコア」)のうちの2つ以上から導出又は計算される(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)スコアの組み合わせである。いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びTAI領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(TAI領域スコア)
【0041】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びTAI領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=0.32*(LOH領域スコア)+0.68*(TAI領域スコア)
又は
CA領域スコア=0.34*(LOH領域スコア)0.66*(TAI領域スコア)
【0042】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(LST領域スコア)
【0043】
いくつかの実施形態では、以下のように、試料のLOH領域スコア及び試料のLST領域スコアを組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=0.85*(LOH領域スコア)0.15*(LST領域スコア)
【0044】
いくつかの実施形態では、TAI領域スコア及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(TAI領域スコア)+B*(LST領域スコア)
【0045】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=A*(LOH領域スコア)+B*(TAI領域スコア)+C*(LST領域スコア)
【0046】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを、以下のように組み合わせて、CA領域スコアを得る。
CA領域スコア=0.21*(LOH領域スコア)+0.67*(TAI領域スコア)+0.12*(LST領域スコア)
又は
CA領域スコア=[0.24]*(LOH領域スコア)+[0.65]*(TAI領域スコア)+[0.11]*(LST領域スコア)
又は
CA領域スコア=[0.11]*(LOH領域スコア)+[0.25]*(TAI領域スコア)+[0.12]*(LST領域スコア)
【0047】
いくつかの実施形態では、CA領域スコアは、以下の式のうちの1つから計算されたCA領域スコアをCA領域スコアを得るために、(1)検出されたLOH領域(本明細書で定義される「LOH領域スコア」)、(2)検出されたTAI領域(本明細書で定義される「TAI領域スコア」)、及び/又は(3)検出されたLST領域(本明細書で定義される「LST領域スコア」)の平均(例えば、算術平均)から導出又は計算される(例えば、それを表すか、又はそれに対応する)スコアの組み合わせである。
【数1】
【0048】
本明細書に具体的に例解されるいくつかを含むいくつかの実施形態では、これらの係数(すなわち、A、B、若しくはC、又はそれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上は1であり、いくつかの実施形態では、3つ全ての係数(すなわち、A、B、及びC)は1である。したがって、いくつかの実施形態では、CA領域スコア=(LOH領域スコア)+(TAI領域スコア)+(LST領域スコア)であり、LOH領域スコアは、インジケータLOH領域の数(又はLOHの全長)であり、TAI領域スコアは、インジケータTAI領域の数(又はTAIの全長)であり、LST領域スコアは、インジケータLST領域の数(又はLSTの全長)である。
【0049】
いくつかの場合では、式は、指定された係数の全てを有しない場合がある(したがって、対応する変数(複数可)を組み込まない)。例えば、前述の実施形態は、式(2)のAが0.95であり、式(2)のBが0.61である式(2)に適用され得る。C及びDは、これらの係数及びそれらの対応する変数が式(2)に見出されないため、適用されない(ただし、臨床的変数は、式(2)に見出される臨床的スコアに組み込まれる)。いくつかの実施形態では、Aは、0.9~1、0.9~0.99、0.9~0.95、0.85~0.95、0.86~0.94、0.87~0.93、0.88~0.92、0.89~0.91、0.85~0.9、0.8~0.95、0.8~0.9、0.8~0.85、0.75~0.99、0.75~0.95、0.75~0.9、0.75~0.85、又は0.75~0.8である。いくつかの実施形態では、Bは、0.40~1、0.45~0.99、0.45~0.95、0.55~0.8、0.55~0.7、0.55~0.65、0.59~0.63、又は0.6~0.62である。いくつかの実施形態では、Cは、該当する場合、0.9~1、0.9~0.99、0.9~0.95、0.85~0.95、0.86~0.94、0.87~0.93、0.88~0.92、0.89~0.91、0.85~0.9、0.8~0.95、0.8~0.9、0.8~0.85、0.75~0.99、0.75~0.95、0.75~0.9、0.75~0.85、又は0.75~0.8である。いくつかの実施形態では、Dは、該当する場合、0.9~1、0.9~0.99、0.9~0.95、0.85~0.95、0.86~0.94、0.87~0.93、0.88~0.92、0.89~0.91、0.85~0.9、0.8~0.95、0.8~0.9、0.8~0.85、0.75~0.99、0.75~0.95、0.75~0.9、0.75~0.85、又は0.75~0.8である。
【0050】
いくつかの実施形態では、Aは、0.1~0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.2~0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.3~0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.4~0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.5~0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.6~0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.7~0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.8~0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.9~1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1~1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1.5~2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2~2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2.5~3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3~3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3.5~4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4~4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4.5~5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は5~6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は6~7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は7~8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は8~9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は9~10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は10~11、12、13、14、15、若しくは20、又は11~12、13、14、15、若しくは20、又は12~13、14、15、若しくは20、又は13~14、15、若しくは20、又は14~15若しくは20、又は15~20であり、Bは、0.1~0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.2~0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.3~0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.4~0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.5~0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.6~0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.7~0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.8~0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.9~1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1~1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1.5~2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2~2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2.5~3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3~3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3.5~4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4~4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4.5~5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は5~6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は6~7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は7~8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は8~9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は9~10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は10~11、12、13、14、15、若しくは20、又は11~12、13、14、15、若しくは20、又は12~13、14、15、若しくは20、又は13~14、15、若しくは20、又は14~15若しくは20、又は15~20であり、Cは、該当する場合、0.1~0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.2~0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.3~0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.4~0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、
又は0.5~0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.6~0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.7~0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.8~0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.9~1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1~1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1.5~2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2~2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2.5~3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3~3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3.5~4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4~4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4.5~5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は5~6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は6~7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は7~8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は8~9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は9~10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は10~11、12、13、14、15、若しくは20、又は11~12、13、14、15、若しくは20、又は12~13、14、15、若しくは20、又は13~14、15、若しくは20、又は14~15若しくは20、又は15~20であり、Dは、該当する場合、0.1~0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.2~0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.3~0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.4~0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.5~0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.6~0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.7~0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.8~0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は0.9~1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1~1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は1.5~2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2~2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は2.5~3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3~3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は3.5~4、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4~4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は4.5~5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は5~6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は6~7、8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は7~8、9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は8~9、10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は9~10、11、12、13、14、15、若しくは20、又は10~11、12、13、14、15、若しくは20、又は11~12、13、14、15、若しくは20、又は12~13、14、15、若しくは20、又は13~14、15、若しくは20、又は14~15若しくは20、又は15~20である。いくつかの実施形態では、A、B、及び/又はCは、これらの値のうちのいずれかの四捨五入内である(例えば、Aは、0.45~0.54などである)。
【0051】
したがって、一態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のTAI領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるLOH領域スコア及びTAI領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないLOH領域スコア及びTAI領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のLST領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるLOH領域スコア及びLST領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないLOH領域スコア及びLST領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のTAI領域スコアを決定することと、(2)試料のLST領域スコアを決定することと、(3)(a)参照を超えるTAI領域スコア及びLST領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(3)(b)参照を超えないTAI領域スコア及びLST領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。別の態様では、本発明は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料のLOH領域スコアを決定することと、(2)試料のTAI領域スコアを決定することと、(3)試料のLST領域スコアを決定することと、(4)(a)参照を超えるLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを検出する(又は診断する)か、又は任意選択で、(4)(b)参照を超えないLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコア(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDの不在を検出する(又は診断する)ことと、を含む、方法を提供する。
【0052】
したがって、本発明の別の態様は、試料におけるHRDを評価する(例えば、検出する、診断する)方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定の平均(例えば、算術平均)を計算することと、(5)(4)で行われた計算された平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、試料におけるHRDを評価することと、を含む、方法を提供する。
【0053】
いくつかの実施形態では、CA領域スコア(例えば、インジケータCA領域の数)について上で考察された参照(又は指標)は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、20以上、好ましくは5、好ましくは8、より好ましくは9又は10、最も好ましくは10であり得る。インジケータCA領域の全ての(例えば、組み合わせた)長さについての参照は、約75、90、105、120、130、135、150、175、200、225、250、275、300、325 350、375、400、425、450、475、500メガ塩基以上、好ましくは約75メガ塩基以上、好ましくは約90又は105メガ塩基以上、より好ましくは約120又は130メガ塩基以上、より好ましくは約135メガ塩基以上、最も好ましくは約150メガ塩基以上であり得る。いくつかの実施形態では、組み合わせたCA領域スコア(例えば、インジケータLOH領域、インジケータ、TAI領域、及び/又はインジケータLST領域の組み合わせた数)について上で考察された参照は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50以上、好ましくは5、好ましくは10、好ましくは15、好ましくは20、好ましくは25、好ましくは30、好ましくは35、好ましくは40~44、最も好ましくは、42以上である。インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及び/又はインジケータLST領域の全ての(例えば、組み合わせた)長さについての参照は、約75、90、105、120、130、135、150、175、200、225、250、275、300、325 350、375、400、425、450、475、500メガ塩基以上、好ましくは約75メガ塩基以上、好ましくは約90又は105メガ塩基以上、より好ましくは約120又は130メガ塩基以上、より好ましくは約135メガ塩基以上、最も好ましくは約150メガ塩基以上であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明は、試料におけるHRDシグネチャを検出するための方法を提供する。したがって、本発明の別の態様は、試料におけるHRDシグネチャを検出する方法であって、(1)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLOH領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLOH領域」)の総数を決定することと、(2)試料におけるある特定のサイズ又は特性のTAI領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータTAI領域」)の総数を決定することと、(3)試料におけるある特定のサイズ又は特性のLST領域(例えば、本明細書で定義される「インジケータLST領域」)の総数を決定することと、(4)(1)、(2)、及び(3)で行われた決定を組み合わせること(例えば、組み合わせたCA領域スコアを計算又は導出すること)と、(5)組み合わせたCA領域スコアがHRDシグネチャを有する参照値よりも大きい試料を特徴付けることと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態において、参照値は、42である。したがって、いくつかの実施形態では、試料は、参照値が42である場合、HRDシグネチャを有すると特徴付けられる。いくつかの実施形態では、組み合わせたCA領域スコア(例えば、インジケータLOH領域、インジケータ、TAI領域、及び/又はインジケータLST領域の組み合わせた数)について上で考察された参照は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、18、19、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50以上、好ましくは5、好ましくは10、好ましくは15、好ましくは20、好ましくは25、好ましくは30、好ましくは35、好ましくは40~44、最も好ましくは、42以上である。
【0055】
いくつかの実施形態では、試料におけるインジケータCA領域の数(又は組み合わせた長さ、CA領域スコア、又は組み合わせたCA領域スコア)は、それが参照よりも少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍大きい場合、参照よりも「大きい」とみなされ、一方で、いくつかの実施形態では、それが参照よりも少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差大きい場合、「大きい」とみなされる。逆に、いくつかの実施形態では、試料におけるインジケータCA領域の数(又は組み合わせた長さ、CA領域スコア、又は組み合わせたCA領域スコア)は、それが参照よりも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍以下で大きい場合、参照よりも「大きくない」とみなされ、一方で、いくつかの実施形態では、それが参照よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差以下で大きい場合、「大きくない」とみなされる。
【0056】
いくつかの実施形態では、参照数(又は長さ、値、若しくはスコア)は、関連する参照集団から導出される。そのような参照集団は、(a)試験されている患者と同じがんを有する患者、(b)同じがんサブタイプを有する患者、(c)同様の遺伝子的又は他の臨床的若しくは分子的特徴を有するがんを有する患者、(d)特定の治療に応答した患者、(e)特定の治療に応答しなかった患者、(f)見かけ上健康である(例えば、いかなるがんも有しないか、又は少なくとも試験された患者のがんを有しない)患者などを含み得る。参照数(又は長さ、値、若しくはスコア)は、(a)全体として参照集団に見出される数(又は長さ、値、若しくはスコア)を表すか、(b)全体として又は特定の亜集団として参照集団に見出される数(又は長さ、値、若しくはスコア)の平均(average)(平均(mean)、中央値など)を表すか、(c)(i)それらのそれぞれの数(又は長さ、値、若しくはスコア)又は(ii)それらが有することが見出された臨床的特徴(例えば、応答の強さ、予後(がん特異的死亡までの時間を含む)など)によってランク付けされた、参照集団の三分位、四分位、五分位などに見出される数(又は長さ、値、若しくはスコア)(例えば平均(mean)又は中央値などの平均(average))を表すか、あるいは(d)特定の治療(例えば、プラチムン、PARP阻害剤など)に対する応答を予測するためのHRDを検出するための高い感度を有するように選択され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、参照又は指標は、試料からの試験値又はスコアが上回った場合、HRDが参照と同じであることを示し、試料からの試験値又はスコアが上回らなかった場合、HRD(又は機能的HDR)の不在を示す。いくつかの実施形態では、それらは異なる。
【0058】
別の態様では、本発明は、試料におけるBRCA1及びBRCA2遺伝子の状態を予測する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、試料におけるBRCA1及び/又はBRCA2欠損を評価(例えば、検出)するために使用されるという点で異なる。
【0059】
別の態様では、本発明は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、高いHRDスコア(例えば、HRDシグネチャ又は高い組み合わせたCA領域スコア)を含む、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、がん患者ががん治療レジメンに応答するであろう可能性を予測するために使用されるという点で異なる。
【0060】
いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。別の態様では、本発明は、がんを治療する方法を提供する。そのような方法は、上記の方法に類似しており、特定の治療レジメンが、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定に少なくとも部分的に基づいて施される(推奨される、処方されるなど)という点で異なる。
【0061】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の高いレベルのHRD(例えば、HRDシグネチャ)を有すると決定されたがん細胞を有する(又は有していた)と特定された患者におけるがんを治療するのに有用な医薬品の製造における、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬物の使用を特徴とする。
【0062】
別の態様では、本明細書は、HDR経路からの遺伝子内の変異の存在について試料を評価するための方法を特徴とする。そのような方法は、上記の方法に類似しており、CA領域、LOH領域、TAI領域、LST領域、又はこれらを組み込むスコアの決定が、HDR経路からの遺伝子内の変異の存在を検出する(又は検出しない)ために使用されるという点で異なる。
【0063】
別の態様では、本明細書は、HRDシグネチャの存在について患者のがん細胞を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると特定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、HDR欠損状態の存在について患者のがん細胞を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると特定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、HRDシグネチャを有することについて患者のがん細胞を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると特定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、HDR経路からの遺伝子内の遺伝子変異の存在について患者のがん細胞を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、遺伝子変異を有するがん細胞を有すると特定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0064】
別の態様では、本明細書は、患者ががん治療レジメンに応答する可能性が高いかどうかを決定する方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HDR欠損状態を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHDR欠損状態を有することを示す、決定することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HDR欠損状態を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞が高いHDRを有することを示す、決定することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を評価するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HDR経路からの遺伝子内に遺伝子変異を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞が遺伝子変異を有することを示す、決定することと、(b)患者を、遺伝子変異を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、がん治療レジメンに応答する可能性について患者を評価するための方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)HRDシグネチャの存在に少なくとも部分的に基づいて、患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、がん治療レジメンに応答する可能性について患者を評価するための方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるのインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)HRDシグネチャの存在に少なくとも部分的に基づいて、患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0065】
別の態様では、本明細書は、患者のがん細胞の診断分析を実施するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると特定又は分類することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者のがん細胞の診断分析を実施するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると特定又は分類することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者のがん細胞の診断分析を実施するための方法を特徴とする。本方法は、(a)がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると特定又は分類することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者のがん細胞の診断分析を実施するための方法を特徴とする。本方法は、(a)より長いがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、HDR経路からの遺伝子内の遺伝子変異を有するがん細胞を有すると特定又は分類することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、がん患者ががん治療レジメンに応答する可能性が高いかどうかを決定するために患者のがん細胞の診断分析を実施するための方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在を検出することと、(b)患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定又は分類することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0066】
別の態様では、本明細書は、患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると診断するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)患者を、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HDR欠損状態を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHDR欠損状態を有することを示す、決定することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HDR欠損状態を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHDR欠損状態を有することを示す、決定することと、(b)患者を、HDR欠損状態を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、患者を、HDR経路からの遺伝子内に遺伝子変異を有するがん細胞を有すると診断するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、遺伝子変異を有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞が遺伝子変異を有することを示す、決定することと、(b)患者を、遺伝子変異を有するがん細胞を有すると診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、がん治療レジメンの候補であると患者を診断するための方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)HRDシグネチャの存在に少なくとも部分的に基づいて、患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。別の態様では、本明細書は、がん治療レジメンの候補であると患者を診断するための方法であって、放射線を施すか、又はDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される薬物を投与することを含む、方法を特徴とする。本方法は、(a)患者が、高いHRDシグネチャを有するがん細胞を含むことを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示す、決定することと、(b)HRDシグネチャの存在に少なくとも部分的に基づいて、患者を、がん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0067】
別の態様では、本発明は、患者を評価するための方法を提供する。方法は、(a)患者が、参照数を超えるインジケータCA領域(又は、例えば、参照CA領域スコアを超えるCA領域スコア)を有するがん細胞を有する(又は有していた)かどうかを決定することと、(b)(1)患者が、参照数を超えるCA領域(若しくは、例えば、参照CA領域スコアを超えるCA領域スコア)を有するがん細胞を有する(若しくは有していた)と決定された場合、患者を、HRDを有するがん細胞を有すると診断するか、又は(b)(2)患者が、参照数を超えるCA領域を有するがん細胞を有しない(若しくは有したことがない)(例えば、患者が参照CA領域スコアを超えるCA領域スコアを有するがん細胞を有しない(若しくは有したことがない))と決定された場合、患者を、HRDを有するがん細胞を有しないと診断することと、を含むか、又はそれらから本質的になる。
【0068】
別の態様では、本発明は、がん患者から得られた試料における少なくともある染色体対(又はそれに由来するDNA)におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、及び(a)試料におけるHRD、高いHRD、若しくはHRDの可能性(各々、例えば、HRDシグネチャ)、(b)試料におけるBRCA1若しくはBRCA2遺伝子の欠損(若しくは欠損の可能性)、又は(c)がん患者がDNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答するであろう可能性の増加を検出するために、有用な診断キットの製造における、ヒトゲノムDNAの複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる複数のオリゴヌクレオチドの使用を特徴とする。
【0069】
別の態様では、本発明は、試料におけるHRD(例えば、HRDシグネチャ)を検出するためのシステムを特徴とする。本システムは、(a)試料における少なくとも1対のヒト染色体のゲノムDNA(又はそれに由来するDNA)についての複数のシグナルを産生するように構成された試料分析器と、(b)複数のシグナルに基づいて、少なくとも1対のヒト染色体におけるCA領域の数又は組み合わせた長さを計算するようにプログラムされたコンピュータサブシステムと、を備えるか、又はそれらから本質的になる。コンピュータサブシステムは、CA領域の数又は組み合わせた長さを参照数と比較して、(a)試料におけるHRD、高いHRD、又はHRDの可能性(各々、例えば、HRDシグネチャ)、(b)試料におけるBRCA1又はBRCA2遺伝子の欠損(若しくは欠損の可能性)、又は(c)がん患者が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答するであろう可能性の増加を検出するようにプログラムされ得る。本システムは、(a)、(b)、又は(c)を表示するように構成された出力モジュールを備え得る。本システムは、がん治療レジメンの使用のための推奨を表示するように構成された出力モジュールを備え得る。
【0070】
別の態様では、本発明は、コンピュータ上で実行するとき、ヒトX及びY性染色体以外のヒト染色体のうちの1つ以上に沿った任意のCA領域(CA領域は、任意選択でインジケータCA領域である)の存在又は不在を検出するため、並びに1つ以上の染色体対におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、の命令を提供する、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品を提供する。本コンピュータプログラム製品は、他の命令を含み得る。
【0071】
別の態様では、本発明は、診断キットを提供する。キットは、ヒトゲノムDNA(又はそれに由来するDNA)の複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる少なくとも500個のオリゴヌクレオチドと、本明細書に提供されるコンピュータプログラム製品と、を含むか、又はそれらから本質的になる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行するとき、ヒトX及びY性染色体以外のヒト染色体のうちの1つ以上に沿った任意のCA領域(CA領域は、任意選択でインジケータCA領域である)の存在又は不在を検出するため、並びに1つ以上の染色体対におけるCA領域の総数又は組み合わせた長さを決定するため、の命令を提供する、コンピュータ可読媒体に具現化され得る。本コンピュータプログラム製品は、他の命令を含み得る。
【0072】
先の段落に記載の本発明の態様のうちのいずれか1つ以上のいくつかの実施形態では、以下のうちのいずれか1つ以上が適切に適用され得る。CA領域は、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定され得る。がん細胞は、卵巣がん細胞、乳がん細胞、肺がん細胞、又は食道がん細胞であり得る。参照は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、又は20個以上であり得る。少なくとも1対のヒト染色体は、ヒト染色体17を除外し得る。DNA損傷剤は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであり得るか、アントラサイクリンは、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであり得るか、トポイソメラーゼI阻害剤は、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであり得るか、又はPARP阻害剤は、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブであり得る。患者は、治療未経験の患者であり得る。
【0073】
本明細書に記載のように、試料(例えば、がん細胞試料又は1つ以上のがん細胞由来のDNAを含有する試料)は、評価される細胞のゲノムが、(a)参照を超えるLOH領域スコア、TAI領域スコア、若しくはLST領域スコアのうちのいずれか、又は(b)参照を超える組み合わせたCA領域スコアを含有する場合、「HRDシグネチャ」(又は代替的に「HDR欠損シグネチャ」と称される)を有すると特定され得る。逆に、試料(例えば、がん細胞試料又は1つ以上のがん細胞由来のDNAを含有する試料)は、評価される細胞のゲノムが、(a)各々参照を超えないLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコア、又は(b)参照を超えない組み合わせたCA領域スコアを含有する場合、「HRDシグネチャ」(又は代替的に「HDR欠損シグネチャ」と称される)を欠いていると特定され得る。
【0074】
HRDシグネチャを有すると特定された細胞(例えば、がん細胞)は、HDR欠損を有する可能性の増加を有する、及び/又はHDR経路における1つ以上の遺伝子において欠損状態を有する可能性の増加を有すると分類され得る。例えば、HRDシグネチャを有すると特定されたがん細胞は、HDR欠損状態を有する可能性の増加を有すると分類され得る。いくつかの場合では、HRDシグネチャを有すると特定されたがん細胞は、HDR経路における1つ以上の遺伝子についての欠損状態を有する可能性の増加を有すると分類され得る。本明細書で使用される場合、遺伝子の欠損状態は、遺伝子又はその産物の配列、構造、発現、及び/又は活性が正常と比較して欠損していることを意味する。例としては、mRNA又はタンパク質の発現が低い、又は無い、有害な変異、過剰メチル化、活性の減衰(例えば、酵素活性、別の生体分子に結合する能力)などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、経路(例えば、HDR経路)の欠損状態は、その経路の少なくとも1つの遺伝子(例えば、BRCA1)が欠損していることを意味する。非常に有害な変異の例としては、フレームシフト変異、ストップコドン変異、及びRNAスプライシングの変化につながる変異が挙げられる。HDR経路における遺伝子の欠損状態は、がん細胞における相同性指向性修復における欠損又は低減した活性をもたらし得る。HDR経路における遺伝子の例は、表1に記載の遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【表1】
【0075】
本明細書に記載のように、CA遺伝子座(並びにCA領域のサイズ及び数)を特定することは、第一に、様々なゲノム遺伝子座(例えば、SNP遺伝子座、大規模な配列決定における個々の塩基)で試料の遺伝子型を決定することと、第二に、その遺伝子座がLOH、TAI、又はLSTのうちのいずれかを示すかを決定することと、を含み得る。細胞のゲノム内の目的の遺伝子座で遺伝子型を決定するために、任意の適切な技法を使用し得る。例えば、一塩基多型(SNP)アレイ(例えば、ヒトゲノム全体のSNPアレイ)、目的の遺伝子座の標的化された配列決定(例えば、SNP遺伝子座及びそれらの周囲配列の配列決定)、更には大規模な配列決定(例えば、全エクソーム、トランスクリプトーム、又はゲノムの配列決定)を使用して、ホモ接合性又はヘテロ接合性である遺伝子座を特定し得る。典型的には、染色体の長さにわたる遺伝子座のホモ接合性又はヘテロ接合性の性質の分析を実施して、CA領域の長さを決定し得る。例えば、染色体に沿って離間している(例えば、約25kb~約100kb離間している)SNP位置のストレッチを、SNPアレイの結果を使用して評価して、染色体に沿ったホモ接合性の領域(例えば、LOH)の存在だけでなく、その領域の長さも決定し得る。SNPアレイからの結果を使用して、染色体に沿って対立遺伝子量をプロットするグラフを生成し得る。SNPiの対立遺伝子投与量d
iは、2つの対立遺伝子(A
i及びB
i)の調整されたシグナル強度から計算され得る:d
i=A
i/(A
i+B
i)。そのようなグラフの例は、
図1及び2に示されており、新鮮な凍結試料とFFPE試料との間、及びSNPマイクロアレイとSNP配列決定分析との間の違いを示している。本発明で有用な核酸アレイの多数の変形が、当該技術分野で既知である。これらには、以下の様々な実施例で使用されたアレイが含まれる(例えば、実施例3のAffymetrix 500K GeneChipアレイ、実施例4のAffymetrix OncoScan(商標)FFPE Express 2.0サービス(旧MIP CNサービス))。
【0076】
試料の遺伝子型が複数の遺伝子座(例えば、SNP)について決定されると、一般的な技術を使用して、遺伝子座及びLOH、TAI及びLSTの領域を特定し得る(国際出願第PCT/US2011/040953号(WO/2011/160063として公開されている)、国際出願第PCT/US2011/048427号(WO/2012/027224として公開されている)、Popova et al.,Ploidy and large-scale genomic instability consistently identify basal-like breast carcinomas with BRCA1/2 inactivation,CANCER RES.(2012)72:5454-5462に記載されるものを含む)。いくつかの実施形態では、染色体の不均衡又は大規模な遷移のいずれかを決定することは、これらが体細胞異常であるか生殖細胞系列異常であるかを決定することを含む。これを決定する1つの方式は、体細胞遺伝子型を生殖細胞系列と比較することである。例えば、複数の遺伝子座(例えば、SNP)の遺伝子型は、生殖細胞系列(例えば、血液)試料及び体細胞(例えば、腫瘍)試料の両方で決定され得る。各試料の遺伝子型を(典型的には計算上で)比較して、生殖系列細胞のゲノムがヘテロ接合であり、体細胞のゲノムがホモ接合である場所を決定し得る。そのような遺伝子座は、LOH遺伝子座であり、そのような遺伝子座の領域は、LOH領域である。
【0077】
また計算技術を使用して、異常が生殖細胞系列であるか体細胞であるかを決定し得る。そのような技術は、生殖細胞系列試料が分析及び比較に利用可能ではない場合に特に有用である。例えば、他に記載されているようなアルゴリズムを使用して、SNPアレイからの情報を使用してLOH領域を検出し得る(Nannya et al.,Cancer Res.(2005)65:6071-6079(2005))。典型的には、これらのアルゴリズムは、良性組織による腫瘍試料の汚染を明示的に考慮に入れない。Abkevich et al.の国際出願第PCT/US2011/026098号、Goransson et al.,PLoS One(2009)4(6):e6057を参照されたい。この汚染は、多くの場合、LOH領域の検出を困難にするのに十分な高い。汚染にもかかわらず、LOH、TAI、及びLSTを特定するための本発明による改善された分析方法は、以下に記載のようにコンピュータソフトウェア製品に具現化されたものを含む。
【0078】
以下は、一例である。2つの対立遺伝子、A及びBのシグナルの観察された比率が2対1である場合、2つの可能性がある。第1の可能性は、がん細胞が、正常細胞による50%の汚染を伴う試料において対立遺伝子Bの欠失を有するLOHを有することである。第2の可能性は、LOHは存在しないが、対立遺伝子Aが正常細胞との汚染のない試料において複製されることである。アルゴリズムは、遺伝子型(例えば、SNP遺伝子型)データに基づいてLOH領域を再構築するために、本明細書に記載のコンピュータプログラムとして実装され得る。アルゴリズムの1つのポイントは、まず、各遺伝子座(例えば、SNP)で対立遺伝子特異的コピー数(ASCN)を再構築することである。ASCNは、父系対立遺伝子及び母系対立遺伝子の両方のコピー数である。次いで、LOH領域は、ASCN(父系又は母系)のうちの1つがゼロであるSNPのストレッチとして決定される。アルゴリズムは、尤度関数を最大化することに基づくことができ、各遺伝子座(例えば、SNP)で(ASCNではなく)総コピー数を再構築するように設計された前述のアルゴリズムに概念的に類似し得る。Abkevich et al.の国際出願第PCT/US2011/026098号を参照されたい。尤度関数は、全ての遺伝子座のASCN、良性組織による汚染レベル、全ゲノムにわたって平均化された総コピー数、及び試料特有のノイズレベルにわたって最大化され得る。アルゴリズムの入力データは、(1)各遺伝子座の対立遺伝子の両方についての試料特異的な正規化されたシグナル強度、及び(2)既知のASCNプロファイルを有する多数の試料の分析に基づいて定義されたパラメータのアッセイ特異的(異なるSNPアレイ及び配列ベースのアプローチに特異的)なセットを含むか、又はそれらからなることができる。
【0079】
いくつかの場合では、核酸配列決定技術を遺伝子座を遺伝子型決定するのに使用し得る。例えば、細胞試料(例えば、がん細胞試料)由来のゲノムDNAを抽出し、断片化し得る。QIAamp(商標)DNA Mini Kit(Qiagen(商標))、MagNA(商標)Pure DNA Isolation Kit(Roche Applied Science(商標))、及びGenElute(商標)Mammalian Genomic DNA Miniprep Kit(Sigma-Aldrich(商標))などの市販のキットを含むが、これらに限定されない、任意の適切な方法を使用して、ゲノム核酸を抽出及び断片化し得る。抽出され、断片化されると、遺伝子座で試料の遺伝子型を決定するために、標的化された配列決定又は標的化されていない配列決定のいずれかが行われ得る。例えば、全ゲノム、全トランスクリプトーム、又は全エクソームの配列決定を行い、数百万又は更に数十億の塩基対の遺伝子型を決定し得る(すなわち、塩基対は、評価される「遺伝子座」であり得る)。
【0080】
いくつかの場合では、既知の多型遺伝子座(例えば、SNP及び周囲の配列)の標的化された配列決定は、マイクロアレイ分析の代替として行われ得る。例えば、ゲノムDNAを、この目的のために設計されたキット(例えば、Agilent SureSelect(商標)、Illumina TruSeq Capture(商標)、及びNimblegen SeqCap EZ Choice(商標))を使用して、分析される遺伝子座(例えば、SNP位置)を含有するそれらの断片に対して富化し得る。例えば、分析される遺伝子座を含有するゲノムDNAを、ビオチン化された捕捉RNA断片にハイブリダイゼーションして、ビオチン化されたRNA/ゲノムDNA複合体を形成し得る。代替的には、DNA捕捉プローブを利用して、ビオチン化されたDNA/ゲノムDNAハイブリッドの形成をもたらし得る。ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ及び磁力を使用して、ビオチン化されたRNA/ゲノムDNA複合体内に存在しないそれらのゲノムDNA断片からビオチン化されたRNA/ゲノムDNA複合体を分離し得る。得られたビオチン化されたRNA/ゲノムDNA複合体を処理して、捕捉されたRNAを磁気ビーズから除去することができ、それによって、分析される遺伝子座を含有する無傷のゲノムDNA断片を残すことができる。分析される遺伝子座を含有するこれらの無傷のゲノムDNA断片は、例えば、PCR技術を使用して増幅され得る。増幅されたゲノムDNA断片は、高スループット配列決定技術又はIllumina HiSeq(商標)、Illumina MiSeq(商標)、Life Technologies SoLID(商標)若しくはIon Torrent(商標)、又はRoche 454(商標)などの次世代配列決定技術を使用して配列決定され得る。
【0081】
ゲノムDNA断片からの配列決定結果を使用して、本明細書に記載のマイクロアレイ分析に類似した、CAを示すか、又は示さない遺伝子座を特定し得る。いくつかの場合では、染色体の長さにわたる遺伝子座の遺伝子型の分析を実施して、CA領域の長さを決定し得る。例えば、染色体に沿って離間している(例えば、約25kb~約100kb離間している)SNP位置のストレッチを、配列決定及び使用された配列決定結果によって評価して、CA領域の存在だけでなく、そのCA領域の長さも決定し得る。得られた配列決定結果を使用して、染色体に沿って対立遺伝子量をプロットするグラフを生成し得る。SNPiの対立遺伝子投与量d
iは、2つの対立遺伝子(A
i及びB
i)についての捕捉されたプローブの調整された数から計算され得る:d
i=A
i/(A
i+B
i)。そのようなグラフの例は、
図1及び2に示される。異常が生殖細胞系列であるか体細胞であるかの決定は、本明細書に記載のように実施され得る。
【0082】
いくつかの場合では、選択プロセスを使用して、遺伝子座を遺伝子型決定するように構成されたアッセイ(例えば、SNPアレイに基づくアッセイ及び配列決定に基づくアッセイ)を使用して評価される遺伝子座(例えば、SNP遺伝子座)を選択し得る。例えば、任意のヒトSNP位置は、SNPアレイに基づくアッセイ又は遺伝子座を遺伝子型決定するように構成された配列決定に基づくアッセイに含めるために選択され得る。いくつかの場合では、ヒトゲノム内に存在する0.5、1.0、1.5、2.0、25百万以上のSNP位置を評価して、(a)Y染色体上に存在せず、(b)ミトコンドリアSNPではなく、(c)コーカサス人において少なくとも約5パーセントのマイナー対立遺伝子頻度を有し、(d)コーカサス人以外の3つの人種(例えば、中国人、日本人、及びヨルバ人)において少なくとも約1パーセントのマイナー対立遺伝子頻度を有し、かつ/又は(e)4つの人種のうちのいずれにおいてもハーディーワインバーグ平衡からの有意な偏差を有しない、これらのSNPを特定し得る。いくつかの場合では、基準(a)~(e)を満たす100,000、150,000、又は200,000個超のヒトSNPが選択され得る。基準(a)~(e)を満たすヒトSNPのうち、SNPの群(例えば、上位110,000個のSNP)は、SNPがコーカサス人において高い程度の対立遺伝子頻度を有し、ヒトゲノムをいくらか均等に間隔を置いた方法でカバーし(例えば、約25kb~約500kbごとに少なくとも1つのSNP)、かつ4つの人種のうちのいずれにおいても、別の選択されたSNPと連鎖不均衡にないように選択され得る。いくつかの場合では、約40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000個以上のSNPを、これらの基準の各々を満たすとして選択され得、ヒトゲノムにわたってCA領域を特定するように構成されたアッセイに含まれ得る。例えば、約70,000~約90,000(例えば、約80,000)のSNPが、SNPアレイに基づくアッセイでの分析のために選択され得、約45,000~約55,000(例えば、約54,000)のSNPが、配列決定に基づくアッセイでの分析のために選択され得る。
【0083】
本明細書に記載のように、任意の適切な種類の試料が評価され得る。例えば、がん細胞を含有する試料を評価して、がん細胞のゲノムが、HRDシグネチャを含むか、HRDシグネチャを欠くか、インジケータCA領域の数の増加を有するか、又はCA領域スコアの増加を有するかを決定し得る。本明細書に記載のように評価され得るがん細胞を含有する試料の例としては、腫瘍生検試料(例えば、乳房腫瘍生検試料)、がん細胞を含有するホルマリン固定パラフィン包埋組織試料、コア針生検、細針吸引物、及び腫瘍から流出したがん細胞(例えば、血液、尿、又は他の体液)を含有する試料が挙げられるが、これらに限定されない。ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料の場合、試料は、上記のもの(例えば、QuickExtract(商標)FFPE DNA Extraction Kit(Epicentre(商標))及びQIAamp(商標)DNA FFPE Tissue Kit(Qiagen(商標)))を含むがこれらに限定されないFFPE組織用に最適化されたゲノムDNA抽出キットを使用するDNA抽出によって調製され得る。
【0084】
いくつかの場合では、評価されるがん細胞試料内の非がん細胞の数を最小にするために、組織試料に対してレーザー解剖技術が実施され得る。いくつかの場合では、抗体に基づく精製方法を使用して、がん細胞を富化し、及び/又は非がん細胞を枯渇させ得る。がん細胞富化に使用され得る抗体の例には、抗EpCAM、抗TROP-2、抗c-Met、抗葉酸結合タンパク質、抗N-カドヘリン、抗CD318、抗アンチメセンサイマル(anti-antimesencymal)幹細胞抗原、抗Her2、抗MUC1、抗EGFR、抗サイトケラチン(例えば、サイトケラチン7、サイトケラチン20など)、抗カベオリン-1、抗PSA、抗CA125、及び抗界面活性剤タンパク質抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
任意のタイプのがん細胞が、本明細書に記載の方法及び材料を使用して評価され得る。例えば、乳がん細胞、卵巣がん細胞、肝がん細胞、食道がん細胞、肺がん細胞、頭頸部がん細胞、前立腺がん細胞、結腸、直腸、又は結腸直腸がん細胞、及び膵臓がん細胞を評価して、がん細胞のゲノムが、HRDシグネチャを含有するか、HRDシグネチャを欠くか、インジケータCA領域の数の増加を有するか、又はCA領域スコアの増加を有するかを決定し得る。いくつかの実施形態では、がん細胞は、卵巣がん、乳がん、肺がん、又は食道がんの原発性又は転移性がん細胞である。
【0086】
HRDシグネチャの存在又は不在についてがん細胞のゲノムを評価する場合、1対以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23対)の染色体が評価され得る。いくつかの場合では、がん細胞のゲノムは、1対以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23対)の染色体を使用して、HRDシグネチャの存在又は不在について評価される。
【0087】
いくつかの場合では、この分析から特定の染色体を除外することが有益である場合がある。例えば、女性の場合、評価される対は、X性染色体の対を含むことができるが、男性の場合、任意の常染色体の対(すなわち、X及びY性染色体の対以外の任意の対)が評価され得る。別の例として、いくつかの場合では、染色体番号17の対を分析から除外する場合がある。ある特定の染色体は、ある特定のがんにおいて異常に高いレベルのCAを有することが決定されており、したがって、これらのがんを有する患者由来の本明細書に記載の試料を分析する場合、そのような染色体を除外することが有益であり得る。いくつかの場合では、試料は、卵巣がんを有する患者由来であり、除外される染色体は、染色体17である。
【0088】
したがって、所定の数の染色体を分析して、インジケータCA領域の数(又はCA領域スコア又は組み合わせたCA領域スコア)、好ましくは、9メガ塩基超、10メガ塩基、12メガ塩基、14メガ塩基、より好ましくは15メガ塩基超の長さのCA領域の数を決定し得る。代替的に、又は加えて、全ての特定されたインジケータCA領域のサイズを合計して、インジケータCA領域の全長を取得し得る。
【0089】
本明細書に記載のように、HRDシグネチャ状態を有すると特定されたがん細胞(又はそれに由来する試料)を有する患者は、そのようなHRDシグネチャに少なくとも部分的に基づいて、特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いとして分類され得る。例えば、HRDシグネチャを有するがん細胞を有する患者は、そのようなHRDシグネチャに少なくとも部分的に基づいて、DNA損傷剤、合成致死剤(例えば、PARP阻害剤)、放射線、又はそれらの組み合わせの使用を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いとして分類され得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。DNA損傷剤の例としては、白金系化学療法薬(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、及びピコプラチン)、アントラサイクリン(例えば、エピルビシン及びドキソルビシン)、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンポテシン、トポテカン、及びイリノテカン)、マイトマイシンCなどのDNA架橋剤、及びトリアゼン化合物(例えば、ダカルバジン及びテモゾロミド)が挙げられるが、これらに限定されない。合成致死治療アプローチは、典型的には、特定の腫瘍細胞の生存に特に重要である生物学的経路の少なくとも1つの重要な構成要素を阻害する薬剤を投与することを含む。例えば、腫瘍細胞が(例えば、本発明に従って決定される)欠損相同修復経路を有する場合、ポリADPリボースポリメラーゼの阻害剤(又は白金薬、二本鎖切断修復阻害剤など)は、生存に重要な2つの経路が遮断される(一方は生物学的に、例えば、BRCA1変異によって、他方は合成的に、例えば、経路薬の投与によって)ため、そのような腫瘍に対して特に強力であり得る。がん治療に対する合成致死アプローチは、例えば、O’Brien et al.,Converting cancer mutations into therapeutic opportunities,EMBO MOL.MED.(2009)1:297-299において記載されている。合成致死剤の例には、相同修復欠損腫瘍細胞におけるPARP阻害剤又は二本鎖切断修復阻害剤、PTEN欠損腫瘍細胞におけるPARP阻害剤、MSH2欠損腫瘍細胞におけるメトトレキサートなどが挙げられるが、これらに限定されない。PARP阻害剤の例には、オラパリブ、イニパリブ、及びベリパリブが挙げられるが、これらに限定されない。二本鎖切断修復阻害剤の例には、KU55933(ATM阻害剤)及びNU7441(DNA-PKcs阻害剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いという分類の基礎となるHRDシグネチャの存在に加えて使用され得る情報の例としては、以前の治療結果、生殖細胞系列又は体細胞DNA変異、遺伝子又はタンパク質発現プロファイリング(例えば、ER/PR/HER2状態、PSAレベル)、腫瘍組織学(例えば、腺がん、扁平上皮がん、漿液性乳頭状がん、粘液性がん、浸潤性乳管がん、上皮内乳管がん(非浸潤性)など)、疾患ステージ、腫瘍又はがんグレード(例えば、良好、中等度、又は低分化(例えば、グリーソン、改変ブルームリチャードソン)など)、以前の治療経過の数などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
特定のがん治療レジメン(例えば、DNA損傷剤、PARP阻害剤、放射線、又はそれらの組み合わせの使用を含むがん治療レジメン)に応答する可能性が高いと分類されると、がん患者は、そのようながん治療レジメンで治療され得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。したがって、本発明は、患者を治療する方法であって、本明細書に記載のHRDシグネチャを検出することと、DNA損傷剤、PARP阻害剤、放射線、又はそれらの組み合わせの使用を含む治療レジメンを施すこと(又は推奨若しくは処方する)と、を含む、方法を提供する。問題のがんを治療するための任意の適切な方法は、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると特定されたがん患者を治療するために使用され得る。例えば、白金系化学療法薬又は白金系化学療法薬の組み合わせが、他の場所に記載のがんを治療するために使用され得る(例えば、米国特許第3,892,790号、同第3,904,663号、同第7,759,510号、同第7,759,488号、及び同第7,754,684号を参照されたい。いくつかの場合では、アントラサイクリン又はアントラサイクリンの組み合わせが、他の場所に記載のがんを治療するために使用され得る(例えば、米国特許第3,590,028号、同第4,138,480号、同第4,950,738号、同第6,087,340号、同第7,868,040号、及び同第7,485,707号を参照されたい)。いくつかの場合では、トポイソメラーゼI阻害剤又はトポイソメラーゼI阻害剤の組み合わせが、他の場所に記載のがんを治療するために使用され得る(例えば、米国特許第5,633,016号及び同第6,403,563号を参照されたい)。いくつかの場合では、PARP阻害剤又はPARP阻害剤の組み合わせが、他の場所に記載のがんを治療するために使用され得る(例えば、米国特許第5,177,075号、同第7,915,280号、及び同第7,351,701号を参照されたい)。いくつかの場合では、放射線が、他の場所に記載のがんを治療するために使用され得る(例えば、米国特許第5,295,944号を参照されたい)。いくつかの場合では、放射線治療の有無にかかわらず、異なる薬剤を含む組み合わせ(例えば、白金系化学療法薬、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及び/又はPARP阻害剤のうちのいずれかを含む組み合わせ)が、がんを治療するために使用され得る。いくつかの場合では、併用処置は、上記の薬剤又は処置(例えば、DNA損傷剤、PARP阻害剤、放射線、又はそれらの併用)のうちのいずれかを、別の薬剤又は処置(例えば、タキサン薬剤(例えば、ドキセタキセル(doxetaxel)、パクリタキセル、アブラキサン)、成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツムマブ)、及び/又は抗代謝物質(例えば、5-フロウロウラシル(5-flourouracil)、メトトレキサート)と併用してもよい。
【0091】
いくつかの場合では、HRDシグネチャを欠くがん細胞を有すると特定された患者は、HRDシグネチャを欠く試料に少なくとも部分的に基づいて、DNA損傷剤、PARP阻害剤、放射線、又はそれらの組み合わせを含む治療レジメンに応答する可能性が低いとして分類され得る。次いで、そのような患者は、タキサン剤(例えば、ドキセタキセル、パクリタキセル、アブラキサン)、成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツマブ)、及び/又は抗代謝剤(例えば、5-フロウロウラシル、メトトレキサート)などのHDRに関連しない1つ以上のがん治療薬剤の使用を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと分類され得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。特定のがん治療レジメン(例えば、HDRに関連しないがん治療剤の使用を含むがん治療レジメン)に応答する可能性が高いと分類されると、がん患者は、そのようながん治療レジメンで治療され得る。したがって、本発明は、患者を治療する方法であって、本明細書に記載のHRDシグネチャの不在を検出することと、DNA損傷剤、PARP阻害剤、放射線、又はそれらの組み合わせの使用を含まない治療レジメンを施すこと(又は推奨若しくは処方する)と、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、タキサン剤(例えば、ドキセタキセル、パクリタキセル、アブラキサン)、成長因子若しくは成長因子受容体阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、スニチニブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、パニツムマブ)、及び/又は代謝拮抗剤(例えば、5-フロウロウラシル、メトトレキサート)のうちの1つ以上を含む。治療されるがんのための任意の適切な方法は、HRDシグネチャを欠くがん細胞を有すると特定されたがん患者を治療するために使用され得る。特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いという分類の基礎となるHRDシグネチャの不在に加えて使用され得る情報の例としては、以前の治療結果、生殖細胞系列又は体細胞DNA変異、遺伝子又はタンパク質発現プロファイリング(例えば、ER/PR/HER2状態、PSAレベル)、腫瘍組織学(例えば、腺がん、扁平上皮がん、漿液性乳頭状がん、粘液性がん、浸潤性乳管がん、上皮内乳管がん(非浸潤性)など)、疾患ステージ、腫瘍又はがんグレード(例えば、良好、中等度、又は低分化(例えば、グリーソン、改変ブルームリチャードソン)など)、以前の治療経過の数などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
特定の期間(例えば、1~6ヶ月)、治療すると、患者を評価して、治療レジメンが効果を有するか否かを決定し得る。有益な効果が検出された場合、患者は、同じ又は同様のがん治療レジメンを継続し得る。有益な効果が最小限であるか、又は全く検出されない場合、したがって、がん治療レジメンの調整が行われ得る。例えば、用量、投与頻度、又は治療期間を増加させ得る。いくつかの場合では、追加の抗がん剤を治療レジメンに追加することができるか、又は特定の抗がん剤を1つ以上の異なる抗がん剤で置き換えることができる。治療されている患者は、必要に応じて監視され続けることができ、必要に応じてがん治療レジメンに変更を加えることができる。
【0093】
可能性の高い治療応答を予測すること、又は望ましい治療レジメンを選択することに加えて、HRDシグネチャを使用して、患者の予後を決定し得る。したがって、一態様では、本明細書は、患者由来の試料におけるHRDシグネチャの存在又は不在を検出することの少なくとも一部に基づいて、患者の予後を決定するための方法を特徴とする。本方法は、(a)患者由来の試料が、本明細書に記載のHRDシグネチャ(例えば、参照よりも多いインジケータCA領域、又は高いCA領域スコア若しくは組み合わせたCA領域スコアの存在)を有する(本明細書では高いHRDを有すると称される場合がある)がん細胞を含むかどうか(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)を決定することと、(b)(1)HRDシグネチャの存在若しくは高いHRDを有することに少なくとも部分的に基づいて、患者が比較的良好な予後を有すると決定するか、又は(b)(2)HRDシグネチャの不在に少なくとも部分的に基づいて、患者が比較的不良な予後を有すると決定することと、を含むか、又は本質的に含む。予後には、患者の生存の可能性(例えば、無増悪生存、全生存)が含まれ得、比較的良好な予後には、いくつかの参照集団(例えば、この患者のがんのタイプ/サブタイプを有する平均的な患者、HRDシグネチャを有しない平均的な患者など)と比較して、生存の可能性の増加が含まれる。逆に、生存の観点から比較的不良な予後には、いくつかの参照集団(例えば、この患者のがんタイプ/サブタイプを有する平均的な患者、HRDシグネチャを有する平均的な患者など)と比較して、生存の可能性の減少が含まれる。
【0094】
本明細書に記載のように、本明細書は、HRDシグネチャを有する細胞(例えば、がん細胞)について患者を評価するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、1人以上の臨床医又は医療専門家は、患者由来の試料が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むかどうか(又は試料が、そのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)を決定し得る。いくつかの場合では、1人以上の臨床医又は医療専門家は、患者由来のがん細胞試料を取得し、がん細胞試料のがん細胞のDNAを評価して、本明細書に記載のHRDシグネチャの存在又は不在を決定することによって、患者がHRDシグネチャを有するがん細胞を含有するかどうかを決定し得る。
【0095】
いくつかの場合では、1人以上の臨床医又は医療専門家は、患者からがん細胞試料を取得し、その試料を、本明細書に記載のHRDシグネチャの存在又は不在についての表示を提供するために、がん細胞試料のがん細胞のDNAを評価する能力を有する試験研究所に提供し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。そのような場合では、1人以上の臨床医又は医療専門家は、本明細書に記載のHRDシグネチャの存在又は不在についての情報を試験研究所から直接的又は間接的に受信することによって、患者由来の試料が、HRDシグネチャを有するがん細胞を含むかどうか(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)を決定し得る。例えば、試験研究所は、本明細書に記載のHRDシグネチャの存在又は不在について、がん細胞のDNAを評価した後、臨床医又は医療専門家に、評価される特定の患者(又は患者試料)のHRDシグネチャの存在又は不在についての表示を提供する書面、電子的、若しくは口頭の報告、又は医療記録を提供するか、又はそれらへのアクセスを提供し得る。そのような書面、電子的、若しくは口頭の報告、又は医療記録により、1人以上の臨床医又は医療専門家が、評価される特定の患者がHRDシグネチャを有するがん細胞を含有するかどうかを決定することが可能になり得る。
【0096】
臨床医若しくは医療専門家、又は臨床医若しくは医療専門家のグループが、評価される特定の患者がHRDシグネチャを有するがん細胞を含有すると決定すると、臨床医又は医療専門家(又は群)は、その患者を、HRDシグネチャの存在を含有するゲノムを有するがん細胞を有すると分類し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。いくつかの場合では、臨床医若しくは医療専門家又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、ゲノムがHRDシグネチャの存在を含むがん細胞を有すると決定された患者を、HDRが欠損した(又は欠損する可能性が高い)がん細胞を有すると診断し得る。そのような診断は、患者由来の試料がHRDシグネチャを有するがん細胞を含む(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)という決定にのみ基づき得るか、又は患者由来の試料がHRDシグネチャを有するがん細胞を含む(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)という決定に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると決定された患者は、HRDシグネチャの存在と、1つ以上の腫瘍抑制遺伝子(例えば、BRCA1/2、RAD51C)における欠損状態との組み合わせ、がんの家族の病歴、又は行動上のリスク因子(例えば、喫煙)の存在に基づいて、HDRが欠損する可能性が高いと診断され得る。
【0097】
いくつかの場合では、臨床医若しくは医療専門家、又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、ゲノムがHRDシグネチャの存在を含むがん細胞を有すると決定された患者を、HDR経路における1つ以上の遺伝子における遺伝子変異を含有する可能性が高いがん細胞を有すると診断し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。そのような診断は、評価される特定の患者が、HRDシグネチャを含有するゲノムを有するがん細胞を含有するという決定にのみ基づき得るか、又は評価される特定の患者が、HRDシグネチャを含有するゲノムを有するがん細胞を含有するという決定に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、ゲノムがHRDシグネチャの存在を含有するがん細胞を有すると決定された患者は、HRDシグネチャの存在及びがんの家族の病歴の組み合わせ、又は行動上のリスク因子(例えば、喫煙)の存在に基づいて、HDR経路における1つ以上の遺伝子における遺伝子変異を含有する可能性が高いがん細胞を有すると診断され得る。
【0098】
いくつかの場合では、臨床医若しくは医療専門家又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、ゲノムがHRDシグネチャの存在を含むがん細胞を有すると決定された患者を、特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いがん細胞を有すると診断し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。そのような診断は、患者由来の試料がHRDシグネチャを有するがん細胞を含む(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)という決定にのみ基づき得るか、又は患者由来の試料がHRDシグネチャを有するがん細胞を含む(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)という決定に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると決定された患者は、HRDシグネチャの存在と、1つ以上の腫瘍抑制遺伝子(例えば、BRCA1/2、RAD51)における欠損状態との組み合わせ、がんの家族の病歴、又は行動上のリスク因子(例えば、喫煙)の存在に基づいて、特定のがん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断され得る。本明細書に記載のように、HRDシグネチャを有するがん細胞を有すると決定された患者は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、若しくはピコプラチンなどの白金系化学療法薬、エピルビシン若しくはドキソルビシンなどのアントラサイクリン、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤、PARP阻害剤、放射線、それらの組み合わせ、又は前述のうちのいずれかと他の抗がん剤との組み合わせの使用を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと診断され得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。
【0099】
臨床医若しくは医療専門家、又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、患者由来の試料がHRDシグネチャを欠くゲノムを有するがん細胞を含むと(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)決定すると、臨床医又は医療専門家(又は群)は、その患者を、ゲノムがHRDシグネチャを欠くがん細胞を有すると分類し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。いくつかの場合では、臨床医若しくは医療専門家又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、HRDシグネチャを欠くゲノムを含有するがん細胞を有すると決定された患者を、機能的HDRを有する可能性が高いがん細胞を有すると診断し得る。いくつかの場合では、臨床医若しくは医療専門家又は臨床医若しくは医療専門家のグループは、HRDシグネチャを欠くゲノムを含有するがん細胞を有すると決定された患者を、HDR経路における1つ以上の遺伝子における遺伝子変異を含有しない可能性が高いがん細胞を有すると診断し得る。いくつかの場合では、臨床医又は医療専門家あるいは臨床医又は医療専門家のグループは、HRDシグネチャを欠くゲノムを含有するか、又は染色体全体をカバーするCA領域の数の増加を含有するがん細胞を有すると決定された患者を、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンなどの白金系化学療法薬、エピルビンシン若しくはドキソルビシンなどのアントラサイクリン、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤、PARP阻害剤、又は放射線に応答する可能性が低く、かつ/あるいは1つ以上のタキサン剤、成長因子又は成長因子受容体阻害剤、抗代謝産物剤などのHDRと関連しないがん治療剤の使用を含むがん治療レジメンに応答する可能性がより高い、がん細胞を有すると診断し得る。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。
【0100】
本明細書に記載のように、本明細書はまた、がん患者の核酸試料(例えば、ゲノム核酸試料又はそれから増幅された核酸)の診断分析を実施して、患者由来の試料が、HRDシグネチャ及び/又は染色体全体をカバーするCA領域の数の増加を含有するがん細胞を含むか(又は試料がそのような細胞に由来するDNAを含むかどうか)を決定するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。例えば、1人以上の検査技師又は検査専門家は、患者のがん細胞のゲノム(又はそれに由来するDNA)におけるHRDシグネチャの存在若しくは不在、又は患者のがん細胞のゲノムにおける染色体全体をカバーするCA領域の数の増加の存在若しくは不在を検出し得る。いくつかの場合では、1人以上の検査技師又は検査専門家は、(a)患者から得られたがん細胞試料を受け取ること、患者から得られたがん細胞から得られたゲノム核酸試料を受け取ること、又は患者から得られたがん細胞から得られたそのようなゲノム核酸試料から富化及び/若しくは増幅された核酸を含有する試料を受け取ること、並びに(b)受け取った材料を使用して分析(例えば、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイ)を実施して、本明細書に記載の全染色体をカバーするHRDシグネチャの存在若しくは不在、又CA領域の数の増加の存在若しくは不在を検出することによって、患者のがん細胞のゲノムにおける全染色体をカバーするHRDシグネチャの存在若しくは不在、又はCA領域の数の増加の存在若しくは不在を検出し得る。いくつかの場合では、1人以上の検査技師又は検査専門家は、分析される試料(例えば、患者から得られたがん細胞試料、患者から得られたがん細胞から得られたゲノム核酸試料、又は患者から得られたがん細胞から得られたそのようなゲノム核酸試料から富化及び/若しくは増幅された核酸を含有する試料)を、臨床医又は医療専門家から直接又は間接的に受け取ることができる。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。
【0101】
検査技師若しくは検査専門家、又は検査技師若しくは検査専門家の群は、本明細書に記載のHRDシグネチャの存在を検出すると、検査技師若しくは検査専門家(又は群)は、そのHRDシグネチャ又は実施された診断分析の結果(又は結果若しくは結果の要約)を、対応する患者の名前、医療記録、記号/数値識別子、又はそれらの組み合わせに関連付けることができる。そのような特定は、HRDシグネチャの存在の検出にのみ基づき得るか、又はHRDシグネチャの存在の検出に少なくとも部分的に基づき得る。例えば、検査技師又は検査専門家は、HRDシグネチャを有すると検出されたがん細胞を有する患者を、HRDシグネチャと試験研究室で実施された他の遺伝子的及び生化学試験の結果との組み合わせに基づいて、潜在的にHDRが欠損しているがん細胞を有すると(又は本明細書に長さで記載される特定の治療に応答する可能性の増加を有すると)特定することができる。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。
【0102】
前述の逆もまた当てはまる。すなわち、検査技師若しくは検査専門家、又は検査技師若しくは検査専門家の群は、HRDシグネチャの不在を検出すると、検査技師若しくは検査専門家(又はグループ)は、HRDシグネチャの不在又は実施された診断分析の結果(又は結果若しくは結果の要約)を、対応する患者の名前、医療記録、記号/数値識別子、又はそれらの組み合わせに関連付けることができる。いくつかの場合では、検査技師若しくは検査専門家、又は検査技師若しくは検査専門家のグループは、HRDシグネチャを欠くと検出されたがん細胞を有する患者を、HRDシグネチャの不在のみに基づくか、又はHRDシグネチャの不在と試験研究室で実施された他の遺伝子的及び生化学試験の結果との組み合わせに基づくかのいずれかで、潜在的に無傷のHDRを有するがん細胞を有すると(又は本明細書に長さで記載される特定の治療に応答する可能性の減少を有すると)特定することができる。いくつかの実施形態では、患者は、治療未経験の患者である。
【0103】
本発明による任意の分析の結果は、多くの場合、医師、遺伝子カウンセラー、及び/又は患者(又は研究者などの他の利害関係者)に、上記の当事者のうちのいずれかに伝達又は伝送され得る伝送可能な形態で伝達される。そのような形態は、変化し得、有形又は無形であり得る。結果は、説明的な記述、図、写真、チャート、画像、又はその他の視覚的形態で具現化され得る。例えば、遺伝子型又はLOH(又はHRD状態)情報を示すグラフ又は図を使用して、結果を説明することができる。記述及び視覚的形態は、紙などの有形の媒体、フロッピーディスク、コンパクトディスク、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読媒体、又は無形の媒体、例えば、インターネット若しくはイントラネット上の電子メール若しくはウェブサイトの形態の電子媒体上に記録され得る。加えて、結果はまた、音声形式で記録され、電話、ファクシミリ、無線携帯電話、インターネット電話などを介して、任意の好適な媒体、例えば、アナログ又はデジタルケーブル線、光ファイバーケーブルなどを介して伝送され得る。
【0104】
このように、試験結果についての情報及びデータは、世界のどこでも生成され、異なる場所に伝送され得る。例解的な例として、アッセイが米国外で行われる場合、試験結果についての情報及びデータが生成され、上記の伝送可能な形態で投じられ、次いで、米国に輸入され得る。したがって、本発明はまた、少なくとも1つの患者試料についてのHRDシグネチャについての伝送可能な形態の情報を生成するための方法を包含する。方法は、(1)本発明の方法によるHRDシグネチャを決定するステップと、(2)決定ステップの結果を伝送可能な形式で具体化するステップと、を含む。伝送可能な形態は、そのような方法の生成物である。
【0105】
本明細書に記載の本発明のいくつかの実施形態は、本発明によるHRDシグネチャの存在(例えば、参照よりも大きいインジケータCA領域の総数、又はCA領域スコア若しくは組み合わせたCA領域スコア)を、特定の臨床特徴(例えば、BRCA1又はBRCA2遺伝子の欠損の可能性の増加、HDR欠損の可能性の増加、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含む治療レジメンへの応答の可能性の増加など)に相関させるステップ、及び任意選択で、HRDシグネチャの不在を1つ以上の他の臨床特徴に相関させるステップを含む。本明細書全体を通して、そのような実施形態が記載されている場合はいつでも、本発明の別の実施形態は、相関させるステップに加えて、又はその代わりに、以下のステップのうちの1つ又は両方を含み得る:(a)HRDシグネチャの存在若しくは不在に少なくとも部分的に基づいて、患者が臨床特徴を有すると結論付けること、又は(b)HRDシグネチャの存在若しくは不在に少なくとも部分的に基づいて、患者が臨床的特徴を有することを伝達すること。
【0106】
これに限定されないが、例解として、本明細書に記載の一実施形態は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法であり、当該方法は、(1)試料において、(a)試料のLOH領域スコア、(b)試料のTAI領域スコア、又は(c)試料のLST領域スコアのうちの2つ以上を決定することと、(2)(a)参照を超えるLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)を、治療レジメンに応答する可能性の増加に相関させるか、又は任意選択で、(2)(b)参照を超えないLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)を、治療レジメンに応答する可能性の増加がないことに相関させるか、又は任意選択で、(2)(c)LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)を相関させることと、を含む。先の段落によれば、この実施形態のこの説明は、2つの代替的な関連する実施形態の説明を含むと理解される。そのような一実施形態は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法を提供し、当該方法は、(1)試料において、(a)試料のLOH領域スコア、(b)試料のTAI領域スコア、若しくは(c)試料のLST領域スコアのうちの2つ以上、又はLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)を決定することと、(2)(a)参照を超えるLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)に少なくとも部分的に基づいて、当該患者が、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有することを結論付けるか、又は任意選択で、(2)(b)参照を超えないLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)、若しくはLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、当該患者が、当該がん治療レジメンに応答する可能性の非増加を有することを結論付けることと、を含む。別のそのような実施形態は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法を提供し、当該方法は、(1)試料において、(a)試料のLOH領域スコア、(b)試料のTAI領域スコア、若しくは(c)試料のLST領域スコアのうちの2つ以上、又はLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)を決定することと、(2)(a)参照を超えるLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)、若しくはLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、当該患者が、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有することを伝達するか、又は任意選択で、(2)(b)参照を超えないLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアのうちの2つ以上の組み合わせ(例えば、組み合わせたCA領域スコア)、若しくはLOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの平均(例えば、算術平均)に少なくとも部分的に基づいて、当該患者が、当該がん治療レジメンに応答する可能性の非増加を有することを伝達することと、を含む。
【0107】
特定のアッセイ又は分析出力(例えば、参照数よりも大きいインジケータCA領域の総数、HRDシグネチャの存在など)を、いくつかの臨床特徴(例えば、特定の治療への応答、がん特異的死亡など)のいくつかの可能性(例えば、増加、非増加、減少など)に相関させること、又は追加的若しくは代替的に、そのような特定のアッセイ若しくは分析出力に少なくとも部分的に基づいて、そのような臨床特徴を結論付けるか、若しくは伝達することを含む、本明細書に記載の各実施形態では、そのような相関させること、結論付けること、又は伝達することは、特定のアッセイ又は分析出力に少なくとも部分的に基づいて、臨床特徴が発生するリスク又は可能性を割り当てることを含み得る。いくつかの実施形態では、そのようなリスクは、事象又は結果が発生するパーセンテージ確率である。いくつかの実施形態では、患者は、リスク群(例えば、低リスク、中間リスク、高リスクなど)に割り当てられる。いくつかの実施形態では、「低リスク」は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%を下回る任意のパーセンテージ確率である。いくつかの実施形態では、「中間リスク」は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%を上回り、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%を下回る任意のパーセンテージ確率である。いくつかの実施形態では、「高リスク」は、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%を上回る任意のパーセンテージ確率である。
【0108】
本明細書で使用される場合、特定の情報を「伝達すること」とは、そのような情報を別の人に知らせる、又はそのような情報をモノ(例えば、コンピュータ)に伝送することを意味する。本発明のいくつかの方法では、患者の予後又は特定の治療への応答の可能性が伝達される。いくつかの実施形態では、そのような予後又は応答予測に到達するために使用される情報(例えば、本発明によるHRDシグネチャなど)が、伝達される。この伝達は、聴覚的(例えば、口頭)、視覚的(例えば、書面)、電子的(例えば、一方のコンピュータシステムから別のコンピュータシステムに伝送されたデータ)などであり得る。いくつかの実施形態では、がんの分類(例えば、予後、応答の可能性、適切な治療など)を伝達することは、がんの分類を伝達する報告を生成することを含む。いくつかの実施形態では、報告は、紙報告、聴覚報告、又は電子記録である。いくつかの実施形態では、報告は、コンピューティングデバイス(例えば、ハンドヘルドデバイス、デスクトップコンピュータ、スマートデバイス、ウェブサイトなど)に表示及び/又は記憶される。いくつかの実施形態では、がんの分類は、医師に伝達される(例えば、分類を伝達する報告が医師に提供される)。いくつかの実施形態では、がんの分類は、患者に伝達される(例えば、分類を伝達する報告が患者に提供される)。がんの分類を伝達することはまた、分類を具現化する情報(例えば、データ)をサーバコンピュータに伝送し、仲介者又はエンドユーザがそのような情報にアクセスすることを可能にすることによって(例えば、サーバから表示された情報を見ることによって、サーバから仲介者又はエンドユーザのデバイスに伝送された1つ以上のファイルの形態で情報をダウンロードすることによってなど)達成され得る。
【0109】
本発明の実施形態が、いくつかの事実(例えば、患者の予後又は特定の治療レジメンへの患者の応答の可能性)を結論付けることを含む場合はいつでも、これは、いくつかの実施形態では、典型的には、本発明によるCA領域についての情報を適用するアルゴリズムを実施した後に、そのような事実を結論付けるコンピュータプログラムを含み得る。
【0110】
CA領域の数(例えば、インジケータCA領域)、又はそのようなCA領域の合計の組み合わせた長さ、又は組み合わせたCAR領域スコアの平均(例えば、算術平均)を含む、本明細書に記載の各実施形態では、本発明は、そのような数又は長さから導出された、組み込まれた、及び/又は少なくともある程度反映された試験値又はスコア(例えば、CA領域スコア、LOH領域スコアなど)を含む関連する実施形態を包含する。換言すれば、ベアCA領域の数又は長さは、本発明の様々な方法、システムなどにおいて使用される必要はなく、そのような数又は長さから導出された試験値又はスコアが使用されてもよい。例えば、本発明の一実施形態は、患者におけるがんを治療する方法であって、(1)当該患者からの試料において、(a)インジケータLOH領域の数、(b)インジケータTAI領域の数、若しくは(c)インジケータLST領域の数のうちの2つ以上、又はその平均(例えば、算術平均)を決定することと、(2)インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及び/又はインジケータLST領域の当該数から導出された1つ以上の試験値を提供することと、(3)当該試験値(複数可)を1つ以上の参照値(例えば、参照集団におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及び/又はインジケータLST領域の数から導出された参照値(例えば、平均、中央値、三分位、四分位、五分位など))と比較することと、(4)(a)試験値のうちの1つ以上が少なくとも1つの当該参照値よりも大きい(例えば、少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍大きい、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、当該患者に抗がん剤を投与するか、又は化学療法及び/合成致死剤を含む治療レジメンを推奨若しくは処方若しくは開始するか、あるいは任意選択で、(4)(b)試験値のうちの1つ以上が少なくとも1つの当該参照値よりも大きくない(例えば、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍以下大きい、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差以下大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、化学療法及び/合成致死剤を含まない治療レジメンを推奨若しくは処方若しくは開始することと、を含む方法を提供する。本発明は、必要な変更を加え、試験値又はスコアが患者の予後、特定の治療レジメンへの患者の応答の可能性、患者の、又は患者の試料のBRCA1、BRCA2、RAD51C又はHDR欠損を有する可能性などを決定するために使用される対応する実施形態を包含する。
【0111】
図8は、コンピューティングシステム(又はコンピュータ実行可能命令を含有するコンピュータプログラム(例えば、ソフトウェア))が、本明細書に記載の遺伝子型データからLOH遺伝子座又は領域を特定することができる例示的なプロセスを示す。このプロセスは、当業者に明らかであろうように、TAI及びLSTを決定する際に使用するように適合され得る。2つの対立遺伝子、A及びBのシグナルの観察された比率が2対1である場合、2つの可能性がある。第1の可能性は、がん細胞が、正常細胞による50%の汚染を伴う試料において対立遺伝子Bの欠失を有するLOHを有することである。第2の可能性は、LOHは存在しないが、対立遺伝子Aが正常細胞との汚染のない試料において複製されることである。プロセスは、ボックス1500で始まり、以下のデータがコンピューティングシステムによって収集される:(1)各遺伝子座の両方の対立遺伝子についての試料特異的に正規化されたシグナル強度、及び(2)既知のASCNプロファイルを有する多数の試料の分析に基づいて定義されたアッセイ特異的な(異なるSNPアレイ及び配列に基づくアプローチに特異的な)パラメータのセット。本明細書に記載のように、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイなどの任意の適切なアッセイを使用して、染色体に沿った遺伝子座をホモ接合性又はヘテロ接合性について評価し得る。いくつかの場合では、シグナル検出器及びコンピュータを含むシステムを使用して、複数の遺伝子座のホモ接合性又はヘテロ接合性の性質に関するデータ(例えば、蛍光シグナル又は配列決定結果)(例えば、各遺伝子座の両方の対立遺伝子についての試料特的に正規化されたシグナル強度)を収集し得る。ボックス1510で、対立遺伝子特異的コピー数(ASCN)は、各遺伝子座(例えば、各SNP)で再構築される。ASCNは、父系対立遺伝子及び母系対立遺伝子の両方のコピー数である。ボックス1530で、ホモ接合遺伝子座又はホモ接合遺伝子座の領域が、LOHによるものであるかどうかを決定するために尤度関数が使用される。これは、各遺伝子座(例えば、SNP)で(ASCNではなく)総コピー数を再構築するように設計された前述のアルゴリズムに概念的に類似し得る。Abkevich et al.の国際出願第PCT/US2011/026098号を参照されたい。尤度関数は、全ての遺伝子座のASCN、良性組織による汚染レベル、全ゲノムにわたって平均化された総コピー数、及び試料特有のノイズレベルにわたって最大化され得る。ボックス1540で、LOH領域は、ASCN(父系又は母系)のうちの1つがゼロであるSNPのストレッチとして決定される。いくつかの実施形態では、コンピュータプロセスは、患者が治療未経験であるかどうかを照会又は決定するステップを更に含む。
【0112】
図3は、コンピューティングシステムがLOHシグネチャの存在又は不在を決定することができる例示的なプロセスを示し、当業者に明らかであろうように、どのようにこのプロセスがTAI及びLSTに適用され得るかを例解するために含まれる。このプロセスは、ボックス300で開始し、染色体に沿った複数の遺伝子座のホモ接合性又はヘテロ接合性の性質に関するデータが、コンピューティングシステムによって収集される。本明細書に記載のように、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイなどの任意の適切なアッセイを使用して、染色体に沿った遺伝子座をホモ接合性又はヘテロ接合性について評価し得る。いくつかの場合では、シグナル検出器及びコンピュータを含むシステムを使用して、複数の遺伝子座のホモ接合性又はヘテロ接合性の性質に関するデータ(例えば、蛍光シグナル又は配列決定結果)を収集し得る。ボックス310で、染色体に沿って存在する任意のLOH領域の長さを決定するために、複数の遺伝子座のホモ接合性又はヘテロ接合性の性質及び各遺伝子座の位置又は空間関係に関するデータがコンピューティングシステムによって評価される。ボックス320で、検出されたLOH領域の数及び各検出されたLOH領域の長さに関するデータは、コンピューティングシステムによって評価され、(a)予め設定された数のMb(例えば、15Mb)以上、かつ(b)そのLOH領域を含有する染色体の全長未満の長さを有するLOH領域の数を決定する。代替的には、コンピューティングシステムは、上記の合計、又は組み合わせたLOH長さを決定し得る。ボックス330で、コンピューティングシステムは、HRDシグネチャの存在又は不在の表示を提供する出力を形式化する。形式化されると、コンピューティングシステムは、出力をユーザ(例えば、検査技師、臨床医、又は医療専門家)に提供し得る。本明細書に記載のように、HRDシグネチャの存在又は不在を使用して、患者の可能性の高いHDR状態についての表示、HDR経路の遺伝子における遺伝子変異の可能性のある存在若しくは不在についての表示、及び/又は可能性のあるがん治療レジメンについての表示を提供し得る。
【0113】
図4は、本明細書に記載の技術とともに使用され得る、コンピュータデバイス1400及びモバイルコンピュータデバイス1450の例の図である。コンピューティングデバイス1400は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、パーソナルデジタルアシスタント、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図されている。コンピューティングデバイス1450は、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、スマートフォン、及び他の同様のコンピューティングデバイスなどの様々な形態のモバイルデバイスを表すことが意図されている。ここに示される構成要素、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例示的なものに過ぎず、本文書に説明及び/又は特許請求される発明の実装形態を限定することを意味するものではない。
【0114】
コンピューティングデバイス1400は、プロセッサ1402、メモリ1404、記憶デバイス1406、メモリ1404及び高速拡張ポート1410に接続された高速インターフェース1408、並びに低速バス1414及び記憶デバイス1406に接続された低速インターフェース1415を備える。構成要素1402、1404、1406、1408、1410、及び1415の各々は、様々なバスを使用して相互接続され、共通のマザーボード上に、又は必要に応じて他の方法で取り付けられ得る。プロセッサ1402は、高速インターフェース1408に結合されたディスプレイ1416などの外部入力/出力デバイス上にGUIのためのグラフィカル情報を表示するために、メモリ1404内又は記憶デバイス1406上に記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス1400内で実行するための命令を処理し得る。他の実装形態では、必要に応じて、複数のメモリ及びメモリの種類とともに、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが使用され得る。また、複数のコンピューティングデバイス1400は、必要な動作の一部を提供する各デバイス(例えば、サーババンク、ブレードサーバの群、又はマルチプロセッサシステム)と接続され得る。
【0115】
メモリ1404は、コンピューティングデバイス1400内に情報を記憶する。一実装形態では、メモリ1404は、揮発性メモリユニット(複数可)である。別の実装形態では、メモリ1404は、不揮発性メモリユニット(複数可)である。メモリ1404はまた、磁気ディスク又は光ディスクなどの別の形態のコンピュータ可読媒体であり得る。
【0116】
記憶デバイス1406は、コンピューティングデバイス1400に大容量記憶を提供することができる。一実装形態では、記憶デバイス1406は、フロッピーディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、又はテープデバイス、フラッシュメモリ若しくは他の同様のソリッドステートメモリデバイス、又は記憶エリアネットワーク若しくは他の構成内のデバイスを含むデバイスのアレイなどのコンピュータ可読媒体であり得るか、又はそれを含有し得る。コンピュータプログラム製品は、情報キャリアに有形に具体化することができる。コンピュータプログラム製品はまた、実行されると、上記のものなどの1つ以上の方法を実施する命令を含有し得る。情報キャリアは、メモリ1404、記憶デバイス1406、プロセッサ1402上のメモリ、又は伝搬シグナルなどのコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体である。
【0117】
高速コントローラ1408は、コンピューティングデバイス1400のための帯域幅集約型動作を管理し、一方、低速コントローラ1415は、低帯域幅集約型動作を管理する。そのような機能の割り当ては、単に例示的なものである。一実装形態では、高速コントローラ1408は、メモリ1404、ディスプレイ1416(例えば、グラフィックスプロセッサ又はアクセラレータを介して)、及び様々な拡張カード(図示せず)を受け入れ得る高速拡張ポート1410に結合される。実装形態では、低速コントローラ1415は、記憶デバイス1406及び低速拡張ポート1414に結合されている。様々な通信ポート(例えば、USB、Bluetooth、イーサネット、無線イーサネット)を含み得る低速拡張ポートは、例えば、ネットワークアダプタを介して、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、光学式リーダー、蛍光シグナル検出器、又はスイッチ若しくはルータなどのネットワーキングデバイスなどの1つ以上の入力/出力デバイスに結合され得る。
【0118】
コンピューティングデバイス1400は、図に示されるように、いくつかの異なる形態で実装され得る。例えば、標準サーバ1420として、又はそのようなサーバの群内で複数回、実装され得る。それはまた、ラックサーバシステム1424の一部として実装され得る。加えて、それは、ラップトップコンピュータ1422などのパーソナルコンピュータに実装され得る。代替的には、コンピューティングデバイス1400からの構成要素は、デバイス1450などのモバイルデバイス(図示せず)内の他の構成要素と組み合わされ得る。そのようなデバイスの各々は、コンピューティングデバイス1400、1450のうちの1つ以上を含有し得、システム全体は、互いに通信する複数のコンピューティングデバイス1400、1450で構成され得る。
【0119】
コンピューティングデバイス1450は、他の構成要素の中でもとりわけ、プロセッサ1452、メモリ1464、ディスプレイ1454などの入力/出力デバイス、通信インターフェース1466、及びトランシーバ1468を含む。デバイス1450はまた、追加の記憶を提供するために、マイクロドライブ又は他のデバイスなどの記憶デバイスが提供され得る。構成要素1450、1452、1464、1454、1466、及び1468の各々は、様々なバスを使用して相互接続され、いくつかの構成要素は、共通のマザーボード上に、又は必要に応じて他の方法で取り付けられ得る。
【0120】
プロセッサ1452は、メモリ1464に記憶された命令を含む、コンピューティングデバイス1450内の命令を実行し得る。プロセッサは、別個及び複数のアナログプロセッサ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実装され得る。プロセッサは、例えば、ユーザインターフェースの制御、デバイス1450によって実行されるアプリケーション、及びデバイス1450による無線通信など、デバイス1450の他の構成要素の調整を提供し得る。
【0121】
プロセッサ1452は、制御インターフェース1458、及びディスプレイ1454に結合されたディスプレイインターフェース1456を介してユーザと通信し得る。ディスプレイ1454は、例えば、TFT LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)又はOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、又は他の適切なディスプレイ技術であり得る。ディスプレイインターフェース1456は、ディスプレイ1454を駆動して、グラフィック及び他の情報をユーザに提示するための適切な回路を備え得る。制御インターフェース1458は、ユーザからコマンドを受信し、それらをプロセッサ1452に送信するために変換し得る。加えて、外部インターフェース1462が、他のデバイスとのデバイス1450の近距離通信を可能にするような、プロセッサ1452との通信で提供され得る。外部インターフェース1462は、例えば、いくつかの実装形態では有線通信のために、又は他の実装形態では無線通信のために提供し得、複数のインターフェースもまた使用され得る。
【0122】
メモリ1464は、リモートデバイス1450内に情報を記憶する。メモリ1464は、コンピュータ可読媒体、揮発性メモリユニット、又は不揮発性メモリユニットのうちの1つ以上として実装され得る。拡張メモリ1474はまた、例えば、SIMM(シングルインラインメモリモジュール)カードインターフェースを含み得る拡張インターフェース1472を介して、デバイス1450に提供され、かつそれに接続され得る。そのような拡張メモリ1474は、デバイス1450に追加の記憶空間を提供し得るか、又はデバイス1450にアプリケーション又は他の情報もまた記憶し得る。例えば、拡張メモリ1474は、本明細書に記載のプロセスを実行又は補完する命令を含み得、セキュア情報を含み得る。したがって、例えば、拡張メモリ1474は、デバイス1450のためのセキュリティモジュールとして提供され得、デバイス1450のセキュア使用を可能にする命令でプログラムされ得る。加えて、ハッキング不可能な方法でSIMMカード上に特定する情報を配置するなどの追加の情報とともに、SIMMカードを介してセキュアアプリケーションが提供され得る。
【0123】
メモリは、例えば、以下で考察されるように、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリを含み得る。一実装形態では、コンピュータプログラム製品は、情報キャリアに有形に具体化される。コンピュータプログラム製品は、実行されると、本明細書に記載のものなどの1つ以上の方法を実施する命令を含む。情報キャリアは、メモリ1464、拡張メモリ1474、プロセッサ1452上のメモリ、又は例えばトランシーバ1468若しくは外部インターフェース1462を介して受信され得る伝搬シグナルなどのコンピュータ可読媒体又は機械可読媒体である。
【0124】
デバイス1450は、通信インターフェース1466を介して無線通信し得、それは、必要に応じて、デジタルシグナル処理回路を含み得る。通信インターフェース1466は、とりわけ、GSM音声通話、SMS、EMS、又はMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA、CDMA2000、又はGPRSなどの様々なモード又はプロトコル下での通信を提供し得る。そのような通信は、例えば、無線周波数トランシーバ1468を介して発生し得る。加えて、Bluetooth、WiFi、又は他のそのようなトランシーバ(図示せず)を使用するなど、狭域通信が発生し得る。加えて、GPS(全地球測位システム)受信機モジュール1470は、追加のナビゲーション関連無線データ及び位置関連無線データをデバイス1450に提供し得、これは、デバイス1450上で実行されるアプリケーションによって必要に応じて使用され得る。
【0125】
デバイス1450はまた、オーディオコーデック1460を使用して可聴的に通信し得、それは、ユーザから話された情報を受信し、それを使用可能なデジタル情報に変換し得る。オーディオコーデック1460は、同様に、スピーカを介してなど、例えば、デバイス1450のハンドセット内で、ユーザのために可聴音を生成し得る。そのような音は、音声電話通話からの音を含み得、記録された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイルなど)を含み得、また、デバイス1450上で動作するアプリケーションによって生成された音を含み得る。
【0126】
コンピューティングデバイス1450は、図に示されるように、いくつかの異なる形態で実装され得る。例えば、携帯電話1480として実装され得る。また、スマートフォン1482、パーソナルデジタルアシスタント、又は他の同様のモバイルデバイスの一部として実装され得る。
【0127】
本明細書に記載のシステム及び技術の様々な実装は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASIC(用途特異的集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせで実現され得る。これらの様々な実装形態は、記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信し、それらにデータ及び命令を伝送するように結合された、特殊又は汎用目的であり得る少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを含むプログラム可能システム上で実行可能及び/又は解釈可能である1つ以上のコンピュータプログラムにおける実装を含み得る。
【0128】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション又はコードとしても知られる)は、プログラム可能プロセッサのための機械命令を含み、高レベルの手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実装することができる。本明細書で使用される場合、「機械可読媒体」及び「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械命令を機械可読シグナルとして受信する機械可読媒体を含む、プログラム可能プロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラム可能ロジックデバイス(PLD))を指す。「機械可読シグナル」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラム可能なプロセッサに提供するために使用される任意のシグナルを指す。
【0129】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載のシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)、及びユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスは、ユーザとの対話を提供するためにも使用され得、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であり得、ユーザからの入力は、音響、速度、又は触覚入力を含む任意の形態で受信され得る。
【0130】
本明細書に記載のシステム及び技術は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)を含むか、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)を含むか、又はフロントエンド構成要素(例えば、ユーザが本明細書に記載のシステム及び技術の実装形態と対話可能なグラフィカルユーザインターフェース又はWebブラウザを有するクライアントコンピュータ)、若しくはそのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムに実装され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(「WAN」)、及びインターネットが挙げられる。
【0131】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含み得る。クライアント及びサーバは、概して、互いに遠隔にあり、典型的には、通信ネットワークを通して対話する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作し、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0132】
いくつかの場合では、本明細書に提供されるコンピューティングシステムは、1つ以上の試料分析器を含むように構成され得る。試料分析器は、がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体のゲノムDNAについての複数のシグナルを生成するように構成され得る。例えば、試料分析器は、染色体に沿った遺伝子座の遺伝子型を特定する様式で解釈されることができるシグナルを生成し得る。いくつかの場合では、試料分析器は、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイの1つ以上のステップを実施するように構成され得、かつそのようなアッセイからシグナルを生成及び/又は捕捉するように構成され得る。いくつかの場合では、本明細書に提供されるコンピューティングシステムは、コンピューティングデバイスを含むように構成され得る。そのような場合では、コンピューティングデバイスは、試料分析器からシグナルを受信するように構成され得る。コンピューティングデバイスは、本明細書に記載の方法又はステップのうちの1つ以上を実施するためのコンピュータ実行可能命令又はコンピュータ実行可能命令を含有するコンピュータプログラム(例えば、ソフトウェア)を含み得る。いくつかの場合では、そのようなコンピュータ実行可能命令は、試料分析器から、別のコンピューティングデバイスから、SNPアレイに基づくアッセイから、又は配列決定に基づくアッセイからのシグナルを分析するようにコンピューティングデバイスに命令し得る。そのようなシグナルの分析を実施して、ある特定の遺伝子座、CAの領域、CA領域の数での遺伝子型、ホモ接合性、又は他の染色体異常を決定し得るか、CA領域のサイズを決定し得るか、特定のサイズ若しくはサイズの範囲を有するCA領域の数を決定し得るか、試料がHRDシグネチャに対して陽性であるかどうかを決定し得るか、少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の数を決定し得るか、BRCA1及び/又はBRCA2遺伝子における欠損の可能性を決定し得るか、HDRの欠損の可能性を決定し得るか、がん患者が特定のがん治療レジメン(例えば、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、PARP阻害剤、又はそれらの組み合わせを含むレジメン)に応答する可能性を決定し得るか、又はこれらの項目の組み合わせを決定し得る。
【0133】
いくつかの場合では、本明細書に提供されるコンピューティングシステムは、HDRの欠損の可能性、がん患者が特定のがん治療レジメン(例えば、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、PARP阻害剤、又はそれらの組み合わせを含むレジメン)に応答する可能性、又はこれらの項目の組み合わせを決定するための、CA領域の数、CA領域のサイズ、特定のサイズ若しくはサイズの範囲を有するCA領域の数、試料がHRDシグネチャに対して陽性であるかどうか、少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の数、BRCA1及び/又はBRCA2遺伝子における欠損の可能性についての指示を提供する出力を形式化するためのコンピュータ実行可能な命令又はコンピュータ実行可能な命令を含有するコンピュータプログラム(例えば、ソフトウェア)を含み得る。いくつかの場合では、本明細書に提供されるコンピューティングシステムは、HRDシグネチャの存在若しくは不在又はインジケータCA領域の数に少なくとも部分的に基づいて、特定の患者のための所望のがん治療レジメンを決定するためのコンピュータ実行可能な命令又はコンピュータ実行可能な命令を含有するコンピュータプログラム(例えば、ソフトウェア)を含み得る。
【0134】
いくつかの場合では、本明細書に提供されるコンピューティングシステムは、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイが実施され得るように、試料(例えば、がん細胞)を処理するように構成された前処理デバイスを含み得る。前処理デバイスの例は、非がん細胞とは対照的にがん細胞の細胞集団を富化するように構成されたデバイス、細胞を溶解し、及び/又はゲノム核酸を抽出するように構成されたデバイス、並びに特定のゲノムDNA断片について試料を富化するように構成されたデバイスを含むが、これらに限定されない。
【0135】
本明細書はまた、本明細書に記載の試料(例えば、がん細胞)を評価するためのキットを提供する。例えば、本明細書は、HRDシグネチャの存在についてがん細胞を評価するか、又は少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の数を決定するためのキットを提供する。本明細書に提供されるキットは、本明細書に記載の方法又はステップのうちの1つ以上を実施するためのコンピュータ実行可能命令(例えば、インジケータCA領域の数を決定するためのコンピュータ実行可能命令)を含有するコンピュータプログラム製品と組み合わせて、SNPプローブ(例えば、本明細書に記載のSNPアレイに基づくアッセイを実施するためのSNPプローブのアレイ)又はプライマー(例えば、配列決定に基づくアッセイを介してSNP領域を配列決定するために設計されたプライマー)のいずれかを含み得る。いくつかの場合では、本明細書で提供されるキットは、ヒトゲノムDNAの多型領域にハイブリダイゼーションすることができる少なくとも500、1000、10,000、25,000、又は50,000個のSNPプローブを含み得る。いくつかの場合では、本明細書で提供されるキットは、ヒトゲノムDNAの多型性領域を配列決定することができる少なくとも500、1000、10,000、25,000、又は50,000個のプライマーを含み得る。いくつかの場合では、本明細書で提供されるキットは、SNPアレイに基づくアッセイ又は配列決定に基づくアッセイを実施するための1つ以上の他の成分を含み得る。そのような他の成分の例としては、緩衝液、配列決定ヌクレオチド、酵素(例えば、ポリメラーゼ)などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書はまた、本明細書に記載の方法又はステップのうちの1つ以上を実施するためのキットの製造における、任意の適切な数の本明細書に提供される材料の使用を提供する。例えば、本明細書は、HRDシグネチャの存在についてがん細胞を評価するためのキットの製造における、SNPプローブの集合体(例えば、10,000~100,000個のSNPプローブの集合体)及び本明細書に提供されるコンピュータプログラム製品の使用を提供する。別の例として、本明細書は、HRDシグネチャの存在についてがん細胞を評価するためのキットの製造における、プライマーの集合体(例えば、SNP領域を配列決定するための10,000~100,000個のプライマーの集合体)及び本明細書に提供されるコンピュータプログラム製品の使用を提供する。
【0136】
特定の実施形態
以下は、本開示の特定の実施形態、すなわち、上記のより一般的な説明による方法及びシステムの例示的であるが非限定的な詳細である。
【0137】
いくつかの実施形態では、使用される試料は、凍結腫瘍試料である。いくつかの実施形態では、試料は、三重陰性、ER+/HER2-、ER-/HER2+、又はER+/HER2+から選択される特定の乳がんサブタイプ由来のものである。いくつかの実施形態では、方法、システムなどの実験室アッセイ部分は、試料をアッセイして、BRCA1及び/又はBRCA2遺伝子(並びに表1の任意の他の遺伝子(複数可))を配列決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法、システムなどの実験室アッセイ部分は、試料をアッセイして、完全なゲノムにわたって少なくとも10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000個以上の選択されたSNPの対立遺伝子量(例えば、遺伝子型、コピー数など)を決定することを含む。いくつかの実施形態では、SNP分析は、上で考察されたオリゴヌクレオチドマイクロアレイを使用して行われる。いくつかの実施形態では、BRCA配列分析、SNP分析、又はそれら両方は、後続のPCR富化技術(例えば、Agilent(商標)SuereSelect XT)とともに、プローブ捕捉(例えば、分析される各SNPに対するプローブ並びに/又はBRCA1及び/若しくはBRCA2のコード領域全体を捕捉するプローブ)を使用して実施される。いくつかの実施形態では、BRCA配列分析、SNP分析、又はそれら両方は、「次世代」配列決定プラットフォーム(例えば、Illumina(商標)HiSeq2500)を使用して富化技術からの出力を処理することによって実施される。いくつかの実施形態では、試料は、大きい再配列を含み得るBRCA1/2体細胞変異及び/又は生殖細胞系列変異について分析される。いくつかの実施形態では、試料は、(例えば、qPCRアッセイ(例えば、SA Biosciences)によって)BRCA1プロモーターメチル化について分析される。いくつかの実施形態では、試料が10%(又は5%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%)超のメチル化(例えば、メチル化されたBRCA1又はBRCA2プロモーターCpGの%)を有する場合、試料が高いメチル化を有する(又は「メチル化されている」)と決定される。いくつかの実施形態では、患者の一致した正常(非腫瘍)組織由来のDNAは、例えば、BRCA1又はBRCA2変異が生殖細胞系列又は体細胞であるかどうかを決定するために分析され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、LOH領域スコアは、15Mb超の長さであるが、完全な染色体の長さよりも短いLOH領域の数を計数することによって計算され得る。いくつかの実施形態では、TAI領域スコアは、サブテロメアのうちの1つまで延びるが、セントロメアを横断しない対立遺伝子不均衡を有する、11Mb超の長さのテロメア領域の数を計数することによって計算され得る。いくつかの実施形態では、LST領域スコアは、3メガ塩基よりも短い領域をフィルタリングした後、安定したコピー数を有する10メガ塩基よりも長い領域間のブレークポイントの数を計数することによって計算され得る。いくつかの実施形態では、LST領域スコアは、倍数性によって調整することによって修正され得る:LSTm=LST-kP、式中、Pは倍数性であり、kは定数である(いくつかの実施形態では、k=15.5)。いくつかの実施形態では、BRCA1/2欠損は、罹患遺伝子におけるLOHを伴う、BRCA1若しくはBRCA2変異、又はBRCA1若しくはBRCA2プロモーター領域のメチル化に起因する機能喪失と定義され得る。いくつかの実施形態では、治療に対する応答は、部分的完全寛解(「pCR」)であり得、これは、いくつかの実施形態では、治療後のMiller-Payne 5状態(例えば、ネオアジュバント)と定義され得る。
【0139】
いくつかの実施形態では、特許請求される方法は、少なくとも8*10-12、6*10-6、0.0009、0.01、0.03、2*10-16、3*10-6、10-6、0.0009、8*10-12、2*10-16、8*10-8、6*10-6、3*10-6、又は0.0002のp値でBRCA欠損を予測する(例えば、各CA領域スコアは、事前定義され、任意選択で、複数のスコアは、これらのp値を得るような方式で組み合わせられる)。いくつかの実施形態では、p値は、Kolmogorov-Smirnov検定に従って計算される。いくつかの実施形態では、診断時のHRDスコア及び年齢は、数値(例えば、整数)変数としてコード化され得、乳がんステージ及びサブタイプは、分類変数としてコード化され得、グレードは、数値変数若しくは分類変数のいずれか、又はそれら両方として分析され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、p値は、両側である。いくつかの実施形態では、ロジスティック回帰分析を使用して、HRD組み合わせされたスコアを含む、本明細書に開示されるHRDスコアに基づいて、BRCA1/2欠損を予測し得る)。いくつかの実施形態では、様々なCA領域スコアは、以下の相関係数に従って(例えば、達成するために定義され)相関される:LOH領域スコア及びTAI領域スコア=0.69(p=10-39)、LOHとLSTとの間=0.55(p=2*10-19)、及びTAIとLSTとの間=0.39(p=10-9)。
【0141】
いくつかの実施形態では、本方法は、LOH領域スコア及びTAI領域スコアを以下のように組み合わせて、BRCA1/2欠損を検出し、かつ/又は治療応答(例えば、白金療法応答、例えば、シスプラチン)を予測する:組み合わせたCA領域スコア=0.32*LOH領域スコア+0.68*TAI領域スコア。いくつかの実施形態では、本方法は、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを以下のように組み合わせて、BRCA1/2欠損を検出し、かつ/又は治療応答(例えば、白金療法応答、例えば、シスプラチン)を予測する:組み合わせたCA領域スコア=0.21*LOH領域スコア+0.67*TAI領域スコア+0.12*LST領域スコア。いくつかの実施形態では、本方法は、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを以下のように組み合わせて、BRCA1/2欠損を検出し、かつ/又は治療応答(例えば、白金療法応答、例えば、シスプラチン)を予測する:組み合わせたCA領域スコア=0.11*LOH領域スコア0.25*TAI領域スコア+0.12*LST領域スコア。いくつかの実施形態では、本方法は、LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアを以下のように組み合わせて、BRCA1/2欠損を検出し、かつ/又は治療応答(例えば、白金療法応答、例えば、シスプラチン)を予測する:組み合わせたCA領域スコア=LOH領域スコア、TAI領域スコア、及びLST領域スコアの算術平均。
【0142】
いくつかの実施形態では、BRCA欠損状態及びHRD状態を組み合わせて、治療応答を予測すし得る。例えば、本開示は、DNA損傷剤(例えば、白金剤、例えば、シスプラチン)、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへの患者(例えば、三重陰性乳がん患者)の応答を予測する方法を含み得、本方法は、
患者試料由来のがん細胞において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域(例えば、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、インジケータLST領域、又はそれらの任意の組み合わせ)の数を決定することと、
患者試料由来のがん細胞が、BRCA1又はBRCA2が欠損しているかどうか(例えば、有害な変異、高プロモーターメチル化)を決定することと、
試料において、(a)インジケータCA領域の当該数が参照数よりも多いか、又は(b)BRCA1若しくはBRCA2欠損があるか、あるいは(a)及び(b)の両方のいずれかである患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む。
【0143】
追加の特定の実施形態
実施形態1.DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへの患者の応答を予測するインビトロ方法であって、
(1)がん細胞を含む試料において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
(2)試料において、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域の当該数が参照数よりも多い患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0144】
実施形態2.当該少なくとも1対のヒト染色体が、ゲノム全体を表す、実施形態1の方法。
【0145】
実施形態3.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態1又は実施形態2の方法。
【0146】
実施形態4.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態1~3のうちのいずれか1つの方法。
【0147】
実施形態5.インジケータLOH領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータTAI領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータLST領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40 45、50以上である、実施形態1~4のうちのいずれか1つの方法。
【0148】
実施形態6.当該インジケータLOH領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、完全染色体又は完全染色体アームのいずれかより少ないLOH領域と定義され、当該インジケータTAI領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、セントロメアを横断して延びていないTAI領域と定義され、当該インジケータLST領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるLST領域と定義される、実施形態1~5のうちのいずれか1つの方法。
【0149】
実施形態7.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態1~6のうちのいずれか1つの方法。
【0150】
実施形態8.当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断された当該患者に、当該がん治療レジメンを施すことを更に含む、実施形態1~7のうちのいずれか1つの方法。
【0151】
実施形態9.白金剤を含むがん治療レジメンへの患者の応答を予測するためのインビトロ方法であって、
(1)がん細胞を含む試料において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
(2)がん細胞を含む試料が、BRCA1又はBRCA2が欠損しているかどうかを決定することと、
(3)試料において、(a)インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、若しくはインジケータLST領域の当該数が参照数よりも多いか、又は(b)BRCA1若しくはBRCA2欠損があるか、あるいは(a)及び(b)の両方のいずれかである患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0152】
実施形態10.当該少なくとも1対のヒト染色体が、ゲノム全体を表す、実施形態9の方法。
【0153】
実施形態11.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態9又は実施形態10の方法。
【0154】
実施形態12.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態9~11のうちのいずれか1つの方法。
【0155】
実施形態13.インジケータLOH領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータTAI領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータLST領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40 45、50以上である、実施形態9~12のうちのいずれか1つの方法。
【0156】
実施形態14.当該インジケータLOH領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、完全染色体又は完全染色体アームのいずれかより少ないLOH領域と定義され、当該インジケータTAI領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、セントロメアを横断して延びていないTAI領域と定義され、当該インジケータLST領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるLST領域と定義される、実施形態9~13のうちのいずれか1つの方法。
【0157】
実施形態15.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態9~14のうちのいずれか1つの方法。
【0158】
実施形態16.有害な変異、ヘテロ接合性の喪失、又は高いメチル化が、当該試料中のBRCA1又はBRCA2のいずれかにおいて検出される場合、当該試料が、BRCA1又はBRCA2が欠損する、実施形態9~15のうちのいずれか1つの方法。
【0159】
実施形態17.分析されたBRCA1又はBRCA2プロモーターCpGの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%以上においてメチル化が検出された場合、高いメチル化が検出される、実施形態16の方法。
【0160】
実施形態18.DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへの患者の応答を予測するインビトロ方法であって、
(1)がん細胞を含む試料において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
(2)当該インジケータCA領域の数から導出された試験値を提供することと、
(3)当該試験値を、参照集団における当該インジケータCA領域の数に由来する1つ以上の参照値と比較することと、
(4)試料において、当該試験値が当該1つ以上の参照値よりも大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0161】
実施形態19.当該少なくとも1対のヒト染色体が、ゲノム全体を表す、実施形態18の方法。
【0162】
実施形態20.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態18又は実施形態19の方法。
【0163】
実施形態21.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態18~20のうちのいずれか1つの方法。
【0164】
実施形態22.インジケータLOH領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータTAI領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータLST領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40 45、50以上である、実施形態18~21のうちのいずれか1つの方法。
【0165】
実施形態23.当該インジケータLOH領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、完全染色体又は完全染色体アームのいずれかより少ないLOH領域と定義され、当該インジケータTAI領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、セントロメアを横断して延びていないTAI領域と定義され、当該インジケータLST領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるLST領域と定義される、実施形態18~22のうちのいずれか1つの方法。
【0166】
実施形態24.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態18~23のうちのいずれか1つの方法。
【0167】
実施形態25.試料において当該試験値が、当該1つ以上の参照数よりも大きくない患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有しないと診断することと、(5)(a)当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断された当該患者において、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、若しくはPARP阻害剤を含む治療レジメンを推奨するか、処方するか、開始するか、若しくは継続すること、又は(5)(b)当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有しないと診断された当該患者において、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含まない治療レジメンを推奨するか、処方するか、開始するか、若しくは継続することのいずれかと、を更に含む、実施形態18~24のうちのいずれか1つの方法。
【0168】
実施形態26.当該試験値が、当該試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数の算術平均を以下のとおりに計算することによって導出され:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)
3
当該1つ以上の参照値が、当該参照集団由来の試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数の算術平均を以下のように計算することによって導出された、実施形態18~25のうちのいずれか1つの方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)
3
【0169】
実施形態27.試料において、当該試験値が、当該1つ以上の参照数よりも少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、若しくは10倍大きいか、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10標準偏差大きいか、又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することを含む、実施形態18~26のうちのいずれか1つの方法。
【0170】
実施形態28.がん患者を治療する方法であって、
(1)がん細胞を含む試料において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、及びインジケータLST領域を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
(2)当該インジケータCA領域の数から導出された試験値を提供することと、
(3)当該試験値を、参照集団における当該インジケータCA領域の数に由来する1つ以上の参照値と比較することと、
(4)(a)試料において試験値が少なくとも1つの当該参照値より大きい患者において、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、若しくはPARP阻害剤を含む治療レジメンを推奨するか、処方するか、開始するか、若しくは継続すること、又は
(4)(b)試料において試験値が少なくとも1つの当該参照値よりも大きくない患者において、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含む治療レジメンを推奨するか、処方するか、開始するか、若しくは継続することのいずれかと、を含む方法。
【0171】
実施形態29.当該少なくとも1対のヒト染色体が、ゲノム全体を表す、実施形態28の方法。
【0172】
実施形態30.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態28又は実施形態29の方法。
【0173】
実施形態31.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態28~30のうちのいずれか1つの方法。
【0174】
実施形態32.インジケータLOH領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータTAI領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50以上であり、インジケータLST領域の参照数が、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40 45、50以上である、実施形態28~31のうちのいずれか1つの方法。
【0175】
実施形態33.当該インジケータLOH領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、完全染色体又は完全染色体アームのいずれかより少ないLOH領域と定義され、当該インジケータTAI領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるが、セントロメアを横断して延びていないTAI領域と定義され、当該インジケータLST領域が、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50メガ塩基以上の長さであるLST領域と定義される、実施形態28~32のうちのいずれか1つの方法。
【0176】
実施形態34.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態28~33のうちのいずれか1つの方法。
【0177】
実施形態35.当該試験値が、当該試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数の算術平均を以下のとおりに計算することによって導出され:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)
3
当該1つ以上の参照値が、当該参照集団由来の試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数の算術平均を以下のように計算することによって導出された、実施形態28~34のうちのいずれか1つの方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)
3
【0178】
実施形態36.試料において、当該試験値が、当該1つ以上の参照数よりも少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、若しくは10倍大きいか、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10標準偏差大きいか、又は少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することを含む、実施形態28~35のうちのいずれか1つの方法。
【0179】
実施形態37.がん細胞又はそのゲノムDNAにおけるHRDを評価するための方法であって、当該方法が、
(a)がん細胞又はそれに由来するゲノムDNAにおいて、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域を検出することであって、当該少なくとも1対のヒト染色体が、ヒトX/Y性染色体対ではない、検出することと、
(b)当該少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数を決定することと、を含む、方法。
【0180】
実施形態38.がん細胞におけるBRCA1及びBRCA2遺伝子の状態を予測する方法であって、
がん細胞において、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数を決定することと、
がん細胞において、当該総数が参照数よりも大きい患者を、BRCA1又はBRCA2遺伝子の欠損の可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0181】
実施形態39.がん細胞におけるHDRの状態を予測する方法であって、
がん細胞において、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数を決定することと、
がん細胞において、当該総数が参照数よりも大きい患者を、HDRの欠損の可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0182】
実施形態40.DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法であって、当該方法が、
当該がん患者由来のがん細胞において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の数を決定することと、
がん細胞において、当該総数が参照数よりも大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0183】
実施形態41.治療レジメンへのがん患者の応答を予測する方法であって、
当該がん患者由来のがん細胞において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数を決定することと、
がん細胞において、当該総数が参照数よりも大きい患者を、パクリタキセル又はドセタキセルを含む治療レジメンに応答しない可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0184】
実施形態42.がんを治療する方法であって、
(a)がん患者由来のがん細胞又はそれから得られたゲノムDNAにおいて、がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数を決定することと、
(b)当該がん患者に、当該インジケータCA領域の総数が参照数よりも多い場合、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬物を含むがん治療レジメンを施すことと、を含む、方法。
【0185】
実施形態43.合計5つ以上のインジケータCA領域を有すると決定されたがん細胞を有すると特定された患者におけるがんを治療するのに有用な医薬品の製造のための、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬物の使用。
【0186】
実施形態44.がん患者のがん細胞のLOH状態を決定するためのシステムであって、
(a)当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体のゲノムDNAについての複数のシグナルを生成するように構成された試料分析器と、
(b)当該複数のシグナルに基づいて、当該少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の数を計算するようにプログラムされたコンピュータサブシステムと、を備える、システム。
【0187】
実施形態45.当該コンピュータサブシステムが、インジケータCA領域の当該数を参照数と比較して
(a)当該がん細胞におけるBRCA1及び/若しくはBRCA2遺伝子の欠損の可能性、
(b)当該がん細胞におけるHDRの欠損の可能性、又は
(c)当該がん患者が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性を決定するようにプログラムされている、実施形態8のシステム。
【0188】
実施形態46.コンピュータ上で実行する場合、
ヒト染色体のうちの1つ以上に沿った任意のインジケータCA領域の存在又は不在を検出することと、
当該1つ以上の染色体対における当該インジケータCA領域の総数を決定することと、を含むステップを実施する、コンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【0189】
実施形態47.診断キットであって、
ヒトゲノムDNAの複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる少なくとも500個のオリゴヌクレオチドと、
実施形態10のコンピュータプログラム製品と、を含む、診断キット。
【0190】
実施形態48.ヒトゲノムDNAの複数の多型領域にハイブリダイゼーションすることができる複数のオリゴヌクレオチドの使用であって、がん患者から得られたヒトがん細胞の少なくとも染色体対におけるインジケータCA領域の総数を決定するのに有用な診断キットの製造、及び
(a)当該がん細胞におけるBRCA1若しくはBRCA2遺伝子の欠損の可能性の増加、
(b)当該がん細胞におけるHDRの欠損の可能性の増加、又は
(c)当該がん患者が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、若しくはPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性の増加を検出するための、使用。
【0191】
実施形態49.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域であり、任意選択で、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態37~42のうちのいずれか1つの方法。
【0192】
50.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態36~42のうちのいずれか1つの方法。
【0193】
実施形態51.インジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態36~42のうちのいずれか1つの方法。
【0194】
実施形態52.インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域が、約6、12、又は15メガ塩基以上の長さを有すると定義される、実施形態36~42のうちのいずれか1つの方法。
【0195】
実施形態53.当該参照数が、6、7、8、9、10、11、12、又は13以上である、実施形態36~42のうちのいずれか1つの方法。
【0196】
実施形態54.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域であり、任意選択で、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態43又は48の使用。
【0197】
実施形態55.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態43又は48の使用。
【0198】
実施形態56.インジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態43又は48の使用。
【0199】
実施形態57.インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域が、約6、12、又は15メガ塩基以上の長さを有すると定義される、実施形態43又は48の使用。
【0200】
実施形態58.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域であり、任意選択で、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態44又は45のシステム。
【0201】
実施形態59.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態44又は45のシステム。
【0202】
実施形態60.インジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態44又は45のシステム。
【0203】
実施形態61.インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域が、約6、12、又は15メガ塩基以上の長さを有すると定義される、実施形態44又は45のシステム。
【0204】
実施形態62.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域であり、任意選択で、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0205】
実施形態63.当該がん細胞が、卵巣がん細胞、乳がん細胞、又は食道がん細胞である、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0206】
実施形態64.インジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0207】
実施形態65.インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域が、約6、12、又は15メガ塩基以上の長さを有すると定義される、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0208】
実施形態66.当該少なくとも1対のヒト染色体が、ヒト染色体17ではない、実施形態36~42のうちのいずれか1つの方法。
【0209】
実施形態67.当該インジケータCA領域が、ヒト染色体17にない、実施形態43又は48の使用。
【0210】
実施形態68.当該インジケータCA領域が、ヒト染色体17にない、実施形態44又は45のシステム。
【0211】
実施形態69.当該インジケータCA領域が、ヒト染色体17にない、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0212】
実施形態70.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態40又は42の方法。
【0213】
実施形態71.当該DNA損傷剤が、白金系化学療法薬であるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態48の使用。
【0214】
実施形態72.当該DNA損傷剤が、白金系化学療法薬であるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態45のシステム。
【0215】
実施形態73.当該DNA損傷剤が、白金系化学療法薬であるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態46のコンピュータプログラム製品。
【0216】
実施形態74.方法であって、
(a)がん細胞又はそれに由来するゲノムDNAにおいて、がん細胞の代表的な数の対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域を検出することと、
(b)当該インジケータCA領域の数及びサイズを決定することと、を含む、方法。
【0217】
実施形態75.当該代表的な数の対のヒト染色体が、ゲノム全体を表す、実施形態74の方法。
【0218】
実施形態76.特定のサイズのインジケータCA領域の数の増加を、HDRの欠損の可能性の増加と相関させることを更に含む、実施形態74の方法。
【0219】
実施形態77.当該特定のサイズが、約1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、75、又は100メガ塩基より長く、インジケータCA領域を含有する染色体全体の長さよりも短い、実施形態76の方法。
【0220】
実施形態78.当該特定のサイズの6、7、8、9、10、11、12、又は13個以上のインジケータCA領域が、HDRの欠損の可能性の増加に相関する、実施形態76又は77のいずれかの方法。
【0221】
実施形態79.がん患者の予後を決定する方法であって、
(a)がん細胞を含む試料が、HRDシグネチャを有するかどうかを決定することであって、がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む、参照数を超えるインジケータCA領域の存在は、がん細胞が、HRDシグネチャを有することを示す、決定することと、
(b)(1)試料においてHRDシグネチャが検出された患者を、比較的良好な予後を有すると診断するか、又は
(b)(2)試料においてHRDシグネチャが検出されなかった患者を、比較的不良な予後を有すると診断することと、を含む方法
【0222】
実施形態80.患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体における参照数を超えるインジケータCA領域を有する患者における、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、食道がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、及び膵臓がんからなる群から選択される疾患がんの治療における使用のための、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される治療剤を含む、組成物。
【0223】
実施形態81.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態80の組成物。
【0224】
実施形態82.当該インジケータCA領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態80の組成物。
【0225】
実施形態83.当該第1の長さが、約6、12、又は15メガ塩基以上である、実施形態80の組成物。
【0226】
実施形態84.当該参照数が、6、7、8、9、10、11、12、又は13以上である、実施形態80の組成物。
【0227】
実施形態85.患者においてがんを治療する方法であって、
当該がん患者由来の試料において、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示すがん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
当該インジケータCA領域の数から導出された試験値を提供することと、
当該試験値を、参照集団における当該インジケータCA領域の数から導出された1つ以上の参照値(例えば、平均、中央値、三分位、四分位、五分位など)と比較することと、
試験値が少なくとも1つの当該参照値よりも大きい(例えば、少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍大きい、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、当該患者に抗がん剤を投与するか、又は化学療法及び/若しくは合成致死剤を含む治療レジメンを推奨するか、処方するか、若しくは開始するか、あるいは、
試験値が少なくとも1つの当該参照値よりも大きくない(例えば、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍以下で大きい、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差以下で大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、化学療法及び/若しくは合成致死剤を含まない治療レジメンを推奨するか、処方するか、若しくは開始することと、を含む、方法。
【0228】
実施形態86.当該インジケータCA領域が、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態85の方法。
【0229】
実施形態87.当該インジケータCA領域の総数が、9、15、20以上である、実施形態85の方法。
【0230】
実施形態88.当該第1の長さが、約6、12、又は15メガ塩基以上である、実施形態85の方法。
【0231】
実施形態89.当該参照数が、6、7、8、9、10、11、12、又は13以上である、実施形態85の方法。
【0232】
実施形態90.当該化学療法が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、及びトポイソメラーゼI阻害剤からなる群から選択され、かつ/又は当該合成致死剤が、PARP阻害剤薬物である、実施形態85の方法。
【0233】
実施形態91.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであり、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであり、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであり、かつ/又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態85の方法。
【0234】
実施形態92.がん細胞又はそのゲノムDNAにおけるHRDを評価するための方法であって、当該方法が、
(a)がん細胞又はそれに由来するゲノムDNAにおいて、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域を検出することであって、当該少なくとも1対のヒト染色体が、ヒトX/Y性染色体対ではない、検出することと、
(b)当該少なくとも1対のヒト染色体において検出された各種類のインジケータCA領域の数の平均を計算することによって、インジケータCA領域の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定すること(例えば、16個のインジケータLOH領域及び18個のインジケータLST領域の場合、算術平均は、17と計算される)と、を含む、方法。
【0235】
実施形態93.がん細胞におけるBRCA1及びBRCA2遺伝子の状態を予測する方法であって、
がん細胞において、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む、各種類のインジケータCA領域の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定することと、
参照数よりも大きい総数にわたる当該平均(例えば、算術平均)を、BRCA1又はBRCA2遺伝子における欠損の可能性の増加と相関させることと、を含む、方法。
【0236】
実施形態94.がん細胞におけるHDRの状態を予測する方法であって、
がん細胞において、当該がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む、各種類のインジケータCA領域の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定することと、
参照数よりも大きい総数にわたる当該平均(例えば、算術平均)を、HDRにおける欠損の可能性の増加と相関させることと、を含む、方法。
【0237】
実施形態95.DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへのがん患者応答を予測する方法であって、当該方法が、
がん細胞を含む試料において、当該試料の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の各種類の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定すること(例えば、16個のインジケータLOH領域及び18個のインジケータLST領域の場合、算術平均は、17と決定される)と、
試料において、総数にわたる当該平均(例えば、算術平均)が、参照数よりも大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0238】
実施形態96.治療レジメンへのがん患者応答を予測する方法であって、
がん細胞を含む患者試料において、当該患者試料の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む、インジケータCA領域の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定することと、
試料において、総数にわたる当該平均(例えば、算術平均)が、参照数よりも大きい患者を、パクリタキセル又はドセタキセルを含む治療レジメンに応答しない可能性の増加を有すると診断することと、を含む、方法。
【0239】
実施形態97.がんを治療する方法であって、
(a)がん細胞又はそれから得られるゲノムDNAを含む患者試料において、がん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む、各種類のインジケータCA領域の総数にわたる平均(例えば、算術平均)を決定することと、
(b)試料において、インジケータCA領域の当該総数が参照数よりも多い患者に、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される1つ以上の薬物を含むがん治療レジメンを施すことと、を含む、方法。
【0240】
実施形態98.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態95又は97の方法。
【0241】
実施形態99.患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含むインジケータCA領域の種類にわたる参照数を超える平均(例えば、算術平均)を有する患者における、乳がん、卵巣がん、肝臓がん、食道がん、肺がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、及び膵臓がんからなる群から選択される疾患がんの治療における使用のための、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、及びPARP阻害剤からなる群から選択される治療剤を含む、組成物。
【0242】
実施形態100.患者においてがんを治療する方法であって、
当該患者由来の試料において、がん細胞がHRDシグネチャを有することを示すがん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータCA領域の総数の平均(例えば、算術平均)を決定することと、
インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、又はインジケータLST領域から選択される少なくとも2種類を含む当該インジケータCA領域の各種類の数にわたる平均(例えば、算術平均)から導出された試験値を提供することと、
当該試験値を、参照集団におけるインジケータCA領域の種類にわたる当該平均(例えば、算術平均)の数から導出された1つ以上の参照値(例えば、平均、中央値、三分位、四分位、五分位など)と比較することと、
試験値が少なくとも1つの当該参照値よりも大きい(例えば、少なくとも2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍大きい、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、当該患者に抗がん剤を投与するか、又は化学療法及び/若しくは合成致死剤を含む治療レジメンを推奨するか、処方するか、若しくは開始するか、あるいは、
試験値が少なくとも1つの当該参照値よりも大きくない(例えば、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、又は10倍以下で大きい、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10標準偏差以下で大きい)ことを明らかにする当該比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、化学療法及び/若しくは合成致死剤を含まない治療レジメンを推奨するか、処方するか、若しくは開始することと、を含む、方法。
【0243】
実施形態101.インジケータCA領域の種類にわたる当該平均(例えば、算術平均)が、少なくとも2、5、10、又は21対のヒト染色体において決定される、実施形態100の方法。
【0244】
実施形態102.当該化学療法が、DNA損傷剤、アントラサイクリン、及びトポイソメラーゼI阻害剤からなる群から選択され、かつ/又は当該合成致死剤が、PARP阻害剤薬物である、実施形態100の方法。
【0245】
実施形態103.当該DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであり、当該アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであり、当該トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであり、かつ/又は当該PARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態100の方法。
【0246】
実施形態104.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態1の方法。
【0247】
実施形態105.当該参照数が、42である、実施形態104の方法。
【0248】
実施形態106.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態9の方法。
【0249】
実施形態107.当該参照数が、42である、実施形態106の方法。
【0250】
実施形態108.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態18の方法。
【0251】
実施形態109.当該参照数が、42である、実施形態108の方法。
【0252】
実施形態110.当該参照数が、42である、実施形態28の方法。
【0253】
実施形態111.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態37の方法。
【0254】
実施形態112.当該参照数が、42である、実施形態111の方法。
【0255】
実施形態113.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態38の方法。
【0256】
実施形態114.当該参照数が、42である、実施形態113の方法。
【0257】
実施形態115.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態39の方法。
【0258】
実施形態116.当該参照数が、42である、実施形態115の方法。
【0259】
実施形態117.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態40の方法。
【0260】
実施形態118.当該参照数が、42である、実施形態117の方法。
【0261】
実施形態119.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態41の方法。
【0262】
実施形態120.当該参照数が、42である、実施形態119の方法。
【0263】
実施形態121.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態42の方法。
【0264】
実施形態122.当該参照数が、42である、実施形態121の方法。
【0265】
実施形態123.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態79の方法。
【0266】
実施形態124.当該参照数が、42である、実施形態123の方法。
【0267】
実施形態125.当該インジケータCA領域が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせである、実施形態85の方法。
【0268】
実施形態126.当該参照数が、42である、実施形態125の方法。
【0269】
実施形態127.DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンへの患者の応答を予測するインビトロ方法であって、
(1)がん細胞を含む試料において、当該がん患者のがん細胞の少なくとも1対のヒト染色体におけるインジケータLOH領域、インジケータTI領域、及びインジケータLST領域を含むインジケータCA領域の数を決定することと、
(2)当該インジケータCA領域を組み合わせて、以下のとおり試験値を提供することと、試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)、
(3)当該試験値と比較するための参照値を提供することと、を含む、方法。
【0270】
実施形態128.当該参照値が、HDR欠損患者の訓練コホートにおけるインジケータCA領域スコアの5パーセンタイルを表す、実施形態127の方法。
【0271】
実施形態129.当該参照値が、42である、実施形態127又は実施形態128の方法。
【0272】
実施形態130.当該試験値を当該基準値と比較することを更に含む、実施形態127~129のうちのいずれか1つの方法。
【0273】
実施形態131.試料において、当該試験値が当該参照値よりも大きい患者を、当該がん治療レジメンに応答する可能性の増加を有すると診断することを更に含む、実施形態127~130のうちのいずれか1つの方法。
【0274】
実施形態132.当該決定するステップが、当該試料をアッセイして、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、又は少なくとも22個の常染色体対における少なくとも150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、60,000、70,000 80,000、90,000、100,000、125,000、150,000、175,000、200,000、250,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000、1,000,000個以上の多型ゲノム遺伝子座について、各対立遺伝子のコピー数を測定することを含む、実施形態127~131のうちのいずれか1つの方法。
【0275】
実施形態133.当該決定するステップが、少なくとも10個の常染色体対における当該多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを含む、実施形態132の方法。
【0276】
実施形態134.22個の常染色体対における当該多型ゲノム遺伝子座の実施形態133の方法。
【0277】
実施形態135.当該決定するステップが、当該試料をアッセイして、当該常染色体対における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座について各対立遺伝子のコピー数を測定することを含む、実施形態132~134のうちのいずれか1つの方法。
【0278】
実施形態136.当該決定するステップが、当該試料をアッセイして、当該常染色体対における少なくとも10,000個の多型ゲノム遺伝子座について各対立遺伝子のコピー数を測定することを含む、実施形態135の方法。
【0279】
実施形態137.当該決定するステップが、当該試料をアッセイして、当該常染色体対における少なくとも50,000個の多型ゲノム遺伝子座について各対立遺伝子のコピー数を測定することを含む、実施形態136の方法。
【0280】
実施形態138.患者の三重陰性乳がん(TNBC)細胞の相同組換え(HR)欠損状態を決定するための方法であって、(1)患者のTNBC細胞を含む試料において、少なくとも1対のヒト染色体におけるヘテロ接合性の喪失(LOH)、テロメア対立遺伝子不均衡(TAI)、及び大規模な状態遷移(LST)領域の組み合わせた数を決定すること、(2)LOH、TAI、及びLST領域の組み合わせた数が32超である場合、ER+BCがん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定することを含む方法。
【0281】
実施形態139.インジケータLOH領域が、1.5メガ塩基の長さよりも長いが、LOH領域が位置するそれぞれの染色体の全長よりも短い、実施形態138の方法。
【0282】
実施形態140.インジケータLOH領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、実施形態139の方法。
【0283】
実施形態141.インジケータLOH領域が、少なくとも15メガ塩基の長さである、実施形態139の方法。
【0284】
実施形態142.インジケータTAI領域が、(i)サブテロメアのうちの1つまで延び、(ii)セントロメアを横断せず、かつ(iii)1.5メガ塩基の長さよりも長い対立遺伝子不均衡を有する領域である、実施形態138~141のうちのいずれか1つの方法。
【0285】
実施形態143.インジケータTAI領域が、少なくとも10メガ塩基の長さである、実施形態142のうちのいずれか1つの方法。
【0286】
実施形態144.インジケータLST領域が、3メガ塩基の長さよりも短い領域をフィルタリングした後、少なくとも10メガ塩基の長さの2つの領域の間にある染色体の長さに沿った体細胞コピー数ブレークポイントを含む領域である、実施形態138~143のうちのいずれか1つの方法。
【0287】
実施形態145.がん細胞は、組み合わせた数が38以上である場合、HR欠損と特定される、実施形態138~144のうちのいずれか1つの方法。
【0288】
実施形態146.がん細胞は、組み合わせた数が42以上である場合、HR欠損と特定される、実施形態138~144のうちのいずれか1つの方法。
【0289】
実施形態147.少なくとも1対のヒト染色体が、常染色体である、実施形態138~146のうちのいずれか1つの方法。
【0290】
実施形態148.ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせた数が、少なくとも10対の常染色体において決定される、実施形態138~146のうちのいずれか1つの方法。
【0291】
実施形態149.ヒト染色体が、常染色体であり、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数が、少なくとも15対の常染色体において決定される、実施形態138~146のうちのいずれか1つの方法。
【0292】
実施形態150.各常染色体対における少なくとも150個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含む、実施形態147~149のうちのいずれか1つの方法。
【0293】
実施形態151.少なくとも20個のヒト染色体における少なくとも5,000個の多型ゲノム遺伝子座をアッセイすることを更に含み、染色体が、常染色体である、実施形態138~146のうちのいずれか1つの方法。
【0294】
実施形態152.インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の組み合わせた数から導出された試験値を計算することと、試験値が参照値を超える場合、がん細胞をHR欠損と特定することと、を更に含み、参照値が、33以上の参照数から導出される、実施形態138~151のうちのいずれか1つの方法。
【0295】
実施形態153.試験値が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域の数の算術平均であり、参照値が、8以上である、実施形態152の方法。
【0296】
実施形態154.試験値が、試料におけるインジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数の算術平均を以下のとおりに計算することによって導出される、実施形態152又は153の方法:
試験値=(インジケータLOH領域の数)+(インジケータTAI領域の数)+(インジケータLST領域の数)÷3。
【0297】
実施形態155.がん細胞をHR欠損の可能性が高いと特定することに基づいて、患者を、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、又はPARP阻害剤を含むがん治療レジメンに応答する可能性が高いと特定することを更に含む、実施形態138~154のうちのいずれか1つの方法。
【0298】
実施形態156.DNA損傷剤が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサラプラチン、若しくはピコプラチンであるか、アントラサイクリンが、エピルビンシン若しくはドキソルビシンであるか、トポイソメラーゼI阻害剤が、カンポテシン、トポテカン、若しくはイリノテカンであるか、又はPARP阻害剤が、イニパリブ、オラパリブ、若しくはベラピリブである、実施形態155の方法。
【0299】
実施形態157.治療レジメンを施すか、推奨するか、又は処方することを更に含む、実施形態155又は156の方法。
【0300】
実施形態158.乳がん細胞が、BRAC1/2欠損である、実施形態138~157のうちのいずれか1つの方法。
【0301】
実施形態159.組み合わせた数が、インジケータLOH領域、インジケータTAI領域、及びインジケータLST領域の数からなる、実施形態138~158のうちのいずれか1つの方法。
【0302】
本発明は、以下の実施例で更に説明され、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0303】
実施例1-乳がんサブタイプにわたるLOH及びTAI領域スコア並びにBRCA1/2欠損との関連
全ゲノム腫瘍LOHプロファイルに基づくLOHシグネチャは、卵巣がんにおけるBRCA1/2及び他のHDR経路遺伝子の欠陥と高度に相関するように開発されており(Abkevich,et al.,Patterns of Genomic Loss of Heterozygosity Predict Homologous Recombination Repair Defects,BR.J.CANCER(2012))、これは、乳がんにおけるDNA損傷剤(例えば、白金系ネオアジュバント)療法に対する応答を予測する(Telli et al.,Homologous Recombination Deficiency(HRD)score predicts response following neoadjuvant platinum-based therapy in triple-negative and BRCA1/2 mutation-associated breast cancer(BC),CANCER RES.(2012))。TAIスコアに基づく第2のスコアはまた、BRCA1/2欠損との強い相関を示し、三重陰性乳がんにおけるプラチナ治療に対する応答を予測する(Birkbak et al.,Telomeric allelic imbalance indicates defective DNA repair and sensitivity to DNA-damaging agents,CANCER DISCOV.(2012))。この研究は、ER/PR/HER2状態によって定義される、乳がんサブタイプにわたるBRCA1/2欠陥の頻度及びLOH又はTAI領域スコアの上昇を調べた。
【0304】
凍結腫瘍を3つの商業的組織バイオバンクから購入した。4つの乳がんサブタイプ(三重陰性、ER+/HER2-、ER-/HER2+、ER+/HER2+)の各々から、約50個の無作為に確認された腫瘍を分析のために選択した。BRCA1、BRCA2、及び全ゲノムにわたる50,000個の選択されたSNPを標的とする、標的化されたカスタムハイブリダイゼーションパネルを開発した。このパネルを、Illumina HiSeq2500での配列決定と組み合わせて使用して、大きい再配列を含むBRCA1/2体細胞及び生殖細胞系列の変異並びにSNP対立遺伝子量について腫瘍を分析した。BRCA1プロモーターメチル化を、qPCRアッセイ(SA Biosciences)によって決定した。利用可能な場合、正常組織由来のDNAを使用して、有害な変異が生殖細胞系列であるか体細胞であるかを決定した。
【0305】
SNPデータを、各SNP位置で最も可能性の高い対立遺伝子特異的コピー数を決定するアルゴリズムを使用して分析した。LOH領域スコアを、15Mb超の長さであるが、完全な染色体の長さよりも短いLOH領域の数を計数することによって計算した。TAI領域スコアは、11Mb超の長さであるが、セントロメアを横断しない対立遺伝子不均衡を有するテロメア領域の数を計数することによって計算された。低品質のSNPデータ及び/又は正常DNAによる高い汚染を有する試料を除外した。213個の試料のうち191個は、堅牢なスコアを得た。
【表2】
【表3】
【表4】
【0306】
図5は、乳がんIHCサブタイプにわたるLOH及びTAI領域スコアを示している。 5A: LOHスコア、5B:TAIスコア。青色のバー:BRCA1/2欠損の試料。赤色のバー:BRCA1/2無傷の試料。
図6は、LOH領域スコアとTAI領域スコアとの間の相関関係を示している(相関係数=0.69)。X軸:LOHスコア、Y軸:TAIスコア、赤色のドット:無傷の試料、青色のドット: BRCA1/2欠損の試料。ドット下の面積は、LOHスコア及びTAIスコアの組み合わせを有する試料の数に比例する(p=10
-39)。
【0307】
ロジスティック回帰分析を使用して、LOH及びTAIスコアに基づいてBRCA1/2欠損を予測した。両方のスコアは、多変量分析において有意であった(LOHのカイ二乗は、10.8であり、TAIについては、44.7であり、p=0.001及び2.3*10-11)。BRCA1/2欠損の試料と無傷の試料とを区別するための最良のモデルは、0.32*LOH領域スコア+0.68*TAI領域スコア(p=9*10-18)である。
【0308】
結論:LOH及びTAI領域スコアの上昇は、各々、乳がんの全てのサブタイプにおけるBRCA1/2欠損と高度に関連しており、LOH及びTAI領域スコアは、非常に有意に相関しており、組み合わせたCA領域スコア(すなわち、LOH及びTAIを組み合わせたもの)は、このデータセットにおけるBRCA1/2欠損と最適な相関を示す。LOH-HRD及びTAI-HRDスコアの組み合わせは、本開示に基づいて、三重陰性乳がんにおけるDNA損傷剤及び他の薬剤(例えば、プラチナ療法)への応答を予測し、プラチナの使用を他の乳がんサブタイプに拡大することを可能にすることができる。
【0309】
実施例2-乳がんサブタイプにわたるLOH、TAI、及びLST領域スコア並びにBRCA1/2欠損との関連
SNP対立遺伝子の頻度比を得て、実施例1に記載のように、LOH、TAI及びLST領域スコアを計算するために使用した。LSTスコアは、3メガ塩基よりも短い領域をフィルタリングした後、安定したコピー数を有する10メガ塩基よりも長い領域間のブレークポイントの数と定義された。LSTスコアが、無傷の試料及び欠損の試料の両方内の倍数性とともに増加したことを観察した。したがって、この実施例2では倍数特異的カットオフを使用する代わりに、倍数によって調整することによってLST領域スコアを修正した。LSTm=LST-kP、式中、Pは、倍数性であり、kは、定数である。結果として欠損、及び予測因子としてLST及びPを用いた多変量ロジスティック回帰分析に基づいて、k=15.5。
【0310】
214個の試料のうち191個は、使用されたQC基準に合格したスコアを与えた。これらの試料のうち38個は、BRCA1/2欠損であった。LOH領域スコアのKolmogorov-Smirnov検定による対応するp値は、8*10
-12であり、TAI領域スコアは、2*10
-16であり、LST領域スコアは、8*10
-8である。53/191試料は、BRCA1/2欠損であった22個を含む三重陰性乳がんであった。対応するp値は、LOH、TAI、及びLST領域スコアについてそれぞれ、6*10
-6、3*10
-6、及び0.0002 であった。各個々の乳がんサブタイプに対して同じ分析を実施する場合、スコアのうちの少なくとも1つを有する全てのサブタイプについて有意なp値も見られる(表5)。スコアの分布は、
図7A~7CにBRCA1/2欠損対BRCA1/2無傷の試料について示される。
【0311】
次いで、スコアを分析して、それらが相関しているかどうかを決定した(
図2D~2F)。LOH領域スコアとTAI領域スコアとの間の相関係数は、0.69(p=10
-39)であり、LOHとLSTとの間は、0.55(p=2*10
-19)であり、TAIとLSTとの間は、0.39(p=10
-9)であった。
【0312】
ロジスティック回帰分析を使用して、LOH、TAI、及びLST領域スコアに基づいてBRCA1/2欠損を予測した。3つのスコアは全て、多変量分析において有意であった(LOHについてのカイ二乗は、5.1(p=0.02)であり、TAIについては、44.7(p=2*10-11)であり、LSTについては、5.4(p=0.02)である)。このデータセットにおけるBRCA1/2欠損の試料と無傷の試料との区別のための最良モデルは、0.21*LOH+0.67*TAI+0.12*LST(p=10-18)であった。この実施例2は、実施例1からの結論(すなわち、LOH及びTAI領域スコアを組み合わせたモデル)を、LOH、TAI、及びLST領域スコアを組み合わせたモデルに拡張する。
【0313】
多くの試料について利用可能であった他の臨床データには、ステージ、グレード、及び診断年齢が含まれていた。ステージ情報は、64/191個の試料について利用可能であった。ステージとLOH領域スコア(0.07)及びTAI領域スコア(0.1)との間の相関係数は有意ではなかった。グレード情報は、164/191個の試料について利用可能であった。グレードとLOH領域スコア(0.33)及びTAI領域スコア(0.23)との間の相関係数は有意である(それぞれp=2*10
-5及び0.004)。診断の年齢は、184/191個の試料について知られていた。年齢とLOH領域スコア(-0.13)との間の相関係数は有意ではなかった。年齢とTAI領域スコアとの間の相関係数(-0.25)は有意であった(p=0.0009)。
【表5】
【0314】
実施例3-乳がんサブタイプにわたるLOH、TAI、及びLST領域スコアの算術平均値、並びにBRCA1/2欠損との関連性
以下の研究は、本明細書に記載のHRDスコアが、三重陰性乳がん(TNBC)におけるBRCA1/2欠損及びHR欠損を標的とする薬剤の有効性をどのように予測することができるかを示す。乳がんサブタイプにわたるBRCA1/2欠損の割合を調査するために、乳房腫瘍試料を、BRCA1/2変異及びプロモーターメチル化についてアッセイした。実施例2に記載の3つのHRDスコアを試料について決定し、次いで、LOH/TAI/LSTスコアの算術平均を使用して、BRCA1/2欠損との関連を調べた。シスプラチンで処置されたネオアジュバントTNBCコホートの分析を、3つ全てのHRDスコアと応答との間の関係に対して更に調べた。
【0315】
浸潤性乳房腫瘍試料及び一致した正常組織を、3つの商業的供給業者から得た。試料は、ER、PR、及びHER2のIHC分析によって定義される、乳がんの全てのサブタイプのほぼ等しい数を与えるように選択された。BRCA1プロモーターメチル化分析を、qPCRによって実施した。BRCA1/2変異スクリーニング及びゲノムワイドSNPプロファイルを、カスタムAgilent SureSelect XTキャプチャを使用して生成し、続いてIllumina HiSeq2500で配列決定した。これらのデータを使用して、HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアを計算した。
【0316】
SNPマイクロアレイデータ及び臨床データは、シスプラチン-1及びシスプラチン-2試験コホートの公開リポジトリからダウンロードした。BRCA1/2変異データは、これらのコホートのうちの1つについて利用可能ではなかった。3つのHRDスコア全てを、公的に利用可能なデータを使用して計算し、シスプラチンに対する応答との関連について分析した。2つのコホートを組み合わせて、パワーを改善した。
【0317】
HRDスコアを計算するために、SNPデータを、各SNP位置で最も可能性の高い対立遺伝子特異的コピー数を決定するアルゴリズムを使用して分析した。LOH-LOHを、15Mb超の長さであるが、完全な染色体の長さよりも短いLOH領域の数を計数することによって計算した。HRD-TAIスコアを、サブテロメアの1つまで延びるが、セントロメアを横断しない対立遺伝子不均衡を有する、11Mb超の長さの領域の数を計数することによって計算した。HRD-LSTスコアは、3Mbよりも短い領域をフィルタリングした後、10Mbよりも長い領域間のブレークポイントの数であった。
【0318】
組み合わせたスコアは、LOH/TAI/LSTスコアの算術平均であった。全てのp値は、従属変数としてBRCA欠損又はシスプラチンに対する応答を有するロジスティック回帰モデルからであった。
【0319】
表6は、4つの乳がんサブタイプにわたるBRCA1/2変異及びBRCA1プロモーターメチル化頻度を示す。BRCA1/2バリアント分析は、試料の100%で成功したが、大規模な再配列分析は、QC基準に合格したデータを生成する198/214個の試料では、堅牢性が低かった。有害な変異は、24/214人の個体において観察された(1つは、BRCA1において体細胞変異を有し、BRCA2において生殖細胞系列変異を有した)。一致した正常DNAは、23/24個の変異体に対して利用可能であり、特定された変異が生殖細胞系列であるか体細胞であるかを決定するために使用された。BRCA1プロモーターメチル化分析は、試料の100%で成功した。
図9は、BRCA1/2欠損の試料におけるHRDスコアを例解する。
【表6】
【0320】
表7は、参加希望者全員の乳房コホートにおける3つのHRDスコアとBRCA1/2欠損との間の関連を示す。組み合わせたスコアは、3つのHRDスコアの算術平均であった。
【表7】
【0321】
表8は、ネオアジュバント設定においてシスプラチンで処置されたTNBCにおけるHRDスコアとpCR(Miller-Payne 5)との間の関連を示す。データは、シスプラチン-1(Silver et al.,Efficacy of neoadjuvant Cisplatin in triple-negative breast cancer. J.CLIN. ONCOL.28:1145-53(2010))及びシスプラチン-2((Birkbak et al.,(2012))試験からの試料から入手可能であり、pCRは、ネオアジュバント処置後のMiller-Payne 5状態を有する患者と定義された。HRD組み合わせされたとは、3つのHRDスコアの算術平均であった。
【表8】
【0322】
結論:BRCA1/2欠損及びHRDスコアの上昇は、全ての乳房サブタイプにおいて観察され、HRDスコアは、BRCA1/2欠損を検出した。3つのHRDスコアは全て、TNBCにおけるシスプラチン処置に対する応答を予測/検出した。3つのHRDスコアの平均(算術平均)は、参加希望者全員の乳房コホートにおいてBRCA1/2状態を検出し、第2の独立したTNBCコホートにおいてシスプラチン応答を検出した。HRD組み合わせされた算術平均は、個々のHRDスコアよりもBRCA1/2欠損又は治療応答のより強い予測因子/検出因子であった。
【0323】
実施例4-BRCA1/2状態の多変量分析及び相同組換え欠損のDNAに基づくアッセイ
先の実施例は、相同組換え欠損(HRD)を測定するDNAに基づくスコアを記載し、これは、各スコアが、3つの異なるHRDスコアの算術平均と定義されるHRD組み合わせされたスコアと同様に、BRCA1/2欠損と有意に関連することを示す。本実施例は、(1)3つのスコアの各々とHRD組み合わせされたスコアとの間の関連、(2)臨床変数とHRD組み合わせされたスコアとの関連、及び(3)臨床変数とBRCA1/2欠損を有するHRD組み合わせされたスコアとの関連を調べることによって、先の実施例の結果を拡張する。
【0324】
方法:本実施例4における分析は、先の実施例に記載と同じ197人の患者の試料を含む。簡潔の述べると、215個の乳房腫瘍試料を、3つの商業的供給業者から新鮮な凍結試料として購入した。試料は、ER、PR、及びHER2のIHC分析に従って、乳がんサブタイプのほぼ等しい表現を与えるように選択された。198個の試料は、Kolmogorov-Smirnov品質指標に従って信頼性の高いHRDスコアを生成した。異常な乳がんサブタイプ(ER/PR+HER2-)により、HRDスコアを合格した1人の患者を分析から除外した。患者の腫瘍及び臨床的特徴は、表9に詳細に記載される。
【0325】
患者の臨床データは、91個の変数について提供されたが、ほとんどの変数についてのデータは、分析に含めるにはまばらすぎた。乳がんサブタイプ(TNBC、ER+/HER2-、ER-/HER2+、ER+/HER2+)は、全ての患者で利用可能であった。考慮された他の変数は、診断時の年齢(196/197人の患者について提供された)、ステージ(191/197人の患者について提供された)、及びグレード(190/197人の患者について提供された)であった。
【表9-1】
【表9-2】
【0326】
BRCA1/2変異スクリーニング及びゲノムワイドSNPプロファイルを、カスタムAgilent SureSelect XTキャプチャを使用して生成し、続いてIllumina HiSeq2500で配列決定した。BRCA-1プロモーター領域のメチル化を、qPCRによって決定した。10%超のメチル化を有する試料を、メチル化として分類した。
【0327】
HRDスコアは、本実施例4で考察される「HRD組み合わせされたスコア」において組み合わせた3つのHRDスコアである、ヘテロ接合性(LOH)プロファイル(HRD-LOH)、テロメア対立遺伝子不均衡(HRD-TAI)、及び大規模な状態遷移(HRD-LST)の全ゲノム腫瘍喪失から計算された。
【0328】
BRCA1/2欠損は、罹患遺伝子におけるヘテロ接合性の喪失(LOH)を伴う、BRCA-1若しくはBRCA-2変異、又はBRCA-1プロモーター領域のメチル化に起因する機能の喪失と定義された。
【0329】
全ての統計分析は、Rバージョン3.0.2を使用して実行された。全ての報告されたp値は、両側である。用いられた統計ツールには、スピアマンランクサム相関、Kruskal-Wallis一元配置分散分析、及びロジスティック回帰が含まれた。
【0330】
ロジスティック回帰モデリングでは、診断時のHRDスコア及び年齢を、数値変数としてコード化した。乳がんステージ及びサブタイプをカテゴリ変数としてコード化した。グレードは、数値変数及び分類変数の両方として分析されたが、別途記載のない限り、分類であった。グレード3とグレード2とを比較した場合と同様に、グレード2とグレード1を比較した場合、BRCA1/2欠損のオッズの増加が同じでない限り、数値としてのグレードのコード化は適切ではない。
【0331】
単変量ロジスティック回帰モデルについて報告されたP値は、部分尤度比に基づいている。多変量p値は、完全モデル(全ての関連する予測因子を含む)対低減モデル(評価される予測因子を除く全ての予測因子、及び評価される予測因子を含む任意の相互作用項を含む)からの偏差の変化の部分尤度比に基づいている。HRDスコアのオッズ比は、四分位範囲ごとに報告される。
【0332】
結果:HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアの対相関をグラフで調べ(
図1)、スピアマンランクサム相関で定量化した。HRDスコア分布において右の歪み及び外れ値が観察されたため、スピアマンランクサム相関は、より一般的に使用されるピアソン積率相関よりも好まれた。スコアの全てのペアワイズ比較は、ゼロとは有意に異なる正の相関を示した(p<10
-16)。
【0333】
HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアの各々によって捕捉された独立したBRCA1/2欠損情報の程度は、BRCA1/2欠損状態の予測因子として含まれる3つのスコア全てを用いて、多変量ロジスティック回帰モデルを調べることによって測定された(表10)。HRD-TAIスコアは、HRD-LSTスコア(p=0.00014)と同様に、他の2つのスコアによって提供されるものとは独立して有意なBRCA1/2欠損情報を捕捉した(p=0.00016)。5%有意水準では、HRD-LOHスコアは、有意な独立したBRCA1/2欠損情報を追加しなかった(p=0.069)。
【表10】
【0334】
表10は、BRCA1/2欠損の予測因子として、HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTを用いた3項多変量ロジスティック回帰モデルによる結果を例解する。
【0335】
HRD組み合わせされたスコアがその3つの構成要素のBRCA1/2欠損情報を適切に捕捉したかどうかを評価するために、3つの二変量ロジスティック回帰モデルを試験した。各モデルには、HRD組み合わせされたスコア、及びHRD-LOH、HRD-TAI、又はHRD-LSTスコアのうちの1つが含まれた。構成要素スコアのいずれも、5%の有意水準でHRD組み合わせされたスコアに有意に追加しなかった(HRD-LOH p=0.89、HRD-TAI p=0.090、HRD-LST p=0.28)。これは、HRD組み合わせされたスコアが、HRD-LOH、HRD TAI、及びHRD-LSTスコアのBRCA1/2欠損情報を適切に捕捉することを示唆している。
【0336】
HRD組み合わせされたスコアを、最終的に、この患者セットにおけるBRCA1/2欠損を予測するように最適化されたモデルに基づく組み合わせたスコアと比較した。HRD組み合わせされたスコアは、HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアの各々に等しく重み付けされるが、モデルに基づくスコアは、HRD-TAIスコアを、HRD-LOH又はHRD-LSTスコアの重みの約2倍に割り当てる。モデルに基づくスコアの式は、以下によって与えられる
HRD-モデル=0.11×(HRD-LOH)+0.25×(HRD-TAI)+0.12×(HRD-LST)。
【0337】
単変量分析の結果(表11)は、HRDモデルスコアがHRD組み合わせされたスコアよりも約1桁優れていることを示す(HRDモデル p=2.5×10
-25、HRDの組み合わせ p=1.1×10
-24)。
【表11】
【0338】
表11は、単変量ロジスティック回帰からの結果を示す。HRDスコアのオッズ比は、スコアのIQRごとに報告される。年齢のオッズ比は毎年報告される。グレード(数値)のオッズ比は、単位ごとである。
【0339】
二変量ロジスティック回帰モデルでは、HRDモデルスコアは、HRD組み合わせされたスコアに有意な独立したBRCA1/2欠損情報を追加しなかった(p=0.089)。これは、HRD組み合わせされたスコアが、HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアのBRCA1/2欠損情報を適切に捕捉することを更に示唆する。
【0340】
臨床変数とHRD組み合わせされたスコアとの関連性を
図12に示す。HRD組み合わせされたスコアは、腫瘍グレードと有意に相関した(スピアマン相関0.23、p=0.0017)。乳がんステージと診断時の年齢との相関は、5%レベルでゼロから有意に差はなかった。Kruskal-Wallis一元配置分散分析検定によれば、平均のHRDの組み合わせたスコアは、乳がんサブタイプ間で有意に異なる(p=1.6×10
-5)。
【0341】
多変量ロジスティック回帰モデルにおける相互作用の項の有意性を調べることによって、臨床亜集団間のHRD組み合わせされたスコアの不均一性を試験した。各臨床変数について、全ての臨床変数を含むモデルにHRD組み合わせされたスコアとHRD組み合わせされたスコアとの相互作用の項を追加した。相互作用の項は、5%有意水準で有意性に達しなかった。したがって、HRD組み合わせされたスコアによって付与されるBRCA1/2欠損の確率が臨床亜集団間で異なることを示唆する証拠はない。
【0342】
HRD-LOH、HRD-TAI、及びHRD-LSTスコアの各々についての類似の試験は、HRD-TAIスコアと年齢(p=0.0072)及びグレード(p=0.015)との有意な相互作用、並びにHRD-LSTスコアと乳がんサブタイプとの有意な相互作用(p=0.021)を示した。多重比較のために調整したところ、HRD-TAIスコアと年齢との相互作用のみが5%レベルで有意性を維持した(p=0.029)。この相互作用の有意性は、HRD-TAIスコアの単位増加当たりのBRCA1/2欠損の確率の増加が、年齢が増加するにつれて減少することを示唆している。
【0343】
臨床変数とBRCA1/2欠損との関連を
図13に表示する。臨床変数及びHRD組み合わせされたスコアを、単変量(表11)及び多変量(表12)ロジスティック回帰モデルで評価した。HRDスコアのオッズ比は、IQRごとに報告される。診断時の年齢のオッズ比は、毎年報告される。
【表12】
【0344】
表12は、多変量ロジスティック回帰の結果を示す。HRDスコアのオッズ比は、スコアのIQRごとに報告される。年齢のオッズ比は毎年報告される。
【0345】
単変量分析では、HRDスコアの各々(HRD-LOH、HRD-TAI、HRD-LST、HRD組み合わせ、及びHRD-モデル)は、BRCA1/2欠損と有意に関連した。スコアが高いほど、欠損の可能性が高いことを示した。診断時の年齢の増加は、BRCA1/2欠損のリスクの減少と有意に関連した(p=0.0071)。乳がんサブタイプ、及び腫瘍グレード(カテゴリ及び数値の両方)の単変量結果もまた、統計的に有意であった。がんステージは、BRCA1/2ステータスと関連していなかった。
【0346】
多変量分析では、HRD組み合わせされたスコア、及び利用可能な全ての臨床変数に基づくモデルを調べた。HRD組み合わせされたスコアは、臨床変数によって捕捉されなかった有意なBRCA1/2欠損情報を捕捉した(p=1.2×10-16)。利用可能な臨床変数のうち、診断時の年齢のみが多変量設定において有意性を維持した(p=0.027)。グレードは、分類変数としてコード化され、統計学的に有意ではなかった(p=0.40)。グレードはまた、数値変数としてコード化された場合にもまた有意ではなかった(p=0.28)。HRD組み合わせされたスコアの二次効果及び三次効果を、全ての臨床変数を含む多変量モデルで試験したが、統計学的に有意ではなかった。
【0347】
考察本実施例4では、IHCサブタイプ化によって定義される4つのサブタイプの乳がんにわたってBRCA1/2欠損の頻度は、約9~約16%の範囲であった。一致した腫瘍及び正常DNA試料の配列決定は、観察された変異の約75%が生殖細胞系列起源であったことを示唆する。乳がんにおける第2の対立遺伝子の喪失のための主な方法は、LOHを介するが、しかしながら、腫瘍の約24%は、第2の対立遺伝子において後続の体細胞有害変異を担持した。加えて、明らかに散発的な乳房腫瘍が、BRCA2体細胞有害変異を有する1人の個体に見られた。
【0348】
3つのHRDスコアは全て、サブタイプにかかわらずBRCA1/2欠損と強い相関を示し、スコアの上昇の頻度は、全ての乳房腫瘍サブタイプのかなりの割合が相同組換えDNA修復経路に欠陥を有することを示唆している。これらの知見は、特に、上記の実施例3の知見と組み合わせた場合、DNA損傷修復を標的とする、又はそれを利用する薬剤(例えば、白金剤)が、乳がんの全てのサブタイプからの腫瘍のサブセット(本開示によって検出される相同組換え欠損を有するもの)にわたって有効であることが証明され得ることを示す。
【0349】
臨床環境での、単独で、又は組み合わせてのこれらのHRDスコアの実装は、ホルマリン固定及びパラフィン包埋(「FFPE」)されたコア針生検と互換性のあるアッセイを使用するのが最善である。この種類の試料からは、非常に少ない量及び低品質のDNAが得られる。これらのFFPE処理試料から抽出されたDNAは、多くの場合、SNPマイクロアレイ分析において良好に実施されない。
【0350】
液体ハイブリダイゼーションに基づく標的富化技術は、次世代配列決定のためのライブラリの生成のために開発されてきた。これらの方法論は、ゲノムの複雑さの低減後に目的の領域の標的化された配列決定を可能にし、配列決定コストの低減をもたらす。予備試験は、利用可能なアッセイがFFPEDNAに由来するDNAと適合することを示した。本実施例4では、ゲノムわたって分布する約54,000個のSNPを標的とする捕捉パネルの開発を報告する。このパネルが提供する配列決定情報からの対立遺伝子計数は、コピー数及びLOH再構築、並びに3つ全てのHRDスコアの計算に使用され得る。加えて、この実施例4のように、BRCA1及びBRCA2捕捉プローブをパネルに含めてもよく、これにより、同じアッセイにおいてこれらの遺伝子における有害なバリアントについて高品質の変異スクリーニングが可能になる。
【0351】
3つのスコアは全て互いに有意に相関しており、それら全てが同じコアゲノム現象を測定することを示唆している。しかしながら、ロジスティック回帰分析は、スコアを組み合わせることができ、このデータセットにおけるBRCA1/2欠損とのより強い関連性をもたらすことを示す。
【0352】
相同組換えDNA修復における欠陥を有する腫瘍を特定することができる堅牢なスコアと、ホルマリン固定パラフィン包埋臨床病理学的標本と互換性のあるアッセイとの組み合わせは、二本鎖DNA損傷修復を標的とする薬剤に応答する高い可能性を有する患者の診断的特定及び分類を容易にする。加えて、そのような薬剤は、本開示に従ってHRDが検出される乳がんの全てのサブタイプにわたって有用であり得る。
【0353】
実施例5-高いHRD閾値(例えば、HRDシグネチャの一実施例)
本実施例は、高いHRDの決定を示している。閾値参照値は、治療応答又は転帰に非特異的であった乳房及び卵巣腫瘍におけるHRDを検出するための高い感度を有するように選択された。LOH、TAI、及びLST領域の総数が決定された。HRDスコアを計算するために、SNPデータを、各SNP位置で最も可能性の高い対立遺伝子特異的コピー数を決定するアルゴリズムを使用して分析した。LOH-LOHを、15Mb超の長さであるが、完全な染色体の長さよりも短いLOH領域の数を計数することによって計算した。HRD-TAIスコアを、サブテロメアの1つまで延びるが、セントロメアを横断しない対立遺伝子不均衡を有する、11Mb超の長さの領域の数を計数することによって計算した。HRD-LSTスコアは、3Mbよりも短い領域をフィルタリングした後、10Mbよりも長い領域間のブレークポイントの数であった。組み合わせたスコア(HRDスコア)は、LOH/TAI/LSTスコアの合計であった。
【0354】
訓練セットは、4つの異なるコホート(497個の乳房及び561個の卵巣の症例)から組み立てられた。BRCA欠損試料におけるHRDスコアの分布は、概してHRD試料におけるスコアの分布を表すため、セットは、BRCA1又はBRCA2の機能的コピーを欠いていた78個の乳房腫瘍及び190個の卵巣腫瘍から構成された。閾値は、訓練セットにおけるHRDスコアの5パーセンタイルに設定され、HR欠損を検出するための>95%の感度を与える。高いHRD(又はHRDシグネチャ)は、42以上の参照スコアを有すると定義された(
図14)。
【0355】
実施例6-HRDは、三重陰性乳がんにおけるシスプラチン応答を予測する
この実施例は、本明細書に記載のHRDスコアが、三重陰性乳がん(TNBC)試料におけるHR欠損を標的とする薬剤の有効性をどのように予測することができるかを示す。シスプラチンで処置されたネオアジュバントTNBCコホートの分析を、3つのHRDスコア全てと応答との間の関係に対して調べた。全てのp値は、従属変数としてシスプラチンに対する応答を有するロジスティック回帰モデルからであった。
【0356】
シスプラチンコホートから受け取った70個の試料(70人の個々の患者)のうちの62個について、HR欠損状態を決定した(8個は、分析には不十分な腫瘍であった)。これらのうち、31個(50%)がHR欠損、22個(35%)が非HR欠損、9個(15%)が未決定であった。
図15は、コホートにおけるHRDスコアの分布を示すヒストグラムを提供する。42以上のスコアは、高いHRDを有するとみなされた(実施例5も参照のこと)。
図15に例解された二峰性は、HRDスコアが腫瘍におけるHR欠損状態と非欠損状態とを効果的に区別したことを例解する。長期生存に関連する病理学的完全応答(pCR)は、0の残留がん負荷(RBC)と定義され、11/59個(19%)の試料で観察された。病理学的応答(PR)は、0又は1のRBCと定義され、22/59個(37%)の試料で観察された。これらの全応答率は、単剤療法の期待と相関した。
【0357】
統計分析は、一次、二次、及びBRCA野生型サブセット分析を含む、事前に定義された統計分析計画(SAP)に従った。
【0358】
一次分析は、HR欠損状態を使用して、50個の試料における応答を予測した。表13に示されるように、HR欠損試料は、PR及びpCRの両方の応答のより良い予測因子を提供した。例えば、病理学的応答を有する非欠損試料の9.5%とは対照的に、HR欠損試料の52%が、病理学的応答を有した。同様に、病理学的完全応答を有する非欠損試料の0%とは対照的に、HR欠損試料の28%が、病理学的完全応答を有した。
【表13】
【0359】
二次分析は、実施例5に記載される定量的HRDスコアを使用して、48個の試料における応答を予測した。表14に示されるように、HRDスコアは、PR又はpCRのいずれかと定義される、非応答者よりも応答者由来の試料において、有意に高かった。
【表14】
【0360】
BRCA変異状態によって定義される二次分析の応答の各クラス内のHRDスコアの分布を
図16に例解し、42での点線は、低スコアと高スコアとの間のHRD閾値を表す。二次分析のための定量的HRDスコアの各値に関連付けられたPRの応答曲線又は確率を
図17に例解する。
図17に示される曲線は、4つのパラメータ、すなわち、形状、スケール、及び曲線の下限及び上限を推定する、一般化されたロジスティック回帰によってモデル化された。影付きのボックスは、HR欠損の試料対非欠損の試料における応答の確率を示す。表15は、二次分析において、HR状態が病理学的応答と有意に関連したままであったことを示す。
【表15】
【0361】
個々のHRD成分スコア対病理学的応答を表16に示し、
図18に例解する。表16は、各構成要素スコア(すなわち、LOH、TAI、及びLST)が応答を予測し、それらの合計(すなわち、HRDスコア)が、個々の構成要素のうちのいずれかと同等又はより有意であったことを示す(HRD p値=3.1×10-4)。
図18は、構成要素スコア間の強いペアワイズ相関を例解する。
【表16】
【0362】
二次分析において更に試験したのは、BRCA1/2変異状態と応答との関連であった。表17は、BRCA変異状態が応答と関連していることを確認したが、しかしながら、このコホート(n=51)において、関連性は有意ではなく、BRCA変異状態は、HR欠損ほど予測的ではなかった。
【表17】
【0363】
38個のBRCA野生型試料におけるHR欠損状態を使用したサブセット分析を更に実施して、HR欠損がBRCA1/2変異を有しない試料において予測されることを示した。表18に示されるように、HR欠損試料は、BRCA野生型試料におけるPR及びpCRの両方の応答のより良い予測因子を提供した。例えば、病理学的応答を有する非欠損試料の10.5%とは対照的に、HR欠損試料の52.6%が、病理学的応答を有した。同様に、病理学的完全応答を有する非欠損試料の0%とは対照的に、HR欠損試料の26.3%が、病理学的完全応答を有した。
【表18】
【0364】
38個のBRCA野生型試料における定量的HRDスコアを使用して、サブセット分析を更に実施した。表19に示されるように、高いHRD(スコア42以上)を有する試料は、BRCA野生型試料におけるPR及びpCRの両方の応答のより良い予測因子を提供した。
【表19】
【0365】
結論として、本実施例は、3つのHRDスコア全ての合計が、TNBCにおけるシスプラチン処置に対する応答を有意に予測したことを示す。
【0366】
実施例7-エストロゲン受容体陽性乳がんにおけるHRD決定
本明細書に記載のように、乳がん(BC)及び卵巣がん(OC)腫瘍組織におけるヘテロ接合性の消失(LOH)、テロメア対立遺伝子不均衡(TAI)、及び大規模な状態遷移(LST)領域の総数を使用して、腫瘍が相同組換え(HR)が欠損している可能性が高いかどうかを決定し得る。相同HR欠損腫瘍を有する患者は、DNA損傷剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼI阻害剤、放射線、及び/又はPARP阻害剤などの欠損HR経路を標的とする薬剤での治療から利益を得ることができるため、この決定は重要である。逆に、腫瘍がHR欠損ではないと特定された患者は、タキサン剤又はホルモン療法などのHR経路を標的としない薬剤での治療から利益を得ることができる。
【0367】
卵巣がんを有する患者の場合、HR欠損を特定するための組み合わせたLOH-TAI-LST領域のFDAが承認した閾値は、42であり、これは、BRCA欠損腫瘍の5パーセンタイルを反映する(実施例5を参照されたい)。同様に、OCには、組み合わせたLOH-TAI-LST領域のより低い閾値が使用され得る。
図16に示されるように、例えば、完全応答群(pCR)又は有益なRCB-I群の患者は、a以上の低い1パーセンタイル閾値(すなわち、32を超える)を有するHRDスコアを有し、これは、プラチナ系治療後の転帰の改善と有意に関連する(実施例6及び
図16、Mol Cancer Res.2018;16(7):1103-11及びCancers.2021;13(5):946も参照されたい)。
【0368】
この閾値は、異なるがん間、更には異なるがんサブタイプ間で変化し得るため、異なる腫瘍タイプのための組み合わせたLOH-TAI-LST領域の最適な閾値を決定する能力は重要である。三重陰性乳がん(TNBC)及びエストロゲン受容体陽性乳がん(ER+BC)は、HRD状態に基づいて転帰を評価するほとんどの乳がん臨床試験の主な焦点である。本実施例では、比較対象としてOCについて33以上の探索的閾値を使用して、エストロゲン受容体陽性乳がん(ER+BC)サブタイプの別個の閾値を特定する。
【0369】
簡潔に述べると、BRCA欠損腫瘍における組み合わせたLOH-TAI-LST領域(又は、本実施例で言及される「ゲノム不安定性スコア」若しくは「GIS」)は、5つのコホート、すなわち、Abkevich et al.(Br.J.Cancer.2012;107(10):1776-82)、TCGA(Nature.2012;490(7418):61-70)、Timms et al.(Breast Cancer Res.2014;16(145):1-9)、TBCRC008(J.Nucl.Med.2015;56(1):31-7)、及びOlympiAD試験(NEJM.2017;377(17):1700)にわたって、OC、TNBC、又はER+BCの様々なステージで新たに診断された患者について決定された(表20)。すなわち、GISは、次世代配列決定に基づくアッセイを介して特定されたLOH、TAI、及びLSTの組み合わせとして決定された。BRCA欠損は、罹患遺伝子におけるLOHを伴う、BRCA1若しくはBRCA2における病原性バリアント、又はBRCA1プロモーター領域のメチル化に起因する機能喪失によって定義された。異なるがんタイプ及びサブタイプにおけるGIS分布を、Kolmogorov-Smirnov検定を使用して比較した。正規分布は、BRCA欠損ER+BC腫瘍におけるGISに適合した。適合分布の1パーセンタイルを閾値として選択した。
【0370】
表20を参照して、全てのコホートにおいて、BRCA1/2欠損は、罹患遺伝子におけるLOHを伴う、BRCA1又はBRCA2変異に起因する機能喪失と定義された。Abkevich et al.、TCGA、及びTimms et alにおいて、欠損はまた、BRCA1のLOHによるBRCA1プロモーター領域のメチル化によっても引き起こされる場合がある。合計561個のOC腫瘍(190個のBRCA欠損)、118個のTNBC腫瘍(46個のBRCA欠損)、及び406個のER+BC腫瘍(76個のBRCA欠損)が、5つのコホートにわたって含まれた(表20)。
【表20】
【0371】
BRCA欠損腫瘍についてスコア分布を評価した場合、ER+BC内のGIS分布は、OC(p=9.6×10
-5)及びTNBC(p=2.1×10
-4)とは有意に異なる(
図19)。BRCA欠損ER+BC腫瘍における正規分布適合の1パーセンタイルは、24の閾値をもたらす(
図20)。24以上の閾値を使用して、例えば、ER+BC腫瘍の45.1%(183/406個、75/76個のBRCA欠損、108/330個のBRCA無傷)がGIS陽性であった(
図21A)。対照的に、TNBCのGIS分布は、OCのGIS分布と有意差はなかった(p=0.72)(
図21B)。33以上の探索閾値を使用して、TNBC腫瘍の64.4%(76/118個、46/46個のBRCA欠損、30/72個のBRCA無傷)がGIS陽性であった(
図21B)。
【0372】
OCと比較した場合、BRCA欠損腫瘍におけるGISの分布は、ER+BCについて異なっていたが、TNBCについてはそうでなかった。これは、異なるGIS閾値が乳がんサブタイプに適切であり、OCに対して開発されたGIS閾値がER+BCと区別可能であることを示す。これらの所見はまた、OC及びTNBCが類似したがん発生機序を共有することが知られているという事実と一致する(Int.J.Mol Sci.2016;17(5):759)。これらのデータは、TNBCの1パーセンタイル(すなわち、33以上の組み合わせたLOH、TAI、又はLST領域の閾値)が、TNBC腫瘍におけるHRDを特定するのに有用であることを更に検証する。同様に、これらのデータは、ER+BC腫瘍の1パーセンタイル(すなわち、組み合わせたLOH、TAI、又はLST領域のうちの24以上の閾値)が、ER+BC腫瘍におけるHRDを特定するのに有用であることを示す。
【0373】
実施例8:乳がんにおける相同組換え欠損の特定:ゲノム不安定性スコアの分布は、乳がんサブタイプ間で異なる
本開示は更に、卵巣がんのカットオフが主要な乳がんサブタイプにも適切であり得るかどうかを評価した。これを評価するために、BRCA欠損エストロゲン受容体陽性乳がん(ER+BC)及び三重陰性乳がん(TNBC)のゲノム不安定性スコア(GIS)分布を、BRCA欠損卵巣がんのGIS分布と比較した。TNBCについては、閾値を設定し、臨床転帰を使用して検証した。
【0374】
方法:簡潔に述べると、10個の試験コホートからの卵巣がん及び乳がん(ER+BC及びTNBC)腫瘍を配列決定してBRCA1/2変異を特定し、GISを計算した。TNBC試料のサブセットにおいて、白金療法に対する病理学的完全応答(pCR)を評価した。
【0375】
腫瘍試料:完全なコホートは、10個の個々の研究コホートからの卵巣がん腫瘍及び乳がん腫瘍(TNBC及びER+)から構成された(Hennessy et al.、The Cancer Genome Atlas Network-Breast、The Cancer Genome Atlas Network-Ovarian、NCT01372579、NCT00148694/NCT00580333、PrECOG 0105、Timms et al.、TBCRC008、TBCRC030、及びOlympiAD試験)。含まれる全ての試料は、既知のGISを有し、施設内審査委員会によって承認されたプロトコルの下で得られた。MyChoice CDx(Myriad Genetics)試験を全ての試料で実施して、体細胞BRCA1/BRCA2の状態及びGISを決定した。
【0376】
BRCA1/BRCA2配列決定:BRCA1及びBRCA2の遺伝子変異検出、並びに一塩基多型(SNP)全ゲノム分析を、前述のように、カスタムハイブリダイゼーション捕捉方法を使用して実施した。BRCA変異状態は、ヘテロ接合性にかかわらず、BRCA1又はBRCA2における有害変異、又は有害性の疑いのある変異と定義された。BRCA野生型(BRCAwt)は、BRCA1又はBRCA2における有害変異のない、又は有害な変異の疑いのない試料を指す。BRCA欠損は、罹患遺伝子におけるヘテロ接合性の喪失を伴う、BRCA1又はBRCA2における生殖細胞系列又は体細胞の有害性又は有害性の疑いのあるバリアントに起因する、又は同じBRCA遺伝子の複数の有害性又は有害性の疑いのある変異によって生じる機能の喪失と定義された。無傷のBRCAは、BRCA変異状態にかかわらず、BRCA欠損ではない試料を指す。
【0377】
ゲノム不安定性スコア:GISは、本明細書に記載のLOH、TAI、及びLSTの測定値を組み合わせるアルゴリズムを使用して計算された。二元GIS状態は、GISスコアが33以上又は42以上の閾値を上回るか下回るかにどうかに基づいて決定した。
【0378】
病理学的完全応答:術前化学療法に対する病理学的完全応答(pCR)は、5つのコホート(NCT01372579、NCT00148694/NCT00580333、PrECOG 0105、TBCRC008、及びTBCRC030)からのTNBC試料について利用可能であった。pCR状態は、ER+試料について利用可能ではなかった。いくつかの研究では、残留がん負荷(RCB)が使用され、pCR状態は利用可能ではなかった。白金療法による処置後の残留がん負荷(RCB)に関するデータを有する患者を、pCR(RCB-0)を有する患者及び不完全応答(RCB-I/II/III)を有する患者に二分した。手術前にクロスオーバー治療を受けておらず、進行又は毒性のために治療を終了しなかったRCB-0の患者は、pCRを達成したと考えられた。
【0379】
統計:全てのp値は、α=0.05レベルで有意とみなされた。試料のサブセットにおけるGIS分布を、Kolmogorov-Smirnov検定を使用して比較した。二項ロジスティック回帰を使用して、TNBC腫瘍におけるpCR状態を予測するための二元GIS状態(すなわち、閾値を上回るか、又は下回るスコア)の能力を測定した。95%のプロファイル尤度信頼区間(CI)及び部分尤度比検定p値を有するオッズ比(OR)が報告された。感度、特異度、陽性予測値(PPV)、及び陰性予測値(NPV)を、二元GIS状態及び二元pCR状態を比較することによって計算し、閾値を上回るpCR事象を真陽性とみなした。各GIS値のpCRの確率を推定するために、上限、スロープ、及びミッドポイントに最適化され単変量3パラメータロジスティック回帰モデルを使用した。
【0380】
結果
卵巣がん腫瘍
2つのコホート(Hennessy et al.及びThe Cancer Genome Atlas Network- Ovarian)からの合計560個の卵巣がん腫瘍が含まれ、そのうちの20.1%が、BRCA欠損であることが知られていた(N=115/560、表21)。BRCA欠損試料のうち、67.8%(N=78/115)が、BRCA1において病原性変異を有し、31.3%(N=36/115)が、BRCA2において病原性変異を有し、0.9%(N=1/115)が、BRCA1及びBRCA2の両方において病原性変異を有した。BRCA欠損腫瘍及びBRCA無傷の腫瘍のGIS分布を
図22Aに示す。この分析では、BRCA欠損卵巣がん試料のGIS分布を比較対象として使用して、BRCA欠損ER+乳がん及びTNBC試料におけるGIS分布を評価した。
【表21】
【0381】
ER+乳がん腫瘍
合計805個のER+乳がん腫瘍が、5つのコホート(The Cancer Genome Atlas Network-Breast、PrECOG 0105、Timms et al.(Breast Cancer Research.2014;16(6):1-9)、TBCRC008、及びOlympiAD試験)から含まれた。これらのうち、579個は、ER+HER2-であり、174個は、ER+HER2+であり、52個は、HER2状態が不明のER+であった。全てのER+乳がん腫瘍を組み合わせることが適切であるかどうかを決定するために、ER+HER2-(N=60)及びER+HER2+(N=10)についてのBRCA欠損腫瘍のGIS分布を比較した。ER+HER2-及びER+HER2+BRCA欠損腫瘍のGIS分布間に有意差は観測されなかった(p=0.88)。
【0382】
ER+乳がん腫瘍のうち、8.8%(71/805)が、BRCA欠損であり、そのうち40.8%(N=29/71)が、BRCA1において病原性変異を有し、59.2%(N=42/71)が、BRCA2において病原性変異を有した。BRCA欠損腫瘍及びBRCA無傷の腫瘍のGIS分布を
図22Aに示す。BRCA欠損ER+乳がん腫瘍及び卵巣がん腫瘍についてのGIS分布間に有意差が観察され(p=0.027、
図22B)、ER+乳がん腫瘍について別個の閾値が確立されるべきであることを示した。白金又は他のDNA損傷剤で治療されたER+乳房腫瘍の臨床転帰が利用可能である場合、潜在的なGIS閾値は、将来の研究において確立されるであろう。
【0383】
TNBC腫瘍
合計443個のTNBC腫瘍が、7つのコホート(The Cancer Genome Atlas Network-Breast、NCT01372579、NCT00148694/NCT00580333、PrECOG 0105、Timms et al.(Breast Cancer Research.2014;16(6):1-9)、TBCRC008、及びTBCRC030)から含まれた。56個(12.6%)のBRCA欠損TNBC腫瘍のうち、47個(83.9%)が、BRCA1において病原性変異を有し、8個(14.3%)が、BRCA2において病原性変異を有し、1個(1.8%)が、BRCA1及びBRCA2の両方において病原性変異を有した。BRCA欠損腫瘍及びBRCA無傷の腫瘍のGIS分布を
図22Aに示す。BRCA欠損試料のGIS分布を比較する場合、TNBC腫瘍は、ER+乳がん腫瘍とは有意に異なった(p=0.002、
図22B)が、卵巣がん腫瘍とは有意に異ならなかった(p=0.49、
図22B)。これは、卵巣がん腫瘍に使用されるのと同じ閾値が、TNBC腫瘍にも適切であり得ることを示す。
【0384】
TNBCにおける閾値の臨床的検証
GIS閾値42以上及び33以上は、以前に卵巣がんの患者で検証されている。卵巣試料及びTNBC試料におけるGIS分布は類似していたため、この研究では、卵巣がんに使用された閾値をTNBC試料に適用した。TNBC臨床検証コホート(以下の術前試験:NCT01372579、NCT00148694/NCT00580333、PrECOG 0105、TBCRC008、及びTBCRC030)は、211個の白金処理試料(pCRを有するN=55)を含み、そのうち171個は、BRCA野生型(BRCAwt)腫瘍(pCRを有するN=39)であった。全てのTNBC臨床検証試料(完全な臨床検証コホート)及びBRCAwt試料のサブセット(BRCAwt臨床検証コホート)についてのGIS分布を、
図23A~23Bにおいて、二元pCR状態(すなわち、pCR対pCRなし)によって要約する。
【0385】
単変量ロジスティック回帰モデルを使用して、完全な臨床検証コホート及びBRCAwt臨床検証コホートの両方において、二元pCR状態を独立して予測する33以上及び42以上のGIS閾値の能力を評価した。完全な臨床検証コホート及びBRCAwt臨床検証コホートの両方において、33以上及び42以上のGIS閾値は、pCRの有意で独立した予測因子であった。GIS閾値42以上と比較して、閾値33以上は、完全な臨床検証コホート(GIS33以上:OR 11.1、95%CI 3.9~47.1、p=2.2×10-7、GIS42以上:OR 8.2、95%CI 3.5~22.3、p=5.6×10-8)及びBRCAwt臨床検証コホート(GIS33以上:OR 9.4、95%CI 3.2~40.4、p=5.6×10-6、GIS42以上:OR 7.0、95%CI 2.9~19.6、p=3.0×10-6)の両方においてよりも大きい効果サイズをもたらした。
【0386】
二元変数としてGIS閾値(42以上及び33以上)の両方を含む二変量ロジスティック回帰モデルを使用して、pCRを予測する閾値の能力を評価した。完全な臨床検証コホートでは、42以上のGIS閾値は有意であった(OR 3.6、95%CI 1.1~15.8、p=0.03)が、GIS33以上の状態は有意ではなかった(OR 3.6、95%CI 0.6~21.0、p=0.15)。BRCAwt臨床検証コホートに適合した同じモデルでは、GIS閾値のいずれも有意ではなかった(GIS33以上:OR 3.6、95%CI 0.6~21.3、p=0.15、GIS42以上: OR 3.0、95%CI 0.9~13.7、p=0.07)。
【0387】
所定の閾値の感度、特異度、PPV、及びNPVは、33以上及び42以上のGIS閾値について表22に報告されている。
【表22】
【0388】
pCR事象を有する試料の高い割合は、完全な臨床検証コホート(94.5%、N=52/55)及びBRCAwt臨床検証コホート(92.3%、N=36/39)の両方でGIS33以上を有した。閾値によって捕捉されたpCR事象の割合は、42以上のより高いGIS閾値で減少した(完全な臨床検証コホート:89.1%、N=49/55、BRCAwt臨床検証コホート:84.6%、N=33/39)。pCR事象を有する全ての試料のうち、完全な臨床検証コホートでは5.5%、BRCAwtサブセットでは7.7%が、33~42の間のGISを有した。
【0389】
33以上の閾値と42以上の閾値との間の有用性の差は、二元pCR状態を予測する連続GISを用いた3パラメータロジスティック回帰によって計算されるpCRの確率の差によっても特徴付けられ得る(
図24)。完全な臨床検証コホート及びBRCAwt臨床検証コホートの両方において、33~42の間のGISを有する患者は、pCRの中程度の確率を有し、33以上のGIS閾値は、中程度~高確率の応答を有する患者から応答の低い確率を有する患者を分離した。その逆は、GIS閾値が42以上の場合に当てはまり、応答の可能性が最も高い患者のみを特定する。
【0390】
本研究では、BRCA欠損腫瘍のGIS分布は、2つの異なる主要な乳がんサブタイプについて評価された。ER+乳がんのBRCA欠損腫瘍のGIS分布は、卵巣がんの分布とは有意に異なり、卵巣がんに使用されるGIS閾値が、ER+乳がんには適切でない可能性があることを示している。本研究におけるBRCA欠損TNBC腫瘍のGIS分布は、卵巣がんと統計的に有意な差はなく、臨床検証分析は、GIS33以上及び42以上の閾値が、TNBC試料のサブセットにおける白金系治療pCRを予測する能力を示した。まとめると、これらの知見は、異なるがん系統及び異なるがんサブタイプについて個々の閾値を決定することの重要性を強調する。
【0391】
BRCA欠損卵巣がん腫瘍と比較して、GIS分布は、BRCA欠損ER+乳房腫瘍では有意に異なっていたが、TNBC腫瘍では異なっていなかった。BRCA1変異型腫瘍とBRCA2変異型腫瘍との間の基礎となる生物学的性質、したがってGISの違いは、TNBC及びER+乳がんについてのGIS分布間で観察された差異を少なくとも部分的に説明し得る。
【0392】
それぞれ、BRCA欠損腫瘍の1及び5パーセンタイルに設定された33以上及び42以上のGIS閾値は、卵巣がんにおいて以前に検証されている。したがって、両方の閾値をTNBC臨床検証コホートにおいて評価した。独立した分析で評価された場合、33以上及び42以上のGIS閾値の両方が、白金療法に対するpCRを有意に予測することが見出されたが、42以上と比較して、33以上のGIS閾値についてよりも大きい効果サイズが観察された(OR 11.1対8.2)。完全な臨床検証コホートにおいて、2つの閾値間の関係を評価した(すなわち、一方の閾値が他方に有意な情報を追加したかどうかを評価した)二変量モデルにおいて、42以上のGIS閾値は有意であったが、33以上のGISは有意ではなかった。BRCAwt臨床検証コホートでは、GIS閾値のいずれも有意ではないことがわかった。完全な臨床検証コホートにおける分析は、42以上の閾値が33以上の閾値に有意な予測情報を追加することを示したが、BRCAwt分析におけるヌル所見は、2つのGIS閾値がpCRに対して同様の予測値を有することを示唆した。これらの一貫性のない所見の臨床的意義は不明であった。したがって、2つの閾値の臨床的妥当性を評価するために追加の基準を評価した。
【0393】
完全な臨床検証コホート及びBRCAwt臨床検証コホートの両方で、42以上のGIS閾値は、33以上の閾値よりも低い感度を有したが、より高い特異度を有した。DNA損傷剤(例えば、白金、PARP阻害剤)の恩恵を受ける患者を特定するためにGIS閾値を選択する場合、感度及び特異度の適切なバランスを考慮することが重要である。より高い特異度を有する42以上のGIS閾値は、より少ない偽陽性をもたらす(すなわち、HRD陽性と分類される治療から利益を得ない患者がより少ない)が、より低い感度をもたらし、したがって、より少ない真陽性をもたらす(すなわち、HRD陽性と分類される治療から利益を得る患者がより少ない)。プラチナ療法に対してpCRを達成した患者のうち、完全な臨床検証コホートの患者の5.5%、及びBRCAwtコホートの患者の7.7%は、42以上の閾値を使用して治療の適格性があると特定されなかった。臨床環境では、代替治療の選択肢が不足している場合、適格な患者の特定を最大化するために、33以上のより低い閾値を利用することが有益であり得る。DNA損傷剤による処置を追求する決定は、次いで、多くの臨床要因に依存し得る個々の基準で考慮され得る。
【0394】
臨床試験のGIS閾値を選択する場合、感度及び特異度のバランスも考慮する必要がある。これは、研究の適格性基準がGIS分布に影響を及ぼす可能性がある場合に特に関連する。例えば、HR欠損腫瘍(例えば、BRCA1/2変異腫瘍、高悪性度及び/又は漿液性サブタイプ、白金感受性腫瘍)を有する患者に対して富化する登録基準を有する臨床試験は、BRCA変異腫瘍を有する患者がより高いGISを有するため、より高いGISに向かって分布をシフトさせる。より高いGIS閾値は、高い特異度単独(すなわち、HRD陽性と分類される治療から利益を得る患者が少ない)に基づいて適切であると思われ得る。しかしながら、特異度又は感度を優先することが適切であり得るかどうかは、研究集団、又は他の臨床的要因(例えば、第一選択治療、転移性疾患)に依存し得る。
【0395】
本発明は、その詳細な説明と併せて説明されているが、上述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例解することを意図するものであり、限定するものではないことが理解される。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
【国際調査報告】