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特表2025-503450医療器具及びそのような器具を備えるシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】医療器具及びそのような器具を備えるシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20250128BHJP
   G01N 33/12 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61B18/22
G01N33/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536170
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2022086682
(87)【国際公開番号】W WO2023117925
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2114199
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524227332
【氏名又は名称】アナスタシー,ブルーノ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシー,ブルーノ
【テーマコード(参考)】
4C026
【Fターム(参考)】
4C026AA02
4C026AA03
4C026BB02
4C026FF17
4C026FF18
4C026FF33
4C026FF34
(57)【要約】
本発明は、組織を貫通するように意図された自由遠位端と、光源に接続可能な近位端と、を備える医療器具であって、器具が、第1の光学出口を介して光ガイドによる光の実質的な正面からの放出のために、中に少なくとも1つの光ガイドが装着されている管状支持体を備え、器具は、器具が、器具の遠位部分に対する少なくとも1つの機械加工作業を含む、光の偏向した放出のために、第2の光学出口を形成する、光の少なくとも1つの光学偏向手段を備え、光の収束のために構成された少なくとも1つの反射及び/又は凹面研磨と、光の発散のために構成された反射及び/又は凸面研磨とを含み、研磨作業が、光ガイド及び/又は支持体に対して実行されることを特徴とする、医療器具に関する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織若しくは器官(6)及び/又は血管(V)を貫通するように意図された自由遠位端と、光源(10)に接続可能な近位端と、を備える医療器具(1)であって、前記器具が、中に少なくとも1つの光ガイド(2)が装着されている管状支持体(3)を備え、前記支持体(3)が、第1の光学出口を介して前記ガイド(2)による光の実質的な正面からの放出のために、前記第1の光学出口を形成する少なくとも1つのオリフィスを備える傾斜した遠位端(31)を備え、前記器具は、前記器具が、前記器具の遠位部分に対する少なくとも1つの機械加工作業を含む、光の偏向した放出のために、第2の光学出口を形成する、前記光の少なくとも1つの光学偏向手段(210、310、312、313、314、315)を備え、第1の反射及び/又は凹面研磨であって、前記第1の研磨が、前記光の収束のために構成されている、第1の反射及び/又は凹面研磨と、第2の反射及び/又は凸面研磨であって、前記第2の研磨が、前記光の発散のために構成されている、第2の反射及び/又は凸面研磨と、を少なくとも含み、前記第1及び第2の研磨作業が、前記光ガイド(2)及び/又は前記支持体(3)に対して実行されることを特徴とする、医療器具(1)。
【請求項2】
前記光ガイド(2)が、光学ファイバを含む、請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項3】
前記光学ファイバが、中空であり、CO2レーザ光源に関連付けられている、請求項2に記載の医療器具(1)。
【請求項4】
前記光ガイド(2)が、前記管状支持体(3)の内壁上に反射性コーティングを備える、請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項5】
前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)が、切断特性及び貫通特性を付与する研ぎ角度(B)まで矢状に研がれている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの遠位部分が、曲率半径(E)に従って湾曲しており、前記組織又は器官(6)の外側からの前記器具の操作を容易にする、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項7】
光偏向手段が、前記遠位端(31)の近くで前記支持体の前記壁に少なくとも1つの側方オリフィス(312)を備え、前記側方オリフィス(312)が、前記支持体(3)の前記壁の厚さ内に少なくとも1つの面取り部(3121)を備え、発散偏向手段を形成するように外向きに広がるか、又は収束偏向手段を形成するように内向きに広がるかのいずれかである光学偏向角度(F)を提供する、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項8】
前記光偏向手段が、前記光ガイド(3)の表面に置かれた導光ボールに対して実行される凸面研磨を含む発散偏向手段である、請求項1~7のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項9】
前記光ガイド(2)、例えば、断面加工された若しくは傾斜した端部むき出しの光学ファイバ又は中空ファイバの前記遠位端(21)が、前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)から後退して位置付けられており、その結果、前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)内の反射研磨された内側表面(315)が、光学偏向手段を形成する反射ツールとして機能する、請求項1~8のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項10】
前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で傾斜部の表面上に円周研磨領域(310)を備え、かつ前記研磨領域(310)の一部分の第2の研磨(313)によって取得される第2の傾斜部を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項11】
前記第2の研磨(313)が、前記研磨領域(310)の側方部分に対して実行され、側方光学偏向角度(C)を提供する、請求項10に記載の医療器具(1)。
【請求項12】
前記第2の研磨(313)が、前記研磨領域(310)の円周全体であり、遠位光学偏向角度(D)を提供する、請求項10に記載の医療器具(1)。
【請求項13】
前記第2の研磨(313)が、前記研磨領域(310)の中央及び頂点部分に対して実行され、頂点光学偏向角度(G)を提供する、請求項10に記載の医療器具(1)。
【請求項14】
前記第2の研磨(313)が、前記光ガイド(2)の前記遠位端の研磨領域(210)も取得するように決定された高さ(H1、H2)で実行され、2つの光学偏向角度(G)及び前記光ガイド(2)の変形された活性表面(212)をもたらす、請求項13に記載の医療器具(1)。
【請求項15】
前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で前記傾斜部の前記表面上に円周研磨領域(310)を有し、側方又は中央及び頂点のいずれかの少なくとも1つの光学偏向手段を形成する少なくとも1つの半球形又は三角形のくぼみ(314)を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項16】
前記光ガイド(2)の前記遠位端が、前記支持体(3)の内部に収容されており、少なくとも1~10mmの距離だけ前記支持体の前記遠位端(31)から後退している、請求項1~15のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項17】
前記器具が、2つの光ガイド、優先的には、2つの光学ファイバを備え、前記ガイドのうちの一方が、発散光学偏向手段、例えば、凸面研磨を担持し、他方が、収束光学偏向手段、例えば、凹面研磨を担持する、請求項1~16のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項18】
前記光ガイド(2)が、発散光学偏向手段及び収束光学偏向手段の両方を備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項19】
前記支持体(3)が、発散光学偏向手段及び収束光学偏向手段の両方を備える、請求項1~18のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項20】
前記光ガイド(2)及び/又は前記支持体(3)を、特に互いに対して回転及び/又は前進させるための手段を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項21】
前記器具の正しい位置付けを確認するための少なくとも1つのマーキングを備えることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の器具。
【請求項22】
少なくとも1つの着色フィルタが、光路内に配置されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項23】
前記支持体が、好ましくは、ステンレス鋼又はアルミニウムから選択される生物学的に中性の材料で作られている、請求項1~22のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項24】
前記支持体が、熱伝導性が高められた材料の遠位コーティングを有する、請求項23に記載の医療器具(1)。
【請求項25】
前記光ガイドが、200nm~5μmの波長を反射する光学ファイバである、請求項1~24のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項26】
前記光ガイドが、200nm~11μm、好ましくは、5μm~11μmの波長を反射する内部反射管を形成する前記支持体の前記内側表面のコーティングである、請求項1~25のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項27】
前記光ガイドが、50~1000μm、好ましくは、50~150μm、好ましくは、75~125μmの外径を有するドープされた光学ファイバである、請求項1~26のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項28】
前記支持体(3)が、10~120mmの長さを有し、前記ガイドの前記外径が、100~4000μm、好ましくは、50~1000μmであり、針の外径が、200~5000μm、好ましくは、450μm~1000μmであり、前記支持体(3)の前記遠位端(31)が、10~20°の傾斜角度(A)で傾斜している、請求項1~27のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項29】
針出口におけるビームのパワーを較正するために、光ベクトル及び前記光源とともに、電子アカウンティングデバイスを備える、請求項1~28のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項30】
ガイドアパーチャ、好ましくは、前記ファイバのアパーチャ数は、15°~40°、好ましくは、20°~35°、更に優先的には、23°~32°である、請求項1~29のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項31】
前記器具が、前記支持体(3)内の二重チャネル、又は別の器具の別のチャネルに関連付けられた前記支持体(3)内のチャネルのいずれかである、2つのチャネルを備え、アセンブリが、前記支持体(3)の前記遠位端(31)における温度を測定するための熱電対測定デバイスに結合される、請求項1~30のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項32】
測定された温度値が、所定の閾値を超えたときの警報システムを更に備える、請求項31に記載の医療器具(1)。
【請求項33】
過熱を可視化するために、前記器具が所定の温度に達したときに反応するように構成された熱試薬を更に含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項34】
前記光ガイド(2)が、複数の異なる光学ファイバを含み、1つのファイバから別のファイバへの異なる光学偏向手段を有し、前記器具が、前記異なるファイバからの信号の差分収集によって光診断を行うために前記光源においてマルチプレクサに結合される、請求項1~33のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか一項に記載の医療器具(1)を使用して、発色団検出によって食品管理において毒性製品を検出するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、光治療器具の分野に関し、特に、静脈瘤を治療するために使用することができる静脈内レーザに関する。この技術は、産業環境、特に食品、歯科学及び獣医学において適用することができる。加えて、本発明は、静脈内治療に限定されるものではなく、円錐切除術、又は洗浄及び/若しくは破壊と光凝固との両方を可能にするツールを必要とする任意の他の処置など、様々なタイプの外科的処置に関し得る。同様に、本発明は、レーザ及び特にCO2レーザのための新規な解決策を提供するが、レーザに限定されず、様々な波長の様々なタイプの光を網羅する。
【背景技術】
【0002】
洗浄及び/又は破壊を必要とする外科的手術は、とりわけ一般的に麻酔を必要とするので、コストがかかり、時間がかかることが多い。更に、それらは、特に組織が凝固することが必ずしも容易ではないという事実に起因して、瘢痕を生成する。これに関連して、洗浄及び/又は破壊を容易にし、光凝固の可能性を改善するツールを提案することは興味深い。
【0003】
血管硬化のためのより最近の技術、特に、米国特許出願公開第2003/0078569号に開示されている技術などの静脈瘤の治療は、患者にとって負担が少ないが、それにもかかわらず、カテーテル導入準備、操作者の包帯、滅菌ドレープ、広範囲にわたる消毒、及び手術室での複雑な取り扱いを必要とする。それらは更に、長く高価な光学ファイバを使用する。加えて、この技術は、望ましくない効果、例えば、アレルギーを有し得る麻酔製品の注射を必要とする。これは、化学的硬化剤を使用する医療行為における従来の硬化症の場合である。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0131400号は、光学ファイバ内でレーザを伝導するためのデバイスを詳述しており、光学ファイバの端部は、血管内に挿入されるようにカテーテルを通過する。静脈内の光学ファイバの端部で散乱されたレーザビームは、静脈壁の内皮細胞及び静脈壁全体に作用することによって静脈瘤を治療するのに役立ち、その効果は熱機械的である。しかしながら、そのようなデバイスは、血管の壁の周囲治療中に光拡散を最適化しない。
【0005】
国際公開第2007/104836(A1)号は、中に光学ファイバなどの光ガイドが存在する、針などの管状支持体を教示しており、支持体における側方窓の使用、又は光散乱のための器具の遠位端部の様々な配置を開示している。しかしながら、このタイプの器具は、標的用途のタイプに応じて、収束又は発散によって、特に光偏向に関して改善することができる。
【0006】
本発明の目的は、コストがかからず、取り扱いが容易であり、かつ/又は洗浄、組織破壊及び光凝固の可能性を改善する、より単純な技術並びに機器、器具及びシステムを提案することである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、より単純な技術、並びにより安価で取り扱いが容易であり、かつ/又は洗浄、組織破壊及び光凝固の可能性を改善する機器、器具及びシステムを提案することによって、先行技術の欠点のうちの少なくともいくつかを克服することを可能にする、医療器具及びそのような器具を備えるシステムを提案することである。したがって、利点のうちの1つは、手術室外での処置のコストを低減し、必要に応じてより低いコストで手術を繰り返すことができることである。
【0008】
この目的は、組織若しくは器官及び/又は血管を貫通するように意図された自由遠位端と、光源に接続可能な近位端と、を備える医療器具であって、器具が、中に少なくとも1つの光ガイドが装着されている管状支持体を備え、支持体が、第1の光学出口を介してガイドによる光の実質的な正面からの放出のために、第1の光学出口を形成する少なくとも1つのオリフィスを備える傾斜した遠位端を備え、器具は、器具が、器具の遠位部分に対する少なくとも1つの機械加工作業を含む、光の偏向した放出のために、第2の光学出口を形成する、光の少なくとも1つの光学偏向手段を備え、光の収束のために構成された少なくとも1つの反射及び/又は凹面研磨と、光の発散のために構成された反射及び/又は凸面研磨と、を含み、研磨作業が、光ガイド及び/又は支持体に対して実行されることを特徴とする、医療器具によって達成される。
【0009】
別の特徴によれば、光ガイドが、光学ファイバを備える。
【0010】
別の特徴によれば、光学ファイバが、中空であり、CO2レーザ光源に関連付けられている。
【0011】
別の特徴によれば、光ガイドが、管状支持体の内壁上に反射性コーティングを備える。
【0012】
別の特徴によれば、支持体の傾斜した遠位端が、切断特性及び貫通特性を付与する研ぎ角度に矢状に研がれている。
【0013】
別の特徴によれば、少なくとも1つの遠位部分が、曲率半径に従って湾曲しており、組織又は器官の外側からの器具の操作を容易にする。
【0014】
別の特徴によれば、光偏向手段が、遠位端の近くで支持体の壁に少なくとも1つの側方オリフィスを備え、側方オリフィスが、支持体の壁の厚さ内に少なくとも1つの面取り部を備え、発散偏向手段を形成するように外向きに広がるか、又は収束偏向手段を形成するように内向きに広がるかのいずれかである光学偏向角度を提供する。
【0015】
別の特徴によれば、光偏向手段が、光ガイドの表面に置かれた導光ボールに対して実行される凸面研磨を含む発散偏向手段である。
【0016】
別の特徴によれば、光ガイド、例えば、断面加工された若しくは傾斜した端部むき出しの光学ファイバ又は中空ファイバの遠位端が、支持体の傾斜した遠位端から後退して位置付けられており、その結果、支持体の傾斜した遠位端の内部の反射研磨された内側表面が、光学偏向手段を形成する反射ツールとして機能する。
【0017】
別の特徴によれば、支持体の傾斜した遠位端が、傾斜角度で傾斜部の表面上に円周研磨領域を有し、かつ研磨領域の一部分の第2の研磨によって取得される第2の傾斜部を備える。
【0018】
別の特徴によれば、第2の研磨が、研磨領域の側方部分に対して実行され、側方光学偏向角度を提供する。
【0019】
別の特徴によれば、第2の研磨が、研磨領域の円周全体であり、遠位光学偏向角度を提供する。
【0020】
別の特徴によれば、第2の研磨が、研磨領域の中央及び頂点部分に対して実行され、頂点光学偏向角度を提供する。
【0021】
別の特徴によれば、第2の研磨が、光ガイドの遠位端の研磨領域も取得するように決定された高さで行われ、2つの光学偏向角度及び光ガイドの変形された活性表面をもたらす。
【0022】
別の特徴によれば、支持体の傾斜した遠位端が、傾斜角度で傾斜部の表面上に円周研磨領域を備え、側方又は中央及び頂点のいずれかの少なくとも1つの光学偏向手段を形成する少なくとも1つの半球形又は三角形のくぼみを備える。
【0023】
別の特徴によれば、光ガイドの遠位端が、支持体の内部に収容されており、少なくとも1~10mmの距離だけ支持体の遠位端から後退している。
【0024】
別の特徴によれば、器具が、2つの光ガイド、優先的には、2つの光学ファイバを備え、ガイドのうちの一方が、発散光学偏向手段、例えば、凸面研磨を担持し、他方が、収束光学偏向手段、例えば、凹面研磨を担持する。
【0025】
別の特徴によれば、光ガイドが、発散光学偏向手段及び収束光学偏向手段の両方を備える。
【0026】
別の特徴によれば、支持体が、発散光学偏向手段及び収束光学偏向手段の両方を備える。
【0027】
別の特徴によれば、器具が、光ガイド及び/又は支持体を、特に互いに対して回転及び/又は前進させるための手段を備える。
【0028】
別の特徴によれば、器具は、器具の正しい位置付けを確認するための少なくとも1つのマーキングを備える。
【0029】
別の特徴によれば、少なくとも1つの着色フィルタが、光路内に配置される。
【0030】
別の特徴によれば、支持体が、好ましくは、ステンレス鋼又はアルミニウムから選択される生物学的に中性の材料で作られている。
【0031】
別の特徴によれば、支持体が、熱伝導性が高められた材料の遠位コーティングを有する。
【0032】
別の特徴によれば、光ガイドが、200nm~5μmの波長を反射する光学ファイバである。
【0033】
別の特徴によれば、光ガイドが、200nm~11μm、好ましくは、5μm~11μmの波長を反射する内側反射管を形成する支持体の内側表面のコーティングである。
【0034】
別の特徴によれば、光ガイドは、50~1000μm、好ましくは、50~150μm、好ましくは、75~125μmの外径を有するドープされた光学ファイバである。
【0035】
別の特徴によれば、支持体が、10~120mmの長さを有し、ガイドの外径が、100~4000μm、好ましくは、50~1000μmであり、針の外径が、200~5000μm、好ましくは、450μm~1000μmであり、支持体の遠位端が、10~20°の傾斜角度で傾斜している。
【0036】
別の特徴によれば、それは、針出口におけるビームのパワーを較正するために、光ベクトル及び光源とともに、電子アカウンティングデバイス(electronic accounting device)を備える。
【0037】
別の特徴によれば、ガイドアパーチャ、好ましくは、ファイバのアパーチャ数は、15°~40°、好ましくは、20°~35°、更に優先的には、23°~32°である。
【0038】
別の特徴によれば、器具が、支持体内の二重チャネル、又は別の器具の別のチャネルに関連付けられた支持体内のチャネルのいずれかである、2つのチャネルを備え、アセンブリが、支持体の遠位端における温度を測定するための熱電対測定デバイスに結合されている。
【0039】
別の特徴によれば、器具は、測定された温度値が、所定の閾値を超えたときの警報システムを更に備える。
【0040】
別の特徴によれば、器具が、過熱を可視化するために、器具が所定の温度に達したときに反応するように構成された熱試薬を更に含む。
【0041】
別の特徴によれば、光ガイドが、複数の異なる光学ファイバを備え、1つのファイバから別のファイバへの異なる光学偏向手段を有し、器具が、異なるファイバからの信号の差分収集によって光診断を行うために光源においてマルチプレクサに結合されている。
【0042】
本発明の別の目的は、実施が容易で安価な食品管理プロセスを提供することである。
【0043】
この目的は、発色団を検出することによって、本出願による医療器具を使用して食品管理における毒性製品を検出するためのプロセスによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、添付の図面を参照して以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
図1】使用中の本発明の特定の実施形態によるシステムの概略図を示す。
図2】いくつかの実施形態によるシステムの接続手段の概略側面図を示す。
図3図2に示した接続手段の縦断面図である。
図4】いくつかの実施形態による接続手段及び管状支持体の概略側面図である。
図5】いくつかの実施形態による、管状支持体の遠位傾斜部の概略図である。
図6】第2の側方遠位傾斜部を備えるいくつかの実施形態による、支持体の遠位端の概略斜視図である。
図7図6に示される支持体の遠位端の概略斜視図であり、いくつかの実施形態による光ガイド及びそのデジタルアパーチャを更に示す。
図8】第2の円周遠位傾斜部を備えるいくつかの実施形態による器具の管状支持体及び光ガイドの概略斜視図である。
図9】特定の実施形態による、器具の支持体及びCO2レーザを搬送するための中空管によって形成された光ガイドの概略透過斜視図である。
図10】いくつかの実施形態による、遠位湾曲を有する支持体の概略側面図である。
図11】研磨を伴う少なくとも1つの側方遠位窓を備える様々な実施形態における支持体の遠位端の概略斜視詳細を示す。
図12】研磨を伴う少なくとも1つの側方遠位窓を備える様々な実施形態における支持体の遠位端の概略斜視詳細を示す。
図13】研磨を伴う少なくとも1つの側方遠位窓を備える様々な実施形態における支持体の遠位端の概略斜視詳細を示す。
図14】第2の中央及び頂点遠位傾斜部を備えるいくつかの実施形態による、器具の管状支持体及び光ガイドの概略斜視図である。
図15】光ガイドを越えて延在し、したがって光ガイドの遠位端の研磨を形成する第2の中央及び頂点遠位傾斜部を備えるいくつかの実施形態による、器具の遠位端の概略正面図である。
図16図15に示されるような器具の遠位端の概略正面図であり、光ガイドを越えて延在する中央及び頂点遠位第2の傾斜部の2つの異なる高さを示し、光ガイドの活性表面は、その遠位研磨によって変形されている。
図17図16に示されるような器具の遠位端の概略斜視図であり、光ガイド及び管状支持体上の遠位傾斜部の角度、並びに光ガイドの活性表面の変形を示す。
図18】少なくとも1つの側方、半球形、及び/又は三角形の遠位くぼみを含むいくつかの実施形態による、器具の管状支持体及び光ガイドの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本出願は、光治療、特にレーザ治療のための外科用器具に関する。本出願において詳述された実施形態の多数の組み合わせが、本発明の範囲から逸脱することなく想定され得る。当業者は、経済的な制約、人間工学的な制約、寸法上の制約、又は規則に沿って従わなければならない他の制約に従って、一方又は他方を選択する。加えて、様々な技術的特徴が機能的な用語で説明され、単一のデバイスが様々な実施形態の機能的特徴を組み合わせ得ることが、本出願を読むことから理解される。
【0046】
光治療、特にレーザ治療が、医療分野で周知である。注意すべきこととして、この治療の効果は、熱的及び機械的の両方である可能性があることである。熱効果は、レーザ放射が障害物(組織)によって吸収されるときに生じる。次いで、これらは、体温及び加熱期間の変更にリンクした組織反応を誘発する。組織内の温度上昇に応じて、異なるタイプの反応が生じる可能性がある。高体温は、約数度の組織温度の中程度の上昇に対応する。したがって、数十分間の約41℃の組織温度は、細胞死につながる可能性がある。凝固は、即時の組織破壊を伴わない不可逆的壊死に対応する。この作用において、組織の温度は、約1秒間で50℃~100℃の温度に達する可能性がある。次いで、この温度は、タンパク質及びコラーゲンの変性を介して、組織の乾燥、白色化及び退縮を生じる。次いで、組織は除去(洗浄)され、治癒する。揮発又は気化は、物質の損失に対応する。本明細書では、100℃を超える組織温度について述べる。これらの条件下では、細胞成分は比較的短時間で蒸発する。凝固壊死のゾーンは、揮発したゾーンと健康なゾーンとの間の温度遷移が徐々に生じるので、揮発したゾーンの縁で見ることができる。機械的効果は、プラズマの作成、爆発的気化、又はキャビテーションによって誘発される。これらの効果は主に、破壊効果を生成するであろう(熱効果から作成される)衝撃波の膨張にリンクする。実際、材料が照射によって基板から放出されるとき、基板は跳ね返るであろう。この跳ね返り効果は、エネルギー保存と、光エネルギーが運動エネルギーに変換されるという事実とにリンクしている。本出願は、治療選択肢を最適化するために、これらの効果を利用することを提案する。
【0047】
本発明の第1の目的によれば、そのような器具は、光ガイド、例えば光学ファイバと、ガイドを収容する剛性管状支持体、例えば光ガイドの周りの保護ガイドシースを形成する針とを備える。したがって、「管状支持体」及び「針」という用語は、本出願において、非限定的かつ互換的に使用される。同様に、「光ガイド」、「光ベクトル」、「ベクトル」、「光学ファイバ」、又は「ファイバ」という用語は、本出願において、非限定的かつ互換的に使用される。
【0048】
そのような光学針は、その中に含まれる光ベクトルによって可変波長の、例えばフィルタ処理されたレーザ又は白色光源に接続され、光源からの光を遠位端に搬送する。光源への接続(4)は、標準コネクタ(SMA又は他のもの)を介して達成されることができ、それは、滅菌手術環境で使用するために(特に化学的に)再滅菌することができる。したがって、光学ファイバの可撓性が好まれる以前の使用とは対照的に、例えば、ファイバの入口から治療される領域までの長い距離にわたって静脈又は動脈でさえも横断(カテーテル挿入)することができるように、反対に、支持体によって提供される特定の剛性が好まれる。もちろん、この剛性は絶対的なものではなく、むしろ、特に静脈内レーザにおいて使用されるような光学ファイバの可撓性と比較されるべきである。この剛性は、使用に従って微調整することができる。例えば、傾斜した針の場合、針は、例えば、患者の皮膚を貫通し、腫瘍病変などの組織を切断し、又は潰瘍などの組織を洗浄することを可能にするために十分に剛性であり得る。
【0049】
有利には、器具は、光源、特にレーザ光源への接続手段を備え得る。レーザ光源は、血管内使用に好適である200~4000nmの波長を有し得る。用途に応じて他の波長も可能である。特に、特にCO2レーザ(固体光学ファイバを使用することを不可能にする10.6μm波長)のために、内部反射を用いた中空ファイバ(又は反射性コーティング)が中空針内で使用される実施形態が提供される。
【0050】
いくつかの実施形態では、レーザ光源は、有利には、800~1000nmの波長を有し得る。更により有利には、この波長は、酸化ヘモグロビン及び水によるその優先的吸収のために、980nmである。
【0051】
器具は、実質的な正面からの光放出のための手段と、光偏向、特に、側方光放出又は正面からの放出軸(針及び/又はファイバによって形成される円筒の母線に対応する)に平行でない偏向のための手段と、を備える。側方拡散は、1つ以上の側方窓を通して、及び/又は器具の遠位端上の側方傾斜部によって、及び/又は支持体若しくはガイドのいずれか、又は両方に対する研磨(若しくは円周若しくは頂点傾斜部若しくは平面)によって行われることができる。意図される使用に応じて、窓は、光ガイド及び/又は支持体に沿って横方向又は長手方向に分布され得る。いくつかの実施形態では、使用される研磨のタイプは、「光沢」研磨と呼ばれる。他の実施形態では、使用される研磨のタイプは、「マット」研磨である。このタイプの研磨はよりコストがかかるが、光を所望の方向に導くことを可能にする。
【0052】
一般的に言えば、本発明は、組織又は器官(6)及び/又は血管(V)を貫通するように意図された操作可能な自由遠位端と、光源(10)に接続可能な近位端と、を備える医療器具(1)を含み、器具は、中に少なくとも1つの光ガイド(2)が装着されている管状支持体(3)を備える。この支持体(3)は、第1の光学出口を介してガイド(2)による光の実質的な正面からの放出のために、第1の光学出口を形成する少なくとも1つのオリフィスを備える傾斜した遠位端(31)を備える。この傾斜した遠位端は、先行技術で知られているように、針の貫通を容易にするように配置されている。この遠位傾斜部の角度(A)は、例えば図5に示されるように、針のサイズ、特に直径又は長さに従って変化し得る。針の傾斜角度は、10~40°、好ましくは20°~30°、更に好ましくは25°である。角度が小さくなればなるほど、皮膚を貫通する際の痛みが少なくなる。したがって、この角度は、穿刺の痛みの性質を条件付ける。それはまた、光子場の形状、すなわち、光ガイド(2)、ここではファイバの開口数に依存する光学表面及び活性表面は、傾斜角度がより小さいときに増加されることを条件付ける。傾斜角度は、光子場の形状に光学的に影響を及ぼし、したがって生物学的効果に影響を及ぼす。
【0053】
本発明の様々な実施形態によれば、器具は、光の偏向した放出のために、第2の光学出口を形成する光の少なくとも1つの光学偏向手段(210、310、312、313、314、315)を備える。様々な実施形態に従って様々な形態をとることができるこの偏向手段は、器具の遠位部分に対する少なくとも1つの機械加工及び/又は研磨作業を含む。研磨作業は、光の直線偏向のために反射性であり得、及び/又は光収束のために凹面であり得、及び/又は光発散のために凸面であり得る。有利には、この研磨作業は、光ガイド(2)及び/又は支持体(3)に対して実行される。光の右偏向を誘発する反射研磨の場合、ガイド(2)及び/又は支持体(3)に対するこの反射研磨の位置に応じて、この偏向は、活性ゾーンを拡張し、したがって光の発散を生成するか、又は活性ゾーンの一部を集束させ、したがって光の収束を生成することができる。光偏向のいくつかの手段を取得するために、いくつかの異なる研磨作業を器具の遠位部分上の異なる位置で実行することができ、これにより、各々によって生成される効果を1つの同じツール内で組み合わせることが可能になり、したがって、医療デバイスのコスト及び侵襲性を最小限に抑えることが理解される。実際、例えば凹面研磨による光収束は、組織の洗浄、特に切り分け、破壊さえも促進する。逆に、例えば凸面研磨による光発散は、光凝固及び/又は光診断及び/又は光力学療法を促進する。例えば、光ガイドの傾斜した端部の内壁に対する適切な反射研磨は、光の一部が、この反射研磨が提供されない傾斜部上に集束されることを可能にし、したがって、組織の洗浄、切り分け、又は破壊を可能にする収束を生成する。他方では、光ガイドの開口数及び遠位傾斜部の角度に応じて、例えば、ガイドが、その遠位端にそのような研磨が提供された支持体内に後退させられるとき、反射研磨を通して光発散を可能にすることが可能である。同様に、出口オリフィスの縁部に第2の傾斜部又は平坦部又は面取り部を形成するための研磨は、光を発散させ、それによって光凝固を促進することを可能にする。したがって、本出願では、収束光と発散光の治療効果を組み合わせる単一のツールを取得するために、光ガイド及び/又は支持体上で、収束光偏向手段と発散偏向手段とを組み合わせる様々な構成が想定される。様々な実施形態が、支持体によって提供される保護及び工具の機械加工の作業によって与えられる安定性のおかげで、より高い信頼性及び堅実性を提供することも注目に値する。したがって、実装するのにコストがかかり複雑である(「ボールファイバ」として知られる技術によって)遠位端に置かれたボールによって取得される凸面研磨を使用するのではなく、以下に詳述するように、傾斜部、平坦部又は面取り部の角度(C、G、D、F)及びその研磨に基づいて拡散の程度を制御しながら、より低コストで光の発散を取得するために、支持体及び/又はガイドを機械加工することが可能である。したがって、先行技術のように単一の傾斜部又は遠位研磨を使用する代わりに、様々な実施形態は、有利には、支持体若しくはファイバのいずれか、又はその両方の第2の研磨(又は傾斜部)を使用する。他の実施形態は、有利には、支持体の内部のコーティングの第2の研磨を使用する。「実質的な正面からの放出」という用語は、光学出口に対して正面である遠位端における光放出を意味するが、遠位傾斜部の存在により、この放出は完全に正面ではなく、光は、支持体及び/又は光ガイドによって形成される円筒の母線に平行ではない方向に放出されることが理解される。
【0054】
一般的に言えば、器具は、光ガイド(2)として光学ファイバ、例えば、医療用途に一般的に使用されるタイプのファイバ、例えばシリカ、特にストレートシリカで作られたファイバを備え得る。このファイバは、針などの管状支持体(3)内に装着することができる。「針」は、光ガイドの正確な操作を可能にするのに十分な剛性を有する管状構造又は支持体を意味すると理解される。加えて、特に静脈内治療の場合、この針は、穿刺針など、皮膚を穿刺するのに十分な剛性を有していなければならない。器具は、組織を貫通するように意図された本出願において遠位と呼ばれる第1の端部と、光源(特にレーザ)に接続されるように意図された別の端部とを有することが理解される。管状支持体は、これらの2つの端部の間に円筒を形成し、円筒の母線を画定し、この母線は直線状であり得るが、例えば図10に示されるように湾曲していることもある。器具の曲率半径(E)は、器具が組織又は器官の外側から操作されることを可能にするため、用途に応じて(特に、組織内で作業することが所望される深さに応じて)変化し得る。したがって、「遠位」という用語は、組織、器官(6)又は血管(V)を貫通する器具の自由端を指し、「先端」という用語は、頂点、すなわち、この遠位端上の最も遠い点又はゾーンを指す。一方、器具は、(ユーザに最も近いため)近位端と呼ばれる別の端部を有し、この近位端は、器具の光ガイドを照明するために光源に接続することができる。この近位端はまた、本出願に詳述される様々な実施形態による他のデバイスに接続可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、支持体の拡散オリフィス及び光ガイド、特に光偏向手段は、管状支持体の器具の遠位部分(31)に近接して、それらの先端部及び/又は器具が回転される場合に側方又は円周治療を可能にする少なくとも1つの側方窓のいずれかに位置する。
【0056】
「近く」という用語は、拡散オリフィスが、その基部よりも構成要素の先端に近く、好ましくは構成要素の中央部よりも構成要素の頂点端に近く、例えば構成要素の頂点端にあることを意味すると理解される。したがって、支持体(及びガイド)の頂点端にあるオリフィスは、直線的な治療を可能にし、側方窓を形成するオリフィスは、ツールを回転させることによって円周治療を行うことを可能にする。
【0057】
いくつかの実施形態では、支持体(3)の端部は、例えば「カッティングへら」の形状の凹面又は凸面の半円であり、組織の洗浄又は切開(例えば、子宮頸部円錐切除術、潰瘍洗浄、組織切り分け)を可能にする。これは、特に、光学表面の研磨が、光学場に対する収束作用を伴う凹面であり、したがって、光エネルギー又はエネルギー密度を集中させる場合、切り分け効果を増加させる。これにより、切開の精度が増加する。
【0058】
光偏向手段
器具は、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)に加えて、少なくとも1つの第2の傾斜部、平坦部又は研磨によって、少なくとも1つの光偏向手段を備える。針先端におけるこの研磨は、出力ビームを拡散又は集束させるために凸面又は凹面であってもよく、その目的は、組織破壊(例えば、潰瘍洗浄)のために光拡散場を増大させること(凸面研磨の場合)、又は組織切り分け(例えば、円錐切除術)のために光拡散場を集束させること(凹面研磨の場合)である。
【0059】
いくつかの実施形態では、光偏向手段が、遠位端(31)の近くで支持体の壁に少なくとも1つの側方オリフィス(312)を備え、側方オリフィス(312)が、支持体(3)の壁の厚さ内に少なくとも1つの面取り部(3121)を備え、発散偏向手段を形成するように外向きに広がるか、又は収束偏向手段を形成するように内向きに広がるかのいずれかである光学偏向角度(F)を提供する。図11図12及び図13は、様々な形状及び数であり得るそのような側方オリフィスの例示的かつ非限定的な例を示す。面取り部は、器具の遠位傾斜部とは異なる方法で光が拡散されることを可能にする。例えば、これらの図に示されるような発散角では、側方オリフィスは光凝固を促進する。したがって、結果は、より低いコストで、その頂点で切断し、その遠位部分で凝固するツールである。いくつかの実施形態では、例えば、図11図12、及び図13に非限定的に示されるように、(針又は切り分けツールのための)支持体(3)の窓は、用途に応じて、円形、楕円形、正方形、又は長方形であり得る。この数は、用途に応じて、特に静脈内血管用途における熱的及び熱機械効果に応じて変化する。デバイスの機械加工に応じて変化することができ、光子場の形状、したがって生物学的効果を条件付ける面取り角度(F)が存在する。それは、例えば、凝固効果を加え、傾斜部の上のセクションを囲むために、傾斜部の後方又は側方の賢明に決定された位置に加えることができる。針本体の壁を通る面取り角度は、一般的に30~90°、好ましくは50~70°、優先的には60°である。
【0060】
本発明の様々な実施形態は、支持体(3)及び/又はガイド(2)によって形成される円筒の母線に略平行な第1の光学出口と、支持体(3)及び/又はガイド(2)によって形成される円筒の母線に略平行ではない第2の偏向光学出口とを有する器具を提供することを目的とする。したがって、結果は、特に製造コストが低減され、使用が容易な、同じ器具に対する光学面(又は活性表面)の少なくとも2つの異なる角度付けである。
【0061】
いくつかの実施形態では、光偏向手段は、(「ボールファイバ」として知られる技術によって)光ガイド(3)の表面に置かれた導光ボールに対して実行される凸面研磨を含む発散偏向手段である。
【0062】
いくつかの実施形態では、光ガイド、例えば、断面加工された若しくは傾斜した端部むき出しの光学ファイバ又は中空ファイバの遠位端が、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)から後退して位置付けられており、その結果、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)内の反射研磨された内側表面(315)が、光学偏向手段を形成する反射ツールとして機能する。これは、有利には、研磨が実行されるときよりも低コストの実施形態を可能にする。他の実施形態では、反射デバイス又はコーティングが、ファイバによって覆われていない傾斜部の内側部分上で、針の端部に提供される。ファイバ(例えば、図9及び図18のように中空であるか、又は他のものであるかにかかわらず)を越えて延在する傾斜した遠位部分にわたって光を搬送するための2つの解決策がある。第1のものは、傾斜端部の内側表面が既に金属であり、研磨されている(一般的に、CEマーキングに必要とされるように、生物学的に中性のステンレス鋼で作られている)ので、光を反射させるために金属表面をコーティングしないままにすることである。これは、そのような製品の製造コストを低減する。第2のものは、有利には、傾斜部の端部の研磨をこのゾーンを研ぐことに限定することである。これは金銭に対して良好な価値を提供する。これらの実施形態のうちのいくつかでは、光ガイド(2)の遠位端は、支持体(3)の内部に収容されており、支持体の遠位端(31)からある距離、優先的には少なくとも1~10mmの間隙だけ後退している。この距離は、針内のファイバの並進運動により、器具ごとに変化してもよく、又は同じ所与の器具上で可変であり得る。この距離の変化は、器具の遠位端における光子場を変化させ、したがって、有利には、器具によって取得される物理的効果(洗浄、光凝固など)を選択することを可能にする。また、中空ファイバの代替として、反射被覆又はコーティングが針の内部で使用され得ることにも留意されたい。このコーティングは、中空又はソリッドファイバの場合と同じ効果を取得するために、支持体(3)の遠位端からある距離で停止することができる。実際、いくつかの実施形態では、光ガイド(2)は、針から独立した光学ファイバではなく、針(3)の内側の被覆又はコーティングである。この被覆は、被覆された表面全体にわたって針に取り付けることができる。代替的には、ガイド及び支持体は独立したままである。それは、例えば、シリカで作られてもよく、同じ材料で作られた光学ファイバと同じ導光品質を提供してもよいが、例えば、より長い又はより短い波長を搬送することが可能な異なる材料で作られてもよい。それは、特に強度及び衝撃からの保護の点で、支持体又は針(3)によって形成されるシースによって与えられる保護から更に利益を得る。更に、被覆が針と一体であるときに、器具の精度が向上する。いくつかの実施形態では、光ガイドは、200nm~5μmの波長を反射する光学ファイバである。更に、いくつかの実施形態では、光ガイドは、200nm~11μm、好ましくは、5μm~11μmの波長を反射する内部反射管を形成する中空ファイバ又は支持体の内側表面のコーティングである。これらの中空ファイバ又はコーティングの実施形態は、以下に詳述されるように、側方窓、又は側方、円周、若しくは頂点研磨、又は他のくぼみであろうと、本出願の逸脱の様々な手段と組み合わせられることができることにも留意されたい。
【0063】
いくつかの実施形態では、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で傾斜部の表面上に円周研磨領域(310)を有し、かつ研磨領域(310)の一部分の第2の研磨(313)によって取得される第2の傾斜部を備える。したがって、この第2の研磨は、器具による光の偏向した放出のための光偏向手段を形成する。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の研磨(313)が、研磨領域(310)の側方部分に対して実行され、側方光学偏向角度(C)を提供する。傾斜部(C)の側方研磨角度は、針の縁の切り分け及び切断性質に起因して、貫通を決定する。更に、それは光子場のオーバーフロー、したがってその形状、したがって生物学的効果も条件付けする。好ましくは、傾斜部(C)の側方研磨角度は、10~40°、好ましくは20°~30°、更に好ましくは25°である。そのような研磨又は側方傾斜部の例示的かつ非限定的な例が、図6図7図11、及び図12に示される。この第2の研磨が側方オリフィスに関連付けられる場合、側方オリフィスは、例えば、側方研磨によって取得される断面点において側方オリフィスを通して光凝固を取得するために、第2の研磨に対して位置合わせされることに留意する。一般的に言えば、側方オリフィスは、支持体によって形成された円筒の母線に沿って略位置合わせされて、この側方オリフィスよりも頂点に更に向かって位置する遠位傾斜部又は偏位手段の延長部にそれらの効果を提供する。したがって、器具が2つの側方オリフィスを備えるときに、それらは母線と略位置合わせされる。更に、これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の研磨(313)が、研磨領域(310)の円周全体であり、遠位光学偏向角度(D)を提供する。遠位偏向(D)の角度は、光子場をその下側オーバーフローで条件付けし、したがって、切り分けの生物学的効果は、ツールの機械的切り分け能力も調整するデバイス縁部の機械加工の品質によって強化される。そのような研磨の例示的かつ非限定的な例が図8に示される。一方、これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の研磨(313)が、研磨領域(310)の中央及び頂点部分に対して実行され、頂点光学偏向角度(G)を提供する。そのような研磨又は頂点傾斜部(又は平坦)の例示的かつ非限定的な例が、図14図15図16、及び図17に示される。これらの実施形態は、例えば、光凝固が、支持体の遠位傾斜部によって取得されたセクションの縁部における第2の頂点研磨によって達成されることを可能にする。更に、第2の先端研磨(313)が支持体及びファイバの両方に対して実行されるときに、有利には、変形された活性表面(212)が取得され、これは、組織、器官(6)、又は血管(V)に対する器具の多重効果を提供する。実際、頂点研磨を有するこれらの実施形態のうちのいくつかでは、例えば、図16及び図17に示されるように、第2の研磨(313)が、光ガイド(2)の遠位端の研磨領域(210)も取得するように決定された高さ(H1、H2)で実行され、2つの光学偏向角度(G)及び光ガイド(2)の変形された活性表面(212)をもたらす。最後に、いくつかの実施形態では、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で傾斜部の表面上に円周研磨領域(310)を備え、光偏向手段が、側方又は中央及び頂点のいずれかの少なくとも1つの光学偏向手段を形成する少なくとも1つの半球形又は三角形のくぼみ(314)を備える。そのようなくぼみの例示的かつ非限定的な例が図18に示される。
【0064】
支持体/針
一般に、支持体(3)は、好ましくは、ステンレス鋼又はアルミニウムから選択される生物学的に中性の材料で作られている。穿刺部位における燃焼などの望ましくない影響を制限するために可変の熱伝導率を有し、好ましくは高温に耐性がある生物学的に中性の材料が選択される。したがって、結果は生物学的に中性の器具である。更に、偏向手段の使用により、本発明は、先行技術の特定のデバイスとは異なり、ファイバが決して損傷されず、したがって組織に発がん性物質を導入しないような電力の使用を可能にする。実際、150℃をはるかに超える温度で器具の生物学的な中性を保証することが重要であり、それを超えると、先行技術では、ファイバコアの破壊だけでなく、そのシース(例えば、ポリイミド又はテフゼル)の燃焼も観察され、毒性燃焼製品(例えば、WHOによって発がん物質として認識されている多環式芳香族炭化水素)が生成されることが多い。加えて、製造技術に起因して、針先端に1滴の接着剤を加えることが依然として必要であることが多いが、この接着剤は生物学的に中性である。
【0065】
いくつかの実施形態では、例えば、図6図7図11図12、及び図13に示されるように、針のより良好な貫通及び切断効果のために、器具の遠位端を矢状に研ぐことが可能であり、矢の角度(B)は、例えば、図6に示されるように変化することができる。矢の角度(B)は、皮膚の貫通、すなわち、それが高いほど、穿刺の痛みが少ないことを条件付ける。好ましくは、針(B)の矢の角度は、10~40、好ましくは20°~30°、更に好ましくは25°である。他の実施形態では、遠位端は、より良好な組織貫通のために傾斜しているので、矢のように研がれず、形状が円形又はむしろ楕円形のままである。これらの実施形態はまた、医療器具が洗浄又は切り分けツールとして使用されることを可能にする。したがって、特定の実施形態は、支持体(3)の傾斜した遠位端(31)が、切断特性及び貫通特性を付与する研ぎ角度(B)まで矢状に研がれている器具に関する。
【0066】
いくつかの実施形態では、支持体、例えば針は湾曲している。これは、有利には、針の先端における応力を制限し、血管穿刺処置を容易にする。例えば、図10に非限定的に示すように、支持体(3)、ここでは針は、湾曲している。湾曲した針の使用は、特に静脈学のために、手術室での手術又は医療行為中に解剖学的構造に到達できるようにするために、血管を通るカテーテル挿入及びその角度を最適化するために、技術的な観点から完全に実現可能である。半径方向角度(E)は、特定の用途に適合するように修正することができる。それは、医療行為のために一般的に10~40°、好ましくは20~35°、理想的には22~32°である。
【0067】
針の長さ、針の直径、及びその傾斜部の角度は、用途に応じて変化し得る。したがって、それらは、円錐切除術及び組織(潰瘍)洗浄のために、より大きくかつより長くなるだろう。好ましくは、特に静脈瘤の治療のために、針は、200~5000μm、好ましくは450μm~1000μmの範囲の外径を有し得る。光ガイドは、100~4000μm(4mm)、好ましくは50~1000μmの外径を有し得る。更に、支持体(3)の遠位端(31)は、好ましくは、10~20°の傾斜角度(A)で傾斜している。一方、支持体(3)の内径は、特に物質を注入するため及び/又は血液逆流を制御するために、任意のファイバシースを収容するため及び/又はファイバの周りにチャネルを形成するために、ファイバ(2)の外径以上であり得る。器具は、チャネルを更に備えてもよく、チャネル内の血液の逆流は、針の正しい血管内位置を証明する。チャネルはまた、麻酔薬を注入するために、又は分光測光のための熱電対若しくは光学ツールを適合させるために、又は組織蛍光を研究するための製品を注入するために提供されることができる。更に、いくつかの実施形態では、針は二重チャネルを備える。第2のチャネルは、特に分光法における光診断のためだけでなく、器具の遠位端における熱電対測定のために別の光を搬送する二次ファイバを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、器具が、支持体(3)内の二重チャネル、又は別の器具の別のチャネルに関連付けられた支持体(3)内のチャネルのいずれかである、2つのチャネルを備え、アセンブリが、支持体(3)の遠位端(31)における温度を測定するための熱電対測定デバイスに結合されている。これらの実施形態のうちのいくつかでは、器具は、測定された温度値が、所定の閾値を超えたときの警報システムに接続されるか、又はこれを更に備える。一方、これらの実施形態のいくつかでは、器具が、過熱を可視化するために、器具が所定の温度に達したときに反応するように構成された熱試薬を更に含む。いくつかの実施形態では、支持体は、所望の治療温度を取得することを容易にするために、特に、皮膚を保護するために、針の近位部分をより低い熱伝導率の材料、又は更には断熱性の材料で維持することによって組織内の熱効果を増幅するために、増加した熱伝導率を有する材料の遠位コーティングを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、支持体(3)は、10~120mmの長さを有し、好ましくはスパチュラ形状を有する。針は、一般的に、特に麻酔がない場合の血管処置のために、又はレーザ脂肪分解のために、より短く、直径がより小さい。
【0069】
いくつかの実施形態では、器具は、針出口におけるビームのパワーを較正するために、光ベクトル及び光源とともに、電子アカウンティングデバイスに接続されるか、又はこれを備える。このタイプの技術は周知であり、光偏向手段によって、及び/又は支持体(3)内のファイバ(2)の可能な移動によって取得される効果を変化させることによって、本発明に関連して特に有利に、出力パワーがチェックされることを可能にする。
【0070】
いくつかの実施形態では、支持体は、望ましくない効果を制限するか、又は穿刺部位での燃焼などの熱効果を増幅するために、可変熱伝導率を有する生物学的に中性の材料で作られ、高温に耐性がある。材料は、好ましくは、ステンレス鋼又はアルミニウムから選択される。
【0071】
光ガイド/ファイバ
使用される光学ファイバは、一般的なタイプのものであってもよく、例えば、シリカで作られてもよく、特に、介入的線維検査、静脈内レーザ、手術などに使用されるタイプのものであってもよい。光ガイドは、光、特にレーザ光の波長に応じて、シリカ以外の材料で作られ得る。
【0072】
本発明による器具のコストは、大規模に製造される場合、レーザ光による静脈瘤の治療に現在使用されている器具に対して5分の1又は10分の1にすることができ、医療行為又は処置室で実行される場合、手術室の高いコストを回避し、最初の結果が不十分な場合に反復処置を可能にする。
【0073】
いくつかの実施形態では、ファイバの開口数は、血管用途の場合、15°~40°、好ましくは20°~35°、理想的には23°~32°である。これは、光子場の形状を修正するために、いくつかのファイバを同じチャネルに導入することによって増加させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、器具が、2つの光ガイド、優先的には、2つの光学ファイバを備え、ガイドのうちの一方が、発散光学偏向手段、例えば、凸面研磨を担持し、他方が、収束光学偏向手段、例えば、凹面研磨を担持する。いくつかの実施形態では、同じ光ガイド(2)が、発散光学偏向手段と収束光学偏向手段を備える。いくつかの実施形態では、光ガイド(2)が、例えば、共焦点顕微鏡におけるような、複数の異なる光学ファイバを備え、1つのファイバから別のファイバへの異なる光学偏向手段を有し、器具が、異なるファイバからの信号の差分収集によって、例えば、光蛍光における光診断を行うために光源においてマルチプレクサに結合されている。有利には、光学場の表面は、特にファイバ開口が10°~30°、好ましくは15~25°であるときに、又は反対に、特に開口が20°~40°、好ましくは25~35°であるときに、がん学において異常なタンパク質を明らかにする光診断及び組織蛍光のために広げられるとき、組織に対する切り分け又は破壊効果を決定する。
【0074】
実際、傾斜部の角度は、「光学表面」の概念に対応する楕円の表面積を決定する。開口数は、この光学表面内の「活性表面」(212)を決定する。針の傾斜部の角度は、この活性表面(212)のサイズを決定し、これは、増加され、「光学増幅」をもたらす。そのような開口数及び活性表面(212)の例示的かつ非限定的な例が、図7図16、及び図17に示される。図7では、活性表面が遠位傾斜部に依存することが分かり、図17では、追加の偏向手段(313)が、支持体(3)及びファイバ(2)の両方を研磨することによって、活性表面を広げることによって活性表面を変形させ、したがって、器具の遠位端において二重効果を達成することが分かる。異なる光場修正を提供する2つの研磨の異なる角度により、支持体の傾斜した遠位端における第1の研磨表面(310)は、第1の効果を可能にし、頂点端における第2の研磨(313)は、第2の効果を可能にする。
【0075】
開口数は、光がファイバ軸に対して測定される損失なしにガイドされ得るように、光ガイド、例えばファイバへの光の最大入力角度の正弦を意味すると理解される。
【0076】
いくつかの実施形態では、光ガイドは、200nm~5μmの波長を反射する光学ファイバである。これは、新しい発色団を標的とすることによって臨床用途を広げることを可能にする。ファイバタイプは、針及びその光ベクトルのための3又は4μm(カルコゲニド)など、赤外線(250nm、UVシリカ)よりも広い波長窓を伴って選択されることができる。これは、新しい発色団又はフルオロフォアを標的とすることによって臨床用途を広げることを可能にする。好ましくは、ファイバは、シリカで作られる。
【0077】
したがって、光学ファイバの組成は、使用される波長に基づいて選択される。以下の表は、波長によるガイドの異なる組成をまとめたものである。
【0078】
【表1】
【0079】
いくつかの実施形態では、支持体は中空であり、ファイバを備えない。この場合、光ガイドは、CO2レーザハンドピースで使用されるような内部反射管を形成する支持体の内側表面上のコーティングからなる。
【0080】
したがって、有利には、管は、従来のレーザ光源ではなく、CO2レーザが使用される場合に、長い波長、例えば10600nm(10.6μm)が反射されることを可能にする。この波長はあまり透過性がないので(20μmの深さ)、例えば、皮膚科手術又は神経手術において、組織洗浄に広く使用されている。更に、この波長は、任意の他のタイプのファイバにアクセス可能ではなく、したがって、本出願のいくつかの実施形態は、中空ファイバ又は針内部のコーティングを介して、そのようなレーザの使用を可能にする。
【0081】
いくつかの実施形態では、CO2レーザは、傾斜部の直前で停止しなければならない中空ファイバによって搬送することができる。実際に、傾斜部を研磨することは、二次光透過を不適合にし得る粉末残留物の生成をもたらす可能性が高い。図9は、そのような中空ファイバの例示的かつ非限定的な例を示しており、光偏向手段は遠位傾斜部とは別に示されていないが、例えば図18に示されるように、本出願に説明されている偏向手段のうちの1つなどの偏向手段を提供することももちろん可能であるが、偏向手段を特徴とする任意の他の実施形態も可能であることに留意する。CO2レーザの分野において、組織洗浄は、関係する専門分野(神経手術、眼科学、皮膚科学、血管手術、腫瘍手術、婦人科手術など)にかかわらず、手術室において非常に重要な役割を果たす。完全に使用可能な中空ファイバ(2)を針の傾斜部の上流に組み込むことができ、その正確に研磨された(金属)端部は、この光を透過させ、更には集束させて、関係する組織に対するその切り分け及び破壊効果を最適化するのに極めて十分である。
【0082】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの着色フィルタが、光路内に配置される。例えば、器具は、少なくとも1つのフィルタ及び/又は着色を備え、レーザ源より安価である、フィルタリング及び/又は着色された白色光の使用を可能にする。したがって、例えば、光ガイド(2)の少なくとも一部分は、フィルタリングされ、及び/又は着色される。これは、有利には、非レーザ源(例えば、PDT、組織破壊など)として白色光をフィルタリングすることを可能にし、この非レーザ源は、レーザがフィルタリングされた白色光源(フラッシュランプなど)よりも高価であるため、節約の源となり、例えば、動的光線療法のものなどの所定のプロセスの使用を容易にする。
【0083】
いくつかの実施形態では、光ガイドは、優先的には50~1000μm、好ましくは50~150μm、好ましくは75~125μmの外径を有するドープされた光学ファイバを含む。有利には、ドープされたファイバは、美容用途、特に、例えば顔における血管の光凝固及び脂肪分解のために、直径が100μm程度の小口径ファイバに作用することを可能にする。好ましくは、ファイバはエルビウム、ホルミウム、ツリウム又はプラセオジウムでドープされる。
【0084】
コネクタ
既に上述したように、器具は、好ましくはコネクタ(4)によって光源(10)に接続され、例えば2人の患者又は2つの用途の間で器具を変更することを可能にする。このコネクタは、当該分野で既知であり、図2図3図4、及び図10に示されるようなSMAタイプのものとすることができるが、係止クリップコネクタによって置換することができ、器具の構成要素の不正確な位置付け又は破損につながる可能性があるねじフェルールの使用を回避する。したがって、本出願は、「コネクタ」又は「嵌合」又は「接続」という用語を、SMAという用語とともに、又はともにではなく互換的に使用するが、それらは限定的ではない。いくつかの実施形態では、針及びベクトルは、中空金属ガイドの内側で接続され、針の雄コネクタは、光ベクトルの雌コネクタ内に嵌合し、好ましくは、コネクタを光学ガイドのための正しい位置に維持するために、ばね荷重ボールを有する。
【0085】
図2は、いくつかの実施形態の非限定的な例であり、嵌合又は接続手段(4)は、支持体及びねじフェルールを有するSMAコネクタを備える。装着リングは、接続を固定し強化する。接続管(41)を接続手段(4)内に圧着することができ、接続を更に強化するために補強支持体(42)を提供することができる。支持体(3)は、(接続の前又は後に)接続管に挿入される。いくつかの実施形態では、例えば、図4に非限定的に示されるように、支持体(3)は、1つ以上の圧着点(411)を備える圧着管(41)内に圧着される針である。これらの実施形態では、圧着は、針の剛性を確実にし、針(3)の本体内のファイバを変化させる可能性がある任意の機械的ねじれ又は角形成を回避するために不可欠である。それは、接続手段(4)の圧着本体部分内の後者の周囲に一体化される。有利には、圧着はまた、組織内の針によって生成された過剰な熱を封じ込めるための質量リザーブを提供する。その組成、特にその密度は、熱伝導率、熱伝達、熱慣性及び熱抵抗などのパラメータに影響を及ぼす。これは、この機器を生体内で使用するときの安全特徴である過剰な熱のためのバッファである。
【0086】
いくつかの実施形態では、支持体の基部は、接続クリップ上に圧着される。これにより強度が改善され、破損、したがって事故の源となる可能性がある針先端でのファイバ破損を防止する。クリップは圧着の上流にあり、強度を増すために金属であり得る。いくつかの実施形態では、針及びコネクタの基部は、最大限の締め付けまでねじ込まれた後の針のための傾斜部マーカ、又は傾斜部が正確に位置付けられることを確実にするための面を有するクリップを特徴とする。いくつかの操作は、特に血管領域において機器を回転させることを必要とする。
【0087】
いくつかの実施形態では、光ガイドは、支持体と光ガイドとの間の接続部において、支持体の直径よりも小さい直径を有する。有利には、これは、針のSMAコネクタと安全ファクタ光ベクトルとの間の過熱を防止する。
【0088】
いくつかの実施形態では、熱試薬は、光ベクトル及びSMAクリップ又はコネクタのシース内に含まれる。この試薬は、非金属及び単回使用であり得る。有利には、これは、異常過熱がデバイス上で可視化されることを可能にする。
【0089】
いくつかの実施形態では、器具は、光ガイド(2)及び/又は支持体(3)を、特に互いに対して回転及び/又は前進させるための手段を備える。いくつかの実施形態では、器具は、器具の正しい位置付けを確認するための少なくとも1つのマーキングを備える。
【0090】
本発明はまた、医療器具の人間工学及び使用を改善することに関する。独立して提示され、かつ上述の実施形態から独立した実施形態の一部を形成するが、以下に説明される特徴は、本明細書の残りの部分に説明されるものと組み合わせることもできることが、当業者によって容易に理解される。
【0091】
したがって、いくつかの実施形態では、支持体(3)、例えば、光学針は、標準コネクタ(SMA又は他のもの)の代わりに、接続クリップによってレーザ及び支持体のいずれかの側に接続される光ガイド(光ベクトル)によって、可変波長のレーザ源に接続され得る。これは時間を節約し、持ちやすくすることによって人間工学を改善する。加えて、SMAコネクタをねじ込むことは、時として、光ガイド(光ベクトル)のねじ山及び支持体自体、例えば、針自体を破壊する可能性がある。加えて、接続クリップは、用途に応じて機器ごとに色分けすることができ、使用が更に容易になる。
【0092】
いくつかの実施形態では、針と光ベクトルとの間の接続は着色される。用途に応じて、これは、好ましくはクリップと同じ色で、意図される用途に従って各タイプの機器を識別することを更に容易にする。
【0093】
用途
レーザ光治療プロセスは、本発明による器具又はシステムを有利に使用することができる。特に、血管用途、特に静脈瘤の治療に使用することができる。レーザ治療は、硬化療法に使用することができる。それはまた、動脈閉塞置換化学塞栓のため、及び血管形成術の調製における線維石灰動脈デバルキングのために使用することができる。同じことが、潰瘍洗浄、腫瘍切り分け又はレーザ脂肪分解にも当てはまる。
【0094】
例えば、局所麻酔後、本発明による器具は、穿刺と同じ方法で、皮膚を通して、治療される静脈瘤を刺すために使用される。注入は、視覚又は超音波制御下で行うことができる。器具自体は、専用チャネルを通して麻酔薬を注入するために使用されることができ、したがって、追加の注入及びシリンジの必要性を回避する。血流をチェックするために、場合によっては同じチャネルを提供することができる。したがって、器具が血管系に正しく位置付けられていることを確認することが可能である。血管周囲又は腫瘍周囲の膨張麻酔が使用され得る。同定を超音波下で行うことができる。腫瘍病理に適用される場合、熱又は光線治療効果を増強するために、光化学物質を注射することもできる。
【0095】
器具が所定位置にあると、レーザショットが発射される。光ガイドの端部を回転させて、治療される静脈瘤の壁の円周損傷を確実にすることが有利である。その結果、静脈瘤が硬化し、もはや灌注されなくなる。静脈内レーザ治療は、静脈瘤においてより大きな割合であるコラーゲンの収縮による組織退縮を伴う血液の光凝固を生じる。
【0096】
次いで、器具を取り出し、必要であれば、滅菌した圧定布を用いて脱炭することができる。次いで、器具は、別の静脈瘤を治療する準備が整う。ガイド針を用いない直接穿刺も可能である。
【0097】
いくつかの実施形態では、器具は、支持体の出力(針出口)でビームを較正するために、光ガイド及び光源とともに、電子アカウンティングデバイス(チップ)を備える。これにより、光源からのデータと比較して、針の先端での電力損失を正確に知ることが可能となる。加えて、分光測光又は光学細胞生検を可能にするデバイスに結合することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、器具は、支持体の遠位端に熱電対デバイスを備えて、この点で温度を測定し、熱傷を防止し、各用途のための外部サーモグラフィ結合を用いて生体内及び生体外熱力学モデルを研究することを可能にする臨界温度の場合に、既に特許された二重チャネル及び警報システムを介して生体内温度測定を提供する。これらはともに、熱力学的シミュレーションを設計するために使用することができる。加えて、これは、発色団が特定の吸収スペクトルを有するとすぐに、食品管理における毒性製品をスクリーニングするために発色団を検出することを可能にし、したがって、遅くてコストのかかる生物学的分析を回避し、食品チェーンにおけるスクリーニングを著しく増加させる。
【0099】
したがって、本発明は、発色団検出によって、本発明による医療器具を使用して食品管理における毒性製品の検出を可能にする。
【0100】
研究されるべきグラフに基づく熱電対を使用する温度研究は、例えば、食品チェーンにおける挽肉中の脂肪及びタンパクのパーセンテージを評価すること、又はヒト又は獣医学的病理における腫瘍をインサイチュで研究することを可能にする。
【0101】
いくつかの実施形態では、「マルチプレクサ」型デバイスの使用は、特定の波長での放出及び周波数シフトの回復を可能にし、特に、例えば針チャネルを介した蛍光物質注入による免疫蛍光、又は発色団の使用さえも可能にする。したがって、いくつかの実施形態は、発色団を検出するための器具の使用に関する。加えて、このタイプのツールは、分光測光分析、特に赤外分析を可能にして、例えば、生体内の組織を研究する。これは、分光測光分析において特定の物質を探索するために、医療研究並びに獣医学及び食品分野においてツールを使用することができることを意味する。蛍光については、この蛍光が試験されることを可能にする先端を有する端部を使用することが較正に有用であり得る。
【0102】
波長分割多重化又はWDMは、針のために採用される少数のチャネルを必要とし、したがって、より低コスト又は「粗いWDM」のままである。これは、ファイバ自体に置かれたダイクロイックフィルタを使用する。それは、光子場を2つにスプリットし、腫瘍の光診断のための分光測光(例えば、免疫蛍光)における吸収シフトを観察するための双方向透過を可能にし、異常タンパク質を明らかにする。
【0103】
超音波における「フェーズドアレイ」と同等の光学イメージングを利用するために、わずか2mmのゲージであっても、針内のファイバの数を増加させることが考えられ、次いで、「高密度WDM」又は「超高密度WDM」が参照される。
【0104】
したがって、本発明は、光源にマルチプレクサを使用するときに光診断に適用可能である。なぜなら、これらのマルチファイバシステムでは、本出願の構成を使用して光学場を修正することによって、特に免疫蛍光において、特異性及び感度のレベルを変化させて特定の画像を取得することができるからである。光が注入され、その戻りが検査されるが、デュアルチャネル針が(免疫蛍光分子のための注入チャネルとともに)使用される場合、例えば、周波数シフトを回復することによって細胞タイプ(例えば、星状細胞腫対神経膠腫)を識別することが可能である。したがって、様々なデュアルチャネル(又は2つの器具において2つのチャネルを用いた)実施形態は、本出願に説明される原理を用いて、免疫蛍光分子を注入するために一方のチャネルを使用し、光のために他方のチャネルを使用する。
【0105】
分光測光(上流のマルチプレクサを有する)もまた、(特定の吸収スペクトルを有する)特定の分子を検出するために使用され得る。この場合、2つのチャネル又は注入チャネルは不要である。
【0106】
用途は、特にいくつかの異なる波長を搬送するために、勾配又は屈折率ジャンプを利用することを含む。全内部反射の原理を利用する本質的に2つのタイプの光学ファイバ、すなわち、屈折率ホッピングファイバ及び屈折率分布型ファイバがある。屈折率ホッピングファイバにおいて、屈折率は、コアにおける値からクラッドにおけるより低い値へと急激に低下する。屈折率分布型ファイバでは、この屈折率変化ははるかに緩やかである。第3のタイプの光学ファイバは、全内部反射ではなく、フォトニック結晶のバンドギャップ原理を使用して光をガイドする。そのようなファイバは、フォトニック結晶ファイバ又は微細構造ファイバと呼ばれる。これらのファイバは、通常、異なる材料(通常、シリカと空気)間で非常に高い屈折率コントラストを有する。これらの条件下では、ガイドの物理的特性は、屈折率ホッピングファイバ及び屈折率分布型ファイバの物理的特性とは著しく異なる。したがって、本発明は、これらの様々なタイプのファイバの使用を網羅し得る。一方、本発明は、シングルモード及び/又はマルチモードファイバにも適用することができる。最後に、本発明は、ダイクロイックフィルタを使用することもできる。
【0107】
いくつかの実施形態では、光の波長は200~5000nmである。例えば、動脈又は静脈アンブロッキングの場合、波長は約308~310nmであり得る。
【0108】
上述したように、ファイバの開口数は、光学イメージング、いわゆる光学生検、熱分野における医療用途、及び特に眼科学における破壊用途、動脈アンブロッキング(狭窄又は閉塞)、及び狭窄又は閉塞の場合の静脈アンブロッキングなどのこれらの様々な用途に利用することができるデバイスの活性表面を決定する。これは、例えば、動脈又は静脈のいずれかのステント留置のための血管を準備するために使用することができる。血管アンブロッキングは、材料の工業的マーキング又は工業的切り分けに関して、紫外線範囲の波長を利用する。ミッション時間がはるかに短いので、ピーク電力は非常に高く、これは、生物学的レベルでの熱効果が、非熱効果、したがって医療用途に安全である熱機械効果及び組織破壊になることを意味する。一方、上述したように、光源は、例えば、一般的に1秒を超える長い放出時間を用いる光力学療法及び光診断(PDT=Photo Dynamic Therapy)のための正しい波長を決定するために、ファイバ自体によってフィルタリングされた白色光とすることができる。
【0109】
上述したように、いくつかの実施形態では、例えば、図8に非限定的に示されるように、光学針は、矢状に研磨されず、側方研磨を有さず、針が光学切り分けツールに変換されることを可能にする。これは、外科的分野であれ、コストのために手術室内で治療されないステージI及びIIのためのレーザ円錐切除術などの医療行為処置であれ、組織又は腫瘍の洗浄の分野に関する。したがって、この用途では、ツールを使用して、局所麻酔及び長い針を用いた医療行為において小さな前がん病変を治療することができ、それによって予後を統計的に改善する。最初の組織学的生検後に治療が不十分であると考えられる場合、この治療は、手術室の外で常に低コストで完了又は反復することができる。同じことが、例えば皮膚科手術(潰瘍の除去、局所麻酔下での小さな良性腫瘍の除去)にも当てはまる。
【0110】
レーザ光源は、この用途のために適度な電力を必要とし、例えば、小型携帯レーザの分野で10~15W程度の電力を必要とする。
【0111】
したがって、特により高い精度のために、光ガイド、例えば光学ファイバが、支持体、例えば針を越えて延在することが有利であり得る。ファイバは、0~1cm、好ましくは約5mm突出すると予想することができる。穿刺中に光学ファイバを保護するために、ファイバを針内に後退させる手段と、光学ファイバを針の遠位端を越えて作業位置まで延在させる手段とを提供し得る。
【0112】
器具の他の部分に対して、例えば、特に光学ファイバを含有する針の場合には支持体に対して、又は特にシリカで内部がクラッドされた針の場合には接続手段に対して、光ガイドを回転させるための手段も提供され得る。したがって、これらの回転手段は、容易な円周処置を可能にする。
【0113】
本発明による器具はまた、他の血管用途、例えば、下肢における静脈瘤の硬化だけでなく、骨盤又は食道の静脈瘤(術中)、痔核、又は手術中の血管硬化又は血管吻合による閉塞のために使用することができる。本発明による器具はまた、組織穿孔のために、又はシアノアクリレートなどの生物学的接着剤の代替として、任意の血管内塞栓、特に先天性若しくは後天性瘻孔、若しくは静脈塞栓、特に奇形若しくは血管腫、若しくは潰瘍を引き起こすリンパ管閉塞のために使用することができる。
【0114】
他の用途は、特に高精度が要求される場合の組織破壊を含む。したがって、皮膚科では、980nmの波長、又はエルビウム及びホルミウムの2940及び2140μmの水吸収波長を有するレーザの使用は、本発明による器具を、特にコンジローム、いぼ及び他の皮膚病変の治療に対して特に効果的にする。瘢痕は、他の技術を使用して取得される瘢痕よりも優れた品質である。
【0115】
細胞破壊に関連して、他の用途は、例えば潰瘍に適用される接触式組織洗浄も含み得る。本発明による器具は、例えば肝内の組織転移の破壊のために使用することもでき、これは高周波よりも人間工学的であり、コストがかからない。レーザによる組織破壊は、熱への二次変換を伴う組織への光子の吸収を伴う。この吸収は特定の組織特異的分子成分(発色団)を標的とするので、熱機械効果は、例えば、無線周波数などの他の熱組織加熱プロセスよりも特異的である(熱効果)。この特異性は、例えば腫瘍学における光力学療法のような新しいレーザ用途への道を開く。
【0116】
光ガイドのための剛性支持体の使用は、より正確な動作及び優れた取り扱いを可能にする。したがって、治療によって引き起こされる病変はより正確である。生物学的刺激は治癒を改善する。炭化は、350℃又は400℃以上、約600℃の組織白熱までの温度を伴うので、出血が減少し、感染の危険性も減少する。術後の疼痛もまた、特に潰瘍洗浄の場合に減少し、術後感染がより少ない。神経終末における炎症及び発痛因子の二次的阻害が存在する。
【0117】
加えて、パラメータ、例えば、波長、各ショット間の放射及び露光時間、フルエンス、放射照度、連続若しくはパルスモード(単一又は複数)、又は光ガイドの端部での光散乱による破壊領域を設定することができる。
【0118】
本出願を読むと、本発明の特徴は、一般的に説明され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配置及び設計することができると容易に理解されるであろう。したがって、本発明の説明及び添付の図面は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に選択された実施形態を表すものである。
【0119】
当業者は、反対のことが明示的に述べられていない限り、又はこれらの特徴の互換性がないことが明らかでない限り、所与の実施形態の技術的特徴を別の実施形態の特徴と実際に組み合わせることができることを理解するであろう。更に、所与の実施形態において説明される技術的特徴は、明示的に述べられていない限り、その実施形態の他の特徴とは別個に考慮されてもよい。
【0120】
本発明が、添付の特許請求の範囲によって定義される分野から逸脱することなく、多くの他の特定の形態の実施形態を可能にすることは、当業者には明らかであるべきである。これらは例示のために考慮されるべきであり、本発明は上記の詳細に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0121】
1.器具
2.光ガイド(光学ファイバ、中空ファイバ又は反射性コーティング)
21.光ガイドの遠位端
210.光ガイドの遠位端の研磨領域
212.光ガイドの活性表面管状支持体(又は針)
31.支持体の傾斜した遠位端
310.支持体の遠位端の研磨領域
311.支持オリフィス
312.支持体の側方オリフィス
3121.支持体の側方オリフィスの面取り部(又は研磨)
313.支持体の第2の傾斜部又は研磨(側方又は中央のいずれか)
314.支持オリフィスの遠位くぼみ(側方又は中央、半球形又は三角形)。
315.支持体の反射研磨された内側表面
4.接続手段
41.接続又は圧着管
411.圧着点
42.接続管支持体
43.装着リング
44.SMAロック(ねじフェルール)
45.SMAコネクタ支持体
46.SMAコネクタ
6.組織又は器官
7.光ケーブル
8.器具の遠位端
10.光源
V.血管
H.支持体及びガイドの遠位研磨高さ
B.支持体の遠位端の矢の角度
C.遠位端の第2の側方傾斜部の研磨角度
G.遠位端の第2の中央傾斜部の研磨角度
D.支持体の傾斜した遠位端の傾斜角度
E.支持体の湾曲角度
F.支持体の側方オリフィスの面取り角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織若しくは器官(6)及び/又は血管(V)を貫通するように意図された自由遠位端と、光源(10)に接続可能な近位端と、を備える医療器具(1)であって、前記器具が、中に少なくとも1つの光ガイド(2)が装着されている管状支持体(3)を備え、前記支持体(3)が、第1の光学出口を介して前記ガイド(2)による光の実質的な正面からの放出のために、前記第1の光学出口を形成する少なくとも1つのオリフィスを備える傾斜した遠位端(31)を備え、前記器具は、前記器具が、前記器具の遠位部分に対する少なくとも1つの機械加工作業を含む、光の偏向した放出のために、第2の光学出口を形成する、前記光の少なくとも1つの光学偏向手段(210、310、312、313、314、315)を備え、第1の反射及び/又は凹面研磨であって、前記第1の研磨が、前記光の収束のために構成されている、第1の反射及び/又は凹面研磨と、第2の反射及び/又は凸面研磨であって、前記第2の研磨が、前記光の発散のために構成されている、第2の反射及び/又は凸面研磨と、を少なくとも含み、前記第1及び第2の研磨作業が、前記光ガイド(2)及び/又は前記支持体(3)に対して実行され、前記器具は、
-前記光ガイド(2)が、前記光学偏向手段のうちの一方を備え、前記支持体(3)が、前記光学偏向手段のうちの他方を備えることと、
-前記光ガイド(2)が、発散光学偏向手段と収束光学偏向手段の両方を備えることと、
-前記器具が、2つの光ガイド、優先的には、2つの光学ファイバを備え、前記ガイドのうちの一方が、発散光学偏向手段、例えば、凸面研磨を担持し、他方が、収束光学偏向手段、例えば、凹面研磨を担持することと、
-前記支持体(3)が、発散光学偏向手段及び収束光学偏向手段の両方を備えることと、のうちの少なくとも1つを含む、医療器具(1)。
【請求項2】
前記光ガイド(2)が、例えば、200nm~5μmの波長を反射する光学ファイバ、又は例えば、200nm~11μm、好ましくは、5μm~11μmの波長を反射する内側反射管を形成する前記管状支持体(3)の内壁上に反射コーティングを備える、請求項1に記載の医療器具(1)。
【請求項3】
前記光学ファイバが、中空であり、CO2レーザ光源に関連付けられている、請求項2に記載の医療器具(1)。
【請求項4】
光偏向手段が、前記光ガイド(3)の表面に置かれた導光ボールに対して実行される凸面研磨を含む発散偏向手段である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項5】
前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で傾斜部の表面上に円周研磨領域(310)を備え、かつ前記研磨領域(310)の一部分の第2の研磨(313)によって取得される第2の傾斜部を備え、この第2の研磨(313)が、
-側方光学偏向角度(C)を提供するために、前記研磨領域(310)の側方部分に対して実行されるか、
-遠位光学偏向角度(D)を提供するために、前記研磨領域(310)の円周全体に対して実行されるか、又は
-頂点光学偏向角度(G)を提供するために、前記研磨領域(310)の中央及び頂点部分に対して実行されるかのいずれかである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項6】
前記第2の研磨(313)が、前記光ガイド(2)の前記遠位端の研磨領域(210)も取得するように決定された高さ(H1、H2)で実行され、2つの光学偏向角度(G)及び前記光ガイド(2)の変形された活性表面(212)をもたらす、請求項5に記載の医療器具(1)。
【請求項7】
前記支持体(3)の前記傾斜した遠位端(31)が、傾斜角度(A)で前記傾斜部の前記表面上に円周研磨領域(310)を有し、側方又は中央及び頂点のいずれかの少なくとも1つの光学偏向手段を形成する少なくとも1つの半球形又は三角形のくぼみ(314)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項8】
前記光ガイド(2)及び/又は前記支持体(3)を、特に互いに対して回転及び/又は前進させるための手段を備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の器具(1)。
【請求項9】
前記器具の正しい位置付けを確認するための少なくとも1つのマーキングを備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の器具。
【請求項10】
少なくとも1つの着色フィルタが、光路内に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項11】
前記支持体が、熱伝導性が高められた材料の遠位コーティングを有する、請求項10に記載の医療器具(1)。
【請求項12】
針出口におけるビームのパワーを較正するために、光ベクトル及び前記光源とともに、電子アカウンティングデバイスを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項13】
前記器具が、前記支持体(3)内の二重チャネル、又は別の器具の別のチャネルに関連付けられた前記支持体(3)内のチャネルのいずれかである、2つのチャネルを備え、アセンブリが、前記支持体(3)の前記遠位端(31)における温度を測定するための熱電対測定デバイスに結合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項14】
測定された前記温度の値が、所定の閾値を超えたときに、例えば、過熱を可視化するために、所定の温度に達したときに反応するように構成された熱試薬による、警報システムを更に備える、請求項13に記載の医療器具(1)。
【請求項15】
前記光ガイド(2)が、複数の異なる光学ファイバを備え、1つのファイバから別のファイバへの異なる光学偏向手段を有し、前記器具が、前記異なるファイバからの信号の差分収集によって光診断を行うために前記光源においてマルチプレクサに結合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)。
【請求項16】
請求項1~3のいずれか一項に記載の医療器具(1)を使用して、発色団を検出することによって食品管理において毒性製品を検出するための方法。
【国際調査報告】