IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エックスオーアールティーエックス・セラピューティクス・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2025-503474腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法
<>
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図1
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図2
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図3
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図4
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図5
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図6
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図7
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図8
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図9
  • 特表-腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】腎疾患の診断、治療及び予防のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20250128BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/7042 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250128BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/7034 20060101ALI20250128BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALN20250128BHJP
   C12N 9/99 20060101ALN20250128BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20250128BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/7042
A61P1/16
A61P13/12
A61K31/155
A61K31/55
A61K31/5517
A61K48/00
A61P43/00 121
G01N33/68
A61K31/7034
C12Q1/26
C12N9/99
C12N15/113 130Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537497
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 IB2022000799
(87)【国際公開番号】W WO2023118968
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,851
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/422,551
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523336653
【氏名又は名称】エックスオーアールティーエックス・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XORTX THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ダビドフ,アレン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045CB03
2G045CB11
2G045CB12
2G045DA36
2G045DA77
4B063QA01
4B063QQ03
4B063QQ23
4C084AA13
4C084AA17
4C084AA20
4C084AA24
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZC751
4C084ZC752
4C084ZC781
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC31
4C086BC55
4C086CB06
4C086EA04
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZC75
4C086ZC78
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA31
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA75
4C206ZA81
4C206ZC75
4C206ZC78
(57)【要約】
多発性嚢胞腎疾患におけるキサンチンオキシダーゼの発現を検出する方法、又は多発性嚢胞腎疾患の発症を遅延させる若しくは処置する方法、又はそれらの両方が、本明細書に開示される。本発明者らは、異常なプリン代謝が疾患に随伴するものではなく、むしろキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ(XO/XDH)発現の組織発現が増加し、単独で又は組み合わせて作用する尿酸及び酸素ラジカルの産生が、構造的及び機能的機能不全の進行の一次メディエータとして作用する可能性もあるという注目すべき発見をした。多発性嚢胞腎疾患又は任意の嚢胞組織における組織XO/XDH発現を測定及び評価する段階を伴う方法が、具体的に例示される。そのうえ、多発性嚢胞腎疾患を発生しやすい患者に尿酸降下剤を含む作用物質の組成物を、XO/XDHの発現を減少させ、組織中の細胞内尿酸又は遊離酸素ラジカルの発現を低下させるレジメンで投与する段階を伴う方法が、具体的に例示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における腎疾患の進行を検出及び処置する方法であって、
対象から試料を得る段階;及び
試料中のキサンチンオキシダーゼの発現又は活性のレベルを検出する段階、及びキサンチンオキシダーゼの発現又は活性のレベルが予め決定されたレベル以上であるか、又は対照と比べて高い場合に、対象が、必要とする対象であると決定する段階;及び
必要とする対象に治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬を投与する段階
を含む方法。
【請求項2】
腎疾患の進行が多発性嚢胞腎疾患の進行である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
多発性嚢胞腎疾患の進行が常染色体優性又は常染色体劣性多発性嚢胞腎疾患である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
試料が体液を含み、体液が、任意で、血液、血漿、血清、涙液、汗、尿、糞便物質、又は組織である、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
試料又は対象からの別の試料中の尿酸濃度を検出することをさらに含み、予め決定されたレベル以上の、又は対照と比べて高い尿酸濃度が、腎疾患の進行をさらに示す、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
試料が、血液、尿又はそれらの両方であり、検出する段階が、XO若しくはXDH若しくはそれらの両方、又はXO若しくはXDHのアミノ酸鎖フラグメントと関連する抗原を検出することを含む、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
キサンチンオキシダーゼ阻害薬がオキシプリノールを含む、請求項1~6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
組成物が、有機塩基をさらに含み、有機塩基が、任意で、L-アルギニン、D-アルギニン、コリン、L-リシン、D-リシン、カフェイン、ビグアニド、ビグアニジン又はグリフロジンのうちの1つ以上である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
治療有効量の有機塩基を同時投与する段階をさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項10】
キサンチンオキシダーゼ(XO)の濃度若しくは活性、又はキサンチン脱水素物(XDH)の濃度若しくは活性、又はXO/XDHの濃度若しくは活性比に対する変化を検出する段階を含む方法であって、
多発性嚢胞腎疾患の1つ以上の症状を呈している対象から試料を得る段階であって、試料が、血液試料若しくは尿試料、又は血液試料若しくは尿試料からの細胞外小胞試料を含む段階;並びに
試料中のXOの濃度又は活性及びXDHの濃度又は活性を検出する段階;並びに
試料が健康な対象のものからの逸脱したXOの濃度若しくは活性、XDHの濃度若しくは活性、及び/又はXO/XDHの濃度若しくは活性比を含む場合に、UALAを投与し、任意で有機塩基を同時投与する段階
を含む方法。
【請求項11】
健康な対象のものからの逸脱が、
1mg/Lを超えるXO濃度;
105(U/L)を超えるXO酵素活性;及び/又は
健康な対象のXO/XDHと少なくとも0.1~10%異なるXO/XDH
である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
治療有効量の1つ以上の尿酸降下剤を投与する段階を含む、必要とする対象における腎疾患に付随する異常なプリン代謝を低減する方法であって、方法が、嚢胞性疾患の症状を処置し、1つ以上の尿酸降下剤が、任意で、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及びサーチュイン-1活性化物質からなる群より選択される方法。
【請求項13】
必要とする対象が、腎臓又は肝臓に存在する1つ以上の嚢胞を有する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
投与する段階が、オキシプリノール及びグリフロジンを同時投与することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
対象における腎疾患の進行のマーカーを低減する方法であって、
対象から試料を得る段階;及び
腎疾患についてのマーカーを検出する段階であって、マーカーが、試料中の組織酸素ラジカル、尿酸、サイトカイン、炎症細胞、線維化、ミトコンドリア数の増加(mitochondriosis)、又はサーチュイン-1を含む段階、及び
マーカーのレベルがベースラインを超える場合に、必要とする対象に治療有効量のUALAを投与し、任意で有機塩基を同時投与する段階
を含む方法。
【請求項16】
腎疾患の進行が多発性嚢胞腎疾患の進行である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
UALAが、キサンチンオキシダーゼ若しくはキサンチンデヒドロゲナーゼの発現を標的付ける干渉分子である、又はサーチュイン-1の発現を増加させるeRNAである、請求項15又は16記載の方法。
【請求項18】
投与する段階が、キサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼ又はキサンチンデヒドロゲナーゼの発現を標的付ける干渉分子とを同時投与することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
対象からの生物学的試料中のマーカーの存在又はマーカーの比を検出する段階;及びマーカーがベースライン若しくは対照と比べて高い場合、又はマーカーの比がベースライン若しくは対照と不釣り合いな場合に、対象に治療有効量の少なくとも1つの尿酸降下剤を投与する段階を含む方法。
【請求項20】
マーカーが、キサンチンオキシダーゼ、キサンチンデヒドロゲナーゼ、サーチュイン若しくはサーチュイン-1、低酸素誘導因子-1(HIF-1)、エリスロポエチン、PCNA、Wnt/B-カテニン、IL-5、IL-6、STAT1、STAT2、mTOR、TNFa、MIF、NLRP3インフラマソーム、又は血液若しくは尿由来の細胞膜構成成分、微小小胞、アポトーシス小体、エクソソーム、又は遊離酵素若しくは酵素の特異的部分/フラグメントのうちの1つ以上である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
比が、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ比を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
尿酸降下剤が、キサンチンオキシダーゼ阻害薬、又は対象の細胞中のXO若しくはXDHの発現を標的付ける干渉分子である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
併用剤(conjunctive agent)を投与する段階をさらに含む、請求項20~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
併用剤がバシプレシン受容体アンタゴニストである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
対象の尿試料中に健康な対象のそれと比べて高いキサンチンオキシダーゼの活性若しくは濃度、又は健康な対象のものから逸脱したXO/XDHの濃度若しくは活性比を呈している対象に、治療有効量の尿酸降下剤を投与する段階を含む方法。
【請求項26】
併用剤を投与する段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
多発性嚢胞腎疾患の処置の有効性をモニタリングする方法であって、
対象の尿中にベースラインと比べて高いキサンチンオキシダーゼの活性若しくは濃度又は高いキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの活性若しくは濃度比を呈している対象に一定量の尿酸降下剤を投与する段階;及び
対象の尿中のキサンチンオキシダーゼの濃度若しくは活性又はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの濃度若しくは活性比を検出する段階であって、キサンチンオキシダーゼの活性若しくは濃度における減少又はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの濃度若しくは活性比のベースラインに向けた移動が、処置の有効性を示す段階
を含む方法。
【請求項28】
一定量のオキシプリノール及び一定量のメトホルミン、並びに/又はSGLT2阻害薬を含む組成物。
【請求項29】
SGLT2阻害薬がグリフロジンである、請求項28記載の組成物。
【請求項30】
オキシプリノール、メトホルミン及びグリフロジンを含む、請求項28記載の組成物。
【請求項31】
治療有効量の請求項28~30のいずれか一項記載の組成物を投与する段階を含む、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法。
【請求項32】
治療有効量のキサンチン酸化物阻害薬及びメトホルミンを同時投与する段階を含む、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法。
【請求項33】
治療有効量の尿酸降下剤と、治療有効量のトルバプタン及び/又はリキシバプタンとを含む組成物。
【請求項34】
尿酸降下剤がキサンチンオキシダーゼ阻害薬である、請求項33記載の組成物。
【請求項35】
キサンチンオキシダーゼ阻害薬がオキシプリノールである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
治療有効量の請求項33~35のいずれか一項記載の組成物を投与する段階を含む、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法。
【請求項37】
治療有効量のキサンチン酸化物阻害薬とトルバプタン及び/又はリキシバプタンとを同時投与する段階を含む、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法。
【請求項38】
必要とする対象における嚢胞性疾患を処置する方法であって、方法が、治療有効量の尿酸降下剤及びグリフロジンを同時投与する段階を含み、グリフロジンが、尿酸降下剤の水溶解度及びバイオアベイラビリティーを増加させる量で同時投与される方法。
【請求項39】
治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬及びサーチュイン-1活性化物質を同時投与する段階を含む、嚢胞性疾患を処置する方法。
【請求項40】
サーチュイン-1活性化物質がSGLT2阻害薬である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
嚢胞の発生又は成長を軽減する、請求項39又は40記載の方法。
【請求項42】
嚢胞性疾患が多発性嚢胞腎疾患である、請求項39~41のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
治療有効量の少なくとも1つのキサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼの発現を直接的又は間接的に減少させる作用物質とを同時投与する段階を含む、必要とする対象における嚢胞性疾患を処置する方法。
【請求項44】
キサンチンオキシダーゼの発現を直接的に減少させる作用物質が、キサンチンオキシダーゼの発現を標的付ける干渉分子を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
キサンチンオキシダーゼの発現を間接的に減少させる作用物質が、サーチュイン-1活性化物質を含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
サーチュイン-1活性化物質が、グリフロジン若しくはサーチュイン-1の発現を誘導するeRNA、又はそれらの組み合わせを含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼの発現を直接的又は間接的に減少させる作用物質とを含む組成物。
【請求項48】
キサンチンオキシダーゼの発現を直接的に減少させる作用物質が、キサンチンオキシダーゼの発現を標的付ける干渉分子を含む、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
キサンチンオキシダーゼの発現を間接的に減少させる作用物質が、サーチュイン-1活性化物質を含む、請求項47記載の組成物。
【請求項50】
サーチュイン-1活性化物質が、グリフロジン若しくはサーチュイン-1の発現を誘導するeRNA、又はそれらの組み合わせを含む、請求項49記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
多発性嚢胞腎疾患は、一連の解剖学的及び生理学的異常、例えば高血圧、内皮機能不全、心血管疾患、肝疾患、大、中及び小径血管を冒す異常、並びに多発性嚢胞腎疾患を有する患者が遭遇する他の健康問題によって特徴付けられる。多発性嚢胞腎疾患は、遺伝的である2つの主因、2つのカテゴリに分類される常染色体優性多発性嚢胞腎疾患(ADPKD)及び常染色体劣性多発性嚢胞腎疾患(ARPKD)を有する。多発性嚢胞腎疾患又は嚢胞性疾患症候群の他の原因は、嚢胞性線維症、腎異形成、結節性硬化症、フォンヒッペル・リンダウ病、多嚢胞性異形成腎(MCDK)、髄質海綿腎、及び後天性腎嚢胞性疾患に付随して見出すことができる。多発性嚢胞腎疾患の起源はしばしば遺伝性で、疾患の主因であるのに対し、既存の疾患を診断及び処置するためのアプローチは、一次予防、二次予防及び三次予防として分類することができる。しばしば疾患の進行は多様であり、全てではなく一部の特定可能な条件、例えば、1)膵疾患、2)ホルモン異常、3)薬物又は化学物質誘導型、4)尿細管異常、5)遺伝的症候群、及び6)その他が、多発性嚢胞腎疾患を発生させる又は発生可能にする。
【0002】
多発性嚢胞腎疾患の2つの主因は、共に全ての主要多発性嚢胞腎疾患のそれぞれ約90%及び5%に寄与する遺伝病であるADPKD及びARPKDである。高血圧、心血管疾患、内皮機能不全、高尿酸血症、痛風、腎結石、血尿、腹痛、高頻度の尿路感染症、頭痛、心臓弁の構造異常、紫斑病、疲労並びに悪心及び嘔吐を含む場合も含まない場合もある症状が、多発性嚢胞腎疾患にしばしば付随する。
【0003】
多様な形態の腎疾患が、濾過能の加速的喪失を伴って進行する。
【0004】
概要
本明細書に記載される実施態様は、多発性嚢胞腎疾患における尿酸の血清濃度増加が、腎サイズの増加及び腎機能の低下の一次メディエータであるという注目すべき発見に基づく。加えて、本発明者らは、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの発現増加及び活性増加が、多発性嚢胞腎において見出される可能性があり、腎損傷のメディエータとして作用し得るという注目すべき発見をした。多発性嚢胞腎は、循環中の血清尿酸の効果と異なり損傷のモジュレータを独特に発現し、キサンチンオキシダーゼ又はキサンチンオキシダーゼの発現モジュレータの組織発現を標的付けることが、この新しく発見された損傷メカニズムを標的付ける新規な機会を提供するという発見も記載されている。本発明の態様は、多発性嚢胞腎を診断するため並びにその構造的完全性及び機能の漸減に対抗するための新しいアプローチを提供する。
【0005】
特定の実施態様では、本発明の主題は、多発性嚢胞疾患になりやすい個体におけるキサンチンオキシダーゼ(XO)及びキサンチンデヒドロゲナーゼ(XDH)発現の両方の組織発現の増加を検出する方法に関する。
【0006】
特定の実施態様では、本発明の主題は、多発性嚢胞腎疾患の進行又は進行加速を起こしやすい個体におけるXO/XDH発現の増加によってモジュレートされるサイトカイン発現、炎症系、及び/又はプロテオーム発現のモジュレータなどの生物学的シグナル伝達分子の組織発現の増加を検出する方法に関する。
【0007】
特定の実施態様では、その組織XO/XDHが個体の多発性嚢胞腎疾患のリスクを増加させる該個体を検出、層別化、特定及び処置する方法が提供される。処置方法として、血清又は尿試料が得られ、検査される場合があり、その結果、XO/XDHの過剰発現を決定するために血清尿酸、又は細胞外小胞若しくは細胞膜構成成分が検査される場合があり、尿酸降下剤の投与と共にモニタリングされる場合がある。
【0008】
別の実施態様では、尿酸降下剤の吸収又はバイオアベイラビリティーの改善を提供する尿酸降下剤の組成物及び製剤、並びにその用量、送達の経路又はレジメンが提供される。処置方法として、血清又は尿試料が得られ、検査される場合があり、その結果、XO/XDHの過剰発現を決定するために血清尿酸、又は細胞外小胞若しくは細胞膜構成成分が検査される場合があり、尿酸降下剤及び/又はXO/XDHの発現を減少させる作用物質の投与と共にモニタリングされる場合がある。
【0009】
別の実施態様では、阻害性RNA(iRNA又はsiRNA)を使用して、組織中の、より具体的には腎臓中のキサンチンオキシダーゼ又はキサンチンデヒドロゲナーゼの発現を減少させる方法が提供される。処置方法として、血清又は尿試料が得られ、検査される場合があり、その結果、XO/XDHの過剰発現を決定するために血清尿酸、又は細胞外小胞若しくは細胞膜構成成分が検査される場合があり、尿酸降下剤の投与と共にモニタリングされる場合がある。
【0010】
別の実施態様では、所望の1つ以上の組織への治療の施与を標的付けるために、XO又はXDHの過剰発現が起こっている組織へのiRNA又はsiRNAの送達を伴う方法が提供される。処置方法として、血清又は尿試料が得られ、検査される場合があり、その結果、XO/XDHの過剰発現を決定するために血清尿酸、又は細胞外小胞若しくは細胞膜構成成分が検査される場合があり、尿酸降下剤の投与と共にモニタリングされる場合がある。
【0011】
別の実施態様では、進行性の腎疾患、より具体的には多発性嚢胞腎疾患が発生するリスクを低減する、その発症を遅延させる、及び/又はそれを処置する方法が提供される。
【0012】
別の実施態様では、進行性の肝疾患、より具体的には多発性嚢胞肝疾患が発生するリスクを低減する、その発症を遅延させる、及び/又はそれを処置する方法が提供される。
【0013】
別の実施態様では、本発明の主題は、キサンチンオキシダーゼ又はXO/XDHの組織特異的発現に付随する損傷を低減するために、多発性嚢胞腎を特異的に処置する方法を提供する。
【0014】
別の実施態様は、XO、XDH又はXO/XDHの発現の組織特異的発現に付随する損傷を低減するために、キサンチンオキシダーゼ阻害薬、及び組織におけるXO/XDHの発現を減少させる又はモジュレートすることができる作用物質と組み合わせて、組織における嚢胞性疾患を特異的に処置する方法に関する。
【0015】
XO/XDHの組織特異的発現をモジュレートする手段として、上流のモジュレータの発現、例えばサーチュインの発現、より具体的にはサーチュイン-1の発現を増加させるために組織における嚢胞性疾患を特異的に処置する方法もまた、提供される。
【0016】
なお別の実施態様は、グリフロジン及びキサンチンオキシダーゼ阻害薬を含む組成物に関する。グリフロジンは、キサンチンオキシダーゼ阻害薬の水溶解度、そのキサンチンオキシダーゼ阻害薬の経口バイオアベイラビリティーを増加させると考えられている。また、本明細書に記載されるように、グリフロジンはまた、他のUALAと組み合わせたその使用を嚢胞性腎疾患に関連して特に有益にするさらなる機能的利益を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】プリン代謝及びプリンベースのキサンチンオキシダーゼ阻害薬の代謝を示す図を提供する。
図2】キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼのモジュレータを示す図を提供する。
図3】多発性嚢胞腎疾患の動物モデルが高い血清アラントイン濃度を呈することを示しているグラフを提供する。
図4】多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルにおいてXOの腎組織発現が増加していることを示しているデータを提供する。図4Aは、キサンチンオキシダーゼの発現増加を示しているウエスタンブロットを提供する。図4Bは、ラット多発性嚢胞腎疾患モデルHan/SPDR(CY/+)又は野生型ラット腎臓からのデータを提供する。キサンチンオキシダーゼ酵素の存在を示すために染色された腎組織切片の光学顕微鏡観察、及び相対デンシトメトリー単位(RD)としての読み取りデータ。Han/SPDRは、染色された細胞質の比率が野生型と比較して増加したことを示す(p<0.05)。4Cは、マウス多発性嚢胞腎疾患モデル(Pkd1 RC/RCマウス)における類似の観察の証拠を提供する(P<0.05)。
図5】XO活性が野生型と比較して多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルの腎組織で増加していることを示しているグラフである。
図6】オキソニン酸(OXO)によるウリカーゼ阻害及び相応する尿酸増加が、多発性嚢胞腎疾患(PCK)のラットモデル及び多発性嚢胞腎疾患(Pkd1RC/RC)のマウスモデルにおいて総腎臓対体重比(2K/BWT)の増加と関連することを示しているデータを提供する。オキソニン酸に70日間曝露後、両方のモデルは、類似の結果、すなわち2K/BWTの増加を招く血清尿酸の増加、嚢胞サイズの増加及び血清クレアチニンの増加を示した(P<0.05;P<0.05;ラット及びマウスクレアチニンについてP<0.07及びP<0.05)。血清尿酸の増加は、腎機能における構造及び機能変化と関連する。クレアチニンの増加は、腎疾患の濾過能減少と関連する。
図7】多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルにおいてオキソニン酸によるウリカーゼ阻害及び相応する尿酸増加が、血清中のクレアチニン増加によって示されるように、腎機能低下を示すことを示しているデータを提供する。
図8】多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデル(マウスRC/RCモデル)において、キサンチンオキシダーゼ阻害は、平均総腎容積(図8A)及び腎臓サイズ中央値(図8B)によって示されるように、腎疾患の進行を軽減する。
図9】多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデル(マウスRC/RC)において、オキソニン酸(OXO)曝露が腎臓サイズを増加させたことを示しているグラフである。OXO及びキサンチンオキシダーゼ阻害(「OXY+L」、オキシプリノール及びL-アルギニン)が同時投与され、OXY+Lはオキソニン酸の効果を軽減し、中経口用量(8mg/kg/日)又は高経口用量(24mg/kg/日)で尿酸誘導性の腎臓拡大を正常化/減少させた。
図10】診断デバイスの実施態様を示す。
【0018】
詳細な説明
本発明は、異常なプリン代謝の診断方法、処置方法及び異常なプリン代謝に影響する作用物質の使用に関する。本発明は、組織における異常なプリン代謝を診断する方法、組織における異常なプリン代謝を制御する方法、及び組織における異常なプリン代謝を処置する方法に関する。
【0019】
本発明は、多発性嚢胞腎疾患におけるキサンチンオキシダーゼ阻害薬の使用及び/又はキサンチンオキシダーゼ酵素の組織発現若しくはキサンチンオキシダーゼ活性を減少させることができる作用物質の併用に関する。
【0020】
その個々の項目に縛られることなく、本明細書に提供されるデータは、XO/XORの組織発現が細胞内尿酸及び酸素ラジカル産生に寄与する場合、これは、ミトコンドリア損傷、血管又は構造損傷、炎症又は線維化に寄与する可能性があることを示唆している。このような有害作用を軽減する組成物及び方法が提供される。
【0021】
キサンチンオキシダーゼ阻害薬、又は遊離酸素ラジカルスカベンジャー又は両方の特性を有する分子の治療的使用により細胞内、腎臓、又は他の組織損傷を特異的に阻害するためのADPKDの処置もまた、提供される。
【0022】
さらに、抗炎症薬又は抗線維化薬と組み合わせたXOIは、疾患の進行から腎臓を保護するために使用され得る。
【0023】
さらに、トルバプタン、リキシバプタン、又は他の「-バプタン」などの「バシプレシン受容体アンタゴニスト」と組み合わせたXOIは、嚢胞の開始/嚢胞成長又は総腎容積の増加のみならず、機能低下を遅らせ、細胞外及び細胞内の両方のキサンチンオキシダーゼの健康影響を減少させる。
【0024】
さらに、XO/XDHを直接的又は間接的にモジュレートすることができるSGLT2阻害薬若しくはサーチュイン1活性化物質などの、キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ(XO/XDH)の発現若しくは活性のエフェクタ又はXO/XDH比のエフェクタが、PKDの症状を呈している対象に投与される。
【0025】
さらに、過剰発現の健康影響を逆転させるために、キサンチンオキシダーゼ(XO)、チオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)、及び/又は核因子赤血球系2-関連因子(nrf-2/ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1))などの遺伝子の発現に指向される干渉分子を使用した、このような遺伝子のサイレンシングも開示される。
【0026】
ある特定の実施態様によれば、対象における腎疾患の進行を検出及び処置する方法が提供される。方法は、対象から試料を得る段階;及び試料中のキサンチンオキシダーゼの発現又は活性のレベルを検出する段階、及びキサンチンオキシダーゼの発現又は活性のレベルが、予め決定されたレベル以上であるか、又は対照と比べて高い場合に、その対象が、必要とする対象であると判断する段階;及び必要とする対象に治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬を投与する段階を伴う。
【0027】
キサンチンオキシダーゼ(XO)の濃度若しくは活性又はキサンチン脱水素物(XDH)の濃度若しくは活性、又はXO/XDHの濃度若しくは活性比に対する変化を検出する段階を含む方法もまた、提供される。方法は、多発性嚢胞腎疾患の1つ以上の症状を呈している対象から試料を得る段階であって、試料が血液試料若しくは尿試料、又は血液試料若しくは尿試料からの細胞外小胞試料を含む段階;試料中のXOの濃度又は活性及びXDHの濃度又は活性を検出する段階;並びに試料が健康な対象のものからの逸脱したXOの濃度若しくは活性、XDHの濃度若しくは活性、及び/又はXO/XDHの濃度若しくは活性比を含む場合に、UALAを投与し、任意で有機塩基を同時投与する段階を伴う。具体例では、健康な対象のものからの逸脱は、1mg/Lを超えるXO濃度;105(U/L)を超えるXO酵素活性;及び/又は健康な対象のXO/XDHと少なくとも0.1~10%異なるXO/XDHである。
【0028】
さらなる方法の実施態様は、必要とする対象における腎疾患に付随する異常なプリン代謝を低減する方法を伴う。この実施態様は、治療有効量の1つ以上の尿酸降下剤を投与する段階を伴い、その際、方法は嚢胞性疾患の症状を処置し、1つ以上の尿酸降下剤は、任意で、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及びサーチュイン-1活性化物質からなる群より選択される。特定の実施態様では、投与する段階は、オキシプリノール及びグリフロジンを同時投与することを含む。
【0029】
なお別の実施態様では、対象における腎疾患の進行のマーカーを低減する方法が提供される。方法は、対象から試料を得る段階;腎疾患についてのマーカーを検出する段階であって、マーカーが試料中の組織酸素ラジカル、尿酸、サイトカイン、炎症細胞、線維化、ミトコンドリアの数の増加(mitochondriosis)、又はサーチュイン-1を含む段階、及びマーカーのレベルがベースラインを超える場合に、必要とする対象にUALAの治療有効量を投与し、任意で有機塩基を同時投与する段階を伴う。具体例では、UALAは、キサンチンオキシダーゼ若しくはキサンチンデヒドロゲナーゼの発現を標的付ける干渉分子であるか、又はサーチュイン-1の発現を増加させるeRNAである。より特定の実施態様では、投与する段階は、キサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼ又はキサンチンデヒドロゲナーゼの発現を標的付ける干渉分子とを同時投与することを含む。
【0030】
対象からの生物学的試料中のマーカーの存在又はマーカーの比を検出する段階;及びマーカーがベースライン若しくは対照と比べて高い場合、又はマーカーの比がベースライン若しくは対照と不釣り合いな場合に、対象に治療有効量の少なくとも1つの尿酸降下剤を投与する段階を含む方法も、提供される。マーカーは、キサンチンオキシダーゼ、キサンチンデヒドロゲナーゼ、サーチュイン若しくはサーチュイン-1、低酸素誘導因子-1(HIF-1)、エリスロポエチン、PCNA、Wnt/B-カテニン、IL-5、IL-6、STAT1、STAT2、mTOR、TNFa、MIF、NLRP3インフラマソーム、又は血液若しくは尿由来の細胞膜構成成分、微小小胞、アポトーシス小体、エクソソーム、又は遊離酵素若しくは酵素の特異的部分/フラグメントのうちの1つ以上であり得る。
【0031】
他の方法の実施態様は、多発性嚢胞腎疾患の処置の有効性をモニタリングする方法に関する。方法は、対象の尿中にベースラインと比べて高いキサンチンオキシダーゼの活性若しくは濃度又は高いキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの活性若しくは濃度比を呈している対象に一定量の尿酸降下剤を投与する段階;及び対象の尿中のキサンチンオキシダーゼの濃度若しくは活性又はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの濃度若しくは活性比を検出する段階であって、キサンチンオキシダーゼの活性若しくは濃度における減少又はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼの濃度若しくは活性比のベースラインに向けた移動が、処置の有効性を示す段階を伴う。さらなる方法の実施態様は、治療有効量のキサンチン酸化物阻害薬及びメトホルミンを同時投与する段階を含む、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法を伴う。
【0032】
一定量のオキシプリノール並びに一定量のメトホルミン及び/又はSGLT2阻害薬を含む組成物もまた、開示される。特定の実施態様では、組成物は、オキシプリノール、メトホルミン及びグリフロジンを含む。
【0033】
代替的な方法の実施態様では、治療有効量のキサンチン酸化物阻害薬とトルバプタン及び/又はリキシバプタンとを同時投与する段階を伴う、多発性嚢胞腎疾患を処置する方法が提供される。
【0034】
関係する実施態様では、治療有効量の尿酸降下剤と、治療有効量のトルバプタン及び/又はリキシバプタンとを含む組成物が提供される。具体例では、UALAはキサンチンオキシダーゼ阻害薬である。
【0035】
必要とする対象における嚢胞性疾患を処置する方法もまた開示され、方法は、治療有効量の尿酸降下剤及びグリフロジンを同時投与する段階を含み、その際、グリフロジンは、尿酸降下剤の水溶解度及びバイオアベイラビリティーを増加させる量で同時投与される。
【0036】
さらなる実施態様では、治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬及びサーチュイン-1活性化物質を同時投与する段階を伴う、嚢胞性疾患を処置する方法が提供される。具体例では、サーチュイン-1活性化物質はSGLT2阻害薬である。
【0037】
なお別の実施態様では、必要とする対象における嚢胞性疾患を処置する方法であって、治療有効量の少なくとも1つのキサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼの発現を直接的又は間接的に減少させる作用物質とを同時投与する段階を伴う方法が提供される。キサンチンオキシダーゼの発現を直接的に減少させる作用物質は、キサンチンオキシダーゼの発現を標的付ける干渉分子を含み得る。キサンチンオキシダーゼの発現を間接的に減少させる作用物質は、サーチュイン-1活性化物質を含み得る。具体例では、サーチュイン-1活性化物質は、グリフロジン若しくはサーチュイン-1の発現を誘導するeRNA、又はそれらの組み合わせを含む。
【0038】
関係する実施態様では、治療有効量のキサンチンオキシダーゼ阻害薬と、キサンチンオキシダーゼの発現を直接的又は間接的に減少させる作用物質とを含む組成物が提供される。キサンチンオキシダーゼの発現を直接的に減少させる作用物質は、キサンチンオキシダーゼの発現を標的付ける干渉分子を含み得る。キサンチンオキシダーゼの発現を間接的に減少させる作用物質は、サーチュイン-1活性化物質を含み得る。特定の実施態様では、サーチュイン-1活性化物質は、グリフロジン若しくはサーチュイン-1の発現を誘導するeRNA、又はそれらの組み合わせを含む。
【0039】
定義
好ましい材料及び方法が本明細書に記載されており;本明細書に記載されるものと類似又は等価の任意の方法及び材料を、本発明の実施又は検査に使用することができる。特に定義しない限り、本明細書における全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本発明を記載し請求する際に、以下の専門用語が使用される。本明細書に使用される専門用語は、特定の実施態様を説明することだけを目的とし、限定する意図はないことも理解されたい。
【0040】
値の範囲が提供される場合(文脈が他のことをはっきりと指示しない限り)、範囲の上限と下限の間の下限の単位の10分の1までの各介在値及びその表示範囲内の任意の他の表示値又は介在値が本開示内に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してそのより小さな範囲内に含まれる場合があり、また、表示範囲内の任意の具体的に除外された限界値に従って、本開示内に包含される。表示範囲が限界値の一方又は両方を含む場合、これらの含まれた限界値のうちの一方又は両方を除外する範囲もまた本開示に含まれる。
【0041】
「a」、「an」、「the」、その他の冠詞は、特に具体的に述べない限り、本明細書において、冠詞の文法的目的語の1つ又は1つ超(すなわち少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は1つを超える要素を意味する。特に示さない限り、「又は」は「及び」を包含する。例証すると、「A、B、又はC」は、特に例証しない限り、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの組み合わせ、AとCとの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、及びAとBとCとの組み合わせを意味する。
【0042】
本明細書におけるある特定の実施態様に関して提供される任意及び全ての例、又は例示的な言い回し(例えば「など」)の使用は、単に本開示をよりはっきりと説明することを意図したものであり、別の方法で請求された本開示の範囲に制限を与えるものではない。本明細書中のいかなる言い回しも、本開示の実施に不可欠な請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0043】
本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に開示される全ての特徴は、別段の明示的な記載がない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替的な特徴で置き換えられる場合がある。したがって、別段の明示的な記載がない限り、開示された各特徴は、一般的な一連の等価又は類似の特徴の一例に過ぎない。本明細書に記載される例及び実施態様は、単に例証目的であり、それに照らした様々な改変又は変化が当業者に示唆され、本出願の精神及び視野内に含まれるべきである。本開示の精神及び原理から実質的に逸脱せずに、本開示の実施態様に多くの変形及び改変が加えられる場合がある。全てのこのような改変及び変形は、本明細書において本開示の範囲内に含まれることが意図される。例えば、特に示さない限り、本開示は、特定の材料、試薬、反応物質、製造工程、その他に限定されない。それは、これらが変動する可能性があるからである。本明細書に使用される専門用語は、特定の実施態様を説明することだけを目的とし、限定する意図はないことも理解されたい。論理的に可能な場合、異なる順序で段階を実行できることも、本開示において可能である。
【0044】
本明細書に使用される場合、「異常なプリン代謝」という用語は、健康な対象で呈されるレベルを超えた、プリンからキサンチン、尿酸(若しくは尿酸塩)及び/又はアラントインなどの代謝物への変換を指す。異常なプリン代謝は、典型的には、疾患(例えば、多発性嚢胞腎疾患、嚢胞性肝疾患若しくは嚢胞性疾患又は組織中のキサンチンオキシダーゼの発現若しくは活性が増加している任意の疾患)の1つ以上の症状を呈している対象の細胞中のキサンチンオキシダーゼの高い発現及び/又は活性に付随する。
【0045】
「投与すること」又は「投与」という用語及びそれらの他の文法的形態は、その意図される機能を果たすために、対象に化合物又は作用物質を導入又は送達する任意の経路を指す。投与すること又は投与は、経口、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、若しくは皮下)、直腸、又は外用を含む任意の適切な経路によって実行することができる。投与すること又は投与は、自己投与及び他人による投与を含む。
【0046】
本明細書に使用される場合、「アンチセンス配列」という用語は、オリゴマー化合物がハイブリダイズする標的核酸分子と少なくとも部分的に相補性の該オリゴマー化合物を指す。ある特定の実施態様では、アンチセンス化合物は、標的核酸の発現をモジュレートする(増加又は減少させる)。アンチセンス化合物は、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣体、及びこれらのキメラ組み合わせである化合物を含むが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書に使用される場合、「同時投与された」、「同時投与すること」、又は「同時投与」という用語は、例えば、例示的な治療剤と別の例示的な治療剤との投与、又は例示的な治療剤の投与と一緒の併用剤(conjunctive agent)の投与に関連して使用される場合、例示的な治療剤及び他の例示的な治療剤又は併用剤の両者が生理学的効果を同時に達成できるような、両者の投与を指す。しかし、2つの作用物質が一緒に投与される必要はない。ある特定の実施態様では、一方の作用物質の投与が他方の投与に先行することができるが、このような同時投与は、典型的には両者の作用物質が対象の体内(例えば血漿中)に同時に存在することを結果としてもたらす。
【0048】
本明細書に使用される場合、「組成物」、「医薬組成物」又は「治療剤」の全ては、少なくとも尿酸降下剤を含む組成物を含む。任意で、「組成物」、「医薬組成物」又は「治療剤」は、薬学的に許容し得る希釈剤若しくは担体、及び/又は併用剤をさらに含む。干渉分子の場合、例えば、干渉分子は、例えばリン酸緩衝食塩水などの1つ以上の薬学的に許容し得る希釈剤と組み合わされる場合がある。
【0049】
マーカー、又はマーカーの比との比較を説明する文脈で使用される場合の「対照」という用語は、健康な対象からの試料中に存在する代表的な分子のレベル又は分子の比を指す。
【0050】
本明細書に使用される場合、「嚢胞性疾患」という用語は、嚢胞の発生又は嚢胞の成長が健康な個体と比べて増加している組織を含む任意の疾患を指す。嚢胞性疾患は、嚢胞(液体が満たされた嚢)を器官内又はその周囲に形成させる状態の一群をいう。嚢胞の成長又は拡大は、疾患進行をモジュレートする血液循環、栄養交換又は代謝産物の減少を結果としてもたらす嚢胞周囲の健康な組織への圧力増加に付随し得る。嚢胞性組織におけるキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ(XO/XDH)の発現又はXO/XDHの比は、組織中の尿酸の直接蓄積、又は組織における疾患若しくは疾患進行を直接的又は間接的に促進する組織中の酸素ラジカルの蓄積を結果としてもたらし得る。
【0051】
「嚢胞性腎疾患」という用語。嚢胞性腎疾患は、嚢胞(液体の嚢)を腎臓内又はその周囲に形成させる。多くの種類の嚢胞性腎疾患がある。異常な遺伝子の結果のものもあれば、子宮内で又は腎不全の結果として発生するものもある。成人及び小児の両方が嚢胞性腎疾患を有し得る。嚢胞性腎疾患という用語は、多発性嚢胞腎疾患を含む。
【0052】
エンハンサーRNA、又はeRNAは、本明細書に使用される場合、エンハンサーの座位から転写される短ノンコーディングRNA分子を指す。標的遺伝子のエンハンサーに関するeRNAの投与は、標的遺伝子の発現を増加させることができる。エンハンサーは、プロモーターと共同して、プロモーターと並んで標的遺伝子の転写及び細胞運命を制御する、ゲノム中の調節要素である。ウリカーゼ又はサーチュインなどの遺伝子のプロモーターは、疾患の進行をモジュレートするのに特に有用であり得る。ヒトサーチュイン1の配列は、アクセッション番号NM_012238、NM_001142498、及びNM_001314049に見出される。
【0053】
本明細書に使用される場合、「細胞外小胞」は、いくつかの実施態様でその多胞体と細胞形質膜との融合時に、ほぼ全ての細胞型によって放出される「エクソソーム」又は「微小胞(MV)」を包含する。「細胞外小胞」という用語は、エクソソーム及びMVの両者を含み得る。細胞外小胞は、血液、尿を含む全てではないにしろ多くの真核生物の体液、及び細胞培養物の培養液中に存在する。細胞外小胞、特にエクソソーム又はMVは、細胞間コミュニケーションにおけるそれらの役割が公知であり、それらの内容物を荷重除去(unload)し、正常細胞及び幹細胞から癌性状態への形質転換に寄与する能力を実証した。例えば微小胞は、アポトーシス小体の放出、細胞の細胞質膜からの微小胞の直接的な出芽、及び多胞体からのエキソサイトーシスを含む多様な過程によって形成され得る。例えば、細胞外小胞は、通常、多胞体と形質膜との融合の結果としての細胞のエンドソーム膜区画からのそれらの分泌によって形成される。多胞体(MVB)は、エンドソーム膜からの内側出芽及びそれに続く小胞の管腔へのピンチオフによって形成される。次いで、MVB中に存在する内部小胞は、いわゆるエクソソーム又は細胞外小胞として細胞外液に放出される。
【0054】
「健康な対象」という用語は、疾患の症状又は疾患の遺伝的素因を欠く対象である。具体例では、健康な対象は、多発性嚢胞腎疾患の症状を呈さず、かつ/又はPKDの遺伝的素因を欠く。
【0055】
「阻害性オリゴヌクレオチド」という用語は、リボソーム内でmRNAからタンパク質への翻訳に干渉することなどによってタンパク質の産生若しくは発現を低減する、又は1つ以上の標的付けられたタンパク質をコードする遺伝子若しくはmRNAのいずれかと十分に相補的であり、1つ以上の標的付けられた遺伝子若しくはmRNAと特異的に結合(ハイブリダイズ)し、それにより、標的タンパク質の発現又は生物学的活性を低減する任意のオリゴヌクレオチドを指す。阻害性オリゴヌクレオチドは、とりわけ、単離された又は合成shRNA又はDNA、siRNA又はDNA、アンチセンスRNA又はDNA、キメラアンチセンスDNA又はRNA、miRNA、及びmiRNA模倣体を含む。
【0056】
本明細書に使用される場合、「干渉分子」という用語は、標的遺伝子配列のサイレンシングなどの、遺伝子発現に直接的又は間接的な影響を有する全ての分子を指す。干渉分子は、阻害性オリゴヌクレオチド、RNA干渉分子及びRNA様干渉分子を含む。干渉性RNA分子の例は、アンチセンス配列、siRNA、短ヘアピンRNA(shRNA)、一本鎖siRNA、マイクロRNA(miRNA)、メチル化siRNA又は循環Rnアーゼによる分解からsiRNAを保護するために処理された他のsiRNA、及びダイサー基質27塩基長二重鎖を含む。「RNA様」分子の例は、siRNA、一本鎖siRNA、マイクロRNA、並びに1つ以上の化学修飾ヌクレオチド、1つ以上の非ヌクレオチド、1つ以上のデオキシリボヌクレオチド、及び1つ以上の非ホスホジエステル結合を含むshRNA分子を含むが、これらに限定されない。したがって、siRNA、一本鎖siRNA、shRNA、miRNA、及びダイサー基質27塩基長二重鎖は、「干渉分子」のサブセットである。「干渉分子」はまた、PMOを含み得る。米国特許出願公開第20200299698号、中国特許CN104232644;又はWang et al. Oxid Med Cell Longev, 2022, 2022:4326695、及びOrigene Technologies(Cat No. TF308350)を参照されたい。
【0057】
「マーカー」又は「バイオマーカー」という用語は、本明細書に使用される場合、ベースライン又は対照と比較したその存在又は相対的存在が疾患又は障害を示す生物学的分子を指す。本開示に関連して、マーカーの例は、キサンチンオキシダーゼ及び/又はキサンチンデヒドロゲナーゼ(又はそれをコードする核酸配列若しくはそのフラグメント)、キサンチンオキシダーゼ及び/若しくはキサンチンデヒドロゲナーゼと関連する抗原、並びに/又は尿酸、並びに/又はPKDについての遺伝子マーカーを含む。
【0058】
「メトホルミン」という用語は、メトホルミン又はその薬学的に許容し得る塩を指す。米国特許第6,031,004号、RE46496、及び米国特許第10,154,972号を参照されたい。
【0059】
マイクロRNA(略してmiRNA)という用語は、遺伝子発現のRNAサイレンシング及び転写後調節において機能する、植物、動物及びいくつかのウイルスに見出される低分子ノンコーディングRNA分子(約22個のヌクレオチドを含む)である。miRNAが、それ自体折り返されて短ヘアピンを形成するRNA転写物の領域に由来し、一方でsiRNAが、二本鎖RNAのより長い領域に由来することを除き、miRNAはRNA干渉(RNAi)経路の低分子干渉RNA(siRNA)に類似している。標準的な命名系の下で、実験的に確認されたmiRNAに名称が割り当てられている。接頭辞「miR」の後にダッシュ及び番号が続き、後者は、命名の順序を示すことが多い。「MIR」は、対応するmiRNAをコードする遺伝子を指す。1又は2つのヌクレオチド以外ほぼ同一の配列を有する異なるmiRNAは、追加的な小文字で注釈される。miRNA模倣体という用語は、細胞に導入された場合に内因性成熟miRNA分子を模倣するように設計されたsiRNAなどの低分子二本鎖RNA分子を指す。
【0060】
「有機塩基」という用語は、本明細書に使用される場合、有機塩基が、(a)L-アルギニン、D-アルギニン、コリン、L-リシン、D-リシン、及びカフェインを含むが、これらに限定されない、約7~13のpKa1を有するクラス1塩基であり得ることを指す。代替的な実施態様では、有機塩基は、メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン又はそれらの塩などのビグアニド(米国特許第9,480,663号)又はビグアニジンである。メトホルミンは、本明細書に記載される組成物及び方法に関連して複数の有益効果を有することが知られている。第1に、それは、経口バイオアベイラビリティーを増加させるためのオキシプリノールに対する可溶化剤として作用することができる。第2に、それは、アルカリ化剤として作用することができる。第3に、本明細書においてメトホルミンは、尿酸可溶化剤として作用することができる。1:01~1:10の比のオキシプリノール対メトホルミンがオキシプリノールの溶解度を0.2mg/mlから16.8mg/ml以上に増加させるというメトホルミンの予想外の結果が見出されている。グリフロジンファミリーのSGLT2阻害薬もまた塩基性であり、本明細書における教示に従って有機塩基として作用することができる。
【0061】
本明細書に使用される場合、「ホスホチオアート(phosphothioate)モルホリノオリゴマー」、「PMO」又は「PMO」という用語は、RNA又はDNA中に自然に見出されるものと同じ核酸塩基(すなわち、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル又はチミン)を有する分子を指すが、それらは、RNAによって用いられるリボース環の代わりにモルホリン環と結合している。それらはまた、ホスホジエステル又はホスホロチオアート基よりもむしろホスホロジアミダートを経由して連結している場合がある。この連結修飾は、通常の生理学的pH範囲でイオン化を排除し、それで、生物又は細胞内のPMOは、非荷電分子である。PMOの骨格全体は、これらの修飾サブユニットからできている。
【0062】
「多発性嚢胞腎疾患」又は「PKD」という用語は、本明細書に使用される場合、腎尿細管が構造的に異常になり、結果として腎臓内に複数の嚢胞の発生及び成長をもたらす遺伝障害を指す。これらの嚢胞は、子宮内で、幼児期、小児期、又は成人期に発生し始める場合がある。嚢胞は、その内部に蓄積した液体で満たされた非機能性尿細管であり、顕微鏡的~巨大までサイズが変動し、隣接する正常尿細管、並びに/又は健康な隣接組織及び血管を挫滅又は圧迫し、最終的にそれらを同様に非機能的にする。
【0063】
本明細書に使用される場合、「予防する」、「予防」又は「予防すること」という用語は、病状に曝露され得る又は病状の素因があり得るが、まだ病状の症状を経験も示しもしていない対象において、病状の臨床症状を発生しないようにすること、例えば疾患の発症を阻害することを意味する。この用語は、本明細書に使用される場合、1)一般的に障害に付随する症状の頻度若しくは重症度における低減;又は2)状態若しくは疾患に付随する追加的な症状の遅延若しくは回避、又は疾患の完全な予防のいずれかをさらに含み得る。当業者は、様々な実施態様が予防法に向けられる場合、それを必要とする対象(すなわち、予防を必要とする対象)は、予防すべき障害、疾患又は状態の少なくとも1つの症状を経験又は呈した任意の対象又は患者(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)を含むものとすることを認識している。さらに、それを必要とする対象は、追加的に、予防すべき障害、疾患又は状態のいかなる症状も呈したことがないが、医師、臨床医又は他の医療従事者によって該障害、疾患又は状態を発生するリスクがあると見なされた対象(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であり得る。例えば、対象は、家族歴、素因、共存(併存)障害又は状態、遺伝子検査、その他を含むが、これらに限定されない対象の病歴の結果として障害、疾患又は状態を発生するリスクがある(したがって、予防又は予防的処置の必要がある)と見なされ得る。
【0064】
本明細書に使用される場合、SGLT2阻害薬という用語は、ナトリウム-グルコース共輸送体阻害薬を指す。SGLT2阻害薬の非限定的な一覧は、「グリフロジン」、例えば、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、ソタグリフロジン又はトホグリフロジンを含むが、これらに限定されない。グリフロジンが、嚢胞性腎疾患の処置に特に有益な多機能性特性を有することが発見されている。グリフロジンは、サーチュイン-1を活性化することに応じてキサンチンオキシダーゼの発現を低減することができ、それらの塩基性に応じてキサンチンオキシダーゼ阻害薬などの他の尿酸降下剤のバイオアベイラビリティーを増加させ、それ自体キサンチンオキシダーゼ活性を阻害することができる。したがって、グリフロジンは、尿酸降下剤、キサンチンオキシダーゼ阻害薬、サーチュイン-1活性化物質、及び有機塩基の定義内に入る。グリフロジンがこれらの4種の作用物質のうちの1つ以上と組み合わせて記載若しくは請求される又は同時投与される限りにおいて、これは、特に述べない限り、その文脈のグリフロジンへの言及が、グリフロジンが組み合わされる又は同時投与される作用物質の機能と比べて追加的な機能を果たし得ることを伝えることが意図される。例えば、UALA及びグリフロジンを含む組成物は、グリフロジンが、UALA及びUALA以外の何か、例えばUALAのバイオアベイラビリティーを増加させるための有機塩基として役立つ場合があることを意味する。
【0065】
本明細書に使用される場合、「shRNA」(低分子ヘアピンRNA)は、遺伝子発現を阻害又は抑制するために使用され得る短「ヘアピンターン」RNA配列である。
【0066】
本明細書に使用される場合、低分子干渉RNA又はサイレンシングRNAとしても公知の「siRNA」(短干渉RNA)は、標的遺伝子から転写されたmRNA分子の配列と相補性であり、標的遺伝子の発現に干渉する、一般的に約15~30ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子を指す。
【0067】
本明細書に使用される場合、「サーチュイン-1活性化物質」という用語は、サーチュインファミリーのNAD+依存性タンパク質溶解デアセチラーゼを活性化し、生理、代謝及びストレス応答などのサーチュインの様々な機能をモジュレートすることができる作用物質を指す。より具体的には、サーチュイン-1(SIRT-1)を活性化する作用物質は、それにより、組織中のキサンチンオキシダーゼ酵素、キサンチンデヒドロゲナーゼ酵素の発現をモジュレートするか、又はXO/XDHの比をモジュレートする。サーチュインを活性化することができる作用物質の例は、レスベラトロール、エピカテキン、ケルセチン、SRT2104、SRT1720、1,4-DHP誘導体、UBCS039、SRT2104、SRT2379、SRT3025、又は「グリフロジン」、例えばエンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジンを含むSGLT-2阻害薬、及びサーチュイン-1の発現を誘導するeRNAを含む。サーチュイン-1活性化物質の他の例は、米国特許出願公開第20070149466号に記載されている。
【0068】
本明細書に使用される場合、「対象」又は「患者」という用語は、特定の処置のレシピエントであるべきヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、その他を含むが、これらに限定されない任意の動物(例えば哺乳動物)を指す。
【0069】
本明細書に使用される場合、「必要とする対象」は、PKDの1つ以上の症状を呈し、かつ/又はPKDを発生する遺伝的素因のある対象である。PKDの症状は、腎臓サイズの増加、腎機能低下、嚢胞形成速度の増加、嚢胞成長速度の増加、高血圧の増加、腹痛又は背痛の増加、心血管疾患の増加、腎結石形成速度の増加、痛風発生率の増加、腎不全発生率の増加、内皮機能不全の増加、炎症状態の増加、関節リウマチの増加、尿路感染の増加、心臓発作又は卒中の発生率の増加、透析の必要性の増加、6mg/dLよりも高い増加した循環クレアチニン濃度又は血清尿酸濃度を含むことができる。
【0070】
「治療有効量」は、適切な投薬レジメンで投与された場合、処置されている障害(例えば癌)の重症度、持続期間若しくは進行を低減若しくは軽減する、処置されている障害(例えば癌)の進行を予防する、処置されている障害(例えば癌)の退縮を引き起こす、又は別の治療法の予防若しくは治療効果を強化若しくは改善するのに十分な量を指す。完全治療効果は、必ずしも1つの用量の投与によって起こるわけではなく、一連の用量の投与後に初めて起こる場合がある。したがって、治療有効量は、1日に1回以上の投与で連日投与される場合がある。
【0071】
本明細書に使用される場合、「処置する」、「処置すること」、「処置」又は「軽減」という用語は、一例として目的が病的状態又は障害を停止、減速、又は逆転させることである治療的処置を指し、これらの用語は、疾患の症状又は徴候を低減する目標で症状又は状態の根底の原因を管理するために、また、疾患を予防する又はその進行を減速する、その出現を停止させる若しくは潜在的に逆転させる、又は疾患を引き起こしている根底にあるメカニズムを阻害するために、化合物を投与することをさらに含み得る。
【0072】
「尿酸降下剤」又はUALAという用語は、哺乳動物における血清尿酸レベルを低下させることが公知である物質を指す。典型的にUALAは、血清尿酸レベルを少なくとも約0.2mg/dl制限し得る。UALAは、キサンチンオキシダーゼ阻害薬;尿酸排泄促進薬、例えばベンズヨーダロン、ベンズブロマロン、プロベネシド;ウリカーゼ誘導体、例えばラスブリカーゼ及びペグ化ウリカーゼ;遺伝子ベース療法、例えばウリカーゼの過剰発現又はURAT-1遮断;ポリエチレングリコールとのコンジュゲート又は別の送達系として送達され得るウリカーゼタンパク質のサプリメント;キサンチンオキシダーゼ又はキサンチンデヒドロゲナーゼを標的付ける干渉分子、サーチュイン-1活性化物質、例えばSGLT-2阻害薬(例えばグリフロジン)、フラボノイド、例えばレスベラトロール、又はサーチュイン-1の発現をアップレギュレートするeRNA;及び尿酸チャネル阻害薬を含むが、これらに限定されない。上記のように、グリフロジンは、複数の機構的機能を有する。
【0073】
「キサンチンオキシダーゼ阻害薬」という用語は、本明細書に使用される場合、キサンチンオキシダーゼの活性又は発現を低減する作用物質を指す。キサンチンオキシダーゼ阻害薬の例は、アロプリノール、オキシプリノール、ヒドロキシアカロン(hydroxyakalone)、TEI-6720、カルプロフェン、フェブキソスタット、トピロキソスタット、TMX-049及びy-700;キサンチンオキシダーゼの発現を標的付ける阻害性オリゴヌクレオチド若しくは他の干渉分子;又は抗キサンチンオキシダーゼ抗体を含むが、これらに限定されない。キサンチンオキシダーゼ阻害薬は、血液、組織若しくは液体又は全てにおいてキサンチンオキシダーゼ又はキサンチン脱水素物を別々又は同時に阻害するその能力又はプロドラッグの代謝産物の能力によってさらに定義され得る。
【0074】
化合物は、好ましくは、経口投与用の溶液、懸濁液、錠剤、速崩性錠剤(dispersible tablet)、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤若しくはエリキシル剤、又は非経口投与用の無菌溶液若しくは懸濁液のみならず、経皮パッチ製剤及びドライパウダ吸入器などの適切な薬学的調製物に製剤化される。典型的に、上記の化合物は、当技術分野において周知の技術及び手順を用いて医薬組成物に製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Fourth Edition 1985, 126を参照されたい)。
【0075】
組成物中に、有効濃度の1つ以上の化合物又は薬学的に許容し得る誘導体が、適切な薬学的担体又はビヒクルと混合される。化合物は、上記のような製剤化の前に対応する塩、エステル、エノールエーテル若しくはエステル、酸、塩基、溶媒和物、水和物又はプロドラッグとして誘導体化され得る。組成物中の化合物の濃度は、投与時に、少なくとも0.5mg/dlから5.5mg/dl以下まで、血清尿酸レベルを低減する量を送達するのに有効である。最も好ましい実施態様では、有効量は、血清尿酸レベルを5.5mg/dl以下及び4.0mg/dl以上に低下させるようなものである。なお好ましくは、有効量は、血清尿酸レベルを5.2mg/dl以下及び4.5mg/dl以上に低下させるようなものである。
【0076】
UALAは、非限定的に、ビタミンC、アルファ-リポ酸、ビタミンE、ベータカロテン、セレン、亜鉛、カルノシン、緑茶、大豆及びイソフラボン、テンポール等の1つ以上の公知の抗酸化剤と同時に又は順次に投与される(すなわち、同時投与される)場合がある。他の実施態様では、尿酸降下剤は、バゾプレシン受容体アンタゴニスト、又はSGLT-2阻害薬又はキサンチンオキシダーゼの阻害薬の水溶解度若しくはそのバイオアベイラビリティーを増加させることができる作用物質と組み合わされる。このような組み合わせは、尿酸レベルにかかわらず有益であり得るが、尿酸を5.5mg/dl未満に低下させるUALAの投薬量が投与される場合に特に助けになり得る。他の実施態様では、尿酸降下剤は、メトホルミンと同時投与される。したがって、別の実施態様では、尿酸降下剤およびメトホルミンの両方を含む組成物が提供される。
【0077】
典型的に、組成物は1回量投与のために製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量分率が、選択されたビヒクル中に、処置された状態が緩和又は軽減されるような有効濃度で、溶解、懸濁、分散又はその他の方法で混合される。本明細書に提供される化合物の投与に適した薬学的担体又はビヒクルは、特定の投与様式に適することが当業者に公知である、任意のそのような担体を含む。
【0078】
インビトロ診断デバイス
図10は、一般的に10に示される本発明のインビトロ診断デバイスを模式的に図示する。本発明のインビトロ診断デバイスは、少なくとも試料捕集チャンバ13、疾患のバイオマーカーを検出するために使用されるアッセイモジュール12、及びアッセイモジュールで測定されたバイオマーカーの測定された濃度(レベル)を関係付けるユーザインターフェースを含む。インビトロ診断デバイスは、携帯デバイス、卓上デバイス、又はポイントオブケアデバイスであり得る。
【0079】
試料チャンバ13は、生体液を収容するための当技術分野において公知の任意の試料捕集装置であり得る。一実施態様では、試料捕集チャンバは、全血、細胞、細胞懸濁物、細胞若しくは組織溶解物、血漿、血清、尿、汗又は唾液などの、本明細書において企図されている生体液の任意の1つを収容することができる。
【0080】
アッセイモジュール12は、好ましくは、例えばイムノアッセイでの抗体の使用により、生物学的試料中のタンパク質を検出するために使用され得るアッセイで作られている。アッセイモジュール12は、当技術分野において現在公知の任意のアッセイを含む場合があるが;アッセイは、対象における疾患(例えば、多発性嚢胞腎疾患)、損傷の重症度、又は治療応答性を診断するために使用されるマーカーの検出のために最適化されるべきである。アッセイモジュール12は、試料捕集チャンバ13と流体連通している。一実施態様では、アッセイモジュール12は、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、リン光イムノアッセイ、又は陽極ストリッピングボルタンメトリーイムノアッセイのうちの任意の1つであり得るイムノアッセイを行うために構成されている。あるいは、アッセイモジュールは、核酸ハイブリダイゼーションアッセイを行うために構成されている。一実施態様では、アッセイの試料捕集チャンバ13及びアッセイモジュール12だけを含み得る比色アッセイが使用され得る。具体的に示さないものの、これらの構成要素は、好ましくは1つのアセンブリ17中に収納されている。
【0081】
一実施態様では、本発明のインビトロ診断デバイスは、電源11、アッセイモジュール12、試料チャンバ13、及びデータ処理モジュール14を含む。電源11は、アッセイモジュール及びデータ処理モジュール14と電気的に接続されている。アッセイモジュール12及びデータ処理モジュール14は、相互に電気的に連通している。上記のように、アッセイモジュール12は、当技術分野において現在公知の任意のアッセイを含み得るが;アッセイは、対象における損傷疾患又は修復を検出するために本明細書に使用されるバイオマーカーの検出のために最適化されるべきである。アッセイモジュール12は、試料捕集チャンバ13と流体連通している。アッセイモジュール12は、イムノアッセイを含み、その際、イムノアッセイは、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、リン光イムノアッセイ、又は陽極ストリッピングボルタンメトリーイムノアッセイのうちの任意の1つであり得る。生物学的試料は、試料チャンバ13内に置かれ、マーカーについて検出するアッセイモジュール12によってアッセイされる。次いで、アッセイモジュール12によるマーカーの測定量は、データ処理モジュール14と電気的に連通している。データ処理14モジュールは、当技術分野において公知の任意の公知のデータ処理要素を含む場合があり、チップ、中央処理装置(CPU)、又はアッセイモジュール12から供給された情報を処理するソフトウェアパッケージを含む場合がある。
【0082】
一実施態様では、データ処理モジュール14は、ディスプレイ15、メモリーデバイス16、又は外部デバイス18若しくはソフトウェアパッケージ[例えばラボ情報管理ソフトウェア(LIMS)]と電気的に連通している。
【0083】
一実施態様では、データ処理モジュール14は、データをユーザ定義された使用可能な形式へと処理するために使用される。この形式は、試料中で検出された1つ以上のマーカーの測定濃度(レベル)を含み、それは、対象における疾患(多発性嚢胞腎疾患など)、損傷の重症度、又は治療応答性を診断するのに有用である。データ処理モジュール14からの情報は、ディスプレイ15上に表示される、メモリーデバイスに機械可読形式で保存される、又はさらなる処理若しくは表示のために外部デバイス18と電気的に連通している場合がある。具体的に示さないものの、これらの構成要素は、好ましくは1つのアセンブリ17中に収納されている。一実施態様では、データ処理モジュール14は、アッセイモジュール12から送信されたバイオマーカーの検出量を比較するためにコンパレーターアルゴリズムにプログラムされている場合がある。コンパレーターアルゴリズムは、ユーザ定義された閾値と測定された量を比較する場合があり、ユーザ定義された閾値はユーザによって有用な任意の限界値であり得る。一実施態様では、ユーザ定義された閾値は、対照の対象において測定されたバイオマーカーの量、又は対照集団の統計的に有意な平均に設定される。
【0084】
一実施態様では、インビトロ診断デバイスは、個体からの生物学的試料を収容又は捕集するために構成された1つ以上のデバイス、ツール、及び装置を含み得る。インビトロ診断デバイスの一実施態様では、生物学的試料を捕集するためのツールは、針、スワブ、メス、シリンジ、スクレーパ、容器、並びに生物学的試料の捕集、保存、及び輸送を容易にするように設計された他のデバイス及び試薬のうちの1つ以上を含み得る。一実施態様では、インビトロ診断検査は、生物学的試料を捕集、安定化、保存、及び処理するための試薬又は溶液を含み得る。これらの試薬は、前述のバイオマーカーのうちの1つに対して産生される抗体、アプタマー、又はこれらの組み合わせを含む。一実施態様では、本明細書に開示されるインビトロ診断デバイスは、マイクロアレイ装置及び試薬、並びに試料をアッセイして時間的に関連性のあるバイオマーカーを検出及び視覚化するのに必要なさらなるハードウェア及びソフトウェアを含み得る。
【0085】
キット
なお別の態様では、種類、相、振幅(重症度)、細胞内局在を含む損傷、疾患、又は修復の診断を助けるためのキットが開示され、その際、キットは、マーカーを検出するために使用され得る。例えば、キットは、本明細書に記載されるバイオマーカーのうちの任意の1つ以上を検出するために使用することができ、そのマーカーは、患者及び正常対象の試料中に示差的に存在する。別の例では、キットを使用して、インビトロ又はインビボ動物モデルにおいて1つ以上のマーカーの発現をモジュレートする化合物を特定し、処置の効果を決定することができる。
【0086】
一実施態様では、キットは、(a)前述のマーカーと特異的に結合する抗体、アプタマー、又は核酸プローブ;及び(b)検出試薬を含む。このようなキットは、上記の材料から準備され、材料(例えば、抗体、アプタマー検出試薬、固定化支持体など)に関する以前の説明は、本項に完全に適用可能であり、したがって繰り返さない。
【0087】
本発明の一実施態様では、キットは、(a)1つ以上のマーカーを検出するための検出剤の組成物を含む。
【0088】
一実施態様では、本発明は、キサンチンオキシダーゼ及び/又はキサンチンデヒドロゲナーゼ及び/又は尿酸及び/又はサーチュイン-1の存在又は量の差について生物学的試料をスクリーニングするのに使用するための診断キットを含む。この実施態様での診断キットは、ペプチド若しくはポリヌクレオチド抗原と特異的に免疫反応性の実質的に単離された抗体若しくはアプタマー、又はポリヌクレオチドバイオマーカーとハイブリダイズする核酸プローブ、及びポリヌクレオチド又はペプチド抗原の抗体又はアプタマー又は核酸プローブとの結合に付随する視覚的に検出可能な標識を含む。一実施態様では、抗体又はアプタマーは、固体支持体に付着している。本発明のキットに使用される抗体又はアプタマーは、時間データのために本明細書に使用されるバイオマーカーの任意の1つに対して産生されるものである。一実施態様では、抗体は、バイオマーカーのラット、ウサギ又はヒト形態に対して産生されるモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はアプタマーである。キットの検出試薬は、第2の標識モノクローナル若しくはポリクローナル抗体又はアプタマーを含む。それと代替的又は追加的に、検出試薬は、標識された競合抗原を含む。
【0089】
1つの診断構成では、被験血清は、本発明の方法によって得られた表面結合抗原を有する固相試薬と反応する。試薬に特異的抗原抗体又はアプタマーが結合した後、試薬は、レポーター標識抗ヒト抗体又はアプタマーと反応し、レポーターを、固体支持体上に結合した抗抗原抗体又はアプタマーの量に比例して試薬に結合させる。試薬は、再度洗浄されて、未結合の標識抗体又はアプタマーを除去し、試薬と会合したレポーターの量が決定される。典型的に、レポーターは、適切な蛍光、発光又は比色基質の存在下で固相をインキュベートすることによって検出される酵素である。
【0090】
上記アッセイにおける固体表面試薬は、ポリマービーズ、ディップスティック、ウェル(96ウェルプレート)又はフィルタ材料などの固体支持体材料にタンパク質又はオリゴヌクレオチド材料を付着させるための公知の技術によって調製される。これの付着方法は、一般的に、タンパク質若しくはオリゴヌクレオチドの支持体への非特異的吸着、又は固体支持体上の化学反応基、例えば活性化カルボキシル、ヒドロキシル、又はアルデヒド基への、典型的に遊離アミノ基を介したタンパク質若しくはオリゴヌクレオチドの共有結合を含む。あるいは、ストレプトアビジンコーティングプレートをビオチン化抗原と共に使用することができる。
【0091】
別の実施態様では、キットは、種類、相、振幅(重症度)、細胞内局在、病状及び/又は患者への処置効果を含む、損傷、疾患又は修復の診断のために検出されるマーカーの量を検査する前に、遺伝物質の検出を容易にするためのポリメラーゼ連鎖反応PCR増大用の材料を含み得る。
【0092】
いくつかの実施態様では、キットは、標準又は対照情報を含み、その結果、試料中で検出されたマーカーの検査量が、種類、相、振幅(重症度)、細胞内局在、病状及び/又は患者に対する処置の効果を含む、損傷、疾患、又は修復の診断と一致する診断量であるかを決定するために、被験試料を対照情報標準と比較することができる。
【0093】
一実施態様では、キットは、(a)その上に吸着剤を含む基材であって、吸着剤がマーカー(例えば、キサンチンオキシダーゼ及び/又はキサンチンデヒドロゲナーゼ、及び/又は尿酸)との結合に適した基材、並びに任意で(b)試料を吸着剤と接触させ、吸着剤によって保持されたマーカーを検出することによってマーカーを検出するための説明書を含む。いくつかの実施態様では、キットは、溶出剤(説明書の代替として、若しくは説明書と組み合わせた)又は溶出剤を製造するための説明書を含む場合があり、その際、吸着剤と溶出剤との組み合わせは、気相イオンスペクトロメトリーを使用したマーカーの検出を可能にする。このようなキットは、上記材料から用意することができ、これらの材料(例えば、プローブ基材、吸着剤、洗浄溶液など)の以前の説明は、本項に完全に適用可能であり、繰り返さない。
【0094】
特定の実施態様では、キットは、ラベル又は折り込みの形態で適切な作動パラメータのための説明書をさらに含む。例えば、キットは、試料がプローブ上で接触した後にプローブを洗浄する方法を消費者に伝える標準説明書を有し得る。別の例では、キットは、試料中のタンパク質の複雑さを低減するために試料を予備分画するための説明書を有し得る。別の例では、キットは、分画又は他の工程を自動化するための説明書を有し得る。
【0095】
生物学的試料
検出方法は、生物学的試料中に存在するキサンチンオキシダーゼ及び/又はキサンチンデヒドロゲナーゼ及び/又は尿酸のレベルを検出及びモニタリングする能力を提供し、臨床医が疾患の存在、相及び振幅(重症度)を決定できるようにすることによって強化された診断能を提供する。尿酸濃度の増加又はXOの発現の増加の証拠を得るために本明細書において作動可能な生物学的試料は、血液、血漿、血清、涙液、汗、尿などの体液、糞便物質、細胞、組織、細胞若しくは組織溶解物、全血、又は当技術分野において認識されている他の生物学的試料を含む。
【0096】
マーカー(例えばXO、キサンチンデヒドロゲナーゼ(又はその核酸配列若しくはその部分)又は尿酸)のベースラインレベルは、公知の損傷、疾患、又は修復の非存在下で所望の対象の種の標的生物学的試料中に得られるレベルである。これらのレベルは、確実な濃度(hard concentration)で表現される必要はないが、代わりに、並行対照実験から分かり、蛍光単位、密度単位、その他により表現される場合がある。典型的に、ベースラインは、生物学的試料中にバイオマーカーが存在しない又は無視できる量で存在する対象から決定される。しかし、いくつかのタンパク質は、損傷した、罹患した若しくは修復された患者において、又は損傷、疾患、若しくは修復の任意の臨床測定の前に少なく発現される場合がある。特定の種におけるタンパク質バイオマーカーのベースラインレベルを決定することは、十分に当技術分野の技能の範囲内である。典型的に、ベースラインを上回る高レベルのキサンチンオキシダーゼ若しくは尿酸、又はキサンチンオキシダーゼとキサンチンデヒドロゲナーゼとの比が高いこと、又は健康な対象の試料と比較して別様に逸脱することは、疾患を示し、経時的に比較又は定量化して、病状若しくは疾患の重症度を決定すること、又は処置の有効性を決定することができる。
【0097】
嚢胞を含有する組織と関連するマーカーは、公知の損傷、疾患、又は修復の非存在下で所望の対象の種の標的生物学的試料中に得られるマーカーである。キサンチンオキシダーゼ/デヒドロゲナーゼの発現又は活性と共局在するマーカーのレベルは、嚢胞組織と関連し、キサンチンオキシダーゼによって直接的又は間接的にモジュレートされる場合がある。マーカーは、循環系、リンパ系若しくは分泌系及び/又は関連組織内に検出可能であり得る。ベースラインマーカーの例は、サーチュイン又はサーチュイン-1、低酸素誘導因子-1(HIF-1)、エリスロポエチン、PCNA、Wnt/B-カテニン、IL-5、IL-6、STAT1、STAT2、mTOR、TNFa、MIF、NLRP3インフラマソーム、又は血液若しくは尿由来の細胞膜構成成分、微小小胞、アポトーシス小体、エクソソーム、又は遊離酵素若しくは酵素の特異的部分/フラグメントを含むが、これらに限定されない。
【0098】
損傷、疾患、又は修復と、キサンチンオキシダーゼの測定量との相関を提供するために、損傷、疾患、又は修復を評価するためにこれらのバイオマーカーについて測定する必要のある対象から生物学的試料が収集される。
【0099】
検出法は、アッセイ又はアッセイを行うためのキットに実装される場合がある。これらのキット又はアッセイは、代替的に、本発明のインビトロ診断デバイスと共に使用するためのカートリッジにパッケージされる場合がある。このようなデバイスは、アッセイモジュール12中にこれらのカートリッジ、キット、又はアッセイを利用し、これは、多くの種類のアッセイの1つであり得る。
【0100】
さらに、キサンチンオキシダーゼ、キサンチンデヒドロゲナーゼ又は尿酸などのマーカーを、多様な従来方法によって生物学的試料中で検出することができる。例えば、イムノアッセイは、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、磁気イムノアッセイ、放射性同位体イムノアッセイ、蛍光イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、蛍光イムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、リン光イムノアッセイ、陽極ストリッピングボルタンメトリーイムノアッセイ、その他などの技術を使用する競合及び非競合アッセイ系を含むが、これらに限定されない。本発明のインビトロ診断デバイスはまた、イオン選択電極電位差測定、マイクロ流体技術、蛍光若しくは化学発光技術、又はタンパク質テストストリップ上の色変化を光学的に解釈する反射技術を利用する、現在利用可能な任意の公知のデバイスを含み得る。このようなアッセイは、慣用なものであり、当技術分野において周知である(例えば、その全体で参照により本明細書に組み入れられるAusubel et al., eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1 , John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照されたい)。例示的なイムノアッセイは、下に簡単に記載される(が、限定する意図はない)。現在のところ、既存の技術のどれも、本明細書で開示された病気のいずれかを検出又は測定する方法を提示せず、開示されたバイオマーカーのいずれかを検出してそれらの関連損傷を検出するためにこのようなインビトロ診断デバイスを使用するいかなる方法も存在しないことが認識されるべきである。
【0101】
生物学的試料中のマーカーの存在若しくは非存在、又はベースラインを超える相対レベルを単独で又は組み合わせて検出するための例示的な工程は、ヒトなどの対象から生物学的試料を得ること、生物学的試料を、分析されているマーカーを検出することができる、例証的に抗体又はアプタマーを含む化合物又は作用物質と接触させること、及び洗浄後に化合物又は作用物質の試料との結合を分析することを伴う。化合物又は作用物質と特異的に結合した試料は、分析されているマーカーを発現する。
【0102】
マーカーの検出のためのインビトロ技術は、例証的に、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、ラジオアッセイ、ウエスタンブロット、サザンブロット、ノーザンブロット、免疫沈降、免疫蛍光、質量分析、RT-PCR、PCR、液体クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、酵素活性アッセイ、細胞アッセイ、ポジトロン断層撮影、質量分析、それらの組み合わせ、又は当技術分野において公知の他の技術を含む。
【0103】
酵素(キサンチンオキシダーゼ)活性アッセイの例は、Cat# 8458 ScienCell Research Laboratories、Sigma-aldrichによるCat# MAK078、Abcam製品番号ab102522;BioAssay Systemsによるcat no.EXOX-100を含むが、これらに限定されない。キサンチンオキシダーゼ活性アッセイの別の例は、Atlante A, Valenti D, Gagliardi S, Passarella S. A sensitive method to assay the xanthine oxidase activity in primary cultures of cerebellar granule cells. Brain Res Brain Res Protoc. 2000 Nov;6(1-2):1-5. doi: 10.1016/s1385-299x(00)00030-1. PMID: 11086257に提供される。前記の全てが参照により組み入れられる。
【0104】
さらに、マーカーを検出するためのインビボ技術は、マーカーと特異的に結合する標識作用物質を生物学的試料又は被験対象に導入することを含む。例えば、作用物質は、生物学的試料又は被験対象における存在及び位置を標準的な撮像技術によって検出することができる放射性マーカーで標識することができる。結合した作用物質のアッセイは容易に形成され、作用物質は、空間的に重複して結合し、検出は、キサンチンオキシダーゼ及び/又はキサンチンデヒドロゲナーゼ及び/又は尿酸の各々の識別可能に異なる検出により起こることが認識されている。空間的に重複して結合したバイオマーカーの各々の色強度ベースの定量化は、このような技術の代表である。
【0105】
生体試料中のマーカーを検出するための好ましい作用物質は、分析されているバイオマーカーと結合することができる抗体、アプタマー又は核酸プローブ配列である。より好ましくは、抗体、アプタマー又は核酸プローブ配列は、検出可能な標識とコンジュゲートされる。このような抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであり得る。無傷抗体、そのフラグメント(例えば、Fab若しくはF(ab’)2)、又はその操作された変異体(例えば、sFv)又はアプタマー若しくは二重/三重特異性アプタマーも使用することができる。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びそれらの任意のサブクラスを含む任意の免疫グロブリンクラスであり得る。多数の本発明のバイオマーカーに対する抗体及びアプタマーは、当業者に公知の販売業者から入手可能である。本明細書において作動可能な例示的な抗体は、開示された状態のバイオマーカーを検出するために使用される。加えて、自己抗体を検出するための抗原もまた、述べられた損傷及び障害の後期損傷を検出するために使用され得る。
【0106】
抗体又はアプタマーは、いくつかの本発明の実施態様で標識される。当業者は、本明細書において作動可能な多数の標識を認識している。標識は、例証的に、蛍光標識、ビオチン、ペルオキシダーゼ、放射性ヌクレオチド、又は当技術分野において公知の他の標識を含む。あるいは、別の抗体若しくはアプタマー又は当技術分野で公知の他の化合物の検出種は、抗体又はアプタマーによって結合されるバイオマーカーの形態検出として使用される。
【0107】
本明細書において作動可能な抗体ベース及びアプタマーベースのアッセイは、ウエスタンブロット免疫吸着アッセイ(例えば、ELISA及びRIA)及び免疫沈降アッセイを含む。一例として、生物学的試料又はその一部分は、基材、例えばニトロセルロース若しくはPVDF製のメンブラン;又はポリスチレン若しくは他のプラスチックポリマー製の剛性基材、例えばマイクロタイタープレート上に固定化され、基材が、抗体又はアプタマーの、分析されているバイオマーカーとの結合を可能にする条件下でマーカーと特異的に結合する抗体又はアプタマーと接触する。洗浄後、基材上の抗体又はアプタマーの存在は、試料が評価されているマーカーを含有したことを示す。抗体又はアプタマーが、検出可能な標識、例えば、酵素、フルオロフォア、又は放射性同位体と直接コンジュゲートされた場合、標識の存在は、任意で、検出可能な標識について基材を調査することによって検出される。あるいは、マーカー特異的抗体又はアプタマーと結合する、検出可能に標識された二次抗体又はアプタマーが基材に添加される。洗浄後に基材上に検出可能な標識が存在することは、試料がバイオマーカーを含有したことを示す。
【0108】
これらの基本的イムノアッセイの多数の並べ替えも、本発明において作動可能である。これらは、試料が基材上に固定化されているのとは対照的に、バイオマーカー特異的抗体又はアプタマーを含み、基材は、抗体又はアプタマーの、標識化されたマーカーとの結合を引き起こす条件下で、検出可能な標識とコンジュゲートされたバイオマーカーと接触する。次いで、基材は、分析されているマーカーの、抗体又はアプタマーとの結合を可能にする条件下で試料と接触する。洗浄後に基材上に検出可能な標識の量が低減していることは、試料がマーカーを含有したことを示す。
【0109】
抗体又はアプタマーがそれらの広範な特徴付けのせいで本発明における使用のために好ましいものの、バイオマーカーと特異的に結合する任意の他の適切な作用物質(例えば、ペプチド又は小有機分子)が、上記イムノアッセイでの抗体又はアプタマーの代わりに本明細書において作動可能である。特定の結合特異性を有するアプタマーを製造する方法は、米国特許第5,475,096号;同第5,670,637号;同第5,696,249号;同第5,270,163号;同第5,707,796号;同第5,595,877号;同第5,660,985号;同第5,567,588号;同第5,683,867号;同第5,637,459号;及び同第6,011,020号に詳述されるように公知である。
【0110】
バイオマーカーの発現についての診断アッセイにおいて作動可能な種々の検出可能な標識が、当技術分野において公知である。バイオマーカーを検出するための方法に使用される作用物質は、検出可能な標識、例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素とコンジュゲートされる。ホースラディッシュペルオキシダーゼで標識化された作用物質は、ホースラディッシュペルオキシダーゼの存在下で色変化を生じる適切な基質を添加することによって検出され得る。使用され得るいくつかの他の検出可能な標識は公知である。これらの検出可能な標識の一般的な例は、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、蛍光化合物、発光化合物、コロイド金、磁性粒子、ビオチン、放射性同位体、及び他の酵素を含む。1つ以上のバイオマーカーを検出するために一次/二次抗体又はアプタマー系が任意で使用されることが認識されている。1つ以上のバイオマーカーを特異的に認識する一次抗体又はアプタマーは、関心対象のバイオマーカーを含有し得る生物学的試料に曝露される。次いで、一次抗体又はアプタマーの種又はアイソタイプを認識する適切な標識を有する二次抗体又はアプタマーが、試料と接触し、その結果、試料中の1つ以上のバイオマーカーの特異的検出が達成される。
【0111】
本発明は、1つ以上のマーカーの量を正常レベルと比較して、対象の疾患又は障害を決定する段階を提供する。このような検査の結果は、特定の治療又は処置レジメンの施与が有効であり得るかを医師が決定するのを助け、患者の回復を高めるために損傷又は障害への迅速な臨床介入を提供することができる。
【0112】
アッセイ等級の水、緩衝化剤、メンブラン、アッセイプレート、二次抗体又はアプタマー、塩類、他の補助的試薬などの他の試薬が、当業者に公知の販売業者から入手可能なことが認識されている。
【0113】
従来の生物学的技術を伴う方法が、本明細書に記載されている。このような技術は、当技術分野において一般的に公知であり、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1 - 3, ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;及びCurrent Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel et al., Greene Publishing and Wiley-lnterscience, New York, 1992(定期的更新あり)などの方法論の専門書に詳細に記載されている。免疫学的方法(例えば、抗原特異的抗体の調製、免疫沈降、及びイムノブロッティング)は、例えば、Current Protocols in Immunology, ed. Coligan et al., John Wiley & Sons, New York, 1991;及び Methods of Immunological Analysis, ed. Masseyeff et al., John Wiley & Sons, New York, 1992に記載されている。
【0114】
組成物及び製剤
本発明は、UALAと、UALA又は尿酸又は尿酸塩の可溶化をインビボで高める又は引き起こす有機塩基と、任意で薬学的に許容し得る担体、賦形剤、ビヒクル又は希釈剤とを含む組成物を提供する。キサンチンオキシダーゼ阻害薬及び有機塩基は、好ましくは、いかなる副作用も増大させずにキサンチンオキシダーゼ阻害薬の最大溶解度、バイオアベイラビリティー又は活性が保証されるように選択される。本発明の組成物は、特に、液体組成物(例えば、溶液、シロップ、コロイド、又はエマルション)を含む。さらに、本発明の組成物は、水中のオキシプリノール遊離酸と比較して、水溶液中で平衡溶解度、溶解若しくは溶解度、又はバイオアベイラビリティーを高める1つ以上の有機分子又は有機塩基又は塩基性アミノ酸と組み合わされたXOIから構成される微粒子化、凍結乾燥又はドライスプレー粉末を企図している。UALA、サーチュイン-1活性化物質、有機塩基及び/又は併用剤の異なる組み合わせを含む組成物もまた、本明細書において企図されている。
【0115】
本発明は、単位投薬量の少なくとも1つのUALA(例えばXOI)及び有機塩基を薬学的に許容し得る担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤と一緒に含む医薬組成物を企図している。「単位投薬量」は、患者に投与することができる、本発明の組成物の全ての構成成分を含む単位、すなわち1回用量を指す。「単位投薬量」は、活性作用物質及び有機塩基を薬学的担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤を含む物理的かつ化学的に安定な単位用量として、容易に取り扱い及びパッケージされ得る。代替では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及び有機塩基、及び残りの構成成分を含む投薬形態キットが、別々の容器内に提供され、阻害薬及び塩基、及び残りの構成成分が投与前に組み合わされる。特に、投薬形態キットは、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及び有機塩基を別々の容器内に含み、使用のための溶液は、投与前に成分を適切な担体、例えば無菌水と組み合わせることによって調製される。UALA又はキサンチンオキシダーゼ阻害薬の単位用量は、UALAの循環又は組織濃度を増加させ、それにより、血清尿酸レベルを1%、3%、10%、30%、50%、70%、90%、95%、若しくはそれ以上減少させる、及び/又は組織キサンチンオキシダーゼ活性を1%、3%、10%、30%、50%、70%、90%、95%、若しくはそれ以上阻害する、又はそれらの両方を同時に行うのに十分な用量である。さらに、UALAの用量は、ナノグラム又はマイクログラム又はミリグラム単位で1、3、5、10、30、50、100、300、500、1000の作用物質を含む。より具体的には、単位用量は、UALAの水溶解度及び/又は経口バイオアベイラビリティーを増加させるために、UALA及び有機塩基を1:0.01、1:0.1、1:1、1:2、1:3、1:5又は1:10の比で含む。
【0116】
別の実施態様によれば、XOI、有機塩基及び/又はコリン、並びに抗酸化剤を含む組成物が提供される。組成物の実施態様のために使用される抗酸化剤は、アルファリポ酸、n-アセチルシステイン、ビタミンCを含み得るが、これらに限定されない。
【0117】
別の実施態様は、UALA及び有機塩基を含む組成物の無菌投薬形態に関する。特定の実施態様では、組成物は、XOIをビグアニジンと組み合わせて含む。特定の実施態様では、XOI(例えば、オキシプリノール、フェブキソスタット、トポキシロスタット(topoxirostat)、又はアロプリノール)及び有機塩基を含む組成物が提供される。組成物は、1~2000mgのXOI、又は50~2000mgのXOIを含む投薬単位を含み得る。いっそうより特定の実施態様では、投薬単位は、約1:1~約1:10のモル比又は重量対重量比のオキシプリノール対有機塩基を含む。
【0118】
製剤を、再構成及び対象における投与に適した凍結乾燥形態で提供することができる。XOI、有機塩基、及び組成物の他の成分が相互に別々に非凍結乾燥又は凍結乾燥形態で提供される製剤も提供される。成分は、適切な無菌液体中に再構成及び/又は可溶化され、組み合わされて、対象への投与に適した医薬組成物を産生することができる。
【0119】
有益効果は、また、活性成分のみと比較して、投与後に活性成分の血清レベルの増加によって例証され得る。それらはまた、血清尿酸レベルの減少によって実証され得る。それらはまた、動物における、又は具体的にはヒトにおける尿酸溶解度の増加、又は一酸化窒素のバイオアベイラビリティーの増加又は酸素ラジカル産生の減少によっても実証され得る。それらはまた、キサンチンオキシダーゼ活性の減少を示し得る。
【0120】
本発明の組成物は、キサンチンオキシダーゼ阻害薬のみと比較して、平衡溶解度、溶解速度及び溶解度の増加によって例証することができるバイオアベイラビリティーの増加(より迅速に、より高い程度まで吸収される)を有することができる。
【0121】
一態様では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬の溶解速度(すなわち、所定の時間内に溶解する物質の質量)は、純粋な活性物質と比較して本発明の組成物において数倍まで増加し得る。本発明の組成物中に含有されるキサンチンオキシダーゼ阻害薬の溶解度(すなわち、溶媒の質量又は一定体積中に明らかに溶解した物質の質量)が増加して、過飽和溶液を生じる場合がある。最終溶解度の増加が結果として生じる場合があり、それは少なくとも数時間維持され、次いで溶液の飽和度は減少する。ある実施態様では、純粋な活性物質と比較した場合に1.5、2、3、4、5、10、15、20、及び50倍に増加した再吸収率を有する組成物が提供される。
【0122】
別の実施態様では、本発明は、細胞内尿酸濃度の減少を誘導するキサンチンオキシダーゼ阻害薬を含む組成物を提供する。循環尿酸レベル又は細胞内尿酸濃度における減少は、血清尿酸又は細胞内若しくは組織尿酸のインビトロ尿酸アッセイ又はインビボ測定で循環尿酸レベル又は細胞内尿酸濃度における少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は1、2、3、10、30若しくは100倍の減少に相当し得る。
【0123】
本発明の特定の実施態様では、有機塩基は、アルギニン、コリン、L-リシン、D-リシン、グルカミン、並びにN-メチルグルカミン、N,N-ジメチルグルカミン、N-エチルグルカミン、N-メチル,N-エチルグルカミン、N,N-ジエチルグルカミン、N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、N-メチル,N-β-ヒドロキシエチルグルカミン、及びN,N-ジ-β-ヒドロキシエチルグルカミンを含むが、これらに限定されないそのN-一置換誘導体又はN,N-二置換誘導体、ベネタミン、ベンザチン(banzathine)、ベタイン、デアノール、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、ヒドラバミン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、トロメタミン、ジエタノールアミン(2,2”-イミノビス(エタノール)、エタノールアミン(2-アミノエタノール)、1H-イミダゾール、ピペラジン、トリエタノールアミン(2,2’,2”-ニトリロトリス(エタノール)、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、ピリジン、ジアルキルアニリン、ジイソプロピルシクロヘキシルアミン、第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン)、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルタミン、4-ピロリジノピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピペリジン、イソプロピルアミン、又はカフェインを含むが、これらに限定されない。他の実施態様では、有機塩基は、メトホルミンなどのビグアニド又はビグアニジンである。さらなる実施態様では、有機塩基はグリフロジンである。
【0124】
別の実施態様では、有機塩基は、塩基性アミノ酸、特にリシン及びアルギニンであり、キサンチンオキシダーゼ阻害薬は、アロプリノール又はオキシプリノールである。ある実施態様では、アロプリノール又はオキシプリノール及びL-アルギニンを含む液体組成物が提供される。
【0125】
さらなる実施態様では、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及び塩基性アミノ酸の組成物は、粉末として動物又はヒト対象に投与される場合があり、組成物の強化された溶解度は、水若しくは他の水溶液と、又は消化管内の食物材料と接触した際に、液体投薬形態を生成するのに十分である。
【0126】
さらなる実施態様では、本発明は、キサンチンオキシダーゼ阻害薬及びコリンを含む組成物、特に液体組成物を提供する。コリンは、治療で使用されている生理学的化合物であり、全身又は局所毒性などの不利益を受けない。
【0127】
XOIと有機塩基は、XOIの溶解度を増強する、XOIの活性を増強する、又は有益効果を提供するために選択された比であることができる。有機塩基とキサンチンオキシダーゼ阻害薬との比は、約0.01~20.0モル当量の有機塩基に対して1.0モル当量のXOIの範囲であり得る。ある実施態様では、有機塩基とXOIとの比は、1.0:0.5モル、特に1.0:1.0モル、より詳細には1.0:3.0モルである。特定の実施態様では、組成物は、XOIとしてのオキシプリノール及び有機塩基としてのメトホルミンを含み、その際、オキシプリノールとメトホルミンとの比は、1:01~1:10モルである。
【0128】
本発明の組成物はまた、薬学的に許容し得る担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤を含み得る。XOI及び有機塩基を、選択された薬学的に許容し得る担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤の中に混合することができ、任意で、治療剤を含む他の活性成分が添加される。
【0129】
本発明の組成物は、典型的に、意図される投与形態に基づき選択され、従来の薬務と一致する適切な薬学的担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤を含む。適切な薬学的担体、賦形剤、ビヒクル、又は希釈剤は、標準的な教科書、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, Easton, Pa., USA 1985)に記載されている。例として、液体形態での経口投与のために、薬物構成成分(すなわちXOI及び有機塩基)は、エタノール、グリセロール、水、その他などの、任意の経口的に無毒の薬学的に許容し得る不活性担体と組み合わされ得る。適切な結合剤(例えば、ゼラチン、デンプン、コーンシロップ、グルコースを含む天然糖;天然及び合成ゴム、及びロウ)、滑沢剤(例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び塩化ナトリウム)、崩壊剤(例えば、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、及びキサンタンガム)、香味料、標的付け作用物質、着色剤、及び当業者に公知の他の作用物質もまた、組成物又はその構成成分中で組み合わされる場合がある。
【0130】
ある実施態様では、本発明の組成物は、生理学的pHで活性を保つように製剤化される。組成物は、4~10、特に5~9のpH範囲で製剤化され得る。
【0131】
ある態様では、本発明は、本発明のXOI及び阻害薬の可溶化を引き起こす溶媒系を含む水性組成物に関する。溶媒系は、阻害薬の可溶化を引き起こして、経口液体製剤への組み入れのための有益な特性を有する水溶液を提供する。溶媒系は、有機塩基、特にアルギニン又はリシン、より具体的にはアルギニンを含む。
【0132】
ある態様では、液体組成物は、XOI、特にアロプリノール又はオキシプリノール及びアルギニン、コリン、グルカミン(n-メチルグルカミン)、又はグルカミン塩を使用して調製され得る。
【0133】
ある態様では、本発明は、生理学的に許容し得る溶媒中に溶解されたXOI及び有機塩基から本質的になる、XOI、特にアロプリノール又はオキシプリノールの無菌、発熱物質不含有の使用準備済溶液を提供する。ある実施態様では、溶液は、凍結乾燥物から再構成されていない。
【0134】
本発明はまた、生理学的に許容し得る溶媒中に溶解されたXOI及び有機塩基を含む経口適用可能な組成物を提供する。
【0135】
オキシプリノール及びアルギニンを含む本発明の特定の液体組成物中のオキシプリノールの濃度は、約0.1~100mg/ml、0.5~50mg/ml、1~25mg/ml、及び1~10mg/ml、より好ましくは10mg/mlである。溶液は、約5~100ml、好ましくは30mlの合計体積で1日2回投与されて、約200~1000mg/日、好ましくは600mg/日の所望の用量を達成し得る。あるいは、1日1回の投薬レジメンが望ましい場合、製剤中のオキシプリノールの濃度は、1日1回約10~100ml、好ましくは30ml溶液中で投与される約6.0~60mg/ml、好ましくは20mg/mlであり得る。
【0136】
本発明の好ましい液体製剤は、
(1)約0.1~約100mg/ml(w/v)、より好ましくは約0.5~約50mg/ml(w/v)、いっそうより好ましくは約1~約25mg/ml(w/v)、なおより好ましくは約1~10mg/ml(w/v)、最も好ましくは約10mg/mlの濃度範囲のアロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット又はそれらの互変異性体;(2)塩基性アミノ酸とXOI又はメトホルミンとの適切なモル比を提供するために適切な濃度範囲を有する塩基性アミノ酸;及び(3)組成物を指定された体積にするための薬学的に許容し得る希釈剤、好ましくは水を含む。
【0137】
本発明は、本明細書に記載される凍結乾燥製剤を企図している。本発明の凍結乾燥組成物は、増加した安定性、溶解度又はバイオアベイラビリティーを有する製品を提供することができる。XOIの凍結乾燥製剤は:XOI、有機塩基、及び薬学的に許容し得る担体、賦形剤、又は希釈剤を含む。凍結乾燥製剤のための保存条件は、典型的に約2℃~約25℃である。有機塩基(例えばアルギニン)とのXOIは、初期溶液中に化合物の約0.02mg/ml~約10mg/mlの濃度で凍結乾燥することができる。凍結乾燥溶液は、好ましくは、(XOIに加えて)有機塩基及び凍結乾燥緩衝液を含む。凍結乾燥緩衝液に好ましいpH範囲は、約5.5~約12.0である。凍結乾燥緩衝液は、クエン酸ナトリウム、EDTA、及び/又はスクロースを含有し得る。凍結乾燥キサンチンオキシダーゼ製剤を、約290mOsmの等張条件を維持するために無菌水中で再構成することができる。有機塩基とのXOIを、任意で安定化量の抗酸化剤を含有する無菌水中で再構成することができる。
【実施例
【0138】
図1は、プリン代謝及びプリンベースのキサンチンオキシダーゼ阻害薬の代謝を示す模式図を提供する。キサンチンオキシダーゼ及びキサンチンデヒドロゲナーゼは、ヒポキサンチンからキサンチンへ、次いで尿酸への酵素変換に関与する。ヒト、類人猿及びダルメシアン犬を除く多くの他の生物形態において、ウリカーゼ酵素は活性であり、さらに尿酸をアラントインに変換する。アルデヒドオキシダーゼ及びキサンチンオキシダーゼ酵素は、アロプリノールをオキシプリノールに素早く変換する。
【0139】
図2:キサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼのモジュレータを示す図を提供する。虚血、酸化ストレス及び炎症は、キサンチンオキシダーゼ活性の増加及びサーチュイン-1活性の減少に付随する。疾患において、キサンチンオキシダーゼの活性及び活性化は、結果として尿酸及び酸素ラジカルの産生増加をもたらす。キサンチンオキシダーゼ活性の細胞内及び細胞外阻害は、組織への損傷を減少させる場合がある。SGLT2阻害薬は、サーチュイン-1活性を活性化し、それが今度はキサンチンオキシダーゼの活性を減少させる。SGLT2の阻害は、キサンチンオキシダーゼの活性を抑制し、組織中の尿酸及び遊離酸素ラジカルを減少させることによってキサンチンオキシダーゼを過剰発現する嚢胞組織を間接的に保護し得る。キサンチンオキシダーゼの阻害及びSGLT2の阻害の両方は、嚢胞組織においてそれらの保護効果を発揮し得る。SGLT2阻害薬は、キサンチンオキシダーゼ活性を不活性化するサーチュイン1活性を増加させ、それにより尿酸降下剤として作用する。SGLT2阻害薬はまた、腎臓及び腸管の尿酸再吸収を減少させることによって尿酸を低下させると報告されている。
【0140】
図3:多発性嚢胞腎疾患の動物モデルが高い血清アラントイン濃度を呈することを示しているグラフを提供する。高アラントイン血症は、以前に多発性嚢胞腎疾患のHan/SPRDラットモデルで報告された(Edelsteinら)。高アラントイン血症は、多発性嚢胞腎疾患のマウスモデルで早期に起こり、RC/RCマウスにおいて早くて3ヶ月~9ヶ月まで持続する。アラントインは、ウリカーゼ酵素による尿酸の分解産物であるので、この知見は、尿酸への高い慢性曝露が多発性嚢胞腎疾患において継続し、腎臓の構造及び機能の衰退の健康影響及び進行の一因となり得るという概念を支持している。
【0141】
図4:XOの腎組織発現が多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルで増加していることを示すデータを提供する。野生型(WT)ラット及び進行PKDラットCY/+、及びRC/RCマウスにおける腎組織中のキサンチンオキシダーゼの特定及び定量化を後期多発性嚢胞腎疾患で行った。キサンチンオキシダーゼタンパク質濃度の統計的に有意な(*;**)増加がウエスタンブロットを使用して観察された。図4Aは、キサンチンオキシダーゼの発現増加を示しているウエスタンブロットを提供する。図4Bは、多発性嚢胞腎疾患のラットモデルHan/SPDR(CY/+)又は野生型ラット腎臓からのデータを提供する。キサンチンオキシダーゼ酵素の存在及び相対デンシトメトリー単位(RD)としての読み取りデータを示すために染色された腎組織切片の光学顕微鏡検査。Han/SPDRは、野生型と比較して染色された細胞質の比率増加を示す(p<0.05)。図4Cは、マウス多発性嚢胞腎疾患モデル(Pkd1 RC/RCマウス)における類似の観察の証拠を提供する(P<0.05)。
【0142】
図5:XOの活性が、野生型と比較して多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルの腎組織において増加していることを示すグラフである。後期多発性嚢胞腎疾患において、野生型(WT)及び進行PKDラットCY/+の腎組織におけるキサンチンオキシダーゼ活性の定量化を行った。Han/SPDRラットにおけるキサンチンオキシダーゼ活性に統計的に有意な増加が観察された。
【0143】
図6:オキソニン酸(OXO)によるウリカーゼ阻害及び相応する尿酸増加が、多発性嚢胞腎疾患(PCK)のラットモデル及び多発性嚢胞腎疾患のマウスモデル(Pkd1RC/RC)において総腎臓対体重比(2K/BWT)の増加に付随することを示すデータを提供する。多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルをウリカーゼ酵素阻害薬(オキソニン酸(OXO))で処置して、尿酸からアラントインへの代謝を減少させ、それにより、循環血清尿酸濃度を慢性的に増加させた。オキソニン酸による8週間の処置後、総腎容積は、未処置動物と比較して有意に増加する。オキソニン酸に70日間曝露後に両方のモデルは、類似の結果、すなわち2K/BWTの増加を結果としてもたらす血清尿酸の増加、嚢胞サイズの増加及び血清クレアチニンの増加を示した(P<0.05;P<0.05;ラット及びマウスクレアチニンについてP<0.07及びP<0.05)。血清尿酸の増加は、腎機能における構造及び機能的変化に付随する。クレアチニン増加は、腎臓の濾過能減少に付随する。この結果は、尿酸が嚢胞の発生及び嚢胞成長速度をモジュレートし、それにより、腎臓の構造及び疾患進行をモジュレートすることを示唆している。図6Aは、PCKラットモデルからのデータを示し、図6Bは、マウスRC/RCモデルからのデータを示す。
【0144】
図7:多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデルにおいてオキソニン酸によるウリカーゼ阻害及び相応する尿酸増加が、血清中クレアチニンの増加によって示されるように、腎機能低下を示すことを示しているデータを提供する。
【0145】
図8:多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデル(マウスRC/RCモデル)において、キサンチンオキシダーゼの阻害は、平均総腎容積(図8A)及び腎臓における嚢胞サイズ中央値(図8B)によって示されるように、腎疾患の進行を軽減する。これは、キサンチンオキシダーゼによる尿酸の産生阻害がプラセボ(ビヒクル)と比較して多発性嚢胞腎疾患における腎臓サイズを軽減できることを示唆している。
【0146】
図9:多発性嚢胞腎疾患のげっ歯類モデル(マウスRC/RC)において、オキソニン酸(OXO)曝露が腎臓サイズを増加させたことを示しているグラフである。OXO及びキサンチンオキシダーゼ阻害(OXY+L)が同時に投与された場合、OXY+Lは、オキソニン酸の効果を軽減し、中経口用量(8mg/kg/日)、又は高経口用量(24mg/kg/日)で尿酸誘導性の腎臓拡大を正常化/減少させた。このデータは、UALAを使用して尿酸レベルを低減することによって高い尿酸の有害作用を緩和できることを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】