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特表2025-503497ゲノム配列決定診断のための外部ワークフローの安全な実行を容易にすること
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】ゲノム配列決定診断のための外部ワークフローの安全な実行を容易にすること
(51)【国際特許分類】
   G16B 30/00 20190101AFI20250128BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20250128BHJP
【FI】
G16B30/00
C12Q1/68
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024538182
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022077405
(87)【国際公開番号】W WO2023122362
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,587
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/935,476
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スムート
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ウォード
(72)【発明者】
【氏名】アダム・フレンチ
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・テイラー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して、ヌクレオチド配列決定データの診断分析のための外部ワークフローの実行を容易にすることができる方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及びシステムを記載する。例えば、開示されるシステムは、外部システム(例えば、サードパーティシステム)が、配列決定データを分析するためのワークフローを生成及び実装することを可能にするために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。配列決定診断ワークフローの個々のワークフローコンテナを実行する際に、開示されるシステムは、ワークフローコンテナを分離して、他のデータへのアクセス又は他のデータの破損を防止する一方、ワークフローコンテナを実行するためにゲノム配列処理装置において利用可能なコンピューティングリソースの割り当ても編成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
試料ヌクレオチド配列についてのバリアント分析モデルによって生成されたヌクレオチドベースコールを同定することと、
前記バリアント分析モデルに関連付けられたコンテナオーケストレーションエンジンが、前記試料ヌクレオチド配列についての前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施するための外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求することと、
前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを同定することと、
前記1つ以上のワークフローコンテナを実装するために前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を行わせる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記コンテナオーケストレーションエンジン及び前記バリアント分析モデルとは別個である外部アプリケーションから同定された前記外部配列決定診断ワークフローを実装することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、
標準化された遺伝子診断プロトコルに対応する診断実行モードを決定することと、
クライアント装置に対して、前記診断実行モードと互換性のある診断アプリケーションのみへのアクセスを許諾することと、を行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記バリアント分析モデルによるバリアント分析が前記試料ヌクレオチド配列についての前記ヌクレオチドベースコールを生成した後に、又は前記バリアント分析モデルによる前記バリアント分析中に、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記外部配列決定診断ワークフローを実行している間、前記1つ以上のワークフローコンテナが前記試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを選択的に防止することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、前記バリアント分析モデルをホストするサーバ装置上に位置する前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記システムに、外部エンティティによって操作された外部装置によって生成された前記外部配列決定診断ワークフローを受信することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータ実装方法であって、
試料ヌクレオチド配列についてのバリアント分析モデルによって生成されたヌクレオチドベースコールを同定することと、
前記バリアント分析モデルに関連付けられたコンテナオーケストレーションエンジンが、前記試料ヌクレオチド配列についての前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施するための外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求することと、
前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを同定することと、
コンピューティングリソースの編成された割り当てに従って前記1つ以上のワークフローコンテナを実装するために前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
配列決定データへのアクセスを防止するために、前記1つ以上のワークフローコンテナについての異なるワークフローデータソースへのアクセスを制御することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記バリアント分析モデルのバージョンを定義するラベルの指標及び前記外部配列決定診断ワークフローを実行するために利用するメモリ割り当てを受信することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
異なるタイプのワークフローデータを記憶する複数のワークフローデータソースを指定することと、
前記1つ以上のワークフローコンテナの中からの1つのワークフローコンテナに対して、前記複数のワークフローデータソースのうちの第1のワークフローデータソースへのアクセスをアクティブ化する一方、前記複数のワークフローデータソースのうちの他のワークフローデータソースへのアクセスを防止することと、を更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記1つ以上のワークフローコンテナのための読み取り専用として、複数のワークフローデータソースをマウントすることを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記バリアント分析モデルによるバリアント分析が前記試料ヌクレオチド配列についての前記ヌクレオチドベースコールを生成した後に、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記バリアント分析モデルによるバリアント分析中に、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを更に含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、コンピューティング装置に、
試料ヌクレオチド配列についてのバリアント分析モデルによって生成されたヌクレオチドベースコールを同定することと、
前記バリアント分析モデルに関連付けられたコンテナオーケストレーションエンジンが、前記試料ヌクレオチド配列についての前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施するための外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求することと、
前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを同定することと、
コンピューティングリソースの編成された割り当てに従って前記1つ以上のワークフローコンテナを実装するために前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記外部配列決定診断ワークフローの実行中に前記試料ヌクレオチド配列の前記ヌクレオチドベースコールに関連付けられた配列決定データへの読み取り専用アクセスを前記外部配列決定診断ワークフローに許諾するワークフロー実行アプリケーションを符号化することによって、前記外部配列決定診断ワークフローも実行しながら、1つ以上の標準化遺伝子診断プロトコルを満足することを行わせる命令を更に含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記コンテナオーケストレーションエンジン及び前記バリアント分析モデルとは別個の外部システムによって生成された前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを行わせる命令を更に含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記1つ以上のワークフローコンテナのうちの1つのワークフローコンテナが前記試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを防止することを行わせる命令を更に含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティング装置に、入力ディレクトリ、出力ディレクトリ、及びアプリケーションディレクトリを含む1つ以上のワークフローデータソースに前記ワークフローコンテナがアクセスすることを防止することによって、前記ワークフローコンテナが前記配列決定データにアクセスすることを防止することを行わせる命令を更に含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記コンテナオーケストレーションエンジンを介して、前記外部配列決定診断ワークフローを実装するためのポスト定義パラメータを受信することによって、前記外部配列決定診断ワークフローの実行をトリガすることを行わせる命令を更に含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年12月23日に出願された米国特許仮出願第63/293587号に対する優先権を主張する、2022年9月26日に出願された米国特許出願第17/935476号の利益及び優先権を主張する。前述の出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオテクノロジー企業及びコンピュータサイエンス機関は、ゲノム試料のヌクレオチド配列についての診断を生成するためのハードウェア及びソフトウェアを改善している。特に、いくつかの既存の診断プラットフォームは、試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドリードからヌクレオチドベースコールを生成し、かつ/又は様々な目的のためにヌクレオチドベースコールに対して診断を実行する。例えば、既存の診断システムは、試料配列のヌクレオチドベースコール内の特定の遺伝子マーカーを検出することによって、がんについてヌクレオチド配列をスクリーニングするための診断アプリケーション(例えば、がんスクリーニングアッセイ)を実施する。いくつかの既存の診断システムは、他の遺伝的状態(又は遺伝的状態を発症する傾向)についての、又は他の遺伝的形質を決定するための遺伝子検査などの他の診断も同様に実施する。
【0003】
これらの最近の進歩にもかかわらず、既存の診断システムは、多くの欠点又は不利な点を示し続けている。例えば、多くの従来の診断システムは、その範囲及び有用性が限定されている内部診断アプリケーションの特定のセットに厳密に固定されている。実際、多くの従来のシステムは、システムのために特別に設計され、システム上にインストールされたアプリケーションを使用してゲノム診断を実施することしかできない。したがって、バイオインフォマティクス実行者がヌクレオチド配列の特定の診断分析を必要とする場合において、既存のシステムは、分析のためのプラットフォーム特有の診断アプリケーションがまだ書かれておらず、かつ/又はシステム内にインストールされていない場合、必要な分析データを提供することができない可能性がある。
【0004】
柔軟性がないこととは別に、いくつかの従来の診断システムは、プライベートな又は機密の遺伝子データを損なうか又は曝露するコーディング又はネットワーク脆弱性を示す。詳述すると、外部診断アプリケーションの統合を容易にしようとする既存のシステムの場合、これらのシステムは、診断を行うために外部ワークフロー(内部アプリケーション及び/又は外部アプリケーションを含む)が配列決定データにアクセスすることを可能にする柔軟性と引き換えに、配列決定データ(及び他の情報)のセキュリティを損なうことが多い。実際、いくつかの従来のシステムは、ヌクレオチドベースコールに関する配列決定データ及び/又は他の診断アプリケーションに関連する配列決定データを悪意的又は不注意に損傷又は破損する有害な外部診断ワークフローに対して脆弱である。その結果として、これらの既存の診断システムの多くは、様々な規制機関によって要求される1つ以上の診断基準(例えば、米国食品医薬品局によって設定されたインビトロ診断基準)を満足することができない。
【0005】
追加的に、いくつかの従来の診断システムは、非効率的である。より具体的には、既存のシステムは、ゲノム診断ワークフローを実行するときにコンピューティングリソースを非効率的に消費することが多い。例えば、いくつかの既存のシステムは、コンピューティングリソース管理のための内部プログラミング又は他の考慮事項を含まず、代わりに、利用可能なプロセッサ及びメモリに、診断データを生成することに伴われる多くのプロセスのための多数の(同時)要求及び命令を氾濫させる(多くの場合、バックログ及び減速をもたらす)。したがって、そのような既存のシステムは、診断ワークフローに対して要求された診断結果を生成するのが遅いか、又は結果を完全に生成することができず、代わりに計算誤差を生じる。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ヌクレオチド配列決定データの診断分析のための外部ワークフローの実行を柔軟に、安全に、かつ効率的に容易にすることができる方法、非一時的コンピュータ可読媒体、及びシステムの実施形態を記載する。例えば、開示されるシステムは、外部システム(例えば、サードパーティシステム)が、配列決定データ(例えば、配列決定装置及び/又はバリアント分析モデルによって生成される配列決定データ)を分析するためのワークフローを生成及び実装することを可能にするために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。いくつかの場合では、開示されるシステムは、配列決定データを分析するための診断ワークフローを実装するために、ヌクレオチドベースコールなどの配列決定データを生成し、コンテナオーケストレーションエンジンを更に利用する。例えば、開示されたシステムは、ワークフローの個々の機能を区分的に定義するワークフローコンテナを同定するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。いくつかのそのような場合では、開示されるシステムは、コンテナオーケストレーションエンジンが、バリアント分析モデルのためのワークフローの外側で外部配列決定診断ワークフローを実施し、ワークフローコンテナにおいて外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求することができる。個々のワークフローコンテナを実行する際に、開示されるシステムはまた、配列決定データ若しくは他のワークフローデータへのアクセス又はそれらの破損を防止するためにワークフローコンテナを分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
詳細な説明は、以下に簡単に説明される図面を参照する。
図1】1つ以上の実施形態による、診断ワークフローシステムを含む配列決定システムのブロック図を図示する。
図2】1つ以上の実施形態による、外部配列決定診断ワークフローを実行することの概要を図示する。
図3】1つ以上の実施形態による、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して、配列決定データに対して外部配列決定診断ワークフローを実行するための例示的なフローを図示する。
図4】1つ以上の実施形態による、診断ワークフローシステムが外部配列決定診断ワークフローのワークフローコンテナに割り当てるセキュリティ許可の例示的な描写を図示する。
図5】1つ以上の実施形態による、ワークフローコンテナの実行をスケジュールするためにコンテナオーケストレーションエンジンを利用することを図示する。
図6】1つ以上の実施形態による、診断アプリケーションがコンテナオーケストレーションエンジンの実行モードと互換性があるかどうかを決定するための例示的なフローを図示する。
図7】1つ以上の実施形態による、全体的な配列決定環境に関連する診断ワークフローシステムの例示的なアーキテクチャ図を図示する。
図8】1つ以上の実施形態による、外部配列決定診断ワークフローを実行するための一連の動作のフローチャートを図示する。
図9】本開示の1つ以上の実施形態を実装するための例示的なコンピューティング装置のブロック図を図示する。
図10】1つ以上の実施形態による、画像ベースのゲノム配列決定のための例示的光学システムのブロック図を図示する。
図11】1つ以上の実施形態による、画像ベースのゲノム配列決定のための例示的撮像装置を図示する。
図12】1つ以上の実施形態による、画像ベースのゲノム配列決定を実施するための例示的図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、ヌクレオチド配列決定データの診断分析のための外部ワークフローの実行を容易にする診断ワークフローシステムの実施形態を記載する。特に、診断ワークフローシステムは、試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドリード及びヌクレオチドベースコールなどの配列決定データを同定又は生成することができる。加えて、診断ワークフローシステムは、配列決定データを分析するために、内部ワークフロー又は外部ワークフロー(配列決定診断アプリケーションを含む)のいずれかからの配列決定データに対して異なる診断を実施することができる。いくつかの場合では、診断ワークフローシステムは、配列決定データを分析して、特定の疾患又は試料の遺伝形質についての遺伝子マーカーを同定するように設計された診断ワークフローを実装する。特定の実施形態では、診断ワークフローは、内部的に(例えば、診断ワークフローシステムのサーバの外部のサードパーティ装置からではなく)要求及び/又は実装される。他の実施形態では、診断ワークフローシステムは、診断ワークフローシステムに適合するアプリケーション及び/又はネイティブバリアント分析モデルの外部から(例えば、外部システム又は別のシステムから)供給されるアプリケーションを含む外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求する。それにもかかわらず、外部配列決定診断ワークフローを実装する際に、診断ワークフローシステムは、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して、配列決定データを曝露させることなくワークフローの個々の機能を実行するための個々のワークフローコンテナを分離又はサイロ化することによって、データセキュリティ及び完全性を維持することができる。
【0009】
今記述されたように、特定の実装形態では、診断ワークフローシステムは、外部配列決定診断ワークフローを使用してゲノム配列に対して診断分析を実施することを要求する。例えば、診断ワークフローシステムは、サーバが、バリアント分析モデルのための一連の内部ワークフローの一部ではなく、外部エンティティによって開発される外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求する。更なる実施例として、いくつかの場合では、診断ワークフローシステムは、外部システムに関連付けられたクライアント装置から、配列決定データを処理して診断分析(例えば、疾患又は遺伝的状態について)を実施するための要求を受信する。内部で生成された配列決定データへの外部システムアクセスを容易にするために、診断ワークフローシステムは、個々のワークフローコンテナを分離及び実装するように設計されたコンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。具体的には、診断ワークフローシステムは、サーバ又は他のコンピューティング装置が、外部配列決定診断ワークフローのタスクのために診断ワークフローシステムのサービス及び配列決定データにアクセスすることを可能にするコンテナオーケストレーションエンジンを適用することができ、配列決定データが各個々のプロセスにおいてどのように利用されるかの粒状制御を伴う。
【0010】
記述されたように、診断ワークフローシステムは、バリアント分析モデルを実行し、ゲノム配列処理装置とともにローカルネットワーク上に位置するサーバ装置上に収容されたコンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。コンテナオーケストレーションエンジン及び/又はバリアント分析モデル、並びにゲノム配列処理装置へのローカル接続を含むサーバ装置の閉鎖環境内で、診断ワークフローシステムは、配列決定診断を安全に実施し、分析プロトコルを実施することができ、外部アプリケーションが、配列決定データの破損又は曝露のリスクなしに診断結果にアクセスすることさえ可能にする。例えば、診断ワークフローシステムは、外部アプリケーションからの外部配列決定診断ワークフローを含む診断を実施するために、(異なるタイプのデータに関連して)個々のワークフローコンテナに対して特別に調整されたベースで配列決定データ(又は他のデータ)へのアクセス許可を提供することができる。コンテナオーケストレーションエンジンの実行モードに応じて、診断ワークフローシステムは、インビトロ診断(in vitro diagnostic、IVD)のために規制機関によって設定されたセキュリティ及び分析標準(例えば、米国食品医薬品局又は何らかの他の機関によって設定された標準)を満足する互換性のある診断アプリケーションを同定することができる。診断ワークフローシステムは、同様に、治験専用(investigational use only、IUO)分析及び研究専用(research use only、RUO)分析のための互換性のある診断アプリケーションを同定することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、外部配列決定診断ワークフローなどの診断ワークフローを実行するためにコンピューティングリソースをスケジュールする、又は割り当てる。例えば、診断ワークフローシステムは、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して、処理能力及びメモリなどのコンピューティングリソースを割り当てて、個々のワークフローコンテナのプロセスを実施する。詳述すると、診断ワークフローシステムは、診断ワークフローのための機能を実行するように設計及びプログラムされた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)又は中央処理装置(central processing unit、CPU)などのゲノム配列処理装置と通信することができる。いくつかの場合では、ゲノム配列処理装置は、一度に限定された数(例えば、1つ)のプロセスを実行することができる。その結果として、診断ワークフローシステムは、コンテナオーケストレーションエンジンのリソース割り当て能力を利用して、利用可能なコンピューティングリソースに従って、外部配列決定診断ワークフローのワークフローコンテナの実行をスケジュールする(例えば、プロセスが各コンテナに対して完了すると、次々に実行する)。
【0012】
上で示唆されるように、診断ワークフローシステムの実施形態は、既存の診断システムに勝るいくつかの利点、利益、及び/又は改善を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、多くの既存の診断システムよりも柔軟である。多くの既存のシステムは、ゲノム配列決定データの診断を実施するために、システム固有の内部診断アプリケーション及びワークフローを実装することに限定されているが、診断ワークフローシステムは、外部(例えば、サードパーティ)配列決定診断アプリケーション及びワークフローの実行を容易にすることができる。具体的には、診断ワークフローシステムは、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して、外部配列決定診断ワークフローの受信を可能にし(例えば、アップロードを介して)、外部配列決定診断ワークフローを実行して、試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドベースコール(又は他の配列決定データ)に対して診断分析を実施することができる(外部の、ローカルにネットワーク化されていないシステムによって指示されるように)。いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、(従来のシステムとは異なり)試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドベースコールを生成するための配列決定プロセス中(又はその後)に外部配列決定診断ワークフローを柔軟に実行することさえできる。
【0013】
柔軟性の向上に加えて、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、従来の診断システムと比較してデータセキュリティを改善する。いくつかの従来のシステムは、外部アプリケーションからの診断分析を容易にしようと試み得るが、これらの従来のシステムは、バリアント分析モデル又は診断のために使用される他の内部アプリケーションの外部の(又はネイティブではない)ワークフローを実装するとき、診断アプリケーションのための配列決定データ又はコードの曝露及び破損のリスクがある。実際、既存の診断システムは、遺伝子診断のために構成されたソフトウェアアプリケーションを実行するコンピューティング装置上でサードパーティ又は他の外部アプリケーションを安全に実行するための機構又はモデルを欠いている。
【0014】
対照的に、診断ワークフローシステムは、診断ワークフローシステムの安全なローカルネットワーク外のソースから外部配列決定診断ワークフローを実装するときであっても、配列決定データのセキュリティ及び完全性を維持する。試料の遺伝情報を公開し得る既存の診断システムとは異なり、例えば、診断ワークフローシステムは、外部配列決定診断ワークフローのプロセスを定義する個々のワークフローコンテナを分離するコンテナオーケストレーションエンジンを利用し、機密の配列決定データ又は他の遺伝情報への望ましくない又は偶発的な公開さえも防止する。外部配列決定診断ワークフローのためのワークフローコンテナをそれ自体で実行し、外部配列決定診断ワークフローに対して標的化されたセキュリティ許可を構成することによって、診断ワークフローシステムは、配列決定ランソフトウェア又はバリアント分析モデルのための内部メトリックにアクセスすることなく、外部配列決定診断ワークフローのセキュアな実行を符号化する。実際、既存の診断システムとは異なり、診断ワークフローシステムは、外部配列決定診断ワークフローが配列決定ラン又はバリアント分析のためのアプリケーションのコード又は内部メトリックを破損することを防止するために、別個のコンテナ内の外部配列決定診断ワークフローを保護し、そのようなコンテナに標的セキュリティ許可(例えば、読み取り専用許可)を許諾することによって、標準的な暗号化を超える。その改善されたセキュリティ及び分析プロトコルの結果として、診断ワークフローシステムは、(いくつかの従来のシステムとは異なり)IVDのための様々な標準を満足することができる。
【0015】
更に、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、FPGA又はCPUの限定されたリソースを使用して実行するようにワークフローを編成することによって、既存の診断システムよりも計算効率を改善する。例えば、いくつかの既存のシステムのように、診断ワークフローについての過剰な処理要求で利用可能なプロセッサ及び他のコンピューティングリソースを氾濫させるのではなく、診断ワークフローシステムは、個々のワークフローコンテナを実行するためのコンピューティングリソースを知的に割り当てるために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。具体的には、診断ワークフローシステムは、FPGA又はCPUなどのゲノム配列処理装置を介して、それぞれのワークフローコンテナの反復処理又は逐次処理(配列決定データの処理とともに、又はその後に調整される)を指定するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することができる。したがって、診断ワークフローシステムは、配列決定データに対して診断ワークフローを実行するときに、従来のシステムにおいて一般に行われるバックログ及び/又は減速を防止することができる。
【0016】
前述の考察によって示唆されるように、本開示は、診断ワークフローシステムの特徴及び利点を記載するために、様々な用語を利用する。本開示で使用されるこれらの用語の意味に関して、更なる詳細が以下に提供される。本開示で使用される場合、例えば、「試料ヌクレオチド配列」又は「試料配列」という用語は、試料生物から単離又は抽出されたヌクレオチドの配列(又はそのような単離又は抽出された配列のコピー)を指す。特に、試料ヌクレオチド配列は、試料生物から単離又は抽出され、窒素複素環塩基から構成される核酸ポリマーのセグメントを含む。例えば、試料ヌクレオチド配列は、デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)、リボ核酸(ribonucleic acid、RNA)、又は核酸の他のポリマー形態若しくは以下に記載される核酸のキメラ若しくはハイブリッド形態のセグメントを含むことができる。より具体的には、いくつかの場合では、試料ヌクレオチド配列は、キットによって調製又は単離され、配列決定装置によって受け取られた試料中に見出されるものである。
【0017】
本明細書中で更に使用される場合、「配列決定データ」という用語は、1つ以上のゲノム試料についてのヌクレオチド配列に関するデータ又は情報を指す。例えば、配列決定データは、配列決定装置及び/又はバリアント分析モデルによって生成されたデータを含むことができる。いくつかの場合では、配列決定データは、試料ヌクレオチド配列に関連するヌクレオチドリード、ヌクレオチドベースコール、及び/又は配列決定メトリクスを含む。1つ以上の実施形態では、配列決定データは、特定のヌクレオチド配列に特異的であり、ゲノム配列処理装置によって実装されるバリアント分析モデルを含むゲノム分析プラットフォームの独自の方法及びプロセスを使用して生成される。
【0018】
特定の実施形態では、配列決定データは、1つ以上のワークフローデータソース上に記憶されるか、又は位置する。「ワークフローデータソース」という用語は、1つ以上のタイプの配列決定データを記憶するためのネットワーク記憶場所又はリポジトリを指す。例えば、ワークフローデータソースは、入力ディレクトリ、出力ディレクトリ、又はアプリケーションディレクトリなどの特定のタイプの配列決定データに特有の場所を含むことができる。入力ディレクトリ内で、配列決定データは、バリアント分析モデル(例えば、ヌクレオチドベースコール)によって書かれた又は生成された試料ヌクレオチド配列からのデータを含むことができる。出力ディレクトリ内で、配列決定データは、ワークフローを実施するコンテナオーケストレーションエンジンによって書かれた又は生成された出力情報(例えば、診断結果)を含むことができる。アプリケーションディレクトリ内で、配列決定データは、診断を実施するための入力、出力、及び他の実行情報についての指示を含む、診断アプリケーション及び/又は診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー)の定義を含むことができる。
【0019】
関連して、「ヌクレオチドベースコール」(又は時には単に「コール」)という用語は、配列決定サイクル中の試料ゲノムのゲノム座標又はオリゴヌクレオチドについての特定のヌクレオチドベース(又はヌクレオチドベース対)の決定又は予測を指す。特に、ヌクレオチドベースコールは、(i)ヌクレオチド試料スライド上のオリゴヌクレオチド内に組み込まれているヌクレオチドベースのタイプの決定若しくは予測(例えば、リードベースのヌクレオチドベースコール)、又は(ii)デジタル出力ファイルにおけるバリアントコール若しくは非バリアントコールを含む、試料ゲノム内のゲノム座標若しくは領域に存在するヌクレオチドベースのタイプの決定若しくは予測を示すことができる。いくつかの場合では、ヌクレオチドリードについて、ヌクレオチドベースコールは、ヌクレオチド試料スライド(例えば、フローセルのウェル内)のオリゴヌクレオチドに付加された蛍光タグ付きヌクレオチドから生じる強度値に基づくヌクレオチドベースの決定又は予測を含む。代替的に、核酸ベースコールは、ヌクレオチド試料スライドのナノポアを通過するヌクレオチドから生じるクロマトグラムピーク又は電流変化へのヌクレオチドベースの決定又は予測を含む。対照的に、ヌクレオチドベースコールはまた、ゲノム座標に対応するヌクレオチドリードに基づく、バリアントコールファイル又は他のベースコール出力ファイルのための、試料ゲノムのゲノム座標でのヌクレオチドベースの初期又は最終予測を含むことができる。したがって、ヌクレオチドベースコールは、ゲノム座標及び参照ゲノムに対応するベースコール、例えば、参照ゲノムに対応する特定の位置でのバリアント又は非バリアントの指標を含むことができる。実際、ヌクレオチドベースコールは、限定されるものではないが、一塩基多型(SNP)、挿入若しくは欠失(インデル)、又は構造バリアントの一部であるベースコールを含むバリアントコールを指すことができる。ヌクレオチドベースコールを使用することによって、配列決定システムは、核酸ポリマーの配列を決定する。例えば、単一ヌクレオチドベースコールは、DNAについてのアデニンコール、シトシンコール、グアニンコール、若しくはチミンコール(A、C、G、Tと略される)、又はRNAについてのウラシルコール(チミンコールの代わりに)(Uと略される)を含むことができる。
【0020】
本明細書で使用される場合、「配列決定メトリック」という用語は、個々のヌクレオチドベースコール(又はヌクレオチドベースコールの配列)が、参照ゲノムのゲノム座標若しくはゲノム領域に関して、ヌクレオチドリードからのヌクレオチドベースコールに関して、又は外部ゲノム配列決定若しくはゲノム構造に関して、アラインメント、比較、又は定量化する程度を示す定量的測定又はスコアを指す。例えば、配列決定メトリックは、(i)個々のヌクレオチドベースコールが、参照ゲノムのゲノム座標又は参照ベースをアラインメント、マッピング、又はカバーする程度、(ii)ヌクレオチドベースコールが、マッピング、ミスマッチ、ベースコール品質、又は他の生の配列決定メトリックに関して参照又は代替ヌクレオチドリードと比較する程度、又は(iii)ヌクレオチドベースコールに対応するゲノム座標若しくは領域が、マッピング可能性、反復ベースコール含量、DNA構造、若しくは他の一般化されたメトリックを実証する程度、を示す定量的測定又はスコアを含む。
【0021】
関連して、本明細書で使用される場合、「ヌクレオチドリード」(又は時には単に「リード」)という用語は、試料ヌクレオチド配列の全部又は一部からの1つ以上のヌクレオチドベース(又はヌクレオチドベース対)の推定配列を指す。特に、ヌクレオチドリードは、ゲノム試料に対応する配列決定ライブラリからのヌクレオチドフラグメント(又はモノクローナルヌクレオチドフラグメントの群)についての決定又は予測されたヌクレオチドベースコールの配列を含む。例えば、診断ワークフローシステムは、ヌクレオチド試料スライドのナノポアを通過した、蛍光タグ付けを介して決定された、又はフローセル中のウェルから決定された、ヌクレオチドベースについてのヌクレオチドベースコールを生成することによって、ヌクレオチドリードを決定する。
【0022】
記載したように、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、バリアント分析モデルを利用して、ゲノム座標についてのヌクレオチドベースコールを生成する。本明細書中で使用される場合、「バリアント分析モデル」という用語は、試料ヌクレオチド配列についてのデータ(例えば、ベースコールデータ)を分析するためのアルゴリズム又はアルゴリズムのセットを含むモデルを指す。いくつかの場合では、バリアント分析モデルは、ヌクレオチドベースコール(例えば、バリアントコール)及び関連するメトリクス(例えば、ベースコール品質メトリクス)を含む、試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドリードから配列決定データを生成する確率モデルである。例えば、いくつかの場合では、バリアント分析モデルは、試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドリードに基づいてバリアントコールを生成するベイズ確率モデルを指す。そのようなモデルは、試料のヌクレオチドリードを参照ゲノムと整列させ、参照ゲノムに関して整列されたヌクレオチドリードに基づいて試料の遺伝的バリアントを決定し、品質メトリック、対立遺伝子頻度メトリック、又は他の配列決定メトリックのうちの1つ以上を決定するために、バリアントコールソフトウェアを実行するサーバによって実施される二次分析のためのモデルを含むことができる。バリアント分析モデルは、同様に、限定されるものではないが、マッピング及びアラインメント、ソート、重複マーキング、リードパイルアップ深さの計算、並びにバリアントコーリングのための、異なるソフトウェアアプリケーション又はコンポーネントを含む、複数のコンポーネントを含み得る。いくつかの場合では、バリアント分析モデルは、バリアントコーリング関数並びにマッピング及びアラインメント関数のためのILLUMINA DRAGENモデルを指す。
【0023】
記述されたように、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステムは、外部配列決定診断ワークフローの実行を編成するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用する。本明細書で使用される場合、「コンテナオーケストレーションエンジン」という用語は、コンテナ化されたソフトウェアサービス及びアプリケーションの展開、スケーリング、及び管理を自動化するためのアプリケーションを指す。例えば、コンテナオーケストレーションエンジンは、診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー)の一部として個々のワークフローコンテナを実行するマイクロサービスアーキテクチャを有するソフトウェアアプリケーションを含むことができる。コンテナオーケストレーションエンジンは、区分的に区画化され、ワークフローに追加又はワークフローから除去され得る別個の機能(例えば、コンテナ化されたタスク)を実施するために、各コンテナを別々に扱うことができる。
【0024】
関連して、「ワークフローコンテナ」(又は時には単に「コンテナ」)という用語は、ポータブル展開のためにコード(及びその全ての依存関係)をパッケージ化するソフトウェアのユニットを指す。例えば、ワークフローコンテナは、特定の機能又はタスクを実施する、区画化された、又はコンテナ化された、操作可能な、移動可能な、実行可能なコード本体を含む。いくつかの場合では、ワークフローコンテナは、例えば、配列決定データの断片から特定の出力(例えば、最終出力又は別のコンテナに供給する中間出力)を生成するために、機能又はタスク(例えば、プロセス又はスレッド)を実施するように実行可能である。診断ワークフローシステムは、ワークフローコンテナを別個に扱い、いくつかのコンテナを他のコンテナとは異なるように分離して、特定の調整された様式で(例えば、1つ以上のワークフローデータソース内で)配列決定データへのアクセスを許可及び/又は防止することができる。いくつかの場合では、コンテナは、NEXTFLOWコンテナ及び/又はKUBERNETESコンテナを指す。
【0025】
追加的に、本明細書中で使用される場合、「配列決定診断ワークフロー」という用語は、試料ヌクレオチド配列についての配列決定データから診断出力のセットを生成するために、一緒に組織化及び編成されたタスク又は機能の集合を指す。例えば、配列決定診断ワークフローは、二次分析、三次分析、カスタムQC論理、報告、又は他の所望の機能性を含み得る任意の数の機能を提供する任意の数のタスクを含み得る。いくつかの場合では、複数のエンティティは、ローカルに(例えば、エッジサーバにおいて)又はクラウド内に展開され得る単一のワークフローを開発することができる。
【0026】
「外部配列決定診断ワークフロー」は、ゲノム分析ソフトウェアプラットフォームの外部にあるか、又はより大きなゲノム分析ソフトウェアプラットフォームからの1つ以上のアプリケーションの外部にある配列決定診断ワークフローを指す。例えば、外部配列決定診断ワークフローは、診断のために使用され、標準化された遺伝子診断プロトコルに従うバリアント分析モデルのためのソフトウェア(又は別のソフトウェアアプリケーション若しくはソフトウェアアプリケーションのセット)にネイティブではない(又はその一部として統合されていない)配列決定診断ワークフローを含む。いくつかの場合では、診断ワークフローシステムは、診断ワークフローシステムをホストするサーバ装置と(例えば、コンテナオーケストレーションエンジン及び/又はバリアント分析モデルと)ローカルネットワークを共有しないサードパーティシステムから外部配列決定診断ワークフローを受信又は同定する。外部配列決定診断ワークフローは、新たに生成されたワークフロー、又は外部エンティティ(例えば、診断ワークフローシステムの一部ではないエンティティ)によって操作された外部装置によって定義された既存のワークフローの修正バージョンを指すことができる。いくつかの場合では、外部配列決定診断ワークフローは、ヌクレオチドベースコールの二次及び/又は三次分析を実施するためのバリアント分析モデルにプラグインするのに適合可能である診断ワークフローシステムのためのアドオンソフトウェアを指すことができる。
【0027】
外部配列決定診断ワークフローは、診断アプリケーション(例えば、外部診断アプリケーション)の一部であるか、又は診断アプリケーションによって定義されることができる。「診断アプリケーション」は、診断ワークフローシステムによって展開可能であり、ワークフロー定義、コンテナ化されたタスク、カスタムユーザインターフェース、カスタムマイクロサービス、及び/又は参照データを含むカスタムワークフローコンテンツのパッケージを指すことができる。診断アプリケーションは、ワークフロー及び他のアプリケーションデータを定義する特定の構造又はファイルタイプ(例えば、テープアーカイブ又は「TAR」ファイル)を有することができる。いくつかの実施形態では、診断アプリケーションは、インターネットから完全に切断されたシステム上にインストールされることができる単一の展開可能ユニットである。アプリケーションパッケージは、真正性及び有効性を保証するために署名されることができる。パッケージは、UIポータルを介して(例えば、ブラウザを使用して)サーバにアップロードされることができる。いくつかの場合では、外部配列決定診断ワークフローは、外部(例えば、サードパーティ)システムによって生成された(及びそこから受信された)外部診断アプリケーションの一部である。
【0028】
以下の段落は、例示的な実施形態及び実装形態を描写する例示的な図に関して診断ワークフローシステムを記載する。例えば、図1は、診断ワークフローシステム106が1つ以上の実装形態に従って動作するシステム環境(又は「環境」)100の概略図を図示する。図示されるように、環境100は、ネットワーク112を介してクライアント装置108及び配列決定装置114に接続された1つ以上のサーバ装置102を含む。図1は、診断ワークシステム106の一実施形態を示すが、本開示は、代替的実施形態及び構成を以下に記載する。
【0029】
図1に示されるように、サーバ装置102、クライアント装置108、及び配列決定装置114は、ネットワーク112を介して互いに通信することができる。ネットワーク112は、コンピューティング装置が通信することができる任意の適切なネットワークを含む。例示的なネットワークは、図9に関して以下で追加して詳細に考察される。
【0030】
図1によって示されるように、配列決定装置114は、核酸ポリマーを配列決定するための装置を含む。いくつかの実施形態では、配列決定装置114は、配列決定装置114上で直接的又は間接的のいずれかで(本明細書に記載される)コンピュータ実装方法及びシステムを利用して、ヌクレオチドリード又は他のデータを生成するために、試料から抽出された核酸セグメント又はオリゴヌクレオチドを分析する。より具体的には、配列決定装置114は、ヌクレオチド試料スライド(例えば、フローセル)内で、試料から抽出された核酸配列を受け取り、分析する。1つ以上の実施形態では、配列決定装置114は、SBSを利用して、核酸ポリマーをヌクレオチドリードに配列決定する。ネットワーク112を介して通信することに加えて、又は代替として、いくつかの実施形態では、配列決定装置114は、ネットワーク112を迂回し、サーバ装置102及び/又はクライアント装置108と直接通信する。実際、いくつかの実施形態では、配列決定装置114及びサーバ装置102は、破線のボックスによって示されるように、ローカルネットワーク(例えば、同じ又は異なるサーバ上に収容される)を共有するが、クライアント装置108は、ローカルネットワークを共有せず、代わりに、ネットワーク112を介して通信する。
【0031】
図1によって更に示されるように、サーバ装置102は、ヌクレオチド塩基コールを決定し、核酸ポリマーを配列決定し、かつ/又はヌクレオチド配列に対して診断を実施するためのデータなどのデジタルデータを生成し、受信し、分析し、記憶し、及び伝送し得る。図1に示されるように、配列決定装置114は、配列決定装置114からコールデータを送信し得る(及びサーバ装置102は、コールデータを受信し得る)。サーバ装置102は、クライアント装置108とも通信することができる。特に、サーバ装置102は、バリアントコールファイル、又はヌクレオチドベースコール、配列決定メトリック、エラーデータ、診断情報、若しくはヌクレオチドベースコールに関連付けられた他のメトリックを示す他の情報を含むデータを、クライアント装置108に送信することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、サービス装置102は、配列決定装置114の同じ物理的位置に、又はその近くに位置するローカルサーバ装置を含む。実際、いくつかの実施形態では、サーバ装置102及び配列決定装置114は、サーバ装置102及び配列決定装置114の周りの点線によって示されるように、同じコンピューティング装置に統合される。
【0033】
配列決定装置114とともにローカルに配置されるのではなく、いくつかの実施形態では、サーバ装置102は、分散したサーバの集合を含み、サーバ装置102は、ネットワーク112にわたって分散され、同じ若しくは異なる物理的場所に位置する、いくつかのサーバ装置を含む。示唆されるように、いくつかの場合では、サーバ装置102は、ゲノム分析プラットフォーム104を収容する。また、サーバ装置102は、コンテンツサーバ、アプリケーションサーバ、通信サーバ、ウェブホスティングサーバ、又は別のタイプのサーバを含むことができる。
【0034】
図1に更に示されるように、サーバ装置102は、配列決定データを生成及び分析するためのゲノム分析プラットフォーム104を含むことができる。概して、ゲノム分析プラットフォーム104は、核酸ポリマーのヌクレオチドベース配列を決定するために、配列決定装置114から受信された配列決定メトリクスなどのコールデータを生成及び/又は分析するバリアント分析モデル107を含む。例えば、バリアント分析モデル107は、配列決定装置114から生データを受信することができ、核酸セグメントについてのヌクレオチドベース配列を決定することができる。いくつかの実施形態では、バリアント分析モデル107は、DNA及び/又はRNAセグメント又はオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドベースの配列を決定する。核酸ポリマーについての配列を処理及び決定することに加えて、バリアント分析モデル107はまた、1つ以上のゲノム座標についての1つ以上のヌクレオチドベースコール及び/又はバリアントコールを示すバリアントコールファイルを生成する。更に、いくつかの実施形態では、ゲノム分析プラットフォーム104は、診断ワークフローシステム106を含む。
【0035】
今記述されたように、また図1に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、様々な診断を生成又は決定するために、(例えば、配列決定装置114又はバリアント分析モデル107からの)コールデータ及び/又は配列決定メトリクスなどの配列決定データを分析する。例えば、診断ワークフローシステム106は、試料ヌクレオチド配列についての配列決定データの診断分析を実施する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、1つ以上の疾患又は遺伝的状態を診断するか、又はその傾向を決定するために、診断分析を実施する。実際、診断ワークフローシステム106は、配列決定データに対して診断を実施し、遺伝的状態又は形質を明示する可能性を決定するために、(クライアント装置108から受信されるような)外部配列決定診断ワークフローを実行する。
【0036】
図1に更に図示され示されるように、クライアント装置108は、デジタルデータを生成し、記憶し、受信し、送信することができる。特に、クライアント装置108は、配列決定装置114から配列決定メトリックを受信することができる。更に、クライアント装置108は、サーバ装置102と通信して、ヌクレオチドベースコール、及び/又はコール品質、遺伝子型指標、及び遺伝子型品質などの他のメトリック、を含むバリアントコールファイルを受信することができる。したがって、クライアント装置108は、グラフィカルユーザインターフェース内のヌクレオチドベースコールに関する情報を、クライアント装置108に関連付けられたユーザに提示又は表示することができる。加えて、クライアント装置108は、配列決定データの診断分析を実施するための1つ以上のワークフローコンテナを含む外部配列決定診断ワークフローを生成し、提供する(例えば、ネットワーク112を介してアップロードする)ことができる。実際、クライアント装置108は、グラフィカルユーザインターフェースを介して、外部配列決定診断ワークフローのためのワークフローコンテナを選択及び配列又は編成するユーザ対話を受信することができる。クライアント装置108はまた、サーバ装置102から診断結果を受信することができ、グラフィカルユーザインターフェース内に診断結果を表示することができる。
【0037】
図1に図示されるクライアント装置108は、様々なタイプのクライアント装置を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、クライアント装置108は、デスクトップコンピュータ若しくはサーバ、又は他のタイプのクライアント装置などの非モバイル装置を含む。更に他の実施形態では、クライアント装置108は、ラップトップ、タブレット、携帯電話、又はスマートフォンなどのモバイル装置を含む。クライアント装置108に関する更なる詳細は、図9に関して以下で考察される。
【0038】
図1に更に図示されるように、クライアント装置108は、配列決定アプリケーション110を含む。配列決定アプリケーション110は、クライアント装置108上に記憶され、実行されるウェブアプリケーション又はネイティブアプリケーション(例えば、モバイルアプリケーション、デスクトップアプリケーション)であり得る。配列決定アプリケーション110は、(実行されるとき)クライアント装置108に、診断ワークフローシステム106からデータを受信させ、クライアント装置108での表示のために、バリアントコールファイルからのデータを提示させる命令を含むことができる。更に、配列決定アプリケーション110は、クライアント装置108に、外部配列決定診断ワークフロー及び/又は外部配列決定診断ワークフロー内に配列されるワークフローコンテナの可視化、並びに外部配列決定診断ワークフローの実行時にサーバ装置から受信される診断結果を表示するように命令することができる。
【0039】
図1に更に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、配列決定アプリケーション110の一部として、クライアント装置108上に、又は配列決定装置114上に位置し得る。したがって、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クライアント装置108上に(例えば、完全に又は部分的に位置して)実装される。更に他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、配列決定装置114などの環境100の1つ以上の他のコンポーネントによって実装される。特に、診断ワークフローシステム106は、サーバ装置102、ネットワーク112、クライアント装置108、及び配列決定装置114にわたって様々な異なる方法で実装されることができる。例えば、診断ワークフローシステム106は、サーバ装置102からクライアント装置108及び/又は配列決定装置114にダウンロードすることができ、診断ワークフローシステム106の機能の全部又は一部は、環境100内のそれぞれの装置で実施される。
【0040】
図1に更に図示されるように、環境100は、データベース116を含む。データベース116は、外部配列決定診断ワークフロー、診断結果、バリアントコールファイル、試料ヌクレオチド配列、並びにヌクレオチドリード、ヌクレオチドベースコール、バリアントコール、及び配列決定メトリクスなどの配列決定データなどの情報を記憶することができる。いくつかの実施形態では、サーバ装置102、クライアント装置108、及び/又は配列決定装置114は、(例えば、ネットワーク112を介して)データベース116と通信して、外部配列決定診断ワークフロー、診断結果、バリアントコールファイル、試料ヌクレオチド配列、並びにヌクレオチドリード、ヌクレオチドベースコール、バリアントコール、及び配列決定メトリックなどの配列決定データなどの情報を記憶し、かつ/又はアクセスする。いくつかの場合では、データベース116はまた、バリアント分析モデル107などの1つ以上のモデルを記憶する。
【0041】
図1は、ネットワーク112を介して通信する環境100のコンポーネントを図示しているが、ある特定の実装形態では、環境100のコンポーネントは、ネットワーク112を迂回して互いに直接通信することもできる。例えば、前述したように、いくつかの実装形態では、クライアント装置108は、配列決定装置114と直接通信することができる。追加的に、いくつかの実施形態では、クライアント装置108は、診断ワークフローシステム106と直接通信する。更に、診断ワークフローシステム106は、環境100内のサーバ装置102若しくは他の場所に収容された、又はそれによってアクセスされる1つ以上のデータベースにアクセスすることができる。
【0042】
記述されたように、特定の記載される実施形態では、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを実行する。特に、診断ワークフローシステム106は、配列決定データの診断分析を実施するために、サードパーティシステム又はサードパーティ装置(例えば、クライアント装置108)などの外部システム又は外部システムによって操作された外部装置によって生成される外部配列決定診断ワークフローを実行する。図2は、1つ以上の実施形態による、外部配列決定診断ワークフローを実行することの例示的概要を図示する。図2は、外部配列決定診断ワークフローを実行することの一般的な概要を提供し、様々な動作に関する追加的詳細は、その後、後続の図を参照して提供される。
【0043】
図2に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを受信するために動作202を実施する。より具体的には、診断ワークフローシステム106は、外部システムによって生成された外部配列決定診断ワークフローを受信する。いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クライアント装置108などの外部装置から直接、外部配列決定診断ワークフローを受信する。他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クライアント装置108が外部配列決定診断ワークフローをアップロードするウェブサイトをホストすることによってクライアント装置108と通信する異なるサーバ(例えば、ウェブホスティングサーバ)から外部配列決定診断ワークフローを受信。
【0044】
実際、診断ワークフローシステム106は、アップロードとして(アプリケーションの一部として)外部配列決定診断ワークフローを受信するウェブホスティングサーバから外部配列決定診断ワークフローを受信する。いくつかの実施形態では、ウェブホスティングサーバは、診断ワークフローシステム106の一部である一方、他の実施形態では、ウェブホスティングサーバは、診断ワークフローシステム106の外部にある。したがって、いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを受信する一方、他の場合には、外部配列決定診断ワークフローは、既にダウンロードされているか、又は別様に診断ワークフローシステム106の一部として含まれる。
【0045】
図2に更に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、配列決定メトリックを同定するために動作204を実施する。詳述すると、診断ワークフローシステム106は、1つ以上の試料ヌクレオチド配列に関連付けられたヌクレオチドベースコール及び/又は配列決定メトリクスなどの配列決定データを同定する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデル(例えば、バリアント分析モデル107)を利用して配列決定データを生成し、一方、他の場合では、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデルをホストする別のサーバから配列決定データを受信する。特定の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、特定の試料に特異的な配列決定データを同定する。
【0046】
追加的に、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを実行するために動作206を実施する。具体的には、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを構成するワークフローコンテナのセットを実施することによって、外部配列決定診断ワークフローを実行する。例えば、診断ワークフローシステム106は、外部システムによって生成された、及び/又は外部装置(例えば、クライアント装置108)によってアップロードされた外部配列決定診断ワークフローを実行する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、アップロードを介して外部配列決定診断ワークフローを直接受信するサーバから外部配列決定診断ワークフローを受信し、外部配列決定診断ワークフローを診断ワークフローシステム106のサーバ(例えば、サーバ装置102)に中継する。
【0047】
実際、診断ワークフローシステム106は、外部エンティティによって操作された外部システムによって生成される外部配列決定診断ワークフローを実行する。詳述すると、診断ワークフローシステム106は、外部装置(例えば、クライアント装置108)を介した外部配列決定診断ワークフローの生成及び/又は配列を容易にするか、又は可能にする。例えば、外部装置は、試料ヌクレオチド配列に対する特定の診断検査を実施することの一部として、離散化された機能又はタスクを実施するために、個々のワークフローコンテナを配列又は編成することができる。いくつかの実施形態では、ワークフローコンテナは、診断ワークフローシステム106によって事前定義又は事前生成され、外部配列決定診断ワークフローの配列において(外部システムによる)使用のために記憶される。他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、外部システムによる完全に新しいワークフローコンテナの生成を容易にする。
【0048】
いくつかの場合では、外部配列決定診断ワークフローは、外部アプリケーションの一部である。例えば、診断ワークフローシステム106は、アプリケーションによって定義される外部配列決定診断ワークフローを実行することができる。アプリケーションは、外部システムによって定義されるような、カスタムユーザインターフェース、参照データ、及び種々の組成コンテナを含むワークフローを含むことができる。診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローを実行するために外部アプリケーションを実装することができ、ウェブユーザインターフェース(例えば、アプリケーションによって定義されるカスタムインターフェース)を介して診断結果を提供することができる。
【0049】
特定の実施形態では、外部アプリケーションは、診断ワークフローシステム106内で事前生成され、記憶された(例えば、IVDなどの1つ以上の標準化遺伝子診断プロトコルに準拠するように、又はIUO若しくはRUOなどの他の分析プロトコルに準拠するように事前認可された)内部アプリケーションの修正バージョンである。診断ワークフローシステム106は、外部システムによって修正又は生成された内部アプリケーションの修正バージョンを受信又は同定することができる。実際、外部システムは、ワークフロー内の1つ以上のワークフローコンテナを変更、追加、及び/又は削除するために、内部アプリケーションを修正し得る。例えば、記憶された内部アプリケーションが、特定の遺伝的状態を同定するために特定のヌクレオチドベースコールに対して診断を実施するワークフロー(例えば、特定のがんマーカーを検出するように設計されたTSO500スクリーニングアッセイ)を含む場合、外部システムは、異なるヌクレオチドベースコールを分析するために、かつ/又はわずかに異なる方法で他の配列決定データを処理するために、アプリケーションを修正する(それによって、外部アプリケーションを生成する)ことができる。
【0050】
外部配列決定診断ワークフローを実行するために、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジンが、試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施するための外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求する。より具体的には、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジンが、外部診断アプリケーションにおいて定義されたその配列に従って外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求する。例えば、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー内に配列された個々のワークフローコンテナを実行して、試料ヌクレオチド配列の診断分析を実施するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用する。
【0051】
示されるように、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、(バリアント分析モデル107によって実施されるように)配列決定データを同定した後、又は配列決定が完了した後、外部配列決定診断ワークフローを実行するために動作206を実施する。例えば、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデル107によって実施されるバリアント分析が、試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールを同定又は生成した後に、外部配列決定診断ワークフローを実行する。例えば、いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローの実行を自動的にトリガする、バリアント分析モデル107による配列決定分析の完了を検出する。
【0052】
他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析中に、又はバリアント分析モデル107がヌクレオチドベースコールを生成している間に、外部配列決定診断ワークフローを実行するために動作206を実施する。より具体的には、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデル107と通信するか、又はそれを利用する一方で、コンテナオーケストレーションエンジンを介して外部配列決定診断ワークフローも(例えば、同時に又は並行して)実行する。例えば、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローの特定のワークフローコンテナによって必要とされる特定のヌクレオチドベースコールを生成し、バリアント分析モデル107が他のヌクレオチドベースコールを生成しているとき、診断ワークフローシステム106は、その時点で利用可能なヌクレオチドベースコールに基づいて、実行可能である外部配列決定診断ワークフローのそれらの部分を実行する。配列決定が進行するにつれて、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデル107からのヌクレオチドベースコールの完全なセットに基づいて完全な診断分析が完了するまで、外部配列決定診断ワークフローを実行し続ける。
【0053】
図2に更に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、診断ワークフロー結果を提供するために動作208を実施する。特に、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローの結果又は生成物として生成された診断ワークフロー結果を提供する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、外部エンティティによって操作された外部システムに中継するために、診断ワークフロー結果をウェブホスティングサーバに提供する。他の場合では、診断ワークフローシステム106は、診断ワークフロー結果を(例えば、クライアント装置108を介して)外部システムに直接提供する。例えば、診断ワークフローシステム106は、グラフィカルユーザインターフェース内でクライアント装置108を介して表示するための診断ワークフロー結果を提供する。
【0054】
上で記述されたように、特定の記載された実施形態では、診断ワークフローシステム106は、診断ワークフローシステム106の外部のシステム(1つ以上のサーバホスト)によって生成された外部配列決定診断ワークフローを実行する。特に、診断ワークフローシステム106は、外部システムが、配列決定データの曝露又は破損の危険を冒すことなく、それら自体の診断目的のために内部バリアント分析モデル(例えば、バリアント分析モデル107)によって生成された、ヌクレオチドベースコールなどの独自の配列決定データを活用するためのカスタム配列診断ワークフローを生成及び実行することを容易にする。図3は、1つ以上の実施形態による、安全な環境において内部配列決定データに対して外部配列決定診断ワークフローを実行するための例示的なフローを図示する。
【0055】
図3に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー310を実行するために、コンテナオーケストレーションエンジン318を利用する。具体的には、診断ワークフローシステム106は、配列決定装置302によって生成されたヌクレオチドベースコール306に対して診断分析を実施するために、外部配列決定診断ワークフロー310を実行する。実際、示されるように、配列決定装置302は、試料配列についてのヌクレオチドベースコール306を生成する(例えば、合成による配列決定、すなわち「SBS」を介して)ために、試料ヌクレオチド配列を分析する。次に、配列決定装置302は、ヌクレオチドベースコール306をバリアント分析モデル314(ホストする装置)に提供し、その後、バリアント分析モデル314は、ヌクレオチドベースコール306からバリアントコール316を生成する。
【0056】
実際、バリアント分析モデル314は、ヌクレオチドベースコール306及び/又は配列決定メトリクスなどの他の配列決定データからバリアントコール316を生成する。例えば、いくつかの場合では、配列決定装置302は、試料ヌクレオチド配列からヌクレオチドベースコール306及び配列決定メトリクスなどの配列決定データを生成する。診断ワークフローシステム106は、(例えば、コンテナオーケストレーションエンジン318を介して)三次分析又は追加の診断を実施するための基礎として、配列決定データ(ヌクレオチドベースコール306を含む)にアクセスするか、又は別様にそれを利用することができる。
【0057】
示されるように、診断ワークフローシステム106は、バリアントコール316(ヌクレオチドベースコール306及び対応するゲノム座標における他の配列決定データに基づく)に対して追加の診断又は三次分析を実施するために、コンテナオーケストレーションエンジン318を利用する。例えば、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー310などの配列決定診断ワークフローを実行するために、コンテナオーケストレーションエンジン318を利用する。1つ以上の実施形態では、コンテナオーケストレーションエンジン318及びバリアント分析モデル314は、バリアントコール316及び他の配列決定データを閉鎖環境内に保持する(例えば、追加のデータセキュリティのために)ために、ローカルエリアネットワークなどの共有ネットワーク312上に位置する。実際、診断ワークフローシステム106は、共有ネットワーク312を介してバリアント分析モデル314及びコンテナオーケストレーションエンジン318の両方と通信し、バリアント分析モデル314は、1つのサーバ装置上に位置し、コンテナオーケストレーションエンジン318は、共有ネットワーク312内の異なるサーバ装置上に位置する。
【0058】
特定の実装形態では、診断ワークフローシステム106は、外部システム(例えば、サードパーティシステム)によって生成又は修正される外部配列決定診断ワークフロー310を実装する。いくつかの場合では、外部システムは、共有ネットワーク312の外部にあるシステム、又はゲノム分析プラットフォーム104から離れた外部(例えば、サードパーティ)エンティティによって別様に操作されたシステムを指す。これらの、又は他の場合では、クライアント装置304(例えば、クライアント装置108)は、外部システム(例えば、その一部)に関連付けられる。いくつかの実施形態では、クライアント装置304は、外部アプリケーション308の一部として外部配列決定診断ワークフロー310を生成又は配列する。
【0059】
これらの線に沿って、外部アプリケーション308は、ワークフローリソースデータ(例えば、ゲノム)、ソフトウェア依存性を含有するドッカー画像(例えば、バリアント分析モデル314)、並びに外部アプリケーション308の名称及びバージョン、並びに外部アプリケーション308が配列決定装置302とどのようにインターフェースするか(例えば、互換性のあるインデックスアダプタキット及びライブラリ調製キット)、並びに診断分析がどのように構成され得るか、及びどのパラメータが(例えば、クライアント装置304によって)指定され得るかなどのメタデータとともに、外部配列決定診断ワークフロー310の定義を含む。クライアント装置304は、特定の診断を実施するための外部配列決定診断ワークフロー310を生成するために、最初から外部配列決定診断ワークフロー310のためのワークフローコンテナを配列するか、又は(例えば、ゲノム分析プラットフォーム104上に既にインストールされたワークフロー又はアプリケーションの一部として)ワークフローコンテナの既存の配列を修正するかのいずれかである。
【0060】
例えば、診断ワークフローシステム106は、ウェブインターフェースを介して、1つ以上の標準化された遺伝子診断プロトコル又は他の分析プロトコルに準拠する1つ以上の内部配列決定診断ワークフロー(又はアプリケーション)へのアクセスを提供する。診断ワークフローシステム106は更に、ワークフロー内の1つ以上のワークフローコンテナの定義を追加、削除、又は修正することによって、配列決定診断ワークフローに対する変更又は修正を容易にする(それによって外部配列決定診断ワークフローを生成する)。加えて、診断ワークフローシステム106は、利用可能なワークフローコンテナを配列することによって、かつ/又は新しいワークフローコンテナを生成若しくは定義することによって、完全に新しい外部配列決定診断ワークフローを生成することを容易にする。
【0061】
示されるように、1つ以上の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クライアント装置304から外部配列決定診断ワークフロー310を(例えば、外部アプリケーション308の一部として)受信する。他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クライアント装置304と通信する別のサーバから外部配列決定診断ワークフロー310を受信する。診断ワークフローシステム106は更に、外部配列決定診断ワークフロー310を実行し、診断ワークフロー結果326を生成するために、外部配列決定診断ワークフロー310をコンテナオーケストレーションエンジン318にインポートする。実際、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー310において定義されたワークフローコンテナに従って、バリアントコール316(又はヌクレオチドベースコール306及び/又は他の配列決定データ)を処理して、外部システムへの又は外部システムからの更なる通信なしに、外部配列決定診断ワークフロー310を内部で実行する。
【0062】
いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、ヌクレオチドベースコール306(及び他の配列決定データ)及び/又はバリアントコール316に対して診断分析を実施するために、外部配列決定診断ワークフロー310を実行する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、配列決定ランを実施するための指示を(例えば、クライアント装置304上に提示されるユーザインターフェースを介して)受信する。本指示に応答して、診断ワークフローシステム106は、試料ヌクレオチド配列からヌクレオチドベースコール306を生成するために配列決定装置302を利用し、更にヌクレオチドベースコール306からバリアントコール316を生成するためにバリアント分析モデル314を利用する。いくつかの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、別個のサーバで動作する配列決定装置302からヌクレオチドベースコール306(及び他の配列決定データ)を受信する。これらの、又は他の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、別個のサーバで動作するバリアント分析モデル314からバリアントコール316を受信する。診断ワークフローシステム106は更に、配列決定ランの間又は後のいずれかに、外部配列決定診断ワークフロー310の診断分析を実施する。
【0063】
示されるように、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジン318のワークフロー実行サービス320を介して、外部配列決定診断ワークフロー310を実行する。特に、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー310の実行をトリガするワークフロー実行サービス320と呼称されるコンテナオーケストレーションエンジン318の特定のワークフローコンテナを利用する。例えば、ワークフロー実行サービス320は、配列決定が完了した(例えば、配列決定装置302がヌクレオチドベースコール306の生成を完了した、及び/又はバリアント分析モデル314がヌクレオチドベースコール306からバリアントコール316の生成を完了した)ことを検出することによって、又は外部配列決定診断ワークフロー310の実行のためのポスト定義パラメータを(例えば、クライアント装置304上に提示されるユーザインターフェースを介して)受信することによって、実行をトリガする。
【0064】
いくつかの場合では、ポストは、外部配列決定診断ワークフロー310と互換性のあるバリアント分析モデル314の入力、出力、メモリ割り当て、及び/又は必要なバージョンなどの、外部配列決定診断ワークフロー310を実装するためのパラメータを定義する。いくつかの場合では、ポストは、ワークフロー定義ファイルの場所(例えば、アプリケーションディレクトリ内)、ワークフローリソースファイルの場所(例えば、アプリケーションディレクトリ内)、配列決定入力ディレクトリの場所(例えば、実行フォルダ)、出力ディレクトリの場所、及びワークフローに対する任意のユーザ構成パラメータを含む。実際、ポストに基づいて、診断ワークフローシステム106は、(i)コンテナ化されたタスク実行、(ii)タスクのオーケストレーション、(iii)タスクの個々のワークフローコンテナ及びワークフロー全体についての入力及び出力の管理、(iv)バリアント分析モデル(DRAGEN)アクセラレーション、(v)自動化ワークフロー実行(例えば、ユーザ対話なしの診断への配列決定)、(vi)システムリソース管理(例えば、CPU、RAM、ストレージ、及びFPGAリソースに基づくワークフローコンテナについてのタスクのスケジューリング)、及び(vii)ワークフローステータスを含む、外部配列決定診断ワークフロー310を実行するための多数の機能を提供することができる。
【0065】
診断ワークフローシステム106は、ヌクレオチドベースコール306及び/又はバリアントコール316などの配列決定データの曝露又は破損を防止する際に更なるセキュリティを提供する。実際、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー310の個々のワークフローコンテナを分離又はサイロ化して、それらがアクセスできるワークフローデータソースを限定する。示されるように、診断ワークフローシステム106は、配列決定データの特定のワークフローコンテナへの限定されたアクセスのみを許諾し、他のワークフローコンテナへのアクセスを許諾しない。例えば、コンテナオーケストレーションエンジン318は、外部配列決定診断ワークフロー310のための機能の大部分を構成するワークフローコンテナ324などの追加のワークフローコンテナの実行を編成する全体的なプロセスとして、ワークフローメインコンテナ322を利用する。描写されるように、診断ワークフローシステム106は、ワークフローメインコンテナ322への限定されたアクセスを許諾し、ワークフローコンテナ324(及び他のタスク固有ワークフローコンテナ)への配列決定データアクセスを許諾しない。このようにワークフローコンテナを区画化し、データアクセスを制御する一方で、配列決定データに対して詳細な診断を依然として実施することによって、診断ワークフローシステム106は、IVDなどの様々な標準化された遺伝子診断プロトコル、又はIUO及びRUOなどの他の標準化された分析(例えば、非診断)プロトコルについてのデータセキュリティ及びプロトコルコンプライアンスを提供する。ワークフローコンテナのデータ固有の分離に関する更なる詳細は、図4を参照して以下に提供される。
【0066】
もう1つの実施形態では、診断ワークフローシステム106は、クラウドとエッジとの間の統合されたランタイムを容易にする。詳述すると、診断ワークフローシステム106は、外部システムがバリアント分析モデル314を介して実行を開始し、コンテナオーケストレーションエンジン318による実装形態のための外部配列決定診断ワークフローを提供することを可能にすることができる。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、ほぼ同じランタイムでエッジサーバ装置又は分散クラウドサーバを利用して外部配列決定診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー310)を実行することができる。
【0067】
加えて、診断ワークフローシステム106は、ポータビリティ、例えば、外部配列決定診断ワークフローのコンポーネント又は異なるサーバ上のソリューション全体並びに配列決定装置(例えば、配列決定装置302)を展開する能力を提供する。実際、いくつかの場合では、コンテナオーケストレーションエンジン318は、配列決定装置302、バリアント分析モデル314、及び/又は様々なサーバ装置などの異なるコンポーネントにわたって異なるワークフローコンテナの実行を編成する。例えば、外部配列決定診断ワークフロー310のいくつかのワークフローコンテナは、第1のサーバ装置によって実行される一方、他のワークフローコンテナは、別のサーバ装置又は配列決定装置302によって実行される。したがって、診断ワークフローシステム106は、クラウドサーバとエッジサーバとの間のワークフローの統一された有効化を容易にする。したがって、ワークフローコンテナがタスクを実施し、出力を書き込むと、診断ワークフローシステム106は、環境内の別の場所で別のワークフローコンテナを実行するために出力にアクセスする(例えば、一度だけ書き込み、至る所で実行する)ために、コンテナオーケストレーションエンジン318を利用することができる。
【0068】
上で記述されたように、特定の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、配列決定データを保護するために、外部配列決定診断ワークフローの個々のワークフローコンテナを分離する。特に、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフローのどのワークフローコンテナが、読み取り及び/又は書き込み許可のために、どのワークフローデータソースにアクセスすることを許可されるかを決定する。図4は、1つ以上の実施形態による、診断ワークフローシステム106が特定のワークフローコンテナに割り当てる許可の例示的な描写を図示する。
【0069】
図4に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、外部配列決定診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー310)のワークフローコンテナ402のセット内の個々のワークフローコンテナを分離する。例えば、診断ワークフローシステム106は、特定のワークフローデータソース414から読み取り、及び/又はそこに書き込むために、ワークフローコンテナ402の各々に対して特定の許可を指定する。したがって、外部配列決定診断ワークフローの一部として実施される各粒状タスクは、指定された、又は許可されたワークフローデータソース内のデータのみにアクセスすることができる。
【0070】
実際、診断ワークフローシステム106は、異なるタイプのワークフローデータを記憶するワークフローデータソース414を指定することができ、所与のワークフローコンテナについて別のソースへのアクセスを防止しながら、1つのソースへのアクセスをアクティブ化することができる。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、ワークフローデータソース414を、1つ以上のワークフローコンテナに対して読み取り専用としてマウントする一方、他のワークフローコンテナに対しては読み取り-書き込みとしてマウントする。ワークフローコンテナ402の各々についてデータアクセスを選択的に指定することによって、診断ワークフローシステム106は、配列決定データの曝露を低減する。その結果として、診断ワークフローシステム106は、別様に配列決定データを潜在的に有害な配列決定診断ワークフローに曝すことから生じ得るデータ破損又は他の有害な影響を防止することができる。
【0071】
示されるように、診断ワークフローシステム106は、ワークフローコンテナ(又はワークフローコンテナのグループ)としてバリアント分析モデル404(例えば、バリアント分析モデル314)を実装することができる。実際、バリアント分析モデル404は、必ずしもコンテナオーケストレーションエンジン(例えば、コンテナオーケストレーションエンジン318)の一部でなくてもよいが、コンテナオーケストレーションエンジン318及びバリアント分析モデル404を収容するゲノム分析プラットフォーム104は、それにもかかわらず、個々のタスクのためにワークフローコンテナを利用し得る。図4に示されるように、診断ワークフローシステム106は、バリアント分析モデル404が、ワークフローデータソース414の各々、すなわち、入力ディレクトリ416、出力ディレクトリ418、及びアプリケーションディレクトリ420に対して、読み取り及び書き込みの両方を許可する。
【0072】
概して、入力ディレクトリ416は、ランフォルダ、試料シート、試料マッピング、並びにヌクレオチドベースコール306、バリアントコール316(例えば、バリアントコールファイル又はフィールド)、及び配列決定装置302並びに/又はバリアント分析モデル404によって生成された配列決定メトリクスなどの配列決定データを含む他の配列決定関連ファイルを記憶する。出力ディレクトリ418は、ワークフローコンテナによって生成され、他のワークフローコンテナに入力される診断ワークフロー結果及び中間出力などの情報を記憶する。加えて、アプリケーションディレクトリ420は、入力指定、出力指定、メモリ割り当て、互換性メトリック(例えば、バリアント分析モデル404の互換性バージョンを示す)、及び外部配列決定診断ワークフローの一部として含まれる様々なワークフローコンテナの定義を含む、ワークフロー定義などのアプリケーションに固有のファイルを記憶する。
【0073】
図4に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)406を分離する。具体的には、診断ワークフローシステム106は、入力ディレクトリ416、出力ディレクトリ418、及びアプリケーションディレクトリ420を含むワークフローデータソース414の各々について、ワークフロー実行サービスAPI 406の読み取り専用許可を許可する。いくつかの場合では、ワークフロー実行サービスAPI 406は、様々なワークフローコンテナへのアクセスを提供し、それらを呼び出すことができる。例えば、ワークフロー実行サービスAPI 406は、クライアント装置(例えば、クライアント装置304)によって提供されるポストに基づいて、外部配列決定診断ワークフローの実行を開始することができる。
【0074】
加えて、診断ワークフローシステム106は、ワークフロー実行サービスワーカー408(例えば、ワークフロー実行サービス320)を分離する。具体的には、診断ワークフローシステム106は、ワークフロー実行サービスワーカー408が入力ディレクトリ416及びアプリケーションディレクトリ420の両方からのみ読み取ることを許可する。診断ワークフローシステム106は更に、ワークフロー実行サービスワーカー408が出力ディレクトリ418に対して読み書きすることを許可する。実際、ワークフロー実行サービスワーカー408は、外部配列決定診断ワークフローのための追加のワークフローコンテナの実装形態を編成し、診断ワークフロー結果を出力ディレクトリ418に更に書き込む。
【0075】
更に、診断ワークフローシステム106は、ワークフローメインコンテナ410を分離する。具体的には、ワークフロー実行サービスワーカー408と同様に、診断ワークフローシステム106は、ワークフローメインコンテナ410が入力ディレクトリ416及びアプリケーションディレクトリ420からのみ読み取ることを許可する。診断ワークフローシステム106は更に、ワークフローメインコンテナ410が出力ディレクトリ418に対して読み書きすることを許可する。
【0076】
図4に更に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、ワークフローワーカーコンテナ412(例えば、ワークフローコンテナ324)を分離する。具体的には、ワークフロー実行サービスワーカー408及びワークフローメインコンテナ410と同様に、診断ワークフローシステム106は、ワークフローワーカーコンテナ412が入力ディレクトリ416及びアプリケーションディレクトリ420からのみ読みだすことを許可する。診断ワークフローシステム106は更に、ワークフローワーカーコンテナ412が出力ディレクトリ418に対して読み書きすることを許可する。
【0077】
上で記述されたように、特定の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、ワークフローコンテナの実行を(例えば、個々のタスクについて)編成するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用する。特に、診断ワークフローシステム106は、ワークフローコンテナのタスクを実施するために利用可能なコンピューティングリソースをスケジュールするためにコンテナオーケストレーションエンジンを利用する。図5は、1つ以上の実施形態による、ワークフローコンテナの実行をスケジュールするためにコンテナオーケストレーションエンジンを利用することを図示する。
【0078】
図5に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、配列決定診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー310)のワークフローコンテナを実行するために、コンテナオーケストレーションエンジン502(例えば、コンテナオーケストレーションエンジン318)を利用する。特に、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ゲノム配列処理装置(例えば、FPGA、又はCPU)によって、ワークフローコンテナA 504、ワークフローコンテナB 506、及びワークフローコンテナC 508の性能を編成する。図5の描写は、一例であり、いくつかの場合では、コンテナオーケストレーションエンジン502は、異なる利用可能なリソースを有する異なるサーバ又は装置にわたって異なるワークフローコンテナの性能を編成し、ここで、いくつかは、CPUを利用し得、他は、FPGA(又は他のコンピューティングプロセッサ)を利用し得る。
【0079】
ワークフローコンテナの性能のスケジューリングにおいて、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ゲノム配列処理装置510の利用可能なコンピューティングリソース(例えば、DRAGEN FPGAなどのFPGA、又はCPU)を決定する。利用可能なリソースは、ゲノム配列処理装置510がコンテナオーケストレーションエンジン502又は別のソースのいずれかから異なるタスクを実施するにつれて、経時的に変動することができる。したがって、診断ワークフローシステム106は、適応的で弾力的なリソース割り当てを実施し、CPU、RAM、FPGAリソース、バリアント分析モデル(DRAGEN)アクセラレータ、及びいくつかの利用可能なワーカーノードなどの利用可能なリソースでスケーリングするために、コンテナオーケストレーションエンジン502を利用する。
【0080】
示されるように、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ワークフローコンテナA 504を実行するコンテナA実行512を実施するために、ゲノム配列処理装置510と通信する。実際、ゲノム配列処理装置510が、利用可能なワーカーノード、利用可能なRAM、利用可能な処理能力、及び/又は利用可能なFPGA処理能力などの利用可能なコンピューティングリソースを有すると決定することに基づいて、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ワークフローコンテナA 504を提供する。次に、ゲノム配列処理装置510は、コンテナA実行512を実施する。いくつかの実施形態では、コンテナA実行512は、後続のワークフローコンテナのための入力として使用するために、診断ワークフローシステム106がネットワークロケーション(例えば、入力ディレクトリ416、出力ディレクトリ418、又はアプリケーションディレクトリ420)に記憶する中間コンテナ出力を生成する。
【0081】
図5に更に図示されるように、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ゲノム配列処理装置510による実行のためにワークフローコンテナB 506及びワークフローコンテナC 508を提供する。実際、コンテナオーケストレーションエンジン502は、コンテナA実行512が完了するときを決定又は検出し、次いで、ゲノム配列処理装置510が利用可能であるときにワークフローコンテナB 506を提供する。次に、ゲノム配列処理装置510は、コンテナB実行514を実施する。
【0082】
いくつかの場合では、ゲノム配列処理装置510は、連続してプロセスを実行する(例えば、複数のワークフローコンテナを同時に実行することができない)FPGAである。例えば、ゲノム配列処理装置510は、順に操作を実施することによってヌクレオチドベースコール及び他の配列決定データを生成するために、バリアント分析モデル(例えば、バリアント分析モデル404)を実装する。したがって、いくつかの場合では、ゲノム配列処理装置510は、動作を実施することに忙しく、動作が完了するまで別の動作を実施することができない。したがって、コンテナオーケストレーションエンジン502は、利用可能性に基づいてワークフローコンテナのタスクを実施するために、ゲノム配列処理装置510のリソースをスケジュールする。
【0083】
いくつかの実施形態では、ゲノム配列処理装置510は、配列決定診断ワークフローに関連しない(又は別の配列決定診断ワークフローのための)他のタスクを実施する。したがって、コンテナオーケストレーションエンジン502は、ゲノム配列処理装置510の利用可能性に基づいて、ワークフローコンテナ504~508の実行を編成する。示されるように、ゲノム配列処理装置510は、コンテナB実行514の後、かつコンテナC実行の前に、他のプロセス実行516(配列決定診断ワークフローに関連しない)を実施する。実際、コンテナオーケストレーションエンジン502は、他のプロセス実行516が完了すると、ゲノム配列処理装置510が利用可能であると決定し、ワークフローコンテナC 508を実行のためにゲノム配列処理装置510に提供する。次に、ゲノム配列処理装置510は、コンテナC実行518を実施する。
【0084】
コンテナオーケストレーションエンジン502は、配列決定診断ワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー)のためのワークフローコンテナの性能を、それが完了するまで、編成し続ける。例えば、コンテナオーケストレーションエンジン502は、全てのワークフローコンテナが実行されるまで(ワークフローによって定義される適切な順序で)、種々のワークフローコンテナを実行するために、ゲノム配列処理装置510及び/又は他のプロセッサ装置を利用する。コンテナオーケストレーションエンジン502は更に、全体的なワークフローから診断ワークフロー結果を生成する。診断ワークフローシステム106は、クライアント装置(例えば、クライアント装置304)上のユーザインターフェース内に表示するために結果を提供することができる。ワークフローコンテナを実行するためにリソース割り当てをスケジューリングすることによって、診断ワークフローシステム106は(コンテナオーケストレーションエンジン502を介して)、ダウンタイムを低減し、(特にFPGA又は他のシリーズ指向装置のための)重複プロセスを防止してクラッシュ及び減速を低減することによって、コンピューティングリソースを効率的に利用することができる。
【0085】
上で記述されたように、特定の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジンの実行モードを決定する。特に、診断ワークフローシステム106は、特定のワークフロー(例えば、外部配列決定診断ワークフロー)を実行するときに、コンテナオーケストレーションエンジンが満足することを目的とする標準化された遺伝子診断プロトコルに基づいて、実行モードを決定する。図6は、1つ以上の実施形態による、コンテナオーケストレーションエンジンの実行モードと互換性のある診断アプリケーション(及び/又は互換性のない診断アプリケーション)を決定又は同定するための例示的なフローを図示する。
【0086】
図6に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、ワークフローコンテナ608などの様々なワークフローコンテナを含む診断ワークフローを実行するために、コンテナオーケストレーションエンジン602を利用する。実際、記載されたように、コンテナオーケストレーションエンジン602は、ワークフローの実行をトリガし、容易にするために、ワークフロー実行サービス604及びワークフローメインコンテナ606を利用する。いくつかの実施形態では、外部配列決定診断ワークフロー(又はその親アプリケーション)は、コンテナオーケストレーションエンジン602のための特定の実行モード610を指定する。例えば、ワークフローは、IVDなどの標準化された遺伝子診断プロトコルを示すか、又はワークフローを実行するときにコンテナオーケストレーションエンジン602が準拠しなければならないIUO若しくはRUOなどの別の標準化された分析プロトコルを示す。
【0087】
コンテナオーケストレーションエンジン602のための実行モード610を検出又は決定することに基づいて、診断ワークフローシステム106は、互換性のある診断アプリケーション612のセットを同定する。例えば、診断ワークフローシステム106は、IVDなどの標準化された遺伝子診断プロトコルを満足するために、特定の規制機関(例えば、FDA)によって承認されている診断アプリケーション又はワークフローを同定する。診断ワークフローシステム106は更に、標準化された遺伝子診断プロトコルを満足しない他の診断アプリケーション(例えば、IUO又はRUOなどのより低いバーを満足するが、IVDは満たさないアプリケーション)を除去するか、又はそれへのアクセスを防止する。別の実施例として、診断ワークフローシステム106は、IUO又はRUOなどのより低いバーを(少なくとも)満足する分析アプリケーション(より高いバーを満足するアプリケーションを含むが、そうでない他のアプリケーション又はワークフローへのアクセスを防止する)を同定する。したがって、診断ワークフローシステム106は、実行モード610と互換性のある、互換性のある診断アプリケーション612のみが特定の配列決定ランに利用可能であることを確実にする。示されるように、診断ワークフローシステム106は、アプリケーションA 614及びアプリケーションC 618がコンテナオーケストレーションエンジン602の実行モード610と互換性がある一方で、アプリケーションB 616は実行モード610と互換性がないと決定する。
【0088】
診断ワークフローシステム106は更に、互換性のある診断アプリケーション612へのアクセスを許諾又は許可する。例えば、診断ワークフローシステム106は、1つ以上のアプリケーション又はワークフローを選択し、実行モード610において実行される配列決定ランに適用する(例えば、ユーザインターフェースを介して提示することによって)ために、クライアント装置(例えば、クライアント装置304)へのアクセスを許諾する。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジン602が、互換性のある診断アプリケーション612のうちの1つ以上の(例えば、その中の特定のワークフローコンテナの)全て又は一部を実行するためのアクセスを許諾する。例えば、外部配列決定診断ワークフローの実行の一部として、診断ワークフローシステム106は、標準化された遺伝子診断プロトコルに準拠するアプリケーションのみにアクセスすることができる。いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、コンテナオーケストレーションエンジン602によって実装される外部配列決定診断ワークフローへの適用又は適合のために、互換性のある診断アプリケーション612内の個々のワークフローコンテナへのアクセスを許諾する。
【0089】
上で記述されたように、特定の実施形態では、診断ワークフローシステム106は、試料配列のヌクレオチドリード及びベースコールに関連付けられた外部ワークフローを実行するために、コンテナ及びポッドを利用する。特に、診断ワークフローシステム106は、ゲノム試料内で示される遺伝子マーカー又は遺伝形質を同定するために、診断ワークフローを介して配列決定データを分析することができる。図7は、1つ以上の実施形態による、外部診断ワークフローを実装することに伴われる、システムアーキテクチャ(例えば、ローカルサーバ装置上にインストールされる)のコンポーネント、アプリケーション、装置、及びコンテナの例示的図を図示する。
【0090】
図7に図示されるように、診断ワークフローシステム106は、様々なコンポーネント又はシステムと通信し、ローカルサーバ上のバリアント分析モデル(例えば、サーバ装置102上のバリアント分析モデル107)のバージョンによって使用され、かつ/又は命令される配列決定動作を実施するために、配列決定装置(例えば、配列決定装置114)を利用する。例えば、診断ワークフローシステム106は、ゲノム試料のヌクレオチドベースについてのベースコール及び他の配列決定データを生成するために、BaseSpace Sequencing Hub(「BSSH」)又は研究専用(「RUO」)のためのクラウドベースインターフェース及び実験室情報管理システム(「lab information management system、LIMS」)と通信する。
【0091】
BSSH RUO及び/又はLIMSからの情報に基づいて、診断ワークフローシステム106は、試料のリアルタイム分析(「real-time analysis、RTA」)を実施する。より具体的には、診断ワークフローシステム106は、配列決定計画に従ってゲノム試料のヌクレオチドベースからベースコール、バリアントコール、及び/又は様々なメトリックを決定するために、RTAを実施する。RTAに基づいて、診断ワークフローシステム106は、(例えば、RTAを介して)1つ以上の配列決定ランによって生成及び出力された生データを含むバイナリベースコール(「binary base call、BCL」)ファイルを生成する。実際、BCLファイルは、ベースコール、バリアントコール、並びに/又はバリアント分析モデル及び/若しくはいくつかの他のシステムによる解釈のための他の配列決定情報を示すことができる。
【0092】
RTAの配列決定ランを編成又は計画するために、診断ワークフローシステム106は、特定の試料に対する配列決定ランを計画又はスケジュールするための制御ソフトウェア(例えば、ユーザインターフェースを含む)を提供する。実際、診断ワークフローシステム106は、例えば、計画パラメータに従って特定の遺伝子マーカーについてゲノム試料を試験するために、1つ以上の配列決定ランを計画するための制御ソフトウェア及びユーザインターフェースを提供する。例えば、制御ソフトウェアは、ユーザが配列決定ランのためのパラメータを指定すること、及び/又は特定のマーカーについて試験することを可能にする。示されるように、診断ワークフローシステム106は、配列決定ランを計画するために配列決定装置とインターフェースするために、配列決定装置のための制御ソフトウェアをユーザインターフェースウェブポータル(スタンドアロンウェブブラウザ及び制御ソフトウェア統合を含む)と統合することができる。
【0093】
いくつかの場合では、診断ワークフローシステム106は、配列決定ランのためのローカル計画を容易にし、計画ソフトウェア(例えば、制御ソフトウェア)は、ローカルエッジサーバなどのローカルサーバ装置によってホストされる。これらの、又は他の場合では、診断ワークフローシステム106は、配列決定ランのためのクラウド計画を容易にし、計画ソフトウェア(例えば、制御ソフトウェア)は、ローカルサーバではなくクラウドサーバ上でホストされる。同様に、バリアント分析モデルの実行は、バリアント分析モデルをホストするサーバがローカルサーバ(例えば、サーバ装置102)であるかどうかに応じて、ローカル又はクラウドベースであることができる。したがって、(i)診断ワークフローシステム106は、(ii)配列決定装置114に、若しくはその近くに位置するローカルサーバ装置上でローカルに、又はクラウドベースのサーバ装置上でリモートに実行されるバリアント分析モデル107と組み合わせて、配列決定装置114に、若しくはその近くに位置するローカルサーバ装置上でローカルに、又はクラウドベースのサーバ装置上でリモートに実行されることができる。
【0094】
図7に更に図示されるように、診断ワークフローシステム106のシステムアーキテクチャ700は、1つ以上のコアサービスに関連付けられたコンテナ又はシステムを含むか、又はそれらと通信する。実際、示されるように、診断ワークフローシステム106は、システムアーキテクチャ700のサービスを含む。システムアーキテクチャ700の様々なサービスを管理又は編成するために、システムアーキテクチャ700は、本明細書に記載されるような診断ワークフローを介してゲノム分析を実施することに関連付けられた様々なポッド及びコンテナを管理及び実装するために、コンテナオーケストレーションエンジン701(例えば、K3S又はKubernetes)を含む。記載されるように、診断ワークフローシステム106は、診断ワークフローを編成又は調整して、ベースコール、バリアントコール(例えば、サードパーティシステムのアプリケーションによって示されるような)のためにゲノム配列を分析するために、コンテナオーケストレーションエンジン701を利用する。コンテナオーケストレーションエンジン701は、ユーザ管理、アプリケーション管理、ラン管理、バリアント分析モデル管理、機器管理、データコピー、及び監査ロギングを含む、他の機能も実施するために、ポッド及びコンテナを含む。
【0095】
例えば、システムアーキテクチャ700は、1つ以上のユーザ管理ポッド又はコンテナのセットを含むユーザ管理サービス702を含む。ユーザ管理サービス702は、シングルサインオン(「single sign-on、SSO」)体験システム全体を提供するための様々なプロセス又は機能を実施する。具体的には、ユーザ管理サービス702は、例えば、診断ワークフローを実行するためのユーザ設定又は選好を含む、ゲノム配列を分析するための診断ワークフロー(例えば、サードパーティシステムのうちの1つから)を決定するために、サードパーティシステムのためのユーザ情報を含む、又はそれにアクセスする、1つ以上のコンテナ又はポッドを含むことができる。診断ワークフロー及び/又はユーザ設定の決定に基づいて、ユーザ管理サービス702は、診断ワークフローの実施を開始し、それに応じてゲノム配列を分析するために、システムアーキテクチャ700の他のサービスと通信することができる。
【0096】
加えて、システムアーキテクチャ700は、コンテナオーケストレーションエンジン701と通信するアプリケーション管理サービス704を含むか、又は利用する。例えば、アプリケーション管理サービス704は、診断ワークフローのためのアプリケーションパッケージインストールを管理する。いくつかの場合では、アプリケーション管理サービス704は、リソースマネージャを更に含む。リソースマネージャは、アプリケーション仕様によって指定されるように、及び/又は診断ワークフローの一部として、ゲノム分析装置リソースにアクセス又は利用することができる。詳述すると、リソースマネージャは、コンテナオーケストレーションエンジンを介したアクセスのためのスケジュール可能なリソースとして、FPGA又はCPUなどの指定されたリソースにアクセスするためのリソースラベルを同定する。実際、いくつかの場合では、アプリケーション管理サービス704は、ゲノム分析アプリケーション(又は特定のワークフローポッド)の診断ワークフローを実行するためのFPGA若しくはCPU又は何らかの他のゲノム分析装置を示すアプリケーション仕様を含み(又はサードパーティシステムから受信し)、したがって、リソースマネージャは、ゲノム分析アプリケーション(又は特定のワークフローポッド)の実行を容易にするために、指定された装置(又は他のリソース)にアクセスするか、又は通信する。
【0097】
更に示されるように、システムアーキテクチャ700は、ラン管理及びオーケストレーションサービス706を含むか、又は利用する。詳述すると、ラン管理及びオーケストレーションサービス706は、配列決定ラン、一次分析、二次分析、又は三次分析などの診断ワークフローを介してゲノム分析を容易にし、実行するための1つ以上のコンテナ又はポッドを含む。実際、ラン管理及びオーケストレーションサービス706は、バリアント分析モデルのインストールされたバージョンに従って配列決定ラン(及び/又は更なる分析)を実行するためのコンピュータコード又は命令を含む。例えば、ラン管理及びオーケストレーションサービス706は、サードパーティシステムに関連付けられたアプリケーションなどのアプリケーション(例えば、TSO500アプリケーション、QCアプリケーション、又は別のアプリケーションなどの腫瘍学アッセイアプリケーション)のためのカスタム診断ワークフローを実行するために、ワークフローエンジン714と通信する。ラン管理及びオーケストレーションサービス706は、ゲノム分析を実施するために、及び/又はローカルネットワーク接続ストレージ(「network attached storage、NAS」)、サーバメッセージブロック(「server message block、SMB」)、若しくは共通インターネットファイルシステム(「common internet file system、CIFS」)などのデータベースに記憶するために、入力及び出力配列決定データを(例えば、配列決定装置によって生成されたBCLファイルから)コピーするようにデータコピーサービス712と通信ためのコードを更に含む。
【0098】
加えて、システムアーキテクチャ700は、バリアント分析モデル管理サービス708を含む。特に、バリアント分析モデル管理サービス708は、ゲノム分析を実施するためのバリアント分析モデル(例えば、バリアント分析モデル107)を管理するための1つ以上のコンテナ又はポッドを含む。例えば、バリアント分析モデル管理サービス708は、試料ゲノム配列内のある特定の状態についての遺伝子マーカーを検出するために、バリアント分析モデルを使用して特定の診断ワークフローを実装する。加えて、バリアント分析モデル管理サービス708は、バリアント分析モデルについてのライセンス供与、自己試験、及びバージョン認証などのモデル周辺機器を管理する。
【0099】
図7に更に図示されるように、システムアーキテクチャ700は、機器管理サービス710を含む。1つ以上の実施形態では、機器管理サービス710は、配列決定ワークフロー及び/又は配列決定後のゲノム分析ワークフローの一部として使用される機器をペアリング及び監視するための1つ以上のコンテナ又はポッドを含む。例えば、機器管理サービス710は、互換性のある機器をバリアント分析モデルの示されたバージョンとペアリングする(又はその逆)ために、配列決定装置及び/又はバリアント分析モデルの機器を管理する。システムアーキテクチャ700は、アプリケーションワークフロー内の機器、バリアント分析モデルのコンポーネント、及び/又はコンテナの性能を監視及びロギングするための監査ロギングサービス716を更に含む。例えば、監査ロギングサービス716は、システムアーキテクチャ700に関連付けられたエラー又は他の監査情報を検出し、ロギングする。
【0100】
図1及び他の箇所の記載において上で示唆されるように、図7に図示されるシステムアーキテクチャ700を使用して、診断ワークフローシステム106は、エッジサーバ(例えば、ローカルサーバ装置102)上にローカルに、又はIllumina Connected Analytics(「ICA」)をホストするクラウドベースのサーバ及び/若しくはAmazon Web Services(「AWS」)からのクラウドベースのサーバ上などのクラウド内に展開されることができる。例えば、診断ワークフローシステム106は、配列決定ラン又は他のアッセイのためのユーザ入力に基づいてリソースを計画する計画ソフトウェアの一部として、ローカルサーバ装置上でローカルに、又はクラウドベースのサーバ装置上でリモートに実行されることができ、バリアント分析モデル107は同様に、BCLデータを分析し、バリアントコール又は他のメトリックを決定するために、ローカルサーバ装置上でローカルに、又はクラウドベースのサーバ装置上でリモートに実行されることができる。
【0101】
次に図8を参照すると、この図は、1つ以上の実施形態による、コンテナオーケストレーションエンジンを利用して外部配列決定診断ワークフローを実行する一連の動作の例示的なフローチャートを図示する。図8は、一実施形態による動作を図示するが、代替的実施形態は、図8に示される動作のいずれかを省略、追加、再配列、及び/又は修正し得る。図8の動作は、方法の一部として実施されることができる。代替的に、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、コンピューティング装置に図8に描写された動作を実施させる命令を含むことができる。更なる実施形態では、システムは、少なくとも1つのプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されると、システムに図8の動作を実施させる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体とを備える。
【0102】
図8に示されるように、一連の動作800は、ヌクレオチドベースコールを同定する動作802を含む。特に、動作802は、試料ヌクレオチド配列についてのバリアント分析モデルによって生成されたヌクレオチドベースコールを同定することを含むことができる。
【0103】
加えて、一連の動作800は、コンテナオーケストレーションエンジンが外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求する動作804を含む。特に、動作804は、バリアント分析モデルに関連付けられたコンテナオーケストレーションエンジンが、試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施するための外部配列決定診断ワークフローを実装することを要求することを含むことができる。例えば、動作804は、コンテナオーケストレーションエンジン及びバリアント分析モデルとは別個である外部アプリケーションから同定された外部配列決定診断ワークフローを実装することを伴うことができる。
【0104】
図8に更に図示されるように、一連の動作800は、1つ以上のワークフローコンテナを同定する動作806を含む。特に、動作806は、外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを同定することを含むことができる。
【0105】
更に、一連の動作800は、1つ以上のワークフローコンテナを使用して外部配列決定診断ワークフローを実行する動作808を含む。特に、動作808は、1つ以上のワークフローコンテナを実装するために、コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、外部配列決定診断ワークフローを実行することを含むことができる。例えば、動作808は、バリアント分析モデルによるバリアント分析が試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールを生成した後に、又はバリアント分析モデルによるバリアント分析中に、外部配列決定診断ワークフローを実行することを伴うことができる。いくつかの場合では、動作808は、外部配列決定診断ワークフローを実行している間、1つ以上のワークフローコンテナが試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを選択的に防止することを伴う。これらの、又は他の場合では、動作808は、バリアント分析モデルをホストするサーバ装置上に位置するコンテナオーケストレーションエンジンを利用することを伴う。実際、動作808は、コンテナオーケストレーションエンジン及びバリアント分析モデルとは別個の外部システムによって生成された外部配列決定診断ワークフローを実行することを伴うことができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、一連の動作800は、標準化された遺伝子診断プロトコルに対応する診断実行モードを決定する動作を含む。一連の動作800はまた、クライアント装置に対して、診断実行モードと互換性のある診断アプリケーションのみへのアクセスを許諾する動作を含むことができる。特定の場合では、一連の動作800は、外部エンティティによって操作された外部装置によって生成された外部配列決定診断ワークフローを受信する動作を含む。
【0107】
一連の動作800は、配列決定データへのアクセスを防止するために、1つ以上のワークフローコンテナについての異なるワークフローデータソースへのアクセスを制御する動作を含むことができる。例えば、一連の動作800は、1つ以上のワークフローコンテナのうちの1つのワークフローコンテナが、試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを防止する動作を含むことができる。ワークフローコンテナが試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを防止することは、入力ディレクトリ、出力ディレクトリ、及びアプリケーションディレクトリを含む1つ以上のワークフローデータソースにワークフローコンテナがアクセスすることを防止することを伴うことができる。
【0108】
一連の動作800はまた、バリアント分析モデルのバージョンを定義するラベルの指標及び外部配列決定診断ワークフローを実行するために利用するメモリ割り当てを受信する動作を含むことができる。追加的に、一連の動作800は、異なるタイプのワークフローデータを記憶する複数のワークフローデータソースを指定する動作を含むことができる。更に、一連の動作800は、1つ以上のワークフローコンテナの中からの1つのワークフローコンテナに対して、複数のワークフローデータソースのうちの第1のワークフローデータソースへのアクセスをアクティブ化する一方で、複数のワークフローデータソースのうちの他のワークフローデータソースへのアクセスを防止する動作を含むことができる。一連の動作800は、1つ以上のワークフローコンテナのための読み取り専用として、複数のワークフローデータソースをマウントする動作を含むことができる。いくつかの実施形態では、一連の動作800は、コンテナオーケストレーションエンジンを介して、外部配列決定診断ワークフローを実装するためのポスト定義パラメータを受信することによって、外部配列決定診断ワークフローの実行をトリガする動作を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、一連の動作800は、外部配列決定診断ワークフローの実行中に試料ヌクレオチド配列のヌクレオチドベースコールに関連付けられた配列決定データへの読み取り専用アクセスを外部配列決定診断ワークフローに許諾するワークフロー実行アプリケーションを符号化することによって、外部配列決定診断ワークフローも実行しながら、1つ以上の標準化遺伝子診断プロトコルを満足する動作を含む。
【0110】
本明細書に記載の方法は、様々な核酸配列決定技術と併せて使用することができる。特に適用可能な技術は、核酸を、それらの相対的位置が変化しないようにアレイ内の固定位置に付着させ、アレイが繰り返し撮像されるものである。例えば、1つのヌクレオチド塩基型を別のヌクレオチド塩基型と区別するために使用される異なる標識と一致する異なる色チャネルで画像が得られる実施形態は、特に適用可能である。いくつかの実施形態では、標的核酸のヌクレオチド配列を決定するプロセスは、自動化プロセスであり得る。好ましい実施形態は、合成による配列決定(sequencing-by-synthesis、SBS)技術を含む。
【0111】
SBS技術は、一般に、鋳型鎖に対するヌクレオチドの反復的付加による、新生核酸鎖の酵素的伸長を伴う。SBSの従来の方法では、単一のヌクレオチドモノマーが、各送達においてポリメラーゼの存在下で標的ヌクレオチドに提供され得る。しかしながら、本明細書に記載の方法では、送達中のポリメラーゼの存在下で、2つ以上の種類のヌクレオチドモノマーを標的核酸に提供することができる。
【0112】
SBSは、ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマー、又は任意のターミネーター部分を欠くヌクレオチドモノマーを利用することができる。ターミネーターを欠くヌクレオチドモノマーを利用する方法としては、例えば、以下に更に詳細に記載されるように、γ-リン酸標識ヌクレオチドを使用するピロ配列決定及び配列決定が挙げられる。ターミネーターを含まないヌクレオチドモノマーを使用する方法では、各サイクルに添加されるヌクレオチドの数は、概ね可変であり、鋳型配列及びヌクレオチド送達のモードに依存する。ターミネーター部分を有するヌクレオチドモノマーを利用するSBS技術では、ターミネーターは、ジデオキシヌクレオチドを利用する従来のSanger配列決定の場合のように使用される配列決定条件下で有効に不可逆的であり得るか、又はターミネーターは、Solexa(現Illumina)によって開発された配列決定方法の場合のように可逆的であり得る。
【0113】
SBS技術は、標識部分を有するヌクレオチドモノマー、又は標識部分を欠くヌクレオチドモノマーを使用することができる。したがって、標識の蛍光などの標識の特性、分子量又は電荷などのヌクレオチドモノマーの特性、ピロリン酸の放出などのヌクレオチドの組み込みの副生成物などに基づいて、組み込みイベントを検出することができる。2つ以上の異なるヌクレオチドが配列決定試薬中に存在する実施形態では、異なるヌクレオチドは、互いに区別可能であり得るか、又は代替的に、2つ以上の異なる標識は、使用される検出技術の下で区別可能であり得る。例えば、配列決定試薬中に存在する異なるヌクレオチドは、異なる標識を有することができ、それらは、Solexa(現Illumina)によって開発された配列決定方法によって例示される適切な光学系を使用して区別することができる。
【0114】
好ましい実施形態としては、パイロシーケンシング(パイロ配列決定)技術が挙げられる。ピロ配列決定は、特定のヌクレオチドが新生鎖に組み込まれるときに無機ピロリン酸塩(inorganic pyrophosphate、Ppi)の放出を検出する(Ronaghi,M.,Karamohamed,S.,Pettersson,B.,Uhlen,M.and Nyren,P.(1996)「Real-time DNA sequencing using detection of pyrophosphate release.」Analytical Biochemistry 242(1),84-9、Ronaghi,M.(2001年)の「ピロシークエンシングはDNAシーケンクエンシングに光を当てる」、Genome Res.11(1),3-11、Ronaghi,M.,Uhlen,M.and Nyren,P.(1998)「A sequencing method based on real-time pyrophosphate」、Science 281(5375),363、米国特許第6,210,891号、同第6,258,568号及び同第6,274,320号、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる)。ピロ配列決定では、放出されたPpiは、ATPスルフラーゼによってアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)に即座に変換されることによって検出することができ、生成されたATPのレベルはルシフェラーゼで生成された光子を介して検出される。配列決定される核酸は、アレイ中の特徴に結合させることができ、アレイは、アレイの特徴にヌクレオチドを組み込むことにより生成される化学発光シグナルを捕捉するために画像化することができる。アレイを特定のヌクレオチド型(例えば、A、T、C、又はG)で処理した後に、画像を得ることができる。各ヌクレオチド型の添加後に得られる画像は、アレイ内のどの特徴が検出されるかに関して異なる。画像内のこれらの差異は、アレイ上の特徴の異なる配列コンテンツを反映する。しかしながら、各特徴の相対的な位置は、画像内で変わらないままである。画像は、本明細書に記載の方法を使用して記憶、処理、及び分析することができる。例えば、アレイを各異なるヌクレオチド型で処理した後に得られる画像は、可逆的ターミネーターベースの配列決定方法についての異なる検出チャネルから得られる画像について、本明細書に例示されるものと同じ方法で処理することができる。
【0115】
別の例示的な種類のSBSでは、サイクル配列決定は、例えば、その開示が参照により組み込まれる、国際公開第04/018497号及び米国特許第7,057,026号に記載されているような切断可能な又は光漂白可能な色素標識を含む可逆的ターミネーターヌクレオチドを段階的に付加することによって達成される。この手法は、Solexa(now Illumina Inc.)によって商品化されており、国際公開第91/06678号及び同第07/123,744号にも記載されており、これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。終端の両方を逆転させることができ、蛍光標識が開裂された蛍光標識ターミネーターの可用性は、効率的な循環可逆的終端(cyclic reversible termination、CRT)配列決定を容易にする。ポリメラーゼはまた、これらの修飾されたヌクレオチドを効率的に組み込み、かつそこから伸長するように共操作することもできる。
【0116】
好ましくは、可逆的ターミネーターベースの配列決定実施形態では、標識は、SBS反応条件下での伸長を実質的に阻害しない。しかしながら、検出標識は、例えば、開裂又は分解によって除去可能であり得る。画像は、アレイ化された核酸特徴への標識の組み込み後に撮影することができる。特定の実施形態では、各サイクルは、アレイへの4つの異なるヌクレオチド型の同時送達を伴い、各ヌクレオチド型は、スペクトル的に異なる標識を有する。次に、4つの異なる標識の1つに選択的な検出チャネルをそれぞれ使用して、4つの画像を得ることができる。代替的に、異なるヌクレオチド型を順次追加することができ、各追加ステップの間にアレイの画像を得ることができる。このような実施形態では、各画像は、特定の型のヌクレオチドを組み込んだ核酸特徴を示す。各特徴部のシーケンスコンテンツが異なるため、様々な画像に様々な特徴部が存在するか、存在しない。しかしながら、特徴の相対的な位置は、画像内で変わらないままである。このような可逆的ターミネーター-SBS方法から得られる画像は、本明細書に記載されるように、保存、処理、及び分析することができる。画像撮影ステップに続いて、標識を除去することができ、その後のヌクレオチド添加及び検出のサイクルについて可逆的ターミネーター部分を除去することができる。特定のサイクルで検出された後、及び後続のサイクルの前に標識を除去すると、サイクル間のバックグラウンドシグナル及びクロストークを低減できるという利点がある。有用な標識及び除去方法の例を以下に記載する。
【0117】
特定の実施形態では、ヌクレオチドモノマーの一部又は全ては、可逆的ターミネーターを含むことができる。このような実施形態では、可逆的ターミネーター/開裂可能なフルオロフォア(fluor)は、3’エステル結合を介してリボース部分に結合したフルオロフォア(fluor)を含むことができる(Metzker,Genome Res.15:1767-1776(2005)、これは参照により本明細書に組み込まれる)。他の手法は、ターミネーターの化学を蛍光標識の切断から分離している(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Ruparel et al.,Proc Natl Acad Sci USA 102:5932-7(2005))。Ruparelらは、少量の3’アリル基を使用して伸長をブロックするが、パラジウム触媒で短時間処理することで簡単にブロックを解除できる可逆性ターミネーターの開発について記載する。フルオロフォアは、長波長UV光への30秒の曝露によって容易に開裂することができる光開裂可能リンカーを介して基に付着された。したがって、ジスルフィド還元又は光開裂のいずれかを開裂可能なリンカーとして使用することができる。可逆的終端への別の手法は、dNTP上に嵩高な染料を配置した後に続く自然終端の使用である。dNTP上の帯電した嵩高な染料の存在は、立体障害及び/又は静電障害を介して効果的なターミネーターとして作用することができる。1つの組み込みイベントの存在は、染料が除去されない限り、それ以上の結合を防止する。染料の開裂は、フルオロフォア(fluor)を除去し、終端を効果的に逆転させる。修飾ヌクレオチドの例はまた、米国特許第7,427,673号及び米国特許第7,057,026,号に記載されており、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0118】
本明細書に記載の方法及びシステムとともに利用することができる追加の例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許出願公開第2007/0166705号、米国特許出願公開第2006/0188901号、米国特許第7,057,026号、米国特許出願公開第2006/0240439号、米国特許出願公開第2006/0281109号、国際公開第05/065814号、米国特許出願公開第2005/0100900号、国際公開第06/064199号、国際公開第07/010,251号、米国特許出願公開第2012/0270305号、及び米国特許出願公開第2013/0260372号に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
いくつかの実施形態は、4つ未満の異なる標識を使用する4つの異なるヌクレオチドの検出を利用することができる。例えば、SBSは、組み込まれた資料である米国特許出願公開第2013/0079232号に記載される方法及びシステムを使用して実施することができる。第1の例として、ヌクレオチド型の対は、同じ波長で検出することができるが、対のうちの1つのメンバーに対する強度の差に基づいて、又は、対の他の部材について検出されたシグナルと比較して明らかなシグナルを出現又は消失させる、対の1つのメンバーへの変化(例えば、化学修飾、光化学修飾、又は物理的改質を行うことを介して)に基づいて区別され得る。第2の例として、4つの異なるヌクレオチド型のうちの3つを特定の条件下で検出することができ、一方、第4のヌクレオチド型は、それらの条件下で検出可能な標識がないか、又はそれらの条件下で最小限に検出される(例えば、バックグラウンド蛍光による最小限の検出など)。最初の3つのヌクレオチド型を核酸に組み込むことは、それらの対応するシグナルの存在に基づいて決定することができ、第4のヌクレオチド型を核酸に組み込むことは、任意のシグナルの不在又は最小限の検出に基づいて決定することができる。第3の例として、1つのヌクレオチド型は、2つの異なるチャネルで検出される標識を含むことができ、一方、他のヌクレオチド型は、チャネルのうちの1つ以下で検出される。前述の3つの例示的な構成は、相互に排他的であるとはみなされず、様々な組み合わせで使用することができる。3つ全ての例を組み合わせた例示的な実施形態は、第1のチャネルで検出される第1のヌクレオチド型(例えば、第1の励起波長によって励起されたときに第1のチャネルで検出される標識を有するdATP)、第2のチャネルで検出される第2のヌクレオチド型(例えば、第2の励起波長によって励起されたときに第2のチャネルで検出される標識を有するdCTP)、第1及び第2のチャネルの両方において検出される第3のヌクレオチド型(例えば、第1及び/又は第2の励起波長によって励起されたときに両方のチャネルで検出される少なくとも1つの標識を有するdTTP)、及びいずれのチャネルでも検出されないか、又は最小限に検出される標識を欠く第4のヌクレオチド型(例えば、標識のないdGTP)を使用する蛍光ベースのSBS方法である。
【0120】
更に、組み込まれた資料である米国特許出願公開第2013/0079232号に記載のように、配列決定データは、単一のチャネルを使用して得ることができる。このようないわゆる1つの染料配列決定方法では、第1のヌクレオチド型は標識されるが、第1の画像が生成された後に標識が除去され、第2のヌクレオチド型は、第1の画像が生成された後にのみ標識される。第3のヌクレオチド型は、第1及び第2の画像の両方においてその標識を保持し、第4のヌクレオチド型は、両方の画像において標識されていないままである。
【0121】
いくつかの実施形態は、ライゲーション技術による配列決定を利用することができる。このような技術は、DNAリガーゼを利用してオリゴヌクレオチドを組み込み、そのようなオリゴヌクレオチドの組み込みを特定する。オリゴヌクレオチドは、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする配列中の特定のヌクレオチドの同一性と相関する異なる標識を有する。他のSBS方法と同様に、標識された配列決定試薬で核酸特徴のアレイを処理した後、画像を得ることができる。各画像は、特定の型の標識を組み込んだ核酸特徴を示す。各特徴部のシーケンスコンテンツが異なるため、様々な画像に様々な特徴部が存在するか、存在しないが、特徴部の相対的な位置は、画像内で変わらないままである。ライゲーションベースの配列決定方法から得られる画像は、本明細書に記載されるように保存、処理、及び分析することができる。本明細書に記載の方法及びシステムとともに利用することができる例示的なSBSシステム及び方法は、米国特許第6,969,488号、米国特許第6,172,218号、及び米国特許第6,306,597号に記載されており、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0122】
いくつかの実施形態は、ナノ細孔配列決定を利用することができる(Deamer,D.W.& Akeson,M.「Nanopores and nucleic acids:prospects for ultrarapid sequencing.」Trends Biotechnol.18,147-151(2000)、Deamer,D.and D.Branton,「Characterization of nucleic acids by nanopore analysis」.Acc.Chem.Res.35:817-825(2002)、Li,J.、M.Gershow、D.Stein、E.Brandin、及びJ.A.Golovchenkoの「固体ナノ細孔顕微鏡中のDNA分子及び構成」、Nat.Mater.2:611-615(2003)、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。そのような実施形態では、標的核酸はナノ細孔を通過する。ナノ細孔は、α-ヘモリジンなどの合成孔又は生体膜タンパク質であり得る。標的核酸がナノ細孔を通過するとき、各塩基対は、細孔の電気コンダクタンスの変動を測定することによって特定することができる。(米国特許第7,001,792号、Soni,G.V.及びMellerの「固相ナノ細孔を使用した超高速DNAシークエンシングに向けた進歩」、Clin.Chem.53,1996-2001(2007)、Healy、K.の「ナノポアベースの単一分子DNA分析」、Nanomed.2,459-481(2007)、Cockroft,S.L.、Chu,J.、Amorin,M.及びGhadiri,M.R.の「単一分子ナノ細孔装置は、単一ヌクレオチド分解能でDNAポリメラーゼ活性を検出する」、J.Am Chem.Soc.130,818-820(2008)、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。ナノ細孔配列決定から得られるデータは、本明細書に記載されるように、保存、処理、及び分析することができる。具体的には、データは、本明細書に記載される光学画像及び他の画像の例示的な処理に従って、画像として処理することができる。
【0123】
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを伴う方法を利用することができる。ヌクレオチドの組み込みは、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,329,492号及び米国特許第7,211,414号に記載されているようなフルオロフォア含有ポリメラーゼとγ-ホスフェート標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(fluorescence resonance energy transfer、FRET)対話を介して検出することができ、又はヌクレオチドの組み込みは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,315,019号に記載されているようなゼロモード導波路、並びに、例えば、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,405,281号及び米国特許出願公開第2008/0109082号に記載されているような蛍光ヌクレオチド類似体及び操作ポリメラーゼを使用して検出することができる。照明は、蛍光標識されたヌクレオチドの組み込みが低バックグラウンドで観察され得るように、表面繋留ポリメラーゼの周囲のゼプトリットルスケールの体積に制限することができる(Levene,M.J.らの「高濃度での単一分子分析用のゼロモード導波路」、Science,299,682-686(2003)、Lundquist,P.M.ら「リアルタイムでの単一分子の並列共焦点検出」、Opt.Lett.33,1026-1028(2008)、Korlach,J.らの「ゼロモード導波管ナノ構造における単一DNAポリメラーゼ分子のターゲット固定化のための選択的なアルミニウム不動態化」Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,1176-1181(2008)、これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。このような方法から得られる画像は、本明細書に記載されるように、記憶、処理、及び分析することができる。
【0124】
いくつかのSBS実施形態は、伸長産物へのヌクレオチドの組み込み時に放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、Ion Torrent(Guilford,CT、Life Technologiesの子会社)から市販されている電気検出器及び関連技術を使用し得る、又は、米国特許出願公開第2009/0026082(A1)号、同第2009/0127589(A1)号、同第2010/0137143(A1)号、若しくは同第2010/0282617(A1)号に記載されている配列決定方法及びシステムであり、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。動力学的除外を使用して標的核酸を増幅するための本明細書に記載の方法は、プロトンを検出するために使用される基質に容易に適用することができる。より具体的には、本明細書に記載の方法を使用して、プロトンを検出するために使用されるアンプリコンのクローン集団を生成することができる。
【0125】
上記のSBS方法は、複数の異な標的核酸が同時に操作されるように、多重形式で有利に実施することができる。特定の実施形態では、異なる標的核酸は、共通の反応容器又は特定の基質の表面上で処理することができる。これにより、配列決定試薬の簡便な送達、未反応試薬の除去、及び取り込み事象の検出が多重方式で可能になる。表面結合された標的核酸を使用する実施形態では、標的核酸は、アレイ形式であり得る。アレイ形式では、標的核酸は、典型的には、空間的に区別可能な方式で表面に結合され得る。標的核酸は、直接共有結合、ビーズ若しくは他の粒子への結合、又は表面に結合したポリメラーゼ若しくは他の分子への結合によって結合され得る。アレイは、各部位(特徴とも称される)における標的核酸の単一コピーを含むことができ、又は同じ配列を有する複数のコピーは、各部位若しくは特徴に存在することができる。複数のコピーは、以下で更に詳細に記載されるブリッジ増幅又はエマルジョンPCRなどの増幅方法によって生成することができる。
【0126】
本明細書に記載の方法は、例えば、少なくとも約10個の特徴部/cm2、100個の特徴部/cm2、500個の特徴部/cm2、1,000個の特徴部/cm2、5,000個の特徴部/cm2、10,000個の特徴部/cm2、50,000個の特徴部/cm2、100,000個の特徴部/cm2、1,000,000個の特徴部/cm2、5,000,000個の特徴部/cm2、又はそれ以上を含む、様々な密度のいずれかの特徴部を有するアレイを使用することができる。
【0127】
本明細書に記載の方法の利点は、複数の標的核酸の迅速かつ効率的な検出を並行して提供することである。したがって、本開示は、上記で例示されるものなどの当該技術分野において既知の技術を使用して核酸を調製及び検出することができる統合システムを提供する。したがって、本開示の統合システムは、増幅試薬及び/又は配列決定試薬を1つ以上の固定化されたDNA断片に送達することができる流体コンポーネントを含むことができ、システムは、ポンプ、弁、リザーバ、流体ラインなどのコンポーネントを含む。フローセルは、標的核酸を検出するための統合システムで構成及び/又は使用することができる。例示的なフローセルは、例えば、米国特許第2010/0111768(A1)号及び米国特許出願第13/273,666号に記載され、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。フローセルについて例示されるように、統合システムの流体コンポーネントの1つ以上を増幅方法及び検出方法に使用することができる。核酸配列決定の実施形態を一例として取ると、統合システムの流体コンポーネントの1つ以上を、本明細書に記載の増幅方法、及び上記に例示したような配列決定方法における配列決定試薬の送達に使用することができる。代替的に、統合システムは、増幅方法を実施し、検出方法を実施するための別々の流体システムを含み得る。増幅された核酸を作成し、また核酸の配列を決定することができる統合配列決定システムの例としては、MiSeq(商標)プラットフォーム(Illumina Inc.,San Diego,CA)、及び参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第13/273,666号に記載の装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
上で説明した配列決定システムは、配列決定装置によって受け取られた試料中に存在する核酸ポリマーを配列決定する。本明細書中で定義されるように、「試料」及びその誘導体は、最も広い意味で使用され、標的を含むことが疑われる任意の試料、培養物などを含む。いくつかの実施形態では、試料は、DNA、RNA、PNA、LNA、キメラ又はハイブリッド形態の核酸を含む。試料は、1以上の核酸を含有する任意の生物学的試料、臨床試料、外科試料、農業試料、大気試料又は水試料を含むことができる。この用語はまた、任意の単離された核酸試料、例えば、ゲノムDNA、新鮮凍結又はホルマリン固定パラフィン包埋核酸試料を含む。試料は、単一個体、遺伝的に関連するメンバーからの核酸試料のコレクション、遺伝的に関連しないメンバーからの核酸試料、腫瘍試料及び正常組織試料のような単一個体からの核酸試料(適合)、又は母体被験体から得られた母体及び胎児DNAのような遺伝物質の2つの異なる形態を含む単一供給源からの試料、又は植物又は動物DNAを含む試料中の混入細菌DNAの存在に由来し得ることも想定される。いくつかの実施形態では、核酸物質の供給源は、例えば新生児スクリーニングに典型的に使用されるような新生児から得られた核酸を含むことができる。
【0129】
核酸試料は、ゲノムDNA(genomic DNA、gDNA)などの高分子量物質を含むことができる。試料は、FFPE又は保管されたDNA試料から得られた核酸分子などの低分子量物質を含むことができる。別の実施形態では、低分子量物質は、酵素的又は機械的に断片化されたDNAを含む。試料は、無細胞循環DNAを含むことができる。いくつかの実施形態では、試料は、生検、腫瘍、擦過物、スワブ、血液、粘液、尿、血漿、精液、毛髪、レーザー捕捉顕微解剖、外科的切除、及び他の臨床的又は実験室で得られた試料から得られた核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、試料は、疫学、農業、法医学又は病原性の試料であり得る。いくつかの実施形態では、試料は、ヒト又は哺乳動物源などの動物から得られた核酸分子を含むことができる。別の実施形態では、試料は、植物、細菌、ウイルス又は真菌などの非哺乳類源から得られた核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、核酸分子の供給源は、保存された又は絶滅した試料若しくは種であり得る。
【0130】
更に、本明細書中に開示される方法及び組成物は、法医学試料からの分解及び/又は断片化されたゲノムDNAなどの低品質核酸分子を有する核酸試料を増幅するのに有用であり得る。一実施形態では、法医学試料は、犯罪現場から得られた核酸、行方不明者DNAデータベースから得られた核酸、法医学調査と関連した研究所から得られた核酸を含むことができ、又は法執行機関、1つ以上のミリタリーサービス若しくはそのような隊員によって得られた法医学試料を含むことができる。核酸試料は、例えば、口腔スワブ、紙、布、又は唾液、血液、若しくは他の体液で含浸され得る他の基質に由来する、精製された試料又は溶解物を含む粗DNAであり得る。したがって、いくつかの実施形態では、核酸試料は、ゲノムDNAなどの、少量のDNA又は断片化されたDNAの部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的配列は、限定されるものではないが、血液、痰、血漿、精液、尿及び血清を含む1つ以上の体液に存在し得る。いくつかの実施形態では、標的配列は、犠牲者の毛髪、皮膚、組織試料、剖検又は遺体から得ることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の標的配列を含む核酸は、死亡した動物又はヒトから得ることができる。いくつかの実施形態では、標的配列は、微生物、植物又は昆虫学的DNAなど非ヒトDNAから得られた核酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的配列又は増幅された標的配列は、ヒト同定を目的とする。いくつかの実施形態では、本開示は、概して、法医学試料の特徴を同定するための方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、概して、本明細書に開示された1つ以上の標的特異的プライマー、又は本明細書に概説されたプライマー設計基準を用いて設計された1以上の標的特異的プライマーを使用するヒト同定方法に関する。一実施形態では、少なくとも1つの標的配列を含む法医学試料又はヒト同定試料は、本明細書に開示された標的特異的プライマーのいずれか1つ以上を用いて、又は本明細書に概説されたプライマー基準を用いて増幅することができる。
【0131】
診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア、又はその両方を含むことができる。例えば、診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、コンピュータ可読記憶媒体上に記憶され、1つ以上のコンピューティング装置(例えば、クライアント装置108)のプロセッサによって実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。1つ以上のプロセッサによって実行されると、診断ワークフローシステム106のコンピュータ実行可能命令は、コンピューティング装置に、本明細書に記載される泡検出方法を実施させることができる。代替的に、診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、特定の機能又は機能群を実施するための専用処理装置などのハードウェアを含むことができる。追加的に、又は代替的に、診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、コンピュータ実行可能命令及びハードウェアの組み合わせを含むことができる。
【0132】
更に、診断ワークフローシステム106に関して本明細書に記載される機能を実施する診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、例えば、スタンドアロンアプリケーションの一部として、アプリケーションのモジュールとして、アプリケーションのプラグインとして、他のアプリケーションによって呼び出され得るライブラリ関数として、かつ/又はクラウドコンピューティングモデルとして実装され得る。したがって、診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、パーソナルコンピューティング装置又はモバイル装置上のスタンドアロンアプリケーションの一部として実装され得る。追加的に、又は代替的に、診断ワークフローシステム106のコンポーネントは、限定されるものではないが、Illumina BaseSpace、Illumina DRAGEN、又はIllumina TruSightソフトウェアを含む、配列決定サービスを提供する任意のアプリケーションにおいて実装され得る。「Illumina」、「BaseSpace」、「DRAGEN」、及び「TruSight」は、米国及び/又は他の国におけるIllumina,Inc.の登録商標又は商標である。
【0133】
本開示の実施形態は、以下でより詳細に論じられるように、例えば、1つ以上のプロセッサ及びシステムメモリ等のコンピュータハードウェアを含む、専用又は汎用コンピュータを含み、又は利用してもよい。本開示の範囲内の実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令及び/又はデータ構造を搬送又は記憶するための物理的及び他のコンピュータ可読媒体を含む。特に、本明細書で説明されるプロセスのうちの1つ以上は、非一時的コンピュータ可読媒体において具現化され、1つ以上のコンピューティング装置(例えば、本明細書で説明されるメディアコンテンツアクセス装置のうちのいずれか)によって実行可能な命令として少なくとも部分的に実装されてもよい。概して、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリなど)から命令を受信し、それらの命令を実行し、それによって、本明細書で説明するプロセスのうちの1つ以上を含む、1つ以上のプロセスを実施する。
【0134】
コンピュータ可読媒体は、汎用コンピュータシステム又は専用コンピュータシステムによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(装置)である。コンピュータ実行可能命令を搬送するコンピュータ可読媒体は、伝送媒体である。したがって、限定ではなく例として、本開示の実施形態は、少なくとも2つの明確に異なる種類のコンピュータ可読媒体、すなわち非一時的コンピュータ可読記憶媒体(装置)及び伝送媒体を含むことができる。
【0135】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体(装置)は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、(例えば、RAMに基づく)ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、相変化メモリ(PCM)、他のタイプのメモリ、他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気ストレージ装置、又はコンピュータ実行可能命令若しくはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を記憶するために使用することができ、汎用若しくは専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。
【0136】
「ネットワーク」は、コンピュータシステム及び/又はモジュール及び/又は他の電子装置間の電子データの移送を可能にする1つ以上のデータリンクとして定義される。情報が、ネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤード、ワイヤレス、又はハードワイヤード若しくはワイヤレスの組み合わせのいずれか)を介してコンピュータに転送又は提供されるとき、コンピュータは、その接続を伝送媒体として適切に認識する。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を搬送するために使用することができ、汎用又は専用コンピュータによってアクセスすることができるネットワーク及び/又はデータリンクを含むことができる。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0137】
更に、様々なコンピュータシステム構成要素に到達すると、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態のプログラムコード手段は、伝送媒体から非一時的コンピュータ可読記憶媒体(装置)に(又はその逆に)自動的に転送され得る。例えば、ネットワーク又はデータリンクを介して受信されたコンピュータ実行可能命令又はデータ構造は、ネットワークインターフェースモジュール(例えば、NIC)内のRAMにバッファリングされ、次いで、最終的に、コンピュータシステムRAM及び/又はコンピュータシステムにおけるより揮発性の低いコンピュータ記憶媒体(装置)に転送され得る。したがって、非一時的コンピュータ可読記憶媒体(装置)は、伝送媒体も(又は更に主に)利用するコンピュータシステム構成要素に含まれ得ることを理解されたい。
【0138】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、プロセッサで実行されると、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理装置に、ある機能又は機能群を実施させる命令及びデータを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータ実行可能命令は、汎用コンピュータ上で実行され、汎用コンピュータを、本開示の要素を実装する専用コンピュータに変える。コンピュータ実行可能命令は、例えば、バイナリ、アセンブリ言語などの中間フォーマット命令、又は更にソースコードであってもよい。主題は、構造的特徴及び/又は方法論的動作に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は、説明された特徴又は上述の動作に必ずしも限定されないことを理解されたい。むしろ、説明された特徴及び動作は、特許請求の範囲を実装する例示的な形態として開示される。
【0139】
当業者は、本開示が、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メッセージプロセッサ、ハンドヘルド装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベース又はプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、携帯電話、PDA、タブレット、ページャ、ルータ、スイッチなどを含む、多くのタイプのコンピュータシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施され得ることを理解するであろう。本開示はまた、ネットワークを介して(ハードワイヤードデータリンク、ワイヤレスデータリンク、又はハードワイヤード及びワイヤレスデータリンクの組み合わせのいずれかによって)リンクされたローカル及びリモートコンピュータシステムが両方ともタスクを実行する分散システム環境において実施され得る。分散システム環境では、プログラムモジュールは、ローカルメモリストレージ装置及びリモートメモリストレージ装置の両方に位置することができる。
【0140】
本開示の実施形態は、クラウドコンピューティング環境において実装することもできる。本明細書では、「クラウドコンピューティング」は、構成可能なコンピューティングリソースの共有プールへのオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義される。例えば、クラウドコンピューティングは、構成可能なコンピューティングリソースの共有プールへのユビキタスで便利なオンデマンドアクセスを提供するために、市場で使用され得る。構成可能なコンピューティングリソースの共有プールは、仮想化を介して迅速に設定され、低い管理労力又はサービスプロバイダ対話で公開され、次いで、それに応じて拡大縮小され得る。
【0141】
クラウドコンピューティングモデルは、例えば、オンデマンドセルフサービス、広域ネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービス等の種々の特性から構成することができる。クラウドコンピューティングモデルはまた、例えば、Software as a Service(SaaS)、Platform as a Service(PaaS)、及びInfrastructure as a Service(IaaS)などの様々なサービスモデルを公開することができる。クラウドコンピューティングモデルは、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなどの異なる展開モデルを使用して展開することもできる。本明細書及び特許請求の範囲において、「クラウドコンピューティング環境」は、クラウドコンピューティングが採用される環境である。
【0142】
図9は、上で記載されたプロセスのうちの1つ以上を実施するように構成され得るコンピューティング装置900のブロック図を図示する。コンピューティング装置900などの1つ以上のコンピューティング装置は、診断ワークフローシステム106及びゲノム分析プラットフォーム104を実装し得ることが理解されよう。図9によって示されるように、コンピューティング装置900は、プロセッサ902、メモリ904、ストレージ装置906、I/Oインターフェース908、及び通信インターフェース910を備えることができ、これらは、通信インフラストラクチャ912によって通信可能に結合され得る。特定の実施形態では、コンピューティング装置900は、図9に示されるものよりも少ない、又は多いコンポーネントを含むことができる。以下の段落は、図9に示されるコンピューティング装置900のコンポーネントを更に詳細に記載する。
【0143】
1つ以上の実施形態では、プロセッサ902は、コンピュータプログラムを構成する命令などの命令を実行するためのハードウェアを含む。限定ではなく、実施例として、ワークフローを動的に修正するための命令を実行するために、プロセッサ902は、内部レジスタ、内部キャッシュ、メモリ904、又はストレージ装置906から命令を取り出し(又はフェッチし)、それらを復号し、実行し得る。メモリ904は、データ、メタデータ、及びプロセッサによる実行のためのプログラムを記憶するために使用される揮発性又は不揮発性メモリであり得る。ストレージ装置906は、本明細書に記載の方法を実施するためのデータ又は命令を記憶するための、ハードディスク、フラッシュディスクドライブ、又は他のデジタルストレージ装置などのストレージを含む。
【0144】
I/Oインターフェース908は、ユーザが、コンピューティング装置900に入力を提供し、そこから出力を受信し、別様にそこにデータを転送し、そこからデータを受信することを可能にする。I/Oインターフェース908は、マウス、キーパッド若しくはキーボード、タッチスクリーン、カメラ、光学スキャナ、ネットワークインターフェース、モデム、他の既知のI/O装置、又はそのようなI/Oインターフェースの組み合わせを含み得る。I/Oインターフェース908は、限定されないが、グラフィックスエンジン、ディスプレイ(例えば、ディスプレイスクリーン)、1つ以上の出力ドライバ(例えば、ディスプレイドライバ)、1つ以上のオーディオスピーカ、及び1つ以上のオーディオドライバを含む、ユーザに出力を提示するための1つ以上の装置を含み得る。特定の実施形態では、I/Oインターフェース908は、ユーザに提示するために、グラフィカルデータをディスプレイに提供するように構成される。グラフィカルデータは、1つ以上のグラフィカルユーザインターフェース及び/又は特定の実装形態に役立ち得る任意の他のグラフィカルコンテンツを表してもよい。
【0145】
通信インターフェース910は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方を含むことができる。いずれにしても、通信インターフェース910は、コンピューティング装置900と1つ以上の他のコンピューティング装置又はネットワークとの間の通信(例えば、パケットベースの通信など)のための1つ以上のインターフェースを提供することができる。限定ではなく、実施例として、通信インターフェース910は、Ethernet(イーサネット)若しくは他の有線ベースのネットワークと通信するためのネットワークインターフェースコントローラ(network interface controller、NIC)若しくはネットワークアダプタ、又はWI-FIなどのワイヤレスネットワークと通信するためのワイヤレスNIC(wireless NIC、WNIC)若しくはワイヤレスアダプタを含み得る。
【0146】
追加的に、通信インターフェース910は、様々なタイプの有線又は無線ネットワークとの通信を容易にし得る。通信インターフェース910はまた、様々な通信プロトコルを使用して、通信を容易にし得る。通信インフラストラクチャ912はまた、コンピューティング装置900のコンポーネントを互いに結合するハードウェア、ソフトウェア、又はその両方を含み得る。例えば、通信インターフェース910は、特定のインフラストラクチャによって接続された複数のコンピューティング装置が互いに通信して、本明細書に記載されるプロセスの1つ以上の態様を実施することを可能にすることを可能にするために、1つ以上のネットワーク及び/又はプロトコルを使用する。例示すると、配列決定プロセスは、複数の装置(例えば、クライアント装置、配列決定装置、及びサーバ装置)が配列決定データ及びエラー通知などの情報を交換することを可能にすることができる。
【0147】
前述の明細書において、本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。本開示の様々な実施形態及び態様は、本明細書で論じられる詳細を参照して説明され、添付の図面は様々な実施形態を図示する。上記の説明及び図面は、本開示の例示であり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が説明される。
【0148】
本開示は、その趣旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。記載された実施形態は、全ての点において、例示的なものに過ぎず、限定的ではないとみなされるべきである。例えば、本明細書で説明される方法は、より少ない又はより多いステップ/動作を用いて実施されてもよく、又はステップ/動作は、異なる順序で実施されてもよい。追加的に、本明細書に記載されるステップ/動作は、互いに並行して、又は同じ若しくは同様のステップ/動作の異なる出現と並行して、繰り返されるか、又は実施され得る。したがって、本願の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味及び均等範囲内に含まれる全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものである。
【0149】
本明細書で使用される場合、「物体」という用語は、本明細書に記載される光学システムを用いた撮像、視認、分析、検査、又はプロファイリングに適切である全てのものを含む。単なる実施例として、物体は、半導体ウェハ若しくはチップ、記録可能媒体、試料、フローセル、微粒子、スライド、又はマイクロアレイを含み得る。物体は、概して、ユーザがそのプロファイルを撮像、視認、分析、検査、及び/又は決定することを所望し得る、1つ以上の表面及び/又は1つ以上の界面を含む。物体は、ウェル、ピット、リッジ、バンプ、ビーズなどのレリーフ特徴を有する表面又は界面を有し得る。
【0150】
「試料」の記載において上で示されたように、試料は、後続の分析のために撮像又は走査され得る。特定の実施形態では、試料は、対象の生物学的又は化学的物質、及び任意選択で、生物学的又は化学的物質を支持する光学基質を含み得る。したがって、試料は、光学基質を含んでもよく、又は含まなくてもよい。本明細書で使用される場合、「生物学的又は化学的物質」という用語は、限定することを意図するものではなく、本明細書に記載される光学システムで撮像又は検査されるのに適切である、様々な生物学的又は化学的物質を含み得る。例えば、生物学的又は化学的物質は、ヌクレオシド、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、酵素、ポリペプチド、抗体、抗原、リガンド、受容体、多糖類、炭水化物、ポリリン酸、ナノポア、オルガネラ、脂質層、細胞、組織、生物などの生体分子、及び前述の種の類似体又は模倣体などの生物学的に活性な化合物を含む。
【0151】
生物学的又は化学的物質は、光学基質によって支持され得る。本明細書で使用される場合、「光学基質」という用語は、限定することを意図するものではなく、生物学的又は化学的物質を支持し、生物学的又は化学的物質が、視認、撮像、及び検査のうちの少なくとも1つがされることを許可する、種々の材料を含み得る。例えば、光学基質は、入射光の一部分を反射し、入射光の一部分を屈折させる透明材料を含み得る。代替的に、光学基質は、例えば、光が光学基質を透過しないように、入射光を完全に反射するミラーであり得る。典型的には、光学基質は、平坦な表面を有する。しかしながら、光学基質は、ウェル、ピット、リッジ、バンプ、ビーズなどのレリーフ特徴を有する表面を有することができる。
【0152】
例示的な実施形態では、光学基質は、核酸が配列決定される流路を有するフローセルである。しかしながら、代替的実施形態では、光学基質は、1つ以上のスライド、平面チップ(マイクロアレイで使用されるものなど)、又は微粒子を含み得る。光学基質が生物学的又は化学的物質を支持する複数の微粒子を含む場合では、微粒子は、スライド又は溝付きプレートなどの別の光学基質によって保持され得る。特定の実施形態では、光学基質は、2003年9月12日に出願された「Diffraction Grating Based Optical Identification Element」という名称の係属中の米国特許出願第10/661,234号に記載されているものと類似又は同一の回折格子ベースの符号化光学同定要素を含み、本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、以下でより詳細に考察される。光学同定要素を保持するためのビーズセル又はプレートは、2003年9月12日に出願された「Method and Apparatus for Aligning Microbeads in Order to Interrogate the Same」と題される係属中の米国特許出願第10/661,836号、及び2007年1月16日に発行された「Hybrid Random Bead/Chip Based Microarray」と題される米国特許第7,164,533号、並びに2004年9月13日に出願された「Improved Method and Apparatus for Aligning Microbeads in Order to Interrogate the Same」と題される米国特許出願第60/609,583号、及び2004年9月17日に出願された「Method and Apparatus for Aligning Microbeads in Order to Interrogate the Same」と題される米国特許出願第60/1010,910号に記載されるものと類似又は同一であり得、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0153】
本明細書で使用される場合、「光学コンポーネント」又は「焦点コンポーネント」という用語は、光の透過に影響を及ぼす様々な要素を含む。光学コンポーネントは、例えば、反射器、偏光板、ビームスプリッタ、コリメータ、レンズ、フィルタ、ウェッジ、プリズム、ミラーなどであり得る。
【0154】
実施例として、本明細書に記載される光学システムは、2007年3月30日に出願された「System and Devices for Sequence by Synthesis Analysis」と題されるPCT出願第PCT/US07/07991号に記載されるような種々のコンポーネント及びアセンブリを含むように、及び/又は2008年9月26日に出願された「Fluorescence Excitation and Detection System and Method」と題されるPCT出願第PCT/US2008/077850号に記載されるような種々のコンポーネント及びアセンブリを含むように構築され得、その両方の完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、光学システムは、米国特許第7,329,860号に記載されるような種々のコンポーネント及びアセンブリを含むことができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。光学システムはまた、2009年12月15日に出願された米国特許出願第12/638,770号に記載されるような種々のコンポーネント及びアセンブリを含むことができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法及び光学システムは、核酸を配列決定するために使用され得る。例えば、合成による配列決定(SBS)プロトコルは、特に適用可能である。SBSでは、複数の蛍光標識ヌクレオチドは、光学基質の表面(例えば、フローセル内のチャネルを少なくとも部分的に画定する表面)上に存在する増幅DNAの高密度クラスタ(おそらく、数百万個のクラスタ)を配列決定するために、使用される。フローセルは、フローセルが適切なフローセルホルダ内に配置される配列決定のための核酸試料を含み得る。配列決定のための試料は、個々に分解可能であるように互いに分離された単一の核酸分子、クラスタ若しくは他の特徴の形態の核酸分子の増幅された集団、又は核酸の1つ以上の分子に付着されたビーズの形態を取ることができる。核酸は、未知の標的配列に隣接するオリゴヌクレオチドプライマーを含むように調製されることができる。第1のSBS配列決定サイクルを開始するために、1つ以上の異なる標識ヌクレオチド及びDNAポリメラーゼなどは、流体フローサブシステム(図示せず)によってフローセル内に/それを通して流されることができる。単一のタイプのヌクレオチドが一度に追加され得るか、又は配列決定手順で使用されるヌクレオチドが可逆終端特性を有するように特別に設計され得、したがって、配列決定反応の各サイクルが、いくつかのタイプの標識ヌクレオチド(例えば、A、C、T、G)の存在下で同時に生じることを可能にする。ヌクレオチドは、フルオロフォアなどの検出可能な標識部分を含み得る。4個のヌクレオチドが一緒に混合される場合、ポリメラーゼは、正しい塩基を選択して組み込むことができ、各配列は、単一の塩基によって伸長される。1つ以上のレーザーは、核酸を励起し、蛍光を誘発し得る。核酸から放出される蛍光は、組み込み塩基のフルオロフォアに基づいており、異なるフルオロフォアは、異なる波長の発光を放出し得る。例示的配列決定方法は、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号、米国特許第7,057,026号、国際公開第91/06678号、国際公開第07/123744号、米国特許第7,329,492号、米国特許第7,211,414号、米国特許第7,315,019号、米国特許第7,405,281号、及び米国特許出願公開第2008/0108082号に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
本明細書に記載の方法及びシステムの使用に適用可能な他の配列決定技術は、ピロ配列決定、ナノポア配列決定、及びライゲーションによる配列決定である。特に有用である例示的なピロ配列決定技術及び試料は、米国特許第6,210,891号、米国特許第6,258,568号、米国特許第6,274,320号、及びRonaghi,Genome Research 11:3-11(2001)に記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。同様に有用である例示的なナノポア技術及び試料は、Deamer et al.,Acc.Res.35:817-825(2002)、Li et al.,Nat.Mater.2:611-615(2003)、Soni et al.,Clin Chem.53:1996-2001(2007)Healy et al.,Nanomed.2:459-481(2007)and Cockroft et al.,J.am.Chem.Soc.130:818-820、及び米国特許第7,001,792号記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。これらのシステムでは、エマルジョンPCRによって生成されたビーズを有する基質、ゼロモード導波路を有する基質、脂質二重層内に生物学的ナノポアを有する基質、合成ナノポアを有する固体基質、及び当技術分野で公知の他のものなど、様々な試料のいずれかを使用することができる。そのような試料は、種々の配列決定技術に関連して、上記で引用した参考文献、及び更に米国特許出願公開第2005/0042648号、同第2005/0079510号、同第2005/0130173号、及び国際公開第05/010145号において記載されており、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
他の実施形態では、本明細書に記載される光学システムは、マイクロアレイを含む試料の検出のために利用され得る。マイクロアレイは、異なるプローブ分子を相対的な位置に従って互いに区別することができるように、1つ以上の基質に付着されている異なるプローブ分子の集団を含み得る。アレイは、基質上の異なるアドレス可能な位置に各々位置する異なるローブ分子又はプローブ分子の集団を含むことができる。代替的に、マイクロアレイは、基質が付着される表面上の光学基質の位置に従って、又は液体中の基質の位置に従って同定されることができる、各々が異なるプローブ分子又はプローブ分子の集団を有するビーズなどの別個の光学基質を含むことができる。別個の基質が表面上に位置する例示的なアレイは、Illumina(登録商標),Inc.(San Diego,CA)から入手可能なSentrix(登録商標)Array若しくはSentrix(登録商標)BeadChip Array、又は米国特許第6,266,459号、同第6,355,431号、同第6,770,441号、及び同第6,859,570号、並びに国際公開第00/63437号(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなウェル中のビーズを含む他のものを含むが、これらに限定されない。表面上に粒子を有する他のアレイは、米国特許出願公開第2005/0227252号、国際公開第05/033681号、及び国際公開第04/024328号に記載されているものを含み、これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0158】
例えば、本明細書中に記載されるものを含む、当該分野で公知の種々のマイクロアレイのいずれかは、本発明の実施形態において使用されることができる。典型的なマイクロアレイは、各々がプローブの集団を有する、フィーチャー(features)と呼ばれることもある部位を含有する。各部位におけるプローブの集団は、典型的には、単一種のプローブを有する同種であるが、いくつかの実施形態では、集団は、各々が異種であることができる。アレイの部位又はフィーチャーは、典型的には別個であり、互いの間に空間を有して分離されている。フィーチャーのサイズ及び/又は部位間の間隔は、アレイが高密度、中密度、又は低密度であることができるように変動することができる。高密度アレイは、約15μm未満で分離された部位を有することを特徴とする。中密度アレイは、約15~30μmで分離された部位を有する一方、低密度アレイは、30μmよりも大きく分離された部位を有する。本発明において有用なアレイは、100μm、50μm、10μm、5μm、1μm、又は0.5μm未満で分離された部位を有することができる。本発明の実施形態の装置又は方法は、上記の密度又は密度範囲で部位を区別するのに十分な解像度でアレイを画像化するために、使用されることができる。
【0159】
使用されることができる市販のマイクロアレイの更なる実施例は、例えば、Affymetrix(登録商標)GeneChip(登録商標)マイクロアレイ、又は、例えば、米国特許第5,324,633号、同第5,744,305号、同第5,451,683号、同第5,482,867号、同第5,491,074号、同第5,624,711号、同第5,795,716号、同第5,831,070号、同第5,856,101号、同第5,858,659号、同第5,874,219号、同第5,968,740号、同第5,974,164号、同第5,981,185号、同第5,981,956号、同第6,025,601号、同第6,033,860号、同第6,090,555号、同第6,136,269号、同第6,022,963号、同第6,083,697号、同第6,291,183号、同第6,309,831号、同第6,416,949号、同第6,428,752号、及び同第6,482,591号(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているVLSIPS(商標)(Very Large Scale Immobilized Polymer Synthesis)技術と呼称されることもある技術に従って合成された他のマイクロアレイを含む。スポッティングされたマイクロアレイはまた、本発明の実施形態による方法又はシステムにおいて使用されることができる。例示的なスポッティングされたマイクロアレイは、Amersham Biosciencesから入手可能なCodeLink(商標)Arrayである。有用な別のマイクロアレイは、Agilent Technologiesから入手可能なSurePrint(商標)Technologyなどのインクジェット印刷法を使用して製造されるものである。
【0160】
本明細書に記載のシステム及び方法は、マイクロアレイと接触させた試料中の特定の標的分子の存在を検出するために使用されることができる。これは、例えば、マイクロアレイの特定のプローブへの標識された標的分析物の結合に基づいて、又はプローブ位置で標識を組み込むか、除去するか、若しくは変更するための特定のプローブの標的依存的改変に起因して、決定されることができる。様々なアッセイのうちのいずれか1つは、例えば、米国特許出願公開第2003/0108867号、同第2003/0108900号、同第2003/0170684号、同第2003/0207295号、若しくは同第2005/0181394号(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるようなマイクロアレイを使用して標的を同定又は特徴付けるために使用されることができる。
【0161】
本発明の実施形態に従って検出されることができる例示的な標識は、例えば、マイクロアレイ上に存在するとき、発色団、発光団、フルオロフォア、光学的に符号化されたナノ粒子、回折格子で符号化された粒子、Ru(bpy)32+などの電気化学発光標識、又は光学特性に基づいて検出されることができる部分を含むが、これに限定されない。有用であり得るフルオロフォアは、例えば、Europium and Terbiumのものを含む蛍光ランタニド錯体、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、Malacite green、Cy3、Cy5、スチルベン、Lucifer Yellow、Cascade Blue(商標)、Texas Red、アレクサ色素、フィコエリトリン、ボディピー、及びHaugland,Molecular Probes Handbook,(Eugene,Oreg.)6th Edition、The Synthegen catalog(Houston,Tex.),Lakowicz,Principles of Fluorescence Spectroscopy,2nd Ed.,Plenum Press New York(1999)、又は国際公開98/59066号(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどの当技術分野で公知の他のものを含む。
【0162】
特定の実施形態では、本光学システムは、例えば、米国特許第7,329,860号に記載されているような、例えば、ライン走査実施形態における時間遅延積分(Time Delay Integration、TDI)用に構成されることができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。実施例として、光学アセンブリは、0.75 NAレンズ及び+/-125~500nmの焦点精度を有し得る。解像度は、50~100nmとすることができる。本システムは、フィルタリングされていない1,000~10,000測定値/秒を得ることが可能であり得る。
【0163】
実施形態は、光学基質によって支持される生物学的又は化学的物質を含む試料の検出に関して例証されるが、他の試料が、本明細書に記載される実施形態によって分析、検査、又は撮像されることができることが理解されるであろう。他の例示的な試料は、細胞又は組織などの生物学的標本、コンピュータプロセッサで使用されるものなどの電子チップなどを含むが、これらに限定されない。アプリケーションのいくつかの実施例は、顕微鏡法、衛星スキャナ、高解像度リプログラフィー、蛍光画像取得、核酸の分析及び配列決定、DNA配列決定、合成による配列決定、マイクロアレイの撮像、ホログラフィックに符号化された微粒子の撮像などを含む。
【0164】
他の実施形態では、本光学システムは、物体の特定の特徴又は構造を決定するために、物体を検査するように構成され得る。例えば、本光学システムは、表面上に偏差又は欠陥があるかどうかを決定するために、物体(例えば、半導体チップ、シリコンウェハ)の表面を検査するように使用され得る。
【0165】
図10は、一実施形態に従って形成された光学システム1000のブロック図を図示する。単なる実施例として、光学システム1000は、分析のために対象の試料を撮像するサンプラ撮像装置であり得る。他の実施形態では、光学システム1000は、物体の表面プロファイル(例えば、トポグラフィ)を決定する表面形状測定装置であり得る。更に、種々の他のタイプの光学システムは、本明細書に記載される機構及びシステムを使用し得る。図示される実施形態では、光学システム1000は、光学アセンブリ1006と、光学アセンブリ1006の焦点面FPの近くで物体1010を支持するための物体ホルダ1002と、物体ホルダ1002を横方向に(本ページ内に延在するX軸及び/若しくはY軸に沿って)又はZ軸に沿って垂直/高さ方向に移動させるように構成されたステージコントローラ1015とを含む。光学システム1000はまた、光学アセンブリ1006、ステージコントローラ1015、及び/又は物体ホルダ1002に動作可能に結合された、システムコントローラ又はコンピューティングシステム1020を含み得る。
【0166】
特定の実施形態では、光学システム1000は、試料を撮像するように構成された試料撮像装置である。図示されていないが、試料撮像装置は、様々なアッセイプロトコルを実施するための他のサブシステム又は装置を含み得る。単なる実施例として、試料は、流路を有するフローセルを含み得る。試料撮像装置は、流体ネットワークを通して流路に流体的に結合される液体リザーバを含む、流体制御システムを含み得る。試料撮像装置はまた、試料及び/又は試料を通って流動する流体の温度を調節するように構成される加熱器/冷却器を有し得る、温度制御システムを含み得る。温度制御システムは、流体の温度を検出するセンサを含み得る。
【0167】
示されるように、光学アセンブリ1006は、入力光を物体1010に向け、出力光を受光して1つ以上の検出器に向けるように構成される。出力光は、物体1010によって反射及び屈折のうちの少なくとも1つがされた入力光であり得、及び/又は出力光は、物体1010から放出された光であり得る。入力光を向けるために、光学アセンブリ1006は、光学アセンブリ1006の1つ以上の光学コンポーネントを通して、所定の波長を有する光ビームなどの光を向ける、少なくとも1つの絶対波長光源(reference light source)1012及び少なくとも1つの励起光源1014を含み得る。光学アセンブリ1006は、入力光を物体1010に向け、出力光を検出器に向けるための、共役レンズ1018を含む様々な光学コンポーネントを含み得る。
【0168】
例示的な実施形態では、絶対波長光源1012は、光学システム1000の距離測定システム又は焦点制御システム(若しくは集束機構)によって使用され得、励起光源1014は、物体1010が生物学的又は化学的試料を含む場合、物体1010の生物学的又は化学的物質を励起するために使用され得る。励起光源1014は、TIRF撮像などにおいて物体1010の底面を照明するように配列され得、又は落射蛍光撮像などにおいて物体1010の上面を照明するように配列され得る。図10に示されるように、共役レンズ1018は、焦点面FP内にある焦点領域1022に入力光を向ける。レンズ1018は、光軸1024を有し、光軸1024に沿って測定されて物体1010から作動距離WDだけ離れて位置決めされる。ステージコントローラ1015は、例えば、物体1010の一部が焦点領域1022内にあるように、作動距離WDを調整するために物体1010をZ方向に移動させ得る。
【0169】
物体1010が焦点内にある(すなわち、十分に焦点領域1022又は焦点面FP内にある)かどうかを決定するために、光学アセンブリ1006は、少なくとも1対の光ビームを、物体1010がほぼ位置する焦点領域1022に向けるように構成される。物体1010は、光ビームを反射する。より具体的には、物体1010の外面又は物体1010内の界面が、光ビームを反射する。反射光ビームは、次いで、レンズ1018に戻り、それを通って伝搬する。示されるように、各光ビームは、物体1010によってまだ反射されていない部分と、物体1010によって反射された部分とを含む光路を有する。反射前の光路の部分は、入射光ビーム1030A及び1032Aとして指定され、物体1010に向かう方向を指す矢印で示される。物体1010によって反射された光路の部分は、反射光ビーム1030B及び1032Bとして指定され、物体1010から離れる方向を指す矢印で示される。例示的目的のために、光ビーム1030A、1030B、1032A、及び1032Bは、レンズ1018内及び物体1010の近くで異なる光路を有するものとして示されている。しかしながら、例示的実施形態では、光ビーム1030A及び1032Bは、反対方向に伝搬し、レンズ1018内及び物体1010の近くで同じ又は実質的に重複する光路を有するように構成され、光ビーム1030B及び1032Aは、反対方向に伝搬し、レンズ1018内及び物体1010の近くで同じ又は実質的に重複する光路を有するように構成される。
【0170】
図10に示される実施形態では、光ビーム1030A、1030B、1032A、及び1032Bは、結像に使用される同じレンズを通過する。代替的実施形態では、距離測定又は焦点決定に使用される光ビームは、撮像に使用されない異なるレンズを通過することができる。この代替的実施形態では、レンズ1018は、距離測定又は焦点決定のためにビーム1030A、1030B、1032A、及び1032Bを通過させることに専用であり、別個のレンズ(図示せず)は、物体1010を撮像するために使用される。同様に、焦点決定及び距離測定のための本明細書に記載されるシステム及び方法は、結像光学系と共有される共通対物レンズを使用して生じ得るか、又は代替的に、本明細書に例示される対物レンズは、焦点決定又は距離測定専用であり得ることが理解されるであろう。
【0171】
反射光ビーム1030B及び1032Bは、レンズ1018を通って伝搬し、任意選択で、光学アセンブリ1006の他の光学コンポーネントによって更に向けられ得る。示されるように、反射光ビーム1030B及び1032Bは、少なくとも1つの焦点検出器1044によって検出される。図示される実施形態では、反射光ビーム1030B及び1032Bの両方は、単一の焦点検出器1044によって検出される。反射光ビームは、相対的分離RSを決定するために使用され得る。例えば、相対的分離RSは、焦点検出器1044上に入射する反射光ビーム1030B及び1032Bからビームスポットを分離する距離(すなわち、分離距離)によって決定され得る。相対的分離RSは、物体1010に関する光学システム1000の合焦度を決定するために使用され得る。しかしながら、代替的実施形態では、各反射光ビーム1030B及び1032Bは、別個の対応する焦点検出器1044によって検出され得、相対的分離RSは、対応する焦点検出器1044上のビームスポットの位置に基づいて決定され得る。
【0172】
物体1010が十分な合焦度内にない場合、コンピューティングシステム1020は、物体ホルダ1002を所望の位置に移動させるために、ステージコントローラ1015を動作させ得る。物体ホルダ1002を移動させることに代替的に又はそれに加えて、光学アセンブリ1006は、Z方向に、及び/又はXY平面に沿って移動され得る。
【0173】
例えば、物体1010が焦点面FP(又は焦点領域1022)の上方に位置する場合、物体1010を焦点面FPに向かって距離ΔZだけ相対的に移動させ得、物体1010が焦点面FP(又は焦点領域1022)の下方に位置する場合、物体1010を焦点面FPに向かって距離ΔZだけ相対的に移動させ得る。いくつかの実施形態では、光学システム1000は、光学アセンブリ1006の焦点領域1022を移動させるために、レンズ1018を別のレンズ1018又は他の光学コンポーネントと取り替え得る。
【0174】
上記及び図10に記載された実施例は、焦点を制御するための、又は合焦度を決定するためのシステムに関して提示されている。システムはまた、物体1010とレンズ1018との間の作動距離WDを決定するために有用である。そのような実施形態では、焦点検出器1044は、作動距離検出器として機能することができ、作動距離検出器上のビームスポットを分離する距離は、物体1010とレンズ1018との間の作動距離を決定するために使用されることができる。記載を容易にするために、システム及び方法の様々な実施形態は、焦点を制御すること又は合焦度を決定することに関して本明細書に例示される。本システム及び方法はまた、物体とレンズとの間の作動距離を決定するために使用されることができることを理解されるであろう。同様に、本システム及び方法はまた、物体の表面プロファイルを決定するために使用され得る。
【0175】
例示的な実施形態では、動作中、励起光源1014は、蛍光標識された生物学的又は化学的物質を励起するために、入力光(図示せず)を物体1010に向ける。生物学的又は化学的物質の標識は、所定の波長を有する光信号1040(発光とも呼ばれる)を提供する。光信号1040は、レンズ1018によって受信され、次いで、光学アセンブリ1006の他の光学コンポーネントによって少なくとも1つの物体検出器1042に向けられる。図示される実施形態は、1つの物体検出器1042のみを示しているが、物体検出器1042は、複数の検出器を備え得る。例えば、物体検出器1042は、光の1つ以上の波長を検出するように構成された第1の検出器と、光の1つ以上の異なる波長を検出するように構成された第2の検出器とを含み得る。光学アセンブリ1006は、異なる光信号を異なる光路に沿って、対応する物体検出器に向けるレンズ/フィルタアセンブリを含み得る。そのような光学システムは、2007年3月30日に出願された「System and Devices for Sequence by Synthesis Analysis」と題されるPCT出願第PCT/US 07/07991号、及び2008年9月26日に出願された「Fluorescence Excitation and Detection System and Method」と題されるPCT出願第PCT/US2008/077850号によって更に詳細に記載されており、その両方の完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0176】
物体検出器1042は、検出された光信号1040に関する物体データをコンピューティングシステム1020に通信する。次いで、コンピューティングシステム1020は、データを記録し、処理し、分析し、かつ/又は通信回線(例えば、インターネット)を通してリモートコンピューティングシステムを含む、他のユーザ又はコンピューティングシステムに通信し得る。実施例として、物体データは、物体1010の画像を生成するために処理される撮像データを含み得る。画像は、次いで、コンピューティングシステム及び/又は光学システム1000のユーザによって分析され得る。他の実施形態では、物体データは、生物学的又は化学的物質からの発光を含み得るだけでなく、光学基質又は他のコンポーネントによって反射及び屈折のうちの少なくとも1つがされた光も含み得る。例えば、光信号1040は、上で記載されたホログラフィックに符号化光学同定要素などの符号化微粒子によって反射された光を含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態では、単一の検出器が、物体検出器1042及び焦点検出器1044に関して上で記載されたような両方の機能を提供し得る。例えば、単一の検出器は、反射光ビーム1030B及び1032B、並びに光信号1040を検出し得る。
【0178】
光学システム1000は、コンピューティングシステム1020を通してユーザと対話するユーザインターフェース1025を含み得る。例えば、ユーザインターフェース1025は、ユーザから情報を示し、要求するディスプレイ(図示せず)と、ユーザ入力を受け取るためのユーザ入力装置(図示せず)とを含み得る。
【0179】
コンピューティングシステム1020は、とりわけ、物体分析モジュール1050及び焦点制御モジュール1052を含み得る。焦点制御モジュール1052は、焦点検出器1044によって得られた焦点データを受信するように構成される。焦点データは、焦点検出器1044に入射するビームスポットを表す信号を含み得る。データは、相対的分離(例えば、ビームスポット間の分離距離)を決定するために処理され得る。次いで、物体1010に対する光学システム1000の合焦度は、相対的分離に基づいて決定され得る。特定の実施形態では、物体1010とレンズ1018との間の作動距離WDが、決定されることができる。同様に、物体分析モジュール1050は、物体検出器1042によって取得された物体データを受信し得る。物体分析モジュールは、物体の画像を生成するために、物体データを処理又は分析し得る。
【0180】
更に、コントローラシステム1020は、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(reduced instruction set computer、RISC)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理回路、及び本明細書に記載される機能を実行することが可能な任意の他の回路又はプロセッサを使用するシステムを含む、任意のプロセッサベース又はマイクロプロセッサベースのシステムを含み得る。上記の実施例は、例示的なものに過ぎず、したがって、システムコントローラという用語の定義及び/又は意味を制限することを意図するものではない。例示的な実装形態では、コンピューティングシステム1020は、物体データを取得し、分析する少なくとも1つのために、1つ以上の記憶要素、メモリ、又はモジュール内に記憶された命令のセットを実行する。記憶要素は、光学システム1000内の情報源又は物理メモリ要素の形態であり得る。
【0181】
命令のセットは、特定のプロトコルを実施するように、光学システム1000に命令する様々なコマンドを含み得る。例えば、命令のセットは、アッセイを実施して物体1010を撮像するための、又は物体1010の表面プロファイルを決定するための様々なコマンドを含み得る。命令のセットは、ソフトウェアプログラムの形態であってもよい。本明細書で使用するとき、「ソフトウェア」及び「ファームウェア」という用語は互換可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(non-volatile RAM、NVRAM)メモリを含むコンピュータによって実行されるメモリに記憶された任意のコンピュータプログラムを含む。上記メモリタイプは、例示的なものに過ぎず、したがって、コンピュータプログラムの記憶に使用可能なメモリのタイプに限定されない。
【0182】
上で記載されたように、励起光源1014は、物体1010に向けられる励起光を生成する。励起光源1014は、1つ以上の所定の励起波長で1つ以上のレーザービームを生成し得る。光は、物体1010の列及び行のグループなど、物体1010の部分にわたってラスタパターンで移動され得る。代替的に、励起光は、物体1010の1つ以上の領域全体を一度に照射し、「ステップ・アンド・シュート」走査パターンで領域を通して連続的に停止し得る。ライン走査はまた、例えば、米国特許第7,329,860号に記載されているように使用することができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。物体1010は、物体1010内のラベルの照明に応答して生成された発光、及び/又は物体1010の光学基質によって反射又は屈折された光を含み得る、光信号1040を生成する。代替的に、光信号1040は、物体1010内の物質(例えば、物体内の放射性又は化学発光成分)の発光特性に完全に基づいて、照明なしで生成され得る。
【0183】
物体検出器1042及び焦点検出器1044は、例えば、フォトダイオード又はカメラであり得る。本明細書のいくつかの実施形態では、検出器1042及び1044は、8gmピクセルを有する1002×1004 CCDカメラなどの1メガピクセルCCDベース光学撮像システムを有するカメラを備え得、これは、20倍の倍率で、任意選択で、0.5×0.5mmのレーザースポットサイズ(例えば、正方形スポット、又は直径0.5mmの円、又は楕円形スポットなど)を有する励起光を使用して、タイル当たり0.4×0.4mmの面積を撮像することができる。カメラは、任意選択で、100万ピクセルより多い、又は少ないピクセルを有することができ、例えば、4メガピクセルカメラが、使用されることができる。多くの実施形態では、カメラの読み取り速度は、可能な限り速いことが望ましく、例えば、転送速度は、10MHz以上、例えば、20又は30MHzであることができる。より多くのピクセルは、概して、表面のより大きな領域、したがって、より多くの配列決定反応又は他の光学的に検出可能な事象が、単一の露光について同時に撮像されることができることを意味する。特定の実施形態では、CCDカメラ/TIRFレーザーは、1600個のタイルを調べるために約6400個の画像を収集し得る(本明細書で記載されるように、画像は、フィルタ、ダイクロイック、及び検出器の組み合わせを使用してサイクル当たり4つの異なる色で任意選択で行われるので)。1メガピクセルCCDについて、特定の画像は、任意選択で、約5000~50000個のランダムに間隔を空けた固有の核酸クラスタ(すなわち、フローセル表面上の画像)を含有することができる。4色についてタイル当たり2秒の撮像速度、及びタイル当たり25000クラスタの密度で、本明細書のシステムは、任意選択で、1時間当たり約4500万個のフィーチャーを定量化することができる。より速い撮像速度、及びより高いクラスタ密度で、撮像速度は、改善されることができる。例えば、20MHzカメラの読み取り速度、及び20ピクセル毎の分解されたクラスタでは、読み取りは、毎秒100万クラスタであることができる。検出器は、例えば、米国特許第7,329,860号に記載されているような、例えば、ライン走査実施形態における時間遅延積分(TDI)用に構成されることができ、その完全な主題は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の有用な検出器は、例えば、Pacific Silicon Sensor(Westlake Village,Calif.)から入手可能な、単一チップ上に製造された個々のフォトダイオード活性領域の2×2アレイを有するものなどの光象限フォトダイオード検出器、又は、例えば、Hamamatsu Photonics,K.K.(Hamamatsu City,Japan)から入手可能な、一次元又は二次元において均一な抵抗を有するモノリシックPINフォトダイオードを有するものなどの位置有感検出器を含むが、これらに限定されない。
【0184】
図11は、一実施形態に従って形成された試料撮像装置1100の斜視図である。示されるように、試料撮像装置1100は、その上に試料ホルダ1106を有するステージ1104を支持する撮像装置基部1102を含む。試料ホルダ1106は、撮像セッション中に1つ以上の光学基質1108を支持するように構成される。光学基質1108は、図11においてフローセルとして図示されている。しかしながら、他の試料が、使用され得る。
【0185】
試料撮像装置1100はまた、ハウジング1110(仮想線で図示される)と、ハウジング1110を支持する支柱1112とを含む。ハウジング1110は、その中に光学アセンブリ1114の少なくとも一部分を封入することができる。光学アセンブリ1114は、焦点アセンブリ1116及び試料検出アセンブリ1130を含み得る。例えば、焦点アセンブリ1116は、サンプラ撮像装置1100の合焦度を決定するために反射光ビームを受信するオートフォーカスライン走査カメラを含み得る。試料撮像装置1100はまた、フィルタホイール1122と、図11にK4カメラとして示される試料検出器1132に向かって光を向ける、アライメントミラー1124とを含み得る。
【0186】
図12は、それらの成分、成分順序、及び概して試料の構造を決定するために配列決定され得る分子試料を処理するように構成された配列決定システム1210の実装形態を図示する。本システムは、生体試料を受け取って、処理する機器1212を含む。試料源1214は、多くの場合、組織試料を含む試料1216を提供する。試料源は、例えば、ヒト、動物、微生物、植物、若しくは他のドナー(環境試料を含む)などの個体若しくは対象、又は配列が決定される対象の有機分子を含む任意の他の対象を含み得る。もちろん、本システムは、合成された分子を含む、生物から採取された試料以外の試料とともに使用され得る。多くの場合、分子は、DNA、RNA、又は塩基対を有する他の分子を含み、その配列は、最終的な対象の特定の機能を有する遺伝子及びバリアントを規定し得る。
【0187】
試料1216は、試料/ライブラリ調製システム1218に導入される。このシステムは、分析のために試料を単離、破壊、及び別様に調製し得る。得られたライブラリは、配列決定操作を容易にする長さにおける対象の分子を含む。次いで、得られたライブラリは、配列決定操作が実施される機器1212に提供される。実際には、テンプレートと呼称されることもあり得るライブラリは、自動化又は半自動化プロセスにおいて試薬と組み合わされ、次いで、配列決定の前にフローセルに導入される。
【0188】
図12に図示される実装形態では、本機器は、試料ライブラリを受け入れるフローセル又はアレイ1220を含む。フローセルは、ライブラリの分子の付着、及び配列決定操作中に検出されることができる位置又は部位での増幅を含む、配列決定化学現象が発生することを可能にする1つ以上の流体チャネルを含む。例えば、フローセル/アレイ1220は、位置又は部位で1つ以上の表面上に固定化された配列決定テンプレートを含み得る。「フローセル」は、マイクロアレイ、ナノアレイなどのパターン化されたアレイを含み得る。実際には、位置又は部位は、支持体の1つ以上の表面上に、規則的な反復パターン、複雑な非反復パターン、又はランダムな配列で配置され得る。配列決定化学現象が発生することを可能にするために、フローセルはまた、反応、フラッシングなどのために使用される、種々の試薬、緩衝液、及び他の反応媒体を含むような物質の導入を可能にする。物質は、フローセルを通って流れ、個々の部位で対象の分子と接触し得る。
【0189】
本機器において、フローセル1220は、この実装形態では、参照番号1224によって示されるように、1つ以上の方向に移動され得る可動ステージ1222上に取り付けられる。フローセル1220は、例えば、試薬及び他の流体がフローセル1220に、又はそこから送達されることを可能にするために、可動ステージ1222又はシステムの他のコンポーネント上のポートとインターフェースし得る、取り外し可能かつ交換可能なカートリッジの形態で提供され得る。ステージは、配列決定中に放射線又は光1228をフローセルに向けることができる光学検出システム1226と関連付けられる。光学検出システムは、フローセルの部位に配置された分析物の検出のために、蛍光顕微鏡法などの様々な方法を採用し得る。非限定的な実施例として、光学検出システム1226は、フローセルにおける個々の部位を位置特定するために、及び各部位に直前に付着又は結合されたヌクレオチドのタイプを決定するために分析され得る、プログレッシブピクセル化画像データを生成するために、共焦点ライン走査を採用し得る。他の撮像技術はまた、1つ以上の放射点が試料に沿って走査される技術、又は「ステップ・アンド・シュート」撮像技術を採用する技術など、適切に採用され得る。光学検出システム1226及びステージ1222は、領域画像を取得しながら、フローセル及び検出システムを静的関係に維持するように協働し得、又は、前述のように、フローセルは、任意の適切なモード(例えば、点走査、線走査、「ステップ・アンド・シュート」走査)で走査され得る。
【0190】
多くの異なる技術が、撮像のために、又はより概して、部位における分子を検出するために使用され得るが、現在企図される実装形態は、蛍光タグの励起を引き起こす波長における共焦点光学撮像を利用し得る。タグは、その吸収スペクトルによって励起され、その発光スペクトルによって蛍光信号を返す。光学検出システム1226は、信号放出部位の分析を可能にする解像度で画素化画像データを処理し、結果として生じる画像データ(又はそれから導出されるデータ)を処理及び記憶するために、そのような信号を捕捉するように構成される。
【0191】
配列決定操作では、サイクル操作又はプロセスは、自動化又は半自動化様式で実装され、ここで、反応は、例えば、単一ヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを用いて促進され、続いて、後続のサイクルのための調製において、フラッシング、撮像及び脱ブロッキングが行われる。配列決定のために調製され、フローセル上に固定化された試料ライブラリは、全ての有用な情報がライブラリから抽出される前に、多数のこのようなサイクルを受け得る。光学検出システム1226は、電子検出回路(例えば、カメラ又は撮像電子回路若しくはチップ)の使用によって、配列決定動作の各サイクル中にフローセル(及びその部位)の走査から画像データを生成し得る。次いで、得られた画像データを分析して、画像データ中の個々の部位の位置を特定し、例えば、特定の位置で検出された光の特定の色又は波長(特定の蛍光タグの特徴的な発光スペクトル)を参照することによって、その位置での画像データ中のピクセルの群又はクラスタによって示されるように、その部位に存在する分子を分析及び特徴付けし得る。DNA又はRNA配列決定アプリケーションでは、例えば、4つの共通ヌクレオチドは、同定可能な蛍光発光スペクトル(光の波長又は波長範囲)によって表され得る。次いで、各発光スペクトルは、そのヌクレオチドに対応する値を割り当てられ得る。この分析に基づいて、及び各部位について決定された循環値を追跡して、個々のヌクレオチド及びそれらの順序は、各部位について決定され得る。次いで、これらの配列は、遺伝子、染色体などを含むより長いセグメントを組み立てるために、更に処理され得る。本開示で使用される場合、「自動化された」及び「半自動化された」という用語は、動作が開始されると、又は動作を含むプロセスが開始されると、人間の対話がほとんど又は全く伴わずに、システムプログラミング又は構成によって動作が実施されることを意味する。
【0192】
図示される実装形態では、試薬1230は、バルブ1232を介してフローセル内に引き込まれるか、又は吸引される。バルブは、ピペット又はシッパー(図12には図示せず)などを通して、試薬が貯蔵されている受容器又は容器から試薬にアクセスし得る。バルブ1232は、実施される動作の規定されたシーケンスに基づいて、試薬の選択を可能にし得る。バルブは更に、試薬を流路1234を通してフローセル1220に向けるためのコマンドを受信し得る。出口又は流出液流路1236は、フローセルから使用済み試薬を向ける。図示される実装形態では、ポンプ1238は、システムを通して試薬を移動させる働きをする。ポンプはまた、システムを通して試薬又は他の流体を測定すること、空気又は他の流体を吸引することなど、他の有用な機能を果たし得る。ポンプ1238の下流の追加のバルブ1240は、使用済み試薬を処分容器又は受容器1242に適切に向けることを可能にする。
【0193】
機器は、種々のシステムコンポーネントの動作を命令すること、センサからのフィードバックによってそれらの動作を監視すること、画像データを収集すること、及び画像データを少なくとも部分的に処理することを支援する、様々な回路を更に含む。図12に図示される実装形態では、制御/監視システム1244は、制御システム1246と、データ取得及び分析システム1248とを含む。両方のシステムは、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、FPGA、又は任意の他の適切な処理回路などのデジタル処理回路)と、特定の機能性を提供するために、例えば、1つ以上のコンピュータ、プロセッサ、又は他の類似論理装置を制御するための機械実行可能命令を記憶し得る、関連付けられたメモリ回路1250(例えば、固体メモリ装置、動的メモリ装置、オン及び/又はオフボードメモリ装置など)とを含むであろう。特定用途向け又は汎用コンピュータは、制御システム並びにデータ取得及び分析システムを少なくとも部分的に構成し得る。制御システムは、例えば、流体工学、光学系、ステージ制御、及び機器の任意の他の有用な機能のためのコマンドを処理するように構成された(例えば、プログラムされた)回路を含み得る。データ取得及び分析システム1248は、光学検出システム若しくはステージ又はその両方の移動、周期的検出のための光の放出、戻り信号の受信及び処理などを命令するために、光学検出システムとインターフェースする。機器はまた、機器の制御及び監視、試料の移動、自動化又は半自動化配列決定操作の起動、レポートの生成などを許可するオペレーターインターフェースなどの、参照番号1252で示されるような種々のインターフェースを含み得る。最後に、図12の実装形態では、外部ネットワーク又はシステム1254は、例えば、分析、制御、監視、保守、及び他の動作のために、機器に結合され、それと協働し得る。
【0194】
単一のフローセル及び流体経路、並びに単一の光学検出システム1226が図12に図示されるが、いくつかの機器では、2つ以上のフローセル及び流体経路が収容され得ることに留意されたい。例えば、現在企図されている実装形態では、2つのそのような配列が、配列決定及びスループットを向上させるために提供される。実際には、任意の数のフローセル及び流路が、提供され得る。これらは、同じ又は異なる試薬レセプタクル、処分レセプタクル、制御システム、画像分析システムなどを利用し得る。提供される場合、複数の流体システムは、個々に制御され得、又は協調様式で制御され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
コンテナオーケストレーションエンジン及びバリアント分析モデルを有する共有ネットワークサーバ上にローカルに収容されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、
試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールを生成するために前記バリアント分析モデルを利用してバリアント分析を実施することと、
前記共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスして、コンテナオーケストレーションエンジンによってスケジュールされたとおりに、診断ワークフローコンテナのためのプロセスを連続して実行するために、前記FPGAを利用することによって、前記試料ヌクレオチド配列についての遺伝的状態を検出するために、前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実行することであって、前記診断ワークフローコンテナは、前記共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスすることなく、外部サーバからの外部配列決定診断ワークフローを構成する、実施することと、
前記外部サーバへの前記ヌクレオチドベースコールの曝露を防止するために、標的セキュリティ許可を使用して前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを分離することと、
連続してスケジュールされた前記1つ以上のワークフローコンテナを処理するために前記FPGAのコンピューティングリソースを割り当てるために、前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を行わせる命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体と、を備える、システム。
【請求項2】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、前記バリアント分析モデル及び前記コンテナオーケストレーションエンジンの前記共有ネットワークサーバとは別個の前記外部サーバ上でホストされた外部アプリケーションから同定された前記外部配列決定診断ワークフローを実装することを行わせる命令を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、
標準化された遺伝子診断プロトコルに対応する診断実行モードを決定することと、
クライアント装置に対して、前記診断実行モードと互換性のある診断アプリケーションのみへのアクセスを許諾することと、を行わせる命令を更に含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、前記配列決定データにアクセスし、前記外部配列決定診断ワークフローによって利用されるワークフローコンテナに読み取り専用許可を適用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローが前記ヌクレオチドベースコールに関連付けられた配列決定データにアクセスすることを防止することを行わせる命令を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、前記外部配列決定診断ワークフローを実行している間、前記1つ以上のワークフローコンテナが前記試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを選択的に防止することを行わせる命令を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、前記1つ以上のワークフローコンテナについての配列決定データアクセス許可を個々に指定するために、前記標的セキュリティ許可を利用することによって前記1つ以上のワークフローコンテナを分離することを行わせる命令を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記FPGAによって実行されると、前記システムに、外部エンティティによって操作された外部装置によって生成された前記外部配列決定診断ワークフローを受信することを行わせる命令を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータ実装方法であって、
試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールを生成するために、バリアント分析モデルを利用してバリアント分析を実施することと、
共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスして、コンテナオーケストレーションエンジンによってスケジュールされたとおりに、診断ワークフローコンテナのためのプロセスを連続して実行するために、前記コンテナオーケストレーションエンジン及び前記バリアント分析モデルを有する前記共有ネットワークサーバ上にローカルに収容されたFPGAを利用することによって、前記試料ヌクレオチド配列についての遺伝的状態を検出するために、前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施することであって、前記診断ワークフローコンテナは、前記共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスすることなく、外部サーバからの外部配列決定診断ワークフローを構成する、実施することと、
前記ヌクレオチドベースコールの前記外部サーバへの曝露を防止するために標的セキュリティ許可を使用して前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを分離することと、
連続してスケジュールされた前記1つ以上のワークフローコンテナを処理するために前記FPGAのコンピューティングリソースを割り当てるために、前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記1つ以上のワークフローコンテナを分離することは、前記外部配列決定診断ワークフローによる配列決定データへのアクセスを防止するために、前記1つ以上のワークフローコンテナについての異なるワークフローデータソースへのアクセスを制御することを含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記バリアント分析モデルのバージョンを定義するラベルの指標及び前記外部配列決定診断ワークフローを実行するために利用するメモリ割り当てを受信することを更に含む、請求項8又は9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
異なるタイプのワークフローデータを記憶する複数のワークフローデータソースを指定することと、
前記1つ以上のワークフローコンテナの中からの1つのワークフローコンテナに対して、前記複数のワークフローデータソースのうちの第1のワークフローデータソースへのアクセスをアクティブ化する一方、前記複数のワークフローデータソースのうちの他のワークフローデータソースへのアクセスを防止することと、を更に含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記1つ以上のワークフローコンテナのための読み取り専用として、複数のワークフローデータソースをマウントすることを更に含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記配列決定データにアクセスし、かつ前記外部配列決定診断ワークフローによって利用されるワークフローコンテナに読み取り専用許可を適用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローが前記ヌクレオチドベースコールに関連付けられた配列決定データにアクセスすることを防止することを更に含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記バリアント分析モデルによるバリアント分析中に、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを更に含む、請求項8~13のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、FPGAによって実行されると、コンピューティング装置に、
試料ヌクレオチド配列についてのヌクレオチドベースコールを生成するためにバリアント分析モデルを利用してバリアント分析を実施することと、
共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスして、コンテナオーケストレーションエンジンによってスケジュールされたとおりに、診断ワークフローコンテナのためのプロセスを連続して実行するために、前記コンテナオーケストレーションエンジン及び前記バリアント分析モデルを有する前記共有ネットワークサーバ上にローカルに収容された前記FPGAを利用することによって、前記試料ヌクレオチド配列についての遺伝的状態を検出するために、前記ヌクレオチドベースコールに対して診断分析を実施することであって、前記診断ワークフローコンテナは、前記共有ネットワークサーバ内の前記ヌクレオチドベースコールにアクセスすることなく、外部サーバからの外部配列決定診断ワークフローを構成する、実施することと、
前記外部サーバへの前記ヌクレオチドベースコールの曝露を防止するために、標的セキュリティ許可を使用して前記外部配列決定診断ワークフローのそれぞれの機能に関連付けられた1つ以上のワークフローコンテナを分離することと、
連続してスケジュールされた前記1つ以上のワークフローコンテナを処理するために前記FPGAのコンピューティングリソースを割り当てるために、前記コンテナオーケストレーションエンジンを利用することによって、前記外部配列決定診断ワークフローを実行することと、を行わせる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記FPGAによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記外部配列決定診断ワークフローの実行中に前記試料ヌクレオチド配列の前記ヌクレオチドベースコールに関連付けられた配列決定データへの読み取り専用アクセスを前記外部配列決定診断ワークフローに許諾するワークフロー実行アプリケーションを符号化することによって、前記外部配列決定診断ワークフローも実行しながら、1つ以上の標準化された遺伝子診断プロトコルを満足する前記1つ以上のワークフローコンテナを分離することを行わせる命令を更に含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記FPGAによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記コンテナオーケストレーションエンジン及び前記バリアント分析モデルの前記共有ネットワークサーバとは別個のサーバ上の外部システムによって生成された前記外部配列決定診断ワークフローを実行することを行わせる命令を更に含む、請求項15又は16に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記FPGAによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記1つ以上のワークフローコンテナのうちの1つのワークフローコンテナが前記試料ヌクレオチド配列の配列決定データにアクセスすることを防止することによって前記1つ以上のワークフローコンテナを分離することを行わせる命令を更に含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記FPGAによって実行されると、前記コンピューティング装置に、入力ディレクトリ、出力ディレクトリ、及びアプリケーションディレクトリを含む1つ以上のワークフローデータソースに前記ワークフローコンテナがアクセスすることを防止することによって、前記ワークフローコンテナが前記配列決定データにアクセスすることを防止することを行わせる命令を更に含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記FPGAによって実行されると、前記コンピューティング装置に、前記コンテナオーケストレーションエンジンを介して、前記外部配列決定診断ワークフローを実装するためのポスト定義パラメータを受信することによって、前記外部配列決定診断ワークフローの実行をトリガすることを行わせる命令を更に含む、請求項15~19のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】