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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】超低消費電力の環境発電電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20250128BHJP
   H02S 50/00 20140101ALI20250128BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20250128BHJP
【FI】
H02J7/35 J
H02S50/00
H02S10/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538277
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 GB2022053322
(87)【国際公開番号】W WO2023118850
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118766.1
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】524235876
【氏名又は名称】ライトリシティ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンポス、ジュリアン ピエール レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】べランガー、マチュー
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ネイサン ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】カウアー、マティアス
【テーマコード(参考)】
5F251
5G503
【Fターム(参考)】
5F251JA28
5F251KA02
5F251KA04
5F251KA05
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA06
5G503DB03
5G503EA06
5G503GD06
(57)【要約】
電子機器(20;60;100;150;170;180;182;190;192;200;210)は、光発電力部(21)、エネルギー貯蔵部(22)、電圧検出器(23)、負荷スイッチ(24)、および適用業務負荷(25)を備える。電子機器(20;60;100;150;170;180;182;190;192;200;210)は、周囲照明からエネルギーを収集して保存し、収集したエネルギーと保存したエネルギーのうち少なくとも一方から適用業務負荷(25)への電力供給を最適化するように構成されている。光発電部(21)と、エネルギー貯蔵部(22)と、電圧検出器(23)と、負荷スイッチ(24)の入力と、は共通点(N1)に接続されている。光発電部(21)は周囲照明からエネルギーを収集する。負荷スイッチ(24)の出力は適用業務負荷に結合されている。電圧検出器(23)は、エネルギー貯蔵部(22)および光発電部(21)のうち少なくとも一方から適用業務負荷へ最適化された電力供給を提供するために、共通点(N1)での電圧を測定して、測定された電圧が第一電圧以上のレベルまで上昇すると負荷スイッチ(24)をオンにする。電圧検出器(23)は、測定された電圧が第二電圧以下のレベルまで低下すると、光発電部(21)がエネルギー貯蔵部(22)にエネルギーを貯蔵するために負荷スイッチ(24)をオフにする。第一電圧は第二電圧よりも大きい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチおよび適用業務負荷を備える電子機器であって、前記電子機器は、
周囲照明からエネルギーを収集して貯蔵し、
収集したエネルギーおよび貯蔵されたエネルギーのうち少なくとも一つから前記適用業務負荷への電力供給を最適化するように構成され、
前記光発電部と、前記エネルギー貯蔵部と、前記電圧検出器と、前記負荷スイッチの入力と、は共通点に接続され、
前記光発電部は前記周囲照明からエネルギーを収集するように構成され、
前記負荷スイッチの出力は前記適用業務負荷に結合され、
前記電圧検出器は前記共通点で電圧を測定するように構成され、
前記電圧検出器は、前記エネルギー貯蔵部および前記光発電部のうち少なくとも一方から前記適用業務負荷へ最適化された電力を供給するために、前記共通点で測定された電圧が第一電圧以上のレベルまで上昇すると前記負荷スイッチをオンにするようにさらに構成され、
前記電圧検出器は、前記共通点で測定された電圧が第二電圧以下のレベルに低下すると、前記光発電部が前記エネルギー貯蔵部にエネルギーを貯蔵するために前記負荷スイッチをオフにするようにさらに構成され、
前記第一電圧は前記第二電圧よりも大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記適用業務負荷は、前記負荷スイッチがオンになっていると、起動シーケンスを実行した後に少なくとも一つの活動シーケンスを実行するように構成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
開始された活動シーケンスを完了するように構成される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第一電圧は、所与の温度に対して、前記光発電部がその最大出力点で生成する電圧の20%以内である
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記エネルギー貯蔵部は、電池および充電式電池のうち少なくとも一方を備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記エネルギー貯蔵部は、コンデンサおよびスーパーコンデンサのうち少なくとも一方を備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
前記負荷スイッチと前記適用業務負荷との間に接続された電圧レギュレータをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記適用業務負荷に関与し、方向、加速度、温度、湿度、気圧、光、照度、磁場、音、赤外線、紫外線、ガス、近接度、画像、およびユーザ入力のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせに関連するデータを収集するように構成された少なくとも一つのセンサをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
センサが収集した前記データは、前記適用業務負荷に関与するメモリに保存される
ことを特徴とする、請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記適用業務負荷に関与し、プッシュボタン、スイッチ、タッチセンサ、およびユーザ入力のうち少なくとも一つ、またはそれらの任意の組み合わせに関連するデータを収集するように構成された少なくとも一つのアクチュエータを備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
アクチュエータが収集した前記データは、前記適用業務負荷に関与するメモリに保存される
ことを特徴とする、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
センサおよびアクチュエータのうち少なくとも一方が活動シーケンスを開始させる
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記適用業務負荷に関与する照度センサをさらに備え、
前記適用業務負荷およびそれに関与する前記照度センサは、周囲照度レベルを測定するように構成され、
前記適用業務負荷およびそれに関与する前記照度センサは、測定された前記周囲照度レベルに応じて回路効率を自動的に最適化するようにさらに構成されている
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記光発電部は、前記適用業務負荷に直接に接続され、
前記光発電部および前記適用業務負荷は、周囲照度レベルを測定するように構成され、
前記光発電部および前記適用業務負荷は、測定された前記周囲照度レベルに応じて回路効率を自動的に最適化するようにさらに構成されている
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記適用業務負荷は無線通信部を備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記無線通信部はBluetooth Low Energy送信機である
ことを特徴とする、請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記負荷スイッチがオンになっていると前記適用業務負荷が起動シーケンスを実行した後に活動シーケンスを実行するように構成され、前記活動シーケンスには、複数の無線受信機のネットワークに情報を送信することが含まれる
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の電子機器。
【請求項18】
送信される前記情報には、ビーコン信号と、前記適用業務負荷に関与する少なくとも一つのセンサから収集されたデータと、少なくとも一つのセンサーから収集されて前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されたデータと、前記適用業務負荷に関与する少なくとも一つのアクチュエータから収集されたデータと、少なくとも一つのアクチュエータから収集されて前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されたデータと、測定された周囲照度レベルと、のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせが含まれる
ことを特徴とする、請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
前記適用業務負荷は、主要活動機能負荷に接続された制御部を備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項18のいずれかに記載の電子機器。
【請求項20】
前記制御部と前記主要活動機能負荷とは、情報を交換するように構成される
ことを特徴とする、請求項19に記載の電子機器。
【請求項21】
前記制御部は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、ロジック部のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせを備える
ことを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の電子機器。
【請求項22】
追加の電圧検出器を備え、
前記追加の電圧検出器と、前記負荷スイッチの出力と、は、追加の共通点で接続され、
前記追加の電圧検出器は、前記追加の共通点での電圧を測定するように構成される
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項21のいずれかに記載の電子機器。
【請求項23】
前記追加の電圧検出器および前記適用業務負荷は、前記追加の共通点で測定された電圧が第三電圧以上のレベルまで上昇すると活動シーケンスを実行するように構成され、
前記追加の電圧検出器および前記適用業務負荷は、前記追加の共通点で測定された電圧が第四電圧以下のレベルまで低下すると追加の活動シーケンスを実行しないようにさらに構成され、
前記第三電圧は前記第二電圧よりも大きく、
前記第四電圧は前記第二電圧よりも大きく、
前記第三電圧は前記第四電圧よりも大きい
ことを特徴とする、請求項22に記載の電子機器。
【請求項24】
前記適用業務負荷に接続されたタイマーをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項23のいずれかに記載の電子機器
【請求項25】
前記タイマーおよび前記適用業務負荷は、前記起動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンシーケンスを開始するように構成される
ことを特徴とする、請求項24に記載の電子機器。
【請求項26】
前記タイマーおよび前記適用業務負荷は、前記活動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンシーケンスを開始するように構成される
ことを特徴とする、請求項24に記載の電子機器。
【請求項27】
前記タイマーおよび前記適用業務負荷は、
前記タイマーでのカウントダウンシーケンスが完了していること、
前記追加の電圧検出器が前記追加の共通点で前記第三電圧よりも小さい電圧を測定すること、
前記電圧検出器が前記共通点で前記第二電圧よりも大きい電圧を測定すること、
という条件がすべて満たされると、少なくとも一つの活動シーケンスを実行するように構成されている
ことを特徴とする、請求項23に従属する場合に請求項25または請求項26に記載の電子機器。
【請求項28】
適用業務負荷への電力供給を最適化する電子機器が実行する方法であって、前記電子機器は、光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチ、および適用業務負荷を備え、前記適用業務負荷は、起動シーケンスおよび活動シーケンスを有し、
前記方法は、
前記負荷スイッチがオフになっている間は前記光発電部から前記エネルギー貯蔵部に充電することと、
前記電圧検出器で第一電圧以上の電圧を検出すると前記負荷スイッチをオンにすることと、
前記負荷スイッチをオンにした後に前記起動シーケンスを実行することと、
前記起動シーケンスの後に少なくとも一つの活動シーケンスを実行することと、
前記電圧検出器で第二電圧以下の電圧を検出すると活動シーケンスを実行しないようにするとともに前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、
前記第一電圧は前記第二電圧よりも大きい
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
前記電子機器は追加の電圧検出器を備え、前記方法はさらに、
i)前記追加の電圧検出器で第三電圧未満の電圧を検出するとともにii)前記電圧検出器で前記第二電圧より大きい電圧を検出すると、前記起動シーケンスの後に遊休モードに入ることと、
前記追加の電圧検出器で前記第三電圧以上の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して活動シーケンスを実行することと、
前記追加の電圧検出器で第四電圧より大きい電圧を検出すると、少なくとも一つの追加の活動シーケンスを実行することと、
i)前記追加の電圧検出器で第四電圧以下の電圧を検出するとともにii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、活動シーケンスを実行しないようにして遊休モードに入ることと、
前記電圧検出器で第二電圧以下の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、
前記第三電圧は前記第二電圧より大きく、
前記第四電圧は前記第二電圧より大きく、
前記第三電圧は前記第四電圧より大きい
ことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記電子機器は、追加の電圧検出器と、タイマーと、を備え、前記方法はさらに、
前記起動シーケンスを実行した後に前記タイマーでカウントダウンを開始することと、
i)前記追加の電圧検出器で第三電圧未満の電圧を検出するとともに、ii)前記タイマーでのカウントダウンが終了しておらず、iii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、前記タイマーでカウントダウンを開始した後に、遊休モードに入ることと、
i)前記追加の電圧検出器で前記第三電圧以上の電圧を検出するか、ii)前記タイマーでのカウントダウンが終了するかのいずれかが起こると、前記遊休モードを終了して活動シーケンスを実行することと、
前記活動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンを再開することと、
前記追加の電圧検出器で第四電圧よりも大きい電圧を検出すると、少なくとも一つの追加の活動シーケンスを実行することと、
i)前記追加の電圧検出器で前記第四電圧以下の電圧を検出するとともにii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、活動シーケンスを実行しないようにして前記遊休モードに入ることと、
前記電圧検出器で前記第二電圧以下の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、
前記第三電圧は前記第二電圧よりも大きく、
前記第四電圧は前記第二電圧よりも大きく、
前記第三電圧は前記第四電圧よりも大きい
ことを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチ、および適用業務負荷を備える電子機器であって、前記適用業務負荷は起動シーケンスおよび活動シーケンスを有し、前記電子機器は、請求項28乃至請求項30のいずれかに記載の方法を実行するように構成されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超低消費電力の環境発電回路設計に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイム位置特定システム(RTLS)は、リアルタイム追跡システムとも呼ばれ、物体や人の位置をリアルタイムで自動的に識別して追跡するために使用される。RTLS は、全地球測位衛星(GPS)システムとは異なり、通常、建物内またはその他の管理領域内で運用される。無線RTLSタグは、物理的な物体に取り付けられるか、人が身に着ける。ほとんどのRTLSでは、固定の基準地点においてタグから無線「ビーコン」信号を受信しそのタグの位置を特定する。RTLS基準地点では、タグに情報を送信することもあり得る。複数の基準地点が建物(または同様の対象領域)全体に配置され、所望のタグ検知範囲が提供される。タグ位置の精度は多くの変数によって決まる。リアルタイム位置特定システムの例としては、組立ラインを通る自動車の追跡、倉庫内の商品パレットの位置特定、病院内の医療機器の検索などが挙げられる。
【0003】
これまでに公開されたRTLS設計では、タグ動作に電力を供給するために、少なくとも一つの光発電素子(太陽電池)と一つのバッテリーとの組み合わせを使用する。バッテリーが放電状態になると、タグ (および、必然的に、タグが取り付けられた資産) は、バッテリーが十分に充電されてタグがビーコン信号を送信できるようになるまで、一時的に行方不明になる。バッテリーは、回路が最適化されていない場合や周囲の照明レベルが低すぎる場合に放電状態になり得る。より大きなバッテリーやより大きな光発電素子を使用すれば、ビーコン信号がタグから定常的に送信できるようになるが、そのような設計ではコストが増加し、メンテナンスも増加し(充電式バッテリーでもやがて交換が必要になる)、寸法も大きくなる。したがって、理想的なタグ設計は、小型で低コストであり、エネルギー収集条件に関係なく定期的にビーコン信号を提供するために周囲からエネルギーを収集できるものになる。
【0004】
無線RTLSタグとしては、センサを使用して当該センサが検出した情報を決められた基準地点に伝えるものが公開されている。このようなセンサタグは、タグの位置と、少なくとも一つの物理的に検出された属性(例えば、温度、湿度、加速度など)と、の両方を伝える。タグが不動の物体に取り付けられている場合、タグは位置情報を伝える必要がないこともあり得る。
【0005】
特許出願US20180295466A1は、低電力で短距離無線周波数用の無線ビーコンおよびビーコン筐体を提供するための装置、システム、および製造品を開示している。US20180295466A1で開示されたタグはバッテリーを使用するが、タグに電力を供給するエネルギーを周囲から収集する方法は開示していないし、超低電力動作に最適化された回路設計も開示していない。特許出願US20100013639A1は、モバイル資産の資産追跡を提供するシステムを開示しているが、超低電力動作に最適化された回路設計は開示していない。特許出願US2019/0354824A1、US20180110012A1、US20210073153A1、US20190028089A1、US20110264293A1、US20130020880A1、US8264194B1、US8686681B2、US10211647B2、EP1751727B1、EP3787148A1、US20190265664A1、WO2011083424A1、EP3264785B1、およびW02016187019A1は、検知目的やタグの位置特定に使用される様々なタグ装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、周囲照明からエネルギーを収集して、収集したエネルギーを蓄積する様々な電子機器を実現することを目的としている。これらの電子機器は、収集されたエネルギーで自らが実行する有用な作業の量を最適化するために、関与する適用業務負荷への電力供給を最適化するように構成される。収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の量を最適化すれば、当該電子機器の全体的な電力消費が削減される。本発明の各電子機器は、タグ装置であり得るか、またはタグ装置内に含まれ得る。電子機器は、無線送信機を介して複数の無線受信機のネットワークに情報を伝え得る。電子機器は、自らの位置を確認できるようにする情報を伝え得たり、自分に関与する一つ以上のセンサで取得したデータに関連する情報を伝え得たりする。本発明のいくつかの態様は、周囲照明レベルを測定し、それに応じて、関与する適用業務負荷への電力供給を自動的に最適化する各電子機器を開示する。電子機器が無線送信機を備える場合、最適化された電力供給によって、無線送信機によるデータの送信速度を最適化し得る(つまり、電子機器の回路効率が最適化される)。適用業務負荷への電力供給を最適化すれば回路効率を最適化できるし、その結果、適用業務負荷は電子機器が収集したエネルギーに対して実行される有用な作業量を最適化できる。
【0007】
本発明の各態様は、従来技術よりも全体的な電力消費を低減するために、電子機器内の適用業務負荷への電力供給を最適化することによって、許容可能な回路効率を維持しながら、電子機器を小型化しコストを削減することを目的とする。言い換えれば、本発明の電子機器は、同じ量のエネルギーに対して、従来の電子機器よりも有用な作業を実行し、より高い回路効率を有することを目的とすることによって、低コストおよび小型化という利点が得られるようにする。本発明に係る各電子機器は、電力供給が最適化され、従来技術よりも広範囲の周囲照明条件に対して高い回路効率を有する。言い換えれば、本発明の各電子機器は、従来技術よりも低い周囲照明条件で動作し得る。本発明に係る各電子機器は、電力供給が最適化されることによって、ほとんどの周囲照明条件で許容可能な動作を行うことができる。本発明の各態様は、従来技術よりも小型の光発電部を利用するので、許容可能な回路効率を維持しながら、小型化しコストを削減することができる。従来技術とは異なり、本発明に係るいくつかの電子機器は、バッテリーまたは充電式バッテリーを使用しない(すなわち、コンデンサやスーパーコンデンサのみを使用してエネルギーを蓄積する)ため、許容可能な回路効率を維持しながら、サイズおよびコストをさらに削減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチおよび適用業務負荷を備える電子機器を提供し、前記電子機器は、周囲照明からエネルギーを収集して貯蔵し、収集したエネルギーおよび貯蔵されたエネルギーのうち少なくとも一方から前記適用業務負荷への電力供給を最適化するように構成され、前記光発電部と、前記エネルギー貯蔵部と、前記電圧検出器と、前記負荷スイッチの入力と、は共通点で接続され、前記光発電部は前記周囲照明からエネルギーを収集するように構成され、前記負荷スイッチの出力は前記適用業務負荷に結合され、前記電圧検出器は前記共通点で電圧を測定するように構成され、前記電圧検出器は、前記エネルギー貯蔵部および前記光発電部のうち少なくとも一つから前記適用業務負荷へ最適化された電力を供給するために、前記共通点で測定された電圧が第一電圧以上のレベルまで上昇すると前記負荷スイッチをオンにするようにさらに構成され、前記電圧検出器は、前記共通点で測定された電圧が第二電圧以下のレベルまで低下すると、前記光発電部が前記エネルギー貯蔵部にエネルギーを貯蔵するために前記負荷スイッチをオフにするようにさらに構成され、前記第一電圧は前記第二電圧よりも大きい。
【0009】
本発明の電子機器は、前記負荷スイッチがオンになっていると、前記適用業務負荷が起動シーケンスを実行した後に少なくとも一つの活動シーケンスを実行するように構成され得る。
【0010】
本発明の電子機器は、開始された活動シーケンスを完了するように構成され得る。
【0011】
本発明の電子機器は、前記第一電圧が、所与の温度に対して、前記光発電部がその最大出力点で生成する電圧の20%以内であるように構成され得る。
【0012】
本発明の電子機器は、前記エネルギー貯蔵部が電池および充電式電池のうち少なくとも一方を備えるように構成され得る。
【0013】
本発明の電子機器は、前記エネルギー貯蔵部がコンデンサおよびスーパーコンデンサのうち少なくとも一方を備えるように構成され得る。
【0014】
本発明の電子機器は、前記負荷スイッチと前記適用業務負荷との間に接続された電圧レギュレータを備え得る。
【0015】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷に関与し、方向、加速度、温度、湿度、気圧、光、照度、磁場、音、赤外線、紫外線、ガス、近接度、画像、およびユーザ入力のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせに関連するデータを収集するように構成された少なくとも一つのセンサを備え得る。
【0016】
本発明の電子機器は、センサが収集した前記データが前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されるように構成され得る。
【0017】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷に関与し、プッシュボタン、スイッチ、タッチセンサ、およびユーザ入力のうち少なくとも一つ、またはそれらの任意の組み合わせに関連するデータを収集するように構成された少なくとも一つのアクチュエータを備え得る。
【0018】
本発明の電子装置は、アクチュエータが収集した前記データが前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されるように構成され得る。
【0019】
本発明の電子機器は、センサおよびアクチュエータのうち少なくとも一方が活動シーケンスを開始させるように構成され得る。
【0020】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷に関与する照度センサを備え得て、前記適用業務負荷およびそれに関与する前記照度センサは、周囲照度レベルを測定するように構成され、前記適用業務負荷およびそれに関与する前記照度センサは、測定された前記周囲照度レベルに応じて回路効率を自動的に最適化するようにさらに構成されている。
【0021】
本発明の電子機器は、前記光発電部が前記適用業務負荷に直接に接続され、前記光発電部および前記適用業務負荷が周囲照度レベルを測定するように構成され、前記光発電部および前記適用業務負荷が、測定された前記周囲照度レベルに応じて回路効率を自動的に最適化するようにさらに構成され得る。
【0022】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷が無線通信部を備えるように構成され得る。
【0023】
本発明の電子機器は、前記無線通信部がBluetooth Low Energy送信機であるように構成され得る。
【0024】
本発明の電子機器は、前記負荷スイッチがオンになっていると、前記適用業務負荷が起動シーケンスを実行した後に活動シーケンスを実行するように構成され得て、前記活動シーケンスには、複数の無線受信機のネットワークに情報を送信することが含まれる。
【0025】
本発明の電子機器は、送信される前記情報には、ビーコン信号と、前記適用業務負荷に関与する少なくとも一つのセンサーから収集されたデータと、少なくとも一つのセンサーから収集されて前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されたデータと、前記適用業務負荷に関与する少なくとも一つのアクチュエータから収集されたデータと、少なくとも一つのアクチュエータから収集されて前記適用業務負荷に関与するメモリに保存されたデータと、測定された周囲照度レベルと、のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせが含まれるように構成され得る。
【0026】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷が主要活動機能負荷に接続された制御部を備えるように構成され得る。
【0027】
本発明の電子機器は、前記制御部と前記主要活動機能負荷とが情報を交換するように構成され得る。
【0028】
本発明の電子機器は、前記制御部が、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、ロジック部のうち少なくとも一つまたはそれらの任意の組み合わせを備えるように構成され得る。
【0029】
本発明の電子機器は、前記追加の電圧検出器と、前記負荷スイッチの出力と、が追加の共通点で接続され、前記追加の電圧検出器が前記追加の共通点での電圧を測定するように構成され得る。
【0030】
本発明の電子機器は、前記追加の電圧検出器および前記適用業務負荷が、前記追加の共通点で測定された電圧が第三電圧以上のレベルまで上昇すると活動シーケンスを実行するように構成され、前記追加の電圧検出器および前記適用業務負荷が、前記追加の共通点で測定された電圧が第四電圧以下のレベルまで低下すると追加の活動シーケンスを実行しないようにさらに構成されるように構成され得て、前記第三電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第四電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第三電圧は前記第四電圧よりも大きい。
【0031】
本発明の電子機器は、前記適用業務負荷に接続されたタイマーを備え得る。
【0032】
本発明の電子機器は、前記タイマーおよび前記適用業務負荷が、前記起動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンシーケンスを開始するように構成されるよう設定され得る。
【0033】
本発明の電子機器は、前記タイマーおよび前記適用業務負荷が、前記活動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンシーケンスを開始するように構成されるよう設定され得る。
【0034】
本発明の電子機器は、前記タイマーおよび前記適用業務負荷が、前記タイマーでのカウントダウンシーケンスが完了していること、前記追加の電圧検出器が前記追加の共通点で前記第三電圧よりも小さい電圧を測定すること、前記電圧検出器が前記共通点で前記第二電圧よりも大きい電圧を測定すること、という条件がすべて満たされると、少なくとも一つの活動シーケンスを実行するように構成されるよう設定され得る。
【0035】
本発明の電子機器には、適用業務負荷への電力供給を最適化する方法が関与し得て、前記電子機器は、光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチ、および適用業務負荷を備え、前記適用業務負荷は、起動シーケンスおよび活動シーケンスを有し、前記方法は、前記負荷スイッチがオフになっている間は前記光発電部から前記エネルギー貯蔵部に充電することと、前記電圧検出器で第一電圧以上の電圧を検出すると前記負荷スイッチをオンにすることと、前記負荷スイッチをオンにした後に前記起動シーケンスを実行することと、前記起動シーケンスの後に少なくとも一つの活動シーケンスを実行することと、前記電圧検出器で第二電圧以下の電圧を検出すると活動シーケンスを実行しないようにするとともに前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、前記第一電圧は前記第二電圧よりも大きい。
【0036】
先に開示した本発明の電子機器は追加の電圧検出器を備え、前記方法はさらに、i)前記追加の電圧検出器で第三電圧未満の電圧を検出するとともにii)前記電圧検出器で前記第二電圧より大きい電圧を検出すると、前記起動シーケンスの後に遊休モードに入ることと、前記追加の電圧検出器で前記第三電圧以上の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して活動シーケンスを実行することと、前記追加の電圧検出器で第四電圧より大きい電圧を検出すると、少なくとも一つの追加の活動シーケンスを実行することと、i)前記追加の電圧検出器で第四電圧以下の電圧を検出するとともにii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、活動シーケンスを実行しないようにして遊休モードに入ることと、前記電圧検出器で第二電圧以下の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、前記第三電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第四電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第三電圧は前記第四電圧よりも大きい。
【0037】
先に開示した本発明の電子機器は、追加の電圧検出器と、タイマーと、を備え、前記方法はさらに、前記起動シーケンスを実行した後に前記タイマーでカウントダウンを開始することと、i)前記追加の電圧検出器で第三電圧未満の電圧を検出するとともに、ii)前記タイマーでのカウントダウンが終了しておらず、iii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、前記タイマーでカウントダウンを開始した後に遊休モードに入ることと、i)前記追加の電圧検出器で前記第三電圧以上の電圧を検出するか、ii)前記タイマーでのカウントダウンが終了するかのいずれかが起こると、前記遊休モードを終了して活動シーケンスを実行することと、前記活動シーケンスの間に前記タイマーでカウントダウンを再開することと、前記追加の電圧検出器で第四電圧よりも大きい電圧を検出すると、少なくとも一つの追加の活動シーケンスを実行することと、i)前記追加の電圧検出器で前記第四電圧以下の電圧を検出するとともに、ii)前記電圧検出器で前記第二電圧よりも大きい電圧を検出すると、前記活動シーケンスを実行しないようにして前記遊休モードに入ることと、前記電圧検出器で前記第二電圧以下の電圧を検出すると、前記遊休モードを終了して前記負荷スイッチをオフにすることと、を含み、前記第三電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第四電圧は前記第二電圧よりも大きく、前記第三電圧は前記第四電圧よりも大きい。
【0038】
電子機器は、光発電部、エネルギー貯蔵部、電圧検出器、負荷スイッチ、および適用業務負荷を備え、前記適用業務負荷は起動シーケンスおよび活動シーケンスを有し、前記電子機器は、上述して開示した各方法のうち任意の方法を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明のいくつかの好ましい実施形態を、添付の図面を参照しつつ、ほんの一例として説明する。
図1】三つの異なる周囲照度範囲を示すグラフである。
図2】第一実施例の電子機器のブロック図である。
図3】第一実施例の電子機器の動作フロー図である。
図4】例示の適用業務負荷および例示の活動シーケンスを示す表である。
図5】第一実施例の電子機器の動作を示すグラフである。
図6】第二実施例の電子機器のブロック図である。
図7】第二実施例の電子機器の動作フロー図である。
図8】第二実施例の電子機器の動作を示すグラフである。
図9】様々な電圧同士の間の様々な関係を示す表である。
図10】第三実施例の電子機器のブロック図である。
図11】第三実施例の電子機器の動作フロー図である。
図12a】第三実施例の電子機器の動作を示すグラフである。
図12b】第三実施例の電子機器の動作を示す追加グラフである。
図13】三つの実施例の電子機器の相対的な効率を示すグラフである。
図14】三つの実施例の電子機器の相対的な利点を示す表である。
図15】例示の適用業務負荷を有する、第一実施例の電子機器のブロック図である。
図16】例示の適用業務負荷を有する、第二実施例の電子機器のブロック図である。
図17】例示の適用業務負荷を有する、第三実施例の電子機器のブロック図である。
図18a】第四実施例の電子機器のブロック図である。
図18b】発展型第四実施例の電子機器のブロック図である。
図19a】第五実施例の電子機器のブロック図である。
図19b】発展型第五実施例の電子機器のブロック図である。
図20】第六実施例の電子機器のブロック図である。
図21】第七実施例の電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、三つの異なる周囲照度範囲 (つまり、三つの異なる周囲照明範囲) を示すグラフである。LxR1は第一周囲照度値範囲を表し、下限照度値はLxR1Lで上限照度値はLxR1Uである。LxR2は第二周囲照度値範囲を表し、下限照度値は LxR2Lで上限照度値はLxR2Uである。LxR3は第三周囲照度値範囲を表し、下限照度値はLxR3Lで上限照度値はLxR3Uである。LxR1の範囲とLxR2の範囲とは部分的に重複し得る。LxR2の範囲とLxR3の範囲とは部分的に重複し得る。LxR1の範囲とLxR3の範囲とは重複しない。LxR1L<LxR2L<LxR3LおよびLxR1U<LxR2U<LxR3Uという条件も遵守される。以下の説明を分かりやすくするために、LxR1は200ルクス未満であり得る低い周囲照度値の範囲を表す。LxR1は、廊下、保管室、倉庫、階段、エレベータなどで測定される照度レベルを表し得る。以下の説明を分かりやすくするために、LxR2は、200ルクスから500ルクスの範囲であり得る中間の周囲照度値の範囲を表す。LxR2は、教室、会議室、オフィスなどで測定される照度レベルを表し得る。以下の説明を分かりやすくするために、LxR3は500ルクスを超え得る高い周囲照度値の範囲を表す。LxR3は、キッチン、研究室、作業場、スーパーマーケットなどで測定される照度レベルを表し得る。LxR3は、例えば手術室などの医療処置用に指定された部屋であればどこでも測定される照度レベルを表し得る。低、中、高の周囲照度範囲には、人工光源(例えば、LED、蛍光灯など)からの照明、自然光源(例えば、太陽)からの照明、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0041】
本開示では、様々な超低電力の電子機器が開示される。様々な超低電力の電子機器のパフォーマンスを比較するために使用できる指標として、回路効率が挙げられる。本開示の目的上、回路効率は、所与の一定の照明レベルに対する、活動シーケンスの平均反復率に比例するものとして定義される。活動シーケンスに無線ネットワークへの情報送信が含まれる場合、活動シーケンスの平均反復率は、標準的プロトコルによって規定される最大値を超えてはならない。例えば、非接続(つまり、無線)ビーコン信号の最大反復率は10Hzである。
【0042】
図2は、光発電部21、エネルギー貯蔵部22、電圧検出器23、負荷スイッチ24、および適用業務負荷25を備える、第一実施例の電子機器20のブロック図である。電圧検出器23は、N1(ノード1)に接続されてN1(ノード1)での電圧を検出する。ノード 1 は共通点である。電圧検出器23は、SIG1(信号1)を介して負荷スイッチ24にも接続される。電力線26は、適用業務負荷25内に含まれるすべてのユニットに電力を供給する。電力線26は、適用業務負荷25に関与するすべてのユニットに電力を供給する。適用業務負荷25は、電力線26から提供される電力を使用して、適用業務負荷25に関与する任意のユニット (例えば、センサ、アクチュエータなど) に電力を供給し得る。光発電部21は、N1に接続されている。エネルギー貯蔵部22は、N1に接続されている。負荷スイッチ24の入力は、N1に接続されている。光発電部21、エネルギー貯蔵部22、および電圧検出器23は、負荷スイッチ24の入力に接続されている。一般に、負荷スイッチ24の出力は、電力線26を介して適用業務負荷25に結合されている。
【0043】
光発電部21は、少なくとも一つの光発電素子を備え得る。光発電部21は一般的な構造で構わないが、電子機器が主に屋内に設置される場合は、屋内の照明条件で生成される光スペクトルに対して最適化されるのが好ましい。光発電部21は、200ルクスで最大10μWの電力を生成する場合もある。光発電部21は、200ルクスで最大5μWの電力を生成する場合もある。光発電部21は、200ルクスで最大2μWの電力を生成する場合もある。
【0044】
エネルギー貯蔵部22は、少なくとも一つのバッテリー、および/または一つの充電式バッテリー、および/または少なくとも一つのコンデンサおよび/または少なくとも 1 つのスーパーコンデンサを含み得る。電子機器の消費電力を抑え、小型化し、コストを削減するには、エネルギー貯蔵部22をコンデンサのみで構成するのが好ましい場合が多い。エネルギー貯蔵部22がコンデンサのみで構成されている場合、総容量は500μF未満、好ましくは250μF未満であり得る。光発電部21は、周囲照明からエネルギーを収集してこのエネルギーをエネルギー貯蔵部22に貯蔵する。
【0045】
電圧検出器23は、第一電圧よりも大きい電圧で負荷スイッチ24をオンにするように構成されている。第一電圧は、V1Aであり得る。電圧検出器23は、第二電圧以下の電圧で負荷スイッチ24をオフにするようにさらに構成され、第一電圧は第二電圧よりも大きい。第二電圧は、V1Bであり得る。電圧検出器23は、600mV未満のヒステリシスを有する場合もあり得る。電圧検出器23は、400mV未満のヒステリシスを有する場合もあり得る。電圧検出器23は、200mV未満のヒステリシスを有する場合もあり得る。負荷スイッチ24は、統合負荷スイッチであり得る。
【0046】
適用業務負荷25には、少なくとも一つの制御部が含まれ得る。制御部には、少なくとも一つのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ (FPGA) および/または少なくとも一つのマイクロコントローラおよび/または少なくとも一つのロジック部が含まれ得る。適用業務負荷25には無線通信部 (図示せず) が含まれ、それはBluetooth Low Energy(BLE)無線通信部であり得る。適用業務負荷25は、少なくとも一つのセンサおよび/または一つのアクチュエータに関与し得る。適用業務負荷25は、適用業務負荷内にある少なくとも一つのセンサおよび/またはアクチュエータ (つまり、図2には示されていない内部センサーおよび/または内部アクチュエータ) に関与し得るし、および/または適用業務負荷25は、適用業務負荷25の外部にあるが適用業務負荷25に接続されている少なくとも一つのセンサおよび/またはアクチュエータ (つまり、図2には示されていない外部センサおよび/または外部アクチュエータ) に関与し得る。適用業務負荷25に関与するすべてのセンサ (つまり、各内部センサと各外部センサ) は、方向、加速度、温度、湿度、気圧、光 (照度、ルクス)、磁場、音、赤外線、紫外線、ガス (例えば、CO、CO2、メタンなど)、近接度、画像 (つまり、カメラ)、およびユーザ入力のうち少なくとも一つの項目に関連するデータを収集し得る。適用業務負荷25に関与するすべてのアクチュエータ (つまり、各内部アクチュエータと各外部アクチュエータ) は、プッシュ ボタン、スイッチ、タッチセンサ、およびユーザ入力のうち少なくとも一つの項目に関連するデータを収集し得る。
【0047】
一般に、適用業務負荷25に関与するセンサおよび/またはアクチュエータは、ユーザからの入力を受信するように構成され得る。例えば、アクチュエータは、ユーザによる押下を検出するように構成されたボタンであり得る。例えば、アクチュエータは、現在のスイッチ状態と、ユーザによって実行されるスイッチ状態への変化と、を検出するように構成されたスイッチであり得る。センサは、環境および/またはユーザからの音を検出するように構成されたマイクであり得る。
【0048】
適用業務負荷25は、少なくとも一つのセンサおよび/またはアクチュエータに電力を供給し得る。負荷スイッチ24がオンになっていると、第一実施例の電子機器20は、適用業務負荷25が起動シーケンスを完了し次に少なくとも一つの活動シーケンスを完了するように構成される。適用業務負荷25が起動シーケンスの間に消費する最大電流は、50mA未満である場合が多いが、1mA未満であるのが好ましい。起動シーケンスを完了するために適用業務負荷25が消費する最大エネルギーは、100μJ未満であり得るが、10μJ未満であるのが好ましい。適用業務負荷25が活動シーケンスの間に消費する最大電流は、50mA未満であり得るが、1mA未満であるのが好ましい。適用業務負荷25が単一の活動シーケンスを完了するために消費する最大エネルギーは、50μJ未満であり得るが、20μJ未満であるのが好ましい。
【0049】
図3は、図2に示した第一実施例の電子機器20の動作を示すフロー図30である。フロー図の項目31は、光発電部21が、エネルギー貯蔵部22に貯蔵される電荷を生成することを示している (つまり、光発電部21が生成したエネルギーはエネルギー貯蔵部22に貯蔵される)。フロー図の項目32は、電圧検出器23がノード1での電圧を測定することを示している。ノード1での電圧は、V(N1)で表される。フロー図の項目32および33に示したように、V(N1)≧V1Aの場合、電圧検出器23は作動信号(SIG1=ACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチ24がオンになる。所定電圧V1Aは、VMP±20% の範囲、好ましくはVMP±10% の範囲であり、ここでVMPとは光発電部21の最大電力点における電圧である。フロー図の項目32および37に示したように、V(N1)≧V1Aでない(すなわち、V(N1)<V1A)の場合、電圧検出器23は不作動信号(SIG1=INACTIVE)を負荷スイッチ24 に送信することで負荷スイッチ24がオフになる。負荷スイッチ24がオフ状態(SIG1=INACTIVE)のままであれば、光発電部21は引き続き電荷を生成してそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。一方、負荷スイッチ24がオン状態のままであれば、フロー図項目34および35に示したように、適用業務負荷25は、起動シーケンスおよび少なくとも一つの活動シーケンスを実行するのに十分なエネルギーをエネルギー貯蔵部22および/または光発電部21から受け取れる。通常、本明細書で説明する各実施例の電子機器は、負荷スイッチ24がオンになっていると、起動シーケンスを完了するまで実行し少なくとも一つの活動シーケンスを完了するまで実行するように構成されるので、収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に寄与し得る。本明細書で説明する実施例の電子機器が、収集されたエネルギーの不足のため起動シーケンスを完了できない場合、当該電子機器によって実行される有用な作業の量は最適化されなかったことになる。本明細書で説明する実施例の電子機器が、収集されたエネルギーの不足のため開始済み活動シーケンスを完了できない場合、当該電子機器によって実行される有用な作業の量は最適化されなかったことになる。本明細書で説明する実施例の電子機器が、起動シーケンスを完了したが、収集されたエネルギーの不足のため少なくとも一つの活動シーケンスを完了できない場合、当該電子機器によって実行される有用な作業の量は最適化されなかったことになる。起動シーケンスには、制御部(図2には示されていない)内の揮発性メモリにプログラムを展開することが含まれ得る。起動シーケンスには、クロック安定化処理が含まれ得る。フロー図の項目35は、適用業務負荷25が所定の活動シーケンスを実行することを示していて、この活動シーケンスには、無線通信部を介して少なくとも一つの追加のデバイス (図示せず) に情報を送信することが含まれ得る。活動シーケンスにBluetooth Low Energy部を介して情報を送信することが含まれる場合、活動シーケンス内にタイマーシーケンスを構成して、送信反復率に関連するBluetoothプロトコルの違反が生じないことを保証する場合が多い。V(N1)>V1Bの場合、フロー図の項目35および36に示したように、追加の活動シーケンスが実行される。収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に寄与するために、V(N1)>V1Bの場合、第一実施例の電子機器20は、少なくとも一つの追加の活動シーケンスを実行して完了するように構成される。通常、本明細書で説明する実施例の電子機器は、活動シーケンスが開始されるのは、当該実施例の電子機器がその活動シーケンスを完了するのに十分なエネルギーを持っている場合に限るように構成される。フロー図の項目36および37に示したように、V(N1)>V1Bでない(つまり、V(N1)がV1Bより大きくない)場合、電圧検出器23は不作動信号(SIG1=INACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチ24がオフになる。SIG1=INACTIVE の場合は常に、フロー図の項目31に示したように、光発電部21は電荷を生成してそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。フロー図の項目37は、フロー図30の開始と見なし得る。
【0050】
図4は、関与する活動シーケンスを有する適用業務負荷の四つの例 (例4.1~例4.4) を示している。例4.1~例4.4は、本明細書に開示されている任意の電子機器と組み合わせて使用し得る。例4.1の適用業務負荷は、無線送信機を備えている。例4.1の活動シーケンスには、位置ビーコンを無線通信部 (本開示では図示せず) を介して無線受信機 (本開示では図示せず) に送信することが含まれる。例4.2の適用業務負荷は、それに関与する少なくとも一つのセンサ(つまり、内部センサまたは外部センサ)を備える。例4.2の活動シーケンスには、そ(れら)のセンサによって収集された情報を別の機器 (この開示では示されていない) に送信することが含まれる。例4.3の適用業務負荷は、無線送信機と、それに関与する少なくとも一つのセンサと、を備える。例4.3の活動シーケンスには、位置ビーコンを複数の無線受信機 (本開示では図示せず) に送信することと、前述の関与する一つ以上のセンサによって収集された情報を各無線受信機(本開示では図示せず) に送信することが含まれる。例4.4の適用業務負荷は、無線送信機と、それに関与する少なくとも一つのセンサと、を備える。例4.4の活動シーケンスには、前述の関与する一つ以上のセンサによって収集された情報を複数の無線受信機(この開示には示されていない) に送信することが含まれる。前述の関与する一つ以上のセンサによって収集された送信情報は、位置ビーコンとしても使用し得る。前述の関与する一つ以上のセンサによって収集された情報の送信を利用して電子機器の位置情報も提供すれば、送信されるデータの量を最小限に抑えることができるので、本明細書に開示される任意の電子機器の電力消費をさらに削減し得る。したがって、例4.3と例4.4の機能は同じであり得ながら、例4.4の活動シーケンスは例4.3の活動シーケンスよりも消費電力が少なくなり得る。
【0051】
第一実施例の電子機器20の第一利点は、低い周囲照度レベル(つまり、低い周囲光照明レベル)で正しく動作する(つまり、少なくとも一つの活動シーケンスを実行する)能力である。言い換えれば、第一実施例の電子機器は、低い周囲照度レベルでも優れた回路効率を有する。図1を参照すると、第一実施例の電子機器20は、LxR1U が200ルクスである第一照度範囲LxR1で動作する能力を有し、好ましくは、第一実施例の電子機器20は、LxR1L が20ルクスである場合に正しく動作する能力を有する。第一実施例の電子機器20は、LxR1Lを超えるすべての周囲照度値で正しく動作する能力も有しているので、第一実施例の電子機器20は、LxR1、LxR2、およびLxR3の照度範囲内で正しく動作することができる。第一実施例の電子機器20の第二利点は、必要な部品の数が比較的少ないため、第一実施例の電子機器20は、以下に開示される他の実施例の電子機器設計と比較して、コストが低く重量が軽いことである。
【0052】
図5は、一定の周囲照明レベルでの第一実施例の電子機器20の動作を示すグラフである。この一定の照明レベルは、LxR2の範囲内であり得る。図5を参照して、Ipvは光発電部21によって生成される電流である。図5を参照して、Ibufは、電圧検出器23によって消費される電流と負荷スイッチ24によって消費される電流との合計である。図5を参照して、Iappは 適用業務負荷25によって消費される電流である。図5を参照して、Iloadは、第一実施例の電子機器20内のすべての負荷によって消費される合計電流である。左側の縦軸は、ノード 1 での電圧V(N1)が時間に対してどのように変化するかを示している (実線)。右側の縦軸は、Ipv-Iloadの量が時間の関数としてどのように変化するかを示している (太い破線)。様々な値(例えば、V1A、V1Bなど) は薄い破線で示している。Ipv-Iloadの量が0より大きい場合、光発電部21によって生成されるエネルギーは、第一実施例の電子機器20内のすべての負荷によって消費されるエネルギーよりも大きい (つまり、電子機器20は、自らが消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを生成する)。Ipv-Iload の量が0未満の場合、光発電部21によって生成されるエネルギーは、電子機器20内のすべての負荷によって消費されるエネルギーよりも少ない (つまり、電子機器20は、自らが消費するエネルギーよりも少ないエネルギーを生成する)。V(N1)>V1Bでない(つまり、V(N1)がV1Bより大きくない)場合、負荷スイッチ24は常にオフになり、光発電部21によって生成されたエネルギーはエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。時間間隔51T1の開始時 (つまり、時間=0) には、エネルギー貯蔵部22には貯蔵されたエネルギーがない。時間間隔51T1では、負荷スイッチ24はオフになっている。時間間隔51T1ではIpv-Ibuf>0 であるため、V(N1)は時間とともに0からV1Aまで増加する。周囲照明は一定なので、Ipv-Iloadの値は一定で、Ipv-Ibuffに等しい。時間間隔51T2の開始時にV(N1)≧V1A であるため、電圧検出器23は負荷スイッチ24をオンにして(SIG1=ACTIVE)適用業務負荷25が光発電部21および/またはエネルギー貯蔵部22からのエネルギーを消費できるようにする。その結果、時間間隔51T2では、適用業務負荷25はまず起動シーケンスを実行し (つまり、Ipv-Iload=Ipv-Ibuf-Iapp_bootup)、次に少なくとも一つの活動シーケンスを実行する (つまり、Ipv-Iload=Ipv-Ibuf-Iapp)。時間間隔51T2に示したように、起動シーケンスの電力消費は、通常、活動シーケンスの電力消費よりも大きい。したがって、時間間隔51T2は、起動シーケンスの間にV(N1)が時間に対して活動シーケンスの場合よりも急速に減少することを示している。時間に対するV(N1)の線形変化は分かりやすく説明する目的のためだけであり、電力消費の複雑さを反映していない可能性がある。まず、時間間隔51T2では、Ipv-Iloadの値 は Ipv-Ibuf-Iapp_bootupに等しく、次に、Ipv-Iloadの量はIpv-Ibuf-Iappに等しい。時間間隔51T2では、電子機器20によって消費されるエネルギーが電子機器20によって生成されるエネルギーよりも大きいので、Ipv-Ibuf-Iapp_bootupの値およびIpv-Ibuf-Iappの値はそれぞれ負になる。一方、Ipv-Iloadの値はIpv-Ibuf-Iappに等しいので、少なくとも一つの活動シーケンスが実行される。時間間隔51T3の開始時に、V(N1)>V1Bでないため、電圧検出器23は負荷スイッチ24をオフにする(SIG1=INACTIVE)。時間間隔51T3では、Ipv-Ibuf>0であるためV(N1)は時間とともに増加する。周囲照明は一定なので、Ipv-Iloadの値は一定で、Ipv-Ibuffに等しい。時間間隔51T4は、前述の時間間隔51T2と同一の動作を示す。時間間隔51T5は、前述の時間間隔51T3と同一の動作を示す。
【0053】
図6は、第二実施例の電子機器60のブロック図である。第二実施例の電子機器60は、第二実施例の電子機器60が追加の電圧検出器61を備えていることを除いて、第一実施例の電子機器20と同一であり得る。電圧検出器61は、N2(ノード2)に接続されてN2での電圧を検出する。ノード2は、追加の共通点である。ノード2は、負荷スイッチ24の出力であるとみなし得る。電圧検出器61は、SIG2(信号2)を介して適用業務負荷25にも接続される。追加の電圧検出器61は、第三電圧以上の電圧で少なくとも一つの活動シーケンスを作動 (つまり実行) させる(SIG2=ACTIVE)ように構成されている。通常、例えば本明細書に開示される電子機器では、活動シーケンスを「作動させる」際には常に、電子機器は、活動シーケンスを完了まで実行するのに十分なエネルギーを有するように構成されている。言い換えれば、活動シーケンスを「作動させる」際には常に、電子機器は、正の整数個の活動シーケンスを実行するように構成されている。正の整数個の活動シーケンスを完了するのは、収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に貢献する。追加の電圧検出器61は、第四電圧以下の電圧では活動シーケンスを作動させないように構成されている。第三電圧は第四電圧よりも大きい場合が多い。通常、例えば本明細書に開示される電子機器では、活動シーケンスを「作動させない」ようにすると、十分な量のエネルギーがその後収集されるまで、追加の活動シーケンスは実行されない。通常、例えば本明細書に開示される電子機器では、活動シーケンスを「作動させない」ようにしても、すでに開始されている活動シーケンスの完了を妨げることはない。本明細書に開示された実施例の各電子機器を、すべての開始済み活動シーケンスが完了するように構成するのは、収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に貢献し得る。言い換えれば、正の整数個の活動シーケンスを完了するのは、収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に貢献し得る。
【0054】
電圧検出器61は、600mV未満のヒステリシスを有することもあり得る。電圧検出器61は、400mV 未満のヒステリシスを有することもあり得る。電圧検出器61は、200mV未満のヒステリシスを有することもあり得る。電圧検出器61は、電圧検出器23と同一であり得る。
【0055】
図7は、図6に示した第二実施例の電子機器60の動作を示すフロー図70である。フロー図の項目71は、光発電部21が電荷を生成し、それがエネルギー貯蔵部22に貯蔵されることを示している (つまり、光発電部21によって生成されたエネルギーはエネルギー貯蔵部22に貯蔵される)。フロー図の項目72は、電圧検出器23がノード1での電圧を測定することを示している。ノード1での電圧は、V(N1)で表される。V(N1)≧V1Aの場合、フロー図項目73に示したように、電圧検出器23は信号(SIG1=ACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチがオンになる。第一所定電圧V1Aは、VMP±20%の範囲内、好ましくはVMP±10%の範囲内であり得て、ここで、VMPは、光発電部21の最大電力点における電圧である。V(N1)≧V1Aでない(すなわち、V(N1)<V1A)の場合、フロー図の項目72および712に示したように、電圧検出器23は不作動信号(SIG1=INACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチ24がオフになる。負荷スイッチ24がオフ状態のままであれば、光発電部21は、引き続き電荷を生成し、それがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。一方、負荷スイッチ24がオン状態のままであれば、フロー図の項目74に示したように、適用業務負荷25は、エネルギー貯蔵部22および/または光発電部21から起動シーケンスを実行するのに十分なエネルギーを受け取る。起動シーケンスには、制御部内の揮発性メモリ(図6には図示せず)にプログラムを展開することが含まれ得る。起動シーケンスには、クロック安定化処理が含まれ得る。フロー図の項目75は、適用業務負荷25が遊休モードに入ることを示している。遊休モードの目的は、起動シーケンスの実行回数を最小限に抑えることであり、そうすれば、収集されたエネルギーによって実行される有用な作業の最適化に貢献し得る。遊休モードから活動シーケンスに移行するのに、追加の起動シーケンスは必要ない。フロー図の項目76は、電圧検出器61がノード2での電圧を測定することを示している。ノード2での電圧は、V(N2)で表される。V(N2)≧V2A の場合、フロー図の項目76、77、および78にそれぞれ示したように、電圧検出器61は信号(SIG2=ACTIVE)を適用業務負荷25に送信して、適用業務負荷が活動シーケンスを実行する。フロー図の項目78で示した所定の活動シーケンスには、図4に示した例示の活動シーケンスのいずれかが含まれ得る。フロー図の項目78で示した所定の活動シーケンスには、無線通信部を介して少なくとも一つの追加の装置 (図示せず) に情報を送信することが含まれ得る。活動シーケンスにBluetooth Low Energy部を介して情報を送信することが含まれる場合、活動シーケンス内にタイマーシーケンスを構成して、送信反復率に関連するBluetoothプロトコルの違反が生じないことを保証する場合が多い。活動シーケンスには、図4に示した例のいずれかが含まれ得る。V(N2)≧V2Aでなく(すなわちV(N2)<V2A)かつV(N1)>V1Bの場合、フロー図70においてフロー図の項目75、76、および711によるループで示されているように、適用業務負荷25は遊休モードのままである。適用業務負荷25がフロー図の項目78で示した活動シーケンスを実行した後、フロー図の項目79で示したように、V(N2)>V2B の場合、適用業務負荷25によって別の活動シーケンスが実行される。V(N2)≧V2Bでない(すなわち、V(N2)がV2Bよりも大きくない)場合、フロー図の項目79および710に示したように、電圧検出器61は適用業務負荷25に信号(SIG2=INACTIVE)を送信して、適用業務負荷が追加の活動シーケンスを実行しないようにする。フロー図の項目711に示したように、V(N1)>V1Bの場合、フロー図の項目75に示したように、適用業務負荷25は遊休モードに入る。フロー図の項目711に示したように、V(N1)>V1Bでない場合、フロー図の項目712に示したように、電圧検出器23は負荷スイッチ24をオフにする信号(SIG1=INACTIVE)を送信する。負荷スイッチ24がオフになっていると、フロー図の項目71に示したように、光発電部21は電荷を生成してそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。フロー図の項目712は、フロー図70の開始と見なし得る。
【0056】
図8は、一定の周囲照明レベルでの第二実施例の電子機器60の動作を示すグラフである。この一定の照明レベルは、LxR2の範囲内であり得る。図8を参照して、Ipvは光発電部21によって生成される電流である。Ibufは、電圧検出器23によって消費される電流と負荷スイッチ24によって消費される電流との合計である。Iappは、適用業務負荷25の活動シーケンスによって消費される電流である。Iload は、第二実施例の電子機器60内のすべての負荷によって消費される合計電流である。Iapp_idleは、適用業務負荷25が遊休モードのときに消費される電流である。Iapp_bootupは、適用業務負荷25が起動シーケンスを実行するときに消費される電流である。電圧検出器61によって消費される電流は、適用業務負荷25によって消費される様々な電流と比較して常に小さいため、簡略化のために無視している。左側の縦軸は、時間間隔81T1ではノード1での電圧V(N1)が時間に対してどのように変化するかを示している(実線)。左側の縦軸は、時間間隔81T2、81T3、81T4、および81T5ではノード2での電圧V(N2)が時間に対してどのように変化するかを示している(実線)。右側の縦軸は、Ipv-Iloadの量が時間の関数としてどのように変化するかを示している (太い破線)。様々な値(例えば、V1A、V1Bなど)は薄い破線で表示してある。Ipv-Iloadの量 が0より大きい場合、光発電部21によって生成されるエネルギーは、第二実施例の電子機器60内のすべての負荷によって消費されるエネルギーよりも大きい(つまり、電子機器60は、自らが消費するエネルギーよりも多くのエネルギーを生成する)。Ipv-Iloadの量が0より小さい場合、光発電部21によって生成されるエネルギーは、電子機器60内のすべての負荷によって消費されるエネルギーよりも少ない(つまり、電子機器60は、自らが消費するエネルギーよりも少ないエネルギーを生成する)。V(N1)がV1B以下の場合、負荷スイッチ24は常にオフであり、光発電部21で発電されたエネルギーはエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。時間間隔81T1の開始時 (つまり、時間 =0) には、エネルギー貯蔵部22には貯蔵されたエネルギーがない。時間間隔81T1では、負荷スイッチ24はオフになっている。時間間隔81T1では、Ipv-Ibuf>0 であるため、V(N1)は時間とともに0からV1Aまで増加する。周囲照度は一定なので、Ipv-Iload の値は一定で、Ipv-Ibuffに等しい。時間間隔81T2のまさに開始時にV(N1)=V1Aであるため、電圧検出器23は負荷スイッチ24をオンにし(SIG1=ACTIVE)、適用業務負荷25が光発電部21および/またはエネルギー貯蔵部22からのエネルギーを消費できるようにする。その結果、時間間隔81T2では、適用業務負荷25は、まず起動シーケンスを実行し (起動シーケンスは、Ipv-Iload=Ipv-Ibuf-Iapp_bootup のときに発生する)、次に少なくとも一つの活動シーケンスを実行する (活動シーケンスは、Ipv-Iload=Ipv-Ibuf-Iapp のときに発生する)。時間間隔81T2に示したように、起動シーケンスの電力消費は、通常、活動シーケンスの電力消費よりも大きい。したがって、時間間隔81T2は、起動シーケンスの間にV(N2)が時間に対して活動シーケンスの際よりも急速に減少することを示している。時間に対するV(N1)およびV(N2)の線形変化は分かりやすく説明する目的のためだけであり、電力消費の複雑さを反映していない可能性がある。時間間隔81T2では、電子機器60によって消費されるエネルギーが電子機器60によって生成されるエネルギーよりも大きいので、Ipv-Ibuf-Iapp_bootupの値 および Ipv-Ibuf-Iappの値はそれぞれ負になる。一方、Ipv-Iload の値はIpv-Ibuf-Iapp に等しいので、少なくとも一つの活動シーケンスが実行される。時間間隔81T3の開始時にV(N2)の値はV2Bよりも大きくないが、V1Bより大きいため、適用業務負荷25は遊休モードに入る。遊休モードでは、Ipv-Iloadの値は正で、Ipv-Ibuf-Iapp_idle に等しいため、電子機器60によって消費されるエネルギーは、電子機器60によって生成されるエネルギーよりも小さいので、V(N2)の値は時間とともに増加する。時間間隔81T4の開始時に、V(N2)=V2Aであるため、適用業務負荷25は少なくとも一つの活動シーケンスを実行する。時間間隔81T4は、遊休モードから活動シーケンスに移行するときに起動シーケンスが必要ないので、時間間隔81T2とは異なる。81T4では起動シーケンスが実行されないので、第二実施例の電子機器60は、いくつかの周囲照明条件では、第一実施例の電子機器20よりも高い回路効率を有し得る。時間間隔81T5は、前述の時間間隔81T3と同一の動作を示している。
【0057】
SIG2信号のデューティサイクル(DC)は、活動シーケンスが実行される時間の割合に対応する。第二実施例の電子機器60は、光発電部21によって供給される電流、したがって周囲照明条件に自動的に適応するので、活動信号の反復率が最適化される(つまり、回路効率が最適化される)。平均すると、本明細書に開示された実施例の電子機器の全電流消費は、Ipv=Ibuf+DCxIapp+(1-DC)xIapp_idleとなって、光発電部21によって生成される電流と平衡が保たれることが分かる。
【0058】
図9は、三つの所定電圧構成 (例9.1~9.3) を示す表であり、所定電圧V1A、V1B、V2A、およびV2Bの間の相対的な関係と、V1A、V1B、V2A、およびV2Bの電圧例と、を示している。通常、図9の例示的な構成は、電力供給、したがって所定の周囲照明レベルで収集されたエネルギーによって実行される有用な作業を最適化する。通常、図9の例示構成は、所定の周囲照明レベルで回路効率を最適化する。電子機器60および本明細書で開示されるすべての後続のタグについて、V1A>V1B、V2A>V1B、V2B>V1B、およびV2A≧V2Bという一般的な設計ルールが、電力供給および回路効率の両方を最適化するのに寄与することが判明した。図1および図9を参照すると、複数の実験によって、例9.1は高い周囲照度値 (つまり、第三周囲照度値範囲、LxR3) で最高の回路効率を実現することが明らかになった。 図1および図9を参照すると、複数の実験によって、例9.2は中間の周囲照度値 (つまり、第二周囲照度値範囲、LxR2) で最高の回路効率を実現することが明らかになった。図1および図9を参照すると、複数の実験によって、例9.3は、低い周囲照度値 (つまり、第一周囲照度値範囲、LxR1) で最高の回路効率を実現することが明らかになった。低コストで活動させるには、VIA、V1B、V2A、V2Bの定数値を事前に決定しておくことが好ましい。
【0059】
図10は、第三実施例の電子機器100のブロック図である。第三実施例の電子機器100は、第三実施例100がタイマー101を有することを除いて、第二実施例の電子機器60と同一であり得る。タイマー101と適用業務負荷25とは、SIG3(信号3)およびSIG4(信号4)によって接続される。図10は、適用業務負荷25の外部にあるタイマー101を示している。タイマー101が適用業務負荷の外部にある場合、適用業務負荷25はSIG3および/またはSIG4を介してタイマー101に電力を供給し得る。別法として、タイマー101は、制御部の不可欠な部分であるため適用業務負荷25の一部となっている、リアルタイムクロック(RTC)タイマーなどの内部周辺機器であり得る。適用業務負荷25は、起動シーケンスの間にタイマーでカウントダウンシーケンスを開始または再開するために、信号(SIG3)をタイマーに送信するように構成されている。適用業務負荷25は、活動シーケンスの間にタイマーでカウントダウンシーケンスを開始または再開するために、信号(SIG3)をタイマーに送信するようにも構成されている。カウントダウン時間の継続時間は事前に決定することができて、60秒、好ましくは30秒であり得る。タイマー101でのカウントダウンが完了すると、タイマー101は、少なくとも一つの活動シーケンスを作動(つまり実行)させるために、信号(SIG4)を適用業務負荷25に送信するように構成される。
【0060】
図11は、図10に示した第三実施例の電子機器100の動作を示すフロー図110である。フロー図の項目111は、光発電部21が電荷を生成しそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵されることを示している (つまり、光発電部21によって生成されるエネルギーはエネルギー貯蔵部22に貯蔵される)。フロー図の項目112は、電圧検出器23がノード1での電圧を測定することを示している。ノード1での電圧は、V(N1)で表される。V(N1)>V1Aの場合、フロー図の項目113に示したように、電圧検出器23は、信号(SIG1=ACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチがオンになる。第一所定電圧V1Aは、VMP±20%の範囲内、好ましくはVMP±10%の範囲内であり、ここで、VMPは、光発電部21の最大電力点における電圧である。V(N1)>V1Aでない(すなわち、V(N1)<V1A)場合、フロー図の項目112および1112に示したように、電圧検出器23は不作動信号(SIG1=INACTIVE)を負荷スイッチ24に送信することで負荷スイッチ24がオフになる。負荷スイッチ24がオフ状態のままであれば、光発電部21は引き続き電荷を生成してそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。一方、負荷スイッチ24がオン状態のままであれば、フロー図の項目114に示したように、適用業務負荷25は、エネルギー貯蔵部22および/または光発電部21から起動シーケンスを実行するのに十分なエネルギーを受け取る。フロー図項目114に示したように、適用業務負荷25は、信号(SIG3)をタイマー101に送信して、タイマーカウントダウンシーケンスが開始される(TCD・SIG3+TCD開始)。フロー図の項目114では、SIG4がINACTIVEに設定される。起動シーケンスには、制御部(図10には示されていない)内の揮発性メモリにプログラムを展開することが含まれ得る。起動シーケンスには、クロック安定化処理が含まれ得る。フロー図の項目115は、適用業務負荷25が遊休モードに入ることを示している。遊休モードから活動シーケンスに移行するのに、追加の起動シーケンスは必要ない。フロー図の項目116は、電圧検出器61がノード2での電圧を測定することを示している。ノード2での電圧は、V(N2)で表される。V(N2)≧V2Aの場合、フロー図の項目117および118にそれぞれ示したように、電圧検出器61は、信号(SIG2=ACTIVE)を適用業務負荷25に送信して、適用業務負荷25が所定の活動シーケンスを実行する。フロー図の項目118で示した所定の活動シーケンスには、図4に示した例示の活動シーケンスのいずれかが含まれ得る。フロー図の項目118で示した所定の活動シーケンスには、無線通信部を介して少なくとも一つの追加の装置(図示せず)に情報を送信することが含まれ得る。活動シーケンスにBluetooth Low Energy部を介して情報を送信することが含まれる場合、送信反復率に関連するBluetoothプロトコルの違反が生じないことを保証するために、活動シーケンス内に別のタイマーシーケンス (図示せず) が含まれ得る。V(N2)≧V2Aでなく、かつタイマー101がカウントダウンシーケンスを完了しておらず、かつV(N1)>V1Bである場合、フロー図110においてフロー図の項目115、116、1111、および1113で構成されるループで示したように、適用業務負荷25は、遊休モードのままである。ただし、フロー図の項目116、1113、および1114 に示したように、V(N2)≧V2Aでなく、かつタイマー101がカウントダウンシーケンスを完了している(TCDが完了したか?=YES)場合、タイマー101は信号(SIG4=ACTIVE)を適用業務負荷に送信する。フロー図の項目118に示したように、適用業務負荷25が活動シーケンスを実行し終えるたびに、適用業務負荷25は信号(SIG3)をタイマー101に送信して、タイマーカウントダウンシーケンスが再開され(TCD・SIG3+TCD開始)、SIG4がINACTIVEに設定される。適用業務負荷25がフロー図の項目118で示した活動シーケンスを実行した後、フロー図の項目119でV(N2)>V2B の場合、適用業務負荷25によって活動シーケンスが再度実行される。V(N2)>V2Bでない場合、フロー図の項目1110に示したように、電圧検出器61は、信号(SIG2=INACTIVE)を適用業務負荷25に送信して、適用業務負荷が追加の活動シーケンスを実行しなくなる。フロー図の項目1111でV(N1)>V1Bの場合、フロー図の項目115に示したように、適用業務負荷25は遊休モードに入る。フロー図の項目1111でV(N1)>V1Bでない場合、フロー図の項目1112に示したように、電圧検出器23は負荷スイッチ24をオフにする信号(SIG1=INACTIVE)を送信する。負荷スイッチ 24 がオフになっていると、フロー図の項目111に示したように、光発電部21は電荷を生成してそれがエネルギー貯蔵部22に貯蔵される。フロー図の項目1112は、フロー図110の開始と見なし得る。
【0061】
図12aは、周囲照度が中間値、例えばLxR2の場合に、電子機器60または電子機器100としては典型的な電流対電圧のグラフを示している。図12aでは、周囲照度が十分に高いため、電子機器100に関連するタイマー101のカウントダウンは完了しない (つまり、カウントダウンは、それが完了する前に、活動シーケンスの終了時に常に再開される)。図12bは、周囲照度が低い値、例えばLxR1の場合に、電子機器60または電子機器100としては典型的な電流対電圧のグラフを示している。図12bでは、周囲照度は、電子機器100に関連するタイマー101のカウントダウンが完了するのに十分の低さなので、タイマー101は活動シーケンスを開始できるようにする(SIG4=ACTIVE)。図12aおよび12bを参照して、Iscは短絡回路で消費される電流、I_V2aは電圧レベルV2aで消費される電流、Vocは開回路で生じる電圧である。その他の用語(Iapp_idle、Ibuf、V1A、V1B、V2A、V2B) はこれより前に定義されている。図12bを参照すると、以下の二つの条件が実証されている。
条件1:電圧がV2Aに等しい場合、消費電流はI_V2aである。I_V2aはIapp_idle より小さい。
条件2: 電圧がV1B に等しい場合、消費電流はIsc にほぼ等しい。IscはIapp_idleより大きい。
【0062】
図7の実施例の電子機器60を参照すると、条件1および条件2が両方とも満たされる場合、(周囲照明条件が変化しないと仮定して)適用業務負荷25は永久に遊休モードのままである。図11の実施例の電子機器100を参照すると、条件1および条件2が両方とも満たされる場合、タイマー101は、カウントダウンを終了することができるので、信号(SIG4=ACTIVE)を適用業務負荷25に送信して、適用業務負荷25が活動シーケンスを実行する。したがって、第三実施例の電子機器100が第二実施例の電子機器60よりも優れている点は、ある範囲の低周囲照度条件で、電子機器100は活動シーケンスを実行できるが、電子機器60は活動シーケンスを実行できないということである。言い換えれば、タイマー101が前述のように構成されている場合、結果的に、電子機器100は、所定範囲の周囲照度で遊休モードに陥ることがない。前述のようにタイマー101を実装すれば、電子機器100は、ある範囲の低周囲照度条件で、電子機器60よりも高い回路効率を有することができる。
【0063】
図13は、第一実施例の電子機器20、第二実施例の電子機器60、および第三実施例の電子機器100について周囲照度に対する相対的な回路効率のグラフである。第一実施例の電子機器20は、低い周囲照度レベル (つまり、200ルクス未満であってLxR1の範囲) で最良回路効率を有する。第二実施例の電子機器60および第三実施例の電子機器100は、中間の周囲照度レベル (つまり、200ルクス~500ルクスであってLxR2の範囲) で同等の最良回路効率を有する。第三実施例の電子機器100は、低い周囲照度レベル(すなわち、200ルクス未満であってLxR1の範囲)で、第二実施例の電子機器60よりも優れた回路効率を有する。
【0064】
図14は、第一実施例の電子機器20、第二実施例の電子機器60、および第三実施例の電子機器100の相対的な利点を比較した表を示している。表内の値「1」は最良の選択肢を表す。表内の値「2」は、二番目に良い選択肢を表す。表内の値「3」は、三番目に良い選択肢を表す。第一実施例の電子機器20は最も安価な電子機器であり、低い周囲照度レベル(つまり、200ルクス未満であってLxR1の範囲)で最高の回路効率を有する。ただし、第一実施例の電子機器20は、中間の周囲照度レベルおよび高い周囲照度レベル(すなわち、200ルクス以上であってLxR2およびLxR3の範囲)で回路効率が最も悪い。第三実施例の電子機器100は最も高価な電子機器であるが、低い周囲照度レベル (つまり、200ルクス未満であってLxR1の範囲) で、第二実施例の電子機器60よりも回路効率が良い。第二実施例の電子機器60および第三実施例の電子機器は、中間の周囲照度レベルおよび高い周囲照度レベル (つまり、200ルクス以上であってLxR2およびLxR3の範囲) で同程度の回路効率を有する。
【0065】
図15は、適用業務負荷25に発展型細部が追加された、発展型第一実施例の電子機器150のブロック図である。適用業務負荷25は、制御部151と主要活動機能負荷152とを含む。制御部151は、主要活動機能負荷152にSIG7で接続される。制御部151は、SIG7を介して主要活動機能負荷152に各信号を送信し得る。主要活動機能負荷152は、SIG7を介して制御部151に各信号を送信し得る。実際には、SIG7は制御部151と主要活動機能負荷152との間の複数の接続から成るが、図15では簡略化のために一つの接続のみを示している。制御部151は、少なくとも一つのフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)および/または少なくとも一つのマイクロコントローラおよび/または少なくとも一つのロジック部を備え得る。主要活動機能負荷152は、Bluetooth Low Energy無線通信部などの無線通信部を備え得る。主要活動機能負荷152は、図4に示した例示の適用業務負荷 (例4.1、例4.2、例4.3、および例4.4) のうちいずれかを備え得る。主要活動機能負荷152は、上述した少なくとも一つのセンサおよび/またはアクチュエータを備えるか、またはそれ(ら)に関与し得る。上述したすべてのセンサおよびアクチュエータは、直接または間接的に制御部151に接続され得る。主要活動機能負荷151は、例えばLEDなどの受動負荷を備え得る。主要活動機能負荷151は、低電力ディスプレイを備え得る。通常、上述したセンサおよび/またはアクチュエータで収集されたデータは、適用業務負荷25によって記録(つまり、メモリに保存)され得る。より具体的には、上述したセンサおよび/またはアクチュエータで収集されたデータは、制御部151または主要活動機能負荷152によって記録(つまり、メモリに保存)され得る。センサおよび/またはアクチュエータからの記録されたデータは、次の活動シーケンスの間に追加の装置 (図示せず) に送信され得る。センサおよび/またはアクチュエータからの記録されたデータは、次の活動シーケンスの間に複数の無線受信機から成るネットワークに送信され得る。センサ/アクチュエータからのデータを記録し、記録した当該データは次の活動シーケンスで送信するのみにすれば、本明細書に開示された電子機器における電力供給、回路効率、および収集されたエネルギーで実行される有用な作業の全体量を最適化するのに貢献し得る。別法として、上述したセンサおよび/またはアクチュエータで収集されたデータは、活動シーケンスを開始するためにすぐに使用されることもあり得る。ただし、センサおよび/またはアクチュエータで収集されたデータを用いて開始された活動シーケンスを完了するのに十分であって本明細書に記載の電子機器に関与するエネルギーが存在するという保証はない。
【0066】
図16は、適用業務負荷25に発展型細部が追加された、発展型第二実施例の電子機器160のブロック図である。適用業務負荷25は、図15で前述したように、制御部151と主要活動機能負荷152とを備える。電圧検出器61は、SIG2を介して制御部151に接続される。
【0067】
図17は、適用業務負荷25に発展型細部が追加された、発展型第三実施例の電子機器170のブロック図である。適用業務負荷25は、図15で前述したように、制御部151と主要活動機能負荷152とを備える。電圧検出器61は、SIG2を介して制御部151に接続される。タイマー101は、適用業務負荷25に接続される、具体的にはSIG3およびSIG4を介して制御部151に接続される。
【0068】
図18aは、照度センサ181が適用業務負荷25に接続される、具体的にはSIG5およびSIG6を介して制御部151に接続されることを除いて、発展型第二実施例の電子機器160と同一である第四4実施例の電子機器180のブロック図である。適用業務負荷25は、SIG5および/またはSIG6を介して照度センサ181に電力を供給し得る。照度センサ181は、適用業務負荷25から電力が供給されると、周囲照明照度を測定し、測定された照度の情報をSIG6を介して制御部151に中継する。したがって、照度センサ181は、光発電部21の照明レベルに関連する情報を制御部151に提供する。別法として、図示されていないが、主要活動機能負荷内に照度センサを備えて前述の照度センサ181と同じ機能を実行するように構成し得る。図18aは、適用業務負荷25に関与する照度センサを一般的に示している。
【0069】
図18bは、光発電部21がSIG8を介して追加で制御部151に直接に接続されることを除いて、発展型第二実施例の電子機器160と同一である発展型第四実施例の電子機器182のブロック図である。光発電部21および制御部151は、周囲照度を測定するように構成されている。図18bの光発電部21は、図18aに示した照度センサ181が実行する機能と同様の追加機能を実行する。したがって、光発電部21は、光発電部21自体の照明レベルに関連する情報を制御部151に提供する。
【0070】
図18aおよび18bを参照して、制御部151は、周囲照度レベルに応じて適用業務負荷25内の動作を自己適応させるように構成し得る。通常、周囲照度レベルは、適用業務負荷に関与する任意の照度センサを使用して測定し得る。周囲照度レベルは、図18aに示した照度センサ181、または主要活動機能負荷152内の照度センサ(図示せず)で測定し得る。別法として、周囲照度レベルは、図18bに示したように光発電力装置21が生成した電流をSIG8を介して測定する制御部151によって決定し得る。制御部151は、一番目の所定周囲照度レベル、例えばLxR1内の照度レベルで、第一実施例の電子機器20の場合と同様に適用業務負荷25を動作させる。制御部151は、二番目の所定周囲照度レベル、例えばLxR2およびLxR3内の照度レベルで、第二実施例の電子機器60の場合と同様に適用業務負荷25を動作させるように構成し得る。図13を参照すると、第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、低い周囲照度値で第一実施例の電子機器20と同様の回路効率で動作し、中間の周囲照度値および高い周囲照度値で第二実施例の電子機器60と同様の回路効率でも動作するように構成し得る。したがって、第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、低い周囲照度値での第一実施例の電子機器20と同様の回路効率と、中間の周囲照度値および高い周囲照度値での第二実施例の電子機器60と同様の回路効率と、を自動的に切り替える (つまり、自己適応する) ように構成して、所与の周囲照明レベルで最高の回路効率が得られるようにすることができる。言い換えれば、第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、測定された所与の周囲照明レベルで回路効率を自動的に最適化し得る。第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、低い周囲照度値で、第二実施例の電子機器60よりも優れた回路効率を有し得る。第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、両方とも、中間の周囲照度値および高い周囲照度値で、第一実施例の電子機器20よりも優れた回路効率を有し得る。言い換えれば、第四実施例の電子機器180および発展型第四実施例の電子機器182は、両方とも、あらゆる周囲照明レベルで比較的高い回路効率を有し得る。発展型第四実施例の電子機器182は、少なくともいくつかの周囲照明レベルで、第四実施例の電子機器180よりも高い回路効率を有し得る。
【0071】
図19aは、照度センサ181が適用業務負荷25に接続され、具体的にはSIG5およびSIG6を介して制御部151に接続されることを除いて、発展型第三実施例の電子機器170と同一である第五実施例の電子機器190のブロック図である。適用業務負荷25は、SIG5および/またはSIG6を介して照度センサ181に電力を供給し得る。照度センサ181は、適用業務負荷25から電力が供給されると、周囲照明照度を測定してこの測定された照度情報をSIG6を介して制御部151に中継する。したがって、照度センサ181は、光発電部21の照明レベルに関連する情報を提供する。別法として、図示してはいないが、主要活動機能負荷内に照度センサを備えて前述の照度センサ181と同じ機能を実行するように構成し得る。図19aは、適用業務負荷25に関与する照度センサを一般的に示している。
【0072】
図19bは、光発電部21がSIG8を介して制御部151にも接続されることを除いて、発展型第三実施例の電子機器170と同一である発展型第五実施例の電子機器192のブロック図である。言い換えれば、通常、光発電部21から適用業務負荷25への直接接続があり、具体的には光発電部21から制御部151への直接接続がある。光発電部21および制御部151は、周囲照度を測定するように構成し得る。図19bの光発電部21は、図19aに示した照度センサ181が実行する機能と同様の追加機能を実行する。言い換えれば、光発電部21は、適用業務負荷に関与する照度センサとしても動作すると考えられる。したがって、光発電部21は、それ自体の照明レベルに関連する情報を制御部151に提供する。
【0073】
図19aおよび19bを参照すると、制御部151は、周囲照度レベルに応じて適用業務負荷25内の動作を自己適応させるように構成し得る。周囲照度レベルは、図19aに示したように、照度センサ181で測定し得る。別法として、周囲照度レベルは、図19bに示したように、光発電力装置21が生成する電流を測定することによって、制御部151が決定し得る。制御部151は、第一所定周囲照度レベル、例えばLxR1内の照度レベルで、第一実施例の電子機器20の場合と同様に適用業務負荷25を動作させる。制御部151は、第二所定周囲照度レベル、たとえばLxR2およびLxR3内の照度レベルで、第三実施例の電子機器100の場合と同様に適用業務負荷25を動作させるように構成し得る。図13を参照すると、第五実施例の電子機器190および発展型第五実施例の電子機器192は、両方とも、低い周囲照度値で第一実施例の電子機器20と同様の回路効率で動作し、中間の周囲照度値および高い周囲照度値で第三実施例の電子機器100と同様の回路効率で動作するようにも構成し得る。したがって、第五実施例の電子機器190および発展型第五実施例の電子機器192は、低い周囲照度値での第一実施例の電子機器20と同様の回路効率と、中間の周囲照度値および高い周囲照度値での第二実施例の電子機器60と同様の回路効率と、を自動的に切り替える (つまり、自己適応する) ように構成して、測定された所与の周囲照明レベルで最高の回路効率が得られるようにすることができる。言い換えれば、第五実施例の電子機器190および発展型第五実施例の電子機器192は、所与の周囲照明レベルで回路効率を自動的に最適化し得る。第五実施例の電子機器190および発展型第五実施例の電子機器192は、両方とも、低照度値で第三実施例の電子機器100よりも優れた回路効率を有し得る。第五実施例の電子機器190および発展型第五実施例の電子機器192は、両方とも、中間の周囲照度値および高い周囲照度値で第一実施例の電子機器20よりも優れた回路効率を有し得る。言い換えれば、第五実施例の電子機器180および発展型第五実施例の電子機器192は、両方とも、あらゆる周囲照明レベルで比較的高い回路効率を有し得る。発展型第五実施例の電子機器192は、少なくともいくつかの周囲照明レベルで、第五実施例の電子機器190よりも高い回路効率を有し得る。
【0074】
図20は、第六実施例の電子機器200のブロック図である。第六実施例の電子機器200は、負荷スイッチ24と適用業務負荷25との間に電圧レギュレータ201が接続されていることを除いて、第一実施例の電子機器20と同一である。通常、本明細書で説明する電子機器で一つの電圧検出器を有するものはすべて、負荷スイッチ24と適用業務負荷25との間に電圧レギュレータ201が接続され得る。電圧レギュレータ201は、低ドロップアウトレギュレータ(LDO)またはDC/DCコンバータであり得る。電圧レギュレータ201は、電子回路の動作のための安定した環境を提供する。したがって、電圧レギュレータ201は、例えばセンサの誤測定、通信プロトコル値の誤読、電圧低下リセットトリガーなどの望ましくない事象を防止し得る (つまり、電圧レギュレータ201は、制御部151内の周辺機器の動作が中断するのを防止し得る)。電圧レギュレータ201は、電圧スパイクを防止し得るので、電圧レギュレータ201は、活動シーケンスがサイクルの途中で止まるのを防止し得る。電圧レギュレータ201を超低電力電子機器の設計に含める利点は、より堅牢な回路設計が可能になることである。電圧レギュレータ201を超低電力電子機器の設計に含める欠点としては、コストの増加、回路サイズの増加 (つまり、接地面積の増加)、および特に起動シーケンスの際の電力消費の増加などが挙げられる。消費電力が増加すると回路効率が低下し得る。
【0075】
図21は、第七実施例の電子機器210のブロック図である。第七実施例の電子機器210は、ノード2(N2)と適用業務負荷25との間に電圧レギュレータ201が接続されていることを除いて、第二実施例の電子機器60と同一である。通常、本明細書で説明する電子機器で二つの電圧検出器を有するものはすべて、負荷スイッチ24と適用業務負荷25との間に電圧レギュレータ201が接続され得る。電圧レギュレータ201の利点と欠点については、すでに説明済みである。発明者らが実施した実験の驚くべき結果によれば、温暖な環境条件(例えば、屋内使用など)では、電圧レギュレータ201を回路設計から省略しても、本明細書に開示されたすべての実施形態の電子機器の動作が十分に堅牢であり得ることが示唆されている。言い換えれば、調整されない(つまり、電圧レギュレータなしの)電力を適用業務負荷に供給することの利点が欠点を上回ることが判明した。
【0076】
本明細書で説明した実施例の各電子機器は、当該電子機器に関与する適用業務負荷への電力供給を最適化するように構成されているので、適用業務負荷は、電子機器によって収集されたエネルギーに対して最適化された量の有用な作業を実行する。起動シーケンスと活動シーケンスを有する適用業務負荷では、以下の動作が電力供給の最適化に貢献し得る。
1.起動シーケンスは、起動シーケンスを完了するとともに少なくとも一つの活動シーケンスを完了するのに十分なエネルギーがある場合にのみ実行される。
2.追加の活動シーケンスは、当該活動シーケンスを完了するのに十分なエネルギーがある場合にのみ実行される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b
図19a
図19b
図20
図21
【国際調査報告】