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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】材料の加圧装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 5/06 20060101AFI20250128BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B30B5/06 A
B30B15/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024539265
(86)(22)【出願日】2022-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 AT2022060465
(87)【国際公開番号】W WO2023122813
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】A51049/2021
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513268210
【氏名又は名称】ベルンドルフ バント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】カール モーゲンベッサー
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA05
4E090AA07
4E090AB01
4E090BA10
4E090FA02
4E090HA10
(57)【要約】
装置(1)は、制御装置(3)と、第1のプレス手段を形成する第1のエンドレスベルト(4)と、第2のプレス手段(5)とを含むものであって、材料(2)をプレスするプレスゾーン(6)が形成され、第1のエンドレスベルト(4)に対して平行に、プレスゾーン(6)に関してプレスゾーン(6)の始端(8)からプレスゾーン(6)の終端(9)に向かう方向に長手方向(7)が画定され、第1のエンドレスベルト(4)の内面(12)にプレスゾーン(6)へ向けてプレス圧(11)を作用させることができる加圧装置(10)を備え、、内面(12)はプレスゾーン(6)とは反対側に面し、加圧装置(10)は、第1のエンドレスベルト(4)の内面(12)にプレスゾーン(6)へ向けて少なくとも1つの流体(13)を作用させるように設計され、流体(13)によってプレス圧(11)を形成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料(2)をプレスするための装置(1)であって、
前記装置(1)を制御するための制御装置(3)と、
第1のプレス手段を形成する少なくとも1つの第1のエンドレスベルト(4)と、
少なくとも1つの第2のプレス手段(5)、特に第2のエンドレスベルトであって、前記第1のエンドレスベルト(4)と前記第2のプレス手段(5)との間に前記材料(2)をプレスするためのプレスゾーン(6)が形成されると共に、長手方向(7)が画定され、前記長手方向(7)は、前記第1のエンドレスベルト(4)に対して平行に、かつ、前記プレスゾーン(6)に対して前記プレスゾーン(6)の始端(8)から前記プレスゾーン(6)の終端(9)へ向かう方向に配置される、少なくとも1つの第2のプレス手段(5)と、
少なくとも1つの加圧装置(10)であって、前記加圧装置(10)によって少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の内面(12)に前記プレスゾーン(6)へ向けてプレス圧(11)を作用させることができ、前記内面(12)は前記プレスゾーン(6)とは反対側に向いている、少なくとも1つの加圧装置(10)と、を備え、
前記加圧装置(10)は、少なくとも1つの流体(13)を少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)に前記プレスゾーン(6)へ向けて作用させることができ、前記流体(13)によってプレス圧(11)を形成できるように構成されていることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つのスペーサ要素(14)を備え、前記スペーサ要素(14)は、前記流体(13)の流れ方向に対して、前記加圧装置(10)の流体出口(15)を有し、前記スペーサ要素(14)によって前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)上に、前記流体(13)のための潤滑ギャップ(16)を形成できることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記スペーサ要素(14)は、フレーム構成(38)を含み、前記フレーム構成(38)は、前記加圧装置(10)と前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間に配置され、少なくとも1つの流体通路(39)を有し、前記流体通路(39)は前記加圧装置(10)から前記内面(12)へ向かう方向に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記フレーム構成(38)は、少なくとも1つの別の流体通路(39)を有しており、前記少なくとも1つの別の流体通路(39)は、少なくとも1つのフレームセグメント(40)において形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記スペーサ要素(14)は、少なくとも部分的に多孔質材料から形成されており、前記多孔質材料は前記流体(13)が少なくとも一方向に透過できることを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの前記スペーサ要素(14)は、前記長手方向(7)に対して楔形に形成され、前記スペーサ要素(14)と前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間のギャップ間隔(17)が長手方向(7)に対して減少することを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記スペーサ要素(14)が転動体、特に円筒ローラを含み、前記転動体は回転軸(18)周りに回転可能に支持され、前記回転軸(18)は、前記長手方向(7)に対して直角、かつ、前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)に対して実質的に平行であることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
調節装置(19)を備え、前記調節装置(19)によって、前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)と前記加圧装置(10)との間の間隔(20)が調節可能であることを特徴とする、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記スペーサ要素(14)は、高さ調節可能であり、前記スペーサ要素(14)と前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間の距離(21)が調節可能であることを特徴とする、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記加圧装置(10)は、前記プレスゾーン(6)全体にわたって配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記流体(13)が気体又は液体であり、前記流体が特に水又は油を含んでいることを特徴とする、請求項1から請求項10の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
少なくとも前記プレスゾーン(6)に少なくとも1つのシール体構成(24)を備え、前記シール体構成(24)は少なくとも前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項11の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記プレスゾーン(6)において少なくとも前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)上において、前記長手方向(7)に対して横断する方向に、前記第1のエンドレスベルト(4)の第1の縁部(22)及びこれと対向する第2の縁部(23)に、それぞれ少なくとも1つのシール体構成(24)が配置されており、前記シール体構成(24)は、少なくとも前記プレスゾーン(6)の長さ(25)にわたって前記長手方向(7)に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項12の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシール体構成(24)は、押圧装置(26)を備え、前記押圧装置(26)によって、前記シール体構成(24)及び少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)を押圧できることを特徴とする、請求項1から請求項13の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記スペーサ要素(14)及び/又は前記フレーム構成(38)は、少なくとも1つのシール体構成(24)を含んでいることを特徴とする、請求項1から請求項14の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記制御装置(3)は、前記加圧装置(10)のプレス圧(11)を、前記第1のエンドレスベルト(4)の周速度に応じて調整するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項15の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記制御装置(3)は、少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)と前記加圧装置(10)との間の前記間隔(20)を、前記第1のエンドレスベルト(4)の周速度に応じて調整するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項16の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記制御装置(3)は、前記シール体構成(24)に対する前記押圧装置(26)の押圧力を、前記加圧装置(10)のプレス圧(11)及び/又は前記潤滑ギャップ(16)に導入され、潤滑油として機能する流体の量に応じて制御するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項17の何れか1項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、例えば繊維含有材料をプレスするための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この装置は、第1のプレス手段を形成する少なくとも1つの第1のエンドレスベルトと、少なくとも1つの第2のプレス手段、特に第2のエンドレスベルトとを含んでおり、第1のエンドレスベルトと第2のプレス手段との間に材料をプレスするためのプレスゾーンが形成され、長手方向が画定され、長手方向は、第1のエンドレスベルトに対して平行に、プレスゾーンに関してプレスゾーンの始端からプレスゾーンの終端に向かう方向に配置されている。
【0003】
この装置の運転状態において、材料はエンドレスベルトの周回方向にプレスゾーンへ向かって搬送され、次いでプレスされる。
【0004】
この点に関して、少なくとも1つの加圧装置が設けられており、この加圧装置によって少なくとも1つの第1のエンドレスベルトの内面にプレスゾーンへ向けてプレス圧を加えることができ、この内面はプレスゾーンとは反対側に向いている。
【0005】
このような装置は従来技術において広く普及しており、材料をプレスゾーンでプレスする様々な加圧装置、例えばプレスローラなどを含む。
【0006】
従来技術の設計の欠点は、加圧装置と起こり得る削摩によって、しばしばエンドレスベルトの摩耗及び早期摩耗を招き、これによって装置のプロセス安定性と効率が低下することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、従来技術の欠点を克服し、使用者がエンドレスベルトの摩損又は損耗を最小限に抑え、より長い耐用年数を確保できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、特許請求の範囲に記載された装置及び方法によって解決される。
【0009】
本発明による装置は、加圧装置が、プレスゾーンに向けて、少なくとも1つの第1のエンドレスベルトの内面に少なくとも1つの流体を作用させることができ、この流体によってプレス圧を加えるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明による構成によって、プレス圧が流体によって形成でき、プレスゾーンにおいてエンドレスベルトの内面に固体が接触することが防止されるので、加圧装置によるエンドレスベルトの摩損が大幅に回避される。
【0011】
別の実施形態では、少なくとも1つのスペーサ要素が設けられており、このスペーサ要素は、流体の流れ方向に対して加圧装置の流体出口の下流側に位置しており、このスペーサ要素によってエンドレスベルトの内面に流体のための潤滑ギャップを形成することができる。その利点は、スペーサ要素の潤滑ギャップによって、加圧装置の下流側でプレス圧を簡単な手段によって維持できることである。更に、スペーサ要素によって加圧装置とエンドレスベルトとの間の間隔を容易に決定及び調節することができる。
【0012】
最初に確認しておくと、範囲又はプレスゾーン内における本発明による装置の潤滑ギャップ又は潤滑膜は、エンドレスベルトの内面を簡単に濡らすことを意味するだけでなく、エンドレスベルト上に著しく高い充填レベルを形成する流体膜であり得る。潤滑膜の両側を仕切るために、好ましくはシールを設けてエンドレスベルトから流体が意図せず漏れ出るのを防止することができる。更に、周回するエンドレスベルト用において、プレスゾーンの後にスペーサ要素によって潤滑膜を形成することもできる。
【0013】
流体の流れ方向とは、流体がプレスゾーンへ向けて作用又は流動することによって生じ、次いで更にエンドレスベルトの搬送方向に誘導することができるすべての経路を意味する。
【0014】
可能な実施形態は、少なくとも1つのスペーサ要素がフレーム構成を含み、このフレーム構成は加圧装置とエンドレスベルトの内面との間に配置され、少なくとも1つの流体通路を有し、この加圧装置からエンドレスベルトの内面に向かう方向に形成されていることを特徴とする。フレーム構成によって、簡単な手段で、常にエンドレスベルトの幅に適合したフレームに種々の加圧装置又は圧力容器を取り付けることができるようになる。更に、フレームによって流体のためのシール手段の取り付けが容易になる。
【0015】
流体通路は、流体をスペーサ要素又はフレーム構成を通してエンドレスベルトの内面に作用させるために用いられ、加圧装置の流体排出口の延長部を形成することができる。
【0016】
フレーム構成は、好ましくは少なくとも1つの別の流体通路を有することができ、この少なくとも1つの別の流体通路は少なくとも1つのフレームセグメントに形成されている。この構成の利点は、フレームが、例えば流体通路によってエンドレスベルトの内面に対向するフレーム領域に潤滑油を供給できることである。流体通路は、例えば貫通孔又は管路によって形成することができる。一実施形態によれば、フレーム構成を伴ってプレスゾーンを形成することができ、それによって別の流体通路によってベルトの潤滑だけを行うことができる。
【0017】
更に、スペーサ要素は少なくとも部分的に多孔質材料から形成されており、この多孔質材料は、流体を少なくとも一方向に透過可能である。この構成によって、スペーサ要素の下の領域又は流れ方向におけるスペーサ要素の下流の領域に、簡単な手段で潤滑油又は流体を供給することができる。
【0018】
ここで言及しておくと、多孔質材料は、好ましくは、材料の多孔度が流体の透過を可能にするが、加圧装置のプレス圧が実質的に影響を受けないように選択することができる。
【0019】
可能な変形例において、少なくとも1つのスペーサ要素が長手方向に楔形に形成され、スペーサ要素と第1のエンドレスベルトの内面との間のギャップ間隔を長手方向に減少させることができる。この構成の利点は、例えば、加圧装置から出るときに乱流が発生した場合に、エンドレスベルトを通して流体を長手方向において容易に又は的確に搬送することができることである。
【0020】
更に、スペーサ要素が転動体、特に円筒ローラを含み、この転動体は回転軸周りに回転可能に支持されており、この回転軸は長手方向に対して直角、かつ第1のエンドレスベルトの内面に対して実質的に平行とすることができる。この場合にも、転動体が転動することによって流体が長手方向に的確に誘導されることが有利である。
【0021】
更に、調節装置が設けられており、この調節装置によって第1のエンドレスベルトの内面と加圧装置との間の間隔を調節することができる。この構成の利点は、例えば、エンドレスベルトがプレス圧によって加圧装置から離れる場合に、加圧装置をエンドレスベルトに近づけ得ることである。しかしながら、プレス圧が、例えば重力圧によって形成できる場合に、プレス圧の調節に関して加圧装置の間隔を調節できるようにすることもできる。
【0022】
可能な構成において、スペーサ要素が高さ調節可能であり、スペーサ要素と第1のエンドレスベルトの内面との間の間隔が調節可能にし得る。利点は、この方策によって、潤滑ギャップを、例えばエンドレスベルトの周速度又は加圧装置のプレス圧に応じて調節できることである。
【0023】
更に、加圧装置をプレスゾーン全体に配置することも可能である。この構成は、例えばプレスゾーンが比較的短く形成されている場合に、例えば第2のプレス手段としてプレスローラを使用すると特に有利である。
【0024】
可能な変形例において、流体が気体又は液体であり、流体が特に水又は油を含むことができる。この方策による利点は、例えば圧縮空気又は気体でプレス圧を加えることができ、それによってこの目的のために簡単な設計方策を講じることができることである。それによって液体流体、特に水又は油を使用すると、費用効果の高い設計が提供されると同時に、エンドレスベルトに潤滑油を供給することができる。
【0025】
少なくともプレスゾーンに少なくとも1つのシール体構成が設けられており、このシール体構成は少なくともエンドレスベルトの内面に配置されていると、特に有利であり得る。この構成の利点は、所定の領域へ流体が意図せず漏れ出ることを防止できることである。
【0026】
更に、プレスゾーンにおいて少なくとも第1のエンドレスベルトの内面に、長手方向に対して横断方向における第1の縁部及びこれと対向する第2の縁部にそれそれ少なくとも1つのシール体構成が配置されており、このシール体構成は少なくともプレスゾーンの長さにわたって長手方向に配置することができる。この有利な構成によって、流体が長手方向に対して直角方向に限定又は封止されることが保証され、これによってプレス圧を維持することが容易になる。
【0027】
変形例において、少なくとも1つのシール体構成が押圧装置を含んでおり、この押圧装置によってシール体構成と少なくとも1つの第1のエンドレスベルトを押圧することができる。この方策によってシール効果を改善でき、プレス圧によって変形したエンドレスベルトへのシール体構成の適合を最適化することができる。
【0028】
スペーサ要素及び/又はフレーム構成が、少なくとも1つのシール体構成を含んでいると有利であり得る。この方策によって、プレスゾーンの領域において改善されたシーリングを保証することができる。更に、例えば1つの可能な実施形態において、長手方向に対して横断方向に配置されたシール体構成によって、例えば押圧装置を用いて、スペーサ要素を形成することができ、それによってスペーサ要素の潤滑ギャップは押圧装置によって追加的に制御可能であり得る。更に、フレーム構成も複数のシール体構成を含むか、又は複数のシール体構成によって形成することができる。
【0029】
更に、制御装置は、加圧装置のプレス圧を第1のエンドレスベルトの周速度に応じて調整するように設定することができる。この構成は、プレス挙動を最適化することに寄与する。
【0030】
更に、制御装置は、少なくとも1つの第1のエンドレスベルトの内面と加圧装置との間の間隔を、第1のエンドレスベルトの周速度に応じて調整するように設定することができる。この構成は特に、例えばプレス圧が流体の重力圧で形成及び調節される場合に特に有利であり得る。
【0031】
制御装置は、シール体構成に対する押圧装置の押圧力を、加圧装置のプレス圧及び/又は潤滑ギャップに適用し、潤滑油として機能する流体の量に応じて制御するように設定されていると有利であり得る。この方策によって、プレス圧に応じてシール挙動を動的に適合させることが可能になる。更に、潤滑ギャップの寸法を設定することも可能である。
【0032】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を用いてより詳細に説明する。
【0033】
図はそれぞれ著しく簡略化した概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、材料をプレスするための本発明による装置を示す。
図2図2は、スペーサ要素の可能な実施形態を示す。
図3図3は、スペーサ要素の別の可能な実施形態を示す。
図4図4は、エンドレスベルトの内面の平面図を示す。
図5図5は、シール体構成を有するエンドレスベルトの断面図を示す。
図6図6は、材料をプレスするための装置の可能な実施形態を示す。
図7図7は、加圧装置の可能な実施形態を示す。
図8図8は、スペーサ要素の一実施形態の断面図を示す。
図9図9は、スペーサ要素の別の可能な実施形態を示す図を示す。
図10図10は、加圧装置を図示していないスペーサ要素のフレーム構成の可能な実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ構成要素には同じ参照符号又は同じ構成要素名を付し、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号又は同じ構成要素名を有する同じ構成要素に転用することができる。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明されている表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用される。
【0036】
図1には、材料2、特に繊維含有材料をプレスするための装置1が示されており、この装置1は、第1のプレス手段を形成する第1のエンドレスベルト4と、図示のようにエンドレスベルトとしても設計できる第2のプレス手段5とを含んでいる。装置1を制御するための制御装置3が設けられていることが好ましい。
【0037】
第1のエンドレスベルト4と第2のプレス手段5との間に、材料2をプレスするためのプレスゾーン6が形成されている。ここでは、長手方向7が配置されており、この長手方向7は第1のエンドレスベルト4に対して平行に、かつプレスゾーン6に対してプレスゾーン6の始端8からプレスゾーン6の終端9に向かう方向に配置されている。エンドレスベルト4の運転状態において、長手方向7は、周回する第1のエンドレスベルト4による材料2の搬送によって生じる、プレスゾーン6における材料2の搬送方向とも一致している。第1のエンドレスベルト4は、少なくとも2つのローラで支持することができ、そのうちの少なくとも1つのローラは駆動することができる。
【0038】
第2のプレス手段5は、図示のように、例えば少なくとも1つのローラによって駆動される第2のエンドレスベルトによって形成することもできる。しかしながら、第2のプレス手段5は、破線で略示するようにプレスローラ35として、又は摺動面として、又はこれに類するものとして設計することもできる。プレスゾーン6の長さ25は、第2のプレス手段5の構成に応じて適宜変えることができる。
【0039】
第2のエンドレスベルトは、図示されているように、プレスゾーン6に押さえ要素を有することができ、そのため第2のエンドレスベルトはプレス圧によって良好に耐える。両エンドレスベルトは、2つ以上のローラで支持又は案内することもできる。
【0040】
更に、加圧装置10が設けられており、この加圧装置10によって第1のエンドレスベルト4の内面12に、プレスゾーン6へ向けてプレス圧11を形成することができる。この内面12は、プレスゾーン6とは反対側に向いている。
【0041】
本発明によれば、加圧装置10によって少なくとも1つの流体13を第1のエンドレスベルト4の内面12にプレスゾーン6へ向けて作用させることができ、この流体13によってプレス圧11を形成できる。
【0042】
流体13は、好ましくは液体として設計することができ、冒頭に記載した従来技術の装置について知られている公知の潤滑油組成を有する。
【0043】
加圧装置10は、図示された装置1の設計にかかわらず、例えば少なくとも2つの流体13を含むことができる。この場合、第1流体は、例えば装置の「低速」運転又は起動のために設けることができ、低速において改善された潤滑特性を有することができ、第2流体は、増加した速度での運転状態のために設けられ、高速用に改善された潤滑特性を有する。
【0044】
これに関して、加圧装置に流体を供給する外部供給装置を設けることができる。
【0045】
エンドレスベルト4は、加圧装置10に対して流体動圧滑り軸受と同様に挙動し、加圧装置10と周回する第1のエンドレスベルト4との間に潤滑油が進入する楔形の隙間が形成される。
【0046】
例えば軸が運転状態で連行された潤滑油によって軸受シェルから離れる滑り軸受と同様に、第1のエンドレスベルト4も流体摩擦によって流体13を長手方向7に連行し、それによって加圧装置10又は下流側の構成要素、例えばスペーサ要素から離れる。
【0047】
加圧装置10の領域では、内面12へのプレス圧11を重力圧又は流体13のプロセス圧で生成することができる。例えば、加圧装置10は、流体13をプロセス圧で作用させることができる圧力手段を含むことができる。これに関して、加圧装置のプレス圧を監視して調節することもできる別の加圧手段を設けることができる。可能な変形例において、制御装置3は、加圧装置10のプレス圧11を第1のエンドレスベルト4の周速度に応じて調整するように設定することができる。
【0048】
長手方向7で加圧装置10の流体出口15の下流側に構成要素を設けることができ、これらの構成要素と流体13の形成された潤滑膜29とによって、エンドレスベルトに持続的なプレス圧を及ぼすことができる。例えば、下流側にプレートを設けることができ、このプレートは実質的に第1のエンドレスベルト4の幅と等しい、又は、それより小さいプレート幅を有し、プレートとベルトの間で流体13によってエンドレスベルトに対する圧力が維持される。代替的に、加圧装置10自体をプレスゾーン6全体又はプレスゾーン6の長さ25にわたって配置することもできる。図示のように、プレスゾーン6における潤滑膜29は、プレスゾーン6の終端9の後の潤滑膜29aよりも高い充填レベルの流体量をエンドレスベルト4上に形成することができる。
【0049】
ここで完全を期すために言及すると、図示されたプレスゾーン6とその長さ25は、例示のためのものであり、これより小さい又はより大きいエンドレスベルト4の領域にわたって配置することができる。同様に理解を容易にするために、プレス圧によるエンドレスベルト4の誇張された変形も模型的に示されている。
【0050】
破線で略示するように、加圧装置10の領域に調節装置19を設けることができ、この調節装置19によって第1のエンドレスベルト4の内面12と加圧装置10との間の間隔20を調節することができる。変形例として、間隔20は、制御装置3によって、第1のエンドレスベルト4の周速度に応じて調整することができる。
【0051】
エンドレスベルトの第1の縁部と、これと長手方向7に対して横断方向に対向する第2の縁部に、流体膜の両側を仕切るためのシール体構成を配置できることが好ましい。このシール体構成については、後で更に詳細に説明する。
【0052】
更に、プレスゾーン6の後に流体回収器27を配置することができ、この流体回収器27は、流体13の少なくとも一部の量を再び回収することができるので、プレスゾーン6の後でエンドレスベルト上に余分な潤滑油が残らない。この場合、流体回収器27は一種のスクレーパ装置として設計することができ、このスクレーパ装置は集めた流体量を回収容器に案内するか、又は加圧装置10の回路に戻す。
【0053】
更に、少なくとも1つのスペーサ要素14を配置することができ、このスペーサ要素14は、流体の流れ方向で加圧装置10の流体出口15の下流側に配置されている。スペーサ要素14によって、エンドレスベルト4の内面12に流体13用の潤滑ギャップ16を形成することができる。スペーサ要素14は、エンドレスベルトの幅にわたって延び、その幅で流体が潤滑膜29を形成することが好ましい。スペーサ要素14の下流側に圧力又は潤滑ギャップを維持するための追加の構成要素が配置されていない場合、スペーサ要素14はプレスゾーン6の終端9まで延びるか、又はプレスゾーン6の終端を形成することもできる。
【0054】
可能な実施形態において、スペーサ要素14は加圧装置10と固定接続し、加圧装置10と共に調節装置19によって調節することができる。別の実施形態では、スペーサ要素14を別個の構成要素として配置し調節することができる。冒頭で述べたように、スペーサ要素はフレーム構成を含むこともでき、このフレーム構成は加圧装置とエンドレスベルトの内面との間に配置されて流体通路を有する。上記のフレーム構成については、後で更に詳細に説明する。
【0055】
図2には、スペーサ要素14の可能な実施形態が示されている。スペーサ要素14は長手方向7に楔形に形成され、スペーサ要素14と第1のエンドレスベルト4の内面12との間のギャップ間隔17は長手方向7に減少するようになっている。加圧装置10は、図示のように複数のスペーサ要素14を含むことができる。
【0056】
図3には、スペーサ要素14の別の可能な実施形態が示されている。
【0057】
図示の実施形態では、スペーサ要素14は転動体として設計されて、回転軸18周りに回転可能に支持されており、この回転軸18は長手方向7に対して直角で、第1のエンドレスベルト4の内面12に対して実質的に平行である。この構成の利点は、潤滑ギャップを形成すると同時に、周回するエンドレスベルトによる流体の連行によって引き起こされて、スペーサ要素14の前で流体13又は潤滑油が蓄積又は堆積するのを防止することである。
【0058】
図2及び図3に表現されたスペーサ要素14の実施形態にかかわらず、スペーサ要素14は高さ調節可能に設計することができ、図3に略示されているように、スペーサ要素14と第1のエンドレスベルト4の内面12との間の距離21を調節することができる。この場合、高さ調節は、例えば調節装置19によって行うことができる。
【0059】
更に、スペーサ要素14に対する圧力監視ユニット37を設けることができ、この圧力監視ユニット37によってスペーサ要素14とエンドレスベルト4の内面12との間の圧力、又は流体13がスペーサ要素14に及ぼす圧力を監視できる。この圧力監視ユニット37は制御装置3に値を伝送することができ、この値によってまた距離21の適合を行うことができる。
【0060】
図4及び図5には、シール体構成24の可能な実施形態と配置が平面図と断面図で示されている。
【0061】
図4には、エンドレスベルト4の内面12の平面図が示されており、内面12において長手方向7に対して横断方向にエンドレスベルト4の第1の縁部22及びこれと対向する縁部23にそれぞれ少なくとも1つのシール体構成24が配置されており、このシール体構成24は長手方向7に少なくともプレスゾーン6の長さ25にわたって配置されている。この場合、シール体構成24は、好ましくは加圧装置10に密に当接しているか、又は加圧装置10とフレキシブルに接続することができ、加圧装置10が調節された場合でもシール効果が確保されるようになっている。加圧装置10の設計によっては、シール体構成24はスペーサ要素14に密に当接するか、又はスペーサ要素14と接続することもできる。
【0062】
図示されていない実施形態では、加圧装置10又はスペーサ要素14が調節可能に設計されていない場合、シール体構成24はこれらと固定接続されることも考えられる。
【0063】
更に、シール体構成24の設計にかかわらず、流体回収器27を配置することができ、この流体回収器27は、図示されているように、スクレーパとして設計して、例えば両縁部22、23の間に傾けて配置することができ、流体13を縁部へ向けて誘導し、そこで流体13を、例えばタンク又は容器41に再び回収し、加圧装置10に至る回路に戻すことができる。流体回収器27に関して、シール体構成24は、流体回収器の領域に出口開口部33を有することもでき、この出口開口部33によって流体を回路に戻すことができる。流体回収器27aは、他の幾何学的形状を有することもでき、例えば破線で略示するように、三角形の形状に形成することもできる。
【0064】
図4の表現に見られるように、加圧装置10又は可能なスペーサ要素14は、最適な圧力分布を確保するために、実質的にエンドレスベルト4の幅34に沿ってシール体構成24まで延びるように形成されていることが好ましい。
【0065】
図5には、第1のエンドレスベルトの長手方向に対して横断方向の断面と、シール体構成24の可能な実施形態が示されている。
【0066】
エンドレスベルト4の内面12上に潤滑膜29が形成されており、この潤滑膜29はエンドレスベルトの運転状態において長手方向7又は搬送方向に搬送される。シール体構成24は、流体13を両側で仕切り、プレス圧11を維持するように働く。
【0067】
シール体構成24は、プレスゾーン6において、少なくとも第1のエンドレスベルト4の内面12で、長手方向7に対して横断する方向に第1の縁部22及びこれと対向する第2の縁部23において配置されており、このシール体構成24は長手方向7に少なくともプレスゾーン6の長さにわたって配置されている。シール体構成24は、好ましくは少なくとも内面12に対して滑りコーティング32を有し、又は滑り性材料からなることができる。
【0068】
図示の表現では、それぞれの縁部22、23にシール体構成24の異なる実施形態が示されている。
【0069】
左側の開示には、シール体構成24の第1の可能な実施形態が示さている。シール体構成24は弾性シールとして設計することができ、このシール体構成24はエンドレスベルト4に当接し、特に2つの領域で内面12及びこれと対向する外面28に当接し、好ましくは一体的に形成され、破線で略示するように、エンドレスベルト4がプレス圧11によってプレスゾーン6へ向けて変位又は変形すると共に変形するようになっており、これによってシール効果がより良好に維持される。この場合、シール体構成はここでも内面12及び/又は外面28の領域に滑りコーティングを有することができる。
【0070】
右側に開示された別の実施形態では、シール体構成24は、押圧装置26を含むことができ、この押圧装置26によってシール体構成24のシール要素36をエンドレスベルト4の内面12に押し付けることができる。押圧装置26は、例えばフレキシブルな膨張体として設計することができ、この膨張体によってシール体構成24をエンドレスベルト4に押し付けることができる。代替的に、シール体構成24のシール要素36は、破線で略示するようにそれ自体を膨張体として設計することができ、それによって押圧装置26aをシール要素36内に配置することができる。更に、シール要素36はエンドレスベルト4の領域に滑り性コーティングを有するか、又は滑り性材料からなることができる。
【0071】
変形例において、押圧装置26の押圧力を加圧装置10のプレス圧11に応じて及び/又は第1のエンドレスベルト4の周速度に応じて調整できるようにすることができ、特に制御装置3がこの調節を行うように設定することができる。
【0072】
更に、シール体構成24と加圧装置10との間に弾性接続ウェブ31を配置することができ、この弾性接続ウェブ31によって加圧装置10とシール体構成24との間の接触領域が密封され、例えば加圧装置10を調節する際に密封が保証されるようになっている。このようにして加圧装置10の略示されたスペーサ要素14も弾性接続ウェブ31と接続することができる。
【0073】
両縁部22,23におけるシール体構成24にかかわらず、スペーサ要素14は、それ自体シール体構成24を含むことができ、又はそれ自体シール体構成24として設計でき、例えば右側の開示に示すように、押圧装置26とシール要素36を含むことができるが、これらは長手方向7に対して横断する方向に配置されている。
【0074】
図示されていない代替的な実施形態では、ベルトの両側シールに関して、少なくともエンドレスベルトの内面に全周にわたって両縁部22、23にシールリップを成形することもできる。図6に、材料2をプレスするための装置1の可能な実施形態が示されており、この装置1は第1のエンドレスベルト4と、第2のプレス手段5として設計された第2のエンドレスベルト4’とを含んでいる。これらのエンドレスベルト4、4’は、それぞれ少なくとも1つの加圧装置10を含み、この加圧装置10によってそれぞれのエンドレスベルトの内面12にプレスゾーン6へ向けてプレス圧11を形成することができ、それぞれの加圧装置10によって少なくとも1つの流体13をエンドレスベルトの内面12にプレスゾーン6へ向けて作用させることができ、この流体13によってプレス圧11を形成することができる。この場合も上述したように、スペーサ要素14、流体回収器27、調節装置19及びその他の装置を設けることができ、両エンドレスベルトに同一に又は異なって構成することができる。
【0075】
この装置は、図示のように縦向きに配置できるが、図1と同様に横向きに配置することもできる。
【0076】
図7は、加圧装置10の可能な実施形態が示されており、この加圧装置10は、プレスゾーン6の長さ25にわたって配置されている。図示の形態では、加圧装置10の流体13は気体状に設計されており、プレス圧11を形成するために加圧装置10のプロセス圧をエンドレスベルト4の内面12にプレスゾーン6へ向けて作用させることができる。これに関して、ここでも少なくとも1つの加圧手段30を設けることができ、この加圧手段30によってプロセス圧を監視及び調節することができる。
【0077】
両側縁部22、23には、ここでも上記の設計のシール体構成24を設けることができる。好ましくはここでも調節装置19を設けることができ、これによってエンドレスベルト4の内面12と加圧装置10との間の間隔20を調節することができる。
【0078】
図示の実施形態では、加圧装置10は、例えば圧縮空気又はプロセスガスを供給するために複数のノズル又は従来技術から公知の他の方策を含むことができ、これによって、気体流体13をプレスゾーン6へ向けて作用させることができる。この場合、破線で略示するように、複数の加圧装置10を長手方向7に又は長手方向7に対して横断する方向に配置することもできる。
【0079】
図示の実施形態では、特に特殊なプロセスガスを使用する場合には、加圧装置10の領域又はシステム全体の周囲にプロセスチャンバを形成することができる。
【0080】
図6及び図7には、装置1又は加圧装置10の別の、場合によっては独立した実施形態が示されており、ここでも前出の図と同じ部分には同じ参照符号又は構成要素名が使用される。不必要な重複を避けるため、前出の図についての詳細な説明が指示又は参照される。
【0081】
図8には、スペーサ要素14の実施形態が断面図で示されており、このスペーサ要素14はフレーム構成38を含み、フレーム構成38は加圧装置10とエンドレスベルト4の内面12との間に配置されて、少なくとも1つの流体通路39を有しており、流体通路39は加圧装置10から内面12に向かう方向に形成されている。流体通路39は、フレームによって形成又は包囲された開口部で形成できることが好ましい。
【0082】
フレーム構成38は、好ましくは加圧装置10がその上に配置されるか又は連結できるように設計することができ、それによってそれらの間に流体密な接続が存在して、流体がその円周又は縁部接続領域を通って流出できないようになる。
【0083】
フレーム構成38の設計にかかわらず、フレーム構成38は加圧装置10と共に又は単独で、ここでも調節装置19によって高さを調節できるように設計することができる。
【0084】
少なくとも1つのフレームセグメント40内に、別の流体通路39aは、例えば貫通孔又は管路によって形成することができる。
【0085】
フレームセグメント40a-40cは、フレーム構成38の視認できる3つのセクションを形成しており、4つ目のセグメントは断面図のため画像平面の外側にある。
【0086】
可能な実施形態において、加圧装置10は、フレームセグメント40に対して加圧装置10内に別個の領域42が設けられ、この領域42を通して所定量の流体がフレームセグメント40へ向けて提供されて、別の流体通路39aを通って流出するようにすることができる。
【0087】
これに関して、流体を加圧装置10から別個の領域42に導入するためにバルブを配置することができ、或いは領域42を加圧装置10にかかわらず流体で満たすことができる。
【0088】
加圧装置10はプレスゾーン6全体にわたって配置できることが好ましく、それによってフレームセグメント40a内の別の流体通路39aによってプレスゾーン6の後にエンドレスベルト4上に潤滑膜を形成することができ、或いはフレームセグメント40c内の流体通路39bによって略示されているように、フレーム構成38とエンドレスベルト4との間を潤滑するように働くこともできる。
【0089】
フレームセグメント40は、複数の流体通路を有することもできる。
【0090】
図9には、スペーサ要素14の別の可能な実施形態が示されており、スペーサ要素14は少なくとも部分的に多孔質材料から形成されており、この多孔質材料は流体13が少なくとも一方向に透過できる。
【0091】
例えば上記のフレーム構成38のフレームセグメント40又はフレームセクションも多孔質材料からなり、流体13が透過することができる。上記の別の流体通路39aも多孔質材料で形成することができる。更に、これに関して加圧装置10内に上記の領域42を設けることもできる。
【0092】
更に、スペーサ要素14又はフレーム構成38の一部は、冒頭で述べたように、上記の多孔質材料とはかかわりなく、少なくとも1つのシール体構成24からなることができる。
【0093】
図示のように、シール体構成24は、ここでも押圧装置26とシール要素36とを含むことができる。図示のシール体構成24は、多孔質材料の代わりにフレームセグメント40a内に配置することもでき、シール体構成24によって内面12上に潤滑ギャップを形成することができる。
【0094】
同様に滑りコーティングを設けることもでき、或いはフレームセグメント40又はフレーム構成38が滑り性材料からなることができる。
【0095】
図10には、加圧装置を図示していないスペーサ要素のフレーム構成の可能な実施形態の平面図が示されており、エンドレスベルト4の第1の縁部22と第2の縁部23にある両側のフレームセグメント40b及び40dは、シール体構成24によって形成することができ、長手方向7に対して横断する方向に配置されたフレームセグメント40a及び40cは、例えば多孔質材料からなる。
【0096】
別の実施形態では、全てのフレームセグメントは、多孔質材料から形成することができる。例えばフレーム構成は、エンドレスベルトの内面へ向けてフレームセグメント又は多孔質材料を通過する所定量の流体によって、エンドレスベルトに対して「浮く」ように設計することができる。
【0097】
前出の図からの他の組み合わせも考えられよう。例えばフレーム構成38は4つのシール体構成24からなることができる。更に、潤滑ギャップを調節するためのシール体構成を設けることもできる。
【0098】
更に、長手方向に対して横断方向に配置されたフレームセグメントの1つが、図3で説明した転動体を含むこともできる。
【0099】
図8から図10には、スペーサ要素14又はフレーム構成38の別の、場合によってはそれ自体で独立した実施形態が示されており、ここでも前出の図と同じ構成要素には同じ参照符号又は構成要素名が使用されている。不必要な重複を避けるため、前出の図における詳細な説明が指示又は参照される。
【0100】
実施例は可能な実施形態を示しており、この箇所で注記しておくと、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、個々の実施形態を互いに様々に組み合わせることも可能であり、本発明による技術的行為に関する教示に基づくこの変更の可能性は当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0101】
保護範囲は特許請求の範囲によって決定される。但し、特許請求項を解釈するために明細書及び図面が使用される。図示及び説明された種々の実施例からの個々の特徴又は特徴の組み合わせは、独立した本発明による解決策を表すことができる。これらの独立した本発明による解決策の基礎をなす課題は、本明細書から読み取ることができる。
【0102】
本発明の説明において値の範囲に関するすべての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1から10という指示は、下限1を起点として上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1から1.7、又は3.2から8.1、又は5.5から10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0103】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、構成要素は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0104】
1 装置
2 材料
3 制御装置
4 第1のエンドレスベルト
5 第2のプレス手段
6 プレスゾーン
7 長手方向
8 始端
9 終端
10 加圧装置
11 プレス圧
12 内面
13 流体
14 スペーサ要素
15 流体出口
16 潤滑ギャップ
17 ギャップ間隔
18 回転軸
19 調節装置
20 間隔
21 距離
22 第1の縁部
23 第2の縁部
24 シール体構成
25 長さ
26 押圧装置
27 流体回収器
28 外面
29 潤滑膜
30 加圧手段
31 接続ウェブ
32 滑りコーティング
33 出口開口部
34 幅
35 プレスローラ
36 シール要素
37 圧力監視ユニット
38 フレーム構成
39 流体通路
40 フレームセグメント
41 容器
42 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
このような装置は従来技術において広く普及しており、材料をプレスゾーンでプレスする様々な加圧装置、例えばプレスローラなどを含む。
特許文献1は、特にプレス型を備えたダブルベルトプレスを有する、ラミネートを製造する方法を開示している。一実施形態では、プレス型はダブルベルトプレスのエンドレスベルト上に環状シールで形成された加圧チャンバを含んでいる。圧力媒体には、ベルト上に形成された加圧チャンバ内で圧力媒体として使用される合成油を使用することができる。
特許文献2には、ラミネートをプレスするための2つの対向するベルトを有する、プラスチックフィルムラミネートを製造する装置を開示している。プレス圧を発生させるために、それぞれのベルトに密に当接する2つの対向する加圧装置が同様に設けられている。それぞれの加圧装置によって、圧縮空気をラミネートに向かってベルトに作用させることができ、ベルトは互いに向かって押し付けられる。これに関して、加圧装置は圧縮空気を作用させるための複数の流路を有し、これらの流路はベルトに向けられた加圧装置の表面に開口し、この領域で(長方形の)リングシールで囲まれている。
特許文献3は、少なくとも1つの周回するプレスベルトを圧力媒体によってワークに押し付けることができるプレス装置を開示しており、この圧力媒体はプレスベルトに接する、ベルト状シールによって密封された圧力チャンバ内に導入できる。シールは、隣接するプレッシャープレートの溝内で、遊びを有して受容するソケットによって案内されており、このソケットは押圧媒体によって周回するプレスベルトに押し付けられ、ソケットの背面側の溝内にこの溝と平行に延びる圧力媒体ホースが支持されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第5141583号明細書
[特許文献2]米国特許第4420359号明細書
[特許文献3]独国実用新案第8308788号明細書
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明による装置は、加圧装置が、プレスゾーンに向けて、少なくとも1つの第1のエンドレスベルトの内面に少なくとも1つの液体流体を作用させることができ、この流体によってプレス圧を加えるように構成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
更に、少なくとも1つのスペーサ要素が設けられており、このスペーサ要素は、流体の流れ方向に対して加圧装置の流体出口の下流側に位置しており、このスペーサ要素によってエンドレスベルトの内面に流体のための潤滑ギャップを形成することができる。その利点は、スペーサ要素の潤滑ギャップによって、加圧装置の下流側でプレス圧を簡単な手段によって維持できることである。更に、スペーサ要素によって加圧装置とエンドレスベルトとの間の間隔を容易に決定及び調節することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
流体は液体であり、流体は特に水又は油を含むことができる。この方策による利点は、例えば圧縮空気又は気体でプレス圧を加えることができ、それによってこの目的のために簡単な設計方策を講じることができることである。それによって液体流体、特に水又は油を使用すると、費用効果の高い設計が提供されると同時に、エンドレスベルトに潤滑油を供給することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料(2)をプレスするための装置(1)であって、
前記装置(1)を制御するための制御装置(3)と、
第1のプレス手段を形成する少なくとも1つの第1のエンドレスベルト(4)と、
少なくとも1つの第2のプレス手段(5)、特に第2のエンドレスベルトであって、前記第1のエンドレスベルト(4)と前記第2のプレス手段(5)との間に前記材料(2)をプレスするためのプレスゾーン(6)が形成されると共に、長手方向(7)が画定され、前記長手方向(7)は、前記第1のエンドレスベルト(4)に対して平行に、かつ、前記プレスゾーン(6)に対して前記プレスゾーン(6)の始端(8)から前記プレスゾーン(6)の終端(9)へ向かう方向に配置される、少なくとも1つの第2のプレス手段(5)と、
少なくとも1つの加圧装置(10)であって、前記加圧装置(10)によって少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の内面(12)に前記プレスゾーン(6)へ向けてプレス圧(11)を作用させることができ、前記内面(12)は前記プレスゾーン(6)とは反対側に向いており、前記加圧装置(10)は、少なくとも1つの流体(13)、特に水又は油を含む流体を少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)に前記プレスゾーン(6)へ向けて作用させることができ、前記流体(13)によってプレス圧(11)を形成できるように構成される、少なくとも1つの加圧装置(10)と、を備え、
少なくとも1つのスペーサ要素(14)を備え、前記スペーサ要素(14)は、前記流体(13)の流れ方向に対して、前記加圧装置(10)の流体出口(15)を有し、前記スペーサ要素(14)によって前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)上に、前記流体(13)のための潤滑ギャップ(16)を形成できることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記スペーサ要素(14)は、フレーム構成(38)を含み、前記フレーム構成(38)は、前記加圧装置(10)と前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間に配置され、少なくとも1つの流体通路(39)を有し、前記流体通路(39)は前記加圧装置(10)から前記内面(12)へ向かう方向に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記フレーム構成(38)は、少なくとも1つの別の流体通路(39)を有しており、前記少なくとも1つの別の流体通路(39)は、少なくとも1つのフレームセグメント(40)において形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記スペーサ要素(14)は、少なくとも部分的に多孔質材料から形成されており、前記多孔質材料は前記流体(13)が少なくとも一方向に透過できることを特徴とする、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記スペーサ要素(14)は、前記長手方向(7)に対して楔形に形成され、前記スペーサ要素(14)と前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間のギャップ間隔(17)が長手方向(7)に対して減少することを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記スペーサ要素(14)が転動体、特に円筒ローラを含み、前記転動体は回転軸(18)周りに回転可能に支持され、前記回転軸(18)は、前記長手方向(7)に対して直角、かつ、前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)に対して実質的に平行であることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
調節装置(19)を備え、前記調節装置(19)によって、前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)と前記加圧装置(10)との間の間隔(20)が調節可能であることを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記制御装置(3)は、少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)と前記加圧装置(10)との間の前記間隔(20)を、前記第1のエンドレスベルト(4)の周速度に応じて調整するように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記スペーサ要素(14)は、高さ調節可能であり、前記スペーサ要素(14)と前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)との間の距離(21)が調節可能であることを特徴とする、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記加圧装置(10)は、前記プレスゾーン(6)全体にわたって配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
少なくとも前記プレスゾーン(6)に少なくとも1つのシール体構成(24)を備え、前記シール体構成(24)は少なくとも前記エンドレスベルト(4)の前記内面(12)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項10の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記プレスゾーン(6)において少なくとも前記第1のエンドレスベルト(4)の前記内面(12)上において、前記長手方向(7)に対して横断する方向に、前記第1のエンドレスベルト(4)の第1の縁部(22)及びこれと対向する第2の縁部(23)に、それぞれ少なくとも1つのシール体構成(24)が配置されており、前記シール体構成(24)は、少なくとも前記プレスゾーン(6)の長さ(25)にわたって前記長手方向(7)に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのシール体構成(24)は、押圧装置(26)を備え、前記押圧装置(26)によって、前記シール体構成(24)及び少なくとも1つの前記第1のエンドレスベルト(4)を押圧できることを特徴とする、請求項11又は請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記スペーサ要素(14)は、少なくとも1つのシール体構成(24)を含んでいることを特徴とする、請求項11から請求項13の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記制御装置(3)は、前記シール体構成(24)に対する前記押圧装置(26)の押圧力を、前記加圧装置(10)のプレス圧(11)及び/又は前記潤滑ギャップ(16)に導入され、潤滑油として機能する流体の量に応じて制御するように構成されていることを特徴とする、請求項10から請求項14の何れか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記制御装置(3)は、前記加圧装置(10)のプレス圧(11)を、前記第1のエンドレスベルト(4)の周速度に応じて調整するように構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項15の何れか1項に記載の装置(1)。
【国際調査報告】