(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】新規UPAR単一ドメイン抗体の開発
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20250128BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20250128BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250128BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20250128BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20250128BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20250128BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20250128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250128BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250128BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20250128BHJP
A61P 31/00 20060101ALN20250128BHJP
A61P 9/00 20060101ALN20250128BHJP
A61P 25/28 20060101ALN20250128BHJP
A61P 37/02 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P31/00
A61P9/00
A61P25/28
A61P37/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540546
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2022143550
(87)【国際公開番号】W WO2023125842
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111642915.9
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524248957
【氏名又は名称】パーソンゲン バイオセラピューティクス(スーヂョウ)カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PERSONGEN BIOTHERAPEUTICS(SUZHOU)CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Unit 413,B1 Building,Biobay,No.218 Xinghu Street,Suzhou Industrial Park,Suzhou,Jiangsu 215000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,フォンタオ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
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4B065AB01
4B065AC14
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4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA63
4H045BA70
4H045BA71
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本発明は、抗UPAR単一ドメイン抗体を提供する。具体的には、本発明は、ファージディスプレイライブラリースクリーニング技術を通じて複数の抗UPAR単一ドメイン抗体を取得する。本発明の抗UPAR単一ドメイン抗体は、UPARに効率的に結合することができ、関連疾患の治療に応用できる可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗UPAR単一ドメイン抗体であって、
前記抗UPAR単一ドメイン抗体VHH鎖の相補性決定領域CDRは、
(1)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:53に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:54に示されるCDR3、
(2)SEQ ID NO:22に示されるCDR1、SEQ ID NO:23に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:24に示されるCDR3、
(3)SEQ ID NO:42に示されるCDR1、SEQ ID NO:43に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:44に示されるCDR3、
(4)SEQ ID NO:25に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:27に示されるCDR3、
(5)SEQ ID NO:28に示されるCDR1、SEQ ID NO:29に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:30に示されるCDR3、
(6)SEQ ID NO:31に示されるCDR1、SEQ ID NO:32に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:33に示されるCDR3、
(7)SEQ ID NO:34に示されるCDR1、SEQ ID NO:35に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:36に示されるCDR3、
(8)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:39に示されるCDR3、
(9)SEQ ID NO:40に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:41に示されるCDR3、
(10)SEQ ID NO:19に示されるCDR1、SEQ ID NO:20に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:21に示されるCDR3、
(11)SEQ ID NO:45に示されるCDR1、SEQ ID NO:46に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:47に示されるCDR3、
(12)SEQ ID NO:48に示されるCDR1、SEQ ID NO:49に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:50に示されるCDR3、
(13)SEQ ID NO:51に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:52に示されるCDR3、ならびに
(14)SEQ ID NO:16に示されるCDR1、SEQ ID NO:17に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:18に示されるCDR3からなる群から選択される一種または複数種であることを特徴とする、前記抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項2】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項3】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.3、10または15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項4】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体は、ヒト化抗体、ラクダ由来抗体、およびキメラ抗体からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項5】
抗UPAR抗体であって、
前記抗体は、一つまたは複数の請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖を含むことを特徴とする、前記抗UPAR抗体。
【請求項6】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項5に記載の抗UPAR抗体。
【請求項7】
ポリヌクレオチドであって、
前記ポリヌクレオチドは、請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または請求項5に記載の抗体からなる群から選択されるタンパク質をコードすることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
【請求項8】
発現ベクターであって、
前記発現ベクターは、請求項7に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、前記発現ベクター。
【請求項9】
宿主細胞であって、
前記宿主細胞は、請求項8に記載の発現ベクターを含むか、またはそのゲノムに請求項7に記載のポリヌクレオチドが組み込まれていることを特徴とする、前記宿主細胞。
【請求項10】
抗UPAR単一ドメイン抗体を産生する方法であって、
前記方法は、
(a)単一ドメイン抗体の産生に適した条件下で、請求項9に記載の宿主細胞を培養し、それによって前記抗UPAR単一ドメイン抗体を含む培養物を得る段階と、
(b)前記培養物から前記抗UPAR単一ドメイン抗体を分離および/または回収する段階と、ならびに
(c)任意選択で、段階(b)で得られた抗UPAR単一ドメイン抗体を精製および/または修飾する段階とを、含むことを特徴とする、前記抗UPAR単一ドメイン抗体を産生する方法。
【請求項11】
免疫複合体であって、
前記免疫複合体は、
(a)請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または請求項5に記載の抗UPAR抗体と、ならびに
(b)検出可能なマーカー、薬物、サイトカイン、放射性核種、酵素、金ナノ顆粒/ナノロッド、ナノ磁性粒子、ウイルスコートタンパク質もしくはVLP、またはその組み合わせからなる群から選択されるカップリング部分とを、含むことを特徴とする、前記免疫複合体。
【請求項12】
請求項1~4のいずれかに記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、請求項5に記載の抗UPAR抗体、または請求項11に記載の免疫複合体の用途であって、
(1)UPARに関連する疾患を予防および/または治療するための薬物と、
(2)UPARを検出するための試薬との調製に使用されることを特徴とする、前記請求項1~4のいずれかに記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、請求項5に記載の抗UPAR抗体、または請求項11に記載の免疫複合体の用途。
【請求項13】
医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(i)請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、請求項5に記載の抗UPAR抗体、または請求項11に記載の免疫複合体と、および
(ii)薬学的に許容される担体とを、含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項14】
UPAR関連疾患を予防および/または治療するための方法であって、
前記方法は、必要とする対象に請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、請求項5に記載の抗UPAR抗体、または請求項11に記載の免疫複合体、または請求項13に記載の医薬組成物を投与することを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項15】
前記UPAR関連疾患は、老化関連疾患、癌または腫瘍からなる群から選択されることを特徴とする
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に関する。具体的には、本発明は、抗UPAR単一ドメイン抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化が徐々に社会の注目を集めるようになり、老化は、感染症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、自己免疫失調性疾患、腫瘍等の疾患の発生率の増加に直接関連される。免疫機能の障害を伴う体の老化は、これらの疾患の発生の重要な原因の一つである。
【0003】
近年、老化細胞を除去できる小分子抗老化剤がいくつか開発されているが、その治療効果は、低く、且つ重篤な副作用が伴う。安全且つ効果的に老化細胞を除去できる「抗老化剤」の開発に取り組む研究者がますます増えている。CAR-T療法は、現在、遺伝子編集技術を利用して位置決め機能を有するCAR(腫瘍キメラ抗原受容体)をT細胞に導入することによって、腫瘍細胞を識別し、免疫反応を誘発し、腫瘍細胞を効率的に殺傷する目的を達することができる、画期的な癌治療法である。この治療法の出現は、抗老化剤の研究において研究者に新しいアイデアも提供する。CAR-T細胞が老化細胞を識別できれば、抗腫瘍療法を抗老化療法に変えることができる。従来の疾患介入法は、病気が発生した後の治療法であり、医療技術の発展に伴い、老化および老化関連悪性疾患の発生を予防するために介入時期を早めることは、新たなトレンドとなるでしょう。
【0004】
現在、老化に対する代表的な薬物は、ラパマイシン、ダサチニブ+ケルセチン、フィセチンおよびUBX0101等の抗老化剤が挙げられるが、これらの薬物は、潜在的な副作用を有し、第1に、老化細胞を標的にして排除する能力は、依然として十分正確ではなく、正常な細胞に損傷を与える可能性があり、第2に、抗老化薬の使用が早すぎると、幹細胞の枯渇を引き起こし、使用が遅すぎると効果に影響し、第3に、大量の老化細胞が死滅した後、残された産物は、通常、適時に除去できず、これは、健康に対する潜在的なリスクとなる可能性がある。従って、新規抗老化薬の開発が解決すべき課題となっており、CAR-T細胞薬の開発は、老化を治療するトレンドとなる可能性がある。老化細胞を識別する方法を開発するための最初の段階は、老化細胞の表面特徴を決定することである。ある報告によると、三つの独立した老化モデルによって確立されたRNAシーケンシングデータを分析することにより、老化したヒトおよびマウスの細胞に見られる膜貫通タンパク質の発現を分析し、最終的には、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアゴニスト受容体(UPAR)が老化細胞の「身分証明書」であることが判明された。しかしながら、現在、当該分野では、UPARを標的とするCAR-T細胞薬または他の薬物を構築するために使用できるUPARに関するナノボディの研究は不足している。
【0005】
従って、当技術では、UPARナノボディを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、UPARに対する単一ドメイン抗体およびその応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、抗UPAR単一ドメイン抗体を提供し、前記抗UPAR単一ドメイン抗体VHH鎖の相補性決定領域CDRは、
(1)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:53に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:54に示されるCDR3、
(2)SEQ ID NO:22に示されるCDR1、SEQ ID NO:23に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:24に示されるCDR3、
(3)SEQ ID NO:42に示されるCDR1、SEQ ID NO:43に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:44に示されるCDR3、
(4)SEQ ID NO:25に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:27に示されるCDR3、
(5)SEQ ID NO:28に示されるCDR1、SEQ ID NO:29に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:30に示されるCDR3、
(6)SEQ ID NO:31に示されるCDR1、SEQ ID NO:32に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:33に示されるCDR3、
(7)SEQ ID NO:34に示されるCDR1、SEQ ID NO:35に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:36に示されるCDR3、
(8)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:39に示されるCDR3、
(9)SEQ ID NO:40に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:41に示されるCDR3、
(10)SEQ ID NO:19に示されるCDR1、SEQ ID NO:20に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:21に示されるCDR3、
(11)SEQ ID NO:45に示されるCDR1、SEQ ID NO:46に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:47に示されるCDR3、
(12)SEQ ID NO:48に示されるCDR1、SEQ ID NO:49に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:50に示されるCDR3、
(13)SEQ ID NO:51に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:52に示されるCDR3、ならびに
(14)SEQ ID NO:16に示されるCDR1、SEQ ID NO:17に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:18に示されるCDR3からなる群から選択される一種または複数種である。
【0008】
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖は、フレームワーク領域(FR)をさらに有する。
別の好ましい例において、前記FRは、SEQ ID NO:1~15のいずれかに由来するアミノ酸配列を有する。
【0009】
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択される。
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3、10または15に示される配列から選択される。
【0010】
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体は、単量体、二価体(二価抗体)、多価抗体、またはその組み合わせからなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体は、二価体である。
【0011】
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体は、ヒト化抗体、ラクダ由来抗体、キメラ抗体からなる群から選択される。
本発明の第2の態様は、抗UPAR抗体を提供し、前記抗体は、一つまたは複数の本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖を含む。
【0012】
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択される。
別の好ましい例において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:3、10または15に示される配列から選択される。
【0013】
別の好ましい例において、前記抗UPAR抗体は、単量体、二価体(二価抗体)、多価抗体、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
別の好ましい例において、前記二価(または多価)とは、前記免疫複合体のアミノ酸配列が二つ(または複数)の同一または異なる本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖配列を含むことを指す。
【0015】
本発明の第3の態様は、ポリヌクレオチドを提供し、前記ポリヌクレオチドは、本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または本発明の第2の態様に記載の抗体からなる群から選択されるタンパク質をコードする。
【0016】
別の好ましい例において、本発明は、本発明の抗UPAR単一ドメイン抗体をコードする核酸分子に関する。本発明の核酸は、RNA、DNAまたはcDNAであり得る。
【0017】
本発明の第4の態様は、発現ベクターを提供し、前記発現ベクターは、本発明の第3の態様に記載のポリヌクレオチドを含む。
【0018】
別の好ましい例において、前記発現ベクターは、DNA、RNA、ウイルスベクター、プラスミド、トランスポゾン、他の遺伝子導入システム、またはその組み合わせからなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記発現ベクターは、pcDNA3.4-hIgG1-Fc2プラスミドである。
【0019】
本発明の第5の態様は、宿主細胞を提供し、前記宿主細胞は、本発明の第4の態様に記載の発現ベクターを含むか、またはそのゲノムに本発明の第3の態様に記載のポリヌクレオチドが組み込まれている。
別の好ましい例において、前記宿主細胞は、原核細胞または真核細胞からなる群から選択される。
【0020】
別の好ましい例において、前記宿主細胞は、大腸菌、酵母細胞、哺乳動物細胞からなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記宿主細胞は、293F細胞である。
【0021】
本発明の第6の態様は、
(a)単一ドメイン抗体の産生に適した条件下で、本発明の第5の態様に記載の宿主細胞を培養し、それによって前記抗UPAR単一ドメイン抗体を含む培養物を得る段階と、
(b)前記培養物から前記抗UPAR単一ドメイン抗体を分離および/または回収する段階と、ならびに
(c)任意選択で、段階(b)で得られた抗UPAR単一ドメイン抗体を精製および/または修飾する段階とを、含む、抗UPAR単一ドメイン抗体を産生する方法を提供する。
【0022】
本発明の第7の態様は、免疫複合体を提供し、前記免疫複合体は、
(a)本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体と、および
(b)検出可能なマーカー、薬物、サイトカイン、放射性核種、酵素、金ナノ顆粒/ナノロッド、ナノ磁性粒子、ウイルスコートタンパク質もしくはVLP、またはその組み合わせからなる群から選択されるカップリング部分とを、含む。
【0023】
別の好ましい例において、前記放射性核種は、
(i)Tc-99m、Ga-68、F-18、I-123、I-125、I-131、In-111、Ga-67、Cu-64、Zr-89、C-11、Lu-177、Re-188、またはその組み合わせからなる群から選択される診断用同位体、および/または
(ii)Lu-177、Y-90、Ac-225、As-211、Bi-212、Bi-213、Cs-137、Cr-51、Co-60、Dy-165、Er-169、Fm-255、Au-198、Ho-166、I-125、I-131、Ir-192、Fe-59、Pb-212、Mo-99、pd-103、P-32、K-42、Re-186、Re-188、Sm-153、Ra223、Ru-106、Na24、Sr89、Tb-149、Th-227、Xe-133、Yb-169、Yb-177、またはその組み合わせからなる群から選択される治療用同位体からなる群から選択される。
【0024】
別の好ましい例において、前記カップリング部分は、検出可能なマーカーである。
【0025】
別の好ましい例において、前記カップリング部分は、蛍光または発光マーカー、放射性マーカー、MRI(磁気共鳴画像法)またはCT(コンピューターX線断層撮影装置)造影剤、または検出可能な産物を産生できる酵素、放射性核種、生物毒素、サイトカイン(例えば、IL-2等)、抗体、抗体Fc断片、抗体scFv断片、金ナノ顆粒/ナノロッド、ウイルス顆粒、リポソーム、ナノ磁性粒子、プロドラッグ活性化酵素(例えば、DT-ジアホラーゼ(DTD)またはビフェニルヒドロラーゼ-様タンパク質(BPHL))または任意の形態のナノ顆粒からなる群から選択される。
【0026】
別の好ましい例において、前記免疫複合体は、多価(例えば、二価)の本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖を含む。
【0027】
本発明の第8の態様は、
(1)UPARに関連する疾患を予防および/または治療するための薬物と、
(2)UPARを検出するための試薬との調製に使用される、本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体の用途を提供する。
【0028】
別の好ましい例において、前記UPAR関連疾患は、老化関連疾患、癌または腫瘍からなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記癌または腫瘍は、血液腫瘍、リンパ腫、固形腫瘍、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
別の好ましい例において、前記血液腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性リンパ性白血病(ALL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
別の好ましい例において、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫(HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性リンパ性白細胞(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、バーキットリンパ腫(BL)および他の複雑なB細胞非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される。
【0031】
別の好ましい例において、前記固形腫瘍は、胃がん、胃がん腹膜転移、肝臓がん、腎臓腫瘍、肺がん、小腸がん、骨がん、前立腺がん、結腸直腸がん、乳がん、大腸がん、子宮頸がん、卵巣がん、リンパ腫、鼻咽頭がん、副腎腫瘍、膀胱腫瘍、非小細胞肺がん(NSCLC)、神経膠腫、子宮内膜がん、精巣がん、結腸直腸がん、尿路がん、甲状腺がん、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
別の好ましい例において、前記薬物は、老化関連疾患を治療するために使用される。
別の好ましい例において、前記老化関連疾患は、感染症疾患、心血管疾患、神経変性疾患、自己免疫失調性疾患、腫瘍、またはその組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
別の好ましい例において、前記薬物は、ヒトまたは人以外の哺乳動物に投与される。
別の好ましい例において、示される試薬は、診断試薬であり、好ましくは、前記診断試薬は、検出シートまたは検出プレートである。
【0034】
別の好ましい例において、前記診断試薬は、サンプルにおけるUPARまたはその断片を検出するために使用される。
【0035】
本発明の第9の態様は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、
(i)本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体と、および
(ii)薬学的に許容される担体とを、含む。
【0036】
本発明の第10の態様は、組換えタンパク質を提供し、前記組換えタンパク質は、
(i)本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体と、ならびに
(ii)発現および/または精製を支援する任意のタグ配列とを有する。
【0037】
別の好ましい例において、前記タグ配列は、Fcタグ、HAタグおよびHisタグからなる群から選択される。
別の好ましい例において、前記組換えタンパク質は、UPARに特異的に結合する。
【0038】
本発明の第11の態様は、キットを提供し、前記キットは、本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体を含む。
【0039】
本発明の第12の態様は、UPAR関連疾患を予防および/または治療するための方法を提供し、前記方法は、必要とする対象に本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体を投与することを含む。
【0040】
別の好ましい例において、前記対象は、ヒト等の哺乳動物から選択される。
別の好ましい例において、前記UPAR関連疾患は、癌または自己免疫性疾患から選択される。
【0041】
本発明の第13の態様は、サンプルにおけるUPARまたはその断片をインビトロで検出するための方法を提供し、前記方法は、
(1)インビトロで、前記サンプルを本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体とを接触させる段階と、
(2)抗原-抗体複合体が形成されるかどうかを検出する段階であって、ここで、複合体の形成は、サンプルにおいてUPARまたはその断片が存在することを表す段階とを含む。
【0042】
別の好ましい例において、前記検出は、診断的または非診断的を含む。
【0043】
本発明の第14の態様は、
(i)診断対象から一サンプルを取得し、前記サンプルを本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体、または本発明の第7の態様に記載の免疫複合体とを接触させる段階と、ならびに
(ii)抗原-抗体複合体が形成されるかどうかを検出する段階であって、ここで、複合体の形成は、前記対象にUPAR関連疾患が患っていることを表す段階とを含む、UPAR関連疾患の診断方法を提供する。
【0044】
本発明の第15の態様は、組換えポリペプチドの調製方法を提供し、前記組換えポリペプチドは、本発明の第1の態様に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、本発明の第2の態様に記載のUPARに対する抗体であり、前記方法は、
(a)発現に適した条件下で、本発明の第5の態様に記載の宿主細胞を培養することと、および
(b)培養物から前記組換えポリペプチドを分離することとを、含む。
【発明の効果】
【0045】
本発明の範囲内で、本発明の上記の各技術的特徴と以下(例えば、実施例)に具体的に説明される各技術的特徴との間を、互いに組み合わせることにより、新しいまたは好ましい技術的解決策を構成することができることに理解されたい。スペースに限りがあるため、ここでは繰り返さない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下の図面は、本発明の具体的な実施形態を説明するために使用され、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】UPAR-His組換えタンパク質によって発現されるSDS-PAGE検出結果を示す。レーン1は、UPAR-Hisのタンパク質バンドを表し、レーンMは、タンパク質マーカー(Marker)を表す。
【
図2】UPAR-His組換えタンパク質の活性検出の結果を示す。
【0047】
【
図4】VHH断片のPCR増幅の結果を示す。左図は、1回目のPCR結果を示し、右図は、2回目のPCR結果を示す。
【
図5】様々な単一クローンのシーケンシング結果の比較結果を示す。
【
図6】固相パンニングスクリーニング抗体のファージ(phage)Elisa検出結果を示す。
【0048】
【
図7A】ファージディスプレイライブラリーパンニングから得られた様々なクローン化抗体のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図7B】ファージディスプレイライブラリーパンニングから得られた様々なクローン化抗体のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図7C】ファージディスプレイライブラリーパンニングから得られた様々なクローン化抗体のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図7D】ファージディスプレイライブラリーパンニングから得られた様々なクローン化抗体のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【0049】
【
図8A】異なるクローンのUPAR抗体の発現および精製後のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図8B】異なるクローンのUPAR抗体の発現および精製後のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図8C】異なるクローンのUPAR抗体の発現および精製後のフローサイトメトリー検出結果を示す。
【
図9】三つの代表的なUPAR抗体(1-F09、3-E04、3-H02)の親和性検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明者らは、広範囲かつ綿密な研究および大量のスクリーニングの後、複数の抗UPAR単一ドメイン抗体を取得することに成功した。具体的には、本発明は、UPAR-Fc抗原タンパク質を利用してラクダを免疫化し、ファージディスプレイ技術を利用して免疫単一ドメイン抗体遺伝子ライブラリー(ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングし、且つパンニングおよび同定し、それによりUPARに対する単一ドメイン抗体遺伝子を取得する。実験結果は、本発明で得られた抗UPAR単一ドメイン抗体が効果的にUPARに結合できることを示す。UPAR関連疾患、特に腫瘍および老化関連性疾患への応用が期待される。これに基づいて、本発明が完成される。
【0051】
用語
本明細書で使用されるように、「本発明の抗体」、「本発明の抗体」、「本発明の抗UPAR単一ドメイン抗体」、「抗UPAR単一ドメイン抗体」という用語は、同じ意味を有し、交換可能に使用され、すべてUPARに特異的に識別および結合する抗体を指す。
【0052】
抗体
本明細書で使用されるように、「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、二つの同一の軽鎖(L)および二つの同一の重鎖(H)で構成される、同じ構造的特徴を有する約150000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、一つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合し、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間でのジスルフィド結合の数は、異なる。各重鎖および軽鎖には、規則的な間隔で配置された鎖内ジスルフィド結合もある。各重鎖は、一端に可変領域(VH)があり、その後に複数の定常領域が続く。各軽鎖は、一端に可変領域(VL)を有し、別の端に定常領域を有し、軽鎖の定常領域は、重鎖の第1の定常領域に対向し、軽鎖の可変領域は、重鎖の可変領域に対向する。特定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖との可変領域間で界面を形成する。
【0053】
本明細書で使用されるように、「単一ドメイン抗体」、「VHH」、「ナノボディ(nanobody)」、「単一ドメイン抗体」(single domain antibody、sdAb、またはナノボディnanobody)という用語は、同じ意味を有し、且つ交換可能に使用され、抗体の重鎖の可変領域をクローニングし、一つの重鎖可変領域のみからなる単一ドメイン抗体(VHH)を構築することを指し、それは、完全な機能を有する最小の抗原結合断片である。通常、軽鎖および重鎖の定常領域1(CH1)を天然に欠失する抗体を取得した後、次に抗体の重鎖の可変領域をクローニングし、一つの重鎖可変領域のみからなる単一ドメイン抗体(VHH)を構築する。
【0054】
本明細書で使用されるように、「可変」という用語は、抗体中の可変領域の特定の部分の配列が異なることを表し、それは、特定の抗原に対する様々な特定の抗体の結合および特異性を形成する。しかしながら、可変性は、抗体可変領域全体に均等に分散されていない。これは、軽鎖および重鎖の可変領域の相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる三つのフラグメントに集中する。可変領域のより保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、四つのFR領域を含み、それらは、連結環を形成する三つのCDRによって接続された大抵β-フォールディング構成にあり、場合によっては部分的なβフォールディング構造を形成することができる。各鎖のCDRは、FR領域によって緊密に近接され、かつ別の鎖のCDRとともに抗体の抗原結合部位を形成する(Kabatら、NIH Publ.No.91-3242、巻I、647~669ページ(1991)を参照する)。定常領域は、抗体の抗原への結合に直接関与するが、それらは、抗体の抗体依存性細胞毒性に関与する等、様々なエフェクター機能を示す。
【0055】
当業者に知られているように、免疫複合体および融合発現産物は、薬物、毒素、サイトカイン(cytokine)、放射性核種、酵素および他の診断用分子または治療用分子と、本発明の抗体またはその断片とを結合することによって形成される複合体を含む。本発明は、前記UPARに対するナノボディまたはその断片に結合する細胞表面マーカーまたは抗原をさらに含む。
【0056】
本明細書で使用されるように、「重鎖可変領域」および「VH」という用語は、交換可能に使用される。
本明細書で使用されるように、「可変領域」および「相補性決定領域(complementarity deter分間ing region、CDR)」という用語は、交換可能に使用される。
【0057】
本発明の好ましい実施形態において、前記抗体の重鎖可変領域は、三つの相補性決定領域CDR1、CDR2、およびCDR3を含む。
本発明の好ましい実施形態において、前記抗体の重鎖は、上述の重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。
【0058】
本発明において、「本発明の抗体」、「本発明のタンパク質」、または「本発明のポリペプチド」という用語は、交換可能に使用され、すべて、例えば、重鎖可変領域を有するタンパク質またはポリペプチド等のUPARに特異的に結合するポリペプチドを指す。それらは、出発メチオニンを含んでも含まなくてもよい。
【0059】
本発明は、本発明の抗体を有する他のタンパク質または融合発現生成物をさらに提供する。具体的には、本発明は、当該可変領域が本発明の抗体の重鎖の可変領域と同一であるか、または少なくとも90%同一性、好ましくは少なくとも95%同一性である限り、可変領域を含む重鎖の任意のタンパク質またはタンパク質複合体および融合発現生成物(即ち、免疫複合体および融合発現生成物)を含む。
【0060】
「特異的結合」、「選択的結合」、「選択的に結合」および「特異的に結合」という用語は、抗原上の所定のエピトープへの抗体の結合を指す。通常、抗体は、約10-7M未満、例えば約10-8M未満、10-9M未満またはl0-10M未満またはそれ以下の親和性(KD)で結合する。
【0061】
一般に、抗体の抗原結合特性は、可変領域(CDR)と呼ばれる重鎖可変領域に位置する三つの特定の領域によって説明でき、当該セクションを四つのフレームワーク領域(FR)に分割され、四つのFRのアミノ酸配列は、比較的に保存され、結合反応に直接関与しない。これらのCDRは、環状構造を形成し、その間のFRによって形成されたβフォールディングは、空間構造的に近接し、重鎖のCDRおよびそれに対応する軽鎖のCDRは、抗体の抗原結合部位を構成する。同種の抗体のアミノ酸配列を比較することにより、FRまたはCDR領域を構成するアミノ酸を決定することができる。
【0062】
本発明の抗体の重鎖可変領域は、その少なくとも一部が抗原との結合に関与しているため、特に興味ディープい。従って、本発明は、そのCDRが本明細書で同定されるCDRと90%以上(好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上)を有する相同性がある限り、CDRを有する抗体重鎖可変領域を有する分子を含む。
【0063】
本発明は、完全な抗体だけでなく、免疫学的活性を有する抗体のフラグメントまたは抗体および他の配列によって形成された融合タンパク質も含む。従って、本発明は、前記抗体のフラグメント、誘導体および類似体をさらに含む。
【0064】
本明細書に使用されるように、「断片」、「誘導体」および「類似体」という用語は、本発明の抗体と基本的に同じ生物学機能または活性を保持するポリペプチドを指す。本発明のポリペプチド断片、誘導体または類似体は、(i)一つのまたは複数の保存的または非保存性的アミノ酸残基(好ましくは、保存的アミノ酸残基)が置換されたポリペプチド(このように置換されたアミノ酸残基は、遺伝暗号によってエンコードされる場合とされない場合であり得る)、または(ii)一つのまたは複数のアミノ酸残基に置換基を有するポリペプチド、または(iii)成熟ポリペプチドと別の化合物(例えば、ポリエチレングリコール等のポリペプチドの半減期を延長する化合物)との融合によって形成されるポリペプチドまたは(iv)追加のアミノ酸配列がポリペプチド配列に融合されることによって形成されたポリペプチド(例えば、リーダー配列または分泌配列またはこのポリペプチドを精製するための配列またはタンパク質配列または6Hisタグで形成された融合タンパク質)であり得る。本明細書の教示によると、これらのフラグメント、誘導体および類似体は、当業者の周知の範囲内である。
【0065】
本発明の抗体とは、UPAR結合活性を有し、上述のCDR領域を含むポリペプチドを指す。当該用語は、本発明の抗体と同じ機能を有し、上記CDR領域を含むポリペプチドの変異形態をさらに含む。これらの変異形態は、一つまたは複数(通常、1~50個、好ましくは1~30個、より好ましくは1~20個、最も好ましくは1~10個)のアミノ酸の欠失、挿入および/または置換、およびC末端および/またはN末端での一つまたはいくつか(通常、20個以内、好ましくは10個以内、より好ましくは5個以内)のアミノ酸の添加を含む(これらに限定されない)。例えば、当技術分野では、類似または同様の特性を有するアミノ酸によって置換される場合、通常、タンパク質の機能を変化させない。別の例として、C末端および/またはN末端に一つまたはいくつかのアミノ酸を添加しても、通常はタンパク質の機能を変化させない。当該用語は、本発明の抗体の活性断片および活性誘導体をさらに含む。
【0066】
当該ポリペプチドの変異形態は、相同配列、保存的変異体、対立遺伝子変異体、天然突然変異体、誘導突然変異体、高または低ストリンジェンシーの条件下で本発明の抗体をコードするDNAにハイブリダイズすることができるDNAによってコードされるタンパク質、ならびに本発明の抗体に対する抗血清を使用して得られるポリペプチドまたはタンパク質を含む。
【0067】
本発明は、ヒト抗体またはその断片を含む融合タンパク質等の他のポリペプチドをさらに提供する。ほとんどの全長ポリペプチドに加えて、本発明は、本発明の抗体の断片をさらに含む。通常、当該断片は、本発明の抗体の少なくとも約50個の連続アミノ酸、好ましくは少なくとも約50個の連続アミノ酸、より好ましくは少なくとも約80個の連続アミノ酸、最も好ましくは少なくとも約100個の連続アミノ酸を有する。
【0068】
本発明において、「本発明の抗体の保存的変異体」は、本発明の抗体のアミノ酸配列と比較して、最大で10個、好ましくは、最大で8個、より好ましくは、最大で5個、最も好ましくは、最大で3個のアミノ酸が同様または類似の性質を有するアミノ酸の置換によって形成されたポリペプチドを指す。これらの保存性変異体ポリペプチドは、表Aに従って、アミノ酸置換を行うことにより生成されるのが最もよい。
【表A-1】
【表A-2】
【0069】
本発明は、前記抗体またはそのフラグメントまたはその融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド分子をさらに提供する。本発明のポリヌクレオチドは、DNA形態またはRNA形態であり得る。DNA形態は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAを含む。DNAは、一本鎖または二本鎖であり得る。DNAは、コード鎖または非コード鎖であり得る。
【0070】
本発明の成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、成熟ポリペプチドのみをコードするコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列および様々な追加のコード配列、成熟ポリペプチドのコード配列(および任意の追加のコード配列)および非コード配列を含む。
【0071】
「ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド」という用語は、このポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むか、または追加のコード配列および/または非コード配列を含むポリヌクレオチドをさらに含む。
【0072】
本発明は、前記配列とハイブリダイズし、二つの配列間で少なくとも50%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチドにさらに関する。本発明は、特に、ストリンジェント条件下で本発明の前記ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドに関する。本発明において、「ストリンジェント条件」とは、(1)例えば、0.2×SSC、0.1%SDS、60℃等のより低いイオン強度およびより高い温度でのハイブリダイズおよび溶出、または(2)ハイブリダイズ中に、例えば、50%(v/v)ホルムアミド、0.1%子牛血清/0.1%フィコール(Ficoll)、42℃等の変性剤の添加、または(3)二つの配列間の同一性が少なくとも90%以上、より好ましくは、95%以上である場合にのみおこるハイブリダイズを指す。さらに、ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、成熟ポリペプチドと同じ生物学的機能および活性を有する。
【0073】
本発明の抗体の全長ヌクレオチド配列またはそのフラグメントは、通常、PCR増幅法、組換え法または人工合成法によって得ることができる。特にフラグメントの長さが短い場合、実行可能な方法は、人工合成法を使用して関連する配列を合成することである。一般に、最初に複数の小さなフラグメントを合成した後、接続して非常に長い配列のフラグメントを獲得する。さらに、重鎖のコード配列および発現タグ(例えば、6His)を融合させて、融合タンパク質を形成することができる。
【0074】
関連する配列を得られたら、組換え法を使用して、関連する配列を大量に得ることができる。通常、これは、それをベクターにクローニングし、次に細胞に形質転換し、次に従来の方法によって増殖した宿主細胞から関連する配列を単離することによって得られる。本発明に関与する生体分子(核酸、タンパク質等)は、単離された形態で存在する生体分子を含む。
【0075】
現在、完全に化学的合成によって本発明のタンパク質(またはそのフラグメントまたはその誘導体)をコードするDNA配列を得ることができる。次に、当該DNA配列を当技術分野で知られている様々な既存のDNA分子(またはベクター等)および細胞に導入することができる。さらに、化学的合成によって突然変異を本発明のタンパク質配列に導入することもできる。
【0076】
本発明は、前記適切なDNA配列および適切なプロモーターまたは制御配列を含むベクターにさらに関する。これらのベクターは、タンパク質を発現できるように適切な宿主細胞に形質転換するために使用されることができる。
【0077】
宿主細胞は、例えば、細菌細胞等の原核細胞、または例えば、酵母細胞等の下等真核細胞、または例えば、哺乳動物細胞等の上等真核細胞であり得る。代表的な例としては、大腸菌、ストレプトマイセス、チャイニーズハムスター菌の細菌細胞、酵母などの真菌細胞、ドロソフィラS2またはSf9の昆虫細胞、CHO、COS7および293細胞の動物細胞等を含む。
【0078】
組換えDNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知の従来の技術によって実施することができる。宿主が大腸菌などの原核生物である場合、DNAを吸収することができるコンピテント細胞は、指数増殖期の後にCaCl2法で処理されることによって獲得され、使用される段階は、当技術分野でよく知られている。別の方法は、MgCl2を使用することである。必要に応じて、エレクトロポレーションの方法によって、形質転換を行うこともできる。宿主が真核生物である場合、リン酸カルシウム共沈法,マイクロインジェクションおよびエレクトロポレーション等の従来の機械的方法、リポソームパッケージ等のようなDNAトランスフェクション方法を選択することができる。
【0079】
得られた形質転換体を従来の方法で培養して、本発明の遺伝子がコードするポリペプチドを発現させることができる。使用される宿主細胞に応じて、培養に使用される培地は、様々な従来の培地から選択することができる。宿主細胞の成長に適した条件下で培養する。宿主細胞が適切な細胞密度まで成長した後、適切な方法(例えば、温度変換または化学的誘導)を使用して選択されたプロモーターを誘導し、細胞を一定期間さらに培養する。
【0080】
前記方法における組換えポリペプチドは、細胞内、または細胞膜で発現されるか、または細胞外に分泌されることができる。必要に応じて、物理的、化学的およびその他の特性を使用して、様々な単離方法で組換えされたタンパク質を単離および精製することができる。これらの方法は、当業者によく知られている。これらの方法の例は、従来の再生処理、タンパク質沈殿剤による処理(塩析法)、遠心分離、浸透圧滅菌、超処理、超遠心分離、モレキュラーシーブクロマトグラフィー(ゲルろ過)、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、高速液相クロマトグラフィー(HPLC)および他の様々な液体クロマトグラフィー技術ならびにこれらの方法の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0081】
本発明の抗体は、単独で使用することができ、検出可能なマーカー(診断目的のために)、治療剤、PK(プロテインキナーゼ)修飾部分または任意のこれらの物質の組み合わせと結合またはカップリングすることができる。
【0082】
診断目的の検出可能なマーカーは、蛍光または発光マーカー、放射性マーカー、MRI(核磁気共鳴画像法)またはCT(コンピュータ断層撮影技術)造影剤、または検出可能な生成物を生成することができる酵素を含むが、これらに限定されない。
【0083】
本発明の抗体と結合またはカップリングすることができる治療剤は、1.放射性核種、2.生物学的毒性、3.IL-2等のサイトカイン、4.金ナノ粒子/ナノロッド、5.ウイルス粒子、6.リポソーム、7.ナノ磁性粒子、8.プロドラッグ活性化酵素(例えば、DT-ジアホラーゼ(DTD)またはビフェニルヒドロラーゼ様タンパク質(BPHL))等を含むが、これらに限定されない。
【0084】
UPAR
本明細書で使用されるように、「UPAR」という用語は、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(Urokinase-type plas分間ogen activator receptor)を指す。UPARは、GPIを介して細胞膜にドッキングされたマルチドメイン糖タンパク質細胞表面受容体であり、これは、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA)に高い親和性で結合することで、プラスミノーゲン細胞の活性化を促進し、繊維素溶解、創傷治癒、または腫瘍形成中の細胞外マトリックスの分解を促進し、腫瘍細胞の移動、浸潤および生存を促進することができる。UPARの一部は、リガンド結合後にタンパク質加水分解的に切断されて、可溶性UPAR(sUPAR)を生成する。
【0085】
ヒト組織におけるタンパク質およびRNAの発現に関する以前に発表されたデータの検査により、UPARは、検出されないか、体内のほとんどの臓器(中枢神経系、心臓および肝臓を含む)で低レベルで存在することが示される。しかしながら、研究により、UPARがインビボおよびインビトロの両方で老化細胞で高度に発現していることが判明される。インビボおよびインビトロでの様々なモデルで中老化細胞がUPARの発現を誘導できることが確認される。各モデル系で、UPAR陽性細胞数の増加および血清中のsUPARレベルの増加が観察される。これらの結果は、UPARが老化細胞を標的とするCAR-T細胞にとって非常に優れたターゲットポイントであることを示す。さらに、UPARは、多くの固形腫瘍細胞株でも発現しており、これは、UPARが固形腫瘍を標的とする理想的なターゲットポイントでもあることを示す。
【0086】
医薬組成物
本発明は、組成物をさらに提供する。好ましくは、前記組成物は、上記の抗体またはその活性断片またはその融合タンパク質、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物である。通常、これらの物質を、毒性がなく、不活性で、薬学的に許容される水性ベクター媒体で処方することができ、ここで、pHは、通常、約5~8、好ましくは、約6~8であり、pH値は、処方される物質の性質および治療される病症によって異なる。処方された医薬組成物は、従来の経路で投与されることができ、ここで、腹腔内、静脈内、または局所投与を含む(これらに限定されない)。
【0087】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量(例えば、0.001~99wt%、好ましくは、0.01~90wt%、より好ましくは、0.1~80wt%)の本発明の前記抗体(またはその複合体)および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。このような担体は、生理食塩水、緩衝液、グルコース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。薬物製剤は、投与方法と一致する必要がある。本発明の医薬組成物は、例えば、生理食塩水またはグルコースと他のアジュバントとを含む水溶液を使用して、従来の方法によって注射の形態で調製することができる。注射剤および溶液等の医薬組成物は、無菌条件下で調製する必要がある。有効成分の投与量は、治療有效量であり、例えば、毎日の約10μg/kg体重~約50mg/kg体重である。さらに、本発明のポリペプチドは、他の治療剤とともに使用することもできる。
【0088】
医薬組成物を使用する場合、安全かつ有効な量の免疫複合体を哺乳動物に投与し、ここで、当該安全かつ有効な量は、通常、少なくとも約10μg/kg体重であり、ほとんどの場合、約50mg/kg体重を超えなく、好ましくは、当該投与量は、約10μg/kg体重~約10mg/kg体重である。もちろん,具体的な投与量は、投与経路および患者の健康状態等の要因を考慮する必要があり、これらは、すべて熟練した医師のスキル範囲内にある。
【0089】
抗UPAR単一ドメイン抗体
本発明は、UPARに特異的に結合できる、抗UPAR単一ドメイン抗体を提供する。
【0090】
本発明の一態様は、抗UPAR単一ドメイン抗体を提供し、前記抗UPAR単一ドメイン抗体VHH鎖の相補性決定領域CDRは、
(1)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:53に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:54に示されるCDR3、
(2)SEQ ID NO:22に示されるCDR1、SEQ ID NO:23に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:24に示されるCDR3、
(3)SEQ ID NO:42に示されるCDR1、SEQ ID NO:43に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:44に示されるCDR3、
(4)SEQ ID NO:25に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:27に示されるCDR3、
(5)SEQ ID NO:28に示されるCDR1、SEQ ID NO:29に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:30に示されるCDR3、
(6)SEQ ID NO:31に示されるCDR1、SEQ ID NO:32に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:33に示されるCDR3、
(7)SEQ ID NO:34に示されるCDR1、SEQ ID NO:35に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:36に示されるCDR3、
(8)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:39に示されるCDR3、
(9)SEQ ID NO:40に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:41に示されるCDR3、
(10)SEQ ID NO:19に示されるCDR1、SEQ ID NO:20に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:21に示されるCDR3、
(11)SEQ ID NO:45に示されるCDR1、SEQ ID NO:46に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:47に示されるCDR3、
(12)SEQ ID NO:48に示されるCDR1、SEQ ID NO:49に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:50に示されるCDR3、
(13)SEQ ID NO:51に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:52に示されるCDR3、ならびに
(14)SEQ ID NO:16に示されるCDR1、SEQ ID NO:17に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:18に示されるCDR3からなる群から選択される一種または複数種であることを特徴とする。
【0091】
好ましい実施形態において、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択される。より好ましくは、前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖は、SEQ ID NO:3、10または15から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0092】
本発明のナノボディは、UPARに対して高い親和性を有する。前記高親和性とは、本発明の抗体が10-6M未満、好ましくは10-7M未満、より好ましくは10-8M未満またはそれ以下の親和性(KD)でUPARに結合することを指す。
【0093】
本発明のナノボディは、分子量が小さい、組織浸透が速い、溶解性および安定性が高い、抗原結合特異性が高い、免疫原性が弱い等のナノボディの利点を有する。また、ナノボディ薬物は、分子量が小さいため、ナノボディは、モノクローナル抗体薬物では識別できないいくつかの隠れた抗原エピトープも識別でき、さらに、インビボで、ナノボディは、マウス抗体よりも免疫原性がより低い可能性がある。従って、ナノボディ配列を使用して抗体薬物またはCAR-T薬物を構築することは、マウス一本鎖抗体配列を使用して抗体薬物またはCAR-T薬物を構築するよりも大きな利点を有する。
【0094】
本発明のUPARナノボディは、老化関連疾患または腫瘍の治療を標的とするUPARナノボディ薬物またはUPARナノボディ配列に基づくCAR-T薬物を構築するために使用されることができる。
【0095】
本発明の別の態様は、抗UPAR抗体をさらに提供し、前記抗体は、一価または多価であり得、また、本発明の抗UPAR単一ドメイン抗体一つまたは複数の同一または異なるVHH鎖を含むことができ、好ましくは、前記VHH鎖は、SEQ ID NO:3、10または15に示されるアミノ酸配列を有する。
【0096】
検出方法
本発明は、UPARを検出する方法にさらに関する。当該方法の段階は、大まかに次のとおりである:細胞および/または組織サンプルを取得し、サンプルを培地に溶解し、前記可溶化サンプル中のUPARのレベルを検出する。
【0097】
本発明の検出方法において、使用されるサンプルは、特に限定されず、代表的な例としては、細胞保存液中に保存する細胞含有サンプルが挙げられる。
【0098】
キット
本発明は、本発明の抗体(またはその断片)または検出プレートを含むキットをさらに提供し、本発明の好ましい例において、前記キットは、容器、取扱説明書、緩衝剤等をさらに含む。
【0099】
本発明は、UPARレベルを検出するための検出キットをさらに提供し、当該キットは、UPARタンパク質を識別する抗体、サンプルを溶解するための溶解媒体、例えば様々な緩衝液、検出標識、検出基質等の検出に必要な一般的に試薬および緩衝液を含む。当該検出キットは、対外診断装置であってもよい。
【0100】
応用
上述したように、本発明の抗体は、幅広い生物学的応用価値および臨床応用価値を有しており、その応用は、UPARに関連する疾患の診断および治療、基礎医学研究、生物学研究等の複数の分野に関与する。好ましい応用は、UPAR関連疾患に対する臨床診断、予防および治療である。
【0101】
本発明の主な利点は、次のとおりである。
1)本発明の抗体は、UPARに特異的に結合することができる。
2)本発明の抗体は、UPARに対して高い親和性を有する。
3)本発明のUPARナノボディは、分子量が小さい、組織浸透が速い、溶解性および安定性が高い、抗原結合特異性が高い、免疫原性が弱い等の利点を有する。抗老化薬または癌治療薬の開発に活用されることができる。
【0102】
以下、本発明は、具体的実施例と併せてされに説明される。これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。以下の実施例において、具体的条件を示さない実験方法は、通常、例えば、Sambrookら、分子クローニング:実験マニュアル(New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)に記載される条件等の従来の条件、またはメーカーによって提案された条件に従う。特に明記されない限り、パーセンテージおよび部数は、重量パーセンテージおよび重量部数で計算される。
【0103】
実験試薬、消耗品および機器:
主な試薬:寒天(Sigma、CAT#A1296)、ペプトン(Sigma、CAT#93926)、酵母エキス(OXOID、CAT#:LP0021)、塩化ナトリウム(Aladdin、CAT#:C111533)、塩化カリウム(Aladdin、CAT#:P112133)、硫酸マグネシウム(Sinopharm、CAT#:10013018)、塩化マグネシウム(Sinopharm、CAT#:10012818)、グルコース(sangon、CAT#:GT1991)、SfiI(NEB、CAT#:R0123L)、T4 DNAリガーゼ(ligase)(TaKaRa、CAT#:2011A)、PrimeScript(商標) II 1st Strand cDNA合成キット(Synthesis Kit)(TaKaRa、CAT#:6210B)、NuHiパワーミックス(power mix)(nuhighbio、CAT#:NH9303)、3M酢酸ナトリウム(pH5.2~6)(Sigma、CAT#:126-96-5)、DNA断片回収キット(TakaRa、CAT#:9761)、ゲル回収キット(Qiagen、CAT#:28706)、tiangenプラスミド抽出キット(tiangen、CAT#:DP117)、HRP-M13(Sino Biolo、CAT#:11973-MM05)、PE抗ヒトIgG(eBioscience、CAT#:12-4998-82)、ウサギ抗ラマIgG(H+L)二次抗体[HRP](Novus、CAT#NBP1-75095)、SS320コンピテント(iCarTab)、pComFファージディスプレイベクター(iCarTab)、NHS-ビオチン(biotin)(APExBIO、CAT#:A8002)、HRP-ストレプトアビジン(Streptavidin)(Boster、CAT#:BA1088)、ストレプトアビジン磁気ビーズ(NEB、CAT#:S14205)、抗体親和性検出緩衝液:HBS-EP+10X(GE、CAT#BR100669)、アミノカップリングキット(GE、CAT#BR100050)、10mMグリシン(Glycine)2.5(GE、CAT#BR100356)、SシリーズCM5チップ(GE、Cat#29149603)、PBS(Gbico、CAT#14190-250)、DMEM(Gbico、CAT#41965-062)、RPMI1640(Gbico、CAT#61870044)、FBS(Gbico、CAT#10099-141)、ゲノムDNA精製キット(Purification Kit)(Lifetech、CAT#K0512)、ポリブレン(Polybrene)(Sigma、CAT#107689-10G)、LVtransmトランスフェクション試薬(iCarTab、CAT#LVTran100)、リンパ球分離液(Stem Cell、CAT#18051)、X-Vivo15無血清培地(Lonza、CAT#04-418Q)、DynabeadsR ヒトT-Expander CD3/CD28(Thermo、CAT#11141D)、IL-2(北京yuancepharmacy、国家医薬品承認番号S10980067)、IL-7(PrimeGene、CAT#101-07)、IL-15(PrimeGene、CAT#101-15)、Bright-GloTM ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、CAT#E2610)、IL-2 ELISAキット(R&D、CAT#D2050)、IFN-γ ELISAキット(R&D、CAT#DIF50)。
【0104】
主な消耗品:50mLのFalcon遠心分離管(Corning、CAT#352070)、電気ショックカップ(Bio-Rad 0.2cm)、RNaseフリー1.5ml EPチューブ(QSP、CAT#:509-GRD-Q)、200μL RNaseフリーPCRチューブ(Axygen、PCR-02D-C)、T125振とうフラスコ(Corning、CAT#431143)、15mL Falcon遠心分離管(Corning、CAT#430052)、6ウェルプレート(Corning、CAT#3516)、96ウェルプレート(Corning、CAT#3365)。
【0105】
主な機器:エレクトロポレーション装置(EppendorfMultiporator)、遠心分離機(cenceH1650R)、恒温インキュベーター(上海jinghong DNP-9052)、恒温振とうインキュベーター(Longvolt DZ-85A)、超クリーンなワークベンチ(蘇州aritech SW-CJ-1FD)、PCR装置(Applied Biosystems ABI2720)、生物学的安全キャビネット(Haier、HR40-IIA2)、フローサイトメーター(Thermo Attune Nxt flow cytometer)、Thermo 3111 CO2インキュベーター、BiaCore T200。
【0106】
実験方法
1.抗原の調製
1)UPAR細胞外セグメント(23AA-303AA)配列を遺伝子合成し、C末端にHisタグを添加し、真核発現ベクターにサブクローニングし、抗原発現ベクターを構築する。
2)構築したUPAR-Hisタンパク質発現ベクターをプラスミドから抽出し、293細胞に一過性トランスフェクトした後、8日間連続培養し、遠心分離により培地上清を収集し、0.45μmのフィルター膜でろ過し、ろ液を滅菌遠心分離管に移し、Ni-NTAカラムを使用して精製する。
3)uPAを使用して、精製された抗原に対する生物学的活性を検出する。
【0107】
2.ラマの抗原免疫
上述で調製した抗原を使用してアルパカ1頭に免疫し、皮下の複数箇所に3回免疫し、プロセスは、以下の表に示されたとおりである。
【表1】
【0108】
3.免疫力価の検出
1)5mlの末梢血を採取し、血液サンプルが収集された遠心分離管を37℃のインキュベーターに1時間置き、次いで血液サンプルを4℃に移して一晩置き、
2)血清を新しい滅菌遠心分離管に移し、5000rpmで20分間遠心分離し、ELISAを使用して免疫力価を検出する。
【0109】
4.PBMCの分離
100mlの末梢血を採取し、リンパ球分離液を使用してPBMCを選別する。
RNAを抽出し、PrimeScript(商標) II 1st Strand cDNA合成キットを使用して逆転写し、cDNAを調製する。方法は、次のとおりである。
【0110】
200μLのPCRで表2の反応混合液MIX1を調製する。
【表2】
【0111】
65℃で5分間保温した後、氷上で急速に冷却し、
上述のPCRチューブで表3の反応液を調製する。
【表3】
【0112】
ピペッティングおよび均一に混合した後、80μL/チューブを分注し、PCR装置に42℃で1時間置き、70℃で15分間加熱不活化し、最後にcDNAサンプルを氷上に置くか、または-20℃で長期間保存する。
【0113】
5.VHH断片の増幅
表4に示されるように、1回目のPCR反応系(50μL/チューブ)を配置する。
【表4】
【0114】
PCR反応系を配置した後、以下の表5のプログラムに従って、PCR装置を設定する。
【表5】
【0115】
1%アガロースを使用してPCR産物を電気泳動分析し、分子量の大きさが約750bpである断片を分離する。ゲル回収キットを使用してPCR産物を回収し、且つNanoDropを使用して濃度を測定する。
表6に従って2ラウンドのPCR反応系(50μL/チューブ)を配置する。
【0116】
【0117】
PCR反応系を配置した後、表7のプログラムに従ってPCR装置を設定する。
【表7】
【0118】
1%アガロースを使用してPCR産物を電気泳動分析し、分子量の大きさが約400bpであるVHH断片を分離する。ゲル回収キットを使用してVHH PCR産物を回収し、且つNanoDropで濃度を測定する。
【0119】
6.ファージディスプレイライブラリーの構築
ファージディスプレイベクターの構築:
1)SfiIを使用して、pCom Fベクターおよび上述で取得したVHH PCRゲル回収産物をそれぞれ消化し、50℃で一晩消化する。
2)1%アガロースゲルを使用してpCom Fベクター断片を分離し、5000bpベクター断片を切り出してゲルを回収し、同時にDNA断片回収キットを使用してPCR消化産物を精製し、且つNanoDropで濃度を測定する。
3)消化したpCom FベクターおよびVHH断片をT4リガーゼ(ligase)でライゲーションし、16℃で一晩ライゲーションする。
【0120】
ファージライゲーション産物による大腸菌の電気的形質転換:
1)エレクトロポレーションカップ、ライゲーション産物およびエレクトロポレーションコンピテントを準備して氷上に置いて予冷し、
2)予冷したライブラリー構築ライゲーション産物を取ってエレクトロポレーションコンピテントに加え、氷上に1分間置き、各エレクトロポレーションカップに70μLのDNA/コンピテント混合物を加え、エレクトロポレーションカップを氷上に置き、
3)2500V、5msに従ってエレクトロポレーションを実行し、
4)電気ショック終了後、直ちに室温に平衡化したSOC培地を加えて菌体を再懸濁し、37℃のシェーカーで1時間培養する。
5)15mLの細菌溶液を直接ファージレスキューを実行し、残りの5mLのエレクトロポレーション産物に等量の50%グリセロールを加え、均一に混合した後に-80℃で保存する。
6)さらに20μLの細菌溶液を採取し、980μLの2YT培地を加えて希釈した後、100μLの希釈後の産物を採取し、900μLの2YT培地を加えて2段目の希釈を実行し、50μLを採取してアンピシリン含有LBプレートに均一に塗布し、37℃で一晩培養する。
7)翌日、プレートを取り出し、各ライゲーションで産生できるクローンの数を計算し、ライブラリー容量を計算する。
8)同時にプレート上の20個のシングルクローンを取り出してアンピシリン含有2YT培地に入れ、37℃で約6~8時間振とう培養し、細菌溶液をシーケンシング(シーケンシングユニバーサルプライマーM13R)し、ライブラリーの多様性を計算する。
【0121】
7.ファージディスプレイライブラリーのパンニング
ファージディスプレイライブラリーの復活およびレスキュー並びにファージ沈殿の手順は、次のとおりである。
【0122】
1)エレクトロポレーション後の形質転換産物を2YTでOD600が約0.2になるように希釈し、最終濃度100ug/mLのアンピシリンを加えて恒温シェーカーに置き、37℃、225rpmで培養し、OD600が0.5になった時点で停止し、
2)M13KO7を加え、均一に振った後に37℃で30分間静置した後、37℃、225rpmで1時間培養する。
3)M13KO7体積=10×体積×OD600×5×108/M13KO7力価
4)細菌溶液を6000rpmで10分間遠心分離した後に2YT-AK培地で再懸濁し、25℃、200rpmで一晩培養し、
5)細菌溶液を10000rpmで15分間遠心分離し、
6)沈殿物を廃棄し、上清を新しい遠心分離管に移し、1/5細菌溶液体積のPEG/NaClをチューブ内に加え、均一に混合した後に4℃で2時間静置する。
7)沈殿したファージ上清を4℃、10000rpmで30分間遠心分離し、上清を廃棄し、各50mlの遠心分離管の沈殿物(ファージ)を1mlの滅菌PBSで再懸濁し、
8)再懸濁したファージを1.5mLのEPチューブに移し、遠心分離機に置き、4℃、12000gで5分間遠心分離し、
9)上清を新しい1.5mlのEPチューブに移し、各チューブに250μlのPEG/NaClを加え、均一に混合した後に4℃で10分間静置し、
10)12000gで10分間遠心分離し、上清を廃棄し、1mlのPBSを加えて再懸濁し、
11)12000gで5分間遠心分離し、沈殿物を廃棄し、上清を新しい1.5mlのEPチューブに移し、
12)12000gで5分間遠心分離し、上清を新しい1.5mlのEPチューブに移し、元のファージライブラリーを得る。
13)10μlの沈殿物を採取して90μlの2YT培地に加え、10-1として記録し、順に10-9に10倍希釈し、10-7、10-8、10-9の三つの勾配から20μlの希釈サンプルを採取し、200μlの事前に準備されたOD600が0.5であるER2738を加え、均一に混合した後に37℃のウォーターバスに置き、10分間静置し、108μlあたり1枚のLB-AMP固体プレートを塗布し、37℃で一晩保ち、翌日スポットを数えて力価を決定する。
14)力価計算:スポット数が30~300の間のプレートを選択し、2枚のプレートの平均値を取り、スポット数に希釈係数を掛け、さらに100を掛けて力価(titer)を得る。
【0123】
8.ファージディスプレイライブラリーのパンニング(panning)
ファージディスプレイライブラリーの固相パンニングの手順は、次のとおりである。
【0124】
ELISAプレートを使用し、ターゲットタンパク質をコーティングし、いくつかの溶出段階を行った後、TEAを使用して固定抗原に結合した組換えファージを溶出し、且つ増幅し、3~4ラウンドのパンニング後、シングルクローンを選択してシーケンシングを実行する。
【0125】
1)PBSで抗原を50μg/ml、150μl/ウェルに希釈し、合計3ウェルにコーティングし、4℃で一晩コーティングし、
2)ターゲットタンパク質を吸引し、3%MPBSを使用して室温で1時間密閉し、
3)libファージまたは前ラウンドの増幅沈殿物を450μlの3%MPBSで希釈し、6×1011Pfuのファージ(ウェルあたり2×1011Pfu)を対照タンパク質でウェルに加え、各ウェルに150μlの希釈ファージを加え、室温で1時間インキュベートし、
4)ターゲット(target)タンパク質のMPBSを吸引除去し、対照ウェル内のファージをターゲットタンパク質でコーティングされたウェルに移し、室温で1~1.5時間インキュベートし、
5)ファージ(phage)を吸引除去し、0.05%PBSTで8~10回、毎回2~3分間洗浄し、PBSで4~5回、毎回2~3分間洗浄し、同時にPBSで事前に密閉した1.5mlのEPチューブを洗浄し、
6)1×TEAで6~8分間、ウェルあたり200μlで溶出し、溶出した産物を予め密閉したEPチューブに収集し、各ウェルに100μlのTris-HClを加えて中和し、
7)10μlの出力産物を採取して90μlの2YT培地に加え、100として記録し、順に10-2に10倍希釈し、101、100、10-1、10-2の四つの勾配のそれぞれから20μlの希釈サンプルを採取して200μlの事前に準備されたOD600が0.5であるER2738を加え(101は、20μlの希釈しない産物をER2738に直接加える)、均一に混合した後に37℃のウォーターバスに置き、10分間静置し、108μlあたり1枚のLB-AMP固体プレートを塗布し、37℃で一晩保ち、翌日スポットを数えて力価を決定する。
8)力価計算:スポット数が30~300の間のプレートを選択し、2枚のプレートの平均値を取り、スポット数に希釈係数を掛け、さらに溶出体積を掛ける。
【0126】
ファージディスプレイライブラリーの細胞ベースのパンニング(cell-based panning)の手順は、次のとおりである。
【0127】
標的タンパク質を過剰発現する組換え細胞株を使用し、ファージライブラリーを空の細胞と標的タンパク質を過剰発現する細胞と順にインキュベートした後、複数回洗浄して非特異的に結合したファージを洗浄した後、グリシンまたはTEAを使用して細胞表面に結合した組換えファージを溶出し、且つ増幅し、3~4ラウンドのパンニング後、シングルクローンを選択してELISAで検出する。
【0128】
1)1日前に1%PBSAで1.5mlのEPチューブを密閉し、4℃で一晩保ち、
2)標的細胞(Target cell)および対照細胞(control cell)をそれぞれ1×107採取し、PBSで3回洗浄し、10mLの1%PBSAで再懸濁し、室温で脱色シェーカーにおいて低速で1時間密閉し、
3)対照細胞に1×1011のファージを加え、1時間インキュベートし、標的細胞を密閉し続け、
4)インキュベーション後の細胞を遠心分離機に置き、1000gで5分間遠心分離し、標的細胞の上清(1%PBSA)を廃棄し、対照細胞の上清を注意して吸引し、標的細胞管に加え、再懸濁した後、シェーカーに置き、低速で1時間インキュベートし、
5)標的細胞を遠心分離機に置き、1000gで5分間遠心分離し、(同時にPBSで昨日密閉した1.5mlのEPチューブを3回洗浄する)、標的細胞の上清を廃棄し、4mlのPBSを加えて再懸濁し、密閉した1.5mlのEPチューブに分注し、PBSで遠心分離して5回洗浄し、細胞を別の四つのEPチューブに移し、継続して5回洗浄し、次いで細胞を同一のEPチューブに移し、
6)200μlのPBSで細胞を再懸濁し、次いで溶液の粘性がなくなるまで200μlの2×TEAを加えて素早くピペッティングし、200μlのTris-HClを加えて中和して、産物を得、
7)固相パンニングスキームと同じように、出力ライブラリーの力価を測定する。
【0129】
9.ファージELISA
1)2YT-Amp培地を96ウェルディープウェルプレートに500μl/ウェルずつ分注し、出力プレート上のシングルクローンを選択し、37℃、225rpmでOD600が0.5に達するまで培養し、最後の二つのウェルH11およびH12はクローンを選択せず、空白対照として培地のみを入れ、
2)同時に1μg/ml、100μl/ウェルの濃度のCBSを使用して抗原をELISAプレートにコーティングし、37℃で2時間コーティングし、
3)別の96ウェルディープウェルプレートを採取し、2YT-A培地を1ウェルあたり500μlずつ分注し、ボレーガンを使用してOD600が0.5である細菌溶液10μlを新しく分注した96ウェルプレートに順次吸引採取し、37℃に置き、225rpmで一晩培養し、これは、サンプルフィーディングシーケンシング細菌溶液であり、
4)OD600が0.5である細菌溶液にM13KO7を加え、均一に混合した後に37℃に置き、15分間静置し、
5)M13KO7体積=10×体積×OD600×5×108/M13KO7力価
6)感染終了後の細菌溶液をシェーカーに置き、37℃、225rpmで45分間培養し、
7)細菌溶液を遠心分離機に置き、4000rpmで10分間遠心分離し、上清を廃棄し、2YT-AK培地で800μl/ウェルずつ再懸濁し、シェーカーに入れ、30℃、210rpmで一晩培養する。
8)同時にELISAプレートから抗原を振り捨て、PBST洗浄液で3回洗浄した後、3%MPBSで250μl/ウェルを密閉し、4℃で一晩保ち、空白プレートを空白として追加に密閉し、
9)翌日、96ウェルディープウェルプレートを遠心分離機に置き、4000rpmで10分間遠心分離し、ELISAプレート内の牛乳を廃棄し、200μLのPBSTで4回洗浄し、まず各ウェルに50μlのPBSTを加え、次に50μLの遠心分離後のファージ上清を一つずつ対応するように加え、4℃で1時間インキュベートし、上清を廃棄し、PBSTで5回洗浄し、PBSTでHRP-抗M13二次抗体を100μl/ウェルずつ希釈し、4℃で45分間インキュベートした後、二次抗体を洗い流し、PBSTで5回洗浄し、TMBは、室温で10分間発色させ、塩酸を停止させ、読み取り、S/N比の大きい値のクローンを選択し、保存細菌溶液を測定する。
【0130】
10.オーバーラップ(Overlap)PCR産物の増幅、一過性トランスフェクトおよび検出
10.1.1回目のPCR:CMV、VHHおよびFCの増幅
1)PCR反応系を配置し[50μL系/反応](CMVおよびFC断片は多量調製できる)(CMV断片増幅プライマー:CMV-FおよびPCom-R1、VHH断片増幅プライマー:PCom-F1およびPCom-R2、FC断片増幅プライマー:PCom-F2およびPGK-R)
成分および用量:上流プライマー(5μM)2μL、下流プライマー(5μM)2μL、NuHiパワーミックス(2×)25μL、テンプレート(プラスミドまたは細菌溶液)1μL、滅菌水を50μLに補足する。
PCR反応プログラムは、次のとおりである:95℃10分間、(95℃15秒間、56℃30秒間、68℃60秒間)×25サイクル、68℃10分間。
2)50μLのPCR産物を採取し、1/10体積の10×ローディングバッファーを加え、1%アガロースを使用して電気泳動分析し、CMVおよびFCのバンドの大きさは、約750bpであり、VHHのバンドの大きさは、約560bpである。
3)ゲルからターゲットバンドを切り出し、PCR産物を精製し、NanoDropで濃度を測定する(濃度が高すぎると、希釈して後続の反応を実行できる)。
【0131】
10.2.2回目のPCR:オーバーラップエクステンション(Overlap Extension)PCRライゲーションCMV、VHHおよびFC
1)PCR反応系の配置:
成分および用量:CMV1次産物50ng、VHH1次産物50ng、FC1次産物50ng、NuHiパワーミックス(2×)25μL、滅菌水を46μLに補足する。
PCR反応プログラムは、次のとおりである。
95℃10分間、(95℃15秒間、60℃30秒間、68℃120秒間)×15サイクル。
プライマーCMV-FおよびPGK-Rをそれぞれ2ul加える。
PCR反応プログラムは、次のとおりである。
95℃10分間、(95℃15秒間、60℃30秒間、68℃120秒間)×20サイクル、68℃10分間。
4)TakaRaのDNA断片回収キットを使用してオーバーラップ PCR産物を精製し、NanoDropで濃度を測定し、少なくとも10μgのPCR産物を必要とする。後続の細胞トランスフェクション検証に使用される。
5)トランスフェクション手順は、真核発現ベクターのトランスフェクション手順と同じである。
【0132】
11.単一ドメイン抗体の一過性トランスフェクション発現
1.冷蔵庫からLVTransmトランスフェクション試薬および抗体発現ベクターpcDNA3.4-hIgG1-Fc2またはオーバーラップPCR産物を取り出し、室温で解凍した後、ピペットで上下にピペッティングして完全に混合する。PBS緩衝液を取り出し、室温まで温める。500μLのPBSを24ウェルプレートの一つのウェルに取り、4μgのpcDNA3.4-hIgG1-Fc2を加え、ピペットで上下にピペッティングして十分に混合した後、12μLのLVTransmを加え、ピペットで上下に直ちにピペッティングして均一に混合し、室温で10分間静置する。ここでの混合物は、DNA/LVTransm複合体として呼ばれる。
【0133】
2.上述の532μLのDNA/LVTransm複合体を1.5mLの293F細胞に加え、軽く振って完全に混合する。細胞を37℃、5%CO2インキュベーターに置き、130RPMで6~8時間培養した後、1.5mLの新鮮な293培地を加え、細胞をインキュベーターに再び戻して培養し続ける。
【0134】
3.3日間連続して培養した後、遠心分離により培地上清を収集し、0.45μmのフィルター膜でろ過し、ろ液を滅菌遠心分離管に移し、後続のフローサイトメトリーおよびELISA検出を実行する。
【0135】
12.VHH真核発現ベクターの構築
ファージモノクローナルElisa検出の結果に基づいて、陽性クローンを選択してシーケンシングして、VHH抗体配列を取得する。分析を通じて得られたVHH抗体配列をそれぞれ遺伝子合成し、ヒトIgG1Fcと並行して発現ベクターpcDNA3.4-hIgG1-Fc2にサブクローニングする。ベクターがシーケンシングによって正しいことが確認された後、Qiagenプラスミド抽出キットを使用してエンドトキシンフリーのプラスミドを調製して備蓄する。
【0136】
13.標的タンパク質への組換え抗体の結合のフローサイトメトリー検出
1.液体窒素からCHO-SおよびCHO-S/UPAR細胞株を復活させ、細胞状態を対数増殖期に調整する。
2.2種類の細胞をいくつかの部分に分割し、各部分の細胞の数は、5×10^5細胞である。
3.発現した抗体をそれぞれ標的細胞とインキュベートし、十分に混合した後、室温で1時間インキュベートする。
4.室温、800xgで5分間遠心分離し、抗体含有上清を除去し、PBSで細胞を3回洗浄する。
5.1μLのPE標識抗ヒトIgGを加え、十分に混合した後、室温の暗所で30分間インキュベートする。
6.室温、800xgで5分間遠心分離し、二次抗体含有上清を除去し、PBSで細胞を3回洗浄する。
7.500uLのPBSで細胞を再懸濁し、フローサイトメトリー分析を実行する。
【0137】
14.単一ドメイン抗体の発現および精製
1.冷蔵庫からLVTransmトランスフェクション試薬および一本鎖抗体発現ベクターを取り出し、室温で解凍した後、ピペットで上下にピペッティングして完全に混合する。PBSまたはHBSS緩衝液を取り出し、室温まで温める。2mLのPBSを6ウェルプレートの一つのウェルに取り、それぞれ130μgのpcDNA3.4-hIgG1-Fc2を加え、ピペットで上下にピペッティングして十分に混合した後、400μLのLVTransmを加え、ピペットで上下に直ちにピペッティングして均一に混合し、室温で10分間静置する。
【0138】
2.上述のDNA/LVTransm複合体を50mLの293F細胞に加え、軽く振って完全に混合する。細胞を37℃、5%CO2インキュベーターに置き、130RPMで6~8時間培養した後、50mLの新鮮な293培地を加え、細胞をインキュベーターに再び戻して培養し続ける。
【0139】
3.7日間連続して培養した後、遠心分離により培地上清を収集し、0.45μmのフィルター膜でろ過し、ろ液を滅菌遠心分離管に移し、プロテインAカラムを使用して抗体を精製する。
【0140】
15.組換え抗体の親和性検出
10mMの酢酸緩衝液を使用してUPAR組換えタンパク質をCM5チップに固定し、調製した単一ドメイン抗体をそれぞれ移動相として使用し、標的タンパク質UPARに対する候補単一ドメイン抗体の結合能を検出する。
【0141】
実施例1.UPAR-His組換えタンパク質の発現および精製
1.1.UPAR-His組換えタンパク質活性の検出
上述の実験方法1を使用してUPAR-His抗原を調製し、SDS-PAGEによりUPAR-Hisタンパク質の発現を検出する。結果は、
図1に示されたとおりである。レーン1は、UPAR-Hisタンパク質のバンドであり、理論的分子量は、32.3kDaであり、SDS-PAGE検出は、約45kDaである。
【0142】
ELISAプレート上で2μg/mlのuPA(novoprotein、C393)をコーティングし、5倍勾配希釈したビオチンUPAR-Hisを一次抗体として使用し、二次抗体は、ストレプトアビジン-HRPである。
【0143】
結果:ELISA検出の結果によると、UPAR-Hisは、その天然リガンドuPAに結合でき(
図2を参照する)、生物学的活性を有し、アルパカの免疫および抗体のスクリーニングに使用されることができる。
【0144】
1.2.免疫力価ELISA検出
上述の実験方法2を使用してラマを免疫化する。且つ実験方法3を使用して免疫力価を検出する。具体的には、アルパカの3回の免疫後の血清を採取し、
図3に示される希釈勾配に従って限界希釈を実行し、UPAR-His抗原でプレコートされた96ウェルプレートを使用してELISA検出を実行する。
【0145】
結果:ELISA検出効果(
図3を参照する)によると、免疫血清をUPAR-Hisに結合し、且つ血清希釈勾配OD450値とともに勾配変化を示し、これは、免疫が成功したことを示す。IgG、サブクラス2+3二次抗体を使用した検出でも、より高い免疫力価が得られる。100mlの末梢血を採取し、ライブラリー構築を手配する。
【0146】
1.3.VHH断片の増幅
上述の実験方法4および5を使用してPBMCの分離およびVHH断片の増幅を実行する。具体的には、実施例1.2で免疫したアルパカ末梢血から、総RNAを抽出し、cDNAに逆転写した後、単一ドメイン抗体増幅プライマーを使用して2ラウンドのネスト(nest)PCRを行う。
【0147】
結果:
図4は、PCR産物のアガロースゲル電気泳動の結果を示す。1回目のPCRでは、約1000bpおよび750bpの二つのPCRバンドを取得し、750bpの断片を2ラウンドのPCRのテンプレートとしてゲルから回収する。2回目のPCRでは、VHH断片である約450bpのバンドを取得する。
【0148】
1.4.ファージディスプレイライブラリーの多様性分析
上述の実験方法6を使用してファージディスプレイライブラリーの構築および多様性分析を実行する。具体的には、実施例1.3で増幅したVHH断片をSfiIで消化した後にファージディスプレイベクターpComFにサブクローニングし、ライゲーション産物をSS320大腸菌コンピテント細胞に電気的形質転換し、単一ドメイン抗体ファージディスプレイライブラリーを構築する。計算により、ファージディスプレイライブラリーライブラリーの容量は、2.53E8である。ファージディスプレイライブラリーから、20個のシングルクローンをランダムに選択してシーケンシングし、構築されたファージディスプレイライブラリーの多様性を分析する。
【0149】
結果:
図5に示されたとおりである。シーケンシング結果の比較によると、ファージディスプレイライブラリーの空率および抗体重複率は、10%未満である。
【0150】
1.5.ファージディスプレイライブラリーの固相パンニング
上述の実験方法7を使用してファージディスプレイライブラリーの固相パンニングを実行する。具体的には、UPAR-HisおよびFc組換えタンパク質をそれぞれコーティングし、構築したファージディスプレイライブラリーを4回スクリーニングおよび濃縮し、陽性クローンを濃縮する。
【0151】
1.6.ファージディスプレイライブラリーの固相パンニング産物のファージELISA
実施例1.5で濃縮したファージ陽性クローンから、ファージのシングルクローンを選択し、上述の実験方法8を使用してファージELISA同定を実行する。
【0152】
具体的には、固相パンニング(panning)の1回目、2回目、3回目の出力を選択してファージELISA実験を実行し、それぞれUPAR-His抗原タンパク質をコーティングし、ファージElisa検出を実行し、対照群は、直接密閉したウェルプレートおよびFcでコーティングしたウェルである。
【0153】
結果:ファージELISA検出の結果は、
図6に示されたとおりである。S/N比の値が5以上であり、且つFcに結合しないクローンを選択して、シーケンシングし、配列抗体を分析する。抗原固相パンニングにより、合計18個の異なる抗体を取得する。
【0154】
1.7.オーバーラップ産物の一過性トランスフェクション産物のフローサイトメトリー分析および検出
本実施例において、実施例1.6でスクリーニングし且つシーケンシングされた18種類のVHH抗体配列に対してベクター構築および発現検出を実行する。候補抗体配列のN末端およびC末端にそれぞれオーバーラップPCRによりCMVプロモーター、シグナルペプチドおよびヒトIgG1 Fcタグを付加し、精製したPCR産物を293細胞に一過的にトランスフェクトし、抗体を発現させてフローサイトメトリー検出を実行する。
【0155】
結果:FACS検出結果は、
図7A~7Dに示されたとおりである。ファージディスプレイライブラリーのパンニングによって得られる18個のクローンから、合計15個の適切なクローンが発現ベクター合成に選択される。UPAR過剰発現細胞株との結合が非常に弱い二つのクローン(1-A2および1-D2)および既知の配列との類似性が高いクローン(3-F4)は、発現ベクターとして合成されない。
【0156】
1.8.候補抗体の発現および精製、フローサイトメトリー検出
候補抗体発現ベクターをHEK293に一過的にトランスフェクトし、上清に発現した抗体をプロテインAで精製し、タンパク質を定量し、SDS-PAGEで検出する。15個の候補単一ドメイン抗体と、過剰発現細胞株CHO-S/UPARおよびその親細胞株とをフローサイトメトリーによって検出する。
【0157】
結果:フローサイトメトリーの検出結果は、15個の候補単一ドメイン抗体すべてがCHO-S/UPARに特異的に結合できることを示す(
図8A~8Cを参照する)。
【0158】
15個の抗体をシーケンシングして得られた配列は、次のとおりである。
1)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-B4-hFC
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSTGGSTNYADSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAADTHYLTVCYDRLGFDYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:1)、
2)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-F1-hFC
EVQLAESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYTMSWVRQAPGkgLEWVSAIDSDGGVTSYADSVkgRFTISRDNAKNTLYLQMNSLKPEDTAVYYCANGGYCSGYGCYPRLLSQGTLVTVSS(SEQ ID NO:2)、
3)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-F9-hFC
QSLLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFSLDYYAIGWFRQAPGKEREEVSCISSGGGSTNYADSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAKRNFMLYLVQCPYEYDYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:3)、
4)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-F10-hFC
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSILSIRAVGWYRQAPGKQRELVALITSDGTTHYALSVkgRFTISRDNAKTTVYLQMNSLKPEDTAVYYCNREDYARRYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:4)、
5)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-G1-hFC
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGNSLRRYAIGWFRQAPGKEREGVVCISTVGGSSYYVDSVkgRFTISEDNVKNTAYLQMNSLEPEDTAVYYCAAANRLYCPAYGSAGYDYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:5)、
6)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-G2-hFC
QSQLAESGGGLVQPGGSLRLSCVASRFSLDAYAIAWFRQAPGKEREGVSCISSIGGRTNYADPVkgRFTISRDNAKNTAYLEMNSLQPEDTAVYYCAAVQRLFGPCLLSGGMDYWGkgTPVTVSS(SEQ ID NO:6)、
7)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-H2-hFC
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGSTLDYYAIAWFRQAPGkgREGVSCISSSGGRTNYADSVkgRFTVSRDNVKNTVYLQMNSLKPEDTAVYNCAAGGDLSCYGTPTSIWQYDLWGQGTQVTVAS(SEQ ID NO:7)、
8)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-1-H8-hFC
QRQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSEFTLDYYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSSGGSTVYADSVkgRFTISADNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAGSLLLFRLCVSRLYEYDYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:8)、
9)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-E03-hFC
AVQLVDSGGGLVQAGGSLRLSCAASGIRLSSNAMAWYRQAPGKQRGLVALITSDGTTNYVDSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCKREPYLSTRGYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:9)、
10)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-E04-hFC
QLRLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTLDYYDIGWFRQAPGKEREGVSCIGRISGDTDYAESVkgRFTASRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAAERRFFGGGCRRSVDNMDSWGkgTLVTVSS(SEQ ID NO:10)、
11)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-E06-hFC
EVQLVESGGGLVQAGGSLTLSCVASASGSILRLNAMGWYRQAPAKQRELVALITRDGSTNYPDSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMSSLSPEDTAVYYCYVQNHYSNYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:11)、
12)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-E09-hFC
AVQLVDSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMGWARQVPGkgLEWVSIIYRDGNTYYTDSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAPVETVAARRRDYWGQGTQVNVSS(SEQ ID NO:12)、
13)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-E10-hFC
AVQLVDSGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMGWARQVPGkgLEWVSIIYRDGNTYYTDSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAPVETVAARRRDYWGQGTQVNVSS(SEQ ID NO:13)、
14)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-G07-hFC
RLQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGKALDYYSIGWFRQAPRKQREGVSCISSSGGSTNYADSVkgRFTISRDNAKDTVYLQMNSLKPEDTADYYCAVVSTVLCGLGIYEYDYWGQGTLVTVSS(SEQ ID NO:14)、
15)pcDNA3.4-SDAB20-7-26-2-3-H02-hFC
QLTLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASEFTLDYYAIGWFRQAPGKEREGVSCISSSDGSTYYADSVkgRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAIGGLLLLRLWERGNYEFDYWGQGTQVTVSS(SEQ ID NO:15)。
ここで、以下の下線は、各VHH鎖のCDR領域に引かれる。
【0159】
各抗体のCDR領域のアミノ酸配列は、表9に示されたとおりである。
【表9-1】
【表9-2】
【0160】
実施例2.抗体親和性の検出
結合率が最も高い三つの代表的な抗体(1-F09、3-E04、3-H02)を選択し、上述の実験方法15を使用して抗体親和性を検出する。
【0161】
結果:
図9および表10に示されたとおりである。
【表10】
【0162】
本実施例は、本発明の三つの代表的な抗体1-F09、3-E04、3-H02がすべてUPARに対して高い親和性を有することを証明する。
【0163】
本発明で言及されたすべての文書は、あたかも各文書が個別に参照として引用されたかのように、本出願における参照として引用される。さらに、本発明の上記の教示内容を読んだ後、当業者は本発明に様々な変更または修正を加えることができ、これらの同等の形態も、本出願の添付の請求範囲によって定義される範囲に含まれる。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗UPAR単一ドメイン抗体であって、
前記抗UPAR単一ドメイン抗体VHH鎖の相補性決定領域CDRは、
(1)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:53に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:54に示されるCDR3、
(2)SEQ ID NO:22に示されるCDR1、SEQ ID NO:23に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:24に示されるCDR3、
(3)SEQ ID NO:42に示されるCDR1、SEQ ID NO:43に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:44に示されるCDR3、
(4)SEQ ID NO:25に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:27に示されるCDR3、
(5)SEQ ID NO:28に示されるCDR1、SEQ ID NO:29に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:30に示されるCDR3、
(6)SEQ ID NO:31に示されるCDR1、SEQ ID NO:32に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:33に示されるCDR3、
(7)SEQ ID NO:34に示されるCDR1、SEQ ID NO:35に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:36に示されるCDR3、
(8)SEQ ID NO:37に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:39に示されるCDR3、
(9)SEQ ID NO:40に示されるCDR1、SEQ ID NO:26に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:41に示されるCDR3、
(10)SEQ ID NO:19に示されるCDR1、SEQ ID NO:20に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:21に示されるCDR3、
(11)SEQ ID NO:45に示されるCDR1、SEQ ID NO:46に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:47に示されるCDR3、
(12)SEQ ID NO:48に示されるCDR1、SEQ ID NO:49に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:50に示されるCDR3、
(13)SEQ ID NO:51に示されるCDR1、SEQ ID NO:38に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:52に示されるCDR3、ならびに
(14)SEQ ID NO:16に示されるCDR1、SEQ ID NO:17に示されるCDR2、およびSEQ ID NO:18に示されるCDR3からなる群から選択される一種または複数種であることを特徴とする、前記抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項2】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項3】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO.3、10または15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項4】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体は、ヒト化抗体、ラクダ由来抗体、およびキメラ抗体からなる群から選択されることを特徴とする
請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体。
【請求項5】
抗UPAR抗体であって、
前記抗体は、一つまたは複数の請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖を含むことを特徴とする、前記抗UPAR抗体。
【請求項6】
前記抗UPAR単一ドメイン抗体のVHH鎖のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1~15に示される配列から選択されることを特徴とする
請求項5に記載の抗UPAR抗体。
【請求項7】
ポリヌクレオチドであって、
前記ポリヌクレオチドは、請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または請求項5に記載の抗体からなる群から選択されるタンパク質をコードすることを特徴とする、前記ポリヌクレオチド。
【請求項8】
発現ベクターであって、
前記発現ベクターは、請求項7に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とする、前記発現ベクター。
【請求項9】
宿主細胞であって、
前記宿主細胞は、請求項8に記載の発現ベクターを含むことを特徴とする、前記宿主細胞。
【請求項10】
抗UPAR単一ドメイン抗体を産生する方法であって、
前記方法は、
(a)単一ドメイン抗体の産生に適した条件下で、請求項9に記載の宿主細胞を培養し、それによって前記抗UPAR単一ドメイン抗体を含む培養物を得る段階と、
(b)前記培養物から前記抗UPAR単一ドメイン抗体を分離および/または回収する段階と、ならびに
(c)任意選択で、段階(b)で得られた抗UPAR単一ドメイン抗体を精製および/または修飾する段階とを、含むことを特徴とする、前記抗UPAR単一ドメイン抗体を産生する方法。
【請求項11】
免疫複合体であって、
前記免疫複合体は、
(a)請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または請求項5に記載の抗UPAR抗体と、ならびに
(b)検出可能なマーカー、薬物、毒素、サイトカイン、放射性核種、酵素、金ナノ顆粒/ナノロッド、ナノ磁性粒子、ウイルスコートタンパク質もしくはVLP、またはその組み合わせからなる群から選択されるカップリング部分とを、含むことを特徴とする、前記免疫複合体。
【請求項12】
請求項1~4のいずれかに記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、
または請求項5に記載の抗UPAR抗
体の用途であって、
(1)UPARに関連する疾患を予防および/または治療するための薬物と、
(2)UPARを検出するための試薬との調製に使用されることを特徴とする、前記請求項1~4のいずれかに記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、または請求項5に記載の抗UPAR抗体の用途。
【請求項13】
請求項11に記載の免疫複合体の用途であって、
(1)UPARに関連する疾患を予防および/または治療するための薬物と、
(2)UPARを検出するための試薬との調製に使用されることを特徴とする、
前記免疫複合体の用途。
【請求項14】
医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(i)請求項1に記載の抗UPAR単一ドメイン抗体、
または請求項5に記載の抗UPAR抗
体、および
(ii)薬学的に許容される担体を、含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(i)請求項11に記載の免疫複合体、および
(ii)薬学的に許容される担体を、含むことを特徴とする、前記医薬組成物。
【国際調査報告】