(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】自動二輪車のための動的に適応可能な近接領域
(51)【国際特許分類】
B60W 30/08 20120101AFI20250128BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250128BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20250128BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20250128BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20250128BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W50/14
B60W40/04
G08G1/16 C
B60W40/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540586
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 US2022049880
(87)【国際公開番号】W WO2023132892
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505125314
【氏名又は名称】インディアン・モーターサイクル・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ヤコブ アール
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA31
3D241CA12
3D241DB07Z
3D241DC01Z
3D241DC21Z
3D241DC25Z
5H181AA05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
道路の車線において自動二輪車に近接する領域を動的に形成する方法である。この方法は、道路の車線における自動二輪車の横方向位置を決定するステップを備える。また前方近接領域の外周と、前方長さと、第1車線境界および第2車線境界に垂直な軸に沿って第1車線境界から第2車線境界まで実質的に延び、かつ、自動二輪車の一部と交差する第1端部における第1横方向前方幅と、自動二輪車の前方の第2端部における第2横方向前方幅であって第1横方向前方幅よりも小さい第2横方向前方幅と、によって形成される前方近接領域の形状を有する前方近接領域を形成するステップを備える。さらに、道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化に基づいて、前方近接領域の形状を変更するステップを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車の運転方法であって、
自動二輪車のセンサを使用して車線境界情報を取得するステップを備え、車線境界情報は、道路の車線を形成する1以上の車線境界に関するものであり、
取得した車線境界情報に基づいて、道路の車線内の自動二輪車の第1横方向位置を決定するステップを備え、
車線内の自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するステップを備え、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、かつ、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
道路の車線内の自動二輪車の第2横方向位置を決定するステップを備え、車線内における自動二輪車の第2横方向位置が、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置とは異なっており、
第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップを備え、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域は車線の第1領域とは異なっており、それによって適応可能な近接領域を車線内の自動二輪車の横方向位置の変化に適応させる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するステップは、自動二輪車の速度の増加に基づいて第1近接領域の長さを増加させるステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するステップは、自動二輪車の速度の低下に基づいて第1近接領域の長さを短くするステップを含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、自動二輪車によって受信される、運転者が選択可能な入力に基づいて、第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、第1近接領域が、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、横方向近接領域が、第1車線境界から第2車線境界まで横方向に延びている、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、第1車線境界が道路中央であり、第2車線境界が道路端である、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、横方向近接領域の横幅が長手方向領域の横幅よりも大きく、長手方向近接領域の長手方向長さが横方向近接領域の長手方向長さよりも大きい、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、長手方向領域の横幅が、道路の車線の横幅よりも小さい、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、長手方向近接領域が、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第1移動経路に沿って延びている、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、第2近接領域の長手方向近接領域が、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第2移動経路に沿って延び、第2移動経路が第1移動経路から横方向にずれている、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、道路の車線の湾曲に基づいて第2近接領域形状を変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、道路の車線の湾曲に基づいて第2近接領域形状を変更するステップが、道路の車線の湾曲に一致する湾曲を有する外周境界を有するように第2近接領域の長手方向近接領域を変更するステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項6に記載の方法であって、横方向近接領域が、前方横方向近接領域と後方横方向近接領域とを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前方横方向近接領域と後方横方向近接領域とが実質的に同じサイズであり、前方横方向近接領域の形状が、第1車線境界から第2車線境界に通常延びる横軸について後方横方向近接領域の形状の鏡像である、方法。
【請求項17】
請求項6に記載の方法であって、長手方向近接領域が、前方長手方向近接領域と後方長手方向近接領域とを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前方長手方向近接領域と後方横方向近接領域とが実質的に同じサイズであり、前方長手方向近接領域の形状が、第1車線境界から第2車線境界に通常延びる横軸について後方長手方向近接領域の形状の鏡像である、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前方長手方向近接領域が、後方長手方向近接領域よりも長い、方法。
【請求項20】
請求項6に記載の方法であって、長手方向近接領域が、外周に沿って鐘形状または放物線形状を形成する、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップが、第2近接領域の横幅を第1近接領域の横幅と同じに形成するステップを含む、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、第1近接領域を、複数のサブ領域を含むように形成するステップをさらに備え、各サブ領域は異なる長さを有する、方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、物体が適応可能な近接領域内にあるときに、自動二輪車の運転手に警告するステップをさらに備える、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、適応可能な近接領域内にある物体に基づいて、自動二輪車の制御ユニットに、運転手の入力なしに自動二輪車の速度を変更させるステップをさらに備える、方法。
【請求項25】
自動二輪車用の先進運転支援システム(ADAS)であって、
道路の車線の境界を検出するための第1センサを備え、
インターフェースを介して第1センサと通信する制御ユニットを備え、制御ユニットはプロセッサと、プロセッサによって読み取り可能な命令を格納するメモリ装置とを含み、
制御ユニットと電気的に通信する警告装置を備え、
プロセッサは、
道路の車線の境界に関する情報を第1センサから受信するようになっており、
第1センサからの情報に少なくとも部分的に基づいて、車線内の自動二輪車の横方向位置を決定するようになっており、
車線内の自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するようになっており、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、かつ、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
道路の車線内における自動二輪車の第2横方向位置を決定するようになっており、車線内の自動二輪車の第2横方向位置が、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置と異なっており、
第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するようになっており、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域が車線の第1領域とは異なり、それによって、適応可能な近接領域を車線内の自動二輪車の横方向位置における変化に適応させている、先進運転支援システム。
【請求項26】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、物体が適応可能な近接領域内にあるか否かを判定し、物体が適応可能な近接領域内にある場合に警告信号を出力するようになっている、ADAS。
【請求項27】
請求項26に記載のADASであって、警告装置は、警告信号を受信し、警告信号に応じて自動二輪車の運転者に警告を発するようになっている、ADAS。
【請求項28】
請求項26に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車の運転システムに対して自動二輪車の運転に対する変更を指示する制御信号を出力するようになっている、ADAS。
【請求項29】
請求項28に記載のADASであって、自動二輪車の運転に対する変更には、自動二輪車を制動すること、または自動二輪車のスロットル入力を減少させることのいずれかを含む、ADAS。
【請求項30】
請求項25に記載のADASであって、第1センサがカメラシステムを備える、ADAS。
【請求項31】
請求項25に記載のADASであって、レーダーシステムまたはライダーシステムを備える第2センサをさらに備える、ADAS。
【請求項32】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するようになっている、ADAS。
【請求項33】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車によって受信される、運転者が選択可能な入力に基づいて第1近接領域サイズを変更するようになっている、ADAS。
【請求項34】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含むように第1近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項35】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、第1車線境界から第2車線境界まで横方向に延びるように横方向近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項36】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、横方向近接領域の横幅を長手方向領域の横幅よりも大きく、かつ、長手方向近接領域の長手方向長さを横方向近接領域の長手方向長さよりも大きく形成するようになっている、ADAS。
【請求項37】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、長手方向領域の横幅を道路の車線の横幅よりも小さく形成するようになっている、ADAS。
【請求項38】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第1移動経路に沿って延びるように長手方向近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項39】
請求項38に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第2移動経路に沿って延びる第2近接領域の長手方向近接領域を形成するようになっており、第2移動経路は車線内において第1移動経路から横方向にずれている、ADAS。
【請求項40】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、道路の車線の湾曲に基づいて第2近接領域形状を変更するようになっている、ADAS。
【請求項41】
請求項40に記載のADASであって、プロセッサがさらに道路の車線の湾曲に基づいて第2近接領域形状を変更するようになっていることには、第2近接領域の長手方向近接領域を、道路の車線の湾曲に一致する湾曲を有する外周境界を有するように変更することを含む、ADAS。
【請求項42】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、前方横方向近接領域と後方横方向近接領域とを含むように横方向近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項43】
請求項42に記載のADASであって、プロセッサがさらに、前方横方向近接領域と後方横方向近接領域とを実質的に同じサイズとなるように形成し、かつ、第1車線境界から第2車線境界まで通常延びる横軸について後方横方向近接領域の形状の鏡像となるように前方横方向近接領域の形状を形成するようになっている、ADAS。
【請求項44】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、外周の一部に沿った鐘形状を形成するように長手方向近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項45】
請求項34に記載のADASであって、プロセッサがさらに、外周の一部に沿った放物線形状を形成するように長手方向近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項46】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、第1近接領域の横幅と同じになるように第2近接領域の横幅を形成するようになっている、ADAS。
【請求項47】
請求項25に記載のADASであって、プロセッサがさらに、複数のサブ領域を含むように第1近接領域を形成するようになっており、各サブ領域は異なる長さを有する、ADAS。
【請求項48】
自動二輪車であって、前輪、後輪、フレーム、エンジン、および請求項25に記載のADASを含む、自動二輪車。
【請求項49】
請求項49に記載の自動二輪車であって、自動二輪車のエンジン制御ユニットが、ADASのプロセッサを備える、自動二輪車。
【請求項50】
道路の車線において自動二輪車に近接する領域を動的に形成する方法であって、
道路の車線における自動二輪車の横方向位置を決定するステップを備え、
前方近接領域形状を有する前方近接領域を形成するステップを備え、前方近接領域形状は、前方近接領域の外周と、前方長さと、第1車線境界および第2車線境界に垂直な軸に沿って第1車線境界から第2車線境界まで実質的に延び、かつ、自動二輪車の一部と交差する第1端部における第1横方向前方幅と、自動二輪車の前方の第2端部における第2横方向前方幅であって第1横方向前方幅よりも小さい第2横方向前方幅と、によって形成され、
道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化に基づいて、前方近接領域形状を変更するステップを備える、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、道路の車線の第1車線境界と第2車線境界とを検出するステップをさらに含み、道路の車線における自動二輪車の横方向位置を決定するステップは、第1車線境界と第2車線境界の一方または両方に対する自動二輪車の位置を決定するステップを備える、方法。
【請求項52】
請求項50に記載の方法であって、前方近接領域の後方である後方近接領域を形成するステップをさらに備える、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、後方近接領域を形成するステップは後方近接領域を形成するステップを備え、後方近接領域は、後方長さと、第1車線境界および第2車線境界に垂直な軸に沿って第1車線境界から第2車線境界まで実質的に延び、かつ、自動二輪車の一部と交差する第1端部における第1後方横幅と、自動二輪車の後方の第2端部における第2後方横幅であって第1後方横幅よりも小さい第2後方横幅と、を有するように形成される、方法。
【請求項54】
請求項50に記載の方法であって、前方近接領域を形成するステップは、自動二輪車の予想される移動経路の一部を包含するように前方近接領域を形成するステップを含む、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、予想される移動経路が、自動二輪車の後輪から自動二輪車の前輪に向かう方向に延びる軸によって形成される、方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法であって、自動二輪車の予想される移動経路の変化に応答して、前方近接領域を再形成するステップをさらに備える、方法。
【請求項57】
請求項50に記載の方法であって、道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化を検出するステップをさらに備える、方法。
【請求項58】
請求項50に記載の方法であって、道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化に基づいて前方近接領域の形状を変更するステップは、変更された横方向位置に基づく自動二輪車の予想される移動経路を包含するが、前に決定された自動二輪車の横方向位置に基づく自動二輪車の予想される移動経路を包含しない、前方近接領域の形状を有するように前方近接領域を再形成するステップを備える、方法。
【請求項59】
請求項50に記載の方法であって、自動二輪車の速度の変化に応答して前方近接領域の長さを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項60】
請求項50に記載の方法であって、自動二輪車の運転者からの入力に応答して前方近接領域の前方長さを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項61】
請求項50に記載の方法であって、前方近接領域の形状が、鐘形状または放物線形状である長手方向前方部分を備える、方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、前方近接領域の形状が、実質的に長方形である横方向前方部分を備える、方法。
【請求項63】
請求項50に記載の方法であって、道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化に基づいて前方近接領域の形状を変化させるステップは、第2横幅を維持するステップを備える、方法。
【請求項64】
車道で自動二輪車を操作する方法であって、
第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するステップを備え、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車道の第1領域を形成し、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
車道における自動二輪車の位置の変化と、自動二輪車の速度の変化と、車道における物体の検出とのうちの1以上に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップを備え、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車道の第2領域を形成しており、車道の第2領域は車道の第1領域とは異なる、方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法であって、第1近接領域が、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含む、方法。
【請求項66】
請求項65に記載の方法であって、長手方向近接領域が、外周に沿って鐘形状または放物線形状を形成する、方法。
【請求項67】
請求項64に記載の方法であって、長手方向近接領域が、前方長手方向近接領域と後方長手方向近接領域とを含む、方法。
【請求項68】
請求項67に記載の方法であって、前方長手方向近接領域と後方横方向近接領域とが実質的に同じサイズであり、前方長手方向近接領域の形状が、自動二輪車の移動方向に対して垂直に延びる横軸について後方長手方向近接領域の形状の鏡像である、方法。
【請求項69】
請求項64に記載の方法であって、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項70】
請求項64に記載の方法であって、自動二輪車によって受信される、運転者が選択可能な入力に基づいて、第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項71】
請求項64に記載の方法であって、車道の左境界と車道の右境界とを識別するステップをさらに備える、方法。
【請求項72】
請求項71に記載の方法であって、車道の左境界と車道の右境界との間の自動二輪車の横方向位置を決定するステップをさらに備える、方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法であって、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップが、車道の左境界と車道の右境界との間の車道における自動二輪車の位置の変化に基づいて行われる、方法。
【請求項74】
自動二輪車用の先進運転支援システム(ADAS)であって、
第1センサを備え、
インターフェースを介して第1センサと通信する制御ユニットを備え、制御ユニットはプロセッサと、プロセッサによって読み取り可能な命令を格納するメモリ装置とを含み、
制御ユニットと電気的に通信する警告装置を備え、
プロセッサは、
第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するようになっており、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車道の第1領域を形成し、かつ、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
車道における自動二輪車の位置の変化、自動二輪車の速度の変化、および車道における物体の検出のうちの1以上に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するようになっており、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域は車線の第1領域と異なっている、ADAS。
【請求項75】
車道で自動二輪車を操作する方法であって、
車道で自動二輪車の操作に関する情報を感知するステップを備え、
感知された情報に基づいて、適応可能な近接領域を形成するステップを備え、適応可能な近接領域は第1近接領域を含み、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車道の第1領域を形成し、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、第1近接領域は、自動二輪車に隣接する第1横幅と、自動二輪車の長手方向前方の第2横幅とを形成し、第2横幅は第1横幅よりも小さい、方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法であって、第1近接領域は、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含む、方法。
【請求項77】
請求項76に記載の方法であって、長手方向近接領域が、外周に沿って鐘形状または放物線形状を形成する、方法。
【請求項78】
請求項75に記載の方法であって、車道における第1横方向位置から車道における第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップをさらに備える、方法。
【請求項79】
請求項75に記載の方法であって、車道における自動二輪車の位置の変化、自動二輪車の速度の変化、および車道における物体の検出のうちの1以上に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップをさらに備え、第2近接領域は第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域が車線の第1領域とは異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動二輪車のための先進運転支援システムに関する。より具体的には、本開示は、自動二輪車の周囲の近接領域を決定し、動的に形成するためのシステム、装置、および方法に関する。
【0002】
関連出願
本特許出願は、2022年1月6日に出願された米国仮出願第63/296,901号の利益を主張するものであり、その開示は参照によりその全体が援用される。
【背景技術】
【0003】
自動車における先進運転支援システム(ADAS)の使用は十分に確立されており、ますます一般的になってきている。ADASシステムには、自動または緊急ブレーキアシストシステム、適応クルーズ制御、前方および後方衝突警告、車線維持または車線変更支援システムなど多くのものが含まれる。これらのシステムは、自動車の運転手に周囲の状況や差し迫った危険を警告するだけでなく、ブレーキ、ステアリング、乗物の減速によって衝突の可能性に自律的に応答することもある。
【0004】
例えば、既知の衝突警告システムまたは衝突回避システムでは、ADASは自動車の前方および/または後方の走行車線を監視し、前方または後方の車線に物体(典型的には他の車両)があるかどうかを判断する。他の車両が所定の近傍または範囲内にある場合、運転者に対する音声または視覚的な警告が発せられることがある。車両の相対速度、距離などのいくつかの要因に応じて、典型的には警告の後、ADASは衝突を回避するためにブレーキなどの自動車の機能を制御することができる。
【0005】
しかしながら、自動車用に仕立てられた既知のADAS機能は、自動二輪車の運転者のふるまいやニーズを十分に考慮したものとはなっていない。
【発明の概要】
【0006】
運転中、自動二輪車の運転者は独自の基準を用いて他の車両とどの程度接近しても構わないかを判断している。比較的大型で、走行車線の幅を実質的に埋め尽くしがちな多くの自動車とは異なり、自動二輪車は概して自動車よりも小型であり、走行車線の幅全体を埋め尽くすことはない。つまり、自動二輪車のライダーは、車線内のさまざまな横方向の位置、たとえば車線の中央、中央より左、中央より右などに自動二輪車を配置することができる。千鳥状の配置で走行する場合、本明細書でさらに説明するように、自動二輪車のグループは自動二輪車を中央より右側の位置と中央より左側の位置を交互しながら比較的接近した隊列で走行することがある。
【0007】
従来のADAS、特に衝突警告システムおよび衝突回避システムでは、ADASは自動車の近傍、すなわち自動車の前方、後方および、ある程度近くの「近接領域」を形成する。その近接領域に他の車両が進入した場合、ADASは警告および/または対策を講じる。従来の近接領域は事実上、概して長方形であり、一方の車線の端(lane limit)から他方の車線の端まで、その領域の長手方向(縦方向)の全長にわたって横方向に延びている。
【0008】
しかし、走行車線の幅における任意の数の位置を選択できる自動二輪車の場合、特に千鳥状の配置で走行する場合、車線幅の実質的に全長に及ぶADASの近接領域は、自動二輪車の運転者が他の自動二輪車に近接して走行する能力を制限することになる。
【0009】
その結果、本開示の実施形態は、自動二輪車特有のADASアプリケーション用にカスタマイズされた動的に適応可能な近接領域を提供する。適応可能な近接領域の実施形態は、自動二輪車の道路または接近を共有する特定のタイプの車両を識別する必要なく、場合によっては他の車両の存在を識別する必要なく、決定および形成されうる。それゆえ、適応可能な近接領域の実施形態は自己識別で適応可能な近接領域である。
【0010】
本開示の一実施形態は、道路の車線において自動二輪車に近接する領域を動的に形成する方法である。本方法は、以下のステップを備える。道路の車線における自動二輪車の横方向の位置を決定するステップを備える。前方近接領域の外周と、前方長さと、第1端部における第1横方向前方幅と、第1横方向前方幅よりも小さく、自動二輪車の前方の第2端部における第2横方向前方幅とによって形成される前方近接領域形状を有する前方近接領域を形成するステップを備える。道路の車線における自動二輪車の横方向位置の変化に基づいて、前方近接領域形状を変更するステップを備える。第1横方向前方幅は、第1車線境界および第2車線境界に垂直な軸に沿って第1車線境界から第2車線境界まで実質的に延び、かつ、自動二輪車の一部と交差する。
【0011】
本開示の別の実施形態は、自動二輪車を操作(運転)する方法である。本方法は以下のステップを備える。自動二輪車のセンサを用いて車線境界情報を取得するステップを備える。車線境界情報は、道路の車線を形成する1以上の車線境界に関連する。取得した車線境界情報に基づいて、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置を決定するステップを備える。車線内における自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するステップを備える。第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有する。道路の車線内における自動二輪車の第2横方向位置を決定するステップを備える。車線内における自動二輪車の第2横方向位置は、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置とは異なる。第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップを備える。第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域は車線の第1領域とは異なる。それによって、適応可能な近接領域を、車線内の自動二輪車の横方向位置の変化に適応させることができる。
【0012】
本開示のさらに別の実施形態は、自動二輪車のための先進運転支援システム(ADAS)である。ADASは、道路の車線の境界を検出するための第1センサと、インターフェースを介して複数のセンサと通信する制御ユニットと、制御ユニットと電気的に通信する警告装置とを備える。制御ユニットは、プロセッサと、プロセッサによって読み取り可能な命令を格納するメモリ装置とを含む。プロセッサは、以下のように構成されている。道路の車線の境界に関する情報をセンサから受信し、センサからの情報に少なくとも部分的に基づいて車線内の自動二輪車の横方向位置を決定し、車線内の自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するようになっている。第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有する。またプロセッサは道路の車線内における自動二輪車の第2横方向位置を決定するようになっている。車線内における自動二輪車の第2横方向位置は、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置とは異なっている。さらにプロセッサは、第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するようになっている。第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域は車線の第1領域とは異なっている。それによって、適応可能な近接領域を車線内の自動二輪車の横方向位置の変化に適応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、添付の図面に関連して、以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮して理解することができる。
【
図1】
図1は、従来技術の近接領域を採用したADASを備えた道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態による、適応可能な近接領域を採用したADASを備えた道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、センサ付きADASを備えた自動二輪車の上面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態によるADASのブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、適応可能な近接領域を採用するADASを備えた、道路車線の中央に配置された自動二輪車の上面図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による、適応可能な近接領域を採用するADASを備えた、道路車線の左側に配置された自動二輪車の上面図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態による、適応可能な近接領域を採用するADASを備えた、道路車線の右側に配置された自動二輪車の上面図である。
【
図8】
図8は、本開示の代替実施形態による、適応可能な近接領域を採用したADASを備えた、道路車線における自動二輪車の上面図である。
【
図9】
図9は、本開示の別の代替実施形態による、適応可能な近接領域を採用したADASを備えた、道路車線における自動二輪車の上面図である。
【
図10】
図10は、本開示のさらに別の代替実施形態による、適応可能な近接領域を採用したADASを備えた、道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態による、比較的低速に適応した適応可能な近接領域を採用したADASを備えた道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施形態による、中速に適応した適応可能な近接領域を採用したADASを備えた、道路車線における自動二輪車の上面図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施形態による、比較的高速に適応した適応可能な近接領域を採用したADASを備えた、道路車線における自動二輪車の上面図である。
【
図14】
図14は、本開示の一実施形態による、道路湾曲(road curvature)に適応した適応可能な近接領域を採用するADASを備えた、湾曲した道路車線における自動二輪車の上面図である。
【
図15】
図15は、本開示の一実施形態による、複数の選択可能な領域を含む適応可能な前方近接領域を採用したADASを備えた、道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図16】
図16は、本開示の一実施形態による、複数の選択可能な領域を含む適応可能な後方近接領域を採用したADASを備えた、道路車線上の自動二輪車の上面図である。
【
図17】
図17は、本開示の一実施形態による、共通の道路車線を一列になって走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車が適応可能な近接領域を採用するADASを有している。
【
図18】
図18は、共通の道路車線を一列に並んで走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車は、従来技術の近接領域を採用するADASを有している。
【
図19】
図19は、共通の道路車線を千鳥配置で走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車は、従来技術の近接領域を採用するADASを有している。
【
図20】
図20は、共通の道路車線を千鳥配置で走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車が本開示の一実施形態による適応可能な前方近接領域を採用するADASを有している。
【
図21】
図21は、共通の道路車線を千鳥配置で走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車は、本開示の一実施形態による適応可能な後方近接領域を採用するADASを有する。
【
図22】
図22は、共通の道路車線を千鳥配置で走行する複数の自動二輪車の上面図であり、各自動二輪車は、本開示の一実施形態による適応可能な前方および後方の近接領域を採用するADASを有する。
【
図23】
図23は、前方近接領域内にある自動車に追従する、本開示の一実施形態による適応可能な近接領域を採用するADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図24】
図24は、前方近接領域内にいない自動車に追従する、本開示の一実施形態による適応可能な近接領域を採用したADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図25】
図25は、後方近接領域内にある自動車に追従される、本開示の一実施形態による適応可能な近接領域を採用したADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図26】
図26は、後方近接領域内にいない自動車に追従される、本開示の一実施形態による適応可能な近接領域を採用したADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図27】
図27は、複数の前方近接サブ領域を有する適応可能な近接領域を採用したADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図28】
図28は、本開示の一実施形態による、複数の後方近接サブ領域を有する適応可能な近接領域を採用するADASを有する自動二輪車の上面図である。
【
図29】
図29は、本開示の一実施形態による、近接領域を動的に決定するプロセスを示すフローチャートである。
【
図30】
図30は、本開示の一実施形態による、適応可能な近接領域を決定するプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、ADASによって形成される従来の近接範囲を示している。
図1では、自動二輪車10は、中央分離帯14と車線の端、境界線、または境界16とによって形成された車線12内に位置している。自動二輪車10とその運転者とを取り囲む破線の長方形Aは自動車の外形を表し、典型的な自動二輪車と自動車との間の相対的な大きさの違い、特にそれらの車線内の空間の相対的な占有を示している。
【0015】
この従来のADASでは、前方近接領域18は自動二輪車10の中心から前方の長方形領域として形成され、後方近接領域20は自動二輪車10の中心から後方の長方形領域として形成される。各近接領域18及び20は、車線境界の間、すなわち描かれているシナリオでは中央分離帯14から車線端16まで、横方向すなわち左右に延びている。例えば車線境界間の横方向の空間の大部分を占める自動車用に設計されたADASのような従来のADASでは、走行車線の横幅のほぼ全体に及ぶ、概ね長方形の領域として近接領域を形成することが賢明である。なぜならば、自動車が車線のほぼ全幅を埋め、車線内の任意の物体が自動車の進路にある可能性が高く、比較的大きな自動車と衝突する可能性があるためである。
【0016】
しかし、自動車よりもかなり小さく、車線内の様々な横方向位置に配置できる自動二輪車の場合、
図1に描かれているような従来から規定されている近接領域では、特に千鳥配置で走行する場合には、自動二輪車の運転者が他の自動二輪車に近接して走行する能力を制限している。
【0017】
図2を参照すると、自動二輪車専用のADASの適応可能な近接領域100の一実施形態が描かれている。適応可能な近接領域100は、前方近接領域102と後方近接領域104とを備える。運転者108を乗せた自動二輪車106は、適応可能な近接領域100内に位置し、概して車線110の中央にある。本明細書では「自動二輪車」という用語が使用されているが、「自動二輪車」とは、運転者/ライダーが使用する座席またはサドルを有し、地面と接触する3輪以下の車輪で走行するように設計された、あらゆる電動車両を指し、それを包含することは理解されたい。
【0018】
説明の便宜上、前方とは後端114から前端112への方向を指し、後方とは前端112から後端114への方向を指し、左方とは右側118から左側116への方向を指し、右方とは左側116から右側118への方向を指す。
【0019】
車線110は、道路、街路、高速道路、フリーウェイ、または他のタイプの車両通行路の一部を含み、第1境界120、すなわち左側の車線制限または境界120と、第2境界122、すなわち右側の車線制限または境界122とによって横方向に形成される。第1車線境界120は、中央分離帯などの反対方向に走行する車線間の分離、または同じ方向に走行する車線間の分離を形成することができる。第2車線境界122は、車線120と路肩もしくは路床との間、または別の車線との間の分離を形成することができる。
【0020】
図3を参照すると、自動二輪車106は、前輪107、後輪109、フレーム111、エンジン113、および少なくとも1つの電子制御ユニット(ECU)115を含む。自動二輪車106の実施形態、およびその様々な構成要素は、当技術分野において概してよく知られている。2016年10月13日に公表され「Two-Wheeled Vehicle」と題するインディアン・モーターサイクル・インターナショナル・エルエルシーの所有する米国特許公開公報2016/0298807A1では、自動二輪車ならびに関連するシステムおよび構成要素の実施形態が記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0021】
自動二輪車106はまたADAS130を含む。ADAS130は緊急ブレーキアシスト、自動緊急ブレーキ、車両安定性制御装置、アダプティブクルーズコントロール、前方衝突警告、後方衝突警告、車線逸脱警告、車線キープアシスト、死角検知など、運転者108に警告したり自動二輪車106の運転を制御したりするための1以上のシステムを備え得る。ADAS130は、レーダー、ライダー(lidar)、リーンセンサ、加速度計、およびADASにおいて使用されることが知られている他のそのようなセンサおよびシステムなどの、複数のカメラおよび/またはセンサもしくは検知システム134~140を採用することができる。本発明の適応可能な近接領域を決定および形成する方法はADASによって実施されて、自動二輪車専用のADAS130を形成することもできる。
【0022】
描かれている実施形態では、自動二輪車106は、前側センサ134、後側センサ136、左側センサ138、および右側センサ140を含む。
【0023】
図4も参照すると、自動二輪車専用のADAS130の実施形態のブロック図が描かれている。この例示的な実施形態では、ADAS130は、ユーザ入力133と通信する制御ユニット132と、前側センサ134、後側センサ136、左側センサ138、および右側センサ140を含む複数のセンサと、警告システム142と、自動二輪車運転システム144とを含む。一実施形態として、ADAS130の構成要素は、制御エリアネットワークバス(CANBUS)によって通信可能に連結され得る。
【0024】
「ユーザ入力」133は、概してユーザすなわち運転者108によって選択的に制御される入力を指す。ユーザ入力133は、タッチスクリーン、音声認識システム、ボタン、スイッチなどの運転者-自動二輪車インターフェースを介して運転者108によって選択される機能または他の「入力」であってもよい。例えば、運転者の入力は、車間距離の警告閾値を設定する運転者からなされる入力、または同様の選択を含むことができる。
【0025】
「センサ」という用語が使用されているが、「センサ」は上記で簡単に説明したように、様々なあり得るセンサ、検知システム、画像キャプチャ装置およびシステムを含むことが意図されていることは理解されたい。一実施形態として、前側センサ134は前側レーダーシステムおよび前側カメラを含み、後側センサ136は後側レーダーシステムおよび後側カメラを含み、左側センサ138はカメラを含み、右側センサ140はカメラを含む。4つのセンサが描かれ、説明されているが、ADAS130はより多くのまたはより少ないセンサを含んでもよいことは理解されたい。
【0026】
一実施形態として、制御ユニット132は、少なくとも1つのプロセッサ146と、本開示の方法およびシステムを実装する様々なコンピュータソフトウェア制御モジュールを記憶する記憶(メモリ)装置148とを含む。プロセッサ146は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、ASIC、または同様のものを備えてもよく、メモリ148に記憶された命令、コンピュータプログラム、コードなどの命令を実行することを含む、信号またはデータを処理するように構成されてよい。制御ユニット132は、自動二輪車106の1以上のECUを備えてもよいし、あるいは自動二輪車106のECU115と通信するADAS130専用の別個の制御ユニットを備えてもよい。また制御ユニット132は、センサ134~140および後述する他のシステムとのインターフェースのためのシステム通信インターフェースを備えてもよい。記憶装置148は、RAM、ROM、EPROM、フラッシュメモリなど、様々な既知の記憶装置のいずれかを備えることができる。
【0027】
一実施形態におけるADAS130は、警告システム142および自動二輪車106運転システム144も含む。警告システム142は、警告灯、スピーカ、表示装置など、運転者108に聴覚的、視覚的または触覚的に警告することを意図した既知の警告装置またはシステムのいずれかを含んでいてもよい。警告システム142は、衝突回避システム、死角検知などの特定のADASの全部または一部を備えてもよい。運転システム144は、ブレーキ、加速/減速、ステアリングなど、自動二輪車106の1以上の運転(操作)を制御するように構成された装置およびシステムを備えてもよい。また運転システム144は、衝突回避システム、死角検知などの特定のADASの全部または一部を備えていてもよい。
【0028】
動作中、制御ユニット130は、センサ134~140からの入力を受信し、記憶されたコンピュータプログラムの命令に従ってデータを処理し、適応可能な近接領域100(以下でさらに説明する)を決定し、必要に応じて制御信号を警告システム142および運転システム144に出力して、適応可能な近接領域100内に車両などの障害物がある場合に、運転者108に警告を発したり、自動二輪車106の運転を制御したりする。適応可能な近接領域100を決定するために、ADAS130は、左境界120、右境界122、および車線境界に対する自動二輪車106の位置、すなわち車線110内の横方向位置を決定するようになっていてもよい。車線110内の横方向の位置を決定することには、自動二輪車106から車線境界線120及び122の一方または両方までの距離を決定するステップと、車線境界線120と車線境界線122と間の距離を測定するステップと、車線境界線120と車線境界線122との間の位置を決定するステップ、またはこれらに類するステップを含んでもよいことは理解されたい。
【0029】
ADAS130はまた、センサ134~138からデータを受信して、車線境界線120および122の位置や、自動二輪車106の近くにいる他の車両の位置などを測定することもできる。
【0030】
適応可能な近接領域100を測定および形成する方法は、例示的なADAS130によって実施され得るが、他の既知のADASを用いて、本明細書に記載されるような適応可能な近接領域100を測定および形成するための本発明のシステムおよび方法を実施することもできる。例えば、以下の特許及び特許公報は、既知のADASについて説明しており、これらは全て参照によりその全体が本明細書に援用され、本明細書に記載されるような適応可能な近接領域100に関するシステム及び方法を実施するために使用され得る。2020年2月27日に公開されたWO2020/041191A1の「Wheeled Vehicle Notification System and Method」と題され、インディアン・モーターサイクル・インターナショナル・エルエルシーが所有する。US2021/0188270は2021年6月24日に公開され「Wheeled Vehicle Adaptive Speed Control Method and System」と題され、インディアン・モーターサイクル・インターナショナル・エルエルシーが所有する。US2021/0162998A1は、2021年6月3日に公開され「Control Device and Control Method for Controlling Behavior of Motorcycle」と題され、出願人であるロバート・ボッシュBmbHが有する。US2020/0231170A1は2020年7月23日に公開され、「Method and Control Device for Monitoring the Blind Spot of a Two-Wheeled Vehicle」と題され、出願人であるロバート・ボッシュBmbHが有する。US10,429,501は2019年10月1日に発行され「Motorcycle Blind Spot Detection System and Rear Collision Alert Using Mechanically Aligned Radar」と題され、出願人であるコンチネンタル・オートモーティブ・システムズ・インクが有する。
【0031】
図5を参照すると、前方近接領域102と後方近接104とを含む適応可能な近接領域100は、少なくとも部分的には車線110内の自動二輪車106の横方向の位置に基づいて測定(決定)され、形成される。
図5では、自動二輪車106は車線110の中央に位置している。概して、自動二輪車106は、自動二輪車106の予想される走行(移動)経路、すなわち軌道を形成する移動経路軸Ptに沿って縦(長手)方向に配置されている。一実施形態として、移動経路軸Ptは、前輪107と後輪109の両方と交差する線を含んでもよく(
図4も参照)、自動二輪車106の縦方向の中心線を含んでもよい。また、移動経路軸Ptは自動二輪車106が既に走行(移動)した経路の一部、例えば既に走行した自動二輪車106の後方の経路、または走行すると予想される自動二輪車106の前方の経路の一部を備えてもよく、それによって決定されてもよい。
【0032】
近接領域100は移動経路軸Ptに沿って長手方向に沿って延びている。自動二輪車106は、横軸Mに沿って車線110の中央に横方向に配置されており、この横軸Mは自動二輪車106を通過する線を含んでいてもよく、前後の二等分線であってもよい。この図では、自動二輪車106は車線110の中央に位置しているため、移動経路軸Ptは車線110の中央の長手方向軸Lcと同じである。車線110の中心からそれぞれ左側および右側に配置されている自動二輪車106を描いた
図6および
図7に関して以下でさらに説明するように、自動二輪車106の横方向の位置が車線110内で変化すると、適応可能な近接領域100は、変化する横方向の位置に応じて動的に変化または適応される。
図8に関して以下でさらに詳しく説明するように、適応可能な近接領域100によって、複数の自動二輪車106が千鳥配置で一緒に走行する場合に、よりタイトな隊列が可能となる。
【0033】
さらに
図5を参照すると、長さL
Fを有する前方近接領域102は、第1前方領域102aと第2前方領域102bとによって形成されている。第1前方領域102aは、横方向前方領域として形成または説明することができ、これは、軸線Mの前方の領域を含み、この領域は自動二輪車106に対して直接的に左右に存在する。第2前方領域102bは、自動二輪車106の前方における一部または全部の長手方向の前方領域として形成または説明することができる。
【0034】
一実施形態として、描かれているように、第1前方領域102aおよびその外周PF1は、概して長方形形状を形成することができるが、他の実施形態では、第1前方領域102は、台形形状を含む他の直線で囲まれた形状または湾曲形状を形成することができる。第1前方領域102aの幅(横方向)は第1前方領域102aの長さ(縦方向)よりも大きくてもよい。一実施形態として、第1前方領域102aの長さは、自動二輪車106の長さの約半分である。
【0035】
一実施形態として、描かれているように、自動二輪車106から長手方向に延びる第2前方領域102bは、幅よりも大きい、すなわち第2前方領域102bの平均幅よりも大きい長さを有する。第2前方領域102bの平均幅は車線110の幅よりも小さく、すなわち第1車線境界120と第2境界122との間の距離よりも小さい。一実施形態として、描かれているように、第2前方領域102bは、湾曲している外周PF1を形成し、描かれているように鐘(ベル)形状であってもよく、またはパラボラ型(放物線)に類似していてもよい。一実施形態として、図示したように、第2前方領域102bの幅は、自動二輪車106に最も近いところで最大となり、第2前方領域102bの最も前方の端に近接したところで最小となる最小幅を有して後方から前方に向けて減少する。他の実施形態として、第2前方領域102bの外周PF2の一部は湾曲して鐘曲線、放物線、または他の湾曲を形成してもよい。他の実施形態として、第2前方領域102bは、概して長方形、三角形、または他の形状を形成する。
【0036】
長さLRを有する後方近接領域104は、第1後方領域104aと第2後方領域104bとによって形成される。第1後方領域104aは、自動二輪車106に対して左右にある軸Mより後方の領域を含む横方向後方領域として形成することができる。第2後方領域104bは、全体として自動二輪車106の後方にある長手方向の後方領域として形成することができる。後方近接領域104は軸Mに関して対称であり、かつ、前方近接領域102と実質的に同じ大きさと形状(鏡像)を有するように描かれているが、実施形態においては、前方近接領域102および後方近接領域104は、様々な要因によってそれぞれの大きさと形状とが異なってもよいことは理解されたい。そのような要因には、運転者の入力や好み、例えば車両にどの程度接近して追従するかに対して車両にどの程度接近して追従されるか、システムパラメータ、例えば前方近接領域と後方近接領域の両方が必要かどうか、車線の状態などが含まれる。
【0037】
一実施形態として、描かれているように、第1後方領域104aおよびその外周PR1は、概して長方形形状を形成することができるが、他の実施形態では、第1後方領域104は、台形形状を含む他の直線で囲まれた形状または湾曲形状を形成することができる。第1後方領域104aの幅(横方向)は、第1後方領域104aの長さ(縦方向)より大きくてもよい。一実施形態として、第1後方領域104aの長さは、自動二輪車106の長さの約半分である。
【0038】
一実施形態として、描かれているように、自動二輪車106から長手方向に延びる第2後方領域104bは、幅よりも大きい、すなわち平均幅よりも大きい長さを有する。第2後方領域104bの平均幅は車線110の幅よりも小さく、すなわち第1車線境界120と第2境界122との間の距離よりも小さい。一実施形態として、そして描かれているように、第2後方領域102bは外周を形成し、その外周PR2は湾曲していてもよく、描かれているように鐘形状であってもよい。第2後方領域104bの幅は、自動二輪車Mに最も近いところで最大となり、前から後の方向に向けて減少し、第2後方領域104bの最も後方に近いところで最小幅となる。他の実施形態では、第2後方領域104bの外周PR2は湾曲して放物線または他の湾曲を形成してもよい。他の実施形態では、第2後方領域104bは概して長方形形状を形成する。
【0039】
第1前方領域102aと第1後方領域104aの組み合わせは、横方向の近接領域100aを形成し、第2前方領域102bと第2後方領域104bの組み合わせは、長手方向の近接領域100bを形成する。
【0040】
一実施形態として、適応可能な近接領域100は、自動二輪車106の前端112および後端114(
図5における前端112および後端114にそれぞれ横向きの破線で示されている)に比較的近い長手方向の距離の間は、車線110の両方の横方向の端または境界122および124まで延びている。別の実施形態として、適応可能な近接領域110は、自動二輪車106の前端112および後端114に比較的近い長手方向の距離の間は、車線110の両方の横方向の端または境界122および124まで実質的に延びている。言い換えると、横方向近接領域100aの全部または一部は、自動二輪車106に直接的に横方向に隣接する車線110の領域において、第1車線境界120と第2車線境界122との間の全距離または実質的に全距離を横方向に延びている。
【0041】
一実施形態では、横方向近接領域100aを含む適応可能な近接範囲100は、第1車線境界122及び第2車線境界124を横方向に越えたり、その外側に延びたりすることはない。
【0042】
図6および
図7も参照すると、適応可能な近接領域100の形状およびサイズを含むパラメータをADAS130によって動的に適応および変化させて、その現在の車線110内の自動二輪車106の相対的な位置を考慮し、実施形態によっては、以下に説明するように、他の要因を考慮する。概して実施形態では、横方向の近接領域102aは、サイズおよび形状が大きくは変化せず、第1車線境界120から第2車線境界122まで横方向に延びる結果、横方向の近接領域102aの幅は、車線110内の自動二輪車106の位置とは無関係に、車線境界間の距離と同じかまたは実質的に同じであり、その長さが自動二輪車106の長さと同じか実質的に同じ、または近似する。
【0043】
逆に、適応可能な近接領域100の長手方向の構成要素、すなわち長手方向領域102b(長手方向に延びる第2前方領域102bおよび第2後方領域104b)は、ADAS130によって、自動二輪車106の移動経路軸Ptに沿って動的に調整される。そのため、自動二輪車106の位置が車線110内で横方向に移動すると、適応可能な近接領域100の長手方向領域102bも同様に、自動二輪車106の横方向の位置および移動経路軸Ptに追従して、車線110内で横方向に移動する。言い換えると、適応可能な近接領域100は、車線110内の自動二輪車106の横方向の位置に適応する。
【0044】
近接領域の全長にわたって車線の幅全体に横方向に広がる既知の近接領域とは異なり、適応可能な近接領域100は、運転者110の安全に関連すると考えられる車線110の領域をカスタマイズすることができる。自動二輪車は自動車に比べて比較的小さく、特に幅が狭いため、自動二輪車106の走行経路と一直線に並んでないかまたは近くにいない自動二輪車106に近接する特定の前方・後方領域は、あまり懸念されることはない。このため車線110のこれらの関連性の低い部分にある物体では、運転者への警告または自動二輪車106の自律的な運転介入が保証されない。車線110内かつ適応可能な近接領域100の外側にあるこのような領域には、前方左車線領域または「空間」160a、前方右車線領域または空間160b、後方左車線領域または空間160c、および前方右車線領域または空間160dが含まれる。
【0045】
車線110全体にわたって自動二輪車106の真左と真右にある領域は、概して運転者108に関連すると考えられる。なぜならば、車線110におけるどこであっても自動二輪車106のすぐ近くにある物体は、潜在的な安全上の危険をもたらすか、少なくとも運転者108が注意を払う必要があるためである。このため、適応可能な近接領域100は、変化する自動二輪車106の車線位置に動的に適応するため、一実施形態における適応可能な近接領域100の横方向領域102aは、サイズと形状とが比較的一定のままとなる。
【0046】
具体的に
図6を参照すると、自動二輪車106は、車線110の中央より左側側方に配置されている。自動二輪車106をこの左側の位置に配置することより、自動二輪車106の移動経路軸Ptは、車線110の中心線よりも左側にシフトしている。適応可能な近接領域100は、ADAS130によって位置の変化に適応され、主に長手方向領域102bを左側に調整して移動経路軸Ptを含むようにすることによって、車線110の関連領域を含むように動的に形が作り直される。
【0047】
図7を参照すると、自動二輪車106は、車線110の中央より右側側方に配置されている。自動二輪車106をこの右側の位置に配置することより、自動二輪車106の移動経路軸Ptは右にシフトしている。適応可能な近接領域100は、ADAS130によって位置の変化に適応され、主に長手方向領域102bを右に調整することによって、車線110の関連領域を含むように動的に形が作り直される。
【0048】
場合によっては、片方または両方の車線境界120、122が検出できないこともあり得る。これは例えば車線の塗料が摩耗していたり、車線マーカーが損傷していたり、検出できなかったりする場合に起こり得る。一実施形態として、車線境界120、122の一方または両方が検出不可能な場合、ADAS130は「デフォルト」の近接領域100を推定または実施することができる。そのような一実施形態では、ADASは対称的な近接領域を形成することのできる
図5の近接領域100を実施する。近接領域100は、車線境界120、122の情報が欠如しているために
図5のものにデフォルト設定されたとしても、
図12~
図16に関して以下に説明する特徴に基づいて再形成されてもよい。
【0049】
1つの車線境界が検出可能である場合の実施形態では、ADAS130は、
図6または7に従って近接領域100を実施することができる。そのような一実施形態では、ADAS130は、検出された1つの車線境界までの距離を所定の距離閾値未満として検出した場合、検出した距離に基づいて近接領域100を形成する。そのような一実施形態では、ADAS130は、自動二輪車106が左車線境界120に比較的近くにあるとして検出した場合、
図6のものと同様の近接領域100を形成して実施する。
【0050】
上記で簡単に説明したように、適応可能な近接領域100は、
図5~
図7に描かれている以外の形状および構成を備えてもよい。
図8~10を参照すると、車線110内の適応可能な領域100の代替実施形態が描かれている。
【0051】
特に
図8を参照すると、適応可能な近接領域100は、長方形の横方向領域102aと長方形の横方向領域102bとを備える。第1前方領域102a、第2前方領域102b、第1後方領域104a、および第2後方領域104bはすべて概して長方形である。
【0052】
図9を参照すると、適応可能な近接領域100は、長方形の横方向領域102aと、三角形の長手方向領域102bおよび104bとを備える。長方形の横方向領域102b。第1前方領域102a、第2前方領域102b、第1後方領域104aおよび第2後方領域104bはすべて概ね長方形である。
【0053】
図10を参照すると、適応可能な近接領域は、三角形の前方領域102と三角形の後方領域104とを備える。
【0054】
適応可能な近接領域100の実施形態は、
図5~10に関して上で示して説明した適応可能な近接領域100の様々な形状および構成を備え得るが、必ずしも示して説明したもののみに限定されない。
【0055】
図11~13を参照すると、適応可能な近接領域100は、自動二輪車106の速度、移動物体に対する自動二輪車106の速度、または車線110内もしくはその近傍の移動物体の速度に応じて、自動的に適応して変化することができる。
図11は、比較的遅い速度、例えば30mphに適応された適応可能な近接領域100を示している。
図12は、
図11の速度より大きい速度、例えば55mphに適応された適応可能な近接領域100を示している。そして
図13は、
図11および12の速度より速い速度、例えば70mphに適応された適応可能な近接領域100を示している。以下でさらに示し説明するように、速度が増加するにつれてADAS130は適応可能な近接領域100の長さを動的に増加させ、逆に速度が減少するにつれて、ADAS130は適応可能な近接領域100の長さを動的に減少させる。
【0056】
図11では、比較的低い速度に基づき、適応可能な近接領域100の全長はL
1でありこれは前方近接領域102の長さL
F1と後方近接領域104の長さL
R1との和である。
【0057】
図12では、
図11の自動二輪車106の速度より高い速度に基づいて、適応可能な近接領域100の全長はL
2であり、これは前方近接領域102の長さL
F2と後方近接領域104の長さL
R2との合計である。
【0058】
図13では、比較的速い速度に基づき、適応可能な近接領域100の全長はL
3であり、これは前方近接領域102の長さL
F3と後方近接領域104の長さL
R3との和である。
【0059】
図11~13から明らかなように、高速の長さL
3は、長さL
1およびL
2よりも大きく、中速の長さL
2は、低速の長さL
1よりも大きい。適応可能な近接領域100の長さを速度に基づいて動的に変更することにより、運転者108の安全性を向上させることができる。速度が上がるにつれて、より短い時間でより長い距離を移動することとなる。近接長の動的な適応性がなければ、運転者108が前方の衝突警告と、もしかしたら後方の衝突警告とに反応する時間が少なくなる可能性がある。近接長の動的な適応性があれば、運転者108には、衝突警告に反応するための同じような時間が提供され得る。
【0060】
さらに近接領域100は、衝突までの1以上の所定の時間に基づいて決定されてもよく、これには自動二輪車106の速度、車線110内または車線110付近の物体の速度、物体までの距離のうちの1以上に基づく計算が含まれてもよい。
【0061】
図14を参照すると、適応可能な近接領域100は、車線110を含む道路の湾曲に合うようにさらに適合されてもよい。前方近接領域102bおよび後方近接領域104bは、依然として横方向よりも長手方向に延在しているが、前方近接領域および後方近接領域のこの延在は、車線110の湾曲に一致する円弧に沿ったものとなっている。
【0062】
説明の便宜上、自動二輪車106は車線110の横方向中央の位置に描かれているが、自動二輪車106は車線110における側方に位置してもよく、ADAS130は車線の湾曲を考慮するだけでなく、上述のように近接領域100を適応させるために車線110における自動二輪車106の横方向位置も考慮することは理解されたい。
【0063】
描かれているように、第1車線境界120および第2車線境界122の各々は、それぞれの境界湾曲部を形成し、これは車線110の湾曲も形成している。第1車線境界120および第2車線境界122を撮像するカメラを含み得るセンサ134~140(
図4参照)からの入力に基づいて、ADAS130は適応可能な近接領域100を動的に決定および形成し、車線110の湾曲に追従または対応する。一実施形態では、ADAS130の制御ユニット132が車線境界の湾曲を決定または計算し、および/または自動二輪車106の予想される、非直線的な軌道、または湾曲した移動経路Ptを計算することができる。このように、湾曲した車線110に対して、ADAS130は適応可能な近接領域100を形成する。この近接領域100は車線110の湾曲はもちろん、車線110の湾曲を通る自動二輪車106の予想される湾曲した移動経路Ptも考慮し、または一致させる。一実施形態として、自動二輪車106の予想される湾曲した移動経路Ptは、車線110の湾曲とは異なっていてもよく、すなわち自動二輪車106は必ずしも車線110の正確な湾曲に追従するとは限らず、近接領域100は、自動二輪車106の予想される湾曲した移動経路Ptまたは予想される走行軌道、車線110の湾曲のいずれかまたは両方に基づいて決定することができる。
【0064】
一実施形態として、適応可能な近接領域100の横方向部分、例えば前方横方向領域102aおよび後方横方向領域104aは、大きさおよび形状が比較的一定のままであってもよいが、一方で適応可能な近接領域100の長手方向部分、例えば前方長手方向領域102bおよび後方長手方向領域104bの湾曲は、車線110の湾曲および/または自動二輪車106の湾曲した移動経路Ptに適合するように、つまり一致するように動的に調整される。
【0065】
さらに、自動二輪車106が湾曲した移動経路Ptを追従し、車線の湾曲に近接領域を動的に適合させる場合、ADAS130は、
図11~13に関して上述したように、自動二輪車106の速度に基づいて、前方および後方の近接領域102、104の円弧長を含む長さを調整することもできる。
【0066】
図15及び16を参照すると、一実施形態として、ADAS130は運転者108からの入力を受け入れるようになっており、適応可能な近接領域100を運転者が設定可能となるように、適応可能な近接領域100を手動で調整することができる。運転者110は、選択された適応可能な近接領域100のパラメータに基づいて、感度または追従距離を増減させるために設定を適宜変更することができる。このようなパラメータには、必ずしもこれらに限定されないが、前方近接領域102の長さL
Fまたは後方近接領域104の長さL
Rを含んでもよい。
【0067】
特に
図15を参照すると、ADAS130は、運転者108が複数の前方近接領域102のうちの1つを選択できるように構成されてもよい。このような機能はアダプティブクルーズコントロールシステムに組み込まれて、運転者108の好みに基づいて異なる追従距離を獲得することもできる。一実施形態として、描かれているように、3つの適応可能な前方の近接領域102-1、102-2、及び102-3が、運転者108の好みに基づいて、運転者108が選択して利用可能である。3つの領域102が描かれて説明されているが、3つより多いまたは3つより少ない近接領域が選択可能であってもよいことは理解されたい。前方の近接領域102-1は比較的近い追従距離に適合されてもよく、これは第1前方長さL
F1であってもよい。前方近接領域102-2は中間の追従距離に適合されてもよく、これは第2前方長さL
F2であってもよい。そして前方の近接領域102-3は比較的遠い追従距離に適合されてもよく、これは第3前方長さL
F3であってもよい。
【0068】
運転者108の選択に基づく選択可能な前方近接領域102の特徴は、前方衝突警告システムにも適用することができる。ここで、前方近接領域102を選択することで、運転者108に警告または警報を発するタイミング、または自動二輪車106の運転が自律制御されるタイミングを決定する。
【0069】
図16を参照すると、ADAS130は、運転者108が複数の後方近接領域104のうちの1つを選択することができるように同様に構成することができる。一実施形態として、描かれているように、3つの適応可能な近接領域104-1、104-2、及び104-3が、運転者108の好みに基づいて、運転者108が選択可能である。3つの領域104が描かれ説明されているが、3つよりも多いまたは3つより少ない近接領域が選択可能であってもよいことは理解されたい。後方近接領域104-1は比較的近い追従距離に適合され、これは第1後方長さL
R1であってもよい。前方近接領域104-2は中程度の追従距離に適合され、これは第2後方長さL
R2であってもよい。そして後方近接領域104-3は比較的遠い追従距離に適合され、これは第3後方長さL
R3であってもよい。
【0070】
運転者108の選択に基づく選択可能な後方近接領域102の特徴は、後方衝突警告システムに適用することができる。ここで、後方近接領域104を選択することで、運転者108に警告または警報を発するタイミング、または自動二輪車106の運転が自律制御されるタイミングを決定する。
【0071】
図17を参照すると、車線110内に一列に配置された4台の自動二輪車106が描かれている。各自動二輪車106は、適応可能な近接領域100を実装したADAS130を備えている(
図17には簡略化のため前方近接領域のみが描かれている)。適応可能な近接領域100を使用することにより、特にアダプティブクルーズコントロールまたは前方衝突警告システムとともに使用される場合、運転者108は、自動二輪車106を車線110内で安全かつ均一に離隔させることができる。
【0072】
図18を参照すると、従来の前方近接領域18を採用する従来のADASで車線110に配置された自動二輪車106が描かれている。従来のADASを使用することにより、自動二輪車106を一列に均等に離隔させることはできるが、その長方形形状は、各領域18の全長に沿って車線110の幅全体を満たし、以下にさらに説明するようなタイトな千鳥隊形で走行することを妨げてしまう。
【0073】
図19も参照すると、従来の前方近接領域18を備える従来のADASを使用して、車線110において千鳥配置で走行する4台の自動二輪車106a、106b、106cおよび106dが描かれている。千鳥隊形での走行、すなわち自動二輪車が車線左側、車線右側のパターンで交互に位置を変えて走行することは可能であるが、自動二輪車106の対の間の長手方向の距離は不必要に大きく、その結果として特に長い隊形となってしまう。例えば、左側車線に位置する第1自動二輪車106aと右側車線に位置する第2自動二輪車106bとの間の長手方向の距離はDa-bであり、これは従来の近接領域の前方長さよりもわずかに長い。さらに、第1自動二輪車106aと第3自動二輪車106cとの間の長手方向の距離はDa-cであり、これは従来の近接領域18の固有の特性により、Da-bの距離の約2倍である。
【0074】
対照的に、
図20を参照すると、適応型の前方近接領域102を有する適応型近接領域100を使用して車線110において千鳥配置で走行する自動二輪車106a、106b、106c、および106dは、よりタイトな千鳥配置(隊形)で安全に走行することができる。第1自動二輪車106aと第2自動二輪車106bとの間の長手方向の距離Da-bは比較的短く、従来の近接領域18(
図19)を使用した場合の第1自動二輪車106aと第2自動二輪車106bとの間の距離Da-bよりもかなり短い。さらに、第1自動二輪車106aと第3自動二輪車106cとの間の長手方向の距離Da-cも、従来の近接領域18を使用した場合の距離Da-cよりもかなり短い。描かれているように、前方近接領域102を有する適応型近接領域100を使用する自動二輪車106についての距離Da-cは、従来の近接領域18を使用する自動二輪車106について相当する距離の半分である。
【0075】
前方近接領域102をカスタマイズまたは適合させて、自動二輪車に最も関連する部分、例えば前方領域および自動二輪車の移動経路内の領域のみを含むようにし、安全性を損なうことなく利用可能なスペースを効率的に使用することが可能である。一実施形態として、描かれているように、一つの前方近接領域102の一部が、別の前方近接領域102の一部と重なってもよい。そのような一実施形態では、前方のまたは別の自動二輪車106の横方向近接領域100aが、自動二輪車106の後方の自動二輪車の長手方向領域100bと重なっていてもよい。例えば、描かれているように、自動二輪車106bの横方向近接領域100aは、自動二輪車106aの長手方向近接領域100bと重なっている。
図19も参照すると、一方の自動二輪車106(例えば自動二輪車106a)のADASは、近接領域18が重なる前に前方の自動二輪車106(例えば自動二輪車106b)を検出し、それによって比較的接近した隊列を形成するのを妨げるため、近接領域が重なる構成は、従来の近接領域18では不可能であった。
【0076】
図21を参照すると、適応可能な近接領域100を生成するようになっているADAS130をそれぞれ採用した4台の自動二輪車106a、106b、106c、および106dが、車線110において千鳥状に隊列を組んで走行している。この構成では、各自動二輪車106の各後方近接領域104が描かれている。
図20に描かれ上述した、重なり合う前方近接領域102と同様に、後方近接領域104もまた、千鳥隊列を含む特定の形態において重なり合うことが許容され得る。
【0077】
図22は、車線110を千鳥隊列で走行する4台の自動二輪車106の近接領域100全体を描いている。説明の便宜上、
図22は、前方近接領域102を描いた
図20のすべての側面と、後方近接領域104を描いた
図21のすべての側面とを組み合わせている。
図22から明らかなように、複数の自動二輪車106が接近した隊列で走行する場合、それぞれの近接領域100が相当重なることはあり得る。さらに、自動二輪車106の近接領域100は重なっているものの、どの自動二輪車106も別の自動二輪車の近接領域100の内側には入っていない。
【0078】
図23及び24を参照すると、アダプティブクルーズコントロール(ACC)や前方衝突警告などの前方関連ADASにおける適応可能な近接領域100の適用が描かれている。
【0079】
図23は、自動二輪車106が車線110内で自動車170に接近しすぎている、すなわち自動車170が前方近接領域102内にある様子を描いている。
図24は、自動二輪車106が、ADAS130によって決定されるように、最低限の安全距離、すなわち前方近接領域102の外側で自動車170に追従している様子を描いている。
【0080】
ADAS130の一部であり得るアダプティブクルーズコントロールシステムに対して前方近接領域102を適用することに関して、前方近接領域102を用いて許容可能な追従距離を形成することができる。一実施形態として、前方近接領域102の長さLFは、アダプティブクルーズコントロールシステムにとって許容可能な追従距離を形成する。アダプティブクルーズコントロールシステムを備えたADAS130は自動二輪車106の速度を調節し、自動車170などの乗物を前方近接領域102の外側に保持する適切な目標追従距離を維持する。
【0081】
前方衝突警告システムに関して、ADAS130は前方近接領域102を利用して前方衝突の警告または前方衝突回避を適用するための警告および/または介入閾値を形成するようになっている。
【0082】
上述して示した前方近接領域102、並びにその決定及び形成のための関連する方法及びシステムはADAS130に、又は、上述した特許及び特許公報に記載されたもの、並びに、以下の特許及び特許公報に記載されたものなど、前方衝突警報及びアダプティブクルーズコントロールシステムを含む既知のADASに組み込むことができ、これらは、その全体が参照により本明細書に援用される。2020年4月22日に公開された「Processing Unit and Processing Method for Front Recognition System, Front Recognition System, and Motorcyle」と題するEP3640918A1であり、出願人はRobert Bosch GmbHである。2019年5月31日に公開された「Leaning Vehicle」と題されるEP3800099A1であり、出願人はヤマハ発動機株式会社(磐田市)である。2020年4月9日に公開された「Method for Automatically Adjusting the Speed of a Motorcycle」と題するUS2020/0108830A1であり、出願人はRobert Bosch GmbHである。2017年10月31日に発行された「Approach Notification Device of Straddle Type Vehicle」と題するUS9,802,537であり、出願人は本田技研工業株式会社である。
【0083】
図25及び26を参照すると、後方衝突警告、後方交通接近、及び死角検知システムなどの後方関連のADASにおいて適応可能な近接領域100の適用が描かれている。
図25は、後方近接領域104に進入する自動車170を描いている。
図26は、自動二輪車106の車線110における後方にいるが、後方近接領域104内にはいない自動車170を描いている。
【0084】
ADAS130は、後方近接領域104に進入する自動車170などの後方車両を検出するようになっていてもよく、また乗物が自動二輪車106に急接近しているかどうかを検出するようになっていてもよい。後方に接近してきた自動車170が後方接近領域104で検出されると、ADAS130の機能が作動して運転者108に認識させるか、または衝突を回避するために自動二輪車106の特定の操作を自律的に制御することができる。
【0085】
一実施形態として、ADAS130は、接近してくる車両の速度に応答して、後方近接領域130のサイズおよび形状を動的に変更することができる。そのような一実施形態では、ADAS130は、運転者108により早く警告するため、または自動二輪車106の運転の自律介入を実施するための時間をより多く提供するために、長手方向近接領域104bの長さを増加させる。
【0086】
別の実施形態として、ADAS130は、後方近接領域102を利用して、車線110内の別の自動二輪車などの別の乗物を検出することを含むことができる。別の実施形態では、ADAS130は後方近接領域102を他の死角検知機能と組み合わせて使用して、隣接する車線内の乗物を検出することを含むことができる。
【0087】
上述して示した後方近接領域104ならびにその決定および形成のための関連する方法およびシステムは、ADAS130に組み込むことができ、また後方衝突警告、後方衝突回避、および死角検知システムを含む既知のADASに組み込むことができ、例えば、上記の特許および特許公報、ならびに以下の特許および特許公報に記載されたものなどは、その全体が参照により本明細書に援用される。2017年7月27日に公開されたWO2017/125190A1であり、出願人はRobert Bosch GmbHであり「Method for Detecting and Indicating an Object Which can be Foundally of a Two-Wheeled Vehicle in the Blind Spot of the View of the Operator」と題する。2019年10月1日に発行されたUS10,429,501であり「Motorcycle Blind Spot Detection System and Rear Collison Alert Using Mechanically Aligned Radar」と題され、出願人はContinental Automotive systems,Incである。2019年8月13日に発行されたUS10,377,308であり「Motorcycle with Device for Detecting a Vehicle Approaching from the Rear」と題され、出願人はDucati Motor Holding S.P.A.である。2019年6月6日に公開されたUS2019/0172354A1であり「Device for Warning a Two-Wheeler Driver of a Collision with Another Vehicle」と題され、出願人はHochschule fur Technik und Wirtschaft des Saarlandである。
【0088】
図27及び28を参照すると、適応可能な近接領域100、特に前方近接領域102及び後方近接領域104はより小さいサブ領域に分割されて、ADAS130アルゴリズムに対して、より解像度の高い介入オプションを提供することができる。
【0089】
特に
図27を参照すると、前方領域102を採用するADAS130を備えた自動二輪車106が車線110の中央に描かれている。上述したように、前方近接領域102は、アダプティブクルーズコントロール、前方衝突警報および前方衝突介入システムに適用可能であってもよい。前方近接領域102は、複数の前方近接サブ領域を含み、これは実施形態では、3つの前方近接サブ領域である、第1前方近接サブ領域180、第2前方近接サブ領域182、および第3前方近接サブ領域184を備える。前方近接領域102は、この実施形態では3つのサブ領域として描かれ説明されているが、前方近接領域102は、3つよりも多いかまたは少ないサブ領域を備えてもよいことは理解されたい。
【0090】
各サブ領域は、特定のアクションまたは閾値と関連付けられてもよい。一実施形態では、前方近接サブ領域180は「レベル1」のサブ領域とみなすことができ、アダプティブクルーズの設定速度を下げるなどの第1またはレベル1のアクション(動作)と関連付けられてもよい。第1前方近接サブ領域180に関連する第1アクションは、点滅ライト、可聴警告、もしくは触覚警告などの運転者警告または運転者警報を必要に応じて含むことができる。第1前方近接サブ領域180は、長手方向が最も長いため、サブ領域180に進入した物体は、サブ領域182および184と比較して自動二輪車106から遠くなるため、レベル1の動作は、サブ領域182および184に関連する動作よりも厳密でなくてもよい。
【0091】
第2前方近接サブ領域182は「レベル2」のサブ領域とみなされ、自動二輪車106の速度を下げるようにスロットルを切ったり操作したりするような、第2またはレベル2の動作と関連付けられ得る。このレベル2の動作は、巡航速度を下げるなどのレベル1の動作に比べて、いくらかより厳密であるか煩わしいものになると考えられる。より厳しい警告または警報、例えば、より高速のフラッシュ速度、より大きな音、より激しい振動などを含む警告または警報も、レベル2の動作の一部として実装できる。第2前方近接サブ領域182は、第1サブ領域180の長さよりも短い長手方向長さを有するため、第2サブ領域182内の物体は、第1前方近接サブ領域180内の物体と比較して自動二輪車106に近く、その結果、運転者108に対する危険がより切迫しており、より思い切った動作が是認される。
【0092】
第3前方近接サブ領域184は「レベル3」のサブ領域とみなすことができ、衝突の危険性または激しさを低減するために、能動的な警告を提供したりブレーキをかけて自動二輪車106を素早く減速させたりするなどの、第3またはレベル3の動作と関連付けられてもよい。このレベル3の動作は、レベル1またはレベル2の動作と比較して、最も厳密または煩わしいものであると考えられる。第3前方近接サブ領域184は、第1サブ領域180および第2サブ領域182のものよりも短い長手方向長さを有し、第3サブ領域184内の物体は、第1前方近接サブ領域180または第2前方近接サブ領域182内の物体と比較して自動二輪車106に近い。
【0093】
図28を参照すると、ADAS130を備えた自動二輪車106が示されている。ADAS130は、後方近接サブ領域190と、後方近接サブ領域192と、後方近接サブ領域194とを含む複数の後方近接サブ領域を有する後方近接領域104を採用している。ADAS130は、
図28に関して上に示して述べたように、複数の前方サブ領域とともに、または複数の前方サブ領域なしで、複数の後方近接サブ領域を採用することができる。
【0094】
複数の後方近接サブ領域を有する後方近接領域104の使用は、後方衝突警告または後方交通接近警告のためにADAS130によって採用され得る。
【0095】
後方近接サブ領域は、
図27に関して上述した前方近接サブ領域と同様に形成され使用される。
【0096】
上述したような、適応可能な近接領域110を決定し形成すること、ならびに自動二輪車106を運転することに関する様々な特徴、システム、および方法は、ADAS130の一部であってもよいし、ADAS130に組み込まれてもよい。
図29を参照すると、ある特定の実施形態では、適応可能な近接領域110を動的に決定することを含む、自動二輪車106の運転方法200が描かれている。一実施形態では、方法200のステップは、メモリ148(
図4も参照)の非一時的(non-transitory)な実施形態に含むADAS130にコンピュータ読み取り可能な命令として格納され得る。
【0097】
ステップ202では、センサ134~140を用いて車線境界120および/または車線境界122に関連する情報またはデータが取得される。上述したように、このような情報は、カメラ、レーダー、ライダーなどを含む様々な感知・検知装置およびシステムによって取得され得る。
【0098】
ステップ204では、車線境界120および/または車線境界122に関して得られた情報またはデータを用いて、車線110における自動二輪車106の横方向位置を決定する。一実施形態では、プロセッサ146は、車線110内の自動二輪車106の横方向の位置を決定するようになっている。
【0099】
ステップ206では、車線110における自動二輪車106の決定された横方向の位置に少なくとも部分的に基づいて、適応可能な近接領域100が決定される。適応可能な近接領域100のサイズや形状などの特性は、
図1~28に関して上述したステップや、
図30に関して後述するステップに基づいて決定することができる。
【0100】
ステップ208では、自動二輪車106の横方向の車線位置が変化したかどうかが判定(決定)される。一実施形態では、ADAS130は、横方向の位置に変化が生じたか否かを判定する。横方向の位置が変化したかどうかを判定することには、自動二輪車106の第1横方向の位置すなわち前の横方向の位置と、自動二輪車106の第2横方向の位置すなわち後の横方向の位置とを比較することを含んでもよい。
【0101】
ステップ208で、自動二輪車106の横方向の位置に変化が生じていないと判定された場合、ステップ210で、現在の適応可能な近接領域100は維持される。
【0102】
ステップ208で、自動二輪車106の横方向の位置に変化が生じたと判定された場合、適応可能な近接領域100はその後、車線110における自動二輪車106の最新のまたは新しい横方向の位置に基づいて再形成される。
【0103】
一実施形態では、ADAS130は、適応可能な近接領域100を頻繁に再形成するために、車線110における自動二輪車106の横方向の車線位置を繰り返しチェックする。一実施形態では、車線110における自動二輪車106の横方向の車線位置は、時間関数を用いて定期的に決定される。ステップ214で、所定の期間が経過していれば、その後、ステップ202で新たな車線境界情報を取得して、処理を新たに開始する。ステップ214でその期間が経過していなければ、ステップ212で現在の適応可能な近接領域100が維持される。
【0104】
図30を参照すると、適応可能な近接領域100を形成する方法206の一実施形態が描かれている。この適応可能な近接領域100は、前方横方向領域102aと前方長手方向領域104aとを有する前方近接領域102を有し、後方横方向領域104aと後方長手方向領域104bとを有する後方近接領域104を有する。
【0105】
ステップ222で、第1車線境界120と第2車線境界122との間の距離が決定される。
【0106】
ステップ224では、自動二輪車106の移動経路、すなわち前方軌道が決定される。当該移動経路は、センサ134~140によって提供されるデータおよび情報を含むADAS130によって受信される様々な入力に基づいて推定され得る。自動二輪車106が車線110内を横方向に移動すると、自動二輪車106の走行経路が変化する。
【0107】
ステップ226では、適応可能な近接領域100の側方近接領域102の幅が、前方横方向領域102aおよび後方横方向領域104aの幅を含めて、第1車線境界120と第2車線境界122との間の距離に実質的に等しくなるように形成される。
【0108】
ステップ228では、自動二輪車106の速度、運転者108の好みの入力、検知された物体または車両の近接など、
図1~28に関して上述したような1以上の要因に基づいて、適応可能な近接領域102の前方長さが形成される。
【0109】
ステップ230では、決定または推定された自動二輪車106の前方の走行(移動)経路に基づいて、第1車線境界120と第2車線境界122との間の長手方向前方領域102の相対位置が形成される。一実施形態として、上述したように、長手方向前方領域102は、自動二輪車106の前方移動経路の部分を含む。また上述したように、自動二輪車106が車線110内を横方向に移動すると、自動二輪車106の走行経路が変化し、その結果、長手方向の前方領域102の相対位置が、自動二輪車106の走行経路を追従するように必要に応じて横方向にシフトする。
【0110】
ステップ232では、前方および後方の長手方向領域102bおよび102aの幅が、横方向近接領域102の幅および第1車線境界120と第2車線境界122との間の距離よりも小さくなるように形成され、それによって、適応可能な近接領域100から、前方および後方の長手方向領域102bおよび104bに隣接する車線110の側方部分を除外する。上述したように、車線110のこのような側方部分および隣接部分を除外すること、すなわち、空間160を残すことにより、複数の自動二輪車106が、他の方法では利用できない領域に進入し、よりタイトで接近した千鳥隊形で走行できるようにしている。
【0111】
ステップ234で、ステップ222~232の観点から前方近接領域102と後方近接領域104の外周が形成され、それにより適応可能な近接領域100の形状とサイズを形成している。
【0112】
本開示の実施形態はまた、プロセッサ146によって実行可能であり、かつ、
図29および30の方法を含む上述の方法をプロセッサに実行させる命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体も含む。
【0113】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(参照により援用される参考文献、添付のクレーム、要約および図面を含む)に開示される特徴の新規なもの、または新規な組み合わせ、あるいはそのように開示される方法またはプロセスのステップの新規なもの、または新規な組み合わせに及ぶ。本願のすべてのセクションにおける上記の参考文献は、すべての目的のためにその全体が参考文献として本明細書に援用される。
【0114】
本発明の前述の特定の実施形態を示して説明してきたが、本明細書の教示に基づいて、本発明およびその広範な側面から逸脱することなく変更および修正がなされ得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内にあるようなすべての変更および修正をそれらの範囲内に包含するものである。導入された請求項の要素に特定の数が意図される場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような限定は存在しないことは当業者によって理解されるであろう。非限定的な例として、理解の一助として、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の要素を導入するために「少なくとも1つ」および「1以上」という前置きの語句が使用されている。しかしながら、このような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項要素の導入が、そのような導入された請求項の要素を含む特定の請求項を、そのような要素を1つだけ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じ請求項が導入語句「1以上」または「少なくとも1つ」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、定冠詞の請求項における使用についても同様である。
【0115】
上記の特許および特許公報はすべて、そこに含まれる明示的な定義および特許請求の範囲を除き、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に援用される。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車の運転方法であって、
自動二輪車のセンサを使用して車線境界情報を取得するステップを備え、車線境界情報は、道路の車線を形成する1以上の車線境界に関するものであり、
取得した車線境界情報に基づいて、道路の車線内の自動二輪車の第1横方向位置を決定するステップを備え、
車線内の自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するステップを備え、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、かつ、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
道路の車線内の自動二輪車の第2横方向位置を決定するステップを備え、車線内における自動二輪車の第2横方向位置が、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置とは異なっており、
第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するステップを備え、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域は車線の第1領域とは異なっており、それによって適応可能な近接領域を車線内の自動二輪車の横方向位置の変化に適応させる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、自動二輪車の速度に基づいて第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、自動二輪車によって受信される、運転者が選択可能な入力に基づいて、第1近接領域サイズを変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項4】
請求項1
、2又は3に記載の方法であって、第1近接領域が、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含
み、横方向近接領域の横幅が長手方向領域の横幅よりも大きく、長手方向近接領域の長手方向長さが横方向近接領域の長手方向長さよりも大きい、方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の方法であって、長手方向領域の横幅が、道路の車線の横幅よりも小さい、方法。
【請求項6】
請求項
4に記載の方法であって、長手方向近接領域が、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第1移動経路に沿って延びている、方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の方法であって、第2近接領域の長手方向近接領域が、自動二輪車の長手方向かつ前方に延びる自動二輪車の第2移動経路に沿って延び、第2移動経路が第1移動経路から横方向にずれている、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、道路の車線の湾曲に基づいて第2近接領域形状を変更するステップをさらに備える、方法。
【請求項9】
請求項
4に記載の方法であって、横方向近接領域が、前方横方向近接領域と後方横方向近接領域とを含む、方法。
【請求項10】
自動二輪車用の先進運転支援システム(ADAS)であって、
道路の車線の境界を検出するための第1センサを備え、
インターフェースを介して第1センサと通信する制御ユニットを備え、制御ユニットはプロセッサと、プロセッサによって読み取り可能な命令を格納するメモリ装置とを含み、
制御ユニットと電気的に通信する警告装置を備え、
プロセッサは、
道路の車線の境界に関する情報を第1センサから受信するようになっており、
第1センサからの情報に少なくとも部分的に基づいて、車線内の自動二輪車の横方向位置を決定するようになっており、
車線内の自動二輪車の第1横方向位置によって少なくとも部分的に形成される第1近接領域を含む適応可能な近接領域を形成するようになっており、第1近接領域は、自動二輪車に近接する車線の第1領域を形成し、かつ、第1近接領域形状と第1近接領域サイズとを有し、
道路の車線内における自動二輪車の第2横方向位置を決定するようになっており、車線内の自動二輪車の第2横方向位置が、道路の車線内における自動二輪車の第1横方向位置と異なっており、
第1横方向位置から第2横方向位置への自動二輪車の位置の変化に基づいて、第2近接領域を含むように適応可能な近接領域を再形成するようになっており、第2近接領域は、第2近接領域形状と第2近接領域サイズとを有する車線の第2領域を形成し、車線の第2領域が車線の第1領域とは異なり、それによって、適応可能な近接領域を車線内の自動二輪車の横方向位置における変化に適応させている、先進運転支援システム。
【請求項11】
請求項
10に記載のADASであって、レーダーシステムまたはライダーシステムを備える第2センサをさらに備え
、第1センサがカメラシステムを備える、ADAS。
【請求項12】
請求項
10又は11に記載のADASであって、プロセッサがさらに、自動二輪車の速度に基づいて
、あるいは自動二輪車によって受信される、運転者が選択可能な入力に基づいて、第1近接領域サイズを変更するようになっている、ADAS。
【請求項13】
請求項
10又は11に記載のADASであって、プロセッサがさらに、横方向近接領域と長手方向近接領域とを含むように第1近接領域を形成するようになっている、ADAS。
【請求項14】
請求項
13に記載のADASであって、プロセッサがさらに、横方向近接領域の横幅を長手方向領域の横幅よりも大きく、かつ、長手方向近接領域の長手方向長さを横方向近接領域の長手方向長さよりも大きく形成するようになっている、ADAS。
【請求項15】
自動二輪車であって、前輪、後輪、フレーム、エンジン、および請求項
10に記載のADASを含む、自動二輪車。
【国際調査報告】