(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】フェネチルアミン及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 255/58 20060101AFI20250128BHJP
C07D 239/26 20060101ALI20250128BHJP
C07D 261/08 20060101ALI20250128BHJP
C07D 263/32 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/36 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/421 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/34 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20250128BHJP
C07D 317/58 20060101ALI20250128BHJP
C07D 333/20 20060101ALI20250128BHJP
C07D 333/28 20060101ALI20250128BHJP
C07D 333/54 20060101ALI20250128BHJP
C07D 235/06 20060101ALI20250128BHJP
C07D 307/79 20060101ALI20250128BHJP
C07D 307/82 20060101ALI20250128BHJP
C07D 209/08 20060101ALI20250128BHJP
A61K 31/277 20060101ALI20250128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20250128BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20250128BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20250128BHJP
C07C 323/32 20060101ALI20250128BHJP
C07C 217/48 20060101ALI20250128BHJP
C07C 215/28 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C07C255/58
C07D239/26 CSP
C07D261/08
C07D263/32
A61K31/343
A61K31/36
A61K31/381
A61K31/4184
A61K31/42
A61K31/421
A61K31/505
A61K31/4045
A61P25/00
A61P25/04
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/34
A61P25/32
A61P25/30
C07D317/58
C07D333/20
C07D333/28
C07D333/54
C07D235/06
C07D307/79
C07D307/82
C07D209/08
A61K31/277
A61P29/00
A61P1/00
A61P13/02
A61P9/12
A61P9/00
A61P9/10
C07C323/32
C07C217/48
C07C215/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540591
(86)(22)【出願日】2023-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 CA2023050003
(87)【国際公開番号】W WO2023130181
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523444187
【氏名又は名称】ブライト マインズ バイオサイエンスィズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110004381
【氏名又は名称】弁理士法人ITOH
(72)【発明者】
【氏名】コジカウスキー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】テュックマンテル,ワーナー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BA05
4C086BA06
4C086BA13
4C086BB02
4C086BB03
4C086BC13
4C086BC39
4C086BC42
4C086BC67
4C086BC69
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB11
4C086ZC41
4C086ZC61
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206HA11
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206ZA01
4C206ZA08
4C206ZA12
4C206ZA18
4C206ZA36
4C206ZA42
4C206ZA66
4C206ZA81
4C206ZB11
4C206ZC41
4C206ZC61
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BN30
4H006BP30
4H006BU32
4H006TA04
(57)【要約】
本開示は、5-HT
2A受容体アゴニスト活性を呈し及び、5-HT
2B受容体アゴニスト活性が低いか又は、5-HT
2B受容体アゴニストが不活性とみなされる、式Iとして表される化合物に関する。少なくともある場合、当該化合物は、5-HT
2C受容体よりも5-HT
2A受容体に選択性を示す。本明細書で意図されるように、フェネチルアミンは、うつ病、薬物(例えば、タバコ、アヘン及びコカイン)依存症、アルコール依存症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)並びに群発頭痛及び化学療法誘発性末梢神経障害を含む神経障害性疼痛症候群を含む、神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患の治療のために用いられうる。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】
(式中、
R
1は、(i)R
2及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は、(ii)R
2とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成し;又は、(iii)bとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する;
R
2は、(i)R
1及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)R
1とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する;
R
3は、(i)R
1及びR
2が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)Zとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する;ここで、
R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、R
9、OR
9、SR
9、S(O)R
9、S(O)
2R
9、N(R
9)C(O)R
9、N(R
9)C(O)OR
9、N(R
9)C(O)N(H)R
9、N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、N(R
9)S(O)
2R
9、CH
2OR
9、CH
2SR
9、CH
2S(O)R
9、CH
2S(O)
2R
9、CH
2N(R
9)C(O)R
9、CH
2N(R
9)C(O)OR
9、CH
2N(R
9)C(O)N(H)R
9、CH
2N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2N(R
9)S(O)
2R
9、CH=NOR
9、C(C
1~C
6アルキル)=NOR
9、C(O)OR
9、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2C(O)OR
9、CH
2C(O)N(H)R
9、CH
2C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CN及びハロゲンからなる群より選択され、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの第二番目の1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンであり、かつ、残りのR
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンである;
あるいは、R
4及びR
5がともにアルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3及びハロゲンからなる群より選択される;
あるいは、R
4及びbがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される;
あるいは、R
4及びcがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される;ここで、
Xは、CN、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、C(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル)、CHF
2、CF
3、OH、O(C
1~C
6アルキル)、OCHF
2、OCF
3、S(C
1~C
6アルキル)、SCF
3、SCHF
2、F、Cl、アリール及びヘテロアリールからなる群より一般に選択される;
Yは、H、CH
3、C(O)R
9、CH
2OC(O)R
9及びC(O)OR
9からなる群より選択される;
Zは、(i)H、C
1~C
10アルキル、置換されたC
1~C
10アルキル、C
1~C
10ヘテロアルキル、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10ヘテロアルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8アルキル)、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C
4~C
6ヘテロシクリル、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8アルキル)、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、アリール(C
1~C
8アルキル)、アリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C(O)R
9、C(O)OR
9、CH
2OC(O)R
9、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9及びC(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル);又は(ii)R
3とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、あるいはヘテロアルケンジイル部分を形成する;
ここで、a、b及びcのうちの2つは各々独立して、H、CH
3及びC
2H
5からなる群より選択され;a、b及びcのうちの第三番目はHであるが、c及びR
4がともに、アルカンジイル、アルケンジイル、あるいはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、a及びbは各々独立して、H又はCH
3から選択され;かつ、
ここで、R
9は各々独立して存在し、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヘテロアルキル、置換されたC
1~C
6アルキル、置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ヘテロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、C
3~C
6ヘテロシクリル、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6アルキル)、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、アリール、アリール(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)からなる群より選択される)
で表される化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項2】
(i)Xは、CN、OH、O(C
1~C
6アルキル)、OCHF
2、OCF
3、S(C
1~C
6アルキル)、SCF
3、SCHF
2、F、Cl、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され;かつ、
(ii)Zは、H及びC
1~C
10アルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Xが、CN、OH、OCH
3、F、Cl、CF
3、SCH
3、オキサゾール、ピリミジン及びイソオキサゾールからなる群より選択される、請求項2に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
4が、H、F、Cl、OH、OR
9及びSCH
3からなる群より選択される、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項5】
(i)XはCNであり;(ii)ZはH又はCH
3であり;かつ、(iii)R
4はSCH
3である、請求項4に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項6】
R
1、R
2、R
3、a、b、y、c、R
5、R
6、R
7及びR
8がHである、請求項5に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項7】
化合物が以下の構造:
【化2】
である、請求項5に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項8】
(i)XはCF
3であり;(ii)ZはCH
3であり;そして(iii)R
8はOHである、請求項4に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項9】
R
1、R
2、R
3、a、b、y、c、R
4、R
5、R
6及びR
7がHである、請求項8に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項10】
化合物が以下の構造:
【化3】
である、請求項8に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R
4及びcがともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R
4及びR
5がともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項13】
ヘテロアルカンジイル部分が、NHCH
2CH
2、NHCH
2NH及びSCH
2CH
2からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項14】
R
5が、OR
9及びF、Clからなる群より選択される、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R
9がC
1~C
6アルキルである、請求項14に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項16】
R
5及びR
4がともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項17】
ヘテロアルカンジイル部分がOCH
2CH
2又はOCH
2Oである、請求項16に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項18】
R
6が、H、F、Cl及びOR
9からなる群より選択される、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項19】
R
8が、H、F、Cl、OH、OR
9及びSCH
3からなる群より選択される、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項20】
(i)XはCNであり;(ii)ZはH又はCH
3であり;そして(iii)R
8はSCH
3である、請求項19に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項21】
(i)XはCF
3であり;(ii)ZはCH
3であり;そして(iii)R
4はOHである、請求項19に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項22】
R
8及びcがともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項23】
R
8及びR
7がともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項24】
ヘテロアルカンジイル部分が、NHCH
2CH
2、NHCH
2NH及びSCH
2CH
2からなる群より選択される、請求項23に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項25】
R
7が、OR
9及びF、Clからなる群より選択される、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項26】
R
9がC
1~C
6アルキルである、請求項25に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項27】
R
7及びR
8がともにヘテロアルカンジイル部分を形成する、請求項2又は3に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項28】
ヘテロアルカンジイル部分がOCH
2CH
2又はOCH
2Oである、請求項27に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩。
【請求項29】
神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患の治療のための、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項30】
神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患の治療における医薬としての、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項31】
神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患の治療のための医薬の製造における、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項32】
神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患が、うつ病、薬物(例えば、タバコ、アヘン及びコカイン)依存症、アルコール依存症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)並びに群発頭痛及び化学療法誘発末梢神経障害を含む神経障害性疼痛症候群を含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
動物における強迫性障害、不安障害、恐怖障害及び攻撃性の治療のための、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項34】
動物が、イヌ、ネコ、ブタ、マウス及びラットよりなる群から選択される、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
動物の尿管収縮を誘導するための、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の使用。
【請求項36】
動物が、イヌ、ネコ、ブタ、マウス及びラットよりなる群から選択される、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、患者における神経精神疾患、神経変性疾患、神経炎症疾患及び疼痛疾患を治療するための方法。
【請求項38】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、患者における高血圧、低血圧、心血管疾患、脳卒中及び脳卒中回復等の血管障害を治療するための方法。
【請求項39】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、患者における循環血小板細胞によって媒介される炎症を調節するための方法。
【請求項40】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、患者における腸の運動性を調節するための方法。
【請求項41】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、動物における尿管収縮を誘導するための方法。
【請求項42】
請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩の有効量投与することを含む、動物における強迫性障害、不安障害、恐怖障害及び攻撃性を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、フェネチルアミン及びその調製方法に関する。本開示はまた、セロトニン受容体における選択的薬剤としてのフェネチルアミンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]シロシビンは、「シロシビンキノコ」として集合的に知られる200種を超えるキノコによって産生される天然に存在する幻覚作用のある化合物である。プロドラックとして、シロシビンは、身体で迅速に代謝されて、生理活性化合物であるプシロシンを生成するが、これには、リゼルギン酸ジエチルアミド(LSD)、メスカリン及びN,N-ジメチルトリプタミン(DMT)等の他の幻覚剤によって産生されるものとは異なる精神作用効果がある。当該効果としては、とりわけ、多幸感、視覚的及び精神的幻覚、知覚の変化、時間の感覚のゆがみ及び精神的経験があげられ、悪心及びパニック発作等が起こり得る有害反応も含まれ得る。参考のために、プシロシンの化学構造を本明細書の
図1に提供する。
【0003】
[0003]5-HT2A及び5-HT2C受容体のアゴニストとして、シロシビン及びプシロシンは、その治療可能性が認識されている。5-HT2A受容体が活性化されると自発運動が高められるようであるが、5-HT2C受容体が活性化されると自発運動が低下するようであるので、5-HT2A及び5-HT2C活性の程度が様々である化合物は、様々なレベルの幻覚作用活性を示す(非特許文献1)。シロシビンは、他の幻覚作用薬物と共に、Hofmann及び彼の共同研究者によって60年以上前に探求された(例えば、特許文献1及び2を参照)が、当該薬物の研究者らによる臨床試験は、1970年代初期までに、特に、当該薬物が米国における規制薬物法のスケジュール1に配置された後に、実質的に衰退した。しかしながら、特定の管轄区域における規制物質としてのそれらのリストにもかかわらず、シロシビン及び他の幻覚作用薬物の研究は完全には停止されておらず、最近の臨床研究では、中枢神経系(CNS)疾患の治療等の発展中の医療分野において幻覚作用薬物(シロシビンを含む)の潜在的な適用が新たな関心となっている。CNS疾患は、治療が困難な精神衛生障害(非特許文献2)、例えば治療抵抗性うつ病又は薬物抵抗性うつ病及び群発頭痛等の神経障害等の症状を誘発する場合がある。
【0004】
[0004]シロシビンは、ある種のCNS疾患及び障害を治療するための治療可能性が認められているが、5-HT2B受容体アゴニストとしても認められており、これは、シロシビンが心臓毒性活性を示すことを意味する。したがって、少なくとも心臓毒性5-HT2Bアゴニスト活性がない、より安全な薬物に対する需要がある。さらに、少なくともある例では、5-HT2A受容体アゴニスト活性を維持するが、心臓毒性5-HT2Bアゴニスト活性がない、より安全な薬物に対する需要がある。
【0005】
[0005]近年、様々な5-HT2A選択的であるN-置換フェネチルアミンが同定されている。特に、25CN-NBOH及びそれに緊密に関連する類似体が、5-HT2C受容体よりも5-HT2A受容体に選択性を示し、したがって、より強い幻覚作用活性を示す(非特許文献3を参照)。しかしながら、これらの化合物には潜在的な欠点がないわけではない。第一に、このフェネチルアミンクラスのある化合物は、反応性ベンゾキノン代謝産物を生成し得るが、当該化合物から1つのメトキシ基を除去すると、5-HT2A選択性は保持されるものの、このような代謝産物の生成が低下する場合があることが見出されている。第二に、このフェネチルアミンクラスのある化合物は、ヒトに対して毒性が極めて強く、特に心拍停止を引き起こすことが示されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第三,075,992号明細書
【特許文献2】米国特許第三,078,214号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Halberstadt AL,van der Heijden I,Ruderman MA,Risbrough VB,Gingrich JA.Geyer MA,Powell SB,NeuropsychopHarmacology,2009,34(8):1958-67
【非特許文献2】Daniel J,Haberman M.Clinical potential of psilocybin as a treatment for mental health conditions.Ment.Health Clin.2017,7(1),24-8
【非特許文献3】Synthesis and structure-activity relationships of N-benzyl pHenethylamines as 5-HT2A/2C agonists.Hansen M,PHonekeo K,Paine JS,Leth-Petersen S,Begtrup M,Braeuner-Osborne H,Kristensen JL.ACS Chem Neurosci.2014 Mar 19;5(3):243-9.doi: 10.1021/cn400216u
【非特許文献4】Zawilska JB,Kacela M,Adamowicz P,Front.Neurosci.2020;14:78
【発明の概要】
【0008】
[0006]本開示は、5-HT2A受容体アゴニスト活性を呈し及び、5-HT2B受容体アゴニスト活性が低いか又は、5-HT2B受容体アゴニストが不活性とみなされる、フェネチルアミンクラスの分子に属する化合物に関する。少なくともある場合、当該化合物は、5-HT2C受容体よりも5-HT2A受容体に選択性を示す。本明細書に開示される化合物は、大うつ病性障害、薬剤耐性うつ病及び精神病性うつ病を含むうつ病、アルコール依存症、タバコ依存症、コカイン依存症及びオピオイド依存症を含む依存症、神経障害性疼痛、化学療法関連神経障害による疼痛、幻肢痛及び線維筋痛症を含む疼痛徴候、炎症(慢性及び急性を含む)、食欲不振を含む摂食障害、自閉症、群発性頭痛、片頭痛、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病認知症及びレビー小体認知症を含む認知症、心的外傷後ストレス障害、がん関連の精神的苦痛、脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、双極性疾患、強迫性障害、レット症候群、並びに他のCNS障害の治療に有用であり得る。
【0009】
[0007]本開示の部分では、以下の式I:
【0010】
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R4、R5、R6、R7、R8、X、Y、Z、a、b及びcは本明細書で定義されるとおりである)
で表される化学物質又はその同位体置換体若しくは薬学的に許容される塩である。
【0011】
[0008]本開示の他の態様では、式1:
【0012】
【化2】
で表される化合物又はその同位体若しくは薬学的に許容される塩であって、式中、
(a)R
1は:(i)R
2及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は、(ii)R
2とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成し;又は、(iii)bとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する;
(b)R
2は、(i)R
1及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)R
1とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する;
(c)R
3は、(i)R
1及びR
2が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)Zとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する。
[0009]R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、R
9、OR
9、SR
9、S(O)R
9、S(O)
2R
9、N(R
9)C(O)R
9、N(R
9)C(O)OR
9、N(R
9)C(O)N(H)R
9、N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、N(R
9)S(O)
2R
9、CH
2OR
9、CH
2SR
9、CH
2S(O)R
9、CH
2S(O)
2R
9、CH
2N(R
9)C(O)R
9、CH
2N(R
9)C(O)OR
9、CH
2N(R
9)C(O)N(H)R
9、CH
2N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2N(R
9)S(O)
2R
9、CH=NOR
9、C(C
1~C
6アルキル)=NOR
9、C(O)OR
9、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2C(O)OR
9、CH
2C(O)N(H)R
9、CH
2C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CN及びハロゲンからなる群より選択され、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの第二番目の1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンであり、かつ、残りのR
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンである。
もし、R
4及びR
5がともにアルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3及びハロゲンからなる群より選択される。
もし、R
4及びbがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される。
もし、R
4及びcがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される。
[0010]Xは、CN、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、C(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル)、CHF
2、CF
3、OH、O(C
1~C
6アルキル)、OCHF
2、OCF
3、S(C
1~C
6アルキル)、SCF
3、SCHF
2、F、Cl、アリール及びヘテロアリールからなる群より一般に選択される。
Yは、H、CH
3、C(O)R
9、CH
2OC(O)R
9及びC(O)OR
9からなる群より選択される。
Zは、(i)H、C
1~C
10アルキル、置換されたC
1~C
10アルキル、C
1~C
10ヘテロアルキル、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10ヘテロアルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8アルキル)、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C
4~C
6ヘテロシクリル、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8アルキル)、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、アリール(C
1~C
8アルキル)、アリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C(O)R
9、C(O)OR
9、CH
2OC(O)R
9、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9及びC(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル);又は(ii)R
3とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、あるいはヘテロアルケンジイル部分を形成する。
[0011]a、b及びcのうちの2つは各々独立して、H、CH
3及びC
2H
5からなる群より選択され;a、b及びcのうちの第三番目はHであるが、c及びR
4がともに、アルカンジイル、アルケンジイル、あるいはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、a及びbは各々独立して、H又はCH
3から選択される。
[0012]R
9は各々独立して存在してよく、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヘテロアルキル、置換されたC
1~C
6アルキル、置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ヘテロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、C
3~C
6ヘテロシクリル、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6アルキル)、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、アリール、アリール(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)からなる群より選択される。
【0013】
[0013]本明細書に開示される式Iの化学物質は、5-HT2Aサブタイプ選択的受容体アゴニストである。式Iの化学物質、並びにそのアイソトポログ及び薬学的に許容される組成物は、5-HT2A受容体アゴニズムに関連する様々な疾患及び障害を治療するのに有用であると考えられる。そのような疾患及び障害には、本明細書に記載されるものが含まれる。
[0014]この概要は、必ずしも本開示のすべての態様の範囲全体を説明するものではない。他の態様、特徴及び利点は、特定の実施形態の以下の説明を検討することにより当業者には明らかになるであろう。
[0015]添付の図面は、1つ以上の実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】[0018]マウスに投与された化合物109(本明細書に記載される)のHTR対用量を示すグラフである。
【
図4】[0019]マウスに投与された化合物109(本明細書に記載される)の用量(mg/kg)当たりの経時的なHTRを示すグラフである。
【
図5】[0020]化合物109(本明細書に記載される)の腹腔内用量に応答した、自発運動試験におけるラット被験体の水平活動及び垂直活動を示すグラフである。
【
図6】[0021]式Iの化学構造を備える化合物の合成スキームを示す。
【
図7】[0022]式Iの化学構造を備える化合物のベンジル部分の合成スキームを示す。
【
図8】[0023]式Iの化学構造を備える化合物のフェネチル部分の合成スキームを示す。
【
図9】[0024]
図9aは化合物12(本明細書に記載される)の合成スキームを示す。[0025]
図9bは、化合物12(本明細書に記載される)の他の合成スキームを示す。
【
図10】[0026]化合物32(本明細書に記載される)のフェネチルアミン構成要素の合成スキームを示す。
【
図11】[0027]化合物76(本明細書に記載される)のベンジルアミン構成要素の合成スキームを示す。
【
図12】[0028]
図12aは、式Iの化学構造の部分を示し、ここで、aはメチル基である。[0029]
図12bは、式Iの化学構造の部分を示し、ここで、bはメチル基である。[0030]
図12cは、式Iの化学構造の部分を示し、ここで、cはメチル基である。
【
図13】[0031]化合物86(本明細書中に記載されるような)の4つの立体異性体のうちの1つの合成のためのスキームを示し、ここでb及びcは、連結されて環を形成する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0032]「上部」、「底部」、「上方」、「下方」、「垂直方向」及び「横方向」等の方向を示す用語は、以下の説明では、相対的な参照のみを提供する目的で用いられ、いかなる物品が使用中にどのように配置されるか又はアセンブリ内に若しくは環境に対してどのように取り付けられるかについてのいかなる限定も示唆することを意図しない。用語「含む(comprising)」と併せて本明細書で用いられる単語「a(原文)」又は「an(原文)」の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の意味とも一致する。複数形で表現された要素は、その単数形も包含する。本明細書で用いられる用語「複数」とは、2つ以上、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上等を意味する。
[0033]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「約」は、列挙された値を説明するために用いられる場合、列挙された値の10%以内を意味する。
【0016】
[0034]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「アルカンジイル(alkanediyl)」は、その末端炭素原子を介して結合することができ、完全に飽和している置換又は非置換の直鎖二価炭化水素鎖を意味する。別段の指定がない限り、アルカンジイル基には、炭素原子が1~5個(「C1~C5アルカンジイル」)含まれる。アルカンジイル基の非限定的な例としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン及びペンタメチレンがあげられる。置換アルカンジイル基には、少なくとも1個、かつ、5個以下の置換基があり、非置換基中の水素原子の数以下の置換基がある。置換アルカンジイル基の非限定的な例としては、ジフルオロメチレン、ヒドロキシエチレン、メトキシエチレン、CH2CH2C(O)、CH2C(CH3)2CH2、CH2CH2CH(CF3)CH2等があげられる。
【0017】
[0035]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「アルケンジイル(alkenediyl)」は、その末端炭素原子を介して結合することができる、炭素原子が少なくとも2個及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合がある置換又は非置換の直鎖の二価炭化水素鎖を意味する。別段の指定がない限り、アルケンジイル基には、炭素原子が2~5個である炭素原子(「C2~C5アルケンジイル」)が含まれる。アルケンジイル基の非限定的な例としては、ビニレン(CH=CH)、プロペン-1,3-ジイル(CH2CH=CH)、1-ブテン-1,4-ジイル(CH2CH2CH=CH)、2-ブテン-1,4-ジイル(CH2CH=CHCH2)及び1,3-ブタジエン-1,4-ジイル(CH=CHCH=CH)があげられる。例示の目的で、1,3-ブタジエン-1,4-ジイル基の第一の末端が炭素-炭素(CC)二重結合又は芳香環の第一の炭素原子に結合しており、1,3-ブタジエン-1,4-ジイル基の第二の末端がCC二重結合又は芳香環の第二の炭素原子に結合しており、第二の炭素原子が第一の炭素原子に隣接している場合、前記2つの隣接する炭素原子及び1,3-ブタジエン-1,4-ジイル基はともにベンゼン環を表す。説明の目的で、ビニレン基の第一の末端がCC二重結合又は芳香環の第一の炭素原子に結合し、ビニレン基の第二の末端がCC二重結合又は芳香環の第二の炭素原子に隣接するヘテロ原子(N、O及びSからなる群から選択される)に結合し、第二の炭素原子が第一の炭素原子に隣接する場合、ビニレン基は、前記2つの隣接する炭素原子及び第二の炭素原子に結合した前記ヘテロ原子とともにピロール、フラン又はチオフェン環を表す。
[0036]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、炭素原子が少なくとも2個及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合がある置換又は非置換の直鎖又は分岐の一価炭化水素鎖をいう。アルケニル基の例としては、アリル、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、1,3-ブタジエン-2-イル、2,4-ペンタジエン-1-イル、1,4-ペンタジエン-3-イル等があげられる。
[0037]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「アルコキシ」は、-O-アルキル及び-O-シクロアルキル基をいう。別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「置換アルコキシ」は、基-O-(置換アルキル)及び-O-(置換シクロアルキル)をいう。
【0018】
[0038]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「アルキル」は、完全に飽和している置換又は非置換の直鎖又は分岐の一価の炭化水素鎖を意味する。別段の指定がない限り、アルキル基は、炭素原子が1~7個である(「C1~C7アルキル」)。例えば、ある実施形態では、アルキル基は、炭素原子を1~6個含む(「C1~C6アルキル」);ある実施形態では、アルキル基は、炭素原子を1~5個含む(「C1~C5アルキル」);ある実施形態では、アルキル基は、炭素原子を1~4個含む(「C1~C4アルキル」、あるいは「低級アルキル」);ある実施形態では、アルキル基は、炭素原子を3~7個含む(「C3~C7アルキル」)。飽和アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル等のホモログ及び異性体があげられる。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、i-ブチル及びt-ブチルがあげられる。置換アルキル基には、置換基が少なくとも1個かつ5個以下である、非置換基中の水素原子の数以下の置換基がある。ある実施形態では、置換基はフッ素原子である。置換アルキル基の非限定的な例としては、2-ヒドロキシエチル、2-メトキシエチル、CHF2、CF3、CH2CF3、CF2CF3、4-フルオロブチル等があげられる。
[0039]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「アルキルチオ」は、-S-アルキル及び-S-シクロアルキルで表される基をいう。単独で又はより大きな部分の一部として用いられる「置換アルキルチオ」は、-S-(置換アルキル)及び-S-(置換シクロアルキル)で表される基をいう。
[0040]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「アルキニル」は、炭素原子が少なくとも2個及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合がある、置換又は非置換の直鎖又は分岐の一価炭化水素鎖をいう。アルキニル基の非限定的な例としては、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチン-1-イル等があげられる。
【0019】
[0041]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部(例えば、「(アリール)アルキル」)として用いられる用語「アリール」は、一価の単環式又は二環式炭素環式芳香族環系をいう。別段の指定がない限り、アリール基は6又は10個の環員を含む。アリールの非限定的な例としては、フェニル、ナフチル等があげられる。用語「アリール」はまた、非置換でも置換されてもよいアリール基をいう。例えば、アリール基は、非置換であり得るか又はハロゲン、OH、C1~C6アルコキシ、置換C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキルチオ、置換C1~C6アルキルチオ、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、置換C3~C6シクロアルキル、C(O)OH、C(O)(C1~C6アルキル)、C(N-OH)(C1~C6)、C(O)(C1~C6アルコキシ)、C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、C(O)N(C1~C4アルキル)(C1~C4アルキル)、C(O)-ヘテロシクリル、NHC(O)(C1~C6アルキル)、N(CH3)C(O)(C1~C6アルキル)及びシアノからなる群より独立して選択される1、2、若しくは3つの基で置換されてよい。
【0020】
[0042]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「化学物質」は、その「遊離」形態(例えば、適用可能な場合、「遊離化合物」又は「遊離塩基」又は「遊離酸」形態)であるか又は塩形態、特に薬学的に許容される塩形態、かつ、さらに固体状態形態であるか否かにかかわらず、示された構造がある化合物をいう。ある実施形態では、固体状態形態は、アモルファス(すなわち、非結晶性)形態であり;ある実施形態では、固体状態形態は、結晶性形態(例えば、多形体、擬似水和物、水和物又は溶媒和物)である。同様に、この用語は、固体形態で提供されるか否かにかかわらず、当該化合物を包含する。別段の指定がない限り、「化合物」に関して本明細書の全記載では、定義されるような関連する化学的実体に適用される。
[0043]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」及びそれらの文法的変形は、包括的又はオープンエンドであり、さらなる列挙されていない要素及び/又は方法工程を除外しない。例えば、「Aは、1、2及び3を含む」は、Aが、1、2及び3を含むが、それらに限定されないことを意味する。
[0044]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「から本質的になる」は、組成物、使用又は方法に関連して、さらなる要素、方法工程又はさらなる要素及び方法工程がともに存在してよいが、これらの追加は、列挙された組成物、方法又は使用が機能する様式に実質的に影響を及ぼさない。
[0045]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「からなる(consisting of)」は、組成物、使用又は方法に関連して、さらなる要素及び/又は方法工程の存在を除外する。
[0046]本明細書で用いられる用語「cpd」は単語「化合物(compound)」の略である。
【0021】
[0047]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分(例えば「(シクロアルキル)アルキル」)の一部として用いられる用語「シクロアルキル」は、(i)完全に飽和しているか又は1つ以上の不飽和単位を含有するが、芳香族でない、置換若しくは非置換の一価単環式炭化水素基;又は(ii)ビシクロ[m.n.o]アルキル(式中、「m」、「n」及び「o」は各々独立して0~5の範囲の整数であり、「m」+「n」+「o」の合計は2~6の範囲である)である。ある実施形態では、シクロアルキル基は、環炭素原子を3~8個含む(「C3~C8シクロアルキル」)。シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル等、並びにビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニルともいう)及びビシクロ[1.1.1]ペンチルがあげられる。置換シクロアルキル基は、置換基が少なくとも1個かつ5個以下である。ある実施形態では、置換基はフッ素原子である。置換シクロアルキル基の非限定的な例としては、2-メチルシクロプロピル、4-ヒドロキシシクロヘキシル、2-メトキシシクロペンチル、4,4-ジフルオロシクロヘキシル等があげられる。
[0048]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部として用いられる用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードをいう。
[0049]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「hERGリスク」は、ヒトether-a-go-go関連遺伝子(hERG)K+チャネルを潜在的に阻害し、それによってQT延長をもたらす化合物のリスクをいう。
[0050]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「ヘテロアルカンジイル」は、構成炭素原子の1つ以上が窒素、酸素又は硫黄によって置換されている、本明細書で定義されている置換又は非置換アルカンジイル基をいう。ヘテロアルカンジイル基の非限定的な例としては、NH、O、S、CH2NH、CH2O、CH2S、CH2CH2NH、CH2CH2O、CH2CH2S、CH2NHCH2、CH22OCH2、CH2SCH2、OCH2O、OCH2S、SCH2S、CH2CH2CH2NH、CH2CH2NHCH2、CH2CH2CH2O、CH2CH2OCH2、CH2CH2CH2S及びCH2CH2SCH2があげられる。例示の目的で、ヘテロアルカンジイル基の結合点が非等価であり(例えば、CH2CH2NHCH2)、その点が化学構造の非等価な位置に結合している場合、ヘテロアルカンジイル基の化学構造への結合は、いずれの方向にも起こり得る(例えば、CH2CH2NHCH2又はCH2NHCH2CH2)。
【0022】
[0051]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「ヘテロアルケンジイル(heteroalkenediyl)」は、本明細書で定義される置換又は非置換アルケンジイル基をいい、構成要素の原子のうちの1つ以上が、N、O又はSで置換されている。ヘテロアルケンジイル基の非限定的な例としては、CH=N、CH=CHNH、CH=CHO、CH=CHS、CH=NCH2、N=N、CH=NNH、CH=NO、CH=NS、NHCH=N、OCH=N、SCH=N、HNN=N、CH=CHCH=N、CH=CHN=CH、CH=CHN=N、CH=NCH=N、N=CHCH=N、CH=NN=CH、CH=CHCH2NH、CH=CHCH2O及びCH=CHCH2Sがあげられる。説明の目的で、ヘテロアルケンジイル基の結合点が非等価であり(例えば、CH=CHS)、その点が化学的構造の非等価な位置に結合している場合、化学的構造へのヘテロアルケンジイル基の結合は、いずれの方向(例えば、CH=CHS又はSCH=CH)でも起こり得る。説明の目的で、ヘテロアルケンジイル基の第一の結合点がCC二重結合又は芳香環の第一のC原子に結合し、ヘテロアルケンジイル基の第二の結合点がCC二重結合又は芳香環の第二のC原子に結合し、第一のC原子と第二のC原子が互いに隣接している場合、前記2つの隣接するC原子とヘテロアルケンジイル基はともにヘテロ芳香環を表し、特に、(i)形成されたヘテロ芳香環が5員環である場合、ヘテロアルケンジイル基の単一の飽和原子はN、O及びSからなる群から選択され、(ii)形成されたヘテロ芳香環が6員環である場合、ヘテロアルケンジイル基はその骨格の一部としてC及びN原子のみを含み、2つの共役二重結合を含む。説明の目的で、式X=Y(式中、X及びYは、C及びNからなる群から独立して選択される)で表されるヘテロアルケンジイル基の第一の結合点が、CC二重結合又は芳香環の第一の原子に結合し、ヘテロアルケンジイル基の第二の結合点が、CC二重結合又は芳香環の第二の原子に結合している異種原子(N、O及びSからなる群から選択される)に結合し、第二の原子が第一の原子に隣接している場合、部分X=Yは、前記2つの隣接する原子及びそれらの1つに結合している前記異種原子とともに5員のヘテロ芳香環を表す。
[0052]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「ヘテロアルケニル」は、構成炭素原子の1つ以上が窒素、酸素又は硫黄によって置換されている、本明細書で定義されている置換又は非置換アルケニル基をいう。
[0053]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「ヘテロアルキル」は、構成炭素原子の1つ以上が窒素、酸素又は硫黄によって置換されている、本明細書で定義されている置換又は非置換アルキル基をいう。
【0023】
[0054]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部、例えば、「(ヘテロアリール)アルキル」の一部、として用いられる用語「ヘテロアリール」は、環原子が5~10個、好ましくは5、6、9又は10個あり、環状配列中で共有されるπ電子が6又は10個であり、環炭素原子に加えて環ヘテロ原子が1~4個ある一価の単環式又は二環式基をいう。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、インドリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル等があげられる。ヘテロアリール基は、非置換であってもよく又はハロゲン、OH、C1~C6アルコキシ、置換C1~C6アルコキシ、C1~C6アルキルチオ、置換C1~C6アルキルチオ、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、置換C3~C6シクロアルキル、C(O)OH、C(O)(C1~C6アルコキシ)、C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、C(O)N(C1~C4アルキル)(C1~C4アルキル)、C(O)-ヘテロシクリル、NHC(O)(C1~C6アルキル)、N(CH3)C(O)(C1~C6アルキル)及びシアノから独立して選択される1、2又は3個の基で置換されてよい。
[0055]別段の指定がない限り、本明細書で、単独で又はより大きい部分の一部(例えば、「(ヘテロシクリル)アルキル」)として用いられる用語「ヘテロシクリル」は、飽和又は部分的に不飽和のいずれかであり、環炭素原子に加えてヘテロ原子が1~4個ある、一価の安定な4~7員単環式又は7~10員二環式複素環部分をいう。ヘテロシクリル基の非限定的な例としては、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル等があげられる。ヘテロシクリル基は、非置換でも又は置換されてもよい。例えば、ヘテロシクリル基は、非置換であり得るか又はハロゲン、OH、O(C1~C6アルキル)、O(置換C1~C6アルキル)、C1~C6アルキル、置換C1~C6アルキル及びC3~C6シクロアルキルからなる群から独立して選択される1個、2個、若しくは3個の基で置換されてよい。
【0024】
[0056]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「HTR」は、インビボでの5-HT2A活性化の測定値である、頭部攣縮応答をいう。
[0057]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「不活性な」(及び「不活性」を含むそれに関連する全ての用語)は、「EC50(nM)」及び「Eff%」の文脈で用いられる場合、当該用語として当業者又は同等の当業者によって理解されるように、5-HT2B受容体での活性に関して用いられる場合は、10,000nM超の濃度(「EC50(nM)」の文脈で用いられる場合)又は30%以下の効能(「Eff%」の文脈で用いられる場合)を意味する。
[0058]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「アイソトポログ」は、その同位体組成のみが特定の化合物と異なる種をいう。例えば、化合物中の全ての水素原子は、独立して、天然の同位体組成物であるか、又は重同位体2H(D、重水素)及び3H(T、三重水素)の一方若しくは両方が濃縮若しくは枯渇されたいかなる同位体組成物であり、その範囲は枯渇が0%から濃縮が100%までである。
[0059]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「低2B活性」は、「EC50(nm)」に関して測定される化合物の5-HT2Aアゴニスト活性(又は5-HT2A受容体感受性)が、前記化合物の5-HT2Bアゴニスト活性(又は5-HT2B受容体感受性)よりも500倍以上大きく、各受容体におけるEff%が、各受容体について測定されたEC50において90%未満である状況をいう。例えば、ある化合物が(i)5-HT2A受容体では各々EC50が1.0nmかつEff%が95%;並びに(ii)5-HT2B受容体では各々EC50が700nmかつEff%が95%である場合、その化合物は「低2B活性」と見なされる。
[0060]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「マウス」は、雄C57BL/6Jマウス(6~8週齢)をいう。
【0025】
[0061]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「薬学的に許容される塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触させて用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比に相応する塩をいう。本開示で提供される化合物の薬学的に許容される塩は、適当な無機及び有機の酸及び塩基から誘導される塩を含む。薬学的に許容される塩の非限定的な例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸等の有機酸、と形成されるアミノ基を含む化合物の塩があげられる。薬学的に許容される塩の他の非限定的な例としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ビ重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩(campHorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドリオジド、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、バレレート塩等があげられる。その他の薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム塩及びN+(C1-4アルキル)4塩等の適当な塩基から誘導されるものがあげられる。代表的なアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等があげられる。薬学的に許容される塩のさらなる非限定的な例としては、適当な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを用いて形成される非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム及びアミンカチオンがあげられる。
【0026】
[0062]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「対象」は、哺乳動物(例えば、ヒト、一部の実施形態では、出生前のヒト形態を含む)を含む。ある実施形態では、対象は、関連する疾患、障害又は状態に罹患している。ある実施形態では、対象は、疾患、障害又は状態に感受性である。ある実施形態では、対象は、疾患、障害又は状態の1つ以上の症状又は特徴を示す。ある実施形態では、対象は、疾患、障害又は状態のいかなる症状又は特徴も示さない。ある実施形態では、対象は、疾患、障害又は状態に対する感受性又はそのリスクに特徴的な1つ以上の特徴がある哺乳動物である。ある実施形態では、対象は患者である。ある実施形態では、対象は、診断及び/又は治療が施される及び/又は施された個体である。ある実施形態では、対象は、胎児、乳児、小児、10代の若者、成人又は高齢者(すなわち、対象は、50歳超等の高齢である)である。ある実施形態では、小児は2~18歳のヒトである。ある実施形態では、成人は18歳以上のヒトである。
[0063]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語「等の」は、オープンエンドであることを意図する。例えば、「Aは、塩素又は臭素等のハロゲンであってよい」は、「A」が、塩素又は臭素であってよいが、これらに限定されないことを意味する。
【0027】
[0064]特定の部分、官能基又は置換基への記載は、(適用可能な場合)その互変異性体を企図する。
[0065]別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー及び幾何(又は立体配座))形態(例えば、各不斉中心についてのR及びS配置、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE立体配座異性体)を含む。特に明記しない限り、本開示において開示され、教示され又は示唆される化合物は、全ての単一の立体化学異性体、並びにその鏡像異性体、ジアステレオマー及び幾何異性体(又は配座異性体)混合物を企図する。別段の記載がない限り、本開示において開示、教示又は示唆される化合物は、そのすべての互変異性体を企図する。さらに、特に明記しない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在のみが異なる化合物を含む。このような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイにおけるプローブとして又は治療剤として有用であり得る。さらに、重水素(2H)等のより重い同位体の組み込みにより、代謝安定性の亢進により得られる特定の治療的利点、例えば、インビボ半減期が長くなるか又は必要投与量が低減されうる。
【0028】
[0066]本明細書に記載される化学物質は、本明細書に開示されるクラス、サブクラス及び種によってさらに例示される。本開示の目的のために、化学元素は、CAS版「化学と物理のハンドブック」第75版内表紙の元素の周期表に従って同定され、特定の官能基は、一般に、そこの記載されたとおりに定義される。さらに、有機化学の一般的原理、並びに特定の官能性部分及び反応性は、Thomas Sorrell,Organic Chemistry,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March,March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;及びCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載されている。本開示において、特定の同位体として具体的に指定されていないいかなる原子も、その原子のいかなる安定な同位体を表すことを意味する。
[0067]
図2を参照し、本明細書に開示される化学物質(そのアイソトポログ又は薬学的に許容される塩を含む)の実施形態によれば、以下の式I:
【0029】
【化3】
(式中、
R
1は、(i)R
2及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は、(ii)R
2とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、当該部分が部分が少なくとも1個のさらなるH原子を含有する場合、当該部分はさらに、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される第一の置換基、並びに、R
3がH、CH
3又はハロゲンである場合、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基、で置換されてよい。例えば、R
3がH、CH
3又はハロゲンである場合、R
1及びR
2はともにCH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2CH
2、(CH
2)
5、CH=CHCH=CH、CH
2CH
2O、CH
2OCH
2、OCH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2O、CH
2CH
2OCH
2、CH
2OCH
2CH
2、OCH
2CH
2CH
2、OCH=CH、CH=CHO、OCH
2O、OCH
2CH
2O、CH
2CH
2S、CH
2SCH
2、SCH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2S、CH
2CH
2SCH
2、CH
2SCH
2CH
2、SCH
2CH
2CH
2、SCH=CH、CH=CHS、ON=CH、CH=NO、OCH=N、N=CHO、SN=CH、CH=NS、SCH=N、N=CHS、NHCH=CH、CH=CHNH、-NHN=CH、CH=NNH、NHCH=N、N=CHNH、CH=CHCH=N、CH=CHN=CH、CH=NCH=CH又はN=CHCH=CHであるか;又は(iii)bとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、当該部分はC
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される置換基で置換されてよく、かつ、当該部分が部分が少なくとも1個のさらなるH原子を含有する場合、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基で、R
2及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、置換されてよい。例えば、R
2及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、R
1及びbは、以下の非限定的な結合:CH
2、CH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2、CH=CH、CH
2CH=CH、CH=CHCH
2、OCH
2、OCH
2CH
2、CH
2OCH
2、SCH
2、SCH
2CH
2及びCH
2SCH
2のいずれか1つを形成することができ;
R
2は、(i)R
1及びR
3が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)R
1とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、当該部分はC
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される置換基で置換されてよく、かつ、当該部分が部分が少なくとも1個のさらなるH原子を含有する場合、R
3がH、CH
3又はハロゲンである場合、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基で置換されてよく;
R
3は、(i)R
1及びR
2が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、H、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、置換されたC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、置換されたC
1~C
4アルキルチオ及びハロゲンからなる群より選択され;又は(ii)Zとともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、R
1及びR
2が各々独立して、H、CH
3若しくはハロゲンから選択される場合、当該部分はC
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される置換基で置換されてよく;ここで、
R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、R
9、OR
9、SR
9、S(O)R
9、S(O)
2R
9、N(R
9)C(O)R
9、N(R
9)C(O)OR
9、N(R
9)C(O)N(H)R
9、N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、N(R
9)S(O)
2R
9、CH
2OR
9、CH
2SR
9、CH
2S(O)R
9、CH
2S(O)
2R
9、CH
2N(R
9)C(O)R
9、CH
2N(R
9)C(O)OR
9、CH
2N(R
9)C(O)N(H)R
9、CH
2N(R
9)C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2N(R
9)S(O)
2R
9、CH=NOR
9、C(C
1~C
6アルキル)=NOR
9、C(O)OR
9、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CH
2C(O)OR
9、CH
2C(O)N(H)R
9、CH
2C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、CN及びハロゲンからなる群より選択され、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの第二番目の1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンであり、かつ、残りのR
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンである;
あるいは、R
4及びR
5がともにアルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、若しくはヘテロアルケンジイル部分を形成する場合、当該部分はC
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシOCF
3、C
1~C
4アルキルチオ、CN及びハロゲンからなる群から選択される置換基で置換されてよく、その場合、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3及びハロゲンからなる群より選択される。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2及びCH
2CH
2CH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的例はCH=CHCH=CHである。ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2CH
2O、CH
2OCH
2、OCH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2O、CH
2CH
2OCH
2、CH
2OCH
2CH
2、OCH
2CH
2CH
2、OCH
2O、OCH
2CH
2O、CH
2CH
2S、CH
2SCH
2、SCH
2CH
2、CH
2CH
2CH
2S、CH
2CH
2SCH
2、CH
2SCH
2CH
2、SCH
2CH
2CH
2、NHCH
2CH
2及びNHCH
2NHがあげられる。ヘテロアルケンジイル部分の非限定的な例としては、OCH=CH、CH=CHO、SCH=CH、CH=CHS、ON=CH、CH=NO、OCH=N、N=CHO、SN=CH、CH=NS、SCH=N、N=CHS、NHCH=CH、CH=CHNH、NHN=CH、CH=NNH、NHCH=N、N=CHNH、CH=CHCH=N、CH=CHN=CH、CH=NCH=CH及びN=CHCH=CHがあげられ;
あるいは、R
4及びbがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、(a)当該部分は、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される第一の置換基で、かつ、(b)C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基で、置換されてよく、ここで、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2及びCH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的な例は、CH=CHである。ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、OCH
2及びSCH
2があげられ;
あるいは、R
4及びcがともに、アルカンジイル、アルケンジイル、若しくはヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、R
5、R
6、R
7及びR
8のうちの1つは、H、C
1~C
4アルキル、CHF
2、CF
3、OH、OCH
3、OC
2H
5、OCHF
2、OCF
3及びハロゲンからなる群より選択され、かつ、残りのR
5、R
6、R
7及びR
8は各々独立して、H、CH
3、若しくはハロゲンからなる群より選択される。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2、CH
2CH
2及びCH
2CH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=CH、CH
2CH=CH及びCH=CHCH
2があげられる。ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2OCH
2、OCH
2CH
2、CH
2SCH
2及びSCH
2CH
2があげられる;ここで、
Xは、CN、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、C(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル)、CHF
2、CF
3、OH、O(C
1~C
6アルキル)、OCHF
2、OCF
3、S(C
1~C
6アルキル)、SCF
3、SCHF
2、F、Cl、アリール及びヘテロアリールからなる群より一般に選択されるが、そうでなければ、ZがアルキルかつR
4がヒドロキシの場合、CN、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9、C(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル)、CHF
2、CF
3、OH、O(C
1~C
6アルキル)、OCHF
2、OCF
3、S(C
1~C
6アルキル)、SCF
3、SCHF
2、アリール及びヘテロアリールなる群から選択される;
Yは、H、CH
3、C(O)R
9、CH
2OC(O)R
9及びC(O)OR
9からなる群より選択される;
Zは、(i)H、C
1~C
10アルキル、置換されたC
1~C
10アルキル、C
1~C
10ヘテロアルキル、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10ヘテロアルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8アルキル)、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C
4~C
6ヘテロシクリル、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8アルキル)、(C
4~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
8ヘテロアルキル)、アリール(C
1~C
8アルキル)、アリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
8ヘテロアルキル)、C(O)R
9、C(O)OR
9、CH
2OC(O)R
9、C(O)NH
2、C(O)N(H)R
9、C(O)N(C
1~C
6アルキル)R
9及びC(O)(C
4~C
6ヘテロシクリル);又は(ii)R
3とともに、アルカンジイル、アルケンジイル、ヘテロアルカンジイル、あるいはヘテロアルケンジイル部分を形成し、当該部分は、C
1~C
4アルキル、置換C
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、OH、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、CN及びハロゲンからなる群から選択される1の基で置換されてよい。アルカンジイル部分の例としては、CH
2CH
2及びCH
2CH
2CH
2が挙げられ;アルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=CHが挙げられ;ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2O、CH
2CH
2O、CH
2S及びCH
2CH
2Sがあげられ;ヘテロアルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=Nがあげられ;ここで、
a、b及びcは:(i)a、b及びcのうちの2つは各々独立して、H、CH
3及びC
2H
5からなる群より選択されるが、a、b及びcのうちの第三番目はHである;又は(ii)b及びcはともにCH
2,CH
2CH
2,CH
2CH
2CH
2,又はCH
2OCH
2であるが、aはH又はCH
3であり;(iii)b及びR
1がともにアルカンジイル、アルケンジイル又はヘテロアルカンジイル部分を形成し、当該部分は、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される第一の置換基で置換されていてもよく、かつ、当該部分が少なくとも1つのさらなるH原子、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基を含有する場合、a及びcの一方はH、CH
3又はC
2H
5であり、a及びcの他方はHである。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2、CH
2CH
2及びCH
2CH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=CH、CH
2CH=CH及びCH=CHCH
2があげられる。ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2O、CH
2CH
2O、CH
2OCH
2、CH
2S、CH
2CH
2S及びCH
2SCH
2があげられる;又は(iv)b及びR
4がともにアルカンジイル、アルケンジイル又はヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、当該部分は、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、2-オキセタニル、3-オキセタニル、C
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキルチオ、OCF
3、OCHF
2、SCF
3、SCHF
2、CN及びハロゲンからなる群から選択される第一の置換基で選択されてよく、かつ、当該部分が少なくとも1つのさらなるH原子、C
1~C
4アルキル、置換されたC
1~C
4アルキル及びハロゲンからなる群から選択される第二の置換基を含有する場合、a及びcの一方はH、CH
3又はC
2H
5であり、a及びcの他方はHである。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2及びCH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=CHがあげられる。ヘテロアルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2O及びCH
2Sがあげられ;(v)c及びR
4がともにアルカンジイル、アルケンジイル又はヘテロアルカンジイル部分を形成する場合、a及びbは、それぞれ独立して、H又はCH3から選択される。アルカンジイル部分の非限定的な例としては、CH
2、CH
2CH
2及びCH
2CH
2CH
2CH
2があげられる。アルケンジイル部分の非限定的な例としては、CH=CH及びCH2CH=CHがあげられる。ヘテロアルキル部分の非限定的な例としては、CH
2O、CH
2OCH
2、CH
2CH
2O、CH
2S、CH
2SCH
2及びCH
2CH
2Sがあげられる;かつ、ここで、
R
9は、存在する場合、独立して、H、C
1~C
6アルキル、C
1~C
6ヘテロアルキル、置換されたC
1~C
6アルキル、置換されたC
1~C
6ヘテロアルキル、C
2~C
6アルケニル、C
2~C
6ヘテロアルケニル、C
2~C
6アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6アルキル)(C
3~C
6シクロアルキル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、C
3~C
6ヘテロシクリル、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6アルキル)、(C
3~C
6ヘテロシクリル)(C
1~C
6ヘテロアルキル)、アリール、アリール(C
1~C
6アルキル)、アリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C
1~C
6アルキル)、ヘテロアリール(C
1~C
6ヘテロアルキル)からなる群より選択される。
[0068]
化学物質の実施形態の例
式Iの化学物質の例を表1に示す。
表1 式I
*の化合物の例
【0030】
【表1】
[0069]上記の表で用いられる略語は、以下の意味である:Ac=アセチル;Bz=ベンゾイル;Bu=ブチル;cpm=シクロプロピルメチル;d=C(O)N(CH
3)
2;e=S(O)
2NH
2;Et=エチル;f=C(O)OMe;g=C(O)NHCH
3;Me=メチル。
【0031】
[0070]薬理学
セロトニン受容体5-HT2機能アッセイ
以下に、セロトニン受容体の機能的活性化を測定する方法の非限定的な例を記載する。
[0071]セロトニン受容体の機能的活性化を測定するために、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)によるGq解離又はGq依存性カルシウム流動のいずれかを、選択された化合物について実施した。BRET法によるGq/γ1解離を介して5-HT2受容体を介したGq活性化を測定するために(McCorvy JD,Wacker D,Wang S,Agegnehu B,Liu J,Lansu K,Tribo AR,Olsen RHJ,Che T,Jin J,Roth BL.Structural determinants of 5-HT2B receptor activation and biased agonism.Nat Struct Mol Biol.2018;25(9):787-96)、HEK293T細胞を、10%透析ウシ胎児血清(FBS)補充ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で継代培養し、そしてTransiT-2020を用いて、RLuc 8融合ヒトGαq(GαqRLuc8)、ヒトGγ1のC末端に融合したGFP2(Gγ1-GFP2)、ヒトGβ1及び5-HT2受容体と1:1:1:1の比で同時トランスフェクトした。少なくとも18~24時間後、トランスフェクトされた細胞を、1%透析FBS含有DMEM中のポリリジンコーティングされた96穴白色透明底細胞培養プレートに、一穴当たり200μL中25,000~40,000細胞の密度でプレーティングし、一晩インキュベートした。翌日、培地をデカントし、細胞を60μLの薬物緩衝液(1×HBSS、20mM HEPES、pH7.4)で洗浄し、次いで、1穴当たり60μLの薬物緩衝液を添加した。細胞を、加湿雰囲気中、37℃でプレインキュベートした後、薬物で刺激した。薬剤刺激は、McCorvy緩衝液(0.3%BSA脂肪酸フリー、0.03%アスコルビン酸を添加した1 xHBSS、20mM HEPES、pH7.4)で希釈した薬剤(3X)の30μL添加を利用し、プレートを37℃で1時間インキュベートした。基質の添加は、読み取りの15分前に行い、Gq解離BRET2のために10μLのRLuc基質セレンテラジン400a(Prolume/Nanolight、5μM最終濃度)を利用した。Mithras LB940マルチモードマイクロプレートリーダー(例えば、Bertholdによって提供されるもの)を用いて、プレートを、1穴当たり1秒で、400nmでの発光及び510nmでの蛍光GFP2発光について読み取った。蛍光/発光のBRET比を穴ごとに計算し、GrapHpad Prism 8(GrapHpad Software Inc.,San Diego、CA)を用いて薬物濃度の関数としてプロットした。データを5-HT刺激%に対して正規化し、非線形回帰「log(アゴニスト)対応答」を用いて分析して、Emax及びEC50パラメータ推定値を得た。
[0072]カルシウムフラックスは、安定発現5-HT2 Flp-In 293 T-Rexテトラサイクリン誘導性システムを用いて、当技術分野で公知の方法(例えば、Investigation of the Structure-Activity Relationships of Psilocybin Analogues,ACS Pharmacol.Transl.Sci.2020,Publication Date:December 14,2020,https://doi.org/10.1021/acsptsci.0c00176)を用いて測定した。細胞株を、10%FBS、10μg/mLブラスチシジン及び100μg/mLハイグロマイシンBを含有するDMEM中で維持した。アッセイの少なくとも20~24時間前に、受容体発現をテトラサイクリン(2μg/mL)で誘導し、細胞を、384穴ポリ-L-リジンコーティング黒色プレートに、1%透析FBS含有DMEM中7,500細胞/穴の密度で播種した。アッセイ当日、2.5mMプロベネシド含有薬物緩衝液(20mM HEP ES緩衝HBSS、pH7.4)中で再構成したFluo-4 Direct色素(Invitrogen、20μL/穴)と共に、細胞を37℃で1時間インキュベートした。薬剤希釈液は、McCorvy緩衝液(20mM HEP ES緩衝HBSS、0.1%BSA、0.01%アルコルビン酸、pH7.4)中で5倍の濃度に調製した。色素負荷後、細胞を15分間室温に平衡化し、次いでFLIPRTETRA蛍光イメージングプレートリーダー(Molecular Devices)に入れた。FLIPRTETRAを、10秒間(1リード/秒)ベースライン蛍光を読み取るようにプログラムし、その後、一穴当たり5μLの薬物を添加し、蛍光を合計5~10分間(1リード/秒)読み取った。各穴の蛍光を、ベースライン蛍光の最初の10回の読み取りの平均に対して正規化し、次いで、ベースラインを超える最大倍ピーク増加又は曲線下面積(AUC)のいずれかを計算した。ピーク又はAUCのいずれかを薬物濃度の関数としてプロットし、データを5-HT刺激のパーセントに正規化した。データをプロットし、GrapHpad Prism 8で「log(アゴニスト)対応答」を用いて非線形回帰を実施して、Emax及びEC50パラメータ推定値を得た。
【0032】
[0073]5-HT2A、5-HT2B及び5-HT2C受容体各々の本明細書に開示される様々な化合物の機能活性を、当該受容体の4-ヒドロキシトリプタミンの機能活性に対して及びそれに対して測定した。機能活性の比較を以下の表2に提供する。各化合物について少なくとも3回の反復試験を行った。
【0033】
【表2】
[0074]本開示に開示される化合物の多くは、5-HT
2A受容体で400nmまでの範囲で活性を示すが、5-HT
2B受容体では「非活性」を示し、5-HT
2C受容体よりも5-HT
2A受容体でより活性が高い。本開示に開示される化合物の多くは、5-HT
2A受容体を選択的に活性化し、5-HT
2B受容体で「非活性」又は活性が限定される。例えば、本開示に開示される化合物は、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約200nm、約1nm~約100nm、約1nm~約90nm、約1nm~約80nm、約1nm~約60nm、約1nm~約50nm、約5nm~約95nm、約5nm~約80nm、約5nm~約65nm、約5nm~約50nm、約10nm~約90nm、約10nm~約80nm、約10nm~約70nm未満の範囲又はそれらの間のいかなる特定の比率で、5-HT
2A受容体で活性を示し得る。例えば、本開示に開示される化合物は、以下の範囲:約1~約100倍、約10~約100倍、約10~約90倍、約10~約80倍、約10~約70倍、約10~約60倍、約10~約50倍、約20~約100倍、約20~約80倍、約20~約60倍、約30~約90倍、約30~約60倍又はそれらの間のいかなる特定の範囲で、5-HT
2C受容体よりも5-HT
2A受容体に対して選択性を示し得る。一実施形態では、本開示に開示される化合物は、5-HT
2C受容体よりも5-HT
2A受容体に対して10~100倍の選択性を示す。
【0034】
[0075]以下の表3に、プシロシン、化合物109及び化合物93の5-HT受容体活性をまとめる。
【0035】
【表3】
[0076]式1のフェネチルアミンは、一般に、潜在的に「hERGリスク」があることが知られている。その結果、表1及び表2に開示された多くの化合物を、薬理学的アッセイ(例えば、Eurofins(商標)hERGクーブAPCアッセイ)を用いて「hERGリスク」の可能性についてスクリーニングした。5-HT
2A受容体で強い効力を示した化合物を、比較曝露/IC
50に基づいて「hERGリスク」についてさらに評価した。治療用遊離血漿濃度より30倍大きいhERG IC
50値が、化合物が低「hERGリスク」であるとみなすための閾値である。
[0077]初期の薬物発見段階におけるhERGリスク評価のための重要な因子は、hERG IC
50/インビトロ5-HT
2A比であり;200を超える比を示す化合物は、30を超える推定治療血漿Cmaxに対するhERG IC
50の比を示し(これは、一般に、臨床的に関連する用量レベルでの低hERGリスク可能性を示す);150~200の間の比を示す化合物は、一般に、中程度のhERGリスク可能性を示し;150以下のIC
50(hERG)/EC
50(5-HT
2A)比を示す化合物は、一般に、高いhERGリスク可能性を示す。表1及び2の様々な化合物の評価された「hERGリスク」を表4に要約する。
【0036】
【表4】
[0078]本明細書に開示される様々な化合物を、オフターゲット活性を同定するためにインビトロSafeScreen44(商標)パネルに供した。次いで、パネル中で同定される目的の化合物を、フォローアップ機能アッセイにおいて試験して、当該化合物に有意なオフターゲットリスクがあるか否かを同定する。以下の表5に要約されるように、化合物109には、有意なオフターゲット活性がない。他の化合物には、化合物109と類似の特徴があり、オフターゲット活性がないことが予測される。
【0037】
【表5】
[0079]化合物109についてさらなる実験を行った。表6に、経時的にインビトロ肝細胞クリアランスを計算し、当該速度をそのような種の肝細胞数及びそのような種における予想される肝血流量でスケーリングすることによって決定される、様々な種における化合物109の予想される肝臓クリアランスをとりわけ要約する。
【0038】
【表6】
[0080]表7a及びbは、とりわけ、動物において観察された血漿及び脳のPK特性、並びにヒトにおいて予測された観察された血漿及び脳のPK特性を、(a)化合物109について、かつ、(b)化合物93について要約する。
【0039】
【表7】
[0081]HTRは、Halberstadt et al.,PsychopHarmacology(Berl.),2013,227(4):727-739に記載されているように、頭部装着ネオジム磁石及び磁力計検出コイルを用いて評価した。以下の表8は、シロシビンと比較した、本明細書に開示される様々な化合物のマウスにおける頭部攣縮のED
50を要約する。
図3は、化合物109についての用量に対するHTRを示す。
【0040】
【表8】
[0082]表6~8に要約された実験データは、化合物109が高い脳透過性を示すが、シロシビン等の従来の幻覚作用化合物よりも中枢性幻覚誘発(又は幻覚作用)効果が低いことを実証する。
[0083]
図4を参照すると、化合物109の短時間持続(30分未満)幻覚作用効果がさらに示されている。
図4には、化合物109の異なる用量(mg/kgで測定)当たりの経時的なHTRが示されている。同様の短時間(30分未満)の幻覚作用効果(HTRデータによって示唆される)が、本開示に開示される他の化合物において観察される。化合物109及び他の同様の化合物はまた、長期持続性の抗うつ効果(神経可塑性調節)を示す。対照的に、シロシビンのような、当該技術分野で公知の多くの幻覚作用化合物の幻覚作用効果は、長く持続(30分を超える)するが、そのように幻覚作用効果が長く持続するのは、医学的治療の観点から望ましくない。
[0084]化合物109についてさらなる実験もまた行った。すなわち、30mg/kgまでの化合物109及び種々の参照化合物の腹腔内用量を、健康なラット被験体及び手術により誘導された異常なラット被験体(嗅球切除ラット)に送達した。化合物109に関しては、このような化合物の30mg/kgまでの腹腔内用量が、健康なラット被験体の正常な運動活性に影響を及ぼすという示唆はない。しかし、そのような腹腔内用量の単回投与は、健康なラット対象における1時間未満の短い血漿t
1/2とは対照的に、手術により誘発された異常なラット対象における異常な行動活動の有意かつ長期の阻害を示した。理論に束縛されるものではないが、これらの観察は、手術により誘発された異常なラット対象に対する化合物109の長期持続性神経可塑性効果の結果であると考えられる。
図5は、この実験の結果を要約する。比較幻覚作用としてシロシビンを用いた試験の結果は、化合物109が持続可能な急性抗うつ効果を提供するという考えを支持する。
図5において、「VEH」はビヒクルをいい、「PSIL」はシロシビンをいうことに留意されたい。
[0085]化合物93はまた、インビトロ試験において高いクリアランスを示した。この実験の結果を表9にまとめる。
【0041】
【表9】
[0086]化学合成の方法:
本明細書に記載される化合物を調製するための手順の非限定的な例を以下に提供する。
[0087]N-ベンジルフェネチルアミンは、フェネチルアミンのN-ベンジル化又はベンジルアミンのN-フェネチル化によって調製することができる。これらの反応は、例えば、アルキル化剤としてハロゲン化物又はスルホネートを用いて、アミンの酸化状態の生成物を直接もたらす方法で実施することができる。アミン窒素は遊離形態で存在してよいか、又は、ジアルキル化及び四級化の一般的な副反応を回避するために、合成後の段階で除去される保護基があってよい。反応はまた、より高い酸化状態で求電子試薬を用いて行い、イミン又はカルボキサミド等の生成物を得ることができ、これらは、所望のアミンに到達するために、in situで又はその後の工程で還元する必要がある。例えば、第一級アミンの還元的アルキル化を行うために一般に用いられるプロトコルは、穏やかな還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム又はトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下で、アミンをアルデヒドで処理することからなる。イミン形成前のアルデヒドのジアルキル化及び直接還元は、しばしば観察される副反応を表す。アミンはまた、その多くの代表例がペプチド合成分野の研究から公知の縮合剤の存在下で、ハロゲン化アシル、カルボン酸無水物又は遊離カルボン酸等のアシル化剤と容易に反応して、カルボキサミドを形成する。しばしば加水分解に感受性のイミンとは異なり、カルボキサミドは、単離された後の工程でアミンに還元される安定な化合物である。この反応プロセスは、通常、多くの標的化合物に存在するニトリル官能基と適合しない、水素化アルミニウムリチウム、ナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド(Red-Al(登録商標))又はボラン等の強力な還元剤が必要か、又は、カルボキサミドは、強力な求電子試薬で処理すると混合イミド酸無水物を形成することによって活性化される必要がある。その役割においてトリフリック酸無水物を用いると、カルボキサミドは、水素化ホウ素ナトリウムによってニトリル及び種々の他の還元可能な官能基に影響を及ぼさずにアミンに還元される(Huang,P.-Q.;Geng,H.Org.Chem.Front.2015,2,150)又は穏やかな水素化物供与体であるHantzschエステル(Pelletier,G.;Bechara,W.S.;Charette,A.B.J.Am.Chem.Soc.2010,132,12817)によって調製されてよい。a=b=c=Hの場合の式Iの本発明の標的化合物の一般的な合成スキームを
図6に示す。
[0088]フェネチルアミンのベンジル部分の構成要素は、他の可能なアプローチの中でも、
図7に示されるような標準的な官能基変換(スキーム中に詳細はない)によって調製されてよい;このような図では、Arは、式Iにおける置換基R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8があるフェニル基である。
【0042】
[0089]同様の及びさらなる官能基変換を行って、置換基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R6、R
7及びR
8の商業的に入手できないパターンを得ることができる。Fを含むハロゲン置換基は、カルボン酸のハロデカルボキシル化によってアクセスすることができる(Varenikov,A.;Shapiro,E.;Gandelman,M.Chem.Rev.2021,121,412)。芳香族フッ化物は、多数の他の芳香族出発物質から(Campbell,M.G.;Ritter,T.Chem.Rev.2015,115,612)、例えば、バルツ-シーマン反応を介して芳香族アミンから又はハロゲン交換によって他のハロゲン化物から得ることもできる。遷移金属媒介ハロゲン交換は、脱離ハロゲンと流入ハロゲンの様々な組合せに適用できる(Evano, G.; Nitelet,
A.; Thilmany, P.; Dewez, D. F. Front. Chem. 2018, 6, article No.
114)。フェノールの容易に入手可能な誘導体であるアリールトリフレートもこのタイプの反応に関与する(Sather, A. C.; Lee,
H. G.; De La Rosa, V. Y.; Yang, Y.; Mueuller, P.; Buchwald, S. L. J. Am.
Chem. Soc. 2015, 137, 13433)。トリフルオロメチル化芳香族化合物は、例えば、カルボン酸とSF4から;アミンとトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウムとのサンドメイヤー反応(Hong, J.; Wang, G.;
Huo, L.; Zheng, C. Chin. J. Chem. 2017, 35, 761)又はトグニ試薬II(1-トリフルオロメチル-1,2-ベンズヨードキソール-3(1H)-オン;Hong, J.; Huo, L.;
Yang, Y.; Wang, G.; Zheng, C. Chem. Select 2017, 2, 3716)によって;又はハロゲン化アリールから遷移金属触媒求核トリフルオロメチル化(Roy, S.; Gregg, B.
T.; Gribble, G. W.; Le, V.-D.; Roy, S. Tetrahedron 2011, 67, 2161)によって合成することができる。ジフルオロメチル置換基は、しばしば、アルデヒドから、デオキソフッ素化によって生成される。この変換を行うことができる試薬の群は、最近、Selectfluor(登録商標)とジフェニルスルフィドとの組み合わせによって拡大された(He, G.; Xiao, X.;
Jin, H.-Z.; Lin, J.-H.; Zhong, T.; Zheng, X.; Xiao, J. C. Tetrahedron 2021,
83, article No. 131963)。(トリフルオロメトキシ)アレーンは、フェノールから、それらの誘導されたキサントゲン酸塩を市販のフッ素化剤、XtalFluor-E(登録商標)(ジエチルアミノジフルオロスルフィニウムテトラフルオロボラート(Yoritate, M.;
Londregan, A. T.; Lian, Y.; Hartwig, J. F. J. Org. Chem. 2019, 84,
15767)と反応させることによって得ることができる。芳香族アミンは、それらの誘導されたジアゾニウム塩に対するAgOCF
3の作用を介して(トリフルオロメトキシ)アレーンに変換される(Org. Lett. 2019, 21, 8003)。トリフルオロメチルチオ基は、SCF
3部分による他のヘテロ原子の置換によって又はエレクトロンリッチな芳香族中の水素の親電子置換によって、芳香族中に導入することができる(Barata-Vallejo, S.;
Bonesi, S.; Postigo, A. Org. Biomol. Chem. 2016, 14, 7150)。(トリフルオロメチルチオ)アレーンはまた、S-(トリフルオロメチル)スルホニウム塩又はCF
3ハロゲン化物等の求電子又はフリーラジカルトリフルオロメチル化剤との反応によってアリールチオールから得られる(他の方法と共に総説:Xu, X.-H.;
Matsuzaki, K.; Shibata, N. Chem. Rev. 2015, 115, 731)。(ジフルオロメトキシ)-及び(ジフルオロメチルチオ)アレーンは、それぞれフェノール及びアレーンチオール、並びにジフルオロカルベンの様々な供給源、最近の例ではS-(ジフルオロメチル)ジアリールスルホニウム塩から得られる(Liu, G.-K.; Qin,
W.-B.; Li, X.; Lin, L.-T.; Wong, H. N. C. J. Org. Chem. 2019, 84,
15948)。
[0090]フェネチル部分のビルディングブロックは、他の可能なアプローチの中でも、
図8に示されるスキームに一般的に示されるような標準的な官能基変換によって調製され得、ここで、Arは、式Iにおけるような置換基R
1、R
2及びR
3があるフェニル基である。
[0091]前段落の合成方法の例として、化合物12の2つの合成を
図9a及び9bに示す。
[0092]いずれかのベンゼン環に環付加した種々の複素環は、本開示の特定の化合物において遭遇され、R
1とR
2との間、R
3とZとの間及び/又はR
4とR
5との間の結合の存在から生じる。例として、化合物32(R
1とR
2との間に結合がある)のフェネチルアミン構成要素及び化合物76(R
4とR
5との間に結合がある)のベンジルアミン構成要素の合成を、それぞれ
図10及び11に示す。
[0093]
図12a、12b及び12cは、それぞれ、a、b又はcがメチル基であるビルディングブロックの合成を示す。
[0094]
図13は、化合物86の4つの立体異性体のうちの1つの合成のためのスキームを示し、ここで、b及びcは、連結されて、示される絶対立体化学及び相対立体化学がある環を形成する。
[0095]重水素は、天然水素同位体組成があるそれらの対応物に対して用いられるものと同じ又は類似の条件下で、試薬及びビルディングブロックの重水素化を用いて、様々な方法で本化合物に組み込まれ得る。市販のLiAlD
4又はBD
3-THF錯体を用いたカルボキサミドの還元は、アミドのカルボニル基に由来するメチレン基上で重水素化されたアミンをもたらす。同様に、還元的アミノ化/アルキル化は、NaBD
4及びNaBD
3CNを用いて行うことができる。芳香族化合物及びヘテロ芳香族化合物は、不均一な金属触媒の存在のもとで、過剰のD
2Oとの反応によっても重水素を導入することができる(Sawama, Y.; Park, K.; Yamada, T.; Sajiki, H. Chem. Pharm. Bull.
2018, 66, 21-28)。芳香族環又はヘテロ芳香族環の特定の位置の重水素置換は、ハロゲン原子(典型的にはBr又はI)を重水素置換される位置に有する化合物上でのハロゲン-メタル交換反応、続いてD
2O又はCH
3OD等の重水素置換剤による(ヘテロ-)アリールメタル中間体のクエンチによって;又はBu
3SnD及びアゾビス(イソブチロニトリル)又は過酸化ジベンゾイル等のラジカル開始剤による同じ前駆体のフリーラジカル重水素脱ハロゲン化によって;又は同じ前駆体とBu
3SnD又はギ酸-d
2等の重水素源及び遷移メタル触媒との反応によって達成可能である。
【0043】
[0096]使用方法
本明細書に記載される化合物は、うつ(大うつ病性障害を含む)、薬剤抵抗性うつ病、精神病性うつ病、及びPTSDの治療に有用であると考えられているほか、覚醒剤、食欲抑制剤、充血除去剤、気管支拡張剤、及び幻覚剤としても機能すると考えられる。さらに、本明細書に開示される化合物はまた、アルコール依存症、タバコ依存症、コカイン依存症、およびオピオイド依存症を含む依存症、神経障害性疼痛、化学療法関連神経障害による疼痛、幻肢痛および線維筋痛症を含む疼痛症状、炎症(慢性および急性を含む)、拒食症、自閉症、群発性頭痛、片頭痛を含む摂食障害、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病型認知症、及びレビー小体認知症を含む認知症、癌に関連する精神的苦痛、脆弱X症候群、自閉症スペクトラム障害、双極性障害、強迫性疾患、レット症候群、並びに他のCNS障害の治療に有用であると考えられる。
[0097]置換フェネチルアミンはフェネチルアミンを「骨格」として含むフェネチルアミン誘導体の群を構成する;換言すれば、この化学的クラスは、フェネチルアミン骨格中の1つ以上の水素原子を他の置換基で置換することによって形成される誘導体を含む。置換フェネチルアミンのクラスには、全ての置換アンフェタミン及び置換メチレンジオキシフェネチルアミン(例えば、MDMA)が含まれ、とりわけ、感情刺激剤、刺激剤、幻覚剤、食欲抑制剤、気管支拡張剤、充血除去剤及び/又は抗うつ剤として作用する多くの薬物が含まれる。
[0098]これらの類似体の別の潜在的用途は、ドラベ症候群等の乳児発作性障害を含むが、これらに限定されない発作性障害の治療における(Sourbon, J. et al. “Serotonergic Modulation as Effective
Treatment for Dravet Syndrome in a Zebrafish Mutant Model”, ACS Chem.
Neurosci. 2016, 7, 588-598)。
[0099]これらの類似体の別の潜在的な使用は、動物における強迫性障害、不安障害、恐怖障害及び攻撃性の治療におけるものであり、動物の非限定的な例としては、イヌ、ネコ、ブタ、マウス及びラットがあげられる。これらの類似体の別の潜在的な使用は、動物における尿管の収縮を誘導することであり;動物の非限定的な例としては、イヌ、ネコ、ブタ、マウス及びラットがあげられる。
[0100]本明細書に記載の化合物は、5-HT2Bアゴニストに関連する活性の望ましくない特徴の少なくとも一部がないことを考慮すると、シロシビンよりも安全であると考えられる。
【0044】
[0101]投与方法
本明細書で企図されるように、本明細書に記載される化合物の治療有効量は、それが必要な対象に投与される。そのような治療が適応となるかどうかは、対象の症例に依存し、存在する徴候、症状及び/又は機能不全、特定の徴候、症状及び/又は機能不全を発症するリスク、並びに他の要因を考慮に入れる医学的評価(診断)にさらに供される。
[0102]本明細書で企図されるように、本明細書に記載される化合物は、当該技術分野で既知の任意の好適な経路によって投与されてよい。そのような経路には、限定されないが、経口、口腔、吸入、局所、舌下、直腸、膣、腰椎穿刺による嚢内又はくも膜下腔内、経尿道、経鼻、経皮(percutaneous)、経皮(transdermal)及び非経口投与(静脈内、筋肉内、皮下、冠動脈内、皮内、乳房内、腹腔内、関節内、くも膜下腔内、球後、肺内注射及び/又は特定の部位での外科的移植を含む)が含まれる。非経口投与は、針及びシリンジを用いて又は高圧技術を用いて達成されてよい。
[0103]医薬組成物は、本明細書に記載される化合物が、その意図される目的を達成するために有効な量で投与されるのに十分な量で存在するものを含む。正確な製剤、投与経路及び投与量は、診断された状態又は疾患を考慮して、資格のある医師によって決定される。投与量及び間隔は、所望の治療効果を維持するのに十分な本明細書に記載される化合物のレベルを提供するように個々に調整されてよい。本明細書に記載される化合物は、所望の治療効果を達成するために、低頻度の投与(例えば、毎日とは対照的に、毎月)のみを必要とし得ることが可能である。
[0104]本明細書で企図されるように、治療での使用に適合された本明細書に記載される化合物の治療有効量は、処置される状態の性質、活性が所望される時間の長さ、並びに患者の年齢及び状態によって変動し、最終的には主治医によって決定される。投与量及び投与間隔は、所望の治療効果を維持するのに十分な化合物の血漿レベルを提供するように個々に調整することができる。所望の用量は、好都合には、単回用量で又は適当な間隔で投与される複数回用量として、例えば、1日あたり1回、2回、3回、4回又はそれ以上の部分用量として投与されてよい。複数回投与がしばしば望ましいか又は必要とされる。
[0105]本明細書で企図されるように、本明細書に記載される化合物は、意図される投与経路及び標準的な薬務に関して選択される薬学的担体との混合物で投与されてよい。本明細書に記載される化合物に従って使用するための医薬組成物は、本明細書に記載される化合物の処理を容易にする賦形剤及び補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を用いて、従来の様式で製剤化される。
[0106]本明細書に記載される化合物が静脈内投与される場合、水が好ましい担体である。生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液もまた、特に注射可能な溶液のための液体キャリアとして用いられ得る。適当な医薬担体には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等の賦形剤も含まれる。本発明の組成物は、所望であれば、少量の湿潤剤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤も含有することができる。
[0107]これらの医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。適当な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される化合物の治療有効量が経口投与される場合、組成物は、典型的には、錠剤、カプセル剤、散剤、液剤又はエリキシル剤の形態である。錠剤形態で投与される場合、組成物は、ゼラチン又はアジュバント等の固体担体をさらに含有することができる。錠剤、カプセル剤及び散剤は、約0.01%~約95%、好ましくは約1%~約50%の本明細書に記載の化合物を含有する。液体形態で投与される場合、水、石油又は動物若しくは植物起源の油等の液体担体を添加することができる。液体形態の組成物は、生理食塩水、デキストロース若しくは他の糖類溶液又はグリコールをさらに含有することができる。液体形態で投与される場合、組成物は、約0.1質量%~約90質量%、好ましくは約1質量%~約50質量%の本明細書に記載される化合物を含有する。
[0108]本明細書に記載される化合物の治療有効量が、静脈内、皮膚又は皮下注射によって投与される場合、組成物は、発熱物質を含まない、非経口的に許容される水溶液の形態である。pH、等張性、安定性等を十分に考慮した、当該非経口的に許容される溶液の調製は、当技術分野の技術の範囲内である。静脈内、皮膚又は皮下注射のための好ましい組成物は、典型的には等張性ビヒクルを含有する。本明細書に記載される化合物は、10~30分の期間にわたって又は数時間にわたって、他の流体と共に注入されてよい。
[0109]本明細書に記載される化合物は、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体と容易に組み合わされてよい。当該担体により、治療される患者による経口摂取用の、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として活性剤を製剤化することができる。
[0110]経口使用のための医薬調製物は、本明細書に記載される化合物を固体賦形剤に添加し、得られた混合物を粉砕して又は粉砕せずに、所望であれば、適当な補助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠コアを得ることによって得ることができる。適当な賦形剤には、例えば、充填剤及びセルロース調製物が含まれる。所望により、崩壊剤を添加することができる。
[0111]本明細書に記載される化合物は、注射による、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与のために製剤化されてよい。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプル又は複数回用量容器で、保存剤を添加して提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョン等の形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤等の製剤化剤を含有することができる。
[0112]非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性薬剤の水溶液を含む。さらに、本明細書に記載される化合物の懸濁液は、適当な油性注射懸濁液として調製されてよい。適当な親油性溶媒又はビヒクルとしては、脂肪油又は合成脂肪酸エステルがあげられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有することができる。
[0113]ある実施形態では、懸濁液はまた、適当な安定剤又は化合物の溶解度を増加させ、高濃度溶液の調製を可能にする薬剤を含有し得る。あるいは、本発明の組成物は、使用前に、適当なビヒクル(例えば、滅菌した発熱物質を含まない水)で構成するための粉末形態であり得る。
[0114]本明細書に記載される化合物はまた、例えば、従来の坐剤基剤を含有する、坐剤又は停留浣腸等の直腸用組成物に製剤化されてもよい。先に記載された製剤に加えて、本明細書に記載される化合物はまた、デポー調製物として製剤化されてよい。このような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)又は筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、本明細書に記載される化合物は、適当なポリマー材料若しくは疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂と共に製剤化されてよい。
[0115]本明細書に記載される化合物は、デンプン若しくはラクトース等の賦形剤を含有する錠剤の形態で又は単独若しくは賦形剤との混合物のいずれかでカプセル若しくは小卵(ovule)で又は香味剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤若しくは懸濁剤の形態で、経口、口腔内又は舌下で投与されてよい。このような液体調製物は、懸濁剤等の薬学的に許容される添加剤と共に調製することができる。本明細書に記載される化合物はまた、非経口的に、例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は冠動脈内に注射されてよい。非経口投与のために、本明細書に記載される化合物は、他の物質、例えば、塩又はマンニトール若しくはグルコース等の単糖類を含有して、溶液を血液と等張にすることができる滅菌水溶液の形態で最もよく用いられ得る。少なくともある実施形態では、本明細書に記載される化合物は、シロシビン類似体である。
[0116]一般的な事項
本明細書で説明される任意の態様又は実施形態の任意の部分は、本明細書で説明される任意の他の態様又は実施形態の任意の部分とともに実装されてよいか又は組み合わせられ得ることが企図される。特定の実施形態が上記に記載されているが、他の実施形態が可能であり、本明細書に含まれることが意図されることが理解されるべきである。図示しないが、前述の実施形態の修正及び調整が可能であることは、当業者には明らかであろう。
[0117]別段の指定がない限り、本明細書で用いられる用語別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の内容が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味がある。加えて、本明細書における参考文献のいかなる引用も、そのような参考文献が本開示の内容に関連する先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではなく又は見なされるべきではない。
[0118]特許請求の範囲は、本明細書に記載された例示的な実施形態によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【国際調査報告】