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特表2025-503600地熱熱源技術分野を用いたバイオマスのバイオ燃料への変換システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】地熱熱源技術分野を用いたバイオマスのバイオ燃料への変換システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20250128BHJP
   C10G 31/08 20060101ALI20250128BHJP
   C10G 31/06 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
C10G31/08
C10G31/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540813
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 US2023010171
(87)【国際公開番号】W WO2023133180
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】17/570,068
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/990,032
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VISUAL BASIC
2.SWIFT
3.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】523384676
【氏名又は名称】プレミアム・オーシャニック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PREMIUM OCEANIC INC.
【住所又は居所原語表記】445 San Antonio Road,Suite 105,Los Altos,California 94022 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボー・ペリー
(72)【発明者】
【氏名】トレイシー・マクシーリー
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA03
4H129BB03
4H129BC12
4H129BC27
4H129CA19
4H129DA03
4H129FA05
4H129NA21
(57)【要約】
バイオマスをバイオ燃料に変換するシステムであって、バイオマス収穫機からバイオマスを受け取り、バイオマスを水熱液化(HTL)コンバータに出力し、HTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取るように構成されたバイオマス処理ステーションを含む。システムはバイオマスをバイオマス処理ステーションからHTLコンバータへ輸送し、HTLコンバータからバイオマス処理ステーションへ処理済みバイオマスを輸送するように構成された導管を含む。HTLコンバータはバイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、地熱熱源からの熱エネルギーをバイオマスに伝達するように構成された熱交換器を含む。また、システムは導管に沿った位置におけるバイオマスの条件を監視し、導管に沿ったコンポーネントの動作を調整して、これにより、導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの条件を調整するように構成されたコントローラも含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスをバイオ燃料に変換するシステムであって、以下を含む、システム:
バイオマス処理ステーションであって、バイオマス収穫機から前記バイオマスを受け取り、前記バイオマスを水熱液化(HTL)コンバータに出力し、そして、前記HTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取るように構成されたバイオマス処理ステーション;
導管であって、前記バイオマスを前記バイオマス処理ステーションから前記HTLコンバータへ輸送し、そして、前記処理済みバイオマスを前記HTLコンバータから前記バイオマス処理ステーションへ輸送するように構成された導管;
前記HTLコンバータであって、地熱熱源からの熱エネルギーを前記バイオマスに伝達し、前記バイオマスを前記処理済みバイオマスに変換するように構成された熱交換器を含むHTLコンバータ;及び
コントローラであって、前記導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記バイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、前記導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、これにより、前記導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を調整するように構成されたコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記システムは、前記導管の1つ又は複数のセクションに配置された1つ又は複数のセンサを含み、前記コントローラは、前記1つ又は複数のセンサから前記バイオマスの1つ又は複数の条件に関連付けられたセンサデータを受信することによって、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を監視する、システム。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムであって、前記バイオマスが藻類を含み、そして、前記処理済みバイオマスがバイオオイルを含み、そして、前記バイオマスを変換することが前記バイオマスのバイオオイルへの解重合を含む、システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のシステムであって、前記コントローラは、前記処理済みバイオマスの収量を最適化するべく、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を最適化するために、前記1つ又は複数のコンポーネントの前記動作を調整するように構成される、システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のシステムであって、前記1つ又は複数のコンポーネントが、ポンプ及び流量制御弁のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシステムであって、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件が、温度、圧力、流量、触媒濃度、及び前記HTLコンバータ内の滞留時間のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシステムであって、前記地熱熱源が、火山、火山噴出孔、熱水噴出孔のうちの少なくとも1つを含む、システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のシステムであって、前記HTLコンバータが水域内に存在する、システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステムであって、前記導管の実質的な部分が水域に囲まれている、システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムであって、バイオマス処理ステーション及びバイオマス収穫機が、水域内で互いに近くに存在している、システム。
【請求項11】
バイオマスをバイオ燃料に変換する方法であって、以下を含む、方法:
バイオマス処理ステーションで、バイオマス収穫機から前記バイオマスを受け取る;
前記バイオマス処理ステーションから導管を介して水熱液化(HTL)コンバータへ前記バイオマスを輸送する、ここで、前記HTLコンバータは、前記バイオマス処理ステーションから離れて、且つ、地熱熱源の近くに設置される;
前記地熱熱源からの熱エネルギーを前記バイオマスに伝達し、前記バイオマスを処理済みバイオマスに変換する;
前記導管に沿った1つ又は複数の位置で、前記バイオマスの1つ又は複数の条件を監視する;
前記導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整して、前記導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を調整する;及び
前記バイオマス処理ステーションで、前記導管を介して前記HTLコンバータから前記処理済みバイオマスを受け取る。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記導管の1つ又は複数のセクションに配置された1つ又は複数のセンサを提供することを含み、前記コントローラは、前記1つ又は複数のセンサから前記バイオマスの1つ又は複数の条件に関連付けられたセンサデータを受信することによって、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を監視する、方法。
【請求項13】
請求項11又は12の方法であって、前記バイオマスが藻類を含み、そして、前記処理済みバイオマスがバイオオイルを含み、そして、前記バイオマスを変換することが前記バイオマスのバイオオイルへの解重合を含む、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法であって、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を最適化して、これにより、前記処理済みバイオマスの生産収量を最適化するために、前記1つ又は複数のコンポーネントの前記動作を調整することを含む、方法。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項に記載の方法であって、前記1つ又は複数のコンポーネントが、ポンプ及び流量制御弁のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項16】
請求項11~15のいずれか1項に記載の方法であって、前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件が、温度、圧力、流量、触媒濃度、及び前記HTLコンバータ内の滞留時間のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか1項に記載の方法であって、前記地熱熱源が、火山、火山噴出孔、熱水噴出孔のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項18】
請求項11~17のいずれか1項に記載の方法であって、前記HTLコンバータを水域内に配置することを含む、方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載の方法、前記導管の実質的な部分を水域内に配置することを含む、方法。
【請求項20】
バイオマスをバイオ燃料に変換するシステムであって、以下を含む、システム:
バイオマス処理ステーションであって、バイオマス収穫機から前記バイオマスを受け取り、前記バイオマスを水熱液化(HTL)コンバータに出力し、そして、前記HTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取るように構成されたバイオマス処理ステーション;
第1の導管であって、前記バイオマスを前記バイオマス処理ステーションから前記HTLコンバータへ輸送し、そして、前記処理済みバイオマスを前記HTLコンバータから前記バイオマス処理ステーションへ輸送するように構成された第1の導管;
前記HTLコンバータであって、前記バイオマスを前記処理済みバイオマスに変換するために、過熱流体から前記バイオマスに熱エネルギーを伝達するように構成された第1の熱交換器を含むHTLコンバータ;
第2の導管であって、地熱熱源近くにある第2の熱交換器から、前記過熱流体を前記HTLコンバータに輸送するように構成された第2の導管;
前記第2の熱交換器であって、前記地熱熱源からの熱エネルギーを前記過熱流体に伝達するように構成された、第2の熱交換器;並びに
コントローラであって、以下のうちの少なくとも1つを実行するように構成されたコントローラ:i)前記第1の導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記バイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、そして、前記第1の導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、これにより、前記第1の導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記バイオマスの前記1つ又は複数の条件を調整すること、及び、ii)前記第2の導管に沿った1つ又は複数の位置における前記過熱流体の1つ又は複数の条件を監視し、そして、前記第2の導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、これにより、前記第2の導管に沿った前記1つ又は複数の位置における前記過熱流体の前記1つ又は複数の条件を調整すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概して、バイオマスのバイオ燃料への変換に関するものであり、より詳細には、藻類や海藻に基づく地熱バイオ燃料生産に関するものである。
【背景技術】
【0002】
しばしば、第3世代のバイオ燃料と呼ばれる藻類由来の燃料は、サトウキビ及びトウモロコシを含む植物性作物(例えば「第1世代のバイオ燃料」)、及び、植物性又は動物性の廃棄物(例えば「第2世代のバイオ燃料」)に基づく以前のバイオ燃料よりも優れている。
【0003】
藻類バイオ燃料には、従来のシステムに比べてバイオ燃料収量が高いこと、バイオディーゼル、ブタノール、エタノール、及び、ジェット燃料を含む多様なセットの燃料タイプが可能であること、並びに、オープンポンド又はより高度なクローズドループシステムで大規模な藻類培養を展開できることを含む利点がある。藻類からのバイオ燃料生産は、食用作物に適さない土地でも可能であり、藻類バイオ燃料原料作物が食料生産者と競合する懸念を取り除く。
【0004】
藻類に基づくバイオ燃料会社は、化石燃料と競争できる価格で何千万ガロンもの燃料を生産できるようにスケールアップできる藻類を化学工学的に改良しようとして失敗した。藻類からの燃料変換は、一般的に、原料の高濃度の脂質、すなわちバイオ燃料を製造するために抽出可能な脂肪分、含油酸分子に基づいてきた。藻類は、技術や使用する細胞の部位によって、様々なタイプの燃料に変換することができる。藻類バイオマスの脂質、つまり油性の部分は、他の植物油で使用されるのと同様のプロセスを通して、抽出することができ、そして、バイオディーゼルに変換することができ、又は、石油系燃料の代替として製油所で変換することもできる。あるいは、又は、脂質を抽出した後、藻類の炭水化物コンテンツを発酵させてバイオエタノール又はブタノール燃料にすることもできる。
【0005】
バイオ燃料は、典型的には、脱水又は熱水液化によって藻類から生産される。熱水液化は、収穫された湿った藻類を高温高圧、例えば350℃(662°F)、3,000ポンド/平方インチ(21,000kPa)の高温高圧にさらす連続プロセスを実施する。残念なことに、このような高温高圧を発生させるコストは、従来、結果的に得られた藻類に基づくバイオ燃料製品の価値を上回っていた。このような製品には原油が含まれ、原油は、1つ又は複数のアップグレードプロセスを使用して、航空燃料、ガソリン、又は、ディーゼル燃料へとさらに精製することができる。変換プロセスからの他の出力には、クリーンな水、ガス燃料、又は、栄養素(例えば、窒素、リン、及び、カリウムなど)が含まれる。
【0006】
コスト効率が高く、スケーラブルな変換プロセスを開発するための多大な努力にもかかわらず、実用的なバイオ燃料生産システムはまだ実現されていない。脂質抽出のエネルギーバランス、オープンな水環境での適切な生育条件の維持、電力消費、並びに、藻類が大量に十分な速さで光合成するために必要な膨大な量の水、CO2、及び、肥料に関する技術的な問題が残っている。
【0007】
藻類バイオ燃料生産システムを開発するための研究努力は数多く行われてきたが、既存の生産努力の中で、藻類を十分にスケーラブルでコスト効率の高い方法でバイオ燃料に変換できるものはなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
概要
本出願は、様々な実施態様において、藻類のようなバイオマスをバイオ燃料に変換する際の欠点に対処する。
【0009】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、海洋内及び/又は地中の地熱エネルギー源を利用して、湿った藻類及び/又は微細藻類を熱化学的に変換し、「バイオオイル」、「バイオ燃料」、又は「バイオクルード」と呼ばれる液体エネルギーキャリアを、気体、水性及び/又は固体の副産物とともに生産するための効率的な熱水液化(HTL)プロセスを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、バイオマスをバイオ燃料に変換するシステムは、バイオマス収穫機からバイオマスを受け取り、バイオマスを水熱液化(HTL)コンバータに出力し、HTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取るように構成されたバイオマス処理ステーションを含む。システムは、バイオマスをバイオマス処理ステーションからHTLコンバータへ輸送し、処理済みバイオマスをHTLコンバータからバイオマス処理ステーションへ輸送するように構成された導管を含む。HTLコンバータは、地熱熱源からの熱エネルギーをバイオマスに伝達し、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するように構成された熱交換器を含む。システムは、導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整して、これにより、導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整するように構成されたコントローラをさらに含む。
【0011】
一実施態様では、システムは、導管の1つ又は複数のセクションに配置された1つ又は複数のセンサを含み、1つ又は複数のセンサからバイオマスの1つ又は複数の条件に関連付けられたセンサデータを受信することによって、バイオマスの1つ又は複数の条件をコントローラが監視することを可能にする。バイオマスは藻類を含んでもよく、そして、処理済みバイオマスはバイオオイル、バイオクルード、及び/又は、バイオ燃料を含んでもよい。特定の構成では、バイオマスを処理済みバイオマスに変換することは、バイオマスのバイオオイルへの解重合を含む。コントローラは、処理済みバイオマスの品質及び/又は収量を最適化するべく、バイオマスの1つ又は複数の条件を最適化するために、1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整するように構成されてもよい。1つ又は複数のコンポーネントは、ポンプと流量制御弁の少なくとも一方を含んでもよい。バイオマスの1つ又は複数の条件は、温度、温度変化率、圧力、流量、触媒濃度、及び/又はHTLコンバータ内の滞留時間を含んでもよい。
【0012】
地熱熱源は、火山、火山噴出孔、及び/又は、熱水噴出孔を含んでもよい。HTLコンバータは水域内に存在してもよく、そして、導管の実質的な部分は水域に囲まれてもよい。バイオマス処理ステーションとバイオマス収穫機は、水域内で互いに近くに存在してもよい。
【0013】
別の態様において、バイオマスをバイオ燃料に変換する方法は、以下を含む:バイオマス処理ステーションで、バイオマス収穫機からバイオマスを受け取る;バイオマス処理ステーションから導管を介して水熱液化(HTL)コンバータへバイオマスを輸送する、ここで、HTLコンバータは、バイオマス処理ステーションから離れて、且つ、地熱熱源の近くに設置される;地熱熱源からの熱エネルギーをバイオマスに伝達し、バイオマスを処理済みバイオマスに変換する;導管に沿った1つ又は複数の位置で、バイオマスの1つ又は複数の条件を監視する;導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整して、導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整する;及び、バイオマス処理ステーションにおいて、処理済みバイオマスをHTLコンバータから導管を介して受け取る。
【0014】
さらなる態様において、バイオマスをバイオ燃料に変換するためのシステムは、バイオマス収穫機からバイオマスを受け取り、バイオマスをHTLコンバータに出力し、そして、HTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取るように構成されたバイオマス処理ステーションを含む。システムは、バイオマス処理ステーションからHTLコンバータへバイオマスを輸送し、HTLコンバータからバイオマス処理ステーションへ処理済みバイオマスを輸送するように構成された第1の導管を含む。HTLコンバータは、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、過熱流体からバイオマスに熱エネルギーを伝達するように構成された第1の熱交換器を含む。システムは、地熱熱源近くにある第2の熱交換器から過熱流体をHTLコンバータへ輸送する第2の導管を含む。第2の熱交換器は、地熱熱源から過熱流体へ熱エネルギーを伝達するように構成される。システムは、以下の少なくとも1つを実行するように構成されたコントローラをさらに含む:i)第1の導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、そして、第1の導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、これにより、第1の導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整すること、及び、ii)第2の導管に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の条件を監視し、そして、第2の導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、これにより、第2の導管に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の条件を調整すること。
【0015】
この「概要」の項を含め、本明細書に記載されている特徴のうち2つ以上を組み合わせて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様を形成することができる。さらに、本明細書では、藻類又は海藻を生産するバイオリアクタに関するシステム、方法、及び、装置の例に言及することがあるが、このような技術は、他の生物又は生産物を培養するために構成されたバイオリアクタにも同様に適用されてもよい。
【0016】
本明細書に記載されたシステムと方法は、陸上のものを含む任意のバイオマスを精製することができ、そして、プラスチック廃棄物も原料の一部として精製することができる。いくつかの実施態様では、システム及び方法の主な出力には、バイオクルード、バイオ燃料、及び、水素が含まれる。水素の場合、本明細書で説明する実施態様により、炭素化合物の副生成物のセットを得ることができ、これらは隔離したり、又は、例えばコンクリート及びその他の工業材料に応用したりすることができる。従って、プラットフォーム又はプロセスとして、本明細書に記載されているシステム及び方法は、精製システムとしての排出の欠如に基づき、炭素回収・貯留を伴うバイオエネルギー(BECCS)のカーボンネガティブ・ソリューションとなる可能性を持っている。様々な実施態様において、本明細書に記載されるシステム及び方法は、処理される材料に応じて、窒素、リン、及び、場合によってはスカンジウムなどの希土類金属、又は他の希土類元素(REE)の範囲を含む他の貴重な材料の副産物を生成することもできる。わずかなパーセンテージだが、1日に100万トンを処理するのであれば、これは注目に値する。本明細書に記載されたシステム及び方法の他の応用として、材料市場向けの材料、例えばバイオプラスチックを提供する可能性がある。バイオマスとともに廃プラスチックを受け入れる能力を持つ、本明細書で述べる地熱及び/又は水熱液化システム及び方法は、リサイクルソリューションとしても機能する。地熱を利用したHTL(GeoHTL)精製所(例えば、本明細書のシステム及び方法に関連して記載されるもの)は、陸上、海面、海底に設置することもできる。
【0017】
1つ又は複数の実施態様の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。その他の特徴及び利点は、本明細書及び図面、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、例示的なバイオマスからバイオ燃料への変換プロセスの図である;
【0019】
図2図2は、バイオマスからバイオ燃料への変換システムの動作を制御するために構成されたコントローラのコンピュータシステムの図である;
【0020】
図3図3は、バイオマスを地熱熱源を使ってバイオ燃料に変換するシステムを示している;
【0021】
図4図4は、バイオマスを地熱熱源を使ってバイオ燃料に変換する別のシステムを示している;
【0022】
図5図5は、地熱熱源を使ってバイオマスをバイオ燃料に変換する更なるシステムを示している;
【0023】
図6図6は、地熱熱源を用いてバイオマスをバイオ燃料に変換する陸上システムを示している。
【0024】
図7図7は、バイオマスを地熱熱源を使ってバイオ燃料に変換するプロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
異なる図中の同様の参照数字は、同様の要素を示す。
【0026】
詳細説明
【0027】
本出願は、様々な実施態様において、藻類などのバイオマスをバイオ燃料に変換する際の欠陥に対処する。本出願は、バイオマスのバイオオイルへの解重合を可能にするために地熱熱源を使用することにより、バイオマスからバイオ燃料への変換を効果的かつ効率的に実施する例示的なシステム、方法、及び、装置について記述する。変換プロセスは、温度、温度変化率、圧力、触媒濃度、及び/又はHTLコンバータを通過するバイオマスの流量を制御することを含む、変換中のバイオマスに関連する条件を制御することによって向上させることができ、それによって、変換から得られるバイオオイル及び/又はバイオ燃料の収量を最適化することができる。最適化は、以下によって、さらに強化される可能性がある:バイオマス及び/又はバイオオイルの条件を、材料をHTLコンバータへ、及びHTLコンバータから輸送する導管に沿って、センサを使用して監視し、AI及び/又はMLを使用するコントローラにセンサデータを提供し、センサデータを処理し、そして、様々な変換システムコンポーネントの動作を動的に調整して、導管及び/又はHTLコンバータ内の1つ又は複数の条件を調整すること、ここで、これによって、バイオ燃料の品質及び/又は収量を最適化し、又は、特定の使用のためのバイオ燃料の特徴を最適化する。
【0028】
図1は、例示的なバイオマスからバイオ燃料への変換プロセス100の図である。変換プロセス100は、バイオマス成長段階102、収穫段階104、分画段階106、及び水熱液化(HTL)段階108を含む。バイオマス成長段階102において、炭素源(例えば、藻類種子)110は、少なくとも光112、水114、及び栄養素116と組み合わされ、例えば光バイオリアクタ内でのバイオマス(例えば、藻類)の成長を促進する。オンショア、クローズドループ、オープン、及び、深海の光バイオリアクタの詳細な説明は、以下に記載されている:米国仮特許出願番号63/172,407、名称「Photobioreactor Systems and Methods」、2021年12月29日出願の米国特許出願第17,564,779号、名称「Photobioreactor Systems and Methods」、2021年12月29日出願の米国特許出願第17/564,814号、名称「Systems and Methods for Deepwater Photobioreactor」。
【0029】
成長段階102でバイオマスが形成されると、バイオマスは例えば光バイオリアクタから収穫される。収穫中、収穫されたバイオマスは、バイオマス材料のサイズを小さくするために、分画段階106を介してさらに分画されてもよい。その後、バイオマスはHTL段階108で解重合され、バイオオイル又はバイオ燃料となる。HTL段階108の副生成物には、バイオマス成長プロセスを強化するためにフィードバック124を介してバイオマス成長段階102に戻すことができるCO2リッチガスが含まれてもよい。水や栄養分などの他の物質は、より効率的なバイオ燃料生産のために、フィードバック126を介してバイオマス成長段階102に再循環させてもよい。例えばチャーを含む固体残渣120は、段階108でバイオ燃料から抽出されてもよい。バイオクルード122、バイオ燃料、及び/又は、バイオオイルもまた、貯蔵、使用、又は、燃料としてのさらなる処理のために抽出される。
【0030】
図2は、図3図4図5、及び図6のコントローラのようなコンピュータの機能を実行するためのコンピュータシステム200のブロック図を含む。例示的なコンピュータシステム200は、中央処理装置(CPU)202、メモリ204、及び相互接続バス206を含む。CPU202は、コンピュータシステム200をマルチプロセッサシステムとして構成するために、単一のマイクロプロセッサ又は複数のマイクロプロセッサを含んでもよい。メモリ204には、例示的には、メインメモリとリードオンリーメモリが含まれる。また、コンピュータ200は、例えば、様々なディスクドライブ、テープドライブなどを有するマスストレージデバイス208を含む。また、メインメモリ204には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)と高速キャッシュ・メモリも含まれる。動作時、メインメモリ204は、CPU202が実行するための命令とデータの少なくとも一部を格納する。
【0031】
マスストレージ208は、CPU202が使用するデータ及び命令を記憶するための、1つ又は複数の磁気ディスク又はテープドライブ、又は光ディスクドライブ、又はソリッドステートメモリを含んでもよい。マスストレージシステム208の少なくとも1つのコンポーネントは、好ましくはディスクドライブ、ソリッドステート、又はテープドライブの形態で、センサーアレイ116からのセンサデータを処理し、そして、バイオ燃料変換システム300、400、及び500を制御するためのAI及び/又はMLエンジン及び/又はニューラルネットワークを実行するために使用されるデータベースを格納する。AI及び/又はMLエンジンは、ANN及び/又はディープラーニングアーキテクチャ(例えば、ディープニューラルネットワーク、ディープビリーフネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、及び、畳み込みニューラルネットワークなど)を実装し、導管、HTLコンバータ、又はシステム300、400、500の他のコンポーネント内の環境条件を動的に調整してもよい。システム300、400、500、600の自動制御を実現するために、コンピュータ200は、システム300、400、500の様々なコンポーネント322、324、326、424、426、428、524、526、及び、528、又はシステム600のコンポーネントに制御信号を送り、システム300、400、500、又は600のHTLコンバータ内のバイオクルード及び/又はバイオ燃料生産を最適化するために、開、閉、オン、オフ、流量調整、混合速度調整、冷却速度調整のいずれかを行ってもよい。また、マスストレージシステム208は、フロッピーディスク(登録商標)、フラッシュドライブ、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM、DVD、CD-RW、及び変形)、メモリスティック、又は集積回路不揮発性メモリアダプタ(すなわち、PC-MCIAアダプタ)などの様々なポータブルメディア用の1つ又は複数のドライブを含み、コンピュータシステム200との間でデータ及びコードを入出力してもよい。いくつかの実施態様では、コンピュータ200及び/又はコントローラ118は、ネットワーク212のようなデータネットワークを介して複数のバイオリアクタを同時に制御してもよい。コントローラ118は、複数のバイオリアクタ間の出力生産及び/又は収量を最適化するために、複数のバイオリアクタ間の動作を調整してもよい。ネットワーク212は、クラウドコンピューティング環境における複数のコンピューティングサーバの実装をサポートする、無線、アドホック、及び/又はモバイルネットワークを含んでもよい。様々な環境センサ及び/又は複数のバイオ燃料変換システム、収穫機(例えば、光バイオリアクタ)、及びバイオマス処理ステーション、ならびに/又はこれらのシステムのコンポーネントにサービスを提供するロボットは、例えば、IoT(Internet-of-Things)対応システム及び/又はデバイスとして、ネットワーク212を介して通信可能に接続されてもよい。いくつかの実施態様では、ネットワーク212は、コンピュータ200及び/又はコントローラ118が、予測分析を使用して、例えば、全地球測位システム(GPS)データ及び他のビッグデータを処理し、地理的領域にわたって複数の同時動作バイオリアクタの動作及び制御を調整することによって、複数の光バイオリアクタの動作を調整することを可能にしてもよい。特定の実施態様では、ネットワーク212は、例えば、複数のバイオリアクタからのGPSデータの収集を可能にし、MLプログラムを使用して、陸上又は海中でのバイオ燃料生産の安全性及び/又は性能を向上させることができる。
【0032】
コンピュータシステム200はまた、ネットワーク212を介したデータ通信のためのインタフェース210及び/又はトランシーバーとして例示的に示される、通信のための1つ又は複数の入出力インタフェースを含んでもよい。データインタフェース210は、モデム、イーサネット(登録商標)・カード、又はその他の適切なデータ通信デバイスとしてもよい。コンピュータ102の機能を提供するために、データインタフェース210は、直接又は別の外部インタフェースを介して、イントラネットやインターネットなどのネットワーク212への比較的高速なリンクを提供してもよい。ネットワーク212への通信リンクは、例えば、光、有線、又は無線(例えば、衛星又はセルラーネットワーク経由)としてもよい。あるいは、コンピュータシステム200は、ネットワーク212を介してウェブベースの通信が可能なメインフレーム又は他のタイプのホストコンピュータシステムを含んでもよい。コンピュータシステム200は、ウェブサーバ及び/又はウェブクライアントなどのネットワークアプリケーションを操作するためのソフトウェアを含んでもよい。
【0033】
また、コンピュータシステム200は、適切な入出力ポートを含んでもよく、これらは、ポータブルデータストレージデバイスとインタフェースしてもよく、又は、コンピュータシステム200は、プログラミング及び/又はデータ検索目的のローカルユーザインタフェースとして機能するローカルディスプレイ216及びキーボード214などとの相互接続のために相互接続バス206を使用することができる。ディスプレイ216及び/又はディスプレイ120は、ユーザがディスプレイ216の表面の一部に触れることによってシステム200とのインタフェースを可能にするタッチスクリーン機能を含んでもよい。遠隔操作担当者は、ネットワーク212を介して遠隔端末装置からシステムを制御及び/又はプログラミングするために、システム200と対話してもよい。
【0034】
コンピュータシステム200は、さまざまなアプリケーション・プログラムを実行してもよく、関連するデータをマスストレージシステム208のデータベースに格納してもよい。1つ又は複数のこのようなアプリケーションには、バイオ燃料変換プロセス中にシステム300、400、500、及び、600の様々なコンポーネントを制御するバイオ燃料変換コントローラ344、450、550、及び、612が含まれてもよい。
【0035】
コンピュータシステム200に含まれるコンポーネントにより、コンピュータシステムをサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ネットワーク端末、モバイルコンピューティングデバイスなどとして使用することを可能にしてもよい。上述したように、コンピュータシステム200は、1つ又は複数の靴底(footwear sole)の洗浄及び除菌を可能にする1つ又は複数のアプリケーションを含んでもよい。システム200は、ウェブサーバアプリケーションを実装するソフトウェア及び/又はハードウェアを含むことができる。ウェブサーバアプリケーションには、HTML、XML、WML、SGML、PHP(ハイパーテキスト・プリプロセッサ)、CGI、及び他の言語のソフトウェアが含まれてもよい。
【0036】
本開示の前述の特徴は、システム200がUNIX(登録商標)ワークステーション、Windowsワークステーション、LINUX(登録商標)ワークステーション、又は他のタイプのワークステーションを含む場合、システム200内で動作するソフトウェアコンポーネントとして実現してもよい。限定されるものではないが、Windows(登録商標)、MAC OS(登録商標)、LINUXなど、他のオペレーティングシステムを採用してもよい。いくつかの態様において、ソフトウェアは、任意に、C言語コンピュータプログラム、又は、限定されないが、JavaScript(登録商標)、Java(登録商標)、CSS、Python、PHP、Ruby、C++、C、Shell、C#、Objective-C、Go、R、TeX、VimL、Perl、Scala、CoffeeScript、Emacs Lisp、Swift、Fortran、又はVisual BASICを含む任意の高級言語で書かれたコンピュータプログラムとして実装することができる。XML、WML、PHPなど、特定のスクリプトベースのプログラムが採用されてもよい。システム200は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用してもよい。
【0037】
前述のように、マスストレージ装置208はデータベースを含んでもよい。データベースは、市販のMicrosoft(登録商標)Accessデータベースを含む、任意の適切なデータベースシステムとしてもよく、そして、ローカル又は分散型のデータベースシステムとしてもよい。データベースシステムは、Sybase及び/又はSQL Server(登録商標)を実装してもよい。データベースは、ハードディスク・ドライブ、RAIDシステム、テープ・ドライブ・システム、フロッピー・ディスケット、又はその他の適切なシステムなど、任意の適切な永続データ・メモリによってサポートされてもよい。システム200は、システム200と一体化されたデータベースを含んでもよいが、他の実施態様では、データベース及びマスストレージ装置208は外部要素であり得てもよいことを理解されたい。
【0038】
特定の実施態様において、システム200は、インターネットブラウザプログラムを含んでもよく、及び/又はウェブサーバとして動作するように構成されてもよい。いくつかの構成では、クライアント及び/又はウェブサーバは、クライアント又はサーバプログラムによって使用され得る様々なネットワークプロトコルを認識し、そして、解釈するように構成されてもよい。よく使われるプロトコルには、例えば、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)、Telnet、SSL(Secure Sockets Layer)、TLS(Transport Layer Security)などが含まれる。しかし、新しいプロトコルの導入、及び、既存のプロトコルの改訂版の導入は頻繁に行われてもよい。従って、新しいプロトコルや改訂されたプロトコルをサポートするために、サーバ及び/又はクライアントアプリケーションの新しい改訂版が継続的に開発され、そして、リリースされる可能性がある。
【0039】
コンピュータシステム200は、Web2.0アプリケーションなどを実行するWebサーバを含んでもよい。システム200上で実行されるウェブアプリケーションは、Javaサーブレット、CGI、PHP、又はASPなどのサーバサイド動的コンテンツ生成メカニズムを使用してもよいが、これらに限定されない。特定の実装では、マッシュアップされたコンテンツは、限定されるものではないが、例えば、無線デバイス上でJavaScript及び/又はアプレットを含むクライアントサイドスクリプトを実行するウェブブラウザによって生成されてもよい。
【0040】
特定の実装では、システム200及び/又はコントローラ118は、非同期ローディング及びコンテンツ提示技術を使用する非同期JavaScript+XML(Ajax)などの技術を採用するアプリケーションを含んでもよい。これらの技術には、スタイル提示のためのXHTML及びCSS、ウェブブラウザが公開するドキュメントオブジェクトモデル(DOM)API、XMLデータの非同期データ交換、ウェブブラウザサイドスクリプティング(例えば、JavaScript)などが含まれてもよいが、これらに限定されるものではない。特定のウェブベースのアプリケーション及びサービスは、サービス指向アクセスプロトコル(SOAP)や表現型状態遷移(REST)を含むがこれらに限定されないウェブプロトコルを利用してもよい。RESTはXMLとともにHTTPを利用してもよい。
【0041】
また、システム200は、強化されたセキュリティとデータ暗号化を提供してもよい。強化されたセキュリティには、アクセス制御、生体認証、暗号認証、メッセージ完全性チェック、暗号化、デジタル著作権管理サービス、及び/又は他の同様のセキュリティサービスが含まれてもよい。セキュリティには、IPSECやIKEなどのプロトコルが含まれてもよい。暗号化には、これらに限定されないが、DES、3DES、AES、RSA、及び公開鍵又は秘密鍵に基づくスキームが含まれてもよい。
【0042】
図3は、地熱熱源302を使ってバイオマスをバイオ燃料に変換するシステム300を示している。システム300は、バイオマス収穫機306からバイオマスを受け取り、バイオマスをHTLコンバータ308に出力するように構成されたバイオマス処理ステーション304を含む。処理ステーション304はまた、HTLコンバータ308から処理済みバイオマスを受け取る。システム300は、導管310を使用して、バイオマス処理ステーション304からHTLコンバータ308へバイオマスを輸送し、HTLコンバータ308からバイオマス処理ステーション304へ処理済みバイオマスを輸送する。HTLコンバータ308は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、地熱熱源302からの熱エネルギーを、導管310を通して輸送されるバイオマスに伝達するように構成された熱交換器を含む。また、システム300は、導管310に沿った1つ又は複数の位置において、センサ314、316、318、及び320を介してバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、導管310に沿った1つ又は複数のコンポーネント322、324、及び326の動作を調整して、それによって導管310に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整するように構成されたコントローラ344を含む。
【0043】
センサ314~320によって監視される条件には、限定されるものではないが、温度、温度変化率、圧力、流量、触媒濃度、及び/又はHTLコンバータ308内のバイオマスの滞留時間が含まれてもよい。コントローラ344は、センサ314~320のうちの1つ以上からバイオマスの1つ又は複数の条件に関連するセンサデータを受信することによって、バイオマスの1つ又は複数の条件を監視してもよい。バイオマスは藻類を含んでもよく、一方で、処理済みバイオマスはバイオオイル、バイオクルード、及び/又は、バイオ燃料を含んでもよい。バイオマスのバイオ燃料への変換は、バイオマスのバイオオイルへの解重合を含んでもよい。
【0044】
様々な実施態様において、コントローラ344は、コンポーネント322、324、及び326のうちの1つ又は複数の動作を調整して、バイオマスの条件を最適化し、そして、それによって、処理済みバイオマスの品質及び/又は収量を最適化するように構成される。コンポーネント322及び324は、流量調整器(例えばポンプ及び/又は流量制御弁等)を含んでもよい。ポンプは、導管310内の流量を調整するための可変速ポンプであってもよい。流量制御弁は、導管310の流量を調節するために調節可能であってもよい。熱交換器326は、処理済みバイオマス、例えばバイオ燃料が処理ステーション304に戻される前に、熱交換器326からの出力温度を調節するように、コントローラ344によって制御されてもよい。熱交換器326は、水入口328の深さによって設定された温度で冷却水を受け取ってもよく、そして、導管310を介して熱交換器326も通過する処理済みバイオマスから熱を抽出するために水を通過させてもよい。熱交換器326を通る冷却水の流量は、コントローラ344によって制御される流量調整器によって調整されてもよい。その後、加熱された冷却水は、周囲の水域340、例えば海洋に排出される。このようにして、処理済みバイオマスの温度は、処理ステーション304で処理する前に低下する。図3には示されていないが、コントローラ344は、システム300内のバイオマスの条件を制御することに関連する電気通信を可能にするために、センサ314~320及びコンポーネント322~326と、例えば電気導管を介して電気通信を行っている。
【0045】
地熱熱源302は、火山、火山噴出孔、又は、熱水噴出孔を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。HTLコンバータ308は、地熱熱源302に隣接して示されているが、HTLコンバータ308は、地熱熱源302を通って、海底336の下の地球338内に延びてもよい。HTLコンバータ308は、ソース302を通って延びる及び/又はソース302の近くを延びる導管310の一部分を含んでもよい。ソース302に対するHTLコンバータ308の位置は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために必要な熱交換及び温度の所望の量に依存してもよい。HTLコンバータ308は、地熱熱源302の領域を通って延びる一本のパイプ(すなわち導管310の一部分)を含んでもよい。パイプは、ある部分において、実質的に直線状、U字状、蛇行状、及び/又は、湾曲状であってもよい。HTLコンバータ308は、導管310とインタフェースする共通の入口及び出口を有する複数の平行なパイプ及び/又はキャピラリーを含んでもよい。
【0046】
図3に示されるように、HTLコンバータ308は、海洋などの水域340内に存在してもよく、ここで、導管310の実質的な部分が水域340に囲まれていてもよい。図3は、陸地322上の収穫機306及びバイオマス処理ステーション304を示しているが、バイオマス処理ステーション304及びバイオマス収穫機306は、水域340内で互いに近くに存在してもよい。バイオマス処理ステーション304は、水域340上の船舶、リグ(rig)、又はプラットフォームに設置してもよい。収穫機306は、水域340にあり、且つ、システム300及び/又はステーション304の近くに存在している1つ又は複数の光バイオリアクタ又は深海光バイオリアクタを含んでもよい。収穫機306は、システム300及び/又はバイオマス処理ステーション304から、約5マイル(約8Km)以下、約3マイル(約4.8Km)以下、約1マイル(約1.6Km)以下、約0.5マイル(約0.8Km)以下、約0.25マイル(約0.4Km)以下であってもよい。
【0047】
特定の実施態様では、コントローラ344は、バイオ燃料変換システム300のコンポーネント322、324、及び、326の自動制御を可能にするように構成される。コントローラ344は、人工知能(AI)及び/又は機械学習(ML)、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、及び/又はファジー論理を実行するプロセッサを含んでもよく、センサ314~316のうちの1つ以上から受信されたセンサデータを処理し、限定されないが、バイオマス流量、温度、温度変化率、栄養濃度、pHレベル、溶存ガス濃度、及び/又はHTLコンバータ308内の滞留時間を含む、システム300の様々なバイオマスパラメータを制御してもよい。コントローラ344は、システム300、400、500、及び600内のバイオマス及び/又は導管310の条件を動的に調整するために、人工ニューラルネットワーク(ANN)及び/又はディープラーニングアーキテクチャ(例えば、ディープニューラルネットワーク、ディープビリーフネットワーク、リカレントニューラルネットワーク、及び畳み込みニューラルネットワークなど)を実装してもよい。コントローラ344は、教師あり学習、強化学習、及び/又は教師なし学習を実装してもよい。強化学習には、ゲーム理論、制御理論、オペレーションズ・リサーチ、情報理論、及び/又はシミュレーションに基づく最適化が含まれてもよく、システム300、400、500、及び600内のバイオマス及び/又は導管310の条件を動的に調整してもよい。システム300の生育環境及び/又は変換環境は、マルコフ決定過程(MDP)として表してもよい。コントローラ344は、複数の変換最適化問題を解決する複数の決定木を作成してもよい。コントローラ344は、ベイジアンネットワークを使用して、バイオマスからバイオ燃料への変換プロセスを最適化してもよい。
【0048】
コントローラ344は、入力ベクトルを出力ベクトルにマッピングする関数を計算するように訓練された、多層パーセプトロン(MLP)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、又はディープボルツマンマシン(DBM)などの、1つ又は複数のニューラルネットワークを使用してもよい。N要素の出力ベクトルは、N個のバイオマス変換設定の確率の推定値を伝えてもよい。いくつかの実装では、コントローラ344は、リカレントニューラルネットワーク(RNN)を使用し、そのニューロンは、動的な時間的挙動を可能にするために、互いにフィードバック信号を送信する。コントローラ344は、長期短期記憶(LSTM)及び/又は階層的時間記憶(HTM)と呼ばれる拡張RNNを使用してもよい。コントローラ344は、前述のAIアルゴリズムを組み合わせてハイブリッド制御システムを形成してもよい。決定木は、システム300、400、500、又は600を使用してバイオ燃料を生産するための最適なバイオマス変換構成に関する決定に到達するために、各ノードで1つ又は複数の属性を使用する、及び/又は各ノードでクエリを定式化するために情報理論的尺度を使用することができる決定プロセスを記述する一般的な用語である。
【0049】
いくつかの実施態様での動作において、バイオマス処理ステーション304は、バイオマス収穫機306からバイオマスを受け取る。導管310は、バイオマスをバイオマス処理ステーション304からHTLコンバータ308に輸送し、HTLコンバータ308は、バイオマス処理ステーション304から離れて存在し、且つ、地熱熱源302の近くにある。処理ステーション304内の1つ又は複数のポンプ、流量調整器322、及び又は流量調整器324を動作させて、導管310を通るバイオマスの輸送を促進することができる。HTLコンバータ308では、熱エネルギーが地熱熱源302からバイオマスに伝達され、その結果、バイオマスは処理済みバイオマス、例えばバイオクルードに変換される。コントローラ344は、センサ314~320を介して、導管310に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を監視してもよく、そして、センサ314~320のうちの1つ又は複数から受信したセンサデータに応答して、導管310に沿った1つ又は複数のコンポーネント322、324、及び326の動作を調整して、導管310に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整してもよい。その後、HTLコンバータ308からの処理済みバイオマスは、導管310を介してバイオマス処理ステーション304で受け取られる。その後、処理済みバイオマスは、出口342を介してバイオマス処理ステーションから貯蔵施設又はさらなる処理施設に排出されてもよい。バイオマス処理ステーションは、燃料精製施設を含んでもよく、又は、燃料精製施設の一部であってもよい。
【0050】
水熱液化(HTL)は、湿った(ウェットな)バイオマス及びその他の高分子を、中温・中圧から高温・高圧下で原油に変換するために使用される熱解重合プロセスである。原油は、例えば33.8~36.9MJ/kgの低位発熱量と、5~20重量%の酸素及び再生可能化学物質を含む高エネルギー密度を有してもよい。反応には、生成物の品質と収量を向上させるために、均一系触媒及び/又は不均一系触媒を含めてもよい。バイオマスのような有機物質の炭素と水素は、低粘度で溶解度の高い疎水性化合物に熱化学的に変換することができる。処理条件によっては、バイオ燃料は、船舶及び鉄道を含む大型エンジンに使用したり、又は、ディーゼル、ガソリン、若しくはジェット燃料などの輸送用燃料に改良したりすることができる。
【0051】
水熱液化プロセスでは、バイオマス中の長い炭素鎖分子が熱分解され、酸素がH2O(脱水)とCO2(脱炭酸)の形で除去される。これらの反応により、高H/C比のバイオオイルが製造され、ここで、H/C=(wt%水素/原子wt水素)/(wt%炭素/原子wt炭素)である。水熱液化の典型的な実施態様では、250~550℃の温度と5~25MPaの高圧で、触媒に20~60分間、動作させるものである。しかし、特定の実施態様では、コントローラ344は、処理済みバイオマスのガス又は液体収量を最適化するために、HTLコンバータ308及び/又は導管310内の温度を高く又は低く調節してもよい。これらの温度と圧力では、バイオマス中に存在する水は、条件によっては亜臨界又は超臨界となる可能性があり、溶媒、反応剤、及び、触媒として作用し、バイオマスから処理済みバイオマス、例えばバイオオイルへの反応を促進する可能性がある。
【0052】
コントローラ344、450、550、及び612は、原料組成、温度及び加熱速度、圧力、流量、溶媒組成、HTLコンバータ308内の滞留時間、及び触媒の組成を含む様々な条件の1つ以上を制御することに基づいて、バイオマスからバイオオイルへの変換パラメータを制御してもよい。いくつかの構成では、コントローラ344は、HTLコンバータ308を通るバイオマス流量を制御することによって、HTLコンバータ308内の滞留時間を制御してもよい。例えば、HTLコンバータ308の導管310の長さが200mの場合、コントローラ344は、HTLコンバータ308を通過するバイオマス流量を10m/minに設定するように、例えば流量調整器322の動作を設定してもよい。この結果、HTLコンバータ内でのバイオマス滞留時間は20分となり、これは200mの距離を流量(10m/分)で割った値に等しい。HTLコンバータ308内のバイオマスの滞留時間は、約60分以下、40分以下、20分以下、10分以下、5分以下、1分以下としてもよい。コントローラ344は、限定されるものではないが、原料、溶媒比、及び、温度などの反応条件に基づいて滞留時間を調整してもよい。特定の実施態様では、滞留時間を最適化することで、さらなる反応を起こさせることなく、バイオマスの完全な解重合を可能にする。
【0053】
HTLコンバータ308内の反応温度は、バイオマスのチャーへの再重合とともに、バイオマスからバイオオイルへの解重合を決定する。理想的な反応温度は使用する原料に依存するが、理想的な温度を超えるとチャー生成の増加、ひいてはガス生成の増加につながり、一方で、理想的な温度より低いと解重合と全体的な製品収量が低下する。様々な実施態様において、コントローラ344は、最適なバイオ燃料の品質及び/又は収量を生産するための最適条件を自動的に決定する。
【0054】
また、コントローラ344は、HTLコンバータ308におけるバイオマスの加熱速度を制御してもよく、加熱速度が低すぎる場合に支配的になる可能性のある二次反応(これは、チャーの形成につながる可能性がある)の影響を潜在的に制御してもよい。液体のバイオオイルを形成するためには、高い加熱速度が要求されるかもしれないが、コントローラ344は、二次反応においてガス生成が有利になる一方で、液体の生成が抑制される閾値加熱速度と温度を設定してもよい。コントローラ344は、溶媒の超臨界状態又は亜臨界状態、全体的な反応速度論、及び/又は所望の処理済みバイオマス、例えばバイオ燃料を製造するのに必要なエネルギー入力を決定するために、温度とともに圧力を調節してもよい。
【0055】
水はHTL反応の触媒として作用するが、バイオマスからバイオ燃料への変換を最適化するために、他の触媒をHTLコンバータ308及び/又は導管310に添加することができる。システム300は、KOH及びNa2CO3を含む水溶性無機化合物及び塩を有する触媒、並びに/又は炭素、シリカ若しくはアルミナのいずれかに担持されたNi、Pd、Pt及びRuを用いる遷移金属触媒をHTLコンバータ308及び/又は導管310内に含んでもよい。これらの触媒を添加すると、例えば、触媒がタンパク質、セルロース、及び、ヘミセルロースをオイルに変換するため、バイオオイルの収量を20%以上増加させることができる。
【0056】
熱水液化によって製造されるバイオ燃料は、当該バイオ燃料の燃焼時に生成されるネット炭素排出がないという点でカーボンニュートラルである。バイオオイルの生産に使われる藻類は、光合成を用いて成長し、従って、海及び/又は大気から二酸化炭素を消費する。藻類又はその他の植物から生産されたバイオ燃料を燃焼させると、二酸化炭素が大気中に放出される。しかしこれは、藻類又は植物を育てることで消費される二酸化炭素によって、ほぼ完全に相殺される。さらに、水熱液化はクリーンなプロセスであり、アンモニア、NOx、又は、SOxといった有害な化合物を生成しない。その代わり、窒素、硫黄、及び、塩素などのヘテロ原子は、N2や塩基で中和できる無機酸を含む無害な副生成物に変換される。
【0057】
図4は、地熱熱源402を使ってバイオマスをバイオ燃料に変換するシステム400を示している。しかし、システム400は、地熱熱源402から熱エネルギーをキャプチャするために、第2の導管412と熱交換器434を使う。導管412は、過熱流体を使用して熱エネルギーをHTLコンバータ408に伝達し、バイオマスを処理済みバイオマス(例えば、バイオ燃料)に変換する。第2の導管412と熱交換器434を使用することにより、システム400は、第2の導管412内でHTLコンバータ408に輸送される過熱流体の温度を制御することにより、HTLコンバータ408内の温度を制御するように構成される。コントローラ450は、流量調整器438と温度調整器440の動作を制御することにより、導管412内の過熱流体の温度及び/又は流量を制御する。流量調整器438は、流量調整器322と324と同様の動作を行ってもよく、そして、これらと同様のコンポーネントを持ってもよい。温度調整器440は、熱交換器326のような熱交換器を含んでもよく、そして、熱交換器326のようなコンポーネントを含んでもよい。コントローラ450は、調整器440を出て、その後HTLコンバータ408に輸送される過熱流体の温度を制御するために、調整器440を通る冷却水の流量を制御してもよい。
【0058】
システム400は、バイオマス収穫機406からバイオマスを受け取り、その後、HTLコンバータ408にバイオマスを出力するように構成されたバイオマス処理ステーション404を含む。また、処理ステーション404は、HTLコンバータ408から処理済みバイオマスを受け取る。システム400は、バイオマス処理ステーション404からHTLコンバータ408へバイオマスを輸送し、HTLコンバータ408からバイオマス処理ステーション404へ処理済みバイオマスを輸送するために、第1の導管410を使用する。バイオマス処理ステーション404は、処理済みバイオマスを、出口452を介して、貯蔵施設、及び/又は、さらなる処理のために処理施設に出力することができる。HTLコンバータ408は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、導管412内の過熱流体から導管410を通って輸送されるバイオマスに熱エネルギーを伝達するように構成された熱交換器を含む。過熱流体は、熱交換器434を介して地熱熱源402によって加熱される。コントローラ450は、導管410に沿った1つ又は複数の位置において、センサ414、416、418、420、及び422を介してバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、そして、導管410に沿った1つ又は複数のコンポーネント422、424、及び426の動作を調整して、それによって、導管410に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整するように構成される。
【0059】
センサ414~422によって監視される条件は、限定されるものではないが、温度、温度変化率、圧力、流量、触媒濃度、及び/又はHTLコンバータ408内のバイオマスの滞留時間を含んでもよい。コントローラ450は、センサ414~422のうちの1つ以上からバイオマスの1つ又は複数の条件に関連するセンサデータを受信することによって、バイオマスの1つ又は複数の条件を監視してもよい。バイオマスは藻類を含んでもよく、一方で、処理済みバイオマスはバイオオイル、バイオクルード、及び/又は、バイオ燃料を含んでもよい。バイオマスのバイオ燃料への変換は、バイオマスのバイオオイルへの解重合を含んでもよい。
【0060】
様々な実施態様において、コントローラ450は、コンポーネント424、426、及び428のうちの1つ又は複数の動作を調整して、バイオマスの条件を最適化し、そして、それによって、処理済みバイオマスの収量を最適化するように構成される。コンポーネント424及び426は、流量調整器(例えばポンプ及び/又は流量制御弁等)を含んでもよい。ポンプは、導管410内の流量を調整するための可変速ポンプであってもよい。流量制御弁は、導管410の流量を調節するために調節可能であってもよい。熱交換器428は、処理済みバイオマス、例えばバイオ燃料が処理ステーション404に戻される前に、熱交換器428からの出力温度を調節するように、コントローラ450によって制御されてもよい。熱交換器428は、水入口430の深さによって設定された温度で冷却水を受け取ってもよく、そして、導管410を介して熱交換器428も通過する処理済みバイオマスから熱を抽出するために水を通過させてもよい。熱交換器428を通る冷却水の流量は、コントローラ450によって制御される流量調整器によって調整されてもよい。その後、加熱された冷却水は、出口432を介して周囲の水域442、例えば海洋に排出される。このようにして、処理済みバイオマスの温度は、処理ステーション404で処理する前に低下する。図4には示されていないが、コントローラ450は、システム400内のバイオマスの条件を制御することに関連する電気通信を可能にするために、センサ414~422及び436、並びにコンポーネント322~328及び438~440と、例えば電気導管を介して電気通信を行っている。
【0061】
様々な実施態様において、コントローラ450は、センサ436を介して、第2の導管412に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の状態を監視し、そして、第2の導管412に沿った1つ又は複数のコンポーネント438及び440の動作を調整して、第2の導管410に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の条件を調整する。導管412内の過熱流体の温度を調整することにより、HTLコンバータ408内の温度は、導管410内でのバイオマスのバイオ燃料へのより効率的なHTL変換を促進するために、所望の温度に設定することができる。システム400の技術的な利点の一つは、地熱熱源402からの熱エネルギー出力の変動の可能性に関係なく、HTLコンバータ408内の過熱流体の温度を、より一貫した方法で調整できることである。コントローラ450は、システム400内のバイオ燃料生産を自動的に制御し、そして、最適化するために、システム200及び300に関して説明したAIアプリケーション及び/又はディープラーニング技術を利用してもよい。
【0062】
図4に示されるように、HTLコンバータ408は、海洋などの水域442内に存在してもよく、ここで、導管410の実質的な部分が水域442に囲まれていてもよい。図4は、陸地444上の収穫機406及びバイオマス処理ステーション404を示しているが、バイオマス処理ステーション404及びバイオマス収穫機406は、水域444内で互いに近くに存在してもよい。バイオマス処理ステーション404は、水域442上の船舶、リグ、又はプラットフォームに設置してもよい。収穫機406は、水域442にあり、且つ、システム400及び/又はステーション404に近くに存在している1つ又は複数の光バイオリアクタ又は深海光バイオリアクタを含んでもよい。収穫機406は、システム400及び/又はバイオマス処理ステーション404から、約5マイル(約8Km)以下、約3マイル(約4.8Km)以下、約1マイル(約1.6Km)以下、約0.5マイル(約0.8Km)以下、約0.25マイル(約0.4Km)以下であってもよい。
【0063】
熱交換器434は、地熱熱源402に隣接して示されているが、熱交換器434は、地熱熱源402を通って、海底446の下の地球448内に延びてもよい。熱交換器434は、ソース402を通って延びる及び/又はソース402の近くを延びる導管412の一部分を含んでもよい。ソース402に対する熱交換器434の位置は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために必要な熱交換及び温度の所望の量に依存してもよい。熱交換器434は、地熱熱源402の領域を通って延びる一本のパイプ(すなわち導管412の一部分)を含んでもよい。パイプは、ある部分において、実質的に直線状、U字状、蛇行状、及び/又は、湾曲してもよい。熱交換器434は、導管412とインタフェースする共通の入口及び出口を有する複数の平行なパイプ及び/又はキャピラリーを含んでもよい。導管410及び/又は導管412は、タングステン及びチタンの少なくとも一方を含むパイプの1つ又は複数のセクションを有してもよい。
【0064】
いくつかの実施態様では、システム400は、最大900℃の温度を放出する地熱源とインタフェースしてもよい。導管412は、石油掘削装置で使用される従来の200mmよりもはるかに大きな直径のパイプを使用してもよい。ある実施態様では、過熱流体は超臨界CO2(SCCO2)流体を含む。超臨界CO2は気体と液体の中間の性質を持っている。100気圧以上の圧力下でも液体のように流動するが、体積密度は温度に反比例するため、液体のように振る舞いながら密度は10分の1になることができる。従来の強化型地熱システムの温度は、200℃から300℃程度と低く動作し、そして、これらの従来のシステムは複雑であるため、実用性は低くなっている。いくつかの実施態様では、システム400は、例えばSCCO2流体を含む、より高温の流体を導管412で使用し、それはより効率的な高温地熱動作とバイオマス変換を提供する。いくつかの実施態様では、SCCO2流体の体積密度変化は、導管412内の流量が質量流量(mass flow)を維持しなければならないことを意味し、これは50℃、200バールで約0.7844g/cc、550℃で0.1244g/ccである。
【0065】
図5は、バイオマスをバイオ燃料に変換し、地熱熱源502を使って電力を生成するシステム500を示している。バイオマス処理ステーション504を含むことに加えて、システム500は、電力コンセント560を介して電力を出力するように構成された電力タービン556及び発電機558を含む。発電機558を介して生成された電力は、外部負荷に電力を供給するため、及び/又は、システム500の1つ又は複数のコンポーネントに電力を供給するために使用されてもよい。
【0066】
システム500は、バイオマス収穫機506からバイオマスを受け取り、その後、HTLコンバータ508にバイオマスを出力するように構成されたバイオマス処理ステーション504を含む。また、処理ステーション504は、HTLコンバータ508から処理済みバイオマスを受け取る。システム500は、バイオマス処理ステーション504からHTLコンバータ508にバイオマスを輸送し、そして、HTLコンバータ508からバイオマス処理ステーション504に処理済みバイオマスを輸送するために、第1の導管510を使用する。バイオマス処理ステーション504は、処理済みバイオマスを、出口554を介して、貯蔵施設、及び/又は、さらなる処理のために処理施設に出力することができる。HTLコンバータ508は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、導管512内の過熱流体から導管510を通って輸送されるバイオマスに熱エネルギーを伝達するように構成された熱交換器を含む。過熱流体は、熱交換器534を介して地熱熱源502によって加熱される。コントローラ550は、導管510に沿った1つ又は複数の位置において、センサ514、516、518、520、及び、522を介してバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、導管510に沿った1つ又は複数のコンポーネント522、524、及び526の動作を調整して、それによって、導管510に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整するように配置される。
【0067】
センサ514~522によって監視される条件は、限定されるものではないが、温度、温度変化率、圧力、流量、触媒濃度、及び/又はHTLコンバータ508内のバイオマスの滞留時間を含んでもよい。コントローラ550は、センサ514~522のうちの1つ以上からバイオマスの1つ又は複数の条件に関連するセンサデータを受信することによって、バイオマスの1つ又は複数の条件を監視してもよい。バイオマスは藻類を含んでもよく、一方で、処理済みバイオマスはバイオオイル、バイオクルード、及び/又は、バイオ燃料を含んでもよい。バイオマスのバイオ燃料への変換は、バイオマスのバイオオイルへの解重合を含んでもよい。
【0068】
様々な実施態様において、コントローラ550は、コンポーネント524、526、及び、528のうちの1つ又は複数の動作を調整して、バイオマスの条件を最適化し、そして、それによって、処理済みバイオマスの収量を最適化するように構成される。コンポーネント524及び526は、流量調整器(例えばポンプ及び/又は流量制御弁等)を含んでもよい。ポンプは、導管510内の流量を調整するための可変速ポンプであってもよい。流量制御弁は、導管510の流量を調節するために調節可能であってもよい。熱交換器528は、処理済みバイオマス、例えばバイオ燃料が処理ステーション504に戻される前に、熱交換器528からの出力温度を調節するように、コントローラ550によって制御されてもよい。熱交換器528は、水入口530の深さによって設定された温度で冷却水を受け取ってもよく、そして、導管510を介して熱交換器528も通過する処理済みバイオマスから熱を抽出するために水を通過させてもよい。熱交換器528を通る冷却水の流量は、コントローラ550によって制御される流量調整器によって調整されてもよい。その後、加熱された冷却水は、出口532を介して周囲の水域562、例えば海洋に排出される。このようにして、処理済みバイオマスの温度は、処理ステーション504で処理する前に低下する。図5には示されていないが、コントローラ550は、システム500内のバイオマスの条件を制御することに関連する電気通信を可能にするために、センサ514~522、536、及び542、並びに、コンポーネント522~528及び538~540と、例えば電気導管を介して電気通信を行っている。
【0069】
様々な実施態様において、コントローラ550は、センサ536及び542を介して、第2の導管512に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の条件を監視し、そして、第2の導管512に沿った1つ又は複数のコンポーネント538及び540の動作を調整して、第2の導管510に沿った1つ又は複数の位置における過熱流体の1つ又は複数の条件を調整する。導管512内の過熱流体の温度を調整することにより、HTLコンバータ508内の温度は、導管510内でのバイオマスのバイオ燃料へのより効率的なHTL変換を促進するために、所望の温度に設定することができる。システム500の技術的な利点の一つは、地熱熱源502からの熱エネルギー出力の変動の可能性に関係なく、HTLコンバータ508内の過熱流体の温度を、より一貫した方法で調整できることである。コントローラ550は、システム500内のバイオ燃料生産を自動的に制御し、そして、最適化するために、システム200及び300に関して説明したAIアプリケーション及び/又はディープラーニング技術を利用してもよい。導管512内の過熱流体は、タービン556の駆動にも使用されてもよく、タービン556は、順次、発電機558でローターを駆動して電力を生成してもよい。
【0070】
図5に示されるように、HTLコンバータ508は、海洋などの水域562内に存在してもよく、ここで、導管510の実質的な部分が水域562に囲まれていてもよい。図5は、陸地546上の収穫機506及びバイオマス処理ステーション504を示しているが、バイオマス処理ステーション504及びバイオマス収穫機506は、水域562内で互いに近くに存在してもよい。バイオマス処理ステーション504は、水域562上の船舶、リグ、又はプラットフォームに設置してもよい。収穫機506は、水域562にあり、且つ、システム500及び/又はステーション504に近くに存在している1つ又は複数の光バイオリアクタ又は深海光バイオリアクタを含んでもよい。収穫機506は、システム500及び/又はバイオマス処理ステーション504から、約5マイル(約8Km)以下、約3マイル(約4.8Km)以下、約1マイル(約1.6Km)以下、約0.5マイル(約0.8Km)以下、約0.25マイル(約0.4Km)以下であってもよい。
【0071】
熱交換器534は、地熱熱源502に隣接して示されているが、熱交換器534は、地熱熱源502を通って、海底548の下の地球552内に延びてもよい。熱交換器534は、ソース502を通って延びる及び/又はソース502の近くを延びる導管512の一部分を含んでもよい。ソース502に対する熱交換器534の位置は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために必要な熱交換及び温度の所望の量に依存してもよい。熱交換器534は、地熱熱源502の領域を通って延びる一本のパイプ(すなわち導管512の一部分)を含んでもよい。パイプは、ある部分において、実質的に直線状、U字状、蛇行状、及び/又は、湾曲してもよい。熱交換器534は、導管512とインタフェースする共通の入口及び出口を有する複数の平行なパイプ及び/又はキャピラリーを含んでもよい。導管510及び/又は導管512は、タングステン及びチタンの少なくとも一方を含むパイプの1つ又は複数のセクションを有してもよい。
【0072】
いくつかの実施態様では、システム500は、最大900℃の温度を放出する地熱源とインタフェースしてもよい。導管512は、石油掘削装置で使用される従来の200mmよりもはるかに大きな直径のパイプを使用してもよい。ある実施態様では、過熱流体は超臨界CO2(SCCO2)流体を含む。超臨界CO2は気体と液体の中間の性質を持っている。100気圧以上の圧力下でも液体のように流動するが、体積密度は温度に反比例するため、液体のように振る舞いながら密度は10分の1になることができる。従来の強化型地熱システムの温度は、200℃から300℃程度と低く動作し、そして、これらの従来のシステムは複雑であるため、実用性は低くなっている。いくつかの実施態様では、システム500は、例えばSCCO2流体を含む、より高温の流体を導管512で使用し、それはより効率的な高温地熱動作とバイオマス変換を提供する。いくつかの実施態様では、SCCO2流体の体積密度変化は、導管512内の流量が質量流量(mass flow)を維持しなければならないことを意味し、これは50℃、200バールで約0.7844g/cc、550℃で0.1244g/ccである。
【0073】
図6は、地熱熱源602を用いてバイオマスをバイオ燃料に変換する陸上システム600の切断図である。システム600は、バイオマス収穫機606からバイオマスを受け取り、その後、地球616内のHTLコンバータ608にバイオマスを出力するように構成されたバイオマス処理ステーション604を含む。また、処理ステーション604はHTLコンバータ608から処理済みバイオマスを受け取る。システム600は、導管610を使用して、バイオマス処理ステーション604からHTLコンバータ608にバイオマスを輸送し、そして、HTLコンバータ608からバイオマス処理ステーション604に処理済みバイオマスを輸送する。HTLコンバータ608は、バイオマスを処理済みバイオマスに変換するために、地熱熱源602からの熱エネルギーを、導管610を通して輸送されるバイオマスに伝達するように構成された、例えば導管610の一部を含む熱交換器を含むことができる。また、システム600は導管610に沿った1つ又は複数の位置におけるセンサを介してバイオマスの1つ又は複数の条件を監視し、そして、導管610に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整して、それによって、導管610に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整するように構成されたコントローラ612を含む。システム600のセンサ及びコンポーネントは、システム300、400、及び500に関して説明したセンサ及びコンポーネントと同様の方法で構成されてもっよく、及び/又は動作してもよい。いくつかの実施態様では、センサ及び/又はコンポーネントの一部は、バイオマス処理ステーション604に存在してもよい。バイオマス処理ステーションは、処理済みバイオマス、例えばバイオ燃料を、貯蔵タンク及び/又はリザーバ614に出力してもよく、及び、貯蔵してもよい。
【0074】
図7は、熱源302、402、及び、502のような地熱熱源を使ってバイオマスをバイオ燃料に変換するプロセス700を示している。プロセス700は以下を含む:バイオマス処理ステーションで、バイオマス収穫機からバイオマスを受け取る(ステップ702);導管を介してバイオマスをバイオマス処理ステーションから水熱HTLコンバータに輸送、HTLコンバータは、バイオマス処理ステーションから離れて位置し、且つ、地熱熱源の近くに配置される(704);地熱熱源からの熱エネルギーをバイオマスに伝達し、バイオマスを処理済みバイオマスに変換する(706);導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を監視する(708);監視された条件に応答して、導管に沿った1つ又は複数のコンポーネントの動作を調整し、導管に沿った1つ又は複数の位置におけるバイオマスの1つ又は複数の条件を調整する(710);及び、バイオマス処理ステーションで、導管を介してHTLコンバータから処理済みバイオマスを受け取る(712)。
【0075】
説明した異なる実施態様の要素又はステップを組み合わせて、上記で具体的に記載しなかった他の実施態様を形成することができる。先に説明したシステムやプロセスから要素やステップを省いても、それらの動作又はシステム全般の動作に悪影響を及ぼすことはない。さらに、さまざまな個別の要素又はステップを1つ又は複数の個別の要素又はステップに組み合わせて、本明細書に記載された機能を実行することができる。
【0076】
本明細書に具体的に記載されていない他の実施態様も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】