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特表2025-503604バッテリセルの熱管理のためのバッテリシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】バッテリセルの熱管理のためのバッテリシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6562 20140101AFI20250128BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20250128BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20250128BHJP
【FI】
H01M10/6562
H01M10/615
H01M10/651
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540839
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2023004220
(87)【国際公開番号】W WO2023191517
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2022-0040808
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517019603
【氏名又は名称】スタンダード エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ブギ
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK03
5H031KK08
(57)【要約】
開示された技術は、一般にバッテリシステムに関し、特にバッテリセルの熱管理のためのバッテリシステムに関する。一側面から、バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、複数のスイッチに電気的に連結されて、複数のバッテリセルから電力を消散する1つ以上のヒータと、1つ以上のヒータによって生成された熱をバッテリセルのうち少なくとも1つに送る1つ以上の熱導管と、を含む。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、
前記複数のスイッチに電気的に連結されて、前記複数のバッテリセルから電力を消散する1つ以上のヒータと、
前記1つ以上のヒータによって生成された熱を、前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つに送るため1つ以上の熱導管と、
を含む、
バッテリシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の熱導管によって送られる前記熱は、前記複数のバッテリセルのうち前記少なくとも1つの温度を20~30℃に到逹させる、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項3】
前記熱導管は、対流によって前記熱を送る空気導管を含む、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項4】
前記熱導管は、伝導によって前記熱を送る熱伝導パイプを含む、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項5】
前記複数のバッテリセルにおける電力を消散して発生する前記熱は、前記電力を消散する同じ前記バッテリセルに送られる、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項6】
前記複数のバッテリセルにおける電力を消散して発生する前記熱は、前記電力を消散する前記バッテリセルと他の前記バッテリセルに送られる、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項7】
前記複数のバッテリセル及び前記複数のスイッチと電気的に連結される制御部を更に含み、
前記制御部は、前記1つ以上のヒータを用いて、前記バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせる、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項8】
前記複数のバッテリセル及び前記複数のスイッチと電気的に連結される制御部を更に含み、
前記制御部は、前記複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知し、前記感知した充電状態に基づいて1つ以上の前記スイッチを選択的に活性する、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項9】
前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つの温度をそれぞれ測定する複数の温度センサを更に含む、
請求項8に記載のバッテリシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数のバッテリセルのうち前記少なくとも1つの温度が既に設定された温度より低いと判断されると、1つ以上の前記スイッチを活性化する、
請求項8に記載のバッテリシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数のバッテリセルのうち前記少なくとも1つを既に設定された温度より低い温度に冷却した後、1つ以上の前記スイッチを活性化する、
請求項8に記載のバッテリシステム。
【請求項12】
前記複数のバッテリセルのそれぞれは、酸化還元バッテリセルであり、
前記酸化還元バッテリセルは、
第1酸化還元半反応の起こる第1酸化還元対が内部に溶解された第1電解質を含む第1ハーフセルと、
第2酸化還元半反応の起こる第2酸化還元対が内部に溶解された第2電解質を含む第2ハーフセルと、
前記第1ハーフセルと前記第2ハーフセルとを分離するイオン交換膜と、
を含む、
請求項1に記載のバッテリシステム。
【請求項13】
互いに電気的に連結された複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知する段階と、
前記複数のバッテリセルに連結された1つ以上のスイッチを活性化することで、1つ以上のヒータによって既に設定された臨界値以上の充電状態を有する、1つ以上の前記バッテリセルから電力を消散して熱を生成する段階と、
1つ以上の熱導管を介して前記1つ以上のヒータから生成された熱を、前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つに送る段階と、
を含む、
バッテリシステムの熱管理方法。
【請求項14】
前記充電状態を感知する前に、前記複数のバッテリセルを充放電する段階を更に含む、
請求項13に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項15】
前記充電状態を感知する段階は、セル電圧を測定する段階を含み、
前記充電状態の前記既に設定された臨界値は、平均セル電圧である、
請求項13に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項16】
前記感知した充電状態に基づいてセルバランス方式を活性化する段階を更に含む、
請求項13に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項17】
前記熱を送る前に、前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つの温度を感知する段階を更に含む、
請求項13に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項18】
前記熱を送る段階は、前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つの前記温度が、既に設定された温度未満であると感知すると送る段階を含む、
請求項17に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項19】
前記複数のバッテリセルのうち少なくとも1つの前記温度が、前記既に設定された温度以上であると感知すると、前記複数のバッテリセルのうち前記少なくとも1つを前記既に設定された温度未満の温度に冷却する段階を更に含む、
請求項17に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項20】
前記熱を送る段階は、前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つの前記温度が少なくとも前記既に設定された温度に到逹するまで熱を送る段階を含む、
請求項17に記載のバッテリシステムの熱管理方法。
【請求項21】
バッテリシステムと、
前記バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)と、
前記電力制御システムに電気的に連結された電気負荷と、
を含み、
前記バッテリシステムは、
互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、
前記複数のスイッチに電気的に連結されて、前記複数のバッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせる1つ以上のヒータと、
を含み、
前記電力制御システムと前記電気負荷の一方または両方は、グリッドに電気的に連結され、
前記バッテリシステム、前記電力制御システム、及び前記電気負荷のうち1つ以上は、断熱材によって互いに断熱する、
エネルギー貯蔵システム。
【請求項22】
バッテリシステムと、
前記バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)と、
前記電力制御システムに電気的に連結された電気負荷と、
を含み、
前記バッテリシステムは、
互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、
前記複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、
前記複数のスイッチに電気的に連結されて、前記複数のバッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせる1つ以上のヒータと、
を含み、
前記電力制御システム及び前記電気負荷の一方または両方は、いずれも前記電力制御システム及び前記電気負荷の一方または両方によって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送る1つ以上の熱導管によって、前記バッテリシステムに熱的に連結される、
エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された技術は、一般にバッテリシステムに関し、特にバッテリセルの熱管理のためのバッテリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界の経済成長に伴う地球温暖化が進むことによって、再生可能なエネルギー(例:太陽及び風力エネルギー)に基づく再生かつ持続可能なエネルギーシステムが至急必要とされている。こうしたエネルギーの間歇的な可用性による変動に備えて、グリッドネットワークの安定性を向上させるために、エネルギー貯蔵システム(ESS:Energy Storage System)の発達は、余剰電気を貯蔵するために用いられ、これは必要な際、最終顧客あるいは電力グリッドに伝達され得る。このほかにも、電気化学エネルギーに基づくESS(例:充電可能な或いは二次電池)は、コストの効率が高く、きれいな形態のエネルギー貯蔵ソリューションを提供することができる。電気化学エネルギー貯蔵システムの例では、リチウムイオン、鉛酸、ナトリウム硫黄、及びレドックス・フロー(redox-flow)電池が挙げられる。短期貯蔵(short-term storage)、中期貯蔵(medium-term storage)及び長期貯蔵(long-term storage)といった、互いに異なる適用に対しては、互いに異なる貯蔵回数が必要である。互いに異なるタイプの電気化学エネルギー貯蔵システムは、互いに異なる物理的及び/または化学的特性を有する。前記電気化学エネルギー貯蔵システムの特定の適用に対する適合性を判断する要因として幾つかを上げると、投資費、電力、エネルギー、寿命、リサイクル可能性、効率性、拡張性(scalability)、及びメンテナンスコストを含む。適宜な電気化学貯蔵システムを選択して設計するとき、競争要因が考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1側面から、バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルを含む。バッテリシステムは、複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチを更に含む。バッテリシステムは、スイッチに電気的に連結されて、複数のバッテリセルから電力を消散する1つ以上のヒータを更に含む。バッテリシステムは、1つ以上のヒータによって生成された熱を、複数のバッテリセルのうち少なくとも1つに送る1つ以上の熱導管を更に含む。
【0004】
第2側面から、バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルを含む。バッテリシステムは、複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチを更に含む。バッテリシステムは、複数のスイッチに電気的に連結されて、複数のバッテリセルから電力を消散することで、1つ以上のスイッチを活性化するとき、熱を生成する1つ以上のヒータを更に含む。1つ以上のヒータは、アクティブまたはパッシブにバッテリセルの充電状態(SoC)をバランスさせて、バッテリセルの温度を熱によって上昇させるため1つ以上の抵抗としての働きをする。
【0005】
第3側面から、バッテリシステムのための熱管理方法は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知する段階を含む。上記方法は、複数のバッテリセルに連結された1つ以上のスイッチを活性化することで、熱を生成するため1つ以上のヒータを介して既に設定された臨界値以上のSoCを有する、1つ以上のバッテリセルから電力を消散させる段階を更に含む。上記方法は、1つ以上の熱導管を介して1つ以上のヒータから生成された熱を複数のバッテリセルのうち少なくとも1つに送る段階を更に含む。バッテリシステムは、第1側面と第2側面の一方または両方によるものであってもよい。
【0006】
第4側面から、エネルギー貯蔵システム(ESS)は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるため複数のバッテリセルに電気的に連結された1つ以上の抵抗を含むバッテリシステムと、を含む。ESSは、バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)を更に含む。ESSは、PCSに電気的に連結された電気負荷を更に含む。PCSと電気負荷の一方または両方は、グリッドに電気的に連結される。また、1つ以上のバッテリシステム、PCS及び電気負荷は、断熱材によって互いに断熱する。バッテリシステムは、第1側面と第2側面の一方または両方によるものであってもよい。
【0007】
第5側面から、エネルギー貯蔵システム(ESS)は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、複数のバッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるためスイッチに電気的に連結された1つ以上の抵抗を含むバッテリシステムと、を含む。ESSは、バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)を更に含む。ESSは、電力制御ユニットに電気的に連結された電気負荷を更に含む。PCS及び電気負荷の一方または両方は、PCS及び電気負荷の一方または両方によって生成された熱をバッテリセルのうち少なくとも1つに送る1つ以上の熱導管によって、バッテリシステムに熱的に連結される。バッテリシステムは、第1側面と第2側面の一方または両方によるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】非管理バッテリセルの例示的な充電状態を概略的に示す図である。
図1B】管理バッテリセルの例示的な充電状態を概略的に示す図である。
図2A】バッテリセルのアクティブバランス方式の一例を概略的に示す図である。
図2B】バッテリセルのパッシブバランス方式の一例を概略的に示す図である。
図3A】バッテリシステムに電気的に連結された複数のバッテリセルを含む、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図3B】共通基板上に具現された、例示的なバッテリ管理システムを示す図である。
図4A】実施例によるバッテリシステムのために構成された、例示的なエネルギー貯蔵システムを概略的に示す図である。
図4B】実施例によるバッテリシステムのために構成された、他の例示的なエネルギー貯蔵システムを概略的に示す図である。
図5A】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図5B】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図5C】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図5D】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図5E】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステムを概略的に示す図である。
図6A】本発明の実施例によるバッテリシステムの熱管理方法を示す手順図である。
図6B】本発明の実施例によるバッテリシステムの熱管理方法を示す手順図である。
図7A】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、エネルギー貯蔵システムを概略的に示す図である。
図7B】一部の実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、バッテリシステムを概略的に示す図である。
図7C】他の一部の実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、バッテリシステムを概略的に示す図である。
図7D】様々な実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、エネルギー貯蔵システムを概略的に示す図である。
図8A】実施例によるバッテリ及びエネルギー貯蔵システムの一部として具現され得る酸化還元バッテリセルを概略的に示す図である。
図8B】実施例によるバッテリ及びエネルギー貯蔵システムの一部として具現され得る酸化還元バッテリセルを概略的に示す図である。
図8C】実施例によるバッテリ及びエネルギー貯蔵システムの一部として具現され得る酸化還元バッテリセルを概略的に示す図である。
図8D】実施例によるバッテリ及びエネルギー貯蔵システムの一部として具現され得る酸化還元バッテリセルを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記及びその他の目的と利点は、本明細書の説明から明らかになるだろう。以下の詳細な説明では、添付の図面を参照し、これは本明細書の一部を構成して、特定の実施例を例示として示す。これら実施例は、当業者が実施例を実施できるように十分詳細に説明されるものであり、他の実施例を用いることができ、開示の実施例の範囲を外れずに構造的変更が行われることが理解できる。よって、添付の図面は、単に開示の実施例の例を示すために示されたものである。よって、以下の詳細な説明は、限定的な意味に理解するものではなく、本開示の実施例の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0010】
前述した状況を考慮して、一部の実施例の1つ以上の側面の目的のうち1つは、電気化学エネルギー貯蔵の効率を向上させる熱管理方法及びバッテリシステムを提供することである。バッテリ管理システム(BMS)は、複数のバッテリセルを含むバッテリパックに電気的に連結されて、バッテリモニタリング、バッテリ保護の提供、バッテリ動作状態の推定、バッテリ性能の持続的な最適化、及び外部装置で動作状態を通信することを含み、バッテリパックを監視する制御システムを意味する。
【0011】
一部の実施例において、バッテリシステムは、これに連結されたバッテリパック及びバッテリ管理システム(BMS)を含む。BMSの機能には、バッテリパック内のバッテリセルが類似であるか、実際に同一の充電状態(SoC)に逹するように、バッテリパック内で直列及び/または並列に電気的に連結され得る複数のバッテリセルをバランスさせることが含まれる。
【0012】
上昇した温度で化学反応が加速化して、バッテリ管理システムが動作中に熱を生成できるという観点から、他の一部の実施例において、バッテリ管理システムによって生成された熱は、回収され、バッテリセルへ効率良く送られて温度を上げる。
【0013】
高温で化学反応が加速化して、バッテリ管理システムが動作中に熱を生成できるという観点から、本願に開示の実施例では、バッテリ管理システムによって生成された熱は、回収され、バッテリセルへ効率良く送られて温度を上げる。
【0014】
図1a及び図1bは、それぞれ非管理及び管理バッテリセルの例示的な充電状態を概略的に示す。BMSがなければ、様々な工程によって劣化したバッテリセルの損傷が加速化し得る。例えば、充電の際、劣化したバッテリセルの容量の減少によって、充電限界に早期に到逹することができる。劣化したバッテリセルが充電限界に達したにもかかわらず、全体のバッテリパックは、継続して充電し得る。こうした過充電は、既に劣化したバッテリセルの過充電による損傷をさらに悪化して、バッテリパックの故障を加速化させることができる。同じく、放電中に劣化したバッテリセルは、少ない容量により早期に放電限界に到逹することができる。劣化したバッテリセルが放電限界に到逹したにもかかわらず、バッテリパックは、全体として継続して放電し得る。こうした過放電は、過放電によって既に劣化したバッテリセルがさらに損傷し得る。よって、バッテリセルをバランスさせるためBMSが必要である。
【0015】
最も多く充電されたセルからエネルギーが除去されて、熱で損失する一部のバランス方式は、消散的(dissipative)であり得る。他の一部のバランス方式は、エネルギーが互いに異なるセルの間に伝達されるため、熱で損失するエネルギーを相当減らし、非消散的であり得る。消散バランス方式は、パッシブバランス方式とも言い、非消散バランス方式は、アクティブバランス方式とも言う。
【0016】
図2a及び図2bは、それぞれバッテリセルに関するアクティブ及びパッシブバランス方式の例示的な方法を概略的に示す。但し、例示的な目的では、図2aは、2個のバッテリセル12A-1,12A-2の間のアクティブバランスを示す。同様、図2bは、2個のバッテリセル12B-1,12B-2の間のパッシブバランスを示す。パッシブ及びアクティブセルのバランスによってバッテリスタックのバッテリセルをモニタリングして、堅牢なバッテリ充電状態(SoC)を保持する。すると、バッテリの寿命が延長し、前述したように、過充電及び/または過放電により発生し得るバッテリセルの損傷を防止することができる。図2bを参照すると、パッシブバランスは、単にブリード抵抗によって過剰電荷を消散させることで、類似であるか実際に同じSoCを有するバッテリセル12B-1,12B-2の結果をもたらす。しかし、これはシステムの実行時間を延ばすものではない。図2aを参照すると、アクティブセルのバランスは、充放電サイクルの間、バッテリセル12A-1,12A-2の間に電荷を再分配する、より複雑なバランス技術であって、バッテリパックで使用可能な総電荷を増加させて、システムの実行時間を増加させ、パッシブバランスに比べて充電時間が減少し、バランスする間に発生する熱が減る。
【0017】
パッシブバランスには、幾つかの明白な短所がある。例えば、エネルギーの浪費は、環境に有害であり得る。また、高いバランス電流で発生する熱は、バッテリセルに致命的な影響を与えることができる。他方、パッシブバランスは、簡単であり、低コストがかかるという長所がある。アクティブバランスは、エネルギーを大いに浪費せず、明白な長所があるものの、短所もあり得る。例えば、より多くの電気部品が使用されることから、アクティブバランスは、より高コスト、より低い信頼性、及び/またはより大きく占める体積によって不利であり得る。また、アクティブバランスで生成された待機電流は、パッシブバランスよりも一層大きな電力損失をもたらし得る。
【0018】
一部のバッテリセルは、充放電を左右する相対的に遅い化学反応速度によって低い温度で容量を失う。例えば、約0℃(32゜F)未満でリチウムイオンバッテリセルを充電することは、氷点下の充電中に、正極で金属リチウムメッキが発生し得るため、問題になり得る。メッキは、バッテリセルに永久的な損傷を与え、かつ、容量の減少をもたらすだけでなく、バッテリセルが振動やその他ストレス状態に露出する場合、故障により弱くなり得る。他方、リチウムイオンバッテリセルは、室温よりも一層高い温度(例:約30℃以上)で作動するとき、性能の損失が発生し得る。リチウムイオンバッテリセルが継続して充電されて、この温度以上で再充電されると、性能の損失は、相当増加し得る(例:最大50%)。特に、早い充放電周期の間、過熱に継続して露出すると、バッテリ寿命は、早期老朽化及び低下し得る。かかる理由から、バッテリセルの加熱かつ冷却によってバッテリパックの温度を制御できるBMSが必要である。
【0019】
図3aは、バッテリ管理システム(BMS)14に電気的に連結された複数のバッテリセル12-1,...12-(n-2),12-(n-1),12-nを含む、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。BMS14は、実施例によって、本明細書に記述の様々な熱管理の特徴及び方法を具現できる基本BMSとしての働きをすることができる。図示のBMS14は、パッシブまたはアクティブBMS14であってもよい。複数のバッテリセル12-1,...12-(n-2),12-(n-1),12-n(以下、バッテリセル12と通称する)は、互いに電気的に直列及び/または並列に連結される。バッテリシステム10は、対応するバッテリセル12にそれぞれ連結された複数のスイッチ16-1,...,16-(n-2),16-(n-1),16-n(以下、スイッチ16と通称する)を更に含む。バッテリシステム10は、スイッチ16に電気的に連結されて、1つ以上のスイッチ16を活性化するとき、バッテリセルから電力を消散する1つ以上の抵抗18-1,...,18-(n-2),18-(n-1),18-n(以下、抵抗18と通称する)を更に含む。バッテリシステム10は、バッテリセル12の充電状態(SoC)を感知し、SoCに基づいて、1つ以上のスイッチ16を選択的に活性化する制御部26を更に含む。例えば、1つ以上の前記バッテリセル12のSoCが例えば、バッテリセルの電圧の測定によって、既に設定された期間の間に充電した後、臨界値より高いことを感知するとき、制御部26は、1つ以上のバッテリセル12に連結されたスイッチ16のそれぞれを活性化し、連結されたそれぞれの抵抗18を用いて、バッテリセルからの過剰電荷を選択的に消散させることができる。制御部26は、1つ以上のバッテリセル12が例えば、図1bに示されたように、類似であるかまたは実際に同じSoCを有するまで、1つ以上のバッテリセル12から超過電荷を取り出すことができる。
【0020】
図3bは、共通基板上に具現された、例示的なバッテリ管理システム20を示す。バッテリ管理システム20は、図3aに示されたBMS14の物理的具現を示すことができる。抵抗18、スイッチ16及び制御部26は、共通回路基板22上に統合する。回路基板22は、複数のバッテリセルに電気的に連結するための端子24を含む。
【0021】
図4aは、実施例によるバッテリシステム10(図3a)のために構成された、例示的なエネルギー貯蔵システム(ESS)30を概略的に示す。例示されたESS30は、実施例によって、BMS14(図3a)を含むバッテリシステム10を含むベースESSとしての働きをすることができる。ESS30は、グリッド34に電気的に連結された電力制御システム(PCS)32を更に含む。PCS32は、中心においてバッテリシステム10及び電気負荷36に電気的に連結される。PCS32は、電力、例えば、ACを受信するように構成される。PCS32は、グリッド34から電力、例えば、AC電力を受信して、バッテリシステム10及び電気負荷36に伝達する電力、例えば、DC電力を制御するように構成される。PCS32は、バッテリシステム10から負荷36への電力の伝達を制御するようにさらに構成される。このように構成された場合、PCS32は、バッテリシステム10とグリッド34との間、負荷36とグリッド34との間、及びバッテリシステム10と負荷36との間の電力の伝達を制御するように構成される。
【0022】
図4bは、実施例によるバッテリシステム10(図3a)のために構成された、他の例示的なエネルギー貯蔵システム(ESS)30を概略的に示す。例示のESS30は、実施例によって、BMS14(図3a)を含むバッテリシステム10を含むベースESSとしての働きをすることができる。ESS30は、グリッド34と電気的に連結された電力制御システム(PCS)32を含む。図4aに示されたESS30と同様、示されたESS30において、PCS32は、バッテリシステム10及び負荷36に電気的に連結される。PCS32は、グリッド34から電力、例えば、AC電力を受信して、バッテリシステム10及び負荷36に伝達する電力、例えば、DC電力を制御するように構成される。しかし、図4aに示されたESS30とは異なり、PCS32及び電気負荷36は、いずれもグリッドに連結される。
【0023】
バッテリセルの熱管理のためのバッテリシステム
前述したように、加熱及び/または冷却によってバッテリセルの温度を制御するバッテリ管理システム(BMS)を使用することができる。加熱のため一部のバッテリシステムでは、活性ヒータを用いてバッテリセルを加熱することができる。活性ヒータは、外部電源、例えば、AC電源、或いは内部電源、例えば、バッテリシステムのバッテリパックによって電力が供給され得る。例えば、バッテリパックの全体にポンピングして分散される流体を加熱する電気ヒータを含む、熱水力システム(thermal hydraulic system)を能動ヒータとして使用することができる。他の一部のバッテリシステムでは、無駄使いになれる外部で生成した熱を回収することができる。例えば、一部の電気自動車は、負荷としての働きをするモータで発生する熱を回収して、バッテリセルを加熱するように構成することができる。こうしたバッテリシステムでは、BMSを用いて、熱源からバッテリセルへの熱伝達を管理することができる。しかし、既存の加熱技術は、さらなるエネルギー消費を含み、及び/またはバッテリシステムによって制御されない熱による。よって、バッテリセル自体からバッテリセルに提供されるBMSを用いて熱を制御可能であり、効率良く提供するシステム及び方法を提供する必要がある。
【0024】
少なくともこれらの要求を解決するために本願では、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルを含むバッテリシステムを開示する。このバッテリシステムは、バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチを含む。バッテリシステムは、スイッチに電気的に連結されて、バッテリセルから電力を消散することで、1つ以上のスイッチを活性化するとき、熱を生成する1つ以上のヒータを更に含む。バッテリシステムは、1つ以上のヒータによって生成された熱を、少なくとも1つのバッテリセルに送って温度を上げる1つ以上の熱導管を更に含む。
【0025】
図5a~図5eは、様々な実施例によるバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。示された例示的なバッテリシステム10のそれぞれは、複数のバッテリセル12-1,...,12-(n-2),12-(n-1),12-n(以下、バッテリセル12と通称する)及びバッテリ管理システム(BMS)14を含む。複数のバッテリセル12は、互いに電気的に直列及び/または並列に連結される。バッテリシステム10は、バッテリセル12のうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチ16-1,...,16-(n-2),16-(n-1),16-n(スイッチ16と通称する)を更に含む。バッテリシステム10は、有効熱源として作用するスイッチ16と電気的に連結された、1つ以上のヒータ17-1,...,17-(n-2),17-(n-1),17-n(以下、ヒータ17と通称する)を更に含む。バッテリシステム10は、バッテリセル12の充電状態(SoC)を感知し、SoCに基づいて、1つ以上のスイッチ16を選択的に活性化する制御部26を更に含んでいてもよい。ヒータ17は、スイッチ16と電気的に連結され、バッテリセル12から電力を消散して連結された1つ以上のスイッチ16を活性化するとき、熱を発生する。ヒータ17は、1つ以上の共通抵抗、銅ワイヤ、ニクロムワイヤ、SMD抵抗(表面実装抵抗またはチップ抵抗)、電気ボイラー、及びヒートポンプを含んでいてもよい。
【0026】
熱を効果的に送るためにバッテリシステムは、1つ以上のヒータ17によって生成された熱をバッテリセル12のうち少なくとも1つに送る、1つ以上の熱導管19-1,...,19-(n-2),19-(n-1),19-n(以下、熱導管19と通称する)を更に含むことで、抵抗18及び熱導管19の一方または両方に同じバッテリシステムの配列に対して、少なくとも2℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の温度だけ温度を増加させる。バッテリセル12に熱を提供することのほかにも、少なくともスイッチ16及びヒータ17は、バッテリセル12のアクティブまたはパッシブバランスさせるように構成されたBMS14の一部であってもよい。制御部26は、バッテリセル12の充電状態(SoC)を感知し、SoCに基づいて、例えば、感知したSoCが既に設定された範囲を外れるとき、1つ以上のスイッチ16を選択的に活性化するように構成することができる。感知したSoCは、バッテリ容量に比例し得、バッテリセル12の互いに異なるバッテリセル毎に異なる。
【0027】
例えば、制御部26は、前記バッテリセル12のうち1つ以上のバッテリセル12の電圧の測定などによって一定時間充電した後、SoCが臨界値以上であることを感知すると、バッテリのそれぞれに連結されたそれぞれのヒータ17を用いて、バッテリから過剰電荷を選択的に消散させるために、1つ以上のバッテリ12に連結されたスイッチ16のうちそれぞれ1つを活性化させることができる。制御部26は、1つ以上のバッテリセル12が類似であるか実際に同じSoCを有するまで、1つ以上のバッテリセル12から過剰電荷を放出することができる。よって、ヒータ17は、バッテリセル12を加熱するだけでなく、セルバランスの二重機能を行う。
【0028】
様々な実施例によれば、制御部26は、少なくとも1つのバッテリセル12の温度が既に設定された温度より低いと判断されると、1つ以上のスイッチ16を活性化する。一部の実施例において、制御部26は、少なくとも1つのバッテリセル12を既に設定された温度より低い温度に冷却した後に、1つ以上のスイッチ16を活性化する。既に設定された温度は例えば、約15℃、17℃、19℃、21℃、23℃、25℃、またはこれら値のうち任意のものによって定義された範囲内の値、例えば、約20℃であってもよい。制御部26は、少なくとも1つのバッテリセル12の温度が少なくとも約2℃、4℃、6℃、8℃、10℃、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の値、例えば、約5℃だけ増加したことを感知すると、1つ以上のスイッチ16のうち活性化したスイッチを非活性化するようにさらに構成することができる。
【0029】
様々な実施例によれば、1つ以上のヒータ17によって生成された熱は、バッテリセル12のうち少なくとも1つの温度をバッテリシステム10の適用及びバッテリセル12の類型によって、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の温度に到逹するようにする。例えば、ESS30の一部に統合するとき、バッテリセル12は例えば、約20~30℃の範囲内に加熱される。バッテリセル12が酸化還元バッテリセル、例えば、バナジウムイオンバッテリセルである場合、バッテリセル12は、15~40℃以内に加熱することができる。
【0030】
1つ以上のヒータ17は、1つ以上のヒータ17が100mΩ~100Ω、200mΩ~10Ω、500mΩ~1Ω、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の値の抵抗を有する場合、セルバランス抵抗18だけでなく、効果的な熱源の働きを同時に行うことができる。
【0031】
さらに図5a~図5eを総合して参照すると、熱導管19は、ヒータ17からバッテリセル12に効率良く熱を伝導するため任意の好適な熱伝導媒体を含んでいてもよい。一部の実施例において、熱導管19は、対流によって熱を送る空気導管を含む。他の一部の実施例において、熱導管は、伝導によって熱を送る熱伝導パイプを含む。
【0032】
図5aは、一部の実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。示されたバッテリシステム10において、それぞれのバッテリセル12は、専用導管19によって専用ヒータ17に連結される。これらの実施例において、それぞれのヒータ17は、専用バッテリセル12に比べて専用スイッチ16に物理的にさらに近く配置される。スイッチ16、ヒータ17及びコントローラ26は、BMS14の一部として統合する。
【0033】
一部の実施例において、スイッチ16、ヒータ17及び制御部26は、例えば、図3bに示されたのと同様の方式で共通基板上に統合することができる。
【0034】
図5bは、他の一部の実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。示されたバッテリシステム10において、それぞれのバッテリセル12は、専用導管19によって専用ヒータ17に連結される。しかし、図5aに示されたバッテリシステム10とは異なり、これら実施例において、それぞれのヒータ17は、専用スイッチ16に比べて専用バッテリセル12にさらに近く物理的に配置される。示された配列において、スイッチ16及び制御部26は、BMS14の一部として統合する一方、ヒータ17は、BMS14の外部に形成され得、例えば、バッテリパックの一部として統合することができる。
【0035】
図5a~図5bについて説明されたバッテリシステム10において、専用ヒータ17は、それぞれのバッテリセル12に提供される。しかし、実施例は、これに制限せず、他の実施例において、複数のバッテリセル12を加熱するように構成されたバッテリセル12よりも一層少ないか一層多いヒータ17があり得る。例えば、1つの中央ヒータ17は、本明細書に記述されたように、それぞれのバッテリセル12に熱を送るように構成することができる。
【0036】
図5cは、他の一部の実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。例示のバッテリシステム10において、1つ以上のヒータ17、例えば、単一のP2H素子は、中央でバッテリセル12にそれぞれ連結された複数のスイッチ16に電気的に連結される。単一のヒータ17は、1つ以上のスイッチ16を活性化するとき、バッテリセル12から電力を消散させる。単一のヒータ17は、1つの回路基板に設置された複数の抵抗18から構成することができる。単一のヒータ17は、1つ以上の熱導管19、例えば、専用熱導管を介して複数のバッテリセル12に中央で熱的に連結される。図5bに示されたように、スイッチ16及び制御部26は、BMS14の一部として統合する一方、ヒータ17は、BMS14の外部に形成され得、例えば、バッテリパックの一部として統合することができる。
【0037】
図5dは、他の一部の実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。例示されたバッテリシステム10において、1つ以上のヒータ17、例えば、単一のP2H素子は、それぞれバッテリセル12に連結された複数のスイッチ16の中央に無線で連結される。無線連結は、1つ以上のスイッチ16を介してヒータ17を通信的に連結して、無線に活性化するように構成される。図5cのバッテリシステムと同様の方式で、単一のヒータ17は、順次に1つ以上の熱導管19、例えば、専用熱導管を介して複数のバッテリセル12に中央で熱的に連結される。図5bに示されたバッテリシステム10と同様、スイッチ16及び制御部26は、BMS14の一部として統合する一方、ヒータは、BMSの外部に形成され得、例えば、バッテリパックの一部として統合することができる。
【0038】
図5a~図5dにおいて、1つ以上のヒータ17は、1つ以上のスイッチ16を活性化するとき、活性化する。一部の実施例において、これらシステムのそれぞれは、例えば、過熱を防止するために、1つ以上のヒータ17が能動的に冷却できるように構成することができる。
【0039】
図5eは、他の一部の実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、例示的なバッテリシステム10を概略的に示す。例示されたバッテリシステム10において、1つ以上のヒータ17、例えば、単一のP2H素子は、図5c及び図5dについて記述されたのと同様の方式で、それぞれバッテリセル12に連結された複数のスイッチ16に中央で電気的に連結される。ヒータ17は、能動的に冷却して、目標温度に到逹すると、過度な熱を消散する。また、例示的なバッテリシステム10は、ヒータ17を能動的に冷却する冷却ユニットを含む。冷却ユニットは、空気冷却及び液体冷却を含む、任意の適宜な冷却手段を含んでいてもよい。
【0040】
バッテリシステムのための熱管理方法
図6aは、一部の実施例によるバッテリシステム10のための熱管理方法を例示する流れ図である。図6bは、他の一部の実施例によるバッテリシステム10のための熱管理方法を例示する流れ図である。様々な実施例によれば、バッテリシステム10の熱管理方法は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知する段階40を含む。上記方法は、バッテリセルに連結された1つ以上のスイッチを活性化することで、熱を生成するために1つ以上のヒータによって既に設定された臨界値以上のSoCを有する、1つ以上のバッテリセルから電力を消散させる段階41を更に含む。上記方法は、少なくとも5℃だけ温度を上げるために、1つ以上のヒータから生成された熱を1つ以上の熱導管を介して少なくとも1つのバッテリセルに送る段階42を更に含む。熱管理方法は、本明細書に開示の任意のバッテリシステム10で具現することができる。
【0041】
図6aを参照すると、上記方法は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知する段階40を含む。
【0042】
一部の実施例において、図6aに示されたように、それぞれのバッテリセルのSoCを感知40する前に、図6bの段階50に示されたように、バッテリセルが充放電し得る。制御部26(図5a~図5e)は、それぞれのバッテリセル12のSoCを感知することができる。
【0043】
図6bを参照すると、一部の実施例において、それぞれのバッテリセルのSoCを感知する段階は、段階51に示されたように、それぞれのバッテリセルのセル電圧を測定または感知する段階を含む。制御部は、各バッテリセルのセル電圧を測定することができる。
【0044】
一部の実施例において、上記方法は、行う前に、セル電圧の平均が目標電圧に到逹したか否かをバッテリセルの測定されたセル電圧から段階52で判断する段階を更に含む。制御部26は、行う前に、バッテリセルのセル電圧の測定からセル電圧の平均が目標電圧に到逹することを判断することができる。段階52で1つ以上のバッテリセルが例えば、バッテリセル電圧によって示されるように、既に設定された臨界値を超えるSoCを有することを感知すると、上記方法は、セルバランス方式を適用して、バッテリセルをバランスさせることができる。一方、段階52で既に設定された臨界値以上のSoCまたはセル電圧を有するセルがないと感知すると、上記方法は、バッテリセルを充放電するために、段階50に復帰することができる。例えば、充放電のため目標電圧は、約1.0V、1.5V、2.0V、2.5V、3.0V、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の値、例えば、約1.2Vであってもよい。
【0045】
さらに図6bを参照すると、段階50で充放電して、セル電圧の平均が段階52で目標電圧に到逹したと判断した後、上記方法は、段階53でセルバランス方式をトリガーするか否か、及か/または段階57でバッテリセルを加熱するか否かを判断する段階に進む。制御部26は、段階53でセルバランス方式をトリガーするか否か、及び/または段階57でバッテリセルを加熱するか否かを判断することができる。例えば、非正常的な媒介変数は、相対的に高い範囲のSoCまたはセル電圧であってもよい。例えば、非正常的な媒介変数は、相対的に高い範囲のSoCまたはセル電圧であってもよい。この例において、バッテリセル12から測定されたSoCの範囲またはセル電圧の範囲は、既に設定された範囲を外れると判断されると、セルバランス方式がトリガーされ得る。例えば、セル電圧の範囲が20mV、40mV、60mV、80mV、100mV、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の値、例えば、50mVを超える場合、上記方法は、図6bに示されたように、一部の実施例によって段階53でセルバランス方式をトリガーする。すなわち、制御部は、段階51でセル電圧を測定して、SoCを感知し、約50mV以上のセル電圧範囲を測定すると、1つ以上のスイッチを選択的に活性化することができる。
【0046】
図6aをさらに参照すると、上記方法は、SoCを感知した後、バッテリセル12に連結された1つ以上のスイッチ16を活性化することで熱を発生させるために、1つ以上のヒータを介して既に設定された臨界値以上のSoCを有する、1つ以上のバッテリセルから電力を消散させる段階41を更に含む。制御部26は、1つ以上のバッテリセル12から電力を消散させることができる。電力を消散させることは、セルバランス方式をトリガーする際に発生し得る。例えば、図6bに示された段階53によるセルバランス方式は、既に設定された値より高いSoC、例えば、セル電圧を有するバッテリセルから電力を選択的に消散するように構成することができる。例えば、既に設定された値は、平均セル電圧であってもよい。例えば、目標の充放電電圧が1.2Vである場合、セル電圧が1.2Vより大きいバッテリセルに相当するスイッチ16が活性化して、段階53でセルバランス方式をトリガーする。すなわち、制御部26は、図6bに示されたように、段階51でセル電圧を測定することでSoCを感知し、約1.2Vより大きい平均セル電圧を測定するとき、1つ以上のスイッチを選択的に活性化する。
【0047】
さらに図6aを参照し、電力消散に関連して、上記方法は、温度を少なくとも5℃だけ上昇させるために、1つ以上のヒータ17から生成された熱を1つ以上の熱導管19を介してバッテリセル12のうち少なくとも1つに送る段階42を更に含む。一部の実施例において、熱を送る前に、図6bの段階55に示されたように、バッテリセル12を加熱すべきか否かを判断するために、図6bの段階54に示されたように、バッテリセルの温度を感知するために、温度制御ループが開始されていてもよい。これらの実施例において、上記方法は、熱を送る前に、バッテリセルのうち少なくとも1つの温度を測定する段階を更に含む。バッテリセル12の温度は、1つ以上のバッテリセル12に隣接して配置された、1つ以上の温度センサ13を用いて測定することができる。
【0048】
段階55で測定された温度が既に設定された値を超えると判断されると、上記方法は、バッテリセルを加熱するためにスイッチを活性化する代わり、図6bの段階56に示されたように、バッテリセルを既に設定された温度より低い温度に冷却することができる。この場合、上記方法は、図6bに示された上記方法の開始部分である段階50に戻る。
【0049】
一方、段階55で測定された温度が既に設定された値を超えないと判断されると、上記方法は、図6bの段階57で熱を送ることで行う。実施例によれば、既に設定された温度は、バッテリシステム10の適用及びバッテリセル12の類型によって、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、またはこれら値のうち任意の値によって定義された範囲内の値であってもよい。例えば、ESS30の一部として統合するとき、バッテリセル12は、例えば、20~30℃の範囲内で加熱され得る。バッテリセルが酸化還元バッテリセル、例えば、バナジウムイオンバッテリセルである場合、バッテリセルは、15~40℃以内に加熱することができる。
【0050】
バッテリセルが既に設定された温度に加熱されるか、加熱が段階57で開始した後、上記方法は、図6bに示されたように、段階50でバッテリセルの充放電に行う。
【0051】
バッテリセルの熱管理のためのエネルギー貯蔵システム
前述した様々な実施例によれば、バッテリシステム10のバッテリセル12の熱管理は、活性化の際、バッテリセル12から電力を消散させることで、熱を発生させるように電気的に構成された1つ以上のヒータ17を用いて、さらに1つ以上のヒータ17によって生成された熱をバッテリセル12のうち少なくとも1つに送る、1つ以上の熱導管19を用いて行うことができる。エネルギー貯蔵システム(ESS)30の一部として統合するとき、本明細書に記述されたように、さらなる或いは代案的な熱管理の特徴を具現することができる。
【0052】
図7aは、様々な実施例によってバッテリセル12の熱管理のために構成された、エネルギー貯蔵システム30を概略的に示す。示されたESS30は、図4bについて前述したのと同様の特徴を含んでいてもよく、ここでは、簡略化のため詳細な説明を省略する。他の実施例において、ESS30は、図4aに示されたのと同様の方式で構成できることが理解できる。示されたPCS32は、バッテリシステム10及び負荷36に電気的に連結される。図4bについて前述したESS30と同様の方式で、PCS30は、グリッド34から電力、例えば、AC電力を受信して、バッテリシステム10及び負荷36に伝達する電力、例えば、DC電力を制御するように構成される。
【0053】
図7aを参照すると、示されたエネルギー貯蔵システム(ESS)30は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセル12、バッテリセル12のうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチ16、及びバッテリセル12の充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるために、スイッチ16に電気的に連結された1つ以上のヒータ17(または抵抗18)を含むバッテリシステム10を含む。ESS30は、バッテリシステム10に電気的に連結された電力制御システム(PCS)32を更に含んでいてもよい。ESS30は、PCS32に電気的に連結された電気負荷36を更に含んでいてもよい。
【0054】
一部の実施例において、PCS32及び電気負荷36の一方または両方は、グリッド34に電気的に連結されるように構成される。また、前記バッテリシステム10、PCS32及び電気負荷36のうち1つ以上は、空気のほか、熱絶縁体38によって断熱する。熱絶縁体38は、幾つかを例えば、制限せず、ポリプロピレン、ポリエステルまたはポリイミドといったポリマー材料、紙に基づく材料またはガラスに基づく材料を含んでいてもよい。熱絶縁体38は、バッテリセル12を加熱するために、PCS32によって生成された熱を回収する。熱絶縁体38は、記述した任意のバッテリシステム10の構成を用いて、バッテリセル12の効率かつ迅速な加熱のため熱保存を向上させる。本発明者は、このために断熱体38が0.01~0.2、0.2~0.4、0.4~0.6、0.8~1W/m・K、またはこれら値のうち任意の値と定義された範囲内の値の熱伝導率を有することを見出した。よって、示されたように、断熱材38は、バッテリセル12の効果的な加熱のために、部分的に或いは完全に熱的に閉鎖したESS30を提供することができる。
【0055】
示された実施例において、バッテリシステム10及びPCS32は、空気のほか、断熱材38によって断熱する。しかし、実施例は、これに限らず、他の実施例において、前記バッテリシステム10、PCS32及び電気負荷36のうち1つ以上は、空気のほか、断熱材38によって互いに断熱し得る。例えば、一部の実施例において、バッテリシステム10、PCS32及び電気負荷36は、いずれも断熱材38によって断熱し得る。
【0056】
本明細書に記述したように、電気負荷36は、バッテリシステム10によって電力が供給されるように意図した任意のコンポーネント、素子、装置またはシステムであってもよい。電気負荷36の例では、例えば、BMS14、PCS32、データセンター、ディープラーニングセンター、ブロックチェーンマイニングセンター、及び電気自動車がある。1つの特定の具現において、電気負荷36が電気自動車を含むとき、電気自動車によって生成された熱は、バッテリセル12を加熱するためにさらに回収することができる。この具現において、電気自動車を収容する充電所または車庫は、熱閉鎖型のESSシステム30の一部として含まれると見なすことができる。
【0057】
様々な実施例によれば、バッテリシステム10を断熱する場合、そのうち1つまたはそれ以上の構成要素を選択的に絶縁することができる。すなわち、前述したようなバッテリシステム10のバッテリセル12、スイッチ16、1つ以上のヒータ17、及び1つ以上の熱導管19のいずれかは、空気でない断熱材38にカプセル化することができる。図7b及び7cは、2個の例示的な具現を示す。
【0058】
図7bは、一部の実施例によってバッテリセルの熱管理のために構成された、バッテリシステム10を概略的に示す。示された実施例において、バッテリセル12及び1つ以上のヒータ17は、断熱材38でカプセル化する。例えば、バッテリセル12を収容するバッテリラックは、断熱し得、バッテリセル12及びヒータ17は、内部に収容され得る。
【0059】
図7cは、他の一部の実施例によって、バッテリセル12の熱管理のために構成された、バッテリシステム10を概略的に示す。示された具現において、バッテリセル12及び1つ以上のヒータ17は、図7bに示された実施例と同様の方式で熱絶縁体38にカプセル化する。また、示された実施例において、スイッチ16及び制御部26を含むBMS14もカプセル化する。例えば、バッテリセル12を収容するバッテリラックは、断熱し得、内部にバッテリセル12、ヒータ17及びBMS14を収容することができる。
【0060】
図7dは、様々な他の実施例によって、バッテリセル12の熱管理のために構成された、エネルギー貯蔵システム30を概略的に示す。示されたESSは、図4b及び図7aについて前述したのと同様の特徴を含んでいてもよく、簡略化のため、ここで詳細な説明は省略する。しかし、他の実施例において、ESS30は、図4aに示されたのと同様の方式で構成できることが理解できる。
【0061】
図7dを参照すると、示されたエネルギー貯蔵システム(ESS)30は、互いに電気的に連結された複数のバッテリセル12と、バッテリセル12のうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチ16と、バッテリセル12の充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるスイッチ16に電気的に連結された、1つ以上のヒータ17(または抵抗18)を含むバッテリシステム10と、を含む。ESSは、バッテリシステム10に電気的に連結された電力制御システム(PCS)32を更に含む。ESS32は、電力制御ユニット32に電気的に連結された電気負荷36を更に含む。PCS32及び電気負荷36の一方または両方は、バッテリセルの温度を上昇させるために、PCS32及び電気負荷36の一方または両方によって生成された熱を少なくとも1つのバッテリセル12に送る、1つ以上の熱導管19によってバッテリシステム10に熱的に連結される。バッテリシステム10は、前述した任意の実施例によるものであってもよい。
【0062】
様々な実施例によれば、熱導管19は、PCS32及び/または電気負荷36からバッテリセル12に効率良く熱を伝導するため任意の好適な熱伝導媒体を含んでいてもよい。一部の実施例において、熱導管19は、対流によって熱を伝達する空気導管を含む。空気導管は、例えば、加熱された空気を送る少なくとも部分的に密閉した管状導管を含んでいてもよい。他の一部の実施例において、熱導管19は、伝導によって熱を送る熱伝導パイプを含む。熱伝導パイプは、例えば、金属または他の固体状態の熱伝導性物質のような熱伝導性媒体で満たされる中実または中空パイプを含んでいてもよい。さらに他の一部の実施例において、熱導管19は、伝導と対流との組み合わせによって熱を送る熱伝導パイプまたは導管を含む。熱伝導パイプは、例えば、伝導によってPCS32及び電気負荷36の一方または両方によって加熱される液体のような熱伝導性媒体で満たされる中空パイプを含んでいてもよく、その後、加熱された液体を対流によってバッテリセル12に運搬する。
【0063】
さらに図7dを参照すると、示された実施例において、バッテリシステム10は、断熱する一方、PCS32及び電気負荷36は、断熱しない。但し、示された構成は例示に過ぎないし、実施例は、これに限定されるものではない。例えば、他の実施例によれば、PCS32と電気負荷36の一方または両方は、図7aについて前述したように、空気でない断熱材38によって互いに断熱し得る。
【0064】
また、本発明の様々な実施例によれば、バッテリシステム10を断熱する場合、そのうち1つまたはそれ以上の構成要素を選択的に絶縁することができる。すなわち、前述したようなバッテリシステム10のバッテリセル12、スイッチ16、1つ以上のヒータ17、及び1つ以上の熱導管19のいずれかは、空気でない断熱材38でカプセル化することができる。図7a及び7bは、2個の例示的な具現を示す。
【0065】
熱管理機能を有する酸化還元バッテリシステム
前述したように、特定の適用に適宜な電気化学エネルギー貯蔵システムの選択及び設計において考慮される競争要因は、このほかにも、投資費、電力、エネルギー、寿命、リサイクル可能性、効率性、拡張性、及びメンテナンスコストを含む。様々な電気化学エネルギー貯蔵システムのうち、酸化還元バッテリ(Redox Battery,RB)は、固定(stationary)エネルギー貯蔵所に好ましいと思われる。RBは、電気化学エネルギー変換装置であって、溶液に溶解された酸化還元種(redox species)の酸化還元過程を用いる。RBの幾つかの好ましい特徴は、電力及びエネルギーの独立した拡張性、高い放電深度(Depth of Discharge,DOD)、及び環境影響の減少である。かかる特徴は、広範囲な動作電力及び放電時間を可能にして、RBを再生可能な資源から生成された電気の貯蔵を好適にする。
【0066】
本願に開示のバッテリシステムの側面から、RBは、本願に開示のバッテリシステム、熱管理方法、及びエネルギー貯蔵システムの様々な実施例に特に好適であり得る。かかる利点のうち1つは、酸化還元バッテリの充放電を左右する酸化還元化学反応が例えば、アレニウス(Arrhenius)挙動によって上昇した温度で加速できる事実から発生する。かかる利点を得る一方、過熱及び/または爆発に対する恐れは、リチウムイオンバッテリに比べてRBでは、相対的に低いため、RBは、本願に開示の熱管理の様々な実施例の具現に特に好適であり得る。
【0067】
よって、本願に開示の様々な実施例によれば、熱管理の特徴は、酸化還元バッテリに関する。図8aは、実施例による酸化還元バッテリの概略図である。示された酸化還元バッテリ200Aは、第1ハーフセル204Aと第2ハーフセル204Bとを含む。第1ハーフセル204Aは、正電極に接触する第1または正極電解質が内部に配置された正極電解質貯蔵所106Aを含む。第1電解質には、第1酸化還元半反応の起こる第1酸化還元対が溶解されている。第2ハーフセル204Bは、負電極に接触する第2または負極電解質が内部に配置された負極電解質貯蔵所106Bを含む。第2電解質には、第2酸化還元半反応の起こる第2酸化還元対が溶解されている。正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bは、それぞれの半反応に対して反応空間を定義する。酸化還元バッテリ200Aは、正極電解質貯蔵所106Aと負極電解質貯蔵所106Bとを分離するイオン交換膜112を更に含む。正電極は、正極集電体108Aに電気的に連結され、負電極は、負極集電体108Bに電気的に連結される。一部の具現例において、第1正極板(bipolar plate)208Aは、正極集電体108Aと正極電解質貯蔵所106Aとの間に介在され、第2正極板208Bは、負極集電体108Bと負極電解質貯蔵所106Bとの間に介在される。
【0068】
従来のRBとは異なり、酸化還元バッテリ200において、第1ハーフセル204A、第2ハーフセル204B及びイオン交換膜112は、ケースやフレーム212に密閉した酸化還元バッテリセルを定義する。密閉したケース212は、正常動作中に、これの内部内容物が外部から物理的に接近可能でないようにする。すなわち、正極及び負極電解質は、電解質タンクのような外部容器と流体連通しない。ケーシング212は、完全に及び/または永久に酸化還元バッテリ200Aを密閉する。かかる構成は、従来のレドックス・フロー電池に対照して、前記酸化還元バッテリセルは、外部のタンクと流体連通する。すなわち、酸化還元バッテリにおいて、囲まれたセルの正極電解質貯蔵所106Aや負極電解質貯蔵所106Bは、いずれも第1または第2電解質のそれぞれを貯蔵する別途電解質タンクと流体連通するか物理的に連結されない。このように、正極及び負極電解質の実質的な全体容量は、酸化還元バッテリ内に貯蔵され、ケーシング212によって密閉して囲まれる。すなわち、第1電解質貯蔵所106Aは、第1ハーフセル204Aのため第1電解質の実質的な全体体積を貯蔵し、第2電解質貯蔵所106Bは、第2ハーフセル204Bのため第2電解質の実質的な全体体積を貯蔵する。部分的には、酸化還元バッテリ200Aが別途貯蔵タンクに連結されないため、酸化還元バッテリ200Aは、好ましくは、電解質をバッテリセルヘ、かつバッテリセルから伝達するための導管や、電解質を循環させるためのポンプを含まない。
【0069】
前述したように、従来の酸化還元バッテリ、例えば、レドックス・フロー電池(redox flow battery,RFB)に比べて、前記酸化還元バッテリ200Aの目立つ構造的特徴は、ポンプの省略である。その代り、実施例による酸化還元バッテリ200Aは、第1ハーフセル204Aの正極電解質貯蔵所106Aと第2ハーフセル204Bの負極電解質貯蔵所106Bのそれぞれの内部で第1及び第2電解質が自体循環する。様々な構成において、第1及び第2電解質の自体循環は、第1及び第2電解質貯蔵所の間の浸透圧差;第1及び第2電解質の一方または両方の密度変化;第1及び第2電解質の一方または両方の拡散または移動;第1及び第2電極のそれぞれに対する第1及び第2電解質の一方または両方の親和度;第1及び第2の酸化還元半反応、及び第1及び第2電解質の一方または両方の熱膨張または収縮のうち1つ以上によって引き起こされる。本発明者は、図8aの断面図における正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bの厚みは、20cm、15cm、10cm、5cm、2cm、1cm、またはこれら値のいずれかによって定義された範囲内の値を超えない場合、自体循環が電力及びエネルギー出力の安定性を提供するのに効果的であることを見出した。
【0070】
図8aを参照すると、ケーシング212は、非常に酸性であり得る正極及び負極電解質を収容するように適宜な耐食性材料で形成される。耐食性を提供するとともに、ケーシング212は、酸化還元バッテリ200に対する機械的支持を提供するために堅いケーシングであってもよい。一部の実施例において、実施例によるケーシング212の少なくとも一部分は、正極及び負極電解質貯蔵所106A,106B内に内部圧力の変化を収容するように変形する柔軟な素材で形成されていてもよい。内部圧力の増加は、例えば、圧力が調節された酸化還元バッテリについて後述する様々な効果によって引き起こし得る。前記ケーシングの部分だけ柔軟な材料で形成される構成において、残部は、堅い材料で形成すことができる。柔軟な部分は例えば、圧力の増加によって膨張し、正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bの一方または両方が0.1%、0.2%、0.5%、1%、2%、5%、10%、20%、50%より大きい各体積が増加する際にも収容できるように構成することができる。ケーシング212の適宜な材料では、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ABS、強化プラスチックなどが含まれていてもよい。
【0071】
このように構成された酸化還元バッテリ200Aは、様々な技術的及び商業的長所を含む。例えば、電解質を循環させるポンプだけでなく、バッテリセルとタンクとの間の導管、例えば、パイプジョイントに関連する様々な信頼性誤りが実際に減少するか除去され、酸化還元バッテリ200Aの動作に関連した安全危険と運営コストだけでなく、予定になかった修理を減らす。また、外的効率性は、ポンプを用いてバッテリセルとタンクとの間に電解質を循環させる必要性を除去して、実質的に向上する。本発明者らは、前記セルと電解質タンクとの間で電解質を循環させる必要性を除去して、酸化還元バッテリ200Aは、システムの大きさによって、従来のRFBに比べて最大2~50倍まで電力密度を向上させることができる。前述したように、電力密度は、エネルギー貯蔵装置の総体積に対する貯蔵装置の電力またはエネルギー出力を示す。よって、酸化還元バッテリの場合、電力またはエネルギー密度は、酸化還元バッテリの総体積に対する電力または出力の割合を示す。また、別途タンク、ポンプ及び導管を含む循環システムを省略して、空間効率性がさらに向上する。しかも、前記システム複雑性は、大きく減少し、酸化還元バッテリ200Aの商業的具現に対する障壁が大きく減る。例えば、従来のRFBとは異なり、酸化還元バッテリ200Aは、モジュール化した具現に対するリチウムイオンバッテリに類似するパックで製造されて、従来のRFBを設置するのに必要な嵌入的な構造が不要であり、自動化と大量生産にさらに好適になる。
【0072】
以下では、酸化還元バッテリ200Aの動作原理及び側面は、バナジウム(V:vanadium)を基礎とした酸化還元対に基づくバナジウム酸化還元バッテリの一例を用いて説明する。しかし、実施例は、これに限らず、本願に記述の原理は、様々な他の酸化還元対による酸化還元バッテリに適用され得ることが理解できる。
【0073】
実施例によるV酸化還元バッテリにおいて、第1ハーフセル204Aの第1または正極電解質に溶解された第1酸化還元対は、V4+/V5+酸化還元対であってもよく、第2ハーフセル204Bの第2または負極電解質に溶解された第2酸化還元対は、V2+/V3+酸化還元対であってもよい。充放電中に酸化還元反応は、下記の数式を用いて説明することができ、→は、放電反応方向を示し、←は、充電反応方向を示す:
第2ハーフセル/負電極:V2+←→V3++e
第1ハーフセル/正電極:V5++e←→V4+
全体反応:V2++V5+←→V3++V4+
【0074】
充電する間、第1ハーフセル204Aにおいて、V4+イオン内4価のバナジウムは、V5+イオン内5価のバナジウムに酸化する一方、第2ハーフセル204Bでは、3価のイオンV3+が2価のイオンV2+に還元する。放電する間、第1ハーフセル204Aにおいて、V5+イオン内5価のバナジウムは、V4+イオン内4価のバナジウムに還元する一方、第2ハーフセル204Bでは、2価のイオンV2+が3価のイオンV3+に酸化する。これらの酸化還元反応が起こる間、電子は、外部回路を介して伝達されて、特定のイオンは、イオン交換膜112を横切って拡散し、それぞれ正ハーフセルと負ハーフセルとの電気的中性をバランスさせる。
【0075】
他の酸化還元反応は、実施例による酸化還元バッテリ200Aで具現することができる。様々な実施例によって、第1酸化還元対や第2酸化還元対は、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ブローム(Br)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、セリウム(Ce)、及びコバルト(Co)のうち1つまたはそれ以上のイオンを含む。一部の実施例において、第1及び第2酸化還元対は、前述したV酸化還元バッテリのように、同じ金属イオンを含む。これらの実施例では、好ましくは、正極及び負極電解質の混合によって、これらの電解質の交差汚染が起こらない。
【0076】
前述したように、酸化還元バッテリの電解質は、イオン化によって電流を伝導する溶液である。前記電解質は、酸化還元対の酸化及び還元中に溶液内イオンの電荷をバランスさせるために、還元及び酸化した形態の酸化還元対を支援し、当該カチオンとアニオンも支援する。実施例による前記正極及び負極電解質は、酸性水溶液を含む。V酸化還元バッテリの場合、Vイオンの濃度は、電解質のエネルギー密度に関連する。さらに高いエネルギー密度は、好ましくは、与えられた量のエネルギーと電力出力に求められる正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bの体積を減らす働きをすることができる。しかし、非常に高いVイオンの濃度は、Vイオンの安定性を低下させることができる。よって、与えられた適用に対してVイオンの最適の範囲が存在する。例えば、第1及び第2電解質の一方または両方に溶解されたバナジウムイオンは、1.0M、1.5M、2.0M、2.5M、またはこれら値のいずれかによって定義された範囲内の値より大きくてもよい。他方、1.0Mより低いVイオンの濃度は、一部が適用に好適でないエネルギー水準の結果に繋がり得る。他方、2.5Mより大きいVイオンの濃度は、例えば、50℃以上の動作温度でV5+イオンの安定性がさらに低くてもよく、例えば、-20℃以下の動作温度では、電解質のV2+とV3+イオンの溶解度限界に達することができる。
【0077】
好ましくは、実施例によれば、正極及び負極電解質は、同じ溶媒及び/または同じ金属のイオンを含んでいてもよい。かかる実施例において、前記イオン交換膜112による正極及び負極電解質の混合によって、各ハーフセルが汚染しない。また、正極及び負極電解質は、同じ出発溶媒及び溶質から設けることができる。例えば、一部の実施例によるV酸化還元バッテリの場合、正極及び負極電解質は、いずれも硫酸を含む。4価のバナジウムイオン(V4+)及び/または3価のバナジウムイオン(V3+)を形成するために例えば、水溶液で0.1M~2.5MVOSO(バナジル硫酸塩)を0.1M~6MのHSOに溶解して、電解質を設けることができる。前記4価/3価のバナジウムイオンが電気化学的に酸化して、正極電解質(負極液)を形成し、これは5価のバナジウムイオン(V5+)の溶液である。逆に、前記4価/3価のバナジウムイオンが電子化学的に還元して、負極電解質(正極液)を形成し、これは2価のバナジウムイオン(V2+)の溶液である。
【0078】
図8aを参照すると、様々な実施例において、正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bにそれぞれ配置された正電極及び負電極は、幾つかを例えば、炭素または黒鉛フェルト、炭素布、カーボンブラック、黒鉛粉末、及びグラフェン炭素系材料を含む。前記炭素系材料は、好ましくは、相対的に高い動作範囲、優れた安定性、及び高い可逆性を提供する。前記電極は、相対的に高い電気化学的活性、低いバルク抵抗率、及び広い非表面積に最適化する。前記電極の電気化学的活性の改善は、酸化還元バッテリ200Aのエネルギー効率性を増加させる。酸化還元バッテリ200Aの性能を向上させるために、前記電極の表面は例えば、金属でコートして表面粗さを増加させるか、添加物でドープして改質し得る。
【0079】
前記反応空間を定義する正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bが存在する場合、イオン交換膜112と第1及び第2正極板208A,208Bのそれぞれとの間や、イオン交換膜112と正極及び負極集電体108A,108Bのそれぞれとの間に、各電極で部分的にまたは完全に満たされる。各電極で満たされた後、正極及び負極電解質貯蔵所106A,106Bの残り空間が存在する場合、イオン交換膜112と第1及び第2正極板208A,208Bのそれぞれとの間や、イオン交換膜112と正極及び負極集電体108A,108Bのそれぞれとの間に、各電解質で部分的にまたは完全に満たされる。様々な実施例において、後述するように、意図的に孔が穿孔するか多孔性になった場合を除いては、イオン交換膜112は、2個のハーフセルを実質的に分離して、2個の電解質と酸化還元対が混合することを実質的に防止し、電流が流れる間に回路を完成するために、2個のハーフセルの間の電荷をバランスさせるためHのようなイオンの輸送を可能にする。イオン交換膜112は、アニオン交換膜またはカチオン交換膜であってもよい。イオン交換膜112は、過フッ素化イオノマー(perfluorinated ionomer)、部分的フッ素化ポリマー(partially fluorinated polymer)、及び非フッ素化炭化水素(non-fluorinated hydrocarbons)のように、幾つかの範疇の材料を含んでいてもよい。イオン交換膜112の特定例は、Nafion(登録商標)、Flemion(登録商標)、NEOSEPTA-F(登録商標)、及びGore Select(登録商標)を含み、優れた化学的安定性、高い伝導性及び機械的強度を提供する。
【0080】
示された様々な実施例は、特定のイオン類型、例えば、アニオンまたはカチオンに選択的であり得るイオン交換膜112を含むものの、これに制限されるものではない。例えば、様々な実施例において、イオン交換膜112は、非選択的な膜、例えば、多孔性膜であってもよい。
【0081】
図8aを参照すると、一部の実施例において、出力電力は、セルスタックを形成するために、多くの単一の酸化還元バッテリセルを、例えば、直列に連結して拡張することができる。かかる構成において、第1及び第2正極板208A,208Bは、単一のセルの直列連結を容易にし、隣接した正極板の間の集電板108A,108Bを除去することができる。第1及び第2正極板208A,208Bは、黒鉛、炭素、炭素プラスチックなどのような適宜な材料で形成され、セルスタックの高い電気伝導性と低い内部抵抗を提供する。また、第1及び第2正極板208A,208Bは、電気伝導性を増加させるために、電極に押された際に受ける接触圧力を支持する。しかも、第1及び第2正極板208A,208Bは、集電板108A,108Bの腐食や酸化を防止するために、高い耐酸性(acid resistance)を有するように提供される。
【0082】
正極及び負極集電体108A,108Bは、銅やアルミニウムのような高い電気伝導性を有する金属を含み、充放電過程で電流を流す働きをする。
【0083】
前述した単一の酸化還元バッテリ200Aは例えば、約1.65V以下の電気化学的反応が特徴である出力電圧を有するため、さらなるセルが電気的に直列や並列に連結され、前述したように、さらに高い電圧及び電流をそれぞれ達成することができる。
【0084】
図8bは、一部の実施例によって、積層構成で複数の密閉した酸化還元バッテリセルを含む、酸化還元バッテリに関する概略図である。示された酸化還元バッテリ200Bは、積層可能な複数のバッテリセル200B-1,200B-2,...,200B-nを含み、各セルは、酸化還元バッテリ200A(図2a)と同様の方式で構成される(図8a)。複数のバッテリセル200B-1,200B-2,...,200B-nのそれぞれは、正極電解質貯蔵所106A、負極電解質貯蔵所106B、及びイオン交換膜112を含む。示された実施例において、複数のバッテリセル200B-1,200B-2,...,200B-nのそれぞれは、別途ケーシング212によって囲まれる。複数のバッテリセル200B-1, 200B-2,...,200B-nは、電気的に直列に連結されて、出力電圧を増加させる。
【0085】
図8cは、他の一部の実施例によって、積層構成で複数の酸化還元バッテリセルを含む酸化還元バッテリに関する概略図である。示された酸化還元バッテリ200Cは、積層可能な複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nを含み、複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nのそれぞれは、正極電解質貯蔵所106A、負極電解質貯蔵所106B、及びイオン交換膜112を含む、酸化還元バッテリ200A(図8a)と同様の方式で構成される。しかし、酸化還元バッテリ200B(図8B)とは異なり、示された実施例において、複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nは、共通ケーシング222によって囲まれる。酸化還元バッテリ200B(図8b)と同様の方式で、複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nは、電気的に直列に連結されて、出力電圧を増加させる。また、一部の実施例において、複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nの正極電解質貯蔵所106Aは、互いに流体連通することができ、複数のバッテリセル200C-1,200C-2,...,200C-nの負極電解質貯蔵所106Bは、互いに流体連通することができる。酸化還元バッテリ200Cは、パウチ型のバッテリや剛体(rigid)ケース型のバッテリから構成することができる。
【0086】
図8dは、実施例によって、円筒状の積層構成で複数の酸化還元バッテリセルを含む酸化還元バッテリに関する概略図である。示された酸化還元バッテリ200Dは、円筒状に積層可能な複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200D-nを含み、複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200D-nのそれぞれは、正極電解質貯蔵所106A、負極電解質貯蔵所106B、及びイオン交換膜112を含む酸化還元バッテリ200A(図8a)と同様の方式で構成される。複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200C-nは、酸化還元バッテリ200B(図8b)について前述したのと同様の方式でケーシングに個別に囲まれていてもよい。または、複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200C-nは、酸化還元バッテリ200C(図8c)について前述したのと同様の方式で共通ケーシング222に囲まれていてもよい。酸化還元バッテリ200B(図8b)と同様の方式で、複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200D-nは、電気的に直列に連結されて、出力電圧を増加させる。また、一部の実施例において、複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200D-nの正極電解質貯蔵所106Aは、互いに流体連通することができ、複数のバッテリセル200D-1,200D-2,...,200D-nの負極電解質貯蔵所106Bは、互いに流体連通することができる。
【0087】
図8b及び8cについて前述した前記積層された構成のそれぞれにおいて、複数のバッテリセルの一部または全部は、セルの一部または全部の逆極性の集電体を適宜電気的に連結して、電気的に直列に連結されるか、あらゆるセルのうち一部の同極性の集電体を適宜電気的に連結して、電気的に並列に連結されると理解することができる。
【0088】
さらなる例示
1.バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、前記バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、前記スイッチに電気的に連結されて、前記バッテリセルから電力を消散することで、1つ以上の前記スイッチを活性化するとき、熱を生成するように構成された1つ以上のヒータと、を含み、前記で1つ以上の熱導管が1つ以上のヒータによって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って温度を上昇させるように構成される。
【0089】
2.バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、前記バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、前記スイッチと電気的に連結されて、前記バッテリセルから電力を消散することで、1つ以上のスイッチを活性化するとき、熱を生成するように構成された1つ以上のヒータと、を含み、前記以上のヒータは、アクティブまたはパッシブにバッテリセルの充電状態(SoC)をバランスさせ、前記バッテリセルの温度を前記熱によって上昇させるため1つ以上の抵抗として働くように構成される。
【0090】
3.実施例1のバッテリシステムは、前記バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるため1つ以上の抵抗としての働きをするように構成された1つ以上のヒータを有する。
【0091】
4.実施例2のバッテリシステムは、前記1つ以上のヒータによって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って温度を上昇させるように構成された、1つ以上の熱導管を更に含む。
【0092】
5.実施例1~4のいずれかバッテリシステムは、酸化還元セルである複数のバッテリセルを有する。
【0093】
6.実施例1~5のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセル及び前記スイッチに電気的に連結される制御部を更に含み、前記制御部は、前記バッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知し、前記感知したSoCに基づいて1つ以上のスイッチを選択的に活性化するように構成される。
【0094】
7.実施例6のバッテリシステムは、前記SoCが既に設定された範囲を外れたことを感知した、前記バッテリセルに連結された1つ以上のスイッチを選択的に活性化するように構成された制御部を有する。
【0095】
8.実施例7のバッテリシステムは、バッテリ容量に比例し、前記バッテリセルのそれぞれに固有である、前記感知したSoCを用いる。
【0096】
9.実施例6~8のいずれかバッテリシステムは、セル電圧を測定することで、前記充電状態(SoC)を感知し、約1.2Vより大きい平均セル電圧を測定するとき、1つ以上のスイッチを選択的に活性化するように構成された制御部を有する。
【0097】
10.実施例6~9のいずれかバッテリシステムは、セル電圧を測定することで、前記充電状態(SoC)を感知し、約50mVより大きいセル電圧範囲を測定するとき、1つ以上のスイッチを選択的に活性化するように構成された制御部を有する。
【0098】
11.実施例1~10のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち少なくとも1つの温度を測定するように、それぞれ構成された複数の温度センサを更に含む。
【0099】
12.実施例6~9のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち少なくとも1つの温度が既に設定された温度より低いと判断するとき、前記1つ以上のスイッチを活性化するように構成された制御部を有する。
【0100】
13.実施例6~10のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち少なくとも1つを既に設定された温度より低い温度に冷却した後に、前記1つ以上のスイッチを活性化するように構成された制御部を有する。
【0101】
14.実施例6~11のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち少なくとも1つの温度が少なくとも5℃だけ増加したことを感知するとき、前記以上のスイッチのうち活性化したものを非活性化するように構成された制御部を有する。
【0102】
15.実施例1~14のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つの温度を20~30℃に到逹させる、前記1つ以上のヒータによって生成された熱を用いる。
【0103】
16.実施例1~15のいずれかバッテリシステムは、対流によって前記熱を送る空気導管を含む前記熱導管を有する。
【0104】
17.実施例1~16のいずれかバッテリシステムは、伝導によって前記熱を送る熱伝導パイプを含む熱導管を有する。
【0105】
18.実施例1~17のいずれかバッテリシステムは、同じバッテリセルに送られる前記バッテリセルから電力を消散することで発生した前記熱を用いる。
【0106】
19.実施例1~17のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルのうち互いに異なるバッテリセルに送る、前記バッテリセルから電力を消散することで生成した前記熱を用いる。
【0107】
20.実施例1~19のいずれかバッテリシステムにおいて、前記バッテリセルのそれぞれは、酸化還元バッテリセルであり、前記酸化還元バッテリセルは、第1酸化還元半反応が起こるように構成された第1酸化還元対が内部に溶解された、第1電解質を含む第1ハーフセルと、第2酸化還元半反応が起こるように構成された第2酸化還元対が内部に溶解された、第2電解質を含む第2ハーフセルと、正極電解質貯蔵所と負極電解質貯蔵所とを分離するイオン交換膜と、を含み、前記酸化還元バッテリセルは、前記第1及び第2電解質に化学エネルギーを貯蔵する。
【0108】
21.実施例20のバッテリシステムは、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ブローム(Br)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、セリウム(Ce)、及びコバルト(Co)のうち1つ以上のイオンを含む、前記第1酸化還元対または前記第2酸化還元対を有する。
【0109】
22.実施例21のバッテリシステムは、Vイオンを含む第1及び第2酸化還元対を有する。
【0110】
23.実施例1~22のいずれかバッテリシステムは、前記バッテリセルの外部に、前記第1電解質及び前記第2電解質を貯蔵する別途タンクを含む、酸化還元流れバッテリセルからなる酸化還元バッテリセルである。
【0111】
24.実施例1~23のいずれかバッテリシステムの前記バッテリセルのそれぞれは、前記導管のうち専用導管によって前記ヒータのうち専用ヒータに連結される。
【0112】
25.実施例24のバッテリシステムのそれぞれのヒータは、前記バッテリセルのうち専用バッテリセルに比べて、前記スイッチのうち専用スイッチにさらに近く物理的に配置される。
【0113】
26.実施例24のバッテリシステムは、バッテリ管理システムの一部として統合したスイッチ、ヒータ及び制御部を有する。
【0114】
27.実施例26のバッテリシステムは、共通基板上に集積したスイッチ、ヒータ及び制御部を有する。
【0115】
28.実施例24のバッテリシステムのそれぞれのヒータは、スイッチのうち専用スイッチに比べて、前記バッテリセルのうち専用バッテリセルにさらに近く物理的に配置される。
【0116】
29.実施例1~23のいずれかバッテリシステムは、複数のスイッチのうち多数のスイッチに中央で電気的に連結される中央ヒータを更に含み、前記中央ヒータは、前記1つ以上の熱導管を介して前記複数のバッテリセルのうち多数のバッテリセルに中央で熱的に連結される。
【0117】
30.実施例1~23のいずれかバッテリシステムは、中央で前記多数のスイッチに無線で連結され、中央で前記1つ以上の熱導管を介して前記多数のバッテリセルに熱的に連結される、前記中央ヒータを有する。
【0118】
31.実施例29または30のバッテリシステムは、単一のヒータである前記中央ヒータを有する。
【0119】
32.実施例1~31のいずれかバッテリシステムは、目標温度に到逹するとき、過熱を消散するようにアクティブに冷却するように構成されるヒータを有する。
【0120】
33.実施例1~32のいずれかバッテリシステムは、100mΩ~100Ω のうち1つの抵抗を有する前記1つ以上の前記ヒータを有する。
【0121】
34.実施例1~33のいずれかバッテリシステムは、空気のほか、熱絶縁体でカプセル化する1つ以上の前記バッテリセル、前記スイッチ、1つ以上の前記ヒータ、及び前記1つ以上の熱導管を有する。
【0122】
35.実施例34のバッテリシステムは、熱絶縁体でカプセル化する前記それぞれのバッテリセル、前記1つ以上の前記ヒータ、及び前記1つ以上の前記熱導管を有する。
【0123】
36.実施例34のバッテリシステムは、熱絶縁体でカプセル化する前記それぞれのバッテリセル、前記スイッチ、前記1つ以上の前記ヒータ、及び前記1つ以上の前記熱導管を有する。
【0124】
37.実施例34~36のいずれかバッテリシステムは、0.01~1W/m・Kの熱伝導率を有する熱絶縁体を有する。
【0125】
38.実施例1~37のいずれかバッテリシステムは、外部電力制御システム及び外部電気負荷の一方または両方に電気的に連結され、前記外部電力制御システム及び前記外部電気負荷の一方または両方は、前記外部電力制御システム及び前記外部電気負荷の一方または両方によって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って温度を上昇させるように構成された外部熱導管によって、前記バッテリシステムに熱的に連結される。
【0126】
39.実施例1~38のいずれかバッテリシステムは、100mΩ~100Ω の抵抗を有する前記1つ以上のヒータを有する。
【0127】
40.バッテリシステムのための熱管理方法として、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルのそれぞれの充電状態(SoC)を感知する段階と、前記バッテリセルに連結された1つ以上のスイッチを活性化することで、熱を生成するため1つ以上のヒータによって既に設定された臨界値以上のSoCを有する、1つ以上の前記バッテリセルから電力を消散させる段階と、1つ以上の熱導管を介して前記1つ以上のヒータから生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って前記少なくとも1つの温度を上昇させる段階と、を含む。
【0128】
41.実施例40の方法に用いられたバッテリシステムは、実施例1~39のいずれかによる。
【0129】
42.実施例40又は41の方法は、前記SoCを感知する前に、前記複数のバッテリセルを充放電する段階を含む。
【0130】
43.実施例40~42のいずれか方法は、前記SoCを感知する前に、前記複数のバッテリセルを約1.0~2.0Vのセル電圧の平均まで充放電する段階を更に含む。
【0131】
44.実施例40~43のいずれか方法において、前記SoCを感知する段階は、セル電圧を測定する段階を含み、前記SoCの既に設定された臨界値は、前記平均セル電圧に相当する。
【0132】
45.実施例40~44のいずれか方法は、前記感知したSoCに基づいてセルバランス方式を活性化する段階を更に含む。
【0133】
46.実施例45の方法において、前記セルバランス方式を活性化する段階は、セル電圧範囲が約50mVの既に設定された値を超えると判断する際に活性化する。
【0134】
47.実施例46の方法は、前記セル電圧の範囲が前記既に設定された値を超えるとき、前記既に設定された臨界値以上の前記SoCを有する前記1つ以上のバッテリセルに連結された、前記1つ以上のスイッチを選択的に活性化させる段階を更に含む。
【0135】
48.実施例40~46のいずれか方法は、前記熱を送る前に、前記バッテリセルのうち少なくとも1つの温度を感知する段階を更に含む。
【0136】
49.実施例48の方法において、前記熱を送る段階は、前記バッテリセルのうち少なくとも1つの温度が既に設定された温度の未満であることを感知する際に送る段階を含む。
【0137】
50.前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つの温度が、前記既に設定された温度以上であることを感知するとき、実施例48の方法は、前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つを、前記既に設定された温度の以下に冷却する段階を更に含む。
【0138】
51.実施例48または49の方法において、前記熱を送る段階は、前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つの温度が少なくとも前記既に設定された温度に逹するまで送る段階を含む。
【0139】
52.実施例48~51のいずれか方法において、前記バッテリセルは、リチウムイオンバッテリセルを含み、前記既に設定された温度は、20~30℃である。
【0140】
53.実施例48~52のいずれか方法において、バッテリセルのそれぞれは、酸化還元バッテリセルを含み、実施例48~52のいずれか方法における前記既に設定された温度は、30~30℃である。
【0141】
54.エネルギー貯蔵システム(ESS)は、バッテリシステム、前記バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)、及び前記電力制御ユニットに電気的に連結された電気負荷を含み、前記バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、前記バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、前記バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるため前記スイッチに電気的に連結された1つ以上のヒータと、を含み、前記PCSと前記電気負荷の一方または両方は、グリッドに電気的に連結されるように構成され、1つ以上の前記バッテリシステム、前記PCS及び前記電気負荷は、空気でない0.01~1W/m・Kの熱伝導率を有する断熱材によって互いに断熱する。
【0142】
55.エネルギー貯蔵システム(ESS)は、バッテリシステムと、前記バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)と、前記電力制御ユニットに電気的に連結された電気負荷と、を含み、前記バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、前記バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、前記バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるため前記スイッチに電気的に連結された1つ以上のヒータと、を含み、前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方は、前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方によって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って温度を上げるように構成された1つ以上の熱導管によって、前記バッテリシステムに熱的に連結される。
【0143】
56.エネルギー貯蔵システム(ESS)は、バッテリシステムと、前記バッテリシステムに電気的に連結された電力制御システム(PCS)と、前記電力制御ユニットに電気的に連結された電気負荷と、を含み、前記バッテリシステムは、互いに電気的に連結された複数のバッテリセルと、前記バッテリセルのうち1つにそれぞれ連結された複数のスイッチと、前記バッテリセルの充電状態(SoC)をアクティブまたはパッシブにバランスさせるため前記スイッチに電気的に連結された1つ以上の抵抗と、を含み、前記バッテリシステムは、実施例1~37のいずれかによる。
【0144】
57.実施例54のESSは、前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方によって生成された熱を、前記バッテリセルのうち少なくとも1つに送って温度を上昇させるように構成された1つ以上の熱導管によって、前記バッテリシステムに熱的に連結された前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方を有する。
【0145】
58.実施例54のESSは、実施例1~39のいずれかによる前記バッテリシステムを有する。
【0146】
59.実施例55のESSは、空気でない0.01~1W/m・Kの熱伝導率を有する断熱材によって互いに断熱する、1つ以上の前記バッテリシステム、前記PCS及び前記電気負荷を有する。
【0147】
60.実施例55のESSは、実施例1~39のいずれかによる前記バッテリシステムを有する。
【0148】
61.実施例56のESSは、空気でない0.01~1W/m・Kの熱伝導率を有する断熱材によって互いに断熱する、1つ以上の前記バッテリシステム、前記PCS及び前記電気負荷を有する。
【0149】
62.実施例56のESSは、1つ以上の前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方によって生成された熱を、前記バッテリセルのうち前記少なくとも1つに送って温度を少なくとも5℃だけ上げるように構成された1つ以上の熱導管によって、前記バッテリセルに熱的に連結された前記PCS及び前記電気負荷の一方または両方を有する。
【0150】
文脈上、明白に他に要求しない限り、説明及び請求の範囲全体にわかって「含む(comprise、include)」、「含み(comprising、including)」などの単語は、排他的や完全な意味に対して、すなわち、「含むものの、これに限らない」の意味であり、包括的な意味に解釈される。ここで、一般に使われる「結合された」という単語は、直接に連結されるか1つ以上の中間要素を介して連結されてもよい2つ以上の要素を示す。また、「ここに」、「上」、「下に」、及びこれと同様の意味の単語は、本願で用いられるとき、本願の特定の部分ではなく、本願を全体的に示す。文脈が許容する場合、単数または複数を使う上記詳細な説明の単語は、それぞれ複数または単数を含んでいてもよい。2つ以上の項目リストを参照して、「または」という単語は、リストの項目のいずれか、リストの項目のいずれも、及びリストの項目のいずれか組み合わせである解釈をいずれも含む。
【0151】
また、このほかにも、「することができる」、「することができた」、「することもあった」、「することもある」、「例」、「例えば」、「のような」など、ここで使われる条件付き言語は、特に他に言及しない限り、または使われた文脈内で他に理解されない限り、一般に特定の実施例が特定の特徴、要素及び/または状態を含むものの、他の実施例は含まないことを伝達するためのものである。よって、これらの条件付き言語は、一般に特徴、要素及び/または状態が1つ以上の実施例に対していずれの方式でも必要であるか、これらの特徴、要素及び/または状態が任意の特定の実施例に含まれるか、行われるか否かを暗示するようには意図しない。
【0152】
特定の実施例を説明したが、これら実施例は、単に例として提示されており、本開示の範囲を制限するように意図するものではない。実際、上述した新しい装置、方法及びシステムは、様々な他の形態に具現することができ、本明細書に記述の方法及びシステムの形態で様々な省略、代替及び変更は、本開示の範囲を外れないで行うことができる。例えば、ブロックは、与えられた配列に提示されるものの、他の実施例は、他の構成要素及び/または回路トポロジーと同様の機能を行うことができ、一部のブロックは、除去、移動、追加、細分化(subdivided)、組み合わせ、及び/または修正することができる。これらのブロックのそれぞれは、互いに異なる様々な方式で具現することができる。前述した様々な実施例の構成要素及び動作の任意の適宜な組み合わせは、さらなる実施例を提供するために組み合わせことができる。前述した様々な特徴及び過程は、互いに独立に具現されるか、様々な方式で組み合わせることができる。本開示の特徴のあらゆる可能な組み合わせ及び下位の組み合わせは、本開示の範囲内に含まれると理解される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
【国際調査報告】