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特表2025-503619ホスホジエステラーゼ阻害剤のための鼻スプレー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】ホスホジエステラーゼ阻害剤のための鼻スプレー
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20250128BHJP
   A61P 27/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20250128BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P27/00
A61P43/00 111
A61K31/522
A61K31/4709
A61K31/44
A61K9/12
A61K47/38
A61K47/10
A61K45/06
A61P11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540925
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 US2023060164
(87)【国際公開番号】W WO2023133459
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】63/297,060
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/418,661
(32)【優先日】2022-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522375671
【氏名又は名称】シラノ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョフリオン, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】クッパースミス, ロナルド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076BB25
4C076CC10
4C076DD38
4C076EE31G
4C084AA17
4C084AA19
4C084AA20
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA59
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA321
4C084ZA322
4C084ZC201
4C084ZC202
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC62
4C086CB07
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA59
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA32
4C086ZC20
(57)【要約】
対象における化学感覚機能不全を処置する方法であって、対象に、鼻スプレーデバイスによってホスホジエステラーゼ阻害剤またはその塩を鼻腔内投与するステップを含む方法が、本明細書において開示される。同様に、それを必要とする対象に、ホスホジエステラーゼ阻害剤またはその塩を投与するためのデバイスおよびキットが、本明細書において開示される。本明細書の鼻スプレーデバイスは、ウイルス感染に起因する化学感覚機能不全、または化学感覚機能不全の別の根本原因を処置するために使用することができる投与量単位を送達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、前記対象に有効量の液体医薬組成物を投与するステップを含み、前記液体医薬組成物が、
ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せを含み、前記液体医薬組成物が、前記液体医薬組成物を含む鼻スプレーデバイスの動作による前記対象への鼻腔内投与の際に、複数の液滴を含むプルームを形成し、前記複数の液滴が、約38μm~約49μmのD90であることを特徴とし、前記プルーム中の前記液滴の約90%が、前記D90未満のサイズを有し、前記有効量の前記液体医薬組成物を前記投与するステップにより、前記化学感覚機能不全が処置される、方法。
【請求項2】
前記複数の液滴が、前記プルーム中の前記液滴の約1.5%未満が約10μm未満のサイズを有することをさらに特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の液滴が、約23μm~約30μmのD50であることをさらに特徴とし、前記プルーム中の前記液滴の約50%が、前記D50未満のサイズを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記D50が、約25μmである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
液滴サイズが、レーザー回折によって測定される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記PDE阻害剤または前記その塩が、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記テオフィリンまたはその塩を含む前記PDE阻害剤または前記その塩を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プルームが、前記鼻スプレーデバイスの動作によって形成されて、スプレーの開始から前記スプレーの終了まで、約0.5秒間~約5秒間存続する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記薬学的に許容される担体が水を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記液体医薬組成物が、粘度向上剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記粘度向上剤がセルロースを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体医薬組成物が、賦形剤をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記賦形剤がグリセロールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体医薬組成物が、保存剤をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記動作が、約10μl~約200μlまたは約20μl~約80μlの液体の動作量を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
鼻腔内投与が、1日1回、2回または3回の各鼻孔に対するものである、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プルームが、鼻のキャストスキャンによって測定すると、鼻腔の表面積の約15%~約50%、または約10%~約80%、または約5%~約90%、または約5%~約100%を覆う、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記鼻腔が、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部、鼻甲介またはそれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記鼻腔が、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部および鼻甲介を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記液体医薬組成物が、単位用量中にあり、約20μg~約2000μgの前記PDE阻害剤または前記その塩を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記化学感覚機能不全が、無味覚、味覚減退、味覚不全、嗅覚錯誤、自発性異嗅症、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全またはそれらの任意の組合せである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記化学感覚機能不全が、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全、嗅覚錯誤またはそれらの組合せである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記化学感覚機能不全が、嗅覚喪失、味覚喪失またはそれらの組合せである、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記化学感覚機能不全が、ウイルス感染後に起こる、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ウイルス感染が、コロナウイルス感染またはインフルエンザ感染を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記投与するステップの前の前記対象が、前記対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団の環式ヌクレオチドレベルと比べて、低下したレベルの環式ヌクレオチドを有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記投与するステップの前の前記対象が、前記対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団のソニックヘッジホッグのレベルと比べて、低下したレベルのソニックヘッジホッグを有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の治療剤が、前記投与するステップと同時に、または逐次的に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象を前記化学感覚機能不全と診断するステップをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、前記化学感覚機能不全と以前に診断された、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記鼻スプレーデバイスが、動作の際に単位用量としてプルームを送達する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記鼻スプレーデバイスが、約60~約120単位用量を含み、各単位用量が、約20μg~約2000μgの前記PDE阻害剤または前記その塩を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、それを必要とする対象である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記対象がヒトである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
動作の際に、前記鼻スプレーデバイスが、約35mg~約50mgの前記医薬組成物を送達する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記複数の液滴が、約14μm~約19μmのD10であることをさらに特徴とし、前記プルーム中の前記液滴の約10%が、前記D10未満のサイズを有する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記鼻スプレーデバイスの前記動作のストローク長さが、4.6mm、4.8mmまたは4.9mmである、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記鼻スプレーデバイスの前記動作のアクチュエーターのストローク速度が、2mm/sまたは3mm/sである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記鼻スプレーデバイスの前記動作のアクチュエーターのストローク加速度が、約500mm/sである、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記鼻スプレーデバイスが、約3μm、約4μmまたは約5μmのノズル孔のサイズを有する、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記鼻スプレーデバイスが、約40~約70個のノズル孔または約45個の孔~約65個のノズル孔を有する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記鼻スプレーデバイスが、約20度の円錐角を有する、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
動作の際にプルーム中の投与量単位を送達するよう構成されている、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩を含む鼻スプレーデバイスであって、前記投与量単位が、賦形剤を含む薬学的に許容される担体中に、治療有効量の前記PDE阻害剤または前記その塩を含み、前記プルームが、
(a)前記プルーム中の前記液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および
(b)約38μm~約49μmのD90であり、前記プルーム中の前記液滴の約90%が前記D90未満のサイズを有すること
を特徴とする液滴サイズ分布を有する、鼻スプレーデバイス。
【請求項45】
請求項44に記載の鼻スプレーデバイスおよび容器を含む、キット。
【請求項46】
化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達する鼻スプレーデバイスを使用して、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩を投与するステップを含み、前記投与量単位が、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの任意の組合せを含む液体医薬組成物中の治療有効量の、前記PDE阻害剤またはその塩を含み、前記プルームが、液滴を含み、そして
(a)前記プルーム中の前記液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および
(b)約38μm~約49μmのD90であり、前記プルーム中の前記液滴の約90%が前記D90未満のサイズを有すること
を特徴とする液滴サイズ分布を有する、方法。
【請求項47】
化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、前記対象に有効量の液体医薬組成物を投与するステップを含み、前記液体医薬組成物が、
a)チオリダジン、ハロペリドール、オランザピン、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せ;および
b)薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せ
を含み、前記液体医薬組成物が、前記液体医薬組成物を含む鼻スプレーデバイスの動作による前記対象への鼻腔内投与の際に、複数の液滴を含むプルームを形成し、前記複数の液滴が、約38μm~約49μmのD90であることを特徴とし、前記プルーム中の前記液滴の約90%が、前記D90未満のサイズを有し、前記有効量の前記液体医薬組成物を前記投与するステップにより、前記化学感覚機能不全が処置される、方法。
【請求項48】
前記化学感覚機能不全が、自発性異嗅症、自発性異常味覚、またはそれらの両方である、請求項47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2022年1月06日出願の米国仮出願第63/297,060号、および2022年10月24日出願の米国仮出願第63/418,661号の利益を主張する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
要約
対象に有効量の液体医薬組成物を投与するステップを含む、それを必要とする対象における化学感覚機能不全(chemosensory dysfunction)を処置する方法であって、液体医薬組成物が、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せを含む、方法が、本明細書において開示される。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、液体医薬組成物を含む鼻スプレーデバイスの動作によって対象に鼻腔内投与されると、複数の液滴を含むプルーム(plume)を形成し、複数の液滴は、約38μm~約49μmのD90であることを特徴とし、プルーム中の液滴の約90%がD90未満のサイズを有する。一部の実施形態では、複数の液滴は、プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有することをさらに特徴とすることができる。一部の実施形態では、複数の液滴は、約23μm~約30μmのD50をさらに特徴とすることができ、プルーム中の液滴の約50%が、D50未満のサイズを有する。一部の実施形態では、D50は、約25μmである。一部の実施形態では、液滴サイズは、レーザー回折によって測定することができる。一部の実施形態では、PDE阻害剤またはその塩は、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、PDE阻害剤またはその塩は、テオフィリンまたはその塩とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、鼻スプレーデバイスの動作によって形成されることができ、スプレーの開始からスプレーの終了まで、約0.5秒間~約5秒間存続できる。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、水を含むことができる。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、粘度向上剤をさらに含むことができる。一部の実施形態では、粘度向上剤は、セルロースを含むことができる。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、賦形剤をさらに含むことができる。一部の実施形態では、賦形剤は、グリセロールを含むことができる。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、保存剤をさらに含むことができる。一部の実施形態では、動作は、約20μl~約80μlの液体の動作量を含むことができる。一部の実施形態では、鼻腔内投与は、各鼻孔に、1日1回、2回または3回とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、鼻のキャストスキャン(cast scan)によって測定すると、鼻腔の表面積の約15%~約50%を覆うことができる。一部の実施形態では、鼻腔は、鼻中隔、鼻底(nasal floor)、鼻腔側壁(lateral nasal wall)、下鼻道(inferior meatus)、中鼻道(middle meatus)、上鼻道(superior meatus)、嗅裂、嗅部、鼻甲介またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、鼻腔は、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部および鼻甲介を含むことができる。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、単位用量であることができ、約20μg~約2000μgのPDE阻害剤またはその塩を含むことができる。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、PDE阻害剤またはその塩を含む投与量単位にあり、約20μg~約12,000μgの投与量を含むことができる。一部の実施形態では、例えば、PDE阻害剤またはその塩は1日に1回、2回、3回、4回または5回、一方の鼻孔に独立して投与され得るか、または両方の鼻孔間に分割され得る全用量は、鼻腔内送達デバイスの1回または複数の動作によって送達することができ、約1マイクログラム~約100mg、または約1マイクログラム~約50mg、または約1マイクログラム~約20mg、または約1マイクログラム~約10mg、または約1マイクログラム~約9mg、または約1マイクログラム~約8mg、または約1マイクログラム~約7mg、または約1マイクログラム~約6mg、または約1マイクログラム~約5mg、または約1マイクログラム~約4mg、または約1マイクログラム~約3mg、または約1マイクログラム~約2mg、または約1マイクログラム~約1mg、または1マイクログラム~約0.5mg、または約10マイクログラム~約2mg、または約20マイクログラム~約2mg、または約40マイクログラム~約2mg、または約60マイクログラム~約2mg、または約80マイクログラム~約2mg、または約100マイクログラム~約2mg、または約200マイクログラム~約2mg、または約400マイクログラム~約2mg、または約600マイクログラム~約2mg、または約800マイクログラム~約2mg、または約1000マイクログラム~約2mgの範囲であり得る。全用量が、液体医薬組成物に含まれ得る。液体医薬組成物に含まれ得る、PDE阻害剤またはその塩の全用量は、1日1回、2回、3回、4回、5回または6回、投与され得、鼻孔の1つに投与され得るか、または2つの鼻孔間に分割され得る。PDE阻害剤またはその塩の全用量は、例えば、約:20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000または20,000マイクログラムとすることができ、これは、液体医薬組成物中に含まれ得る。PDE阻害剤またはその塩の全用量は、1つの鼻孔または2つの鼻孔に送達される、鼻腔内送達デバイスから、PDE阻害剤またはその塩を含有する1つまたは複数の単位用量(これは、液体医薬組成物中に含まれ得る)を投与することによって送達することができる(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50単位用量)。単位用量は、約:10、20 30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、110,000、または120,000マイクログラムの量のPDE阻害剤またはその塩を独立して含有することができ、その単位用量は、液体医薬組成物とすることができる。一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、無味覚、味覚減退、味覚不全、嗅覚錯誤、自発性異嗅症(phantosmia)、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全またはそれらの任意の組合せとすることができる。一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全、嗅覚錯誤またはそれらの組合せとすることができる。一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、嗅覚喪失、味覚喪失またはそれらの組合せとすることができる。一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、ウイルス感染後に起こり得る。一部の実施形態では、ウイルス感染は、コロナウイルス感染またはインフルエンザ感染を含むことができる。一部の実施形態では、投与前の対象は、対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団の環式ヌクレオチドレベルと比べて、低下したレベルの環式ヌクレオチドを有し得る。一部の実施形態では、投与前の対象は、対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団のソニックヘッジホッグのレベルと比べて、低下したレベルのソニックヘッジホッグを有し得る。一部の実施形態では、本方法は、第2の治療剤を投与するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、第2の治療剤は、投与と同時に、または逐次的に投与され得る。一部の実施形態では、本方法は、対象を化学感覚機能不全と診断するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、対象は、化学感覚機能不全と以前に診断された。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、動作の際に単位用量としてプルームを送達することができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、約60~約120単位用量を含む。一部の実施形態では、各単位用量は、約20μg~約2000μgのPDE阻害剤またはその塩を含む。一部の実施形態では、対象は、それを必要とする対象である。一部の実施形態では、対象はヒトである。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、動作の際に、約35mg~約50mgの医薬組成物を送達することができる。一部の実施形態では、複数の液滴は、約14μm~約19μmのD10をさらに特徴とすることができ、プルーム中の液滴の約10%が、D10未満のサイズを有する。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスの動作のストローク長さは、4.6mm、4.8mmまたは4.9mmとすることができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスの動作のアクチュエーターのストローク速度は、2mm/sまたは3mm/sとすることができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスの動作のアクチュエーターのストローク加速度は、約500mm/sとすることができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、約3μm、約4μmまたは約5μmのノズル孔のサイズを有することができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、約40~約70個のノズル孔または約45個の孔~約65個のノズル孔を有することができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、約20度の円錐角を有することができる。
【0003】
同様に、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を含む鼻スプレーデバイスが、本明細書において開示される。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達するよう構成され得る。一部の実施形態では、投与量単位は、賦形剤を含む薬学的に許容される担体中に、治療有効量のPDE阻害剤を含むことができる。一部の実施形態では、プルームは、(a)プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および(b)約38μm~約49μmのD90であり、プルーム中、液滴の約90%がD90未満のサイズを有することを特徴とする液滴サイズ分布を有することができる。同様に、鼻スプレーデバイスおよび容器を含むキットが、本明細書において開示される。
【0004】
同様に、化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達する鼻スプレーデバイスを使用して、PDE阻害剤を投与するステップを含み、投与量単位は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの任意の組合せを含む液体医薬組成物中の治療有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を含み、プルームが、液滴を含み、(a)プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および(b)約38μm~約49μmのD90であり、プルーム中の液滴の約90%がD90未満のサイズを有することを特徴とする液滴サイズ分布を有する、方法が、本明細書において開示される。
【0005】
同様に、対象に有効量の液体医薬組成物を投与するステップを含む、化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、液体医薬組成物は、a)チオリダジン、ハロペリドール、オランザピン、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せ、およびb)薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せを含む、方法が、本明細書において開示される。一部の実施形態では、本液体医薬組成物は、液体医薬組成物を含む鼻スプレーデバイスの動作によって対象に鼻腔内投与されると、複数の液滴を含むプルームを形成することができ、複数の液滴は、約38μm~約49μmのD90であり、プルーム中の液滴の約90%がD90未満のサイズを有することを特徴とする。一部の実施形態では、有効量の液体医薬組成物の投与により、化学感覚機能不全が処置される。
【0006】
一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、自発性異嗅症、自発性異常味覚(phantogeusia)、またはそれらの両方である。
【0007】
参照による組込み
本明細書において明記されている、刊行物、特許および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許または特許出願のそれぞれが、具体的かつ個々に、参照により組み込まれるように示されているかのごとく同じ程度に参照により本明細書に組み込まれている。
【0008】
本開示の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本開示の特徴および利点の一層良好な理解は、本開示の原理を利用する例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明、および以下の添付の図面を参照することによって得られる:
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ソフトミスト鼻スプレーデバイス、低速標準鼻スプレーデバイスおよび標準鼻スプレーデバイスによるスプレー後の鼻腔モデルの画像を示す。セルロース(すなわち、カルボキシメチルセルロース)粘度向上剤を含む、およびこれを含まない、スプレーデバイス中の液体製剤を試験した。ソフトミスト鼻スプレーデバイスは、鼻腔モデルの嗅部に、より多量の製剤を堆積させた。
【0010】
図2図2は、3種のスプレーデバイス:ソフトミスト鼻スプレーデバイス、低速標準鼻スプレーデバイスおよび標準鼻スプレーデバイスの鼻スプレー特徴を示す。ソフトミスト鼻スプレーデバイスは、粒子の約50%が、より大きな粒子径を含むスプレーを有する標準鼻スプレー(すなわち、標準鼻スプレーおよび低速標準鼻スプレー)に比べて、直径が約20μm未満となる、スプレー分布を示した。
【0011】
図3図3は、様々な動作速度(1、2、3および4ミリメートル毎秒(mm/s))ならびに4.6mm、4.8mmおよび4.9mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから計量されたショット重量(shot weight)(ミリグラム(mg)単位の放出量)を示す箱ひげグラフを図示する。
【0012】
図4図4は、様々な動作速度(1、2、3および4ミリメートル毎秒(mm/s))ならびに4.6mm、4.8mmおよび4.9mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから送達されたショット重量(mg単位で送達される量)を示す箱ひげグラフを図示する。
【0013】
図5図5は、様々な動作速度(1、2、3ミリメートル毎秒(mm/s))および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから60mmのパターン距離における、プルーム幾何学の性能(プルーム角(度)およびプルーム幅(mm))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0014】
図6図6は、様々な動作速度(2および3mm/s)および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから30mmおよび60mmのパターン距離における、スプレーパターン(Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0015】
図7-1】図7は、様々な動作速度(2および3ミリメートル毎秒(mm/s))および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイス(デバイス12)から30mmおよび60mmのパターン距離における、スプレーパターンを示す画像を図示する。
図7-2】図7は、様々な動作速度(2および3ミリメートル毎秒(mm/s))および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイス(デバイス12)から30mmおよび60mmのパターン距離における、スプレーパターンを示す画像を図示する。
【0016】
図8図8は、様々な動作速度(2および3mm/s)および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから30mmおよび60mmのパターン距離における、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0017】
図9図9は、様々な動作速度(1、2、3ミリメートル毎秒(mm/s))、ならびに4.6および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから60mmのパターン距離における、プルーム幾何学の性能(プルーム角(度)およびプルーム幅(mm))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0018】
図10図10は、様々な動作速度(2および3mm/s)、ならびに4.6mmおよび4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから30mmのパターン距離における、スプレーパターン(Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0019】
図11図11は、様々な動作速度(2および3mm/s)、ならびに4.6mmおよび4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから60mmのパターン距離における、スプレーパターン(Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0020】
図12図12は、様々な動作速度(2および3mm/s)、ならびに4.6mmおよび4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから30mmのパターン距離における、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。
【0021】
図13図13は、様々な動作速度(2および3mm/s)、ならびに4.6mmおよび4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイスから60mmのパターン距離における、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
定義
特に定義されない限り、本明細書において使用される、当技術の用語、表記、ならびに他の技術用語および科学用語または専門用語はすべて、特許請求されている主題に関する当業者によって一般に理解される、同じ意味を有することが意図されている。一部の場合、一般的に理解される意味を有する用語は、明確にするためおよび/または容易な参照のため、本明細書において定義されており、本明細書におけるこのような定義の包含は、当分野において一般に理解されているものと実質的な差異を表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0023】
本出願の全体にわたり、様々な実施形態が、範囲形式で示されていることがある。範囲形式での説明は、単に便宜上かつ簡潔さのためのものに過ぎないこと、ならびに本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の説明は、すべての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、およびその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5および6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、その範囲の幅に関わらず適用される。
【0024】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の参照物を含むよう本明細書において使用される。したがって、反対のことが示されていない限り、本出願に説明されている数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて、様々になり得る概数である。
【0025】
用語「決定すること」、「測定すること」、「評価すること」、「アセスメントすること」、「アッセイすること」および「分析すること」は、本明細書においてしばしば互換的に使用されて、測定の形態を指し、要素が存在することがあるか否かを決定すること(例えば、検出)を含む。これらの用語は、定量的決定および定性的決定を含むことができる。アセスメントすることは、代替として、相対的または絶対的であり得る。「の存在を検出すること」は、存在する何かの量を決定すること、および存在することがあるかまたは存在しないことがあるかどうかを決定することを含む。
【0026】
用語「実質的に」または「本質的に」とは、目的の特性もしくは特徴の全範囲もしくはほとんど全範囲または全程度もしくはほとんど全程度を示す、定性的状態を指す。一部の場合、実質的に、とは、目的の特性もしくは特徴の全範囲または全程度の少なくとも約:70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、99.9%または99.99%を指す。一部の場合、実質的にまたは本質的にとは、総量の約100%とすることができる量を指す。
【0027】
用語「少なくとも部分的に」とは、目的の特性もしくは特徴の部分範囲または部分程度を示す、定性的状態を指す。一部の場合、少なくとも部分的にとは、目的の特性もしくは特徴の全範囲または全程度の少なくとも約:5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%または100%を指す。
【0028】
特に示さない限り、オープンな用語、例えば、「含む(contain)」、「含むこと(containing)」、「含む(include)」、「含むこと(including)」などは、包含することを意味する。
【0029】
本明細書において使用する場合、用語「約」または「ほぼ」は、当業者によって決定された特定の値に対して許容される誤差範囲内であって、その値が測定または決定された方法に対して、例えば、その測定システムの限界に一部依存する、誤差範囲内にあることを意味する。例えば、「約」は、当分野では、実施あたり、プラスまたはマイナス10%を意味する。代替的に、「約」は、所与の値のプラスもしくはマイナス20%、プラスもしくはマイナス10%、プラスもしくはマイナス5%、またはプラスもしくはマイナス1%の範囲を意味する。代替的に、特に生物系またはプロセスに関すると、この用語は、ある値の1桁以内、5倍以内、または2倍以内を意味する。具体的な値が、本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、特定の値に関して許容される誤差範囲内を意味する用語「約」が、前提とされるべきである。同様に、値の範囲および/または部分範囲が提示されている場合、その範囲および/または部分範囲は、その範囲および/または部分範囲の端点を含むことができる。
【0030】
本明細書において使用される場合、組成物の化合物の百分率は、組成物の総重量または総体積に対するものである。一部の場合、組成物の構成成分の百分率は、組成物の総重量または総体積に対するものである。
【0031】
用語「投与する」、「投与すること」、「投与」などは、本明細書において使用する場合、生物学的作用の所望の部位に、化合物またはそれらの塩または組成物の送達を可能にするために使用される方法を指す。送達は、身体の組織または領域に影響を及ぼすよう、直接適用を含むことができる。本明細書において提供される組成物は、任意の方法によって投与され得る。投与の方法は、鼻スプレーによる。一部の場合、投与の方法は、吸入、動脈内注射、脳室内注射、嚢内注射、筋肉内注射、眼窩内注射、実質内注射、腹腔内注射、脊髄内注射、髄腔内注射、静脈内注射、心室内注射、定位固定注射、皮下注射、またはそれらの任意の組合せによることができる。送達は、非経口投与(静脈内、皮下、髄腔内、腹腔内、筋肉内、血管内または注入を含む)、経口投与、鼻投与、吸入投与、十二指腸内投与、直腸投与を含むことができる。送達は、皮膚などの表面の外部表面への局所投与(ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、液体、固体、散剤、軟膏剤など)を含むことができる。一部の例では、対象は、管理なしに、化合物を含む鼻腔内スプレーを投与する。一部の例では、対象は、医療専門家(例えば、医師、看護師、医師の補助員、用務員、ホスピス職員など)の管理下で、鼻腔内製剤を投与する。一部の場合、医療専門家は、鼻腔内製剤を投与する。一部の場合、化粧専門員が、鼻腔内製剤を投与する。
【0032】
本明細書において使用する場合、化学感覚機能不全を「処置すること」は、1つもしくは複数の症状の頻度または重症度の低減、1つもしくは複数の症状またはそれらの根本原因の予防、1つもしくは複数の症状またはそれらの根本原因の排除、あるいは損傷の改善または修復のうちの1つまたは複数を含む。例えば、化学感覚機能不全の処置は、COVID-19もしくはインフルエンザを有する患者などの、ウイルス感染症に罹患している患者からの嗅覚の鋭敏さ(smell acuity)および味覚の鋭敏さ(taste acuity)の向上、ならびに/または化学感覚機能不全の退行もしくは消滅を引き起こすことを含むことができる。
【0033】
「治療有効量」とは、その所期の目的を達成するために有効な追加剤を含む、またはこれを含まない、化合物またはその塩の量を指す。個々の患者の必要量は、様々になり得る。一般に、化合物、その塩、またはこれらの一方もしくは両方を含有する組成物の有効量を供給するために必要な投与量は、レシピエントの年齢、健康、身体状態、性別、体重、機能不全の程度、処置の頻度、ならびに機能不全の性質および範囲に応じて、様々になろう。
【0034】
「投与量単位」とは、本明細書において使用する場合、単一事象で、またはパッケージで投与される医薬組成物の個別の量を指す。投与量単位という用語の意味は、文脈に固有である。例えば、鼻腔内投与される液体医薬組成物のための投与量単位は、単一事象で投与される組成物の体積である。鼻スプレーの場合、投与量単位は、鼻スプレーデバイスの各動作の際に放出される組成物の体積である。
【0035】
「重量百分率」または「w/w」は、全組成物(例えば、投与量単位)の質量に対する指定成分の質量の比を意味する。
【0036】
「プルーム幾何学」または「幾何学」とは、プルームに関して使用される場合、プルームのその起源における角度の測定値を意味する。プルーム幾何学は、例えば、相互に90°の2つの側面図における、プルームの起源からの2つの距離で測定することができる。プルーム幾何学は、スプレーパターンからも計算することもできる。
【0037】
「スプレーパターン」、「プルーム楕円率」または「楕円率」とは、プルームと関連して使用される場合、その起源からある距離にあるプルームの形状およびサイズを指す。「楕円率」とは、最小直径に対する最大直径の比として測定することができる。
【0038】
「D10」、「D50」、「D90」および「スパン」とは、プルームの液滴または粒子サイズ分布の測定値のことである。プルームでは、液滴の10%が、D10未満のサイズを有しており、液滴の50%が、D50未満のサイズを有しており、液滴の90%が、D90未満のサイズを有する。スパンは、これらの数から、以下の式:スパン=(D90-D10)/D50に従って計算することができる。一部の場合、D10、D50またはD90の値は、複数のスプレーおよび/もしくは液滴からの平均値または中央値であり得る。
【0039】
「総体積」とは、プルームと関連して使用される場合、プルーム中の全液滴または粒子の総体積を指す。例えば、100μLの総体積を有するプルームは、100μLの液体を含有する。
【0040】
用語「対象」、「宿主」、「個体」および「患者」は、本明細書において互換的に使用されて、動物、通常、哺乳動物を指す。任意の好適な哺乳動物は、本明細書に記載されている化合物、塩もしくは組成物を投与し得るか、または本明細書に記載されている方法によって処置され得る。哺乳動物の非限定例には、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカクなど)、飼いならされた動物(例えば、イヌおよびネコ)、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が挙げられる。哺乳動物は、いかなる年齢にあることができるか、またはいずれの発生段階にあることができ、例えば、哺乳動物は、新生児、幼児、青年、成人または胎児(in utero)であり得る。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。ヒトは、約:1、2、5、10、20、30、40、50、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115または約120歳より年長であり得る。ヒトは、約:1、2、5、10、20、30、40、50、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115または約120歳未満であり得る。一部の場合、ヒトは、約18歳未満であり得る。一部の場合、ヒトは、約1か月~約12か月齢、約1歳~約20歳、約15歳~約50歳、約40歳~約80歳または約60歳~約110歳であり得る。一部の場合、ヒトは、約18歳より上であり得る。ヒトなどの哺乳動物は、雄または雌とすることができる。一部の実施形態では、対象は、疾患または状態を有し得るか、またはこれらを有することが疑われ得る。対象は、心臓疾患、高血圧、心房細動、脳卒中、腎不全、肝疾患、がん、糖尿病、呼吸器疾患、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、気腫、肺がん、嚢胞性線維症、コロナウイルス感染、インフルエンザ感染、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染、肺炎、胸水またはそれらの任意の組合せなどの、状態または疾患の処置を受けている患者などの患者とすることができる。対象は、呼吸器疾患などの状態または疾患を発症するリスクに対する素因を有し得る。対象は、がん患者などの状態または疾患から寛解状態にあり得る。一部の例では、対象は健常であり得る。
【0041】
本明細書において開示される通り、用語「ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤」とは、PDE1、PDE2、PDE3、PDE4、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、PDE10、PDE11ポリペプチドまたはそれらの任意の組合せなどの、ホスホジエステラーゼ(PDE)ポリペプチドの機能を少なくとも一部、阻害することができる化合物またはその塩を指す。
【0042】
本明細書において使用する場合、PDE阻害剤、一般に、または特異的PDE阻害剤への言及は、PDE阻害剤の任意の塩、溶媒和物、エステルまたは多形の言及を含む。「塩」は、薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容される塩の例は、本明細書において開示される化合物と、無機酸、有機酸または無機塩基との反応によって調製されるそのような塩を含むことができ、このような塩は、酢酸塩、アクリル酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、酒石酸水素塩、臭化物、酪酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、カプロン酸塩、カプリル酸塩、クロロ安息香酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物イオン、イソ酪酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、1-ナフタレンスルホン酸塩(napthalenesulfonate)、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピロ硫酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、フタル酸塩、フェニル酢酸塩、フェニル酪酸塩、プロパンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩(undeconate)およびキシレンスルホン酸塩を含む。さらに、本明細書において開示される化合物は、遊離塩基形態の化合物を、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸などの無機酸、および酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q-トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸およびムコン酸などの有機酸を含めた、薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることによって形成される薬学的に許容される塩として調製され得る。シュウ酸などの他の酸は、それ自体、薬学的に許容されないが、化合物および/または薬学的に許容される酸付加塩を得る際の、中間体として有用な塩の調製に使用することができる。一部の実施形態では、遊離酸の基を含むことができる本明細書において開示される化合物は、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩などの好適な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容される有機一級、二級もしくは三級アミンと反応する遊離酸基を含むことができる。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩には、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびアルミニウム塩などが含まれ得る。例示的な塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、コリンヒドロキシド、炭酸ナトリウム、N+(C1~4アルキル)4などが含まれ得る。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれ得る。本明細書において開示される化合物はまた、それらが含有する任意の塩基性窒素含有基の四級化を含むことができることが理解され得る。一部の実施形態では、このような四級化によって、水溶性または油溶性または分散性生成物を得ることができる。本明細書において開示される化合物は、親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンによって置き換えられ得るか、または有機塩基に配位する場合のどちらかで形成される薬学的に許容される塩として調製され得る。一部の実施形態では、塩基付加塩はまた、遊離酸形態の本明細書において開示される化合物を、以下に限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基、および水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基を含めた、薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることによって調製され得る。さらに、開示化合物の塩形態は、出発材料または中間体の塩を使用して調製することができる。
【0043】
本明細書において使用される項目の見出しは、体系化目的に過ぎず、記載されている主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0044】
概説
化学感覚機能不全をホスホジエステラーゼ阻害剤により処置するための、方法、組成物、キットおよびデバイスが、本明細書において開示される。一部の実施形態では、処置の方法は、対象にホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、その塩またはPDE阻害剤もしくはそれらの塩の組合せを鼻スプレーデバイスによって投与するステップを含むことができる。鼻スプレーデバイスは、動作の際にプルーム中の投与量単位を放出することができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、約20μmのD50値を有するプルームを放出するよう構成されている。一部の場合、PDE阻害剤は、鼻腔内製剤として投与され得る。一部の場合、PDE阻害剤は、PDEポリペプチドを阻害することができ、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0045】
ホスホジエステラーゼ(PDE)ポリペプチドおよび阻害剤
化学感覚機能不全を処置するためのPDE阻害剤が、本明細書において開示される。PDE阻害剤は、様々なホスホジエステラーゼ酵素に対して選択的であり得るか、または非選択的であり得る。鼻スプレーなどの本明細書において開示される組成物は、ホスホジエステラーゼ阻害剤またはその塩を含み、それを必要とする対象に投与される。
【0046】
PDE1(1型ホスホジエステラーゼ)は、カルシウムおよびカルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼとして公知の酵素である。心臓、肺および脳などの様々な組織が、PDE1を発現する。PDE1は、リボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドの両方を加水分解することができる。PDE1酵素は、cGMPとcAMPの両方を分解することができる。PDE1酵素は、平滑筋増殖および細胞シグナル伝達経路において、ある役割を果たすことができる。
【0047】
PDE2ポリペプチドは、アルドステロン分泌を減少させることができる。このような減少は、血小板におけるcAMPおよびcGMPの細胞内濃度の向上の調節において、重要な役割を果たし得る。脳のいくつかの領域は、PDE2を発現することができ、ラット実験により、PDE2の阻害により、記憶が強化され得ることが示されている。PDE2は、微小血管、とりわけ、静脈性毛細血管および内皮細胞に局在され得るので、PDE2は、炎症状態の間に、流体および細胞の漏出の調節においてある役割を果たし得る。PDE2はまた、敗血症などの病理的状態に対する、または肺におけるトロンビン誘発性浮腫形成などの一層、局在化された炎症応答における、良好な薬理学的標的となることがある。
【0048】
PDE3ファミリーは、cAMPおよびcGMPを加水分解するが、ある意味では、cAMPのin vivoでの加水分解が、cGMPによって阻害され得ることを示唆する。PDE3ファミリーは、PKAおよびPI3K/PKB経路を含むいくつかのリン酸化経路によって活性化されるその能力によって区別され得る。PDE3Aは、血小板において、ならびに心筋細胞および卵母細胞において、比較的高度に発現され得る。PDE3Bは、脂肪組織、肝臓および膵臓において、ならびにいくつかの心血管組織における、主要なPDEであり得る。PDE3AとPDE3Bのどちらも、血管平滑筋細胞において高度に発現され得、収縮をモジュレートする可能性が高い。PDE4ポリペプチドは、cAMPの分解を介して、炎症誘発性および抗炎症性サイトカインの産生、ならびに細胞増殖を調節することができる。PDE5は、勃起機能不全および肺高血圧症を処置するために使用される、いくつかの頻繁に宣伝されている薬物に対する分子標的として最も良く公知の血管平滑筋収縮の調節因子であり得る。肺では、PDE5の阻害は、平滑筋血管収縮を妨害することができ、PDE5阻害剤が、肺高血圧症の処置のための臨床試験にある。
【0049】
PDE阻害剤の例は、例えば、フィラミナスト、ピクラミラスト、ロリプラム、Org20241、MCI-154、ロフルミラスト、トボリノン、ポシカル、リキサジノン、ザプリナスト、シルデナフィル、ピラゾロピリミジノン、モタピゾン、ピモベンダン、ザルダベリン、シグアゾダン、CI-930、EMD53998、イマゾダン、サテリノン、ロプリノン塩酸塩、3-ピリジンカルボニトリル誘導体、デンブフィレン、アルビフィリン、トルバフィリン、ドキソフィリン、テオフィリン、ペントキソフィリン、ナンテリノン、シロスタゾール、シロスタミド、MS857、ピロキシモン、ミルリノン、アミノン、トラフェントリン、ジピリダモール、パパベリン、E4021、チエノピリミジン誘導体、トリフルサール、ICOS-351、テトラヒドロピペラジノ[1,2-b]ベータ-カルボリン-1,4-ジオン誘導体、カルボリン誘導体、2-ピラゾリン-5-オン誘導体、縮合ピリダジン誘導体、キナゾリン誘導体、アントラニル酸誘導体、イミダゾキナゾリン誘導体、これらの任意の塩などを含むことができる。
【0050】
PDE阻害剤は、選択的PDE阻害剤または非特異的PDE阻害剤とすることができる。PDE選択的阻害剤は、PDE1選択的阻害剤、PDE2選択的阻害剤、PDE3選択的阻害剤、PDE4選択的阻害剤、PDE5選択的阻害剤、PDE6選択的阻害剤、PDE7選択的阻害剤、PDE8選択的阻害剤、PDE9選択的阻害剤、PDE10選択的阻害剤またはPDE11選択的阻害剤を含むことができる。一部の場合、選択的PDE阻害剤は、PDE1、PDE2、PDE3、PDE4、PDE5、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、PDE10およびPDE11のうちの1種より多くに対して特異的であり得る。非特異的なPDEは、PDE1、PDE2、PDE3、PDE4、PDE、PDE6、PDE7、PDE8、PDE9、PDE10およびPDE11のうちの少なくとも2つ、3つ、4つもしくは5つ、またはそれより多くを阻害する、PDE阻害剤を含むことができる。
【0051】
PDE阻害剤は、TNFアルファ、TRAILおよびそれらの代謝産物を阻害することによって、細胞アポトーシスを阻害することができる。PDE阻害剤は、すべての組織において、一酸化窒素の生成および分泌を活性化し、それによって、末梢血管(間欠性跛行を阻害する)、遠位四肢のものを含めたすべての血管の、および陰茎勃起に寄与する陰茎領域において、血管弛緩または血管拡張が誘導され得る。
【0052】
非特異的PDE阻害剤は、テオフィリン、パパベリン、カフェイン、IBMX(3-イソブチル-1-メチルキサンチン、アミノフィリン、ドキソフィリン、シパムフィリン(cipamphylline)、テオブロミン、ペントキシフィリン(オキシペンチフィリン)、ジプロフィリンまたはこれらのいずれかの塩を含むことができる。テオフィリンは、本明細書に記載されている通りに投与されると、化学感覚機能不全を処置するために使用することができる、メチルキサンチン誘導体である。一部の場合、抗炎症作用は、テオフィリンが、副作用を引き起こすレベルより十分に低い、血液中のテオフィリンの全身性レベルを生じるレベルで処方されるか、または投与される場合に達成され得る。気腫および慢性気管支炎を有する患者はまた、その症状が可逆的な気道の狭小化に部分的に関係する場合、テオフィリンにより救済され得る。
【0053】
カルシウムおよびカルモジュリン依存性ホスホジエステラーゼとしてこれまでに公知のPDE1選択的阻害剤は、エブルナメニン-14-カルボン酸エチルエステル(ビンポセチン)を含むことができる。一部の場合、ビンポセチンは、脳平滑筋組織に対する血管弛緩(vasorelaxtion)を誘導するために使用することができる。一部の場合、PDE1選択的阻害剤は、IC86340、アミオダロン、リシノプリル、8-メトキシメチル-IBMX、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、PDE1選択的阻害剤は、ビンポセチンまたはその塩を含むことができる。
【0054】
PDE2選択的阻害剤は、EHNA(エリトロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニン)、9-(6-フェニル-2-オキソヘキサ-3-イル)-2-(3,4-ジメトキシベンジル)-プリン-6-オン(PDP)、BAY60-7750またはこれらのいずれかの塩を含むことができる。
【0055】
PDE3選択的阻害剤は、エノキシモン、ミルリノン(Primacor)、アムリノン、シロスタミド、シロスタゾール(プレタール)、トレクイシン(trequinsin)またはこれらのいずれかの塩を含むことができる。PDE3阻害剤は、本明細書に記載されている通りに投与されると、心筋変力(cardiac inotropy)、変時性(chronotropy)および変伝導性(dromotropy)を増大するための交感神経刺激を生じることができる。PDE3阻害剤はまた、本明細書に記載されている通りに投与されると、血小板凝集を拮抗することができる、心筋収縮性を増大することができる、ならびに血管および気道平滑筋の弛緩を増大することができる。PDE3Aは、この過程の調節因子であり得る。PDE3阻害剤は、本明細書に記載されている通りに投与されると、凝集を効果的に予防することができる。シロスタゾール(Cilastazol)(プレタール)は、間欠性跛行の処置に承認されている。その作用機序は、平滑筋増殖および血管拡張の阻害に伴う血小板凝集の阻害を含むことができる。
【0056】
PDE4選択的阻害剤は、メセンブリン、ロリプラム、イブジラスト(すなわち、喘息および脳卒中の処置において使用することができる、神経保護薬および気管支拡張薬)およびロフルミラスト(ダクサス)、シロミラスト(エアフロ)またはこれらのいずれかの塩を含むことができる。一部の場合、PDE4選択的阻害剤は、慢性閉塞性肺疾患の処置のために投与され得る。PDE4選択的阻害剤は、炎症性メディエータ、例えばサイトカインの放出を少なくとも部分的に抑制することができるか、または活性酸素種の生成および免疫細胞浸潤を少なくとも部分的に阻害することができる。PDE4阻害剤はまた、喘息、関節炎および乾癬を処置するために使用され得る。
【0057】
PDE5選択的阻害剤は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アバナフィルおよびそれらの塩を含むことができる。
【0058】
追加の治療剤
一部の実施形態では、本明細書における組成物は、抗コリン作用剤を含むことができる。一部の実施形態では、抗コリン作用剤は、チオリダジン、ハロペリドール、オランザピン、これらのいずれかの塩、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、抗コリン作用剤は、アミトリプチリン、アトロピン、アクリジニウム、ベンズトロピン、クロルフェニラミン、クロルプロマジン、クロミプラミン、クロザピン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダリフェナシン、デシプラミン、デクスクロルフェニラミン、ジシクロミン、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ヒドロキシジン、ヒヨスサイアミン、イミプラミン、メクリジン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルフェナドリン、オキシブチニン、パロキセチン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、プロトリプチリン、プソイドエフェドリンhcl/トリプロリジンhcl、スコポラミン、チオリダジン、トルテロジン、トリフルオペラジン、トリヘキシルフェニジル(trihexyphenidyl)、トリミプラミン、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0059】
一部の実施形態では、組成物は、ルテオリン、その塩またはそれらの誘導体を含むことができる。一部の場合、組成物は、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、またはそれらの塩を含むことができる。一部の場合、組成物は、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体またはそれらの塩、およびルテオリン、その誘導体またはそれらの塩を含むことができる。一部の場合、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、もしくはそれらの塩および/またはルテオリン、その誘導体、もしくはそれらの塩は、医薬組成物などの組成物中の活性剤を構成し得る。一部の場合、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、それらの塩、ルテオリン、その誘導体またはそれらの塩は、PDE阻害剤またはその塩と混合され得る。一部の場合、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、それらの塩、ルテオリン、その誘導体、それらの塩、またはそれらの任意の組合せは、スプレーデバイスによって投与され得る。一部の場合、PDE阻害剤は、テオフィリンまたはその塩を含むことができる。一部の場合、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体またはそれらの塩、およびルテオリン、その誘導体またはそれらの塩は、PDE阻害剤またはその塩と混合され得る。一部の場合、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体もしくはそれらの塩、および/またはルテオリン、その誘導体もしくはそれらの塩は、化学感覚機能不全を処置するために使用することができる。一部の例では、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、それらの塩、ルテオリン、その誘導体、それらの塩、PDE阻害剤またはその塩は、化学感覚機能不全を処置するために、治療有効量でそれぞれ独立して存在することができる。一部の場合、PDE阻害剤またはその塩は、鼻腔内投与され得、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、それらの塩、ルテオリン、その誘導体、それらの塩またはそれらの任意の組合せは、例えば、丸剤、液体、カプセル剤または錠剤の形態で経口投与され得る。
【0060】
一部の実施形態では、パルミトイルエタノールアミド、その誘導体、それらの塩、ルテオリン、その誘導体またはそれらの塩の代表的な投与量は、1日あたり約1.0μg~2000mg、1日あたり約1.0μg~500.0mg、1日あたり約10μg~100.0mg、1日あたり約10μg~約10mg、1日あたり約10μg~1.0mg、1日あたり約10μg~500μg、1日あたり約20μg~約2000μg、1日あたり約100μg~約10,000μgまたは1日あたり約1μg~50μgとすることができる。投与量のこれらの範囲は、所与の患者に対し、1日あたりの活性成分の全投与量となる。一部の実施形態では、1日あたりの投与される用量は、およそ以下より少ないか、または以下とすることができる:1日あたり2000mg、1日あたり1000mg、1日あたり500mg、1日あたり100mg、1日あたり10mg、1日あたり1.0mg、1日あたり500μg、1日あたり300μg、1日あたり200μg、1日あたり100μgまたは1日あたり50μg。一部の実施形態では、1日あたりの投与される用量は、少なくとも約:1日あたり2000mg、1日あたり1000mg、1日あたり500mg、1日あたり100mg、1日あたり10mg、1日あたり1.0mg、1日あたり500μg、1日あたり300μg、1日あたり200μg、1日あたり100μgまたは1日あたり50μgとすることができる。一部の実施形態では、1キロ毎の基準では、化合物の好適な投与量レベルは、1日あたり体重1kgあたり約0.001μg~約10.0mg、1日あたり体重1kgあたり約0.5μg~約0.5mg、1日あたり体重1kgあたり約1.0μg~約100μg、および1日あたり体重1kgあたり約2.0μg~約50μgとすることができる。
【0061】
組成物および製剤
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物または製剤は、活性成分、担体、賦形剤、粘度向上剤、希釈剤、保存剤、酵素モジュレーター、血管収縮薬、粘膜付着剤、保湿剤またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、担体、賦形剤、粘度向上剤、希釈剤、保存剤、保湿剤、酵素モジュレーター、血管収縮薬または粘膜付着剤は、薬学的に許容されるそれらの型であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物または製剤は、液体であり得る。一部の場合、活性成分は、本明細書に記載されているPDE阻害剤を含むことができる。例えば、PDE阻害剤は、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、担体は、水を含むことができる。一部の場合、粘度向上剤は、セルロースを含むことができる。一部の場合、賦形剤は、グリセロールを含むことができる。一部の場合、本明細書に記載されている組成物または製剤は、鼻スプレーデバイスによって送達することができる。一部の場合、本明細書における組成物は、滅菌であり得る。一部の場合、本明細書における組成物は、防腐性(aseptic)であり得る。
【0062】
一部の場合、製剤または組成物は、PDE阻害剤などの活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%(重量/重量)よりも多い量で活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%(重量/重量)よりも少ない量で活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%(重量/重量)の量で活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約0.01%~約10%(重量/重量)の量で活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種の活性剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種より多い活性剤を含むことができ、例えば、組成物は、2種、3種、4種、5種またはそれより多い活性剤を含むことができる。
【0063】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、賦形剤を含むことができる。賦形剤は、以下に限定されないが、水、流動化剤、滑沢剤、付着剤、界面活性剤、酸性化剤、アルカリ化剤(alkalizing agent)、pH調節剤、抗菌性保存剤、抗酸化剤、帯電防止剤、緩衝化剤、キレート剤、保湿剤または湿潤剤を含むことができる。賦形剤はまた、着色剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤、またはマスキング剤を含むことができる。組成物および製剤は、担体を含むもしくは含まないで、個々の賦形剤を含む、または任意に好適に組み合わされた複数の賦形剤を含む治療剤を含むことができる。一部の場合、賦形剤は、グリセロールを含むことができる。
【0064】
一部の場合、薬学的に許容される賦形剤は、アカシア、アセスルファムカリウム、氷酢酸、アセトン、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、寒天、アルブミン、アルコール、アルギン酸、脂肪族ポリエステル、アリテーム、アーモンドオイル、アルファトコフェロール、水酸化アルミニウムアジュバント、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムアジュバント、ステアリン酸アルミニウム、アンモニア溶液、アルギン酸アンモニウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスパルテーム、アタパルジャイト、ベントナイト、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ホウ酸、ブロノポール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチルパラベン、アルギン酸カルシウム、炭酸カルシウム、二塩基性無水リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、硫酸カルシウム、キャノーラ油、カルボマー、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラゲナン、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、セルロース(例えば、微結晶性、粉末状、ケイ化微結晶性、アセテート、アセテートフタレート)、セラトニア、セトステアリルアルコール、セトリミド、セチルアルコール、塩化セチルピリジニウム、キトサン、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロジフルオロエタン、クロロフルオロカーボン、クロロキシレノール、コレステロール、クエン酸一水和物、コロイド状二酸化ケイ素、着色剤、コポビドン、トウモロコシ油、綿実油、クレゾール、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、シクロデキストリン、シクロメチコン、安息香酸デナトニウム、デクストレート、デキストリン、デキストロース、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、ジエタノールアミン、フタル酸ジエチル、ジフルオロエタン、ジメチコン、ジメチルエーテル、フタル酸ジメチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、エデト酸二ナトリウム、ドキュセートナトリウム、エデト酸、エリソルビン酸、エリスリトール、酢酸エチル、乳酸エチル、エチルマルトール、オレイン酸エチル、エチルバニリン、エチルセルロース、パルミトステアリン酸エチレングリコール、エチレン酢酸ビニル、エチルパラベン、フルクトース、フマル酸、ゼラチン、グルコース、グリセリン、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリコフロール、グアーガム、ヘクトライト、ヘプタフルオロプロパン、ヘキセチジン、炭化水素、塩酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルデンプン、ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース、フタル酸ヒプロメロース、はちみつ、イミド尿素、イヌリン、酸化鉄、イソマルト、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カオリン、乳酸、ラクチトール、無水ラクトース、ラクトース一水和物、噴霧乾燥ラクトース、ラノリン、ラノリンアルコール、含水ラノリン、ラウリン酸、レシチン、ロイシン、リノール酸、ヒドロキシステアリン酸マクロゴール、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、リンゴ酸、マルチトール、マルチトール溶液、マルトデキストリン、マルトール、マルトース、マンニトール、中鎖トリグリセリド、メグルミン、メントール、メチルセルロース、メチルパラベン、鉱油、ライトミネラルオイル(light mineral oil)、ラノリンアルコール、モノエタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、モノチオグリセロール、ミリスチン酸、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、窒素、一酸化二窒素、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オリーブ油、パルミチン酸、パラフィン、ピーナッツ油、ペクチン、ワセリン、ワセリンアルコールおよびラノリンアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、リン酸、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルアルコール、アルギン酸カリウム、安息香酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、水酸化カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ポビドン、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール、プロピレングリコールアルギネート、プロピルパラベン、2-ピロリドン、ラフィノース、サッカリン、サッカリンナトリウム、サポナイト、ゴマ油、シェラック、シメチコン、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、シクラミン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビタンエステル(ソルビタン脂肪酸エステル)、ソルビトール、ダイズ油、デンプン、デンプン(例えば、アルファ化、滅菌可能トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリルアルコール、スクラロース、スクロース、圧縮糖、糖、粉砂糖、球状糖、スルホブチルエーテルb-シクロデキストリン、硫酸、ヒマワリ油、坐剤用基剤、硬質脂肪(hard fat)、タルク、酒石酸、テトラフルオロエタン、タウマチン、チメロサール、チモール、二酸化チタン、トラガカント、トレハロース、トリアセチン、クエン酸トリブチル、トリエタノールアミン、クエン酸トリエチル、バニリン、水素化植物油、水、陰イオン性乳化性ワックス、ワックス(例えば、カルナウバ、セチルエステル、微結晶性、非イオン性乳化性、白色、黄色)、キサンタンガム、キシリトール、ゼイン、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0065】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、粘度向上剤(例えば、溶液増粘剤)を含むことができる。一部の例では、粘度向上剤は、セルロースを含むことができる。一部の場合、粘度向上剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロースI、セルロースII、セルロースIII、セルロースIV、微結晶性セルロース(MCC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)またはそれらの組合せを含むことができる。一部の場合、粘度向上剤は、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはそれらの組合せを含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%(重量/重量)の量で粘度向上剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約0.01%~約10%(重量/重量)の量で粘度向上剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種の粘度向上剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種より多い粘度向上剤を含むことができ、例えば、組成物は、2種、3種、4種、5種またはそれより多い粘度向上剤を含むことができる。
【0066】
一部の場合、鼻腔内投与量単位の粘度は、鼻腔内における滞留時間に影響を及ぼし得る。一部の実施形態では、投与量単位は、同一温度において、水より高い動粘性率(kinematic viscosity)を有する。一部の実施形態では、投与量単位は、20℃において、0.5cSt~3cStの動粘性率を有することができる。例えば、投与量単位は、20℃において、0.5~2cSt、0.5~1.5cSt、0.5~1.25cSt、0.5~1.1cSt、0.5~1cSt、0.5~0.9cSt、0.5~0.75cSt、0.75~2cSt、0.75~1.5cSt、0.75~1.25cSt、0.75~1.1cSt、0.75~1cSt、0.75~0.9cSt、0.9~2cSt、0.9~1.5cSt、0.9~1.25cSt、0.9~1.1cSt、0.9~1cSt、1~2cSt、1~1.5cSt、1~1.25cSt、1~1.1cSt、1.1~2cSt、1.1~1.5cSt、1.1~1.25cSt、1.25~2cSt、1.25~1.5cSt、1.5~2cSt、または2~3cStの動粘性率を有することができる。一部の実施形態では、投与量単位は、20℃において、0.9~1.25cStの動粘性率を有する。一部の実施形態では、投与量単位は、同一温度において、水より高い動粘性率を有する。
【0067】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、担体を含むことができる。一部の場合、担体は、精製水などの水を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤用の担体は、以下に限定されないが、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、非生体ポリマー、生体ポリマー、単純な糖(simple sugar)、炭水化物、ガム、無機塩および金属化合物を含み、これらは、単独で、または組み合わせて存在してもよい。一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、天然形態、誘導体化された形態、改変形態またはそれらの組合せを含むことができる。一部の場合、タンパク質は、以下に限定されないが、ゼラチンまたはアルブミンを含むことができる。一部の実施形態では、担体として働くことができる糖は、以下に限定されないが、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、メレジトース、ミオイノシトール、パラチナイト、ラフィノース、スタキオース、スクロース、トレハロース、キシリトール、その水和物、およびそれらの組合せを含む。一部の場合、担体として働くことができる炭水化物は、以下に限定されないが、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルデンプンおよび架橋デンプンなどのデンプンを含む。他の実施形態では、薬学的に許容される担体として働くことができる有用な炭水化物は、以下に限定されないが、セルロース、結晶性セルロース、微結晶性セルロース、α-セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酢酸セルロースを含む。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、97.5% 98%、98.5%、99%、99.5%、または99.9%(重量/重量)の量で担体を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約60%~約99.9%(重量/重量)の量で担体を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種の担体を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種より多い担体を含むことができ、例えば、組成物は、2種、3種、4種、5種またはそれより多い担体を含むことができる。一部の場合、担体は、非水性担体を含むことができる。一部の場合、非水性担体は、溶媒、賦形剤、ビヒクル、透過促進剤(浸透促進剤としても公知である)またはそれらの混合物を含むことができる。
【0068】
一部の場合、本明細書における組成物は、水性製剤または非水性製剤であり得る。一部の場合、非水溶液製剤の利点は、1)保存剤を含ませる必要がないことがあること、および2)様々な非水性賦形剤/ビヒクル中のテオフィリンなどのPDE阻害剤の溶解度が潜在的に一層高いので(例えば、テオフィリンの水への溶解度は、約7~8mg/mLである一方、エタノールでは、14~15mg/mLである)、製剤における薬物負荷が潜在的に一層多くなり得ることであり得る。
【0069】
一部の実施形態では、非水性製剤(水の代わり)用の賦形剤、ビヒクル(例えば、担体)またはそれらの両方は、アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコールまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、非水性製剤用の賦形剤、ビヒクル(例えば、担体)またはそれらの両方は、ジアルキレングリコール(例えば、ジプロピレングリコール)を含むことができる。一部の場合、非水性製剤用の賦形剤、ビヒクル(例えば、担体)またはそれらの両方は、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG400、PEG600またはそれらの任意の組合せ)を含むことができる。一部の場合、非水性製剤用の賦形剤、ビヒクル(例えば、担体)またはそれらの両方は、パルミトレイルアルコール、オレイルアルコール、エルシルアルコールなどの不飽和脂肪アルコール、またはその任意の組合せを含むことができる。一部の場合、非水性製剤用の賦形剤、ビヒクル(例えば、担体)またはそれらの両方は、DMSO、Transcutol P(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エタノール、アセトンまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0070】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、希釈剤を含むことができる。一部の場合、希釈剤は、賦形剤を含むことができる。一部の場合、希釈剤は、水、食塩水、緩衝液、糖、結合剤、崩壊剤またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0071】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、保存剤を含むことができる。一部の場合、保存剤は、アルコールを含むことができる。一部の場合、保存剤は、フェニルエチルアルコールを含むことができる。一部の場合、保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、フェニルカルビノール、ソルビン酸カリウムまたはそれらの組合せを含むことができる。一部の場合、本明細書において開示される組成物は、保存剤を含まない可能性がある。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、3%、4%または5%(重量/重量)の量で保存剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約0.01%~約10%(重量/重量)の量で保存剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種の保存剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種より多い保存剤を含むことができ、例えば、組成物は、2種、3種、4種、5種またはそれより多い保存剤を含むことができる。
【0072】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、緩衝化剤を含むことができる。一部の場合、緩衝化剤は、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウムまたはそれらの組合せを含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、酢酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、硫酸またはそれらの組合せなどのpH調節剤を含むことができる。
【0073】
一部の実施形態では、組成物または製剤のpHは、7.1~8.5とすることができる。一部の実施形態では、pHは、7.1~7.4とすることができる。一部の実施形態では、組成物または製剤のpHは、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4または8.5とすることができる。一部の実施形態では、pHは、少なくとも、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4または8.5とすることができる。一部の実施形態では、組成物または製剤のpHは、6~7とすることができる。一部の実施形態では、組成物または製剤のpHは、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9または7とすることができる。一部の実施形態では、投与量単位のpHは、7.1~8.5とすることができる。一部の実施形態では、投与量単位のpHは、7.1~7.4とすることができる。一部の実施形態では、投与量単位のpHは、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4または8.5とすることができる。一部の実施形態では、投与量単位のpHは、少なくとも、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4または8.5とすることができる。
【0074】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、グリセロールを含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、メントール、人工フレーバー(例えば、ストロベリー、フルーツフレーバー、ミントフレーバー)、天然フレーバー、サッカリンナトリウム、ソルビトールまたはそれらの組合せなどの矯味矯臭剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、蛍光剤(例えば、フルオロフォア)を含むことができる。蛍光剤は、鼻のキャストスキャンに使用され得る。蛍光剤の一部の例としては、alexa fluor350、alexa fluor405、alexa fluor488、alexa fluor532、alexa fluor546、alexa fluor555、alexa fluor561、alexa fluor568、alexa fluor594、alexa fluor647、alexa fluor660、alexa fluor680、alexa fluor700、alexa fluor750、bodipy fl、クマリン、cy3、cy5、フルオレセイン(FITC)、oregon green、pacific blue、pacific green、pacific orange、pe-シアニン7、percp-シアニン5.5、テトラメチルローダミン(TRITC)、texas red、efluor450、efluor506、efluor660、pe-efluor610、percp-efluor710、apc-efluor780、super bright436、super bright600、super bright645、super bright702、super bright780、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0075】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、保湿剤を含むことができる。一部の場合、保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、三酢酸グリセリル、ビニルアルコール、ネオアガロビオース、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ポリデキストロース、キラヤ、乳酸、尿素またはアロエベラを含むことができる。
【0076】
一部の実施形態では、本明細書において開示される組成物は、冷凍庫(例えば、-80℃~約-20℃)、冷蔵庫(例えば、4℃)中、または室温において安定である。一部の場合、本明細書に記載されている組成物は、容器中に保管され得る。例えば、スプレーデバイスの医薬組成物を含有する容器。一部の場合、容器は、ガラス、プラスチック、金属または任意の中実材料である。一部の場合、容器は、キット中に含まれる。一部の例では、本明細書に記載されている組成物を含有する密閉容器が、約:4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃または38℃および約50%、または約40%~60%の相対湿度を有する部屋の雰囲気に置かれる場合、本組成物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定すると、3か月、6か月または12か月後、活性成分またはその塩の約:40%、50%、60%、70%、80%、90%または99%超を保持することができる。
【0077】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物または製剤は、浸透促進剤を含むことができる。一部の場合、浸透促進剤は、皮膚、粘膜、神経鞘への、または別の障壁(例えば、粘膜組織)を通過する、薬物の浸透を促すことが可能な物質であり得る。一部の場合、浸透促進剤は、少なくとも部分的に、不活性、非毒性、非刺激性、非アレルゲン性、薬物および賦形剤と適合性、無臭、無味、無色、またはそれらの組合せであり得る。一部の場合、浸透促進剤は、脂肪酸、アルコール、界面活性剤、溶媒、水素結合アクセプターまたはそれらの任意の組合せであり得る。一部の例では、浸透促進剤は、azonem(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エタノール、プロピレングリコール、N-メチルピロリドン、オレイン酸、ラウリルアルコール、ケトンテルペン、テルペン、スルホキシド、アルカノール、有機酸、アルコール、ポリオール、ピロリドン、グリコール、尿素および尿素の誘導体、酵素、イミノスルフラン、シクロデキストリン、脂肪酸エステル、界面活性剤、ポリマー、モノオレイン、オキサリジノンまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、浸透促進剤は、シクロデキストリン、ヒアルロン酸ナトリウム、cremophor RH40、キトサン、シクロペンチルアデノシン、デキストランまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、本明細書における製剤は、酵素モジュレーターを含むことができる。
【0078】
一部の実施形態では、組成物または製剤は、組成物全体の約0.1%~約20%(重量対重量)(重量/重量)の量で浸透促進剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:1%~約10%、2%~約8%、5%~約15%、4%~約12%または10%~約20%(重量/重量)の量で浸透促進剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、組成物全体の約:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%(重量/重量)の量で浸透促進剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種の浸透促進剤を含むことができる。一部の場合、組成物または製剤は、1種より多い浸透促進剤を含むことができ、例えば、組成物または製剤は、2種、3種、4種、5種またはそれより多い様々な浸透促進剤を含むことができる。
【0079】
一部の場合、酵素モジュレーターは、p糖タンパク質阻害剤、CYP450阻害剤、アセタゾラミド阻害剤またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、本明細書における製剤は、血管収縮薬を含むことができる。一部の場合、血管収縮薬は、フェニルエフリンまたはその塩を含むことができる。一部の場合、製剤は、粘膜付着剤を含むことができる。一部の場合、粘膜付着剤は、キトサン、キトサンの誘導体、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸(polacrylic acid)またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、本明細書における製剤は、繊毛抑制剤(ciliostatic)を含むことができる。一部の場合、繊毛抑制剤は、クロルブトール、ヒドロキシベンゾエート、エデト酸クロロクレゾール、酢酸フェニル水銀、チメロサール(thiomersal)、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0080】
鼻スプレーデバイス
ヒトなどの対象において、化学感覚機能不全を処置するための活性成分を投与するためのデバイスが、本明細書において開示される。一部の実施形態では、本デバイスは、それを必要とする対象に鼻スプレーを投与するために使用することができる。一部の実施形態では、本デバイスは、液滴のプルームを動作の際に投与する。一部の場合、液滴のプルームは、投与量単位を含むことができる。例えば、医薬投与量単位は、本明細書に記載されているデバイスによって投与することができる。一部の例では、液滴は、粒子と称され得る。プルームは、動作の際に、鼻腔に液滴を送達することができる。一部の実施形態では、スプレーは、鼻腔の嗅部に液滴を堆積させるよう構成され得る。本明細書において開示されるスプレーデバイスは、約10μm~約20μmのサイズの粒子を放出することができる。
【0081】
一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、動作の際に単位用量としてプルームを送達する。ある場合、鼻スプレーデバイスは、約60~約120単位用量を含む。ある場合、鼻スプレーデバイスは、約:1~約200単位用量、10~約250単位用量、5~約50単位用量、50~約100単位用量、20~約220単位用量または約100~約240単位用量を含む。一部の場合、各単位用量は、約20μg~約4000μgのPDE阻害剤またはその塩を含むことができる。一部の実施形態では、液体医薬組成物は、デバイスの動作からプルームの形態で投与され得る。
【0082】
一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、スプレーノズルを備えることができる。一部の例では、スプレーノズルは、プルームを発生するよう構成され得る。一部の例では、鼻スプレーデバイスは、1つのスプレーノズルを備えることができる。一部の例では、鼻スプレーデバイスは、プルームを発生させるため、複数のスプレーノズルを備えることができ、例えば、スプレーデバイスは、プルームを発生させるため、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、20、30、40、50またはそれより多くのノズルを備えることができる。一部の場合、スプレーノズルは、液滴サイズ範囲を得ることができるよう、液滴パラメータを変更することができる。一部の例では、液滴サイズ範囲は、鼻腔に堆積される薬物の量を増加または減少することができる。一部の例では、液滴サイズ範囲は、鼻腔内の薬物の有効範囲(coverage)の量を増加または減少することができる。一部の例では、液滴サイズ範囲は、鼻腔の領域における薬物の量を増加または減少することができる。例えば、鼻腔の嗅部において、薬物の大部分を堆積させる液滴サイズ範囲を得ることができる。一部の実施形態では、鼻スプレーデバイスは、1つまたは複数の投与量単位を含むことができる。一部の場合、鼻スプレーデバイスは、複数の投与量単位を有するレザーバーを備えることができる。一部の実施形態では、スプレーデバイスは、D10、D50、D90およびスパン測定値を有するプルームを放出することができる。一部の場合、液滴または粒子サイズ(例えば、D10、D50またはD90値)の測定値は、レーザー回折システムによって決定することができる。例えば、Malvern Spraytecシステム。
【0083】
一部の実施形態では、スプレーデバイスは、1個または複数のノズル孔を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約:1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μmまたは10μmのノズル孔のサイズを備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、3μmのノズル孔のサイズを備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、4μmのノズル孔のサイズを備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、5μmのノズル孔のサイズを備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約:10~約200個のノズル孔、10~約100個のノズル孔、10~約60個のノズル孔、20~約80個のノズル孔、30~約100個のノズル孔、40~約70個のノズル孔、45~約65個のノズル孔または48個の孔~約60個のノズル孔を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約:40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74または75個のノズル孔を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、60個のノズル孔を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、48個の孔を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスは、所与の角度でスプレーを投与するための円錐角を備えることができる。一部の場合、スプレーデバイスの円錐角は、約:10°~約80°、10°~約60°、10°~約40°、10°~約30°、15°~約25°または20°~約40°とすることができる。一部の場合、スプレーデバイスの円錐角は、約:1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、45°、46°、47°、48°、49°、50°、51°、52°、53°、54°、55°、56°、57°、58°、59°、60°、61°、62°、63°、64°、65°、66°、67°、68°、69°、70°、71°、72°、73°、74°、75°、76°、77°、78°、79°、または80°とすることができる。一部の場合、スプレーデバイスの円錐角は、約20°とすることができる。
【0084】
一例では、スプレーデバイスは、20°の円錐角の、孔あたり4μmのサイズのノズル孔を60個有することができる。別の例では、スプレーデバイスは、20°の円錐角の、孔あたり5μmのサイズのノズル孔を48個有することができる。別の例では、スプレーデバイスは、20°の円錐角の、孔あたり5μmのサイズのノズル孔を60個有することができる。別の例では、スプレーデバイスは、20°の円錐角の、孔あたり4μmのサイズのノズル孔を48個有することができる。
【0085】
一部の実施形態では、ある体積の投与量単位は、約25μL~約2000μLとすることができる。一部の実施形態では、本明細書におけるスプレーデバイスは、単回投与量単位を含むことができるか、または多回投与量単位を含むことができる。例えば、本明細書に記載されているスプレーデバイスは、多回用量スプレー単位であり得る。一部の場合、スプレーデバイスの動作は、ある体積の投与量単位を分注することができる。一部の場合、ある体積の投与量単位は、約50μL~約400μLとすることができる。一部の場合、ある体積の投与量単位は、約:20μL~約80μL、40μL~約300μL、60μL~約350μL、80μL~約450μL、100μL~約600μL、250μL~約600μL、500μL~約1mL、750μL~約1.5mLまたは約1mL~約2mLとすることができる。複数の場合では、ある体積の投与量単位は、約:20μL、21μL、22μL、23μL、24μL、25μL、26μL、27μL、28μL、29μL、30μL、31μL、32μL、33μL、34μL、35μL、36μL、37μL、38μL、39μL、40μL、41μL、42μL、43μL、44μL、45μL、46μL、47μL、48μL、49μL、50μL、51μL、52μL、53μL、54μL、55μL、56μL、57μL、58μL、59μL、60μL、61μL、62μL、63μL、64μL、65μL、66μL、67μL、68μL、69μL、70μL、71μL、72μL、73μL、74μL、75μL、76μL、77μL、78μL、79μL、80μL、81μL、82μL、83μL、84μL、85μL、86μL、87μL、88μL、89μL、90μL、91μL、92μL、93μL、94μL、95μL、96μL、97μL、98μL、99μL、または100μLとすることができる。一部の場合、ある体積の投与量単位は、約:100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、250μL、260μL、270μL、280μL、290μL、300μL、310μL、320μL、330μL、340μL、350μL、360μL、370μL、380μL、390μL、400μL、410μL、420μL、430μL、440μL、450μL、460μL、470μL、480μL、490μL、500μL、510μL、520μL、530μL、540μL、550μL、560μL、570μL、580μL、590μL、または600μLとすることができる。一部の場合、ある体積の投与量単位は、約:600μL、700μL、800μL、900μL、1000μL、1100μL、1200μL、1300μL、1400μL、1500μL、1600μL、1700μL、1800μL、1900μLまたは2000μLとすることができる。
【0086】
一部の実施形態では、投与量単位は、以下:(a)プルーム中の液滴の約3%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、(b)約15μm未満のD10であり、プルーム中の液滴の約10%が、D10未満のサイズを有すること、(c)約15~約24μmのD50であり、プルーム中の液滴の約50%が、D50未満のサイズを有すること、(d)約30μm~約50μmのD90であり、プルーム中の液滴の約90%が、D90未満のサイズを有すること、および(e)約1~約4のスパンであり、このスパンは、(D90-D10)/D50により計算されることのうちの1つまたは複数を特徴とする、液滴サイズ分布を有するプルームの形態であってもよい。
【0087】
一部の実施形態では、投与量単位は、以下:(a)プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、(b)約20μm未満のD10であり、プルーム中の液滴の約10%が、D10未満のサイズを有すること、(c)約23μm~約30μmのD50であり、プルーム中の液滴の約50%が、D50未満のサイズを有すること、(d)約38μm~約48μmのD90であり、プルーム中の液滴の約90%が、D90未満のサイズを有すること、および(e)約0.9~約1.4のスパンであり、このスパンは、(D90-D10)/D50により計算されることのうちの1つまたは複数を特徴とする、液滴サイズ分布を有するプルームの形態であってもよい。
【0088】
一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約4%未満が、約10μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約3%未満が、約10μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約2%未満が、約10μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約1%未満が、約10μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルーム液滴は、プルーム中の液滴の総量から測定することができる。一部の実施形態では、プルーム液滴は、プルーム中の液滴の全体積から測定することができる。
【0089】
一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約3%未満が、約5μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約2%未満が、約5μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約1%未満が、約5μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約0.5%未満が、約5μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の約0.25%未満が、約5μm未満のサイズを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、プルーム中の液滴の実質的にすべてまたはすべてが、約5μmより大きいことを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルーム液滴は、プルーム中の液滴の総量から測定することができる。一部の実施形態では、プルーム液滴は、プルーム中の液滴の全体積から測定することができる。
【0090】
一部の実施形態では、D10は、プルーム中に、D10未満のサイズを有する液滴を約10%含む。一部の実施形態では、プルームは、約20μm未満であり得るD10を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約15μm未満であり得るD10を特徴とすることができる。一部の場合、プルームは、約10μm~約20μmであり得るD10を特徴とすることができる。一部の場合、プルームは、約8μm~約15μmであり得るD10を特徴とすることができる。一部の場合、プルームは、約12μm~約19μmであり得るD10を特徴とすることができる。一部の場合、プルームは、約:8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μmまたは20μmであり得るD10を特徴とすることができる。一部の場合、プルームは、約:8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μmまたは20μmより大きくあり得るD10を特徴とすることができる。
【0091】
一部の実施形態では、D50は、プルーム中に、D50未満のサイズを有する液滴を約50%含む。一部の実施形態では、プルームは、約15μm~約24μmであり得るD50を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約10μm~約20μmであり得るD50を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約20μm~約30μmであり得るD50を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約23μm~約30μmであり得るD50を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約:10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、21μm、22μm、23μm、24μm、25μm、26μm、27μm、28μm、29μm、30μm、31μm、32μmまたは33μmであり得るD50を特徴とすることができる。
【0092】
一部の実施形態では、D90は、プルーム中に、D90未満のサイズを有する液滴を約90%含む。一部の実施形態では、プルームは、約65μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約60μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約50μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約40μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約35μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約:60μm、59μm、58μm、57μm、56μm、55μm、54μm、53μm、52μm、51μm、50μm、49μm、48μm、47μm、46μm、47μm、46μm、45μm、44μm、43μm、42μm、41μm、40μm、39μm、38μm、37μm、36μm、35μm、34μm、33μm、32μm、31μm、30μm、29μmまたは28μm未満であり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約35μm未満のD90または約42μm未満のD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約49μm未満のD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約50μm~約60μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約45μm~約55μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約30μm~約50μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約40μm~約50μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約38μm~約49μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約35μm~約45μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約30μm~約40μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約25μm~約35μmであり得るD90を特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約:28μm、29μm、30μm、31μm、32μm、33μm、34μm、35μm、36μm、37μm、38μm、39μm、40μm、41μm、42μm、43μm、44μm、45μm、46μm、47μm、48μm、49μm、50μm、51μm、52μm、53μm、54μm、55μm、56μm、57μm、58μm、59μm、60μm、61μm、62μm、63μm、64μmまたは65μmであり得るD90を特徴とすることができる。
【0093】
一部の実施形態では、プルームは、約1~約5であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約1~約4であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約1~約3であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約1~約2であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約0.5~約1であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約0.5~約1.5であり得るスパンを特徴とすることができる。一部の実施形態では、プルームは、約:0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.7、2.9、3、3.25、3.5、3.75、4、4.5、5、5.5または6であり得るスパンを特徴とすることができる。
【0094】
一部の実施形態では、プルームは、例えば、約0.5~約2の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約0.5~約1の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約0.8~約1.5の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約1~約1.5の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約1.1~約1.8の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約:0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0の楕円率を有することによって特徴付けられ得る。
【0095】
一部の実施形態では、プルームは、約10°~約90°の幾何学(例えば、プルーム角)を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、45°~75°の幾何学を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、20°~45°の幾何学を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、15°~40°の幾何学を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、25°~40°の幾何学を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは約:10°、15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°、65°、70°、75°、80°、85°または90°の幾何学を有することによって特徴付けられ得る。
【0096】
一部の実施形態では、プルームは、約10mm~約90mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、45mm~75mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、20mm~45mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、15mm~40mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、25mm~40mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約:10mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mm、45mm、50mm、55mm、60mm、65mm、70mm、75mm、80mm、85mmまたは90mmのプルーム幅を有することによって特徴付けられ得る。
【0097】
一部の場合、プルームは、約10mm~約60mmのスプレーの最大直径(Dmax)を有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約50mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約40mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約30mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約20mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約15mm~約20mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約16mm~約20mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約20mm~約50mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約30mm~約45mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約30mm~約50mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約:10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、または60mmのDmaxを有することによって特徴付けられ得る。
【0098】
一部の場合、プルームは、約10mm~約40mmのスプレーの最小直径(Dmin)を有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約30mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約20mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約10mm~約15mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約20mm~約35mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約25mm~約35mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の場合、プルームは、約21mm~約32mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約:10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、27mm、28mm、29mm、30mm、31mm、32mm、33mm、34mm、35mm、36mm、37mm、38mm、39mmまたは40mmのDminを有することによって特徴付けられ得る。
【0099】
一部の実施形態では、プルームは、約100mm~約1500mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、500mm~1200mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、600mm~1300mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、150mm~200mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、100mm~500mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、プルームは、約:100mm、200mm、300mm、400mm、500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、1000mm、1100mm、1200mm、1300mm、1400mmまたは1500mmのプルーム面積を有することによって特徴付けられ得る。
【0100】
一部の実施形態では、スプレーデバイスは、スプレーの開始からスプレーの終了までとすることができる動作時間を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、0.5秒~約5秒の動作時間を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約3秒の動作時間を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約:0.5秒、1秒、1.5秒、2秒、2.5秒、3秒、3.5秒、4秒、4.5秒または約5秒の動作時間を有することができる。一部の例では、動作時間を長くすると、嗅部に堆積したスプレーの量を増加することができる。
【0101】
一部の実施形態では、スプレーデバイスは、動作の長さを有することができる。一部の場合、動作の長さは、約:4mm、4.1mm、4.2mm、4.3mm、4.4mm、4.5mm、4.6mm、4.7mm、4.8mm、4.9mm、5mm、5.1mm、5.2mm、5.3mm、5.4mmまたは5.5mmとすることができる。一部の場合、動作の長さは、約4.6mm、4.8mmまたは4.9mmとすることができる。
【0102】
一部の実施形態では、スプレーデバイスは、約:100ミリメートル/秒(mm/s)、200mm/s、300mm/s、400mm/s、500mm/s、600mm/s、700mm/s、800mm/s、900mm/sまたは1000mm/sの動作ストローク加速度を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスの動作ストローク加速度は、約500mm/sとすることができる。
【0103】
一部の実施形態では、スプレーデバイスは、約:0.5ミリメートル/秒(mm/s)、1mm/s、2mm/s、3mm/s、4mm/s、5mm/s、6mm/s、7mm/s、8mm/s、9mm/sまたは10mm/sの動作ストローク速度を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約:1mm/s、2mm/s、3mm/sまたは4mm/sの動作ストローク速度を有することができる。
【0104】
一部の場合、スプレーデバイスは、約300ミリ秒(ms)、400ms、500ms、600ms、700ms、800ms、900msまたは1000msの平均保持時間を有することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、約684msの平均保持時間を有することができる。
【0105】
一部の場合、スプレーデバイスは、動作あたりのショット重量を送達することができる。一部の場合、送達されるショット重量は、動作あたり約:10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgとすることができる。一部の場合、送達されるショット重量は、動作あたり約:30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mgまたは60mgとすることができる。一部の場合、送達されるショット重量は、約45mgとすることができるか、または45mgの約:10%、15%、20%もしくは25%以内とすることができる。
【0106】
一部の場合、スプレーデバイスは、動作あたり計量されたショット重量を送達することができる。一部の場合、計量されたショット重量は、動作あたり約:10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mgまたは100mgとすることができる。一部の場合、計量されたショット重量は、動作あたり約:30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mgまたは60mgとすることができる。一部の場合、計量されたショット重量は、約45mgとすることができるか、または45mgの約:10%、15%、20%もしくは25%以内とすることができる。
【0107】
一部の場合、スプレーデバイスは、自動システムによって試験することができる。一部の場合、スプレーデバイスは、試験前に準備(primed)され得る。例えば、スプレーデバイスは、試験前にスプレーデバイスが全用量を確実に含むよう、数回、動作されてもよい。ある場合、スプレー(例えば、プルーム)の特徴は、ある距離で決定することができる。一部の場合、プルームの特徴は、約:10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mmまたは100mmで決定することができる。一部の場合、プルームの特徴は、約30mmまたは約60mmで決定することができる。
【0108】
処置方法
ヒトにおける化学感覚機能不全を処置するための方法が、本明細書において開示される。一部の実施形態では、処置の方法は、それを必要とする対象に鼻スプレーを投与するステップを含むことができる。一部の場合、化学感覚機能不全を有する対象における、適切な化学感覚機能を回復するための方法が、本明細書において開示される。一部の場合、化学感覚機能不全は、少なくとも一部は、ウイルス感染(例えば、コロナウイルス感染、インフルエンザ感染)から生じ得るか、またはその間もしくはその後に起こり得る。一部の場合、化学感覚機能不全は、少なくとも一部は、アレルギー、炎症、外傷性事故、神経変性障害または特発的原因から生じ得る。一部の場合、化学感覚機能不全は、少なくとも一部は、神経系(例えば、感覚神経系)への損傷から生じ得るか、またはその間もしくはその後に起こり得る。一部の場合、化学感覚機能不全は、少なくとも一部は、コロナウイルス感染またはそれらの変異形態から生じ得るか、またはその間もしくはその後に起こり得る。一部の場合、コロナウイルスは、COVID-19という疾患を引き起こす恐れがある、SARS-CoV-2またはそれらの変異形態を含むことができる。一部の場合、本方法は、対象に、治療有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を投与して、化学感覚機能不全を処置するステップを含むことができる。一部の場合、PDE阻害剤は、鼻腔内製剤、例えば、PDE阻害剤を含む液滴を鼻腔に堆積させるよう製剤化されているスプレーの形態で投与され得る。一部の場合、PDE阻害剤は、単位用量形態の製剤で投与され得る。
【0109】
一部の実施形態では、本明細書における鼻スプレーデバイスは、血液脳関門(BBB)を迂回することによって、治療剤の増強された送達を提供することができる。本明細書において投与される治療剤は、嗅部(OR)の上皮を通過して嗅神経に沿って嗅球まで移動するか、または側方呼吸領域(lateral respiratory region)および三叉神経に沿って橋まで移動するかのどちらかにより、CNSまで移動することができる。一部の場合、三叉神経ニューロン終末は、上皮の下部領域内でのみ見出されることがあり、鼻腔に直接、露出していないことがある。嗅覚ニューロン細胞体は、上皮内で見出され得、その繊毛は、鼻腔内に直接到達することができる。一部の場合、本明細書に開示される治療剤は、細胞内輸送機構、例えば上皮部位におけるニューロンによる治療剤の内在化、軸索に沿った輸送、およびCNS内でのエキソサイトーシスによってCNSに輸送され得る。一部の場合、本明細書において開示される治療剤は、傍細胞輸送によって上皮を通過することができる。一部の例では、本明細書において開示される治療剤は、体循環によってCNSに接近する。一部の場合、本明細書において開示される治療剤は、細胞外輸送機構、例えばニューロンがCNSまで伸びる空間内の流体を介して治療剤が移動することによってCNSに輸送され得る。
【0110】
一部の場合、化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法は、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達する鼻スプレーデバイスを使用して、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を投与するステップを含むことができる。一部の例では、投与量単位は、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの任意の組合せ中に、治療有効量のPDE阻害剤を含むことができる。一部の場合、プルームは、(a)プルーム中の液滴の約1.5%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および(b)約38μm~約49μmのD90を特徴とする液滴サイズ分布を有することができる。
【0111】
一部の場合、それを必要とする対象における、化学感覚機能不全を処置する方法は、対象に、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せを含む、有効量の医薬組成物を投与するステップを含むことができる。一部の場合、本医薬組成物は、液体医薬組成物を含む鼻スプレーデバイスの動作によって対象に鼻腔内投与されると、複数の液滴を含むプルームを形成し、複数の液滴は、約38μm~約49μmのD90であることを特徴とすることができ、プルーム中の液滴の約90%がD90未満のサイズを有する。
【0112】
一部の場合、本明細書に記載されている本開示の方法または組成物は、化学感覚障害に罹患している対象を処置するために使用することができる。化学感覚障害は、嗅覚喪失(嗅覚脱失)または嗅覚能の低下(嗅覚減退)を含むことができる。化学感覚障害は、味覚喪失(無味覚)または味覚能の低下(味覚減退)、例えば、甘味、酸味、苦味または塩辛い物の味を感じる能力の低下を含むことができる。一部の例では、化学感覚障害は、匂いもしくは味もしくは風味が誤認識されること、またはゆがんでいることを含む。例えば、化学感覚障害により、ヒトは、通常、心地よい味または匂いがするものから、不快な臭気または味を感知し得る。一部の場合、化学感覚機能不全は、少なくとも部分的な:味覚の喪失、嗅覚の喪失またはそれらの両方を含むことができる。化学感覚機能不全は、味覚または嗅覚の障害を含むことができる。一部の場合、味覚または嗅覚の障害は、嗅覚脱失、嗅覚減退、無味覚、味覚減退、嗅覚不全(正常な匂いのゆがみ)、自発性異嗅症、味覚不全(正常な味のゆがみ)、嗅覚錯誤またはそれらの組合せを含むことができる。
【0113】
一部の実施形態では、本明細書における組成物は、喘息、下痢、乗り物酔い、胃腸障害、過活動膀胱、尿失禁、中毒、筋痙攣、乗り物酔い、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多汗症またはそれらの任意の組合せを処置するために使用することができる。例えば、本明細書における抗コリン作用剤は、喘息、下痢、乗り物酔い、胃腸障害、過活動膀胱、尿失禁、中毒、筋痙攣、乗り物酔い、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または多汗症を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書における組成物は、統合失調症、精神病、統合失調感情障害、双極性障害、うつ病またはそれらの任意の組合せを処置するために使用することができる。一部の場合、チオリダジン、ハロペリドール、オランザピンまたはこれらのいずれかの塩などの抗コリン作用剤を、化学感覚機能不全を処置するために使用することができる。一部の場合、化学感覚機能不全は、自発性異嗅症または自発性異常味覚を含むことができる。
【0114】
一部の場合、本明細書に記載されているPDE阻害剤の投与を使用して、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染、もしくはそれらの任意の組合せに伴う、またはこれらによって引き起こされる疾患または状態を予防あるいは処置することができる。一部の場合、本明細書に記載されているPDE阻害剤の投与を使用して、感覚神経系、中枢神経系または末梢神経系などの神経系に伴う疾患もしくは状態を予防または処置することができる。一部の場合、ウイルス感染は、コロナウイルスを含むことができる。一部の場合、ウイルス感染は、インフルエンザウイルスを含むことができる。このような疾患および状態は、例えば、嗅覚脱失、味覚喪失、嗅覚喪失、嗅覚減退、無味覚、嗅覚不全、嗅覚錯誤、自発性異嗅症、化学感覚機能不全、咳、発熱、発熱、倦怠感、呼吸困難、鼻水、咽頭痛、鼻詰まりまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、インフルエンザ感染は、インフルエンザA、インフルエンザB(例えば、B(Victoria)、B(Yamagata))によって引き起こされ得る。一部の場合、インフルエンザAは、インフルエンザH1N1、H3N2、これらのいずれかの変異、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、インフルエンザウイルスは、1つまたは複数の変異を含むことができる。一部の場合、コロナウイルス感染は、アルファコロナウイルス、ベータコロナウイルス、ガンマコロナウイルス、デルタコロナウイルス、229Eコロナウイルス、NL63コロナウイルス、OC43コロナウイルス、HKU1コロナウイルス、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、それらの変異形態、またはこれらの任意の組合せによって引き起こされ得る。一部の場合、コロナウイルスは、COVID-19を引き起こすことができる。一部の場合、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスなどのウイルスは、変異を有することができる。例えば、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスは、参照配列に比べて、約:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはそれより多いヌクレオチド変異を含むことができる。一部の場合、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスは、参照ゲノム配列に比べて、約:70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%より高い配列同一性または配列類似性を有するゲノムを含むことができる。一部の場合、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスは、参照ゲノム配列に比べて、約:70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%より低い配列同一性または配列類似性を有するゲノムを含むことができる。一部の場合、参照配列は、米国国立生物工学情報センターからの参照配列とすることができる。
【0115】
化学感覚障害は、肥満、糖尿病、高血圧症、栄養不良などの疾患もしくは状態、またはパーキンソン病、アルツハイマー病もしくは多発性硬化症などの神経系の変性疾患を伴い得る、あるいはこれらに関連し得る。一部の実施形態では、化学感覚障害は、アレルギー性鼻炎などのアレルギーに関連し得る。一部の例では、アレルギーは、薬物アレルギー、食物アレルギー、昆虫アレルギー、ラテックスアレルギー、かびアレルギー、ペットアレルギー、花粉アレルギーまたはそれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、化学感覚障害は、炎症に関連し得る。一部の場合、炎症は、副鼻腔炎(sinusitis)、粘膜炎症、鼻副鼻腔炎(rhinosinusitis)、鼻ポリープまたはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、化学感覚障害は、外傷に関連し得る。一部の場合、外傷は、外傷性脳損傷(TBI)、頭部外傷、脳震盪またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0116】
一部の場合、本明細書に記載されているPDE阻害剤は、共存症を有する対象に投与され得る。このような共存症は、例えば、高血圧症、肺高血圧症、うっ血性心不全、腎不全、心筋梗塞、安定、不安定および異型(プリンツメタル)狭心症、アテローム性動脈硬化、心臓浮腫、心臓疾患、腎不全、ネフローゼ浮腫、肝浮腫、脳卒中、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、認知症(アルツハイマー病を含む)、免疫不全、早産、パーキンソン病、多発性硬化症、月経困難、良性前立腺肥大(BPH)、膀胱下尿道閉塞、失禁、血管開存性の低下した状態、例えば、経皮的経管的冠動脈形成術後(PTCA後)、末梢血管疾患、呼吸器疾患、気管支炎、気腫、肺がん、嚢胞性線維症、肺炎、胸水、アレルギー性鼻炎、緑内障、悪性疾患および腸運動性の障害を特徴とする疾患(例えば、過敏性腸症候群(IBS))、関節リウマチ、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染、ウイルス感染、HIV、全身性エリテマトーデス、乾癬、他の自己免疫疾患、ハンチントン舞踏病および筋萎縮性脊髄側索硬化症(ALS)またはそれらの任意の組合せを含むことができる。共存症の処置は、それを必要とする患者に、治療有効量の本明細書に記載されている化合物および/または組成物を投与することによって行われ得る。
【0117】
投与および投薬
本明細書に記載されているPDE阻害剤を投与することによる、状態(例えば、味覚喪失および嗅覚喪失)を処置する方法が、本明細書において開示される。一部の場合、投与は、例えば、鼻スプレー中の単位用量形態のPDE阻害剤を投与することを含むことができる。一部の実施形態では、処置の方法は、鼻スプレーデバイスによる鼻投与を含むことができる。処置の他の方法としては、単なる例として、経口投与、経粘膜投与、口腔投与、鼻投与、吸入、非経口投与、静脈内、皮下、筋肉内、舌下、経皮投与および直腸投与が挙げられる。
【0118】
一部の場合、投与は、鼻腔への投与を含むことができる。一部の実施形態では、鼻腔内への投与は、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部、鼻甲介またはそれらの任意の組合せへの投与を含むことができる。一部の実施形態では、鼻腔内への投与は、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部および鼻甲介への投与を含むことができる。鼻腔とは、鼻孔から鼻咽頭まで延びる空間のことである。正中境界(medial boundary)は、鼻中隔であり、下方境界が鼻底である。側面境界は、鼻甲介を含めた鼻腔側壁を含む。鼻甲介と下鼻道、中鼻道、上鼻道および蝶篩陥凹を含めた鼻腔側壁との間の空間は、鼻腔内に存在する。上方境界は、前頭骨、篩骨の篩骨板および蝶形骨から形成される頭蓋底によって画定される。嗅神経は、篩骨板の下の嗅部/嗅裂内の鼻腔の上面に見ることができる。一部の実施形態では、鼻腔は、上鼻腔、嗅裂、嗅上皮またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、鼻腔は、扁平上皮粘膜、嗅粘膜、呼吸器粘膜またはそれらの組合せを含むことができる。本明細書に記載されている組成物の投与は、鼻腔の任意の領域への投与を含むことができる。一部の実施形態では、本組成物は、鼻腔を少なくとも部分的に覆うためにスプレーとして投与することができる。一部の場合、投与は、一方の鼻孔または両方の鼻孔への鼻腔内適用を含むことができる。
【0119】
一部の実施形態では、鼻スプレーのプルームは、動作の際に、鼻腔の表面積の約5%~約99%を覆うことができる。一部の実施形態では、鼻スプレーのプルームは、動作の際に、鼻腔の表面積の約10%~約70%を覆うことができる。一部の実施形態では、鼻スプレーのプルームは、動作の際に、鼻腔の表面積の約15%~約50%を覆うことができる。一部の実施形態では、鼻スプレーのプルームは、動作の際に、鼻腔の表面積の約:5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%を超えた範囲を覆うことができる。一部の実施形態では、鼻スプレーのプルームは、動作の際に、鼻腔の表面積の約:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を覆うことができる。
【0120】
一部の場合、投与は、副鼻腔への投与を含むことができる。一部の場合、投与は、耳、眼、口またはそれらの組合せへの投与を含むことができる。一部の例では、副鼻腔は、篩骨洞腔(ethmoid sinus cavity)、上顎洞腔、前頭洞腔または蝶形骨洞腔を含むことができる。一部の例では、副鼻腔への投与は、静脈洞口(sinus ostium)への投与を含むことができる。
【0121】
一部の実施形態では、代表的な1日あたり鼻腔内、舌、肺、局所または粘膜投与量は、活性成分(例えば、PDE阻害剤)を1日あたり約1.0μg~2000mg、1日あたり約1.0μg~500.0mg、1日あたり約10μg~100.0mg、1日あたり約10μg~約10mg、1日あたり約10μg~1.0mg、1日あたり約10μg~500μg、1日あたり約20μg~約2000μg、1日あたり約100μg~約10,000μg、または1日あたり約1μg~50μgとすることができる。投与量のこれらの範囲は、所与の患者に対し、1日あたりの活性成分の全投与量となる。一部の実施形態では、1日あたりの投与される用量は、約:1日あたり2000mg、1日あたり1000mg、1日あたり500mg、1日あたり100mg、1日あたり10mg、1日あたり9mg、1日あたり8mg、1日あたり7mg、1日あたり6mg、1日あたり5mg、1日あたり4mg、1日あたり3mg、1日あたり2mg、1日あたり1mg、1日あたり500μg、1日あたり300μg、1日あたり200μg、1日あたり100μgまたは1日あたり50μg未満であり得る。一部の実施形態では、1日あたりの投与される用量は、少なくとも、約:50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg、200μg、210μg、220μg、230μg、240μg、250μg、260μg、270μg、280μg、290μg、300μg、310μg、320μg、330μg、340μg、350μg、360μg、370μg、380μg、390μg、400μg、410μg、420μg、430μg、440μg、450μg、460μg、470μg、480μg、490μg、500μg、510μg、520μg、530μg、540μg、550μg、560μg、570μg、580μg、590μg、600μg、610μg、620μg、630μg、640μg、650μg、660μg、670μg、680μg、690μg、700μg、710μg、720μg、730μg、740μg、750μg、760μg、770μg、780μg、790μg、800μg、810μg、820μg、830μg、840μg、850μg、860μg、870μg、880μg、890μg、900μg、910μg、920μg、930μg、940μg、950μg、960μg、970μg、980μg、990μg、1000μg、1100μg、1200μg、1300μg、1400μg、1500μg、1600μg、1700μg、1800μg、1900μgまたは約2000μgとすることができる。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書における鼻腔内デバイスによって送達される活性成分の治療的に有効な投与量は、標準鼻腔内スプレーデバイスによって送達される同じ活性成分の投与量の、約:2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1もしくは10分の1、またはそれ未満であり得る。例えば、本明細書における鼻スプレーデバイスは、PDE阻害剤またはその塩などの活性成分を、20μgの用量で送達することができ、標準鼻スプレーデバイスにより送達される同じPDE阻害剤またはその塩50μgと同程度、疾患または状態の処置に有効であり得る。
【0123】
一部の実施形態では、代表的な投与量は、スプレーデバイスの動作あたりの鼻孔毎、またはスプレーデバイスの複数回の動作あたりの鼻孔毎とすることができる。一部の実施形態では、代表的な投与量は、鼻孔の用量のためのものであり得る。一部の実施形態では、代表的な投与量は、約1.0μg~2000mg、約1.0μg~500.0mg、約10μg~100.0mg、約10μg~約10mg、約10μg~1.0mg、約10μg~500μg、約20μg~約2000μg、約100μg~約10,000μgまたは約1μg~50μgの活性成分(例えば、PDE阻害剤または抗コリン作用剤)とすることができる。一部の実施形態では、投与される用量は、約:2000mg、1000mg、500mg、100mg、10mg、9mg、8mg、7mg、6mg、5mg、4mg、3mg、2mg、1mg、500μg、300μg、200μg、100μgまたは50μg未満の活性成分とすることができる。一部の実施形態では、投与される用量は、少なくとも約50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg、200μg、210μg、220μg、230μg、240μg、250μg、260μg、270μg、280μg、290μg、300μg、310μg、320μg、330μg、340μg、350μg、360μg、370μg、380μg、390μg、400μg、410μg、420μg、430μg、440μg、450μg、460μg、470μg、480μg、490μg、500μg、510μg、520μg、530μg、540μg、550μg、560μg、570μg、580μg、590μg、600μg、610μg、620μg、630μg、640μg、650μg、660μg、670μg、680μg、690μg、700μg、710μg、720μg、730μg、740μg、750μg、760μg、770μg、780μg、790μg、800μg、810μg、820μg、830μg、840μg、850μg、860μg、870μg、880μg、890μg、900μg、910μg、920μg、930μg、940μg、950μg、960μg、970μg、980μg、990μg、1000μg、1100μg、1200μg、1300μg、1400μg、1500μg、1600μg、1700μg、1800μg、1900μgまたは約2000μgの活性成分であり得るか、またはこれらに等しくあり得る。
【0124】
一部の実施形態では、1キロ毎の基準では、化合物の好適な投与量レベルは、1日あたり体重1kgあたり約0.001μg~約10.0mg、1日あたり体重1kgあたり約0.5μg~約0.5mg、1日あたり体重1kgあたり約1.0μg~約100μg、および1日あたり体重1kgあたり約2.0μg~約50μgとすることができる。一部の実施形態では、キロ基準あたりの活性成分の好適な投与量レベルは、約:1日あたり体重1kgあたり10.0mg、1日あたり体重1kgあたり1mg、1日あたり体重1kgあたり500μg、1日あたり体重1kgあたり100μg、1日あたり体重1kgあたり10μgまたは1日あたり体重1kgあたり1.0μg未満の化合物とすることができる。一部の実施形態では、キロ基準あたりの活性成分の好適な投与量レベルは、少なくとも、約:1日あたり体重1kgあたり10.0mg、1日あたり体重1kgあたり1mg、1日あたり体重1kgあたり500μg、1日あたり体重1kgあたり100μg、1日あたり体重1kgあたり10μgの活性成分、または1日あたり体重1kgあたり1.0μgとすることができる。一部の実施形態では、キロ基準あたりの活性成分の好適な投与量レベルは、約:体重1kgあたり0.5μg、体重1kgあたり1μg、体重1kgあたり1.5μg、体重1kgあたり2μg、体重1kgあたり2.5μg、体重1kgあたり3μg、体重1kgあたり3.5μg、体重1kgあたり4μg、体重1kgあたり4.5μg、体重1kgあたり5μg、体重1kgあたり5.5μg、体重1kgあたり6μg、体重1kgあたり6.5μg、体重1kgあたり7μg、体重1kgあたり7.5μg、体重1kgあたり8μg、体重1kgあたり8.5μg、体重1kgあたり9μg、体重1kgあたり9.5μg、体重1kgあたり10μg、体重1kgあたり10.5μg、体重1kgあたり11μg、体重1kgあたり11.5μg、体重1kgあたり12μg、体重1kgあたり12.5μg、体重1kgあたり13μg、体重1kgあたり13.5μg、体重1kgあたり14μg、体重1kgあたり14.5μg、体重1kgあたり15μg、体重1kgあたり15.5μg、体重1kgあたり16μg、体重1kgあたり16.5μg、体重1kgあたり17μg、体重1kgあたり17.5μg、体重1kgあたり18μg、体重1kgあたり18.5μg、体重1kgあたり19μg、体重1kgあたり19.5μgまたは体重1kgあたり20μgとすることができる。
【0125】
一部の実施形態では、1つまたは複数のPDE阻害剤またはそれらの塩は、鼻腔内製剤、例えば鼻腔内スプレー製剤で製剤化され得る。一部の実施形態では、鼻腔内製剤は、非特異的PDE阻害剤を含むことができる。一部の実施形態では、PDE阻害剤は、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の実施形態では、鼻腔内製剤は、PDEサブタイプ、例えば、PDE:1、2、3、4または5に対して選択的なPDE阻害剤を含むことができる。一部の実施形態では、PDE阻害剤は、約0.001mg~約:1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mgまたは10mgの範囲で投薬され得る。一部の場合、PDE阻害剤の用量(例えば、投与量単位)は、約:0.001mg、0.002mg、0.003mg、0.004mg、0.005mg、0.006mg、0.007mg、0.008mg、0.009mg、0.01mg、0.02mg、0.03mg、0.04mg、0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、または10mgとすることができる。一部の実施形態では、製剤は、単位用量形態であってもよいにあることができる。一部の実施形態では、製剤は、コルチコステロイドもしくは抗ヒスタミン薬もしくは血管収縮薬、またはそれらの任意の組合せなどの第2の活性成分を含有することができる。一部の実施形態では、製剤は、第2の活性成分を含有しない。一部の場合、製剤は、鼻腔内製剤などの医薬組成物とすることができる。一部の場合、組成物は、医薬組成物とすることができる。
【0126】
一部の場合、投与される量は、特定の疾患を処置するために投与される量と同量とすることができるか、またはその特定の疾患を処置するために投与される量よりも少ない量とすることができる。投与量は、1日1回、または1日あたり数回もしくは複数回、投与されてもよい。例えば、鼻スプレーは、1日1回または1日2回、投与され得る。別の例では、PDE阻害剤は、1日あたり、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、またはそれより多い回数、投与され得る。一部の場合、鼻孔への複数回用量鼻スプレーデバイスの1回、2回、3回、4回、5回またはそれより多い回数の動作によって送達される用量は、治療的有効量の本明細書において開示される組成物を送達することができる。一部の場合、組成物は、24時間の期間に1回、2回または3回、投与され得る。一部の場合、本明細書において開示される組成物の投与は、1週間に少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回または21回、行われ得る。一部の場合、本明細書において開示される組成物の投与は、1か月に少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、20回、21回、22回、23回、24回、25回、26回、27回、28回、29回、30回、31回、32回、33回、34回、35回、36回、37回、38回、39回、40回、41回、42回、43回、44回、45回、46回、47回、48回、49回、50回、51回、52回、53回、54回、55回、56回、57回、58回、59回、60回またはそれより多い回数、行われ得る。対象を処置するために使用される用量は、重篤な副作用を生じることなく、所望の治療効果または予防効果を生じ得る。
【0127】
本明細書において開示される組成物の投与は、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日もしくは60日またはそれより多い日数の、連続した日数または連続しない日数の処置期間にわたり行われ得る。一部の場合、処置期間は、約:1~約30日間、1~約60日間、1~約90日間、30日間~約90日間、60日間~約90日間、30日間~約180日間、90日間~約180日間または180日間~約360日間とすることができる。
【0128】
本明細書において開示される組成物の投与は、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1か月間、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約7か月間、少なくとも約8か月間、少なくとも約9か月間、少なくとも約10か月間、少なくとも約11か月間、少なくとも約12か月間、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間、少なくとも約3年間の処置期間、または一生にわたり行われ得る。投与は、対象の一生にわたり1か月に1回、または1年に1回などの、対象の一生にわたり繰り返し行うことができる。投与は、少なくとも約1年間、5年間、10年間、15年間またはそれより長い年数にわたり1か月に1回または1年に1回などの、対象の一生のかなりの部分にわたり繰り返し行われ得る。
【0129】
一部の場合、組成物は、単回用量として、または分割用量として投与され得る。一部の場合、本明細書に記載されている組成物は、第1の時点および第2の時点に行われ得る。一部の場合、組成物は、最初の投与が行われた後に、約:10秒間、20秒間、30秒間、40秒間、50秒間、60秒間、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、30分間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、20時間、1日間、2日間、4日間、7日間、2週間、4週間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、1年間またはそれより長い投与時間の差で他方が投与されるよう、投与され得る。
【0130】
一部の実施形態では、投与は、約:1日間~約8日間、1週間~約5週間、1か月間~約12か月間、1年間~約3年間、3年間~約10年間、10年間~約50年間、25年間~約100年間または50年間~約130年間にわたり行われ得る。一部の実施形態では、組成物は、必要に応じて、または1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、1年間または長期間にわたり投与され得る。
【0131】
一部の実施形態では、鼻腔内(例えば、スプレー)、舌、肺、局所または粘膜投与による有効量のPDE阻害剤の投与は、検出可能な血中レベルのPDE阻害剤を生じない。一部の実施形態では、鼻腔内、舌、肺、局所または粘膜投与による有効量のPDE阻害剤の投与により、約:5mg/dl、2mg/dl、1mg/dl、500μg/dl、250μg/dl、100μg/dl、50μg/dl、25μg/dl、10μg/dl、5μg/dlまたは1μg/dl未満であり得るPDE阻害剤の血中濃度が生じる。一部の実施形態では、鼻腔内、舌、肺、局所または粘膜投与による有効量のPDE阻害剤の投与により、約:2mg/dl、1mg/dl、500μg/dl、250μg/dl、100μg/dl、50μg/dl、25μg/dl、10μg/dl、5μg/dlまたは1μg/dlより高くあり得る、PDE阻害剤の血中濃度が生じる。一部の実施形態では、鼻腔内、舌、肺、局所または粘膜投与による有効量のPDE阻害剤の投与により、約:2mg/dl、1mg/dl、500μg/dl、250μg/dl、100μg/dl、50μg/dl、25μg/dl、10μg/dl、5μg/dlまたは1μg/dlであり得るPDE阻害剤の血中濃度が生じる。
【0132】
一部の場合、本明細書に記載されている組成物は、1種または複数の追加の治療剤と共に投与され得る。例えば、本明細書に記載されている組成物は、1種、2種、3種、4種もしくは5種、またはそれより多い追加の治療剤と共に投与され得る。別の例では、PDE阻害剤は、第2の治療と共に投与され得る。一部の場合、第2の治療は、同時にまたは逐次に行われ得る。一部の場合、追加の治療剤は、抗ヒスタミン薬、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセチリジン、ロラタジン、アゼラスチン、オロパタジン、ケトチフェン、オロパタジン、フェニラミン、うっ血除去薬、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、コルチコステロイド、ブデソニド、フルチカゾンフロエート、プロピオン酸フルチカゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、シクレソニド、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、フルオロメトロン、ロテプレドノール、プレドニゾン、ベタメタゾン、デソニド、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、トリアムシノロン、クロモリン、ロドキサミド、ネドクロミル、免疫療法、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、第2の治療は、レムデシビル、その塩、クロロキン、その塩、ロピナビル、その塩、リトナビル、その塩、モルヌピラビル、その塩、ファビラビル、その塩、インターフェロンベータ、その塩、抗ウイルス剤、酸素またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、第2の治療は、ペラミビル、その塩、ザナミビル、その塩、リン酸オセルタミビル、オセルタミビル、その塩、バロキサビルマルボキシル、その塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、追加の治療剤は、一酸化窒素、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)またはそれらの任意の組合せを含むことができる。一部の場合、追加の治療剤は、抗コリン作用剤を含むことができる。一部の場合、追加治療法は、PDE阻害剤を含む鼻スプレーに含まれ得る。
【0133】
一部の場合、抗コリン作用剤は、アミトリプチリン、アトロピン、アクリジニウム、ベンズトロピン、クロルフェニラミン、クロルプロマジン、クロミプラミン、クロザピン、シクロベンザプリン、シプロヘプタジン、ダリフェナシン、デシプラミン、デクスクロルフェニラミン、ジシクロミン、ジフェンヒドラミン、ドキセピン、ヒドロキシジン、ヒヨスサイアミン、イミプラミン、メクリジン、ノルトリプチリン、オランザピン、オルフェナドリン、オキシブチニン、パロキセチン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、プロメタジン、プロトリプチリン、プソイドエフェドリンhcl/トリプロリジンhcl、スコポラミン、チオリダジン、トルテロジン、トリフルオペラジン、トリヘキシルフェニジル、トリミプラミン、これらのいずれかの塩またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0134】
化学感覚機能不全の診断および測定
一部の場合、対象には、PDE阻害剤による処置前に、診断が行われ得る(例えば、化学感覚機能不全と診断される)。一部の場合、処置の方法は、対象における、化学感覚機能不全を診断するステップを含むことができる。一部の場合、診断は、in vitroアッセイを含むことができる。一部の場合、化学感覚機能不全は、ヒトに由来する生体試料中の閾値レベルまたはそれ未満のソニックヘッジホッグを検出することによって診断することができる。一部の場合、化学感覚機能不全は、ヒトに由来する生体試料中の閾値のレベル、それより低いレベルまたはそれより高いレベルの環式AMP(cAMP)、環式GMP(cGMP)、IL-10またはそれらの組合せによって診断することができる。一部の場合、試料は、鼻試料または唾液試料とすることができる。一部の場合、化学感覚機能不全は、ヒトに由来する生体試料中の閾値レベルまたはそれより低いレベルの環式ヌクレオチドレベルを検出することによって診断することができる。例えば、対象の生体試料中の環式ヌクレオチドのレベルが低いことは、対象が化学感覚機能不全を有することを示唆し得る。cAMPなどの生体物質のレベルを検出するための測定は、ELISA、ウエスタンブロットまたはなんらかの分子生物学アッセイにより完了され得る。一部の実施形態では、化学感覚機能不全は、閾値、識別、同定またはそれらの任意の組合せを測定する、嗅覚アッセイによって診断することができる。一部の場合、化学感覚機能不全の診断は、認知閾(Recognition threshold)(RT)スコア、マグニチュード推定(Magnitude estimation)(ME)スコア、感知閾(Detection threshold)(DT)スコア、ヘドニック(Hedonic)(H)スコアまたはそれらの組合せを検出すること、および参照集団(例えば、化学感覚機能不全を有さない集団)と比較することを含むことができる。MEスコアは、臭気物質または味覚物質などの刺激物質の強度を決定する対象の能力の測定値を指す。RTスコアは、臭気物質または味覚物質などの刺激物質の正体を認識する対象の能力の測定値を指す。DTスコアは、臭気物質または味覚物質などの刺激物質への曝露を、快適または不快であると認識する対象の能力の測定値を指す。Hスコアは、臭気物質または味覚物質などの刺激物質に対する、快適または不快であるとする対象の反応の測定値を指す。
【0135】
一部の実施形態では、対象には、閾値、識別、同定またはそれらの任意の組合せを測定する、嗅覚アッセイが行われ得る。一部の例では、嗅覚アッセイは、処置の前、その最中またはその後に行われ得る。一部の場合、閾値アッセイは、確実に検出され得る、臭気物質の最低濃度を決定するために使用することができる。一部の場合、識別アッセイは、2種またはそれより多くの異なる匂いを区別する対象の能力をアセスメントするために使用され得る。一部の場合、同定アッセイは、特定の臭気を識別する対象の能力をアセスメントするために使用され得る。一部の場合、嗅覚試験を使用して、PDE阻害剤を含む鼻スプレーデバイスによる処置などの処置の効力を決定することができる。例えば、嗅覚アッセイは、対象の化学感覚機能不全の測定可能な変化を決定するため、処置の前および処置の後に完了され得る。
【0136】
一部の実施形態では、対象には、閾値、識別、同定またはそれらの任意の組合せを測定する、嗅覚アッセイが行われ得る。一部の例では、嗅覚アッセイは、処置の前、その最中またはその後に行われ得る。一部の場合、閾値アッセイは、確実に検出され得る、臭気物質の最低濃度を決定するために使用することができる。一部の場合、識別アッセイは、2種またはそれより多くの異なる匂いを区別する対象の能力をアセスメントするために使用され得る。一部の場合、同定アッセイは、特定の臭気を識別する対象の能力をアセスメントするために使用され得る。一部の場合、嗅覚試験を使用して、PDE阻害剤を含むインプラントによる処置などの処置の効力を決定することができる。例えば、嗅覚アッセイは、対象の化学感覚機能不全の測定可能な変化を決定するため、処置の前および処置の後に完了され得る。
【0137】
一部の実施形態では、処置の方法は、嗅覚訓練(例えば、匂い訓練)を含むことができる。一部の場合、末梢嗅覚ニューロンの反復刺激を含むことができる嗅覚訓練は、上部嗅覚路(superior olfactory pathway)の再生能力に依存し得る。一部の場合、嗅覚訓練は、1種、2種、3種、4種、5種、6種または6種を超える異なる臭気への曝露を含むことができる。一部の場合、嗅覚訓練は、1日あたり、1回、2回、3回、4回または4回を超える異なる臭気への曝露を含むことができる。一部の場合、嗅覚訓練は、約:1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、1年間または1年より長い間にわたり行われ得る。一部の場合、嗅覚訓練は、約:7日間~約21日間、21日間~約120日間、30日間~約90日間、1か月間~約5か月間、2か月間~約3か月間、3か月間~約8か月間、6か月間~約1年間、8か月間~約18か月間または1年間~約3年間にわたり行うことができる。一部の場合、レモン、バラ、ユーカリおよびクローブの有機精油を、嗅覚試験のための様々な臭気として使用することができる。
【0138】
一部の実施形態では、対象は、感知閾(DT)スコア、認知閾(RT)スコアまたはそれらの両方の変化(例えば、有効な処置に対する低下)を経験し得る。一部の実施形態では、対象は、マグニチュード推定(ME)スコアの変化(例えば、有効な処置に対する向上)を経験し得る。一部の場合、対象は、ヘドニック(H)スコアの変化を経験し得る。一部の場合、RTスコア、MEスコア、DTスコアまたはHスコアの変化は、対象にPDE阻害剤を投与した後の、1種または複数の臭気物質を使用する、強制選択、3刺激、段階的(stepwise-staircase)技法により測定することができる。一部の場合、1種または複数の臭気物質は、ピリジン、ニトロベンゼン、チオフェン、酢酸アミルまたはそれらの組合せを含む。一部の場合、RTスコア、MEスコア、DTスコアまたはHスコアの変化は、対象にPDE阻害剤を投与した後の、1種または複数の味覚物質試験化合物を使用する、強制選択、3刺激、段階的技法により測定することができる。一部の場合、1種または複数の味覚物質は、塩化ナトリウム(NaCl)、スクロース、塩化水素(HCl)、尿素またはそれらの組合せを含む。
【0139】
一部の実施形態では、対象は、処置を開始して約:1週間~約6週間、1週間~約4週間、2週間~約5週間または約3週間~約4週間以内に、味覚機能または嗅覚機能の臨床的に検出可能な改善を経験し得る。一部の実施形態では、対象は、処置を開始して約:1か月~約6か月、1か月~約4か月、2か月~約5か月または約3か月~約4か月以内に、味覚機能または嗅覚機能の臨床的に検出可能な改善を経験し得る。
【0140】
ヘッジホッグシグナル伝達経路は、特に、胚形成の後期段階および変態の間の動物の発生の重要な調節因子であることが公知である。哺乳動物は、ヘッジホッグシグナル伝達経路の3つのメンバー、すなわちソニックヘッジホッグ(SHH)、デザートヘッジホッグ(DHH)およびインディアンヘッジホッグ(IHH)を有する。その経路は、一部のがんの発生に関連している。味覚もしくは嗅覚の喪失および/またはゆがみ、例えば、嗅覚減退、嗅覚不全、嗅覚脱失、自発性異嗅症、味覚減退、味覚不全、自発性異常味覚および/または無味覚の診断ならびに処置に、ヘッジホッグシグナル伝達経路のメンバーを使用することができる。例えば、化学感覚機能不全を有する対象は、PDE阻害剤により処置されると、処置前のSHHのレベルに比べて、そのレベルが向上し得る。
【0141】
ヘッジホッグシグナル伝達経路の1つまたは複数のメンバーは、ソニックヘッジホッグ(SHH)、デザートヘッジホッグ(DHH)および/またはインディアンヘッジホッグ(IHH)からなる群から選択することができる。ヘッジホッグシグナル伝達経路の1つまたは複数のメンバーは、SHH、DHH、IHHまたはそれらの任意の組合せとすることができる。哺乳動物(例えば、ヒト)ヘッジホッグを測定することができるが、非哺乳動物ヘッジホッグを測定することができることも企図されている。一部の場合、対象における化学感覚機能不全は、約0pg/mL超~約8,500pg/mLの範囲であり得るソニックヘッジホッグ(SHH)のレベル、約0pg/mL超~約1.0pg/mLの範囲であり得るインディアンヘッジホッグ(IHH)のレベル、または約0pg/mL超~約5.0pg/mLの範囲であり得るデザートヘッジホッグ(DHH)のレベル、またはそれらの組合せを検出することによって決定することができる。
【0142】
味覚もしくは嗅覚の喪失および/またはゆがみ(例えば、嗅覚減退、嗅覚不全、嗅覚脱失、自発性異嗅症、味覚減退、味覚不全、自発性異常味覚および/または無味覚)を示す患者における、ヘッジホッグシグナル伝達経路のメンバーのレベルは、正常対照未満であり得る。例えば、味覚もしくは嗅覚の喪失および/またはゆがみ(例えば、化学感覚機能不全)に罹患している患者では、SHHのレベルは、一部の場合、約:0pg/mL、0pg/mL超~1pg/mL未満、1pg/mL~25pg/mL、15pg/mL~30pg/mL、20pg/mL~40pg/mL;35pg/mL~50pg/mL;45pg/mL~100pg/mL;75pg/mL~150pg/mL、125pg/mL~1000pg/mL、900pg/mL~2500pg/mL、2000pg/mL~5000pg/mL、4000pg/mL~7500pg/mL、6000pg/mL~10,000pg/mLであり得、(b)IHHのレベルは、約:0pg/mL、0pg/mL超~0.1pg/mL、0.05pg/mL~0.15pg/mL、0.125pg/mL~0.2pg/mL、0.15pg/mL~0.30pg/mL、0.25pg/mL~0.5pg/mL、0.4pg/mL~0.7pg/mL、0.6pg/mL~0.75pg/mL、0.725pg/mL~0.9pg/mL、0.8pg/mL~1.0pg/mL、1.0pg/mL未満、0.05ng/mL未満、0.15ng/mL未満、0.2ng/mL未満、0.3ng/mL未満、0.5ng/mL未満、0.7ng/mL未満、0.75ng/mL未満、0.9ng/mL未満、1.0ng/mL未満、1.1ng/mL未満、1.5ng/mL未満、1.75ng/mL未満、2.0ng/mL未満、2.25ng/mL未満、5.0ng/mL未満、6.0ng/mL未満、7.0ng/mL未満、10.0ng/mL未満または100.0ng/mL未満であり得、(c)DHHのレベルは、約:0pg/mL、0pg/mL超~0.1pg/mL、0.05pg/mL~0.15pg/mL、0.125pg/mL~0.2pg/mL、0.15pg/mL~0.30pg/mL、0.25pg/mL~0.5pg/mL、0.4pg/mL~0.7pg/mL、0.6pg/mL~0.75pg/mL、0.725pg/mL~0.9pg/mL、0.8pg/mL~1.0pg/mL、0.9pg/mL~1.1pg/mL、1.0pg/mL~1.3pg/mL、1.2pg/mL~1.5pg/mL、1.4pg/mL~2.0pg/mL、1.9pg/mL~2.5pg/mL、2.4pg/mL~3.0pg/mL、2.9pg/mL~3.5pg/mL、3.4pg/mL~3.8pg/mL、3.7pg/mL~3.9pg/mL、3.85pg/mL~5.0pg/mL、5.0pg/mL未満、0.05ng/mL未満、0.15ng/mL未満、0.2ng/mL未満、0.3ng/mL未満、0.5ng/mL未満、0.7ng/mL未満、0.75ng/mL未満、0.9ng/mL未満、1.0ng/mL未満、1.1ng/mL未満、1.5ng/mL未満、1.75ng/mL未満、2.0ng/mL未満、2.25ng/mL未満、5.0ng/mL未満、6.0ng/mL未満、7.0ng/mL未満、10.0ng/mL未満または100.0ng/mL未満であり得る。しかし、ヘッジホッグシグナル伝達経路の様々なメンバーのレベルは、ヒトに基づいて変わるので、ある程度の患者間変動が存在し得る。
【0143】
一部の実施形態では、有効量のPDE阻害剤の投与により、治療有効量のPDE阻害剤を投与する前のヒトにおける唾液および/もしくは鼻粘液のSHH、DHHならびに/またはIHHレベルに比べて、少なくとも約:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%または約50%、ヒトにおいて、これらのレベルが向上し得る。一部の場合、治療有効量のPDE阻害剤による約:1~約10日間、30~約90日間、15~約45日間または30日間の連続処置後に、唾液および/もしくは鼻粘液のSHH、DHHならびに/またはIHHレベルの向上が観察される。
【0144】
一部の実施形態では、有効量のPDE阻害剤の投与により、タンパク質または代謝産物などの生物学的化合物が増加または減少し得る。一部の実施形態では、有効量のPDE阻害剤の投与により、治療有効量のPDE阻害剤を投与する前のヒトにおける唾液および/もしくは鼻粘液のcAMPまたはcGMPレベルに比べて、少なくとも約:5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%または約50%、ヒトにおいて、これらのレベルが向上し得る。一部の場合、治療有効量のPDE阻害剤による約:1~約10日間、30~約90日間、15~約45日間または30日間の連続処置後に、唾液および/もしくは鼻粘液のcAMPまたはcGMPレベルの向上が観察される。
【0145】
一部の実施形態では、有効量のPDE阻害剤の投与により、治療有効量のPDE阻害剤を投与する前のヒトにおける唾液および/または鼻粘液のIL-10レベルに比べて、少なくとも約:1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%または約50%、ヒトにおいてこのレベルが低下し得る。一部の場合、治療有効量のPDE阻害剤による約:1~約10日間、30~約90日間、15~約45日間または30日間の連続処置後に、唾液および/または鼻粘液のIL-10レベルの低下が観察される。IL-10レベルは、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)、ウエスタンブロットまたは他のタンパク質測定アッセイにより測定することができる。
【0146】
一部の実施形態では、液体スプレーの形態の有効量のPDE阻害剤の投与により、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さを向上することができる。一部の実施形態では、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さの向上は、未処置状態に比べて、少なくとも約:5%、10%、20%、30%、40%、50%、75%または100%とすることができる。一部の実施形態では、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さは、正常な個体の鋭敏さの少なくとも約:5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%まで向上し得る。一部の場合、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さの向上は、約:10~約20日、15~約30日、25日~約50日、1か月~約6か月、4か月~12か月、6か月~18か月または6か月~約3年後に測定することができる。一部の場合、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さの向上は、約30日後に測定することができる。一部の実施形態では、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さは、客観的に測定することができる。一部の実施形態では、味覚の鋭敏さまたは嗅覚の鋭敏さは、主観的に測定することができる。一部の場合、嗅覚の鋭敏さは、感知閾、認知閾、快楽度(hedonics)、マグニチュード推定または本明細書に記載されている任意の方法によって測定することができる。
【0147】
キット
本明細書に記載されている治療用組成物の使用のために、キットおよび製造品もまた記載される。一部の実施形態では、このようなキットは、担体、包装、または1つもしくは複数のブリスターパックを収容するよう区画化された容器、ボトル、チューブ、カプセルなどを含む。ある特定の実施形態では、本医薬組成物は、本明細書に提供される化合物を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサデバイスで提示される。他の実施形態では、パックは、ブリスターパックなどの金属ホイルまたはプラスチックホイルを含有することができる。一部の実施形態では、パックは、カプセル、バイアルまたはチューブを含有する。他の実施形態では、パックまたはディスペンサデバイスは、投与についての指示を伴う。一部の実施形態では、ディスペンサは使い捨てであるか、または単回使用であるが、他の実施形態では、ディスペンサは、再使用可能である。ある特定の実施形態では、医薬製剤は、デバイスに事前負荷されている。一部の実施形態では、キットは、本明細書において開示されるスプレーデバイスを含むことができる。
【0148】
他の実施形態では、包装物はまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって要求される注意書きを伴うことができる。この注意書きは、薬物がヒト投与または獣医学的投与に関して、機関によって承認されていることを記載する。このような注意書きは、例えば、処方薬に関して米国食品医薬品局により承認された表示、または承認された製品の添付文書である。適合可能な賦形剤、希釈剤および/または担体中に製剤化された本明細書において提供される化合物を含有する組成物もまた、調製され、適切な容器に入れられ、指示された状態の処置について表示されている。
【0149】
本明細書において提供される製造品はまた、投与デバイスまたは分注デバイスを含むことがある。投与デバイスの例は、鼻腔内スプレーおよび吸入器を含む。ポンプおよび/またはスプレーヘッド(例えば、ノズル)が、スプレーおよび鼻腔内デバイスに設けられていてもよく、またはポンプおよび/もしくはスプレーヘッドが、デバイスに構築されてもよい。代替的に、噴霧体がデバイスと共に含まれてもよいか、またはデバイス内部に保管されていてもよい。一部の例では、噴霧体は、本明細書において開示されるスプレーデバイスと共に使用され得る。
【0150】
このようなキットは、容器に関する識別説明またはラベルを含むことができる。さらなる実施形態では、ラベルは容器表面にあり、文字、数字または他の記号がラベルを形成し、容器自体に付着されている、成形されている、またはエッチングされている。ラベルは、例えば、添付文書として、容器をやはり保持するレセプタクルまたはキャリア内に存在する場合、容器に付随している。一部の実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療適用に使用されるべきであることを表示するために使用される。さらに他の実施形態では、ラベルはまた、本明細書に記載されている方法などにおいて、内容物の使用に関する指示を表示する。一部の実施形態では、一組の指示もまた、一般に、添付文書の形態で含まれてもよい。情報資料は、処置され得る患者のタイプ、スケジュール(例えば、用量および頻度)などの説明を含めた、医薬組成物を分注する方法に関する指示を含んでもよい。
【0151】
本開示はまた、毎週、2週間毎または毎月の医薬の供給などの、輸送のため、または患者の利便性のため、頻繁に組み立てられるキットの別個パックからなるセット(キット)に関する。
【0152】
番号付き実施形態
いくつかの組成物、方法、キットおよびデバイスが、本明細書において開示される。これらの方法、キットおよびデバイスの具体的な例示的な実施形態が、以下に開示される。以下の実施形態は、本明細書において開示される特徴の組合せの非限定的な順列を列挙するものである。特徴の組合せの他の順列もまた企図される。特に、これらの番号付き実施形態の各々は、以前のまたはその後の番号付き実施形態に依存するものとして、またはこれらに関連するものとして、列挙されているその順序とは無関係に企図されている。
【0153】
実施形態1.対象に有効量の医薬組成物を投与するステップを含む、化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、医薬組成物が、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩および薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはそれらの任意の組合せを含み、医薬組成物が、プルームを含む鼻スプレーデバイスによって対象に鼻腔内投与されると、複数の液滴を形成し、複数の液滴は、約15μm~約24μmのD50であることを特徴とし、プルーム中の液滴の約50%がD50未満のサイズを有する、方法。
【0154】
実施形態2.複数の液滴が、プルーム中の液滴の約3%未満が約10μm未満のサイズを有することをさらに特徴とする、実施形態1の方法。
【0155】
実施形態3.複数の液滴が、約40μm~約50μmのD90であることをさらに特徴とし、プルーム中の液滴の約90%が、D90未満のサイズを有する、実施形態1または2の方法。
【0156】
実施形態4.D50が約20μmである、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0157】
実施形態5.液滴サイズが、レーザー回折によって測定される、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0158】
実施形態6.PDE阻害剤が、テオフィリンもしくはその塩、シロスタゾールもしくはその塩、ロフルミラストもしくはその塩またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0159】
実施形態7.テオフィリンまたはその塩を含むPDE阻害剤を含む、実施形態6の方法。
【0160】
実施形態8.プルームが、鼻スプレーデバイスの動作によって形成されて、スプレーの開始からスプレーの終了まで、約0.5秒間~約5秒間存続する、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0161】
実施形態9.薬学的に許容される担体が水を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0162】
実施形態10.医薬組成物が粘度向上剤をさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
【0163】
実施形態11.粘度向上剤がセルロースを含む、実施形態10の方法。
【0164】
実施形態12.医薬組成物が賦形剤をさらに含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0165】
実施形態13.賦形剤がグリセロールを含む、実施形態12の方法。
【0166】
実施形態14.医薬組成物が保存剤をさらに含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0167】
実施形態15.動作が、約10μl~約200μlまたは約20μl~約80μlの液体の動作量を含む、実施形態8の方法。
【0168】
実施形態16.鼻腔内投与が、1日1回、2回または3回の各鼻孔に対するものである、実施形態1~15のいずれか1つの方法。
【0169】
実施形態17.プルームが、鼻のキャストスキャンによって測定すると、鼻腔の表面積の約15%~約50%または約10%~約80%または約5%~約90%または約5%~約100%を覆う、実施形態1~16のいずれか1つの方法。
【0170】
実施形態18.鼻腔が、鼻中隔、鼻底、鼻腔側壁、下鼻道、中鼻道、上鼻道、嗅裂、嗅部、鼻甲介またはそれらの任意の組合せを含む、実施形態17の方法。
【0171】
実施形態19.医薬組成物が、PDE阻害剤を含む投与量単位中に存在し、約20μg~約2000μgの投与量を含む、実施形態1~18のいずれか1つの方法。
【0172】
実施形態20.化学感覚機能不全が、無味覚、味覚減退、味覚不全、嗅覚錯誤、自発性異嗅症、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全またはそれらの任意の組合せである、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
【0173】
実施形態21.化学感覚機能不全が、嗅覚脱失、嗅覚減退、嗅覚不全、嗅覚錯誤またはそれらの組合せである、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
【0174】
実施形態22.化学感覚機能不全が、嗅覚喪失、味覚喪失またはそれらの組合せである、実施形態1~19のいずれか1つの方法。
【0175】
実施形態23.化学感覚機能不全がウイルス感染後に起こる、実施形態1~22のいずれか1つの方法。
【0176】
実施形態24.ウイルス感染が、コロナウイルス感染またはインフルエンザ感染を含む、実施形態23の方法。
【0177】
実施形態25.投与前の対象が、対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団の環式ヌクレオチドレベルと比べて、低下したレベルの環式ヌクレオチドを有する、実施形態1~24のいずれか1つの方法。
【0178】
実施形態26.投与前の対象が、対象に由来する鼻粘液試料において、正常な化学感覚機能を有する対照集団のソニックヘッジホッグのレベルと比べて、低下したレベルのソニックヘッジホッグを有する、実施形態1~25のいずれか1つの方法。
【0179】
実施形態27.第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、実施形態1~26のいずれか1つの方法。
【0180】
実施形態28.第2の治療剤が、投与と同時に、または逐次的に投与される、実施形態27の方法。
【0181】
実施形態29.対象を化学感覚機能不全と診断するステップをさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
【0182】
実施形態30.対象が以前に化学感覚機能不全と診断された、実施形態1~28のいずれか1つの方法。
【0183】
実施形態31.ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩を含む鼻スプレーデバイスであって、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達するよう構成されており、投与量単位が、賦形剤を含む薬学的に許容される担体中に、治療有効量のPDE阻害剤またはその塩を含み、プルームが、(a)プルーム中の液滴の約3%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および(b)約15~約24μmのD50であることを特徴とする液滴サイズ分布を有し、プルーム中の液滴の約50%がD50未満のサイズを有する、鼻スプレーデバイス。
【0184】
実施形態32.実施形態31の鼻スプレーデバイスおよび容器を含む、キット。
【0185】
実施形態33.化学感覚機能不全の処置を必要とする対象において化学感覚機能不全を処置する方法であって、動作の際にプルーム中の投与量単位を送達する鼻スプレーデバイスを使用して、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩を投与するステップを含み、投与量単位が、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはそれらの任意の組合せを含む医薬組成物中の治療有効量のホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤またはその塩を含み、プルームが、液滴を含み、(a)プルーム中の液滴の約3%未満が、約10μm未満のサイズを有すること、および(b)約15μm~約24μmのD50であり、プルーム中の液滴の約50%がD50未満のサイズを有することを特徴とする液滴サイズ分布を有する、方法。
【実施例
【0186】
(実施例1)
鼻腔モデルにおける、様々な鼻スプレーデバイスによる液体製剤の分布
【0187】
鼻腔モデルにおいて、3つのタイプの鼻スプレーデバイスが液体製剤を堆積する能力について試験した。1mg/mLのカルセイン(蛍光での可視化のため)を、テオフィリン(600μg/mL)を含み、粘度向上剤を含まない製剤に加えた。さらに、テオフィリン(600μg/mL)および粘度向上剤(カルボキシメチルセルロース)を含む別個の製剤に、1mg/mLのカルセインを加えた。この製剤はまた、緩衝化剤としてクエン酸および水酸化ナトリウムを、ならびに保存剤としてフェニルエチルアルコールを含んだ。精製水は担体であった。この試験は、60%相対湿度で行った。製剤は、3つの異なる鼻スプレーデバイス:ソフトミスト鼻スプレー、低速標準鼻スプレーおよび標準鼻スプレーで試験した。図1における画像は、1画像毎にスプレーデバイスの2つの動作を試験したことを示している(90μlの液体スプレー)。表1は、鼻腔モデルにおける、様々なスプレーデバイスの鼻有効範囲を示す。粘度向上剤を含まないソフトミスト鼻スプレーは、鼻腔モデルにおいて、最大表面有効範囲(約40%)を有した。ソフトミスト鼻スプレーは、嗅部および鼻甲介を標的とした。セルロースを添加すると、網羅された表面積は、鼻粘膜のほぼ20%まで低下した。しかし、スプレーは、図1に示されている通り、および長円形で表示されている通り、嗅部に一層、集中した。さらに、嗅部は、化学感覚機能に影響を及ぼすことが公知なので、ソフトミスト鼻スプレーによるこの領域への集中は、標準鼻スプレーに比べると、驚くべきかつ予想外のことであった。
【0188】
【表1】
【0189】
(実施例2)
3種の鼻スプレーデバイスの鼻スプレー特徴
【0190】
テオフィリン液体製剤を、3種のスプレーデバイス:ソフトミスト鼻スプレーデバイス、低速標準鼻スプレーデバイスおよび標準鼻スプレーデバイスを用いて動作させた。動作データを図2に示す。左のY軸は、各スプレーの累積体積(%)を示しており、S字状線によって示されている。X軸は、液滴の粒子径(μm)を示す。右のY軸は、液滴サイズの体積頻度(%)を示す。ソフトミスト鼻スプレーは、20μm未満の粒子径を有する液滴を約50%有しており、60μmのサイズを超える粒子を実質的に有さなかった。低速標準鼻スプレーは、30μm未満の粒子径を有する液滴を約50%有し、残りの50%の粒子は、約30μm~約100μmのサイズであった。標準鼻スプレーは、約60μm未満の粒子径を有する液滴を約50%有しており、残りの粒子は約60μm超~約200μmのサイズであった。図1および図2に示されている通り、ソフトミスト鼻スプレーの小さな液滴サイズは、製剤を嗅部に集中させた。
【0191】
(実施例3)
COVID-19患者における、化学感覚機能不全の処置
【0192】
患者は、その感覚機能不全を、味覚機能(すなわち、風味)および/または嗅覚機能の喪失のどちらかとして最初に報告した。この主観的応答は、固定した対照設計(1、2)において、強制選択、3刺激、段階的技法の使用によって、各患者に行われる嗅覚機能の客観的な精神物理学的測定によって記録した。試験のこのような技法の効力および結果は、二重盲検臨床試験(2)で以前に記録された。4種の臭気を使用した:それらは、ピリジン(死んだ魚臭)、ニトロベンゼン(苦いアーモンド臭)、チオフェン(石油様臭)および酢酸アミル(バナナオイル臭)であった。各臭気に対する感知閾(DT)および認知閾(RT)の値を、既に記載した通りに決定した(1、2)。閾値を、既に記載した通り(2)、ボトル単位(BU)に変換し、各処置群における各臭気に対する正しい応答のMとして結果を報告した。
【0193】
COVID-19に起因する味覚および嗅覚の喪失を有した患者に、テオフィリンを投与した。テオフィリン含有製剤を、1日1回、標準鼻スプレーデバイスから各鼻孔に2回の動作により投与し、こうして、合計で80μgのテオフィリンを投与した。テオフィリンの初回投与前に、ベースライン嗅覚試験を行った。初回投与の3か月後、フォローアップ嗅覚試験を行った。副作用は報告されなかった。これらの結果が、表2に示されている。ピリジン(Pyr)、ニトロベンゼン(NO2B)、チオフェン(Thio)および酢酸アミル(AA)に対する、患者の感知閾(DT)および認知閾(RT)を処置前(pre)および処置後(3M)に決定した。4種の臭気物質試験のすべてにおいて、患者の感知閾および認知閾が改善された。1ボトル単位の改善とは、患者が、ベースラインに比べた場合、10分の1の濃度の臭気物質を感知および/または認知することができることを意味する。例えば、8ボトル単位改善されたAAの認知閾(RT)とは、8桁の改善にやはり等しい。この場合、患者は、10分の1の濃度のAAの濃度を感知することができる。5またはそれより低いボトル単位数は、正常な範囲にあるとみなされる。
【表2】
【0194】
(実施例4)
テオフィリンスプレー製剤
表3は、鼻投与されるテオフィリンのための例となる2種の製剤を示す。
【0195】
【表3】
【0196】
(実施例5)
対象における自発性異嗅症の処置
【0197】
対象は、自発性異嗅症および自発性異常味覚のために診療所に入院する。対象には、本明細書に記載されている鼻スプレーデバイスでのチオリダジン組成物が処方される。対象は、各鼻孔に1日3回、有効用量の鼻スプレーを投与する。この鼻スプレーは、約15μm~約24μmのD50、約30μm~約50μmのD90を含有するスプレーであることを特徴とし、スプレーのプルーム中の液滴の約3%未満が、約10μm未満のサイズを有する。対象は、チオリダジンの投与後に、自発性異嗅症および自発性異常味覚の症状が軽減した。
【0198】
(実施例6)
ソフトミスト鼻スプレー特性
【0199】
ソフトミスト鼻スプレーデバイスを試験して、動作時のソフトミスト鼻スプレーのスプレー特徴を決定した。自動システムを使用して、3個または6個のデバイスを試験した。鼻スプレーデバイスの動作のストローク長さは、4.6mm、4.8mmおよび4.9mmであった。アクチュエーターのストローク(AS)の加速度を約500ミリメートル/秒(mm/s)であった。AS速度は、1、2、3または4ミリメートル/秒(mm/s)であった。平均保持時間(すなわち、スプレーデバイスを除圧する(depress)時間の平均量)は、684ミリ秒(ms)であった。各実験は、各デバイスに対し、AS速度あたり、3回または6回の投薬ショットで試験した。デバイスは、試験前に数回の動作で準備した。組成物は、2.8mg/mlのテオフィリン、保存剤(塩化ベンザルコニウムおよびフェニルエチルアルコール)および食塩水を含む製剤で試験した。スプレーデバイスは、ノズル孔あたり4μmのサイズおよび20°の円錐角のノズル孔を48個、有した。図3~6および8~13の箱ひげグラフは、以下の通り説明する。箱は、25~75百分位数の範囲である。箱内の線は、中央値(50百分位数)である。アスタリスクで示されている外れ値であるとみなされない限り、ひげは、最大値および最小値である。ひげは、第1四分位数が最小値に等しく、第3四分位数が最大値に等しいことを表示するものではない。
【0200】
計量されたショット重量(mg単位の放出量)が図3に示されている。図3は、上側のX軸上に様々な動作速度(1、2、3および4ミリメートル毎秒(mm/s))、ならびに下側のX軸上に示された4.6mm、4.8mmおよび4.9mmのストローク長さで、Y軸上にソフトミストポンプデバイスから計量されたショット重量(ミリグラム(mg)単位の放出量)を示す箱ひげグラフを図示する。2mm/sおよび3mm/sの動作速度は、45mgの目標ショット重量の約20%以内であった。
【0201】
送達されたショット重量(mg単位の送達量)が図4に示されている。図4は、上側のX軸上に様々な動作速度(1、2、3および4ミリメートル毎秒(mm/s))、ならびに下側のX軸上に示された4.6mm、4.8mmおよび4.9mmのストローク長さで、Y軸上にソフトミストポンプデバイスから送達されたショット重量(ミリグラム(mg)単位の送達量)を示す箱ひげグラフを図示する。1mm/s、2mm/sおよび3mm/sの動作速度は、45mgの目標ショット重量の約20%以内であった。
【0202】
60mmのパターン距離におけるスプレープルーム幾何学を図5に示す。図5は、4.8mmのストローク長さにおいて、X軸上の様々な動作速度(1、2、3ミリメートル毎秒(mm/s))で、Y軸上のソフトミストポンプデバイスからのプルーム幾何学の性能(プルーム角(度)およびプルーム幅(mm))を示す箱ひげグラフを図示する。プルーム角は、約15度~約40度であった。プルーム幅は、約15mm~約45mmであった。デバイス#11の場合、1mm/秒で1反復、およびデバイス#13の場合、1mm/秒で2反復などのいくつかのスプレーパターンを決定することはできなかった。
【0203】
30mmおよび60mmでのスプレーパターンの性能が、図6に示されている。図6は、4.8mmのストローク長さで、上側のX軸上に示された30mmおよび60mmのパターン距離における、下側のX軸上の様々な動作速度(2mm/sおよび3mm/s)で、Y軸上に、Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2)のスプレーパターン特徴を示す箱ひげグラフを図示する。30mmにおけるスプレー距離の場合、Dmax(最大径)は15~20mmであり、Dmin(最小径)は約14mmであり、楕円率は、約1.1~1.3であり、面積は、約180~200mm^2であった。60mmにおけるスプレー距離の場合、Dmax(最大径)は約30~50mmであり、Dmin(最小径)は約20~30mmであり、楕円率は、約1.1~1.8であり、面積は、約600~1000mm^2であった。60mmでは、デバイス#13の2mm/秒における反復は、定量可能なパターンをもたらさなかった。
【0204】
30mmおよび60mmのパターン距離でのスプレーパターンが、図7に示されている。図7は、様々な動作速度(2および3ミリメートル毎秒(mm/s))および4.8mmのストローク長さで、ソフトミストポンプデバイス(デバイス12)から30mmおよび60mmのパターン距離におけるスプレーパターンを示す画像を図示する。一部の例では、60mmにおけるスプレーパターンパラメータは、60mmにおいて生じたスプレーの散逸のために計算することができなかった。画像は、Proveris Sprayview装置で非衝突レーザー法によってキャプチャした。非衝突レーザー法では、レーザー光のシートを投影し、レーザー光の面を通過する液滴の濃度の画像を生成する。
【0205】
30mmおよび60mmのパターン距離における液滴サイズ分布が、図8に示されている。図8は、4.8mmのストローク長さにおける、上側のX軸上に示された30mmおよび60mmのパターン距離における、下側のX軸上の様々な動作速度(2mm/sおよび3mm/s)において、Y軸上に、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。30mmにおけるスプレーデバイスの場合、%体積<10μmは、約0.25%~約2%であり、スパンは、約0.8~約1.6であり、D90値は、約30~55μmであり、D50値は、約21~28μmであった。60mmにおけるスプレーデバイスの場合、%体積<10μmは、約1%未満であり、スパンは、約0.8~約1.2であり、D90値は、約40~50μmであり、D50値は、約26~30μmであった。
【0206】
60mmのパターン距離におけるプルーム幾何学が、図9に示されている。図9は、上側のX軸上の4.6mmおよび4.8mmのストローク長さにおいて、下側のX軸上の様々な動作速度(1、2、3ミリメートル毎秒(mm/s))で、Y軸上のプルーム幾何学の性能(プルーム角(度)およびプルーム幅(mm))を示す箱ひげグラフを図示する。4.6mmのストローク長さにおいて、プルーム角は、約25~40度であり、プルーム幅は、約25~40mmであった。4.8mmのストローク長さにおいて、プルーム角は、約15~40度であり、プルーム幅は、約15~40mmであった。一部の例では、スプレーは、1mm/秒の速度では検出されなかった。
【0207】
30mmのパターン距離におけるスプレーパターンの性能が、図10に示されている。図10は、上側のX軸の4.6mmおよび4.8mmのストローク長さにおける、下側のX軸上の様々な動作速度(2および3mm/s)において、Y軸上に、スプレーパターン(Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2))を示す箱ひげグラフを図示する。4.6mmのストローク長さでは、Dmaxは、約16~20mmであり、Dminは、約13~14.5mmであり、楕円率は、約1.1~1.4であり、面積は、約170~210mm^2であった。4.8mmのストローク長さでは、Dmaxは、約16~20mmであり、Dminは、約13.5~14.75mmであり、楕円率は、約1.1~1.3であり、面積は、約170~210mm^2であった。
【0208】
60mmのパターン距離におけるスプレーパターンの性能が、図11に示されている。図11は、上側のX軸の4.6mmおよび4.8mmのストローク長さにおける、下側のX軸上の様々な動作速度(2および3mm/s)において、Y軸上に、スプレーパターン(Dmax(mm)、Dmin(mm)、楕円率および面積(mm^2))を示す箱ひげグラフを図示する。4.6mmのストローク長さでは、Dmaxは、約30~45mmであり、Dminは、約21~32mmであり、楕円率は、約1.1~1.6であり、面積は、約500~1200mm^2であった。4.8mmのストローク長さでは、Dmaxは、約30~50mmであり、Dminは、約24~32mmであり、楕円率は、約1.1~1.8であり、面積は、約600~1000mm^2であった。一部の例では、60mmにおけるスプレーパターンパラメータは、60mm距離におけるスプレーの散逸のために計算することができなかった。
【0209】
30mmのスプレー距離における液滴サイズ分布が、図12に示されている。図12は、上側のX軸上の4.6mmおよび4.8mmのストローク長さにおける、下側のX軸上の様々な動作速度(2および3mm/s)において、Y軸上に、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。4.6mmのストローク長さでは、%体積<10μmは、約0.5~2%であり、スパンは、約0.8~約1.6であり、D90値は、約35~52μmであり、D50値は、約21~26μmであった。4.8mmのストローク長さでは、%体積<10μmは、約0.25~1.75%であり、スパンは、約0.8~約1.6であり、D90値は、約30~55μmであり、D50値は、約21~27μmであった。
【0210】
60mmのスプレー距離における液滴サイズ分布が、図13に示されている。図13は、上側のX軸上の4.6mmおよび4.8mmのストローク長さにおける、下側のX軸上の様々な動作速度(2および3mm/s)において、Y軸上に、液滴サイズ分布(%体積<10μm;スパン;D90値(μm);およびD50値(μm))を示す箱ひげグラフを図示する。4.6mmのストローク長さでは、%体積<10μmは、2.5%未満であり、スパンは、約0.8~約1.4であり、D90値は、約36~63μmであり、D50値は、約23~34μmであった。4.8mmのストローク長さでは、%体積<10μmは、約1%未満であり、スパンは、約0.8~約1.1であり、D90値は、約40~50μmであり、D50値は、約25~30μmであった。
【0211】
液滴サイズ分布の要約が、表4に示されている。表4は、パターン距離または先端距離(30mmまたは60mm);アクチュエーターのストローク速度(2mm/sおよび3mm/s);およびストローク長さ(4.6mmおよび4.8mm)による液滴サイズ分布を示す。D10値(μm)、D50値(μm)、D90値(μm)の平均値、標準偏差および変動係数(CV)、パーセント体積<10μm、パーセント体積<5μmおよびスパンは、試験したデバイスの反復に関して示されている。
【0212】
【表4】
【0213】
(実施例7)
パーキンソン病の化学感覚機能不全の処置
【0214】
成人ヒト男性対象を、パーキンソン病に関連する化学感覚機能不全について処置した。処置前の2年間、対象は、味覚または嗅覚の能力を有さなかった。対象に、本明細書に記載されている鼻スプレーデバイスにおいて、3.1mg/mlの濃度でテオフィリンを含む液体組成物を、1日あたり約0.4ml投与した。対象は、各鼻孔に、1日2回、鼻スプレーを投与した。対象は、7日間のスプレーデバイスを使用した後に、味覚および嗅覚の能力を再獲得した。
【0215】
(実施例8)
テオフィリンの非水性鼻製剤
【0216】
2種の非水性テオフィリン製剤を開発し、表5および表6に示されている。一部の例では、製剤中の薬物濃度(例えば、PDE阻害剤)は、12mg/mLと高くあり得る。この製剤は、本明細書に記載されている鼻スプレーデバイスを用いて使用することができる。
【0217】
【表5】
【0218】
【表6】
【0219】
本開示の好ましい実施形態が、本明細書に示されて説明されているが、このような実施形態は、単なる例として提示されている。本明細書に記載されている開示の実施形態の様々な代替を、本開示の実施の際に使用することができることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】