(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】排水構造を備えたバッテリーラック及びこれを含むエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20250128BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20250128BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M50/204 201
H01M50/251
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540984
(86)(22)【出願日】2023-04-27
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 KR2023005827
(87)【国際公開番号】W WO2023214745
(87)【国際公開日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】10-2022-0054389
(32)【優先日】2022-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨ-ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホン-ジェ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ムン-ソク・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ハン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ウォン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン-ウク・イ
(72)【発明者】
【氏名】テ-シン・チョ
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA31
5H040AS01
5H040AT06
5H040AY10
5H040GG27
5H040JJ03
(57)【要約】
本発明によるバッテリーラックは、複数のバッテリーモジュールと、所定の高さごとに前記複数のバッテリーモジュールをそれぞれ嵌入して収容可能なように設けられて、前方と後方を除いた上下左右の方面が閉塞された構造となっている収容部を備えたラックケースと、火災の際に、消火水の供給のために、前記収容部に収容された各前記バッテリーモジュールに連結される消火水供給配管と、前記ラックケースの前方の外側面及び後方の外側面の少なくとも一方の面に配備されて、前記バッテリーモジュールに消火水を投入するときに、前記バッテリーモジュールの外部に吐き出される消火水が前記ラックケースの外側面から所定の間隔だけ離れている位置に落下するように、消火水の排水を導く排水ガイドユニットと、を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールと、
所定の高さごとに前記複数のバッテリーモジュールをそれぞれ嵌入して収容可能なように設けられて、前方と後方を除いた上下左右の方面が閉塞された構造となっている収容部を備えたラックケースと、
火災の際に、消火水の供給のために、前記収容部に収容された各前記バッテリーモジュールに連結される消火水供給配管と、
前記ラックケースの前方の外側面及び後方の外側面の少なくとも一方の面に配備されて、前記バッテリーモジュールに消火水を投入するときに、前記バッテリーモジュールの外部に吐き出される消火水が前記ラックケースの外側面から所定の間隔だけ離れている位置に落下するように、消火水の排水を導く排水ガイドユニットと、
を含む、バッテリーラック。
【請求項2】
前記排水ガイドユニットは、
上下に隣り合っている2つずつの前記バッテリーモジュールのうち、上部に位置しているバッテリーモジュールよりも低く、かつ、下部に位置しているバッテリーモジュールよりも高い位置において前記ラックケースの外側面に結合されている、請求項1に記載のバッテリーラック。
【請求項3】
前記排水ガイドユニットは、
板面が前記ラックケースの外側面と所定の角度をなすことができるように前記ラックケースの外側面から突出している、請求項1または2に記載のバッテリーラック。
【請求項4】
前記排水ガイドユニットは、
前記ラックケースの外側面に回転可能に結合されている、請求項3に記載のバッテリーラック。
【請求項5】
前記排水ガイドユニットは、
上方向に回して、前記排水ガイドユニットの上部に位置している前記収容部を覆うように設けられている、請求項4に記載のバッテリーラック。
【請求項6】
前記排水ガイドユニットは、
下方向に回して、前記排水ガイドユニットの上部にある前記収容部を開くように設けられている、請求項4に記載のバッテリーラック。
【請求項7】
前記排水ガイドユニットは、
前記ラックケースの外側面にヒンジ結合された板状体の形状に設けられた排水ガイド板と、
前記排水ガイド板が前記ラックケースの外側面に対して予め定められた角度をなすように前記排水ガイド板の回転を制限するストッパーと、
を含む、請求項4に記載のバッテリーラック。
【請求項8】
前記ストッパーは、前記予め定められた角度において前記ラックケースの外側面と接触するように、回転軸に近い前記排水ガイド板の辺縁領域から突出した突起状に設けられている、請求項7に記載のバッテリーラック。
【請求項9】
前記排水ガイドユニットは、
上方向に回して、前記排水ガイド板が前記ラックケースの外側面に並ぶように固定されるように、前記排水ガイド板の回転軸の反対側の辺縁領域に配備された磁石をさらに含む、請求項7に記載のバッテリーラック。
【請求項10】
前記排水ガイドユニットは、
前記ラックケースの前方の外側面に配備された第1の排水ガイドユニットと、
前記ラックケースの後方の外側面に配備された第2の排水ガイドユニットと、
を含む、請求項1または2に記載のバッテリーラック。
【請求項11】
前記ラックケースにおいて、前記収容部は、後方側の開放端の左右の幅が前方側の開放端の左右の幅よりもさらに狭くなるように設けられており、
前記消火水供給配管は、前記ラックケースの後方の外側面を通過して各前記バッテリーモジュールに接続されている、請求項10に記載のバッテリーラック。
【請求項12】
前記第1の排水ガイドユニットは、各前記収容部の前方側の開放端を覆うサイズに設けられており、
前記第2の排水ガイドユニットは、各前記収容部の後方側の開放端を覆うサイズに設けられている、請求項10に記載のバッテリーラック。
【請求項13】
前記バッテリーモジュールは、モジュールハウジングの前面に送風ファンを備え、前記モジュールハウジングの背面に空調孔を備え、前記収容部の後方側の開放端を介して前記空調孔が外部に露出されるように前記収容部に嵌入されている、請求項11に記載のバッテリーラック。
【請求項14】
前記バッテリーモジュールを前記収容部に嵌入したとき、前記モジュールハウジングの背面は、前記空調孔の下側が前記ラックケースの後方の外側面により遮蔽されている、請求項13に記載のバッテリーラック。
【請求項15】
請求項1または2に記載のバッテリーラックを含む、エネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーラック及びこれを含むエネルギー貯蔵システムに関し、より具体的には、熱的事象が生じたバッテリーモジュールに投入された消火水が周りの他のバッテリーモジュールに流れ込むことを防ぐための排水構造が適用されたバッテリーラック及びこれを含むエネルギー貯蔵システムに関する。
【0002】
本出願は、2022年05月02日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0054389号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、広く用いられている二次電池としてはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などが挙げられる。中でも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど生じないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという利点により脚光を浴びている。
【0004】
一般に、リチウム二次電池は、外装材の形状に応じて、電極組立体が金属缶に内蔵されている缶型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチに内蔵されているパウチ型二次電池と、に大別できる。
【0005】
二次電池は、単独で用いられることもあるが、一般に、1つの二次電池は、電圧が僅か約2.5V~4.5Vに過ぎないため、さらに高い出力電圧が求められる場合、複数の二次電池同士を互いに直列に及び/又は並列に接続してバッテリーモジュールを構成する。そして、バッテリーモジュールは、単独で用いられることもあれば、2以上が互いに電気的に直列に及び/又は並列に接続されて、バッテリーラックやバッテリーパックなどといったように、より上位レベルの装置を構成することもある。
【0006】
一方、近年、電力の不足や環境にやさしいエネルギーなどいったようなイシューが取り上げられることに伴い、複数のバッテリーラックを含んでオフピーク(off-peak)時の電力を貯蔵していて、ピーク(peak)の際に貯蔵された電力を使用できるように構成されたエネルギー貯蔵システムが注目を集めている。
【0007】
一例を挙げると、産業用のエネルギー貯蔵システムは、ラックケース及び前記ラックケースに上下方向に沿って収容される数多くのバッテリーモジュールからなるバッテリーラックと、前記バッテリーラック及びバッテリーラックの温度を管理するための空調装置と、火災の予防のための消火装置などを収容可能なコンテナと、を含んで構成され得る。
【0008】
そして、最近には、エネルギー貯蔵システムの火災時の安全対策として、バッテリーラックに搭載された特定のバッテリーモジュールの内部においてバッテリーセルの熱暴走の現象が生じる場合、他のバッテリーモジュールに熱が広がらないうちに消火水を前記特定のバッテリーモジュールの内部に投入して火災を鎮圧できるように設計された消火システムがエネルギー貯蔵システムに導入されている。
【0009】
ところが、既存のバッテリーラックは、
図1に示されているように、ラックケースが上下左右に開かれたフレーム状のものであり、バッテリーモジュールはこれといった適切な排水構造なしに前記ラックケースに多段状に積層されているが故に、上記のような消火システムにより消火水がバッテリーモジュールの内部に投入された後、当該バッテリーモジュールの外部に漏れ出てしまうと、周りの他のバッテリーモジュールの内部に流れ込み易くなる恐れがある。この場合、周りの他のバッテリーモジュールが浸水の被害を被ってしまい、その結果、正常のバッテリーモジュールもまた使用できなくなるという損失が引き起こされることが懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解消するために案出されたものであって、熱的事象が生じたバッテリーモジュールに投入された消火水が周りの他のバッテリーモジュールに流れ込むことを防ぐことのできる、排水構造を備えたバッテリーラック及びこれを含むエネルギー貯蔵システムを提供することをその目的としている。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した課題に何ら制限されるものではなく、言及されていない他の課題は、下記に記載されている発明の説明から当業者にとって明らかに理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明によるバッテリーラックは、複数のバッテリーモジュールと、所定の高さごとに前記複数のバッテリーモジュールをそれぞれ嵌入して収容可能なように設けられて、前方と後方を除いた上下左右の方面が閉塞された構造となっている収容部を備えたラックケースと、火災の際に、消火水の供給のために、前記収容部に収容された各前記バッテリーモジュールに接続される消火水供給配管と、前記ラックケースの前方の外側面及び後方の外側面の少なくとも一方の面に配備されて、前記バッテリーモジュールに消火水を投入するときに、前記バッテリーモジュールの外部に吐き出される消火水が前記ラックケースの外側面から所定の間隔だけ離れている位置に落下するように、消火水の排水を導く排水ガイドユニットと、を含み得る。
【0013】
前記排水ガイドユニットは、上下に隣り合っている2つずつの前記バッテリーモジュールのうち、上部に位置しているバッテリーモジュールよりも低く、かつ、下部に位置しているバッテリーモジュールよりも高い位置において前記ラックケースの外側面に結合されるように設けられ得る。
【0014】
前記排水ガイドユニットは、板面が前記ラックケースの外側面と所定の角度をなすことができるように前記ラックケースの外側面から突出するように設けられ得る。
【0015】
前記排水ガイドユニットは、前記ラックケースの外側面に回転可能に結合され得る。
【0016】
前記排水ガイドユニットは、上方向に回して、前記排水ガイドユニットの上部に位置している前記収容部を覆うように設けられ得る。
【0017】
前記排水ガイドユニットは、下方向に回して、前記排水ガイドユニットの上部にある前記収容部を開くように設けられ得る。
【0018】
前記排水ガイドユニットは、前記ラックケースの外側面にヒンジ結合された板状体の形状に設けられた排水ガイド板と、前記排水ガイド板が前記ラックケースの外側面に対して予め定められた角度をなすように前記排水ガイド板の回転を制限するストッパーと、を含み得る。
【0019】
前記ストッパーは、前記予め定められた角度において前記ラックケースの外側面と接触するように、回転軸に近い前記排水ガイド板の辺縁領域から突出した突起状に設けられ得る。
【0020】
前記排水ガイドユニットは、上方向に回して、前記排水ガイド板が前記ラックケースの外側面に並ぶように固定されるように、前記排水ガイド板の回転軸の反対側の辺縁領域に配備された磁石をさらに含み得る。
【0021】
前記排水ガイドユニットは、前記ラックケースの前方の外側面に配備された第1の排水ガイドユニットと、前記ラックケースの後方の外側面に配備された第2の排水ガイドユニットと、を含み得る。
【0022】
前記ラックケースにおいて、前記収容部は、後方側の開放端の左右の幅が前方側の開放端の左右の幅よりもさらに狭くなるように設けられ、前記消火水供給配管は、前記ラックケースの後方の外側面を通過して各前記バッテリーモジュールに接続されるように設けられ得る。
【0023】
前記第1の排水ガイドユニットは、各前記収容部の前方側の開放端を覆うサイズに設けられ、前記第2の排水ガイドユニットは、各前記収容部の後方側の開放端を覆うサイズに設けられ得る。
【0024】
前記バッテリーモジュールは、モジュールハウジングの前面に送風ファンを備え、前記モジュールハウジングの背面に空調孔を備え、前記収容部の後方側の開放端を介して前記空調孔が外部に露出されるように前記収容部に嵌入されて配置され得る。
【0025】
前記バッテリーモジュールを前記収容部に嵌入したとき、前記モジュールハウジングの背面は、前記空調孔の下側が前記ラックケースの後方の外側面により遮蔽されるように構成され得る。
【0026】
本発明の他の態様によれば、上述したバッテリーラックを1つ以上含むエネルギー貯蔵システムが提供され得る。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、バッテリーラックを構成するバッテリーモジュールのうち、熱的事象が生じたバッテリーモジュールに消火水を投入したとき、たとえ当該バッテリーモジュールから消火水が溢れ出て外部に吐き出されるとしても、周りの他のバッテリーモジュールに流れ込まないことが可能になる。したがって、やむを得ずバッテリーラックに消火水を投入するとしても、熱的事象が生じたバッテリーモジュールを除いた他のバッテリーモジュールの浸水の被害を防ぐことができる。
【0028】
本発明の効果は、上記の効果に限らず、言及されていない他の効果は本明細書及び添付図面から本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明確に理解できるものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来の技術によるバッテリーラックの一領域を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーラックであって、バッテリーモジュールの嵌入前のバッテリーラックを概略的に示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーラックであって、バッテリーモジュールの嵌入後のバッテリーラックを概略的に示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールであって、空調孔と給水弁が配備されているバッテリーモジュールの後方を示す図である。
【
図8】
図7のバッテリーモジュールの部分分解図である。
【
図9】
図7のバッテリーモジュールの概略断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態によるバッテリーラックに消火水が投入され、かつ、排水される例を説明するための図である。
【
図11】本発明の一実施形態によるエネルギー貯蔵システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。これに先立ち、 本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常の意味や、辞書的な意味に限定して解釈されるものではなく、発明者は発明を最善の方法で説明するために用語の概念を自ら適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に対応する意味及び概念で解釈されるものである。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを表すものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形の実施形態があり得ることを理解されたい。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーラックであって、バッテリーモジュールの嵌入前のバッテリーラックを概略的に示す斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリーラックであって、バッテリーモジュールの嵌入後のバッテリーラックを概略的に示す斜視図であり、
図4は、
図3のバッテリーラックの正面図であり、
図5は、
図3のバッテリーラックの背面図である。
【0032】
これらの図面を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーラック100は、複数のバッテリーモジュール110と、ラックケース120と、消火水供給配管130及び排水ガイドユニット140を含み得る。
【0033】
それぞれのバッテリーモジュール110は、二次電池111と前記二次電池111を収容するモジュールハウジング112とを含み、電気エネルギーを貯蔵及び放出するように構成され得る。ここで、前記二次電池111は、バッテリーモジュール110に求められる容量及び出力に応じて、モジュールハウジング112の内部において互いに直列に及び/又は並列に接続され得る。
【0034】
また、それぞれのバッテリーモジュール110は、充放電の際に生じる熱を放熱するための手段としてクーリングファン114と空調孔116を備え得る。例えば、前記クーリングファン114は、モジュールハウジング112の前面部に設けられ、前記空調孔116は、モジュールハウジング112の背面部に設けられ得る。前記クーリングファン114が作動すれば、外部の空気がバッテリーモジュール110の背面部の空調孔116を介してバッテリーモジュール110の内部に入り込んで二次電池111の熱を吸収し、バッテリーモジュール110の前面部のクーリングファン114を介して外部に排出されることが可能になる。本実施形態とは逆に、クーリングファン114がバッテリーモジュール110の背面に設けられ、空調孔116がバッテリーモジュール110の前面に設けられることもある。
【0035】
また、それぞれのバッテリーモジュール110は、充放電の際に二次電池111に熱暴走、発火、爆発などの熱的事象が生じる状況に備えて、モジュールハウジング112の内部に直接的に消火水を供給可能なように構成され得る。例えば、消火水供給配管130がそれぞれのバッテリーモジュール110の背面に接続され、熱的事象が生じたとき、当該バッテリーモジュール110に消火水が投入されるように構成され得る。この詳細については、後述する。
【0036】
ラックケース120は、
図3に示すように、所定の高さごとに前記複数のバッテリーモジュール110をそれぞれ内部に嵌入して収容可能なように概ね直方体の形状に設けられ得る。また、前記ラックケース120は、衝撃や振動からバッテリーモジュール110を十分に保護できるように剛性材質から作製され得、好ましくは、金属系の材質から作製され得るが、非金属系の材質であるとしても機械的な剛性に優れた材質から作製され得る。
【0037】
特に、本発明によるラックケース120は、上下方向に沿って複数の収容部121を備え、前記収容部121にバッテリーモジュール110がそれぞれ収容可能なように構成される。それぞれの収容部121は、前方-Yと後方+Yを除いた上下左右+Z、-Z、-X、+Xの方面が閉塞された構造となっている場合もある。すなわち、本発明によるラックケース120は、従来のラックケース1(
図1参照)が前後上下左右に開かれた構造に設けられていたこととは異なり、上下左右が閉塞された構造であるといえる。
【0038】
本明細書の背景技術の欄において前述した通り、
図1に示すように、上下左右が開かれた形状のラックケース1は、特定のバッテリーモジュール2の内部に消火水を給水したとき、バッテリーモジュール2から消火水が外に漏れ出ると、当該バッテリーモジュール2の下に配置されているバッテリーモジュール2が浸水の被害を被ってしまう。このような問題を解消するために、本発明によるラックケース120は、消火水を用いた火災の鎮圧に際して、他のバッテリーモジュール110の浸水の被害を防ぎ、消火水の排水を前方又は後方に導くために、それぞれの収容部121の上下左右の方面が閉塞されており、前方と後方のみが開かれた形状に構成され得る。
【0039】
そして、バッテリーモジュール110の外部に吐き出された消火水がラックケース120の前方又は後方に移動してラックケース120の外に落下するとき、前記ラックケース120の外側面から所定の間隔だけ離れている位置に落下できるように、前記ラックケース120の前方の外側面及び後方の外側面の少なくとも一方の面に排水ガイドユニット140が配備され得る。
【0040】
このような排水ガイドユニット140は、
図3に示すように、板面が前記ラックケースの外側面と所定の角度をなすようにラックケース120の外側面にから所定の角度だけ傾くように突設され得る。たとえて言えば、排水ガイドユニット140は、地面に対して垂直なラックケース120の外側面を基準として外側に所定の角度だけ斜めに突出した形状に配設されてその上から落下する消火水からその下に位置している収容部121中のバッテリーモジュール110を保護して遮るまるで軒(ひさし)のような役割を果たすように構成される。このような排水ガイドユニット140は、バッテリーモジュール110の発火の際に前記バッテリーモジュール110から噴出されるベントガスないし火炎がその上部又は下部に位置しているバッテリーモジュール110に燃え移ることを遮断する役割も果たし得る。
【0041】
具体的には、前記排水ガイドユニット140は、
図3及び
図4に示されているように、上下に隣り合っている2つずつのバッテリーモジュール110のうち、上側のバッテリーモジュール110よりも低く、かつ、下側のバッテリーモジュール110よりも高い位置においてラックケース120の外側面に結合され得る。すなわち、排水ガイドユニット140は、上下方向に沿って複数備配され、前記上バッテリーモジュール110と前記下バッテリーモジュール110との間の高さごとにラックケース120の外側面に結合されるように構成され得る。例えば、本実施形態においては、バッテリーラック100には7個のバッテリーモジュール110が上下方向に積層されているが、この場合、排水ガイドユニット140は、ラックケース120の前方の外側面120Fに6個が結合され、ラックケース120の後方の外側面120Rに6個が結合されるように構成され得る。すると、前記7個のバッテリーモジュール110のうちのいずれのバッテリーモジュール110に熱的事象が生じて消火水を投入するとしても、当該バッテリーモジュール110を除いた他のバッテリーモジュール110は、前記消火水による浸水の被害を被らないことが可能になる。
【0042】
図3を参照すると、ラックケース120の前面部を見ると、排水ガイドユニット140がその下に位置している収容部121の前方側の開放端の手前側を部分的に遮るように設けられている。この場合、バッテリーモジュール110を水平状態で収容部121に直ちに嵌入しようとすれば、排水ガイドユニット140に干渉されて前記収容部121に嵌入することができない。いうまでもなく、本実施形態とは異なり、バッテリーモジュール110を収容部121に嵌入するとき、排水ガイドユニット140が干渉されない程度に前記排水ガイドユニット140の軒の長さを短くして構成することもある。しかしながら、本実施形態においては、排水ガイドユニット140による消火水の排水がより一層効果的に行われるようにするために、前記排水ガイドユニット140の軒の長さを長尺状に構成している。
【0043】
この場合、バッテリーモジュール110を収容部121に嵌入し難くなるという問題があるため、この問題を解消するための方便として、本実施形態によるバッテリーラック100は、前記排水ガイドユニット140が回転可能に設けられている。
【0044】
また、
図2に示されているように、バッテリーモジュール110をラックケース120の収容部121に嵌入する前には、排水ガイドユニット140を回転させて前記ラックケース120の外側面に取り付け可能なように構成されている。
【0045】
前記排水ガイドユニット140は、上方向に回して、当該排水ガイドユニット140の上部にある収容部121を覆うように設けられる。これとは逆に、前記排水ガイドユニット140を下方向に回すと、当該排水ガイドユニット140の上部にある収容部121を開くことが可能なように設けられ得る。このとき、下方向に回された前記排水ガイドユニット140は、
図3に示すように、その下部に位置している収容部121に対して軒として働き得る。
【0046】
上記のような構成によれば、バッテリーモジュール110をラックケース120の中に収容するとき、例えば、
図2に示されているように、ラックケース120の最下端の収容部121にバッテリーモジュール110を嵌入した後、前記最下端の収容部121の直ぐ上にある排水ガイドユニット140を下方向に所定の角度だけ回す。このとき、前記ラックケース120の下から2番目に位置している収容部121が開かれる。このようにして開かれた前記2番目の収容部121にバッテリーモジュール110を嵌入する。このようなパターンにより前記ラックケース120の最下端に位置している収容部121から最上端に位置している収容部121までバッテリーモジュール110を順番に嵌入する。すると、ラックケース120にバッテリーモジュール110が収容され、
図3に示すように、各排水ガイドユニット140が前記ラックケース120の外側面と所定の角度をなし、前記ラックケース120の外側面から突出した形状に設けられることが可能になる。
【0047】
このような排水ガイドユニット140は、排水ガイド板141とストッパー142を含み得る。
【0048】
前記排水ガイド板141は、ラックケース120の外側面にヒンジ143結合される板状体の形状に設けられ得る。前記排水ガイド板141は、上に回転させてラックケース120の外側面に取り付けたとき、その上の収容部121が覆われるサイズに設けられ、剛性を有する材質であれば、プラスチックであってもよく、メタルであってもよいなど、いかなる材質であっても構わない。そして、前記排水ガイド板141は、ヒンジ143結合された辺縁領域とは反対となる辺縁領域に、
図2の拡大図の部分に示されているように、磁石144を備え得る。前記磁石144は、排水ガイド板141を上に回転させてラックケース120の外側面に固定するための用途に使用可能である。
【0049】
また、前記排水ガイドユニット140は、
図3に示すように、排水ガイド板141にストッパー142が一体化されていることから、前記排水ガイド板141が下方向(-Z方向)に回転するとき、所定の角度において回転が止まることができる。
【0050】
すなわち、前記排水ガイド板141が前記ラックケース120の外側面に対して予め定められた角度θをなすとき、ストッパー142の1つの面が前記ラックケースの外側面と対面接触するように構成されていることから、排水ガイド板141の回転が制限される。ここで、前記予め定められた角度θは、例えば、30°~60°の範囲において決定され得る。そのため、前記排水ガイドユニット140がその下部に位置している収容部121に対して軒として働くことができる。
【0051】
本実施形態の場合、前記ストッパー142は、
図3の拡大図の部分に示されているように、前記予め定められた角度θにおいて前記ラックケース120の外側面と接触するように、回転軸に近い前記排水ガイド板141の辺縁領域から突出した突起状に設けられ得る。
【0052】
前記突起の形状は、好ましくは、断面が略直角三角形の形状であり、排水ガイド板141の左右(±X方向)の幅に対応する長さに見合う分だけ長尺状に延びるように設けられ得る。このようなストッパー142によれば、排水ガイド板141は、下方向に回されていて、直角三角形の形状の斜面がラックケース120の外側面に当接するときに止まることになる。これにより、排水ガイド板141は、ラックケース120の外側面に対して予め定められた角度をもって傾くように突出した軒の構造をなすことが可能になる。
【0053】
一方、本実施形態による排水ガイドユニット140は、
図4に示すように、ラックケース120の前方の外側面120Fに配備される第1の排水ガイドユニット140Aと、
図5に示すように、ラックケース120の後方の外側面120Rに配備される第2の排水ガイドユニット140Bと、を含む。
【0054】
前記第1の排水ガイドユニット140Aは、各前記収容部121の前方側の開放端を覆うサイズに設けられ、前記第2の排水ガイドユニット140Bは、各前記収容部121の後方側の開放端を覆うサイズに設けられ得る。たとえて言えば、前述した通り、第1の排水ガイドユニット140Aは、
図2に示すように、上方向(+Z方向)に回転させてラックケース120の前方の外側面に取り付けたとき、収容部121の前方側の開放端が覆われるサイズに設けられ、同様に、第2の排水ガイドユニット140Bは、上方向(+Z方向)に回転させてラックケース120の後方の外側面に取り付けたとき、収容部121の後方側の開放端が覆われるサイズに設けられ得る。
【0055】
すなわち、
図4と
図5に示されているように、収容部121の前方側の開放端のサイズと後方側の開放端のサイズとが互いに異なる場合、これに対応するように、第1の排水ガイドユニット140Aのサイズと第2の排水ガイドユニット140Bのサイズとが互いに異なるように設けられ得る。
【0056】
特に、本実施形態において、ラックケース120の各収容部121は、後方側の開放端の左右(±X方向)の幅が前方側の開放端の左右の幅よりも狭くなるように設けられる。換言すれば、
図5に示すように、収容部121の後方側の開放端の左右の幅は、「L1」に見合う分の幅を有するように設けられる。これは、ラックケース120の後方の外側面120Rに消火水供給配管130と前記第2の排水ガイドユニット140Bとをこれらが互いに干渉しないように配置するためである。すなわち、
図5における「L2」に見合う分だけの残余部分に消火水供給配管130を配置して、第2の排水ガイドユニット140Bとの干渉を避けることができる。
【0057】
前記消火水供給配管130は、各バッテリーモジュール110に非常時に消火水を供給するための構成要素であって、前記ラックケース120の後方の外側面を通過して前記収容部121の内部に位置しているバッテリーモジュール110に接続されるように構成され得る。例えば、前記消火水供給配管130は、
図6に示すように、ラックケース120に対して上下方向に沿って配置される主配管131と、前記主配管131から交差状に枝分かれされる複数の接続ノズル132と、を含み、それぞれの接続ノズル132がラックケース120の背面の外側面を通過してバッテリーモジュール110の背面に配備される給水弁117に接続されるように設けられ得る。参考までに、前記それぞれの接続ノズル132は、ラックケース120の背面の外側面に設けられる通孔(図示せず)を介して前記ラックケース120の内側に嵌入され得る。
【0058】
次いで、
図7~
図9を参照して、二次電池111の熱暴走ないし発火の際にバッテリーモジュール110の内部に消火水を投入するためのバッテリーモジュール110の構成について述べる。
【0059】
前述した通り、バッテリーモジュール110は、モジュールハウジング112と、前記モジュールハウジング112の内部に収容される二次電池111と、前記モジュールハウジング112の背面に設けられる空調孔116と給水弁117、及び前記モジュールハウジング112の前面に設けられるクーリングファン114を備え得る。
【0060】
したがって、バッテリーモジュール110をラックケース120の収容部121に嵌入すれば、クーリングファン114はラックケース120の前方側に配置され、空調孔116と給水弁117はラックケース120の後方側に配置され得る。このようなバッテリーモジュール110は、ラックケース120の収容部121に嵌入されて配置されたとき、空調孔116の下側がラックケース120の後方の外側面により遮蔽され得る。すなわち、
図5と
図6に「K1」にて示されているように、ラックケース120は、各収容部121の後方側の開放端に各前記収容部121の底面から突出した壁体を備え得る。前記壁体は、消火水が収容部121の後方側に抜け出ることを防ぐ役割を果たす。
【0061】
前記モジュールハウジング112は、内部に二次電池111を一方向に積層して形成したセル積層体を収容可能な内部空間を有し、ボトムプレート、トッププレート、左側及び右側のサイドプレート112a、フロントプレート113及びリアプレート115から構成された概ね直方体の形状のボックスの形状に設けられ得る。ここで、前記6枚のプレートは、互いに組み立て及び分解可能に設けられてもよいし、前記6枚のプレートの一部は一体に作製し、残りのプレートはそれぞれ別々に作製して部分的に組み立て及び分解可能に設けられてもよい。
【0062】
前記二次電池111としては、パウチ型二次電池111が採用可能である。複数のパウチ型二次電池111を一方向に積層してセル積層体を作製し、前記セル積層体をモジュールハウジング112の内部に収容する。
【0063】
前記セル積層体は、前記パウチ型二次電池111の長手方向がモジュールハウジング112のサイドプレート112aと交差するように前記モジュールハウジング112の中に配置され得る。換言すれば、
図9に示すように、二次電池111の積層方向と交差する方向をそれぞれセル積層体の前面方向と背面方向としたとき、セル積層体は、前面部と背面部とがそれぞれ左側及び右側のサイドプレート112aと所定の間隔を挟んで向かい合うように配置され得る。このように、セル積層体をモジュールハウジング112の内部に配置することにより、モジュールハウジング112の内部に空気の流動空間と消火ユニット118を配置可能な空間が確保されることが可能になる。
【0064】
前記消火ユニット118は、
図8及び
図9に示されているように、パイプ状のユニット本体118aと、複数の噴射ノズル118bと、を含み得る。
【0065】
前記ユニット本体118aは、一方の端が給水弁117に連結され、モジュールハウジング112の長手方向に沿って長尺状に延びたパイプ状に設けられ得る。そして、複数の噴射ノズル118bは、前記ユニット本体118aの長手方向に沿って所定の間隔ごとに配備され、排出口が前記セル積層体に臨むように設けられ得る。
【0066】
詳しくは図示しないが、それぞれの噴射ノズル118bは、平常時に消火水が吐き出されて排出口を閉塞していて、熱的ダメージが加えられれば、前記排出口を開くように設けられたガラスバルブ(図示せず)を含み得る。前記ガラスバルブは、内部に所定の液体や気体を収容していて、熱を受けると、液体や気体の体積の膨張により割れるように構成され得る。このような構成により、例えば、バッテリーモジュール110の内部の温度が70℃~100℃以上に上昇したり、火炎や高温のベントガスがガラスバルブに熱的ダメージを加えたりする状況になると、前記ガラスバルブの内部の物質が膨張してガラスバルブが破損されて噴射ノズル118bの排出口が開かれ得る。すると、ユニット本体118aの内部の消火水が前記噴射ノズル118bの排出口を介してセル積層体に向かって吐き出され得る。
【0067】
本実施形態とは異なり、リアプレート115の外側において給水弁117の一方の端と消火水供給配管130の接続ノズル132とが連結されるようにし、リアプレート115の内側に給水弁117の他方の端、すなわち、ガラスバルブの結合された排出口が配置されるようにする場合もある。この場合、前述した消火ユニット118は、モジュールハウジング112の内部から省略され得る。
【0068】
上記のような消火水の給水方式によれば、バッテリーラック100に含まれているそれぞれのバッテリーモジュール110のうち、熱的事象が生じたバッテリーモジュール110に限って、そのバッテリーモジュール110の内部に消火水が供給されることが可能になる。
【0069】
以下では、
図10を参照して、本発明の一実施形態によるバッテリーラック100の構成によるとき、バッテリーモジュール110の内部に熱的事象が生じて消火水が給水された後、消火水が外部に排水されるメカニズムについて説明する。
【0070】
例えば、
図10に示されているバッテリーラック100に含まれているバッテリーモジュール110のうち、上から2番目のバッテリーモジュール110に熱的事象が生じると、前記2番目のバッテリーモジュール110の内部にある噴射ノズル118bの排出口が開かれる。すると、圧力の差により消火水が供給配管から前記2番目のバッテリーモジュール110の給水弁117を介してバッテリーモジュール110の内部に入り込み、ユニット本体118aに沿って移動しながら、各噴射ノズルの排出口から吐き出される。
【0071】
このように、複数のバッテリーモジュール110のうち、熱的事象が生じた2番目のバッテリーモジュール110の内部に直接的に消火水を投入することにより、より一層速やかにかつ効果的に前記2番目のバッテリーモジュール110の火災の状況や熱暴走の状況を初期に鎮圧することができる。その結果、他のバッテリーモジュール110への熱暴走ないし火炎の伝播を遮断することができ、さらには、バッテリーラック100を含むエネルギー貯蔵システム200の全体の焼損を防ぐことができる。
【0072】
一方、バッテリーモジュール110のモジュールハウジング112は、完全に密閉されている構造となっていない。すなわち、モジュールハウジング112には、空調孔116やクーリングファン114、組み立て公差などにより隙間が存在する可能性がある。したがって、バッテリーモジュール110の内部に投入された消火水は、上記のような部分を介してバッテリーモジュール110の外部に漏れ出てしまう恐れがある。このように、バッテリーモジュール110の外に流れ出た消火水が他の正常のバッテリーモジュール110に流れ込んでしまうと、当該バッテリーモジュール110に深刻な浸水の被害を被らせてしまうことが懸念される。
【0073】
このため、本発明によるバッテリーラック100は、上述した通り、前方と後方を除いた上下左右の方面が閉塞された構造となっている収容部121に各バッテリーモジュール110が収容されるように構成されて、他の正常のバッテリーモジュール110に浸水の被害がないように構成されている。例えば、たとえ前記2番目のバッテリーモジュール110から消火水が漏れ出るとしても、
図10に示すように、ラックケース120の前方側と後方側にのみ消火水の排水が行われる。したがって、他の正常のバッテリーモジュール110が浸水の被害を被ってしまう可能性は非常に低い。
【0074】
さらに、消火水が前記2番目のバッテリーモジュール110がある収容部121の外に排水されるとき、排水ガイドユニット140に沿って消火水の流れが外側にさらに導かれてラックケース120の前方の外側面又は後方の外側面から所定の間隔だけ離れている位置から消火水が落下し得る。また、ラックケース120の高さ方向に沿って排水ガイドユニット140が上下に多段状に配置されており、相対的に下側にある排水ガイドユニット140が2番目のバッテリーモジュール110の高さから落下する消火水から各バッテリーモジュール110を保護していることから、前記2番目のバッテリーモジュール110の下にある他の正常のバッテリーモジュール110が浸水の被害を被ってしまう可能性はさらに低くなる。
【0075】
また、本実施形態のラックケース120の場合、各収容部121の後方側の開放端に各前記収容部121の底面から突出した壁体があることから、収容部121の内部において、
図10の「F1」にて示されているように、消火水が前記壁体に遮られて収容部121の前方側に移動することができる。したがって、ほとんどの消火水は、ラックケース120の前方側に排水されることが可能になる。
【0076】
以上述べたように、本発明によるバッテリーラック100によれば、熱的事象が生じたバッテリーモジュール110に投入された消火水が周りの他のバッテリーモジュール110に流れ込むことを防ぐことができる。
【0077】
一方、本発明によるエネルギー貯蔵システム200は、上述したバッテリーラック100を1つ以上含んで構成され得る。
【0078】
例えば、
図11に示すように、エネルギー貯蔵システム200は、複数のバッテリーラック100と、前記複数のバッテリーラック100を収容するコンテナ210及び各バッテリーラック100の消火水供給配管130と連結された連結配管220を含み得る。
【0079】
図面の描きやすさのために図示はしないが、前記エネルギー貯蔵システム200は、コンテナ210の内部の温度を管理するための空調装置と、バッテリーラック100を統合的に制御するためのマスターバッテリー管理装置(Master Battery Management System)などをさらに含み得る。
【0080】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに何ら限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0081】
一方、本明細書においては、上、下、左、右、前、後などの方向指示語が用いられたが、これらの用語は説明のしやすさのために用いられたものに過ぎず、対象となる物事の位置や観測者の位置などに応じて異なってくる可能性があるということは本発明の当業者にとって自明である。
【符号の説明】
【0082】
100 バッテリーラック
110 バッテリーモジュール
111 二次電池
111 パウチ型二次電池
112 モジュールハウジング
116 空調孔
117 給水弁
118 消火ユニット
118a ユニット本体
118b 噴射ノズル
120 ラックケース
121 収容部
130 消火水供給配管
131 主配管
132 接続ノズル
140 排水ガイドユニット
140A 第1の排水ガイドユニット
140B 第2の排水ガイドユニット
141 排水ガイド板
142 ストッパー
143 ヒンジ
144 磁石
200 エネルギー貯蔵システム
【国際調査報告】