(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-B][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態
(51)【国際特許分類】
C07D 498/04 20060101AFI20250128BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20250128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250128BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20250128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20250128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C07D498/04 CSP
A61K31/553
A61P29/00
A61P37/02
A61P25/28
A61P43/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541164
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 US2023010551
(87)【国際公開番号】W WO2023137035
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518086619
【氏名又は名称】デナリ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Denali Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】アナンサ・スダカール
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB22
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC20
(57)【要約】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態、その形態を調製するプロセス、及び医薬組成物、それらの使用方法が本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態A;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態B;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態C;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態D;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態E;及び
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態F
からなる群から選択される、結晶性形態。
【請求項2】
形態Aとして特徴付けられる、(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態。
【請求項3】
6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0±0.2°からなる群から選択される、2θ°に関して3、4、5、6、7つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項4】
図1に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項5】
約186.7℃での開始及び188.9℃での吸熱ピークを有する、示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項6】
a)
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約6.9、13.0、16.6、及び23.4±0.2°で2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図2に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)約186.7℃での開始及び約188.9℃でのピークを有する、3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)
図2に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
f)約27.8℃~約150℃で約1.0%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
g)それらの組み合わせ
のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる、請求項2に記載の結晶性形態。
【請求項7】
形態Bとして特徴付けられる、(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態。
【請求項8】
約9.6及び16.4±0.2°で2θ°に関してピークを含むX線粉末回折パターンを有する、請求項7に記載の結晶性形態。
【請求項9】
9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8±0.2°からなる群から選択される、2θ°に関して3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、請求項7に記載の結晶性形態。
【請求項10】
図3に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、請求項7に記載の結晶性形態。
【請求項11】
189.2℃での吸熱及び191.9℃での吸熱ピークを含む、示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項7に記載の結晶性形態。
【請求項12】
a)
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約9.6、11.5、16.4、19.2、及び23.8±0.2°で2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図4に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)約189.2℃での開始及び約191.9℃でのピークを有する、3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)
図4に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
f)約23.8℃~約150℃で約1.0%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
g)それらの組み合わせ
のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる、請求項7に記載の結晶性形態。
【請求項13】
形態Cとして特徴付けられる、(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態。
【請求項14】
9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3±0.2°からなる群から選択される、2θ°に関して3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項15】
図5に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項16】
124.9℃での吸熱及び131.3℃での吸熱ピークを含む、示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項17】
a)
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約9.8、10.2、14.8、15.2、及び20.4±0.2°で2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図7に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)約124.9℃での開始及び約131.3℃でのピークを有する、3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)
図7に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
f)約22.4℃~約100℃で約5.7%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
g)それらの組み合わせ
のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる、請求項13に記載の結晶性形態。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の結晶性形態と薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物が、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態Cからなる群から選択される1つ以上の結晶性形態と、薬学的に許容される賦形剤とを更に含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の、請求項1~17のいずれか一項に記載の結晶性形態を患者に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月12日に出願された米国仮特許出願第63/298,816号明細書、及び2022年12月5日に出願された米国仮特許出願第63/386,113号明細書の利益を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書には、(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの結晶性形態、その形態を調製するプロセス、医薬組成物、及びそれらの使用方法が記載される。
【背景技術】
【0003】
受容体相互作用タンパク質キナーゼ1(RIPK1)は、炎症、アポトーシス、及びネクロトーシスの重要な調節因子である。RIPK1は、活性化B細胞の核因子カッパ軽鎖エンハンサ(NF-kB)によって媒介される炎症応答の調節において重要な役割を有する。より最近の研究では、そのキナーゼ活性が壊死性細胞死の一形態であるネクロトーシスを制御することが示されている。更に、RIPK1は、アポトーシスの調節において、その活性を示すアポトーシス促進性複合体の一部である。受容体相互作用タンパク質キナーゼ1のシグナル伝達の調節不全は、過度の炎症又は細胞死をもたらし得る。研究は、RIPK1の阻害が炎症又は細胞死を伴う疾患の潜在的な臨床標的であることを示唆している。RIPK1キナーゼは、広範囲にわたるヒトの神経変性疾患、自己免疫疾患、及び炎症性疾患の治療のための有望な治療標的として浮上している。
【0004】
化合物(I)は、RIPK1阻害剤であり、RIPK1媒介疾患又は障害の治療において有用であり得る。化合物(I)は、国際公開第2017/136727号パンフレット(また、米国特許第9,815,850明細書にも)開示されており、以下の構造を有する。
【化1】
【0005】
化合物(I)などの生理活性化合物の固体形態(例えば、結晶性形態)は、製薬業界で関心を集めており、ここで、溶解性、解離性、真密度、溶出性、融点、形態、圧縮挙動、粒径、流動特性、又は固体安定性などの特定の物理的、化学的、若しくは薬学的特性を有する固体形態は、医薬品開発に望ましいか、又は必要とされ得る。結晶性形態の調製は、薬学的に活性な化合物の物理的特性又は薬学的特性を改善し得ることが知られているが、化合物が結晶性形態で存在するかどうか、又はどの結晶性形態が特定の目的に対して利点を有し得るかを、結晶性形態の実際の調製及び特性評価の前に予測することは不可能である。特に、そのような利点は、非限定的な方法において、ほんの数例を挙げると、より良い加工性、溶解性、又は貯蔵寿命安定性を含み得る。他の利点としてはまた、生物学的利用能の改善、GI管での有害反応(例えば、GI管の刺激、化合物の部分的分解など)の低減、又は他の利点の中でも、薬物の意図された標的部位への送達可能性の向上などの生物学的特性を挙げることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、RIPK1阻害剤の(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミド(化合物(I)とも呼ばれる)の様々な固体形態、その形態を調製するプロセス、及び医薬組成物並びにそれらの使用方法に関する。
【0007】
本開示は、形態Aとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0008】
本開示は、形態Bとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0009】
本開示は、形態Cとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0010】
本開示は、形態Dとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0011】
本開示は、形態Eとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0012】
本開示は、形態Fとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態を提供する。
【0013】
化合物(I)の結晶性形態Bは、高い融点を有し、吸湿性が低く、工業的使用及び貯蔵に最も適しているようである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】化合物(I)の結晶性形態AのX線粉末回折図である。
【
図2】化合物(I)の結晶性形態Aの示差走査熱量測定/熱重量分析(DSC/TGA)サーモグラムである。
【
図3】化合物(I)の結晶性形態BのX線粉末回折図である。
【
図4】化合物(I)の結晶性形態Bの示差走査熱量測定/熱重量分析(DSC/TGA)サーモグラムである。
【
図5】化合物(I)の結晶性形態CのX線粉末回折図である。
【
図6】化合物(I)の形態Cの
1HNMRスペクトルである。
【
図7】化合物(I)の結晶性形態Cの示差走査熱量測定/熱重量分析(DSC/TGA)サーモグラムである。
【
図8】化合物(I)の結晶性形態DのX線粉末回折図である。
【
図9】化合物(I)の結晶性形態Dの示差走査熱量測定/熱重量分析(DSC/TGA)サーモグラムである。
【
図10】化合物(I)の形態Dの
1HNMRスペクトルである。
【
図11】化合物(I)の結晶性形態EのX線粉末回折図である。
【
図12】化合物(I)の結晶性形態FのX線粉末回折図である。
【
図14】化合物(I)の結晶性形態Bの単結晶の熱楕円体の描画である。
【
図15】化合物(I)の結晶性形態Bの単結晶構造中の水素結合である。
【
図16】化合物(I)の結晶性形態Bの単結晶構造から生成された算出されたXRPDである。
【
図17】化合物(I)の結晶性形態Eの単結晶の熱楕円体の描画である。
【
図18】化合物(I)の結晶性形態Eの単結晶構造から生成された算出されたXRPDである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の詳細は、以下の添付の説明に記載されている。本開示を実施又は試験するために、本明細書に記載されるものと同様又は等価の方法及び材料を使用することができるが、例示的な方法及び材料がここで説明される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形はまた、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数形を含む。別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同様の意味を有する。
【0016】
本開示は、化合物(I)の結晶性固体形態を提供する。本開示はまた、化合物(I)の1つ以上の結晶性固体形態を含む医薬組成物を提供する。本開示はまた、結晶性固体形態を作製するためのプロセス、及びそれらを使用するための方法を提供する。
【0017】
本明細書では、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
【0018】
本明細書では、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む、医薬組成物を調製する方法も提供される。
【0019】
本明細書では、化合物(I)の形態Bと薬学的に許容される賦形剤とを混合することを含む、医薬組成物を調製する方法も提供される。
【0020】
本明細書では、RIPK1に関連する疾患を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物を患者に投与することを含む、治療する方法も提供される。
【0021】
本明細書では、RIPK1に関連する疾患を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、疾患を治療する方法も提供される。
【0022】
本明細書では、RIPK1を阻害する方法も提供される。方法は、治療有効量の、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物をそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0023】
本明細書では、RIPK1を阻害する方法であって、有効量の、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、阻害する方法も提供される。
【0024】
本開示の別の態様は、RIPK1に関連する疾患の治療において使用するための、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物に関する。本開示の一態様は、RIPK1に関連する疾患又は障害において使用するための、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0025】
本明細書では、RIPK1に関連する疾患を治療するための医薬品の製造における、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物の使用も提供される。本開示の別の態様は、RIPK1に関連する疾患又は障害を治療するための医薬品の製造における、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物の使用に関する。
【0026】
本明細書では、医薬品として使用するための、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物も提供される。本開示の別の態様は、医薬品として使用するための、化合物(I)の形態A、化合物(I)の形態B、化合物(I)の形態C、化合物(I)の形態D、化合物(I)の形態E、及び化合物(I))の形態Fからなる群から選択される1つ以上の化合物を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態では、医薬品は、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を治療するために使用される。
【0027】
本明細書では、受容体相互作用タンパク質キナーゼ1に媒介される疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の、本明細書に開示される化合物又は医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、治療する方法が提供される。
【0028】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、網膜剥離、網膜色素変性症、黄斑変性症、膵炎、アトピー性皮膚炎、関節リウマチ、脊椎関節炎、痛風、全身発症若年性特発性関節炎(SoJIA)、全身性エリテマトーデス、皮膚エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症、抗リン脂質抗体症候群、血管炎、変形性関節症、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性肝胆道疾患、原発性硬化性胆管炎、腎炎、セリアック病、自己免疫性ITP、移植拒絶反応、固形臓器の虚血再灌流傷害、敗血症、全身性炎症反応症候群、サイトカイン放出症候群、COVID-19感染症、脳血管障害、心筋梗塞、ハンチントン病、パーキンソン病、アレルギー性疾患、喘息、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、I型糖尿病、ウェゲナー肉芽腫症、肺サルコイドーシス、ベーチェット病、インターロイキン-1変換酵素関連発熱症候群、慢性閉塞性肺疾患、腫瘍壊死因子受容体関連周期性症候群、又は歯周炎である。
【0029】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、外傷、虚血、脳卒中、心筋梗塞、感染症、リソソーム蓄積症、ゴーシェ病、クラッベ病、ニーマン・ピック病、敗血症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS/ルー・ゲーリック病)、ハンチントン病、HIV関連認知症、網膜変性疾患、緑内障、加齢黄斑変性、関節リウマチ、乾癬、乾癬性関節炎又は炎症性腸疾患である。
【0030】
ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、ALS、フリードライヒ運動失調症、ハンチントン病、レビー小体病、パーキンソン病、又は脊髄性筋萎縮症である。ある特定の実施形態では、疾患又は障害は、脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、ALS、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症、糖尿病性ニューロパチー、ポリグルタミン(ポリQ)疾患、脳卒中、ファール病、メンケス病、ウィルソン病、脳虚血又はプリオン障害である。
【0031】
本開示はまた、RIPK1を阻害する上で有用である化合物及び医薬組成物も提供する。
【0032】
本明細書に記載される各実施形態は、単独で、又は1つ以上の他の実施形態と組み合わされて行ってもよい。
【0033】
用語
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「an element」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0034】
「及び/又は」という用語は、特に明記しない限り、「及び」若しくは「又は」のいずれかを意味するために本開示で使用される。
【0035】
「製造品」及び「キット」という用語は、同義語として使用される。
【0036】
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない医薬組成物を調製する上で有用である担体又は賦形剤を意味し、獣医学的用途並びにヒトの医薬品用途に許容される担体又は賦形剤を含む。本明細書及び特許請求の範囲で使用される「薬学的に許容される賦形剤」には、1つ及び2つ以上のそのような賦形剤の両方が含まれる。
【0037】
本明細書において使用される場合、「結晶性」又は「結晶性固体形態」という用語は、いずれの非晶質固体形態も実質的に含まない固体形態を指す。いくつかの実施形態では、結晶性固体形態は、単一固体形態、例えば、結晶性形態Aである。
【0038】
いくつかの実施形態では、「実質的に含まない」は、約10%w/w未満、約9%w/w未満、約8%w/w未満、約7%w/w未満、約6%w/w未満、約5%w/w未満、約4%w/w未満、約3%w/w未満、約2.5%w/w未満、約2%w/w未満、約1.5%w/w未満、約1%w/w未満、約0.75%w/w未満、約0.50%w/w未満、約0.25%w/w未満、約0.10%w/w未満、又は約0.05%w/w未満の、化合物の他の結晶形態及び非晶質化合物を意味する。いくつかの実施形態では、「実質的に含まない」は、検出不可能な量の、化合物の他の結晶性形態及び非晶質化合物を意味する。
【0039】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋」という用語は、結晶性形態が、全ての形態の化合物の総重量と比較して、少なくとも90重量パーセント、好ましくは少なくとも95重量パーセント、より好ましくは少なくとも97重量パーセント、及び最も好ましくは少なくとも99重量パーセントの示された結晶性形態を含有することを意味する。
【0040】
或いは、「実質的に純粋」は、結晶形態が、全ての形態の化合物の総重量と比較して、10重量パーセント未満、好ましくは5重量パーセント未満、より好ましくは3重量パーセント未満、及び最も好ましくは1重量パーセント未満の他の多形、溶媒和又は非晶質形態を含む不純物を含有することを意味することが理解されるであろう。
【0041】
「XRPDパターン」又は「X線粉末回折パターン」は、X軸に回折角度(すなわち、°2θ)及びY軸に強度を有するX-Yグラフである。このパターン内のピークは、結晶性固体形態を特徴付けるために使用され得る。あらゆるデータ測定と同様に、XRPDデータにも変動性がある。ピーク強度は、試料の調製に特に敏感であるため(例えば、粒径、含水量、溶媒含量、及び感度に影響する選択配向)、データは、多くの場合、ピークの強度を含むのではなく、ピークの回折角度のみによって表され、そのため、異なる条件下で調製された同じ材料の試料は、わずかに異なるパターンを生じる場合があり、この変動性は、通常、回折角度における変動性よりも大きい。回折角度の変動性はまた、試料の調製にも敏感であり得る。その他の変動性の原因は、機器のパラメータ及び生X線データの処理から生じる:異なるX線機器は異なるパラメータを使用して動作し、これにより同じ固体形態からのわずかに異なるXRPDパターンをもたらす可能性があり、同様に異なるソフトウェアパッケージはX線データを異なる方法で処理し、これがまた変動性をもたらす。これら及び他の変動性の原因は、製薬分野の当業者には知られている。そのような変動性の原因により、XRPDパターンの回折角度には、約±0.2°θの変動性を割り当てるのが一般的である。
【0042】
固体形態
形態A及びBは、化合物(I)の無水多形である。形態Cは、化合物(I)の水和物であり、形態D、形態E及び形態Fは、化合物(I)の溶媒和物である。
【0043】
化合物(I)の調製及び使用は、以前に記載されている(国際公開第2017/136727号パンフレット、米国特許第9,815,850号明細書を参照されたい)。
【0044】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態では、化合物(I)は結晶性である。
【0045】
いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は、X線粉末回折(XRPD)によって特徴付けられる。
【0046】
いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は、熱重量分析(TGA)によって決定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、固体形態の結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0048】
本明細書では、以下からなる群から選択される結晶性形態が提供される:
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態A;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態B;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態C;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態D;
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態E;及び
(S)-5-ベンジル-N-(5-メチル-4-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロピリド[3,2-b][1,4]オキサゼピン-3-イル)-4H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドの形態F。
【0049】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Aが提供される。
【0050】
いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Aは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
a)
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約6.9、13.0、16.6、及び23.4±0.2°で2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図2に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)約186.7℃での開始及び約188.9℃でのピークを有する、3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)
図2に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
f)約27.8℃~約150℃で約1.0%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
g)それらの組み合わせ。
【0051】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0052】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0053】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0054】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0055】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0056】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0057】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される6つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0058】
一実施形態では、6.9、11.5、13.0、13.9、16.6、19.4、23.4、及び24.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される7つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0059】
一実施形態では、約6.9で(毎回+/-0.2)、2θ°に関するピークを含むX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0060】
一実施形態では、約6.9及び約13.0で(毎回+/-0.2)、2θ°に関するピークを含むX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0061】
一実施形態では、約6.9、13.0、16.6及び23.4で(毎回+/-0.2)、°2θ°として表されるピークを表示する1つ以上のX線粉末回折を有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0062】
一実施形態では、約13.9、16.6、19.4、及び23.4(毎回+/-0.2)を含む群から選択される1つ以上の2θ°を含むX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0063】
一実施形態では、
図1に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Aである。
【0064】
本明細書では、約186.7℃での開始及び188.9℃での吸熱ピークを有する示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、化合物(I)の結晶性形態Aも提供される。
【0065】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む、化合物(I)の結晶性形態Aの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、CPME、EtOH、IPA、アセトン、MIBK、EtOAc、IPAc、ACN、MTBE、THF、n-ヘプタン、MeOAc、2-MeTHF及びトルエンから選択される溶媒中に、50℃~70℃の範囲の設定温度で溶解する工程;
b)室温までゆっくりと冷却する工程;
c)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、工程2で形成された化合物(I)の結晶性形態Aを提供する工程。
【0066】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Bが提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Bは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
a)
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約9.6、11.5、16.4、19.2、及び23.8±0.2°で2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)表25に示されるものと実質的に同一の単位格子パラメータ;
d)
図4に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)約189.2℃での開始及び約191.9℃でのピークを有する3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
f)
図4に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
g)約23.8℃~約150℃で約1.0%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
h)それらの組み合わせ。
【0068】
本明細書では、形態Bとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態も提供される。
【0069】
一実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Bは、1つの互変異性体からなる。
【0070】
一実施形態では、少なくとも90%(w/w)の1つの互変異性体を有する化合物(I)の結晶性形態Bであって、水素が互変異性体のトリアゾール環の4位にある。
【0071】
一実施形態では、少なくとも95%(w/w)の1つの互変異性体を有する化合物(I)の結晶性形態Bであって、水素が互変異性体のトリアゾール環の4位にある。
【0072】
一実施形態では、少なくとも97%(w/w)の1つの互変異性体を有する化合物(I)の結晶性形態Bであって、水素が互変異性体のトリアゾール環の4位にある。
【0073】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1、2、3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0074】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0075】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0076】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0077】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0078】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0079】
一実施形態では、9.6、11.5、13.8、16.4、19.2、23.2、及び23.8(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される6つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bである。
【0080】
本明細書では、約9.6及び約16.4(毎回+/-0.2)で2θ°に関するピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0081】
本明細書では、約9.6、11.5、16.4、19.2、23.2及び23.8(毎回+/-0.2)で2θ°として表される1つ以上のピークを表示する、X線粉末回折を有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0082】
本明細書では、約11.5、19.2、23.2、及び23.8(毎回+/-0.2)を含む群から選択される1つ以上の2θ°を含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0083】
本明細書では、
図3に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0084】
本明細書では、a=5.0418(8)Å、b=15.320(3)Å、c=11.599(2)Å、α=90°、β=98.383(5)°、γ=90°、V=886.3(3)Å3と実質的に同一の格子パラメータを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0085】
本明細書では、a=5.0418Å、b=15.320Å、c=11.599Å、α=90°、β=98.383°、γ=90°、V=886.3Å3と実質的に同一の格子パラメータを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0086】
本明細書では、a=5.04Å、b=15.32Å、c=11.60Å、α=90°、β=98.38°、γ=90°、V=886.33Å3と実質的に同一の格子パラメータを有する、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0087】
本明細書では、約189.2℃での吸熱及び191.9℃での吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0088】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、MIBK、IPAc、H2O及び炭酸ジメチルから選択される溶媒中に溶解してスラリーを形成する工程;
b)スラリーを室温で撹拌する工程;
c)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0089】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、EtOH、IPA、EtOAc、n-PrOAc、IPA/H2O、EtOH/IPAc、MeOH/トルエン、MIBK、IPAc、H2O及び炭酸メチルから選択される溶媒中に溶解してスラリーを形成する工程;
b)スラリーを室温で撹拌する工程;
c)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0090】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、IPAc、EtOH、MIBK、EtOAc、H2O、MeOH/IPAc、EtOH/MeOAc及びTHF/H2Oから選択される溶媒中に溶解してスラリーを形成する工程;
b)スラリーを40℃~60℃の範囲の設定温度で撹拌する工程;
c)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0091】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、MIBK、IPAc、H2O及び炭酸ジメチルから選択される溶媒中に溶解してスラリーを形成する工程;
b)スラリーを40℃~60℃の範囲の設定温度で撹拌する工程;
c)1~10℃にゆっくりと冷却する工程;
d)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0092】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、DMAcとH2Oとの混合物中に溶解して、懸濁液を得る工程;
b)懸濁液を40℃~60℃の範囲の設定温度で撹拌する工程;
c)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0093】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む化合物(I)の結晶性形態Bの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を第1の容器に配置する工程;
b)第1の容器を、MeOHを含む第2の容器に配置する工程;
c)第2の容器を封止し、第2の容器を室温で10~16日間保持する工程;
d)固体を単離して、化合物(I)の結晶性形態Bを提供する工程。
【0094】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Cが提供される。
【0095】
いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Cは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
a)
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約9.8、10.2、14.8、15.2、及び20.4±0.2°で、2θ°に関するピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図7に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
d)約124.9℃での開始及び約131.3℃でのピークを有する、3つの吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)
図7に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
f)約22.4℃~約100℃で約5.7%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
g)それらの組み合わせ。
【0096】
本明細書では、形態Cとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態も提供される。
【0097】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0098】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0099】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0100】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0101】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0102】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0103】
一実施形態では、9.8、10.2、14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される6つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cである。
【0104】
本明細書では、約9.8及び約10.2(毎回+/-0.2)で、2θ°に関するピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0105】
本明細書では、約9.8、10.2、14.8、15.2及び20.4(毎回+/-0.2)を含む群から選択される2θ°に関するピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0106】
本明細書では、約14.8、15.2、18.1、20.4、及び22.3(毎回+/-0.2)を含む群から選択される1つ以上の2θ°を含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0107】
本明細書では、
図5に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0108】
本明細書では、約124.9℃での吸熱及び131.3℃での吸熱ピークを含む、示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0109】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む、化合物(I)の結晶性形態Cの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)をMeOH/H2O中で溶解し、スラリーを得る工程;
b)スラリーを40℃~60℃の範囲の設定温度で撹拌する工程;
c)1~10℃にゆっくりと冷却する工程;
d)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Cを提供する工程。
【0110】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Dが提供される。
【0111】
いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Dは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
a)
図7に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)約8.2、10.4、12.1、16.3、及び19.9±0.2°で2θ°に関してピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)表27に示されるものと実質的に等しい単位格子パラメータ;
d)
図9に示されるものと実質的に同一の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
e)約93.0℃での開始及び約96.7℃でのピークを有する吸熱事象を有する示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム;
f)
図9に示されるものと実質的に同一の熱重量分析(TGA)パターン;
g)約23.5℃~約85.0℃で約3.8%w/wの損失、及び約85.0℃~約120℃で約11.5%w/wの損失を有する熱重量分析(TGA)パターン;又は
h)それらの組み合わせ。
【0112】
本明細書では、形態Dとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態も提供される。
【0113】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3、4、5つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0114】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0115】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0116】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0117】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0118】
一実施形態では、8.2、10.4、12.1、16.3、19.9、及び21.0(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出された、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dである。
【0119】
本明細書では、約8.2及び約16.3で、2θ°に関するピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0120】
本明細書では、約8.2、10.4、12.1、16.3、及び19.9(毎回+/-0.2)を含む群から選択される1つ以上の2θ°を含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0121】
本明細書では、表27に示されるものと実質的に等しい単位格子パラメータを有する、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0122】
本明細書では、
図8に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0123】
本明細書では、約93.0℃での吸熱及び96.7℃での吸熱ピークを含む、示差走査熱量測定(DSC)曲線によって特徴付けられる、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0124】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む、化合物(I)の結晶性形態Dの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)の結晶性形態Cを第1のバイアルに配置する工程;
b)第1のバイアルをイソプロピルアルコールを含む第2のバイアル中に配置する工程;
c)第2のバイアルを封止し、第2のバイアルを室温で10~16日間保持する工程;
d)固体を単離して、化合物(I)の結晶性形態Dを提供する工程。
【0125】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Eが提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Eは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
(a)
図11に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)約9.5、17.1、20.1、20.6、及び24.6±0.2°で2θ°に関してピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン。
【0127】
本明細書では、形態Eとして特徴付けられる化合物(I)の結晶性形態も提供される。
【0128】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0129】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0130】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0131】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0132】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0133】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0134】
一実施形態では、8.11、9.5、10.0、17.1、20.1、20.6、24.6、及び30.1(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される6つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eである。
【0135】
本明細書では、
図9に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eも提供される。
【0136】
本明細書では、約9.5、17.1、20.1、20.6、及び24.6±0.2°で2θ°に関してピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Eも提供される。
【0137】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む、化合物(I)の結晶性形態Eの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)をジクロロメタンに溶解して、懸濁液を得る工程;
b)懸濁液を濾過して、濾液を得る工程;
c)濾液をバイアル中に配置して、フィルムで覆う工程;
d)室温で蒸発させて、化合物(I)の結晶性形態Eを得る工程。
【0138】
一態様では、化合物(I)の結晶性形態Fが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、化合物(I)の結晶性形態Fは、以下のうちの1つ以上を有するものとして特徴付けられる:
(a)
図12に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)約9.8、10.2、17.8、22.3、及び24.9±0.2°で2θ°に関してピークを有する、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折(XRPD)パターン。
【0139】
本明細書では、形態Fとして特徴付けられる、化合物(I)の結晶性形態も提供される。
【0140】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3、4、5、6つ又はそれ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0141】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される1つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0142】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される2つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0143】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される3つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0144】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される4つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0145】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される5つのピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0146】
一実施形態では、9.8、10.2、17.8、20.9、21.1、21.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)からなる群から選択される6つ以上のピークを含む、Cu(Kα)線を使用して導出されたX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fである。
【0147】
本明細書では、
図10に示されるものに実質的に従うX線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fも提供される。
【0148】
本明細書では、約9.8、10.2、17.8、22.3、及び24.9(°2θ±0.2°2θで表される)で2θ°に関してピークを含む、X線粉末回折パターンを有する、化合物(I)の結晶性形態Fも提供される。
【0149】
本明細書では、少なくとも以下の工程を含む、化合物(I)の結晶性形態Fの調製のためのプロセスも提供される:
a)化合物(I)を、MeOH及びMeOH/H2Oから選択される溶媒に溶解し、スラリーを形成する工程;
b)スラリーを40℃~60℃の範囲の設定温度で撹拌する工程;
c)1~10℃にゆっくりと冷却する工程;
d)濾過し、溶媒で洗浄し、乾燥させて、化合物(I)の結晶性形態Fを提供する工程。
【0150】
化合物(I)の調製
本明細書に記載される化合物は、市販の出発物質から作製されてもよく、又は既知の有機、無機、及び/若しくは酵素的プロセスを使用して合成されてもよい。例として、化合物(I)は、国際公開第2017/136727号パンフレット(米国特許第9,815,850号明細書も参照されたい)に記載されている方法、それと共に合成有機化学の技術分野において既知の合成法、又は当業者によって認められているその変形型を使用して合成することができる。
【0151】
医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、医薬組成物に製剤化される。医薬組成物は、活性化合物の薬学的に使用される調製物への加工を容易にする1つ以上の薬学的に許容される不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の概要は、例えば、そのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見出される。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、医薬製剤中で、単独で又は薬学的に許容される賦形剤と組み合わされて投与される。本明細書に記載される化合物及び組成物の投与は、化合物の作用部位への送達を可能にするいかなる方法によっても影響を受ける可能性がある。
【0153】
いくつかの実施形態では、経口投与に好適な医薬組成物は、各々所定の量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤若しくは錠剤などの個別の単位として;水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として;又は水中油液体エマルジョン若しくは油中水液体エマルジョンとして提示される。いくつかの実施形態では、活性成分は、ボーラス、舐剤又はペーストとして提示される。
【0154】
経口的に使用され得る医薬組成物としては、錠剤、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル(push-fit capsules)、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤から作製された軟質密封カプセルが挙げられる。錠剤は、場合により1つ以上の補助成分と共に、圧縮又は成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、活性成分を、粉末又は顆粒などの自由流動形態に好適な機械で圧縮し、任意選択で結合剤、不活性希釈剤、又は滑沢性の表面活性若しくは分散剤と混合することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、錠剤は、コーティングされるか分割され、その中の活性成分の遅延若しくは制御放出を提供するように製剤化される。経口投与用の全ての製剤は、そのような投与に好適な剤形である必要がある。プッシュフィットカプセルは、乳糖、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及び任意選択で安定剤と混合して活性成分を含有し得る。軟質カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解又は懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。糖衣錠コアには、好適なコーティングが提供される。この目的のために、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る濃縮糖溶液が使用されてもよい。識別のために、又は活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染色剤又は顔料が錠剤又は糖衣錠コーティングに添加されてもよい。
【0156】
具体的に上述された成分に加えて、本明細書に記載される化合物及び組成物は、問題とする製剤のタイプを考慮して、当該技術分野において慣用されている他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適なものは、香味料を含んでもよいことを理解されたい。
【0157】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Aと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Aは、実質的に純粋であり、且つ化合物(I)の他の結晶性形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Aは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0158】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Bと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Bは、実質的に純粋であり、且つ別の形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Bは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0159】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Cと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Cは、実質的に純粋であり、且つ別の形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Cは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0160】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Dと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Dは、実質的に純粋であり、且つ別の形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Dは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0161】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Eと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Eは、実質的に純粋であり、且つ別の形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Eは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0162】
本明細書では、化合物(I)の結晶性形態Fと薬学的に許容される賦形剤とを含む、医薬組成物も提供される。一態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Fは、実質的に純粋であり、且つ別の形態を実質的に含まない。別の態様では、前記医薬組成物において、前記結晶性形態Fは、全ての形態の少なくとも90重量パーセントを占める。
【0163】
投与方法及び治療レジメン
1日投与量は、用量当たり又は1日当たりに投与される本明細書に開示される化合物の総量として記載され得る。本明細書に開示される化合物の1日投与量は、約1mg~4,000mg、約1~2,000mg/日、約1~1,000mg/日、約10~500mg/日、約20~500mg/日、約50~300mg/日、約75~200mg/日、又は約15~150mg/日であり得る。
【0164】
経口投与される場合、ヒト患者の総1日投与量は、1mg~1,000mg、約1,000~2,000mg/日、約10~500mg/日、約50~300mg/日、約75~200mg/日、又は約100~150mg/日であり得る。
【0165】
ある特定の実施形態では、方法は、約1~800mgの本明細書に記載される化合物の初回1日用量を患者に投与し、臨床的有効性が達成されるまで用量を増分で増加させることを含む。用量を増加させるために、約5、10、25、50又は100mgの増分を使用することができる。投与量は、毎日、1日おきに、週に2回又は週に1回増加させることができる。
【0166】
本明細書では、RIPK1により媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Aを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0167】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Aも提供される。
【0168】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Aの使用も提供される。
【0169】
本明細書では、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Bを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0170】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Bも提供される。
【0171】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Bの使用も提供される。
【0172】
本明細書では、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Cを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0173】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Cも提供される。
【0174】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Cの使用も提供される。
【0175】
本明細書では、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Dを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0176】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Dも提供される。
【0177】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Dの使用も提供される。
【0178】
本明細書では、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Eを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0179】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Eも提供される。
【0180】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Eの使用も提供される。
【0181】
本明細書では、RIPK1によって媒介される疾患又は障害を、それを必要とする患者において治療する方法であって、有効量の化合物(I)の結晶性形態Fを患者に投与することを含む、方法も提供される。
【0182】
本明細書では、薬剤として使用するための、RIPK1受容体の阻害剤として使用するための、及びRIPK1受容体が関与する様々な疾患の治療で使用するための、化合物(I)の結晶性形態Fも提供される。
【0183】
本明細書では、RIPK1受容体の阻害を伴う疾患の治療のための医薬品の製造のための、化合物(I)の結晶性形態Fの使用も提供される。
【0184】
製造品及びキット
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の方法で使用するためのキット及び製造品が本明細書で開示される。いくつかの実施形態では、キットの追加構成要素は、例えばバイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受容するように区画を分けられている包装又は容器を含み、容器の各々は、本明細書に記載の方法で使用される別個の要素のうちの1つを含む。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、プレート、シリンジ、試験管が挙げられる。一実施形態では、容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成される。
【0185】
本明細書で提供される製造品は、包装材料を含有する。医薬包装材料の例としては、ボトル、チューブ、バッグ、容器、及び選択された製剤及び意図される使用モードに適した任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
例えば、容器は、本明細書に記載される化合物のうちの1つ以上を含む。そのようなキットは、任意選択的に、本明細書に記載される方法でのその使用に関する識別用の説明、ラベル又は取扱説明書を含む。
【0187】
キットには通常、内容物を記載したラベル及び/又は使用説明書、並びに使用説明書を含む添付文書を含む。一連の説明もまた典型的には含まれる。
【0188】
一実施形態では、ラベルは、容器上又は容器に付随している。一実施形態では、ラベルを形成する文字、数字又は他の文字が容器自体に添付、成形又は書き入れられる場合には、ラベルは容器上にあり得、ラベルが、例えば、添付文書として容器も又は保持する入れ物又は容器内に提示される場合には、これは容器に付随し得る。一実施形態では、ラベルは、内容物が特定の治療用途に使用されなければならないことを示すために使用される。ラベルはまた、本明細書に記載されている方法など、内容物の使用に関する指示も示している。
【0189】
略語
ACN又はMeCN:アセトニトリル;
CAN:硝酸セリウムアンモニウム;
CPME:シクロペンチルメチルエーテル;
DCM:ジクロロメタン;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド;
DSC:示差走査熱量測定;
DVS:動的水蒸気吸着法;
Et:エチル;
EtOAc:酢酸エチル;
EtOH:エタノール;
equiv又はeq.:当量;
FaSSIF:絶食時人工腸液;
FeSSIF:摂食時人工腸液;
FTIR:フーリエ変換赤外線;
h又はhr:時;
hrs:時間;
HPLC:高速液体クロマトグラフィー;
IPA:イソプロピルアルコール;
IPAc:酢酸イソプロピル;
KCl:塩化カリウム;
LC-MS又はLCMS又はLC/MS:液体クロマトグラフィー-質量分析;
LiCl:塩化リチウム;
M:モル;
Me:メチル;
MeOH:メタノール;
MeOAc:酢酸メチル;
Mg(NO3)2:硝酸マグネシウム;
MIBK:メチルイソブチルケトン;
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル;
mins又はmin:分;
N2:窒素;
n-PrOAc:酢酸n-プロピル;
NMR:核磁気共鳴;
RH:相対湿度;
rt又はRT:室温;
SCXRD:単結晶X線回折;
SGF:模擬胃液;
TFA:トリフルオロ酢酸;
TGA熱重量分析;
THF:テトラヒドロフラン;
2-MeTHF:2-メチルテトラヒドロフラン;
vol:体積;
w/w:重量比;及び
XRPD:X線粉末回折。
【0190】
以下の例は、例示的な目的のみを目的として提供されており、本明細書で提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0191】
装置及び方法
1.XRPD
XRPD分析には、PANalytical Empyrean及びX‘ Pert3 X線粉末回折計を使用した。使用されたXRPDパラメータを表1に列挙する。
【0192】
【0193】
2.TGA及びDSC
TGAデータを、TA Instruments製のTA Q500/Q5000 TGAを使用して収集した。DSCは、TA Instruments製のTA Q2000/Q200 DSCを使用して実施した。使用された詳細なパラメータを、表2に示す。
【0194】
【0195】
3.DVS
DVSは、SMS社(Surface Measurement Systems)のDVS Intrinsicを介して測定した。LiCl、Mg(NO3)2及びKClの潮解点に対して、25℃での相対湿度を較正した。DVS試験についてのパラメータを、表3に列挙した。
【0196】
【0197】
4.1H溶液NMR
1H溶液NMRを、DMSO-d6を使用して、Bruker 400M NMR分光計で収集した。
【0198】
1.HPLC
Agilent HPLCを利用し、純度及び溶解度測定のための詳細なクロマトグラフィー条件を表4に示す。
【0199】
【0200】
2.SCXRD
単結晶X線回折データを、Bruker D8 VENTURE回折計(Mo/Kα線、λ=0.71073Å)を使用して175Kで収集した。顕微鏡写真を、Shanghai Cewei社の双眼実体顕微鏡を使用して取り込んだ。化合物(I)形態Bの単結晶試料及び参照化合物の実験的XRPDを、PANalytical X‘Pert粉末回折計で収集した。装置パラメータを表5に示した。
【0201】
【実施例】
【0202】
実施例1:化合物(I)の形態Aの調製
100mgの化合物(I)に、0.9mLのトルエン、0.1mLのメチルシクロヘキサンを添加した。混合物を60℃に加熱し、固体を溶解して、均一な溶液を得た。この溶液を冷却し、ゴム状沈殿を観察した。混合物を撹拌しながら3日間放置したところ、沈殿物質はゴム状のままであった。室温でジイソプロピルエーテルを数滴添加した。次いで、混合物を60℃に加熱し、少量の粉末状固体残渣と思われるものが溶解されないままであった。冷却させると、多くの沈殿物が生じたが、沈殿した固体は、部分粉末/部分ゴムであるように見えた。この混合物を再び60℃に加熱し、この温度で6時間保持し-熱くすると、より粉末状の固体が直接沈殿した。混合物を冷却させ、室温で一晩撹拌し、次いで濾過し、トルエン(1mL)で洗浄して、約77mgの白色固体を得た。
【0203】
図1に示されるように、XRPDは、実施例1が結晶性であり、したがって形態Aと命名されることを明らかにした。したがって、結晶性形態Aは、約6.9、13.0、16.6及び23.4(毎回+/-0.2)で2θ°で表されるピークを表示する1つ以上のX線粉末回折を有することによって特徴付けることができ、これは任意選択的に、以下の約13.9、19.4、11.5及び24.0(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークのうちの1つ以上を更に示し、又は任意選択的に、
図1に実質的に示されるような粉末X線回折図によって更に特徴付けられる。化合物(I)の結晶性形態Aの特徴的なX線粉末回折図は、
図1で実質的に与えることができ、その特徴的信号を以下の表6にまとめる。
【0204】
実施例1のTGA及びDSCデータを、
図2に示す。TGA曲線において、150℃までで1.0%の重量減少を観測した。DSCの結果は、186.7℃(+/-2℃)での吸熱開始及び188.9℃(+/-2℃)での吸熱ピークを示した。
図2に示されるように、この融点温度は、融合AHfの高いエンタルピー(ほぼ91.7J/g)と関連している。結果によれば、形態Aは、無水物であると特徴付けられる。
【0205】
【0206】
実施例2:50℃でのスラリー法による固体形態の調製
スラリー変換実験も、12種の異なる溶媒系において50℃で実施した。約15mgの出発物質(実施例1)を、HPLCバイアル中、0.5mLの溶媒に懸濁した。懸濁液を、50℃で約2日間磁気撹拌(約1000rpm)した後、残りの固体をXRPD分析用に単離した。スラリー変換実験の結果を、表7に要約した。
【0207】
【0208】
図3に表示されるように、XRPDは、実施例2-1が結晶性であり、したがって形態Bと名付けられることを明らかにした。結晶性形態Bは、約9.6、11.5、16.4、19.2、23.2及び23.8(毎回+/-0.2)で2θ度として表される1つ以上のピークを表示する、X線粉末回折を有することによって特徴付けることができ、これは、任意選択的に、以下の約13.8(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを更に示し、任意選択的に、
図3に実質的に例示されるような粉末X線回折図によって更に特徴付けられ、その特徴的な信号は、以下の表8に要約される。
【0209】
実施例2-1のTGA及びDSCデータを表4に示す。TGA曲線において、150℃までで1.0%の重量減少を観測した。DSCの結果は、189.2℃(+/-2℃)での吸熱開始及び191.9℃(+/-2℃)での吸熱ピークを示した。
図4に示されるように、この融点温度は、融合AHfの高いエンタルピー(ほぼ93.4J/g)と関連している。結果によれば、形態Bは無水物であると特徴付けられる。実施例2-2、2-4、2-5、2-8、2-9、2-10及び2-12は、
図3と一致している。
【0210】
【0211】
実施例3:スラリーサイクリング(50~5℃)による固体形態の調製
スラリーサイクリング(50~5℃)実験を、6種の異なる溶媒系で実施した。約15mgの出発物質(実施例1)を、HPLCバイアル中、0.5mLの溶媒に懸濁した。懸濁液を、50℃で1時間磁気攪拌(約600rpm)し、次いで0.1℃/分の速度で5℃までゆっくり冷却した。得られた固体を、50℃と5℃との間で3回サイクルした後、5℃で等温に保持した。固体を、XRPD分析用に単離した。実施例3-1、3-2、3-3、3-6のXRPDは
図3と一致しているため、これらも形態Bである。表9に要約された結果は、形態A、B及びA+Bが生成されたことを示している。
【0212】
【0213】
実施例4:低速冷却法による固体形態の調製
低速冷却実験を、10種の溶媒系で実施した。約15mgの出発物質(実施例1)を、RTでHPLCバイアル中1.0mLの溶媒に懸濁した。次いで、懸濁液を50℃に加熱し、約2時間平衡化させ、PTFE膜(0.45μmの孔径)を使用して新しいバイアルに濾過し、溶解されていない物質を除去した。濾液を、0.1℃/分の速度で5℃までゆっくりと冷却した。得られた固体を5℃で等温に保持し、その後、XRPD分析用に単離した。透明な溶液をRTで蒸発乾固させ、次いで固体をXRPDによって試験した。実施例4-10のXRPDは
図3と一致しているため、それもまた形態Bである。表10に要約された結果は、形態A、形態B及び非晶質物質が得られたことを示した。
【0214】
【0215】
実施例5:RTでのスラリー法による固体形態の調製
スラリー変換実験を、14種の異なる溶媒系においてRTで実施した。約15mgの出発物質(実施例1)を、HPLCバイアル中の0.5mLの溶液に懸濁した。懸濁液をRTで約13日間の磁気撹拌(約1000rpm)した後、残りの固体をXRPD分析用に単離した。表11に要約した結果は、形態A及びBが生成されたことを示した。
【0216】
【0217】
実施例6:蒸気-固体拡散法による固体形態の調製
蒸気-固体実験を、10種の異なる溶媒を使用して実行した。約15mgの試料(実施例1)を秤量して、3mLのガラスバイアルに入れた。次いで、この3mLのバイアルを、4mLの溶媒を含む20mLのバイアルに配置した。20mLのバイアルをキャップで封止し、RTで13~14日間保持した。固体をXRPD分析用に単離した。表12に要約された結果は、形態A、B及びA+Bが観察されたことを示した。
【0218】
【0219】
実施例7:蒸気-溶液拡散法による固体形態の調製
蒸気-溶液拡散実験を、8種の異なる溶媒で実施した。およそ15mgの出発物質(実施例1)を、適切な溶媒0.2~1.6mL中に溶解して、3mLバイアル中に透明な溶液を得た。次いで、この溶液を、4mLの揮発性溶媒を含む20mLのバイアル中に配置した。20mLのバイアルをキャップで封止し、RTで有機蒸気が溶液と相互作用するのに十分な時間保持した。12日後に透明な溶液を得て、RTで蒸発させるように移し替えた。固体をXRPD分析用に単離した。表13で要約された結果は、形態A、B及び非晶質物質が観察されたことを示した。
【0220】
【0221】
実施例8:貧溶媒添加法による固体形態の調製
合計で12個の貧溶媒添加実験を行った。約20mgの出発物質(実施例1)を0.2~1.6mLの溶媒に溶解し、透明な溶液を得て、この溶液を磁気撹拌(約1000rpm)し、続いて沈殿物が出現するか、又は貧溶媒の総量が10mLに達するまで、工程当たり0.1mLの貧溶媒を添加した。得られた沈殿物を、XRPD分析用に単離した。表14の結果は、形態A、形態A+B及び非晶質物質が生成されたことを示した。
【0222】
【0223】
実施例9:逆貧溶媒添加法による固体形態の調製
逆貧溶媒添加実験を、10種の条件下で実施した。およそ15mgの出発物質(実施例1)を、0.2~1.8mLの各溶媒中に溶解し、透明な溶液を得た。この溶液を、5mLの各貧溶媒を含有するガラスバイアルにRTにて滴加した。沈殿物を、XRPD分析用に単離した。表15に要約された結果は、形態A、形態A+B、及び非晶質物質が得られたことを示した。
【0224】
【0225】
実施例10:低速蒸発法による固体形態の調製
低速蒸発実験を、12種の条件下で実行した。約15mgの出発物質(実施例1)を、3mLのガラスバイアル中の0.4~2.0mLの溶媒に溶解した。完全に溶解しない場合には、懸濁液をPTFE膜(0.45μmの孔径)を使用して濾過し、透明な溶液を得て、これをParafilm(登録商標)(3つのピンホールを有するように穿孔した)によって封止されたバイアルを用いてRTでの蒸発に供した。蒸発中に固体が形成され、XRPD分析用に単離し、表16に要約された結果は、形態A、形態A+B、及び非晶質物質が得られたことを示した。
【0226】
【0227】
実施例11:化合物(I)の形態Aの調製
10gの化合物(I)を、無水トルエン(80mL)にRTで添加することによって、形態Aを代替的に調製した。混合物を80℃に加熱して、物質を溶解し、次いで60℃に冷却し、60℃で一晩保持した。混合物をRTまで徐々に冷却し、混合物をRTで約18時間撹拌した。真空濾過により固体を収集し、トルエンで洗浄し、フィルターを通して空気を1時間引き込むことによって乾燥させて、所望の生成物を白色結晶性固体として提供し、これをXRPD、TGA及びDSCによって特性化した。実施例11のXRPDは、
図1と一致する。実施例11のTGA及びDSCは
図2と一致し、そのため実施例11も形態Aであった。
【0228】
実施例12:50℃でのスラリー法による形態Bの調製
約15mgの出発物質(実施例1)を、HPLCバイアル中の0.5mLのIPAcに懸濁した。懸濁液を、50℃で約4日間磁気撹拌(約1000rpm)し、固体をXRPD分析用に単離した(実施例12)。実施例12のXRPDパターン及びTGA/DSC曲線は、それぞれ
図3及び
図4と一致する。150℃までで1.0%の重量減少及び188.7℃(開始温度)での吸熱を、TGA/DSC曲線で観察した。
【0229】
実施例13:スラリーサイクリング(50~5℃)及び50℃でのスラリー法による形態Bの調製
実施例13を、H
2O中50℃~5℃の温度サイクリング、続いて50℃で1日間のスラリーを介して調製した。実施例13のXRPDパターンは
図3と一致したため、実施例13は形態Bであった。
【0230】
実施例14:低速蒸発による単結晶の調製
最初に、5.1mgの化合物(実施例1)の出発物質を秤量して、3mLのガラスバイアルに入れ、続いて0.35mLのMeOHを添加した。溶解を加速させるため、ボルテックス上で振動させ、超音波で振盪させた後、次いで溶液をPTFEフィルター膜(0.45μm)を通して濾過し、使い捨てシリンジで4mLのシェルバイアル(44.6mm×14.65mm)に入れた。少量の結晶試料(実施例10-1)を種結晶としてバイアルに添加し、次いで、バイアルをその上に1つのピンホールを有するPE-Plugを使用してカバーし、RTで低速蒸発させた。5日後に、棒状の単結晶を得た。
【0231】
実施例15:化合物(I)の形態Cの調製
化合物(I)の結晶性形態を、RTで1日間のDCM溶液の蒸発、それに続くRTでの乾燥を介して得た。XRPDパターン及びTGA/DSC曲線を、
図5及び
図7に示す。
図5に表示されるように、XRPDは、実施例15が結晶性であることを明らかにしたので、形態Cと命名した。
【0232】
或いは、形態Cを、低速冷却法によって調製した。メタノール-水中の化合物(I)の溶液を、約50℃に加熱した。熱混合物を濾過し、濾液を5℃にゆっくりと冷却した。沈殿した固体を濾過し、得られた固体を水と数日間混合した。得られたスラリーを濾過し、形態Cを提供した。
【0233】
結晶性形態Cは、約9.8、10.2、14.8、15.2及び20.4(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを表示するX線粉末回折を有することによって特徴付けられ、それは任意選択的に、以下の約18.1及び22.3(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを更に示し、任意選択的に、
図5に実質的に例示されるもののような粉末X線回折図によって更に特徴付けられ、その特徴的な信号は、以下の表17に要約される。
【0234】
蒸発によって調製された形態Cでは、100℃までで5.7%の重量減少がTGA曲線で観察された。DSCデータは、80.9℃(ピーク温度)及び124.9℃(開始温度)で2つの吸熱を示した。
図6のH NMRは、DCM溶媒が観察され、DCM:自由形態のモル比が、約0.04:1(0.9重量%)であることを示した。XRPDの比較パターンは、形態Cについて100℃に加熱し、RTに冷却後に形態変化が観察されないことを示した。加熱後の形態CのTGA及びDSCの結果は、TGA曲線で100℃までで2.5%の重量減少を示し、一方、DSC曲線では、76.5℃(ピーク温度)及び127.0℃(開始温度)での2つの吸熱が観察された。形態同定のために、可変温度XRPD(VT-XRPD)を形態Cで実施した。XRPDパターンは、形態CをN
2下で100℃に加熱した後、変化が観察されないことを示した。TGAの重量減少が大きく、水/溶媒の除去後に、XRPDの変化がない(VT-XRPD)ことが考慮される。単結晶構造の決定により、形態Cがチャネル水和物(脱水後に、形態変化がない)であることを確認した。
【0235】
【0236】
実施例16:形態D-IPA溶媒和物の調製
実施例6に記載される手順に概ね従って、化合物(I)の結晶性形態を、IPA中で約6日間の化合物(I)の形態Cの蒸気-固体拡散を介して得た。
図8に表示されるように、XRPDは実施例16が結晶性であることを明らかにしたので、形態Dと命名した。化合物(I)の結晶性形態Dは、約8.2、10.4、12.1及び16.3(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを表示するX線粉末回折を有することによって特徴付けられ、これは任意選択的に、以下の約19.9及び21.0(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを更に示し、任意選択的に、
図8に実質的に例示されるもののような粉末X線回折図によって更に特徴付けられ、その特徴的な信号は、以下の表18に要約される。
【0237】
TGA/DSC曲線を、
図9に示す。85℃までの3.8%及び85℃~120℃の11.5%の二段階の重量減少がTGA曲線で観察された。DSCデータは、93℃(開始温度)での1つの吸熱を示した。
1H NMRは、IPA溶媒が観察され、IPA:自由形態のモル比が、形態Dでは0.8:1(11.3重量%)であることを示し、これはTGAの二段階の重量減少に対応した(
図10)。形態同定のために、形態Dを100℃に加熱し、RTまで冷却した。XRPDの比較は、D試料が加熱され、RTまで冷却された後に、形態Cに変換されたことを示す。この結果によれば、形態Dは、IPA溶媒和物であると特徴付けられた。
【0238】
【0239】
実施例17:形態E-DCM溶媒和物の調製
15mgの出発物質(実施例1)を、3mLのガラスバイアル中0.4~2.0mLのDCMに溶解した。懸濁液を、PTFE膜(0.45μmの孔径)を使用して濾過し、濾液をParafilm(登録商標)(3つのピンホールを有するように穿孔した)によって封止されたバイアルを用いて、RTでの蒸発に供した。いくらかの固体が、溶液中で観察された。湿潤試料(XRPD試験時に、プラスチックフィルムで覆われた)のXRPDパターンを
図11に示し、その形態が、形態Eとして特徴付けられた。化合物(I)のDCM溶媒和物形態Eは、約9.5、17.1、20.1、20.6及び24.6(毎回+/-0.2)での2θ°として表されるピークを表示するX線粉末回折を有することによって特徴付けられ、これは任意選択的に、以下の約8.11、10.0及び30.1(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを更に示し、任意選択的に、
図11に実質的に例示されるような粉末X線回折によって更に特徴付けられる。
【0240】
化合物(I)のDCM溶媒和物形態Eの特徴的なX線粉末回折図を、
図11に実質的に提供することができ、その特徴的な信号を、以下の表19に要約する。
【0241】
XRPDの比較は、形態Eが周囲条件に曝されると、形態Cに変換されることを示した。したがって、TGA及びDSCの特性化は、形態Eについては実行されなかった。単結晶構造決定の結果によれば、形態EはDCM溶媒和物である。
【0242】
【0243】
実施例18:形態F-MeOH溶媒和物の調製
実施例4に記載される手順に概ね従って、実施例18を、MeOH又はMeOH/H
2O(19:1)溶液からの低速冷却(50℃から5℃への)を介して得ることができる。単結晶構造決定の結果は、形態Fが、MeOH溶媒和物であることを示し、形態Fの算出されたXRPDパターンを
図12に示す。化合物(I)のMeOH溶媒和物形態Fは、約9.8、10.2、17.8、22.3及び24.9(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを表示するX線粉末回折を有することによって特徴付けられ、これは任意選択的に、以下の約20.9、21.1及び21.8(毎回+/-0.2)で2θ°として表されるピークを更に示し、任意選択的に、
図12に実質的に例示されるような粉末X線回折によって更に特徴付けられる。
【0244】
化合物(I)のMeOH溶媒和物形態Fの特徴的なX線粉末回折図を、
図12に実質的に提供することができ、その特徴的な信号を、以下の表20に要約する。実験的XRPD、TGA及びDSCデータは、形態Fについては収集されなかった。
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
実施例19:結晶形態の相互変換研究
形態A、B及びC間の熱力学的安定性関係を理解するために、H
2O及びn-ヘプタン員おけるスラリー競合実験を、RT及び70℃で実行した。研究の前に、出発物質(化合物(I)の形態A)を使用して、RT及び70℃で対応する溶媒を飽和させ、その後濾過して、ほぼ飽和した溶液を得た。形態A、形態B及び形態Cの等量(約5mg)を秤量し、次いで0.3mLの調製した溶液に添加し、新しい懸濁液を形成し、これをRT/70℃で約2日間磁気撹拌(約1000rpm)した。表21に要約されるように、形態Bは4つの条件で得られ、形態BがRTから70℃までで形態A及びCよりも熱力学的に安定であったことを示している。室温(RT、25±2℃)及び70℃で、形態A及び形態Cは、H
2O及びn-ヘプタン中で2日後に形態Bに変換され、形態BがRTから70℃までで形態A/B/Cの中で熱力学的により安定な形態であったことを示している。詳細な相互変換関係は、
図13に示される概略図に言及され得る。
【0249】
【0250】
実施例20:動的水蒸気吸着法(DVS)
固体形態の安定性を湿度の関数として調べるために、形態A、形態B、及び形態CのDVS等温プロットを、0~95%のRHで25℃にて収集した。全ての試料をDVS試験後にXRPDを使用して特性化したところ、形態変化は観察されなかった。
【0251】
約摂氏25度(+/-0.2℃)の温度で、0パーセント~95パーセントの相対湿度の範囲における動的水蒸気吸着法(DVS)によって決定されるように、化合物(I)の結晶性形態A、形態B、及び形態Cは、それぞれ約0.09重量パーセント、0.07重量パーセント、及び5.7重量パーセントの重量増加を示す。
【0252】
本明細書で使用される「吸湿性がない」という用語は、約摂氏25度(+/-0.2℃)で0~95パーセントの相対湿度の範囲で測定される場合、化合物の重量に基づいて0.2重量パーセント未満の重量増加を示す化合物を指す。したがって、これらの結果は、化合物(I)の結晶性形態A及び形態Bが吸湿性を示さないことを実証している。
【0253】
実施例21:物理的及び化学的安定性
物理的及び化学的安定性を評価するために、形態A、形態B及び形態Cを、3つの条件(40℃/75%RH;25℃/60%RH;及び60℃)で2週間及び4週間保存した。全ての試料を、XRPD及びHPLCを使用して特性化した。XRPDの結果は、観察可能な形態変化がないことを示した。HPLCの結果は、顕著なHPLC純度変化が観察されないことを示した。
【0254】
実施例22:動態溶解度
形態A、形態B、及び形態Cの動態溶解度試験を、37℃で生態関連媒体(SGF、FaSSIF及びFeSSIF)及びH2Oで実行した。固体を、FaSSIF、FeSSIF、SGF及びH2O中に約10mg/mLの目標濃度で懸濁させた。懸濁液を、回転式インキュベーターで25rpm(37℃に設定したインキュベーター内)で1、4及び24時間撹拌した。各時点で、1mLの懸濁液をピペットで取り出し、25000rpmで遠心分離し(3分)、0.45μmの膜を通して濾過し、HPLC溶解度及びpH試験用の上清を得た。残留固体を、XRPDによって分析した。生態関連媒体又はH2Oでの動態溶解度試験後には、形態A及び形態Bで形態変化は観察されなかったが、形態Cの試料は、溶解度試験後に形態Aに変換した。形態A/B/Cの溶解度を、表22~24に要約する。
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
実施例23:平衡溶解度
形態Bの平衡溶解度を、8種のpH緩衝液(すなわち、pH1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0)中で、RTにて24時間測定した。固体を、pH緩衝液中に約10mg/mLの目標濃度で懸濁させた。懸濁液を、RTで24時間スラリー化させ(1000rpm)、その後20000rpm(2分)で遠心分離し、0.45μmの膜を通して濾過し、HPLC溶解度及びpH試験用の上清を得た。残留固体を、XRPDによって分析した。pH緩衝液中の溶解度評価後に、形態Bについて形態変化は観察されなかった。
【0259】
実施例24:形態Bの単結晶構造の決定
良好な回折品質を有する好適な単結晶を、棒状結晶試料(実施例14)から選択し、無作為な配向でマイラーループに取り付け、175Kで窒素流に浸した。予備的な検査及びデータ収集を、Bruker D8 VENTURE回折計(Mo/Kα線、λ=0.71073Å)で実施し、APEX3ソフトウェアパッケージで分析した。
【0260】
データ収集のための格子パラメータ及び配向マトリックスを、2.217°<θ<27.401°の範囲での9086回の反射の設定角を使用して、SAINT(Bruker、V8.37A)ソフトウェアによって取得し、精密化した(最小二乗精密化)。データを、175Kで27.549°の最大回折角度(θ)まで収集した。データセットは、θで27.549°まで99.30%完了しており、15.3の平均I/σ及び0.77ÅのD min(Mo)を有する。
【0261】
SADABS-2014/5(Bruker、2014/5)を使用して、多重走査吸収補正を実行した。wR2(int)補正前は0.1401であり、補正後は0.0825であった。この物質の吸収係数μは、この波長(/.:=0.71073Å)で0.100mm-1であり、最小透過率及び最大透過率は0.5818及び0.7456である。等価反射の強度を平均化した。平均化の一致率は、強度に基づいて5.22%であった。
【0262】
構造を、ShelXT1構造解決プログラムを使用するIntrinsic Phasingによって空間群P21で解決し、OLEX23に含まれるShelXL2(Sheldrick,2015)精密化パッケージのバージョン2017/1を使用する最小二乗法によって精密化した。全ての非水素原子を、異方性で精密化した。水素原子の位置を、フーリエマップに従って自由に精密化した。
【0263】
結晶系は単斜晶系であり、空間群はP21である。格子パラメータは、a=5.0418(8)Å、b=15.320(3)Å、c=11.599(2)Å、α=90°、β=98.383(5)°、γ=90°、V=886.3(3)Å3である。式量は、Z=2で378.39g・mol-1であり、1.418g・cm-3の算出された密度をもたらす(表25)。
【0264】
【0265】
結晶格子中の化合物の熱楕円体の描画を、
図14に示す。単結晶構造中の水素結合を、
図15及び表26に示す。単結晶構造データから生成した算出されたXRPD及び単結晶試料の実験的XRPDパターンは、
図16に示される化合物(I)の形態B基準と一致している。
【0266】
【0267】
実施例25:形態Eの単結晶構造の決定
良好な回折品質を有する好適な単結晶をブロック状結晶試料から選択し、単結晶X線回折法によって分析した。
【0268】
データ収集のための格子パラメータ及び配向マトリックスを、2.907°<θ<24.230°の範囲での4176回の反射の設定角を使用して、SAINT(Bruker、V8.37A、2013年以降)ソフトウェアによって取得し、精密化した(最小二乗精密化)。データを、175Kで27.506°の最大回折角度(θ)まで収集した。データセットは、θで27.506°まで98.4%完了しており、7.2の平均I/σ及び0.77ÅのD min(Mo)を有する。
【0269】
フレームを、SAINT(Bruker、V8.37A、2013年以降)に統合させた。合計で14827回の反射が収集され、そのうち4858回が固有のものであった。ローレンツ及び分極補正をデータに適用した。SADABS-2014/5(Bruker、2014/5)を使用して、多重走査吸収補正を実行した。wR2(int)補正前は0.1189であり、補正後は0.0837であった。この物質の吸収係数μは、この波長(/.:=0.71073Å)で0.337mm-1であり、最小透過率及び最大透過率は0.5036及び0.7456である。等価反射の強度を平均化した。平均化の一致率は、強度に基づいて8.52%であった。
【0270】
構造を、ShelXT1構造解決プログラムを使用するIntrinsic Phasingによって空間群P212121で解決し、OLEX23に含まれるShelXL2(Sheldrick,2015)精密化パッケージのバージョン2017/1を使用する最小二乗法によって精密化した。全ての非水素原子を、異方性で精密化した。炭素原子上に存在する水素原子の位置を幾何学的に計算し、ライディングモデルを用いて精密化したが、窒素上に存在する水素原子は、フーリエマップに従って自由に精密化した。
【0271】
結晶の構造を首尾よく決定した。結晶系は斜方晶系であり、空間群はP212121である。格子パラメータは、a=9.5908(13)Å、b=10.2639(16)Å、c=21.863(3)Å、α=90°、β=90°、γ=90°、V=2152.2(5)Å3である。式量は、Z=4で463.32g・mol-1であり、1.430g・cm-3の算出された密度をもたらす(表27)。
【0272】
単結晶構造の非対称単位は、1つの化合物(I)の分子と1つのDCM溶媒分子から構成され、この結晶が化合物(I)のDCM溶媒和物であることを示している。結晶構造中の化合物(I)の分子及びDCM溶媒分子の熱楕円体の描画を
図17に示す。単結晶構造の決定により、化合物中のキラル原子の絶対配置割り当て(R/S)を、C11(S)として確認した。単結晶構造データから生成した算出されたXRPDを、
図18に示す。
【0273】
【0274】
結論
DSC及びDVSの上述の結果から示されるように、無水物結晶性形態B及び形態Aは、形態C及び形態D、形態E及び形態Fと比較して、より高い融点及びより低い吸湿性を有する。上に示したスラリー競合実験から、形態A及び形態Cは、H2O及びn-ヘプタン中で2日間のスラリー後に形態Bに変換し、形態Bが形態A、形態B、及び形態Cの中でRTから70℃までで熱力学的により安定な形態であったことを示している。
【0275】
したがって、化合物(I)の無水物結晶性形態Bは、工業規模での使用及び貯蔵に最も好適な生成物であると考えられる。実際に、化合物(I)の無水物結晶性形態Bは、上記に示されているように吸湿性ではなく、安定(融点の値)である。
【国際調査報告】