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特表2025-503654塗布システムおよび関連する監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】塗布システムおよび関連する監視方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20250128BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20250128BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20250128BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20250128BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20250128BHJP
   B05D 7/24 20060101ALN20250128BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C11/00
B05B12/00 A
B05C5/00 101
B05D3/00 B
B05D7/24 301N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541277
(86)(22)【出願日】2023-01-02
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2023050008
(87)【国際公開番号】W WO2023131583
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】102022100401.5
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389784
【氏名又は名称】デュール システムズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Durr Systems AG
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】コッホ、ニコ
(72)【発明者】
【氏名】トーメ、パウル
(72)【発明者】
【氏名】ノアク、ドミトリ
(72)【発明者】
【氏名】クルツェンベルガー、ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4D075
4F035
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC01
4D075AC84
4D075AC91
4D075BB91Y
4D075DC12
4D075EA39
4F035AA03
4F035BA03
4F035BA06
4F035BB02
4F035BC03
4F035BC06
4F041AA07
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA35
4F041BA38
4F042AA09
4F042BA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB11
4F042CB13
4F042CB19
4F042DH09
(57)【要約】
本発明は、部品(例えば自動車の車体部品)に塗布剤(例えばシーリング材)を塗布するための塗布システムに関する。本発明による塗布システムは、少なくとも1つのノズル(11.1~11.3)を有する塗布器(2)と、塗布器(2)に塗布剤を供給するための供給ライン(17)と、塗布器(2)への供給ライン(17)または塗布器(2)内の測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p、Q)を供給するセンサ(19、20)と、センサ(19、20)に接続され、センサのセンサ信号(p、Q)を評価する監視ユニット(5)とを備える。本発明は、監視ユニット(5)が、センサ信号(p、Q)を評価することによって、塗布器(2)のノズル(11.1~11.3)の1つが、徐々に発生するノズルの詰まりを示すか否かを認識することを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品に塗布剤を塗布するための塗布システム、特に自動車車体部品にシーリング材、絶縁材または接着剤を塗布するための塗布システムであって、
a)前記部品に前記塗布剤を塗布するための少なくとも1つのノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)を有する塗布器(2、22.1-22.4)と、
b)前記塗布器(2、22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するための供給ライン(17、26.1-26.4)と、
c)前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を供給するセンサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)と、
d)前記センサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)に接続され、前記センサのセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価する監視ユニット(5)と、を備え、
e)前記監視ユニット(5)は、前記塗布器(2、22.1-22.4)の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示すかどうかを、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価することによって認識する、ことを特徴とする、
塗布システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記センサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)が、
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の前記塗布剤の圧力を測定する圧力センサ(20、29.1-29.4)、
b)前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内を流れる前記塗布剤の物質流量、特に前記塗布剤の質量流量または体積流量を測定する物質流量センサ(19、28.1-28.4)、
の何れか1つのタイプのセンサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)の1つに属する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の塗布システム。
【請求項3】
a)前記塗布システムは、前記供給ライン(17、26.1-26.4)および/または前記塗布器(2、22.1-22.4)を制御するための少なくとも1つのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)を備え、
b)前記アクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)は、制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)によって制御され、
c)前記監視ユニット(5)は、前記アクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)の前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)を検出し、前記塗布器(2、22.1-22.4)の異なる作動と徐々に発生するノズルの詰まりとを区別するために、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)の評価を考慮する、ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の塗布システム。
【請求項4】
少なくとも1つのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)が、
a)個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)への塗布剤の流れを制御する制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)であって、それぞれの制御信号(s1-s3、s1-s4)がそれぞれの制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の弁位置を制御する制御弁、
b)塗布器(2、22.1-22.4)に塗布剤の流れを送出するポンプ(18、27.1-27.4)であって、それぞれの制御信号(n、n1-n4)が、それぞれの前記ポンプ(18、27.1-27.4)によって送出される塗布剤の流れを制御するポンプ(18、27.1-27.4)、
の何れか1つのタイプのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)に属する、ことを特徴とする、
請求項3に記載の塗布システム。
【請求項5】
a)前記塗布器(2)の前記ノズル(11.1-11.3)のそれぞれは、それぞれの前記ノズル(11.1-11.3)を通る前記塗布剤の流れを制御するアクチュエータとしてそれぞれの制御弁(16.1-16.3)が割り当てられ、
b)前記制御弁(16.1-16.3)は、それぞれの前記制御弁(16.1-16.3)の切替時間を制御する制御信号(s1-s3)によって作動し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記ノズル(11.1-11.3)を互いに比較し、徐々に発生するノズルの詰まりを検出できるように、個々の前記制御弁(16.1-16.3)用の前記制御信号(s1-s3)を考慮し、
d)前記監視ユニット(5)は、好ましくは、前記制御弁(16.1-16.3)の前記切替時間後の観察期間において、前記センサ信号(p、Q)を評価する、ことを特徴とする、
請求項3または4に記載の塗布システム。
【請求項6】
a)前記監視ユニット(5)は、動作中に機械学習アルゴリズムが実行されるAIコンピュータ(8)を備え、
b)前記機械学習アルゴリズムは、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)、好ましくは前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)も評価し、前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示すかどうかを認識する、ことを特徴とする、
請求項1から5の何れか1項に記載の塗布システム。
【請求項7】
a)前記機械学習アルゴリズムは、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)と、その結果得られる前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)との関係を、訓練プロセスにおいて、ノズルの詰まりを伴わない教師あり学習によって学習し、
b)塗布モードにおける前記機械学習アルゴリズムは、測定された前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)から、前記制御信号の影響が差し引かれた残差値を計算し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記残差値を評価し、前記残差値の異常(21)を徐々に発生するノズルの詰まりの兆候として認識する、ことを特徴とする、
請求項6に記載の塗布システム。
【請求項8】
a)前記監視ユニット(5)は、個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の切替時間を決定し、
b)前記監視ユニット(5)は、前記切替時間に続く観察期間において、各ケースにおける前記残差値を評価する、ことを特徴とする、
請求項7に記載の塗布システム。
【請求項9】
前記監視ユニット(5)は、徐々に発生する前記ノズルの詰まりを検出するために、異なるノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の切替時間後の残差値を比較する、ことを特徴とする、
請求項7または8に記載の塗布システム。
【請求項10】
a)前記塗布器(2、22.1-22.4)を移動させるための塗布ロボット(1.1-1.4)と、
b)前記塗布ロボット(1.1-1.4)を制御するためのロボットコントローラ(3.1-3.4)と、を備える、ことを特徴とする、
請求項1から9の何れか1項に記載の塗布システム。
【請求項11】
a)複数の塗布ロボット(1.1-1.4)が提供され、そのそれぞれが塗布器(2、22.1-22.4)を動かし、
b)個々の前記塗布ロボット(1.1-1.4)は、それぞれロボットコントローラ(3.1-3.4)によって制御され、
c)前記塗布ロボット(1.1-1.4)は、ロボットセル、特に共通の塗布キャビンに一緒に配置され、
d)前記ロボットセルを制御するためのセルコントローラ(4)が設けられ、前記セルコントローラ(4)は、前記ロボットセル内の前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記塗布ロボット(1.1-1.4)を包括的に制御する、ことを特徴とする、
請求項10に記載の塗布システム。
【請求項12】
a)接続コンピュータ(6)であって、
a1)前記接続コンピュータ(6)は、一方では、前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記セルコントローラ(4)に接続され、前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記セルコントローラ(4)から前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を受信し、
a2)他方では、前記接続コンピュータ(6)は、前記AIコンピュータ(8)に接続され、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を前記AIコンピュータ(8)に供給し、および/または
b)前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を保存するためのデータベースコンピュータ(7)であって、前記データベースコンピュータ(7)は、好ましくは、前記接続コンピュータ(6)に接続され、前記接続コンピュータ(6)から前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を受信し、および/または
c)前記評価の結果を表示するためのグラフィックコンピュータ(9)であって、前記グラフィックコンピュータ(9)は、前記接続コンピュータ(6)または前記データベースコンピュータに接続されていることが好ましい、ことを特徴とする、
請求項11に記載の塗布システム。
【請求項13】
a)複数の塗布器(22.1-22.4)が提供され、
b)前記塗布器(22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するために複数の供給ライン(26.1-26.4)が設けられ、前記供給ライン(26.1-26.4)の1つが前記塗布器(22.1-22.4)のそれぞれに割り当てられ、
c)前記センサ(28.1-28.4、29.1-29.4)の少なくとも1つが前記供給ライン(26.1-26.4)のそれぞれに割り当てられ、前記センサ(28.1-28.4、29.1-29.4)は、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p1-p4、Q1-Q4)を供給し、
d)前記監視ユニット(5)は、個々の前記供給ライン(26.1-26.4)における徐々に発生するノズルの詰まりを、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の異なる作動から区別するために、異なる供給ライン(26.1-26.4)のセンサ(28.1-28.4、29.1-29.4)からの前記センサ信号(p1-p4、Q1-Q4)を互いに比較し、
e)前記アクチュエータ(27.1-27.4、25.1-25.4)の少なくとも1つが、前記供給ライン(26.1-26.4)のそれぞれに割り当てられ、および/または
f)前記監視ユニット(5)は、個々の前記供給ライン(26.1-26.4)における徐々に発生するノズルの詰まりを、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の異なる作動から区別するために、異なる前記供給ライン(26.1-26.4)内のアクチュエータ(27.1-27.4、25.1-25.4)の前記制御信号(n1-n4、s1-s4)を考慮する、ことを特徴とする、
請求項1から11の何れか1項に記載の塗布システム。
【請求項14】
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)を通して前記塗布器(2、22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するステップと、
b)前記センサによって、前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の少なくとも1つの測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を生成するステップと、
c)前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価して、前記塗布器(2、22.1-22.4)の前記ノズル(11.2-11.3、23.1-23.4)の1つの徐々に発生するノズルの詰まりを検出するステップと、を備える、
請求項1から13の何れか1項に記載の塗布システムの監視方法。
【請求項15】
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)および/または前記塗布器(2、22.1-22.4)を、制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)で作動させるステップと、
b)前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)を評価して、徐々に発生したノズルの詰まりと異なる作動を区別するステップと、を備える、ことを特徴とする、
請求項14に記載の監視方法。
【請求項16】
a)前記機械学習アルゴリズムが、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)と、その結果得られる前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)との関係を、訓練プロセスにおいて、ノズルの詰まりを伴わない教師あり学習によって学習し、
b)塗布モードにおける前記機械学習アルゴリズムが、測定された前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)から、前記制御信号の影響を差し引いた残差値を計算し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記残差値を評価し、前記残差値の異常(21)を徐々に発生するノズルの詰まりの兆候として認識する、ことを特徴とする、
請求項14または15に記載の監視方法。
【請求項17】
a)前記監視ユニット(5)は、個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の切替時間を決定し、
b)前記監視ユニット(5)は、前記切替時間に続く観察期間において、各ケースにおける前記残差値を評価する、ことを特徴とする、
請求項16に記載の監視方法。
【請求項18】
前記監視ユニット(5)は、徐々に発生する前記ノズルの詰まりを検出するために、異なるノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記残差値を互いに比較する、ことを特徴とする、
請求項17に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品に塗布剤を塗布するための塗布システムに関し、特に自動車車体部品にシーリング材、絶縁材料または接着剤を塗布するための塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車体部品塗装工場では、車体部品に塗料を塗るだけではない。さらに、防錆のために、例えば、板金継ぎ目にシーリング剤を塗布する、いわゆる板金シームシーリングも行われる。ここでは、塗布ロボットが、ノズルを備えた塗布器をそれぞれの板金継ぎ目に沿って誘導し、それにより、塗布器が板金継ぎ目にシーリング剤を塗布する。通常、複数の塗布ロボットが塗布ブースで同時に使用され、それぞれが塗布器を案内する。
【0003】
異なる用途のために3つのノズルを有する塗布器を使用することも先行技術から知られており、そのような塗布器は、本出願人によって「EcoGun2 3D」という製品名で販売されている。このような塗布器の運転中、塗布器のノズルにおいて、徐々にノズルの詰まりが発生することがあり、これは突発的なノズル詰まりとは区別されなければならない。例えば、突発的なノズルの詰まりは、突然ノズルを詰まらせる材料チップによって発生する可能性がある。このような突発的なノズルの詰まりは、比較的簡単に発見できる。しかしながら、より問題なのは、塗布中にゆっくりと発生し、材料が硬化してノズル壁に堆積することによって徐々に起こるノズル詰まりである。この徐々に発生するノズル詰まりは、塗布作業中に数時間または数日で発生し、ノズル形状の変化につながる。それにより、放出されるシーリング材の噴流が細くなったり、渦を巻いたり、偏向したりするため、コストのかかる手作業による車体部品の再加工が必要になる。
【0004】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9も参照すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2021/047753
【特許文献2】特許第6733830号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0281012号明細書
【特許文献4】特開2007-260531号公報
【特許文献5】欧州特許第1658145号明細書
【特許文献6】米国特許第4894252号明細書
【特許文献7】欧州特許第2922640号明細書
【特許文献8】米国特許第4822647号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2019/0232320号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明は、塗布システムにおける徐々に発生するノズルの詰まりを検出し、対策を迅速に講じることができることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明による塗布システムまたは独立請求項による対応する監視方法により解決される。
【0008】
本発明は、塗布剤を部品に塗布するための塗布システムに関し、特に、シーリング材、絶縁材料または接着剤を自動車車体部品に塗布するための塗布システムに関する。従って、本発明は、塗布剤の種類に関してシーリング材に限定されるものではなく、他の種類の塗布剤を用いて実現することもできる。さらに、本発明は、塗布される部品の種類に関しても自動車車体部品に限定されるものではなく、原理的には他の種類の部品でも実現可能である。
【0009】
当技術分野に従って、本発明による塗布システムは、塗布剤(例えばシーリング材、絶縁材料、接着剤)を部品(例えば自動車車体部品)に塗布する役割を果たす少なくとも1つの塗布器を備える。
【0010】
本発明の好ましい変形例では、塗布器は、上述の公知の塗布器「EcoGun2 3D」に従い、複数のノズル、例えば3つのノズルを備える。そして、本発明は、塗布器のノズルのうちの1つにおける徐々に発生するノズルの詰まりの検出を可能にする。
【0011】
一方、本発明の別の変形例では、複数の塗布器がそれぞれ少なくとも1つのノズルを備えることが提供され、この場合、本発明により、塗布器のうちの1つにおいて徐々に発生するノズルの詰まりを検出することが可能になる。
【0012】
本発明のこれら2つの変形例(複数のノズルを有する少なくとも1つの塗布器、または少なくとも1つのノズルをそれぞれ有する複数の塗布器)を以下に別々に説明する。
【0013】
さらに、本発明は、塗布器に塗布剤を供給するための少なくとも1つの供給ラインを有する。上記で簡単に説明した複数の塗布器を有する本発明の変形例では、複数の供給ラインも設けられ、それらは、以下に詳細に説明されるように、個々の塗布器に割り当てられる。しかし、本発明の好ましい変形例では、複数のノズルを有する1つの塗布器が提供され、この塗布器には、単一の供給ラインによって塗布剤が供給される。
【0014】
さらに、冒頭で説明した公知の塗布システムに従って、本発明による塗布システムは、塗布器への供給ラインまたは塗布器内の測定変数を測定し、対応するセンサ信号を供給する少なくとも1つのセンサを備える。例えば、センサは、供給ライン中の塗布剤の圧力、または塗布器への供給ライン中を流れる流量(例えば体積流量)を測定することができる。
【0015】
本発明は容積計量に適している。体積流量は実際に直接測定する必要はなく、計算することができる。体積流量は、ピストン・ディスペンサ内のシール材の変位に起因し、ピストン・ディスペンサは、サーボモータによって駆動される。計測は、サーボモータ内で行われ(速度または位置の制御)、そして、体積流量は計測された速度から導き出され得る。
【0016】
さらに、冒頭で説明した公知の塗布システムに従って、本発明による塗布システムは、センサに接続され、センサからのセンサ信号を評価する監視ユニットも備える。
【0017】
従来技術では、監視ユニットは、塗布システムの動作を制御し、指定された塗布パラメータ(例えば、塗布剤の圧力)が可能な限り正確に維持されることを保証するタスクのみを有する。本発明は、センサ信号を評価することにより、ノズルの1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示しているかどうかを検出する監視ユニットを提供する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、複数のセンサが各供給ラインに割り当てられ、それらは供給ライン内または関連する塗布器上の異なるポイントに配置される。また、様々なセンサは、例えば、流量(体積流量または質量流量)または塗布剤の圧力のような、異なる測定変数を検出することができることも言及されるべきである。例えば、2つのセンサをこのように供給ライン内に配置することができるが、本発明の範囲内では、より多数のセンサを配置することも可能である。
【0019】
センサの種類に関しては、本発明は特定のセンサの種類に限定されるものではない。例えば、供給ラインまたは塗布器内の塗布剤の圧力を測定する圧力センサを使用することができる。さらに、本発明の範囲内で、それぞれの供給ライン内で塗布器に流れる塗布剤の材料フローを測定する材料フローセンサを使用することも可能である。例えば、それぞれの供給ラインで関連する塗布器に流れる塗布剤の質量流量または体積流量は、この方法で測定することができる。
【0020】
さらに、本発明による塗布システムは、好ましくは、供給ラインおよび/または塗布器を制御するために使用され、制御信号によって制御される少なくとも1つのアクチュエータを備える。本発明の好ましい実施形態では、監視ユニットは、塗布器の異なる作動とノズルの徐々に発生する詰まりとを区別できるようにするために、アクチュエータ用の制御信号も検出し、センサ信号の評価中に制御信号を評価する。つまり、センサ信号は徐々に発生するノズル詰まりの影響を受けるだけでなく、アクチュエータによる塗布器の制御によっても大きく左右される。従って、徐々に発生するノズルの詰まりを検出するためには、監視ユニットはセンサ信号からアクチュエータ制御の影響を排除し、残りの信号(「残差値」)で徐々に発生するノズルの詰まりの可能性について判断できるようにする必要がある。
【0021】
本発明は、アクチュエータのタイプに関して特定のアクチュエータタイプに限定されるものではない。例えば、アクチュエータは、塗布器または個々のノズルへの塗布剤流を制御する制御弁であってもよく、それぞれの制御信号がそれぞれの制御弁の弁位置を決定する。あるいは、少なくとも1つのアクチュエータは、塗布器に塗布剤流を送るポンプであることが可能であり、それにより、それぞれの制御信号は、それぞれのポンプによって送られる塗布剤流を制御する。
【0022】
また、各供給ラインには複数のアクチュエータが割り当てられ、各アクチュエータは制御信号によって制御されることも述べておくべきである。例えば、ポンプと制御弁を各供給ライン内のアクチュエータとして配置することができ、これらは異なる制御信号によって制御される。このように供給ライン内に複数のアクチュエータを配置した場合、監視ユニットは、好ましくは全てのアクチュエータのための制御信号を検出し、徐々に発生するノズルの詰まりを検出する際にこれらを考慮する。
【0023】
複数のノズルを有する塗布器の上述した本発明の変形例では、例えば、アクチュエータとして各ノズルに制御弁を設けることができ、この制御弁は、それぞれのノズルを通る塗布剤の流れを制御する。そして、監視ユニットは、様々な制御弁のための制御信号を記録し、徐々に発生するノズルの詰まりの可能性を検出する際に、これらの制御信号を考慮する。
【0024】
センサ信号を評価する際、監視ユニットは、好ましくは、制御弁の切替時間後の観察期間を考慮する。例えば、観察期間は、ノズルの制御弁の開放によって引き起こされ得る。しかしながら、あるいは、制御弁の閉鎖によって観測期間を引き起こさせることも可能である。センサ信号の評価を個々のノズルの制御弁のスイッチング時間に対して一時的に参照することは、センサ信号を比較する際に、比較可能な適用条件を作り出すために、有用である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、監視ユニットは、動作中に機械学習アルゴリズムが実行されるAIコンピュータ(AI:Artificial Intelligence)から構成される。そして、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つのセンサ信号、好ましくは少なくとも1つの制御信号も評価し、ノズルの1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示しているかどうかを認識する。例えば、商業上自由に利用されるTensorFlow(登録商標)、PyTorch(登録商標)、Scikit-Learn(登録商標)など、公知のソフトウェアをこのために使用することができる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、機械学習アルゴリズムは、ノズルが詰まることなく適切な動作状態を得るための教師あり学習により、訓練過程では、一方の制御信号とその結果得られる他方のセンサ信号との間の関係を学習する。塗布モードでは、そして、機械学習アルゴリズムは、測定されたセンサ信号から、制御信号の影響が除去された残差値を計算することができる。そして、監視ユニットは、塗布モードにおいて残差値を評価し、残差値の異常を、徐々に発生するノズルの詰まりの兆候として認識することができる。例えば、このような異常は、塗布圧力が、制御信号に起因しない予期せぬ上昇を示し、徐々に発生するノズルの詰まりを示すことである。
【0027】
監視ユニットが、好ましくは、個々のノズルの制御弁の切替時間に続く観察期間においてセンサ信号を決定することは、既に上述した。そして、上述の残差値は、好ましくは、スイッチング時間に続く観察期間において評価される。
【0028】
例えば、監視ユニットは、徐々に発生するノズルの詰まりを検出するために、異なるノズルの切替時間後の残差値を比較することができる。そのため、評価は、好ましくは、異なるノズルのためのセンサ信号の一時的経過を互いに独立して考慮するだけでない。むしろ、好ましくは、単一のノズルのみに徐々に発生するノズルの詰まりを検出するために、異なるノズルのためのセンサ信号または残差値も互いに比較され、その結果、センサ信号または残差値のノズル間の比較によって、そのような単一のノズルの詰まりの検出が容易になる。塗布圧力の変動(粘度変化の結果としてなど)は、常にすべてのノズルに影響するため、本発明の範囲内で個々の詰まりを検出することができる。
【0029】
本発明による塗布システムは、好ましくは、塗布器を移動させるための塗布ロボットを備えることも言及されるべきである。塗布ロボットは、好ましくは、従来技術から知られているように、ロボットコントローラによって制御される。
【0030】
本発明による塗布システムは、それぞれが塗布器を動かす複数の塗布ロボットを有することができることにも留意すべきである。個々の塗布ロボットは、好ましくは、それぞれロボットコントローラによって制御される。
【0031】
塗布ロボットは、ロボットセル(例えば塗布キャビン)内にまとめて配置することができる。ロボットセル内の塗布ロボットを包括的かつ協調的に制御するために、セルコントローラを設けることができ、これにより、セルコントローラは、ロボットセル内のロボットコントローラおよび/または塗布ロボットを包括的に制御する。これにより、ロボットセル内の様々な塗布ロボットの塗布作業を調整することが可能となる。
【0032】
さらに、本発明による塗布システムは、接続コンピュータを有することができ、これにより、接続コンピュータは、一方では、ロボットコントローラおよび/またはセルコントローラに接続され、ロボットコントローラおよび/またはセルコントローラから制御信号およびセンサ信号を受信する。他方では、接続コンピュータは、好ましくは、AIコンピュータに接続され、実際の評価のために、また、先行する訓練プロセスのために、制御信号およびセンサ信号をAIコンピュータに供給する。
【0033】
さらに、本発明による塗布システムは、制御信号および測定されたセンサ信号を互いに割り当てて保存するために、データベースコンピュータを備えることができる。好ましくは、このデータベースコンピュータは、接続コンピュータに接続され、接続コンピュータから制御信号およびセンサ信号を受信する。
【0034】
さらに、例えばスクリーン上に表現結果をグラフィカルに表示するために、グラフィックコンピュータを設けることができる。グラフィックコンピュータは、好ましくは、接続性コンピュータおよび/またはデータベースコンピュータに接続される。
【0035】
本発明は、基本的に異なる2つの発明の変形例からなることは既に述べた通りである。本発明の第1の変形例では、塗布器に塗布剤を供給する供給ラインが設けられ、塗布器は複数のノズルを有する。そして、本発明は、塗布器のノズルの1つにおける徐々に発生するノズルの詰まりの検出を可能にし、これは、ノズルの横断比較によって可能になる。一方、本発明の第2の変形例では、複数の塗布器が提供され、各塗布器には供給ラインから塗布すべき塗布剤が供給され、それにより個々の塗布器は任意に1つ以上のノズルを有することができる。ここでも、本発明により、ノズルの1つにおける徐々に発生するノズルの詰まりを検出することが可能になり、それにより、ノズルの横断比較が再び可能になる。このように、本発明は、好ましくは、同じ塗布器上または異なる塗布器上のいずれかに配置することができる異なるノズル間の横断したノズル比較を提供する。
【0036】
上述した本発明による塗布システムに加えて、本発明は、このような塗布システムのための対応する監視方法も構成する。本発明による監視方法の個々の工程ステップは、本発明による塗布システムの上記の説明から既に明らかであるので、本発明による監視方法の個々の工程ステップについての個別の説明は省略することができ、本発明による塗布システムの上記の説明を参照する。
【0037】
本発明の他の有利な実施形態は、従属請求項に特徴付けられるか、または図を参照した本発明の好ましい実施形態の説明と共に、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】4台のロボット案内塗布器を備えた本発明による塗布システムの概略図である。
図2】3つのノズル、供給ライン、およびノズル1つにおける徐々に発生するノズルの詰まりを検出するための監視ユニットを備えた塗布器の概略図である。
図3図1による塗布器のノズルにおけるセンサ信号の残差値の異なる進行を説明するための図である。
図4】本発明による塗布システムにおける機械学習アルゴリズムの訓練プロセスを示すフローチャートである。
図5】本発明による塗布システムの実際の塗布モードを示すフローチャートである。
図6】各々1つの塗布器に供給するための4つの供給ラインを有する変形例を示し、それにより塗布器は各々1つのノズルのみを有する変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に示す概略図を以下に説明する。これは、板金継ぎ目をシールするために自動車車体部品を塗装する塗装工場で使用されるロボットセルを示している。
【0040】
ロボットセル内には4台の塗布ロボット1.1-1.4が配置され、各ロボットは、図2に示し後に詳述するように、塗布器2を案内する。従って、4台の塗布ロボット1.1-1.4はそれぞれ塗布器2を案内し、図1では塗布器2は見えない。
【0041】
塗布ロボット1.1-1.4は、従来の方法では、それぞれロボットコントローラ3.1-3.4によって制御されている。
【0042】
さらに、図示のロボットセルは、4台の塗布ロボット1.1-1.4を包括的かつ協調的に制御できるセルコントローラ4を備えている。このため、セルコントローラ4は4台のロボットコントローラ3.1-3.4に接続されている。
【0043】
さらに、セルコントローラ4は、様々なタスクを有する監視ユニット5を備えている。一方では、監視ユニット5は、従来技術から知られているように、ロボットコントローラ1.1-1.4を制御する。他方、監視ユニット5は、後に詳述するように、個々の塗布ロボット1.1-1.4の塗布器のノズル内において徐々に発生するノズル詰まりを検出することも目的としている。
【0044】
この目的のために、監視ユニット5は、最初に、ロボットコントローラ3.1-3.4およびセルコントローラ4に接続された接続コンピュータ6を備えている。
【0045】
さらに、監視ユニット5には、後に詳述するように、記録された制御信号とセンサ信号を保存するためのデータベースコンピュータ7が含まれている。
【0046】
さらに、監視ユニット5にはAIコンピュータ8も搭載されており、運転中に機械学習アルゴリズムが実行される。それにより、後に詳述するように、徐々に発生するノズルの詰まりを検出することができる。
【0047】
最後に、監視ユニット5はグラフィックコンピュータ9も含み、監視結果をグラフィカルに表示するタスクを有する。
【0048】
この実施形態の例では、接続コンピュータ6、データベースコンピュータ7、AIコンピュータ8およびグラフィックコンピュータ9は、別々のコンピュータとして示されている。しかし、本発明の範囲内において、これらのコンピュータの機能を単一のコンピュータに統合したり、あるいは別のコンピュータに分散させたりすることも可能である。
【0049】
次に図2による図面を以下に説明するが、これは塗布器2が個々の塗布ロボット1.1-1.4に取り付けられている状態を示している。この目的のために、塗布器2はまず、それぞれの塗布ロボット1.1-1.4の対応する搭載フランジに取り付けられる搭載フランジ10を有する。
【0050】
さらに、この実施形態の例では、塗布器2は、3つのノズル11.1-11.3を有し、各ノズルは、塗布剤のジェット12.1-12.3を放出することができる。
【0051】
ノズル11.1-11.3は塗布ヘッド13に配置され、塗布ヘッド13は回転軸14を中心に搭載フランジ10に対して回転することができる。
【0052】
塗布ヘッド13は、回転フィードスルー15を介して搭載フランジ10に接続されている。回転フィードスルー15は、塗布剤を搭載フランジ10から塗布ヘッド13とそこに配置されたノズル11.1-11.3に供給することを可能にする。
【0053】
塗布ヘッド13には、複数の制御弁16.1-16.3があり、これらは互いに独立して個々のノズル11.1-11.3への塗布剤の流れを制御することができる。制御弁16.1-16.3は、ここでは概略的にしか示されていないが、監視ユニット5からの制御信号s1-s3によって制御される。実際には、制御弁16.1-16.3は電空的に制御することができる。これは、監視ユニット5が最初に電気制御信号を出力し、そして空気圧バルブを制御し、それにより次に空気圧バルブが制御弁16.1-16.3を制御することを意味する。しかし、制御弁16.1-16.3の制御方法は、本発明にとって特に重要ではない。従って、図面では簡略化のため、監視ユニット5による制御弁16.1-16.3の直接作動を示している。
【0054】
図面には、塗布器2につながり、塗布器2に塗布される塗布剤を供給する供給ライン17も示されている。
【0055】
ポンプ18は供給ライン17内に配置され、供給ライン17を通して塗布器2に塗布剤を圧送し、これによりポンプ18は、制御信号nで監視ユニット5によって制御され、ポンプ18のポンプ速度、その送出速度を決定する。
【0056】
さらに、体積流量センサ19は、供給ライン17内に配置され、塗布器2への供給ライン17内を流れる体積流量を測定する。そして、体積流量センサ19は、対応するセンサ信号Qを監視ユニット5に出力し、センサ信号Qは測定された体積流量を反映する。
【0057】
圧力センサ20も塗布器2の搭載フランジ10内に配置され、塗布器2内の供給ライン17内の塗布剤の圧力を測定し、対応するセンサ信号pを監視ユニット5に出力する。
【0058】
従って、監視ユニット5は、センサ信号p、Qを検出し、制御信号n、s1-s3を出力する。一方ではセンサ信号p、Qを、他方では制御信号n、s1-s3を評価することにより、監視ユニット5は、以下に詳述するように、個々のノズル11.1-11.3内の徐々に発生するノズル詰まりを検出することができる。
【0059】
監視ユニット5は、制御弁16.1-16.3の切替時間後の観察期間内に、異なるノズルn、s1-s3について互いに独立してセンサ信号p、Qを評価することができる。そして、これにより、個々の制御弁16.1-16.3が開放されたときに記録されるセンサ信号p、Q間のノズル横断比較が可能となる。
【0060】
センサ信号p、Qは、ノズルの緩やかな詰まりの影響を受けるだけでなく、制御信号n、s1-s3によっても本質的に決定されることは、既に述べた通りである。従って、徐々に発生するノズルの詰まりを検出するためには、センサ信号p、Qから制御信号n、s1-s3の影響を算出することが重要である。これは、機械学習プロセスにより実行される。これは、以下に詳述する、訓練プロセス中の教師あり学習プロセスの一部として、機械学習アルゴリズムを使用して行われる。
【0061】
図3は、3つのノズル11.1-11.3の残差値の推移を示しており、残差値は、センサ信号p、Qから制御信号n、s1-s3の影響を差し引くことで計算される。したがって、残差値は、制御信号n、s1-s3の情報のみを提示する。したがって、残差値は、徐々に発生するノズルの詰まりの可能性の影響のみを反映する。図3は、第1のノズル11.1における徐々に発生するノズルの詰まりに起因する第1のノズル11.1の異常21を示している。
【0062】
以下では、図4による実施形態を説明し、AIコンピュータ8上で実行される機械学習アルゴリズムの訓練プロセスを説明する。
【0063】
第1のステップS1では、塗布剤の体積流量などの塗布パラメータが指定される。
【0064】
第2のステップS2では、指定された塗布パラメータに従って、様々なアクチュエータが制御信号n、s1-s3で制御される。図2に示す例では、アクチュエータは、ポンプ18と制御弁16.2-16.3であり、これらは、制御信号nまたは制御信号s1-s3によって制御される。
【0065】
次のステップS3では、制御弁16.1-16.3の切替時間が決定され、ステップS4で行われる切替時間に続く観察期間においてセンサ信号が測定されるようにする。図2による実施形態の例では、センサ信号は、体積流量センサ19または圧力センサ20のセンサ信号p、Qである。
【0066】
ステップS5では、一方では制御信号n、s1-s3、他方ではセンサ信号p、Qを用いて機械学習アルゴリズムの訓練が行われる。この訓練は、人工知能の分野で知られているように、いわゆる教師あり学習の枠組みの中で行われる。この訓練プロセスにより、センサ信号から残差値が計算され、そこから制御信号n、s1-s3の影響が計算される。
【0067】
実際の塗布の動作を図5のフローチャートに示し、以下に説明する。
【0068】
第1のステップS1では、塗布パラメータが再び指定される。図2に示す実施形態の例では、例えば、ポンプ18が対応する制御信号nで制御され得るように、塗布剤の所望の体積流量が指定されることができる。さらに、制御弁16.1-16.3が対応する制御信号s1-s3で作動されるように、個々の制御弁16.1-16.3の切替時間が指定されることができる。
【0069】
次のステップS2では、指定された塗布パラメータに従って、アクチュエータが制御信号で制御される。図2に示す実施形態の例では、アクチュエータは、制御弁16.1-16.3とポンプ18である。
【0070】
次のステップS3では、制御弁16.1-16.3の切替時間が決定される。
【0071】
更なるステップS4では、センサ信号p、Qが、切替時間に続く観察期間において測定される。
【0072】
そして、センサ信号p、Qから制御信号n、s1-s3の影響を差し引くことにより、測定されたセンサ信号p、Qから、残差値が算出される。これはAIコンピュータ8において機械学習アルゴリズムを用いて行われる。
【0073】
次のステップS6では、ノズルの詰まりを示す異常21を検出するために、残差値が評価される。
【0074】
ステップS7でこのような異常21(図3参照)が検出されると、ステップS8でエラーフラグがセットされ、グラフィックコンピュータ9にノズルの詰まりや影響を受けたノズルが視覚的に表示される。
【0075】
本発明が2つの異なる発明変形例からなることは既に述べた。複数のノズル11.1-11.3を有する塗布器2を備えた第1の発明変形例は上述され、図2に示されている。しかしながら、本発明はまた、図6に示され、以下に簡単に説明される本発明の別の変形例を含む。
【0076】
本発明のこの変形例では、複数の塗布器22.1-22.4が提供され、それぞれがノズル23.1-23.4を有し、個々のノズル23.1-23.4は、それぞれ塗布剤のジェット24.1-24.4を送出することができる。例えば、個々の塗布器22.1-22.4はそれぞれ、塗布ロボットによって案内され得る。
【0077】
制御弁25.1-25.4は、それぞれのノズル23.1-23.4への塗布剤の流れを制御するために、個々の塗布器22.1-22.4のそれぞれの中に配置されている。
【0078】
個々の塗布器22.1-22.4は、それぞれ供給ライン26.1-26.4によって塗布剤を供給される。
【0079】
個々の供給ライン26.1-26.4の各々には、制御可能なポンプ27.1-27.4があり、このポンプ27.1-27.4は、関連する塗布器22.1-22.4に塗布剤を圧送する。個々のポンプ27.1-27.4はそれぞれ制御信号n1-n4によって制御され、ポンプ27.1-27.4のポンプ能力を決定する。
【0080】
さらに、体積流量センサ28.1-28.4は、個々の供給ライン26.1-26.4のそれぞれの中に配置され、それにより体積流量センサ28.1-28.4は、個々の塗布器22.1-22.4への塗布剤の体積流量を測定し、それぞれの場合に対応するセンサ信号Q1-Q4を出力する。
【0081】
圧力センサ29.1-29.4は、個々の塗布器22.1-22.4の少し前の個々の供給ライン26.1-26.4のそれぞれの中に配置され、それによって圧力センサ29.1-29.4は、塗布器22.1-22.4の少し前のそれぞれの供給ライン26.1-26.4内の塗布剤の圧力を測定し、対応するセンサ信号p1-p4を出力する。
【0082】
本発明のこの変形例では、個々のノズル23.1-23.4における徐々に発生するノズル詰まりも、上述の方法で監視ユニット5によって検出することができる。この目的のために、監視ユニット5は、上述したように、制御信号s1-s4、n1-n4およびセンサ信号p1-p4、Q1-Q4を評価する。ここでも、本発明は、ノズル23.1-23.4のうちの1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示すときを認識できるようにするために、様々なノズル23.1-23.4間のノズルの横断比較を可能にする。
【0083】
本発明は、上述の好ましい実施形態に限定されるものではない。むしろ、本発明概念を利用し、保護範囲に属する多数の変形例および変更例も可能である。特に、本発明は、従属請求項の主題および特徴についても、各場合に言及される請求項とは独立して、特に、主請求項の特徴なしでも保護を主張する。したがって、本発明は、互いに独立して保護を享受する本発明の様々な態様からなる。
【0084】
(付記)
(付記1)
部品に塗布剤を塗布するための塗布システム、特に自動車車体部品にシーリング材、絶縁材または接着剤を塗布するための塗布システムであって、
a)前記部品に前記塗布剤を塗布するための少なくとも1つのノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)を有する塗布器(2、22.1-22.4)と、
b)前記塗布器(2、22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するための供給ライン(17、26.1-26.4)と、
c)前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を供給するセンサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)と、
d)前記センサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)に接続され、前記センサのセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価する監視ユニット(5)と、を備え、
e)前記監視ユニット(5)は、前記塗布器(2、22.1-22.4)の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示すかどうかを、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価することによって認識する、ことを特徴とする、
塗布システム。
【0085】
(付記2)
少なくとも1つの前記センサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)が、
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の前記塗布剤の圧力を測定する圧力センサ(20、29.1-29.4)、
b)前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内を流れる前記塗布剤の物質流量、特に前記塗布剤の質量流量または体積流量を測定する物質流量センサ(19、28.1-28.4)、
の何れか1つのタイプのセンサ(19、20、28.1-28.4、29.1-29.4)の1つに属する、ことを特徴とする、
付記1に記載の塗布システム。
【0086】
(付記3)
a)前記塗布システムは、前記供給ライン(17、26.1-26.4)および/または前記塗布器(2、22.1-22.4)を制御するための少なくとも1つのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)を備え、
b)前記アクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)は、制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)によって制御され、
c)前記監視ユニット(5)は、前記アクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)の前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)を検出し、前記塗布器(2、22.1-22.4)の異なる作動と徐々に発生するノズルの詰まりとを区別するために、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)の評価を考慮する、ことを特徴とする、
付記1または2に記載の塗布システム。
【0087】
(付記4)
少なくとも1つのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)が、
a)個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)への塗布剤の流れを制御する制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)であって、それぞれの制御信号(s1-s3、s1-s4)がそれぞれの制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の弁位置を制御する制御弁、
b)塗布器(2、22.1-22.4)に塗布剤の流れを送出するポンプ(18、27.1-27.4)であって、それぞれの制御信号(n、n1-n4)が、それぞれの前記ポンプ(18、27.1-27.4)によって送出される塗布剤の流れを制御するポンプ(18、27.1-27.4)、
の何れか1つのタイプのアクチュエータ(18、16.1-16.3、27.1-27.4、25.1-25.4)に属する、ことを特徴とする、
付記3に記載の塗布システム。
【0088】
(付記5)
a)前記塗布器(2)の前記ノズル(11.1-11.3)のそれぞれは、それぞれの前記ノズル(11.1-11.3)を通る前記塗布剤の流れを制御するアクチュエータとしてそれぞれの制御弁(16.1-16.3)が割り当てられ、
b)前記制御弁(16.1-16.3)は、それぞれの前記制御弁(16.1-16.3)の切替時間を制御する制御信号(s1-s3)によって作動し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記ノズル(11.1-11.3)を互いに比較し、徐々に発生するノズルの詰まりを検出できるように、個々の前記制御弁(16.1-16.3)用の前記制御信号(s1-s3)を考慮し、
d)前記監視ユニット(5)は、好ましくは、前記制御弁(16.1-16.3)の前記切替時間後の観察期間において、前記センサ信号(p、Q)を評価する、ことを特徴とする、
付記3または4に記載の塗布システム。
【0089】
(付記6)
a)前記監視ユニット(5)は、動作中に機械学習アルゴリズムが実行されるAIコンピュータ(8)を備え、
b)前記機械学習アルゴリズムは、前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)、好ましくは前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)も評価し、前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の1つが徐々に発生するノズルの詰まりを示すかどうかを認識する、ことを特徴とする、
付記1から5の何れか1つに記載の塗布システム。
【0090】
(付記7)
a)前記機械学習アルゴリズムは、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)と、その結果得られる前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)との関係を、訓練プロセスにおいて、ノズルの詰まりを伴わない教師あり学習によって学習し、
b)塗布モードにおける前記機械学習アルゴリズムは、測定された前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)から、前記制御信号の影響が差し引かれた残差値を計算し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記残差値を評価し、前記残差値の異常(21)を徐々に発生するノズルの詰まりの兆候として認識する、ことを特徴とする、
付記6に記載の塗布システム。
【0091】
(付記8)
a)前記監視ユニット(5)は、個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の切替時間を決定し、
b)前記監視ユニット(5)は、前記切替時間に続く観察期間において、各ケースにおける前記残差値を評価する、ことを特徴とする、
付記7に記載の塗布システム。
【0092】
(付記9)
前記監視ユニット(5)は、徐々に発生する前記ノズルの詰まりを検出するために、異なるノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の切替時間後の残差値を比較する、ことを特徴とする、
付記7または8に記載の塗布システム。
【0093】
(付記10)
a)前記塗布器(2、22.1-22.4)を移動させるための塗布ロボット(1.1-1.4)と、
b)前記塗布ロボット(1.1-1.4)を制御するためのロボットコントローラ(3.1-3.4)と、を備える、ことを特徴とする、
付記1から9の何れか1つに記載の塗布システム。
【0094】
(付記11)
a)複数の塗布ロボット(1.1-1.4)が提供され、そのそれぞれが塗布器(2、22.1-22.4)を動かし、
b)個々の前記塗布ロボット(1.1-1.4)は、それぞれロボットコントローラ(3.1-3.4)によって制御され、
c)前記塗布ロボット(1.1-1.4)は、ロボットセル、特に共通の塗布キャビンに一緒に配置され、
d)前記ロボットセルを制御するためのセルコントローラ(4)が設けられ、前記セルコントローラ(4)は、前記ロボットセル内の前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記塗布ロボット(1.1-1.4)を包括的に制御する、ことを特徴とする、
付記10に記載の塗布システム。
【0095】
(付記12)
a)接続コンピュータ(6)であって、
a1)前記接続コンピュータ(6)は、一方では、前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記セルコントローラ(4)に接続され、前記ロボットコントローラ(3.1-3.4)および/または前記セルコントローラ(4)から前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を受信し、
a2)他方では、前記接続コンピュータ(6)は、前記AIコンピュータ(8)に接続され、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を前記AIコンピュータ(8)に供給し、および/または
b)前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を保存するためのデータベースコンピュータ(7)であって、前記データベースコンピュータ(7)は、好ましくは、前記接続コンピュータ(6)に接続され、前記接続コンピュータ(6)から前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)および前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を受信し、および/または
c)前記評価の結果を表示するためのグラフィックコンピュータ(9)であって、前記グラフィックコンピュータ(9)は、前記接続コンピュータ(6)または前記データベースコンピュータに接続されていることが好ましい、ことを特徴とする、
付記11に記載の塗布システム。
【0096】
(付記13)
a)複数の塗布器(22.1-22.4)が提供され、
b)前記塗布器(22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するために複数の供給ライン(26.1-26.4)が設けられ、前記供給ライン(26.1-26.4)の1つが前記塗布器(22.1-22.4)のそれぞれに割り当てられ、
c)前記センサ(28.1-28.4、29.1-29.4)の少なくとも1つが前記供給ライン(26.1-26.4)のそれぞれに割り当てられ、前記センサ(28.1-28.4、29.1-29.4)は、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p1-p4、Q1-Q4)を供給し、
d)前記監視ユニット(5)は、個々の前記供給ライン(26.1-26.4)における徐々に発生するノズルの詰まりを、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の異なる作動から区別するために、異なる供給ライン(26.1-26.4)のセンサ(28.1-28.4、29.1-29.4)からの前記センサ信号(p1-p4、Q1-Q4)を互いに比較し、
e)前記アクチュエータ(27.1-27.4、25.1-25.4)の少なくとも1つが、前記供給ライン(26.1-26.4)のそれぞれに割り当てられ、および/または
f)前記監視ユニット(5)は、個々の前記供給ライン(26.1-26.4)における徐々に発生するノズルの詰まりを、それぞれの前記供給ライン(26.1-26.4)の異なる作動から区別するために、異なる前記供給ライン(26.1-26.4)内のアクチュエータ(27.1-27.4、25.1-25.4)の前記制御信号(n1-n4、s1-s4)を考慮する、ことを特徴とする、
付記1から11の何れか1つに記載の塗布システム。
【0097】
(付記14)
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)を通して前記塗布器(2、22.1-22.4)に前記塗布剤を供給するステップと、
b)前記センサによって、前記塗布器(2、22.1-22.4)への前記供給ライン(17、26.1-26.4)内または前記塗布器(2、22.1-22.4)内の少なくとも1つの測定変数を測定し、対応するセンサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を生成するステップと、
c)前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)を評価して、前記塗布器(2、22.1-22.4)の前記ノズル(11.2-11.3、23.1-23.4)の1つの徐々に発生するノズルの詰まりを検出するステップと、を備える、
付記1から13の何れか1つに記載の塗布システムの監視方法。
【0098】
(付記15)
a)前記供給ライン(17、26.1-26.4)および/または前記塗布器(2、22.1-22.4)を、制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)で作動させるステップと、
b)前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)を評価して、徐々に発生したノズルの詰まりと異なる作動を区別するステップと、を備える、ことを特徴とする、
付記14に記載の監視方法。
【0099】
(付記16)
a)前記機械学習アルゴリズムが、前記制御信号(n、s1-s3、n1-n4、s1-s4)と、その結果得られる前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)との関係を、訓練プロセスにおいて、ノズルの詰まりを伴わない教師あり学習によって学習し、
b)塗布モードにおける前記機械学習アルゴリズムが、測定された前記センサ信号(p、Q、p1-p4、Q1-Q4)から、前記制御信号の影響を差し引いた残差値を計算し、
c)前記監視ユニット(5)は、前記残差値を評価し、前記残差値の異常(21)を徐々に発生するノズルの詰まりの兆候として認識する、ことを特徴とする、
付記14または15に記載の監視方法。
【0100】
(付記17)
a)前記監視ユニット(5)は、個々の前記ノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記制御弁(16.1-16.3、25.1-25.4)の切替時間を決定し、
b)前記監視ユニット(5)は、前記切替時間に続く観察期間において、各ケースにおける前記残差値を評価する、ことを特徴とする、
付記16に記載の監視方法。
【0101】
(付記18)
前記監視ユニット(5)は、徐々に発生する前記ノズルの詰まりを検出するために、異なるノズル(11.1-11.3、23.1-23.4)の前記残差値を互いに比較する、ことを特徴とする、
付記17に記載の監視方法。
【符号の説明】
【0102】
1.1-1.4 塗布ロボット
2 塗布器
3.1-3.4 ロボットコントローラ
4 セルコントローラ
5 監視ユニット
6 接続コンピュータ
7 データベースコンピュータ
8 AIコンピュータ
9 グラフィックコンピュータ
10 塗布器の搭載フランジ
11.1-11.3 ノズル
12.1-12.3 シーリングジェット
13 塗布ヘッド
14 塗布ヘッドの回転軸
15 塗布ヘッドと搭載フランジ間の回転フィードスルー
16.1-16.3 各ノズル用の制御弁
17 供給ライン
18 ポンプ
19 体積流量センサ
20 圧力センサ
21 ノズル1の残差値の異常
22.1-22.4 塗布器
23.1-23.4 各塗布器のノズル
24.1-24.4 各塗布器の塗布剤のジェット
25.1-25.4 各塗布器の制御弁
26.1-26.4 各塗布器の供給ライン
27.1-27.4 各供給ライン内のポンプ
28.1-28.4 各供給ライン内の体積流量センサ
29.1-29.4 各供給ライン内の圧力センサ
n、n1-n1 ポンプ用の制御信号
p、p1-p2 圧力センサからのセンサ信号
Q、Q1-Q4 体積流量センサからのセンサ信号
s、s1-s4 バルブ用の制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】