(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】スマートトラクション変電所及びそのパワーフロー制御方法
(51)【国際特許分類】
B60M 3/00 20060101AFI20250128BHJP
H02J 5/00 20160101ALI20250128BHJP
【FI】
B60M3/00 A
H02J5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541718
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2022132269
(87)【国際公開番号】W WO2023173784
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】202210261839.5
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516379320
【氏名又は名称】西南交通大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 群湛
(72)【発明者】
【氏名】黄 小▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】解 ▲紹▼▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲カイ▼
(72)【発明者】
【氏名】易 ▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 乃▲キ▼
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066MA00
(57)【要約】
本発明は、スマートトラクション変電所及びそのパワーフロー制御方法を提供し、電気鉄道給電の技術分野に関する。トラクション変圧器TTと、パワーフロー制御装置PCDと、コントローラCCと、を含み、前記トラクション変圧器TTは、一次側が三相電力網に接続され、二次側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、前記トラクションバスTSBは、フィーダFを介してバイラテラル給電を用いたトラクションネットワークOCSに接続され、前記コントローラCCは、前記トラクションバスTSB及びフィーダFの電力量情報に基づいて前記パワーフロー制御装置PCDを制御して前記トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、前記コントローラCCはまた、前記パワーフロー制御装置PCDを制御して、配電システムに給電又はエネルギー貯蔵することにより前記トラクションネットワークOCSからトラクション変電所に戻る発電パワーフローを利用して、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクション変圧器TTを含むスマートトラクション変電所であって、
スマートトラクション変電所には、パワーフロー制御装置PCD及びコントローラCCが設けられ、前記トラクション変圧器TTは、一次側が三相電力網のU相、V相に接続され、二次側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、前記トラクションバスTSBは、フィーダFを介して交流バイラテラル給電を用いたトラクションネットワークOCSに接続され、前記コントローラCCは、トラクションバスTSB及びフィーダFの電力量情報に基づいて、パワーフロー制御装置PCDを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、コントローラCCはまた、パワーフロー制御装置PCDを制御して、配電システムに給電又はエネルギー貯蔵することによって、交流バイラテラル給電トラクションネットワークOCSからトラクション変電所に戻る発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする、ことを特徴とするスマートトラクション変電所。
【請求項2】
前記パワーフロー制御装置PCDは、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC及び正極バスPBと負極バスNBを含み、
前記コンバータ装置TPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、
前記コンバータ装置PPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端が三相電力網のW相に直接接続され、他端が三相電力網のニュートラル線Nに接続され、又は、コンバータ装置PPCの交流側の他端がトラクション変圧器TTの一次巻線のセンタータップOに接続され、
前記コンバータ装置DPCは、三相コンバータシステムであり、交流側がトラクション変電所配電システムの三相バスa、バスb、バスcにそれぞれ接続され、
前記コンバータ装置PPC、コンバータ装置TPC及びコンバータ装置DPCの直流側の正極及び負極は、それぞれ、前記正極バスPB及び負極バスNBに接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のスマートトラクション変電所。
【請求項3】
直流側の正極及び負極がそれぞれ前記正極バスPB及び負極バスNBに接続されるエネルギー貯蔵装置ESをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載のスマートトラクション変電所。
【請求項4】
前記パワーフロー制御装置PCDの制御端子は、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ESの制御端子を含む、ことを特徴とする請求項3に記載のスマートトラクション変電所。
【請求項5】
前記フィーダFは、フィーダF1とフィーダF2を含み、前記トラクションネットワークOCSは、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2を含み、トラクションバスTSBは、フィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に給電し、トラクションバスTSBは、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に給電し、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2との間に電気セクションが設けられている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のスマートトラクション変電所。
【請求項6】
前記フィーダF1に電流変成器CT1が設けられ、フィーダF2に電流変成器CT2が設けられ、トラクションバスTSBに電圧変成器PTが設けられ、前記電流変成器CT1、電流変成器CT2、及び電圧変成器PTの計測端子は、いずれもコントローラCCの入力端子に接続され、コントローラCCの制御端子はパワーフロー制御装置PCDの制御端子に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載のスマートトラクション変電所。
【請求項7】
請求項6に記載のスマートトラクション変電所に基づくパワーフロー制御方法であって、
前記電圧変成器PTは、トラクションバスTSBの電圧UTを検出し、電流変成器CT1、電流変成器CT2は、それぞれ、フィーダF1、フィーダF2の電流を検出するステップと、
コントローラCCは、検出したトラクションバスTSBの電圧及びフィーダF1、フィーダF2の電流から、トラクションバスTSBがフィーダF1、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2にそれぞれ供給するアクティブパワーフローを算出するステップであって、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2に流れるアクティブパワーフローは正、トラクションバスTSBに流れるアクティブパワーフローは負である、ステップと、
コントローラCCは、前記アクティブパワーフローに基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、コントローラCCは、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにするステップと、を含む、ことを特徴とするパワーフロー制御方法。
【請求項8】
前記コントローラCCは、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF1の電流I1から、トラクションバスTSBがフィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に供給するアクティブパワーフローP1を算出し、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF2の電流I2から、トラクションバスTSBがフィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に供給するアクティブパワーフローP2を算出し、
コントローラCCは、アクティブパワーフローP1及びアクティブパワーフローP2に基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする、ことを特徴とする請求項7に記載のパワーフロー制御方法。
【請求項9】
P1+P2<0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が発電パワーフローを電力網に戻したと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC、コンバータ装置DPCを制御して作動させ、配電システムの三相バスa、バスb、バスcに給電させ、又はコンバータ装置TPCのエネルギー貯蔵装置ESを制御して充電させ、両方の発電パワーフローの和を|P1+P2|に等しくし、電力網に戻る発電パワーフローを0にし、予め設定された要件を満たすようにし、また、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPCを制御して待機させ、
P1+P2>0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2がトラクション動作条件を満たすと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPC及びコンバータ装置TPCを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、また、エネルギー貯蔵装置ESを制御して、コンバータ装置TPCによってトラクションバスTSBに給電し、トラクション変電所の逆相が基準を満たすようにするとともに、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPCを制御して待機させ、
P1+P2=0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が無負荷であると判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDを制御して待機させる、ことを特徴とする請求項8に記載のパワーフロー制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年03月17日に提出された、中国特許出願202210261839.5の利益を主張しており、当該出願の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、交流電気鉄道のトラクション給電の技術分野に関し、特にスマートトラクション変電所及びそのパワーフロー制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気鉄道の電気的分相はトラクション給電システム全体の中の最も弱い部分である。電気的分相のニュートラルセクションはデッドセクションを形成し、給電の中断を引き起こす。ニュートラルセクションのデッドセクションは一般的に数十メートルしかないが、列車を制御して自動分相通過を行う停電距離は500メートル以上に達し、列車の良好な運転を著しく制約し、さらには坂道を上る際に列車の坂道停止事故を引き起こすこともある。電気鉄道の同相給電は、トラクション変電所の位置する電気的分相をなくし、バイラテラル給電は区間の位置する電気的分相をなくすることができ、同相給電とバイラテラル給電を採用することにより全体にわたってデッドセクションをなくし、列車の連続給電を保証すると同時に、過剰分相の危険性をなくすことができる。また、給電アームを効果的に延長することで、ピーク負荷を減らすし、ボトム負荷を増加し、トラクション負荷の変動を滑らかにし、回生制動エネルギーの直接利用率を高め、給電リソースを節約し、基本的な電気料金を削減し、逆相をはじめとする電気エネルギーの品質の問題の解決にも役立ち、給電の信頼性が高く、電力網の電圧レベルが良く、給電能力が高く、電力損失が小さいなどのメリットがある。
【0004】
通常、バイラテラル給電トラクションネットワークは両側のトラクション変電所を介して電力網と並列構造を形成する。トラクションネットワークが無負荷の場合、トラクションネットワークにはパワーフローと電流が流れ、対応するこのパワーフローをライドスルーパワーフロー(対応する電流を平衡電流と呼ぶ)と呼ぶ。このとき、ライドスルーパワーフローが一方側のトラクション変電所から流入し、他方側のトラクション変電所から流出し、すなわち、ライドスルーパワーフローが電力網からトラクションネットワークのトラクション変電所に流入するとき、負荷(電力消費)状態にあり、ライドスルーパワーフローがトラクションネットワークから電力網のトラクション変電所に流入するとき、発電状態にある。バイラテラル給電が電力網の構造を変えたからこそ、バイラテラル給電を実施するには2つの重要な技術的課題を解決する必要がある。
【0005】
1つ目は、電力網とトラクションネットワークの継電保護の問題である。継電保護はより広い保護範囲を持ち、電力網の故障時にトラクションネットワークを連動してトリップさせてパワーフローの伝達を遮断する機能などを持つ必要がある。これについては、電力網に送電線保護を配置したり、トラクションネットワークに段階的保護を配置したりすることなどによって完璧に解決することができる。
【0006】
2つ目は、ライドスルーパワーフローの電力網への影響と計量の問題である。ライドスルーパワーフローが電力網に戻ると、当該トラクション変電所が発電することに相当し、逆送パワーフローを逆方向計量し、すなわち、発電として取り扱い、別のトラクション変電所の消費電力と相殺すると、ユーザーは経済的損失がない。ライドスルーパワーフローが電力網に戻る時に計量されないか順方向計量されると、ユーザーに経済的損失をもたらす。このような場合、バイラテラル給電がどのようにライドスルーパワーフローを減らすか、またはライドスルーパワーフローをどのように利用して、バイラテラル給電の優位性を正常に発揮すると同時に、電力網とユーザーへの影響を減らし、電力消費の効益を高めるかを研究する必要がある。
【0007】
ライドスルーパワーフローに対して、従来技術は、いくつかの抑制方法を提案した。1つは、中国特許『電気鉄道バイラテラル給電システム』(授権公告番号:CN103552488B)のように、トラクション変電所のトラクション変圧器の二次側にリアクトルを直列に接続することにより、平衡電流を低減することであり、その欠点としては、必要なリアクトルが比較的大きく、列車の力率を進み力率に調整する必要があり、さもなければ、供給電圧及び供給能力に影響を与えることがある。理論的には、トラクション変圧器の二次側のインピーダンスが無限大にならない限り、ライドスルーパワーフローや平衡電流を0にすることはできない。
【0008】
現在、バイラテラル給電のライドスルーパワーフローの抑制技術の研究はさておき、発想を変えて、スマートトラクション変電所及びそのパワーフロー制御方法を提案し、電気鉄道の同相バイラテラル貫通給電を実現し、電気的分相をなくし、デッドセクションをなくす。また、電力網に戻るバイラテラル給電のライドスルーパワーフロー及びトラクションネットワークの電気機関車の制動による回生エネルギーを発電パワーフローとして利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにし、例えば0とし、かつ余剰逆相を補償し、逆相が国家標準要件を満たすようにすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、(1)トラクション変電所のパワーフローを制御可能にする。(2)バイラテラル給電を用いたトラクションネットワークOCSから電力網に戻る発電パワーフロー、及びトラクションネットワークにおける電気機関車の制動による発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする、(3)余剰逆相を補償し、逆相が国家標準要件を満たすようにするなどの技術的課題を効果的に解決する、スマートトラクション変電所及びそのパワーフロー制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の技術的解決手段によって達成される。
【0011】
トラクション変圧器TTを含むスマートトラクション変電所であって、
スマートトラクション変電所には、パワーフロー制御装置PCD及びコントローラCCが設けられ、前記トラクション変圧器TTは、一次側が三相電力網のU相、V相に接続され、二次側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、前記トラクションバスTSBは、フィーダFを介して交流バイラテラル給電を用いたトラクションネットワークOCSに接続され、前記コントローラCCは、トラクションバスTSB及びフィーダFの電力量情報に基づいて、パワーフロー制御装置PCDを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、コントローラCCはまた、パワーフロー制御装置PCDを制御して、交流バイラテラル給電トラクションネットワークOCSからトラクション変電所に戻る発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする。
【0012】
前記フィーダFは、フィーダF1とフィーダF2を含み、前記トラクションネットワークOCSは、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2を含み、トラクションバスTSBは、フィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に給電し、トラクションバスTSBは、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に給電し、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2との間に電気セクションが設けられている。
【0013】
前記フィーダF1に電流変成器CT1が設けられ、フィーダF2に電流変成器CT2が設けられ、トラクションバスTSBに電圧変成器PTが設けられ、前記電流変成器CT1、電流変成器CT2、及び電圧変成器PTの計測端子は、いずれもコントローラCCの入力端子に接続され、コントローラCCの制御端子はパワーフロー制御装置PCDの制御端子に接続される。
【0014】
前記パワーフロー制御装置PCDは、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ES及び正極バスPBと負極バスNBを含み、
前記コンバータ装置TPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、
前記コンバータ装置PPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端が三相電力網のW相に直接接続され、他端が三相電力網のニュートラル線Nに接続され、又は、コンバータ装置PPCの交流側の他端がトラクション変圧器TTの一次巻線のセンタータップOに接続され、
前記コンバータ装置DPCは、三相コンバータシステムであり、交流側がトラクション変電所配電システムの三相バスa、バスb、バスcにそれぞれ接続され、
前記コンバータ装置PPC、コンバータ装置TPC、コンバータ装置DPC及びエネルギー貯蔵装置ESの直流側の正極及び負極は、それぞれ、前記正極バスPB及び負極バスNBに接続される。
【0015】
前記パワーフロー制御装置PCDの制御端子は、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ESの制御端子を含む。
【0016】
本発明はまた、
前記電圧変成器PTは、トラクションバスTSBの電圧UTを検出し、電流変成器CT1、電流変成器CT2は、それぞれ、フィーダF1、フィーダF2の電流を検出するステップと、
コントローラCCは、検出したトラクションバスTSBの電圧及びフィーダF1、フィーダF2の電流から、トラクションバスTSBがフィーダF1、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2にそれぞれ供給するアクティブパワーフローを算出するステップであって、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2に流れるアクティブパワーフローは正、トラクションバスTSBに流れるアクティブパワーフローは負である、ステップと、
コントローラCCは、前記アクティブパワーフローに基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、コントローラCCは、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにするステップと、を含む、スマートトラクション変電所のパワーフロー制御方法を提供する。
【0017】
前記コントローラCCは、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF1の電流I1から、トラクションバスTSBがフィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に供給するアクティブパワーフローP1を算出し、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF2の電流I2から、トラクションバスTSBがフィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に供給するアクティブパワーフローP2を算出し、
コントローラCCは、アクティブパワーフローP1及びアクティブパワーフローP2に基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする。
【0018】
P1+P2<0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が発電パワーフローを電力網に戻したと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC、コンバータ装置DPCを制御して作動させ、配電システムの三相バスa、バスb、バスcに給電させ、又はコンバータ装置TPCのエネルギー貯蔵装置ESを制御して充電させ、両方の発電パワーフローの和を|P1+P2|に等しくし、電力網に戻る発電パワーフローを0にし、予め設定された要件を満たすようにし、また、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPCを制御して待機させ、
P1+P2>0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2がトラクション動作条件を満たすと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPC及びコンバータ装置TPCを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、また、パワーフロー制御装置PCDのエネルギー貯蔵装置ESを制御して、コンバータ装置TPCによってトラクションバスTSBに給電し、トラクション変電所の逆相が基準を満たすようにするとともに、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPCを制御して待機させ、
P1+P2=0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が無負荷であると判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDを制御して待機させる。
【発明の効果】
【0019】
従来技術と比べて、本発明の有益な効果は以下の通りである。
1.スマートトラクション変電所は、パワーフローの制御が可能な変電所であり、ここで、コンバータ装置とエネルギー貯蔵装置を設置することによって、新しい構造を構成し、判定、制御を経て、電力網に戻るバイラテラル給電のライドスルーパワーフロー及びトラクションネットワークの電気機関車の制動による回生電力をすべて発電パワーフローとして利用することができ、電力網に戻る発電パワーフローを0にするか、あるいは要件を満たすことができ、しかも過剰な逆相を補償し、逆相が国家標準要件を満たすようにすることができる。
2.電力網の鉄道への給電構造を変えずに、トラクションネットワークの発電パワーフローを利用し、ライドスルーパワーフローが電力網とユーザーに与える悪影響を取り除き、バイラテラル給電のメリットを十分に発揮させる。
3.トラクション変電所の同相給電を基礎とした上で隣接変電所間のバイラテラル給電を実施することは、給電アームの回生エネルギーの利用により有利であり、回生制動エネルギーの直接利用率を高め、通常の場合、電力網に戻る回生電力と電気エネルギーを0にすることができる。
4.パワーフロー制御装置はトラクション変電所のエネルギー貯蔵装置と配電システムに接続して給電することができ、ライドスルーパワーフローを利用するほか、余剰の回生制動電気エネルギーを利用することもできる。
5.トラクション変電所の同相給電と発電パワーフロー利用装置を多重化することで、設備の重複と投資を減らす。
6.技術が先進的で信頼性が高く、実施しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付の図面は、本発明の実施例の更なる理解を提供するために使用され、明細書の一部を構成し、以下の発明を実施するための形態と共に本発明の実施例を説明するために使用されるが、本発明の実施例を限定するものではない。
【0021】
【
図3】本発明のパワーフロー制御装置PCDの制御端子の接続模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の技術的態様を当業者によりよく理解させるために、以下では、図面及び特定の実施形態を参照して本発明をさらに説明する。
【0023】
実施例1
図1に示すように、本実施例は、トラクション変圧器TTを含むスマートトラクション変電所であって、スマートトラクション変電所には、パワーフロー制御装置PCD及びコントローラCCが設けられ、前記トラクション変圧器TTは、一次側が三相電力網のU相、V相に接続され、二次側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、前記トラクションバスTSBは、フィーダFを介して交流バイラテラル給電を用いたトラクションネットワークOCSに接続され、前記コントローラCCは、トラクションバスTSB及びフィーダFの電力量情報に基づいて、パワーフロー制御装置PCDを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、コントローラCCはまた、パワーフロー制御装置PCDを制御して、交流バイラテラル給電トラクションネットワークOCSからトラクション変電所に戻る発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする、スマートトラクション変電所を提供する。
【0024】
本実施例では、パワーフロー制御装置PCDを用いてトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにすることによって、本実施例によるスマートトラクション変電所は、同相給電を実現し、変電所での電気的分相をなくし、トラクションネットワークOCSにバイラテラル給電が使用されることによって、2つの変電所の間の区間での電気的分相をなくし、それによって、トラクションネットワーク全体の直通式給電を可能にする。
【0025】
バイラテラル給電を実施するトラクション給電システムには、2つ以上のトラクション変電所が含まれており、
図1に示す特定のスマートトラクション変電所では、当該スマートトラクション変電所から電力網に戻るパワーフローを発電パワーフローとすると、バイラテラル給電の使用により、トラクションネットワークOCSにはライドスルーパワーフローが発生し、この場合、パワーフロー制御装置PCDは、このスマートトラクション変電所から電力網に流れたライドスルーパワーフローを発電パワーフローとして利用し、実際には、機関車制動の時に生じる回生パワーフローも当該スマート変電所から電力網に流れるか、又は回生パワーフローが伴走トラクション機関車により完全に吸収されず、余剰の回生パワーフローも電力網に流れる場合、このスマート変電所から電力網に流れた回生パワーフロー又は余剰の回生パワーフローはライドスルーパワーフローと重畳され、コントローラCCにより全発電パワーフローと取り扱われ、コントローラCCは、パワーフロー制御装置PCDを制御して全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにし、ここで、予め設定された要件は、電力網に戻る発電パワーフローを特定の範囲に制御することや、電力網に戻る発電パワーフローを0にすることであってもよい。
図1に示す特定のスマートトラクション変電所では、当該スマートトラクション変電所のパワーフローをトラクション状態にすると、バイラテラル給電の使用により、トラクションネットワークOCSにライドスルーパワーフローが発生し、この場合、パワーフロー制御装置PCDは、このスマートトラクション変電所のトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにする。
図1に示す特定のスマートトラクション変電所では、当該スマートトラクション変電所のパワーフローを0にすると、パワーフロー制御装置PCDは待機する。
【0026】
本実施例では、電力網の鉄道への給電構造を変えずに、スマートトラクション変電所に戻る発電パワーフローを利用し、バイラテラル給電によるライドスルーパワーフロー、及び回生パワーフローが電力網とユーザーに与える悪影響を効果的に取り除き、バイラテラル給電のメリットを十分に発揮させる。また、本実施例では、パワーフロー制御装置PCDを用いて逆相補償及び発電パワーフロー利用を行うことによって、スマートトラクション変電所の同相給電と発電パワーフロー利用装置を多重化することで、設備の重複と投資を効果的に減らす。
【0027】
また、トラクション変電所のトラクション変圧器の二次側にリアクトルを直列に接続することで平衡電流を低減する必要があることが背景技術に記載されているが、本実施例では、この措置を必須とするものではなく、すなわち、本実施例はこの措置を採用してもしなくてもよい。本実施例のコアは、変電所に戻る発電パワーフローを利用することであり、バイラテラル給電の使用により、ライドスルーパワーフローが必ず存在し、本実施例では、ライドスルーパワーフローの発生を抑制するのではなく、ライドスルーパワーフローという結果に対応することに重点をおいており、これは本実施例を従来技術と区別する鍵の一つとなる。
【0028】
好ましくは、本実施例では、フィーダFは、フィーダF1とフィーダF2を含み、前記トラクションネットワークOCSは、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2を含み、トラクションバスTSBは、フィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に給電し、トラクションバスTSBは、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に給電し、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2との間に電気セクションが設けられている。
【0029】
本実施例では、スマート変電所に同相給電技術、トラクションネットワークOCSにバイラテラル給電が使用されることによって、給電アームを延長し、伴走列車のうちのトラクション列車は制動列車の回生パワーフローをより高い確率で吸収でき、回生制動エネルギーの直接利用率を高め、最終的に電力網に戻る回生パワーフローを大幅に低減し、さらに0にする。メンテナンスを容易にするために、本実施例は、変電所のトラクションネットワークOCSに電気セクションを設置し、すなわち、トラクションネットワークOCS1とトラクションネットワークOCS2との間に電気セクションを設置してもよい。電気セクションが設置されることで、セクショニング計測制御保護技術と組み合わせて使用し、列車が停電することなく、また、点検やメンテナンスを容易にする。
【0030】
好ましくは、前記フィーダF1に電流変成器CT1が設けられ、フィーダF2に電流変成器CT2が設けられ、トラクションバスTSBに電圧変成器PTが設けられ、電流変成器CT1、電流変成器CT2、及び電圧変成器PTの計測端子は、いずれもコントローラCCの入力端子に接続され、コントローラCCの制御端子はパワーフロー制御装置PCDの制御端子に接続される。
【0031】
好ましくは、本実施例におけるパワーフロー制御装置PCDは、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ES及び正極バスPBと負極バスNBを含み、
コンバータ装置TPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端がトラクションバスTSBに接続され、他端が接地し、
コンバータ装置PPCは、単相コンバータシステムであり、交流側の一端が三相電力網のW相に直接接続され、他端が三相電力網のニュートラル線Nに接続され、又は、コンバータ装置PPCの交流側の他端がトラクション変圧器TTの一次側の巻線のセンタータップOに接続され、
コンバータ装置DPCは、三相コンバータシステムであり、交流側がトラクション変電所配電システムの三相バスa、バスb、バスcにそれぞれ接続され、
コンバータ装置PPC、コンバータ装置TPC、コンバータ装置DPC及びエネルギー貯蔵装置ESの直流側の正極及び負極は、それぞれ、前記正極バスPB及び負極バスNBに接続される。
【0032】
ここで、
図1に示すように、三相電力網は、U相、V相、W相を含み、トラクション変圧器TTの一次側は三相電力網のU相及びV相に接続されてもよく、コンバータ装置PPCの交流側の一端は三相電力網のW相に接続され、コンバータ装置PPCの交流側の他端は、ニュートラル線(即ち、
図1におけるN線)に接続されてもよく、
図2に示すようにトラクション変圧器TTの一次巻線のセンタータップOに接続されてもよい。
【0033】
好ましくは、パワーフロー制御装置PCDの制御端子は、コンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ESの制御端子を含む。
【0034】
ここで、
図3に示すように、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC、コンバータ装置PPC、コンバータ装置DPC、エネルギー貯蔵装置ESの制御端子は、いずれもコントローラCCの制御端子に接続され、すなわち、コントローラCCの制御端子は、パワーフロー制御装置PCDの制御端子に接続される。
【0035】
以上より、本発明の実施例のスマートトラクション変電所は以下の優位性を有する。
1.本発明の実施例のスマートトラクション変電所は、パワーフローの制御が可能な変電所であり、ここで、コンバータ装置とエネルギー貯蔵装置を設置することによって、新しい構造を構成し、判定、制御を経て、電力網に戻るバイラテラル給電のライドスルーパワーフロー及びトラクションネットワークの電気機関車の制動による回生電力をすべて発電パワーフローとして利用することができ、電力網に戻る発電パワーフローを0にするか、あるいは要件を満たすことができ、しかも過剰な逆相を補償し、逆相が国家標準要件を満たすようにすることができる。
2.電力網の鉄道への給電構造を変えずに、トラクションネットワークの発電パワーフローを利用し、ライドスルーパワーフローが電力網とユーザーに与える悪影響を取り除き、バイラテラル給電のメリットを十分に発揮させる。
3.トラクション変電所の同相給電を基礎とした上で隣接変電所間のバイラテラル給電を実施することは、給電アームの回生エネルギーの利用により有利であり、回生制動エネルギーの直接利用率を高め、通常の場合、電力網に戻る回生電力と電気エネルギーを0にすることができる。
4.パワーフロー制御装置はトラクション変電所のエネルギー貯蔵装置と配電システムに接続して給電することができ、ライドスルーパワーフローを利用するほか、余剰の回生制動電気エネルギーを利用することもできる。
5.トラクション変電所の同相給電と発電パワーフロー利用装置を多重化することで、設備の重複と投資を減らす。
6.技術が先進的で信頼性が高く、実施しやすい。
【0036】
実施例2
図4に示すように、本実施例は、以下のステップを含む、実施例1によるスマートトラクション変電所に基づく制御方法を提供する。
【0037】
ステップS100:前記電圧変成器PTは、トラクションバスTSBの電圧UTを検出し、電流変成器CT1、電流変成器CT2は、それぞれ、フィーダF1、フィーダF2の電流を検出する。
【0038】
ステップS200:コントローラCCは、検出したトラクションバスTSBの電圧及びフィーダF1、フィーダF2の電流から、トラクションバスTSBがフィーダF1、フィーダF2を介してトラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2にそれぞれ供給するアクティブパワーフローを算出し、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2に流れるアクティブパワーフローは正、トラクションバスTSBに流れるアクティブパワーフローは負である。
【0039】
ステップS300:コントローラCCは、前記アクティブパワーフローに基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、コントローラCCは、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする。
【0040】
好ましくは、前記制御方法では、
コントローラCCは、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF1の電流I1から、トラクションバスTSBがフィーダF1を介してトラクションネットワークOCS1に供給するアクティブパワーフローP1を算出し、トラクションバスTSBの電圧UT及びフィーダF2の電流I2から、トラクションバスTSBがフィーダF2を介してトラクションネットワークOCS2に供給するアクティブパワーフローP2を算出し、
コントローラCCは、アクティブパワーフローP1及びアクティブパワーフローP2に基づいて、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC及びコンバータ装置PPCを制御して、トラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、逆相が国家標準要件を満たすようにし、又は、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPC又はエネルギー貯蔵装置ESを制御して、トラクションネットワークOCS1、トラクションネットワークOCS2からトラクション変電所に戻る全発電パワーフローを利用することで、電力網に戻る発電パワーフローが予め設定された要件を満たすようにする。
【0041】
好ましくは、前記方法では、
P1+P2<0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が発電パワーフローを電力網に戻したと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置TPC、コンバータ装置DPCを制御して作動させ、配電システムの三相バスa、バスb、バスcに給電させ、又はコンバータ装置TPCのエネルギー貯蔵装置ESを制御して充電させ、両方の発電パワーフローの和を|P1+P2|に等しくし、電力網に戻る発電パワーフローを0にし、予め設定された要件を満たすようにし、また、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPCを制御して待機させ、
P1+P2>0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2がトラクション動作条件を満たすと判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置PPC及びコンバータ装置TPCを制御してトラクション変圧器TTに対して逆相補償を行い、また、パワーフロー制御装置PCDのエネルギー貯蔵装置ESを制御して、コンバータ装置TPCによってトラクションバスTSBに給電し、トラクション変電所の逆相が基準を満たすようにするとともに、パワーフロー制御装置PCDのコンバータ装置DPCを制御して待機させ、
P1+P2=0の場合、コントローラCCは、フィーダF1及びフィーダF2が無負荷であると判定し、この場合、パワーフロー制御装置PCDを制御して待機させる。
【0042】
以上は、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、上記の好ましい実施形態は本発明に対する制限とみなすべきではなく、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で定められた範囲に準じるものである。当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で、いくつかの改良及び修正を加えることもでき、これらの改良及び修正もまた、本発明の保護範囲とみなされるものとする。
【国際調査報告】