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特表2025-503693堆積された粉末を調整する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】堆積された粉末を調整する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/321 20170101AFI20250128BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20250128BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250128BHJP
   B29C 64/218 20170101ALI20250128BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20250128BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20250128BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20250128BHJP
【FI】
B29C64/321
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/218
B29C64/165
B29C64/295
B29C64/245
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541944
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 US2023060755
(87)【国際公開番号】W WO2023137488
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,816
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/074,236
(32)【優先日】2022-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520272949
【氏名又は名称】サクウ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モルテザ ヴァタニ
(72)【発明者】
【氏名】セイエド モハンマド サジャディ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ポール ワナメーカー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ネスダル
(72)【発明者】
【氏名】ティム デブルーイン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン リンダール
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン カーロール
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AM11
4F213AP05
4F213AP19
4F213AR06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WF23
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL35
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL92
(57)【要約】
【課題】3D印刷装置内で粉末を湿潤させることによって、基材(例えば、ウェブ)上に堆積された粉末を調整する装置および方法を提供する。
【解決手段】湿潤装置は、基材の移動方向において粉末ディスペンサと少なくとも1つの上部カレンダローラとの間に配置され、粉末がカレンダローラを通過する前に基材上の粉末に湿潤剤を塗布(付与)するように構成される。湿潤剤は、粉末の凝集性を高めて粉末がトップ(上部)ローラに付着するのを防止する材料からなる。特定の実施態様では、湿潤剤は、粉末が湿潤装置を通過する基材の領域に閉じ込められた蒸気であり、湿潤装置内にない基材の他の領域を湿潤させない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
基材上に粉末を分配するように構成された粉末ディスペンサと、
基材上の粉末の上方に配置されたトップローラからなるカレンダと、
基材の移動方向において粉末ディスペンサとカレンダとの間に配置された調整装置とを備え、
前記調整装置は、粉末がカレンダを通過する前に基材上の粉末に調整剤を塗布するように構成され、
前記調整剤は、前記粉体の凝集性を高める材料からなる、装置。
【請求項2】
前記トップローラは、前記粉末が前記トップローラに付着するのを防止するように構成された制御された表面エネルギーコーティングを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記トップローラと前記基板上の前記粉末の上面との間に位置し、前記粉末が前記トップローラに付着することを防止するように構成された被覆層をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基材の移動方向に沿って前記カレンダの後に配置された乾燥機をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記調整装置は湿潤装置を備え、前記湿潤装置が、前記基材上の前記粉末に湿潤剤として蒸気を付与するように構成された蒸気ヘッドを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記蒸気ヘッドは、前記基材の移動方向に沿って前記基材の一部を覆う蒸気チャンバを備える蒸気ハウジング内に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記蒸気ヘッドに隣接して前記湿潤装置の前記蒸気ハウジング内に配置され、前記蒸気ハウジング内の前記蒸気ヘッドによって生成された過剰な蒸気および凝縮物を除去するように構成された少なくとも1つの真空装置を更に備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記湿潤装置は、前記基材が前記湿潤装置を通って移動する間、前記蒸気ヘッドにおいて蒸気を連続的に生成するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記蒸気ヘッドの下にある前記基材の一部の上に粉末があるときを感知するためのセンサを更に備え、前記湿潤装置は、前記蒸気ヘッドの下にある前記基材の前記一部の上に粉末があると前記センサが判定したときにのみ、前記蒸気ヘッドから蒸気を生成するように構成される、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記蒸気ヘッドに隣接して配置され、前記蒸気ヘッド内に蒸気を維持するように構成されたヒータを更に備える、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記湿潤装置を前記基材から分離するように構成された昇降機構をさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記湿潤装置の前記蒸気ハウジングの反対側の前記基材の下に配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項13】
粉末温度を測定するように構成されたセンサをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
蒸気が前記蒸気室に入るときに蒸気の温度を測定するように構成されたセンサをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項15】
前記ヒートシンクは、粉末温度を制御するために制御可能な熱容量を有するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記基材が前記上部ローラと下部ローラとの間に配置されるように、前記上部ローラに対向して前記基材の下に配置された下部ローラをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記基材がコンベヤベルトからなる、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
粉末が堆積されていない領域において前記基材上に空気を吹き付けて、前記基材のそれらの部分上に漂流した可能性がある過剰な粉末を除去するように構成された基材洗浄アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記基材洗浄アクチュエータは、前記基材と接触したり離れたりするように昇降するように構成されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
方法であって、
粉末を基材上に分配するステップと、
前記粉末がカレンダを通過する前に、前記基材上に分配された前記粉末に調整剤を付与するステップと、
前記調整剤が付与された後に、前記粉末を圧縮するステップとを備え、
前記調整剤は、前記粉末の凝集性を増加させて、圧縮中に前記粉末の均一な圧縮を提供する材料からなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、3D印刷装置において、粉末を潤滑/湿潤させることによって、基板上に堆積された粉末に調整を提供するための改善された装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
具体的には、現在のバインダージェット3D印刷では、基板上に粉末を堆積させた後、基板上の粉末を圧縮のためにカレンダシステムなどのローラに通すことができる。従来の技術は、接触ローラに粉末が付着すること、またはローラと粉末が堆積されるキャリアプレートまたは基板との間で粉末が分裂することによる不均一な圧縮に悩まされている。全ての場合において、これは不均一な部品製造をもたらす。したがって、例えば、3D印刷、特に粉末結合剤噴射(本明細書に記載の技術は、連続材料噴射システムにも適用することができるが)において、粉末およびパターンローラ圧縮中に均一に圧縮し、粉末の粘着および分裂を防止するための構成が必要とされている。粉末の流動性を改善し、それによって圧縮均一性を補助し、基板と後に適用される層との間の張力を最小化または制御するために、堆積された粉末に潤滑剤および/または湿潤剤を適用する実施は、米国特許出願第17/375,781号に論じられている。
【発明の概要】
【0003】
一実施態様では、基板(基材)上に粉末を分配するように構成された粉末ディスペンサと、基板上の粉末の上方に配置されたトップローラを含むカレンダと、基板の移動方向において粉末ディスペンサとカレンダとの間に配置された調整装置とを含む装置が提供され、調整装置は、粉末がカレンダを通過する前に基板上の粉末に調整剤を塗布するように構成され、調整剤は、粉末の凝集性を高める材料を含む。
【0004】
別の実施形態では、基板上に粉末を分配するステップと、粉末がカレンダを通過する前に基板上の分配された粉末に調整剤を塗布するステップと、調整剤が塗布された後に粉末を圧縮するステップとを含む方法が提供され、調整剤は、圧縮中に粉末の均一な圧縮を提供するために粉末の凝集性を増加させる材料からなる。
【0005】
図面は、本教示による1つまたは複数の実施形態を、限定ではなく単に例として示す。図中、同様の参照番号は、同一または類似の要素を指す。さらに、図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の態様による、3D印刷装置内の基板の上方に配置された粉末調整、潤滑、または湿潤装置を示す図である。
図2】本開示の態様による、3D印刷装置内の基板の上方に配置された粉末調整、潤滑、または湿潤装置の別の実施形態を示す図である。
図3】本開示の態様による湿潤装置の要素の断面図である。
図4】本開示の態様による、基板から湿潤装置を持ち上げるための昇降機構の斜視図である。
図5】本開示の態様による、基板の上の湿潤装置とは反対側の、基板の下のヒートシンクの使用を含む、湿潤装置の斜視図である。
図6】本開示の態様による、蒸気室内の起こり得る水汚染を防止するために蒸気処理ヘッドが取り付けられるテーブルを傾斜させることを含む、湿潤装置の切断端面図を示す。
図7】本開示の態様による、湿潤装置内の蒸気処理ヘッドに適用される蒸気の生成および特性を制御するためのシステムインターフェースを示す。
図8】本開示の態様が実施され得る例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明では、開示される主題の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が例として記載される。しかし、本開示を読むと、1つまたは複数の開示された態様がそのような詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかになり得る。さらに、本開示による様々な例示的な実施形態の説明は、1つまたは複数の知られている技法または動作の参照またはそれらへの参照を含むことがあり、そのような参照は、本開示に特有ではなく、本開示を完全に理解するために必要ではない詳細で、その様々な概念、態様、および特徴を不明瞭にすることを回避するために、比較的高レベルであり得る。
【0008】
本開示では、均一な圧縮を確実にし、粉末およびパターンローラ圧縮中のトップローラ(上部ローラ)への粉末の付着および分裂を防止するために、カレンダ加工動作の前に粉末を前処理または調整するための構成が提供される。これらの構成は、例えば3D印刷装置、特に粉末結合剤噴射において特に有用である(ただし、本明細書に記載の技術は、連続材料噴射又は他の粉末堆積システムにも適用することができる)。
【0009】
特に、2022年1月14日に出願された「Printing Method and Apparatus for Additive Manufacturing, Including In‐situ Powder Regeneration」という名称の本出願人による関連する仮出願(出願番号第63/299,867号)に記載されているように、各層を別々に構築するモジュール式ベースマシンである付加製造(AM製造)のためのプラットフォームが開発されている。個々の層はいくつかの装置を通過し、各装置は固有の機能を有する。これらの装置のうちの1つは、堆積された粉末層がまだグリーン未硬化段階にある間に、カレンダ加工操作で粉末を圧縮することを含む。したがって、本明細書では、上記の関連出願に記載された新しいプラットフォームに特に適合された方法および装置が開示される。具体的には、この関連出願に記載されているプラットフォームでは、プラットフォームの性質により、粉末層は、本開示に記載されている技術によって個々に調整することができ、したがって、上記の関連出願に記載されているプラットフォームにおける層のカレンダ加工を改善することが可能である。
【0010】
上記の関連出願は、粉末塗布装置で基板に粉末を塗布し、粉末の第1の部分を除去して、堆積された粉末の部分の間に基板のきれいな部分を作成し、基板上に残っている堆積された粉末の部分を湿潤装置に移動させ、湿潤装置で粉末を湿潤剤で湿潤させ、堆積された粉末の湿潤された部分をカレンダローラに通して粉末を圧縮し、きれいな部分で基板を切断して、それぞれが堆積された粉末の部分の1つを含む基板セグメントを作成し、堆積された粉末の部分を有する基板セグメントを結合剤塗布装置に移動させ、結合剤塗布装置で粉末に結合剤を塗布して、堆積された粉末を層に硬化させ、層が取り付けられた基板セグメントをそれぞれのキャリアプレートに移送し、層が取り付けられた基板セグメントと共にキャリアプレートを積層装置に移動させ、キャリアプレートのそれぞれを反転させて、層を基板セグメントから分離し、層を個々に互いに積層して多層製品を形成するシステムおよび方法を記載している。本開示は、関連出願に記載されているシステムに、全体的な3D印刷動作においてグリーンの未硬化段階にある間の粉末のカレンダ加工の一部として組み込むことができる。ステップの特定の順序が上述されているが、ステップの順序は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて変更することができることに留意されたい。
【0011】
図1は、本開示の態様による、3D印刷装置内の基板の上方に配置された粉末調整、潤滑、または湿潤装置10を示す。図2は、粉末圧縮のための代替的な構成を利用する、そのような粉末調整、潤滑、または湿潤装置の別の実施態様を示す。図1および図2を参照すると、スプレーまたはインクジェットプリントヘッド12は、移動方向に対してキャリア基材(基板)16(例えば、キャリアコンベヤベルト)上の粉末ディスペンサ14の後に配置され、粉末ディスペンサ14によって基材16(「基材」は当技術分野では「ウェブ」とも呼ばれることに留意されたい)上に堆積された粉末20上にコンディショニング剤18、例えば湿潤剤をスプレーまたはインクジェット印刷する。潤滑の場合、制御された表面張力、好ましくは高い表面張力を有する潤滑剤または湿潤剤/液体18が、堆積された粉末20上に均一に堆積される。したがって、堆積された粉末20は、制御された湿潤剤18によって湿潤される。この湿潤剤18は、十分な潤滑を提供することによって、粉末20の均一な圧縮を助け、内部凝集を増加させ、粉末の凝集性を増加させることによって粉末の分裂を防止する。特定の実施形態に関して以下に説明するように、湿潤剤18は、水から生成された蒸気とすることができる。しかしながら、水または有機材料に添加される他の材料を含む他の湿潤剤を使用して、その後の処理のために粉末の均一な圧縮および内部凝集を改善するのを助けることができる。また、代替的な実施態様では、コンディショニング剤18を蒸発によって塗布することができる。
【0012】
図1を参照すると、カレンダ加工中の粉末20の付着又は分裂を最小限に抑えるために、制御された表面エネルギーコーティング28をカレンダ22の上部圧縮ローラ24(下部圧縮ローラ26も含む)の表面に塗布して、粉末20が分裂して上部圧縮ローラ24に付着するのを防止することができる。図2は、カレンダ22の上部圧縮ローラ24に加えられるか、またはカレンダ加工中に使用される別の被覆表面に加えられる低い表面エネルギーを有する、分配シートローラから圧延されたシートなどの被覆層28’を使用する代替の配置を示す。制御された表面エネルギーを有するコーティングまたは被覆表面と、インクジェットプリンタ12のスプレーディスペンサによって塗布される湿潤剤18との組み合わせは、粉末の分裂および圧縮ローラ24への付着を防止する。粉末に適用される湿潤剤18の量は、10重量%未満であり得る。
【0013】
さらに図1および図2を参照すると、カレンダ圧縮ローラ24および26による粉末圧縮の後、パターン形成の前に、圧縮された粉末20を有するキャリア基板16は、噴霧またはインクジェットによって塗布され、まだ蒸発していない残りの湿潤剤18を除去および蒸発させるために、乾燥機30による乾燥プロセスを受けることができる。乾燥機30は、IRランプ、熱風であってもよく、またはより速い乾燥のためのパルス乾燥機であってもよい。
【0014】
単層粉末圧縮の概念に関する図1および図2の上記の説明を要約すると、ディスペンサ12(例えば、スプレー又はインクジェットプリントヘッド)は、堆積された粉末20の層に調整剤、潤滑剤又は湿潤剤18を分配するために提供される。この調整剤、潤滑剤、または湿潤剤18は、蒸発技術、インクジェット、スプレー、または特定の実施に関して以下に説明するように、蒸気を使用することによって堆積させることができる。調整剤、例えば、潤滑剤/湿潤剤18は、上述したように、均一な圧縮のために、ならびに付着および分裂を防止するために、堆積された粉末20を潤滑/湿潤させる。さらに、上述したように、潤滑剤/湿潤剤18に加えて、図1に示すように、一対の圧縮ローラ24および26のトップローラ24にコーティングを施すことができ、または図2に示すように、トップローラ24と堆積された粉末20の上面との間にカバーシート28を適用して、トップローラ24への粘着またはカレンダローラ24および26による圧縮中の粉末20の分裂の防止をさらに強化することができる。また、図1および図2に示す実施形態は、一対のカレンダローラ24および26を示しているが、代替的な実施形態では、単一のトップローラ24を使用して、トップローラ24と基材16との間で粉末層20をプレスすることができることに留意されたい。あるいは、硬質プレート(図示せず)などの固体支持体を基材16の下に設けて、単一の上部カレンダローラ24と連動して動作させて粉末20を圧縮することができる。
【0015】
図3図7を参照すると、これらの全ては、具体的には、粉末20のための潤滑剤又は湿潤剤18として蒸気を使用する、上述の原理の特定の実施に関連する。便宜上、以下の説明では、湿潤剤18の使用に起因する粉末20の湿潤が特定のコンディショニング効果、この場合は潤滑効果を有することに留意して、コンディショナーまたは潤滑剤ではなく湿潤剤18という用語を使用する。
【0016】
湿潤剤18として蒸気を使用することに関して、カレンダ加工の前に粉末20の湿潤を実施するための様々な実験において、分散された粉末20を損傷せず、流動性を改善するのに十分な潤滑を提供するが、湿潤剤が所望の粉末境界を超えて広がるほどではない湿潤プロセスを見出すために、様々なアプローチが試みられた。実験は、異なるノズルおよびタイプのノズルを有する噴霧器および微細噴霧器を用いて行った。このような噴霧器および微細噴霧器を使用することにより、特に、図1および図2に示すように、低表面エネルギー材料を有するトップローラのコーティング28又はカバー28’と組み合わせた場合に、カレンダローラ24および26での圧縮後の粉末20の圧縮および均一性が改善されたが、これらの実験のいくつかの結果は、細溝、ポケット、および粉末試料20への損傷であった。具体的には、これらの実験から、噴霧面積または粉末20の表面に塗布される水(または他の湿潤剤18)の量を制御することが困難であることが決定された。
【0017】
次いで、蒸気形態の水を粉末20の表面に適用する実験を行った。この方法は、細溝、ポケット、および粉末試料への損傷に関する上記の問題を排除することが決定された。蒸気は、粉末湿潤の均一で制御可能な方法を作り出した。換言すれば、蒸気は、この実施形態では湿潤剤として機能し、以下では蒸気18’と呼ばれる。蒸気領域はまた、蒸気チャンバの外側の基材16の部分で粉末20の基材領域を濡らさないように、以下で説明するように、蒸気チャンバを使用して非常に制御可能であった。これにより、カレンダローラ24および26における粉末圧縮に続く下流のさらなるプロセスにおける粉末損傷が排除される。
【0018】
図3は、調整装置、この例では湿潤装置10の要素の断面図を示す。図3に見られるように、制御された厚さの粉末20(典型的には、粉末を平らにするためのブレード、および/または堆積された粉末の均一性を促進するためのローラなどの装置を介して制御される)を有する移動基板16は、湿潤装置10に入る。湿潤装置10(例えば、蒸気チャンバ34を含む蒸気ハウジング32)は、発生した蒸気18’を閉じ込めることができ、粉末20を上に有する基材16が通過することができる隔離領域を提供する。換言すれば、蒸気18’は、蒸気チャンバ34内の基材16の部分に限定され、蒸気チャンバ34の外側の基材16の部分上の粉末20は、蒸気18’によって接触されないままである。
【0019】
図3に示すように、湿潤装置10は、湿潤プロセスに必要な全ての要素を収容する蒸気ハウジング32を備えることができる。蒸気ハウジング32は、任意選択であるが、以下でより詳細に説明するようにいくつかの目的を果たすことができ、そのうちの1つは、生成された蒸気18’からの意図しない曝露からユーザを保護する安全機能を提供することである。それはまた、湿潤装置10が基板16から離れて移動するときに、湿潤プロセスのすべての要素を予期しない損傷から保護する手段を提供することができる。
【0020】
蒸気18’は、最初に、蒸気発生器を使用して(例えば、図7に示されるような蒸発器を使用して)生成され、蒸気発生器は、一実施態様によれば、指示されないまで蒸気18’を生成し続ける。蒸気発生器は、蒸気源入力38に蒸気を適用するための最小蒸気流量/速度、および蒸気18’の所望の温度範囲を提供するように選択することができる。生成された蒸気18’は、蒸気源入力38を介して蒸気ハウジング32内の蒸気処理ヘッド36に供給される。蒸気18’は、加熱された管(図7参照)を蒸気発生器から蒸気源入力部38まで下方に移動し、次いで、蒸気処理ヘッド36(例えば、加熱された蒸気供給ワンド)内に移動する。蒸気処理ヘッド36は、ヘッド36内に蒸気18’を分配する1つ以上の蒸気分配ヘッド又はノズルを有してもよい。蒸気処理ヘッド36は、基材16上の流入粉末20を強制蒸気18’でコーティングする幅広の三角形の物体であり得る。分配された蒸気18’は、加熱された蒸気ディスペンサ(すなわち、蒸気処理ヘッド36)の下を通過する際に粉末20を濡らす。
【0021】
蒸気処理ヘッド36の幅は、好ましくは、少なくとも基材16上に分配される粉末20の幅であるが、基材16自体の幅よりもわずかに小さい。あるいは、蒸気処理ヘッド36の幅は、基板16と実質的に同じ幅であってもよい。一実施形態では、蒸気処理ヘッド36は、蒸気18’が蒸気源入力38から基材16上の粉末20に移動するときに、蒸気18’が三角形状に広がるように構成される。
【0022】
いくつかの実施態様では、ヒータ40は、蒸気チャンバ34および/又は蒸しヘッド36内に蒸気18’を維持するのを助けるために、蒸気チャンバ34に又は代替的に蒸しヘッド36に取り付けられるか又は隣接して配置され得る。幾つかの実施において、ヒータ40は、蒸気処理ヘッド36の形状に適合するように成形される。他の実施態様では、ヒータ40は、蒸しヘッド36とは異なる形状にされ、蒸しヘッド36の幅および高さよりも小さい領域又は大きい領域のいずれかを覆うことができる。ヒータ40は、ヒータ40の残りの部分全体に広がる熱を生成する、ヒータ40を通過するヒータコアを含むことができる。蒸気室34内にセンサ(例えば、図7参照)を設けて、蒸気処理ヘッド36によって分散されている蒸気18’の温度およびレベルを検知することに基づいて、必要に応じてヒータ40を作動させることができる。他の実施態様では、蒸気生成速度は、蒸気チャンバ34を通って移動する基板16の速度に関連付けられてもよい。センサおよび制御装置を蒸気チャンバ34の内部に組み込んで、蒸気生成の速度又は基材16の速度を必要に応じて修正して、適切な量の蒸気18’が粉末20に適用されることを確実にし、その結果、粉末20は、カレンダローラ24および26におけるその後の圧縮中に無傷のままである。蒸気生成の動的変更は、制御装置にフィードバックされる様々なセンサから受信したデータに基づいて可能にされ得る。
【0023】
図3に示されるように、湿潤装置10は、蒸気ハウジング32内に1つ以上の真空装置42を含み、好ましくは、そのうちの少なくとも1つは蒸気処理ヘッド36に隣接し、粉末20の蒸気標的領域の外側で生じ得る過剰な蒸気又は任意の凝縮を除去する。蒸気標的領域は、湿潤装置10内の基材16の粉末領域である。真空装置42は、湿潤装置10から過剰な蒸気又は凝縮物を除去し、および/又は蒸気チャンバ34内の蒸気圧/流量を制御することができる。これにより、堆積した粉末20が受ける水分のさらなる制御が提供される。真空装置42は、粉末20の表面に開いていてもよいが、基材16に至るまで開いていなくてもよい。いくつかの実施形態では、開口部の位置は、アプリケーションによって指示されるように、ユーザによって、またはセンサを介して取得されたデータに基づいて自動的に変更することができる。真空装置42はまた、凝縮した水蒸気の抽出を助けるために、親水性材料(図示せず)、例えばフェルトストリップを組み込んでもよい。親水性材料は、操作を補助するために水溶液で連続的に湿潤または飽和され得る。粉末20が受ける水分は、湿潤装置10の様々なパラメータ(真空装置42によって提供される圧力を含む)および蒸気チャンバ34を通って移動する基材16の速度を最適化することによって制御することができる。
【0024】
基材16が湿潤装置10を通過する際に、「純粋な」基材部分(例えば、粉末20が堆積されていないと想定される基材16の領域)上に過剰な水分が存在する場合、これは蒸発している可能性が最も高いため、真空装置42以外の追加の過剰な水分除去操作は必要ない。しかしながら、一実施態様では、図3にも示すように、基板洗浄アクチュエータ44を湿潤装置10の出口に設けて、粉末20が堆積していない領域の基板16に空気を吹き付けて、基板16のこれらの部分に漂っている可能性のある過剰な粉末を洗浄することもできる。一構成では、基板洗浄アクチュエータ44は、基板16の表面までずっと空気を分配することができる。
【0025】
別の構成では、図3に示すように、移動する基板を収容するために、基板洗浄アクチュエータ44は、粉末領域の上に配置されていないときにのみ基板16の表面まで下降し、他のときには粉末20の表面の上に上昇するように作動させることができる。上昇および下降のタイミングは、基材16の速度、粉末セグメントの幅、および非粉末化セグメントの幅に基づいてタイミングを合わせることができる。他の例では、上昇および下降のタイミングは、画像取得装置などのセンサから受信したデータと、粉末の縁部、粉末の領域、および/または「純粋な」基板の領域を決定するために必要な関連する画像処理とに基づいてもよい。
【0026】
代替的な構成では、蒸気ハウジング32上に配置された1つ以上のセンサは、粉末20が蒸気ハウジング32を出るときに粉末20の縁部を記録することができる。エッジが位置合わせされると、クリーニングツール(図示せず)、例えば、柔らかい「スクウィージ」(squeegee)スタイルの材料で作られた可撓性ブレードを使用して、粉末20が堆積されていない基板16の表面から液体を押して除去することができる。スクウィージスタイルの可撓性ブレードの先端は、基材に触れる唯一の材料であるため、可撓性ブレードに使用される材料は、可撓性ブレードの先端が基材をこすって所望の第1の部分で基材から粉末を除去するときに基材への損傷を防止する材料として選択されるべきである。可撓性ブレードとして使用するために選択される材料はまた、粉末が付着又は反応しないブレード材料を選択することが望まれる、粉末20の特定の化学的性質に依存し得る。一実施態様では、移動する基材16の速度に基づいて、基材16が移動している間にブレードが基材16を一方の側から他方の側に横断するときに、クリーニングツールが基材を横断し、基材上の粉末20の2つの隣接する縁部の間を基材16の長手方向側部に実質的に直交する方向に移動するように、ブレードの接近角度を調整することができる。
【0027】
図4に示すように、親水性材料、例えば、基板16の縁部に平行に延びるフェルトストリップ46を設けることができる。これらのフェルトストリップ46は、結露を捕捉し、それが真空装置42によって真空にされることを可能にする。フェルトの代替物としては、水分を集めることができ、粉末又は基材16を損傷しない他の材料、例えばスポンジ、「スクウィージ」材料などの材料を挙げることができる。いくつかの実施形態では、材料ストリップは、2つの側部を含むことが可能であり、それぞれの側部は、1つまたは複数の異なる要件に対処する。例えば、一方の側は水分収集を提供し、他方は封止を助ける。
【0028】
一実施態様では、親水性材料(例えば、フェルトストリップ46)の上面で凝縮する水蒸気は、湿潤装置10の下部の1つ以上のポート48を介して、最終的な再使用/リサイクルのために貯水容器(図示せず)に移送されてもよい。凝縮水は、ポート48から配管を通って貯水容器に移動することができる。場合によっては、ユーザは、1つ又は複数のポート48のうちのどれが利用されるかを選択し、蒸気チャンバ34内の蒸気の流量を制御する更なる方法を提供し、水蒸気の均一な分布が維持されることを可能にしてもよい。他の例では、1つ以上のポート48のうちのどれを利用するかは、ポート48の各々におけるレベルまたは凝縮水蒸気抽出を識別するセンサからのデータに基づいて、自動的に選択されてもよい。親水性材料は、水溶液で連続的に湿潤または飽和されて、水蒸気が真空を通して引き込まれることを可能にしながら、凝縮された蒸気を吸収および捕捉することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の位置において、親水性材料は、上面からポート48まで延在し、ポート48への凝縮水の移送機構を提供することができる。
【0029】
湿潤装置10が常に蒸気源18’を備え、乾燥しないことを確実にするために、追加のセンサが組み込まれてもよい。親水性材料(例えば、フェルトストリップ46)が必要な飽和レベルを維持することを確実にして、適用された真空を介して凝縮水蒸気を抽出することができることを確実にするために、追加のセンサを設けることもできる。
【0030】
更なる実施形態では、図4にも示すように、湿潤装置10は、昇降機構50を使用して持ち上げることができ、昇降機構50は、湿潤装置10全体が配置されたテーブルを上方向に上昇させてフェルトストリップ46を露出させ、必要に応じて交換又は洗浄することができ、湿潤装置10を基板16から分離する。
【0031】
昇降機構50は、手動で操作されてもよいし、電子的に操作されてもよい。別の実施態様では、湿潤装置10は、必要に応じてフェルトストリップ46を交換又は清掃できるように、フェルトストリップ46を露出させるために回転させることができるように、1つの縁部に沿ってヒンジ結合されてもよい。基材16のいずれかの側にレールまたは位置構造(図示せず)を設けて、湿潤装置10が存在するための画定された位置を提供することができ、それにより、基材16に向かって下降したときに、湿潤装置10の縁部がフェルト46に対して整列して封止する。湿潤装置10の重量は、封止を容易にするのをさらに助けることができる。
【0032】
ここで図5および図6を参照すると、ヒートシンク52が、湿潤装置10および蒸しヘッド36の反対側で基板16の下に設けられて、湿潤装置10で発生した熱を支持基板16の底面から分散させることができる。これにより、典型的にはマイラーで形成される基板16は、蒸気処理動作による熱損傷を受けない。もちろん、他の材料を基板16に使用できることに留意されたい。ヒートシンク52の寸法は、基板16自体が、ヒートシンク52の真上に位置する蒸気ハウジング32内で生じる蒸気処理動作によって損傷されないことを確実にするように、適宜調整されることができる。ヒートシンク52はまた、粉末20の温度を制御して、蒸気の吸収および凝縮を確実にするのに役立つ。
【0033】
一実施形態では、ヒートシンク52からの熱放散をさらに高めるために、ヒートシンク52に隣接してファン54を設けることができる。図5はまた、凝縮水除去のための真空装置42と、図3により詳細に示される基板洗浄アクチュエータ44とを示す。
【0034】
別の実施態様では、加熱パッド56などの加熱装置を蒸気チャンバ34の上面に配置して(図3参照)、基板の上方で蒸気チャンバ34の内面に凝縮する水分を低減するか、または少なくとも最小限に抑えることができる。加熱装置56は、蒸気室34の外面、蒸気室34の上面の内面に配置されてもよく、又はその中に組み込まれてもよい。
【0035】
図6を参照すると、スチーミングヘッド36が取り付けられる取付台60は、スチーミングヘッド36から分散された蒸気が凝縮して取付台60の表面上に留まり、水汚染の可能性を生じさせないことを確実にするために、角度θで傾斜するように構成される。一実施形態では、載置台60は角度θで固定されており、別の実施形態では、載置台60は角度θを調整できるように構成されている。
【0036】
図7を参照すると、例えば図3および図4に示される蒸気ハウジング32内の蒸気処理ヘッド36によって使用される蒸気を生成および制御するためのシステムインターフェース70が示されている。具体的には、システムインターフェース70は、水入口74から水を受け取り、正確な所定量の水を蒸発器75に圧送する精密ポンプ72を含む。蒸発器75は、ポンプ72からの水を沸騰させて蒸気18’を生成し、該蒸気を蒸気ライン76に供給し、該蒸気ライン76は、蒸気18’を蒸気ハウジング32内の蒸気処理ヘッド36上の蒸気源入力部38に送る。図7に示すように、任意選択的に、蒸気ライン76は、1~3メートルの長さとすることができ、(蒸気を保存するために)加熱することができる。代替的な実施態様では、蒸発器75によって蒸気室34に供給される蒸気18’の流量を計量して制御するために、蒸発器75の後に質量流量制御器(図示せず)を含めることができる。
【0037】
さらに図7を参照すると、適切な量および温度の蒸気が生成されることを確実にするために、様々なセンサを使用することができる。具体的には、蒸発器75の蒸気出力が十分であることを保証するために、蒸発器75と蒸気ライン76との間に温度センサ77を設けることができる。蒸気温度が所定の適切な温度を超える場合、ポンプ72および蒸発器75を制御して蒸気温度を低下させることができる。あるいは、蒸気温度が低すぎることを温度センサ77が示す場合、ポンプ72および/または蒸発器75は、蒸気温度を上昇させるように調整され得る。図7に示されるように、ディスプレイおよびコントローラ78は、オペレータがこれを制御することを可能にする。あるいは、フィードバック制御システム(図示せず)を使用して、この調整動作を自動的に実行することができる。さらに、ポンプ72および蒸発器75の制御は、図3を参照して上述したように、蒸気ハウジング32内の蒸気の温度、体積、および圧力を測定することができる、蒸気ハウジング32内に配置された任意の外部センサ79の出力に基づいて影響を受けることもできる。
【0038】
図7のシステムインターフェース70によって制御される蒸気発生の速度および温度、蒸気チャンバ34/蒸気処理ヘッド36上に配置されたヒータ40の温度範囲、並びに基材16の速度は、例えば、全て、使用される基材16、基材16上に堆積される粉末材料20等に基づいて選択することができ、その目的は、分散された粉末20が損傷を受けず、流動性を改善するために十分な潤滑/湿潤が提供されるが、湿潤剤18が所望の粉末境界を越えて広がるほどではないことを確実にすることである。加えて、生成される蒸気18’、および提供される潤滑/湿潤は、潤滑/湿潤された粉末堆積表面上に配置されたマイラー表面(カレンダローラ24の表面など)が、堆積された粉末20のいずれも「ピックアップ」しない、すなわち、粉末がそれに付着しないように選択されるべきである。これらのパラメータの制御を助けるために、追加のセンサをシステムに組み込むことができる。例えば、センサは、粉末温度を測定するために提供されてもよく、フィードバック制御システム(図示せず)は、蒸気発生器(例えば、蒸発器75)および/またはヒートシンク52が粉末温度の制御を支援し得るように、蒸気発生および/またはヒートシンク52を調節するために使用されることができる。そのような追加のセンサは、凝縮および吸収について粉末温度を監視することができる。センサはまた、必要に応じて、製造作業の自動化に使用することができる情報を提供することができる。また、ヒートシンク52に水冷機構を設けて温度を制御してもよい。
【0039】
図8は、本開示の態様、例えば、図7に示されるディスプレイおよびコントローラ78、または上述のフィードバック制御システムが実装され得るコンピュータシステム800の例を示すブロック図である。コンピュータシステム800は、情報を通信するためのバス802または他の通信機構と、情報を処理するためにバス802に結合されたプロセッサ804とを含み得る。コンピュータシステム800はまた、情報およびプロセッサ804によって実行される命令を記憶するための、バス802に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスなどのメインメモリ806を含み得る。メインメモリ806は、プロセッサ804によって実行される命令の実行中に一時的変数または他の中間情報を記憶するためにも使用され得る。コンピュータシステム800は、例えば、図1図7を参照して上述した動作を実行するために、上述したフィードバック制御システムの図7に示すディスプレイおよびコントローラ78として実装することができる。
【0040】
コンピュータシステム800は、プロセッサ804のための静的情報および命令を記憶するための、バス802に結合された読み取り専用メモリ(ROM)808または他の静的記憶デバイスをさらに含み得る。フラッシュメモリまたは他の不揮発性メモリなどの記憶デバイス810は、情報および命令を記憶するためにバス802に結合され得る。
【0041】
コンピュータシステム800は、バス802を介して、情報を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ812に結合され得る。例示的ユーザ入力デバイス814等の1つ以上のユーザ入力デバイスは、バス802に結合されてもよく、ユーザコマンド選択等の種々のユーザ入力を受信し、これらをプロセッサ804またはメインメモリ806に通信するように構成されてもよい。ユーザ入力デバイス814は、ユーザ入力モードまたはオプションを提供する物理的構造、または仮想実装、またはその両方と、ディスプレイ812を通して、または他の技法を通してユーザに可視である、例えば、カーソルを制御するためのカーソル制御816とを含み得、そのようなモードまたは動作は、例えば、仮想マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーを含み得る。
【0042】
コンピュータシステム800は、それぞれのプログラム命令を重複またはインターリーブ方式で実行するプロセッサ804のそれぞれのリソースを含むことができる。命令は、記憶装置810などの別の機械可読媒体からメインメモリ806に読み込まれてもよい。いくつかの例では、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード(hard-wired)回路を使用することができる。本明細書で使用される「機械可読媒体」という用語は、機械を特定の方法で動作させるデータを提供することに関与する任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、それらに限定されない形態をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置810などの光ディスクまたは磁気ディスクを含むことができる。伝送媒体は、光学経路、または電気もしくは音響信号伝搬経路を含んでもよく、機械への入力のための物理的機構によって検出可能な命令を搬送することが可能な、電波および赤外線データ通信中に生成されるもの等の音響または光波を含んでもよい。
【0043】
コンピュータシステム800はまた、ローカルネットワーク822に接続されたネットワークリンク820に結合する双方向データ通信のために、バス802に結合された通信インターフェース818を含むことができる。ネットワークリンク820は、1つまたは複数のネットワークを介して他のデータデバイスにデータ通信を提供することができる。例えば、ネットワークリンク820は、ローカルネットワーク822を介してホストコンピュータ824またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)826によって操作されるデータ機器への接続を提供して、インターネット828を介してサーバ830にアクセスし、例えば、アプリケーションプログラムのコードを取得することができる。
【0044】
上記の説明は、主に、3D印刷の環境において粉末を湿潤させることに関して提示されているが、本開示の装置および方法は、3Dプリンタのための粉末湿潤のみに限定されず、それらは、後続の処理のために粉末を無傷に保つために粉末を湿潤させることが望ましい任意の状況において使用され得ることに留意されたい。
【0045】
説明および図示された実施形態は、コンベヤベルトなどの形態の基板または移動する基板のためのものであるが、本明細書に開示された教示は、個別の基板セグメントまたは個々の基板セグメントに適用され得ることが明らかであろう。
【0046】
以下では、本発明のさらなる特徴、特性および利点を項目によって説明する。
【0047】
項目1:基材上に粉末を分配するように構成された粉末ディスペンサと、前記基材上の前記粉末の上方に配置された、トップローラを含むカレンダと、前記基材の移動方向において前記粉末ディスペンサと前記カレンダとの間に配置された調整装置と、を含み、前記調整装置は、前記粉末が前記カレンダを通過する前に、前記基材上の前記粉末に調整剤を塗布するように構成され、前記調整剤は、前記粉末の凝集性を高める材料を含む、装置。
【0048】
項目2:項目1に記載の装置であって、トップローラが、粉末がトップローラに付着するのを防止するように構成された制御された表面エネルギーコーティングを有する。
【0049】
項目3:項目1または2に記載の装置であって、前記トップローラと前記基板上の前記粉末の上面との間に位置し、前記粉末が前記トップローラに付着することを防止するように構成された被覆層をさらに備える。
【0050】
項目4:項目1~3のいずれかに記載の装置であって、基材の移動方向に沿ってカレンダの後に配置された乾燥機を更に備え、乾燥機は、基材がカレンダーを通過した後に基材上の粉末を乾燥させるように構成されている。
【0051】
項目5:項目1~4のいずれかに記載の装置であって、調整装置が湿潤装置を含み、湿潤装置が、基材上の粉末に湿潤剤として蒸気を適用するように構成された蒸気処理ヘッドを含む。
【0052】
項目6:項目1~5のいずれかに記載の装置であって、蒸気処理ヘッドは、基材の移動方向に沿って基材の一部を覆う蒸気チャンバを含む蒸気ハウジング内に配置され、蒸気チャンバは、蒸気処理ヘッドから蒸気チャンバ内に配置された基材の一部に蒸気を閉じ込めるように構成されている。
【0053】
項目7:項目1~6のいずれかに記載の装置であって、湿潤装置の蒸気ハウジング内に、蒸気処理ヘッドに隣接して配置され、蒸気ハウジング内の蒸気処理ヘッドによって生成された過剰な蒸気および凝縮物を除去するように構成された少なくとも1つの真空装置を更に備える。
【0054】
項目8:項目1~7のいずれかに記載の装置であって、湿潤装置が、基材が湿潤装置を通って移動する間、蒸気処理ヘッドで蒸気を連続的に生成するように構成されている。
【0055】
項目9:項目1~8のいずれかに記載の装置であって、前記スチーミングヘッドの下にある前記基材の一部の上に粉末があるときを感知するためのセンサを更に備え、前記湿潤装置は、前記スチーミングヘッドの下の前記基材の前記一部の上に粉末があると前記センサが判定したときにのみ、前記スチーミングヘッドから蒸気を生成するように構成されている。
【0056】
項目10:項目1~9のいずれかに記載の装置であって、蒸気処理ヘッドに隣接して配置され、蒸気処理ヘッド内に蒸気を維持するように構成されたヒータを更に備える。
【0057】
項目11:項目1~10のいずれかに記載の装置であって、湿潤装置を基板から分離するように構成された昇降機構を更に備える。
【0058】
項目12:項目1~11のいずれかに記載の装置であって、湿潤装置の蒸気ハウジングの反対側の基材の下に位置するヒートシンクを更に備える。
【0059】
項目13:項目1~12のいずれかに記載の装置であって、粉末温度を測定するように構成されたセンサを更に備える。
【0060】
項目14:項目1~13のいずれかに記載の装置であって、蒸気が蒸気チャンバに入るときに蒸気の温度を測定するように構成されたセンサを更に備える。
【0061】
項目15:項目1~14のいずれかに記載の装置であって、ヒートシンクが、粉末温度を制御するために制御可能な熱容量を有するように構成されている。
【0062】
項目16:項目1~15のいずれかに記載の装置であって、基材が上部ローラと下部ローラとの間に位置するように、上部ローラの反対側で基材の下に位置する下部ローラを更に備える。
【0063】
項目17:項目1~16のいずれかに記載の装置であって、基材がコンベヤベルトからなる。
【0064】
項目18:項目1~17のいずれかに記載の装置であって、粉末が堆積されていない領域内の基板上に空気を吹き付けて、基板のそれらの部分上に漂流した可能性がある任意の過剰な粉末を除去するように構成された基板洗浄アクチュエータを更に備える。
【0065】
項目19:項目1~18のいずれかに記載の装置であって、前記基板洗浄アクチュエータは、前記基板と接触したり離れたりするように昇降されるように構成されている。
【0066】
項目20:基材上に粉末を分配するステップと、粉末がカレンダを通過する前に基材上の分配された粉末に調整剤を塗布するステップと、調整剤が塗布された後に粉末を圧縮するステップとを含む方法であって、調整剤が、圧縮中に粉末の均一な圧縮を提供するために粉末の凝集性を増加させる材料から構成される、方法。
【0067】
項目21:項目20に記載の方法であって、粉末を圧縮した後に粉末を乾燥させることを更に含む。
【0068】
項目22:項目20または21に記載の方法であって、コンディショニング剤が、蒸気処理ヘッドによって適用される蒸気である。
【0069】
項目23:項目20~22のいずれかに記載の方法であって、蒸気処理ヘッドは、基材の移動方向に沿って基材の一部を覆う蒸気チャンバを含む蒸気ハウジング内に配置される。
【0070】
項目24:項目20~23のいずれかに記載の方法であって、蒸気処理ヘッドに隣接して蒸気ハウジング内に配置された少なくとも1つの真空装置によって真空を適用して、蒸気ハウジング内の蒸気処理ヘッドによって生成された過剰な蒸気および凝縮物を除去することを更に含む。
【0071】
項目25:項目20~24のいずれかに記載の方法であって、基材が湿潤装置を通って移動する間、蒸気処理ヘッドで蒸気を連続的に生成することを更に含む。
【0072】
項目26:項目20~25のいずれかに記載の方法であって、センサを介して、蒸気処理ヘッドの下にある基材の一部の上に粉末があるときを感知することを更に含み、蒸気処理ヘッドの下の基材の一部の上に粉末があるとセンサが判定したときにのみ蒸気処理ヘッドから蒸気が生成される。
【0073】
項目27:項目20~26のいずれかに記載の方法であって、蒸気処理ヘッドを加熱して蒸気処理ヘッド内の蒸気を維持することを更に含む。
【0074】
項目28:項目20~27のいずれかに記載の方法であって、蒸気処理ヘッドを上昇させて、湿潤装置を基材から分離することを更に含む。
【0075】
項目29:項目20~28のいずれかに記載の方法であって、蒸気ハウジングの反対側で基材の下に位置するヒートシンクを介して基材から熱を除去することを更に含む。
【0076】
項目30:項目20~29のいずれかに記載の方法であって、センサによって粉末の温度を測定することをさらに含む。
【0077】
項目31:項目20~30のいずれかに記載の方法であって、蒸気が蒸気チャンバに入るときに蒸気の温度を測定することを更に含む。
【0078】
項目32:項目20~31のいずれかに記載の方法であって、制御可能な熱容量を有するヒートシンクを介して粉末温度を制御することをさらに含む。
【0079】
項目33:項目20~32のいずれかに記載の方法であって、粉末を圧縮することが、基材の上のトップローラーと、トップローラーの反対側で基材の下に位置するボトムローラーとを含むカレンダーに粉末を通すことによって行われる。
【0080】
項目34:項目20~33のいずれかに記載の方法であって、粉末が堆積されていない領域において、基材洗浄アクチュエータを用いて基材上に空気を吹き付けて、基材のそれらの部分上にドリフトした可能性がある任意の過剰な粉末を洗浄することを更に含む。
【0081】
項目35:項目20~34のいずれかに記載の方法であって、基板洗浄アクチュエータを上昇および下降させて、基板と接触および接触解除することをさらに含む。
【0082】
様々な実施形態が説明されてきたが、説明は、限定ではなく例示であることが意図されており、実施形態の範囲内にあるより多くの実施形態が可能であることが理解される。特徴の多くの可能な組み合わせが添付の図面に示され、この詳細な説明で論じられているが、開示された特徴の多くの他の組み合わせが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は、具体的に制限されない限り、任意の他の実施形態における任意の他の特徴または要素と組み合わせて使用されてもよく、またはそれらの代わりに使用されてもよい。したがって、本開示において示され、かつ/または論じられる特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一緒に実施され得ることが理解されよう。
【0083】
上記は、最良の形態および/または他の例であると考えられるものを説明してきたが、その中で様々な修正を行うことができ、本明細書で開示される主題は様々な形態および例で実施することができ、教示は多数の用途に適用することができ、そのうちのいくつかのみが本明細書で説明されていることが理解される。
【0084】
特に明記しない限り、本明細書に記載される全ての測定値、値、定格、位置、大きさ、サイズ、および他の仕様は、近似値であり、正確ではない。それらは、それらが関連する機能およびそれらが関係する技術分野において慣習的であるものと一致する妥当な範囲を有することが意図される。
【0085】
本明細書で使用される用語および表現は、特定の意味が本明細書に別途記載されている場合を除いて、それらの対応するそれぞれの調査および研究分野に関してそのような用語および表現に与えられる通常の意味を有することが理解されるであろう。第1および第2などの関係用語は、そのようなエンティティまたはアクション間の実際のそのような関係または順序を必ずしも要求または暗示することなく、単に1つのエンティティまたはアクションを別のエンティティまたはアクションと区別するために使用され得る。用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、またはそれらの任意の他の変形は、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図される。「a」または「an」が先行する要素は、さらなる制約なしに、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置における追加の同一の要素の存在を排除しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】