IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モノリス マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2025-503696炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム
<>
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図1
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図2
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図3
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図4
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図5
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図6
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図7
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図8
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図9
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図10
  • 特表-炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】炭素粒子を生成するためにケイ素含有添加剤を使用するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/15 20170101AFI20250128BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C01B32/15
C01B33/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541956
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-09-06
(86)【国際出願番号】 US2023010695
(87)【国際公開番号】W WO2023137120
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,912
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/350,801
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520068582
【氏名又は名称】モノリス マテリアルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイムス, イーノック イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイズ, エリオット ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フレンクラック, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】メズロビアン, クリストファー
【テーマコード(参考)】
4G072
4G146
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072BB05
4G072DD04
4G072DD05
4G072DD06
4G072DD07
4G072HH28
4G072JJ02
4G072TT05
4G146AA01
4G146AA15
4G146AB04
4G146AC02B
4G146AC07A
4G146AC07B
4G146BA03
4G146BA12
4G146BA48
4G146BC02
4G146BC34A
4G146BC34B
4G146BC35A
4G146BC35B
(57)【要約】
本開示は、炭素粒子発生反応器からの炭素粒子の収率を改善するための方法およびシステムを提供する。方法およびシステムは、炭素粒子を発生させるプロセスにおいてケイ素含有添加剤を使用することを含み得る。(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップであって、ケイ素含有添加剤は、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤のある比で反応器に提供され、比は、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満である、ステップと、(b)反応器内で、炭素質材料をケイ素含有添加剤と接触させて、炭素粒子を発生させるステップと、を含む、炭素粒子を発生させるための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素粒子を発生させるための方法であって、
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップであって、前記ケイ素含有添加剤は、前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤のある比で前記反応器に提供され、前記比は、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満である、ステップと、
(b)前記反応器内で、前記炭素質材料を前記ケイ素含有添加剤と接触させて、前記炭素粒子を発生させるステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記炭素粒子が、炭素で修飾された少なくとも1つのケイ素コアを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)において、前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の前記比が、重量により約0.01に等しいかまたはそれ未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(a)において、前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の前記比が、重量により約0.001に等しいかまたはそれ未満である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(b)が、前記炭素質材料を前記ケイ素含有添加剤と反応させて、複数の炭素粒子を発生させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(b)の後、前記炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量が、前記反応器内に壁汚れとして存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素粒子における前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比が、前記反応器の壁汚れにおける前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
炭素の重量パーセントベースで、前記炭素質材料の約90%よりも多くが前記炭素粒子に変換される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
(b)が、(i)熱伝達ガスを加熱すること、ならびに(ii)前記熱伝達ガスを前記炭素質材料および前記ケイ素含有添加剤と接触させて、前記炭素粒子を発生させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ケイ素含有添加剤が、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ケイ素含有添加剤が、前記シロキサンを含み、前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数のナノ粒子を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素質材料が、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記炭素質材料が、1種もしくは複数種の直鎖炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族炭化水素、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記炭素質材料が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
プラズマの存在下で前記炭素質材料を前記ケイ素含有添加剤と反応させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記炭素粒子を発生させる前記ステップが、少なくとも約600キログラム/時間(kg/時)の炭素粒子生成率で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記炭素粒子を生成するために使用されるエネルギーが、前記ケイ素含有添加剤を添加しない方法と比較して少なくとも約5%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
炭素粒子を発生させるための方法であって、
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップと、
(b)前記反応器内で、プラズマおよび前記ケイ素含有添加剤の存在下で前記炭素質材料を分解して、前記炭素粒子を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記分解するステップが、約2100℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記分解するステップが、約1900℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記分解するステップが、約1700℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記分解するステップが、約1500℃~2100℃の温度で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記分解するステップが、約1550℃~1850℃の温度で実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記分解するステップが、約1600℃~1750℃の温度で実施される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記温度が、前記ケイ素含有添加剤を用いない方法の温度よりも少なくとも摂氏約50度低い、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
(a)が、熱伝達ガス中に前記ケイ素含有添加剤を提供することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記熱伝達ガスが、少なくとも約60%の水素を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(a)が、前記炭素質材料を含む材料ストリーム中に前記ケイ素含有添加剤を提供することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記ケイ素含有添加剤が、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記ケイ素含有添加剤が、前記シロキサンを含み、前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数の粒子を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数のナノ粒子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記炭素質材料が、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの混合物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項36】
前記炭素質材料が、1種もしくは複数種の単純炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族炭化水素、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項37】
前記炭素質材料が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項38】
(b)が、前記プラズマおよび前記ケイ素含有添加剤の前記存在下で前記炭素質材料を分解して、複数の炭素粒子を発生させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項39】
前記炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量が、前記反応器内に前記反応器内の壁汚れとして存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素粒子における前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比が、前記反応器の壁汚れにおける前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである、請求項20に記載の方法。
【請求項41】
炭素粒子を発生させるための方法であって、
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップと、
(b)前記反応器内で、前記炭素質材料および前記ケイ素含有添加剤を反応させて、核形成物を発生させるステップであって、前記核形成物は、少なくとも1つのケイ素コアを含む、ステップと、
(c)前記核形成物上に前記炭素粒子を成長させるステップと、
を含む、方法。
【請求項42】
(a)において、前記炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の前記比が、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(a)において、前記炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の前記比が、重量により約0.01に等しいかまたはそれ未満である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(a)において、前記炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の前記比が、重量により約0.001に等しいかまたはそれ未満である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(c)が、前記核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記ケイ素含有添加剤が、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記ケイ素含有添加剤が、前記シロキサンを含み、前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数の粒子を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記ケイ素含有添加剤が、1つまたは複数のナノ粒子を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記炭素質材料が、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの混合物を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記炭素質材料が、1種もしくは複数種の単純炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族原料、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記炭素質材料が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
(b)が、ケイ素コアを含む複数の核形成物を発生させることを含み、(c)が、前記複数の核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量が、前記反応器内に前記反応器内の壁汚れとして存在する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記炭素粒子における前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比が、前記反応器の壁汚れにおける前記炭素質材料に対する前記ケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
(b)が、プラズマの存在下で実施される、請求項41に記載の方法。
【請求項57】
(c)が、プラズマの存在下で実施される、請求項41に記載の方法。
【請求項58】
炭素質材料から生成される灰が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(m/g)の窒素表面積(NSA)を含む、炭素質材料。
【請求項59】
前記炭素質材料が、少なくとも約10%のエネルギー節約率で発生させられたものである、請求項58に記載の炭素質材料。
【請求項60】
前記エネルギー節約率が、前記炭素質材料の生成プロセスへの金属前駆体の添加に少なくとも部分的に起因する、請求項59に記載の炭素質材料。
【請求項61】
前記灰が、ASTM D1506を介して生成される、請求項58に記載の炭素質材料。
【請求項62】
炭素質材料から生成される灰が、1立方メートル当たり最大約100キログラム(kg/m)の注入密度を含む、炭素質材料。
【請求項63】
前記炭素質材料が、少なくとも約10%のエネルギー節約率で発生させられたものである、請求項62に記載の炭素質材料。
【請求項64】
前記エネルギー節約率が、前記炭素質材料の生成プロセスへの金属前駆体の添加に少なくとも部分的に起因する、請求項63に記載の炭素質材料。
【請求項65】
前記灰が、ASTM D1506を介して生成される、請求項62に記載の炭素質材料。
【請求項66】
構造体を含む炭素粒子であって、ASTM D1506を介して前記炭素粒子から生成された前記構造体を含む灰が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(m/g)の表面積を有する、炭素粒子。
【請求項67】
前記構造体が、前記表面積を生じる、請求項66に記載の炭素粒子。
【請求項68】
前記炭素粒子が、カーボンブラックである、請求項66に記載の炭素粒子。
【請求項69】
前記構造体が、ケイ素を含む、請求項66に記載の炭素粒子。
【請求項70】
非炭素部分を含む炭素含有粒子であって、前記非炭素部分が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(m/g)の表面積を有する、炭素含有粒子。
【請求項71】
前記非炭素部分が、ケイ素を含む、請求項70に記載の炭素粒子。
【請求項72】
前記非炭素部分が、少なくとも約50%のケイ素を含む、請求項71に記載の炭素粒子。
【請求項73】
前記非炭素部分の表面積が、ASTM D1506によって灰化を介して決定される、請求項70に記載の炭素粒子。
【請求項74】
前記炭素含有粒子が、カーボンブラックである、請求項70に記載の炭素粒子。
【請求項75】
前記非炭素部分が、前記炭素粒子の重量の最大約15パーセントを構成する、請求項70に記載の炭素粒子。
【請求項76】
前記炭素粒子が、少なくとも約3ナノメートルの格子定数(L)を有する、請求項70に記載の炭素粒子。
【請求項77】
構造体を含む炭素粒子であって、ASTM D1506を介して前記炭素粒子から生成された前記構造体を含む灰が、1立方メートル当たり最大約100キログラム(kg/m)の注入密度を含む、炭素粒子。
【請求項78】
前記構造体が、前記表面積を生じる、請求項77に記載の炭素粒子。
【請求項79】
前記炭素粒子が、カーボンブラックである、請求項77に記載の炭素粒子。
【請求項80】
前記構造体が、ケイ素を含む、請求項77に記載の炭素粒子。
【請求項81】
非炭素部分を含む炭素含有粒子であって、前記非炭素部分が、1立方メートル当たり最大約100キログラム(kg/m)の注入密度を含む、炭素含有粒子。
【請求項82】
前記非炭素部分が、ケイ素を含む、請求項81に記載の炭素粒子。
【請求項83】
前記非炭素部分が、少なくとも約50%のケイ素を含む、請求項82に記載の炭素粒子。
【請求項84】
前記非炭素部分の表面積が、ASTM D1506によって灰化を介して決定される、請求項81に記載の炭素粒子。
【請求項85】
前記炭素含有粒子が、カーボンブラックである、請求項81に記載の炭素粒子。
【請求項86】
前記非炭素部分が、前記炭素粒子の重量の最大約15パーセントを構成する、請求項81に記載の炭素粒子。
【請求項87】
前記炭素粒子が、少なくとも約3ナノメートルの格子定数(L)を有する、請求項81に記載の炭素粒子。
【請求項88】
前記方法が、酸素を実質的に含まない環境で実施される、請求項1、20、および41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記方法が、検出可能な酸素を含まない環境で実施される、請求項88に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2022年1月12日出願の米国仮出願第63/298,912号、および2022年6月9日出願の同第63/350,801号の利益を主張するものであり、それらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
炭素質材料または水素は、種々の化学プロセスによって生成され得る。そのような化学プロセスと関連する性能、エネルギー供給および環境パフォーマンスが、経時的に進化してきた。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップであって、ケイ素含有添加剤は、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤のある比で反応器に提供され、比は、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満である、ステップと、(b)反応器内で、炭素質材料をケイ素含有添加剤と接触させて、炭素粒子を発生させるステップと、を含む、炭素粒子を発生させるための方法。
【0004】
一部の実施形態では、炭素粒子は、炭素で修飾された少なくとも1つのケイ素コアを含む。一部の実施形態では、(a)において、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により約0.01に等しいかまたはそれ未満である。一部の実施形態では、(a)において、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により約0.001に等しいかまたはそれ未満である。一部の実施形態では、(b)は、炭素質材料をケイ素含有添加剤と反応させて、複数の炭素粒子を発生させることを含む。一部の実施形態では、(b)の後、炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量は、反応器内に壁汚れ(wall fouling)として存在する。一部の実施形態では、炭素粒子における炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、反応器の壁汚れにおける炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである。一部の実施形態では、炭素の重量パーセントベースで、炭素質材料の約90%よりも多くが炭素粒子に変換される。一部の実施形態では、(b)は、(i)熱伝達(thermal transfer)ガスを加熱すること、ならびに(ii)熱伝達ガスを炭素質材料およびケイ素含有添加剤と接触させて、炭素粒子を発生させることを含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサンを含み、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数の粒子を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数のナノ粒子を含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの組合せを含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、1種もしくは複数種の直鎖炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族炭化水素、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、方法は、プラズマの存在下で炭素質材料をケイ素含有添加剤と反応させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、炭素粒子を発生させるステップは、少なくとも約600キログラム/時間(kg/時)の炭素粒子生成率で実施される。一部の実施形態では、炭素粒子を生成するために使用されるエネルギーは、ケイ素含有添加剤を添加しない方法と比較して少なくとも約5%低減される。
【0005】
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップと、(b)反応器内で、プラズマおよびケイ素含有添加剤の存在下で炭素質材料を分解して、炭素粒子を形成するステップとを含む、炭素粒子を発生させるための方法。
【0006】
一部の実施形態では、分解するステップは、約2100℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される。一部の実施形態では、分解するステップは、約1900℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される。一部の実施形態では、分解するステップは、約1700℃に等しいかまたはそれ未満の温度で実施される。一部の実施形態では、分解するステップは、約1500℃~2100℃の温度で実施される。一部の実施形態では、分解するステップは、約1550℃~1850℃の温度で実施される。一部の実施形態では、分解するステップは、約1600℃~1750℃の温度で実施される。一部の実施形態では、温度は、ケイ素含有添加剤を用いない方法の温度よりも少なくとも摂氏約50度低い。一部の実施形態では、温度は、計算された温度である。一部の実施形態では、(a)は、熱伝達ガス中にケイ素含有添加剤を提供することを含む。一部の実施形態では、熱伝達ガスは、少なくとも約60%の水素を含む。一部の実施形態では、(a)は、炭素質材料を含む材料ストリーム中にケイ素含有添加剤を提供することを含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサンを含み、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数の粒子を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数のナノ粒子を含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、1種もしくは複数種の単純炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族炭化水素、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、(b)は、プラズマおよびケイ素含有添加剤の存在下で炭素質材料を分解して、複数の炭素粒子を発生させることを含む。一部の実施形態では、炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量は、反応器内に反応器内の壁汚れとして存在する。一部の実施形態では、炭素粒子における炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、反応器の壁汚れにおける炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである。
【0007】
(a)ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップと、(b)反応器内で、炭素質材料およびケイ素含有添加剤を反応させて、核形成物(nucleate)を発生させるステップであって、核形成物は、少なくとも1つのケイ素コアを含む、ステップと、(c)核形成物上に炭素粒子を成長させるステップと、を含む、炭素粒子を発生させるための方法。一部の実施形態では、(a)において、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満である。一部の実施形態では、(a)において、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により約0.01に等しいかまたはそれ未満である。一部の実施形態では、(a)において、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により約0.001に等しいかまたはそれ未満である。一部の実施形態では、(c)は、核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることをさらに含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびシリカの1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、シロキサンを含み、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)またはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数の粒子を含む。一部の実施形態では、ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数のナノ粒子を含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、少なくとも約70重量%のメタン、エタン、プロパン、またはそれらの混合物を含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、1種もしくは複数種の単純炭化水素、1種もしくは複数種の芳香族原料、1種もしくは複数種の不飽和炭化水素、1種もしくは複数種の含酸素炭化水素、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、炭素質材料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素、エチレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エーテル、エステル、またはそれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、(b)は、ケイ素コアを含む複数の核形成物を発生させることを含み、(c)は、複数の核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることを含む。一部の実施形態では、炭素質材料の約5重量%に等しいかまたはそれ未満の量は、反応器内に反応器内の壁汚れとして存在する。一部の実施形態では、炭素粒子における炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、反応器の壁汚れにおける炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比と実質的に同じである。一部の実施形態では、(b)は、プラズマの存在下で実施される。一部の実施形態では、(c)は、プラズマの存在下で実施される。
【0008】
出願人は、本開示の方法およびシステムの様々な利益を実現した。例えば、ケイ素含有添加剤の使用は、炭素粒子を発生させるために使用される反応器の温度を低下することができる。低下された温度は、様々な利益、例えば、反応器または電極消耗の低減、ランタイムの延長、反応器の動作可能時間および効率の改善等をもたらすことができる。これらの利益は、炭素粒子の特性に実質的な変化を伴うことなく実現され得る。例えば、粒子を発生させるために使用されるプロセスが、より低温で実施され得ると同時に、炭素粒子は、それらの表面積および密度を維持することができる。
別の態様では、本開示は、構造体を含む炭素粒子であって、ASTM D1506を介して炭素粒子から生成された構造体を含む灰が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(m/g)の表面積を有する、炭素粒子を提供する。
【0009】
一部の実施形態では、構造体は、表面積を生じる。一部の実施形態では、炭素粒子は、カーボンブラックである。一部の実施形態では、構造体は、ケイ素を含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、非炭素部分を含む炭素含有粒子であって、非炭素部分が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(m/g)の表面積を有する、炭素含有粒子を提供する。
【0011】
一部の実施形態では、非炭素部分は、ケイ素を含む。一部の実施形態では、非炭素部分は、少なくとも約50%のケイ素を含む。一部の実施形態では、非炭素部分の表面積は、ASTM D1506によって灰化を介して決定される。一部の実施形態では、炭素含有粒子は、カーボンブラックである。一部の実施形態では、非炭素部分は、炭素粒子の重量の最大約15パーセントを構成する。一部の実施形態では、炭素粒子は、少なくとも約3ナノメートルの格子定数(L)を有する。
【0012】
別の態様では、本開示は、構造体を含む炭素粒子であって、ASTM D1506を介して炭素粒子から生成された構造体を含む灰が、1立方メートル当たり最大約100キログラム(kg/m)の注入密度(pour density)を含む、炭素粒子を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、構造体は、表面積を生じる。一部の実施形態では、炭素粒子は、カーボンブラックである。一部の実施形態では、構造体は、ケイ素を含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、非炭素部分を含む炭素含有粒子であって、非炭素部分が、1立方メートル当たり最大約100キログラム(kg/m)の注入密度を含む、炭素含有粒子を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、非炭素部分は、ケイ素を含む。一部の実施形態では、非炭素部分は、少なくとも約50%のケイ素を含む。一部の実施形態では、非炭素部分の表面積は、ASTM D1506によって灰化を介して決定される。一部の実施形態では、炭素含有粒子は、カーボンブラックである。一部の実施形態では、非炭素部分は、炭素粒子の重量の最大約15パーセントを構成する。一部の実施形態では、炭素粒子は、少なくとも約3ナノメートルの格子定数(L)を有する。一部の実施形態では、方法は、酸素を実質的に含まない環境で実施される。一部の実施形態では、方法は、検出可能な酸素を含まない環境で実施される。
【0016】
本開示の別の態様は、1つまたは複数のコンピュータプロセッサおよびそれに連結されたコンピュータメモリを含むシステムを提供する。コンピュータメモリは、1つまたは複数のコンピュータプロセッサによる実行時に上記のまたは本明細書の他所の方法のいずれかを実装する、機械実行可能コードを含む。
【0017】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の例証的な実施形態のみを示し記載する以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになる。理解される通り、本開示では、他のおよび異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、種々の明らかな観点での改変が可能であり、すべて、本開示から逸脱しない。したがって、図および説明は、例証的な性質のものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。
【0018】
参照による組込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の各刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含有される開示と矛盾する場合は、本明細書は、任意のそのような矛盾する材料にとって代わるおよび/または優先することが意図される。
【0019】
本発明の新規な特色は、添付の特許請求の範囲に、その特殊性と共に記載される。本発明の原理が利用される例証的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面(本明細書では「図」とも)を参照することによって、本発明の特色および利点のより良い理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一部の実施形態に従う炭素粒子を発生させるための例示的方法の流れ図である。
【0021】
図2図2は、一部の実施形態に従う炭素粒子を発生させるための例示的方法の流れ図である。
【0022】
図3図3は、一部の実施形態に従う炭素粒子を発生させるための例示的方法の流れ図である。
【0023】
図4図4は、一部の実施形態に従う反応器のガス生産物に存在するメタンの残留量の例示的プロットである。
【0024】
図5図5は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤を添加していない反応器および添加した反応器からの固体炭素(例えば、炭素粒子)の収率の例示的プロットである。
【0025】
図6図6は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤の添加ありおよび添加なしで炭素粒子を発生させる反応の生成物の間の比較プロットの一例を示す。
【0026】
図7図7は、本明細書で提供される方法を実装するようにプログラムされるか、または他の様式で構成されているコンピュータシステムを示す。
【0027】
図8図8は、一部の実施形態に従う例示的な大規模および小規模反応器についての一連の条件を示す。
【0028】
図9図9は、一部の実施形態に従うプラズマ反応器の一例を示す。
【0029】
図10図10は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤ありおよびなしでの炭素粒子生成の一例を提供する。
【0030】
図11図11は、一部の実施形態に従う、添加剤の添加スキームの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本発明の種々の実施形態が本明細書に示され記載されているが、そのような実施形態は、単なる例として提供されていることが当業者には明らかである。当業者は、本発明から逸脱することなく、数々の変更、変化、および置換に想到することができる。本明細書に記載される本発明の実施形態に対して、種々の代替物を用いてもよいことを理解されたい。
【0032】
「少なくとも」、「よりも大きい」または「に等しいかまたはそれよりも大きい」という用語が、一連の2つまたはそれよりも多い数値における最初の数値の前または後にある場合はいつでも、「少なくとも」、「よりも大きい」または「またはそれよりも大きい」という用語は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、1、2、または3に等しいかまたはそれよりも大きいは、1に等しいかもしくはそれよりも大きい、2に等しいかもしくはそれよりも大きい、または3に等しいかもしくはそれよりも大きい、と等価である。
【0033】
「以下」、「未満」または「に等しいかまたはそれ未満」という用語が、一連の2つまたはそれよりも多い数値における最初の数値の後にある場合はいつでも、「以下」、「未満」または「またはそれ未満」という用語は、その一連の数値における数値のそれぞれに適用される。例えば、3、2、または1に等しいかまたはそれ未満は、3に等しいかもしくはそれ未満、2に等しいかもしくはそれ未満、または1に等しいかもしくはそれ未満、と等価である。
【0034】
本明細書における本発明のある特定の実施形態は、数値範囲を企図する。範囲が存在する場合、その範囲は、範囲の端点を含む。加えて、範囲内のすべての部分範囲および値は、あたかもそれが明示的に書き出されているかのように存在する。「約」または「およそ」という用語は、特定の値について許容される誤差範囲内にあることを意味することができ、その誤差範囲は、値がどのように測定または決定されるかに応じて、例えば測定システムの限界に応じて部分的に決まる。例えば、「約」は、当技術分野の実務に従い、1以内または1よりも大きい標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味することができる。特定の値が、本願および特許請求の範囲に記載されている場合、別段記述されない限り、その特定の値について許容される誤差範囲内で、「約」という用語の意味が想定され得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「炭素粒子」という用語は、炭素を含む粒子を指すことができる。炭素粒子の例として、カーボンブラック、コークス、ニードルコークス、グラファイト、大環状多環式芳香族炭化水素、活性炭など、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。炭素粒子は、グレードに分類され得る。本開示の炭素粒子は、いずれのグレードであってもよい。
【0036】
本開示の方法およびシステムは、ケイ素含有添加剤に関して本明細書に記載されているが、ケイ素含有添加剤の誘導体と共に使用することもできる。したがって、ケイ素含有添加剤およびその誘導体という用語は、交換可能であり得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、ラジカル誘導体に分解することができ、このラジカル誘導体は、炭素質材料と反応することができる。この例では、ケイ素含有添加剤は、炭素質材料よりも急速な速度で分解することができ、それゆえに炭素質材料は、ケイ素含有添加剤の分解誘導体と反応することができる。誘導体は、ケイ素または酸化ケイ素ラジカルを含み得る。
【0037】
本開示の方法およびシステムは、酸素を含まない環境で実施され得る。例えば、本開示の反応器内の酸素の量は、検出器の検出限界未満であり得る。一部の事例では、本開示の方法およびシステムは、酸素を実質的に含まない環境で実施され得る。例えば、環境は、微量の酸素(例えば、約5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0001、またはそれ未満のモルパーセントの酸素)を有することができる。酸素は、二原子酸素、酸素ラジカル、一酸化炭素、二酸化炭素など、またはそれらの任意の組合せとして存在し得る。本開示の方法およびシステムは、熱分解を介して炭素質材料を変換することができる(例えば、炭化水素を破壊して炭素の多環式芳香環を形成させ、次にその多環式芳香環が核形成し、気相から析出して固体粒子を形成することができる)。熱分解変換は、酸素を使用しなくてもよい(例えば、酸素は、炭素質材料の熱分解における試薬でなくてもよい)。
【0038】
別の態様では、本開示は、炭素粒子を発生させるための方法を提供する。ケイ素含有添加剤および炭素質材料を、反応器に提供することができる。ケイ素含有添加剤は、炭素質材料に対するケイ素含有添加剤のある比で反応器に提供され得る。その比は、重量により約0.1に等しいかまたはそれ未満であり得る。反応器内で、炭素質材料およびケイ素含有添加剤が反応して、炭素粒子を発生させることができる。
【0039】
図1は、一部の実施形態に従う、炭素粒子を発生させるための例示的な方法100の流れ図である。動作110において、方法100は、ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップを含み得る。ケイ素含有添加剤は、ある比で反応器に提供することができる。その比は、重量により少なくとも約0.000001、0.000005、0.00001、0.00005、0.0001、0.0002、0.0003、0.0004、0.0005、0.0006、0.0007、0.0008、0.0009、0.001、0.0015、0.002、0.003、0.004、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、またはそれよりも大きくてもよい。比は、重量により最大約1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.004、0.003、0.002、0.0015、0.001、0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.0004、0.0003、0.0002、0.0001、0.00005、0.00001、0.000005、0.000001、またはそれ未満であってもよい。比は、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の比であってもよい。例えば、比は、重量により約0.0002~約0.1であってもよい。別の例では、比は、約0.0004~約0.0015であってもよい。
【0040】
ケイ素含有添加剤は、シロキサンを含み得る。シロキサンは、ケイ素-酸素-ケイ素の結合スキームを含み得る。例えば、シロキサンは、単一酸素原子によって結合した一対のケイ素原子を含み得る。シロキサンは、ケイ素原子に結合したさらなる官能基を含み得る。官能基の例として、アルカン、アルケン、アルキン、他の炭化水素(例えば、芳香環等)、アルコール、チオール、アミン、エーテル、カルボン酸、チオエステル、アミド、エステル、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化物などが挙げられるが、それらに限定されない。例えば、シロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン(hexamethyldixiloxane)(例えば、ケイ素に結合した複数のメチル基を有するシロキサン)を含み得る。一部の事例では、ケイ素含有添加剤は、複数のケイ素原子および酸素原子を含み得る(例えば、ポリシロキサン)。ポリシロキサンの例として、環式ポリシロキサン(例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、直鎖状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ポリジメチルシロキサン等)、シラザン(例えば、ヘキサメチルジシラザン等)、シリコーン(例えば、官能化ポリシロキサン)、他の官能化シロキサンなど、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。一部の事例では、ケイ素含有添加剤は、シラン(例えば、1つまたは複数の非アルカン(例えば、水素)官能基に結合した1つまたは複数のケイ素原子)を含む。一部の事例では、ケイ素含有添加剤は、シリカ(例えば、ケイ素-酸素化合物)を含み得る。
【0041】
ケイ素含有添加剤は、1つまたは複数の粒子を含み得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、ケイ素を含む1つまたは複数の粒子を含み得る。1つまたは複数の粒子は、微粒子(例えば、約1,000マイクロメートル(μm)よりも大きい寸法を有する粒子)、マイクロ粒子(例えば、約1~約1,000μmの間の寸法を有する粒子)、ナノ粒子(例えば、約1μm未満の寸法を有する粒子)など、またはそれらの任意の組合せを含み得る。大きい粒子と比較して、より小さい粒子の体積に対する表面積の比が大きくなるので、粒子が小さいほど、反応速度が急速になり得る(例えば、より急速に反応し、および/またはより低温で反応する)。粒径および/または組成を調整することにより、反応速度および結果として生じる生成物を調整し、ケイ素含有添加剤の組成および形態を変化させることによって、同じ装置で異なるグレードおよび大きさを生成することを可能にすることができる。
【0042】
炭素質材料は、式CまたはC(nは、整数であり、xは、(i)1~2n+2の間または(ii)1未満(例えば、石炭、コールタール、熱分解燃料油等について)であり、yは、0~nの間である)を有する化学物質を含み得る。炭素質材料の例として、直鎖炭化水素(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等)、環式炭化水素(例えば、シクロプロパン、シクロブテン、シクロペンタン、シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、熱分解燃料油、コールタール、石炭、重油、油、バイオオイル、バイオディーゼル、生物学的に誘導された他の炭化水素等)、不飽和炭化水素(例えば、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブタジエン、スチレン等)、含酸素炭化水素(例えば、アルコール、エタノール、プロパノール、フェノール、ケトン、エステル、エーテル、カルボン酸、無水物等)など、またはそれらの任意の組合せを挙げることができるが、それらに限定されない。炭素質材料は、複数の異なる炭素質材料を含み得る。炭素質材料は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれよりも多い種類の異なる炭素質材料を含み得る。炭素質材料は、最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1種の異なる炭素質材料を含み得る。炭素質材料は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、またはそれよりも大きい重量パーセントの上述の単一炭素質材料を含み得る。炭素質材料は、最大約99.9、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、またはそれ未満の重量パーセントの上述の単一炭素質材料を含み得る。例えば、炭素質材料は、少なくとも約70重量パーセントのメタン、エタン、またはプロパンを含み得る。別の例では、炭素質材料は、少なくとも約70重量パーセントのメタン、エタン、およびプロパンの混合物を含み得る。炭素質材料は、前述の値のいずれか2つによって定義される重量パーセントの単一炭素質材料を含み得る。例えば、炭素質材料は、約50~約70パーセントの単一炭素質材料を含み得る。一部の事例では、炭素質材料は、1種または複数種の少量の構成物(例えば、不純物)を含み得る。例えば、炭素質材料は、最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、またはそれ未満の重量パーセントの量の窒素、硫黄、ハロゲン、亜鉛等を含み得る。
【0043】
動作120において、方法100は、反応器内で炭素質材料をケイ素含有添加剤と接触させて、炭素粒子を発生させるステップを含み得る。一部の事例では、炭素粒子の表面で反応が生じなくてもよい。例えば、炭素粒子の表面は、ケイ素含有添加剤と炭素質材料との間の錯化剤として機能するか、またはそうでなければ、弱い相互作用(例えば、分散性相互作用、非結合性相互作用等)または強力な相互作用(例えば、結合性相互作用、荷電種相互作用等)を介して関与することができる。表面は、炭素質材料のための分解エネルギー障壁をより低くすることができる。例えば、表面は、炭素質材料の分解のための触媒であり得る。これにより、結果として生じる炭素粒子の非コアシェル形態が生じ得る(例えば、炭素質材料は、ケイ素コア上で成長しなくてもよい)。一部の事例では、ケイ素含有添加剤の存在は、より低い反応器温度、より低いエネルギー使用、またはそれらの組合せを可能にすることができる。むしろ、ケイ素粒子は、複数の炭素質材料分子と接触することができ、それによって、複数の炭素核形成物を発生させることができ、次にそれらの炭素核形成物が炭素粒子を形成することができる。このように、結果として生じる炭素粒子は、ケイ素コアを有するいくらかの炭素粒子およびケイ素コアを有していないいくらかの炭素粒子を含み得る。一部の事例では、結果として生じる炭素粒子は、コアシェル形態を含まなくてもよい。
【0044】
一部の事例では、炭素粒子は、炭素で修飾された少なくとも1つのケイ素コアを含み得る。例えば、炭素質材料およびケイ素含有添加剤が接触した状態で、ケイ素含有添加剤は、炭素質材料よりも急速に反応することができ、それによってケイ素コアを形成することができる。次に、この例では、炭素質材料が反応し、ケイ素コアの周囲に炭素修飾を形成することができる。ケイ素コアは、少なくともケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、二酸化ケイ素など、またはそれらの任意の組合せを含み得る。動作120は、炭素質材料をケイ素含有添加剤と接触させて、複数の炭素粒子を発生させることを含み得る。例えば、複数の炭素粒子は、連続流スキームで発生させることができ、ここで、炭素質材料およびケイ素含有添加剤をフロー反応器に添加することができる。複数の炭素粒子は、バッチプロセスで発生させることができる。例えば、所定量の炭素質材料およびケイ素含有添加剤をバッチ反応器に添加し、反応させることができ、結果として生じる炭素粒子を、バッチ反応器から回収することができる。
【0045】
動作120は、熱伝達ガスを加熱することを含み得る。動作120は、熱伝達ガスを炭素質材料およびケイ素含有添加剤と接触させて、炭素粒子を発生させることを含み得る。熱伝達ガスの例として、水素、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン、クリプトン、空気、水、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素(例えば、本明細書の他所に記載される気体炭素質材料)、少なくとも約200℃の温度において気体状態で存在する他の種など、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。熱伝達ガスは、熱源(例えば、本明細書の他所に記載されるプラズマ源、熱源等)からの熱を炭素質材料および/またはケイ素含有添加剤に伝達するように構成され得る。熱伝達ガスは、炭素質材料とケイ素含有添加剤との間の反応に対して不活性であり得る。例えば、アルゴン熱伝達ガスは、炭素質材料およびケイ素含有添加剤と反応しなくてもよい。熱伝達ガスは、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、またはそれよりも大きい体積パーセントの上述の単一熱伝達ガスを含み得る。熱伝達ガスは、最大約99.9、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、またはそれ未満の体積パーセントの上述の単一熱伝達ガスを含み得る。熱伝達ガスは、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の体積パーセントの上述の単一熱伝達ガスを含み得る。例えば、熱伝達ガスは、体積により約60~約100パーセントの間の水素を含み得る。
【0046】
熱伝達ガスは、本明細書の他所に記載される通り、加熱システム(例えば、プラズマシステム)を使用することにより加熱することができる。例えば、熱伝達ガスは、本明細書の他所に記載される通り、プラズマトーチを使用して加熱することができる。熱伝達ガスは、少なくとも摂氏約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,550、1,600、1,650、1,700、1,750、1,800、1,850、1,900、1,950、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600度、またはそれよりも高い摂氏温度に加熱され得る。熱伝達ガスは、最大摂氏約3,600、3,500、3,400、3,300、3,200、3,100、3,000、2,900、2,800、2,700、2,600、2,500、2,400、2,300、2,200、2,100、2,000、1,950、1,900、1,850、1,800、1,750、1,700、1,650、1,600、1,550、1,500、1,400、1,300、1,200、1,100、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500度、またはそれ未満の摂氏温度に加熱され得る。熱伝達ガスは、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の温度に加熱され得る。例えば、熱伝達ガスは、摂氏約1200~約1700度の温度に加熱され得る。熱伝達ガスは、本明細書に記載される方法およびシステムの生成物に組み込まれないようにまたは実質的に組み込まれないように構成され得る。例えば、熱伝達ガスは、不活性であり得る。
【0047】
熱伝達ガスを炭素質材料およびケイ素含有添加剤と接触させるステップは、反応器内で実施され得る。例えば、熱伝達ガスは、加熱源(例えば、プラズマトーチ)を含む第1の反応器部分内で加熱することができ、熱伝達ガスは、炭素質材料およびケイ素含有添加剤と接触するように流すことができる。一部の事例では、熱伝達ガス、炭素質材料、およびケイ素含有添加剤は、所定の長さの時間(例えば、反応器の滞留時間)にわたって反応器チャンバ内で混合され得る。熱伝達ガスは、炭素質材料およびケイ素含有添加剤に熱を提供し、それによって、炭素粒子をもたらすことができる分解反応を生じさせることができる。炭素質材料およびケイ素含有添加剤は、プラズマの存在下で反応させることができる。例えば、炭素質材料およびケイ素含有添加剤を、プラズマトーチと同じ部分において反応に添加することができる。この例では、プラズマトーチは、炭素質生成物およびケイ素含有添加剤を反応させるための熱を提供することができる。
【0048】
動作120の間またはその後、反応器内に壁汚れが形成され得る。壁汚れは、過剰反応した炭素質材料(例えば、反応して大型集合体を形成した)を含み得る。壁汚れは、炭素粒子の生成中に誤り(例えば、詰まり、不純物の増加、流体流の低下、炭素粒子特性の変動(例えば、油吸収量、表面積等)等)をもたらし得る。ケイ素含有添加剤の添加は、ケイ素含有添加剤が使用されない場合と比較して、形成される壁汚れの量を低減することができる。壁汚れは、重量により少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも大きいパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、重量により最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、またはそれ未満のパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、炭素粒子と実質的に同じ、炭素に対するケイ素の比を含み得る。例えば、壁汚れは、炭素粒子と同じ組成を有するが、より大きい平均粒径を含み得る。壁汚れは、炭素粒子とは異なる、炭素に対するケイ素の比を有し得る。例えば、ケイ素は、炭素粒子における量と比較して少ない量で壁汚れに存在し得る。
【0049】
炭素質材料は、所与の収率(例えば、炭素粒子中に存在している炭素質材料の量)で炭素粒子に変換され得る。炭素質材料は、重量ベースで少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、またはそれよりも大きいパーセントの収率で炭素粒子に変換され得る。炭素質材料は、重量ベースで最大約99.9、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、またはそれ未満のパーセントの収率で炭素粒子に変換され得る。炭素粒子を発生させるステップは、少なくとも約1、5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000、1,500、またはそれよりも大きいキログラム/時間(kg/時)の炭素粒子生成率で実施され得る。炭素粒子を発生させるステップは、最大約1,500、1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、10、5、1、またはそれ未満のキログラム/時間(kg/時)の炭素粒子生成率で実施され得る。炭素粒子を生成するために使用されるエネルギーは、前記ケイ素含有添加剤を添加しない方法(例えば、同レベルの残留炭素質原料または全炭素粒子率で)と比較して、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、またはそれよりも大きいパーセント、低減され得る。炭素粒子を生成するために使用されるエネルギーは、前記ケイ素含有添加剤を添加しない方法(例えば、同レベルの残留炭素質原料または全炭素粒子率で)と比較して、最大約20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.001、またはそれ未満のパーセント、低減され得る。
【0050】
別の態様では、本開示は、炭素粒子を発生させるための方法を提供する。ケイ素含有添加剤および炭素質材料は、反応器に提供され得る。反応器内で、炭素質材料は、プラズマおよびケイ素含有添加剤の存在下で分解されて、炭素粒子を形成することができる。
【0051】
図2は、一部の実施形態に従う、炭素粒子を発生させるための例示的な方法200の流れ図である。動作210において、方法200は、ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップを含み得る。ケイ素含有添加剤、反応器、および炭素質材料は、本明細書の他所に記載される通りであり得る。
【0052】
動作210は、熱伝達ガス中にケイ素含有添加剤を提供することを含み得る。熱伝達ガスは、本明細書の他所に記載される通りであり得る。例えば、熱伝達ガスは、少なくとも約60パーセントの水素を含み得る。一部の事例では、熱伝達ガスは、反応器のプラズマ領域に提供され得、プラズマ領域で加熱され得、プラズマ領域から炭素質材料および/またはケイ素含有添加剤に熱を伝達することができる。ケイ素含有添加剤は、炭素質材料との接触の前に熱伝達ガスに添加することができる。ケイ素含有添加剤を事前に充填することにより、炭素質材料の充填の前に反応を生じさせることができ、そこでケイ素含有核形成物が形成され得る。ケイ素含有核形成物は、炭素粒子の成長のための基質として働くことができる。一部の事例では、ケイ素含有添加剤は、炭素質材料を含む材料ストリーム中に提供され得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、ガスとして気体炭素質材料に添加され得る。ケイ素含有添加剤を炭素質材料に添加することにより、反応器の物理的配置を変化させることなく、本明細書に記載される方法の使用が可能になり得る。これにより、実装を容易にすることができ、炭素粒子を発生させる既存の工場を大きく変化させる必要がなくなる。
【0053】
プラズマ反応器は、プラズマトーチ(例えば、プラズマを生じるように構成された電気トーチ)、プラズマトーチ領域(例えば、トーチ周辺の密閉空間)、スロート(例えば、スロートのいずれかの側の面積に対して面積の大きさが制約されているエリア)、1つもしくは複数の注入装置(例えば、原料(例えば、炭素質材料、ケイ素含有添加剤等)を反応器に提供するように構成された注入装置)、1つもしくは複数の反応帯域(例えば、反応を生じさせるための滞留エリアとして構成された体積)など、またはそれらの任意の組合せの1つまたは複数を含み得る。プラズマは、熱プラズマであり得る。プラズマは、非熱プラズマであり得る。炭素質材料原料へのケイ素含有添加剤の添加は、気化器を使用することによって実施され得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、原料が反応器に添加される前に原料に添加することができる。このようにケイ素含有添加剤を予め充填することによって、ケイ素含有添加剤(例えば、より反応性が高いシラン)の直接的な注入とは反対に、リスクがより低い(例えば、より安全な)ケイ素含有添加剤が使用され得る(例えば、軽質シロキサン(light siloxane))。そのような添加は、液体ケイ素含有添加剤の容器(例えば、ドラム、バッグ等)およびこの液体を取り扱うように構成されたポンプ(例えば、液体との反応に耐性がある(例えば、不活性プラスチック、ステンレス鋼等で裏打ちされた))の使用を含み得る。添加は、炭素質材料ストリームにケイ素含有添加剤を噴霧するためのスプレーノズルの使用を含み得る。炭素質材料は、液体スプレーの気化を助けるために予め加熱され得る。気化の後、炭素質材料/ケイ素含有添加剤は、本明細書の他所に記載される通り、反応器に注入され得る。ケイ素含有添加剤は、炭素質材料原料と同じ反応器部分に添加され得る。ケイ素含有添加剤は、炭素質材料原料から下流(例えば、ガス流の方向のさらに向こう)の反応器に添加され得る。ケイ素含有添加剤のための注入装置は、炭素質材料原料の注入装置の、少なくとも約5、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、650、700、750、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、またはそれよりも大きいミリメートル、下流に存在し得る。ケイ素含有添加剤のための注入装置は、炭素質材料原料の注入装置の、最大約5,000、4,900、4,800、4,700、4,600、4,500、4,400、4,300、4,200、4,100、4,000、3,900、3,800、3,700、3,600、3,500、3,400、3,300、3,200、3,100、3,000、2,900、2,800、2,700、2,600、2,500、2,400、2,300、2,200、2,100、2,000、1,900、1,800、1,700、1,650、1,600、1,550、1,500、1,400、1,300、1,200、1,100、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500 450、400、350、300、250、200、150、100、50、10、5、またはそれ未満のミリメートル、下流に存在し得る。ケイ素含有添加剤のための注入装置は、炭素質材料原料の注入装置の、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲内の値の下流に存在し得る。図11は、一部の実施形態に従う、添加剤の添加スキームの一例を示す。一部の事例では、ケイ素含有添加剤は、反応器の前には炭素質材料と混合されない。
【0054】
動作220において、方法200は、反応器内で、プラズマおよびケイ素含有添加剤の存在下で炭素質材料を分解して炭素粒子を形成するステップを含み得る。動作220は、プラズマおよびケイ素含有添加剤の存在下で炭素質材料を分解して、複数の炭素粒子を発生させることを含み得る。動作220は、(i)炭素質材料の分解を可能にするのに十分であるが、プラズマ状態には達しない温度に加熱された熱伝達ガス、および(ii)ケイ素含有添加剤の存在下で炭素質材料を分解して、複数の炭素粒子を発生させることを含み得る。メタンのための分解経路の一例として、メタンからCHラジカル、エチレン、アセチレンへの分解を挙げることができ、ここで、これらの分子の一部の組合せおよびさらなる脱水素により、多環式芳香族炭化水素を形成することができ、これがさらに反応して炭素粒子を形成することができる。
【0055】
分解するステップは、少なくとも摂氏約500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,550、1,600、1,650、1,700、1,750、1,800、1,850、1,900、1,950、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600度、またはそれよりも高い摂氏温度で実施され得る。分解するステップは、最大摂氏約3,600、3,500、3,400、3,300、3,200、3,100、3,000、2,900、2,800、2,700、2,600、2,500、2,400、2,300、2,200、2,100、2,000、1,950、1,900、1,850、1,800、1,750、1,700、1,650、1,600、1,550、1,500、1,400、1,300、1,200、1,100、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500度、またはそれ未満の摂氏温度で実施され得る。分解するステップは、前述の値のいずれか2つによって定義される温度範囲内で実施され得る。例えば、分解するステップは、摂氏約1500~約2100度の温度で実施され得る。温度は、計算された反応温度であってもよい。例えば、温度は、反応器への材料ストリーム(例えば、原料ストリーム、伝達ガスストリーム等)の完全な混合、熱源からの電力追加(例えば、プラズマトーチ)、熱源と混合エリアとの間の冷却剤の熱損失(例えば、反応器の冷却に対する熱損失)、材料ストリームの条件(例えば、組成、流速、温度、圧力等)、反応器の材料および材料ストリームの比熱、反応器の潜熱、反応器内で生じる反応(例えば、反応が吸熱性であるか発熱性であるか等)の反応エネルギーなど、またはそれらの任意の組合せの組合せによって計算され得る。反応器温度の測定は、壁温度の直接測定、熱損失測定(例えば、流入および流出口温度を測定することによって)、流速測定、原料流、クエンチ流など、またはそれらの任意の組合せを含み得る。反応器からの生産物のガス組成測定を使用して、原料変換の有効性を評価することができる。実行可能な場合、冗長性を使用して測定を検証し、センサー故障事象におけるデータ損失リスクを低減することができる。温度は、前記ケイ素含有添加剤を用いない方法(例えば、同レベルの残留炭素質原料または全炭素粒子率で)の温度よりも、少なくとも摂氏約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,000度、またはそれよりも大きい温度、低くてもよい。温度は、前記ケイ素含有添加剤を用いない方法(例えば、同レベルの残留炭素質原料または全炭素粒子率で)の温度よりも最大摂氏約1,000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5度、またはそれ未満の温度、低くてもよい。
【0056】
炭素質材料を分解するステップは、ケイ素含有添加剤を添加しない場合よりも、ケイ素含有添加剤を添加する方が、少なくとも約1.05、1.1、1.15、1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、1.55、1.6、1.65、1.7、1.75、1.8、1.85、1.9、1.95、2、2.5、3、3.5倍、またはそれよりも大きい倍率の、より急速な反応速度を有することができる。炭素質材料を分解するステップは、ケイ素含有添加剤を添加しない場合よりも、ケイ素含有添加剤を添加する方が、最大約3.5、3、2.5、2、1.95、1.9、1.85、1.8、1.75、1.7、1.65、1.6、1.55、1.5、1.45、1.4、1.35、1.3、1.25、1.2、1.15、1.1、1.05倍、またはそれ未満の倍率の、より急速な反応速度を有することができる。反応係数は、等式
【数1】
によって計算することができ、ここで、kは、全速度係数(global rate coefficient)(例えば、すべてのまたは実質的にすべての反応プロセスを考慮に入れた反応の速度係数)であり得、Aは、反応の終了時の炭素質材料(例えば、原料)の濃度であり得、Aは、反応の開始時の炭素質材料の濃度であり得、tは、反応器内での滞留時間であり得る。滞留時間は、ケイ素含有添加剤を用いる反応についても用いない反応についても同じであり得る。kの値は、ケイ素含有添加剤を使用しない反応に標準化され得る。例えば、ケイ素含有添加剤を含まない第1の反応については、A、A、およびkの値は、100%、10%、および1であり得、ケイ素含有添加剤を含む反応についての値は、100%、2.5%、および1.6であり得る。この例では、ケイ素含有添加剤の使用によって、炭素質材料から炭素粒子への変換の全反応速度の60%の増加が実現され得る。この例において、この変化は、反応の活性化エネルギーの変化に関係し得る。
【0057】
動作220の間またはその後、反応器内に壁汚れが形成され得る。壁汚れは、過剰反応した炭素質材料(例えば、反応して大型固体炭素種(例えば、破砕が困難な固体炭素種)を形成した)を含み得る。壁汚れは、炭素粒子の生成中に収率の低下(例えば、詰まり、不純物の増加、収率の低下等)をもたらし得る。ケイ素含有添加剤の添加は、ケイ素含有添加剤が使用されない場合と比較して、形成される壁汚れの量を低減することができる。壁汚れは、重量により少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも大きいパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、重量により最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、またはそれ未満のパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、炭素粒子と実質的に同じ、炭素に対するケイ素の比を含み得る。例えば、壁汚れは、炭素粒子と同じ組成を有するが、より大きい平均粒径を含み得る。壁汚れは、炭素粒子とは異なる、炭素に対するケイ素の比を有し得る。例えば、ケイ素は、炭素粒子における量と比較して少ない量で壁汚れに存在し得る。
【0058】
図3は、一部の実施形態に従う、炭素粒子を発生させるための例示的な方法300の流れ図である。動作310において、方法300は、ケイ素含有添加剤および炭素質材料を反応器に提供するステップを含み得る。ケイ素含有添加剤、反応器、および炭素質材料は、本明細書の他所に記載される通りであり得る。
【0059】
炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により少なくとも約0.000001、0.000005、0.00001、0.00005、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、またはそれよりも大きくてもよい。炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、重量により最大約1、0.5、0.1、0.05、0.01、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、0.00001、0.000005、0.000001、またはそれ未満であってもよい。炭素質材料に対するケイ素含有添加剤の比は、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の比であり得る。例えば、比は、重量により約0.01~約0.1であり得る。
【0060】
別の動作320において、方法300は、反応器内で炭素質材料およびケイ素含有添加剤を反応させて、核形成物を発生させるステップを含み得る。核形成物は、少なくとも1つのケイ素コアを含み得る。反応させるステップは、本明細書の他所に記載される通り、プラズマ反応器内で反応させることを含み得る。反応させるステップは、本明細書の他所に記載される温度で行うことができる。
【0061】
反応させるステップは、炭素質材料およびケイ素含有添加剤を同時にまたは実質的に同時に反応させることを含み得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、より急速な反応速度を有することができ、それによって、炭素質材料がその後反応するケイ素コアを形成することができる。この例では、ケイ素含有添加剤を、反応器への導入前に炭素質材料に添加することができる。例えば、ケイ素含有添加剤および炭素質材料を混合し(例えば、気相中、液相中等で)、その後、反応器にパイプで送り込むことができる。
【0062】
反応させるステップは、ケイ素含有添加剤を反応させ、その後、炭素質材料を反応させることを含み得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、ケイ素コアを形成するように反応させることができ、その後、炭素質材料をケイ素コア上で反応させることができる。この例では、ケイ素含有添加剤を、炭素質材料が反応器に添加される前に反応器に添加することができる。例えば、ケイ素含有添加剤を、炭素質材料が反応器に添加される場所から熱源により近い反応器(例えば、さらに上流)にパイプで送り込むことができる。
【0063】
ケイ素コアは、少なくとも約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、またはそれよりも大きいパーセントのケイ素を含み得る。ケイ素コアは、最大約99、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、またはそれ未満のパーセントのケイ素を含み得る。ケイ素コアは、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の量のケイ素を含み得る。ケイ素コアは、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、またはそれよりも大きいナノメートルの直径であり得る。ケイ素コアは、最大約500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、1、またはそれ未満のナノメートルの直径であり得る。複数のケイ素コアは、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の直径を有することができる。ケイ素コアは、純粋なケイ素、炭化ケイ素、シリコンオキシカーバイド、酸化ケイ素、窒化ケイ素など、またはそれらの任意の組合せを含み得る。ケイ素コアは、炭素質材料の成長のためにより低いエネルギーの表面を提供し得る。動作320は、それぞれがケイ素コアを含む複数の核形成物を発生させることを含み得る。例えば、反応器は、複数の核形成物を発生させて、炭素粒子の生成をスケールアップするように構成され得る。コアは、炭素粒子内、炭素粒子の表面上などに位置し得る。コアは、炭素粒子から離れて位置し得る。
【0064】
動作320は、プラズマの存在下で実施され得る。プラズマは、本明細書の他所に記載されるプラズマであり得る。プラズマは、炭素質材料およびケイ素含有添加剤に熱を提供するように構成され得る。例えば、プラズマは、熱伝達ガスを加熱することができ、その熱伝達ガスは、次に炭素質材料およびケイ素含有添加剤に熱を提供するように構成される。動作320は、プラズマとの熱的接触状態で実施され得る。例えば、熱的接触は、伝達ガスを介して行うことができる。一部の事例では、動作320は、プラズマの直接的な存在下で実施することができる。例えば、動作320は、プラズマが形成されるチャンバ内で実施することができる。
【0065】
別の動作330において、方法300は、核形成物上に炭素粒子を成長させるステップを含み得る。例えば、核形成物を形成することができ、その後、炭素質材料を使用して、核形成物上に炭素を成長させることができる。この例では、上に炭素質材料が成長させられた核形成物は、炭素粒子になり得る。炭素粒子は、重量により少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、99.9、またはそれよりも大きいパーセントの炭素を含み得る。炭素粒子は、重量により最大約99.9、98、97、96、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、またはそれ未満のパーセントの炭素を含み得る。炭素粒子は、カーボンブラックを含み得る。
【0066】
動作330は、プラズマの存在下で実施され得る。例えば、動作330は、プラズマが形成されるチャンバと同じチャンバ内で実施され、それによって、核形成物上に炭素粒子を成長させるためのエネルギーを提供することができる。プラズマは、本明細書の他所に記載されるプラズマであり得る。動作330は、プラズマの非存在下で実施され得る。例えば、プラズマを使用して伝達ガスを加熱することができ、その伝達ガスをプラズマから流出させ、その後その伝達ガスを使用して、動作330のためのエネルギーを提供することができる。
【0067】
動作330は、複数の核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることを含み得る。例えば、反応器は、スケールアップした反応において複数の炭素粒子を生成するように構成され得る。動作330は、核形成物上に複数の炭素粒子を成長させることを含み得る。例えば、複数の炭素粒子を、核形成物の表面上に成長させて、炭素粒子のクラスターを形成することができる。一部の事例では、核形成物は、単一炭素粒子内に含まれ得る(例えば、コアシェル配置)。一部の事例では、単一核形成物上に成長させられた複数の炭素粒子は、ブドウの房状の構造体を有することができる。一部の事例では、ケイ素含有粒子は、炭素粒子とは別個に成長し、より低いエネルギーで炭素質材料を分解し得る(例えば、触媒として機能し得る)。
【0068】
動作330の間またはその後、反応器内に壁汚れが形成され得る。壁汚れは、過剰反応した炭素質材料(例えば、反応して大型集合体を形成した)を含み得る。壁汚れは、炭素粒子の生成中に誤り(例えば、詰まり、不純物の増加等)をもたらし得る。ケイ素含有添加剤の添加は、ケイ素含有添加剤が使用されない場合と比較して、形成される壁汚れの量を低減することができる。壁汚れは、重量により少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも大きいパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、重量により最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、0.1、0.05、0.01、またはそれ未満のパーセントの炭素質材料を含み得る。壁汚れは、炭素粒子と実質的に同じ、炭素に対するケイ素の比を含み得る。例えば、壁汚れは、炭素粒子と同じ組成を有するが、より大きい平均粒径を含み得る。壁汚れは、炭素粒子とは異なる、炭素に対するケイ素の比を有し得る。例えば、ケイ素は、炭素粒子における量と比較して少ない量で壁汚れに存在し得る。
【0069】
別の態様では、本開示は、炭素粒子または炭素質材料を提供する。炭素粒子は、構造体または非炭素部分を含み得る。構造体(例えば、ASTM D1506を介して炭素粒子から生成される)または非炭素部分を含む灰は、1グラム当たり少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、400、500、またはそれよりも大きい平方メートルの表面積を有することができる。灰は、予想外に大きい表面積を有していてもよい。予想外に大きい表面積は、灰の材料(例えば、ケイ素)と炭素粒子の炭素との共堆積に起因し得る。このように、炭素が灰化によって除去される場合、結果として生じる灰は、大きい表面積を有することができる。炭素粒子は、本明細書の他所に記載されるカーボンブラックであり得る。構造体または非炭素部分は、ケイ素を含み得る。構造体または非炭素部分は、少なくとも約50、60、70、80、90、95、またはそれよりも大きいパーセントのケイ素を含み得る。非炭素部分の表面積は、ASTM D1506を使用して灰化によって決定され得る。非炭素部分は、炭素粒子の重量の最大約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、またはそれよりも大きいパーセントを構成し得る。炭素粒子は、少なくとも約1、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.5、5.0、またはそれよりも大きいナノメートルの格子定数(L)を有することができる。構造体または非炭素部分を構成する灰は、1立方メートル当たり少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、またはそれよりも大きいキログラムの注入密度を有することができる。構造体または非炭素部分を構成する灰は、1立方メートル当たり最大約200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、またはそれ未満のキログラムの注入密度を有することができる。
【0070】
図9は、一部の実施形態に従うプラズマ反応器900の一例を示す。プラズマ反応器は、本明細書の他所に記載される方法を実行するように構成され得る。例えば、プラズマ反応器は、本明細書の他所に記載される通り、炭素粒子を発生させるように構成され得る。プラズマ反応器は、トーチ領域902、スロート領域903、および/または反応器領域904を含み得る。トーチ領域は、1つまたは複数のプラズマトーチ901を収容し得る。1つまたは複数のプラズマトーチは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれよりも多い個数のプラズマトーチを含み得る。1つまたは複数のプラズマトーチは、最大約10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個のプラズマトーチを含み得る。1つまたは複数のプラズマトーチは、トーチ領域にプラズマを提供するように構成され得る。例えば、1つまたは複数のプラズマトーチは、電気エネルギーを活用してガス(例えば、伝達ガス)をプラズマに変換するように構成され得る。プラズマは、炭素粒子を発生させる方法における反応物として使用するために構成され得る。例えば、プラズマを使用して、炭素粒子を発生させる方法に熱を提供することができる。プラズマトーチは、導電性材料を含み得る。導電性材料の例として、炭素(例えば、グラファイト、ガラス状炭素等)、金属(例えば、鉄、タングステン、金等)、合金(例えば、鋼等)、ポリマー(例えば、導電性ポリマー)など、またはそれらの任意の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。プラズマトーチは、複数のセグメントを含み得る。例えば、プラズマトーチは、複数の電極部分(例えば、アノード、カソード、接地、またはそれらの組合せ)を含み得る。
【0071】
図9に示される線は、プラズマ反応器を通って流れるガス(例えば、伝達ガス)の流れの方向を示し得る。例えば、ガス流の方向は、トーチ領域からスロート領域を通って反応器領域に向かうことができる。伝達ガスは、トーチエリアの上流のプラズマ反応器に導入され得る。例えば、伝達ガスは、プラズマトーチの上流に配置されたパイプを介して導入され得る。伝達ガスは、スロート領域の前のプラズマ反応器、スロート領域内、スロート領域の後、反応器領域内、またはそれらの任意の組合せに導入され得る。プラズマトーチ後の伝達ガスの導入は、プラズマ反応器の温度、流速、反応速度、濃度、希釈等に影響を及ぼし得る。
【0072】
プラズマ反応器は、炭素質材料の1つまたは複数の注入装置を含み得る。炭素質材料の注入装置は、トーチ領域の上流、トーチ領域内、スロート領域内、反応器領域内、またはそれらの任意の組合せに位置し得る。プラズマ反応器の各領域は、炭素質材料の1つまたは複数の注入装置を含み得る。炭素質材料の1つまたは複数の注入装置は、プラズマ反応器の周囲に放射状に分布され得る。炭素質材料の1つまたは複数の注入装置は、同種の炭素質材料を注入するように構成され得る。例えば、炭素質材料の1つまたは複数の注入装置の炭素質材料の各注入装置は、メタンを注入するように構成され得る。炭素質材料の1つまたは複数の注入装置は、複数種の炭素質材料を注入するように構成され得る。
【0073】
反応器領域904は、少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、5、6秒、またはそれよりも長い秒数の滞留時間を有するように構成され得る。反応器領域は、最大約6、5、4、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.05、0.01秒、またはそれよりも短い秒数の滞留時間を有するように構成され得る。反応器領域は、前述の値のいずれか2つによって定義される範囲の滞留時間を有するように構成され得る。例えば、反応器領域は、約0.2~約3秒の滞留時間を有するように構成され得る。滞留時間は、ガス混合物が約1,100℃よりも高い温度で費やす時間であり得る。反応器は、領域902と904との間に制限を含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。そのような反応器は、大きい一次粒径を含むより大きい粒子(例えば、カーボンブラックではない)を発生させることができる。
【0074】
コンピュータシステム
本開示は、本開示の方法を実装するようにプログラムされているコンピュータシステムを提供する。図7は、本開示の方法を実装するおよび/またはシステムを制御するようにプログラムされているか、または他の様式で構成されているコンピュータシステム701を示す。コンピュータシステム701は、本開示の種々の態様、例えば、炭素質材料およびケイ素含有添加剤を反応させるように構成された反応器などを調節することができる。コンピュータシステム701は、ユーザーの電子デバイスまたはその電子デバイスに対して遠隔に位置しているコンピュータシステムであり得る。電子デバイスは、携帯型電子デバイスであり得る。
【0075】
コンピュータシステム701は、中央処理ユニット(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」とも)705を含み、これは、シングルコアもしくはマルチコアプロセッサ、または並行処理のための複数のプロセッサであり得る。コンピュータシステム701は、メモリまたはメモリ位置710(例えば、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶ユニット715(例えば、ハードディスク)、1つまたは複数の他のシステムと通信するための通信インターフェース720(例えば、ネットワークアダプター)、ならびに周辺デバイス725、例えば、キャッシュ、他のメモリ、データ記憶および/または電子ディスプレイアダプターも含む。メモリ710、記憶ユニット715、インターフェース720および周辺デバイス725は、通信バス(実線)、例えばマザーボードを通じてCPU705と通信している。記憶ユニット715は、データを記憶するためのデータ記憶ユニット(またはデータリポジトリ)であり得る。コンピュータシステム701は、通信インターフェース720を活用して、コンピュータネットワーク(「ネットワーク」)730に作動可能に連結され得る。ネットワーク730は、インターネット、インターネットおよび/もしくはエクストラネット、またはインターネットと通信するイントラネットおよび/もしくはエクストラネットであり得る。ネットワーク730は、一部の事例では、電気通信および/またはデータネットワークである。ネットワーク730は、1つまたは複数のコンピュータサーバを含むことができ、これは、分散コンピューティング、例えばクラウドコンピューティングを可能にすることができる。ネットワーク730は、一部の事例ではコンピュータシステム701を活用して、ピアツーピアネットワークを実装することができ、それによって、コンピュータシステム701に連結されたデバイスが、クライアントまたはサーバとして挙動することが可能になり得る。
【0076】
CPU705は、プログラムまたはソフトウェアで具体化され得る一連の機械可読命令を実行することができる。命令は、メモリ710などのメモリ位置に記憶され得る。命令は、CPU705に出すことができ、その命令は、その後CPU705が本開示の方法を実装するようにプログラムするか、または他の様式で構成することができる。CPU705によって実施される動作の例として、フェッチ、復号、実行、およびライトバックを挙げることができる。
【0077】
CPU705は、回路、例えば集積回路の一部であり得る。システム701の1つまたは複数の他の構成成分は、回路に含まれ得る。一部の事例では、回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0078】
記憶ユニット715は、ファイル、例えばドライバー、ライブラリーおよびセーブされたプログラムを記憶することができる。記憶ユニット715は、ユーザーデータ、例えば、ユーザーの選好およびユーザープログラムを記憶することができる。コンピュータシステム701は、一部の事例では、コンピュータシステム701の外部にある、例えばイントラネットまたはインターネットを通じてコンピュータシステム701と通信するリモートサーバ上に位置する、1つまたは複数のさらなるデータ記憶ユニットを含み得る。
【0079】
コンピュータシステム701は、ネットワーク730を通じて1つまたは複数のリモートコンピュータシステムと通信することができる。例えば、コンピュータシステム701は、ユーザーのリモートコンピュータシステムと通信することができる。リモートコンピュータシステムの例として、パーソナルコンピュータ(例えば、携帯型PC)、スレートもしくはタブレット型PC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android(登録商標)対応デバイス、Blackberry(登録商標))、またはパーソナルデジタルアシスタントが挙げられる。ユーザーは、ネットワーク730を介してコンピュータシステム701にアクセスすることができる。
【0080】
本明細書に記載される方法は、コンピュータシステム701の電子記憶位置に、例えばメモリ710または電子記憶ユニット715などに記憶された機械(例えば、コンピュータプロセッサ)実行可能コードによって実装することができる。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアの形態で提供することができる。使用中、コードはプロセッサ705によって実行することができる。一部の事例では、コードを記憶ユニット715から取り出し、プロセッサ705によって迅速にアクセスできるようにメモリ710に記憶させることができる。一部の状況では、電子記憶ユニット715は排除することができ、機械実行可能命令は、メモリ710に記憶される。
【0081】
コードは、コードを実行するように適合されたプロセッサを有する機械で使用するために、プリコンパイルし、そのように構成することができ、またはランタイム中にコンパイルすることができる。コードは、コードがプリコンパイルまたはアズコンパイル方式で実行されるのを可能にするように選択され得るプログラム言語で供給することができる。
【0082】
本明細書で提供されるシステムおよび方法の態様、例えばコンピュータシステム701は、プログラミングで具体化することができる。この技術の種々の態様は、典型的には、機械(またはプロセッサ)実行可能コードおよび/または一種の機械可読媒体で運搬もしくは具体化される関連データの形態の、「製品」または「製造品」として考えることができる。機械実行可能コードは、電子記憶ユニット、例えば、メモリ(例えば、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクに記憶することができる。「記憶」型の媒体には、ソフトウェアプログラミングのためにいつでも非一時的記憶を提供し得る、コンピュータ、プロセッサなどのありとあらゆる有形メモリ、またはその関連モジュール、例えば種々の半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブなどが含まれ得る。ソフトウェアのすべてまたは一部は、時としてインターネットまたは他の種々の電気通信ネットワークを通じて通信され得る。そのような通信は、例えば、ソフトウェアをあるコンピュータまたはプロセッサから別のコンピュータまたはプロセッサへ、例えば管理サーバまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへロードすることを可能にし得る。したがって、ソフトウェア要素を保持することができる別の種類の媒体には、例えばローカルデバイス間の物理インターフェースを通して、有線および陸上通信線ネットワークを通じて、ならびに種々のエアリンクにわたって使用される、光波、電波および電磁波が含まれる。そのような波を伝える物理的要素、例えば、有線または無線リンク、光リンクなども、ソフトウェアを保持する媒体とみなされ得る。本明細書で使用される場合、非一時的な有形「記憶」媒体に限定されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令を提供することに関与するあらゆる媒体を指す。
【0083】
したがって、機械可読媒体、例えばコンピュータ実行可能コードは、有形記憶媒体、搬送波媒体または物理伝送媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を取り得る。不揮発性記憶媒体には、例えば、光ディスクまたは磁気ディスク、例えばデータベース等を実装するために使用され得る、図に示される任意のコンピュータ(複数可)等における記憶デバイスのいずれかが含まれる。揮発性記憶媒体には、動的メモリ、例えば、そのようなコンピュータプラットフォームのメインメモリが含まれる。有形伝送媒体には、コンピュータシステム内のバスを含む配線を含む、同軸ケーブル、銅線および光ファイバーが含まれる。搬送波伝送媒体は、電気信号もしくは電磁信号、または音波もしくは光波、例えば、無線周波数(RF)および赤外線(IR)データ通信中に発生するものの形態を取り得る。それゆえに、コンピュータ可読媒体の一般的形態には、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他のあらゆる磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、他のあらゆる光媒体、パンチカード紙テープ、孔のパターンを有する他のあらゆる物理記憶媒体、RAM、ROM、PROMおよびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、他のあらゆるメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を伝送する搬送波、そのような搬送波を伝送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み出すことができる他のあらゆる媒体が含まれる。コンピュータ可読媒体のこれらの形態の多くは、実行のために1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスをプロセッサに伝えることに関与し得る。
【0084】
コンピュータシステム701は、例えば、反応器を制御するためのインターフェースを提供するためのユーザーインターフェース(UI)740を含む電子ディスプレイ735を含むことができるか、または電子ディスプレイ735と通信することができる。UIの例として、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースが挙げられるが、それらに限定されない。
【0085】
本開示の方法およびシステムは、1つまたは複数のアルゴリズムによって実装することができる。アルゴリズムは、中央処理ユニット705による実行時にソフトウェアによって実装することができる。アルゴリズムは、例えば、ユーザーが提供したパラメーターに基づいて異なる炭素粒子の生成を実装することができる。
【0086】
以下の実施例は、本明細書に記載されるある特定のシステムおよび方法を例証するものであり、限定することを意図されない。
【実施例
【0087】
(実施例1)
ケイ素含有添加剤の使用による収率の改善
図4は、一部の実施形態に従う反応器のガス生産物に存在するメタンの残留量の例示的プロット400である。メタンに関して本明細書に記載されているが、本開示のいずれの炭素質前駆体を使用してもよい。ケイ素含有添加剤の非存在下で炭素粒子を生成するように動作する反応器は、プロット410に示される通りの温度プロットに対する残留メタンを有することができる(エラーバーは網掛けされている)。反応器の温度が上昇すると、残留メタンの量が低減し得る。このことは、より高温で反応速度の上昇が観察されることに起因し得る。ケイ素含有添加剤が反応器に添加される反応器内では、残留メタンプロット、例えばプロット420が観察され得る。注目すべきは、反応後に検出された残留メタンの量は、炭素質材料のみの場合よりもケイ素含有添加剤がある場合の方が低くなり得る。そのような残留メタンの低減は、炭素粒子の収率の改善、炭素粒子の発生における電気使用量の低下、より低い反応器温度、電力使用量の低下、および本明細書で論じられる他の利益をもたらし得る。システムにおける残留炭素の量は、炭素質材料原料の反応の完全性に関係し得る。例えば、反応がより完全であるほど、システムにおける残留炭素が低減し得る。本開示の方法およびシステムは、最大約5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、またはそれ未満のパーセントの残留炭素をもたらし得る。残留炭素の低減により、反応器の効率を改善すること(例えば、所与の反応実施において生成される炭素粒子の量を増加させる)、汚れを低減すること(例えば、残留炭素が少ないほど、反応器の他の部分において反応して汚れを発生させる原料を少なくすることができる)等ができる。
【0088】
図5は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤を添加していない(510)および添加した(520)反応器からの固体炭素(例えば、炭素粒子)の収率の例示的プロット500である。図4と同様に、ケイ素含有添加剤の添加により、より低い反応温度で炭素粒子のより高い収率が可能になる。そのような改善は、より低い反応器温度の使用を可能にすることができ、それによって、コストおよび反応器の消耗を低減することができる。加えて、ケイ素含有添加剤と共により低い温度を使用することによって、炭素粒子を作製する新しいスキームが可能になり得る。ケイ素含有添加剤を使用することは、炭素粒子が高収率で得られるという改善になり得る。
【0089】
図6は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤の添加ありおよび添加なしで炭素粒子を発生させる反応の生成物の間の比較プロット600の一例を示す。他所に記載される通り、炭素粒子(例えば、回収される生成物)の全収率は、所与の類似の反応条件(例えば、添加剤を用いない反応について摂氏1900度および添加剤を用いる反応について摂氏1900度)では、ケイ素含有添加剤が使用される場合の方が、使用しないよりも高くなり得る。さらに、反応によって生成される汚れの全量は、ケイ素含有添加剤の添加によって著しく低減され得る。汚れの低減は、炭素粒子の生成においてケイ素含有添加剤を使用する別の利点となり得、それによって、反応器の機能および安定性が著しく改善され得る。壁汚れの低減は、プロセスをスケーリングする重要な部分となり得、ケイ素含有添加剤の使用は、そのような低減を提供することができる。加えて、システムに導入された炭素のより多くが炭素粒子生成物に形成され得るので、回収される生成物の量が増加することにより、炭素粒子の生成の経済が改善され得る。プロット600は、炭素が反応器から除去され得る形態であり得る(例えば、回収された生成物は、炭素粒子として除去された炭素であり得、壁汚れは、反応器の壁から収集された固体炭素であり得、さらなる炭素は、炭素粒子を発生させるプロセス中に収集された固体炭素であり得、排気炭素は、反応器から気相で出てくる炭素であり得る)。プロットの値は、システムに導入された炭素の全量によって標準化され得る。
【0090】
上記のデータプロットを作成するために使用した反応器は、三相プラズマトーチによって提供された加熱力を有する、高さ約2メートルの水冷式容器を含み得る。ガス(例えば、熱伝達ガス)は、トーチを通して約28Nm/時間の速度で導入され、トーチから下流において4Nm/時間の速度でメタンを実質的に同時に注入することができる(例えば、原料希釈比率7で)。炭素粒子を発生させる反応のためのエネルギーを提供するために、トーチを通して約70kWの電力を供給して、ガスを加熱することができる。ガスは、ガスを冷却し、形成された炭素粒子を運搬するための不活性ガスの注入によってクエンチされ得る。
【0091】
表1は、例示的な比較反応(例えば、図6のデータを作成するために使用した比較反応)のさらなる試験条件を示す。反応器は、プラズマガス(例えば、熱伝達ガス)の流路および原料(例えば、炭素質材料)の流路を有することができる。プラズマガスは、炭素を含まなくてもよく、プラズマトーチを使用して少なくとも約2000℃の温度に加熱することができる。原料ガスは、メタンおよびケイ素含有添加剤を含むことができ、その原料ガスを少なくとも約400℃に加熱して、ケイ素含有添加剤を気化させることができる。次に、原料ガスをプラズマガスに注入することができ、混合物が反応チャンバに移動することができる。反応チャンバ内で、原料は分解し、固体炭素および水素を形成することができ、他の炭化水素種を生成することもできる。残留気相炭素は、表1の残留炭素の一部であり得る。表1の温度は、反応チャンバの壁で測定することができる。希釈比率は、反応器内の炭素に対するプラズマガスのモル比であり得る。残留炭素は、反応器に注入された炭素質量のパーセンテージとして、反応器の出口における気相炭素質量を構成し得る。
【表1】
【0092】
(実施例2)
ケイ素含有添加剤を使用する反応器パラメーター
図8は、一部の実施形態に従う例示的な大規模および小規模反応器についての一連の条件を示す。一部の事例では、大規模反応器および小規模反応に使用できる値は同じであり得る。一部の事例では、大規模および小規模反応器の異なる特性により、同じ特性でも異なる値が引き起こされ得る。反応は、酸素の非存在下で実施され得る。
【0093】
圧力は、例えば、プラズマトーチ、スロート、反応器領域、またはそれらの任意の組合せにおける、反応器の圧力であり得る。プラズマガスのH%は、水素であるプラズマガスのパーセンテージであり得る。プラズマガスの残余は、本明細書の他所に記載される通りであり得る(例えば、炭素質材料、ケイ素含有添加剤、他の熱伝達ガス等)。希釈比率は、炭素質原料の量で除した供給物における熱伝達ガス(例えば、水素)の、モル比での量であり得る。例えば、6:1の希釈比率は、6モルの水素および6モルの炭素であり得る。トルエン注入は、炭素質生成物を反応させた後に注入される、反応を停止させるトルエンのクエンチとなり得る。トルエン注入量は、示される通り、炭素充填量のモルパーセンテージ(Cmol)であり得る。トルエン注入は、炭素質原料およびケイ素含有添加剤と共注入され得る。トルエンとの共注入により、核形成をより急速に始めることができる(例えば、トルエンは、多環式芳香族炭化水素への反応経路上ではさらに先があるため。他の単環式または多環式芳香族炭化水素も同様に使用され得る(例えば、キシレン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、メチルナフタレン、コロネン、ベンゾピレン等)。反応温度は、反応器の反応器部分における反応温度であり得る。反応温度は、プラズマ温度よりも低くてもよい(例えば、より低温の原料を熱伝達ガスと混合するので)。反応温度は、本明細書の他所に記載される通りに決定され得る。例えば、反応温度は、計算された反応温度であってもよい。システム滞留時間は、炭素質材料が炭素粒子として除去される前にシステムにおいて費やす時間の長さを指すことができる。例えば、1500ミリ秒(ms)の滞留時間を有するシステムでは、炭素質材料は、反応器への注入後平均1500msで、炭素粒子の一部として反応器を離れることができる。添加剤の注入位置は、添加剤(例えば、ケイ素含有添加剤)を反応器に注入することができる位置であり得る。原料中とは、混合された添加剤および炭素質材料を反応器に注入する前に、添加剤を炭素質材料に添加することを指すことができる。プラズマガス中とは、ガスをプラズマトーチに通過させる前に、添加剤を熱伝達ガスに添加することを指すことができる。充填量は、炭素の充填パーセントとしてのケイ素含有添加剤の充填レベル(例えば、Si/C%)であり得る。ケイ素含有添加剤の注入は、炭化水素注入の下流で行われ得る。例えば、ケイ素含有添加剤は、炭化水素を反応器に注入した後、反応器に注入することができる。ケイ素含有添加剤が炭化水素の下流で注入される場合、結果として生じる炭素粒子の表面積(例えば、N2SA)は増大することができる。その増大は、ケイ素含有添加剤を用いずに生成された炭素粒子と比較して、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも大きいパーセントであり得る。ケイ素含有添加剤および炭化水素が反応器の同じ部分に注入される場合、表面積は、ケイ素含有添加剤が注入されなかった場合と同じか、または実質的に同じであり得る。例えば、表面積は、約5、4、3、2、1、またはそれ未満のパーセント以内であり得る。
【0094】
別の例では、ケイ素含有添加剤の使用は、商業用プラズマ熱分解反応器で試験することができる。そのような反応器において、炭素粒子への原料の変換は、非常に重要な性能パラメーターとなり得、変換は、反応器温度を上昇させることによって増大し得る。ケイ素含有添加剤の使用により、反応器は、より低温で同じ炭化水素変換をもたらすことが可能になり、それによって、電力消費量点がより低くなり、費用および環境有効性が改善され得る。図10は、一部の実施形態に従う、ケイ素含有添加剤ありおよびなしでの炭素粒子生成の一例を提供する。ケイ素含有添加剤の使用は、炭素粒子の生成にかかる電力量を著しく低減することができる(例えば、生成される炭素粒子1トン当たり約1.2メガワット時間の省力)。炭素生成率は、システムに注入されたすべての固体炭素を説明するために、炭素質原料(例えば、天然ガス)の供給率に0.75倍を乗じたものになり得る。そのような乗数は、達成された生成率よりも低くなり得る。
【0095】
別の例では、本明細書の他所に記載される方法およびシステムによって生成された炭素粒子は、灰化され得る(例えば、ASTM D1506を介して周囲雰囲気下で)。ケイ素含有添加剤を添加して生成された(例えば、500ppmのヘキサメチルジシロキサンが炭素質材料と共注入された)灰化粒子と、ケイ素含有添加剤を添加することなく生成された灰化粒子との比較を実施することができる。添加剤を用いずに生成された灰化粒子は、39.8m/gのNSA表面積(例えば、ASTM D6556によって測定された)を含み得、アルミナ、酸化鉄、および酸化カルシウムの主要元素組成、ならびに324kg/mの注入密度(例えば、ASTM D1513によって測定された)を有し得る。ケイ素含有添加剤を用いて生成された灰化粒子は、742.7m/gのNSAを有し、主要元素組成はシリカであり得、145kg/mの注入密度を有することができる。ケイ素含有添加剤の添加を含むプロセスは、炭素粒子生成率を1138kg/時間と仮定すると、炭素粒子を生成するために使用される電気量を約1.2メガワット時間/生成炭素粒子1トン低減することができる。ケイ素含有添加剤の添加を含むプロセスで生成された第2の試料は、367.2m/gの灰化NSAを有することができる。灰化生成物の大きい表面積の存在は、炭素粒子がケイ素含有添加剤と一体になって形成されることに起因し得る。例えば、炭素粒子の同時形成は、灰化された場合に大きい表面積を提供する粒子を発生させることができる(例えば、炭素およびケイ素が一体に混合されるので)。
【0096】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書において示し、説明してきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されていることが当業者には明らかである。本発明が本明細書において提供される特定の例によって制限されることは意図されない。本発明を、前述の明細書を参照しながら記載してきたが、本明細書における実施形態の説明および例証は、制限する意味で解釈されるものではない。ここで、数々の変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく当業者に想到されよう。さらに、本発明のすべての態様は、本明細書に記載されている特定の表現、配置、または相対的割合に限定されず、それらは、様々な条件および変数に応じて変わることが理解されるべきである。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替を、本発明の実践において用いることができることを理解されたい。それゆえに、本発明は、そのようないずれの代替、修正、変更、または均等物も網羅するものであることが企図される。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を規定すること、ならびにこれらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの均等物が、それによって網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】