(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】持続可能な喫煙物品要素
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20250128BHJP
A24D 3/08 20060101ALI20250128BHJP
A24D 3/14 20060101ALI20250128BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20250128BHJP
A24D 1/20 20200101ALI20250128BHJP
A24F 40/42 20200101ALN20250128BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/08
A24D3/14
A24D3/04
A24D1/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542061
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 GB2023050129
(87)【国際公開番号】W WO2023139386
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524173969
【氏名又は名称】フィルトローナ プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FILTRONA PTE.LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】アリット、ニ グスティ ニョマン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、ボビー
(72)【発明者】
【氏名】アフメド、ナキーブ
(72)【発明者】
【氏名】コルビ、ロシ アナ
(72)【発明者】
【氏名】アニンディア、イアン
(72)【発明者】
【氏名】ギヤント
(72)【発明者】
【氏名】ウィドド、スリスティオ
(72)【発明者】
【氏名】ウィディアルト、スディルマン
【テーマコード(参考)】
4B045
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AB16
4B045BA02
4B045BA08
4B045BB10
4B045BC07
4B045BC16
4B045BC23
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC08
(57)【要約】
本発明は、喫煙物品で使用するための要素であって、要素が、長手方向に延びるコアを備え、長手方向に延びるコアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料を含み、フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む、要素を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物品で使用するための要素であって、
前記要素が、長手方向に延びるコアを備え、
前記長手方向に延びるコアは、フィルタリング材料を含み、
前記フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料を含み、
前記フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む、要素。
【請求項2】
前記要素が、冷却要素である、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記紙及び/又は他の生分解性材料が、易生分解性である、請求項1又は2に記載の要素。
【請求項4】
前記疎水性材料が、前記要素の前記長手方向に延びるコア全体にわたって分布している、請求項1~3のいずれか一項に記載の要素。
【請求項5】
前記フィルタリング材料が、前記疎水性材料がコーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料である、請求項1~4のいずれか一項に記載の要素。
【請求項6】
前記コーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料が、前記疎水性材料が前記要素の前記長手方向に延びるコア全体にわたって分布するように、前記長手方向に延びるコア内に配置されている、請求項5に記載の要素。
【請求項7】
前記長手方向に延びるコアが、1つ又は複数の前記長手方向に延びるボアを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の要素。
【請求項8】
前記要素の長さが、5~50mm、例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の要素。
【請求項9】
前記要素の円周が、12mm~30mm、例えば、15mm~28mm、例えば、17mm~25mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の要素。
【請求項10】
前記長手方向に延びるコアが、複数の溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の要素。
【請求項11】
前記長手方向に延びるコアが、複数の溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有しており、また1つ又は複数の長手方向に延びるボアを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の要素。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の要素と、任意に1つ以上の別個の更なるセグメントと、を備える、喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の要素と、任意に1つ以上の別個の更なるセグメントと、を備える、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品。
【請求項14】
タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における、請求項1~11のいずれか一項に記載の要素の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ加熱製品又は非燃焼加熱製品などの喫煙物品で使用するための、持続可能な要素を提供する。
【背景技術】
【0002】
タバコ加熱製品又は非燃焼加熱(heat-not-burn、HNB)製品は良く知られている。タバコ加熱製品の概念は、タバコが燃焼することなく特定の温度(350℃など)に加熱されることである。これにより、ニコチンを含有する蒸気が送達され、燃焼させずに加熱することで、消費者に有害な燃焼生成物の生成が回避されると考えられる。
【0003】
タバコ加熱製品又はHNB製品は、紙巻きタバコのような外観を提供するように、紙のプラグラップ(paper plugwrap)で包まれている改良タバコのプラグ及び他のマウスピース要素を備えている場合がある。そのような製品の1つでは、再構成タバコプラグ、包まれた中空アセテートチューブ、PLA[ポリ(乳酸)]の包まれたプラグ、及び従来の包まれたアセテートセグメントが、白紙で包まれている。次いで、製品は、タバコを加熱する加熱要素に挿入され、それによって消費者は、製品を「喫煙」することができる。これらの製品における「フィルタ」の機能は、紙巻きタバコフィルタの機能とは非常に異なっており、主な機能は、紙巻きタバコの外観及び感触を提供すること、及びまた蒸気を消費者にとって許容可能な温度まで冷却することである。上述の製品では、重要な冷却機能を実行するのはPLA部分であり、したがって、これを、冷却要素とみなし得る。
【0004】
冷却要素にPLAなどの材料を使用することはよく知られている。より最近では、国際公開第2021/074222号で論じられているとおり、冷却要素に酢酸セルロースを使用することが知られるようになった。
【0005】
しかしながら、酢酸セルロース及びPLAは、易生分解性でない。結果として、フィルタ要素及び冷却要素を備える、酢酸セルロースなどの喫煙物品要素は、環境中に長年にわたって存続し得る。このことにより、また2021年に施行される(酢酸セルロースフィルタなどの使い捨てプラスチックの使用を減らすことを目的とする)新しいEU規制を考慮して、使い捨てプラスチックを含まず易生分解性である、喫煙要素(冷却要素など)への関心が高まっている。
【0006】
したがって、酢酸セルロースなどの従来の材料に対して改善された生分解性を有しながら、HNB製品中の蒸気の許容可能な冷却及び許容可能なフィルタリング特性を提供する、喫煙物品要素が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、喫煙物品で使用するための要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)であって、要素が、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えばチューブ状の)コアを備え、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)を含み、疎水性材料を更に含む、要素が提供される。好ましくは、要素は、冷却要素である。
【0008】
本明細書で使用される場合、「要素」という用語は、喫煙物品で使用され得る任意の別個のセグメントを指す。要素は、冷却要素であってもフィルタリング要素であってもよい。
【0009】
本明細書で使用される場合、「冷却要素」という用語は、顕著な冷却機能、すなわち、蒸気が冷却要素の長さに沿って通過するときに、蒸気の温度を低下させる機能を提供する、別個のセグメントを指すことが理解されよう。
【0010】
用語「生分解性」は、制御された堆肥化条件下で6ヶ月後に少なくとも90%の生分解性を示すことができるフィルタリング材料及び要素を指す(ISO14855-1 Determination of the ultimate aerobic biodegradability of plastic materials under controlled composting conditions-Method by analysis of evolved carbon dioxide(制御された堆肥化条件下の好気的究極生分解度の求め方-発生二酸化炭素の分析による方法)を参照)。
【0011】
好ましくは、本発明の要素のフィルタリング材料で使用される紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)は、「易生分解性」であり、酢酸セルロースと比較して、向上された生分解性を有する。したがって、本発明は、生分解性が向上した要素を提供し、したがって、より環境に優しく、よりEU規制に適合する。
【0012】
「易生分解性」という語句は、フィルタリング材料、及び要素が、水に浸漬されたときに迅速に崩壊し、完全に生分解することができることを指す。好ましくは、要素は、当該技術分野において周知であるOECD 301B「Ready Biodegradability」法(修正Sturm試験)に従って測定される、「Ready Biodegradability、易生分解性」レベルの生分解性を有する。「易生分解性」という語句は、本明細書では、「易生分解性」レベルの生分解性を意味するものと理解される。
【0013】
本出願人らは、驚くべきことに、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)と共にフィルタリング材料中に疎水性材料を含めることによって、要素が、従来のPLA及び酢酸セルロース要素と同等の冷却性能及びフィルタリング性能を提供することができるとともに、上述のように改善された生分解性を提供することもできることを見出した。これは、本出願の実施例において例示される。
【0014】
理論に拘束されるものではないが、フィルタリング材料内の疎水性材料は、要素(例えば、冷却要素)内の水蒸気を要素(例えば、冷却要素)内で凝縮させ、これが、蒸気が要素を通過する際に、蒸気を冷却する有益な効果を提供すると考えられる。
【0015】
好ましくは、疎水性材料は、要素の長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コア全体にわたって分布する。本出願人らは、これが、タバコ加熱製品又はHNB製品で使用するための最適レベルの蒸気冷却及びフィルタリングを提供することを見出した。
【0016】
好ましくは、フィルタリング材料は、疎水性材料がコーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)である。好ましくは、コーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非セルロース含有材料)は、疎水性材料が要素の長手方向に延びるコア全体にわたって(例えば、実質的に均一に)分布するように、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コア内に配置されている。
【0017】
本出願人らは、疎水性材料でコーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース材料)を使用して、本発明の要素を形成することによって、疎水性材料が要素全体にわたって均一に分布している要素を製造できることを見出した。上述したように、これは、タバコ加熱製品又はHNB製品で使用するための最適レベルの蒸気冷却及びフィルタリングを提供する。
【0018】
紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)は、好ましくは易生分解性である。紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)は、フィルタ又はフィルタ要素において従来使用されている(任意の形態での)任意の紙で構成され得る。紙は、例えば、様々なグレードの濾紙、アパーチャー紙、クレープ紙、エアレイド紙又は機械光沢紙などであってもよい。紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)の繊維は、天然繊維(例えば、亜麻、麻、サイザル麻、黄麻、マニラ麻、綿、ココヤシ繊維、竹繊維、デンプン(例えば、トウモロコシ由来)、又はタバコ)又は任意のロール材料であってもよい。紙は、織布若しくは不織布であってよく、紙の密着ウェブの形態であってもよく、又は、例えばプラグ形態に横方向に集められて保持された、長手方向に波形加工及び/又はフィブリル化された紙のウェブの形態であってもよい。紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)は、第1の紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)と、第2の紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)と、を含む、密着ウェブの形態であってもよい。紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)は、異なる紙材料及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有フィルタリング材料)のブレンドの形態であってもよい。紙フィルタリング材料は、商標名Myria(登録商標)又はPuracel(登録商標)で販売されている紙と同じ又は類似の構造を有してもよい。紙は、疎水性コーティング又は疎水性材料でコーティングされてもよい。
【0019】
好ましくは、紙は、20gsm~200gsmの坪量を有する。例えば、紙は、40gsm~180gsm、例えば60gsm~160gsm、例えば80gsm~140gsm、例えば100gsm~120gsm、例えば20gsm~60gsm、例えば30gsm~40gsmの坪量を有してもよい。
【0020】
疎水性コーティング/材料は、任意の好適な疎水性材料であってもよい。例えば、疎水性コーティング/材料は、ポリマー又はポリマーのブレンドであってもよい。好ましくは、疎水性コーティング/材料は、変性デンプン、例えば酸化デンプン(E1404)などのデンプンである。変性デンプンなどのデンプンは、不活性であり非可塑性疎水性コーティングを提供するので好ましい。疎水性コーティング/材料は、要素の重量(w/w)に対して、0.01%~50%重量(w/w)、例えば0.01%~20%w/w、例えば0.1%~20%w/w、例えば5%~20%w/w、例えば10%~20%w/w、例えば0.1%~10%w/w、例えば0.1%~5%w/w、例えば0.5%~2.5%w/w)の量の疎水性コーティング/材料で存在し得る。
【0021】
本発明による要素は、当技術分野で公知の方法によって製造される。例えば、紙要素は、シート紙をエンボス加工し、次にエンボス加工された紙を当技術分野で一般的に使用される機械設備によって円筒状コアに形成することによって製造されてもよい。
【0022】
本発明によるコート紙は、当技術分野で公知の方法によって製造される。疎水性コーティングは、当該技術分野において公知の標準的なコーティング方法のいずれかによって紙に適用することができる。
【0023】
好ましくは、要素の長さは、5~50mm(例えば、10~30mm、例えば、8~24mm、例えば、15~20mm、例えば、18mm)である。
【0024】
好ましくは、要素の円周は、12~30mm(例えば、15~28mm)、より好ましくは17~25mm(例えば、18~25mm、例えば、20~24mm、例えば、22~24mm、例えば、23mm、例えば、22mm)である。
【0025】
好ましくは、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、均一な軸方向断面(例えば、円形、例えば、環状)である。
【0026】
好ましくは、要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、実質的に円形の断面を有し、これは、要素の形状が実質的に円筒状であることを意味する。しかしながら、本発明の要素は任意の形状であってもよい。例えば、要素は、環状断面若しくは楕円形断面又は正方形断面若しくは長方形断面を有してもよい。
【0027】
要素(例えば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための冷却要素)は、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアの周りに係合された外側ラッパーを更に備えてもよい。外側ラッパーは、紙(例えば、プラグラップ)、好ましくは坪量20~160gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量24~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~150gsmの紙(例えば、プラグラップ)、例えば、坪量70~140gsmの紙(例えば、プラグラップ)であってもよい。
【0028】
長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、1つ又は複数の長手方向に延びるボア(又は穴)を有してもよい。1つ又は複数の長手方向に延びるボア(又は穴)は、長手方向に延びるコアの全長を通して長手方向に延びてもよい(コアの一端又は両端で開いていてもよい)。
【0029】
長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、複数の(例えば、長手方向に延びる)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有してもよい。複数の(例えば、長手方向に延びる)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びるコア(の外面)の全長にわたって延びてもよい。複数の(例えば、長手方向に延びる)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルは、長手方向に延びるコア(の外面)の全長にわたって延びていなくてもよい。
【0030】
長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、1つ又は複数の長手方向に延びるボア(又は穴)を有してもよく、複数の(例えば、長手方向に延びる)(例えば、C字形又はU字形の)溝又はチャネルを含む輪郭形成された外面を有してもよい。
【0031】
本発明によれば、更なる態様において、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品のための要素であって、要素が、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えばチューブ状の)コアを備え、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)を含み、フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む、要素が提供される。好ましくは、要素は、冷却要素である。
【0032】
本発明によれば、更なる態様において、要素を備える、喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)が提供される。要素は、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアを備え、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)を含み、フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む。好ましくは、要素は、冷却要素である。任意に、喫煙物品は、1つ以上の別個の更なるセグメントを備えてもよい。
【0033】
本発明によれば、要素を備える、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品が提供される。要素は、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアを備え、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)を含み、フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む。好ましくは、要素は、冷却要素である。任意に、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品は、1つ以上の別個の更なるセグメントを備えてもよい。
【0034】
本発明によれば、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品における、要素の使用が提供される。要素は、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアを備え、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コアは、フィルタリング材料を含み、フィルタリング材料は、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)を含み、フィルタリング材料は、疎水性材料を更に含む。好ましくは、要素は、冷却要素である。任意に、タバコ加熱製品及び/又はHNB製品は、1つ以上の別個の更なるセグメントを備えてもよい。
【0035】
好ましくは、本発明による喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)用の要素のフィルタリング材料で使用される紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)は、易生分解性であり、酢酸セルロースと比較して向上した生分解性を有する。したがって、本発明は、生分解性が向上した要素を提供し、したがって、より環境に優しく、よりEU規制に適合する。
【0036】
「易生分解性」という語句は、要素が、水に浸漬されたときに迅速に崩壊し、完全に生分解することができることを指す。好ましくは、要素は、当該技術分野において周知であるOECD 301B「Ready Biodegradability」法(修正Sturm試験)に従って測定される、「Ready Biodegradability、易生分解性」レベルの生分解性を有する。「易生分解性」という語句は、本明細書では、「易生分解性」レベルの生分解性を意味するものと理解される。
【0037】
本出願人らは、驚くべきことに、紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)と共にフィルタリング材料中に疎水性材料を含めることによって、要素が、従来のPLA及び酢酸セルロース要素と同等の冷却性能及びフィルタリング性能を提供することができるとともに、上述のように改善された生分解性を提供することもできることを見出した。これは、本出願の実施例において例示される。
【0038】
理論に拘束されるものではないが、フィルタリング材料内の疎水性材料は、要素(例えば、冷却要素)内の水蒸気を要素(例えば、冷却要素)内で凝縮させ、これが、蒸気が要素を通過する際に、蒸気を冷却する有益な効果を提供すると考えられる。
【0039】
好ましくは、疎水性材料は、要素の長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コア全体にわたって分布する。本出願人らは、これが、タバコ加熱製品又はHNB製品で使用するための最適レベルの蒸気冷却及びフィルタリングを提供することを見出した。
【0040】
好ましくは、フィルタリング材料は、疎水性材料がコーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース含有材料)である。好ましくは、コーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非セルロース含有材料)は、疎水性材料が要素の長手方向に延びるコア全体にわたって(例えば、実質的に均一に)分布するように、長手方向に延びる(例えば、円筒状、例えば、チューブ状の)コア内に配置されている。
【0041】
本出願人らは、疎水性材料でコーティングされた紙及び/又は他の生分解性材料(例えば、非酢酸セルロース材料)を使用して、本発明の要素を形成することによって、疎水性材料が要素全体にわたって均一に分布している要素を製造できることを見出した。上述したように、これは、タバコ加熱製品又はHNB製品で使用するための最適レベルの蒸気冷却及びフィルタリングを提供する。
【0042】
好ましくは、本発明によるタバコ加熱製品及び/又はHNB製品は、(例えば、HNBマウスピースの)1つ以上の別個の更なるセグメントを更に備えてもよい。別個の更なるセグメントは、タバコの煙のフィルタリング材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状の)プラグ、タバコ(例えば、任意の形態のタバコ(再構成タバコを含む))の(例えば、円筒状の)ロッド、中空(例えば、アセテート)チューブなどであってもよい。
【0043】
要素は、任意のマルチセグメントフィルタ又は消耗品で使用され得ることが理解されよう。フィルタ構造体は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の別個のセグメントであってもよい。別個の更なるセグメントは、タバコの煙のフィルタリング材料(例えば、酢酸セルローストウ)の(例えば、円筒状の)プラグ、及び/又は中空(例えば、アセテート)チューブフィルタであってもよい。マルチセグメントフィルタは、タバコのロッド(任意の形態のタバコ(再構成を含む)から作製することができる)に取り付けられてもよい。マルチセグメントフィルタは、他のフィルタセグメントを含んでもよく、それには、カプセル含有フィルタ、炭素含有フィルタ、CPSフィルタ、チューブフィルタ、アセテートフィルタ、紙フィルタ、メントール含有フィルタなどが挙げられる。
【0044】
本発明によれば、タバコロッドに取り付けられたマルチセグメントフィルタを備える、喫煙物品(例えば、タバコ加熱製品、HNB製品)が更に提供される。マルチセグメントフィルタは、本発明による冷却要素を備えてもよい。マルチセグメントフィルタは、酢酸セルローストウの長手方向に延びるコアを含む、プラグフィルタを更に備えてもよい。マルチセグメントフィルタは、中空アセテートチューブフィルタを更に備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
次に、添付の図を参照して本発明を更に詳細に説明する。
【
図1】本発明の一実施形態による冷却要素を備える、本発明によるHNB製品の概略図を示している。
【
図2】HNB製品が本発明による冷却要素Aを備える場合に、吸煙が行われるにつれてHNB製品の口端部における温度がどのように変化するかを、基準HNB製品であるAmber HEETSと比較するグラフ表示である。
【0046】
図1は、円筒状のHNB製品100の概略図を示している。HNB製品100は、4つのセグメント、すなわち、再構成されたタバコの円筒状プラグ101と、中空アセテートチューブ102と、本発明の一実施形態による円筒状冷却要素103と、酢酸セルローストウ104の円筒状プラグと、を備える。再構成タバコのプラグ101は、長さ12mmであり、22mmの円周を有し、HNB製品100の一端を形成する。これは、HNBデバイスに挿入される端部である。このような再構成タバコのプラグは、当該技術分野において良く知られている。このプラグは、当該技術分野において良く知られているように、蒸気を生成するために加熱デバイス(HNBデバイス)によって使用時に加熱される。再構成タバコのプラグ101は、長さ8mmの中空アセテートチューブ102の一端に当接しており、この中空アセテートチューブはまた、円周22mmであり、壁厚1.3mmを有する。再構成タバコのプラグ101の反対側にある中空アセテートチューブ102の端部は、本発明の実施形態による長さ18mmの円筒状冷却要素103に当接している。円筒状冷却要素103は、22mmの円周を有する。円筒状冷却要素103は、酸化デンプンR1404でコーティングされた紙で作製されている。紙は、以下の成分を含有する。
【表1】
【0047】
長さ7mm及び円周22mmの酢酸セルローストウ104の円筒状プラグは、冷却要素103が酢酸セルローストウ104の円筒状プラグと中空アセテートチューブ102との間に位置付けられるように、冷却要素103の反対端に当接されている。
【0048】
再構成タバコの円筒状プラグ101、中空アセテートチューブ102、円筒状冷却要素103、及び酢酸セルローストウの円筒状プラグ104は、従来のプラグラップ紙(当該技術分野で知られている)のプラグラップ(図示せず)で更に包まれている。これにより、従来の紙巻きタバコと同様の外観が得られる。
【0049】
使用中、HNB製品100の再構成タバコ101の円筒状プラグは、HNBデバイスに挿入される。HNBデバイスは、HNBデバイスに関する従来の仕方で再構成タバコを加熱する。これは高温蒸気を生成し、それは最初に中空アセテートチューブ102を通して、次に円筒状冷却要素103を通して、次いで最後に酢酸セルローストウの円筒状プラグ104を通して、喫煙者の口(すなわち、口端部)に吸い込まれる。冷却要素103を通して、この高温蒸気を吸い込むことは、ユーザにとって許容可能な温度まで蒸気を冷却させると考えられる。本出願人らは、紙中に酸化デンプンなどの疎水性材料を含めることが、冷却要素が、従来の酢酸セルロース冷却要素と同等の冷却性能及びフィルタリング性能を提供し、同時に、改善された生分解性も提供することを意味することを見出した。
【実施例】
【0050】
図1において、長さ18mm及び円周22mmの円筒状冷却要素103は、酸化デンプンR1404でコーティングされた紙で作製されている。紙冷却要素103は、当該技術分野において公知の方法に従って作製される。これが、本発明による冷却要素Aである。
【0051】
実験
試験のために、本発明による冷却要素Aを備える、
図1によるHNB製品を組み立てた。冷却要素Aを、円周22mm及び壁厚1.3mmの中空アセテートチューブ(
図1の102)と、酢酸セルローストウの円筒状プラグ(
図1の104)と共に使用した。基準HNB製品Amber HEETSは、再構成タバコのプラグと、中空アセテートチューブと、本明細書で「従来の冷却要素」と呼ばれるPLA冷却要素と、
図1に示すものと類似の配置の酢酸セルローストウの円筒状プラグと、を備える。
【0052】
冷却要素Aを備えるHNB製品、及び基準HNB製品であるAmber HEETSを、従来の加熱デバイス(HNBデバイス)において試験した。
【0053】
各HNB製品を加熱デバイスに挿入した。HNB製品の口端部を、HNB製品を喫煙するように構成されている喫煙機械に挿入した。IRカメラを使用して、喫煙中のHNB製品の口端部の温度を分析した。喫煙機械は、30秒毎にHNB製品を吸煙するように構成され、各吸煙は2秒間の長さであった。HNB製品の口端部での温度を、各吸煙について測定した。実験は、標準的な室温及び湿度で行った。各HNB製品、すなわち、本発明による冷却要素Aを備える製品、及びPLA冷却要素を備える基準製品について、実験を繰り返した。
【0054】
図2は、冷却要素Aを備えるHNB製品に関する各吸煙についての口端部での温度を、基準HNB製品であるAmber HEETSと比較して示している。この図は、本発明の紙ベースの冷却要素Aが、易生分解性であるという大きな利点を提供しながら、従来の冷却要素と同等の冷却効果を提供することができることを示す。
【0055】
従来の加熱デバイス(HNBデバイス)における冷却要素Aを備えるHNB製品及び基準HNB製品Amber HEETSの温度変化及びニコチン収量を、当技術分野で周知の方法(ISO 3308:2012 Routine analytical cigarette-smoking machine-Definitions and standard conditions)によって測定した。その結果を表1に示す。
【表2】
【0056】
表1は、本発明による紙冷却要素Aが、従来の冷却要素と同等の冷却性能及びフィルタリング性能を提供するとともに、改善された生分解性も提供することを示す。
【国際調査報告】