(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】SGLT阻害剤の合成に有用な中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/79 20060101AFI20250128BHJP
【FI】
C07D307/79
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542181
(86)(22)【出願日】2023-01-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 KR2023000549
(87)【国際公開番号】W WO2023136617
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0005965
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513074792
【氏名又は名称】デーウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒ・キュン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュン・ユン
(57)【要約】
本発明は、SGLT阻害剤の合成に有用な中間体の製造方法に関する。本発明によれば、SGLT阻害剤である化学式Iの化合物の重要な中間体に該当する化学式9の化合物を高収率および高品質で得ることができる。本発明によるSGLT阻害剤の製造方法は、オゾン発生装置のような特殊設備なくとも生産可能で、経済性も大きく向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記段階を含む化学式9の化合物の製造方法:
化学式5の化合物から化学式6の化合物を得る段階、および
化学式6の化合物と化学式7の化合物とを反応させて化学式8の化合物を得る段階
【化1】
上記式中、
R
2、R
3、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化2】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれる1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれる1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【請求項2】
化学式5の化合物から化学式6の化合物を得る段階は、有機マグネシウム試薬およびジメチルホルムアミド(dimethylformamide,DMF)を反応試薬として利用して化学式5の化合物のX置換基を選択的にアルデヒド基に変換させる反応を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
有機マグネシウム試薬は、化学式5の化合物1当量に対して1~2当量の量で使用され、ジメチルホルムアミドは、化学式5の化合物1当量に対して3~6当量の量で使用される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応は、反応溶媒としてテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)、ジエチルエーテル(diethyl ether)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Methyl tetrahydrofuran)およびこれらの混合物を使用し、反応溶媒は、化学式5の化合物の5~15倍(w/v)の量で使用して行われる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応は、-10℃~50℃で行われる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階は、化学式7の化合物のハロゲン位置をリチウム化させた後、化学式6の化合物とカップリングさせることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記リチウム化は、化学式7の化合物1当量に対して1~1.3当量の量の有機リチウム試薬を使用して行われる、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記リチウム化反応前にブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドを溶媒中の化学式7の化合物に加えることを含む、請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドは、化学式7の化合物1当量に対して0.2~1当量の量で使用される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階は、化学式7の化合物の化合物から化学式7’の化合物を得、化学式7’の化合物を化学式6の化合物とカップリングさせることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【化3】
【請求項11】
前記化学式5の化合物は、化学式4の化合物のアミンをサンドマイヤー反応によってハロゲン化させて得たものである、請求項1に記載の製造方法。
【化4】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【請求項12】
前記サンドマイヤー反応は、化学式4の化合物をNaNO
2と反応させて化学式4の化合物のジアゾニウム塩を形成し、これを遷移金属塩と反応させて化学式5の化合物を得ることを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
NaNO
2は、化学式4の化合物に対して1~2当量の量で使用され、化学式4の化合物のジアゾニウム塩と遷移金属塩との反応は、30℃~80℃で行われる、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
下記段階を含む化学式9の化合物の製造方法:
化学式10の化合物から化学式11の化合物を得る段階;
化学式11の化合物と化学式12の化合物とを反応させて化学式13の化合物を得る段階;および
化学式13の化合物から化学式9の化合物を得る段階。
【化5】
上記式中、
X、Y、およびR
4は、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化6】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【請求項15】
前記化学式10の化合物は、化学式5の化合物をカルボキシ化させて得たものである、請求項14に記載の製造方法。
【化7】
上記式中、
R
2、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【請求項16】
前記化学式10の化合物は、化学式6の化合物のアルデヒド基をカルボキシ基に変換させて得たものである、請求項14に記載の化学式9の化合物の製造方法。
【化8】
上記式中、
R
2およびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【請求項17】
前記化学式10の化合物は、化学式14の化合物をカルボキシル化させて得たものである、請求項14に記載の化学式9の化合物の製造方法。
【化9】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
R
5は、C
1-4アルキルである。
【請求項18】
前記化学式6の化合物は、化学式5の化合物のX置換基を選択的にアルデヒド基に変換させて得たものである、請求項16に記載の製造方法。
【化10】
上記式中、
R
2、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【請求項19】
前記化学式6の化合物は、
化学式14の化合物から化学式15の化合物を得、
化学式15の化合物から化学式6の化合物を得る段階を経て得たものである、請求項16に記載の製造方法。
【化11】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
R
5は、C
1-4アルキルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SGLT阻害剤の合成に有用な中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム依存性グルコース共輸送体(SGLT)は、濃度勾配に逆らうグルコースの輸送と同時に、濃度勾配に従うNa+の輸送が起こるようにする。現在2つの重要なSGLT亜型(isoform)がクローニングされ、SGLT1およびSGLT2として知られている。SGLT1は、腸、腎臓および心臓に位置し、発現を通じて心臓グルコース輸送を調節する。SGLT1は、高親和性の低容量輸送体であるため、腎臓でのグルコース再吸収の一部分のみを担当する。これとは対照的に、SGLT2は、初期近位曲尿細管内の上皮細胞のアピカ(apica)ドメインに主に位置する低親和性の高容量輸送体である。健康な個体の場合、腎臓糸球体でろ過される血漿グルコースの99%以上が再吸収され、総ろ過されたグルコースの1%未満が尿中に排出される。腎臓でのグルコース再吸収の90%がSGLT2によって促進され、残りの10%が後期近位直細管内のSGLT1によって媒介されると推定される。SGLT2の遺伝的突然変異は、炭水化物代謝に特別な悪影響を及ぼさないが、突然変異によって140g/日程度の増加した腎臓でのグルコース分泌を誘発する。ヒト突然変異の研究によれば、SGLT2がほとんどの腎臓でのグルコース再吸収を担当すると推定されるので、治療研究の対象となってきた。
【0003】
US公開特許公報第2015/0152075号(特許文献1)は、SGLT2に対する抑制活性を有するジフェニルメタン残基を有する化合物およびその製造方法を開示している。前記文献は、前記ジフェニルメタン誘導体化合物がヒトSGLT2活性に対する抑制効果に優れ、SGLT2阻害剤としてよく知られたダパグリフロジンより動物で尿糖排出を顕著に減少させて糖尿病の治療に効果的であることを開示している。また、US公開特許公報第2014/0274918号は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体1(SGLT1)およびナトリウム依存性グルコース共輸送体2(SGLT2)に対する二重阻害剤(dual inhibitor)として効果的なジフェニルメタン誘導体を開示している。
【0004】
US公開特許公報第2015/0152075号(特許文献1)の実施例172などは、下記反応式1のような方式でSGLT阻害剤として有用なジフェニルメタン化合物c28を製造する方法を開示している。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
しかしながら、前記従来の化合物c28の製造方法によれば、グルコース(glucose)グループとのカップリング後にアグリコン(aglycon)グループで5角環を形成するなどの線形合成(linear synthesis)方式を採用している。このような線形合成の場合、経路が複雑で最終収率が低いだけでなく、グルコースグループの置換基またはジヒドロベンゾフランと結合するシクロプロピルベンジル基の合成が途中で誤っていたり、他のものに変更したい場合、合成を最初から再び進めなければならない煩わしさがある。また、化合物c28のシクロプロピル基を合成する過程も、合成経路の最後にシモンズ・スミス反応を通じてオレフィンを環化することによって行うので、試薬(ジエチル亜鉛、溶媒)などの状態(純度、無水など)と反応濃度によって収率が大きく変わる問題点がある。
【0009】
なお、韓国公開特許公報第2017-0142904号(特許文献2)は、SGLT2に対する抑制活性を有するジフェニルメタン誘導体の製造方法を開示している。前記文献は、下記反応式2aおよび2bのように、主なグループ別に個別的に合成した後、カップリングさせる収束合成(convergent synthesis)方式でジフェニルメタン誘導体を製造するので、従来文献に開示された線形合成(linear synthesis)方式に比べて合成経路が簡潔であり、収率を高めることができ、線形合成経路が内在している危険要素を減らすことができるという点を開示している。
【0010】
【0011】
【0012】
しかしながら、SGLT阻害剤として有用なジフェニルメタン化合物c28を製造するための重要な中間体であるc40を合成するまでの段階(反応式2a)が14段階と非常に長く、c1を出発物質として進行するとき、オゾン発生装置のような特殊設備を必要とするので、総収率および経済性の観点から困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US公開特許公報第2015/0152075号
【特許文献2】韓国公開特許公報第2017-0142904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、SGLT阻害剤の合成に有用な中間体である化学式9の化合物の新規製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、下記化学式Iの化合物の重要な中間体である化学式9の化合物を合成するに際して、より商業化されている出発物質を活用して、反応段階が短く、総収率が高い合成法を開発して、本発明を完成した。
【0016】
最終目的化合物であり、かつSGLT阻害剤に用いられる活性成分である化学式Iの化合物は、次の通りである。
【化6】
【0017】
上記式中、
nは、1または2であり、
Xは、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)であり、
Bは、
【化7】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【0018】
本発明の具体例において、前記環B-1は、下記から成る群から選ばれ得る:
【化8】
【0019】
上記式中、R7は、水素またはC1-7アルキルであり;R8aおよびR8bは、それぞれ独立して、C1-7アルキルであるか、互いに連結されて5-10員のヘテロシクロアルキル(N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有)を形成する。
【0020】
他の具体例において、前記環B-2は、下記から成る群から選ばれ得る:
【化9】
【0021】
前記化学式Iの化合物の好ましい一例によれば、前記nが1であり;前記Xがハロゲンであり;前記Bがハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、C3-10シクロアルキル、およびC1-7アルコキシから成る群から選ばれた1つまたは2つの置換基で置換あるいは非置換のフェニルでありうる。
【0022】
また、前記化学式Iの化合物は、ジフェニルメタン誘導体とヘテロシクロアルキル環の結合部位がα-形態、β-形態、またはこれらのラセミ形態の化合物でありうる。
【0023】
例えば、前記化学式Iの化合物は、下記化学式Iaの化合物でありうる。
【化10】
上記式中、B、nおよびXは、上記で定義した通りである。
【0024】
本発明は、前記化学式Iのジフェニルメタン誘導体の製造のために用いられる中間体である化学式9の化合物の製造方法を提供する。
【化11】
【0025】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化12】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【0026】
本発明は、下記段階を含む化学式9の化合物の製造方法を提供する:
化学式5の化合物から化学式6の化合物を得る段階、および
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階。
【化13】
【0027】
上記式中、
R
2、R
3、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化14】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【0028】
韓国公開特許公報第2017-0142904号(特許文献2)において化学式9の化合物を製造する過程は、総14段階からなっている(前記反応式2a)。また、c1を出発物質として進行するとき、オゾン発生装置のような特殊設備が必要であるという問題があった。オゾン反応設備がない場合、OsO4/NaIO4を用いて反応を進めることができるが、OsO4/NaIO4を使用する場合、スケールアップになるほど、不純物が多く形成され、生産適用が不可能な問題があった。
【0029】
このような従来技術の問題点を解決するために、本発明の一具体例は、化学式9の化合物を得るための出発物質として商業的に入手可能な2,3-ジヒドロベンゾフラン(下記化学式1の化合物)、2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボン酸(下記化学式2の化合物)、または2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(下記化学式3の化合物)(塩形態を含む)を使用することができる。
【0030】
本発明の一具体例では、2,3-ジヒドロベンゾフラン(下記化学式1の化合物)を出発物質として選択的臭素化およびホルミル化過程を通じて総7段階の効率的な工程で化学式9の化合物を韓国公開特許公報第2017-0142904号(特許文献2)による既存方法の総収率26%に比べて39%の高収率で合成することができただけでなく、合成段階数も総7段階に縮小させて生産効率を最大化することができる。それだけでなく、オゾン発生装置のような特殊設備の不必要によって一般的な設備においても生産可能になり、高収率で生産することができることにより、経済性も大きく向上させることができる。
【0031】
一具体例において、本発明による化学式9の化合物の製造方法は、下記段階1~7を含んで製造することができ、出発物質は、化学式1の化合物、化学式2の化合物、化学式3の化合物、または化学式4の化合物を選択することができるので、必要に応じて段階1~4のうち1つ以上は、必要とされないことがある:
化学式1の化合物から化学式2の化合物を得る段階(段階1)、
化学式2の化合物から化学式3の化合物を得る段階(段階2)、
化学式3の化合物から化学式4の化合物を得る段階(段階3)、
化学式4の化合物から化学式5の化合物を得る段階(段階4)、
化学式5の化合物から化学式6の化合物を得る段階(段階5)、
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階(段階6)、
化学式8から化学式9を得る段階(段階7)。
【0032】
【0033】
【0034】
上記式中、
R
1は、NH
2であり、
R
2、R
3、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化17】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【0035】
化学式1の化合物から化学式2の化合物を得る段階(段階1)は、溶媒中の化学式1の化合物をリチウム化させた後、二酸化炭素ガスを使用してカルボキシ化させて化学式2の化合物を得ることを含んでもよい。
【0036】
前記リチウム化は、公知の有機リチウム試薬(organolithium reagent)により行われ得、有機リチウム試薬は、炭素-リチウム結合を含む有機金属化合物である。本発明の一具体例において、リチウム化のために使用できる有機リチウム試薬は、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、イソプロピルリチウム、tert-ブチルリチウム、フェニルリチウムなどを含む。例えば、有機リチウム試薬は、n-ブチルリチウムでありうる。
【0037】
前記リチウム化は、化学式1の化合物1当量に対して1~2当量、例えば、1.5~2当量の有機リチウム試薬によって行われ得る。例えば、有機リチウム試薬として1.6当量以上のn-ブチルリチウムを使用することができる。これに制限されるものではないが、化学式1の化合物のリチウム化は、有機リチウム試薬にさらにテトラメチルエチレンジアミン(Tetramethylethylenediamine,TMEDA)を使用することによって、反応性を増加させることができる。化学式1の化合物から化学式2の化合物を得る段階(段階1)で使用される溶媒は、これに制限されるものではないが、アセトン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルプロピレンウレア、ジメチルスルホキシド、エチルアセテート、ヘキサメチルホスホアミド、テトラヒドロフラン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エーテルおよびジエチルエーテルから成る群から選ばれる1つ以上のものでありうる。
【0038】
化学式1の化合物のリチウム化後には、二酸化炭素を用いてカルボキシ基を導入する。この際、水分流入を防止するためにCO2ガスを使用することによって収率を最大化することができる。二酸化炭素ガスを使用したカルボキシ化は、-60℃~0℃、例えば、-60℃~-15℃で行われ得る。好ましくは、-60℃~-15℃で行って発熱を抑制することによって、収率を最大化することができた。
【0039】
化学式2の化合物から化学式3の化合物を得る段階(段階2)は、
前記化学式2の化合物のカルボキシ基をアシルアジド基に変換して下記化学式2aの化合物を得、
化学式2aの化合物から化学式2bの化合物を得、
化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得ることを含んでもよい。
【0040】
【0041】
上記式中、Aは、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシを示す。
【0042】
段階2は、化学式2の化合物のカルボキシ基をアシルアジド基に変換して下記化学式2aの化合物を得、化学式2aの化合物から化学式2bの化合物を得る段階2-1、および、化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得る段階2-2の段階を含んでもよい。
【0043】
化学式2aの化合物から化学式2bの化合物の合成および化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得る段階(段階2-1)で使用される溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、およびメトキシエタノールから成る群から選ばれ得る。上記の溶媒は、全部適用可能であるが、好ましくは、n-プロパノールを使用することが、化学式2b化合物の製造のための反応温度および後続する溶媒の濃縮除去の容易性を考慮するとき、有利になることがある。前記溶媒は、出発物質に対して4~9倍(w/v)を使用することができる。
【0044】
化学式2aの化合物から化学式2bの化合物を得、化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得る段階は、これに制限されるものではないが、70℃~115℃で行われ得る。好ましい反応温度は、溶媒の選択によって、溶媒の還流可能温度に設定することができる。本発明の一具体例において、化学式2aの化合物から化学式2bの化合物を得、化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得る段階は、n-プロパノール中で行われ、反応温度は、90℃~100℃で行われ得る。
【0045】
n-プロパノールを使用して化学式2bの化合物を合成し、さらに化学式2bの化合物から化学式3の化合物を合成する過程を例示的に表現すれば、次の反応式に示された通りである。
【化19】
TEA(Triethylamine):トリエチルアミン
DPPA(Diphenylphosphoryl azide):ジフェニルホスホリルアジド
【0046】
クルチウス転位(Curtious rearrangement)でTEAとDPPAを通じて化学式2の化合物から化学式2aのアジド化合物が製造される。化学式2aのアジド化合物にn-プロパノールをイン・サイチュー(In-situ)で投入し、加温を行うと、イソシアネート化合物(化学式2a’)を経て化学式2bの化合物が製造される。この際、アジドおよびイソシアネート中間体は、不安定であり、イン・サイチューで反応を進行させる。
【0047】
化学式2bの化合物から化学式3の化合物を得る段階2-2では、化学式2bの化合物をNaOHで加水分解して化学式3の化合物を得る。この際、好ましくは、共に生成された不純物を効果的に除去するために臭化水素酸/酢酸を用いてpH1~2でHBr塩を形成させることによって、高純度の化学式3の化合物を得ることができる。
【0048】
化学式3の化合物から化学式4の化合物を得る段階(段階3)は、溶媒中の化学式3の化合物をN-ハロスクシンイミド(N-halo succinimide)と反応させて化学式4の化合物を得ることを含んでもよい。
【0049】
段階3は、オルト、パラ位置に選択的に2個のハロゲンを導入する反応であり、ハロゲンの供給源であるN-ハロスクシンイミドの当量、反応温度および反応溶媒が重要である。本発明の実施例において、ハロゲンとしては、ブロムが使用されたが、この際、化学式3の化合物上にモノブロミン(monobromine)を形成させた後、ジブロミン(dibromine)に該当する化学式4の化合物の生成を最大化しつつ、トリブロミン(tribromine)の生成を最小化することが重要である。
【0050】
反応溶媒は、化学式3の化合物をよく溶解し、均質な状態で反応を進行できる溶媒が好ましい。このような反応溶媒としては、これに制限されるものではないが、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-Dimethylformamide)、DMAc(N,N-Dimethyl acetamide)およびNMP(N-Methylpyrrolidone)から成る群から選ばれる1つ以上の溶媒でありうる。前記溶媒は、化学式3の化合物に対して10~40倍(w/v)使用することができる。
【0051】
これに制限されるものではないが、本発明の一具体例において、前記溶媒は、エタノールであり、化学式3の化合物に対して30~40倍の量を使用することができる。
【0052】
N-ハロスクシンイミドは、化学式3の化合物に対して2当量~2.3当量使用することができ、好ましくは、不純物生成を最小化するために2.05当量~2.15当量使用した方が良い。
【0053】
化学式3の化合物から化学式4の化合物を得る段階(段階3)の反応温度は、-10℃~30℃であってもよく、不純物の生成を最小化するために-10℃~5℃で行うことが好ましい。なお、前記化学式4の化合物から化学式5の化合物を得る段階(段階4)は、サンドマイヤー反応(Sandmeyer reaction)を通じて化学式4の化合物のアミンをハロゲン化させることを含んでもよい。前記サンドマイヤー反応は、これに制限されるものではないが、化学式4の化合物をNaNO2と反応させて化学式4の化合物のジアゾニウム塩(diazonium salts)を形成し、これを遷移金属塩と反応させて化学式5の化合物を得ることを含んでもよい。遷移金属塩は、これに制限されるものではないが、銅、鉄、コバルトを含む遷移金属の塩を意味する。例えば、CuCl、CuBrを含む銅塩でありうる。
【0054】
これに制限されるものではないが、前記NaNO2は、化学式4の化合物に対して1~2当量使用することができる。
【0055】
なお、化学式4の化合物のジアゾニウム塩と遷移金属塩の反応は、30℃~80℃、例えば、40℃~70℃、50℃~60℃で実行可能である。ハロゲン化されない不純物を最小化するためには、50℃~60℃で反応させることが好ましい。
【0056】
不純物の精製のために溶媒で洗浄することができ、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコールなどを使用することができる。段階4は、好ましくは、イソプロピルアルコールで精製する過程をさらに含んでもよい。
【0057】
化学式5の化合物から化学式6の化合物を得る段階(段階5)は、有機マグネシウム試薬およびジメチルホルムアミド(dimethylformamide,DMF)を反応試薬として用いて化学式5の化合物のX置換基を選択的にアルデヒド基に変換させることを含んでもよい。ここで、有機マグネシウム試薬は、RMgX(R=アルキルまたはアリル、X=ハロゲン)で表現される化合物である。
【0058】
本発明の一実施例において、有機マグネシウム試薬の一例であるイソプロピルマグネシウムクロリド(Isopropylmagnesium chloride)は、化学式5の化合物のオルト位置のXをMgXに変換させてグリニャール試薬(Grignard)になり、これは、DMFと反応してアルデヒド基に変換される。
【0059】
これに制限されるものではないが、有機マグネシウム試薬は、化学式5の化合物1当量に対して1~2当量、好ましくは、1~1.7当量使用することができる。DMFは、化学式5の化合物1当量に対して3~6当量、好ましくは、4~5当量使用することができる。
【0060】
段階5は、反応溶媒としてテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)、ジエチルエーテル(diethyl ether)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-Methyl tetrahydrofuran)などを使用することができる。これに制限されるものではないが、反応溶媒は、化学式5の化合物の5~15倍(w/v)、好ましくは、8~12倍(w/v)使用することができる。
【0061】
段階5の反応は、-10℃~50℃、例えば、0℃~50℃、10℃~50℃、20℃~50℃、30℃~50℃で行われ得る。類縁物質および反応中間体の生成を最小化させるために、好ましくは、30℃~50℃で行われ得る。ただし、DMF投入時に発熱による温度上昇があるので、反応開始温度は、これより低い25℃~30℃であることが良い。
【0062】
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階(段階6)は、化学式7の化合物のハロゲン位置をリチウム化させた後、化学式6の化合物とカップリングさせることを含んでもよい。リチウム化は、前述したような有機リチウム試薬によって行われ得る。これに制限されるものではないが、前記リチウム化は、化学式7の化合物1当量に対して1~1.3当量の有機リチウム試薬によって行われ得る。例えば、n-BuLiを使用することができる。有機リチウム試薬が化学式7の化合物に比べて多すぎる場合には、化学式6の化合物に存在するハロゲンと反応し得るので、適正当量を使用した方が良い。また、生成されるリチウム塩をより安定に維持するためには、前記リチウム化反応前にブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドを溶媒中の化学式7の化合物に加えることが好ましい。有機リチウム試薬のみを使用する場合には、最終生成される化学式9の化合物に残留する不純物2種が有機リチウム試薬の使用当量によって1~9%まで生成されたのに対し、リチウム塩と複合体を成してリチウム塩をより安定化させることができるブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドを使用する場合、ブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドの使用当量によって0~1%レベルに不純物を低減することができることを確認した。ブチルマグネシウムクロリドまたはtert-ブチルマグネシウムクロリドは、化学式7の化合物1当量に対して0.2~1当量、例えば、0.5~1当量、0.5~0.7当量使用することができる。
【0063】
化学式6の化合物と化学式7の化合物を反応させて化学式8の化合物を得る段階は、化学式7の化合物の化合物から化学式7’の化合物を得、化学式7’の化合物を化学式6の化合物とカップリングさせることを含んでもよい。
【化20】
【0064】
化学式8の化合物から化学式9の化合物を得る段階(段階7)は、公知の方法で実行可能である。これに制限されるものではないが、韓国公開特許公報第2017-0142904号(特許文献2)に開示された内容により化学式8の化合物を還元させて化学式9の化合物を得ることができる。
【0065】
前記方法によれば、SGLT阻害剤である化学式Iの化合物の重要な中間体に該当する化学式9の化合物を商業的により容易に確保することができる化学式1の化合物を出発物質として総7段階の短い反応段階を経て高収率および高品質で化学式9の化合物および最終目的化合物である化学式Iの化合物を得ることができる。また、前記SGLT阻害剤の製造方法は、オゾン発生装置のような特殊設備なくとも生産可能で、経済性に優れている。
【0066】
本発明の他の具体例において、化学式9の化合物は、化学式10の化合物から化学式11の化合物を得る段階;化学式11の化合物と化学式12の化合物を反応させて化学式13の化合物を得る段階;および化学式13の化合物から化学式9の化合物を得る段階を含む方法によって製造されることもできる。
【0067】
本発明は、下記段階を含む化学式9の化合物の製造方法を提供する:
化学式10の化合物から化学式11の化合物を得る段階;
化学式11の化合物と化学式12の化合物を反応させて化学式13の化合物を得る段階;および
化学式13の化合物から化学式9の化合物を得る段階。
【0068】
【0069】
上記式中、
X、Y、およびR
4は、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
Bは、
【化22】
であり、
この際、Ra、Rb、Rc、およびRdは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、オキソ、C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C1-7アルコキシ、C1-7アルコキシ-C1-7アルキル、C2-7アルケニル-C1-7アルキルオキシ、C2-7アルキニル-C1-7アルキルオキシ、C3-10シクロアルキル、C3-7シクロアルキルチオ、C5-10シクロアルケニル、C3-10シクロアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ-C1-7アルコキシ、フェニル-C1-7アルキル、C1-7アルキルチオ-フェニル、フェニル-C1-7アルコキシ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ、モノ-またはジ-C1-7アルキルアミノ-C1-7アルキル、C1-7アルカノイル、C1-7アルカノイルアミノ、C1-7アルキルカルボニル、C1-7アルコキシカルボニル、カルバモイル、モノ-またはジ-C1-7アルキルカルバモイル、C1-7アルキルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、C1-7アルキルスルフィニル、C6-14アリールスルファニル、C6-14アリールスルホニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、5-10員のヘテロシクロアルキル、5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルキル、または5-10員のヘテロシクロアルキル-C1-7アルコキシであり;
環Cは、C3-10シクロアルキル、C5-10シクロアルケニル、C6-14アリール、5-13員のヘテロアリール、または5-10員のヘテロシクロアルキルであり;
前記アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-7アルキル、およびC2-7アルキニルから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、メルカプト、C1-4アルキル、およびC1-4アルコキシから成る群から選ばれた1つ以上の置換基を有し;
前記ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルは、それぞれ独立して、N、SおよびOから成る群から選ばれる1種以上のヘテロ原子を含有する。
【0070】
化学式10の化合物から化学式11の化合物を得る段階は、化学式10の化合物のカルボキシ基をハロゲン化させる過程である。溶媒中に化学式10の化合物を溶解させ、触媒の存在または不在下にハロゲン化試薬と反応させる。溶媒としては、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどを使用することができる。ハロゲン化試薬としては、これに制限されるものではないが、オキサリルハライド、チオニルハライドなどを使用することができる。ハロゲン化試薬としてオキサリルハライドを使用する場合、触媒としてジメチルホルムアミドを使用することができ、これに制限されるものではないが、化学式10の化合物に対して0.1wt%~1wt%使用されることができる。
【0071】
化学式11の化合物と化学式12の化合物を反応させて化学式13の化合物を得る段階は、副反応を最小化するために-35℃~-10℃の反応温度で実行可能である。好ましくは、-20℃~-10℃の反応温度で実行可能である。これに制限されるものではないが、化学式11の化合物に対して1~3当量、好ましくは、2~3当量、より好ましくは、2~2.6当量の化学式12の化合物を使用することができる。化学式11の化合物と化学式12の化合物の反応のためにAlCl3、FeCl3、BiCl3、ZnCl2、Fe2O3などのルイス酸、好ましくは、AlCl3を使用することができる。これに制限されるものではないが、ルイス酸は、化学式11の化合物に対して0.9~1.5当量、好ましくは、1.0~1.2当量使用可能である。
【0072】
化学式13の化合物を還元させて化学式9の化合物を製造することができる。
【0073】
化学式12の化合物は、化学式7の化合物に比べて価格が安く、品質制御が容易なので、化学式7の化合物を使用する場合に比べて有利な点がある。
【0074】
なお、化学式10の化合物は、1)化学式5の化合物、2)化学式6の化合物または3)化学式14の化合物から製造することができる。
【0075】
一具体例において、前記化学式10の化合物は、化学式5の化合物をカルボキシ化させて得たものでありうる。
【化23】
上記式中、
R
2、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【0076】
他の具体例において、前記化学式10の化合物は、化学式6の化合物のアルデヒド基をカルボキシ基に変換させて得たものでありうる。
【化24】
上記式中、
R
2およびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【0077】
さらに他の具体例において、前記化学式10の化合物は、化学式14の化合物をカルボキシル化させて得たものでありうる。
【化25】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
R
5は、C
1-4アルキルである。
【0078】
なお、前記化学式6の化合物は、化学式5の化合物からあるいは化学式14の化合物から合成可能である。
【0079】
本発明の一具体例において、前記化学式6の化合物は、化学式5の化合物のX置換基を選択的にアルデヒド基に変換させて得たものでありうる。この過程は、前述した通りである。
【化26】
上記式中、
R
2、XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンである。
【0080】
他の具体例において、
前記化学式6の化合物は、
化学式14の化合物から化学式15の化合物を得、
化学式15の化合物から化学式6の化合物を得る段階を経て得たものでありうる。
【化27】
上記式中、
XおよびYは、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
R
5は、C
1-4アルキルである。
【0081】
1)化学式5の化合物、2)化学式6の化合物または3)化学式14の化合物から化学式10の化合物を製造し、これからさらに化学式9の化合物を製造する方法は、化学式12の化合物を使用する。化学式12の化合物は、従来反応式で使用された化学式7の化合物に比べて価格が安く、また、化学式12の化合物を使用する場合、化学式7の製造時に発生する不純物による問題点を解決することができ、高品質の化学式9の化合物および最終目的物質を得ることができる。
【発明の効果】
【0082】
本発明によれば、SGLT阻害剤である化学式Iの化合物の重要な中間体に該当する化学式9の化合物を高収率および高品質で得ることができる。本発明によるSGLT阻害剤の製造方法は、オゾン発生装置のような特殊設備なくとも生産可能で、経済性も大きく向上する。
【発明を実施するための形態】
【0083】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
[略語]
以下の実施例に記載された略語の意味は、下記のとおりである。
-Ac2O(Acetic anhydride):無水酢酸
-BF3OEt2(Boron trifluoride etherate):三フッ化ホウ素エーテル
-n-BuLi(n-Buthyl lithium):n-ブチルリチウム
-DIPEA(Diisopropylethylamine):N,N-ジイソプロピルエチルアミン
-DMAP(4-Dimethylaminopyridine):4-ジメチルアミノピリジン
-DMF(N,N-Dimethylformamide):N,N-ジメチルホルムアミド
-DCM(Dichloromethane):ジクロロメタン
-DPPA(Diphenylphosphorylazide):ジフェニルホスホリルアジド
-EA(Ethyl acetate):エチルアセテート
-EtOH(Ethanol):エタノール
-Hex(Hexane):ヘキサン
-MeOH(Methanol):メタノール
-NBS(N-Bromosuccinimide):N-ブロモスクシンイミド
-OXalylchloride:オキサリルクロリド
-THF:テトラヒドロフラン
-Toluene:トルエン
-HCl(Hydrochloride):ヒドロクロリド
-HBr(Hydrobromide):ヒドロブロミド
-TMEDA(Tetramethylethylenediamine):テトラメチルエチレンジアミン
【0085】
下記実施例1および実施例2では、化学式9の化合物の好ましい例であるc40化合物の合成過程を、実施例3では、c40化合物から化学式Iの化合物の好ましい例であるc28化合物の合成過程を例示する。また、実施例4は、c51を中心とするc40の合成過程を例示する。
【0086】
下記反応式3は、実施例1および2で例示したc40化合物の合成過程を概略的に図式化したものである。
【化28】
【実施例】
【0087】
実施例1:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(化合物40)の合成
【0088】
段階1:2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボン酸(化合物46)
【化29】
【0089】
反応器にn-ヘプタン(12L)を投入し、2,3-ジヒドロベンゾフラン(c45:1.2kg、1.0eq)とTMEDA(1.74kg、1.5eq)を投入し、5℃~15℃に冷却した。冷却した混合物にn-BuLi(6.4L、1.6eq)を5℃~15℃に維持しながら滴加投入した。反応混合物を30分間撹拌した後、-40℃~-55℃に冷却した。冷却した反応混合液中にCO2(ガス)を投入した。この際、温度は、-10℃に上昇し、これ以上温度が上がらないまで投入した。反応が完結したことをHPLCを通じて確認した後、水(136L)を投入して反応を終了し、MTBE(12L)を加えて30分間撹拌後、静置した。分離した水層を他の反応器に移し、c-HClを滴加してpH1~2に合わせて結晶を析出させた。結晶化された混合液を5℃~15℃に合わせて2時間撹拌した。結晶化液をさらに0℃~5℃に下げ、ろ過した後、水(4.8L)で洗浄した。ろ過物を60℃~70℃で48時間乾燥して、黄色の表題化合物を収得した(1.29kg、79%)。
1H NMR(500MHz、CDCl3)δ9.52(s、1H)、7.84(d、J=7.9Hz、1H)、7.38(t、1H)、6.95(m、1H)、4.76(m、2H)、3.29(t、J=8.5Hz、2H);[M+H]+165
【0090】
段階2:2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンヒドロブロミド(化合物48)
【化30】
【0091】
化合物c47合成およびアミンへの加水分解に使用された溶媒としては、n-プロパノール/2-メトキシエタノール/n-ブタノール/エタノールを適用可能であった。
【表1】
【化31】
【0092】
ただし、化学式2b化合物の製造のための反応温度および後続する溶媒の濃縮除去の容易性を考慮してn-プロパノールを溶媒として選択した。
【0093】
イソシアネートの反応物であり、溶媒に使用されたn-プロパノールは、ウレア不純物生成を最小化することができるように化合物c2に対して4~8倍使用し、好ましくは、6倍使用し、反応温度は、70℃~115℃で可能であったが、好ましくは、n-プロパノールの還流可能温度である90℃~97℃であった。
【0094】
上記の結果による好ましい合成例は、次の通りである。
反応器にトルエン(12.5L)、2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボン酸(c46:2.5kg、1.0eq)およびトリエチルアミン(1.7kg、1.1eq)を投入し、0℃~5℃に冷却した。混合物にDPPA(4.9kg、1.2eq)を投入して30分間撹拌した後、25℃~35℃に加温して撹拌した。C46が2%以下残るまで反応した。他の反応器に1-プロパノール(15L)を投入し、95℃~100℃に加温した。加温した1-プロパノール溶液に反応液を投入し、90℃~95℃で30分間撹拌した。反応中間体が1%以下になったことを確認した後、反応溶媒を濃縮除去した。濃縮された反応液に6N NaOH(325L)を加えて90℃~100℃で3~5時間撹拌した。c47が1%以下に残ると、減圧濃縮して有機溶媒を除去し、20℃~30℃に冷却した後、トルエン(5L)で4回抽出した。抽出されたトルエン層を合わせた後、完全濃縮し、10℃~20℃に冷却後、トルエン(17L)を加えて溶解した。溶解液に臭化水素酸/酢酸溶液を加えてpH1~2に合わせて結晶化を進め、10℃~20℃に冷却して1時間撹拌した。生成された結晶をろ過した後、トルエン(3.2L)で洗浄した。得られた結晶は、60℃~70℃で18時間乾燥して、黄色の表題化合物を収得することができた(2.5kg、77%)。
1H NMR(500MHz、DMSO d6+D2O)δ7.48-6.56(m、3H)、4.62(m、J=9.2Hz、2H)、3.21(t、J=8.5Hz、2H);[M+H]+136
【0095】
段階3:4,6-ジブロモ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミン(c49)
【化32】
【0096】
段階3は、オルト、パラ位置に選択的に2個のブロムを導入する反応であり、ブロムのソースであるNBSの当量と反応温度および反応溶媒が重要であった。モノブロミンの形成後、表題物質であるジブロミンの生成を最大化しつつ、トリブロミンの生成を最小化することが重要であった。これらのうち反応溶媒としてc48をよく溶解して均質な状態で反応を進行できる溶媒から選定し、使用された溶媒は、EtOH、DMF、DMAc、NMPを使用することができた。この溶媒は、トリブロミド生成を最小化させることができ、最高収率、最小トリブロミド生成および不純物の精製も考慮してEtOHを選択し、使用量は、c48を完全に溶解することができるように30倍を使用した。
【0097】
【0098】
*前記表2で、エトキシ化不純物およびモノブロミド不純物は、次の段階の精製過程で除去される。
【0099】
上記の結果による好ましい合成例は、次の通りである。
反応器にエタノール(36L)と2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-アミンヒドロブロミド(c48:1.2kg、1.0eq)を投入し、完全溶解されるまで20℃~30℃で溶解する。混合液を-10℃に冷却した後、NBS(2.1kg、2.1eq)を分割投入した。反応温度を0℃~5℃に高め、30分間撹拌した。モノブロミンが5%以内に残ったことが確認されると、水(12L)にK2CO3(1.2kg、1.0wt/wt)とNa2S2O3(1.2kg、1.0wt/wt)を加えて溶解した水溶液に反応液を投入して反応を終了した。反応器は、エタノール(1L)で洗浄して水溶液に投入した。30分間撹拌した後、エタノールを真空濃縮を通じて除去し、15℃~25℃に温度を下げた後、結晶をろ過した。水(6L)で洗浄後、50℃~60℃で16時間真空乾燥して、表題化合物を得ることができた(1.5kg、92%)。
1H NMR(61MHz、CDCl3)δ7.07(s、1H)、4.65(t、J=8.5Hz、2H)、3.91(s、2H)、3.17(t、J=8.5Hz、2H)、;[M+H]+294
【0100】
段階4:4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c50)
【化33】
【0101】
反応器にHCl(15L)を投入し、温度を0℃~5℃に下げた後、4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c49:3.0kg、1eq)を投入して10分間撹拌した。次に、亜硝酸ナトリウム(1.1kg、1.5eq)を水(2L)に溶解した溶液を反応器に滴加投入し、0℃~5℃で30分間撹拌した。結晶が溶解することにより、赤色溶液が黒色に変化した。他の反応器にc-HCl(12.6L)を投入した後、塩化銅(I)(2.2kg、2.2eq.)を加えた後、50℃~60℃に加温し、そこへ反応液を投入し、50℃~60℃で30分間撹拌して反応を完結した。反応が完結したことを確認した後、0℃~10℃に冷却し、そこへ水(20L)を投入して反応を終結した。30分間撹拌した後、ろ過し、水(5kg)で洗浄した後、ろ過された結晶をDCM(20L)に溶解した。色を除去するために、ろ過器にシリカゲル(2kg)を敷設し、DCM溶液を加えてろ過した後、DCM(5L)で洗浄した。ろ液を減圧濃縮してDCMを除去し、IPA(6L)を加えて再濃縮することによって、残留されたDCMを完全除去した。濃縮物にIPA(12L)を投入した後、70~80℃に加温して完全溶解した。溶解液をさらに0℃~10℃に冷却した後、2時間撹拌し、同一温度でろ過した。ろ過物を5℃~10℃に冷却したIPA(3L)で洗浄し、50℃~60℃で16時間真空乾燥して、赤紫色結晶の表題化合物を得ることができた(2.27kg、71%)。
1H NMR(500MHz、DMSO)δ7.32(s、1H)、4.72(t、J=7.3Hz、1H)、3.22(t、J=9.2Hz、1H);[M+H]+313
【0102】
段階5:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(c36)
【化34】
【0103】
段階5は、選択的にオルト位置にあるブロムをアルデヒドに変換する反応であり、i-PrMgCl、DMF使用量と反応温度が重要であった。i-PrMgClの使用量は、1.0~1.7当量が可能であるが、好ましくは、1.5~1.6当量であり、DMFの使用量は、3.5~5.5当量で製造可能であるが、4.5~5.5当量が好ましい。反応温度は、-10℃~50℃で可能であり、30℃~50℃が好ましいが、DMF投入時に発熱による温度上昇があり、25℃~30℃で反応を開始するものを選択した。
【0104】
【0105】
上記の結果による好ましい合成例は、次の通りである。
反応器にTHF(22.5L)を投入し、4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c50:2.25kg、1.0eq)を投入して溶解した。3回にわたって窒素に空気を置換した後、0℃~5℃に冷却した。溶液にイソプロピルマグネシウムクロリド(5.1kg、5.6L、2M in THF、1.5eq.)を滴加投入した後、30分間撹拌した。反応液をさらに25℃~30℃に温度を上げ、DMF(2.4kg、4.5eq)を投入して30分間25~30℃で撹拌した。反応完結を確認後、反応液を0℃~10℃に冷却した。酢酸(2.1L)を投入してpHを4~6に合わせた後、水(22.5L)を投入して反応を終了した。反応が終了した溶液は、真空濃縮してTHFを完全除去し、さらに0℃~10℃に冷却した後、ろ過した。ろ過物は、水(6.7L)で洗浄した。得られた結晶をn-ヘプタン(17L)とともに反応器に投入し、90℃に加温して30分間撹拌した。溶液をさらに0℃~10℃に冷却した後、2時間撹拌した後、結晶をろ過し、n-ヘプタン(4.5L)で結晶を洗浄した。得られた結晶は、50℃~60℃で16時間真空乾燥して、黄色の表題化合物を得ることができた(1.6kg、85%)。
1H NMR(500MHz、CDCl3)δ10.34(s、1H)、7.60(s、1H)、4.80(t、J=9.2Hz、1H)、3.35(t、J=9.2Hz、1H);[M+H]+263
【0106】
段階6:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノール(c39)
【化35】
【0107】
反応器にTHF(800mL)を投入し、1-ブロモ-4-シクロプロピルベンゼン(c37:98.0g、497.2mmol)を投入して溶解した。3回にわたって窒素に空気を置き換えた後、-10℃に冷却した。t-ブチルマグネシウムクロリド(114.8mL、229.5mmol 2M in THF、0.6eq.)を徐々に滴加投入した。同一温度で10分間撹拌した後、-60℃~-70℃に冷却した。冷却した反応液にn-ブチルリチウム(176mL、2.5M in Hex、439.8mmol1.15eq.)を滴加投入した後、4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(化合物36:100g、382.4mmol 1.0eq.)をTHF(1600mL)に溶解して滴加投入し、30分間撹拌した。反応完結を確認後、1N-HCl(1000mL)水溶液を投入して反応を終了した。終了した反応液を減圧濃縮を通じてTHFを濃縮除去した。濃縮液にDCM(1000mL)を投入して10分間撹拌後、層分離し、層分離したDCM層は、減圧濃縮し、追加精製なしですぐ次の段階の化合物である4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c40)の製造に使用した。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.33(s、1H)、7.25(d、J=7.6Hz、2H)、7.02(d、8.1Hz、1H)、6.07(s、1H)、4.69(m、2H)、3.27(m、2H)、1.85(m、1H)、0.93(m、2H)、0.66(m、2H);[M+H]+281
【0108】
段階7:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c40)
【化36】
【0109】
濃縮された4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノール(c39)にDCM(1000mL)を加えて溶解し、アセトニトリル(1000mL)を投入した。反応液を-20℃に冷却した後、BF3OEt2(70.8mL、573.6mmol、1.5eq)とトリエチルシラン(122mL、764.8mmol、2.0eq)を投入し、-20℃~-25℃で1時間撹拌後、20~30℃に温度を上げて1時間撹拌した。反応完結を確認後、飽和させたNaHCO3溶液(1000mL)を反応液に投入して反応を終了した。反応終了させた溶液が1000mLになるまで減圧濃縮後、DCM(1000mL)を投入して10分間撹拌後、層分離した。有機層にNa2SO4を加えて水分を除去した後、ろ過して濃縮した。濃縮液にDCM(50mL)を投入して溶解した後、メタノール(800mL)を加えて20~30℃で2時間結晶化した。結晶化液をろ過した後、メタノール(100mL)で洗浄し、40℃~50℃で真空乾燥して、アイボリー色の表題化合物を得ることができた(90.0g、64.7%_6、7段階統合)。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.07(d、J=8.0Hz、2H)、6.99(d、J=8.0Hz、2H)、6.80(s、1H)、4.70(t、J=8.8Hz、2H)、3.97(s、2H)、3.26(t、J=8.8Hz、2H)、1.88-1.84(m、1H)、0.95-0.90(m、2H)、0.68-0.64(m、2H);[M+H]+365
【0110】
実施例2:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(化合物40)の合成
【0111】
段階6:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノール(化合物39)
【化37】
【0112】
(4-シクロプロピルフェニル)マグネシウムブロミド(化合物c38)の製造:マグネシウム(切片、1.1g、46.6mmol)を含有する250mLの3口フラスコを火炎乾燥させた。窒素大気下でフラスコに凝縮器および滴下漏斗を装着した。無水THF(32.4mL)中の4-シクロプロピルフェニルブロミド(化合物c37)(6.0mL、42.4mmol)を滴下漏斗に移した。約5mLの4-シクロプロピルフェニルブロミド溶液を使用してグリニャール(Grignard)反応を開始した。残ったブロミド溶液を室温で4時間添加した。生成された溶液を次の段階にすぐに使用した。
0℃で窒素大気下で無水THF(170mL)中の4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(化合物c36)(4.6g、17.6mmol)の溶液に(4-シクロプロピルフェニル)マグネシウムブロミド(化合物c38)の新しく製造した溶液(THF中の0.85M 30.0mL、26.4mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物に水(100mL)を加えて反応を終結させ、エチルアセテート(100mL)で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥し、ろ過し、真空下に濃縮して、未精製の表題化合物を収得した(7.6g、20.0mmol、114%)。未精製の残渣をさらに精製せずに、次の段階に使用し続けた。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.33(s、1H)、7.25(d、J=7.6Hz、2H)、7.02(d、8.1Hz、1H)、6.07(s、1H)、4.69(m、2H)、3.27(m、2H)、1.85(m、1H)、0.93(m、2H)、0.66(m、2H);[M+H]+280.68
【0113】
段階7:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(化合物40)
【化38】
【0114】
-20℃で窒素雰囲気下でDCM/アセトニトリル(100mL/100mL)中の4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノール(化合物39)(7.6g、20mmol)の溶液にトリエチルシラン(4.6mL、40mmol)およびBF3OEt2(3.8mL、30mmol)を添加した。混合物を室温に少しずつ昇温し、室温で50分間さらに撹拌した。反応混合物に飽和NaHCO3溶液(200mL)を徐々に添加して反応を終結させ、エチルアセテート(100mL)で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(4.4g、12.1mmol、2段階85%)を収得した。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.07(d、J=8.0Hz、2H)、6.99(d、J=8.0Hz、2H)、6.80(s、1H)、4.70(t、J=8.8Hz、2H)、3.97(s、2H)、3.26(t、J=8.8Hz、2H)、1.88-1.84(m、1H)、0.95-0.90(m、2H)、0.68-0.64(m、2H):[M+H]+364.68
【0115】
実施例3:(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(c28)の合成
【化39】
【0116】
段階8:(3R,4S,5S,6R)-2-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)-6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシテトラヒドロ--2H-ピラン-3,4,5-トリオール(化合物42)
【化40】
【0117】
-78℃で窒素大気下でTHF(80mL)中の4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(10.0g、27.5mmol)の溶液にn-ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、23.1mL、57.8mmol)を滴加した後、同一温度で10~30分間撹拌した。C3生成反応完結をTLCで確認後、c-HCl(6.32mL、71.5mmol)をMeOH(100mL)に投入して製造した溶液を反応混合液に投入してカップリング反応を終結すると同時に、TMS保護基を脱落させてc4化合物を中間体として形成した。c5合成のために徐々に反応温度を室温まで上げて7時間以上撹拌した。反応完結をTLCで確認後、3%NaHCO3水溶液(220mL)を投入および10分間撹拌して反応を終結した。反応終結された溶液は、減圧濃縮を通じて160mLまで濃縮した。濃縮された反応液にエチルアセテート(60mL)と20%NaCl水溶液100mLを投入して10分間撹拌後、静置して、有機層を分離した。さらに水層にエチルアセテート6倍を加えて再抽出した。合わさったエチルアセテート層にMgSO4(40g)を投入して水分を除去した後、ろ過およびエチルアセテート(20mL)で洗浄した。ろ液を減圧濃縮して、表題化合物c42を得ることができ、追加精製なしですぐに次の段階に使用した。
[M+Na]+499および[M-OMe]+445。
【0118】
段階9:(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(化合物c43)
【化41】
【0119】
窒素雰囲気下で濃縮された(3R,4S,5S,6R)-2-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)-6-(ヒドロキシメチル)-2-メトキシテトラヒドロ--2H-ピラン-3,4,5-トリオール(化合物c42:13.12g、27.5mmol、1.0eq)にDCM(100mL)およびアセトニトリル(100mL)を投入して溶解した後、-45℃に冷却した。冷却した溶液にEt3SiH(13.2mL、82.5mmol)およびBF3Et2O(10.2mL、82.5mmol)を順に投入した。反応混合物を-45℃~0℃まで徐々に温度を上げながら5時間撹拌した。反応完結をTLCで確認した後、反応液に飽和NaHCO3水溶液(200mL)を加えて反応を終了させ、220mLまで濃縮した。濃縮残渣にエチルアセテート(100mL)を投入して抽出した。抽出された水層にエチルアセテート(50mL)を加えて再抽出した後、エチルアセテート層を合わせてMgSO4(40g)でろ過した。ろ液を真空濃縮して、薄茶色の表題化合物を得ることができた(12.29g、100%)。生成物は、追加精製せずに、次の段階にすぐに使用した。
【0120】
段階10:(2R,3R,4R,5S,6S)-2-(アセトキシメチル)-6-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセタート(化合物27)
【化42】
【0121】
窒素(ガス)雰囲気で、室温下で濃縮された化合物43(12.29g、27.5mmol)にDCM(150mL)を投入して溶解させた後、DMAP(4.04g、33.2mmol)と無水酢酸(720.8mL、220.8mmol)を加えて2時間室温で撹拌した。反応完結をTLCで確認し、1N HCl(100mL)を投入して10分間撹拌して反応を終了させた後、静置して、層分離した。水層にDCM(50mL)を投入して再抽出した後、DCM層を合わせ、MgSO4(20g)を投入およびろ過して乾燥した。ろ液にMeOH(20mL)を投入した後、真空濃縮し、濃縮物にMeOH(100mL)を加えて室温で1時間撹拌して結晶を析出させた後、ろ過した。MeOH(20mL)でろ過物を洗浄した後、50℃で真空乾燥して、白色の表題化合物を収得した(14.01g、82.9%)。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.04-7.02(m、2H)、6.98-6.95(m、2H)、6.53(s、2H)、5.29-5.24(m、1H)、5.18-5.12(m、2H)、4.71-4.65(m、2H)、4.31-4.26(m、1H)、4.25-4.22(m、1H)、4.15-4.11(m、1H)、4.15-4.11(m、1H)、4.05-3.91(m、2H)、3.79-3.74(m、1H)、3.40-3.35(m、2H)、2.60(s、3H)、2.05(s、3H)、1.99(s、3H)、1.88-1.81(m、1H)、1.66(s、3H)、0.94-0.89(m、2H)、0.66-0.61(m、2H);[M+Na]+637。
【0122】
段階11:(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(化合物28)
【化43】
【0123】
化合物27(5.0g、8.13mmol)にTHF(25mL)およびメタノール(25mL)を加えた。30℃~35℃に加温した後、Slurry状態の溶液に4N-NaOH溶液(10.2mL、40.7mmol)を加えて2時間撹拌した。反応完結をTLCで確認し、0℃に冷却した後、1N HClを加えて反応液のpHを6.8~7.0に合わせて反応終結した。反応混合物を60mLまで減圧濃縮した後、水(100mL)とエチルアセテート(100mL)を投入して抽出した。さらに水層にエチルアセテート(100mL)を投入して再抽出した後、MgSO4(20g)を投入して乾燥させ、ろ過した後、減圧真空濃縮した。濃縮残渣にエチルアセテート(55mL)を加えて80℃で完全に溶かした後、徐々に室温まで冷却しながら結晶析出させ、1時間撹拌した。結晶化された溶液にIPE(91mL)を30分間滴加し、0℃に冷却した後、0℃~5℃で1時間追加撹拌した。0℃~5℃で1時間静置後、ろ過し、IPE:エチルアセテート=1:1溶液2倍で洗浄後、50℃真空乾燥して、白色固体の表題化合物を収得した(3.4g、93.1%)。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.02(d、J=8.0Hz、2H)、6.92(d、J=8.0Hz、2H)、6.81(s、1H)、4.59(t、J=8.8Hz、2H)、4.11(d、J=9.2Hz、1H)、3.96(19.0Hz、15.2Hz、2H)、3.87-3.84(m、1H)、3.67-3.63(m、1H)、3.47-3.37(m、3H)、3.35-3.33(m、3H)、1.85-1.79(m、1H)、0.91-0.86(m、2H)、0.61-0.57(m、2H);[M+Na]+469
【0124】
実施例4:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)の合成
下記反応式5は、実施例4で例示したc40化合物の合成過程を概略的に図式化したものである。
【化44】
【0125】
[Route 1]4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)の合成
【化45】
【0126】
段階1:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(化合物c51)
窒素大気下で反応器に4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c50、2.0g、6.40mmol)を投入し、THF(20mL)を加えて溶解した。0℃~5℃に反応器を冷却し、イソプロピルマグネシウムクロリド(THF中1M、9.6mL、9.60mmol)を滴加した。同一温度で15分間撹拌した後、常温に昇温して、さらに15分間撹拌した。反応液にカニューレを連結し、CO2(g)を1時間投入した。反応完結をTLCで確認後、0℃~5℃に冷却した。1N-HCl(20mL)を反応器に投入して反応を終了し、エチルアセテート(20mL)で2回抽出した。集められたエチルアセテート層にNa2SO4を加えて水分を除去した後、ろ過および真空濃縮した。その後、濃縮物にメチルt-ブチルエーテル(4mL)を加えて室温で撹拌し、ヘキサン(12mL)をさらに投入して、1時間結晶を熟成させた。生成された結晶をろ過し、ヘキサン(4mL)で洗浄および50℃で12時間真空乾燥して、表題化合物c51を1.42g(80%)得ることができた。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.69(s、1H)、4.76(t、J=9.0Hz、2H)、3.35(t、J=9.0Hz、2H);LC-MS:[M+H]+277。
【0127】
[Route 2]4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)の合成
【化46】
【0128】
段階1:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(c36)
【化47】
【0129】
反応器にTHF(22.5L)を投入し、4,6-ジブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c50:2.25kg、1.0eq)を投入して溶解した。3回にわたって窒素に空気を置換した後、0℃~5℃に冷却した。溶液にイソプロピルマグネシウムクロリド(5.1kg、5.6L、2M in THF、1.5eq.)を滴加投入した後、30分間撹拌した。反応液をさらに25℃~30℃に温度を上げ、DMF(2.4kg、4.5eq)を投入して30分間25℃~30℃で撹拌した。反応完結を確認後、反応液を0℃~10℃に冷却した。酢酸(2.1L)を投入してpHを4~6に合わせた後、水(22.5L)を投入して反応を終了した。反応が終了した溶液を真空濃縮して、THFを完全除去し、さらに0-10℃に冷却した後、ろ過した。ろ過物は、水(6.7L)で洗浄した。得られた結晶をn-ヘプタン(17L)とともに反応器に投入し、90℃に加温して30分間撹拌した。溶液をさらに0℃~10℃に冷却した後、2時間撹拌した後、結晶をろ過し、n-ヘプタン(4.5L)で結晶を洗浄した。得られた結晶は、50℃~60℃で16時間真空乾燥して、黄色の表題化合物を得ることができた(1.6kg、85%)。
1H NMR(500MHz、CDCl3)δ10.34(s、1H)、7.60(s、1H)、4.80(t、J=9.2Hz、1H)、3.35(t、J=9.2Hz、1H);[M+H]+263
【0130】
段階2:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)
【化48】
【0131】
反応器にDMF(300mL)を投入した後、4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(c36、60g、229.5mmol)を加えて室温で完全に溶解させた。オキソン(48.9g、321.3mmol)を20℃~30℃で分割投入し、6時間撹拌した。反応完結をTLCで確認後、メチルt-ブチルエーテル(300mL)を加えて結晶を析出させた。生成された結晶をろ過し、メチルt-ブチルエーテル(120mL)で洗浄した。ろ液に水(600mL)を加えて10分間撹拌後、層分離し、その後、メチルt-ブチルエーテル(180mL)で2回追加抽出した。集められた有機層に水(180mL)で2回洗浄した後、有機層を減圧濃縮した。濃縮物にメチルt-ブチルエーテル(120mL)を加えて10分間撹拌した後、ヘキサン(360mL)をさらに投入して1時間結晶を熟成させた。生成された結晶をろ過し、ヘキサン(60mL)で洗浄および50℃で12時間真空乾燥して、表題化合物c51を57.3g(90.0%)得ることができた。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.69(s、1H)、4.76(t、J=9.0Hz、2H)、3.35(t、J=9.0Hz、2H);LC-MS:[M+H]+277。
【0132】
[Route 3]4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)の合成
【化49】
【0133】
段階1:(4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)メタノール(c54)
【化50】
【0134】
室温でTHF/EtOH(150mL/75mL)中のメチル4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボキシレート(c34、13.0g、44.7mmol)の混合物に水素化ホウ素ナトリウム(5.07g、133.98mmol)を徐々に添加した。混合物を室温で12時間撹拌した。生成された混合物に0℃の飽和NH4Clを加えて反応を終結させ、EtOAc(水性pH~7.0)で抽出した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空下に濃縮して、表題化合物(11.7g、99%)を白色固体として収得した。未精製の生成物をさらに精製せずに、次の段階に使用した。
1H NMR(500MHz、CDCl3)δ7.15(s、1H)、4.73(m、4H)、3.29(t、J=8.8Hz、2H)、1.91(t、J=6.4Hz、1H);[M-H2O]+245。
【0135】
段階2:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルバルデヒド(c36)
【化51】
【0136】
室温でCH2Cl2(450mL)中の(4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)メタノール(11.7g、44.4mmol)の溶液にクロロクロム酸ピリジニウム(14.4g、66.6mmol)を徐々に添加した。8時間撹拌した後、シリカ-ゲルパッドを使用して沈殿物をろ過させ、CH2Cl2で洗浄した。ろ液を真空下に濃縮して、表題化合物(10.4g、39.8mmol、90%)を白色固体として収得した。未精製の生成物をさらに精製せずに、次の段階に使用した。
1H NMR(500MHz、CDCl3)δ10.33(s、1H)、7.59(s、1H)、4.79(t、J=8.8Hz、2H)、3.35(t、J=8.8Hz、2H);[M+H]+261。
【0137】
[Route 4]4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)の合成
【化52】
【0138】
段階1:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボン酸(c51)
室温でエタノール(200mL)中のメチル4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボキシレート(c34、20.0g、68.6mmol)の混合物に4N-NaOH(51.4mL、205.8mmol)を投入した。混合物を室温で2時間撹拌し、反応完結をTLCで確認した後、反応液に1N-HClを加えて(酸性pH~1.0)反応を終結させ、エチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過および真空濃縮して、表題化合物c51(18.3g、44.4mmol、96.3%)を白色固体として収得した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.69(s、1H)、4.76(t、J=9.0Hz、2H)、3.35(t、J=9.0Hz、2H);LC-MS:[M+H]+277。
【0139】
実施例5:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c40)の合成
【化53】
【0140】
段階1-1:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボニルクロリド(c52)の合成
窒素雰囲気下でDCM(30mL)にc51(5.0g、18.1mmol)を溶解し、DMF(0.5%wt)を触媒として投入した。反応液を0℃~10℃に冷却した後、オキサリルクロリド(1.87mL、21.8mmol、1.2eq)を滴加投入した。反応液を20℃~30℃に昇温して1時間撹拌した。反応完結を確認した後、反応液を真空濃縮した。濃縮液にさらにDCM(10mL)を投入した後、真空濃縮して、過量のオキサリルクロリドを除去し、定量的に得られた灰白色の目的化合物は、精製過程なしですぐ次の反応に使用した。
【0141】
段階1-2:4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-カルボニルクロリド(c52)の合成
窒素雰囲気下でDCM(30mL)にc51(5.0g、18.1mmol)を溶解し、20℃~30℃でチオニルクロリド(2.63mL、36.2mmol、2.0eq)を滴加投入した。投入完了後、加温して、2時間還流撹拌した。反応完結を確認後、反応液を真空濃縮した。濃縮液にさらにDCM(10mL)を投入した後、真空濃縮して、過量のチオニルクロリドを除去し、定量的に得られた灰白色の目的化合物は、精製過程なしですぐ次の反応に使用した。
【0142】
段階2:(4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノン(c53)の合成
室温および窒素雰囲気下でジクロロメタン(30mL)にc51(1.00g、3.60mmol)を溶解し、DMF(0.01mL、0.13mmol)を投入した後、オキサリルクロリド(0.34mL、3.96mmol)を滴加投入した。室温で1時間撹拌した後、-15℃まで冷却した。次に、反応混合物にシクロプロピルベンゼン(0.91mL、7.20mmol)を投入して5分間撹拌し、反応混合物にAlCl3(0.58g、4.32mmol)を投入して、同一温度で60分間撹拌した。反応完結をTLCで確認した後、反応溶液に1N-HCl水溶液を加えて反応を終了させ、エチルアセテートで抽出した。抽出して得た有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過した後、真空濃縮させた。濃縮残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、表題化合物c40(1.18g、86.7%)を白色固体として収得した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.70(d、J=8.0Hz、2H)、7.11(d、J=8.0Hz、2H)、6.99(s、1H)、4.78(t、J=9.0Hz、2H)、3.36(t、J=7.2Hz、2H)、1.97-1.94(m、1H)、1.10-1.07(m、2H)、0.82-0.81(m、2H);LC-MS:[M+H]+377。
【0143】
段階3:4-ブロモ-7-クロロ-6-(4-シクロプロピルベンジル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン(c40)の合成
反応器に(4-ブロモ-7-クロロ-2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル)(4-シクロプロピルフェニル)メタノン(c53)(0.97g、2.57mmol)にジクロロメタン(10mL)およびアセトニトリル(10mL)を加えて溶解した後、-15℃に冷却した。反応液にEt3SiH(1.2mL、7.71mmol)およびBF3-Et2O(0.79mL、6.42mmol)を順に投入した後、反応混合物を室温に昇温して、4時間撹拌した。反応完結をTLCで確認した後、反応溶液に飽和されたNaHCO3水溶液(40mL)を加えて反応を終了させ、エチルアセテートで抽出した。抽出して得た有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して、真空濃縮させた。濃縮残渣は、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、目的化合物c40(0.84g、89.9%)を白色固体として収得した。
1H NMR(500MHz、CDCl3):δ7.07(d、J=10.0Hz、2H)、6.99(d、J=10.0Hz、2H)、6.80(s、1H)、4.70(t、J=11.0Hz、2H)、3.97(s、2H)、3.26(t、J=11.0Hz、2H)、1.88-1.84(m、1H)、0.95-0.90(m、2H)、0.68-0.64(m、2H);LC-MS:[M+H]+363。
【0144】
【0145】
反応式3は、最も反応段階数が少ないので、既存の韓国公開特許公報第2017-0142904号のc40合成法より競争力を確保することができ、反応式5は、c50中間体を活用して高価な1-ブロモ-4-シクロプロピルベンゼンに比べて1/4安く、品質制御が容易なシクロプロピルベンゼンをカップリング化合物として使用することによって、フリーデル・クラフツアシル化反応条件の最適化を通じて競争力を確保することができた。
【国際調査報告】