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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】キャンドルフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/66 20060101AFI20250128BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20250128BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20250128BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20250128BHJP
   B01D 39/14 20060101ALI20250128BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B01D29/38 530D
B01D29/24 E
B01D29/10 510A
B01D29/10 530A
B01D39/16
B01D39/14 A
B01D39/20 B
B01D39/20 C
B01D29/38 520D
B01D29/38 510C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542225
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2023050325
(87)【国際公開番号】W WO2023135080
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/299,646
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストラッサー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォゲラー、ユールゲン
(72)【発明者】
【氏名】アイズリー、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】アハマー、ドミニク
【テーマコード(参考)】
4D019
4D116
【Fターム(参考)】
4D019AA01
4D019BA03
4D019BA04
4D019BA13
4D019BA16
4D019BB01
4D019CA04
4D019CB09
4D116AA01
4D116BB01
4D116BC17
4D116BC76
4D116DD05
4D116EE02
4D116FF13B
4D116GG01
4D116GG06
4D116GG12
4D116GG15
4D116KK04
4D116QA22C
4D116QA22D
4D116QA22F
4D116QB02
4D116QB44
4D116QB48
4D116QB49
4D116RR01
4D116RR12
4D116RR15
4D116RR25
(57)【要約】
本発明は、主に液体から固体を濾過するための、1つ又は複数のキャンドルフィルタ構成部材を含むキャンドルフィルタ装置、及びそれを動作させる処理に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドプレートによって分離された、供給室及び濾過室を有する圧力容器を備えるフィルタ装置であって、
a)1つ以上のフィルタ構成部材が前記ヘッドプレートに垂直に取り付けられ、
b)供給口が供給室に達し、
c)少なくとも1つの通気口が前記供給室に取り付けられ、
d)少なくとも1つのガス供給ノズル及び少なくとも1つの排出ノズルが前記供給室に取り付けられており、
前記フィルタ構成部材は内部に浸漬流路を備えることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記通気口は、前記排出ノズルの最低出口レベルよりも垂直高さが高い、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記通気口と前記排出ノズルの最低出口レベルとの間の距離hは、逆洗中に設置された全てのフィルタ構成部材の浸漬流路の内部容量に等しい緩衝ガス容量を保証するように設計されている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記フィルタ構成部材の各々は、支持体と、前記支持体の周りに敷設された濾布とを備え、
前記支持体は、中央に配置された浸漬流路と、外側長手方向流路とを備えている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタ構成部材の前記支持体は、連続プロファイル、好ましくは連続押出プロファイルで形成され、さらに好ましくは熱可塑性材料を含む、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記フィルタ構成部材の前記支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形、又は楕円形である、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
中央管が浸漬流路を形成し、長尺棒状材が前記中央管上に取り付けられている、請求項1に記載のフィルタ構成部材。
【請求項8】
前記フィルタ構成部材の前記外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する前記支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、前記濾布によって覆われている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記フィルタ構成部材の浸漬流路容量は、前記フィルタ構成部材の全ての外側長手方向流路の総差分容量よりも少なくとも1%大きい、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記濾布は、布固定要素、特に、前記キャンドルフィルタ構成部材の、前記長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と前記長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによって前記フィルタ構成部材に固定され、
前記布固定要素は、前記濾過室を前記供給室に対してシールしている、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記フィルタ構成部材は、さらに、前記支持体と前記固定装置との間に結合部を備えると共に、前記フィルタ装置内で前記フィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備える、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
前記濾布は、前記フィルタ構成部材の前記結合部の上方に固定され、前記ピン及び前記結合部材を覆う、請求項11に記載のフィルタ装置。
【請求項13】
前記フィルタ構成部材の前記熱可塑性材料が、炭素繊維又はガラス繊維などの安定性向上添加剤を含有する複合材料である、請求項5に記載のフィルタ装置。
【請求項14】
以下の工程を含む、請求項1~13に記載のフィルタ装置の逆洗方法であって、
a)前記フィルタ装置を減圧し、
b)供給室から可能なすべての懸濁液を排出ノズルで排出し、
c)ガス供給ノズルから加圧ガスで前記フィルタ装置を加圧し、
d)フィルタ構成部材を
i)供給室内の圧力を急速に解放し、それによって濾過室からの圧縮ガスのガスインパルスを誘発して浸漬流路内で濾液を下向きに急速かつ集中的に送り出し、
ii)濾布が最大断面に達するまで膨張させ、それによって前記濾布から濾過ケーキを取り除く、
ことによって逆洗し、
e)場合により、濾過ケーキのスラリーの沈殿を可能にし、
f)別の排出ノズルによって、前記供給室の底部から前記濾過ケーキのスラリーを排出する、
逆洗方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液体から固体を濾過するための、1つ又は複数のキャンドルフィルタ構成部材を含むキャンドルフィルタ装置、及びそれを動作させる処理に関する。
【0002】
このフィルタ装置の主要部分は、未濾過の流体懸濁液を含む供給室を、濾過された流体を含む濾過室から分離するヘッドプレートを有する圧力容器と、このヘッドプレートに取り付けられたキャンドルフィルタ構成部材とである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、固液分離の分野、より具体的にはケーキ濾過において使用される。ケーキ濾過は、懸濁液からの粒子がフィルタ材料、例えば、濾布の表面に堆積し、濾過ケーキを形成することを特徴とする。一般に、濾布は、不織布又は織布、若しくは透過性膜から作成され、本発明のこの目的のためのものは、すべて、濾布と称される。
【0004】
支持体はキャンドルフィルタ構成部材の主要構成要素として、濾布を支持する役割を果たし、既にドイツ国特許明細書第3249756,C2号から知られている。この従来技術では、支持体は、穴あき円筒体であり、圧力容器の供給室の内側に垂直に取り付けられている。濾布は、ホースの形状を有しており、円筒体の外側に巻き付けられ、円筒体の下端及び上端に固定されている。フィルタキャンドルは、下端が閉鎖され、上端が開放されている。フィルタキャンドルの開放上端は、濾過室と呼ばれる濾液を受ける部屋に対して供給室を隔てる穴あきヘッドプレートに取り付けられ、それによって濾過室への開放接続を有する。この接続により、濾過された流体が、濾過ケーキ及び濾布を通過した後に、キャンドル内部から濾過室内へ流れることが可能となる。逆洗の手順中、流れは逆転され、それによって、濾過された流体は濾液チャンバからキャンドルに流れ込み、濾布を逆方向/反対方向に通過する。流れを逆転させるこの処理の目的は濾過ケーキを濾布から除去すること、及び多孔質濾布の細孔の内側から粒子を除去することであり、これはその後、濾布の目詰まりをもたらし、それによって、長期間にわたる流れを妨げることになる。いくつかのプロセス設計は、加圧ガスを使用することによって逆洗をサポートし、濾布を通して濾過された流体又は流体とガスの混合物の増加した量を推進する。
【0005】
このような濾過システムの重要な設計パラメータは、濾過システムに収容できるフィルタ領域である。フィルタキャンドルの直径の減少及びフィルタキャンドルの長さの増加は、両方とも、所与の直径の濾過容器内に収容され得るフィルタ領域を増加させ、それによってフィルタ領域当たりのコストを減少させ、その結果、濾過される流体の流量当たりのコストを減少させる。フィルタキャンドルの長さは1m~2.5m、及びフィルタキャンドルの直径は25mm~120mmが技術水準である。
【0006】
最も重要な性能パラメータの1つは逆洗効率であり、これは濾布から濾過ケーキを完全に除去し、濾布の細孔の内側に捕捉された粒子を除去する能力を意味する。逆洗効率は、逆洗中のフィルタキャンドルの全表面全体にわたる流体の流れに比例して上昇する。
【0007】
従来技術によるフィルタキャンドルでは、逆洗中の流体の流れは、直径に対する長さの比によって、また濾過された流体がフィルタキャンドルに流入するフィルタキャンドルの上部からフィルタキャンドルの底部まで生じる圧力損失によって制限される。試験では、直径が80mmのフィルタキャンドルを用いて、水溶液でフィルタキャンドルを清掃するのに妥当な流体流れを使用する場合、フィルタキャンドルの上部300mmにおいてのみ生じることを実証した。フィルタキャンドルの残りの長さは、濾布を恒久的に清浄するのに十分な、適度に高い濾液の流れを受けない。これは、濾布の頻繁な交換の必要性をもたらし、それによって、濾布及び濾布の交換作業時間のための運用コストが高くなることにつながる。
【0008】
この不充分な逆洗を改善する手段は、アメリカ合衆国特許第4,604,201号に記載されている。これは、フィルタキャンドル構成部材の内部に浸漬管を導入し、この浸漬管は開放された底部まで達しそれによって浸漬管と濾布との間の部屋に接続される。この浸漬管の上側は、フィルタキャンドルからの濾過された流体の出口を形成するフィルタヘッダに接続される。逆洗中、フィルタヘッダ内の濾過された流体は、圧縮空気又は他のガスをフィルタヘッダに印加することによって反転させられる。この圧縮空気又は他のガスは、流体を、浸漬管を下り、浸漬管を取り囲むキャンドル内の自由空間を通って上昇し、濾布を通って内側から外側に送り出す。流体レベルが浸漬管の最低点に達した時点で、浸漬管内のガスの耐圧性が低いために、非常に高い流量が達成される。この高い流量はフィルタキャンドルの底部に導入された圧縮空気又は圧縮ガスによって達成される高い乱流と共に、従来技術と比較して、より良好な逆洗をもたらす。
【0009】
アメリカ合衆国特許第4,604,201号によるフィルタ装置は、大きなフィルタ領域を収容することができる。効果的な逆洗のためには、各フィルタ領域セグメントを通る高い流量が必要とされる。これを達成するために、全フィルタ領域を、一度に逆洗される小さなセグメントに分割することが必要である。これは、濾布を通して濾液を送り出すための技術的に実行可能な小さな流量のガスと、逆洗された流体を容器から排出するための技術的に実行可能な小さなノズルとをもたらし、流れを制限する高い圧力抵抗をもたらす。典型的には、12個までのキャンドルフィルタ構成部材がそのようなセグメントにクラスタ化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ国特許明細書第3249756,C2号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第4,604,201号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第4,473,472号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第4,968,424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明によって解決される課題は、浸漬管構造を有さないフィルタキャンドル構成部材を備えた濾過システムでは、フィルタ表面の大部分の逆洗が不十分であり、浸漬管構造を有する濾過システムでは、実装と操作が複雑であることである。これは、浸漬管を含むフィルタキャンドル構成部材を、フィルタ領域を増分に分割することなく、十分に逆洗する方法を導入することによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、ヘッドプレートによって分離された、供給室及び濾過室を有する圧力容器を備えるフィルタ装置であって、
a)1つ以上のフィルタ構成部材が前記ヘッドプレートに垂直に取り付けられ、
b)供給口が供給室に達している、
フィルタ装置を提供することである。
【0013】
また、フィルタ装置は
a)少なくとも1つの通気口と
b)少なくとも1つのガス供給ノズル及び少なくとも1つの排出ノズルが前記供給室に取り付けられており、
前記フィルタ構成部材は内部に浸漬流路を備える。
【0014】
好ましくは、前記通気口は、前記排出ノズルの最低出口レベルよりも垂直高さが高い。通気口と排出ノズルの最低出口レベルとの間の距離は、「距離h」と称される。
【0015】
さらにより好ましくは、前記通気口と前記排出ノズルの最低出口レベルとの間の距離hは、逆洗中に設置された全てのフィルタ構成部材の浸漬流路の内部容量に等しい緩衝ガス容量を保証するように設計されている。
【0016】
本発明の好ましい一実施形態では、前記フィルタ構成部材は、支持体と、前記支持体の周りに敷設された濾布とを備え、支持体は、中央に配置された浸漬流路と、外側長手方向流路とを備えている。
【0017】
好ましくは、本発明に係るフィルタ装置におけるフィルタ構成部材の支持体は、連続プロファイル、好ましくは連続押出プロファイルで形成され、さらに好ましくは熱可塑性材料を含む。
【0018】
好ましくは、本発明に係るフィルタ装置における前記フィルタ構成部材の前記支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形、又は楕円形であってもよい。
【0019】
しかしながら、いくつかの用途では、中央管が浸漬流路を形成し、長尺棒状材が前記中央管上に取り付けられる実施形態が適切であり得る。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、前記フィルタ構成部材の前記外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する前記支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、前記濾布によって覆われている。
【0021】
好ましくは、前記フィルタ構成部材の浸漬流路容量は、前記フィルタ構成部材の全ての外側長手方向流路の総差分容量よりも少なくとも1%以上大きく、好ましくは1%~5%大きい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、前記濾布は、布固定要素、特に、前記キャンドルフィルタ構成部材の、前記長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と前記長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによって前記フィルタ構成部材に固定される。本発明のこの実施形態では、前記布固定要素は、前記濾過室を前記供給室に対してシールしている。
【0023】
好ましくは、前記フィルタ構成部材は、さらに、前記支持体と前記固定装置との間に結合部を備えると共に、前記フィルタ装置内で前記フィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備える。
【0024】
好ましくは、前記濾布がフィルタ構成部材の結合部の上方に固定され、前記ピン及び結合部の前記底部を覆う。
【0025】
本発明に係る前記フィルタ構成部材の前記熱可塑性材料が、炭素繊維又はガラス繊維などの安定性向上添加剤を含有する複合材料であってもよい。
【0026】
本発明の別の目的は、以下の工程を含む、上述のフィルタ装置を逆洗するための方法であって、
a)前記フィルタ装置を減圧し、
b)供給室から可能なすべての懸濁液を排出ノズルで排出し、
c)ガス供給ノズルから加圧ガスで前記フィルタ装置を加圧し、
d)フィルタ構成部材を
i)供給室内の圧力を急速に解放し、それによって濾過室からの圧縮ガスのガスインパルスを誘発して浸漬流路内で濾液を下向きに急速かつ集中的に送り出し、
ii)濾布が最大断面に達するまで膨張させ、それによって前記濾布から濾過ケーキを取り除く、
ことによって逆洗し、
e)場合により、濾過ケーキのスラリーの沈殿を可能にし、
f)別の排出ノズルによって、前記供給室の底部から前記濾過ケーキのスラリーを排出する、
逆洗方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明に係るフィルタ装置を示す。
図2図2は、本発明に係るフィルタ装置の詳細を示す。
図3図3は、本発明に係るキャンドルフィルタ構成部材の縦断面を示す。
図4図4は、供給懸濁液から濾過された粒子を含む濾過ケーキ、及び濾布を備え た押出し支持体の細部を示す。
図5図5は、本発明に係る湿式ケーキ排出用のフィルタキャンドル構成部材の好ましいデザインを示す。
図6図6は、連続的に押出された外形が星形に似ている、別の実施形態の断面を示す。
図7図7は、連続的に押し出された外形がクリケットのバットに似ている、別の実施形態の断面を示す。
図8図8は、長尺棒状材が本体に取り付けられているフィルタキャンドルの別の実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的は、ヘッドプレートによって分離された、供給室及び濾過室を有する圧力容器を備えるフィルタ装置であって、
a)1つ以上のフィルタ構成部材が前記ヘッドプレートに垂直に取り付けられ、
b)供給口が供給室に達している、
フィルタ装置を提供することである。
【0029】
また、フィルタ装置は
c)少なくとも1つの通気口と、
d)少なくとも1つのガス供給ノズル及び少なくとも1つの排出ノズルが前記供給室に取り付けられており、
前記フィルタ構成部材は内部に浸漬流路を備える。供給口は、図2に示すように、立管出口を備えた立管で構成されてもよい。あるいは、供給口は、供給室の側壁に取り付けられた1つ以上のノズルであってもよい。通気口は、技術的に可能な最高位置で供給室に取り付ける必要がある。通気口は、A)供給口と同一のもの、例えば立管出口であってもよく(代替A)、b)供給室の側壁にある個別のノズルであってもよく(代替B)、又はc)フィルタ装置(濾過室ではない)の外側に接続されたヘッドプレート内のノズルであってもよい(代替C)。立管及び立管出口を有する代替Aが図2に示される。
【0030】
好ましくは、通気口は、排出ノズルの最低出口レベルよりも垂直高さが高い。通気口と排出ノズルの最低出口レベルとの間の距離は、「距離h」と称される。
【0031】
さらにより好ましくは、通気口と排出ノズルの最低出口レベルとの間の距離hは、逆洗中に設置された全てのフィルタ構成部材の浸漬流路の内部容量に等しい緩衝ガス容量を保証するように設計されている。
【0032】
フィルタ装置に設置されるフィルタ構成部材は、従来技術において一般的に既に知られている様々なタイプのものであってもよい。フィルタ構成部材は例えば、ドイツ国特許明細書第3249756,C2号、アメリカ合衆国特許第4,473,472号又はアメリカ合衆国特許第4,968,424号に開示されているタイプのものであり得、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本発明の好ましい一実施形態では、フィルタ構成部材は、支持体と、支持体の周りに敷設された濾布とを備え、支持体は、中央に配置された浸漬流路と、外側長手方向流路とを備えている。濾布は、支持体の周りに巻き付けてもよい。フィルタ構成部材の運用中、懸濁液によって外側から内側に流れ込む場合、濾布は濾過ケーキを支持する。浸漬流路は、円形、又は、例えば正方形、六角形などの非円形断面を有してもよい。本発明の文脈における「流路」(channels)とは、支持体の材料によって形成される長手方向の自由空間を意味するが、例えば、アメリカ合衆国特許第4,473,472号のような筒管を明示的に除外するものとする。浸漬流路の最も簡単な実施形態は、外形(プロファイル:profile)の中央における円形断面の長手方向自由空間であってもよい。外側長手方向流路は、アメリカ合衆国特許第4,473,472号におけるようにある程度穿孔されているだけではなく、図3図4図5図6図7、及び図8に示すように、本質的に、フィルタ構成部材の外側に向かって径方向に完全に開口している。流路のこの特徴は濾過の実施及び逆洗中の液体の流れ又はそれぞれのガスの流れに対してより低い抵抗を提供し、それによってより効率的な逆洗がもたらされる。
【0033】
好ましくは、本発明に係るフィルタ装置におけるフィルタ構成部材の支持体は、連続プロファイル、好ましくは連続押出プロファイルで形成され、さらに好ましくは熱可塑性材料を含む。その代わりに、押出プロファイルは、別の押出し材料、例えば、金属(アルミニウムなど)又はガラスで作成されてもよい。原理的には、セラミック材料でも適している。
【0034】
本発明の文脈における「連続」とは、本体の断面が支持体の全長にわたって同一であることを意味する。本発明の文脈における「押出し」とは、支持体がその全長にわたって、ならびに全長尺棒状材が、押出し工程で連続的に形成されることを意味する。
【0035】
連続した押出しプロファイルは、一般的に、フィルタ流体又は粒子が長時間滞留し、分解、経年変化、細菌増殖等のマイナスの影響を及ぼす可能性のある変化を受ける、縁部、角等のような死角を通常残さないという利点を有する。
【0036】
しかしながら、死角がそれほど危険でない幾つかの適用例に対しては、浸漬流路を形成する中央管と、当該中央管に公知の方法(溶接、ねじ止め、リベット止め等のようなもの)によって取り付けられた長尺棒状材を備える連続プロファイルも好適である。そのような本体は、例えば、液体-空気熱交換器に使用されるような、縦方向フィン付き筒管とすることができる。
【0037】
好ましくは、本発明に係るフィルタ装置におけるフィルタ構成部材の支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形状、又は楕円形であってもよい。「楕円形」とは、支持体の断面の長軸と短軸の対称関係を示す2つの対称軸が、1,1:1と20:1の間の、丸くて縁がなく、円ではない外輪郭を意味するものとする。また、本発明の目的のために、クリケットのバットの形状も考えられる。いくつかの適当な外輪郭形状、即ちプロファイル形状は、図5(丸形)、図6(星形)、及び図7(クリケットのバットの形状)から導き出すことができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、フィルタ構成部材の外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、濾布によって覆われている。濾過実施中、濾布は、これらの丸みを帯びた外縁上に置かれ、したがって、基本的に長手方向壁によって支持される。
【0039】
好ましくは、前記フィルタ構成部材の浸漬流路容量は、前記フィルタ構成部材の全ての外側長手方向流路の総差分容量よりも少なくとも1%以上大きく、好ましくは1%~5%大きい。総差分容量は、逆洗位置における濾布内の(濾液にアクセス可能な)全容量から濾過位置における濾布によりカバーされる流路の(濾液にアクセス可能な)容量を引いたものを意味するものとする。
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、濾布が実質的に円筒状の濾布である。好ましくは、それは、布固定要素によって、特に、キャンドルフィルタ構成部材の、長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによってフィルタ構成部材に固定される。本発明のこの実施形態では、布固定要素は、濾過室を供給室に対してシールしている。布固定要素は、例えば、クランプ、テンションリング、又は当業者に公知の他の適当な装置であってもよい。
【0041】
好ましくは、フィルタ構成部材は、さらに、支持体と固定装置との間に結合部を備えると共に、フィルタ装置内でフィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備える。
【0042】
好ましくは、濾布は、図3に示すように、結合部の上方に固定されて、ピン及び結合部の底部を覆う。
【0043】
本発明に係るフィルタ構成部材の熱可塑性材料は、炭素繊維又はガラス繊維などの安定性向上添加剤を含有する複合材料であってもよい。そのような材料、ならびにそれらを適切な方法で成形するための方法は、当業者には公知である。
【0044】
本発明の別の目的は、以下の工程を含む、上述のフィルタ装置を逆洗するための方法であって、
a)フィルタ装置を減圧し、
b)供給室から可能なすべての懸濁液を排出ノズルで排出し、
c)ガス供給ノズルから加圧ガスでフィルタ装置を加圧し、
d)フィルタ構成部材を
i)供給室内の圧力を急速に解放し、それによって濾過室からの圧縮ガスのガスインパルスを誘発して浸漬流路内で濾液を下向きに急速かつ集中的に送り出し、
ii)濾布が最大断面に達するまで膨張させ、それによって濾布から濾過ケーキを取り除く、
ことによって逆洗し、
e)場合により、濾過ケーキのスラリーの沈殿を可能にし、
f)別の排出ノズルによって、前記供給室の底部から前記濾過ケーキのスラリーを排出する、
逆洗方法を提供することである。
【0045】
濾過ケーキスラリーが沈殿している場合、供給室の内容物の一部のみを排出することができる。あるいは、濾過ケーキスラリーが沈殿していない場合、供給室の全内容物を排出することができる。
【0046】
図1は、供給室1を濾過室2から分離するヘッドプレート3上に取り付けられた、本発明に係るいくつかのフィルタキャンドル4を有する濾過容器100を示す。
【0047】
フィルタキャンドル4は、図2に示すように、ヘッドプレートの孔5を介して濾過室に接続されている。
【0048】
濾過容器100はさらに、立管7に接続された供給ノズル6と、ガス供給ノズル8と、排出ノズル9と、濾液ノズル10と、排出ノズル11と、さらに出口12とを備える。
【0049】
濾過は、粒子を含有する未濾過の流体を、供給ノズル6を介して供給室1に導入すると共に懸濁液を形成することによって行われる。粒子はフィルタキャンドル4の外面に残り、濾過された流体はフィルタキャンドル4を通って濾過室2に流れ、さらに濾液ノズル10を介して濾過容器を出る。
【0050】
通常はスラリーの形態の固体を排出するために、供給室1は、濾過ケーキの規定された厚さによって、又は所定の差圧に達することによって示される濾過サイクルの終了後に、充填されたままであり、出口12を介して減圧される。排出ノズル9が開き、装置内の排水が行われる。フィルタキャンドル4内の流体のレベルは、自動的に供給室1内のレベルと同じ高さに達し、排出ノズル9の最低出口のレベルと等しくなる。このステップにおけるフィルタキャンドル4は、内部の濾液で満たされ、一方、供給室1は未濾過の流体で満たされる。排出ノズル9の最低出口のレベルによって画定される供給室1内の容量、及び(代替Aによれば)出口12は逆洗後にフィルタキャンドル4から濾液容量を受け取る必要があり、これは、ノズル9の最低出口のレベルと出口12との間の距離hを決定する(図2参照)。この容量を、逆洗流体の全量を受け入れるのに十分な大きさに設計することによって、フィルタ領域全体を一度に逆洗する場合でも、システム内のどこにも、逆洗流体の流れに対する高い抵抗が存在しないことが保証される。
【0051】
次のステップでは、加圧ガスがガス供給ノズル8を介して供給される。容器100は、まず供給室1の内部で加圧され、次いで濾過室2の内部のフィルタキャンドル4を介して加圧される。これは、最終的に容器100の全てのチャンバは、実質的に同じ気体圧で動作することを意味する。次のステップでは、出口12のバルブが技術的に可能な限り迅速に、好ましくは1秒未満で開かれ、それによって供給室1内の圧力は急速に低下し、濾過室2内の圧縮ガスの助けを借りてガスインパルスが印加され、濾液が浸漬管内で下方に迅速かつ集中的に送り出する。さらに、それは、浸漬管と濾布との間の濾液を、支持構造体の外側流路に沿って上方に送り出し、濾布を通して内側から外側への逆流方向の流れにする。
【0052】
これは、非常に短い時間(<1秒)内にフィルタ領域全体で起こり、濾過室2内に提供される高容量の加圧ガスと、全流体を逆洗するのに十分な供給室1内のガス容量とによって保証される。
【0053】
その結果、濾布は、支持体(長尺棒状材を含む)のそれぞれの直径断面よりも大きい完全な円形断面に達するまで膨張する。濾液は、濾過の流れと反対方向に濾布の内側から外側へ濾布を通って流れるので、濾布から濾過ケーキが除去される。同時に、それはまた、濾布の孔の内部に閉じ込められた粒子を除去する。
【0054】
濾過ケーキは未濾過の流体室に再懸濁され、沈殿後、濾過容器100の底部にスラリーとして蓄積し、そこから排出ノズル11を介して排出される。
【0055】
図3にキャンドルフィルタ4の要部を示す。支持体13は、一体化された浸漬管14を有する押出プロファイルと、濾液を収集し、流れを方向転換するための底部15と、クランプ17が濾布18を締め付けるための支持領域16と、ピン20を介してフィルタ構成部材を固定装置21に固定するための結合部19とを含む。固定装置21には、クランプ17が濾布を締結するための別の支持領域16がある。1つのクランプが底側にあり、1つのクランプが濾布の上側にある。上側では、フィルタ構成部材4がフィルタ構成部材4を濾過室2に接続するための手段(図示せず)を備えている。
【0056】
本発明によれば、未濾過の流体は、キャンドルフィルタ構成部材を外側から内側に通過する。流体は濾布を通過し、外部から内部に一定の差圧が生じる。この差圧によって送り出され、濾布18は支持体13の表面上に貼り付く(図4参照)。これは、外周にわたって非常に均等に起こる。濾布18の表面で分離した未濾過の流体の粒子は、粒子ブリッジを蓄積し、それによって濾過ケーキ23が形成される。清浄な濾過された流体は、濾布18を通過し、支持体13の外側長手方向流路22に収集される。これらの流路22は、支持体の上側で閉鎖され、そのため、濾過された流体は底部15に向かって下向きに流れ、そこで、支持体13の浸漬管14を通って上方に流れ、上側でキャンドルフィルタ構成部材4から出るように方向転換される。濾過ケーキ23の蓄積が完了すると、フィルタキャンドル4は洗浄され、その後、濾過が再開される。洗浄は、2つの異なる方法で行うことができる。濾過ケーキ23を乾燥状態で排出することが望まれるか、又は濾過ケーキがスラリーとして排出されることが望まれるかによって異なる。
【0057】
逆洗とケーキの排出は、ポンプによって流体の流れを逆転させるか、濾液側からガスを導入することによって引き起こされる。ケーキの排出は、最初に全ての液体をシステムから除去し、底部弁を介して濾過ケーキを落下させることによって乾式で行うか、又は充填された供給室1に逆洗し、その後に底部弁からスラリーを排出することによってスラリー形態行うことができる。
【0058】
図5は、本発明に係る湿式ケーキ排出のためのフィルタキャンドル構成部材4の好ましいデザインを示す。濾過ケーキ用の、濾液及び浸漬管用の外側流路を含む支持体13は、すべて1つの連続押出しプロファイルで作られている。したがって、本構成部材は、上部及び底部によって完成されるだけでよく、好ましくは、簡単な機械加工又は射出成形された部品で作られ、したがって、使用される材料及び本構成部材を製造するために必要な時間が最小限に抑えられる。浸漬管流路の直径は、それにより、逆洗中の濾布の動きによって引き起こされる容積変化を補償するのに十分な流体を収容できるように設計されている。
【0059】
図6は、連続的に押し出されたプロファイルが星形に似ている、別の実施例の断面を示すが、それにより、内側から圧縮ガスを印加している間に濾布18が膨張し、濾過ケーキの離脱を改善する際の、濾布18のより大きな動きが可能となる。
【0060】
図7は、連続的に押出されたプロファイル13がクリケットのバットに似ている、別の実施形態の断面を示すが、これも、内側から圧縮ガスを印加している間に濾布が膨張する際の、濾布の大きな動きを可能とする。この実施形態は、所与の容器寸法において、より大きな全体積の濾過ケーキを収容することを可能にする追加の利点を有する。
【0061】
図8は、U字形金属プロファイル26を中央管25上に溶接(例えば、抵抗溶接)することにより、長尺棒状材が本体に取り付けられている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】