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特表2025-503731CD47/PD-L1を標的とするタンパク質複合体及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】CD47/PD-L1を標的とするタンパク質複合体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20250128BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250128BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20250128BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20250128BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20250128BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20250128BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61K47/68
A61K39/395 L
A61K39/395 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542281
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 US2022053125
(87)【国際公開番号】W WO2023140950
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/300,440
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523440260
【氏名又は名称】エフビーデー バイオロジクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジインタン
(72)【発明者】
【氏名】ツェン チーリン
(72)【発明者】
【氏名】チュオ ゾン シェン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045BA72
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、CD47、PD-L1、及び/又はTGFβを標的とする、タンパク質複合体に、並びにその使用方法に関する。一態様では、該タンパク質複合体は、各々がSIRPα細胞外領域の全部又は一部分を含む1つ以上のCD47結合ドメイン、各々がPD-1細胞外領域の全部又は一部分を含む1つ以上のPD-L1結合ドメイン、及び任意選択で、各々がTGFBR2細胞外領域の全部又は一部分を含む1つ以上のTGFβ結合ドメインを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)Fcと、
(b)CD47結合ドメインと、
(c)PD-L1(プログラム死リガンド1)結合ドメインと
を含む、タンパク質複合体。
【請求項2】
TGFβ(トランスフォーミング増殖因子ベータ)結合ドメインを更に含む、請求項1に記載のタンパク質複合体。
【請求項3】
前記CD47結合ドメインが、CD47を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合することができ、かつ/又はCD47とシグナル調節タンパク質α(SIRPα)との間の相互作用を遮断することができる、請求項1又は2に記載のタンパク質複合体。
【請求項4】
前記CD47結合ドメインが、SIRPα細胞外ドメイン(例えば、ヒトSIRPα細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項5】
前記CD47結合ドメインが、抗CD47抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項6】
前記CD47結合ドメインが、配列番号6に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項7】
前記PD-L1結合ドメインが、PD-L1を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合することができ、かつ/又はPD-L1とプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)との間の相互作用を遮断することができる、請求項1~6のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項8】
前記PD-L1結合ドメインが、PD-1細胞外ドメイン(例えば、ヒトPD-1細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項9】
前記PD-L1結合ドメインが、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である、請求項1~7のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項10】
前記PD-L1結合ドメインが、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項11】
前記TGFβ結合ドメインが、TGFβを捕捉することができ、それによって、免疫応答を増加させかつ/又は腫瘍微小環境を改善することができる、請求項2~10のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項12】
前記TGFβ結合ドメインが、TGFBR2細胞外ドメイン(例えば、ヒトTGFBR2細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む、請求項2~11のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項13】
前記TGFβ結合ドメインが、抗TGFβ抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である、請求項2~11のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項14】
前記TGFβ結合ドメインが、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項2~13のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項15】
前記Fcが、ヒトIgG4 Fcである、請求項1~14のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項16】
前記CD47結合ドメインが、任意選択でヒンジ領域を介して、前記FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項17】
前記PD-L1結合ドメインが、任意選択でリンカーペプチドを介して、前記CD47結合ドメインのN末端に連結されている、請求項16に記載のタンパク質複合体。
【請求項18】
前記PD-L1結合ドメインが、任意選択でヒンジ領域を介して、前記FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項19】
前記CD47結合ドメインが、任意選択でリンカーペプチドを介して、前記PD-L1結合ドメインのN末端に連結されている、請求項18に記載のタンパク質複合体。
【請求項20】
前記ヒンジ領域が、EU付番によるS228P変異を任意選択で有するヒトIgG4ヒンジ領域である、請求項16~19のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項21】
前記TGFβ結合ドメインが、任意選択でリンカーペプチドを介して、前記FcにおけるCH3ドメインのC末端に連結されている、請求項2~20のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項22】
2つ以上のCD47結合ドメインを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項23】
2つ以上のPD-L1結合ドメインを含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項24】
2つ以上のTGFβ結合ドメインを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項25】
(a)N末端からC末端に向かって、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択の第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む、第1のポリペプチドと、
(b)N末端からC末端に向かって、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む、第2のポリペプチドと
を含む、タンパク質複合体。
【請求項26】
前記第1のPD-L1結合ドメイン及び/又は前記第2のPD-L1結合ドメインが、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項25に記載のタンパク質複合体。
【請求項27】
前記第1のCD47結合ドメイン及び/又は前記第2のCD47結合ドメインが、配列番号6に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項25又は26に記載のタンパク質複合体。
【請求項28】
前記第1のTGFβ結合ドメイン及び/又は前記第2のTGFβ結合ドメインが、配列番号7に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項29】
前記第1のヒンジ領域及び/又は前記第2のヒンジ領域が、配列番号16に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項30】
前記第1のFc領域及び/又は前記第2のFc領域が、配列番号17に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項31】
前記第1のリンカーペプチド及び/又は前記第3のリンカーペプチドが、配列番号8に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項25~30のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項32】
前記第2のリンカーペプチド及び/又は前記第4のリンカーペプチドが、配列番号9に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項25~31のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項33】
前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列番号1に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項34】
前記第1のポリペプチドが、第3のPD-L1結合ドメインを更に含み、前記第2のポリペプチドが、第4のPD-L1結合ドメインを更に含む、請求項25~33のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項35】
前記第3のPD-L1結合ドメイン及び/又は前記第4のPD-L1結合ドメインが、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項34に記載のタンパク質複合体。
【請求項36】
前記第3のPD-L1結合ドメインが、任意選択で第5のリンカーペプチドを介して、前記第1のPD-L1結合ドメインのN末端に連結されており、前記第4のPD-L1結合ドメインが、任意選択で第6のリンカーペプチドを介して、前記第2のPD-L1結合ドメインのN末端に連結されている、請求項34又は35に記載のタンパク質複合体。
【請求項37】
前記第5のリンカーペプチド及び/又は前記第6のリンカーペプチドが、配列番号10に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項36に記載のタンパク質複合体。
【請求項38】
前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列番号3に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項34~37のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項39】
(a)N末端からC末端に向かって、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択の第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む、第1のポリペプチドと、
(b)N末端からC末端に向かって、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む、第2のポリペプチドと
を含む、タンパク質複合体。
【請求項40】
前記第1のCD47結合ドメイン及び/又は前記第2のCD47結合ドメインが、配列番号6に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項39に記載のタンパク質複合体。
【請求項41】
前記第1のPD-L1結合ドメイン及び/又は前記第2のPD-L1結合ドメインが、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項39又は40に記載のタンパク質複合体。
【請求項42】
前記第1のTGFβ結合ドメイン及び/又は前記第2のTGFβ結合ドメインが、配列番号7に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項39~41のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項43】
前記第1のヒンジ領域及び/又は前記第2のヒンジ領域が、配列番号16に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項39~42のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項44】
前記第1のFc領域及び/又は前記第2のFc領域が、配列番号17に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項39~43のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項45】
前記第1のリンカーペプチド及び/又は前記第3のリンカーペプチドが、配列番号8に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項39~44のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項46】
前記第2のリンカーペプチド及び/又は前記第4のリンカーペプチドが、配列番号9に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項39~45のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項47】
前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列番号2に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項25~32のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項48】
前記第1のポリペプチドが、第3のPD-L1結合ドメインを更に含み、前記第2のポリペプチドが、第4のPD-L1結合ドメインを更に含む、請求項39~47のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項49】
前記第3のPD-L1結合ドメイン及び/又は前記第4のPD-L1結合ドメインが、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項48に記載のタンパク質複合体。
【請求項50】
任意選択で、前記第1のPD-L1結合ドメインと前記第3のPD-L1結合ドメインとの間の第5のリンカーペプチドを介して、該第3のPD-L1結合ドメインが、該第1のPD-L1結合ドメインと前記第1のヒンジ領域との間で融合されており、任意選択で、前記第2のPD-L1結合ドメインと前記第4のPD-L1結合ドメインとの間の第6のリンカーペプチドを介して、該第4のPD-L1結合ドメインが、該第2のPD-L1結合ドメインと前記第2のヒンジ領域との間で融合されている、請求項48又は49に記載のタンパク質複合体。
【請求項51】
前記第5のリンカーペプチド及び/又は前記第6のリンカーペプチドが、配列番号10に対して少なくとも80%同一である配列を含む、請求項50に記載のタンパク質複合体。
【請求項52】
前記第1のポリペプチド及び/又は前記第2のポリペプチドが、配列番号4に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む、請求項48~51のいずれか一項に記載のタンパク質複合体。
【請求項53】
請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体をコードするポリヌクレオチドを含む、核酸。
【請求項54】
DNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)である、請求項53に記載の核酸。
【請求項55】
請求項53又は54に記載の核酸のうちの1つ以上を含む、ベクター。
【請求項56】
請求項55に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項57】
CHO細胞である、請求項56に記載の細胞。
【請求項58】
請求項53又は54に記載の核酸のうちの1つ以上を含む、細胞。
【請求項59】
タンパク質複合体を産生する方法であって、
(a)請求項56~58のいずれか一項に記載の細胞が該タンパク質複合体を産生するのに十分な条件下で、該細胞を培養することと、
(b)該細胞によって産生された該タンパク質複合体を収集することと
を含む、該方法。
【請求項60】
治療用物質に共有結合している請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体を含む、タンパク質コンジュゲート。
【請求項61】
前記治療用物質が、細胞毒性物質又は細胞増殖抑制物質である、請求項60に記載のタンパク質コンジュゲート。
【請求項62】
がんを有する対象を治療する方法であって、
請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体又は請求項60若しくは61に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の治療有効量を、該対象に投与することを含む、該方法。
【請求項63】
前記対象が、CD47及び/又はPD-L1を発現するがん細胞を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記がんが、乳がん、前立腺がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、中皮腫、肺がん、卵巣がん、結腸がん、胸膜腫瘍、神経膠芽腫、食道がん、胃がん(gastric cancer)、滑膜肉腫、胸腺がん、子宮内膜がん腫、胃がん(stomach cancer)、胆管がん、頭頸部がん、血液がん、又はそれらの組み合わせである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
腫瘍増殖速度を減少させる方法であって、
腫瘍細胞を、請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体又は請求項60若しくは61に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の有効量と接触させることを含む、該方法。
【請求項66】
腫瘍細胞を殺滅する方法であって、
腫瘍細胞を、請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体又は請求項60若しくは61に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の有効量と接触させることを含む、該方法。
【請求項67】
請求項1~52のいずれか一項に記載のタンパク質複合体と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2022年1月18日に出願された米国仮特許出願第63/300,440号の優先権及び利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
この出願には、52246-0002WO1_SL_ST26.xmlという名称のXMLファイルとして電子的に提出された配列表が含まれる。XMLファイルは、2022年12月15日に作成され、24,297バイトのサイズである。XMLファイル内のデータは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本開示は、CD47及びPD-L1を標的とする、タンパク質複合体に、並びにその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
シグナル調節タンパク質α(SIRPα)は、SIRPファミリー由来の調節性膜糖タンパク質である。これは、主に骨髄細胞によって発現され、幹細胞又はニューロンによっても発現される。SIRPαは、阻害性受容体として作用し、広く発現された膜貫通タンパク質CD47と相互作用する。この相互作用は、宿主細胞の食作用などの自然免疫細胞のエフェクター機能を負に制御する。SIRPαは、マクロファージ膜上で横方向に拡散し、食作用シナプスに蓄積してCD47に結合し、これは、マクロファージによる食作用の細胞骨格集約的プロセスを阻害する。CD47は、シグナル調節タンパク質アルファ(SIRPα)のN末端に結合することによって、「食べないで(do not eat)」シグナルを提供する。CD47は、多くの異なる腫瘍細胞において過剰発現されていることが見出されている。CD47及び/又はSIRPαを標的とすることは、がん免疫療法に有用である可能性がある。しかしながら、CD47は、赤血球(RBC)及び血小板上でも発現されるため、CD47/SIRPα相互作用を阻害することは、RBC及び血小板の食作用を引き起こす場合がある。プログラム死-1(PD-1)は、免疫チェックポイントであり、調節性T細胞におけるアポトーシスを低減させながら、リンパ節における抗原特異的T細胞のアポトーシスを促進するという二重の機構を介して自己免疫から保護する。CD47/SIRPα経路及び/又はPD-1/PD-L1経路を標的とする治療法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
概要
本開示は、CD47及びPD-L1を標的とする、タンパク質複合体に、並びにその使用方法に関する。いくつかの場合、タンパク質複合体はまた、TGFβを標的とし得る。
【0006】
一態様では、本開示は、(a)Fcと、(b)CD47結合ドメインと、(c)PD-L1(プログラム死リガンド1)結合ドメインとを含む、タンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、TGFβ(トランスフォーミング増殖因子ベータ)結合ドメインを更に含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、CD47を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合し得、かつ/又はCD47とシグナル調節タンパク質α(SIRPα)との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、SIRPα細胞外ドメイン(例えば、ヒトSIRPα細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、抗CD47抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、PD-L1を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合し得、かつ/又はPD-L1とプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、PD-1細胞外ドメイン(例えば、ヒトPD-1細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、抗PD-L1抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、TGFβを捕捉し得、それによって、免疫応答を増加させかつ/又は腫瘍微小環境を改善し得る。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、TGFBR2細胞外ドメイン(例えば、ヒトTGFBR2細胞外ドメイン)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、抗TGFβ抗体又はその抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)である。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、Fcは、ヒトIgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、任意選択でヒンジ領域を介して、FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、任意選択でリンカーペプチドを介して、CD47結合ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、任意選択でヒンジ領域を介して、FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、任意選択でリンカーペプチドを介して、PD-L1結合ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、EU付番によるS228P変異を任意選択で有するヒトIgG4ヒンジ領域である。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、任意選択でリンカーペプチドを介して、FcにおけるCH3ドメインのC末端に連結されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上のCD47結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上のPD-L1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上のTGFβ結合ドメインを含む。
【0012】
一態様では、本開示は、(a)N末端からC末端に向かって、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択の第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む、第1のポリペプチドと、(b)N末端からC末端に向かって、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む、第2のポリペプチドとを含む、タンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、第1のPD-L1結合ドメイン及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のCD47結合ドメイン及び/又は第2のCD47結合ドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTGFβ結合ドメイン及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のヒンジ領域及び/又は第2のヒンジ領域は、配列番号16に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のFc領域及び/又は第2のFc領域は、C末端に付加されたリジン又はアラニン残基を任意選択で有する、配列番号17に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のリンカーペプチド及び/又は第3のリンカーペプチドは、配列番号8に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第2のリンカーペプチド及び/又は第4のリンカーペプチドは、配列番号9に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、第3のPD-L1結合ドメインを更に含み、第2のポリペプチドは、第4のPD-L1結合ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第3のPD-L1結合ドメイン及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第3のPD-L1結合ドメインは、任意選択で第5のリンカーペプチドを介して、第1のPD-L1結合ドメインのN末端に連結されており、いくつかの実施形態では、第4のPD-L1結合ドメインは、任意選択で第6のリンカーペプチドを介して、第2のPD-L1結合ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、第5のリンカーペプチド及び/又は第6のリンカーペプチドは、配列番号10に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。
【0014】
一態様では、本開示は、(a)N末端からC末端に向かって、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択の第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む、第1のポリペプチドと、(b)N末端からC末端に向かって、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む、第2のポリペプチドとを含む、タンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、第1のCD47結合ドメイン及び/又は第2のCD47結合ドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のPD-L1結合ドメイン及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のTGFβ結合ドメイン及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のヒンジ領域及び/又は第2のヒンジ領域は、配列番号16に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のFc領域及び/又は第2のFc領域は、C末端に付加されたリジン又はアラニン残基を任意選択で有する、配列番号17に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のリンカーペプチド及び/又は第3のリンカーペプチドは、配列番号8に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第2のリンカーペプチド及び/又は第4のリンカーペプチドは、配列番号9に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドは、第3のPD-L1結合ドメインを更に含み、第2のポリペプチドは、第4のPD-L1結合ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第3のPD-L1結合ドメイン及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、任意選択で、第1のPD-L1結合ドメインと第3のPD-L1結合ドメインとの間の第5のリンカーペプチドを介して、第3のPD-L1結合ドメインは、第1のPD-L1結合ドメインと第1のヒンジ領域との間で融合されており、いくつかの実施形態では、任意選択で、第2のPD-L1結合ドメインと第4のPD-L1結合ドメインとの間の第6のリンカーペプチドを介して、第4のPD-L1結合ドメインは、第2のPD-L1結合ドメインと第2のヒンジ領域との間で融合されている。いくつかの実施形態では、第5のリンカーペプチド及び/又は第6のリンカーペプチドは、配列番号10に対して少なくとも80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号4に対して少なくとも80%、90%、95%、又は100%同一である配列を含む。
【0016】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のタンパク質複合体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸に関する。いくつかの実施形態では、核酸は、DNA(例えば、cDNA)又はRNA(例えば、mRNA)である。
【0017】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸のうちの1つ以上を含むベクターに関する。
【0018】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のベクターを含む細胞に関する。いくつかの実施形態では、細胞は、CHO細胞である。
【0019】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸のうちの1つ以上を含む細胞に関する。
【0020】
一態様では、本開示は、タンパク質複合体を産生する方法に関し、本方法は、(a)細胞がタンパク質複合体を産生するのに十分な条件下で、本明細書に記載の細胞を培養することと、(b)細胞によって産生されたタンパク質複合体を収集することとを含む。
【0021】
一態様では、本開示は、治療用物質に共有結合している本明細書に記載のタンパク質複合体を含む、タンパク質コンジュゲートに関する。いくつかの実施形態では、治療用物質は、細胞毒性物質又は細胞増殖抑制物質である。
【0022】
一態様では、本開示は、がんを有する対象を治療する方法に関し、本方法は、明細書に記載のタンパク質複合体又は請明細書に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の治療有効量を、対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、CD47及び/又はPD-L1を発現するがん細胞を有する。いくつかの実施形態では、がんは、乳がん、前立腺がん、非小細胞肺がん、膵臓がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、中皮腫、肺がん、卵巣がん、結腸がん、胸膜腫瘍、神経膠芽腫、食道がん、胃がん(gastric cancer)、滑膜肉腫、胸腺がん、子宮内膜がん腫、胃がん(stomach cancer)、胆管がん、頭頸部がん、血液がん、又はそれらの組み合わせである。
【0023】
一態様では、本開示は、腫瘍増殖速度を減少させる方法に関し、本方法は、腫瘍細胞を、本明細書に記載のタンパク質複合体又は本明細書に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の有効量と接触させることを含む。
【0024】
一態様では、本開示は、腫瘍細胞を殺滅する方法に関し、本方法は、腫瘍細胞を、本明細書に記載のタンパク質複合体又は本明細書に記載のタンパク質コンジュゲートを含む組成物の有効量と接触させることを含む。
【0025】
一態様では、本開示は、本明細書に記載のタンパク質複合体と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0026】
本明細書で使用される場合、「タンパク質複合体」又は「タンパク質構築物」という用語は、1つ以上のポリペプチドを有する複合体を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上のポリペプチドを有し、ポリペプチドは、互いに会合して、二量体又は多量体を形成し得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「CD47結合ドメイン」という用語は、CD47に結合し得るタンパク質ドメインを指す。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、抗CD47抗体、その抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)、又はCD47結合タンパク質若しくはその一部分であり得る。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、1つ以上の自己安定化ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、SIRPα細胞外ドメインを含むか、又はそれからなる。SIRPαは、野生型SIRPα、ヒトSIRPα、野生型SIRPαに由来するポリペプチド(例えば、変異を有する)、又はその一部分(例えば、SIRPαの細胞外領域、又はSIRPαのIgVドメイン)であり得る。いくつかの実施形態では、野生型SIRPαに由来するポリペプチドは、1つ以上の変異を有し得る。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、SIRPαの実質的に細胞外領域全体又はそのバリアントを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、SIRPαのIgVドメイン又はそのバリアントを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、IgVドメインは、1つ以上の変異を有する。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、1つ以上の変異を有する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「PD-L1結合ドメイン」という用語は、PD-L1に結合し得るタンパク質ドメインを指す。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片(例えば、scFv若しくはVHH)、又はPD-L1結合タンパク質若しくはその一部分であり得る。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、1つ以上の自己安定化ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、PD-1細胞外ドメインを含むか、又はそれからなる。PD-1は、野生型PD-1、ヒトPD-1、野生型PD-1に由来するポリペプチド(例えば、変異を有する)、又はその一部分(例えば、PD-1の細胞外領域)であり得る。いくつかの実施形態では、野生型PD-1に由来するポリペプチドは、1つ以上の変異を有し得る。いくつかの実施形態では、PD-1細胞外ドメインは、PD-1の実質的に細胞外領域全体又はそのバリアントを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、PD-1細胞外ドメインは、PD-1の細胞外領域の一部分又はそのバリアントを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、PD-1細胞外ドメインは、1つ以上の変異を有する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、自律増殖の能力を有する細胞を指す。そのような細胞の例としては、急速に増殖する細胞増殖によって特徴付けられる異常な状態(state)又は状態(condition)を有する細胞が挙げられる。この用語は、組織病理学的なタイプ又は侵襲性の段階にかかわらず、がん性増殖、例えば、腫瘍、発がんプロセス、転移性組織、及び悪性に形質転換された細胞、組織、又は臓器を含むことを意味する。また、呼吸器系、心臓血管系、腎臓系、生殖器系、血液系、神経系、肝臓系、胃腸系、及び内分泌系などの様々な器官系の悪性腫瘍、並びにほとんどの結腸がん、腎細胞がん腫、前立腺がん及び/又は精巣腫瘍、肺の非小細胞がん腫、ならびに小腸のがんなどの悪性腫瘍を含む腺がんも含まれる。「自然発生する」がんは、がん細胞の対象への移植によって実験的に誘導されていない任意のがんを含み、例えば、自発的に発生するがん、患者の発がん物質への曝露によって引き起こされるがん、トランスジェニックがん遺伝子の挿入又は腫瘍抑制遺伝子のノックアウトによって引き起こされるがん、及び感染、例えば、ウイルス感染によって引き起こされるがんを含む。「がん腫」という用語は、当該技術分野で認識され、上皮又は内分泌組織の悪性腫瘍を指す。この用語はまた、がん性組織及び肉腫組織からなる悪性腫瘍を含むがん肉腫も含む。「腺がん」とは、腺組織に由来するか、又は腫瘍細胞が認識可能な腺構造を形成するがんを指す。「肉腫」という用語は、当該技術分野で認識され、間葉系由来の悪性腫瘍を指す。「造血腫瘍性障害」という用語は、造血起源の過形成/腫瘍細胞が関与する疾患を含む。造血腫瘍性障害は、骨髄系統、リンパ系統、若しくは赤血球系統、又はその前駆細胞から生じる可能性がある。血液がんは、骨髄などの造血組織、又は免疫系の細胞において発生するがんである。血液がんの例としては、例えば、白血病、リンパ腫、及び多発性骨髄腫などが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「対象」及び「患者」という用語は、本明細書全体にわたって互換的に使用され、本発明の方法による治療が提供される動物、ヒト、又は非ヒトを説明する。獣医学的用途及び非獣医学的用途が、本開示において企図される。ヒト患者は、成人のヒト又は若年のヒト(例えば、18歳未満のヒト)であり得る。ヒトに加えて、患者には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、フェレット、ネコ、イヌ、及び霊長類が含まれるが、これらに限定されない。例えば、非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジー、ゴリラなど)、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット、ウサギ)、ウサギ目、ブタ(例えば、ブタ、ミニチュアブタ)、ウマ科、イヌ科、ネコ科、ウシ属、及び他の家庭用動物、家畜、動物園動物が含まれる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、少なくとも2つのアミノ酸の任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために互換的に使用される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」、「核酸分子」、及び「核酸配列」という用語は、少なくとも2つのヌクレオチドの任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指すために本明細書で互換的に使用され、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、及びそれらの改変を含むが、これらに限定されない。
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。方法及び材料は、本発明における使用のために本明細書に記載されており、当該技術分野で既知の他の好適な方法及び材料も使用され得る。材料、方法、及び実施例は、単なる例示であり、限定することを意図したものではない。本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリ、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先される。
【0034】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1-1】図1A~1Dは、それぞれHCB301-4、HCB301-3、HCB301-2、及びHCB301-1の概略構造を示す。
図1-2】図1-1の説明を参照のこと。
図2】CD47を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞に対するHCB301タンパク質の全体的な細胞結合の結果を示す。
図3】PD-L1を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞に対するHCB301タンパク質の全体的な細胞結合の結果を示す。
図4】CD47発現FaDu細胞に対するHCB301タンパク質の全体的な細胞結合の結果を示す。
図5A図5A~5Bは、HCB301タンパク質のRBC結合の結果を示す。図5Bは、Hu5F9-G4の曲線のない結果を示す。
図5B図5Aの説明を参照のこと。
図6A図6A~6Bは、HCB301タンパク質の血小板結合の結果を示す。図6Bは、Hu5F9-G4の曲線のない結果を示す。
図6B図6Aの説明を参照のこと。
図7A】HCB301タンパク質のヒトTGFβ1結合の結果及びEC50値を示す。IgG4-TGFβトラップを陽性対照として使用した。
図7B】HCB301タンパク質のヒトTGFβ2結合の結果及びEC50値を示す。IgG4-TGFβトラップを陽性対照として使用した。
図7C】HCB301タンパク質のヒトTGFβ3結合の結果及びEC50値を示す。IgG4-TGFβトラップを陽性対照として使用した。
図8A】トランスフェクションされていないOE19細胞及びPD-L1を発現するトランスフェクションされたOE19細胞に対する32pM濃度のHCB301タンパク質の結合パーセンテージを示す。
図8B図8B~8Gは、トランスフェクションされていないOE19細胞及びPD-L1を発現するトランスフェクションされたOE19細胞に対するSIRPα_G4、PD1_G4、HCB301-3、HCB301-4、HCB301-1、及びHCB301-2の結合曲線を示す。
図8C図8Bの説明を参照のこと。
図8D図8Bの説明を参照のこと。
図8E図8Bの説明を参照のこと。
図8F図8Bの説明を参照のこと。
図8G図8Bの説明を参照のこと。
図9】HCB301タンパク質のRBC血球凝集の結果を示す。
図10】CD47を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞に対するHCB301タンパク質のSIRPα/CD47遮断の結果を示す。
図11】PD-L1を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞に対するHCB301タンパク質のPD-1/PD-L1遮断の結果を示す。ビオチン-PD1-ECD-Fcは、ビオチン化PD1_G4を表す。
図12A】HCB301タンパク質によって阻害されたTGFβ-1媒介smad2レポーター活性を示す。
図12B】HCB301タンパク質によって阻害されたTGFβ-2媒介smad2レポーター活性を示す。
図12C】HCB301タンパク質によって阻害されたTGFβ-3媒介smad2レポーター活性を示す。
図13】CD47発現Jurkat細胞に対するRaw264.7マウスマクロファージによるHCB301タンパク質の誘導食作用活性を示す。
図14A】TGFβ1の存在下でのMLRアッセイにおけるHCB301タンパク質誘導細胞増殖を示す。
図14B】ELISAによって測定されたTGFβ1の存在下でのMLRアッセイにおけるHCB301タンパク質誘導IL-2分泌を示す。
図14C】ELISAによって測定されたTGFβ1の存在下でのMLRアッセイにおけるHCB301タンパク質誘導IFN-γ分泌を示す。
図15A図15A~15Bは、インビトロアッセイの結果を要約した表を示す。
図15B図15Aの説明を参照のこと。
図16-1】図16は、本開示において論じられた配列を列挙する。
図16-2】図16-1の説明を参照のこと。
図16-3】図16-1の説明を参照のこと。
図16-4】図16-1の説明を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
本開示は、CD47及びPD-L1に結合するタンパク質複合体を提供する。これらのタンパク質複合体を使用して、CD47/SIRPα経路及びPD-1/PD-L1経路を同時に標的とし得る。その結果は、タンパク質複合体が、CD47発現がん細胞に効果的に結合し、内因性のSIRPαとCD47との間の相互作用を遮断し、それによって自然免疫応答(例えば、マクロファージによるがん細胞の食作用)を誘導し得ることを示す。一方、タンパク質複合体は、RBC細胞又は血小板への最小限の結合を示し、それによって、抗CD47抗体マグロリマブ(magrolimab)によって観察されるように、宿主細胞のクリアランスを阻害した。加えて、結果は、タンパク質複合体が、PD-L1発現がん細胞に選択的に結合し、内因性のPD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断し得ることを示す。更に、タンパク質複合体はまた、TGFβトラップを含み得、それによって、TGFβ誘導免疫抑制応答を阻害し、T細胞増殖及びサイトカイン分泌を増加させる。
【0037】
したがって、本明細書に記載のタンパク質複合体は、マクロファージによる食作用の増加(例えば、食作用のCD47媒介阻害の不活性化による)を介した腫瘍免疫原性及び抗原提示の増強、並びにPD-1/PD-L1及びTGFβシグナル伝達経路の阻害を介したT細胞活性化の増強を伴うがん治療のために使用され得る。
【0038】
SIRPα細胞外ドメイン
シグナル調節タンパク質α(SIRPα、SIRPa、Sirpa、又はCD172A)は、膜貫通タンパク質である。3つのIg様ドメインを含む細胞外領域、並びにタンパク質チロシンホスファターゼSHP1及びSHP2の結合を媒介する免疫受容体チロシンベース阻害モチーフを含有する細胞質領域を有する。SIRPαのチロシンリン酸化は、様々な増殖因子及びサイトカインによって、並びに細胞外マトリックスタンパク質へのインテグリン媒介細胞接着によって調節される。SIRPαは、マクロファージ及び樹状細胞などの骨髄細胞において特に豊富であるが、T細胞、B細胞、NK細胞、及びNKT細胞においては低レベルでのみ発現される。
【0039】
SIRPαの細胞外領域は、そのリガンドCD47と相互作用することができる。マクロファージ上のSIRPαと赤血球上のCD47との相互作用は、インビトロ及びインビボでのマクロファージによるIgオプソニン化赤血球の食作用を防止する。隣接細胞上で発現されたCD47による食細胞上のSIRPαのライゲーションは、SIRPα細胞質免疫受容体チロシンベース阻害モチーフのリン酸化をもたらし、SHP-1及びSHP-2ホスファターゼの動員をもたらす。1つの生じる下流効果は、食作用シナプスでのミオシン-IIAの蓄積の防止、及び結果としての食作用の阻害である。したがって、CD47-SIRPα相互作用は、健康な自己細胞が不適切に食作用されないことを確実にするために、「私を食べないで(don’t eat me)」シグナルを送るための負の免疫チェックポイントとして機能する。しかしながら、CD47の過剰発現はまた、ほぼ全てのタイプの腫瘍においても見出されており、そのうちのいくつかは、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、膀胱がん、及び乳がんを含む。マクロファージのそのような負の調節は、CD47のSIRPαへの結合を遮断することによって最小限に抑えられ得る。したがって、CD47/SIRPα相互作用を遮断する作用物質は、抗体依存性細胞食作用(ADCP)の両方を促進し得、いくつかの場合では、抗体依存性細胞毒性(ADCC)を引き起こし得、したがって、様々ながんを治療するために使用され得る。
【0040】
CD47/SIRPα相互作用を遮断することは、細胞食作用を促進し得、したがって、様々ながんを治療するために使用され得る。それは、先天性免疫によって、がん細胞の認識及び排除を引き起こす。CD47又はSIRPαを標的とする作用物質を使用して、様々な腫瘍及びがん、例えば、固形腫瘍、血液悪性腫瘍(例えば、再発又は難治性の血液悪性腫瘍)、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳がん、膀胱がん、卵巣がん、及び小細胞肺がん腫瘍を治療し得る。
【0041】
加えて、SIRPαは、マクロファージによる、赤血球及び血小板を含む、CD47発現宿主細胞のインビボクリアランスを阻害するように作用する。CD47-SIRPα相互作用はまた、造血幹細胞への生着に不可欠であるようである。CD47/SIRPα相互作用を遮断することは、正常な赤血球の偶発的な死滅を引き起こし、貧血をもたらし、炎症を引き起こす場合がある。したがって、例えば、赤血球に対する効果を限定又は制御して、SIRPαを標的とする作用物質とCD47との相互作用を調節することが重要である。
【0042】
SIRPα及びその機能の詳細な説明は、例えば、Yanagita et al.“Anti-SIRPα antibodies as a potential new tool for cancer immunotherapy.”JCI insight 2.1(2017)、Seiffert et al.“Signal-regulatory protein α(SIRPα)but not SIRPβ is involved in T-cell activation,binds to CD47 with high affinity,and is expressed on immature CD34+CD38-hematopoietic cells.”Blood97.9(2001):2741-2749において見出され得、これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
ヒトSIRPαは、シグナル調節タンパク質(SIRP)のメンバーである。シグナル調節タンパク質は、必須の細胞表面タンパク質相互作用及びシグナル伝達を媒介する細胞表面Igスーパーファミリータンパク質である。SIRPは全て、N末端の細胞外領域、単一膜貫通ドメイン、及びC末端の細胞内領域を含有する。
【0044】
ヒトSIRPαの細胞外領域(UniProt識別子:P78324)は、IgVドメイン、Ig様C1-1型ドメイン、及びIg様C1-2型ドメインを有する。これらは、ヒトSIRPαタンパク質(配列番号23、NP_542970.1)のアミノ酸32~137、アミノ酸148~247、及びアミノ酸254~348に対応する。アミノ酸1~30は、シグナルペプチドである。ヒトSIRPαはまた、2つの推定上の免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む長い細胞内ドメインを有する。SIRPα ITIMの活性化は、細胞の応答を負に調節する阻害シグナルを送達する。
【0045】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、1つ以上のCD47結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、SIRPα細胞外ドメインを含むか、又はそれからなる。本明細書で使用される場合、「SIRPα細胞外ドメイン」は、SIRPαの細胞外領域の全部若しくは一部分又はそのバリアントを指し、細胞外領域の一部分は、CD47に結合し得る。SIRPα細胞外ドメインは、独立して折り畳み得、自己安定化構造を形成し得る、1つ以上のタンパク質ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、IgVドメイン、Ig様C1-1型ドメイン、及びIg様C1-2型ドメインから選択される1つ以上のドメインを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、IgVドメインを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、IgVドメイン及びIg様C1-1型ドメインを含むか、又はそれらからなる。いくつかの実施形態では、SIRPα細胞外ドメインは、IgVドメイン、Ig様C1-1型ドメイン、及びIg様C1-2型ドメインを含むか、又はそれらからなる。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSIRPα細胞外ドメインは、ヒトSIRPαタンパク質(NCBIアクセッション番号:AAH26692.1、配列番号12)のアミノ酸31~148に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD47結合ドメイン又はSIRPαドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD47結合ドメイン又はSIRPα細胞外ドメインは、ヒトSIRPαタンパク質のIgVドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCD47結合ドメイン又はSIRPα細胞外ドメインは、マウスSIRPαタンパク質のIgVドメインを含む。
【0047】
PD-1細胞外ドメイン
PD-1(プログラム死-1)は、免疫チェックポイントであり、調節性T細胞(抗炎症性、抑制性T細胞)におけるアポトーシスを低減させながら、リンパ節における抗原特異的T細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)を促進するという二重の機構を介して自己免疫から保護する。
【0048】
PD-1は、主にT細胞及び初代B細胞の表面上で発現され、PD-1の2つのリガンド(PD-L1及びPD-L2)は、抗原提示細胞(APC)において広く発現される。PD-1とそのリガンドとの相互作用は、免疫応答の負の調節において重要な役割を果たす。PD-1とそのリガンドとの間の結合の阻害は、腫瘍細胞を免疫系の殺滅効果に曝すことができ、したがって、腫瘍組織を殺滅し、がんを治療する効果に到達することができる。
【0049】
PD-L1は、多くの異なるがんの腫瘍細胞上に発現される。T細胞上のPD-1に結合してその阻害をもたらすことにより、PD-L1発現は、腫瘍細胞が免疫攻撃を回避することができる主要な機構である。PD-L1の過剰発現は、概念的には、内因性及び適応性の2つの機構に起因し得る。がん細胞上でのPD-L1の固有の発現は、これらの腫瘍細胞における細胞/遺伝子異常に関連する。AKT及びSTAT経路を含む細胞シグナル伝達の活性化は、PD-L1発現の増加をもたらす。原発性縦隔B細胞リンパ腫では、MHCクラスIIトランス活性化因子(CIITA)とPD-L1又はPD-L2との遺伝子融合が生じ、これらのタンパク質の過剰発現をもたらす。PD-L1及びPD-L2が位置する染色体9p23-24の増幅は、古典的ホジキンリンパ腫における両方のタンパク質の発現の増加をもたらす。適応機構は、腫瘍微小環境におけるPD-L1発現の誘導に関連する。PD-L1は、インターフェロンγに応答して、腫瘍細胞上で誘導され得る。マイクロサテライト不安定性結腸がんでは、PD-L1は、主に腫瘍内の骨髄細胞上で発現され、したがって、細胞毒性T細胞機能を抑制する。
【0050】
抗腫瘍免疫を増強するためのPD-1遮断の使用は、PD-1相互作用を防止することがT細胞の枯渇を逆転させた慢性感染症モデルでの観察に由来する。同様に、PD-1の遮断は、T細胞PD-1/腫瘍細胞PD-L1又はT細胞PD-1/腫瘍細胞PD-L2の相互作用を防止し、T細胞媒介抗腫瘍免疫の回復をもたらす。
【0051】
PD-1の詳細な説明、及びがんを治療するための抗PD-1抗体の使用は、例えば、Topalian,Suzanne L.,et al.“Safety,activity,and immune correlates of anti-PD-1 antibody in cancer.”New England Journal of Medicine 366.26(2012):2443-2454、Hirano,Fumiya,et al.“Blockade of B7-H1 and PD-1 by monoclonal antibodies potentiates cancer therapeutic immunity.”Cancer research 65.3(2005):1089-1096、Raedler,Lisa A.“Keytruda(pembrolizumab):first PD-1 inhibitor approved for previously treated unresectable or metastatic melanoma.”American health&drug benefits 8.Spec Feature(2015):96、Kwok,Gerry,et al.“Pembrolizumab(Keytruda).”(2016):2777-2789、US2017/0247454、US9,834,606(B)、及びUS8,728,474において記載されており、これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0052】
UniProt識別子Q15116によれば、ヒトPD-1の細胞外領域は、配列番号11のアミノ酸24~170に対応し、ヒトPD-1の膜貫通領域は、配列番号11のアミノ酸171~191に対応し、ヒトPD-1の細胞質領域は、配列番号11のアミノ酸192~288に対応する。PD-1細胞外領域はまた、ヒトPD-1タンパク質(配列番号11、NP_005009.2)のアミノ酸35~145に対応するIgVドメインを有する。シグナルペプチドは、配列番号11のアミノ酸1~23に対応する。ヒトSIRPαの細胞質領域はまた、免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM、配列番号11のアミノ酸221~226に対応)及び免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM、配列番号11のアミノ酸241~251に対応)を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、1つ以上のPD-L1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、PD-1細胞外ドメインを含むか、又はそれからなる。本明細書で使用される場合、「PD-1細胞外ドメイン」は、PD-1の細胞外領域の全部若しくは一部分又はそのバリアントを指し、細胞外領域の一部分は、PD-L1に結合し得る。PD-1細胞外ドメインは、独立して折り畳み得、自己安定化構造を形成し得る、1つ以上のタンパク質ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、PD-1細胞外ドメインは、IgVドメインを含むか、又はそれからなる。いくつかの実施形態では、PD-1細胞外ドメインは、シグナルペプチドを含まない。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPD-1細胞外ドメインは、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合ドメイン又はPD-1細胞外ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合ドメイン又はSIRPα細胞外ドメインは、ヒトPD-1タンパク質のIgVドメインを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のPD-L1結合ドメイン又はSIRPα細胞外ドメインは、マウスPD-L1タンパク質の細胞外ドメインの全部又は一部分を含む。
【0055】
TGFBR2細胞外ドメイン
TGF-β受容体2型(TGFBR2)は、TGF-βファミリーの全てのメンバーのリガンド結合受容体であり、線維芽細胞を含む実質的に全ての細胞型において発現される。リガンド誘導細胞応答は、c-Jun N末端キナーゼ、Akt、Src、細胞外シグナル調節キナーゼ、及びp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ経路などの標準的なSmad依存性又は非標準的なSmad非依存性シグナル伝達経路のいずれかを介して媒介される。TGFBR2へのリガンド結合は、受容体の二量体化及び自己リン酸化をもたらし、その後、TGF-ベータ受容体1型(TGFBR1)又は3型(TGFBR3)に結合する。新しく形成されたヘテロ四量体複合体は、次いで、調節性SMAD(SMAD2又はSMAD3)をリン酸化し、そのリン酸化状態では、co-SMAD分子SMAD4に結合する。調節性SMAD/co-SMAD複合体は、核に位置を変え、標的遺伝子発現を調節する転写因子として作用する。
【0056】
TGFβ、TGFBR2の詳細な説明、及びがんを治療するためのTGFβトラップの使用は、例えば、Bierie,B.,et al.“TGFβ:the molecular Jekyll and Hyde of cancer.”Nature Reviews Cancer 6.7(2006):506-520、Kim,B.,et al.“Novel therapies emerging in oncology to target the TGF-β pathway.”Journal of Hematology&Oncology 14.1(2021):1-20、及びLind,H.,et al.“Dual targeting of TGF-β and PD-L1 via a bifunctional anti-PD-L1/TGF-βRII agent:status of preclinical and clinical advances.”Journal for immunotherapy of cancer 8.1(2020)において記載されており、これらの各々は、その全体が参照により組み込まれる。
【0057】
UniProt識別子P37173によれば、ヒトTGFBR2の細胞外領域は、配列番号13のアミノ酸23~166に対応し、ヒトTGFBR2の膜貫通領域は、配列番号13のアミノ酸167~187に対応し、ヒトTGFBR2の細胞質領域は、配列番号13のアミノ酸188~567に対応する。シグナルペプチドは、配列番号13のアミノ酸1~22に対応する。
【0058】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、1つ以上のTGFβ結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、TGFBR2細胞外ドメインを含むか、又はそれからなる。本明細書で使用される場合、「TGFBR2細胞外ドメイン」は、TGFBR2の細胞外領域の全部若しくは一部分又はそのバリアントを指し、細胞外領域の一部分は、TGFβに結合し得る。TGFBR2細胞外ドメインは、独立して折り畳み得、自己安定化構造を形成し得る、1つ以上のタンパク質ドメインを有し得る。いくつかの実施形態では、TGFBR2細胞外ドメインは、シグナルペプチドを含まない。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTGFBR2細胞外ドメインは、ヒトTGFBR2タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_003233.4、配列番号13)のアミノ酸24~159に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTGFβ結合ドメイン又はTGFBR2細胞外ドメインは、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTGFβ結合ドメイン又はTGFBR2細胞外ドメインは、ヒトTGFBR2細胞外ドメインの全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のTGFβ結合ドメイン又はTGFBR2細胞外ドメインは、マウスPD-L1タンパク質の細胞外ドメインの全部又は一部分を含む。
【0060】
CD47、PD-L1、及び/又はTGFβを標的とする、タンパク質複合体
本開示は、CD47に特異的に結合し得るタンパク質複合体を提供する。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質複合体は、CD47/SIRPαシグナル伝達経路を遮断し、したがって、免疫応答を増加させ得る。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質複合体は、食作用を開始し得る。
【0061】
本開示はまた、PD-L1に特異的に結合し得るタンパク質複合体を提供する。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質複合体は、PD-1/PD-L1シグナル伝達経路を遮断し、したがって、免疫応答を増加させ得る。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質複合体は、T細胞の活性化、増殖、及び/又はサイトカイン放出を誘導し得る。
【0062】
一態様では、本開示は、Fc、1つ以上のCD47結合ドメイン、1つ以上のPD-L1結合ドメイン、及び任意選択で1つ以上のTGFβ結合ドメインを含むか、又はそれらからなる、タンパク質複合体又はタンパク質構築物を提供する。本明細書で使用される場合、「Fc」という用語は、抗体(例えば、IgG、IgE、IgM、IgA、又はIgD)の断片結晶化可能領域を指す。「Fc領域」又は「Fc領域配列」という用語は、Fc領域を形成する重鎖ペプチドにおける重鎖定常ドメイン(例えば、CH2及びCH3)を指す。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体又はタンパク質構築物は、1、2、3、4、5、又は6個のCD47結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体又はタンパク質構築物は、1、2、3、4、5、又は6個のPD-L1結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体又はタンパク質構築物は、1、2、3、4、5、又は6個のTGFβ結合ドメインを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体又はタンパク質構築物は、Fc、分化クラスター47(CD47)に特異的に結合する第1のドメイン、及びプログラム死リガンド1(PD-L1)に特異的に結合する第2のドメインを含むか、又はそれらからなる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第1のドメインは、CD47を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合し得、かつ/又はCD47とシグナル調節タンパク質α(SIRPα)との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、第1のドメインは、SIRPαの細胞外領域の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、SIRPαは、ヒトSIRPαである。いくつかの実施形態では、第1のドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、第2のドメインは、PD-L1を発現する細胞(例えば、がん細胞)に結合し得、かつ/又はT細胞の活性化及び増殖を刺激し得る。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)の細胞外領域の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、PD-1は、ヒトPD-1である。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、Fcは、ヒトIgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、第1のドメインは、任意選択でヒンジ領域を介して、FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、第2のドメインは、任意選択でヒンジ領域を介して、FcにおけるCH2ドメインのN末端に連結されている。いくつかの実施形態では、ヒンジ領域は、EU付番によるS228P変異を任意選択で有するヒトIgG4ヒンジ領域である。
【0067】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体又はタンパク質構築物は、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)に特異的に結合する第3のドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、第3のドメインは、任意選択でリンカーペプチドを介して、FcにおけるCH3ドメインのC末端に連結されている。
【0068】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上の第1のドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上の第2のドメインを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、2つ以上の第3のドメインを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、CD47結合ドメイン、PD-L1結合ドメイン、及びTGFβ結合ドメインは、本明細書に記載のリンカーペプチド又はヒンジ領域配列のうちのいずれかを介してFc領域に連結されている。
【0070】
タンパク質複合体のいくつかの実施形態を、図1A~1Dに示す。それらは、以下に詳細に記載される。
【0071】
HCB301-4
一態様では、本開示は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。第1のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択で第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む。第2のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む。HCB301-4形式を有する例示的なタンパク質複合体の概略構造を図1Aに示す。
【0072】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、PD-1の細胞外ドメイン、例えば、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170又は配列番号5の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、異なる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、及び/又は第4のリンカーペプチドは、配列番号8~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、及び/又は第4のリンカーペプチドは、GGGGS(配列番号18)又はGSGGSG(配列番号19)の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個)の反復に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0075】
HCB301-2
一態様では、本開示は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。第1のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第3のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第5のリンカーペプチド、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択で第1のリンカーペプチド、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択で第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む。第2のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第4のPD-L1結合ドメイン、任意選択で第6のリンカーペプチド、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む。HCB301-2形式を有する例示的なタンパク質複合体の概略構造を図1Cに示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、PD-1の細胞外ドメイン、例えば、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170又は配列番号5の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、異なる。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6のリンカーペプチドは、配列番号8~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6のリンカーペプチドは、GGGGS(配列番号18)又はGSGGSG(配列番号19)の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個)の反復に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0079】
HCB301-3
一態様では、本開示は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。第1のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第1のCD47結合ドメイン、任意選択の第1のリンカーペプチド、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択で第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む。第2のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む。HCB301-4形式を有する例示的なタンパク質複合体の概略構造を図1Bに示す。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、PD-1の細胞外ドメイン、例えば、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170又は配列番号5の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、異なる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、及び/又は第4のリンカーペプチドは、配列番号8~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、及び/又は第4のリンカーペプチドは、GGGGS(配列番号18)又はGSGGSG(配列番号19)の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個)の反復に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0083】
HCB301-1
一態様では、本開示は、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドを含むタンパク質複合体に関する。第1のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第1のCD47結合ドメイン、任意選択で第1のリンカーペプチド、第1のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第5のリンカーペプチド、第3のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第1のヒンジ領域、第1のFc領域、任意選択で第2のリンカーペプチド、及び任意選択の第1のTGFβ結合ドメインを含む。第2のポリペプチドは、好ましくはN末端からC末端に向かって、第2のCD47結合ドメイン、任意選択の第3のリンカーペプチド、第2のPD-L1結合ドメイン、任意選択で第6のリンカーペプチド、第4のPD-L1結合ドメイン、任意選択の第2のヒンジ領域、第2のFc領域、任意選択の第4のリンカーペプチド、及び任意選択の第2のTGFβ結合ドメインを含む。HCB301-2形式を有する例示的なタンパク質複合体の概略構造を図1Dに示す。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、PD-1の細胞外ドメイン、例えば、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170又は配列番号5の全部又は一部分を含む。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、異なる。いくつかの実施形態では、第1、第2、第3、及び/又は第4のPD-L1結合ドメインは、配列番号5に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6のリンカーペプチドは、配列番号8~10のうちのいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の第1、第2、第3、第4、第5、及び/又は第6のリンカーペプチドは、GGGGS(配列番号18)又はGSGGSG(配列番号19)の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個)の反復に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のポリペプチドは、配列番号4に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0087】
本明細書に記載のタンパク質複合体のうちのいずれかでは、第1及び/又は第2のCD47結合ドメインは、SIRPαの細胞外ドメイン、例えば、ヒトSIRPαタンパク質(NCBIアクセッション番号:AAH26692.1、配列番号12)のアミノ酸31~148又は配列番号6の全部又は一部分を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2のCD47結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のCD47結合ドメインは、配列番号6に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のCD47結合ドメインは、SIRPα(例えば、ヒトSIRPα)のIgVドメインを含む。いくつかの実施形態では、SIRPα IgVドメインは、1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のCD47結合ドメインは、異なる。
【0088】
本明細書に記載のタンパク質複合体のうちのいずれかでは、第1及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、TGFBR2の細胞外ドメイン、例えば、ヒトTGFBR2タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_003233.4、配列番号13)のアミノ酸24~159又は配列番号7の全部又は一部分を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、同一である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、異なる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のTGFβ結合ドメインは、配列番号7に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0089】
本明細書に記載のタンパク質複合体のうちのいずれかでは、第1及び/又は第2のヒンジ領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域、例えば、ヒトIgG4ヒンジ領域(配列番号16)の全部又は一部分を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のヒンジ領域は、配列番号16に対して少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のヒンジ領域は、同一である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のヒンジ領域は、異なる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のヒンジ領域は、EU付番による228位にプロリンを含む。
【0090】
本明細書に記載のタンパク質複合体のうちのいずれかでは、第1及び/又は第2のFc領域は、同一であり得、Fcホモ二量体を形成し得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のFc領域は、免疫グロブリンのFc領域、例えば、ヒトIgG4 Fc領域(配列番号17)の全部又は一部分を含む。本明細書に記載のタンパク質複合体のうちのいずれかでは、第1及び/又は第2のFc領域は、異なり得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のFc領域は、1つ以上の変異を導入することによって、Fcヘテロ二量体を形成し得る。例えば、第1及び/又は第2のFc領域は、1つ以上のノブイントゥホール(KIH)変異を含み得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のFc領域は、当該技術分野で既知の他の技術を使用して、Fcヘテロ二量体を形成し得る。詳細なヘテロ二量体Fc技術は、例えば、Ha,et al.“Immunoglobulin Fc heterodimer platform technology:from design to applications in therapeutic antibodies and proteins.”Frontiers In Immunology 7(2016):394において見出され得、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
一態様では、本開示は、CD47結合ドメイン(例えば、本明細書に記載のCD47結合ドメインのうちのいずれか)及びPD-L1結合ドメイン(例えば、本明細書に記載のPD-L1結合ドメインのうちのいずれか)を含むタンパク質複合体に関する。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、TGFβ結合ドメイン(例えば、本明細書に記載のTGFβ結合ドメインのうちのいずれか)を更に含む。いくつかの実施形態では、CD47結合ドメインは、SIRPα細胞外ドメイン(例えば、本明細書に記載のSIRPα細胞外ドメインのうちのいずれか)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、PD-L1結合ドメインは、PD-1細胞外ドメイン(例えば、本明細書に記載のPD-1細胞外ドメインのうちのいずれか)であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、TGFβ結合ドメインは、TGFBR2細胞外ドメイン(例えば、本明細書に記載のTGFBR2細胞外ドメインのうちのいずれか)であるか、又はそれを含む。
【0092】
タンパク質複合体の特性
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、本明細書に記載の任意のCD47結合ドメイン、PD-L1結合ドメイン、及び/又はTGFβ結合ドメインを含み得る。本開示はまた、本明細書に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸も提供する。
【0093】
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するために、配列が最適な比較目的のためにアラインメントされる(例えば、最適なアラインメントのために第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップが導入され得、非相同配列が比較目的のために無視され得る)。比較目的でアラインメントされた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも80%であり、いくつかの実施形態では、少なくとも90%、95%、又は100%である。その後、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置でアミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第1の配列における位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有されている場合、したがって、その分子は、その位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、それらの2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列によって共有された同一の位置の数の関数である。例えば、2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定は、12のギャップペナルティ、4のギャップ拡張ペナルティ、及び5のフレームシフトギャップペナルティを有するBlossum62スコアリングマトリクスを使用して達成され得る。
【0094】
本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗体のFcを含み得る。これらの抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス、又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE1、IgE2)のものであり得る。いくつかの実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)に由来する。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgG4 Fc領域(例えば、ヒトIgG4 Fc領域)である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗体ヒンジ領域(例えば、IgG、IgEヒンジ領域)を介してFc領域に連結されている。加えて、Fc領域は、所望のエフェクター機能又は血清半減期を提供するように改変され得る。
【0096】
本明細書に記載のタンパク質複合体は、免疫細胞上に発現されるCD47と内因性SIRPαとの間の結合を遮断し得る。いくつかの実施形態では、CD47に結合することによって、本明細書に記載のタンパク質複合体は、免疫細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、及び樹状細胞)上で発現される内因性SIRPαへのCD47(例えば、腫瘍細胞上で発現される)の結合を阻害し得、それによって、CD47/SIRPα経路を遮断し、免疫応答を上方制御し、食作用を促進する。
【0097】
本明細書に記載のタンパク質複合体は、免疫細胞上に発現されるPD-L1と内因性PD-1との間の結合を遮断し得る。いくつかの実施形態では、PD-L1に結合することによって、本明細書に記載のタンパク質複合体は、免疫細胞(例えば、T細胞)上で発現される内因性PD-1へのPD-L1(例えば、腫瘍細胞上で発現される)の結合を阻害し得、それによって、PD-1/PD-L1経路を遮断し、免疫応答を上方制御し、T細胞の増殖及びサイトカイン放出を活性化する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、免疫応答、免疫細胞(例えば、骨髄細胞、マクロファージ、樹状細胞、抗原提示細胞)の活性又は数を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、5倍、10倍、又は20倍増加させ得る。
【0099】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、0.1s-1未満、0.01s-1未満、0.001s-1未満、0.0001s-1未満、又は0.00001s-1未満の解離速度(koff)で、CD47(例えば、ヒトCD47、サルCD47、又はマウスCD47)、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1、サルPD-L1、又はマウスPD-L1)、又はTGFβ(例えば、ヒトTGFβ、サルTGFβ、又はマウスTGFβ)に結合し得る。いくつかの実施形態では、解離速度(koff)は、0.01s-1超、0.001s-1超、0.0001s-1超、0.00001s-1超、又は0.000001s-1である。いくつかの実施形態では、動的会合速度(kon)は、1×10/Ms超、1×10/Ms超、1×10/Ms超、1×10/Ms超、又は1×10/Ms超である。いくつかの実施形態では、動的会合速度(kon)は、1×10/Ms未満、1×10/Ms未満、又は1×10/Ms未満である。親和性は、動的速度定数(KD=koff/kon)の商から推定され得る。いくつかの実施形態では、KDは、1×10-6M未満、1×10-7M未満、1×10-8M未満、1×10-9M未満、又は1×10-10M未満である。いくつかの実施形態では、KDは、300nM未満、200nM、100nM、50nM,30nM、20nM、15nM、10nM、9nM、8nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、900pM、800pM、700pM、600pM、500pM、400pM、300pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、又は10pMである。いくつかの実施形態では、KDは、1×10-7M超、1×10-8M超、1×10-9M超、1×10-10M超、1×10-11M超、又は1×10-12M超である。
【0100】
親和性を測定するための一般的な技術としては、例えば、ELISA、RIA、及び表面プラズモン共鳴(SPR)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルCD47、及び/又はマウスCD47に結合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルCD47、及び/又はマウスCD47に結合することができない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルPD-L1、及び/又はマウスPD-L1に結合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルPD-L1、及び/又はマウスPD-L1に結合することができない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルTGFβ、及び/又はマウスTGFβに結合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、サルTGFβ、及び/又はマウスTGFβに結合することができない。
【0101】
いくつかの実施形態では、熱安定性が決定される。本明細書に記載のタンパク質複合体は、60超、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95℃のTmを有し得る。いくつかの実施形態では、Tmは、60未満、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、又は95℃である。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、10%超、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、又は200%の腫瘍増殖阻害パーセンテージ(TGI%)を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、60%未満、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、又は200%の腫瘍増殖阻害パーセンテージを有する。TGI%は例えば、治療開始の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30日後、又は治療開始の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12か月後に決定され得る。本明細書で使用される場合、腫瘍増殖阻害パーセンテージ(TGI%)は、以下の式:
TGI(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100
を使用して計算される。Tiは、i日目の治療群における平均腫瘍体積である。T0は、ゼロ日目の治療群における平均腫瘍体積である。Viは、i日目の対照群における平均腫瘍体積である。V0は、ゼロ日目の対照群における平均腫瘍体積である。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、抗CD47参照抗体、例えば、Hu5F9-G4、又は抗SIRPα抗体、例えば、CC-95251と同等である。Hu5F9-G4は、例えば、Sikic et al.“First-in-human,first-in-class phase I trial of the anti-CD47 antibody Hu5F9-G4 in patients with advanced cancers.”Journal of Clinical Oncology 37.12(2019):946に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、抗CD47参照抗体、例えば、Hu5F9-G4、又は抗SIRPα抗体、例えば、CC-95251よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、SIRPα_G4よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。SIRPα_G4(又はhSIRPα-G4Fc-wt(Trillium)、TTI-622)の詳細は、例えば、米国特許出願公開第2015/0329616(A1)号に見出され得、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。SIRPα_G4のアミノ酸配列を、配列番号14に示す。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、抗PD-L1参照抗体、例えば、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、又は抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブと同等である。MPDL3280Aは、例えば、Powles,T.et al.“MPDL3280A(anti-PD-L1)treatment leads to clinical activity in metastatic bladder cancer.”Nature 515.7528(2014):558-562に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、抗PD-L1参照抗体、例えば、MPDL3280A、又は抗PD-1抗体、例えば、ペムブロリズマブよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、PD1_G4よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。PD1_G4は、HCB301融合タンパク質(HCB301タンパク質)の対照タンパク質として使用される。PD1_G4のアミノ酸配列を、配列番号15に示す。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、TGFβトラップタンパク質、例えば、IgG4-TGFβトラップ、又は抗PD-L1抗体×TGFβトラップM7824と同等である。M7824は、例えば、Gatti-Mays,M.E.,et al.“M7824:a promising new strategy to combat cancer immune evasion.”Oncoscience 5.11-12(2018):269に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、IgG4-TGFβトラップ又はM7824よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の腫瘍阻害効果は、IgG4-TGFβトラップよりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、1倍、2倍、又は5倍多い。IgG4-TGFβトラップは、HCB301融合タンパク質(HCB301タンパク質)の対照タンパク質として使用される。IgG4-TGFβトラップのアミノ酸配列を、配列番号20に示す。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、機能性Fcを有する。いくつかの実施形態では、Fcは、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、又はヒトIgG4由来である。いくつかの実施形態では、機能性Fcのエフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)である。いくつかの実施形態では、機能性Fcのエフェクター機能は、食作用である。いくつかの実施形態では、機能性Fcのエフェクター機能は、ADCC及び食作用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質構築物は、エフェクター機能のないFc領域を有する。いくつかの実施形態では、Fcは、ヒトIgG4 Fcである。いくつかの実施形態では、Fcは、機能性Fc領域を有しない。例えば、Fc領域は、LALA変異(EU付番におけるL234A及びL235A変異)、又はLALA-PG変異(EU付番におけるL234A、L235A、P329G変異)を有する。
【0107】
Fc領域に対するいくつかの他の改変を行うことができる。例えば、システイン残基を、Fc領域に導入することができ、それによってこの領域での鎖間ジスルフィド結合形成が可能になる。このように生成されたホモ二量体融合タンパク質は、インビトロ及び/又はインビボでの任意の増加した半減期を有し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、IgG4は、S228P変異(EU付番)を有する。S228P変異は、インビボ及びインビトロのIgG4 Fab-アーム交換を防止する。
【0109】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、Fc領域に(直接的又は間接的に)結合されたフコースを欠く炭水化物構造を有する。例えば、そのようなFc領域組成物におけるフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されるように、MALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に結合する全ての糖構造(例えば、複合体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対して、Asn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域における約297位(Fc領域残基のEu付番、又はKabat付番における314位)に位置するアスパラギン残基を指すが、Fc領域配列のわずかな配列変動により、Asn297はまた、297位の約±3アミノ酸上流又は下流、すなわち、294位~300位に位置し得る。そのようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。いくつかの実施形態では、グリカンの不均一性を低減するために、Fc領域を、297位のアスパラギンをアラニン(N297A)に置き換えるように更に操作することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、HPLC-SECの主要なピークは、プロテインAベースの親和性クロマトグラフィー及び/又はサイズ排他的クロマトグラフィーによる精製後の本明細書に記載のタンパク質複合体の少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99.5%を占める。
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)又はSIRPα_G4と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、又は少なくとも120%である親和性で、ヒトCD47発現腫瘍細胞(例えば、ヒトCD47 tf CHO-S細胞、又はFaDu細胞)に結合し得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、PD1_G4と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、又は少なくとも120%である親和性で、ヒトPD-L1発現腫瘍細胞(例えば、ヒトPD-L1を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞)に結合し得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、IgG4-TGFβトラップと比較して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、又は少なくとも120%である親和性で、ヒトTGFβ(例えば、TGFβ1、TGFβ2、又はTGFβ3)に結合し得る。いくつかの実施形態では、ヒトTGFβ(例えば、TGFβ1、TGFβ2、又はTGFβ3)に結合するタンパク質複合体のEC50値は、IgG4-TGFβトラップのEC50値と比較して、10%未満、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、1倍未満、2倍未満、3倍未満、4倍未満、5倍未満、又は10倍未満である。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、又は1%未満の親和性でRBC細胞又は血小板(例えば、ヒトドナー由来)に結合し得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、血球凝集を誘導しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と比較して、500倍、2000倍、5000倍、20000倍、又は50000倍超の最小濃度で血球凝集を誘導し得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、CD47(例えば、ヒトCD47又はその断片)とSIRPα(例えば、ヒトSIRPα又はその断片)との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、ヒトCD47発現細胞(例えば、CD47 tf CHO-S細胞又はFaDu細胞)とヒトSIRPαとの間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の遮断能力は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)又はSIRPa_G4と比較して、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%である。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、PD-L1(例えば、ヒトPD-L1又はその断片)とPD-1(例えば、ヒトPD-1又はその断片)との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、ヒトPD-L1発現細胞(例えば、PD-L1 tf CHO-S細胞)とヒトPD-1との間の相互作用を遮断し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体の遮断能力は、抗PD-L1参照抗体(例えば、MPDL3280A)又はPD1_G4と比較して、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、又は少なくとも150%である。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、マウスマクロファージ(例えば、Raw264.7細胞)によるCD47発現腫瘍細胞(例えば、Jurkat細胞)の食作用を誘導し得る。いくつかの実施形態では、CD47発現腫瘍細胞の食作用を誘導するための本明細書に記載のタンパク質複合体のEC50値は、30nM未満、20nM未満、10nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、又は1nM未満である。いくつかの実施形態では、CD47発現腫瘍細胞の食作用を誘導するための本明細書に記載のタンパク質複合体のEC50値は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)又はSIRPα_G4のEC50値と同等である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体が、マウスマイクロファージによるCD47発現腫瘍細胞の食作用を誘導する能力は、Hu5F9-G4又はSIRPα_G4の能力と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)よりも、マウスマクロファージ(例えば、Raw264.7細胞)によるRBC細胞又は血小板の食作用を誘導する能力が弱い(例えば、80%未満、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%)。
【0119】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、ヒトマクロファージ(例えば、MDM細胞)によるCD47発現腫瘍細胞(例えば、Jurkat細胞)の食作用を誘導し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体が、ヒトマクロファージによるCD47発現腫瘍細胞の食作用を誘導する能力は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)又はSIRPα_G4の能力と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)よりも、ヒトマクロファージ(例えば、MDM細胞)によるRBC細胞又は血小板の食作用を誘導する能力が弱い(80%未満、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%)。
【0120】
赤血球を含む様々な細胞型上でのCD47の内因性発現は、CD47標的療法の有効性を制限する可能性がある恐ろしい「抗原シンク」を作り出す。したがって、本明細書に記載のタンパク質複合体のRBC細胞及び/又は血小板の食作用を誘導する弱い能力は、タンパク質複合体のインビボ有効性を増加させ得る。加えて、タンパク質複合体は、抗CD47参照抗体(例えば、Hu5F9-G4)と同様の有効性を有して、低用量レベル及び/又は低頻度の投薬スケジュールで投与され得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、TGFβ誘導下流経路、例えば、smad2レポーター経路を阻害し得る。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、IgG4-TGFβトラップ、抗TGFβ、又はM7824と比較して、TGFβ1媒介smad2レポーター活性を、150%未満、140%未満、130%未満、120%未満、110%未満、100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、又は50%未満に阻害し得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、(例えば、MLRアッセイにおいて)T細胞応答を増強し得る。混合リンパ球反応(MLR)の原理は、1つのドナー由来のT細胞が、異なるドナー由来のAPCの存在下で増殖することである。これは、2つの無関係のドナー間のHLAミスマッチの認識によって引き起こされ、T細胞からの免疫応答を誘発する。MLRは、多くの場合、培養物中でT細胞の全般的な刺激/活性化を誘導する手段として使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、本明細書で使用される対照分子又はそれらの組み合わせよりも、T細胞増殖を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%増加させ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、本明細書で使用される対照分子又はそれらの組み合わせよりも、サイトカイン(例えば、IFN-γ及び/又はIL-2)産生を少なくとも1倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、又は10000倍増加させ得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、ヒトにおいてサイトカインストームを誘導しない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、スーパーアゴニストではない。サイトカインストーム及びスーパーアゴニストの詳細は、例えば、Shimabukuro-Vornhagen,A.et al.“Cytokine release syndrome.”Journal for ImmunoTherapy of Cancer 6.1(2018):1-14に見出され得、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質複合体は、腫瘍増殖を阻害し得る。
【0125】
タンパク質複合体を作製する方法
本明細書に記載のタンパク質複合体のバリアントは、ポリペプチド又はその一部をコードするDNAに適切なヌクレオチド変化を導入することによって、又はペプチド合成によって調製され得る。そのようなバリアントは、例えば、アミノ酸配列内の残基の欠失、挿入、又は置換を含む。
【0126】
スクリーニングを実施して、CD47結合ドメイン及びPD-L1結合ドメインの結合親和性を増加させ得る。欠失、挿入、及び/又は組み合わせの任意の組み合わせを行って、標的に対する結合親和性が増加したバリアントに到達し得る。バリアントに導入されたアミノ酸の変化はまた、グリコシル化部位の数の変更(例えば、増加又は減少)、グリコシル化部位のタイプの変更(例えば、細胞に存在する酵素によって異なる糖が結合されるようにアミノ酸配列を変更)、又は新しいグリコシル化部位の導入など、ポリペプチドに新しい翻訳後修飾を変更又は導入し得る。
【0127】
CD47結合ドメイン及び/又はPD-L1結合ドメインは、哺乳動物を含む任意の種の動物に由来し得る。結合ドメインバリアントの非限定的な例としては、ヒト、霊長類、例えば、サル及び類人猿、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ラクダ科動物(例えば、ラクダ及びラマ)、ニワトリ、ヤギ、及びげっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター、及びウサギ)に由来する配列が挙げられる。
【0128】
本開示はまた、本明細書に開示の単離されたポリヌクレオチド(例えば、本明細書に開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含む組換えベクター(例えば、発現ベクター)、組換えベクターが導入される宿主細胞(すなわち、宿主細胞がポリヌクレオチド及び/又はポリヌクレオチドを含むベクターを含有するように)、及び組換え技術による組換えポリペプチド又はその断片の産生を提供する。
【0129】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、ベクターが宿主細胞に導入される場合に、目的の1つ以上のポリヌクレオチドを宿主細胞に送達することができる任意の構築物である。「発現ベクター」は、目的の1つ以上のポリヌクレオチドを、発現ベクターが導入された宿主細胞においてコードされたポリペプチドとして送達及び発現することができる。したがって、発現ベクターにおいて、目的のポリヌクレオチドは、目的のポリヌクレオチドが、発現ベクターが導入された宿主細胞において翻訳されるような、目的のポリヌクレオチドの組み込み部位で、又はその近傍で、又は隣接して、ベクター内又は宿主細胞のゲノムにおけるずれかで、プロモーター、エンハンサー、及び/又はポリAテールなどの調節エレメントと作動可能に連結されていることによって、目的のポリヌクレオチドがベクターにおいて発現するように配置される。
【0130】
ベクターは、当該技術分野で既知の方法、例えば、エレクトロポレーション、化学トランスフェクション(例えば、DEAE-デキストラン)、形質転換、トランスフェクション、並びに(例えば、組換えウイルスでの)感染及び/又は形質導入によって宿主細胞に導入され得る。したがって、ベクターの非限定的な例としては、ウイルスベクター(組換えウイルスを生成するために使用され得る)、裸のDNA又はRNA、プラスミド、コスミド、ファージベクター、及びカチオン性縮合剤と結びついたDNA又はRNA発現ベクターが挙げられる。
【0131】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示のポリヌクレオチド(例えば、本明細書に開示のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)は、ウイルス発現系(例えば、ワクシニア又は他のポックスウイルス、レトロウイルス、又はアデノウイルス)を使用して導入され、これは、非病原性(欠陥)の複製能のあるウイルスの使用を伴い得るか、又は複製欠陥ウイルスを使用し得る。DNAをそのような発現系に組み込むための技術は、当業者に周知である。DNAはまた、「裸」であってもよい。裸のDNAの取り込みは、細胞内に効率的に輸送される生分解性ビーズ上にDNAをコーティングすることによって増加され得る。
【0132】
発現のために、本明細書に開示のポリペプチドコードポリヌクレオチドを含むDNA挿入物は、いくつかを挙げると、ファージラムダPLプロモーター、大腸菌(E.coli) lac、trp、及びtacプロモーター、SV40初期及び後期プロモーター、並びにレトロウイルスLTRのプロモーターなどの適切なプロモーター(例えば、異種プロモーター)に作動可能に連結され得る。他の好適なプロモーターは、当業者に既知である。いくつかの実施形態では、プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。発現構築物は、転写開始、終止のための部位、及び転写領域において翻訳のためのリボソーム結合部位を更に含有し得る。構築物によって発現される成熟転写物のコード部分は、最初に開始する翻訳、翻訳されるポリペプチドの末端に適切に配置された終止コドン(UAA、UGA、又はUAG)を含み得る。
【0133】
示されるように、発現ベクターは、少なくとも1つの選択マーカーを含み得る。そのようなマーカーには、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼ又はネオマイシン耐性、並びに大腸菌及び他の細菌において培養するためのテトラサイクリン又はアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。適切な宿主の代表的な例としては、大腸菌、ストレプトミセス属(Streptomyces)、及びサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)の細胞などの細菌細胞、酵母細胞などの真菌細胞、ショウジョウバエ(Drosophila) S2及びスポドプテラ属(Spodoptera) Sf9細胞などの昆虫細胞、CHO、COS、Bowes黒色腫、及びHK293細胞などの動物細胞、並びに植物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の宿主細胞のための適切な培養培地及び条件は、当該技術分野で既知である。
【0134】
細菌における使用のための非限定的なベクターとしては、Qiagenから入手可能なpQE70、pQE60、及びpQE-9、Stratageneから入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、並びにPharmaciaから入手可能なptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5が挙げられる。非限定的な真核生物ベクターとしては、Stratageneから入手可能なpWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、及びpSG、並びにPharmaciaから入手可能なpSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLが挙げられる。当業者には、他の好適なベクターが容易に明らかになるであろう。
【0135】
使用に好適な非限定的な細菌プロモーターとしては、大腸菌 lacI及びlacZ プロモーター、T3及びT7プロモーター、gptプロモーター、ラムダPR及びPLプロモーター、並びにtrpプロモーターが挙げられる。好適な真核生物プロモーターとしては、CMV即時初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期及び後期SV40プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のものなどのレトロウイルスLTRのプロモーター、並びにマウスメタロチオネイン-Iプロモーターなどのメタロチオネインプロモーターが挙げられる。
【0136】
酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)では、α因子、アルコールオキシダーゼ、及びPGHなどの構成的又は誘導性プロモーターを含有する多数のベクターが使用され得る。
【0137】
宿主細胞への構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、又は他の方法によって影響を受ける可能性がある。そのような方法は、Davis et al.,Basic Methods In Molecular Biology(1986)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載され、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
高等真核生物による本開示のポリペプチドをコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによって増加され得る。エンハンサーは、DNAのシス作用エレメントであり、通常、約10~300bpであり、所与の宿主細胞型におけるプロモーターの転写活性を増加させるように作用する。エンハンサーの例としては、塩基対100~270の複製起点の後側に位置するSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス早期プロモーターエンハンサー、複製起点の後側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーが挙げられる。
【0139】
翻訳されたタンパク質を小胞体の内腔、周辺質空間、又は細胞外環境に分泌するために、適切な分泌シグナルが、発現されたポリペプチドに組み込まれ得る。シグナルは、ポリペプチドに対して内因性であり得るか、又は異種シグナルであり得る。
【0140】
ポリペプチドは、融合タンパク質(例えば、GST融合物)などの改変された形態で、又はヒスチジンタグを有して、発現され得、かつ、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含み得る。例えば、追加のアミノ酸、特に電荷アミノ酸の領域を、ポリペプチドのN末端に付加して、宿主細胞内、精製中、又はその後の取り扱い及び保管中の安定性及び持続性を改善し得る。また、精製を容易にするために、ペプチド部分をポリペプチドに付加することもできる。そのような領域は、ポリペプチドの最終調製前に除去され得る。とりわけ、分泌又は排出を引き起こし、安定性を改善し、精製を容易にするために、ペプチド部分をポリペプチドに付加することは、当該技術分野でよく知られた日常的な技術である。
【0141】
治療の方法
本開示のタンパク質構築物又はポリペプチドは、様々な治療目的で使用され得る。
【0142】
一態様では、本開示は、対象におけるがんを治療するための方法、対象における腫瘍の体積増加速度を経時的に低減する方法、転移を発症するリスクを低減する方法、又は対象における追加の転移を発症するリスクを低減する方法を提供する。いくつかの実施形態では、治療は、がんの進行を停止、減速、遅延、又は阻害し得る。いくつかの実施形態では、治療は、対象におけるがんの1つ以上の症状の数、重症度、及び/又は期間の低減をもたらし得る。
【0143】
一態様では、本開示は、本明細書に開示のタンパク質構築物又はポリペプチドの治療有効量を、それを必要とする対象(例えば、がんを有するか、又は有すると特定若しくは診断された対象)、例えば、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、カルチノイドがん、子宮頸がん、子宮内膜がん、神経膠腫、頭頸がん、肝臓がん、肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、結腸直腸がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、膀胱がん、尿道がん、又は血液悪性腫瘍に投与することを含む方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、がんは、切除不能な黒色腫若しくは転移性黒色腫、非小細胞肺がん腫(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、膀胱がん、又は転移性ホルモン不応性前立腺がんである。いくつかの実施形態では、対象は、固形腫瘍を有する。いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)、腎細胞がん腫(RCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、又は結腸直腸がん腫である。いくつかの実施形態では、がんは、黒色腫、膵臓がん腫、中皮腫、血液学的悪性腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫、リンパ腫、慢性リンパ性白血病、又は進行性固形腫瘍である。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物及び方法は、がんのリスクがある患者の治療に使用され得る。がん患者は、当該技術分野で既知の様々な方法で特定され得る。
【0145】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、疾患、例えば、がんの進行を停止、減速、遅延、又は阻害することを含む、有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量又は投薬量を意味する。有効量は、例えば、タンパク質構築物若しくはポリペプチド、該タンパク質構築物若しくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター、及び/又はそれらの組成物が投与される対象の年齢及び体重、症状の重症度、及び投与経路に応じて変化し、したがって、投与は、個々に基づいて決定され得る。
【0146】
有効量は、1回以上の投与で投与され得る。例として、タンパク質構築物又はポリペプチドの有効量は、患者におけるがんの進行を改善、停止、安定化、逆転、阻害、減速、及び/又は遅延させるのに十分な量であるか、又はインビトロでの細胞(例えば、生検細胞、本明細書に記載のがん細胞のうちのいずれか、又は細胞株(例えば、がん細胞株))の増殖を改善、停止、安定化、逆転、減速、及び/又は遅延させるのに十分な量である。当該技術分野で理解されるように、有効量は、とりわけ、患者の病歴、並びに使用されるタンパク質構築物又はポリペプチドのタイプ(及び/又は投薬量)などの他の要因に応じて変化し得る。
【0147】
タンパク質構築物若しくはポリペプチド、該タンパク質構築物若しくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び/又は本明細書に開示の組成物を投与するための有効量及びスケジュールは、経験的に決定され得、そのような決定を行うことは、当該技術分野の技術の範囲内である。当業者は、投与される必要がある投薬量が、例えば、本明細書に開示のタンパク質構築物若しくはポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び/又は組成物を受ける哺乳動物、投与経路、使用される本明細書に開示の特定のタイプのポリヌクレオチド及び/又は組成物、並びに哺乳動物に投与される他の薬物に応じて変化することを理解するであろう。
【0148】
有効量のタンパク質構築物及び/又はポリペプチドの典型的な1日投薬量は、0.1mg/kg~100mg/kg(患者体重kg当たりのmg)である。いくつかの実施形態では、投薬量は、100mg/kg未満、10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、又は0.1mg/kgであり得る。いくつかの実施形態では、投薬量は、10mg/kg超、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、又は0.1mg/kgであり得る。いくつかの実施形態では、投薬量は、約10mg/kg、9mg/kg、8mg/kg、7mg/kg、6mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kgである。いくつかの実施形態では、投薬量は、約1~10mg/kg、約1~5mg/kg、又は約2~5mg/kgである。
【0149】
本明細書に記載の方法のうちのいずれかでは、タンパク質構築物又はポリペプチドは、少なくとも週に1回(例えば、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、1日に1回、1日に2回、又は1日に3回)、対象に投与され得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療用物質は、タンパク質構築物又はポリペプチドを投与する前に、又は投与した後に、対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療用物質は、対象において1つ以上の追加の治療用物質及びタンパク質構築物又はポリペプチドの生理活性期間に重複があるように、対象に投与される。
【0151】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療用物質が対象に投与され得る。追加の治療用物質は、B-Rafの阻害剤、EGFR阻害剤、MEKの阻害剤、ERKの阻害剤、K-Rasの阻害剤、c-Metの阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)の阻害剤、Aktの阻害剤、mTORの阻害剤、二重PI3K/mTOR阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤、並びにイソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)及び/又はイソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)の阻害剤からなる群から選択される1つ以上の阻害剤を含み得る。いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ-1)(IDO1)の阻害剤(例えば、エパカドスタット)である。
【0152】
いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、HER3の阻害剤、LSD1の阻害剤、MDM2の阻害剤、BCL2の阻害剤、CHK1の阻害剤、活性化されたヘッジホッグシグナル伝達経路の阻害剤、及びエストロゲン受容体を選択的に分解する作用物質からなる群から選択される1つ以上の阻害剤を含み得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、トラベクテジン、nab-パクリタキセル、トレバナニブ、パゾパニブ、セディラニブ、パルボシクリブ、エベロリムス、フルオロピリミジン、IFL、レゴラフェニブ、レオリジン(Reolysin)、アリムタ、ジカディア、スーテント、テムシロリムス、アキシチニブ、エベロリムス、ソラフェニブ、ヴォトリエント、パゾパニブ、IMA-901、AGS-003、カボザンチニブ、ビンフルニン、Hsp90阻害剤、Ad-GM-CSF、テマゾロミド、IL-2、IFNa、ビンブラスチン、サロミド(Thalomid)、ダカルバジン、シクロホスファミド、レナリドミド、アザシチジン、レナリドミド、ボルテゾミド(bortezomid)、アムルビシン、カルフィルゾミブ、プララトレキサート、及びエンザスタウリンからなる群から選択される1つ以上の治療用物質を含み得る。
【0154】
いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、アジュバント、TLRアゴニスト、腫瘍壊死因子(TNF)アルファ、IL-1、HMGB1、IL-10アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL-13アンタゴニスト、IL-17アンタゴニスト、HVEMアンタゴニスト、ICOSアゴニスト、CX3CL1を標的とする治療、CXCL9を標的とする治療、CXCL10を標的とする治療、CCL5を標的とする治療、LFA-1アゴニスト、ICAM1アゴニスト、及びセレクチンアゴニストからなる群から選択される1つ以上の治療用物質を含み得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、カルボプラチン、nab-パクリタキセル、パクリタキセル、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、FOLFOX、又はFOLFIRIが、対象に投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、抗OX40抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗SIRPα抗体、抗CD47抗体、抗LAG-3抗体、抗TIGIT抗体、抗BTLA抗体、抗CTLA-4抗体、又は抗GITR抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療用物質は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)又は抗EGF受容体抗体(例えば、セツキシマブ)である。
【0157】
医薬組成物及び投与経路
本明細書に記載のタンパク質構築物又はポリペプチドを含有する医薬組成物もまた本明細書に提供される。医薬組成物は、当該技術分野で既知の任意の方法で製剤化され得る。
【0158】
医薬組成物は、それらの意図される投与経路(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、又は腹腔内)と適合性であるように製剤化される。組成物は、無菌希釈剤(例えば、無菌水若しくは生理食塩水)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、若しくは他の合成溶媒、ベンジルアルコール若しくはメチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどの抗菌剤若しくは抗真菌剤、アスコルビン酸若しくは亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、若しくはリン酸塩などの緩衝剤、及び糖(例えば、デキストロース)、ポリアルコール(例えば、マンニトール若しくはソルビトール)、若しくは塩(例えば、塩化ナトリウム)などの等張剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。リポソーム懸濁液は、薬学的に許容される担体としても使用され得る。これらの組成物の調製物は、製剤化され、アンプル、使い捨てシリンジ、又は複数用量バイアル内に封入され得る。必要に応じて(例えば、注射可能な製剤など)、例えば、レシチン又は界面活性剤などのコーティング剤の使用により、適切な流動性が維持され得る。該剤の吸収は、吸収を遅延させる作用物質(例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン)を含めることによって延長され得る。あるいは、制御放出は、生分解性、生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸)を含み得るインプラント及びマイクロカプセル化送達システムによって達成され得る。
【0159】
本明細書に記載のタンパク質構築物又はポリペプチドを含有する組成物は、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、又は腹腔内)投与のために、投薬単位形態(すなわち、投与の簡便性及び投薬量の均一性のために所定量の活性化合物を含有する物理的に別個の単位)で製剤化され得る。
【0160】
非経口投与のための医薬組成物は、好ましくは滅菌で、実質的に等張であり、適正製造基準(GMP)条件下で製造される。医薬組成物は、単位剤形(すなわち単回投与のための投薬量)で提供され得る。医薬組成物は、1つ以上の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤を使用して製剤化され得る。製剤は、選択した投与経路に依存する。注射のために、該剤は、注射部位での不快感を低減するために、水溶液中、好ましくは生理学的に適合する緩衝液中に製剤化され得る。溶液は、懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有し得る。あるいは、タンパク質構築物又はポリペプチドは、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌されたパイロゲンフリー水での構成用に凍結乾燥された形態であり得る。
【0161】
組成物の毒性及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物(例えば、サル)における標準の薬学的手順によって判定され得る。例えば、1つは、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定し得、治療指数は、LD50:ED50の比率である。高い治療指数を呈する作用物質が好ましい。作用物質が望ましくない副作用を呈する場合、潜在的な損傷を最小限に抑える(すなわち、望ましくない副作用を低減させる)ように注意を払う必要がある。毒性及び治療有効性は、他の標準的な薬学的手順によって判定され得る。
【0162】
例示的な用量としては、対象の体重のキログラム当たりの本明細書に記載のタンパク質構築物又はポリペプチドのうちのいずれかのミリグラム又はマイクログラム量(例えば、約1μg/kg~約500mg/kg、約100μg/kg~約500mg/kg、約100μg/kg~約50mg/kg、約10μg/kg~約5mg/kg、約10μg/kg~約0.5mg/kg、約1μg/kg~約50μg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、又は約1mg/kg~約5mg/kg)が含まれる。これらの用量は広範囲をカバーするが、当業者は、治療用物質がその効力を変化させることができ、有効量が当該技術分野で既知の方法によって決定され得ることを理解するであろう。典型的には、比較的低い用量が最初に投与され、主治医の医療専門家又は獣医学の専門家(治療用途の場合)又は研究者(開発段階でまだ作業している場合)は、その後、適切な応答が得られるまで、用量を徐々に増加させ得る。加えて、任意の特定の対象の特定の用量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、及び食事、投与時間、投与経路、排泄速度、及びインビボでの半減期を含む様々な因子に依存することが理解される。
【0163】
医薬組成物は、投与の指示とともに、容器、パック、又はディスペンサーに含めることができる。本開示はまた、本明細書に記載の様々な使用のためのタンパク質構築物又はポリペプチドを製造する方法を提供する。
【実施例
【0164】
本発明を以下の実施例で更に説明するが、それらは特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0165】
実施例1.PD1×SIRPα×TGFβトラップ形式を有するFcベースのデザイナー生物製剤(FBDB(商標))の設計
FBDB(商標)の異なる三重標的形式は、(1)治療剤をPD-L1腫瘍細胞に指向し、(2)自然免疫(例えば、SIRPα/CD47経路を標的とする)及び適応免疫(例えば、PD-1/PD-L1経路を標的とする)の力を組み合わせ、(3)TGFβ誘導免疫抑制を逆転させるように設計及び開発された。
【0166】
各形式は、IgG(例えば、ヒトIgG4)のFc領域に直接的又は間接的に接続されている少なくとも3つの異なるタイプの免疫モジュールを含む。3つの免疫モジュールは、(1)食作用を誘導することによって抗原提示を刺激し得る、1つ以上のSIRPα細胞外ドメイン、(2)PD-1/PD-L1経路を遮断してT細胞機能を増強し、SIRPα×PD-1×TGFβトラップ分子をPD-L1発現腫瘍に誘導し得る、1つ以上のPD-1細胞外ドメイン、及び(3)免疫抑制性TGFβを捕捉しかつ腫瘍微小環境を改善して免疫応答を増強し得る、1つ以上のTGFβトラップ分子(例えば、TGF-ベータ受容体2型(TGFBR2)の細胞外ドメイン)である。例えば、SIRPα細胞外ドメインは、腫瘍細胞上のCD47とマクロファージ上のSIRPαとの間の相互作用を遮断することによって、マクロファージに対して「私を食べないで」ブレーキを放出し得、PD-1細胞外ドメインは、PD-1とPD-L1との間の相互作用を遮断することによって、エフェクターT細胞に対する阻害ブレーキを放出し得、TGFβトラップ分子は、腫瘍微小環境(TME)におけるTGFβ機能を阻害し得る。
【0167】
図1A図1Dに示されるように、FBDB(商標)の4つの三重標的形式を設計した。HCB301-4(又はPST_v2、図1Aに示される概略構造)は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。具体的には、各ポリペプチド鎖は、N末端からC末端に向かって、PD-1細胞外ドメイン(配列番号5、ヒトPD-1タンパク質(NCBIアクセッション番号:NP_005009.2、配列番号11)のアミノ酸26~170と同一の配列を有する)、SIRPα細胞外ドメイン(配列番号6、ヒトSIRPαタンパク質(NCBIアクセッション番号:AAH26692.1、配列番号12)のアミノ酸31~148と同一の配列を有する)、ヒトIgG4ヒンジ領域(EU付番によるS228P変異を有する)、ヒトIgG4 Fc、及びTGFBR2細胞外ドメイン(配列番号7、NCBIアクセッション番号:NP_003233.4、配列番号13)のアミノ酸24~159と同一の配列を有する)を含む。PD-1細胞外ドメイン及びSIRPα細胞外ドメインは、(GSG)リンカーペプチド(配列番号8)を介して接続されている。TGFBR2細胞外ドメインは、(G4S)Gリンカーペプチド(配列番号9)を介してヒトIgG4 FcのC末端に接続されている。
【0168】
HCB301-3(又はSPT_v2、図1Bに示される概略構造)は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する。具体的には、各ポリペプチド鎖は、N末端からC末端に向かって、SIRPα細胞外ドメイン(配列番号6)、PD-1細胞外ドメイン(配列番号5)、ヒトIgG4ヒンジ領域(EU付番によるS228P変異を有する)、ヒトIgG4 Fc、及びTGFBR2細胞外ドメイン(配列番号7)を含む。SIRPα細胞外ドメイン及びPD-1細胞外ドメインは、(GSG)リンカーペプチド(配列番号8)を介して接続されている。TGFBR2細胞外ドメインは、(G4S)Gリンカーペプチド(配列番号9)を介してヒトIgG4 FcのC末端に接続されている。
【0169】
HCB301-2(又はP2ST_v2、図1Cに示される概略構造)は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する。具体的には、各ポリペプチド鎖は、N末端からC末端に向かって、(G4S)リンカー(配列番号10)を介して連結されている2つの同一のPD-1細胞外ドメイン(配列番号5)、SIRPα細胞外ドメイン(配列番号6)、ヒトIgG4ヒンジ領域(EU付番によるS228P変異を有する)、ヒトIgG4 Fc、及びTGFBR2細胞外ドメイン(配列番号7)を含む。2つのPD-1細胞外ドメインは、(GSG)リンカーペプチド(配列番号8)を介してSIRPα細胞外ドメインのN末端に接続されている。TGFBR2細胞外ドメインは、(G4S)Gリンカーペプチド(配列番号9)を介してヒトIgG4 FcのC末端に接続されている。
【0170】
HCB301-1(又はSP2T_v2、図1Dに示される概略構造)は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有する。具体的には、各ポリペプチド鎖は、N末端からC末端に向かって、SIRPα細胞外ドメイン(配列番号6)、(G4S)リンカー(配列番号10)を介して連結されている2つの同一のPD-1細胞外ドメイン(配列番号5)、ヒトIgG4ヒンジ領域(EU付番によるS228P変異を有する)、ヒトIgG4 Fc、及びTGFBR2細胞外ドメイン(配列番号7)を含む。SIRPα細胞外ドメインは、(GSG)リンカーペプチド(配列番号8)を介して、2つのPD-1細胞外ドメインのうちの1つに接続されている。TGFBR2細胞外ドメインは、(G4S)Gリンカーペプチド(配列番号9)を介してヒトIgG4 FcのC末端に接続されている。
【0171】
発現されたタンパク質をタンパク質Aカラムによって精製し、続いてHPLC-SEC(サイズ排除クロマトグラフィーとカップリングした高速液体クロマトグラフィー、Agilent)を行い、高分子量ピークのパーセンテージ(HMW%)、主要なピークのパーセンテージ(主要%)、及び低分子量ピークのパーセンテージ(LMW%)を測定した。
【0172】
具体的には、HCB301タンパク質をCHO-S細胞において発現させた。培養物の上清を収集し、プロテインA精製に供した。濃縮平衡緩衝液(250mMのTris、1500mMのNaCl、pH8.0)を添加することによって、培養物の上清のpHを8.0に調整した。次に、タンパク質Aカラムを10×カラム体積の平衡化緩衝液(25mMのTris、150mMのNaCl、pH8.0)で平衡化し、次いで培養物の上清を平衡化したタンパク質Aカラムに充填した。次いで、カラムを6×カラム体積の洗浄緩衝液(100mMのクエン酸、500mMのNaCl)で洗浄した。タンパク質試料を、6×カラム体積の溶出緩衝液(100mMの酢酸塩、200mMのNaCl、pH3.0)によって溶出し、1MのHepes、pH8.0を含有する緩衝液によってpHを6.5~7に調整した。以下の表に示されるように、HCB301-3及びHCB301-4の発現レベル(力価)は同等であり、HCB301-1又はHCB302-2よりも高かった。プロテインA精製後、HCB301タンパク質の主要なピークのパーセンテージ(主要%)は87.88%~94.38%の範囲であり、HCB301タンパク質の高分子量ピークのパーセンテージ(HMW%)は1.35%~5.43%の範囲であり、HCB301タンパク質の低分子量ピークのパーセンテージ(LMW%)は1.27%~10.78%の範囲であった。結果は、4つ全てのHCB301タンパク質(HCB301-1、HCB301-2、HCB301-3、及びHCB301-4)が高純度で発現及び採取され得ることを示す。
【0173】
【表1】
【0174】
加えて、HCB301-1、HCB301-2、HCB301-3、及びHCB301-4のアミノ酸配列を、免疫除去ツール(免疫エピトープのデータベース及び分析リソース、Dhanda et al.“Development of a strategy and computational application to select candidate protein analogues with reduced HLA binding and immunogenicity.”Immunology 153.1(2018):118-132)を使用して分析し、免疫原性領域を特定した。免疫原性は、特定されなかった。
【0175】
実施例2.CD47 tf CHO-S細胞に対する全体的な細胞結合能力の判定
細胞表面上に発現されたCD47に対するHCB301タンパク質の全体的な細胞結合能力を判定するために、ヒトCD47を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞(CD47 tf CHO-S)を標的細胞として使用した。5×10個の細胞を、FACS緩衝液(4%のウシ胎仔血清(FBS)を補充したリン酸緩衝生理食塩水(PBS))中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、100nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。SIRPα_G4を、陽性対照として使用した。SIRPα_G4は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有する。PD1_G4を陰性対照として使用した。PD1_G4は、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、配列番号15に示されるアミノ酸配列を有する。
【0176】
図2に示されるように、4つ全てのHCB301タンパク質は、CD47 tf CHO-S細胞に結合することができる。具体的には、陽性対照SIRPα_G4が最も高いCD47結合能力を呈し、HCB301-3及びHCB301-1が続いた。HCB301-4及びHCB301-2も、CD47発現細胞に結合することができる。対照的に、陰性対照PD1_G4については結合シグナルは検出されなかった。
【0177】
実施例3.PDL1 tf CHO-S細胞に対する全体的な細胞結合能力の判定
PD-L1に対するHCB301タンパク質の結合能力を判定するために、ヒトPD-L1を発現するトランスフェクションされたCHO-S細胞(PDL1 tf CHO-S)を標的細胞として使用した。3×10個の細胞を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、及び100nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。PD1_G4を、陽性対照として使用した。Hu5F9-G4(抗CD47参照抗体)及びSIRPα_G4を、陰性対照として使用した。
【0178】
図3に示されるように、4つ全てのHCB301タンパク質は、PDL1 tf CHO-S細胞に結合することができる。具体的には、HCB301-1及びHCB301-2は、陽性対照PD1_G4よりも高い結合能力を呈し、PD1_G4は、HCB301-4及びHCB301-3よりも高い結合能力を呈した。対照的に、陰性対照Hu5F9-G4及びSIRPα_G4については結合シグナルは検出されなかった。
【0179】
実施例4.CD47発現腫瘍細胞に対する全体的な細胞結合能力の判定
腫瘍細胞表面上に発現されたCD47に対するHCB301タンパク質の全体的な細胞結合能力を判定するために、内因性CD47を発現する下咽頭がん腫FaDu細胞を標的細胞として使用した。3×10個のFaDu細胞を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、及び100nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。Hu5F9-G4及びSIRPα_G4を陽性対照として使用した。PD1_G4を陰性対照として使用した。
【0180】
図4に示されるように、4つ全てのHCB301タンパク質は、FaDu細胞に結合することができる。具体的には、HCB301-1が最も高い結合能力を示し、HCB301-3、HCB301-4、及びHCB301-2が続いた。対照的に、陰性対照PD1_G4については結合シグナルは検出されなかった。
【0181】
実施例5.RBCに対する全体的な細胞結合能力の判定
赤血球(RBC)に対するHCB301タンパク質の結合能力を判定するために、1×10個のヒトRBCを、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、100nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、RBCをFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。PD1_G4を陰性対照として使用した。
【0182】
図5A~5Bに示されるように、陽性対照Hu5F9-G4は、RBCに対する強い結合能力を呈した。対照的に、4つ全てのHCB301タンパク質は、RBCへの弱い結合を示した。具体的には、HCB301-3は、HCB301-1よりも高いRBC結合能力を示し、HCB301-3及びHCB301-1の両方の結合能力は、SIRPα_G4よりも高かった。HCB301-4及びHCB301-2は、より低いRBC結合能力を示し、これは、PD1_G4と同等であった。
【0183】
実施例6.血小板に対する全体的な細胞結合能力の判定
血小板に対するHCB301タンパク質の結合能力を判定するために、5×10個のヒト血小板を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、100nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、血小板をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。Hu5F9-G4を陽性対照として使用した。PD1_G4及びSIRPα_G4を陰性対照として使用した。
【0184】
図6A~6Bに示されるように、陽性対照Hu5F9-G4は、血小板に対する強い結合能力を呈した。対照的に、全てのHCB301タンパク質は、血小板への弱い結合を示した。具体的には、HCB301-3は、HCB301-2及びHCB301-1よりも高い血小板結合能力を示した。HCB301-4は、SIRPα_G4と同等である、より低いRBC結合能力を示した。
【0185】
実施例7.hTGFβ1、hTGFβ2、及びhTGFβ3への結合能力の判定
ヒトTGFβに対するHCB301タンパク質の結合能力を判定するために、示された濃度(25.4pM、76.2pM、228.6pM、685.8pM、2.1nM、6.2nM、18.5nM、55.6nM、166.7nM、又は500nM)でHCB301タンパク質を使用して、結合滴定ELISAアッセイを実施した。IgG4-TGFβトラップを陽性対照として使用した。SIRPα_G4を陰性対照として使用した。96ウェルEIAマイクロプレートを、1μg/mlのヒトTGFβ(TGFβ1、TGFβ2、又はTGFβ3)で4℃で一晩コーティングした。5%のスキムミルクを含有する1×PBSでブロッキングした後、希釈されたHCB301タンパク質を添加し、室温(RT)で1時間インキュベーションした。1×PBST(0.1%のTween20を含有する1×PBS)でウェルを3回洗浄することによって非結合タンパク質を除去した。HRPコンジュゲート二次抗体(1:5000)を、室温で1時間ウェルに添加した。インキュベーション後、ウェルを1×PBSTで3回洗浄することによって、過剰な二次抗体を除去した。最後に、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)を発色現像に添加した。反応を停止し、450nmの分光光度計を使用してHRP活性を測定した。
【0186】
図7A~7Cに示されるように、EC50値もまた結合曲線に従って決定された。結果は、HCB301タンパク質は、hTGFβ1及びhTGFβ3に結合することができるが、hTGFβ2に対しては弱い結合能力を示したことを示す。具体的には、hTGFβ3に結合するHCB301-1、HCB301-3、及びHCB301-4のEC50値は、hTGFβ1に結合するそれらのそれぞれのEC50値よりも低かった。
【0187】
実施例8.PD-L1発現細胞への選択的結合
PD-L1発現細胞に対するHCB301タンパク質の選択的結合能力を以下のように判定した。製造業者によって提供された指示に従って、OE19細胞をCellTrace(商標)CFSE(Thermo、カタログ番号:C34554)で標識し、PD-L1を発現するトランスフェクションされたOE19細胞(PD-L1 tf OE19)を、Celltrace(商標)バイオレット(Thermo、カタログ番号:C34557)で標識した。2×10個の細胞/ウェルのCellTrace(商標)CFSE標識OE19細胞(OE19-CFSE)及び2×10個の細胞/ウェルのPD-L1 tf OE19細胞を発現するCellTrace(商標)バイオレット標識のトランスフェクションされたOE19細胞(OE19-バイオレット)を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、100nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、4℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をFACS緩衝液で2回洗浄し、次いで、R-Phycoerythrin-AffiniPure Goat Anti-Human IgG(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号:109-115-098)とともに、4℃で30分間インキュベーションした。CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.、CA,USA)を使用して試料を分析した。その後、細胞をPEシグナルに従ってゲートし、Kaluza分析ソフトウェア(Beckman Coulter Inc.)によって異なる細胞型のパーセンテージを計算した。PD1_G4を陽性対照として使用し、SIRPα_G4を陰性対照として使用した。
【0188】
図8Aに示されるように、32pMで、全てのHCB301タンパク質は、OE19-CFSE細胞に対して、PD-L1を発現するOE19-バイオレット細胞への選択的結合を示した。図8B~8Gは、それぞれ、SIRPα_G4、PD1_G4、及び4つのHCB301タンパク質(HCB301-1、HCB301-2、HCB301-3、及びHCB301-4)の、2つの細胞型への結合曲線を示す。
【0189】
実施例9.血球凝集(HA)活性
HCB301タンパク質によって誘導されるHA活性を決定するために、10%のRBC溶液を健常なドナーの全血から調製した。RBCを0.9%のNaCl緩衝液で2回洗浄し、次いで、0.9%のNaCl緩衝液中で10体積%に希釈した。HCB301タンパク質を、8.4pM、25.4pM、76.2pM、228.6pM、685.8pM、2.1nM、6.2nM、18.5nM、55.6nM、166.7nM、又は500nMの最終濃度に連続希釈した(3倍)。希釈されたタンパク質を、丸底の96ウェルプレート内で、12μlの10%のRBC溶液とともに、室温で一晩インキュベーションした。凝集されたRBCは、ウェルを均等にコーティングしたが、非凝集細胞は、ウェルの底に明確な赤い点を形成した。Hu5F9-G4は陽性対照PCを使用した。SIRPα_G4、PD1_G4、及びIgG4-TGFβトラップを、陰性対照として使用した。
【0190】
翌日、図9に示されるように、プレートの画像を取得した。画像は、Hu5F9-G4のみが高濃度でHA活性を誘導したことを示すが、4つのHCB301タンパク質を含む他の試験された分子のいずれも、上で示された濃度範囲内でHA活性を誘導しなかった。
【0191】
実施例10.SIRPα/CD47相互作用に対する遮断効果の判定
HCB301タンパク質のSIRPαリガンド遮断能力を判定するために、標的細胞としてCD47 tf CHO-S細胞を使用して、フローサイトメトリーベースのアッセイを実施した。具体的には、3×10個の細胞/ウェルのCD47 tf CHO-S細胞を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(0.2pM、1.9pM、15.2pM、122.1pM、876.6pM、7.8nM、62.5nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、固定濃度のビオチン化SIRPα_G4とともに、4℃で30分間インキュベーションした。洗浄後、ストレプトアビジン-PE(eBioscience、カタログ番号:EBS12-4317-87)をウェル当たり0.3μgで添加し、細胞からのPEシグナルを、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.)を使用して分析した。Hu5F9及びSIRPa_G4を陽性対照として使用した。(ヒトIgG4 Fcを有する)抗PD-1抗体をアイソタイプ対照として使用した。
【0192】
図10に示されるように、Hu5F9-G4は、最も強い遮断効果を呈し、SIRPα_G4、及び4つのHCB301タンパク質が続いた。より具体的には、4つのHCB301タンパク質の遮断効果は、以下のように強いものから弱いものにランク付けすることができる:HCB301-3、HCB301-1、HCB301-4、及びHCB301-2。
【0193】
実施例11.PD-1/PD-L1相互作用に対する遮断効果の判定
PD-1とPD-L1 tf CHO-S細胞との間の相互作用に対するHCB301タンパク質の遮断効果を以下のとおりに判定した。3×10個の細胞/ウェルのPD-L1 tf CHO-S細胞を、FACS緩衝液(4%のFBSを補充したPBS)中で、示された濃度(0.2pM、1.9pM、15.2pM、122.1pM、876.6pM、7.8nM、62.5nM、及び500nM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、固定濃度のビオチン化PD1_G4とともに、4℃で30分間インキュベーションした。洗浄後、ストレプトアビジン-PE(eBioscience、カタログ番号:EBS12-4317-87)をウェル当たり0.3μgで添加し、細胞からのPEシグナルを、CytoFLEXフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.)を使用して分析した。MPDL3280A(抗PD-L1抗体)及びPD1_G4を陽性対照として使用した。
【0194】
図11に示されるように、MPDL3280Aは、最も強い遮断効果を呈した。HCB301-1及びHCB301-2は、PD1_G4の遮断効果よりも強い遮断効果を示した。HCB301-4は、PD1_G4よりも弱い遮断効果を示したが、HCB301-3よりも強い遮断効果を示した。結果は、各ポリペプチド鎖に2つのPD-1細胞外ドメインを有するHCB301タンパク質が、各ポリペプチド鎖に1つのPD-1細胞外ドメインを有するものよりも効率的にPD-1/PD-L1相互作用を遮断できることを示す。
【0195】
実施例12.TGFβ誘導smad2レポーター活性の阻害
TGFβ1誘導smad2レポーター活性を阻害するHCB301タンパク質の能力は、以下のように判定した。HCB301タンパク質を、6.4pM、32pM、160pM、0.8nM、4nM、20nM、100nM、及び500nMの最終濃度に連続希釈した(5倍)。M7824(抗PD-L1×TGFβトラップ)、抗TGFβ(抗TGFβ抗体、BioXcell、カタログ番号:BE0057)、及びIgG4-TGFβトラップを陽性対照として使用した。SIRPα_G4を陰性対照として使用した。4×10個のsmad2レポーターを発現するトランスフェクションされたHEK293T細胞を、それぞれ20ng/mlのTGFβ1、TGFβ2、及びTGFβ3とともに、希釈されたHCB301タンパク質とともにインキュベーションした。5%COインキュベーター中、37℃で24時間のインキュベーション後、発光シグナルをVarioskan(商標)LUXマルチモードマイクロプレートリーダー(Thermo)によって検出した。
【0196】
図12Aに示されるように、4つ全てのHCB301タンパク質は、TGFβ1媒介smad2レポーター活性を阻害することができる。各HCB301タンパク質は、M7824及びIgG4-TGFβトラップよりも強い阻害能力を示した。具体的には、HCB301-3、HCB301-4、及びHCB301-1は、HCB301-2よりも強い阻害能力を示した。図12B~12Cに示されるように、HCB301-3、HCB301-4、及びHCB301-1は、TGFβ3媒介レポーター活性を阻害することができるが、TGFβ2媒介smad2レポーター活性を阻害することはできない。特に、HCB301-3、HCB301-4、及びHCB301-1は、IgG4-TGFβトラップ又はM7824と比較して、同等のTGFβ3阻害能力を呈した。
【0197】
実施例13.CD47発現腫瘍細胞を食作用するための、マクロファージの誘導
がん細胞に対するHCB301タンパク質によって誘導されるマクロファージ媒介食作用を判定するために、食作用アッセイを以下のように行った。CD47発現Jurkat細胞を5nMのCellTrace(商標)CFSE(Thermo、カタログ番号:C34554)で、37℃で10分間標識し、それらを完全RPMI-1640培地で洗浄した。1×10個の細胞/ウェルのCFSE標識Jurkat細胞(標的細胞)を、低結合96ウェルU字型底プレート中で、示された濃度(10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、及び1μM)で連続希釈されたHCB301タンパク質とともに、37℃で30分間インキュベーションした。その後、5×10個のRaw264.7マウスマイクロファージを各ウェルに添加し、プレートを37℃で2時間インキュベーションした。Raw264.7細胞を、PE-シアニン7コンジュゲートF4/80抗体(eBioscience、カタログ番号:25-4801-82)で染色した。HCB301タンパク質の食作用能力は、CytoFlexフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.)によって、マクロファージからの総F4/80シグナルに対するマクロファージからのCFSE+F4/80+(マクロファージ食作用されたCFSE標識Jurkat細胞を示す)のパーセンテージを計算することによって評価された。Hu5F9-G4及びSIRPα_G4を陽性対照として使用した。PD1_G4を陰性対照として使用した。(ヒトIgG4 Fcを有する)抗PD-1抗体をアイソタイプ対照として使用した。
【0198】
図13に示されるように、Hu5F9-G4は、CD47発現Jurkat細胞に対するRaw264.7媒介食作用を誘導する最も強い能力を呈し、SIRPα_G4が続いた。HCB301-3、HCB301-1、及びHCB301-4もまた、マイクロファージを誘導して、Jurkat細胞を食作用させた。対照的に、PD1_G4及びアイソタイプ対照は、試験された濃度で食作用を誘導しなかった。
【0199】
実施例14.TGFβ1の存在下でのMLRアッセイにおけるT細胞応答の増強
TGFβ1の存在下での混合リンパ球反応(MLR)アッセイを実施して、HCB301タンパク質によるT細胞応答の増強を判定した。T細胞を5nMのCellTrace(商標)バイオレット(Thermo、カタログ番号:C34557)で37℃で10分間標識し、次いで完全RPMI-1640培地で2回洗浄した。1×10個のCellTrace(商標)バイオレット標識CD4+T細胞及び1×10の樹状細胞(DC)を、2nM、20nM、又は200nMのHCB301タンパク質とともにインキュベーションした。対照分子又はそれらの組み合わせ、例えば、PDGFR-Fc、SIRPα_G4、PD1_G4、IgG4-TGFβトラップ、M7824、SIRPα_G4+PD1_G4+IgG4-TGFβトラップ、SIRPα_G4+PD1_G4、SIRPα_G4+IgG4-TGFβトラップ、及びPD1_G4+IgG4-TGFβトラップもまたインキュベーションに使用した。PDGFR-Fcは、陰性対照として機能した。PDGFR-Fcは、2つの同一のポリペプチド鎖を含み、各ポリペプチド鎖は、Fcに融合されたPDGFR細胞外ドメインを有する。次いで、NCl-H650細胞からのTGFβ1含有条件培地を添加し、5日間共インキュベーションした。共インキュベーション後、細胞を採取し、CytoFLEX-Sフローサイトメーター(Beckman Coulter Inc.)によって細胞増殖を分析した。培養物の上清も収集し、IL-2分泌及びIFN-γ分泌を、それぞれ、ヒトIL-2 ELISA MAX Deluxeキット(BioLegend、カタログ番号:431805)及びIFNγ ELISA MAX Deluxeキット(BioLegend、カタログ番号:430105)を使用して測定した。
【0200】
図14Aに示されるように、MLRアッセイにおける細胞増殖は、CellTrace(商標)バイオレット細胞増殖キット(Thermo、カタログ番号:C34557)を使用して測定された。具体的には、CD3+/7-ADD-細胞(総T細胞を示す)に対する、より弱くCellTrace(商標)バイオレット標識された細胞(増殖細胞を示す)のパーセンテージを計算した。結果は、HCB301-3、HCB301-4、及びHCB301-1で処理された細胞は、対照分子又はそれらの組み合わせのものと比較して、細胞増殖を有意に変化させなかったことを示す。
【0201】
図14Bに示されるように、MLRアッセイにおけるIL-2分泌は、ヒトIL-2 ELISA MAX Deluxeキットを使用して測定された。結果は、M7824が最も高いIL-2分泌レベルを呈し、HCB301-1、HCB301-3、及びHCB301-4が続いたことを示した。特に、HCB301-4で処理された細胞は、IgG4-TGFβトラップ及びSIRPα_G4+PD1_G4+IgG4-TGFβトラップのものと比較して、類似のIL-2分泌レベルを有した。SIRPα_G4+IgG4-TGFβトラップ又はPD1_G4+IgG4-TGFβトラップで処理された細胞は、IL-2分泌レベルが低かった。
【0202】
図14Cに示されるように、MLRアッセイにおけるIFN-γ分泌は、ヒトIFNγ ELISA MAX Deluxeキットを使用して測定された。結果は、HCB301-1が最も高いIFN-γ分泌レベルを呈し、M7824、PD1_G4+IgG4-TGFβトラップ、HCB301-3、及びHCB301-4が続いたことを示した。PD1_G4、SIRPα_G4、SIRPα_G4+PD1_G4、SIRPα_G4+PD1_G4+IgG4-TGFβトラップ、SIRPα_G4+PD1_G4、及びSIRPα_G4+IgG4-TGFβトラップで処理された細胞は、同様かつ低いIFN-γ分泌レベルを有した。
【0203】
要約として、図15A~15Bは、上で論じられたインビトロアッセイの結果を示す。HCB301-3は、HCB301-1及びHCB301-2に対して比較的単純な構造、並びにインビトロアッセイで示されるようなその強力な機能を部分的に理由として、後続の実験のために選択された。
【0204】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、例示することを意図するものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、及び改変は、添付の特許請求の範囲内である。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16-1】
図16-2】
図16-3】
図16-4】
【配列表】
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【国際調査報告】