(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】超硬合金組成物
(51)【国際特許分類】
C22C 29/08 20060101AFI20250128BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20250128BHJP
C22C 1/051 20230101ALI20250128BHJP
B22F 8/00 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
C22C29/08
B22F1/00 Q
C22C1/051 G
B22F8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542345
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-09-04
(86)【国際出願番号】 US2023060717
(87)【国際公開番号】W WO2023141411
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523339148
【氏名又は名称】ハイペリオン マテリアルズ アンド テクノロジーズ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】516053969
【氏名又は名称】ダイヤモンド イノヴェーションズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィーン, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】シンカ イ ルイス, ヌリア
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン, ニール
(72)【発明者】
【氏名】プイート, エレナ タレス イー
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AB03
4K018AB07
4K018AB10
4K018AC01
4K018AD06
4K018BA04
4K018BA11
4K018BB08
4K018BC12
4K018CA11
4K018CA23
4K018CA29
4K018CA31
4K018DA03
4K018DA31
4K018DA32
4K018EA01
4K018EA11
4K018FA23
4K018FA24
4K018KA15
4K018KA63
(57)【要約】
再生炭化物材料を超硬合金組成物の70重量%を超える量で含む炭化物相を含む超硬合金組成物が提供される。超硬合金組成物はバインダー相をさらに含む。再生炭化物材料は、約45重量%~約100重量%の再生亜鉛炭化物を含む。超硬合金組成物は、電気化学的に処理された再生材料を一切含まない。超硬合金組成物は、バージン原材料のみを含む基準材料と比較した場合、硬度、破壊靭性、横方向破断強度などの機械的特性が同等又は優れている。さらに、提供された超硬合金組成物を使用する、焼結超硬合金物品、並びに切削工具又は切削工具ブランクを製造する方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超硬合金組成物であって、
約45重量%~約100重量%の再生亜鉛炭化物を含む炭化物相であって、超硬合金組成物の少なくとも70重量%の量で存在する炭化物相と、
バインダー相と
を含み、
ASTM B 406規格で測定した、約330Ksi~約540Ksiの範囲の横方向破断強度を有する、超硬合金組成物。
【請求項2】
炭化物相が再生非焼結炭化物をさらに含む、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項3】
炭化物相が、超硬合金組成物の少なくとも80重量%の量で存在する、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項4】
炭化物相が、超硬合金組成物の約89重量%~約99重量%の量で存在する、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項5】
電気化学的に処理された超硬リサイクル材料を含まない、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項6】
再生亜鉛炭化物が炭化タングステンを含む、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項7】
再生非焼結炭化物が炭化タングステンを含む、請求項2に記載の超硬合金組成物。
【請求項8】
バインダー相が金属バインダーを含む、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項9】
金属バインダーがCoを含む、請求項8に記載の超硬合金組成物。
【請求項10】
バインダー相が、超硬合金組成物の約1重量%~約11重量%の量で存在する、請求項1に記載の超硬合金組成物。
【請求項11】
焼結超硬合金物品の製造方法であって、
約45重量%~約100重量%の再生亜鉛炭化物を含む炭化物相であって、炭化物相が炭化物組成物の少なくとも70重量%の量で存在する炭化物相、及び
金属バインダーを含むバインダー相
を含む超硬合金組成物を提供することと、
粉末ブレンドを形成するために、炭化物組成物を粉砕操作に供することと、
未焼結体を形成するために、粉末ブレンドを成形操作に供することと、
焼結超硬合金物品を形成するために、未焼結体を焼結操作に供することと
を含み、
焼結超硬合金物品が、ASTM B 406規格で測定した、約330Ksi~約540Ksiの範囲の横方向破断強度を有する、方法。
【請求項12】
炭化物相が再生非焼結炭化物をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
炭化物相が、超硬合金組成物の少なくとも80重量%の量で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
炭化物相が、超硬合金組成物の約89重量%~約99重量%の量で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
電気化学的に処理された超硬リサイクル材料を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
再生亜鉛炭化物が炭化タングステンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
再生非焼結炭化物が炭化タングステンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
バインダー相が金属バインダーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
金属バインダーがCoを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
バインダー相が、超硬合金組成物の約1重量%~約11重量%の量で存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の超硬合金組成物を含む切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、再生炭化物材料を含む超硬合金組成物に関する。再生炭化物材料には、再生亜鉛炭化物及び再生非焼結炭化物の1つ又は複数を含み得る。
【背景技術】
【0002】
[0002]現在、WC及びタングステン製品のリサイクルにはいくつかのプロセスが使用されている。これらのプロセスは、例えば、亜鉛プロセス、コールドストリームプロセス、アルカリ浸出プロセス、塩素処理システム、電気分解、高温製錬などを含み得る。亜鉛プロセスとコールドストリームプロセスを除き、他の化学的方法は、サイクル時間とコストを増加させる多数の変換工程、抽出工程、沈殿工程を含む。これらの化学的方法の多くは、化学的に強力な酸、塩基、及び様々な無機塩の使用と暴露を伴うため、望ましくない。
【0003】
[0003]米国特許第10,940,538号は、その全体が本明細書に援用され、炭化物相と結合相を有する焼結超硬合金物品について記載している。炭化物相は、物品の少なくとも70重量パーセントの量で存在する。注目すべきことに、炭化物相は、炭化物相の60~90重量パーセントの量の電気化学的に処理された焼結炭化物スクラップを含み、残りは亜鉛処理炭化物スクラップ及び/又はパラタングステン酸アンモニウム処理された焼結炭化物スクラップである。米国特許第10,940,538号によれば、電気化学的に処理された焼結炭化物スクラップは高濃度で利用されている。なぜなら、他の再生又はリサイクルされた炭化物材料は化学的及び機械的特性が劣るとされ、新しい工具の製造における再生又はリサイクルされた炭化物組成物の使用が制限されると言われているためである。
【0004】
[0004]しかし、本明細書に記載されているように、予想外にも、本開示は、電気化学的に処理された焼結炭化物スクラップの使用を必要とする米国特許第10,940,538号に記載されている物品、並びに炭化物相として100%バージン炭化物材料を含む他の炭化物組成物と同等又はそれよりも優れた機械的及び化学的特性(例えば、硬度、破壊靭性、及び横方向破断強度を含む)を有する焼結炭化物組成物を提供する。その結果、面倒な電気化学的リサイクルプロセスステップを必要としない優れた化学的及び機械的特性を備えた炭化物組成物の実現により、従来の既知の解決策よりも有利な改善が得られる。
【発明の概要】
【0005】
[0005]炭化物相及び結合相を含む又はそれらからなる超硬合金組成物が提供される。炭化物相は、超硬合金組成物の少なくとも70重量%の量で存在し得る。炭化物相は、炭化物相の全重量に基づいて、約45重量%~約100重量%の再生亜鉛炭化物を含むか、又はそれからなり得る。得られた超硬合金は、ISO 3327-2009規格に準拠して測定した場合、少なくとも約≧3000MPaの横方向破断強度(TRS-B)を有し得る。あるいはまた、得られた超硬合金は、100重量%の再生非焼結超硬合金を含むサンプルについてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、約320Ksiから約570Ksiの範囲の横方向破断強度を示し得る。いくつかの例では、90重量%の再生亜鉛炭化物と10重量%の再生非焼結炭化物を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、横方向の破断強度は約330Ksi~約540Ksiの範囲にある。ASTM B 406規格に準拠して測定した場合の横方向の破断強度範囲は、少なくとも80重量%の再生亜鉛炭化物と20重量%の再生非焼結炭化物、70重量%の再生亜鉛炭化物と30重量%の再生非焼結炭化物、60重量%の再生亜鉛炭化物と40重量%の再生非焼結炭化物、50重量%の再生亜鉛炭化物と50重量%の再生非焼結炭化物、及び45重量%の再生亜鉛炭化物と55重量%の再生非焼結炭化物で定義される試料についても実証された。
【0006】
[0006]ISO 3327-2009規格によれば、横方向破断強度(TRS-B)は、横方向破断強度試験において、破断の瞬間前に超硬合金組成物が受ける最大応力によって生ずる。超硬合金組成物の炭化物相は、炭化タングステンを含むか、又は炭化タングステンからなるものであってよい。さらに、超硬合金組成物は、電気化学的に処理されたリサイクル材料が含まなくてよい。提供されるように、この超硬合金組成物は、10重量%のCo及び90重量%のバージンWCから構成される基準材料、またはを含む超硬合金材料と比較して、優れた、または少なくとも実質的に同等の硬度、破壊靭性、及び横方向破断強度を示す。
【0007】
[0007]焼結超硬合金物品の製造方法も提供される。本方法は、炭化物相と結合相とを含むか、それらからなる炭化物組成物を提供することを含む。炭化物相は、超硬合金組成物の少なくとも70重量%の量で存在し得る。炭化物相は、炭化物相の全重量に基づいて、約45重量%~約100重量%の再生亜鉛炭化物を含むか、又はそれからなり得る。バインダー相は金属バインダーを含むか、又は金属バインダーから構成されてもよい。バインダー相は金属バインダーを含むか、又は金属バインダーからなるものであってよい。粉末ブレンドは、成形操作に供されて未焼結体(グリーン体)を形成することができる。未焼結体は焼結操作に供され、焼結超硬合金物品を成形することができる。得られた焼結超硬合金物品は、ISO 3327-2009規格で測定した、少なくとも約≧3000MPaの横方向破断強度(TRS-B)を有し得る。あるいはまた、得られた超硬合金は、100重量%の再生非焼結超硬合金を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、約320Ksiから約570Ksiの範囲の横方向破断強度を有し得る。いくつかの例では、90重量%の再生亜鉛炭化物と10重量%の再生非焼結炭化物を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、横方向の破断強度は約330Ksi~約540Ksiの範囲にある。ASTM B 406規格に準拠して測定した場合の横方向の破断強度範囲は、少なくとも80重量%の再生亜鉛炭化物と20重量%の再生非焼結炭化物、70重量%の再生亜鉛炭化物と30重量%の再生非焼結炭化物、60重量%の再生亜鉛炭化物と40重量%の再生非焼結炭化物、50重量%の再生亜鉛炭化物と50重量%の再生非焼結炭化物、及び45重量%の再生亜鉛炭化物と55重量%の再生非焼結炭化物で特定される組成物についても同様に得られた。
【0008】
[0008]さらに、切削工具又は切削工具のためのブランクも提供される。切削工具又は切削工具のためのブランクは、本明細書で上記した炭化物組成物を含むか、又はそれから構成され得る。切削工具又は切削工具のためのブランクは、本明細書で上述した方法に従って物品として製造することができる。
【0009】
[0009]その他のシステム、方法、特徴、及び利点は、以下の図及び詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。こうした追加のシステム、方法、特徴、及び利点はすべて、この明細書に含まれ、本開示の範囲内にあり、以下の請求項によって保護されることが意図されている。このセクションのいかなる内容も、それらの請求を制限するものとして解釈されるべきではない。さらなる態様及び利点については、本開示の実施形態と併せて以下で説明する。本開示の前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも例及び説明であり、請求された開示のさらなる説明を提供することを意図していることが理解される。
【0010】
[0010]添付の図面は、主題のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、主題の実装を示し、説明とともに開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】[0011]10重量%のCoと90重量%のバージンWCで構成された基準材料(上の丸い点は硬度HV30を示し、下の丸い点は破壊靭性Klcを示す)と、本主題に従った材料(つまり、再生非焼結炭化物材料を含み、残りは合計100重量%に達するようにバランスとして使用される再生亜鉛炭化物である材料(HV30、点線グラフ、Klc、破線グラフ))の硬度HV30と破壊靭性Klcのグラフ表示である。
【
図1B】[0012]10重量%のCoと90重量%の未使用WCからなる参照材料(丸点)と、本発明の主題に従った材料(すなわち、再生非焼結炭化物材料を含み、残余は合計100重量%に達するようにバランスとして使用される再生亜鉛炭化物)について、ISO 3327-2009規格に準拠して測定されたTRS-Bの横方向破断強度のグラフ表示(破線グラフ)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0013]別途定義されていない限り、ここで使用されるすべての技術用語及び科学用語は、現在説明されている主題が関係する技術分野の通常の技術者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0013】
[0014]値の範囲、例えば濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲が提示されている場合、文脈上明確に別段の定めがない限り、その範囲の上限と下限、及びその範囲内のその他の記載値又は介在値の間の、下限値の10分の1単位までの介在値は、記載された主題に含まれるものと理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に独立して含まれる場合があり、そのような実施形態も、記載された範囲内で具体的に除外される制限を条件として、記載された主題の範囲内に包含される。記載された範囲に限界値の一方又は両方が含まれる場合、含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も、記載された主題に含まれる。
【0014】
[0015]以下の定義は、説明されている主題のパラメータを示す。
【0015】
[0016]本明細書において、「重量%」とは、別途具体的に示さない限り、(i)超硬合金組成物の全重量、(ii)焼結された物品の全重量、(iii)炭化物相の全重量、又は(iv)粉末組成物の全重量の所定の重量パーセントを指す。開示内容又は請求項において「重量%」が言及されている場合、各シナリオにおいて(i)、(ii)、(iii)、又は(iv)の特定の重量パーセントを指すかどうかも明示的に言及される。所与の重量%は、再生非焼結炭化物の重量%を指し、再生亜鉛炭化物、金属バインダー、及び/又は粒成長抑制剤は、(i)、(ii)、(iii)、又は(iv)の合計量が100重量%となるようにバランスとして使用される場合がある。
【0016】
[0017]本明細書で使用される用語「D50」は、試料粒子の体積の50%が記載のD50値より小さく、かつ試料粒子の体積の50%が記載のD50値より大きい場合に対応する粒子サイズを指す。[0017]同様に、本明細書で使用される用語「D90」は、試料粒子の体積の90%が記載のD90値より小さく、かつ試料粒子の体積の10%が記載のD90値より大きい場合に対応する粒子サイズを指す。[0017]用語「D10」は、試料粒子の体積の10%が記載のD10値より小さく、かつ試料粒子の体積の90%が記載のD10値より大きい場合に対応する粒子サイズを指す。粒度分布の幅は、式(D90-D10)/D50で定義されるスパンを決定することによって計算できる。スパンは、中間点を基準に正規化された10パーセントポイントと90パーセントポイントがどれだけ離れているかを示す。
【0017】
[0018]所与の粒子サイズ分布から平均粒子サイズを決定するために、当業者はISO 4499-2:2008規格に容易に精通しているであろう。ISO 4499-2:2008規格は、光学顕微鏡又は電子顕微鏡を使用した金属組織学的手法による超硬合金の粒子サイズの測定に関するガイドラインを提供する。主にWCを硬質相として含む焼結WC/Co超硬金属を対象とすることが企図されている。また、線形切片法によって粒度と分布を測定することも企図されている。
【0018】
[0019]ISO 4499-2:2008規格をさらに補足するために、当業者はASTM B390-92(2006)規格についても同様に知っているはずである。この規格は、通常、バインダー相に金属バインダーとしてコバルトを含む超硬化タングステンの見かけの粒子サイズと分布を視覚的に比較及び分類するために使用される。
【0019】
[0020]超硬合金のグレードは、炭化物の粒子サイズに応じて分類できる。異なる種類のグレードは、ナノ、超微粒子、サブミクロン、微粒子、中微粒子、中粗微粒子、粗微粒子、極粗微粒子として定義されている。本明細書で使用される場合、用語、(I)「ナノグレード」は、粒子サイズが約0.2μm未満の材料として定義され、(II)「超微細グレード」は、粒子サイズが約0.2μm~約0.5μmの材料として定義され、(III)「サブミクロングレード」は、粒子サイズが約0.5μm~約0.9μmの材料として定義され、(IV)「微細グレード」は、粒子サイズが約1.0μm~約1.3μmの材料として定義され、(V)「中粗グレード」は、粒子サイズが約1.4μm~約2.0μmの材料として定義され、(VI)「中粗グレード」は、粒子サイズが約2.1μm~約3.4μmの材料として定義され、(VII)「粗粒度」とは、粒子サイズが約3.5μm~約5.0μmの材料と定義され、且つ(VIII)「極粗粒度」とは、粒子サイズが約5.0μmを超える材料と定義される。
【0020】
[0021]本明細書において、用語「約」は、特許請求の範囲及び本明細書において使用されている数値のプラス又はマイナス5%を意味するものとする。したがって、「約(about)」は数値範囲の終点に柔軟性を持たせるために使用することができ、特定の値が特定の値より「上」又は「下」になる場合がある。それゆえ、例えば、50%という値は、例えば47.5%~52.25%、47.5%~52.5%、47.75%~50%、50%~52.5%、48%~48.5%、48%~48.75%、48%~49%、48%~49.5%、48%~49.75%、48%~50%、48%~50.25%、48%~50.5%、48%~50.75%、48%~51%、48%~51.5%、48%~51.75%、48%~52%、48%~52.25%、48%~52.5%、48.25%~48.5%、48.25%~48.75%、48.25%~49%、48.25%~49.5%、48.25%~49.75%、48.25%~50%、48.25%~50.25%、48.25%~50.5%、48.25%~50.75%、48.25%~51%、48.25%~51.25%、48.25%~51.5%、48.25%~51.75%、48.25%~52%、48.25%~52.25%、48.25%~52.5%、48.5%~48.75%、48.5%~49%、48.5%~49.5%、48.5%~49.75%、48.5%~50%、48.5%~50.25%、48.5%~50.5%、48.5%~50.75%、48.5%~51%、48.5%~51.25%、48.5%~51.5%、48.5%~51.75%、48.5%~52%、48.5%~52.25%、48.5%~52.5%、49%~49.25%、49%~49.5%、49%~49.75%、49%~50%、49%~50.25%、49%~50.5%、49%~50.75%、49%~51%、49%~51.25%、49%~51.5%、49%~51.75%、49%~52%、49%~52.25%、49%~52.5%、49.5%~49.75%、49.5%~50%、49.5%~50.25%、49.5%~50.5%、49.5%~50.75%、49.5%~51%、49.5%~51.5%、49.5%~51.75%、49.5%~52%、49.5%~52.25%、49.5%~52.5%、49.75%~50%、49.75%~50.25%、49.75%~50.5%、49.75%~50.75%、49.75%~51%、49.75%~51.25%、49.75%~51.5%、49.75%~51.75%、49.75%~52%、49.75%~52.25%、49.75%~52.5%、50%~50.25%、50%~50.5%、50%~50.75%、50%~51%、50%~51.25%、50%~51.5%、50%~52%、50%~52.25%、50%~52.5%等のような範囲で定義される範囲を包含することを企図され得る。
【0021】
[0022]本明細書において使用される「主に」という用語は、特定のエンティティの少なくとも95%を包含することを意味する。
【0022】
[0023]本明細書において使用される「未焼結体(グリーン体、green body)」という用語は、材料が焼結される前の圧縮粉末又は圧縮板の形態の圧縮材料を指す。
【0023】
[0024]本明細書で使用される「再生炭化物材料」とは、既知の方法に従ってリサイクル又は再生された炭化物材料を意味する。再生炭化物材料は、再生亜鉛炭化物、再生非焼結炭化物などを含む。
【0024】
[0025]本明細書において、「再生亜鉛炭化物」とは、亜鉛リサイクル又は再生方法を経て再生された炭化物を指す。例えば、超硬合金材料の亜鉛再生は、溶融亜鉛を使用するプロセスを含む。このプロセスでは、超硬合金材料をトレイ内で亜鉛インゴットと混合し、混合物を炉で加熱して亜鉛を液化する。液化した亜鉛はWC材料に浸透し、炭化物材料内の金属バインダーと反応する。その後、亜鉛は揮発して多孔質のWCが残り、最終的に粉末状に粉砕される。
【0025】
[0026]本明細書において、「再生非焼結炭化物」とは、再生又は回収された非焼結炭化物材料を指す。再生非焼結炭化物には、以前に使用された非焼結炭化物粉末から、又は炭化物のプレス及びグリーン加工プロセスからのスクラップの残りから得られた軟質の再利用炭化物材料を含む。したがって、再生亜鉛炭化物と再生非焼結炭化物の明確な違いは、再利用のために軟質の再生非焼結炭化物を得るために化学処理が施されていないことである。
【0026】
[0027]本明細書で使用される「横方向破断強度」という用語は、曲げ試験において材料が降伏する直前の材料の応力として定義される材料特性である。横曲げ試験は最も頻繁に使用され、例えば面取りされた円形又は長方形の断面を持つ試験片を、3点曲げ試験技術を使用して破断又は降伏するまで曲げまる。横方向の破断強度は、降伏の瞬間の直前に材料内で発生する最大の応力を表す。それはストレスの観点から測定される。
【0027】
[0028]本明細書で使用される「バージン原材料」という用語は、再生炭化物材料とは対照的に、以前に焼結された炭化物組成物の一部ではなかった、またリサイクルもされていない材料を一般に指す。
【0028】
[0029]本明細書において使用される用語「パルムクビスト破壊靭性」、すなわちKlcは、エネルギーを吸収した際に、事前亀裂を有する材料がさらなる破壊の伝播に抵抗する能力を指す。
【0029】
[0030]本明細書において使用される用語「HV30ビッカース硬度」(すなわち、30kgfの荷重を適用する)は、局所的な塑性変形に対する抵抗の尺度であり、試料を30kgfでビッカースチップで押し込むことによって得られる。
【0030】
[0031]本明細書で使用されているISO 28079-2009規格は、インデンテーション法によって室温で超硬合金、サーメット、及び超硬合金の破壊靭性及び硬度を測定する方法を規定している。ISO 28079-2009規格は、インデンテーションと、ビッカース硬度のインデンテーションから発散する亀裂の対角線の長さを使用して計算される破壊靭性と硬度の測定に適用され、金属結合炭化物及び炭窒化物(例えば、超硬合金、サーメット、又は超硬合金)に使用することを目的としている。ISO 28079:2009規格で提案されている試験手順は、周囲温度での使用を意図しているが、合意によりより高い温度又はより低い温度に拡張できる。ISO 28079:2009規格で提案されている試験手順は、通常の実験室空気環境での使用も想定されている。通常、強酸や海水などの腐食性環境での使用は想定されていない。ISO 28079-2009規格は、例えば「Comprehensive Hard Materials book」、2014、Elsevier Ltd.の312ページに記載されているASTM B771規格と直接比較可能であり、その全文は参照により本明細書中で援用される。したがって、ISO 28079-2009規格を使用して測定された破壊靭性及び硬度は、ASTM B771規格を使用した測定値と同じであると想定できる。
【0031】
[0032]本明細書で使用されている ISO 3327-2009規格では、超硬合金の抗折強度を測定するための抗折強度試験と呼ばれる方法を規定している。本方法は、円形又は面取りされた長方形の断面を有する指定された長さの試験片を2つの支持体上に置き、破壊が起こるまで中央に荷重をかけることによって実行される。横方向の破断強度は、いくつかの観測値の平均として求められる。「破壊係数」、「曲げ強度」、又は「曲げ強度」とも呼ばれる横方向破断強度は、横方向破断強度試験で材料が降伏又は破損する直前の材料の応力として定義される材料特性である。それゆえ、横方向の破断強度は、降伏の瞬間の直前に材料内で発生する最大の応力を表す。この方法は、延性が無視できる超硬金属に適用することができる。破断前に著しい塑性変形を示す超硬金属に使用すると、誤った結果が得られる可能性がある。このような場合、この方法は比較の目的でのみ使用することができる。一般に、タイプBの試験片の強度値は、試験対象の材料に応じて、また表面状態が同じであれば、タイプAの試験片で得られる強度値より約10%~20%高くなる。再現性はすべてのタイプの試験片にも同様である。タイプCの試験片では、タイプBの試験片よりも約5%~10%高い強度値が得られるが、強度値の増加は材料に関連している。
【0032】
[0033]本明細書で使用されるASTM B 406規格は、超硬合金の横方向の破断強度を測定する方法を規定しており、超硬合金の試験片は次の特定の寸法に研磨される。0.200+/-0.010インチ(5.00+/-0.25mm)の厚さ、0.250+/-0.010インチ(6.25+/-0.25mm)の幅、及び0.750インチ(19.0mm)の長さ。荷重は、次の3点固定具に適用される。(i)直径0.250+/-0.001インチ(6.35+/-0.02mm)、長さが少なくとも0.500インチ(13mm)で長軸が平行で中心間の間隔が0.563+/-0.005インチ(14.3+/-0.1mm)の2つの研磨された超硬合金シリンダー、及び(ii)寸法0.4+/-0.05インチ(10+/-1.3mm)の超硬合金ボールを備えた可動部材(つまり、2つのシリンダーの軸によって確立された平面に垂直な線上でのみ実質的に自由に移動できる)、又は前述のシリンダーと同じ寸法で軸が前述のシリンダーと平行な研磨された超硬合金シリンダー。
【0033】
[0034]本明細書で使用される「ワイブル係数」という用語は、ワイブル分布の無次元パラメータを指し、これは、焼結炭化物材料の測定された横方向破断強度の変動性を説明するために使用される。
【0034】
[0035]本明細書で使用されている「超研磨超硬質材料」という用語、又は単に互換的に使用される「超研磨材料」という用語は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド(PCD)、熱安定性多結晶ダイヤモンド(PCD)、化学気相堆積(CVD)ダイヤモンド、金属マトリックスダイヤモンド複合材、セラミックマトリックスダイヤモンド複合材、ナノダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)、又は超研磨切削要素で使用される超研磨材又はその他の超研磨材の組み合わせに含まれる材料を指すが、これらに限定されない。
【0035】
[0036]本明細書において、「物理気相堆積(PVD)」とは、薄膜及びコーティングを製造するために使用できる様々な真空蒸着法を指す。PVDは、堆積された材料が凝縮相から気相に移行し、その後再び薄膜凝縮相に戻るというプロセスによって特徴付けられる。最も一般的なPVDプロセスは、スパッタリングと蒸発である。
【0036】
[0037]本明細書において、「化学気相堆積(CVD)」とは、基材(すなわち、超硬合金組成物又は超硬合金製品)を1つ又は複数の揮発性前駆物質に曝露し、基材表面で反応及び/又は分解して所望の堆積物を生成する方法を指す。揮発性の副産物も頻繁に生成されるが、これは反応室を通るガスの流れによって除去される。
【0037】
[0038]ここで使用される「実質的に」という用語は、動作、特性、性質、状態、構造、項目、又は結果の完全又はほぼ完全な範囲又は程度を指す。
【0038】
[0039]本開示全体を通じて使用される場合、「一般的に」という用語は、「およそ」、「典型的に」、「ほぼ」又は「付近又は範囲内」という意味を有する。
【0039】
[0040]本明細書において、「球状」とは、実質的に「丸い」形状を有する粒子を指す。
【0040】
[0041]本開示は、(i)再生亜鉛炭化物と(ii)再生非焼結炭化物を含む超硬合金組成物を製造することにより、従来技術を超える驚くべき、新規かつ独創的な解決策を実証するという概念から生まれたものである。超硬合金組成物は、電気化学的に処理されたリサイクル材料を一切含まない。これにより、バージン原材料のみを含む基準材料として使用される超硬合金と比較した場合、硬度、破壊靭性、及び横方向破断強度の機械的特性が改善されるか、少なくとも同等になるという利点が得られる。その結果、煩雑な電気化学的リサイクルプロセスステップが排除されるため、従来の既知の解決策よりも有利な改善が得られる。
【0041】
[0042]一態様では、一般に、再生炭化物材料を、超硬合金組成物の70重量%を超える量で含むことができる炭化物相(又は炭化物材料)を含む超硬合金組成物が提供される。炭化物相は、代替的に、超硬合金組成物の75重量%を超える量、超硬合金組成物の80重量%を超える量、超硬合金組成物の85重量%を超える量、超硬合金組成物の89重量%を超える量、超硬合金組成物の90重量%を超える量、超硬合金組成物の95重量%を超える量、超硬合金組成物の約70重量%~約95重量%、超硬合金組成物の約70重量%~約90重量%、超硬合金組成物の約75重量%~約95重量%、超硬合金組成物の約70重量%~約95重量%、超硬合金組成物の約80重量%~約95重量%、超硬合金組成物の約80重量%~約90重量%、超硬合金組成物の約85重量%~約95重量%、又は超硬合金組成物の約85重量%~約90重量%の量で存在し得る。
【0042】
[0043]炭化物相は、他の炭化物材料の中でも、再生亜鉛炭化物、再生非焼結炭化物、バージン炭化物、パラタングステン酸アンモニウム処理焼結炭化物スクラップを含むか、又はそれらから構成される場合がある。
【0043】
[0044]再生亜鉛炭化物材料は、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約65重量%の量で炭化物相中に存在してもよい。炭化物相の重量に基づいて重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約90重量%、又は炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約85重量%の量で炭化物相中に存在し得る。
【0044】
[0045]再生非焼結炭化物材料は、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約5重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約10重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約10重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約45重量%の量で炭化物相中に存在し得る。あるいはまた、再生非焼結炭化物は、炭化物相の任意の量で最大100%まで存在してもよい。
【0045】
[0046]本明細書に開示される超硬合金組成物は、ISO 3327-2009規格に準拠して測定された横方向破断強度(TRS-B)が少なくとも約≧3000MPaである。さらに、超硬合金組成物は、電気化学的に処理されたリサイクル材料を含まなくてもよい。あるいはまた、得られた超硬合金は、100重量%の再生非焼結超硬合金を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、約320Ksi~約570Ksiの範囲の横方向破断強度を有し得る。いくつかの例では、90重量%の亜鉛再生炭化物と10重量%の再生非焼結炭化物を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、横方向の破断強度は約330Ksi~約540Ksiの範囲にある。ASTM B 406規格に準拠して測定した場合の横方向の破断強度範囲は、80重量%の再生亜鉛炭化物と20重量%の再生非焼結炭化物、70重量%の再生亜鉛炭化物と30重量%の再生非焼結炭化物、60重量%の再生亜鉛炭化物と40重量%の再生非焼結炭化物、50重量%の再生亜鉛炭化物と50重量%の再生非焼結炭化物、及び45重量%の再生亜鉛炭化物と55重量%の再生非焼結炭化物で定義される組成物について、さらに実証された。
【0046】
[0047]本明細書に記載の再生炭化物材料を含む超硬合金組成物は、優れた機械的特性、又は最低限でもバージン炭化物と実質的に同様の特性を示す。したがって、再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物を、未使用の金属バインダー、粒成長抑制剤、有機バインダー、及びその他の成分と組み合わせて、超硬合金部品の製造用の新しい粉末組成物を提供する大きな可撓性が存在する。
【0047】
[0048]例えば、再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、典型的には炭化物材料としてタングステン炭化物を含むか、又はそれから構成され得る。あるいはまた、再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、炭化タングステンと、周期表のIVB族、VB族、及びVIB族からなる群から選択される金属の炭化物、ホウ化物、窒化物、又は炭窒化物のうちの少なくとも1つ又は複数を含み得る。
【0048】
[0049]再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、本開示の目的と矛盾せず、適合しない任意の平均粒子サイズを示し得る。一般に、超硬合金組成物の再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、典型的に、例えば、0.5μm~30μmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。特定の実施形態では、再生非焼結炭化物及び焼結炭化物組成物の再生亜鉛炭化物は、1μm~5μm、1μm~10μm、1μm~15μm、1μm~20μm、1μm~25μm、1μm~30μm、5μm~10μm、10μm~15μm、5μm~15μm、15μm~20μm、5μm~20μm、20μm~25μm、5μm~25μm、25μm~30μm、又は5μm~30μmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。
【0049】
[0050]粒子サイズを決定するために、当業者は、通常、動的デジタル画像解析(DIA)、レーザー回折としても知られる静的レーザー光散乱(SLS)、又は画像解析及び光遮蔽として知られる技術である電子顕微鏡による視覚測定のいずれかを使用することができる。各方法は、測定が可能な特徴的なサイズ範囲をカバーする。これらの範囲は部分的に重複する。しかしながら、同じ資料を測定した結果も、使用される特定の方法によって異なる場合がある。粒子サイズ又は粒子サイズ分布を決定したい当業者は、言及された各方法が一般的にどのように実行され実践されているかを容易に理解するであろう。したがって、読者は、例えば、(i)「方法の比較」に誘導される。各手順と方法論についてさらに理解を深めるには、(ii)Kellyらの、“Graphical comparison of image analysis and laser diffraction particle size analysis data obtained from the measurements of nonspherical particle systems”, AAPS PharmSciTech., 2006 Aug 18;Vol.7(3):69を参照されたい。これらの文書はすべて、その全体が本明細書中で援用される。
【0050】
[0051]所望の粒子サイズの超硬合金及びサーメット粉末は、粉末の製造時に金属バインダーを使用して、超硬合金及びサーメット粉末を周囲条件(ボールミル又はアトリターミルで25℃、298.15K、圧力101.325kPa)下で数時間(例えば、8、16、32、64時間)粉砕操作に供することによって製造することができる。当業者には明らかなように、粉砕は、まず粉砕液を粉末に加えて粉砕粉末スラリー組成物を形成することによって行われる。粉砕液は、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール(これらに限定されない)、アセトンやトルエンなどの有機溶媒、アルコール混合物、アルコールと溶媒の混合物、又は同様の成分であり得る。粉砕粉末スラリー組成物の特性は、とりわけ、添加される粉砕液の量に依存する。粉砕粉末スラリー組成物の乾燥にはエネルギーが必要であるため、コストを抑えるために、使用する粉砕液の量を最小限に抑えることが望ましい。しかしながら、ポンプで送れる粉砕粉末スラリー組成を実現し、システムの詰まりを回避するには、十分な粉砕液を追加する必要がある。さらに、当業者に周知の他の化合物、例えば分散剤、pH調整剤などをスラリーに加えることもできる。ポリエチレングリコール(PEG)、パラフィン、ポリビニルアルコール(PVA)、長鎖脂肪酸、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせ、又は同様の成分などの有機バインダーを、粉砕前に粉砕粉末スラリー組成物に、典型的には、形成されたスラリーの総体積の例えば15体積%から25体積%加え、粉砕操作中に超硬合金相と金属バインダー相粉末ブレンドの形成を容易にし、さらに加圧剤として機能し、最後に、以下の段落[0056]で説明する次の加圧/成形ステップで、形成された未焼成品の取り扱いを容易にすることができる。
【0051】
[0052]粉砕操作の主な目的は、良好な金属バインダーの分布と、硬質セメント炭化物構成粒子と金属バインダー粉末との間の良好な濡れ性を促進して、粉砕粉末スラリー組成物の物理的完全性を強化し、場合によっては、タングステンカーバイド(WC)結晶を脱凝集することである。
【0052】
[0053]許容できる金属バインダー分布と良好な濡れ性は、優れた物理的品質の超硬合金材料を得るための基本的かつ不可欠なパラメータである。一方、金属バインダーの分布又は濡れ性がかなり悪い場合、その結果、最終的な焼結超硬合金本体に望ましくない気孔及び亀裂が形成される可能性があり、これは製造される超硬合金に悪影響を及ぼす。
【0053】
[0054]粉砕された粉末スラリー組成物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、又は真空乾燥して造粒することができ、例えば球形を含む様々な形状の自由流動性粉末凝集体を提供することができる。あるいはまた、粉砕された粉末スラリー組成物を真空乾燥して、未焼結体を形成する際の等方圧圧縮に適した粉末を提供することもできる。場合によっては、再生炭化物材料は、金属バインダーと共に粉砕する前に、粉砕又は細分化することができる。
【0054】
[0055]噴霧乾燥の場合、有機液体と混合された粉末材料及び有機バインダーを含む粉砕粉末スラリー組成物は、乾燥塔内の適切なノズルを通して噴霧され、そこで小さな液滴は、例えば窒素流中の高温ガス流によって瞬時に乾燥され、制限のない流動特性を示す球状の粉末凝集体を形成する。
【0055】
[0056]粉末は、焼結工程の準備として、未焼結の物品又は物体に形成又は固められる。未焼結体は、多軸プレス、押し出し成形、金属射出成形、冷間静水圧プレス、ピルプレス、テープ鋳造、及び粉末冶金技術で知られている他の方法を含む冷間工具プレス技術などの従来の技術を使用して、粉末ブレンドから成形される。本発明の目的と矛盾しない任意の統合方法を利用することができる。成形により、処理された材料が圧縮粉末の形状であるため、粉末凝集体の取り扱いやグリーン加工が容易になるグリーン密度及び/又はグリーン強度が得られる。本開示の一例では、成形はプレス操作によって行われる。ここで、プレスは、一般的に用いられる5トン~40トンの力での一軸プレス操作によって行うことができる。
【0056】
[0057]未焼結体は、有機バインダーを完全に除去するために、焼結前の温度上昇処理に供することができる。これは、以下の段落[0058]でさらに説明する焼結プロセスを実行するときに、同じ装置で実行することができる。有機バインダーを除去するための適切な温度は、通常は反応性H2雰囲気下で、H2流量は一般に1000L/時間から10000L/時間で、例えば、約0.70℃/分の速度で慣例的に温度を上昇させて、200℃~450℃、200℃~500℃、200℃~600℃、250℃~450℃、250℃~500℃、250℃~600℃、300℃~450℃、300℃~500、又は300℃~600℃を採用することができる。いくつかの例では、有機バインダーを除去した後、温度を約2℃/分~約10℃/分の速度で、又は約2℃/分~約5℃/分の速度で、所望の予備焼結温度まで上昇させる。焼結炉内の物体全体の変化が所望の温度に達し、所望の相転移(すなわち、有機バインダーの除去)が完了するまで、温度は1分~90分間維持される。一般に、予備焼結工程は真空中、又は反応性雰囲気(H2)、あるいは窒素(N2)、アルゴン(Ar)などの非反応性雰囲気中で実施することができる。
【0057】
[0058]予備焼結及び脱バインダーされた未焼結体は、その後、最終的に焼結された最終材料を形成するための固化プロセスを経る。これは通常、50kbar~75kbar、50kbar~80kbar、50kbar~85kbar、50kbar~90kbar、60kbar~75kbar、60kbar~80kbar、60kbar~85kbar、60kbar~90kbar、70kbar~75kbar、70kbar~80kbar、70kbar~85kbar、又は70kbar~90kbarの圧力を使用して実行され得る。しかし、組成によっては、この圧力範囲は、典型的に、1分~60分である、最高温度での滞留時間で、1300℃~1500℃、1300℃~1600℃、1300℃~1700℃、1300℃~1800℃、1400℃~1500℃、1400℃~1600℃、1400℃~1700℃、1400℃~1800℃、1500℃~1600℃、1500℃~1700℃、又は1500℃~1800℃の温度範囲で、35kbarから60kbarの範囲に低下する可能性がある。
【0058】
[0059]未焼結体は真空焼結、又はアルゴン(Ar)又は水素雰囲気下での焼結のいずれかに供することができる。真空焼結では、未焼結体は、真空炉に入れられ、一般に、約1300℃~1500℃、1300℃~1600℃、1300℃~1700℃、1300℃~1800℃、1400℃~1500℃、1400℃~1600℃、1400℃~1700℃、1400℃~1800℃、1500℃~1600℃、1500℃~1700℃、又は1500℃~1800℃の温度で焼結される。いくつかの例では、真空焼結プロセスに熱間等方加圧(HIP)が追加されることがある。熱間等方圧加圧(HIP)は、焼結後の操作として、又は真空焼結中に実行することができ、それにより、焼結HIPプロセスを生じさせることができる。得られた焼結超硬合金物品は、本明細書に記載の破壊硬度、破壊靭性、及び横方向破断強度の値を示すことができる。
【0059】
[0060]超硬合金組成物の再生超硬合金材料は、前述のように、亜鉛再生超硬合金から構成されていてもよい。例えば、再生亜鉛炭化物がリサイクル粉末成分の唯一の種である可能性がある。あるいはまた、再生炭化物材料には、コールドストリームプロセス、アルカリ浸出プロセス、塩素処理システム、高温製錬など、ただしこれらに限定されない、1つ又は複数の異なる追加のリサイクル方法によって処理された焼結再生亜鉛炭化物及び焼結超硬合金を含み得る。焼結再生亜鉛炭化物は、本発明の目的と矛盾せず、適合しない量であれば、他のリサイクル焼結超硬合金材料と混合することができる。リサイクル炭化物粉末成分中の焼結再生亜鉛炭化物材料の量は、粉末から形成される物品の所望の機械的特性及び化学的特性を含むいくつかの考慮事項に従って選択できる。
【0060】
[0061]あるいはまた、いくつかの場合では、超硬合金組成物の機械的特性をさらに向上させる目的で、バージン超硬合金成分を追加で含むこともできる。バージン炭化物成分には、周期表の第IVB族、第VB族、及び第VIB族から選択される1つ又は複数の金属の炭化物、ホウ化物、窒化物、及び/又は炭窒化物が含まれる場合がある。バージンであるため、金属炭化物、ホウ化物、窒化物、及び/又は炭窒化物は、以前に焼結炭化物組成物の一部になったことがなく、リサイクルもされていない。いくつかの例では、バージン炭化物成分には、炭化タングステン、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化バナジウム、炭化クロム、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、又は炭化チタンのうちの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。バージン炭化物成分は、本発明の目的と矛盾せず、適合しない量であれば、粉末組成物中に存在することができる。バージン炭化物成分の量は、粉末から形成された焼結物品の所望の機械的及び化学的特性、並びにリサイクル炭化物粉末成分の特定の組成の同一性を含むがこれらに限定されないいくつかの考慮事項に従って選択することができる。バージン炭化物成分は、典型的に、炭化物相の重量に基づいて、例えば、炭化物相の重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、0.1重量%~7重量%、0.1重量%~10重量%、0.1重量%~12重量%、0.1重量%~15重量%、0.1重量%~17重量%、又は0.1重量%~20重量%などの、0.05重量%~20重量%の量で存在し得る。
【0061】
[0062]超硬合金組成物には、少なくとも1つ又は複数の金属バインダー及び粒成長抑制剤も含まれていてもよい。粒成長抑制剤の非限定的な例は、炭化バナジウム(VC)、炭化クロム(Cr3C2)、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化ニオブ(NbC)などの炭化物を含む。金属バインダーには、周期表の第VIIIB族の1つ又は複数の遷移金属を含めることができる。特定の実施形態では、金属バインダーはコバルト、又はコバルトベースの合金であってもよい。粉末コバルト系合金バインダーは、いくつかの特定の実施形態では、コバルト遷移金属合金を含むことができる。例えば、バインダー合金の遷移金属は、モリブデン、ルテニウム、レニウム、ロジウム、白金、パラジウム、マンガン、銅、鉄、ニッケル、又はそれらの組み合わせからなる群から適切に選択することができる。他の特定の実施形態では、粉末コバルトベースの金属バインダーには、ケイ素及び/又はアルミニウムなどの半金属が同様に含まれていてもよい。
【0062】
[0063]金属バインダーは、本発明の目的と矛盾せず、適合しない量で、超硬合金組成物中に存在することができる。金属バインダーは、通常、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~30重量%の量で存在することができる。いくつかの場合では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~3重量%の量で存在することができる。他の例では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~5重量%の量で存在することができる。さらに別の例では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~7重量%の量で存在することができる。さらに他の例では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~10重量%の量で存在することができる。さらなる例では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~15重量%の量で存在することができる。さらなる別の例では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~20重量%の量で存在することができる。別の実施形態では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~25重量%の量で存在することができる。さらに他の実施形態では、金属バインダーは、超硬合金粉末組成物の全重量の1重量%~27重量%の量で存在することができる。特定の実施形態では、金属バインダー及び粒成長抑制剤は、超硬合金粉末組成物の全重量の、1重量%~2重量%、2重量%~5重量%、5重量%~7重量%、3重量%~7重量%、又は7重量%~10重量%、10.1重量%、10.2重量%、10.3重量%、10.4重量%、10.5重量%、10.6重量%、10.7重量%、10.8重量%、又は10.9重量%の量で存在し得る。金属バインダーは、再生炭化物成分及びバージン炭化物成分(存在する場合)の個々の粒子を含む、超硬合金組成物の炭化物成分をコーティングする。
【0063】
[0064]焼結超硬合金物品の場合、このような焼結超硬合金物品は、焼結超硬合金製品の70重量%を超える量の再生超硬合金材料を一般に含む炭化物相(又は炭化物材料)を含む超硬合金組成物の粉末から製造することができる。炭化物相は、代替的に、焼結超硬合金物品の75重量%を超える量、焼結超硬合金物品の80重量%を超える量、焼結超硬合金物品の85重量%を超える量、焼結超硬合金物品の89重量%を超える量、焼結超硬合金物品の90重量%を超える量、焼結超硬合金物品の95重量%を超える量、焼結超硬合金物品の約70重量%~約95重量%、焼結超硬合金物品の約70重量%~約90重量%、焼結超硬合金物品の約75重量%~約95重量%、焼結超硬合金物品の約70重量%~約95重量%、焼結超硬合金物品の約80重量%~約95重量%、焼結超硬合金物品の約80重量%~約90重量%、焼結超硬合金物品の約85重量%~約95重量%、又は焼結超硬合金物品の約85重量%~約90重量%の量で存在し得る。
【0064】
[0065]炭化物相は、他の炭化物材料の中でも、再生亜鉛炭化物、再生非焼結炭化物、バージン炭化物、パラタングステン酸アンモニウム処理焼結炭化物スクラップを含むか、又はそれらから構成される場合がある。
【0065】
[0066]再生亜鉛炭化物材料は、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約45重量%~約65重量%の量で炭化物相中に存在してもよい。炭化物相の重量に基づいて重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約50重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約55重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約70重量%、炭化物相の重量に基づいて約60重量%~約65重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約70重量%~約75重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約90重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約85重量%、炭化物相の重量に基づいて約75重量%~約80重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約100重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約95重量%、炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約90重量%、又は炭化物相の重量に基づいて約80重量%~約85重量%の量で炭化物相中に存在し得る。
【0066】
[0067]再生非焼結炭化物材料は、炭化物相中に、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約10重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約0重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約10重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約5重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて10重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約10重量%~約45重量%、炭化物相の重量に基づいて15重量%~約20重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約30重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約35重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約40重量%、炭化物相の重量に基づいて約15重量%~約45重量%の量で存在し得る。あるいはまた、再生非焼結炭化物は、炭化物相の任意の量で最大100%まで存在してもよい。
【0067】
[0068]さらに、超硬合金製品の再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、本開示の目的と矛盾せず、適合しない任意の平均粒子サイズを示し得る。一般に、超硬合金物品の再生非焼結炭化物及び再生亜鉛炭化物は、典型的に、例えば、0.5μm~30μmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。特定の実施形態では、再生非焼結炭化物及び焼結炭化物物品の再生亜鉛炭化物は、1μm~5μm、1μm~10μm、1μm~15μm、1μm~20μm、1μm~25μm、1μm~30μm、5μm~10μm、10μm~15μm、5μm~15μm、15μm~20μm、5μm~20μm、20μm~25μm、5μm~25μm、25μm~30μm、又は5μm~30μmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。
【0068】
[0069]前述のように、粒子サイズを決定するために、当業者は、通常、動的デジタル画像分析(DIA)、静的レーザー光散乱(SLS)、又は電子顕微鏡による視覚測定などの方法論を使用することができる。
【0069】
[0070]本明細書に記載のリサイクル炭化物粉末を使用した焼結超硬合金物品は、優れた機械的特性を示し、又は最低限、バージン炭化物粉末組成物のみから形成された焼結物と実質的に同等であり、特に、焼結セメント製品は、ISO 3327-2009規格に準拠して測定された横方向破断強度(TRS-B)が少なくとも約≧3000MPaである。あるいはまた、得られた超硬合金は、100重量%の再生非焼結超硬合金を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、約320Ksi~約570Ksiの範囲の横方向破断強度を有し得る。いくつかの例では、90重量%の亜鉛再生炭化物と10重量%の再生非焼結炭化物を含む試料についてASTM B 406規格に準拠して測定した場合、横方向の破断強度は約330Ksi~約540Ksiの範囲にある。ASTM B 406規格に準拠して測定した場合の横方向の破断強度範囲は、少なくとも80重量%の再生亜鉛炭化物と20重量%の再生非焼結炭化物、70重量%の再生亜鉛炭化物と30重量%の再生非焼結炭化物、60重量%の再生亜鉛炭化物と40重量%の再生非焼結炭化物、50重量%の再生亜鉛炭化物と50重量%の再生非焼結炭化物、及び45重量%の再生亜鉛炭化物と55重量%の再生非焼結炭化物で特定される組成物についてもまた得られた。
【0070】
[0071]さらに、焼結超硬合金物品は、例えば、11g/cm3~15g/cm3、12g/cm3~15g/cm3、13g/cm3~15g/cm3、14g/cm3~15g/cm3の範囲の高密度材料を示す可能性がある。さらに、本明細書に記載の焼結超硬合金物品は、イータ物質[(CoW)C]、W2C、及び/又はW3Cを含む低級炭化物物質を含まないか、又は実質的に含まないことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の焼結超硬合金物品は、A型多孔性及びB型多孔性の少なくとも1つを有さない場合がある。さらに、特定の実施形態では、本明細書に記載の焼結超硬合金物品は、さらに遊離グラファイト(C型多孔性)を含有しないものであってもよい。
【0071】
[0072]本明細書に記載の焼結超硬合金製品及び超硬合金組成物は、切削要素として、又は様々な用途の切削要素の構成要素として有利に組み込むことができる。いくつかの実施形態では、焼結超硬合金製品及び超硬合金組成物には、金属及び/又は金属合金の機械加工用の切削インサートが含まれ得る。他の実施形態では、焼結超硬合金製品及び超硬合金組成物は、ドリル、エンドミル、及び/又はフライス加工インサートなどの断続切削工具を含み得る。
【0072】
[0073]さらに、本明細書に記載の焼結超硬合金物品は、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド(PCD)、熱安定性多結晶ダイヤモンド(PCD)、化学蒸着(CVD)ダイヤモンド、金属マトリックスダイヤモンド複合材、セラミックマトリックスダイヤモンド複合材、ナノダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(cBN)、多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で超研磨超硬質材料として知られているものと組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載の焼結超硬合金物品は、構造的にアンカー基板又は支持体として機能し、機能性を向上させることができ、そのために超研磨材は高温高圧(HTHP)プロセスで焼結される。
【0073】
[0074]このようなシナリオでは、超研磨超硬質材料の層は、耐摩耗性の向上をもたらし、本明細書に記載の超硬合金製品を構成する焼結超硬合金組成物を使用する切削要素及び/又は摩耗部品の寿命を延ばすことができる。いくつかの特定の実施形態では、焼結超硬合金物品は、掘削工具、回転工具又は切削工具の製造に、例えば線引きダイスなどの摩耗部品として、又は掘削本体、ドリルビット及びカッターを組み込んだ掘削及び採掘装置に使用することができる。
【0074】
[0075]本明細書に記載の独特の機械的特性を有する焼結超硬合金物品又は超硬合金粉末組成物は、1つ又は複数の耐火材料でコーティングされてもよい。ここで使用される耐火材料とは、熱、圧力、又は化学的な攻撃による分解に耐性のある材料を指す。コーティングは、物理蒸着法(PVD)又はアルミニウム、周期表の第IVB族、第VB族、VIB族の金属元素、及び周期表の第IIIA族、第IVA族、第VA族、第VIA族から選択される1つ又は複数の元素から選択される化学気相堆積(CVD)によって行うことができる。例えば、耐火コーティングには、アルミニウム、周期表のIVB、VB、及びVIB族から選択される1つ又は複数の金属元素の1つ又は複数の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物、又はホウ化物が含まれることができる。さらに、コーティングは、単層コーティング又は多層コーティングであることが好適であり得る。耐火材料が使用される場合、その重量は最大10重量%まで存在することができる。いくつかの例では、耐火材料は、1重量%~2重量%、1重量%~3重量%、1重量%~4重量%、3重量%~4重量%、3重量%~5重量%、3重量%~6重量%、5重量%~6重量%、5重量%~7重量%、5重量%~8重量%、又は5重量%~10重量%で存在する。
【実施例】
【0075】
実施例
[0076]以下の実施例は、当業者に、記載された主題の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されており、発明者が開示とみなす範囲を制限することを意図したものではなく、また、以下の実験が行われたすべての実験又は唯一の実験であることを示すことを意図したものでもない。使用される数値に関しては正確性を確保するために努力しているが、ある程度の実験誤差及び偏差を考慮するべきである。別途示さない限り、部は重量、分子量は重量平均分子量、温度は摂氏、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0076】
実施例1
[0077]再生炭化物材料は、亜鉛と再生炭化物の複合材料及び/又は再生非焼結炭化物から構成され、バージン原材料のみを含む焼結炭化物と比較して、優れた硬度、破壊靭性、及び横方向破壊強度の機械的特性を示す。
【0077】
[0078]本明細書に記載の主題に従って、超硬合金組成物を調製した。超硬合金組成物には、少なくとも70重量%の再生炭化物材料が含まれ、そのうち45重量%~100重量%が再生亜鉛炭化物である。10重量%のCoと90重量%のバージンWCで構成される参照比較組成物も調製された。
図1A及び
図1Bに示すように、本発明の主題に係る超硬合金組成物は、基準超硬合金(すなわち、丸い先端部)と比較した場合、驚くべきことに、優れた、又は少なくとも実質的に同等の硬度及び破壊靭性特性を示す。
【0078】
[0079]
図1A及び
図1Bは、(I)10重量%のCo及び90重量%のバージンWCからなる基準材料と、(II)本発明の主題の実施形態に従った材料(少なくとも70重量%の再生炭化物材料から構成され、この再生炭化物は、再生亜鉛炭化物と再生非焼結炭化物との組み合わせから構成される)について測定された機械的特性を示す。
【0079】
[0080]再生亜鉛炭化物は、再生非焼結炭化物と組み合わせて、超硬合金組成物の全重量の0重量%~50重量%の範囲の量で混合された。硬度(すなわち、HV30)と破壊靭性(すなわち、K
lc)(
図1A)は、ISO 28079-2009規格に準拠して測定された。横方向破断強度TRS-A(
図1B)はISO 3327-2009規格に準拠して測定され、その後、本開示の段落[0032]に記載されているように1.15の乗数を適用して横方向破断強度TRS-B値に変換された。
【0080】
[0081]
図1A及び
図1Bにおいて、X軸は、亜鉛再生炭化物及び再生非焼結炭化物の合計重量%組成を示し(すなわち、再生非焼結炭化物及び残余の亜鉛再生炭化物をバランスとして使用して合計100重量%に達するまで示す)、一方、
図1AのY軸は、測定された(I)硬度、HV30(
図1A点線グラフ)、(II)破壊靭性、K
lc(
図1A破線グラフ)、及び(III)横方向破断強度TRS-B(
図1B破線グラフ)を示す。
【0081】
[0082]
図1A及び
図1Bから明らかなように、少なくとも70重量%の再生炭化物材料からなり、そのうち45重量%から100重量%が亜鉛再生炭化物である材料は、バージン原材料のみを含む10重量%のCo及び90重量%のWCから構成される基準材料と比較した場合、硬度HV30及び破壊靭性K
lcによって特徴付けられる機械的特性(例えば、標準偏差を考慮した場合)が、それよりも優れているか、又は少なくとも実質的に同等である(すなわち、上部の丸い点は硬度HV30を示し、下部の丸い点は破壊靭性K
lcを示す)。さらに、再生非焼結炭化物を最大50重量%まで混合物に加えると、ISO 3327-2009規格に準拠して測定された少なくとも約≧3000MPaの硬度、破壊靭性、及びTRS-B値の堅牢で有利な組み合わせが亜鉛再生炭化物に顕著にもたらされる。
【0082】
[0083]さらに、横方向の破断強度もASTM B 406規格に準拠して測定され、以下の表1に示すようにKsi単位で報告された。表1は、ASTM B 406規格に従ってKsiで測定した横方向破断強度の最小値、最大値、平均値を示しており、これは、(i)10重量%Coと90重量%バージンWCで構成された基準材料、及び(ii)複合亜鉛再生炭化物及び/又は再生非焼結炭化物(つまり、組成Aと組成B)で構成された再生炭化物材料について示したものである。組成物Aには100重量%の再生非焼結炭化物のみが含まれており、以下の表1の組成物Aについて得られた値は、100重量%の再生非焼結炭化物のみを含む複数の組成物の平均である。組成Bには、90重量%の再生亜鉛炭化物と10重量%の再生非焼結炭化物が含まれていた。表1に示されているように、100重量%の再生非焼結炭化物のみを含む組成Aで定義された材料についてASTM B 406規格に従って決定された平均の横方向破断強度値は462Ksiであった。これは、10重量%のCoと90重量%のバージンWCで構成される参照材料で得られた平均値473Ksiと同等であった。本明細書に開示された再生超硬合金材料は、ASTM B 406規格に準拠して測定された横方向破断強度が、組成Bでは約328Ksi~約543Ksiの範囲であり、組成Aでは約320Ksi~約571Ksiの範囲であった。
【0083】
【0084】
[0085]本開示は実施形態に関連して説明されているが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に定義されている本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、具体的に説明されていない追加、削除、変更、及び置換を行うことができることを理解するであろう。
【0085】
[0086]本明細書における実質的にあらゆる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しては、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて、複数形から単数形へ、及び/又は単数形から複数形へ翻訳することができる。明瞭化のために、ここでは単数/複数の様々な順列は明示的に示されていない。
【0086】
[0087]ここで説明する主題は、異なる他の構成要素内に含まれる、又は異なる他の構成要素に接続された異なる構成要素を示す場合がある。このように示されたアーキテクチャは単なる例示であり、実際には同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャを実装できることを理解する必要がある。概念的には、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、望ましい機能が実現されるように効果的に「関連付け」られる。したがって、特定の機能を実現するためにここで組み合わせられた任意の2つの構成要素は、アーキテクチャや中間構成要素に関係なく、目的の機能が実現されるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために互いに「操作可能に接続されている」又は「操作可能に結合されている」と見なすこともでき、また、そのように関連付けられる可能性がある任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために互いに「操作可能に結合可能である」と見なすこともできる。操作可能に結合可能な具体的な例としては、物理的に結合可能及び/又は物理的に相互作用する構成要素、及び/又はワイヤレスで相互作用可能及び/又はワイヤレスで相互作用するコ構成要素、及び/又は論理的に相互作用する及び/又は論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
[0088]いくつかの場合では、1つ又は複数の構成要素は、本明細書では「ように構成されている(configured to)」、「によって構成されている(configured by)」、「ように構成され得る(configurable to)」、「ように操作可能/作動可能(operable/operative to)」、「適応されている/適応可能である(adapted/adaptable)」、「できる(able to)」、「ように一致された/適合された(conformable/conformed to)」などと称し得る。当業者であれば、文脈上特に必要がない限り、このような用語(例えば、「ように構成されている(configured to)」)は、一般に、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンバイ状態の構成要素を包含できることが理解できるであろう。
【0088】
[0089]本明細書に記載された本発明の主題の特定の態様が示され、説明されているが、当業者には、本明細書の教示に基づいて、本明細書に記載された主題及びそのより広い態様から逸脱することなく変更及び修正を行うことができることは明らかであり、したがって、添付の請求項は、本明細書に記載された主題の真の趣旨及び範囲内にあるすべての変更及び修正をその範囲内に包含するものとする。一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に「オープン」な用語として意図されていることは、当業者には理解されるであろう(例えば、「含んでいる(including)」という用語は「含んでいるが、これらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)。さらに、当業者であれば、導入された特許請求の範囲の特定の数の記載が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合にはそのような意図は存在しないことが理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲には、特許請求の範囲の記載を紹介するために「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数の」という導入句が使用されている場合がある。しかしながら、そのようなフレーズの使用は、不定冠詞「a」又は「an」による特許請求の範囲の記載導入が、そのような導入された特許請求の範囲の記載を含む特定の特許請求の範囲を、そのような記載を1つだけ含むクレームに限定することを意味すると解釈されるべきではなく、これは、同じ特許請求の範囲に導入されたフレーズ「1つ又は複数の(one or more)」又は「少なくとも1つの(at least one)」と不定冠詞「a」又は「an」が含まれる場合であってさえもである(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの(at least one)」又は「1つ又は複数の(one or more)」を意味すると解釈されるべきである)。特許請求の範囲の記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても同様である。
【0089】
[0090]さらに、導入された特許請求の範囲の特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、そのような記載は通常、少なくとも記載された数を意味するように解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載」という単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載、又は2つ以上の記載を意味する)。
【0090】
[0091]さらに、「A、B、Cなどのうち少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその慣例を理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、Cのうち少なくとも1つを含むシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一緒に、AとCが一緒に、BとCが一緒に、及び/又はA、B、Cが一緒になどを含むシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、Cなどのうち少なくとも1つ」に類似した慣例が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその慣例を理解する意味で意図されている(例えば、「A、B、Cのうち少なくとも1つを含むシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBが一緒に、AとCが一緒に、BとCが一緒に、及び/又はA、B、Cが一緒になどを含むシステムが含まれるが、これらに限定されない)。
【0091】
さらに、当業者であれば、本明細書、特許請求の範囲、図面のいずれにおいても、2つ以上の代替用語を提示する分離語及び/又は句は、文脈上別段の定めがない限り、用語の1つ、いずれかの用語、又は両方の用語を含める可能性を考慮していると理解すべきであることを理解できるであろう。例えば、「A又はB」というフレーズは、通常、「A」又は「B」又は「AかつB」の可能性を含むと理解される。
【0092】
[0093]添付の特許請求の範囲に関して、当業者であれば、そこに記載されている操作は一般に任意の順序で実行できることを理解するであろう。また、様々な操作フローが順番に示されているが、様々な操作は、示されている順序以外の順序で実行することも、同時に実行することもできることを理解されたい。このような代替順序の例には、文脈上特に断りのない限り、重複、交互、中断、並べ替え、増分、準備、補足、同時、逆、又はその他の変形順序が含まれる。さらに、「に応答して(responsive to)」、「に関連して(related to)」などの用語や、その他の過去形の形容詞は、文脈上特に断りがない限り、通常、そのような変形を除外することを意図したものではない。
【0093】
[0094]当業者であれば、前述の特定の例示的なプロセス及び/又はデバイス及び/又は技術が、本明細書に添付された特許請求の範囲及び/又は本出願の他の箇所など、本明細書の他の箇所で教示されるより一般的なプロセス及び/又はデバイス及び/又は技術を代表するものであることを理解するであろう。
【0094】
[0095]本明細書では様々な側面及び実施形態が開示されているが、他の態様及び実施形態も当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、限定するものではなく、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0095】
[0096]詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意図したものではない。ここで提示された主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され、他の変更が行われることも可能である。
【0096】
[0097]値の範囲が提示されている場合、文脈上明らかに別段の定めがない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値(下限値の10分の1単位まで)と、その提示された範囲内のその他の提示値又は介在値は、開示内容に含まれるものと理解される。より小さな範囲に独立して含まれる可能性のあるこれらのより小さな範囲の上限と下限も、記載された範囲内で特に除外される制限を除き、本開示の範囲に含まれる。記載された範囲に一方又は両方の制限が含まれる場合、含まれる制限のいずれか両方を除外した範囲も開示に含まれる。
【0097】
[0098]当業者であれば、本明細書で説明する構成要素(例えば、操作)、デバイス、対象物、及びそれらに付随する説明は、概念を明確にするための例として使用されており、様々な構成の変更が考慮されていることが分かるであろう。したがって、ここで使用されている特定の例と付随する説明は、より一般的なクラスを代表することが意図される。一般に、特定の例の使用はそのクラスを代表することを目的としており、特定の構成要素(例えば、操作)、デバイス、及び対象物が含まれていないことは制限として解釈されるべきではない。
【0098】
[0099]さらに、例えば、本明細書で説明されるシステム及び方法のシーケンス及び/又はシーケンスの時間的順序は、例示的なものであり、本質的に制限的なものとして解釈されるべきではない。したがって、プロセスステップは、順序又は時間的な順序で示され、説明される場合があるが、必ずしも特定の順序又は順序で実行されることに限定されるわけではないことを理解されたい。例えば、このようなプロセス又は方法におけるステップは、一般に、本開示の範囲内で、様々な異なるシーケンス及び順序で実行され得る。
【0099】
[00100]最後に、ここで議論されている出願公開及び/又は特許は、記載されている開示の提出日より前の開示のためだけに提供されている。本書のいかなる内容も、記載された開示が、以前の開示を理由として当該公表に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】