(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】光学検出装置を備えたユーザインタフェース
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20250128BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20250128BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20250128BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/042 470
G06F3/041 580
G06F3/0362 463
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543150
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-09-17
(86)【国際出願番号】 EP2023051455
(87)【国際公開番号】W WO2023139244
(87)【国際公開日】2023-07-27
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512302876
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デクス-マルセイユ
(71)【出願人】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ヴィオレ ステファヌ
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087AC01
5B087BC32
(57)【要約】
ユーザインタフェースを開示する。該ユーザインタフェースは、検出ゾーン(3)における物体(2)の存在及び位置の光検出を可能にする装置を備える。該装置は、検出ゾーン(3)を照らす手段(7)と、検出ゾーン(3)の方に向けられ、照らす手段(7)により発せられる光の光強度を測定するように構成される光センサ(6)の列を含む線形検出ストリップ(5)とを備える。各光センサ(6)の光に対する感度は、光センサ(6)の列に沿った光センサ(6)の位置に応じて重み付けされる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出ゾーン(3)における物体(2)の存在及び位置の光検出を可能にする装置を備えるユーザインタフェースであって、
前記検出ゾーン(3)を照らす手段(7)と、
前記検出ゾーン(3)の方に向けられ、前記照らす手段(7)により発せられる光の光強度を測定するように構成される光センサ(6)の列を含む線形検出ストリップ(5)と、
を備え、
前記各光センサ(6)の光に対する感度は、前記光センサ(6)の列に沿った前記光センサ(6)の位置に応じて重み付けされる、
ユーザインタフェース。
【請求項2】
前記各光センサ(6)の光に対する感度は、該光センサ(6)の光に対する感度が前記光センサ(6)の列に沿った前記光センサ(6)の順序位置とともに増加するように重み付けされる、
請求項1に記載のユーザインタフェース。
【請求項3】
前記各光センサ(6)の光に対する感度は、前記各光センサ(6)の出力信号に重み付け係数を適用することにより重み付けされる、
請求項1又は2に記載のユーザインタフェース。
【請求項4】
前記各光センサ(6)は、該光センサ(6)が光放射を感知することができる角度を定義する感度円錐を有し、前記光センサ(6)は、重なり合う感度円錐を有する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項5】
前記光センサ(6)の前記感度円錐の重なり度は、少なくとも15%である、
請求項4に記載のユーザインタフェース。
【請求項6】
前記各光センサ(6)の出力信号の加重値の合計に基づいて、前記物体(2)の前記位置を決定するように構成される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項7】
前記光センサ(6)の光に対する感度は、少なくとも2つの重み付けに従って並列に重み付けされ、第1の重み付けは、すべての前記光センサ(6)を考慮し、第2の重み付けは、一部の前記光センサ(6)のみを考慮する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項8】
前記第2の重み付けに従って考慮した前記各光センサ(6)の光に対する感度は、前記第2の重み付けに従って、該光センサ(6)の光に対する感度が前記光センサ(6)の列に沿った前記光センサ(6)の順序位置とともに増加するように重み付けされる、
請求項7に記載のユーザインタフェース。
【請求項9】
前記各光センサ(6)の光に対する感度は、前記各光センサ(6)の出力信号に重み付け係数を適用することにより、前記第2の重み付けに従って重み付けされる、
請求項7又は8に記載のユーザインタフェース。
【請求項10】
前記物体(2)と前記線形検出ストリップ(5)との間の距離に応じて、前記第1の重み付け又は前記第2の重み付けに従って、前記各光センサ(6)の出力信号の加重値(S
1、S
2)の合計に基づいて、前記物体(2)の前記位置を決定するように構成される、
請求項7乃至9のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項11】
前記加重値の合計は、前記第1の重み付けに従った前記加重値の合計と、前記第2の重み付けに従った前記加重値の合計との平均で除算される、
請求項10に記載のユーザインタフェース。
【請求項12】
前記物体と前記線形検出ストリップ(5)との前記距離を決定するように構成される追加の距離センサを備える、
請求項10又は11に記載のユーザインタフェース。
【請求項13】
前記光センサ(6)は、ピッチpで該光センサ(6)の列に沿って規則的に分布し、前記第2の重み付けは、ピッチ2pの前記光センサ(6)のみを考慮する、
請求項7乃至12のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項14】
前記各光センサに重み付け係数を適用しつつ、該光センサ(6)により検出した光強度値の合計(S
1)を演算するように構成される第1の演算素子(9)を含む制御モジュール(8)を備える、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項15】
前記制御モジュール(8)は、前記各光センサに重み付け係数を適用しつつ、第2の重み付けに従って考慮した、前記光センサ(6)により検出した光強度値の合計(S
2)を演算するように構成される第2の演算素子(10)を含む、
請求項7に従属したときの請求項14に記載のユーザインタフェース。
【請求項16】
前記照らす手段(7)は、前記光センサ(6)の間に挿入され、前記検出ゾーンの方に向けられる複数の発光体を含む、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【請求項17】
前記各発光体は、該発光体が光放射を放射する角度を定義する放射円錐を有し、前記発光体は、重なり合う放射円錐を有する、
請求項16に記載のユーザインタフェース。
【請求項18】
前記照らす手段(7)は、所定の周波数で点滅するように構成され、前記各光センサ(6)の出力信号は、同じ周波数で復調される、
請求項1乃至17のいずれか一項に記載のユーザインタフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、ユーザが装置(マシーン)と対話することができるインタフェースの分野に関する。より詳細には、本発明は、ユーザによって物理的に表現された指令や指示を検出することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのインタフェースにより、ユーザは、コンピュータなどの装置と対話することができる。最も一般的なものの中で、キーボードは、物理的なキーを押下することにより、テキストを入力することを可能にする。同様に、マウスは、マウスの物理的な動きを通して、画面上のポインタの動きを制御することができる。
【0003】
ユーザインタフェースは、特に、コンピュータのハードウェア及びソフトウェアの進化に歩調を合わせるために、実質的な開発が行われている。この開発の軸の1つは、物理的な要素を操作することなく、ユーザの動きを直接解釈することによってユーザの指示を検出することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術のユーザインタフェースを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、検出ゾーンにおける物体の存在及び位置の光検出を可能にする装置を備えるユーザインタフェースに関する。このインタフェースは、
検出ゾーンを照らす手段と、
検出ゾーンの方に向けられ、照らす手段により発せられる光の光強度を測定するように構成される光センサの列を含む線形検出ストリップと、
を備え、
各光センサの光に対する感度は、光センサの列に沿った光センサの位置に応じて重み付けされる。
【0006】
本発明にかかるユーザインタフェースにより、カメラやタッチ作動式又は物理的装置を必要とすることなく、ユーザの指、手、身体の他の部分などの物体の存在及び位置を検出することができる。位置は、絶対的な方法で、非常に正確に検出される。
【0007】
本発明にかかる装置は、必要とされる物理的機器を最小限に抑えつつ、ユーザにとってより直感的な方法で、任意の環境で使用されればよい。
【0008】
位置は、電磁干渉の影響を受けず、電磁干渉を発生させない方法で、非接触で検出される。光検出は、光学的位置検出技術という観点から期待される利点、すなわち、信頼性、簡易性、電磁適合性を有する。
【0009】
本発明にかかる光検出を可能にする装置は、以下の追加機能を単独で又は組み合わせて有してもよい:
・各光センサの光に対する感度は、該光センサの光に対する感度が光センサの列に沿った光センサの順序位置とともに増加するように重み付けされる;
・各光センサの光に対する感度は、各光センサの出力信号に重み付け係数を適用することにより重み付けされる;
・各光センサは、光センサが光放射を感知することができる角度を定義する感度円錐を有し、光センサは、重なり合う感度円錐を有する;
・光センサの感度円錐の重なり度は、少なくとも15%である;
・ユーザインタフェースは、各光センサの出力信号の加重値の合計に基づいて、物体の位置を決定するように構成される;
・光センサの光に対する感度は、少なくとも2つの重み付けに従って並列に重み付けされ、第1の重み付けは、すべての光センサを考慮し、第2の重み付けは、一部の光センサのみを考慮する;
・第2の重み付けに従って考慮した各光センサの光に対する感度は、第2の重み付けに従って、該光センサの光に対する感度が光センサの列に沿った光センサの順序位置とともに増加するように重み付けされる;
・各光センサの光に対する感度は、各光センサの出力信号に重み付け係数を適用することにより、第2の重み付けに従って重み付けされる;
・ユーザインタフェースは、物体と線形検出ストリップとの間の距離に応じて、第1の重み付け又は第2の重み付けに従って、各光センサの出力信号の加重値の合計に基づいて、物体の位置を決定するように構成される。言い換えれば、ユーザインタフェースは、物体と線形検出ストリップとの間の距離が所定値未満であるときには、第1の重み付けに従って、また、物体と線形検出ストリップとの間の距離が所定値より大きいときには、第2の重み付けに従って、各光センサの出力信号の加重値の合計に基づいて、物体の位置を決定するように構成される;
・加重値の合計は、第1の重み付けに従った加重値の合計と、第2の重み付けに従った加重値の合計との平均で除算される;
・ユーザインタフェースは、物体と線形検出ストリップとの間の距離を決定するように構成される追加の距離センサを備える;
・光センサは、ピッチpで該光センサの列に沿って規則的に分布し、第2の重み付けは、ピッチ2pの光センサのみを考慮する;
・ユーザインタフェースは、各光センサに重み付け係数を適用しつつ、該光センサにより検出した光強度値の合計を演算するように構成される第1の演算素子を含む制御モジュールを備える;
・制御モジュールは、各光センサに重み付け係数を適用しつつ、第2の重み付けに従って考慮した、光センサにより検出した光強度値の合計を演算するように構成される第2の演算素子を含む;
・照らす手段は、光センサの間に挿入され、検出ゾーンの方に向けられる複数の発光体を含む;
・各発光体は、該発光体が光放射を放射する角度を定義する放射円錐を有し、発光体は、重なり合う放射円錐を有する;及び
・照らす手段は、所定の周波数で点滅するように構成され、各光センサの出力信号は、同じ周波数で復調される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照した以下の限定的ではない説明から明らかになるであろう。
【
図1】本発明にかかる光検出を可能にする装置の概略図である。
【
図2】光検出を可能にする信号処理を示すグラフである。
【
図3】光検出を可能にする信号処理を示すグラフである。
【
図4】光検出を可能にする信号処理を示すグラフである。
【
図5】光検出を可能にする信号処理を示すグラフである。
【
図6】光検出を可能にする信号処理を示すグラフである。
【0011】
種々の実施形態に共通する同様の要素は、すべての図において同じ参照番号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明にかかる光検出(光学的検出)を可能にする装置1を概略的に示す。本例では、この装置は、ユーザが検出ゾーン3内の1つ以上の所定の位置に指2を提示することにより、コンピュータ機器にコマンドを送信することができるインタフェースの一部を形成する。例えば、検出ゾーン3は、仮想キーボード又は仮想コンソールであってもよく、任意に、2次元又は3次元の可視要素によって具体化される。
【0013】
図1では、ユーザの指2は、正面から概略的に示されており、装置1は、
図1に示す両方向矢印によって示されるように延びる検出軸4に沿って、この指の位置を特定することができる。検出軸4に沿った所定の横座標における指2の検出は、ユーザが装置に与える指令に対応する。
【0014】
装置1は、検出軸4に沿って整列され、したがって、光センサ6の列を形成する光センサ6を含む線形検出ストリップ5を備える。線形検出ストリップ5と指2との距離は、Dで示される。
【0015】
一般に、光センサは、図中では参照符号6で示され、
図1では、Ph
1、Ph
2、Ph
3、…、Ph
5と個別に番号が付されている。光センサは、フォトダイオード、光抵抗器などの任意の公知のタイプであってよく、光に対するガウス角度感度を有する。
図1では、ガウス感度曲線は、各光センサ6の上に示される。
【0016】
線形検出ストリップ5は、検出ゾーン3に向けられている。すなわち、光センサ6は、検出ゾーン3に向けられる。
【0017】
さらに、装置1は、検出ゾーン3を照らす手段7を備える。有利な一例は、光センサ6の間に規則的に挿入され、検出ゾーン3に向けられた発光体(例えば、発光ダイオード)を有する照らす手段7を形成することである。これらの各発光体は、該発光体が光放射を放射する角度を定義する放射円錐を有する。好ましくは、これらの放射円錐は重なり合う。本例では、発光体は、光センサ6の列において、2つの光センサ6毎に挿入される。
【0018】
線形検出ストリップ5では、光センサ6は、
図1ではpで示すピッチに対応する一定の間隔で規則的に配置される。
【0019】
光センサ6の列に沿って、各光センサ6の光に対する感度の値は、該列に沿った光センサの位置に応じて重み付けされる。ここで、この重み付けは、光センサ6の列に沿って光に対する感度が増加する光センサから光センサ6の列を形成することによって達成される。したがって、各光センサ6の光に対する感度は、光センサ6の列に沿った光センサ6の順序位置に従って光センサ6の光に対する感度が増加するように重み付けされる。言い換えると、(光センサ6の列に沿った)第2の光センサ6は、第1の光センサ6よりも光に対する感度が大きい。第3の光センサ6は、第2の光センサ6よりも光に対する感度が大きい。第4の光センサ6は、第3の光センサ6よりも光に対する感度が大きい。以下同様である。
【0020】
本例では、各光センサ6には、重み付け係数が割り当てられ、それにより測定される光に対する感度の値が乗算される。この係数は、直線に沿った光センサの順序位置に対応する。
【0021】
装置1は、マイクロコントローラなどの任意の適切なアナログ又はデジタル電子手段によって形成された制御モジュール8を備える。
【0022】
制御モジュール8は、光センサの列内の光センサの順序位置に等しい重み付け係数を各光センサに適用しつつ、光センサにより検出された光強度値の合計を演算するように構成される第1の演算素子9を備える。
【0023】
図1では、第1の演算素子9は、
・第1の光センサPh
1の光強度を受信し、重み付け係数1をそれに適用し、
・第2の光センサPh
2の光強度を受信し、重み付け係数2をそれに適用し、
・第3の光センサPh
3の光強度を受信し、重み付け係数3をそれに適用する。
【0024】
図1の概略図では、3つの光センサ6のみが第1の演算素子9に供給されるが、線形検出ストリップは、所望の長さの検出軸4をカバーするのに必要な多くの光センサ6を含むことができることが理解される。
【0025】
光センサ6の出力値の加重和S
1は、次のように定義される:
【数1】
ここで、i=1、2、3、・・・、nは、光センサ6の数であり、Ph
iは、光センサPh
iに対応する出力信号である。
【0026】
本例では、制御モジュール8は、第1の重み付けと並行して第2の重み付けも実行する。これにより、任意に測定を改善することができる。上述の重み付けに加えて、制御モジュール8は、距離2pだけ離れた光センサ6の出力を重み付けするように構成される。したがって、制御モジュール8は、各光センサ6の順序位置に応じた重み付けをこれらの各光センサ6に適用しつつ、この第2の重み付けによって関係する光センサ6、すなわち、第1の重み付けに対して2つに1つの光センサ6によって検出された光強度値の合計を演算するように構成される第2の演算素子10を備える。このように、この第2の重み付けによれば、ピッチ2pだけ離れた光センサ6のみが光センサ6の列を形成するとみなされ、各々によって測定された光強度は、この光センサ6の列における各光センサ6の順序位置に対応する係数により乗算される。
【0027】
図1では、第2の演算素子10は、
・第1の光センサPh
1の光強度を受信し、重み付け係数1をそれに適用し、
・第3の光センサPh
3の光強度を受信し、重み付け係数2をそれに適用し、
・第5の光センサPh
5の光強度を受信し、重み付け係数3をそれに適用する。
【0028】
第2の重み付けにより考慮される光センサ6のみの出力値の加重和S
2は、次のように定義される:
【数2】
ここで、i=1、2、3、・・・、nは、(光センサのこの新しい考慮した列内の)光センサの総数であり、Ph
2iは、隣接する光センサ6から2pだけ離れた光センサ6の出力信号である。
【0029】
ユーザが検出ゾーン3内の正確な位置に指2を位置させると、指2は、照らす手段7により照らされる。そして、指2は、周囲の光度よりも大きい光度を有する。このように照らされたこの物体の存在は、光センサ6と指2との間の距離とともに減少する光強度を各光センサ6に与える。
【0030】
光センサ6は、光センサ6が光放射を感知することができる角度を定義する感度円錐を有する。光センサ6は、感度円錐が重なるように選択され、配置される。好ましくは、光センサ6は、これらの感度円錐の間に15%以上の重なり度を有する。
【0031】
図2は、検出軸4に沿った指2の直線位置の関数としての加重和Siを、位置0の周りのセンチメートルで示す。
図2は、4つの異なる距離に対応する4つの曲線を示す:
・曲線11は、指2と線形検出ストリップ5の間の距離Dが5cmの場合の加重和S
1を表し、
・曲線12は、距離Dが10cmの場合の加重和S
1を表し、
・曲線13は、距離Dが15cmの場合の加重和S
1を表し、
・曲線14は、距離Dが20cmの場合の加重和S
1を表す。
【0032】
本例では、ピッチpは、2cmであり、各ガウス(光センサ6の感度円錐の特性)の角度幅(半値全幅最大)は20°であり、指2の幅は、2cmである。
【0033】
図2は、指2がほぼ-5cmからほぼ+5cmまで延びる範囲にわたって、非常に正確に直線的に配置されてもよいことを示す。具体的には、この範囲にわたって、第1の演算素子9によって出力される加重和S
1の関数としての指2の位置の曲線は、直線に非常に近い。言い換えれば、制御モジュール8は、線形応用(対応する直線の傾き)によって変換される単純なデジタル値から、検出軸4上の指2の位置を直接決定することができる。この変換は、高速であり、非常に少ない計算資源を必要とし、特に、カメラによって収集された画像の処理よりもはるかに少ない。それにもかかわらず、この単純な操作によって、指2を非常に正確に位置決めすることができる。
【0034】
図3は、
図2と同様のグラフであるが、加重和S
2に関するグラフである。したがって、
図3は、検出軸4に沿った指2の直線位置の関数としての加重和S
2を、位置0の周りのセンチメートルで示す。
図3は、
図2と同じ4つの距離に対応する4つの曲線を示す:
・曲線15は、距離Dが5cmの場合の加重和S
2を表し、
・曲線16は、距離Dが10cmの場合の加重和S
2を表し、
・曲線17は、距離Dが15cmの場合の加重和S
2を表し、
・曲線18は、距離Dが20cmの場合の加重和S
2を表す。
【0035】
図3は、指2が加重和S
1で可能な範囲より広い範囲にわたって、非常に正確に直線的に配置されてもよいことを示すが、曲線17及び18に対応する距離に対してのみである。さらに、これらの曲線17、18に対して、ゲインは、距離Dの関数としてほぼ一定であり、これにより、指2と線形検出ストリップ5との間の距離にかかわらず、第2の演算素子10により出力される加重和S
2と、単一の直線によって与えられる検出軸4上の指の直線位置との間の対応を得ることができる。
【0036】
対照的に、15cm未満の距離(曲線15及び16)の場合、測定は、ますます直線的でなくなり、起伏の出現により、加重和と指の位置との間の客観的な対応が得られなくなる。
【0037】
したがって、加重和S
2は、変形例として、加重和S
2が利用可能な距離Dに対して、加重和S
1により与えられる対応を完成させ、測定範囲を改善し、一定のゲイン測定を提供するために使用されてもよい。
図4は、指2と線形検出ストリップ5との間の距離Dに応じて、制御モジュール8が加重和S
1又は加重和S
2を選択するこの組み合わせを示す。加重和S
2は、10cmから20cmまでの距離Dのために用いられ、加重和S
1は、10cmまでの距離Dのために継続して用いられる。
【0038】
したがって、インタフェースは、各光センサ6の出力信号の加重値の和に基づいて、物体2の位置を決定するように構成される:
・物体2と線形検出ストリップ5との間の距離が所定値未満である場合には、第1の重み付けに応じて、
・物体2と線形検出ストリップ5との間の距離が所定値より大きい場合には、第2の重み付けに応じて。
【0039】
任意に、各範囲について実質的に同一の傾きを得るために、補正ゲインが適用されてもよい。
【0040】
加重和S1とS2とを組み合わせたこの解決策を実装するために、例えば、飛行時間型(ToF)又は距離計型の追加の距離センサは、距離Dを得るために用いられてもよい。
【0041】
したがって、光センサ6の列の光センサ6の光に対する感度は、少なくとも2つの重み付け、すなわち、(ピッチpで)すべての光センサを考慮する第1の重み付けと、光センサ6の一部(ここでは、ピッチ2pの光センサ6)のみを考慮する第2の重み付けとに従って、並列に重み付けされる。
【0042】
本例では、加重和S2は、ピッチ2pに対して相対的である。すなわち、2つのうち1つの光センサ6のみを考慮する。しかしながら、変形例として、加重和S2は、異なるピッチの選択に対して演算されてもよい。例えば、指2に許容される距離に応じて、3つのうち1つの光センサ6(ピッチ3pに対応)、又は4つのうち1つの光センサ6(ピッチ4pに対応)を考慮してもよい。
【0043】
また、
図5は、
図4の組み合わせに関する。
図5は、距離D及び指の位置(本例では、半値全幅が20°のガウス曲線)の関数として投影されたガウス曲線を示す。
【0044】
加重和S1に関して、3つの曲線19、20、21は、5cmの距離Dに対して、0、2、及び4cmに位置する3つの光センサ6のガウス曲線をそれぞれ示す。
【0045】
加重和S2に関して、3つの曲線22、23、24は、20cmの距離Dに対して、0、4、及び8cmに位置する3つの光センサ6のガウス曲線をそれぞれ示す。
【0046】
図5は、距離Dに応じて、曲線19、20、21又は曲線22、23、24のいずれかの分布を選択する利点を示す。すなわち、指が良好な直線性で配置されることを保証するために、十分なガウスの重なりを維持することが可能になるためである。
【0047】
さらに、環境外乱の影響を除去するために、光センサ6と照らす手段7により発せられる光とを対応させることができる。例えば、照らす手段7をある周波数で点滅させ、この変調信号を使用して、同期検出を介して、各光センサ6の出力信号を復調することができる。したがって、例えば、太陽又は人工照明による環境照明の変動の影響を除去することができる。また、選択フィルタ(リジェクタ)を追加して、環境照明のちらつき(例えば、100Hzの蛍光管や一部のLED照明)による照明外乱を除去してもよい。
【0048】
変形例として、加重和S2に加えて、加重和S1を完成させるために、p及び2p以外のピッチを有する光センサの選択を考慮した他の追加の加重和を用いてもよい。
【0049】
また、変形例として、加重和S1及びS2に加えて、平均和Smoyを演算し、S1をSmoyで除算し、S2をSmoyで除算することもできる。これは、合計を正規化することになる。
【0050】
この場合、このように正規化された加重和S
1及びS
2は、次のように表される:
【数3】
【0051】
図6は、このようにして正規化された合計S
1及びS
2の形式を示す:
・曲線25は、距離Dが5cmの場合のこのようにして正規化された加重和S
1を表し、
・曲線26は、距離Dが10cmの場合のこのようにして正規化された加重和S
1を表し、
・曲線27は、距離Dが15cmの場合のこのようにして正規化された加重和S
2を表し、
・曲線28は、距離Dが20cmの場合のこのようにして正規化された加重和S
2を表す。
【0052】
傾斜の変化を制限して、位置の目的に有利な奇数曲線を得る。ここで、正規化された和S2は、15cmと20cmの距離に対して選択され、正規化された和S1は、5cmと10cmの距離に対して選択される。
【0053】
図7を参照して、指2の位置を定義するために使用されるモデルの一例を提示する。
【0054】
指2は、強度I2の背景に位置する強度I1のコントラストのあるストリップであると考えられる。ストリップの幅は、Δfで示される。指2は、線形検出ストリップ5から距離Dにあり、検出軸4上のその横座標は、Xbである。光センサ6の横座標(検出軸4に沿ったそれらの位置)は、Xpiで示される。L1及びL2は、指2のエッジの検出角度である。
【0055】
ガウス角度感度s(Ψ)の式は、次のように表される:
【数4】
ここで、Δρは、ガウス曲線の最大値の半分の幅である。
【0056】
次に、ガウス分布の全角度幅(マイナス無限大からプラス無限大まで)にわたって積分し、指の下に置かれた光センサにより受信した信号の総強度を演算する必要がある:
【数5】
ここで、
【数6】
また、X
pは、問題の光センサの横座標である。
【0057】
これにより、以下が得られる:
【数7】
ここで、erfは、誤差関数(ガウス積分)であり、角度L
1及びL
2は、以下のように定義される:
【数8】
及び
【数9】
【0058】
装置の実施形態の変形が実装されてもよい。例えば、照らす手段7及び関連する光センサ6は、任意の適切な(可視又は不可視の)波長、特に赤外線で動作してもよい。
【0059】
ここで与えられる例は、指2の位置の検出に関するが、手、足、又は体の他の部分、あるいは、ユーザにより保持される物体を検出してもよい。
【0060】
さらに、例として提示した線形検出ストリップ5は、直線状であるが、このストリップ、したがって、光センサ6の列及び検出軸4が湾曲していてもよく、特に半円形であってもよいことが理解されるであろう。
【0061】
さらに、様々な検出軸に沿って物体の位置を検出するために、複数の線形検出ストリップ5を組み合わせてもよい。例えば、異なる軸に沿って配置された複数の線形検出ストリップ5により、複数の次元の空間で指2を検出することができる。
【国際調査報告】