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特表2025-503775電気フィードスルーおよび係るフィードスルーを備えたエネルギ蓄積器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】電気フィードスルーおよび係るフィードスルーを備えたエネルギ蓄積器
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20250128BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20250128BHJP
   H01G 11/74 20130101ALI20250128BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20250128BHJP
   H01G 11/80 20130101ALI20250128BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20250128BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20250128BHJP
   H01M 50/222 20210101ALI20250128BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20250128BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/296
H01G11/74
H01G11/78
H01G11/80
H01M50/233
H01M50/224
H01M50/222
H01M50/342 201
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543256
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-30
(86)【国際出願番号】 EP2022085857
(87)【国際公開番号】W WO2023138843
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】102022101390.1
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ハートル
(72)【発明者】
【氏名】ビェアン ラムドーア
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
5H040
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078EA09
5E078EA11
5E078HA12
5E078HA23
5E078KA04
5E078KA05
5E078KA06
5H012BB01
5H040AA03
5H040DD04
5H040JJ03
5H040JJ04
5H040LL01
5H040NN01
(57)【要約】
本発明では、特に電気蓄積装置用の電気フィードスルー(10)が提供される。電気フィードスルー(10)には、貫通開口部(14)を備えた基体(12)と、貫通開口部(14)に配置された接続ピン(20)であって、固定材料(16)を介して電気絶縁状態で貫通開口部(14)に保持されている接続ピン(20)と、が含まれている。さらに特定されるのは、接続ピン(20)が、第1の導電性材料から成るコア(22)を有し、電気フィードスルー(10)の少なくとも第1の面において、コア(22)の第1の側面が、第2の導電性材料から成るカバー材料(24)で覆われており、接続ピン(20)および固定材料(16)が、電気フィードスルー(10)の第1の面において、コア(22)の第1の導電性材料がアクセスできないように構成されかつ配置されていることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気蓄積装置用の電気フィードスルー(10)であって、
前記電気フィードスルー(10)は、貫通開口部(14)を備えた基体(12)と、前記貫通開口部(14)に配置された接続ピン(20)と、を含み、前記接続ピン(20)は、固定材料(16)を介して電気絶縁状態で前記貫通開口部(14)に保持されている電気フィードスルー(10)において、
前記接続ピン(20)は、第1の導電性材料から成るコア(22)を有し、
前記電気フィードスルー(10)の少なくとも第1の面において、前記コア(22)の第1の側面は、第2の導電性材料から成るカバー材料(24)によって覆われており、
前記接続ピン(20)および前記固定材料(16)は、前記電気フィードスルー(10)の前記第1の面において、前記コア(22)の前記第1の導電性材料がアクセスできないように構成されかつ配置されている、
電気フィードスルー(10)。
【請求項2】
前記第1の側面とは反対側の、前記コア(22)の第2の側面は、第3の導電性材料から成る別のカバー材料(25)で覆われており、前記第3の導電性材料は、前記第2の導電性材料と同じに選択されているかまたは別に選択されている、
請求項1記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項3】
前記固定材料(16)を向く、前記コア(22)の外側面は、少なくとも部分的にカバー材料(24,25)で覆われておらず、前記固定材料(16)に直接に接している、
請求項1または2記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項4】
前記固定材料(16)の融点は、前記接続ピン(20)のすべての材料の融点よりも低く選択されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項5】
前記第2の導電性材料および/または前記第3の導電性材料は、めっき、電気めっき、コーティング、蒸着、溶接またはろう接を用いて前記コア(22)の前記側面に被着されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項6】
前記基体(12)は、フレキシブルなフランジ(30)を有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項7】
前記基体(12)は、前記貫通開口部(14)の領域の外側に第1の厚さdを有し、前記貫通開口部(14)に接する領域に、増大された第2の厚さdを有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項8】
前記接続ピン(20)の片方の側面または両方の側面は、前記基体(12)の表面に対して面一に配置されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項9】
前記接続ピン(20)の片方の側面または両方の側面は、前記基体(12)の表面を越えて突出して配置されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項10】
前記基体(12)の材料および/または前記接続ピン(20)の前記コア(22)の前記第1の導電性材料は、鋼、特にフェライト鋼、オーステナイト鋼もしくは2相鋼、錆のない鋼、ステンレス鋼、鉄・ニッケル合金、鉄・ニッケル・コバルト合金、コバール、モリブデンまたはチタンから選択されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項11】
前記接続ピン(20)の前記第2の導電性材料および/または前記第3の導電性材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、銅、銅合金、モリブデン、ニッケルもしくはニッケル合金、パラジウム、銀または金から選択されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項12】
前記第2の導電性材料および/または前記第3の導電性材料の融点は、前記接続ピン(20)の前記コア(22)の前記第1の導電性材料の融点よりも低い、
請求項1から11までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項13】
前記固定材料(16)は、ガラス、ガラスセラミックスまたはセラミックスであり、または、前記固定材料(16)には、ガラス、ガラスセラミックスまたはセラミックスが含まれている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項14】
前記基体(12)の第1の膨張係数は、前記固定材料(16)の第2の膨張係数よりも大きく、または、前記基体(12)の前記膨張係数と前記固定材料(16)の前記膨張係数はと互いに適合されている、
請求項1から13までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項15】
前記固定材料(16)ならびに前記固定材料(16)と前記貫通開口部(14)の壁部および前記接続ピン(20)との接合は、あらかじめ設定された押出し力を介して、安全弁機能が提供され、あらかじめ設定された前記押出し力が、次の手段のうちの1つまたは複数、すなわち、
a.ガラス封止の厚さの選択、
b.前記固定材料(16)の選択、
c.前記固定材料(16)における気泡の割合の選択、
d.ガラス封止の前に固定材料成形体の形状を設定することによる、前記固定材料(16)の表面の構造化、
e.前記ガラス封止中の前記固定材料(16)の前記表面の構造化、
f.前記ガラス封止後の前記固定材料(16)の前記表面のレーザ加工、
g.前記固定材料(16)へのノッチまたはテーパの片側または両側における導入、および/または
h.前記接続ピン(20)および/または前記基体(12)へのノッチまたはテーパの導入、によって設定される、
請求項1から14までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項16】
前記基体(12)は、負荷軽減装置(31)を有する、
請求項1から15までのいずれか1項記載の電気フィードスルー(10)。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか1項記載の少なくとも1つの電気フィードスルー(10)を備えたハウジングを含む、
電気蓄積装置、特にバッテリまたはコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気蓄積装置用の電気フィードスルーであって、貫通開口部を備えた基体と、貫通開口部に配置された接続ピンであって、固定材料を介して電気絶縁状態で貫通開口部に保持されている接続ピンと、を含む電気フィードスルーに関する。本発明の別の1つの態様は、少なくとも1つのこのようなフィードスルーを含む電気エネルギ蓄積器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギ蓄積器、例えばバッテリ、またはスーパーキャパシタを含むコンデンサ等は、電気エネルギを蓄積および供給するための多数の用途において使用される。電気エネルギ蓄積器には一般に、ハウジングと、ハウジングに収容された少なくとも1つの蓄積セルと、が含まれている。ハウジングにおける少なくとも1つの電気フィードスルーを介して、外部から蓄積セルに電気的に接触接続することができる。
【0003】
本発明におけるバッテリとは、その放電後に廃棄されかつ/またはリサイクルされること可能な使い捨て電池とも蓄電池とも理解される。蓄電池、好ましくはリチウム・イオン電池は、様々な用途、例えばポータブル式の電子装置、携帯電話、電動工具、および特に電動車両用に設けられている。これらのバッテリは、従来のエネルギ源、例えば、鉛・酸バッテリ、ニッケル・カドミウムバッテリ、またはニッケル・メタルハライドバッテリ等を置き換えることができる。センサにおけるバッテリの使用、またはモノのインターネットにおける使用も可能である。
【0004】
スーパキャップとも称されるスーパーキャパシタは、一般的に公知であるように、特に高い出力密度を有する電気化学的なエネルギ蓄積器である。スーパーキャパシタは、セラミックコンデンサ、薄膜コンデンサおよび電解コンデンサとは異なり、従来の意味における誘電体を有しない。スーパーキャパシタでは特に、電気エネルギの静的蓄積の蓄積方式は、2重層容量における電荷分離と、疑似容量における酸化還元反応を用いた電荷交換による電気エネルギの電気化学的な蓄積と、によって実現されている。
【0005】
スーパーキャパシタには特に、ハイブリッドコンデンサ、特にリチウム・イオンキャパシタが含まれる。その電解質には一般に、導電性塩、一般にリチウム塩が溶解されている溶剤が含まれている。スーパーキャパシタは好適には、多数の充放電サイクルが必要な用途において使用される。スーパーキャパシタは特に有利には、自動車分野において、特に制動エネルギの回生の領域において使用可能である。当然のことながら、別の用途も同様に可能であり、これらは本発明によって含まれている。
【0006】
蓄積装置としてのリチウム・イオンバッテリは、長年にわたって公知である。これに関しては、例えば“Handbook of Batteries”、編者David Linden、第2版、McCrawhill、1995年、第36章および第39章を参照されたい。
【0007】
国際公開第2021/185648号からは、特にコンパクトな構造形態によって優れているマイクロバッテリが公知である。このマイクロバッテリの電気接続部用の金属・固定材料フィードスルーは、圧縮シーリングとして構成されることが可能であり、これにより、フィードスルーの特に信頼性の高いシーリングが行われる。
【0008】
圧縮シーリングまたは適合されたフィードスルーによる公知の金属・固定材料フィードスルーの欠点は、これらのフィードスルーが、今日のところ、任意の材料から成る接続ピンによっては、高い信頼性で作製できないことである。例えば、腐食を回避するためには、バッテリまたはコンデンサの材料に適合された材料から成る接続ピンが望ましい。これに対応して、本発明の課題は、接続ピンが、バッテリの要求にも、金属・固定材料フィードスルーの要求にも適合可能な電気フィードスルーを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、特に電気蓄積装置用の電気フィードスルーが提案される。電気フィードスルーには、貫通開口部を備えた基体と、この貫通開口部に配置された接続ピンであって、固定材料を介して電気絶縁状態で貫通開口部内に保持されているこの接続ピンと、が含まれている。さらに特定されるのは、接続ピンが、第1の導電性材料から成るコアを有し、電気フィードスルーの少なくとも第1の面において、コアの第1の側面が、第2の導電性材料から成るカバー材料によって覆われており、接続ピンおよび固定材料は、電気フィードスルーの第1の面において、コアの第1の導電性材料がアクセスできないように構成されかつ配置されている。このために、固定材料はカバー材料に直接に接している。
【0010】
ここでは基体、固定材料および接続ピンにより、基体の貫通開口部を閉鎖する金属・固定材料フィードスルーが形成される。形成されたフィードスルーは好ましくは、ハーメチックシールされている。ハーメチックシールとは、1barの圧力差分において、1×10-8mbar l/sのHe漏れ率であるとみなされる。
【0011】
基体は特に、蓄電装置用のハウジングを形成するためのハウジング部分であってよい。例えば、基体は、カバー部分として構成されていてよく、このカバー部分は、カップ形のハウジング部分と共に、電気蓄積装置用のハウジングに結合することができる。電気蓄積装置は特に、バッテリ、またはスーパーキャパシタを含むコンデンサであってよく、ハウジングには一般に、1つまたは複数の蓄積セルが収容され、接続端子としての電気フィードスルーを介して、外部から電気的に接触接続することができる。フィードスルーは、多極のフィードスルーとして構成されていてもよく、このフィードスルーでは、基体は、複数のフィードスルー開口部を有し、貫通開口部のそれぞれには、それぞれ1つの接続ピンが固定材料を介して保持されている。
【0012】
有利であるのは、コアの第1の導電性材料がアクセスできない、電気フィードスルーの第1の面が、ハウジングを形成する際に内側を向く面である場合である。したがって、カバー材料を有する第1の側面は、ハウジングを形成する際に内側を向く。コアの第1の導電性材料が、ハウジングを形成する際に外側を向いた面からアクセスできない択一的な配置も、当然ながら同様に可能であり、同様に有利である。
【0013】
提案される接続ピンには、少なくとも2つの異なる材料が含まれており、コアの第1の導電性材料は好ましくは、金属・固定材料フィードスルーの要件に応じて選択されている。このために、第1の導電性材料は特に、熱膨張係数と変形に対する耐性とを考慮して選択可能である。第2の導電性材料は好ましくは、電気蓄積装置の要件に応じて選択される。第2の導電性材料は特に、蓄積セルの材料に対する化学的耐性と電気化学ポテンシャルとを考慮して選択可能である。
【0014】
接続ピンは、例えば円筒形状を有していてよく、筒の外側面は固定材料を向き、側面のうちの少なくとも1つは、カバー材料によって覆われている。円筒形状の他に、別の側面形状を有する一般的な筒形状も考えられる。例えば楕円形、または丸み付けされたコーナーを有する長方形が考えられる。接続ピンはさらに、例えば、いわゆるネイルヘッド形状を有することができ、このネイルヘッド形状は、例えば、互いに接する2つの筒によって形成されていてよい。この際にこのようなネイルヘッド形状の接続ピンの第1の側面は、より大きな側面を有する筒の側面によって形成され、また第2の側面は、より小さな側面を有する筒の側面によって形成される。
【0015】
コアの第1の側面をカバー材料で覆うことに加えて、第1の側面とは反対側の、コアの第2の側面も、第3の導電性材料から成る別のカバー材料で覆われているように構成することも可能である。第3の導電性材料は、第2の導電性材料とは別に選択されていてもよいし、または同じに選択されていてもよい。様々な選択において特に、蓄積セルの材料の必要条件に第2の導電性材料を適合させることができ、例えば、電気的な接続部との簡単かつ確実な接続に第3の導電性材料を最適化することができる。材料選択のための判断基準として、例えば、溶接特性またはろう接特性が使用可能である。
【0016】
本発明の1つの変形形態では、固定材料を向く、コアの外側面は、少なくとも部分的にカバー材料で覆われておらず、固定材料に直接に接している。コアの外側面には好ましくは、完全にカバー材料がない。本発明の別の1つの変形態様では、コアの表面は、カバー材料で完全に覆われており、これにより、特に外側面もカバー材料によって完全に覆われている。
【0017】
固定材料の融点は好ましくは、接続ピンのすべての材料の融点よりも低く選択されている。これによって保証されるのは、金属・固定材料フィードスルーを作製する際に、例えば、固定材料を焼結するかまたはガラス封止するための温度処理ステップの使用下において接続ピンが損傷されないことである。
【0018】
このような温度処理ステップでは、例えば、ガラス粉末またはガラスセラミック粉末またはセラミック粉末を含む圧縮部材から固定材料を得ることができる。ガラス粉末は、部分的に結晶化可能なガラスから構成されるか、またはこれを含むことができ、これにより、温度処理の際に部分的に結晶化可能なガラスがセラミック化され、ガラスセラミックスが得られる。
【0019】
第2の導電性材料および/または第3の導電性材料は好ましくは、めっき、電気めっき、コーティング、蒸着、溶接またはろう接を用いてコアの側面に被着されている。カバー材料の比較的小さな厚さだけが被着される場合には、電気めっき、コーティングおよび蒸着が好ましい。逆に、カバー材料の比較的大きな厚さが被着される場合には、めっき、溶接およびろう接が好ましい。
【0020】
めっきの際には一般に、出発材料、すなわち、例えば、カバー材料およびコアの材料は、プレートまたはテープの形態で提供され、また重ね合わされ、圧延により互いに接合される。ろう接または溶接の際には、例えば、薄板またはシートの形態でコア材料にカバー材料を載置し、これと溶接またはろう接することができる。
【0021】
蒸着法としては、例えば、物理気相成長法(physical vapor deposition、PVD)、例えばスパッタリング、化学蒸着法(chemical vapor deposition、CVD)、またはプラズマCVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition、PECVD)が対象となる。
【0022】
被着のタイプとは関係なく、カバー材料は好ましくは、開口部または欠陥箇所なしに配置されており、これにより、コアの対応する側面が完全に覆われる。これによって特に回避しようとするのは、第1の導電性材料と、エネルギ蓄積器の内部からの材料と、が接触してしまうことである。
【0023】
さらに、カバー材料は好ましくは、電気コンタクト、例えばタブコンタクト等をはんだ付けまたは溶接するのに適しているように選択および配置される。これに対応して、カバー材料は好ましくは、電気コンタクトをはんだ付けまたは溶接するために適しており、かつその際にカバー材料に亀裂または開口部が生じないように構成されている。
【0024】
接続ピンの片方の側面または両方の側面は好ましくは、基体の表面に対して面一に配置されている。基体が、厚さの異なる領域を有する場合、好ましいのは、片方または両方の側面が、基体の貫通開口部に接する表面と面一に終端することである。特に、基体の表面と面一に終端する固定材料と組み合わせる際には、これにより、電気フィードスルーの平坦な形状が実現され、フィードスルーは有利には、可能な限りに小さい構造高さを有する。
【0025】
これとは択一的に好ましいのは、接続ピンの片方の側面または両方の側面が、基体の表面を越えて突出して配置されていることである。基体が、厚さの異なる領域を有する場合に好ましいのは、片方または両方の側面が、基体の貫通開口部に接する表面を越えて突出することである。これにより、高くなった接触面が得られ、この接触面により、例えば、タブコンタクトを溶接することにより、接続ピンの簡単な電気的な接触接続が可能になる。
【0026】
基体の材料および/または接続ピンのコアの第1の導電性材料は好ましくは、鋼、特にフェライト鋼、オーステナイト鋼もしくは2相鋼、錆のない鋼、ステンレス鋼、鉄・ニッケル合金、鉄・ニッケル・コバルト合金、コバール、モリブデン、チタン、チタン合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金から選択されている。
【0027】
好ましい実施例は、オーステナイト鋼から成る基体と、フェライト鋼から成るコアを備えた接続ピンと、を有する。
【0028】
接続ピンの第2の導電性材料および/または第3の導電性材料は好ましくは、アルミニウム、アルミニウム合金、AlSiC、銅、銅合金、モリブデン、ニッケルもしくはニッケル合金、パラジウム、銀または金から選択されている。
【0029】
本発明に係る接続ピンの好ましい実施例は、ステンレス鋼、特にフェライトステンレス鋼から成るコアと、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るカバー材料と、を有する。
【0030】
しかしながら、接続ピンの第2の導電性材料および/または第3の導電性材料の融点が、コアの第1の導電性材料の融点よりも低い別の材料組み合わせも好ましい。
【0031】
固定材料は好ましくは、ガラス、ガラスセラミックスもしくはセラミックスであるか、またはガラス、ガラスセラミックスもしくはセラミックスを含んでいる。
【0032】
好ましいガラスには、工業用ガラス、特に酸化物ガラスが含まれ、このガラスは好ましくは、電気エネルギ蓄積器との関連において、一般的な材料に対して化学的に耐性である。
【0033】
工業用ガラスの場合、固定材料は、例えばAlおよびBを含むホウ酸アルミニウムガラスであるか、または例えば、ガラス形成剤としてBiを含むビスマスガラスである。択一的には、ガラス形成剤として酸化鉛を含むガラス、特にPbO・B系から成るガラス、またはバナジウム含有ガラスが固定材料として使用されてもよい。
【0034】
ガラス・金属フィードスルーに対しては、固定材料として適切なガラスが、その特性、例えば、融解温度および/または膨張係数等に従って選択される。有利であり得るのは、融解温度が低いガラスである。特に有利であるのは、融解温度が、アルミニウムもしくはアルミニウム合金の融点未満のガラスである。電気蓄積装置、例えば、バッテリ、コンデンサ、またはスーパーキャパシタ等のための電気フィードスルーにおいて、固定材料が、ガラス形成剤としてBiを含むビスマスベースのガラスを、またはガラス形成剤としてPbOを含む鉛ベースのガラスを有するか、もしくはこれから成る場合に好ましくなる可能性がある。
【0035】
電気フィードスルーを作製するために、成形体の形態の固定材料もしくは前駆材料を準備することができる。成形体は、例えば中空筒の形状を有していてよい。電気フィードスルーを構成するために、接続ピンは、この中空筒の内部に挿入され、この中空筒それ自体は、基体の開口部に挿入される。熱処理によって次いで、金属ピンが開口部にガラス封止され、固定材料が、接続ピンの材料および基体の材料と密接に接合する。
【0036】
基体が、電気エネルギ蓄積装置用のハウジング部分として、例えばマイクロバッテリのカバー部分として構成される場合、基体は、例えば0.1mm~1mm、好ましくは0.2mm~0.6mmの範囲の厚さを有する。
【0037】
基体は好ましくは、貫通開口部の領域の外側に第1の厚さdを有し、貫通開口部に接する、幅Wの補強領域に、増大された第2の厚さdを有する。金属・固定材料フィードスルーが圧縮シーリングとして構成される場合、幅Wは、基体によって固定材料に十分な押圧力を加えることができるように選択される。例えば、このために幅Wは0.6mm~1mmの範囲で選択される。
【0038】
補強領域のこの増大された厚さは、例えば、ハウジング部分の基体の厚化した領域を設けること、カラーを設けることおよび/または補強部分を設けることによって実現することができる。基体の厚さを選択すること、もしくは厚化した領域を設けることにより、固定材料とハウジング部分の基体の材料とが接合されているガラス封止長さに影響を与えることができる。
【0039】
1つの変形形態では、ハウジング部分は、カラーを有しており、このカラーは、ハウジング部分の残りの材料厚さよりも大きな高さで、特にカバーとして構成されたハウジング部分の厚さで、またはカップとして構成されたハウジング部分の壁部の厚さで内壁部を形成している。
【0040】
カラーは好ましくは、大きく湾曲され変形されたカラーとして構成されており、ハウジング部分とカラーとは特に一体である。
【0041】
特にガラス封止後に、例えば、温度作用に起因するガラス材料、セラミック材料またはガラスセラミック材料の破損を回避するために有利であるのは、基体と、ハウジングの別のコンポーネント、例えばハウジングの構成部分等と、を結合するためのフレキシブルなフランジが基体に含まれている場合である。フランジそれ自体には、領域、すなわち、別のコンポーネントが基体に連結されるいわゆる接合領域が含まれている。基体への連結は、溶接、特に超音波溶接またはろう接によって行うことができる。溶接接合は好ましくは、接合が十分に気密であり、好ましくは、1barの圧力差分において10-8mbar l/秒未満のHe漏れ速度が設定されるように行われる。
【0042】
フレキシブルなフランジは、極めて簡単に得ることができる。例えば、基体は、厚さdを有する薄板部分として実施されていてよく、この薄板部分は、厚さdに下方に型押しされ、下方に型押しした後、厚さdのこの部分は、フレキシブルなフランジが構成されるように変形される。この場合、開口部の領域の周りに元々の厚さdが残り、これにより、開口部に接する領域が補強されるように構成可能である。また、厚さdの薄板をフレキシブルなフランジに成形し、引き上げられた薄板もしくは薄板の変形加工することによって形成されたカラーが、ガラス封止を収容することも可能である。引き上げられたフレキシブルなフランジへの、特にフレキシブルなフランジのカラーへのガラス封止は、殊に、フレキシブルなフランジと引き上げられた領域とが、材料としてオーステナイト鋼または2相鋼を含んでいる場合に可能である。
【0043】
有利な1つの実施形態では、フレキシブルなフランジの代わりに、またはフレキシブルなフランジに付加的に、基体に負荷軽減装置を設けることができる。負荷軽減装置には有利には、少なくとも1つの溝または凹部、好適には少なくとも1つの周りを取り囲む溝または周りを取り囲む凹部が含まれている。溝の代わりに、隣り合う穿孔の列が設けられていてもよい。
【0044】
負荷軽減装置により、基体を通る熱流を低減することができ、すなわち熱バリアを得ることができ、かつ/または接続ピンの軸線に対して垂直方向に基体の機械的負荷が低減される。というのは、基体は、接続ピンの軸線に対して垂直方向に変形可能であり、好ましくは可逆的に変形可能であるからである。これにより、固定材料にはより小さく応力が加えられ、特に、固定材料に作用しかつこれによって固定材料への圧縮を低減する引張応力が加えられなくなり、これにより、熱負荷および機械的負荷の際にフィードスルーの密閉性が改善される。
【0045】
有利な第1の変形形態では、負荷軽減装置、特に溝または凹部は、ハウジングを形成する際に外側を向く、電気フィードスルーの第2の面に配置されている。択一的で有利な第2の変形形態では、負荷軽減装置、特に溝または凹部は、ハウジングを形成する際に内側を向く、電気フィードスルーの第1の面に配置されている。特に有利な第3の変形形態では、負荷軽減装置には、基体の互いに反対側に配置された面に少なくとも2つの溝または凹部が含まれている。
【0046】
ガラス材料またはガラスセラミック材料として、例えば、主成分Al、B、BaOおよびSiOを有するホウ酸アルミニウムガラスが使用される。このようなガラス材料の膨張係数は好ましくは、9.0~9.5ppm/Kもしくは9.0~9.5×10-6/Kの範囲内にある。例えばビスマスガラスが使用される場合、膨張係数は、例えば、約10.5×10-6/Kである。
【0047】
金属部分、すなわち基体および接続ピンと固定材料との間の特に良好なシーリングを達成するために、電気フィードスルーは圧縮シーリングの形態で構成することができる。この際には、基体の熱膨張係数は、固定材料の熱膨張係数よりも大きく選択され、これにより、固定材料が貫通開口部においてガラス封止される温度処理の後、基体は、固定材料よりも強く収縮する。これにより、押圧力が、基体により、固定材料に持続的に加えられる。これらの押圧力により、固定材料に予荷重が加えられ、特に安定したシーリングが行われる。
【0048】
これに対応して好ましいのは、基体の熱膨張係数が、固定材料の熱膨張係数よりも大きいことである。特に好ましくは、圧縮シーリングの際に基体の熱膨張係数は、固定材料の熱膨張係数よりも少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも20%、最も好ましくは少なくとも50%大きく選択される。
【0049】
圧縮シーリングのための予荷重は実質的に、基体の材料と固定材料との間の膨張係数の差分によって決定される。
【0050】
基体の膨張係数は好ましくは、12×10-6 1/K~19×10-6 1/Kの範囲内にあり、固定材料の膨張係数は、9×10-6 1/K~11×10-6 1/Kの範囲内にある。
【0051】
ガラス材料、セラミック材料またはガラスセラミック材料の膨張係数は、必要に応じて、ガラス材料、セラミック材料またはガラスセラミック材料に充填剤を混ぜることによって変更することができる。この場合、充填剤のタイプおよび量を選択することにより、熱膨張係数を設定することができる。
【0052】
接続ピンのコアの膨張係数は好ましくは、6×10-6 1/K~11×10-6 1/Kの範囲内にある。これに対応して、圧縮シーリングとしてフィードスルーを実施する際には、コアの膨張係数は好ましくは、固定材料の膨張係数に適合されているか、またはやや小さく選択される。
【0053】
圧縮シーリングのためには、例えば、約16×10-6 1/Kの膨張係数を有するオーステナイト鋼と、約10.5×10-6 1/Kの膨張係数を有するビスマスベースのガラスと、約10×10-6 1/Kの膨張係数を有するフェライト鋼から成るコアと、を組み合わせることができる。
【0054】
圧縮シーリングとは択一的に、基体の膨張係数と、固定材料の膨張係数と、を互いに適合させることができる。この際には、膨張係数の差分が5%未満であると好ましい。
【0055】
適合されたフィードスルーとは特に、膨張係数が実質的に、最大でも1×10-6 1/Kだけ異なり、特に実質的に同じであることと理解される。接続ピンのコアの膨張係数は好ましくは、同様に固定材料の膨張係数に適合される。
【0056】
材料に対する圧縮シーリングまたはガラス封止に関連し、上で膨張係数について値が挙げられている場合、これらの値は、ガラス・金属フィードスルーに関連して一般に示される、20~300℃の温度間隔における線熱膨張係数αに関連する。
【0057】
一般にエネルギ蓄積装置用のハウジングには、内部に過圧が生じた場合に安全弁および/または目標破損個所を検査して撤去するために、安全弁および/または目標破損個所が安全要素として設けられている。電気フィードスルーは好ましくは、このような安全要素を有する。このために好ましいのは、固定材料によって保持された接続ピンのための押出し力を選択して、あらかじめ定められた押出し力を上回った場合に接続ピンが押し出されるようにすることが好適である。押出し力のこのような適合は、例えば独国実用新案第202020106518号明細書から公知である。
【0058】
固定材料、ならびにこの固定材料と、貫通開口部の壁部および接続ピンと、の接合は好ましくは、あらかじめ定められた押出し力を介して安全弁機能が提供されるように構成されており、このあらかじめ定められた押出し力は、以下の手段のうちの1つまたは複数により、すなわち、
a.ガラス封止の厚さの選択、
b.固定材料の選択、
c.固定材料における気泡の割合の選択、
d.ガラス封止の前に固定材料成形体の形状を設定することによる、固定材料の表面の構造化、
e.ガラス封止中の固定材料の表面の構造化、
f.ガラス封止後の固定材料の表面のレーザ加工、
g.固定材料へのノッチまたはテーパの片側または両側における導入、および/または
h.接続ピンおよび/または基体へのノッチまたはテーパの導入によって設定される。
【0059】
第2の導電性材料および/または固定材料は好ましくは、電解質、特に水性電解質および/または非水性電解質に対して安定であるように選択される。特に好ましいのは、フィードスルーの材料が、非水性バッテリ電解質に対して、特に炭酸塩、好ましくは電導度塩を有する、好ましくはLiPFを含む、炭酸混合物に対して高い化学的耐性を有する場合である。
【0060】
本発明の別の1つの態様は、電気蓄積装置を提供することである。提案される電気蓄積装置は特に、バッテリ、またはスーパーキャパシタを含むコンデンサとして構成されており、本明細書で説明した少なくとも1つの電気フィードスルーを備えたハウジングを含んでいる。電気蓄積装置にはさらに、好ましくは少なくとも1つの蓄積セル、特にバッテリセルまたはコンデンサセルが含まれている。
【0061】
電気フィードスルーの基体は好ましくは、ハウジング部分として、特にカバーとして構成されており、このカバーは好ましくは、ハーメチックシールされて別のハウジング部分と接合されており、これにより、電気蓄積装置用のハーメチックシールされたハウジングが構成される。例えば、ハウジングを形成するために、カバーは、電気フィードスルーと共に、溶接によってカップに接合される。ここでハーメチックシールとは、ハウジングが、1barの圧力差分において10-8mbar l/秒未満のHe漏れ率を有することであると理解さされる。
【0062】
以下では、図面に基づきかつこれらの図面に限定することなく、本発明をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】接続ピンが面一に実施されている電気フィードスルーの第1の実施例を示す図である。
図2】接続ピンの表面が基体を越えて突出している電気フィードスルーの第2の実施例を示す図である。
図3】接続ピンのコアが両側で覆われておりかつ補強領域を備えた電気フィードスルーの第3の実施例を示す図である。
図4】フレキシブルなフランジを備えた電気フィードスルーの第4の実施例を示す図である。
図5】接続ピンのコアが完全にコーティングされた電気フィードスルーの第5の実施例を示す図である。
図6】フレキシブルなフランジを備えた電気フィードスルーの第6の実施例を示す図である。
図7】負荷軽減装置を備えた電気フィードスルーの第7の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1には、電気フィードスルー10の第1の実施例が示されている。電気フィードスルー10には、貫通開口部14を備えた基体12が含まれており、貫通開口部14に接続ピン20が挿入されている。接続ピン20は、固定材料16を介して電気絶縁状態で貫通開口部14に保持される。固定材料16は、貫通開口部14の内壁部に対しても、接続ピン20に対してもシールし、これにより、貫通開口部14は、固定材料16によって密に閉鎖され、金属・固定材料フィードスルーが構成される。
【0065】
図示した電気フィードスルー10は特に、電気蓄積装置、例えば、バッテリ、特にマイクロバッテリおよびコンデンサ等に関連した使用に適している。これに対応して、基体12は、このような蓄電装置用のハウジングの構成部分、例えばバッテリカバーであってよい。この場合、接続ピン20は、例えば、電気蓄積装置の接続端子を構成する。電気蓄積装置用のハウジングを形成するために、電気フィードスルーの基体12は、別のハウジング部分と結合される。カバー部分として基体12を構成する場合、カバー部分とカップ部分とを結合することにより、蓄電装置用のハウジングを形成することができる。このような蓄積装置の内部には一般に、少なくとも1つの蓄積セル、例えばバッテリセルまたはコンデンサセルが配置されている。電気接続を形成するために、このような蓄積セルの接続部と接続ピン20とを、また別の接続部と別のハウジング部分とを導電接続することができる。当然のことながら、基体12に複数の貫通開口部14を構成し、複数の接続ピン20を配置することも可能であり、これにより、多極のフィードスルーが提供される。
【0066】
接続ピン20は、その材料特性において、特にその熱膨張係数に関して、形成される金属・固定材料フィードスルーの必要条件に適合されていなければならない。接続ピン20の腐食を阻止するかまたは少なくとも低減するために、さらに、接続ピン20の材料は、蓄積セルに使用される材料、例えば集電体の材料、電極材料および電解質に適合されるべきである。両方の要件を満たすために、本発明に従って特定されるのは、接続ピン20が、金属・固定材料フィードスルーの要件に適合されている第1の導電性材料から成るコア22を有し、片方の側面に、第2の導電性材料から成るカバー材料24を有し、カバー材料24が、腐食を回避するかまたは少なくとも低減するために、蓄積セルの必要条件に適合されていることである。ここでは、カバー材料24および固定材料16は、電気フィードスルー10において、カバー材料24が位置する、フィードスルーの第1の面において、接続ピンのコア材料22がアクセスできないように配置されている。このために、カバー材料24は、固定材料16に直接に接している。カバー材料24は、ここでは、ハウジングを形成する際に内側を向く、電気フィードスルー10の面に位置する。第2の導電性材料は、例えば、めっきも用いて、接続ピン20のコア22の側面に被着されていてよい。しかしながら、第2の導電性材料を被着するために別の変形形態も考えられる。例えば、溶接またはろう接を用いて、第2の導電性材料から成る薄板またはフィルムをコア22に接合することができるか、または電解めっき法または蒸着により、第2の電気材料を被着することができる。
【0067】
図1の第1の実施例では、接続ピン20のコア22の外側面は、カバー材料24がないままである。これによって実現されるのは、カバー材料24により、金属・固定材料フィードスルーの特性が変化されないことである。したがって、両方の材料は、ハウジングの内部における蓄積セルの要件と、金属・固定材料フィードスルーの構成と、に対する最適な適合を実現するために、それぞれ完全に互いに独立して選択可能である。例えば、リチウム・イオンバッテリにおいて使用するために電気フィードスルー10を構成する場合、カバー材料24としてアルミニウムを使用することができる。金属・固定材料フィードスルーが圧縮シーリングとして構成される場合、接続ピンのコア22用の第1の導電性材料は、例えば、ステンレス鋼であってよく、これにより、コア22は、押圧力が生じる際に変形しない。
【0068】
図1に示した電気フィードスルー10の実施例では、接続ピン20の両側面は、基体12の対応する表面と面一に実施されている。したがって、接続ピン20の全体厚さは、この実施例において基体12の厚さに対応する。この実施例ではさらに、固定材料16の表面は、基体12の表面と、接続ピン20の側面と、に面一に続いている。しかしながら、固定材料16が、表面を越えて突出し、接続ピン20および/または基体12の隣接領域を部分的に覆うことも考えられる。択一的には考えられるのはさらに、接続ピン20の片方または両方の側面が、基体12の対応する表面を越えて突出することである。このことは、例示的に図2に示されている。
【0069】
図2には、接続ピン20の表面が基体12を越えて突出している電気フィードスルー10の第2の実施例が示されている。電気フィードスルー10の構造は、図1に関連して説明した第1の実施形態に対応する。第1の実施形態とは異なり、接続ピン20は、その側面が、基体12の対応する表面に対して面一に配置されていないように構成されかつ配置されている。これにより、接続ピン20の全体厚さは、基体12の厚さよりも大きい。図2において見て取れるのは、カバー材料24の厚さが、固定材料16との相互作用において、なお電気フィードスルー10のこの面から、コア22の第1の導電性材料がアクセスできない大きさに選択されていることである。これに対応して、この実施例でも固定材料16はカバー材料24に直接に接している。
【0070】
この第2の実施例に示されているように、カバー材料24が基体12の表面を越えて突出している場合、カバー材料24に対する比較的大きな厚さが好ましい。この厚さは特に、コア22のめっき、または薄板の接合、または溶接またはろう接を用いて薄板またはシートとコア22とを接合することによって実現可能である。
【0071】
当然のことながら考えられるのは、接続ピン20の2つの側面のうちの1つが、基体12の対応する表面と面一に配置されており、これにより、接続ピン20が、2つの面のうちの1つにおいてのみ基体12を越えて突出することである。
【0072】
図3には、電気フィードスルー10の第3の実施例が示されている。図1の第1の実施形態に関連して説明したように、電気フィードスルー10は、貫通開口部14を有する基体12を有し、貫通開口部14には、固定材料16を介して接続ピン20が絶縁状態で保持されている。
【0073】
図1の第1の実施形態とは異なり、付加的には、コア22の第2の側面には、第3の導電性材料から成る別のカバー材料25が配置されており、これにより、接続ピン20のコア22の両方の側面が、カバー材料24,25によって覆われている。ここでは、別のカバー材料25も固定材料16に直接に接しており、これにより、この実施形態では、コア22の第1の導電性材料は、電気フィードスルー10内に完全に閉じ込められている。第3の導電性材料は、第2の導電性材料とは別に選択されていてよく、または同じに選択されていてもよい。例示的には、同じ材料が示されている。
【0074】
図3の第3の実施例ではさらに、基体12が、最初の2つの実施形態とは異なって構成されている。第3の実施例の基体12は、幅Wの補強領域を有し、この補強領域は、貫通開口部14に接しており、補強領域内では基体12は増大された厚さdを有する。補強領域の外側では基体12は、より薄い厚さdを有する。これにより、特にマイクロバッテリに適した、電気フィードスルー10の特にコンパクトな構造が得られる。それにもかかわらず、基体12により、圧縮シーリングとしての金属・固定材料フィードスルーの構成にも適した高い機械的安定性が提供される。このためには、幅Wは、そのために必要な押圧力を形成することができるように選択される。
【0075】
補強領域を備えた基体12の構成は当然のことながら、別の実施例と組み合わせることができ、これにより、例えば図3の図とは異なり、接続ピン20の片方の側面が、または両方の側面も基体12の、貫通開口部14に接する表面を越えて突出していてよい(図7参照)か、またはコア22の第1の側面だけが、カバー材料24により覆われている。
【0076】
図4には、電気フィードスルー10の第4の実施例が示されている。図1の第1の実施形態に関連して説明したように、電気フィードスルー10は、貫通開口部14を有する基体12を有し、貫通開口部14には、固定材料16を介して接続ピン20が絶縁状態で保持されている。接続ピン20のコア22には、図3の第3の実施例に示したように、両側面にカバー材料24,25が備え付けられており、図示した実施例では、接続ピンの側面は、基体12の、貫通開口部14に接する表面と面一に終端している。この図に見て取れるように、この実施例では例示的に、第3の導電性材料を有する別のカバー材料25は、第2の導電性材料を有するカバー材料24とは異なって選択されている。
【0077】
第4の実施例の基体12には付加的に、フレキシブルなフランジ30が含まれており、フランジ30を介して、基体12は、別の要素、例えばハウジングの別の構成部分に接合可能である。フレキシブルなフランジ30は、例えば、基体12の変形加工によって得られ、幅Wの移行領域を有しており、この移行領域内では基体12の平坦な部分が、基体12の平坦な部分の厚さdよりも大きな厚さdを有するガラス封止部分に移行している。基体12は、移行領域においてフレキシブルかつ可撓性であるため、フレキシブルなフランジ30により、この領域と貫通開口部14とが機械的にデカップリングされる。これに対応して、ハウジングの別の部分の応力が固定材料16に伝達されない。さらに、ガラス封止部分内での厚さdは、広い範囲内で自由に選択することができ、これにより、ガラス封止の長さは、基体12の、もしくは基体を備えたハウジングの別の寸法とは無関係に設定することができる。
【0078】
図5には、図1の第1の実施例に類似して構成された、電気フィードスルー10の第5の実施例が示されている。第1の実施例とは異なり、接続ピン20のコア22は完全にコーティングされており、これにより、コア22のすべての表面は、カバー材料24によって覆われている。これに対応して特に、コア22の両方の側面および外側面は、カバー材料24によって覆われている。
【0079】
図6には、電気フィードスルー10の第6の実施例が示されており、電気フィードスルー10は、図4の第4の実施例に類似して構成されており、構成および機能は既に上述されている可撓性のフランジ30を含んでいる。第1の導電性材料を備えた接続ピン20のコア22には、図4の第3の実施例に示したように、両側面にカバー材料24,25が備え付けられており、この実施例では例示的にカバー材料24,25は同じである。第4の実施例とは異なり、接続ピン20は、その側面が、基体12の対応する表面に対して面一ではなく、これを越えて突出するように配置されるように形成されかつ配置されている。これにより、接続ピン20の全体厚さは、フィードスルーの領域において基体12の厚さよりも大きい。図6において見て取れるのは、コア22の配置と、第2の導電性材料を有するカバー材料24の厚さと、は、固定材料16と相互作用において、コア22の第1の導電性材料が、電気フィードスルー10の面からアクセスできないような大きさに選択されていることである。これに対応して、この実施例でも固定材料16はカバー材料24に直接に接している。カバー材料24はここでは、ケーシングを形成する際に内側を向く、電気フィードスルー10の第1の面に位置する。ハウジングを形成する際に外側に向く、フィードスルー10の、反対側の第2の面では、図示した実施例において、コア22の第1の導電性材料はアクセスで可能である。というのは、この実施例では固定材料16は、カバー材料25に直接に接していないからである。
【0080】
第6の実施例の特に有利な1つの実施形態において、接続ピン20は、第1の導電性材料としてフェライト鋼から成るコア22を有し、コア22の両面では、第2の導電性材料として、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るカバー材料24,25を有する。基体12は、コア22の材料よりも膨張係数が高い鋼から構成されており、特に、基体12用の材料としてオーステナイト鋼が選択される。低融点ビスマスベースの固定材料16を選択する際には、オーステナイト系ステンレス鋼から成る基体12と組み合わせて、ハーメチックシールされた圧縮シーリングを提供することができる。
【0081】
フェライト鋼から成るコア22を選択する際には、接続ピン20は、その材料特性に考慮して、特にその熱膨張係数に関して、形成される金属・固定材料フィードスルーの必要条件に適合されている。接続ピン20の腐食を阻止するかまたは少なくとも低減するために、コア22には、ハウジングを形成する際に内側を向いたその面に、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るカバー材料24が備え付けてられており、これにより、コア22は、蓄積セルの材料の必要条件、例えば化学的耐性、電気化学ポテンシャルに適合される。コア22に、ハウジングを形成する際に外側を向いたその面に、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成るカバー材料25が備え付けてられている場合、接続ピン20は、例えば、電気的な接続部との簡単かつ確実な接合、例えばろう接または溶接に最適化されていてよい。
【0082】
図7には、図3の第3の実施例に類似して構成された、電気フィードスルー10の第7の実施例が示されている。第7の実施例の基体12も同様に、幅Wの補強領域を有し、この補強領域は、貫通開口部14に接しかつその内部において基体12は、増大された厚さdを有する。補強領域の外側では基体12は、より薄い厚さdを有する。このような実施形態の利点は、さらに上で既に説明した。
【0083】
第7の実施例では、基体12に負荷軽減装置31が設けられており、負荷軽減装置31は、この実施例では、例えば、溝または凹部として、好ましくは周りを取り囲む溝または周りを取り囲む凹部として構成されている。負荷軽減装置31の溝は、例示的に、ハウジングを形成する際に外側を向く、電気フィードスルー10の第2の面に配置されている。当然のことながら、溝は、ハウジングの別の面に配置されていてもよい。基体の反対側に配置された2つの溝または凹部も、負荷軽減装置31として使用することができる。溝の代わりに、隣り合う穿孔の列が設けられていてもよい。
【0084】
負荷軽減装置31により、基体12を通る熱流が低減され、すなわち熱バリアが形成され、かつ/または接続ピン20の軸線に対して垂直方向に基体12への機械的負荷が低減される。というのは、基体12は、接続ピン20の軸線に対して垂直方向に変形可能であり、好適には可逆的に変形可能であるからである。これにより、固定材料16に作用しかつこれにより固定材料16に対する圧縮を低減する比較的小さな応力が、固定材料16には導入され、特に引張応力が、これに導入されなくなり、これにより、熱負荷および機械的負荷の際のフィードスルー10の密閉性が保証される。
【0085】
第3の実施例とは異なり、第7の実施例の接続ピン20は、ここでは、第6の実施例の場合のように構成されかつ配置されている。この実施例でも、第2の導電性材料を備えたカバー材料24は、ハウジングを形成する際に内側に向く、電気フィードスルー10の第1の面に位置しており、これにより、接続ピン20のコア22は内側からアクセスできない。ハウジングを形成する際に外側に向く、フィードスルー10の、反対側の第2の面では、この実施例においても、コア22の第1の導電性材料はアクセス可能である。というのは、この実施例では固定材料16は、カバー材料25に直接に接していないからである。第6の実施例に関連して述べた有利な材料の組み合わせは、負荷軽減装置31を備えたフィードスルー10の実施にとっても有利であり得る。
【0086】
好ましい実施例に基づき、本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、むしろ多様に変更可能であり、特に、この変更は、異なる実施例に基づいて説明した特徴(例えば、(補強装置、負荷軽減装置、フレキシブルなフランジを備えた)基体の構成、接続ピンの構成および配置、構成部分の材料の選択等)が、本発明による技術的な教示を使用する別の実施例にまとめられることによって行われる。
【符号の説明】
【0087】
10 電気フィードスルー
12 基体
14 貫通開口部
16 固定材料
20 接続ピン
22 コア
24 カバー材料
25 別のカバー材料
30 フレキシブルなフランジ
31 負荷軽減装置
d1 第1の厚さ
d2 第2の厚さ
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】