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特表2025-503781圧延機ロールへ表面処理を施す機械及び方法
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  • 特表-圧延機ロールへ表面処理を施す機械及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-04
(54)【発明の名称】圧延機ロールへ表面処理を施す機械及び方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/37 20060101AFI20250128BHJP
   B21B 28/02 20060101ALI20250128BHJP
   B24B 5/04 20060101ALI20250128BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20250128BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20250128BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20250128BHJP
   B23K 26/354 20140101ALI20250128BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20250128BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20250128BHJP
【FI】
B24B5/37
B21B28/02 B
B24B5/04
B24B41/06 J
B24B49/10
B24B55/06
B24B41/06 C
B23K26/354
B23K26/00 J
B24B49/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024543419
(86)(22)【出願日】2023-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2023050588
(87)【国際公開番号】W WO2023144695
(87)【国際公開日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】102022000001202
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509201724
【氏名又は名称】テノヴァ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】パオロ ガボアルディ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ トレヴィザン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ガリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ ボゼッリ
【テーマコード(参考)】
3C034
3C043
3C047
4E168
【Fターム(参考)】
3C034AA01
3C034BB15
3C034BB74
3C034BB92
3C034CA03
3C034CA04
3C034CA05
3C034CB14
3C043AA01
3C043AC13
3C043CC03
3C043DD02
3C043DD05
3C043DD06
3C047FF01
3C047FF15
3C047HH01
3C047HH11
4E168AB01
4E168CB03
4E168CB07
4E168DA42
4E168DA43
4E168EA17
4E168EA24
4E168FB02
4E168FB03
4E168FC01
4E168FC04
(57)【要約】
圧延機ロールへ表面処理を実行する機械(10)が開示される。当該機械(10)は、長手進展方向(Y)に沿って延びる支持構造(100)と、前記支持構造(100)の少なくとも一部を覆うように設けられる外包(50)と、相互に相対するように前記支持構造(100)上に設けられると共に、前記長手進展方向(Y)に平行な回転軸(K)に沿って位置合わせされ、被処理表面(2)を有するロール(1)を支持するように構成される少なくとも2つの支持部(101)と、前記2つの支持部(101)によって支持されるときに前記ロール(1)を回転させるように構成される回転モータ(102)と、前記支持構造(100)に摺動可能に接続されると共に、前記ロール(1)の前記表面(2)の少なくとも一部を研磨するため、前記ロール(1)に対向可能で、かつ、作業領域(200)にわたって移動可能な研磨具(203)を備える研磨群(20)と、前記支持構造(100)に摺動可能に接続されると共に、前記ロール(1)の前記表面(2)の少なくとも一部をテクスチャリングするため、前記ロール(1)に対向可能で、かつ、前記作業領域(200)にわたって移動可能なレーザーヘッド(403)を備えるテクスチャ群(40)と、前記研磨群(20)及び前記テクスチャ群(40)と信号連通するように設けられると共に、前記研磨群(20)及び前記テクスチャ群(40)を制御するように構成される制御部(60)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールへ表面処理を実行する機械であって、を備え、
長手進展方向に沿って延びる支持構造と、
前記支持構造の少なくとも一部を覆うように設けられる外包と、
相互に相対するように前記支持構造上に設けられると共に、前記長手進展方向に平行な回転軸に沿って位置合わせされ、被処理表面を有するロールを支持するように構成される少なくとも2つの支持部と、
前記2つの支持部によって支持されるときに前記ロールを回転させるように構成される回転モータと、
前記支持構造に摺動可能に接続されると共に、前記ロールの前記表面の少なくとも一部を研磨するため、前記ロールに対向可能で、かつ、作業領域にわたって移動可能な研磨具を備える研磨群と、
前記支持構造に摺動可能に接続されると共に、前記ロールの前記表面の少なくとも一部をテクスチャリングするため、前記ロールに対向可能で、かつ、前記作業領域にわたって移動可能なレーザーヘッドを備えるテクスチャ群と、
前記研磨群及び前記テクスチャ群と信号連通するように設けられると共に、前記研磨群及び前記テクスチャ群を制御するように構成される制御部、
を備える機械。
【請求項2】
請求項1に記載の機械であって、前記支持構造は、相互に離間すると共に前記長手進展方向と平行な第1案内部及び第2案内部を備え、前記研磨群は、前記第1案内部と摺動可能に結合され、前記テクスチャ群は、前記第2案内部と摺動可能に結合される、機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の機械であって、前記第1案内部及び前記第2案内部は、相互に平行であると共に、前記回転軸に対して前記支持構造の相対する側部に設けられる、機械。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の機械であって、前記研磨群が作動しているとき及び/又は前記テクスチャ群が作動していないとき、前記テクスチャ群の少なくとも一部を格納するように構成される停止領域を備える、機械。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の機械であって、前記第2案内部は、第1端部と第2端部との間で長手方向に延在し、前記停止領域は、前記第2案内部の前記第1端部と前記第2端部のうちの一の端部に設けられる、機械。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の機械であって、前記停止領域が設けられる前記端部は、前記外包の外部に位置する、機械。
【請求項7】
請求項5に記載の機械であって、前記停止領域が設けられる前記端部は、前記外包の内部に位置する、機械。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の機械であって、前記停止領域は、前記第2案内部に設けられ、前記テクスチャ群を格納に適した箱形状体を有する、機械。
【請求項9】
請求項7に記載の機械であって、前記停止領域は、前記作業領域から設定された安全最小距離で前記第2案内部に設けられる、機械。
【請求項10】
請求項9に記載の機械であって、前記安全最小距離は0.2mよりも長い、機械。
【請求項11】
請求項2~10のいずれか一項に記載の機械であって、前記第1案内部又は前記第2案内部と摺動可能に結合されて、前記被処理表面に関する寸法パラメータを検出するように構成される計器を備える計器群を備える、機械。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の機械であって、前記計器群は、表面欠陥検出システムを含む、機械。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の機械であって、前記支持構造に関連付けられると共に処理中の前記ロールの前記表面から処理廃棄物を除去するように構成される清浄部を備える、機械。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の機械であって、前記作業領域内の空気を吸引及び濾過するように構成される空気吸引及び濾過手段を備える、機械。
【請求項15】
請求項4~10のいずれか一項に記載の機械であって、前記レーザーヘッドは、前記テクスチャ群が前記停止領域内に存在するときに空気流を放出するように構成される、機械。
【請求項16】
請求項2~15のいずれか一項に記載の機械であって、前記支持構造は、相互に分離すると共に剛性を有するように結合する第1部分及び第2部分を有し、前記第1案内部は前記第1部分に関連付けられ、前記第2案内部は前記第2部分に関連付けられる、機械。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の機械であって、
前記研磨群は、前記長手進展方向に平行な第1方向に沿って摺動可能な第1運び台と、前記第1方向に垂直な第1横方向に沿って前記第1運び台に対して摺動可能なように前記第1運び台に接続される第1摺動部と、前記第1運び台及び前記第1摺動部を移動させるように供される第1作動手段を備え、
前記テクスチャ群は、前記長手進展方向に平行な第2方向に沿って摺動可能な第2運び台と、前記第2方向に垂直な第2横方向に沿って前記第2運び台に対して摺動可能なように前記第2運び台に接続される第2摺動部と、前記第2運び台及び前記第2摺動部を移動させるように供される第2作動手段を備える、
機械。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の機械であって、
前記少なくとも2つの支持部は、
前記ロールを支持するように設けられるヘッドストック及びテールストックシステムと、
前記ロールを支持するように設けられる2つの固定振れ止め、
を備え、
前記ヘッドストック及びテールストックシステム、並びに前記2つの固定振れ止めは、前記ロールと交互に結合可能である、
機械。
【請求項19】
請求項18に記載の機械であって、前記2つの固定振れ止めの各々は、平軸受の対を含む、機械。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項以上に記載の機械によってロールへ表面処理を施す方法であって、当該機械は、
前記長手進展方向に平行な方向に沿って摺動可能で、前記被処理表面に関する寸法パラメータを検出するように構成される計器を備える計器群と、
前記研磨群が作動しているとき及び/又は前記テクスチャ群が作動していないとき、前記テクスチャ群の少なくとも一部を格納するように構成される停止領域、
をさらに備え、当該方法は、
前記支持部の間に被処理表面を有するロールを位置づける段階と、
前記被処理表面に関連する寸法パラメータを検出する段階と、
前記モーターを回転させることで前記ロールを回転させる段階と、
前記の検出された寸法パラメータに応じて前記被処理表面を研磨する前記研磨群を制御する段階と、
前記停止領域から前記作業領域へ前記テクスチャ群を移動させる段階と、
前記の検出された寸法パラメータに応じて前記被処理表面をテクスチャリングする前記テクスチャ群を制御する段階、
を有し、
前記被処理表面を研磨する前記研磨群を制御する段階中、前記テクスチャ群は前記停止領域内に収容される、
方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、当該機械の前記少なくとも2つの支持部は、
前記ロールを支持するように設けられるヘッドストック及びテールストックシステムと、
前記ロールを支持するように設けられる2つの固定振れ止め、
を備え、
前記ヘッドストック及びテールストックシステム、並びに前記2つの固定振れ止めは、前記ロールと交互に結合可能で、
当該方法は、
処理される前記表面を研磨するために前記研磨群を制御する段階中、前記ロールの前記重さは、前記固定振れ止めによって支持され、
処理される前記表面をテクスチャリングするために前記テクスチャ群を制御する段階中、前記ロールの前記重さは、前記ヘッドストック及びテールストックシステムによって支持される、
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な圧延金属製品-例えば鋼、アルミニウムまたは他の金属材料の金属シートテープ-を製造するための、熱間または冷間の圧延機用の円筒体-特に圧延機ロール-に表面処理を施す機械に関する。
【0002】
本発明はまた、前記機械によってロールに表面処理を施す方法にも関する。
【0003】
本発明は、使用後のロールの使用状態を適切に回復させるのに用いるのに有用である。
【背景技術】
【0004】
厚い金属半製品から圧延金属製品を得るためにロールを使用することは、当該技術分野において知られている。特に、このような半製品の厚さは、設定された距離を置いて配置された2つ以上のロールの間を強制的に通過させることによって減少される。
【0005】
ロールは、圧延機での所定数の作業時間後、または所定量の圧延材料後に、圧延される被圧延材との接触により、徐々に劣化することも知られている。このような劣化は、実施される処理の種類及び被処理材料に応じて、以下に示すような様々な態様で発生する。
- 潤滑剤、薄片などの金属残渣、研磨片などによるロールの表面に蓄積された不純物
- 処理中の金属半製品の必要な粗さを与えるのに有用な、表面粗さの特徴部の損失である表面の摩耗(例えばRa(算術平均粗さ)やRpc(ピークの数)で表わされる粗さは、 所定の限界値(たとえば公称値の20%)より高いパラメータの値の変化を受ける)
- プロファイルの摩耗(圧延中のロールの曲がりを補正するために必要な正しいプロファイルが失われる場合がある)
- 様々な種類、形状、及び深さの亀裂並びにその他の局所的な損傷
- 表面層の加工硬化
- 疲労層(表面層が受ける材料の降伏点を超える高い応力によって、オリゴサイクリック疲労現象が発生する)
- その他の損傷(キズ又は圧延痕など)
【0006】
このような劣化の後、ロールの適切な寸法的、幾何学的、構造的な動作条件(例えば、幾何学的プロファイル、表面形状など)を再確立するために、材料除去のための特定の表面処理が行われる。従って、このような処理を行うためには、ロールを圧延機スタンドから一時的に取り外し、同様のロールと交換する必要がある。
【0007】
第1の種類の処理は、ロールから一定の厚さの材料を除去することにより、ロールの表面を再調整するものである。一般に研磨砥石を使用して行われるこの処理は、研磨として知られ、プロファイル、すなわち圧延機が要求する公差内の形状、真円度、及び偏心度を復元し、亀裂又はへこみなどの表面欠陥をできる限り除去し、並びに、Raおよび/またはRpcの観点から正しい粗さを復元することを可能にする。
【0008】
第2の種類の処理は、任意であるが、研磨の後に行われ、テクスチャリングとして知られ、ロール表面に決められた粗さの特徴を与えることを目的としている。実際、ロールの粗さは圧延製品の粗さに影響し、圧延製品の特徴-たとえば成形性、塗装性など-を改善する。テクスチャリング処理は、特定の種類のロール-例えば冷間圧延用のロール、特に圧延の最終段階、いわゆる「スキンパス」用のロール上で実施される。
【0009】
テクスチャリングは、例えば、サンドブラスト(ショットブラスト)、静電放電(放電テクスチャリング、EDT)、電子ビーム(電子ビームテクスチャリング、EBT)、またはレーザービーム(レーザービームテクスチャリング、LBT、および/またはレーザーテクスチャリング、LT)によって実施される。
【0010】
これらの中で、レーザービームによるテクスチャリングは、例えばレーザーの平均出力及びピーク出力、ビームのサイズ及び形状、ビームの集光条件など、プロセスに影響を与える多数のパラメーターを正確に制御できるため、ロール上での最も多様な種類の表面形状を得ることができるものである。
【0011】
今日に至るまで、ロールへの研磨およびテクスチャリング処理は、専用の機械で実施されている。前記専用の機械は、互いに区別され、分離され、互いに異なる特徴を有し、それぞれが特定の処理のために指定される。
【0012】
例えば特許文献1,2は、レーザーヘッドで構成されたロール用テクスチャリング機を開示している。
【0013】
代わりに特許文献3は、特定の表面構造を有するロールを製造する方法を開示している。
【0014】
不利なことに、研磨機とテクスチャリング機の間でロールを移動させることは、ロールの大きさと重量のために困難である。ある機械と別の機械との間でロールを移動させる必要があるため、ロール自体の処理時間がさらに長くなる。
【0015】
不利なことに、2つの分離された機械が存在することは、例えば、接続に起因する、より大きなスペースの占有、および減価償却費および工場コストにも反映される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2021005489A1号公報
【特許文献2】欧州特許第2794178B1号公報
【特許文献3】欧州特許第2808099 B1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、上述の欠点を解決することであり、特に、ロール自体の処理を低減することができる、ロールに表面処理を施すための機械および方法を設計することである。
【0018】
本発明の別の目的は、ロールの表面特徴を復元するのに必要な時間をより短くするロールへの表面処理を実施する機械および方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、空間を節約することを可能にするロールへの表面処理を実施する機械および方法を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によるこれらおよび他の目的は、独立請求項である請求項1および請求項20に記載の、ロールに表面処理を行うための機械および方法を製造することによって達成される。
【0021】
本発明による、ロールに表面処理を実施するための機械および方法の特徴および利点は、添付の概略図面を参照した、以下の例示的な、したがって限定的ではない説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるロールに表面処理を施す機械の一実施形態の上面図を示す。
図1a】本発明によるロールに表面処理を施す機械の一実施形態の上面図を示す。
図2】本発明によるロールに表面処理を施す機械の第2の実施形態を示す上面図を示す。
図3】本発明によるロールに表面処理を施す機械の第3の実施形態の上面図を示す。
図4】本発明によるロールに表面処理を施す機械の第4の実施形態の上面図を示す。
図5】本発明によるロールに表面処理を実施するための機械の第5の実施形態の上面図を示す。
図6】本発明によるロールに表面処理を実施するための機械の実施形態の詳細を示す断面図を示す。
図7】本発明によるロールに表面処理を施す機械の他の詳細を示す側面図を示す。
図7a】本発明によるロールに表面処理を施す機械の他の詳細を示す側面図を示す。
図7b】本発明によるロールに表面処理を施す機械の他の詳細を示す側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図を参照して、参照番号10が付された、ロール1に表面処理を行うための機械について説明する。
【0024】
機械10は、長手進展方向(Y)に沿って延びる支持構造100を備える。
【0025】
好ましくは、機械10は、支持構造100を少なくとも部分的に覆うように配置された外包50を備える。外包50の詳細については、本開示において後述する。
【0026】
機械10は、支持構造100上に配置された少なくとも2つの支持部101を備える。支持部101は、互いに対向し、長手進展方向Yに平行であり、処理が実施される間にロール1が回転することができる軸を表す回転軸Kに沿って位置合わせされる。
【0027】
特に、支持部101は、処理されるべき表面2を有するロール1を支持するように構成されている。
【0028】
上述の外包50は、支持部101の間でのロール1の位置決めおよび取り外しを可能にするために、少なくとも部分的に開閉可能である。
【0029】
より詳細には、ロール1は常に、該ロール1の平坦な端面にて、その製造中にロールを支持するために使用される、センター5と呼ばれる2つの円錐形状の機械加工部と接するように設けられ、さらにロール1は、圧延機にロール1を挿入するために滑り軸受が取り付けられる、首部6として知られる2つのそれぞれの第1中間部分と、第1中間部分に隣接する、肩部7として知られる2つのそれぞれの第2中間部分とを有する。肩部7に隣接して、ロール1は、テーブル4として知られる中央部分を備える。ロール1の処理されるべき表面2は、テーブル4の表面の一部、またはテーブル4の表面全体であることに留意すべきである。
【0030】
したがって、支持部101は、中心部5で処理されるロール1を支持するように適合させることができることに留意すべきである。あるいは、支持部101は、首部6でロール1を支持するように適合される。
【0031】
更なる代替実施形態では、ロール1は、例えば、処理されるべきロール1がロールチョックを取り外さずに機械10内に配置される場合、肩部7で支持される。ところで、「ロールチョック」という用語は、ロール1と圧延機との間の界面として機能する、鋼製または鋳鉄製の角柱状の構造物を表す。
【0032】
機械10は、ロール1を支持するための上述の様々な技術に従って、2つ以上の支持部101を備えることもでき、特に、ロール1をセンター5で保持するように適合された支持部101と、ロール1を首部6または肩部7で支持するように適合された更なる支持部101を備えることができる。有利には、機械10の操作の柔軟性が向上する。
【0033】
支持部101の詳細については、本開示で後述する。
【0034】
機械10はまた、2つの支持部101によって支持されたときのロール1を回転させるように構成された回転モータ102をも備える。特に回転モーター102は、ロール1を回転軸Kの周りに回転させる。それにより、ロール1は、支持部101に拘束されながら回転軸Kの周りを回転して、処理を実行することができる。
【0035】
好ましくは、回転モータ102は、2つの支持部101のうちの1つに組み込まれている。
【0036】
機械10は、支持構造100に摺動可能に接続された研磨群20を備える。特に研磨群20は、長手進展方向Yに平行な第1方向Zに沿って摺動するように構成されている。研磨群は、支持部101の間に挿入されたときにロール1に相対することができる研磨具203を備える。特に、研磨具203は、ロール1の表面2の少なくとも一部を研磨するための作業領域200上を移動可能である。
【0037】
研磨具203は、例えば砥石によって実現される。
【0038】
研磨群20は、研磨具203を駆動するように構成された研磨モータ204をさらに備える。
【0039】
研磨群20についての詳細は、本開示において後述する。
【0040】
本発明によると、機械10はまた、支持構造100に摺動可能に接続されたテクスチャリング群40をも備える。特に、テクスチャリング群40は、長手進展方向Yに平行な第2方向Z'に沿って摺動するように構成されている。
【0041】
より詳細には、テクスチャリング群40は、支持部101の間に挿入されたときにロール1に相対することができるレーザーヘッド403を備える。特に、レーザーヘッド403は、ロール1の表面2の少なくとも一部をテクスチャリングするための作業領域200上を移動可能である。
【0042】
レーザーヘッド403は、ロール1の表面2に向けてレーザービーム(図示せず)を照射するように構成されている。これに伴い、レーザーヘッド403はレーザー光源404に接続されている。
【0043】
上述の外包50は、レーザー光線に対して不透明な材料で作られている。
【0044】
有利なことに、外包50は、テクスチャリング群40が作動しているとき、レーザー光線に対する安全バリアとなる。
【0045】
さらに外包50は、ロール1に実施された処理の残留物を収容することを可能にする。特に外包50は、ロール1の材料の局所的な昇華により、レーザーによって発生した金属粉を封入することができる。
【0046】
有利なことに、外包50はまた、研磨処理中に発生する蒸気が飛散するのを回避することを可能にし、これにより、専用の部(図面には示されていない)を介して収集および処理することが可能となる。
【0047】
レーザー光源404は、連続式でもパルス式でもよい。連続型のレーザー光源404の場合、レーザーヘッド403は、決定論的または確率論的な時間的傾向に従ってオン・オフするように制御することができる。
【0048】
レーザー光源404によって放出されたレーザービームは、光ファイバー405によってレーザーヘッド403に伝送される。従って、レーザーヘッド403は、光ファイバー405を介してレーザー光源404に接続されている。光ファイバー405の代替として、レーザービームを伝送するためのミラーのシステムを提供することも可能である。
【0049】
テクスチャリング群40は、好ましくは、レーザーヘッド403とロール1の表面2との間の距離を測定するように構成された少なくとも1つの測定装置406を備える。
【0050】
本発明による機械10によれば、2つの支持部101の間に1回だけ配置されたロール1に対して、研磨、テクスチャリング、またはその両方の作業を実施することが可能であることに留意すべきである。換言すれば、本発明による機械10は、ロールをその位置、すなわち支持部101の間から変位させる必要なく、研磨またはテクスチャリングを交互に実施することを可能にする。
【0051】
特に支持部101は、処理されるロール1のための座を画定し、この座は、ロール1の表面2に対して実施される処理の両方に対して固有である。
【0052】
好ましくは支持構造100は、第1案内部110と第2案内部120を備える。第1案内部110および第2案内部120は、互いに離間し、かつ長手進展方向Yに関して平行である。第1案内部110は、第1方向Zに沿って延びる。
【0053】
第2案内部120は第2方向Z'に沿って延びる。
【0054】
第2案内部120は、第1の端部121と第2の端部122との間を長手方向に延びている。第2案内部120の第1の端部121及び第2の端部122についての詳細は、本開示において後に報告される。
【0055】
具体的には、研磨群20は、第1案内部110と摺動可能に結合される。一方、テクスチャリング群40は、第2案内部120と摺動可能に結合されている。従って、研磨群20とテクスチャリング群40は互いに分離されている。
【0056】
研磨群20は第1方向Zに沿って並進するように構成されており、他方、テクスチャリング群40は第2方向Z'に沿って並進するように構成されている。
【0057】
好ましい実施形態によれば、第1案内部110および第2案内部120は、互いに平行であり、回転軸Kに関して支持構造100の反対に位置する側に配置される。
【0058】
従って、研磨群20とテクスチャリング群40も、ロール1が2つの支持部101の間に配置されるとき、ロール1に対して互いに反対側に存在する。
【0059】
好ましくは機械10は、研磨群20およびテクスチャリング群40を制御するように構成された制御部60を備える。
【0060】
従って制御部60は、少なくとも研磨群20およびテクスチャリング群40と信号通信するように配置される。
【0061】
制御部60はさらに、回転モーター102と信号通信するように配置される。
【0062】
より詳細には、研磨群20は、第1案内部110と摺動可能に結合された第1キャリッジ201を備える。研磨群20はさらに、第1キャリッジ201に連結され、かつ第1方向Z、すなわち展開の長手方向Yに垂直な第1の横方向Tに沿って第1キャリッジ201に対して摺動するように構成された第1摺動部202を備える。
【0063】
研磨具203は、スピンドル(図面には図示せず)を介して、第1摺動部202上に連続して配置される研磨モータ204に接続される。これにより研磨具203は、ロール1の表面2に対して横方向および長手方向に移動可能であり、処理される表面2の各点に到達することができる。
【0064】
第1キャリッジ201および摺動部202を移動させるために、研磨群20は、第1アクチュエータ(図1および図2図5には図示されておらず、図1aにおいて参照番号211で概略的に示されている)を備える。
【0065】
特に、第1アクチュエータは、制御部60と信号通信しており、第1キャリッジ201および第1摺動部202を動かすように構成されている。
【0066】
テクスチャリング群40は、第2案内部120と摺動可能に結合された第2キャリッジ401を備える。
【0067】
テクスチャリング群40は、第2キャリッジ401に連結され、長手進展方向Yに垂直な第2横方向T'に沿って第2キャリッジ401に対して摺動するように構成された第2摺動部402を備える。レーザヘッド403は、第2摺動部402上に配置される。これに応じて、レーザー光源404も第2摺動部402に接続されてもよいし、第2キャリッジ401に接続されてもよい。
【0068】
あるいは、レーザー光源404は、使用するレーザービームの種類に応じて、すなわちレーザー光源404のサイズ及び重量に応じて、並びに、レーザー光源404からレーザーヘッド403へレーザービームを伝送する光ファイバー405の長さによって課される制限に応じて、支持構造100に対して固定された位置に配置されてもよい。
【0069】
第2キャリッジ401および第2の摺動部402を移動させるために、テクスチャリング群40は、第2アクチュエータ(図1および図2図5には図示されておらず、図1aにおいて参照番号411で示されているのみ)を備える。第2アクチュエータは、制御部60と信号通信しており、第2キャリッジ401および第2摺動部402を移動させるように構成されている。
【0070】
第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、例えばリニア電動モータタイプである。あるいは第1アクチュエータおよび第2アクチュエータは、制御部60によって制御されることに関して高い変位精度および高い即応性を確保する限り、例えばモータおよび再循環ボールねじを備えた制御装置である。
【0071】
制御部60はさらに、研磨モータ204およびレーザヘッド403と信号通信可能に配置され、研磨モータ204、すなわち研磨具203およびレーザヘッド403を制御するように構成されている。
【0072】
特に、テクスチャリング群40は、レーザーヘッド403を通して、ロール1の表面に向けられたレーザー放射線を放出するように構成されている。
【0073】
テクスチャリング群40が作動している間、ロール1は好ましくは一定の角速度で回転され、同時にテクスチャリング群40は好ましくは一定の直線速さで第2方向Z'に沿って並進される。処理中のロール1の材料と相互作用するレーザービームは、処理を操作するパラメータ(例えば、レーザーの平均出力、ピーク出力、ビームの集束条件、ロールの回転速度など)に応じて、材料の局所的な加熱および/または局所的な溶融および/または局所的な気化を生じさせる。このようにして、ロール1の表面2の粗さの特徴を修正することが可能となり、ロール1のテクスチャリングが得られる。
【0074】
テクスチャリング群40は、第2摺動部402上に配置され、ロール1の表面2上に気泡ガスを噴出するように構成されたノズル407をさらに備える。例えば、ノズル407は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを噴出するように構成される。あるいは、ノズル407は、例えば酸素のような反応性ガスを噴出するように構成される。有利には、ロール1の表面2の化学変化も得ることが可能である。
【0075】
好ましくは機械10は、研磨群20が作業しているとき及び/又はテクスチャリング群40が作業していないときに、テクスチャリング群40を少なくとも部分的に収容するように構成された停止領域503を備える。停止領域503は、テクスチャリング群40、特にレーザーヘッド403の安全保護領域である。
【0076】
換言すれば、停止領域503は、領域である。その領域内では、テクスチャリング群40が、研磨処理の残留物-たとえば例えば処理されるロール1及び研磨具203の砥粒およびバインダの切屑並びに/または金属粒子-、及び、噴霧形態での切断用流体の生じ得る液滴(つまり周知のように、研磨処理中に使用される、冷媒および潤滑油の両方として作用する流体)によって汚染されない状態に保たれ得る。
【0077】
停止領域503は、そのような残留物がレーザーヘッド403に接触し、レーザーヘッド403自体およびレーザーヘッド403に存在する光学系の動作に損傷を与え、メンテナンスの必要性を増加させることを回避することを可能にする。
【0078】
好ましい実施形態によれば、停止領域503は、第2案内部120の第1端部121と第2端部122の一方に配置される。
【0079】
好ましくは、停止領域503は、内部に回転モータ102が配置される支持部101に対して近位に配置される。
【0080】
さらに好ましくは、停止領域503は、図3に示すように、作業領域200から設定された安全最小距離Dで第2案内部120に配置される。
【0081】
最小距離Dは、開示されているように、処理残渣を生じることを特徴とする研磨処理がなされる領域から、テクスチャリング群40を十分に離すように選択される。
【0082】
好ましくは、安全最小距離Dは0.2 mより大きく、より好ましくは、かかる安全最小距離Dは0.5 mより大きく、さらに好ましくは、安全最小距離Dは1 mより大きい。
【0083】
ある実施形態によれば、停止領域503が配置される端部121、122は外包50の外側にある。
【0084】
言い換えれば、図1および図4に示すように、第2案内部120は部分的に外包50の外側に延びている。
【0085】
有利には、停止領域503は作業領域200の外側に保たれる。この場合、外包50は、テクスチャリング群40が停止領域503を越えて/停止領域503から移動できるように、少なくとも開口部を有する。
【0086】
あるいは、停止領域503が配置される端部121、122は外包50の内側にある。換言すれば、第2案内部120は外包50の内部に完全に延在している。この場合、図2および図3に示すように、停止領域503は外包50の内側にある。
【0087】
第1実施形態によれば、停止領域503は、作業領域200-特に研磨具203が移動可能な領域-から安全な最小距離Dを保つために、テクスチャリング群40用の第2案内部120の領域内にのみ存在する。
【0088】
図2に示す第2実施形態によれば、停止領域503は、第2案内部120上に配置され、中にテクスチャリング群40を収容するのに適した箱形本体502を含む。このような第2実施形態によれば、箱型本体502は、テクスチャリング群40を収容し、このような処理によって生じる汚染残留物から保護するように構成されている。
【0089】
このような実施形態は、第2案内部120が完全に外包50の内部で延在する場合に好ましい。しかしながら、このような実施形態は、外包50の外側に停止領域503がある場合にも適用可能である。
【0090】
箱形本体502は、テクスチャリング群40が箱形本体502の内部を摺動できるように、開閉可能な壁または開放壁を有する。
【0091】
好ましくは、機械10は、第1案内部110または第2案内部120と摺動可能に結合された計器群30を備える。特に、計器群30は、処理されるべき表面2に関連する寸法パラメータを検出するように構成された計器300を備える。
【0092】
例えば、計器300は、表面2に関連するロール1の幾何学的プロファイルを検出するように構成される。
【0093】
計器300は、テーブル4の真円度及び回転軸Kに対する生じる恐れのある偏心などのパラメータを検出するためにも有利に使用することができる。
【0094】
従って、計器300はロール1の表面2に相対することができる。
【0095】
計器300はさらに、ロール1の幾何学的プロファイルを測定するように構成される。
【0096】
さらに好ましくは、計器群30は、表面欠陥検出システム302を備える。このような表面欠陥検出システム302は、計器300に隣接している。表面欠陥検出システム302は、好ましくは、例えば渦電流、超音波などに基づく非破壊分析のシステムである。有利には、表面欠陥検出システム302は、ロール1の処理前および処理後の両方において、生じる恐れのある表面欠陥の形状、サイズ、およびロール1内部の深さを含む位置に関する指標を得ることを可能にする。
【0097】
有利なことに、表面欠陥検出システム30は、ロールの表面に近いが表面下にある欠陥を検出するためにも使用することができる。
【0098】
繰り返しになるが計器群30は、研磨群20およびテクスチャリング群40と同様に、好ましくは、計器群30が結合される案内部110または120内を摺動するように構成された第3キャリッジ301を備える。従って、計器群30は、第1案内部110に結合されている場合は第1方向Zに沿って、第2案内部120に結合されている場合は第2方向Z'に沿って移動可能である。
【0099】
計器群30はまた、制御部60と信号通信可能に配置される。
【0100】
好ましくは、機械10は、支持構造100に関連付けられ、かつ処理されるロール1の表面2から加工屑及び冷却液の残留物を除去するように構成された洗浄部70を備える。
【0101】
具体的には、上述したように、加工屑は、例えば、ロール1の処理中に生成される切り屑又は金属粉末を含み、また、研磨処理後に蓄積される切削液及び/又は潤滑液をも含む。
【0102】
洗浄部70はさらに、処理されるロール1を乾燥させるように構成される。
【0103】
例えば、洗浄部70は、1つ以上のブラシ及び/又は洗浄ブレード及び/又は圧縮空気を放出するためのノズル及び/又は他の公知の部材を有し、ロール1が回転させられている間にロール1に接触又は近接させられるように構成されている。
【0104】
洗浄部70は、第1案内部110または第2案内部120と摺動可能に結合された第4キャリッジ701を備える。
【0105】
洗浄部70は、制御部60と信号通信する。
【0106】
例えば図5に示されるような第5実施形態では、支持構造100は単一の案内部150を備える。したがって、そのような実施形態に従って、第1キャリッジ201および第4キャリッジ701は、単一の案内部150上を摺動し、単一の案内部150上を第2キャリッジ401および第3キャリッジ301も摺動する。図5の特定の実施形態では、このような単一の案内部150は、機械10の側面に配置され、第3の方向Z''に沿って延びる。このような実施形態において、キャリッジ201、301、401、701を移動させるためには、単一案内部150の一部分には、そのような部分が自由でアクセス可能であることが必要であるので、そのような部分に存在するキャリッジ201、301、401、701を変位させることが必要である。従って、単一のキャリッジ201、301、401、701を移動させることは、時間がかかり、面倒であり、処理時間の増加を伴う。さらに、このような実施形態によれば、第1端部121および第2端部122は、必然的に、キャリッジ201、301、401、701が動作していないステップの間、キャリッジ201、301、401、701を設置するための適切な空間(図面には図示されていない)を有する必要がある。
【0107】
互いに分離された2つの案内部を含む上述の実施形態は、単一の案内部150を有する実施形態よりも、キャリッジ201、301、401、701を円滑に移動させることができ、その必要な変位回数が減少し、したがって処理時間も短縮されるので好ましい。さらに、処理可能なテーブル4の同じ最大長さの場合、キャリッジ201、301、401、701を設置するための余分なスペースを設ける必要がないため、分離された第1案内部110および第2案内部120を有する機械10の場合、展開の長手方向Yに沿った機械10の全体寸法はより小さくなり、よりコンパクトなサイズを可能にする。
【0108】
好ましくは、機械10は、外包50内、特に作業領域200内の空気を吸引及び濾過するように構成された空気吸引濾過手段501を備える。
【0109】
空気吸引及び濾過手段501はまた、制御部60と信号通信している。
【0110】
このような空気吸引及び濾過手段501は、外包50に、好ましくは停止領域503に対して反対側の位置に配置される。有利なことに、吸引された流れは、停止領域503に衝突することなく、停止領域503から分離された状態に保たれ、それにより、レーザヘッド403はさらに、衝撃及び/又は生じる恐れのある循環廃棄物の蓄積から保護される。
【0111】
好ましい実施形態によれば、レーザーヘッド403は、研磨群20が作業しているとき、および/またはテクスチャリング群40が停止領域503にあるときに、空気流を放出するように構成される。従って、図6に示すレーザヘッド403は、空気供給用の側部チャネル410を有する。特に、レーザヘッド403は、レーザビームの出口ポート409を有し、そのようなチャネル410は、そのようなポート409と流体連通している。したがって、空気流は、研磨群20の作業しているときにはレーザービームが放出されるポートと同じポート409から放出される。有利なことに、空気流は、レーザヘッド403に到達する可能性のある残留物または加工屑をポート409から遠ざけることで、不純物堆積の危険性をさらに制限する。
【0112】
図4に示すさらなる実施形態によれば、支持構造100は、互いに分離され、剛性を有するように接合された第1部分130および第2部分140を備える。特に、第1案内部110は第1部分130に関連付けられ、第2案内部120は第2部分140に関連付けられる。
【0113】
より詳細には、第1部分130および第2部分140は、相対的な変位を最小にするために互いに対して位置を保つことを可能にする同じ基礎(図示せず)と剛性を有するように連結される。このような実施形態は、大型機械10の場合に好ましいことに留意すべきである。
【0114】
支持部101については、研磨処理では通常、ロールは首部6または、よりまれではあるが肩部7に支持されることに留意すべきである。この場合、支持部101は、図7図7aおよび図7bに示すように、2つの固定振れ止め101bを含む。特に、固定振れ止め101bは、2つの滑り軸受101cを有する。
【0115】
このような固定振れ止め101bは、ロール1の自重に耐えることに加えて、処理中に研磨具203によって発生する半径方向推力に効果的に対抗することを可能にし、ロール1の曲がりを制限し、処理品質を著しく悪化させる振動または不安定現象の導入を回避する。
【0116】
任意で支持部101はさらに、バンパー103と呼ばれる2つの整合部材を有する。このようなバンパー103は、図7に示されており、互いに対向し、回転軸Kに沿って位置合わせされている。バンパー103は、ロール1の中心5の端面上でマッチングとして作用し、回転軸Kに沿って生じる恐れのある変位を防止するように構成されている。この構成、すなわち、首部6上での支持及びバンパー103のみによる軸方向の拘束は、研磨処理に通常使用されるロール1の回転速度(50~100rpmのオーダーの場合がある)を管理するのに適している。
【0117】
さらに、バンパー103は、ロール1をヘッドストック及びテールストックシステム101a(詳細は後述)から半径方向に連結解除するために使用される。有利なことに、これにより、ヘッドストック及びテールストックシステム101aおよび/または固定振れ止め101bの異常摩耗を引き起こすロール1の超静的拘束状態(a hyperstatic constraint condition)を回避することができる。
【0118】
その代わりに、レーザーヘッド403によるテクスチャリング処理には、通常、より高い回転速度-例えば300rpm以上-が要求される。この要件は、レーザーヘッド403のサイズに関連しており、そのロール1上のプリントは、μmオーダーのサイズを有する。従って、処理時間を最小にするためには、ロールの回転速さを研磨動作よりも顕著に高い値に設定することが有効である。この観点から、首部6上の支持体は、テクスチャリングに必要な回転速度を制御するのに適していない。このため、このようなステップでは、ロールはセンター5上で支持される。特に、支持部101は、図7図7aおよび図7bで視認できるように、ロール1をセンター5上で支持するように構成されている上述のヘッドストック及びテールストックシステム101aを備える。実際、このようなタイプの支持は、固定振れ止め101bによる支持よりも高速回転に適している。
【0119】
したがって、好ましい構成では、機械10は、固定振れ止め101bと、ヘッドストック及びテールストックシステム101aの両方を備える。
【0120】
特に、図7aに示すように、研磨のステップの間、ロール1が固定振れ止め101bによって首部6上で支持されること、同時に、ヘッドストック及びテールストックシステム101aが、ロール1を接合するためだけに、単にセンター5で係合されることことが可能である。超静的状態を避けるために、部材101aとロール1のセンター5との間に一定の遊びを設ける必要がある。その後、研磨処理の終了時では、テクスチャリング処理に移る前に、ヘッドストック及びテールストックシステム101aは、ロール1の重量に耐えるように、センター5にさらに押し付けられる。その後、図7bに示すように、首部6を保持するための上述の滑り軸受が解放され、首部6の表面からわずかだが引き離される。この時点で、ロール1の新しい回転速さを設定することにより、テクスチャリング処理を続行することが可能である。
【0121】
研磨のステップの間、ロール1は、固定振れ止め101bによって支持され、当業者にはそれ自体既知の保護板と駆動カラー(駆動ドグ付き)システムによってスピンドルによって回転される。
【0122】
テクスチャリングのステップの間、ロール1はヘッドストック及びテールストックシステム101aによって支持される。さらに、このヘッドストック及びテールストックシステム101aを介してスピンドルからロール1に運動が伝達される。
【0123】
このような手順により、バンパー103の使用が回避され、あるタイプの拘束から別のタイプの拘束に素早く切り替えることができることに留意すべきである。実際、バンパー103が存在する場合、ヘッドストック及びテールストックシステム101aに接続される。従って、研磨処理の終了時には、ヘッドストック及びテールストックシステム101aを遠ざけることでバンパ103を解放し、手動でバンパ103を取り外し、ロール1をヘッドストック及びテールストックシステム101aによって捕捉される位置に残したまま、保持すべり軸受101cを数ミリメートルだが移動させ、最終的にそこでロール1を固定する必要がある。上記には、手動操作が必要となり、その結果、総処理時間が長くなる。
【0124】
上述した機械10によってロール1に表面処理を行う方法もまた、本発明の一部を構成する。
【0125】
当該方法は、処理すべき表面2を有するロール1を支持部101の間に設置する第1ステップを有する。
【0126】
当該方法は、第1ステップに続いて、処理される表面2に関連する寸法パラメータを検出するさらなるステップを含んでいる。このステップは、計器群30、特に上述の計器300によって実施され、ロール1の幾何学的プロファイルを検出するサブステップを有する。特に、このようなステップは、ロール1に実施される表面処理の定量的および定性的特徴を決定するのに有用である。
【0127】
その後、回転モーター102を駆動してロール1を回転させるステップがさらに存在する。
【0128】
当該方法は、検出された寸法パラメータおよび処理終了時に得られるパラメータに応じて、処理される表面2を研磨するために研磨群20を制御するステップを提供する。特に、このようなステップは、上述の制御部60によって実行される。この制御部60は、第1キャリッジ201および摺動部202の移動を調整することによって、研磨具203の移動を制御する。
【0129】
当該方法はまた、研磨群20を制御するステップに続いて、テクスチャリング群110を停止領域503から作業領域200に移動させるステップも提供する。このようなステップは、特に研磨処理の終了時に実施される。
【0130】
このように、当該方法は、検出された寸法パラメータに応じて、処理される表面2をテクスチャリングするためにテクスチャリング群40を制御するステップを含む。このステップは、ロール1の表面2にレーザービームを照射するためにレーザーヘッド403を制御するサブステップを含む。テクスチャリング群40を制御するステップは、ロール1の表面2全体またはその一部をテクスチャリングするためにレーザーヘッド403を移動させるサブステップをさらに含む。このようなサブステップも、第2キャリッジ401および摺動部402の移動を制御する制御部60によって実施される。
【0131】
表面2をテクスチャリングするためにテクスチャリング群40を制御するステップに続いて、すなわちテクスチャリング処理の最後に、この方法は、ロール1の回転を停止するステップを有する。このようなステップに続いて、テクスチャリング群40を停止領域503に設置するステップと、ロール1を機械10から取り外すステップがさらに続く。
【0132】
任意で研磨処理とテクスチャリング処理の間に、研磨されたロール1から生じる恐れのある加工屑を除去するステップを設けることができる。このようなステップは、特に、研磨群20を制御するステップと、テクスチャリング群110を停止領域503から作業領域200に移動させるステップとの間に実施される。
【0133】
廃棄物を除去するステップは、上述の洗浄群70を介して実施される。
【0134】
このような機械1では、ロール1上で、2つの表面処理のうちの一方のみ、例えば1つの研磨処理のみ、または1つのテクスチャリング処理のみを実施することも可能である。
【0135】
従って、ロール1から生じる恐れのある加工屑を除去するステップは、ロール1を機械10から取り外すステップの前に実施される。
【0136】
有利なことに、上述した機械10および方法は、どのような状態においても機械10の性能を最大にするように、操作の柔軟性を確保する。
【0137】
実施された説明から、本発明の機械および方法の目的の特徴は明らかであり、その利点も明らかである。
【0138】
最後に、このようにして発明された機械と方法は、いくつかの変更と変形が可能であり、そのすべてが本発明に該当することは明らかである。さらに、すべての細部は、技術的に同等な要素で置き換え可能である。実際上、使用される材料や大きさは、技術的要求に応じて任意である。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図7b
【国際調査報告】