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特表2025-503818太陽光発電インバータ及び電力制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】太陽光発電インバータ及び電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20250130BHJP
【FI】
H02M7/48 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550225
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 CN2023071660
(87)【国際公開番号】W WO2024145954
(87)【国際公開日】2024-07-11
(31)【優先権主張番号】202310007315.8
(32)【優先日】2023-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホォイ,リビン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ホォイ
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,ティアンチィ
(72)【発明者】
【氏名】タン,シアオジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フゥ
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA10
5H770EA01
5H770HA02W
5H770HA03W
5H770HA06W
5H770JA11W
(57)【要約】
この出願は、太陽光発電インバータ及び電力制御方法を提供する。当該太陽光発電インバータは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、複数の取得回路、及び制御回路を含む。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される。この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の入力電力が低減されて電力供給の安全性を確保し、太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率を向上させることができる
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電インバータであって、当該太陽光発電インバータは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、複数の取得回路、及び制御回路を有し、1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを有し、
各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され、各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてから前記インバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され、前記複数の取得回路が、前記制御回路に接続されて、前記複数の電圧変換回路及び前記バス(bus)の電圧又は電流を検出するように構成され、前記制御回路が、各電圧変換回路内の前記スイッチに接続され、
前記複数の取得回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及び前記バス(bus)の前記電圧を検出するように構成され、前記ターゲット電圧変換回路は、前記複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、
前記制御回路は、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整するように構成され、
前記制御回路は、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成される、
太陽光発電インバータ。
【請求項2】
前記複数の取得回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され、
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が温度閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成される、
請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項3】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が前記温度閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され、前記第2の電流閾値は前記第1の電流閾値以上である、請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項4】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流と前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいて前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御して、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項5】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整するように構成される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項6】
前記インバータ回路はスイッチを有し、前記制御回路は更に、前記バス(bus)の前記電圧がバス電圧閾値以上であるときに、前記インバータ回路の出力電力を低減させるように、前記インバータ回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記インバータ回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項7】
太陽光発電システムに適用可能な電力制御方法であって、前記太陽光発電システムは、インバータ回路と複数の電圧変換回路とを有し、
各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルに接続されるように構成され、各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてから前記インバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され、当該方法は、
ターゲット電圧変換回路の入力電圧、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流、及び前記バス(bus)の電圧を検出し、前記ターゲット電圧変換回路は、前記複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、前記ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整する、
ことを有する、制御方法。
【請求項8】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することは、
前記ターゲット電圧変換回路の温度を検出し、
前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が温度閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第1の電流閾値に調整する、
ことを有する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ターゲット電圧変換回路の温度を前記検出することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が前記温度閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第2の電流閾値に調整し、前記第2の電流閾値は前記第1の電流閾値以上である、
ことを有する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流と前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいて前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを制御して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整する、
ことを有する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バス(bus)の前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整する、
ことを有する、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記インバータ回路はスイッチを有し、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流、及び前記バス(bus)の電圧を前記検出することの後に、当該方法は更に、
前記バス(bus)の前記電圧がバス電圧閾値以上であるときに、前記インバータ回路の出力電力を低減させるように、前記インバータ回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記インバータ回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを調整する、
ことを有する、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2023年1月4日に中国国家知識産権局に出願された、“太陽光発電インバータ及び電力制御方法”と題された中国特許出願第202310007315.8号に対する優先権を主張するものであり、その出願をその全体にてここに援用する。
この出願は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、太陽光発電インバータ及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス技術の分野において、太陽光発電インバータにおけるインバータ回路は、通常、電源と負荷との間で電気エネルギーが伝送され得るように直流エネルギーを交流エネルギーに変換するために使用される。例えば、太陽光発電電源の分野において、太陽光発電インバータは、直流電源(例えば、太陽光発電(Photovoltaic,PV)パネル)によって出力される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷又は送電網が用いるために提供し得る。一般に、太陽光発電インバータ内の制御回路(例えば、最大電力点追跡(Maximum Power Point Tracking,MPPT)制御回路)が、PVパネルが最大電力で電気エネルギーを負荷に出力するように、PVパネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいてPVパネルの出力電流(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流)を制御する。研究及び実践の過程において、この出願の発明者が見出したことには、従来技術では、太陽光発電インバータは、通常、複数の電圧変換回路を用いることによって、各グループのPVパネルによって提供される直流電圧を直流バス電圧に変換し(例えば、各グループのPVパネルの電圧をバス(bus)電圧に昇圧して変換し)、次いで、インバータ回路を用いることによって、様々な負荷の電圧に適応すべく直流エネルギーを交流エネルギーに変換する。PVパネルのグループ間には差が存在する(例えば、長さが異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続されたPVパネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧、過電流、又は過熱により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。
【発明の概要】
【0003】
この出願は、太陽光発電インバータ及び電力制御方法を提供する。ターゲット電圧変換回路の入力電流が該ターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の入力電力を低減させるように制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0004】
第1態様によれば、この出願は太陽光発電インバータを提供する。当該太陽光発電インバータは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、複数の取得回路、及び制御回路を含み得る。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され得る。上記複数の取得回路が、制御回路に接続されて、複数の電圧変換回路及びバス(bus)の電圧又は電流を検出するように構成され得る。制御回路が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。ここでは、上記複数の取得回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びバス(bus)の電圧を検出するように構成され得る。ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上である。ここでは、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ここでは、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成される得る。
【0005】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス(bus)電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バス(bus)の電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。
【0006】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0007】
第1態様を参照するに、第1の取り得る実装において、取得回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され得る。制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0008】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0009】
第1態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され得る。第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0010】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0011】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第3の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流閾値に基づいて、電流閾値より小さい基準値を生成し、そして、調整する必要がある変数としてターゲット電圧変換回路の入力電流を用いることによって、スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御するためのスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路における入力電流をターゲット電圧変換回路の電流閾値(すなわち、上述の基準値)未満に調整し得る。ここで、制御回路は、スイッチング変調信号としてパルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号として不連続パルス幅変調(Discontinuous Pulse Width Modulation,DPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、正弦波パルス幅変調(Sinusoidal Pulse Width Modulation,SPWM)波、第3高調波注入パルス幅変調(Third Harmonic Injection Pulse Width Modulation,THIPWM)波、又はキャリアベース空間ベクトルパルス幅変調(Carrier Based Space Vector Pulse Width Modulation,CBPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0012】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第4の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。
【0013】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0014】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、インバータ回路はスイッチを含み得る。制御回路は更に、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0015】
この出願では、バス(bus)の電圧が高い(例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0016】
第2態様によれば、この出願は電力制御方法を提供する。当該制御方法は、太陽光発電システムに適用可能である。該太陽光発電システムは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、取得回路、及び制御回路を含み得る。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され得る。取得回路が、各電圧変換回路、バス(bus)、及び制御回路に接続される。制御回路が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。当該方法は、
ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバス(bus)の電圧を検出し、ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0017】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス(bus)電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バス(bus)の電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。
【0018】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0019】
第2態様を参照するに、第1の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することは、
ターゲット電圧変換回路の温度を検出し、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整する、ことを含み得る。
【0020】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0021】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0022】
第2態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の温度を検出することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整し、第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である、ことを含み得る。
【0023】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0024】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0025】
第2態様の第2の取り得る実装を参照するに、第3の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0026】
ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し得る。例えば、制御回路は、スイッチング変調信号としてパルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号として不連続パルス幅変調(Discontinuous Pulse Width Modulation,DPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、正弦波パルス幅変調(Sinusoidal Pulse Width Modulation,SPWM)波、第3高調波注入パルス幅変調(Third Harmonic Injection Pulse Width Modulation,THIPWM)波、又はキャリアベース空間ベクトルパルス幅変調(Carrier Based Space Vector Pulse Width Modulation,CBPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0027】
第2態様又は第2態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第4の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0028】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0029】
第2態様又は第2態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、インバータ回路はスイッチを含み得る。ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバス(bus)の電圧を検出することの後に、当該方法は更に、
バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0030】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0031】
この出願では、バス(bus)の電圧が高い(例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの適用シナリオの概略図である。
図2】この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのレイアウトシナリオの概略図である。
図3】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの構造の概略図である。
図4】この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのボルト-アンペア特性の概略図である。
図5】この出願の一実施形態に従った電圧変換回路の電流閾値カーブの概略図である。
図6】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの他の構造の概略図である。
図7】この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの構造の概略図である。
図8】この出願の一実施形態に従った電力制御方法の概略フローチャートである。
図9】この出願の一実施形態に従った電力制御方法の他の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
パワーエレクトロニクスの技術分野において、太陽光発電インバータにおけるインバータ回路は、通常、電源と負荷との間で電気エネルギーが伝送され得るように直流エネルギーを交流エネルギーに変換するために使用される。例えば、太陽光発電電源の分野において、太陽光発電インバータは、直流電源(例えば、太陽光発電パネル)によって出力される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷又は送電網が用いるために提供し得る。一般に、太陽光発電インバータ内の制御回路(例えば、MPPT制御回路)が、太陽光発電パネルが最大電力で電気エネルギーを負荷に出力するように、太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいて太陽光発電パネルの出力電流(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流)を制御する。実際の適用において、太陽光発電インバータは、通常、複数の電圧変換回路を用いることによって、各グループの太陽光発電パネルによって提供される直流電圧を直流バス電圧に変換し(例えば、各グループの太陽光発電パネルの電圧をバス(bus)電圧に昇圧して変換し)、次いで、インバータ回路を用いることによって、異なる負荷の電圧に適応すべく直流エネルギーを交流エネルギーに変換する。太陽光発電パネルのグループ間には差が存在する(例えば、長さが異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧、過電流、又は過熱により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされる。従って、電圧変換回路が動作するとき、太陽光発電インバータ内の各素子の電力供給安全性を確保するように電圧変換回路の入力電力(又は例えば入力電流などのパラメータ)を制御する必要がある。
【0034】
この出願は、太陽光発電インバータ及び電力制御方法を提供する。ターゲット電圧変換回路の入力電流が該ターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の入力電力を低減させるように制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が簡単であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0035】
この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、新エネルギー発電の分野、発電のための従来からのピーク負荷調整及び周波数調整の分野、重要な機器への電力供給の分野、及び新エネルギー車両の分野などの、複数の適用分野に適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、エネルギー貯蔵システム、無停電電源システム、及びモータ駆動システムなどの、異なる電力供給システムに適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、光エネルギー電力供給環境においてインバータを制御する適用シナリオ、新エネルギー電力供給環境においてインバータを制御する適用シナリオ、又は他の適用シナリオなどの、異なる適用シナリオに適応され得る。以下では、説明のための例として、光エネルギー電力供給環境において太陽光発電インバータを制御する適用シナリオを使用し、詳細を以下で再び説明することはしない。
【0036】
図1を参照されたい。図1は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの適用シナリオの概略図である。光エネルギー電力供給に基づく太陽光発電システムにおいて、図1に示すように、太陽光発電システムは、太陽光発電インバータ1と、太陽光発電パネルの複数のグループ(例えば、太陽光発電パネルa乃至太陽光発電パネルn)を含む電源2と、負荷3とを含む。電源2は、太陽光発電インバータ1を介して負荷3に接続され得る。一部の実現可能な実装において、太陽光発電インバータ1は、太陽光発電パネルの複数のグループを含む電源2によって供給される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。理解され得ることには、この出願で提供される電源2は、電力が様々なタイプの利用機器に供給される適用シナリオに適用可能であり、例えば、幹線供給がない又は乏しい幹線供給の遠隔エリア内の基地局機器に電力が供給される又は家庭用機器(例えば冷蔵庫又はエアコンなど)に電力が供給される適用シナリオに適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。更に理解され得ることには、図2の負荷3は送電網を含み得る。ここでの送電網は、例えば送電線、送電所、通信基地局、又は家庭用機器などの、利用機器及び送電機器を含み得る。ここでは、太陽光発電インバータ1は、インバータ回路11、及び複数の電圧変換回路(例えば、電圧変換回路a乃至電圧変換回路n)を含んでいる。太陽光発電パネルの各グループが、1つの対応する電圧変換回路を介してインバータ回路11に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス(bus)電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。
【0037】
一部の実現可能な実装において、詳細について、図2を一緒に参照されたい。図2は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのレイアウトシナリオの概略図である。図2に示すように、灰色の部分は、太陽光発電パネルが配置される位置(例えば、家又は建物の頂部)である。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、図2の部分(a)、部分(b)、及び部分(c)によって示されるように、頂部に配置された太陽光発電パネルの光強度が異なり、図2の部分(d)、部分(e)、及び部分(f)によって示されるように、頂部に配置された太陽光発電パネルの長さ及び形状が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。故に、太陽光発電インバータ1が動作するとき、太陽光発電インバータ内の各素子の電力供給安全性を確保するように電圧変換回路の入力電力を制御する必要がある。ここでは、太陽光発電インバータ1は更に、制御回路13及び取得回路12を含み得る。取得回路12は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バス(bus)の電圧及び/又は電流、インバータ回路11の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路11の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路11の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路13は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路13によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路13は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路13は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。これは、電力供給の安全性を確保しながら、太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率を改善する。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0038】
以下では、図3から図9を参照する例を用いることによって、この出願で提供される太陽光発電インバータ、及び当該太陽光発電インバータの動作原理を説明する。
【0039】
図3を参照されたい。図3は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの構造の概略図である。図3に示すように、太陽光発電システムは、電源、太陽光発電インバータ、及び負荷を含む。当該太陽光発電インバータは、インバータ回路101と、複数の電圧変換回路と、複数の取得回路と、制御回路103とを含む。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、レジェンド接続をいっそう単純且つ明瞭にするために、この出願の添付図面では、複数の取得回路の接続関係及び検出関係を示し、複数の取得回路の動作原理を説明するために、複数の取得回路が取得回路モジュールに統合されている。図3に示すように、一例として、複数の取得回路は取得回路102として示されている。具体的な一実装において、各図における取得回路は、配置のために複数の取得回路に分割され得る。詳細を以下で説明することはしない。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてからインバータ回路101を介して負荷に接続されるように構成され得る。取得回路102が、制御回路103に接続されて、複数の電圧変換回路及びバス(bus)の電圧又は電流を検出するように構成され得る。制御回路103が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。ここでは、取得回路102は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びバス(bus)の電圧を検出するように構成され得る。ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上である。ここでは、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ここでは、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成される得る。
【0040】
この出願において、電圧変換回路は、電圧変換機能を有する様々な回路とし得る。図3では、説明のために、電圧変換回路が昇圧(boost)回路である例のみを用いる。ここで、昇圧(boost)回路は、スイッチ、インダクタ、及びダイオードを含み得る。インダクタの一端が電源(すなわち、太陽光発電パネル)に接続される。インダクタの他端が、スイッチ及びダイオードを介してバス(bus)に接続される。一部の適用シナリオにおいて、昇圧(boost)回路は、バス(bus)に並列に接続されたバスキャパシタを再利用して、バスキャパシタを通じて昇圧(boost)回路の出力電圧を安定させ得る。昇圧(boost)回路のスイッチがターンオンされると、電源がインダクタを充電し、昇圧(boost)回路がバスキャパシタを介してインバータ回路101(及び負荷)に電力を供給し、ダイオードがバスキャパシタにおける電気エネルギーの合流を防止する。昇圧(boost)回路のスイッチがターンオフされると、電源及びインダクタがバスキャパシタを充電し、昇圧(boost)回路が、入力電圧を、出力用のバスキャパシタの電圧まで昇圧する。理解され得ることには、昇圧(boost)回路のスイッチの電圧を無視すると、昇圧(boost)回路の入力電圧Vin、昇圧(boost)回路の出力電圧Vout、及び昇圧(boost)回路のスイッチのデューティサイクルNは、Vin/Vout=1/(1-N)を満たす。ここでは、取得回路102が、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バス(bus)の電圧及び/又は電流、インバータ回路101の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路101の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路101の温度)を検出し得る。さらに、理解され得ることには、制御回路103が、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路103によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。詳細について、図4を一緒に参照されたい。図4は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのボルト-アンペア特性の概略図である。図4に示すように、ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルのグループの出力パラメータ(例えば、出力電流及び出力電圧)が、図4の太陽光発電パネルのグループのボルト-アンペア特性カーブにおける点Bに対応すると仮定する。点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるとき、システムの電力供給効率を確保するために、太陽光発電インバータ内の制御回路103(例えば、MPPT制御回路)は、太陽光発電パネルが最大電力(すなわち、点Aで示される電力)で電気エネルギーを出力するように、太陽光発電パネルの出力電流を点Aに対応するIaに増加させる(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流をIaに増加させる)ために、太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。なおも図4に示すように、点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を確保するために、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させる(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電力を点Cで示す電力に低減させる)ために、太陽光発電パネルの出力電流を点Cに対応するIcに低減させる(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流をIcに減少させる)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。
【0041】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路103を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0042】
一部の実現可能な実装において、取得回路102は更に、ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され得る。制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。詳細について、図5を一緒に参照されたい。図5は、この出願の一実施形態に従った電圧変換回路の電流閾値カーブの概略図である。図5に示すように、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差D(V)を負担するときの、対応する電流閾値Ithのカーブを、カーブ1であると計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第1の電流閾値を取得し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0043】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0044】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され得る。第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である。理解され得ることには、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。なおも図5に示すように、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差D(V)を負担するときの、対応する電流閾値Ithのカーブを、カーブ2であると計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第2の電流閾値を取得し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0045】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0046】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。ここでは、制御回路103(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路103、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の電流閾値に基づいて、電流閾値より小さい基準値を生成し、そして、調整する必要がある変数としてターゲット電圧変換回路の入力電流を用いることによって、スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御するためのスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路における入力電流をターゲット電圧変換回路の電流閾値(すなわち、上述の基準値)未満に調整し得る。ここで、制御回路103は、スイッチング変調信号としてパルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路103は、スイッチング変調信号として不連続パルス幅変調(Discontinuous Pulse Width Modulation,DPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、正弦波パルス幅変調(Sinusoidal Pulse Width Modulation,SPWM)波、第3高調波注入パルス幅変調(Third Harmonic Injection Pulse Width Modulation,THIPWM)波、又はキャリアベース空間ベクトルパルス幅変調(Carrier Based Space Vector Pulse Width Modulation,CBPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0047】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。再び図4を参照する。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルのグループの出力パラメータ(例えば、出力電流及び出力電圧)が、図4の太陽光発電パネルのグループのボルト-アンペア特性カーブ曲線における点Bに対応すると仮定する。点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。
【0048】
理解され得ることには、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路103を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0049】
一部の実現可能な実装において、インバータ回路はスイッチ(例えば、マルチレベルインバータ回路及びそのトポロジー回路)を含み得る。図6を参照されたい。図6は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの他の構造の概略図である。図6に示すように、インバータ回路201は、直列に接続された2つのキャパシタと、直列に接続された4つのスイッチと、逆直列に接続された2つのダイオードとを含む。図3における電圧変換回路、取得回路202、及び制御回路203の接続及び動作原理は、図3における電圧変換回路、取得回路102、及び制御回路103のそれらと同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。ここでは、制御回路203は更に、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路201の出力電力を低減させるように、インバータ回路201内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路201内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路203は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路201)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路201は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路203は、インバータ回路201の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0050】
この出願では、バス(bus)の電圧が高い(例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路203は、インバータ回路201内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路201の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0051】
この出願は更に太陽光発電システムを提供する。詳細について、図7を一緒に参照されたい。図7は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの構造の概略図である。図7に示すように、当該太陽光発電システムは、電源及び太陽光発電インバータを含み得る。ここでの太陽光発電インバータは、図1図6に示した太陽光発電インバータに適用可能である。図7では、図3に示した太陽光発電インバータのみを説明のための一例として使用する。理解され得ることには、図7のインバータ回路301、電圧変換回路、取得回路302、及び制御回路303の接続のモード及び動作原理は、図3のインバータ回路101、電圧変換回路、取得回路102、及び制御回路103のものと同じである。詳細をここで再び説明することはしない。図7に示す太陽光発電システムにおいて、ここでの負荷は送電網とし得る。当該太陽光発電システムは更に、グリッド接続及びオフグリッド配線装置305を含み得る。太陽光発電インバータは、グリッド接続及びオフグリッド配線装置305を介して、例えば送電線、電力伝送ステーション、バッテリ、通信基地局、又は家庭用機器などの送電網内の利用機器又は送電機器に電力を供給し得る。
【0052】
この出願では、太陽光発電インバータ、太陽光発電システム、及び太陽光発電電力システムにおける機能モジュールの構成モードは、多様化され、柔軟であり、異なる電力供給環境に適応可能である。従って、太陽光発電システムの適用シナリオの多様性が向上され、太陽光発電システムの適応性が高められる。加えて、図1図7に示したいずれかの太陽光発電システム又は太陽光発電インバータによれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路が、該電圧変換回路の入力電力を低減させるようにスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率を改善す。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。説明を容易にするため、以下では、図3に示した太陽光発電インバータの構造を例として用いて、この出願の実施形態で提供される電力制御方法を説明する。
【0053】
図8を参照されたい。図8は、この出願に従った電力制御方法の概略フローチャートである。この出願で提供される制御方法は、太陽光発電システム又は太陽光発電インバータに適用可能である。ここでの太陽光発電システムは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。各電圧変換回路の一端が太陽光発電パネルに接続されるように構成される。各電圧変換回路の他端が、バス(bus)に並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成される。ここでは、太陽光発電システム及び太陽光発電インバータはまた、図1図7に示したいずれかの太陽光発電システム又は該太陽光発電システム内の太陽光発電インバータを含むが、それに限定されない。図8に示すように、この出願で提供される電力制御方法は、以下のステップを含む。
【0054】
S701:ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバス(bus)の電圧を検出する。
【0055】
S702:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整する。
【0056】
S703:ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する。
【0057】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの対応する電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス(bus)電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、(1つの又は一部の)電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス(bus)電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バス(bus)の電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整し得る。
【0058】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0059】
一部の実現可能な実装において、図9を一緒に参照されたい。図9は、この出願に従った電力制御方法の他の概略フローチャートである。図9に示すように、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバス(bus)の電圧を検出するステップS701を実行した後に、制御回路(又は太陽光発電インバータ)は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びターゲット電圧変換回路の入力電流に基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を決定し得る。当該電力制御方法は更に以下のステップを含み得る。
【0060】
S801:ターゲット電圧変換回路の温度を検出する。
【0061】
S802:ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるかを判定する。判定結果が肯定(yes)である場合、ステップS803が実行され、判定結果が否定(no)である場合、ステップS804が実行される。
【0062】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。
【0063】
S803:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整する。
【0064】
ここでは、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0065】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0066】
S804:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整する。
【0067】
ここでは、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0068】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0069】
S805:ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する。
【0070】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号が生成され、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルが制御されてターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する。
【0071】
ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し得る。例えば、制御回路は、スイッチング変調信号としてパルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号として不連続パルス幅変調(Discontinuous Pulse Width Modulation,DPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、正弦波パルス幅変調(Sinusoidal Pulse Width Modulation,SPWM)波、第3高調波注入パルス幅変調(Third Harmonic Injection Pulse Width Modulation,THIPWM)波、又はキャリアベース空間ベクトルパルス幅変調(Carrier Based Space Vector Pulse Width Modulation,CBPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0072】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバス(bus)の電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整するステップS702又はS803又はS804が実行された後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0073】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0074】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバス(bus)の電圧が検出された後に、当該方法は更に、
バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを調整する、ことを含み得る。
【0075】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0076】
理解され得ることには、バス(bus)の電圧が高い(例えば、バス(bus)の電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0077】
この出願においては、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0078】
以上の説明は、本発明の特定の実装にすぎず、本発明の保護範囲を限定する意図はない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者が容易に思い付く如何なる変形又は置き換えも本発明の保護範囲に入るものである。従って、本発明の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電インバータであって、当該太陽光発電インバータは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、複数の取得回路、及び制御回路を有し、1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを有し、
各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され、各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてから前記インバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され、前記複数の取得回路が、前記制御回路に接続されて、前記複数の電圧変換回路及び前記バスの電圧又は電流を検出するように構成され、前記制御回路が、各電圧変換回路内の前記スイッチに接続され、
前記複数の取得回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及び前記バスの前記電圧を検出するように構成され、前記ターゲット電圧変換回路は、前記複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、
前記制御回路は、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整するように構成され、
前記制御回路は、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される、
太陽光発電インバータ。
【請求項2】
前記複数の取得回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され、
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が温度閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成される、
請求項1に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項3】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が前記温度閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され、前記第2の電流閾値は前記第1の電流閾値以上である、請求項2に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項4】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流と前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいて前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項5】
前記制御回路は更に、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフ制御するように構成される、請求項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項6】
前記インバータ回路はスイッチを有し、前記制御回路は更に、前記バス(bus)の前記電圧がバス電圧閾値以上であるときに、前記インバータ回路の出力電力を低減させるように、前記インバータ回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記インバータ回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の太陽光発電インバータ。
【請求項7】
太陽光発電システムに適用可能な電力制御方法であって、前記太陽光発電システムは、インバータ回路と複数の電圧変換回路とを有し、
各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルに接続されるように構成され、各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてから前記インバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され、当該方法は、
ターゲット電圧変換回路の入力電圧、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流、及び前記バスの電圧を検出し、前記ターゲット電圧変換回路は、前記複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、前記ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御する、
ことを有する、制御方法。
【請求項8】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することは、
前記ターゲット電圧変換回路の温度を検出し、
前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が温度閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第1の電流閾値に調整する、
ことを有する、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記ターゲット電圧変換回路の温度を前記検出することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記温度が前記温度閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値を第2の電流閾値に調整し、前記第2の電流閾値は前記第1の電流閾値以上である、
ことを有する、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値以上であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流と前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいて前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御する、
ことを有する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項11】
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電圧と前記バスの前記電圧とに基づいて、前記ターゲット電圧変換回路の電流閾値を前記調整することの後に、当該方法は更に、
前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電流が前記ターゲット電圧変換回路の前記電流閾値未満であるときに、前記ターゲット電圧変換回路の前記入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチの前記デューティサイクルを調整して前記ターゲット電圧変換回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御する、
ことを有する、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記インバータ回路はスイッチを有し、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、前記ターゲット電圧変換回路の入力電流、及び前記バスの電圧を前記検出することの後に、当該方法は更に、
前記バスの前記電圧がバス電圧閾値以上であるときに、前記インバータ回路の出力電力を低減させるように、前記インバータ回路内の前記スイッチのデューティサイクルを調整して前記インバータ回路内の前記スイッチのターンオン又はターンオフを制御する、
ことを有する、請求項7乃至のいずれか一項に記載の制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
の出願は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、特に、太陽光発電インバータ及び電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス技術の分野において、太陽光発電インバータにおけるインバータ回路は、通常、電源と負荷との間で電気エネルギーが伝送され得るように直流エネルギーを交流エネルギーに変換するために使用される。例えば、太陽光発電電源の分野において、太陽光発電インバータは、直流電源(例えば、太陽光発電(Photovoltaic,PV)パネル)によって出力される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷又は送電網が用いるために提供し得る。一般に、太陽光発電インバータ内の制御回路(例えば、最大電力点追跡(Maximum Power Point Tracking,MPPT)制御回路)が、PVパネルが最大電力で電気エネルギーを負荷に出力するように、PVパネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいてPVパネルの出力電流(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流)を制御する。研究及び実践の過程において、この出願の発明者が見出したことには、従来技術では、太陽光発電インバータは、通常、複数の電圧変換回路を用いることによって、各グループのPVパネルによって提供される直流電圧を直流バス電圧に変換し(例えば、各グループのPVパネルの電圧をバス電圧に昇圧して変換し)、次いで、インバータ回路を用いることによって、様々な負荷の電圧に適応すべく直流エネルギーを交流エネルギーに変換する。PVパネルのグループ間には差が存在する(例えば、長さが異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続されたPVパネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧、過電流、又は過熱により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。
【発明の概要】
【0003】
この出願は、太陽光発電インバータ及び電力制御方法を提供する。ターゲット電圧変換回路の入力電流が該ターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の入力電力を低減させるように制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0004】
第1態様によれば、この出願は太陽光発電インバータを提供する。当該太陽光発電インバータは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、複数の取得回路、及び制御回路を含み得る。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され得る。上記複数の取得回路が、制御回路に接続されて、複数の電圧変換回路及びバスの電圧又は電流を検出するように構成され得る。制御回路が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。ここでは、上記複数の取得回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びバスの電圧を検出するように構成され得る。ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上である。ここでは、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ここでは、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される得る。
【0005】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バスの電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。
【0006】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0007】
第1態様を参照するに、第1の取り得る実装において、取得回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され得る。制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0008】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0009】
第1態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され得る。第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0010】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0011】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第3の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流閾値に基づいて、電流閾値より小さい基準値を生成し、そして、調整する必要がある変数としてターゲット電圧変換回路の入力電流を用いることによって、スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整するためのスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路における入力電流をターゲット電圧変換回路の電流閾値(すなわち、上述の基準値)未満に調整し得る。ここで、制御回路は、スイッチング変調信号としてパルス幅変調(Pulse Width Modulation,PWM)波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号として不連続パルス幅変調(Discontinuous Pulse Width Modulation,DPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、正弦波パルス幅変調(Sinusoidal Pulse Width Modulation,SPWM)波、第3高調波注入パルス幅変調(Third Harmonic Injection Pulse Width Modulation,THIPWM)波、又はキャリアベース空間ベクトルパルス幅変調(Carrier Based Space Vector Pulse Width Modulation,CBPWM)波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0012】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第4の取り得る実装において、制御回路は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。
【0013】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0014】
第1態様又は第1態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、インバータ回路はスイッチを含み得る。制御回路は更に、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0015】
この出願では、バスの電圧が高い(例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0016】
第2態様によれば、この出願は電力制御方法を提供する。当該制御方法は、太陽光発電システムに適用可能である。該太陽光発電システムは、インバータ回路、複数の電圧変換回路、取得回路、及び制御回路を含み得る。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成され得る。取得回路が、各電圧変換回路、バス、及び制御回路に接続される。制御回路が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。当該方法は、
ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバスの電圧を検出し、ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上であり、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0017】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バスの電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。
【0018】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0019】
第2態様を参照するに、第1の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することは、
ターゲット電圧変換回路の温度を検出し、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整する、ことを含み得る。
【0020】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0021】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0022】
第2態様の第1の取り得る実装を参照するに、第2の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の温度を検出することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整し、第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である、ことを含み得る。
【0023】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0024】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0025】
第2態様の第2の取り得る実装を参照するに、第3の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを制御してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0026】
ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。例えば、制御回路は、スイッチング変調信号としてPWM波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号としてDPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、SPWM波、THIPWM波、又はCBPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0027】
第2態様又は第2態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第4の取り得る実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整することの後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0028】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0029】
第2態様又は第2態様のいずれか取り得る実装を参照するに、第5の取り得る実装において、インバータ回路はスイッチを含み得る。ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバスの電圧を検出することの後に、当該方法は更に、
スの電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0030】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0031】
この出願では、バスの電圧が高い(例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの適用シナリオの概略図である。
図2】この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのレイアウトシナリオの概略図である。
図3】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの構造の概略図である。
図4】この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのボルト-アンペア特性の概略図である。
図5】この出願の一実施形態に従った電圧変換回路の電流閾値カーブの概略図である。
図6】この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの他の構造の概略図である。
図7】この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの構造の概略図である。
図8】この出願の一実施形態に従った電力制御方法の概略フローチャートである。
図9】この出願の一実施形態に従った電力制御方法の他の概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
パワーエレクトロニクスの技術分野において、太陽光発電インバータにおけるインバータ回路は、通常、電源と負荷との間で電気エネルギーが伝送され得るように直流エネルギーを交流エネルギーに変換するために使用される。例えば、太陽光発電電源の分野において、太陽光発電インバータは、直流電源(例えば、太陽光発電パネル)によって出力される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷又は送電網が用いるために提供し得る。一般に、太陽光発電インバータ内の制御回路(例えば、MPPT制御回路)が、太陽光発電パネルが最大電力で電気エネルギーを負荷に出力するように、太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいて太陽光発電パネルの出力電流(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流)を制御する。実際の適用において、太陽光発電インバータは、通常、複数の電圧変換回路を用いることによって、各グループの太陽光発電パネルによって提供される直流電圧を直流バス電圧に変換し(例えば、各グループの太陽光発電パネルの電圧をバス電圧に昇圧して変換し)、次いで、インバータ回路を用いることによって、異なる負荷の電圧に適応すべく直流エネルギーを交流エネルギーに変換する。太陽光発電パネルのグループ間には差が存在する(例えば、長さが異なる、又は光強度が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧、過電流、又は過熱により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされる。従って、電圧変換回路が動作するとき、太陽光発電インバータ内の各素子の電力供給安全性を確保するように電圧変換回路の入力電力(又は例えば入力電流などのパラメータ)を制御する必要がある。
【0034】
この出願は、太陽光発電インバータ及び電力制御方法を提供する。ターゲット電圧変換回路の入力電流が該ターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の入力電力を低減させるように制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が簡単であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0035】
この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、新エネルギー発電の分野、発電のための従来からのピーク負荷調整及び周波数調整の分野、重要な機器への電力供給の分野、及び新エネルギー車両の分野などの、複数の適用分野に適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、エネルギー貯蔵システム、無停電電源システム、及びモータ駆動システムなどの、異なる電力供給システムに適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。この出願で提供される太陽光発電インバータは、例えば、光エネルギー電力供給環境においてインバータを制御する適用シナリオ、新エネルギー電力供給環境においてインバータを制御する適用シナリオ、又は他の適用シナリオなどの、異なる適用シナリオに適応され得る。以下では、説明のための例として、光エネルギー電力供給環境において太陽光発電インバータを制御する適用シナリオを使用し、詳細を以下で再び説明することはしない。
【0036】
図1を参照されたい。図1は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの適用シナリオの概略図である。光エネルギー電力供給に基づく太陽光発電システムにおいて、図1に示すように、太陽光発電システムは、太陽光発電インバータ1と、太陽光発電パネルの複数のグループ(例えば、太陽光発電パネルa乃至太陽光発電パネルn)を含む電源2と、負荷3とを含む。電源2は、太陽光発電インバータ1を介して負荷3に接続され得る。一部の実現可能な実装において、太陽光発電インバータ1は、太陽光発電パネルの複数のグループを含む電源2によって供給される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。理解され得ることには、この出願で提供される電源2は、電力が様々なタイプの利用機器に供給される適用シナリオに適用可能であり、例えば、幹線供給がない又は乏しい幹線供給の遠隔エリア内の基地局機器に電力が供給される又は家庭用機器(例えば冷蔵庫又はエアコンなど)に電力が供給される適用シナリオに適用可能である。これは、実際の適用シナリオに基づいて具体的に決定されることができ、ここで限定されることではない。更に理解され得ることには、図2の負荷3は送電網を含み得る。ここでの送電網は、例えば送電線、送電所、通信基地局、又は家庭用機器などの、利用機器及び送電機器を含み得る。ここでは、太陽光発電インバータ1は、インバータ回路11、及び複数の電圧変換回路(例えば、電圧変換回路a乃至電圧変換回路n)を含んでいる。太陽光発電パネルの各グループが、1つの対応する電圧変換回路を介してインバータ回路11に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。
【0037】
一部の実現可能な実装において、詳細について、図2を一緒に参照されたい。図2は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのレイアウトシナリオの概略図である。図2に示すように、灰色の部分は、太陽光発電パネルが配置される位置(例えば、家又は建物の頂部)である。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、図2の部分(a)、部分(b)、及び部分(c)によって示されるように、頂部に配置された太陽光発電パネルの光強度が異なり、図2の部分(d)、部分(e)、及び部分(f)によって示されるように、頂部に配置された太陽光発電パネルの長さ及び形状が異なる)。従って、電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。故に、太陽光発電インバータ1が動作するとき、太陽光発電インバータ内の各素子の電力供給安全性を確保するように電圧変換回路の入力電力を制御する必要がある。ここでは、太陽光発電インバータ1は更に、制御回路13及び取得回路12を含み得る。取得回路12は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バスの電圧及び/又は電流、インバータ回路11の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路11の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路11の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路13は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路13によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路13は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路13は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。これは、電力供給の安全性を確保しながら、太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率を改善する。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0038】
以下では、図3から図9を参照する例を用いることによって、この出願で提供される太陽光発電インバータ、及び当該太陽光発電インバータの動作原理を説明する。
【0039】
図3を参照されたい。図3は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの構造の概略図である。図3に示すように、太陽光発電システムは、電源、太陽光発電インバータ、及び負荷を含む。当該太陽光発電インバータは、インバータ回路101と、複数の電圧変換回路と、複数の取得回路と、制御回路103とを含む。1つの電圧変換回路が少なくとも1つのスイッチを含み得る。ここでは、レジェンド接続をいっそう単純且つ明瞭にするために、この出願の添付図面では、複数の取得回路の接続関係及び検出関係を示し、複数の取得回路の動作原理を説明するために、複数の取得回路が取得回路モジュールに統合されている。図3に示すように、一例として、複数の取得回路は取得回路102として示されている。具体的な一実装において、各図における取得回路は、配置のために複数の取得回路に分割され得る。詳細を以下で説明することはしない。ここでは、各電圧変換回路の一端が、太陽光発電パネルの複数のグループの各々に対応して接続されるように構成され得る。各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてからインバータ回路101を介して負荷に接続されるように構成され得る。取得回路102が、制御回路103に接続されて、複数の電圧変換回路及びバスの電圧又は電流を検出するように構成され得る。制御回路103が、各電圧変換回路内のスイッチに接続される。ここでは、取得回路102は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びバスの電圧を検出するように構成され得る。ターゲット電圧変換回路は、複数の電圧変換回路のうちのいずれか1つ以上である。ここでは、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ここでは、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成される得る。
【0040】
この出願において、電圧変換回路は、電圧変換機能を有する様々な回路とし得る。図3では、説明のために、電圧変換回路が昇圧(boost)回路である例のみを用いる。ここで、昇圧(boost)回路は、スイッチ、インダクタ、及びダイオードを含み得る。インダクタの一端が電源(すなわち、太陽光発電パネル)に接続される。インダクタの他端が、スイッチ及びダイオードを介してバスに接続される。一部の適用シナリオにおいて、昇圧(boost)回路は、バスに並列に接続されたバスキャパシタを再利用して、バスキャパシタを通じて昇圧(boost)回路の出力電圧を安定させ得る。昇圧(boost)回路のスイッチがターンオンされると、電源がインダクタを充電し、昇圧(boost)回路がバスキャパシタを介してインバータ回路101(及び負荷)に電力を供給し、ダイオードがバスキャパシタにおける電気エネルギーの合流を防止する。昇圧(boost)回路のスイッチがターンオフされると、電源及びインダクタがバスキャパシタを充電し、昇圧(boost)回路が、入力電圧を、出力用のバスキャパシタの電圧まで昇圧する。理解され得ることには、昇圧(boost)回路のスイッチの電圧を無視すると、昇圧(boost)回路の入力電圧Vin、昇圧(boost)回路の出力電圧Vout、及び昇圧(boost)回路のスイッチのデューティサイクルNは、Vin/Vout=1/(1-N)を満たす。ここでは、取得回路102が、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バスの電圧及び/又は電流、インバータ回路101の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路101の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路101の温度)を検出し得る。さらに、理解され得ることには、制御回路103が、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路103によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。詳細について、図4を一緒に参照されたい。図4は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電パネルのボルト-アンペア特性の概略図である。図4に示すように、ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルのグループの出力パラメータ(例えば、出力電流及び出力電圧)が、図4の太陽光発電パネルのグループのボルト-アンペア特性カーブにおける点Bに対応すると仮定する。点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるとき、システムの電力供給効率を確保するために、太陽光発電インバータ内の制御回路103(例えば、MPPT制御回路)は、太陽光発電パネルが最大電力(すなわち、点Aで示される電力)で電気エネルギーを出力するように、太陽光発電パネルの出力電流を点Aに対応するIaに増加させる(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流をIaに増加させる)ために、太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、太陽光発電インバータの入力電圧)に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。なおも図4に示すように、点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を確保するために、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させる(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電力を点Cで示す電力に低減させる)ために、太陽光発電パネルの出力電流を点Cに対応するIcに低減させる(すなわち、太陽光発電インバータの入力電流をIcに減少させる)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。
【0041】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路103を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0042】
一部の実現可能な実装において、取得回路102は更に、ターゲット電圧変換回路の温度を検出するように構成され得る。制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。詳細について、図5を一緒に参照されたい。図5は、この出願の一実施形態に従った電圧変換回路の電流閾値カーブの概略図である。図5に示すように、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差D(V)を負担するときの、対応する電流閾値Ithのカーブを、カーブ1であると計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第1の電流閾値を取得し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0043】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0044】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整するように構成され得る。第2の電流閾値は第1の電流閾値以上である。理解され得ることには、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路103は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。なおも図5に示すように、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差D(V)を負担するときの、対応する電流閾値Ithのカーブを、カーブ2であると計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第2の電流閾値を取得し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0045】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0046】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成し、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。ここでは、制御回路103(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路103、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の電流閾値に基づいて、電流閾値より小さい基準値を生成し、そして、調整する必要がある変数としてターゲット電圧変換回路の入力電流を用いることによって、スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整するためのスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路における入力電流をターゲット電圧変換回路の電流閾値(すなわち、上述の基準値)未満に調整し得る。ここで、制御回路103は、スイッチング変調信号としてPWM波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路103は、スイッチング変調信号としてDPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、SPWM波、THIPWM波、又はCBPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0047】
一部の実現可能な実装において、制御回路103は更に、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。再び図4を参照する。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルのグループの出力パラメータ(例えば、出力電流及び出力電圧)が、図4の太陽光発電パネルのグループのボルト-アンペア特性カーブ曲線における点Bに対応すると仮定する。点Bに対応する太陽光発電パネルの出力電流Ib(すなわち、ターゲット電圧変換回路の入力電流)がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路103が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。
【0048】
理解され得ることには、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路103を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路103は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0049】
一部の実現可能な実装において、インバータ回路はスイッチ(例えば、マルチレベルインバータ回路及びそのトポロジー回路)を含み得る。図6を参照されたい。図6は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電インバータの他の構造の概略図である。図6に示すように、インバータ回路201は、直列に接続された2つのキャパシタと、直列に接続された4つのスイッチと、逆直列に接続された2つのダイオードとを含む。図3における電圧変換回路、取得回路202、及び制御回路203の接続及び動作原理は、図3における電圧変換回路、取得回路102、及び制御回路103のそれらと同じであり、詳細をここで再び説明することはしない。ここでは、制御回路203は更に、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路201の出力電力を低減させるように、インバータ回路201内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路201内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御するように構成され得る。理解され得ることには、制御回路203は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路201)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路201は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路203は、インバータ回路201の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0050】
この出願では、バスの電圧が高い(例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路203は、インバータ回路201内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路201の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0051】
この出願は更に太陽光発電システムを提供する。詳細について、図7を一緒に参照されたい。図7は、この出願の一実施形態に従った太陽光発電システムの構造の概略図である。図7に示すように、当該太陽光発電システムは、電源及び太陽光発電インバータを含み得る。ここでの太陽光発電インバータは、図1図6に示した太陽光発電インバータに適用可能である。図7では、図3に示した太陽光発電インバータのみを説明のための一例として使用する。理解され得ることには、図7のインバータ回路301、電圧変換回路、取得回路302、及び制御回路303の接続のモード及び動作原理は、図3のインバータ回路101、電圧変換回路、取得回路102、及び制御回路103のものと同じである。詳細をここで再び説明することはしない。図7に示す太陽光発電システムにおいて、ここでの負荷は送電網とし得る。当該太陽光発電システムは更に、グリッド接続及びオフグリッド配線装置305を含み得る。太陽光発電インバータは、グリッド接続及びオフグリッド配線装置305を介して、例えば送電線、電力伝送ステーション、バッテリ、通信基地局、又は家庭用機器などの送電網内の利用機器又は送電機器に電力を供給し得る。
【0052】
この出願では、太陽光発電インバータ、太陽光発電システム、及び太陽光発電電力システムにおける機能モジュールの構成モードは、多様化され、柔軟であり、異なる電力供給環境に適応可能である。従って、太陽光発電システムの適用シナリオの多様性が向上され、太陽光発電システムの適応性が高められる。加えて、図1図7に示したいずれかの太陽光発電システム又は太陽光発電インバータによれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、制御回路が、該電圧変換回路の入力電力を低減させるようにスイッチのデューティサイクルを調整することができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率を改善す。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。説明を容易にするため、以下では、図3に示した太陽光発電インバータの構造を例として用いて、この出願の実施形態で提供される電力制御方法を説明する。
【0053】
図8を参照されたい。図8は、この出願に従った電力制御方法の概略フローチャートである。この出願で提供される制御方法は、太陽光発電システム又は太陽光発電インバータに適用可能である。ここでの太陽光発電システムは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。各電圧変換回路の一端が太陽光発電パネルに接続されるように構成される。各電圧変換回路の他端が、バスに並列に接続されてからインバータ回路を介して負荷に接続されるように構成される。ここでは、太陽光発電システム及び太陽光発電インバータはまた、図1図7に示したいずれかの太陽光発電システム又は該太陽光発電システム内の太陽光発電インバータを含むが、それに限定されない。図8に示すように、この出願で提供される電力制御方法は、以下のステップを含む。
【0054】
S701:ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバスの電圧を検出する。
【0055】
S702:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整する。
【0056】
S703:ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する。
【0057】
この出願では、太陽光発電パネルが、太陽光発電インバータを介して直流電源として負荷に接続され得る。太陽光発電インバータは、太陽光発電パネルによって提供される直流エネルギーを交流エネルギーに変換し、該交流エネルギーを負荷に提供し得る。ここでは、太陽光インバータは、インバータ回路及び複数の電圧変換回路を含み得る。直流電源は、太陽光発電パネルの複数のグループを含み得る(太陽光発電パネルの各グループが、1つの太陽光発電パネル又は複数の太陽光発電パネルを含み得る)。太陽光発電パネルの各グループが1つの対応する電圧変換回路を介してインバータ回路に接続され得る。電圧変換回路は、太陽光発電パネルによって提供される直流電圧をバス電圧に変換し、次いで、太陽光発電インバータによって出力される交流電圧が複数の電圧範囲内の負荷に適応し得るように、インバータ回路を通して直流エネルギーを交流エネルギーに変換し得る。太陽光発電パネルの複数のグループを含む適用シナリオでは、太陽光発電パネルのグループ間に差が存在する(例えば、長さが異なる、形状が異なる、又は光強度が異なる)。従って、(1つの又は一部の)電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルの出力電圧(すなわち、電圧変換回路の入力電圧)とバス電圧との間の差が過度に大きいとき、通常、電圧変換回路における入力電流が高い。その結果、過電圧(電圧差が過度に大きい)、過電流(電流が過度に高い)、又は過熱(温度が過度に高い)により、電圧変換回路内の素子(例えば、電圧変換回路内のスイッチ)に故障又はダメージがもたらされ得る。ここでは、太陽光発電インバータは更に、制御回路及び取得回路を含み得る。取得回路は、太陽光発電インバータの電力供給パラメータ(例えば、電圧変換回路の入力電圧及び/又は出力電圧、電圧変換回路の入力電流及び/又は出力電流、電圧変換回路の温度、バスの電圧及び/又は電流、インバータ回路の入力電圧及び/又は出力電圧、インバータ回路の入力電流及び/又は出力電流、並びにインバータ回路の温度)を検出し得る。ここでは、制御回路は、太陽光発電インバータの電源パラメータに基づいて太陽光発電インバータの動作状態を決定し得る。ここでは、制御回路によって制御される必要がある1つ(又は複数)の電圧変換回路がターゲット電圧変換回路である例を使用する。制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整し得る。ターゲット電圧変換回路の電流閾値が取得された後、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、電圧変換回路の動作安全性を保護するために、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整して(例えば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて)ターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御し得る。
【0058】
この出願によれば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0059】
一部の実現可能な実装において、図9を一緒に参照されたい。図9は、この出願に従った電力制御方法の他の概略フローチャートである。図9に示すように、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバスの電圧を検出するステップS701を実行した後に、制御回路(又は太陽光発電インバータ)は、ターゲット電圧変換回路の入力電圧及びターゲット電圧変換回路の入力電流に基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を決定し得る。当該電力制御方法は更に以下のステップを含み得る。
【0060】
S801:ターゲット電圧変換回路の温度を検出する。
【0061】
S802:ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上であるかを判定する。判定結果が肯定(yes)である場合、ステップS803が実行され、判定結果が否定(no)である場合、ステップS804が実行される。
【0062】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電力(又は入力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。換言すれば、制御回路は、複数の方式でターゲット電圧変換回路の動作状態を決定することができ、さらに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整する必要があるかを決定することができる。例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を低減させる必要がある。ここで、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が異なるとき、スイッチが負担する電圧差が同じであっても、スイッチが耐えられる入力電流が異なり得る。
【0063】
S803:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第1の電流閾値に調整する。
【0064】
ここでは、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第1の電流閾値)を決定し得る。なお、第1の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第1の電流閾値を取得し得る。第1の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第1の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0065】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が高い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値以上である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第1の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0066】
S804:ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を第2の電流閾値に調整する。
【0067】
ここでは、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)とき、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが負担する電圧差(例えば、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧との間の差)に基づいて、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが耐えられる最大入力電流(例えば、第2の電流閾値)を決定し得る。ここで、第2の電流閾値は第1の電圧閾値よりも小さい。なお、第2の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値より低い第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第2の電流閾値を取得し得る。第2の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第2の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。
【0068】
この出願では、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの動作温度が低い(例えば、ターゲット電圧変換回路の温度が温度閾値未満である)ときに、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの入力電流が第2の電流閾値以上である場合、それは、ターゲット電圧変換回路を調整する必要がある動作状態にターゲット電圧変換回路があることを示し、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力を更に低減させるようにターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、ターゲット電圧変換回路の安全性を向上させ得る。また、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電気エネルギーを完全に遮断することはしない。これは、安全性を確保することを基礎にして電気エネルギー伝送効率が確保する。
【0069】
S805:ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の電流又は入力電力を低減させるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する。
【0070】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号が生成され、該スイッチング変調信号に基づいてターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルが制御されてターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する。
【0071】
ここでは、制御回路(例えば、電流調整ループ(例えば、比例調整回路又は比例積分調整回路)と駆動制御回路、又は電流調整機能と駆動制御機能を有する他の回路)が、ターゲット電圧変換回路の入力電流とターゲット電圧変換回路の電流閾値とに基づいてスイッチング変調信号を生成して、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。例えば、制御回路は、スイッチング変調信号としてPWM波などの信号を生成することができ、あるいは、PWM波に基づくスイッチング変調信号として駆動パルス信号を生成することができる。ここでは、スイッチング変調信号が、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し、さらに、ターゲット電圧変換回路の入力電流及び/又は入力電力を制御し得る。例えば、制御回路は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを低減させて、ターゲット電圧変換回路の入力電流を低減させ、ターゲット電圧変換回路の入力電力を低減させ得る。理解され得ることには、この出願で提供される制御回路は、スイッチング変調信号としてDPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号として別のPWM波(例えば、SPWM波、THIPWM波、又はCBPWM波を用いてもよく、スイッチング変調信号としてこれらのPWM波に基づいて生成される駆動パルス信号を用いてもよい。適用範囲が広く、制御効果が良好である。
【0072】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧とバスの電圧とに基づいて、ターゲット電圧変換回路の電流閾値を調整するステップS702又はS803又はS804が実行された後に、当該方法は更に、
ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値未満であるときに、ターゲット電圧変換回路の入力電力を最大ターゲット入力電力にとどまるように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してターゲット電圧変換回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0073】
ここでは、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値(例えば、第3の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にある(換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)と考えられ得る。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。ここで、第3の電流閾値の値は、ターゲット電圧変換回路内のスイッチの最大入力電流に基づいて決定され(例えば、様々なモデルのスイッチが異なる電圧差を負担するときの対応する公称電流に基づいて決定され)てもよいし、取得、収集、受信、検出、又は記憶などの方式で太陽光発電インバータによって取得される電流閾値に基づいて決定されてもよい。例えば、太陽光発電インバータ又は外部の中央制御システムが、電圧変換回路の動作過程(又は設計過程)において、スイッチが特定の動作温度又は特定の動作温度範囲(例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲、又は温度閾値未満の第2の動作温度範囲)において異なる電圧差を負担するときの、対応する電流閾値のカーブを計算し得る。また、該カーブに基づいて制御回路が第3の電流閾値を取得し得る。第3の電流閾値は、適用シナリオに基づいて具体的に設定され得る。理解され得ることには、ここでの第3の電流閾値は、1つの電流であってもよいし、複数の離散的な電流であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電流若しくは連続した電流を含む電流範囲であってもよい。例えば、温度閾値以上の第1の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第1の電流閾値以下とし得る。他の一例では、温度閾値未満の第2の動作温度範囲において、第3の電流閾値は第2の電流閾値以下とし得る。第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さい場合、太陽光発電インバータは、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定して第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)より小さくないときに、制御回路を介してターゲット電圧変換回路の入力電力を繰り返し減少又は増加させることを回避することができる。換言すれば、第3の電圧閾値が第1の電流閾値(又は第2の電流閾値)未満であるとき、ターゲット電圧変換回路の入力電流が安定した後(例えば、安定して第3の電流閾値未満である)、太陽光発電インバータのターゲット電圧変換回路は、入力電力を低減させる必要がない動作状態にあり得る(あるいは、換言すれば、ターゲット電圧変換回路内のスイッチが、ダメージのリスクが低い安全な環境で動作している)。この場合、制御回路は、ターゲット電圧変換回路の入力電力が最大ターゲット入力電力にとどまる(例えば、ターゲット電圧変換回路に接続された太陽光発電パネルが最大電力点で動作する)ように、ターゲット電圧変換回路内のスイッチのデューティサイクルを調整し得る。これは電力供給効率を向上させる。
【0074】
一部の実現可能な実装において、ターゲット電圧変換回路の入力電圧、ターゲット電圧変換回路の入力電流、及びバスの電圧が検出された後に、当該方法は更に、
スの電圧がバス電圧閾値以上であるときに、インバータ回路の出力電力を低減させるように、インバータ回路内のスイッチのデューティサイクルを調整してインバータ回路内のスイッチのターンオン又はターンオフを制御する、ことを含み得る。
【0075】
理解され得ることには、制御回路は、複数の方式で太陽光発電インバータの動作状態を決定することができ、さらに、太陽光発電インバータ(例えば、インバータ回路)の出力電力(又は出力電流)を制御する必要があるかを決定することができる。例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上であるとき、インバータ回路は、出力電力を低減させる必要がある動作状態にある(あるいは、換言すれば、太陽光発電インバータ内の各要素が過酷な環境で動作していて、動作し続けると高いリスクでダメージを受けることになる)と考えられ得る。この場合、制御回路は、インバータ回路の出力電流及び/又は出力電力を低下させる必要がある。理解され得ることには、ここでのバス電圧閾値は、1つの電圧であってもよいし、複数の離散的な電圧であってもよいし、あるいは、複数の離散的な電圧若しくは連続した電圧を含む電圧範囲であってもよい。
【0076】
理解され得ることには、バスの電圧が高い(例えば、バスの電圧がバス電圧閾値以上である)とき、それは、出力電力を低減させる必要がある動作状態に太陽光発電インバータがあることを示す。制御回路は、インバータ回路内の各スイッチのデューティサイクルを低減させ、インバータ回路の出力電力を更に低減させて、太陽光発電インバータ内の素子が過熱によってダメージを受けることを回避し、電力供給の安全性を更に向上させ得る。
【0077】
この出願においては、ターゲット電圧変換回路の入力電流がターゲット電圧変換回路の電流閾値以上であるときに、太陽光発電インバータが、制御回路を介してスイッチのデューティサイクルを調整して電圧変換回路の入力電力を低減させることができ、それによって、電力供給の安全性を確保しながら太陽光発電インバータの安定性及び電力供給効率が改善される。構造が単純であり、当該方法は簡単であり、適用性が高い。
【0078】
以上の説明は、本発明の特定の実装にすぎず、本発明の保護範囲を限定する意図はない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者が容易に思い付く如何なる変形又は置き換えも本発明の保護範囲に入るものである。従って、本発明の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものである。
【国際調査報告】