(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】ブロックされたイソシアネート組成物、イソシアネート用ブロッキング剤としての化合物の使用
(51)【国際特許分類】
C08G 18/80 20060101AFI20250130BHJP
【FI】
C08G18/80 077
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530022
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2023050966
(87)【国際公開番号】W WO2023148674
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】102022000001934
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523090825
【氏名又は名称】マフロン エス.ピー.エイ.
【氏名又は名称原語表記】MAFLON S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Soave,7,20135 Milano(MI)(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】マニエロ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フェナローリ アゴスティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴィアーニ イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ザラントネッロ カミーロ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034HA01
4J034HA07
4J034HB05
4J034HB08
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034HD12
4J034JA42
(57)【要約】
以下のものを含む、あるいはそれらからなる組成物:-以下のものからなる群から選択されるブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート:(i)任意選択で2-ペンタノンオキシム;(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム;(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;および(iv)(i)~(iii)の2種以上の混合物;ならびに-任意選択で1種または複数種の技術的添加剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む、あるいはそれらからなる組成物:
- 以下のものからなる群から選択されるブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート:
(i)任意選択で2-ペンタノンオキシム;
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム;
(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;および
(iv)(i)~(iii)の2種以上の混合物;
- 任意選択で1種または複数種の技術的添加剤。
【請求項2】
前記混合物(iv)が、(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを以下のものと組み合わせて含む、請求項1に記載の組成物:
(i)2-ペンタノンオキシム;および/または
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム。
【請求項3】
前記混合物(iv)において、
- (iii):(i)もしくは(iii):(ii)が、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる;または
- [(iii)]:[(i)+(ii)]が、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(i)2-ペンタノンオキシムが、アンモ酸化反応で得られたものではない、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ブロックされたイソシアネート-イオン性または非イオン性-が、以下のものからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物:
(a)1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびそのポリマー、好ましくはトリマー、任意選択で生物由来のもの;
(b)トルエンジイソシアネート(TDI)およびその付加体、好ましくはTDIトリマー;
(c)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から誘導されるポリイソシアネート;
(d)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたイソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導されるポリイソシアネート;
(e)4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);
(f)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);
(g)1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI);
(h)テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);ならびに
(i)(a)~(h)から選択される2種以上の任意の混合物。
【請求項6】
前記ブロックされたイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートトリマーを含む、またはそれからなる、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ブロックされたイソシアネートが、トリメチロールプロパンと、2,4トルエンジイソシアネートおよび2,6トルエンジイソシアネートの異性体の混合物との反応生成物を含み、またはそれからなり、好ましくは、前記異性体が重量比で80:20である、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、水性懸濁液または分散液である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、メチルエチルケトキシム(MEKO)を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
イソシアネート用ブロッキング剤としての以下のものの使用:
(i)任意選択で2-ペンタノンオキシム;
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム;
(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;または
(iv)(i)~(iii)の2種以上の混合物。
【請求項11】
前記混合物(iv)が、(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを以下のものと組み合わせて含む、請求項10に記載の使用:
(i)2-ペンタノンオキシム;および/または
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム。
【請求項12】
前記混合物(iv)において、
- (iii):(i)もしくは(iii):(ii)が、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる;または
- [(iii)]:[(i)+(ii)]が、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記使用が、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、前記ブロッキング剤からの前記イソシアネートの脱ブロッキングを含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記ブロックされたイソシアネートが、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートトリマーを含む、またはそれからなる、請求項10から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記ブロックされたイソシアネートが、トリメチロールプロパンと、2,4トルエンジイソシアネートおよび2,6トルエンジイソシアネートの異性体の混合物との反応生成物を含み、またはそれからなり、好ましくは、前記異性体が重量比で80:20である、請求項10から13のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)~(iv)からなる群から選択されるブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート、および任意選択で1種または複数種の技術的添加剤を含む、あるいはそれらからなる組成物に言及する。
【0002】
さらに、本発明は、イソシアネート用ブロッキング剤としての(i)~(iv)の使用に言及する。
【0003】
さらに、本発明は、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、ブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート、および任意選択で1種または複数種の技術的添加剤を含む、あるいはそれらからなる組成物の使用であって、前記ブロッキング剤が一般式(I)の少なくとも1種のイミダゾール化合物である、使用に言及する。
【0004】
さらに、本発明は、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、ブロックされたイソシアネート用ブロッキング剤としての一般式(I)のイミダゾール化合物の使用に言及する。
【背景技術】
【0005】
メチルエチルケトキシム(または2-ブタノンオキシム、CAS番号96-29-7、略して「MEKO」)は、無色の液体であり、メチルエチルケトンから誘導されるオキシムである。
【0006】
MEKOは主に、オイルおよびラテックス塗料ならびにコーティング剤の皮張り防止剤として使用されているが、これは、前記塗料および前記コーティング剤上に固体皮膜が形成されるのを防止できるからである。MEKOの機能は、塗料およびコーティング剤に含まれるオイルの酸化架橋を触媒する乾燥剤(特に金属塩)との結合によって発揮される。塗料またはコーティング剤が表面に塗布されると、MEKOは蒸発し、それによって、乾燥プロセスが進行するようになる。
【0007】
MEKOはまた、自動車電着塗装、塗装工事においてはイソシアネート用ブロッキング剤として、撥水性のために非フッ素化樹脂と組み合わせた、または撥水性および/もしくは撥油性のためにフッ素化樹脂と組み合わせた布帛処理においてはその優れた耐水性および耐熱性のためにシリコーンゴムの硬化剤として、ならびに印刷業界においては定着剤として広く使用されている。
【0008】
しかし、MEKOは、ヒトの健康に対していくつかの重大な危険性を示す。実際、MEKOは、評価プロセス(SEv;物質評価プロセス)の対象であり、その結果は物質評価報告書に報告され、物質の調和分類(CLH)の提案の起草につながった。
【0009】
この提案に基づいて、ECHAのリスク評価委員会(RAC)は、2018年9月にMEKOを、発がん性(Carc.)1B,H350:発がんのおそれあり、に分類する見解を採択した。
【0010】
同プロセスは、以下の危険性の属性ももたらしている:急性毒性(Acute Tox.)3,H301:飲み込むと有毒;急性毒性4,H312:皮膚と接触すると有害;皮膚感作性(Skin Sens.)1,H317:アレルギー性皮膚反応を引き起こすおそれあり、1,H318:眼に重篤な損傷を引き起こす;皮膚刺激性(Skin Irrit.)2,H315:皮膚刺激を引き起こす;特定標的臓器毒性(単回曝露)(STOT SE)3,H336:眠気または眩暈を引き起こすおそれあり;特定標的臓器毒性(単回曝露)1,H370(上気道):臓器障害を引き起こす;および特定標的臓器毒性(反復曝露)2,H373(血液系):長期または反復曝露の場合、臓器損傷を引き起こすおそれあり。
【0011】
規則(EC)第1272/2008号(CLP)の附属書VIに対応する収載は、2020年8月の第15回ATPで発効された。したがって、2022年3月以降、物質MEKOを0.1%を超える濃度で含有する混合物について、発がん性1B(H350)として分類および表示する義務が生じる。
【0012】
先行技術文献の特開平05-179573A号公報は、撥水および撥油剤に関する。先行技術文献の中国特許出願公開第110981750A号明細書は、アンモ酸化反応による2-ペンタノンオキシムの合成方法を開示している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本出願人は、長期にわたる熱心な研究および開発活動を経て、MEKOの代替品として使用することができ、既存の制限、欠点、および問題に適切に対応できるいくつかのオキシムを特定した。
【0014】
特に、本発明で特定された化合物は、MEKOよりも毒性特性が著しく低く、たとえ、少なくとも現時点で、MEKOのコストよりもコストが高いとしても、通常、市場で大量かつ許容可能なコストで入手可能であり、無彩(すなわち、白色または明黄色傾向)色を有するブロックされたイソシアネートを生成することができ、MEKOによってブロックされた対応する生成物と同等の反応速度を有し、現在使用されているものと比較して、類似の、場合によっては優れた特性を示す。
【0015】
したがって、本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する、(i)~(iv)からなる群から選択されるブロッキング剤によりブロックされたイソシアネート、および任意選択で1種または複数種の技術的添加剤を含む、あるいはそれらからなる組成物である。
【0016】
さらに、本発明の目的は、添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する、イソシアネート用ブロッキング剤としての(i)~(iv)からなる群から選択されるブロッキング剤の使用である。
【0017】
さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、ブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート、および任意選択で1種または複数種の技術的添加剤を含む、あるいはそれらからなる組成物の使用であって、前記ブロッキング剤が一般式(I)の少なくとも1種のイミダゾール化合物である、使用に言及する。
【0018】
さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲に定義される特徴を有する、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、ブロックされたイソシアネート用ブロッキング剤としての一般式(I)のイミダゾール化合物の使用に言及する。
【0019】
本発明の好ましい諸実施形態を、以下に例示として、したがって、限定ではなく、表を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施例に従ってイミダゾール化合物でブロックしたイソシアネートについて実施したDSCダイヤグラムを示す図である。
【
図2】実施例に従ってイミダゾール化合物でブロックしたイソシアネートについて実施したDSCダイヤグラムを示す図である。
【
図3】実施例に従ってオキシムでブロックしたイソシアネートについて実施したDSCダイヤグラムを示す図である。
【
図4】実施例に従ってオキシムでブロックしたイソシアネートについて実施したDSCダイヤグラムを示す図である。
【
図5】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図6】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図7】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図8】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図9】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図10】実施例に従ったTurbiscan分析による安定性分析レポートを示す図である。
【
図11】実施例の試験で使用した垂直配向フーラード機を全体的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
したがって、本発明の目的は、以下のものを含む、あるいはそれらからなる組成物である:
- 以下のものからなる群から選択されるブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート:
(i)任意選択で2-ペンタノンオキシム(CAS番号623-40-5);
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム(CAS番号105-44-2);
(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム(CAS番号22457-23-4);および
(iv)(i)~(iii)の2種以上の混合物;
- 任意選択で1種または複数種の技術的添加剤。
【0022】
本発明の説明では、用語「ブロックされたイソシアネート」は、少なくとも1個のイソシアネート官能基がブロックされている(非反応性である)ような、イソシアネートと前記ブロッキング剤との間の反応生成物を意味する。
【0023】
好ましくは、前記2-ペンタノンオキシムは、アンモ酸化反応で得られたものではない。
【0024】
より好ましくは、前記混合物(iv)は、(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを以下のものと組み合わせて含む:
(i)2-ペンタノンオキシム;および/または
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム。
【0025】
好ましくは、前記混合物(iv)において、
- (iii):(i)もしくは(iii):(ii)は、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる;または
- [(iii)]:[(i)+(ii)]は、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる。
【0026】
前記イソシアネートは、好ましくは、以下のものからなる群から選択される:
(a)1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびそのポリマー、好ましくはトリマー、任意選択で生物由来のもの;
(b)トルエンジイソシアネート(TDI)およびその付加体、好ましくはTDIトリマー;
(c)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から誘導されるポリイソシアネート;
(d)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたイソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導されるポリイソシアネート;
(e)4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);
(f)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);
(g)1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI);
(h)テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);ならびに
(i)(a)~(h)から選択される2種以上の任意の混合物。
【0027】
好ましくは、三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたイソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導される前記(d)ポリイソシアネートは、アロファネート型の、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートと、ブタン-1-オールおよびペンタン-1-オールおよび2-エチルヘキサン-1-オールとのオリゴマー化生成物を含む、あるいはそれらからなる。
【0028】
より好ましくは、前記(d)は、以下の一般式(II)で示される化合物の混合物を含む、またはそれからなる製品EC/リスト番号:933-047-9を含む。
【0029】
【化1】
(式中、Rは、ブタン-1-オールおよびペンタン-1-オールおよび2-エチルヘキサン-1-オールのアルコール残基である)
【0030】
前記イソシアネートは、より好ましくは、以下のものからなる群から選択される:
(a)1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびそのポリマー、好ましくはトリマー、任意選択で生物由来のもの;
(b)トリメチロールプロパンとトルエンジイソシアネートとの反応から得られたトルエンジイソシアネート(TDI)の付加体、好ましくはトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)からのイソシアヌレート、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)からのイソシアヌレート、より好ましくは、トリメチロールプロパンと、異性体の2,4トルエンジイソシアネートおよび2,6トルエンジイソシアネートの混合物との反応生成物、さらにより好ましくは、前記異性体が重量比で90:10~70:30、85:15~75:15、例えば80:20に含まれる比にあるもの;
(c)ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートトリマー;ならびに
(i)(a)~(c)の混合物。
【0031】
ブロックされたイソシアネートおよび任意選択で1種または複数種の技術的添加剤を含む、あるいはそれらからなる前記組成物は、好ましくは、非イオン性および/またはイオン性の水性懸濁液または分散液である。
【0032】
前記組成物を前記ブロックされたイソシアネートの水性分散液の形態で安定にするために、分子中にカルボキシル化イオン性基(例えば、ジメチロールプロピオン酸から誘導される)またはモノアルコール官能性を有するアルコキシル化鎖(例えば、分子量350,500、または750amuのポリエチレングリコールモノメチルエーテル)を挿入することが可能である。より好ましくは、前記懸濁液または分散液は、水と共溶媒との混合物を、好ましくは2%~50%、好ましくは5%~20%に含まれる重量比で含む。
【0033】
ほんの一例として、前記共溶媒は、プロピレングリコールジメチルエーテル、アセトン、または他の低沸点有機溶媒からなる群から選択される。
【0034】
前記組成物は、好ましくは、メチルエチルケトキシム(MEKO)を含まない。
【0035】
さらに、本発明の目的は、イソシアネート用ブロッキング剤としての以下のものの使用である:
(i)任意選択で2-ペンタノンオキシム;
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム;
(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;または
(iv)(i)~(iii)の2種以上の混合物。
【0036】
好ましくは、前記混合物(iv)は、(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを以下のものと組み合わせて含む:
(i)2-ペンタノンオキシム;および/または
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム。
【0037】
好ましくは、前記混合物(iv)において、
- (iii):(i)もしくは(iii):(ii)は、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる;または
- [(iii)]:[(i)+(ii)]は、重量比で、20:1~1:20に含まれ、好ましくは10:1~1:10に含まれ、より好ましくは5:1~1:5に含まれる。
【0038】
さらに、本発明の主題は、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、イソシアネート用ブロッキング剤としての下記一般式(I)のイミダゾール化合物の使用である。
【0039】
【化2】
(式中、
R1=HまたはCH
3;
R2=H、CH
3、CH
2CH
3、またはCH(CH
3)
2)
【0040】
好ましくは、前記イミダゾール化合物は、2-イソプロピル-1H-イミダゾール(CAS番号36947-68-9)または2-エチル-4-メチルイミダゾール(CAS番号931-36-2)である。
【0041】
より好ましくは、前記イミダゾール化合物は、2-エチル-4-メチルイミダゾールである。
【0042】
好ましくは、前記使用は、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、前記ブロッキング剤による前記イソシアネートの脱ブロッキングを含む。
【0043】
さらに、本発明の目的は、布帛または皮の撥水および/または撥油処理においての、
- ブロッキング剤によってブロックされたイソシアネート、および
- 任意選択で1種または複数種の技術的添加剤
を含む、あるいはそれらからなる組成物の使用であって、
前記ブロッキング剤が下記一般式(I)の少なくとも1種のイミダゾール化合物である、使用である。
【0044】
【化3】
(式中、
R1=HまたはCH
3;
R2=H、CH
3、CH
2CH
3またはCH(CH
3)
2)
【0045】
本記載において、「少なくとも1種のイミダゾール化合物」という表現は、前記組成物が、一般式(I)の単一のイミダゾール化合物、またはR1および/もしくはR2が互いに異なる一般式(I)の2種以上のイミダゾール化合物の混合物を含み得ることを意味する。
【0046】
好ましくは、前記イミダゾール化合物、または前記混合物のイミダゾール化合物は、2-イソプロピル-1H-イミダゾール(CAS番号36947-68-9)または2-エチル-4-メチルイミダゾール(CAS番号931-36-2)である。より好ましくは、前記組成物は、2-イソプロピル-1H-イミダゾールと2-エチル-4-メチルイミダゾールとの混合物を含む。
【0047】
さらにより好ましくは、前記イミダゾール化合物、または前記混合物のイミダゾール化合物は、2-エチル-4-メチルイミダゾールである。
【0048】
前記ブロックされたイソシアネート-イオン性または非イオン性-は、好ましくは、以下のものからなる群から選択される:
(a)1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)およびそのポリマー、好ましくはトリマー、任意選択で生物由来のもの;
(b)トルエンジイソシアネート(TDI)およびその付加体、好ましくは、TDIのトリマー、より好ましくは、トリメチロールプロパンと、異性体の2,4トルエンジイソシアネートおよび2,6トルエンジイソシアネートの混合物との反応生成物、さらにより好ましくは、前記異性体が重量比で90:10~70:30、85:15~75:25、例えば80:20に含まれる比にあるもの;
(c)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)から誘導されるポリイソシアネート、好ましくはヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートトリマー;
(d)三量化、ビウレット化、および/またはアロファネート化プロセスによって得られたイソホロンジイソシアネート(IPDI)から誘導されるポリイソシアネート;
(e)4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI);
(f)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);
(g)1,4-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI);
(h)テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI);ならびに
(i)(a)~(h)から選択される2種以上の任意の混合物。
【0049】
前記組成物は、好ましくは、水性懸濁液または分散液である。
【0050】
より好ましくは、前記組成物は、メチルエチルケトキシム(MEKO)を含まない。
【0051】
前記組成物は、好ましくは、フッ素化鎖で官能基化されたアクリル酸またはメタクリル酸エステル(要するに、ポリアクリレート)を含む。
【0052】
より好ましくは、前記ポリアクリレートは、以下のモノマー単位(a)~(d)の共重合によって得られる:
(a)0.1重量%~90重量%の1種または複数種の以下の一般式のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rf-Rh-OCOC(R5)=CH2
(式中、
- R5は、メチルまたは水素基であり、
- Rfは、炭素原子の数が1~6に含まれ、好ましくは4~6に含まれる直鎖状または分岐状の全フッ素化アルキル基であり、
- Rhは、(CH2)n基であり、ここで、nは1~6に含まれる整数、好ましくは2~4に含まれる整数である)
(b)0.1重量%~80重量%の1種または複数種の一般式(II)のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rz-OCOC(R5)=CH2 (II)
(式中、
- Rzは、1~30個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状のベンジル基またはアルキル基であり、
- R5は、メチルまたは水素基である)
(c)1重量%~20重量%の、少なくとも1個のアクリルまたはメタクリル官能基と、一般式R2-OCOC(R5)=CH2(式中、R2は、(COOH)-(Rh)m-(ここで、RhおよびR5は上記で定義され、mは値0もしくは1と仮定することができる)、またはイタコン酸である)の少なくとも1個のカルボン酸官能基とを有する1種または複数種のモノマー、
(d)0.1重量%~15重量%の、少なくとも1個のビニル官能基を有する1種または複数種のモノマー、
(e)1重量%~20重量%の、以下の一般式の1種または複数種のアクリルまたはメタクリルモノマー、
Ry-OCOC(R5)=CH2
(式中、
- Ryは、R-[Si(CH3)2O]l-Si(CH3)2-(Rh)m-基であり、ここで、lは、2~30に含まれる整数であり、Rは、1~20の炭素原子数を有する直鎖状または分岐状アルキル基であり、Rhおよびmは、上記で定義され、
- R5は、メチルまたは水素基である)
(f)0~15重量%の、以下の一般式の1種または複数種のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rz-OCOC(R5)=CH2
(式中、Rzは、-R5-(Rh)m-基であり、ここで、R5は、ヒドロキシルまたはエポキシ基であり、mは、上記で定義されている)。
【0053】
前記組成物はさらに、パラフィンワックスおよびポリシロキサン化合物から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む。
【0054】
以下に、非限定的な例として、本発明のいくつかの実施例を報告する。
【実施例】
【0055】
脱ブロッキング温度、反応速度、および生成物の色調の実験的決定。
イミダゾール化合物の2-イソプロピル-1H-イミダゾール(CAS番号36947-68-9)および2-エチル-4-メチルイミダゾール(CAS番号931-36-2)を、以下の市販のイソシアネートと反応させて:
- Desmodur(登録商標)Ultra N 3300(Covestro AG製):ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートのホモポリマー(トリマー)(CAS番号28182-81-2;EC/リスト番号:931-274-8);
- Polurgreen AD 01:トルエンジイソシアネート(TDI)の付加体、特に、トリメチロールプロパンとトルエンジイソシアネートとの反応生成物(重量比80:20の2,4-および2,6-異性体の混合物);
ブロックされたイソシアネートを得た。
【0056】
ブロックされたイソシアネートについてDSC(示差走査熱量測定)研究を実施して、その脱ブロッキング温度を決定した。使用した機器は、Discovery DSC25AUTO TA INSTRUMENTS(WATERS CORPORATIONS)シリアル番号DSC2A-01063である。
【0057】
提案するDSC法は、ブロックされたイソシアネートを窒素雰囲気中で調製し、次いで、以下の温度上昇を行うことからなる:
- 10℃/分での25℃から250℃までの1回目の温度上昇、その結果、脱ブロッキング温度の開始を表すプロファイルの傾きの変化を観察することができる;
- 試料を25℃に冷却;
- 10℃/分での25℃から250℃までの2回目の温度上昇、その結果、イソシアネートの完全な脱ブロッキングを観察することができる。
【0058】
結果を以下の表1に示す。
【0059】
【0060】
例示的なDSCスペクトルを、以下の
図1(試験LAB220621に関する)および
図2(試験LAB230621に関する)に報告する。
【0061】
一般に、イソシアネートとイミダゾールとの反応は、良好な反応速度を示し、試験した両方のイミダゾールの脱ブロッキング温度は、89.9℃~98℃の範囲に含まれる。
【0062】
ブロックされたイソシアネートの外見に関して、
- Desmodur(登録商標)Ultra N 3300と2-イソプロピル-1H-イミダゾールとの反応;および
- Desmodur(登録商標)Ultra N 3300と2-エチル-4-メチルイミダゾールとの反応
から生じた生成物は、わずかに黄色がかっている。
【0063】
本発明の主題の3種のオキシム(i)、(ii)、(iii)を、上述の市販のイソシアネートと個別に反応させて:
- Desmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- Polurgreen AD 01;
ブロックされたイソシアネートを得た。
【0064】
ブロックされたイソシアネートについて前述のDSC研究(示差走査熱量測定)を実施して、その脱ブロッキング温度を決定した。
【0065】
結果を以下の表2に示す。
【0066】
【0067】
例示的なDSCスペクトルを以下の
図3(LAB030821試験に関する)および
図4(LAB040821試験に関する)に報告する。
【0068】
得られたすべての生成物において、色調は白色であった。試験したすべてのオキシムと両方のイソシアネートとの反応性は高い。
【0069】
上記のデータから、3種のオキシム(i)、(ii)、(iii)は、それらの分類、反応性、および得られる最終生成物の色調に起因して、イソシアネートのブロッキング剤として使用するのに非常に有望な特徴を有していることが明らかである。
【0070】
表2の温度値は、偶発事象に応じて脱ブロッキング温度を調節するために、3種のオキシム(i)、(ii)、(iii)を単一組成物中で組み合わせて使用することもでき、その結果、そのような組成物の使用プロセスを最適化するのに必要な柔軟性を持たせることが可能になることを示唆している。
【0071】
さらに、注目されるように、脱ブロッキング温度は特には高くない。この側面は、エネルギー消費の最適化およびプロセス生産性の向上という観点で特に重要である。
【0072】
他のイソシアネート製品をオキシム(i)、(ii)、(iii)でブロックすることによって、上述の試験を繰り返した。イソシアネート製品は以下の通りである:
- Desmodur(登録商標)eco N 7300(Covestro AG製):1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI;トリマー)
- Bayhydur(登録商標)eco 701-90(Covestro AG製):生物由来の1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)。
【0073】
得られたブロックされたイソシアネートについて前記DSC試験を実施して、その脱ブロッキング温度を決定した。
【0074】
結果を以下の表3に示した。
【0075】
【0076】
得られたすべての生成物において、色調は白色であった。試験したすべてのオキシムと両方のイソシアネートとの反応性は高い。
【0077】
得られた結果は、最初の一連の試験と一致している。
【0078】
生物由来のPDIについて実施した試験から、脱ブロッキング温度が比較的低いことが明らかになり、エネルギー消費の最適化およびプロセス生産性の向上という観点で重要な結果が得られたことに留意すべきである。同じイソシアネートでも、オキシムブロッキング剤の鎖長を長くすることで、より低い脱ブロッキング温度が実現される。
【0079】
ブロックされたポリイソシアネートの水性組成物の取得。
一般的な調製手順は、撹拌下、ポリイソシアネートをメトキシポリエチレングリコールと約80℃で反応させることにある。添加剤のメトキシポリエチレングリコールは、その後生成物を水に分散させるのに必須である。得られた生成物は、約70℃の温度での撹拌下、ブロッキング剤で部分的にブロックされる。残りの遊離NCO基を、約70℃で二官能性化合物ジグリコールおよび/またはジアミンと反応させて、その分子量を増加させる。次いで、反応混合物を50℃に冷却し、次いで、撹拌下で約40%の濃度になるまで水を添加する。
【0080】
イオン性または非イオン性のブロックされたイソシアネートの水性懸濁液または分散液である組成物を作製する方法を以下に報告する。ブロッキング剤として以下のものを使用した:
(i)2-ペンタノンオキシム;または
(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム;または
(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム;
(iv)(i)~(iii)の混合物
【0081】
実施例1
ブロッキング剤(i)2-ペンタノンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気中、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.43g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0082】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0083】
次いで、それを70℃に冷却して、混合物を70℃~75℃に含まれる温度範囲に保ちながら、31.4g(0.310当量)の2-ペンタノンオキシムを20分で滴下添加する。15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.4%の値が得られるまで、進行を滴定で確認する。
【0084】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。次いで、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら252.6gの脱塩水を添加する。
【0085】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は38.2重量%である。
【0086】
実施例2
ブロッキング剤(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.43g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0087】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0088】
次いで、それを70℃に冷却して、70℃~75℃に含まれる温度範囲において35.7g(0.310当量)の4-メチルペンタン-2-オンオキシムを20分で滴下添加する。15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.4%の値が得られたことを滴定で確認する。
【0089】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。次いで、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら259.1gの脱塩水を添加する。
【0090】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は37.7重量%である。
【0091】
実施例3
ブロッキング剤(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.43g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0092】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0093】
次いで、それを70℃に冷却して、70℃~75℃に含まれる温度範囲において44.4g(0.310当量)の5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを20分で滴下添加する。15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.4%の値が得られたことを滴定で確認する。
【0094】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。次いで、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら脱塩水272.1gを添加する。
【0095】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は37.7重量%である。
【0096】
実施例4
オキシム(i)~(iii)のブロッキング剤混合物(iv)
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.43g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0097】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0098】
次いで、それを70℃に冷却して、70℃~75℃に含まれる温度範囲において以下のものを30分で滴下添加する:
- 10.47g(0.103当量)の2-ペンタノンオキシム、続いて、
- 11.93g(0.104当量)の4-メチルペンタン-2-オンオキシム、最後に、
- 14.84g(0.104当量)の5-メチル-3-ヘプタノンオキシム。
【0099】
種々のオキシムの添加が、示した順序とは異なる順序で行うこともできることを明記しておく。
【0100】
15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.4%の値が得られたことを滴定で確認する。
【0101】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。続いて、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら261.4gの脱塩水を添加する。
【0102】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は39.6重量%である。
【0103】
比較例5
MEKOブロッキング剤(US2006167204参照)
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 70.0g(0.22013当量)の、NCO含有量が13.2重量%、75重量%のPolurgreen AD 01;
- 12.5gの酢酸エチル;
- 29.717g(0.03962当量)の、予め溶融したポリエチレングリコールMW1500。
【0104】
反応温度を70℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を判定して6.7重量%の値が得られるまで、70℃~75℃に含まれる範囲で約2時間維持する。
【0105】
続いて、反応温度が70℃を超えないように注意しながら、15.34g(0.1761当量)のMEKOを約1時間かけて滴下する。
【0106】
1時間の反応後、FTIR分析により、プレポリマーが最後の微量(0.145%)のNCO基を有することを確認し、約60℃で、0.392g(0.02当量)のジメチルエタノールアミンを添加する。
【0107】
1時間の反応後、NCO基の消失をFTIR分析で確認し、約50℃で、150.86gの脱塩水と0.604gの70%メタンスルホン酸とで形成された混合物を水に添加する。有機溶媒(酢酸エチル)を真空下で留去する。
【0108】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は40.5重量%である。
【0109】
実施例6
ブロッキング剤(i)2-ペンタノンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 70.0g(0.22013当量)のPolurgreen AD 01;
- 12.5gの酢酸エチル;
- 29.71g(0.03962当量)の、予め溶融したポリエチレングリコールMW1500。
【0110】
反応温度を70℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を判定して6.7重量%の値が得られるまで、70℃~75℃に含まれる範囲で約2時間維持する。
【0111】
続いて、反応温度が70℃を超えないように注意しながら、17.81g(0.1761当量)の2-ペンタノンオキシムを約1時間かけて滴下する。
【0112】
1時間の反応後、FTIR分析により、プレポリマーが最後の微量(0.142%)のNCO基を有することを確認し、約60℃で、0.392g(0.02当量)のジメチルエタノールアミンを添加する。
【0113】
1時間の反応後、NCO基の消失をFTIR分析で確認し、約50℃で、163.85gの脱塩水と0.604gの70%メタンスルホン酸とで形成された混合物を水に添加する。有機溶媒(酢酸エチル)を真空下で留去する。
【0114】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は40.3重量%である。
【0115】
実施例7
ブロッキング剤(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 70.0g(0.22013当量)のPolurgreen AD 01;
- 12.5gの酢酸エチル;
- 29.71g(0.03962当量)の、予め溶融したポリエチレングリコールMW1500。
【0116】
反応温度を70℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を判定して6.7重量%の値が得られるまで、70℃~75℃に含まれる範囲で約2時間維持する。
【0117】
続いて、反応温度が70℃を超えないように注意しながら、20.28g(0.1761当量)の4-メチルペンタン-2-オンオキシムを約1時間かけて滴下する。
【0118】
1時間の反応後、FTIR分析により、プレポリマーが最後の微量(0.139%)のNCO基を有することを確認し、約60℃で、0.392g(0.02当量)のジメチルエタノールアミンを添加する。
【0119】
1時間の反応後、NCO基の消失をFTIR分析で確認し、約50℃で、167.87gの脱塩水と0.604gの70%メタンスルホン酸とで形成された混合物を水に添加する。有機溶媒(酢酸エチル)を真空下で留去する。
【0120】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は40.4重量%である。
【0121】
実施例8
ブロッキング剤(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシム
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 70.0g(0.22013当量)のPolurgreen AD 01;
- 12.5gの酢酸エチル;
- 29.71g(0.03962当量)の、予め溶融したポリエチレングリコールMW1500。
【0122】
反応温度を70℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を判定して6.7重量%の値が得られるまで、70℃~75℃に含まれる範囲で約2時間維持する。
【0123】
続いて、反応温度が70℃を超えないように注意しながら、25.22g(0.1761当量)の5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを約1時間かけて滴下する。
【0124】
1時間の反応後、FTIR分析により、プレポリマーが最後の微量(0.139%)のNCO基を有することを確認し、約60℃で、0.392g(0.02当量)のジメチルエタノールアミンを添加する。
【0125】
1時間の反応後、NCO基の消失をFTIR分析で確認し、約50℃で、175.94gの脱塩水と0.604gの70%メタンスルホン酸とで形成された混合物を水に添加する。有機溶媒(酢酸エチル)を真空下で留去する。
【0126】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は40.3重量%である。
【0127】
実施例9
ブロッキング剤2-イソプロピル-1H-イミダゾール
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.42g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0128】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0129】
次いで、それを70℃に冷却して、70℃~75℃に含まれる温度範囲において34.1g(0.310当量)の2-イソプロピル-1H-イミダゾールを20分で少しずつ添加する。15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.5%の値が得られたことを滴定で確認する。
【0130】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。次いで、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら256.7gの脱塩水を添加する。
【0131】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は38.5重量%である。
【0132】
実施例10
ブロッキング剤2-エチル-4-メチルイミダゾール
内部温度計、撹拌機、および冷却器を備えたガラス製フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、撹拌しながら、以下のものを投入する:
- 100g(0.518当量)の、NCO含有量が23%のDesmodur(登録商標)Ultra N 3300;
- 19.42g(0.026当量)の、予め溶融したメトキシPEG750。
【0133】
反応温度を80℃に上げ、まだ存在している遊離NCO基を滴定で判定して17.4重量%の値が得られるまで、約1時間維持する。
【0134】
次いで、それを70℃に冷却して、70℃~75℃に含まれる温度範囲において34.1g(0.310当量)の2-エチル-4-メチルイミダゾールを20分で少しずつ添加する。15分の反応後、まだ存在している遊離NCO基を判定して5.5%の値が得られたことを滴定で確認する。
【0135】
17.6g(0.182当量)のテトラエチレングリコールを20分で添加して反応を進行させる。1時間の反応後、FTIR分析によりNCO基の消失を確認する。次いで、それを約50℃に冷却して、撹拌しながら256.6gの脱塩水を添加する。
【0136】
安定した乳状の分散液が得られ、固体含有量は38.4重量%である。
【0137】
組成物の安定性試験
本発明の主題の3種のオキシム(i)、(ii)、(iii)を典型的な組成物(実施例1、2、3を参照)で使用し、水中においてそれぞれの生成物を試験して、現在市販されている製品と比較してその性能を評価した。
【0138】
以下の名前の4種の試験を実施した:
- 実施例20A:(i)2-ペンタノンオキシムを含む組成物;
- 実施例21A:(ii)4-メチルペンタン-2-オンオキシムを含む組成物;
- 実施例22A:(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを含む組成物;
- 実施例31A:オキシム(i)~(iii)の混合物を含む組成物。
【0139】
水安定性を評価するために、Turbiscan Tower装置を使用して、安定性研究を実施した。このような装置は、濃縮分散媒体における不安定化機構を分析し、したがって、ストレス無負荷の実際の生成物についての加速経年劣化試験を提供するように構成されている。
【0140】
実験条件を以下の表4に示す。
【0141】
【0142】
【0143】
調製した4種の配合品はすべて、沈降を示さなかったため、安定であった。
図5、
図6、
図7、
図8に報告する後方散乱変化率ΔBS(%)対試料高さ(mm)のグラフは、0に近い傾きの直線を示している。
図10の40℃におけるTSI(不安定化の程度)対時間は、4日間の分析期間全体にわたって、4種の試験すべてで2未満である。
【0144】
図10は、40℃における後方散乱変化率ΔBS(%)対時間を示す。4種の試料すべてにおいてΔBS(%)は1%未満であり、4種の生成物が安定していることが確認される。視覚的には、実施例31Aの試料は、他の3種の試料よりも半透明であり、粒子がより細かい。後方散乱変化率%の正の傾きは、結晶が微細に分散し、かつ溶液の均質性が向上したために、光の反射が良くなったことに起因すると考えられる。
【0145】
布帛の性能評価
布帛への塗布試験
塩基+イソシアネート組成物は、良好な収率を有し、参照組成物(比較例5の、MEKOでブロックされたイソシアネート)と同等であり、時には優れている。
【0146】
以下に示すパーセンテージは、別段の指定がない限り、配合品の総重量に対する個々の成分の重量パーセンテージである。
【0147】
布帛をフーラードで処理する方法(パディング法)
処理および処理された布帛の評価は、以下の3つのステップを含む:
1.保護剤溶液の調製
2.基材の処理
3.AATCC試験による性能評価
【0148】
1.保護剤溶液の調製
パディング法に使用される湿潤溶液は、架橋剤と組み合わせたテキスタイル保護剤溶液を希釈することによって得られる。2成分間の混合物は、通常、保護剤と架橋剤とをそれぞれ90:10~80:20に含まれる割合で有する。処理前に蒸留水で希釈して、30g/L~100g/Lの間に含まれる濃度にする。処理される布帛または皮、および塗布される保護剤の種類に応じて、より希釈された溶液またはあまり希釈されていない溶液が使用される(例えば、綿には、ポリエステルまたはポリアミドと比較して、より高い重量が使用され;さらなる例として、フッ素化製品には、非フッ素化製品と比較して、より低い重量が必要とされる)。
【0149】
2.基材の処理
(I)基材(皮または布帛、例えば、綿、ポリエステル、ポリアミドなど)を約60cm×20cmの寸法に切断する;
(II)乾燥した基材を分析用天秤で秤量する;
(III)フーラード機(
図11;モデルFL500、製造元Off.Electromechanical Gavazzi)の電源を入れ、ローラー圧力を3bar、回転速度を0.60cm/分に設定する;
(IV)保護剤を含有する湿潤溶液用の槽をフーラード機の前部に取り付け、湿潤溶液(0.5リットルから1リットルに含まれる体積)を挿入する;
(V)基材を湿潤溶液の槽に浸漬した後、フーラード機のローラーを始動させ、基材をローラー間に挿入する;
(VI)第2のステップでは、基材をローラーからスライドさせ、それを取り出し、2つのローラーの間に再び導入する(基材を湿潤溶液の入った槽に通さないようにする);
(VII)以下の式に従って、基材に残存する湿潤溶液の量(基材の捕捉率)を評価できるように、濡れた基材を秤量する:
捕捉率=((最終基材重量-初期基材重量)/初期基材重量)*100
(VIII)基材を120℃のオーブンに1.5分間挿入することによって乾燥ステップを実行する;
(IX)基材を150℃のオーブンに3分間挿入することによって架橋ステップ(硬化)を実行する;
(X)乾燥した基材を取り出し、評価試験を実施する。
【0150】
3.AATCC試験による性能評価
処理済み基材の収量を評価するために通常実行される試験は、以下の通りである。
【0151】
A.AATCC22:スプレー試験
漏斗の下に処理済み基材を45°傾けて置き、漏斗から250mlの脱イオン水を注ぐ。次いで、処理済み基材の濡れ性およびその耐性を、AATCC22評価法に従って評価する。
【0152】
AATCC22-スプレー試験に従って実施した試験の結果を、以下の表5に概略的に示す。
【0153】
【表5】
材料:綿
ポリアミド
プロセス:塗布法:パディング(P=3bar)
乾燥:120℃/1.5分
架橋:150℃/3分
要求試験:スプレー試験(AATCC22に準拠)
結果:
【0154】
【0155】
【0156】
前述の表5.Aおよび5.Bから、以下の結論を導くことができる。
【0157】
ブロックされたイソシアネートを使用しないで塗布された非フッ素化樹脂製品は、綿でもポリアミドでも洗濯に対する耐性が低いことを示している。写真指標は、綿の場合は4回の洗濯ですでに70/80に低下し、ポリアミドの場合は6回の洗濯で80に低下する。
【0158】
非フッ素化ベースならびにオキシム(i)、(ii)、(iii)およびオキシム混合物(iv)でブロックされたイソシアネートで製造されたすべての新しい製品は、4回の洗濯後、MEKOでブロックされた製品Bと類似の撥水特性を示す。撥水特性は、洗濯回数が多くても一定であり、それによって、本発明の主題の製品が効果的な架橋剤であることが確認される。本発明の主題の製品の有効性は、MEKOでブロックされた標準製品と比べてNCOの含有率が低いにもかかわらず、良好な性能によっても確認される。
【0159】
ブロッキング剤として(iii)5-メチル-3-ヘプタノンオキシムを使用し、より低い温度(乾燥100℃および架橋120℃)で実施したさらなる試験は、MEKOでブロックされたイソシアネートを含む配合品と比較して、わずかに高い撥水特性(スプレー試験)を示す。この点に関しては、以下の表6を参照されたい。ここで、製品Cはフッ素化樹脂である(この点に関しては実施例11を参照)。
【0160】
【表6】
材料:綿
ポリアミド
ポリエステル
プロセス:塗布法:パディング(P=3bar)
乾燥:100℃/1.5分
架橋:120℃/3分
試験:スプレー試験(AATCC22)
結果:
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
ブロッキング剤として2-イソプロピル-1H-イミダゾール実施例9および2-エチル-4-メチルイミダゾール実施例10を使用しても、安定性および撥水性に関して類似の結果が得られた。
【0165】
B.AATCC118:撥油性
異なる表面張力を有する油の滴を、処理済み基材に塗布する。30秒後に油滴を取り除き、処理済み面による油滴の吸収を評価する。撥油グレードは、30秒以内に完全には吸収されなかったものを、試験したグレードのうち最も高いものとして特定する。以下の表7は、塗布した油グレードを示す:
【0166】
【0167】
実施した試験を表8に報告した。
【0168】
【表8】
材料:綿
ポリアミド
ポリエステル
プロセス:塗布法:パディング(P=3bar)
乾燥:120℃/1.5分
架橋:150℃/3分
要求試験:AATCC118(撥油性)
結果:
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
前述の表8.A、8.B、8.Cから、以下の結論を導くことができる。
【0173】
製品C(フッ素化樹脂)と配合させたオキシム(i)~(iii)およびその混合物(iv)でブロックされたイソシアネートで実施した試験は、同じ材料(綿、ポリアミド、ポリエステル)の場合、AATCC法118で評価した特性が類似しており、ブロッキング剤としてMEKOを含有する参照製品である製品Dで得られた特性と同等であることを示している。
【0174】
C.AATCC193:撥水性
異なる割合および異なる表面張力を有する水/イソプロピルアルコール混合液(IPA;イソプロピルアルコール)の滴を、処理済み基材に塗布する。10秒後に液滴を取り除き、処理済み面による液滴の吸収を評価する。撥水グレードは、10秒以内に完全には吸収されなかったものを、試験したグレードのうち最も高いものとして特定する。以下の表9は、使用した水/IPA溶液を示す:
【0175】
【0176】
実施した試験を表10に報告した。
【0177】
【表10】
材料:綿
ポリアミド
ポリエステル
プロセス:塗布法:パディング(P=3bar)
乾燥:120℃/1.5分
架橋:150℃/3分
要求試験:AATCC193(耐水/イソプロピルアルコール性)
結果:
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
前述の表10.A、10.B、10.Cから、以下の結論を導くことができる。
【0182】
製品C(フッ素化樹脂)と配合させたオキシム(i)~(iii)およびその混合物(iv)でブロックされたイソシアネートで実施した試験は、AATCC193法で評価された特性が類似しており、ブロッキング剤としてMEKOを含む参照製品である製品Dで得られた特性と同等であることを示している。
【0183】
実施例11
フッ素化樹脂およびそれらの調製方法。
組成物は、前記オキシム(i)~(iv)または前記一般式(I)のイミダゾール化合物に加えて、いくつかの(メタ)アクリル酸エステルからなるポリアクリレート、ならびに任意選択で、パラフィンワックスおよびポリシロキサンから選択されるさらなる成分を含んでよい。組成物全体は、ポリアクリレートがフッ素化鎖で官能化されている場合、疎水性、または疎水性/疎油性を付与するために、布帛または皮などの基材の処理に適切に使用される。
【0184】
好ましくは、ポリアクリレートは、以下のモノマー単位(a)~(d)の共重合によって得られる:
(a)0.1重量%~90重量%の1種または複数種の以下の一般式のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rf-Rh-OCOC(R5)=CH2
(式中、
- R5は、メチルまたは水素基であり、
- Rfは、炭素原子の数が1~6に含まれ、好ましくは4~6に含まれる直鎖状または分岐状の全フッ素化アルキル基であり、
- Rhは、(CH2)n基であり、ここで、nは1~6に含まれる整数、好ましくは2~4に含まれる整数である)
(b)0.1重量%~80重量%の1種または複数種の一般式(II)のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rz-OCOC(R5)=CH2 (II)
(式中、
- Rzは、1~30個の炭素原子を含む、直鎖状または分岐状のベンジル基またはアルキル基であり、
- R5は、メチルまたは水素基である)
(c)1重量%~20重量%の、少なくとも1個のアクリルまたはメタクリル官能基と、一般式R2-OCOC(R5)=CH2(式中、R2は、(COOH)-(Rh)m-(ここで、RhおよびR5は上記で定義され、mは値0もしくは1と仮定することができる)、またはイタコン酸である)の少なくとも1個のカルボン酸官能基とを有する1種または複数種のモノマー、
(d)0.1重量%~15重量%の、少なくとも1個のビニル官能基を有する1種または複数種のモノマー、
(e)1重量%~20重量%の、以下の一般式の1種または複数種のアクリルまたはメタクリルモノマー、
Ry-OCOC(R5)=CH2
(式中、
- Ryは、R-[Si(CH3)2O]l-Si(CH3)2-(Rh)m-基であり、ここで、lは、2~30に含まれる整数であり、Rは、1~20の炭素原子数を有する直鎖状または分岐状アルキル基であり、Rhおよびmは、上記で定義され、
- R5は、メチルまたは水素基である)
(f)0~15重量%の、以下の一般式の1種または複数種のアクリルまたはメタクリルモノマー
Rz-OCOC(R5)=CH2
(式中、Rzは、-R5-(Rh)m-基であり、ここで、R5は、ヒドロキシルまたはエポキシ基であり、mは、上記で定義されている)。
【0185】
以下、簡潔にするため、「(メタ)アクリレート」または類似の用語は、「アクリレートまたはメタクリレート」を意味するものとする。
【0186】
(メタ)アクリレートポリマーの合成は、以下の2つの異なるステップで行なわれる:
- (メタ)アクリルモノマー、界面活性剤、水、および/または有機溶媒を合わせて得られる混合物の均質化;
- 続いて、先に均質化した混合物の重合。
【0187】
モノマー混合物を、好ましくは溶媒の存在下で、完全に溶融するまで加熱する。混合物を、適切な界面活性剤を含む70℃の熱水中に分散させ、例えばTurraxを使用して激しく撹拌する。後続ステップでは、Manton-Gaulin型ホモジナイザーを使用して、高圧均質化(例えば、400barおよび温度65~75℃)を行う。次いで、得られた混合物に、場合によっては水に溶解または分散させたラジカル開始剤を添加する。重合反応は、モノマーがなくなるまで、60~70℃の温度で数時間行う。
【0188】
有利なことに、本発明の主題であるすべての化合物に関して、脱ブロッキング温度は特には高くない。
【0189】
この側面は、応用上の利点であり、エネルギー消費の最適化およびプロセス生産性の向上という観点で特に重要である。
【0190】
有利なことに、本発明の主題であるすべての化合物に関して、脱ブロッキング温度に違いがあることで、例えばそのような組成物を使用するプロセスの最適化に必要な一連の柔軟性を得ることが可能になる。
【国際調査報告】