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特表2025-503871農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア
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  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図1
  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図2A
  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図2B
  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図3
  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図4
  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図5
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  • 特表-農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】農業に有益な微生物、微生物組成物、およびコンソーシア
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20250130BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20250130BHJP
   A01N 63/23 20200101ALI20250130BHJP
   A01H 3/00 20060101ALI20250130BHJP
   A01C 1/06 20060101ALI20250130BHJP
   A01H 1/00 20060101ALN20250130BHJP
【FI】
C12N1/20 E ZNA
A01P21/00
A01N63/23
A01H3/00
C12N1/20 A
A01C1/06 Z
A01H1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541859
(86)(22)【出願日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 US2023060963
(87)【国際公開番号】W WO2023141549
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】63/301,480
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/311,394
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522489772
【氏名又は名称】バイオコンソーティア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ウィルク,デボラ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ホン
(72)【発明者】
【氏名】アルフォード,ベスティ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,キャロライン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2B051
4B065
4H011
【Fターム(参考)】
2B051AB01
2B051BA09
2B051BB02
2B051BB14
4B065AA20X
4B065AC20
4B065BA22
4B065BD21
4B065CA24
4B065CA48
4H011AB03
4H011BB21
(57)【要約】
本開示は、微生物の新規株、微生物コンソーシアム、およびそれらを含む農業組成物を含む。さらに、本開示は、記載される微生物を利用する方法を教示する。微生物コンソーシアム、およびそれらを含む農業組成物と、を含み、有益な特性を標的植物種に付与する方法において、本開示は、農学的に重要な作物種において望ましい植物形質を増加させる方法を提供する。特定の態様では本開示は農学的に重要な作物種において植物の望ましい形質を増大させる方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成組成物であって、
a.微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスであって、前記微生物細胞が、
i.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
ii.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
iii.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
iv.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
v.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される、微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロス、ならびに
b.植物要素、製剤成分、農業用組成物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの異種組成物、を含み、
前記微生物が、液体製剤中に少なくとも約10^2CFU/mLの濃度で、または非液体製剤中に少なくとも約10^2CFU/グラムで存在する、合成組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの追加の微生物をさらに含む、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項3】
前記植物要素が種子である、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項4】
前記種子が導入遺伝子を含む、請求項3に記載の合成組成物。
【請求項5】
前記植物要素が葉である、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項6】
前記植物要素が根である、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項7】
前記植物要素が植物全体である、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項8】
前記製剤成分が、前記微生物の安定性を改善する化合物、防腐剤、担体、界面活性剤、抗複合体剤(anticomplex agent)、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項9】
前記農業用組成物が、殺真菌剤、殺線虫剤、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項10】
前記合成組成物が、チューブ、ボトル、瓶、アンプル、パッケージ、容器、袋、箱、ビン、封筒、カートン、コンテナ、サイロ、輸送用コンテナ、トラックの荷台、およびケースからなる群から選択される物体内に実質的に閉じ込められている、請求項1に記載の複数の合成組成物。
【請求項11】
前記合成組成物が摂氏0度未満の温度である、請求項9に記載の複数の合成組成物。
【請求項12】
前記植物要素が、トウモロコシ、ダイズ、小麦、綿、キュウリ、トマト、ピーマン、ジャガイモ、イチゴ、オレンジ、レモン、ライム、リンゴ、スナップエンドウ、ズッキーニ、エンドウ、レタス、ブロッコリー、セロリ、カリフラワー、ソルガム、およびキャノーラからなる群から選択される植物から取得される、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項13】
前記農業用組成物が成長培地を含む、請求項1に記載の合成組成物。
【請求項14】
前記成長培地が土壌を含む、請求項13に記載の合成組成物。
【請求項15】
前記複数の合成組成物が、前記合成組成物の各々の間に実質的に等しい間隔で規則的なパターンで前記土壌中に配置される、請求項14に記載の複数の合成組成物。
【請求項16】
合成組成物であって、
a. 複数の細胞の滲出液または培養ブロスであって、前記細胞が、
i.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
ii.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
iii.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
iv.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
v.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される少なくとも一つの微生物を含む、複数の細胞の滲出液または培養ブロス、ならびに
b.植物要素、製剤成分、農業用組成物、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの異種組成物、を含む、合成組成物。
【請求項17】
少なくとも一つの追加の微生物をさらに含む、請求項16に記載の合成組成物。
【請求項18】
植物要素から得られるまたはそれに由来する植物において農学的に重要な形質を調節する方法であって、前記植物要素を、微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスを含む製剤で処理することを含み、前記微生物細胞が、
a.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
b.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
c.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
d.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
e.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される、方法。
【請求項19】
少なくとも一つの追加の微生物をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記農学的に重要な形質が、耐病性、干ばつ耐性、耐暑性、耐寒性、耐塩性、金属耐性、除草剤耐性、化学物質耐性、水利用効率の改善、窒素利用の改善、窒素固定の改善、病虫害耐性、草食動物耐性、病原体耐性、収量の増加、水が制限された条件下での収量の増加、健康増進、樹勢の改善、成長の改善、光合成能力の改善、栄養強化、タンパク質含有量の改変、油含有量の改変、バイオマスの増加、新芽の長さの増加、根の長さの増加、根の構造の改善、種子重量の増加、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、根の長さの増加、さやの数、老化の遅延、緑化、種子タンパク質組成の変化、成熟植物繁殖要素の乾燥重量の増加、成熟植物繁殖要素の新鮮重量の増加、植物当たりの成熟植物繁殖要素の数の増加、クロロフィル含有量の増加、植物当たりのさやの数の増加、植物当たりのさやの長さの増加、植物当たりの種子の数の増加、植物当たりの種子重量の増加、植物当たりのしおれた葉の数の低減、植物当たりのひどくしおれた葉の数の低減、植物当たりのしおれていない葉の数の増加、または植物の外観の改善からなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスが、前記微生物細胞またはそこからの滲出液で処理されていない植物要素に由来する植物と比較して、前記植物要素に由来する植物に利益を提供することが可能な量で存在する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
植物を培養する方法であって、前記植物の植物要素に、微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスを導入することを含み、前記微生物細胞が、
a.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
b.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
c.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
d.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
e.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択され、
前記微生物細胞が、前記植物要素と異種である、方法。
【請求項23】
少なくとも一つの追加の微生物をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記植物要素への前記導入が、畝内処理、土壌潅注処理、および側方施肥処理からなる群から選択される間接的方法によって達成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記植物要素への前記導入が、前記植物要素を前記微生物またはそこからの滲出液の液体製剤でコーティングすることによって達成される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記植物要素への前記導入が、前記植物要素を前記微生物またはその滲出液の実質的に非液体の製剤でコーティングすることによって達成される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記植物要素が種子である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記植物要素が葉である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記植物要素が根である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記植物要素が植物全体である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
収穫された生産物において農学的に重要な形質を調節する方法であって、前記収穫された生産物が得られた生物に、微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスを導入することを含み、前記微生物細胞が、
a.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
b.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
c.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
d.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
e.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される、方法。
【請求項32】
収穫された生産物において農学的に重要な形質を調節する方法であって、前記収穫された生産物に、微生物細胞、そこからの滲出液、またはそこからの培養ブロスを導入することを含み、前記微生物細胞が、
a.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
b.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
c.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
d.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
e.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される、方法。
【請求項33】
少なくとも一つの追加の微生物をさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記収穫された生産物が、果実である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項35】
前記収穫された生産物が、野菜である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項36】
前記収穫された生産物が、種子である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項37】
前記収穫された生産物が、繊維である、請求項31または32に記載の方法。
【請求項38】
微生物の培養物から得られるまたはそれに由来する実質的に無細胞の調製物であって、前記微生物が、
a.配列番号1~14のうちのいずれか一つ以上と少なくとも97%の同一性を共有する16S配列を含む微生物細胞、
b.配列番号15~19からなる群から選択される少なくとも一つの配列と少なくとも97%の同一性を共有するヌクレオチド配列を含む微生物細胞、
c.NRRL B-68090として寄託されているバチルス・チューリンゲンシス株39400から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、
d.バチルス・チューリンゲンシス株42901から得られたまたはそれに由来する微生物細胞、および
e.表1Bに記載される少なくとも一つのゲノム変異を含むバチルス・チューリンゲンシス株、からなる群から選択される、方法。
【請求項39】
請求項38に記載の実質的に無細胞の調製物から調製される精製組成物。
【請求項40】
NRRL寄託番号B-----68090として寄託されたバチルス・チューリンゲンシス、または実質的に類似した形態学的および生理学的特徴、実質的に類似したもしくは実質的に同一の遺伝的特性、子孫、変異体、もしくはそれらの遺伝子編集、改変、もしくは修飾されたバリアントを有する単離された細菌株を含む、請求項18~40のいずれかに記載の組成物のいずれかの方法。
【請求項41】
配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも97%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、単離された細菌株。
【請求項42】
農業用組成物であって、
a)請求項40または41に記載の単離された細菌株、および
b)農業的に許容可能な担体を含み、
前記細菌株が、それが関連する植物において改善された表現型を産生するために有効な量で前記農業用組成物中に存在する、農業用組成物。
【請求項43】
前記農業用組成物が、種子コーティング、葉面噴霧、土壌潅注、浸漬処理、畝内処理、土壌改良、粒剤、広域処理、またはポストハーベスト病害防除処理として製剤化される、請求項42に記載の農業用組成物。
【請求項44】
配列番号1~19から選択される配列と少なくとも90%の同一性を共有するヌクレオチド配列と植物要素を含む微生物細胞であって、前記微生物細胞が、前記植物要素に異種配置される、微生物細胞。
【請求項45】
組成物が、線虫、昆虫、または病原体に有害な効果を与える、請求項42~43のいずれかに記載の組成物。
【請求項46】
前記昆虫が、鞘翅目または鱗翅目である、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記線虫が、根瘤線虫である、請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
請求項1~19のいずれか一つ以上に記載の細菌を含み、前記細菌が、線虫、鞘翅目、および/または鱗翅目に有害な効果を与える、配列番号18~39のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月20日に出願された米国仮特許出願第63/301,480号および2022年2月17日に出願された米国仮特許出願第63/311,394号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、これらすべてが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
配列表の正式なコピーは、2022年12月16日に作成されたファイル名22041-WO-PCT.xml、サイズ52,257バイトのXML形式の配列表として電子的に提出され、明細書と同時に提出される。このXML形式の文書に含まれる配列表は、本明細書の一部であり、参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、概して、生物学の分野に関し、特に、植物の改良のための微生物および微生物組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
国連世界食糧計画によると、世界には9億人近い栄養失調の人々がいる。栄養失調の蔓延は世界の発展途上国で特に顕著であり、六人に一人の子供が体重不足である。入手可能な食料の不足は、多くの社会経済的要因に起因し得る。しかしながら、最終的な原因が何であれ、2050年までに90億人に達すると予想される、増大しつつある世界人口に対応する食料が不足しているという事実に変わりはない。国連は、2050年に予測される世界人口を養うためには、農業収量を70~100%増加させなければならないと推定している。
【0005】
これらの驚くべき世界人口と栄養不良の数字は、増大する世界人口を維持するための農業効率と生産性の重要性を強調している。現代の連作農業が達成した技術的進歩は、かつてないほどの作物収量をもたらし、目覚ましいものがある。しかしながら、遺伝子組み換え作物や新規の殺虫・除草化合物などの技術的革新による進歩にもかかわらず、指数関数的に増加する世界人口の需要を満たすために、作物の出来高向上が求められる。
【0006】
科学者たちは、世界の農業の「収量格差」(最もよく観察された収量と他の場所での結果との差)を埋めることができれば、世界的な作物生産は45~70%増加すると推定している。つまり、世界のどこであっても、すべての農業従事者がそれぞれの地域で期待される最高の収穫量を達成することができれば、世界の食料生産の不足の大部分に対処することができる。しかし、世界中の異なる土地でいかに高い収量を達成するかという問題は困難である。
【0007】
多くの場合、収穫量の格差は、不十分な水、標準以下の農法、不十分な肥料、除草剤や殺虫剤の不使用によって説明できる。しかし、水、肥料、除草剤、殺虫剤の使用を世界的に大幅に増やすことは、世界の大部分にとって経済的に実行不可能であるだけでなく、環境にも悪影響を及ぼすであろう。
【0008】
したがって、先進国の大半で利用されている現在の高投入式農業システムを単に大規模化することにより農業生産高の期待に応えることは単に実現不可能である。
【0009】
したがって、作物の収量を増やし、所望の植物種に有益な形質を付与する改良された方法の緊急の必要性が本技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0010】
特に農業において応用できる、単離された生物学的に純粋な微生物が含まれる。本開示の微生物を単離済み、且つ、生物学的に純粋な状態で利用することができ、そればかりか本開示の微生物は農業上許容可能な組成物に製剤される。さらに、開示される微生物のうちの少なくとも二種類を含む農業上有益な微生物コンソーシア、ならびに農業用途における当該コンソーシアの利用方法を提供する。いくつかの態様では、微生物形質の改良および微生物関連植物の改良のために、微生物(個体、コンソーシア、および/またはコミュニティ)のゲノム改変が企図される。
【0011】
本開示は、どのように作物の収量を改善し、それにより世界的な収量ギャップを狭めるかというこの重要な問題を扱い、それと共に植物種に他の有益な形質を付与する方法を提供する。
【0012】
作物の収量の増加および収量の増加に対する本開示が提供する解決法は水消費量の増加または系への合成化学物質投入量の増加に依存していないため、その解決法は地球資源にとって有害ではない。どちらかというと、本開示は望ましい植物に収量の増加を含む有益な特質を付与するために微生物を利用する。
【0013】
したがって、本開示は、農家が重要な作物の収量を増加させることを可能にし、合成除草剤および合成抗病虫害剤の利用増加に依存していない環境的に持続可能な解決法を提供する。
【0014】
実施形態では、本開示は、一つ以上の望ましい植物特性を促進する微生物および微生物コンソーシア(複数の微生物、いくつかの態様では、それが関連する農学形質などの植物の健康または望ましい表現型を改善する複数の微生物)を利用する、効率的で広く適用可能な農業プラットフォームを提供する。
【0015】
本明細書で開示される微生物は、直接的および間接的なメカニズムの両方によって、作物植物などの植物の出来高を改善する。いくつかの態様では、微生物は、植物と共生する。いくつかの態様では、微生物は、植物に利益を与えるか、または植物が改良された特性のために使用することができる化合物(例えば、代謝産物、毒素、タンパク質、リポペプチド、または他の組成物)を産生する。いくつかの態様では、微生物は、栄養素などの一つ以上の組成物の溶解性を改善し、それによって植物に利益をもたらす。いくつかの態様では、微生物は、植物に除草剤または殺虫剤などの外因性物質に対する耐性を付与する。いくつかの態様では、微生物は、昆虫などの植物害虫に有害な組成物を産生する。いくつかの態様では、微生物は窒素を固定し、それによって植物の栄養状態を改善する。上記に列挙された例示的な非限定的態様以外の他の態様も企図される。
【0016】
いくつかの実施形態では、単一の微生物が利用される。いくつかの態様では、単一の微生物は、単離され、精製される。いくつかの態様では、単一の微生物は、分類学上の細菌種である。いくつかの態様では、単一の微生物は、分類学上の細菌種の同定可能な株である。いくつかの態様では、単一の微生物は、分類学上の細菌種の新たに発見された新規の株である。
【0017】
いくつかの態様では、分類学的に同定可能な種であるにしても、または分類学的に同定可能な株であるにしても、その単一の微生物は異なる種または株の一つ以上の他の微生物と混合される。特定の態様では、二つ以上の微生物の組み合わせは、コンソーシア(consortiaまたはconsortium)を形成する。コンソーシア(consortiaまたはconsortium)という用語は、同義的に利用される。
【0018】
特定の態様では、本開示は、望ましい表現型植物形質または遺伝子型植物形質の発生および発現の促進に役立つ、高機能性微生物コンソーシアの開発を提供する。いくつかの実施形態では、本開示のコンソーシアは、個々の微生物が単独で生きているときには自然界で見られない機能特性を有する。すなわち、様々な実施形態では、特定の微生物種を混合してコンソーシアにすることにより、一つずつ見るとそのコンソーシアのどの一つのメンバーも所有していない機能特性を有する微生物の混合物が生じる。
【0019】
いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアが有するこの機能特性は、一つ以上の有益な性質、例えば、成長の増加、収量の増加、栄養素利用の増加(例えば、窒素、リン酸塩など)、窒素利用効率の改善、ストレス耐性の増加、干ばつ耐性の増加、光合成速度の増加、水利用効率の増進、病原体耐性の増加、必ずしも植物収量に影響を及ぼすとはかぎらないが、むしろ植物機能性に対処する植物構造に対する改変などを植物種に付与する能力である。さらに、線虫、昆虫、または他の害虫に対する有害作用を含む、害虫抵抗性および/または耐性の有益な特性も企図される。
【0020】
いくつかの実施形態では、それらの個々の微生物は自然界で存在するときにはこれらの有益な特質を植物に付与する能力を有していない。むしろ、いくつかの実施形態では、人工的にこれらの微生物を混合してコンソーシアにすることによって自然界には存在しない特性および機能特質を有する機能性組成物が開発される。いくつかの実施形態では、コンソーシアは、DNA、RNA、タンパク質、および/または当業者に公知の技術によるそれらの組み合わせを含む遺伝物質の改変を通して、遺伝子編集、改変、または修飾された微生物を含み得る。
【0021】
しかしながら、他の実施形態では、本開示は、所望の植物種に有益な特質を付与することが可能であり、混合してコンソーシアにすることを必要としない単離された、かつ生物学的に純粋な個々の微生物を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、微生物は、殺線虫活性を有するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の株である。いくつかの態様では、株はさらに、鞘翅目および/または鱗翅目などの他の害虫に対して活性のある毒素を含む。いくつかの態様では、株は、多数の害虫に対する活性を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、バチルス・チューリンゲンシス株は、本明細書において株39400として与えられ、これは、ブタペスト条約に従って、2022年1月26日に寄託されたNRRL B-68090として寄託される。
【0024】
いくつかの実施形態では、バチルス・チューリンゲンシス株は、本明細書では株42901として与えられる。
【0025】
本明細書に開示されるいずれの株も、微生物コンソーシアを形成し得る一つ以上の追加的な微生物とさらに混合され得る。微生物コンソーシアは、一つ以上の個々の微生物の混合物であり、ある特定の実施形態では、微生物コンソーシアは、二つの微生物、または三つの微生物、または四つの微生物、または五つの微生物、または六つの微生物、または七つの微生物、または八つの微生物、または九つの微生物、または10の微生物、または10より多くの微生物を含む。
【0026】
本開示の別の目的は、単離された微生物および微生物コンソーシアの植物成長促進剤としての使用に関する。他の態様では、それらの単離された微生物および微生物コンソーシアは成長調節剤として機能し、それらは、例えば、正常な老化を乱してバイオマスの増加を引き起こすことができる。
【0027】
本開示のさらに別の目的は、単離された微生物および微生物コンソーシアの土壌健全性向上剤および植物健全性向上剤としての使用に関する。他の態様では、単離された微生物および微生物コンソーシアは、バイオスティミュラントとして機能する。
【0028】
本開示のさらなる目的は、単離された微生物および微生物コンソーシアの殺虫剤としての使用に関する。他の態様では、単離された微生物および微生物コンソーシアは、バイオ殺菌剤として機能する。他の態様では、単離された微生物および微生物コンソーシアは、バイオ殺線虫剤として機能する。
【0029】
本開示の別の目的は、多次元的な活動を同じように行うことができる微生物コンソーシアを設計することである。ある特定の態様では、そのコンソーシアを構成する微生物は相乗的に作用する。態様では、ある特定の植物の特性に対してその微生物コンソーシアが有する効果は、そのコンソーシアのいずれか一つの特定の微生物メンバーが単独で利用された場合に観察される効果よりも大きい。すなわち、いくつかの態様では、そのコンソーシアのいずれかの特定のメンバーが単独で利用された場合に見られる効果と比べると、そのコンソーシアは効果の合計よりも大きい効果を所望の植物の特性に対して示す。
【0030】
いくつかの態様では、コンソーシアは、例えば、一次コロニー形成者や将来のマイクロバイオーム発達の軌道を描く創始集団として機能することなどにより、他の植物微生物間相互作用を確立する。
【0031】
実施形態では、本開示は、微生物単離物の相乗的組み合わせ(または混合物)を対象とする。
【0032】
いくつかの態様では、本明細書に教示されるコンソーシアは、穀物、果実、および花の収量の改善、植物部位の成長の改善、栄養素(例えば、窒素、リン酸塩、および同等物)を利用する能力の改善、病気に対する抵抗性の改善、真菌、昆虫、および線虫に対する抵抗性の改善を含む、バイオ殺虫剤効果、極端な気候における生存能力の向上、ならびに他の所望の植物の表現型特性の改善を含む、広範囲の農業用途を提供する。重要なことは、このような植物に対する利益および/または対象となる害虫および/または病原体に対する有害作用が、環境に何の有害な副作用もなく得られるということである。
【0033】
いくつかの態様では、本開示の個々の微生物または微生物を含むコンソーシアを組み合わせて農業上許容可能な組成物にすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物には、限定されないが、湿潤剤、相溶化剤、消泡剤、洗浄剤、金属イオン封鎖剤、ドリフト低減剤、中和剤、緩衝剤、腐食防止剤、染料、着臭剤、展着剤、浸透助剤、固着剤、結合剤、分散剤、増粘剤、安定化剤、乳化剤、凝固点降下剤、抗菌剤、肥料、殺虫剤、除草剤、不活性担体、重合体等が含まれる。
【0035】
本開示の一実施形態では、微生物(単離された単一の種、もしくは株、コンソーシア、または代謝産物などのその組成物を含む)は、種子コーティングまたは他の適用物の形で種子に提供される。実施形態では、その種子コーティングは裸の未処理の種子に適用され得る。他の実施形態では、種子コーティングは、事前に処理された種子に適用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、単離された細菌株または微生物コンソーシアを種子に適用することを含む、種子を処理する方法を教示する。特定の実施形態では、単離された細菌株または微生物コンソーシアは、農業的に許容可能な担体を含む農業用組成物として適用される。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、土壌潅注、葉面噴霧、浸漬処理、畝内処理、土壌改良、粒剤、広域処理、ポストハーベスト病害防除処理、または種子処理として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、単独で、または他の農産物とのローテーション散布プログラムで適用され得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、タンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、他の農産物とのタンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、地上、空中、および灌漑用途に使用される機器に適合し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、適用された微生物が内部寄生する場合があり、その結果、処理された生育中の植物およびその後代の子孫にそれらの微生物が存在することになる。他の実施形態では、それらの微生物は種子処理剤との共処理として同時に適用される場合がある。
【0037】
本開示の一つの実施形態では、微生物は顆粒、プラグ、または植物培地に投入される土壌潅注の形で提供される。他の実施形態では、微生物は葉面噴霧組成物または葉面液体組成物など、葉面処理の形で提供される。葉面噴霧処理または葉面液体処理は生育中の植物または培地、例えば土壌に対して行われてもよい。
【0038】
他の実施形態では、微生物(単離された単一の種、もしくは株、もしくはコンソーシア、または代謝産物などのその組成物を含む)は、土壌に適用され得る肥料、殺虫剤、または他の改良剤として供給される。いくつかの実施形態では、微生物は、植え付けの前に土壌に適用される肥料、殺虫剤、または他の改良剤として供給される。いくつかの実施形態では、微生物は、植え付けと同時に土壌に適用される肥料、殺虫剤、または他の改良剤として供給される。いくつかの実施形態では、微生物は、植え付け後に土壌に適用される肥料、殺虫剤、または他の改良剤として供給される。
【0039】
本開示の他の実施形態では、微生物(単離された単一の種もしくは株、またはコンソーシアを含む)および/またはその組成物(例えば、代謝産物)は、ポストハーベスト病害防除剤の形態で供給される。
【0040】
実施形態では、本開示の農業用組成物は、とりわけ、(1)溶液、(2)水和剤、(3)粉剤、(4)可溶粉剤、(5)濃縮乳剤または濃縮懸濁液、(6)種子粉衣、(7)錠剤、(8)水分散性顆粒剤、(9)水溶性顆粒剤(徐放性または速放性)、(10)マイクロカプセル化顆粒剤または懸濁剤、(11)灌水用成分、ならびに(12)肥料、殺虫剤、および他の適合性改良剤の成分として、製剤化され得る。特定の態様では、それらの組成物は従来の噴霧処理の前に水性媒体中に希釈されてもよい。本開示の組成物は、土壌、植物、種子、根圏、リゾシース(rhizosheath)、または微生物組成物を適用することが有益である他の領域に適用され得る。
【0041】
本開示のさらに別の目的は、高コロニー形成単位(CFU)の細菌集団またはコンソーシアを提供するように製剤化されている農業用組成物に関する。いくつかの態様では、それらの農業用組成物は適切な有効期間を提供するアジュバントを有する。実施形態では、本教示の農業用組成物のCFU濃度は微生物が自然界で存在するとき、すなわち微生物が本開示の方法の外側で存在するときの濃度よりも高い。別の実施形態では、農業用組成物は、担体1グラム当たり10^2~10^12CFUまたは担体1グラム当たり10^5~10^9CFUの濃度で微生物細胞を含む。一態様では、微生物細胞は、10^5~10^9CFUの濃度で種子コーティングとして種子に直接適用される。他の態様では、微生物細胞は、10^5~10^9CFUの濃度で種子オーバーコーティングとして別の種子コーティングの上に適用される。他の態様では、微生物細胞は、10^5~10^9CFUの速度で別の種子処理剤との共処理として適用される。
【0042】
態様では、本開示は、植物の成長を促進する農業用微生物製剤を対象とする。態様では、本開示は、農業用生物接種剤として製剤化される、本教示の単離された微生物、および同微生物を含むコンソーシアを提供する。教示されるバイオ接種剤は、植物、種子、もしくは土壌に適用されるか、または肥料、殺虫剤、および他の適合性改良剤と組み合わせることができる。単離された微生物を含むバイオ接種剤の製剤の適切な例を参照により本明細書に援用される米国特許第7097830号明細書に見ることができる。
【0043】
開示される微生物製剤は、窒素含有肥料の必要性を低下させ、ミネラルを可溶化し、植物のバイオ殺虫保護を提供し、病原体(例えば、真菌、昆虫、および線虫)から植物を保護し、窒素および/またはリン酸塩などの貴重な栄養素を植物に利用可能にし、したがって、化学殺虫剤および化学肥料を使用する必要性を低減および排除することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された生物学的に純粋な微生物は、所望の植物種に一つ以上の有益な特性または形質を付与する方法において利用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された生物学的に純粋な微生物を含有する農業的に許容可能な組成物は、所望の植物種に一つ以上の有益な特性または形質を付与する方法において利用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、本開示のコンソーシアは、所望の植物種に一つ以上の有益な特性または形質を付与する方法において利用され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、本開示のコンソーシアを含有する農業的に許容可能な組成物は、所望の植物種に一つ以上の有益な特性または形質を付与する方法において利用され得る。
【0048】
いくつかの態様では、本開示の単離された生物学的に純粋な微生物、および/または本開示のコンソーシアは、加速微生物選択プロセス(「AMS」プロセス)に由来する。本開示のいくつかの態様において利用されるAMSプロセスは、例えば、(1)国際公開第2012125050A1号として2012年9月20日に公開された国際特許出願第PCT/NZ2012/000041号、および(2)国際公開第2014046553A1号として2014年3月27日に公開された国際特許出願第PCT/NZ2013/000171号に記載されており、これらのPCT出願の各々は、すべての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
しかしながら、他の実施形態では、本開示の微生物は、加速微生物選択プロセスから誘導されない。いくつかの態様では、本開示の実施形態で利用される微生物は、データベース中に存在する微生物のメンバーの中から選択される。特定の態様では、本開示の実施形態で利用される微生物は、当該微生物の特定の特性に基づいて、データベースに存在する微生物から選択される。
【0050】
本開示は、植物要素または植物部位に通常見られない量の単離された微生物または微生物コンソーシアで植物要素または植物部位をコーティングすることによって、植物要素または植物部位を効果的に増強できることを提供する。
【0051】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、種子の表面を、種子に対して異種であるか、または種子上に存在することがほとんど存在しない、少なくとも一つの単離された微生物を含む、精製微生物集団を含む製剤と接触させることを含む、農業用種子組成物または種子コーティングを調製するための方法である。更なる実施形態は、植物の表面を、植物に対して異種である少なくとも一つの単離された微生物を含む、精製微生物集団を含む製剤と接触させることを含む、農業用植物組成物を調製することを伴う。他の態様では、製剤または微生物は、種子の内部、例えば、子葉または胚などの他の種子組織に導入される。
【0052】
いくつかの態様では、本開示の単離された微生物、微生物コンソーシア、滲出液、代謝産物、および/または農業用組成物を種子または植物に適用することにより、農学的に重要な形質が調節される。農学的に重要性な形質は、例えば、耐病性、干ばつ耐性、耐暑性、耐寒性、耐塩性、金属耐性、除草剤耐性、化学物質耐性、水利用効率の改善、窒素利用の改善、窒素ストレスに対する耐性の改善、窒素固定の改善、栄養素利用の改善(例えば、リン酸塩、カリウムなど)、病虫害耐性、草食動物耐性、病原体耐性、(例えば、病原体生存を損なう代謝産物の排出を介する)病原体レベルの低減、収量の増加、水制限条件下での収量の増加、健康増進、樹勢の改善、成長の改善、光合成能力の改善、栄養強化、タンパク質含有量の改変、油含有量の改変、バイオマスの増加、シュートの長さの増加、根の長さの増加、根構造の改善、種子重量の増加、種子発芽の促進、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、さやの数、老化遅延、緑化、および種子タンパク質組成の変化であり得る。いくつかの態様では、少なくとも2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の農学的に重要な形質が調節される。いくつかの態様では、調節は、前述の農学的形質のうちの一つに対するポジティブな効果である。
【0053】
いくつかの態様では、参照植物に対して、油含有量の変化、タンパク質含有量の変化、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、種子タンパク質組成の変化、化学物質耐性、耐寒性、老化遅延、耐病性、干ばつ耐性、穂重、成長の改善、健康増進、耐暑性、除草剤耐性、草食動物耐性、窒素固定の改善、窒素利用の改善、根の構造の改善、水利用効率の改善、バイオマスの増加、バイオマスの減少、根の長さの増加、根の長さの減少、種子重量の増加、シュートの長さの増加、シュートの長さの減少、収量の増加、水制限条件下での収量の増加、穀粒質量、穀粒含水量、金属耐性、穂の数、穂当たりの穀粒の数、さやの数、栄養強化、病原体耐性、病虫害耐性、光合成能力の改善、耐塩性、緑化、樹勢の改善、成熟種子の乾燥重量の増加、成熟種子の新鮮重量の増加、植物当たりの成熟種子の数の増加、クロロフィル含有量の増加、植物当たりのさやの数の増加、植物当たりのさやの長さの増加、植物当たりのしおれた葉の数の低減、植物当たりのひどくしおれた葉の数の低減、および植物当たりのしおれていない葉の数の増加、代謝産物のレベルの検出可能な調節、転写物のレベルの検出可能な調節、ならびにプロテオームの検出可能な調節などの植物特性を調節または改変するために、本開示の単離された微生物、コンソーシア、および/または農業用組成物を植物に適用することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に教示される農業用製剤は、農業適合性担体、粘着付与剤、微生物安定化剤、殺菌剤、抗菌剤、除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物成長調節剤、殺鼠剤、および栄養剤からなる群から選択される少なくとも一つのメンバーを含む。
【0055】
本明細書に記載される方法は、種子または植物を、微生物の少なくとも100CFUもしくは胞子、少なくとも300CFUもしくは胞子、少なくとも1,000CFUもしくは胞子、少なくとも3,000CFUもしくは胞子、少なくとも10,000CFUもしくは胞子、少なくとも30,000CFUもしくは胞子、少なくとも100,000CFUもしくは胞子、少なくとも300,000CFUもしくは胞子、少なくとも1,000,000CFUもしくは胞子、またはそれ以上と接触させることを含み得る。
【0056】
本明細書に記載される方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される代謝産物を含む組成物と接触させることを含むことができる。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも1mgの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも10mgの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも100mgの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも1gの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも10gの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも100gの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される少なくとも1kgの代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの態様では、方法は、種子または植物を、本明細書に開示される単一の微生物または微生物コンソーシアによって産生される1kgを超える代謝産物を含む組成物と接触させることを含む。
【0057】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、本開示の単離された微生物は、農作植物の標的組織内および/または標的組織上で検出可能であるために有効な量で製剤中に存在する。例えば、微生物は、植物の標的組織内および/または組織上で、少なくとも100CFUもしくは胞子、少なくとも300CFUもしくは胞子、少なくとも1,000CFUもしくは胞子、少なくとも3,000CFUもしくは胞子、少なくとも10,000CFUもしくは胞子、少なくとも30,000CFUもしくは胞子、少なくとも100,000CFUもしくは胞子、少なくとも300,000CFUもしくは胞子、少なくとも1,000,000CFUもしくは胞子、またはそれ以上の量で検出される。代替的に、または追加的に、本開示の微生物は、本開示の製剤が適用されていない参照農作植物と比較すると、そのような製剤がそれに適用された植物のバイオマスおよび/または収量を少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、またはそれ以上増加させるために効果的な量で、製剤中に存在し得る。代替的に、または追加的に、本開示の微生物は、本開示の製剤が適用されていない参照農作植物と比較すると、そのような製剤がそれに適用された植物の目的の農学的形質を少なくとも1%以上、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、またはそれ以上検出可能に調節するために効果的な量で、製剤中に存在し得る。
【0058】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、本開示の微生物またはコンソーシアから単離された一つ以上の代謝産物は、農作植物の標的組織内および/または上で検出可能であるために効果的な量で製剤中に存在する。例えば、代謝産物は、植物の標的組織内および/または上で、少なくとも1mg、少なくとも10mg、少なくとも50mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも400mg、少なくとも600mg、少なくとも800mg、少なくとも1g、またはそれ以上の量で検出される。代替的に、または加えて、本開示の微生物およびコンソーシアから単離された代謝産物は、本開示の製剤が適用されていない参照農作植物と比較すると、そのような製剤がそれに適用された植物のバイオマスおよび/または収量を少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、またはそれ以上増加させるために効果的な量で、製剤中に存在し得る。代替的に、または追加的に、本開示の微生物およびコンソーシアから単離された代謝産物は、本開示の製剤が適用されていない参照農作植物と比較すると、そのような製剤がそれに適用された植物の目的の農学的形質を少なくとも1%以上、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、またはそれ以上検出可能に調節するために効果的な量で、製剤中に存在し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、本明細書に教示される農業用組成物は、常温保存可能である。いくつかの態様では、本明細書に教示される微生物は、凍結乾燥される。いくつかの態様では、本明細書に教示される微生物は、噴霧乾燥される。いくつかの態様では、本明細書に教示される微生物は、液体製剤中に入れられる。いくつかの態様では、本明細書に教示される微生物は、顆粒上に存在する、
【0060】
ボトル、ジャー、アンプル、パッケージ、ベッセル、バッグ、ボックス、ビン、封筒、紙箱、コンテナ、サイロ、運送用コンテナ、トラックの荷台、およびケースからなる群より選択される物体の中に封じ込められている複数の単離微生物も本明細書に記載される。
【0061】
いくつかの態様では、選択された植物種を開示された微生物、すなわち操作的分類単位(OTU)、株、または前述のもののうちのいずれかを含む組成物と組み合わせることにより作物の収量が改善され、それらの作物の産物の生産が改善される。したがって、一態様では、本開示は、第一植物の種子およびその第一植物の種子の表面上にコーティングされている微生物の調製物からなる人造混合物であって、その微生物が未コーティングの基準種子の表面上に存在するよりも高いレベルで種子の表面に存在するような人造混合物を提供する。別の態様では、本開示は、第一植物の一部分およびその第一植物のその部分の表面上にコーティングされている微生物の調製物からなる人造混合物であって、その微生物が未コーティングの基準植物の部分の表面上に存在するよりも高いレベルで第一植物のその部分の表面に存在するような人造混合物を提供する。前述の方法を単独で、または植物育種技術および植物遺伝子導入技術と並行して用いることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、細菌株は、2022年1月26日にNRRL寄託番号B-68090として寄託されたバチルス・チューリンゲンシスであり得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、配列番号1~19の一つ以上の配列と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99%を超える同一性を共有する配列を含む、バチルス・チューリンゲンシスであり得る。いくつかの実施形態では、細菌株は、その本来の環境から単離され、任意で実質的に精製され得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、単離された細菌株は、本開示の単離された細菌株と実質的に類似する形態学的および生理学的特性を有する。いくつかの実施形態では、単離された細菌株は、本開示の単離された細菌株と実質的に類似する遺伝的特性を有する。いくつかの実施形態では、単離された細菌株は、本開示の単離された細菌株の自然発生または人工の変異体である。いくつかの実施形態では、単離された細菌株は、遺伝子編集、改変、または修飾された細菌株である。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株は、実質的に純粋な培養物中にある。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株は、純粋な培養物中にある。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株は、細胞画分、抽出物、または上清中にある。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株の子孫および/または変異体が企図される。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株の子孫、変異体、および/または遺伝子改変されたバージョンが企図される。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株は、配列番号1~19のうちのいずれかと少なくとも95%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株の無細胞もしくは不活性化調製物、または前述の単離された細菌株の変異体が企図される。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株の無細胞もしくは不活性化調製物、または前述の単離された細菌株の変異体、または遺伝子編集、改変、若しくは修飾されたバリアントが企図される。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株によって産生される代謝産物、または前述の単離された細菌株の変異体が企図される。いくつかの実施形態では、本開示の単離された細菌株によって産生される代謝産物、または前述の単離された細菌株の変異体もしくは遺伝子修飾されたバリアントが企図される。
【0066】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は、単離された細菌株と、農業的に許容可能な担体とを含む。単離された細菌株は、1グラム当たり1×10^2~1×10^12CFUで組成物中に存在し得る。農業用組成物は、種子コーティングとして製剤化され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、植物種に少なくとも一つの有益な形質を付与する方法は、単離された細菌株を、植物または前述の植物が位置する成長培地に適用することを含む。いくつかの実施形態では、植物種に少なくとも一つの有益な形質を付与する方法は、本開示の農業用組成物を、植物または植物が位置する成長培地に適用することを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも一つの有益な形質を有する植物を栽培する方法を教示する。いくつかの実施形態では、方法は、単離された細菌株または微生物コンソーシアを植物の種子に適用することと、種を播種、または植え付けることと、植物を栽培することと、を含む。特定の実施形態では、単離された細菌株または微生物コンソーシアは、農業的に許容可能な担体を更に含む農業用組成物として適用される。
【0069】
いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアは、本開示の微生物コンソーシアと実質的に類似する形態学的および生理学的特性を有する。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシア、本開示の微生物コンソーシアと実質的に類似する遺伝的特性を有する。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアは、実質的に純粋な培養物中にある。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアの任意の微生物の後代が企図される。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアの任意の微生物の変異体が企図される。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアの任意の微生物の遺伝子編集、改変、または修飾されたバリアントが企図される。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアの無細胞もしくは不活性化調製物、または微生物コンソーシア内の任意の微生物の変異体、または遺伝子編集、改変、若しくは修飾されたバリアントが企図される。いくつかの実施形態では、微生物コンソーシアによって産生される代謝産物、または微生物コンソーシア内の任意の微生物の変異体、または遺伝子編集、改変、もしくは修飾されたバリアントが企図される。
【0070】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は、微生物コンソーシアと、農業的に許容可能な担体とを含む。農業用組成物の微生物コンソーシアは、1グラム当たり1×10^3~1×10^12の細菌細胞で組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、種子コーティングとして製剤化される。いくつかの実施形態では、植物種に少なくとも一つの有益な形質を付与する方法は、微生物コンソーシアを、植物または当該植物が位置する成長培地に適用することを含む。いくつかの実施形態では、植物種に少なくとも一つの有益な形質を付与する方法は、農業用組成物を、植物または当該植物が位置する成長培地に適用することを含む。
【0071】
方法のいずれかにおいて、微生物は、表1Aから選択される細菌の16S rRNA核酸配列と少なくとも97%の配列同一性を有する、16S rRNA核酸配列を含むことができる。
【0072】
本開示は、本明細書の一部を形成する、以下の詳細な説明ならびに添付図面および配列表から、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、バチルス・チューリンゲンシス株39400の染色顕微鏡画像を示す。暗い点は結晶化されたタンパク質、明るい点は胞子を示す。
【0074】
図2A図2Aは、農作物における線虫研究のモデル生物である線虫(C.elegans)のライフサイクルの図である。
【0075】
図2B図2Bは、対照(微生物処理なし)と比較した、株39400を用いたバイオアッセイ処理における、C.elegans線虫の経時的な低減を示す。
【0076】
図3図3は、株39400が、根瘤線虫の孵化卵数を対照と比較して減少させ、試験した別の株と同程度であったことを示す。
【0077】
図4図4Aおよび図4Bは、Spodoptera lituraのサイズ(図4A)および生存(図4B)の両方に対するBt株39400の希釈の効果を示す。
【0078】
図5図5は、株39400が、ブッシェル/エーカーで測定して、小麦の収量において15%以上の改善が見られたことを示す。
【0079】
図6図6は、株39400が、種子処理として適用された場合、線虫圧力下でのトウモロコシの生育が3%以上増加したことを示す。
【0080】
図7図7は、株39400が、畝内処理として適用された場合、線虫圧力下でのトウモロコシの生育が2%以上増加したことを示す。
【0081】
図8図8は、市販の生物学的対照剤(右のバー)と比較して、希釈アッセイ(左のバー)においてS.lituraに対する活性が向上していることから示されるように、菌株39400が鞘翅目に対して活性を有することを示す。
【0082】
図9図9は、T.molitorに対する活性の向上(中央のバー)、水対照よりも高い活性(左のバー)、および市販の生物学的対照剤に匹敵する活性(右のバー)により示されるように、菌株39400が鞘翅目に対して活性を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本明細書に添付される配列記述および配列表は、米国特許法施行規則第1.821条および同第1.825条に記載される特許出願におけるヌクレオチドおよびアミノ酸配列の開示を管理する規則に準拠する。本出願において説明される微生物はアメリカ合衆国、61604、イリノイ州、ピオリア、ノースユニバーシティー・ストリート1815番地に位置する国際寄託当局である農業研究局特許培養物コレクション(NRRL)に寄託された。
【0084】
寄託は特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の条項の下で行われた。
【0085】
寄託は、米国特許法施行規則第1.801~1.809条および米国特許審査便覧第2402~2411.05条に記載される基準に従って、かつそれらを満たすために行われる。
【0086】
【表1】
【0087】
以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、以下が、本開示の主題の説明を容易にするために記載される。
【0088】
「a」または「an」という用語は、一つ以上のその実体を指し、すなわち、複数の指示対象を指すことができる。したがって、「a」または「an」、「一つ以上の」、および「少なくとも一つの」という用語は、本明細書では同義的に使用される。加えて、不定冠詞「a」または「an」による「an element(ある要素)」への言及は、文脈上その要素が唯一であることが明確に要求されない限り、複数の要素が存在する可能性を排除しない。
【0089】
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」または「微生物(microbe)」という用語は、広義に解釈されるべきである。これらの用語は互換的に使用され、二つの原核生物領域、細菌と古細菌、および真核菌類と原生生物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示は、表1~2の「微生物」、または本開示に存在する様々な他の表もしくは段落の「微生物」を指す。この特徴付けは、表の同定された分類学上の細菌属だけではなく、同定された分類学上の細菌種、および当該表の様々な新規かつ新たに同定された細菌株を指すことができる。
【0090】
本明細書で使用される場合、「微生物(microbe)」または「微生物(microorganism)」という用語は、古細菌、細菌、微細藻類、真菌(カビおよび酵母種を含む)、マイコプラズマ、微胞子、ナノ細菌、卵菌、および原虫を含むが、これらに限定されない、任意の微生物種または分類群を指す。いくつかの実施形態では、微生物(microbeまたはmicroorganism)は、個々の細胞(例えば、単細胞微生物)または複数の細胞(例えば、多細胞微生物)を包含する。したがって、「微生物の集団」とは、共通の遺伝的由来を共有する、単一の微生物の複数の細胞を指し得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「細菌(bacterium)または「細菌(bacteria)」という用語は、一般的に任意の原核生物を指し、真正細菌界(細菌)、古細菌界(古細菌)、または両方のいずれかの生物を指し得る。場合によっては、細菌属または他の分類学的分類は、様々な理由(限定されるものではないが、進化しつつある全ゲノム配列決定の分野など)により再指定されており、そのような命名法の再指定は、任意の主張された分類法の範囲内であることが理解される。例えば、Erwinia属のある特定の種は、Pantoea属に属するものとして文献に記載されている(Zhang,Y.,Qiu,S.Examining phylogenetic relationships of Erwinia and Pantoea species using whole genome sequence data.Antonie van Leeuwenhoek 108,1037-1046(2015).)。
【0092】
「16S」という用語は、細菌の16SリボソームRNA(rRNA)配列のDNA配列を指す。16S rRNA遺伝子配列決定は、細菌の系統発生および分類法を研究するための確立された方法である。本明細書で使用される場合、「真菌(fungusまたはfungi)」という用語は、一般的に真菌界からの任意の生物を指す。真菌の歴史的な分類学的分類は、形態学的提示によるものである。1800年代半ばに始まって、いくつかの真菌は多形性生活環を有し、異なる命名指定が同一の真菌の異なる形態に使用されていることが認識された。1981年に、Sydney Congress of the International Mycological Associationは、anamorph、teleomorph、またはholomorphとして、それらの状態に従って真菌を命名するための規則を制定した(Taylor,J.W.One Fungus = One Name:DNA and fungal nomenclature twenty years after PCR.IMA Fungus 2,113-120(2011).)。ゲノム配列決定の開発に伴い、分子系統学に基づく分類学的分類は、形態学に基づく命名法に整合しないことが明白になった(Shenoy,B.D.,Jeewon,R.and Hyde,K.D.(2007).Impact of DNA sequence-data on the taxonomy of anamorphic fungi.Fungal Diversity 26:1-54.)。結果として、2011年に、International Botanical Congressは、「一つの真菌」=「一つの名称」を指定するという結果を記述した、International Code of Nomenclature for Algae,Fungi,and Plants(Melbourne Code)(2012)を承認する決議を採択した(Hawksworth,D.L.Managing and coping with names of pleomorphic fungi in a period of transition.IMA Fungus 3,15-24(2012))。
【0093】
「内部転写スペーサー」(ITS)という用語は、染色体中の小サブユニットリボソームRNA(rRNA)遺伝子と大サブユニット(LSU)rRNA遺伝子との間に位置するスペーサーDNA(非コードDNA)、またはポリシストロニックrRNA前駆体転写物中の対応する転写領域を指す。ITS遺伝子配列決定は、真菌の系統発生および分類法を研究するための確立された方法である。いくつかの事例では、「大サブユニット」(「LSU」)配列が、真菌を識別するために使用される。LSU遺伝子配列決定は、真菌の系統発生および分類法を研究するための確立された方法である。本発明のいくつかの真菌微生物は、ITS配列によって記述され得、いくつかは、LSU配列によって記述され得る。両方とも、分類法を決定するために等しく記述的かつ正確であると理解される。
【0094】
「微生物コンソーシア(microbial consortia)」または「微生物コンソーシア(microbial consortium)」という用語は個々の微生物種、または種の株からなる微生物群落の一部分を指し、それは共通の機能を実行すると説明される場合があり得、または認識可能なパラメータもしくは植物表現型形質に関係する、またはそのようなものを引き起こす、またはそのようなものと相関すると説明される場合があり得る。群落は、微生物の一つ以上の種、または種の株を含み得る。いくつかの事例では、微生物は、共生的に群落内で共存する。
【0095】
「微生物群落」という用語は、二つ以上の種または株を含む微生物の群を意味する。微生物コンソーシアと異なり微生物群落には共通の機能を実行する必要性が無く、または認識可能なパラメータもしくは植物表現型形質に関係する、またはそのようなものを引き起こす、またはそのようなものと相関する必要性が無い。
【0096】
「高速微生物選別」または「AMS」という用語は「指向性微生物選別」または「DMS」という用語と互換的に使用され、本開示のいくつかの実施形態では、本請求の微生物種または前述の種のコンソーシアを得るために利用される反復選別法を指す。
【0097】
本明細書において使用される場合、「単離する」、「単離された」、「単離微生物」、およびそのような用語は、一つ以上の微生物が特定の環境においてそれが付着している物質(例えば土壌、水、植物組織)のうちの少なくとも一つから分離されていることを意味するものとする。
【0098】
したがって、「単離された微生物」は、その自然発生環境には存在しない。むしろ、本明細書に記載される様々な技術を介して、その微生物はその自然環境から取り出され、非自然発生存在状態に置かれている。したがって、その単離株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、または農業用担体に付着している芽胞(またはその株の他の形態)として存在し得る。
【0099】
本開示のある特定の態様では、単離微生物は単離済みで、かつ、生物学的に純粋な培養物として存在する。特定の微生物の単離済みで、かつ、生物学的に純粋な培養物は、他の生物が前記培養物に(科学的理由で)実質的に含まれておらず、その問題の個々の微生物のみが前記培養物に含まれていることを表していることが当業者によって理解される。培養物は、様々な濃度の当該微生物を含有することができる。本開示は、単離済みで、かつ、生物学的に純粋な微生物は多くの場合で「あまり純粋ではない、または純粋ではない物質と必然的に異なる」ことを指摘する。例えば、(精製プロスタグランジンについて検討している)In re Bergstrom,427 F.2d 1394,(CCPA 1970)を参照されたい。(精製微生物について検討している)In re Bergy,596 F.2d 952(CCPA 1979)も参照されたい。196 F.496(2d Cir.1912)で一部は支持され、一部は差し戻しになった(Learned Handが精製アドレナリンについて検討している)Parke-Davis & Co.v.H.K.Mulford & Co.,189 F.95(S.D.N.Y.1911)も参照されたい。これらの判例の各々は参照により本明細書に援用される。さらに、いくつかの態様では、本開示は、単離済みで、かつ、生物学的に純粋な微生物培養物内で見出されなくてはならない濃度または純度限界のある特定の定量的測定法を規定する。特定の実施形態では、これらの純度値の存在は本開示の微生物を自然状態で存在するそれらの微生物と区別する追加の属性である。例えば、参照により本明細書に援用される(微生物により産生されるビタミンB12の純度限界について検討している)Merck & Co.v.Olin Mathieson Chemical Corp.,253 F.2d 156(4th Cir.1958)を参照されたい。
【0100】
本明細書において使用される場合、「個々の単離物」は、一種類以上の他の微生物からの分離の後に単一の属、種、または株の微生物を圧倒的に含む組成物または培養物を意味すると理解されるべきである。その語句は、その微生物が単離または精製されている程度を表すと理解されるべきではない。しかしながら、「個々の単離物」は実質的に一種類のみの属、種、または株の微生物を含むことができる。
【0101】
本明細書において使用される「成長培地」という用語は、植物の生育を支援するために適切であるあらゆる媒体である。例として、その媒体は、限定されないが、土、鉢植え用培養土、バーク、バーミキュライト、水耕栽培用溶液単体および固形植物支持系に投入された水耕栽培用溶液、および組織培養ゲルを含む天然媒体または人工媒体であり得る。それらの媒体は単独で、または一つ以上の他の媒体と組み合わせて使用してよいことが理解されるべきである。外因性栄養素や根および葉のための物理的支持系を加えて、または加えずにその媒体を使用してもよい。
【0102】
一実施形態では、その成長培地は土、砂、泥、粘土、腐植土、表土、石、または水などの天然媒体である。別の実施形態では、成長培地は、人工である。そのような人工成長培地は、自然発生培地の条件を模倣するように構築され得る。しかしながら、これは必要ではない。人工成長培地は、砂、ミネラル、ガラス、岩石、水、金属、塩、栄養素、水を含む、任意の数および組み合わせの材料のうちの一つ以上から作製されることができる。一実施形態では、成長培地は、無菌である。別の実施形態では、成長培地は、無菌ではない。
【0103】
追加の化合物または成分、例えば、特定のグループの微生物の植物との、および微生物相互との相互作用および/またはそのグループの微生物の選別を支援し得る成分によって前述の培地を修正してよく、またはそのような成分によって前述の培地を強化してよい。例えば、抗生物質(ペニシリンなど)または滅菌剤(例えば、四級アンモニウム塩および酸化剤)が存在してよく、かつ/または物理的条件(塩分、植物栄養物(例えば有機および無機ミネラル(リン、窒素含有塩、アンモニア、カリウム、ならびにコバルトおよびマグネシウムのような微量栄養物など)、pH、および/または温度)を修正してよい。
【0104】
「植物」という用語は、概して、植物全体、植物器官、植物組織、種子、植物細胞、種子、およびその子孫を含む。植物細胞としては、限定されるものではないが、種子、懸濁培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、新芽、配偶体、胞子体、花粉、および小胞子由来の細胞が挙げられる。「植物要素」は、分化および/または未分化組織、例えば、限定されるものではないが、植物組織、部位、および細胞型を含み得る、植物全体または植物成分のいずれかを参照することを意図している。一実施形態では、植物要素は、以下:植物全体、苗、分裂組織、基本組織、維管束組織、皮膚組織、種子、葉、根、シュート、茎、花、果実、走根、球根、塊茎、球茎、ケイキ、シュート、芽、腫瘍組織、ならびに様々な形態の細胞および培養物(例えば、単一細胞、プロトプラスト、胚、カルス組織)のうちの一つである。「植物器官」という用語は、植物の形態学的および機能的に明確に異なる部分を構成する植物組織または組織群を指す。本明細書で使用される場合、「植物部位」は、植物の「一部」と同義であり、植物の任意の部位を指し、明確に異なる組織および/または器官を含むことができ、全体を通して「組織」という用語と同義的に使用され得る。
【0105】
「子孫」は、有性または無性繁殖を介して産出される、生物の任意の後代を含む。
【0106】
本明細書で使用される場合、「植物要素」という用語は、植物細胞、植物プロトプラスト、植物が再生され得る植物細胞組織培養物、植物カルス、植物集塊、ならびに胚、花粉、胚珠、種子、葉、花、枝、果実、穀粒、穂、穂軸、外皮、茎、根、根端、葯、および同等物などの植物または植物の部位において無傷である植物細胞、ならびに植物自体を指す。穀物は、種の成長または繁殖以外の目的のために、商業的栽培者によって生産される成熟種子を意味することを意図している。再生植物の子孫、バリアント、および変異体も、本発明の範囲内に含まれるが、但し、これらの部位が導入されたポリヌクレオチドを含むことを条件とする。
【0107】
同様に、「植物繁殖要素」は、一般的に、植物の有性または無性繁殖のいずれかを介して他の植物を開始することができるその植物の任意の部位、例えば、限定されるものではないが、種子、苗、根、シュート、挿し木、接ぎ穂、移植片、走根、球根、塊茎、球茎、ケイキ、または芽を参照することを意図している。植物要素は、植物中、または植物器官、組織培養物、若しくは細胞培養物中にあり得る。
【0108】
「単子葉植物の」または「単子葉植物」という用語は、その種子が典型的には一つだけの胚葉または子葉を含む、「単子葉類」としても知られている被子植物のサブクラスを指す。本用語は、植物全体、植物要素、植物器官(例えば、葉、茎、根など)、種子、植物細胞、およびその子孫への言及を含む。
【0109】
「双子葉植物の」およは「双子葉植物」という用語は、その種子が典型的には二つの胚葉または子葉を含む、「双子葉類」としても知られている被子植物のサブクラスを指す。本用語は、植物全体、植物要素、植物器官(例えば、葉、茎、根など)、種子、植物細胞、およびその子孫への言及を含む。
【0110】
本明細書において使用される場合、「栽培品種」という用語は園芸技術または農学技術によって作製され、自然集団の中では通常見られない植物の変種、株、または品種を指す。
【0111】
本明細書において使用される場合、「改善された」は植物のある特徴の対照植物と比較した、または問題となっている特徴に付随する公知の平均的な量と比較した改善を包含すると広く理解されるべきである。例えば、本開示の有益な微生物またはコンソーシアの適用に付随する「改善された」植物バイオマスは、本明細書において教示される微生物によって処理された植物のバイオマスを処理されていない対照植物のバイオマスに対して比較することにより実証され得る。あるいは、当業者に知られている科学または農業の刊行物の中で示されているような所与の植物によって通常達成される平均的バイオマスに対して本明細書において教示される微生物によって処理された植物のバイオマスを比較することが可能である。本開示では、「改善」は、データが統計的に有意であること(例えば、p<0.05)を必ずしも要求するわけではない。むしろ、ある値(例えば、平均処理値)が別の値(例えば、平均対照値)とは異なることを実証する任意の定量化可能な差は、「改善」のレベルまで上昇し得る。
【0112】
本明細書において使用される場合、「阻害および抑制すること」およびそのような用語が、いくつかの実施形態においては求められてよいことではあるが、完全な阻害または抑制を要求すると解釈されてはならない。
【0113】
本明細書において使用される場合、「遺伝子型」という用語は個々の細胞、細胞培養物、組織、生物(例えば植物)、または生物群の遺伝的構成を指す。
【0114】
本明細書の組成物および方法は、改善された「農学的形質」または「農学的に重要な特性」もしくは「農学的関心の形質」を植物に提供し得、これには、本明細書の方法または組成物に由来する修飾を含まない同質遺伝子系統植物と比較して、耐病性、干ばつ耐性、耐暑性、耐寒性、耐塩性、金属耐性、除草剤耐性、水利用効率の改善、窒素利用の改善、窒素固定の改善、病虫害耐性、草食動物耐性、病原体耐性、収量の改善、健康増進、樹勢の改善、成長の改善、光合成能力の改善、栄養強化、タンパク質含有量の改変、油含有量の改変、バイオマスの増加、シュートの長さの増加、根の長さの増加、根の構造の改善、代謝産物の調節、プロテオームの調節、種子重量の増加、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、種子タンパク質組成の変化、種子栄養素組成の変化が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0115】
「農学的形質潜在性」は、その生活環中のある時点で、表現型、好ましくは、改善された農学的形質を示すか、または当該表現型を同じ植物でそれが会合される別の植物要素に伝達するための植物要素の能力を意味することを意図している。
【0116】
本明細書で使用される場合、「分子マーカー」、「マーカー」、または「遺伝子マーカー」という用語は、核酸配列の特性の差を可視化するための方法で使用される指標を指す。そのような指標の例は特定の遺伝的位置および染色体上の位置を規定する制限酵素断片長多型(RFLP)マーカー、増幅断片長多型(AFLP)マーカー、単一ヌクレオチド多型(SNP)、挿入突然変異、マイクロサテライトマーカー(SSR)、配列特徴的増幅領域(SCAR)、切断増幅多型配列(CAPS)マーカー、またはアイソザイムマーカー、または本明細書に記載されるマーカーの組合せである。あるアレルの近傍にある分子マーカーのマッピングは分子生物学技術の当業者によって実施され得る技法である。
【0117】
本明細書において使用される場合、「形質」という用語は特徴または表現型を指す。例えば、本開示の幾つかの実施形態の背景では作物の収量はある植物によって生産される市場性のあるバイオマス(例えば、果実、繊維、穀粒)の量に関する。望ましい形質には、限定されないが、水使用効率、栄養物使用効率、収量、機械式収穫の可能性、果実の成熟度、貯蔵期間、病虫害耐性/耐病性、早期植物成熟、ストレス耐性等を含む植物の他の特徴が含まれてもよい。形質は優性遺伝または劣性遺伝されてもよく、または部分的もしくは不完全に優性遺伝されてもよい。形質は単遺伝子性(すなわち単一の座位によって決定される)または多遺伝子性(すなわち複数の座位によって決定される)であってよく、または一つ以上の遺伝子の環境との相互作用から生じてもよい。
【0118】
本明細書において使用される場合、「表現型」という用語は、個体の遺伝的構成(すなわち、遺伝子型)と環境との間の相互作用から生じる個々の細胞、細胞培養物、生物(例えば植物)、または生物群の観察可能な特徴を指す。
【0119】
本明細書において使用される場合、「合成ヌクレオチド配列」または「合成ポリヌクレオチド配列」は自然界に生じることが知られていないヌクレオチド配列、または天然物ではないヌクレオチド配列である。一般的にそのような合成ヌクレオチド配列は他のあらゆる天然ヌクレオチド配列と比較すると少なくとも一か所のヌクレオチドの差を含むことになる。
【0120】
本明細書において使用される場合、「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのどちらか、またはそれらの類似体のあらゆる長さの多量体型のヌクレオチドを指す。この用語はその分子の一次構造を指し、したがって二本鎖DNAおよび一本鎖DNA、ならびに二本鎖RNAおよび一本鎖RNAを含む。その用語にはメチル化および/またはキャップ化核酸、修飾塩基含有核酸、骨格改変含有核酸などのような修飾核酸も含まれる。「核酸」および「ヌクレオチド配列」という用語は互換的に使用される。
【0121】
本明細書において使用される場合、「遺伝子」という用語は生物学的機能と関連するDNAのあらゆる断片を指す。したがって、遺伝子にはコード配列および/またはコード配列の発現に必要な調節配列が含まれるがこれらに限定されない。遺伝子には、例えば、他のタンパク質の認識配列を形成する非発現DNA断片も含まれ得る。遺伝子は、目的の供給源からのクローニング、または既知もしくは予測配列情報からの合成を含む、様々な供給源から取得することができ、所望のパラメータを有するように設計された配列を含み得る。
【0122】
本明細書において使用される場合、「相同の(homologous)」または「相同体(homologue)」、「ホモログ(homolog)」または「オルソログ」という用語は当技術分野において知られており、共通の祖先またはファミリーメンバーを有し、且つ、配列同一性の程度に基づいて決定される関連配列を指す。「相同性(homology)」、「相同(homologous)」、「実質的に類似する(substantially similar)」、「実質的に対応する(corresponding substantially)」という用語は、本明細書では同義的に使用される。それらの用語は、一つ以上のヌクレオチド塩基の変化によって遺伝子発現を媒介する能力またはある特定の表現型を発生させる能力が影響されていない核酸断片を指す。これらの用語は、最初の未修飾断片と比較して、生じた核酸断片の機能特質を実質的に変化さることがない一つ以上のヌクレオチドの欠失または挿入などの本開示の核酸断片の改変も指す。しがたって、当業者が理解するように、本開示は特定の例となる配列以外の配列も包含することが理解される。これらの用語は一つの種、亜種、変種、栽培品種または株に見られる遺伝子と別の種、亜種、変種、栽培品種または株の対応する遺伝子または同等の遺伝子との間の関係を説明する。本開示の目的のためには相同配列が比較される。「相同配列」または「相同体」または「オルソログ」は機能的に関連していると考えらえる、信じられる、または知られている。機能的関係は、限定されないが、(a)配列同一性の程度および/または(b)同一または類似の生物学的機能を含む多数の面のうちのいずれか一つに関して示され得る。(a)と(b)の両方が示されることが好ましい。Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら編、1987年)Supplement 30,section 7.718,Table 7.71において検討されているプログラムのような当技術分野において容易に利用可能なソフトウェアプログラムを使用して相同性を決定することができる。いくつかのアラインメントプログラムはMacVector(Oxford Molecular社、オックスフォード、英国)、ALIGN Plus(Scientific and Educational Software社、ペンシルバニア州)および AlignX(Vector NTI、Invitrogen社、カールスバッド、カリフォルニア州)である。別のアラインメントプログラムはSequencher(Gene Codes社、アナーバー、ミシガン州)であり、初期パラメータを使用する。
【0123】
本明細書において使用される場合、「ヌクレオチド変化」という用語は、当技術分野でよく理解されているように、例えば、ヌクレオチド置換、欠失、挿入、化学改変またはそのうちのいずれかを指す。
【0124】
本明細書において使用される場合、「タンパク質の改変」という用語は当技術分野においてよく理解されているように、例えば、アミノ酸置換、アミノ酸修飾、欠失、および/または挿入を指す。
【0125】
本明細書において使用される場合、ある核酸またはポリペプチドの「少なくとも一部」または「断片」という用語はそのような配列に特徴的な最小限のサイズを有する部分、またはその部分よりも幾らかでも大きい全長分子の断片であって最大でその全長分子を含むそれ以下の断片を意味する。本開示のポリヌクレオチドの断片は、遺伝子調節因子の生物学的に活性な部分をコードし得る。遺伝的調節性エレメントを含む本開示のポリヌクレオチドのうちの一つの一部を単離し、本明細書に記載されるように活性を評価することによりその遺伝的調節性エレメントの生物学的活性部分を調製することができる。同様に、ポリペプチドの一部は、4アミノ酸、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸などであってよく、最大で全長ポリペプチドまでになる。使用されるその部分の長さは特定の用途によって左右される。ハイブリダイゼーションプローブとして有用な核酸の一部は、12個のヌクレオチドと同等の短さであり得る。いくつかの実施形態では、これは、20個のヌクレオチドである。エピトープとして有用なポリペプチド部分は、4アミノ酸ほどの長さでよい。全長ポリペプチドの機能を実行するポリペプチド部分は、4アミノ酸よりも長くなることが一般的である。
【0126】
本明細書において使用される「プライマー」という用語は、プライマー伸長産物の合成が誘導される条件下に置かれると、すなわち、ヌクレオチドとDNAポリメラーゼなどの重合用の薬剤および適切な温度とpHの存在下に置かれるとDNAポリメラーゼが取り付くことを可能にし、それによってDNA合成の開始点として役立つ増幅標的にアニーリングすることが可能であるオリゴヌクレオチドを指す。(増幅)プライマーは、増幅の効率を最大にするために一本鎖であることが好ましい。そのプライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドであることが好ましい。そのプライマーは、重合用の薬剤の存在下で伸長産物の合成を開始するために充分に長い必要がある。それらのプライマーの正確な長さは、温度およびプライマーの組成(A/T対G/C含量)をはじめとする多くの因子に左右される。双方向性プライマー対は、PCR増幅におけるプライマーのようにDNA増幅の技術分野で共通して使用されるような一本のフォワードプライマーと一本のリバースプライマーからなる。
【0127】
「ストリンジェンシー」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語はハイブリッドの安定性に影響するハイブリダイゼーション条件、例えば、温度、塩濃度、pH、ホルムアミド濃度などを指す。これらの条件は、プライマーまたはプローブのその標的核酸配列に対する特異的結合を最大化し、かつ、非特異的結合を最小化するように経験的に最適化される。使用されるそれらの用語には、プローブまたはプライマーが他の配列に対するときよりも高い検出の程度で(例えば、バックグラウンドに対して少なくとも2倍を超える)その標的配列にハイブリダイズするときの条件への言及が含まれる。ストリンジェントな条件は配列依存的であり、様々な状況下で異なる。大きな配列ほど、高い温度で特異的にハイブリダイズする。ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度およびpHにおける特定の配列の融点(Tm)よりも約5℃低くなるように選択されることが一般的である。そのTmは、相補性標的配列の50%が完全一致するプローブまたはプライマーにハイブリダイズするときの(規定のイオン強度およびpHの下での)温度である。ストリンジェントな条件は、典型的には、pH7.0~8.3で塩濃度が約1.0M未満のNa+イオン、典型的には約0.01~1.0MのNa+イオンの濃度(または他の塩)であり、且つ、温度が短いプローブまたはプライマー(例えば10~50ヌクレオチド)については少なくとも約30℃であり、(例えば50ヌクレオチドを超える)長いプローブまたはプライマーについては少なくとも約60℃である条件になる。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの脱安定化剤の添加によって達成されてもよい。例となる低ストリンジェント条件または「ストリンジェンシーが低下した条件」には37℃における30%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDSからなる緩衝溶液を用いるハイブリダイゼーションと40℃における2×SSCの中での洗浄が含まれる。例となる高ストリンジェンシー条件には37℃における50%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDSの中でのハイブリダイゼーションと60℃における0.1×SSCの中での洗浄が含まれる。ハイブリダイゼーション法は当技術分野において周知であり、例えば Ausubel et al.,1998および Sambrook et al.,2001によって説明されている。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件は45℃における1mMのNa2EDTA、0.5~20%、例えば0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%または20%のドデシル硫酸ナトリウムを含む0.25MのNa2HPO4緩衝液(pH7.2)の中でのハイブリダイゼーションとそれに続く55℃~65℃における0.1%(重量/体積)のドデシル硫酸ナトリウムを含む5×SSCの中での洗浄である。
【0128】
いくつかの実施形態では、細胞または生物は、少なくとも一つの異種形質を有する。本明細書において使用される場合、「異種性形質」という用語は、外来性分子または他の生物(例えば、微生物)、DNAセグメント、異種性ポリヌクレオチド、または異種性核酸により細胞または生物に付与された表現型を指す。
【0129】
植物における脂肪酸組成の改変、植物のアミノ酸含量の変更、植物の病原体防御機構の変更、経済的に重要な形質(例えば、穀粒収量、糧秣収量等)についての植物の収量の増加などを含むがこれらに限定されない表現型の様々な変化が本開示の関心事である。これらの結果は、本開示の方法および組成物を使用して植物において異種性産物を発現させることにより、または内在性産物の発現を上昇させることにより達成され得る。
【0130】
「人造混合物」は、植物と本開示の微生物の混合物を含み得る。その混合は、例えば、農作植物などの植物の種子の表面、または宿主植物組織(根、茎、葉等)を本開示の微生物でコーティングすることにより達成され得る。さらに、「人造混合物」は、様々な株または種の微生物の混合物を含み得る。人造混合物は、その混合物を自然界で生じるあらゆる混合物から区別する少なくとも一種類の変数を有する。その変数は、特に、自然には生じない種子上または植物組織上での微生物濃度、または自然には生じない微生物と植物の組合せ、または自然には生じない微生物同士または株同士の組合せであってよい。これらの例の各々において、その人造混合物は人為性を示し、かつ、その混合物の個々の要素が単離状態であると考えられるときには存在しない構造的特性および/または機能特性を有する。
【0131】
いくつかの実施形態では、ある微生物が種子または植物にとって「内在性」であり得る。本明細書において使用される場合、微生物が植物または種子に対して「内在性」であるとみなされるのは、その微生物が調達される植物標本に由来する場合である。すなわち、微生物が自然界で前述の植物に関連して見いだされた場合である。植物に内在性微生物を適用する複数の実施形態では、その内在性微生物は自然界でその植物に見られるレベルとは異なる量で適用される。したがって、所与の植物にとって内在性である微生物が自然には生じないレベルでその植物上に存在する場合、その微生物はなおその植物と人造混合物を形成し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、組成物(微生物など)は、別の組成物(種子または植物など)に対して「異種」(「外因性」とも称される)であり得、いくつかの態様では、本明細書では「異種組成物」と称される。本明細書で使用される場合、微生物が、それが調達される植物標本に由来しない場合、微生物は、植物または種子に対して「異種」とみなされる。すなわち、微生物が自然界で前述の植物に関連して見いだされない場合である。例えば、あるトウモロコシ植物の葉組織に通常付着している微生物は前述の微生物を自然界では有していない別のトウモロコシ植物の葉組織にとって外来性であると考えられる。別の実施例では、通常、トウモロコシ植物に通常付着する微生物は、当該微生物を自然に欠く小麦植物に対して外来性とみなされる。
【0133】
組成物が「異種的に配置される」とは、機械的または手作業で、植物要素、苗、植物、植物生育培地、または処理製剤上または処理製剤中に、処理剤を適用する前の自然界では見られない態様で、例えば、処理剤が存在するように、植物要素、苗、植物、植物成長培地、または処理製剤上または処理製剤中に、適用、人工接種、関連付け、または配置される場合である、前述の組み合わせは、その植物品種において、その植物発生段階において、その植物組織において、その存在量において、またはその生育環境(例えば、干ばつ)において、自然界では見出されない。いくつかの実施形態では、そのような様式は、微生物の存在、異なる数の細胞、濃度、または量の微生物の存在、異なる植物要素、組織、細胞タイプ、または植物内もしくは上の他の物理的位置における微生物の存在、異なる期間、例えば、植物または植物要素の発育段階、時刻、季節における微生物の存在、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されることが企図される。いくつかの実施形態では、「異種配置される」とは、微生物が、微生物が自然に見出されるものとは異なる植物要素の組織または細胞型に適用されることを意味する。いくつかの実施形態では、「異種配置される」とは、微生物が、当該微生物が自然には会合されていないが、他の段階で会合され得る、植物要素、苗、または植物の発育段階に適用されることを意味する。例えば、微生物が、通常、植物の開花段階で見出され、他の段階では見出されない場合、苗段階で適用された微生物は、異種配置されるとみなされ得る。いくつかの実施形態では、微生物は、異種配置され、微生物は、通常、植物要素の葉組織ではなく根組織で見出され、微生物は、葉に適用される。別の非限定的実施例では、微生物が、葉組織の葉肉層で自然に見出されるが、上皮層に適用されている場合、微生物は、異種配置されるとみなされるであろう。いくつかの実施形態では、「異種配置される」とは、天然の植物要素、苗、または植物が、その同じ植物要素、苗、または植物に検出可能なレベルの微生物を含まないことを意味する。いくつかの実施形態では、「異種配置される」とは、適用されている微生物が、植物要素、苗、または植物で自然に見出される濃度、数、または量を超える、当該植物要素、苗、または植物の濃度、数、量であることを意味する。例えば、微生物は、当該微生物の配置前に存在していた濃度よりも少なくとも1.5倍高い、1.5~2倍高い、2倍高い、2~3倍高い、3倍高い、3~5倍高い、5倍高い、5~7倍高い、7倍高い、7~10倍高い、10倍高い濃度、またはさらに10倍より多い数、量、もしくは濃度で存在する場合に異種配置される。別の非限定的実施例では、ヒノキ科の木の組織で自然に見出される微生物は、トウモロコシ、小麦、綿、大豆植物の組織に対して異種とみなされるであろう。別の実施例では、トウモロコシ、春小麦、綿、大豆植物の葉組織で自然に見出される微生物は、当該微生物を自然に欠くか、または異なる数量で微生物を含む、別のトウモロコシ、春小麦、綿、大豆植物の葉組織に対して異種とみなされる。
【0134】
微生物はまた、所与の植物組織上に「異種配置」され得る。これは、自然界ではその微生物が見られない植物組織にその微生物を配置することを意味する。例えば、所与の微生物が自然界では所与の植物の根だけに発生する場合、植物の地上組織にその微生物を外因的に適用することができ、それによって前記植物組織にその微生物を「異種配置」させることになる。したがって、微生物は、自然に存在する微生物を有していないか、または適用されている数に存在する微生物を自然に有していないときに、異種配置されるとみなされる。
【0135】
本明細書における組成物および方法によって宿主植物に「調節された」「農学的形質」または「農学的に重要な形質」が提供し得、それらには、限定されないが、次のもの、すなわち前述の種子処理製剤を使用せずに種子から生育された同質遺伝子系統植物と比較した油含量の変化、タンパク質含量の変化、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、および種子タンパク質組成の変化、化学物質耐性、耐寒性、老化の遅延化、耐病性、干ばつ耐性、穂重、成長の改善、健康状態の増進、耐暑性、除草剤耐性、草食動物耐性、改善された窒素固定、窒素利用の改善、根構造の改善、水利用効率の改善、バイオマスの増加、増加した根長、増加した種子重量、増加したシュート長、増加した収量、限定的な水条件下での増加した収量、穀粒質量、穀粒水分含量、金属耐性、穂数、穂当たりの穀粒数、さや数、栄養強化、病原体耐性、病虫害耐性、光合成能力の改善、耐塩性、緑化、樹勢の改善、成熟した種子の乾燥重量の増加、成熟した種子の新鮮重量の増加、植物当たりの増加した成熟種子数、クロロフィル含量、植物当たりの増加したさや数、植物当たりの増加したさや長、植物当たりの減少した、萎れた葉の数、植物当たりの減少した、ひどく萎れた葉の数、および植物当たりの増加した、萎れていない葉の数、代謝物質のレベルの検出可能な変化、転写物のレベルの検出可能な変化、およびプロテオームの検出可能な変化が含まれ得る。「調節された」という用語によって、微生物、滲出液、ブロス、代謝産物などの存在によって変化する、農学的形質の変化を指すことが意図される。態様では、調節は、有益な形質の付与を提供する。
【0136】
微生物(microbe)および微生物(microorganism)
本明細書において使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、広義に解釈されるべきである。これには、原核細菌および古細菌、ならびに真核菌および原生生物が含まれるが、これらに限定されない。
【0137】
例として、前記微生物にはプロテオバクテリア門(シュードモナス属、エンテロバクター属、ステノトロホモナス属、バークホルデリア属、リゾビウム属、ハーバスピリラム属、パントエア属、セラチア属、ラーネラ属、アゾスピリラム属、アゾリゾビウム属、デュガネラ属、デルフチア属、ブラディリゾビウム属、シノリゾビウム属およびハロモナス属など)、フィルミクテス門(バチルス属、パエニバチラス属、ラクトバチラス属、マイコプラズマ属、およびアセトバクテリウム属など)、アクチノバクテリア門(ブレビバクテリウム属、ジャニバクター属、ストレプトマイセス属、ロドコッカス属、ミクロバクテリウム属、クルトバクテリウム属、セルロモナス属、ノカルディオイデス属など)、および真菌の子嚢菌門(トリコデルマ属、アンペロマイセス属、コニオチリウム属、ペコエオマイセス(Paecoelomyces)属、ペニシリウム属、クラドスポリウム属、ヒポクレア属、ビューベリア属、メタリジウム属、バーティシリウム属、コルディセプス属、ピキア属、およびカンジダ属など)、担子菌門(コプリヌス属、コルティシウム属、およびアガリクス属など)および卵菌門(ピチウム属など)、およびムコール菌類(ムコール属、モルティエレラ属など)、ならびにオルビリア/アルツロボトリス属、リシニバチルス属、マイクロバクテリウム属、タラロマイセス属、アルスロバクター属、コサコニア属、マシリア属、ノボスフィンゴビウム属、およびツメバシラス属が含まれ得る。
【0138】
特定の実施形態では、微生物は内生菌または着生菌、または植物根圏もしくはリゾシースに居住する微生物である。すなわち、微生物は植物の根に付着している土壌物質に、または植物の根に直接隣接している領域に存在することが見られることがある。
【0139】
一実施形態では、微生物は、内生菌である。内生菌は、病原生物が宿主植物に感染することを防止することにより宿主植物に利益をもたらすことがある。内生菌が広範囲に植物組織に感染することにより、その領域の内生菌が病原生物を打ち負かし、かつ、病原生物が定着することを防ぐ「バリア効果」が生じる。内生菌が病原生物をはじめとする競合者の成長を阻害する化学物質を生産する場合もある。
【0140】
特定の実施形態では、微生物は培養不可能である。これは、その微生物が培養可能であることが知られていない、または当業者に知られている方法を用いてその微生物を培養することが困難であることを意味すると理解されるべきである。
【0141】
本開示の微生物はあらゆる起源から収集または取得されてよく、またはあらゆる起源から収集された物質の中に含有されていてよく、かつ/またはそのような物質に付着していてよい。
【0142】
一実施形態では、微生物は、その土壌、植物、真菌、動物(無脊椎動物を含む)、ならびに湖および川の堆積物、水、および生物相を含む他の生物相を含む、他の生物相を含む、任意の一般的な陸上環境から、海洋環境、その生物相および堆積物(例えば、海水、海洋泥、海洋植物、海洋無脊椎動物(例えば、海綿動物)、海洋脊椎動物(例えば、魚))から、陸上および海洋地圏(表土および岩石、例えば、砕かれた地下の岩石、砂および粘土)、氷圏およびその雪解け水、大気(例えば、濾過された空中の塵、雲および雨滴)、都市、産業、および他の人工環境(例えば、コンクリート、道路脇の溝、屋根の表面、道路表面上の蓄積された有機物および鉱物)から取得される。
【0143】
別の実施形態では、微生物は適切な微生物の選別に好都合である可能性がある起源から収集される。例として、その起源は、他の植物が生育するのに望ましい特定の環境、またはテロワールと関連していると考えられる特定の環境であってよい。別の実施例では、その起源は一つ以上の望ましい形質を有する植物、例えば特定の環境中で自然に生育する植物、または目的のある特定の条件下で自然に生育する植物であってよい。例として、ある特定の植物は砂地または塩分が高い砂で、または極端な温度で、または水がほとんど無い状態で自然に生育する場合があり、またはある特定の植物はその環境中に存在するある特定の害虫または病気に対して耐性である場合がある。特にそのような条件が例えば特定の地理的位置において利用可能な唯一の条件である場合にそのような条件下で栽培されることが商業作物にとって望ましい場合がある。その他の例として、そのような環境下で栽培される商業作物から、またはより具体的にはあらゆる特定の環境において栽培される作物の中で目的の形質を最もよく示す個々の作物、例えば塩分が限られている土において栽培される作物の中で最も早く育つ植物、または苛酷な虫害または疫病の流行に曝された作物の中で最も損傷が少ない植物、または繊維含量、油含量などを含む所望の量のある特定の代謝物質および他の化合物を有する植物、または望ましい色、味、もしくは臭いを示す植物から微生物が収集され得る。微生物は、真菌および他の動物および植物の生物相、土壌、水、堆積物、およびこれまでに言及された環境の他の要素をはじめとする目的の植物から、または目的の環境中に生じるあらゆる物質から収集されてよい。特定の実施形態では、微生物は異なる環境から分離された個々の単離物である。
【0144】
一実施形態では、本開示の方法において使用する微生物または微生物混合物は個々の微生物種または微生物株の既存のコレクションからある植物に対するそれらのあり得る利益または予想される利益についての幾らかの知識に基づいて選別されてよい。例えば、微生物は、窒素固定を改善し、土壌有機物からリン酸塩を放出し、無機形態のリン酸塩(例えば、リン鉱石)からリン酸塩を放出し、根の微小球内に「炭素を固定し」、植物の根圏に生存し、それによって、植物が周囲の土壌から栄養素を吸収することを支援し、次いで、これらを植物により容易に提供し、植物の根の上の結節の数を増加させ、それによって、植物当たりの共生窒素固定細菌(例えば、Rhizobium種)の数および植物によって固定される窒素の量を増加させ、植物が病原性微生物の侵入および拡散に抵抗することに役立つISR(誘発性全身抵抗性)またはSAR(全身獲得抵抗性)などの植物防御応答を引き起こし、拮抗作用、または栄養素若しくは空間などの資源の競合的利用によって、植物の成長または健康に有害な微生物と競合し、植物の一つ以上の部位の色を変化させるか、または植物の化学的プロファイル、その匂い、味、若しくは一つ以上の他の品質を変化させると予測され得る。
【0145】
一実施形態では、ある植物に対するあり得る利益または予想される利益についての知識を提供しない個々の微生物種または微生物株の既存のコレクションから微生物または微生物混合物が選別される。例えば、植物組織から単離された植物の生育または健康を改善する能力についてのどのような知識も無い未同定の微生物の集合、または医薬品の開発につながる可能性がある化合物を生産する可能性について調べるために収集された微生物の集合である。
【0146】
一実施形態では、微生物が自然界で存在する原試料(例えば、土、石、水、空気、塵、植物または他の生物)からそれらの微生物が獲得される。それらの微生物は、本開示の方法における使用目的を考慮してあらゆる適切な形態で提供され得る。しかしながら、単なる例であるが、微生物は水性懸濁液、ゲル、ホモジネート、顆粒、粉末、泥状物、生きている生物、または所望の物質として提供され得る。
【0147】
本開示の微生物は、実質的に純粋な培養物または混合培養物の状態で単離され得る。それらの微生物は濃縮されてもよく、希釈されてもよく、またはそれらの微生物が原試料中で見られる自然の濃度で提供されてもよい。例えば、塩類堆積物に由来する微生物はその堆積物を真水に懸濁し、その堆積物を底に沈降させることにより本開示における使用のために単離され得る。適切な時間の沈降の後にデカンテーションにより微生物の大部分を含むその水を取り出し、そのまま直接植物成長培地に投入するか、またはフィルタリングもしくは遠心分離により濃縮し、適切な濃度に希釈し、そして塩の大部分を除去して植物成長培地に投入してもよい。さらなる例として、植物に対する損傷の可能性を最小限にするために無機化された起源または有毒な起源に由来する微生物を同様に処理して植物の培養材料への投入用に微生物を回収してもよい。
【0148】
別の実施形態では、微生物はそれらの微生物が自然界で存在する原試料から単離されていない粗精製形態で使用される。例えば、微生物はそれらが存在する原試料と組み合わせて、例えば、土壌、または植物の根、種子もしくは葉として提供される。この実施形態では、その原試料は微生物のうちの一つ以上の種を含んでよい。
【0149】
いくつかの実施形態では、微生物の混合集団が本開示の方法において使用される。
【0150】
微生物が原試料(例えば、微生物が自然界で存在する物質)から単離される本開示の実施形態では当業者に容易に理解される多数の標準的な技術のうちのいずれか一つの技術またはそれらの技術の組合せが用いられ得る。しかしながら、例として、これらの技術は一般的には単一の微生物の固形物培養物または液体培養物を実質的に純粋な形態で得ることができる処理を用い、通常は固形微生物成長培地表面上での物理的分離による処理または液体微生物成長培地中への容量希釈単離による処理を用いる。これらの処理は、適切な固形ゲル成長培地上に乾燥物質、液体懸濁液、泥状物またはホモジネートが薄層状に広げられるその物質からの単離、または滅菌培地中に行われ、かつ、液体成長培地または固形成長培地中に接種されるその物質の段階希釈を含み得る。
【0151】
必須ではないが、一実施形態では、微生物を含む物質は、その物質の中で全ての微生物を増殖させるため、または微生物集団の一部分を選別するためにその物質の中で微生物向けの栄養を高めるか(例えば、熱曝露に対して耐性である微生物(例えば、枯草菌)を選別するために試料を低温殺菌することにより)、またはその試料を低濃度の有機溶媒または滅菌剤(例えば、家庭用漂白剤)に曝露して芽胞形成微生物または溶媒耐性微生物の生存度を高めることにより単離処理前に前処理され得る。その後、上のようにその強化物質または選択的生存用に処理された物質から微生物を単離することができる。
【0152】
本開示の一実施形態では、内生菌または着生微生物が植物材料から単離される。当技術分野において公知のあらゆる数の標準的な技術を使用してよく、微生物は例えば根、茎および葉、および植物生殖組織を含む植物のあらゆる適切な組織から単離され得る。例として、植物からの単離のための従来の方法には目的の植物材料(例えば根または茎、葉)の無菌的切除、適切な溶液(例えば2%次亜塩素酸ナトリウム)での表面滅菌、その後の微生物培養のための栄養培地への植物材料の配置が含まれることが典型的である(例えば、Strobel G and Daisy B(2003)Microbiology and Molecular Biology Reviews 67(4):491-502、Zinniel DK et al.(2002)Applied and Environmental Microbiology 68(5):2198-2208を参照されたい)。
【0153】
本開示の一実施形態では、微生物は根組織から単離される。植物材料から微生物を単離するためのその他の方法をこれより詳細に説明する。
【0154】
一実施形態では、(方法の前または方法のあらゆる段階で)微生物集団を選択圧に曝露する。例えば、微生物を(好ましくは無菌の)植物成長培地に添加する前に低温殺菌に曝すことにより、所望の形質について選別された植物に悪条件下で、商業用保管場所で、またはコーティングとして種子に塗布される場合には悪環境下でより容易に生存することができる芽胞形成微生物が付着するという確率が高まる可能性がある。
【0155】
本明細書においてこれまでに述べたある特定の実施形態では、粗精製形態で前記微生物を使用してもよく、植物または媒体から微生物を単離する必要が無い。例えば、選択された植物にとって有益であると特定された微生物を含む植物材料または培地を得て次回の方法のための微生物の粗精製物起源として、または方法の終局における微生物の粗精製物起源として使用してよい。例えば、植物材料全体を取得し、所望によりマルチングまたは破砕などの処理をしてよい。あるいは、選択された植物の個々の組織または部分(葉、茎、根、および種子など)を植物から分離し、所望によりマルチングまたは破砕などの処理をしてよい。ある特定の実施形態では第二セットの一つ以上の微生物が付着している植物の一つ以上の部分が一つ以上の選択された植物から取り除かれてもよく、その方法が連続して反復して行われる場合はその部分が植物育種方法のいずれかの段階で使用される一つ以上の植物に接ぎ木されてもよい。
【0156】
例示的な微生物
態様では、本開示は表1Aに提示されている特定済みの微生物種の新しい株を含む単離微生物を提供する。
【0157】
他の態様では、本開示は、表1Aで識別される種および株の単離された全微生物培養物を提供する。これらの培養物は、様々な濃度で微生物を含んでもよい。
【0158】
態様では、本開示は表1Aから選択される微生物の農業における利用を提供する。
【0159】
いくつかの実施形態では、植物種に一つ以上の有益な特性を付与するためにバチルス属の微生物が農業に利用される。
【0160】
さらに、本開示は、表1Aにおいて同定済みの微生物の特徴と実質的に類似の特徴を有する微生物に関する。
【0161】
本開示において特定される、単離された微生物種、および当該種の新規の株は、農学的に重要な形質などの有益な特性または形質を標的植物種に付与することができる。
【0162】
例えば、表1Aに記載される単離微生物または微生物コンソーシアは植物の健康および生長力を改善することができる。その改善された植物の健康および生長力は、例えば、微生物適用が植物の表現型または遺伝子型形質に対して有する効果を測定することにより定量的に測定され得る。
【0163】
微生物の調達
色々な場所の中でもニュージーランドおよびアメリカ合衆国内の様々な場所で本開示の微生物を得た。
【0164】
微生物の単離および培養
表1Aの微生物は、それらの微生物の表現型を特徴解析し、次にそれを利用して分類学的に認識される種にその微生物を特定するために標準的な顕微鏡技術を利用して特定された。
【0165】
本開示の微生物の分離、識別、および培養は、標準的な微生物学的技法を使用して達成され得る。そのような技法の例は、Gerhardt,P.(ed.)Methods for General and Molecular Microbiology.American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1994)、およびLennette,E.H.(ed.)Manual of Clinical Microbiology,Third Edition.American Society for Microbiology,Washington,D.C.(1980)で見出され得、その各々は、参照により組み込まれる。
【0166】
上で本明細書に記載された表現型形質(例えば、グラム陽性/陰性、好気的/嫌気的に芽胞を形成することが可能であるか、細胞の形態、炭素源代謝、酸/塩基生産、酵素分泌、代謝分泌等)を特徴とするシングルコロニーを得るため、および汚染混入した培養物に対して作業する可能性を低くするために固形培地(例えば、栄養物寒天プレート)上に標本を画線することにより単離を達成することができる。
【0167】
例えば、本開示の単離細菌について、生物学的試料の継代培養を繰り返し、各継代培養の後に固形培地へ画線して個々のコロニーを得ることにより生物学的に純粋な単離物を得ることができる。凍結乾燥細菌を調製し、解凍し、および成長させる方法は、一般的に知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Gherna,R.L.and C.A.Reddy.2007.Culture Preservation,p 1019-1033.In C.A.Reddy,T.J.Beveridge,J.A.Breznak,G.A.Marzluf,T.M.Schmidt,and L.R.Snyder,eds.American Society for Microbiology,Washington,D.C.,1033 pages を参照されたい。したがって、グリセロールを含む溶液中に-70℃で長期保存されている凍結乾燥された液体製剤および培養物を本発明の液体製剤の提供に関して使用することが企図されている。
【0168】
好気性条件下の液体培地中で本開示の細菌を増殖させることができる。本開示の細菌株を増殖させるための培地は炭素源、窒素源、および無機塩、ならびにビタミン、アミノ酸、核酸などのような特別に必要とされる物質を含む。細菌株を成長させるために使用され得る好適な炭素源の例としては、限定されるものではないが、デンプン、ペプトン、酵母抽出物、アミノ酸、グルコース、アラビノース、マンノース、グルコサミン、マルトースなどの糖、酢酸、フマル酸、アジピン酸、プロピオン酸、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、ピルビン酸、マロン酸などの有機酸の塩、エタノールおよびグリセロールなどのアルコール、大豆油、米ぬか油、オリーブ油、トウモロコシ油、ゴマ油などの油または脂肪が挙げられる。添加されるその炭素源の量は、炭素源の種類に応じて変化し、1リットルの培地当たり1グラムから100グラムの間であるのが典型的である。主要な炭素源としてグルコース、デンプン、および/またはペプトンが0.1~5%(重量/体積)の濃度でその培地に含まれていることが好ましい。本発明の細菌株の増殖に使用され得る適切な窒素源の例には、アミノ酸、イーストエクストラクト、トリプトン、ビーフエクストラクト、ペプトン、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニアまたはそれらの組合せが含まれるがこれらに限定されない。窒素源の量は窒素源の種類に応じて変化し、1リットルの培地当たり0.1グラムから30グラムの間であるのが典型的である。それらの無機塩、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムを単独で、または組み合わせて使用することができる。無機酸の量はその無機塩の種類に応じて変化し、1リットルの培地当たり0.001グラムから10グラムの間であることが典型的である。特別に必要とされる物質の例には、ビタミン、核酸、酵母抽出物、ペプトン、肉抽出物、麦芽抽出物、乾燥酵母、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。それらの細菌株の増殖を可能にする温度、基本的には20℃と46℃の間の温度で培養を行うことができる。いくつかの態様では、温度の範囲は30℃~37℃である。最適の増殖のため、いくつかの実施形態では、培地はpH7.0~7.4に調節され得る。Difco,Detroit,MIから入手可能な栄養ブロスまたは栄養寒天などの市販の培地も、細菌株を培養するために使用され得ることが理解されるであろう。培養時間は、使用する培地の種類と主要炭素源としての糖の濃度に応じて変化し得ることが理解される。
【0169】
態様では、培養は24~96時間の間にわたって続く。この様にして得られた細菌細胞は、当技術分野において周知の方法を使用して単離される。例として、膜濾過および遠心分離が含まれるが、これらに限定されない。水酸化ナトリウムなどを使用してpHを調節してもよく、水分含量が4%以下に等しくなるまで凍結乾燥機を使用してその培養物を乾燥してもよい。上で本明細書に記載された各株を増殖させることにより微生物共培養物を得ることができる。適合可能な培養条件を用いることができるときには、それらの微生物株を一緒に培養してよいことが理解される。
【0170】
微生物の識別
利用可能なすべての表現型データおよび遺伝子型データをコンセンサス分類に組み込んでいる多相性分類学(Vandamme et al.1996.Polyphasic taxonomy,a consensus approach to bacterial systematics.Microbiol Rev 1996,60:407-438)に基づいて微生物を属に分類することができる。種を限定するための一つの許容される遺伝子型方法は全体的なゲノム関連性に基づいており、それによると標準的な条件下で5℃以下のΔTm(相同性ハイブリッドと異種性ハイブリッドとの間の融点の差)でDNA-DNA間ハイブリダイゼーションを用いて約70%以上の関連性を有する株が同じ種のメンバーであると考えられる。したがって、前述の70%の閾値よりも高い割合を有する集団は同じ種のバリアントであると考えられ得る。
【0171】
細菌微生物については、分類法を決定し、種間の区別をつけるために16S rRNA配列を使用することが多く、それではある16S rRNA配列が所定の%配列同一性に満たない基準配列との配列同一性を有する場合にそれらの配列が得られた二種類の生物は異なる種の生物であると言われる。
【0172】
したがって、複数の微生物が少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の16Sまたは16S rRNAまたはrDNA配列にわたる配列同一性を有する場合にそれらの微生物は同じ種の微生物であると考えることが可能である。いくつかの態様では、ある微生物が少なくとも95%の同一性を有していればそれだけでその微生物は同じ種であると考えられ得る。
【0173】
さらに、一つの種の微生物株を、少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の16S rRNA配列にわたる配列同一性を有する微生物株として定義することが可能である。
【0174】
基準配列に対して23S rRNA配列を比較してもよい。いくつかの態様では、ある微生物が少なくとも95%の同一性を有していればそれだけでその微生物は同じ株であると考えられ得る。いくつかの実施形態では、「実質的に類似の遺伝的特性」は少なくとも95%の同一性を有する微生物を意味する。
【0175】
真菌性微生物については、ITS(内部転写配列)が、分類法の識別によく使用される。リボソームシストロンの領域の中でも、内部転写スペーサー(ITS)領域は、最も広範囲の真菌について成功した識別の最高確率を有し、種間変動と種内変動との間に最も明確に定義されたバーコードギャップがあり、正式な真菌識別配列として提案されている(Schoch et al.,PNAS April 17,2012 109(16)6241-6246)。
【0176】
一実施形態では、本開示の微生物株は、配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むものを含む。
【0177】
一実施形態では、本開示の微生物は、配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含むものを含む。
【0178】
一実施形態では、本開示の微生物コンソーシアは、配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む、二つ以上の微生物を含む。
【0179】
一実施形態では、本開示の微生物コンソーシアは、二つ以上の微生物株を含み、これらのうちの少なくとも一つは、配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含む。
【0180】
一実施形態では、本開示の微生物コンソーシアは、二つ以上の微生物株を含み、これらのうちの少なくとも一つは、配列番号1~19のうちのいずれか一つと少なくとも70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を共有するポリヌクレオチド配列を含み、微生物のうちの少なくとも一つは、表1Aから任意選択的に選択される。
【0181】
培養不可能な微生物を表現型が決定されていない状態で確定的な種に割り当てることは不可能である場合が多く、それらの微生物の16S rRNA配列が既知の種との同一性原理に適う場合にそれらの微生物をある属の中の候補(candidatus)に指定することができる。
【0182】
一つのアプローチは、配列空間内の密接に関連する種の多数の株の分布を観察し、かつ他のクラスターから十分に分解される株のクラスターを識別することである。このアプローチは複数のコア(ハウスキーピング)遺伝子の連結配列を使用してクラスター化パターンを評価することにより開発されており、多座位配列分析(MLSA)または多座位配列系統樹分析と呼ばれている。現在の分類学の方法により非常に近縁の種に割れ当てられた多数の株の間でのクラスター化パターンを調査するため、ある属の中の少数の株の間での関係、またはより広範囲の分類群内での関係を調べるため、および具体的な分類学上の問題に対処するためにMLSAがうまく用いられている。より一般的には、細菌種が存在するか尋ねるため、すなわち、大集団の類似株がよく分離したクラスターに常に分類されるか観察するため、または幾つかの事例ではクラスターへの明確な分離が観察されない遺伝的連続性が存在するか観察するためにその方法を使用することができる。
【0183】
より正確に属の決定を行うため、形態学的特徴、生化学的特徴、および生理学的特徴などの表現型形質の決定を行って基準属原型と比較する。コロニーの形態には、色、形、着色、粘りの生成等が含まれ得る。細胞の特徴は形、サイズ、グラム反応、細胞外物質、内生胞子の存在、鞭毛の存在と場所、運動性、および封入体について説明される。生化学的特徴および生理学的特徴は様々な範囲の温度、pH、塩分および大気条件でのその生物の増殖、異なる単一の炭素源が存在するときの増殖、および異なる単一の窒素源が存在するときの増殖を説明する。当業者は本開示の属を規定する表現型形質を合理的に特定することになる。例えば、特定の寒天(例えば、YMA)上のコロニーの色、形態、およびテクスチャを使用して、Rhizobiumの種を識別した。
【0184】
一実施形態では、本明細書に教示される細菌微生物は、16S rRNA遺伝子配列を利用して識別された。16S rRNAは細菌の特定に有用な種/株特異的なシグネチャ配列を提供することができる超可変領域を含むことが当技術分野で公知である。本開示ではそれらの微生物の多くが部分的な(500~1200bpの)16S rRNA配列シグネチャを介して特定された。態様では、各株が寒天プレートから選別された純粋なコロニー単離物を表す。存在する生物の多様性を表すために、寒天培地上でのコロニーのあらゆる決定的な形態学的特徴に基づいて選別を行った。複数の実施形態では使用した培地はR2A、PDA、窒素非含有半固形培地、またはMRS寒天であった。「選択された」単離物の各々のコロニーについての説明を24時間の培養後に行い、我々のデータベースに入力した。その後、それらの単離物の各々について配列データを得た。
【0185】
16S rRNA遺伝子を使用する系統樹分析を用いて共通の属に属する「実質的に類似の」種を限定し、かつ、所与の分類学上の種の「実質的に類似の」株も限定した。さらに、植物に有利に行動する可能性がある株と株の間の重要ではない差と重要な差の両方を強調するために利用され得る単離物の生理学的特質および/または生化学的特質を記録した。
【0186】
微生物コンソーシア
態様では、本開示は、少なくとも任意の二つの微生物の組み合わせを含む微生物コンソーシアを提供し、一つは、バチルス・チューリンゲンシス株39400、株42901、または配列番号1~19のうちの一つ以上と少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または99%超の同一性を共有する少なくとも一つのポリヌクレオチド配列を含む任意の株である。
【0187】
ある特定の実施形態では本開示のコンソーシアは二種類の微生物、または三種類の微生物、または四種類の微生物、または五種類の微生物、または六種類の微生物、または七種類の微生物、または八種類の微生物、または九種類の微生物、または十種類以上の微生物を含む。そのコンソーシアの当該微生物は異なる微生物種、またはある微生物種の異なる株である。
【0188】
微生物産生組成物
いくつかの事例では、本開示の微生物は、一つ以上の化合物を産生し得る、および/または一つ以上の活性、例えば、代謝産物の産生、オーキシンなどの植物ホルモンの産生、アセトインの産生、抗微生物化合物の産生、シデロフォアの産生、ポリケチドの産生、フェナジンの産生、セルラーゼの産生、ペクチナーゼの産生、キチナーゼの産生、グルカナーゼの産生、キシラナーゼもしくはプロテアーゼもしくは有機酸もしくはリポペプチドもしくはポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの産生、窒素固定、リン酸塩鉱物可溶化、または前述の任意の組み合わせおよび/もしくは複数のうちの一つ以上を有し得る。
【0189】
例えば、本開示の微生物はオーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、エチレン、ブラシノステロイド、およびアブシジン酸からなる群より選択される植物ホルモンを生産し得る。
【0190】
したがって、本開示の微生物によって「生産される代謝物質」は前記微生物によって生産されるあらゆる分子(小分子、ビタミン、ミネラル、タンパク質、核酸、脂質、脂肪、炭水化物等)を表現するものとする。本開示の微生物が有益な形質を所与の植物種に付与する正確な作用機序は知られていないことが多い。いくつかの例では、その微生物はその植物にとって有益である代謝産物を生産しているという仮説が立てられている。したがって、いくつかの態様では、微生物の無細胞性調製物または不活性化調製物がある植物にとって有益であるが、それはその調製物が前述の微生物によって生産されたものであり、かつ、ある植物にとって有益である代謝物質を含む限り、その所与の植物種に有益な形質を付与するためにその微生物が生きている必要はないからである。
【0191】
一実施形態では、本開示の微生物はオーキシン(例えば、インドール-3-酢酸(IAA))を生産し得る。オーキシンの産生をアッセイすることができる。本明細書に記載される微生物の多くが培養されて増殖すると植物ホルモンオーキシンであるインドール-3-酢酸(IAA)を生産することが可能であり得る。オーキシンは、根の成長の程度を含む植物の生理の変更に重要な役割を果たす。
【0192】
したがって、一実施形態では本開示の微生物は所与の植物種の表面上または組織内に配置されている集団として存在する。微生物は、本開示の微生物または無細胞若しくは不活性調製物で処理されていない参照植物と比較すると、植物上または植物内に見出される組成物の量の検出可能な増加を引き起こすために有効な量で、代謝産物などの組成物を産生し得る。当該微生物集団によって産生される組成物は、植物種に有益であり得る。
【0193】
そのような微生物生産組成物は、微生物が成長させられる細胞培養ブロス若しくは培地中に存在し得るか、または微生物によって産生される滲出液を包含し得る。本明細書で使用される場合、「滲出液」は、一つ以上の微生物細胞によって排出されるか、またはそこから抽出される、一つ以上の組成物を指す。本明細書において使用される場合、「ブロス」は、微生物細胞が培地中に置かれた後の細胞培養培地の集合組成物を指す。ブロスの組成は、微生物の成長および/または発育の異なる段階の間に経時的に変化し得る。ブロスおよび/または滲出液は、それらが会合されるようになる植物の形質を改善し得る。
【0194】
植物における微生物誘発型形質
本開示は望ましい植物種、例えば目的の農学的種に有益な特質(または有益な形質)を付与するために微生物を利用する。本開示では「有益な特質」または「有益な形質」という用語は互換的に使用され、それは本明細書に記載される微生物または微生物コンソーシアの適用によって望ましい植物表現型または目的の遺伝的特質が調節されることを表す。前述のように、幾つかの態様では所与の微生物によって生産される代謝物質が究極的には有益な形質の調節または所与の植物への有益な形質の付与の原因となっていることが非常にあり得る。
【0195】
本開示の微生物の適用によって調節され得る、非常に多くの有益な形質が存在する。例えば、それらの微生物は一つ以上の有益な特質、例えば、成長の亢進、収量の増加、窒素利用効率の上昇、ストレス耐性の上昇、乾燥耐性の上昇、光合成速度の上昇、水利用効率の向上、病原体耐性の上昇、必ずしも植物の収量に影響しないが、むしろ植物の機能性に関係する植物構造の修飾、植物に目的の代謝物質の生産を増加させること等を植物種に付与する能力を有し得る。
【0196】
態様では、本明細書に教示される微生物は、穀物、果実、および花の収量の改善、植物部位の成長の改善、栄養素(例えば、窒素、リン酸塩、および同等物)を利用する能力の改善、疾患に対する耐性の改善、真菌、昆虫、および/または線虫に対する耐性の改善を含むバイオ殺虫効果、極端な気候における生存可能性の改善、ならびに他の所望の植物の表現型特性の改善を含む、広範囲の農業用途を提供する。いくつかの態様では、線虫は、根瘤線虫を含む。いくつかの態様では、昆虫は、Diabrotica属の昆虫であり得る。
【0197】
いくつかの態様では、参照植物に対して、油含有量の変化、タンパク質含有量の変化、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、種子タンパク質組成の変化、化学物質耐性、耐寒性、老化の遅延、耐病性、干ばつ耐性、穂重、成長の改善、健康増進、耐暑性、除草剤耐性、草食動物耐性、窒素固定の改善、窒素利用の改善、栄養素利用の改善(例えば、リン酸塩、カリウムなど)、根の構造の改善、水利用効率の改善、バイオマスの増加、根の長さの増加、種子重量の増加、シュートの長さの増加、収量の増加、水が制限された条件下での収量の増加、穀粒質量、穀粒含水量、金属耐性、穂の数、穂当たりの穀粒の数、さやの数、栄養強化、病原体耐性、(例えば、病原体生存を損なう代謝産物の排出を介した)病原体レベルの低減、病虫害耐性、光合成能力の改善、耐塩性、緑化、樹勢の改善、成熟種子の乾燥重量の増加、成熟種子の新鮮重量の増加、植物当たりの成熟種子の数の増加、クロロフィル含有量の増加、植物当たりのさやの数の増加、植物当たりのさやの長さの増加、植物当たりのしおれた葉の数の低減、植物当たりのひどくしおれた葉の数の低減、および植物当たりのしおれていない葉の数の増加、代謝産物のレベルの検出可能な調節、転写物のレベルの検出可能な調節、ならびにプロテオームの検出可能な調節などの植物特性を調節または改変するために、本開示の単離された微生物、共コンソーシア、および/または農業用組成物を植物に適用することができる。
【0198】
いくつかの態様では、本開示の単離微生物、コンソーシア、および/または農業用組成物は特定の植物の特徴を負の方向で調節するために植物に適用され得る。例えば、いくつかの態様では、本開示の微生物は目的の表現型形質を減少させることができるが、これはこの機能性がいくつかの適用例で望ましい場合があり得るからである。例えば、本開示の微生物は根の成長を減少させる能力、または根の長さを減少させる能力を有し得る。または、それらの微生物はシュートの成長を減少させる能力、または植物が成長するスピードを低下させる能力を有してよいが、これは植物形質のこれらの調節がある特定の用途において望ましい可能性があるからである。
【0199】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された微生物、コンソーシア、および/または農業用組成物は、植物に線虫ストレスに対する耐性を付与するために、植物に適用され得る。
【0200】
いくつかの実施形態では、本開示の単離された微生物、コンソーシア、および/または農業用組成物は、植物に生物刺激(生物刺激効果)を提供するために、植物に適用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の単離された微生物、コンソーシア、および/または農業用組成物は、植物に耐病性を提供するために、植物に適用され得る。
【0201】
農業用組成物
いくつかの実施形態では、本開示の微生物は、農業用組成物と組み合わせられる。農業用組成物は、概して、微生物および/または植物要素の栽培を促進する組成物を含み得る有機化合物および無機化合物、植物要素への適用のための微生物の製剤化に関与する組成物(例えば、限定されるものではないが、湿潤剤、相溶化剤(「相溶性剤」とも称される)、消泡剤、洗浄剤、金属イオン封鎖剤、ドリフト低減剤、中和剤および緩衝剤、腐食防止剤、染料、着臭剤、展着剤(「散布剤」とも称される)、浸透助剤(「浸透剤」とも称される)、固着剤(「粘着剤」または「結合剤」とも称される)、分散剤、増粘剤(「濃厚剤」とも称される)、安定化剤、乳化剤、凝固点降下剤、抗菌剤など)、保護を植物要素または植物に付与することに関与する組成物(例えば、限定されるものではないが、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤、殺菌剤、除草剤など)、ならびに特定の用途に関心が示され得る他の組成物を指す。
【0202】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は固体である。固形組成物が使用される場合、一つ以上の担体材料を活性単離微生物またはコンソーシアと共に含むことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、本開示は、限定されないが、シリカ、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アッタクレイ、石灰岩、チョーク、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、合成土壌様材料などの鉱物土、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、チオ尿素および尿素などの肥料、シリアルミール、ツリーバークミール、ウッドミールおよびナッツシェルミールなどの植物起源の製品、セルロースパウダー、アタパルジャイト、モンモリロナイト、マイカ、バーミキュライト、合成シリカおよび合成ケイ酸カルシウム、またはこれらの組成物をはじめとする担体の使用を教示する。
【0203】
成長組成物
いくつかの実施形態では、成長および発達を促進する組成物が、微生物および/または植物要素に提供される。例示的な組成物には、液体(ブロス、培地など)および/または固体(土壌、栄養素など)が含まれる。様々な有機化合物または無機化合物が、単独で、または植物要素、例えば、限定されるものではないが、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、炭水化物、単糖、脂質と組み合わせて、微生物の健康を促進するために成長組成物に添加され得る。
【0204】
製剤組成物
一つ以上の組成物が、微生物または微生物から作製された組成物に加えて、様々な用途、安定性、活性、および/または保存の理由のために組み合わせられ得る。追加の組成物は、「製剤成分」と称され得る。
【0205】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は、液体である。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は本明細書において開示される農業用組成物がモノエタノールアミン塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、二リン酸水素アンモニウム、一リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素ナトリウムアンモニウム、チオシアン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムまたはカルバミン酸アンモニウムなどの化合物または塩を含み得ることを教示する。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示は、農業用組成物が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、デンプン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体およびポリ酢酸ビニル、またはこれらの組成物などの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、タルク若しくはポリエチレングリコール、またはこれらの組成物などの潤滑剤、シリコーンエマルション、長鎖アルコール、リン酸エステル、アセチレンジオール、脂肪酸もしくは有機フルオリン化合物などの消泡剤、ならびにエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩、トリニトリロ三酢酸の塩若しくはポリリン酸の塩、またはこれらの組成物などの複合体化剤を含み得ることを教示する。
【0207】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は表面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、表面活性剤は液体農業用組成物に添加される。他の実施形態では、それらの表面活性剤は固形製剤、特に適用前に担体によって希釈されるように設計されている固形製剤に添加される。したがって、いくつかの実施形態では、農業用組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤は、標的に対する微生物の生物学的性能を改善するために単体で使用されることがあり、または他の添加物、例えば、スプレータンクミックスへのアジュバントとしての鉱物油または植物油と共に使用されることがある。生物学的機能強化のために使用される界面活性剤の種類は、微生物の性質と作用機序に概ね依存する。表面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性の性質であり得、乳化剤として、湿潤化剤として、懸濁化剤として、または他の目的のために用いられ得る。いくつかの実施形態では、それらの界面活性剤はアルキルエトキシレート、直鎖状脂肪族アルコールエトキシレート、および脂肪族アミンエトキシレートなどの非イオン性界面活性剤である。製剤の技術分野で従来的に使用され、本製剤でも使用され得る界面活性剤は、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual,MC Publishing Corp.,Ridgewood,N.J.,1998,and in Encyclopedia of Surfactants,Vol.I-III,Chemical Publishing Co.,New York,1980-81に記載されている。いくつかの実施形態では、本開示は、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸およびジブチルナフタレンスルホン酸、ならびにアリールスルホン酸の脂肪酸、アルキルエーテル、ラウリルエーテル、脂肪族アルコール硫酸エステルおよび脂肪族アルコールグリコールエーテル硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、またはアンモニウム塩、ホルムアルデヒドとのスルホン酸化ナフタレンの縮合物およびその誘導体、フェノールおよびホルムアルデヒドとナフタレンまたはナフタレンスルホン酸の縮合物、ホルムアルデヒドとフェノールまたはフェノールスルホン酸の縮合物、ホルムアルデヒドおよび亜硫酸ナトリウムとフェノールの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、エトキシル化オクチルフェニルエーテル、またはエトキシル化ノニルフェノール、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、イソトリデシルアルコール、エトキシル化ひまし油、エトキシル化トリアリールフェノール、リン酸含有トリアリールフェノールエトキシレートの塩、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセテート、ソルビトールエステル、リグニンサルファイト廃液またはメチルセルロース、またはこれらの組成物をはじめとする界面活性剤の使用を教示する。
【0208】
いくつかの実施形態では、本開示は、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどのアルキル硫酸塩の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、ノニルフェノール-C18エトキシレートなどのアルキルフェノール-アルキレン酸化物付加生成物、トリデシルアルコール-C16エトキシレートなどのアルコール-アルキレン酸化物付加生成物、ステアリン酸ナトリウムなどの石鹸、ジブチル-ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレン-スルホン酸塩、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩のジアルキルエステル、オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル、塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどの四級アミン、ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体、モノおよびジアルキルリン酸エステルの塩、大豆油、菜種/キャノーラ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ種油、ココナッツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、ヤシ油、落花生油、ベニバナ油、ゴマ油、キリ油などの植物油、ならびに上記の植物油のエステル、特に、メチルエステルを含む、他の好適な表面活性剤を教示する。
【0209】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は湿潤化剤を含む。湿潤化剤は、液体に添加されるとその液体とその液体が広がっている表面との間の界面張力を低下させることによりその液体の拡散力または浸透力を増大させる物質である。湿潤剤は、農薬製剤における二つの主な機能のため、すなわち、加工および製造中に、水中の粉末の湿潤速度を増加させて、可溶性液体または懸濁液濃縮物のための濃縮物を作製するため、噴霧タンクまたは他の容器内の水との製品の混合中に、水和剤の湿潤時間を削減し、かつ水分散性顆粒剤への水の浸透を改善するために、使用される。いくつかの実施形態では、水和剤、懸濁液濃縮物、および水分散性顆粒剤を含む、本開示の農業用組成物で使用される湿潤剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホハク酸ジオクチルナトリウム、アルキルフェノールエトキシレート、および脂肪族アルコールエトキシレートである。
【0210】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は分散剤を含む。分散剤は、粒子の表面に吸着し、かつ、それらの粒子の分散状態の保護に役立ち、且つ、それらの粒子が再凝集することを防ぐ物質である。いくつかの実施形態では、分散剤は製造時に分散および懸濁を促進するために、およびスプレータンク中でそれらの粒子が水に再分散することを確実にするために本開示の農業用組成物に添加される。いくつかの実施形態では、分散剤は水和剤、懸濁濃縮液、および水分散性顆粒剤に使用される。分散剤として使用される界面活性剤は粒子表面上に強力に吸着する能力を有し、且つ、粒子の再凝集に対する帯電障壁または立体障壁を提供する。いくつかの実施形態では、最も一般的に使用される界面活性剤は陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、またはそれらの二種類の混合物である。
【0211】
水和剤製剤のいくつかの実施形態では、最も一般的な分散剤はリグノスルホン酸ナトリウム類である。いくつかの実施形態では、懸濁濃縮液はナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物などの高分子電解質を使用して非常に良好な吸着と安定化を提供する。いくつかの実施形態では、トリスチリルフェノールエトキシレートリン酸エステルも使用される。いくつかの実施形態では、アルキルアリールエチレンオキシド縮合物およびEO-POブロック共重合体などが懸濁濃縮液の分散剤として陰イオン性界面活性剤と組み合わせられることがある。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は高分子界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、それらの高分子界面活性剤は非常に長い疎水性「骨格」と界面活性剤の「櫛」の「歯」を形成する多数のエチレンオキシド鎖を有する。いくつかの実施形態では、これらの高分子量重合体は疎水性骨格が多数の固着点を粒子表面上に対して有しているので非常に良好な長期安定性を懸濁濃縮液に付与することができる。いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物で使用される分散剤の例は、リグノスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド凝縮物、トリスチリルフェノールエトキシレートリン酸エステル、脂肪族アルコールエトキシレート、アルキルエトキシレート、EO-POブロック共重合体、およびグラフト共重合体を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は乳化剤を含む。乳化剤は、一方の液相の液滴の別の液相中での懸濁液を安定化する物質である。乳化剤が無い場合は、それらの二種類の液体は二つの非混和性液相に分離することになる。いくつかの実施形態では、最も一般的に使用される乳化剤混合物には12以上のエチレンオキシド単位を有するアルキルフェノールまたは脂肪族アルコール、およびドデシルベンゼンスルホン酸の油溶性カルシウム塩が含まれる。8から18までの範囲の親水性親油性バランス(「HLB」)値によって良好な安定性の乳液が通常提供されることになる。幾つかの実施形態では少量のEO-POブロック共重合体界面活性剤の添加により乳液安定性を改善することができることがある。
【0214】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は可溶化剤を含む。可溶化剤は、臨界ミセル濃度より上の濃度でミセルを水中に形成する界面活性剤である。その後、それらのミセルは水不溶性物質をそのミセルの疎水性部分の内側に溶解または可溶化することができる。可溶化に通常使用される界面活性剤のタイプは、非イオン性物質:ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエートエトキシレート、およびオレイン酸メチルエステルである。
【0215】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は有機溶媒を含む。有機溶媒は、主に乳化可能濃縮物の製剤、ULV製剤、およびそれらよりも低い程度ではあるが顆粒製剤に使用される。時には溶媒混合物が使用される。いくつかの実施形態では、本開示はケロシンまたは精製パラフィンなどの脂肪族パラフィン油を含む溶媒の使用を教示する。他の実施形態では、本開示はキシレンおよびC9芳香族溶媒とC10芳香族溶媒の高分子量画分などの芳香族溶媒の使用を教示する。いくつかの実施形態では、抗病虫害剤が水に乳化されるときにその製剤の結晶化を防ぐための共溶媒として塩素化炭化水素が有用である。溶解力を増加させるための共溶媒として、アルコールが使用されることがある。
【0216】
いくつかの実施形態では、農業用組成物はゲル化剤を含む。濃厚剤またはゲル化剤は主に懸濁濃縮液、乳液、およびサスポエマルジョンの製剤において使用され、その液体のレオロジーまたは流動特質を改変し、かつ、分散粒子または分散液滴の分離および沈降を防止する。増粘剤、ゲル化剤、および沈降防止剤は大まかに二つのカテゴリー、すなわち水不溶性微粒子と水溶性重合体に分類される。粘土およびシリカを使用して懸濁濃縮液製剤を作製することが可能である。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、モンモリロナイト、例えば、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、およびアタパルジャイトを含むが、これらに限定されない、一つ以上の増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示は増粘剤としての多糖類の使用を教示する。最も一般的に使用される多糖類の種類は、種子および海藻の天然抽出物またはセルロースの合成誘導体である。いくつかの実施形態は、キサンタンを利用し、幾つかの実施形態はセルロースを利用する。いくつかの実施形態では、本開示は、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム(SCMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含むが、これらに限定されない、増粘剤の使用を教示する。いくつかの実施形態では、本開示は改変デンプン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、およびポリエチレンオキシドなどの他のタイプの沈降防止剤の使用を教示する。別の良好な沈降防止剤は、キサンタンガムである。
【0217】
いくつかの実施形態では、生産中の混合操作、またはスプレータンクによる散布中の混合操作の間に界面張力を低下させる界面活性剤が存在することによって水性の製剤が泡立つことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態では、泡立つ傾向を低下させるために生産ステージの間、またはボトル/スプレータンクに充填する前のどちらかに消泡剤を添加することが多い。一般的には二種類の消泡剤、すなわちシリコーン消泡剤と非シリコーン消泡剤が存在する。シリコーンは、通常ジメチルポリシロキサンの水性乳液であり、一方で非シリコーン消泡剤はオクタノールおよびノナノールなどの水不溶性油、またはシリカである。両方の場合で、消泡剤の機能は空気水間接触面から界面活性剤を移動させることである。
【0218】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は保存剤を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は、土壌潅注、葉面噴霧、浸漬処理、畝内処理、土壌改良、粒剤、広域処理、ポストハーベスト病害防除処理、または種子処理として製剤化され得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、単独で、または他の農産物とのローテーション散布プログラムで適用され得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は、タンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、他の農産物とのタンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、地上、空中、および灌漑用途に使用される機器に適合し得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、農業用組成物は、遺伝子修飾された種子または植物に適用され得る。
【0222】
保護組成物
更に、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群衆は、殺虫剤(pesticide)、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤(insecticide)、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、植物成長調節剤、殺鼠剤、防藻剤、生物制御剤、または有益な薬剤などの農業空間で利用可能な既知の活性物質と組み合わせられ得る。さらに、本開示の方法に従って開発されたそれらの微生物、微生物コンソーシア、または微生物群落を公知の肥料と組み合わせることができる。そのような組合せは、相乗的特質を示すことがあり得る。さらにまた、本開示の方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、または微生物群落を不活性成分と組み合わせることができる。また、いくつかの態様では、本開示の微生物は生体活性薬剤と組み合わせられる。
【0223】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群衆は、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、および/または防藻剤として機能するバイオ殺虫剤と組み合わせられ得る。そのようなバイオ殺虫剤は、マクロ生物(例えば、有益な線虫および同等物)、微生物(例えば、Serenade、Btなど)、植物抽出物(例えば、Timorex Goldなど)、生化学物質(例えば、昆虫フェロモンなど)、ならびに/または鉱物および油(例えば、キャノーラ油)であり得るが、これらに限定されない。
【0224】
殺虫剤およびバイオ殺虫剤
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は、教示される微生物と組み合わせて使用される、殺虫剤を含む。いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は、教示される微生物と組み合わせて使用される、バイオ殺虫剤を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、若しくは微生物群落は、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、および/または防藻剤などの農業空間内の既知の殺虫剤と組み合わせられ得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群落は、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、および/または防藻剤として機能するバイオ殺虫剤などの農業空間内の既知の殺虫剤と組み合わせられ得る。
【0227】
例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、以下の活性成分:マクロ生物(例えば、有益な線虫および同等物)、微生物(例えば、Serenade、Btなど)、植物抽出物(例えば、Timorex Goldなど)、生化学物質(例えば、昆虫フェロモンなど)、ならびに/または鉱物および油(例えば、キャノーラ油)を含む、活性成分のうちの一つ以上を含む、農業用組成物を教示する。
【0228】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、または微生物コミュニティは、アセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、フルフェナセト、メフェナセト、メタラクロール、メタザクロール、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、プレチラクロール、プロパクロール、およびテニルクロールからなる群から選択されるアセトアミド、ビラナホス、グルホシネート、およびスルホサートからなる群から選択されるアミノ酸誘導体、クロジナフォプ、シハロフォプ-ブチル、フェノキサプロプ、フルアジフォプ、ハロキシフォプ、メタミフォプ、プロパキザフォプ、キザロフォプ、およびキザロフォプ-P-テフリルからなる群から選択されるアリールオキシフェノキシプロピオン酸塩、ジクワットおよびパラコート、アスラム、ブチレート、カルベタミド、デスメジファム、ジメピレート、エプタム(EPTC)、エスプロカルブ、モリネート、オルベンカルブ、フェンメジファム、プロスルホカルブ、ピリブチカルブ、チオベンカルブ、およびトリアレートからなる群から選択される(チオ)カルバメート、ブトロキシジム、クレトジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、およびトラルコキシジムからなる群から選択されるシクロヘキサンジオン、ベンフルラリン、エトフルラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、およびトリフルラリンからなる群から選択されるジニトロアニリン、アシフルオルフェン、アクロニフェン、ビフェノックス、ジクロフォプ、エトキシフェン、フォメサフェン、ラクトフェン、およびオキシフルオルフェンからなる群から選択されるジフェニルエーテル、ボモキシニル、ジクロベニル、およびイオキシニルからなる群から選択されるヒドロキシベンゾニトリル、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、およびイマゼタピルからなる群から選択されるイミダゾリノン、クロメプロップ、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、2,4-DB、ジクロルプロップ、MCPA、MCPA-チオエチル、MCPB、およびメコプロップからなる群から選択されるフェノキシ酢酸、クロリダゾン、フルフェンピル-エチル、フルチアセト、ノルフルラゾン、およびピリデートからなる群から選択されるピラジン、アミノピラリド、クロピラリド、ジフルフェニカン、ジチオピル、フルリドン、フルロキシピル、ピクロラム、ピコリナフェン、およびチアゾピルからなる群から選択されるピリジン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン-エチル、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルセトスルフロン、フルピルスルフロン、フォラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メツルフロン-メチル、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメトロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、および14(2-クロロ-6-プロピル-イミダゾール[1,2]-blピリダジン-3-イル)スルホニル)-3-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)尿素からなる群から選択されるスルホニル尿素、アメトリエン、アトラジン、シアナジン、ジメタメトリン、エチオジン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、プロメトリン、シマジン、テルブチラジン、テルブトリン、およびトリアジフラムからなる群から選択されるトリアジン、クロロトルロン、ダイムロン、ジウロン、フルオメツロン、イソプロトロンツロン、リヌロン、メサベンチアズロン、およびテブチウロンからなる群から選択される尿素化合物、ビスピリバック-ナトリウム、クロランスラム-メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルカルバゾン、フルメトスラム、メトスラム、オルト-スルファムロン、ペノクスラム、プロポキシカルバゾン、ピリバムベンズ-プロピル、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミノバック-メチル、ピリミスルファン、ピリチオバック、ピロキサスルホン、およびピロクスラムからなる群から選択されるアセト乳酸合成酵素阻害剤、ならびにアミカルバゾン、アミノトリアゾール、アニロホス、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフレセート、ベンゾフェナップ、ベンタゾン、ベンゾビシクロン、ブロマシル、ブロモブチド、ブタフェナシル、ブタミフォス、カフェンストロール、カルフェントラゾン、シニドン-エチル、クロルタール、シンメチリン、クロマゾン、クミルロン、シプロスルファミド、ジカンバ、ジフェンゾコート、ジフルフェンゾピル、Drechslera monoceras、エンドタール、エトフメセート、エトベンザニド、フェントラザミド、フルオロラック-ペンチル、フルミオキサジン、フルポキサム、フルオロクロリドン、フルタモン、インダノファン、イソキサベン、イソキサフルトール、レナシル、プロパニル、プロピザミド、キンクロラック、キンメラック、メソトリオン、メチルアルソン酸、ナプタラム、オキサジアルジル、オキサジアゾン、オキサジクロメフォン、ペントキサゾン、ピノキサデン、ピラクロニル、ピラフルフェン-エチル、ピラスルホトール、ピラゾキシフェン、ピラゾリネート、キノクラミン、サフルフェナシル、スルコトリオン、スルフェントラゾン、テルバシル、テフリルトリオン、テンボトリオン、チエンカルバゾン、トプラメゾン、4-ヒドロキシ-3-[2-(2-メトキシ-エトキシメチル)-6-トリフルオロメチル-ピリジン-3-カルボニル]-ビシクロル[3.2.1]オクタ-3-エン-2-オン、(3-[2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル)-フェノキシル]-ピリジン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル、6-アミノ-5-クロロ-2-シクロプロピル-ピリミジン-4-カルボン酸メチルエステル、6-クロロ-3-(2-シクロプロピル-6-メチル-フェノキシ)-ピリダジン-4-オール、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-フェニル)-5-フルオロ-ピリジン-2-カルボン酸、4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル、および4-アミノ-3-クロロ-6-(4-クロロ-3-ジメチルアミノ-2-フルオロ-フェニル)-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステルからなる群から選択される化合物、から選択される除草剤と組み合わせられ得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、若しくは微生物群集は、アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ジアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチル-パラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブフォス、トリアゾホス、およびトリクロルフォンからなる群から選択される有機(チオ)リン酸塩、アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、およびトリアザメートからなる群から選択されるカルバメート、アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シファロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレスリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウフルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ならびにジメフルトリンからなる群から選択されるピレスロイド、a)キチン合成阻害剤であって、当該キチン合成阻害剤が、クロルフルアズロン、シラマジン、ジフルベンズロン、フルシクロオキサロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、およびクロフェンタジンからなる群から選択されるベンゾイル尿素である、キチン合成阻害剤、b)ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、およびアザジラクチンからなる群から選択されるエクジソンアンタゴニスト、c)ピリプロキシフェン、メトプレン、およびフェノキシカルブからなる群から選択される幼若ホルモン様物質、またはd)スピロジクロフェン、スピロメシフェン、およびスピロテトラマトからなる群から選択される脂質生合成阻害剤、からなる群から選択される昆虫成長調節剤、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、および1-(2-クロロ-チアゾール-5-イルメチル)-2-ニトリミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナンからなる群から選択されるニコチン性受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロル、ピラフルプロル、ピリプロール、および5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェニル)-4-スルフィナモイル-1H-ピラゾール-3-cアルボチオ酸アミドからなる群から選択されるGABAアンタゴニスト化合物、アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、およびスパイントラムからなる群から選択される大環状ラクトン殺虫剤、フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、およびフルフェネリムからなる群から選択されるミトコンドリア電子輸送阻害剤(METI)Iダニ駆除剤、アセキノシル、フルアシプリム、およびヒドラメチルノンからなる群から選択されるMETI IIおよびIII化合物、クロルフェナピル、シヘキサチン、ジアフェンチウロン、フェンブタチン酸化物、およびプロパルギットからなる群から選択される酸化的リン酸化阻害剤、クリオマジン、ピペロニルブトキシド、インドキサカルブおよびメタフルミゾンからなる群から選択されるナトリウムチャネルブロッカー、ならびにベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、サイアジピル(HGW86)、シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン、およびピリフルキナゾンからなる群から選択される化合物、からなる群から選択される殺虫剤と組み合わせられ得る。
【0230】
いくつかの実施形態では、本発明は、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、および/または防藻剤などの農業空間内の既知の殺虫剤との本開示の微生物、または微生物コンソーシアの相乗的使用を教示する。
【0231】
いくつかの実施形態では、本発明は、除草剤、殺菌剤、殺真菌剤、殺虫剤、殺ウイルス剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、ダニ駆除剤、殺鼠剤、および/または防藻剤として機能するバイオ殺虫剤などの農業空間内の既知の殺虫剤との本開示の微生物、または微生物コンソーシアの相乗的使用を教示する。
【0232】
いくつかの実施形態では、教示される方法に従って識別された微生物または微生物コンソーシアが殺虫剤と組み合わせられると、目的の植物表現型形質に対する相加効果が目撃される。他の実施形態では、教示される方法に従って識別された微生物または微生物コンソーシアが殺虫剤と組み合わせられると、目的の植物表現型形質に対する相乗効果が目撃される。
【0233】
いくつかの実施形態では、教示される方法に従って識別された微生物または微生物コンソーシアがバイオ殺虫剤と組み合わせられると、目的の植物表現型形質に対する相加効果が目撃される。他の実施形態では、教示される方法に従って識別された微生物または微生物コンソーシアがバイオ殺虫剤と組み合わせられると、目的の植物表現型形質に対する相乗効果が目撃される。
【0234】
教示される方法によって得られる相乗効果は、Colbyの式(すなわち、(E)=X+Y-(X*Y/100))に従って定量化され得る。参照によりその全体で本明細書に組み込まれる、Colby,R.S.,“Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations,”1967 Weeds,vol.15,pp.20-22を参照されたい。したがって、「相乗的」とは、その存在によって、所望の効果を添加量以上に増大させる成分を意図している。
【0235】
本開示の単離された微生物およびコンソーシアは、農学的に活性な殺虫剤化合物、また、農業用補助殺虫剤化合物の有効性を相乗的に増加させることができる。
【0236】
本開示の単離された微生物およびコンソーシアは、農学的に活性なバイオ殺虫剤化合物、また、農業用補助バイオ殺虫剤化合物の有効性を相乗的に増加させることができる。
【0237】
植物成長調節剤およびバイオスティミュラント
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は本教示の微生物と組み合わせて使用される植物成長調節剤および/またはバイオスティミュラントを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、または微生物群落をオーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン発生体、成長阻害剤、および成長抑制剤などの農業空間における公知の植物成長調節剤と組み合わせることができる。
【0239】
例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、何よりも次の活性成分、すなわちアンシミドール、ブトラリン、アルコール、クロロメコードクロリド(chloromequat chloride)、サイトカイニン、ダミノジド、エテポホン(ethepohon)、フルルプルミドール、ジベレリン酸、ジベレリン混合物、インドール-3-酪酸(IBA)、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピコートクロリド、メピコートペンタボレート、ナフタレン酢酸(NAA)、1-ナフタレンアセテミド(1-napthaleneacetemide)、(NAD)、n-デカノール、プラクロブトラゾール(placlobutrazol)、プロヘキサジオンカルシウム、トリネキサパックエチル、ウニコナゾール、サリチル酸、アブシジン酸、エチレン、ブラシノステロイド、ジャスモン酸類、ポリアミン、一酸化窒素、ストリゴラクトン、またはカリキンをはじめとする活性成分のうちの一つ以上を含む農業用組成物を教示する。
【0240】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群衆は、とりわけ、QUICKROOTS(登録商標)、VAULT(登録商標)、RHIZO-STICK(登録商標)、NODULATOR(登録商標)、DORMAL(登録商標)、SABREX(登録商標)などの農業空間内の既知の種子接種剤と組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、ブラディリゾビウム属接種剤が本明細書で開示されるいかなる単一の微生物または微生物コンソーシアと組み合わせて利用される。特定の態様では、前述の接種剤のうちの一つ、例えばQUICKROOTS(登録商標)またはブラディリゾビウム属を本明細書において教示される微生物または微生物コンソーシアと組み合わせると相乗的効果が観察される。
【0241】
いくつかの実施形態では、本開示の農業用組成物は植物成長調節剤を含み、その植物成長調節剤は銅、マンガン、および亜鉛と共にカイネチン、ジベレリン酸、およびインドール酪酸を含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示は、限定されないが、Abide(登録商標)、A-Rest(登録商標)、Butralin(登録商標)、Fair(登録商標)、Royaltac M(登録商標)、Sucker-Plucker(登録商標)、Off-Shoot(登録商標)、Contact-85(登録商標)、Citadel(登録商標)、Cycocel(登録商標)、E-Pro(登録商標)、Conklin(登録商標)、Culbac(登録商標)、Cytoplex(登録商標)、Early Harvest(登録商標)、Foli-Zyme(登録商標)、Goldengro(登録商標)、Happygro(登録商標)、Incite(登録商標)、Megagro(登録商標)、Ascend(登録商標)、Radiate(登録商標)、Stimulate(登録商標)、Suppress(登録商標)、Validate(登録商標)、X-Cyte(登録商標)、B-nine(登録商標)、Compress(登録商標)、Dazide(登録商標)、Boll Buster(登録商標)、BollD(登録商標)、Cerone(登録商標)、Cotton Quik(登録商標)、Ethrel(登録商標)、Finish(登録商標)、Flash(登録商標)、Florel(登録商標)、Mature(登録商標)、MFX(登録商標)、Prep(登録商標)、Proxy(登録商標)、Quali-Pro(登録商標)、SA-50(登録商標)、Setup(登録商標)、Super Boll(登録商標)、Whiteout(登録商標)、Cutless(登録商標)、Legacy(登録商標)、Mastiff(登録商標)、Topflor(登録商標)、Ascend(登録商標)、Cytoplex(登録商標)、Ascend(登録商標)、Early Harvest(登録商標)、Falgro(登録商標)、Florgib(登録商標)、Foli-Zyme(登録商標)、GA3(登録商標)、GibGro(登録商標)、Green Sol(登録商標)、Incite(登録商標)、N-Large(登録商標)、PGR IV(登録商標)、Pro-Gibb(登録商標)、Release(登録商標)、Rouse(登録商標)、Ryzup(登録商標)、Stimulate(登録商標)、BVB(登録商標)、Chrysal(登録商標)、Fascination(登録商標)、Procone(登録商標)、Fair(登録商標)、Rite-Hite(登録商標)、Royal(登録商標)、Sucker Stuff(登録商標)、Embark(登録商標)、Sta-Lo(登録商標)、Pix(登録商標)、Pentia(登録商標)、DipN Grow(登録商標)、Goldengro(登録商標)、Hi-Yield(登録商標)、Rootone(登録商標)、Antac(登録商標)、FST-7(登録商標)、Royaltac(登録商標)、Bonzi(登録商標)、Cambistat(登録商標)、Cutdown(登録商標)、Downsize(登録商標)、Florazol(登録商標)、Paclo(登録商標)、Paczol(登録商標)、Piccolo(登録商標)、Profile(登録商標)、Shortstop(登録商標)、Trimmit(登録商標)、Turf Enhancer(登録商標)、Apogee(登録商標)、Armor Tech(登録商標)、Goldwing(登録商標)、Governor(登録商標)、Groom(登録商標)、Legacy(登録商標)、Primeraone(登録商標)、Primo(登録商標)、Provair(登録商標)、Solace(登録商標)、T-Nex(登録商標)、T-Pac(登録商標)、Concise(登録商標)、およびSumagic(登録商標)をはじめとする一種類以上の市販の植物成長調節剤を含む農業用組成物を教示する。
【0243】
いくつかの実施形態では、本発明は植物成長調節因子の生産または中断に影響する植物ホルモンまたは化学物質などの植物成長調節剤および/または植物成長刺激剤と本開示の微生物または微生物コンソーシアの相乗的使用を教示する。
【0244】
いくつかの実施形態では、本発明は、植物ホルモンが、オーキシン(例えば、インドール酢酸IAA)、ジベレリン、サイトカイニン(例えば、キネチン)、アブシジン酸、エチレン(およびACCシンターゼによって調節され、ACCデアミナーゼによって破壊されるその産生)を含み得ることを教示している。
【0245】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群落は、バイオスティミュラントと組み合わせることができる。そのようなバイオスティミュラントは、微生物、植物抽出物、植物抽出物、海藻、酸、バイオ炭などであり得るが、これらに限定されない。
【0246】
いくつかの実施形態では、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群衆は、有機(例えば、堆肥、血液、魚類など)、窒素系(例えば、硝酸塩、アンモニウム、尿素など)、リン酸塩、およびカリウムであり得る、肥料と組み合わせられ得る。そのような肥料はまた、硫黄、鉄、亜鉛などを含むが、これらに限定されない、微量栄養素を含有し得る。
【0247】
いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書において開示される微生物および微生物コンソーシアと相乗的に作用し得るフミン酸、フルボ酸、アミノ酸、ポリフェノールおよびタンパク質加水分解物などの追加の植物成長促進化学薬品を教示する。
【0248】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示はAscend(登録商標)と組み合わせて本教示の微生物をあらゆる作物に適用することを規定する。さらに、本開示はあらゆる方法または散布量を利用してAscend(登録商標)と組み合わせて本教示の微生物をあらゆる作物に適用することを提供する。
【0249】
いくつかの実施形態では、本開示はバイオスティミュラントを含む農業用組成物を教示する。
【0250】
本明細書において使用される場合、「バイオスティミュラント」という用語は土または他の植物培地に存在し得る微生物の成長を刺激するように作用するあらゆる物質を指す。
【0251】
その土または培地の中の微生物のレベルが植物の健康と直接的に相関する。微生物は、生物分解性炭素源を餌とするので、植物の健康はその土の中の有機物の量とも相関する。植物を育て、かつ、生育させるために肥料によって栄養物が提供されるが、いくつかの実施形態では、微生物を育て、かつ、増殖させるためにバイオスティミュラントによって生物分解性炭素、例えば、糖蜜、炭水化物、例えば、糖類が提供される。別途明確に指定されない限り、バイオスティミュラントは微生物の活性または植物の成長と発生を促進することが可能な単一の成分、またはいくつかの異なる成分の組合せを含んでよく、その促進は独立して作用するか、または組み合わさって作用するそれらの成分のうちの一つ以上の効果に起因する。
【0252】
いくつかの実施形態では、バイオスティミュラントは非栄養性植物成長応答を発生させる化合物である。いくつかの実施形態では、バイオスティミュラントの多くの重要な利益がホルモン活性に影響するそれらの能力に基づいている。植物のホルモン(植物ホルモン)は、正常な植物発生ならびに環境に対する応答を調節する化学メッセンジャーである。根およびシュートの成長、ならびに他の成長応答が植物ホルモンによって調節される。いくつかの実施形態では、バイオスティミュラント中の化合物によって植物のホルモン状態を変更することができ、かつ、その植物の成長および健康に対して大きな影響を及ぼすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示はバイオスティミュラントの共通成分としてシーケルプ、フミン酸、フルボ酸、およびビタミンB類を教示する。いくつかの実施形態では、本開示のバイオスティミュラントは抗酸化活性を強化し、それによって植物の防御系が向上される。いくつかの実施形態では、ビタミンC、ビタミンE、およびグリシンなどのアミノ酸がバイオスティミュラントに含まれる抗酸化剤である。
【0253】
他の実施形態では、バイオスティミュラントは土または他の植物培地に存在する微生物の成長を刺激するように作用し得る。特定の有機種子抽出物(例えば、ダイズ)を含むある特定のバイオスティミュラントを微生物接種剤と併用したときにその微生物接種剤に含まれる微生物の増殖をそれらのバイオスティミュラントによって刺激することができたことが先行研究により示されている。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は微生物接種剤と共に使用されると固有の微生物と接種剤微生物の両方の集団を増強することが可能である一つ以上のバイオスティミュラントを教示する。バイオスティミュラントのいくつかの普及している使用法の総説についてはCalvo et al.,2014,Plant Soil 383:3-41を参照されたい。
【0254】
植物要素、微生物、および農業用組成物の組み合わせ
いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、バチルス・チューリンゲンシス株39400もしくは株42901、または配列番号1~19のいずれか一つと少なくとも95%の同一性を共有するポリヌクレオチドを含む任意の一つもしくは複数の微生物を含む、個々の微生物、または微生物コンソーシア、または微生物群落、または前述の任意の組み合わせを、植物の表現型の改善のために、任意選択で任意の農業用組成物と組み合わせて、植物要素に適用し得ることを教示する。
【0255】
単離された微生物または群落もしくはコンソーシア(概して、同義的に「微生物(microbesまたはmicrobe)」は、異種植物要素に適用され、人造混合物を作成し得る。微生物が自然界で通常は植物要素に付随していない、または見出された場合でも、自然界で見出される量とは異なる量で適用される場合、微生物は植物要素に対して異種とみなされる。いくつかの実施形態では、微生物は、植物のある部位で自然に見出されるが、別の部位では見出され得ず、植物の別の部分への微生物の導入は、異種会合とみなされる。
【0256】
単離されたか、または植物もしくは植物要素と組み合わせたかのいずれかである微生物は、上記のような一つ以上の農業用組成物と更に関連付けられることが企図される。
【0257】
微生物および植物要素、微生物および農業用組成物、ならびに微生物および植物要素および農業用組成物の人造混合物が企図される(概して、自然界では典型的には見出されない成分を含む組成物である、「合成組成物」)。
【0258】
植物要素処理
いくつかの実施形態では、本開示は、植物要素を播種する前、または植物要素を植える前にそれらの植物要素を本開示の微生物または農業用組成物のうちの一つ以上の組合せで処理することにより植物の所望の形質、例えば植物の生育、植物の健康、および/または病害虫に対する植物の耐性を増強させることができるという発見にも関する。
【0259】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は微生物または微生物コンソーシアのうちの一つ以上の植物要素処理剤としての使用を教示する。植物要素処理剤は、未処理および「裸の」植物要素に直接適用される植物要素コーティングであり得る。しかしながら、その植物要素処理剤は一つ以上の以前の植物要素コーティングまたは植物要素処理剤で既にコーティングされている植物要素に塗布される植物要素保護膜であり得る。その以前の植物要素処理剤は化学的または生物学的な一つ以上の活性化合物と一つ以上の不活性成分を含み得る。
【0260】
「植物要素処理」という用語は植物要素が土に植えられる前、またはその間にその植物要素にある物質を塗布することを一般的に指す。本開示の微生物および本開示の他の農業用組成物での植物要素処理は、植物要素が発芽し、植物要素が現れる少し前にそれらの植物要素を植える場所に処理を行うことの利点を有する。
【0261】
他の実施形態では、本開示は、植物要素処理剤の使用によって植物の処理に成功するために必要とされる微生物または農業用組成物の量が最小限になり、かつ、土への散布または出現した植物要素への散布などの散布技術と比較して作業者が微生物および組成物と接触する量がさらに限定されることも教示する。
【0262】
また、いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書において開示される微生物が植物の一生のうちの初期ステージ(例えば、植物要素の出現後の最初の30日間)の増強にとって重要であることを教示する。したがって、いくつかの実施形態では、植物要素処理剤としての本開示の微生物および/または組成物の送達によりその活性にとって重要な時間に微生物が作用部位に配置される。
【0263】
いくつかの実施形態では、本開示の微生物組成物は植物要素処理剤として製剤される。いくつかの実施形態では、植物要素処理製品を正確に、安全に、および効率的に植物要素にコーティングするために特異的に設計および製造されている処理剤散布装置を使用することを介して従来の混合方法、散布方法、またはそれらの方法の組合せを用いて一つ以上の本明細書において開示される微生物および/または農業用組成物でそれらの植物要素を実質的に均一にコーティングすることができると考えている。そのような装置は、ロータリーコーター、ドラムコーター、流動床技術、噴流床、ロータリーミスト、またはそれらの組合せなどの様々な種類の被覆技術を使用している。本開示の植物要素処理剤のような液体植物要素処理剤をスピニング「アトマイザー」ディスクまたはスプレーノズルのどちらかを介して散布することができ、その植物要素処理剤がスプレーパターンを通って移動するときにその植物要素処理剤が植物要素に均一に分配される。態様では、その後でさらに処理剤を分配し、かつ、乾燥させるために追加の期間にわたって植物要素を混合する、または植物要素を転がす。
【0264】
発芽と実生の出現の均一性を高めるために微生物組成物でコーティングする前に植物要素を発芽処理しても発芽処理しなくてもよい。代替的実施形態では、乾燥粉末製剤を計量して動き回る植物要素の上に振りかけ、乾燥粉末製剤が完全に分配されるまで混合させることができる。
【0265】
いくつかの実施形態では、植物要素は本開示による微生物学的組成物でコーティングされた少なくとも一部の表面領域を有する。いくつかの実施形態では、微生物組成物を含む植物要素コーティングが、裸の植物要素に直接塗布される。いくつかの実施形態では、微生物組成物を含む植物要素保護膜が既に上に塗布された植物要素被膜を有する植物要素に塗布される。いくつかの態様では、植物要素は、本組成物が植物要素保護膜としてその上に塗布されるであろう、例えば、クロチアニジンおよび/またはバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)I-1582を含む植物要素コーティングを有し得る。いくつかの態様では、本教示の微生物組成物はPONCHO(商標)VOTiVO(商標)で既に処理されている植物要素に植物要素保護膜として塗布される。いくつかの態様では、植物要素は、本組成物が植物要素保護膜としてその上に塗布されるであろう、例えば、メタラキシル、および/またはクロチアニジン、および/またはバチルス・フィルムスI-1582を含む植物要素コーティングを有し得る。いくつかの態様では、本教示の微生物組成物はACCELERON(商標)で既に処理されている植物要素に植物要素保護膜として塗布される。
【0266】
いくつかの実施形態では、微生物で処理された植物要素は、植物要素当たり約10^2~10^12、10^2~10^11、10^2~10^10、10^2~10^9、1^02~10^8、10^2~10^7、10^2~10^6、10^2~10^5、10^2~10^4、または10^2~10^3の微生物胞子濃度または微生物細胞濃度を有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、微生物で処理された植物要素は、植物要素当たり約10^3~10^12、10^3~10^11、10^3~10^10、10^3~10^9、10^3~10^8、10^3~10^7、10^3~10^6、10^3~10^5、または10^3~10^4の微生物胞子濃度または微生物細胞濃度を有する。
【0268】
いくつかの実施形態では、微生物で処理された植物要素は、植物要素当たり約10^4~10^12、10^4~10^11、10^4~10^10、10^4~10^9、10^4~10^8、10^4~10^7、10^4~10^6、または10^4~10^5の微生物胞子濃度または微生物細胞濃度を有する。
【0269】
いくつかの実施形態では、微生物で処理された植物要素は、植物要素当たり約10^5~10^12、10^5~10^11、10^5~10^10、10^5~10^9、10^5~10^8、10^5~10^7、または10^5~10^6の微生物胞子濃度または微生物細胞濃度を有する。
【0270】
いくつかの実施形態では、微生物処理された植物要素は植物要素当たり約10^5~10^9の微生物胞子濃度、または微生物細胞濃度を有する。
【0271】
いくつかの実施形態では、微生物で処理された植物要素は、植物要素当たり少なくとも約1×10^3、または1×10^4、または1×10^5、または1×10^6、または1×10^7、または1×10^8、または1×10^9の微生物胞子濃度または微生物細胞濃度を有する。
【0272】
いくつかの実施形態では、植物要素に適用される微生物および/または農業用組成物のうちの一つ以上の量は、最終製剤、ならびに利用される植物または植物要素のサイズまたはタイプに依存する。いくつかの実施形態では、微生物のうちの一つ以上が製剤全体の約2%w/w~約80%w/wの割合で存在する。いくつかの実施形態では、組成物に採用される微生物のうちの一つ以上は、製剤全体の重量で約5%w/w~約65%w/wまたは10%w/w~約60%w/wである。
【0273】
いくつかの実施形態では、植物要素はまた、例えば、植物要素当たり約10^2、10^3、10^4、10^5、10^6、10^7、10^8、10^9、10^10、10^11、10^12、10^13、10^14、10^15、10^16、もしくは10^17胞子または細胞などの植物要素当たりより多くの胞子または微生物細胞を有し得る。
【0274】
いくつかの実施形態では、本開示の植物要素コーティングの厚さは、最大で10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm、200μm、210μm、220μm、230μm、240μm、250μm、260μm、270μm、280μm、290μm、300μm、310μm、320μm、330μm、340μm、350μm、360μm、370μm、380μm、390μm、400μm、410μm、420μm、430μm、440μm、450μm、460μm、470μm、480μm、490μm、500μm、510μm、520μm、530μm、540μm、550μm、560μm、570μm、580μm、590μm、600μm、610μm、620μm、630μm、640μm、650μm、660μm、670μm、680μm、690μm、700μm、710μm、720μm、730μm、740μm、750μm、760μm、770μm、780μm、790μm、800μm、810μm、820μm、830μm、840μm、850μm、860μm、870μm、880μm、890μm、900μm、910μm、920μm、930μm、940μm、950μm、960μm、970μm、980μm、990μm、1000μm、1010μm、1020μm、1030μm、1040μm、1050μm、1060μm、1070μm、1080μm、1090μm、1100μm、1110μm、1120μm、1130μm、1140μm、1150μm、1160μm、1170μm、1180μm、1190μm、1200μm、1210μm、1220μm、1230μm、1240μm、1250μm、1260μm、1270μm、1280μm、1290μm、1300μm、1310μm、1320μm、1330μm、1340μm、1350μm、1360μm、1370μm、1380μm、1390μm、1400μm、1410μm、1420μm、1430μm、1440μm、1450μm、1460μm、1470μm、1480μm、1490μm、1500μm、1510μm、1520μm、1530μm、1540μm、1550μm、1560μm、1570μm、1580μm、1590μm、1600μm、1610μm、1620μm、1630μm、1640μm、1650μm、1660μm、1670μm、1680μm、1690μm、1700μm、1710μm、1720μm、1730μm、1740μm、1750μm、1760μm、1770μm、1780μm、1790μm、1800μm、1810μm、1820μm、1830μm、1840μm、1850μm、1860μm、1870μm、1880μm、1890μm、1900μm、1910μm、1920μm、1930μm、1940μm、1950μm、1960μm、1970μm、1980μm、1990μm、2000μm、2010μm、2020μm、2030μm、2040μm、2050μm、2060μm、2070μm、2080μm、2090μm、2100μm、2110μm、2120μm、2130μm、2140μm、2150μm、2160μm、2170μm、2180μm、2190μm、2200μm、2210μm、2220μm、2230μm、2240μm、2250μm、2260μm、2270μm、2280μm、2290μm、2300μm、2310μm、2320μm、2330μm、2340μm、2350μm、2360μm、2370μm、2380μm、2390μm、2400μm、2410μm、2420μm、2430μm、2440μm、2450μm、2460μm、2470μm、2480μm、2490μm、2500μm、2510μm、2520μm、2530μm、2540μm、2550μm、2560μm、2570μm、2580μm、2590μm、2600μm、2610μm、2620μm、2630μm、2640μm、2650μm、2660μm、2670μm、2680μm、2690μm、2700μm、2710μm、2720μm、2730μm、2740μm、2750μm、2760μm、2770μm、2780μm、2790μm、2800μm、2810μm、2820μm、2830μm、2840μm、2850μm、2860μm、2870μm、2880μm、2890μm、2900μm、2910μm、2920μm、2930μm、2940μm、2950μm、2960μm、2970μm、2980μm、2990μm、または3000μmであり得る。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示の植物要素コーティングは、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm、または5mmの厚さであり得る。
【0276】
いくつかの実施形態では、本開示の植物要素コーティングは、コーティングされていない植物要素重量の少なくとも0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、25%、25.5%、26%、26.5%、27%、27.5%、28%、28.5%、29%、29.5%、30%、30.5%、31%、31.5%、32%、32.5%、33%、33.5%、34%、34.5%、35%、35.5%、36%、36.5%、37%、37.5%、38%、38.5%、39%、39.5%、40%、40.5%、41%、41.5%、42%、42.5%、43%、43.5%、44%、44.5%、45%、45.5%、46%、46.5%、47%、47.5%、48%、48.5%、49%、49.5%、または50%であり得る。
【0277】
いくつかの実施形態では、微生物胞子および/または細胞は、植物要素上に自由にコーティングされ得るか、または植物要素上にコーティングされる前に液体若しくは固体組成物中で製剤化され得る。例えば、固体担体が胞子または細胞懸濁液で含浸されるまで、固体担体を胞子の懸濁液と混合することによって、微生物を含む固体組成物を調製することができる。次いで、この混合物を乾燥させて、所望の粒子を得ることができる。
【0278】
いくつかの他の実施形態では、本開示の固体または液体微生物組成物は、機能的作用物質、例えば、活性炭、栄養素(肥料)、ならびに生産物の発芽および品質を改善することが可能な他の作用物質、またはそれらの組み合わせを更に含有することが企図される。
【0279】
本技術分野で公知の植物要素コーティング方法および組成物は、本開示の実施形態のうちの一つの追加によってそれらが修飾されるときに特に有用であり得る。それらの適用のためのそのようなコーティング方法および装置は、例えば、米国特許第5,916,029号、第5,918,413号、第5,554,445号、第5,389,399号、第4,759,945号、第4,465,017号、および米国特許出願第13/260,310号に開示されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0280】
植物要素コーティング組成物は、例えば、米国特許第5,939,356号、第5,876,739号、第5,849,320号、第5,791,084号、第5,661,103号、第5,580,544号、第5,328,942号、第4,735,015号、第4,634,587号、第4,372,080号、第4,339,456号、および第4,245,432号に開示されており、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0281】
いくつかの実施形態では、様々な添加物を、本発明の組成物を含む植物要素処理製剤に添加することができる。結合剤を添加することができ、それらの結合剤にはコーティングされる植物要素に対して植物有害効果を有しない天然物または合成物であり得る接着性高分子から構成される結合剤が含まれる。結合剤は、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含む、セルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、修飾デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩、およびキトサンを含む、多糖類、脂肪、油、ゼラチンおよびゼインを含む、タンパク質、アラビアゴム、シェラック、塩化ビニリデンおよび塩化ビニリデン共重合体、リグノスルホン酸カルシウム、アクリル共重合体、ポリビニルアクリレート、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマーおよび共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルアミドモノマー、ならびにポリクロロプレンから選択され得る。
【0282】
ニトロソ、ニトロ、モノアゾ、ビサゾ、およびポリアゾを含む、アゾ、アクリジン、アントラキノン、アジン、ジフェニルメタン、インダミン、インドフェノール、メチン、オキサジン、フタロシアニン、チアジン、チアゾール、トリアリルメタン、キサンテンとして分類される有機発色団を含む、様々な着色剤のいずれかが採用され得る。添加され得る他の添加物には、鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、および亜鉛の塩などの微量栄養素が含まれる。
【0283】
重合体または他の防塵剤を適用して、植物要素表面上で処理を保持することができる。
【0284】
いくつかの特定の実施形態では、微生物細胞または胞子に加えて、コーティングは、接着剤の層を更に含むことができる。接着剤は、非毒性、生分解性、および接着性であるべきである。そのような材料の例としては、限定されるものではないが、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシメチルプロピルセルロースなどのセルロース、デキストリン、アルギン酸塩、糖、糖蜜、ポリビニルピロリドン、多糖類、タンパク質、脂肪、油、アラビアゴム、ゼラチン、シロップ、ならびにデンプンが挙げられる。さらなる例は、例えば、米国特許第7,213,367号に見ることができ、本明細書に組み込まれる。
【0285】
接着剤、分散剤、界面活性剤、ならびに栄養および緩衝成分などの様々な添加剤も、植物要素処理剤に含むことができる。他の従来の植物要素処理剤には、限定されるものではないが、コーティング剤、湿潤剤、緩衝剤、および多糖類が含まれる。少なくとも一つの農業的に許容可能な担体を、水、固体、または乾燥粉末などの植物要素処理剤に添加することができる。乾燥粉末は、炭酸カルシウム、石膏、バーミキュライト、タルク、腐植土、活性炭、および様々なリン化合物などの様々な材料に由来し得る。
【0286】
いくつかの実施形態では、植物要素コーティング組成物は、植物要素へのその適用を促進するために活性成分が組み合わせられる、有機または無機、天然または合成成分である、少なくとも一つの充填剤を含むことができる。態様では、その充填剤は粘土、天然または合成のケイ酸塩、シリカ、樹脂、ワックス、固形肥料(例えばアンモニウム塩);カオリン、粘土、タルク、ライム、水晶、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ベントナイトまたは珪藻土などの天然土壌鉱物、またはシリカ、アルミナ、もしくはケイ酸塩、特にケイ酸アルミニウムもしくはケイ酸マグネシウムなどの合成ミネラルのような不活性固形物である。
【0287】
いくつかの実施形態では、植物要素処理剤は、以下の成分:地下にのみ作用する化合物を含む他の殺虫剤、カプタン、チラム、メタラキシル、フルジオキソニル、オキサジキシル、およびそれらの材料の各々の異性体などの殺真菌剤、グリホサート、カルバメート、チオカルバメート、アセトアミド、トリアジン、ジニトロアニリン、グリセロールエーテル、ピリダジノン、ウラシル、フェノキシ、尿素、および安息香酸から選択される化合物を含む、除草剤、ベンゾキサジン、ベンズヒドリル誘導体、N,N-ジアリルジクロロアセトアミド、様々なジハロアシル、オキサゾリジニルおよびチアゾリニル化合物、エタノン、ナフタル酸無水物化合物、ならびにオキシム誘導体などの除草剤解毒剤、化学肥料、生物学的肥料、ならびにRhizobium属、Bacillus属、Pseudomonas属、Serratia属、Trichoderma属、Glomus属、Gliocladium属、および菌根菌由来の他の自然発生もしくは組換え細菌および真菌などの生物防除剤のうちの一つ以上をさらに含み得る。これらの成分は、植物要素上に別個の層として添加され得るか、または代替的に、本開示の植物要素コーティング組成物の一部として添加され得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、本開示の植物要素を処理するために使用される製剤は、懸濁液、エマルション、水性媒体(例えば、水)中の粒子のスラリー、水和剤、湿潤性粒剤(乾燥流動性)、および乾燥粒剤の形態であり得る。懸濁液または泥状物として製剤される場合、その製剤中の活性成分の濃度は約0.5重量%から約99重量%(w/w)または5~40%であり得、そうでなければ当業者により製剤される通りであり得る。
【0289】
上で述べたように、他の従来の非活性成分または不活性成分を製剤に組み込むことができる。そのような不活性成分としては、限定されるものではないが、従来の粘着剤、例えば、植物要素処理で使用するための複合分散剤/粘着剤としての役割を果たす、メチルセルロースなどの分散剤、ポリビニルアルコール、レシチン、ポリマー分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル)、増粘剤(例えば、粘度を改善し、粒子懸濁液の沈降を低減するための粘土増粘剤)、エマルション安定化剤、界面活性剤、不凍化合物(例えば、尿素)、染料、着色剤などが含まれる。本開示において有用なその他の不活性成分を、参照により本明細書に援用する McCutcheon’s,vol.1,“Emulsifiers and Detergents,” MC Publishing Company、グレンロック、ニュージャージー州、米国、1996年に見ることができる。
【0290】
本開示の植物要素コーティング製剤は、容器(例えば、ボトルまたは袋)内の混合、機械式散布、タンブリング、噴霧、および浸漬を含むが、これらに限定されない、様々な方法によって植物要素に適用され得る。植物要素を本開示による微生物組成物と接触させるために、様々な活性または不活性材料を使用することができる。
【0291】
いくつかの実施形態では、植物要素の処理に使用される微生物または農業用組成物の量は植物要素の種類および活性成分の種類に応じて変化するが、その処理は植物要素と農業上有効量の本発明の組成物との接触を含む。
【0292】
上で考察したように、有効量は有益な結果または所望の結果に影響を与えるのに充分である本発明の組成物のその量を意味する。有効量は一回以上の投与で投与され得る。
【0293】
いくつかの実施形態では、コーティング層に加えて、植物要素は、以下の成分:殺菌剤および除草剤を含む他の殺虫剤、除草剤解毒剤、肥料および/または生物防除剤のうちの一つ以上で処理され得る。これらの成分を別の層として添加、あるいはコーティング層に添加し得る。
【0294】
いくつかの実施形態では、本開示の植物要素コーティング剤は流動床技術、ローラーミル法、輪転静電気式植物要素処理機、およびドラムコーターなどの様々な技術および機械を使用して植物要素に塗布され得る。噴流床などの他の方法も有用であり得る。コーティング前にそれらの種植物要素をプレサイジング処理し得る。コーティング後にそれらの植物要素を乾燥し、その後にサイジング処理のためにサイジング機に送ることが典型的である。そのような技法は当技術分野において公知である。
【0295】
いくつかの実施形態では、微生物処理された植物要素をオーバーコーティング膜で包んでコーティングを保護し得る。そのようなオーバーコーティングは、当該技術分野で公知であり、流動床技術およびドラム式フィルムコーティング技術を使用して塗布され得る。
【0296】
本開示、の他の実施形態では固形マトリックスプライミングの使用により本開示による組成物を植物要素に導入することができる。例えば、ある量の本発明の組成物を固形マトリックス材と混合することができ、次に組成物を植物要素に導入させるための時間にわたってその植物要素をその固形マトリックス材と接触させることができる。その後、所望によりその植物要素をその固形マトリックス材から分離し、かつ、保存または使用することができ、または固形マトリックス材と植物要素の混合物を保存するか、またはそのまま植え付けることができる。本開示において有用である固形マトリックス材にはポリアクリルアミド、デンプン、粘土、シリカ、アルミナ、土、砂、ポリウレア、ポリアクリレート、または本発明の組成物をある時間の間に吸収または吸着し、且つ、その組成物を植物要素の中または植物要素の上に放出することが可能である他のあらゆる材料が含まれる。本発明の組成物および固形マトリックス材が相互に適合することを確かめることが有用である。例えば、固形マトリックス材はその固形マトリックス材が例えば数分間、数時間、または数日にわたって正当な速度で組成物を放出することができるように選択されるべきである。
【0297】
いくつかの実施形態では、本開示は、開示される方法に従って開発された個々の微生物、または微生物コンソーシア、もしくは微生物群落を、任意の植物バイオスティミュラントと組み合わせることができることを教示する。
【0298】
いくつかの実施形態では、本開示は、とりわけ、Vitazyme(登録商標)、Diehard(商標)Biorush(登録商標)、Diehard(商標)Biorush(登録商標)Fe、Diehard(商標)Soluble Kelp、Diehard(商標)Humate SP、Phocon(登録商標)、Foliar Plus(商標)、Plant Plus(商標)、Accomplish LM(登録商標)、Titan(登録商標)、Soil Builder(商標)、Nutri Life、Soil Solution(商標)、Seed Coat(商標)、PercPlus(商標)、Plant Power(登録商標)、CropKarb(登録商標)、Thrust(商標)、Fast2Grow(登録商標)、Baccarat(登録商標)、およびPotente(登録商標)を含むが、これらに限定されない、一つ以上の市販のバイオスティミュラントを含む、農業用組成物を教示する。
【0299】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが活性化学薬品と組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相加的効果が見られる。他の実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが活性化学薬品と組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相乗的効果が見られる。
【0300】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが肥料と組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相加的効果が見られる。他の実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが肥料と組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相乗的効果が見られる。
【0301】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが植物成長調節剤と組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相加的効果が見られる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが植物成長調節剤と組み合わせられると相乗的効果が見られる。いくつかの態様では、Ascend(登録商標)と本開示の微生物が組み合わされ、目的の一つ以上の表現型形質について相乗的効果が観察される。
【0302】
いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアがバイオスティミュラントと組み合わせられると植物の目的の表現型形質に対する相加的効果が見られる。いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアがバイオスティミュラントと組み合わせられると相乗的効果が見られる。
【0303】
教示される方法によって得られる相乗効果は、Colbyの式(すなわち、(E)=X+Y-(X*Y/100))に従って定量化され得る。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Colby,R.S.,“Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations,1967 Weeds,vol.15,pp.20-22を参照のこと。したがって、「相乗的」とは、その存在によって、所望の効果を添加量以上に増大させる成分を意図している。
【0304】
本開示の単離微生物およびコンソーシアは農業上の活性化合物の有効性を相乗的に向上させることができ、農業上の補助化合物の有効性も相乗的に向上させることができる。
【0305】
他の実施形態では、本開示の方法に従って特定された微生物または微生物コンソーシアが肥料と組み合わせられると相乗的効果が見られる。
【0306】
さらに、ある特定の実施形態では本開示は微生物コンソーシアを規定するために相乗的相互作用を利用する。すなわち、ある特定の態様では本開示相乗的に作用するある特定の単離微生物種を一緒に混合して植物に有益な形質を付与する、または有益な植物形質の増大と相関するコンソーシアにする。
【0307】
公知の活性農業用化合物の活性を改善するため、本開示に従って開発された農業用組成物をある特定の補助剤と共に製剤することができる。これには、その活性化合物の効力を維持しながらその製剤中の活性成分の量を減少させることができ、したがってコストを可能な限り低く抑えることができ、かつ、あらゆる公的規制に従うことができるという利点がある。個々の事例において、ある特定の補助剤を添加しない特定の活性成分による処理によって成功が不充分である場合にその特定の補助剤を本開示の微生物単離物およびコンソーシアと共に添加することにより実際に植物の処理に成功することができるので、その活性化合物の作用範囲を広げることも可能であり得る。また、個々の事例において環境条件が好ましいものではないときに適切な製剤によってその活性化合物の性能を高めることができる。
【0308】
農業用組成物に使用され得るそのような補助剤は、アジュバントであり得る。アジュバントは、表面活性化合物または塩様化合物の形態を取ることが多い。アジュバントそれらの作用機序に応じて改変剤、活性化剤、肥料、pH緩衝剤などに大まかに分類され得る。改変剤は、製剤の湿潤特質、粘着特質、および拡散特質に影響を与える。活性化剤は、植物のろう質の上皮を分解し、活性成分の上皮への浸透を(数分にわたる)短期と(数時間にわたる)長期の両方で改善する。硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムまたは尿素などの肥料は活性成分の吸収および溶解性を改善し、そして活性成分の対抗的挙動を減少させ得る。pH緩衝剤は、製剤を至適pHにするために従来通り使用される。
【0309】
本開示の農業用組成物のさらなる実施形態については、参照によりここに援用するKluwer Academic Publishers社に版権があるD.A.Knowles編、“Chemistry and Technology of Agrochemical Formulations” 1998年を参照されたい。
【0310】
植物および農学的利益
農業で栽培されるものを含む多種多様な植物は、単一微生物、コンソーシア、および/またはそれらから生産されるか、または前述のうちのいずれかを含む組成物を含む、本明細書に記載されるものなどの微生物の適用から利益を受けることが可能であり得る。コケおよび地衣類および藻類を含むあらゆる数の多種多様な植物が本開示の方法において使用され得る。複数の実施形態では、それらの植物は経済的、社会的、または環境的な価値を有する。例えば、それらの植物には食用作物、繊維作物、油料作物として使用される植物、林業において使用される植物、パルプ製紙工業において使用される植物、バイオ燃料生産用供給原料として使用される植物、および観賞植物として使用される植物が含まれ得る。
【0311】
他の実施形態ではそれらの植物は雑草のように経済的、社会的、または環境的に望ましくない植物であり得る。次のものは本開示の方法が適用され得る、植物の種類の非限定的な例の一覧である。
【0312】
食用作物
穀草類、例えばトウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、モロコシ、キビ、エンバク、ライムギ、ライコムギ、およびソバ、
【0313】
葉菜類、例えばキャベツ、ブロッコリー、チンゲンサイ、ルッコラなどのアブラナ科植物;ホウレンソウ、クレソン、およびレタスなどのサラダ用野菜、
【0314】
結実および開花野菜、例えば、アボガド、スイートコーン、アーティチョーク、キュウリ類、例えば、カボチャ、キュウリ、メロン、ズッキーニ、ペポカボチャ、ナス科の野菜/果実、例えば、トマト、ナス、およびトウガラシ、
【0315】
マメ科の野菜、例えば、ピーナッツ、落花生、エンドウ、大豆、豆、レンズマメ、ヒヨコマメ、オクラ、
【0316】
球根状および茎状野菜、例えば、アスパラガス、セロリ、ネギ属作物、例えば、ニンニク、タマネギ、およびネギ、
【0317】
根菜および塊茎野菜、例えば、ニンジン、ビート、タケノコ、キャッサバ、ヤムイモ、ショウガ、キクイモ、パースニップ、ダイコン、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、カブ、およびワサビ、
【0318】
サトウダイコン(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum officinarum)を含む、糖料作物、
【0319】
ノンアルコール飲料および刺激物質、例えばコーヒー、紅茶、ハーブティー、および緑茶、ココア、マリファナ、およびタバコの生産のために栽培される作物、
【0320】
漿果類(例えばキウイフルーツ、ブドウ、スグリ、グースベリー、グアバ、フェイジョア、ザクロ)、かんきつ類(例えばオレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ)、偽果類(例えばバナナ、クランベリー、ブルーベリー)、集合果類(ブラックベリー、ラズベリー、ボイセンベリー)、複合果類(例えばパイナップル、イチジク)、核果類(例えばアンズ、モモ、サクランボ、プラム)、ナシ状果類(例えばリンゴ、ナシ)などの果菜類およびイチゴ、ヒマワリ種子のような他の果菜類、
【0321】
料理用および薬用ハーブ類、例えばローズマリー、バジル、ローレル、コリアンダー、ミント、ディル、オトギリソウ、ジギタリス、アロエベラ、ローズヒップ、およびアサ、
【0322】
スパイス、例えばブラックペッパー、クミン、シナモン、ナツメグ、ジンジャー、クローブ、サフラン、カルダモン、メース、パプリカ、マサラ、スターアニスを生産する作物、
【0323】
ナッツ類、例えばアーモンドおよびクルミ、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ココナッツ、クリ、マカダミアナッツ、ピスタチオ;ピーナッツ、ペカンナッツの生産のために栽培される作物、
【0324】
ビール、ワインおよび他のアルコール飲料の生産のために栽培される作物、例えばブドウおよびホップ、
【0325】
油料作物、例えばダイズ、ピーナッツ、綿、オリーブ、ヒマワリ、ゴマ、ルピナス属の種およびアブラナ科作物(例えばキャノーラ/アブラナ)、および、食用菌類、例えばマッシュルーム、シイタケおよびヒラタケ、
【0326】
牧畜農業で使用される植物
シャジクソウ属の種、ウマゴヤシ属の種、およびミヤコグサ属の種;シロツメクサ(T.repens)、アカツメクサ(T.pratense)、コーカサスクローバー(T.ambigum)、サブタレニアンクローバー(T.subterraneum)、アルファルファ/ルーサン(Medicago sativum)、一年生ウマゴヤシ、タルウマゴヤシ、コメツブウマゴヤシ、イガマメ(Onobrychis viciifolia)、ミヤコグサ(Lotus corniculatus)、ネビキミヤコグサ(Lotus pedunculatus)、
【0327】
エンドウ(Pisum sativum)、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)、ソラマメ(Vicia faba)、リョクトウ(Vigna radiata)、ササゲ(Vigna unguiculata)、ヒヨコマメ(Cicer arietum)、ハウチワマメ(Lupinus種)を含む、種子マメ科植物/豆類、トウモロコシ/トウキビ(Zea mays)、ソルガム(Sorghum種)、キビ(Panicum miliaceum、P.sumatrense)、米(Oryza sativa indica、Oryza sativa japonica)、小麦(Triticum aestivum)、大麦(Hordeum vulgare)、ライ麦(Secale cereale)、ライ小麦(Triticum X Secale)、オート麦(Avena sativa)を含む、穀草類、
【0328】
飼料およびアメニティ用草:Lolium種などの寒地型牧草、Festuca種、Agrostis種、ペレニアルライグラス(Lolium perenne)、ハイブリッドライグラス(Lolium hybridum)、一年生ライグラス(Lolium multiflorum)、オニウシノケグサ(Festuca arundinacea)、ヒロハノウシノケグサ(Festuca pratensis)、オオウシノケグサ(Festuca rubra)、Festuca ovina、フェストロリウム(Lolium X Festuca crosses)、カモガヤ(Dactylis glomerata)、ケンタッキーブルーグラスPoa pratensis、Poa palustris、Poa nemoralis、Poa trivialis、Poa compresa、Bromus種、クサヨシ(Phleum種)、Arrhenatherum elatius、Agropyron種、Avena strigosa、Setaria italic、
【0329】
Phalaris種、Brachiaria種、Eragrostis種 Panicum種、アメリカスズメノヒエ(Paspalum notatum)、Brachypodium種、ならびにスイッチグラス(Panicum virgatum)およびMiscanthus種などのバイオ燃料生産に使用される草などの暖地型牧草、
【0330】
繊維作物
綿、麻、ジュート、ココナッツ、サイザル麻、亜麻(Linum種)、ニュージーランド亜麻(Phormium種)、紙用に収穫された植林および自然休種、ならびに針葉樹および広葉樹林種などの加工木質繊維製品、
【0331】
植林およびバイオ燃料作物に使用される樹木および低木
マツ(Pinus種)、モミ(Pseudotsuga種)、トウヒ(Picea種)、ヒノキ(Cupressus種)、アカシア(Acacia種)、ハンノキ(Alnus種)、オーク種(Quercus種)、レッドウッド(Sequoiadendron種)、ヤナギ(Salix種)、カバノキ(Betula種)、ヒマラヤスギ(Cedurus種)、セイヨウトネリコ(Fraxinus種)、カラマツ(Larix種)、Eucalyptus種、竹(Bambuseae種)およびポプラ(Populus種)。
【0332】
抽出処理、生物学的処理、物理的処理、または生化学的処理によるエネルギー、バイオ燃料、または工業製品への転換のために栽培される植物:
油ヤシ、ジャトロファ、トウモロコシ、大豆、綿、亜麻仁などの産油植物、パラゴムノキ、Hevea brasiliensis、パナマラバーツリー、Castilla elasticaなどのラテックス生産植物、糖作物(例えば、ビート、サトウキビ)、デンプン生産作物(例えば、C3およびC4穀物作物ならびに塊茎作物)、森林樹木(例えば、マツ、ユーカリ)などのセルロース作物、ならびに竹、スイッチグラス、ススキなどのイネ科(GraminaceousおよびPoaceous)植物を含む、バイオ燃料の生産のために、すなわち、バイオ燃料、工業用溶媒または化学製品、例えば、エタノールもしくはブタノール、プロパンジオール、または他の燃料もしくは工業材料の生産中の化学的、物理的(例えば、熱若しくは触媒)、または生化学的(例えば、酵素前処理)、または生物学的(例えば、微生物発酵)形質転換後に、直接または間接的原料として使用される植物、バイオ炭の生産の有無別に、ガス化および/またはバイオ燃料または溶媒もしくはプラスチックなどの他の工業原材料へのガスの微生物もしくは触媒変換を介した、エネルギー、バイオ燃料、または工業化学生産に使用される作物(例えば、針葉樹、ユーカリ、熱帯林もしくは広葉樹林の樹木、竹、スイッチグラス、ススキ、サトウキビ、もしくは麻などのイネ科(graminaceousおよびpoaceous)作物、またはポプラ、ヤナギなどの針葉樹、ならびにバイオ炭の生産に使用されるバイオマス作物、
【0333】
医薬品産業、農業機能性食品産業、および機能性化粧品産業に有用な天然産物を生産する作物
医薬品前駆体もしくは医薬品化合物または機能性食品および機能性化粧品用の化合物および材料を生産する作物、例えば、スターアニス(シキミ酸)、イタドリ(レスベラトロール)、キウイフルーツ(可溶性繊維、タンパク質分解酵素)、
【0334】
審美的特質または環境的特質のために栽培される花卉園芸植物、観賞植物、および施設用植物、
バラ、チューリップ、キクなどの花、
【0335】
ツゲ属、ヘーベ属、バラ属、ツツジ属、キヅタ属などの観賞用低木、
【0336】
スズカケノキ属、チョイシャ属、エスカロニア属、トウダイグサ属、スゲ属などのアメニティ植物、
【0337】
ミズゴケなどのコケ、
【0338】
バイオレメディエーション用に栽培される植物、
特定の態様では、本開示の微生物を雑種植物に散布して雑種植物の有益な形質を増大させる。他の態様では、本開示の微生物は、遺伝子修飾された植物に適用され、当該GM植物の有益な形質を増加させる。本明細書において教示される微生物を雑種植物およびGM植物に散布し、そうしてこれらの植物のエリートジェネティクスおよびトレイトテクノロジーを最大限に活用することができる。
【0339】
種子、実生、切り枝、栄養繁殖体、または成長可能な他のあらゆる植物材料もしくは植物組織の形で植物を提供してよいことが理解されるべきである。一実施形態では、その種子は表面汚染混入微生物を除去するために次亜塩素酸ナトリウムまたは塩化水銀などの物質で表面殺菌され得る。一実施形態では、その栄養繁殖体は、例えば組織培養における無菌小植物として、植物成長培地に配置される前に無菌培養で増殖される。
【0340】
適用方法
当技術分野において公知のあらゆる適切な技術を用いて、微生物が植物、実生、切り枝、栄養繁殖体など、および/または植物を含む成長培地に適用され得る。
【0341】
しかしながら、一例として、単離された微生物、コンソーシア、もしくはそれらを含む組成物、および/またはそれらから生産される組成物が、噴霧、コーティング、散布、または当技術分野で公知である任意の他の方法によって、植物、苗、挿し木、珠芽などに適用され得る。
【0342】
別の実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物を播種前の植物種子に直接的に適用し得る。
【0343】
別の実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物を種子コーティング剤として植物種子に直接的に適用し得る。
【0344】
本開示の一実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物は顆粒、またはプラグ、または植物培地に投入される土壌潅注の形で提供される。
【0345】
他の実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物は葉面噴霧組成物または葉面液体組成物などの葉面散布の形で提供される。葉面噴霧処理または葉面液体処理は生育中の植物または培地、例えば土壌に対して行われてもよい。
【0346】
いくつかの実施形態では、単離された微生物、コンソーシア、またはそれらを含む組成物は、土壌潅注、葉面噴霧、浸漬処理、畝内処理、土壌改良、粒剤、広域処理、ポストハーベスト病害防除処理、または種子処理から選択される形態で供給される。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、単独で、または交代噴霧プログラムで適用され得る。
【0347】
いくつかの実施形態では、単離された微生物、コンソーシア、またはそれらを含む組成物は、タンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、他の農産物とのタンク混合に適合し得る。いくつかの実施形態では、農業用組成物は、地上、空中、および灌漑用途に使用される機器に適合し得る。
【0348】
別の実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物は顆粒剤として製剤されてもよく、種子の植え付け中に一緒に適用されてもよい。または、その粒剤は、植え付けの後に適用され得る。または、その粒剤は、植え付けの前に適用され得る。
【0349】
いくつかの実施形態では、単離微生物、同微生物を含むコンソーシアまたは組成物は作物の成長、収量、および品質を改善するために局所適用および/または潅注適用として植物または培地に適用される。その局所適用は乾燥ミックスまたは乾燥粉末または散布組成物の利用を介したものであり得、または液体ベースの製剤であり得る。
【0350】
実施形態では、単離された微生物、コンソーシア、またはそれらを含む組成物は、とりわけ、(1)溶液、(2)水和剤、(3)粉剤、(4)可溶粉剤、(5)濃縮乳剤または濃縮懸濁液、(6)種子粉衣またはコーティング、(7)錠剤、(8)水分散性顆粒剤、(9)水溶性顆粒剤(徐放性または速放性)、(10)マイクロカプセル化顆粒剤または懸濁剤、(11)灌水用成分、ならびに(12)肥料、殺虫剤、および他の適合性改良剤の成分として、製剤化され得る。ある特定の態様では、組成物は、従来の噴霧適用の前に水性媒体中で希釈され得る。本開示の組成物は、土壌、植物、種子、根圏、リゾシース(rhizosheath)、または微生物組成物を適用することが有益である他の領域に適用され得る。さらになお、内生微生物を導入するための手段としてバリスティック法を利用することができる。
【0351】
態様では、組成物は植物の葉に散布される。組成物は、濃縮乳剤または濃縮懸濁液、溶液、または葉面噴霧の形で植物の葉に散布され得る。組成物の適用は、実験室、栽培用チャンバ、温室、または野外で行われ得る。
【0352】
別の実施形態では、微生物は、根または茎を切り、液体微生物懸濁液、またはゲル、または粉末を噴霧、浸漬、あるいは塗布することにより微生物にその植物表面を曝露することでその植物に植菌され得る。
【0353】
別の実施形態では、微生物は葉または根の組織に直接的に注入されてもよく、あるいは葉または根の切断片、またはその他には切り出された胚もしくは幼根もしくは子葉鞘に直接的に植菌されてもよい。次いで、これらの接種された植物は、更なる微生物を含む成長培地に曝露され得るが、しかしながら、これは必要ではない。
【0354】
他の実施形態では、特に前記微生物が培養不可能である場合に接ぎ木、外植片の挿入、吸引、電気穿孔、創傷、断根、気孔開口の誘導、または微生物が植物細胞もしくは細胞間空間に侵入する機会を提供するあらゆる物理的、化学的、もしくは生物学的処理のうちのいずれか一つ、またはそれらの組合せによって微生物が植物に移されてもよい。当業者は、使用可能な多数の代替的技術を容易に理解し得る。
【0355】
一実施形態では、微生物は根、茎、葉および/または植物生殖部分などの植物の部分に浸透し(内部寄生することになる)、かつ/または根、茎、葉および/または植物生殖部分の表面上で増殖し(着生することになる)、かつ/または植物根圏内で増殖する。一実施形態では、微生物はその植物と共生関係を形成する。
【0356】
本発明は、特に、好ましい実施形態および様々な代替的実施形態を参照して示され、説明されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更がそれに行われ得ることが、当業者によって理解されるであろう。例えば、以下の特定の実施例は、具体的な植物を使用して本明細書に記載される方法および実施形態を例証し得るが、これらの実施例の原理は、任意の植物に適用され得る。したがって、本発明の範囲は、以下に例示される具体的な実施例によってのみではなく、本明細書に列挙される実施形態によって包含されることが理解されるであろう。
【0357】
本開示は、当業者が、複数の様々な実施形態に従って本明細書で提供される発明を作製および使用することを可能にする。特定の改変、修正、置換、および改善を含む、当業者に容易に想起される本開示の様々な改変、修正、および改善も、本開示の一部である。したがって、前述の説明は、一例として本明細書で提供される発見を例証するものである。更に、前述の説明および実施例は、本発明の例示であり、その限定ではない。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0358】
本出願で参照される全ての引用された特許および刊行物は、各々が参照により個々かつ具体的に組み込まれた場合と同じ程度に、あらゆる目的のために、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0359】
本明細書に提示される方法および組成物は、微生物またはコンソーシアもしくは群落を含む、および/またはそれらによって産生される、開示される単離された微生物、群落、コンソーシア、および/または組成物を利用することに基づいて、植物、例えば、農作物などの植物の一つ以上の特徴を改善する。
【0360】
実施例1:微生物の単離および同定
本明細書に記載のバチルス・チューリンゲンシス株39400を、2006年にNZのNapierで採取されたクローバー(Trifolium repens)の根周辺の土壌から分離した。本明細書に詳述されるように、株39400は、植物に良好な根のコロニー形成する胞子形成微生物であり、様々な作物における収量成績に好影響を与え、線虫の防除に好影響を与えることが実証された。
【0361】
株39400において、立方体や両錐体を含む異なる結晶を有する複数の寄生型が同定された。
【0362】
単離手順は以下の通りであった:乾燥した土壌画分を、滅菌したエッペンドルフチューブ中で50%EtOHに一晩浸漬した。それらを四倍まで希釈し、TSAプレート上に広げて胞子形成菌を単離した。
【0363】
本明細書に記載されるバチルス・チューリンゲンシス株42901を、ホソムギから内生菌として単離した。ライ麦の種子を、株39400を含むバチルス・チューリンゲンシスを含む複数の単離された細菌株および真菌株で処理し、様々な条件下で成長させた。株42901をライ麦植物の成苗から単離した。
【0364】
微生物の単離は、当技術分野で公知である任意の方法に従って実施され得る。一つの例示的な非限定的実施例が、以下に挙げられる。
【0365】
多様な植物要素切片から約4cmの切片が調製され、ジッパー付きのビニール袋に入れられる。例えば、トウモロコシが植物であり、根が所望の組織である場合、(1)一次根、(2)種子根、(3)冠根、および(4)支柱根から切片を採り、単離のための多様な組織を確保する。
【0366】
次いで、組織を以下のように滅菌する。組織を洗浄し、ボルテックスすることによって、25mLの滅菌逆浸透(RO)水を有する50mLファルコンチューブ内に土が含まれていないことを確実にする。これは、根から土を取り除くために複数の洗浄を要し、ピンセットを使用し得る。ピンセットを使用して、50mLファルコンチューブ内の70%エタノールに根組織を10秒間浸す。即時にエタノール浴から根系を取り出し、過剰な液体を振り払い、50mLファルコンチューブ内の1.5%NaOClにそれを3分間浸す。根系を滅菌50mlファルコンチューブに移し、植物材料を清浄な滅菌水に6回浸漬することによって、滅菌RO水で6回洗浄する。
【0367】
植物組織関連微生物の抽出は、前のステップからの上清液体の培養、部分培養、および選択によって実施され得る。代替的に、滅菌および洗浄された組織をペトリ皿に移し、滅菌鋏を使用して細片を切断する。約500μLのこの組織を滅菌2mlチューブに移し、100μLの培地を添加して、ピンセットまたはL字型スプレッダーの後端などの滅菌器具を用いて浸して柔らかくする。これらの根組織の小片は、寒天に埋め込むために、注いだばかりの(温かいが高温ではない)培地に添加され得る。植物材料の「切断」端から成長するコロニーを探す。500μLの組織当たりpH7で1mlの10mM滅菌リン酸カリウム緩衝液を添加する。溶液をよく混合する。450μLのリン酸緩衝液中の50ulのこの溶液を使用して、連続希釈によって10倍、100倍、および1000倍希釈液を作成する。滅菌L字型スプレッダーを用いて、適切な分離プレート上で100~150μLのこの溶液を広げ、インキュベートする。
【0368】
胞子形成細菌の単離は、以下のように実施され得る。上記から未希釈溶液のアリコートを採り、滅菌エッペンドルフチューブ内にピペットで採取する。チューブを密封し、60℃の水浴中で20分間加熱して、胞子形成細菌のために強化する。450μLのリン酸緩衝液中の50ulのこの溶液を使用して、連続希釈によって10倍、100倍、および1000倍希釈液を作成する。滅菌L字型スプレッダーを用いて、適切な分離プレート上で100~150μLのこの溶液を広げ、インキュベートする。
【0369】
微生物識別のための配列決定調製、および長期保存は、以下の方法によって実施され得る。
【0370】
1日目:
10μL滅菌先端を使用して、コロニーをプレートから適切な液体成長培地を含むフラスコに移す。分離株を室温で振盪器上に置き、2日間インキュベートする。
【0371】
3日目:
チューブは、振盪器上に2日間かけておくと、濁っている場合がある。全ての試料は、PCRによって分析される。各チューブをボルテックスし、各ボルテックスされた管から50μLの試料を収集し、96ウェルプレートに分注する。マルチチャネルピペットを使用して、50μLの試料のうちの15μLを新しい96ウェルプレートの中に分注する。35μLの各試料を含む96ウェルプレートは、表現型解析に使用され、15μLの各試料を含む96ウェルプレートは、PCR分析に使用される。27F/1492Rプライマーは、概して、PB36/38よりも良好な結果をもたらすため、16S PCR分析に使用される。適切な陰性対照が、プレートに含まれ、PCRによって分析されるべきである。プレートは、エッペンドルフサーモサイクラーを使用してPCRによって分析される。PCRが終了すると、標準的なゲル電気泳動技法を使用してゲルを泳動させる。これは、大部分の分離株が理想的には3日目に長期保存されるべきである場所で十分に成長させられるため、重要である。PCRおよびゲル電気泳動分析は、単離物が他の微生物ではなく細菌を含むことを確認するために使用される。PCRに合格しないか、または透明なブロスを有する分離株については、チューブをボルテックスし、ループを使用してペトリ皿上に筋状にする。数日後、何かが成長しているかどうか、またはチューブが汚染されていないかどうかをチェックする。PCRを通過させる分離株については、600ulの50%グリセロールを2mlのスクリューキャップチューブに分注し、ブロスが20%グリセロール中で保存されるように、1200μLの細菌培養物を添加する。グリセロールストックを-80℃で保存し、PCR試料のゲルの画像を記録する。
【0372】
4日目:
成長についてPCRに不合格であった筋状の分離株のペトリ皿をチェックする。(この時間の間に、2mlブロスチューブは振盪器上に留まるであろう。)皿上に成長があり、コロニーが単離に成功しているように見えると、600ulのブロス-グリセロール混合物を小さいチューブに分注し、両方のチューブをそれぞれの-80ボックスに入れる。以下の理由:プライマーが全ての細菌に作用しない場合がある、分離株が実際に真菌である、分離株が非常に接着性であり、したがってブロス中で均質化しない、分離株が過剰なEPSを産生し、したがって、PCR設定の前に希釈を必要とする、または分離株の成長が遅いという理由のうちのいずれかにより、分離株がPCRチェックに不合格となる可能性がある。次の数日にわたって、皿をチェックし続け、単一の細菌種のみが単離されたことを確認する。汚染が観察された場合、新しい分離株を調製する。調製されたグリセロールストックの生存率が検証されるべきである。
【0373】
バイオインフォマティクス分析
イルミナリードを、Q20の品質スコアまでTrimmomaticでトリミングした。Pacbioの未加工リードとトリミングされたイルミナリードを、デフォルトのパラメータを有するUnicyclerを使用して共アセンブリし、染色体アセンブリと短い環状プラスミドアセンブリの要件のバランスを取った。アセンブリの品質を確認するため、トリミングされたイルミナリードをアセンブリにマッピングし、アセンブリの切断/ミスアセンブリおよびSNPについて手動で調べた。ゲノムはProkkaでアノテーションされ、アノテーションによって関心対象の遺伝子が同定された。16SはNCBIデータベースに対するBLASTによって確認された。NCBIにはCry遺伝子が存在しないため、Cryタンパク質同一性は、BtToxin_Diggerによって確認された。
【0374】
株42901および株39400は、配列および表1Aに記載されるように、同一の16S配列(各ゲノムに合計14個)、ならびに五つの異なるCryタンパク質についても同一の配列を共有する。しかしながら、以下の表1Bに示すように、いくつかの差異がある。
【表2】
【0375】
実施例2:微生物の製剤化
前の実施例に従って識別された微生物は、限定されるものではないが、種子処理、根洗浄、苗浸漬、葉面散布、土壌接種、畝内散布、側方施肥散布、土壌前処理、創傷接種、ドリップテープ灌漑、花粉媒介者を介したベクター媒介、注入、浸透圧プライミング、水耕法、アクアポニクス、エアロポニックスなどの方法を介した適用のための追加の成分を用いて製剤化され得る。微生物を含む製剤は、液体、固体、またはガス製剤として農業用途のために調製される。植物への適用は、例えば、植物の葉上への表面堆積のための粉末として、植物全体若しくは選択された植物要素への噴霧として、土壌若しくは根への液滴の一部として、または植え付け前の植物要素上へのコーティングとして、達成される。そのような実施例は、例証的であり、本発明の範囲に限定的ではないように意図されている。
【0376】
例示的な微生物調製物のための培地成分が、以下の表2に示される。必要とされる水の最終体積の50%とともに全ての内容物を添加し、溶解するまで高温で溶液を攪拌する。全ての内容物が溶解した後、滅菌RO水を使用して、溶液を最終的な所望の体積にする。実地試験調製は、典型的には、4回の製剤化を使用して実施される。
【表3】
【0377】
TIX製剤を混合する手順は、以下のとおりである:全ての乾燥成分を50mLチューブに計量する。成分をよくボルテックスして、キサンタンガムが他の炭素源を通して「分離されている」ことを確実にする。総滅菌RO水の約半分を混合物に添加し、ボルテックスする。L字型スプレッダーの長い端部を使用して、可能な限り塊を分解する。マイクロ波において若干の滅菌RO水を温水浴温度(45~50℃)まで加熱する。残りの滅菌RO水を混合物に添加し、ボルテックスする。塊のない透明な溶液が得られるまで、必要に応じてステップ4を繰り返し、ボルテックスする。「高速スピン」で遠心分離器を5~10秒間使用することによって、混合のプロセスで生成された気泡を沈降させる。製剤(TIX)チューブに対抗するバランスを忘れずに取る。製剤を室温まで冷却させる。1.微生物コンソーシア内で混合する。ボルテックスして均質性を確保する。10^9CFU/mlの濃度における微生物を製剤に添加することが理想的である。
【0378】
実地試験における試験のために、製剤を植物または植物要素に適用する。
【0379】
実施例3:植物要素への微生物の適用およびその培養
微生物組成物(単一株、コンソーシア、群落、組み合わせ、または前述の任意の組み合わせの一つ以上の単離された微生物を含む)は、前の実施例に従って調製される。微生物組成物は、本明細書に開示される一つ以上の追加の微生物と任意選択的に組み合わせて、一つ以上の微生物を含む。
【0380】
適用のための微生物組成物
いくつかの方法では、微生物組成物は、乾燥させられ、植物要素に直接適用される。
【0381】
いくつかの方法では、微生物組成物は、植物要素への適用のために液体製剤中に懸濁される。
【0382】
いくつかの方法では、微生物組成物は、限定されるものではないが、担体、湿潤剤、安定剤、塩などの別の組成物と組み合わせられる。いくつかの方法では、他の組成物は、微生物組成物が適用される植物に追加の農業的に有益な結果を導入する分子を含む。他の組成物は、例えば、除草剤、殺真菌剤、殺菌剤、殺虫剤(pesticide)、殺虫剤(insecticide)、殺線虫剤、バイオスティミュラントを含むが、これらに限定されない。
【0383】
適用タイプ
微生物組成物は、所望の結果にとって適切な発育中の時間に、例えば、植え付け前の土壌潅注/畝内散布の製剤において、種子または他の繁殖要素処理として、植え付け後の繁殖要素適用として、植え付け後の畝内、液滴、または被水散布として、植物要素(例えば、根、葉、茎)への直接適用として、収穫された植物要素(例えば、果実または穀物)への適用として、植物要素に適用される。適用タイプの組み合わせも試験される。
【0384】
適用方法
微生物組成物は、植物または植物要素もしくは植物生産物に(植え付け前、植え付け後、収穫前、または収穫後に)適用(接種)される。これは、例えば、農業用組成物を、微生物組成物を含み、それを広く播種するように構成される、ホッパーまたはスプレッダーまたはタンクに適用することによって、達成され得る。
【0385】
微生物組成物の種子コーティングが、作物植物の一つ以上の種子に適用される。単離された微生物を種子コーティングとして適用すると、種子は、その作物について確立された慣行に従って植え付けられ、栽培される。
【0386】
代替的に、微生物組成物は、その土壌に存在する植物の利益のために土壌に適用される。土壌適用の方法には、畝内処理、被水、および液滴適用が含まれる。
【0387】
代替的に、微生物組成物は、発芽後の植物または植物部位の表面に適用される。
【0388】
代替的に、微生物組成物は、収穫後に植物から取得された材料に適用される。
【0389】
単離された微生物が適用されなかった植物の制御プロットも植え付けられる。微生物組成物と会合した植物は、目的の特性の改善を示す。
【0390】
適用方法は、当技術分野で公知の任意のプロトコールに従って実施され得る。
【0391】
植物要素、植物、または成長培地(例えば、土壌)は、試験の目的に従って、疾患または害虫をさらに接種することができる。
【0392】
トマト植物を被水するための例示的な非限定的プロトコールが、以下に挙げられる。
1.植え付けてから10日後に、各処理のために植物を6つの横畝に慎重に分離する。植物は繊細であり、葉は容易に裂け得る。植物のサイズおよび全体的な外観が可能な限り均一であることを確実にする(間引きの目的は、均質な植物集団を継続することである)。横畝当たり十分な植物がない場合、移植する。移植のガイドラインについては、ステップ3を参照されたい。
2.ポット当たり一つの植物まで、ポットを間引きし始める。より小さい植物、不健康であるもの、または何らかの方法で変形したものを除去する。ポット当たり2つ以上の健康な植物が存在場合、余剰分を別のポットに移植することができる。最初の植え付けから、または種子が発芽しなかったポットから準備された残りの土壌を使用する。
3.移植するために:いくつかのポットが発芽しなかった場合、それらを別のコンテナからの植物で充填することができる。これを行うために、薬匙を用いて余分な植物を単純にすくい出し(他の植物を妨害することなく、可能な限り多くの根塊をすくい出そうとする)、空のポットに作製された穴に入れる。わずかな指圧で、植物の周囲の土を固める。
4.ポットを6つのポットライン(処理当たり1つのポットライン)に並べ、4つのRL98トレイを取る。終了すると、全ての処理を見て、数回のポット入れ替えを行うことを考慮し、いくつかの処理に全ての大きな植物がなく、他の処理に全ての大きな植物があることを確実にする。
5.必要であれば手袋を交換する。事前準備したAveryラベルで各ポットをラベル付けする。処理は、6つの複製、すなわち、1-1、1-2、1-3~1-6などの列にラベル付けされるべきである。各処理のための全ての複製を見つけることをより容易にする。
6.植え付けから二週間後(間引きおよびラベル付けからおよそ4日後)に、微生物学チームから処理を取得する。準備された植物のトレイをテーブルに並べる。コンビチップ、リピーター、およびRO水を集める。(注:植物は処理日に軽く給水されるべきである)
7.チューブ/コンテナ(微生物処理)を2~3回反転させることによって微生物溶液を混合するか、または軽く振る。コンビチップを設定して、2mlを分注する。処理流体をコンビチップの中に収集し、最初のステップをチューブの中に戻して分注する。有している処理が処理される植物の列に対応することを確実にする。確認されると、2mlの処理を各ポットの表土上に茎の近くで穏やかに分注するが、茎および葉との直接接触を回避する。
8.コンビチップを廃棄し、全ての処理についてステップ6を繰り返す。接種された対照(ICまたはInoCon)および未処理対照(UTC)については、RO水を処理の代わりに適用する。
全ての処理が適用されると、(任意選択的な接種)、成長、評価のために植物を生育箱の中に戻して入れる。
【0393】
植物要素と会合した微生物の可視化
個々の微生物を、当技術分野で公知の方法に従って蛍光タンパク質でタグ付けすることができる。顕微鏡画像分析は、本明細書に開示される微生物が様々な植物組織と会合して見出されることを実証した。
【0394】
実施例4:作物収量の改善ならびに線虫、鱗翅目、および鞘翅目害虫に対する抵抗性の改善
植物/作物収量の増加は、化学肥料の追加を必要とすることなく、いくつかの態様では、本明細書に開示される一つ以上の微生物との植物の会合により実現される。いくつかの態様では、微生物は、「バイオスティミュラント」、すなわち、植物の健康、成長、活力、および/または生産(「収量」)を促進する作用物質として作用する。
【0395】
いくつかの態様では、例えば、限定されるものではないが、一つ以上の作物生産物のバイオマス、種子サイズ、種子重量、葉組成、繊維生産によって、「収量」を決定することができる。
【0396】
いくつかの態様では、収量の増加は、統計的に有意である。他の態様では、バイオマスの増加は、統計的に有意ではないが、依然として定量化可能であり、作物の改善に関連性がある。収量に関する他のパラメータ、例えば、限定されるものではないが、植物の活力、NDVIスコア、光合成能力、栄養素利用、ストレス耐性が、本明細書に開示される微生物の添加によって改善され得る。場合によっては、微生物は、植物の健康を刺激し、作物収量をさらに改善し得る。微生物条件および対照条件下で収量が同等となることは、他のパラメータが改善されたときの一つの望ましい結果である。
【0397】
植物の健康または収量の改善は、比較的ストレスのない条件下にあり得る。他の場合において、改善は、干ばつストレス、塩ストレス、熱ストレス、低温ストレス、低栄養素ストレス、線虫ストレス、昆虫草食性ストレス、真菌病原体ストレス、複合病原体ストレス、またはウイルス病原体ストレスを含む、任意の数の非生物または生物ストレス下で栽培された植物にあり得る。
【0398】
農業用組成物で処理された種子から栽培された植物は、対照植物よりも、定量的に高い収量および/もしくは健康が改善された植物ならびに/またはストレス耐性が改善された植物を示すであろうことが期待される。
【0399】
処理された植物に由来する収量は、約1~10%より多く、10~20%より多く、20~30%より多く、30~40%より多く、40~50%より多く、50~60%より多く、60~70%より多く、70~80%より多く、80~90%より多く、またはそれ以上により多い。処理植物に由来するバイオマスは対照に対して1エーカー当たり約1ブッシェルの増加、または1エーカー当たり約2ブッシェルの増加、または1エーカー当たり約3ブッシェルの増加、または1エーカー当たり約4ブッシェルの増加、または1エーカー当たり約5ブッシェルの増加、またはそれより多い増加と同じである。場合によっては、収量は、生物・非生物ストレス因子がない通常または典型的条件下で改善する。場合によっては、収量は、生物および/または非生物ストレスの条件下で正常である。場合によっては、収量は、生物および/または非生物ストレスの条件下で増加する。
【0400】
本明細書に記載される微生物は、以下に記載されるものを含む、様々な作物植物の健康および/または収量を改善する。特定の収穫された材料の収量および/または植物の健康は、通常の条件下、ならびに非生物ストレス(例えば、干ばつ、除草剤の適用、殺虫剤の適用、窒素、リン、カリウムなどの適用された栄養素の低減または排除)または生物ストレス(例えば、昆虫、幼虫、線虫、真菌性疾患、細菌性疾患、ウイルス性疾患の存在)の条件下で改善される。
【0401】
バチルス・チューリンゲンシス(Bt)株39400
Bt株39400は、作物植物と会合した場合、植物に線虫抵抗性、鞘翅目抵抗性、および鱗翅目抵抗性を付与し得る。
【0402】
線虫MOAアッセイ
出願者らが開発した殺線虫微生物の作用機序を調べるため、モデル生物である、土壌に生息する自由生活線虫、C.elegansをいくつかの異なるアッセイに用いた。線虫のライフサイクルを図2Aに示す。まず、活動性を判定するために、発達検査を行った。蠕虫の幼虫に微生物に供給した。こうしている間、蠕虫の発育と繁殖力が追跡された。線虫が生殖年齢に達する早さと、その結果生じる子孫の個体数から、これらの微生物が線虫にどのような影響を与えるかが判定された。
【0403】
次に、成虫の死亡率を評価した。成虫を微生物と接触させ、死亡率を追跡した。これは、線虫に対する微生物の毒性を示した。
【0404】
線虫も走化性アッセイで試験された。蠕虫には、二つの異なる刺激(例えば、微生物、化学、代謝など)が導入された。これらの刺激に応答した線虫の動きに基づいて、化学走化性指数、反発または引力が計算された。
【0405】
これらのアッセイの結果から、Bt株39400の作用機序を決定した。図2Bに示すように、株39400株はインビトロアッセイで線虫の総数を99%以上減少させた。
【0406】
根瘤線虫(RKN)アッセイ
感受性作物の種子を、処理適用の二週間前に、土壌と砂を1:1の割合で混合したポットに植えた。ポット当たり過剰の種子を植え、ポット当たり一本の苗になるように間引いた。
【0407】
植え付けの二週間後、微生物処理液を、植物一本当たり1×10^7CFU/mLで、植物の根元から土壌に散布した。散布量は、ポット内の根元ゾーンを覆うのに十分であった。
【0408】
処理直前または直後ともに、植物には水を与えなかった(処理前または処理後ともに、その日は大量の水を与えなかった)。通常の給水を翌日再開した。
【0409】
処理剤散布の48時間後に線虫を所望の濃度で散布し、例えば、場合によっては、ばらつきを抑えるため、卵の代わりにJ2ステージを使用した。
【0410】
線虫散布当日朝、線虫散布前に水を植物に噴霧した。線虫散布四週間後、シュートを収穫して乾燥重量を測定し、根を洗浄して線虫の評価を行った。
【0411】
卵塊のために根を染色して、卵塊、虫こぶ、卵などを数えた。(虫ごぶ、卵、卵塊、嚢胞、雌など)。
【0412】
根の乾燥重量を得て、乾燥根重量1グラム当たりの線虫数を計算した。
【0413】
陽性対照および陰性対照には、以下が含まれた:未処置(線虫接種なし、微生物処置なし、水で浸漬のみ)、接種対照(線虫接種、微生物処理なし、水で浸漬のみ)、陽性対照(試験された線虫に対する公知の殺線虫剤製品-理想的には、同じ実験において陽性対照として化学的殺線虫剤および生物学的殺線虫剤の両方を有する)、陰性微生物対照-大腸菌DH5アルファまたは殺線虫剤活性を有しなかった他の利用可能な微生物を使用。
【0414】
図3に示すように、株39400は、卵の孵化を約35%低減し、脱皮および幼虫の生存率を阻害した。
【0415】
株39400をキュウリでさらに試験したところ、表3に示すように、根1グラム当たりの虫こぶ数ならびに根当たりの卵の数において優れた減少を示した。
【表4】
【0416】
追加の成長チャンバ試験(2mLの約1e6~1e7CFU/mLの潅注処理)は、株39400が、キュウリで58%、トマトで60%のRKN数を減少させた。温室試験では、株39400がトマトのRKN数を46%減少させたことが示された。
【0417】
株39400は、キュウリおよび小麦の両方で根のコロニー形成を示した。
【0418】
鞘翅目アッセイ
図8および9に示されるように、株39400は鞘翅目に対する活性を示した。
【0419】
鱗翅目アッセイ(Spodoptera sp.)
Spodoptera litura(タバコカツオブシムシ)幼虫を対象に、株39400 のサイズおよび死亡率への影響を調査した。結果を表4に示す。
【表5】
【0420】
Spodoptera lituraのサイズと生存率に対する微生物の濃度効果を調べるため、株39400の希釈を行った。結果を図4Aと4Bにそれぞれ示す。
【0421】
穀物圃場試験
小麦(微生物を種子処理として散布、2試験、6反復)とトウモロコシ(微生物を種子処理として散布、8試験、6反復、または畝内散布、2試験、6反復)を、標準的なプロトコールに従って圃場試験で栽培した。
【0422】
異常な暑さと干ばつ条件によって、小麦の試験では、植え付け後、約35日目まで線虫の発生は見られなかった。しかしながら、図5に示すように、株39400で処理された植物は、生物学的対照、化学的対照、ならびに他のすべての試験された微生物と比較して、収量の改善を示した。
【0423】
株39400で処理されたトウモロコシ種子、ならびに39400の畝内処理されたトウモロコシ植物は、ともに生物学的対照および化学的対照の両方、ならびに他の試験された株と比較して、平均収量(bu/ac)の改善を示した(それぞれ図6および図7)。
【0424】
トウモロコシとダイズについて、2022年に追加の圃場試験を実施した。
【0425】
トウモロコシ試験は、それぞれ6回の反復試験で7つの場所で実施された。トウモロコシの種子を、植え付け時に株39400で処理した。線虫の計数は、植え付け後(DPP)35~45日後に実施された。株39400の平均収量は、189.07ブッシェル/エーカーであり(化学対照は184.74)、IOCは4.01(化学対照は0.32)、%IOCは1.81、勝率71%(化学対照は-0.21、勝率43%を有した)、線虫の平均減少率は-34.66%、勝率100%(化学対照は-26.42%、勝率83.3%)であった。
【0426】
ダイズ試験は、それぞれ6回の反復試験で複数の場所で実施された。ダイズの種子を、植え付け時に株39400で処理した。線虫の計数は、植え付け後(DPP)35045日後に実施された。4つの場所にわたって、株39400は、平均収量67.27bu/ac(化学対照は69.66)、IOCは2.5(化学対照は4.89)、5IOCは3.78%(化学対照は7.43%)であった。11の場所にわたって、株39400は、-16%(80%の勝率)の線虫数の平均減少率を示した。
【0427】
野菜圃場試験
根瘤線虫(RKN)に対して、トマトの圃場で6反復の試験を二回実施し、8qt/Aの割合で灌注/液滴処理を行い、処理は植え付け後、0、7、14日目であった。株39400は、未処理対照と比較して、土壌100cc当たりのRKN数が62%減少した。
【0428】
実施例5:異なる株の活性比較
株39400と株42901の異なる希釈液を調製し、上述の鱗翅目(Spodoptera)アッセイで試験した。16SおよびCryタンパク質遺伝子の配列が同一であるにもかかわらず、表5に示すように、二つの菌株は希釈液間で、また市販の生物学的バチルス・チューリンゲンシス対照と比較して、異なる活性を示した。
【表6】
【0429】
株39400および株42901の両方は、市販のBt対照よりも良好な成績を示した。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
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【国際調査報告】