(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】圧電ピラー装置の成形方法
(51)【国際特許分類】
H10N 30/88 20230101AFI20250130BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20250130BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20250130BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20250130BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20250130BHJP
H10N 30/02 20230101ALI20250130BHJP
H10N 30/03 20230101ALI20250130BHJP
【FI】
H10N30/88
B81C1/00
H10N30/853
H10N30/20
H10N30/30
H10N30/02
H10N30/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542150
(86)(22)【出願日】2023-01-25
(85)【翻訳文提出日】2024-09-11
(86)【国際出願番号】 NL2023050032
(87)【国際公開番号】W WO2023146396
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508351406
【氏名又は名称】ネダーランゼ・オルガニサティ・フォーア・トゥーゲパスト-ナトゥールヴェテンシャッペリーク・オンデルゾエク・ティーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ペータース,ローレンス クリスティアン ヨハネス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ゲリンク,ゲルウィン ヘルマナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニール,ポール ルイス マリア ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】フェルベーク,ロイ ゲラルドゥス フランキスクス アントニウス
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA17
3C081BA01
3C081BA21
3C081BA22
3C081BA33
3C081BA55
3C081CA02
3C081CA23
3C081CA35
3C081DA03
3C081DA06
3C081DA10
3C081EA21
(57)【要約】
圧電成形可能層(10)を備えた基板(20)を用いて圧電装置(100)が製造される。スタンプ(30)は、それぞれの開口(31)を分離する相互接続された側壁(32)の格子によって形成されたユニットセル(30u)の繰り返しパターンを含む。成形プロセスは、スタンプ(30)を成形可能層(10)に押し込むこと(F)を含む。これにより、圧電材料(M)がそれぞれの開口(31)に押し込まれ、ピラー(11)のアレイが形成される。スタンプにおいて、それぞれの開口(31)によって形成される開口面積(A31)の割合が、周囲の側壁(32)によって形成される中実面積(A32)の割合よりも多い。結果として得られるピラー構造において、ピラー(11)によって形成される活性面積(A11)の割合は、ピラー(11)間の非活性面積(A12)の割合よりも多い。スタンプ(30)は、比較的薄い側壁(32)を使用しながら、構造的完全性を向上させるように適応させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電装置(100)の製造方法であって、前記方法が、
圧電材料(M)を含む成形可能層(10)を備えた基板(20)を設けることと、
それぞれの開口(31)をその間に分離する相互接続された側壁(32)の格子によって形成されたユニットセル(30u)の繰り返しパターンを含むスタンプ(30)を設けることであって、それぞれのユニットセル(30u)において、前記側壁(32)が、前記それぞれのユニットセル(30u)のそれぞれの開口(31)を取り囲む、設けることと、
前記スタンプ(30)を前記成形可能層(10)に押し込むこと(F)、又はその逆を含む成形プロセスを行うことにより、前記成形可能層(10)が、前記相互接続された側壁(32)の格子によって少なくとも部分的に切断され、及び前記圧電材料(M)が、前記それぞれの開口(31)に押し込まれ、それによって、前記圧電材料(M)を含むピラー(11)のアレイを形成することであって、各ピラー(11)が、前記それぞれの開口(31)に応じて形成される、形成することと、
を含み、
前記スタンプ(30)のそれぞれのユニットセル(30u)において、開口面積(A
31)の割合が、前記それぞれの開口(31)によって形成され、中実面積(A
32)の相補的な割合が、前記周囲の側壁(32)によって占められ、前記スタンプのユニットセル(30u)あたりの前記開口面積(A
31)の割合が、前記中実面積(A
32)の割合よりも多い、方法。
【請求項2】
前記側壁(32)が、前記それぞれのユニットセル(30u)を取り囲む隣接ユニットセルと共有される周囲壁セグメント(32s)を含み、隣接ユニットセル(30u)間で共有される前記周囲壁セグメント(32s)が、前記それぞれの開口(31)の最小断面直径(D
min)と比べて、少なくとも2分の1である最小壁厚さ(T)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユニットセル(30u)の繰り返しパターンの平面図において、前記相互接続された側壁(32)の格子の一部を形成する何れの直線壁セグメント(32s)の最大壁長さ(L
max)も、前記直線壁セグメント(32s)に沿って形成された何れの開口(31)の前記最小断面直径(D
min)よりも小さい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記相互接続された側壁(32)の格子が、前記側壁(32)の少なくとも3つの壁セグメント(32s)が互いに交差する前記格子のそれぞれの交差点におけるノード(32n)のセットによって画定され、それぞれの一対の最も近いノード(32n)間の何れの壁セグメント(32s)の壁長さも、前記壁セグメント(32s)に沿って形成された何れの開口(31)の前記最小断面直径(D
min)よりも、少なくとも20パーセント小さい、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの開口(31)を取り囲む3つ以上の壁セグメントが交わる交差点における一対の最も近いノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記最も近いノード間の経路に沿って前記壁セグメント(32s)の方向(θ)を少なくとも10度変化させるキンク及び/又は曲率を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
異なるユニットセル(30u)の4つの壁セグメント(32s)のうちの3つが、少なくとも90度の角度を有するそれぞれの交差点で交わる、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
3つ以上のユニットセル(30u)間の前記側壁(32)の最も近い交差点を形成するノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記それぞれの壁セグメントの長さに対して横断する方向に配向された長さ(Li)を有する横断壁セグメントによって形成された中間壁構造(32i)を含む、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
3つ以上のユニットセル(30u)間の前記側壁(32)の最も近い交差点を形成するノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記壁セグメント(32s)の局所的肥厚によって形成された中間壁構造(32i)を含み、前記局所的肥厚の厚さ(Ti)が、前記壁セグメントの残りの部分の最小厚さ(T)よりも、少なくとも2倍大きい、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユニットセル(30u)のパターンが、ユニットセル(30u)のスタガード状の行を含み、ユニットセルの第1の行が、ユニットセルの隣接する第2の行に対して変位され、前記第1の行のユニットセルが、前記第2の行の2つのユニットセル間の中間のオフセット(Dx)で変位されている、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユニットセル(30u)のパターンが、六角形パターンを含む、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スタンプ(30)が、リソグラフィプロセスを用いて製造される、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の方法に従って製造された圧電装置(100)であって、前記圧電装置(100)が、
成形された圧電材料(M)で形成されたピラー構造を有する基板(20)を含み、
前記ピラー構造が、それぞれのピラー(11)の前記圧電材料(M)をその間に分離する相互接続された間隔(12)の格子によって形成されたユニットセル(10u)の繰り返しパターンを含み、それぞれのユニットセル(10u)において、前記間隔(12)が、前記それぞれのユニットセル(10u)のそれぞれのピラー(31)を取り囲み、
前記ピラー構造が、前記ピラー構造の成形後に残った前記圧電材料(M)の残留層(13)上に一体的に形成され、
前記ピラー構造のそれぞれのユニットセル(10u)において、活性面積(A
11)の割合が、前記それぞれのピラー(11)の前記圧電材料(M)によって占められ、非活性面積(A
12)の相補的な割合が、前記ピラー間の前記間隔(12)によって形成され、前記ピラー構造のユニットセル(10u)あたりの前記活性面積(A
11)の割合が、前記非活性面積(A
12)の割合よりも多い、圧電装置(100)。
【請求項13】
前記ピラー構造における隣接するピラー(11)間の最小間隔(12)が、前記ピラー(11)の最小直径と比べて少なくとも2分の1である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
ピラー構造が、ピラーの2次元アレイの各方向に沿って配置された少なくとも5つのピラーを有する前記アレイを含み、各ピラーが、最小直径が200マイクロメートル未満であり、及び前記ピラー間の間隔が20マイクロメートル未満である六角形断面形状を有する、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記圧電装置(100)が、少なくとも1つの電極(21)と、前記圧電ピラー構造との間で電気信号を送信及び/又は受信するように構成されたコントローラと、を含む、請求項12~14の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電材料の3次元ピラー構造を含む、音響トランスデューサなどの圧電装置、及び特に成形プロセス、例えばスタンピングを用いた、そのような装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある用途として、ピラー構造は、音響装置の要素間の音響的及び/又は機械的交差結合を低下させるのに有利となり得る。ある刊行物において、Chenら[DOI:10.1039/C5NR01746G]が、High Performance P(VDF-TrFE) Nanogenerator with Self-Connected and Vertically Integrated Fibers by Patterned EHD Pullingを記載している。別の刊行物では、Chenら[DOI:10.1002/smll.201604245]は、High-Performance Piezoelectric Nanogenerators with Imprinted P(VDF-TrFE)/BaTiO3 Nanocomposite Micropillars for Self-Powered Flexible Sensorsを記載している。別の刊行物では、Xuら[DOI:10.1117/12.817028]は、Design and Microfabrication of a PVDF Acoustic Sensorを記載している。
【0003】
さらなる背景として、国際公開第2021/167446A1号は、圧電装置及び製造方法を開示している。圧電装置を製造するための様々な製造ステップを含む、この先行技術の内容は、その全体が本明細書に包含される。この先行技術は、製造が、成形によってピラーのアレイを形成することを含み得ることを開示している。特に、形成は、表面トポロジー、例えばモールドの開口部又は穴を有する成形構造体(スタンプ)を、基板上の成形可能層に押し込むことを含み得る。したがって、成形可能層の圧電材料は、それぞれのモールド開口部に押し込まれて、それぞれのピラーを形成することができる。例えば、成形可能層の圧電材料は、成形前及び/又は成形中に、例えば加熱によって軟化される。これは、材料をピラーの形状に変形することを容易にし得る。ピラーの材料は、モールドを取り外す前に、例えば能動的又は受動的な冷却によって固化することができる。
【0004】
特に成形プロセス及びスタンプを用いた、ピラーを備えた高性能な圧電装置の製造には、さらなる改善の必要性が残されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、圧電装置及びそのような装置の製造方法に関する。基板は、圧電材料を含む成形可能層を備える。スタンプ、例えば成形構造体は、それぞれの開口をその間に分離する相互接続された側壁の格子によって形成されたユニットセルの繰り返しパターンを含む。それぞれのユニットセルにおいて、側壁は、それぞれのユニットセルのそれぞれの開口を取り囲む。スタンピングプロセス、例えば、成形及び/又はエンボシングステップにおいて、スタンプは、成形可能層に機械的に押し込まれる(又はその逆)。これにより、成形可能層が、相互接続された側壁の格子によって少なくとも部分的に切断され、及び/又は圧電材料が、それぞれの開口に押し込まれ得る。このようにして、圧電材料を含む3次元ピラーの2次元アレイを形成することができる。例えば、各ピラーは、スタンプのそれぞれの開口の形状に相補的な形状を有して形成される。結果として得られる装置は、ピラー構造と一体的に接続された圧電(以前は成形可能)材料の残留層も含み得る。
【0006】
スタンプのそれぞれのユニットセルにおいて、開口面積の割合が、それぞれの開口によって形成され、中実面積の(相補的な)割合が、周囲の側壁によって占められることが理解されるであろう。本発明者らは、スタンプの開口面積の割合を、壁によって占められる中実面積の割合よりも(はるかに)高くすることによって、成形プロセスで形成される圧電ピラーによって占められる活性領域の面積が、それに応じて、圧電材料なしのピラー間のギャップの面積よりも高くなることを発見した。圧電アレイのうち、活性圧電材料が占める割合が比較的高いことにより、結果として得られる圧電装置の動作は、例えば疎なピラーアレイと比較して、改善され得る。例えば、結果として得られるピラー要素間のエリアは本質的に圧電応答に寄与せず、「機能的デッドエリア」であるため、このエリアは、好ましくは最小化される。原理上は、これは、比較的薄いスタンプ上のエンボス構造を使用することによって、例えば開口間の比較的薄い壁を使用して達成することができる。しかしながら、圧電ピラー間の小さなエンボストレンチにより、要素の密な実装を得ることができるが、これは、技術的に実現が困難な場合がある。例えば、本発明者らは、壁の線幅が小さく(高アスペクト比)、及び線/壁の横方向の長さ(交差間の距離)が大きいPDMSスタンプなどの成形構造体は、機械的に不安定になる場合があり、成形可能層の成形/エンボシング中に構造崩壊又は座屈に悩まされる場合があることを発見した。
【0007】
座屈の問題を緩和するための解決策の1つは、比較的硬いスタンプ又は成形構造体を使用することを含み得る。しかしながら、本発明者らは、そのような硬いスタンプは、広い範囲にわたる接触不良、及び/又はスタンプからの成形材料の離型不良に悩まされる場合があることを発見した。別の解決策又はさらなる解決策は、より柔らかい材料をインプリントすることを含み得る。例えば、P(VDF-TrFE)などの成形可能な圧電材料は、温度の上昇に伴って軟化し得るが、これは、特定の臨界温度に至るまでしか行うことができない。したがって、本発明者らは、成形プロセス中のスタンプの完全性を維持しながら、結果として得られるピラー要素の活性面積を最大化する成形構造体の具体的な構造的適応を提案する。適応の指針は、全体的な面積を最大に保ちながら、例えば密に実装された構造を作成しながら、スタンプ上の長く薄い壁を避けることを含む。
【0008】
有利なことに、本明細書に記載するようなスタンプ又はモールドは、例えばリソグラフィを含む、従来の圧電層の鋸引きを用いた場合には実現不可能な様々な新しい形状を可能にする自由な形式のプロセスを使用して製造することができる。例えば、本発明者らは、長い直線の壁の代わりにジグザグ状の及び/又は湾曲した壁セグメントを含むパターンを使用することにより、壁セグメントの座屈を緩和できることを発見した。本発明者らは、スタガード配置を用いて、異なるユニットセルの交差点間の壁セグメントを短くできることも発見した。本発明者らは、中間壁構造又は肥厚を用いて壁セグメントを補強できることも発見した。本明細書に記載される計算及びシミュレーションによって示されるように、本発明者らは、正方形又は三角形パターンの代わりに六角形パターンを使用して、電気信号による活性面積の最適な利用を含む、活性面積の全体的な改善を達成できることを発見した。
【0009】
本開示の方法及び装置の上記及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の明細書の記載、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2A】スタンプの一部として形成されたユニットセルのパターンを示す。
【
図3A】ジグザグ状の壁セグメントを含むユニットセルのパターンを示す。
【
図3B】湾曲壁セグメントを含むユニットセルのパターンを示す。
【
図4A】中間壁構造を含むユニットセルのパターンを示す。
【
図4B】スタガードユニットセルのパターンを示す。
【
図4C】スタガードユニットセル及び中間壁構造の組み合わせを示す。
【
図5A】異なるパターンを有するユニットセルの活性面積の比較を示す。
【
図5B】異なるパターンを有するユニットセルの活性面積の比較を示す。
【
図5C】異なるパターンを有するユニットセルの活性面積の比較を示す。
【
図6】異なるパターンに関する相対的ギャップサイズの関数としての活性面積の割合のグラフを示す。
【
図7A】正方形の形状を有する圧電ピラーにおける電界強度のシミュレーションを示す。
【
図7B】六角形の形状を有する圧電ピラーにおける電界強度のシミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の実施形態を説明するために使用される用語は、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書では、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、複数形も含むことが意図される。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。「含む(comprises)」及び/又は「含んでいる(comprising)」という用語は、記載された特徴の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴の存在又は追加を排除するものではないことが理解されるであろう。さらに、方法のある特定のステップが、別のステップに後続するものとして言及される場合、別段の指定がない限り、それは、当該別のステップに直接続くことができること、又はその特定のステップを実施する前に1つ若しくは複数の中間ステップが実施され得ることが理解されるであろう。同様に、構造又は構成要素間の接続が記載されている場合、別段の指定がない限り、この接続は、直接確立されてもよいこと、又は中間構造若しくは中間構成要素を介して確立されてもよいことが理解されるであろう。
【0012】
以下に、本発明の実施形態が示される添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。図面において、システム、構成要素、層、及び領域の絶対的サイズ及び相対的サイズは、明確さのために誇張されている場合がある。実施形態は、本発明の場合によっては理想化された実施形態及び中間構造の概略図及び/又は断面図を参照して説明される場合がある。本明細書及び図面において、同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。相対的な用語及びその派生語は、その時に説明されている配向、又は説明を行っている図面に示されている配向を指すと解釈されるべきものである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためであり、別段の記載がない限り、システムがある特定の配向で構築又は操作されることを必要とするものではない。
【0013】
図1A及び1Bは、圧電装置100の製造方法を示す。
【0014】
一部の実施形態では、例えば
図1Aに示すように、基板20は、成形可能層10を備える。好ましくは、成形可能層10及び/又は結果として得られるピラー11は、圧電材料「M」を含み、又は本質的に圧電材料「M」からなる。成形可能層10という用語は、
図1Bに示すようなピラー11の構造を形成する最終形状をとる前の、
図1Aに示すような前駆体層に言及するために使用されることが理解されるであろう。それは、必ずしも(化学的前駆体の場合のような)材料機能の変化を示すわけではない。例えば、圧電材料は、成形の前及び成形の後に圧電機能を有し得るが、形状が異なり得る。好ましい実施形態では、圧電材料「M」は、圧電性高分子を含むか、又は本質的に圧電性高分子からなる。最も好ましくは、圧電材料は、高分子材料若しくは複合高分子/セラミック材料を含むか、又は本質的に高分子材料若しくは複合高分子/セラミック材料からなる。高分子圧電材料の例には、PVDF及びその共重合体、ポリアミド、液晶高分子、ポリイミド、及びポリ塩化ビニリデンPVDCが含まれ得る。
【0015】
一部の実施形態では、スタンプ30は、ユニットセル30uの繰り返しパターンを備える。好ましくは、ユニットセル30uは、同一であるか、又は本質的に類似している。ある実施形態では、複数のユニットユニットセル30uのパターンは、相互接続された側壁32の格子によって形成される。好ましくは、側壁32は、連続した壁構造を形成する。別の実施形態又はさらなる実施形態では、側壁32は、それぞれの開口31をその間に分離するように構成される。好ましくは、それぞれのユニットセル30uにおいて、側壁32は、それぞれのユニットセル30uのそれぞれの開口31を取り囲む。
【0016】
一部の実施形態は、成形プロセス、例えば、成形可能層10のスタンピング及び/又はエンボシングを行うことを含む。ある実施形態では、成形プロセスは、スタンプ30を成形可能層10に押し込むこと(矢印「F」で示す)を含む。もちろん、その場合、成形可能層10もスタンプに押し込まれる。好ましくは、この押し込みにより、成形可能層10は、相互接続された側壁32の格子によって少なくとも部分的に切断され、及び/又は、この押し込みにより、圧電材料「M」がそれぞれの開口31に押し込まれる。このようにして、圧電材料「M」を含むピラー11のアレイを形成することができる。例えば、各ピラー11(の形状)は、それぞれの開口31(の形状)に従って形成される。一部の実施形態では、成形可能層10の圧電材料「M」は、成形の前及び/又は成形中に、例えば加熱によって軟化される。これは、材料をピラーの形状に変形することを容易にし得る。ピラーの材料は、モールドを取り外す前に、例えば能動的又は受動的な冷却によって固化され得る。代替的又は追加的に、ピラーは、例えばUV放射によって後に硬化される軟層(例えばゾルゲル層)を成形することによって作ることができる。
【0017】
一部の実施形態では、基板20は、ピラー11のアレイの下に支持構造を形成する。一般的に、基板20は、ピラーとは異なる材料のものであり、例えば、圧電材料ではない。例えば、基板20は、プラスチック、ガラス、又はシリコン基板を含む。代替的に、基板20自体が、本質的に成形可能層10によってのみ形成される圧電材料「M」を含み得る。基板20として可撓性基板を使用することにより、形成後にピラー11からモールド構造体30を分離することがより容易になり得る。代替的又は追加的に、モールド構造体30も、可撓性であってもよい。
【0018】
好ましい実施形態では、例えば図示のように、ピラー11の長さは、基板20の平面に対して垂直な方向を有し、それぞれの端部は、基板20から離れる方向を向く。代替的又は追加的に、一部又は全てのピラーが、基板20の面法線に対して斜めに向けられることが想定され得る。
【0019】
本開示の態様は、本明細書に記載の方法に従って製造された圧電装置100として具現化することもできる。一部の実施形態では、例えば
図1Bに示すように、圧電装置100は、成形された圧電材料「M」で形成されたピラー構造を有する基板20を含む。ある実施形態では、ピラー構造は、それぞれのピラー11の圧電材料「M」をその間に分離する相互接続された間隔12の格子によって形成された(同一又は本質的に類似した)ユニットセル10uの繰り返しパターンを含む。好ましくは、間隔12は、開かれた(連続した)ギャップによって形成される。代替的又は追加的に、非圧電充填材料がピラー間に設けられてもよい。一般的に、それぞれのユニットセル10uにおいて、間隔12は、それぞれのユニットセル10uのそれぞれのピラー31を取り囲む。ある実施形態では、例えば図示のように、ピラー構造は、ピラー構造の成形後に残った圧電材料「M」の残留層13上に一体的に形成される。
【0020】
一部の実施形態では、結果として得られるピラーアレイは、少なくとも10個のピラー、好ましくは少なくとも20個のピラー、より好ましくは少なくとも50個のピラー、最も好ましくは少なくとも100個のピラー、例えば最大で1000個以上のピラーを含む。好ましくは、ピラーアレイは、例えば、各行に配置された少なくとも3個、5個、10個、若しくはそれより多いピラー、及び/又は行を横断する別の方向(例えば、列)に配置された少なくとも3個、5個、10個、若しくはそれより多いピラーを有する、2次元アレイである。例えば、六角格子及び/又はスタガード格子において、行及び列は、直角を成す90度(平面)角以外の角度を成し得ることに留意されたい。例えば、行及び列は、60度又は45度を成し得る。
【0021】
スタンプ30のパターンは、一般的に、パターンピラー構造と同じであるが、それに対して相補的であることも理解されるであろう。したがって、スタンプ30のレイアウト及び寸法、例えば、壁の厚さ、壁の長さ、壁の相対的配置、ピッチ、周期などに関して本明細書に記載されるあらゆる実施形態は、結果として得られるピラー構造、例えばギャップの幅、ギャップの長さ、ギャップの相対的配置、ピッチ、周期などにおいて、必要な変更を加えて適用可能であり得、及びそれによって具体化され得る。例えば、ピラー及び開口は、一般的に、比較的小さな断面寸法を有し、例えば、10~500マイクロメートルの範囲、好ましくは20~300マイクロメートルの範囲、最も好ましくは40~200マイクロメートルの範囲の最小直径を有する。好ましくは、本明細書に記載するように、開口31間の側壁32の(最小)厚さに相当する、ピラー11間の間隔12の(最小)ギャップサイズ「G」は、上記最小直径よりも小さく、例えば、20マイクロメートル未満、10マイクロメートル未満、5マイクロメートル未満、1マイクロメートル以下に至る。(基板を横断する方向の)ピラー11の長さは、好ましくは、その(最小)断面直径と同じか、又はそれを上回り、例えば、10~500マイクロメートルの範囲、好ましくは20~300マイクロメートルの範囲、最も好ましくは40~200マイクロメートルの範囲である。例えば、ピラーの高さは、ピラーの幅よりも少なくとも20%、少なくとも50%、最大で2倍以上で高い。スタンプの開口31の深さは、好ましくは、ピラー11の高さと同じであるが、より高くすることも可能である(例えば、
図1Aに示すような開放端を有する)。
【0022】
本明細書に記載するような圧電装置は、音響信号、例えば超音波を送信及び/又は受信するために使用することができる。例えば、ピラー11の圧電材料「M」を通して電界を生成して、ピラーの振動を発動させるために、電圧を印加することができる。代替的又は追加的に、例えば外部ソースによって引き起こされるピラー11の振動に応じて、電圧を測定することができる。一部の実施形態(図示せず)では、ピラー11のうちのそれぞれ1つ又は複数は、それぞれの電極を介して、電気信号をその間で送受信するように構成された電気装置に接続される。例えば、電気装置は、信号発生器及び/又はセンサ装置を含む。また、ピラー11のうちのどの1つ又は複数がアドレッシングされるかを決定するためのコントローラなどの他の構成要素又はさらなる構成要素が接続されてもよい。
【0023】
一部の実施形態では、圧電装置100は、電気信号を印加し、及び/又はピラーから電気信号を受け取るように構成された電極21を含む。ある実施形態では、圧電装置100は、ピラー11の下端に1つ又は複数の下部電極を含む。別の実施形態又はさらなる実施形態(ここでは図示せず)では、圧電装置100は、ピラー11の上端に1つ又は複数の上部電極を含む。例えば、下部電極及び/又は上部電極の一方又は両方は、それぞれのピラーを個々に及び/又はまとめてアドレッシングするように構成することができる。一部の実施形態では、例えば図示のように、下部電極21は、残留層13と基板20との間に配置され、例えば支持基板として機能する。例えば、下部電極21は、それぞれのピラーと電気的に相互作用するための導電層及び/又は回路を含む。他の実施形態又はさらなる実施形態(図示せず)において、圧電装置100は、圧電ピラー構造との間で電気信号を送信及び/又は受信するためのコントローラを含む。
【0024】
一部の実施形態では、電気的接続及び/又は構成要素は、基板20内又は基板20上に組み込まれる。例えば、これらは、リソグラフィにより、例えば、シリコン又は他の材料基板上に形成することができる。一部の実施形態では、成形可能層10と基板20との間に1つ又は複数のさらなる層が形成される。例えば、追加の層は、電気的機能又は他の機能を有し得る。好ましくは、少なくとも、圧電材料「M」に電位(電圧)を印加するための第1の電極21が、ピラー11と基板20との間に形成される。例えば、第1の電極21は、パターニングされていても、又はパターニングされていなくてもよい導電層、例えば金属を含む。一部の実施形態では、第1の電極21は、全てのピラーに同じ電圧を印加するための共通電極である。例えば、第1の電極21は、全てのピラーの下に延びる連続的な金属層である。他の実施形態又はさらなる実施形態では、第1の電極21は、1つのピラー、又は複数のピラー、例えば全てのピラーのサブセットに個別にアドレッシングする(それぞれの電圧を印加する)ように細分化される。例えば、1つの電極は、隣接するピラーの一群又はクラスタをカバーし得る。
【0025】
他の実施形態又はさらなる実施形態では、ピラーの他端(基板から離れる方向を向く)は、第2の電極(図示せず)を備える。例えば、圧電ピラーは、厚さモードトランスデューサとして構成することができる。ある実施形態では、1つ又は複数の第2の電極がピラー上に直接塗布される。任意選択的に、先行技術文献の国際公開第2021/167446A1号に説明されているように、ピラーの上に余分の圧電層を塗布、例えば接着することができる。例えば、余分の圧電層は、ピラーアレイを構造的に補強することを助けることができ、及び/又は1つ若しくは複数の第2の電極などのさらなる回路を堆積させるためのプラットフォームとして機能することができる。
【0026】
図1Bの右側に示されているように、ピラー構造のそれぞれのユニットセル10uにおいて、活性面積「A
11」の割合は、それぞれのピラー11の圧電材料「M」によって占められ、非活性面積「A
12」の(相補的な)割合は、ピラー間の間隔12によって形成される。本明細書に記載するように、活性面積「A
11」の割合は、好ましくは非活性(「デッド」)面積「A
12」の割合よりも、例えば、少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.2倍、より好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍(例えば、66%の活性面積、33%の非活性面積)、より好ましくは少なくとも3倍、より好ましくは少なくとも5倍、例えば最大で10倍以上多い。代替的又は追加的に、活性面積の「A
11」の相対的割合は、A
11/(A
11+A
12)として決定することができる。好ましくは、この活性面積の相対的割合は、少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%(60/40=1.5倍)、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも80%(80/20=4倍)、例えば最大で90%(90/10=9倍)以上である。活性面積の割合が高いほど、圧電装置の単位面積あたりの性能はより効果的になる。
【0027】
図2Aは、スタンプ30の一部として形成されたユニットセル30uのパターンを示す。一般的に、スタンプ30のそれぞれのユニットセル30uにおいて、開口面積(open area)「A
31」の割合は、それぞれの開口31によって形成され、中実面積「A
32」の(相補的な)割合は、周囲の側壁32によって占められる。好ましい実施形態では、開口面積「A
31」の割合は、中実面積「A
32」の割合よりも多い。したがって、上記のように、(成形プロセスにおいて形成された)圧電ピラー11によって占められる活性領域の活性面積「A
11」は、圧電材料なしのピラー間のギャップ12の非活性面積「A
12」よりも大きくなる。ある実施形態では、開口面積「A
31」の割合は、中実面積「A
32」の割合よりも、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、最も好ましくは少なくとも5倍、例えば最大で10倍以上多い。一般的には、その
図2Bは、ユニットセル30uのさらなる詳細を示す。一部の実施形態では、側壁32は、それぞれのユニットセル30uを取り囲む隣接ユニットセルと共有される周囲壁セグメント32sを含む。他の実施形態又はさらなる実施形態では、(例えば平面図において)相互接続された側壁32の格子は、格子のそれぞれの交差点におけるノード32nのセットによって画定される。例えば、ノード32nは、(少なくとも2つの異なる方向を有する)側壁32の少なくとも3つの壁セグメント32sが互いに交差する格子の各交差点において画定される。例えば、3つの壁セグメント32sは、異なるユニットセル及び/又は同じユニットセル(例えば、
図4Aに示されるような中間壁構造の場合)に対応し得る。
【0028】
ある好ましい実施形態では、周囲壁セグメント32s(少なくとも隣接ユニットセル30u間で共有されるもの)は、それぞれの開口31の最小(内側)断面直径「Dmin」と比べて、例えば少なくとも2分の1、3分の1、5分の1、最大で10分の1であるか、又はそれより小さい最小壁厚さ「T」を有する。例えば、最小断面直径は、開口の中心、例えば回転対称の中心(次数≧2)を通して測定することができる。理解されるように、開口の最小断面直径「Dmin」と比較した最小壁厚さ「T」は、ピラー間の間隔、例えばギャップと比較した、結果として得られるピラー11の最小断面直径を決定する。断面に対してギャップが小さいほど、活性面積が大きくなり得る。
【0029】
別の好ましい実施形態又はさらなる好ましい実施形態では、相互接続された側壁32の格子内の何れの直線壁セグメント32sの最大壁長さ「L
max」も、当該直線壁セグメント32sに沿って形成された何れの開口31の最小断面直径「D
min」よりも小さい。例えば、壁長さは、ユニットセル30uの繰り返しパターンの平面図において(例えば、スタンプ30及び/又は成形可能層10に平行な平面内で)測定され得る。本発明者らは、例えば隣接する開口の最小断面直径に対して長い直線壁セグメントを避けることによって、成形プロセス中の壁の構造的完全性が向上し得ることを発見した。例えば、側壁の正方格子によって形成された従来のパターンでは、壁セグメントは、正方形の開口の行及び列間の比較的長い直線に沿ってその間に形成され得る。反対に、本明細書に記載されるような好ましい構造は、特に、結果として得られるピラー間の間隔を減少させるため、及び/又は活性面積を改善するために壁の厚さを比較的小さくする場合に、成形中の壁セグメントの座屈を緩和することを助けるために、例えばジグザグ状の、及び/又は湾曲した比較的短い線分によって形成することができる。例えば、最大直線壁長さ「L
max」は、
図1及び2の六角形パターンなどのように、最小断面直径「D
min」よりも少なくとも20パーセント(0.8倍)小さくすることができる。最大直線壁長さは、例えば
図3Aに示すようなジグザグパターンを用いて、より小さくすることもできる。代替的又は追加的に、例えば
図3Bに示すような湾曲壁セグメントを使用して、直線壁セグメントを避けることができる。一部の実施形態では、それぞれのユニットセル30uは、それぞれのユニットセル30uを取り囲む一対のさらに離れたノード間の距離として画定される最大直径(示されない)を有する。ある実施形態では、ユニットセル30uの繰り返しパターン内の何れかの場所の最長直線壁セグメントは、最大直径よりも小さく、及び/又は最小直径よりも小さい。
【0030】
別の好ましい実施形態又はさらなる好ましい実施形態において、それぞれの一対の最も近いノード32n間の何れの(直線又は湾曲)壁セグメント32sの壁長さ「L
max」も、当該壁セグメント32sに沿って形成された何れの開口31の最小断面直径「D
min」よりも、例えば少なくとも20パーセント小さい。例えば、直線又は湾曲壁セグメント32sは、相互接続された側壁32の格子内のどこにあってもよい。理解されるように、壁セグメントは、異なる方向を有する追加の壁セグメントによって、ノードにおいて構造的に補強され得る。ノード間の壁長さを比較的短くすること、例えば開口の最小断面直径よりも短くすることにより、側壁の全体的な構造的完全性を向上させることができ、成形プロセス中の座屈を緩和することができる。例えば、側壁の正方格子によって形成される従来のパターンでは、ノード間の壁セグメントは、正方形の開口と本質的に同じ長さを有する。反対に、本明細書に記載の好ましい構造は、開口の直径よりも短いそれぞれのノード間の線分を有し得る。例えば、最も近いノード間の壁長さは、
図2の六角形パターンなどのように、最小断面直径「D
min」よりも少なくとも20パーセント(0.8倍)だけ小さくすることができる。最も近いノード間の壁長さは、例えば、
図4Aに示すような中間壁構造32iを代替的又は追加的に適用することによっても、より小さくすることができる。代替的又は追加的に、
図4Bに示すようなスタガードパターンを使用することによって、最も近いノード間の壁長さを短くすることができる。また、
図4Cに示すような中間壁構造及びスタガードパターンの組み合わせを使用することができる。
【0031】
図3Aは、ジグザグ状の壁セグメント30sを含むユニットセル30uのパターンを示す。
図3Bは、湾曲壁セグメント30sを含むユニットセル30uのパターンを示す。一部の実施形態では、それぞれの開口31を取り囲む(3つ以上の壁セグメントが交わる交差点における)一対の最も近いノード30n間の少なくともいくつかの(好ましくは全ての)壁セグメント32sは、最も近いノード間の経路に沿って壁セグメント32sの方向θを、例えば少なくとも5度の平面角、好ましくは少なくとも10度又は20度、例えば最大で45度以上変化させるキンク及び/又は曲率を有する。
【0032】
他の実施形態又はさらなる実施形態では、異なるユニットセル30uの4つの壁セグメント32sのうちの3つが、好ましくは少なくとも90度(例えば、
図3Bの90°表示によって示されるように、交差点に接する4つのユニットセルが存在する場合)、又は少なくとも120度(例えば、六角形パターンのように3つのユニットセルが存在する場合)の角度を有するそれぞれの交差点で交わる。例えば、湾曲パターンにおいて、壁セグメント間の角度が最大化されるように、曲率がノードの手前でまっすぐにされることが好ましい。同様の効果は、
図3Aのパターンに追加のキンクを導入することによって達成することができる(図示せず)。壁セグメント間の鋭角を避けることにより、例えば
図7A及び7Bに示されるように、対応するピラーの電界を改善することができる。
【0033】
図4Aは、中間壁構造30iを含むユニットセル30uのパターンを示す。
図4Bは、スタガードユニットセル30uのパターン(例えば、横方向にオフセットされた及び/又は長手積み)を示す。
図4Cは、スタガードユニットセル30u及び中間壁構造30iの組み合わせを示す。一部の実施形態では、(3つ以上のユニットセル30u間の側壁32の交差点を形成する)ノード30n間の少なくともいくつかの壁セグメント32sが、横断壁セグメント及び/又は壁セグメント32sの局所的肥厚によって形成された中間壁構造32iを含む。例えば、(開口の内外を指す)横断壁の長さ「Li」及び/又は局所的肥厚の厚さ「Ti」は、壁セグメントの残りの部分の最小厚さ「T」よりも、少なくとも2倍、3倍、例えば最大で5倍以上大きい。他の実施形態又はさらなる実施形態では、ユニットセル30uは、スタガード状である。例えば、ユニットセルの第1の行は、ユニットセルの隣接する第2の行に対して変位している。ある実施形態では、変位「DX」は、それぞれの行に沿ったユニットセルの寸法の0.4~0.6倍の割合、好ましくは上記寸法の半分である(すなわち、第1の行の1つ又は複数の(好ましくは各)ユニットセルが、第2の行の2つのユニットセルの間の中央にある)。
【0034】
図5A~5Cは、異なるパターンを有するユニットセルの活性面積の比較を示す。活性面積「A」の割合=A
11/(A
11+A
12)は、以下のように計算され得ることを示すことができる。
【0035】
正方形パターンの場合:
【0036】
【0037】
三角形パターンの場合:
【0038】
【0039】
六角形パターンの場合:
【0040】
【0041】
図6は、異なるパターンに関する相対的ギャップサイズd/sの関数としての活性面積Aの割合のグラフを示す。六角形パターンを使用することにより、正方形パターンと比較して、それぞれの相対的ギャップサイズd/sに対して比較的大きな活性面積の割合がもたらされ得る一方で、三角形パターンは、比較的低い活性面積の割合をもたらすことに留意されたい。
【0042】
図7A及び7Bは、それぞれ正方形及び六角形の形状を有する圧電ピラーにおける電界強度Eのシミュレーションを示す。六角形パターンにおける120°の比較的鈍角の内角は、正方形パターンにおける90°のより小さい角度と比較して、角部における電界Eのより良好な浸透を可能にし得ることに留意されたい。したがって、一部の実施形態では、六角形パターン又は他のパターンを使用する場合など、内角を最大化することによって、活性面積の全体的な利用をさらに向上させることができる。
【0043】
添付の特許請求の範囲の解釈において、「含む(comprising)」という語は、所与の請求項に列挙された要素以外の要素又は行為の存在を除外するものではないこと、要素に先行する「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語は、そのような要素の複数の存在を除外するものではないこと、特許請求の範囲におけるあらゆる参照符号は、その範囲を限定するものではないこと、いくつかの「手段」は、同じ若しくは異なる項目によって、又は実装された構造若しくは機能によって表される場合があること、開示された装置又はそれらの一部の何れも、特に別段の記載がない限り、一緒に組み合わせられてもよく、又はさらなる部分に分離されてもよいことを理解されたい。ある請求項が別の請求項を参照する場合、これは、それらのそれぞれの特徴の組み合わせによって達成される相乗的利点を示す場合がある。しかしながら、特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせも有利に使用できないことを示すものではない。したがって、本実施形態は、文脈上明らかに除外されない限り、各請求項が原則的にどの先行する請求項も参照することができる請求項の全ての有効な組み合わせを含み得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電装置(100)の製造方法であって、前記方法が、
圧電材料(M)を含む成形可能層(10)を備えた基板(20)を設けることと、
それぞれの開口(31)をその間に分離する相互接続された側壁(32)の格子によって形成されたユニットセル(30u)の繰り返しパターンを含むスタンプ(30)を設けることであって、それぞれのユニットセル(30u)において、前記側壁(32)が、前記それぞれのユニットセル(30u)のそれぞれの開口(31)を取り囲む、設けることと、
前記スタンプ(30)を前記成形可能層(10)に押し込むこと(F)、又はその逆を含む成形プロセスを行うことにより、前記成形可能層(10)が、前記相互接続された側壁(32)の格子によって少なくとも部分的に切断され、及び前記圧電材料(M)が、前記それぞれの開口(31)に押し込まれ、それによって、前記圧電材料(M)を含むピラー(11)のアレイを形成することであって、各ピラー(11)が、前記それぞれの開口(31)に応じて形成される、形成することと、
を含み、
前記スタンプ(30)のそれぞれのユニットセル(30u)において、開口面積(A
31)の割合が、前記それぞれの開口(31)によって形成され、中実面積(A
32)の相補的な割合が、前記周囲の側壁(32)によって占められ、前記スタンプのユニットセル(30u)あたりの前記開口面積(A
31)の割合が、前記中実面積(A
32)の割合よりも多い、方法。
【請求項2】
前記側壁(32)が、前記それぞれのユニットセル(30u)を取り囲む隣接ユニットセルと共有される周囲壁セグメント(32s)を含み、隣接ユニットセル(30u)間で共有される前記周囲壁セグメント(32s)が、前記それぞれの開口(31)の最小断面直径(D
min)と比べて、少なくとも2分の1である最小壁厚さ(T)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユニットセル(30u)の繰り返しパターンの平面図において、前記相互接続された側壁(32)の格子の一部を形成する何れの直線壁セグメント(32s)の最大壁長さ(L
max)も、前記直線壁セグメント(32s)に沿って形成された何れの開口(31)の前記最小断面直径(D
min)よりも小さい、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記相互接続された側壁(32)の格子が、前記側壁(32)の少なくとも3つの壁セグメント(32s)が互いに交差する前記格子のそれぞれの交差点におけるノード(32n)のセットによって画定され、それぞれの一対の最も近いノード(32n)間の何れの壁セグメント(32s)の壁長さも、前記壁セグメント(32s)に沿って形成された何れの開口(31)の前記最小断面直径(D
min)よりも、少なくとも20パーセント小さい、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの開口(31)を取り囲む3つ以上の壁セグメントが交わる交差点における一対の最も近いノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記最も近いノード間の経路に沿って前記壁セグメント(32s)の方向(θ)を少なくとも10度変化させるキンク及び/又は曲率を有する、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
異なるユニットセル(30u)の4つの壁セグメント(32s)のうちの3つが、少なくとも90度の角度を有するそれぞれの交差点で交わる、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
3つ以上のユニットセル(30u)間の前記側壁(32)の最も近い交差点を形成するノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記それぞれの壁セグメントの長さに対して横断する方向に配向された長さ(Li)を有する横断壁セグメントによって形成された中間壁構造(32i)を含む、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
3つ以上のユニットセル(30u)間の前記側壁(32)の最も近い交差点を形成するノード(30n)間の少なくともいくつかの壁セグメント(32s)が、前記壁セグメント(32s)の局所的肥厚によって形成された中間壁構造(32i)を含み、前記局所的肥厚の厚さ(Ti)が、前記壁セグメントの残りの部分の最小厚さ(T)よりも、少なくとも2倍大きい、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ユニットセル(30u)のパターンが、ユニットセル(30u)のスタガード状の行を含み、ユニットセルの第1の行が、ユニットセルの隣接する第2の行に対して変位され、前記第1の行のユニットセルが、前記第2の行の2つのユニットセル間の中間のオフセット(Dx)で変位されている、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ユニットセル(30u)のパターンが、六角形パターンを含む、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記スタンプ(30)が、リソグラフィプロセスを用いて製造される、請求項1~
3の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
圧電装置(100)であって、前記圧電装置(100)が、
成形された圧電材料(M)で形成されたピラー構造を有する基板(20)を含み、
前記ピラー構造が、それぞれのピラー(11)の前記圧電材料(M)をその間に分離する相互接続された間隔(12)の格子によって形成されたユニットセル(10u)の繰り返しパターンを含み、それぞれのユニットセル(10u)において、前記間隔(12)が、前記それぞれのユニットセル(10u)のそれぞれのピラー(31)を取り囲み、
前記ピラー構造が、前記ピラー構造の成形後に残った前記圧電材料(M)の残留層(13)上に一体的に形成され、
前記ピラー構造のそれぞれのユニットセル(10u)において、活性面積(A
11)の割合が、前記それぞれのピラー(11)の前記圧電材料(M)によって占められ、非活性面積(A
12)の相補的な割合が、前記ピラー間の前記間隔(12)によって形成され、前記ピラー構造のユニットセル(10u)あたりの前記活性面積(A
11)の割合が、前記非活性面積(A
12)の割合よりも多い、圧電装置(100)。
【請求項13】
前記ピラー構造における隣接するピラー(11)間の最小間隔(12)が、前記ピラー(11)の最小直径と比べて少なくとも2分の1である、請求項12に記載の
圧電装置。
【請求項14】
ピラー構造が、ピラーの2次元アレイの各方向に沿って配置された少なくとも5つのピラーを有する前記アレイを含み、各ピラーが、最小直径が200マイクロメートル未満であり、及び前記ピラー間の間隔が20マイクロメートル未満である六角形断面形状を有する、請求項12又は13に記載の
圧電装置。
【請求項15】
前記圧電装置(100)が、少なくとも1つの電極(21)と、前記圧電ピラー構造
へ電気信号を送信
すること、及び
、前記圧電ピラー構造から電気信号を受信する
ことの少なくとも1つを実行するように構成されたコントローラと、を含む、請求項12
又は13に記載の
圧電装置。
【国際調査報告】