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特表2025-503882OCT撮像システムにおける共焦点関数の決定および補正のための方法およびシステム
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  • 特表-OCT撮像システムにおける共焦点関数の決定および補正のための方法およびシステム 図1
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  • 特表-OCT撮像システムにおける共焦点関数の決定および補正のための方法およびシステム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-02-06
(54)【発明の名称】OCT撮像システムにおける共焦点関数の決定および補正のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/17 20060101AFI20250130BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
G01N21/17 620
A61B3/10 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542418
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2023050514
(87)【国際公開番号】W WO2023138963
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】22152195.8
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519181641
【氏名又は名称】ハイデルベルク エンジニアリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キューブラー,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】デ ブール,ヨハネス エフ.
【テーマコード(参考)】
2G059
4C316
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE11
2G059FF02
2G059JJ11
2G059JJ18
2G059JJ22
2G059KK01
2G059LL01
2G059MM01
4C316AA09
4C316AA10
4C316AB03
4C316AB04
4C316AB11
4C316AB16
4C316FY05
(57)【要約】
【解決手段】
OCT撮像システムにおける共焦点関数の決定および/または補正のための方法を実行する装置であって、共焦点関数を決定し、および/または共焦点関数の影響を補正し、および/または共焦点関数を補正することを特徴とする装置は、従来技術の欠点を克服する本発明の目的を達成する。システムおよび方法がさらに開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定及び/又は補正する方法を実行する装置であって、共焦点関数を決定し、及び/又は前記共焦点関数の影響を補正し、及び/又は前記共焦点関数を補正することを特徴とする装置。
【請求項2】
異なる焦点位置で取得された同一サンプル位置の2つのAラインの共通特性を利用することにより、前記共焦点関数を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
異なる焦点深度を有する2つのAラインを取得するべく、2つのAラインの取得の間に焦点を変更する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
波長(λ)の関数として異なる焦点位置を形成する分散素子(1)を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
屈折力を変化させることができる能動光学素子(1)を有する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
スペクトルにフーリエ変換を適用し、共焦点関数補正済み高解像度OCT画像(22)を作成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項11から15のいずれか一項に記載の方法を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定し、および/または補正するための方法を実行する、システム、特に、OCT撮像システム。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置を備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
網膜撮像を作成するための共焦点レンズアレンジメント(23)を含む、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定し、及び/又は補正するための方法であって、
共焦点関数を決定するステップ、および/または
前記共焦点関数の影響を補正するステップ、及び/又は
前記共焦点関数を補正するステップ
の少なくともひとつを備える方法。
【請求項12】
高解像度共焦点補正済み画像(22)を再構成するステップを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記高解像度共焦点補正済み画像(22)の再構成は、波長サブバンドの補正済みプロファイルのコヒーレント加算に基づく、ことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか一項に記載の方法であって、
異なる焦点位置を有する異なるλごとにOCT画像(6、7)を作成するステップと、
OCT画像の共焦点関数を決定するステップと、
異なる焦点位置及び共焦点関数を有する異なるλごとにOCT画像を作成するステップと、
異なるλごとの共焦点関数補正済みOCT画像を得るべく、共焦点関数を補正するステップと、
異なるλごとのスペクトルを得るべく、逆フーリエ変換を適用するステップと、
異なるλごとの前記スペクトルに、複素スペクトルをコヒーレントに加えるステップと、
フルレンジのλのスペクトルを作成するステップと、
共焦点関数補正済み高分解能OCT画像(22)を作成するべく、フルレンジのλのスペクトルにフーリエ変換を適用するステップと
を備える方法。
【請求項15】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置または請求項8から10のいずれか一項に記載のシステムを使用する、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、組織構造の断面撮像を行うための光撮像技術である。
【0003】
OCTは、OCTビームに沿った試料の散乱プロファイルを測定する。各散乱プロファイルはAラインと呼ばれる。
【0004】
OCTビームを試料上で横方向に走査し、多数のAラインからBスキャンと呼ばれる2次元断面画像を構築する。
【0005】
時間ドメインOCT(TD-OCT)では、試料アームおよび基準アーム間の光路長を機械的に走査する必要がある。
【0006】
しかし、フーリエドメインOCT(FD-OCT)では、試料アームおよび基準アーム間の光路長差を機械的に走査することはない。
【0007】
その代わりに、走査光源OCT(SS-OCT)では走査光源の波長走査をフーリエ変換することにより、または、スペクトルドメインOCT(SD-OCT)ではスペクトル分解カメラおよび/またはラインスキャンカメラでスーパールミネッセントダイオード(SLD)のスペクトルを分解することで、軸線に沿った全点について全Aラインが並列に得られる。
【0008】
zに沿ったAラインI(z)は次式のように記述できる。
【0009】
【数1】
【0010】
ここで、ロールオフr(z)、共焦点関数h(z)、後方散乱率α、減衰係数μとする。
【0011】
現在までのところ、臨床においてOCT技術は主に組織構造の撮像と、層厚や構造間の距離のような幾何学的パラメータの測定に使用されている。
【0012】
また、OCTAでは血管内の血流を評価・表示するために、スペックルや位相のばらつきを評価する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来の技術の欠点を克服することである。
【0014】
本発明の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、OCTビームはレンズを用いて試料上に集光されるため、zに沿ったAライン散乱プロファイルは、撮像システムの共焦点関数h(z)、すなわち焦点位置zおよびレイリー長Zに依存することが見出された。
【0016】
【数2】
【0017】
そして、Aラインから減衰係数などの定量的なパラメータを求める場合には、共焦点関数の影響を補正する必要があることがわかった。
【0018】
共焦点関数を決定するためには、光学系のレイリー長と焦点を知る必要がある。特に人間の網膜の生体内撮像では、試料が動いたり収縮したりするため、焦点位置の決定が複雑になる。
【0019】
本発明によれば、さらに、共焦点関数を決定するために、異なる焦点位置で取得された同じサンプル位置の2つのAラインの共通特性を利用できることが判明した。
【0020】
フォーカスオフセットで取得された2つのAラインの比を取ることにより、例えば、次の式を比に当てはめることにより、焦点深度とレイリー長を決定することができる(非特許文献1~4参照)。
【0021】
【数3】
【0022】
ここで、Δz=zf2-zf1は2つの焦点深度間の軸方向のずれ、zf1およびzf2はそれぞれAラインの1番と2番の焦点位置である。3つのパラメータzf1、Z、およびΔzはすべてフィッティングパラメータとして設定できる。簡略化のため、フィッティングパラメータの1つまたは2つを固定することもできる。
【0023】
その後、焦点位置を補正したAラインを計算し、例えば非特許文献6に記載されている手順に従って組織減衰係数を決定することができる。
【0024】
焦点深度の異なる2つのAラインを取得するためには、2つのAラインの取得の間に焦点を変更する必要があり、これは一般的に試料またはシステムの対物レンズの軸方向移動によって行われる(非特許文献1~4参照)。
【0025】
例えば人間の網膜撮像において、焦点変更中に眼球が収縮してしまうと、共焦点関数を確実に決定することができない。従って、フォーカスシフトを非常に高速に、例えば2回の連続したBスキャン間で導入するか、あるいは、さらに良い方法として、1回のBスキャンから共焦点パラメータを抽出することが極めて重要である。
【0026】
特に、以下の2つの選択的な技術的解決策を開示する。
【0027】
解決策1.撮像システムに分散素子を追加する(または既存のレンズの設計を適宜変更する)ことにより、波長の関数として異なる焦点位置を作り出す。フーリエ変換の前にフルスペクトル走査をサブスペクトルに分割すると、焦点位置の異なる低分解能のAラインが同時に得られる。これらのAラインを例えば式1.3に従って分割し、その比を対応する焦点パラメータでフィッティングすることで、波長依存性の共焦点関数を決定することができる。
【0028】
解決策2.また、ミリ秒単位で屈折力を変化させることができる能動光学素子をシステムに加えることで、焦点深度の異なる2つのAスキャンをミリ秒単位で取得することができる。このような高速焦点調節は、眼球の移動や収縮シフトがあっても、比フィッティング法を用いて共焦点関数を確実に決定するために必要である。
【0029】
この能動素子は、液体レンズのような透過素子、電動レンズ、または屈折力の高速スイッチングを可能にする他の電気光学透過素子のいずれかである可能性がある。あるいは、高速フォーカスシフトを導入するために、反射モードで変形可能なミラーを使用することもできる。
【0030】
異なる焦点位置で取得されたAラインを分割し、その比を対応する焦点パラメータでフィッティングすることにより、焦点深度とレイリー長を決定することができる。
【0031】
得られた共焦点パラメータは、所望のタスクに対して焦点深度を最適化するため、または共焦点関数に対してAスキャンを補正するために使用することができる。共焦点関数の補正は、元のAスキャンを共焦点関数で割ることで実現できる。
【0032】
補正済みAスキャンは、減衰係数の計算やその他の定量的な組織パラメータの抽出に使用できる。
【0033】
解決策1の場合、サブスペクトルのAライン、ひいてはBスキャンを個別に共焦点関数補正することで、フルスペクトルのBスキャンよりも解像度の低い、異なる波長の異なる共焦点関数補正済みBスキャンを得ることができる。
【0034】
共焦点関数補正済み高分解能フルスペクトルのBスキャンを得るには、個々の共焦点関数補正済みサブBスキャンを、逆フーリエ変換を用いてスペクトルに変換し、複素数値のサブスペクトルをコヒーレントに加算した後、フーリエ変換を用いてフルスペクトルを画像に戻せばよい(図4参照)。
【0035】
あるいは、フルスペクトルのBスキャンをサブスペクトルの平均共焦点関数で補正してもよい。
【0036】
手動で焦点ずれを導入したAラインの比フィッティング法は既に非特許文献1~4で報告されているが、本明細書では、手動調整なしで焦点ずれを導入したAラインを得るための様々な方法を提案および開示する。
【0037】
1.1つの広帯域OCTのAスキャンから、スペクトルを、異なる波長のAラインの計算、続いて、共焦点関数にフィッティングする目的で異なる焦点深度のAラインの計算を可能にするサブバンドに分割することができる。焦点パラメータは、追加のデータ取得手続なしで決定できる。
【0038】
2.上述したように、連続したAスキャンとBスキャンの間で高速に自動化されたフォーカスシフトを行うことで、焦点パラメータを正確に抽出することができ、その結果、上述したすべての利点を備えた共焦点関数の補正が可能になる。
【0039】
異なる焦点のAスキャンを同時かつ高速に取得することで、焦点位置が不安定なサンプルや被写体に対しても、比フィッティング法を適用し、結果として共焦点関数を決定することができる。
【0040】
共焦点関数の補正は、絶対的な組織散乱データを決定するために不可欠であり、そうでなければ測定結果に誤りが生じ、再現性が低くなることが予想される(図3参照)。
【0041】
以下の詳細および技術的特徴は選択肢となりえる。
【0042】
焦点パラメータ(主に焦点位置)のオンライン表示は、OCTやOCTAデータ取得時に最適な画質を可能にするためのオンラインフォーカスコントロールとして使用できる。
【0043】
特にOCTAデータでは、焦点位置が異なる毛細血管叢の再現性に大きな影響を与えることはよく知られている。
【0044】
これは、ユーザーが手動で焦点設定を最適化するためのソフトウェアガイダンスの形で、または自動化された焦点適応または補正アルゴリズムの実装によって、またはグラフィカルユーザーインターフェイスでユーザーに焦点位置を提供する手段によって実現され得る。
【0045】
サブスペクトルバンドの補正プロファイルのコヒーレント加算に基づいて、高解像度共焦点補正済み画像を再構成することが好ましい。
【0046】
本開示は、特にOCT、共焦点関数、焦点、レイリー長、能動光学素子、分散素子、定量的OCT、焦点制御および減衰係数に関する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、連続したAスキャンまたはBスキャンに対して網膜に焦点シフトを発生させるための能動光学素子または電気光学素子の集積を示す。代替的に、網膜に色焦点シフトを導入する受動分散素子を追加することもできる。この例では、フォーカスシフト素子は走査前の固定ビーム内に実装されているが、走査ビーム内にも実装可能である。
図2図2は、フーリエ変換前の周波数データをスペクトル分割することにより、フルスペクトルBスキャンから得られた2つのBスキャンを示している。撮像システムに導入された色収差により、λ1とλ7の間でフォーカスシフトが観察される。右の画像には、7つの異なるスペクトルウィンドウの焦点面が示されている。これらの焦点面から、フルスペクトルの平均焦点面を求めることができる。スケールバーは200μmである。
図3図3の左のフレーム(A)は、同じ場所で異なる焦点設定で取得した一連のAスキャンを示し、右のフレーム(B)は同じデータだが、手動でシフトしたAスキャンに対して比フィッティング法を用いて共焦点関数を補正したものを示す。広い範囲にわたって、データは指数関数的減衰のランベルト・ベールの法則に従っていることに注意されたい。凡例はサンプル表面からの予想焦点深度を示す(非特許文献4参照)。
図4図4は、処理ステップの概略図である。
図5図5は、網膜撮像の生体内画像による処理ステップのさらなる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、少なくとも干渉計5、光源3、検出ユニット4、参照ミラー2、および素子1を含む装置を示している。素子1は分散素子または能動レンズシステムであってもよい。
【0049】
また、図1は、当該装置と、眼球21への光路を形成するための更なる光学手段とを備える光学系、特にOCT撮像システムを示している。
【0050】
光学系は、光学系と眼球21から構成される装置の一部である。
【0051】
図1は、連続するAスキャンまたはBスキャンのために網膜20にフォーカスシフトを発生させるための能動光学機械素子または電気光学素子1のインテグレーションを示している。
【0052】
また、網膜に色収差を導入する受動分散素子を追加することもできる。この例では、フォーカスシフト素子1は走査前の固定ビーム内に実装されているが、走査ビーム内にも実装することができる。
【0053】
図2は、フーリエ変換前の周波数データをスペクトル分割することにより、フルスペクトルBスキャンから得られた2つのBスキャン6、7を示している。
【0054】
撮像システムに色収差が入るため、λ1とλ7の間でフォーカスシフトが観察される。
【0055】
得られた7つの異なるスペクトルウィンドウの焦点面を右の画像8で見ることができる。これらの焦点面から、スペクトル全体の平均焦点面を求めることができる。スケールバーは200μmである。
【0056】
図3(非特許文献4参照)は、
(A)同じ場所で異なるフォーカス設定で取得した一連のAスキャン。
(B)同じデータであるが、手動でシフトさせたAスキャンに対して比フィッティング法を用いて共焦点関数を補正したもの。広い範囲にわたって、データは指数関数的減衰のランベルト・ベールの法則に従っていることに注意。凡例はサンプル表面からの予想焦点深度を示す。
【0057】
図4は、共焦点関数補正済み高分解能OCT画像22に関する図である。
【0058】
本明細書では、スペクトル分割による共焦点関数の決定方法の開発と評価について開示する。
【0059】
異なる散乱体濃度の均一な脂質内試料において、スペクトル分割法の原理が実証された。手動でフォーカスシフトを導入する方法の実行可能性は、異なるサンプル(層状のサンプルも)と2人の被験者で実証されている(非特許文献4参照)。
【0060】
本開示に記載したいくつかの特徴は、以下の事項において実装され得る。
1)GUIにおける焦点深度インジケータ。
2)3Dフォーカストラッキング(深度トラッキングの追加と、異なるタイムポイントでの完璧なオーバーレイのための焦点の適応)。これには電動フォーカス制御が必要である。
3)アンギオOCTの焦点深度制御。
4)組織の散乱係数、すなわち後方散乱光の強度に依存する測定の再現性のためには、定量的な結果を得るために共焦点関数の補正が不可欠である。もちろん、測定されたOCT強度が非常に類似したz位置のストラクチャーの信号に対して正規化でき、測定された強度の比のみが関連する場合は、この限りではない。
【0061】
緑内障ではRNFLの組織劣化が減衰係数の変化につながり、RNFLの幾何学的層厚が薄くなることが先行していることを示す発表がいくつかある(例えば非特許文献5参照)。
【0062】
この仮説が正しいとすれば、確実に測定された組織減衰係数を系統的に評価することは、緑内障の早期診断において重要な役割を果たす可能性がある。
【0063】
OCTオキシメトリーでは、異なるz位置(血管を通過する前と後)の信号はそのスペクトル範囲に関して評価されるため、ここでも焦点の波長依存位置が重要である。
【0064】
広帯域OCTシステムのハードウェアは、選択的に、追加診断能力を持つアドオンソフトウェアツールとして、このようなアルゴリズムの使用を可能にする。
【0065】
既存の色フォーカルシフトはすでに十分であれば、そのようなツールを使うことができる。
【0066】
拡張スペクトル範囲を有する高分解能OCTシステムは、本明細書の1つまたは複数の技術的特徴から構成され得る。
【0067】
特に、説明したように拡張されたスペクトル範囲を利用するための追加ソフトウェアモジュールの実装が可能である。
【0068】
図4および図5は、以下のステップからなる方法を模式的に示している。当該方法は、
異なる焦点位置を有する異なるλごとにOCT画像6、7を作成するステップと、
共焦点関数を決定するステップと、
異なる焦点位置および共焦点関数を有する異なるλごとにOCT画像を作成するステップと、
異なるλごとに共焦点関数補正済みOCT画像を得るために共焦点関数を補正するステップと、
異なるλごとのスペクトルを得るべく、逆高速フーリエ変換を適用するステップと、
異なるλごとのスペクトルに複素スペクトルをコヒーレントに加えるステップと、
フルレンジのλに対してスペクトルを作成するステップと、
フルレンジのλのスペクトルに高速フーリエ変換を適用し、共焦点関数補正済み高分解能OCT画像22を作成するステップと
を備える。
【0069】
破線の楕円は、異なるλごとのスペクトルを示す。
【符号の説明】
【0070】
1 分散素子または能動レンズシステム
2 参照ミラー
3 光源
4 検出ユニット
5 干渉計
6 λ1のBスキャン(OCT画像)
7 λ7のBスキャン(OCT画像)
8 7つの異なるスペクトルウィンドウλ1~λ7に対する焦点面画像
9 異なる焦点位置を有する異なるλごとのOCT画像
10 共焦点関数の決定
11 異なる焦点位置および共焦点関数を有する異なるλごとのOCT画像
12 共焦点関数の補正
13 異なるλごとの共焦点関数補正済みOCT画像
14 逆FFT
15 異なるλごとのスペクトル
16 複素スペクトルをコヒーレントに加算
17 フルレンジのλのスペクトル
18 FFT
19 共焦点関数補正済み高解像度OCT画像
20 網膜
21 眼球
22 共焦点関数補正済み高解像度OCT画像
23 共焦点レンズアレンジメント
λ 波長
OCTA オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィ・アンジオグラフィー
GUI グラフィカル・ユーザー・インターフェース
RNFL 網膜神経線維層
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0071】
【非特許文献1】Dwork, Nicholas, Gennifer T. Smith, John M. Pauly, and Audrey K. Ellerbee Bowden. 2016. “Automated Estimation of OCT Confocal Function Parameters from two B-Scans.” In Conference on Lasers and Electro-Optics, AW10.4. San Jose, California: Optical Society of America
【非特許文献2】Stefan, S., K. S. Jeong, C. Polucha, N. Tapinos, S. A. Toms, and J. Lee. 2018. “Determination of confocal profile and curved focal plane for OCT mapping of the attenuation coefficient”, Biomed Opt Express, 9: 5084-99
【非特許文献3】Dwork, N., G. T. Smith, T. Leng, J. M. Pauly, and A. K. Bowden. 2019. “Automatically Determining the Confocal Parameters From OCT B-Scans for Quantification of the Attenuation Coefficients”, IEEE Trans Med Imaging, 38: 261-68
【非特許文献4】Kubler, J., V. S. Zoutenbier, A. Amelink, J. Fischer and J. F. de Boer (2021). “Investigation of methods to extract confocal function parameters for the depth resolved determination of attenuation coefficients using OCT in intralipid samples, titanium oxide phantoms, and in vivo human retinas.” Biomedical Optics Express 12(11)
【非特許文献5】Vermeer, K. A., J. van der Schoot, H. G. Lemij and J. F. de Boer (2012). “RPE-normalized RNFL attenuation coefficient maps derived from volumetric OCT imaging for glaucoma assessment.” Invest Ophthalmol Vis Sci 53(10): 6102-6108
【非特許文献6】Vermeer, K. A., J. Mo, J. J. Weda, H. G. Lemij and J. F. de Boer (2013). “Depth-resolved model-based reconstruction of attenuation coefficients in optical coherence tomography.” Biomed Opt Express 5(1): 322-337
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定及び/又は補正する方法を実行する装置であって、共焦点関数を決定し、及び/又は前記共焦点関数の影響を補正し、及び/又は前記共焦点関数を補正することを特徴とする装置。
【請求項2】
異なる焦点位置で取得された同一サンプル位置の2つのAラインの共通特性を利用することにより、前記共焦点関数を決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
異なる焦点深度を有する2つのAラインを取得するべく、2つのAラインの取得の間に焦点を変更する、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
波長(λ)の関数として異なる焦点位置を形成する分散素子(1)を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
屈折力を変化させることができる能動光学素子(1)を有する、ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
スペクトルにフーリエ変換を適用し、共焦点関数補正済み高解像度OCT画像(22)を作成する、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定し、および/または補正するための方法を実行する、システム、特に、OCT撮像システム。
【請求項8】
請求項1に記載の装置を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
網膜撮像を作成するための共焦点レンズアレンジメント(23)を含む、請求項またはに記載のシステム。
【請求項10】
OCT撮像システムにおいて共焦点関数を決定し、及び/又は補正するための方法であって、
共焦点関数を決定するステップ、および/または
前記共焦点関数の影響を補正するステップ、及び/又は
前記共焦点関数を補正するステップ
の少なくともひとつを備える方法。
【請求項11】
高解像度共焦点補正済み画像(22)を再構成するステップを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記高解像度共焦点補正済み画像(22)の再構成は、波長サブバンドの補正済みプロファイルのコヒーレント加算に基づく、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の方法であって、
異なる焦点位置を有する異なるλごとにOCT画像(6、7)を作成するステップと、
OCT画像の共焦点関数を決定するステップと、
異なる焦点位置及び共焦点関数を有する異なるλごとにOCT画像を作成するステップと、
異なるλごとの共焦点関数補正済みOCT画像を得るべく、共焦点関数を補正するステップと、
異なるλごとのスペクトルを得るべく、逆フーリエ変換を適用するステップと、
異なるλごとの前記スペクトルに、複素スペクトルをコヒーレントに加えるステップと、
フルレンジのλのスペクトルを作成するステップと、
共焦点関数補正済み高分解能OCT画像(22)を作成するべく、フルレンジのλのスペクトルにフーリエ変換を適用するステップと
を備える方法。
【請求項14】
請求項1に記載の装置または請求項に記載のシステムを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一項に記載の方法を実行する、請求項1に記載の装置。
【国際調査報告】